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43回国会衆議院1963/05/14

石炭対策特別委員会 第13号

発言数
48
登壇者
7
会派数
2
開催日
1963/05/14

会議録

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 これより会議を開きます。  去る二月十四日付託になりました内閣提出石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案、同じく内閣提出で三月二十六日付託になりました、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、電力用炭代金精算株式会社法案、石炭鉱害賠償担保等臨時措置法案、臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案、石炭鉱業経理規制臨時措置法案及び同じく三月三十日に付託になりました、重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案の七法案を議題として、政府に提案理由の説明を求めます。福田通商産業大臣。     —————————————

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  石炭鉱山保安臨時措置法は、転換期における石炭鉱業の保安対策として、保安を確保することの困難な石炭鉱山における鉱業の廃止を円滑に行なわせること等を目的として、昭和三十六年十二月二十五日から昭和三十八年十二月二十四日までの限時法として制定され、自後、保安確保上著しい効果をあげてまいったのであります。しかしその後、石炭鉱業にかかわる経済情勢が著しく変化し、これに伴って、現行法の有効期限後に当たる昭和三十九年におきましても、保安上すみやかに鉱業を廃止させることを必要とする事態に至る石炭鉱山が、なお少なからず発生するおそれが出てまいりましたので、このたび本法の有効期限を昭和三十九年十二月二十四日まで一年間延長して、以上のような事態に至る石炭鉱山における鉱業の廃止を円滑に行なわせる等の措置を講じて、保安の確保に万全を期することとした次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  石炭鉱業の不況の実情に対処して、政府におきましては、従来から施策の充実につとめてきたところでありますが、昨年末、石炭鉱業調査団の答申に基づき、石炭対策大綱を閣議において決定し、今後の石炭対策の基本方向を確立した次第であります。  石炭鉱業の自立と安定をはかるためには、需要の確保をはじめとし、近代化、合理化による生産体制の確立、資金の確保、雇用の安定等の諸対策を総合的に講ずることが必要でありますが、これらの対策を一そう推進するための立法措置として、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正を提案した次第であります。  この法律案の内容の第一点は、法律の目的を拡大し、単に石炭鉱業の合理化のみならず、その安定をもはかるべきことに改め、これに伴い、石炭鉱業審議会は石炭鉱業の合理化に関する重要事項のみならず、その安定に関する重要事項をも調査審議するものとしたことであります。  その第二点は、石炭鉱業の開発増強及び合理化整備の緊要性にかんがみ、石炭鉱業合理化実施計画の一部として整備計画を定めることとするとともに、これに伴い炭鉱離職者の再就職計画を定めることとしたことであります。  その第三点は、石炭鉱業における請負夫の使用は限定的に認めることとし、一定の坑内作業について請負夫の使用を事前承認にかからしめることとしたことであります。  その第四点は、電力用炭を中心とした石炭需要の確保と炭価の安定をはかるため、従来の標準炭価制度にかえて基準炭価制度を設け、政府は毎年、石炭鉱業審議会の意見を聞いて、石炭の販売価格の基準額を定めるとともに、従来の勧告と指示のほかに、基準炭価によるべきことを勧告することができることとしたことであります。  その第五点は、石炭鉱区の調整を、従来のように未開発炭田の指定地域に限らず、広く一般的に行ない得ることとしたことであります。以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願い申し上げます。  電力用炭代金精算株式会社法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  石炭価格の安定と需要の確保は、石炭鉱業の自立と安定をはかるための諸施策の前提となるものであります。政府はこのために電力、鉄鋼等大口需要業界に対して、石炭の長期引取の増量をかねがね要請いたしております。また一方石炭の流通合理化の推進をはかっておりますが、その推進母体の実現が望まれておりました。そこで、石炭の長期引取契約の履行を促進し、また引取炭価の安定的維持に資するとともに、流通合理化の推進のための立法措置として電力用炭代金精算株式会社法案を提案した次第であります。  この法律案の内容の第一点は、電力用炭代金精算株式会社の組織及び事業等についてであります。この会社は、電力用炭の代金の受け渡しに関する事業及び石炭の流通の合理化に資するための銘柄整理、輸送の共同化、配船調整、流通合理化設備の管理運営等の事業を行なう、一部政府出資の株式会社であります。  この法律案の内容の第二点は、電力用炭代金の受け渡しの規制についてであります。電気事業者及び石炭の販売業者は、電力用炭の代金の受け渡しをしようとするときは、電力用炭代金精算株式会社を経由して行なわなければならないことといたしました。以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願い申し上げます。  石炭鉱害賠償担保等臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  最近における石炭鉱業の整備の進展に伴い、事態の変化に即応した有効適確な鉱害対策を求める地域社会の声が高まっていることは、御高承のとおりであります。  特に、炭鉱閉山後において発生する鉱害の処理及び石炭鉱業の資金事情の悪化による賠償遅延によって、現地の生活不安は深刻なものとなっているのでありまして、この際、鉱害賠償資金の確保をはかり、鉱害処理を確実に、しかも円滑に行なわせるための対策を講ずることがぜひとも必要であると考えられるのであります。  この法律は、このような現状認識に立ちまして、十分な鉱害賠償のための担保をあらかじめ積み立てさせ、賠償担保制度を充実させるとともに、その見返りに、担保として積み立てられた資金に政府資金を加えたものを財源として長期低利の賠償資金融資を行ない、鉱害の被害者の保護を手厚くすると同時に、石炭鉱業及び亜炭鉱業の健全な発達に資することを目的とするものであります。  この法律案の主要な内容の第一点は、石炭または亜炭を目的とする鉱業権者または租鉱権者は、その鉱区または租鉱区に関する鉱害の賠償のための担保として、毎年度、将来発生することが予想される鉱害量に即して、鉱害賠償積立金を積み立てなければならないことといたしたことであります。この鉱害賠償積立金は鉱害賠償の担保でありますので、被害者はこれについて従来の供託金と同様に優先弁済を受ける権利を有することとしております。  第二点は、この法律の目的を実現するため必要な業務の実施機関として、全額政府出資の特殊法人鉱害賠償基金を設立し、鉱害賠償の担保の管理及び鉱害賠償に必要な資金の貸し付けの業務を行なわせることとしたことであります。  なおこの法律は、石炭鉱業及び亜炭鉱業による鉱害について特別措置を必要とする期間の暫定措置とする観点から、臨時石炭鉱害復旧法の期限に合わせて、昭和四十七年七月末までの措置とすることといたしました。  以上がこの法律案の提案理由及び要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。  臨時石炭鉱害復旧法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  臨時石炭鉱害復旧法が昭和二十七年に制定されて以来、石炭鉱害対策はこれを中心として展開されてきたのでありますが、政府といたしましては、昨年三月末に答申を得ました石炭鉱害対策審議会の結論を中心に、最近の鉱害処理対策に関する種々の要請を勘案いたしまして、臨時石炭鉱害復旧法の改正につき検討を加え、ようやく成案を得るに至りましたので、改正案を国会に提案し、御審議を願うこととした次第であります。  改正案の第一の要点は、鉱害の復旧工事を施行する際に、その土地を従前の用途のまま復旧することが著しく困難であり、または不適当であると認められる場合は、それにかえて、他の用途に供される土地として復旧する工事を施行することができることとしたことであります。  第二の要点は、閉山炭鉱の鉱害復旧を促進するための措置として、閉山炭鉱の鉱害が発生している地域であって、鉱害復旧を急速に行なう必要があるものについては、まず通商産業大臣が地域指定を行ない、その地域内の被害者が被害者総数の多数の同意を得て申し出をした場合には、鉱害復旧事業団はその申し出を十分に考慮して復旧計画を作成しなければならないこととしたことであります。  改正案の第三の要点は、鉱害復旧事業団に対する国庫補助を増額して、無資力鉱害に伴う被害者救済措置の充実をはかることとしたことであります。その他この改正案では、賠償義務者がいなくなった鉱害を復旧の対象に加え、農地復旧の際の納付金算定基礎の修正を行ない、また鉱害に関する科学技術による調査を行なう鉱害調査員の制度を法制化することといたしております。  以上がこの法律案の内容及びその提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。  石炭鉱業経理規制臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  現下の石炭鉱業はきわめて苦しい状況のもとにあり、その自立と安定をはかるためには国の助成措置が必要でありますが、他方石炭鉱業の側においても、適正な経理と妥当な事業運営が行なわれることが同時に必要であります。この見地から、石炭鉱業の経理の規制に関する臨時立法措置として、この法律案を提案した次第であります。  この法律案の内容は、規制対象といたしまして、通商産業大臣は石炭鉱業合理化事業団及び日本開発銀行から多額の資金を借り入れている石炭企業を指定するものとし、その指定を受けた会社は、その利益金の処分について通商産業大臣の認可を受けなければならず、また毎営業年度、事業計画と資金計画を通商産業大臣に提出するものといたしまして、通商産業大臣は必要がある場合にはその改善勧告ができるものとし、また、毎年定期的に指定会社の業務及び経理の監査を行ない、経理規制の実効を期することといたしております。以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願い申し上げます。  重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由をご説明申し上げます。  重油ボイラーの設置の制限等に関する臨時措置に関する法律は、昭和三十年に石炭鉱業合理化臨時措置法が制定されました際に、石炭と競合関係にある重油を使用するボイラーの設置を制限することによって、適正規模の需要を確保して石炭鉱業の合理化達成に寄与することを目的として制定され、次いで昭和三十五年に、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部改正に際し、この法律の有効期限を三年間延長して昭和三十八年十月三十一日まで効力を有するものとしたところであります。  この間政府におきましては、石炭鉱業の自立と安定をはかるため施策の充実につとめてまいりましたが、エネルギー事情の変動等もあって、石炭鉱業の不況の実情はいよいよ深刻化したのであります。政府としてはこれに対処して、昨年来、石炭鉱業調査団の答申に基づき、石炭対策大綱を閣議において決定し、今後の石炭対策の具体的方向を確立した次第であります。  この石炭対策大綱に基づく諸措置を講ずるための所要の立法措置につきましては、さきに石炭関係の六法律案をはじめとする諸法律案をこの通常国会に提出いたし御審議いただいておりますが、今回さらに石炭需要確保対策の一環として、この法律の有効期限をさらに昭和四十二年三月三十一日まで延長することとした次第であります。なお、この法律の有効期限の延長にあたりましては、石炭鉱業の自立と安定の達成の障害とならない範囲内におきまして、この法律の規制対象から除外される小型ボイラーの範囲を拡大することとし、中小企業の合理化近代化に配慮いたしております。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同あらんことを切望する次第であります。

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 これにて、内閣提出七法案の提案理由の説明は終わりました。      ————◇—————

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 次に、去る二月二十六日に付託になりました、多賀谷真稔君外七名提出の産炭地域の中小企業者等に対する特別措置法案を議題とし、まず提出者に提案理由の説明を求めます。多賀谷真稔君。     —————————————

多賀谷真稔日本社会党

○多賀谷議員 産炭地域の中小企業者等に対する特別措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  御承知のとおり、石炭鉱業の不況によりまして、産炭地域内に事業場を持っている中小企業者は、購買力は減退し、土地、店舗の担保価値は低下し、事業の経営は著しく困難を来たし、閉店、倒産も相次いでいる実情にあります。終閉山する炭鉱の石炭業者及びその労働者に対しましては、不十分とはいえ、一応終閉山対策が講ぜられているところでありますが、これらの中小企業者とその労働者につきましては、今日まで、何らの施策もとられていないのであります。  政府の調査によりましても、産炭地域における中小企業者の炭鉱への売掛金は百二十億円にのぼるといわれ、そのうち約二割は取り立て不能という深刻な状態に置かれております。政府の合理化計画では、今後炭鉱の整備は一そう急激に行なわれようとしておりますので、関連中小企業者の受ける犠牲はさらに大きくなることは必至であります。したがって、炭鉱合理化のしわ寄せを直接受けるこうした中小企業者並びにその事業場に働く労働者に対し特別の考慮を払うことは、国のなすべき当然の責務であると思うのであります。ここに本法案を提出した次第であります。  以下、簡単に本法案の内容について御説明申し上げます。  第一に、石炭鉱業合理化事業団は、採掘権を買収した石炭業者及び廃止事業者が産炭地域内に事業場を有する中小企業者に対して負担している代金支払い債務については、整理交付金の別ワクを設け、代位弁済をすることといたしました。  第二に、国は、産炭地域の中小企業者が石炭不況によって移転または事業の転換をする場合、及び石炭鉱業にかかわる売り掛け金の回収が困難なため、事業経営に支障を来たしている場合、これらの中小企業者に対して国民金融公庫、中小企業金融公庫の貸し付ける資金ワクの増大、貸し付け条件の緩和及び手続の簡素化をはかるよう努力することといたしました。  第三に、産炭地域の中小企業者に対する資金の融通の円滑化をはかるため、中小企業信用保険法の特例を設け、産炭地域関係保証については、一般の保証の付保限度額と同額の付保限度額を別ワクで設けるほか、保険金額のてん補率を百分の九十に引き上げ、また保険料を引き下げる措置を講ずることといたしました。  第四に、国は、石炭鉱業の不況によってその事業を廃止した者に対して、廃業手当を支給することといたしました。  第五に、雇用促進事業団は、廃止中小企業者及びその労働者を雇い入れる事業主に対し、雇用奨励金及び労働者住宅確保奨励金を支給することといたしました。以上がこの法律案の提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださるようお願い申し上げます。

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 これにて、提案理由の説明は終わりました。  ただいま提案理由の説明を聴取いたしました各法律案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 次に、石炭対策に関する件について調査を進めます。  去る五月七日、山口県小野田市大浜炭鉱において発生いたしました出水落盤事故について、まず政府に説明を求めます。八谷鉱山保安局長。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 大浜炭鉱の出水災害につきまして、鉱山保安局から担当課長が現地に調査に参りましたし、また、昨晩までの電話連絡等を取りまとめまして御報告申し上げます。  この所在地は山口県の小野田市でございますが、坑口付近を除きまして、すべてが海底炭鉱になっておるわけでございます。発生の日時は、去る五月七日の九時十分ごろでございまして、直接出水の原因になりました発生個所は、中央幹線の一卸左一坑道の右七片の小払というところでございます。ただいままでに罹災いたしました者は、十五名でございます。この炭鉱の出炭は月産一万八千トン程度で、労働者七百名、中小炭鉱では右翼に属する炭鉱かと存じます。  まず、災害の概況について申し上げます。災害を発生しました左一坑道の右七片に設けられております。小払と称しておりますが、これは払長が約二十一メートルの小さな払でございます。五月の五日より採炭を開始いたしまして、災害当日の七日までにわずか二メートル、二ワク程度の払の進行ができた程度でございます。この払の状況でございますが、災害前日の五月六日の一番方で払に重圧がきまして、払で採炭をいたしました石炭を落とします、いわゆるシュートと申しておりますが、ナンバー九立坑でございます。この立坑の下付近が約二メートル程度つぼ抜けいたしまして、そこから毎分三立方程度の水が出てまいりまして、その後も重圧が続く状態でございまして、この三番方の二十二時三十分ごろ、夜中でございますが、採炭の続行が不可能な状態に立ち至ったと認められまして、三番方の担当係員より白神と申します採炭課長に状況を報告いたしまして、課長は零時三十分ごろ、七日の零時三十分ごろでございますが、現場に到着いたしまして状況を調査しまして、田島保安管理者、これは鉱務部長でございますが、これに状況を報告いたしまして、いろいろ連絡し合った結果、保安管理者の指示によりまして、採炭を中止し撤収するということにしたわけでございます。災害の発生個所でございますこの小払は、わずか二メートル程度の払進行をやっただけで撤収を開始する、こういう状況になったわけでございます。三番方では、この小払内の機材の撤収と、ゲート坑道にコボー木積みを行なってこの方の作業を終了したわけでございます。このコボー木積みと申しますのは、普通のいわゆる空木積みにすのこを巻きまして、水がろ過しやすいような状況にしましたコボー木積みでございまして、これをゲート坑道に積み上げまして、その方の作業を終了したわけでございます。  次に、災害当日の状況でございますが、災害当日は、一番方の小払担当の新藤という係員が欠勤をいたしましたために、同地域の他の撤収作業個所を担当しておりました平田という係員が代番をするということになりまして、この小払の片のエンジン撤収作業に二名、これは罹災をいたしております。それから小払ゲート関係の撤収に八名、これは避難をいたしております。それから若干離れた個所でございますが、右五片払の撤収に四名、これは罹災をいたしております。これをありつけたわけでございます。なおこのほかの作業個所の就業人員は次のとおりになっております。右七片坑道、これは小払の下を通っております下盤の水平岩石坑道でございまして、この右七片の掘進と、それから仕繰り関係に九名の者がおったわけでございます。これは組夫であります。岩石坑道の掘進でございます。これはすべて罹災をいたしたわけでございます。それからそのほかに、この坑道の運搬に二名、これも組夫でございます。これは避難をいたしております。  それからこの坑道のみぞ割りに一名、それからこの付近の採炭個所に、これは右八片、九片方面でございますが、採炭、掘進、運搬等に五十四名、合計いたしまして、避難した者、また罹災した者合わせまして八十名の労働者が一卸関係に就業しておったわけでございます。この八十名のうちに罹災者が十五名と、避難しました者が六十五名、ほかに係員が三名おるわけでございます。この右七片部内の担当係員であります平田係員より、小払のゲート関係の撤収作業にありつけられました七名、これは責任者を国満と申しますけれども、これは七時に入坑いたしまして、第二水平坑道で——このうちの責任者の国満は、八時ごろ前日の三番方の小坂係員に会って作業の引き継ぎを受けておりまして、作業の詳細につきましては平田という係員に聞いてもらうようにという引き継ぎを受けまして、八時十分ごろまた坑内詰め所で、三番方の平田係員と前日の状況を話し合いまして、現場に行ったわけでございます。そうしまして八時四十分ごろ作業現場に到達いたしまして、この七名中二名を七片坑道に詰め込み、他の五名をゲートの作業に就業させたわけでございます。またこのほかに、この小払片のエンジンの撤収作業に二名が入っておったわけでございます。この小払ゲートの撤収作業の責任者であります、先ほど申しました国満というのは、ゲートに登ってチェーンを運転して——このゲートにはコンベヤーがありまして、このチェーンを運転してみましたところ、水を含んだ泥土が出てまいりまして、また運転ができなくなり、通気も悪くなりましたために、先ほど申しましたナンバー九の立坑の一つ手前のナンバー八の立坑よりおりようとしたとき、下におりましたナンバー九の立坑よりギロ——ギロと申しますのは泥土を含んだ水とどろでございますが、これが出ているというような報告を受けまして、自分でこのナンバー九の立坑下、ゲート・シュートに行って見たところ、報告のとおりに水とどろが落ちかかってきたわけでございます。そこで直ちに、そばにおりました佐伯という積み込み夫に、ゲート関係におった者を下におろさせまして、また、組夫関係が坑道の奥の方におったわけでございますが、水だから早く出てこいと大声で連絡をしたわけでございます。この連絡によりまして、組夫の中の運搬をしております中田というのが、泥水を泳ぐようにして出てきたわけでございますが、他の九名はちょうど坑道の上から流下しております泥土を見まして、出ることをちゅうちょした模様でございまして、その奥で罹災したままになっておるわけでございます。また、先ほど申しましたゲート関係の者たちが避難をしてまいりまして、坑道の手前のほうで平田という担当係員に会いまして異変を知らせたわけでございますが、平田はここで二つの処置をとったわけでございます。一つは七片、九片に大ぜい入っております人たちを救済するために、自分がそちらの方向に連絡に行く、それから一方右五片方面に、これは四人罹災いたしておりますが、その方面に使いを走らせる、こういう処置をとったわけでございます。先ほど申しましたように、八片方面には非常に多くの人々が入っておったわけでございますが、全員が係員の指揮によりまして、一たんは右七片の水平坑道のほうに出てまいりましたけれども、どろの流れに出っくわしまして脱出が困難であるということから、さらに迂回いたしまして、ようやく難を免れたわけでございます。しかし一方におきまして、五片方面に連絡に行きました伝令は、どうも払の就業状況を十分に熟知していなかった模様でございまして、的確な連絡ができないために四名はそのまま罹災をする。それからもう一つは、小払の片にエンジン取り片づけにおりました二名。九名と四名、二名が三カ所にわかれまして、合計して十五名が罹災をしたわけでございます。  非常に現場の模様が詳細になりましたけれども、以上のような状況で災害が発生したわけでございます。当初私どもはこの災害を聞きまして、これは海水とつながりがあったというようなことを直感したわけでございますけれども、現在調査いたしましたところでは、まだ断定的ではございませんけれども、断層の上部に、これは四紀層が九十メートルございますが、この四紀層と三紀層との間の砂利層の中の水が重圧によって崩落したところ吹き出てきた、こういうものではないかと考えられるわけでございまして、水の分析その他から海水とのつながりはないと目下のところ判断いたしております。上部現場にございます含水層からの水の流出であると、かように考えるわけでございます。ただ今後の取りあげ状況でございますが、現在まず排水に主力を置きまして、一卸方面から災害個所に通じます左一坑道を取りあげるとともに、もう一方の左七片という方面の二カ所から防水ダムを取りあげまして、排水並びに取りあげを進めておるわけでございますが、現在までに百三十四メートル程度の取りあげ状況でございまして、罹災者のところに到達します坑道の総延長が千メートルでございますので、一三%程度の取りあげ状況でございます。現在非常に困難をきわめておりますのは、だんだん坑道の風化が大きくなってまいりまして、坑道の崩落があるということと、水には炭酸ガスが含まれておりまして、この炭酸ガスが坑道内に四、五%程度も出てくるというような状況で、非常に取りあげに困難をいたしておりますけれども、何とかして一日も早く罹災者の個所まで到達すべく、目下極力作業を進めておるところでございます。  この種の災害防止対策につきましては、まだ原因の究明が——取りあげに奔走いたしておりまして、監督官も十分な聞きとり等もできない現況にございまして、また取りあけた個所とその他からも総合判断しないと、にわかに断定はできませんけれども、いずれにいたしましても、この宇部地区といたしましても、非常に類例のない大量の水が出たわけでございます。坑道をおおいましたものは、二万二千立米に及んでおります。従来せいぜい百立方フィート程度の水がちょいちょい出てきたというようなことで、その程度の水に対しては十分な処置ができておった。ところがこういう異例の天盤からの水ということになりまして、その地質状況その他を十分に調査いたしまして、今後の類似災害の防止には万全を期したい、かように考えておるわけでございます。以上をもって御報告を終わります。

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 ただいまの説明について、委員長から一言要望いたしておきたいのですが、原因の点については慎重に検討を要すると思いますが、これに対する対策がその程度で十分だというふうに思っておられるのかどうかということが一点。  第二点は、十五名の方々はもうすでになくなられたものではないかと推察するのでありますが、その点の判断はどういうことになっておりますか。この二点だけをお尋ねいたしておきます。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 お答えいたします。この同種災害の防止につきましては、ただいま御説明いたしましたことで決して十分と思っていないわけでございまして、従来宇部地方では、水を押えて先に進んでいく、こういう対策をとってきまして、水抜きをするというようなことは、袋水の場合と違いまして非常に困難性があったというようなことから、ダムを築き、そして退避態勢を整えるというような、ある意味では消極的な対策をとってきた。ところが宇部地方におきましても、四紀はだんだん厚くなって海水との遮断はできた、しかしこういうふうな上部にあります含水層との関係が、逆に三紀層が薄くなってまいりまして、その対策が今後懸念されるというような状況下にあるわけでございまして、十分に研究いたしまして抜本的な対策を講じたい、かように考えるわけでございます。  それから罹災者につきましては、私どもは、もうすでに八日以上たったわけでありまして、取りあげが一日も早く罹災者の罹災現場に到達いたしまして、その行っておるところまで早く進みたいということを念願しておるわけでございますが、現在の状況からいたしますと、払あとにおります四名等につきましては、どれだけ重圧によって払がつぶれてきておるか、その体積でございますが、そういうもの等を考えますと、非常に憂慮すべき事態に立ち至っておる、かように考えております。

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 質疑の通告がありますので、これを許します。岡田利春君。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 ただいま報告のありました宇部の大浜炭鉱の災害について、先ほど理事会で委員派遣が決定いたしておりますから、その調査に行く予備的な質問という形で、若干お尋ねいたしたいと思います。  まず第一点は、今度保安監督署が法律の改正で正式にできまして、その監督署から当然大浜炭鉱に、保安監督官が保安監督のために派遣をされておると思うわけです。それは大体いつの時期にこの保安監督が行なわれておるか。このことをまず第一点としてお伺いします。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 宇部でございますので、今度設置いたしました保安監督署とは関係ございませんで、従来から広島保安監督部の宇部支部を設けておりまして、この支部は保安監督部と同じような体制にありまして、全面的な委任を受けているものでございまして、実質的に宇部監督部とも申していいような形態をとっているわけでございます。課制も設けておるわけでございます。この大浜炭鉱の従来の監督状況は、ここ半年間くらいは毎月現場に行きまして、保安の悪い点等を指摘してきておるわけでございますが、従来の監督からいたしますと、通気の問題、運搬の問題等を主として指摘しておったようでございます。さらに、この四月九日には監督官の立ち会いのもとに退避訓練の総合練習をいたしておりまして、この一卸部内の退避練習もやっておったというような状況でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 宇部の社長の話によりますと、今度の事故は、原因としては予想外のところに予想外の粘土質の砂層があった、これが原因であって、不可抗力かどうかの問題は別にして、このことが予知できなかったということが災害の原因である、こう一応実は談話を出しておるわけです。そういたしますと、特に海底採炭でありますから、宇部地区の場合には、かつて海底陥没の大きい事故が戦後二回あるわけです。したがってこういう地質の条件というものが調査できないということは、非常に大きな問題だと思うわけです。したがって地質の調査については、一体どういう方法でやっておるのか。ただ退避訓練とか、あるいはまた、事故が発生した場合に退避でき得る、そういう態勢をとるというだけではなくして、積極的にその海底下の地質条件というものを把握する必要があるのではないか。具体的にいいますと、現在日本の炭鉱で、海底採掘のビルドアップの炭鉱が非常にウエートが大きくなっているわけです。高島炭鉱、端島、松島あるいは三池もそうでしょうし、太平洋もそうでしょうし、これは前から問題になっているのですが、海底ボーリングをする必要があるのじゃないか。これは合理的な採掘と保安対策の面もあると私は思うわけです。この宇部地区の場合には、そういうボーリングが行なわれたことがあるのかどうか。あるいはまた、そういう地質的な調査についてはどういう方法をとっておるのか。この点について、予想外というのですから、おそらくそういう地質の調査については何ら見るべきものがなかったということになるのじゃないか、こう思うのですが、いかがでしょう。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 海底採掘につきましては、特別掘採計画書を出さしめるようにいたしまして、特別な監督を行なっているわけでございますが、保安法の規定によりましても、ボーリング等に上りまして、まず炭層上下盤の状況、海底下の状態を詳細に調査しておくということが。採掘計画を立てる上の前提条件でございまして、どこにどれだけの四紀層があり三紀層があるかということによりまして、区画採炭をする際の区画の大きさあるいは坑道の位置等が違ってくるわけでございまして、大浜炭鉱におきましては相当数のボーリングがこの付近にも行なわれまして、柱状図もできておって、どこに宇部地方特有の砂利層が含まれているかということもわかっていたわけでございます。そういう状況から、この災害を発生しました小払も、全体的に見ると、この重圧では耐えられないというようなことから、わずか二ワク程度払っただけで撤収に移ったわけでございます。ただ結果論的に申しますと、従来は大きな水が出ないで、その払を一時中止しておく、あるいは水門を閉じるというようなことによって水を押え得た。ところが今度のような、今までの十倍以上のような水が一度にふき出してきたというようなことについての認識と申しますか、危機感というようなものが、過去の経験が逆に災いして、それほど深刻な水であるということを考えられなかったのではないか、こういうふうに考えられるわけでございまして、全体の地層からいま判断してみますと、この炭層の状況は、これが炭層コンターを考えてみますと、ボットムに近いようなところになっておるのではないかということが一つと、それから、あるいは三紀層の堆積しましたあとに、浸食されまして、その上に四紀層が積もって、ちょうど災害現場付近だけは三紀層が非常に薄くなっていたのではないか。これを海底ボーリングから相当な距離でやっていくときに、そこまでのことが判定し得なかった。と申しますのは、払の進行状況も、順次に払いを進めていく途中を全部やめまして、そうして相当先からまた逆に退却をしてきたというような特殊な採炭状況をとりまして、ちょうどその退却を始めたところがそういう状況になっておったのではないか。これは詳細に調査してみないとわかりませんけれども、結果論的にみると、一応ただいま申し上げるようなことも判断されるわけでございまして、この辺はよく調査をして進めたいと考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 これも、報道ですからはっきりしたことはわからないのでありますが、こういう海底で、しかもそういう特別な掘採計画を立てて採掘しておるにもかかわらず、災害が起きた場合に、この炭鉱には予備ポンプが非常に少なかったということが指摘をされておるように聞いておるわけであります。しかも災害が発生して、夕方になって三十馬力のポンプがようやく一台始動する。翌日になってようやく五十馬力のポンプが据えつけられる。しかも現在動いておるポンプは、隣の宇部興産から応援をもらって、それぞれポンプの据えつけを現在行なっておる。こういう報告が実はなされておるわけです。もちろん、いま報告がありましたように、海底陥没ではありませんけれども、特に海底採炭の場合には、そういう出水に対する対策として予備ポンプが常備されなければならぬのではないか、こう私は考えるわけです。この点について、一体この炭鉱ではどういう対策を立てておったのか、あるいは、現有のそういう不時の出水に備える予備ポンプの態勢は一体どうだったのか、この点をお聞きしたいと思う。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 ただいま岡田先生から御指摘の点は、まことにごもっともだと考えるわけでございます。ごく小さな炭鉱で、ちょいちょい風水害のときなんかに、ポンプをとられて、ポンプがないために押え水も追い水もできないというようなところがございますが、一万七、八千トンも出るような中小炭鉱のAクラスの山におきまして、ちょうど一卸部についておりましたポンプがとられたとはいえ、追い水するようなポンプが得られないで、ただいま御指摘のように、鉱務監督官が自動車で借りてきて据えつけさせるというような現場の状況だったわけでございます。相当な出水に対して日ごろから注意していなければならぬにかかわらず、その予備ポンプの態勢もなかったということは、資金面においても、生産第一主義で生産に必要なものを買っていく態勢ということが結果的には考えられるわけでございまして、ここには保安融資も坑道関係とかポンプ関係につきまして二千二百万円の四〇%程度、約九百万円の保安融資も行なうようにして、一部は金も貸し付けておるわけでございますが、大きな計画に対してのことは十分にいろいろな支援をしておったけれども、そういういざという場合の小型ポンプの予備についての十分な配慮が現場にもなかったし、また私ども監督する者も事前にそういう問題について十分な配慮が足りず、十分な指摘ができなかったというようなことは、はなはだ申しわけなく存じておる次第でございます。これにつきましては、隣の山から借りるという問題、あるいはそういうことでなくて、一定のポンプあるいはパイプ、ケーブル等を常備するような防水組合的なものを検討していくというようなことを今後検討いたしまして、たとえ中小でもそういうことのために排水がおくれるというようなことのないようにつとめたいと考えます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 石炭局にお尋ねしたいのですが、この炭鉱は宇部地区でも、あるいはまた日本の中小炭鉱でも概して優良炭鉱であって、いわば右翼の炭鉱である、かように言われておるわけです。したがって、その経営内容についてもそう悪くないのではないか、こう判断をしておるわけです。しかも調査団が日本のそれぞれの大手、中小炭鉱のビルドアップ鉱につきましては、大体見当をつけて一応の計画もつくられておるわけです。ですからこの山のライフは一体どの程度なのか、それと同時に、この炭鉱の経営内容というものは大体どういう状態に今日あるのか、この点についてお尋ねしたいと思います。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 いま岡田先生の御指摘のように、大浜炭鉱は宇部地区におきまする中小炭鉱でありまするが、比較的従来堅実な経営を行なっております。また、同地区における炭鉱としては最も安定した炭鉱の一つじゃないか、十年以上のライフがあるのではないかというふうに見ておるわけでございます。ただ最近の事情としては、従来掘っておりましたところがだんだん終掘になって、いま災害を起こした新しいほうへ坑道を掘って、そちらのほうを新しく手がけようということで相当資金事情も苦しくなってきておる。それで先ほど保安局長も言いましたように、ポンプとかケーブル等も保安上やはりもう少しやらなければいかぬということから、これはちょっと時期がおくれたのですが、昨年の十二月にケーブル、ポンプ等を買う融資も事業団のほうからやって、ポンプなんかも発注しておって、いま製作中であるという事情にございます。また新しく開発を進めていかなければいけませんので、開銀資金等も今後あっせんしようというようなことでちょうど計画中のところで、そういう意味で、いままでのところは比較的経理関係も安定をしておったのでありますが、新しく資金を相当投下をしてやらないと、もう生命がなくなる、ちょうどそういう状況のときにこの災害が起こった、こういうことであります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 いま石炭局長、保安局長から答弁があったのですが、特に保安融資の問題については再検討する必要があるのではないかと私は思うわけです。といいますのは、炭鉱の作業というのは、生産なのか保安なのか、なかなかけじめがつかぬ面が非常に多いわけです。たとえば排水設備、通気設備についても、排水坑道、通気坑道、あるいは防爆対策その他についても、これは生産対策なのか保安対策なのか、画然と判断がつきにくい面が実はあるわけです。ですから、保安対策という場合には重点的にやる必要があるのではないか。たとえばガス事故についても、いわゆるガス対策については特にその面に力点を置く。あるいはまた海底であり、あるいは出水の多いところについては、排水関係については保安対策として重点的にやる。あるいはまた通気系統をどうしてもやらなければならぬ場合には、坑道を切らなければならぬという問題が出てまいりますから、これについてはやはり保安対策という面でやっていかなければ、この種の災害というものはなかなか避けられないでしょうし、あるいはまた生産体制とそういう保安施設のズレが出てくるのではないかと私は思うわけです。炭鉱がいま苦しい状態にあるわけなのですから、特に近代化の進行過程ですし、私はその面は特に重点的にもう一度検討を制度的にしてみる必要があるのではないか、こう思うのですが、この点についてはどういう見解ですか。

中野正一通商産業事務官(石炭局長)

○中野政府委員 いま岡田先生の御指摘の点につきましては、非常にごもっともな御意見と考えております。いまの保安融資の今後のやり方については、もう一度、今回の大浜炭鉱等の最近の災害の状況、保安の問題等も再検討いたしまして、融資の方針をもう一回考え直してみたいというふうに考えております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 この災害現場といわゆる鉱務所といいますか、その間の災害報知、災害連絡の方法なのですが、これは新しいところですからどういう施設があったのか知りませんが、電話施設があったのか、あるいはまた特別の出水報知機といいますか——たとえば上清炭鉱の災害があった場合出水対策についてものすごく国会でも論議され、本委員会でも中央保安協議会でも、この点が取り上げられたと思うのです。したがって、そういう施設が新しくできないのか、そういう災害現場の災害報知についてはどういう態勢にあったのか聞きたい。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 海底炭鉱でございますし、区画採炭をやっておりますが、警報関係につきましては、坑外の事務所と坑内詰め所と、それから作業現場の要所に電話連絡、ブザー、それからメガホン等で連絡し合う、そういうふうなものがついておるわけでございます。先ほど報告しました四月九日の退避訓練も、これらを動かしまして、何十分で出られるかというようなことを検査し、また日ごろの習慣づけの訓練にも資したわけでございます。ところが残念なことには、先ほど非常におわかりにくかったと思いますけれども、詳細に、罹災した者また避難した者の退避状況を申し上げたわけでございますが、その状況下におきまして、結局係員に連絡して係員から使いを走らせた、そういうことで、これではどうもブザー関係なんかも動いてないではないか。しかしこの狭い区域におきまして、結果的には係員が全部を統率して避難させまして、係員が最後に見て回って、右八片、九片の区域は全部退避ができたわけでありますので、ブザーを一度に鳴らしまして、あちこちに顔を出してくるというようなことがはたしていいのかどうかというようなことも再検討する必要があるだろうと考えるわけでございます。  それからもう一つは、そういう問題は再検討いたしますけれども、そういう施設を設置しましても、非常な混乱時において精神的に、そういうものを動かすというような訓練がまだ不十分ではないか、結局動かさないでそういう者を走らせている。これは何べんも何べんも繰り返し訓練をやって、万一の場合も無意識のうちにそれにしがみつくというような形をつくり上げなければ十分ではないのではないか、かように考えられる次第でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 まだ救出されていない十五名のうち、組夫が九人であって直轄従業員が六名、一応合計十五名の罹災者ということになるわけですが、その十五名のうちに保安係員が含まれておるのかどうか、その点はどういう区分になっておりますか。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 この担当係員は、先ほど詳細に申し上げましたように、当日の担当係員が欠勤をいたしまして、その代番として出ていったわけでございます。そのためにまた係員も、火薬をとっていくとか、そういういろいろな問題を指揮し、そうして三番方の係員も面交代で連絡をし合って、そうして坑内に入ってきた。また、小払の撤収関係の二名は採炭現場におりましたけれども、ゲート関係と、あるいはまだ十分な作業態勢に入っていない——七時の繰り込みでございまして、九時十分に発生しておりますが、一時間ちょっと現場までかかる、こういう状況でございまして、係員がちょうど右七片坑道の手前のところに来たときに災害の知らせを受けたわけでございます。そのために、一ぺんは災害現場まで直行しかかって、とても行けないということを判断しまして、ほかの切羽の者との連絡のために引き返していって自分も避難した。それからまた他の二名の係員がおりましたが、これも七片、八片の方面の係員等でございまして、これもその方面を引率して避難した。そのようなことで、係員がほとんど現場の指揮をとっていなかったのじゃないか、こういうような面で私どもも調べてみましたが、事情はたまたまそういうふうな事情になっておったようでございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 私はこの面が非常に重要だと思うのです。というのは、その前の日、六日でありますが、五日からその切羽ができて、六日に天盤がゆるんで非常に危険な状態になった。そこで三番方から撤収作業に入った。そして七日の一番方のときにこの事故が起きておるわけですね。少なくとも五日に切羽ができて、六日に今度は危険で撤収しなければならぬということは、非常な異常な状態である、こういわなければならぬわけですね。にかかわらず、この作業の指揮監督あるいは係員の交代が現場で行なわれないということは、保安管理者として若干問題があるのではなかろうか、こう判断されるわけですね。実情は今私が申し上げたそういう理解で大体よろしいのでしょうか。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 結局毎分三立米程度の水が出てきたということに対する危機感の認識というものが一つあったと思います。本来これは、水が出たというよりも、先ほども御報告しましたように、重圧のために採炭が困難である、こういう方面から撤収に移らしたわけでございまして、普通だったら二十名程度入っている切羽に、わずか二名しか入っていない、それからゲートのほうに六名程度いた、こういうふうな関係でございまして、私どもからいたしましても、水に対する切迫感を持ったならば、これは当然係員が撤収関係を指揮しておらなければならなかったのではないか、かように考えておるわけでありますが、単に重圧だけに目が向けられて、切羽を撤収するというようなことからもう大きな人数も入っていない、しかも、たまたま係員が欠勤しまして代番者がそこについたというような二つの現象が重なり合って、係員が罹災者の中に含まれていないというような、むしろ一般からすると非常に類例の少ないような状態を呈したのではないか、かように考えられるのであります。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 その点は、いずれ現地に調査に参りますから……。  そこで、この炭鉱の労働者の構成の問題なんですが、組夫と直轄従業員とはどういう構成になっているのでしょうか。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 労働省の監督課長から……。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 労働者数といたしまして、在籍が六百十六名。長欠が二十三名で、実働が五百九十三名という報告を受けております。それから下請と申しますか、組夫関係が、坑内におきまして二百三十四名、坑外が二十二名、計二百五十六名、こういう調査報告を受けております。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 これは、五百九十三名のうちの二百五十六名が組夫、こういう理解でいいですか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 外数でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 聞くところによりますと、この炭鉱には労働組合がないそうですか、ないのですか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 未組織でございます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 一万五千トンとか一万七千トンも出す炭鉱で労働組合がないというのは、ちょっと日本でも珍しいのじゃないですか。中小炭鉱の右翼で、どういう組合であっても、組合の形骸すらないというのはちょっと珍しいと思うのです。昭和十二年に開鉱されている炭鉱で、戦後ずっとこの炭鉱は継続されておるわけですね。労働組合についてはどういう経過をたどっておるのでしょうか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 ただいま調査資料というのが、実は電話で聞いたものでありまして、詳細な資料が間もなく参ると思いますが、この組合の成立過程その他につきましてはただいま承知しておりませんので、後刻調査して御報告いたします。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 そこで私はお尋ねしたいのですが、この炭鉱には当然保安規則に基づいて保安規程があり、さらにまた保安委員会もあると思うのです。そういう規程の届け出はいつ行なわれ、どういう形式で行なわれたのか、労働者の意見はどういう形でつけられて保安規程が認可になったのかと  いう問題と、保安委員会については、どういう構成で、その開催状況はどうなっておりますか。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 保安規程は当然届けられておりますし、保安委員会も開催しておるわけでございますが、この保安規程は保安法の施行の昭和二十四年に保安規程を届けさせるような制度にしたわけでございますので、おそらくそのころに行なわれ、その後何度か改正も行なわれておるかと思いますが、日時等につきましては、後刻また調査いたしましてお知らせいたしたいと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 この点は残念ながらはっきりしないわけですけれども、ただ今のお話を聞いておりますと、いわゆる炭鉱においての保安法、保安規則というのは、これはやはり大体こういう危険な職場環境でありますし、労働組合というものは常に存在しておるという想定に立って現在の法体系があると思うのです。大体そういうことだと思います。ですから、約六百名の従業員がおり、組夫が二百五十名もおる炭鉱で労働組合が存在をしていないというのは、わが国における七ふしぎの一つに数えられるのではないか、こう私は思わざるを得ないわけです。  そこで労働省としては、こういう特に地下労働で、危険な作業で、しかもこういう膨大な従業員をかかえるところで労働組合がないという場合には、当然行政としても、組合を結成させるという指導がむしろ行なわれるべきではないか、こう私は常識的に理解をするわけです。したがってそういう点については、現地の県の労政関係の問題になるのでしょうが、本省としてはそういう点については、この炭鉱のみならず、そういう炭鉱があれば、むしろ組合を結成させるということを行政的に指導すべきではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 実は私の所管でございませんので、責任ある答弁はできませんが、組合の組織、そのことについてのいろいろの指導勧奨ということになりますと、やはり労資対等、また労働省としての中立性ということから、ただいま先生が御指摘になった点について直ちにどういう具体的な指導対策をとるかということについては、実は慎重にやらなければならないと存じます。ただいま御指摘されました点については、労政局ともいろいろ相談いたしまして、後刻御回答したいと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 いわゆる労働行政の中立性であるとかなんとか、これは労働組合というものは法で結成が認められておるわけですから、組合をつくるということは、戦後政府が積極的に指導して組合を結成させたものなんですね。今日の近代的な労使関係においても、組合がなかなかいろいろな条件でできない場合は、組合が結成できるように行政指導するというのが、私は近代労政の常識ではないかと思うのです。そのことと中立性とは私は関係がないと思うのですが、どうもその点労働省にそういう考えがあるとすれば、私は重要問題だと思うのですが、これは何かのお間違いではないでしょうか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 組合法の精神にのっとりまして、企業について具体的なそういう問題についての指導その他は、やはり労働省というものの立場から、具体的な指導に入るということについては慎重に考えていかなければならぬ問題だというふうに存じております。何分にも私からお答え申し上げるべき問題ではございませんので、御了解いただきたいと思います。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 いずれ現地調査に参りますから、あまり詳しくはどうかと思いますけれども、特に最近の保安情勢ですね、炭鉱における保安事情なんですが、災害が増加しているのではないか。これは重傷、軽傷、中傷もあるでしょうけれども、重要災害はしばらくあまり大きいものはなかった。しかしながら、概して保安状況は決してよくなっていないと思うわけです。炭鉱の近代化、合理化がずいぶん推し進められておるわりあいに、災害率というものは一向に減らない。もちろん統計のとり方はいろいろあるでしょうけれども、出炭当たりでは今日とるべきではないと思うのです。労務者の構成そのものが変わってきていますからね。稼働人員当たりをとれば、ずっと上昇傾向にあると思う。この点について、特に最近の保安事情に対してどういうお考えを持っておられるか、お聞かせ願いたいと思います。

八谷芳裕通商産業鉱務監督官(鉱山保安局長)

○八谷政府委員 ただいま御指摘がありましたように、死亡災害は非常に減ってまいったわけでございますが、重傷、軽傷は依然として横ばいを続けておる状況でございます。本来でございますと、近代化が進めばそれだけ坑内条件はよくなるはずでございまして、重傷、軽傷も死亡と同じように減ってくれれば非常に幸いでございますけれども、災害発生の件数も横ばいでございますし、したがいまして重軽傷の総数も横ばい状態。ところがただいま御指摘のように、労働者数はぐんぐん減ってきているというような状態から、たとえば百万人当たりとかいうような労働者率に直しますと、逆に非常に増加をしてきている、こういうふうな状況になるわけでございます。昭和三十三年は百万人当たりが六百三十五人でございましたが、三十六年は八百十八人、三十七年が九百十七人、ちょうど五年前の三十三年と三十七年を比較いたしますと、四四%の増になっているわけでございます。ただ死亡者数は、昭和三十七年は四百九十一人でございます。また本年一月から四月までの状態もこの四百九十一人をさらに下回り、前年に対しまして二十九人の減少を示しておりますが、重軽傷につきましては以上のような状態でございます。ただし、非常にこまかくなりますけれども、損失日数は減ってきているというようなことから、同じ重傷でも若干軽くなってきている。これは機材の運搬等による災害が増加している傾向ということからも見受られるのではないかというように考えます。

岡田利春日本社会党

○岡田(利)委員 そこで私は質問の最後として、いま質問した中でも、もう少し炭鉱の近代化、合理化に見合った保安対策が必要であると思うわけです。先ほど申し上げたように、わが国の産炭構造は漸次海底産炭がウエートを占めるようになってきている。前から問題になっているのですけれども、いわゆる海底ボーリング船を建造するという問題があるわけですが、いまの炭鉱で自力でボーリング船を建造するということは不可能だと思うのです。ビルドアップ炭鉱では海底に対するウエートはだんだん大きくなってくるわけですが、いまから船を建造しても、一カ月や二カ月ですぐできる問題じゃないので、この問題はやはりいまこそ取り上げて実施に移すべきじゃないか、実現すべきじゃないか、こう私は考えるわけです。この点特に十分検討してもらいたいと思うわけです。  第二の問題は、災害はむしろ漸次増加の傾向にあるわけです。たとえば諸外国では、地下たびをはいて炭鉱の坑内で作業しているところはなく、みんな皮ぐつをはいて、いわゆる安全ぐつをはいてやっているわけです。足の災害というものは非常に多いわけです。坑内の条件が、漸次鉄化してまいりますから、手足の負傷が非常に多くなってきているわけです。一部すでに安全ぐつを採用している、意欲のある企業もあるわけです。私はやはり保安対策の見地からみれば、炭鉱の近代化と見合って鉄化されていくわけですから、当然そういう保安装備というか、この面の完備をすべきではないか、必要であれば規則の改正もすべきではないか、そういう時期にきているのではないか、そう思うわけです。そういう点について、災害の原因別に対策を検討すべきであるし、またそういう機関に対してその面の研究を大いにやらせるということが、第二の問題として必要ではないか、こう考えるわけです。  それから第三の問題として、出水対策その他防爆対策、あるいは通気対策について、先ほど申し上げましたよう一に、どうもこの面が留守になる。とにかく企業の採算性というものが優先するものですから、この面がどうしてもおくれるという傾向がある。この面の管理を的確に判断していく必要があるのではないか、こう思うわけです。  それと最後に、現在法改正が出されておりますけれども、保安関係につきましては、保安法に基づいて特別に保安協議会というものがあるわけです。しかしながら、炭鉱の近代化を進めていく場合に、保安対策の面というものをある程度織り込んでいく必要があるのではないか、こう実は考えるわけです。ですから合理化計画をつくる場合に、当然保安的な見地という面をチェックすることを考えなければいかぬじゃないか。施業案についても、いろいろな面について計画的にやる必要があるのではないか。この面は、局と局との間でうまくいっている、こう言われるかもしれませんけれども、そういう合理化計画を組む場合に、保安の面から見た場合どうなるかということで、計画に対しては一元化する必要が出てくるのではないか、こう実は思うわけです。この点についてはこれから十分検討をしていただきたいというとこを要請申し上げておきます。  あと、いずれ災害調査から帰りましたら、またあらためて質問することにしまして、これで終わります。      ————◇—————

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 この際、委員派遣承認申請に関する件についておはかりいたします。  先刻政府よりも報告のありました山口県小野田市の大浜炭鉱の不幸なる出水災害事故につきまして、この際現地に委員を派遣しその実情を調査するため、議長に対し委員派遣の承認申請をいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 御異議なしと認めます。よってさように決しました。  なお、派遣委員の人選、派遣期間等、すべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

上林山榮吉自由民主党

○上林山委員長 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  次会は明後十六日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十一時五十八分散会

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