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43回国会衆議院1963/05/17

石炭対策特別委員会 第15号

発言数
80
登壇者
6
会派数
2
開催日
1963/05/17

会議録

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 これより会議を開きます。  内閣提出、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法案及び臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 まず、具体的な問題から質問をしていきたいと思います。大臣が見えましたら、基本的問題を質問いたしたいと思います。  そこで昨年の三月に答申をされました石炭鉱害対策審議会の答申の中で、鉱害家屋自体の復旧費を国庫補助の対象とするよう検討する必要がある、こういう答申がなされておるわけです。この問題はいわゆる住宅問題ですから、社会的問題としては一番大きい問題ではないか、こういうように思うわけです。さらに沿革といたしましても農地、土木の復旧というのは、十分ではありませんけれども、家屋に比べれば比較的前進をしておるわけです。ところが家屋の復旧はなかなか前進をしていない、こういう面があるわけですが、これは特別鉱害復旧においては家屋自体が補助の対象になりましたけれども、臨鉱法においては補助の対象にならなかった。そこで当時の商工委員会の諸君が非常に骨を折りまして、いわば地盤等復旧費という形で、宅地が下がっておるのを復旧するこの費用、並びにその復旧に伴う家屋補修という面を補助の対象にする、こういうことに経過的になったわけです。ところが、この家屋自体の復旧はなかなか困難である。最近はまた、必ずしも地盤の沈下だけでなくて、家屋の傾斜というものがだんだんウエートが多くなってきた。というのは、復旧する側においても、地盤の沈下をして、そうしていわば補助金の対象の多い家屋から復旧がスムーズに行なわれた、こういう経緯もあるでしょうけれども、その家屋、地盤総体のうち、補助対象になる部分のウエートというものは漸次少なくなっていっておるはずである、かように考えておるわけです。一体現在家屋、地盤総体の復旧のうちで補助の対象になっておるのはどのくらいになっておるか、これは法が改正になって以来どういうような変化を示しておるか、お示し願いたい。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 ただいま御質問がございましたように、鉱害対策審議会の答申におきましては、民生安定の見地から、家屋自体の復旧費も補助対象にすることを検討しようということが出ております。これによりまして、私どもといたしましてもその点は検討をいたしたわけでございますが、まず第一に、家屋自体の復旧に補助をするという点になりますと、いわば災害復旧の場合とのバランスという問題が非常にあるわけであります。それで私どもも、鉱害を受けた被害者が無事の民であるということで、極力補助対象の拡大という問題には真剣に取り組んでおりますけれども、災害の場合でも、これまた災害を受けた被害者は無事の民でございますので、その意味でこれは鉱害なるがゆえにという形からはなかなかに説明が通りにくいのではないか。したがいまして、全体を含めたそういった考え方を検討した上でなければ、なかなか結論が出ないという結果になりまして、今度の法案改正につきましてはこれを入れておりません。  なお、特鉱法におきます場合にはこれは補助の対象になるということでございますが、特鉱法は、御承知のように、炭鉱からトン当たり鉱害の関係部分について二十円、それから非関係部分について、鉱業権者が同一でありました場合はトン当たり十円というものをとりまして、この特別会計の中に国庫補助、地方補助を含めましてとりましたが、家屋等のいわゆる私有財産につきましては、もちろんこれによって復旧いたしたわけでありまけれども、財源といたしましては、トン当たり炭鉱から徴収いたしましたいわば私どものほうで臨鉱法におきます納付金に当たるもので復旧したという形でございまして、これに国庫補助、地方補助という形はついておりません。したがいまして、特鉱法自体でも補助の対象にはならなかったわけでございます。  それから家屋のいわゆる臨鉱ベースとそれ以外の補修費ということでございますが、確かにおっしゃるとおり、そういういわば傾斜直し部分というものがございますが、家屋の臨鉱対象になります場合に、いわゆる地盤復旧が大体七〇ないし八〇%くらい、補修費が三〇ないし二〇%くらいということになる。単なる家屋傾斜直しというのは自己復旧ないし金銭賠償ということになりますが、昨日も申し上げましたように、全体の面から見ますと、現状におきましては全体の企業の賠償費負担の中の臨鉱復旧期待が全体の六〇%、今後閉山が進むに従いまして八〇%くらいまで臨鉱に期待いたしたい、一時賠償につきましてそういう希望が出ておる。その点でいきますから相当にその点で家屋の部分というものがあると思いますが、二十七年以来の数字をよく整理をして出せというお話でございましたが、いま家屋の傾斜直し部分の全体の実績をつかまえておりませんので、この出校は非常にむずかしいと思います。なおたって御希望でございますれば、後刻また資料を整備して出すということにしたいと思いますが、相当傾斜直し部分が出ているということは言えるだろうと思います。不十分な説明でございますが、以上でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 この一つ一つの被害対象の復旧について、この前も田代主計官から沿革があるという御説明がありましたが、確かに沿革があることは事実です。ことに被害物件について一つ一つ考え方を異にして補助金を出しておるわけです。しかし、いまはそういう段階を過ぎておると私は思うのです。たとえば、要するに現在炭鉱の経理補助の形で近代化資金が無利子で出されておる、これはいかに政府といえども、一般会計からの国の税金あるいは財政投融資になれば当然金利がつくわけですから、無利子というのはある部分補助しているということがいえる。そういう状態ですから、やはり石炭企業全体として一人歩きはできないという形、しかも被害者は、先ほどおっしゃいますように全く無事の民ですから、これを何とか救うためには、家屋は当然補助対象にしてやるべきじゃないか。農地の復旧は食糧増産の意味から、あるいは道路その他の土木事業の復旧は公共事業のため、こういうふうに一つ一つの格づけをする必要は、いまの段階ではないのじゃないかと思う。ですから、むしろ家屋自体の復旧というものを考えてやらないと、いろいろ問題が起こる。  ことに、局長にお聞きしたいのですが、実例としてこういう例がある。それは打ち切り賠償をする場合に、復旧費を一応算定をして、復旧費から補助額を引いておるわけです。復旧費から補助額を引いた金額を打ち切り賠償の金額にしておる。それは業者からいうならば、その出す金が復旧の場合と打ち切り賠償の場合と違うというのもおかしい、業者の立場からいえばそうでしょう。しかし被害者の立場からいうならば、打ち切り賠償の場合には補助金分だけを差し引かれるという理論は成り立たぬ。それでは被害者自体が復旧しようと思えば、復旧できないわけです。これを一体どういうように考えておられるか、ひとつお聞かせを願いたい。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 いま多賀谷先生の御指摘になったような事実があるかと思いますが、打ち切り賠償の場合も結局被害者と鉱業権者のほうの話し合いでそういうふうになるわけでありまして、鉱業権者の方からいえば、自分の負担する額は、打ち切り賠償の場合と臨鉱ベースの復旧事業でやる場合と出す金は同じではないか、これも一つの考え方ではないかと思いますが、かりにそういう考え方でいって、業者の負担するものを負担できるということで、打ち切り時値をするという事態であれば、逆にこれを復旧ベースの方に戻して、それだけ業者が負担できるわけですから、それで国庫補助をもらって臨鉱ベースで復旧させるというほうが筋が通るのではないかと思いますが、そういうふうにひとつ両方で話し合いをさせて復旧事業のベースに乗せていくというふうにしたほうが妥当ではないかと考えます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は、どの業者もそういう考え方を持っておるとは言わないわけです。たまたまそういう例がある。そこでものの考え方として、理論としてどうなんですか。理論としては、打ち切り賠償をやる場合の算定基礎を一応復旧賢に置くとするならば、補助金を差し引くというのはおかしいでしょう。補助金を出すことによって、その補助金の限度において鉱業権者は責任を免れるわけではないわけでしょう。どうです。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 個々の問題としてはいろいろなケースがあるかと思いますが、通産省の立場からいって、臨鉱法が国土の復旧あるいは民生の安定という観点から、鉱害を受けた物件についてできるだけ原状に回復するというたてまえをとっておるわけでございますから、そういう復旧ができるように、われわれとしてはやはり指導する。業者のほうからいって、それだけの打ち切り賠償によって、補助金を引いたものが負担できるということでありますれば、それだけ納付金をしてもらいまして、それに国の補助、地方公共団体の補助等をつけて、そうして農地の復旧なり何なりをやらせるというふうに持っていきたいと考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 政策は別として、理論を聞いておるわけです。と申しますのは、現実の処理としてはそうスムースにいかない場合が幾らでもあるのです。たとえば家が入り組んでおる、そうすると、あとから建った家は、もうすでに地盤の沈下した後に建った家ですから、これは復旧を鉱業権者に言う道義上のものを持たない。ですから黙っておる。ところが先に甦った家は、どうしても上げなければならぬ。上げるためには、あとから建った家を上げなければならぬ。そうすると、ものすごく金がかかるのです。そこで業者のほうもそれは困るというわけです。両方の負担をしないのです。ですから結局、話し合って打ち切り賠償をしようじゃないかという話になるのです。私の聞いておるのは、そう単純な話ではない。だれでも補助金をもらって復旧する方がいいのは事実です。ところが打ち切り賠償をする場合に、補助金対象金額を引いておるわけです。これは話し合いで引いておるのじゃないのです。あっせん員の出したあっせんが、そういう案が出ておる。仲介人のあっせんにそういう案が出ておる。ですから一体通産省はそういう指導をしたことがあるかどうかを聞いておるのです。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 いまのような、ある地区が、一つの家屋の地盤復旧をしなければならぬ、ところが前のは打ち切りで、結局そこは一応打ち切るという、これは打ち切り賠償ですが、その裏には補償要求をしないという契約ができておるのであります。したがって、そういうところから鉱業権者への要求ができない。私どもとしてはこの復旧というベースについての考え方は、やはり法律の上で計画的に復旧するということが考えられております。特に今度の法律改正の提案でも、むしろ鉱害の場合に極力総合的な復旧ができるようにしたいということを考えております。したがって、いま御指摘のような場合に、私どもの措置といたしますれば、そういったものの地盤復旧をむしろ地方では、被害者と鉱業権者同意の上で出てくればこれをやるし、それに伴って片一方もまた上げなければならぬという点があります。その点については打ち切り賠償で出た金を、むしろ受益者負担といいますか、その同額をそちらから出してもらえば、これに補助金をつけて総合復旧という形が私どもとしては可能だと思います。私どもは従来から、復旧事業団が設立されている地域については、極力復旧可能物件は復旧で賠償がいくようにということを、これは三十四年、合理化事業団の賠償方式でございましたが、こういうようなものができる際にも通牒を出しておりまして、そういう指導をいたしておるわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それじゃ理論的に聞いてみたいと思いますが、この補助金というのは、その限度において鉱業権者が被害の責任を免れるわけじゃないでしょう。まずそれをお聞きしたい。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 この点につきましての考え方は、農地につきましては、現在納付金という制度にたてまえがなっております。いわゆる納付金は鉱業権者の金銭賠償の限度額という立て方でありまして、農地についてはその納付金を出しまして、これにさらに国土保全、民生安定という地域的、社会的あるいは国家的な面から一つの国の力を及ぼさなければならぬというような形で補助金がつくようなかっこうになっております。したがいまして、農地につきましての六五、三五というのは、これは予算的な補助率でございますが、法律の立て方は、いま申し上げましたような三五の納付金相当額というものが賠償限度額という扱いでございます。その点から類推をいたしますれば、家屋につきましてもそういう議論はできるわけでございます。ただ法律論的には、家屋には明らかにそういうことを書いてございません。したがってその辺はいわゆる家屋に相当する賠償限度額の納付金というものを出して、それが限度額かどうかという点は議論があるかと思いますが、法律のたてまえとしては、そういうのを一応の限度額という形で考えておるということであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それは認識が違うのですよ。それは農地の場合は土地の価格というものと復旧費というものにあまりに差があるから、そういう問題が起こる。そうでしょう。土地そのものの価値というものは、大体相場がきまるわけですよ。ところがそれを国の政策によって復旧をするから、反当たりの普通の売買以上の金額が必要であるというところに、その価値が違う。要するに、金銭賠償か原状復旧かということにいくわけです。ところが家屋の場合にはそういう問題ではないのですよ。通常金銭賠償としても、効用回復の面から見ても、復旧をするというのは、原状回復は大体金銭賠償と家屋の場合は一致しておるのですよ。それは特殊な、老朽の国宝か何かの家屋が沈下した場合にもとどおりに直せというような特殊な場合は別でしょうけれども、普通の住宅の場合はそういう問題は起こらない。ですから金銭賠償の限度額は、復旧の限度額と家屋の場合は大体一致しておるのですよ。私が言っておるのも、それが一致しておるケースなんです。特殊的な場合だけですよ。それは準国宝とか国宝とか、あるいは絶対にもとどおりに許す許さなければ困るんだというような場合には別として、普通のうち、人の住む住宅というのは、そういうケースはないのです。ですから家屋の価値というものは、復旧費をあまり使わないのです。大体そういう観念できておる。ですからそういう場合において、国が補助金を出すからその限度において責任を免れるなんということは考えられない。そういう法律のたてまえになっていないんですよ。それは農地の場合には原状回復か金銭賠償かということがあって、それは金銭賠償の範囲内ということで補助金が出た、必ずしも補助金と納付金額とがびしっと金銭賠償の範囲内かどうかという点についても、私は異論がある。ところが家屋の場合は、私はそういう理論はどこからも出てこないと思うんです。また、それが類推できないでしょう。ですから一体理論上として国が補助金を出すということは、それの限度において責任を免れると考えるかどうか、もう一度答弁を願いたい。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 その点法律的に申しますと、農地の立て方は違っておりますから、これで当無に賠償の責任が完全になくなったという形にはならないと思います。したがいまして、補助金の分を引いて云々ということでございますが、これは先ほど局長から申し上げましたように、そういう分が鉱業権軒負担で出させるならばむしろ復旧に、いまおっしゃる、適するものであれば、納付金に相当する打ち切り賠償即納付金になっておるわけです。これを出してもらって復旧を進めるというように、私どもとしては指導しておるつもりでございますが、それで打ち切り賠償で全く済んだ、いわゆる納付金に相当する額がもう金銭賠償限度額で完全に消滅したかという点になりますと、これは法律論的には必ずしもそういうふうにはならないと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 事実問題として復旧できないのですよ。というのは、被害者のほうは復旧してくれと言う、加害者のほうは復旧できないと言う。できないというのは、家屋の建て方が入り組んでおって、いま問題になっておる家を上げれば、隣の家も上げなければならぬと、こうくる。隣の家については、いわゆる鉱業権者のほうは被害の責任を感じないと言っているのです。だから問題がむずかしいのですよ。ケースとして、被害者のほうが任意的なものとして、選択権として自分は打ち切り補償がいいのだと言っているケースじゃないのです。ですから、私はそういうことを聞いておるわけですよ。ですから、理論的にこれを解決する以外にない。そうすれば、理論的に算定の基礎はどうか。もしあなたのほうで限度額において鉱業権者は被害の責任を免れると言いますと、みんなそうなりますよ。打ち切り補償のいまの算定の基礎が、全部変わってきますよ。そういうふうに法律はできていないのです。法律は一応鉱業権者が全面的にその被害の責任を食うわけでしょう。政府は政策によってその限度内において補助金を出して、結局復旧をするわけです。こういうことですから、その点をはっきりけじめをつけて指導をされないと、仲介のあっせんにまでそういう理論構成をするようになって、私はけしからぬ問題だと思うのですが……。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 多賀谷先生の主張される趣旨は私もよく了解できると思いますが、個々の具体的なケースにつきましてもう少しよく調査もし、研究もいたしたいと思います。それからさらに仲介人のあっせん案を出すときにそういうふうなベースでいっておるというお話を聞きましたが、これは鉱害課長も実はそういうケースについていままでタッチしたことがないようなんで、私も具体的ケースを知りませんが、その点についてもどういう算定基準でやっておるのかよく調査をして、さらに研究してみたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は個々の問題を取り上げてあなたに聞こうとは思わないわけです。まずこれは理論的にどうなるか、それから理論的な問題として一体どういうように考えられるか。法律をつくったときの理論はわかっておるわけですからね。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 いま多賀谷先生がおっしゃいますように、家屋なりが被害を受けたという場合に、それは当然被害を与えた鉱業権者が復旧するというのがたてまえになっておるわけです。その点をあくまで追及するということになれば、そういうことになって、やはり全部復旧するということが鉱業法なり何なりのたてまえになっておるわけです。ただ地盤復旧を伴う場合は、国が一部補助を出すということになっておるわけです。だから理屈とか理論とかいうことになるならばそうなんですが、ただ私が心配するのは、いまも言ったように、実際にいままでそういうことで具体的にいろいろなケースが処理されてきておるわけです。それをまた通産省がどういうふうな基準で指導しておるのか、そういう点をよく調べないで、軽々にここでどうするなんと言って、それがまたいままでいろいろ鉱害処理をしてきた実例に照らしてえらい変なことになってもかえって御迷惑をかける、それでよく調査をして研究する、こう申し上げたわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 具体的な問題はもうちゃんと片づきました。そうしてあっせんのケースも一つしかありません。その事件だけです。ですからそれは、あっせんを拒否して具体的な問題は片づいた。しかし理論的には私は率直にいって、どうもすっきりしなかった。われわれが一生懸命骨を折って地盤沈下の復旧費を出す法律をつくったら、鉱業権者が復旧もしないで責任を免れたなんという、そういう法律構成をしていないのですよ、われわれの討議の場においては。ですから、私たちが親切に被害者のためにやった法律が逆用されて、何か打ち切り補償を削られたという形になると、私は非常に困ると思う。国会としては非常に心外なんです。ですからそういうことのないように、あなたのほうではっきり理論構成をしてもらいたい。これは理論は簡単でしょう。とにかく鉱害復旧をする場合に、家屋及び地盤の復旧をする場合、国が補助金を出す。その場合に、復旧した場合には補助金を出すけれども、それが打ち切り補償の場合に、復旧費を算定の基礎として打ち切り補償を出すわけですが、その場合に補助金を引いておるという事実、その理論構成はあなたのほうとしてどういうふうに考えられるか、理論としてはどうなのか、その限度において責任を免れると考えられるかどうか、こういうことです。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 今の点ではっきり申し上げますが、多賀谷さんおっしゃいますように、少なくとも復旧というものが全部、鉱業権者としては適正公正な賠償をしなければならぬということになっておるわけですから、その点家屋の復旧というものについても、鉱業権者としてはその復旧費全体を賠償限度にすべきである、そうなるべきだということは理論的にはっきりできるわけです。ただ、打ち切り賠償の場合には、当事者相対の話し合いになります。したがいまして、その契約がそういうことで両当事者が合意されて、そこで賠償請求権を被害者側が放棄しますということになりますと、これはいわゆる当事者の民法上の契約というベースで、そこで限度がきまるということはあると思います。実態のそういう打ち切り賠償という契約ベースできまったことに対しては、そういう問題になると思います。理屈としては、さっきおっしゃいましたように、あくまでも家屋全体の被害に対する復旧を全部やらなければならぬとすれば、そこまでが限度額である、こう言わざるを得ないわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 将来に向かっての賠償の請求権を放棄するというのですから、本来ならばプラス・アルファがつくわけですよ。ですから、それはプラス・アルファは若干認めておるでしょう。私はプラス・アルファの分は言っていないので、そのプラス・アルファというのは、将来に向かっての問題ですから、それは当然つくのです、その基礎になるいわゆる金銭賠償の限度というものが、家屋の場合は通例としてその復旧費を算定の基礎に置いておる、その算定の基礎に置いておる場合に、国康補助金の相当額を引いておる、こういう算定のしかたはおかしいじゃないか、こう言っておるのです、課長からいま申しました問題は、賠償の義務については全面的に持つということですから、一応了承いたします。  次に復旧の場合に、今度は農地の復旧については、法律によって必ずしも農地のままの復旧でなくてもいいという点が改正されたわけです。これは私は非常に前進だと思います。家屋の場合はどうなんですか、移転ということは補助金の対象になるかどうか。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 家屋の移転につきましても、鉱害対策羅議会の答申ではやはり検討すべきであるということになっておりまして、私どもはそれを受けまして検討いたしましたが、先ほど申し上げましたように、一応地盤復旧に伴う国土保全という結びつきからいたしまして、いまのところそこまで踏み切るということは非常にむずかしいのじゃないかということで、現在移転の復旧ということは認められないわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 先般井手さんがある炭鉱の鉱害による学校の復旧のお話をなさっておりましたね。局長は簡単にその移転がいいとか悪いとか言っておられましたが、問題は、補助金というものがあるのですが、移転の場合は補助金はないのですよ。そうでしょう。移転の場合は補助金の対象にならないでしょう。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 家屋につきましては、地盤復旧費と結びついておりますので、移転が補助金の対象にならぬわけであります。しかし学校といったものは、公共施設でございまして、公共施設につきましてはこのような制約がございません。したがいまして、移転復旧も可能でございますし、移転に要する経費が全部復旧費の対象になってまいります。いわゆる付帯の経費でございます。そういうことで補助対象になってくる、こういうことでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 だから私は、その点は私有財産でも同じじゃないかと言うのですよ。学校の場合移転が補助対象になるなら、どうして一般家屋が補助対象にならないか。地盤沈下した場合に、そこにまた建ててみたところで十分でない、こういう場合はあり得るわけでしょう。ですから、むしろそれは移転をさしたほうがよろしい、こういうことだっていままで現実に起こっておるのですね。これがまた補助の対象にならぬということになると、非常に地盤の悪いところにまた復旧しなければならぬ。これは国として大きなロスですね。これを一体どういうように考えるのか。公立学校の場合なら、それは私有財産でないのだから補助金の対象になる。ところが、一般家屋の移転の場合は補助金の対象にならぬ。やはりおかしいでしょう。ですから、農地の場合にもそれだけの前進を見るならば、家屋の場合も前進をしてもいいじゃないか、こういうように考えるわけです。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 ケースといたしまして、先生おっしゃいますように、公共施設を移すなら、同じような施設であるからこれを移すのが当然じゃないか、またおかしくないじゃないかという点、まことに私もごもっともだと思います。しかし、現在の補助のしかたというものが、いわゆる公共性ということにすべて制御されております。いわゆる災害立法の場合でも、公共処物ということになれば、公共施設という形で移転は補助金の対気になっております。従って、私有財産について、地盤復旧という特殊な扱いで現在国土保全という結びつきから、鉱害については非常に進歩した政策がすでにとられておるわけでありますが、これをさらにそこまで踏み切るという点になりますと、さっき申し上げましたように、全般の私有財産の問題ということと、災害的にどういうふうに見ていくかということとあわせて検討しなければ、結論はなかなか出せないじゃないかというふうに考えるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 災害と関連をして幾ら考えたって出ません。百年河清を待つようなものです。石炭鉱業に力があれば、何も家屋なんか補助金を出す必要はないのです。この面からものを考えないで、いわゆる公共物であるかどうかということを認定の基準に置けば、幾らたったってできっこない。宅地だって私有財産ですよ。それがいろいろ理論をつけて一歩前進したわけですから、そこまでいくなら、もう表から、石炭鉱業に力がないのですから、その石炭鉱業の補助金としてものを考えれば、民生安定に一番重要な家屋に補助金を出すというのは、当然理論が立ってくる。災害のものと考えて幾らがんばっても、家屋の復旧に政府は融資しますよ、融資はしますけれども、補助金を出すというような状態にはなかなかならないと思う。ですから、ものの考え方を切りかえるわけですよ。切りかえて、どうしても家屋自体の復旧というものをやってやらないと、非常に困難な状態が依然として続く、こういうように思うわけです。そこで、大臣が見えれば、質問したいのですが、要するに石炭鉱業というのは、山の若い時期、青年期から壮年期にかけては非常にもうかっているわけですよ。もうかっているときに、日本は鉱害賠償の規定を置かなかった。これは為政者として非常に問題があるところですよ。今あなたのほうで出されている積立金制度というのが、大正の終わりごろからあってごらんなさい。家屋だけではなくて、復旧自体もものすごくできておる。今日の三井、三菱あるのは、その益金のほとんど半分から三分の一というものを全部持株会社である三井合名株式会社、三菱合資株式会社が吸い上げて、他の会社に投資した。ですから、ものの考え方として、日本の資本主義全体がこれをかばうてやらなければいかぬ。昔の財閥なら、これをさっとできたかもしれないが、今財閥が解体して、独立事業になっておりますから、そのしわ寄せが全部産炭地域にきているということがいえるわけです。筑豊炭田でも何でも、炭山ではなくて炭田ですから、田の下を掘れば鉱害が起こるのはあたりまえです。そして一層、二層のうちは比較的起こらない。それが累積炭層ですから、加速度的に起こってくる。こういう状態ですから、もら鉱害というものは、ものの考え方を切りかえて、日本資本主義全体で考えてやるというシステムに改めないと、問題は解決しない。いまのように、一つ一つの物件を扱っておってもどうにもならぬのではないか。ものの考え方として、局長、どういうふうにお考えですか、御答弁願います。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 いま多賀谷先生のおっしゃった、石炭産業が過去においては相当日本の経済の発展にも寄与し、またそれだけ相当資力も充実して、各方面への発展の基礎を築いたという点は、私もまことに同感でございます。ただ先生の言われた、その関係から現在石炭企業そのものが非常に疲弊して、資力がなくなっている、片方では膨大な鉱害というものを及ぼしている、だから石炭産業へ補助金を出すというところに踏み切るべきではないか、それによって問題を解決すべきではないかというお考えに対しては、私はにわかに賛成をしかねるものでございます。そう簡単に石炭産業そのものに補助金を出して維持させるというような政策を現在とるべきではない、これは有沢石炭調査団の一貫した思想でございます。あくまで自力で立ち直れ、しかし立ち直るについて、政府が融資ベースなり何なりでこれを援助する、あるいは鉱業権を過去においては買い上げる、あるいは消滅する場合にはその鉱区に対してある一定の基準でもって交付金を出してやる、こういうような考え方はございますが、それ以上に、たとえば石炭産業が非常に困っているから、もしも赤字が続けば、その赤字を国で見てやる、あるいは被害をよそに及ぼしているから、それに対して国がその償いをすべきであるという考え方は、有沢調査団以来とっていないというふうに私は考えております。

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 参議院の本会議で質問者の占部秀男議員が卒倒して、移動が困難であったので、本会議を中止しておったのですが、いまさっき本会議が始まったから、やがて大臣が見える、こういうことですから、そのつもりで質問を継続願います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は石炭鉱業自体に補助金を出すということを——それは言ったかもしれませんが、真意は鉱害ということに限定しておる。それは何も石炭鉱業に補助金を出して、私企業の維持をやれということを言っておるのではない。要するに鉱害については、そういう面があるのではないか、こう言っておる。それは三井でも三菱でも、償却率というのはもう非常に厳格にしたのです。そこで持株整理委員会が、御存じのように、三井、三菱、住友等の財閥を解体するときに膨大な資料を発表したのですが、それを見ると、三井鉱山の場合は、昭和四年までは、償却率は二%台にとどめた。そして出資と有価証券をどんどんやらした。そして出資及び有価証券は固定資産の五七%にも達しているのです。そして明治から大正にかけては申すに及ばず、昭和六年から昭和十一年ぐらいまででも、三井鉱山は、三井物産その他全三井財閥系統の会社全体の純利益のうちで約二九・五%を占めているのです。これはほとんど配当としてとられるわけです。配当は、当時は三井合名しか株を持っていないのですから、全部三井合名に入ってくることになるのです。三菱だって同じです。やはり昭和六年から十一年までに、三菱合資すなわちオール三菱の益金のうちで、三菱鉱業が出しておる益金は二八・八%なんです。ですから結局日本の資本主義は、産炭地ことに筑豊、粕屋炭田あるいは佐賀炭田を足場にずいぶんもうけて、会社をつくった。そうして残ったのはボタ山と鉱害で、一番困ったのは鉱害の被害者だというわけです。ですから私は、もう少し考え方があるんじゃないかと思うのですよ。鉱害については、私は全部政府が持てと言うのじゃないのですよ。やはり納付金を炭鉱からとって、そして第一次責任は政府が持って推進をしないと、ちっともやれないんじゃないかと思う。もうあなたのほうで昭和四十二年までスクラップ計画がきまっておるわけですから、昭和四十二年から残るのは、やはり維持群、増強群で残るわけですから、いまのうちに計画を立てれば計画が立つわけです。大体炭鉱が明治から大正にかけてやめる場合には、いろいろ資材を持っておりますから、終山をした時点においてはトントンであると言われておった。そう考えられておって操業ができた。いろいろな資材を売って、その他いろいろ整理をすれば、黒字も赤字も出ないで、トントンで整理ができる。ところが、今日どうです。今日現在、合理化事業団が整理交付金を出しておりますけれども、整理交付金は鉱害が三倍以上ある炭鉱には出さない。しかも、これがほとんどですよ。いま大手といわれる炭鉱は、整理交付金をもらうような現状になってないですよ。ほとんどみな差し押えられておるのですよ。いまから鉱害の多い炭鉱がどんどん整理されるが、おそらくそういう状態でしょう。   〔委員長退席、始関委員長代理着席〕 ですから、私はそういう点を考えると、これは第一次責任を政府が持ってやらないと、とうていできないんじゃないか。これについてどういうようにお考えであるか、お聞かせ願いたい。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 私が先ほど申し上げた趣旨は、もちろん鉱害にも関連しての考え方でございますが、やはり鉱害については、第一次的には、被害を及ぼした鉱業権者がこれを復旧する、あるいは賠償するということがたてまえになっておるわけであります。ただ、こういうふうに非常に急激にスクラップ・アンド・ビルドをやっていかなければ石炭産業はやっていけないという結論を有沢調査団が出されて、その関係で鉱害の処理の問題ということは、今後非常にむずかしい大きな困難な問題になってきつつあるという認識については、私も同感でございます。ただそれだからといって、第一次的に国がこれをあと始末をすべきであるというふうに、にわかに考え方をそういうふうに持っていくということはいかがかというふうに考えております。ただ個々の賠償処理の問題につきましては、なお地元方面からのいろいろな要望もありますし、われわれとしても、いま調査を続けておる段階でございまして、今回も、まあ先生方から言わしめれば非常な微温的な改正であるというふうにおっしゃるかもしれませんが、われわれとしては、政府部内で十分いろいろ検討した結果、補助金も増額するし、また所要の法律改正もお願いしておるわけであります。ただ、今度の改正でもって十分であるというふうに私も言い切るつもりはございません。なおそういう問題についてはもう少し調査を進めまして、改善の策は講じていきたい。ただ、第一次的に国が全部を始末すべきであるというふうな考え方には、われわれとしては立っておらないということは申し上げておきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 被害者との関連における第一次責任は国が持たれたらどうですかと言っておるのです。そして、ほとんどの炭鉱が、御存じのように、経理規制法の対象になるわけです。一つ一つ審査をして、鉱害復旧費の一定額を納付金として出させればいい、そしてその計画書に沿って復旧をすればいいわけです。いわば労災方式をやればいいのです。災害を受けた者は、労働基準監督署の窓口に行って、大炭鉱であろうと中小炭鉱であろうと、その賠償を受ける。そしてその納付金は、メリットによって当然その鉱業権者から納付させる。それに一定の補助金を出す。こういうようにしてやらないと、計画は進まないのではないか、こういうのです。現実はここまできておるのですよ。とにかく、井手さんも質問しておりましたが、良心的な炭鉱はあるいは整理事務所を置いて、清算事務をずっとやって、何年間か鉱害の復旧をするでしょう。しかし、炭鉱がなくなったあとに関係者が一人、二人いたのでは、とうてい交渉の相手にならないのですよ。ですから、その関係者は行きどころがないから、結局役所に行く。役所を通じてやる。ですから、私はむしろ役所が前面に出たほらがいいと思うのですよ。そして復旧計画をつくって、それにのせていくわけです。いまのように当事者折衝を待っておったのでは、非常な不均衡ができる。ですから、形式的な一次責任は公的機関が持たれたらいいじゃないか、こう言っておるわけです。国が全面的に賠償の義務を持てということを言っておるわけではないのです。そういう制度にして抜本的にやらないと、現在の制度の中で局長、課長が非常に骨を折って、前進した面もあるのですが、私はこれでは残念ながら復旧計画が軌道に乗らないのではないか、かように考える。なぜかといいますと、炭鉱がつぶれたら、被害者というものは、いままで炭鉱が継続しておったときの心理状態とは違いますよ。ですから大手炭鉱、財閥炭鉱といえども、被害者から取り巻かれて閉山式ができない。六十数年の歴史が閉じようとするときに、閉山式ができないというぶざまなことが起こるのですよ。これは制度的に解決してやらなければならない。炭鉱が継続されておる場合には、まだ炭鉱があるのだからそのうちに直してくれるだろうという期待感がある。ところが炭鉱が閉山になったという場合には、気持としてももうじっとしておれない。ほんとうに直してくれるかどうかはっきりしないでしょう。だから結局そこに殺到する、こういうような状態になるのです。民生安定からいっても制度的に直してやる必要がある、かように思うのですが、どうですか。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 いま多賀谷先生のおっしゃいました最近の実例というか情勢というようなものは、私もそういう意味において非常に憂慮しておるわけであります。制度的に、まず国が前面に立って処理をする、もちろんこれは鉱業権者に適当な納付金なりを負担させるということになります、そういう形をとるのがいいかどうか、これは非常にいろいろ問題もあると思います。さらに、経理規制法の施行その他と関連させて、現在の復旧事業というようなものをもう少し計画的にスムーズにいくようにやるべきである、その限度において行政指導も強化すべきであるという意味合いでありますれば、私はそういうつもりで今後やっていきたいと思います。制度的にこれを変えるというようなことについては、なおよく研究をいたしてみたいと思います。私はいまは、すぐそういうことに踏み切るというお答えはしかねるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は有沢答申は、やはりそこまで鉱害の問題は踏み切って答申をされるのではないかという期待をしておった。需要とか生産にえらい力が入って、終わりごろは疲れたのか、率直に言って文章も非常に雑になっているというのが、われわれの率直な感じです。これはわれわれにも責任があるでしょう。基本問題ばかりやって、あとの方は文章でさっさと簡単に片づけられたという感なきにしもあらずです。しかし、いまからの問題は、やはり産炭地の振興と同時に、鉱害問題というものを重要視して扱わなければならぬ、こういうように思うわけです。それは、被害者の立場になってごらんなさい。炭鉱があったときでも十分直してくれないのに、炭鉱がなくなって関係右もわずかしかいないという、しかも簡単な少額ではなく膨大な金額ですから、その不安というものは非常に大きな問題になる。それでなくても、筑豊炭田には生活保護者、失対労働者、生活に困っている人、最近の中小企業者の売り掛け代金もそのとおりですが、ほとんどが貧困者ですよ。そういう中で、しかも鉱害の問題が起こっている。ですから、この不安を一掃さしてやるのが政治じゃないか。局長、あなたが踏み切らないと、ほかの人は踏み切りませんよ。大蔵省なんか、とても簡単には乗れっこないのだ。ですから、やっぱりあなたのほうで推進しないといけないと思う。局長は一体どういうふうにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 いま先生が御指摘になりましたとおりであります。今後の石炭対策の重点というものは、産炭地振興、鉱害対策、この二つにしぼられるというと極端でありますが、需要確保等もありますが、そういう点が非常に大事な問題になってくるというふうに考えまして、産炭地振興等につきましても、近く産炭地域振興審議会をこの三十日に開くことにいたしておりますが、大いに委員の皆さま方の御意見を拝聴して、通産省としても、あるいは政府全体としても、強力にこれを進めようという段取りにしておるわけであります。鉱害対策につきましても、今度臨鉱法の改正だけでなくて、業者も苦しい中からとは思いますが、やはり適正な鉱害の担保積み立て金制度というようなものもつくって、またこれには政府も出資をするというような形で円滑な鉱害の処理を考えていきたいということで、いろいろな法律なり予算をつくっておるわけであります。制度的に、今度は第一次的に国が責任を持って鉱害処理をするというふうなたてまえに変えるということについては、私はいまそういうことは考えていないわけであります。しかしこれは、いま大臣もお見えになりましたが、私が踏み切らないと事が始まらないのじゃないかというお話もごもっともでございますが、それだけに私は責任を重大に感じておるわけでありますので、軽々にお答えできない。いまのところでは、今後さらに十分研究をするというお答えにしておきたいと考えるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 その積み立て金制度けっこうですが、一体積み立てる炭鉱はどういう炭鉱か、むしろお聞きしたいくらいですよ。今後残る炭鉱というものは、比較的鉱害の少ない炭鉱ばかり残っていくのですよ。鉱害をしょった炭鉱はスクラップ炭鉱ですよ。局長、課長は最近なられたのですから、局長、課長には責任はないけれども、こういう制度は十年ほど前なら非常に効果があって、非常にいい制度だとわれわれも称賛したわけですけれども、いまから、とても賃金も払えないような炭鉱から積み立て金を取る——積み立て金はけっこうです、反対はしません、けっこうですが、もうその炭鉱はそういう状態にない。それから、積み立て金を出せるような炭鉱はみんなビルドで、鉱害がないのです。鉱害のないようなところが残っているのですよ。そうでしょう、三池炭鉱は若干ありますけれども、しかし今後みな海に延びます、日鉄有明も海ですから比較的鉱害が起こらない。それから北海道でしょう。鉱害が起こらないようなところばかりがビルドです。積み立て金を出すようなところはもうスクラップの対象になっているのですから、これは非常におそ過ぎたという感じを受ける。しかし、これはないよりいいですから賛成しますけれども、どうも政治が非常におくれているという感じですね。ですから私は、もう少し思い切ってこの際そういう制度をお考えになったらどうですか、こう言っているわけです。  そこで大臣が見えましたから、基本的な問題を質問したいのです。先ほどから局長と質疑をかわしておったわけですが、今度若干前進を見られる鉱害の関連法案の一部改正をしていただいたわけです。ところが、この段階は私は一歩前進の段階ではないかと思うのです。これはしりぬぐいをやっておったのではしかたがないのじゃないかという感じがいたします。大臣も寒い中を筑豊炭田を見ていただいて、十分おわかりになったと思うのです。しかも臨鉱法のときは委員としてタッチされたのですからよくおわかりであろうと思いますが、臨鉱法ができましたときは、御存じのように、炭鉱は盛んに操業しておりましたから、戦争中おくれた鉱害の復旧とか、あるいは今後の問題について、この法律によって早く復旧したいということにおいて、関係者も安心をしたわけですが、御存じのように、その後炭鉱界は非常に行き詰まった状態になったし、さらに、かてて加えて、加速度的に鉱害は進捗するわけです。それで、最初の一層二層を掘っておったときには、鉱害は表面にほとんどあらわれないわけです。ところが三層から四層になり、だんだん掘るに従って、深部に行くに従って加速度的に出てくるわけです。従来の鉱害が累積的に出てくるわけです。ですから、いままでの復旧の責任もありますけれども、いま一トン掘ることによって起こる鉱害というのは、従来よりもはげしい、こう見なければならぬ。それは石炭だけの鉱害でなくて、その上層部にある鉱害を全部引き受けておる、こういうことがいえるわけです。ですから、この段階にくれば、私は従来の制度から一歩前進をした考え方をとらざるを得ないのではないか、こういうようにいま話しておったわけです。それで形式的な一次の賠償責任は政府がお持ちになったらどうか、例の労働災害補償などは、各炭鉱から、あるいは経営者から納付金をメリットによって取りまして、プールをして、現在遺族であるとか、あるいは災害を受けた者に補償しておるわけですが、そういった考え方をとられたらどうかと思うのです。現在の労災には政府の補助金はありませんけれども、それに一定ワクの政府の補助金を出していただいて、経営者からメリットによって納付金を取って、そうして窓口を一本にして鉱害の復旧を計画的におやりになる必要があるのではないか、こういうように考えるのです。そういたしますと、無資力の問題も、あるいは鉱区のふくそうによる加害者が不明な問題も、責任転嫁の問題も起こらないわけです。そういう方法をおとりになる時期にきておるのではないか。幸いにして石炭関係の法案がかなり整備され、あるいは経理規制法という法律も国会に上程されておる。経理内容もはっきりしてきておる。そうしてスクラップする炭鉱はスクラップする炭鉱、ビルドする炭鉱はビルドする炭鉱、維持の炭鉱は維持の炭鉱として、おのおの政府の生産計画に載ってきておるわけですから、こういう時期にあわせて鉱害復旧十カ年計画というようなものをつくって、早く軌道に乗せていく必要があるのではないか、こういうように考えるわけですが、御所見を承りたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説のように、鉱害は前に掘ったものも合わせて出てくるという性格のものであります。したがって、理論的に言うと、現在やっている人が全部の責任を負うのはおかしいという御議論は、一応筋が通っておると私は考えます。それはそうでありますが、しかし国に災害があったような場合、あるいは台風だとか地震とかいうようなことがあった場合も、国が全部の責任を持ってやっているという建前はない。それは全然ないとは言いませんが、非常に例外的に、激甚災害というようなものはほとんどもつというような形にしておる。そういうようなものとにらみ合わしてこの問題も検討するということはわかるわけでありますが、いまのように国と地方公共団体、それから鉱区の権利を持っておられる人、この三者の形でやっていくという建前を急にくずして、そして国がほとんど全部もってやるような考え方にいくということになると、国の予算との関係その他も、いろいろ私は出てくるだろうと思うのです。私は主管の大臣としては、あなたのお考えは一応うなずけるということは申し上げられますが、しからばこれを今後どういうふうにしてやっていくかということは、一つそういう意味で研究をさしてもらいたいと思います。  それから十カ年計画をつくれとおっしゃるのですが、鉱害はあなたの方が専門家だけれども、私も前から関係して少しはわかっているつもりですが、一定のところまで落ちつかないと復旧工事ができないというものであります。ですから鉱害がいまの段階でその地面が陥落しておっても、それがもうとまったかどうかというようなことで、あるいは十年とかなんとかという一定の年限になっておればそれで安定するのだということになっておるわけです。それから着手するということになると、鉱害額がいまどれくらいあるかという場合においても、その絶対値と、直ちに復旧ができる、たとえば五年なり十年なりの間でも復旧ができる鉱害量とは差が出てくるのじゃないか、そういうこともよくにらみ合わせながら、計画的に、しかも迅速にやった方がいいという考えには私は賛成でございますが、そういう意味で一つ問題を考えていってみたい、こう思っておるのであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 先日田代主計官も、安定する時期というような話をしておりましたが、これは炭鉱が操業しているときの話です。炭鉱が閉山になれば、すぐ安定します。これは安定は早いです。そして安定してないところはあと回しにしても、まだ安定している方がずっと残っているのですから、その心配は要ならいわけです。どんどんできるわけです。そうして炭鉱が閉山をすれば水がたまるのですから、安定は早いです。ですから、操業している物合には確かにそういう議論が成り立つけれども、炭鉱がやまって、いわばある地域全体的にやまった場合には、そんないつ安定するかなんという心配は要らない。それはいまから幾らあなたの方が急がれても、もう全部安定したときでもまだ専業量が残っておる、こういうことですから、その御心配は要らない、こういうように思います。これはやはり山が操業されているときの話ですから、今度は計画は、これだけスクラップされれば早く立つし、そして実効ある計画が、資金の面を除けば十分立ち得るのじゃないか、こういうように考えられるわけです。  そこで私は、国がもっといいましても、これはおのずから限度があるわけですから、やはり御存じのように、いまの労災法——すなわち労災法と申しますのは、基本法は基準法です。そうして、それは保険になっているわけですね。あれでけっこうなんです。鉱業権者が法律上の責任は持つけれども、いわゆる保険料をとられて、そうして政府がいわば保険をする労災保険というものをつくっておる。ああいうような鉱害保険をつくって、そうして窓口はその保険に携わる官庁がやる。ですから納付金を全然納めぬ場合には、それは無資力に落とすか、あるいは請求して鉱業権者から出さすか、こういう問題は残るでしょう。それから一定額の補助金は必要でしょう。そういたしますと、私が言うのは、農地であるからこれだけ、家屋であるからこれだけ、あるいは水道の場合は補助金が少ないなんということが起こらない。比較的プールとしてできるではないか、かように考えるわけです。ですから、そういう制度をとれば計画もできるし、前進もある。そうして、いまの被害者の不安を一掃することができる。ここまで踏み切らないと、残念ながらその時期が必ず来る。その時期が来たときは、もう何か事件が起こって、やはり踏み切らざるを得ない、こういうことになる。日本の政治というのは、実に残念だと思うのですが、吉展ちゃんや善枝ちゃん殺しの問題が起こって、やっと警察を強化する、学校をつくるなんて——どうしてああいうことが、昔から言われておるのに、事件が起こらなければできないか。これは石炭関係にもあるわけですよ。御存じのように災害のときに、鉱山保安局の監督員が入っていく。その手当というものは実に微々たるもので、まるっきりないと同じですよ。それからその待遇が非常に悪い。そこで大辻の事件、上清事件、豊州炭鉱の事件なんて起こったら、待遇の悪いということが初めて浮かび上がって、そして待遇改善になった。何か事件が起こらないと政策が進まないということは、私は近代国家として非常に恥ずかしいことじゃないかと思う。われわれ関係議員としては、なお一そう責任を感ずるわけです。大臣、これは必ず暴動といえば大げさですけれども、そういう要素を含みますよ。先ほども石炭局長に話をしたのですけれども、ある中央の非常に大きな財閥会社の炭鉱が閉山をするときに、二千名からの人に取り巻かれて、閉山式がスムーズにいかなかったのですね、鉱害の責任の問題で。その地域に六十数年もその炭鉱が経営しておって、その歴史を閉じ、社長が東京からやってきて、そうして閉山式をしようというときに、その商店街の人々を中心にして全部が押しかけたという事件があるのですよ。ですから、私はこの問題は単にその炭砿だけの問題ではなくて、これは今後起こり得ることが十分予想される問題だと思うのです。ですから、そういう事態になって制度を変えるなんていっても、先ほど申しましたような、ある事件が起こらなければ前進をしないということと同じじゃないか、こういうように考えるわけですが、一つ大臣の決意を伺いたい。  そこで、先ほども話したわけですが、ことに筑豊炭田というのは日本資本主義発展の原動力になって、そうして益金はみんな吸い上げられて、他の会社に投資されて、あるいは化学会社になり、あるいは重工業の会社になり、あるいはセメントの会社になっておるわけですよ。ですから、昔の財閥があったならば、その財閥に請求をしてもいいわけですけれども、そういうわけにいかないでしょうから、これはやはりそういう面から考える必要があるんじゃないか。なぜそういうことを言うかといいますと、先ほど災害の話が出ましたけれども、たとえば家屋自体の復旧をしてくれといえば、災害の場合には私有財産はしないのだからという理論で前進をしない。だから、どうしても制度を変えてものを考える必要があるのじゃないか、こういうように思うわけですが、ひとつもう一度決意をお伺いいたしたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 鉱害復旧をできるだけやるということには、私は仰せのとおり賛成をいたしておるのであります。そのやり方の問題については、先ほど申し上げましたとおり、あなたのおっしゃる意味のうちで、特に現在の鉱業権者あるいは租鉱権者が全部の責任を負わされるような形はいささかおかしいではないかというお話は、的に私はうなずける面があります。それを基礎として研究させていただきたいと思います。ただあなたにこんなことを申し上げるのはどうかと思うのですけれども、日本だけが何かものごとが起きてから対策を立てるというお話だったのですが、これは必ずしもそうではないようでございます。世界各国共通の例でございます。特に日本の場合におきましては、金が足りないものですから、やりたいことがたくさんあって、やったほうがいいということではだれも反対しないのだけれども、さてその金は国民の皆さんから税金で出してもらう。また出すほうはなるべく少ないほうがいいとおっしゃるものですから、それとのかね合いがございまして、なかなか思うようにいかない面もあるわけでございます。これだけではございません。しかし、やらなければならないもののうちでも、鉱害などは重要な問題の一つであるという意味においては、あなたの御所見に賛意を表したいと存ずる次第であります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これはきょう即答できる問題じゃないけれども、ひとつ制度的に研究をしてもらいたいと私は思う。ことに通産大臣は初めから、鉱害については縁のない地域ですけれども、非常に勉強していただいたわけですから、もう少し画期的な法律にして、いまの炭鉱地帯の住民の不安を少しでもなくしてやりたい。これは住民としては一番ささやかな、最小限度の要求だと思うのです。ですから、こんなささやかな要求が満たしてやれないということは、やはり政治にどこか欠陥があると考えなければならないわけですから、ひとつ御尽力を願いたい、かように思うわけです。  そこで法律について具体的にお聞きいたしたいのですが、今度できます積み立て金の基金制度について、一体今後の資金計画はどういうようになっておるか、これをお聞かせ願いたい。数字のことですから、あとからプリントにしていただいて、それに基づいて聞いてもよろしいのですが、どちらでもけっこうです。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 基金の資金計画でございますが、不十分な点はあとから資料で説明をいたしますけれども、大体の考え方は、今年度の政府出資が三億、それから今年は大体年間の積み立て額を五億と予定いたしまして、昭和四十七年度までにこれが大体五十五億近い金になりますが、積むわけでございます。この問題は有沢調査団の際に取り上げられましたので、各社ヒアリングをいたしまして、閉山あるいは存続山を通じましての将来発生鉱害ということを算定いたしました、この算定をベースにいたしまして、これが大体十一年間で百十一億という数字でございましたので、年間当たり十億と分けたわけでございます。ここらはもちろん想定でございます。そのうちから担保に引き取るべきものをまた半分、こういたしまして——これはあくまでも事業量ではございません。鉱業権者負担分という形で設定をいたしております。そういう形で大体年間五億を積み立てる。そうしてさらに当初年度におきましては、供託金、これは従来の鉱業法によりましてトン当たり徴収をされました取りくずし残が法務局に供託されておりまして、現在寝ておるわけでありますが、この残が大体五億であります。したがいまして、この五億を入れまして今年度といたしましては、これは七月発足になりますと五億が少し減りますが、大体今年度として年間十三億程度の原資ができるだろう。このいわゆる供託金なり積み立て金の取り戻し、これを従来の実績で五年に均等取り戻すとかそういう想定をいたしましていろいろ計算いたしますと、本年度に運営できます財源が大体十億ぐらいあるだろう、こういう見方をしているわけであります。しかしながら、いま申し上げました鉱害の融資額といたしまして、この政府出資三億以外にもやはりいずれ財政投融資の計画その他を期待しなければならぬと考えておりますが、ことしは十億という原資もございますので財投のあれはございませんが、一応将来にそういう問題を期待いたしまして、基金につきましては、いわゆる借り入れ金、それから債券発行規定を置きまして、今後財政投融資も受け得る体制をとったわけであります。したがいまして、そういう点から財投あたりもやはり五十億程度、これはまあ見通しでございますが、年度的にいろいろ整理をいたしまして、今後、来年度あるいは再来年というようなときに五十億近い財投を期待すれば、何とかいま申し上げましたような融資の形で、鉱業権者が納付金を調達できないという点をカバーできるだろう、こういう見方をしているわけであります。概略以上のごとく御説明を申し上げますが、こまかな数字になりますと、現在想定しております資金計画はまだ動く点はあるわけでありますので、あとでまた御説明申し上げたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 局長にお尋ねいたしますが、石炭合理化臨時措置法の中に保証というのがある。合理化事業団が保証するが、その保証は退職金と鉱害だ、こう言われたのですが、鉱害に幾ら出たのですか。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 いま多賀谷先生のおっしゃいました合理化事業団の保証の制度がございまして、これは退職金と鉱害ということになっております。退職金のほうは、これもなかなか動かなかったのですが、ずいぶんわれわれが努力をして、銀行も説得して、業者のほうにも協力さして、最近はだいぶ動いてくるようになりました。非常に石炭業界も喜んでおります。鉱害のほうは、どうも銀行がなかなかそういうものに金を貸さぬというのが実情でありまして、これはいろいろやってみておるわけですが、現在動いていない。したがって、その保証制度はありますが、動いていないというのが実情でございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は、鉱害はあまりダシに使うてはいかぬと思う。どうもこれはダシのようですな。というのは当時、六十億融資をします、そのうち四十五億は退職金、十五億は鉱害ですという説明をされておるのですよ。これははっきり政府がされておる。ところがその十五億は、一銭も借りられていないなんというばかなことがありますか。これは経営者が借りないのですか、だれが借りないのですか。大蔵省がうんと言わないのですか。ただ法律をつくったときの答弁だけですか。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 私が着任してからそういう話は聞いていないので、その前の話だろうと思うのですが、私が聞いているのは、退職金のほうのあれは最初十五億ついて最後は百億になりましたか、これは融資のほうですね。保証のほうについては、ちょっといま私記憶がございませんので、そういう答弁をいままでしておらないように思うのですが、まあダシに使っているというようなことはないと思うのですけれども、実際問題として先ほど申し上げたように退職金の場合の保証がなかなか動かない、最近になってようやく動き出したのですから、よく研究いたします。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それで六十億のうち四十五億を退職金、十五億をその鉱害の資金の保証をするんだということで法律の改正がなった。これが全体として、鉱害だけではなくて退職金もあまり動かないというので、今度整備資金としてストレートで貸す制度ができた、こういう法律の経緯になっているのです。ところが一銭も動かないというようなことは、そういうことを大体知らしてないのですか。これは退職金だけだということになっているのじゃないですか。それとも会社が申請をしたけれども銀行が聞かなかったのか、会社自体が申請をしなかったのか、これはどうなんです。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 知らしてないことはないので、法律ができておるし、事業団としてもいろいろPRはやっておるし、相手が石炭会社なんですから、知らしてないとか知らぬということはもちろんないわけです。これは退職金のときにも私がちょっとタッチして聞いたのですが、結局やはり業者と銀行との話し合いの問題ですから、どこの会社がどこに持っていってどうしたということまで、わかっておってもちょっと申し上げかねると思いますが、そういうことで、動いていないことは事実であります。私も現在のところ十分実情を聴取しておりませんので、さらによく調べてからお答えしたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 たしか保証は最初は五〇%で、その次はたしか八〇%保証ではなかったかと思うのですが、その保証についてかなりの条文の改正をしたわけです。改正をしたけれども動かないというのは、法律自体について問題があると同時に、一体運営がどうなっておるのか、これをお聞かせ願いたいと思う。このときは退職金と鉱害と、鉱害というのは御存じのように法律に書いてある。ですからむろん事業者が知らないということはないでしょうが、銀行が貸さなかったのか、あるいは銀行が貸さないのではなくて、鉱害まで借りる必要がないと見たのか。一体どうして明記しているものが全然制度として動かないのか、非常にふしぎに思うのです。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 ちょっとその辺の実情をよく調べた上で、この次の機会に御報告申し上げたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 と申しますのは、今度貸し付けという制度があるわけでしょう。あなたのほうは、この石炭鉱業合理化臨時措置法の三十六条の十三の二号目に書いてある制度が全然動かなかった、だから貸し付け制度というものをあらためて今度は基金の中から出したいと思う、こういう説明がなければいかぬわけです。制度がいままで全然ゼロだったら別として、そういう保証制度があったけれどもこれが動かなかった、それはどんな欠陥があったのか、こういう点をお話しにならないと、われわれ次に政策を前進さす場合に、過去の政策はどうなっているかということをお聞きしたいわけです。課長がわかりましたら御答弁願いたい。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 保証契約をベースといたしますいわゆる保証基金ができておりまして、鉱害も入っておりますが、これは基金をつくる際に、私の聞いている話でありますが、何と申しましても先ほど多賀谷先生からお話もありましたように、鉱害の資金というのは企業にとってみると非常に非生産的費用の扱いに現在としてはなっておるわけであります。したがいまして結局合理化資金とかいう先行きの金でないというような形から、この保証の制度がありましても、市中銀行が非常に貸ししぶるという点が非常にある、こういうような話を私どもとしては耳にしております。したがいまして、こういう点になりますと、さっき申し上げましたように、すでに眠っております供託金は企業としては非常な負担になっておるわけでございます。こういうものと、今度大蔵省から予算ももらいましたし、いわゆる政府ベースの金融という形を考えるということにせざるを得なかろう、こう判断をしたわけでございます。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これを当時私も指摘したわけですが、この保証契約の締結の条件というのは、単なる鉱害復旧に必要な資金ではない。これは事業を廃止する鉱区または租鉱区にかかわる鉱害の賠償です。やめる炭鉱の鉱害でないとできないことになる。ですから、おのずからそこに炭鉱が制限をされるわけです。一社一山の炭鉱になりますと、やめる場合にそれだけ借りる力がないです。ですからこれは動きますかと私が聞いたら、いや、とにかくこれで始めてみたいというお話でしたから認めたわけです。全然動いていない。それは若干貸したというならいいですけれども、一件も借りてないでしょう。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 鉱害の処理を円滑にやっていくのには、どうしても市中の金融ベースということではむずかしい。したがってそこで保証ということを考えたわけですが、先ほども申し上げておりますように、実際問題としてこれをやってみたが動かない。やはり業者から積立金を将来の鉱害の担保のために従来よりも少しよけいとって積み立てておく、その金なり、あるいは従来からあります供託金あるいは政府の応援というようなもので、そういう鉱害処理に必要な金の融資、しかもこれは低利の長期融資という制度をつくらなければどうしても動かない、うまくいかぬという結論で、今度の法律案を出しておるわけでございます。しかし従来からある制度でございまして、悪い制度ではございませんから、これを何もやめる必要はないので、もう少し動かせるように実情をもう少し私ども調べてみたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 動かない法律の条文になっておるわけですけれども、しかし全然一件もなかったというのは私は問題があると思うのです。それは、やる意思がなかったのじゃないかという気持ちがする。一件か二件あって、ほかのほうはむずかしかったというならいいですが、一件もなかったというのです。退職金は借りておるわけでしょう。それは動かなかったけれども、退職金は若干借りている。退職金の借りられるような炭鉱は鉱害がなかったかというと、鉱害はあった。しかもこれに該当する炭鉱もあったわけです。閉山をしておるわけでしょう。ですから一件もなかった、しかもそれらの炭鉱は、名は言いませんけれども、鉱害を相当かかえている。ですから意欲がなかったのじゃないかという気持ちがするわけです。  そこで今度の貸し付けには、本年度は財投はないわけですが、貸し付けば本年から始めるわけですか。始める場合における利率、返還条件、これをお聞かせ願いたい。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 本年度から貸し付けを開始いたしますように、極力準備を私どもとして急いでおります。それから貸し付け利率は、六分五厘ということで考えております。それから償還期間は、まだ最終的に決定しておりませんが、現在、きわめて短期でございますが、復旧ベースには政府資金が短期の金で入っておりまして、これが三年の償還でございますので、これよりかは延ばすということで考えていきたい、こう思っております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 この基金の返済はどうなっているのですか、この積立金の返済という問題は。積立金をいつか返す。返すようだったら、何年か。条文の考え方としては、一応返すということが考えられるのでしょう。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 これは現在の供託金も同様でございますが、賠償の完了をしますと、それに応じた額を取り戻すということで返済になります。それからさらに今度は、いわゆる将来発生を予想いたしますから、たとえば採掘しなかったということで鉱害が明らかに発生しないということが確実であるというときには、これは返済するということになります。返済の請求は、鉱業権者から局に出すということになっております。通産局の判断によって、その通知が基金に参りまして、基金がこれを支払う、こういうことになります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 従来の供託は、ある部分の復旧が終われば返済をしておったでしょう。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 御説のとおりでございます。したがって、それと同様に考えて参ります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私はそれに反対なんですがね。ある部分の鉱害が復旧された、そうすると、返済をする。供託金まで返しておる。ところが全体の鉱害量から見ると、ばく大な鉱害がある。そしてそれじゃいままで委託金を持っておるから、供託金自体が微々たる額ですから問題になりませんけれども、しかし鉱害がそれ以上あることがわかっているにかかわらず、供託金を返済をするなんということはおかしいのですね。ですから私はその鉱区全体の鉱害を対象にしなければいかぬと思うのですよ。鉱区全体の鉱害が復旧を完了しない以上は、返すわけにいかない。それは、その限度において貸し付けたりされることはけっこうです。それを担保にして貸付されることはけっこうですが、ものの考え方として、積立金そのものを返すということは、時効が消滅するという状態になって返すのがほんとうでしょう。しかしそこまでいかなくても、大体完了した時期に返すべきであって、部分的にものを考えるべきではないと思うのですがね。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 私どもとしましては、今度の場合、積立金が相当に高くなるわけでございます。したがってできるだけその点は、鉱業権者の資金繰りという点もございますので、賠償を終わったら、というのは、おっしゃるとおり鉱区全体の賠償ということになりますと、鉱区によって非常に広いというような場合もございます。そういったところの賠償全部ということになると、巨額の資金の凍結にもなりますので、そこはやはり、もちろん個別物件というほどにはならない、やはり何といっても団地的にはなりますが、その辺が終われば完了と見る。それからなお、予想鉱害量については、これから掘るベースにつきまして毎年全部のものを、たとえば五年目になった場合でも、最初からの鉱害量から、現に処理された鉱害量を差し引くというような形になりますので、結果的には取りくずしましても、なおさらに鉱害が残っているものが多いということになると、もとに帰って初年度から計算し直して積み立てをいたしますから、相当その辺、若干の時期のずれはありますけれども、積立金というものがまた起こってまいります。従来のように年に区切って、一あたりで調整したというベースから、その辺が非常に厳格というか、精密にする、こういう頭でございますので、そこらは極力ある程度の団地的な復旧が終わればこれを返すというふうに考えられるわけであります。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 これは法律のたてまえは鉱区または鉱区全体にかかる損害の賠償を対象にしておるでしょう。そのあなたのほうの扱い方が、取り戻しの扱い方として、団地的に考えておるのじゃないですか。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 ただいまの現行法という意味は、鉱業法の解釈はいろいろございまして、いわゆるいまの場合は、鉱区に関する損害の賠償を完了したときという表現であると思います。したがって実は解釈としましては、一鉱区の全部のあれがなければできないという解釈も、これは非常にすなおになるわけであります。しかしこれは私も着任をしましてからずっと、慣習といいますか慣例として働いておりますのは、その点は、鉱区に関する賠償というものは全部の賠償でなくて、一部の賠償ということにも読み得るということで、相当前からいまのような制度で動く、こういうように聞いております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は、供託金額が割合に僅少ですから、あまり供託そのものの制度について、制度としてはりっぱだけれども、金額が少ないから、初めからどうもそれを高く評価しなかったわけですけれども、いよいよ積立金制度ということになると、取り戻しの条項は供託と同じだということですから、これはあらためて議論してみたいと思うのですが、この鉱業法の百十九条の取り戻しというのは、「取りもどすことができる」ということです。「名令で定める手続に従い、通両産業局長の承認を受けて、供託した金銀を取りもどすことができる。」省令の手続で定めるということになっておりますけれども、しかしその条文は「当該鉱区又は租鉱区に関する損害を賠償したとき。これは、条文から見ると全体的ですね。」それから二は、「鉱業権の消滅又は鉱業権の消滅若しくは鉱区の減少による租鉱権の消滅の後十年を経過しても、損害を生じないとき。」こういういわば時効消滅の問題を含んで、十年という期限を切っているわけですね。ですからこれからいえば、当無全体的な損害の賠償が完了しないと、大体取り戻しができないという状態になってくる。炭鉱の資金繰りもわかりますけれども、積立金というものが団地ごとに取り戻されていくということになりますと、意味がない。炭鉱が全部閉山したとき、ああ金がなかったということになる。ですから、あるだろうあるだろうと被害者のほうも考えて、積立金があるのではないかと考えておったところが、最終的に閉山したところが、その団地々々で積立金が払われておって、あまり残りがなかったということになる。そうすると、せっかく制度をつくっても意味がないのではないかという気持になる。現実としてどうですか。最近の炭鉱がやめたあとの鉱害というものは、ものすごいものでしょう。日鉄二瀬だけでも十数億あるという。そういう鉱害を持っているのですから、最終的に処理ができるまでは積立金を持っていくべきだと私は思う。そこで貸し付け制度というものが幸いにしてあるのだから、その貸し付け制度を運用して、資金繰りをおやりになったらどうか、こういうように考えるわけです。一体どういうようにお考えですか。これは局長から答弁を得たいと思います。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 今度の積み立て金制度は、従来の供託金制度に比べて、いま先年の御指摘になったように、数等の進歩を示しておるというように私も考えております。また相当今度は、従来の供託金よりも多額の枝立金を徴収しなければならぬ、それだけやはりその金は業者が今度基金に顕けておるというような形になるわけであります。これはある程度利子もまたつけてやらなければならぬ。したがって、鉱害賠償の担保のための積立金を預けておるという形をとっておるのですから、これはやはり解釈の問題でございますから、運用の問題になるかと思いますが、相当程度の鉱害賠償を済ましたというときには、それは取り戻してやろう。また一方必要なものは鉱害発生の鉱害量を算定して積立金を取るわけですから、戻したり取ったりするわけです。それは、そういうふうにやらないとなかなか、一度取り上げたものは、その山の全部の鉱害が終わるまでは一文も返してやらないのだというような制度をつくったら、動かないと思います。したがって、そこは運用の問題、解釈の問題がございますが、ある程度やはり実情に合ったようなやり方でやらなければいかぬじゃないか。そうでなくて、貸し付けで見てやればいいじゃないかといっても、それは金の性質がやはり違うわけでございますから、貸し付けのほうは貸し付けのほうで適正な運用をやっていく。取り戻しのほうの規定は、これはルーズにやるわけじゃございませんで、相当厳格にやらなければいかぬと思いますが、制度的にやはりそういうふうな運用にいたしたいというふうに考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それがどういうわけで動かないのかわかりません。経営者の方が協力しないというのかわからないけれども、ものの考え方としては、当該鉱区の鉱害が一応消滅する、あるいは完了するということでないと、そのつど払ってやるのだ、取り戻すことができるのだという制度では、積み立て金制度としての価値がなくなるのじゃないか。そして現実に終山をしたときには、私が申しますように、鉱害が大体片づいたという状態ならいいのですよ、それなら私は言いません。現実はそうでないでしょう。終山のときでも、ものすごい鉱害が起こっておるわけでしょう。その炭鉱の益金の十年分ぐらい以上の鉱害がどこでも起こっておるわけです。ですから、それを一々返しておったのでは、とうていほんとうの意味の鉱害の処理はできないと私は思うのですよ。それは積み立て金じゃないです。貸し付け金の制度はいいですよ。それなら積み立て金の価値がないじゃないですか。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 いま先生がおっしゃるように、運用しなければ価値がないというまで極言されるのはいかがかと思うのでありまして、私としては片方で積み立て金を取り、片方で貸す、また積み立て金ですから、必要に応じて戻してやる、また必要があれば積み立て金はどんどん取っていくわけですから、まことによくできていると私自身考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 しかし、三池炭鉱のような場合ならともかく、どちらも終山近い炭鉱からいまから取るのですから、それならむしろ、これだけあなたの方は鉱害を復旧しなさい、こう言った方が早いです。出たり入ったりするだけ事務費が損じゃないですか。それは意味がないと思う。貸し付け制度には意味がありますけれども、立て金をとって、ある一定の範囲において復旧したら返してやる、またそれを取るのだというような制度は非常におかしいと思う。これはむしろその積み立て金という金を運用して貸し付けるのだ、それから財投から出してもらうのだ、できれば一般会計の出資金もふやしてもらうのだということで、積み立て金を取りながら資金運用を円滑にやっていく、そして最終的には被害者が安心をするような状態に置くのだ、これは被害者の安心の担保としても価値がありますよ。今までの逆用だと、せっかく法律をつくられるのに、羊頭狗肉になるおそれがある、こういうように思うのです。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 どうも私と先生の意見が違うので、お答えのしようがないのですが、やはり従来から供託金制度というものがありまして……。(多賀谷委員「それがおかしいのだ」と呼ぶ)おかしいとかなんとかいうことでなくて、そういうことで動いてきておる。それをある程度ベースにして、さらに一歩、二歩、三歩前進ということで考えるべきである。これはわれわれのように行政の実際に当たっている者からいうと、先生の、被害者の立場から言われるお気持はよくわかりますが、これは全体をながめて一歩、二歩前進ということでいきたいという考え方でございますので、そう、いままでのように供託金制度があれだから、根本的に直して、強制的に取り上げたものは一銭も返さないのだ……(多賀谷委員「供託というのはそうでしょう」と呼ぶ)今度の積み立て金制度にしても、供託金制度にしても、そういうふうになっておりますから、そういう意味で非常に不十分であると言われればそうかもしれませんが、むしろそうではなくて、先生の先ほど来のお考えからいえば、もう少し政府の出資をふやせとか、財投の金をふやせとか、一体何をやっているのかというふうなところに御質問を向けていただきたいと思いますが……。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 質問の注文をされましたが、それでは供託の方から質問をします。現行法に基づく、トン当たり二十円をこえない範囲において取るのだ、前年度に採掘した石炭の量、こういうことがありますが、これは被害の額と関係ないじゃないですか。被害の地区と関係なく取っておるでしょう。その鉱区全体から出炭されたものについて、トン当たり二十円以内において供託しておるわけでしょう。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 今の制度におきましては、おっしゃるとおり、出炭量によって取っているわけでございます。ただ現実に九州の通産局では、やはり採掘に見合いましてのある程度のもの、実は前年度になるわけでございますが、前年度に掘った分の鉱害の範囲を見まして、それに合わせた鉱害復旧をするとすれば、その鉱区を復旧するのにどのくらいかかるか、それに対して幾らというベースがあるわけでありまして、これは大体昔からきまった、トン当たり十九円五十銭というようなベースになっております。そういう点では、鉱区といっても鉱業権全体ということにはなりませんが、一応鉱区に即応した取り方をしております。今度の積み立て金になりますと、これはむしろ将来の発生ですから、採掘施業の認可を受けますときには、毎年作業計画を年度前に出しておりまして、これからどれだけ掘るのだということで予想鉱害を立てて、その予想鉱害に対して、今度はトン当たりということではなくて、全体の鉱業権者の負担分の半分が担保でございますから、やはり担保範囲まで取る、こういうことでやっていこうというふうに考えております。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 従来なぜ還付したかという実情はわからないわけではない。ものすごいインフレになりましたからね。インフレになったから、預けておっても、もらうときには貨幣価値がだんだん下がってきた。そういうことで、そういう扱いをした過去の例はわかる。ところがインフレですから、過去の例ではなしに、実際に早く返してやらなければどうにもならなくなったんですよ。ゆっくりためておっても、とても鉱害を直せるようなことにはならない。ですから、こういう制度になった。初めは十九銭とか一銭何ぼとかいう安いところから始まったわけです。その実情もわからぬことはない。扱い方としては、早く返してやらないと価値がない、それこそ金銭の価値がなくなっていったのですから、そういう扱いを使法的にしたのです。しかし、制度としてはおかしい。あなたのほうはがんばられるが、制度としては、当該鉱区にかかわる鉱害の供託をしておりますから、いままではインフレという便法があった、それに資金繰りが苦しくなったから、早く返してくれ、こう言った、それはわからぬことはない。しかしあなたのほうは、インフレまで予想しての法律ではない。インフレまで予想しての法律なら、やらぬ方がいい。ですから今度の積立金というのは——やはり終山が近い炭鉱に鉱害が多いのです。将来にわたって終山はあまりないというのは、ほとんど二、三の炭鉱しかないでしょう。ですから、やはり返してやるなんていうことは言わないで、これはとにかくある当分の間返さぬのだ、当分の間でいいんですよ。当分の間に閉山するのですから。当分の間返さぬのだという制度にしておかないと、制度として価値がないと思うのです。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 先ほどからお答えしておりますようなことで、やはり取り戻しの規定はどうしても私は必要だというように考えております。ただあと、いま先生の御意見もありましたが、運用の面でどういうふうに考えていくのかという点は、今後検討をさせていただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 すると供託は、この法律は依然として続くのですか。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 この新しい法律が施行される限りは、供託は適用を停止いたします。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 ですから、停止するから問題があるのだ。私はむしろあなたのほうが積み立て金を逐次返すというなら、供託のほうはずっと炭鉱が閉山をする時期、あるいは鉱害の完了した時期というふうに法律どおりやってもらいたい。ところが、供託のほうは停止する。その供託の金を積み立て金で使うわけです。ですから、米びつは何もなくなるわけです。供託は依然として続いて、それは法律どおり終山をするとき、あるいは鉱害が完了したとき、時効が消滅したとき停止にするなら、これは積み立て金を逐次お返しになってもいまの制度よりも後退ではない。ところが、供託のほうは基金で使うという先ほどのお話だった。五億使うというのですから。そしてその法律は停止するというのですから、これはどうしても考えなければならぬ。鉱業法のたてまえは、炭鉱が消滅をしてもすぐには鉱害賠償の請求権は失われないわけでしょう。事業が終わってから賠償の請求権が消滅をする、十年ですか、発生をしてからは短期時効になっていますけれども、その時効の消滅はたしか十年だったと思うのです。そういう請求権を置いておるのですからね。置いておるということは、やはりそれを保護する法律がなければならぬ。供託というのはそれですよ。終山時におけることを当時考えたわけです。途中にこれを運用して金を返していくということを考えたわたけではない。しかしやっておる過程で、金額が少ない、インフレになるというので便法として返したのです。それは私は実情としてはわかる。しかし制度としては、運営が歪曲されておる。だからあなたのほうが供託金をそのまま実行するというなら、供託金のほうは法律どおりやってもらいたい。それから供託金の方は一時停止をして積み立て金に切りかえるというなら、一体終山時における補償はどうしてするか、これを明確にしてもらいたい。

矢野俊比古通商産業事務官(石炭局鉱害課長)

○矢野説明員 これは五億積み立てております供託から基金のほうに移しますが、この分については従来の規定がずっと適用されることになります。それは現行の鉱業法の規定によって、その返還なり何なりをするわけです。それから積み立て金につきましても、もちろんある鉱害賠償が、いま御説明したように終われば、その部分について返すといっておりますが、賠償請求権を全部はずすとは考えておりません。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 それはおっしゃるとおりですね。しかし請求権があるのに金がないというなら、供託の意味がないじゃないかと言っているんですよ。供託のほうは現行法どおり実施するわけですから、私は現行法の法文どおり実施してもらいたいと思うのです。現在あなたのやっている取り扱いの方法では困ると思うのです。それは便法的な状態では困る。それは終山時が非常に近いからということでしょうね。それで、終山時における不安が非常に増大しておる。ですから、終山になってみたら一銭もなかったというなら、供託金とか積み立て金はどうなっているかという問題が起こりますよ。その場合に、逐次返してやったということが通りますか。とにかく立法者が考えるように運営してもらわなければ、先ほどの保証ではないのですが、十五億鉱害に保証を出すといって、一銭も出していない。大体運用が正確に扱われてないと思うんですよ。被害者はあまりこういうことを知りませんからね。国会でのわれわれの立法どおりやってもらわなければ困る。きょうは答弁を保留してもらって、考えてもらってもいいですよ。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 この積み立て金のあれでなくて、従来からある供託金の制度的な運用の問題でございますから、従来、先ほど来鉱害課長が説明したようなやり方で運用しておったよでうございまして、先生の御要望どおりにするということになると相当のこれは変革になりますので、私として十分研究、検討をさせていただきたいと思います。

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷委員 私は、法制局も来週呼んでみたいと思うんですよ。それは法制上、一体法制局はそういうように解釈できるか。供託というのは法律の権利義務ですから、最も大きい問題ですよ。そして裁判であなたの方が提訴されたら、取り戻しの問題は、あるいはあなたのほうが負けるかもしれない。一体そういう運用をしていいか。行政訴訟でもやったらたいへんな問題ですよ。供託制度なんという国の司法制度の根本に関する問題を、かってにそのたびに返している。そうしてこれは当該掘った炭鉱の担保の供託ではないんですよ、全体的な問題ですよ、トン当たり幾らと取るのですから。ですからこれは、私は次には法制局に来ていただいて、一体法制上そういうものが許されるかどうか、これもお聞きしたい。  その他、法案の質問がありますけれども、きょうはこの程度で終わりたいと思います。

始関伊平自由民主党

○始関委員長代理 次会は来たる二十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後零時四十七分散会

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