大蔵委員会 第28号
- 発言数
- 134 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/05/28
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 金融緊急措置令を廃止する法律案を議題といたします。 質疑に入ります。通告がありますので、これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 実は二十一日の内閣委員会において、大蔵大臣は、本年度の経済成長率について大蔵省の試算に基づいて、少し経企庁の見通しを修正する必要があるのではないかという趣の発言をしておられるようであります。まだ会議録が出ておりませんから、その具体的な内容はつまびらかにいたしませんけれども、新聞で伝えるところによりますと、実質でGNPは七・二%に上昇をするようでありますというような発言をしておられますけれども、この発言をされた真意は一体何であるかを、あまり回りくどくなく、簡明率直にひとつお答えをいただきたいと思います。
○田中国務大臣 ただいまの御発言の中で、事実と違う問題を申し上げますと、大蔵省が試算をした経済見通しは経済企画庁とは違い、経済企画庁の見通しを修正しなければならないのではないかというようなニュアンスの発言はいたしておりません。これは速記録を見ていただけばわかります。また、なぜこのような発言をしたかという根拠について申し上げますと、私は、三十八年度の予算編成の前提としまして、政府としての統一見解で、名目八・一%、実質六・一%の経済成長率をきめ、これに見合った予算を編成いたしたわけでございます。御承知のとおり大蔵大臣は、国際収支につきましては最も関心を深くしなければならない立場でございますし、また国際収支の長期安定というものに対しては、あらゆる角度から検討を怠らず、随時適切な方向を定めて、施策をとっていかなければならぬことは当然でございます。そういう意味で、予算の執行に入りました四月の初めから、大蔵大臣として必要なものとして、事務当局に、国際収支の状態が政府が当初考えておるようなものであるか、また大蔵省としてどのような考えに立たなければならぬかという参考的資料を集めなさいということで、官房の調査課を中心にしまして、短かい時間でございますが、いろいろな試算をやってみたわけでございます。これは大蔵省の成規なものでもありませんが、大蔵大臣として必要なものとして、官房調査課にこれが資料の収集を命じたわけであります。私は予算を御審議願っておりますときにも間々申し上げましたが、六・一%というような見通しで経済見通しを立てておりますが、実質は七%をこすのではないかと私は思っておりますというようなことも、各委員会で発言をいたしておりますが、その後出てまいりました数字を自分で見ますと、七・二%こすのではないか、こういうことになると、国際収支の方向はどうなるだろう、またこれに対して財政金融政策をどうしなければならぬだろうというような問題が、いろいろ考えらるわけでありまして、私はそういう意味でこれからも政府の正式な見通しというものとは別に何回か、その時点において変転きわまりない経済情勢に対処して遺憾なき財政金融政策を行なうためにも、各般の資料を収集して遺憾なきを期してまいりたい、このように考えておるわけであります。
○堀委員 実は新年度予算が施行されましてまだ一カ月半しかならないわけですから、いまの大臣の御答弁によって、その時点々々における現状の分析をすることは当然でありますから、私も別に、企画庁の見通しと、それからこれがどうなろうかということについてはこだわっておりません。やはり現実に即した政策がとられなければならないと思いますが、ここでこれを明らかに——あなたが腹づもりとして持っていらっしゃる分には実は大した問題はないわけです。あなたが官房調査課にお話しになって、経済運営の立場上おなかの中に持っておられるのは問題ないのですけれども、委員会において公にされたについては、やはり国際収支についての楽観を戒めたいというような意図があったのかどうか。さらにいまあなたも先願に立って低金利政策なるものを推進しておられる。ここまでのところは、かなりいろいろと問題もありながらやってこられたと思いますが、今後の問題については、やはりあなたの内閣委員会における発言というものはこれに関連しておって、何らそれと問題ないというわけにいかないであろうという私なりの判断をしておるわけです。国際収支に対する問題と、低金利政策をこれまで推進してきたそういうビヘビアを今後は多少変えなければならぬのではないかというような角度からも受け取れるような印象を私は受けておりますから、この二点についてはっきりお答えをいただきたい。
○田中国務大臣 内閣委員会の発言は御質問に対する答弁として出てきたものでございまして、現時点において私が調査しました結果、経済成長率はこうなりますというふうに申し上げてはおりません。経済成長率は政府が考えたよりもどうも伸びそうであるが、景気過熱の心配はないか、国際収支はどうかという御質問に対して、御説のような心配もありますので、私も試算をいたしたりいろいろな方向から検討いたしてみますと、どうも景気は少し底を離れたようであります、試算の数字を申し上げると七・二%、所得倍増計画の年率の成長率ぐらいにはいくのじゃありませんか、こういうふうにオウム返しでお答えをしておるわけでございます。国際収支の問題につきましては、これは去年の十一月ごろにこのようにきめたから、何カ月間かたってみなければわからないんだというような考えではなく、いわゆる自由化のテンポをどうするか、自由化のスケジュールをどうするのか、また関税の一括引き下げをどの程度対応していくのか、OECDに加盟する場合に、貿易外の自由化は一体どれだけできるのか、また、いまいろいろな話をしておりますが、留保できるものはどういうものか、またそれが日本の経済に及ぼす影響はどうかという、時々刻々変わるデータをそろえて、その上に組み立てた国際収支のあり方、また輸入はどうふえるだろう、貿易外の赤字がどうなるだろうというようなことを考えているのでございますから、いままでのように、経済成長率というものを一ぺんきめたら、何カ月間たたなければ改定すべきものじゃないというような考え方はどうも少し間違いじゃないかと思うのです。そういうように政治的にあまりこだわっておりますと、かえって自縄自縛になるというような気もいたします。(春日委員「ダウ相場みたいに毎日変えよ」と呼ぶ)いま春日さんが言われましたが、これは社会党さんや民社党さんと違いまして、計画経済論者ではないのでありまして、何も全国大会の議を経て経済成長率はこうでございますというのじゃないのでございます。自由経済の中で変転きわまりない国際情勢に対処して、時々刻々遺憾なき財政金融対策をやっていくというのでありますから、私はあまりこだわることはよくないという考え方でございまして、そういう意味で経済成長率も国会の議決案件として出しておるわけじゃございませんので、やはり実際に即応して誤りなきを期す、政府のメンツなどにとらわれるよりも、国民の経済でありますから、そういう意味で慎重に考えておるのでありまして、これからの国際収支の問題に対しては慎重に対処してまいりたいという考えでございます。 もう一つは、政治的に低金利政策の問題等にも思いをいたして、何か高度の政治的配慮があったのか、また政治的な発言があったのか、こういうことでございますが、政治的な発言はございません。これは明らかに申し上げておきます。政治的であるなら、せめて大蔵省の各機関に諮ったり、また各省に連絡をとりながら、もう少し演出効果もはかったわけでございますが、そういう考えはございません。これは全く、国際収支に一番配慮を払わなければならない大蔵大臣としまして、しかも時々刻々に行なわなければならない財政金融政策を定めるためにも、あらゆる試算をして遺憾なきを期したいということが、内閣委員会の御発言によって、オウム返しに出ただけでございまして、またこのオウム返しにお答えしたことが、一体あの発言の裏にはどういう試算をしたものがあったのかというようなことがマスコミでいろいろ調査研究されたということで報道されたのであって、政治的な配慮等はございません。明らかにいたしておきます。
○堀委員 そこで私もさっき申し上げたように、経済見通しは、刻々も変わらないだろうけれども、半年に一ぺんしか変えないということでは、日本のような変動の激しい経済では、そんなものはないほうがいいということになるから、その点はわかりますが、ここで具体的にひとつお伺いしたいことは、最近の輸入の状態は、経済見通しをはじいたときにはちょっと予測しなかった輸入の状態だと思います。生産の伸びも最近急激に伸びてきておる。これも経済見通しを考えたときにはちょっと予想されていなかったのではないか。設備投資の状態も、おおむね最近の状態は、生産財の出荷等を含めてみても予想よりはちょっと高目に出ておる。ということは、日銀券の発行の状態も見ても、この三月、四月、五月はずっと前年比で大体一七%上回るというようなことで、通貨もどうも膨脹を始めておる。諸般の状態は、赤信号を出すことはないとしても、少なくともここで黄色い信号くらいをあげる必要があるのではないか。あなたがさっきお話しになったように、これまで政府は経済見通しを固執するのあまり、経済政策については常に後手後手に回ったというのが、この間のリセッションを深めておる大きな原因であったと私は考えておるわけでありますから、その点においては、この際いろんな現状の指標について、日銀も通産省も大したことはないんだということになっておるようですが、では大蔵大臣ははたして大したことはないのかどうか、やはり少し注意を必要とする段階であるという判断を私はするけれども、その点はいかがですか。
○田中国務大臣 国際収支に対して、いま赤信号、黄色の信号、注意をするというような考え方は持っておりません。持っておりませんが、一部においては、まだ景気は底をついておらないんだ、実際の景気は上向いておらない、一部中小企業に対しては設備投資欲も非常に拡大せられておりますが、全体として考えると、まだまだ刺激対策をしなければならないなどという議論をする人もございます。しかし私は、国際収支の問題、景気の動向等を静かに考えておりますと、懸念するような状態にあってはならない、こういう前提を持っておるわけであります。でありますから、どうも日本は統計数字だけをすっかりつくって、その上に経済閣僚会議を開いてさんざん議論してということでありますが、テンポが非常に早いのでありまして、経済見通しも大体一カ月おくれておるわけであります。数字はどうかというと、二カ月くらい前の数字をとっておるわけです。そういう状態をそのままでいいのだという考え方を持っておらないのでありまして、やはり通産省は輸入の実績に対しては、品目別に三十五年はどうであった、三十六年はどうであった、自由化が今度進むと一体この時点にどのような状態に伸びるであろうということをこまかに検討すべきでありますし、日銀や為替銀行の窓口にまかしたらいわゆるくるものはみんなやるのだということでなく、この程度のことをやっていきますと、当然外貨の持ち出しはこのくらいになる、輸入の動向はこうなるということを窓口でもって十分わかるはずであります。ところがいままでは、三カ月も三カ月もたってから議論される。火事が終わってから消防ポンプを持っていこうというようなことになっては困りますから、そういう問題を十分検討していかなければいかぬという基本的な考えを持っておるのでありまして、また、この間の経済閣僚会議におきましても、ころばぬ先のつえといいますか、今度自由化をやったら、八条国移行の問題、これは仮定の問題ですが、九月の場合はどう、六月の場合はどう、四月一日にした場合はどうということを十分検討しなければ、国内的な法制の整備が三月までかかりますからということでなくて、やった場合に国際収支にどう影響があるかということを逆算しなければいかぬじゃないかというような問題を議論しておるのでありまして、現在特別な配慮を必要とするというようなことは考えておりませんが、基本的な態度としては、真剣にこれらの問題と取り組んでいくという態勢をとっておるのでございます。
○堀委員 国際収支については一応そういうことであろうと思いますし、さっきのお話のように、火事が消えてから消防ポンプが来たということでは困るわけですから、火事を出さないようにすることが政府の責任なのですから、その点はやはり一応注意をしたものだ、こう私は理解をします。 その次に低金利政策の問題ですが、どうも低金利政策なるものは、四月の今度の公定歩合の引き下げを見ますと、これはまさに当座貸し越しとか並み手形等は金利を据え置くのだ、下げないのだというようなことになってきて、大口の、大企業のほうに対しての金利だけが下がってきて、その他のものはどうも貸し出し金利としては下がらないような仕組みが全銀協の申し合わせ等で出ておるようでありますが、ようやくここまでくると、あなたのほうで考えられておる産業の合理化とか貿易の自由化に対処するための低金利政策とかいろいろおっしゃっておることと、内容が食い違ってきておるような感じがするのですが、その点どうでしょう。
○田中国務大臣 どうもどこでも低金利政策、低金利政策と言われて、低金利という言い方、表現に対して私はいつでも慎重に考えておるのでありますが、政府がいままで申し上げております金利政策に対しては、自由化に対処いたしまして国際金利にさや寄せをはかる、こういう表現を使っております。これ以外の表現は使っておりません。マスコミは一様に低金利、こういうことを言っておりますし、また御質問も低金利ということを申されるのでありますが、国際金利にさや寄せということでございます。そして政府は、日銀が公定歩合を五カ月間にわたって四厘引き下げましたのは、政府が考えておる国際金利にさや寄せの一環として作用しておるというふうに見ておりますし、日銀さんはマスコミにも発表しておりますように、低金利ということでやっておるのではありません、金融環境の正常化ということで公定歩合を引き下げたのだ、こういうことを言っておりますが、理屈は別にして、実際の問題は国際金利にさや寄せしつつあるということが言い得ると思います。 この第四回目、四月に引き下げましたものに対しましては、あまり低金利政策という実効が上がっておらないじゃないかということでございますが、国際金利にさや寄せをするということは、長短金利をあわせて国際金利並みにだんだんと引き下げていくわけでありますが、これはただ人為的に、一方的に行なえるものではないのでありまして、金融環境の整備を待ちながら、除々に環境づくりをしながら、自動的に国際金利にさや寄せしていこうという基本的な方向を決定しておるわけであります。そうして、長短金利を究極において国際金利にさや寄せをしていく過程におきまして、いままで表面金利以外に実質金利が非常に高かったというような問題もございますので、まず歩積み、両建てというようなことをだんだんなくしましたり、コールをだんだん正常にしてまいりましたり、表面金利と実質金利が合うような段階をとってきております。究極の目的は、国際金利にさや寄せをしていくというような方向をとっておるのであります。現在は、第四回の公定歩合を引き下げたというのは、その国際金利さや寄せの過程における一つの段階としてすべてのものが公定歩合の引き下げによって下げられなかったということだと思います。これは一体どういうことかというと、戦後金融機関そのものの内容がどれだけ現行のままでたえ得るかというような問題もあります。金融機関の合理化がどういう状態で進むかという問題もございますし、一挙にこれを推し進めるというわけにもいきませんので、時間をかげながら段階的に国際金利にさや寄せ作業を行なっておるのであります。
○堀委員 しかし、いまのは表現が非常にいろいろありますね。日銀は金融正常化のためだ、あなたのほうは国際金利にさや寄せだ。しかし、国際金利にさや寄せということは、その国々における金利というものは画一的にきまっておるのではなくて、その国における客観情勢に見合って、資本主義社会についてはそういうバランスの中でおのずから落ちつくところに落ちついておるのだと私は思うのです。だからあなたのほうは、周囲のほうは、客観的な諸条件に見合って落ちつくところに落ちついていく、片一方はその国際金利にさや寄せするということは、やはり私は低金利といいましたけれども、ある低い金利が諸外国にあった。ここに持っていってさや寄せするということでありますから、客観的な情勢のほうで自然にそうなってきた結果としてそうなるという資本主義的な状態ではなくて、まさにわれわれが考えておる計画経済的なものをおやりになっておるような感じがしてならないわけです。計画経済ならもっときちっといくのですが、それが計画的になっていないところに、あなた方の計画が一つの破綻を来たしておる。それは今度の四月二十二日に、全銀協がいっておる並み手形及び当座貸し越しの最高限度を据え置きといたしましたのは、かねがね努力しております金利体系正常化の見地から金利に幅を持たせるための措置であります、こういうことのようであります。そうすると、金融正常化のために金利に幅を持たせるということはどういうことかということになると、信用して貸せる大企業、安全な企業には安い金利で貸しましょう、リスクが多少でもふえてくるにしたがって金利は高いので貸しましょう。これは高くなっておるのはリスクに対する分だ、こういうことになることを裏返しておることだと私は理解する。ですから、そうなってくると、あなた方のいう国際金利にさや寄せをするという方向と、全銀協の出しておる方向とは、方向が逆じゃないか。要するに、金利が弾力的な処理をしてくれば、安いものもできるでしょうが、高いものもかなり残ってくれば、全体としては国際金利にさや寄せしませんね。なるほど公定歩合だけを下げたって、公定歩合が下がること自体はそんな大きな意味はないと思う。やはりその国の実効金利がどういうように動くかということが国際金利にさや寄せしていくということであって、公定歩合を下げることだけが国際金利にさや寄せにならないので、その点を明らかにしていただきたい。
○田中国務大臣 表現が違うようでございますが、実際は同じことなのであります。金利を下げていかなければならないということは、釈迦に説法でありますが、申し上げますと、貿易依存度の非常に強い日本でありますから、一体これから貿易を振興していくためにはどうあるべきかということを考えれば、原材料を持っておる国と比べまして、原材料を海外から輸入してきてこれに加工して逆に輸出をしなければならない日本は、もうそこに一つハンディがついておるわけであります。もう一つのハンディは何かというと、アメリカの公定歩合は年率三%でありますから、今度四回目の公定歩合を引き下げたといたしましても、五分八厘四毛というような金利でありまして、大体公定歩合で比較しますと約倍ということであります。金利でもハンディがつき、材料を持ってくるというところでもハンデがつく。一体どうして国際場裏で日本が輸出を伸ばしていくか。これは日本人の知恵とたくましい民族的な力以外にたよれないわけです。しかしそんなことをいつまでも言っておるわけにはいかないし、低賃金、低コストというわけにいかないのでありますし、ILO条約も批准しなければならないというような状況を考えますと、ハンデである原材料を持ってくるということは、日本で原材料を製造するわけにいきませんから、結局金利面でも国際金利にさや寄せをしていかなければ、日本の輸出というものは伸びないということはもう自明の理でございます。でありますから国際金利にさや寄せをしたい。また貿易の自由化というような問題が進んでおりますので、その意味においても国際競争力をつけるために、金利をできるだけ合理的なものにしなければいかぬという考えで、政府としてはおおよその方向を明示をしているわけであります。政府の考え方はこうであります、こういうことを言っておるわけであります。でありますから金融機関も、政府が申しております国際金利にさや寄せをするということには反対をしておりません。ただ現実的な方向としまして、国際金利にさや寄せをするんだ、政府に一方的に押しつけられちゃ困る、こういう考え方もあるでしょうし、私たちも、政府が一方交通で低金利政策を推し進めていくというような考え方を持たず、自由経済の中にありながら大きな目標達成のために金融の正常化に対して政府も努力をするが、また銀行や金融機関も、企業の合理化も行ない、自分の力でも低金利を進めていけるような環境をつくってもらいたいということを言っているわけでありまして、現在の段階において政府と金融機関は一体的な方向で進んでおるわけであります。ただ公定歩合が下がったけれども、金利に対しては一部下がっておらないじゃないかというような問題は、一つの過程における現象としてお考え願えれば幸いだと思います。
○堀委員 ちょっと銀行局長に、技術的な点ですからお伺いをしますけれども、今度のこの四月二十三日の取り扱いで、並み手形及び当座貸し越しの金利の最高限度を据え置くということになると、下がった分と下がらない分とのウエートというものは、市中銀行全体としてどのくらいになりますか。
○高橋(俊)政府委員 その割合はまだはっきりわかりません。ただ並み手で申しますれば二銭一厘ですね。二銭一厘のままで据え置かれるものもあるし、それからかなり下がるものもある。これは相手が全く信用のものでありますから、その結果としてはまだそれを把握する段階に至っておりません。かなり下がるものもあると思います。
○堀委員 実は今の大臣のお答えの中で一つ問題が残ってきますのは、この金利に弾力をつけるということは大企業にはいいのですが、中小企業に対してはやはり具体的には高い金利が残ってくることになると思うのです。そうすると一体日本の中小企業というのはどういうものかというと、なるほど中小企業単独で製品をつくっておるものもありましょうが、これは大企業の下請になっておるものもあるんですから、下のほうが高い金利で、上のほうだけが安い金利になったところで、国際競争力には影響してこないわけです。これは当然下がらなければならない。この問題については、この間春日さんが歩積み両建ての問題をおやりになって、私も銀行局の調査を見て驚いたんですが、たいへんなものだ。それは特別なものを引き出したのだからということで、これらについてはまた武藤委員からも発言があるようですし、私もまたおりを見てもう一回質問をします。だから必ずしも私は皆さんのほうがお考えになっておるような——それは形式はあなた方もそう言っておられるけれども、実態については日本の場合なかなかそう簡単にいかないものがある。そうすると私は、やはり全体の環境が整ってこないのにあまりかけ足して公定歩合の引き下げ等をやることは、やはりいかがであろうかという考えがいたしてなりません。 そこでもう一点だけこういう関係の問題で伺っておきたいのは、予定どおり、何かどうもスケジュールに従って——皆さんのほうでは総評の春闘、あれはスケジュール闘争だと言われるけれども、どうも今度の金利引き下げの問題も何かスケジュール闘争のような感じがしてしかたがないのです。第一ラウンドが終わって、第二ラウンドは秋から始まるだろうと言われておりますが、私はいまの情勢から見ると、第二ラウンドに入るのがむずかしいだけではなくて、年末から来春にかけて第一ラウンドに逆戻りが起こるんじゃないかという感じがするのですが、大臣のひとつ率直なお感じを承っておきたい。
○田中国務大臣 第一段階が終わって秋から第二段階がくると思うのだが、どうも逆戻りというような見方をしておられますが、政府は一方交通でもってやろうと言っておるのではありませんで、金融環境の整備を待ちながら、だんだんと国際金利さや寄せの支度を行なっておるわけでありますし、民間も政府の考え方に全面的な協力を惜しまない、こう言っておるわけであります。これは実際問題としまして、秋口からまた公定歩合の引き下げでも行なうつもりであったものが下がるかどうか、これはそのときになってみなければわからぬわけでありますが、私はこの間経済見通しを自分で申し上げたからそのことを前提にしても、これは逆戻りになるんじゃないかという御意見には、そのとおり思っておらないのです。これはやはり金融環境の整備というものは、ひしひしと国際環境というものをはだに感じておりますので、金融機関の体質の合理化も体質改善も私は急ピッチに進むものであろうという期待をかけておりますので、その国際金利にさや寄せをするような環境が、前提条件が具備していくならば、私は秋になっても秋口からまた金利を下げていけるような環境ができるんじゃないか、またそうあることを望んでおるわけであります。これは低金利といういわゆる国際金利にさや寄せというような逆な状態になり、また自由化はやらなければいかず、八条国の移行もいや応なしにやるということになると、これはたいへんなことであります。これはめどはもうあるのですから、そのめどに対してやはり民間も政府も一致してそのような環境づくりに努力をしていくべきだと思います。 もう一つは、この金利の弾力的という中には、究極の目的は下げるのでありますが、やはりそのときの状態によって上げたり下げたりというのが弾力的であります。これは棒じめのようにさっと下げていくんだというような考え方ではなく、やはり衝撃を与えずして環境づくりを進めていくということになると、弾力的に上げたり下げたりしていきながら最終的には正常な状態になる。これは開銀の利息が三銭二厘であった、十カ年前からずっとこうなっておりますが、いま八分七厘になり八分になり七分になっていくだろうというような見通し、これは総体的には長期金利は三銭二厘にきまっておったものが、七、八年間でもう長期金利が三銭二厘というふうに考える人はなくなりました。こういう意味で、日本の経済の発展というものに合わせながら、金融環境も漸次整備されつつあるんだということは言えると思います。
○堀委員 その次に今度の試算で見ると、大蔵省では物価が大体四%から四・五%くらい上がるだろうという試算がされておるようですね。私はこの問の予算委員会で、あなたも企画庁長官のそばでお聞きをいただいたように、長官と論争したときに、三十七年度実績見込みが五・九%、私は六%をかなり上回る、こう言ったのですけれども実際六・七%になったんですね。今度また二・八%という見通しが出されておる、大蔵省ですでに四ないし四・五%、私はやはり六%にことしもなるだろう、こういう判断をしておるのですが、今度の物価の見通しについて、ひとつ大蔵大臣から……。
○田中国務大臣 物価は経済企画庁の担当でありますし、きょう宮澤長官が帰られましたので、臨時大臣も放免になりましたから、私からお答えするのはどうかと思いますが、私が試算をしたものの中に四・五%といういま御発言でございましたが、四・五%になっちゃ困る、こういう考え方でありまして、政府が考えておるように二・八%以下でできるだけ抑えるようなこれから努力したいということで、砂糖の問題等に対しても百二、三十億の減収にはなりますが、これはひとつ関税も下げなければいかぬとか、いろいろ施策をいま現実的に検討いたし、これを実施に移そうという考えを持っておるのであります。国際的に見まして、西ドイツが経済成長率三%ないし三・五%で、物価は四%−四・五%も上がるだろうというようなことも聞かされてはおりますが、日本の現状を考えますときに、物価の安定というものに対してはできるだけの努力をして、特に消費者物価の値上がり抑制に対しては各般の対策を進めていかなければならぬという考えでおります。
○堀委員 ちょっとここで少し別の問題に切りかえてお伺いいたします。 最初にちょっと一般的なことを伺いますが、大蔵省で行政指導ということがちょいちょい行なわれるわけです。一体この行政指導というのは何だか私よくわからないのです。行政権というものは大体法律をもとにして、それに基づいて行使をされるものですから、おおむね文書によって何らかの形があるのではないかという感じがいたします。法律なりそれの施行規則なり省令なり通達までは明らかに何らかの形式がはっきりしております。ところがどうも形式によらない行政指導的なものが大蔵省で行なわれておるようですが、これは一体何の権限に基づいて行なわれておるのか、ひとつ大臣に伺いたい。
○田中国務大臣 憲法の精神にのっとりまして、(笑声)行政府に与えられた行政権の範囲において行なっておるのであります。ただいま御発言がございましたが、法律によるべきもの、政令によるべきもの、省令に委任するもの、通達によるものというふうに準拠が明らかにたっておりますが、根本の問題は先ほど申し上げたように、憲法の精神を国民生活に生かしていくという基本的な理念のもとに立って行政権の範疇に属するものとして許される限度において行政指導を行なっておるわけであります。
○堀委員 私が伺いたいのは、そういう文書にない行政指導というものが事実あるのです。これはどうですか。私は省令、通達その他によって行なわれておる文書による指導の範囲については、これはその責任の所在も明らかでありますからいいと思うのです。ところが文書によらないで、何とはなく行政指導ということで一つの行政上の取りきめが行なわれている。これは私はあまり適法でないような感じがするのですが、どうでしょう。
○田中国務大臣 すべての問題が法律によることができないのが現実でございます。先ほども申し上げましてお笑いがございましたが、これは非常にむずかしい問題であり、長いこと議論をされた問題でありますから、申し上げたのは憲法論であります。憲法の条章を国民生活の中に反映をしてプラスになるということで行政権の範疇で許されるものに対してはやっておるのであって、この行政指導というものが国民生活を圧迫したり憲法の条章に反して基本的人権を侵したりという場合は問題がありますし、当然法律の制裁を受けるわけでございます。現在の場合は行政権の範囲、いわゆる設置法や行政組織法や憲法の条章に基づいて、法制で規定はできませんが明らかに行政権の範疇にありと認められるものに対して行政指導を行なっているのであります。
○堀委員 いまの発言で、私もそういうことはあり得ると思いますが、国民の利益が優先をするということが第一ですね。その点をひとつ確認をいたします。いまのあなたの御発言に、国民の利益に反するものは適当でないということがあった。ですからそういう行政指導はあるべきでない、やめるべきだ、こういうことの確認をしてよろしゅうございますね。国民の利益に反する、それは常識的なことですから、あなたをあまり困らせるようなことを聞くわけじゃありません。
○田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、憲法の条章の範囲内においてやるべきである、もちろん国民の利益に反するようなことをやってはいかぬことは言うをまちません。
○堀委員 そこで次にいきます。私はかなり長く大蔵委員をしていますが、おおむね大蔵省の行政というものは筋が通っておる、こういうふうに私は評価をしておる。おおむねですよ、おおむね筋が通っている。そういうことをちょいちょい曲げるのは与党のほうからいくのじゃないかという感じがするくらいに実は筋が通っておると思ったのですが、非常に筋が通らない問題が最近あるので、それについてちょっとお伺いしたいと思うのです。 筋が通っていないような行政指導があるといたしましょう。そうするとそういう筋の通っていないような行政指導が行なわれることについて、私は原因は二つあると思う。ある何らかの影響力がそういう決定をすることに作用しておる問題が一つある。もう一つは判断の誤りがある。大体この二つがそういう筋の通らない行政指導をする原因になるのだろう、こう一般論として私は考えるのです。そうしてみると、これは両方とも適当なことじゃないわけですね。何らかの影響力が不当に作用しておるというようなことは望ましくないと思う。それからむしろ判断が誤っているならば正さなければならない。だから少なくとも私が伺いたいのは、きょうお聞きになる皆さんが、なるほどこれはと思われるような筋が通らない行政指導があるとするならば、これは一般論としてとりやめるべきことになるだろうと私は思いますけれども、大臣、どうでしょうか。
○田中国務大臣 先ほども御発言がございましたように、大蔵省は伝統的に筋を通しておりますので、筋の通らないようなことはしておるとは考えておりません。
○堀委員 じゃひとつ次に具体的な問題に入ります。これは一例です。 実は適格退職年金制度という、昨年、法人税法、所得税法の改正をやりまして、新たに出てまいった制度があるわけです。そのときに私は一応質疑をいたしましたけれども、この適格退職年金制度というものは、私はそれに加入する加入者、それからその加入者を持っておりますところの企業、こういうものに対して設けられたものだ、だからその制度自体は、さっきの国民という表現でするならば、この加入者の利益が守られるということがやはり第一で、企業の利益も同時に守られるということになるべきだと私は思いますが、その点どう考えられますか。
○田中国務大臣 そのとおりでございます。
○堀委員 そうなりますと、いまの資本主義というのは自由経済といわれておりますから、そこでそういう加入者なり企業がいろいろな年金に入る場合に、選択の自由というものは確保されておらなければならない。たとえばどこの信託、生命保険、どれに入るかは一にかかって加入者と企業が話し合いをして、こちら側の選択の自由が認められておるのが、いまの資本主義の世の中の制度全般のあり方だと思いますが、その点どうでしょうか。
○田中国務大臣 まさにそのとおりであります。
○堀委員 そうするとその自由を拘束するものが法律以外にあったとしたらこれは適当でないと思いますが、どうでしょうか。
○田中国務大臣 私のほうでもそこを申し上げたいのです。これはあなたの原則論から言われるとそのとおりであります。でありますが、企業年金という制度自体が非常にむずかしい問題であり、日本で新しく取り上げられた問題であるということと、またこれが生々発展の過程にあって過度的な現象でいろいろな問題との調整が必要であるということ、それからもう一つは、加入をする方々が絶対的安全に債権が確保されなければいかぬという問題、また企業者自体が法制上最後の支出の責任者になるのか、法制上新しい方向が打ち出されて第三者、いわゆる受託をした機関が法律上もその最終的な支払いの責めを負うようになるのか、また現にある生命保険や信託業務というものとの業務の調整という問題が、現に法律がありまして現存する現象に対してその調和というものをはかって窮極の目的を達成していかなければならぬというような問題がありますので、一般的な議論から言うとあなたの言うとおりでありますが、これを育成強化をして真に企業者のために、国民のためによかれという結論を出すまでの過程においては、いろいろな問題の調整が必要だというふうに考えられるのでございます。
○堀委員 そこで、時間がありませんので、少し簡単にさっさとやらしていただきますが、実は信託のほうでは、私も最初知らなかったのですが、予定利回りが五・九%ということに定められておったようですね。これは銀行局長、五・九%に定まった理由はどういうことなのかを、ちょっと簡単に答ていただきたい。
○高橋(俊)政府委員 信託の運用利回りは御承知のように貸付信託の例で申しますれば七分三厘七毛でございます。それに対しましてこれも御承知のように税金が一部かかるわけであります。延納のための利子という意味で、千分の十二、一・二%。これは全部にかかるのじゃございませんで、企業者負担分についてかかるわけです。ですから半々といたしますれば〇・六ということになります。別に手数料がかかりまして、〇・六が厳格であればいいのですけれども、実際にはそれより多いのが実例ですから、税金のかかる部分の方が多い。それに手数料を加えまして、それと一般に予定されております貸付信託のレートなどから差し引きますと、実際には五分九厘前後ということになるのじゃないかと思います。税金の多寡によって違いますが、七分三厘七毛という利回りは現状におきましては十分配当のできる利回りでございます。将来その利回りを確保できるかどうかという点については、多分に疑問があるわけでございます。そういうことで、今度の場合にもできるだけ早い機会に予定利回りを五分八厘に引き下げますが、これは保険の場合と違いまして一応の予定でございます。
○堀委員 五分八厘のことは聞いていないのです。私は五・九%になった理由を聞いているのです。だから五・九%というのは昨年の四月に行なわれたわけですから、いまお話のような指定金銭信託七分三厘七毛というのは、その当時の指定金銭信託の金利であるし、いまの法律によるところの税制上の問題もそのままなのです。だから五分九厘というのは、そういう客観情勢に基づいてやったというふうに理解しなければならないと思います。現在もその客観情勢はそのままですね。そういうふうにきまった。そうすると、いまお話のように、指定金銭信託がいつまでも七分三厘七毛であるかどうかは、さっきの前段の国際金利にさや寄せをする政策によってそれは変わるでしょう。しかし変わることが予想されるから何らか五分九厘を動かすことについてはルールがあるのでしょうね。初めルールが予想されているのじゃないですか。そのルールというのはあるのかないのか、それをちょっと伺っておきます。
○高橋(俊)政府委員 決定的なルールというのはございません。ただ先ほど金利低下のお話がありましたが、長期金利につきましては私どもまだ必ずしもしいて下げなければならないというような水準ではないと思います。ですから、まだここ一、二年のところ、さしあたりそれほど大きな変化があろうとは思いませんが、しかし実際の動きを見ておりますと若干下がりぎみなのです。つまり長期資金として見ますと、借り手のほうにゆとりが出て貸し手のほうがやや借り手をさがすような情勢も一部に確かに見受けられます。そういう点でこちらが下げろというのではなくて、自動的に自然に下げる気配もございます。そういう点から見ますと、一年前のあれがそれ以上になりますと、七分三厘七毛からいろいろ引きまして五分九厘というのは必ずしもこれから十分に確保できるという利回りではない。そういうことを見越して若干の低下も考えておいた方がいいのじゃないかということくらいのことでございまして、的確なルールというのはございません。
○堀委員 実は加入者の側からすると、五分九厘と五分八厘では掛け金が変わってくるわけです。そして特に問題になるのは、すでにそういう運用がなされないようなはっきりした見通しがあるということなら別だと思うのですが、実際はまだかなり高利回りの運用がされておるという事実が、調査をなさればわかると思うのですがあると思うのです。だから私は、いまのお話が五分八厘の方までいきましたが、五分八厘になったということはちょっと私すなおに理解できない。いままでの五分九厘でいいのです。いまあなたの言われるように、長期金利は必ずしもすぐ下がるものじゃなくて、相当長期の将来の問題である。だから二年なり三年なりのあらましの方針があるようですから、それを待って行なわれたらいいのじゃないかという感じがするのです。 その次に直税部長にちょっと伺いますけれども、信託の方の承認基準の中に、何か加入者について三百人未満という線が引かれていて、その三百人未満、以上と以下ということで信託の方の年金加入については十月ごろに二対三という比率でやるようにという指導が行なわれておるようです。どうも調べてみると、文書があなたの方にも特にないようだと思うが、さっき言った文書にあらざる行政指導の一例だと思うのですが、そこで、私よくわかりませんのは、加入者を三百人というところに線を引いたというのはなぜかということです。それで対象を区分をするという理由は何か理由があるのか。これはあなたの方でお答えになりにくければ銀行局で答えてもらってけっこうです。
○高橋(俊)政府委員 私のほうからお答えいたしますが、これはもちろん国税庁と相談いたしまして基準を定めておるわけでございますが、三百人というものにほんとうのきめ手になるようなあれはないと思うのでありますが、一般に中小企業であるか大企業であるかということを認定するときに、一つの基準として三百人というのが使われておる。これはどういうところから三百人以下とそれをこえるものに分けるのかと申しますと、そもそも年金と簡単に申しますが二つあるわけでございまして、御承知のように、信託方式をとる場合には企業者が自分で支払いの責任をとるわけです。運用を信託会社にゆだねておるだけであります。保険の場合は、全部プールいたしまして保険会社が自分の責任において年金を支払う、企業者の責任ではない、そういう区別がございます。ですから、信託の場合ですと、そういう小企業の場合にはリスクをとるのは企業者でございまして、企業者単位で計算される。三百人以下の単位では、保険で申しますといろいろなリスクがまちまちなんです。途中で退職する人が何人いるか、初め予想はしておりましても非常に変わる。ですから採算のとれない場合だってできる。人数が非常に少ないとリスクのふれ方が大きくなる。ところが三百人以下のものを、たとえば百団体あるいは千もということになると非常に大きな数になりまして、大きな数になればなるほど大体の傾向が平均的に出てくるわけです。途中で退職する人、死ぬ人、いろいろなことがございましょうが、そういうことは、どちらかと申せば小さいものは保険のほうが適しておるというのが通説なのでございます。保険にしたほうが制度として安定性があると申し上げてよろしいと思います。そういう意味で小さいものは保険のほうをとったほうがいいんじゃないか。信託は大口のものがいい。しかし、信託は残念ながら強制年金の問題がまだ解決していないわけです。これが解決しますれば大企業も相当に年金制度を始めると思いますが、いまのところでは大企業も非常に少ない。そういうことで中小企業の取り合いが行なわれるというところから今度のような両者間の妥協をはかるという必要がどうしても出てまいる、こういうことでございます。
○堀委員 その方向はわかりますよ。方向として小さいのが生命保険にいく、大きいのは信託にいくのはわかります。しかし、あなたのほうで調べた資料を見ますと、千人以上の企業についても生命保険でやっておるところがあるわけです。これはさっき私が申し上げたように、企業なり加入者の自由選択を認めておるわけですから、何も大蔵省は、なるほど監督上の責任はありますけれども、企業としては信託でよろしいというのなら、信託にいっちゃいけませんと言う必要はないのではないか。それを言えば、私の言う自由を束縛されておるということなのです。あなたのお話しのように性格が二つあって違うのです。生命保険のほうははっきりと最終的な責任を持つ。また片一方は、リスクがあるということは明らかになっておるわけです。そのリスクがあるから運用利回りを多少高くしなければ、片一方が保障されておって同じほうにどんどんさや寄せされているということは、第三者が見ても公平を欠くという感じがあるのは当然じゃないかと思う。片一方の信託のほうは小さいほうをとるなというのはいいでしょう。それじゃ、そのかわり生命保険は多くとるなという制限を設けておればいいけれども、制限は何もない。非常に片手落ちな制度になっておる。いまのあなたのお話しのように、日本の企業について三百人以上の従業員のところという制度、これはものの考え方ではありますが、加入者の数で三百人までで区切ってあるが、実際にはどういうことが起きておるか調べてみますと、いまいろいろな条件がついていますから、三百人以上の事業所であって、なおかつこの加入者が三百人以下になっておるところがたくさん出ておる、現実の姿として。これまで入っておるところを調べたら、大体従業員の四〇%くらいしか加入者になっていない。これは条件が出てこないから。……要するに勤続年数が短いとか、年齢がどうだというようないろいろな関係があってそこに達していない。今後どんどん出てくるという企業でありながら、あなたの言う企業の従業員数の三百人で区切っているなら話は別だけれども、そうじゃなくて実際は加入者の三百人で区切る。だからそういう点で論理的でない。私は日本の企業数を調べてみたのです。そうしてみると全事業所数で見ると七十四万六千事業所があります。これだけではあまり大き過ぎて話になりませんけれども、五十人以下の事業所を一ぺん落としてみたのです。それから五十人以上の事業所で、全体の数を調べてみると、いまの事業所の単位で見て、大体三百人以上の事業所、三百人以上の企業というのは全体の大体一〇%しかないのです。従業員数ですら三百人以上のものは一〇対九〇というふうになっているのです。企業の数として見れば、これは総理府の統計局の資料だから間違いありません。そうすると、私がさっき申し上げたように、四〇%しか実際欠け目が出てこないから、実際は八百人くらいいたところが四、八、三十二で、約三百人をこえるということになる。八百人以上の事業所ということになると、統計がないから、五百人以上で見ても五%しかないのです。そうすると九五対五になっている、こういうことです。九五対五の差が、日本の企業の実態の中で差がある。あなたのほうで二対三とか一対一とかそんなワクをかけるということは、要するに中小企業の側は、生命保険に入らなければ年金信託はつくらせぬぞということになっていくのじゃないか、そこはどうですか。
○高橋(俊)政府委員 中小の分が保険に向いているということは御納得いただいたと思うのです。ですからこれはあくまで指導の問題ですが、いま実績を簡単に申し上げますと、まだ日が浅いのですから十分発達しておりません。全部で加入者が数万人程度であります。両方合わせまして企業の数で申しますとむしろ信託がほぼ同数でありますが、企業の数はいままでのところ八五対八〇くらいです。ところが加入者の数で見ますと信託のほうが多くなっている。つまり信託の分が売りやすくなっている。なぜそうなっているかと申しますと、当初における掛け金に非常な開きがある。これは先ほど五・九%と申し上げましたが、決してこれは最終的な利回りではございませんし、また保険の従来とっておりました五%の予定利率というものも最終的なものではありません。おそらく両者の通用利回りには大きな差があるわけではない。ただ一応掛け金を計算する場合に、レートはだいぶ異なるわけです。その上に保険のほうで付加保険料をとるわけです。そういうところから最初の掛け金で、平均的に見ますと、信託に入った場合に比べまして、保険のほうは全く同じものが入りました場合に大体四部くらい高い。非常に開きがあるわけです。これは漸次その後実際の運用益はあるわけですから、予定利回りにプラスして契約者に返していくから、ちょうど普通の保険の場合でも保険の配当がございますし、契約者配当によりまして、全期間を通じてみれば保険も決して不利ではないわけでありますが、最初の売り出し価格があまりに差があるということから、保険に入るのをきらって信託のほうに傾くという傾向がございます。そこで保険業界としては、これは非常に困る、両方が協調して発達していくことが非常に望ましい、中小の分についてお互いにいたずらな争奪戦をやるのは好まない、こういうことで、その点については両方でも意見が一致しているのですが、何分両方お互いに言い分がありまして、はなはだ間をとったような、足して二で割ったようなことになりましたけれども、これはやむを得ないことで、両方とも不満ながら了承していただいた。現場の中には非常に不満のある人がおるかもしれませんが、両方の協会等が相寄りまして、そこで手を打った、こういういきさつでございます。
○堀委員 あなたのお話を聞いていると、この問題は信託と保険の争いとしてあなたは理解しているでしょう。私はそう理解していないのです。最初に私が言ったように、制度というものは国民のためにあるのだから、この退職年金制度というのは、退職金を受け取る加入者のためにあるのだ。生保業界のためにあるのか、信託業界のためにあるのか、どっちにあるのかはっきりしてください。
○高橋(俊)政府委員 その点につきましては全くおっしゃるとおりです。しかし、実際に年金という制度をやっていくのは両業界なんです。この両業界が同じ利用団体をめぐって争奪戦をやることは、年金制度発足当初でございますが、決して好ましいことではない。これはほかの銀行とかほかの問題についても同じように問題があるわけです。それを調整するのが銀行の行政指導として必要なことではないか。この点年金加入者の利益を考えながら、両方の業界の協調をはかっていく、こういうことでございます。
○堀委員 私はそれが全然納得できない。現在は、日本の物価の状態というものが、政府が二・八という見通しを出しても依然として六・八%、そういう形でどんどん動きつつあるわけです。そうすると信託の場合には平均で掛けていくわけで、平均で掛けていくということは、要するに貨幣価値のあるものを比較的少なく掛けながら、そして先にいってインフレートされたものも平均して掛けるから、私は、企業の側についてみてもあるいは加入者についてみても、インフレの現状からするならば、彼らに選択性をまかすならば、いまの状態なら信託にいくのが当然だろうと思う。日本の物価の動きというものが非常に大きな問題になっている。いずれこれは大臣に今後長期給付の問題として、日をあらためて厚生年金、国民年金その他原資の運用と利率及び物価の問題として取り上げますけれども、そういう性格があるわけです。だから保険のほうはなるほど初めに高く掛けておるが、先にいったら低くなる。これは一つの制度ですから……。片方信託というものはそういう形でなく、こういうフラットにいく性格がある。その二つの制度そのものがある。こうなっておるがこちらは保証します、こうなっておるがこれはリスクがありますよということが明らかになって、全然別個のものが二つ並んでおるときに、何か同じ支店に並べておいて、生保のほうが加入者が少なくなったら、生保業界がかわいそうだから、これを何とか考えてやって、中小企業の入り方を押えようという考え方、なるほどあなた方の立場はそういう業界の指導の立場かもしれませんが、資本主義ということはそういうことではないのです。ともかく加入すれば企業なりが自分たちの現在の経済情勢を判断をし、自分たちの今後のリスクその他を判断して、自由なかっこうでどちらを選択するかということが資本主義のいいところではないでしょうか。それを大蔵省は二対三もおかしければ、一対一もおかしい、一体何の論拠があって二対三、一対一を出しておるのでしょうか。さっき私の言ったように、企業の実態として従業員数で見ても十対九十です。いまの加入者のようなバランスの取り方をすれば、五対九十五の企業が実際にあるときに、一つずつしか認めないというときになれば、中小企業が信託のほうに入りたいといっても、おまえさん待っててくれ、大企業がとってくれるまで待っているということ自体おかしくないですか。大臣どうですか、五・九、五・八の問題はとりあえずさておいて、一番不当なのは二対三だの一対一だの、大企業が三百人加入者を持ってこなければ次は入れない、そんな行政指導は退職金についてあり得ないと思うのです。私は信託とか生保の立場で言っておるのではない。加入者なり企業の立場からその自由を拘束していいのですか。
○田中国務大臣 企業年金につきましては当然じゃないかと思うのです。まず原則論から申し上げますと、これを発達さしていきたいということであります。円満に成長さしていきたいというようなことが一つでありまして、なお加入者の自由選択は、加入者の自由選択権にまかすということが原則であるべきであるという考え方は、あなたが言われたとおりであります。しかし第一に申し上げたように、企業年金というものを円満に発達せしめていきたいということで、発足の当初からごたごたしたくないということ、しかもこれは非常にむずかしい問題でありますので、これが発達に対していろいろ考えておりますが、現実問題として、生保協会と信託協会との間に争いがあるわけです。これは先ほどあなたが言われたとおり、行政指導をいたしましたのはおかしいじゃないか、原則にまかして自由に選択させれば一番いいじゃないかということでありますが、これは発展してきた今日までくる段階における現象を十分見ますと、両方で何とか企業年金の発達のために話し合いができるならしてもらいたいということで、お互いが話し合いをしながら、一応表面的には円満に、今日の段階においてこの程度で妥協しようということで妥協になっておるわけでございまして、いまの段階において全くこれをはずしてしまえということを言うことが適切なのかどうか、私も二、三日前からこの問題を検討いたしておるのでありますが、大蔵省がいま仲介をした状態が必ずしもいいとも思いませんし、また同時にこれ以上にいい手があって直ちに自由化してしまう、協会が自由にけんかしろというようなことにも踏み切れないということで、慎重にではありますが、積極的にこの問題の検討を考えておるわけであります。
○堀委員 私の趣旨は大臣よくおわかりになったと思うのです。私どももそれは新聞に出たものを見てから気がついたことですから、しかし少なくともいまの話をお聞きになった与党の大蔵委員の方もこの処理が少し不当であるということは、御納得がいかれたと思うのです。それで大臣がせっかくいま検討したい、目下検討中だということでありますから、ひとつ前向きに検討を進めてもらいたいと思います。 ともかく私が言いたいことは、過当競争というふうにすぐ言われるのですけれども、一体過当競争の実態というものはどういうものなのか。商品で品種の違うものをある市場に売り込む場合に、同一の品種で値段を下げて売るなら過当競争というものがある。これは値段の下げようがない。品種の違うものを売るときに、過当競争が起こるということがどうも私は理解できないのです。率直に言って、保険と信託というのは、商品が違うのですね。さっきから銀行局長も自分でちゃんと言っておられるように、品種が全然違うのです。違う品種のものがある市場に出ていって競争するというなら、品種の違いをおのおの説得する努力が足りないから片方が納得しないだけです。片方の客観的な情勢の中で、それは無理なのかということなのか、いずれかなるはずであって、品種の違うものの市場における競争で過当競争が起きるなんということは、私は、いまの私どもの考えておる経済の中ではちょっとナンセンスではないかという感じがするのですね。だからそういう品種の違いを明らかにした上で、そうしていまの日本の企業の実態、従業員数の実態というものも十分明らかにした上で、少なくともその企業の自由選択性をそこなうようなことは、真剣にその数の比率がどうなるかとか三百人をどうするかとかいろいろあるでしょう。そこらを含めて検討していただくことにして、時間もあれでしょうから、二週間くらいのうちにひとつ結論を出していただきたいと思います。二週間くらい先に外国保険か何かの法律案をどうせ上げなければいかぬでしょうから、これは生命保険の関係ですから、そのときに一ぺんひとつはっきりした結論をいただくということで、向こう二週間、大臣の御発言ですから御検討いただくことにして、一応私の質問を終わります。
○臼井委員長 武藤山治君。
○武藤委員 たいへん時間が経過しておりますので、割り当ての時間が数分しかございませんから、要点だけを大臣にお尋ねしたいと思うのです。 先ほどから大臣の再三の答弁の中で、今回の公定歩合の引き下げは国際金利にさや寄せをするためだ、そういう答弁をなされておるわけですが、一体今日の主要国家間の公定歩合率と日本の歩合というものと比較すると、まだたいへん高いわけですが、一体大臣のお考えで国際金利にさや寄せをする場合には、どの程度まで日本の公定歩合を下げようと考えておるのか、そのおおよその御答弁をお聞かせ願いたい。
○田中国務大臣 非常にむずかしい問題でございまして、数字的にめどを持っておるわけではございません。先ほども言ったとおり日本は原材料を海外から入れてくるというハンデがあるのでありますし、また先ほど申し上げたように公定歩合でもアメリカが年率三%であるものが、現在の日本の年率に比べますと、日本が約倍に近いということでありますので、安いに越したことはないのでありますが、ゼロにまで下げるわけにはいかないのでございまして、金融環境の整備を待ちつつ、国際金利にできるだけさや寄せしていくということだと思います。公定歩合でもって過去において一番低いときはどうか、年率日歩九厘というときが、過去においてあったということは申し上げられると思います。
○武藤委員 戦前の昭和九年−十一年のころは、日本の公定歩合も非常に低く、しかも金融正常化というものが行なわれておって、ちょうど今日のイギリスやアメリカのような金融作用というものが当時の日本にはあったわけです。ところが戦後は公定歩合の操作によってそう金融の形態が動かないという非常に不正常な状態になっておることは皆さんも御承知のとおりであります。それでこれを改善するためには、公定歩合を一挙にこの半年間に四回もどっといじるほうが先決なのか、それともオーバーローンを解消する、企業の立場からいうならばオーバー・ボローイングをどうして解消するかということに、私は環境整備の先決の条件があると思うのです。そういう点は大臣はこれを同時に徐々に行なっていくというお考えかもしれませんが、一体公定歩合の引き下げによって国際競争力がつくのだとほんとうに考えておるのですか。
○田中国務大臣 公定歩合の引き下げというものは、金融環境が整備をされてまいることにつれて公定歩合が引き下げられたわけであります。金利問題というのは需要供給のバランスの上に起こる問題でありますので、一面において、公定歩合だけを引き下げましても、資金需要が非常に強いというような場合に貸し出し金利が下がるという現象が起こらないわけであります。でありますから、先ほどあなたが言われたとおり、公定歩合も一つの方法でございますし、また日銀のオーバーローン解消も重要な問題でございますし、企業者自身が借り入れ過多の現象を十分是正してまいらなければいかぬというような問題が各般の施策として総合的に行なわれることによって環境の整備もでき、合理的な投資も行なわれ、金融情勢そのものが安定的な方向にいくことによって、国際金利にさや寄せの作用が進むものだと考えておるわけであります。
○武藤委員 公定歩合を一厘引き下げることによって、わが国における全企業の収益率にどういう影響があったか、あるいは四回にわたっての公定歩合の引き下げで、十月から今日までどの程度企業側にその利益が帰属しておるのか、あるいは銀行は依然として同様の利益率をあげておるのか、その辺の調査については、大臣は一応認識しておりますか。
○田中国務大臣 公定歩合の引き下げの結果、市中貸し出し金利の影響が一体どのくらいであったかということは、ここに資料がございますが、どの程度の影響があったかという数字的な問題の答弁が必要であれば、銀行局長をして答弁いたさせます。
○武藤委員 大体いま日本の全会社の借り入れ総額というものは、おそらく十五兆以上になっておるのではなかろうかと思いますが、私の資料はちょっと古いのですが、その全借り入れ金額の中で、かりに金利一厘が下がったと仮定して平均的に出す場合に、五百四十二億の軽減になるわけですね。そうすると、これが二厘下がるあるいは三厘下がったという場合には、かなりの金利が会社側の利益に帰属するが、その帰属したものが一体国際競争力のほうに回るものなのか、具体的に言うならば、価格形成に金利の下がった分が織り込まれて価格が下がる、そして国際競争場裏に勝てるような価格になる、そういうふうにストレートに動いていくものであるかどうか、これは非常に大臣が国際金利のさや寄せによって国際競争力を強化するのだという説明のうらはらになって、どうもそこらが納得いかぬのですが、その点の調査はどうですか。
○田中国務大臣 公定歩合の引き下げは、申すまでもなく、日本銀行からの貸し出しの利率を下げるわけでありまして、日本銀行から借り入れておらないものは、これが影響がないというふうにも言えるわけでございますが、事実はそうではありません。公定歩合とは金利政策に対する一つのシグナルだ、こういう考え方でありまして、御承知のとおり、公定歩合の引き下げということは、金利問題に対しての方向が方向づけられるということでありまして、日銀自体から借り入れておらない相互銀行も、また信用金庫も、他の金融機関もお互いが、日銀から借り入れておる金融機関が貸し出し金利を引き下げていく場合には当然のようにそれに歩調を合わせて貸し出し金利を下げていくというのが通例であります。またそれは金融市場におきましても当然そういうことであり、また公定歩合の引き下げによってコールレートそのものがだんだんと正常化していくという問題もありますので、公定歩合が引き下げられたことによって即貸し出し金利がどの程度総体的に下がったという集計はむずかしいと思います。
○武藤委員 そうしますと、そういう数字がむずかしいというならば、一体今日の措置によって、金利が下がったことによって、国際競争力が特に強化された、そう思われる産業部面というのは、大臣のお考えではどういう部面ですか。
○田中国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、公定歩合が引き下がったということは、日銀から金を借りておる銀行だけが貸し出し金利を下げたということではなく、総体的に金利は引き下げられておるのでありますから、日本の産業自体の金利負担が下がっておるということでありまして、少なくとも企業の安定度に対して相当な寄与をしておるということは確実であります。事実であります。
○武藤委員 企業の安定度に貢献しておることは全く私も同感です。それは確かに企業の安定度には貢献をしておるわけです。ただ問題は、消費部面を生産しておる工場、あるいは耐久消費財、あるいは生産部門等によって安くなった金利の分がどう回るかということが全部違うわけです。問題は国際競争力を強化するということになれば、それだけの金利負担が軽減された分が国際競争で勝ち得るような価格形成に、価格の引き下げにはね返ってこなければ国際競争力の強化にならぬと思うのです。もちろんそれ以外にも、設備投資に回して機械を近代化して大いに良質のものをつくるという資金にその金利の分が回ったということで設備の拡大になると思うのです。しかしながら、やはりストレートに国際競争力ということを大臣があまりにも強く表現しておるから、何か日本の産業が金利を下げたことによって非常に価格が安くなるのだという印象を持つわけです。そういう点でどういう部門が一体そういうストレートな影響を受けるのかということを私は聞きたいのです。日銀の説明のように金融の正常化とか、そういう理由のために公定歩合の引き下げをやり、日本の金融正常化をやるためにオーバーローンをこうして解消していくのだという、そういう説明のしかたならまだわかるが、大臣は国際金利にさや寄せするのだ、そのことが国際競争力を強化するのだという一点ばりの説明をしておるわけです。具体的にどういう産業部門が特にそういう国際競争力の強化に役立つのか、一番影響を、恩恵を受けるのか、そういう点の調査はありませんか。もしなければ銀行局からでも……。
○田中国務大臣 国際金利にさや寄せをすることが国際競争力を培養することになります、こういうことを言っておるわけでありまして、それの具体的な問題としてはオーバーローンの解消、金融環境の整備、金利負担の軽減というような諸般の問題を申し上げておるのでありまして、公定歩合を引き下げたり国際金利にさや寄せをしていくということ自体が、日本の国際競争力を培養することであるというふうに申し上げておるわけであります。
○武藤委員 公定歩合の引き下げがオーバーローンの解消に対して直接どういう関係があるのですか。どうも大臣の説明は——私は金融というものだけを取り上げていま質問しておるのですからね。その点どうですか。
○田中国務大臣 公定歩合の引き下げそのものを、先ほど申したとおり日銀当局は金融の正常化に資するためと、また正常化が進んでおるので公定歩合を引き下げたという表現をとっておるわけでありますし、われわれが申し上げておりますのは、公定歩合の引き下げということ自体は、国際金利にだんだんとさや寄せするという環境がつくられておることでありまして、ひいては国際競争力が培養せられるということを申し上げておるわけであります。
○武藤委員 時間の制約がありますから次に移りたいと思いますが、私は、何といっても今日の低金利政策というものは金利体系の是正、さらに金融正常化という方向に進めていこう、いわゆる資本主義の本来の姿に金融の機能というものを発展をさせていこう、こういう考え方から低金利政策というものが行なわれていると理解しておる。どっちかというと日銀総裁の考え方のほうが、資本主義の経済を運営する立場からいくならば最もオーソドックスな考えだと思うのです。大臣はそれを国際競争力を強化するために国際金利にさや寄せするというその一点ばりの説明をしておる点が、どうもいまの日本の経済の姿から見たときにギャップがあるような気がする。それはそれとして、とにかく金融を正常化するということは、企業にとっても、日本の経済全体にとっても、非常に好ましいことであるのでありますから、金融を正常化するということに大臣は反対ではないと思うのです。そこで金融正常化という一つの青写真を大臣はどのように一応考えておりますか。大臣の考えておる想定は、一体金融正常化とはどういうことを意味しますか。それをひとつ明らかにしてもらいたい。
○田中国務大臣 金融の正常化ということで公定歩合の引き下げが行なわれておりますし、もう一つはオーバーローン解消ということで十一月から新通貨供給方式としての日銀の買いオペ制度が発足をいたしておるわけでございます。これらを合理的に運用していくということによって、金融環境は徐々に安定整備をせられていくという考えでございます。
○武藤委員 オーバーローンを解消するために現在のオーバーローンの額を、どの程度までが一応解消しなければならない金額だ。たとえば全体でこれだけのオーバーローンがある。そのうち好ましからざるオーバーローンというのは大体この程度だ。その分はどうしてもオーバーローンを解消しなければいかぬのだ。それにはどういう方法で、目途ほどの程度に定めてオーバーローンを解消しようとするのか、そこらはどうでしょう。
○田中国務大臣 これは大蔵大臣が言うことではなく、日銀総裁が中央銀行としていろいろな施策を行なっておるわけであります。いま、日銀貸し出しがゼロになった過去の例もございますが、ゼロにすればいいのか、一兆一千億のものを一兆円を切ればいいのか、五千億にすればいいのかというような数字的なめどを立てて一方的にこれを進めていくというような考え方ではなく、金融環境の整備というものを待ちながら、だんだんと買いオペ政策等を弾力的に運用していくということによって徐々に解消をはかっていくということと、先ほどあなたが言われたとおり、企業家自身の自己資本の蓄積とか借り入れ金によってのみ設備投資をやるとかいうような問題、いわゆるオーバー・ボローイングの解消そのものもあわせて行なうということを申し上げたいと思いまして、数字をあげて七千億になればいい、五千億になればいい、ゼロになればいいというような考え方をいま申し上げる段階にないと思います。
○武藤委員 それでは過般の新聞に、大蔵省はこの年度内に五千億円のオーバーローンをとにかくここで切りくずす、こういう方針のもとにこれから指導を立てていくのだ、こういう記事が日本経済、各新聞にも出ておりますが、その五千億円のオーバーローンを切りくずしていくというねらいは、一体何か目途があるのですか。ただ目見当に、一兆一千億オーバーローンがあるから、これをひとつ五千億ばかり三十八年度に切りくずしていこうと、ばく然とそういう数字を出したのですか。何かその先の目安でもあって五千億円のオーバーローンを解消していく、こういう私は何か想定があると思うのですが、その点はいかがですか。
○田中国務大臣 どういう機会にだれが発言したかわかりませんが、そのような目標を大臣が指示した覚えはありません。この日銀のオーバーローン解消という問題に対しましては、日銀当局の意向も十分しんしゃくし、しかも大蔵省及び日銀が緊密な連絡のもとで、日銀を主導的に考えながらオーバーローン解消の施策を漸次行なうべき問題であって、やみくもに五千億とか七千億とか、二カ年以内にゼロにするのだ、こういうような考え方をすると、金融政策というものは必ずつまずきやいろいろな問題を起こすから特に慎重を要求しておるのでありまして、五千億というような数字はさだかなものではございません。
○武藤委員 そうしますと大きく出ておる新聞記事というのは誤報かあるいは推察記事だ、あるいは「金融財政事情」にも出ておる数字というものはもう信用できぬ、こういうふうに私は理解をいたしますが、あれだけ大きな記事が出ておるのですから、ここにも持っておりますが、全く煙のない数字を記者が勝手に書くはずはないのです。しかしこれは水かけ論になりますから、時間が惜しゅうございますからやめます。 そうしますと、オーバーローンを解消する短距離に手をつける問題として買いオペの問題があるのですが、六月の買いオペ、さらに七月から九月期における買いオペというものは大体どの程度にしようかという話はどの程度進んでおりますか。
○高橋(俊)政府委員 ただいまのところ額が予定されておりますのは六月に千四百億を買いオペするというだけでありまして、その後の金額につきましてはまだ決定しておりません。ただできれば幾らかでも多くするというふうな方向で検討されておると思いますが、まだ私どもとして公式に相談にも乗っておりません。
○武藤委員 オーバーローンを買いオペで一千四百億円とにかく切りくずす、しかし相変わらず投資意欲というものはかなり強い。特に中小企業においては機械の入れかえ、工場の新設をしなければとても競争にならぬというので、設備意欲はかなりあるわけです。そういうような情勢のもとで一千四百億円の買いオペをやっても、新規の借り入れの申請があった場合にはどうするのですか。新規の借り入れ申し込みがオーバーローンになるようなものがふえてくる可能性があるわけですね。そういう情勢をいまどう把握しておって、そういう情勢が出た場合にはどうするのか、そういう点はどうですか。
○高橋(俊)政府委員 六月の千四百億は、この月は通貨がふえるということのほかに国庫の揚げ超もございます。そういうことを考えて、ほうっておけば増加するであろう日銀貸し出しを増加させないという程度にとどめる数字でございます。しかしいまおっしゃいました、はたして設備投資が非常に旺盛になりつつあるかどうか、まだ判然といたしませんが、その点につきましては昨年来行なっておりますのが貸し出し限度額というものをつくりまして、これが新しい金融調整の方式として強く働くべき性質のものである。各銀行ごとに、十行でございますが、限度額を設けまして、その八割に達したときには一厘高の利率を適用する、こういうことになっておりますから、その限度額を場合によって引き下げる、オペをやったらそれだけ引き下げるという措置をとりますれば、実際には何ら金融は緩和しないということも十分あり得るわけであります。
○武藤委員 そういうことを私は心配しておるので、限度額があってもいま言った投資意欲が非常に旺盛になり、その裏からいえば、オーバーボローイングが解消されない。今日の日本の企業の姿では買いオペをせっかく一千四百億円やっても、また日本銀行への借り入れ額がふえてくるのでは何もならぬ。そういう場合の規制の仕方が、窓口規制を取っ払い、今日は規制ができなくなっているのでありますから、公定歩合が三回も四回も引き下げられれば、当然投資意欲というものは、心理的には大きくなってくると私は思うのです。そういう場合にどう指導するかというのは非常に慎重にしなければならぬし、むずかしいと思うのです。そういう点を十分考えなければいけないという立場からお尋ねしておるのでありますが、もう時間もだいぶ詰まっておりますのでもう一つお尋ねしておきますが、今回の買いオペに相互銀行や信用金庫を対象にしない。その対象にしない理由は、持っておる対象になるような債券、証券が少ないから、こういう考え方なのか、それとも基盤が弱体だからなのか、あるいは預金率が多いからなのか、どういう理由で対象からはずしておるのですか、これはどうですか。
○高橋(俊)政府委員 相互銀行は信用金庫のそれぞれ一部でございますが、日本銀行と取引をやっておるものは限られておるわけであります。それもその歴史からいえば非常に新しいわけであります。なお買いオペによって日本銀行貸し出し残高の減少をはかるということでございますので、ねらいはやはりオーバーローンを是正するという点に主眼がある。金融をゆるめるという方法にも使いますけれども、構造的な問題としては貸し出しの減少と見合わなければならぬ。そういたしますと、今まで貸し出しの面におきましては、ほとんど全部が都市銀行に向けて行なわれておりまして、地方銀行すらも貸し出しを受けていない。特別なものを除きまして、貸し出しはみなゼロでございます。そうして日本銀行が買いオペをした分だけ都市銀行の借り入れ額が減るということがほとんど同時に行なわれることが望ましいわけでございます。そういう見地から申しますと、実は地方銀行さえも問題でございますが、いろいろ債券保有額をある程度勧奨しております。地方銀行は都市銀行と並んでかなりの保有割合になっております。これを割合で申しますと、一七、八%に達しませんが、地方銀行は対象にしておりますけれども、相互銀行につきましては保有割合がまだ非常に低くて、これをもっと高めていかなければならぬという段階でございます。そういうことも考えまして、いましばらく見送っておいたほうがいいのではないかというふうに中央銀行で考えておるわけであります。
○武藤委員 歩積み、両建ての問題でちょっとお尋ねいたしますが、「金融財政事情」の五月二十日号に、非常に詳しく村井課長が座談会で述べておりますので、今度の業界の自粛申し合わせというものは前回のとは違うという性質や業界の覚悟というものもうかがえるのでありますが、歩積み、両建ての自粛という点は二十八年、二十九年、三十年と三回にわたって業界では申し合わせをいたしております。しかしながら申し合わせをしても、中小企業の立場から見ると、歩積み、両建てのある程度の強制というものは消えていない。ですから今回も自粛申し合わせをしたものの、おそらく実態は従来どおりのような形に落ち込むのじゃないかという心配を私はしているのです。中小企業の諸君から、歩積み、両建ての問題は、田中大蔵大臣が前に言明をしたように、ひとつどしどし行政措置をして、中小企業の諸君が借り入れする際に拘束性の預金をそうとられないようにがんばってくれという激励が、ずいぶんわれわれのところにもきております。そういう過去の例から考えて、今度は歩積み、両建てをほんとうに解消させるという強い腹がまえが大蔵省当局にあるのか、あるとすれば、その行政措置は一体どんな方法でやるつもりでおるのか、そこらをひとつ聞かしてもらいたい。
○田中国務大臣 歩積み、両建ての解消につきましては、まま申し上げておりますように、これが解消に全力をあげておるのでございます。なお金融機関も歩積み、両建ての自粛に対して決議を行なっておりますし、徐々に歩積み、両建てが解消せられつつございます。なお大蔵省といたしましては、三月、四月の二回にわたって検査を行なっておるわけでございますが、これからも随時検査を行なって、これが解消に努めてまいるつもりでございます。 それから、ただ歩積み、両建てにつきましては、戦後十七、八年間商慣習として続けられてきましたものでありますから、一ぺんにこれを直ちに全部解消してしまうということになりますと、金融機関の経営の内容にも大きな影響がございますので、これらを勘案しながらある程度の時間的めどをつけながら、銀行の、また金融機関の合理化というようなものにもめどをつけながら、できるだけ早い機会に全部解消してまいりたいというふうに考えております。それから通産省当局等とも連絡をとりまして、政府関係機関との協調融資を行なっておりますようなものについて、歩積み、両建てを強要しておるというような事態に対しましては、これが政府の指定を取り消すというような強い態度をとっておるわけであります。現在の実情からいいますと徐々に進んでおりますが、特に一方において両建て預金がありますものについて、見返りで貸し出しておるものの金利については、特に厳正を期すようにというふうに指導をいたしておるわけでございます。
○武藤委員 銀行局長にちょっとお尋ねしますが、三月一日から九日にかけて第一回の検査をやったというのは聞いておるのでありますが、四月に行なった際に、全国で好ましからざる歩積み、両建ての額というものはどのくらいあると認定しておりますか。
○高橋(俊)政府委員 あの歩積み、両建ての特別検査と申しますのは、実際には非常にたんねんに行ないました関係上、その数は債務者の数が非常に限られております。したがいまして、ほんとうのサンプル調査ということになりますが、これから類推いたしますれば、業界の自粛の申し合わせの線がございますので、一応それを尊重いたしまして計算いたしますと、銀行と名のつくところでは大体貸し出し額に対して一〇%前後、預金に対しましては相当多うございますが、貸し出し額に対する割合をとりますと、大体一割くらいは過当な部分である、それから相互銀行、信用金庫におきましては二〇%前後、これはサンプル調査からでございますが、その程度の割合であろうという推定でございます。
○武藤委員 こういう場合の行政指導というのは非常にむずかしいわけですね。貸すほうと借りるほうですから、非常に弱い立場にある企業の側に立って考えた場合には、しぶしぶながらしょうがない、しかしそれを政府や苦情機関に申し出るわけにもいかぬ、申し出れば、あとで仕打ちをされやせぬかという心配がある。したがって、これは何か秘密のうちにそういう業者の苦情を聞いてやるような相談のしかた、行政指導のしかた、そういう名案というものを考えておらぬですか。
○田中国務大臣 終戦直後、税に対しても過少申告をした者に対しては密告制度等がありましたが、そういうことをしなくとも、大蔵省が随時検査をしまして、相当厳正な行政指導をやるのでございますから、特に今度は歩積み、両建てのような不健全な金融機関の経営はよくないことである、こういうことで非常に強硬な方針をきめておるのでございますので、特殊なことを考えなくとも、私は業界の協力を得ながら正常化が進んでいくべきものだ、このように考えております。なぜ歯切れの悪いことを考えておるのか、もっとぴしっとやったらどうかという御質問があるかと思いますが、御承知のとおり、金融の正常化、特に公定歩合の急激な引き下げ等もございましたし、金融機関自体の体質改善という問題、合理化という問題もあわせて、総合的な立場で進めておりまして、金融機関の育成強化というものもあわせながら考えておりますので、いまの段階において過激な特殊な方法をとってこれを一挙に解消することが、元も子もなくしてはいかぬという考え方とあわせながら、着実な方向で進めておるわけであります。
○武藤委員 残念ですがいま一つ二つでやめる以外にないので次に移りますが、銀行局長、いま無記名預金と名のつくもの、それから検査の結果これは偽名だという預金、そういうものの全国総額というものは銀行局としてわかっているのですか。
○高橋(俊)政府委員 無記名預金は想像されたよりも非常に少のうございます。簡単に。パーセントで申しますが、記名預金が九七・七%でございますから、無記名は二・三%、非常に無記名預金の割合が少のうございます。
○武藤委員 額は……。
○田中国務大臣 三十七年十二月現在で総預金の十二兆一千百八十七億円に対して記名式預金が十一兆八千四百一億円、総預金に対して九七・七%、無記名預金が二千七百八十六億円、総預金額に対して二・三%、こういうことになっております。
○武藤委員 局長、偽名のほうはわかりませんか。
○高橋(俊)政府委員 これはわかりません。
○武藤委員 私がなぜこれをお尋ねするかというと、地方でいま非常に困っておるのは中小企業の税負担が重く、資本蓄積ができない、内部留保が非常に少ない、そのために脱税をして無記名預金なり偽名で預金をしておる人が多いわけですね。これは非常に多いのですよ。しかしこれはなかなか捕捉しにくいわけです。そこで、ここで大英断を下してそういう隠しておいた脱税の預金というものを、何か特例を設けて全部資本に繰り入れさせるというような方法は考えられないものだろうか。それをみずから申告して会社の資本にそっくり繰り入れた場合には、何か現在の税率とは違った方法をとってやるというような形にしないと、そういう業者は裏預金をたんまり持っておっても資本に繰り入れるわけにはいかぬし、下げるわけにもいかぬ。担保にすれば税務署にばれる、どうにもならない、貨幣の価値を発揮できない預金というものが非常にある。いま無記名でわずか二千七百八十六億円というのですが、金額としまして二千七百億といったらたいへんです。そういう預金をした動機というものは、おそらく課税の問題が一番大きな原因になっておると私は思うのです。そういう点、銀行局は偽名預金の取り扱いというものに対して行政指導というものはどんなぐあいに従来やっておるのですか。
○高橋(俊)政府委員 預金そのものについては無記名が許されている状態ですから、偽名、仮名を用いてもそのこと自体銀行行政の上ではいかんともしがたいわけでございます。税制上どうするかという問題につきましては、税の部長のほうから答えていただきたいと思います。
○武藤委員 そこで鳩山さん初めての大蔵委員会出場でございますが、ひとつ名局長としてうたわれてきたのですから、いままでの経験から、何かそういう特例を設けて一応はき出させる、資本に繰り入れた場合には税を安くするというような名案は、あなたはいままでの取り扱いで考えたことがないかどうか。そこらをひとつ聞かせていただきたい。
○田中国務大臣 私からお答えいたします。これは法律からいいまして非常にむずかしい問題でございます。あなたが言うように、実際に無記名の裏預金がある。これは絶えず摘発の対象になっておる。これ自身がこういう問題にぶつかりますと、中小企業は一年間くらいそれだけで頭がいっぱいで、本業はお留守になっておる、これは確かにございますが、これは脱税ということを合法化していかなければいかぬという問題もありますし、もう一つは現実問題として大赦的なものをやったらどうか、これは政党では絶えず問題になる問題ですが、立法論としていつも立ち消えになっておる。これは議論ではなく現実としてこの問題に対して解決の方法がないか、このままにやみにしておくことは、法律上は非常に筋が通っておっても、現実問題としてこれが国民生活にプラスをもたらさないということに対して何らかの解決の方法がないかということは、お互いに検討は何回もしておる問題ですが、立法論との問題でいつも相殺になっておるということでございます。これは五年前のものは時効になっておるのですから、時効になっておればいいのですが、そういうものが継続しておって時効になってないというようないろいろな問題もありましょう。法律論としては非常にむずかしい問題ですが、自由化というような問題、それから資本の蓄積、自己資本というものをどうするか、それから中小企業基本法等で相当議論をする価値のある問題だと思います。いま大蔵省としてこれに対して結論的に申し上げろといえば、法律上いかんともなしがたい、こう申し上げる以外にないのでありまして、そう立法的に結論を出してしまって、方法はありませんというような答弁ではなく、何らかあれば、こういう問題は現実的に救済の方法があるのかどうか、検討に値する問題だとは思います。
○武藤委員 最後に鳩山さんに、いままで摘発をして、査察なりあるいは調査班なりで更正決定をするなりあるいは査察の結果決定をした、そういう事例の件数の中で、裏預金というものが発見された件数、パーセントはどのくらいを占めておりますか。
○鳩山説明員 査察事件になりましたものは、ごく例外的なケースはあるかと思いますが、銀行調査の結果ほとんどの場合裏預金がつかめるということでございます。
○武藤委員 質問を終わりますが、大臣、私は脱税を奨励するという意味ではないが、中小企業がほんのわずかの二百万か三百万を裏預金をしてしまったために出し場を失っておるという実情なんです。出したいけれども、そうすると税務署からやられる、そうかといって積みっぱなしでおけば困るというこの窮情に対して、税の捕捉という立場からも、資本の蓄積という立場からも、どういう方法で指導していくかという点を十分検討していただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。 ————◇—————
○臼井委員長 次に、旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の一部を改正する法律案を議題として質疑を続けます。 通告がありますのでこれを許します。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の一部を改正する法律案について、時間がありませんので方針の問題についてだけ大臣に質問いたします。この間、実は政府委員の平井さんのほうにはこまかい諸問題についてやっておりますが、大臣の誠意あるこれからの方針だけを伺って質問を終わりたいと思うわけです。 まず第一点は、公共企業体等の場合に新法適用が三十一年の七月からなされた。それ以前の人たちは昨年においてこの法律と同じ法律において仮定俸給表のベース改定が行なわれまして、いわゆる二万円ベースになったわけであります。これが昭和三十三年度当時の公務員の給与ベースに匹敵するものであります。したがって、五年おくれくらいで大体ベース改定が追いかけているという現状であります。ところが昭和三十一年の七月にやめまして、なお非常に給料が低いために二万円以下の裁定を受けている新法適用者という者があるわけであります。旧法適用者のほうは二万円ベースになる。新法適用者はその後にやめたにもかかわらず二万円以下の裁定を受けている。こういうアンバランスが今日生じておるわけであります。この是正の問題について、実は前国会におきましても、この点を早急に是正の措置を講ずべきであるという附帯決議をつけたのでありますが、今回これが実施されなかったわけであります。この点について大臣もただいまの私の説明で大体のところはつかまれたと思う。そういう不合理をすみやかに是正をしていただきたいと思うのでありますが、少なくとも今回見送ったのでありますから、次の国会等においては是正の措置を必ず出してもらえるかどうか、これが第一点であります。
○田中国務大臣 現行共済制度は私も郵政省におりました当時これに賛成をし、立案をいたした関係もございまして、非常に注意深く見守っておるわけでございます。これは厚生年金等とともに社会保険制度の一環をなすものでありまして、スライド制度の導入は社会保険全般の問題として、慎重にというよりも積極的に結論を得るような方向で進まなければならない問題だと考えております。特に社会保険審議会で厚生年金のスライドの問題その他ベースアップの問題等をいま検討しておりますので、これが結論を待ちながら政府としてもできるだけ早く、前向きで結論を得たいというふうに考えております。
○広瀬(秀)委員 前向きの姿勢でということは、この附帯決議の趣旨をできるだけ早い機会に生かすのである。こういうように、了解してよろしいですね。
○田中国務大臣 先ほど申し上げましたように、社会保険審議会等でもいま厚生年金の問題等で検討いたしておりますので、これが答申も待ちながらできるだけ早い機会に積極的な姿勢で結論を出したい、こういうことでございます。
○広瀬(秀)委員 第二点は年金関係の、これはこの旧令共済だけの問題じゃないと思いますが、きょうはとりあえず旧令共済の年金受給者ということに限って質問するわけであります。池田総理大臣も、国民年金のベース改定の問題につきまして、二月に本会議で吉村議員の質問に対して答えておるのであります。「国民年金の年金額につきまして、これは私は十分とは思いません。これも経済の発展と同様に、だんだん伸ばしていくべきものだと考えて、善処いたしたいと思います。なお、昨年八月に出されました社会保障制度全般にわたりまする審議会の答申、いろいろごもっともの点があるのであります。ことにお話しのスライド制につきましては、物価上昇に対する年金の実質価値維持のために、私は今後十分検討していきたいと考えておるのであります。」こういう答弁がなされております。これは速記録をそのまま写したものでありまして、総理大臣は本会議の席上でこのような答弁をなされておるわけでありますので、ここでまた権威ある大蔵大臣に、特に担当大臣としての大蔵大臣に、これらの問題について——特に最近における物価上昇、国民所得水準の向上、さらに現職職員の給与水準、こういうものがどんどん上がってまいりまして、すでに古い年金受給者たちの年金領との間にはなはだしくアンバランスが生じておるわけであります。具体的に大体旧令の最後のころでも一万七千円から一万八千円ベースだ、今日の場合は大体二万九千円ベースくらいに現職公務員あるいは公共企業体職員はなっておるわけであります。そうするとその間に非常に大きな差が出ておるわけでありまして、こういうような場合にやはりある程度適正な国民所得水準をとるか、あるいは物価上昇率をとるか、あるいは現職公務員なり公共企業体職員等々の給与水準の上昇率というものをとるか、いずれにしても何らか合理的かつ適当なスライド基準というものが当然設けられてしかるべきだと思う。古い人たちが老齢の身を顧みず全国から集まって大蔵省にたびたび陳情にこなければ大蔵省が動き出さないというようなことでは私は間違いだと思うのです。何かそういうところに合理的な方法さらに適切なそういう人たちの老後の生活を保障するために年金額の実質価値というものを保全していくという道が講ぜられてしかるべきだと思う。この点についての大臣のしっかりした方針をこの際伺っておきたいと思います。
○田中国務大臣 基本的な態度といたしましては総理大臣の言明どおりでございます。先ほど申し上げましたように、いま社会保険審議会においても検討を進めておりますし、これらと歩調を合わせながら、大蔵省としても適切な解決をいたしたい、このように考えております。
○広瀬(秀)委員 これで終わります。
○臼井委員長 本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。 —————————————
○臼井委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し川がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。 採決いたします。本案を原案のとおり可決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○臼井委員長 次に、本案に対しまして広瀬秀吉君より三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 この際、提出者の趣旨説明を求めます。広瀬秀吉君。
○広瀬(秀)委員 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議、各派共同提案ということでございまして、僭越でございますが、私が代表いたしまして、本決議案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、決議案文を朗読いたします。 旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 一、本法適用者と新法施行後の退職者との間に支給原因発生時期により共済年金間の均衡が失われている実情にあるので、今後検討の上速かに是正の措置を講ずべきである。 一、今日経済・物価情勢及び国民所得水準等の変化に伴い、現職職員給与水準ないし国民所得水準と年金受給者の年金額との間に大きな不均衡を生じつつあるにかんがみ、年金額の実質価値を保全し得るよう適切合理的な方策を講ずべきである。 本文は以上でございます。 以上申し上げましたとおりでございまして、先ほども御質問申し上げましたので、あえて説明の要はないと思いますので、満場一致御決議を賜わりますようにお願いをいたしまして、提案趣旨の説明にかえます。
○臼井委員長 これにて提出者の趣旨説明は終わりました。 おはかりいたします。 広瀬秀吉君提出の動議のごとく決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、広瀬秀吉君提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。 ————◇—————
○臼井委員長 次に、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基づき、税務署の設置に関し承認を求めるの件を議題といたします。 御質疑はありませんか。——御質疑がないようですから、これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ることといたします。 採決いたします。 本案を承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、本案は承認すべきものと決しました。 —————————————
○臼井委員長 ただいま議決いたしました両案件に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○臼井委員長 関税に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますのでこれを許します。芳賀貢君
○芳賀委員 大蔵大臣にお尋ねしますが、問題をしぼって、特に最近における国内砂糖価格の暴騰の問題を伺います。 この点については、政府としても、国民の食生活に重要な関係のある問題ですから、これが対策には苦慮されておると思いますが、最近聞くところによりますと、政府としては、この際関税制度の改正あるいは砂糖消費税制度の改正等を行なって対策の一助にするというような動きもあるようでありますが、この場合、砂糖価格の安定の問題と、さらに大蔵省に関係のある砂糖関税あるいは砂糖消費税の問題等について、大臣から率直な見解を披瀝してもらいたいと思うわけです。
○田中国務大臣 御承知のとおり、砂糖の自由化を進める方針を政府はとっておるわけでございますが、これが自由化に完全に移行するまでの間の措置といたしまして、関税暫定措置法の一部改正法律案というようなものをいま検討中でございまして、党側との折衝も行なっておるわけであります。この関税の暫定措置法の改正の内容は、砂糖に対する外貨割り当て制度を廃止するために関税制度に所要の改正を盛りたいということや、国際糖価が非常に上がっておりますので、これらの価格の値上がりを防止する一助にもと思いまして関税率を引き下げよう、引き下げることができるという制度をつくりたいというようなことでいま党側との意思調整を行なっているわけでございます。それからそれに伴いまして国内てん菜糖や甘庶糖その他の振興対策を考えておりますし、同時に沖繩糖の輸入に対しましても、政府がこれの買い入れを行なうというような方向につきまして、近く政府提案として法律案を提案したいというような各般の施策をいま推進をいたしておるわけでございます。
○芳賀委員 制度改正の前に明らかにしてもらいたいのは、最近の国内における砂糖価格はキロ当たり卸価格百四十円台あるいはそれをこえておる。ですからこれは国の甘味資源自給対策十カ年計画のキロ当たり標準糖価百二十二円の安定の線から見ると非常に高騰しておるということになる。一体百四十円あるいは百四十五円台に価格をのせなければならないかどうかというその実情については十分調査されておると思いますが、これはどうもわれわれが考えると、国際価格が十セントあるいは十二セント台を示めしているので、この国際的な相場高に便乗して、国内の砂糖価格というものは実情以上に高騰しているという、そういう点があらゆる角度から見てあると思うわけでございますが、この点は政府としてどのような判断を持っておりますか。
○田中国務大臣 御承知のとおり砂糖に関する所管は農林大臣でございますが、政府におきましてもこれが問題につきましては、経済閣僚会議その他関係閣僚の問で十分意見を詰めておるわけでございます。いま御指摘になりましたとおり、国際価格も非常に上がりましたけれども、一体百四十円、百四十五円というような価格になるのか。現在上がっております砂糖を輸入した場合、六カ月後というような場合、これが現状輸入価格というものが砂糖の値段に反映をするわけでありますが、現在はまだ安い砂糖を持っているのではないかというような状態から見まして、百三十円ないし百三十五円というのがとまりではないかというようなことでいま話し合っているわけでございまして、一体どうしてこのように値上げが行なわれるのかという問題については、農林当局で十分各社別に検討いたしておるようでございます。
○芳賀委員 そういう点政府としての指導性が非常に欠除しているということは明らかだと思うわけです。 そこで先ほど大蔵大臣言われましたが、たとえばことしの二月の予算委員会特に二月九日の予算委員会において、私から大蔵大臣に対して、政府の甘味対策に対する——一月十四日ですか、関係経済閣僚の話し会いによる決定の内容というものが明らかにされたわけでございますが、あの当時は糖価安定のため関税率を引き下げるということは構想として出されていなかったわけですね。むしろ消費税と関税の振りかえの問題は触れられましたが、こういうふうに糖価が急騰して国民の食生活に大きな影響を与えるということになれば、当時とはだいぶ事情の変化というものはあるわけですが、たとえば関税にしてもキロ当たり四十一円五十銭、砂糖消費税が二十一円、合わせるとこれは六十二円五十銭ですから、とにかく税金が平常の砂糖価格の半ばを占めているわけです。これは世界一高いということは定評ですが、ただ糖価を引き下げるために税制の面でこれを配慮するとすれば、方法論としてはいま大臣の言われた砂糖の関税定率を引き下げるという点、あるいはもう一つは砂糖消費税をこの際大幅に引き下げるという、税制上から見ると二つの道があると思うわけです。いまのように高値の場合は、税制上、関税の引き下げをやっても、あるいは消費税の引き下げをやっても、その現象面に対する効果は同一だと思いますが、しかしこれはいつまでも先の先までこのような国際的な高値を示すわけではないと思うのです。ある時期が来ればやはり安定線をたどり、回復は当然だと思うのです。やはり回復がすみやかに期待されるということについて、国内政策も講ずる必要があると思うのです。ですから、これはやはり国内において、現在国会に提案になり、政府あるいは社会党から甘味関係の法案が提案されて審議に入っておるわけですが、このように国際価格が急騰した場合、国内の施策において、何らこれを防御する道がないというその最大の原因は、結局国内における砂糖の生産自給度が非常に低い、結局全消費量の二〇%あるいは二五%程度が国内の生産で、大部分が外国に依存しておる結果、この対外的な相場変動というものがすぐ国内に影響する。これはやはり長年にわたる政府の甘味政策に対する無為無策、あるいは外国依存のそういう政策というものが、こういう破綻的な情勢をかもしておるとわれわれは考えておる。ですから、やはり緊急対策ももちろんでありますが、それとあわせて今後の国内における甘味生産というものをこの機会に積極的にやる必要がある。これは考えようによってはやりやすい時期であるというふうにも実は考えられるわけです。そういう判断の上に立った場合、国民食生活の面から税制の改正をするということになれば、順序としては関税の引き下げよりもむしろ砂糖消費税の全面的な引き下げを行なうというのが、国内の甘味対策から見ても当然の順序であると思うし、従来の政府の方針というものはそこにあったと思うわけですが、この点はどうですか。
○田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、関税の引き下げということを考えておりますが、一部において消費税の引き下げがより合理的だというような意見は党内にも、あなたがいま言われたとおりずいぶん議論がございますが、現在の段階においては、大蔵省といたしましては、関税率の引き下げということでお願いをしたいというような考え方で、いま折衝を進めておるわけでございます。 〔委員長退席、鴨田委員長代理着席〕 それから甘味資源対策として長期安定的な施策、これは当然考えなければならない問題でございまして、外糖が将来とも十セント、十二セントというものが続くとも思いませんが、しかし同時に三セント、二セント幾らまでいつ下がるのかというめどもつかないわけでありまして、国内の甘味資源対策を進めること、第二に、沖繩糖に対してより積極的な助成措置を講ずるというような問題もございます。また海外において、一つの例としてはキューバの問題等もありましたが、ソ連が三百万トン買ったという問題もあったでしょうし、またヨーロッパ自体が気候的な変化によって、てん菜糖が非常に減産であったという問題もありますが、いろいろなことを考えてみますと、イギリスやフランスやオランダというような先進国が植民地に対して非常に力を入れておった政策そのものが、戦後の十七、八年間の独立というようなことで、案外サトウキビの栽培その他の規模が大きくならなかったというような問題もいろいろあるようであります。ですから、あまり国際糖価が急速に下がるというような見通しもなかなかございませんので、政府としましても積極的に糖価の長期安定的な方策というものを考えなければいかぬ。その一つは、海外にもいまの製糖業者その他が原糖をみずからつくるというような措置もしなければならぬと思いますし、それらの問題をあわせて広範な意味で対策を検討しておる次第でございます。
○芳賀委員 関税をまず下げるという意図は、たとえばガットの関係から見れば大勢が関税引き下げの方向へ向かっておるということは一応の名分になるとしても、しかし現在の慕情から言うと、砂糖関係は、たとえば先般ジュネーブで行なわれたガットのいわゆる関税一括引き下げの問題とこれを照らしても、砂糖問題というものは緊急な問題ではないわけですね。将来はやはり漸次関税率の引き下げを行なうということも当然であるが、しかし緊急対策としては、一方においては、関税の分は全部国民が負担しておる、二十一円の消費税も国民負担であるということになれば、砂糖全体に適用される消費税の引き下げというのは、どうも順序からいってそれをまず行なうべきでないか。たとえば消費税の引き下げということになれば、ことしの消費量が百六十五万トンとすれば、キロ十円消費税を下げるということになれば百六十五億、これは国民負担を軽減するということに当然なるでしょう。一方において関税引き下げということになれば、先般十万トンの上期の追加割り当てをきめたようでございますが、それにしても今年度は百四十万程度だと思うわけです。ですから、この分について十円ということになれば、百四十億円の関税の面からの負担が軽減されるということになるわけですね。ただ問題は、先ほども言ったとおり、必ず近い将来に、これは各国が努力しておるわけですから、国際的な糖価というものは安定期が必ず来るわけです。そういう場合に、関税の引き下げだけを便宜的に行なって、これから国内における甘味の増産対策、てん菜糖、甘蔗糖あるいはブドウ糖等の増産対策を進める場合に、当分の間はやはり国内の甘味のほうがコスト高であるということは大蔵大臣も御承知のとおりであります。ですから、内外の砂糖の均衡を国内においてはかるということになれば、関税の面だけを引き下げた場合においては、輸入糖がむしろ関税の下がった分だけコスト安になる、国内糖の場合においては、決して関税というものは影響がないから、コスト低減の因子にはならぬということになるわけでしょう。こういうことは子供でもわかることなんですね。それをあえて関税の引き下げだけを急いでおやりになるというその真意は那辺にあるかということがわれわれはなかなか理解に苦しむわけです。もちろんこれは、業界と政府のなれ合いとか、そういう強い要請というものがあって関税引き下げを先にやるということでしょう。あるいは自由化を進める場合の競争を有利にさせるために関税率の引き下げを先にやってもらいたい、こういうような政府と砂糖業界の一連のつながりというものがあって、その方向は国民生活というものを第二義的においた税制の改正を意図しておる、こう考えるより判断の材料がないのです。これは間違いないでしょう。
○田中国務大臣 大蔵省と砂糖業者が相談してやっているような事実は絶対ございません。これは消費税の問題に対しましても、先ほど申し上げましたように、党にもいろいろと意見がございますし、政府部内でも検討いたしておりますことは先ほどすなおに申し上げたわけでございます。しかし、なぜ関税率の引き下げということでお願いをしているかといいますと、消費税というものは、世界各国に対してあまり高くないというようなものもありますし、一般の消費税そのものに対して砂糖との割り振りがどうなのか、一体均衡がどうなるのかというような国内税制上の問題がございます。こういう問題に対しては、税制調査会でせっかくいま検討いたしておるのでありますから、大蔵省としては、そういうものによっても関税率審議会でひとつ話がとおり、もう当然引き下げなければならぬじゃないか、こういう問題につきましていろいろ比較検討いたしました結果、消費税の引き下げというような問題は、税制調査会で他の税制との問題も加味しながらやがて検討し結論を出していただくわけでありますので、今般考えましたのは、関税率の引き下げをひとつお願いをしようということでいま折衝中でありますということを申し上げたのでありまして、絶対それはやらぬのだというようなことを考えでおるわけではありません。政府自体でも、砂糖問題に対してはとにかく何としても手を打たなければいかぬ、こういう積極的な気持ちでありまして、きょうも閣議で総理は、どうして砂糖の高騰に対して手を打たぬのだということを非常に強く発言をせられておりまして、私も閣議から委員会に出席の途中、党の政務調査会に寄りまして、この問題に対してはとにかく一ときも早く結論を出してもらいたい、また党側の意見があり、調整をするものであるならば、政府側としてもひとつ積極的調整に応じます、こういうことを述べてきておるような状態でございまして、今週中には——今週中にやりたいと思っておりましたら、いまいろいろな問題がございまして来週に少し入るかもわからぬというのでありますが、いずれにしても早急に結論を出して、国民の負託にこたえたいという次第でございます。
○芳賀委員 税制改正によって砂糖の税負担を下げるということには別に見解の違いはないのですけれども、下げる方法において消費税を先にすべきか、関税引き下げを先にすべきか、ここに若干の食い違いはあるとしても、ただ問題は、予算委員会においてあなたが国会に明確にされた点は、あの当時は四月一日から自由化に踏み切りたい、その前提としては党内にも——党内というのは自民党ですが、党内からいろいろな意見があったが、その意見というのは消費税の引き下げを行なって、その下げた分だけを関税に上乗せする消費税、関税の振りかえ措置、これは現在の事情から直ちに行なうわけにはいかない、しかし、これは将来の糖価事情等と見合って、必要が生じた場合においてはこれはやります、それからもう一つは、国内の甘味資源対策としては、国内生産にかかわるてん菜糖、甘庶糖あるいはブドウ糖の政府買い上げ措置というものを法律の制定によってこれを行ないます、しかし、実施の四月というものは、いまになってみればもう少し先に延ばさなければならぬような党内事情がある、こういうことを大蔵大臣は政府の決定事項として予算委員会を通じて明らかにされた。われわれはそれを聞いて、政府の方針はそうであるかということがようやく理解できたわけです。今度の場合はそれと全く違った角度で、ただ関税率の引き下げだけを行なうということに出るようですからして、これは問題があるということですね。いまここでその点をいち早く問題提起という形で指摘しておるわけですから、これは十分慎重を期して判断を誤らないようにすべきだと思いますが、その点はいかがですか。
○田中国務大臣 あなたがいま御発言になっておるように、政府も積極的にこれらの問題と取り組んでおるわけでございます。先ほど申し上げたとおり国内の甘味資源対策その他もあわせて行なっておるのでございますが、今度の関税率引き下げという問題につきましては、海外におきまして異常な高騰を来たしておるという問題に対して関税率を引き下げよう、こういうすなおな考えで申し上げておるのでありまして、これをもってもう消費税に対しては手をつけないのだとか、その他の問題は一応終わりにするのだという考えではないのであります。いずれにしても、二カ月、三カ月前には三セント台の糖価であったのが、四セントになり六セントになり十セント、きょうあたりは十二セントだ、こういうことであっては非常に因りますので、基本的な糖価安定対策というものや国内甘味資源対策というものは、いま申し上げましたように政府のきめた方向で順次進めておるのでありますが、その後の国際糖価の暴騰というものに対して関税率の引き下げを行なう、しかも事務当局は初めは五円引き下げると六十億の減収になるとかいろいろなことを言っておりましたが、十円引き下げると百三十五万トンとしても百三十五億の減収ということでありますが、そんな問題よりも、いずれにしても国際糖価の高騰に対しては一刻も早く手を打つべきだという考えに立ちまして、関税率の引き下げという方向を先ほどから申し述べておるわけでございます。
○芳賀委員 その点は特に大蔵省の考えというのはけしからぬですよ。砂糖の消費に伴って税金をかけるということは、あなたは消費税が世界に比べてそう高くないと言われたが、日本の砂糖消費税以上に商い国がどのくらいあるか、それをまず明らかにしてもらいたいと思う。 それから次にお尋ねしたい点は、ただ税金収入の面からだけ、消費税は数量全体だからそれを引き下げればそれだけ税収が減る、関税の場合は輸入数量だけだから同じ金額の引き下げであっても収入の面で若干の相違がある、そういうようなそろばん勘定だけの考えに立って、国民全体の砂糖価格をいかに低廉にしてやるかということを常に考えないのが大蔵省であるということ、これは国民一般が知っておることですから、そういう官僚の間違った根性というものを——あなたは官僚上がりの大臣ではないのですから、やはりこういう大事なとき力を発揮するために田中大蔵大臣はいま厳存しておるわけですから、その点はやはり十分やってもらいたいと思う。 それからもう一つは、われわれの調査したところによると、メーカーによっては来年の三月まで程度の数量を確保しておるのもあるんですね、全部ではないが中にはある。だから実情調査ということを言われておるが、砂糖行政というのは農林省が担当しておるが、各社に当たるとか、あるいは輸入商社の砂糖輸入の内容等を十分調査すれば、いま国内砂糖の価格を百四十円とか百四十五円にしなければならぬという理由は全然ない。従来安定期の場合においても大体砂糖は一キロ十円は超過利潤があるということが定評になっておった。ですからこの急騰に便乗して二十円くらいは不当利潤が上がっておるでしょう。将来どこまでも続くものではないが、種がなくなれば今度は高い原料を入手しなければならぬということになりますが、だからこういう点を行政の力で十分内容を把握して、そして適切なる強力な行政指導を行なえば、こういうむちゃくちゃな砂糖価格を認めるような必要はないと思う。その点はどうですか。
○田中国務大臣 先ほども申し上げましたように、国際糖価が上がったからといって手持ちの糖価が上がっておるのではないのですから、なぜ百四十円、百四十五円という値段をつけなければならぬかという問題については政府も問題にしております。でありますから、先ほど申し上げましたように、農林省は各社に当たりまして、手持ちは一体どれくらいあるか、しかもきのう、きょう商売したわけじゃないだろう、少なくとも来年三月までは長期輸入契約をしておるはずだし、そういう問題と、国際糖価が上がった場合に、国際糖価を反映して国内糖価が上がるというのは一体どういう時期にどの程度上がるのか、こういう問題を各社別に十分調査をしなければいけないということで、農林省も農林大臣もこういうことをいま進めておるわけでございます。私は先ほどから申し上げておるのでありますが、とにかく海外の異常高騰ということに対して関税率を引き下げようと言っておるのですが、率直な意見を申し述べさせていただければどうも非常にむずかしい問題であります。むずかしい問題ではありますが、お互いやはり官民一体となりまして、この砂糖の安定ということをやらなければいかぬ、こういうことを考えておるのです。でありますから、一つずつ実行できるものをどんどんと実行していくということであればいいと私は思うのですが、一つずつ具体的な問題を片づげるときには、すべてを合理的にというので、安定対策から何から時間も相当かかっておるわけで、機を失して今日になっておる。この責任は政府にも十分反省すべきものはございます。ところがこれは、大蔵省がいつでも税金をとりたいので、減収がくるので常套的な手段として反対しておるためにこうなったものだというのではありません。これは専門家であるあなたのほうが十分御承知だと思うのですが、国際糖価というものがこんなに上がっておりますこのときに、国民全体がお互いに砂糖行政というものはどうあるべきなのかということに真剣に取り組んでもらって、だれがやってもなかなかむずかしいのだという考えではなくて、一つずつ国民の砂糖に対する負担というものを軽くしていくように、この問題に対してはより合理的な解決をしていくというふうに考えていただきたい。私は先ほど申し上げておりますとおり、何も砂糖関税だけで押し切って、あとは消費税に手をつけないのだなどと言っておるわけではないのでございます。消費税の問題に対しては、他の品目に対する税率等の問題等もございますので、いますぐ手をつけるということになると、国際糖価が上がったということに籍口してか、あなたの御表現ですと便乗してということは事実そうだと思います。こういう問題でありますから、国際糖価というものは、関税を引き下げますよということが一番筋が通りますから、私たちは現段階においては関税の相当な引き下げをお願いいたしたいということを考えておると申し上げておるのでありまして、固定しておって、もうこれ以上やらぬなどということではなく、大蔵省が一番この問題に対しては積極的にいままで考えてまいったということをひとつ御理解を賜わりたいと思います。
○芳賀委員 ですから、大臣も同意されておるとおり、不当の値上がりというものをどうして抑制するかということが大事でしょう。国民に協力してくれなんと言っても、それは無理ですよ。そのために政府というものがあるのでしょう。政府が傍観して、国民が協力してくれぬから砂糖が上がるなんと言うのはおかしいじゃないですか。それは砂糖を使わないということになれば問題の解決になるかもしれないが、そういうものじゃないでしょう。だからこれは先ほど言ったとおり、政府と業界、さらに率直に言えば与党とが、いままでの長年のくされ縁というものがあるわけです。便乗値上げをやっておるなとわかっても、それを半ば黙認して、そうして超過利潤というものはある程度は政治献金等で入ってくる、こういう期待感で強力な行政がもしやれぬとすれば、これは全く国民の信頼を裏切った行為ということになるのじゃないですか。従来の経緯から見て、絶対にそういうことはないということは言えぬでしょう。強い清潔な政治とか行政を行なうということになれば、それを断ち切るだけの決意というものが総理以下各関係大臣の中になければいけないと思うのですよ。だから国民はちゃちな関税引き下げだけでこの糖価問題の解決なんかできないということはわかっているのですよ。なぜ便乗的な不当な値上げというものを、政府の権限、指導の力で是正することができないかというところに関心が集中されておると思うのですよ。これに対してはあなたは何らの具体的な回答は行なっていないじゃありませんか。農林大臣の所管ではあるが、食糧庁から業務部長の中西君も来ておりますけれども、これは私の言い過ぎではなくて適切な指摘だと思うのです。どうですか。
○田中国務大臣 あなたは私に比べれば砂糖の問題に対しては大専門家でありますから、どうもしろうとがいじめられておるようでありますが、御承知のとおり総理も私も非常に積極的な態勢でまいっております。でありますから、特に便乗値上げというような問題があっては因るということで、先ほど申し上げたとおり、けさほども非常に強く総理の発言がございまして、関税率の引き下げは大蔵大臣何をしているのだ、こういうおしかりがありましたから、砂糖のことは農林大臣のほうを向いてやってくださいよ、こういうことさえ言ったくらい、お互い相当強い発言をしているくらい、この問題に対しては積極的であります。あなたの御発言に、どうも自民党が砂糖業者の圧力に屈してというようなニュアンスのお話が一部ありましたが、こんなことがあってはなりません。私はそういう問題に対してほんとうにまじめなつもりで考えておりますし、砂糖業者がそのように不当利潤を得ておるというようなことがあるならば、これはもう国税庁がおりますから、ぴしりと税金をとってしまう、こういうつもりでおりまして、税法どおりのことをやるのでありますから、そういうことに対して私は何ら手心を加えるような考え方はございませんし、そういう御発言のようなことがあってはならないというふうに考えておりますが、とにかく現実問題としてこのように国際糖価が上がっておる。しかもその上がっておる国際糖価が、ものが入らないうちに、どう考えても百三十円であろう、百三十円が限度だと思っているのが、もうすでに百四十円、百四十五円になる。またあなたの言では、百二十円であってもすでに十円のもうけがあるのだ、こういうことを言われますと、国民の前に、砂糖というものは日常生活の必需品でありますから、やはり内容を明らかにしなければならぬというので、きょうも農林大臣が、特に各社別に原料も十分検討し、一体各社は自由化に対処していままでの実績によってどの程度までの長期見通し、長期契約をしておるのか、その輸入の糖価が幾らなのかというようなことまで個別に調べて、少なくともいまの制度の中で砂糖業者が不当な利得をしたり便乗値上げをしないように万全の措置をとりますということを言明しておられるのでございますから、皆さんの御協力も得ながら万全を期してまいりたいというふうに考えます。関税の問題に対しては私のほうでも検討いたしますが、固定した考えではないということも申し上げておるのですから、最終的に関税率をまず引き下げようということにきまりましたらひとつ御協力を賜わりたい、このように考えております。
○芳賀委員 あわせて人工甘味の問題ですね。これは最近非常に消費量が増大しておるわけです。御承知のとおり人工甘味は輸入あるいは国内消費についても関税あるいは消費税は免除されておるわけですが、砂糖類だけには世界一高率の関税、消費税をかけて、人工甘味に対しては税制が何ら負担さしておらぬということは、こういう場合にはやはり問題になるのじゃないですか。特に大蔵省というのはそろばん勘定でいけば、たとえば消費税を下げてもこれは相当多額の税収減になるわけです。このような放置された人工甘味というものに対して、税制上今後どういうような態度で臨むか。できれば品目別の消費量とその事情等について明らかにしてもらいたい。これは政府委員からひとつ。
○中西説明員 最近のサッカリン、ズルチン、チクロ系の生産量でございますが、これは砂糖への換算率がむずかしいのですけれども、一応われわれの換算率でやりますと、サッカリンが千六百トンで砂糖の四十八万トンということになります。ズルチンが六百六十トンで六万六千トンの砂糖に該当いたします。チクロ系が六千トンで十八万トンの砂糖に該当します。合計しますと、砂糖換算で約七十三万トンぐらいと推定されます。
○芳賀委員 いま中西部長から説明がありましたが、砂糖に換算すると、こういう相当大きな数量になるわけですね。ですから、こういう点については、ここで即刻どうするということは、回転の早い大臣としてもすぐは見解が出てこないと思いますので、やはりこういう点は、砂糖関係の税制改正等の機会に事務当局においても十分検討を加えて、こういうのだけはどんどん進出して、そうして一方においては国内の甘味の生産も順調にいかないということになると非常に障害があるのですから、こういう人工甘味の流入の状態とかあるいは消費状態というものをやはり国民の前に明らかにして、こういう人工甘味についてはどういうような施策で臨むか、あるいは税制面については今後どうするというようなこともこの機会にあわせて検討すべきと思いますが、いかがですか。
○田中国務大臣 なかなかむずかしい問題でありまして、結論的には農林省、大蔵省で十分検討しながら結論を出してまいりたい、このように考えます。ただ化学工業製品でございますから、国内産である、外貨を使わぬ、こういう問題もあるでありましょう。しかし、あなたがいま吉われた国内の甘味資源対策の問題もありますし、これらの問題を十分検討しながらしかるべく結論を出したい、このように考えます。
○芳賀委員 最後に一点お伺いしますが、最近十万トン、上期の追加割り当てをされたですね。内容については新聞でわれわれも見た程度ですが、いま緊急に十万トンの追加割り当てをやるということはあまり意味がないと思うのです。考えようによっては、むしろこれが価格引き上げのような働きをするのじゃないかという、そういう批判をする向きもありますが、これはどう考えておりますか。
○田中国務大臣 十万トンの緊急輸入をしたいということを政府がきめましたのは、御承知のとおり、国際糖価も上がっておりますし、国際糖価が上がっておるという事実は、上がったものが入らないうちにもなお国内糖価は先高を見越して、先ほどもあなたが申されたとおり、岡内価格を上げておるというような問題もありますので、中には長いこと、来年の三月までとかいう見通しをつけて安い糖価で契約しておるものもあるでありましょうから、そういう面から見ましても、割り当てが少ないから上がるのだというような考えではなくて、必要なら自由化をすれば幾らでも入るというのが原則でありますから、その中間において十万トンの緊急輸入をはかろうということになったわけであります。こまかい割り当てその他につきましては、農林省からお答えするようにします。
○中西説明員 十万トンの追加、お話のとおりでございますが、われわれの見通しとしましては、最近アメリカあたりでも二十万トン、三十万トンというふうな追加の買い付けをやっております。それが国際糖価に響きましてポンド幾ら上がったというようなこともございますが、世界の市場にはなお若干の出回る余裕のある在庫はあるのではないかと思っております。そういうものを今買うかあるいはずっと将来になって買うかという問題があるかと思いますが、将来になりますとさらに国際糖価は上がるということも一応予想される。とすれば、現段階で十万トン程度追加の割り当てをしまして、将来もおもんぱかって現段階ではそれを輸入するということも国全体として考えれば不利益ではない、そういう買い方をしてもいいのではないかというふうに考えて追加割り当てが行なわれたものであります。
○芳賀委員 政府の行政のこまかい内容にまで立ち入る考えはないが、私の判断はむしろせっかくの配慮が逆効果的な作用もするのではないかということを、この際指摘だけしておきます。 最後に大蔵大臣に申し上げますが、先ほど申しましたとおり、いま農林委員会において甘味法案の審議が始まるわけですから、やはり税制措置や自由化の問題等についてもあるいは関税割り当て制とか緊急関税の採用等の問題についても、甘味政策の総合的な視野から全体的に検討を進める絶好の機会だと思うわけです。ただ分離して、この際一日を争うから関税だけ引き直しをやるとか消費だけをやるということでなくて、砂糖政策全体の中でしからば税制の面をどうするとか、国内の甘味生産対策をどうするかとか、こういう政府の総合的な立場からの間違いのない判断というものをとってもらわないと、せっかく国会で大事な法案を審議しているさなかに、きんちゃく切りみたいに、いきなり一部だけの措置が講ぜられたということになりますと、悔いを残すことになるので、この点だけは繰り返すようであれですが、担当の、大蔵大臣の所管内の問題については、特に細心の注意と慎重を期して進めていただきたいということを申すわけですが、この点はいかがでしょう。
○田中国務大臣 御説のとおり、全体的な砂糖対策を樹立をしなければならないということに対しては、熱意を持って対処してまいりたいと存じます。しかし、全部ができないといいこともやれないということでなく、いいことはひとつ、もう時を争う問題でもありますので、そのような事情も御了解賜わって、御審議にひとつ御協力を賜わりたいと思います。
○鴨田委員長代理 次会は来たる三十日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時四十八分散会 ————◇—————