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43回国会衆議院1963/03/06

商工委員会繊維に関する小委員会 第3号

発言数
34
登壇者
8
会派数
2
開催日
1963/03/06

会議録

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 これより商工委員会繊維に関する小委員会を開会いたします。  繊維に関する件について、調査を進めます。  本日は、本件調査のため、参考人として、日本羊毛紡績会専務理事酒井弘君、日本毛織物等工業組合連合会専務理事安田穣君、日本紡績協会委員長原吉平君、日木綿スフ織物工業組合連合会副会長寺田忠次君、日本絹人絹織物工業組合連合会副理事長安井睦美君、以上孔参考人が御出席になっております。  この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙のところ、当委員会の希望をおいれ下さいまして御出席をいただきましたことは、まことにありがとう存じます。申すまでもなく、現在の繊維産業における問題点はいろいろあろうと存じますが、そのうち、特に過剰設備の問題、市況安定の問題及び海外市場別輸出振興の問題、以上三点につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお聞かせいただき、もって本件調査の参考に資したいと存じます。  ただ、時間の関係もございますので、お一人約十分程度御意見をお述べ願いまして、あとで委員からの質疑に応じていただきたいと存じます。  それでは、まず日本羊毛紡績会専務理事の酒井参考人にお願いいたします。酒井参考人。

酒井弘日本羊毛紡績会専務理事

○酒井参考人 羊毛紡績会の酒井でございます。与えられた時間も十分程度でございますので、できるだけ簡潔に申し上げたいと思います。初めに、問題点に入ります前に、ただいまわが業界が置かれております状況について、簡単に申し上げたいと思います。  毛糸には梳毛と紡毛とがございますが、本日は主として流毛だけについて話をさせていただきたいと思います。  流毛紡績は、大体現在設備といたしましては、百五十七万錘ございます。それが現在約六十七万錘ばかり格納いたしまして、格納率は四二・六%になっております。  生産でございますが、梳毛糸の生産は、年間約十万トンでございます。昨年は十万五千トンでございまして、一昨年の約二%減、こういった状況になっております。  それから輸出でございますが、輸出は、昨年非常にようございまして、全体といたしまして、当羊毛関係の業界で一億五千万ドルをかせいでおります。これは一昨年に比較いたしますと、四五%の増になっております。  内需でございますが、昨年は、景気が悪かったので、これは四%ばかり減っております。しかし、内需、外需合わせますと、一昨年に比べて非常にふえておる、こういう状況でございます。  状況はそういうことでございますが、昨年は、この羊毛業界でも、特に糸をつくっている梳毛業界は、未曾有の不況に立たされたわけでございます。と申しますのは、一昨年の十月に金融引き締めがございました。これは過剰の設備、むちゃな増設競争をやった関係でございますが、当業界、特に繊維業界は、全般として鉄鋼のごとき増設をやったわけではございません。ことに繊維関係は、すべて設備が制限になっておりますので、そういうことはなかったにもかかわらず、それのとばっちりをいち早く受けたということでございます。まず、金融引き締めで最初にきたのは株界でございまして、その次には、取引所のある繊維業界にきた、こういうことであります。それをもう少し具体的に申し上げますならば、商社の金融が引き締まって金融難になりましたので、商社が紡績から糸を買って取引所に売りっぱなす、いわゆる換金相場が出てきて、これの影響を非常にこうむってしまった、こういうのが実情でございます。先ほども申し上げましたように、当業界の需要というものは、従来年々一〇%くらい前年に比べてふえてきていたのですが、昨年はそれほどまでにいかなかったにもかかわらず——やはりふえていることは事実でございますが、にもかかわらず、結局相場に打たれてしまった、こういう事態であります。結局商品取引所のある業界が一番困ったということでございますので、一にかかってこの取引所の問題は、今後わが業界が発展していくためには、どういう取引所の処置をとっていくべきかということが大きな問題ではないかというのが、一つの点でございます。  それもございますが、先ほど申し上げましたように、対線、あるいは生産その他の補完措置といたしまして、四八の双糸の生産制限、あるいは休日を一カ月に二日増加しておる、こういった事態で、ようやく昨年の暮れから一年半の赤字から回復しつつございますが、ストックは依然として約一万六千トンございます。これが正常在庫は、われわれは一万二千トンと押えておりますが、そこまで回復していくには、今後ともこのような状況を続けていかなければならないのではないかと思い事。ただ、こういった一連の不況対策をやっていく場合には、いろいろなことが考えられます。しかし、たとえばいわゆる需給の調整なり、あるいは先ほど申し上げました過剰設備の処理なり、あるいは商品取引所に対する対策なり、あるいは輸出秩序の確立といったような問題が、今後われわれ業界に課せられた仕事でございますが、こういった仕事は、ただ一社だけで可能なものではございません。これはやはり業界が気持を合わせてお互いに自主的にやっていく、こういうことでなければ、こういう対策は業界としてはとれないわけです。従って、ここに何らかの法制的な措置というものを、われわれ業界は望んでいるわけでございます。今繊維局におきましても、臨時措置法の改正についていろいろと討議中でございますが、これらはぜひ必要であろうかと思います。特にわれわれがこういう仕事をしていくためには、独禁法が一番支障になっている、かように思います。と言いますのは、かりに不況カルテル、あるいは合理化カルテルというようなことで、独禁法の例外措置が認められておりますけれども、公取の内部を見ますと、あの陣容をもってその業界の不況がどの程度になっているかという判断をする能力は、極端なことを言いますと、ないのではないか。あの陣容で、日本全体の各産業に対して、その特定の産業がどの程度の不況になっているかという判断は、なかなかむずかしいのではないかと思います。従って、そういう運用は、公取の建前もありますけれども、結局法令の解釈だけによって、不況カルテルをつくるべきか、つくらざるべきかという判断に陥りがちで、業界の実態を把握したそういう措置がとれない、こういうところに私は問題があろうかと思います。その現われといたしまして、今、特定産業の臨時措置法の問題もございますが、ここら辺が一番問題ではなかろうかと思います。そういう点が解決すれば、この繊維業界は、他の業界と違いまして、自主的に物事を従来からきめている経営者が多いのでございまして、いたずらに政府の、あるいは税金の御厄介になろうというような業界ではございませんので、できるだけわれわれ業界として、自分らの問題は自分らで解決していくという行動をとらし得るような措置を特にお願いしたいわけでございます。  時間がございませんので、まあ全般的にはそういう考え方でございますが、ただここに輸出の関係で一言触れさしていただきたいことは、綿の関係におきましては、目下日米関係で非常なトラブルが起こっておりますが、毛の業界も、綿ほどではございませんけれども、このトラブルが起こりつつある情勢にございます。綿は、すでに国際割当、国際協定というのができておりますが、われわれ業界は、そこまでにはいっておりませんけれども、あるいは国際割当なりあるいは関税の引き上げなり、そういったことをアメリカの業界は政府に要望いたしまして、何らかの制限措置をとらざるを得ないというような状況にある中で、われわれとしては、こういうようなことを未然に防ぐためにできるだけの努力はしておりますけれども、なかなか国際的な、あるいは政府間の外交の問題になりますので、この点も十分御支援をお願いいたしたいと思うわけでございます。  ことにアメリカの輸出は、先ほど毛の業界の輸出が一億五千万ドルと申し上げましたけれども、それの半分、約七千五百万ドルというものを当業界では輸出しているわけでございます。毛の七千五百万ドルといいますと、金額にいたしまして綿と大体同じ程度でございます。数量は毛の関係は少ないのでありますけれども、輸出金額から言いますれば、大体同じ程度の輸出をしておりますので、対米輸出がかりにとまったといたすならば、相当な打撃になってくると思いますので、これらの点についても十分御協力をお願いいたしたい、かように思うのでございます。  はなはだ簡単でございますが、以上で終わらしていただきます。

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 ありがとうございました。  次に、日本毛織物等工業組合連合会専務理事、安田参考人にお願いいたします。

安田穣日本毛織物等工業組合連合会専務理事

○安田参考人 御紹介をいただきました安田でございます。  私どもの業界は、毛織物関係の中小企業の関係の団体でございまして、毛織物につきましては、今紡績会の酒井専務のお話もございましたように、やはり毛糸の問題と非常に重要な関連を持っておるわけでございます。  現在までの毛織物の大体の市況の状況を申し上げますならば、大体毛織物は、一昨年までは前年に比べまして一五%あるいは二〇%増といったような生産の増加をいたしておりまして、この増加の内容につきましては、いろいろ問題もございます。大体シーズン商品でございますので、なかなかスタートはいいわけでございますが、シーズン末になると、やはり増産、過剰生産というような関係で値下がりをする、あるいは値くずれがするというような状況で過ごしてきたわけでございますが、一昨年の秋の金融引き締め以降におきましては、やはりそれまでの、ざっくばらんに申し上げますならば、相当高い授業料を払ったというような形にもなりまして、相当生産の面では自粛をしておるわけでございます。そういう関係で、昨年の生産は、初めて前年に比べまして多少の減退をしておるというような状況でございまして、現在も大体昨年ベースの生産を続けておるような状況でございます。機屋の経営の方の面から見ますならば、先ほど酒井専務のお話にもございましたように、昨年度の糸相場というのは、紡績会社の採算をはるかに割るというような状況で、非常に低位なところにありましたために、機屋の経営内容から申し上げますならば、まずまずそう不安もなしにやっていけたわけでございますが、何分にも、こういうような状況というのは、必ずしも業界全般にとりましては健全な形ではございません。また、糸の価格の変動というのも、先ほどお話がございましたように、相半激しく変動いたしておりまして、企業の経営の上から見ますならば、やはり安定をした経営を続けていくということは、非常にむずかしいわけでございます。特に昨年の十一月までは、毛糸の相場が大体千百円台のところにありましたものが、昨年の十二月に入りまして、それが一カ月の間に三制近い騰貴を見るというような状況でございまして、こういう面は、企業者の経営から見ますと、非常に不安定な状態になっておるわけでございます。これにつきましては、取引所の問題とかいろいろ問題がございまして、また、現在トップの上場をするとか、あるいは原毛の上場をすべきかというようなことも、通産省並びに紡績業界を中心にいろいろ御検討になっておるようでございますが、そういう問題につきましては、なるべく早く結論を出していただいて、原料の取引の安定ということをおはかりいただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。同時に、そういう原料の価格の不安定ということが、やはり輸出にも、あるいは内需にも非常に大きな影響を与えておりますし、短期間の間の糸の高騰というものが、毛糸の消費をほかの繊維に変えるというような形も一部には出て参っておりますので、われわれの方から見ました原料価格、いわゆる毛糸価格の安定ということをはかっていただくことが、最も重要ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。  そのほかに、織物の取引につきましては、これは他の繊維に見られないような非常に変則的な取引をやっておるわけでございますが、これにつぎましては、われわれ生産業者、流通部門の方々とも、過去一年以上にわたりまして、いろいろこれの正常化につきましては努力をいたしておるわけでございます。まだ十分な成果を上げるとろこに至ってないのは、まことに残念でございますが、今後とも、そういうところには十分努力をしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。  それから輸出の問題でございますが、昨年は、毛糸市況が非常な低位にあったというために、いろいろ輸出には安値の輸出であるとかいうような問題で、各市場において問題を起こしておるわけでございます。先ほどもお話がございましたように、アメリカ市場におきましても、市場撹乱といったような問題の取り上げ方も出ておるわけでございますが、こういう問題につきましては、現在、先ほどもお話がありましたように、米国側におきまして、日本の毛製品の輸入制限をやるべきだという声が非常に業界には強く出ておりまして、これの成り行きというのは、やや予断を許さぬような状態にあるわけでございます。毛織物の輸出の大体五〇%ないし五五%くらいのものが対米輸出でございますので、これの成り行きいかんということが、やはり業界全体には非常に重要な影響を持つてくるわけでございます。こういう問題につきましては、政府当局におかれましても、経済外交という面から、十分な御努力をお願いしたいと思うわけでございます。  それからもう一つは、これは輸入の自由化に関連をいたしました問題でございますが、昨年の十月に八八%の貿易自由化が実施されました場合にも、毛織物はまだその中に入っていないわけでございますが、いずれにしましても問題になりますのは、ヨーロッパ方面の製品との問題になるわけでございます。  飜って向こうの市場の状況を見ますと、日本品に対する輸入制限というのは、英国にしろ、イタリアにしろ、フランスにしろ、非常に強い輸入制限を行なっておりまして、そういう面から見ますと、日本側だけの自由化——向こう側は日本品に対する非常に強い制限をとられておる、こういう形での自由化というのは、われわれ業界から見ましては、非常にアンバランスな形になるわけでございますので、今後、今の毛織物の自由化もいつまでも延ばすということはできないであろう、こういうことはわれわれ業界といたしましても覚悟はいたしておるわけでございますが、特に相手方の自由化の促進ということにつきましても、十分の御配慮をお願いしたいと思うわけでございます。これがやはり需要拡大の問題につながって参りまして、業界の安定にも非常に寄与するところが多いわけでございます。とにかく海外では、日本品の競争力ということについて非常な脅威を感じておるようなところもあるかと思いますが、こちら側の市況の安定によりまして、そういう不当な安値の輸出ということはできるだけ避けるように努力をいたさなければならぬわけでございます。輸出の面では、フリーに出せるのがアメリカ一国である。しかも、そのアメリカにおいて輸入制限の動きが活発に行なわれておるということから見ますと、輸出振興ということも、そういう面での問題が解決いたしませんと、なかなか増加をさせるということがむずかしいわけでございますので、そういう点につきましても、十分の御配慮をいただきたい、こういうふうに考えるわけでございます。本年は、毛糸の相場も、最近の状況では、相当妥当な線まで戻ってきたような状態にあるわけでございますが、これにもいろいろ問題が含まれておるようでございまして、こういう現在の形のまま安定をしていって、これがまた昨年のように二割も三割も下がるというようなことのないように、これはいろいろの行政上の問題もあるかと思いますので、そういう点で十分の御配慮をいただきまして、われわれ業界の安定をおはかり下さいますように、特にお願いする次第でございます。  簡単でございますが、一言現状だけをお話し申し上げまして、失礼させていただきます。

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 ありがとうございました。  次に、日本紡績協会委員長、原参考人にお願いいたします。

原吉平日本紡績協会委員長

○原参考人 私は、本日あまり時間もございませんので、わが日本の綿業界が当面しておりますところの諸問題のうち、特に先生方の御認識を得ておきたいと思いますところの重要問題に限って御説明申し上げたいと思います。  わが国の綿業を初めとしますところの繊維産業の将来の対策につきましては、目下繊維工業設備審議会におきまして、繊維工業設備臨時措置法の改正問題をめぐりまして、その小委員会において対策が検討せられておるわけでございます。いずれ近いうちに小委員会の成案ができましたならば、この国会において問題になることだろうと思います。  措置法の改正問題の最も重要なポイントを申し上げますと、過剰設備処理の問題、繊維品の輸出振興の問題、及び市況安定のための需給調整の問題がございます。  まず最初に、過剰設備処理の問題について申し上げますと、臨時措置法の改正にあたりまして、第一の問題は、設備規制の問題でございまして、特に過剰設備の処理の問題でございます。  綿紡績設備は、現在九百二万錘、そのほかに無登録紡機が八十五万錘あるわけでございますが、この九百二万錘のうち、現在百万錘が長期格納せられまして、二百八十万錘が短期格納となっております。この長期格納分を廃棄することによりまして、綿紡績業のいわゆる根本的体質改善をはかろうとしておるのが、われわれの念願でございます。  過剰設備の廃棄につきまして問題となりますところの第一点は、現在の措置法は、いわゆる物の法律でございまして、繊維工業設備の設置そのものを規制することができない、ただ制限糸の紡出を規制することしかできないような法律になっておりまして、いわゆるこれがざる法だと言われておるわけでございまして、これがために無登録紡機ができて、需給の調整を乱しておるというのが、現状でございます。従いまして、われわれとしては、いわゆるこのざる法を改正していただいて、いわゆる事業法として無登録設備の設置そのものを規制できるような法律に直していただきたいというのが、われわれの念願でございます。特に、この問題は根本的な問題でございますので、ぜひ一つこの点を御理解願いたいと思います。  それから第二の点は、買上資金の問題でございます。紡績会社のうちでも比較的大企業の多い部門につきましては、いわゆる村別に一律無償廃棄をするにしましても、あるいは残存錘数によりまして買上代金を分担するにしましても、大した問題ではないわけでございますが、中小企業、特に現在の特綿紡とか特繊紡というようなところに登録しておるところの業界や、あるいは先ほど触れました無登録紡機の処理につきましては、買上資金の問題は重要でございます。これらの中小企業部門におきましては、無償廃棄あるいは残存錘数による分担ということは、はなはだ困難であるばかりでなく、過剰設備処理に関連しまして、この際転廃業したいという人々も少なくないと思うのでございますが、それらの人々に対するところの補償金の問題も考えなければならないと思うのでございます。  私は、日本綿業の体質改善の意味から申しましても、あるいは先年来の不況によって大きな打撃を受けましたところの中小企業者の転廃業による立ち直りを助けますためにも、中小企業を主とする部門の過剰紡機買上代金及び中小紡績業者の転廃業に対する補償金にいたしましても、何とか国庫負担によっていただきたいと考えております。  それから第三の点は、過剰設備処理及びこれに伴うところの転廃業につきましては、税制上の優遇をはかるということでございます。今日、過剰設備の処理や転廃業を妨げておるところの最大の原因は、登録権の問題であると同時に、買上代金や補償金が課税対象となることでございます。この際、過剰設備買上代金や転廃業によりますところの補償金につきましては、課税上特別の例外を認めていただくことが、綿業の体質改善の上からいいましても、また、中小企業の立ち直りの上からいいましても、ぜひとも必要であると思うのでございます。  次に、輸出振興の問題について申し上げます。  綿製品の輸出振興対策については、従来から経済外交の積極的推進、輸出秩序の維持確立、税制上の輸出振興策、輸出金融の改善、輸出保険制度の拡充強化など、各種の方策が言われて参りました。これらの輸出振興策は、もとより今後もきわめて重要でございますか、私は、特に今日ここで申し上げたいのは、従来、形式的に、輸出振興は輸出商社の問題である、こういうふうにとかく言われがちでございますが、この際、こういうような考え方を改めていただいて、真に輸出競争力のにない手であるところの生産者に輸出振興対策の重点を置いていただいて、そして生産者と商社を一貫した実質的な輸出振興対策をとっていただきたい、こういうふうに考えております。特に現行の輸出入取引法におきまして、このような輸出入商社中心の考え方が非常に強いように考えられます。たとえば輸出業者は、第五条の二によりまして、アウトサイダー規制を行なって十分な業者協定ができますのに、第五条の三によりますところの生産業者及び販売業者協定は、輸出業者協定に対しまして従属的になっておりまして、生産業者から優先的にこの業者協定を提唱することはできないようになっております。その次には、生産業者としてはアウトサイダーの規制ができないということなど、生産業者の立場はきわめて弱いものとなっておるように思います。しかし、現実には、輸出商社の多くは今日総合商社でございまして、必ずしも綿製品の輸出にばかり依存しておりませんのに対しまして、紡績会社は、平均的に見まして、その綿糸出産のうち、昨年は約四七%、一昨年は三七%を輸出に依存しております。また、綿製品の品質上、価格上の国際競争力は、すべて生産者の合理化努力によるものでございます。しかも、綿製品の輸出振興は、昨年できました綿製品の国際繊維協定の前文にも述べておりますように、「秩序ある方法によって」行なわなければならないことは、世界の主要輸出国及び輸入国の間で認められた原則でございます。従いまして、この点から見ましても、生殖者、輸出商社を一貫した輸出秩序確立をはかることが、輸出振興をはかる上において最も必要であると思うわけでございます。  このような輸出振興体制が、臨時措置法改正の問題として提起せられるか、あるいは輸出入取引法改正の問題として提起せられるかは、まだはっきりきまっておりませんが、これらの問題で国会において審議いたします際には、輸出は、輸出商社のみの問題でなく、生産者と輸出商社とを一貫した問題であるということを十分御認識していただきたいと思うのでございます。  次には、市況安定の問題について申し上げますが、綿紡績業は、現在三六・三%の高率格納をしております。現在の市況と需給の見通しから申しますならば、この高率格納はさらに今年の九月一ぱいまで実施することが望ましいと思うのでございますが、このような長期格納及び短期格納によりますところの需給の調整につきまして、原綿輸入が自由化せられた今日は、格納による需給調整はもう廃止すべきだ、こういうような意見もございます。経済の原則から申しますならば、自由競争によって需給の自律的な調整をはかることは、確かに理想でございます。自由競争や優勝劣敗によって自然に需給が均衡するということは、私の最も望むところでございます。しかし、日本の綿業の現実の事情から申しますならば、生産の四割前後を輸出に依存しておりますこの綿糸の価格が、自由競争によりまして変動するということは、綿糸、綿布、二次製品など、すべての輸出綿製品の価格を不安定にして、輸出振興上最も悪い影響を及ぼすものでございます。また、日本の綿業界には、紡績、繊布、加工、メリヤス、縫製などの生産部門はもちろん、卸、小売の流通部門におきましても、非常にたくさんの中小企業が存在しておりまして、いわば綿業はこれら中小企業の基盤の上に立っておるといっても過言でないわけでございます。従いまして、自由競争によりまして需給の自律的な調整をはかるということになりましたならば、当然長期的な不況の波をくぐらなければなりません。その間にこれらの中小企業は必然的に大きな混乱に見舞われて、重大な社会問題あるいは政治問題となりまして、自律的調整の効果が現われる前に、政府としては何らかの手を打たざるを得ない羽目に陥るものと想像されます。また、自由競争は不況の波をくぐることによりまして、中小企業の整備を促進し、綿業の産業構造合理化をもたらすであろうと説く人もございますが、しかし、綿業のように技術的に単純で、だれにでもできますところの産業におきましては、自由競争の結果整理せられますのは、中小企業の個々の経営者の交代でございまして、過剰設備そのものは必ず他の中小企業者によって引き継がれて、決して生産設備そのものの整理とならぬことは、過去の経騒の示すところでございますから、どうしてもこういうような綿業の根本的な不況対策をやりますためには、この際思い切って過剰設備を買い上げて、そしてこれを廃棄するというような体質改善が必要となってくるわけでございます。  以上のごとき意味から、私は、臨時措慣法の改正にあたりましては、独禁法の例外規定として、業界の自主的協定による需給の調整ができますような規定が設けられる必要があるのではないかと考えておるわけでございます。従いまして、国会におかれましても、以上申しました事情を十分御丁察の上に、産業政策、社会政策の上から御判断願いたいと希望する次第でございます。  以上でございます。

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 ありがとうございました。  次に、日本綿スフ織物工業組合連合会副会長、寺田参考人にお願いいたします。

寺田忠次日本綿スフ織物工業組合連合会副会長

○寺田参考人 私どもの組合の内容をまず申し上げますと、機屋の中小企業者のまことに零細なるものの寄り集まりということを申し上げまして、大体数にいたしまして、工場数が一万五千、織機台数が約三十万台、そしてやみ織機が現在一万四、五千台、従業員の数は、一つの工場に大体十五、六名というのか、私どもの形成しております綿工連の内容でございます。  まず、輸出振興について申し上げます。  輸出振興には、輸出の協調体制の確立をしていただきたい。現在繊維業界の規制の根拠法としては、繊維工業設備臨時措置法、輸出入取引法並びに中小企業団体法、この三つがございます。ところが、これらによる規制方法はそれぞれみんな異なっておりまして、また、その運営方法にも全く関連がないのであります。このような状態では、原糸の生産、織物の生産、輸出の各段階の調整が困難でございます。輸出の振興をはかるためには、各段階の総合的な調整をはかる必要がございますので、これらの法律が統一的に運営されるように、何とか御措置をお願いする必要があるのじゃないだろうか、これが一つ。  輸出生産金融制度の確立。これは、輸出生産金融につきましては、現在前貸しの貿易手形等の制度がございますが、中小の機屋にはほとんどこれを利用し得ないのでございまして、中小企業の輸出金融公庫を設立してくれるか、あるいは商工組合中央金庫に輸出生産の資金の別ワク融資制度を設けていただいて、中小織布業者の輸出生産資金を輸出貿手と同率程度の低金利で融資する措置を講じていただきたい。  次は、輸出振興基金制度の確立。わが国の繊維製品は、価格変動の幅が大きいために、輸出振興上いろいろ問題が多いのでございます。このことは、体質の弱い中小企業者が大部分の輸出品を生産しておりますことに起因するものと考えられますので、中小織布業者の体質改善を促進する必要があります。中小織布業者の輸出品生産数量に応じて一定、額の積み立てを行なわせて、輸出振興基金を設けていただきまして、この基金を活用して不況のときに不当な値下がりを防止するというような措置を講じていただきたい。  次に、最近問題になっております日米綿製品の交渉につきまして申し上げます。  本年一月以降行なわれております日米綿製品の交渉は、私どもの業界にとってきわめて重大な影響がございます。特に別珍であるとかギンガムというようなものは、零細企業者の製品でありまして、経済上の問題だけではなく、社会問題として発展することも考えられます。きょうも、実はこのギンガムの産地であります播州方面、あるいは別珍、コール天の静岡県の福田地方から多勢参りまして、いろいろ陳情しておるわけでございますが、非常に大きな社会問題になりつつあります。私どもは、綿製品の長期協定によって輸出の漸増方針が確立せられておりますので、一縷の望みを持っていたのでありますが、今次の米国の要求は、わが国が過半数年間誠実に実施して参りました自主規制と長期協定の精神を踏みにじったものでございます。また、私どもは、過去に実施してきました自主規制の経緯にかんがみまして、米国の主張している市場撹乱を起こすということはございません。また、過去におきましても、市場の撹乱を起こした経験はございません。従って、現在日米両国で交渉しております別珍、ギンガムにつきましては、あくまでも長期の取りきめの輸出漸増の方針に基づいて、張力な交渉をしていただきたいものでございます。もし、かりに過去の輸出実績より規制ワクが削減せられたというようなときには、直ちに生活に支障を来たすおそれもございますので、これに対しまして、政府は何らかの補償措置も考慮していただきたい、かように考えます。  さらに私どもは、米国の規制要求が不当でありますので、政府は直ちにガット綿製品委員会へ付議して、米国の反省を促し、長期協定の精神を貫くように強力な経済外交を推進せられたい、かようにこいねがうものでございます。  次に、業界安定の対策につきまして申し上げます。  過剰設備の処理につきましては、総合的、長期的な需給見通しに基づきまして、過剰設備があるときは、これを処理することは適当でございます。わが綿スフ織布業界では、過去におきまして議会にいろいろ御厄介をかけまして、約五万台の過剰織機の処理を行なったことがございましたが、あれはきわめて有効でございました。現在、紡績部門では、ただいま原委員長から言われましたように、過剰紡機の処理を考えておられますが、これもけっこうでございます。しかし、織布業界といたしましては、紡機と織機とのアンバランスを来たしてはいけないのでありまして、これは大きな問題でございますので、紡機の処理を行なう場合には、当然織機の処理も考えていただきたい、かように考えるわけであります。  次に、調整の確保措置につきまして申し上げます。  現在、綿スフ織布業界におきましては、中小企業団体法に基づきまして各種の調整事業を行なっておりますが、同法におきましては、調整確保の措置がきわめて薄弱でございますため、十分な効果を上げることができないで困っております。このためには、次のような措置を至急に講じていただきたい、かように考えます。  まず、違反者に対する罰則を強化することであります。昨年の団体法の改正で、事業停止命令、第九十三条の二が追加されまして、事業規制命令の違反者には一定期間営業停止命令が出せるというようなことでございます。改正当時の説明では、この規定によって事業規制命令違反の設備の封印または格納命令が出せるばかりではなくて、これに応じないときには、行政代執行法に基づきまして強制執行も可能であるということでございまして、非常な期待を持っておったのでございますが、最近の話では、封印、格納命令等はもちろん、代執行もできないということでございます。このようなことでは、数多い中小企業をまとめて調整の効果をあげるということは、まことに至難でございまして、至急実際に効果がある規定に改正をしていただきたい、かように考えるわけであります。  次に、商工組合の強化措置を講ぜられたい。調整事業を確保するためには、取り締まり並びに罰則の強化も必要でございますが、同時に商工組合あるいは協同組合を強化するということが必要でございます。そのために、中小企業団体法に基づく事業規制命令が出ている業種につきましては、特別償却であるとか、あるいは割増し償却であるとか、近代化資金の貸付であるとか、そのほか政府の諸施策は、すべて商工組合を中心に運営するように措置せられたいのでございます。たとえば中小企業の助成措置は、商工組合の組合員でなかったならばできないのだ、しかも事業規制命令違反のない者にのみ認めてくれるように措置をしていただきたい。特別償却の場合の設備の認定等は、やはり商工組合を通じて行なわせるようにしてもらいたい。  次に、中小織布業の体質改善について申し上げます。  綿スフ織布業は、輸出産業としてきわめて重要な地位を占めておることは、御承知の通りでございますが、最近の労務供給の不足状態は、まことに苦しいものがございます。そうして労務費が急激に上昇しつつございます。大体例を申し上げますと、今賃織りで紡績からいただいております工賃が十円といたしますと、その中の一ヤード七円は労務賃金にとられておる、こういったような上昇に対処しまして、輸出の振興をはかるためには、早急に設備の近代化を推進し、生産性の向上をはかる以外に道がございませんので、すみやかに次の措置を講じていただきたいと思います。  近代化積立金制度をつくっていただきたい。われわれは、一昨年来このことをお願いしてきましたが、これにつきましては、三十八年度の税制措置として、中小企業設備の五カ年間三分の一割増し償却制度が創設されることになったということを承っておりますが、まことにけっこうなことでございます。しかし、この制度では、利益がある場合には効果がありますが、利益がない場合には効果がないことになる。綿スフ織布業者は、きわめて零細な多数の業者で構成されておりまして、競争が激しいために、景気変動が激しくて、周期的な不況に見舞われることが多いのであります。このような不況のときに、税制措置を有効に生かすためには、あらかじめ一定額を平生から積み立てさせていただきまして、利益を確保させていただきたい。また、積み立て制をとりますれば、一時に多額の資金を必要とするような近代化が比較的円滑に実施することができるのでございまして、まことに効果的でございます。  次に、資本蓄積のできる税制を確保していただきたい。国際競争力を確保するためには、設備の近代化と同時に、自己資本の充実をはかりまして、企業の体質を改善する必要がございますので、すみやかに次の措置をお願いいたしたい。今までやっておられました中小企業の同族会社の留保金の課税を撤廃していただきたい、これが第一。次に、中小企業の固定資産の減価償却限度額を大幅に引き上げてもらいたい。次には、中小企業の償却資産の再度再評価をして一ただきたい。それから最も影響をこうむっております電気ガス税の撤廃をお願いいたしたい。こういうことでございます。  大へん急ぎましたわけでございますが、以上お願いいたしまして、私の意見を終わります。

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 ありがとうございました。次に、日本絹人絹織物工業組合連合会副理事長、安井参考人にお願いいたします。

安井睦美日本絹人絹織物工業組合連合会副理事長

○安井参考人 絹人絹織物工業組合連合会の安井でございます。いつも私ども業界の安定振興のために一方ならぬ御高配、御後援をいただいておりますことを、この機会に厚く御礼申し上げます。  御承知の通り、私どもの業界は、全国に約二万四千の工場で、織機台数が二十七万台で、従業員にいたしまして十九万という中小零細企業でございます。時間もございませんので、いろいろ問題がございますが、ごく簡単に二、三の問題について現状を申し上げて、御理解と格別の御配慮をお願いしたいと存じます。  まず第一の点は、過剰設備の対策でございます。過剰設備の処理につきましては、すでに諸先生方の特別の御高配によりまして、去る昭和三十一年度から三十四年度の四カ年にわたって、国庫補助金六億二千五百余万円の交付を受け、織機台数て二万七千台——これは広幅換算でございますが、買い上げ廃棄した次第でございまして、おかげさまで、当時多数の過剰織機をかかえまして慢性的な不況に苦しんでいた業界が、この非常処置によりまして、安定方向へ基礎づけができまして、非常に感謝しておる次第でございます。厚く御礼申し上げます。しかしながら、当時は、業界は御承知の通り非常な不況のさなかでございましたので、業界側の負担金が十分拠出できませんので、徹底した過剰設備の処理ができ得なかった。その結果、現在なお多数の過剰織機をかかえていまして、三十七年度末現在で、なお広幅換算で七万台、すなわち現有設備からしますと、三〇%がまだ過剰織機である、こういう実情でございます。この過剰織機が、業界安定に関する諸対策の実行効果の面で非常に大きなガンとなっておるわけであります。もちろん、最近著しく発達してきました合成繊維の生産によりまして、多少緩和されるんじゃないかという考え方もございますが、一方、絹織物なり人絹織物なりの今後の原料事情を考えますと、合繊の増加だけで織機の過剰は解消されないということは明らかであります。従いまして、私ども業界としましては、この過剰織機によって生ずる生産過剰あるいは過当競争の悪弊を排除するためには、現在やっております調整事業の共同行為を今後とも引き続いて強く実施していかねばならぬと考えておりますが、これらにつきましても、諸先生方にわれわれ中小零細企業界の実状をよく御理解いただきまして、あとに述べますような諸施策について、格別の御高配をお願いいたしたいと存じます。  その第一は、現在中小企業団体組織法の第五十八条の規定に基づいて公布されております織機設置制限規則は、業界の長期安定の基本対策でありますから、これを長期にわたり継続存置していただきたい。御承知の通り、これは時限法でございますが、長期安定のために、ぜひ長期にわたり継続存置されるようにお願いしたい。  第二は、今通産省で繊維工業設備臨時措置法のかわりとしまして検討されております新法の制定に際しては、この過剰織機の処理及び輸出振興カルテル等の問題に関して、一連の中小企業の立場を考慮せられました中小企業対策を、この新法にぜひ盛り込んでいただくようにお願いいたしたいと存じます。  次に、もう一つの問題は、市況安定に関する対策でございます。申すまでもなく、輸出振興をはかるためには、まず市況の安定が最も重要でございます。しかしながら、私ども業界の最も多く使っておる原料である生糸、人絹糸は、御承知の通り、過去一年間の価格の変動を見ますと、全く実需と遊離いたしまして異常な高騰を続けておるのであります。特に生糸のごときは、昨年の一月には一キロ当たり三千六百円、一俵に換算いたしますと二十一万六千円であったのですが、一年後の今日では六千五百円、一俵に換算して三十九万円をこえるような、実に八割高の狂騰相場を現出しておるのでございます。これがために、全国の絹織物製造業者の経営は全く行き詰まりまして、輸出の減退、国内需要の不振はまことに憂慮にたえないものがございます。このまま放置しておきますと、わが国絹業界の破滅を招来することは必至でありまして、国家的見地から見ましても、重大な問題と考えるのでございます。特に生糸価格の安定については、法律で繭糸価格安定法がありまして、いろいろ方策が講ぜられるはずでございますが、それでさえ今申し上げたような、ほかの繊維に見られないような価格の変動を繰り返しておるようでございます。もちろん、農林当局におかれては、内外の関係業界に及ぼす悪影響を十分憂慮されまして、神戸、横浜等における両生糸取引所の運営、管理について、しばしば行政監督を強化されておりますが、それでもなお両取引所は、依然として仕手関係の暗躍による狂騰市場となっておるのであります。つきましては、どうか国会におかれましても、この事実を十分重視されまして、両取引所の運営、管理をすみやかに御調査されるとともに、政府に対して商品取引所法に基づく適当な行政措置を講ぜられるよう、お取り計らいをぜひお願いしたいと存じます。  なお、生糸価格の安定のための恒久対策としては、繭の増産対策を強力に推進する必要があることは申すまでもありませんが、それには一面現行の繭糸価格安定制度を再検討していただきまして、一つには、適正繭価の保障制度、二つには、生糸価に対するものとして生糸の保険制度、三つには、生糸の禁止価格の設定、さらには繭糸価安定特殊調整機関の設置等、抜本的改正をしていただくように、特に御配慮をお願いしたいと存じます。  もう一つ、人絹糸の価格の安定について申し上げます。昨印の十月、繊維局におかれまして、人絹糸メーカーに対する生産指示量の勧告制度を廃止されたのでありますが、それ以来、人絹糸の価格は遂行次上昇いたしまして、最近人絹糸は、百二十デニールビス一キロ当たり四百九十五円、一昨日は五百円という高騰ぶりを示したのであります。このように糸価が高騰いたしますと、輸出はもちろんのこと、内需といえども、織物の価格がこれに追随しませんため、人絹織物製造業者の経営は、著しく困難に追い込まれております。また、織物の輸出にも非常に大きな支障を来たしておるのでございます。もちろん、われわれ関係業界といろいろ御相談もいたし、自主的に人絹糸価の安定について検討を考慮いたしておりますが、これも先ほど生糸の場合で申し上げた通り、人絹取引所のあり方が非常に問題になっておるとき、多分にこの取引所仕手関係が異常な高騰の原因をなしておるように存じますので、それらも考慮に加えられまして、われわれ中小企業者である立場も御考慮いただきまして、通産省御当局で適当な行政指導をしていただくように、御配慮をお願いしたいと思います。  当委員会におかれましても、通産省当局から事情を御聴取になりまして、どうか長期的に市況の安定をはかりまして、人絹織物の輸出振興が促進せられますよう、特にお願い申し上げる次第でございます。

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 ありがとうございました。     —————————————

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 これより参考人に対する質疑に入るわけですが、原参考人には、御用事のために二時四十分ごろまでしか御在室ができませんようですから、まず、原参考人に対する質疑を先にしていただきたいと存じます。  それでは、原参考人に対する質疑の通告がありますので、これを許します。加藤清二君。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)小委員 それでは御指名にあずかりまして、原参考人に御質問を申し上げたいと存じます。  実は、こういう席で久方ぶりにお目にかかりましたので、原先生にいろいろ御指導いただきたいことがたくさんございますけれども、お急ぎのようでございますので、簡明直截に二点だけ承ります。  第一は、ただいま問題になっておりますところの日米の綿交渉の問題でございます。政府は、二国間の話し合いによって穏便に解決しようとしていらっしゃるようでございます。ところが、相手国は、御存じの通り、なかなか強硬でございます。そこで、業界としては、先ほどどなたかからも試がございましたが、このままでよいのか、それともほかに一体手を打つべきであるか、政府に対して、あるいは議会に対して、原さんの御希望のあるところを述べていただきたいと思います。  それから、いろいろございますけれども、第二点として、産業界、特に糸へんは今までは一人歩きが多かった、先ほども話がございましたが。ところが、新しい産業というのは、ほとんどが政治を先行させておるようでございます。繊維にいたしましても、合繊はよき例でございますが、また、諸外国、日本が輸出しようとしておる相手国の様相を見ますと、アメリカ、イギリス、EEC、ともに政治が先行しておるようでございます。ところが、特に日本の綿業界は、長い古い伝統のゆえをもってか、一人歩きがお好きなようでございますが、これは一体どうしたものだろうか。私ども実は遠慮しいしい事を運んでおるわけでございます。一体将来に向かってどうすべきが正しいのか、どうすべきが日本繊維産業を発展させる道であるかという点について、二点だけお伺いします。

原吉平日本紡績協会委員長

○原参考人 お答えいたします。  第一番の日米交渉の問題でございますが、これは、私も新聞やラジオで私の意見を発表しておりますように、今度の日米綿製品の交渉の問題については、問題は、結局アメリカが、長期協定の実施早々に、日本からの輸出の九三%に上るものに対して、市場を撹乱したという理由で日本の輸出規制を要求してきたことにあるわけでございます。ところが、御承知のように、長期協定というものは、アメリカの言っているようなものではないと思うのでございまして、あの長期協定の前文にもありますように、秩序ある方法によって輸出の拡大をはかるということがはっきりうたってありますし、また第三条の市場撹乱条項を適用する場合にも、できるだけ控え目にやれ、それから制限品目も、できるだけ限定した品目に限れということがはっきり書いてございます。それからまた、アメリカから数量を提起してきた中にも、いわゆる人形の着物とかそれからジッパーの基布とかいうような、われわれから申しますと、綿製品とは常識上考えられないようなものも、綿製品として、市場を撹乱したとして自主規制の要求をしてきております。それからまたアメリカ側の解釈によりますと、例の第三条による輸出規制の最低数量というものがきめてございまして、あれは第二年目からは原則としては五%ふやすということになっておるわけでございますが、それについても、原則的にアメリカはそういうふうに考えてこないというようなわけでございまして、つまり長期協定につきまして、われわれの見解と——日本政府もそうだろうと思いますが、アメリカ側と根本的に違っておる。そうしてみますと、これは一ぺんあの協定をつくったガットの場に出して、そしてみんなで、はたしてアメリカの言っているのか正当であるか、あるいは日本の主張しているのが正当であるかということをそこで討議したらいいじゃないか。そして、しかる後に二国間の協定に移ってもいいんじゃないか、われわれはそういうふうに考えております。しかし、外交というものは、私はしろうとでなかなかわかりませんが、ただけんかするばかりが能でない。それからもう一つは、いつアメリカと妥協したら一番有利にいけるかというような点もあるだろうと思いますが、これはちょっとわれわれしろうとでわかりません。これは外務省におまかせする以外には方法がないと思いますが、どっちにしても、われわれは、アメリカが市場を撹乱したということに対しては、どうしても納得のいかぬ節があるわけでございます。そうしてその理由に対しても、日本がもう一ぺん説明してくれということを言っているのにかかわらず、まだ正確な反対の説明もないように聞いておるわけでございますから、そういうようなことで、結局われわれといたしましては、四品目——別珍、ギンガム、ピロー・ケースを除いたほかの製品については、はっきりした理由がない限りは、どうしても三条によっての規制要求は納得できない。こういう点で、われわれとしても、政府がぜひ一つ自主的外交によってやってもらわないことには、先ほどもお話がありました綿以外の、たとえば毛とかその他の雑貨とかいうような対米輸出に対して、同じような理由で規制要求をせられてくることもあるだろうと思いますし、それからまた、アメリカ以外のEECあたりの諸国でも、アメリカがああいうようなことで無理を言って通るんだったらおれの方もやろうじゃないかということでやられるおそれもあると思うのでございますから、これは長期協定の基本問題であるから、われわれは、よほど慎重に、しかもわれわれの納得のいくまで一つアメリカと交渉して、問題を解決してもらいたい、こういうふうに私は考えておるわけでございます。  それからその次の問題は、綿業界はあまりに自分の業界だけで自主的にやり過ぎるんじゃないか、こういうお話でございますが、戦前は、われわれはほんとうに政府にたよらずに、われわれの力で世界制覇をしたようなわけでございます。また、経済の原則から申しますならば、ほんとうに自由経済であったならば、自由競争でいくのが最もいいと私は現在でも思っております。しかし、少なくとも海外貿易につきましては、現在はもう自由は許されておりません。共産圏におきましては、もう一本買付となっておりますし、いろいろな輸入制限を設けておるわけでございます。御承知のように、対米交渉でも、自由貿易の総本山といわれておるアメリカでさえも、綿製品に対して六十四品目の規制を課せようというような状態でございまして、ほんとうの自由はないわけでございます。従いまして、われわれから申すますならば、輸出に関する限りは、やはりある程度まで政府の統制か何かでやらなければ、現在は独禁法によって業者の共同行為ということは認められていないわけでございますので、従いまして、われわれといたしましては、一九五二年にバクストンで世界綿業会議がございまして、帰りまして、こういうことだったら、日本は今後どんどん紡機がふえて、過当競争が起こって、そうして結局は安値輸出のために海外市場で日本品の排斥を食うのじゃないか、これはわれわれの方としては何らか規制せなければいかぬと思って、いろいろ研究したのですが、われわれの自力によっては規制ができないわけであります。従いまして、われわれとしましては、通産省に要望いたしまして、そうして結局繊維工業設備臨時措置法というものが三十一年にできたわけでございます。これが先ほども申しましたようにざる法でございまして、これがためにやみ紡機というものができて、自主規制に非常に苦しんでおるということでございまして、現在の綿業界も、われわれの独自の力でやろうとしても、またそれによって不況の打開もできないということはよく知っておるわけでございまして、結局やはりこういうことになりました現在の状態におきましては、今の臨時措置法の改廃問題につきましても、それから過剰設備処理の問題につきましても、やはり政治と直結して、それによって不況打開をはからなければいけないということは、われわれも痛感しておるわけでございます。英国の綿業も、あれだけ自由主義によって発達してきたわけでございますが、綿業法という政府の法律によりまして、企業の整理統合を行なったというようなわけでございますから、私も、きょうお願いしましたように、臨時措置法の改正問題につきましては、やはり政府なり国会の法律改正によりまして業界の体質改善をはかりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)小委員 全く同感でございます。ありがとうございました。

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 それではお約束の時間が参りましたので、原参考人にはお引き取り願ってけっこうです。  なお、原参考人にはいろいろ貴重な御意見をお述べいただきまして、ありがとうございました。  次に、四参考人の御意見に対し、質疑の通告がありますので、これを許します。山手満夫君。

山手滿男自由民主党

○山手小委員 私は、酒井参考人のただいまの御意見に従いまして、二、三お尋ねをしてみたいと思うのでございます。  取引所がある業界がいろいろ相場に変動を起こして困っておるという御意見があったのでございますが、このことについて、もう少し詳しく御意見を伺いたいと思います。

酒井弘日本羊毛紡績会専務理事

○酒井参考人 商品取引所というものの上場商品の質の問題でございますが、これはできるだけ加工度の少ないものを上場するというのが、取引所論の根本原則でございます。ところが、毛糸の取引所というものは、四八双糸というもので、大体四八双糸というものは、月四百トンないし五百トン、一月の梳毛糸の生産は約八千トンございます。そういった少量の生産しかないものを取引所に上場したということになりますから、ここで取引所を設ければ、投機はあると思いますが、ただ、そういうようなわずかな生産量しかないものを上場したことによって、単に二、三の仕手関係によって左右される危険性がある。ここに根本的な取引所の欠陥があろうかと思います。従って、ここで先ほどありましたように、二カ月に四百円も下がったり上がったりでは、生産者というものは正常な生産というものはできない。危険度が多くなります。しかも危険度が多くなりますから、国内の需要も伸びるはずですが、伸びなくなってくる。たとえば、もっと具体的に申し上げますならば、合繊の方は建値制がとられております。従って、機屋さんが糸を買ってあるいはジャージーなり何なりにしていく場合に、危険性はありませんから、一定のマージンが取れ、加工賃が取れる。ところが、毛糸がジャージーをつくった方がいいのです。需要者も好むんですけれども、毛糸がこういうふうに上がり下がりいたしますと、毛糸でジャージーを織っておったんでは、損の危険性が非常に多いのでありますから、これは取り扱えないという格好で、需要度は減っていくという状況になっておるわけです。さらにまた、輸出関係から見ましても、安定しないということが安売り競争に導く結果になっておるというように思われるわけで、この取引所の問題は、軽々に結論は出せないかと思いますが、もちろん取引所関係だけによって生計を営んでいる会社もございますのて——しかし、この取引所を何らかの形で正常なる相場を立てるような方向に向けなければいけないのではないか、こういうふうに思っているわけです。

山手滿男自由民主党

○山手小委員 それから輸出秩序の確立について御意見がございましたが、この点について、今、紡績業界の原委員長からもお話がございましたが、毛についても、日米間に綿におけると同様なトラブルが起きる可能性が十分にあるというお話がございましたけれども、この点について、もう少しお伺いしたいと思います。

酒井弘日本羊毛紡績会専務理事

○酒井参考人 これは四年前だったと思いますが、一応関税が引き上げられたんです。それでも輸出はしたんですが、その後、それでもいけないということで、タリフ・クォーター制をとったわけです。タリフ・クォーターといいますのは、一定の数の年間の輸入量をきめまして、それ以上輸入する場合は税金が二五%から四五%に上がる、そういうような対策をとったわけです。ところが、これに対して世界各国から非常な反撃を食いまして、それを改めまして、最近では、その税金を二五%を三八%に上げまして、そしてタリフ・クォーター制はやめた、こういう事態になってきておるわけです。しかし、これでも向こうの業界は困るんだということで、この問題についてまた再燃しつつあるわけです。ことにアメリカの毛の業界は、綿の業界において割当制がとられている関係で、われわれ業界にも割当制をとってくれないか、こういう動きになりつつあるわけでございます。ことに向こうの言い分といたしましては、羊毛業界が非常につぶれていると言っておりますけれども、われわれの見ているところによれば、毛だけをやっている会社はなるほど悪いんですけれども、毛と合繊とをやっている会社は、未曾有の繁栄をしているわけです。そういったところもございまして、必ずしも輸入によって向こうの産業が打撃をこうむっているというふうにはとってないわけです。  なお、アメリカは原毛に、羊毛の原毛でございますが、これに税金をかけているわけです。いわゆる牧羊業者を保護するために、羊毛の輸入に税金をかけておりますので、向こうの羊毛を使えば、税金だけ高いコストになる、こういう格好になっておるわけです。  そういった点が向こうの業界に影響をしているので——影響しているといいますか、合繊の発達を来たしたわけです。毛を使うよりは合繊を使った方が安上がりでいい、こういう格好で合繊の発達を来たして、羊毛工業というものがだんだんと衰退していく、こういう格好になっていると思っているわけです。  そういう関係で、原因はそういうところにあろうかと思いますので、輸入によって向こうの業者に打撃を与えているというふうには、われわれはとってないわけです。ことに日本としましては、向こうの業界がつくるような製品は自主的に制限しているわけですから、これは国際的な協定ではございませんけれども、自発的に俗に言うプレイン物——ギャバシンとかサーシとか、そういったものは向こうの業者もつくっておりますから、そういったものは年間五百万ヤールで押えておりまして、その他の高級品、要するに、向こうでできないものをこちらで自由に輸出している、こういう対策をとっているわけでございまして、アメリカの方から、日本のこういう自主的なことをやっていることに対して、何ら文句を言われるはずはないではないか、こういうふうに思うわけでございます。  そこで、最近の情報によれば、上院議員がケネディに会いまして、羊毛工業の保護政策、貿易保護政策をとってくれということに対して、何らかの措置をとるというような返事をした。そしてまた、新聞紙上によれば、関税委員会に対して、向こうの業界がほんとうに困っているかどうか、調査を命じたというふうに出ておりますけれども、これもまだ確認はしておりません。しかし、そういった動きは、今度の綿のアメリカとの解決の仕方によっては、わが毛の業界にも影響してくる問題だと思いますので、業界としましては、いかなる事態が発生いたしましても、それに対処し得る準備態勢だけは今とっておりますけれども、この動き方については、まだ微妙なところがございますので、積極的に綿ほどの騒ぎ方はしていない、こういった状況でございます。

山手滿男自由民主党

○山手小委員 ありがとうございました。  綿工連の寺田さんにお伺いいたしますが、例の別珍やギンガムが、アメリカの関係で今ああいう問題になっておりますが、綿問題の中心になる業種のようでございますが、この市場撹乱といいますか、別珍や何かが対米輸出をいたしまして、向こうの問題にされるような市場撹乱の事実というものは、どういうことなんですか、どういうことを向こうは言っているのか。私どもはちょっとわからない点もありますが、価格が安過ぎるというのか、数量がどっと行って多過ぎるというのか、品物が悪いというのか、どういうことを言っているのか。その点をもう少し御説明願いたい。

寺田忠次日本綿スフ織物工業組合連合会副会長

○寺田参考人 別珍は、昭和十二年ころからアメリカへ輸出が始まったわけです。それから一時いくさで、もちろん禁製品になったわけでございますが、その後、昭和二十三年に、向こうから綿をもらいまして、日本の人工を最も要するものとしては、別珍、コール天がよかろうじゃないかというようなことで、最初に計画生産を受けましたのはコール天の十万ヤード、それから別珍の二十万ヤード、その辺のものをもらったわけです。その後逐次多くなりまして、昭和二十六年ごろだったと思います。大体別珍は七百五十万ヤードまで輸出されたわけであります。それが用途によりましていろいろ違うわけでございますが、衣料とか、あるいは極端な話が、向こうの亡くなった人の棺の中へ巻くというような粗悪なものまで出た。まあ品質によりましていろいろ用途は違ったわけでございますが、それにしましても、最も多く出ましたのは七百五十万ヤードまで出たわけです。その後急に二百五十万ヤードにまで制限をされましたわけでございますが、価格が安いということが原因でございますが、あるいは向こうには別珍の織布工場というのが三個あったわけです。その三工場のうち、一工場は閉鎖をいたしましたし、一工場は破産をしたというようなことで、一工場、クロンプトン社というのがございますが、そこだけの一工場が残ったというわけです。その方が非常に政治力を持っているような状態でございまして、その人が、最初に、終戦直後日本に二年ほどその人の社員を駐在させたことがある。日本から生地をもらいたい、染色しないものをもらいたいのだ、生地でもって輸出せよ。あるいは米国の綿をよこしまして、日本で糸にし、それから別珍にしたものを、向こうで生地で輸入しよう、賃加工を頼もうというような意図のもとに来たことがあるのです。ところが、日本の染色業者が大へんこれには反対いたしまして、染色しなければ日本から出してはいけないのだというようなことで反対いたしましたので、それでクロンプトンは帰ってしまいました。それで、その後やはり日本からの輸入は防遏しなければいけないというようなことで、向こうの産業を保護する意味から、そういったようなことをやった。あるいはその当時、今になって考えることでありますが、生地輸出を、あるいは勢毛までして、染色の前の工程までいったものを向こうの賃加工でやっておれば、行き方を変えておれば、あるいはよかったのではないか、こうも考えられるわけでございます。最初は、値段が安かったので行ったわけでございます。その後、品質を非常にやかましく言うようになりました。品質も非常にいいものになったわけでございます。現在の状態は、そういったことでございます。

山手滿男自由民主党

○山手小委員 それからもう一つ、あなたのお述べになりました御意見で、金融上の優遇について、中小企業綿工連のメンバーなどがもっと優遇されるようにしてほしいとのお話でありました。特に中小公庫に輸出の別ワクをつくってほしいというような御意見であったようでありますが、現在輸出の場合、金融のいろいろな優遇措置がございますけれども、中小企業といえども、輸出に関しては、現在の点である程度貿手の問題なんかは解決できるんじゃないかと思うのでございますが、中小公庫に特に別ワクをつくれということについて、もう少し御意見をお聞かせ願いたいと思います。

寺田忠次日本綿スフ織物工業組合連合会副会長

○寺田参考人 輸出に対する金融でございますが、今貿手というものに対する恩恵は少しもこうむっておりません。これは中小企業者である私どもは、少しもこうむっていないわけであります。たとえば賃加工はもちろんでありますが、販売のものにつきましても、そういった恩恵をこうむっておりません。というのは、直接私たちが輸出するということは少ないわけでございます。そういったことで、その恩恵はこうむっておりません。税制におきましても、輸出に対しまして利益の三%控除というようなこともあるわけでございますが、これは法文の上でうたわれておるだけでございまして、ほとんど大部分のものは、私どもは恩恵をこうむっていないということが言えるわけでございます。御承知のように、今、当業界の織機台数は三十六万台ございますが、そのうち、中小企業のものが三十一万台で、紡績兼営のものが五万数千台ございます。織機の台数はそうでありますが、綿スフ織物の約七割の、ほとんどのものを三十万台の中小企業者の人たちがつくっておるのであります。しかも、綿スフ織物の輸出高は、全繊維製品の約三割余を占めるウェートの高いものでありまして、そのような高いウェートをとっておる当業界ではございますが、私ども業者は、いつまでいきましても下積みというような状態になっておりますので、何とか零細な者にもそういった恩恵をこうむることが簡易な方法ででき得ますように、お願いしたい、こういうことでございます。

酒井弘日本羊毛紡績会専務理事

○酒井参考人 今の問題でございますが、中小企業だけではなくて、大きな生産者も同じように、輸出の問題は、LCベースで特別な金融は受けられるわけです。それは輸出業者の手元に最初に入るわけです。それがほんとうは輸出するまでには相当の生産期間というものが要るにもかかわらず、下まで戻ってこない、こういうような状況で、その恩恵をこうむっているのは輸出業者だけ、こういった事態でございます。制度としては下まで下がるようになっておるわけですが、実際上は下まで下がってこぬということでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)小委員 それでは、急いで簡単に御質問を申し上げます。  まず最初に、羊毛紡績会と毛工の方にお尋ねしたいと存じまするが、日本の貿易の自由化の中で、毛織物だけは自由化からはずれて残っているわけでございますが、その実、輸入量が年々ふえております。しかも、それは政府みずからの手でふやしているわけです。百万ポンドぐらいであったものが、去年は三百五十万ポンド、ことしはまた池田総理が行かれまして、なるほど自由化からはずすということはやられなかったですけれども、イギリスからだけの買いで七百万ポンド、これはまさに七十億なんですね。FOB七十億だということになりますと、デパートでは少なくとも三倍から四倍の金額になるわけです。しかも柄物が多いということに相なりますと、これの影響は非常に大きいと思うのです。要は、これは名をとって実を捨てたという気がするわけなんでございます。繊維局に向かっても、これで倒産その他の問題が出来することを予想して、対処するようにとは申し入れてはございますけれども、こういう調子でイギリスから高級毛製品が七百万ポンド、しかもメリヤスとかトップとか敷物を除いて七百万ポンド、去年よりはるかに多くなるわけです。今原さん見えぬですから何ですけれども、原さんのところはずいぶんいかれてしまったわけなんです。はたしてこれを受け入れる態勢が整っているかどうか。さなきだに三品市場においては値下がりがきているというやさきに、はたしていいのか悪いのか。この問題をまず第一番に羊毛紡績会と毛工の両方から聞きたい。

酒井弘日本羊毛紡績会専務理事

○酒井参考人 先ほど申し上げましたように、毛織物についても、紡毛、梳毛がございます。流毛の——また糸についてもそうでございますが、梳毛については、とにかくコスト的に世界と競争しても負けない自信を持っております。ただ、紡毛につきましては、残念ではございますけれども、やはりイタリアには負ける、こう申し上げなければならないと思います。そのおもなる原因は、原料関係にあると思います。加工賃は非常に負けることはないのですが、原料が、ことにイタリアは、欧州という——再製羊毛を集荷する能力がありますし、また、アメリカの縫製業者というものは、イタリア系のアメリカ人がやっておりますので、そこから多量に安く入ってくる。こういった関係で、現在のところ、技術的には負けませんけれども、コスト的には負けてくる、こういった事態でございます。そこで、今、業界としましては、紡毛については非常に困るけれども、梳毛については、入ってきても大したことはないんじゃないかという自信は持っておりますけれども、先ほど先年がおっしゃいましたように、諸外国、ことに欧州関係は、すべて日本に対して毛製品に対する門戸を閉ざしているわけです。ですから、そういった際に日本だけがそれらの国々にとにかく門戸を開くということは、おかしなことではないか、こういう気持を十分持っているわけでございます。今、日本の政府といたしましても、そういう意味でこれはまあ自由にはしていない、いわゆる外交交渉の一応の道具にするということで、まだ自由にはなっていない、こういうことになっているかと思います。

安田穣日本毛織物等工業組合連合会専務理事

○安田参考人 今の御質問でございますが、紡毛の織物につきましては、今の酒井さんのお言葉に尽きておるかと思うのでございます。私どもの方でも、大体同じような考え方を持っておるわけでございます。梳毛につきましては、今お話の出ました英国品の問題でございますが、これは日本でなかなか手に入れにくいような、たとえば英国産原毛を使いましたような特殊な織物につきましては、遺憾ながら、日本が入れております豪州羊毛を主体とした原料では、なかなか同じような品質のものは製造がほとんど不可能である、そういうような点から申しまして、そういうものについては、おそらく競争力と申しますか、対抗をしたようなものをつくっていくことは非常にむづかしいというふうに考えられるわけでございますが、毛織物の大半を占めております豪州羊毛を使いましたような製品については、少なくとも英国品には、品質の点においても、価格の点においても、決して劣ってはいないというふうに業界の一応の常識になっておるわけでございますが、ただ、消費者の方々の輸入品に対するイメージと国産品に対する考え方、そういう点におきまして、国産品よりも輸入品の方がすぐれておるのだという考え方が、まだ相当強く残っておるかと思うのであります。そういう点で、やはり英国品が珍重されておるという面はあるかと思います。  今の英国の貿易協定のワクの問題でございますが、昨年までは三百五十万ポンドで、昨年暮れの協定で倍の七百万ポンドになったわけでございますが、私どもの聞いておりますところでは、従来三百五十万ポンドの中で入っておりましたような高級品がそのまま倍になって入ってくるかどうかということについては、相当疑問があるのではなかろうか、やはり七百万ポンドまでのものを従来と同程度の高級品を七百万ポンドまで買うということが、向こうの生産能力等から見まして、なかなかむずかしい面もあるのではないか、そういうふうな感じもございまして、倍になったからといって、非常に大きな打撃を受けるというところまでは私はいかないと思います。これは決して影響なしとは申し上げかねるわけでございますが、従来の倍になったから非常に大きな打撃を受けるというような事態ではなかろうというふうに、観測をいたしておるわけでございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)小委員 業界の指導の立場にいらっしゃる皆さんですから、せっかく御努力していただきまして、輸入の自由化が内地の業界、メーカー部門や商社部門を倒すということのないように、一つ御努力願いたいと思うわけでございます。  次に、例のアメリカ綿製品の関係について寺田さんにちょっと承りたいのですが、綿スフ織物の方とはちょっと離れておりまするので、これは原さんに聞いた方がいいかと思ったことですけれども、ガットへ提訴してもらいたいというのは、同じ意見のようですね。その先の問題でございますが、それでもなおという手だては考えておかなければならぬと思います。そこで、その際に、原料輸入の市場転換をするだけの心の御用意がありますか、ありませんか。このことが一つのきめ手になると思うのです。

寺田忠次日本綿スフ織物工業組合連合会副会長

○寺田参考人 私には原料面のことはよくわかりませんが、このごろ紡績協会方面で言っていますことは、一応そういったことを考慮すべきじゃないかというようなことを、紡績業界の方々でも言っている方が多うございます。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)委員 時間が何んでございますから、簡単に要点を端折ってまとめてお尋ねします。  これは綿、毛両方にわたっての質問になると思います。私は、先ほど原さんにお尋ねしましたように、日本も政治と業界とがほんとうに一致協力しないと、繊維、時に綿の将来は必ずしも安定でないと思う。それは、絹があのようになりまして、農村で減った養蚕人口、工場で減った絹加工業者の人口等々を考えてみますると、綿の場合も、うっかりすると石炭の二の舞を演ずるんではないかという心配をするわけなんです。従って、ころばぬ先のつえで、この際、私考えておかなければならぬと思うことをまとめて申し上げますが、第一はアメリカ市場についてです。これはもう大切な市場でございます。これは大事にしなければならぬと思います。しかし、ここに大きな矛盾があることを指摘しなければならぬ。その第一は、相手国は農業保護政策を行なっているがゆえに、繊維製品がコスト高になっているということでございます。そのしわ寄せが輸出をする側へ転換させられてきておるという問題でございます。先ほどの毛の場合もしかり、綿の場合もコットン・ファーマーの保護政策が、やがて相手国の生産コストを高うしておるわけです。何もこっちが受け取る必要がない原因なんです。それをまともにひっかぶっているのが、日本の状態でございます。毛の場合、ラッシュしないのにラッシュするというて、柄物まで拒否された。これは私にはどうもわからぬことなんです。もう一つは、相手国はは化繊を保護しているのです。自国製品を非常に保護している。その結果は、百年も使っておられた——もっといえば三百年でしょうか、使っておられた絹を、火がつくからけしからぬといって、可燃性繊維だということを言いかけてみたり——これはテュポンの会社を保護する政策のしわ寄せなんです。  次に、最も私のわからぬことは、日本品は安いからいかぬ、ラッシュするからいけない、こう言うて自主規制を日本にはやらせておきながら、なお向こう様はどうなさったかというと、日本よりは安いところの香港とか、スペインとか、ポルトガルの綿製品を七倍にも十倍にも輸入をふやして買っているのですから、ここらの矛盾になって参りますると、日本向けに言うていらっしゃるテープ・レーバー、レーバー・ダンピングは、はたしてどこが本音やらわけがわからぬ。よくきわめた者なら、だれしも気づく点だと思う。こういう点などを、業界も、日本の政府も、政治家も、一致協力して、病根が那辺にあるかをよく検討して、それを除去することが、貿易の正常化だと思うわけです。しかし、その矛盾は必ずしも向こう様だけじゃない。お客様だけの悪口を言っておれない。こちらにもあると思う。それはどういうことかといえば、第一に、日本の業界の矛盾は、過剰だから規制してくれとあなたの方が言うてみえた。そこで三十一年に規制をやった。ところが、規制はしたものの、どうなっているか。設備は八十万錘ものやみが動いている。これは、どう考えても私どもにはちょっとわからない。ところでもう一つわからぬ点は、材料が制限の時代であってさえも、なおやみが行なわれた。今日自由化になりますと、材料は自由なんです。そうなれば、ますますやみが横行ずるということに相なりはしないかという心配が起こるわけなんです。これなども、私は大へん矛盾であると思います。  それからもう一つの矛首は、今、山手先生も御質問になりましたが、つなぎの場として設けられたところの三品市場が、今日では投資の場になっている。それは一体どうしてそうなったかといえば、必ずしも日本の投資家だけが悪いわけじゃない。これは会員制度であって、他の者の介入を許さぬはずなんです。にもかかわらず、ここへつなぎ以外の資本が投入されればこそ、上がったり下がったり、材料の不安定はやがて原料高の製品安を来たして輸出を難渋させるという結果を来たしているわけなんです。これらの点もよく考えてみなければいけない点ではないか。それこそ自粛自省が大切ではないかと思う。  もう一つ、政府の矛盾を申し上げますと、材料と製品面は自由貿易にして、生産部門だけぎゅっと制限するという格好で、今のところは、独禁法がどうあろうとこうあろうと、除外例によって、先ほどお話の通り三〇%から四〇%に至る封緘、格納が行なわれているわけです。材料は自由、製品はやがて自由になる、日本の生産部門だけは制限、はたしてこれで政策として上々の策であるやいなや、はたしてこれでいいのか悪いのか、これは政治家の常に反省しなければならぬ点です。  最後にもう一つ、後進国が繊維づいておるということを考えなければならぬ。日本の明治維新のそれのように、製品よりも機械がほしいという国が多いですね。後進国が軽工業に取りつく。一番取りつきやすいのは繊維です。そこで今日の紡機のオファーを見ましても、三百五十万錘余きている。そこでよい紡機、織機を出してもらっては困ると原さんもおそらくおっしゃるだろうけれども、日本が輸出しなかったら、イギリスやイタリアが輸出しちゃうわけです。これは、ここらあたりに将来の方針を立てるポイントがあるんではないかと思われるわけなんです。こういう相手力にも矛盾があり、日本国内にも大きな矛盾を包含しつつきている。これは戦後の経済だからやむを得ませんが、もう自由化になったら、すっきりしたレールを敷くべきだと思うのです。そのために皆さんの御意見を承っているわけなんです。そこで相手方の自己矛盾をどう解消していったらよろしいか、政治家としてはどのようにお手伝いを申し上げたならばよろしいか、御高説を承りたいわけであります。以上であります。

寺田忠次日本綿スフ織物工業組合連合会副会長

○寺田参考人 ただいまのお説は、全くりっぱなお説であると、かように考えます。それで、私どもの方も、制限をいたしておりながら、やみがある、やみが一方数千台あるということについては、常にこれを何とかしなければならぬということで考えておるわけですが、紡績業界も、先ほどから理事長が言われておる通り、大へんな問題になっておるわけです。そういったようなことにつきましても、原理事長はざる法というふうに申されましたが、今もうちの方としては一つ問題が起きておる。というのは、やみ織機を持っておるものに対して、中小企業団体法できめられておるように、実は告発をしたわけです。これが一つ今問題になっております。問題になっておりますが、この点につきましては大へんむずかしい問題がありまして、今、この対策はいろいろ考慮して、万策を立てて遺漏のないようにしたい、こう思っておるわけであります。それにいたしましても、お説のように、今の織布、綿布だけから申しましても、紡績、それから私どもの織布業者あるいは染色業者、それに関連いたします流通部門というような、この大きな四つのものが、横の連絡がほとんどとれていなかったわけです。今後につきましては、先ほども申し上げましたように、ぜひ横の連絡もとり得るようなことにしていただきまして、そこに大きな政府の力、それから政治の力をお借りいたしまして、万全を期していくのが最もいい方法だというように考えております。  なお、海外におきまして、今の製品の輸出、あるいは消費物資の輸出ということよりも、機械等の輸出ということが非常に考えられておるということ、あるいは外国でもって望まれておるということは、当然でありまして、そういったようなことにつきましては、大きな政治の力を借りなければ当然いけない、かように考えております。  何にいたしましても、私どもは、決して今いんしんな産業であるということは考えておりません。考えておりませんので、先ほど来数多くのことを私はお願い申し上げたわけでございます。非帯に盛りたくさんのことをお願い申し上げましたが、それほどまでに私どもの現在置かれておる境遇が、非常に困難な境遇に置かれておるというわけでございます。どうか大きな政治の力によりまして、私どもを一つ生き得る産業にしていただきたいということをお願いいたしたい、かように考えております。よろしくどうぞお願いいたします。

加藤清二日本社会党

○加藤(清)小委員 それでは最後に皆さんにお礼を申し上げておきたいと思いますが、何と申しましても、どんなに事が運ぼうと、日本の繊維産業というものは、石炭と同様に、過去においては日本経済の育ての親である。日本経済の発展の基礎を築いてくれた。言うならば日本経済の恩人なんです。それが軌を一にして、時のせいか、心配な状況に追い込まれておるということなんです。そこで、幸いここに見えます中村さん、山手さん、早稻田先生、海部さん、皆さんが一生懸命になって、何とかころばぬ先のつえ、建て直し策をしなければならぬといってせっかく御努力中でございます。アメリカの産業に負けないように、政治家をうまく使って、日本経済のために、一つ皆さんの業界が発展するように御努力あらんことを切望いたして、私の質問を終わるわけでございます。

中村幸八自由民主党

○中村小委員長 他にございませんか。——他に御質疑もないようでありますので、この際参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中にもかかわらず、当小委員会の調査のため、大へん長い間貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。小委員一同にかわりまして、小委員長より厚く御礼を申し上げます。  次会は、来たる十三日、水曜日、午後一時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後三時十九分散会

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