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43回国会衆議院1963/06/20

商工委員会 第38号

発言数
45
登壇者
6
会派数
2
開催日
1963/06/20

会議録

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 これより会議を開きます。  この際申し上げます。  日本社会党の委員が出席されておりませんので、ただいま、日本社会党の委員に委員会への出席を求めるため連絡をいたさせます。——ただいま連絡いたさせましたが、日本社会党の委員諸君は出席されませんので、やむを得ず議事を進めます。  内閣提出の中小企業基本法案、永井勝次郎君外三十名提出の中小企業基本法案及び中小企業組織法案、予備審査の向井長年君提出の中小企業基本法案、並びに内閣提出の中小企業指導法案、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案、及び下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、以上八葉を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします。春日一幸君。

春日一幸民主社会党

○春日委員 まず、この法案の前文の文言について質問をいたしたいと存じます。  この前文は、この法律の、特に立法を必要とする理由と、この法律の政策目的を論ぜんとしておるものでございまして、きわめて重要な部分を占めておると思うのでございます。しかしながら、その前文の文言の中に不明確な点があると思いますので、これをただしたいと思います。  第一番に、前文の十一行目の、経済的、社会的不利を補正する云々とあるのでございますが、この補正なる文言の意味は何でありますか。この点を明らかにしてもらいたいと思います。  なお、参考のために申し上げますが、自民党は、昭和三十七年四月十三日、自民党立案にかかる中小企業基本法案を提出されました。その前文には、その格差を是正することがきわめて重要な課題であるとか、あるいは中小企業者の経済的存立条件の不利を是正しとか、その文言は、補正ではなくして是正に相なっておるのでございます。なお、本法の第一条の政策の目標の中にも、企業間における生産性等の諸格差の是正と、是正の文言が用いられておるのでございます。補正なる文言は、申し上げるまでもなく、これは足らざるものを補うというのでございまして、是正の意味は、すなわち、間違っていたことをため直すということにあることは、これは明らかであろうと思うのでございます。したがいまして、補正というような文言を用いることは、この中小企業基本法それ自体の格調を低める形に相なるものでございまして、いうならば、保護政策の寄せ集め的なものに堕し去る心配なしとはしないのでございます。申し上げるまでもなく、この宣言法によりまして、政府は、今後ともそれぞれの条章に基づいて、それぞれの関連法規を制定せなければ相なりません。その法規を制定する場合におきましても、不利を是正するのと、不利を補正するのと、それはその中身にはなはだ大いなる影響をもたらしてまいるものと考えられますので、この補正なる文吉を、できるだけ第一条の諸格差の是正という文言に置きかえる必要があると思うのでございますが、これに対する福田通産大臣の御所見はいかがでありましょうか、お伺いをいたします。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説のとおり、この場合にわれわれは補正ということばを使っておりますが、補正というのは、ただいま御説明があったとおり、補い正すということでございまして、中小企業が受けておりますところの不平等な待遇であるとか、あるいはまた経済的な不利というようなものを補い正すことが必要であるという考え方であります。しかし、これを直す、もうはつきり頭から是正するのだということばのほうが格調としても高いし、本案の目的とするところを端的に差し示す上において意味がある、こういうことでございますれば、われわれとしてもこれにあえて反対する気持ちはないのでありまして、御趣旨のように考えてまいることに異議はございません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 さまざまな不利な要因が相重なって、そうしてこのような産業間、あるいは企業間、階層間の格差を生ずるに至りました。これを是正せんとするのが本法案のねらいでございます。したがいまして、その冒頭宣言を意味いたしますこの前文の中においては、ただいま大臣が御答弁のごとく、これはすべからく補正という文言を取りやめて、厳然たる国の施策を明らかにするという意味におきましても、この是正という文字に置きかえていただきますことを強く要望いたしておきます。  次は、第十四条の商業に関する部分についてお伺いをいたします。申し上げるまでもなく、国民は、法律の前に平等でなければなりません。いままで商業及びサービス業といたしまして、定義の中でもそうでありますが、多くの場合、商業に対する施策はサービス業にも及ぶものとして取り扱われてまいっておるのが、慣例でございます。第十四条は、流通機構の合理化、その他変転する画期的なその実態に即応することのために、特に小売り商業に対する特別な施策を講ぜんとするものであります。だといたしますならば、これは当然のことといたしまして、サービス業にも同様のフェーバーをもたらすような規模のものでなければ相ならぬと存じます。したがいまして、第十四条を商業及びサービス業と改めまして、サービス業のために必要なる一項を加えらるべきであると考えますが、その点はいかがでありますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 第十四条におきましては、商業という項を起こしまして、御承知のように、流通機構の合理化に即応することができるようにということを主題としつつ、商業の問題について規定をいたしておるのであります。従来の慣例からいえば、商業の中にはサービス業も入っているではないかというお考えは、われわれも納得のいくところでございまして、この商業というのを、従来の慣例のごとく、商業及びサービス業と置きかえることについても、われわれは、それが必要である、そのほうが問題の焦点が明らかになるということでございますれば、異議はございません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 できるだけ将来に備えて、そういうぐあいに法文についてこの機会に完ぺきを期していただきたいと存ずるのでございます。  次は、十九条であります。中小企業の事業活動の機会の適正な確保についてでございますが、これは十九条だけではきわめてずさんであると思うのでございます。これは社会党におきましても、またわれら民社党におきましても、中小企業の産業分野を確保しなければならぬという、一個の思想と申しましょうか、政策目的を実現いたしますことのために、特定の施策を講ずることが必要であると考えまして、中小企業の産業分野の確保に関する法律案というのを提出いたしておる次第でございます。すなわち、自由競争と弱肉強食とをある一定の限界において調整をしていく。なるほど資本主義は自由にして公正な競争の原則の上に立つものではございますけれども、資本主義は、もうけられればもっともうけたいという一個の性向を持っております。したがいまして、大企業が、いうならばジェット戦闘機からエプロンまでといわれるほど、あらゆる中小企業分野にまで蚕食進出をいたしておるのが現状でございますから、はみ出た中小企業の行き先はございません。よって、中小企業にふさわしい産業、過去の実績においても、客観的な判断においても、中小企業にふわさしいとおぼしき産業は、しかるべき手続を経て国が中小企業産業として法定し、法定された中小企業産業には大企業がタッチせざるよう、現在やっておるものは、しかるべき猶予期間を置いてこれをやめるよう、このような法的措置を講じて、中小企業の事業活動の機会の適正な確保をはかるべきであると考えておるのでございます。こういうような問題について、なお政府においては検討が進められておるようであります。しかしながら、現在さまざまな紛争がございます。百貨店と小売り店、小売り店と生協、職域購買会あるいは農協、さまざまな中小企業以外のそれぞれの販売機関との紛争がございます。常時こういうような紛争解決の任に当たりますために、何らか国の施策を立てる必要があると思うのでございます。したがいまして、紛争処理のための機構を整備することについて、第十九条の中にそれらの文言を挿人し、後日、政府がこの十九条に基づいて関連施策を講ぜんとするとき、このような事柄も含めて問題の解決に当たるべきだと思うが、これに対する両大臣の御見解はいかがでございますか、お伺いをいたします。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説のとおり、中小企業と大企業の間、あるいはその他の事業との間、あるいは組合その他の関係におきまして、いろいろの紛争が起こり得ることは、予想されるところであります。この紛争をいわゆる行政活動によって処理できるかどうか、またその場合において何らかの特別の機関をつくってこれを処理するようにいたすべきか等というような問題について、われわれも真剣に考えを進めて研究もいたしておるところではありますが、十九条の案文だけを見たところではその要旨が含まれておらぬではないかという御質問と承るのであります。そういう御趣旨であるといたしますならば、れわわれといたしましては、その種の文言をこの条文のうちに含めることについては、異議はございません。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 通産大臣からお答えをいたしましたが、十九条の「必要な施策を講ずる」という中にいまの御説も包含をしておるつもりでございますが、あえて的確な表現をするため、「紛争処理のための流通機構の整備等」ということを入れたほうがよりよろしいということも考えられることであります。しかし、政府は、「必要な施策」という表現の中にそのようなことをあらかじめ予見をして条文整理をいたしたわけであります。

春日一幸民主社会党

○春日委員 本案は、どのようにその文言が濃縮強化されたといたしましても、社会党案やあるいはわれら民社党案のそれに比べますと、なお一そうの断層を持っておるものでございます。したがいまして、大体の大筋において異論のないような事柄の具体的な処理は、後日にゆだねるといたしまして、できるだけこの宣言的な文言の中においては、その国家の意思というものが国民がよくわかることができまするように、いま申し上げましたような紛争処理のための機構を整備することは必要であり、その中にいま国頭に申し上げましたような、産業分野の確保に関する同額でありますとか、紛争が起きたときの中央、地方の労働委員会にたぐいするような紛争処理調停機関でありますとか、そういうような具体的な施策を将来にゆだねるといたしまして、いずれにいたしましても、十九条の文言はいま申し上げましたように、もう少しこれを強化すべきものであることを強く強調いたしまして、質問を先へ進めます。  第二十条、これは「国等からの受注機会の確保」についてでありますが、国、地方公共団体、三公社五現業、子、の他政府が出資いたしておりまするような公的な機関の需品が発注をされます場合に、記念品の贈呈にいたしましても、ほとんど百貨店から一括購入するというような形になっております。小売り店、専門店から購入したら購入でき得るようなものが、そういうような便宜の手段にゆだねられておるわけであります。これは、中小企業が置かれておりまする社会的、経済的なさまざまな不利な制約、これを排除いたしますることのためにも、受注機会の確保をはかることは当然のことであろうと思うのでございます。したがいまして、社会党の案の中にも、また民社党の案の中にも、これが受注の一定割合を確保すべし、こういうことをうたっておるのでございます。ここでは、ただ漫然と「機会の確保」ということになっておるのでございますが、申し上げるまでもなく、この問題については大蔵省が非常に難色を示されまして、昨年提出を見た自民党案の中にも、一定割合が明文化されておりましたのにもかかわらず、これが今回政府案の中には削除を見ておるということは、きわめて遺憾であります。しかし、これは資本主義は自由にして公正な競争であるから、したがって、大企業でも、中小企業でも、競争入札の上に立っていい品物が安く納め得るものがその機会を得る、こういう立場から反対であると言われておるのでございますが、しかし、資本主義の木山アメリカにおける国防省の予算決算会計令、これは一定の割合が確保し得るような文書によって一側の規制がなされておるのでございます。こういうようなことをかれこれ判断して検討いたしまするならば、きわめて困難でございましょうけれども、なお可能な道を発見し得ると思うのでございます。したがいまして、いまこのような情勢の中において、この二十条の問題を有権的に、かつ的確に解決することは困難でございましょうから、それは問題を後日にゆだねることといたしまして、ここでは受注の機会を確保するというようなことから、少なくとも将来の特別立法への展望を心の中に置きながら、受注の機会の増大をはかる。その増大のしかたは、一定割合の確保を考えながら、なおかつ自由にして公正なる競争の原則を維持しながら、なおかつ中小企業に対する官公需の需要の造成がはかり得ように政策の展開をはかるべきであると思うが、この点に対する両大臣の御見解はいかがでありますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 御説のとおり、中小企業等のいわゆる受注の機会を増大する、しかも自由主義経済の原則をはずれない形において増大するということにつきましては、われわれは異存がございません。したがって、この条文の中で「受注の機会を確保する」というのでは、何かもう一歩足りない、面がある、もう一歩踏み込んだ施策にならない面がある、むしろ増大するのだ、ふやすのだという、いわゆる俗語であるか知りませんが、そういうみなにわかりやすくするような表現に改め、そうして政策自体を前向きの進め方にした方がよろしい、政策自体を前向きに進める考え方にすべきであるというお考えと承るのでありますが、この点については、われわれは、自由主義の原則を維持するというあなたの御提案、御説明がある限りにおいて、全面的に賛意を表したいと存じます。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国の物品、役務等の調達につきましては、大蔵省は、中小企業との結びつきについて反対をいたしておりません。おりませんのみではなく、アメリカのように、官需品に対しては一括購入というような調達庁制度式な制度そのものを考えたらどうかというような考えでいろいろ検討いたしておるのでございますし、現在の需品の状況におきましても、中小企業にできるだけ発注するようにという方針を閣議で何回もきめておるのでありますから、安ければ中小企業以外から買うというような考え方を基本的にいたしておるのではないのでございます。あなたと同経度には中小企業の育成強化ということに対して熱意を持っていることをひとつお考えいただきたい。  それからこれは法律用語でありまして、の増大をはかるということもわかりますが、これは法律用語としては、「確保する」という政府原案であなたの言われていることが全部満たされているというふうに、政府は考えているわけであります。「確保する」ということに対しては、中小企業にウエートを置けということのためにこの条文を必要としたのでありますから……。と考えておりますが、院議で「増大を図る」という新語が法律用語として採用されるならば、あえて文句を言うべき筋合いのものではない、このように考えます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 法律用語という一定の規格なんてありゃしません。ただ慣例があるだけであります。ただ問題は「確保する」ということでありますけれども、確保されているけれども、なおかつ社会的、経済的に不利な要因がいろいろと積み重なり、からみ合って、そうしてこのような産業間、所得間、階層間の格差が出てきた。その格差を是正するというのが冒頭宣言でありますから、したがって、是正するためには、単なる抽象的な確保ではなくて、あるいはあなた方がいま確保しているかもしれないが、この確保のしかたが足りないので、これを是正し、将来の発展をはかるためにこの増大をはかる。増大、増強、何でもいいからふやしていくという方向を示されるように、これはしかるべき文言を設定されまして、将来の政策の方向を明らかにされたいと思います。  次には、二十三条の小規模企業についてであります。小規模企業については、この定義にありまするように、おやじが働きながら、家族が働きながら、そのなりわいの方法を立てていくのが重点になるのでございます。この中には、末尾の二行の中に「その従事者が他の企業の従事者と均衡する生活を営むことを期することができるように必要な考慮を払うものとする。」とあるのでございます。「必要な考慮を払うものとする。」、これが書いてはありまするけれども、中身が何を意味するかということが不明確でございます。したがいまして、これらの勤労事業者の生活やその所得の増大をはかるということは、結局税金の問題であり、金融の問題であると思うのでございます。だといたしまするならば、これは明らかにこの中に、勤労事業者のために、小さななりわい業によってなりわいを立てるそれらの人々のために、金融、税制その他の事項について必要な考慮を払うものとすると、政策内容を明確にうたい出していくべきであると思うが、この点について両大臣の御見解を伺います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 この条文の中で「期することができるように」という意味が不明確である、むしろそれは金融とか税制によって補正するのだから、それを明らかに出したほうがよろしい、こういうことばであると理解いたします。私は、この点については全面的に同意をいたしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 御承知のとおり、第四圧の規定は、小規模事業者の育成、強化ということでございますから、必要な考慮の中に当然金融、税制というものを考慮をいたし、その旨は本会議でも答弁をいたしておるわけでございますが、あえて明確に文章上規定をするということになれば、私のほうでも異議を申し立てることはありません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 それではもう一歩前進した具体的な質問を大蔵大臣に行ないたいと思います。  さて、ここに税法上、金融上の特別の措置を講ずることが第二十三条の条文の中で明文化されるといたしましても、われわれは、過去の経験にかんがみて、単なる文中のもてあそびになっては相ならぬのでございます。大臣御承知のとおり、協同組合法が昭和三十二年に制定されました当時、組合法二十三条の三でありますが、そのような小規模事業者に税法上、金融上特別の措置を講じなければならないと明示され、国家に対する一個の義務が課せられておると思うのでございます。そのような二十三条の宣言規定を基礎といたしまして、それぞれの具体的な施策の展開をわれわれは政府に求めてやまないのでございますが、本日までいまだ見るべき成果が上がっておりません。なるほど基礎控除が引き上げられたとか、それぞれ政府関係金融機関の資金昂が増大されたとか言ってはおりますけれども、そのことは零細業者に対する特別の施策とは断じがたいものでございまして、かつそれが的確なる効果を及ぼしてはいないのでございます。  そこで、私は、大蔵大臣にまず、金融上の問題についてお伺いをいたします。現存商工中金でありますとか、中小企業金融公庫でありますとか、国民金融公庫でありますとか、三機関がございますが、なかんずく国民金融公庫は零細事業者専門の金融機関でございますから、これはしばらくおくといたしまして、商工中金と中小企業金融公庫は、中小企業に対する金融機関ではありながら、しかし、彼らも金融を業とする機関といたしまして、やはり貸し倒れをおもんばかる。そして事務上の手続というようなものに対するいろいろなおもんばかりがあるのでございます。したがって、中小企業の中でも、信用度の高いもの、比較的金額の大きいもの、これが法律の制約の中であるならば、零細なるものを避けて、中小企業の中でも比較的大きいものに優先的に金融が行なわれてまいっておるという、これが実態でございます。こういうことであっては相なりません。というのは、これはかねがね主張いたしておるところでございますが、やはりいま物にたとえて言うならば、動物の中でライオンであるとか、象であるとか、鯨であるとか、これらを大企業とする。これらに対するものは、開発銀行でありますとか、都市銀行でありますとか、長期信用銀行でありますとか、そういうようなものによっていろいろなえさがあてがおれる。ところが中小企業という形になりますと、今度は馬でありますとか、ンカでありますとか、牛でありますとか、そういうもの、これは中小企業の中でも比較的大きいもの。それから今度その下には犬がおる、ネコがおる、もっと下にはネズミがおる。このネズミも馬もネコもウサギも一緒のえさばちで食事があてがわれておるところに、問題点があると思うのでございます。一つのえさばちの中で、牛も馬もシカもネズミもウサギもネコも一緒に食うと、牛や馬やシカが先に食ってしまって、ウサギやネコの食うものが残っていない、そういうところから、今日中小企業金融というものが政策的に講じられてはおるけれども、そういう中小企業金融が、中小企業金融公庫において、商工中金において行なわれてはいない——行なわれておるけれども、率は非常に少ない。政策的にふえたのが及んではいない。すなわち、金融政策においては、それが盲点になっておるというのでございます。資本主義においては、金融というものは、やはり信用度のあるものについて、貸し倒れのないような面に融資するというような金融ベースでございますが、やはり政策ベースでこれを金融するということになりますれば、信用度の低いもの、あるいは貸し倒れの心配が若干あるかもしれないけれどもというようなものに、金融が行なわれ得ることの体制を確立せねばならぬ。そのためには、中小企業金融公庫、商工中金等について、零細事業者のための融資の特別ワクですね、総資金量千数百億のうち、二〇%にするか三〇%にするか、その限界は政府が十分その実績とその資金需要の限界において定めるといたしまして、計画的な融資というものがなされ得るの体制を確立すべきであると思うが、この点に対する大臣の御見解はいかがでありますか。ただ単に零細金融にもやれ、やれと言っておるだけでは、それはやり程ない。この閥、本委員会において公聴会が持たれまして、商工中金の北野理研長がその公述愚見を述べられておりました。本貫は、これについて、現行制度のもとにおいて零細企業に重点的に金融を行ない得るか、やってくれと政府が言うたらそのとおりなし得るかと言うと、単なるそういうような観念的なかけ声だけでは、なかなか実効をおさめることは困難であるという答弁がございました。これは速記録によって御検討を願いたい。だとすれば、これは何らかの実効を確保できるための必要なる施策を講ずるの必要があると思う。したがって、ここに税法上、金融上特別な措置を講ずるということは、中小企業等協同組合法二十三条においてすでに二十四年に制定されておることである。何も珍しいことではない。今日これを珍しくするためには、それにフォローするような具体的政策であるということが、全国の勤労事業者にアピールしなければ、意味をなさぬと思う。この点に対する大臣の御見解はいかがでありますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 先ほどお述べになりました税制の問題につきましては、貿易、為替の自由化その他対外的な影響もありますので、十分検討いたしておるわけでございます。  それから金融の問題でありますが中小企業につきましては、確かに御説のような面がありますので、鋭意これが改善に政府も努力をいたしておるわけであります。  まず民間金融機関のことから先に申し上げますと、地方銀行も、コールに流すことばかりを目的にしないで、中小企業の育成、強化という問題に対して十分配意をするようにということで、昨年の七、八月ごろから、中小企業に対して非常にウエートを置いた貸し出しを行なうという方針をとっております。それから相互銀行及び信用金庫等におきましても、その大半は中小企業に融資をするような制度上の制約をもいたしておるわけでございます。しかし、実質金利の負担もありますので、歩積み、両建ての排除とか、中小企業の金利負担の軽減に対しても、格別の措置を講じておるわけでございます。その上になおプラスするものが、政策的な政府関係金融機関でありますが、先ほども申されたとおり、商工中金は、これは組合金融機関ということでありまして、おのずから制約があることは御承知のとおりであります。それから国民金融公庫は、零細な事業者に対しての貸し付けを行なっておるわけでございますが、これも限度ワク一ばいというよりも、非常に低い限度しか貸し出しが行なわれておらないということで、これが資金量の確保、また資金コストの低減等にしましても、格段の処置を必要とすることも御説のとおりでございます。問題は中小企業金融公庫でありますが、これがいままでは設立日なお浅いということで、民間金融機関を中継といたしておったような関係で、大きなものや信用度の高いものに集中したという弊害もあったと思いますが、御承知のとおり、直接貸し出しの方法で、だんだん中小企業金融公庫自体が大衆と窓口で接するというふうに改善されつつありますので、制度の上では中小企業金融の充実ということをはかっておるわけであります。ただ、資金コストの問題、それから量の問題、もう一つは手続規定が非常にうるさくて、必要なときに間に合わないという問題がありますので、信用保険制度の拡充をはかっております。私も、いつもこの委員会で申し上げておりますように、もう一つ、あなたが言われておりますことは、一定のワク、いわゆる中小企業で正規に営業を営んでおり、税金を納めておるというような確たる証拠があるものに対しては、いずれにしても三十万円でも五十万円でも、一定のワクは自動的に貸し付けられるというような状態にならないかという問題があるわけであります。これらの問題に対しては、政府部内でも、慎重に、しかし積極的に解決していかなければならない問題だというふうに考え、公庫当局に対しても、いままでのように必要なときに金が間に合わないというようなことがないように、手続規定のスピードアップ化等、十分配慶をしておるわけであります。

春日一幸民主社会党

○春日委員 私の質問に対して正確にお答えがございません。金融確保の問題はあとでもう一ぺん伺わねばならぬと思うのでありますが、私が申し上げておるのは、国民金融公庫は零細金融専門の金融機関ですからよろしいということ、それから相互銀行あるいは信用金庫、信用協同組合、そういうものに対してさまざまな指導が行なわれておることは認めます。けれども、それは足りないし、実際的な効果が及ばない。政府関係金融機関として、政策金融の場において論ずるならば、すなわち商工中金と中小企業金融公庫というものは、やはり政府でハンドルしておるのだから、またその影響力が強いのであるから、したがって、それらの民間融資原資、計画資金の中で一定の割合——二〇%とするか、二五%とするか、三〇%とするか、それはあなたのほうにおいて御検討を願うべきものであろうが、しかし、ある一定の割合は必ず勤労事業者、すなわち小規模事業者に金が貸し出されなければならないとこれを義務づけていくならば、たとえば商工中金が千八百億でありますか、中小企業金融公庫が千五、六百億でありますか、その中においてかれこれ何百億をこえるととろの資金が、零細企業者のなりわい資金としてそれだけの実効をおさめていくことになるのである。だから、いまやそのことを講じなければならぬ段階であるが、将来そのことについて手をかけていく意思はないかということを申し上げておるのでありますから、あらためて御答弁を願います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 春日さんのお説は毎々十分承知をいたしておりますから、法制上の問題というよりも、中小企業に対して重点的に融資をしなければならないということで、大蔵省としては行政指導を十分やっております。でありますから、中小企業向けの金融機関、特に地方銀行においては、現在貸し付けておるものよりも、年々資金量のふえる割合に応じて中小企業への貸し出しワクをふやせということを言っております。しかも信用金庫や相互銀行等は、大口のものを集中的に貸し出したりしないで、できるだけ中小企業の育成、強化のために資金を融資すべしということを言っております。ただ問題は、中小企業金融公庫という制度の中で、零細ということを言われましたが、零細に対しましては、ただいま申したとおり、国民金融公庫がこれに当たっております。特にあなたの表現はなかなか文学的であって、なりわい資金というのでありますが、なりわい資金というものは、設備資金もあるし、また日々使う商業上の資金もあるわけであります。こういうものに対して将来法律で何十%貸し出すというよりも、この金融機関は中小企業専門金融機関であるという法定のもとにつくられておる機関であるのでありますから、この運用と資金量と金利コストというものを具体的にどう解決していくかという問題が、より重点的であるというふうに政府は考えておるわけであります。しかし、将来になりますと、いま私がこういう答弁をしておりますが、やはり金融機関に対しては、中小企業というものに対してどのような宣言規定にするか、何らかのところで線を引く、いわゆる資金確保をするというようなことは、時代の要請として当然出てくると思います。

春日一幸民主社会党

○春日委員 この問題は、きわめて重要な問題であります。長い間金融政策を取り扱ってまいりました問題として、到着いたしますターミナルはこの点でございます。すなわち、貸し出しシェアという問題でございます。あなたも五、六年前でありましたか、自民党の政調会長に御就任になったそのとき、新潟談話を発せられまして、私は覚えておりますが、田中政調会長は、とにかく市中金融機関の貸し出しシェアというものをある程度中小企業のために確保するにあらざれば、政策百般を論じても実効があがらないということを断言されておりました。その後、あなたは大蔵大臣になられてから、田中角榮氏が丸榮氏になってしまって、こういうような政策の特質がなくなってしまったことは非常に残念でありますが、初心忘るべからずということがありますから、どうかそういう意味で、後日において、この二十三条の中にそのような文言を入れられたことを契機といたしまして、貸し出しシェアについては、当然政府関係金融機関からまずこれを手始めていくということに一個の踏み切りをされることを強く要望いたします。  次に、税金の問題についてお伺いいたします。もちろん特別措置を税金でやるということになるのでありますが、さてそこでいろいろな扶養控除、基礎控除を引き上げてみたり、さまざまなことがございます。そこに公取のナベさんが参られておりますけれども、これは税金の神さまといわれる人でありますから、一緒に聞いてもらいたいと思うのでありますが、実際問題として、わが国の現在の税法は、中小企業の中でも、働いて商売をやっておる人に対する税体系ば、実際的確なものではございません。現在の税体系は、資産所得と給与所得の二本立てでしかございません。ところが、現実には、このなりわい業者たちは、自分で働いて、なおかつ、自分の資産によって所得を得ておる、商売によって所得を得ておる。すなわち、資産所得と給与所得の合算所得である。このような合算所得が厳存しながら、税の体系は、そのものを対象として税法を編んでいないということ、これは一個の盲点であります。渡邊主税局長、国税庁長官が忘れておった大いなる一個の盲点でございます。今回公取委員長になられたようでございますけれども、この問題は、ひとつ公取委員長としても、政府に献策をされるか、とにかくこの際、田中大蔵大臣は、何とかしてこの税体系の盲点を是正される必要があると思う。協同組合法二十三条の三、それからこの基本法の二十三条、くしくも二十三条と合致いたしまして、ともにこのなりわい業の税法上の特別措置を政府に求めておる。だとすれば、それらのなりわい業の所得なるものが、勤労所得と資産所得の合算所得であるとするならば、そのような所得を得るに必要な経費というものは、給与所得における勤労控除と同じように特別勤労控除の制度があってしかるべきである。そのようなものが勤労所得であるとするならば、その額については事業税の免除がなされるべきことは当然のことであります。すなわち、聖業税は給与所得にはかからない。だとすれば、働いてもうけた分に対しては、これは特別勤労所得であるというワクをはめて、この分については、国税において、その所得を得るに必要な経費を控除し、そうして地方税においては、それは勤労の対価として生じた所得であるから、これは給与所得に類するものであって、すなわち、事業税の対象にすべきでない。両々相まって、そこになりわい業に対する減税の実効をおさめていかなければならない。そのことについて踏み切る意思があるかどうか、御答弁願います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 毎度お答えをいたしておりますとおり、非常に積極的に税制自体に対しての検討を続けておるわけであります。ただいま御説もありましたが、多少、日本の税制は理論的であり、非常にりっぱでありますが、複雑化してきておる社会制度に対して正鵠を得ておるかという問題に対しては、議論のあるところであります。しかも税制は非常に難解であるということで、納めてもらう側がよくわかるような税制にまず変えよう、こういうことを私は申し上げておるわけであります。同時に実態に合い、時代の要請によって税法の特例等も弾力的に運用せらるべきでありますから、ただ議論のしにおける公平論というようなものだけに終始しないで、特に中小企業というような特殊な日本の状態に対しては、遺憾なきを期してまいりたい、このような方針をとっておるわけであります。しかも置場、為替の自由化というような状態に対して非常に弱い企業に対して、また世界各国にない特殊な日本の中小零細企業というものに対して、世界各国で行なわれておる税法そのものが非常にりっぱであるからといって、日本だけに存在する特殊な状態に対して的確であるかどうかということに対しては、議論のあるところであります。でありますから、昨年から税制調査会にも諮問をし、また税制調査会の審議を待ちながら、大蔵省といたしましても、税制の改正ということに対しては十分配慮をいたしておるわけであります。これが過程において、あなたがいまるる申し述べられたような事項に対しては、当然重点事項として審議をいたしておるわけでありますから、しかるべき結論を得たい、このように考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 進行いたします。  それでは金融についてでございまするが、二十四条でございます。これを通読いたしますると、何か言おうとしておるけれども、何を言っておるかわからないといったようなものでございます。特に終わりのほうの「民間金融機関からの中小企業に対する適正な融資の指導等必要な施策を講ずるものとする。」なんというようなことばは、これはいま法律用語とかなんとかむずかしいことを言われましたけれども、舌がからんで何が何だかわからない。いまやっていることと同じことを意味するんだと思うのです。この間、本委員会において、社会党の質問に対して、こういうような法律から出てくるところの具体的施策は何か、現在やっておるものと将来の展望は何か違うかと言ったら、大体同じでございますという答弁がありました。速記録によってごらん願いたい。こういうことが基本法にあっては相ならぬのであります。基本法は、いままでやっておった社会的、経済的不利な要因を是正するところにある。間違っておったから直すんです。悔い改めるんですよ。そういうような意味合いにおいて、現在の諸政策を改めるために厳然たるところがなければならぬと思うのです。「適正な融資の折等等必要な施策を講ずるものとする。」なんということは、何が何だかわからない。私は、こういう文言の発したところの源泉であるあなたのほうのもとの基本法、田中角榮氏もそれから福田一君もみんなここに署名されておりまする自民党提案の「金融に関する施策」を読んでみました。いいですか。そうしますると、その「金融に関する施策」の十二条の中に「中小企業者に対する融資が優先的に確保されるよう民間の金融機関を指導すること。」第五項には「中小企業者に対し行なわれる融資について、貸付条件が大規模の事業者に比して不利とならないよう適切な措置を講ずること。」中小企業優先の原則、不利にならざるよう、すなわち有利の原則、ここに厳然として田中角榮、福田一と署名してある。署名して出しておいて、適正な融資の指導等必要な施策と、ねばねばと書いてある。こんなばかなことはだめですよ。だから、結局こういう問題については、将来にまたがって政策の方向を明らかにしていかなければならぬ。本日こういう根本的な重大問題をこういう短い時間の中で解消はできませんが、さりとて金融の問題は、これは中小企業政策の中の根幹をなすもの、商売は元手次第と言われておる。いいですか。特に福田さんは商売の経験はだめのようでありますが、田中さんはなかなかエキスパートだから、とにかく商売は元手次第なんです。今日大企業はあのように大々企業にマンモス的に発展をいたしておりますけれども、資金の供給が十分に行なわれているから、設備の近代化オーケー、設備の拡大オーケー、どんなものでも資金が増強され、供給されてくるから、ああいうような大きな発展があり、大いなる所得の増大があるのです。だから、中小企業だって、それらの近代化をしたり、資金の供給、滞貨融資等、いろいろなことが十分行なわれれば、こんな所得格差は一ぺんに解消される。それがなされていないがために、さような格差が生じておる。格差を是正しようと思って、基本法によって国家は踏み切ろうといたしておる。だとすれば、少なくとも自民党案、田中角榮、福田一、これらの両氏が署名されたところの自民党案、この格調までこれは高めなければ実効はおさまりません。けれども、このような段階においてこの問題を端的に処理することはできませんから、したがって、私は、少なくとも資金の確保義務をこの条文の中に明記して、将来の懸案として政策の方向を明らかにする必要があると思う。したがって、ここに中小企業の資金を確保する、この文言を挿入すべきであろうと思うが、両大臣の所見はいかがでありますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 るる御質問があったわけでありますが、中小企業について資金の確保が非常に大事であるということは、われわれもよく了解いたしておりまして、第二十四条におきまして、「資金の融通の適正円滑化を図るため、」ということを入れております。また、その他のほうにおきましても、「民間金融機関からの中小企業に対する適正な融資の指導等必要な施策を講ずるものとする。」、こういうことにいたしておりまして、御趣旨の意味は、私は十分この中にも盛られておると考えるのであります。しかし、その表現がどうもはっきりしない、むしろ端的に資金を確保するというふうな意味で述べたほうがみんなわかりやすいじゃないかということでございますれば、私も、大体法律というものはむずかしく書くことに反対なんでありまして、これが法制的にも合うということであるならば、私も資金の確保ということを入れることに異議はございません。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 「融通の適正円滑化」の字句を確保に変えられても差しつかえありません。

春日一幸民主社会党

○春日委員 もう一つ、十八条についてお伺いをいたします。  これはいろいろと親企業と下請関係を調整していくことのためにこれが述べられておりまするが、私は、親企業と下請企業との関係は、非常に困難な諸要素がからんでおると思います。下請代金支払い遅延の防止に関する法律には、一個の支払い義務を親企業に課しておりますけれども、私は、こんなことは本来おかしいと思うのです。人から品物を買って、金を払わぬというようなことが許されますか。大企業だから許されておる。百二十日も、百五十日も、百八十日も、そんなばかげたことは許されません。けれども、そういうような経済道義に反する支払い方法が現在横行しておる。だから、国が非常に及び腰で、そういうような代金の支払いを遅延しないようにという法律を出しておる。そんなことは当然事項であります。そんなことは立法以前の問題であると思う。私は、むしろこの際は、単価の切り下げがはなはだ行なわれておる。だから、ある程度下請単価というものを規制する必要があると思う。それはどういうことかというならば、少なくとも親企業が自分の工場で生産をするならばこの程度かかるであろうとおぼしき単価ですね、その単価の何パーセントを下回ってはならない。外注ということについては、これはやはりいろいろな間接コストや、専門上のいろいろな問題、特典がありますから、安いということは想定できる。けれども、その安さは、自分でつくる場合の八掛け、二割を下回ってはならない。要するに八割以下であってはならない。少なくとも自分でつくるものが百円とするならば、八十円以下に値切ってはいけないということですね。それから、そんなややこしいことならばもう出入り差しとめと言われれば、これまた自由経済のもとにおいては困る。したがって、これも発注の分量を確保して、過去の実績の何割以上のものを確保していくとか、要するに親企業と下請企業との関係は、代金の支払い、あたりまえのことじゃないか。人から物を買って金を払わぬばかがあるか。本来ならば、これは公取がもう少し俊敏果敢に活動して、めちゃくちゃなものはみな審問してにほうり込んでしまえば一ぺんに問題が解決するけれども、女学生のごとき非常に温情あるわが公取は、そういうところまで踏み切らぬ。だから、天下の大企業は何人もおそれずして、品物を買ってもちっとも金を払わぬ。そこに中小企業の渋滞があるのです。金は払わぬ、単価はめちゃくちゃに値切って、あれだけの工場発注分量はこれを確保しなければならぬという、こういう一連の諸要件をからみ合わせて、下請関係調整法とか、下請関係基本法とか、そういうような意味合いの、すなわち実効を確保できる内容を持ったところの第十八条に、これは将来に向かって相当の検討を必要とすると思うが、これに対する通産大臣の見解はいかがでありますか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 いまお話があったことは、実はなかなか重要な問題でありまして、実際中小企業がそういう意味で苦しんでいることも例をなしとしません。ただ、私たちといたしましては、その問題はもちろん是正をしていかなければならないのでありますが、第十八条の条文のうちにおきまして「下請関係を近代化して、」という表現を使っております。この近代化してという意味は、いま言ったような親会社であるものがかってにことをするというようなことではなくて、やはり下請の人たちのことも十分考えてものごとの処理をしていく、また買い取る場合においても、代金の支払いその他においても、あるいは価格の決定においても、十分そういう点を考慮するということを含めてここに近代化という意味で表現をいたしたつもりでございますが、しかし、あなたの仰せになることは、私は確かに一つの大きな問題であると考えております。したがって、今後われわれとしては、十分これは研究いたしてまいりたい、かように考えております。

春日一幸民主社会党

○春日委員 それからもう一つ、公取が出ておられますから、これは公取に伺っておきたいと思うのでありますが、現在歩積み、両建てが横行いたしております。この問題については、あらゆる中小企業団体の会合の中で非難事項にされております。自分の金を銀行に拘束されて云々ということでございます。いろいろな統計資料によりますと、現在十八兆円の総預金の中で、三兆八千何百億が拘束預金、歩積み、両建てに該当するかと思われる。その利ざやが、八分三厘と五分の間で三分三厘、三分三厘の三兆八千億の両建て、歩積みに対する銀行の利ざやは、一年間に千五百億円、大つかみな話ですけれども、こういうことになっている。とにかく中小企業みたいなやせ細った諸君から、金融機関というようなものが一年間にその膏血を千五百億ずつしぼりとっておるというこの実態。このほど公取から警告が発せられ、金融機関が自主警告を発せられたというのでありますが、なお実効があがっておりません。形式的には申し合わせても、実質的には、こそこそと依然として歩積み、両建てでこれを供給いたしておりますが、許されるべきことではございません。これは大蔵大臣、通産大臣、公取委員長、この三者協力のもとに、こういうような、銀行がみずから貸し出す立場にあるという強い立場を利用して、あなたのごきげんを損ずるならば借りることはできませんという弱い立場にあるものに対して、歩積み、両建てを強要するがごときは、断じて許されるべき事柄ではないと思う。したがって、中小企業基本法の制定を契機といたしまして、このような独禁法に違反するとおぼしき歩積み、両建ては断じて禁止しなければなりませんと思うが、これに対する大蔵大臣の決意はいかがでございますか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 歩積み、両建ての排除につきましては、通達を何回も出すとともに、三月、四月、両度にわたって銀行検査を行なっておるわけでございます。春日さん御承知のとおり、その後は、各金融機関の連合体におきましても、自粛を申し合わせ、これが排除に努力をいたしておるわけでございます。これは具体的な問題としては商慣習として成り立ってきたものでありますし、また、これは金融機関と預け入れ側とお互いの了解のもとでやっておるものもありますが、いやしくも政府関係機関と協調融資をやりながら、その分を歩積みに供給をしたり、こういうものに対しては、通産大臣から前にお答えがありましたとおり、指定金融機関を取り消すというような強硬手段をとっておりますし、少なくとも合意に達して商慣習として両建ての形式をとっているものであっても、それに見合うものに対しては、最も低い金利で貸し出すことが当然原則であるということを強く通達をいたしております。歩積み、両建ての排除に対しては、期間を切っても、できるだけ早い機会にこれをなくしたいというように考えて、行政を進めておる次第であります。

春日一幸民主社会党

○春日委員 大蔵大臣に対する質問は、お急ぎのようでありますから、これで終わります。  最後に一問、通産大臣に伺います。中小企業対策は、労働力確保の施策についても強く求められておるところでございます。ところが、新卒はほとんど大企業に集中いたしまして、中小企業は、新卒はなかなか得がたい状態でございます。したがって、何らかの施策が講ぜられなければなりません。ここで考えられますことは、たとえば中年労務者の雇用を促進していく、中年労務者の一般的な雇用を促進していくということである。現在御承知のとおり、中年労務者を中心とする潜在失業者の数は、少なからざるものがございます。あるときは四百万といわれ、あるときは六百万といわれるほど、潜在失業者があるといわれておる。ところが、大企業や官庁が新卒中心主義に片寄っておりますから——特に、大企業は、採算上そういうような態勢をとっております。したがって、中小企業のところには、そういう連中がこない。そして中年労務者が中心となって、コスト高のいろいろな問題になっておるのです。これが生産性を非常に不利なところにくぎづけしている原因でございます。だから、私は、大企業が人間を雇うときに、その中の一定割合、たとえば百人雇い入れようとする場合は二十人とか、そういう割合で中年労務者を雇用しなければならないということを義務づけるような、中年労務者雇用促進法というような特別立法を策定することによって、大企業にも中年労務者を送り込む。そうしてやがて余ってくるものが、結局需要供給の原則の中から、回り回って中小企業にも新卒が回ってこれるように、国家としてそのような労働力の配分について適切なる施策を講ずる必要があると思う。身体障害者雇用促進法がすでに制定されておる事態にかんがみて、この種の立法は異様なものではないと思われるが、将来この問題を考えてみる意思はないか。大臣の御答弁を願います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説のごとく、労働力をどういうふうにしてどの方面に使っていくかという問題は、日本の労働界というものが特異の姿をいたしておりまして、年功序列主義であるとか、あるいはその他の特異性がございまして、そのために労働力の融通の円滑化を非常に欠いておるということは事実でございます。したがって、こういうものとも関連をいたしまして、いま御説のあったような、特にいま日本において問題になっております中高年層の失業者をしかるべき場所において働かせるという施策をとることは、私は、日本の経済にとっても大きな課題の一つであるということには異議はございません。したがいまして、こういう面から今後十分研究をさせていただきたいと存じます。

春日一幸民主社会党

○春日委員 いろいろ質問したいことがなお残っておりますけれども、国会内部における異常な情勢にかんがみまして、あとの質問は先に譲りまして、私の質問は終わります。(拍手)

南好雄自由民主党

○南委員 内閣提出五法案は、これにて質疑を打ち切られんことを望みます。

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 ただいまの南君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員。よって、南君の動議のとおり、内閣提出の五法案についての質疑は終局いたしました。     —————————————

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 この際、自由民主党の浦野幸男君から提出されておりまする内閣提出の中小企業基本法案、中小企業指導法案、及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の三案に対し、それぞれ修正案が提出されておりますので、提出者に説明を求めます。浦野幸男君。

浦野幸男自由民主党

○浦野委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、中小企業基本法案、中小企業指導法案、及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の、それぞれに対する修正案の趣旨を御説明申し上げます。  修正案の案文は、お手元に配付したとおりでありまするが、まず、中小企業基本法案に対する修正は、第一に、前文及び第一条「政策の目標」の規定中、中小企業の経済的社会的制約による「不利を補正」するとあるのを「不利を是正」すると改めること。  第二に、第十四条第二項、中小商業に対する施策についての地域的条件の考慮の規定は、「中小サービス業」をも対象とするように改めること。  第三に、第十九条「事業活動の機会の適正な確保」の規定について、必要な施策として、「紛争処理のための機構の整備等」を例示すること。  第四に、第二十条「国等からの受注機会の確保」の規定中、「受注の機会を確保する」とあるのを「受注の機会の増大を図る」に改めること。  第五に、第二十三条「小規模企業」の規定について、小規模企業の従事者に対し「金融、税制その他の事項につき」必要な考慮を払うことを明示すること。  第六に、第二十四条「資金の融通の適正円滑化」の規定中、「資金の融通の適正円滑化」をはかるため、必要な施策を講ずるとあるのを「資金の確保」をはかるために改めること。  以上であります。  この修正案は、民主社会党の意向をもくみ提出することにいたしたものであります。  次に、中小企業指導法案、及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の修正は、それぞれ施行期日が「昭和三十八年四月一日」とあるのを「公布の日」に改めるものであります。  何とぞ御賛同をお願い申し上げます。

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 以上で三修正案の説明は終わりました。     —————————————

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 次いで、五法案並びに三修正案を一括して討論に付するのでありまするが、通告もありませんので、直ちに採決いたします。  最初に、中小企業基本法案を採決いたします。  まず、浦野君から提出されました修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。  次いで、ただいまの修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員。よって、本案は浦野君提出の修正案のとおり修正議決いたしました。  次に、中小企業指導法案を採決いたします。  まず、浦野君提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員。よって、本案は浦野君提出の修正案のとおり修正議決いたしました。  次に、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を採決いたします。  まず、浦野君より提出された修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員。よって、本案は浦野君提出の修正案のとおり修正議決されました。  次に、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案、及び下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案の両案を採決いたします。  両法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員。よって、両案はいずれも原案のとおり可決されました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました各案に関する委員会の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願うことに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員。よって、さよう決しました。  次会は公報をもって御通知することといたし、本日は散会いたします。    午前十一時四十七分散会      ————◇—————

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