大蔵委員会 第1号
- 発言数
- 71 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/01/29
会議録
○臼井委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 本会期中、国政に関する調査を行なうため、議長に対し、国の会計に関する事項、税制に関する事項、関税に関する事項、金融に関する事項、証券取引に関する事項、外国為替に関する事項、国有財産に関する事項、専売事業に関する事項、印刷事業に関する事項及び造幣事業に関する事項の各事項について、国政調査承認要求を行なうこととし、その手続につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○臼井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 これより委員会を懇談会とし、今会期中政府より提案を予定されております各法律案について、その概要の説明を聴取することといたします。 それでは、これより懇談会に移ります。 ————◇————— 〔午前十一時四十二分懇談会に入る〕 〔午後零時五十分懇談会を終わって休憩〕 ————◇————— 午後四時二十一分開議
○臼井委員長 休憩前に引き続き会議 を開きます。 税制、金融等に関する件について調査を進めます。 まず大蔵大臣より当面の基本政策について説明を聴取いたします。田中大蔵大臣。
○田中国務大臣 本国会において御審議を願うべく予定いたしております大蔵省関係の法律案は、予算に関連するもの二十件を含め三十一件でありまして、このうち、二十八件及び承認案二件につき、当委員会において御審議を願うことになるものと存じております。何とぞよろしく御審議のほどお願いいたします。 なお、この機会に、財政、金融政策等に関する所信の一端を申し述べます。 私は、日本経済にとって、貿易為替の自由化を強力に進めるとともに、経済の健全にして均衡のとれた成長のための基盤を強化することが本年の課題であり、このためには輸出力の増大が何にもまして緊要であると信じております。昭和三十八年度予算及び財政投融資計画も、このような心がまえを持って、将来にわたる国力発展の基盤を固めるため、社会資本の充実、産業基盤の強化、産業体制の整備、文教、社会保障の充実等に重点を置いて編成いたしたものであります。しかして、その規模は、昭和三十七年度に比べて一段と拡大しておりますが、通貨価値の安定をはかり、国際収支の均衡を維持するとの配慮のもとに、健全均衡財政の方針は引き続き堅持されておるのでありまして、財政投融資における政府資金、民間資金を通ずる積極的な活用とも相待ち、デフレの脅威も、インフレの不安もない正常な経済の発展を期待いたすものであります。 歳入面につきましては、国民生活の安定に資するための一般的な税負担の軽減をはかること、並びに当面の産業及び金融政策上の要請に対応する措置を講ずることを主眼として平年度五百四十億円程度の減税を行なうことといたしました。 関係法案につきましては、いずれ当委員会において御審議を願うことになりますが、主要な点を申し述べれば、中小所得者の負担の軽減をはかるため、基礎控除、配偶者控除等の引き上げにより、所得税の課税最低限を引き上げるほか、中小法人の留保所得課税を軽減することといたしました。また、貯蓄の奨励、資本蓄積の促進のための利子所得及び配当所得に関する特例の延長拡大、公共施設等社会資本の急速な充実をはかるとともに、産業設備の整備、強化に資する等のための土地等の譲渡に伴う特例の新設、国際競争力の培養のための中小企業設備の近代化のための特例等の措置も講じて参りたい考えであります。 なお、わが国の税負担は、戦後相次いで行なわれた税制改正の結果、相当合理化されて参りましたが、わが国の社会経済の著しい進展に即応するために検討を続けていく必要があり、現在、税制調査会におきまして、租税制度の基本的な審議を行なつておるところであります。 金融政策は、引き締め政策の解除により新たな局面を迎えるに至ったのでありますが、ここにおいて金融正常化の必要性は一段と高まっております。この点に関しまして、日本銀行が、昨年十月の公定歩合の引き下げに際し、今後の金融調節の手段として債券の売買を一そう弾力的に行ない、これによって市中銀行が日本銀行借り入れに過度に依存する姿を是正する方針を決定いたしましたことは、きわめて好ましいものと考えるものでありまして、私は、このような日本銀行の新しい方針と相待ち、金融の正常化をさらに進めて参りたいと考えております。ことに長期の安定した産業資金の調達のために株式市場や公社債市場の育成をはかることはきわめて肝要でありまして、健全な大衆投資家の支持と信頼を確保しつつ、両市場の健全な発展のため、一そうの工夫と配慮を重ねて参りたいと存じます。 金利につきましては、わが国経済の国際競争力を強化するためにも、その割高な金利水準を国際金利水準にできるだけさや寄せしていく必要があり、このためには、貯蓄の増強に努める等、資金供給の増加をはかるとともに、資金需要の調整にも留意して、金利引き下げのための環境を整備していくことが肝要であると存じます。今般、従来の預貯金等の利子所得に対する課税について、一そうの優遇措置を講ずるとともに、国民貯蓄組合にかえて新たに少額貯蓄優遇制度を設けることにより、免税制度の適正な運営をはかろうといたしておりますのも、このような見地からであります。 なお、この際、付言いたしますと、さきの景気調整の過程において、政府は、経済界に対し、いたずらに摩擦や困難が生ずることのないよう、ことにその影響が不当に中小企業等に対し、しわ寄せされることのないよう、適時適切な施策を講じて参つたのでありますが、なお、ここしばらくは、その円滑な収束のために、財政金融面を通じて、きめのこまかい配慮をいたして参りたいと存じております。 昭和三十七年度上期に均衡を回復いたしました国際収支は、その後も改善を続けておりまして、国際通貨基金との間に締結したスタンドバイ取りきめは実際に使用することなく、最近終了させることができましたし、米国市中銀行からの特別借款の今後の返済についても外貸資金繰り上支障はありません。しかし、国際収支は、元来、国内経済活動の動向等により変動しやすいものでありまして、自由化の影響もこれから本格化することでしょうし、また、世界経済の今後の動きも必ずしも楽観を許しませんので、その先行きについては慎重な配慮が必要であろうと考えております。他方、国際間の経済交流の一そうの活発化に即応してわが国としても、貿易為替の自由化を一そう推進し、また、関税の引き下げをはかって参らねばならないのでありまして、このような環境の中で私は、国際収支の基礎を一そう強固なものにしつつ、円の交換性の実現という大きな目標に向かつて、一段と体制の整備に努めて参る所存であります。 以上、財政金融政策等について、所信を申し述べました。私は、これらの施策を着実に推進して参るにおきましては、わが国経済は、国民の努力にささえられて、国際経済との融合をさらに深めつつ、健全な成長を遂げ得るものと深く確信するものであります。(拍手) —————————————
○臼井委員長 続いて質疑を行ないます。堀昌雄君。
○堀委員 お急ぎのようでありますから、企画庁長官からお伺いをいたします。 私が本日の最初の質問にあたりまして、企画庁長官の御出席をお願いいたしましたのは、歳入問題のいろいろな見積もりにつきましては、その土台が経済見通し等にあるというふうにこれまでも伺っておりますので、政府の統一された経済見通しというものの論議を先に少しさしておいていただいて、歳入等の問題について大蔵大臣にお伺いをいたしたいと思います。 そこで、まず最初にお伺いをいたしたいのでありますけれども、今年度、三十八年度の見通しということで、企画庁からお出しになっております国民総生産は、二十兆三千九百億円ということになりまして、三十七年度の実績見込みとの差が名目で八・一%増、実質で六・一%の増、こういうことになっておるようでありますが、こういうふうな国民総生産の増加を、なるほどここには各項目別には金額があげてございますけれども、そういう成長をほんとうにささえる、まあ言うなれば経済の浮揚力というものは一体土台はどこにあるのか、どういうところが基準となってこういうふうなものが出たのか、そういう考え方を一つお伺いいたしておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 三十八年度の場合についてのお尋ねでございますから申し上げますと、やはり浮揚力は三本考えておるわけでございます。従来浮揚力の中心は設備投資であったわけでございますが、これは三十八年度については浮揚力になり得ないと考えております。そこで残りました三つは、一つは財政でございます。これは過日総理並びに大蔵大臣の所信表明にもございましたように、できるだけ公共投資を先行的にやっていきたい、それができる経済であると判断をいたしました。それが一つの浮揚力であります。もう一つの浮揚力は輸出の見通しでございますが、三十七年度からの趨勢並びに三十八年度の国際環境を考えまして、五十二億ドル程度の輸出が可能であるというふうに考えます。これが二つ目の浮揚力であります。それからもう一つの浮揚力は個人の消費支出でございまして、三十六年度から七年度への伸びは一四%近いかと思いますが、そのような期待は持てないといたしましても、なお一〇%程度の伸びを期待し得るであろう、お尋ねがあればその理由は申し上げますが、そのように考えます。この三つであります。
○堀委員 なるほど政府の財貨サービス購入は、皆さんの方で各種予算をお出しになっておりますから、一応その中に織り込まれておると思いますけれども、実は過去の七年間でこれを比べてみますと、あとで個人消費等は伺いますけれども、政府の財貨サービス購入の中の資本支出でありますけれども、昭和三十六年度の実績と昭和三十七年度の実績見込みの間の差は三千五百二十二億円でありまして、これがGNPの増加分の中に占める寄与率は三〇・四%になっております。ところが今度の三十七年度の実績見込みと三十八年度見通しの間における資本支出の差は三千二百億円、GNPの中に占める寄与率は二〇・九二%、ここで寄与率の中では約一〇%減って参りますし、実質の中でも三百二十二億円というものが実は三十七年度と三十八年度では小さくなってくるというふうに計算上は出てくるわけでありますけれども、そうすると、それが三十六年から七年に対してのものより少ないのに浮揚力になるというほどのものであるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 私どもは三十七年度の政府支出、これは国ばかりでございませんで当然地方団体を含みます。そうしてトランスファーの通り抜け勘定を抜いておるわけでございますが、三兆九千三百億と見ておるわけでございます。これが全体に対する寄与率は二〇・八でございますが、三十八年度はそれが四兆四千八百億でございまして、寄与率は二二でございます。そういうふうに考えております。
○堀委員 今のは政府の財貨サービス購入を一括してのお話だと思うのですが、これは経常支出と資本支出がありまして、実質的に私は経常支出の面が浮揚力になるよりも、資本支出の方がやはり経済全体としての、特に産業関係の要因としては、これは浮揚力として働きやすいわけでありますから、この浮揚力の中には、輸出のようなものあるいは設備投資、在庫投資的な産業に直接非常にストレートに関係をするもの、終末処理段階における政府の財貨サービス購入の中におけるところの経常支出なり個人消費というふうなものとは、これは一応私は浮揚力ではあっても少し別途の角度で考えるべきではないか、こういう感じがいたしましたから、私はその財貨サービス購入の中における資本支出の部分だけをとって申し上げたので、今長官のおっしゃったのと私の違いとは、三十六年度の実績と三十七年度の実績見込みの差、それから三十七年度の実績見込みと三十八年度の見通しの差で、その下の方の資本支出についてだけ触れたわけでございますから、ちょっとその一括した部分ではないわけでありますが、そういうふうに二つに分けて考えてみた場合には、おっしゃるように在庫の増加も設備投資も、これはことしの場合には浮揚力にはなり得ないということになれば、その他の部分の方に比重がかかってきます。それは前年度よりはことしの方が少なくなる。それでこの部分の浮揚力というものが、あまり大きく期待できないということになれば、あとは経常支出と個人消費というものが、主たるもの、輸出は別でありますけれども、そういうことになるのではないかと思いますが、その点はいかがでしょう。
○宮澤国務大臣 経常支出と資本支出をどういうふうにお分けになりましたか、その際、財政投融資をどういうふうにお考えになりましたか、ちょっと今すぐに、承っただけで実は明らかでございませんので、私ども数字を整えまして、またお答えいたしたいと思いますが、財政投融資などの扱いが、実はこれを資本支出的なものに分けましたときに、それに民間の金融がどう抱き合わさるかというような計算、それから政府諸機関の資本支出、この辺の計算は非常に複雑のようでございます。私どもも、実はまだ解決したものを持っておりません。いずれ整えまして申し上げたいと思います。
○堀委員 それでは次に、個人消費支出の一〇%の伸びがあるというふうにごらんになっておるわけですが、これはその差が一兆二千二百九十九億ですかになるわけですけれども、これだけの個人消費の伸びを見るためには、どのくらいの全体の賃金の上昇を頭に置いてこれをお考えになったのかを伺います。
○宮澤国務大臣 お答の前提に一つお聞き取りいただきたいと思うわけでございますが、それは過去数年間、三十四年ごろからでございますが、国民の消費水準、これは物価の値上がりを引きました実質的な消費水準でございますが、大体毎年六%くらいの平均で伸びております。そうして、これは消費水準でございますが、それがしかも国民の五分位階層ほど伸び率が大きい。企業で見ますと、三十人以下の常雇用の企業と三十人以上の常雇用の企業では、下の方の小さい常雇用の企業の賃金水準の伸びの方が大きい、それもかなり顕著にここ数年大きいわけでございます。つまり、そういう意味で所得の格差は逐年縮まりつつあるわけでございますが、そのことは何を意味するかと申しますと、やはり所得の限界単位、最後の単位の所得をいかに処分するかという場合の限界消費性向が階層の低いほど高い。こういうことは一般的に常識として申し上げてよろしいと思うわけでございます。従って、国民全体の所得の伸びがかりに一定量でありましても、それがどの層でよけいに伸びたかということは、消費にそれがどれだけはね返ってくるかという限界消費性向の問題と合わせないと答えが出ない。従来の、この数年の経験にかんがみる限り、限界消費性向が高い層において所得の伸びが高い、こういうことが言えると思います。 そこで明年度の場合を考えますと、大体新規の雇用が百二十万近くあるかと思います。これらの雇用者は概して申せばそういう最初の雇用者でありますから、低い所得の層に入る。従って、この消費性向は平均消費性向よりも高いというふうに考えます。そういう前提の上に、さらに一般的には給与水準というものが一割近く伸びるであろう、そのような想定をとっているわけでございます。
○堀委員 給与水準は一割近く伸びるというお話でありますが、どうも私どもが最近見ておりまして非常にわからない点が一つあるのですが、GNPの最近の伸び率の中で占めておる個人消費支出というものは相当大きくなってきておりますけれども、これから御承知のように労働者の皆さんは春闘ということで賃上げの運動をやるわけです。 ところが経営者の側は賃上げはいかぬのだ、今不景気でともかく賃上げは困るんだというわけです。しかし賃上げが困るということで賃上げを押えてしまえば、今企画庁長官のおっしゃるように一割近く給与や何かの伸びるのを期待しておそらくこの経済見通しは出ておるのにもかかわらず、資本家の諸君が一生懸命それを押えるということになると、今度のGNPの伸び率の中で一番比重のかかっておるところの個人消費支出及び私がちっきさょっと触れました政府の財貨サービス購入の中における経常支出分の伸び率ということに非常に大きな影響力が出てくると私は思います。そういう意味では私はかつてエアハルトが日本に来たときにもつと国内市場を考えるべきだ、もう五、六年前だと思いますが、そのことが今日われわれがもっとも真剣に考えるべき問題として出ているのではないか。だからそういう意味で企画庁長官も大蔵大臣も国の財政経済に責任を持っておられる方は、経営者と一つ心を開いて、個々の企業として見ればなるほどその会社の給与があまり上がらない方がそれは内部的にはいいかもしれませんが、日本経済全体の中での皆さんのおっしゃる一つの浮揚力の柱というほどのものであるなら、そして私がさっき申し上げましたように、その柱の中でも最も大きな大黒柱が今年度においては私は個人消費だというふうに見ておりますから、そういう点についてはそういう見解を一つ経済界の皆さんにお示しをいただく必要があるのではないかと思いますが、ちょっとこれについては大蔵大臣も含めてお答えをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 そのような仰せがおありと思いましたので、先ほどの前提を実は申し上げておったわけでございます。つまり所得の伸びが消費にはね返ります場合の、それがどの階層において一番消費にはね返り得るかという限界消費性向というのを申し上げましたのは、そのような意味で申し上げたわけでありまして、つまり新規の百数十万が労働力に加わります給与所得者というものの限界消費性向がおそらくその他に比べて高いだろう、それから全般的に格差が縮まりつつある、その下の方がやはり限界消費性向が高いであろう、そういう意味で実は申し上げたわけであります。
○堀委員 そうすると全体の給与水準は上がらなくていいのですか。さっきあなたは一割ぐらいの給与水準の上昇を前提にしたとおっしゃったわけですからね。そういう一割近い給与水準の上昇を、新規雇用者のこれを皆さんの方の歳入見積もりでいけば四%ぐらいの増加にしかならないのですがね。そういうような式のものがふえる、そうして、限界消費性向はなるほど低い方に高いと思いますよ。しかし低い方に高いけれども、それだけで一体全体の給与水準が一割近くも上がりますか。
○宮澤国務大臣 全部の給与所得という意味で申し上げたつもりでございまして、それは給与所得全体では一一%以上の伸びがあるであろう。しかしその際に雇用の伸びが四%ないし五%ございますから、そこで賃金上昇としてはそれを引きましたもの六ないし七、こういうふうに考えます。
○堀委員 まあわかりました。六ないし七でもけっこうですが、それではその六ないし七というのは、ほっておいたら大体そういうふうに上がるのでしょうか。どういうふうに考えておられますか。やはりその六ないし七上げるためには、ベース・アップとかなんとかいうことがなければあなたの御期待になる浮揚力にはなってこないのではないかと思うのですけれども、それはいかがですか。
○宮澤国務大臣 政策の問題としてでなく、見通しの問題としてはその程度の給与の上がりはあるであろうというふうに考えました。
○堀委員 政策の問題ではなくて見通しとしてはあるだろうというのは、私はちょっと理解できないのです。政府がここで見通しを出しておられることは、これはあなた方の政策を現わしているのではないですか。そうしたら一体これは何ですか。あなた方が政策として出さないで、一体ここにこういうデータを出して、日本の国民総生産は大体このくらい伸びます、そうして個人消費はこれだけ伸びますというのは、これは政策ではないのですか。それでは何ですか。
○宮澤国務大臣 私の申し上げましたのは、賃金水準を六ないし七%上げようというような政策について私は責任を持っている立場にはない、しかし、全体の見通しとしてはおそらくそういうことがあり得ることであろう、こう思いましたと申し上げておるわけです。
○堀委員 いや、私はあなたに上げなさいということを言っているのではないのです。政府はこういう見通しを立てました。そうすれば、今私どもが言っているのは、何も私は労働者のためだけのことを言っているのではないのです。日本経済の論議をここでしているのですよ。日本経済を、あなた方の考えたようにGNPを伸ばすためには、個人消費というものは、あなた方は少なくとも一〇%伸ばしたい、それが今度の浮揚力の柱だとあなたはさっき言ったじゃないですか。その重大な柱を柱にするか、これが折れてしまったらともかく、何にするかによって今のあなた方の考えておるGNPの伸びというものが達成できるかどうかがきまってくるんだから、そうすれば、政策担当者としては何もそういう経営者の皆さんに、日本全体の経済として見るならば、われわれはこの程度の賃金の上昇というものはあなた方が配慮する必要があるでしょうと言ったところで、私は全体の問題としてなら当然だと思うのですが、その点は企画庁長官及び大蔵大臣のお考えを一つお伺いしたい。
○宮澤国務大臣 それは見通しと政策の問題と両方ございますので、見通しはどうかというお尋ねでございましたから、GNPはかくかくでございます。そういたしますと、どうしてそんなにGNPが浮揚するかという原因はどういうふうに分析するかというお尋ねでございましたから、先ほどのように申し上げたわけでございます。
○堀委員 私は率直に言って非常にあなた方勇気がないと思うのですよ。やはり日本の経済全体に対してあなた方が指導性を持つのならば、私はそんなことは何でもないことだと思うのですよ。自分たちがこういう一つの経済プランを持っている、この経済プランについておのおのが——これは大蔵大臣だって、みんなで協力してこれをやりましょうと書いてあるのだから、みんなが協力するということは、労働者も協力して下さい、資本家も協力して下さい。その資本家の協力のあり方は、手前だけでもうけていたらいいのだということでは、これはいかぬということが今ここに出ているのではないかと思うのですよ。お互いがお互いの持ち分に応じて日本の経済を発展させるためには、それはやはり妥協すべきところは妥協する、そういう大局的見地に立たないところに、私は日本の資本主義の後進性があると思うのです。だから、そういう点は私はこれ以上言いませんが、もうちょっと経済企画庁長官も勇気を持ってやってもらいたいと思います。 そこで、その次に一つ重要な問題を伺いたいのですが、事務当局にちょっと最初にお伺いをいたします。消費者物価の見通しにつきまして、皆さんが出される毎年の見通しはでたらめです。それは昭和三十四−五年の間は最初に一・一%ということで出されたが、私の手元にあるのは実績と実績見込みしかありませんが、その差で見ても三・二%、三十四−五年で上がっているのです。三十五−六年については当初一・一%ふえるというのが、実績見込みで見ても五・七%ふえております。それから三十六−七年が、当初二・八%だというのが五・九%になっていますね。そこでちょっと事務当局に伺いたいのは、実績と実績で見たら幾らになるのか、ちょっと先に教えてもらいたい。私はここに実績見込みの消費者物価の倍率と、当初の差しか持っていないわけです。だから実績見積もりと実績の差というのは、実績の方が実績見込みよりいつでも高いのですから、実績と実績で比べたらもっとひどいんじゃないかと思うのです。
○山本(重)政府委員 お答えいたします。昭和三十四年度の消費者物価は、全都市で一・八%の上昇になっております。これは三十三年度の実績に対する上昇率でございます。それから三十五年度は三・八%の上昇、三十六年度は六・二%の上昇になっております。
○堀委員 今伺いましたら、やはり私が申しました一・一%が、三・二%ではなくて三・八%になっておる、こう言っておられます。その次が一・一%が六・二%となっておる。あとは三十七年は実績見込みしかありませんからまだわからないと思いますが、非常に違うのですね。政府はこの次は二・八%だ。そこでここでGNPや何かの計算をなされて、実質がどうなっておるか書いてあるのですけれども、ことしはこれは目安として、努力目標として了解いたします。まさか政府が五%、六%の消費者物価の上昇をここに書くわけにもいかぬでしょうから、それは私は了解しますが、腹の中では一体どのくらいまではいくだろうかというところを、先に長官に伺っておきたいのです。
○宮澤国務大臣 どうも過去のできがよくございませんので、御信用いただけるかどうかと思いますが、私はことしは——三十八年度は経済環境から判断いたしましても、公共料金は大体一巡いたしまして、ことしはもういじらない。先般総理が本会議で申し上げた通りのような決心でございますし、いろいろなことから判断いたしまして、消費者物価が三%より上にいくということでは、これはどうもとてもいけませんので、いかないで済む、やり得るというふうに私は考えております。これは正直、そう考えております。
○堀委員 実はこの経済見通しは、私はこれをもう何年も毎年委員会でやるのですが、まことにどうもこれほど当たらないものはないのです。当たらないについて私は非常に疑問があるのは、毎年の実績見込みと実績の差が少し多過ぎる。特に私はその点で非常に感じますことは、実績見込みというのを皆さんお出しになるのは、閣議決定というのは大体一月二十日ごろなんですよ。一月二十日ごろになって、三月三十一日までの実績見込みというものが、ここにいろいろ資料がございますが、こんなに違うというのは、実績見込みの出し方に少し問題があるのではないか。そこの土台が狂ってくると、今度は大蔵省に関係するのですが、これが歳入予算に非常に関係してきて、低目の歳入見積もりが出てくる。これはたくさん資料がありますが、きょうは私時間がありませんから、もう一ぺん詳しくやらしていただきますけれども、もう少し企画庁は実績見込みというものに信頼度を高められるようにできないのかどうか、なぜこんなに違う のか、一つ伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 三十七年度につきましては、昨年の八月でございますか、見通しの改訂をいたしました。そのときに見込みました消費者物価の上がりが、当初とはだいぶ違いましたが、それと、ことしの一月にいたしました実績見込みとはほとんど違っておりません、今年の場合。それは幸いにしてそういう傾向が落ちついてきたということに助けられたわけでございますが、まあ十二月に実績見込みをいたしますときに、大体十月くらいの計数しかわからないのが普通でございますから、つまりあとそれからのほとんど半年に近いものを考えるようになります。それで変動の多いときにはよく狂ってくると思いますが、ことしは幸いにして、今度七月に見込みましたものと異ならないものを見込みましたし、結果も似たようなことではないかと思っております。
○堀委員 今私が触れましたのは、消費者物価について言ったんじゃないのです。今、実績見込みとの差を特に私が強調しておるのは、皆さんの方で分配国民所得というものを出しておられるわけですが、勤労所得なんかの見積もりが、昭和三十六年の実績見込みは六兆九千六百億円、それが実績は七兆一千九百九十七億円、これくらいの開きが出てくるわけですね。実績見込みと実績の間で、実績は今三十六年しかありませんから……。ですからこれが今おっしゃるように、なるほどそれは十二月に作業をするとなると、資料が十月だということであるかもしれませんけれども、どうも毎年やや開き過ぎるのじゃないか。それのしわが歳入の中に問題として一あとで大蔵大臣に伺うわけですが、非常に影響してきておる。源泉所得税をずっと見てみますと、特に源泉所得税の場合にはこのGNPの伸びは大して差がないにもかかわらず、源泉所得税というものは非常にたくさんとられるように毎年なってくる。低目に見積もられてくるというのは、どうもこういう皆さんの方の作業に関係があるのではないかという感じがするのです。主税局長がおられますから伺いますが、これは全然無関係ですか。今の企画庁のいろいろな実績見込みとか見通しとか、そういうものとは無関係に主税局は歳入計算をやっておるのかどうか・そこのところをちょっと主税局に伺いたい。
○村山政府委員 給与に関する限りは、直接とっておりますデータは、今言ったような個人消費支出、GNPとか、そういうことでなくて、雇用がどれくらい伸びるか、それから給与水準がどれだけ伸びるか、こういうところに中心を置いております。従いまして、先ほども申しましたようなところが——もちろん理論としてその実績見込みと実績が変われば、その前年分については変わって参りますし、それから今年度も伸びを見ておりますが、それが違えば変わって参ります。相乗して違って参るわけでございます。そのほかに、もちろん税収のズレの問題は別にございます。あるいは弾力性の問題はございます。
○堀委員 その場合、もちろん今のあとの二つ、弾性値なんか、そのほかのものは別として、土台としての部分で見まして、主税局と企画庁の間では、何かそういういろいろな給与の伸び、あなたの方は六%くらいというようなふうに出している。さっき長官の方では一〇%、一一%くらいですか、それくらいの中から四%くらい引いた残りだ、まあ大体そんなふうな数字になってくるわけですが、そこらの点は企画庁と話をされますか。
○村山政府委員 ちょっと数字の点を申し上げておきますと、先ほど企画庁長官が全体で一〇%くらいと言ったのは、さっき言ったように雇用の増を含めての数字でございます。もちろん企画庁の見通しは、内部作業でやっております段階からわれわれアプローチしておりまして、この段階でどういうふうに見ておるかということも知っております。ただ納税者、非納税者の区分がございますので、それを税制に当てはめた場合には、課税者について一体どれくらいの伸びになるか、あるいは課税者として雇用がどれくらいふえるか、こういうところを話し合っているわけであります。
○堀委員 時間がありませんから企画庁は終わりにしたいのですが、ちょっとお願いをしておきたいのは、たとえばこの資料の中で消費者物価指数を見てみますと、指数の基準のところに昭和三十年が一〇〇と書いてある。次は、昭和三十五年一〇〇と書いてある。つまり「昭和三十八年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」の中に書かれておるのは、たとえば、いろいろある中に、「消費者物価指数(全都市)昭和三十五年イコール一〇〇」と書いてあるわけですが、この昭和三十五年イコール一〇〇というのは一体どういうことなのか、事務的にちょっとここで伺っておきたいと思います。
○山本(重)政府委員 お答えいたします。物価指数の計算をいたします場合に、この場合は三十五年の暦年を一〇〇といたしまして、そしてこの消費者物価指数を構成いたしますものは食糧……。
○堀委員 こまかいのはいいです。暦年だということがわかればいいのです。 そこで、実はこれを拝見すると、こういう指標の中で五年ごとに基準を皆さんの方で変えられるわけですね。ちょっと古いものと並べて二、三年のところで見ても、昭和三十五年、六年のところまでは昭和三十年が一〇〇という指数でものが書かれていまして、昭和三十七年ぐらいから今度は三十五年が一〇〇と書かれますと、つながらなくなっちゃうわけです。それはほかの資料であればそうなるでしょうけれども、こういう式のものは、三十年を一〇〇ぐらいにしたら当分同じ指数でやるように考えてもらわないと、こういうふうにもう少しさかのぼるときにわけがわからなくなる。昭和三十年一〇〇できた指数が五年ごとに指数が変わったのでは、その間のところがつながらない。今度は鉱工業生産指数だってぱっと変わっちゃって、この間までは三〇九だとか幾らという議論をしていたが、今度はいきなり一二三というのでは、ごまかすのにはいいかもしれませんけれども、まじめに論議をしようという者にとってはまことに非科学的です。これはやはり日銀がいろいろな資料を昭和二十七年基準とか八年基準で出しているように、もうちょっと一貫性のあるように、これはおたくの方ではなくて通産省だけれども、企画庁としても資料、統計を扱う立場とすれば、そういう配慮をしてもらわないと私は非常にまずいと思うのです。ちょっとまじめに調べようと思ったら、てんでつながらない。その点をちょっと申し上げて、きょうは時間がありませんからまたあらためて企画庁にはお越しを願うといたしまして、最後にちょっと一言申し上げておきたいのは、ことしの皆さんのお出しになっておる数字は、個人消費が六六・七%、政府の財貨サービス購入が三五・九五%ぐらいですから、個人消費の方にGNPの比率が非常にかかっております。その点についてはもうくどく言いませんけれども、さっき私が申し上げたような気持を何らかの機会に表明をしていただいて、日本経済がようやく個人消費型経済に移行してきておる段階における経営者の態度というものについて、一つ政府側としての注意を喚起していただきたいということを要望して、企画庁長官に対する質問は終わります。 大蔵大臣にお伺いをいたしますが、きょうお話しになったのはちょっとプリントになっておりませんから、その前に施政方針でお話しになったものを土台として二、三最初にお伺いをいたします。 金融政策に関する項でこういうふうにお話しになっております。「日本銀行においては、昨年十月の公定歩合の引き下げに際し、高率適用制度の改正を行なうとともに、今後の金融調節の手段としては、債券の売買を一そう弾力的に行ない、これにより、市中金融機関が日本銀行借り入れに過度に依存する姿を是正する方針を決定したのであります。」こういうふうに述べております。今のところは売買じゃなくて買々だから、売りの方はないと思います。そこで、御承知のように買いオペレーションが引き続き行なわれているわけですが、一体売買になるというのはどういう状況になったときに売買になるのか。大蔵大臣、あなたは売買を一そう弾力的に行ない、こう述べておるので、どういう場合になったらそうなるのか。
○田中国務大臣 今のところは御承知の通り、コールに依存しておるものが多かったり、非常に金融不正常でございます。でありますから、金融の正常な環境をつくるために日銀が買っておるわけでありますが、これが当面預貯金の優遇その他によりましたり、あるいは国民が貯蓄精神を旺盛にして貯蓄がどんどんと行なわれたというような場合や、それから財政資金が大幅に散超になったというような場合は、売り戻すという事態が起きるわけであります。
○堀委員 もちろん今のお話で、なるほどそれは売り戻す場合はあり得ると思いますけれども、日本経済の過去の状態を見ますと、どちらかというと、資金需要の方が強過ぎて非常に資金がダブつくなんという式のことは、三、四年前には一回ございましたけれども、その後は御承知のような格好であまりないわけですね。だから、なるほど金融正常化ということをこの際やろうというお考えはわかるのですけれども、そうすると、一体金融正常化をやるための一番肝心な柱というのは、それじゃ何でしょうか。
○田中国務大臣 政府資金に過度に依存したり、それから日銀からの借り入れに大きく依存しておったりというような状態ではなく、預貯金を大いに獲得して、正常な資金源の範囲内で金融が行なわれるというふうにしなければならない、こういうふうに考えております。
○堀委員 今のお話で、大蔵大臣は預貯金を大いに一つとおっしゃるのですが、今の企画庁長官のお話では、給与はあまり伸ばさぬようにした方がいいのじゃないか、どうも伸ばせということはいかぬというふうにおっしゃったわけです。給与は伸びないわ、大蔵大臣が言われるように預貯金をどんどんして、個人消費は個人消費でやはり一〇%は伸せといって、これは一体できるでしょうか。これは八方ふさがりというものじゃないかと思うのですが、一体その場合どれが大事なんでしょうか。
○田中国務大臣 同じような議論が半年前にもなされたわけでございますが、現在まで相当貯金が伸びておるという事実がございます。これは世界の各人間に比べまして、日本人が十八、九%も貯金率が商い。もう限度一ぱいだ、こういうことも言われますが、日本人は御承知の通り、勤勉な民族でありますし、三十五年、六年、七年のように非常に経済が伸びた、消費が伸びたというようなときに、ある意味では戦前非常に苦しい生活をやっておりましたから、この程度国民消費が伸びたのは普通であって、これ以上伸ばしていかなければ、ほんとうの生活内容の改善にはならないのだという考えもわかりますが、しかし、お互いに十年、十五年前に非常にひどい状態を経験しておるだけに、これから国際収支の改善が行なわれ、通貨が安定し、日本が自由貿易に対応しながら、国づくりをやっていこう、またそうしなければ自分たちの次代の国民の代によりよい生活が築けないのだという考え方からいいますと、われわれ民族の中には、貯蓄をしよう、特に零細な貯蓄が非常に伸びておるということは、ある意味において、当然必要な生活の充実ということを犠牲にして貯蓄をしているのかもわかりませんが、相当程度貯蓄が伸びておるという事実は現にあるわけであります。特に御承知の通り非常に消費が盛んになったというものの中に、健全の消費というよりも、まだまだ多少繰り延べてもいいじゃないかと思うような世界にも例のないような夜の消費というものも相当ありますから、そういう面に対する抑制はまだできるというふうに考えているわけであります。
○堀委員 ちょっと私納得できないことが二、三点あるのですけれども、最近預貯金が非常に伸びてきましたね。投資信託はどうでしょうか。最近の証券に関する投資というものは、御承知の通り証券市場が不振だから、要するにあっちへいっていたのがこっちへきつつあるわけで、今大臣がおっしゃったように必ずしも貯蓄総額として伸びておるかどうかについては、私は疑問があると思っている。要するにそれは内部的な流れで、銀行よさようなら、証券よ今日は、というところから、また逆に、証券よ、投資信託よさようなら、銀行よ今日は、というところにいきつつあるのが今の姿ではないだろうか。だからそれだけとは言いませんけれども、そういう配慮をしないで今の貯蓄を見るということに多少問題がある。 もう一つ、夜の消費の問題は、まさに個人消費ではなくて社用消費であって、こんなものは、私ども賛成ですから、大いに制限をしていただきたい。しかしこの夜の消費が個人消費にどれだけ占めているかということになりますと、これはちょっと私よくわからないのですけれども……。だからそういう点では、私は今の日本の財政の問題について見ると、やはりこれが西欧の個人消費中心的な、設備投資型から好むと好まざるとにかかわらず個人消費を柱にするような財政の型に変わりつつあるというときに、やはりそこのところに対する配慮がよほどなされてこないと、結果として日本の成長というものが必ずしも皆さんが御期待になるようにいかないのじゃないかということを大へんたびたび言いますけれども、伺いたいわけです。 もう一つ、金融正常化の問題でやはり忘れてならないことは、皆さん、特に大臣もそうですが、低金利政策が非常に好きな大蔵大臣がどうも最近続いているわけです。低金利政策というのは、なるほど国際的な自由化の現状で必要だと思うのですけれども、私はここでしょっちゅう言うのですけれども、債券の売買の問題一つにしても、この間池田さんは社債市場を何とか育成しろと言われたが、こういうものの金利が自由化されていなくて一体何の正常化ぞやという気がするのです。大蔵大臣は皆さん自由民主党だから、大体自由主義経済を謳歌しておられるにもかかわらず、事こういうものに至ってはきわめて統制的で、われわれと立場が違うような感じすらするのですが、金利の自由化という問題について一体どういうふうに考えておられるかお答えいただきたい。
○田中国務大臣 私がいつも言っておりますように、自由化に対応して国際的金利にさや寄せをしていかなければならないということは、これは原則的な考えでありますし、またそうなければ国際競争力はつかないわけであります。また現在海運や石炭やその他の重要産業にとられております施策も、設備が過剰になっておりますし、金利圧迫というものが非常に大きく作用いたしておりますから、それらの問題を考えても金利をできるだけ早い機会に国際水準にさや寄せしたいという考えでありますが、これを画一、一律的に政府が下げようとしますと、せっかく正常化されてきつつある金融市場を混乱せしむるということになっては困るのでありますし、またこれを政府が一方的に法律や行政手段によって下げようということで下げ得るものではないのでありますから、やはり産業界、金融界、国民全体が、低金利——その低金利という文字そのものの持つ感じは何かいやな感じでありますが、そうでなく、もう国際的な正常な金利体系にさや寄せしていかなければならぬということはお互いが納得しながら合理化しつつ、その線に近づけていきたい、こういう考えを持っておるわけであります。
○堀委員 施政方針のときも、「国際金利水準に可能な限りさや寄せしていく必要があります。もとより、金利の問題は、資金需給の実態に即して考えるべきでありまして、」とおっしゃっておられます。私もそうだと思うのでありますけれども、特に社債市場を育成する場合に、社債の今の利回りなり発行なりが今の形のままでは、公社債の問題については市場なんかできっこない。これはこの委員会でこれまでずいぶんやったものです。しかし、そこでいよいよ日銀の方でああいう買いオペレーションをやることになって、売る場合に、それが常に依然として銀行から買って銀行へ売り戻すということでは、私は問題の発展はないんじゃないか、金融正常化でも何でもないんじゃないかと思う。だから池田さんも、何とかしたいということでしょうが、大臣としては何とかしょうという意欲がおありかどうか。どこからどういうふうに手をつけるのか。
○田中国務大臣 公社債市場を育成しなければならないということは、私もその通り考えておりますが、さてどういうことをしてやるかということになるとなかなかむずかしい問題であります。現在の公社債が一体どういうふうな分布になっておるかというと、これは御承知の投信に組み入れられておるもの、それから市中銀行が持っておるもの、地方銀行が持っておるもの、大体この三カ所でほとんど持っておる。こういう事情からいいますと、どこかでもって説をなす人は、半年前くらいには政府余裕金をもってやれとか、いろいろなことを言われたこともありますが、こういうことを申したならば、売り手ばかりがあって買い手がなくなる、こういうことでありまして、これは結局これら三機関が持っておるようなものを一般大衆が持ち得るような状態にならなければほんとうの流通というものはできないのでありますから、公社債市場の育成、と言葉で言うよりも、実際にどういうふうにするかという問題に対しては慎重に検討しつつ考えていかなければならぬ、こう考えております。
○堀委員 要するに、策は目下ないというふうに私は聞いたのですけれども、そうでしょうね。今はない、これから一つ大いにつくるのでしょうけれども、今ないんでしょう、ほんとうは。正直言うと。
○田中国務大臣 でありますから、日銀が買いオペをやっておるというようなことで……。
○堀委員 事実はその通りですから一応それまでにしまして、次に、どうやら二月のコンサルテーションではいよいよ八条国移行の勧告がされるだろうと一般に伝えられております。そこで今の問題でありますけれども、大蔵省としてはそういう勧告が出されたときには、関税の問題については向こう一年間には、今度いろいろ法案は出ますが、その程度のことでいいのか、あるいは為替の問題、そういうような点についての資本の取引の方の自由化の問題、諸般の問題について、一つ大蔵大臣として、コンサルテーションで勧告があったという場合には、一体当面何をするかということを具体的に伺いたいのです。抽象的な話はもうけっこうです。
○田中国務大臣 いよいよ時期はきたわけであります。来月の六日といわれておったのが来月の八日に延びたようであります。八日には国際収支上の理由で為替制限をしてはならないということの決定がきっとなされるだろうと思います。なされれば、これに対してはガットにすぐ通報されるわけであります。ガットに通報されて議題になり、日本に対する自由化というものに対しては強い要請が行なわれるわけです。今八八%だと言っておるが、あと一%いつどういう方法でやるのかという問題が起こってくるわけでありまして、近く経済閣僚会議を開いて、政府としての八条国の移行宣言を一体いつやるのか、一二%の残余の自由化に対して一体どういうめどをつけてやるのか、一括関税引き下げに対してどういう体制をとるのか、また差別待遇をやっておるような国とのお互いの交渉をどういうふうに持っていくのか、また資本取引の問題に対して政府はどう対処し、どのような交渉を続けるか、日米の条約に対して、政府の基本的態度をきめなければいかぬというような問題に対してここ一、二週間ぐらいのうちに大蔵当局としての意向をまずきめて、最終的閣議の決定に持ち込みたいという考えを持っておるわけであります。
○堀委員 今のは検討の経過で、どうするということは一つもなかったですね。これから二週間のうちにはきまるのでしょうが、大蔵大臣の腹はどうですか、事務当局は別として。
○田中国務大臣 これは一大蔵大臣として今私見を申し述べるにはあまりにも重大な問題であります。産業界に及ぼす影響、経済界に及ぼす影響、国と国との問題がたくさんありますので、これは大へんな問題でありますが、しかしこれをいつまでもずるずると延ばすわけにもいかないわけでありまして、自由化には対応していく、八条国移行宣言もできるだけ早い機会にやはり行なわざるを得ないだろう、そのかわりに自由化に対して、お互いが差別待遇をやっておるような国に対して積極的な話し合いを進めていくということになるわけでありますので、私が今ここでその方針、方向を申し上げるには少し時期が早いと思います。しかし関税一括引き下げに対しましても、自由化に対しましても、前向きで取り組んでいくということだけ申し上げておきます。
○堀委員 それじゃそのことはあれですが、ちょっとここで、この間から問題になっております砂糖の自由化の問題ですね。この問題について一つ大蔵大臣としての見解を伺いたい。
○田中国務大臣 砂糖問題に対しましては、先ほど申し上げたようなあと十二品目残っておる中の一つでありますので、政府はできるだけ早い機会に自由化をするという基本的な方針を決定いたしております。しかし内容に対しては党にも甘味対策委員会もありますし、この問題に対しては政府与党の間で十分意見を調整いたしておる段階でありまして、早い機会に自由化をいたしたい、こう考えております。
○堀委員 もう二週間ほどすれば、どうせ今のお話しでは閣議決定も行なわれることでしょうから、それまで待ちますけれども、私はやはり自由化の問題というものを見ながら今の金利の問題等も、これは決して金利は金利であり、自由化は自由化であるというふうに思っておりません。国際金融と国内金融というものが、自由化が進むにつれてこれはやはり影響をされてくる非常に大きなファクターになってきます。 ちょっとここで、金利のことに触れましたからもう一つ伺っておきたいのは、巷間しばしばさらに公定歩合の引き下げが行なわれるであろう、これは大蔵大臣の所管事項ではありませんけれども、これは政府と日銀当局で協議されることでありますから、ちょっとここで伺っておきたいのは、もう大体二厘下げてきましたから、これからさらに二厘なり二厘なり下げてくると、今度は預金金利をもう一ぺん下げなければならぬという問題が早晩また出てくるのじゃないか、こういう感じがするのですが、一体次一厘下げたときにはこのままでいけるのか、もう二厘下げたら、その二厘下げのときには預金金利も下げなければいかぬのか、技術的な問題なら事務当局で答えていただいてけっこうですが、政治的な問題なら大臣の方でお答えをいただきたい。
○田中国務大臣 お説の通り公定歩合の引き下げ、引き上げの問題は日銀の職権でありますが、日銀総裁今外国に出られておりますが、それまでに私に対してこの問題について協議をしたというような事実は全然ありません。今の公定歩合は一銭八厘でありますから、二厘引き下げということになると一銭六厘になるわけであります。しかし現在二厘引き下げなければならないかというと、私の立場からは現在直ちに引き下げるというような段階ではないというふうに考えております。それでは二厘でなくても一厘すぐどうかという問題がありますが、これはいつも申し上げておりますように、今度非常に慎重に予算編成に当たりましたのは、自由化に対応していかなければならぬという一つのどうにも避けがたい事実を前にしてと、もう一つは、それだけに、国際収支の改善ということがようやく九九%というところまできたにもかかわらず、またこれがすぐ逆戻りするというような問題もありますので、一昨年の六月、七月金利を引き上げるべし、また昨年の五、六月ごろ藤山・水田論争のように、金利を上げるべし下げるべしという論議が真剣になされた事実に徴しても、これからの引き上げ、引き下げの問題に対しては基本的な施策を十分検討して、これからのレールを敷いた上に立って検討すべきだというふうな考えをとっております。
○堀委員 今のはそれはわかりますが、私が伺っているのは、二厘下げになったら預金金利は下げなければならぬのか、二厘下げでも今の預金金利のままでいいのかどうか、これは非常に重大な問題でありますから……。
○田中国務大臣 これは少し専門的過ぎる御質問でありまして、私たちも今金融機関の内部的合理化とか、今度の税制改正によりまして——国民貯蓄組合が乱用せられておったというようなことで、銀行の経費の中の相当部分がそれらに使われておるという説もありますし、いろいろな面に対して私たちが事こまかく銀行に指図するというようなことはいたしませんが、当然国外から押し寄せる大勢に対しても理解せられるわけでありますから、自主的な立場において銀行の合理化がどういうふうにいくのかというような問題も今検討を進めておりますので、現在の段階において一厘下げたら預金金利も引き下げなければならぬのか、それから一厘下げれば当然下げなければいかぬのか、これらの問題に対してはコストの問題もありますし、これからの預金吸収という意味の支店設置等に対してもコスト高にならないような全然新しい角度から検討を進めておりますので、これらのものを総合しないと、なかなか今すぐ何厘下げたら預金金利を下げるというふうにはお答えできないと思います。
○堀委員 時間もおそくなりましたから最後に一つだけ伺っておきますが、最近の、さっきちょっと触れました歳入の問題でありますけれども、源泉所得税というのは毎年大体三〇%くらい当初見積もりよりはふえているように思うのです。私、今こまかい数字を持っておるのですが、主税局長、大体当初見積もりとその終わりころで三十六年度はたしか三五%くらいふえておったと思いますが、どうですか。
○村山政府委員 今のは給与の分——とりあえず源泉全体でございますが、今おっしゃるのは……。
○堀委員 当初予算の歳入見積もりと最終に入った歳入実績との……。
○村山政府委員 今手元にございますのは三十七年度の二次補正後でございますが、当初予算三千六百八十三、この中には利子、配当を含んでおりますが、あとでまた数字の点は申し上げますが、第二次補正後四千二百十六でございます。従いまして、六百でありますからパーセント二〇を切ります。
○堀委員 それは三十七年度でしょう。
○村山政府委員 そうです。
○堀委員 三十六年度はわからないのですか。
○村山政府委員 三十六年度はもちろんわかっております。
○堀委員 そこで、具体的な数字はあとでお答え願うとして、毎年大体当初予算で見ておりますそういう勤労所得税といいますか、給与所得税といいますか、その源泉の中におけるそういうものが非常に毎年ふえるんですよ。それが自然増収という形で第一次補正なり第二次補正の財源にかなりなってきたというのが、これまでの実情なんですね。そこで、三十八年度の問題で私が感じるのは、どうも今の調子でいくと、この部分がまた五百億なり六百億なり結果としては取り過ぎみたいなことになってくる。今年度だってそういうことで非常にふえているんですが、それを皆さんの方は巧みに産投会計なんかにほうり込んじゃったり、あれこれ使って税金がふえたということで、一向に人に返そうということが行なわれていないんですね。それで今度の場合だって、結局自然増収が非常に小さく見積もられている中で、減税をどうするかということになるからわずかな問題であって、税制調査会が答申をしておる扶養控除や配偶者控除を五千円ずつ削ってみたりするというようなことが起こってくる。しかしこれが実際にもっと正確に出されておって、自然増収分がこれだけありますということなら、もうちょっとちびらないで済んだと思うんですがね。だからこういうことをやったときに、もしふえてきたら、補正予算で今度は逆に返す。補正予算は何も一般会計の中に入れるだけが能じゃないんですからね。いろいろなそういうところに使うだけが能じゃないんですから、逆に一つ国民の方に減税をして年度内減税をやって返すというくらいのやり方は、私は当然行なわれるべきことではないか、こういうふうに思います。特に本年度の場合のように非常に税収の伸びが少ないんだと称して財源がこれだけしかない。そのワクの中でこれだけだというようなことになっておるときには、もし将来税収が伸びてきたときは、特に勤労所得税が伸びたという場合には、当然そういう形で返すというくらいのものの処理がされなければ、私は、歳入見積もりというものがどうもその点で非常に低く見積もられておるために、結果としては増税が行なわれるということになるという感じがしますから、その点一つ大蔵大臣は、これから税制についていろいろ論議をしますが、最初にあたってこの税収がもしふえた場合には勤労所得税がふえた場合には、年度内減税を行なって、この間の税制調査会の答申をゆがめた分については、一つ大蔵大臣の責任において国民にお返しいたしますというふうな確約をしてもらいたい。
○田中国務大臣 所得税、特に源泉税が非常にふえるというのは、これは税収見積もりを過小に見積っておったということではなく、御承知の通り三十年からずっと見ておりますと、当初の経済成長よりも実質経済成長が非常に大幅にふえておるということで、給与所得者、いわゆる雇用の増がよけいになるということと、当初政府が五%ないし六%くらいしか見ておらない賃金水準のアップが、一割以上も行なわれておるというような問題もあるのでありまして、結局これは税収がふえる場合には実質的な賃金水準も上がっておるということにもなるわけであります。しかしいずれにしても、その年の自然増収があった場合には年度内減税を行なうということも一つの方法でありましょう。またそういうふうにやれるほどの財政であり政治情勢であることが好ましいことでありますが、御承知の通り年々一七%、二〇%上げなければならない。低所得者対策やいろいろな要請せられる問題がありますので、やはりそういうものとお互いに比較をしながら年度内減税をしなければどうにもならない。景気の刺激にもならないし、また国内消費の刺激にもならないということであり、またそれが絶対必要であるということであれば、年度内減税が当然取り上げられるわけであります。しかしこれは税を取った人たちにそのまま返すということも一つの方法ではありますが、これを他の費目で別な方面に投資をして、国全体がよくなり、お互いの生活水準も上がり賃金水準も上がる。この取捨選択が政治の一番心しなければならないところでありますので、その間の事情十分慎重に検討しながら対処して参りたいと思います。
○堀委員 もちろんそういう言い方をすれば、これは最初から減税しなくたっていいんだということになっちゃうんですよ、そういう言い方を詰めれば。だから私が言っておることは、あなた方の見通しの誤りがあるわけですよ。六%の見通を立てたけれども、一〇%伸びたのならば、それは一〇%の伸びたことはあなた方の責任ではないけれども、しかし見通しが少な過ぎたということにおいては、当然それだけがあったならば減税も行なわれたであろうものを、見通しが低かったがゆえに減税にいかないでほかにいったということになるのなら、私はそのもとへ立ち戻って、それが一〇%あったという前提に立ったときにあるべきであろう姿に処理をするのがあたりまえじゃないかと思うんですね。だから今のあなたのおっしゃる角度と私の申しておる角度とは、角度が少し違うわけです。もちろん、あなたのおっしゃるように納税者に返すだけがあれじゃないでしょう。ないでしょうけれども、取りあえずは見込み違いをして、見込み違いの結果が減税にならなかったという部分については、私は年度内に減税をするというのがせめてもの見込み違いをした皆さん方のそういう人たちに対するはなむけだろう、こう思うんですよ。その点は、やはり一切そういう角度ではものは考えられないということですか。
○田中国務大臣 堀さんのお説も十分首肯できるのでありますし、またそういう考え方もありますが、しかし過去においても一兆一千億のうち七千億以上は所得税中心の減税も行なって参りましたし、しかも当面するいろいろなお互い国民全体の問題もありますし、所得税を納められる人よりも、われわれに幾ばくか返すよりも、なお低所得者のためにという声もありますから、それらの問題を十分勘案しつつ、一番適切な方法をとって参りたいと考えております。
○堀委員 終わります。
○臼井委員長 次会は来たる三十一日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時三十九分散会