地方行政委員会 第21号
- 発言数
- 85 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/05/10
会議録
○永田委員長 これより会議を開きます。 地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 これより本案についての質疑に入ります。 質疑の通告がありますのでこれを許します。太田一夫君。
○太田委員 元来は大臣にお尋ねをしたいと思うのですが、御都合で御出席になりません。政務次官もどういうかげんか出席をなさいません。したがって、不本意でありますが、奥野局長にお尋ねをいたします。 公営企業に関する規定は地方自治法の第二条第三項にあります。三項の三号、「上水道その他の給水事業、下水道事業、電気事業、ガス事業、軌道事業、自動車運送事業、船舶その他の運送事業その他企業を経営すること。」、これは事務の例示であります。それからもう一つ、六号には病院、浴場等の環境衛生関係の営造物を設置し、もしくは管理し、これらを使用する権利を規制すること、こういうふうに分けて規定をしてありますところから、地方公営企業法におきましては、公営企業と準公営企業にこれが分かれてくるのでありまするが、公営企業法の一番眼目をなします規定というのは独立採算、十七条でありますが、地方公営企業の特別会計においては、その経費は当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てなければならない、こういう第十七条の規定となってこれが明らかにされておるのであります。この独立採算ということに関連をしてお尋ねをするのでありますが、一体政府としては、この地方公営企業の経費は経営に伴う収入をもって充てなければならないというのを、どの程度までの強さをもって考えておいでになりますか、この独立採算の性格について、認識についてひとつお尋ねをしたいと思うのです。できるだけ詳細にお答えいただきたいと思います。
○奥野政府委員 事業の種類によりまして独立採算の考え方の程度が変わってくるのではないか、こう思います。具体的な例について申し上げますと、たとえば地方団体が発電事業、電気事業を行ないます。こういうものにつきましては一般会計の負担は全然ない。これは当然のことだ、こう思うわけでございます。独立採算の徹底したもの、むしろ場合によってはそとからあがる利益をもって一部河川の改修等に充てられても差しつかえない程度のものでなかろうか、こう思うのでございます。 その次に、病院事業のようなものになってきました場合には、最初から完全に借金だけでやっていく。そしてその収支を病院会計でとっていけということについては無理が伴うと思うのであります。少なくとも病院の建設を一般会計で行なって、病院経営においては減価償却費を生み出していく、こういうたてまえで運営されなければならない、かように考えておるわけであります。一般会計が負担をしていくわけじゃございませんけれども、少なくとも病院の建設費を借金でまかなう。その償還すべき元金までも病院の経営の収入でまかなっていく、これでは病院経常は赤字になっていくと思うのであります。言いかえれば病院経営でまかなっていくものは建設についての減価償却費相当額である、これは生み出すべきである。食いつぶすことはいかに病院事業であっても不穏当でなかろうか、こう考えておるわけであります。ただその場合に、病院事業にあわせて看護婦養成事業をするとか、いろいろなものが伴いますれば別でございましょう。しかし病院事業は準公営企業だから当然ある程度一般会計で見るべきだ、こう考えておるわけではございませんで、元利の償還額を全部病院の収入でまかなっていく、これは穏当ではない。そこは一般会計で病院を建設し、それを病院経営者に提供していくのだ、しかし病院経営においては当然減価償却は完全にまかなっていくのだ、こういう運営をすべきだと思います。 その次に、下水道の事業のようなものになってまいりますと、下水道使用料金だけで下水道の建設費から運営費まで全部まかなっていかなければならない、こうわれわれは考えないわけでございまして、下水道事業のような場合には雨水の処理という問題がございまして、一般会計から当然負担すべきである、こう考えるわけでございます。 大まかに分けて申し上げますと、そういうような三つの部分ができるのではなかろうか、こう思っております。
○太田委員 最初の、いわゆる事業収入をもってその企業運営を確保すべきだという中にあった、第一に分類された事項というのは、いま例示すれば第二条一項の水道事業ほか全部で七事業、これのことですか。いま一、二、三と三つおっしゃいましたけれども、最初におっしゃった、いわゆる完全独立採算のたてまえをもって運営されなければならないというのは水道事業等七事業である、こういうことでございますか。
○奥野政府委員 そうではございませんで、その中にも相当な開きが出てくる。したがいまして、極端なことを私は三つ例をあげて申し上げたつもりでございます。必ずしもこれにとらわれませんで申し上げたつもりでございます。
○太田委員 もう少し奥野さんの見解を聞きたいのですが、しからば独立採算を堅持すべき事業としていま言われた例示でありますけれども、分類されたらどうなりますか。
○奥野政府委員 完全に一般会計にいささかの負担もさせない、これが一つあると思います。いささかの負担もさせないのみならず、むしろ一般会計に寄与するというものまで含んで、一般会計にいささかの負担もさせないというものがあろうと思います。
○太田委員 それは何と何ですか。
○奥野政府委員 電気事業のようなものはそういうようなものでございます。ほかの事業につきてましては、運営の状況によりましていろいろ私は言えると思うのでございます。一がいにこれは言えない。たとえば水道事業の場合でありましても、その場合に、消防活動に必要な施設をあわせて経営させる場合もあるわけでございますので、一がいには言えない。私はただ一番はっきりしたものを例としてあげたわけであります。第二番目のグループは、原則的には収支がその事業において償うようにしていくけれども、性格上むしろ施設そのものは一般会計において施設して、経営をそういう方向においてゆだねていくという性格のものではなかろうか、そう思うのでございます。その例として病院事業をあげたわけでございます。第三には、当然一般会計が、ある程度の負担をすべきものがあるのじゃないか。準公営企業というふうにいわれているうちのものは、大体こういう方向だろうと思うのでございますけれども、その例として下水道事業をあげたわけでございます。
○太田委員 そうしますと、電気事業というのは完全ペイすべき事業でなくちゃならない、こうおっしゃった。それから病院というのは建物、いわゆる施設関係は一般会計で負担をすべきものであるが、その他はなるべくいわゆる独立採算、ある程度その収入をもって運営費に充てていくべきものだとおっしゃる。それから、Cクラスになりますと下水道事業を例におとりになりまして、こういうものは一般会計に寄りかかるのが当然のものだ、こうおっしゃる。A、B、C、三つのグループに分けまして、こう考えますと、今後公営企業としては、Cクラスというのは準公営だとかあるいは公営だとかいうような議論をすることもすでに必要ないのではないか。一般公営企業から抜いてもいいじゃないかという気がする。一般会計によりかかるものならこれは抜いてしまって議論をしたらどうだ、こういう点についてはそこまで発展する性格のものではありませんか。
○奥野政府委員 荒っぽい言い方をいたしますと、税金の金だけでまかなっていくというようなものを公営企業に取り入れることはナンセンスだと思います。しかしながら、むしろ料金収入で大部分をまかなっていくという性格のものは、やはり公営企業の範疇において考えていったほうが適正を期し得る、こう考えておるわけでございます。
○太田委員 そうしますと、下水道の場合は料金収入があるから準公営企業として残したほうがよろしい、こういうわけですね。その見方からいいますと、それならば下水道の料金というものは、全国大体において一律である、基準があってしかるべきだと思いますが、料金に対して基準があるのですか。
○奥野政府委員 下水道事業の建設費というものが地域によって若干違ってくるだろうと思います。したがいまして、考え方としては一応の基準があろうかと思います。下水道財政研究会において一つの考え方が明らかにされまして、大体政府部内におきましてもその考え方が妥当ではなかろうかというふうに考えられておるわけでございます。ただその場合におきましても、個個の団体においていま申し上げました建設事業費等あるいは維持管理費等が異なってまいりますので、絶対額においては若干の開きが出てくる、それはやむを得ないことではなかろうか、こう思っておるわけでございます。
○太田委員 規模によって違うけれども、料金というものを取るというたてまえではあるが、公営企業というほどのものでないということになれば、ある程度その料金に基準があって、その基準によって取られる税金に類したものだということになるのじゃなかろうかと思うのですが、それは野放しにしておいて、そして赤字の分は一般会計で補っていけばいい、こういうことでしょうけれども、少々その辺は下水道の問題について、これは一般会計に寄りかからせるのが至当なものであるという認識から出ますと、料金のバランスは、どうもしまいには、ほんとうは料金を高くしてなるべく一般会計のほうの負担を少なくしようとするような御指導に及んでいくのじゃないですか。下水道事業の利用料金を、ある程度基準を定めるというふうにしないと変だと思うのですが、そういうような議論はあまり出ないのですか。いまの話では、ある程度研究されているようにお話しですが、あまりその必要性はないのですか。
○奥野政府委員 非常に大まかなことを申し上げますと、下水道事業の建設にあたりましては、三分の一を国で持ってもらおう、三分の一は当該団体の一般会計で持とう、残りの三分の一は受益者で負担してもらおう、こういうたてまえをとっておるわけでございます。そういうたてまえで地方債の運用も行なっている、こういうことでございます。原則として維持管理費は使用料でまかなわれてしかるべきであろう、こういうことでございます。ただ、建設にあたりまして、受益者負担金を徴収するところと、受益者負担金は取らないかわりに使用料を若干高くして、それでまかなっていくところと、団体によって若干食い違いがございます。しかし大筋として、いま申し上げましたような考え方で運営されているのが普通でございます。またそういう方向で指導もして参りたい、かように考えているわけでございます。
○太田委員 Aのグループに属する問題をもう一回お尋ねしますが、電気事業のごとくいわゆるもうかる企業というのは、なるべく一般会計に寄与する程度までいってほしいとおっしゃる。それからその中に工業用水道あるいは上水道、地方鉄道事業、軌道事業、バス事業というわがあるのですが、こういうものはどうなんですか。
○奥野政府委員 電気事業につきましては一般会計で負担してまで地方団体がやる必要はない、こういう考え方を強くとっておるわけでございます。ただ総合開発事業の一環として電気事業をやる。その場合に、電気事業をやることがかえって一般会計の負担になるようなら、その電気事業を私たちはやめるべきだ、こういう考え方をとっているわけでございまして、そういう意味で申し上げておるわけでございます。その他の企業につきましては、一がいには言えない、やはり個々の団体の事業経営についての考え方、それは都市経営と結びつき合っていると思うのであります。都市経営を離れて個々の事業の独立採算の度合いを議論することは穏当ではないのではないか、こう思います。ただ、いまおあげになりましたうちで、交通事業一つ取り上げましても路面電車はこれは斜陽に属していると考えるわけであります。地下鉄は東京の例をとりましても一メートルで三百数十万円建設費にかかっておるのであります。これを全部料金にはね返していくかということになりますと非常に大きな問題になってくるわけでございます。そうしますと、地下鉄事業のようなものについては、一般会計が積極的に出資すべきではないかという考え方を持っているわけであります。だんだんそういう傾向にもなって参ってきているのでございます。そうなりますと、路面電車は将来撤去すべき性格のものであろう、地下鉄事業は積極的に建設していかなければならないが、とても全部料金にはね返していくわけにいかない。そうすると当然一般会計が相当の負担をする、出資という形をとることが穏当だろう、こういうことになるわけであります。中間に属するバス事業につきましては、バス事業まで一般会計におぶさることは穏当ではないだろう、むしろ場合によっては、地下鉄の費用の一部をまかなうくらいに持っていかなければならないのではないか。交通事業というものは三つを切り離して考えるのではなくて、路面電車とバス事業と地下鉄事業三者一体に有機的に運営をしていかなければならない、採算についてはそういう考え方で行なっていかなければならないのではないか、こういうように思われるわけでございます。
○太田委員 だいぶ奥野さんの話は、Aグループのものは、一般の公営企業に対しましては、いわゆる経済性の追求という点があなたの頭の中に一ぱいあるような気がするのですが、その経済性というものを公営企業で追求いたします場合には、これは一般民営事業もあまりたいして変わらないものになってくるだろうと思うのです。そうすると、それはどういうことになって参りますか、住民の福祉の増進というものは二義的になってくるのではなかろうか。経済性の追求が急なればなるほど住民の福祉の増進という命題からは離れていくのではないだろうか、この点はどうですか。
○奥野政府委員 お話しのように公営企業につきましては経済性も考えていかなければなりませんし、あわせて公共性も考えていかなければならないわけでございます。経済性という問題と公共性という問題とは、私は相反する問題ではないと考えるわけであります。あくまでも経済性を考えて公営企業というものは運営されなければならない。言いかえれば、企業の実態というものを、経営の過程におきましてその経営成績がどうなっているか、その財政状態がどうなっているか、常に明確にしていかなければならないと思うのであります。明確にしていかなければならないけれども、それに一般会計がある程度の補助をするとか、それがすなわち経済性を害しているんだということではないと考えております。あくまでも経済性を貫いて運営していかなければならない、しかし公共性の立場から、場合によっては一般会計が負担することがあっても何ら差しつかえない、それがまた公営で行なわれているゆえんではなかろうか、こう考えているわけでございます。経済性と公共性ということは相反する問題ではない、こういうように存じております。
○太田委員 その相反しないということは言えても、公営企業法の三条の「経営の基本原則」というところに「地方公営企業は、常に企業の経済性を発揮するとともに、その本来の目的である公共の福祉を増進するように運営されなければならない。」、こうある。本来の目的である公共の福祉の増進というものは、利用料金には関係ないんだ、たとえば水道なら水道料金あるいは市電なら市電の運賃というものは、公共の福祉の増進というものにはそう大きな関係はないんだ、こういう割り切りですか。
○奥野政府委員 公共の福祉という立場から考えていきますと、料金につきましても、一部の者しか利用できないような料金を定めるべきではない、そういう意味において深い関係を持っていると思います。ただ、それでは料金は低ければ低いほどいいのか、こう問われれば、私はそうは考えない。料金を低くすることがかえって水の出を悪くしたり、あるいはラッシュアワーには非常な押し込みをされて、車を利用するだけでも疲れ切ってしまう、これは住民の福祉を害するものだと考えております。料金というものは公共の福祉に大きな関係を持っておりますが、半面またただ低きがよろしいというような政策はとらるべきではなかろう、こう考えておるわけであります。
○太田委員 公営企業課長さんにお尋ねしますが、いま局長さんは、経済性の追求と公共の福祉の増進とは相反しない、こういうことをおっしゃった。それではいまの公営企業の赤字の特に顕著なるものはどういう事業であって、事業数にしてどれくらいのところがそういう赤字で苦しんでおるか。
○吉瀬説明員 お答え申し上げます。 三十六年度の決算では、公営企業法を適用しております企業で、交通事業が八十四事業のうち六十事業が赤字になっております。赤字の額は六十億円、これが一番額としては大きいわけでございます。そのほか水道事業、これが三百二十二の事業のうち七十四が赤字になっております。この額としましては約八億円。それから病院事業が六十七事業のうち二十九事業、三億円。下水道事業は十六事業のうち八事業、二億円。工業用水道事業は二十一事業のうち七事業、一億円。電気事業は三十一事業のうち二事業、一億円。ガス事業は三十八事業のうち十八事業、一億円。そのほかで四十四の事業のうち九事業、約一億円であります。合計しまして、地方公営企業法を適用している企業のうちで、建設中のものは除きまして、六百二十三事業のうち二百七事業が赤字を出しております。その総計の額は七十七億円、そういう計算になっております。
○太田委員 そこでいまあなたのおっしゃった交通関係ですが、三十六年度に八十四事業のうち六十事業が六十億円の赤字を出した、それはいかなる原因に基づくのですか。公共の福祉増進と経済性の追求とは調和し得るものなりという結論からみまして、なぜ赤字が出たのですか。
○吉瀬説明員 この赤字につきましてはいろいろ原因があろうかと考えております。個々の自治体で事情は違っておるかと思いますけれども、交通事業におきましては人件費が相当増高してまいっております。あるいは公営交通を囲むいろいろな条件が変化を来たしております。その条件といたしましては、料金がずっと据え置かれておるとか、いろいろな事情があろうかと考えております。たとえば物件費の関係等から取り上げてまいりますと、燃料費等が非常に大幅な上昇を見ておる。あるいは交通量が非常に増高してまいって、諸経費が増高してまいっておる。あるいは国家公務員のベースアップに準じていろいろ給与改定が行なわれ、人件費が増高を来たしておる。そういう事情が重なりまして経営悪化の大きな要因になっておるのではなかろうかと考えておるのであります。
○太田委員 先ほど局長のおっしゃったように、電気事業などは一般会計に寄与するところまでいくべきであって、完全独立採算のたてまえでいくべきであるというのに、なお二事業が一億円の赤字を出しておるということからいいましても、電気事業そのものがそういう黒字企業でないという点は、あなたのほうはもっと指導して、そういうものならやめさせて、民営に移せばよろしいじゃありませんか。先ほどから、そこのところまで一般会計で持つといったら、たまったものではないと思いますが、どうですか。
○奥野政府委員 電気事業についてはおっしゃったような考え方を持っておるわけでございます。ただ一般に、府県が行なっておりますような発電事業は、どちらかといいますと卸売りの電気事業であります。そういうことを中心に申し上げたのでございまして、赤字を出しておりますのは、離島におきまして電気供給事業を市町村が行なっている、そういう場合にコストがかなり高くつくものですから、どうしても赤字経営になる場合が出てくるわけでございます。こういうものについてまで完全独立採算でむしろ一般会計に寄与するような運用をしなければならない、こうは私は考えていないわけでございます。そこにちょっと説明が不十分なところがございまして失礼いたしました。
○太田委員 課長にもう一度お尋ねしますが、あなたはその赤字の原因が主として人件費にあるというように印象づける御発言でありましたが、すべてこれ人件費ですか。交通、水道、病院、工業用水、電気、ガス等、全部人件費ですか。
○吉瀬説明員 先ほど御説明申し上げました要因が、全部それだという意味で申し上げておるのではございません。特に交通の例としてそういうことが考えられる。やはりベースアップ等でいろいろ給与改定が行なわれ、人件費が増高してまいっておるというようなことが、経営悪化の非常に大きな原因になっておるという意味で、事項的に申し上げたわけであります。地方公営企業の赤字発生の原因というものは、やはり事業によっていろいろあろうと思いますが、一般にその施設を建設する場合に、計画が十分に策定されておったかどうか、計画の策定に起因するもの、それからその後のいろいろな経営を進めてまいります場合の、その経営に起因するというものがあろうかと考えるわけでございます。御承知のように、施設建設に関する投資のようなものが、住民の利用状況や何かから考えて規模が適正を欠くような場合には、赤字の発生の一つの原因になる場合がありましょうし、また建設、改良のための資金の大部分の占める地方債等の借り入れ金の支払いの利子の増額というようなものが、その経営の内容を圧迫しているだろうというようなこともあろうかと思います。それから、いま申し上げましたような職員の給与改定に伴って、事業の性格上比較的人員をたくさん要するような企業、先ほどの数字からも明らかでございます交通事業とか病院事業、そういうようなものはなかなかそういうような改定を吸収する余地が乏しいわけで、赤字が多くなっているだろうかと思います。なお、交通事業等につきましては、先ほど申し上げましたような事情のほかに、路面交通のふくそうや何かというようなことによって収益が低下してくる。それからまた利用人口の増加によりまして、これに対応する施設、車両の拡充も全体的に稼働率を低下させているというようなことがあるのではなかろうかと考えております。
○太田委員 課長さん、あなたはもう少し説明の中で忘れていらっしゃることはありませんか。あまり新らしい統計でないので私どもわからないのですが、ちょっと聞いたことなんですけれども、たとえば東京都の例をとりましても、電車は四十路線が赤字、バスは百六十路線のうち約半分の六十路線が赤字、電車、バスとも路線数のうち半分は不採算路線です。横浜におきましては、戦後陳情等によって新設しました十二の路線というのは全部赤字で一つも黒字の路線はない。バスについても、横浜の四十六系統のうち三十三年度に赤字が十二系統あるそうです。名古屋では七十七バス路線のうち二十が不採算路線。京都市では三割が不採算路線。大体公営都市交通全体で、電車、バスとも三割から四割が不採算路線と見られている。そのことをあなたは力を入れて御説明にならなかったのは何か根拠があるのですか。
○吉瀬説明員 特に御説明に際しまして、不採算路線についてわざと落としたわけではございません。やはり先生の御指摘のとおり、そういういわゆる不採算路線と称されるものをかかえまして、公営の交通事業がいろいろその経営に現在苦慮している、そういう不採算路線を持っているということも、公営交通事業の経営に対して非常な圧迫要素になっているということは事実だと考えております。
○太田委員 そういう三割から四割の不採算路線があるということが、今日の交通事業に対する六十億の赤字の最大なる原因なんです。それを人件費だというところに持っていっていただくから、すぐに経済性と公共の福祉というものとは調和するという議論になる。あなたはスタッフとして局長を補佐することに欠ける点があったのではないですか。そういう大事な——不採算路線を十分に克明に分析して、局長、こういう状態です、だから都市交通が赤字になるのはあたりまえです、人件費が上がったからじゃありません、ということを一口言っていただくと、局長の認識はがらりと変わると思う。それを隠しておるというところがどうもいささかふに落ちない。どうです。
○奥野政府委員 私から答えさせていただきたいと思います。 御指摘のとおりに、不採算路線の経営がございます。また交通事業なるものは、都市計画などと一体的に考えていかなければなりませんので、不採算路線も経営する意味において公営がむしろ都市においては適当だろうという考え方を私たちとしては持っておるわけであります。しかし、不採算路線も経営するということで料金はきめられなければならないと思うのでございます。当初から不採算路線を経常するのだから、当然一般会計が負担をするというようなことで料金がきめられていない、不採算路線の経営も含んで、全体として採算がとれるということで料金がきめられなければならないと思うのでございます。ところが、現在たとえば大都市の公営バスでいいますと、いまの料金がきめられてからすでに十二年たっておるわけでございます。その間に国家公務員の給与改定が七回行なわれております。しかも交通事業において人件費の占める割合が五〇%をこえているでしょう。そうなってくると、経営についていろいろ問題はあるにしても、もはや料金を動かさないで収支の採算をとっていくということは、非常に無理なことではなかろうか、こう思うのでございます。しかし、どうしても料金改定というものは、他の問題よりもおくれてまいりますので、ちょうどいま一番おくれたところへきてしまっておるものですから、交通事業が非常にたくさん赤字を出したというような状態になっておるわけでありまして、したがいまして、私たちといたしましては、どうしても料金問題に手を触れざるを得ない。もちろん経営の合理化ということも考えていかなければならぬわけでありますけれども、どうしても料金問題に手を触れざるを得ない段階にきておる。また現に大都市が料金改定の申請をいたしまして、すでに二年近くたっておるじゃないか、こう考えておるわけでありまして、たまたま国の物価政策の関連もございまして、そちらの問題の解決を見るに至っていないわけでありますけれども、そういうこともあるわけでございますので、私たち公共性を忘れているわけでもございませんし、不採算路線を経営していることも忘れておるわけではないわけでございます。
○太田委員 そうすると、やはり運賃問題に突き当たりますね。その経済性の追求ということは、最後になると運賃問題——今日まで十二年間据え置かれておる大都市の運賃というものは、非常に不合理なものだという点から出るとするならば、ここで明らかに都市のいわゆる電車、バスの料金は値上げをされるであろうということに相なる、また値上げをしなければその経済性の追求はできないということになるであろう。これは一般国民生活に与える影響も大きいと思いますが、それがやむを得ないとするならば、またそれも一つは考えざるを得ないと思う。それで現在どれくらいに考えていらっしゃるか。具体的に東京なら東京、横浜なら横浜、大阪、名古屋というところで、どのくらい上げたならばそれが合うのか。
○奥野政府委員 それぞれの団体によって事情は若干違うようでございます。現在運輸大臣に、大都市がバス料金の改定について申請をいたしておりますのは、大まかに申し上げまして全体で二〇%前後になっていた、こう考えておるわけでございます。
○太田委員 二〇%上げたならば、それで十二年間は上げずに済みますか。
○奥野政府委員 もっぱら他の諸物価がどう動いていくかとか、あるいは一般の交通事情がどう変化していくか、いろいろな問題があるわけでございます。ただ、私たちといたしましては料金を上げて、また数年たたずして料金を上げなければならぬというようなことは妥当でないわけだから、長期的に安定していけるような態勢を考えてもらいたい、こういうことでいろいろ協議もいたしておるわけでございます。
○太田委員 運賃は運輸省が認可するものでしょうけれども、公営企業として一般地方財政に大きな影響を持つものに対して、自治省がしっかりした見解を持たないことはいけないことだと思う。自治省はどのような具体的な見解を持っていらっしゃるか。大臣にかわって藤田次官、あなたが一つ御答弁いただきたい。
○藤田政府委員 この問題に関しましては、実は運輸省と経済企画庁と自治省と、三者間におきまして二年来いろいろ交渉の経緯がございまして、一応昨年末、経済企画庁で相当整理をやりましたが、その中で自治省関係の大都市バスの料金改定等がそのままに据え置かれて今日に至っておりまして、先ほど来太田委員が言われるとおり、公営企業の公共性と経済性、この二つの点から考えましても、私は、原因はいろいろございましょうが、やっぱり財政局長が申し上げましたとおり料金の改定、これが実現せずんば、なかなか公営企業の赤字解消に向かっての経営の合理化というようなことは解決しないのじゃないか。現在もなおこの問題に関しましては、関係各省と交渉中でございます。自治省としましても、いま御指摘がありましたとおり、過去十二年間据え置いた。今度二〇%程度上げればまた十二年くらいたったら動かすのか、あるいはずっと安定するのかという御質問でございますが、この点に関しましては、自治体におきまして現在最後の検討を加えております。自治体側から出ました案に基づいて、自治省でいろいろ協議を重ねた上で、最終的な安定策を実行したい、こういうふうな方針でございまして、料金改定ということは公共性に対して非常に問題でありますが、結論としては料金改定を中心に現在検討している、こういうふうに御了解をお願いしたい。
○太田委員 第四条によりますと、地方公共団体は、第三条の経営の基本原則、いわゆる経済性の発揮と公共の福祉の増進という二つの理念を中心として経営の基本計画というものを定めるのだ、こうなっておるわけです。したがって、いまの場合、バスが一律に二〇%を要求してきたということは、いかにもこれはその各自治体の実情と何だか密着しておらないという感じを受けてしようがない。だから各地方自治体ではどういうことを言っているのか、実際上経常の衝に当たっている者は。地方の経営の基本計画の中に、いつごろから運賃価上げがどの程度盛り込まれてきておるのか、もしわかっていたらその点を明らかにしていただきたい。
○奥野政府委員 自治体の方で交通関係の料金を上げたい、そういうことで申請をいたしまして、そのうち軌道事業につきましてはすでに許可がなされたわけでございます。ただバス事業につきましては、率直に申し上げますと、民営のバス事業との間において企業単価に相当な開きがある。民営であれば必ずしも採算がとれないわけではないのに、公営について料金を上げるということは、民営についてそれだけさらに純益をふやさしていくことになる、そういうことが妥当であるかどうか、こういうふうな議論が始まってまいったわけでございます。したがいまして、公営交通事業としましては、バス事業だけが料金改定の認可がまだおりていないというような事態にあるわけでございまして、一般の物価その他の上昇、あるいは公務員の給与の改定というようなことから、料金を引き上げざるを得ない事態に追い込まれてきておる。バスだけが今日まで相当残っておる、こういうことでございます。
○太田委員 だから各地方団体では、どれくらい上げてほしいと言っているのか。みんな同じ二〇%と言っておるのはちょっとおかしいじゃないですか。
○奥野政府委員 バス事業につきまして、残っている大都市について申し上げたわけでございますけれども、すでにたくさん認可もなされているわけでございます。取り残されているのが大都市等たしか九事業でなかったかと思うのでございますけれども、それも団体によりまして率の幅は違っております。大まかに申し上げまして、大体東京などから見て二〇%前後だ、こう申し上げておるわけでございます。これも非常に大まかな申し上げ方をしているわけでございまして、定期券でありますとか回数券でありますとかいろいろあって、それぞれみな違うわけでございますが、大まかなところで申し上げたわけでございます。また事業によりましても若干の開きがございます。
○太田委員 だから、運賃値上げという十大問題を解決しないと経済性の追求ができないということになれば、運賃値上げの問題を解決しなければ経済性の確立ができないということになれば、これは運賃値上げなんというのは重大問題ですね、その重大問題が、たとえば十二年間ほったらかしになっておったという点についてもおかしいし、今二割上げればあと十二年間そのままいけるだろうということも、これまた確たる保証がない。来年も上げなければならないかもしれない。軌道のほうは上げられたといっても、軌道はすべてペイしておるわけじゃないでしょう。今日ペイしておるんですか。だからこの点は、運賃政策をどうするかという点を、私企業と同じように考えて、完全独立採算制のたてまえで考えられるとするならばたいへんなことだと思いますが、どの程度まで運賃値上げでまかなうか。先ほどAグループの中に大体交通が入っておったと思います。大体交通は独立採算制でやっていけるようですが、そうすると東京都電も横浜市電も、ともに運賃によって経費をまかなう方向にならなきゃならぬが、なっておるのですか。
○奥野政府委員 先ほどちょっと触れたわけでございますけれども、同じ交通事業ではありましても、地下鉄事業などにつきましては完全な独立採算ということは困難でございます。むしろ一般会計からの出資を期待しておる。また現実に東京におきましては、毎年二十億円出資をいたしておるわけでございます。またその他の団体におきましても、利子の引き下げを考えるという意味において補助金を出しておるわけでございます。そういうように地下鉄事業の建設についてはばく大な一般会計を必要とする際でもございますので、一そうバス事業のようなものにつきましては一般会計の負担にならないようにしたいというのが私たちの考え方でございます。
○太田委員 だから、東京、横浜市電の軌道の運賃値上げができたならば、ペイをしておりますかとお尋ねしておる。
○奥野政府委員 軌道事業につきましてはペイするたてまえで先ほど料金改定が行なわれたのでございまして、今後の運営におきまして、それがどうなってまいりますか、さらに十分注意して見てまいりたいと思います。
○太田委員 課長、どうですか、その後の実績は。
○吉瀬説明員 それはまだ出ておりません。
○太田委員 三十六年度の統計しかないですから、新しいものがわからないのですけれども、私どもがこれをお尋ねするのは、膨大な赤字の発生原因は交通にあると先ほどの御説明で明らかになったから、その三十六年度六十億の赤字、三十七年度においては九十億くらいあるだろうと思う。百億近いそういうものの赤字を、一般会計がどう処理するかという問題に地方自治団体は直面しておるから、今度の改正案で、それは補助金で全部やってもいいのだということになるなら、また百何十億の財源の問題に突き当たるおけです。それでお尋ねしておるわけです。
○奥野政府委員 路面電車の採算が、料金改定を機会に完全にとれていくかどうかという見通しのお尋ねでございます。この点につきましては、最近の交通事情を見てまいりますと、一そう道路交通が麻痺状態になっておるわけでございます。したがいまして運転効率が非常に悪くなってきておる。これは現実にわれわれ認識しておる点でございます。そういうことを考えてまいりますと、私、経営の担当者じゃございませんだけに一そう全く安心だというようなことを言う自信がないわけでございます。そういうこともございまして、一そうバス事業のようなものまで赤字経営では困る。だから少なくともバス事業がすみやかに収支が改善できるように料金問題の解決をはかっていきたいと申してまいってきておるわけでございます。さしあたりはいま申し上げましたような考え方をとり、同時に、少なくとも地下鉄事業のようなものにつきましては、一般会計がある程度出資をしていくべきだ、こう考えておるわけでございます。他面こういうような交通問題全体につきまして、どういう態度をとっていくべきであるかというようなことで、官界、学界、それから実務の関係者が集まりまして、現在公営交通財政調査会というものを設置して、現に審議をしてもらっておる最中でございます。公営交通協会の機関としてそれが設けられておるわけでございますが、十一月ごろには結論を出してもらいたい、こう思っているわけでございます。現在のところでは、この赤字を一般会計が当然負担すべきだ、こういう建前ではなしに、あくまでも料金問題と経営の合理化問題とで解決するように努力してもらいたい、こういう建前でおるわけでございます。ただ、繰り返し申し上げますように、地下鉄業につきましては、どうしても一般会計がある程度持たざるを得ないのではなかろうか、こういう考え方はとっていきたい、こう考えております。しかしいずれにいたしましても、その調査会の結論によりまして、さらに必要な努力を重ねていかなくちゃならないだろうと思っております。
○太田委員 バスだけは何とかペイするように、こういう願望を持っていらっしゃる。軌道は赤字でもよろしい、水道は赤字でもよろしい、その赤字は一般会計から補助金でやりましょう、早く言えば今度の改正はそういうことですか。
○奥野政府委員 全然そういう問題とは関係はございません。私たちは、公営企業につきましては、原則として収支の均衡がそれ自体において確保されていくという建前で運営してもらいたい、こう思っておるわけでございます。したがいまして、また一般会計と公営企業との関係におきまして、繰り入れ、繰り出しを行なう場合でも、その繰り入れなり繰り出しなりの性格を、明瞭にした形においてやってもらうという意味において、繰り入れ金も長期の貸し付け金であるか、あるいは補助金であるか、あるいは出資金であるか、その性質によって、その性質どうりの名称をつけてもらうというようなことが今度の改正の眼目になっておるわけでございます。
○太田委員 今度お出しになった改正案は、一体何の効果があるかという点を聞くために私はいろいろお尋ねをしておるわけですが、補助金を出すことができるとか、長期貸し付け金の制度ができたとか、こういうことをおっしゃるのでありますけれども、バスはペイするような、いわゆる独立採算を堅持する運賃体制をとりなさい、こういうことである。それから地下鉄の投資に対する利子については、これは一般会計からできるだけ負担をしましょう、こういうことだ。だから非常な赤字のもとである軌道に対しては、これはどちらかというと放置されているような感じです。ペイしなさい、ペイするようにやりなさいとは言えないでしょう。軌道電車、あれは相当大きな赤字を持っているはずだ、それをどうするのですか。
○奥野政府委員 これも先ほどちょっと申し上げたのですが、路面電車は路面電車だけで採算を考えていく、バス事業はバス事業だけで採算を考えていく、こういう考え方でなしに、バス事業、路面電車、地下鉄事業もあわせて、交通機関一体としての運営を個々の団体として考えてもらうべきだし、運輸省の運輸審議会におきましても、個々の料金の検討を加えるべきじゃないか、こう考えておるわけでございます。路面電車の利用者、バス利用者、地下鉄事業の利用者の層も違うわけでございますので、一そうその感を深くしておるわけでございます。路面電車が若干赤字経営で、バス事業が若干黒字経営だ、全体としては収支がとれていく、そういう形がその団体の利用者その他から見て適当であれば、それも一つの行き方ではなかろうか、こういう考え方を持っているわけであります。
○太田委員 しかしそうしますと、不採算路線が三割から四割もあるという現状、さらに公共の福祉の増進という建前から、いわゆる経済路線でないところにバスをどんどん運転をさせ、新路線の開拓が行なわれていくということを想像いたしますと、公営企業を黒字にする——黒字にするまではないが、とんとんにするまでは容易ならざる運賃制度を考えなくちゃならぬ、地方公営企業ですから、ノー・タックスだ、税金がかからないだけだという利点だけではいけないと思う。赤字が出るのは当然じゃありませんか。それが私企業と違う点じゃないでしょうか。私企業は利潤追求だから黒字を目標にしておる。私企業と同じようにできるだけのものは自分のところの収入でまかないなさい、一般会計の方になるべくおおいかぶさらないようにして下さいということになると、やはり公共の福祉の増進ということで不採算路線を、バスや電車を走らせることは不合理だということになってきますね。そうすると公営企業の特質というものは失なわれませんか。これは局長さん、どうですか。
○奥野政府委員 不採算路線も含めて料金が決定されるべぎであるということを先ほど申し上げたわけであります。さらに料金のきめ方にあたりましてできるだけ押える、そのかわり一般会計である程度見る。これも一つの行き方かもしれませんが、今の地方財政状況なりあるいは国民負担の状況から考えてみますと、とても住民の納得のいくところではないのじゃないだろうかと思うわけであります。やはりバス事業の利用者が全体としてその経費をまかなっていく、こういうことだろうと思います。バス事業の利用者でない者までが、バス事業の経費を持たせられる、これはなかなか住民は納得しない。そのために税金を高くするといったって納税者はそれに応じない。これが現実じゃないだろうかと思います。学校の問題にしても、衛生施設の問題にしても、道路にしても、税金で解決しなければならない問題が山積しておる今日において、不採算路線をやるから、その経費の一部を一般納税者が負担すべきだというところまではいかないのじゃないだろうかと考えております。不採算路線を経営することで、料金が非常に高くなってきて、一般のバス事業の方がその料金に対してとても応じ切れない場合は、むしろ不採算路線を整理すべきだという議論になっていくだろうと思う。現状から考えればそういう段階ではなかろうかと思います。
○山口(鶴)委員 関連して。今のお話は、公営企業に対して、税金である一般会計がどの程度公益性という面から出資なり補助金を出していくか、その限界は一体どういうことかということが問題ではないかと思いますが、私は角度をかえて、一つ別のことを聞いていきたい。工業用水、これも地方公営企業の対象になっていますね。ところが工業用水につきましては、通産省の方から補助金が出ます。ところがこれに対して、いわば企業の採算性というようなことから、通産省が自治省の方とは関係なしに、というとしかられましょうが、自治省の立場をある程度無視いたしまして、トン当りの価格を安く抑える必要がある。それを抑えるところまで自治体が補助金を持つべきだという主張をやっておるということを聞くわけです。私は今お話のあったような路面電車なり、バスなり、こういう一般国民大衆といいますか、そういうものが利用するものについて、一般会計から自治体が公営企業に対して金を出していく。これは地方公営企業法にいうところの経営の基本原則からいって正しいと思う。ところが工業用水のごとく、これは何も一般国民大衆の直接利用するものではありません。特定の企業であります大企業に対して、トン当りの価格を一定まで引き下げるために、通産省のような一つの省が自治団体に対してある程度のものを持つべきだ、こういうことを指導するについては、私は非常に不可解であると思いますが、そういう点に対する自治省の御態度をお伺いしたいと思う。
○奥野政府委員 工業用水道の建設について国が相当の補助をいたしております。この補助とからみまして、通産省が、地方団体も一般会計で相当の負担をしてもらいたい、こういう要望をしばしば地方団体に向けていることも承知いたしております。それにつきまして自治省としましては、そういう態度について反省を求めて、言いかえれば自治省と通産省の間で意見の食い違いがこの点において起こったままになっておる。その結果、若干の地方団体が迷惑をされておるという事実はございます。それに対しまして、地方団体に対しましても、工業用水道の建設に必要なものは起債として全部見ますよ、一般会計で持つと言ったところで、特定の大企業について一般の利用者が負担するということは、とても納得してもらえるはずのものではないのじゃないだろうかという私たちの見解を示しているわけでございます。通産省としてはいろいろな事情もあるようでございますけれども、基本的には私たちは、工業用水道の建設費について、地方団体の一般会計において負担をしていくということは、現在の段階においてはとてもできないことじゃないだろうか、こう考えておるわけでございます。
○山口(鶴)委員 自治省の態度はよくわかります。問題は、そういたしますとそういうことが具体的に問題になっている地区の工業用水、おもなところはどういうところがございますか。
○奥野政府委員 尼崎地区と四日市地区が一番その例の顕著な地域だろうと思います。
○太田委員 そういう地方自治の原則からいいまして、地方で交通機関を経営しようが、病院を経営しようが、それぞれ地方住民の要望に基づいてやられることでありますから、地方住民の福祉の増進ということが、公共の福祉の増進という言葉で表現されておると思いますが、なるべくそういうことを実現する方向に持っていってもらわなければ困ると思うのです。ところが今の話などは、奥野局長の話はよくわかるのだが、さて交通となると、あまり赤字が多いせいか非常に冷淡なんですね。不採算路線は場合によっては整理をさるべきだというような示唆があった。しかし不採算路線の整理というようなことをやって赤字を克服させるというようなことになりますと、いわゆる経済路線だけだということになれば、これは地方住民の福祉というもと相反する結果になろうと思う。だから地方公営企業の中のこういうものは——たとえば交通関係なとは、元来これは赤字になるのはあたりまえじゃないかという思想があってもいいと思うんですがね。赤字という問題に対してそうこだわって、黒字にならなければいけないとこだわられるのはどういうわけでしょう。
○奥野政府委員 私は太田さんのお話から、いままで健全経営をやってきた、それがだんだんと経営が悪化してきた、経営が悪化してきても、それは不採算路線がたくさん動いているのだからやむを得ないではないか、したがって、その差額は一般会計で持てばいいじゃないか、こういうふうな意味の御質問と仮定してお答えをしたつもりでございます。それは、あくまでも健全経営に立ち直るように経営の合理化を考え、またやむを得なければ料金問題にはね返ってもしかたがない、こういうつもりでございます。しかし、当初から不採算路線を経営するのだ、それはこの料金ではとてもやっていけないのだ、そこは一般会計で負担をしようじゃないか、こういう出発があると思うのでございます。これは私はけっこうなことだと考えております。たとえば学校統合を行なう、そこでそれにスクール・バスを運営することもあって、不採算路線を積極的に取り入れていく。そのかわり、それは通常の料金体系ではとても全体としてペイしないだろう。そこで一般会計で相当の負担をしていく。当初からそういう計画をしていくのだ、計画的に赤字を一般会計で埋めていく、これは私はけっこうだと思うのであります。ただ、だんだんなしくずし的に、赤字がふえてきた、これを一般会計で埋めていくということは穏当ではないのじゃないか、こういう考え方を持っておるわけでございます。そういう意味でお答えしているつもりでございます。
○太田委員 そうすると藤田さん、今度はあなたにお答えをいただきたい。そういうようなぐあいに、当初の計画から赤字を想定をしていろいろなものをきめるという場合、これが公共の福祉にぴったり合致するならば、その赤字は一般会計で負担してもよろしい、こういう原則、これもわかる。そのことをきめる機関は何であるかというと、地方議会というようなことでは、私はいささか不十分なような気がする。そこで何か地方の公営企業の審議会のごときものをつくって、有識者をもってその審議会のメンバーとして、議会側もそれに加わるとしても、そういうものに調査審議をする権限、役割を負担せしめる、そういった地方自治体が条例でつくる公営企業審議会というようなものが非常に必要になってくると思うのですが、これはどうですか。
○藤田政府委員 公営企業、なかんずく交通関係の公企業に関しまして、参議院におきましても相当活発な論議がありまして、自治省としましても、従来の立場を守りつつ、現実に即した対策を考究する段階にきていると考えます。財政局長から答弁しましたとおり、原則としては公営企業はその個々のワク内において完全に独立採算がとれるということが一番いい姿である。しかし現実は交通麻痺の現状、これは政府全体の大問題でございます。なかんずく大都市の路面電車対策、これにかわる地下鉄の増強、こういう問題になってきますと、どうしても自治省オンリーでは処理しにくい大問題になってきつつありますので、いろいろなことを今後新しい角度から検討すべきであるというふうに考えておりますが、いま太田委員の言われました個々の自治体内において、最初から赤字を前提とした公営企業を計画する場合に、審議会のごときものを考えたらどうかという御発言でございましたが、これは自治省としましては、そういうことを全国画一的に強制することはどうかと思いますが、個々の自治体においていまお示しのような構想で、議会とは違った形において民間の衆知を集めた対策を練るというような機関を考えられることは大へんけっこうではないか。だからといって全国的に画一的な審議会を計画するということは、まだ自治省としては考えておりません。こういう考えでございます。
○太田委員 強制ということになればいかがなものかと思いますが、しかしそれにしても、一般会計においかぶさってくる財政上の赤字というものの原因をチェックするものは議会だけだということについては、いささか疑問があるということについては御同感のようでございます。ただ強制であるかどうかという点、いいことなら強制いいじゃありませんか。いいことを強制するのです。長生きを強制する、しあわせを強制する、あなたの繁栄を強制する、いいじゃありませんか、これは強制じゃないですよ。いいことなら、もう何でも進んでやるべきだと思います。別に強制とか何とかいうことばでおっしゃらないで、いいことだったら取り上げるべき必要があろう、同感だとか、もっと気前のいい返事をしてもらってもよさそうに思うのですが、いかがですか。
○藤田政府委員 そういう組織を自治体側におきまして自発的につくって、非常な効果をあげておるところもあるようでございます。なかなか微妙な問題でございまして、自治省としましては、先ほども財政局長が答弁しましたように、公営交通財政調査会がわれわれの相談相手にございますので、こういうところで、いま太田先生のお示しになったような機構とか、そういうものがいいかどうかということも相談しまして、強制しないで勧奨して、非常にうまくいくような自信がついた際においては考えることもさしつかえないのではないかということでございますが、この席上で直ちにそれを全国に一律に通牒等で勧奨するというような決断は、まだつきかねるということを御了承願いたいと思います。
○太田委員 それは大臣が出られてもあなたと同じ答弁になるでしょうか。大臣が御出席になって御答弁になってもいまのお答えと一緒になるでしょうか。少々小首をかしげて聞いておりましたが、公営交通財政調査会というのは、何か答申でも出したものがあるのですか。
○奥野政府委員 関係各省、学界、公営企業の担当者等で組織をいたしまして、ことしの十一月ぐらいには結論を出そうということで、会合を重ねてきている機関でございます。実は自治省のほうから、そういう調査会の設置を要請したわけでございますけれども、そこでいろいろ論議をしている最中でございます。
○太田委員 十一月ごろに何かいい意見が出るのなら、公営企業法改正案も十一月まで待ちましょう、もしあるとするならば。それと、それがいい仕事をやっていらっしゃるなら待てばいいと思うのですが、公営企業財政調査会というものが、私ども寡聞にしてよく知らなかったのですが、あるとするならば、ないよりはいいでしょう。しかしこれは重大問題であって、いわゆる地方公営企業は赤字であるのが本来だ。この赤字というものに対するこだわりを持つということは、地方公営企業を萎縮させるものだという気がしてならない。この基本的なものは、それは調査会あたりできめるべきものじゃない。もともとあなたたちも確たる信念を持っていただいていると思うのでありますが、財政局長は財政の問題だけで、わからない、そんなことを持ち出せば、また交付税と言いだすだろうから反対だと言っておけということで、赤字反対、交付税反対だ、そんな共産党みたいなことを言わないで、公営企業課長どうですか、あなたは長いこと苦労してきて、統計をずっと見てきて、地方公営企業の交通や病院は赤字だということに対して、あなた困ったことだ、困ったことだといって小首をかしげなければならないのですか。
○吉瀬説明員 お答え申し上げます。地方公営企業に関連しまして赤字がいろいろ出ておる、経営の状態が悪化しておるということは、先ほど来先生のほうからも御指摘のあったとおりでございます。われわれとしましては、先生のおっしゃるように、この地方公営企業というものは公共性と一緒に経済性もあわせてひとつ調和をとりながら、住民の福祉のために事業をやっていく企業だというように了解をいたしております。ただ公営企業は企業である以上、第一義的には、やはり企業が、現実の企業経営をやってまいります場合に、あらゆるくふうをこらしてその経営の改善といいますか経営の合理化と申しますか、それを行なうと同時に、また地方公共団体自体もやはりこれをつくって住民の福祉のために企業を行なったものでありますから、これは一体となって赤字の解決という問題、経営の改善という問題に乗り出さなければならないと考えておりますし、また国のほうといたしましても、これは単に地方団体の問題ばかりでなしに、また地方団体と一緒になって一歩一歩問題を具体的に解決して、その経営の改善にできるだけの協力をいたすべきである、そういうぐあいに考えております。
○太田委員 課長にいまのことでお尋ねしますが、それは努力することはいいでしょう。それは赤字だ、黒字だということは、特別会計でやれば明らかになるんだから、それはいいでしょう。財務会計制度はしたがって企業会計方式にする、それもいいでしょう。けれども、そんなことを言って、地方公営企業の本来の公共の福祉の追求ということを無視したり軽視したりするということになってはたいへんだと思うのです。元来それは地方公共団体でやるべき仕事であるし、一般会計でやったっていいじゃありませんか、乗車税という税金くらいに見ておけば。バス料金、運賃なんて言わずに、これは乗車税という税金だ。だから一般会計の収入にして、要るものはちゃんと要るといって支出のほうにして、何もこれは特別会計をつくる必要というものはなくなってくるような気がする。特別会計をつくっておるから、さあ赤字だ何だかんだということになる。これはいっそのこと、全部オープンにするということをお考えになったことはないのですか。
○吉瀬説明員 先生のいま御指摘のような件につきましては、考えたことはございません。
○太田委員 どうして考えないのですか。私の言うのは、地方自治法の地方団体のやるべき仕事の中にきまっておるじゃありませんか。特別に認可を受けてやる。——地方公共団体が元来やるべきものではないけれども、特にどうとかこうとか、新しい地方公営企業法をつくってやるというものではない。それは地方自治体の本来の仕事でしょう。だったら何も特別会計をつくらなければならぬという理由はないのじゃないですか。特別会計をつくるから、赤字だという問題が起きてくる。交通で出た赤字も、下水で出た赤字も、一括して全体の基準財政需要額に算入して、交付税で見たらいいじゃないですか。黒字のところへは出さぬでもいいじゃないですか。どうですか。そこまで考えるのがほんとうの地方自治の発展になるのじゃないかと思いますが、その飛躍したことを考えることは、研究の自由も許されないということですか。研究なさったことがありますか。
○奥野政府委員 太田さんがどの程度本気で言っておられるか、ちょっと疑問に思いながらお答えさしていただくのでありますが、いまの私たちの財政指導にあたりましては、当該事業に伴う収入をもって運営をしていくという性格のものにつきましては、収入と支出とを対応さしていく、そうしてその運営はどうなっておるかということを批判しやすくしていくというような考え方で指導してまいってきておるわけでございます。したがいまして、公営企業のように企業ごとにその収入でその経費をまかなっていくというものは、なるべく企業ごとに会計を別にさしていくというようなかっこうで運営をしてまいってきておるわけでございます。税金の金をどう使ってくれてもいいというような大まかな、おおらかな国民はあまりないようでございますから、一そうそういう点について批判しやすいような経理をさしていくということが適当ではなかろうか、こう思っておるわけでございます。会計を分けていくということと、一般会計からその会計に援助していくということとは、別問題だと思うのでございます。一般会計から特別会計に援助する必要のあるものもたくさんあろうかと思います。そういうものはちゃんと援助していいということを明確にしておくことも必要だと考えるのでございます。そのためにも会計を分けた方が、そこが明確になっていくわけでございます。その援助が妥当であるか妥当でないか、どういう性格のものであるか、これは大いに議論してその是非をきめていけばいいのじゃないか、こう考えておるわけでございます。
○太田委員 私の言っておるのは、自治法第二条の、地方団体の本来の任務としてそういう事業をやらなければならぬ、公営企業の対象になっておる事業をやることになっておるというなら、一般会計の中で全部やっても別に違反でも何でもないだろう。だからいっそのこと一般会計に包括して特別会計を廃止するということも、考え方によってはおもしろいのじゃないかと思うのだが、その御研究をなさったことがあるかということを課長にお尋ねしたのですが、どうもその自由もないらしいですから、局長のおっしゃったことで、できるならば、経済性の追求と公共の福祉との調和をはかっていくという在来の方針でおやりになっていらっしゃることは、別にそれに対して特別異議があるわけではないのですよ。そのことはいいのですが、とにかくお話を聞いておるうちにだんだんと、赤字というものを、運賃の値上げとか企業の合理化によって克服しろとおっしゃるから、そうすると不採算路線というものはあまりやれなくなってくる。もしそれをやるとすれば、猛烈な高い運賃をとらなければならないということになるような気がする。それでは地方団体の地方公共の福祉増進という使命に相反することになりはしないかという心配がある。だからまじめにやっておって、赤字が出たら、それに対してすべて一般会計から補助することができるというくらいのことで、この補助制度をおつくりになるものなら私も理解できるのです。ところがどうもそうでないらしいのです。先ほどの不採算路線などはひとつ整理してもらいたいくらいだとおっしゃると——あなたのほうから東京都の交通局に対して何か示唆がある。どうも最近赤字が多いけれども、こういうところはやめたらどうか、たとえば昨年の都電の撤廃論。局長、あなたは都電撤廃の自信がありますか。都電を撤廃したら、今度は自動車が何台走ると思いますか。
○奥野政府委員 個々の具体の問題につきまして、交通事業について知識を持たない私が答弁することは穏当でないと思います。ただ、東京都の交通事情を見てまいりますと、バス事業があり、路面電車事業があり、地下鉄事業がある。その地下鉄事業も、営団事業があり都営事業がある。こういうことでいいのだろうかという気持を持たざるを得ないわけでありまして、もう少し一体的な経常を考えて、たとえば路面電車ははずすかわりにそこの地下鉄を整備していくというようなこともございましょうし、あるいはバスの運転回数を充実していくというような問題もあるわけでございますので、一体的な経営ができないものだろうかということは、機会あるごとに、運輸省に対しましても、経済企画庁に対しましても、議論はいたしておるわけでございます。やはりいまの道路問題は、地下も利用し、路面も利用し、高架も利用するというようなことでやっていかなければならないわけでございますので、そうなってまいりますと、路面を走るものは自動車関係にしよう、地下を走るものは軌道関係にしよう、高架を走るものは高速自動車関係にしようというような区分も、私はでき得るのではないかと思うのであります。性質の違った交通機関を全くばらばらに走らせておって、それで交通が円滑にいくものだろうかということになってまいりますと、私はやはり疑問だと考えるものでございます。私は全く知識がございませんので、ここでとやかく言うことは避けたいと思います。ただ、問題といたしまして、東京都の交通の姿につきましては、確かに改革すべき重大な問題を含んでいるのじゃないだろうかということを考えておりますし、東京都の交通当局もそういう気持を持っております。運輸当局もやはりそういう気持を持っているようでございます。今後そういう意味の方向で努力をしていかなければならないだろうと考えております。
○太田委員 藤田次官、どうですか。東京都営電車は廃止すべきものですか。赤字が多いから、赤字の路面電車などは廃止してしまえ、こういう議論ですか。あなたも賛成ですか、どうですか。
○藤田政府委員 東京都電が発足しましたころの交通事業から考えますと、これは絶対の路線、路面電車というものが唯一最大の交通路線であったわけでございますが、昨今の特に民間企業の非常な発展によりまして、ハイヤー、タクシー並びにバスの発展あるいはまたサービスというものが徹底してきまして、しかもこれを監督する運輸省の認可の範囲が相当公共的な色彩を強くしてまいりましたために、公営企業たる交通事業と私企業たる民間のバス、ハイヤー、タクシーとのけじめというものが非常にむずかしくなってきておりますし、殺人的な交通事情でございますので、地区によりましてはやはり路面電車を廃止すべしというようなことも、当然これは物理的にそういう必要に迫られてくる段階が迫っておるのではないか。基本的な方針として路面電車を廃止して地下あるいは高架に変わるというようなことよりも、現実の必要からそういう事態に追い込まれつつあるということで、東京都の首脳部におきましても路面電車一部廃止ということはもうすでに踏み切っている、こういう状態でありますので、賛成反対は論外にしましても、そうせざるを得ないという昨今の交通事情であるというふうに私は解釈いたしております。
○太田委員 交通関係閣僚懇談会に、あなた大臣にかわってひとつ提案してもらいたい。電車一台バス三台というのです。電車を一台廃止すればバスを三台増備しなければならない。電車一台バス三台の原則からいいまして、東京都のこの稠密化したところの路面交通というものを都電の廃止によって解決しようなんということは、木によって魚を求めるがごときもので、とんでもない話だと私は思うのです。何でも廃止すればいいなんというのはとんでもない話だ。大量輸送の問題も解決ができておらないです。この路面電車というものは、まだまだ日本の国では大事な使命を持っておると思うから、むやみに路面電車廃止論をやったり、路面電車の軌道の中を自由に自動車を通行せしめるということは、電車の使命を狭めることになって、そうして廃止にもっていこうとする現在の交通の規制の状態、こんなことなどもたいへんに間違ったことだと私は思うのです。少なくとも路面電車は温存していかなければならぬ。温存することによって都市交通というものはもう少し円滑にいくような気がする。路面電車をまま子扱いにするから、今の横浜にしても、東京にしても、あるいは大阪にしても、非常に混雑があると私は考えておる。これはもうすでに一部廃止しておるところもありますから廃止する運命にあるだろうというような、斜陽産業化したような見解は、一部訂正していただかなければならないと思うのです。これは十分研究してほしいと思うのです。 そこで今の公営企業というものは地下鉄に移行する。地下鉄に移行する場合に、東京都の例をとれば、なぜ都がやらなければならないか。営団があるから営団にまかせておけばいいじゃないか。資金の調達、利子の補給、そんなことは心配せぬでもいいじゃないか。それをわざわざそんなところに、二重投資のような形で、同じようなところに銀座の駅をつくって、さあ資金が足らぬ、利子が足らぬ、——何を言っておるか。もうちょっと地方公営企業の元締めたる自治省は、断固たる大方針でずばりっとものを言ってもらって、むだな投資とか何かは避けて合理的な指導をしていただかないと、事業のほうだけ、人件費を切り詰めよと節約運動をやることによって、合理化合理化ということは、本末転倒じゃないかという気がするのです。こういう点はどうですか。都営地下鉄などやめたらどうですか。
○奥野政府委員 私たちは、都営であるか営団であるかは別にいたしまして、路面電車の経営者と地下鉄事業の経営者が、ばらばらでいいものだろうかという疑問を持っておりますが、ところによりましては路面電車を地下に埋めなければならぬところがあるのではないか。そうすると、どういうところから地下鉄を建設していくか。やはり路面電車を早く撤去したほうがいいところから地下鉄を建設していくということになると思いますが、経営が別別でございますと、廃止すべきところも廃止できないということになっていくわけでございます。路面電車を廃止すると地下鉄にとられるということにもなりかねないわけであります。私たちは、都市交通というものにつきましては、基本的に公営のほうが望ましい、少なくとも住民の考え方というものが、経営に十分反映できるような特殊法人組織が望ましい、こういうような考え方をいたしておるわけでございます。都市計画と密接な関連を交通事業というものが持っておることが基本的な問題でございます。同時にまた、都市の発展の形態によりまして、路線をどういうふうに変更するとか設定するとかいうような問題もございますし、またどういうところにターミナルを設けていくかというような問題もありまして、都市経営と一体化していかなければならぬ性格のものではないか。そうすると、都市経営を担当する者が、それらの交通事業の経営について、十分な発言権を確保していかなければならないのではないだろうか、こういうふうに考えておるわけでございます。したがいまして、現在の姿については、まさに問題があると思います。地下鉄事業は、おっしゃるように都営のものがあり、営団のものがあって、まさに問題があると考えます。しかし、どちらかといいますと、私たちは、路面電車もバス事業も地下鉄も、一体とした経営を考えていくことがより妥当ではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
○太田委員 それはできないのですよ。第一国鉄があるでしょう。山手線なんて都営に移せばいい、——そんなことはできないでしょう。中央線を都営に移すことはできないでしょう。できぬことを言っても始まらない。いままで何も不便がなかったことを、ことさら過剰投資をして、その利子負担に困ったりするようなことをせぬでもいいということを言っておる。何も困っていませんよ。電車というものは、地下鉄でも路面電車でもそうでありますけれども、便利なら乗るのです。不便なら乗りませんよ。路面電車に乗らなくなればおのずから廃止されるではありませんか。そんなことはお客さんがきめることで、自治省はそう心配せぬでもよろしい。だから、あなたの言うように、かりに地下鉄をやるとする、名古屋あたりも八百億の建設費を地下鉄道にかけております。三十五年から四十年の間に百二十億ですが、全計画八百億になっておりますが、その八百億の利子負担が将来非常な負担として一般会計にしわ寄せになってくるだろうと思う。そうして運賃問題だ何だいって騒ぎますが、なかなかこれはたいへんなことだ。もしほかにやる人があれば、まかせてその路線を引きなさい。運輸省はちょうど認可権を持っており免許権を持っておりますからいいじゃありませんか。何も地方自治体がやらなければならないという必要はない。地方自治体が、あなたの言う経営の合理化がなぜできないかというと、経営のセンスのない者が経営しておるから経常合理化はできない。だれが実際の経営をしておるのです。経営のスタッフの中に、実際にそういう的確な知識を持つ者がおりますか。単に高給をはんでいるだけではだめだ。経営のほんとうの訓練を得た人が、今までの一般公営企業に入っておるでしょうか。特に赤字の一番大宗である交通関係などにおいては、そういう人は入っておらない。名前をもらったからすぐに常業がうまくいく、名前をもらったからすぐ経理がうまくいうというわけにいかない。赤字企業について才能が十分であるかということについて点検されたのですか。人間について点検されたことがありますか。
○奥野政府委員 大都市の交通事業になりますと、私は相当なスタッフを持っていると思います。今日行政はかなりに分化して参ってきておりまして、交通事業をやっておった人たちがあすは教育行政に携わるのだとか、あるいは衛生行政に携わるのだとかいうわけのものではございませんで、入ってずっと生涯交通事業に一身をささげて参っておるわけでございます。どこに民営の事業のスタッフと違うところがあるのか、こう言いたいと思うのでございます。ただ、経営のあり方は、常に経済性一本ではございません。あわせまして公共性も考えていくわけでございますので、そこで都市経営と一体的にいろいろはかっていくとか、あるいは他の部門の要望も入れて交通事業対策をやっていくとかいうようなことで、民営の場合とはかなりニュアンスの違った運営が行なわれていくだろうと思うのでございます。それはあくまでも住民の意思に従った運営でなければならないと思いますし、また住民の意思あるいは利用者の意思というものが反映されやすくなっていることは、事実ではなかろうかと私は考えておるわけでございます。
○太田委員 あなたはそうおっしゃるけれども、そう思い切ってやれるような実態ではないのですよ。収入を扱うのは車掌さんですね。そのバスの車掌さんが上がってきたとき、そのお金をどうするのですか。知っていますか、かばんの中の切符を売っただけのものを納めればいい。切符を売った以上の金があったときには、納めてもらっては困るのです。それは全然ほうってしまうのですか。それからもう一つお金を持っていきはしないだろうかといって、身体検査をしているのは私営バスが一番多いのです。これはしごくあたりまえになっている。ふろに入れ、そのあとでみな調べている。こんなセンスで今日のバス経営なんかできますか。長年やっていても、そこら辺のところに経済性追求とか合理化ということには縁遠い人が実際やっている。しごくあたりまえでそういうことをやっている。いま満員のバスの車掌さんは切符を切るどころではない。人命を完全に守らなければならぬ。とにかく取るべき運賃を収受すればいい。切符を切らずに、そこまで来たら、切符代だけ助かるじやありませんか。だったら、かばんの中の銭を全部出して、あなたは三万五千円、この人は四万八千三百円と、それぞれ全部あるだけのものを納めればいいじゃないのですか。一々計算させて切符の売り上げと合わない金は困るから、不足のものは弁償しろ、過剰あるはずなし、あなたの方の理屈からいって、あるはずはないのです。だから、それは納めてもらっては困る。そういうお金の取り扱いをしておって、経済性の追求だの、合理化だの言ったって、それはお話にならない。だから人という問題と内容の問題をもう少し——合理化ということをやる場合には、あなたの方はすぐに人間が多いとか少ないとか、賃金が高いとか安いとか言うが、そういうやぶにらみはやめて、世の中の事業経営をまっすぐ見て、赤字は当然一般会計の中から負担するくらいの思い切った線をお示しになるならば、これははっきりすると思う。 きょうは初めていまお尋ねして、どうも補助金の問題というのは、少しみみっちいような感じがいたしますので、課長さんにもう少し資料をいただきたいと思いますが、具体的にどこの自治体のどういう企業がどういう成績で、どういう赤字を出しているか、そのところの賃金はこうこうこうだとか、平均年齢、平均勤続年数、平均家族数というものに至るまで、一々統計資料を出していただきたいということをお願いしまして、きょうは、これで終わります。
○永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時三十六分散会