大蔵委員会 第19号
- 発言数
- 151 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/03/14
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。 質疑を続けます。通告がありますので、順次これを許します。有馬輝武君。
○有馬(輝)委員 私は最初に総理にお伺いいたしたいと存じますることは、去る二月八日の本会議におきまして総理の答弁がございませんでしたので、その基本的な問題についてお伺いをいたしたいと存じます。 まず第一点は、各種調査会に対する政府の態度についてであります。内閣に設けられましたたくさんの委員会がありますが、その運営についても確かに問題があるのもあります。せっかく設けられました委員会が一年に一回くらいきわめて形式的に開かれるというようなところもありますが、税制調査会のようにきわめて真摯に努力を続けられておる委員会もあるわけであります。その回数の多い、少ないにかかわらず、政府は、そこで出されました答申なり結論なりについて、これを尊重するということが建前でなければいかぬと思うのでありまするけれども、昨日も本委員会におきまして中山税制調査会会長がはっきりと申しておりまするように、今度の答申に対しましてはこれが無視されておるということを率直に言っておられるのであります。私はまず最初に、総理の各種委員会に対する態度についてお伺いをいたしたいと存じます。
○池田国務大臣 政府の施策の万全を期するために各種の調査会、審議会を設けております。そういう意味におきまして、調査会、審議会の答申につきましては、できるだけその趣旨に沿うように努めますが、しかし、あくまで政府の責任において行政はなすべきでございますから、答申通りにいく場合も、いかない場合もございます。しかし、われわれはできるだけ多数の人の意見を聞くという意味において調査会を設けておるのであります。
○有馬(輝)委員 聞く場合も、聞かない場合もある、政府の責任だ、これは公式的なことなんです。少なくとも私どもが見ます限りにおきましては、税制調査会が出しました結論については、現存の一般の世論を代表しておると同時に、重税にあえいでおる国民の意思を率直にこれは訴えておると思うんです。それについて、あえて政策減税、こういう意味合いにおいて直接税の減税について、特に所得税の減税について御承知のような形に押えられた理由についてお伺いをいたしたいと存じます。
○池田国務大臣 税法減税とか政策減税とかいうことは、私は今年度になって初めて聞いた言葉でございます。減税とか増税ということは、そのこと自体が政策のものであるのであります。その政策をどういう点に具現するかという問題でございます。従来も、私は政策減税という意味はよくわかりませんが、世間で言われておる政策減税は、やはり減税政策の一環としてやっておるのであります。私は、今御審議願っておる税制改正が、日本の財政経済状況から考えて、最もいい案として、私の責任において御審議願っておるのであります。 税制調査会のあり方につきましては、私も従来からたびたび出ております。自分でその衝に当たったこともございます。また今度の税制調査会も内閣に設けられておりますので、私の責任においてその答申を受けたわけでございます。私は、いろいろ議論はありましょうが、私の結論が今最もいいものと確信しております。
○有馬(輝)委員 今の問題に関連いたしまして、お伺いをいたしたいと存じますが、所得税におきまして、課税最低限、これに対しての総理の率直な御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○池田国務大臣 課税最低限は、できるだけ引き上げた方がいいと思います。それは低所得者の軽減に役立つからでございます。所得税の減税の場合には、常に課税最低限の引き上げを第一に考えております。従いまして、古いことを申し上げてはあれでございますが、夫婦子供三人のときに、私が最初の大蔵大臣のときにやったのは、最低限八万円余りだったと思いますが、今回は四十三万八千円程度になりました。課税最低限はやはり所得税の減税の第一に考うべき問題だと思います。
○有馬(輝)委員 私がお伺いいたしたいと存じますことは、その課税最低限度に対して、今度の政府が出されました案が、はたして常識的に考えて妥当なものであるかどうかという観点からなのであります。この点についていま一度お聞かせ願いたい。
○池田国務大臣 先ほど申し上げましたように、妥当であると考えております。
○有馬(輝)委員 妥当だというようなお話でありますけれども、三十七年度の五月の家計調査に基づきますと、成年男子独身者で最低十四万二千八百七十九円、それから夫婦子供三人で四十二万六千百五十七円が必要だというような数字が出ておるわけであります。これは食料費だけであります。こういったぎりぎりのところまでかけなければならない。これがはたして妥当なのかどうか、いま一度御答弁いただきたい。
○池田国務大臣 国民全体の生活状況から考えまして、しかも所得税を納められない相当の家庭があるわけです。過半数であるのであります。そういうところを考えますと、社会保障制度の拡充もやらなければなりません、文教の振興もはからなければならぬ、社会資本も考えなければならぬ。政治全体といたしまして、私は過去十何年間の状況を見て、この程度で今回は適当だと考えたのであります。
○有馬(輝)委員 そこでお伺いをいたしたいと存じますが、総理は、今、政策減税なんていうような言葉は、ことしになって初めて聞いたというようなお話でありますけれども、大体政府が見積りました三十七年度の所得税の納税者が一千四百七十三万七千人と見込まれておったようでありますが、実質的には千七百万人ぐらいになっておる。三十八年度は千七百二十四万人、こういう工合に見込まれておりますけれども、実質的には二千万人にも及ぼうとしておるのであります。こういう状態の中で、総理は本会議におきますたしか成田委員の質問に答えられまして、所得がふえて納税者がふえることが望ましいのだというような答弁をしておられましたけれども、これはまるっきり逆じゃないかと思うのです。二千万人に及ぼうとする、しかもその納税者の状態というものは、今私が数字で申し上げましたようにぎりぎりのところ、食料費に食い込んでおるような状況の中で納税しなければならない、ここに問題があると思うのです。為政者が目をいたさなければならぬのはここじゃないかと思うのです、この点についてのお考えをいま一度伺いたいと思います。
○池田国務大臣 九千数百万の国民でございます。所得納税者ばかりを考えて政治はできません。所得税を納められない人も相当あるのでございますから、国全体として、また国民全体として考慮しなければならぬ問題でございます。私は、所得納税者の多いことがいいか、少ない方がいいかということについては財政学上議論があると思います。所得税を納める人が多いということは、それだけ経済が上昇しておるのであります。これは何ぼにしなければならぬという議論はない、所得税はなるべくたくさんの人に納めてもらいたいというのが一つの議論で、私はそれはいい議論だと思います。ただ負担が多くなってはいけないということは考えなければなりません。所得税を納める人が一部の人であるということは財政学上好ましい問題じゃない、税率は低いに越したことはございません。私はそういう考え方を持ってお答えしておるのであります。
○有馬(輝)委員 冗談じゃないと思うのです。少なくとも所得のあるところ必ず税を課するのだ、こういった考え方じゃなくて、租税負担は公平でなければいかぬ、これはもう租税の基本原則だと思うのです。 〔発言する者あり〕
○臼井委員長 静粛に願います。
○有馬(輝)委員 にもかかわらず、総理は政策減税というお言葉がきらいであるとするならば、そういったぎりぎりのところにある所得税を減税しないで、利子あるいは配当所得の減税をやる。この租税特別措置法は時限的なもので、少なくともある一定時間を経過したならば廃止する方向へ持っていく、これが原則でなければいかぬと思うのです。にもかかわらず、逆にことし利子なり配当所得について、その減税のわずかな規模の中であえてやらなければならなかった理由についてお聞かせをいただきたいと思うのであります。
○池田国務大臣 利子配当保税の減税につきまして非常に御不満のようでございますが、大体国の経済を相当強力に伸ばしていこうというときには、利子配当課税というものは期間は少ないのがいい、それは歴史が証明いたします。日本の経済が伸びていった明治、大正の初年、昭和十一年までだったと思いますが、利子課税というものは第二種所得として五%の均等課税であったのでありますが、それを昭和十年の馬場財政のときに税制の臨戦体制というのでこれを相当強くいたしました。しこうして、私が国税課長のときは源泉徴収をした場合においては五〇%以上の利子所得の所得税を課税した、そういうのがいいのかどうかということは私の経験から考えて参りまして、日本がこれから急に伸びなければならぬときには利子配当課税というものはできるだけ少なくした方がいいという考え方でございます。私はこれで今まで財政をあずかってきたのであります。非常にとった場合があります。今言ったように利子所得の半分以上源泉課税でとっちゃう、こういう税制というものは、私自身やって大いに、反省しているところであります。利子というものは——社会や経済の発展に預金というものは非常に必要なんです。だから私はこの際ある程度軽減することがいいと思ってやったのであります。 見てごらんなさい。今三十万円とか五十万円とかいっておりますが、金持ちはどういう預け方をしておりますか。課税最低限が三十万円といったときには、新橋一郎から二郎、三郎、あるいは五十五郎、百郎くらいまでやって預けたのです。その証拠を私は自分で体験いたしております。 戦後において財産税を徴収する場合に預金を調べました。初めは三千円以下の人は減税するという規定を置いたのです。銀行を調べてみましたところ、三千円というので一人七十何口という預金がありました。それだから私は財産税のときに、三千円というのを三千円未満として、三千円の分には課税することにしたのであります。 そこで現状から申しますと、五十万円というと、貯蓄組合に入って各銀行に偽名で、そうして各種に預けておる。こういう現状はいいのでしょうか。金持ちはそういうことをやっている。だからこれを改めなければいけません。従いまして、この機会にほんとうに五十万円以下の零細なものは軽減いたします。そのかわりその分は一人でなければならぬ。こういうふうに制度を改め、そうして金持ちに課税して預金の分散をやめよう。結局政府はどうするかというと、預金通帳をたくさんにして印紙税をとるだけです。こういうことはよくないのです。それを僕は改める、そうしてその場合に税の軽減を、一〇%を五%にして貯蓄を奨励しようとしておるのであります。 見てごらんなさい。預金に対する源泉徴収の税金は従来以上に上がってくると思います。これがほんとうの税でございます。それを格好だけでうやむやにしていくということは正義感が許さない。 それから配当所得を軽減いたしました。一〇%の、源泉徴収をやる。初めは二〇%でした。これはシャウプ以来やっておりますが、この一〇%、二〇%を源泉でとってどうするのでしょう。今ごろのように株式が大衆化しておるときに、初めに一〇%とって、そうして総合所得税を納める人は、納める税金からとられた一〇%を引くのでございます。これでは何にもならぬことなんです。同じことなんだ。しかるに総合所得税を納めない農民や大衆の方々の株式配当に対して一〇%とって、申請したならば戻しましょうという、こういうことはひどいことじゃございますまいか。一般の大衆は一〇%とられっぱなしでございますよ。総合所得税を納めないと……。こういうことを置いておいていいのでしょうか。申請をなされば返しますが、とって払うものならば、この際一〇%よりも五%にしておいた方が大衆のためにいい。金持は一つも得しませんよ。今度の税制でもしていないですよ。私は本会議などで言っておりますが、金持ちを優遇しようなどとは毛頭思っておりません。ただ言われるかもわかりませんが、投資信託の場合につきましては無記名でございますから、これはやむを得ません。これは今後徴税機関がどういうような方法で徴税の確保をするか。今度の利子配当に対する課税の措置は後世の人が批判するでしょう。私は後世を待たずに、今これが一番いいと考えておる次第でございます。
○有馬(輝)委員 私に割り当てられた時間があまりありませんので、ぜひもう一回総理に来ていただいてやらなければならない問題でありますが、今えらい自信を持って言われましたけれども、問題は先ほど私が申し上げましたように、純減税に対する国民の期待というものは非常に大きいわけです。にもかかわらず、一方、今総理がいばって言われるところの租税特別措置による恩典、これは二千億以上になっておることは御承知の通りであります。問題は、そういった不均衡をならしていくというところに主眼が置かれなければいかぬと思うのです。こういったものを温存しながら、一方では所得税の減税なんてスズメの涙ほどしかやらない。この考え方について自信がおありなら、国民に向かっておっしゃっていただきたい。
○池田国務大臣 国民は議会を通じてよく存じておられると思います。私は今まで政策のうちで減税は一番大事なものだ、こう考えまして、各国のそれに負けないようにやっておるのであります。日本が一番減税しておりましょう。これは軍備がないからです。私は二十四年に大蔵大臣を拝命いたしまして、そうして非常なデフレ政策をとりました。そして二十五年に私がアメリカに初めて行ったときには、減税をしてもらいたいために行ったわけなのです。減税してほしい——減税よりほかに経済進歩はありません。一番の手段です。ケネディ大統領も、景気政策として思い切った減税をやりますが、ほんとうに減税というものは景気を引き上げるために非常に役立ったことなんです。私はだれよりも減税主張論者でございますが、しかしそれにも時と程度と場合がある、この点を私は考えまして、今回の税制改正案を出したのであります。もちろん所得税は普遍的に取るべきものである。しかしできるだけ下の方は軽くする、この原則は私もよく知っております。しかし減税するのがいいからといって、百万以下のものはみな納税しなくてもいいようにして、それで収入はどうなりますか。そればっかりでも——大多数の所得税を納めない人、ことにカード階級以下の人の社会保障制度の拡充をしたり、将来の日本の国づくりのために文教政策をやったり、そして今困っている社会資本の充実を期することが大事ではありますまいか。インテリの方々が所得税を納める人が多い、そこでいろいろ議論がありますけれども、声なき声を聞き——社会保障制度が一番今大事ではございますまいか。だから私はせぬというのではありません。しかも、これから議論が出てくるかもわかりませんが、物価が上がったから減税するのだ、消費者物価が上がったのに減税しないから増税だということは、世界の財政、租税専門家のうちには通らないことではございますまいか。今まで減税したのは物価が上がったからというのではない。減税というのは政策の根本、物価や何かの問題ではございません。それは枝葉でございます。経済の進歩ということが一番大事であります。
○有馬(輝)委員 物価の問題をとんでもないところに出されて、かえって私は変ちくりんだと思うのです。物価の問題を取り上げておっしゃるならば、少なくとも物価が安定していることと、国民の所得が平均して上がることが前提にならなければ、総理の一枚看板の所得倍増計画というものが、最初から問題にならないことははっきりしておる。ところが物価は上がる、所得の格差は開いていく。そういうことで、政府自体であなたの一枚看板である所得倍増計画を修正しなければならなくなっておるじゃありませんか。物価の問題は別なところで出さないで下さいよ。 次に、私はお尋ねしたいと存じますことは、シャウプ勧告による税制勧告というものは、やはり地方自治体の自主的な発展、運営というものを期待してなされたと思うのです。ところがその勧告当時の模様と今とではぐっと変貌をしてきておる。これはもうはっきりいたしております。そういった意味で、具体的に地方自治の自主的な運営をはかるために、国税、地方税の体系について再検討する用意がおありかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
○池田国務大臣 シャウプ博士は地方の自治確立のために税制を打ち立てられましたが、しかし、いかんせん日本の経済が、シャウプ博士の言うように非常に実体が強いものでなく、また伸び方も当時は十分でなかったがために、地方財政は非常に困窮しておりました。しかし最近におきましては、十分じゃございませんが、よほどよくなって参りました。しこうして今後中央と地方の税制をどうするかということは、非常に大きい問題でございます。やはり税制調査会等におきましても十分検討されると思います。ただ、私は遺憾な点は、ほんとうに献身的に中央地方を考えるということでなしに、中央は中央、地方は地方と言うて、どうもばらばらになり過ぎる傾向があるのであります。だから私は、今度税制調査会におきましては、税源の配分をどうするか、徴収方法をどうするかということを根本的に一つ考えてもらいたいと思っております。私としては考えはございますけれども、今ここで申し上げる段階には至っておりません。
○有馬(輝)委員 勉強だけはさしておいて、私には考えがあるというようなことで押しつけないように、きのうの中山会長の言葉を総理はしっかり胸に畳み入んでおいていただきたいと思います。 私、二十五分割り当てられておりまして、時間が参りましたので、いずれまた機会をあらためてお伺いをいたしたいと思います。
○臼井委員長 堀昌雄君。
○堀委員 私は少し問題をしぼってお伺いをいたします。 今お話が出ておりましたけれども、今回、税制調査会が一〇%の利子分離課税を答申されておりましたにかかわらず、五%にこれを下げられました直接の理由——全体の理由は先ほど伺いましたが、直接の理由を一つお伺いをいたしたい。
○池田国務大臣 先ほど申し上げたのが全体であり、直接の理由でございます。
○堀委員 非常に抽象的でして、一体この利子の課税を五%に減らすことによって直接に起きてくるとお考えになることですね、たとえばこれは貯蓄の増強に対してプラスになるとか、そういう面で一つお答えをいただきたいと思います。
○池田国務大臣 利子課税を軽減した場合にどれだけ貯蓄の増強になるかということは、いろいろ議論があるところでございます。しかし、全般的に言って、利子課税が少ない方が預貯金者は好むのであります。これは人情でございます。それだけです。どれだけふえるとかなんとかという問題じゃございません。
○堀委員 それでは、少し具体的な問題に入りますので、ちょっと確認をさしていただきますが、総理は政府の統計を大体御信用になりますか。
○池田国務大臣 政府の統計は信用いたします。
○堀委員 ちょっと主税局長に伺いますが、税制調査会が昭和三十七年の十二月に、昭和三十八年度の税制改正に関する臨時答申及びその審議の内容と経過の説明という資料を出しておられます。この中における各種の統計資料は、私は政府が提出をした資料だと理解をいたしますが、さよう心得ていいでしょうか。
○村山政府委員 おおむね、税制調査会の要望によりまして大蔵省ないし自治省において作成したものでございます。
○堀委員 ちょっと技術的な問題に入りますから、総理にも一つこの税制調査会資料をお渡し願って、論議をさしていただきますので、お願いをいたします。この付属資料の二十二ページの第十表について申し上げますから……。 要するに、これまでいろいろ大蔵大臣等からもお話がございましたけれども、日本の当面する情勢としては貯蓄が増加することが望ましい。それは私もそう思います。しかし、一体貯蓄が増強するあり方というものは、今総理がおっしゃったように、利子課税が一〇%から五%になったからそれでふえるという要素の方が多いのか、可処分所得のふえ方が多くふえた方が貯蓄がふえるのか、こういう点を考えておりましたところ、今第十表にございますような資料がございまして、これで見てみますと、一番上が個人可処分所得の増加の状態、次が個人分総領金の状態でありますが、その相関係数は〇・九七六四ときわめて高い。答申別冊といううしろの方の二十二ページでございます。図がございますね。そこで個人可処分所得の増加と個人分総預金の増加が相関係数として〇・九七六四ということは一ほぼ並行しておる、こういうふうに理解していいと思うのでありますが、そこで一番総貯蓄の増加に関係のあるのは、やはり個人可処分所得の増加ということに問題があるのではないか、私はかように考えて、おりますが、総理いかがでございますか。
○池田国務大臣 貯蓄増加の原因はいろいろございます。もちろん可処分所得の増加もあるでしょう。金利の引き下げもあるでしょう。あるいは経済の安定、物価の安定もあるでしょう。いろいろな点から総合的に考えなければなりません。
○堀委員 もちろんそれは総合的でございましょうが、この数字が示すものは、やはり可処分所得の増加ということが個人分総預金に非常に重要な影響がある、これはもう税制調査会の答申がなくてもわれわれの了解できるところであります。 そこで、もう一つの問題は、次のページに出て参るわけでありますけれども、この前私は予算委員会で一般質問のときに政府の統一の資料で拝見をいたしますと、大体現在郵便貯金五十万円、当分の間経過措置がございますから、少額免税を二口慰められることになるわけでございますが、要するに百五十万円までの預貯金を持っております層は、政府の資料では大体所得階層で二百万円以上の層であるということが明らかでございます。そこで、これを宮沢企画庁長官に伺いましたところが、納税者の中の大体二%ぐらいだ、こういうふうなお話でございました。大体納税者の二%と申しますと、世帯数納税人口で申しますと、三十四、五万人ということになるわけでございます。ですから、現在までの制度が十分に活用されておりますならば、今回の利子課税の減免に浴する階層は二百万円超の階層、三十四、五万人内外ではないか、こういうふうに今企画庁の方ではお答えになったわけでありますが、その問題について、今度の利子課税というものは高額所得者にきわめて有利な措置である、こう私どもは判断をいたしておりますけれども、総理は一体いかようにお考えになりましょうか。
○池田国務大臣 高額所得者にも有利であるし、またそれだけ預けていない人でもみな有利になります。そういう人がたくさん貯蓄する場合には、また有利になるのであります。
○堀委員 百五十万円までの人は少額免税の恩典に浴するわけでありますから、現実には今度の一〇%が五%になる関係では恩典を必要としないのではないでございましょうか。いかがでございましょうか。
○池田国務大臣 五十万円預けまして五分の利子として二万五千円。二千五百円とられたのが千二百五十円でいいのですから、これは恩典になるでしょう。十万円の人でもそうなるわけです。しかし、そういう人がいずれにいたしましても無記名の分に入って、非常に今までの弊害がありますから、それをためて、そして一般に安くしよう、こういうことなのでございます。
○堀委員 ちょっと問題がはっきりしていないと思いますが、御承知のように少額免税の制度をおとりになっております。これまでは国民貯蓄組合がございました。そこで、地域の組合あるいは職域の組合等で、五十万円まではこれまで二口まで無税が認められておりました。郵便貯金も五十万円まで無税でございます。そういたしますと、百五十万円までの貯蓄を持っておる人は、少なくともこれまででも、今後二年間といえども実は無税でございますから、今あなたのおっしゃったような、五十万円預けて、それが五分の利子で二万五千円、それに対しては税金がかからないはずでございます、百五十万円までの貯蓄を持っておる層は。 その層というのは、政府の統計によれば二百万円をこえて初めて百五十万円をこえる、こういうことになっておるのでありますから、だから百五十万円以下の人はこれまでもこれからも制度の上では免税でございますから、一〇%を五%にする恩恵に浴する必要はないわけでございますが、そこはいかがでしょう。
○池田国務大臣 御質問の点わかりました。そうです。所得の多い人が一体に貯蓄が多い。今度の減税によって所得の多い人はそれだけ減税になります。しかし今度の考え方は、今までのようなやり方を改めて、何百万円でも預けているような人の分は厳重に取り締まる、その場合に片一方を下げるということでございます。 それから、配当の方も先ほど申し上げましたように、配当は、農民やあるいは所得税が非常に少ない人も相当持っておられる配当の方も下げなければならぬ、こういうことで均衡をとってやっておるわけでございます。
○堀委員 今、均衡をとるとおっしゃいましたけれども、それはどっちが先だったのですか。配当の方を下げることが先で、そのために利子が五%になったのでございますか。
○池田国務大臣 両方でございます。従来から一〇%ずつになっております。
○堀委員 私は配当のことはあとで伺うといたしまして、今申し上げたように、二重免税の制度をおとりになったことはなるほど非常にいいと私は思います。これは実は率直もこの委員会で何回かにわたって、国民貯蓄組合の乱れておったのだということを今日ここでおっしゃいますけれども、実はそれならば、何年も前からこのことがわかっておったのでありますから、もっとすみやかにやっておらねばならなかったことだと私は思うのであります。ですから、その点については、実は今度の税収の見積もりの中で、私も驚いておりますのは八十九億の減収が初年度で立っておりますけれども、その中で六十一億は少額免税で増収になる、そうして二十八億だけが現実の減収として立つのだ、こういうふうに平年度で出ているわけであります。そうしますと、これから二年間は二口を認めるという経過措置があるわけでありますから、国民貯蓄組合の取り扱い上については、これまでも二口を認め、今度も法律で二口を認めた。ただシビアになったことによって六十一億現在ここへ出てきたということは、これだけはまさに国民貯蓄組合の乱用分であったと私は考えますが、いかがでありましょうか。
○池田国務大臣 私はその数字を見ておりませんが、九州という事実はございましたから、先ほど申し上げましたように、今度は収入の方においては相当増収を見込まれるだろう、こう答えたわけであります。何十億ということはありません。ただ、その問題で、初年度と平年度の分は株式の方と一緒にしてはおりませんか。頭金だけですか。それならばその通りであります。
○堀委員 今のは預金だけでございます。預金で実は二十八億の減収が立つというのでありますが、実は、今度の一〇%が五%になるために八十九億の減収が立つわけです。そこで小額免税の制度によりまして増収になる分を六十一億見ましたから、差額の二十八億が現実の減収になる、こういうことでありますけれども、六十一億の増収が立つということは、国民貯蓄組合の乱用があったことであって、利子課税の問題で結果としてこの点は相殺をされますけれども、今度の実際の減税というのは、利子の分については八十九億新たに行なわれたのだ、こういうふうに理解をいたします。その点は今総理がお認めになった通りであります。 そこで問題は、実は一〇%を五%にするという問題以上に、昨日も税制調査会の中山会長のお話もありましたが、税制調査会としては分離課税が適当なのかどうかという問題を非常に重要視をしておいでになるようであります。そこで、これまでもしばしば論議がありましたけれども、今回はとりあえず、現在の情勢であるから、貯蓄の必要を認めて一〇%分離課税を存続したのだ、だからそれは非常に積極的な意義が実はあったのだ、こういうふうなお話があったわけであります。さっきの二百万円超の所得者の分離課税の問題でございますけれども、私が実際に調べたところで具体的に申し上げますと、ここにかりに六百万円を少しこえる所得の方があったといたします。日銀の資料で見ますと、大体二千万円くらいの大口の定期預金がかなりあるわけでありますけれども、この人が一応三千万円を一年の定期といたしまして、これが五分五厘でございますから、年の利子が百十万円。そういたしますと、六百万円超の上積み税率は五〇%でありますから、税額としては、これが総合課税なら五十五万円かからなければならないということなんですね。ところが五十五万円払うべきが、これまでの分離保税が一〇%であるために十一万円で済んでおったわけです。すなわち四十四万円が分離課税ということの名によってこの人たちは税金を払わなかった。その十一万円を今度、五万五千円になすったわけでありますから、私は一〇%が五%になったというこの五万五千円に大きな問題があるのではなくて、一体こういう預金利子というような働かずして入ってくる収入が、これが五万五千円ですから、約五十万円今回の取り扱いで減税をされることになる。ここに私は何と申しましても高額所得者が非常に有利な条件があるということを感じなければならないと思うのであります。ですから私どもは今度の問題については、少額免税によって潤う人たちは、これは非常にけっこうだと思うのです。貯蓄の増強にも非常に役立つと思います。しかし高額のその今の二百万円超の人たちの預金というものは一体全体の預金額のどれだけを占めておるかといいましたところが、私が調べた範囲でございますと、二百万円超、大体の感じでは全体の二、三〇%以内に落ちついておるのじゃないか、大体七〇%なり八〇%というのはその以外の大衆の預金に依存をしておる。こうなりますと、まさに今回の利子課税の分離五%ということは、これは高額所得者に対して非常に大きな減税になります。この点はいかがお考えになりますか。
○池田国務大臣 それは分離課税の是非の議論でございます。だから今回の措置よりもっとさかのぼった議論でございます。そこで私が申し上げましたごとく、従来総合の建前をとってやるときには、いわゆる無記名預金と申しますか五〇%程度源泉で取った場合もある。私はそういう法案を立案した男なんです。しかしそれがいいか悪いかという問題で、最近におきましては分離課税を原則として当分日本の経済の底固めをしよう、こういう考えです、それの底固めの分離課税がいいか悪いかということになると問題でございますが、私はただいまのところ分離課税やむを得ぬという気持を持っております。
○堀委員 今のお話の様子から拝見をいたしますと、総理も必ずしも分離課税が公平であるとはお考えでないようで、現状やむを得ず、こういうふうに私は理解をいたしますが、そういたしますと、この問題は常に心眼立法的に——今回も時限立法でごさいますが、今後といえども、配当は総合課税ですが、利子の分離課税の問題はこれが本式の制度としては採用はなさらない、こういうふうに私は理解をいたしたい。時限立法的にその必要のある期間やりたい、こういうふうに理解をいたしたい思いますが、いかがでございましょうか。
○池田国務大臣 これはもう所得税の議論からいったら全部を総合課税すべきものです。ただ問題は、利子と配当と、それでキャピタル・ゲインの問題があるわけです。キャピタル・ゲインを分離課税にするということは大体今の思想でございます。貯蓄の預金の方の分離課税というものは必ずしも全世界に行なわれておる問題じゃございません。理論的な原則は総合でございます。そこで、いわゆる配当につきましては分離課税という議論がございました。相当強かったようでございますが、私は配当は分離課税すべきものでない。しかも、私は、昭和三十二年の税制改正のときでしたか、配当につきまして、配偶者の配当は世帯主と分離課税しておりましたが、これは配当の性質からいって総合課税すベきものであるというので、シャウプ勧告をくつがえしましてやったのであります。あくまで所得税というものは総合が原則、しかし経済界の事情その他によって分離とかあるいは特別の措置を応ずることはございます、大体税制というものは非常に理屈が立っております。また立たすべきなのです。しかし、今回のアメリカの税制改正でも理屈に合ったところもありますが、日本のように法人と個人との関係なんというのはまた逆戻りなんかしておりますから、原則はありますけれども、原則通りにはなかなかいかぬものでございます。
○堀委員 私は、今日、総理が配当課税については分離すべきでないということをこの席でお話しいただいたことは、租税公平の原則として非常に重要な問題だと思いまして、そのように了承いたします。ただ昨日、小池証券業協会の会長と、宇佐美全銀協の会長をお招きいたしまして御意見を伺いましたら、小池さんの方から、大体銀行の利子は分離課税、そうして配当は総合課税で非常に不公平である、特に日本で資本の充実をはかっておるのに片手落ちではないかと言わんばかりの御意見がございました。私は、租税公平の原則ということが必要であるならば、所得税と今の特別措置等の問題の中にもございますけれども、証券と利子の問題の中にそういう問題が出てくるとするならば、この公平の原則はやはり所得税総合の方に立って考えるのが正しいのではないか。そうすると、今、総理もここで所得税は総合が建前であるというお話でございましたから、方向としても利子の分離課税をやめるのが公平への道ではないか。時間の問題は別として方向としてはそう考えますが、総理はいかがでございますか。
○池田国務大臣 私が大蔵大臣になるまでの二十数年間の租税生活の中では、あなたのおっしゃる通り、その通り実現したのですが、それで五〇%前後の源泉に持っていく。しかし税というものはやはり経済と一緒に歩かなければならぬ。理論ばかりではいけません。そこで当分の間は私は分離課税やむを得ぬと考えております。
○堀委員 私時間がございませんので、もう一つだけちょっと租税に直接関係がないのですが、予算委員会でやりまして非常に重要な問題ですから、総理に一点だけお伺いしたいことがございます。 それは実はたばこの小売人に対して専売公社が支払います手数料が、昨年の五月二十日ごろでございますか、十二万円までの月売りの人は九分、百五十万円までの人は八分、二百五十万円までは七分、それから二百五十万円超の方は六分、こういうふうな決定がなされておりました。ところが、今回また予算の積算の基礎としてこれが変えられまして、十二万円までの方は九分二厘になりましたけれども、それ以上の人たちは全部八分にまた引き戻すということが行なわれそうでございます。その結果として、専売公社が負担をします手数料増加は九億四百万円でございまして、その内訳をつぶさに調べてみますと、実は二百五十万円超というたばこの小売人は全体として三百一十四店舗しかございません。さらにその中で一番この問題に関係のある五百万円超という人たちが今度の九億四百万円の専売公社の出す手数料のうちの四億一千二百万円をわずか百三十七の業者が持っていくという改正になっておる そこで全体の十七万六千人のたばこ小売人に対して政府は九億四千万円を一つ手数料の増加分としてあげましょう、こうして出しておきながら、その半ばの四億一千二百万円というのがわずか百三十七の大口業者——これは大体大口業者というのは鉄道弘済会や百貨店等もございますけれども、しかしもう一つ問題がございますのは、それ以外のはパチンコ屋、料飲店に実は卸売のようなことをしていて、ここでは最近しばしば値引きによるたばこ専売法違反の問題が起きておるわけです。そこで私は過般の予算委員会で、これは私どもの党として、よく高額所得者を優遇し過ぎるという論議をするわけでありますが、最も明らかな高額所得優遇の姿じゃないか、こう考えまして、論議をさせていただきました。そこで予算案では九億四百万円ふえることになっておりますけれども、しかしこれの実行については、その総ワクが動かなければ差しつかえないと思いますので、あなたはいつも、自分たちは決して高額所得者のためだけにものは考えていないということをかねがね承っておりますから、一つこの際五百万円超の分については、これまでの六分の利益を据え置いて、そうしてそれによって出てくる四億一千二百万円を、それ以外の十七万六千人の零細なるたばこ小売人の皆さんを含めて、この人たちの手数料がふえるように一つ配慮をしていただきたい、こういうふうに考えますが、総理大臣いかがでございましょうか。
○池田国務大臣 私はあまり詳しく存じません。しかし今ここに見せられた表を見ますと、三十六年度は大体下が八・五%で、十二万円から百五十万円のものも、百五十万円をこえるものも、二百五十万円をこえるものもみんな八%のようであります。三十七年度に下を九%にして八、七、六とこう下げておる。それを三十八年度から下をまた上げて九・二%で、そして上をずっと八にならしておる。もとに戻したということになるのじゃございますまいか。それから直接大蔵大臣からも今まで説明を聞いておりませんが、大体下げ過ぎたのをもとに戻したのだ、こういうことじゃございますまいか。あるいはまた販売技術上、やはりたくさん売る人にどんどん売ってくれ、あるいはこういうのは商売でいくものですから、必ずしも理屈ばかりじゃいかぬと思います。専売局としてはたくさん売れればいいのですから、これは負担のあれというのじゃなしに、営業方針として考えるべきじゃございますまいか。その方がよく売れるということならいいでしょう。しかし上の方に特別によくしたわけじゃない、八%ですから。私はこれは営業技術上の問題で、負担の問題じゃないと思います。
○堀委員 私は直接お売りになる人たちについては論議をしておらないわけです。ところが五百万円超の百三十七軒、というのは、卸先業を営んでおるものが百一軒あると専売公社は申しております。これがほとんど全部旅館やパチンコ屋その他に卸売をしておる。そして最近の値引きの実情は、四分引いたり五分引いたりしておるのが幾らも出てきておるわけです。だからこの人たちは実は六分の中であっても、四分も五分も引いて何億という不当利得を得ておるのです。一般のたばこ小売人は、自分たちが値引きして売ったら、さっそく専売公社は停止させる。しかしこういう大口の人たちがやる場合には黙って見ておる。こういう非常に税務上の問題もありますが、時間がありませんからきょうは申し上げませんけれども、税務署は所得税の差し引きで、その値引きの実情を認めておりながら、たばこ専売法違反の事実を認めておりながら、専売公社に連絡もしていなかったという事実があるのです。あまりにひどいものですから、私は前回予算委員会で論議しておりますが、この点については総理はつまびらかになさっていないようでございますので ——党の方針はおきめになっておるようでありますけれども、これは全国十七万六千人の一般たばこ小売人の販売意欲に影響することでありますから、十分一つ慎重に御検討いただきたいということを申し添えまして、私の質疑を終わります。
○臼井委員長 佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 池田総理大臣にお伺いいたしますが、実は大蔵委員会というのは、きょうも高橋等さんから言われたのですが、総理大臣に税金の問題でこういうところに出席させるものではないと言われましたが、外国では予算委員会と同じ歳出委員会があって、歳入委員会があると思うのです。ところが、私大蔵委員を長くやっておりますが、どうも大蔵委員会というものは非常に無視されて、大臣も来ないし、局長級くらいで、お茶を濁すのでございますが、実際は税金をとるということは、池田さんはずっとその筋を通ってこられた方でありますが、私はもっと歳入委員会、歳出委員会があるような形にした方が将来のためにいいと思うのですが、池田総理はそういうことをお考えになったことがありますか。またそういうことを実行される御意志があるかどうか、まず伺いたいと思います。
○池田国務大臣 これは歳入委員会というものは、御承知知の通り歳出と相待って非常に大事なことなんです。昔から日本の国会は、旧憲法時代から予算委員会というものが万能で、そちらの方にみな引っぱられてしまうものですから、大蔵委員会の方はそれだけ手薄と申しますか、そしてまた歳入問題も予算委員会でやってしまうものですから、こちらではほんの税のテクニックというような問題が議論されるのが今までのならわしであった。従いまして、私は大蔵委員会に——総理大臣になってからもあまり出ませんし、大蔵大臣時代から実はあまり出ていないのが今までの実情であったのでございます。しかし大事な問題でございます。従いまして、閣議におきましても、三十八年度におきましては、特に税についての閣議を開くというので、三十六年、三十七年とは迎えて、租税の審議は別の閣議を開いてやるくらいにことしは熱心にやったわけでございます。
○佐藤(觀)委員 予算をとる場合に歳入歳出というものがはっきりしておるわけですが、自然増収というのがこの数年間ずっとありまして、きのうも実は中山さんから、答申をしたときは大体自然増収が三千億だった。しかし実際のところは三千百億以上の増収があった。そういう点で減税をしなかったという説明をされておりましたが、一方においては税金を納められないで差し押えを食う。私たち郷里に帰りまても、一番多い問題は税金問題でありますが、これは非常に片手落ちではないか、私どもは政府は取り過ぎると言っているのですが、実は三千百億あたりの自然増収があって、一方においては差し押えを食らような苛斂誅求があるのですが、こういう形は不自然ではないかと思うのですが、総理はどういうようにお考えになっておられますか、これも伺っておきたいと思います。
○池田国務大臣 それは徴収上の問題と賦課の問題と違うのでございます。租税の賦課が非常に無理であればこれは苛斂誅求でございます。しかし賦課が適当であったのを滞納ということになれば、これはその滞納をとることは苛斂誅求ではない、当然の行政措置ではございますまいか。自然増収がどうこうといっておりますが、今まで引火は私が九%の成長だ、こう言っておりますと、名目では十七、八%くらいいくのですから、とてもそれは見通しが誤まりだといっても、自由主義経済のところでは、私が九%の見積もりをやった、そうしてやったところが一五、六%、一七%も名目でいっておる。これは出てくるのが当然なんですしこれは少しくらいは赤字が出るような見方をしたらどうか、外国では多いわけですが、日本の大蔵省というものは伝統的に石橋をたたいて渡るというか、渡れぬことはない、渡れるのですが、そういう点があると思います。しかし今回は相当見込んでおりましょう。私は今も見て参りましたが、三月になっての祖税収入は前年のきょう現在と五十億くらい減っております。今まで月によっては前年度より五十億か七十億か多かったのですが、今月は前年よりくまでのところ、ちょっと減っているようであります。ですから昭和三十八年度の収入は、私は大体そう自然増収はないようになるのではないかと思います。
○佐藤(觀)委員 それから減税々々といわれますが、今度はなかなかあなた方のおっしゃるように減税になっていないということは、中山さん自身も認められておるわけです。 そこで先ほども総理が申されたように、税金を納め足りない人もずいぶんたくさんありますけれども、間接税として油やたばこの税金が、この数年来ちっとも下がっていない。こういう間接税の問題については、総理はどういうようにお考えになっておられますか。一方においては税金を納められない人たちもありますけれども、そういう人たちはたばこや酒において莫大な税金を納めているように考えておるのですが、そういう点の、間接税の問題については総理はどういうようにお考えになっておられますか。
○池田国務大臣 間接税と直接税との割合は、大体日本はいいところではございますまいか。やはり直接税の方が過半になっておりますから。ただ外国に比べて直接税と間接税とどっちが高いかということになれば、私はやはり間接税の方が高い、所得税は特に高いと思います。間接税も高うございますが、高い割合は所得税の方でございましょう。しかし税金を軽くするのに、大衆にどれが一番いいかということになれば、やはり間接税に主力を置かなければなりますまい。従って、おととしは直接税、昨年は間接税、こうやってきて、大体つり合いがとれているのではございますまいか。たばこの消費税につきましても、前の大臣がいろいろお約束したとかなんとかいうことでございますが、約束するしないにかかわらず、財政状況を見ながらできるだけ間接税も適当な時期に適当な額を下げるべきだと思います。
○佐藤(觀)委員 専門家だからいろいろ御存じでございますが、ただきのうも参考人から言われましたが、政府は減税をすると言いながら、なかなか減税について大衆までいかない。デパートに行っても、ほとんど減税分だけまけてくれなかったという、いろいろ非難がありましたが、私は現在の物価高、これはあなたが統計でいろいろ言われますけれども、実際には減税以上に物価が非常に上がっていると思うのです。そういう点で、所得倍増というかけ声だけで実際は物価値上げのムードがずっとできて非常に生活に困っているような面が出てきたと思うのですが、池田さん自身も所得倍増に関連して物価が出てくるというような予測をされておったのかどうか、これも関連して伺っておきたいと思います。
○池田国務大臣 所得倍増によりまして卸売物価は、生産性の向上がございますから上がりません。しかし、小売物価もそう上がりませんが、生産性の向上のない農民あるいは中小企業それからそれに携わっておられる方々のあれ、そしてまた自由職業、洗たく屋にしても、散髪屋にしても、生産性の向上というものはそう期待できない、こういうことから、消費者物価というものはかなり上がってくる。これは期待しなければなりません。最近の状況でも、総生産のあまり上がらないアメリカ、イギリス、ドイツはちょっと今中だるみ、これは卸売物価も上がっておりませんが、消費者物価があまり上がっておりません。ヨーロッパで一番経済の進歩の多いフランス、イタリア、これはGNPがフランスは六%、イタリアは去年八%くらい上がっております。こういう六%、八%のGNPの増加のところは卸売物価よりも小売物価、消費打物価はかなり上がっております。一九六二年にはフランスもイタリアも前年に比べまして五%ないし六%、日本と大体同じ程度に消費者物価が上がってきております。この状況を見ますと、一九六二年は名目賃金ではフランスは一一%、イタリアは一五%、日本より上回るくらい昨年はイタリアの方が上がりましたこれはやはり労働不足という関係があるのでございます。だから貸金が上がるところ、消費者物価は当然上がっている、これはもう経済学の原理でございます。私は急速な生産性の上昇のときには今言ったような関係でサービス料がずっと上がってきます、消費者物価は上がるべき筋合のものだと考えております。
○佐藤(觀)委員 物価の上がっているムードというのは、総理が考えておられるようなことでなく、なかなか全般的には生活がしにくくなっているような傾向があるわけで、きのうも参考人の方からいろいろお話を伺ったわけですが、総理が考えている以上に国民は非常に困っておるような情勢があると思うのです。そこで、今の経済状態の中でいろいろ物価が上がってくる、しかし減税もかけ声だけだというようなことで、国民は非常に不安定な感じをしております。一昨年の総選挙のときに、所得倍増というなかなかいい文句で自民党のうまいビジョンで国民をうまく引っぱられたわけでありますけれども、実際にはやはり私は総理が言われたようにそんなにスムーズにいっていないように感ずるのでありますが、総理は今までの経過から見て、これでよかったというようにお考えになっておるのか、少しは反省された点がありますか、お伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 私はこれで全部がうまくいったとは思いませんが、まあまあというところじゃございませんか。 一昨年の総選挙のときには私はこう言いました。あなたの着ておられるワイシャツの生地はカナキンと申しますか何と申しますか、この生地は昭和二十七、八年ごろから一つも上がっておりません。上がっておらぬどころじゃない、四割ぐらい下がっております。しかしワイシャツ自体はやはり既製品で五百五十円から六百円でございます。生地は四割五分下がっておりますワイシャツが五分五分なんだ。何でそうなんですか。原料が四割から四割五分下がっているからワイシャツは下がらなければならないのに、仕立賃が上がっている、中小企業の店舗はよくなる、店員の給料も上がりました、だからこういうものである。生地が下がらなかったらワイシャツはもう七、八百円になりましょう。生地が、生産性の向上で上がらないから、小売価格が一緒である。一緒のところは中小企業やなんかのマージンが多くなっている。こう言って、生地が下がらなかったならば物が上がってくるのは当然なんで、サービス料ですよということを私は全国に言って回ったわけであります。消費者物価が上がることは、先進国型に日本がなってくるときには、あまり上がり過ぎてはいけませんが、やむを得ない。それによって農民も自由職業の人も、そして中小企業の方々の店も非常にきれいになってくるわけなんで、これは生活が明るくなるという意味であって、私は全部よかったとは申しませんが、まあまあというところであります。世界の人は非常にいいと言っておりますが、私はまあまあ喜んでもらえる、こう思っております。
○佐藤(觀)委員 喜んでもらえるのは自民党だけであります。われわれ喜んでおられないのは残念でありますが、最後にお伺いしたいのは、景気の問題に関連して総理は先月も九月を待たずして景気がよくなるだろうという予測をされておりましたが、これは税金の問題と直接関係はありませんけれども重要な問題でありますので、多少この地方選挙と関係して総理がまたうまいことを言うのではないかと思うのですが、そういう点で一体どういう確信を持っておられますか、お伺いしたいと思います。
○池田国務大臣 昨年の暮れからことしの始めにかけて経済界全般には上期は曇天、下期は晴天、こう言っておりました。私は上期曇天、下期晴天というのではなしに、大体はそうでございますが、上期の曇天のうちにも雲の切れ間からあかりが出てきますよ、こういうことを言っておるわけであります。 それが証拠には、私は今も見たのですが、三月十二日現在で、去年のきょうは年度初めから六千億円の引き揚げ超過、ことしの十二日は八百億円の散布超過、年度別に申し上げますと、おととしは三千億円の引き揚げ超過が去年三十七年度は二千六百億円かの散布超でしょう。三十八年度は三千三百億円の散布超過になっている。これは為替関係その他からくることなんであります。とにかく金融が大体ゆるんでおるじゃございませんか。コールが五銭から五銭五、六厘しておったのが今は二銭二、三厘になっておるのではございますまいか。そして非常に金融がゆるみ、それから日本人というものは不景気はきらいなんです。普通の国から言えば景気がいいと言うところでも不景気だというくらいです。日本人の気持としては、早く積極的に景気をよくしたいという気持があります。政府の施策が減税は十分でございませんけれども、財政投融資、そうして社会資本の投下、社会保障の拡充等々、積極的政策をとっておるのですから、従来からの経験からいって私の勘は、そういうことから少し景気が早目に来るんじゃないか。下期を待たずに、秋を待たずにだんだんよくなってくる。最近機械の受注なんかも相当来ております。そうして景気のバロメーターである株式の方も、三月までは底だろう、こう言っておりますが、一月ころからずっと上げて、今ダウも千五百二十二円ですか、きのうはそういうようになっております。大体明るさが早く来るんじゃないか、政府もそうしたいと思っております。私の勘で言っておるんです。しかし理論的の問題は、今言ったように政府の財政経済政策とそうして金融の正常化等によって、私は秋を待たずに景気が上昇すると思っております。また企画庁で出ましたGNPの八%というものも、これは三十八年度の末期におきましては一〇%以上の上昇を見込んでおると思います。そうしないと八%になりませんから。だから万人の見るところ、大体私に共鳴して下さるんじゃないか。事実もそう現われてくることを期待して努力いたしたいと思います。
○佐藤(觀)委員 時間がありませんので、最後にお伺いしますが、経済企画庁の金森君がエコノミスト誌に書いたいろいろな材料がございます。それには楽観ができない。今底入れがないということを数字をあげて言っております。実は池田さん非常に明るい気持で言っておられますけれども、今までの経験から見ますと残念ながら——池田さんは経済の専門家で、経済はおれにまかせろと言われますけれども、どうも大蔵大臣をやったとき、それから通産大臣、それから総理をやられたときは、不景気が来るんですね。これはまことにお気の毒だと思うんですが、せっかくあなたが明るい意欲を持ちながら、あなたと反対の方向へ進んでいる面が非常に多いと思うんです。池田さん自身も長い間政治生活をやっておられまして、ずっと大蔵大臣、通産大臣、また総理になられてからも、いろいろ重荷がかかっておりますけれども、あなたがおっしゃるようにそう明るくはいってない。明るくいっておるのは、大きな方の独占資本だとか、金持の方は明るくいっておりますが、中産階級の方は苦しんでおるという事実はおおうことができないと思います。それは減税がされないと同時に、物価の値上げという問題が非常に苦しい生活をさしておる、こう思うんです。そういう点で最後に池田さんは、それならばいつごろから景気がよくなるということを予測されておるのか、それをお伺いしまして、私の質問を終わります。
○池田国務大臣 私がやると景気が悪くなるとおっしゃいますが、私がやると景気がよくなると私は思っております。それは三十二年にしても今度にしても、三十五年、六年はどうでした。それは非常にいいから、ある程度の中だるみ、ジグザグは当然のことです。だからこれは私がとやかく言うよりも、外国の人はどう見ておりますか、これは一番公平です。あなた方とは経済政策が違うから、いろいろ議論はありましょうが、おか目八目でなしに、外国の人は日本をどう見ておるかということが私は一番だ。そうして大企業だけどうこう言っておりますが、一番困ったのは大企業でございます。去年、おととしごろの中小企業の困り方は、大企業よりも少ない。だから相互銀行とか信用金庫、あの辺は金がだぶつくでしょう。農民の方をやっておる農協などの金は相当だぶついて、困っておる大銀行に金を貸してやる。そうして大企業が四苦八苦しておるというのが状況じゃございませんか。私は三度目の経験、去年の中小企業対策がうまくいって、大体私はあなた方がおっしゃるほど、中小企業は困っている人は少ないと思います。全体的には中小企業はよくなる、大企業はかなり困ります。そういうことでございまして、私はとにかく虚心たんかいに、人がどう見ているかということも御参考になっていただきたい。外国の人は日本は非常によくやっておる、非常によくやってうまくいっておる、だから非常に信用ができてきたわけであります。私が三本の柱と言っても、一つも驚かぬ、その通りだ、よく言ってくれたと、外国の人はみな言っておるじゃありませんか。私はそう確信しております。
○佐藤(觀)委員 時間がありませんから、これで最後にいたしますが、池田さんの言われるところは、やはり何といってもあなた方は非常に大きなところばかり見ていてあまり小さいところは見ておられない。一昨年の秋の中小企業の困った状態というのは相当ひどかったのです。けれども池田さんの周囲はいつでも花が咲いておるのですが、それはそうじゃないと思いますから、そういう点も十分に見て、われわれも外国の批評ということについては、これは無視しませんけれども、やはりそういう苦しい面ももっとたくさんあるということだけは今後見ていただきたいと思います。
○池田国務大臣 お話しの点は承っておきますが、私は自信を持って国をあずかって前進いたしたいと思います。
○臼井委員長 この際、午後一時三十分まで休憩いたします。 午前十一時四十六分休憩 ————◇————— 午後一時五十三分開議
○臼井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。武藤山治君。
○武藤委員 最初に時間の関係で地方税の問題について少しくお尋ねをしてみたいと思います。 三十八年度の地方財政計画を見ますると、二兆六千三百三十六億円、前年比三千四百八十六億円の増計画でありますが、その中で普通税の増一千二百億円のおもな伸びる税種は何でございますか。
○柴田政府委員 お答えいたします。 地方税収入の総額の伸びは改正後千二百七十三億でございますが、その中で大きな伸びを示しておりますのは住民税、事業税それから固定資産税、この三税が税収面の伸びのおもなものでございます。
○武藤委員 一千二百億増収になる今のうち住民税、事業税、固定資産税がおもだということはわかるのでありますが、パーセンテージで出すとどんな比率になりますか。
○柴田政府委員 パーセンテージで出したものを持ち合わしておりませんが、金額で申し上げておきますと、都道府県民税が百六十五億、事業税が二百三十八億、市町村民税が二百四十一億、固定資産税が二百七十二億、これが大体おもなものでございます。
○武藤委員 この固定資産税の二百七十二億の伸びというのは、新築家屋あるいは新設機械そういうものですか、それとも何か評価がえをしたために伸びるのですか、主とした原因は何でしょうか。
○柴田政府委員 新築家屋と償却資産の増がおもなものであります。来年度は評価額の据え置きの年度でございますので、在来からあるものにつきましては税収は変わりません。
○武藤委員 それからこの計画の中で特に雑収入というのが一千六十七億円ございますが、雑収入のおもな項目は何でございますか。
○柴田政府委員 ちょっと私ここに財政計画を持ち合わしておりません、それに所管違いでございますが、雑収入のおもなものは使用料、手数料等でございます。使用料、手数料を別額にいたしております場合は、財産売払代でございますとかあるいは負担金、分担金の収入でございますとかいったようなものがおもなものでございます。大体には負担金、分担金収入がその大きな比率を占めると思います。
○武藤委員 この雑収入のおもなるものは、主として道路修築の場合の地元負担金あるいは学校建築の場合の地元負担金、そういうものじゃなかろうかと思うのです。それはあなたの担当でないから詳しい中身はわからぬ、こういうことでございますか。
○柴田政府委員 私が負担金、分担金と申し上げました意味は、今おっしゃいましたようなことでございます。詳しい計数は担当外でございますので持ち合わしておりませんけれども、大体そういうものがおもなものだと考えております。
○武藤委員 そこで、柴田さんにお尋ねいたしますが、今日本の税負担というものをいろいろの角度から検討すると、低額所得者に対する減税ということが非常に要望されておるわけです。そういう点で低額所得者の大部分の人たちに対して恩恵を与えるためには、地方税の減税が、国民負担という立場から見た場合には一番公平原則にかなう、減税の最も最初に優先的にやらなければならぬことだと思うのです。そういう点で自治省で三十八年度の地方税減税という当初の計画と申しますか、この程度まで減税をしたいのだという最初の目標というのは何かあったのですか。それとも全然なくしてまあ他の審議会なりあるいは税制調査会なりの答申のままで自治省としてはこの程度の減税をしようじゃないかということで、積極的な減税目標というのは立てなかったのですか、どうでしょう。
○柴田政府委員 地方財政を考えます場合に、おっしゃるように地方税負担の問題を忘れてはならないのでありますが、地方財政の面におきましては別途歳入という面から税収入をながめる必要もあるのでございます。三十八年度の税制改正におきましてどういう姿で臨むかという場合に、前提となる自然増収というものがどのくらい期待できるかという問題と、それから地方税の現状から見て何が問題かという問題と、両面あるわけでございます。当初われわれは地方税負担の問題点は、昨年の住民税改正後におきましては、市町村民税の問題と国民健康保険税、この問題を中心に考えたいと考えたのであります。しかしながら、自然増収の伸びが非常に少ないという現状、一方給与改定の平年度化その他によりまして財政需要が非常にふえて参る、こういう、どちらかといえば在来の好景気にささえられておりました時代の地方財政と比べまして、財政状況がやや横ばいもしくはやや悪くなるという心配を持った関係もございまして、その辺の問題については、慎重な検討を要するということで進んで参ったのであります。その後いろいろ財政の状況を見通しをつけて参ります作業が進んで参りますにつれて、そこら辺のところの希望を明らかにしつつ、また住民税の問題とそれから国民健康保険税の問題と両方の合理化をどうすればいいかという問題と取り組んだのでございますが、住民税につきましては、非常にむずかしい問題が根底に横たわっておりますので、急速に解決ができないということが明らかになりました。従って一番負担の重いとされる国民健康保険税の改正、それも、地方財政の状況もございまして、また一方地方行政全般について税制調査会におきまして検討をしていただいているような情勢でもありますので、国民健康保険税を国庫負担金の増額を見合いにして軽減いたしますとともに、電気ガス税につきまして、これもたばこ消費税とかね合いでございますが、軽減をはかるということに落ちついた次第であります。
○武藤委員 住民税の減税をしたい、さらに国民健康保険の減税をしたいと考えたけれども、住民税の場合、何かむずかしい点にぶつかってなかなかできないのだ、そのむずかしい点というのはどういう点をさすわけですか。
○柴田政府委員 御承知のように住民税につきまして、負担の較差が非常にはなはだしいということがいわれております。これは事実であります。御承知のように、現在八二%の市町村がただし書き方式を採用いたしております。しかも全市町村の半数近いものが、標準税率をこえて課税いたしております。準拠税率をこえて課税することにつきましては、別に私どもは不思議と思わない。それは自治の基本原則に立ちますれば、さような場合においては準拠税率をこえて課税するのはおかしくないのでありますが、それが慢性化した状態に問題があります。しかも本文方式とただし書き方式との間には、同じ所得でありましても相当負担が違います。準拠方式に比較いたしましても、ただし書き方式は大体五倍くらいになる、こういう現象が存在いたしております。従いまして、住民税の問題につきましては、一番最初に、恒常的に準拠税率をこえて課税しなければならぬという状態を解消する必要があるわけでございます。ところがなぜ準拠税率をこえて課税しておるか、なぜただし書き方式をとっておるかという実態が、実は明らかでございません。従いまして、金額にいたしますと三百億くらいのものでございますが、この三百億というものはなかなかどうだという問題を団体ごとに調べて参る必要がある。そこでその調査に少し時間をかけて、腰を据えて解決をはかる必要がある、かように考えるのであります。
○武藤委員 今局長がおっしゃいますように、地方税の徴収の仕方というものが町々によってそれぞれ違う。従って役人などが税金を課すについて、府県、市町村によって大へん税金が違うわけです。地方自治の本旨からいえば、地方自治のそれぞれによって違う点があっていい、あるいはそういう議論も成り立つかもわかりませんが、ただ税負担が、同じ日本の国民で、しかも町村が変わることによって倍も税金が重くなるような税率の違い、賦課方、式の違い、こういうことはやはりあまり長い期間そのまま置かずに、すみやかにこれは解消しなければならぬと思う。その場合一番自治省としてお困りになるのは、その三百億ばかりの財源がないということである。せっかく地方自治がふくらんで財源が大きくなったのを、急に減収になるような改正はむずかしい。一たん膨張した財政というものはそう簡単に縮められないのだという、そういう市町村長の非常な不安と危惧があるために、なかなか結論が出せないのじゃないかと思うのですね。そういう点についてはあなたはどう認識されておりますか。
○柴田政府委員 御指摘のように財源的な問題も一つあるわけでございますが、もう一つ、先ほど私申し忘れましたが、住民税というものを簡単に改善論を唱える方々は、ただし書き方式をやめて本文方式にしろ、こういうことをおっしゃるのですが、それがどうなるかと申しますと、そういうような姿をとった場合に納税義務者が非常に激減するということがございます。ひどいところになりますと、現在の納税義務者の三割くらいに減ってしまうところがある。そうしますと、住民税というものの性格に基本的な変革が加わるということにならざるを得ないのでありまして、市町村税制そのものについても考え直さなければならぬという事態が来るわけでございます。それがどういう市町村でどういう形になるかということを調べて参りませんと、怪々にそれに踏み切れないということでございます。この問題と、あなたが先ほどおっしゃいました財源の問題と、この両方問題があるわけでございます。財源の問題につきましては、私が先ほど三百億と申しましたのは、これはただし書き方式と本文方式との差が百億、超過課税分が約二百億、こういうことでございます。超過課税をなぜやっておるかということが明らかになりますれば、そこの財源の関係がはっきりしてくる。今申し上げましたのは税額でとられたものでございまして、歳出とかね合いできめた数字ではございません。そこを明らかにして措置の方向をきめたい、こういうことでございます。
○武藤委員 今のそういうような不合理な点があるために、地方交付税の算定にしても、基準財政需要あるいは基準財政収入というものの計算をして、差額をとにかく交付税でもらうわけでありますから、 〔委員長退席、毛利委員長代理着 席〕 そうなりますと、ただし書き方式をとり、さらに準拠税率をこえる税率をかけておいて、住民に非常な負担をかけておる町村ほど収入が多いから、もし需要の方を見ないで収入だけの立場から見る場合に、住民にえらい犠牲をしている村ほど国からもらう率が少なくなるということになりますね、交付税が。そういう不合理が出てくると思うのです。だから、住民に犠牲をしいておいて、しかも国からもらう金がそれに応じて率が減るわけでありますから、私はやはりこの際思い切って一カ年ぐらいの間に、地方税のこういう不均衡、不合理というものを大蔵省当局と、ほんのわずかな期間に——三年も四年も研究期間を置かれたのでは住民はかなわぬですから、これはどうしてもすみやかにやる必要があると思う。大蔵大臣、こういう地方税負担の不合理というものを是正をするという、あなたの積極的な意欲はありませんか。
○田中国務大臣 地方税制制度そのものが、私個人として考えますと、相当不合理があるというふうに考えます。これは税の問題だけで見ておりますといろいろな理屈がありますけれども、地方制度の問題等とからんでおりますので、慎重には考えなければなりませんが、他に財源がないところ、いわゆる貧弱市町村ほど地方税が高いという現象があります。私の選挙区などを見ても、他に企業のないところ、全く農山村であるというようなところは、くわ一丁、かま一丁、間口にかかってくるというような実情がありますので、このような制度で地方の発展がはかれるものか、非常に疑問といたしておるところでございます。これらの問題に対しては、地方制度の問題もございますので、地方制度調査会の議も経なければなりませんし、また国税と地方税とのバランスの問題も考えなければならない問題であります。税制調査会に、地方税の問題自体に対しても、また地方税と国税とのバランスの問題に対しても諮問をいたしておるわけでございますので、これが答申を待ちながら、検討して参りたいこう考えます。
○柴田政府委員 ちょっと補足して申し上げます。 先ほど先生がおっしゃいました貧弱市町村の基準財政収入額の計算でありますが、基準財政収入額を計算いたします場合には、本文方式を採用したものとして計算するのであります。従って、そういう貧弱団体では非常によけい税金をとっておることになる。言いかえますれば、その基準財政収入額の算定に誤りがない、こういう問題になるわけであります。
○武藤委員 今の点はわかりました。 そこで、私が言わんとするのは、税の公平な負担という立場から——国全体の立場から見れば、住民の立場から見れば、国税が安くなろうが住民税が安くなろうが、自分のふところに直接響く減税を希望しているわけです。そこで、所得税だけ減税をしても、地方税の減税をしなければ響かないという階層がかなりあるわけで、そういう人たちも直接ストレートに恩恵がわたるような減税をすべきではないか。財源がどうしてもないなら別ですよ。利子、配当で、五百何十億円も減収になるのですから財源にあるのです。そういうものをなぜ地方税の方の減税に回さぬかということが私は非常に不満なので、それは自治省が力が弱いから大蔵省にはねられてできないのか、それとも自治省自体が、まあまあ今の地方税はこの程度はいいのだ、そういうような考え方から、積極的に地方税の減税をやろうとしていないのか、そういう点が私の一番聞きたいところなんです。今の日本の政治体制の中で、どういうところに、地方税が大幅減税できない最大の障害があるのでしょう。あなたの見解ではどうですか。
○柴田政府委員 地方税の減税を考えます場合には、国税の減税と少し違った形をとらざるを得ないのかもしれません。と申しますのは、地方税の場合は、課税主体と住民との関係が非常に緊密化して参りますから、従って、そこに共同負担的な色彩が非常に強くにじみ出る、これは税の性格上ある程度やむを得ない。しかし、それは全部それでなければならぬとは申し上げませんけれども、そういう傾向を自然帯びてくるだろう。従って、減税をいたします場合にも、その辺のところは財政状態とにらみ合わせながら慎重に検討していかなければならないだろうと思うのでございます。私どもは決して地方税について、負担の軽減合理化ということを見捨てているわけではございません。現にそういう線に沿って、苦しい中からずいぶんそういう方向でやって参ったわけでございます。本年度も一番負担の重いとされる国民健康保険税について、少額ではございますけれども、軽減の措置をとりましたのも、そういう考え方に立っておるわけでございます。総体的にいいますならば、やはり減税はなかなかむずかしいという問題は、財源も逐次増強されてきておりますけれども、それにも増して必要財政需要というものが激しい事情にあるのじゃないかと考えます。
○武藤委員 現存、地方税全体で、租税特別措置法による減収額というのはどのくらいありますか。
○柴田政府委員 昭和三十八年度べースで計算いたしまして五百円十四億円でございます。
○武藤委員 租税特別措置法による地方税の減収額が五百四十四億、それに地方税自体で非課税にしておる分がありますね。それを自治省では一応五百六十億を計算をいたしております。そういたしますと、とれる税金をとらない特別措置の金額というものが一千百四億円あるわけですね。この一千百四億円の租税特別措置による免税というものは、どういう階層が一番恩恵を受けるような形になっておりますか。一千百四億円の免税を階層別に分けて計算をした場合にはどういうところが一番恩恵を受けますか。
○柴田政府委員 御質問のような点につきまして詳しい計算をいたしておりませんけれども、地方税について租税特別措置法に伴って生じます減収というのは法人関係でございます。つまり市町村民税、県民税の法人税割、それと事業税の法人分、これが大部分でございます。
○武藤委員 単種目で一番多いのはやはり利子所得の分離課税じゃないですか。利子所得の分離課税で大体百五十三億円減収になりますね。間違いありませんね。どうですか。
○柴田政府委員 この計算はちょっと誤解があれば、と思いますけれども、現在利子所得については地方税を課税いたさないことになっております。住民税につきましては、課税所得の中に入っておりません。それは捕捉が非常にむずかしいという関係からでございます。従って、この部分につきまして国税と同じような措置をとった場合には百五五十三億の減収になる、こういうことであります。
○武藤委員 ですから、とれる税金を百五十三億捕捉がむずかしいからとらないわけでしょう。本来ならば当然所得として捕捉しなければならぬものでしょう。そうじゃないですか。
○柴田政府委員 理論上はそうだと思います。
○武藤委員 理論上そうだからこそ地方税の減収額は総額で五百四十四億という数字が出てきているでしょう。含まれていますよ、その中に。あなたが言うように本来これは捕捉できないから計算すべきものではないということになると、五百四十四億減らさなければならぬ。含まれているということは、結局特別措置によって地方税が百五十三億もとれるものがとれなし こういうことなんです。だから、そういう点から見ていくと、どうもこの地方税の租税特別掛買やあるいは地方税法に基づく非課税措置というものは、比較的所得の多い人に、この減収額は恩恵を与えている。そういう考え方は間違いでしょうか。どうでしょう。
○柴田政府委員 主として法人関係のものに影響があるわけでございますから、そういう意味合いでは——ちょっと表現が適当でないかもしれませんけれども、そういう種類のものに恩恵があるということはいえると思います。ただ、一つは課税技術上の問題もそのうちにあるということを御承知願います。
○武藤委員 課税技術上のそれ以外のものがあると言って、高額所得者に比較的有利だという私の意見にストレートには賛成されないようでありますが、課税上の問題で、これが比較的高額所得者に対する恩恵を与えておるのじゃないという具体的な例というのはどうですか。
○柴田政府委員 私が申し上げましたのは、税制の立て方が、国税の税額をそのままとったり、それから国税の保税標準をそのままとるというところからその問題が起こってくる、こういう意味でございます。
○武藤委員 こういうような政府の租税特別措置による減収というものをそのまま地方税に打ち込まれるために、地方の自主財源源を確保するという立場からいけば、当然取れるものは取った方がいい、こういう見解をわれわれも持つのです。こういう点、租税特別措置というものをもっと整理しなければ、私どもはいかぬと思う。国税と地方税で三千億円以上もあるのですからね。こういうものはやはり整理して、もっと地方税それ自体の全体の、本文方式やただし書き方式あるいは準拠税率やこれをこえるもの、そういうものを租税特別措置とにらみ合わせて完全な検討をして、地方税の負担の公平化あるいは市町村別のアンバランスのないような体制を至急つくらなければいけない、そういう不合理を早くなくすべきがやはり政治家の任務だと思う。そういう点、田中大蔵大臣、どう考えます。
○田中国務大臣 不合理はできるだけ早い機会に是正すべきであるという基本的な観念には賛成でございます。
○武藤委員 次に、柴田さんにちょっとお尋ねします。 聞くところによりますと、固定資産評価基準を改定して三十九年度から新しく実施するのではないか、こういう話が伝わっておりますが、事実はそういう進め方でございますか。
○柴田政府委員 御承知のように、三十六年三月に固定資産評価制度調査会から答申がありました。この答申に基づきまして、昨年地方税法の改正で、三十九年度から新しい評価制度によってやる、こういうように立法措置がなされております。従いまして、現在その線に従いまして評価の準備作業を進めております。
○武藤委員 今度の改定による評価額全体の上がる率とかあるいは金額の想定とか、作業も相当進んでおると思うのですが、それを宅地、家屋あるいは田畑、そういうものにした場合の上がる率というのはどんな工合ですか。
○柴田政府委員 再評価の作業は、現在私どもの方で土地、家屋について試案をつくりまして、地方団体、主として市町村でございますが、市町村にこれを提示いたしまして、意見を聞いております段階でございます。かたがた、基準になる土地、基準地の調査、基準家屋の調査という仕事を始めております。従いまして、まだどういう方向をたどるか、その傾向線はつかめる段階に至っておりません。先般、新聞に一部推測記が出ておりますが、あれは推測記事でございまして、そういう実証に基づく数字ではございません。
○武藤委員 まだ確定的な数字はわからぬでしょうが、傾向として、現在の評価額より上がるのですか、下がるのですか、大体上がるとしたら全体でどのくらい——ややの線ですね、確定じゃありませんが、上がるか下がるか、それともそのままなのか、上がるとしたら、ほんのめどとしてどの程度上がるだろうか。
○柴田政府委員 それは申し上げられれば申し上げたいのでありますけれども、実はそこまで作業が進んでおりません。ただ、現在の評価額の水準は三十六年の水準で、それ以来据え置きで動かしておりません。従いまして、現行制度におきましても若干の増はあるかもしれません。しかし評価制度を変えるわけでございますから、評価制度を変えますれば、そもそも評価水準が低いということから出発した問題でございますので、評価額そのものは上がると思います。その程度がどれくらいかということは資産によっても違いますけれども、まだ見当がつきかねます。
○武藤委員 あなたの約束の時間はあと五分ですからそろそろ終わりますが、今農民が非常に不安に思っておるのは、特に収益率の低い田畑に対する固定資産税ですね、所得倍増政策が推し進められましても、農業所得の成長率というものは非常に低いことはあなたも御承知だと思うのです。こういうような収益率の低い職業である農民の田畑に対しては、この評価がえをする際に十分考慮をして、やはり田畑として使用しておる限りは固定資産の評価が低いところで押えられる、そういう配慮が私は必要だと思うのです。そういう点についてあなたは、全くそういう配慮をしないのか、幾らかはそれはするような方式で評価がえをするのか、どっちですか。
○柴田政府委員 農地につきましては、従来はこれは収益還元方式という方式でやっておったのであります。答申は、ほかの土地との均衡上、出発点はほかのし土地と同じように売買価格を基礎にして出発をしておる。しかし農地については、売買価格というものは正常土地価格という観点からは実情を表わしたものではないからこれに対して補正をしろ、収益的なものを加味した補正をしろ、こう言っておるわけでございます。その補正をどうするかという問題も現在作業中で結論は出ておりません。しかしそれだけでいいのかどうか、たとえば単純な収益率だけでいいのか悪いのかという問題がさらにあるわけであります。つまり、そのほかに何か特別な配慮というものが要るのではないかといったような問題もあります。私どもといたしましては、負担に響く問題でございますので、その辺のところは慎重に考えていきたい。従いまして、その評価の結果出て参ります負担の増減につきましても、当然調整を必要とする。これは調査会の答申でも、何も増収を求めるためにやるのではない、評価の均衡を得るためだ、こういうことを言っておるわけでありますので、その負担の均衡をとる上において当無調整措置が要るわけでございます。これは税率の調整も起こって参りますし、その他の調整が必要なことが起こるかもしれません。この問題は非常に複雑であり、かつむずかしい問題でございます。住民の負担という観点からは重大な問題でもございます。私どもといたしましては、税制調査会に御検討をわずらわして、その結論を行って最終的態度をきめる、こういうことで進んでおります。
○武藤委員 最後に、一つ要望をしておきます。 田畑の評価については、収益率というものが非常に低い職業だ、特に所得倍増政策でも、選択的拡大を進められても、農民は乳価を一方的に下げられたり、飼料の値段をどんどん上げられたり、農民の所得というものは全く池田さんが企図するような方向には伸びていない、こういうことを十分勘案をして、田畑と宅地の比較をする際に、そういう収益率というものを十分勘案をして、農民に過重な負担にならないように配慮してもらいたいという要望をして、自治省に対する質問は終わりたいと思います。 次に、大蔵大臣にお尋ねいたしますが、田中さんは、この前十二日の予算委員会で私が質問をした際に、利子配当課税というものは将来全免をしたいのだ、こう答えましたが、今日この時点であなたの態度はどうでしょう。
○田中国務大臣 全免でき得ることは好ましいこととは存じますが、他の税との問題もありますし、今度は税制調査会の十分検討をわずらわして、その答申を待ってからきめたい、こう思います。
○武藤委員 今度はという大へん意味深長な言葉が入ったわけでありますが、今回は税制調査会の答申をそのまま守らない、今度は税制調査会の答申を待って十分検討をしたい。大蔵大臣大へんなれて参りましたから、税制の中身もわかってきたので慎重な態度を見せてきたのですが、私が質問したそのあと、横山委員、さらに広瀬委員から質問をした際には、あれはどうもあまり語気強く迫られたから、わしも人の子だ、売り言葉に買い言葉で全免ということを申したのだ、こういうことが文字になって議事録に残っておるわけです。あなたそう答えておるのですが、その答えたことは否定しないでしょうね。
○田中国務大臣 大体そういうのが真相でございます。
○武藤委員 そういたしますと、あなたが一月の七日に新春経済講演会というものをやった席上で、これは日本経済新聞と産経新聞の報道ですから、報道が間違いだ、こうおっしゃられればそれまででありますが、その新聞記事の中を読んでみると、あなたはやはり利子と配当は将来はゼロにしたい、こう言っております。両方の新聞がそういっておるのです。片方は利子、配当課税全廃、こういっておるわけです。中身を読んでみても、貯蓄奨励、資本蓄積に対しては、今度の税制改正で云云といって、将来はゼロにしたい、こうあなたがしゃベっておるわけなんです。そうしてみると、わしも人の子じゃ、売り言葉に買い言葉じゃということから全免論は出てきたのではなくて、それ以前にすでに公然とあなたはしゃべっておるのです。三つ答えがあるのですが、どれがほんとうでしょうか。
○田中国務大臣 税制調査会の答申を十分尊重していくと、こういうのがほんとうでございます。
○武藤委員 そういたしますと、四つ答えが出るわけですね。おかしい。そうすると、今までの、三つは——正月の経済講演会で銀行家の一ぱいいる前や株屋さんの一ぱいいる前でしゃべったことは真意じゃなくて、ほんとうは税制調査会の答申を十分尊重してというのがあなたの本心ということに、今日は確定ですか。今までは流動していましたが、今度は確定と受け取ってよろしゅうございますか。
○田中国務大臣 税制調査会の答申を大いに尊重する、こういうことでございます。
○武藤委員 田中さんが大蔵大臣になられて、私も政党人が大蔵大臣になったということを非常に期待しておる一人なんです。しかしながらしろうとですから、あまり暴走して酔っばらい経済から脱線経済になったら大へんだ、実はそういうことの心配をしておりまして、利子、配当の減税というものに対しても、あなたに非常にきつい言葉で、あるいは質問をしたかもしれぬ。しかしながら、一国の大蔵大臣ともあろうものが、四つの答えを出して、ぐるぐるいつも変わって、今度は税制調査会の答申を待ってというのは、少し不見識でしたね。僕は過去を責めませんけれども、少し不見識だったということだけは認めざるを得ないのじゃないですか、どうでしょう。
○田中国務大臣 私はあまり見識主義者じゃありませんから、どう言われてもかまいませんが、やはり一貫して流れるものはあるのです。それは貯蓄奨励もしなければなりませんし、それから資本蓄積も行なわなければならないという自由化に対処しての基本的な施策として、利子、配当等に対して免税ができ得るような環境がつくれるということも望ましいことであるという考え方も、これは前提にある問題でございますし、いつでも申し上げておる通り、あなた方は今後は税制調査会の答申を尊重しなかったという御認識に立っておりますが、税制調査会は過去も現在も将来も大いに尊重していくという考え方でございます。でありますから、特に国会で議論の多い問題に対しては、総理大臣は先ほど税制調査会の答申はいただきますが、最終的には私の責任でやりますということを言われましたが、それと、税制調査会の答申を尊重いたしますということは、何ら背反するものではございませんし、当然内閣に設けられた審議会に諮問をしておるのでございますから、これが答申を尊重しなければならないという基本的な立場に立っておるのでありますし、あなたの言う税の公平ということも、負担の公平ということも、そのまま考えておるのでありますから、私がこういっておるものが四つ、五つみな迷う、全く違う答弁をしておるのだ、こういうふうに認識をせられないで、やはり大蔵大臣として考えておりますものは、まじめによりよき税制確立のために努力をしているのだという真意を御理解賜わりたいと思います。
○武藤委員 私は決して田中さんのあげ足をとっているつもりはないのです。十二日の日に確かにあなたは私に全免したいと答えておる。翌日はあれはきのうは少し語気鋭く追及されたから、私は売り言葉に買い言葉で私も人の子ですからと答えておるのです。そうすると、あなたは次の日は横山さんの質問に対しては、全免などは考えていないのだ、売り言葉に買い言葉で言っちゃったのだと言っておるのでしょう、これは事実そういう文字になっておるのですから。ところがもっと前の正月には全免したいということを言っておるのです。当然私とすれば、どれが一体田中さんのほんとうなんだろうかということを聞きたいのです。そうすると、あなたは、今度は、私なりに根底には考えがあるのだ、貿易自由化のためにこう、資本蓄積のためにこう、その先は言わぬですが、さっきのが正しいとすれば、税制調査会の答申を待ちますと言うのでしょうが、どうも三つの御答弁が、みなその場その場の言いのがれのための答弁のような感が深いのです。私は一国の大臣ともあろうものが、そう豹変をしてはいかぬと思う。昔の朝令暮改という言葉がありますが、大臣の言葉は法律じゃないにしても、国民はやはり注目をして聞いておるのです。その大臣が全免をしたいと言ってみたり、いや売り言葉に買い言葉だと言ったり、今度は税調の答申を守りますというようなことを言ってみたり、どれが本音やらわからぬじゃないですか。だから私はもう少し確認をしておきたいのです。今後は、あなたの見解としては、利子、配当の課税というものは全免の方向に進むのか。あなたの正しい確信を持った方向としてここで言明できるのか。それとも先ほど総理大臣が言ったように、税の原則からいうならば、総合課税が原則だ、堀さんの意見に一応賛成をして、ただし現在の経済の情勢では分離課税を認めるのが好ましいと思うという総理大臣の答弁とあなたの今これから答弁されることは、非常に関連性があると思うのです。重要なんです。従って、私はもう一回はっきりお聞きをしたいのです。この正月のあなたの、銀行や株屋を集めてのお話と、予算委員会における答弁と、きょうこの場で今から三分前に答弁した結論と、どれがあなたのほんとうの気持なのか、もう一回確認をしておきたいのです。
○田中国務大臣 総理大臣が午前申し上げた方向で私もやって参りたい、こう考えます。
○武藤委員 ということは、全廃ではなくて、分離課税を現在の経済情勢では残しておくのが好ましいという総理大臣の答弁ですね。確認しておきます。
○田中国務大臣 必要であるという認識に立っております。
○堀委員 関連して。ちょっと大蔵大臣に今の件でお確かめをいたしておきますが、税率がゼロになりますと、分離課税ということがなくなるのですよ。よろしゅうございますか。だからそれは五%である限りは分離課税です。私はきょうの総理大臣の発言は、そのように了承しておるわけですから、その点を確認いたします。
○田中国務大臣 その通りでございます。
○武藤委員 大体今の問題は確認をしたからよろしゅうございますから、その先へ進みますが、あなたは、先はどちらっと言葉の節に漏らしたのは、貿易自由化に対処するためとか、あるいは日本の経済の基盤を強化するためには貯蓄をたくさんしなければならないのだ、資金が必要なんだ、こういうことを言おうとして途中まできたわけですが、この前予算委員会でもそういうことを再三述べておるわけです。そこで一〇%を、五%に税率を下げることによって——もうだいぶ目がたちましたから、あなたも研究したと思いますが、どのくらい貯蓄が伸びるという答えが出ましたか。
○田中国務大臣 不敏にしてそのような結論は出ないのでございます。これは初めから申し上げております通り、政府が重点的にそのような姿勢をとるということだけによっても、国民が貯蓄奨励に協力をする度合いが今よりもより積極的になるということは、これは当然なことだと思います。でありますから、予算委員会でも申し上げております通り、少なくとも一〇%を五%に下げたことによって、もう少し待っていればゼロになるかもわからぬからということで、今よりも貯蓄率が減るなどという逆の面が出てこようとは思っておらないのでございまして、少なくとも政府が考えておる貯蓄奨励、資本蓄積という考え方につきましては、相当プラスをもたらすものであるという判断に立っておるものであります。
○武藤委員 問題は、一つのポイントをわれわれが質問をし追及をしていくと、政府は総合的な判断で、あるいは高所からと言って逃げるわけですが、そこで、私どもも少し総合的な立場で御質問しますが、利子配当の減税をしても預金が不敏にしてふえるという数字は出ないというそういう大臣の今の答弁で、これは貯蓄奨励ということにストレートに結びつくものでないということは、それはいいですよ。あなたの認識を一応は理解をします。賛成とか反対とかということでなくて理解はします。そこで、そういう直接預貯金がふえるかふえないかわからぬというのに、利子、配当の大減税をやるのが優先すべきか、それとも物価が二年間に一割六分も上がってしまって、貨幣価値というものは下落し、昭和三十五年一万円貯金をした金で今引き出して物を買うと当時の八千三、四百円のものしか買えないという実質貨幣価値の低下を今日来たしておるわけですね。そういう意味で、物価の騰貴ということは、貨幣価値の下落ということですから、こういう方が貯金をする心理というものを低下させるのです。預金をするより使っちゃった方がいい。あとどんどん物価が上がったんじゃつまらぬという心理が働くわけですから、まず配当、預金の利子課税税率を下げるよりも、物価をいかにして上げないかという方が先決なんです。ところが上がちゃった物価に対してどうするかということになれば、調整減税をやることが優先だということなんですね。そういう点はどうですか、総合的に判断した場合。
○田中国務大臣 調整減税も必要であります。物価を上げないような資本蓄積もなお必要であります。こういうところに総合的にものを考えて、これから物価を安定させ、また通貨価値をできるだけ維持をはかる。こういう意味からいたしましても、資本蓄積や貯蓄増強がいかに必要であるかという一面からも御判断願いたいと思います。
○武藤委員 田中さんのところに予算編成前にいろいろ全国青色申告会だとか全国銀行協会、日本証券業協会、あるいは経団連、日本商工会議所それぞれの場所から減税の陳情、要望というものがおそらくあったと思うのですね。われわれ国会議員のところにもそういう陳情がどんどん封筒で来るのですから。そういうものを全部あなたは目を通してみて、こういうあなたたちが最も信頼をし、一番先に手をつけて、いつも保護法律を出す、こういう団体の要求を見て何に一瞬最初に手をつけてやるのが公平で、科学的であるかという判断を打ちましたか。不敏にしてそういう陳情は、一切陳情書を見なかったのですかどうですか。
○田中国務大臣 陳情書を見ないわけじゃございませんが、その逐条全文を覚えているかというと、必ずしもそうではありません。私のところは、各省で一番よけい陳情書が来るところだそうでありますが、部局がございますので、専門的な部局にこれを回してしかるべく検討せしめて、その結論に対しては省議で検討する、こういう万全の体制をとっておりますので、あらゆる陳情、請願に対しては取捨選択を行なって、これを施策の点に反映せしめておるということであります。
○武藤委員 主税局長さんにちょっとお伺いしますが、あなたのところにもおそらくそういう陳情書が各団体から来たと思うのです。そういう中で、配当利子の課税を一〇%から五%にしてくれ、あるいは全免にしてくれ、こういう主張をした陳情というのはどういう団体から出ましたか記憶がありますか。
○村山政府委員 銀行関係筋あるいは証券業界筋から利子所得、配当所得に関する各種の案が出ておりました。
○武藤委員 各種の案の中で、一〇%を五%にしてくれという、税率を動かせという要求はどこからか記憶ありませんか。
○村山政府委員 今正確には覚えておりませんが、たしか証券関係からは少なくとも分離課税をとるべきである、もし税率を下げるのであれば利子について同じようにすべきであるということ、あるいは投資信託についてこれを少額貯蓄の中に入れるべきである、あるいは配当控除の現在の控除率はどうも高いと思うから、少額所得者に対してはこれは低くすべきである、こういう幾つかの意見が出ておったように記憶しております。それから銀行協会の方につきましては、当面の経済情勢に照らして全部免税してもらうことが望ましいが、それがどうしても無理であるというならば、長期について少なくとも免税したらどうか、こういう趣旨のことがあったように記憶しております。
○武藤委員 大体銀行や証券業者は一銭でも安い方がいいという立場の陳情をいたしておるわけです。しかし全免をしてくれという要求はどこからも出ていないようです。そこで自分のところが利益になる団体はおそらく率を下げてくれというのは当然だと思うのです。その当然なものをみんな聞き入れたら、これは税法の原則というものはめちゃくちゃですよ。ですからより公平に、同じ利益団体の中でもより公平な立場をとっておると思われるのは経団連、それから日本商工会議所、商工会議所などはどういうことをいっておるかというと、資本蓄積のための税制措置、現在の制度をそのまま期間を延長してほしい、こういうことをいっておる。現在のままですね。だからこれは税制調査会の大体答申通りですね。それから全国法人会総連合、これなども同一の陳情をしておる。大体利子配当の課税を負けてくれ、安くしてくれというのは銀行と証券業者だけですね。そうすると、この業界の要望書にはすなおに、政府は税制調査会の答申を踏みにじってまで認めて、単なる延長という税制調査会の答申を守らない、どうもそこらが私は納得いかぬのですよ。これが国際競争力を強化するためだ、資本蓄積のためだ、いや産業基盤のためだ、輸出競争力をつけるためだといっても、そんなものは間接的にこう説明していけばみんな何かしら関係がありますよ。有機的な世の中ですから、関連づける気になって説明していけば、みんな事物、森羅万象関係を持つのですから、ストレートに、これによって一本経済に、日本の産業にこういう効果があるのだという説明は、まだ大臣から一度も聞いていませんので、これはきょうはどうしてもそれを聞かしてもらいたい。
○田中国務大臣 もう私が申さなくても十分御承知でありながら御質問しておると思っておりますから、あまり申さなかったのでありますが、これは陳情を聞き、請願を聞いて、それを重要視してやらなければならぬことは、これは民主政治でありますから当然でありますが、しかし陳情のないところであっても、政府がより高い立場、広範な立場で考えてやらなければならないことは当然やるべきであります。それが政府の使命であります。それですから減税々々といっておるときであっても、やむを得ず増税に踏み切らざるを得ない場合もあるわけであります。でありますから、国家目的を遂行するために、より高い立場において種々の施策が立案せられるわけでありまして、現在八条国に移行が必至であり、その自由化が避けられない状態であるときに、政府はその前提条件をつくるために、受け入れ態勢をつくるために一体どうしなければならぬかということは、これはまじめに考え、積極的に、瞬時の停滞も許さないような状態でこれを解決していかなければならぬわけであります。自由化になり資本攻勢を受けるときに、日本の民族産業を守っていくんですよという声はりっぱでございますが、事実この資本攻勢に対して一体どういうふうに対応できるかという考え方——大きな企業は設備が過剰なまで投資をされたというけれども、これは跛行的なものでありまして、あるものは倍増、三倍増になっておりますが、一体均衡ある設備投資がなされたであろうかどうか、また大企業と下請企業を見る場合、下請企業はこれでいいのか、今中小企業に対して 一番の問題は金利負担を一体どうするかという問題であることは御承知の通りでございます。これだけではない。中小企業が立ち直るためには、海外からの圧力に対抗して国際競争力をつけるためにはどうするかといえば、相当の金融が必要であることは言うを持たないのであります。でありますから、国民が消費をするというよりも、少なくとも国民全体が資本蓄積に協力しながら、これが金融の正常化に結びつき、やがてはこれが中小企業や日本の産業が資本圧力や金利圧力から排除されていくような環境をつくっていくのが政府の使命であります。そういうことができなければ、私は、八条国に移行しますとか、十一条国には自動的にいかなければならないのですなどという無責任なことを言えるはずはないのであります。そういう意味で、それは負担の公平も税の公平も、あらゆる理論的な問題を考えていき、真摯な態度で検討すべきではありますが、当面する問題に対してはやはり勇気を持って積極的に取り組んでいく、こういう考え方を持たなければならないことは当然であります。そういう意味で、あなた方がしょっちゅう言っておられる民族資本の擁護とか中小企業に対してできるだけ金利負担の重圧からのがれ得るような施策をとるべしということにこたえるためにも、この利子配当所得に対して特例を設けたことは関係がないことではない、私はそういうことによって環境の整備を急速に進めて参らなければならぬという考え方に立って、かかる施策を行なったわけでございます。
○武藤委員 それをやっても、急速にそういう環境の整備や何かに役立たないのですよ。そこに問題があるのです。税制調査会もそういうことは言っておる。だけれどもそれは、あなたがまた、それは見解の相違ですと言えばそれきりですから、それよりも、今の中小企業が特に望んでおるように、みずからの企業内にもっと資金が残るような税制を考える方がいいと思う。さらに税率が高いということも中小企業の諸君は非常に申されておるわけです。もっと多段階に税率を分けてパーセンテージをおろせ、こういう強い要求も続いておるわけです。あるいは中小企業に特別積立金制度みたいなものをつくって、そして機械の更新ができるようなことを考えるとか、同じ五百数十億円の利子配当の減収をやるなら、公平という立場から見たり、産業構造というものを十分検討してみると、まだやるべきことはほかに一ぱいあるわけです。あるいは歩積み、両建だって、自粛申し合わせ程度じゃなくて、もっと積極的に恩恵を与えるとか、企業の負担が重過ぎるというのだったら、徹底的にそういうものを排除するような積極的な努力をやらなければ、環境整備だ何だと言ったところで、それは単なる言いのがれなんです。私は、そういう意味から中小零細企業の法人税率をもっと下げなければいかぬと思う。そういう点について、なぜ下げなかったのですか。
○田中国務大臣 それは、法人税率を下げなければならぬという考え方にはあなたと同一の考えを持っています。持っておりますが、昭和三十八年の税制だけにしぼって議論されると、優先順位を間違ったんじゃないかというようなお考えも出ますけれども、昭和二十五年からずっと減税に次ぐ減税をやってきておるわけであります。また現在も将来もこれは続くわけであります。できるならば税金がなくなることが好ましいのでありまして、そういう意味で、こういう非常に変動の多いときに対処しながら、一つずつ当面する問題を片づけていく、しかも財政支出と財政収入のバランスをとりながら、あくまでも健全財政のワクの中でありながら、民意にもこたえ政府が考える実際の効果も追求していかなければならないのでありますから、二十五年からずっと続いておる中の一こまとしての三十八年度、将来、三十九年度、四十年度はどうなるんだ、こういう考え方で一つ御批判いただきたいのでございまして、私は法人の問題というようなものに対して、まだまだこれから特例を必要とするものはたくさんあると思います。住宅の問題にしろ、土地改良の問題にしろ、下水の問題にしろ、あらゆる問題に対して、まだまだ税法の特例を定めなければならない問題が相当あって、その上になお補助金を出していかなければならぬ、七〇%、八 〇%国が負担していかなければならないというような特例がこれからどんどん出てくると思いますが、私はこれも負担の公平を害するということと背反しないという考え方なんです。そうしなければお互いが将来に希望をつないでいけないのだ、またそうする施策がひいてはわれわれ民族すべてに返ってくるんだ、こういう考え方を基盤にいたしておりますので、その間の事情を一つ理解願いたいと思います。
○村山政府委員 ただいま法人税率特に中小法人に対する税率の軽減の問題の御質問でございます。 これは税制調査会でも今回の減税をやるときに、所得税か法人税かという問題が一応取り上げられたわけでございますが、御案内のように、日本の法人の税率は、各国に比べて、所得税と比較いたしますとだいぶ低いことは事実でございます。英国では五二・七五、アメリカは五三・何がしという数字、日本は御案内のように三八、軽減税率が三三でございます。ドイツは留保分が五一、配当分が一五、実効税率で大体五〇くらいになっております。フランスは五〇、こういうところでございます。しかも中小法人に対する軽減税率を下げるという場合にどうしても考慮しなければならぬのは、現在配当に対する配当控除の税率は三八%を前提にしているわけでございます。ですから、三三という税率にとりましては、一五%という控除に少し多い計算になるわけでございます。この点の調整が一つ問題になるのが第一点。それから御案内のように、日本の法人は大体五十七万のうち五十四万くらいが同族法人でございます。ほとんど個人とそう大差のないものでございまして、法人と個人とのバランスをとらねばならぬという問題があるわけでございます。今回提案しております留保所得課税の基礎控除の拡大もまた、このバランスをとっての措置でございます。従いまして、もし中小法人についての現在の三三をさらに下げるということになりますと、個人についてもまた下げねばならぬ、こういう問題が生ずるわけでございます。現在毎年個人から法人に五万程度ずつ法人がふえて参りますが、そのことから見ますと、もし下げるにいたしましても、これら全体の措置をあわせ講じませんと、単純には下げられぬということになるわけでございまして、今回の税制調査会の答申では、全般的に見てまだ各国よりは低いという点、言いかえれば所得税に比べてはまだまだがまんできるという点、それからそれらの全般との関係があるから将来の問題として検討しようということで、このたびは据え置かれたということでございます。
○武藤委員 主税局長は、税制調査会が法人税率の問題については触れていないから、あるいは同族会社については留保所得の課税軽減ということをやったから個人との比較がとれるんだ、あなたは税制調査会の答申を基礎にして答弁しておる。私が言いたいのは、税制調査会の答申を政府みずからが踏みにじっているから、それをやるよりもほかにやるべき優先するものがあるんだ、こういう立場で私は質問しておるわけです。それは池田さんと田中さんの責任なんですよ。役人当局は税制調査会にいろいろ資料を出して調査会の答申をそのまま忠実に一応聞いておるわけです。最後の断を下すのは、池田さんとあなたが下したわけでしょうからね。だから私は、そういう利子、配当の減税をするよりも、ほかに企業の体質を改善する、もっと緊急にすべき問題が、日本の産業にはたくさんあるのだ。そういうものに先に回すべきものなのだ。それを利子、配当に先に回したという選び方に、何か納得のいかぬものがある。だから、この前も委員会で申しましたように、昨年一年間で証券業界から一億も自民党の派閥で献金をもらっておる。これをいなかの百姓やおかみさんに聞かしてごらんなさい、証券会社から一億円の金をもらったから配当と利子の大減税をやったのだろうと言っても、それはそうだろう、田中さんの答弁をラジオで聞いても、どうも納得がいかないものと言うだろう。だから、やはり私は、そういう点で、こういう銀行や証券業界とのくされ縁、圧力——わんさわんさ地主さんみたいに押しかけてこないから、圧力とは言えないでしょうけれども、何かどうもそういうものが後につながっていて、それの見返りが今回のたなぼた式の配当減税になって行なわれているということ、どうもそれ以外に理由がないのですよ。私は日本の政治がこういう形で専門家の学者、専門家の役人を集めてつくった税制調査会の答申を、権力を握っておるものが、ほしいままに、最高の裁断はおれの権限だといって判断をして、こういう筋の通らぬ減税をやるということは、政治を壟断ずる態度だと思うのです。専門家や学者の真剣な討議によって作られた税制調査会の案というものにはもっと耳を傾けるのが、私は今日の民主政治家の態度だと思います。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 そういう点で、今回の改正案というものはまことに不満であります。しかし、またあなたと論争すると平行線だということになりますから、私はそういう疑いがはれないという気持だけをここで申し上げておくのであります。 さらに、最後にお尋ねしますが、御承知のように、租税特別措置法による三十八年度の減収見込み額というものは、千九百九十八億円、約二千億円ですね。これは租税特別措置という特別措置としてずっと残っているわけです。特別措置だったら、もっと弾力的な運用をすべきなんですね。もう経済が前とは変わった、また変化してきた、そういうときには、どんどん、やめるものはやめていく。ところが、利子、配当の場合には、経済がこう変動してこうなってきたから大減税をするのだ。ほかの千九百九十八億の項目の中身を見ても、特別措置と呼べない、これは恒常的なものにしてしまう、これはもうやめてしまう、そういうものを分類しなければならぬものが、この中にはかなり出てきておるのだと思うのです。こういう形で企業の中身を充実するよりは、ほかに、税率を下げるとか、あるいは資本別による政府の指導方針によって、減税の恩恵を受けられる層というものを、中身を変える、合理化する、そういう点で、もう租税特別措置というものを根本的に再検討して整理する必要があると思う。そういう点についての大臣の見解はどうですか。
○田中国務大臣 税制調査会に対して、二年ないし三年の間に日本の税制のあるべき姿そのものを諮問をいたしておるのでありますから、あなたが今言われた租税特別措置関係の問題もあわせて答申が得られるものと期待をいたしております。
○武藤委員 しかし、あなたは税制調査会の答申を守らない人でありますから、私は信頼できないのです。ですから、あなた自身の見解が、こういう租税特別措置法の二千億円、地方税の一千百四億円、こういう膨大な租税特別措置というものによって、租税公平の原則をゆがめておるということは、直さなければいかぬと思うのです。そういう点についてのあなた自身の見解はどうですか。
○田中国務大臣 税負担の公平ということはこれはもう必要であります。あなた方が言っておることは、大体私はみな賛成なんです。その上に一つよりベターな案としてはどういうことかというと、やはり政治の責任ある地位に立っておりまして、今日の問題だけをとらえて理論にのみ走らず、実際いろいろな変転きわまりない国際情勢に対処しまして、適時適切な施策をとっていかないと、これはなかなか国民の利益は守れないのであります。こういうところが非常に苦心のあるところでありまして、そこがまた質問の焦点になり、議論の焦点になっているわけであります。だから私は自分の個人的な考えとしては、租税特別措置法というものが、今までの租税理論の中では、特別措置であるということで理論的に割り切られておりますが、新しい税制というものに対しましては、一体租税特別措置法によって措置せられておるものが将来どうあるべきかという、新しい税理論も確立すべきであるとさえ考えておるわけであります。これはもうあなたが十分御承知でありますが、公平の原則という中で、これは違うものに置きかえてみますと、低所得者は免税するのだ、中間の者に対してはだんだんと免税の限度を底上げしていくのだ、それよりも高額所得者に対しては累進課税をとっていくのだ、こういう考え方、これは小学校一年生の公平の議論からするとおかしいじゃないかということなのですが、現在世界に共通しておる税理論からいうと、しごくあたりまえの議論です。同じ国民で、憲法においては差別待遇されない、こういっておるけれども、明らかに低所得者と中間所得者と高額所得者の間は、全然別な税率をやって一向差しつかえないのだ、今やっておる租税特別措置というものが、これからの経済やこれからのお互い国民生活というものを考えていくときに、各府県に対しても、各業種に対しても、そのときの事情によって補助率も迷うように、いわゆる税体系の中で、税理論の中で、租税特別措置という方法によってまかなわれておるものを、どう一体消化していくべきか。私はいつも税というものは当然一本のものさしではかっていく以外に税理論はないのだという考え方からやっていきますと、いつでも国民の中に議論を起こしてくるので、その意味で私は二年、三年間というもの——今の税制調査会が学術経験者だけであるなら、それに、実際実務をやった人、池田総理も私は三十年、五〇%の税金をとってきたが、今日になってみれば必ずしもそれが正しいと思わぬというふうに、事実税をとったそういう学識経験者もあるのでありますが、少なくともそういうより多い衆知を集めて、日本の現状に合うように、政府施策が間違わぬために、一歩も後退することのないためには、税制はどうあるべきかということをまっこうから取り組んでいくべきだという熱意に燃えておるのでありまして、私がここで個人的にあまりいろいろな議論を申し上げると、また税制調査会を拘束するということにもなりますので、姿勢を低くしながら、十分検討いただいて答申を一つ待っておるわけであります。
○武藤委員 大体大蔵大臣の答弁は全く納得できぬし、あなたの暴論ですよ。大体池田さんが五〇%税金をとった当時の社会的背景、経済的基盤、そんなことを今の時代になって持ち出すなんていうのは、単なるノスタルジアにすぎません。ちょうど戦争中東條さんがやったことが、あの当時よかったが今悪かったというのと全く同じなんです。われわれ政治というものは現実なんですから、現実の三十八年度の予算をめぐっての利子配当課税がいかに不当なものであり、較差を拡大するものであり、一部の者に利益を与えるかということについてわれわれは議論しておる。それを今二十三年や二十四年ごろの税率のことを引っぱり出して、あれは間違いだった、あたりまえじゃないですか、今から十五年前の話ですから、そういうことは理論にならぬ、答弁にならぬですよ。そういうへ理屈を言ってわれわれを煙に巻こうという態度が私はいかぬと思う。とにかく今度租税特別措置法の問題あるいは税制の問題については税制調査会が基本的に十分検討して、それをあなたは尊重するというのですから、あなたが尊重するかしないかを今度は十分監視する、そういう態度をとることにして、本日は一応質問を終わりたいと思います。
○臼井委員長 次会は明十五日、午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後三時十分散会