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43回国会衆議院1963/02/08

地方行政委員会 第4号

発言数
96
登壇者
11
会派数
2
開催日
1963/02/08

会議録

永田亮一自由民主党

○永田委員長 これより会議を開きます。  警察法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。松井誠君。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 昨日お願いしました資料をいただきましたが、この条約の仮訳を実はまだ拝見するいとまがございませんので、これを、密輸に限らず麻薬犯罪の取り締まりに関係がある点について、一つかいつまんで内容を御説明願いたいと思います。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 この麻薬の単一条約につきまして近く外務省から提案されるようでございまして、この条約の詳しい内容につきましては、所管の外務省から御説明があると存じますが、この条約の概要をかいつまんで要点だけ申し上げますと、この条約は、従来一九一二年の国際阿片条約以来ありました九つの条約の中で、相互に重複したりあるいは矛盾したりしております点を有効な統一的なものに改めるという内容でございまして、麻薬の使用を医薬上及び科学上の使用にのみ制限する、そしてそれによって麻薬の乱用に対する効果的な措置を国際的に実施するというものでございます。そういう意味合いから、国連の麻薬委員会あるいは麻薬統制委員会におきまして、国際的な麻薬の生産地あるいは需要地等について、その生産の見積もりあるいは需要の見積もり等を全部とりまして、医薬上あるいは科学上の使用に必要な範囲の麻薬を供給する、需給調整をするということが主たる内容でございます。国際的な規模で生産、消費、あるいはその中間におきます輸出、輸入、あるいは製造、あらゆる段階について締約国の政府が監督機関を設けましてこれを全部統制していく、許可制なり、免許制なり、そういう形で統制をしていく、そういうことで麻薬の必要な施用以上のものが生産されないように、またそれが流通しないようにということを保障していくわけでございますが、それに基づきまして締約国それぞれが、その国々の立法上あるいは行政上の措置によりまして生産、製造、輸出、輸入等の国内法による統制を明確に定めていく、こういう種類のものでございます。従って、この締約国あるいは加盟国以外の国々におきましても、国連の統制委員会等の勧告、注意に基づいて厳格にその施用が、医薬上及び科学上の施用に制限するという趣旨で完全に励行されるということになりますと、いわゆる非合法な麻薬の余地が非常になくなってくるという性質のものになろうかと思います。ただ、麻薬のいわゆる不正取引というものが、そういう正規の政府の統制なり何なりの網をくぐって犯罪として行なわれるという危険性は、依然として存在するわけでございますが、この警察取り締まり、いわゆる犯罪の取り締まりの面につきましては、この条約に記載してありますものは、不正取引に対する取り締まりの相互援助、不正取引に対する取り締まりに関して国際機関に協力すること、それから適切な国際協力が敏速に行なわれることを確保するということを書いた条項がございます。そうした国際協力はそれぞれの国の法律及び行政制度に妥当する範囲で行なうものであるということが記載してございます。これは仮訳で、国際取引に関する特別規定とか、あるいは三十五条の不正取引に対する措置という中にございますが、「自国の憲法制度、法律制度及び行政制度に妥当な考慮を払って、次のことを行わなければならない。」「不正取引に対する防止的及び抑圧的措置の調整のため国家水準において取極を行なうこと。締約国は、この目的のため、これらの調整について責任を負う適切な機関を有効に指定することができる。」、それから先ほど申しました相互援助、相互協力、協力の敏速化というようなことが書いてあります。なお三十六条に刑罰規定というものがございまして、それぞれの国の憲法上の制限に従うことを条件として不正取引あるいは生産、製造、所持、提供、販売、それらのあらゆる違反は、禁固その他の自由剥奪の刑によって適当な罰を課されることを確保する措置をとらなければならないというような規定がございます。そういう意味で、今回わが国でも麻薬取締法の改正によりまして、従来の罰則の強化というような点が行なわれているわけでございます。  いわゆる犯罪の取り締まりにつきましては、ただいま申し上げましたような範囲でございます。薬品の銘柄とか、あるいは薬品の生産その他の技術的な規定も非常に多いわけでございまして、不正な取引という点に着目すれば、ただいま申し上げましたようなところがそのおもな内容でございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 今大体条約の内容をお伺いいたしましたけれども、この委員会の性質上詳しいことは遠慮いたしますが、この条約が今度日本で批准をされるということになって、具体的に日本の国内法がどう変わるかということはあとでお伺いしたいと思いますけれども、その前に、この条約と、日本における麻薬犯罪のいわば根源である東南アジアの諸国はどういう関係にあるか、どういう国が入っておるか、あるいは入る見込みがあるかというようなことはおわかりになりませんか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 まだ署名した国あるいは批准した国というものが正確にはわかりませんが、従来の九つの条約等に加盟しておりますのが大部分でございますから、東南アジアの各国もおそらくこの単一条約に入るものだろうと存じますが、詳しい資料は持ち合わせておりませんので、この点なお詳細に調べてみたいと思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 一番大きな中国がおそらく抜けるのだろうと思いますけれども、その点はまたあとでお伺いすることにいたしまして、それ以外の東南アジアの国は結局この条約によって、現実に今までと変わった取り扱いをしなければならないようになるのかどうか、つまり今までは生産を制限してなかったのに、今度はこれによって新たに制限をするとか、国外的な影響として、そういう何か日本の麻薬犯罪に具体的に影響するような形でこの条約の影響が現われてくるということになるのでしょうか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 この条約にございますように、ケシの生産をする場合の面積を指定するとか、あるいは需要国の要求量に合わせて生産高を全国的に統制するとかそういう内容のものでありますから、いわゆる麻薬の原産地である各国が、そういう国際的な統制のもとに計画的に麻薬を生産して、そしてそのすべての麻薬を政府の統制下に置いて、品質、製造その他のすべての段階を完全にコントロールすることができれば、これはいわゆる不正な麻薬というものがなくなるわけでありますが、そういう面でわが国に密輸入される麻薬の量というものが非常に制約されてくるということは考えられるわけでございます。ただ各国の政府のいわゆる統制力というものが、完全な形で水も漏らさないように行なわれるということが、はたして期待できるかどうか、そういうことを想像することはあるいは非常に悪いことかもしれませんけれども、おそらく統制になりましても、やみといいますか、統制をもぐるものが考えられるわけでありますから、この統制によって大筋のものは押えられるとしても、やみの生産なりあるいは需給というものが非合法に行なわれるものを、はたして完全に押え切れるかどうかという点では、そう楽観をするわけにはいかないのではないかと思うのです。従来とてもこういう国際的な麻薬の需給についての統制があったわけですけれども、それをもぐっていわゆる非合法にそういうものが輸出あるいは輸入をされているわけでありますから、そういう面で、この条約が発効になって、長い間には本格的な政府の統制というものが、着々と功を奏するということは大いに期待できますけれども、直ちにきれいにそういうものがなくなっていく、非合法なものがなくなっていくというふうに考えてはちょっと危険なのではないかというふうに私は思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 確かに東南アジアの国でほんとうに近代的な国家というのは少ないわけですから、そういう懸念はもちろんあると思う。ただ日本が条約を批准することによって東南アジアの国も批准をしてこの条約が発効をするという形になれば、そういう生産の制限についていろいろ申し入れをしたり、あるいは不正取引の取り締まりについては協力の義務があるということだそうですからそういうことについて、いわば条約上の根拠に基づいて申し入れができることになるのじゃないかと思う。従ってそういう意味では、確かにその一番根源である密輸の取り締まりというものに、一歩を進めるということにはなるだろうと思うのです。そこでそういう場合に、先ほどのお話のように不正取引の取り締まりについては、国際的な協力義務が出てくるわけですが、その点について具体的に今までと違った形になり得るのか、あるいは事実上今まで行なわれたことにいわば条約上の裏づけができるだけにすぎないのか、その辺は何かの機構の変化とかそんなものはございませんか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 犯罪取り締まりについての国際協力という点につきましては、従来非常に弱かったというのが偽らない現状だろうと思うのです。国際的にいわゆる刑事警察会議、いわゆる国際警察機構というもので、従来とも警察間の国際的な協力というものを進めてきておるのがございます。それと同時に、各国の相互の警察協力というものも行なわれておりますけれども、これはやはり従来そう緊密でかつ有効であるというところまでは進歩しているとは申せないと思います。こういう条約の締結を機会に、これらを契機として締約国の各国が麻薬犯罪取り締まりについての協力の態勢を強化していくという方向になりますと、従来よりも一段とその点では前進するということは考えられるわけでございます。特にこの条約の中に、犯罪者の引き渡しについて触れたところがあります。三十六条ですかに、締約国間で今後締結されることがある犯罪人の引き渡し条約においてこの麻薬犯罪を引き渡し犯罪とみなしていこう、そうしてこの麻薬犯罪を国際的にもっと有効な措置がとれるようにしていこうという点がございますから、これらに基づきまして犯罪者の引き渡し条約を締結するとか、あるいはそういう引き渡しに関する手続を具体的に進めるとか、そういう作業が今後引き続いて行なわれていく、こういうことになるのじゃないかと思います。そうしますと従来よりもなお一段と国際的な協力態勢が前進するというふうに考えられるわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 いただいた資料を拝見いたしますと今までは香港が積出地としては相当重要な場所であったのだけれども、香港の取り締まりが非常にきびしくなったものだから、むしろバンコックの方へ重点が移ったということも見えます。従ってきのうの御説明ですと何かタイでは国内的には非常に重刑をもって臨んでおる、しかしそれにもかかわらずバンコックが今そういう密輸の重要な根拠地になっておるとすれば、タイがこの条約とどういう関係があるか具体的には知りませんけれども、おそらくは全然無関係ではあり得ないと思います。そういうときにこの条約上の根拠に基づいて取り締まりの強化も現実に具体的に要求していくということには、もちろんなるんですね。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 もちろんタイはこの条約に批准することと思います。従いまして、こういう基本線に沿って措置が行なわれるということは当然考えられます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 中国のことをちょっとお尋ねいたしたいのですけれども、実はこの間麻薬対策について非常に熱心な方の本をちょっと読んだのです。そのときに、密輸ルートの説明の中にわれわれの常識から考えると非常に妙なことが書いてあったのであります。お読みになったかどうか知りませんけれども、中国、つまり中華人民共和国の方で財政上の必要があって、いわば医薬上のじゃなくて、不正取引の対象になるような麻薬を国家として財政上の必要のために密輸出をするようなことを、香港あたりの、何かおそらく台湾系の情報だろうと思いますけれども、そういうものを基礎にして、そういう事実を書いてあったわけです。そして日本の共産党の資金源にもなるのだというような意味で、日本の、共産党の力が強い東京だとか神戸だとか大阪あたりに、現に密輸が多いんだというようなことまで書いてあったわけです。政治的な立場を離れて、常識的にもちょっと考えられないと思うんですけれども、きのうの局長の御説明で、広州や雲南省あたりのケシ栽培の話がございましたので、中国の方では一体麻薬の取締りというのはどうなっておるのか、そして条約との関係でその点が抜けるわけですけれども、そういう対策として、具体的にそれじゃどういうことをお考えになっているのか、そのこともあわせてお聞きをしたいのです。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 中共は国連に加盟しておりませんので、麻薬をいかに管理しているかということについての公式な発表はないわけでございます。その生産状況等も公式の発表がありませんので、不明でございますが、いろいろの情報を通じて、中共の地区内で麻薬が生産されているということは伝えられております。情報によりますと、昨日もちょっと申しましたように、ケシの栽培あるいはアヘンの採取、製造等が一種の国営事業になっておる。そして四川あるいは新疆、寧河、雲南、貴州、広西、熱河等で栽培されているというようなことが、各種の情報から伝えられております。そうして広西あるいは雲南、新疆等にアヘン、ヘロインの製造工場もある。そこで生産された麻薬が、一つは天津を中心として出てくる、あるいは上海を中心として送り出される、あるいは華南においては広州を収集地として出される、華西ルートというのは昆明、南寧を中心に出されるというようなことが情報として現在出ておるわけでございます。これはいずれも、先ほど申しましたように、国連にも加盟しておりませんし、正式な発表はありませんから、その確度というものをどこまで信ずるかということは問題であろうと思いますけれども、そういうような状態でございます。従って、正式に統一条約に加盟する国連のいわゆる統制に服する各国のようには、中共で生産される麻薬というものが国際的な規模で統制はされてない。従って、それが世界各国の麻薬事情というものに、いろいろな意味の影響を及ぼすであろうということはわかるわけです。これにつきましては、結局積み出し港である中継地の国々とか、あるいはそれが密輸入される国々において、やはり不正取引の全段階にわたって警戒をしていくという以外にはないんじゃないだろうかというふうに考えられます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 今ケシの栽培地、それからそれの精製工場、積み出し港などのお話がございましたけれども、それはおそらく局長が言われるように、中国のことですから、工場の経営なんかは国営でやっているに違いない。その積み出しそのものも、いわゆる医学用とか化学用とかいう、いわば公然たる用途の麻薬の話じゃございませんか。今のお話は、密輸ということをも含めての資料というように、そういう趣旨でお答えになったんでしょうか、どうなんでしょうか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 先ほども申しましたように、国連を中心とした国際的な統制のもとにおきましては、生産国はそれぞれ年間の生産の見積りというものを提出するわけです。それと同時に、需要国の需要量をにらみ合わせて生産量あるいは輸出量が国連の機関によってそれぞれ許可され、その許可された範囲内において取引される、こういう形になるのです。ところが中共の場合は、そういう形にはっきり乗っていないのじゃないかと思います。従って、中共国内においてどの程度厳格に医療上あるいは化学上の使用にのみ制限されておるのか、それからそれ以外のところに使用されておるのか、その辺がどうもはっきりしておりません。従って、これが海外に流れる場合、国外に流れる場合に、純粋な意味でのそういう統制のワク内で処理されているというふうにのみは考えられないと思いますけれども、いずれにしても、その生産あるいは輸出等の数量におきましても、それらの手続の過程のすべての段階におきましても、はっきりした資料がありませんので、この点は十分には申し上げられない、こういうことではないかと思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 そうしますと、この条約が東南アジアの各国が締約国になったにしても、ケシの生産国であり麻薬の生産国である中共が抜けておったのでは、需要、供給の統制はできない、中国が事実上協力をしてくれない限りはできないというふうになるわけですね。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 とにかくそういう点では、国際的な統制というものは、その一環において不完全になり不十分になるということは言えると思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 現実に日本に対する密輸の場合、資料がございますかどうかわかりませんけれども、そういう中国産のアヘンというようなものが、いろいろな経路を経て日本へ入ってきておるというように考えられるかどうか、その辺何か記録はございませんか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 今まで日本で検挙いたしました密輸入の麻薬の中からは、それが中国産であるとはっきりわかったというものはないと思います。従って、先日も申しましたように、香港あるいはバンコック、シンガポール等から入って参りますけれども、その前にどういう経路をたどってきたかというその先の方までは、はっきりこれはつかむということができませんので、現在のところ、日本に入っている麻薬のうちのどれほどが中国産であるというようなことは、これはなかなかわからないわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 大事な点が抜けておるとしますと、密輸対策というものについても現実にいろいろな支障が起きてくるわけですが、一つ端的に申し上げたいのですけれども、昨日も言いましたように、水ぎわで撃退をするのが策の上なるものだと思うのです。そういう意味では密輸対策というものにもつと積極的な力を入れていただきたいと思うのですが、かりにこのような条約を批准して、東南アジアの国に対して条約上の根拠に基づいていろいろな要求をし得るという立場になった場合に、密輸の防遏の対策として、どういう有効な手段というものを具体的にお考えになっておるのか、もう何か具体案、今までと特に変わった具体案をお持ちになっておるかどうか、その点を一つ。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 格別特殊な対策というものも現在ちょっと持っておりませんが、先日も申しました通り、犯罪についての情報の収集あるいはその情報なり資料の交換、そういうものによってできる限り国際的な捜査協力というものをやっていくというのが警察の立場でございます。警察以外の、より大きな政治的あるいは外交的な立場でこれをどういうふうにやっていくかという点につきましては、これは私から申し上げることはちょっと困難でございますけれども、麻薬禍というものが人類の福祉にはかり知れない害悪をなすものであることは明らかでございまして、関係各国ともこの麻薬の害悪というものをどう抑制するか、どう防止していくかということに国際的な、あるいは国家的な関心と努力を傾けていくわけでございますから、いろいろな角度からそれぞれの国における治安なり経済なり全般の問題に関連をして、そういった害悪の起こらない条件をつくっていくというような面での施策もあろうかと思います。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 国際的な協力義務を推し進めるというようなこと以外に——今一つの具体的な例として情報の収集ということをあげられました。確かに相手国における取り締まりは、日本自体がやるわけにはいきませんから、国際的な協力を推し進める以外にはないだろうと思います。やり得る一つの仕事は、情報を集めるということだと思いますが、そこでこれは具体的にそういう麻薬密輸出の根拠地における情報収集、日本の情報収集の機関として現にどういうものがあるか、そういうことについて一つ……。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 この点もわが国の場合に非常に限定されたものしかないわけでございます。現在ありますのは各国に駐在しております大公使館あるいは領事館等の職員によって、それぞれの国の治安機関なりあるいは関係機関との間の協力というところから情報なり資料の収集をする、あるいは館員がその力の及ぶ範囲内において、民間人なり政府機関なり関係機関の協力を得て情報を収集する、そういう段階でございます。特に現在香港には、今申しました領事館の働きとして情報収集なり資料交換をやっておるわけですけれども、警察の優秀な資格者を外務省に派遣して、領事館員としてその仕事に従事さしておるという程度でございます。なお、本年の予算によりましてバンコックの大使館に警察から館員として派遣をするというように、部分的に大公使館の仕事として仕事をしておるわけでございますが、その仕事の面の強化をはかっていきたいという点で、今申しましたようなことがございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 その情報収集が、単に相手国のお役所から情報をもらうというだけなら、窓口が一つあればたくさんだということになると思う。そうではなしに、やはり自分の努力で積極的に情報を収集するということになると、今言われたように、専門の人がどうしてもいなければならぬだろうと思うのです。香港にはすでにおられるそうですし、バンコックにも今度一人行くというのですが、そのほかたとえばカルカッタその他にも密輸出の根拠地があるわけです。それからバンコックにしても、香港にしても、一体そういう一人だけで情報収集の全きを期し得るという程度のものかどうか。国外でやる情報収集というものは密輸の防遏に対しては相当大きな役割を果たしておるだろう。そういうようなものに今のような陣容で、具体的な在外公館の中で、そういう仕事に従事し得る人の数字はおっしゃいませんでしたけれども、今のような人間で一体十分なのでしょうか。むしろそういうところにもう少し人を使い、金をかけるということが、国内における麻薬犯罪防止に非常に大きな貢献をするのではないかと考えるわけです。その点いかがですか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 御指摘の通り、現在の陣容というもので海外の情報を収集するには非常に不十分であるということは、明らかなことだろうと思いますけれども、これを今後、できる限り強化していく以外にはどうもいたし方がないじゃないか。今の段階では先ほど申しましたような面で、できる限りの努力をしていくということは、やむを得ないというふうに考えられるわけです。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 保安局長は、法務委員会で何か次に時間が必要なそうですから、関連をしましてお尋ねをいたしておきますが、今、松井委員からお尋ねのあった麻薬取り締まりに対する警察庁並びに都道府県の態勢というものが、これは厚生省の麻薬取締官とやはりタイアップしてやらなければならぬ問題だろうと思いますけれども、非常に手薄である。従ってこの麻薬禍というものが非常に広がってきておるという状況にあるのではないか。これはきのう柏村長官が現在の趨勢として、麻薬の災いがだんだん世界的にも伸びてきておるというお話の中に、そういう状況の報告があったわけでございますが、今度の九名増員——一名はバンコックに参りますから、九名の実質増員でございますが、それは部内に対して三名、それから関東管区の警察局に二名、近畿管区の中に二名、九州管区に二名と、取り締まりの一番中枢にあるところの警察庁としては非常に人手が足りないのじゃないかと思うのです。従って、率直に初歩的な質問から尋ねて参りますが、これは官房長にお尋ねしますが、一体人員は何ぼ要求したのですか。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房長)

○後藤田政府委員 大蔵省へ要求をしました数は、ちょっと失念をいたしました。ただ認められたのは十名でございます。それで本庁が四名、管区が六名でございます。現在の体制は、本庁が三名、管区が十四名、合計十七名でございます。十七名に対して、十名の増員が認められたということでありますれば、麻薬の仕事の重要性から見まして、これは決して満足はいたしておりません。これはやはりもう少し将来はふやして参りたいと思いますけれども、まず増員の割合としては、本年度はこれでやむを得ない、こういうふうに考えております。それで私どもの捜査の体制は、やはり本庁とか管区ではございません。実は府県が中心でございます。府県の方は専務者が六百三名であります。兼務が千六百二十七名、従いまして合わせますと二千数百名ございます。そこでこれにつきまして率直に申しますと、私どもはあと千名ほしいということは事実でございます。しかしこれもまた財政上の理由その他がございまして、三十八年度は五百名増員する。従って専務六百三名に対して五百名の増員、これもまた仕事の量から言えば私ども満足をしておりませんけれども、およそ定員の増加という面から見れば、本年度はこの程度でやむを得なかろう、こういうふうに考えております。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 要求としては、初めから十名要求したということはあり得ないと思うのです。ということは、中枢部における体制が非常に弱い。これでは各都道府県の第一線で麻薬の防除に活躍しておる人々に対する指導体制というものは、でき上がらないと思うのです。そこで本年度、従来専従であるところの六百三名にプラスするところの五百名というものの配置でございますけれども、これはこの前からの説明を聞いておりますと、大体従来麻薬にいろいろ頭を出してきておる十五都道府県に対してこの五百名を増配するのである、こういうような説明に聞いておるのですが、そのように理解していいですか。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房長)

○後藤田政府委員 今回の配置は、麻薬事犯が従来から比較的多い主要六都府県あるいは福岡県等を中心にしまして、その周辺の府県総計十五都道府県に配置をしていく予定でございます。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 あとから資料については一つ一つお尋ねをして参りたいと思いますが、たとえば二十歳未満の麻薬中毒者を的確に把握しておる神奈川県、これは六十六名中四十数名というような非常に大きなパーセンテージを占めておるわけなんですけれども、そのような現在実際に麻薬禍の表面化をしておるところに配置をする、こういう状態になりますと、これはあとからほかの大阪府あるいは東京都で設定をしましたいわゆるぐれん隊条例というものと同じように考えられるのですが、これは日本が全部海に囲まれておるという地理的条件から申しますと、従来の実績によってそういうものを配置するということになりますと、やはり穴ができてくる。従ってその間ルートが移動していくという状態になるのじゃないかと考えるのです。そういうような態勢では、常にどろぼうを見てあとからなわをなうという格好の麻薬体制しかとれないのじゃないかという心配が私はいたします。本年度はやむを得ないというのは、これは人員増の面から他の省とのバランスの関係もあって、これは大蔵省から押えられたのだろうと思いますけれども、私は非常に重大な麻薬の中毒状況などから考えまして、現在麻薬の検挙そのほかに頭を出しておる十五都道府県に配置をして、それ以外には配置をしないというような、そういう体制というものが全国的に見てはたして今後の麻薬禍を防ぐという体制であるかどうかということになりますと、これは私は非常に心配になる問題が起こってくるのです。十五都道府県というものは一体どこどこですか、ちょっと読んでみて下さい。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 十五都道府県を申し上げますと、まず大きいところが五つ、これは警視庁、神奈川、大阪、兵庫、福岡でございます。大体麻薬犯罪、ことにヘロインの犯罪については、この五つの都府県で従来八割の犯罪が行なわれております。そのほかのところと申しますのは、これらの周辺の埼玉、千葉、静岡、愛知、岡山、広島、山口、長崎、北海道、京都というところであります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 くどいようですけれども、私はもう少し密輸のことについてお尋ねしたい。密輸の態様と申しますか、そのことについてお尋ねをいたしたいと思うのですが、この前いただいた資料を見ますと、麻薬取締法関係だけですけれども、麻薬犯罪の中で、密輸の占めるパーセンテージというものが少しずつ上がってきておる。これは密輸取り締まりというものに効果的な手が打てるようになったというように理解していいのか、あるいは一般の消費の量に比較をして、密輸の一回当たりの分量が少なくなって、密輸の度数が多くなったというように理解すべきなのか、その辺はどうですか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 密輸の取り締まりが逐次効果的に行なわれるようになってきた、こういうことは言えると思います。従来密輸というものの検挙が非常に困難で、かつ件数もなかなか上がらないのが実情でございまして、現状も必ずしも多くなったとは言えない程度でありますが、しかし着々密輸取り締まりの体制を整備しつつあるわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 この密輸の国籍別の問題ですけれども、朝鮮人、中国人、台湾人、それで中国人は、カッコして本土となっておりますが、この台湾と、中国カッコして本土というものの区分けはどういう区分けなんでしょう。台湾に現住地を持っている者、中国本土に現住地を持っている者というような区分け、そういう標準に基づいての区分けなんですか、どうですか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 これは本人の供述に基づいてそういう区分をしておるわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 そうしますと、こういう外国人が日本で刑を受ける、その結果、これもいただいた資料によりますと、現在の出入国管理令によると、強制退去、国外追放、そういうものを要求できるのだけれども、しかしいろいろな事情でそれがなかなか困難だということが書いてありますけれども、この密輸の場合には、住所を日本に持っておる人がいるのかいないのかわかりませんけれども、そういう外国人で麻薬の密輸犯で刑事事件になって、そのあとの身柄というものは大体今まではどういうようになっていっておるわけですか。たとえば、本人が中国本土だ、そういう国籍だということになりますと、そういうことに基いて、中華人民共和国の国民だという建前で処罰をしたあと、一体どういうことになっておるのか。それはたとえば、よくわかりませんけれども、中国なら中国へそういう連絡なり何なりを一体やるのか。そういう国際的な連絡とも関連をしてどういう措置をとっておるのか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 中共の場合は、国外退去の方法がないわけですね。従って、本人の都合であるいは香港とかマカオとかいうところへ行く場合もありますけれども、正式に中国へ退去するという連絡のとりょうがないというのが実情でございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 麻薬犯罪の一番根元になる密輸、それをせっかく押える、押えたけれども、またあと幾らでも活動できるような形で放してやるということでは、さいのかわらみたいなものだと思うのですけれども、何かもっと効果的な処理の方法はないのですか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 麻薬の密輸段階の犯罪で起訴をされた場合には、大体七年から八年の懲役になっておりますから、別にすぐ放されるわけじゃありません。ただ、その刑期が済んだあとで日本に置いておくか、あるいは強制退去とするかという問題はございますけれども、犯罪者として、ことに今度の改正法によりますと、無期懲役というような罰則ができてきますから、密輸入という段階でやったものは、そういう行為で逮捕されたという場合に、簡単に野放しになるということはないわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 なるほど実情はそうかもしれませんけれども、それ以外の麻薬犯罪で、罰金になったりあるいは起訴になったりあるいは簡単な短かい刑期で、すぐ出てきたという者に対して、いろいろな事情で国外退去の措置がとりにくいというように資料の中に書いてありますけれども、これは具体的にどういうことをさしておるわけですか。たとえば、台湾なのか中国なのかはっきりしないとか、朝鮮の場合、北なのか南なのかはっきりしないという、そういう国籍や身分がはっきりしないということが原因なのですか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 退去のしにくい事情と申しますのは、長年日本に住んでおって、日本でもらった奥さんもある、あるいは子供もある、そういうような本人の個人的な、あるいは家庭的な事情等から、本人一人をやるというのは非常に困るというような問題とか、あるいは先ほど申しましたように、中共とか台湾とか、いろいろな面ではっきりしない、連絡がとりにくいというような問題もあるわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 今の国外退去の問題は、むしろ密売の段階での問題だと思いますけれども、密輸の段階で、いただいた資料の中にはありませんけれども、やはり保安局でつくられた資料の中に、積出地が香港で、軍用機で立川へ着いておるというようなケースが何件かあるように一覧表に載っておりますけれども、こういう場合の措置は、安保条約や地位協定の関係がある事件かどうかわかりませんけれども、国際的な取り締まりはスムーズにいっておりますか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 三十七年の一月の事件で、軍用機でヘロイン百グラムを立川に持ってきたという事件がございますが、これは米軍の憲兵隊の関係、その他関係機関と協力して捜査を進め、この被疑者はそれぞれ捜査の結果送致しております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 私は一つのケースだけをお聞きするのじゃなくて、何件も書いてあるわけでしょう。ちょっと古いので、三十四年に二件ばかり書いてありますけれども、これはただ情報だけで、現実にはなかったというようなことなのか。私が心配するのは、長官は、戦後麻薬犯罪の激増した原因を、主として需要の方から申しましたけれども、むしろ私は供給の方に原因があるではないか。供給の激増したという中には、日本の置かれておる国際的な、非常にややこしい環境が原因しておるのではないかということを考えましたので、さっきからいろいろなことをお尋ねしておるわけです。そういう一環としてお尋ねをしたいのです。アメリカとの関係で、そういう場合の密輸のルートは的確に押え得るのかどうか。現実の例として、三十七年は一件だけおっしゃいましたけれども、それだけしかなかったのか、それ以外にあった場合には一般的にどうなるのか、そういうことをお尋ねしたい。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 アメリカ軍当局におきましても、この麻薬問題は非常に深刻に考えておるわけでございます。もしそういう事態があれば、こちらで早く察知すれば当然連絡して措置をいたしまするし、アメリカ軍当局自体でも非常に注意を集中して、そういう取り締まりに当たっておるわけでございます。従って、事例としてはそう多いものではないと私は考えております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 長官がお見えになりましたので、前にお尋ねしました質問ですけれども、もう一度繰り返してお尋ねをしたいのです。私は、国内の麻薬の取り締まりの人間を十人ふやすよりも、むしろ国外に、そういう情報収集なんかをやる人を一人ふやすことの方が大事じゃないかと思う。今、国外の情報収集の組織をお聞きしましたけれども、しろうとでよくわかりませんけれども、非常に不十分じゃないかと思うんですね。ですからそういう点についてどういうようにお考えになっておるか。麻薬犯罪の中で、密輸防遏というものの占める比重から考えると、むしろ私はそちらの方に力を注ぐべきじゃないかと思うのでありますが、長官の御意見を伺いたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 今回麻薬取り締まりのための国家公務員たる警察官十人をふやしていただく段取りでございますが、これは本庁と主要管区に配置する要員でございまして、そのほかに一人外務省に移しかえをいたしまして、バンコックに駐在官を、主として麻薬の取り締まりに関する情報連絡ということで一人置くことにいたしておるわけでございます。そのほか実際に麻薬の取り締まりに当たるものとしましては、地方公務員たる警察官五百名を来年度ふやしていただくということに、今度の予算案を通じて考えておるわけでございまして、やはり国内において徹底的に取り締まり態勢を整えるということも必要である。それから今お話しのように、海外にそうした連絡官、情報官というものを配置するということはきわめて大事なことであります。私どもとしては今回一人だけ認められたわけでございますけれども、さらに主要な地域に対してそういうものを配置したいという熱望を持っておりまして、実は最初四人ほど東南アジアに対して考えたわけでございますけれども、これは独自に、警察庁の出先機関ということで一人ぽっち事務所を持つということでは、なかなか効果が上がらないし、そういうことになればまたある意味で警戒されるということにもなりまするし、外務省の職員として領事館なり、大使館なりに勤務する職員として、麻薬を中心に考えていくという情報官として、外務省とも折衝をし、大蔵省とも折衝した結果、まあ来年は一人ということに一応落ちついたわけでございます。逐次やはりそれに適する人間を配置するわけでございますので、一度に大勢あれするわけには参りませんが、そういう意味におきまして東南アジア各国に対しては、逐次増強をして参りたい、御説の通り私も考えておるわけでございます。

大上司自由民主党

○大上委員 松井委員の質問に関連して、私は質問でなくして当局に一つ資料を早急に提出してもらいたい。二つ要求します。  そのまず第一は、なるほど今論ぜられております麻薬官の問題があるが、やはりこういう仕事は経験と専門といいますか、いろいろ過去の実務的な勘が非常に役に立つと思うのです。従って今次計画せられておる麻薬官といいますか、警察官といいますか、それに対する従来の実務年齢、実際に勤めてきた年齢の人をどういうふうに配置なさるかということを一つお願いしたい。  ついでに、話は少し飛躍するのですけれども、たまたまこれが所期の目的を達し得られたと仮定します。その際には、警察の刑事犯とかあるいは麻薬というのは、不測の事態というか、天災というか、それに似たようなものがあるとは思うけれども、大体の目安というものがあると思うのです。そこでたとえば所期の目的を完遂したとするならば、現在のいわゆる麻薬警察官といいますか、あるいは交通警察官でもけっこうでございます。目的が達成せられると大体どういうふうに配置がえなさるのか、あるいは警察官の減員まで持っていかれるのか、他の方にその警察官を配置なさるのか。もちろんこういう問題ですから事犯によって予測は立たぬと思いますけれども、大体年次計画はお持ちだろうと思います。そこで人事上の年次計画というものを、でき得るならば五年くらいの計画でお示し願いたい。  なお、さらに警察全体としての装備の計画もおありのようですから、これも、これから先、これが決して金科玉条というか、かたいものとはわれわれ思いませんが、行政を運営なさる上において、大体の計画というものがおありであろうと思いますので、この装備、すなわち要約すると、ただいま論ぜられておる麻薬警察官の実務年齢、それからもしもこれが所期の目的を達したと仮定するならば、この人員の配置がえをどうなさるのか、いわゆる人事上の五年間の計画、装備、この三つに分けて資料要求いたします。それだけです。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房長)

○後藤田政府委員 なかなかむずかしい資料の御要求だと思います。警察の事象は時々刻々変わるのですから、これがうまいこといってゼロになったらどうするんだ、こういうようなお話で、非常に資料が実は専門的で、しかもこれはつくることが私はなかなかむずかしいと思います。しかし装備等について、これはおよそ役所の仕事というのは、年次計画というのはなかなか大蔵省認めません。しかし要求する側としては、大よその治安の見通しを立てて、そうして大よその見当といいますか概算みたいなものは考えて、それを年次的にどうやっていくかということはどこの役所でもやっておりますから、その限度のものはこれはおつくりできるかと思いますが、人の方は一つ研究さしていただきたいと思います。

大上司自由民主党

○大上委員 官房長のおっしゃる通りでけっこうです。われわれはそれ以上の詳しいものは要求はしませんが、ただそのお言葉の中にありましたように、いわゆる警察行政官として、最高責任者としてどういうふうに年次計画を見ていくか、それをキャッチしたいと思うので、それがたびたび申し上げるように金科玉条というか、絶対的なものだとはわれわれ思っておりません。ただ治安の確保上判断の資料にしたい、こう考えております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 今の関連質問に実は関連をしまして、ちょっと話が横へ飛びますけれども、お尋ねをしたいのです。  先ほど、麻薬関係五百名、そのほかに交通の関係で五千名という増員があるわけですけれども、それは結局各都道府県に配属をするのには、都道府県の定員の条例を改正をしてされるという手続になるわけです。そのときに実は私は先案じをするんですが、この間亀岡委員は警察のそういう人的な配置が頭でっかちだということを言われましたけれども、私は頭でっかちというよりも、何かどうも横っ腹に要らないものをくっつけておるような気がするんです。要らないものと言っちゃしかられるかもしれませんけれども、たとえば東京では機動隊というものがありますね。交通巡査や麻薬の取締官が要らなくなったときに、機動隊の方に簡単に横すべりできるというような組織になっておるんでしょうか。階級別にどうなっておるか知りませんが、そういう機構的にはどういうことになっておりますか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 関連質問に対する関連として今の御質問でございますが、私は、交通問題とか麻薬問題というものが近々の間に理想的になって、もうこれ以上人は要らないというような状況になるとはなかなか考えられないのであります。従いまして、現実にそれをどうほかに転用するつもりであるかということは、毛頭今考えておりません。  それから機動隊の問題でございますが、機動隊について前々からいろいろそういうお話がございますけれども、実際いざというときに警備実施上の機動隊というものが必要であることは申すまでもございませんけれども、これらは単にデモとかいろいろな騒ぎに対する警備実施だけでなくて、いわゆる雑踏整理、それから必要な場合においては交通の一斉取り締まり、そういうようなことにも、一つの訓練された隊として出動をするような仕組みになっておるわけでございまして、その構成員は、必ずしも機動隊に初めから入って終わりまでいるというわけではなくて、やはりそれに適した人間を逐次配置がえをし、また機動隊の中から、交通取り締まりの要員として適性な者は、そっちへ回わしていくということでございますから、観念的には、同じ巡査なり巡査部長という警察官でございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 私がお伺いしたいのは、別に機動隊というものの有用、無用とかいうことではなく、あるいは今ふやした交通や麻薬関係の警官が不用になるだろうという、そういう現実の前提でお尋ねをしたわけではなしに、現実に警察官が不足の部門が確かにある。しかし、必ずしも不足でないと思われる部門もあって、アンバランスだと思います。そういうアンバランスを、とにかく麻薬に必要だから、交通警らに必要だからということで警察官をふやし、一ぺんふやした警察官が、条例の改正で簡単にどうにでもなるということは困るじゃないかと一般論として思ったものですから、そこでお伺いしたわけであります。  そこで、本来の麻薬に返りまして、大体一番根源である密輸については、あらましお尋ねをいたしましたので、次に国内における、不幸にして密輸されてきたあとの国内の麻薬犯罪の実態について、お尋ねをいたしたいと思いますが、いただきました資料によりましても、大体密売組織というのは、ほとんど暴力団が圧倒的に多いようでありますが、たとえば最近、先ほど二宮委員からも御質問がありましたけれども、通称ぐれん隊防止条例というようなもので、ダフヤだとか、パチンコの景品買いだとかというものから締め出されまして、資金源としては、この麻薬ほど魅力のあるものはおそらくないと思いますので、そういうことも原因して、麻薬の方へしわ寄せになったというような何か実情はございませんか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 ぐれん隊防止条例は、昨年の十二月から実施されまして、現在まで約七、八十日たっておるわけでございますが、この取り締まりの結果、従来のダフヤ、ショバヤ、その他のぐれん隊がどうなったかという点で、現在までのところでは、それがより凶悪な犯罪なり、あるいは麻薬犯罪というような、重要な犯罪の方向に転換したというような徴候は、まだ見えておりません。そういう点は、今までのところではないわけでございますが、今お話がありましたように、暴力団による密売組織というものが、取り締まりの強化によって非常に罰則等が重くなる。そうすると、なるべく高い賃金を出して、いわゆるチンピラ、ぐれん隊のような者を手先に雇うというような、つかまった場合でも本人が免れて、自分には届かないというような、末端の手先にそういう者を使うという手口もありますので、この点は非常に今警戒はしております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 最近麻薬取締法の罰則が強化になる、そういうことで、私も罰則の強化というものには、いつも頭をかしげる一人なんですけれども、しかし、少なくともこの場合は、暴力団に、麻薬の取り扱いはそろばんに合わないんだということを、一つ思い知らせるということがどうしても必要だろう。しかし、それは必ずしも刑罰を強くするということだけではないと思いますけれども、それも重要な一つの柱に違いないと思う。そこで暴力団が、この資料にもありますように、売春と麻薬の密売と、両方で二重の金もうけをして、しかも人間を、二重の意味で台なしにしてしまうという、そういう最も破廉恥な犯罪だと思います。そういうものに対して一つ本腰を入れて対処していただきたい。これは、取り締まりの強化という意味だけではありませんけれども、対処していただきたいと思うのです。  そこで、最後の収容施設のことについては、あるいはおそらくほかの委員からの御質問もあると思いますから省略をいたしまして、麻薬取り締まりにおける麻薬取締官と司法警察官との関係についてちょっとお脅ねをしたいのですが、これはどうなんでしょうか。麻薬取締官というのは、この麻薬対策、麻薬取り締まりの中で、主としてどういう方面を担当するのか、仕事のおよその区分けというものは、本来の使命からいって、司法警察官とは違った部門というものがあるわけでありますか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 麻薬取締官と、私どもの方の麻薬取り締まりに従事する警察官との間に、仕事の分担ということは、特別にはございません。警察官はあらゆる犯罪について、これを捜査し、鎮圧していくという使命を持っておるわけでございますが、そのうち麻薬の方に専従する者を強化していくというのが、今度の施策の一つでございます。麻薬取締官は、もっぱら麻薬取り締まりだけに従事する特別の司法警察権限を持った者でございまして、これはその他の、たとえば森林警察であるとか、いろいろ特殊なものに限定された司法警察職員と同じような、麻薬に対する取締官でございます。ただ、われわれとしては、これから暴力団の犯罪等も、麻薬に非常につながっておるというようなことになりますと、やはり相当大きい組織でこれに対処していくことが、原則的に考えられるべき問題ではなかろうか。従って、麻薬取締官については、これは厚生省所管で、厚生省の方のお考えをお聞き願いたいのでありますが、私ども、特に強く厚生省の方に要望いたしておりますのは、正規の医療用の麻薬等が、これがかなり不正に使用され、あるいは管理が不十分であるというようなところから、盗難にかかるというような問題があるわけでございます。従いまして、もっぱらそれに従事してもらいたいというわけではありませんが、麻薬取締官はそうした厚生省所管の医療業務に関連した正規の麻薬ルートについて、やはり厳重な監督指導というものをしていただく、そういう方に特に力を入れていただきたいということを、われわれとしては要望いたしておるわけでございますが、現在のところ、両者の間にはっきりと区分けをしまして、これはお前の方でやる、これはおれの方でやるというような分け方は、いたしておらないわけであります。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 少なくとも麻薬犯罪の取り締まりという面では、本来の建前としては、全く司法警察官と麻薬取締官というものとはダブるということになるわけであります。しかし、今長官が言われたように、やはり厚生省の麻薬取締官というのは、厚生省が本来タッチをする医薬という面、そういう面における麻薬、そういうところから麻薬犯罪というものをキャッチし得るチャンスが非常に多いということが一つの原因で麻薬取締官というものができておるのだろうと思う。そういう意味からいえば、むしろ医薬関係、それに派生する犯罪ということに重点を置いてもらうことは、私も確かにいいと思うのです。ただ、麻薬取締法か何かであったと思いますけれども、麻薬取締官と司法警察官とは相互に協力しなければならぬということが誓いてありますけれども、現実に全く取り締まりの範囲がダブっておりますと、協力をするという形がかえって二重になって混乱をするというような事態を起こしたり、あるいは連絡不十分のために捜査全体の計画を狂わすというような事態はございませんか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 お互い競合いたします関係上、お話しのようなことも起こり得るわけでございます。しかしながら、現在までの麻薬取り締まり状況から見ますと、麻薬犯罪に対してこれを摘発している例、われわれが想像しております。行なわれている麻薬犯罪に対して、これを摘発しておる実績というものが非常に微々たるものであるということ、これは非常に遺憾なことでありますけれども、実情はそうだろうと思うわけです。従って、競合して両方が重なり合うというよりも、とにかく両方とも力を伸ばしていって、できるだけ努力して麻薬犯罪を押えていくということでも、広い麻薬犯罪の大部分にメスが入っていくということが、現在なかなか困難な状況でございますので、重複というよりは、むしろ両方ともそれぞれの持ち味を生かしつつ、徹底した取り締まりに努力していくということが、現状としては適当ではなかろうかと思うわけでございます。確かにお話しのような、重複する危険性と申しますか、そういう不経済性というようなことは考えられるわけでございますけれども、そのマイナスよりも、むしろ両方が大いに麻薬犯罪の摘発に努力するということが、現在の段階においては効果があるのではないかというふうに考えております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 私は、競争意識で、変なセクト意識で、協力すべきところを、かえってお互いに抜けがけの功名でもやろうという形でやられると困ると思ったのです。たとえば麻薬取締官の場合には、これは元来どういう趣旨なのか知りませんけれども、麻薬の譲り受けができるということ、おとり捜査を許しておるという根拠はこれなんでしょうか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 いわゆるおとり捜査の基本の条文だということにはなっております。ただ、捜査上の必要といいますか、公務のために麻薬を譲り受けるという点は、刑法の原則で警察官の場合でもそれはできるわけでありますから、犯罪捜査上麻薬の所持をすることは、警察官にできなくて麻薬取締官だけできる、こういう意味ではないわけでございます。麻薬取締官も大臣の許可によってそういう行為ができるということを特に規定しただけであって、警察官の場合でも、特別な明文はありませんけれども、原則によってそれは当然できるということでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 それでは具体的に、一つのケース、一つの被疑事実で、双方が情報を交換し合って一つのホシを追う、そういうやり方はまだやっておらぬわけですか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 麻薬取締官と警察官の関係につきましては、基本的な点については長官からお話がありましたが、なお具体的に警察庁と厚生省との間で捜査についての協定を結んでおります。その協定による原則をかいつまんで申し上げますと、警察官が麻薬捜査を行なうにあたって、正規の麻薬取扱者にかかるものであって、取締職員が捜査するのが適当だと認めた場合は、取締官の方に移管する。今度は逆に、取締職員が麻薬捜査を行なうにあたって、事犯が麻薬犯罪以外の犯罪、いわゆる恐喝とか暴行とか、そういう犯罪にも関連しておりました場合には、当然警察官が捜査することが適当でありますから、これは協議の上相互にこの事件を引き継ぐ、こういうことになっております。そして、また、事件の引き継ぎを行なったあとでも犯罪を発見した場合には、その引き継ぎをする。特に、警察官と麻薬取締官の麻薬に関する犯罪捜査が競合し、あるいはすでに捜査に着手した事犯について競合のおそれがあるような場合には、協議の上捜査の区分その他について総合的に勘案して、いずれが捜査するかを決定するというような原則的な取りきめを相互にやっているわけでございます。  なお、先ほど来お話がありましたように、脅迫とか恐喝とか暴行、そういったような犯罪とも非常に関連していること、それから、最近麻薬犯罪の手口が狂暴化しつつあり、犯人を逮捕しに行った者に凶器を持って抵抗するような事犯も見えてくるというような面で、警察官と取締職員が現実に捜査の現場に逮捕におもむくという場合にも、一緒に行かなければならないというような例もあるわけでございますし、また取締官が取り調べをする際に留置場等を使う、こういうところはもう警察以外にはありません。そこで、警察に頼みにくる。そういう形で実際の事件の捜査等について双方の協議あるいは情報の交換、具体的な事件について麻薬取締官と警察だけでなしに、税関の職員と三者一緒になって捜査に行くというようなことも現実にはたくさんやっております。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 協力の実態について大体見当がつきましたけれども、このおとり捜査というものが、先ほどの規定を根拠にしてどの程度許されるのか私はよくわかりませんが、ともかくおとり捜査というものについては、本来の司法警察官についていろいろ限界が云々されておりますし、たとえばおとりを使うというようなときには、一つの事件を追っていく中で、麻薬取締官がより適当な分野と、それから本来の司法警察官が適当な分野というものがあって、言ってみれば、一つの捜査本部みたいなものが、お互いに協力しながらやっていくのだと思ったのです。そうじゃなくて、扱う分野をきめて、麻薬取締官が主としてやるべき分野と、司法警察官が主として扱う分野が大体きまっておって、事件を渡してしまえばあとは関係がないという形で進められておるようなんですけれども、大体今のお話は、私はそういうように理解をしたのですが、そういう方がいいのか、ほんとうに文字通り、一つの事件を両方で力を合わせてやる場合も多いという今のお話でしたけれども、それを原則にした方が捜査の効果が出るのか、そういう点、長官いかがですか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 さきのお話の、分野をきめてやるという場合、大体の方向として、犯罪の性質からどちらが主としてやるかということはきめておるわけですけれども、分野は画然としてはいないわけであります。  それから第二のお話の、総合的に本部でも設けてやる方がいいのではないかというお話のようでございますが、ほんとうに完全に連絡協調というものがしっくりいけばそれが一番いいと私は思うのでありますが、やはりこれは役人であってそういうことを申してはあれですけれども、やはり組織、組織で自分に自信を持つということと、自分がやはり成績を上げていきたいという気持、これはまた、ある意味では非常に効果を上げるためにもなるわけでありますので、そういう現実の問題からいたしますと、直ちにすべての事案について総合本部を設けてやるというわけには参らないのではないか。ただ、最近の麻薬についての関心が非常に深まって参り、また政府も非常に熱を入れてくるということで、麻薬対策本部というものもつくって、もう基本的な問題については常時連絡協調をはかっていくということにいたしておるわけでございますので、これからの運営としては、今お話しのようなふうに方向づけがだんだんとなされていくのではないか、またそれを私どもも期待しておるわけでございます。

松井誠日本社会党

○松井(誠)委員 最後に一点お尋ねをいたしたいのですが、この資料について、麻薬犯罪の資料の第二表ですが、麻薬犯罪者の機関別送致状況調べというのが載っておりまして、これを見ますと、特別の司法警察職員からの送致件数と、通常の司法警察職員からの送致件数とのパーセンテージが、三十二年から三十七年上半期までの間に、いわゆる麻薬取締官なんかの送致件数のパーセンテージがどんどん減ってきておる、そして司法警察官からの送致件数のパーセンテージがどんどん上がってきておる。これはどういう原因に基づくことなんですか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 先ほど来申しましたように、麻薬犯罪の捜査というものが、暴力あるいは売春、いろいろな犯罪の捜査を端緒として入っていくということで、警察官の活動する範囲が非常に広いわけです。特に麻薬取締官は、定員にしましても全国で百五十人でございます。警察の場合は、先ほど官房長が言われましたように、専務者及び兼務者を合わせますと二千二百人余りに及ぶわけでございまして、そういう面から警察官による麻薬犯罪の検挙というものが非常に能率的に行なわれる、そういうことが年々この犯罪統計の中に出ておりまして、大体麻薬取締官の検挙する件数が毎年三、四百件、それに対して警察官の場合は、ここ数年非常に捜査が軌道に乗りつつありますので、二千数百件という程度に届いた、こういうわけでございます。

亀岡高夫自由民主党

○亀岡委員 関連して一つお聞きしたいのですが、麻薬犯罪の検挙した件数の中で、いわゆる一般市民から投書なりあるいは通報なりあって検挙したという件数はどのくらいありますか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 詳しいパーセンテージ等が出ておりませんが、民間の協力によって捜査の端緒を得るというものもあることはありますけれども、今の段階では非常に少ないケースでございます。

亀岡高夫自由民主党

○亀岡委員 にせ札犯人探しにはずいぶん報奨金なんか出しておりますね。これも日本の経済を乱すということで、どうしても一刻も早くあげたいということでああいう対策を講じておられると思うのですが、麻薬はにせ札以上に民族を虫ばむということさえ言われておるのですから、もっと一般の国民の麻薬禍に対する常識というものを深めるような方策が一番大事なことじゃないかと思うのです。その意味において、今野田さんもお話になったように、一般市民の協力が非常に少ないのではないか。たとえば全国の駐在所に、こういう格好の人がいたらこれは麻薬に侵されているおそれがあるのだぞというポスター一枚張っておけば、それを見た住民が、あああの人はおかしいぞということで、それが捜査の端緒にもなるということで、そういう面をもう少し検討していただきたいと思うのです。  それから麻薬禍のPRをする、指導をする行政庁はどこになっていますか。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 一般の方々に対して、いわゆる麻薬禍の広報をする、それから協力を求める必要性につきましては、御指摘の通りでございます。私どももそれらの面について工夫をこらして参りたいと思います。  なお、広報の当面の担当は、総理府の麻薬対策の推進本部等でもいたしておりますが、なお厚生省において、三十八年度におきましては広報関係の予算も計上されております。麻薬そのものの害悪という点につきましては、そういった意味で総理府あるいは厚生省等が主として主管して広報する。警察におきましても防犯協会とかその他を通してこの麻薬の被害、禍害についての認識を深める、同時に捜査上の協力を求めていく、そういう面の運動をいたしたいというように考えております。

亀岡高夫自由民主党

○亀岡委員 こういう一般国民の協力を求めるというような意味から、麻薬犯に対して通報したとかなんとかということについて、報奨制度というようなものまで考えたいという意向が警察庁にあるかどうか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 さっきにせ札の問題とあわせてお話がございましたが、大体麻薬犯罪は、それによって利益を得る者また施用する者もお互いが非常に秘匿されていたい連中でありますので、一般人がこれに対して協力するということは、機会としては非常に少ない。性質上そういうものであろうと思います。しかし、今お話しの報奨金というようなものではございませんけれども、非常な悪質な麻薬犯罪、密売なりあるいは密輸なりというようなことについて、警察が捜査している過程におきまして、これに対して非常に有利な情報の提供をいただくということは、捜査上非常に大事なことでありますので、そういうものに対して、捜査上のいわゆる捜査費といいますか、そういうようなことで謝礼的なことをするということは、これはむしろ実費弁償と申しますか、非常に努力して資料を提供して下さった方に対しては、そういう道も考えることは当然だと思うわけであります。むしろ一般人に対しては麻薬禍ということについて認識を深めて、とにかくこれ以上麻薬の施用者がふえないようにする、ヒロポンのときもそうでございますけれども、かかっている者は昨日申し上げましたような方法でできるだけ処理していく、それから今後はきれいな人に対しては、麻薬に侵されないようにするということを大いに広報していく必要があるのではなかろうかと考えております。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 麻薬問題がいろいろ論議されましたが、関連がございますので、この問題を先に片づけたいと思います。先ほど、三十八年度で増員される五百名の麻薬専門の司法警察の配置というものは一応わかりました。従来おりますところの六百三名というものの配置の県、これは何県くらいに及んでおるのですか。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房長)

○後藤田政府委員 おもな県を申し上げたいと思いますが、六百三名は全国に配置になっておる数字でございます。警視庁が七十七名、神奈川県が四十六名、大阪府が三十八名、兵庫県が五十一名、福岡県が二十五名、一番少ない県で五、六名というのが実態でございます。これは専従警察官の数でございます。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 五、六名程度で、いろいろのトータルを見ますと、検挙数あるいは中毒者の数、あるいは所持しておる人数、こういうものが非常に困難な情勢の中からいろいろなトータルが出ておるわけでございますけれども、私はこの際お聞きしておきたいのですが、保安局から出ました資料の中で朝鮮という部類の分け方というのは、これはどうなんですか。政府の言う日韓交渉という問題で、韓国は三十八度線というもので一応線を引いて考えているのですが、警視庁の出すものは全部朝鮮々々というので出ているのですが、どういう分け方になるのですか。非常に大きなトータルを占めておるわけでありますけれども、これはちょっと計数上説明をしていただきたいと思うのです。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 国籍別という点で、日本人、朝鮮人、中国人、台湾人その他というふうに統計ができておるわけでございますが、その朝鮮の中には北鮮と韓国と両方がこの中に入っておるわけでございます。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 こういう資料を出します際に、国籍別の検挙総数、検挙状況として出ておるわけです。そういう国籍別の検挙総数あるいは検挙状況ということになりますと、朝鮮という国がなければならぬことになるわけだ。これは民族別の検挙状況の調査ではないのですよ。どうもその辺が少し頭が私どもと——解釈に苦しむ点がある。大へん進歩的な考え方かもしれませんけれども、もう日韓などというものは考えずに、三十八度線を撤回して警視庁は一つ資料を出したのだというふうに解釈すればいいのですけれども、この権威ある、あなた方の出した国籍別の検挙状況の中に朝鮮人というトータルが出ておるのですが、これは具体的にいって——資料の百九十五名と出ているものですが、これは分けられますか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 これは分け方は非常にむずかしいと思います。三十八度線で区切られた韓国と北鮮ということでははっきりしたものではないので、南鮮生まれであっても北鮮系もあるし、北鮮生まれであっても韓国系というのもありますから、まあこの際は、国籍別と書いたことについてはちょっとどうかという点がありますけれども、朝鮮人ということで一応理解していただかないと、こちらにある朝鮮人がどっちの側についているかということは、よほど緻密に調査しなければ、なかなかわからない問題でございますので、そういう意味で朝鮮人というふうにしたので、民族別とした方がよかったかと思います。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 ややあいまいな答弁ですが、分けにくいということのようでございますので、もう一つお尋ねしますが、中毒者の数でございますけれども、これは長官にお尋ねいたします。中毒者が、職業別に検挙数が示されております。たとえば労働者とか、売春婦であるとか、暴力団であるとか、こういうようなトータルの示され方がしてあるわけですけれども、私はこれを見て、検挙するということと同時に、やはりこういう検挙という警察行政と同時に、社会保障的な問題を裏づけとして考えていかなければ、これはイタチごっこになっておるのではないか。卵と鶏みたいに、どちらが先になったのかわからぬという格好の結果になっておるというように私は統計を解釈するわけでありますが、これらを検挙した数だけをあげるということではなしに、これが行政の面に生きていくためには、やはりこれに対する社会保障的な政策というものが裏づけとなって考えられていかなければならない問題じゃないか。そうしなければ、これは雪だるま式に太っていく数になるのじゃないかというように考えるのですが、その点どうです。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 政治全般の問題としては、まさにお話の通りであろうと思います。ただ警察が、警察の分野において検挙した当時の職業ということを、ここに表わしたにすぎないわけでございまして、確かにこういう者について禁断し更生させていく、あるいは生活、将来の問題を考えていくというようなことは、当然厚生省その他とも十分協力して、政治の問題として考えられるべきものと私も存じます。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 この資料の五十九ページにあります、麻薬中毒者の実態調査表というものの中で、私は非常に気になる点があるわけなのです。先ほどちょっと触れましたけれども、総数六十六名中、神奈川県が四十二名の二十才未満の中毒者を持っておるということなのです。これはよその県管区で見ましても、たとえば北海道は二十才未満の中毒患者はゼロです。それから警視庁でわずかに三名、こういうトータルというのは、私は信用したいのですけれども、この数だけを見ますと、二十才未満で麻薬の中毒に侵されておる人が六三、四%占めておる神奈川県という一つの大きなウエートを占めておる県があるかと思うと、ほとんど二十才未満に対しては報告をされておらない管区の警察がある。こういうものが権威ある一つの資料の中に出てくるということは私は非常におかしく思うのです。思うのですけれども、やはり心配になる点は、未成年者と申しますか、若い人々の中毒患者に対するところの対策は、早急に講じなければならない大きい問題であろうかというふうに考えます。そこで神奈川県の四十二というのは、横浜を控えまして、おとなに非常に刺激されたところの若い人人が、麻薬を使用するのだ、こういう実態が一つの面として出ておるというように私は考えるわけでございますけれども、こういう問題に関連をいたしまして、近ごろ、麻酔薬を飲んでそのこうこつとした気持に浸るというような青少年の動向が見受けられるのです。これはやはり麻薬中簿の一環として、社会教育、学校教育にも関係があると思うのですけれども、私は相当に注意をしていかなければならぬ問題であろうかと思うのです。そういう問題が案ぜられるにもかかわらず、こういう二十才未満ではほとんど中毒患者を見出し得ないという警察管区のこの手薄さということに対しては、非常に情けない気持がするのですが、あるいは麻酔薬遊びとか、あるいは幼年、少年の麻薬中毒とか、こういうものに対する対策というものをここで一つお聞かせを願いたいと思います。

野田章警視監(警察庁保安局長)

○野田政府委員 御指摘の麻薬中毒者の実態調査表は、現在把握しております六千九百九十一人の中毒者についての内訳でございますが、この六千九百九十一人の麻薬中毒者のリストというものが、御指摘のように多少不備ではないかという点があると思うのでございます。これらの点につきましては、今後とも麻薬中毒者の実態の把握について、全国的に十分な調査あるいは捜査というものを進めていきたいというふうに考えております。  なお、二十才未満の中毒者あるいは四十才、三十才、二十才というこの辺のところに中毒者の非常に大部分があるということがこの表にございますが、特に御指摘になりました二十才未満の若い少年の中毒というものに対する対策という点は、これもまた御指摘のように十分に詰めていかなければならない。これはいわゆる非行少年あるいは犯罪少年、そういうものの対策とあわせて、警察には警察としての犯罪の早期発見あるいは早期補導あるいは再犯を起こさないような措置、そういうような面を警察としてもこれは当然に進めていかなければならないし、またさように考えておりますが、同時に文部省あるいは厚生省あるいはその他の関係の各機関の総合的な対策というものによって、少年の健全な育成というものをはかっていくということが、その対策の非常に重要なるものであろうというふうに考るえものでございます。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 今保安局長の言われました、各般の有機的な各省間の連絡をとりながらこの対策を講じていく、こういう行き方がやはり必要であろうと思うのです。先ほど長官は、職業別にやったのは警察であがったものだけで、その統計を出すというとこれはこうこうだというようなお話ですけれども、大体こういう統計というものは出してみたってあとの政治の面に利用されなければ意味がないのです。従って、これはおれのところはやっただけだから、ほかのところは知らぬことだというような考え方ではなくて、やはりそこに一応出ましたら、そういう各省間の有機的な連絡をとりながらそこに効果を上げていく、こういう方向にやはり対策を講じていかなければ、私は意味がないのではないかというように考えるわけですが、先ほど好田さんが言われました、私この三十六年度にあがりましたヘロインだけでも、貫目にして一貫五百匁程度のものだというふうに計数を計算してみたのですけれども、非常に少ない量をどこまでも忍ばせておいて、どこにでも打っていける、こういうようなケースでございます。あるいはまた先ほど御答弁の中に、一方側が非常に凶悪な抵抗を示してくるのだ、こういうようなケースもあるというお話もございました。これは宮地さんにお聞きしますが、こういう問題になりますと、捜査の面で警察としても非常に行き過ぎができてくるのではないかという気が私はするのです。行き過ぎをした事実があるのじゃないかと思うのです。この麻薬犯罪を検挙するために、やや行き過ぎをやったという事実があるのではないかというように聞いておるのですが、そういう事実は御承知ございませんか。

宮地直邦警視監(警察庁刑事局長)

○宮地(直)政府委員 麻薬犯罪の捜査につきまして、ある種の暴力団等につきましては、捜査については保安局と緊密な連携をとっていたしておりますが、その捜査におきまして不適切な事例ということにつきましては、私、今のところまだ聞いておりません。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 私は一昨日自分の宿舎でじっとラジオを聞いておったのですが、底辺に生きる野郎どもとかいう現地録音でございます。これはやくざの社会といいますか、非常に暗い生活、過去を持っておる人々の録音を、男が行ったのではかどが立ちますから、現地へ女性が行って録音したものの放送をやっておる。その中で、こういうようなことを聞いたのですが、彼らが言っておるのは、うそかほんとうか、信用の度合いというものは一応別といたしましても、私だって警察官からいすでなぐられたことがございますよという話をやっておる。これは、私の感覚では、あまり偽りのあるような声とは聞こえない。正直な聞き方かもしれませんが、そういう感じがしたわけなんです。従って、特にこの麻薬などのように、手薄でしかも捜査が困難である、しかも目の前で麻薬中毒症状を現わしてくる、そういうような状況になって参りますと、それをいい材料にして、次のルートをたどっていくというような場合に、警察の取り調べの態度の中には、やや行き過ぎの問題が起こってくる可能性が多分にある。これは警察が、ほんとうに民主的に警察法の第二条、第三条で示されたような民主的な警察として親しまれ信頼し得る警察として、全くそこまで民主化されて、少しイギリスの交通警察官のようにヌーボーであるというぐらいに、ばからしく思われるぐらいに民主化されると別でありますけれども、どうかすると、やはり日本の警察というのは、警察の過去の歴史というものは残念ながらあまりよろしくない。従って、こういう問題にぶつかって、あるいは非常に困離な検挙をやらなければならぬというような、しかも相手が凶悪であるというような状況になって参りますと、凶悪でない場合を含めまして、非常に私は、取り調べなりあるいは捜査なりというものが昔の姿に返ってくるような格好になりはしないかという心配をするわけなんです。宮地さんの方では、まだ全然そういう報告がないということでございますけれども、これは管区警察あるいは都道府県警察としても、あまり名誉の話ではございませんから、実はそういうものがありましたという報告はないと思いますけれども、警察行政指導の立場に立つ皆さん方としては、そういう点については十分に一つ考慮しないと、これはあとから私が事例をあげてきて、ああそういうことがありましたかということにならないように、一つ十分に今後留意をしてやっていただきたいというように考えるわけですが、それに関連いたしまして、今度東京都あるいは大阪府で制定をされました公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例というのが出ておるわけなんです。これは内容としては、私はずっと見て参りましたけれども、非常にかよわい婦女子や一般人に対しましては、従来のぐれん隊あるいはダフヤ、ショバヤというようなものを見たら、直ちに取り押えることができるという条例になっておるわけなんですけれども、これについて、私は柏村長官に一つお伺いしておきたいのですが、これは今のところ東京都と大阪府でございます。ところが私は、ここでこういう条例ができますこと自体についての賛否は別としまして、これが東京都で締め出されますと、やがて近県に及ぶであろう。いなかの方に行った方がいいのだということになりはしないか。大阪で締め出されるとやはり兵庫県のいなかに行った方が条例がないからいいじゃないか、こういうことになりますと、やがてそういう人々はあるいは姿を変えて、生活の情勢をよい方ではなくて、むしろ潜在的な方向に悪質化するのではないかという姿が一つ考えられる。同時に、地方に向かって疎開をしていくのではないかという心配がされるわけなんです。そういたしますと、これがやがて東京都、大阪府だけでなくて、そのほかの都道府県にも同じような条例を置くことがいいのだという行政指導がやはり行なわれるのじゃないか。そうしますと、その結果として、おそらく全国的にこういう条例というものができるのじゃないか。そうすると、その条例というものがやがて都道府県だけの問題でなくて、もうすでに各都道府県に出てきたのだから、一つこの際法律としてこれは制定しようじゃないか、こういう格好にいくおそれが方向として心配されるのです。そうなりますと、せっかく民主警察として示されましたこの警察法の精神からいって、この精神と相反する具体的な事実をつくっておいて、そしてその上に立って法律改正を行なうという、そういうことが私は心配をされるのでございますが、そういう点は長官はどういうふうにお考えになりますか。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 非常に組織的な暴力団等におきまして最近見られる傾向は、なわ張りを広げていくと申しますか、系列化し、統合していくというようなことで、従来のなわ張り以外のところにまた拠点を求めていくというような傾向がかなり見られておりまするけれども、このいわゆるぐれん隊防止条例の対象になっておるぐれん隊等については、今そういう傾向は顕著には見られておりません。締め出されるために近県に流れていっておるという状況は、はっきりとは出ておらぬわけでございます。またそちらはそちらでそれぞれのなわ張りを持った者がおるというようなことでありますので、そうたやすくは入り込めない。しかしそういうおそれはもちろんあり得るわけでございます。現在つくられておりますのが東京、大阪でございますが、そのほか近くそういうものを制定しようというようなところとして、愛知、兵庫あたりも計画をしておりまするし、その他数府県においても、次の県会等においてやるものがあるようでございます。従って、相当こういうぐれん隊行為の多発するような地域につきましては、それぞれ府県において条例をつくっていく傾向はだんだん見られておるわけでございます。ただこれは将来の問題でございますから、今直ちにそうであるということを申し上げるわけには参りませんが、少なくとも私どもの意図として、地方につくらせておいて、法律化の下地をつくっておいて法律化するという魂胆を持っているというようなことはございません。将来非常に全国的にそういうことが必要だということで、国会等でそういうことをお認め願うというような事態になればまた別でございますが、私がそういうことをこそこそと各府県にやらせて、いずれ全国に及ぼそうというような魂胆はないことだけは、この際申し上げておきたいと思います。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 こそこそでなくて、大っぴらにやるのではないかということを心配するわけです。そういう行政指導をやろうと思えばすぐできることなんです。私はそういう下地が、一つの基盤というか、そういうものができた上で、やはり法律化——やがてそうすると、これはやはり警察法の改正あるいは警職法の改正あるいはそれに伴うところの規則の改正、こういうようなことになっていくのではないかという心配があるのですけれども、今柏村長官がやらないということですから、一応それを信用しておきたいと思います。  これは提案をされました内容というのは、交通関係とそれから麻薬関係と道路交通法の三点でございますけれども、第一点、これは私はほんのちょっとしたことを交通局長にお聞きしたいのですが、地方で、大阪などで、いわゆる切符制といいますか、交通違反のチケット制といいますか、こういうことが実施をされておって、非常に時間が早くて便利だという評判のいい行き方があるわけなのです。そこで私はこれについてお伺いしたいのは、利点についてはよくわかるのです。ただし問題は、ごく単純なスピード違反であるどか、あるいは明瞭な交通違反であるという場合はいいといたしまして、そこで簡易裁判で判決を出すということだけで、とにかく早く自分の免許証をもらえばそれで済むのだということで、当然日本人として——日本人と言っては大げさになりますけれども、自分の権利として主張すべき訴訟権も何もかも全部放棄してしまって、その問題をそれで全部終わりにするのだ、こういう傾向を植え付けるおそれがないか、こういうことを私は懸念をするわけなのです。従って、非常に複雑ないろいろな証拠書類あるいは証拠物件等を裏づけとして本訴訟をやらなければ解決をしないような交通違反の問題でも、このチケット制あるいは切符制というようなもので、そのままぱっと片づけてしまうことによって自分の権利を放棄する。もう肩の荷をおろした方がいい、少々負けてもいい、しょうがないというような気持になるおそれが、私はこの制度の中に含まれておりはしないかという心配を持つものですが、その点はそういう心配はないものでしょうか、どうでしょうか。

冨永誠美警視監(警察庁交通局長)

○冨永政府委員 交通の切符制のお尋ねでございますが、御承知の通りに一月一日から東京はじめ十の地域で実施いたしておるわけでございます。まだ発足当初でございますので、私どももいろいろ検討いたしておるわけでございますが、確かに能率という面をおもに考えて、できるだけ交通違反された人にも、時間的なロスといいますか、それを少なくさせてあげたいという点もあるわけでございますが、御懸念のような点はむしろ今までよりも場合によっては救われておるのではないか。と申しますのは、今までですと一々違反事実をおまわりさんが書きまして、あとで聞いてやっているわけでございますが、切符制になりますと、その現場の街頭で、はっきりあなたは何でございますということでサインをいただくことになっております。ですから、むしろそこで自分は不服だという場合は、もちろん本訴訟ということの余地が残されておりますから、納得のいかぬ点は本訴訟へ行くわけでございますので、かえって前よりはその点ははっきりいたすのではないか。つまり街頭では本人が承知するという形になりますから、まあそう思うわけでございます。しかし御質問のような御懸念の点は、十分私どもも状況を見たいというふうに考えております。

二宮武夫日本社会党

○二宮委員 いま一点だけお尋ねいたしますが、実はこれは具体的にあった例を引例いたしましてお尋ねいたしますが、警察官が非常に困難な情勢の中でいろいろ捜査をやったり、あるいは冬山の遭難の指導をやったりするという事実があるのです。ところが近ごろの傾向として、冬山に引かれる魅力といいますか、非常に軽装で、食糧も防寒雄材もあまり持たずに、さっさと登ってしまうのだということで、非常に遭難者が多い。これはよその国の例を考えると、やはり一応そういう山に登る際には、こういうスケジュールでこういう装備で登るのだといって、一つの地域のそうした先輩なりグループなりの許可をとって登るというような国もあるそうでございます。しかし日本のは、今のところ非常に、みすみす前途のある若い青年が無防備で山に登るために困難が起こって死んでいく、こういうような事態があるわけなんです。実は私の県でも、昨年でしたが、一月の初旬に思いがけぬ大雪が降りまして、七名遭難をいたしまして死んだのです。一名だけはやっと助かったのですけれども、この遭難の捜査に当たり、救助に当たった警察官が、実は病気でかつて療養しておったという経歴がある。しかし病気がよくなりまして、その捜査の隊長として捜索隊に入った。ところが雪の中を非常に困難を冒して救助に向かったために、病気が再発をしてきた。ところが病気が再発して参りましたためにその人は休職をせざるを得ないという状況になってきた。既往に神経痛というような病気があったという理由で、実は年末における期末手当というものについてはほとんどもらう資格を喪失してしまって、署員が少しずつポケット・マネーを出して年越しのお金をお見舞として差し上げた、こういうような例があるわけなんです。山で遭難をしたところの父兄はもちろんでございますけれども、遭難をされた自治体というものは非常な出費でございます。警察自身も大きな出費が要ると私は思うのです。同時にそういう困難を冒して先頭に立ったところ警察官が、そういう——私はこれははっきり言って業務上の疾病であるというふうに考えるのですけれども、どこかに法的なぬかりがあって、その人に期末の手当がやれないというような状態、これは労働基準法のいわゆる業務上の疾病とみなすか、みなさないかというところの、命令の中に含まれておるのではないかということで、命令では一体どういう病気なんだということで調べてみましたが、三十幾つその命令があるのです。これはまことにかわいそうな一つの例ですが、うちの県に起こった問題だけれども、うちの県のことだけを言っているのじゃなくて、どこの県にも、私は全国的に起こる可能性のある問題じゃないかと考えるのですが、そのようなどこか法的な不備があるのじゃないか。せっかく自分の身を挺して皆さんの命を助けようとがんばった者が、そういう不利な立場に置かれるという情勢はあり得ないと私は思うのです。もしあれば、法的に改正をしなければならぬ問題だろうと私は思うのです。厚生課長さんがお見えですが、一つ厚生課長さんの専門的な御検討の結果を御解明いただきたいと思います。

後藤田正晴警視監(警察庁長官官房長)

○後藤田政府委員 法律関係の専門的な事項は御指名の厚生課長から答えるといたしまして、御質問の事項は確かに昨年大分県で起こっております。本件の場合には当該警察官の発病というものがはたして公務に起因して、その間に因果関係が認められるかどうか、こういう点が一番の問題点だと思います。私どもは常識的には、これはやはり冬山の遭難救助に行ってあれだけの活動をしたことが発病の原因になっておるのじゃないか、従ってこれはやはり公務災害として扱うのが常識的だ、こういうふうに思うのです。ところが、現実の扱いはどういうことになっておるかといいますと、こういう場合にはっきりしておれば県でそれぞれの規定に従って処理しますが、多少問題があるというものについては私どもの方に照会をして参ります。そういたしますと私どもの方は、国家公務員の場合には人事院でございますし、地方の場合には、地方公務員法に基づいて労働基準法が適用になっておりますので、労働省に照会をするわけでございます。それで現実には人事院の今までの各種の取り扱いの実例というものがいわば判例的なものになっておるわけです。私どもは本件の場合にはどうも常識的には公務ではないか、こう思うのですけれども、病気がリューマチである、本人が災害救助に行く数日前にやはりリューマチが起こっておるといったようなことになりますと、従来の判例では、取り扱いが現実問題として非常にむずかしいようです。しかし私どもとしては、やはり本件についてはそのときの状況あるいは装備、あらゆる点から実情を調査して、その上でもう少し交渉をいたしたいということで、現在県を通じてその間の詳細な資料を照会中でございます。それらの資料を見た上で、あらためて私どもの方では人事院に交渉いたしたい、こういうふうに考えております。

大沢雄一自由民主党

○大沢委員 私、時間がなくなって同僚の議員にはまことに恐縮でございますが、麻薬の取り締まりに関しまして、どこに重点がありますのか、表を見ますと私いろいろ感ずることがりあますので、ちょっとお伺いいたしたいと思うのであります。  これはあるいは警察の方の関係よりも他の関係が重点になっているかもれませんが、麻薬の被害を防遏いたしまする根本は、不正にわが国内に持ち込まれる麻薬をそこで取り締まるということを重点としなければならぬと私は思うのであります。それにつきまして警察の方としてはどういうふうにお考えになって、警察官の配置その他はどういうふうになっているか。その点をちょっとお伺いいたしたいと思います。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 お話しのように、一番効果的な方法は、まさに密輸を事前に押える、少なくとも水ぎわで押えるということであろうと思います。しかしこれは先ほど来お話のありますように、非常に少量で高価なものでありますので、密輸しようと思えば非常にしやすいものでございます。従ってこれを押えるためには、どういう人間がどういう方法で密輸してくるかというルート、方法というものを、的確に把握するということをまず前提として考えなければならぬ。従ってそういう意味の情報収集活動、これは海外にまで及んでの情報収集活動ということが非常に大事になる。そういう意味で海外情報官も今回一人ふやしていただくことにしておるわけでございます。なお開港場とか主要都市というようなところは、まず全国で東京、大阪、神奈川、兵庫、福岡を初めとしまして、その他の十府県に五百名の要員を配置することにいたしておるわけでございます。まずできるだけ的確に情報を把握して、事前にこれを押えるということに努力をして参りたい、こう考えております。

大沢雄一自由民主党

○大沢委員 私は戦前在支の総領事といたしまして居留民の犯罪の取り締まり、検挙等にも当たったわけであります。その体験から申しまして、在支の日本人として麻薬関係の犯罪を犯しておりますものは、まことに言いにくいことでありますが、ほとんど全部と言っていいくらい朝鮮人であります。今、日韓交渉が進められておりますときにこういうことを申し上げるのはどうかと思いますが、これは事実でございます。この表を見ましても、そのもとになります輸入の犯罪、これは朝鮮人、中国人にほとんど限られておりますように私は見るわけであります。それらの、日本人以外の人によって持ち込まれましたのが転々して、いろいろな態様でいろいろな麻薬犯罪になってくるわけであります。私は、この点もっと取り締まりあるいは麻薬の対策を広いものにしなければならぬと思う。やはりそこに焦点を当ててメスをふるわなければ、これは現象を追って、労多くして功少ないということになると痛感するものでございます。そういう点について、警察ではどういうふうにお考えになってどうしておるか。この表を見て、あとの現象のことをいろいろ言うよりは、今長官からお話があったように、この輸入の取り締まり法にかかってくるものは、日本人はゼロ、あと輸入したものを譲り受けたり譲り渡したりいろいろなことで引っかかっておるように私は見るわけであります。そうしますと、やはりそこに重点を置かなければほんとうにおかしなことじゃないかと私は思うわけでございますが、今お話しの通り非常に少量で困難なことは十分私も承知しておりますが、それについてどういうふうにお考えになって、どういう対策をおとりになっておるか、伺いたい。

柏村信雄警察庁長官

○柏村政府委員 お話しのように不良外国人、特に朝鮮人、中国人が主となりまして、密輸が行なわれておることはその通りでございます。従いまして、われわれとしては不良外国人に対する取り締まりというものを、これは麻薬直接の問題もさることながら、その他の面において不良外国人というものについて注意をいたしていかなければならないというふうに考えておるわけであります。  今回麻薬対策といたしましても、五百名の麻薬取り締まりの警察官を増員していただきますが、それの活躍を待つと同時に、いわゆる外事警察の力というものも十分そこに指向いたしまして、不良外国人のその他の事件と関連をする面も非常に多いわけでございますので、麻薬は麻薬だけ、外事はその他の外事だけということでなしに、両両相待って相互緊密に連絡をとって取り締まりに当たっていきたいというふうに考えておるわけでございます。

大沢雄一自由民主党

○大沢委員 私の考えておる重点は十分御承知のようでございますので、どうかそういう点に一つ重点を置いてやっていただきたいと思います。私は決して麻薬中毒患者を弁護するわけでもなんでもなく、少し観点が違うのでありますが、これは大きな外科手術をやった者でなければほんとうにわからぬことなのでありますが、手術後の痛みを緩和して何とか眠るという場合にはどうしても麻薬でなければだめだ、ほかのいろいろな痛みどめの薬ではどうしてもだめなんです。それで眠りたいためについ麻薬の使用を医者にお願いし、看護婦にお願いして、ついに習慣をつけるとか、また看護婦さんがついつい苦痛をやわらげるために注射してそれが中毒になるというのもあるわけですから、麻薬患者の全部が非常に憎むべきものではないということはもとよりでございます。そういう面もありますので、これは医療の方面の研究その他において、こういう非常な悪い副作用を持ちます薬剤以外で何とか手術後の痛みをとめ、眠ることのできるような薬を研究することも非常に大事ではないかと思うのでありますが、そういう面につきましても十分一つ理解を持ちまして、そういう患者あるいはこれを看護する看護人——こういう中毒患者がありますので、そういう意味において取り締まりと善導に当たっていただきたいということをお願いいたしまして、私の関連した質問を打ち切りたいと思います。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時五十六分散会

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