石炭対策特別委員会 第6号
- 発言数
- 73 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/02/19
会議録
○神田委員長代理 これより会議を開きます。 委員長が所用のため、指名により私が委員長の職務を行ないます。 内閣提出、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案及び炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題として、前会に引き続き質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 先日質問をしておりました買収炭鉱における勤続年数の調査をお願いしたわけですが、どういう状態になっておるか、御説明願いたい。
○中野政府委員 後ほど資料を御配付申し上げますが、ちょっと口頭で申し上げますと、昭和三十五年の九月から三十八年の一月末までの買収炭鉱の離職金の受給者の勤続年数でございますが、三年未満の者が全体の四七%、五年未満の者が全体の二〇%、七年未満の者が一二%、十年未満の者が九%、十五年未満の者が八%、十五年から二十年までの者が三%、二十年以上が全体の一%ということになっておりまして、全体の一人あたりの平均賃金は五百三十八万円何がしということの実績になっております。
○多賀谷委員 今回提出されております石炭鉱業合理化臨時措置法の、いわゆる従来の離職金に加算をする分につ一いて、これは保安臨時措置法でも同じでありますが、一体「省令で定める基準」というのはどういう基準を想定されておるかお知らせ願いたい。
○中野政府委員 現在考えておりまする政令の内容及び通産省令の内容でございますが、まず最初の「政令で定める場合」といいますのは、離職者が解雇されたとき受ける退職金の額が三十万円に達しない場合、または退職金がない場合を考えております.勤続年数に応じまして「通産省令で定める金額」というようになっておりますが、これにつきましては、勤続年数が三年未満の場合は加算金額は一万五千円、三年以上五年未満につきましては加算金額が二万円、五年以上十年未満につきましては四万円、十年以上十五年未満につきまして六万円、十五年以上二十年未満八万円、二十年以上につきましては十万円というふうに考えております。なお、「政令で定める金額の範囲内のものに限る」ということになっておりまする意味合いは、会社の方からもらう退職金と事業団の方から出しまする離職金の加算金額との合計が三十万円以下になるという意味合いでございまして、すなわち会社からもらう退職金と事業団から出ます離職金の加算額の合計が三十万円をこえたときには頭打ちをする、それだけ事業団から出る加算金額を減らす、三十万円で頭打ち、こういう意味でございます。
○多賀谷委員 調査団が十万円の離職金を加算するという場合には、少なくとも大部分の労働者に十万円というものが行き渡らなければならぬと思うのです。ところが今政府が考えております金額というのは、実際調査団が考え、また国民一般が考えておったよりもきわめて少なく、羊頭狗肉の感があるのです。とにかく二十年といいますと、中小企業で、二十年たって三十万円という退職金のないところですよ。大臣、ちょっと聞いていただきたいのですが、こういうところの労働者はほとんど二十年という労働者はおりませんよ、事実上皆無です。大体中小企業の勤続年数の平均というのは、率直にいって二年半くらいじゃないか。すなわち、十八社を除くその他の統計に出ております勤続年数というのは、四年少しです。しかも今までの買い上げ炭鉱、昭和三十五年九月一日から昭和三十八年一月三十一日までというのは、かなり大手十八社がこの中には入っておるわけです。でありますから、今予定をされておる二十年で三十万円以上の退職金のないところといいますと、きわめて小さなとは言いませんけれども、少なくとも中の中から以下ですね。ですから十万円というのが、そういう場合に二十年勤続だというこの規定は、実際上はほとんど期待をすることのできない金額になる、一体何のためにこれをやるのかということになるのです。これは更生の道であり、再就職への準備の金でなくてはならぬですね。ですから、今お話しになりましたような状態になるならば、全く意味をなさない状態です、少なくとも勤続年数三年未満というのが、実は四七%も現在の買い上げ炭鉱にもあるわけですから、この買い上げ炭鉱の中には大手も入っておる。そうしてこの買い上げ炭鉱の中には規定外のものがあるわけですから、実際は五〇%以上が三年未満と言わざるを得ないのですね。そうするとその人は結局一万五千円、こういうことになると、もう一万五千円と書いた方がはっきりしているのです。十万円やるのだといっても、実際は一万五千円くらいにしかならぬ。私はこういう政治はないと思うのですが、大臣はどういうふうにお考えですか。
○福田国務大臣 御趣旨はよくわかるわけでございます。ただしかし、石炭の離職者に対しましては、約三年を切って相当手厚い保護措置をやはり講ずるということになっておりますので、そこでこの離職金の問題につきましては、三十万円ももらえないような人があったら、これは気の毒ではないか、五十万円もらえないでも気の毒ではないか、これはもちろんそういう気の毒という意味で考えていけば、いろいろ気の毒な面がありますが、しかし三十万円ももらえないでは幾ら何でも気の毒だ、だから三十万円もらえない人については国としてもできるだけの保護措置を講じてはどうか、こういう考え方で立案をいたしたわけでございまして、離職をされる人に対して手厚い保護をできるだけした方がいいじゃないかというお考えには、われわれも同調できる面があります。しかし、これはまたほかの産業とか、あるいはその他の問題等もにらみ合わせて考えると簡単に御趣旨に賛成するわけにもいかないと思っておるわけでございます。
○多賀谷委員 これは、三十万円というお話をされますけれども、この加算金を合わせて三十万円になるという労働者はほとんどいないのですよ。少なくとも今対象になろうとする炭鉱、これには実際は退職金がないのがかなりある。もらってもほんのわずかです。これらの炭鉱というのは、一般の工場労働者その他で考えるような状態ではないと思うのです。ことに保安で勧告をして閉鎖する炭鉱も、同じような適用を受けるわけですからね。ですから、今彼らが頼んでいるのは、離職金が一番大きな再建に対する財源です。現在の三十日分でもそうなんですよ。現実は賃金未払いがもう続いているのです。その賃金の未払いも全部もらえないでしょう。それは買い上げ代金のワクの二〇%ですから、賃金の未払いももらえない。 私は例をあげましょう。かつて加茂炭鉱というのが買い上げになった。退職金を含めて、労働者の債権が千九百万円あった。そうしましたところが、大体三千五百万円程度の買い上げ代金だった。鉱害を圧縮し、圧縮してやっと四千万円程度にこぎつけた。もう鉱害で全部なくなるわけです。そこでその労働者は結局百五十万円程度しかもらえなかったわけです。ですから結局、退職金も何ももらっていない。賃金の未払いをもらえば上等というところです。ですから、こういう労働者に何か役所が三十万円というものを想定して、二十年勤続して十万円やるのだ、こうおっしゃるけれども、実際の炭鉱の実情というものはそういうものでない。ほとんどもらっていないのですからね。買い上げられる時点よりも前の状態を見れば、賃金未払いが続いているわけでしょう。ですから、ほとんど退職金はもらえない。そういうところの労働者はどのくらいかというと、平均が少なくとも三年くらいの勤続年数です。ですから結局一万五千円ということになるのです。ですから、通産省の当局は、大臣は御存じないかもしれませんが、役人というのは非常にけしからぬと思う。こういう実情が十分わかっておりながら、何か、三十万円退職金がもらえるのだろう、それで、頭打ち三十万円で、そして二十年たったら十万円やるのだ、こういう全く架空の数字を持ってくるというのはけしからぬと思う。そういう状態であるならば、何もわざわざ十万円ということを答申に出す必要がないですよ。この十万円は、少なくとも退職金を含めて本人に手渡したいという意図ですからね。これは一つ大臣から答弁を願いたい。役人は大体知っておってこういう基準を書くのですからね。私はもう質問をしたくない。大臣どうですか。
○福田国務大臣 これは専門家の多賀谷さんにはわかっていただけると思うのですけれども、三年未満の人には、やはり三十日分といえば、かれこれ一万五千円は一応もらう。そういう場合において、その上にまた何らかのものを与えよう、こういう意味で、これは他の方との比較をいろいろ考えて出した数字であります。しかし、せっかく多賀谷さんがそういうことを言っておられるのを、私が全然一顧だに値しないというような答弁をすることはいささかどうかと思いますので、もう一ぺん事務当局に検討させたいと思います。
○多賀谷委員 これは善処をお願いいたしたいと思います。 そこで、この離職金というのは、租鉱権者の労働者はもらえますか。
○中野政府委員 お説のような場合も、離職金は出ることになっております。
○多賀谷委員 租鉱権が買い上げられなくとも出ますか。
○中野政府委員 石炭鉱山整理交付金の対象になる山につきましては租鉱権の場合であっても、租鉱から離職される方には出ることになっております。
○多賀谷委員 それは、租鉱権も採掘権もともに整理交付金をもらう場合でしょう。
○中野政府委員 その通りでございます。
○多賀谷委員 鉱業権者がもう買い上げの事前に租鉱権をつぶして、買い上げの申請をしたらどうなりますか。
○中野政府委員 お説のような場合につきましては、石炭鉱山整理交付金の対象になる場合に限定をされますので、さらによく研究した上で正確にお答えしたいと思います。
○多賀谷委員 おかしいでしょう。採掘権者が租鉱権者に金をやりたくないから抹消するわけです。そして買い上げの申請をする、こういう例は多いのです。それは一体もらえますかということです。
○中野政府委員 問題が非常に微妙でございますので、担当の責任者をすぐ呼びまして正確に御返答申し上げます。
○滝井委員 ちょっと関連して。Aという炭鉱がございまして、その租鉱権者Bというのがあるわけです。そうすると、その租鉱権者のBが保安の臨時措置にかかってしまうわけです。そうしますと、Bの出炭が、あれは三年ですか、三年以下の可採炭量しかないときには、これは自然に死んでしまう。保安にもかからないし、買い上げの対象にもならない。そうすると、これは一体どうするかという問題が出てきたわけです。これは法案には書いてないのです。そういう場合を予想されていない。ところが、現実に起こってきた。そこでこれをどうするかということでいろいろした結果、これは大蔵省と当時の今井さんが折衝をして、八谷さんもいらっしゃいますが、離職金をやることになったのです。これは特別なケースだった。ほんとうはそれを救おうとすれば、このAの租鉱権者であるBについても、同時に保安にかけたらよかった。ところがそれが大蔵省と石炭局との間にいろいろ交渉の過程で三年以下のものは保安にかけませんという内規があるわけです。内規というか、予算編成上の内輪の話し合いがあるわけです。ところが、こんなものは世間は知らないわけです。当然これはかけてやるべきだ。かけなければ、そこの労働者は離職金ももらえなければ、そこの鉱害の被害者は何も受けないことになるという問題が出てきた。そこで、これはやはり今後やらなければいかぬ、こういうことになったわけです。そうしますと、そのものには、この前私が質問したように、五年以下の可採炭量しかないものは買い上げの対象にならぬ、ニュー・スクラップの対象にならないけれども、今後はそれについては考慮するという言明を大臣がした。同時に労働大臣は、そういうものについては明らかに救職手帳を上げますと、こうなったわけです、救職手帳をもらえば、これは普通の労働者とちっとも変わらぬから離職金も出さなければならぬことになる。今後そういう炭鉱も買い上げの対象になるわけです。当然保安の臨時措置においても、そういう場合は救ってやらなければならぬ、こういうことになるわけですよ。そうすると、これは退職金もいかなければならぬ。理論的に当然そうなるのです。これは専門家に聞かなければならぬではなく、ここであなたが一番の専門家ですからね。労働省はこの前の私の質問で、明らかに救職手帳を出しますということを言明したし、大臣も、五年未満の可採炭量しかないものについてはニュー・スクラップを今後検討します、こういう答弁をしているのですから、これは租鉱権についても当然やらなければいかぬ。買い上げられるとか買い上げられないとかいうことは関係ない。合理化というのは買い上げるだけではない。石炭の値段をどんどん下げていったらやっていけないから、合理化にかかるわけですよ。もしそういう炭鉱を許せば、そういう炭鉱がダンピングをやったら石炭市場はだめになってしまう。だからこれは自然につぶしていくが、同時に、その労働者は救済をする。雇用計画にもこれは乗ってこなければならぬ。これは乗ってくるわけでしょう。雇用計画に乗らぬことになったら大へんなことですよ。だからこれは当然雇用計画に乗ることになる、どうです、これは。雇用計画に乗れば、当然あなたの方も出さなければならぬことになる。
○福田国務大臣 御承知のように石炭の問題は、こういう問題は初めてのケースでございまして、いろいろこの新しい法律の解釈の問題とかその他の問題で、また実情等ともにらみ合わせてやっていく必要もあるわけでありますから、私はやはり今政府委員も申し上げた通り、この際あなた方にお答えをしないで、やはりこういうものはそういうことが出た場合には、よく研究した上で筋を通すやり方をしていく方が私は正しいと思うのでありまして、しばらく待っていただきたいと思います。
○滝井委員 これは新しい場合ではないんですよ。今までも離職金を払っているのですからね。その払っている状態をお聞かせ願いたい。これは加算金ですから、離職金を払わないで加算金だけやるわけにいかぬでしょう。ですから、今の話は新しいのじゃないんですよ。加算金の方は新しいけれども、離職金の方は今まで三十日出ているのですから。
○福田国務大臣 政府委員が先ほど答弁した範囲内においては、やはりよく研究した上で答弁させていただきたいと思います。
○滝井委員 そうしますと労働省にお尋ねしますが、そういう場合は救職手帳をおやりになるのでしょう。
○北川説明員 今回の法律改正で救職手帳の対象となりますのは、ビルド・アップ、スクラップ、あるいは自閉、そういうものを含めまして、非常に広く、合理化の犠牲になる者を対象として求職手帳を発行いたします。御指摘のようなものは、当然求職手帳の対象に含まれるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、今の場合を少し縮めていけば、今後は離職金をもらう人は全部十万円の加算がつきますか。それはつくと言ってもらえればいいのです。
○中野政府委員 石炭鉱山整理交付金をもらって山を締めて、そこから出る離職者に対しては、離職金が出るわけでございます。今のは三十五条の七の運用解釈の問題だと思いますので、今大臣が御答弁になりましたように、出てきた事例に応じて適宜ケース・バイ・ケースで処理したいというふうに考えております。なお離職金がもらえる者には、今度の法律が通りますれば、もちろん加算金が全部もらえるわけでございます。
○多賀谷委員 ケース・バイ・ケースでやるような性格のものじゃないでしょう。これは個人の権利関係ですからね。それは、私が頼んで何とか入れて下さいというような個人的な話ならともかくとして、その人のもらえるかもらえぬかという支給条件は権利関係ですからね。これはいいかげんであってはならぬわけですからお尋ねをしておるわけです。ですから問題は、ケース・バイ・ケースということではない。結局その租鉱権者の労働者はどうなるかという問題です。あなた方が知らないような租鉱権者が幾らでもおるということです。それは租鉱権者であるか、斤先であるかという問題も残る。ですからあなたのように、整理交付金をもらうことによって整理をされる労働者であるということならばいいですよ。租鉱権者であろうと、採掘権者であろうと、あるいは斤先であろうと、請負であろうと。これならけっこうですね、一体どういうような解釈なんですか。
○中野政府委員 これは合理化法の三十五条の七に、はっきり条件が書いてございます。この条件に合致するかどうか、それを出てきた事例に応じて十分審査して、できるだけ整理交付金の対象にしてやることが実際に適合しておりますので、そういう意味合いで運用して参りたいということを申し上げているわけでございます。
○多賀谷委員 そうすると要するに、採掘並びに付属する選炭並びにその他の業務に従事した労働者、こう解釈していいわけですね。
○中野政府委員 その通りでございます。
○多賀谷委員 そういたしますと、組夫もいいわけですね。組夫も従事しているわけです。
○中野政府委員 三十五条の七の今多賀谷先生がお読みになりました石炭の採掘及びこれに附属する選炭その他の業務に、交付金の交付の申請の日前三月以上引き続き従事していた鉱山労働者ということの解釈は、在籍の、いわゆるその山の使用人というふうに今まで解釈いたして運用いたしております。
○多賀谷委員 在籍の山の使用人というのがわからぬわけですよ。山にはいわゆる採掘権者の使用人もおるし、租鉱権者の使用人もおるし、組夫というのもおるのですよ。仕事はあまり変わらないようなことをやっているわけです。ただ雇用主が違う。仕事は変わらない。それから整理交付金をもらって閉山をすることも同じ。ですからこれは画一的に要するに、その作業に従事しておる者は、雇用主のいかんにかかわらず離職金をやるんだ、こう解釈されればはっきりするわけですが、どうですか。
○井手委員 ちょっと答弁をする前に、はっきりしておいた方がいいから、関連で一言。 昨年の十二月十二日の予算委員会で、その点ははっきりいたしておりますから、間違いのないように、参考のために申し上げておきます。間違わぬように、私は親切に申し上げております。
○中野政府委員 今御質問のようなケースにつきましては、その法律の解釈と従来の運用の問題でございますので、十分過去の実例等もよく調査をいたしました上で御答弁申し上げたいと思います。
○井手委員 今の答弁、それは納得いきませんよ。昨年の十二月の十二日に大臣から明らかに、組夫も入りますという言明があっております。間違いございません、まず見てから御答弁なさい。
○中野政府委員 それでは昨年の十二月十二日の予算委員会の答弁をさっそく調べまして、調査した上でお答えしたいと思います。
○多賀谷委員 こういうことははっきり認識しておかれないと、労働者の方は非常に困るんですよ。われわれは具体的の例をいろいろ知っておりますけれども、申し上げませんが、非常に困っておるという現実ですから答弁願いたいと思います。 そこで私は、整理交付金の算定の方法というのが実に問題だと思うのです。というのは、石炭鉱業合理化臨時措置法ができた当時と、今の事情とは非常に変わっておるのです。変わっておるにもかかわらず、依然として同じような算定方法でいかれておるところに問題がある。第一、鉱区の量を調べて、可採炭量がどのくらい、実収炭量がどのくらい、安全炭量がどのくらいあるという、放棄をする炭鉱の鉱区の鉱量によって差をつけるという考え方は、おかしいでしょう。要するに、今の時代はそういう時代じゃないと思う。封鎖をするものに価値がありますか。封鎖をするような炭鉱の鉱量というのは、これはむしろ国民のものですよ。その鉱量に価値をつけて、そして多く持っている炭鉱の場合は非常に高い、それから長く稼働した炭鉱の場合は、鉱害施設その他がかなりあっても安い、こういうこと自体が問題じゃないですか。今の状態の中で、整理基金を出すその算定の方式というものが、問題じゃないかと思うのです、これは一つ大臣、常識的にどういうようにお考えですか、炭鉱をやめるわけですけれども、やめるのに、お前のところは鉱量が非常に多いからといって高い値段をつける、お前のところは鉱量が少ないからといって、労働者は非常に多いけれども、それは安いのだというものの考え方が、過去は別としてちょっと今の時点にはそぐわないのじゃないかと思うのです。
○福田国務大臣 お説でございますが、私は、労働者がそこに多いけれども、——いわゆる経済炭量は少ないが、労働者が多くいるところをやめさせる場合と、経済炭量は非常に多いけれども、労働者が少ない場合と、一緒に考えた方がいいじゃないかというようなお説のように聞き取ったわけでありますが、もしそうだといたしますと、私もやはり今後の合理化をしていく場合に、ある程度山にまだ相当なものがあるのとないのとでは、期待権といいますか、たとえば石炭なら石炭の値段が上がったような場合にはまだやれるという場合、そういうようなことがあってしかるべきだと思うのであります。そのときに、炭があるのとないのと一緒にしてものを考えていくというのは、かえって趣旨に沿わないのじゃないか。ただその場合において、そこに就職していられる労務者の問題を考えることは、これはもちろん平等でなければなりませんけれども、私はそこいら辺のところはいきさか差がついてもいたし方がない、こう思っております。
○多賀谷委員 私は画一的なことを言っているわけじゃないのですよ。ところが今の評価は、ほとんど鉱量によって左右されていると言っても過言でないのです。かつては鉱害施設を買いましたから、そのウエートもかなりあったわけですが、今は鉱害施設を買わないわけですから、坑道と鉱量一本でやっているわけです。それは非常に矛盾しているじゃないか。現に、合理化法による整理交付金の方が鉱山保安法の勧告による整理金よりも低い場合があるわけです。一方は保安をさぼって、政府の命令によって取りつぶす。一方はいわゆる合理化法によって買い上げてもらう。その買い上げてもらう方が、保安をさぼった方よりも低い場合があるという現実です。こういう矛盾をどういうようにお考えですか。
○福田国務大臣 これはやはりあなたと私の意見の相違になるかと思います。
○多賀谷委員 保安を非常にさぼっておりまして、政府がお前のところは非常に悪いじゃないかと勧告をする。しかしどうしても勧告を聞かぬものですから、政府が強権をもってつぶす。つぶして払う代金、この代金は、採掘権だと六百円です。本人が買い上げてもらいたいといって申請をする場合、これは何も保安をさぼったりしないのですよ。ところが、このものよりも、その整理交付金の方が高い。すなわち合理化法に基づく整理交付金の方が低いという場合がある。それは炭量について計算するからです。ですから炭量で計算すること自体、私はあるファクターとしては認めますけれども、ほとんどそれがウエートになっておるということは非常におかしいじゃないですか。問題は、鉱害が一体どれくらいあるか、債務処理にどのくらいかかるのか、あるいは労働者の未払い金がどのくらいあるか、債権がどのくらいあるのだということも、やはり一つの要素にならなければならぬでしょう。ただ鉱量一本でいくというものの考え方。私は死蔵される鉱区にそれほどの価値を認める必要はないと思うのです。これは一体どうですか。
○中野政府委員 今御指摘がありましたように、鉱山保安の臨時措置法によりまして買い上げる場合の基準と、合理化法によりまして整理交付金の対象になる場合と、基準が違っておりまして、今まではそういうことはなかったのですが、最近二、三、トン六百円以下の評価になるというケースが出てきておることは、お説の通りでございます。こういう場合につきましては、できるだけ実情に合うように運用をやらせるようにはいたしておりますが、やはり一定の事業団の買い上げの基準がございますので、この基準を直さないとなかなかうまくいかぬというようなこともございまして、今この問題について研究をいたしております。
○多賀谷委員 私は、ものの考え方として、死蔵する炭層の価値をいろいろ算定されておるけれども、それは一つの要素であるならば、私はいいと言うのです。しかし、これが大部分であるというところに問題がありはしないか。もう少し極端に言うならば、ものの考え方が大手万能ですよ。それは鉱区の明治以来の権限を、先願主義を依然として継承する形ですよ。膨大な鉱区を持って、設備はちょっとしかしていない。それを非常に高い金で買われるのですよ。かなりいい施設をしてやって、いかなくなったという場合は、鉱区の観念から見れば、私が申しました、前者よりも安い形ですよ。そういった矛盾を露呈をするような算定方式というのは、考えるべきじゃないかと思うのです。それは合理化法が出た当時は、御存じのように、いい炭鉱でどんどん能率を上げるために悪い炭鉱をつぶすのだ、こういう考え方でした。今もそういう考え方は残っておりますけれども、今の事情は違うでしょう。ほとんどみなお手上げをして、買い上げ申請をしているのですよ。ですから、死蔵する鉱区をそれだけ価値判断する必要はないと思う。しかも鉱区というのは、個人が努力をして買った鉱区じゃないのですよ。ほとんどが明治以来の先願主義による鉱区でしょう。ですから、この点は非常に矛盾しておる。現実に努力した経営者がもらう代金は、鉱区がないから意外に少ないです。ですから今の時点においては、保安法による勧告によって整理されるという時期ですから、もう少し考えなければならぬのじゃないか。一体どういうようにお考えですか。ただ保安法による整理金と、合理化法による整理金とのアンバランスの是正だけじゃないですよ、ものの考え方を変えなければいかぬのじゃないですか。
○中野政府委員 買い上げにあたっての算定のやり方等につきましては、いろいろな考え方があることは確かだと思います。しかし今までずっとこの方式でやってきておりますし、われわれとしてほかに今いい方式も見つかりませんので、従来の方式を踏襲しておるわけでございまして、今御指摘がありましたように、過去の事態に対する将来の利益というようなものを放棄するわけでございますので、これを炭量と坑道というようなもので評価をして買い上げておるわけでありまして、私どもは現在のところはこれが最も採用し得る唯一の合理的な方法じゃないかというふうに考えて実施してきておるわけでございます。いろいろ御批判はあろうかと思いますが、そういうことであります。
○多賀谷委員 たとえば立地条件だって非常に問題があるのですよ。あなたの方は山たけが幾らとか、炭が幾らとか、傾斜度が幾らとか、坑内のことだけを考えている。ところが北海道の山奥にある石炭は、これは価値からいうならば、遠くに輸送できないのですから、常磐や九州の石炭とは違うのですよ。それを一律に換算しているのです。ただ山自体のことを考えるからです。価値からいうなら、常磐の方が炭が薄くても、つぶすという価値から見れば、要するに市場が近いのですから、これは同じ一メートルの層でも、価値があるはずです。そういうことを全然考慮していない。あなたの方の価値だけを言うならば、それ自体に非常に矛盾があるから、これだけを金科玉条にする必要はないじゃないか、こう言っているのです。ですからファクターとして入れるのはけっこうだ、しかしこれがほとんどの要素になっているというのはおかしいじゃないですか、こう言っているわけです。
○中野政府委員 今御指摘がありましたような輸送の点等を入れたらどうかということも、なるほどごもっともな点があるように思いますが、しからばそれを実際に算定する場合にどういうふうに計算をするかというようなことについて、非常に恣意的に陥るおそれもありますので、できるだけ客観的な基準をつくって、公平にやるように運用をいたしておるわけであります。いろいろ御批判の点は承っておきたいと思います。
○多賀谷委員 承っても、直していただかなければ何もならぬ。それはぴしっとした基準を出せと私は言うのじゃないけれども、これはこれの矛盾がありますよ。しかも、これがほとんどのウエートを占めておるから問題だというのです。ですから、たとえば過去の出炭なら出炭、こういうような合理性のものだってあるのです。出炭というのは設備も入るし、人員も入るし、今までの努力も入っておるのですよ。ですから過去の出炭というものが、一つの大きな基準です。ところが、実際はそうではないでしょう。あなたの方が実際に評価する場合はほとんど鉱区ですから、こういう点は非常に問題がある。つぶしていく鉱区の価値をそれほど高く評価しなければならぬか、こういう点に私は非常に異議がある。かように考えて検討を願いたい。
○中野政府委員 われわれもできるだけ公正妥当な買い上げの基準というものを常に研究いたしておりますので、今先生が御指摘になりましたような点も、今後重要な材料として研究さしていただきたいと思います。
○滝井委員 今の点に関連があるのですが、実は今度のニュー・スクラップというのは、前の旧方式と違って、旧方式は炭住、土地、機械設備、全部買ったわけですね。今度は、鉱区、坑道だけしか買わないわけです。だからといって、評価は前とうんと開きがあるわけじゃなくて、前と大体変わらない。変わらないけれども、しかし今後炭鉱が撤退作戦をやるということになると、異常な鉱害その他の要請が出てくるし、それがどんなに小さい借金だって、これが最後だから、債権者にとっては取り立てなければならぬという力みが出てくるわけですね。そうしますと、今まで通りの千円か、いろいろ見積もって千五百円程度では、それらの現地における鉱害被害者なり、債権者なり、未払い賃金、退職金等の要望に応ずることができないわけです。そこで今度は炭鉱はどうするかというと、持っている社宅とかあるいは土地を売り払うことになるわけです。ところが炭鉱が隆々としているときは、炭住の価格は、炭住を一棟売るといっても、一棟が二十万とか三十万で売れたのです。ところが今では、鉱区と抗道が買い上げられてしまったあとの炭住というのは、鶏小屋にしか買わないのです。合理化事業団ですら、あとの炭住を一棟一万か二万にしか見ておらぬのです。今これを十万とか二十万で売ろうといっても、だれも買わない。そうすると、だんだん家屋の価格が下がってくる。それから土地の価格がだんだん下がってくる。今まで炭鉱のあったときには、そこに店を出せるので坪当たり千円か千二百円しておったのが、今、合理化事業団で炭鉱の土地を買うときに幾らですか、筑豊あたりで、坪当たり二百円かそこらでも買わないですよ。二百円か三百円です。こういうように、合理化事業団が買うときでもそうです。ところがそれがぺんぺん草のはえる野原になってしまったときに、合理化事業団の出すような金を人が出すかといったら、なかなか出さない。鉱業権者は開発銀行とか福岡銀行から差し押えられたままで持っている。がた落ちに下がるのです。そこでやはり評価の仕方はニュー・スクラップ方式と旧方式と違うところが出てきたので、別の方法でも、多賀谷君の立地条件だけでなくて、その持っている財産の価格ががた落ちに下がるという、ここをやはり見積もってやる必要があると私は思うのです。これは何も坑道だけ、鉱区だけがその価格ではなかったのです。一体をなしておったわけです、その一体をなした炭鉱をつぶすときには、土地は残るかもしれないけれども、今ではほとんど二束三文です。それは、志免炭鉱を評価をしたときに、ふろ場とか便所は帳簿価格一円になっておるのです。一円しか見積もっておらぬ。炭鉱がつぶれるときは、そういうものです。評価価格は一円です。それではあまりかわいそうです。そういう点をそこに持っておる固定資産というようなものを、やっぱり幾分かプラス・アルファに、今後検討されるときに、これはおたくの方の法律ではないのだから、事業団の業務方法書の中で自由に討議をして、これは正しいと思ったら閣議了解ができることでしょう。そこらあたりはもう少し中野さん、そういう点を考えてもらって、大臣に閣議で言ってもらうと、中小企業の代金その他の問題もこういうところから解決の糸口ができてくると思うのです。いろいろあなたも御苦心をされておると思いますけれども、そういう点、この法律が通るまでに、可採炭量一本やりでなくて、少しバラエティに富んだ評価の方法をぜひ検討してもらいたいと思うのです。期待しておりますよ。
○井手委員 関連して。先刻の離職者対策の問題、離職金の問題、十二月十二日の予算委員会で、私が今回の離職者対策は職員や組夫に及ぶのかという質問をいたしましたのに対して、国務大臣はこう答えております。国務大臣ですよ。「組夫につきましては、今年度はむしろふえておりまするので、離職者として特に上がってきておりません。しかし、職員の方は、今年度内において四月一日以降約四千人を見込んでおります。従って、職員につきましては、今回の対策によりまして、炭鉱労働者と同様の取り扱いをいたして参りたいと思っております。なお、三十八年度におきましては、組夫も約三千人くらい離職する者があるのではなかろうか。この見込みの三千人に対しましては、やはり炭鉱労働者として同じ扱いをいたして参りたいと思います。」こうはっきり言明をなさっております。おわかりになりましたでしょうか。
○上林山委員長 質問者にお知らせいたしますが、労働大臣はすぐ見えるはずになっております。一応発言を政府委員がお求めになっておりますから、これを許します。
○三治政府委員 労働省所管の炭鉱離職者臨時措置法の一部改正案これが通りますれば、昨年の四月一日にさかのぼりまして、山元における職員、それから組夫の関係につきましては、この前の臨時措置法から一般離職者と同じように扱うようになっておりまして、今回の改正におきましても求職手帳、それから手当の関係について同じように扱うようにいたしております。
○多賀谷委員 私は最近行なわれておる合理化の提案、これについて質問をいたしたいと思うのです。 先般も三井鉱山は美唄鉱業所四月一日、山野鉱業所九月三十日、田川鉱業所来年三月三十一日、それぞれ閉山をし、合理化事業団に買い上げを申請する、これを提案しております。一体こういう提案が許されていいかどうか。三十八年度分については、法律が通過をして、新しい合理化審議会ができて、その合理化審議会によって各地域別炭田別に出炭その他を決定して、それに沿うて各山において合理化を提案する、これが答申の骨子です。最も問題のところです。そうすると、今三井鉱山が提案をしている提案は、少なくとも三井鉱山だけで、三十六年度の統計を見れば、三山で二百五十七万トンです。今四百四十万トン三十八年度の予算を組んでおるけれども、もう二百五十七万トンは三井がその買い上げの申請のワクを食ってしまう。しかもそこに出てくる労働者は九千八十四名。しかもこれだけには終わらない。私が先ほどから質問しておるのは、租鉱権、組夫の話を聞いておるのは、ここです。問題は、三井山野鉱業所を一つ例にとってみても、単にそこの労働者二千五百六名だけではなくて、それ以上の労働者がその辺の租鉱権者としておるわけです。ですから、出てくる失業者というものは、きわめて膨大な数字になる。そういった問題に対して、大臣はどういうようにお考えであるか。まず、手続としてどう考えるか。それからこれだけ急ピッチにくる合理化計画に対して、どういうようにお考えであるか、これをお聞かせ願いたい。
○福田国務大臣 今までにも大体私たちの考え方は申し上げておると思うのでございますが、私は、いわゆる経営者が将来の経営の方針について労働組合と話しをしてはいけないというわけにはいかないと思います。それは私は、経営の内容について、してもいたし方がないと思います。経営の内容ということについて順次やっていきまして、どうしても経営が成り立たないから、こういうふうに自分としてはしたいのだというような話が出てくることも、私はやむを得ないんじゃないか、こう思っております。それまで私たちがそういうことを制限するということは、炭鉱国管に移したような場合ならばできると思いますけれども、私企業として一応認めている以上は、私企業が自分の範囲内で、将来の事業をどういうふうにしていくということを従業員その他と話しをしたからといって、われわれはこれに文句をつけるわけにはいかない、こう思うのであります。ただし、これを買い上げの対象にするとか、あるいは今回の法的措置の対象にする場合においてはどういうことになるかというと、従来申し上げております通り、たとえば三十八年度におきましては、審議会にかけて、炭田別地域別の計画をつくりまして、そして今度はそこで、事前のそういう話し合いがあったかどうか、事前にそういうことを話しておった経営者もあるだろうし、山もあるでしょう、あるいはそういうことをしておらなかった山もあるかもしれないが、いずれにいたしましても、その炭田別地域別の計画が定まった後において、正式に経営者と労働組合とが話をして、そして閉山をする、買い上げをしてもらおうということを申し出ることによって、これが最終的に実現される、こういうふうに解釈をいたしておるのであります。従って、たとえば三井なら三井でたくさん将来そういうようなものが出るであろうという想定だけで、私たちとしてはこの問題を云々するわけにはいかないと考えておるわけでございます。
○多賀谷委員 この答申は次のように書いております。「政府が、毎年度、石炭鉱業審議会に諮問する地域別炭田別の整備増強計画は、生産体制の合理化と体質改善を計画的かつ段階的に実行していくため、一定の枠と方向を与えるものである。各企業は、この計画枠と方向のもとで、それぞれ労使が話し合い、今後の具体的方針を決定すべきである。」こういうようになっておるのですよ。ですから私は、第一の問題としては、形式的にもおかしいのではないか。それは五カ年計画というようなものなら別として、三十八年度に三山を閉山しますよという計画は、これは将来の見通しの問題ではないのです。実質的にはこれは提案ですよ。四月一日から閉山をするという山を今ごろ出すのが、計画ですか、これは提案でしょう。しかもその提案が、今政府が考えているような政策を逸脱している。四百四十万トンのうち二百五十七万トンは、まず三井の方で廃山の申請をしますなんて言われると、これは大へんなことになりますよ。このほかに私が申します租鉱権が、これらの炭鉱にはみなついている。その租鉱権に、従事する労働者は、ほぼ本鉱員と変わらぬぐらいの人数がおる。一体これだけの膨大なものを昭和三十八年度にやろうとするその態度、これはどういうようにお考えであるか、二点お聞かせ願いたい。
○福田国務大臣 先ほども申し上げたところでございますが、われわれといたしましては、事前にそういうような、いわゆる予備的にそういうような話をしておるのだろう、こう考えているわけでして、そんなものを三井が幾ら話をしたからといって、私の方で審議会できめない限りは、一トンだって買っちゃやりませんから、それは御心配なく。
○多賀谷委員 大臣、あなたは買い上げだけのことをおっしゃっているけれども、三井の場合はたまたま買い上げですけれども、しかし整理の場合も含んでいるのですよ。
○福田国務大臣 労務者の関係について非常に配慮が足りなくなるのではないかという御趣旨だろうと思うのでありますが、その場合においては、われわれとしては十分にそれに見合うような雇用対策も含めて審議会にかけていくわけでありまして、それを無視して山でやろうとしても、われわれの方としては、それがその範囲を逸脱しておるということになれば、こちらは法律でできないわけです。それはあなたがよくおわかりの通りなんです。私たちは、そんなことをきめたからといって、それで承知しました、三井さんがそうおっしゃるからそうしましょう、こういうわけにはいかないわけなんです、そこのところはやはりちゃんと審議会というものがあり、また石炭関係閣僚会議というものがあり、あるいは閣議というものがあって、最終的に認めて初めてそこで効果が出てくるわけでありまして、その前にどういう山でどういうことをしておられるかどうかということを一々私たちが言うということになると、これは官僚統制で統制しているということになるのでありますから、そこまではわれわれとしては考えていくわけにはいかない、こういうことを申し上げておるわけでございます。
○多賀谷委員 単に買い上げだけでなくて、整理の方、これは三井とは違います。北炭その他で出ております。これらについても、今のはやはり正式な提案ではなくて、最終的な提案としては、審議会のその計画ワクとその方向のもとで、こういう答申通りである、かように確認してよろしゅうございますか。
○福田国務大臣 そういうことを言うておるのを、正式の提案とわれわれは認めていないということであります。正式の提案ではなく、その会社内でいろいろ話をしておることを、一々われわれの方で監督していくわけにはいかないと思うのであります。
○滝井委員 関連して、そこが認識不足なのです。一トンといえども、幾ら話し合ったって買い上げぬと言うけれども、買い上げてもらわなくていい場合が出てくるわけです。どういう場合かというと、まず労使双方が話し合ってしまう。これは資本家側の圧力で話し合いをやる。どういう工合にやるかというと、まず賃金の未払いをやる。賃金の未払いをやると、今度は、今労働者は配給所で物を買っているわけです。従ってその配給所の物が買えなくなる。そこで金券が出るか、あるいは、大手は金券のかわりに配給所で物を現物でとらせる。ボーナスも分割払いでやってしまう。そうなりますと労働者の方は、もうこんな山にはおれぬといって、見切りをつけてどんどんやめていき始めるのです。すなわち、やめていくということは、どこかつてを求めて就職をするか、もう失業保険をとった方がいい、こうなるわけです。そうしますと、残った労働組合と会社側がきゅっとやっちゃう。話し合っちゃうのです。そして話し合いがついてから、今度は会社はおもむろにニュー・スクラップなり旧方式で買い上げをやっちゃう。こういう方式をとるのですよ。これは大手でもみな今までそういう方式をとった。ここで名前を言うと語弊がありますから私は言いませんが、やっちゃったのです。そうすると、離職金をもらう者はどのくらいになるかというと、保安保持のための少数の労働者だけを残しておくことになり、それらの人たちだけが対象となる、いわゆる保坑だけをやればいいのだから、何々組という直轄の組を入れて、そしてポンプ・アップだけをやる、いわゆる水揚げだけをやるのです。そうするとその二、三十人だけが離職金の対象になって、何百人とおった労働者はぱあになるのです。何も対象にならない、こういう形をやるのです。これは三井でも、美唄なら美唄をこうすることができる。田川なら田川でもこうすることができるのです。こういう提案を大臣は簡単に考えておるけれども、政治的な影響は実に重大なのです。新聞でぱっと打ち揚げるでしょう、そうすると労働者は動揺しますよ。もう、反対だという決起大会をやっているのです。そうしますと、動揺しますと、気の短い連中は、もうやめたといってやめていきます。だからこそ、四月六日のあの閣議決定以来、労使休戦で労働者は月に三千人ずつやめたのですよ。お互いに解雇もやらぬ、ストライキもやらぬといっておったのだが、三千人ずつやめた。いわんや今のような提案を会社側が出すとすれば、もうそれは、その買い上げを待たずしてやめてしまう。会社側は七十万くらいの特別退職金を出します、こうなりますから、もう早く現金をもらって行った方がいいということになる。なぜならば、大正鑛業みたいに、ぐずぐずしておったら退職金の出ないのも出てくるぞということになる。だから、これは官僚統制でも何でもないのです。有沢調査団の答申が出て、その答申を今から実施しよう、審議会を改組しようとする前に、会社で勝手にどことどこを今年つぶすのだ、こういう提案というか発表をすること自体が、これは政府に対する反逆ですよ。官僚統制ではない。政府に対する反逆以外の何ものでもないと思うのです。だから、こういう不安な状態を炭鉱につくるということは、朴政権よりかもつと悪いですよ。池田内閣は、朴政権よりかもっと悪い。だからこういう点は大臣、もう少し実情を御調査になって、そして実態を見てもらわないと困る。買い上げの対象にならぬうちに、山はつぶれてしまうのですよ。私は今全部調べておりますから、いずれ私の質問の番になりましたら、一つ一つやりますからね。だから、それはやはり順序よく、外へ発表せずに通産省に出してこい、こう言ったらいいのです。そしてそこで話がまとまったら、労使双方がこれで通産省に、話しがまとまりましたからと……。そういう順序になっておるでしょう。これはそうなっておりますよ。「各企業は、この計画枠と方向のもとで、それぞれ労使が話し合い、今後の具体的方針を決定すべきである。」ということをちゃんと書いてあるのですから、前もってそれは話してもいいのですけれども、そう世間へ打ち揚げて、どことどこの山をつぶすというようなことを言うことは、これはワクが第一、四百四十万トンのワクしかことしはないのですからね。これをあなた方がうんとふやせば別です。だから、そういう点は、われわれとあなた方と違うとすれば、われわれは、われわれの主張をあくまでこの委員会に主張して直させなければいかぬと思うのです。それは大体どっちですか。先に勝手に出していいのですか。そうして世間に公表して、勝手にやっていいのですか。
○中野政府委員 今御質問の点について、誤解があるといけないと思いますので、有沢調査団の答申を正確に読み上げて、その解釈を申し上げたいと私は思います。 最初に書いてございますように、今先生がお読みになったその前のところでございますが、「個々の炭鉱における閉山および合理化は、企業の責任であり、これらは、自主的に決定さるべきものである。」ということでございまして、審議会は個々の山の合理化、閉山を取り上げるわけではございませんで、ここに書いてございますように、これはあくまで地域別、炭田別にきめて、一定のワクと方向を与えるものである。従って、各企業はこの計画ワクと方向のもとでそれぞれ労使が話し合いをいたしまして、最終的な具体的な決定は企業が労使話し合いのもとできめるということでございますから、従って、事前に労使が話し合いをすることを決して禁ずるものではございません。ただ、これを公表して云々という社会的な影響等につきましては、これは何も公表するのではなくて、新聞が取り上げるわけでございますので、これも政府で禁止することはできないというふうに考えております。調査団の考えておりました答申案の内容は、今私が申し上げた通りでございますので、その点は誤解のないように一つぜひお願いいたしたいと考えております。そういう個々の山の閉山問題を審議会で取り上げるというようなことになりますれば、審議会の委員になる方はどなたもございません。全部辞任をされるのじゃないかと思います。
○滝井委員 確認しておきますが、それは、山の合理化計画については自由企業、私企業ですから、私たちも、やることは自由だと思うのです。しかしそれをやったからといって、その通りには認められないということなのです。これは合理化審議会の結論が出ない限り、労使双方の意見が一致しない限り、実行できない。ところが実行できないけれども、買い上げの対象にしないということでやってしまうのです。これを一体どうするかということです。買い上げの対象にしないということで話し合いをまとめてしまって、山をつぶしてしまう。つぶしておるけれども、保坑だけはしておるのです。保坑だけしておって、今度はあとで買い上げの申請をしてくるのです。そういうものは買わないということをあなたがここで言明できればいいですよ。そういう抜け穴をしたものは買わないという言明さえしてくれれば、私は異存はありません。しかし、そうやった山は大手でもずいぶんあるのです。話し合いをして、資本家側の圧力で未払い賃金をつくる。これは、人間食っていかなければならぬから、未払い賃金をつくられて、退職金もないぞなんて言われれば、われ先にとやめてしまいますよ。だから、そういう山は買わない、今まで買っているのですが、そういう山は買わぬ、そういう山は買い上げの対象にしませんということをここで言明して下さればいいのです。
○中野政府委員 今御指摘になったような問題はいろいろあると思いますが、ただ三十七年度につきましては、御承知のように経過年次でございまして、来たる二十五日の審議会の総会において、この答申案に基づく改組をやりまして、二十六日に合理化部会、雇用部会の合同部会というものをやってきめたいと思います。三十八年度につきましては、今のところでは四月中、年度当初にはワクと方向というものが決定をいたしますから、それに従って各社が、特に大手は閉山なり合理化を具体的に実施する。三井の場合も、今事前折衝というふうにわれわれは解釈をしております。従って審議会のあとで、具体的に最終的決定が行なわれるものというふうにわれわれは考えております。
○滝井委員 私があなたに言っておるのは、そういう抜け穴を通った炭鉱がまた申請して来たときには買い上げはしませんか、こう言っておるのです。たとえば三井なら三井の三山があります。そうして、美唄等の交渉が難航します。そうすると、炭鉱は労働者の同意を得なければなかなかどうにもならぬですから、そこで未払い賃金をつくる。かって三井はこれをやったのだ。未払い賃金をつくる。あるいは、配給所でも現物の配給をやる。そうすると労働者は手をあげてしまいますよ、現金が払われないのだから。もう、見てごらんなさい、三井の職員の給与は二割の減俸、そして給料は二回の分割払いをしておるのです。こういうことをやってくるのですよ。兵糧攻めをやるのです。水攻め、火攻めをやるのです。そうすると、労働者は手をあげてしまうのです。手をあげて、今度はもう人数が少なくなるから、あとから申請したらいいのです。そういうものは買い上げぬということを、あなたがここで言明さえしてくれればいいのです。そういう変則の状態をとったものは買い上げをしませんと言ってくれればいい。僕はそれを注意しておきます。それをやった会社があるのですから。
○中野政府委員 今御指摘のような場合におきまして、これはあくまで企業の問題、あるいは労使の問題でございますので、一々そういう問題に政府が介入するというわけにいかないと思いますが、ただ非常な行き過ぎがありますれば、われわれの行政指導力の範囲内において注意はしたいと思います。
○滝井委員 注意をしたいじゃないのです、そういうような場合に、今度は今言ったように、よその組を入れてきて、ポンプ・アップしていく人もある。ほとぼりがさめたら申請をするのです。買い上げをしないというわけにはいかない。今の状態ではどういう状態が起こるかというと、労働者は離職金をもらえない。今の十万円の加算ももらえない。三カ月というワクがあるから、もらえないのです。こういう状態が出てきているわけです。大手の炭鉱で、私は名前を言うと工合が悪いから言わないが、出てきているわけです。こういうのをあなた方がもし許すとすれば、全部それをやりますよ。交渉がまとまらなければ、今言ったような未払い賃金が続く、現物配給をやる、現金が入らないからみんなやめてしまいます。退職金ももらえない。そこで今度はおもむろに申請したらいい。そういうことは許さぬということをここで言明できなければ、私企業に対する干渉だとか何とかいうことで、話ばかりでは話にならない。画竜点睛を欠くことになる。そういうものは許さぬと、はっきり言って下さい。
○上林山委員長 滝井君にお願いいたしますが、関連だから、またあなたは適当な機会に一つ発言を求めていただきたいと思います。答弁だけ許します。
○中野政府委員 御指摘のような場合におきまして、経営の行き過ぎがありますれば、われわれとして十分注意をしたいと思います。
○多賀谷委員 大臣、商工委員会に出席されますね、それならば、大臣への質問は保留しておきます。
○上林山委員長 大臣の都合により、暫時休憩いたします。 午前十一時五十三分休憩 ————————————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕 —————————————