大蔵委員会 第39号
- 発言数
- 77 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/06/25
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 おはかりいたします。 関税暫定措置法及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 政府より提案理由の説明を聴取いたします。原田大蔵政務次官。 —————————————
○原田政府委員 ただいま議題となりました関税暫定措置法及び砂糖消費税法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及び法律案の概要を御説明いたします。 この法律案は、砂糖についての最近の価格の状況等にかんがみまして、関税及び砂糖消費税に関し所要の改正を行なおうとするものであります。 第一は、関税及び砂糖消費税の軽減措置であります。最近、国際糖価の異常な高騰に伴い、国内糖価も相当な値上がりを示してきております。これは、キューバをめぐっての国際問題と外国におけるてん菜生産の不作とによるものと見られており、早急に従来の糖価に安定することは見込みが薄いものと考えられております。 このような国際糖価の高騰に伴う国内糖価の上昇を押え、消費者の家計に及ぼす影響をできるだけ少なくしようとするのが、この法律案による関税及び砂糖消費税の軽減等についての措置であります。 まず、関税につきましては、輸入される粗糖について、当分の間、政令により減免措置の発動ができることといたしております。その発動の要件は、国際糖価の上昇に伴い、砂糖の国内卸売り価格の著しい上昇があること及びその卸売り価格が本邦産てん菜糖の適当と認められる卸売り価格を相当期間継続してこえることの二点であり、その減免は、そのこえる額以内においてできるものといたしております。 このような減免措置をとった後において、輸入粗糖からの精製糖の卸売り価格が低下し、本邦産てん菜糖の適当と認められる卸売り価格を下回ることとなる場合も考えられますが、このような場合には減税の幅を縮減するか、またはその措置を廃止するかして、国内甘味資源作物の価格の安定をはかることといたしております。 なお、これらの措置を政府がとった場合には、遅滞なく、その内容を国会に御報告いたすことになっております。 次に砂糖消費税については、砂糖消費税の税率を、精製糖について一キログラムについて五円、再製赤糖及び黒糖についてそれぞれ四円引き下げ、その他の砂糖類についてもこれに準じて税率の引き下げを行なうことといたしてあります。 第二は、輸入粗糖についての関税割り当て制度の採用であります。これは粗糖の外貨割り当て制度の廃止に際しまして、国内甘味資源及び砂糖業界に不測の混乱が生じることを防止するため、一次税率を現行の四十一円五十銭、二次税率を十円高の五十一円五十銭とする関税割り当て制度を、当分の間、採用することといたしております。 以上がこの法律案の提案の理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上すみやかに御賛同くださいますようお願いいたします。
○臼井委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 ————◇—————
○臼井委員長 次に、税制に関する件について調査を進めます。 質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
○横山委員 最近、国税庁の徴税行政の中で全国的な課題になっておりますものが二、三あります。本日はその問題について国税庁の現状と方針をただしたいと考えておるわけであります。 まず最初にお尋ねをいたしたいのは、労音及び労演の問題であります。同僚各位は御存じかと思うのでありますけれども、ちょっと説明をいたしますと、労音、労演というのは、労働者が高い入場料を払って晩画を見あるいは音楽を聞きあるいはお芝居を見るのを、自分たちだけで仲よく会員制度で楽しもうではないか、自分たちで歌おうではないかというところからその源が発しておるわけであります。しかし、新しい時代に沿ったこの気持ちというものが働く各階層の共感を呼びまして、労音の組織というものは、非常に大きくなってまいりました。すでに先年人格なき社団が法制化され、次いで昨年国税通則法の際に大問題になりまして、与党から修正案が出て、人格なき社団の徴税をこれ以上強化することは妥当でないとして、そして現状どおりになっているのであります。しかるところ、国税庁から、どうお考えになったか知りませんが、四月の二十二日でありますか、全国一斉に労音、労演等に対して入場税の決定通知書が出されました。これに伴って全国的に労働組合、労音、労演等民主団体の中からあらためて税に対する非常な反響が生まれまして、各地でこの問題が発展をしておるわけであります。この際、私もいろいろ聞いてはおりますけれども、国税庁から、現在の労音、労演に対してどういう考え方を持っているか、またそれについてどういう措置が行なわれたかという点について、御報告を受けたいと思います。
○木村(秀)政府委員 お答えいたします。 労音、労演、に対して国税庁としてどういうふうに考えておるかという点でございますが、先ほど御指摘にありましたように、法人税法では人格のない社団または財団であって、代表者または管理人の定めのあるものにつきまして、それが収益事業を営んでおる場合についてはこれを法人とみなして法人税が課せられるという規定がございます。また、入場税につきましては、特別に人格のない社団ということばは使っておりませんが、しかし興行場等の経営者であるとかあるいは催しものの主催者については入場税を納税する義務があるという規定があるわけでございまして、私どもといたしましては、この労音、労演が、いま申しました法人税法なりあるいは入場税法に規定されておる納税義務者であるという認識のもとに今回の課税をいたしておるわけでございます。また、今回とりました措置につきましては、入場税につきましては、昭和三十七年の四月から十二月三十一日までの分を、三十八年、ことしの四月二十二日に決定をして、各労音に通知をいたしております。また、法人税につきましては、昭和三十二年分については、ことしの五月三十一日で時効が完成いたしますので、各国税局で調査をいたしました結果、収益ありと認定をいたしました東京及び大阪の両労音につきまして、この五月の下旬に決定通知をいたしております。
○横山委員 あなた方の法律的根拠と称せられるものは、まず入場税法においては、第三条において「興行場等の経営者又は主催は、興行場等への入場者から領収する入場料金について、入場税を納める義務がある。つまり労音の立場としては経営者ではない。これはあなた方は理解されておる。問題は主催者ということであります。労音の性格からいいますと、労音というものは会員制度になっておって、そしてその会員の中から何という名前ですか世話役が選ばれて、その世話役が自分も金を出して、そしてみんなと一緒に希望する音楽を聞く、こういう制度であります。ですからここで言うところの主催者ではないと思うのです。入場税というものは、本来この立法の趣旨とするところは、その人が経営をやり、そして音楽なりお芝居なりを見せ、不特定多数の人から入場料を取る、こういうことなんでありますけれども、労音の場合はすべて特定多数であって、会員であって、みんなが銭を出してそこで有能な人を呼んでみんなで聞くという趣旨でありますから、ここで言うところの主催者とは言えないではないか、この点はどうですか。
○木村(秀)政府委員 労音なり労演は、ただいまおっしゃったように会員制をとっておることは事実でございます。しかしながら、これらの会員がばらばらになっておるかというとそうではございませんで、やはり労音なり労演の代表者というものがおりまして、そしてこの代表者が催しものの企画、立案をし、またそれを実施しておるのが実態でございます。したがいまして、入場税法に言う主催者である。単なる一時的な世話役ではなくて、やはり固定的にこの代表者が主催者であるというふうに認識をいたしております。
○横山委員 それは少し独断だとぼくは思うのです。少なくとも主催者なり代表者というものは、それなりの権限を持って、そしてあなたのおっしゃるようにみずから企画しみずから運営する、そういうのが主催者なんです。しかしながら労音の場合においては、その代表者はいわゆる代表者ではなくて、会員の中から選挙をされ選出をされ、普通で言うならば一般役員が推薦されて、その一般役員の中からまた特別な役員が推薦され、それが適宜に交代をしていくというようなしかけなのであります。したがってそれを称して主催者というふうに断定するのは早計ではないか、こう思われるわけです。それとあわせて、少なくとも入場税というものは主催者が入場税を取るのではなくて、これは国家にかわって徴収の義務を与えられておるのであるけれども、少なくとも入場税を取るということは、その企業なりその催しものが収益を目的として行なわれておるという観点に立つべきではないか。労音、労演というものが収益を目的としていないということはあなたはお考えになっておられるであろうかどうか。収益が上がるから役員に利潤を分配するとか、あるいは何か特定のところへそれを何とかするとかいうような、収益をあげてその収益によって事業を拡大するという性格でなくして、会員をよりたくさんふやして会員と一緒にいい催しもの、音楽を聞き、演劇を見るというのが目的であるから、収益事業とは断じられないのではないか。この二点についてはどうお考えですか。
○木村(秀)政府委員 労音なり労演の代表者を選任する方法は、私内部関係を存じませんが、おっしゃったように、おそらく選挙かあるいはその他の推薦か、そういう方法であるかと想像いたします。しかしながらこの選任の方法とは別に、入場税法にいう主催者という場合には、その催しものを企画立案し、実施する者ということをわれわれは考えておるのでございまして、選任の方法が内部的にいかような方法でありましても、その催しものが行なわれた場合に、それを主催する、統制をとる、そういう人が一体あるのかないのか、労音の場合には労音の代表者であろうという意味で、労音の代表者を主催者と考えておるわけでございます。また法人税法にいう収益事業と申します場合の収益の観念でございますが、必ずしもその社団が収益を目的としておる場合でなくても、普通営利事業を行なっておるものが、行なっておると同様な事業であります場合におきましては、たとえば、この労音なり労演の場合には、法人税法施行規則にいう興行場ということになるかと思いますが、そういう種類の事業である場合には、これを収益事業と考えて差しつかえないものと思います。
○横山委員 そこのところが非常に重要なことになるのですけれども、本来収益を目的としている事業と、それから本来同好組織といいますか、あるいは場合によっては自民党とかあるいは社会党とか、こういう人格なき社団、別な目的を持っておるものが、たまたま収益事業と思われるものをやった場合、この場合を同一に断じて、目的はそうでなくても、行なった結果がそうであるからというてこれを追及するというのは、本来の入場税法なり法人税法の趣旨と違うのではないか。人格なき社団というものが最初取り上げられた経緯はございますが、その経緯を尋ねてみますと、なるほどこの近代社会においては、個人と法人だけではなくて、いわゆる人格なき社団というものがたくさんある。これはわれわれとしてもわかるところ。しかしその人格なき社団の目的の中で、社会事業をしておるとかあるいはわれわれのように政治を目的としておるものと、本来営利事業を目的としておるというものについては、おのずから区別があってしかるべきではないか。少なくとも本来営利事業、収益事業を目的としておるものと、一般の法人及び個人の営業収益を目的としておるものとの対比上、これは問題にすべきではないかというところから私は議論が始まっておると思うのであります。ところがそういうようなところの追及がおろそかになって、大衆運動とかあるいは他の本来違った目的を持っておりますそういう民主団体というようなものが、ねらい撃ちにされるというようなことがあってはならぬと言うて、どんなに委員会におきまして皆さんに注意を喚起したか知れないのであります。これは歴代の大臣なり歴代の主税局長にもよくお願いをしてあるところでございますけれども、去年の通則法の制定前後を通じて、これはわれわれのほうからよく注意を喚起したにかかわらず、一年たった今日全国的に、これはおそらくそうだろうと思うのでありますけれども、国税庁の一定の方針のもとに、全国一斉に労音がねらい撃ちをされておるということについては、いささか遺憾な点があると私は考えておるわけであります。なぜ今日労音が集中的なねらい撃ちをされなければならぬのか、その点を私はあわせて承りたいのです。つまり私の質問をいたしたいのは、本来的に人格なき社団が取り上げられた経緯からいって、営業収益を本来の目的としておるところを追及するのが本旨ではなかったが。第二番目には、労音を全国的にねらい撃ちにする、国税庁の一つの方針をもってねらい撃ちをするという意図は何であるか。これは労音側なり民主団体が非常に心配をいたしまして、これを通じて大衆団体に非常な打撃を与える、これを通じてその次には労働組合なりそのほかの民主団体に対して攻撃の手が差し伸べられる、こういう点について非常な危惧を感じておるのでありますが、どうお考えですか。
○木村(秀)政府委員 労音なり労演が収益を目的としておるかどうかということはこれは私はっきりこの場で言明はいたしかねます。ただ、いま御指摘になりましたように、たとい収益をその本来の目的としておりません場合におきましても、継続して事業場を設けて行なう一定の事業でございまして、それが収益をあげておる場合におきましては、一般の他の営利法人と同様に担税力を持っておるわけでございまして、法人税法はこういう担税力のあるところに対して課税をするという趣旨で、こういう規定を設けたものと信じております。したがいまして、収益を目的としない場合におきましても、労音、労演のように定期または不定期に継続して事業を行なっておる、また事業活動の拠点を設けて、いわゆる事務局等を設けて行なっておるという場合におきましては、法人税法上の納税義務者となるものと信じております。 その次に、全国一斉に一定方針のもとに行なわれたのはどうかという御質問でございますが、労音につきましては入場税は昨年の三月までは申告なり納税が行なわれておったわけでございます。もちろん申告なり納税が行なわれておる一方におきましては、納税義務不存在の確認の訴えを提起いたしまして、現在裁判所でもって審理中でございますけれども、しかし対税務署面におきましては、昨年の三月までは行なわれておった。ところが新法に改正になりましてから、申告納税制度がとられて以後、昨年の四月以降はこの入場税の申告なり納税が行なわれておりません。また法人税につきましても同様、全国の労音でもって申告が行なわれておりません。私たちといたしましては、何も全国の労音を一時に同一に処置をするという気持ちはございませんけれども、全国の労音のほうでそういうふうに統一的な歩調でもって申告なりあるいは、調査の忌避なり、あるいは納税なりが行なわれておりませんので、税務署によって決定を行なうところと行なわないところといろいろ出るということは、かえって不都合でございますので、入場税につきましては先ほど申し上げましたように一斉に決定の通知をいたしたわけでございます。
○横山委員 聞くところによれば、もうすでに決定通知に対して異議申請が行なわれ、それに対して却下の方針であり、またあるところでは差し押えがそれに伴って行なわれておるという話を聞きました。たとえば四日市労演に差し押えが執行されたとか、都城労音に対して預金のほかに物件十四点を二重に差し押えたとか、こういうような状況が全国的に続きますと、やはり相当の問題が今後起こると思うのであります。いきさか具体的にお伺いをいたしますが、この差し押えが、何か報告によりますと、個人の物品があり、不幸にしてその一部を解除させたとか、あるいはほかのところでは個人のラジオも含まれておるとか、こういうような差し押えが今後もずっと続くのかどうか、またその差し押えは何でもかんでも個人のものでもやってしまうというような乱暴なことが今後行なわれるのか、これからの各地における入場税及び法人税法に関連をして、どういうふうに国税庁としてはこの問題を処理されようとするのか、全く画一的に、もうとにかくやっちまえというつもりでおやりになるのか、労音、労演と十分に話し合って、円満に妥結するというようなお気持ちはないのか、その点お伺いいたしたい。
○木村(秀)政府委員 異議の申し立てが全国の労音から出ておりますことは御指摘のとおりでございます。差し押えについて異議の申し立てについては一般の法律論が主だと思うのでございますが、これは現在同時に裁判所に提起されております訴えと共通する点がございます。したがって、裁判所がこれに対してどう判決を下しますか、その点はわれわれが注目をいたしておるところでございます。また具体的な問題として、差し押えの際に個人の所有物を差し押えたではないかというお話でございましたが、ただ、いま都城あるいは四日市の実例を私存じておりませんので、実情を調査いたしたいと存じます。ただ一般に労音、労演は人格なき社団でございますので、法人としての登記なりあるいは預金なりというものはございませんで、やはり代表者の名前をもってそういうものが行なわれておる。したがって、その代表者個人のものであるか、あるいは労音なり労演のものであるかということの認定は非常に困難だと思います。しかしながら、これはあくまでもそういう認定を確実にいたしまして、個人のものを差し押えることのないように注意をいたしたいと存じております。 〔委員長退席、毛利委員長代理 着席〕 それから話し合いの点でございますが、もちろん労音なり労演の見解とわれわれの見解とは法律上の解釈の点で非常に食い違っております。したがって話し合いをいたしましても、こういう基本的な違いがあり、かつそれが現在訴訟係属中であるというような点を考えますと、はたしてこの話し合いが円満に了解に達する見込みがあるかどうかと申しますと、私は非常にむずかしいのじゃないかというふうに考えております。また私たちの立場といたしましては、入場税にいたしましてもあるいは法人税にいたしましても、少なくとも話し合いの前提には、やはり税務所の調査に協力をしていただくという点が前提になるわけでございまして、そういう情勢ができました場合におきましては、できるだけ円満なる話し合いのもとに仕事を進めてまいりたいと存じております。
○横山委員 もう一つお伺いをしたいのですが、各地における問題についての税制の民主化協議会なり何なり、協同組織なりというものが全国的にできあがりつつあるのであります。それらの中で一番心配をされておりますのが、先ほど私がちょっと申しましたように労音、労演というものはそのはしりではないか、この調子で各地の労働組合や民主団体に税金攻勢がかかるはしりではないか、そういう不安が加速度的に広まっておるわけであります。なるほど考えてみれば今日、日本の税制が発達をしておりますけれども、徴税業務というものは必ずしもうまくいっておりません。それは先般、予算委員会でしたか、大蔵大臣が、確かに指摘のとおり、いろいろな意味においてまだ徴税行政の密なるところと粗なるところがある。その調整は機構なり人員なり何らかの方法でいたしたい、こう御答弁をなされたわけでありますが、いま徴税上何が一番問題であるか。何を一番重点的にやらなければならないかという点については、これは私どもばかりでなく国税庁内部におきましても、重点の置き方についていろいろ議論のあるところだと私は思うのです。私のお尋ねしたいのは、民主団体の中で非常に心配しておる。これを機会に、労働組合や民主団体に重箱のすみっこをつつくような税金攻勢が行なわれるのではないかという心配もそれについてどうお考えになりますか。 もう一つ、もっと根本的に国税庁としていま何が一番重点であるか。私どもがよく指摘をいたしますように、たとえば特調にしたってあるいは査察にしたって、もっともっと勢力を注ぐべき大きなところがあるのではなかったか。ここにいま労音だけを全国的に集中的にやるという積極的な理由がほんとうにあるであるかどうか。こういう世論についてはどうお考えになりますか。
○木村(秀)政府委員 ただいま、労音なり労演に対する調査を進め、また税額の決定通知を出しておりますが、そういうことを今後、労働組合等の各種団体にまで拡げるかどうかという点につきましては、これは一般のこういう団体に対して統一的にどうしようというようなことは国税庁としてはもちろん考えておりません。なぜ労音だけについていま重点を指向したかというお話でございますが、御承知のように、労音は税務署の調査に対しましては終始非協力、帳簿の提示もいたさない。あるいは説明を求めても答えないという態度でまいっております。一般の団体の場合におきましては、こういう事例ははなはだ少ないのでございまして、やはり調査に対しては御協力をいただいております。ただ、特に労音についてはいま申し上げましたような傾向が最近きつくなっておりますので、特に重点を置いたというわけではございませんが、しかしそういう調査に対する非協力の団体に対して、その調査をしないままに過ごすということになりますと、協力していただいておる団体に対して計画に不平な取り扱いになってまいります。したがって、われわれとしては再三労音に対して調査に協力してもらいたいということを申し入れておったのでございますが、しかし何ぶんにも基本的な考え方が、先ほど申し上げましたように違いますので、遺憾ながら調査に協力していただくというところまで至っておりません。したがって、全国的な問題として労音の問題を取り上げざるを得なかったわけでございます。
○横山委員 主税局長にお伺いをしたいのですけれども、この問題は去年の国税通則法の中でさらにこれを強化をしようという政府提案があり、それについては自由民主党のほうから、私どもの要望を一部いれて、現状どおりにする、これ以上強化することはぐあいが悪いということになって、今日まで継続して事業を行ない代表者の定めあるものの人格なき社団については云云、こういう条項になっておるわけであります。この点につきまして私どもがそもそものときから言っておりますように、税法だけが先行するということはいかがなものであるか。本来人格なき社団というものが民法なり商法なりできちんと定義をされ、それから税法に取り入れられるならばまだしものことであって、税法だけが先行するということはいかがなものであるかという根本的な問題を提起しておるのであります。 それから継続して事業を行ない代表者の定めあるものという、あのときの与党修正というものは、時間的に早々の間に行なわれて、必ずしも私どもの言う本来収益事業をやっておるものをまずやるべきであって、他の目的、社会事業だとかあるいは会員同士の娯楽機関だとかあるいは政党とかいうような本来収益事業を目的としていないものについての十ぱ一からげにやっておる状況についてはいかがなものか、こう考えられるわけであります。私は断わっておきますけれども、現行制度をもう少し本来の目的に沿って縮小すべきではないか。そういうふうに考えて縮小して必要なところなら制度をきちんとして徴収をするならする。いまのままではいかようにも、徴税上あれもやることができるこれもやることができる。継続してとは何だ、事業を行なっておるとは何だ、その事業は何だ、代表者とは一体どういうものなのかという点についてきわめて疑義のある国税庁の一般的解釈の許される弾力性がある状況を適当でないと私は考えるわけであります。したがってこの人格のない社団の問題については、一歩整理をして、そうして私どもの言うような本来収益事業をしておるというようなものに全く限定をして検討すべきではないか、こう考えますが、どうお考えですか。
○泉政府委員 お答えいたします。まず第一に人格なき社団につきましては、民法その他商法などに規定がないのに税法のほうだけが先走ってこれを現定するのはいかがなものかという問題でございます。なるほどお話のように民法には人格なき社団の明文の規定はございません。しかしながら民法学者あるいは商法学者などの間におきましては、通説といたしまして人格なき社団は、社団法人とその実態を同じくしておるものだというふうに考えられておりまして、その構成員である会員とは別個の社会生活の単位として法律的な地位を認めるべきものだというふうに解されておるのでございます。まあ民法あるいは商法の場合におきましては、そういう学説で一応事が片づくわけでありますが、税法の場合におきましては、現実にそういう存在があります場合に、これに対する課税関係がどうなるかということを明確にする必要がございますので、税法において規定を設けておる次第でございます。その点を御了承いただきたいのでございます。 次に人格なき社団につきましては、お話のようにいろいろな性質のものがございます。政党もそうでございますし、また労音、労演といったもの、そのほか共同募金とかいったようないろいろな人格のない社団が存在するわけでございます。したがって、それらにつきまして課税関係を明確にする必要がありますことは申し上げるまでもないのでございまして、これを一つの規定でまかなうことがいいかどうかということにつきましては、われわれとしては今後十分慎重に検討いたしたいと思います。ただ横山委員が仰せられておる労音、労演が会員の親睦を目的としておるものであって、あるいは会員が仲よく音楽を聞き、映画を見るということを目的としているものであって、収益を目的としておらないとおっしゃいます点につきましては、先ほど国税庁長官からお話を申し上げましたように、収益ということを直接の目的としておらなくても、普通に収益事業として考えられる実態の事業を営んでおります場合におきましては、収益事業に該当いたすものとわれわれは考えておるのでございます。そういう意味におきまして、労音、労演が入場税法上主催者として入場税の納税義務があるし、また法人税法の上におきましては、その収益事業につきまして納税の義務があるというふうに解しておるのでございます。そのほかの各般の人格なき社団につきましては、その実態をよく調査いたしまして、それぞれに応じて措置をしなければなりませんが、現在の規定のままではそこが十ぱ一からげになるので、いま少し詳しくその点を明らかにする必要があるという点につきましては、お説のとおりと思います。今後十分慎重に検討いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○横山委員 次は全商連の問題であります。最後に政務次官に政治的判断をお伺いしたいと思いますから、聞いておいていただきたいと思うのでありますが、一例を大阪局にとらえますと、大阪局では特殊団体課税状況調査というものが行なわれておる由であります。全商連は零細な企業が集まって中小企業の研究やらあるいは税務の研究やらをしておる団体であります。この全商連にやはり労音と同じように調査が全国的に行なわれておる模様であります。大阪におきましては、この下部の民主商工会に入った年月日はいつであるか、五カ年間の状況はどうであるかを各個人に調査されておるそうであります。またある会員のところは銀行調査が数件にわたって行なわれたそうであります。またあるところでは、酒造業者である会員のところに調査に来られたので、きょうは都合が悪いと言って帰ってもらったら、次の酒造業界の中央会に署長がやってまいりまして、この業界の中で調査を拒否する者がある、このようなことでは税務署としては十分な協力ができぬと言って、真綿で首を締めるようにおどかしたそうであります。ある会員のところは抜き打ち調査がどんどんと行なわれておる。こういう話を総合いたしますと、労音と同じように全商連についても、国税庁の一定の方針によって行なわれておると見ざるを得ないのであります。私が入手いたしました情報は主として大阪、静岡、九州でありますが、九州八幡におきましては、調査に参りまして、そのときにはどういう状況であったか知りませんけれども、そこにありましたボール箱の中へ書類を一切積んで荒なわで縛って持っていってしまった、こういう話まで聞いておるのでありますから、きわめて、この全商連に対する全国的な調査が行なわれておりると思うのでありますが、一体国税庁は全商連についてどういうお考えでこういった方針をお出しになっておるのか、現在どういう状況があるのか御報告を受けたいと思います。 〔毛利委員長代理退席、委員長 着席〕
○木村(秀)政府委員 全商連につきましては、われわれの調査によりますと、全商連に加盟されておる方々の申告水準が、加入をされた時期以降において非常に下がっておるということが統計上も出てまいっております。また税務署の調査に対しまする協力度合いと申しますか、たとえば税務署が調査に参りました場合に、書類の開示等を拒んだり、あるいは質問に対して答えられなかったり、場合によりますと、会員の方が答えようとすればそばからそんなことは答弁する必要はないのだというふうなことを言われる場合もあります。また会員のところへ調査に参りました場合に、大ぜいの会員相互あるいは民主商工会の役員の方が、多数でもって税務署員の周囲を取り巻いて、大声でしゃべって調査ができないようにするとか、あるいは全然調査と関連のないような事項に話を持っていく、場合によってはテープレコーダーなり写真機を持ち込んで、いやがらせと申しますか、そういうことをやって、調査の忌避なり妨害をされる、またはなはだしい事例を申し上げますと、行った税務署員になまつばをひっかけたとか、あるいは暴力行為に及んだというような事例が全国非常に多いわけでございます。したがって、われわれといたしましては、調査に御協力をいただいておる納税者の方々に対しては十分な調査をする、それからこういう団体に加盟されておって、調査に対する忌避なり妨害をされる方々には調査の手を省くというようなことがございますと、一般の善良な納税者の方に対して税の公正を疑わしめる原因にもなりますので、私といたしましては、こういう忌避をやられる方については、よけて通らないで十分な調査をするようにという指令を出したわけでございます。したがいまして、たとえ局商に加入されておる方でございましても、調査に対して協力をされる方についてまで、そういう一般よりも深い調査をするというようなことは考えておりません。 また銀行調査の面でございますが、ただいま申し上げましたように、直接調査に参りましても、いろいろ口実を設けて調査に応じていただけませんので、したがって、銀行なり取引先なりの調査が反面必要になってまいっておる次第でございます。また加入時期等に対して会員の方に質問を申し上げたという事例も私聞いておりますが、これも先ほど申し上げましたように、入会されたその年から申告水準が激減をしておるというのが全国的な数字にあらわれておりますので、いつ加入になりましたかということを参考までに聞いたものでございます。 そのほか荒なわで縛ったというような点につきましては、私詳しく聞いておりませんので、ただいまの九州の例は、私のほうで後刻調査をいたしたいと思います。
○横山委員 いまのあなたのお話を聞きまして感じましことは、やはり私どもが推察いたしましたように、国税庁が全商連に対して一定の方針で全国的に対処しておるという感じが明確になりました。私は、この形の上で起こった事案について議論いたしますよりも、むしろ現在の零細企業者の心理というものについてあなた方にお考え願いませんと、この問題の根本的な解決にはならないと思います。労音はいまたしか四十万人ぐらいになっておるでしょう。全商運はたしか十万人存突破したと思います。十万人の零細企業がこの税金について結集をする、とにかくまとまるということはたいへんなことだと私どもも考えておるわけであります。零細企業が税務署が来た場合、零細企業のみならずすべての納税者が、税務署が来た場合における心理というものは、たびたび私が本委員会において議論をいたしますように質問調査権というものがどうもオールマイティのような立場になって行なわれるので、納税者は何かにすがりたいという心理をすべて持っているわけであります。それが大企業になり、中小企業になりますと、税理士なりあるいは弁護士なりしかるべき税法の知識を持っておりますから、それ相当に社会的地位もあるわけでありますから、まずまずまあいろいろなことがありましても一応対処ができるのです。しかし零細企業はそういう税理士にたよるべき必要も必ずしもありません。しかし税務職員の税務行政のあり方の中でこの零細な企業者が何かにすがりたいという心理があります。この心理を無視して、全商連がけしかけるとか、けしからぬとかいう議論をしておってもこれは始まらないのじゃないかと思うのです。国税庁が前長官の時代以来、親しみやすい税務署とか、あるいはまた納税者に得することは進んでこちらから教えてやれ、こういう三方針を掲げられたのは、私ども社会党のいろいろな意見をお取り上げになった、こういうふうに私ども感じておるわけでありますけれども、これが徹底をしていない、まだ十分に税務行政の中へしみ通っていないために、零細企業者はたよるべきところを全商連に求めておる、こういうふうに私は判断をしておるわけであります。この根本的な税制の民主化、徴税行政の民主化というものが確立をして納税者は主張すべきところを堂々と主張なさっていいのです。そうして税務行政で十分にそれを受け入れてやるという雰囲気こそ一番の根本的な解決策だと思うのですが、いま国税庁のとっております方法は、全商連はけしからぬ、全商連の会員ならかえってめつぼに取らなければならぬ、こういう考え方は誤っておるのではないか。なるほどあなたがいま会員の中であっても、協力されるところはいいですよ、こうおっしゃるのだけれども、そのことばの中にもうすでに原則的に全商連会員はいけません。会員であったらよけいに注意しなさいよという気が濃厚に見えるわけであります。これでは国税庁の方針なりあるいは零細企業者、納税者の心理を決してくみ取っていない。なぜ一体全商連がかくも伸びるのであろうか、そういう点をお考えなさらなければ解決にならぬのではないか、こう思うわけでありますが、この辺でひとつ次官の御見解を伺いたいと思います。この労音なり労演なりあるいは全商連が発展をすることについてどうしたら——私は全商連あるいは労音、労演を云々しているわけじゃないのですよ。この税務行政の欠陥というものを根本的に発展の中で考えなければいけないのではないか、こういうことを申し上げておるのです。
○原田政府委員 先の労音のことからお答えいたしますが、入場税を納めてくれという問題を中心に御質問があったようでございますが、これはもう入場税の減免撤廃ということをやることが一番問題が少なくなると私は思います。またその方向に順次進んでいっておると思いますし、進めなければならぬと思います。しかしその進める過程において、現段階においてそれが済むまで入場税を納めなくてもよいというわけにいくまいと思います。やはりいままで入場税を納めてもらっておった。今度は納めてもらわなければ困るという処置をとるのもやむを得ないかと思います。 それから第二点の全商連ですが、この問題も御指摘のとおり税務署が主権者国民への奉仕者としてどうしたら税金が安くなるかくらいのところまでサービスをするように持っていかなければいかぬと思います。今度大蔵大臣が一カ月に三回は税務相談日にして税金の相談をするようにということを言っておるのもそこにあると思います。そうするような、税金の納めやすいように、大体もうあまり税金というものはむずかし過ぎてわれわれ自体もなかなか理解が困難であります。そういうことを簡素化して納めやすいようにするということが根本であろうと思います。しかしながらいまの時点においては、いまの御質問の全商連というものは、私よく知らないのですけれども、民主商工会ですが、民主商工会というものに入ったら、これは私らの聞いている限りでは、共産党の人たちが指導権を持っておって、これに入ったら税金がまけてもらえる、こういうように簡単に人たちは言っておる。事実私どものほうでも私が大蔵政務次官になった関係からでしょうか、税金というものに対する不満というものはたくさんございます。それで共産党に入ったら税金がまけてもらえる、それで入っておるから、共産党の人たちは選挙にだんだん強くなるのではないか、それならそれに入ったらいいのではないかと言ってくる人があります。私どもそんなことはない、共産党に入ったから、自民党に入ったから、社会党に入ったから、税金が安くなるものではないということを言って、できるだけ私の持っておる知識をもって説明して結局は税務署というものは、必ず皆さん方が税金の納めやすいように相談にのる、こうしたほうが税金が安くなりますよというくらいのところまで持っていきます。そのときにほかの人にたよっておったらにっちもさっちもいかなくなるのではないか、自分の大事な財産のことまで他人に相談しておったら、あとでにっちもさっちもいかなくなるのではないか、自分のことは自分でしてほしいということを言っておるのでありますが、そういう方面でいま国税庁の長官が答弁をしております中に、特にそれをめつぼに入れてということよりも、税務署員が自分の職務上やろうとする仕事に対して抵抗をされる、調査をしにいったときに調査もさせてくれないといったようなことで、調べてみたら、そういう人たちがおるからやらさないでもいいのだということから、やらざるを得ないということになってくるのではなかろうかと私は解釈するわけでございます。繰り返して申し上げますが、労音の問題等につきましては、やはり入場税というようなものは減免措置をとっていくようにする、それからやはり納税ということについてもっと国民全部が税金をわかりやすく納めやすいというように税務署がやっていく、国としましてもそういう方針をとっていく、こういうことが根本策であろうかと思います。
○横山委員 適切な御返事だと思います。 それで、かねがね私どもが主張しておりますように労音、労演の問題は、確かにいろいろな議論をするよりも入場税を撤廃をするということによって、私の言う根本的ではないけれども、問題が解消するということは、次官もおっしゃるとおりでありますから、かねがねひとつ本委員会でも議論がされておりますが、入場税の撤廃に格段のひとつ次官の御努力を願いたいと思うのです。特に現行の一律一割ということは何としても金持ちも貧乏人もみんな一緒だというまことに不合理な制度でございまして、これは与党の皆さんがどういう政治的圧力団体に屈せられたか知りませんけれども、今日までの税制を破壊したようなやり方であると思います。二千円であろうが、三千円であろうが、百円であろうが一割だ、金持ちであろうが、貧乏人であろうが、だれでも一割だ、こういうかっこうはすみやかな機会に是正をされなければなりません。しかしそういう是正よりも、免税なりあるいは撤廃なりということが行なわれるのが最も望ましいことでありますから、一そう御努力をお願いしたいと思います。 あとのほうの全商連、下部にいきますと民主商工会のことは、あなたのおっしゃる点については若干意見を異にいたしますけれども、かりにあなたのおっしゃるような場合ないし対策にありましても、事は根本的に解決をするという方向でいかなければならぬ。私はそれが一挙にできるとは思いませんけれども、通達でなるべくわかりやすくといったところで、納税者は通達をそう見るわけではありません。この点は現在の税制と現在の徴税行政に根本的なメスを入れる立場でなければいかぬ。端的にいいますと、何回も、何十回も何千回も言うわけでありますけれども、租税特別措置法を解消する方向にあって初めて、税制の簡素化ができる。それから徴税行政のほうは、民主的な苦情処理機関の飛躍的な発展をはからなければ、これもやはりだめだ、それが根本だと私は思いますから、次官はどういうお考えでどういう内容を含んでお話しなすったか知りませんけれども、ちょっと私に受け取れたことでは、末端の通達だとか文書というものをわかりやすくというようなことに承りましたが、そういうことでは何の効果もない。その点をひとつ十分御努力願いたいと思います。 最後に、全国税の問題であります。私がきょう労音なり全商連なり全国税を三つそろえてお伺いをいたしますゆえんのものは、このこと自身でなくして、かねがね言っておりますように、ぜひ根本的な方向での解決を望んでおるわけでありますが、時間もありませんので、全国税の問題については、従来主張をしてまいりました点について、さらに御検討を願いたいと思うのであります。問題は四つばかりございます。一つは、近く行なわれる七月からの定期大異動についてであります。国税庁ほど異動の激しいところはございません。あらゆる官庁を見ましても、異動の率が、税務署のように二年から三年になったら一つところに置いておくのがいかぬのだ、これはどうしても問答無用でかえたほうがいいという基本方針をとっておるところは他に例を見ないのであります。その原因が、長いこと置いておけば納税者と結びつきが強くなって、情にほだされて何かするのではないかとか、あるいは汚職の原因になるのではないかということが相当の原因になっておるのではないかと私は思います。納税者をどろぼうと見、税務職員を長く置けば汚職するという先入主といいますか、ないとは思いますが、やはりそういうような気持が感じられるのであります。もう少し税務職員を信用されて、この一年一回の定期大異動の幅を詰めるべきだ、そして老練な人を適職として必要ならばそこへとどめておく、また地域によって非常に遠いところへ、下級職員といえどもどんどん転勤をさせるわけでありますが、そういう措置についても必要最少限度にとどめるべきではないか。また他の官庁におきましては、転勤についてはほとんど内示制度がございます。国税庁におきましても、だいぶ前から身上調査ですか希望をとられて、その希望に沿うようにという一応の形式は整っておりますけれども、それが十分に行なわれていない。他の官庁におきましては、数日前に、おまえさんは今度はどこに転勤するんだよという内示をして心の準備をさせる。ところがこれだけ大きいのでありますから、その内示はほとんど上級幹部のみにとどめられて、下級の職員には内示制度がない。また他の官庁におきましては、組合と相談の結果苦情処理機構というものがある。上役のことでありますから、そういうことはないと思うのでありますが、私が二、三例を聞きましたものによれば、病気にかかっていられる職員を転勤させたとか、家庭の事情で、普通の官庁ならこういう人はこういうところに転勤させないものだと思われるのが転勤させられた、こういう場合には、ある組合とある官庁では苦情処理機構というものがございまして、それによって異議の申し立てができるようになっておる。転勤がこれほど大幅に一年に一回行なわれるものならば、転勤制度について国税庁としてもう少し考えるべきときではなかろうか、こういうふうにかねがね主張しておるわけでありますが、今回の大異動にあたっての国税庁のとっておる方針について、ひとつ伺いたいと思います。
○木村(秀)政府委員 従来国税職員の配置がえが定期的に大量に行なわれておったということは御指摘のとおりでございます。その理由は、横山委員が御指摘になりましたように、長く一カ所におると、やはり税の賦課あるいは徴収がしにくくなる、どうしても情にほだされて、顔見知りあるいは知り合いになった人に対して、客観的な標準で賦課なり徴収を行なうことがむずかしくなるという理由から出たものであると存じております。しかしながら前の国会で大臣から横山委員に御答弁になりましたように、われわれといたしましては、もっと職員を信頼し、そしてほかの役所並みに近づく努力をすべきであるという考えから、今度の配置がえから異動の幅をできるだけしぼりまして少なくする、もちろんいままでのはずみがついておりますので、ことし一年でそれが完全に行なわれるとは申し上げられませんけれども、しかしここ二年なり三年なりそういう努力を積み重ねまして、できるだけ配置がえの幅を狭めていくということに努力いたしております。 また異動させられる本人の希望に必ずしも従っていない、身上申告書を出しておるけれども、必ずしもそれが生きていないというような御質問のようでございますが、われわれといたしましては、できるだけ身上申告書にあらわれておる本人の希望を生かすように努力いたしております。ただ御承知のように、全国で五百四も税務署がございまして、僻地であるとか離島であるとかいうところにはだれしも行きたがらない、また大都市に対してはだれでも希望するというように、希望の流れが重なっており、またあるところでは空白になっておりますので、全部が全部希望をいれるというわけにはまいりませんが、できるだけ申告書面にあらわれた職員の希望を実現する方向で異動を考えていきたいと存じております。 また事前の内示でございますが、これは過去に生じましたいろいろな事例を見てみましても、内示を行なったがために非常なもんちゃくが起きたというような実例がございますので、もちろん行く行くはそういう方向でまいるのが理想だと存じますが、現在直ちに内示をするかどうかということになりますと、一般的に踏み切るわけにはまいらぬと存じます。ただ離島であるとか僻地に行かれる方につきましては、ある程度そういう面の決心をきめていただくためにも、事前にお話しをするという場合もあろうかと存じます。 それから組合と合同の苦情処理機構を設けてはどうかというお話でございますが、これも過去の事例を見ますと、やはり個々の人事について、非常に突き上げと申しますか、好ましくない事例が生じておる実情でございますので、われわれといたしましては、できるだけ上司を通じて、苦情がある場合には、申し込みをしてもらいたいということを職員に徹底させておるわけでございます。ただ、直接の上司に自分の身上のことについて苦情を申し入れるということはなかなかむずかしい場合もあろうかと存じますので、そういう面については、現在民間等でとられておりますカウンセラー・システムというような制度も研究をいたしまして、できるだけ苦情についてスムーズにそれがわれわれのところまで入るように、そういう点を現在考究中でございます。
○横山委員 重ねて申しますけれども、これだけの大きな役所で、これだけ他に類例のない転勤の制度があって、内示もしない、苦情も聞かない、とにかく数カ月かだいぶ前に出した身上調査票、希望、それを見てやったのだ、けれどもそのとおりにはいかないよ、こういう前提で転勤が行なわれるということは、私は非民主的なものだと思う。内示ができなければ苦情処理制度を設けてやりなさい。どこの官庁だって、上級職員であろうと下級職員であろうと、転勤をする直前には内示が行なわれておる。もちろん内示のときに、これは困る、変えてくれという人はそんなにたくさんあるものではない。いまあなたが、苦情処理をどういうやり方でおやりになったか知りませんけれども、突き上げあったからもうやめたのだ、こうおっしゃるならば、いわゆる突き上げというものがなかったら、そういうものがないと保障できたら、あなたは苦情処理機構をおやりになる気持ちがあるのかどうか。私は本問題を全国税の問題と関連をしてお伺いしたのですが、この苦情処理の問題は、何も全国税だけの問題ではなくて、第二組合もございますし、あるいはいずれの組合にも属していない職員もございますから、そのやり方については、あなたの心配をなくする方法は、私も体験上よく知っておるつもりであります。私は、国鉄におりました際に、苦情処理機構をつくり、運営をした一人でありますから、あなたのいま端的におっしゃった心配というものを解消できる条件というものは、私は承知しておるわけであります。ただこれが組合対策だというふうにお考えにならないで、国税庁にとっても、民主的な人事運営制度をつくるという方向でお考えになるならば、苦情処理制度は必ずりっぱな実を結ぶと私は信じています。上役に言うということがむずかしいからカウンセラー方式を考えるとおっしゃるわけでありますが、これはやはり自分のそばにおる同僚、自分たちの気持ちをわかっておる組合、そういうものにして初めて自分の一身上のことはよく話せるものでありますから、その点はこの際百尺等頭一歩を進めて、苦情処理制度を検討されんことを私は望みたいのであります。ただ、こういうことが、お考えようによっては、従来の国税庁の方針からいうと、何か飛び抜けてたいへんな方向変換をするようにお考えになる方が、あるいはあるかもしれません。しかし、これは組合とかそういう問題を離れて、国税庁における人事の民主的な運営、これほどの大きな転勤を持っておる役所の一つの制度として、お考えを願いたいと思うのであります。庁の中にはいろいろ従来からの経緯というものもございましょうから、それはひとつ円満な識見を持っていらっしゃる政務次官あたりからお進めを願ったらどうか、こう考えるわけですが、御協力を願えませんか。
○原田政府委員 いま国税局の職員の問題について、多少ほかの役所と違って非常に顕著な差異は、異動が激しい職務である、そういうようなことについてよく相談をするために、苦情処理の機関を設けたらどうかという御説でありますが、そういうふうなことも行く行くは考えられるのじゃないかと思いますけれども、いま全国税ですか、それと管理職との間に何というか、意思の疎通が相当欠けておる部面があるのじゃないか。それは国鉄の場合がうまくいったというのは、横山さんのようなものわかりのいい方が相手方で話してもらえたから、こちらのほうも承知ができるようにうまく話が進んでいったので、全部そういう人たちによって事が運んでいったらよいけれども、ちょっとそこに正直言いまして私は差異があるのではないかと思います。それとやはり日本の国の中で、先ほど国税庁長官が答弁したように、やはり人間としたら少しでも楽なところにいきたいといいますか、収入も多いほうにいきたいというような願望のあることは、これは理屈をこえた現実のことであります。昔は、だから、遠いところにいく場合には、学校の先生でも、たとえば僻地の北海道ですか、北海道なんかにいくときには特に手当なんかを多くしてあったように私は感じます。それで一人身のときには、そういうところにいって、かえってそこで貯金をするに便利であるから、おれは進んで行こうか、こういうような人があったというふうに私たちは聞いておるのでありますが、戦後は日本の国ではいなかのほうが生活しやすい、大都会はひどいというので、大都会のほうがいろいろな手当がついて収入がよくなっておる。僻地では収入が少ない。そこでいまは僻地に対しては僻地手当というものも出しておりますけれども、戦後もう二十年近くもなっておるのですけれども、そういうことからしてくるところの、人の異動につていのむずかしさというようなことも、管理職にある者はやらなければなりませんから、非常に苦労しておると思います。そういうような点について、いまの組合関係との話し合いの場をつくるようにというお話でございますが、現在どうも少々意思の疎通を欠いておるような点がありますが、これをお互いによく考えて、うまくいくようにいってもらいたいと思っております。
○横山委員 時間がありませんから、長官に、全国税といま次官のおっしゃったような状況であるかどうかお話していただくといいのですが、私の卒直な見解によれば、かねがねいっておりますが、最近はうまくとまではいきませんが、そんなに次官のお考えになるようなことではないと私は信じています。それから次官はこの問題を全国税だけにお考えになるのですが、これは繰り返し申しますが、全国税だけの問題ではないのです。簡単に申しますと、全国税に所属しておる組合員の苦情は、全国税と国税庁の苦情処理委員がやる。それから第二組合に所属しておる組合員の苦情は、その第二組合と国税庁との間に構成された苦情処理委員がやる。それからどこにも所属していない人はやむを得ないから国税庁の苦情処理委員に申し出る、こういうことなんです、私の提案は。ですからあなたが全国税が云々だからこれはいかぬのだという考えはさらっとなくしてもらって、私の提案を冷静に考えてもらいたい。そうすればどういう結果が起こるかということはあなたもおわかりだと思います。これだけの国税庁であるから苦情処理機構がないというのが大体おかしいのだ。苦情処理機構のつくり方はいろいろあるのです。私はそれを体験しておるから、いろいろ不安があるなら言うてごらんなさい、その不安は解消してあげます。もしもいわゆる突き上げというものがあるならば、私もある程度責任を負いましょう、ここまで言っているのですから、私も個人的意見で言っておるわけではないのです。したがって、先入主を持って苦情処理機構がいかぬのだというお考えのないように、もう一度苦情処理機構の運営その他については、歯どめはたくさんございますから、それでひとつぜひ検討をしてもらいたい。これは本委員会で、私が苦情処理機構について言いますのは四回か五回でありますが、どうも私の説明不足か、あるいはあなたのほうの検討不足か知れませんけれども、真意がどうも届いていないような気がするわけであります。 もとへ返って、これだけ国税庁は転勤のあるところであるから、転勤のみならず、いろいろ個人的な苦情のあるところであるから、それを聞いてやる。聞く方法はこの職員の代表と、管理者の代表がそろってやる。あなたの言う、いいところに行きたいという人間心理はわかりますが、そのいいところに行きたいという希望が苦情処理で、じゃおまえの希望は適当だ、それじゃ認めてやらなければいかぬということになりますか、そういうことだけではなりませんよ。したがってそこには一つの理屈、筋というものがある。本人の希望がもっともであるということになって初めて、苦情処理が労使の間で成立をするのですから、そういう点をよく御検討願いたい。これは繰り返しお願いしておきたい。 それからその次は、転勤に関連をして、これも何回も申しますが、住宅の問題であります。これほどの転勤のある国税庁にあまりにも住宅が少ない。かつて大臣はこの席上で、私の上前をはねて、自分のほうがよく知っているのだ。馬小屋同様なところで寝ておるのだ、こう言ってまことに愛情のある御説明を伺ったのであります。その後若干の進歩はありましたけれども、大臣の言明ほどには住宅の問題は解決をしていないようであります。現状についてひとつ長官から御報告を願います。
○木村(秀)政府委員 住宅につきましては、大臣が先般の国会で答弁をいたしましたように、確かに絶対数も足りませんし、まだ終戦直後の質の悪い住宅も相当数ございます。したがいましてこの委員会でも横山委員から何回もお取り上げをいただいたのでございますが、三十八年度におきましては、われわれ相当強くこの住宅の予算については、関係方面にお願いをいたしまして、大体十四億六千万程度はいただけるようなめどがついております。昨年度が約十億でありますので、一般の公務員宿舎の予算の上昇率以上に、国税については見ていただいておるというようなことでございます。 なお三十八年度におきましては、できるだけ早期に建てること、またいままでのように数さえそろえばいいというものではなくて、やはり不燃化性のもので、しっかりした住み心地のいいものをつくるということに努力を注いでまいるつもりでおります。
○横山委員 時間がございませんから、ここで数年間の住宅の建設状況、予算、それから住宅確保の希望数、そういう資料をあらためて提出をしていただきたいと思います。 最後に、これは全国税オンリーの問題でありますが、不当労働行為の問題であります。多くを列挙する時間がございませんし、社会労働委員会その他でも、たくさんの人が取り上げておりますから、結論的にお伺いをいたしたいと思うのであります。 かつて長官が就任をされたときに、私に固くお約束を願ったことがございます。それは一つには、いままでは不当労働行為がなかったと確信をするというお話でございます。これは意見の相違がありましたけれども、しかし長官が新任をして、将来にかけての誓いとしてなかったと信ずるというお話を了といたしたのであります。同時に第二番目に、今後もそういう不当労働行為についてはしない、こういうお約束をいただきました。この点について間違いがございませんか。
○木村(秀)政府委員 国税庁といたしましては、不当労働行為はやっておりませんし、またそういうことをやることは不穏当であることを通達の形で流しております。
○横山委員 問題になりますのは、組合員である職制の人たちの問題であります。私も自分の経験上、そこにやはり問題があるのではないかという感じがいたしますが、組合員である職制の人たちは、上司からは不当労働行為をするなと言われる。自分は組合員であるから、労働運動については自由だ、こう考える。そこで第二組合の活動をする、こういう理論が展開されているのではないかと判断されるのであります。しかしその人の心理が、表で言っておるようなことでなくて、事実はあなたから不当労働行為はするなというような言い方がされておることをまじめに聞かないで、ああは言っても、上司としては第二組合をつくることを喜んでおるのだ、それが証拠につくった人はいいところに行っておるではないか、こいうと考え方が職場の中にあるようであります。私はその意味におきまして、労働運動について、組合員である職制の人に妙なことをするなと言うことが、逆の不当労働行為になるおそれもあるかとは存じますが、しかし職制にある人たちに対して、あなた方が職制だと信ずる人たちについては、十分あなたの言わんとするところ——職制であるのですから、その人たちは十分不当労働行為に類するようなことをするなということを組合員であるといなとを問わず、職制であるという立場においてはもっと徹底していただかなければならぬ、こう考えますが、非常にデリケートな御質問でございますけれども、私の真意はおわかりだと思いますが、いかがでございましょう。
○木村(秀)政府委員 委員の御発言の御趣旨はよくわかります。ただお考えいただきたいと思いますことは、従来の全国税の戦術といたしましては、職制抵抗、不服従、業務規制という三つの柱があるわけでございまして、職制に対しては服従しない、積極的に抵抗するんだという戦術をとっておることは御承知のとおりでございます。したがってどうしても、やはり最初組合から脱落するのは何と申しましても、組合員である職制であろうと思います。組合が盛んになればなるほど職制としては、自分で自分の首を絞めると申しますか、非常に仕事がやりにくくなるといった面があったことは事実でございます。したがって、こういう面から職制の脱落というものが大きい。また過去における相当激しい、むしろ違法な行為にまで及んでおる一部の行き過ぎというものが、職員の一般の共感を得なかったということも事実であろうと思います。したがって、ただいま起きております現象は、これはわれわれの見ますところでは、職制がとやかくするとか、あるいは不当労働行為が行なわれるという問題ではなくて、やはり職制の反省、あるいは一般職員の批判というものが原動力になっておるものと私は信じておるのです。
○横山委員 私は、長官が不当労働行為はしない、絶対にさせないと、こうおっしゃっておられるから、そのあなたの態度なり立場というものを尊重して、端的に言えば遠慮して、あなたの立場を尊重しながら聞いておるのですから、気をよくして、わしのほうは何も悪いことはないのだという立場に立ってお話をなされると、私も一言なかるべからずという気がする。私はこう思っています。あなた方が不当労働行為はするなと言っているけれども、実際はしておる人に対してほめておる、こういう感じを濃厚に持っておるわけです。あなたの不当労働行為をするなという通牒なんかは守られていない、そう思っているわけです。それが証拠に数々の例を私はあげることができます。けれども、その具体的な事実、どこの税務署のだれ課長が言ったとかなんとかということは水かけ論になりますから、長官によく申し上げておきたいのは、ほんとうに不当労働行為をするなというなら、通牒まで出したというならば、それが徹底しておるかどうかを点検してください。そういう通牒がほんとうに署長なり組合員の資格のあらざる人すべてにわたって陰に陽にきちんと守られておるかどうかということを点検してください。あなたなりあるいはほかの国税庁の幹部の人が口先だけで言っておることを真に受けて、そしておれはそういうことはやらないのだ、やってはならぬのだ、そういう気持ちが動いても、そういうことは言うべきでない、行動すべきでないとほんとうに信じ切っておる人が何人あるかと私は言いたい。これは国税庁内部のムードにすらなっておる。あなたが全国税はけしからぬとか、もうだいぶ前の話の不服従運動や戦略的問題と戦術の問題とを混同したような言い方で、全国税即不服従運動、職制抵抗だ、常時不眠不休にそういうことをやっておるのだというようお印象でお考えになっておられるから、それが知らず知らずのうちに全職制にまで及んで、不当労働行為はするなと言うけれども、事実は、やっても上のほうはおこりはしない、やったほうがむしろいいところへ重要視されるのだ、そういうムードが私は国税庁内部に浸潤しておると思う。したがって、多くを申しませんけれども、ほんとうに不当労働行為をするなと言うならば、組合員である職制に対しても、もしおまえがほんとうにやろうというなら、まずそれを宣言して、おれは課長ではあるけれども、組合運動に関する限りは全く君たちと同じ立場であるから、一切役職を離れて演説をさしてくれとか、ほんとうにまっ先についてやるような気持ちになってもらわなければいかぬと思う。こういうような立場できちんと姿勢を正さなければ、一片の通牒何するものぞと私は言いたいのでありますが、いかがですか。
○木村(秀)政府委員 通達が守られておるかどうかとといことについて十分あとづけをするようにというおことばでございますが、私たちもこの通達が守られておるかどうかという点については、今後よく実態を観察してまいりたいと存じます。それから職制に対して、たとえば現在第二組合をつくるというムードあるいは全国税を脱退するというムードが出ておることは事実でございますが、これは第二組合との関係がございまして、職制に対してそういう運動をしてはいかぬということもわれわれとしては差し控えるべきであると思います。ただ、職務権限をバックにして、職務を利用して第二組合に加入することを勧めたりあるいは脱退を勧めるということはないように注意してまいりたいと存じます。 ————◇—————
○臼井委員長 次に明治三十二年発行の英貨公債を償還する等のため発行する外貨公債に関する特別措置法案を議題といたします。 質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 明治三十二年発行の英貨公債の償還に関する問題でございますけれども、実はこの国会の会期末になりまして、突然としてこの法律案が提案をされて、早急に審議してもらいたいという政府側の要望であります。この公債については、ことしの十二月三十一日に満期が到来するということは事前にわかっておったことでありますけれども、この問題について英国政府側といろいろ交渉されて、何か最近急にまとまったというふうに提案の説明がされているわけでありますので、これらの交渉の経過の概要についてお伺いしたいと思います。
○田中国務大臣 英貨債の借りかえの問題は、私たちとしましては、すなおに、ざっくばらんに申し上げますと、予算編成当時から四月くらいまでは借りかえをするというよりも、これを償還するという基本的な考え方に立っていたわけであります。ところがヒューム外相がこちらにおいでになりましたり、またその後日英通商航海条約の締結がありましたり、なおその後現地に大蔵省の出先の財務参事官がいるわけでありますが、そういう諸君の報告として五日の中ごろでしたか、初めであったかもしれませんが、英国側は日本が希望するならば、日英親善という高い立場から借りかえに応ずるというような考え方が看取せられたのであります。しかしこれは国際的な問題でありますし、向こう側が明確な態度をきめるまでは、私のほうでもつまびらかに報告することができませんので、一応の御報告を申し上げておきますというような一方的な話がございました。私が考えますのに、御承知のように二月でございましたか、西ドイツにおいて大阪のマルク債が非常に好評裏に消化されたという問題、それからアメリカ市場におきまして、大阪の鉄道会社の外債調達が非常にうまくいったというようなことは、国際的な視野から見ますと、刮目すべき事態だそうであります。そういうような問題もありまして、英国側でだんだんとはっきりとした態度を打ち出してまいり、本国の意向も聞いてもらいたいというような話もあったようでありまして、お互いが発表できるというような大勢までまいりましたのは六月の初めごろだったと思います。それから急転回してまいった、こういうことでございます。
○堀委員 いま大臣がお話しになった点で、私どもも外貨が必要な際でもありますから、なるたけ償還しないで借りかえができるならば、そのほうが当面する国際収支の情勢からすると望ましいと思いますけれども、そこでいま二月にマルク債が西ドイツで売れ行きの調子が非常によかった、あるいはアメリカで大阪鉄道会社でしたか、よくわかりませんが、これらの点は事務当局からお答えいただけばけっこうですが、外債が非常に調子よく出た、こういうお話がありましたが、この二点について、これらの発行条件なり応募者利回りなりを伺いたい。
○吉岡政府委員 お尋ねのありました西ドイツにおきます大阪のマルク債の条件について申し上げますと、表面金利は六・五%、売り出し価額は九十八ドル五十、償還期限が十五年、応募者利回りは六・六六%でございます。 それからもう一つの大阪の鉄道会社というお話は、ちょっと私のほうで承知をいたしておりませんので、調べて御返事いたしたいと思います。為替局でよく知っておると思います。
○堀委員 一般の民間債の発行については為替局が所管ですか。
○吉岡政府委員 そうです。
○堀委員 それじゃ委員長、失礼ですが為替局もお呼び下さい。 いまマルク債については応募者利回りが大体六・六六%。で、アメリカで今回産投外債を発行しておるはずですが、産投外債について、発行額、利回り等をあわせて伺っておきたい。
○吉岡政府委員 五月に発行いたしました第二回の産投外債は、発行額は二千七百五十万ドル、表面金利が五・五%、償還期限が十七年、売り出し価額が九十七ドル七十五四分の三でございます。応募者利回りが五・七〇九%になっております。
○堀委員 そうするとこれは国債と地方債との相違がありますけれども、いま大臣のお話ではマルク債の売れ行きが非常に好況であったようでありますが、これを比べてみると一%から利回りが違うようですね。この点は、もちろん金利が高ければ売れ行きがいいのは当然じゃないかと思うのですが、その点大臣はどう考えておられますか。
○田中国務大臣 これはまあ国債というものとそれから大阪府市債というものとの差がございますことは御承知のとおりでございます。ドイツで戦後大阪府市債四億マルクですか、全部で、四回にわたって発行するということにつきましては、第一回目が実現しましたあとは、ドイツも国際収支の問題その他いろんな問題がございまして、第二回目の発行というものはなかなかむずかしいのじゃないかというような状態でございましたが、私がIMFの総会に出ましたときに、この間来日されたブレッシング中央銀行総裁とも話しておりましたし、その後の情勢では来年度になってみなければわからないというような状態であったわけですが、この間ブレッシング中央銀行総裁が参りましたときに、大阪の府市債、マルク債の第二回目を出したときに、ドイツ国民というものが日本に対してどういう考えを持っているかという問題に対しては、私たちの考えと非常に違っておりました。われわれが考えたよりも非常に親密な、親近感を持っておって、日本が再建のために発行するということであるならば、これはもう競って引き受けようというような民間の引き受け団体及び個人の状態で、非常に私も自分の考えを新たにいたしました、こういうことを述=されたようでありまして、第二回目はなかなかむずかしいというふうに考えておったのが、第二回目が非常に好況裏に消化をされて第三回目もまた考えられるという状態であります。まあ西ドイツにおけるものとニューヨーク市場における国債とそのまま比べるというよりも、市場の問題もございますし、いろいろ差はあるというふうに考えております。
○堀委員 そこで今度は新しく英貨債の発行の問題が当面やはり出てくると思うのですが、現在残っておるといわれる五百五十万ポンドを借りかえるについては、大体政府側としてはどのくらいの条件を一応予定をして交渉をせられる考えですか。
○田中国務大臣 これは市場の状況等を十分勘案をしまして、できるだけ正常な状態で発行したいということを考えておるわけでありまして、現在どのような条件でどのような利率でというようなことをつまびらかに申し上げられるような段階ではございません。
○堀委員 市場の状況を勘案してということでありますけれども、そうすると英国のこういう市場がいま大体どういうことになっておるのか。もちろん最近は英国はあまり外債等を国内で発行を認めていないようでありますけれども、既発債についての現状の市場のあり方というものがありましょうから、日本としては——私もちょっと突然でありますので調べが十分ついておりませんが、英貨債はいまイギリスに対して出しておるものはこの分だけでしょうか。
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。 今回問題になっております四分利付の英貨債は第一回四分英と=称しておりますが、そのほかに第三回の四分英、六分英、五分半英、東京市の五分半英、東京電灯の六分英というようなものがございます。
○堀委員 ちょっとそれだけ伺ったのでは一体発行が大体いつごろであったのか、それがやはり市場における流通の段階では問題になるわけでありますから、いまの第三回四分英ですか、その次の六分英、東京の五・五英、いろいろなあれは、ちょっと比較をする関係上、発行の時期それから償還期限なり、それをあわせて伺って、その上で現在の英国のそういう市場における流通の状態を伺いたい。
○吉岡政府委員 お答え申し上げます。 ただいまの償還期限はいま正確に調べましてお答え申し上げますが、おそらくお尋ねになる点だと思いますので、ごく最近、六月の三十日過ぎにおきますこういうものの相場を御参考までに申し上げます。相場から割り出しまして利回りで申し上げますと、最初に申し上げました第三回の四分英が六・〇五%、六分英が五・九五%、五分半英が五・六五%それから東京市の五分半英が五・七〇%、最後の東京電灯の六分英が五・七%、お尋ねのように償還期限なり何なりによって多少の違いはございますので、これをこのまますぐに比べるわけにはまいらないと思いますが、大体ごらんのような数字でございまして、六分を割った五分六厘ないし六分程度の利回りで回っておるということが言えると思う。ただ御承知のようにイギリスの市場といたしましては日本の英貨債というのは売買は非常に少ないものでございますから、市場価格と申しましてもそれだけを基準にはちょっと考えにくいものではあると思います。
○堀委員 そうするとこれはいずれも償還期限がかなり近いもののほうが高いことになるでしょうから、これから出す場合にはかなり高くなければ実際市場としては売れないのではないかと思いますが、当面は今後の公債についての償還年数といいますか、それは大体どのくらいを予想して出されることになりますか。
○吉岡政府委員 これは今後向こう側と折衝しなければわからないのでありますが、大体の意向、イギリスにおける金融常識と申しますか、そういうものから推察をいたしますと、現在のような五十五年というようなことはまずあり得ないが、逆に非常に短いのもないようでありまして、大体二十年から三十年の間というところだと思います。
○堀委員 大体いまのお話しで見ておりますと、この間の産投外債の場合に比べるとやはりかれこれ一%くらいは今回の英貨債の場合には高くなるのではないだろうか。西ドイツのマルク債よりは多少低目になるかもわかりませんが、かなりそこらに予想せられるというふうに判断をするわけですが、外貨が入ることですからもちろんその問題はあれですが、同じ考え方として見るならば、長期に対して利子が安いことに越したことはない。そうするといま産投外債の場合は六千万ドルのうち約半分くらいすでに消化をされておるわけですが、これとの関連で見て、もちろんイギリス側が好意的にやってくれることをこっちから断わる理由はないと思うのですけれども、長期的な貿易外収支を改善させるという観点に立つならば、やはり少しでも利子の安いところで外債が発行できるならそのほうが望ましいのではないか、こういうふうに考えますけれども、この点について大臣の御見解を伺いたい。
○田中国務大臣 安いことが好ましいことでありまして、より有利な金利で発行したいという考えでございますが、何ぶんにも相手のあることでございますので、現在これよりも高く、これよりも低くというようなことは申し上げられないという段階でございます。ただこれは国際収支の問題とかいう問題だけではなく、日本とイギリスとの間の長い歴史的な問題もあります。しかも日本が戦前これらの、日英間の協力的な関係のためにいろいろな利益も得ておるのでありますし、新しい立場から日英間の政治的な面から見ましても、このような国債が発行できるという関係ができましたことは非常に好ましいことであって、外債が発行せられる、借りかえができるというものにプラスをして、日英間の親善友好の増進という面も多分に考慮をしなければならない問題だというふうに考えておるわけであります。
○堀委員 そこで、そういう問題もあるでしょうから、わずかの差でありますから、すべてこういう問題はコマーシャルベースだけで解決がつくとは思いませんが、今度は国内の問題を振り返ってみて、当初の予算として償還をするという考え方であるということでありますから、五十億余りの予算が国債整理基金に繰り入れられておったのではないかと思うのですが、その点はどういうふうになっておるのですか。
○吉岡政府委員 御承知のように国債整理基金には一般会計から相当多額の繰り入れが予算上計上されたわけであります。その国債整理基金の中での償還計画といたしましては、いま堀委員からお話しのありましたように、四分英貨債につきましては、五十五億程度のものを年額償還するつもりで予算を組んでおったわけであります。したがって、もしこの英貨債の借りかえが成功いたしますと、約五十億の金が償還財源としては不必要になるわけでありますが、これも十分御承知のように、国債整理基金の中では本年度の予算で約四百九十億の金を平準化資金として翌年度に持ち越す計算になっております。したがって、償還財源として計上いしたました約五十億の金が四百九十億プラスになりまして五百四十億の金が将来のために残されるということになるわけであります。
○堀委員 そこで問題は、国債整理基金の性格上一ぺんここへ入れて計上していくと外にい出ないというかっこうになってきますね。私もちょっと急なことでつまびらかにしていないのですけれども、今回のこの償還に充てるべき財源としての五十億というのは、財政法第六条等の関係で入ってきておったものの中だけで処理できる条件であったのか、特に今回の償還を予想して一般会計等から繰り入れたのかどうか、その点をちょっとお聞きしておきたいと思います。
○吉岡政府委員 お話しのありました前=と申しますか、財政法の規定によって一般会計から繰り入れた金額の中でまかなわれることになっておったわけでございます。
○堀委員 そうすると、いまのものは発行しなかったということは、単に繰り越すということだけであって、国債整理基金特別会計としては何ら変更はない、総ワクとしては変更がない、こういうことになるわけですか。
○吉岡政府委員 そのとおりでございます。
○堀委員 為替局が来ましたから、ついでにお伺いします。先ほど実は大臣からお話しがありまして、大阪の何か鉄道会社がアメリカで外債を発行したとかいうことですが。
○田中国務大臣 出席した直後でございましたので間違いました。これは電力の間違いですから訂正いたしておきます。
○堀委員 電力の間違いだったそうで、それはいいのですが、どこの電力会社が外債を発行したのか、その条件等はどうだったのか。
○鈴木説明員 外債ではございませんで、関西電力がADRという一種の株式を新株でもって募集したということでございます。
○堀委員 大臣が思い違いをされておったようでありますからその点は一応取りやめますけれども、民間の外債といいますか、そういうものは最近出ておりますか。
○鈴木説明員 大体一番多く出ておりますのは転換社債という形式の外債でございます。転換社債といいますのは御承知かと思いますが、一応十五年なら十五年の確定利付の債券でありますが、途中におきまして一応発行時において株式の転換価格というのをきめまして債権者の希望によっては株に転換し得る、こういうものでございます。それ以外にいわゆる転換権のついていないような単純な社債は若干はございますが非常に少ないということであります。
○堀委員 転換社債でいいのですけれども、一体、いまアメリカに主として出ているのでしょうが、総額としてはどのくらい出ておりますか。
○鈴木説明員 最近出ました例を申し上げますと、日本通運が千五百万ドル、東洋運搬機、これは特殊のケースでございますが、相手方と特殊な関係にある会社で二百万ドル、それから三井物産が千万ドル、東京芝浦電気が二千万ドル、これが昨年の十二月以降出たものでございけす。
○堀委員 いまの一千万とか二千万とかいうのは円ですか。
○鈴木説明員 ドルでございます。
○堀委員 そこで、いまの転換社債は現状の利回り、発行者価格等は大体どういうふうになっておりますか。どこか特殊的なものをあげてもらってけっこうです。
○鈴木説明員 転換社債でいわゆる公募と申しまして、アメリカの証券取引委員会に登録いたしまして、引き受け業者が引き受けて、その後に一般の投資家に売り出す引き受け契約をいたしましてやるものは、大体六カ八分の三%くらいが普通であります。それから私募と申しまして、引き受け契約が行なわれない、しかも証券取引委員会に届け出ない、非常に限られた特殊の投資家でございますね、たとえば生命保険会社とかあるいは年金、そういうものに限定的な三人とか四人とかいうものを相手にしたものは、発行費用もかからないということで、六・五%くらいで出ております。
○堀委員 大体いまわかりましたのは、民間の転換社債とマルク債あたりが大体同じくらいの条件で、償還期限も大体似たようなものじゃないかと思います。ずっと見ておりますと、やはりわりあいアメリカ市場のほうが外債を出す場合には受け入れられれば条件が少しいいのじゃないかというような全体の感じがするわけでありますけれども、今回のは借りかえのあれですから別でございますが、この前やはり大阪湾その他のマルク債の発行等もありまして、いろいろ関係が広がるのはいいと思うのですけれども、やはり指導の方向としてはできるだけ金利の安いところで調達ができればそれに越したことはないのではないか、こういう感じがいたしますので、今後のそういう外貨債、民間債を含めあるいは地方債を含めてこれらの問題については、やはり借りられれば借りたらいいということでなくて、長期的な国際収支の観点ということも配慮しながらできるだけ外貨が節約されるような処理がされることが望ましい、こういうふうに考えますけれども、大臣のお考えいかがですか。
○田中国務大臣 そのとおりと考えております。
○臼井委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたします。 次会は来る二十七日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時十四分散会