大蔵委員会 第18号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/03/13
会議録
○毛利委員長代理 これより会議を開きます。 委員長所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。 所得税法の一部を改正する法律案、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案の三案を一括して議題といたします。 本日は、参考人として中山税制調査会長、宇佐美全国銀行協会連合会長及び小池日本証券業協会連合会長がそれぞれ出席しておられます。 参考人の方々には御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございます。 これより参考人の方々から御意見を述べていただき、その後に質疑に入ることといたします。 では中山会長からお願いをいたします。
○中山参考人 私は税制調査会長中山伊知郎であります。本日ここに参考人として招かれました理由は、私ども、伝えられるところによりますと、今度の税制調査会の答申と、今国会で御審議中の政府案、その相違について意見を述べろ、こういうことであると承知しております。その観点からお話を申し上げたいと思います。それにつきましては、順序といたしまして、まず今回の税制調査会が昨年の暮れに提出いたしました三十八年度の税制改革についての意見、その意見の大要を初めにお話し申し上げ、次いで今回発表されました政府案について、その相違をお話し申し上げ、最後にそれについての調査会長としての意見を申し上げる、こういう順序にいたしたいと思いますので、御承知願いたいと思います。 まず初めに税制調査会としての意見でございますが、その基調はすでにたびたび提出いたしました意見書と同様に、基本的には税負担の軽減と、そして税制の面から見ました負担の公平化、この二つの点に重点を置いております。 具体的に申し上げますと、そのような観点から、今度の答申に盛られました最も重要な改正点は二つございます。第一は所得税関係でございまして、第二は租税特別措置に関するものでございます。いずれも小さい点がたくさんございますが、最初に総論的にお話しいたしますので、できるだけ重点にしぼってお話を申し上げたいと思います。 まず所得税関係でございますが、今度の税制改正になぜ所得税を最初に取り上げたか、この点はもちろん対比して考えられますことは間接税でございますが、昨年御承知のように間接税の大幅軽減を提案いたしました改正案を提出いたしまして、それは大要において政府案に盛られることになりました。その内容はここには申し上げませんが、昨年の減税の中でおよそ六百億程度、これは初年度と平年度と金額の違いますことは御承知の通りでありますが、全体といたしまして六百億程度を間接税の減税に充てました。と申しますことは、総減税額、平年度におきまして一千四十二億のうちの、およそ六〇%を間接税の軽減に充てたわけでございます。そのような意味で今年の改正をもし提案いたしますとしますとやはり重点は金額の多少にかかわらず所得税にあるべきだというのが、基本の考え方でありました。そこで所得税関係につきましては、基礎控除及び配偶者控除十五才未満の扶養者控除、専従者控除、この四つの基礎的な控除につきまして、それぞれ一万円ずつの引き上げを提案いたしました。この引き上げによります減収は、初年度三百九十三億、平年度四百六十億ということになります。そのような減収あるいは減税をなぜ所得税関係についてこのように提案したかと申しますとその理由は実質的な増税を最低の所得者層について避けるというのが、基本的な考え方でございます。御承知のように、経済成長率に従って名目所得はふえて参ります。その名目所得のふえます場合には税金は当然ふえるのでございますが、さらに累進税ということになっておりますので、そのふえ方は成長率のふえ方よりも大きくなります。このような関係から、物価の騰貴ということを考えまして、それを実質に直した場合におきましては、最低の所得者層、つまり課税最低限度において実質的に増税になる計算が成立いたします。そこで独身者、夫婦、子一人二人、三人、それぞれの場合につきまして、実質税的な増税にならない軽減の程度はどういうところであろうかということを算定いたしました結果、以上四つの控除、繰り返して申しますと基礎控除、配偶者控除、十五才未満の扶養者控除、専従者控除、それぞれ一万円を引き上げますと、これらの最低所得者層における一応物価騰貴からくる事実上の増税を避けることができる。これが私どもといたしまして、最低限度の改正の要求であるということを決定したわけでございます。この場合に問題になりますことは、どの程度の物価上昇を見込むかということでございます。いろいろな計算法がございまして、三十七年を基礎といたしまして、三十八年度の見込み物価騰貴率二・八%でございますが、それを加えた場合に、今申しましたような改正によって、実質的な増税を避け得るという考え方、もう一つは三十六年、三十七年、これが大体合計いたしまして一二%ばかりの物価騰貴になっておりますが、それに三十八年度の推定物価騰貴二・八%を加えまして、それもまた今申しました実質的増税を避ける措置をした場合にはどうなるであろうか。このような計算をそれぞれ重ねて参りまして、どの場合についても、今の四つの基礎的な控除を各一万円ずつ引き上げます場合には、いずれの場合におきましても、実質的な増税ということを免れることができるという計算上の結論に到達いたしましたので、それでこのような提案をいたしたわけでございます。これはもちろん昭和三十八年度の物価騰貴率を二・八%としておりますので、もしこれが実際上変わりますと、この計算は変わって参ります。残念なことには、最近の傾向では、あるいは二・八%をこえるのではないだろうか。具体的に申しますと、昭和三十七年度は同じく二・八%の騰貴率を推定して出発いたしましたところ、実際上の騰貴はおよそ五%でございまして、その間約三%の予定以上の騰貴がございました。もしこのような騰貴が不幸にして昭和三十八年について見られますならば、われわれの計算もまた、実はその根拠の一部を失うのではないかと思うのですけれども、しかし計算の基礎として、今経済企画庁初めとられております二・八%という予想と違った数字をとるわけには参りませんので、そこでそのような計算に従ってその案を決定した次第でございます。この点につきましては、政府案があとから申し上げますように、さらにこれを修正されておりますので、それに関連していま一度申し上げたいと思います。 第二の点は、租税特別措置の中の利子所得の課税、一〇%の分離課税を据え置きという決定をいたしました。これは簡単に申しますれば、一年ずつだんだん伸びて参りまして、そしてことしもまた据え置きということでございますから、事実上現状維持ということになるかもしれません。おそらくそのように御理解されると思います。 これは税調の答申案でありますが、しかし実際は利子所得に対する課税の措置、つまり分離課税一〇%という措置は、これは年々繰り返してはおりますけれども、あくまでも租税特別措置なんでありまして、しかも期限付なんであります。従いまして、その期限の切れました昨年、ことしの新しい税制におきまして、今まで通りに据え置きということは、新しい一つの提案でございます。そのような意味にわれわれは理解いたしまして、これはその意味においては、利子課税に対する特別の優遇措置を今回あらためて確認して、そしてこれを提案したというつもりでおりました。ところが実際の問題といたしましては、今までとちっとも違っていないことと、据え置いたのでございますから、おそらく当事者、これは銀行も含めまして、その他の当事者については、何も特別の措置を新たにしたのではないという感覚でお受け取りになったと思います。しかしここではっきり申し上げたいことは、税制調査会といたしましては、この問題はもう五、六年と申しますか、もっと前の税制調査会を加えますと、長い間議論して参りました問題で、いつかはケリをつけなければならないということになっておりました。それを三十八年度におきまして諸般の事情、これは特に貯蓄の増強の必要というようなことを頭に置きまして、据え置きということを考えました。またこれを提案いたしましたことは、税制調査会の立場としては、利子課税の優遇措置を続けることによって、本来ならばこれはなくなったかもしれない制度を存続することによって、貯蓄の増強に一臂の力を添えることができるのではないかという考え方であったこと、このことは一つここではっきり申し上げておきたいと存じます。 その他、地方税関係で電気ガス税でございますとか、国民健康保険の措置でございますとか、これは若干の低減を勧告いたしまして、同時にそれに対して財源措置を加えております。この点は地方税の個別問題になりますから、あるいは当大蔵委員会の別の問題になるかと存じますので、私の方からはこれ以上の説明を一応差し控えさせていただきます。 そこで以上の二つの税制調査会の案この案が具体的に成立いたしました背景は、自然増収の幅が減少したという事実でございます。御承知のように昭和三十五年から三十六年、三十七年、三十八年に至ります四カ年間の当初見込みと、そしてその次の年の当初見込みという比較における、そういう意味の自然増収、自然増収にはいろいろな定義の仕方がございますが、一般に行なわれておりますこのような比較におきます自然増収の金額を並べてみますと、三十五年度は二千九十六億、三十六年度が三千九百三十億、三十七年度が四千八百七億、三十八年度が三千百三十一億、こうなっております。ただ税調の案を作成しております途中におきまして、われわれの、つまり委員会に知らされました自然増収の金額は、これよりもはるかに少なくて、二千億ないしせいぜいのところ二千三百億くらいのところであるといわれておりました。その金額は、まさに昭和三十七年度の自然増収の全額に比べますと、二分の一以下であります。非常に幅が小さい。従って今度の場合には大幅な減税の勧告をすることができないのではないか、こういう基本的な前提の上に、以上の案ができたわけでございます。 ついでに申し上げますが、自然増収というものを税制上どう考えるか、これにつきましては税制調査会の内部でまだ相当に議論がございまして、おそらく今度の税制調査会で新しく設けられます基礎問題小委員会において、徹底的にこれを追及される予定でございますが、必ずしも自然増収の全部を返す、国民に還元するということが、税制の建前であるかどうかということ、かりにそのことを行なっても、はたしてそれが実質的な減税と言えるのかどうかということ、そのような問題について論議をこれから重ねていこうと考えておりますが、今のところでは、事実を申し上げますと、自然増収の幅がある程度見込まれた場合に、少なくともその一部を減税として国民に還元するというのが、当然の常識である。こういう考え方のもとにこの案ができ上がっていることを申し上げておきたいと思います。 そこで、そのような小幅の自然増収の中で、なおかつ所得税及び租税特別措置について、このような勧告をしたかということの理由はどこにあるかと申しますと、第一には負担の軽減という問題と、そして負担の公平化という税制にとっての基本的な問題は、いかなる場合にも機会あるごとにこれを提案するがほんとうである。どんなに小さい幅の場合でも、機会があればそれを提案し、御考慮を求めるというのが、われわれの責務である。これは調査会一同の見解であると思いますけれども、そういう立場に立って、今度の減税の幅は、かりに金額的に小さくても、この原則に合致する限り、われわれはものを言わないよりも、はっきりそのような見解を述べた方がよろしいという意味で、このような提案をいたしました。 ここで今度の税制調査会と過去三年、つまり昨年の三月まで行なわれました第一回の税制調査会の相違を一つ申し上げておきたいと思います。今度の新しい税制調査会も、その前の税制調査会もいずれも、たまたま私がともに会長をしておるのでございますが、二つの税制調査会を通じて基本的な考え方は、日本の税制の根本を考える。当年の問題にはあまり精力を集中してはいけないということになっておりました。今日もそのつもりでおります。しかしながら目前に毎年々々国会で大きな税制改正が議題になります。それに対して税制調査会が黙っているわけにはいかないということから、実は過去の実績を申しますと、もうすでに四回にわたりまして、当年の税制改正についての意見を答申しております。ただ過去第一回の税制調査会、つまり三年続けました私どもにとって第一回の税制調査会におきましては、実際を申しますと、当年の改正に実は精力をとられ過ぎまして、根本問題、ちょうど先ほど申しましたような自然増収の本来の意味というような、そういう根本問題、あるいは税負担の根本問題、あるいは直接税と間接税との根本的な比率の問題、あるいは中央と地方との税源配分の基本的方針、こういう点についての論議が十分に行なわれてなかったということを反省いたしまして、今回はできるだけ力を基本的な問題に集中し、当面の、当年の税制改正については、必要やむを得ない場合の意見具申にとどめたい、こういう方針をきめております。 そこで今度の場合に必要不可欠と考えましたことは、先ほども申し上げましたように、あらゆる機会をつかまえて負担の軽減と、そして負担の公平化をはからなければいけない。特に今回の場合には、物価騰貴ということによって最低所得者層、もっとはっきり申しますれば、課税最低限度というところが影響を受けることは、これは黙視してはおれない。こういう意味で、ただいまのような少額ではございますけれども、このような提案ができ上がったわけでございます。 それから第二に移りまして、そこで政府原案——政府原案は私の方から申し上げますよりも、十分に御承知でございますので、ここでは簡単に結論的なところだけを申し上げます。結論的と申し上げますのは、先ほど私が税調の案として申しました二本の柱だけを中心にして申し上げます。 第一、所得税につきましては、今度の政府案は、基礎控除についての一万円の引き上げは、そのまま答申を御採用になりました。しかしながらあとの三つの控除、すなわち配偶者控除と扶養者控除と専従者控除それぞれにつきましては、一万円という金額を五千円ということにいたしまして、そうしてその控除額の引き上げを認めております。このことは、一体具体的にどういうこと意味するかといいますと、正直に申し上げて、われわれがいろいろな計算をいたしました結果、到達いたしました実質的負担の軽減とは言えないのでありますが、実質的負担の増加を防ぐという目的を、遺憾ながら若干達していないという結果になるのであります。これに関連いたしまして、これは先ほどの物価騰貴の計算法に戻るわけでございますが、三十七年度を踏まえて、そうして三十七年度の物価騰貴、実質的には三%ばかり予想を上回った騰貴と、それから三十八年度に予定される二・八%の物価騰貴、この二つだけを考慮に入れた場合には、この政府案においても、なおかつ大体において最低所得者層の実質負担が増税にならないようになる計算になります。しかしもし違った計算方法をとりまして、先ほど申しました第二の方法でありますが、三十六年、三十七年、これは合計して一%ばかりの騰貴になっております。それに三十八年度の推定騰貴率二・八%を加えますと、実はカバーされない。実質的な負担が増になるところが若干出て参ります。若干と申しますのは、具体的には夫婦と子三人という代表的五人家族というところで若干の赤字といいますか、計算上の赤字、すなわち実質的な増税、言葉を強めて申しますと、増税になる部分が出て参ります。と申しますことは、そういう計算方法をとらなければ、幾らか余裕のあるような減税が一万円控除の中には含まれておったのでございますが、五千円、五千円に足切りをされてしまいますと、その余裕分もなくなって、プラス、ごくわずかでございますけれども、具体的な数字を申し上げますと、夫婦子三人のところで所得額、たとえば三十七年度において五十万円、これは名目所得が三十八年度に至るまでに増加しておりますから、それは三十八年度の所得に換算いたしますと、五十五万四千五百円になります。このところでちょうど二百三十九円という実質上の増が出て参ります。二百三十九円、それを五十万円に対しますと非常に小さいようでございますけれども、しかし税額、税金だけについてこれを比較いたしますと、ちょうど三%の増加ということになります。これは計算の仕方でございますけれども、先ほども申しましたように、物価騰貴率の推定は非常に困難であり、昭和三十八年度二・八%という推定は、おそらくは残念ながら少し低いのではないかと思われますので、こういう計算をはっきりお示しておいた方が私はいいと考えます。 このような点が一つ出て参りますが、もう一つ考えられますことは、一体生計費と比較して、生計費の増加と、そしてただいま申しましたような税制改正によるところの軽減が、どのくらい実質的にふえるかという問題を比較する必要がございます。この点から申しますと、今後の改正案で参りますと、生計費の騰貴、これを大体においてはカバーできるのでございますけれども、しかし先ほども申しました夫婦子三人のところでは、これも残念ながら若干、最低課税限度が最低生計費に食い込むという現象が出て参ります。これは生計費が非常に騰貴いたしまして、昨年じゅうの騰貴がおよそ二〇%という非常な高い——これは計算の基礎のとり方の変化もございますけれども、食料費だけとりますと一一%しか上がっておりせまん。しかし生計費全体をとりますと、二十%ないし二二%の騰貴になっております。そういう点から見ますと、最低課税限度が最低生計費に食い込む、あるいは上回るという結果が出て参りますので、この点は政府案の改正というのは、さまつのようでございますけれども、基本的に申しますと、私どもが物価騰貴からくるところの最低所得者層の保護というと言い過ぎでありますが、とにかく税負担の増加を避けようとした努力から見ますと、残念ながら政府案は私どもの見解からは、金額において、程度においてはわずかでありますけれども、原理的にはいささか残念な結果になったということを申し上げざるを得ません。これが第一の点でございます。 それから第二の租税特別措置の問題でございますが、これは政府案によりますと、分離課税という制度はそのままにし、そして一〇%を五%に切り下げ、そのかわりに国民貯蓄組合を解散して、少額貯蓄非課税の措置に移ったということになっております。このことから生ずる原案と申しますか、調査会案との相違は、平年度において二十八億、初年度において二十五億の減収という、わずかなことになるのでございますが、これはもっと正確に申しますと、一〇%から五%への切り下げによって八十九億の税の減収がございます。しかし少額貯蓄非課税制度への移行によって、およそ六十一億の税収が期待されておりますので、その差額、すなわち約二十八億というのが、実質上の減収になるだけだと言われているわけでございます。従って税収という立場からいたしますと、この改定——改正とも改悪とも申し上げませんが、この改定は大したことはない、こう考えられるのでありますが、しかし原則的に申しますと、非常に問題を含んでおるように思われます。 利点といたしましては、これはもう十分に御議論がされておりますように、従来の国民貯蓄組合の制度が、非常に乱用されておった。単にそれを悪用していた貯蓄者の罪だけではなくて、いろいろなことがあると思いますけれども、そのことによって貯蓄を引き受けておられる銀行の側も、迷惑されておった。大蔵省もその査察というような点で非常に徹底すればむずかしいし、徹底しなければルーズだと言われるしというような、非常に苦しい立場にあった。そういうことをはっきりここで解消して、そして少額貯蓄非課税という制度に移行することには、税制的には私は一つのプラスがあると思います。しかし今度のこのような改定の主たる理由というのは、政府案の御説明にありましたように、主として貯蓄増強の目的を達成するということに置かれていたように思います。そこでこういう改定が、はたして貯蓄増強に役立つかどうか、これは私、正直に申し上げますけれども、私は疑問だと思っております。従って疑問だと思っている以上には、ここでは申し上げませんが、疑問だと思っております。つまりプラス、マイナスを考えまして、はたしてこれが優遇になるかどうかということに、私は疑問を持っておるのでございます。 従って私はこの政府案に対して、ここで申し上げられますことは、こういう制度を今度おとりになれば、一年とか二年とか実績が出るかと思います。実績を見た上で、どうかもう一度考えていただきたい。これは税制調査会の方でも真剣に取り組みたいと思いますので、今度の措置を私、金額的に申しましても、あるいは臨時的と政府も言っておられるのですから、それ以上ここで追及申し上げるというようなことは決していたしません。いたしませんが、一つこの実績はできるだけ詳細に私どもにもお示しを願って、税制調査会におきましても責任を持って、そういうような制度がどのような意味を持つかということを検討いたしたと存じます。 以上、政府案に対する二つの所得税関係及び租税特別措置関係についての、調査会としての意見を申し上げました。 重ねて基本方針に振り返って申し上げますと、現在の税負担のあり方から申しますと、私はなお日本の現状において、できるだけ負担の軽減をはかる必要が依然としてあるということ、これが基本的な点。そうして公平という点から申しますと、小さいようなことでも、なおかつ負担の公平のために努力すべき余地が残されている。この二つの点を考えまして、そうしてこのようなチャンス、すなわち毎年々々の税改正案の討議されます機会というのは税制調査会にとってもその意見を述べる絶好のチャンスであるというように考えます。従いましてこういの小幅の、金額の小さい減税の措置の場合に、このような提案をいたしましたことについて、あるいは一般的に御批判があると存じますけれども、幅の大小ではなくて、プリンシプルの問題としてこれを提案したわけでございます。ちなみに日本の現在の国民所得に対する税負担の割合、これはだんだん数字が新しいものによって改定しておりますので、最近の数字を申し上げます。三十五年度二一・四%、三十六年度二二・二%、三十七年度二二・一%、そして三十八年度二一・五%となっております。これはなお、毎年あるいはしばしばございますように追加予算とか、あるいは補正予算ということがございますと、この比率がまた三十八年度については変わると思いますが、しかし当初税制調査会の、決議ではございませんが、一般的な意見といたしまして、およそ二〇%というが適当であろうという点から出発いたしますと、残念ながらここ数年間は、一%ないし二%それを上回っておるような傾向でございますけれども、特に三十八年度について申しますと、その上回る傾向を幾らかでも押えることが、少なくとも傾向としてはできるようになったということを、われわれはいきさか心を強くしているわけでございます。その税負担の比較につきまして、なおいろいろ問題がございますけれども、これはすでに昨年の大蔵委員会におきます参考人の陳述といたしまして、私述べましたところでございますので、ここでは繰り返しをいたしません。 このような意味におきまして、政府案に対する相違、並びにそれに対しての税制調査会の意見の基本的な部分は、今お話しすることができたと思いますので、あとは御質問に応じましてお答えを申し上げたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○毛利委員長代理 次に宇佐美全国銀行協会連合会会長にお願いをいたします。
○宇佐美参考人 ただいま御指名をいただきました全国銀行協会連合会の会長宇佐美でございます。 本日は、御審議になっております利子所得課税に対する特例の延長拡大並びに少額貯蓄非課税制度について、銀行の立場から意見を申し上げるようにということでございましたので、これから率直に私どもの考えておるところを申し上げたいと存じます。 私どもは昨年来、利子課税に対する優遇措置の強化につきまして、政府を初め各方面にお願いをいたして参りましたが、まずこの点につきまして、私どもの基本的な考え方を申し述べさてていただきたいと存じます。 御高承の通り、日本の資本蓄積、特に貨幣資本の蓄積は、現在きわめて貧困であると申して差しつかえないと存じます。特にこれからいよいよ八条国に移行し、自由化を全面的に進めて参らなければならぬ日本といたしましては、企業の国際競争力の強化の点からも、またおくれております公共資本の充実、産業基盤の強化、あるいは自由化に伴う国内体制の整備というようないろいろの点から申しまして、資本の蓄積、特に資金の増強の必要性は今までよりも一そう強くなった、こういうふうに考えておるのでございます。 第一の企業の国際競争力強化につきましては、今さら多くを申し上げる必要はないと存じます。今までわが国はIMF十四条国にとどまっておりまして、従って国内の企業は、何と申しましても貿易、為替面を中心にいたしまして、いろいろの政府の保護あるいは配慮のもとにやって参ったわけでございますが、今後はいよいよ裸になって、世界の企業と競争をしなければなりません。この場合一番問題は、その基礎にある企業の蓄積が、まだはなはだ西欧先進国に比べまして不十分なことは、皆様御承知の通りでありまして、これをいかに克服し、いかに安い優秀な設備をつくり、これを安い資金で運営していくかということが、今後大きな問題であると思います。そのためには、できるだけ企業の内部留保を充実していくということが必要でございまして、外国に比しまして日本がその点で著しく劣っておることは、御承知の通りと存じます。このごろ問題になっております金利の割高の点でも、これをだんだん是正していくということが大事でありますが、何といいましてもそのことをやるには、資金需要に対して供給面での資金の絶対量が足りない日本におきましては、これを今後いかに進めていくかということに、われわれは関心を持たざるを得ないのでございます。特にわが国の産業金融の実情から申しまして、ここしばらくはやはり銀行借り入れということが、企業の設備の合理化、近代化、あるいはそれの運行をやって参ります上において、決して軽視できないと思いますので、私どす銀行といたしまして 預金の増強の必要性をきわめて大きく考えておる次第でございます。 第二に、政府の公共投資の面でございますが、これも今さら申し上げるまでもなく、著しく劣っておるのでございますが、この方もやはり相当の資金が要るのでございます。税収を大幅にふやして、公共投資を進めることができれば別でございますが、それも今日においてはとうてい国民の税負担、ただいま中山参考人がおっしゃいました通り、むしろ税の負担の軽減ということが大事でございますので、税収によってまかなうということは、なかなかむずかしくなって参ります。また国債の発行にいたしましても、日本の実際の環境あるいは制度の上からいいまして、なかなかそうたやすくはこれも発行できないと思います。そう考えて参りますと、公共投資拡充のためにも、今後民間資金活用の要請が強くなってくる、こういうふうに考えておる次第でございます。 そのほか、自由化に伴う国内諸体制の整備の観点からいいまして、幾多緊急の資金需要が起こってきておることも、御承知の通りでございます。たとえば石炭であるとか、海運であるとか、あるいは肥料等々の多くの問題に、構造上の問題も起こってきておりますが、これらにつきましても、むしろ政府でも御配慮になっておりますが、民間の資金からも相当の支出を要するのではないかと思うのであります。また中小企業の近代化、合理化、あるいは二重構造の是正、これも大きな問題で、今後われわれとしても一そう日本の国民的立場から、中小企業の発展、振興に御協力申し上げなければならぬと思っておりますが、それらの問題を考えますと、今後民間資金の必要は非常に多くなってくる、かように思うのであります。 これを要するに政府、民間とも、わが国における資金需要は今後ますます多くなって参りますが、一方これに対しまして、産業の金利負担の軽減の見地からも、金利水準の低下を進めていからければならないという要請も起こっておるのでございます。そのためには、何といいましても資金の量をふやすことが先決でございますが、今後わが国において必要部門に必要な資金を十分供給しつつ、しかも低金利を進めていくためには、外資の導入というような資金のふやし方もございますが、やはり基本的には国民貯蓄を増加していくということが必要だろうと思います。 こうした考え方に対して、わが国の貯蓄率はすでに十分高く、国民の生活水準向上のためには、むしろ消費をもっとふやすべきであるという議論も承っておりますが、しかも国民一人一人の貯蓄という点について考えた場合、わが国のそれが先進国と比べてなおきわめて貧弱であることは争う余地がございません。たとえば国民一人当たりの正味の金融資産で見ますと、われわれは米国に比べて十分の一以下、英国に比べて四分の一というふうに考えておるのでございます。そういう点から言いましても、個人の点から言いましても、また国家の要請から言いましても、何にいたしましても、もう少し貯蓄をふやす必要があるのではないかと思うのでございます。貯蓄の奨励につきましては、何も銀行預金だけでふやせばよいと申し上げるつもりはございません。住宅を持ち、証券類を持つということもむろんけっこうでございますが、先ほど申し上げました通り、多くの資金需要が銀行を中心にただいま動いておるという現状から見ますと、やはり当面は銀行預金の拡充ということを、まず考えていただきたいと思うのでございます。 ところで、預金増強のために必要な施策、有効な方策はいろいろ考えられます。すなわちそのためには、消費者物価の安定ということが基礎条件であることはむろんでありますが、しかし預金を集めるということになりますと、やはり預金に魅力をつけるという方策が、当然考えられてしかるべきだと思うのでございます。そのためには、国民一般が貯蓄しやすい金融機関の店舗の増設であるとか、あるいはいろいろ便宜をはかって、国民全体に対して親切なサービスをするということは申すまでもありませんが、それと同時に税の軽減によって、預金の実質利回りの向上をはかることも、実際の預金者の心理の上から言いまして、よい処置ではないかと考えておるのでございます。 預金利子課税の優遇強化が、税理論と申しますか、税負担の公平の見地から、いろいろ議論のあることは私どももよく承知いたしております。しかし戦前のように所得構造がピラミッド型をしておるときには、いわゆる金利生活者があり、税負担力もあるのでございますが、従って大口預金者の優遇ということが非難の対象になると思うのであります。しかしながら現在は、戦前に比較しますと著しく所得が平準化しておりまして、こういう金利生活者はあってもごく少数でございますし、貯蓄の主要な動機も、不時の災害であるとか、老後の生活保障、子女の教育あるいは自己の住宅保有等、勤労者の切実な要求がもとになっているように思います。こう考えますと、一部の金利生活者や大口預金者の優遇になるという理由で、広く一般の預金増強に効果のある貯蓄増進策が見送られるということは、資金の絶対量の不足しておる日本といたしまして、かえってまずい結果になるのではないかと思うのでございます。私どもといたしましては、財政全体、税収入全体に影響するような、大きな優遇強化をお願いしておるわけではなく、ちょうど昨年の予算編成期に、政策減税か一般減税かというようなことが言われましたけれども、この両者の調整がうまくとれるように、政府において御配慮下さって、その上で貯蓄増強の減税をやっていただきたい、こういうふうに思っておるのでございます。 それから、先ほども中山参考人からもお話がございましたが、利子課税の優遇を強化して、たとえば銀行預金がどれほど伸びるかという問題でございますが、私どもも非常に関心を持って研究いたしております。しかし貯蓄増強の要因といたしましては、いろいろほかにあるわけでございます。国民所得あるいは貯蓄性向、諸般の要因が相互にからみ合い、さらに先ほど申し上げました通り預金の動機というものは、将来のためとか、あるいは子女のためとか、さらに住宅を持つとか、いろいろな問題がからみ合って出て参りますので、この預金増強のどれだけの部分が、税の減税によって起こったかという算定は、なかなかむずかしいのでございます。いろいろこういう減税案をお願いする場合に、実際問題として、的確に減税をするとこれくらい預金が伸びるのだ、あるいはしないとこういう結果になるのだということを数字に出せないのが、預金なのでございます。これは税と違いまして、各国民皆様がそれぞれの自主的判断によってなさることでございます。しかしこういう減税策が、預金者の心理に非常にいい影響を及ぼすということは、私どもが窓口におきまして非常に痛切に感じておるところでございますので、ぜひそういう預金の性質を御理解願いたいと思うのでございます。なお、貯蓄が国民所得の伸張に応じて順調に伸びているではないかということでございますが、これも当局——当局といいますか、国策として貯蓄増強のために、国民貯蓄に本腰を入れて下さっておるということが国民に浸透する、これが非常に貯蓄増強に役立っておるということも、あわせて御理解を願いたいと思うのでございます。 なお、今般国民蓄貯組合制度にかえまして、新たに少額貯蓄非課税制度を設けられることになりまして、この所得税法の一部改正案が御審議になっておりますが、申すまでもなく、国民貯蓄組合制度昭和十六年に発足いたしまして、二十年の長きにわたって、わが国の貯蓄増強に大きな役割を果たして参りました。今般これが新しい制度になるわけでございますが、今度の制度における一つの特色は、従来の国民貯蓄組合制度のもとにおいては、組合員でなければ非課税の恩典を受け得なかったのでございますが、今度は国民一人々々がだれでも、その少額貯蓄について恩典を受けられるということになるわけでございます。と同時に、先ほど中山参考人もおっしゃいましたが、今まではいろいろのことで、比較的高額預金者が、いろいろの形で分けて、この国民貯蓄組合を利用しておった方があるのでございます。これはなかなか、銀行で防止しようと努めておったのでございますが、今度はそういうことがないように方法をとられておりますので、今度こそ国民の皆様がすっきりした形において、この制度を御利用願えるのだろうと思っておる次第でございます。 以上、いろいろ申し上げましたが、最後に私どもも、この利子課税に関する優遇策について、現在のわが国の経済の実情から、臨時的特別措置としてお願いしておりますが、資金の量がふえ、金利の水準も国際的に十分太刀打ちできるときが参りましたら、やはりほんとうの姿において、こういう臨時立法的なことでなく、長期基本税制の一端としてお取り扱いを願える日が一日も早くくるように念願いたしております。先ほど中山会長もおっしゃいましたが、内閣の税制調査会において、今後これらの問題を御研究になるということでございますので、今の情勢から考えまして、臨時立法としてこれをお認め願っておりますが、こういう臨時立法が必要でないときがくるように念願いたしておる次第でございます。 はなはだ簡単でございますが、以上所信を述べさせていただきました。 (拍手)
○毛利委員長代理 次に、小池日本証券業協会連合会会長にお願いいたします。
○小池参考人 小池でございます。私は、昭和三十八年度税制改正の一環として示されました配当課税に対する税制改正案につきまして、証券界の立場から、いささか意見を申し述べたいと存じます。 まず第一に、配当所得に対する源泉徴収税率の五%引き下げについてでありますが、皆様すでに御承知の通り、個人の配当所得は総合課税の対象とされまして、二〇%の源泉徴収が行なわれる建前になっておりますが、昭和三十年以来、この源泉徴収税率を一〇%とする特別措置がとられて、今日に及んでおるのであります。 なお、この際申し上げておきたいと存じますが、皆様御承知の通り、現行の税制におきましては、法人税は個人、すなわち株主の所得に対する課税の前取りであるという法人擬制説の立場をとっておりまして、所得課税の際に、この二重課税を排除するために配当控除制によって調整することになっておるのであります。しかしながら総合課税のために、所得の増加に伴いまして、累進税率の適用がある反面、特に少額所得者につきましては、二重課税の排除が十分でございませんために、著しく税の取り過ぎになっておるということを御認識願いたいのでございます。これにつきましては、お手元に別表でもって、「配当所得に対する実質的税負担について」というものを配りましたので、これについてごらんを願いたいのでございます。すなわち、所得階層別に上積みの税率を見ますと、配当所得者は不利でございます。ことに少額配当所得者は著しく不利になっているこの事実を、この際御認識を願いたいと存ずるのであります。 一方、利子所得につきましては、少額貯蓄の免税制度があるほかに、所得者の所得の多寡にかかわらず、一律に一〇%、改正案では五%ございますが、それの分離課税で済んでおるのでございます。証券界といたしましては、資本蓄積という建前から考えますれば、証券による蓄積も、預貯金による資本蓄積も変わりはないと考えておりますので、源泉分離課税制度をとっているところの利子所得との課税上の不均衡の是正のために、多年にわたりまして配当所得に対する総合課税制度を改正して、分離課税制度を採用されるように要望して参ったのでございます。特に最近におけるわが国経済の直面する貿易為替の自由化に対処いたしまして、企業の国際競争力を強化し、わが国経済の安定成長を確保するためには、企業の自己資本を充実して、その経営基盤の強化をはかることが緊要なることは、申すまでもございません。この立場から、配当所得に対して優遇措置がとられることを強く要望して参った次第であります。しかし本年度の税制改正案におきましては、源泉徴収税率を五%に引き下げることにとどまっておるのでございます。 今回のような源泉徴収税率の引き下げは、単に所得税の前取りが減少するだけでありまして、総合課税の建前である以上、何ら税制上の減税ではないのでございます。ただ、給与所得者で五万円未満の配当所得のある場合とか、支払い調書提出限度以下の配当所得者である場合など、総合課税が省略されております場合におきましては税率の引き下げ分だけ、税負担が軽減されておるのでございます。 しかし、従来少額所得者の申告をすれば、源泉徴収税額の還付を受けることができるのでありますが、それが、それをめんどうがって申告をしないために、源泉徴収税額の取り切りになっておる場合も相当多いのでございまして、いわゆる今回の措置による政府の減収額の相当部分が、このような少額所得者で、確定申告をすれば、本来還付されるべきはずのものであると推定されるのであります。従いまして今回の改正案では、そのような面における是正の効果は認め得るのでございますが、基本的な配当所得と利子所得との課税上の不均衡が、むしろ拡大されると考えるのでございまして、証券界といたしましては、いささか残念に思っている次第でございます。 次に、今回の税制改革の企業への影響を考えてみますると、このような利子所得との課税上の不均衡の拡大は、国民大衆の直接投資への意欲を減殺いたしまして、ひいては資本市場の発展を阻害する結果となり、企業の資本構成のすみやかな改善を困難ならしめるのではないかと心配するのでございます。 次に、当面の証券界よりの要望を申し述べさせていただきたいと存じます。税制調査会におかれましては、配当所得に対して分離課税を採用することは、企業課税全般にわたる問題であるので、今後さらに慎重に検討を要するものとして、直ちにこれが実施については反対の意向と承っております。しかし私どもがただいま要望いたしている趣旨も、配当に対する基本税制のあり方ということはともかくといたしまして、当面の国民経済の要請にこたえるための臨時措置として、しかもただいま申しました通り、利子課税との均衡論に立って考えておるのでございます。その点を御了承願いたいと存ずるのでございます。すなわち現行税制におきましては、利子所得が源泉分離課税の対象とされているにかかわらず。配当所得は総合課税となっておりますために、お手元の資料第三表に見られます通り、配当所得は利子所得に比しまして著しく不利となっておるのでございます。 従来株式と預金につきましては、株式投資はキャピタル・ゲインを目的として、またその譲渡所得は非課税となっているので、利子と配当を同一に扱うことは適当でないという御意見もございますが、株価は御承知の通り騰落がございまして、必ずキャピタルゲインがあるとは限っておりません。ロスもあるわけでございます。従いましてキャピタル・ゲインのみを前提として考えることは当を得ないのみならず、今後利回り採算に立った健全な投資市場を育成することが肝要でありまして、いわゆる大型基幹産業の自己資本調達は、この利回り本位ということをおいて、他に道がないと考えておるのでございます。 また、これは一つ宇佐美さんに御了解願いたいのですが、決して銀行さんを目のかたきにするわけではないので、私どもは資本蓄積という立場においては、全くただ同等に取り扱っていただきたいということだけは、一つ宇佐美さんにも御了解願いますが、預金の方が株式に比して大衆の零細貯金であるという御意見もございますが、それにつきましては、別表の四並びに五をごらんいただきますと、株式はすでに非常に大衆化したおりまして、その所得階層別保有状況は、非課税の郵便貯金は別といたしまして、少なくとも定期制預金とほとんど差がございません。担税力の点からも、課税上の取り扱いを異にする理由は乏しいと考えるのでございます。 以上のような次第でございますので、証券界といたしましては、配当所得につきましては、利子所得と同様に、すみやかに源泉分離課税制度が採用され、また今後、利子所得が免税となる場合は、同様に配当所得も免税措置が講ぜられ、資本市場の育成強化、ひいてはわが国の企業の経営基盤強化に資することができますように、この機会に重ねてお願いをする次第でございます。 なお、今回預貯金等の利子につきましては、国民貯蓄組合法にかえて、少額貯蓄免税制度が採用されることになっておりますが、大衆の少額投資であるという点につきましては、株式投資信託も全く同様の性格があるのでございまして、少なくとも株式投資につきましては、この少額貯蓄免税制度の対象に加えられんことを特にお願いいたしたいと思います。 これをもちまして私の意見を終わります。(拍手)
○毛利委員長代理 次に、三巻主婦連合会副会長が参考人として出席されましたので、引き続き御意見を述べていただきます。
○三巻参考人 三巻でございます。ちょっと初めにお断わりしておかなければならないのでございますが、私ほんのしろうとでございます上に、娘のお産がございまして、十分の検討ができませんままに参りましたので、大へん抽象的な問題に触れると思いますが、あしからず御了承願いたいと存じます。中山先生から先ほど克明に要領よく御説明になりましたので、重ねて数字を申し上げることは、かえって私として大へん自分のばかさを出すようなわけでございますので、そういう点でも大へん自分の言いわけのようになりますけれども、あしからず御了承願いたいと存じます。 ここへ参ります前に、あまり忙しいものでございますので、確定申告も今までしてなかったのでございますが、もう日にちもございませんので、今その現地へ行って納めてきたばかりでございますから、それだけに何となく、税というものに対する現地での空気を十分くみ取ってきたつもりでございます。きょうは雪ではございますが、みんな真剣に、何てむずかしいのだろう、尋ねれば何とかほじくり出されてしまって、税は取られるばかりで、どこか相談所でもあって、こっそり教えてくれればいいのだがと、こう思うのが人情だろうと思うのです。いろいろと何とか節税をうまいことしてみたいと思うのだけれども、知らぬがために、それを十分に善用することができないという人も多いのじゃないかということを、税を少しかじり出しましたばかりに、そういうことを常に感ずるものでございます。それだけに、きょうきのうの申告を見て参りましても、何と税というものは高いものか、これが国民大衆の声であろうと思います。私も、ことに家庭の主婦でございますので、主人あたりが一生働きまして、やっと退職の手当をもらったと思ったら、退職金をごっそり持っていかれる。そして子供が結婚するのに家がないというので、家を建ててやろうと思ったら、贈与税にひっかかるし、がんじがらめになって、どこをどう抜けて何とか自分たちの生活をよくしようと思っても、税というものは複雑にちゃんと取られるようになっている。これを昨年あたりの住民税の税制の改正あたりから考えてみましても、きょうの申告に行きましてなお感じたのでございますが、所得税の方と地方の区民税との二つを別々に出すというところからくるわずらわしさ、二つ同じことを書いて、私たち財布から出すのは一つなのに、別々に書かされて、しかも急場なことですから、昨年あたりの間違いたるや、間違ったときには再発行だとか、更正決定だとかという名前でしゃっしゃっときますが、あやまり状は一つもこない。ですから、そういう場合には、もっとゆとりをもって、共同申告でもできるような制度を早く何とかお考え願いたい。それと同時に、いつも地方自治、地方自治という建前で、地方の知事さんあたりはうんと税金がほしいのだとおっしゃる。国の方では交付税を申すのはいやだとおっしゃる。地方と国との配分の点では、大へんごたごたしておるのでございますが、私たち出す方は、納得すれば出すのでございますから、そういう点では仲よく、いいあんばいに配分なさって、それをむだのないようにお使い下さるということを、まず基本的に、今度はどうしても考えていただかなければならない。あっちへ出し、こっちへ出し、しかも昨年あたりは、片方で減税したのだから、片方でふやしていいだろうという手で、うまく魔術にひっかかってしまったようなことは、国民の感情として大へんいやな思いをしているところであります。 こういう基本的な問題につきましては、今後の税制改正に待つといたしまして、きょうお尋ねをいただいておりますのは、おそらく所得税法の一部改正の件と特別措置法その他のこともあると思うのですが、いろいろと私が考えたなりに、また税制調査会でも主婦として婦人として発言して参りましたそれを少し思い浮かべてみたわけでございますが、サラリーマンというのは、源泉徴収でございまして、ほんとうに隠しどころがなくて——議員さんだからおわかりにならぬと思うのですけれども、税のない十万五千円ですか、ああいうものは私たちには一つもないのでございます。必要経費というものがなくて、大へんうらやましいなと思っているのでございます。サラリーマンとしての所得税の取られ方というものは、いかにも不公平であって、今度のような減税が少しでございますと、何と負担の調整がなされましても、今まで一千万人ですが三十五年に所得税を納めていたとしますと、三十七年、三十八年には一千八百万人が税金を納めるという形になるのだそうでございまして、営業者、農家その他と比べましても、所得税を納めるサラリーマンが多くて、大部分、九割までサラリーマンが税を負担している。そして百万をこえる人はたった五%か六%しかない。五十万以下の所得の人が七〇%も占めているというようなわけでございまして、そういう階層の人たちは、今度みたいに自然増収がたくさんあるのだというところから、減税されるということを大へんに心持ちしていたわけでございます。さっき中山先生もおっしゃいましたが、減税がこの際、昨年から比べてこのくらいだとおっしゃいますけれども、私も、自然増収が二千億から二千五百億あるといわれながら、最後にふたをあけたときにはもっと自然増収があったというようなことをたびたび聞かされまして、あっ、しまったと、いつもだまされたなという感じがございます。昨年もそういうようなわけで、もっともっととられるべきはずの減税がなされないという不満。ですから、自然増収があったならば、自動的に減税がなされていいのじゃないか。だれからもひったくられない、あっちにちょっぴり、こっちにちょっぴり持っていかれて、減税が少なくなったというようなことのないような、何かきめ方はないものかしらというようなしろうと考えも起こすようなわけでございます。 そういうような不公平な税の取られ方をしております上に、累進課税になっておりますために、昨年あたりこういうことをおっしゃる方がございました。ちょっぴり公務員の給与が上がったものだから、それをことし払うのについて、納税預金ですか、しておいた。このくらいでよかろうと思っていたところが、今度はっきりくるのだということが、確定申告をしてみて初めてわかった。だから、名目所得に対する累進税率というものがかけられるばかりに、今度のような物価の騰貴ということになりますと、実質的の家計の負担が、大へん過重になるということがいえるわけでございます。こういう点の累進税率というものについて、今度の答申の中には書いてございませんが、この際税率というものについても、御検討を願わなければならぬじゃないかしらん、日ごろ常々思っているものでございます。 今度税制調査会の方が出しまた四つの柱と申しますか、一万円ずつ基礎控除をいたします。これにつきまして、三十六年の税制改正のときを思い出すのでございますが、あの当時、今まで妻の座が、憲法では平等ということを言われながら、扶養家族でしがなかったということを初めて発見いたしました。奥さんが家にいればこそ、だんなさんの働きが一〇〇あるのだ。それだけに、共かせぎの人たちだけが同じように基礎控除をされて、そうして私たち家事労働を認めてもらえないという法があるかというところから、さんざんそれをやりまして、むしろ二分二乗にしたらどうかと、安くしてほしさにそういうことを言ったことがございますが、それがやっと配偶者という名前だけで一万円ちょうだいいたしました。それでも平等のような税額であったわけでございますが、悲しいかな、今度は一部の技術的策略と申しますか、いつの間にかほかに持って行かれて、五千円ずつ削られてしまった。簡単にお削りになった方は、おそらく女の地位というものをお認めいただけなかったということで、せっかくかちとったものを、むざんにもぎとられた女の感情というものは、いつまでも抜けないと思うのであります。それを、イギリスあたりではそれぞれについて平等に六百ドルですか出しているということを聞きますにつけ、もっともっとこの控除というものについて——今度の四本の柱が全部そろって増税になるという線が出ているのに、あれだけ削られてしまって、これで増税でないという説を大蔵省の方がまごまごしながら返事をしておられる。これはつらい立場だろうと思いますけれども、何で国民のことをはっきり言って下さらないか。二・八とおっしゃいますけれども、事実は六・幾らで、その間三・一ですか、そんな数字ではないのです。実際的に私たちが買いものをして——この間も池田さんが、大根一本五十円でびっくりされたといいますが、もっと言うに言われない——物価の騰貴というのは、これは所得倍増の弊害でございまして、今ごろになって、物価が上がったから税をこうしてあげるなどとおっしゃるのは遅いということを、私は申し上げているのでございます。そういう意味で、半分ちょん切ってしまって、そうしてこのくらいで間に合うでしょうということは、私たち絶対に納得できません。ですから、自然増収があるならば、今度も秋ごろから景気が相当よくなりそうだということさえ聞いておりますが、自然増収がもっとふえた場合にはどうして下さるか。せっかくの四つの柱を翻って、お隣にいらっしゃいます方へ内緒で一晩のうちに持って行ってしまったというのは、何かこれは裏があったのではないかと勘ぐっているわけでもございますけれども、そちらの方へ持っていらっしゃらなくても、別な財源が十分あるじゃないかと私は感ずるのでございます。 ですから、財源というものは、毎年毎年経済が成長すれば、大きくなるのは当然でございますが、先ほど中山先生がおっしゃいましたけれども、私の数字では、国税の中に占める負担の割合が、昭和二十五年のシャウプ勧告のときに三八・六であったのが、三十四年には二〇・三に下がっているわけであります。一昨年でございますか、二〇%にするするとおっしゃって、財政を詰めていただけるのかしらんと思っておりましたが、いつの間にか一日で二一%に上がった。私、あまりおかしいものですから、どこから一%出たのですかと聞いて、みんなに大笑いされたのですけれども、それがだんだんと、三十六年に二二・三、三十七年に二二・三と、おそらくこれは上がる傾向にあるということは、はっきりつかめるのじゃないか。先ほどはまだ今からふえるかもわからぬというようなお口ぶりではございましたが、物価の方から見ましたって、今のように二・八でおさまりっこないのです。それが証拠には、この間うちから企画庁は、三十五年を一〇〇としてというように訂正してみたり、その後物価の上昇率もまた変えてしまって、二、三日前の新聞に、経済企画庁は、今度の所得倍増計画はどうもおかしいのじゃないだろうかというところであらためて数字を出していらっしゃる。数字なんというものは魔術と同じで、その方向に持っていこうと思ったら、幾らでもつくれるのです。ことに大蔵省なんか、おそらくそういうことにかけては、ベテランの方ばかりだと思いますが、こういう点で国民がごまかされて、そうして税は高い方に高い方に持っていかれて、集まったものは何となくどこかに使われてしまうので、むだ使いに対する国民の監視の目が、だんだん強くなってきたということにどうぞお気づきいただきまして、それで今度のように税制改正がなされるそのたびごとに、何となくすっきりしない、筋が通らないというような感じがする。 今度の配当利子にいたしましても、何となく大口の人たちだけがうまいこと陳情して、こうなっているのじゃないか。そうして五十万円までは非課税だとおっしゃいますけれども、郵便局へそんなによけい預けている人はないかもしれませんけれども、ちょいちょいと小手先でいじられると、それでは郵便局と比較してどうなんですかということになる。それでは全部郵便局に持っていけばいいわけです。これは銀行さん、いかがでございますか。そういうふうな形になるけれども、なかなか公平に、複雑なものをすっきりしたようにということはできません。それは特別措置ではっきり出ているわけでございます。二千億からの特別措置が、いろいろと今度も問題になっておりますけれども、一度きめた特別措置か、もう絶対に直らぬといっていいぐらい変えられない。その特別措置、特別措置がふえてしまって、そうして一つの法律ができていくというのが、今までの建前でございまして、その特別措置を何とか整理して、いい方向に持っていくということに努力しなければならぬと思いますが、今の地方税に関係いたしますけれども、特別措置についてはもっともっと整理して、そしてはっきりと筋をつける。そしてほんとうに必要なものであるならば、別個の問題としてこれを取り入れるということを、次の改正点についても十分検討するということでございますので、私もそういう際には大いに勉強したいとは思っているものでございます。 その他いろいろの税金につきまして、私たちの方では税外支出というようなことが、各家庭には割合に大きくかかってきているのでございますが、目に見えない税金、これについてもこの間、百七十億でございますが、学校の経費軽減という形でございますが、間で旗を振る人がいて、学校に有利にというようなボスがおりますと、なかなか父兄の方まで回りませんで、それをやかましくいいますと、子供の成績が悪くなるのじゃないかしらんというようなところから、よう言わないで、泣き寝入りするような状態でいざいますので、税外支出まで出していろいろ今後それが完成していかなければできないことがないように、十分今後も税制についての合理化というものをお願いしたいという考えでおります。 ついででございますので、地方税に関係いたします電気ガス税とが住民税について、ちょっと触れさせていただきたいと思いますが、電気ガス税は、ばかの一つ覚えみたいに最初から、空気と水みたいなものに税金をかける、これはおかしいじゃないかと私ども叫び続けたのでございますが、何と知事さんから大圧迫を食いまして、地方財政がないのだからということで、ちょっぴりちょっぴりと削られまして、一%々々、その一%が何と二十三億でございますけれども、申しわけみたいに一%々々と削っていって、片方では利子、配当は二百億ぐらいぼこっぼこっと取ってしまうのですから、あまり陳情をやらない大衆、国民の方は、おろそかにされるという空気はしょっちゅあるのです。それが証拠には、料理飲食税といいますか、ああいう方面はさっさと有利に動いていく。ですから私も税を少し知ったらば、正しい圧力団体にならなければうそだなあということを感じておるわけです。 ほかに間接税でございますが、この前のときにも間接税を陳情されたのは、みな業者の方でございまして、一般のわれわれが大いに叫ぶべきはずだったのが、業者の方が叫んでくれるからいいわと思っておりました。ところが何とお酒にいたしましても形を変えて、等級が変わってすっかり値上げになってしまいましたし、化粧品にしても、五%くらいだったならばコストを下げるわけに参りませんということで、量をふやしますとか、口紅を少し長くしますということだったのですが、一般のみなから持ち寄りました状態を見ますと、おしろいなんかは内容が小さくなっている。そして前にはつけてありましたパフみたいなものがなくなってしまって、器だけがきれいになってしまった。これは結局みな業者に食われてしまったということを、しょっちゅう感じておるものであります。ですからわからないなりに新聞を見ておりまして、ケネディさんというのはうまいことをやるのだなということを感ずるわけでございますが、国際競争力、国際競争力とおっしゃいますけれども、これも一種の協定でございまして、私たち消費者にとっては不利な点も大いにあるわけでありますが、税の仕組みとか税の行政とかいうものについては、もっともっと合理化して筋を通し、大口のものとか陳情のあるものだけが有利になる、これだけは避けていただきたいということをお願いいたしまして、私の意見とさせていただきます。 大へん取りとめのないことを申しましたが、結果的には、税制調査会が答申いたしましたその案を尊重されてないということをはっきり申して、そして調査会とか審議会というものは、答申をそのまま尊重されると思う方が間違いだ。そうは思いたくないのですが、それにしても理屈の立たないほっかぶり方をされたのでは、税制調査会は黙っておられないというので、この間あたりはけんけんごうごうでございました。大臣出てこいという声すら出たのですが、いまだにおいでにならない。そのうちに新聞でさっさと、ことしはこれだけだから、三十九年、四十年は大いに減税いたします、先のことを、鬼が笑うようなことをおっしゃって、国民をだまそうといっても、これは無理であります。だからもっともっとほんとうに筋の通ったものにして、そして私たち国民が納税できて、十分に気持をよく納得できるような体制に、お互いに持っていきたい、こう思っておる次第ございます。ですから、尊重されてないということと同時に、今度の所得税の問題につきましては、自然増収についても不服であるし、その内容のとり方についても、ことに妻の座については全くいつまでも恨んでおります。いろいろこまかいことを言っていたら切りがありませんが、詳しい数字のことについては中山先生の方にお預けいたしましたので、大へん抽象論になって申しわけありませんが、これで失礼いたします。(拍手) 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕
○臼井委員長 続いて質疑を行ないます。 通告がありますので順次これを許します。堀昌雄君。
○堀委員 最初に中山参考人にお伺いいたします。 ただいまお話を聞いておりまして、私どもも中山参考人の御意見に全く賛成な部分がほとんどでございます。特に私が今のお話を聞いておりまして気がつきました点は、皆さんが税制調査会で作業をなさいましたときには、自然増収は二千億ないし二千三百億というふうに示されておって、その中で作業をなさいました結果、所得税の減税につきましては初年度三百九十三億、平年度四百六十二億というものを、最小限度としてお考えになったというふうに理解をいたしました。ところが先ほどのお話もございましたように、三千百三十一億に余る自然増収が見込まれてきておるという現状でございますから、今の三巻参考人のお話でもありましたように、この点に私は非常に大きな問題が、今度の税制改正の中にはあったと思うわけでございます。そこでもし現在の時点に立って、三千百三十一億の自然増収があったということがそのときにおわかりございましたならば、所得税の減税の幅はいかようになっておったかという点を、一つお伺いをいたしたいと思います。
○中山参考人 ただいまの御質問は、振り返ってその当時に立って考えろということでございますので、私どもとしては非常にむずかしいのでございますが、ただもしそうでございましたら、この答申案に組まれました減税の幅は、おそらく違っておったに相違ないということだけは申し上げられます。金額その他につきましては、非常にこまかい計算からでき上がっておりますので、今即答いたしかねますし、もう一つ基本的な問題としましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、自然増収の基本的な取り扱い方をどうするかという点について、正直に申しまして、税制調査会の現在の意見はまとまっておりません。従いまして、その基本的な点からもはなはだ残念でございますが、ただいまのお尋ねに的確な答弁をいたしかねますことを、お許し願いたいと思います。
○堀委員 今の点は、もちろん金額をお伺いすることは私も無理だと思います。ただ異なっておったであろうとおっしゃることは、ふえていたということだと私は理解いたしますし、そのあとの問題の自然増収があった場合の、所得税の減税に振り向けられるべき部分の原則的な問題につきましては、税制調査会ではいつごろ結論が出るという見通しをお持ちかどうか、伺いたい。
○中山参考人 ただいまの問題についてお答えを申し上げますが、先ほども触れましたように、今度の税制調査会の再確認いたしました一つの基本方針は、できるだけ当面の問題にわずらわされないで——当面の問題と申しますのは、具体的には毎年々々の税制改正の措置でございますが、その点だけに問題をしぼらないで、もう少し基本的な点を取り上げよう。そこでただいままでの税制調査会には存在いたしておりませんでした、新しい委員会、基礎問題小委員会というのを一つつくりまして、これには現在の税制調査会の委員方以外に特に学識経験者、と申しましても、学会の方々の御賛同を求めて、そして一年間くらいの期間に、つまり三年間に答申をしなければなりませんので、事実上もう一年くらいしかございませんが、一年間くらいの時期に、少なくとも基本的な方針はきめたいと思っております。従いまして、ただいまの自然増収の取り扱いの問題につきましては、そのときに、不完全かもしれませんが、一つの答案を出す覚悟でおります。
○堀委員 そういたしますと、それは三十九年度の予算を組みますまでに、間に合う可能性があるかどうか、その点を、大へん重ねて恐縮でございますが……。
○中山参考人 それはちょっと今のところ私、確答いたしかねますが、大体つい最近、三月十五日に第一回の会合をいたしまして、そのときに四月以降の日程がきまりますので、そういう日程と同時に、できるだけは間に合わせたいと思いますが、例年の例で参りますと、当年の、たとえば三十八年度の税制改革に対する意見は、年末に出すことになります。そういたしますと、次の三十九年度には、そういう点からは合わないと思いますが、しかしこれは基本問題でございますので、必ずしも最終答案が出ませんでも、そのときに税制調査会としての、各委員の御意見がまとまって参りますれば、それは当然三十九年度の税制改革意見として盛り込まれるものと考えております。
○堀委員 できますならば、いろいろ基本問題はたくさんあると思いますけれども、この点につきましては、一つ審議を促進していただきまして、できるだけ早く原則が確立されるようにお願いをいたしたいと思います。 その次に、今度の問題の中で、私ども一番大きく感じております点は、利子所得の問題でございます。利子所得の問題については、実は今回の問題で今おっしゃいましたように、貯蓄増強に寄与したいと考えて、もう一回延長をきめたのだ、積極的な意思がそういう形であったのだというお考えだと思いますし、実に私どもは一〇%が五%になるという問題よりも、はたして分離課税としてあることがいいのかどうかという方に、大きな問題があるというふうに考えておるわけでございます。先般の予算委員会の一般質問におきましても、その点について触れたわけでございますけれども、上積み税率が上の方に参りますと、実は一〇%が五%になりました問題以上の大きな減税が、高額所得者に対しては行なわれておるわけでございます。この高額所得者が、それでは一体どのくらい国民の中にあるかと申しますと、この数は非常に少ないわけでございますけれども、その点では一部の高額所得者は、非常に有利な条件にあることは間違いございません。そこで、私どもが持っております資料で見ましても、実はこの少額免税が行なわれることによりまして、五十万円までは免税になりますが、それをこえる貯蓄の層というものは、一体どのくらいあるかという問題を検討いたしてみましたけれども、私が持っております資料でございますと、預貯金の総額が五十万円をこえますものは、百万から百二十万の所得層以上のように、大蔵省関係の資料ではなっております。今証券業協会から出ております資料を拝見いたしますと、定期預金と普通預金のこの合計が五十万円をこえますものは、大体百五十万円から二百万円くらい以上のようになっておりまして、実は、この少額免税の恩典を受けない所得層というものは、今の状態では相当に高額の所得になっておるわけで、これの全所得層に占める割合は、先般の委員会でも企画庁長官が答えておりますけれども、非常にわずかな層しかないわけであります。ですから、私どもは、当面今度の貯蓄利子所得の問題といいますのは、卒直に申しますと、少額免税さえあれば、あとは総合課税がされてもちっとも差しつかえない範囲の担税力の人ではないのか、こういうふうに感じておりますけれども、その点について中山さんの方では、今度一〇%据え置きという答申を出しておるわけでありますから、今私の申し上げております少額免税は、答申がありましたときにはなかった制度でございますから、今になってその点の問題を論議するのはやや無理な点もございますが、今日の時点に立って、少額免税という制度が、こういう形でとられた今日においては、私はそれ以上の分については総合課税が適当ではないかと思います。ただいまの小池参考人のお話のように、証券の方は総合課税になっていて、利子だけが分離課税になっておるという面には、証券における企業課税との面の関係もございますが、ただいまの小池参考人のお話のように、それを分離課税の方向に持っていくということが、実は税制の問題として正しいのか。そうではなくて、利子所得を総合課税の方に持っていく、ただし、少額の貯蓄者は優遇をするということの方が、私は税制としては正しい方向ではないか、かように考えるわけでございますが、その点についての参考人の御意見を承りたい。
○中山参考人 ただいまの御質問にお答えを申し上げます。税制調査会といたしましては、当面の三十八年度の税制改革の措置といたしまして、一〇%の分離課税を答申しておりますので、それ以外の考え方を税制調査会の現在の立場として申し上げるわけには、私は資格上参りません。ただこれは御検討になれば直ちに明瞭だと思いますが、ただいままでのたくさんの税制調査会の答申をずっとごらんになると、一貫して分離課税という制度は、税制上おもしろくない制度であるということは、はっきりうたわれております。従いまして、ただいままでの貯蓄組合の制度というのは、いわば歴史的の因縁でございまして、先ほど宇佐美さんがおっしゃいましたように、昭和十六年以来とられて二十年を経ている制度、この制度を一挙にしてやめてしまうことが、おそらくは、特に貯蓄者の心理に影響を及ぼして、貯蓄に悪影響を及ぼすのではないか、この点が一番大きな事実上の問題でございます。そういう点を、今度のやや不況期に際しての貯蓄増強の必要という具体的な要求、これと合わせませて、税制調査会はそのような答申をいたしました。しかし基本的な税制体系上の問題といたしましては、ただいま御指摘のありましたように、分離課税というのが少なくとも特別の措置であるという点については、おそらく今までの税制調査会を一貫した思想であると存じます。
○堀委員 その次に、もちろん今度の問題で私どもが一番感じが強い点は、同じような切り方を、一万円から五千円にいたしておりますけれども、その影響の及ぼす範囲はおのおの違うわけでございまして、今、三巻さんが主婦の立場で、一万円が五千円になって非常に御憤慨だと思いますが、政府の資料から見てみますと、配偶者控除の引き下げました分で出ましたのは三十九億、扶養控除による分が七十四億あるわけで、実際国民の立場からいたしますならば、夫婦二人の人たちよりも、夫婦及び子供三人の、さっきの御指摘になりました標準家族が、非常に大きな負担増になる可能性が出ておるわけでございます。特に税制調査会等の資料で拝見をしておりましても、比較的この五人家族の中には、十五才未満の者が多いというような、大体三名とも十五才未満であるというような実情もありますし、また現在の教育費その他の非常な高騰から見ましても、国民の立場としてはこの点は、非常に大きな問題があったというふうに考えておるわけであります。実は今後の問題を今お構いしてはどうかと思いますけれども、私どもはこういうようなものを見ておりますときには、今後の考え方でございますけれども、基礎控除の引き上げの問題は、もちろん一番重点ではございますけれども、同時に、これからの五人家族付近のところが、より減税が生じるような配慮がさらにされていいのではないか。今回のでも不十分であったと思うのが、さらにきわめて不十分な状態に政府が変えました点は、遺憾でございますが、今後のお考えとしては、その点についてはどういうふうにお考えになりましょうか。
○中山参考人 ただいま御指摘がありましたように、税制調査会の今回の答申の趣旨は、特に物価騰貴その他の事情によって、課税最低限度の層にある人々の実質的な増税を避けるということでありました。その中で、おそらく最も強い影響を受けるのが、夫婦子三人というところであることは先ほど申し上げましたが、これをもう一度生計費の方から申し上げますと、生計費のところで、最近の数字でございますが、こんなことになっております。夫婦子三人のところだけが、今度の税制改革によって救われないという数字なんでございますが、基準的な生計費と課税最低限度とを比較いたします。そうしましてかりに前者をAとし、後者をBといたしまして、A分のBという数字をとります。つまり基準的な生計費で課税最低限度を割るのでございますが、もしこの数字が一より大きい場合には、課税最低限度が最低生計費の中に食い込んでいるということになります。その数字をとりますと、五人世帯、つまり夫婦子三人というところでは、初年度九八・五という数字が出ます。つまり一・五だけマイナスになる。これは実質的な生計費から見た課税増になる。ただ、この同じ計算で参りますと、平年度になりますとこれが一〇〇・五になりまして、ようやく回復します。しかし少なくとも初年度に関する限り、この夫婦子三人というところが、直接生計費との関係におきまして、苦しい立場に立つということは明瞭であろうと思います。従いまして今後の方針——これはまだ来年のものについては審議いたしておりませんが、もしそういう審議が行なわれますと、このような事実がもとになりまして、新しい勧告案と申しますか、そういうものが出されるだろうと推定されます。
○堀委員 次に、宇佐美参考人にお伺いをいたします。お話のように、わが国の資本の総体におけるところの貯蓄というものが、きわめて不十分でありますことは、私もさように考えております。ただ、先ほどお話がございました一人当たり金融資産が、諸外国に比べて十分の一くらいしかない。アメリカの十分の一、イギリスの四分の一だというお話でありますけれども、これはアメリカ、イギリスとも、日本のようなインフレーションがなかったわけでございますから、日本にもしインフレーションがなかったと仮定をするならば、あるいはあの戦争でああいう負け方をしなかったと仮定をするならば、実はもっとこういうものは大きかったのではないかと考えるのでありますが、戦争とそれに伴うインフレーションの結果が、実は国民の貯蓄というものに大きな影響を与えてきたのではないか、かように考えるのでございますが、その点はいかがでございましょうか。
○宇佐美参考人 お答え申し上げますが、私もさよう考えます。日本が、今さら申し上げるまでもないのでございますが、非常な損害を受けまして、ことに今度の戦争は、各家庭まで入ってきた損害であったという点において、ほとんどゼロになったところからきておりますので、その点でその影響がまだ回復されてないという点では、おっしゃる通りであると思います。
○堀委員 そこで、実はこの前、日銀の総裁にお越しいただきましたり、いろいろしたときに論議をいたしておりますことは、日本の戦後の成長の問題でございますけれども、非常に普通以上の成長を遂げておりますために、いろいろなところにひずみが寄っておると思います。そのひずみの寄り方の一番大きいのは、何と申しましても、民間設備投資が異常な形で拡大をしたということでありまして、今日そのとがめは、各種の産業の中に出ているわけであります。そこで、今お話のように資金需要は確かにあるわけですけれでも、その資金需要が、これまでの経過を見まして、ノーマルな資金需要でなかった点があるのではないか。貯蓄性向を見ますと、諸外国に比べまして、非常に日本の貯蓄性向は高いわけでございます。今お話もございましたように、ほとんどゼロになった貯蓄から、実は日本の国民はスタートしておるわけでありますから、諸外国との比較はなかなか困難だとは思いますが、ゼロの時点で並べてみるならば、日本の貯蓄というものは、おそらく決してそう低くないだろう。これは国民所得白書の中にであります貯蓄性向から見ましても、諸外国に比べて低くないように思っております。さらに、最近の傾向でございますけれども、預貯金の増加は最近は非常に著しくて、昨年度では少なくとも十二月に預貯金は目標額の九・六%くらいをこすくらいに、預貯金の増加があるわけでございます。ですから、今お話のように預貯金を増加させたいというお気持は、私、金融機関として当然だと思うのでございますけれども、はたしてそれが、今ここにございますような利子の一〇%が五%になったり、ゼロになったりするということの中に、ほんとうの問題があるのか、あるいは所得のふえ方なり消費のあり方なりに問題があるのか、その点が私は実は少し疑問に感ずるわけであります。ですから、過去にいろいろと資料を拝見しておりましても、税制上の措置が必ずしも預貯金の増加に直接の関係のないような資料が、税制調査会では出されておるものを私どもは拝見をいたしておりますので、一体はたして——それは安い方に越したことはないということはもちろんございますが、さっき参考人もお触れになりましたけれども、現在の異常な消費者物価の増高、要するに年の利子よりも、五%の定期預金の利子よりも、六%の物価の上昇があるということでは、これは預金をしておく方が損ではないか。裏返して言いますと、金を借りておる者は非常に得をするわけでございます。こういうインフレーションが非常に、クリーピング・インフレーションですから、ゆっくりきておりましても、年に六%か七%ずつふえれば、十年になれば倍になりますから、そのことは、金を借りた人は十年目には、半分返せばいいということになるわけでありまして、裏返して今の状態を見れば、そういう減税等が行なわれなくても、物価の方が上がらなければ、預貯金の増加というものはもっと真剣に考えられるのじゃないか。だから問題は物価の方に大きな比重があるのであって、この減税というのはその面では比較的小さい部分ではないか、こういうふうに考えますが、いかがでございますか。
○宇佐美参考人 お答えいたします。先ほども申し上げました通り、非常に物価が上がって参りますと、貯蓄ができないことは当然でございます。ただ現在におきましては、先ほどもちょっと触れましたが、貯蓄の原因といいますか、なぜ貯蓄をするのだということにつきましては、いろいろな原因がございまして、おっしゃる通り物価も影響いたして参ります。また社会保障だとかいろいろな問題が錯綜いたしておりますので、預金が伸びた場合に、どの部分が税であるか、どの部分が何の原因かというようなことは、査定するのに非常にむずかしいのでございます。先ほど中山先生もおっしゃいましたが、いろいろ私どもも疑問がないわけではございますが、しかし預金者心理というものを私ども考えますと、窓口にいらっしゃるお客さんは、そう物価——まあこれは程度なんでございまして、その点でやはり税金が安くなる、それでは一つやりましょうと、非常にうれしそうな顔をされるものですから、どうも私どもはそういうところに魅力と言ってははなはだ悪いですけれども、そこを感ずるわけでございます。ほんとうに正直に言いますと、これだけ減税すると幾らやりますと申し上げれば、もう先生方にこうして参考人にも呼ばれないで済むだろうと思いますが、それがそういう国民の皆様方のいろいろな都合でやられるのですが、その大きな原因にこれがあるように私ども思うのでございます。そういうわけでお願いしておるのでございまして、決して減税だけをやれば預金がふえる、こういうふうには考えておらないのでございます。物価の問題その他いろいろなことが原因になってきておることは、おっしゃる通りでございます。
○堀委員 もう一言、宇佐美さんにお伺いいたしますが、御承知でございましょうが最近産業部門におきまして、企業内の預金をきせておるわけでございます。社内預金と申しておりますが、これは大へんな勢いで、今大体一兆円に近づこうというようにわれわれ聞いておるわけであります。これまででございますと、職場の組合、国民貯蓄の組合が店舗の関係でできるわけですが、今度は少額免税になると一つになりますから、経過措置の間は別ですが、選択はどこか一つを選ぶということになって参ります。そうしますと、今一番問題になっております少額免税というのは、労働者の場合はほとんど企業内預金の方へ先取りされてしまう。この方が金利が高うございますから、同じ減税をされるなら、金利の高い方で少額免税をとった方がいいということになりますと、ほとんど一般金融機関には及ばないのじゃないか。社内預金のない労働者の方は別でございますが、一兆円の残高ということは、いかに社内預金が大きいかということが明らかなんでございますから、この点について、金融機関の皆さんの立場ではどうお考えになりますか、一つ伺っておきたいと思います。
○宇佐美参考人 お答えいたします。社内預金の問題につきましては、これは発生的に言いますと、御承知のように各企業が非常に資金が不足で、それで御承知のような高い金利で、自分のところに預けさせておるわけでございます。言えば非常に変則的な問題だと思います。われわれといたしましてはほんとうを言いますと、そういう形でなく、第三者といいますか、そういう機関に預ける方がほんとうだと思うのでございますが。現状はそういうふうになっておるわけでございます。しかしそうかといって、私どもが見ておりますと、この会社預金もいろいろ制限があるようでございまして、何でもかんでも持っていけばいいという問題でもないようでございます。まただんだん会社の金融が正常になってきますと、そういう問題はそう高い金利で払っていられなくなるのじゃないか。これも一つの金利が非常に不自然な形においてあるために、発生してくるわけでございます。会社がつぶれるということを前提にして言っては変でございますけれども、やはり安全性ということになり、金利がそう違わなくなれば、だんだん本来の姿の方にくるのではないか。また会社もそんな無理をして高い金利でとるよりも、だんだん正常の金融でいけるような時代がくれば、これは減ってくるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。そこに全部吸い取られるというふうには、実は私ども考えておりません。
○堀委員 金利の問題が出ましたので、簡単に申し上げますと、東京で調べてみますと、六%から八%までの金利が四一・七%、八%から一〇%までが四四・四%、一〇%以上が一三・九%、かなり高金利になっております。これがもっと小さい企業になって参りますと、今のは三百人以上でございますが、三百人未満でございますと、一〇%以上が二三・六%もありまして、現状では相当高い金利で預かっていますし、そのことが今の企業内預金を非常に増加させておる原因だと思います。私どもは金融という面から見るならば、これは非常に例外的なものでありますから、ここにもし少額免税が作用して参りますと、今申し上げたように、少額免税分はそちらの方を優先的にして、だから皆さんの方に少額免税の影響がなくなってきて、要するに皆さんの方のは全部税金を払わなければならないという問題になるのではないかということを申し上げたわけでございますけれども、これらの点は今のこの問題の中で、直ちに解決がつく問題ではないと思いますけれども、そういう実情がありますので、御意見を伺ったわけでございます。 小池参考人に一つだけお伺いをいたします。先ほどのお話で、やはり証券の方も分離課税にしてもらいたいという御意向が強いようでありますが、最初に申し上げた意見のように、総合課税というのが税制上は正しいのではないかと私どもは考えております。そこできつきお話が出ました今度一〇%が五%になりまして、その中で減税になる方が出ておるわけでございますね。形式的には個人分として七十五億八千七百万円ぐらい、実は減税になる格好になっておるわけでございますけれども、それが実際は本来取られてはならないものが、そういうふうになるという税法上の問題がございますが、これは今総合課税として抜けておる部分だと思うのでありますけれども、この一〇%から五%になってこういうふうになった。そうすると総合課税の原則がきちんとしておりまして、しかし源泉徴収の問題のところが今のようなこういう格好になりますから、どうせあとでお取りになるときには税金は入ることですから、一〇%が五%になったことは、私どもそれほど大きな、今の銀行の問題ほどには考えていないわけですが、分離課税でなしに総合課税であれば、今の源泉徴収がないということなら、がまんができる、こういうことになるかと思います。その点を一つ伺っておきたいと思います。
○小池参考人 まず分離課税の問題でございますが、これは先ほども申し述べましたけれども、あくまで臨時措置として私どもは要望しております。従いまして、今後企業課税と所得税の関係で、これが根本的に税制調査会で討議される、こういうときは、またあらためてわれわれの意見を申し述べたいと思っております。それからこのたびの源泉徴収の一〇%が五%になる。これは先ほど申しました通り、実はちっとも減税になりません。今まで申告をすれば当然返ってくる。それが申告をしなかった人が、結果的には幾らか有利になるのではないかと思います。従いまして私どもとしましては、これは減税と考えておらないということだけ申し上げておきます。
○堀委員 三巻参考人に一つだけお伺いをいたします。いろいろと今お話を聞いておりまして、私どもも皆さんと全く同じ感じでございます。特に調査会の答申が守られない点は、これは各調査会に非常にたくさん問題が出ておりますので、御不満のことはよくわかるわけでありますが、今おっしゃった統計の問題ですね。私どももあなたと同じ感じを持っておりまして、六・八%消費者物価が上がったと申しましても、実際生活をしております所得の階層で違うわけです。これは統計では、これまでは肉を食べておりました人が、収入がないためにイワシを買うわけです。しかしイワシを買っても、金額の問題だけが出て、生活内容を落としていることは、統計には出てこない仕組みになっておりますから、現実には所得の低い方たちが、これまでたとえば油あげを三枚買っていらした方は二枚に減らす、そういうものは実は金額では同じに出てきますけれども、実際の量としては非常に変化があるわけです。生活は実際は、今の統計以上に切り下げられておると思います。そういう意味で今度の所得税の減税問題は、実は実質増税の部分が、ここできよう中山先生がおっしゃった以上に、非常に大幅な増税になっているのではないか。特に所得の低い人ほど、それが強くかかっているのではないか、家族の多い人ほどたくさんかかっているのじゃないか、こういうふうに私は感じるわけです。統計も私詳しく見ておりますけれども、統計の中の、さっきおっしゃった企画庁のは、三十五年から消費者物価を変えましたから、前からつながらなくて、私ども困っておりまして、予算委員会でも論じましたが、そういう点で主婦の立場の実感として、もう一回そういう統計と実際の生活の差はどのくらいあるとお考えになるか、その点一つだけ伺っておきたい。
○三巻参考人 家計簿から割り出しまして、どのくらい物価が上がったかということを、よくいつも聞かれるのでございますが、今おっしゃいました通り、私たちの家計簿の全体的の量というものは、そう上がるものではございません。だんなさまが持ってくるのがその通りでございます、どこからか持ってくればともかくも。ですから自然に、食べていかれなければ質を落とす。さっきのイワシになることは当然でございまして、今までライスカレーに五きれ入れておった肉を、三きれにするというようなことは、主婦のやりくりと申しますか、からくりと申しますか、これは欺瞞とかそういうものはいけないと、こう言いますけれども、それは情けないかな、主婦の腕前を発揮するところでございまして、そうやらなければやっていけないのでございます。質を落としましたことについて、家計簿もこのごろはただ金額でなくて、量的にコンニャク三枚が一枚になったとかいうような、そういう量まで書かなければ、物価の上昇というものはわからないということでございます。 一つは近藤とし子さんが、いろいろと家計の同じ献立でやって、三十五年から三十六年、七年にかけ、同じ献立の量でもってものがつくられた場合に、どのくらい上がっておるだろうかという数字を出していらっしゃいましたのを私たまたま見つけて、米価審議会では、これだけ上がっておるじゃないですか、数字においてどうです、これはもう大丈夫でございます、何%はこれだから生活は大丈夫でございます、これは引き受けられるのですかと私は申し上げたことがありますが、今ここに持っておりますから申し上げますと、三十五年の十一月、三十七年の二月、三十七年の八月というように三つに分けまして、七十三円でできた献立が七十七円、九十円になりまして二四%上がっております。それから八十六円が九十四円、百円、こういう献立も二五%実質的に上がっておるわけです。それから百六円の献立をいたしました場合に百二十四円、百三十五円と三〇%の値上げということが言えるわけでございます。 こういうことを言っておったのでは切りがございませんが、ほんとうに所得倍増所得倍増とおっしゃいますけれども、三十五年から三年、倍増をおっしゃるのですが、ほうっておいても二十七年から十年間、ずっと倍増されておったわけです。それをかけ声されたがために、三年でめちゃおちゃになってしまった。しかも私たちの方では月給が倍増になると思って、間違ってものを買い出した、つくり出したわけでございますが、そういうような不自然さから、何か国民の中にちぐはぐが出てくる。そこでかけ声と実際が違うということを痛感して、これをさんざん言ってきたのでございますが、残念なるかな、物価対策も何もなかった。しかも倍増計画のその中に、私が聞くところによりますと、たった二行しか、ものが上がるということが予想されていなかった、物価が横ばいだということで、これがなされたということを見まして、今ごろになって白書が出されて、たびたび数字を変えられるのは、やはり統計が違うのじゃないのでございましょうか。
○臼井委員長 横山利秋君。
○横山委員 中山さんに最初お伺いしたいと思います。自然増収がいろいろ議論になっていますが、私の手元にありますものを一応御披露させていただきますと、三十三年が千五十一億、三十四年が千八十六億、三十五年が二千九十六億、三十六年が三千九百三十億、三十七年が四千八百七億、これだけの自然増収が毎年々々あるわけであります。このことは、いろいろなことがこの中から議論されると思うのですが、一番最初に、政府の自然増収の見積もりというものが常にかたくて、ふところ財源にするという気持がどうしても離れられないのではないか、自然増収の調査の仕方に問題があるのではないか、そこからまず始めなければならぬと思うのですが、いかがでございましょうか。
○中山参考人 どうも政府の考え方をお聞き下さいましても、私ども答える資格がございませんので、税制調査会としてそういう問題をどう考えているかということだけをお答え申し上げます。 税制調査会におきましても、先ほど三巻参考人もおっしゃいましたように、作業中の自然増収の見積もりと、ふたをあけました後の自然増収の実際とが非常に狂ったということで、たびたび議論を繰り返したことがございます。それに対しまして従来のそこでの議論の結論は、今経済成長が相当高いテンポで行なわれておりますときには、そういう現象になりますけれども、それを逆にして、もしもリセッションなり、あるいは一歩進んでディプレッションというような状態になったときに、逆の現象が起こるのではないだろうか、つまり振れ方は上にも振れるが、下にも振れる。そうなりますと、成長の高いときには、見積額が相当下回るということもやむを得ないのではなかろうか。これが全体の空気でございます。しかし先ほども前の質問者の方にお答え申し上げましたように、自然増収を本来税制と結びつけてどう考えるか。たとえば自然増収の一部は、自然的に減税の原資にすべきである。こういう議論がどの程度立ちますかという点につきましては、目下鋭意検討中というお答えを申し上げましたので、それ以上繰り返して申し上げません。
○横山委員 もう一つは、ちまたにあります——今回の税制調査会の答申及び与党並びに政府の取り扱いについてでありますが、今三巻さんの御意見を聞くと、答申が大へん曲げられたから憤慨しておるというお話はなんでございます。さこそあろうと思うのであります。しかし歯にきぬを着せずに申し上げて恐縮でございますけれども、調査会自身としてこういうことについて、まあ仕方がないというふうなことで、一体なおざりになるものかどうかということは、調査会だけの問題ではなくして、社会に与える影響もきわめて強いと私は考えておるわけでございます。今後のことにつきまして、私どもも答申を見る目が違ってくるし、調査会で議論をなさる方々も、熱意と誠意がなくなっていく、そういう感じがいたすのであります。調査会の答申が、何も神様のお告げだとは思いませんけれども、しかし客観的に、公平に議論を長期間されたとしたならば、いま少し調査会の答申に対する実行方について、何か御発言なり、あるいは今後の示唆があってしかるべきではなかろうか。調査会としては、それについて政府にどういうことをおっしゃい、また社会に対してどういうふうな弁解と言っては恐縮でございますが、御発言をなさるのか、それを伺っておきたいと思います。
○中山参考人 大へん重要な御質問を受けまして、実はその点について調査会自体も、決して無関心でいるわけではございません。そのときどきに国会で論議されております答弁の中で、たとえば大蔵大臣が今度基礎控除の引き上げを、三つの基礎控除について一万円から五千円にしたけれども、明年は少なくともこの部分だけは確実に回復するのだというような発言も、調査会にはそのたびごとに伝えられております。ただ企業体として、答申案がどの程度のウエートを持ったかという点につきましては、この表をごらんになりますとおわかりになりますが、こういう税制調査会は昭和二十九年度以来たびたび繰り返されております。私がたまたま会長として関与いたしましたのは、三十六年度及び三十七年度の答申案に関してでございますが、三十六年度及び三十七年度の答申案に関しましては、従来のあらゆる税制調査会の答申案に比べまして、最もよくその趣旨が守られております。たとえば基礎控除あるいは配偶者控除の創設、その他税率というような基本的な問題については、ほとんど修正がございません。これは三十六年度の答申案と政府案及び国会で御審議になって決定された案を比較されます場合には、直ちに明瞭になることだと存じますが、一々この項目を読み上げませんが、重要な項目についてはほとんどそれが守られていたと言ってよろしいと思います。ところが三十八年度になりまして、この所得税の基礎控除に関する進言と、それから利子所得分離課税に関する据え置きという二つの基本的な点について、二つともに無傷では通らなくて、大きな修正が行なわれたことについては、私どもは非常に遺憾に思っております。ただこのことがございますから、税制調査会は投げやりと申しますか、どうせ審議を重ねても行なわれないかもしれないというような気持にはなっておりません。私どもといたしましては、三十六年度、三十七年度にようやく成立して参りましたこの実績を、どうかして今後にも続けていきたい。その点につきましては一つ皆さんにも十分協力をいただきたい、こういう気持でおります。たまたま今年度の税制改正の幅が、金額において少なかったということも、あるいはわれわれのそういう考え方を強める理由であるかもしれません。しかし金額の多少ということは、先ほども申し上げましたように、決して問題ではございませんので、原理的な問題として、今度の答申案が、従来二回の答申案の受け取られ方に対しまして、非常に遜色のある形で受け取られたという点については、非常に遺憾と考え、今後の措置を、特に次の、これからの答申案の提出に対して、十分覚悟をきめて進んでいきたいと思っております。このことを申し上げておきます。
○横山委員 小池さんにお伺いしたいのですが、先ほど宇佐美さんもお答えになったのですが、証券の問題について、私どもも仕事が大蔵委員なものですから、少なからぬ人にどんな株を買ったらいいかという相談を受けます。しかもそれは必ずしもお金持ちばかりでなく、勤労者層にもあるということは事実であります。ただしかしその相談を受けるときに税金のことについてあまり相談を実は受けないのであります。税金が今度負かるらしいよと言っても、それがそんなに反響をもたらさないと私どもは思っております。つまり一言でいえば、横山さん、どういう株を買ったらもうかるかね、この一言です。私はあなたの先ほどの御発言を聞いておりましても、業界代表としてさこそあれと思う。それから金融と証券との従来の関係からいえば、さこそあれと思う。しかし腹を割っていえば、金融にしろ預金にしろ、あるいは株を買うにしろ、税金が負かるそれ自身が、決定的な要素ではない。何か競争して、両方が新政策の恩恵を争っていらっしゃるというような感じがしてならないのであります。あなたが、ほんとうに証券市場の発展のために、税金を負けたら証券市場がすごく発展をするというふうなことは、宇佐美さんが先ほどおっしゃったのですが、数字及び確言、確証をもって立証し切れないのではないか。どこかまだ証券市場の発展なり、あるいは金融の仕事の発展についての、オーソドックスなわれわれに対する訴えが欠けているのではなかろうか。そういうような気がしてならないのでありますが、御意見を伺いたい。
○小池参考人 先ほども申し上げましたけれども、私は、今回の案につきましては証券の方に関しては減税でない。ただ当然税の申告をすれば返ってくる人が——申告しない人が有利になる、こういうことですから、われわれの主張が通ったとは思いません。 それから税に関しましては、これは大へんいい御忠告をいただきましたが、私どもといたしましては、証券の税制に関しましては、投資家に絶えずPRしているつもりでございます。それがまだ十分でないのかもしれません。今後ともその方の努力をしたいと思います。それから一般の証券の税制に関しましては、先ほども申し上げました通り、ことに所得税に関係して、企業課税と密接不可分の関係がございますから、この問題につきましては、中山参考人の主宰されるところの税制調査会で十分御討議を願いたい。ことに私どもの立場から申し上げますと、皆さん御承知の通り、日本の企業というものは借金過多でございます。自己資本が三を割っておる、他人資本が七以上、これはどう考えましても不健全でありまして、これを是正するのが、いろいろ方法がありましょうけれども、税制というものが非常に大きな手段というふうに考えております。これにつきましては、あらためてそういう方面から要望もいたしたいと思います。ただ企業課税を軽くするため、それが株主にはね返るようでは、またこれは資金獲得の方からマイナスになるわけであります。その辺なかなかむずかしい問題があると思いますが、どうか今後とも諸先生の御理解と御協力を願いたいと思います。
○横山委員 意見になりますからやめますけれども、減税でないとおっしゃっても、税収は減るわけでございますから、それは見方の相違かもしれませんが……。 三巻さんにお伺いしたいのでありますが、あなたの先ほどのお話を聞いておりまして、その中の間接税に関する部面についてちょっと私も考えておったわけでありますが、間接税が去年だいぶ減税された。けれどもまた映画の入場料金も上がってしまったし、お酒やいろいろな問題でカムバックして、減税の効果は消費者からまた奪還されてしまっておるという傾向が最近強いのです。私、あなたの御意見を伺いたいのですが、間接税というのは、大衆の皆さんはどうなっておるか、ちっともわからないのです。わからないから税に対する感覚も、なかなかその鋭さを増さないし、運動にもなってこない。一つ間接税については、商品やあるいは入場料等について、すべて税金を表示することにしたらどうかということを考えるのでありますが、そういうことをお考えになったことはございませんか。
○三巻参考人 私その当時デパートへ参りまして、つぶさにずっと調べて歩きましたところ、減税になっております品物が少ないばかりに、たとえば、同じラジオでございましても、四千八百円でございますか、何かトランジスターに一つ減税ということが書いてあるだけで、時計屋さんにいたしましても、現在どこかへ持っていって値段を取りかえ中でございますというようなことはございましたけれども、それをこれだけ減税になりましたということをはっきり書いてくれなければわからないなということは、その当時痛切に感じました。そこでこれから先いろいろと、間接税というものが自分たち消費者のための減税であるということを認識する。それがメーカーが自分たちだけに有利に持っていくことを防ぐ一つの道でございますので、私たちの自覚以外にはございません。そこでお酒につきましても、よく品物を見きわめて、ただ社用族であちこち飲んでいないで、このお酒には何級酒だからこれだけ税金がかかっている。これは男の方がはっきり見きわめて下さらなければ、お酒なんかはだめなものですから、そういうわけで内容を商品知識として十分にわきまえていかなければならぬということで、主婦連は、物価値上げは、これはしゃもじを幾本立ててもだめでございますので、もっぱら商品知識の方にずっと力をかえまして、各地元で消費者教室を開いて、事ごとに、その税金がこれくらいかかっています、こういうような状態でございます、こういうように一級酒と二級酒で、準一級が上に上がってしまって、そしていつの間にか値段がかわっております。トリスが四百五十円ですか、あの黒い紙に変わってしまって、こうなって、内容はこうでございます、ですからよほど飲み比べてみて下さいというようなことを啓蒙することに、必死になっておるようなわけでございます。ほんとうのめくらの王様でございます。これはシャッポをぬぎます。
○横山委員 そういう意味で申し上げたのではなくして、これからは商品には税金は何割ないしは幾らというふうに、全部表示させたらどうか、こういう意味で御意見を伺ったわけであります。
○三巻参考人 ふだん消費者がこんなことでどうするのだと一生懸命思っているばかりに、その方ばかり答えがいってしまいましたけれども、仰せの通りでございまして、それが実現していただけますならば、こんなありがたいことはございません。当然私たちもそうするようにしておりますが、最近通産省の方で家庭用品品質表示法というものができまして、これが消費者行政の一つということに踏み切ったようでございますが、これとても業者を育てていくのはわれわれでございますので、そういう内容の表示がついていてもついていなくても、買う者がそれを認識しなければ、またもとのもくあみになるのだということを十分感じておりますだけに、これから先自由化して舶来が入ってくるときに、国産品を愛用するならば、当然この品質表示を十分つけてもらって、その買いものの目安としたいという方針にしておりますので、それは今後私たちも注意していきたいと思いますけれども、消費者行政というものが、これまで何回か叫んでも、なかなか制度として浮かび上がってこないというところにも問題がございますので、そういう点十分御検討いただきたい、むしろ私はお願いする方でございます。
○横山委員 中山さんにお伺いしたいのですが、昨年もたしか私あなたに本委員会において申し上げたいことがあると記憶しております。それは調査会でいろいろ答申を出し、それが本委員会で審議をし、実行に移されても、実際問題としては、われわれが想定し、結果を招来すると思っておるような結果にはなっておらないのではないか。税というものは法律で定めた通りに、実際問題はそんなにうまく行政的に行なわれていない部面が多い。たとえば役所の機構で申しますと、二千万円以上は局である、二千万円以下の法人税は税務署である。そのまん中のところが常に起伏がある。それから東京で行なわれる税と——この間も大蔵大臣も答えたのですが、青森で行なわれる税と、はたして公平に徴収がされておるであろうかどうか。それから三巻さんもおっしゃったのですけれども、源泉徴収の人とそのほかの人と、税の処置をする方法が、はたして公平に行なわれているだろうかどうか。こういうことを考えますと、法律通りになかなか行なわれていない。従って税制調査会も一つどこかに——率直にいいますと、机の上では公平を期せられるとお思いになっても、現場におりて、自分たちの答申をされたことが、はたして公正に行なわれておるかという、庶民の言っております税金の法律と実際とは違うのだ。もっと端的にいうならば、税務署のさじかげんということについて、一体下までおりて税務行政を御調査なさるお気持がないかどうか。
○中山参考人 ただいまの問題、私ども主として机の上で仕事をしておる者に、非常に痛い御忠告でございますが、税制調査会といたしましては、わずかの予算の中でございますが、一定の予算を取りまして、少なくとも毎年一回、実地調査を夏にいたしております。ただ、今までの重点は、私の記憶しております限り、主として地方税のあり方というので、地方に参りまして、そういう方面の見学なりあるいは視察なりをしておりますが、ただいまおっしゃいましたような税務の実態を見学したというような例はないのじゃないかと思いますが、三巻さんいかがですか。
○三巻参考人 住民税がこのうちはこのくらいだということで、かかり方とか、実際にこうかかっておりますとかいうことは、現地に参りまして見たことはございますし、いろいろとお話の説明を受けたこともございます。
○中山参考人 ただいまお話しになりましたように、住民税つまり地方税につきまして、そういうことをいたしたことはございますけれども、そうでない一般の税務署の仕事の中身について、そういう見学をいたしたり、あるいは討議をいたしたことが、非常に少なかったことをはっきりここで告白いたします。しかし委員の方々は非常に有能な、多方面の方がおいでになりますので、私どももその意味では非常に助けていただくのでございますけれども、先ほどもちょっとお話に出ましたように、国税で減税になって地方税で増税になったというような感覚がある。実は計算の上ではそういうことにならないようになっておるのでありますけれども、それがそういうことになっておるといたしますれば、これこそ実査のものではないかと思います。ことしもこの夏に実査の計画がございますので、その場合にはぜひ今御指摘になりましたような点を含めて、われわれの知識をふやす機会を持ちたいと思っております。
○横山委員 三巻さんと中山さん、どちらでもけっこうですが、まず三巻さんに、こういう調査をなさったことがありましょうか。税外負担がどのくらいあるかというようなことを、調査なさったことがあるだろうか。それから中山さんには、この国民負担、税の負担率を議論なされるときに、その税外負担という問題を一応除去してお考えになっているような気がするわけでありますが、今この税外負担というものは、消防団から、鎮守様から、町内会から、PTAに至るまで、まことに国民にとっては、今や社会生活をする上においては、どうにもならないしがらみになっておる。もっともそれがやや半強制的な場合と、まあまあ自分の気持に応じてという場合はあるけれども、それをもってしても国民生活に税外負担というものは、もう大へんなものになっておる。従って、全部をなくするわけにいかぬにしても、少なくともこの税外負担を解消する方向で税制改正をするということは、今や現実の課題ではなかろうか。こう考えるのですが、いかがでございましょうか。
○三巻参考人 お答え申します。税外負担というものを、どこからが税外なのか、その辺がまだ国民にはわかってないのではないかと私思うのです。これをあたりまえのものだというような考え方を持っているのではないでしょうか。私もこの前、PTAの経費軽減という面で、百七十億軽減いたしますとおっしゃいましたときに、つまらぬ質問でございますが、一体一世帯に何ぼになるのでしょうと聞いたところが、そこまではわかりませんとおっしゃるので、それでは間でもって消えてしまわないように、一つ何らかお考えをいただきたいということを申し上げましたら、条例をもってこうこうしなさいということをお出しいただいたという実績を持っております。それから最近のように、学校の方については寄付金はいけませんよということをたびたび、私は都でございますけれども、都の方から御忠告があるように聞いておりますし、またPTAなんかに参りましたときに、ことにこういうものがあるのですよということを、私は啓蒙という意味において方々ふれて歩いております。だいぶ財源調整という面で、形が変わっているというようなことですし、またこの税外負担が禁止されているというようなことを、まるで何かかちとったものを持っているというような形で、極端に、こんなものを絶対にやってはいけませんといって、ある一部に利用されていて、PTAが困っているのだといううわさも聞いております。いろいろとまだまだ問題はございますが、そこまで検討しておりませんので、大へん申しわけありませんが、皆さんに大いに啓蒙してみたいと思っております。
○中山参考人 直接的にはそういう税外負担を基礎にして、租税負担の大きさを考えておりません。ただ間接的には、そのことを含んで税負担を考えております。つまり税負担の考え方と申しますのは、最も簡単な単純な方法は、申すまでもなく一人当たり国民所得あるいは総国民所得に対する総税額の比率、こういうものをとって各国別の比較をするのでございますが、しかしそれでは非常に形式的になりますので、すでに税制調査会では資料としても提出してございますが、生計費を差し引いた残りの余裕にかかる税負担、こういうものを計算しております。その場合に、生計費の中に、ただいまおっしゃいました税外負担がどの程度まで入っておるか、これはおそらく強制的なものが入っておると思うのでございますが、しかしそれ以外の任意的なものになりますと、どの程度まで入っておるか、私今覚えておりません。しかしそのような生計費を除いた残りの所得、つまり余裕所得に対する税負担というような形では、間接的に今の問題を考慮いたしておると思います。それ以上の資料は、私が覚えておる限りございません。
○横山委員 最後の御質問ですが、これは会長としてお答えができなければ、個人的な抱負でもけっこうなんですが、私の感ずるところによりますと、今回の答申をお出しになりましたときに、少なくとも将来の方向をきめながら今回の答申をお出しになれば、政府もこんなに曲がった方向にはならなかったのではないかという感じがいたすわけです。当面の答申とはいいながら、これは将来この方向に基礎を置くのだよという立場を明示されなかったことを残念に思うのです。もう始まっておるのですが、明年度以降ですかの税制改正の方向について、もう国会でも改正案を中応に多少の議論がございますし、大蔵大臣が預金、配当の利子を将来無税にしたいということを言いまして、大へん物議をかもしました。大臣は、いや、そのものずばりで、そういう意味で言ったのではないと、盛んに弁解をされておるのでありますが、会長ないしは中山さん個人として、今後の税制改正について、お差しつかえない範囲でけっこうですが、腹蔵のない御意見を承りたい。
○中山参考人 これは私個人として申しましても、会長として申しましても、事実上は同じことになりますので、非常に束縛された感じを持つのでありますが、抽象的に申しますれば、本日参考人陳述の最初に申し上げましたように、今の日本の税はなお実質的に高いので、従って減税の方針を基本的にはとるということ、第二は、源泉所得税で非常にきつく税を取られております一般の俸給賃金労働者と、それ以外のものとの間のアンバランス、その他技術的に非常に小さい面でございますが、いろいろな面にあるアンバランスは、できるだけいかなる小さい機会でもつかまえてこれを是正していこう、この二つの方針で今後も貫いていくつもりでございます。もし今度の答申案で、今御指摘になりましたように基本的方針がはっきりしていないという御不満がおありといたしますれば、それはあるいはこのようなことの結果かと思います。これはここに税制調査会の委員をしておられます三巻さんもおいでになりますから、御承知だと思いますが、今度の答申案では、基本的な答申は、いずれ三年の期限でありますので、もう一年半たちましたが、あと一年半の間にやろう、そこで今度の改正案に対する意見は、これは基本的な方針を将来じゃましないという範囲のところでぎりぎりの線を引こうではないか、それ以上積極的な方針、たとえば直間税の比率をどうするとか、あるいは中央地方の財源配分をどうするとかいうような答申については、この三年の期間を有効に使った上で、はっきりした答申案を出そうではないか、こういうことが審議会の中で申し合わされまして、いわばでき上がりました答申案と申しますのは、ぎりぎりのこれから将来の基本方針を害しないということを建前といたしました線で、これをしぼって出しました。そのことがあるいは、はっきりした方針が出ていないというおしかりを受けることになった原因かと存じます。その点だけを申し上げます。
○横山委員 これで終わります。
○臼井委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。 委員会を代表いたしまして、委員長より一言ごあいさつを申し上げます。 参考人には御多用中のところ、長時間にわたり御出席をいただき、忌憚のない御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼申し上げます。 次会は明十四日午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時十九分散会