商工委員会 第35号
- 発言数
- 381 件
- 登壇者
- 36 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/06/11
会議録
○逢澤委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の中小企業基本法案、永井勝次郎君外三十名提出の中小企業基本法案及び中小企業組織法案、向井長年君提出の中小企業基本法案(予備審査)、並びに内閣提出にかかる中小企業指導法案、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案、及び下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、以上八案を議題とし、審査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許可いたします。永井勝次郎君。
○永井委員 中小企業基本法に対する政府の提案に対して、お尋ねをいたしたいと思います。 この法案の前文の附則、これは政府の中小企業に対する基本的な考え方を要約したものである、このように理解してよろしいかどうか。
○福田国務大臣 お説のとおりであります。
○永井委員 基本的な考え方を明らかにしたものであるとするならば、私はこの附則の第一段は、中小企業の経済的、社会的使命、これについて、鉱工業の生産の拡大なり、商品の流通の円滑化なり、あるいは海外市場の開拓、雇用の機会の増大、こういうような役割りを果たしておるのである。これの基調は、自由かつ公正な競争の原理に基づく。これが第一段。第二段は、しかし、中小企業の経済的、社会的存立の基盤が変化してきた。そこで、その変化の内容は何であるかといえば、需給構造の変化である。すなわち貿易の自由化、技術革新の進展、生活様式の変化、こういうものが変わってきた。また、労働力の供給の不足というような、こういった関係も変わってきた、こういうふうに、第二段は、中小企業の置かれている基盤の変化を述べておる。そうしてこうした対策として、第三段に、中小企業の不利を補正するのだ、自主的な努力を助長するのだ、成長発展をはかるのだ、こういうふうにその対策を述べておる、こう思うのであります。そういたしますと、まあ非常に抽象的でありますから、内容としては白とも把握できるし、黒とも把握できるわけであります。したがって、この基本的な考え方の領域において、私は、政府の意見を明らかにしておくことが、自後の質疑に対して非常にこれは参考になるし、はかどることだと思うので、これらの点について二、三お尋ねをいたしたいと思うわけであります。 中小企業のいままで果たしてきた役割り、こういう役割りの中で、自由かつ公正な競争の原理の中でどのような条件が累積されたか、後ほどに不利の補正ということが書いてあるわけでありますから、これは長い間の中小企業の発展過程において、中小企業が不利になるいろいろな条件、要素があったのだ、こういうことを認めておると思うのであります。それならば、その不利な条件というものはどういうものなのか、これを明確にしていただきたいと思います。
○田中(武)委員 ちょっと議事進行で申し上げます。この法案の印刷が間違っておるのじゃないのですが、手順が悪いために、きのうの公聴会でも間違った発言がありました。いまの永井委員も勘違いしておられます。そのことについて、中小企業庁長官から先に弁明しておいてもらわぬと……。附則というのは、目次に関しての附則であって、前文の附則じゃない。前文には何も書かずに始まるのが形式なんです。それが印刷の関係で、目次の附則だけが裏にくっついておる。だから、目次と前文がイコールのようなもので、きのうの公聴会でも出ましたから、その点訂正というか、釈明を願います。
○樋詰政府委員 ただいま田中先生から御指摘がございましたが、大阪でもこの御指摘を受けたのでございますけれども、たまたま印刷の関係で、附則というところまでが第一ページの目次に入れば誤解がなかったわけでございますが、これは一応法律技術上の問題で、前文には前文と書かない最近の習慣になっておるようでございますので、目次をすらっと書き流してすぐ前文に入るということのために、たまたま附則という目次が前文の冒頭についたかのような観を呈しまして、皆さまに誤解を与えました不手ぎわをおわび申し上げます。 それから、ただいまの永井先生のお話でございますが、不利の補正というようなことも、不利とは一体どういう理由でできたかということでございますが、結局わが国の中小企業が、今日大企業との間に非常な生産性の格差があっていろいろ問題を起こしているといいますのは、これは何と申しましても、やはり資本不足であるということ、それから人口が過剰であるということ、それにあまりにも規模が過小であるというようなことから——規模が過小ということは、言いかえますと、数が非常に多過ぎるということとうらはらになっておるわけでございます。そういうことから、資本蓄積も弱く、借り入れも困難で、また、数が多いために、過当競争もやる、環境の適応力も欠けるといったような、いろいろな面が大企業に比べて不利と思われました上に、最近は労働力の需給の非常な逼迫等から、中小企業においては労働力が得られなくなったというようなことが、非常に著しく感じられるということでございまして、これらの不利を、中小企業自体の体質を改善することと、中小企業を取りまく外部条件を充実することによって補正して、そして大企業に比べてそう大きな格差のない状態に持っていきたいというのが、ねらいでございます。
○永井委員 この前文が、中小企業に対する政府の基本的な考え方だ、こういたしますならば、第一段、第二段の段階において、中小企業に対する現状分析をしておると思うのです。診断をしておると思うのです。その診断の上に立って、第三に治療方針がここに出てきたと思うのでありますが、この診断の分野においては、中小企業がなぜ不利な条件——現状の不利な条件というものは何か、こういう分析というものが何もないわけです。この前段の診断の場合には、そういうものがない。突如として対策の中に不利の補正というものが出てきた。これは中小企業に対する現状分析あるいは診断というものが、不十分ではないかというふうに考えられるわけでありますが、特別にこの分野から不利な諸条件というものを摘記しなかった、抽出しなかったということは、それほどたいしたものじゃないんだ、あっさり扱ってよろしい、こういう考えから特にこういうふうになったのか。この前文の内容に対する扱いについて、診断について、明確にしていただきたい。
○樋詰政府委員 先ほど申し上げましたことと若干重複いたしますが、中小企業の不利というもの、これは結局労働生産性、賃金、あるいは利潤率という、いろいろな面において大企業に比べて格差があるということから生じておると思いますが、じゃなぜその格差が生じたかということは、これは社会的、経済的制約の要因となっておるということばが、いろいろ第一条にも書いてございますし、前文の中に、いま御指摘のところでは、「生産水準の向上にとつて大きな制約となりつつある。」この大きな制約というのは、社会的、経済的な制約を含めたもので、この二つの要素が不可分に結び合って、そして中小企業をがんじがらめにしているというのが、この状態でございます。この不利は、先ほど申し上げましたように、中小企業の規模があまりにも小さ過ぎる、企業数が多過ぎるというようなことから、とかく過当競争に陥りやすく、資本の蓄積力も弱いし、借り入れ能力も弱いために、環境が変化したために、それに対応する力がない。しかし、たまたまいままでは御承知のような不完全競争の社会でありました。それから市場も非常に狭隘で、少しぐらい高くても近くで買おうかといったような傾向は従来は見受けられたといったようなことから、市場の不完全性といったようなことで片づけられて、いままではこの不利な中小企業が成り立ってきたわけでありますが、それが第二段にございますように、最近貿易の自由化でございますとか、あるいは技術革新の進展によって、従来労働集約的につくられておりました商品が、大工場で大規模に生産化されるといったようなこと等も起こりました。また、国民の生活様式の変化等によりまして、需給構造に大きな変化がきたというようなことと、もう一つ、数年来の産業活動の非常な発達によりまして、たった一つ日本で豊富な資源であると思われました労働力さえ入らなくなったというふうに、客観状況も変わってきたということで、第二段階的な、いま申し上げましたようなすべてのことを最も簡明に表現される、いままでの中小企業の不利というものを来たした格差の存在というもの、それがまた客観情勢が変わることによって、このままほっておくともっと格差が開きそうになるという認識を、この第二段で明らかにしたものでございます。
○永井委員 確かに第二段で、「しかるに、近時、企業間に存在する生産性等の著しい格差は、中小企業の経営の安定とその従事者の生活水準の向上にとって大きな制約となりつつある。」、こう述べております。これは近時です。最近です。たとえば貿易の自由化、技術革新の進展、生活様式の変化、こういうような中小企業存立の基盤の変化によってこういうものが著しくなってきた、こういうふうに理解すべきであって、なぜ格差ができたか、なぜ生産水準が低いのか、なぜ経済的、社会的制約が中小企業を不利にしているのかという、こういう診断が、これでは私は不十分でないか、こう思うのでありますが、もう一度、特に近時こうなったというのですが、私は、中小企業のこういう格差というものは、近時ではなくて、ずっと長い間の日本経済の体質的な問題の中、あるいは経済の施策の中で累積されてきたものである。それが近時のいろいろな波によって特に顕著になってきた、こう診断すべきである、こう考えるわけでありますが、ただ最近こう変化したんだ、変化の中にこれを取り入れたんだ、こういうことはどういうことなのか。
○樋詰政府委員 大企業と中小企業の間には、規模が小さい、したがって、大量生産等もできないということから、生産性において落ちる、利潤率においても非常に歩が悪い。ですから、そこで働く従事者の方々の生活水準も低いといったようなことは、先生の御指摘のとおり、従来からあったことでございます。ただ従来は、先ほども申し上げたと思いますが、いわゆる不完全な競争というもとにございましたために、その規格でとりあえずものを統一しようというようなことがありましたり、あるいはいまのように均一な商品をマスプロ、マスコミ、それからマスセール、マスコンサンプションと申しますか、いわゆる四マス時代と言われているようなことによって、最近国民生活の内容も非常に変わってきたわけでございますが、昔は必ずしもそうでなくて、もう少し多種多様なものを少しずつつくっているというものも、個人的な趣味等の面においてかなりの需要がございまして、格差の存在は、これはもう先生のおっしゃるとおり、資本が過小である、規模が小さいということから、昔からもあったわけでございますが、それが特に最近は大きな制約になりつつあるということで、従来は不完全競争であったために何とかしのげたけれども、これからはとてもしのげなくなったということから、その存立の基盤に大きな影響がきた、こういう需給構造の変化に対応して、中小企業者自体も、また政府、地方庁、あるいは中小企業と関係のある大企業、それらの方々も一緒に、今日の、あるいはこれからの非常にむずかしい難局に対処しなければならないという分析を最も簡単にこの第二条にしたわけでございまして、格差の存在は、先生御指摘のとおり昔からございましたが、それが非常に大きな制約になりつつあって、そのために日本経済の全体の発展というものが阻害されるというおそれを生ずるに至ったのは、これは比較的近時のことであろうかという認識のもとに、この第二パラグラフを置いたわけでございます。
○永井委員 長官の先ほど来の答弁の中から感じ取られますことは、いまの経済現象というものの上つらだけなでて、腹が痛ければこの薬を飲んだらいいというふうに、売薬的な、胃ならこの薬を飲め、腸ならこの薬を飲めという一般的な一つの対症療法より、こういう分析の中からは出てこないのではないか。後ほどずっと出てくる具体的な問題について私はいろいろ質疑をいたしたいのでありますが、そういうことから、私はこの点を特に問題にしておるわけであります。 またこれは後ほどいたしますとして、そういたしますと、このような分析の中から、このような対策を抽象的に出しているわけでありますが、それならば、具体的に、中小企業といっても非常に広範でありますが、業種別に見て、後ほどの条文の中にもあるように、政府の施策の中には工業が重点になっているのではないか。商業と流通分野の関係についてはさっと触れているだけだ、こういうふうに思われるわけでありますが、その点はいかがでありますか。この基本的な考え方の中で、工業と商業とのウエートは、どういうふうに考えておられますか。
○樋詰政府委員 商業に関する条文が第十四条に一条だけ設けられておるといったような観点から、ただいま先生のお感じになったような御印象を受けられるかもしれませんが、私どもは、この前文をはじめ三十三条全部、これは商業にも工業にもサービス業にもひとしく適用されるものであるという認識のもとに書いたわけでございます。ただ、その中でも、特に商業につきましては、これは普通の工業あるいは卸以上の比較的規模の大きい商業というものに比べて、あまりにも前近代的な経営形態をやっておられるといったような面等がございますので、そこでこの第二章に技術の向上とか、あるいは近代化であるとか、経営管理の合理化であるとか、いろいろなことが書いてございますが、これらのことは、当然全部の工業にも商業にも当てはまることでございます。特に商業には、商業の中でも大部分を占める小売り商の方々には、最近のコストを切り下げなければならないという一般的な要請に対応するのには、あまりにも前近代的な経営形態をやっておられる方がおるというふうに感ぜられますので、特にここに一条をプラスしておいたわけでございまして、われわれといたしましては、この十四条のみならず、ほかの全条文が一応商業にも当てはまる。適正規模化をし、一人当たりの水揚げをふやすということに努力すべきであるし、また政府としてはそれに必要な具体的裏づけをするというつもりで、この基本法の御審議を願っているわけでございます。
○永井委員 商業のために一条をさいてある、こういうことになりますと、政府案は七章三十三条から成っているわけでありますから、三十三分の一のウエートを商業にかけておる、取り扱いの分量からいえば、そういうふうに理解されるわけでありますが、またこのことについては後ほど触れていきたいと思います。 そこで、商業はそのとおりあっさり触れておる。しかし、工業と商業を同じウエートで扱っておるとは思われないわけでありますが、その点はいかがですか。
○樋詰政府委員 まず前段の問題でございますが、三十三分の一のウエートをかけているというのではございませんで、一プラス三十三分の一ということで、三十三分の三十四というような特別の考慮をわれわれとしては払っておるつもりでございます。 それから、決してこれは工業偏重ということではございませんで、近代化あるいは技術の向上というようないろいろなことにつきましても、これは工業の面におけるほうが項目はたくさんあるかと存じますが、しかし、これは決して工業偏重とか、あるいは最近問題になっているスーパーマーケットの攻勢に対して商業をもり立てていかなければいかぬのだというふうに、特にとらわれたものではございませんで、およそ中小企業であれば、すべての企業ができるだけ本来の社会的使命を達するように、生産性の向上ができるような基盤をつくり、自分自身のその体制を整えるということを目的として書いてございます。
○永井委員 大臣眠いようでありますから、少しお尋ねいたしますが、中小企業という一つのワクを置いて、そのワク内で中小企業の問題を処理しよう、対策を立てようという基本的な考え方が、この前文の中に流れておるように私は思うわけであります。そこで、中小企業の事業所なり、その範疇にあるものが、九九・五%、〇・五%がそれ以外の企業だ。分量的に見ても、ほとんど日本の全産業が要するに中小企業だ、こう言っても過言でない、こう思うわけであります。そのように、事業分野からいっても中小企業が圧倒的にその領域を占めておる。そういたしますと、この問題を処理するには、特に中小企業として取り上げて問題を処理するというからには、日本の全産業の中におけるこの対策としての中小企業の位置づけというものは、中小企業のワク内だけではできるものではない。全産業の中のあらゆるものとの関連の中で、それを位置づけていかなければならない。そうしてその方向をどっちに持っていくか、その位置づけとその方向とが必要だと思う。これが基本的な態度で出てこなければ、明確にならぬと思います。この中小企業の全産業領域における位置づけ、そしてその方向、これをどういうふうに考えておられるか。これは大臣から伺いたいと思います。
○福田国務大臣 お説のとおり、産業全般の中における中小企業であって、中小企業だけが存在するというものでもなければ、産業というものを見たときに、中小企業を離れて産業を論ずることもできないと思います。ただ、しかし、中小企業という抽象的な言葉で表現されるのをどの程度のものから中小企業として見るかということは、その時勢、その時代によって私は動いていくものであろうかと思うのでありまして、たとえば、資本金の額だけで考えるわけにもいかなければ、あるいは人数だけでもいかない場合もある。また、業種によってもいろいろ違うというようなわけでありますから、私は、あなたの御質問の意味にうまく当てはまっておるかどうかわかりませんけれども、産業というものをりっぱに育てていくためには、そのうちでいわゆる弱い産業、現在見て生産性あるいは利潤等の面で弱いと見られる部分をある程度の線で押えて、それで弱いものを助けていく、こういう考え方で産業全体をレベル・アップしていく、こういうふうに考えるわけであります。そしていま九五%と五%のお話がございましたが、私はその数字もとり方でいろいろ違ってくると思いますが、産業全体としてやはりレベル・アップしていくという考え方で、そのうちで一番弱いところの部分をできるだけ助けていく。ところが、中と小になりますと、また小というものが出てくるのです。その場合にも、やはり小が一番弱いのでありますから、小をできるだけ助けるというような方向に政策を持っていかなければいかぬ、こういうような感じでこの基本法を出しておるつもりでございます。
○永井委員 量的に事業の分野を区画整理すれば、九九・五%までが中小企業。どのようにその数字をとられましても、たとえば資本金を五千万円、あるいは常時従業員を三百人あるいは四百人、いろいろにとるにいたしましても、個々の分野においてはそんなに大きな違いはないわけであります。後ほど私は数字をあげてお尋ねしたいと思いますが、上のほうの数字はそんなに大きくない。不動の体勢にあるのは、やはり底辺のほうの主たる中小企業の分野である、こう思うのであります。そこでこの九九・五%と〇・五%、こういう一つの領域の問題、これを一つ考えましても、いままでの政府の扱いというものが、ほんとうに五本の指くらいの事業を対象にしても、通産省の中に一つの局が設けられて、そうしてそれを対象にしている。九九・五%の大部分の事業所を対象にする中小企業庁というものは、通産省の中の片すみにしょぼんとある。こういう行政の取り組み方一つ見ても、いかに中小企業というものに対する把握のしかた、認識のしかたが、私は、ごまかしがあって、そしてほんとうに取り組んでおらない、こういうふうに思うわけであります。ですから、どういうふうにこの資本金をとろうと、何をしようと、九九・五%なり九九%という基本的な線は、私は動かないと思うのです。それならば、その領域を対象にして政策を立てるということは、日本の全産業的に、量も質もそこに重点が置かれてこなければならぬ、こう思うのです。九九・五%というように、この中小企業の分野は高い。さらにそうした中小企業の中における零細企業、あるいは小企業と申しますか、いろんな呼び方はあるでありましょうが、そういうものをかりに検討してみますと、政府の資料によりましても、製造業関係で常時従業員が三人以下が、事業所として二十三万六千ある。四人から九人が八万七千、十人から十九人が六万六千ある。ですから、十九人以下の事業所が三十八万九千あって、全産業の中における八六%までが十九人以下の従業員の事業所だ、こういうことが、製造工業の分野において明確である。さらに小売り業の関係で申しますと、主人公一人が従事者として自分で働いて経営しておる、こういうものが、小売り業の分野では四十八万八千、全体の三〇%までがこういう零細な業態である。さらに二人から四人というと九十三万五千、これが五八%、五人から九人、これが十四万、こうなりますと、この小売り業関係においては九七・一%までが零細という範囲になる。そうすると、中小企業と一口に総称しますから、大臣のように、その分野のきめ方によっていろいろ動くと、こう言いますけれども、ことばでは、確かに資本金によって若干の動きはありましょう。動くけれども、数字にあらわれる動き方というものは、そう大したものじゃない。ほんとうに上のほうをどうとろうと、こういう中小企業の大部分、工業分野において八六%までが従業員十九人以下の状態だ、小売り業において九人以下の業態が九七%まで占めておる。このように圧倒的に小さな企業が多いことはここに明確であります以上、中小企業対策と総称すれば、これはいろいろななにがありましょうけれども、こういう実態と診断の上に立って具体的に適切な政策を立てるというならば、こういう層を焦点とした施策でなければ対策にならないと私は思うのです。この点について、私は大臣の御答弁をわずらわしたい。一体中小企業、中小企業とばく然といいかげんなことを言っておるけれども、具体的にこういう数字の上に立てば、政府の中小企業対策の焦点はどこに合わせているか。五千万円というような上のほうの少数の業態に焦点を合わせて、そして下のほうには見て見ないふり、こういうようなことをしておるのじゃないかと思うのですが、この中小企業に対する政府の施策の焦点はどこに合わせておるか、明確にしていただきたい。
○福田国務大臣 私のパーセンテージのとり方が、あなたのおっしゃった九九・五%と〇・五%というのを聞き違えておりましたが、それは別といたしまして、私たちは、産業を全体として見ていく、全体として考えていく必要があると思うのです。たとえば鉄鋼なら鉄鋼業に例をとってみましても、なるほど大きな会社は幾つか存在しますが、その下にはたくさんの中企業が存在して関連しておる。その中企業にまた小企業が属しておるというようなのが、産業の構造であると私は思います。自動車産業にいたしましても、どの産業をとってみても、そうだと思う。だから、産業というものからいえば、ずっとグローバルに見えるのですが、それを横のほうからある一定の線を引いてみると、線を引くときに、いま言ったような人数とか資本金というもので見るよりほかに方法はないので、そういう見方をいたしておりますが、それはある程度動くものである、時勢によって動くものだということを先ほども私は申し上げたわけであります。 そこで、いまあなたの御質問は、そういうような数の上で圧倒的に多い中小企業というものを軽視して、そうして数の少ないものにいままで政治の重点が置かれておる、通産省の機構自体がそうなっておったじゃないかということでございますが、通産省においていろいろ原局がございますけれども、そういうところで扱っておる場合は、その産業を全体として見ておるのでありまして、たとえば重工業局においては、鉄鋼なら鉄鋼の中小企業の問題も十分考えつつ政治をやっておったわけであります。繊維局は、同じようなわけで、紙の問題も、あるいは人絹糸の問題にしても、すべてそういう考え方でやっておりましたから、いままでの政治が、中小企業というものを、何も中小企業局というか、中小企業庁というようなものだけにやらしておったというのではないのでありまして、通産省、また政府全体として考えてみますれば、農林関係にもそれはあるし、いろいろの方面にありますが、すべてそういうものは全体として見て、まあいわれる中小企業に対しても、十分な政治的な考慮を払い、経済的な施策も考えてやってきた。ところが、それをやってきたけれども、最近は、ここにも出ておりますが、あなたが仰せになったように、いわゆる鉱工業生産の拡大とか、商品の流通の円滑化とか、海外市場の開拓、雇用の機会の増大、国民経済等、いろいろな問題があり、さらに最近になると、今度は自由化とか、技術革新、そういうようないろんなことが出てきて、いままでも確かにあたなのおっしゃったとおり、私は格差はあったと思いますが、その格差がもっともっと開くような傾向になりつつあるので、それではいけない、ひとつどうしても格差を縮める努力を大いにしなければいけない、そこで中小企業というものを取り上げておるのであります。産業全体から見てみますれば、製造業でいえば、大企業で製造するのは半分くらい、中小企業で製造するのは半分くらいというようなパーセンテージになっておるでしょう。商業の面で見れば、まだ私は数字を持っておりませんが、私は中小企業のほうが多いんじゃないかと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、そういうように、全体としてやはり系統的に、鉄工業とかあるいは繊維業というようなものについては、それに付随しておる中小企業はたくさんあるのだ、政治としては、いままでも十分原局において見ておったのであって、そういうことは、中小関係の分は全部中小企業庁にまかせきりであったというような政治はやっておったわけではないわけであります。したがって、私たちとしては、産業全体としてやはりこれをりっぱに、海外に対しても見劣りのしないような産業に仕上げていくと同時に、その産業の中における大企業、中企業、小企業の格差をなくしていくということが、非常に重要である。その意味で、今度は横から見れば、中小企業というものを育成強化するという基本方針をきめており、そしてそれぞれの産業に属しておる中小企業を育成強化していく、そうして格差を是正していく、こういう考え方でこの法案を提案いたしておるわけであります。
○永井委員 私は、政府の提案は、ただいま大臣の言ったとおりの考え方だろうと思うのです。ねらいはどこにあろうと、答弁としてはそのような態度であろうと思う。ただ、それが効果をあげるか、あるいは逆なことになるか、たとえば病気をなおすのでも、へぼ医者は、殺すつもりで殺しているのじゃないのです。なおすつもりでやって実は殺すことになっている。ほんとうの名医は、患者に抵抗があっても、無理にでも押えて、そして治療を進めることが、やがてその病気をなおして患者に喜ばれることになるのだ。私は、その意味において、大臣の、中小企業をこういうふうに二重構造を解消して、こういうふうにするのだ、これで提案したんだ、こういう考え方はわかります。しかし、それがそのとおりになるかどうかというのは、われわれが吟味して、これは間違っているぞ、こういうことになるだろうと思うのです。ですから、私は、この政府の案がこのとおり通っていったら、これは二重構造を解消する方向ではなくて、拡大する方向に進んでいくだろう。それからこのとおりにいくならば、中小企業の上のほう、中以上のところを、ここにも書いてあるのですが、自主的な努力を助長する、こういうことで、下のほうを切り捨てるという形になっていくのであろうし、そして中小企業が、従来も行なわれてきたであろう大企業の景気、不景気のクッションの役割りをして、景気のいいときは少しのおしめりをちょうだいする。景気が悪くなったらすぱっと切り捨てられる。そうして大企業の本体は安全でいく。たとえば飛行機が長距離を行くときには、ガソリンの補助タンクをつけていくように、不用になればいつでも捨てる、こういうような補助タンクの役割り、景気、不景気のクッションの役割り、そういう役割り以上に自主的な、対等の立場における企業態勢というものが、このような政府の方針の中で進むだろうかどうか、そういう方向をとれるだろうかどうかということを、いま吟味しておるわけであります。ですから、こういうことだからこうなるのだということを具体的に言ってもらわなければ、抽象的になおすんだ、なおすんだ、こういうことでは、冷やすのかあたためるのか、どこがどうなっておるのか不明確なままに、おれの気持ちだけわかってくれでは、だめなんです。 そこでもう少し大臣から具体的に聞きたいわけでありますが、二重構造が、この政府のやり方でいくなら解消していくんだ、そうして大企業と対等の立場に立って近代的な産業態勢ができるんだ、こういうことは、どういうふうに積み上げてどういうふうになるのか、もう少し具体的に政府案の内容を説明していただきたい。
○福田国務大臣 二重構造というおことばをお使いになりますが、われわれは二重構造というものがあるとは思っておらないので、格差があるというふうに考えておるわけであります。そういうことばのことは別といたしまして、私たちが申し上げておるのは、そういう格差をなくしていくようにしよう、こういうことであります。そして先ほど申し上げたことは、ことばが非常に抽象的である、それでは、この法案を通してみても、格差が逆に開くのじゃないか、こういうようなことでございますが、私たちは明瞭に、格差を是正したい、こう言っている。ではどういうふうに是正する、どういうやり方でするかということになれば、大きく言って、たとえば税の面とか、金融の面とか、分野を調整するとか、いろいろこの条文のうちにあげております、そういう一つ一つの項目が、幾つか基本法の中に盛り込まれていることは事実であります。その一つ一つの、たとえば税なら税についてはこういうふうにしよう、金融なら金融の面についてはこう、金融でもこの面についてはこうというのは、実体法に譲らざるを得ない。それを一々全部この中に入れておいたら、大へんな数になるだろうと思うのです。そこで、私たちとしてはそういうふうにしていくのだという方向をまずお認め願って、そうしてさしあたりこれをやっていく、必要だと思うものは、これはまた単行法で別に出す、そうしてやってみてまだ足りない分があれば、また順次追加していく、こういうふうにして順次是正——ということばは抽象的なことばですが、このことはこういうふうにして直しますということを一つ一つの法律で裏づけをしていく、こういう考え方でこの基本法を出しておるのでございまして、この法案が通ったからといって、格差が逆に開くことはない。また、あなたの仰せになったとおり、場合によっては抵抗療法というか、押えつけてもやらなければならぬのじゃないかというお話でありますが、押えつけてやるという場合においても、やはり憲法の認める範囲内でやらなければならないという大きな制約を受けておることは、あなたも御承知のとおり。それを解釈でどうしていくかということもいろいろ出てまいりましょうが、原則面といいますか、一般的に見ましては、私は、これで是正されるんであって、格差が拡大するというふうには考えておらないわけでございます。
○永井委員 税金で配慮する、あるいは金融で配慮する、こう言いますが、それならば、税金だけで企業の格差が直せるような、そんな税の体制というものは、どういうふうにやるのですか。もっと具体的に伺いたい。また、金融で是正をするというならば、これらの部分にどれだけそのような金融のワクが保障されるのか。貸す、貸さないは金融機関の問題でしょう。どういうふうにしてやるのか。そういうふうにしてやるというからには、これは経済ベースではなくて、底辺に対しては社会政策的な面が相当に強く出てこなければ、そういう是正の方向には向かないと思うのです。これは経済ベース以外の関係だ。そういう経済ベース以外の保護政策あるいは社会政策的なベースでものを処理するというならば、この膨大な、製造関係においては全産業の八六%までがその対象だ、あるいは商業においては九七%までがその対象だ、こういう対象を解消していくのだ、是正していくのだという方向でやるとするならば、税の面からも、金融の面からも、あるいは社会政策的な一つの分量からいっても、その予算的な裏づけからいっても、これは膨大なことになるので、そういうことがいまのわれわれの常識で可能であるとは考えられない。でありますから、そういう異常な決意をもって解消していく、そういう措置で解消するというなら、その異常な裏づけ体制というものをもっと具体的に示してもらわなければ、理解できない。明確にしていただきたい。
○福田国務大臣 私は、何も税のこととか、あるいは金融のことだけをあげたのではありません。いろいろのことがございますが、たとえばということであげたわけであります。 そこで、いまあなたの仰せになっておることは、そういう面を是正するというなら、一挙にこれを是正する方法を考えるとすれば、それはとうていできないのじゃないかということだと思います。私は、一挙にやれるとは思っていません。順次であります。順次ということになれば、同じ金融の問題についても、あるいは税の問題についても、一歩一歩ということになりますと、法律を幾つも必要とするでしょう。まず最初は大体このくらいのところ、その次は、そこまでできたらまたもう一歩前に進めるというやり方があり得ると思うのであります。でありますから、方向として右へ行くか左へ行くかわからないというのでは困るけれども、右なら右という方向をきめて、そして一歩ずつ前へ進んでいけば、これが是正であると私は考えておるわけでありまして、それは十歩進むのも是正、二十歩進むのも是正であります。そこにほんとうの政策の理論がある。考え方はいいけれども、おまえのやり方は、これじゃ手ぬるいじゃないかという御批判が出てくるだろうと思うのであります。しかしながら、私たちとしては、その方向だけは少なくともこの基本法できめておかなければならないのだということを申し上げておるわけでございます。したがって、いわゆる近代化促進法を出すとか、その他今度も幾つか法案を出しておりますが、そういう趣旨に基づいてこの法案を一応つくって、それに基づいて前へ進む。私たちとしては一歩前進じゃなく、数歩前進さしてもらった。あるいはまだもう少しやらしてもらいたいと思いますが、これは時間的な制約やら、立法上の制約やら、いろんなことがございますから、思ったほどたいしたことじゃないと言われるかもしれませんが、しかし、基本法自体というものは、これは抽象的なものでありまして、具体的なものは、いま言った実体法ができることによって順次進んでいく。その実体法をどういうふうにしてつくっていくかという方向を差し示しておるのが、この基本法である、こういうふうに御了解を願いたいと思うのであります。
○永井委員 だから、抽象的なことは基本的な考え方だからわかります。しかし、抽象的な表現の中身としては、もっと具体的な構想がなければ、少なくとも解消するというのですから、ことばで解消するのではなくて、具体的な政策で解消するのですから、その具体的な内容は何かということが必要なんです。 そこで、これは大臣にお尋ねしたいわけでありますが、格差を是正する方法はあります。いまの政府の政策でいけば、格差の是正はできる。どういうふうな方法でやるかというと、農業基本法と同じで、零細な者は切り捨てるのです。足手まといは切り捨てて、力のあるものをなにしていけば、格差是正になります。格差を拡大していく条件を削り取るのですから、これはむろんできますよ。そういう方法でやる以外には、こういうものを網羅的に底上げしていって解消する条件というものは、この政府の案からは出っこありません。そんなことができると言うならば、うそだし、それならば詐欺罪です。うそ、ごまかしです。ですから、削るという方向をとってこれを解消するという以外にはない。また、この中には、ちょうど農業基本法と同じように、選択拡大と称して、その中で伸びる産業となにとをセレクションするということをいっておるわけですが、そういうふるいにかけて削っていこう、こういうことがこの格差を是正するという中に隠されておる。隠されておるというよりも、本人は隠したつもりですが、頭隠してしり隠さずで、だれだって、その切り捨てがなくてどうしてできるかということはわかります。ですから、私は、基本的な考え方というものが抽象的であることは、条文としてはやむを得ませんけれども、これは次に出る実体法で見てくれというのではだめです。たとえば税制で考える。金融で考えるというならば、一体過去においてどれだけ金融、税制で考えたのか、この上に画期的な一つのなにをするというならば、どういう案があるのかということを、私は聞いておるわけであります。 そこで、私はもう一つ大臣に伺いたいのであります。これは大蔵省で出した統計でありますが、全産業の資本金別法人の収益調べであります。昭和三十四年度におきましては、資本金が一億円以下の会社と一億円以上の会社と、その法人における収益を調べますと、一億円以上の会社は、わずかに千七百五会社です。それから九千九百九十九万九千円以下の法人の会社は、四十三万六千五百五十一社です。ところが、この純益額は、一億円以上の千七百五社が四千三百九十七億円の純益、それ以外の日本の全法人の純益額が三千三百五億で、全部の法人がかかっても、一億円以上の会社の純益に比べれば、足元にも及ばないのです。これは大蔵省の数字です。三十五年度はどうであるかといえば、三十五年度は、二百万円以下を削りまして、一億円以下の会社が八万八千四百四十二、その純益が三千九百七十一億、一億以上の会社をなにしますと、これが七千六百四十五億、こういう収益、てんで半分にも及ばない。これが三十五年度。三十六年度の統計を私はここでちょっとなくしたわけでありますが、ここに最近の三十七年度の七月から九月期、それから十月から十二月期、これのこの関係の統計を持っておるわけでありますが、五千万円以下の、今度新たに中小企業として規定された会社数、これが四十八万四千五百四十六あります。これのこの期における純利益は千九百九十一億四千三百万円。ところが一億以上の資本金の会社は、三千八十八社あります。この純益が二千二百二十三億三千二百万円。これも全部の会社がかかって一億以上の会社の利益に及ばない。これが七月から九月期です。十月から十二月期はどうであるかといえば、五千万円以下の会社が四十八万四千五百四十六社、これの純利益が千六百八十億五千四百万円、一億円以上の会社が三千百五十六社、この純益が二千二百五十九億七千三百万円。どうですか。私は、大臣が中小企業とか大企業とか、口先だけでこう言っていますけれども、具体的な数字を示せば、こういうことです。これには一億円以下から五千万円の間が抜けているわけです。そういうものを入れたって、これは一億以上の会社のなにには及ばない。さらに十億円以上の会社ということで見ますと、これは十月から十二月期では、六百二十九社あります。この六百二十九社の純益が千七百七十七億です。てんでほかの会社とは、一億円以上あるいは十億円以上の会社と比べたって、こんなに違う。これが二重構造でなくて何ですか。二重構造という言葉が、経済的な一つの学問上の言葉でないというなら、ないでもよろしいですが、こういう実態があるということは明確なんです。ですから、中小企業の対策というものをほんとうに考えるならば、全産業の中における八六%なり九〇%までを占めておるこの零細企業、それから収益でいうならば、この大企業の利益率にいたしましても、営業利益率にいたしましても、十億円以上は六・二%です。あとはみな三%内外、そして売り上げ高に対する純利益は、みんな二・二%から二・一%、下のほうは。上のほうは、三・六%なり何なりという高い利益率をあげているわけです。それが収益の格差になって出てくる。こういうものの是正なくして中小企業の対策なんてありっこないです。ですから、もしほんとうにこの不利の是正ということを本腰をかまえて言うならば、大企業に対して中小企業がどう対決するか、弱肉強食からどう中小企業を守ってやるかということです。そうして中小企業の中における九〇%まで占めておる零細業者にその焦点を合わして、その底上げをいかにするかということです。これなくして中小企業の対策はありません。自力でやれる者、こんなものはわずかなものですよ、会社数からいったって。法人関係で申しますと、一千万円から五千万円までの間の会社というのは、一万二百六十五あります。現在、法人としてそれだけよりない。ですから、これだけを対象にして、おまえのところは自力があるからというなら、これはやりやすいのです。こういうところの大きな工業関係というのは、系列です。大企業の系列下にあります。ですから、ここを底入れすることは、やがて大企業を間接的に援助することです。そうでなかったら、系列関係において、資本の関係で独立させたらいい。あるいは技術の関係によって、もっと自主的な体制をとれるような諸体制を整備したらいい。そういうことなくして、ただ漫然といまの系列関係の条件をそのままにしておいてここに底入れするということは、親企業を間接に助けることになって、系列産業、中小企業自体の大きなプラスにならない。間接搾取が行なわれる、こういう関係になると思うのであります。でありますから、大臣の考えているような中小企業基本法に対する取り組み方というものは、てんでわれわれとスタンディングが違っている、立場が違っています。この点を総合してひとつ明確に答えていただきたい。
○福田国務大臣 私は、あなたとはその点では意見の相違になると思いますが、ちょっと違います。あなたは、中小企業というものは、一応独立した形でその格差の是正というか、それを今後育成していくというやり方としては、非常に手ぬるい、いままでも手ぬるかったというお話であります。私は、手ぬるかったというようなこと、それから事情の変更によってこれからもっとやらなければならぬということについてはよくわかりますが、しかし、いまあなたのおあげになった数字というものは、大きな会社の法人の数と中小企業の数と対照されただけで、そこに働いている人の人数というものも、やはり比率を一応は見なければならないだろうと思います。もちろんそれによって相当の是正はされますが、それでも大企業と中小企業との差というものはあるでありましょう。それは私も認めるところであります。一方、また、大企業が不景気になり、大企業が全部なくなった場合の日本の経済というものは、どういうふうに考えてみたらいいか。これはあなたもお考えになってもわかるように、大企業が仕事をどんどんやることによって中小企業にたくさんの仕事が流れていくことも、事実なんです。ただその流れぐあいが、いままでのやり方でありますと、大企業に有利なように流れるところに間違いがあるのであって、その産業全体から見れば、そういうような大きな規模のものがあり、その下にこれを下請する中小企業があるという姿が悪いとは、私は思っておりません。これは世界各国どこでもあるわけであります。ただしかし、そういう大企業から中小企業に仕事がいく、金を支払う、そういう場合のやり方が、中小企業を圧迫するやり方になっておるというところに非常な間違いがあると思います。これを是正するということならば、これは当然やらなければならぬ。また、そういうような法律も、いままでに下請の関係の法律もできておるわけであります。これが十分運用されてない点は遺憾ではありますけれども、そういうものがあるわけであります。だから、いまあなたが認識されたような立場において、中小企業をよくすれば大企業にそれが及ぶのだ。なるほどそれも一つの考えでしょう。下をよくすれば上にいく。上をよくすれば下にくる、これも同じような意味において、私は効果があがってくるのだと思っております。現にいまでも、具体的な例をとれば八幡とか富士が非常にいわゆる操短をやった関係で、その下請関係が非常に困るからといって、九州その他からたくさんの下請の企業者が、何とかもっと八幡が仕事ができるように、そういうところで仕事を興すようにしてくれということを言うてきておる。これが日本の産業の実態であります。私は、世界のどこでもそうだと思う。ただ、日本にはそういう数が多いとか、あるいは規模が小さいとかいう特殊事情はありますが、世界じゅうどこでも、大企業だけでやっているところなんか、また小企業だけでやっているところなんか、ありません。大企業と小企業が総合しながら一つの経済をつくっておる、その相関のやり方が間違っておる。そのやり方を直さなければならぬということなら、私も大いにおっしゃるとおりにいたしたいと思います。私は、大企業だけ、あるいは中小企業だけということを——中小企業をよくすれば上にいくとは、なかなかそうも言えない点があると思います。しかし、産業からいえば大企業と中小企業を一応分けるけれども、どこで線を引くかということは、先ほど申し上げたように、いろいろ線の引き方がある。産業全体としてうまく運営されるような仕組みを考えていくことが必要である。そういうことは今後もやらなければいけない、産業自体に。それから同時に、また横から見てそういうものを直してやるという手直しのしかたがあれば、これも十分やっていかなければいかぬ、こういう考え方で出しておるので、そういう数字がある、これではまるで大企業だけを育成しておるのではないか、中小企業には何にもしていないじゃないか、あるいはまた中小企業に対する対策は、もういままではなっていなかった、いまの基本法でもできないじゃないかという点では、ちょっと私はあなたと意見を異にするようになるかと思うのでありますが、具体的なことについては、いま長官からもう少し具体的に説明をさせます。
○樋詰政府委員 大企業と中小企業の間にいろいろ格差のあることは、これはもう先生の御指摘のとおりだと思います。われわれは、先ほどから申し上げておりますように、この格差を縮小し——理想は解消でございますけれども、解消のまず前段階として、縮小するということをもって法律の当面の目的としておるわけでございまして、そのためには、第二章におきまして物的生産性の向上をうたい、第三章で価値実現性の確保を規定いたしまして、両々相まって中小企業の生産性が低いという問題を解決したい、そういうふうに考えているわけでございまして、根本的な考え方におきましては、私どもとして先生のお考えと違っていない。とにかく中小企業の生産性をできるだけ上げて、そうしてそこが、経営者にも、あるいはそこに働く人にも、魅力のある場所にしたいというねらいにおいては、全然同じじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。 なお、いま先生が大企業と中小の企業を、法人につきまして数字をあげて御説明になりましたが、その数字自体は、私はここに持っておりませんのですが、大蔵省の数字だとおっしゃることですし、政府が発表しているもので、そのとおりだと思います。しかし、大臣がただいま申し上げましたように、なるほど企業の数においては非常に多いわけでございますが、全体の付加価値生産額というものにおきましては、つい数年前までは中小企業が五〇%をこえておったのでございますが、少しずつ比重が変わってまいりまして、最近では、中小企業と大企業との生産額の比は、中小企業が五〇を割るというところにまでなっております。特に先生がいまおっしゃいました法人、一億あるいは五千万円以下の会社ということになりますと、これは全体として付加価値のウエートは三九%、これは三十五年でございますが、そういう程度になっておりますので、付加価値額が少ないということ、それから当然利益率といったようなものにも差が出てくるのではないか、こういうふうに思っておりますが、しかし、これが付加価値生産が小さいということは、さっき申し上げました一人当たりの労働生産性が低いということの端的な反映でもございますので、この労働生産性の格差をなくし、利潤率の格差をなくし、賃金の格差をなくするという、あらゆる格差の是正ということについて、この基本法を柱とし、これに関連する各種の法律を逐次御審議願いまして、今国会でもだいぶ成立させていただきましたが、今後ともできるだけ早く成案を得次第提出したいと思っておりますが、先生方の御審議をいただいた上で、これに肉づけし、りっぱな中小企業基本法体系というものを確立して、裏づけをしたいと考えております。
○永井委員 私は、大臣とことばのやりとりでなしに、内容の問題について深めていかなければならぬ、こう思うのです。ですから、私が先ほど例に引いたのは事業所だけで、従業員のことを言わなかったら、大臣は従業員もある……。そんなことはもちろんわれわれの考えの中にあるのだし、それからこの利益率の問題についても、私の言ったことに対することばのやりとり——私は時間がないから、このくらいのことは大臣はわかっておるから、消化しながら答弁するものだと思って触れなかったら、その点があるじゃないか、そういうふうに言うなら、ますますこれは一つ一つしっかりした用語なりしっかりした土台で話していかなければならぬ。それではうんと時間がかかります。ですから、ことばのやりとりではなくて、お互いが消化し合える限度における時間を節約した問題の深め方、こういうことでやっているのですから、そういうあげ足とりのようなやり方では、私はいけないと思います。 そこで、いま中小企業庁長官から、零細企業その他の二重構造ですか、いろいろな格差の是正をするんだ、こういうことです。そこで格差の是正をする場合、私はいろいろな条件があると思う。何から何まで一緒くたにするのじゃない。何か一つの基準があると思うのですが、いま長官は、付加価値の高いところ、生産性の高いところ、こういうふうに言われます。そうすると、この膨大にある中小企業のセレクションというのは、付加価値生産性を高める、こういう尺度でこれをふるいにかけていく、こういうわけですか。その点はどうですか。
○樋詰政府委員 それは、たとえば原料をつくるといったような、いわゆる大規模生産、鉄で言いますと、高炉をつくり、あるいは平炉で普通鋼あるいは特殊鋼をつくるというような原料の段階ということになりますと、これは非常に膨大な資金力等も要りますし、それはそういうところに中小企業が進出して、あるいはその付加価値生産性を大いに高めるということは、これは不可能じゃないか、こういうふうに存じます。しかし、同じ鉄でも、それを使います機械関係、あるいは繊維でも、原料は大工場でつくりましても、二次加工以下というような関係になりますと、これは中小企業がそのときそのときの需要条件等に応じて、最も小回りをきかしたかっこうで生産体制をつくっていく、こういうことになりますので、おのずから非常に大量の設備投資を必要とする、どうしても設備の装備率の高い産業といったようなもの、特にその原料的なものについて、大企業に追いつくように中小企業がやろうというのは無理でございます。そのかわり、いろいろ小回りをきかさなければならないといったようなものについては、これは中小企業のほうが、いろいろな点で経営の資金転換その他も敏速にできるといったような面があろう、こういうふうに存じますので、われわれは生産性の格差の是正ということは、これは当面の最大の目的でございますが、しかし、この物的生産性というものは、いろいろ物的装備率ということとも関連がございますので、必ずしも大企業と中小企業というものとを全然同じように持っていこうということは、言っても、これはおのずから若干違う世界で議論をしていることになる。そういうことは今度もございまして……。(「それなら二重構造があるじゃないか。」と呼ぶ者あり)いや、これは二重構造ということではございません。生産性の格差がある、これはおのずから商品の性格からくる特殊性ということでございまして、われわれは付加価値生産性を深めていくその過程におきまして、先ほど来申し上げておりますが、中小企業の利潤率も高める、またそこに働いている人たちの賃金も高めるということで、相対的に、だんだん中小企業の格差を詰めていくという方向に進むということのためには、この基本法に宜明しております基本方針にのっとっていろいろな施策の肉づけをする以外にはない、こういうふうに確信いたしております。
○永井委員 それじゃ少し具体的に入りましょう。工業の場合、工業の事業所は、大体五十五万くらいあるんじゃないですか。五十五万のうちの三分の一は大企業の系列関係、こう判断してよろしいかと思います。この場合、一体工業の分野において、零細の方と中くらいなところと系列の関係と、これはいろいろそれぞれ別な対策が立たなければいけない、こう思うのですが、その場合、格差是正を具体的にどういうふうにやろうというのですか。そしてこの生産性あるいは付加価値を高くするためのいろいろな施策というものを、具体的にどういうふうにやるのかということが一つ。 それからもう一つ、そう全般的にできないところへ、ある一部に近代化資金を出して、その部分の業界に近代的な施設ができたということになれば、それは生産性を高め、そして収益率を高くする、こういうことになるのですから、その関係は、上のほうからそれを食ってくるか、下のものを食いつぶすか、こういう競争がそこに起こる。それをだらだらと十年も二十年も三十年もこれは中小企業対策の合理化過程だということでやっていけば、あるいはその過程においては、弱いものはどんどん食いつぶされていくわけですね。弱肉強食で整理がついていくわけです。そういうタイム・ラグの問題をどういうふうにこの政策の中へ織り込んで、これを引き上げるなら引き上げるように、整理するなら整理するように、どういう形でこれを工業の分野においてはおやりになるのか、そこのところの具体的な内容を——この政策で出しておるというなら、具体的な内容をひとつ示していただきたい。
○樋詰政府委員 大体主として下請工業の問題についてお触れになっておる、こういうわけでございますが、この下請につきましては、これは先ほどから申し上げますように、まず下請自体の物的生産性を高めるということと、価値実現性を高めるということが必要なことは、申し上げるまでもないわけでございます。その物的生産性を上げますためには、第二章にいろいろございますように、設備の近代化、あるいは技術の向上、経営管理の合理化というようなことをいろいろやりますと同時に、どうしてもある程度規模が適正なものになるということが必要であろうかと思われますので、それは適正規模にまで協同組合をおつくりになる方もありましょうし、あるいは共同出資で会社を新設せられる方もありましょう、あるいは合併される方もありましょう。いずれにしても、いわゆる適正規模化というようなことを通じまして、まず自分自身の物的生産性を上げるということをやっていただきたい。それから、せっかくできたけれども親に買いたたかれる、あるいは大企業に比べて宣伝力その他が弱いために、同じような品質のものが十分な値段で売れないといったようなこともございましょうから、そういう際に、できるだけ本来の持っている価値が実現できるようにということを第三章に規定しております。いわゆる「事業活動の不利の補正」でございます。ことにこの下請につきましては、この第十八条におきまして、従来とかく前近代的と申しますか、支配従属関係にありましたような下請関係から脱却いたしまして、たとえば規格統一を推進していく。そうしてそこでつくった品物は特定の親工場にだけしか納められないというのじゃなくて、ほかのこういう製品の納入先でも買ってもらえるような一般市場性をつけるといったような方向に、逐次現在ございます下請工場といったようなものを専門化し、規格を統一して大いに専門化し、技術を大いに向上させるというようなことをやりまして、行く行くは大企業に、隷属でなしに、対等の立場で中小企業が存在し得る、下請が存在し得るという方向にまで持っていくということを理想として進んでいきたい、こういうふうに考えております。
○永井委員 その考え方はわかりますが、それならば、たとえばその過程において、いろいろ下請に対する代金支払いに対しての制限とか、いろいろあるけれども、これは全然実行されておらないわけです。単価の切り下げの問題、これは自動車、造船、オートバイ、オート三輪、こういうところに現在起こっておりますし、受注の大幅削限は、四〇%以上の削減が、鉄鋼であるとか、あるいは通信機械であるとか、あるいは自転車、光学機械、こういうところに起こっている。あるいは現金払いが減って手形払いがふえておる。これも自転車、計器、光学機械のところに起こっておる。あるいは手形の済度がどんどん延びていくということも、自転車、医薬品関係に起こっておる。支払いの遅延が、通信機械、計器、医薬品、こういう中に起こっておる。それはみな、不景気の波動の中におけるクッションとしてこういうことが使われる。それじゃ一体、法律上の裏づけもあるのに、なぜ実行できないのか。実行するだけのかまえでやるならば、法律が背景ですから、できるはずでありますが、こういうことをなぜやらないのか。現状でさえできないのを、これを未確定のまま何もないところに、これからやるったって信用がおけない。それからまた、中小企業対策である以上、アメリカの例を見たって、ドイツの例を見たって、フランスの例を見たって、あるいはスイスの例を見たって、中小企業対策というのは、これにはっきりと対決する関係の領域について、明確な規定がなされていると思うのです。その関係の調整なくして、中小企業だけの範疇でものを処理しようとしても、これはだめです。そういう関係に対する大企業の大の字もない。中小企業以外の何だかというあやしげな用語を使っておるだけで、大企業に対決するかまえというものはないのではないかと思うのです。ですから、その点がどうなるのか。そういたしますと、工業関係における家内工業的なもの、あるいは手工業的なもの、あるいは企業の性質上マスプロにできない関係のもの、そういうものは、中小企業の適種でありましょうが、そういう関係の問題をどうするのか。そういうふうな方向でいこうとすれば、その業界において相当の整理が行なわれてこなければ、前進しないと思う。その整理をどういうふうにするのか。そしてまた、これはこれから伸びる産業だ、これは伸びない産業だ、こういうふうに区別しようとするのかということ、その区別は、だれがどういう責任においてそういう区別をして指導するのか。その場合、お前のところは伸びないからといって整理をするという方向をとられるならば、これは転業について、あるいは転業の就職について、いろいろなあっせんをするというようなことはありますけれども、こういうようなことは、この法案の中でウエートを相当高く考えていいのかどうか。ぶった切るぞといってぶった切った場合は、これで受けるぞというかまえを相当してもいいのではないかと思うのでありますが、その関係はどうなりますか。工業の分野におけるこれらの生産性向上あるいは格差是正という一つの進行過程において、そうして長期にわたるそれぞれのタイミングにおいて、どういう施策があるのか。これを要領よく、先ほど来何べん聞いても、何のことだかさっぱりわからないのですが、青写真でわかるように示していただきたい。
○樋詰政府委員 下請代金支払遅延等防止法の施行につきましては、この前の委員会でも、公取の委員長がおいでになって、昨年御決定いただきました改正の方向に沿って努力していくということの御説明があったわけでございますが、われわれといたしましては、今後とも公取と十分連絡をとることによって、中小企業への不当なしわ寄せということは避けるように努力していきたいと思っております。そのためには、たとえば下請協同組合——下請のものだけで協同組合をつくっておるといったようなところもあるわけでございます。それから、これら下請工業協同組合といったようなものの結成につきましては、今後積極的に指導していきたいというふうに思っておりますし、それからまた、下請の特定の人が、公取なり通産省なりに、あの親はけしからぬと言ってくると、いろいろ報復措置を受けて困るので、いろいろ利害のある業種だといったようなかっこうで、個人でなしに、団体として公取のほうに、親から不当なしわ寄せをされて困っているといったようなことを訴え出て、善処するようにという措置が、現在公取でとられまして、逐次それをふやすという方向にございますので、われわれといたしましては、今後公取ともさらによく連絡をとることによって、この下請代金支払遅延等防止法の真の精神が生かされるように努力していきたいと考えておるのであります。 それから手工業といったようなマスプロに適さないもの、これはもちろん中小企業のそれこそ独自の分野でございます。しかし、そういうものにつきましても、やはり設備の近代化と技術の向上といったことは当然あるべきもの、私はそういうふうに思っておりますので、そういう手工業的なものに対しましても、第二章に書いてございますような物的生産性の向上のためのいろいろな施策というものは、態様は一般の工場の生産とは違うかもわかりませんが、当然行なわれるべきものというふうに考えまして、それらのものに対しても応分の援助措置を講じたい、そういうふうに思っております。 それからいわゆる整理転換というようなお話が出ましたけれども、ここに転業の規定がございますが、これはあくまでも自主的に、自分が現在やっている業界では将来見込みがないので転業したいというお申し出があった場合に、それを受けて政府の方で御相談に乗り、指導しようということでございます。これはあくまでも自主的なお申し出ということを待ってやるものでございますので、政府の方で、おまえの業界は見込みがないからやめろといったような、いわゆる戦争中の企業整備的な考えは毛頭持っておらないことを言明しておきます。
○永井委員 工業の分野については、またあとの章に入りましてからお尋ねするとして、それじゃ商業の分野では、どういうふうにこれからの生産性を高める、格差是正の方向をお立てになるか。小売り商業分野では、百三十万全国の業者がある。卸売りを入れると二十万、百五十万が流通分野です。そうしますと、九千万の消費人口としますと、商店一店について六十人前後の消費対象、まるで零細だ。つまり小売りの関係においては、本来的に過度の競争、激しい競争の条件というものがあるわけであります。この中で食ったり、食われたり、つぶれたり、こういうことでどんどん新陳代謝が行なわれておるわけでありますが、流通革命といい、あるいは大量生産、大量消費という、こういう一つの要請にこたえて、この流通革命をどんな形で、そしてどんな手続で、段階的にどのようにこれをお運びになるのか。そうしてこの分野には外国資本もどんどん入ってくる。あるいは多角経営と称して大企業もどんどん入ってくる。あるいは合併と称して系列に置く。あるいはマスコミに乗せて膨大な広告やなんかが行なわれる。また、正しく言えば、不公正と思われるような取引——どんどん見本に現物を配っていくというような、資本にまかせていろいろなことが行なわれるというようなことで、これから流通分野はたいへんだと思うわけです。そしてそれぞれの地域におけるそれぞれの特殊の条件というものがある。こういうものをどういうふうに一体処理されて、そしてこれを整理するなら、どのくらいが妥当だ——経済的な実態から見て指導されるわけでありますから、そういう心組みは持っておられましょうし、ふるいにかけるとすれば、どのくらいなことになるのか。こういう関係をひとつ明確にしていただきたいと思います。
○樋詰政府委員 ここに書いてございます「小売商業における経営形態の近代化」という、たとえば一、二の例をあげますと、いわゆるスーパーマーケット方式による規格品のセルフサービス販売といったようなものも、新しい商業分野と思っております。またセールス・エンジニアと申しますか、対面販売で、販売するにあたって技術的ないろいろな助言を加えて売る商売、あるいは趣味品、あるいは規格化されない、標準化されない商品といったようなものを取り扱う専門店になるということ、これも一つの行き方ではないかと思っております。あるいは小売り店の方々が何人かお集まりになりまして寄り合いの百貨店といったようなものをおつくりになりまして、もっと総合化された専門店といいますか、寄り合い百貨店を経営されるというのも、一つの方法じゃないか。これはたまたま例に申し上げたわけでございますが、さらにいろいろな方法を検討いたしまして、最近の流通経費をできるだけ低下させたいというのは、国民経済全体からいっても願望であろうかと存じます。また、何と申しましても国民の中で一番数の多いのは消費者でありまして、消費者の利益ということも常に考えなければならない、そこで消費者の利益と小売り商業者の窮状というものをどこでうまくアジャストするかということが、今後政府の行政をとり行なっていく場合の非常に重要な問題になろうと存じますが、たとえば大企業の進出等による小売り商業と小売り商業以外の者との紛争等につきましては、現在でも小売商業調整法がございます。大体いままでのところ、行政指導を中心にいたしまして、勧告あるいは調停あっせんということでうまくいっておりますので、われわれといたしましては、今後も、できるだけ地方団体あるいは政府がみずから中に入って、大企業のみならず、小売り業者と小売り業者以外の者とのいろいろな紛争解決等については努力したい、そういうふうに思っております。また、大企業に限らず、不公正な方法をもって市場に進出して市場を独占しようといったような意向を持っておる者があるとすれば、これは明らかに独禁法に抵触するものでございますので、これは公取のほうで断固たる処置をとっていただきたいと考えております。
○永井委員 いろいろな施策はあると思うのですが、とにかく現在は、工業の分野にしても、商業の分野にしても、あるいはサービスの分野にしても、必要以上に過剰な業者を内包している。これが過度の競争を慢性的なものにし、そしてその中でいろいろ施策をする上に非常な困難が中小企業自体の中にある。そういう大企業その他の関係との過度の競争の中で、肉を削り骨を削るような自分の不利をあえてして、そして大企業の隷属の中に収奪されておる。また、貿易の関係からいえば、そういうものが非常にわが国の貿易秩序を乱す原因にもなっておる。いろいろなことがあるわけでありますが、その中で施策を進めていくには、私は、手放しでこういういろいろな施策を進めたら、たいへんだと思う。そこにはやはり事業分野の確保、あるいはそれぞれの業界におけるところの条件整備というものが前提条件になって、そうして何年かかかる過程において、経過的に弱肉強食の起こるような、そしてそれがほかに収奪されてしまうことのないような、そういうことが必要ではないか、こう思うのであります。問題は、どういうふうにしてこれをやるかということ。これについては、アメリカだって、中小企業の利益を援助し、助言し、補助し、かつ保護することは、国会で宣明した方針である、こういうふうに、中小企業というものの国策としての保護育成、経済ベースでなくて、社会政策的なベースでやるというようなことを明確にしておりますし、登録制等も行なっておる。あるいはドイツなどにおいても、手工業名簿というものに登録させる登録制度をしいておる。また、死んだあとにおける継承については、配偶者は経営を継承できるとかなんとか、一定の制約というものがある、保護制度というものが、ちゃんとあるわけであります。フランスにおいても同様であります。スイスにおいても、時計工業その他における登録制というようなことは、やはりそれぞれの国の実情に応じた事業分野の確保だと思う。製造許可制をしいておる、こういうようないろいろな実例を見ますならば、私は、もっと中小企業を本当に圧迫されている条件から守ってやるということは、日本の現状においては、それだけ大企業の不当な活動を制約することになるだろうと思います。消費者への関係は、そんなにむずかしい問題は起こってこない。結局大企業がかって気ままに収奪していた中小企業、景気不景気のクッションに使っていた中小企業、こういうところが、公正な取引の上においてその利益を国が守るということになれば、それだけ大企業と対決しなければいかぬ、それだけ大企業の利益を奪還しなければならぬ、こういうことなくして中小企業を守れない、こう思う。そういうことがおそろしいものですから、ことばの上では何だかんだ言いながら、中小企業のそういうような利益を守るという体制を整えないで、そうして上つらだけをこうやっていく。だから、その過程においてはどんどん大企業に収奪されてしまうという事態が起こるのだと、私は思うわけであります。そういう点からいえば、外国でさえ、自由主義経済の本拠であるアメリカにおいても、あるいはドイツにおいても、フランスにおいても、スイスにおいても、こういう制度がしかれておるのに、中小企業の一番大きな問題をはらんでおる日本において、野放しでそういう問題を進めるということは、これは非常に危険だと思う。こういう点については、大臣、どういうふうににお考えになりますか。 アメリカにおいては、中小企業の四〇%は平時において確保していく。そうして戦時になれば、これをいつでも民需に切りかえる。大企業の関係は六〇%を確保する。そうして戦時になれば、これを軍需に切りかえていく、こういう国家目的もあるわけでありますが、アメリカにおけるこの官公需の問題にしろ、あるいはたとえば契約の総額中公正な分け前が中小企業に与えられることを保障する、政府財産の払い下げ総額中の公正な分け前が中小企業に与えられることを保障する、資財、補給品及び設備の正当かつ公平な分け前が中小企業に与えられることを保障する、適正な連邦機関に調査または勧告を行なわせるというように、いろいろな手厚い保護立法がなされておる。そうしてその法律だけではなしに、アメリカその他においては、法律できめたら、その趣旨に基づいて経済的な裏づけというものはちゃんとなされておる。日本は、法律だけつくって、実際は知らぬ顔で、法律は死んでしまっておる。順法精神が経済の分野では少しも活動しておらない、昼寝をしておるという状態に放置されておるわけです。こういうものを考えますと、ことばの上でどうきめましても、この基本法の中で明確な裏づけをして、そうしてその具体的の保障がない限り、個々の問題問題で大企業に常に遠慮してその問題問題に処理されるならば、下請の関係においても何にもならない、金融の関係においても何にもならない。従来どおりのことを口先だけでまことしやかにやって、中小企業はいつも犠牲になるという事態の延長にすぎないと思います。でありますから、われわれは、中小企業基本法が今日論議になります場合には、これらの問題を明確に、お互いがもっと深めて論議して、そうして、ああ政府案はこうなんだな、社会党案はこうなんだな、こういうことが明確になりながら、お互いに欠点があることを認めながら、それを補正するなり、それを修正するなり、あるいは平行線のままでひとつお互いに勉強してやりましょう、こういうような明確な線がこの審議の中から出てこなければ、何が何だかわからないまま、抽象的なことばだけで事柄が推移するということになれば、困難な問題でさらに中小企業は混迷してくる、こう思うのであります。でありますから、それらの問題を総合いたしまして、外国の例等も御存じのとおりでありますから、もっと腹を据えたなにがなければ、経済ベースだけでいくのだというならば、こんなもの弱肉強食で削ってしまう、整理してしまうということが行なわれるわけでありますから、どの程度の社会政策的な施策が行なわれるのか、あるいは保護政策が行なわれるのか、そういうものが行なわれるとすれば、どういう基準でやる考えであるのか。官公需の問題、あるいは集中融資に対する制限の問題、税制その他もありましょう、技術の問題もありましょう、労務の問題もありましょう、いろいろありましょう。そういうものを総合して、ひとつ大臣及び長官から、明確にそういう関係を答弁していただきたいと思います。
○福田国務大臣 私は、いろいろあなたのお話を聞いておって、どうしてもぴったりいかない面がいささか出てくると思うのは、一つは、あなたの考え方の中に、いわゆる統制的な権力でもって分野を確定してしまうとか、あるいは金融面でもパーセンテージでそれをやらせていくというような、割り切ったものの考え方を基礎に置いてこの条文を批判しておられる。私たちは、やはり自由主義経済、自由というものを根本に置いてものを考えていくというところに、まずどうしても食い違いが出てきております。 いまあなたが例にあげられた外国の例は、そのとおりでございますが、しかし、アメリカがどうやっておるとか、フランスがどうやっておるとかいうことでなく、やはり政治というものは、そのところに応じた政治でなければいけないと思うのであります。そういう面から考えますと、またいささか事情も違ってきております。中小企業というものを取り上げた場合においても、いわゆる零細企業が多いのですが、たとえば商売屋にしたって、あるいは中小企業の工場をやっておる場合でも、いわゆる専業でやっておる人と専業でない場合がある。そこで政治から考えてみますと、国民の所得をふやしていくということが中心になっていくわけでありますが、日本の生活状態は、まだ家族主義というものがかなり残っておって、そして生活をやっておるという事態も出てくるわけです。中小企業の場合においても、そういうことが行なわれております。たとえばおかあさんが店番をしておって、むすこは市役所につとめておって、おやじさんはどこかの会社につとめておるというふうな場合においては、みんなが持ってきた所得をみんなでもって集めて、そこで生活をしておる。その場合に、その小売りをしておる面だけを取り上げて施策を考えていっていいかどうか、こういうことがあると思うのであります。農業の場合にも同じことが言われるが、今度は製造工業の場合にもあります。たとえばいま、あまりかじ屋などというものはないかもしれませんけれども、かじ屋さんのむすこさんはどこかにつとめておる。おやじさんがそれをやっておる。娘さんは市役所につとめておる。その場合には、みんな集まってそこでやっておる。そういうようなゆとりがあるために、大企業からの安い労賃でも、とにかくやればそれだけもうかるから、いままである資材あるいは機械を利用することによってもうかるからというので、賃金が安くてもやっておる場合もあるというような、日本においては、外国とは非常に違った面が多いと思います。たとえばアメリカなんかに行くと、ゴースト・タウンというものがある。アメリカにおきましては、たとえば金なら金をとりに行って、金鉱をとって、なくなってしまえばその町は解散してしまう、幽霊町、いわゆる建物だけは建っておるけれども、人は一人もおらぬというところがあります。日本においてもいまそういう問題が起きつつありますけれども、ところによって、また時代によって、そういういろいろの問題がありますから、外国がやっておるから必ずそれをというわけにはいかない。やはり日本の実情に合ったようなやり方をしなければいけない。しかし、考え方自体としては、いわゆる格差を是正していくんだ、こういう考え方でやるのであって、そうして日本に合った法制をつくっていって個々の問題を順次解決していく。先ほど長官が言ったように、いわゆる格差を縮小していく、一ぺんになくしてしまうというんでなくて、縮小という形で順次直していくんだ、こういう考え方で問題に当たっておるわけでございまして、この点では、いまあなたが仰せになったように、分野を確定しろ——分野を確定するということになった場合には、そこにもう完全に統制的なものの考え方が入ってくるわけであります。しかし、実際問題として、やはり自由経済でいけば、そういうものをできるだけ少なくというような感じでおります。ものによっては、せねばならぬ場合もあるでしょう。しかし、それは単行法できめてものをやっていくということになるでしょう。あるいは一般的、抽象的にきめて、具体的には行政措置でやる場合も起こり得るでしょう。あるいは税制の面においてもまたしかりである。あるいは金融の面においてもまたしかりでございまして、そういうことをやる場合に、自申主義経済というものを機軸にしてものを考えていく場合と、統制的なものの考え方で考える場合とでは、私は、どうしてもそこに差が出てくるのではないか、いまの実態の認識においては永井さんと私は違わないのですが、それをどうやっていくかという点において、どうしてもそういうスタンポイントが違ってくるのではないか、こういうように考えておるわけでございます。われわれとしては、いまここに出しましたようなやり方で、順次格差を縮小し、解消していく方向に持っていきたい、かように考えておるわけでございます。
○樋詰政府委員 アメリカの例をお話がございまして、特に官公需等についての引例がございましたが、確かにアメリカにおきましては、たとえば全部留保、中小企業のために留保するといったような制度もございます。しかし、これは御承知だと思いますが、一九五三年以来一件もなくて、全面的に適用が停止になっております。これは結局日進月歩の技術の進展というようなことから、あらかじめ官公庁の買う相手方を固定しておいて、そこからだけしか買わないというようなことは、どうも実情に合わないというようなことからだというふうに報告を受けております。この十年来、制度はございますが、停止されておるというわけでございます。それから一部留保という制度がございますが、これも釈迦に説法で、先生は御存じだと思いますが、これはたとえば三割なら三割、中小企業にひとつ確保してやりたいといったような場合に、大企業も中小企業も全部ひっくるめまして、そして一応入札させる。その際に、中小企業が三割までそこに入っておれば、それでもう目的を達したわけでありますが、不幸にして中小企業が入らなくて、大企業だけが入った、あるいは中小企業は一割しかその中に入らなかったという場合に、三割とそのゼロあるいは一割との差額というものについて、中小企業と個別にネゴシエートをして、大企業はこれだけの値段で入れたんだけれども、あなたはひとつここまで値段が引けませんかという話し合いをして、じゃそこまで勉強しましょうという方がおれば、そこに落とす、どうしてもそこまで値が引けないということであれば、しかたがないので、これは一応中小企業のためには一部を留保して、できるだけそこに発注すべく努力したけれども、合理的な価格で折り合わなかったということのために、大企業に発注せざるを得ないということで、また大企業に発注し直すというようなことで、これはわれわれがねらっております官公需の関係におきましても、受注機会の確保ということと実質的にはほとんど同じでございますし、また社会党のほうで言っておられます一定割合の確保というようなお気持も、大体実質的には、大企業にばかり官公庁が発注をして、そして不当にそこだけ仕事がいかないように、当然中小企業にもそれに応じ得る品質のものもあるはずだから、これに十分な発注の機会を与えるようにという御趣旨じゃないか、こう思っておりますが、これにつきましては、昨年会計法の改正に伴う予決令の改正等もあったわけでございますが、その際、中小企業庁といたしまして、各省庁に対して、できるだけ中小企業からひとつ買ってもらいたいというお願いをしまして、現在、関係各省、相当いろいろな点で、たとえば一定の金額以下のものは、大企業には発注しないで、中小企業だけでやろうといったような措置等も、逐次やっていただいております。このことは今後ともわれわれ具体的に進めていきたい、そういうように考えております。 それからなお、中小企業の保護、これは前文にも書いてございますように、中小企業の国民経済に占める重要性から申しまして、当然のことでございまして、われわれも、中小企業は、今後できるだけ発達していくように経済政策としていろいろなめんどうを見ると同時に、経済政策でめんどうを見切れないところは、別途社会政策的配慮が加えられることは当然であろうか、こう存じます。しかし、この中小企業基本法自体の中に、社会政策、経済政策全部一緒にがちゃがちゃ入れて、結局政策の混淆を来たすようなことで、はっきりしなくなるということになりますと、とかく従来の中小企業対策というものも、何となくそのあたりがぴしゃっとはっきりしてないような面もあったのではないかということから、われわれといたしましては、基本法は主として経済立法というような見地から規定させていただき、社会政策的な配慮につきましては、別途法律をつくりたい。それからなお、社会政策的配慮がまず必要になるという方々につきましても、ここにいく前の段階におきまして、小規模事業としていろいろ指導すれば、普通の国の政策を受け入れ得るものに至るのではないかということから、二十三条に特に小規模企業の条を一条設けまして、受け入れ体制ができるように、たとえば経営改善普及事業の推進でございますとか、あるいは小口保険の引き下げであるとかといったような、いろいろの施策を講ずることによって、できるだけ普通の経済政策が受け入れ得るようなかっこうに持っていくということに努めているわけでございます。
○永井委員 私は、アメリカが自由主義経済の国でないというので例を引っぱったわけではありません。ドイツもそのとおり、フランスもスイスもそのとおり、自由主義経済というものの水準からいえば、向こうのほうがもっと先進国です。ですから、私は、日本が自由主義経済の本家であり、それがこの原則的ななにをやっておるというならば、私は通産大臣の頭がどうかしているのではないかと思う。自由主義経済は、これは進んでいけば、何が何といったって経済の民主化の方向へ進むのがあたりまえである。いま例にあげましたいろいろな中小企業なり、アメリカにおける自由主義経済を制約するいろいろな条件というものは、これは経済の民主化の立場において進めておる方向であって、決して統制経済だとかなんとかという、そんな方向に問題は動いておるのじゃありません。でありますから、日本が中小企業の問題をほんとうにするならば、公正な一つの経済活動という経済民主化の範囲において、弱肉強食でこんなひどい目にあっておる中小企業を何とかしなければならぬ。経済の力でできないならば、法の保護のもとにおいてもなお命を守ってやらなければいけない、最低限度の保障をしてやらなければいけない、これはあたりまえのことであって、これを統制経済だとかなんとかというならば、およそ問題の把握のしかたが私は狂っておる、こう思うのです。私は、もしそういうような運用の関係においていろいろなことをやっていくのだ、こうおっしゃられるならば、私はいまの物価の問題一つ考えたって、政府が問題にしているのは、野菜だ、ふろ銭だ、床屋賃だ、パーマネントだ、こんな弱小の関係の問題をやっておる。そうして砂糖であるとか、えさであるとか、鉄鋼であるとか、こんな大きな問題には声をひそめているじゃありませんか。ひそめなくても、関税だとかどうだとか申しわけ的にやって、私はここで時間がありませんから砂糖の問題を取り上げませんが、ああいうひどい問題はそのままにしておいて、そうしていかにも物価の問題を取り上げているというふうに、そんなところを取り上げている、これが政府の大衆を犠牲にした一つの経済の運営だ、こう思うのです。 また私は、この際通産大臣にも聞いておかなければならぬと思うのは、製鉄企業における公販制の問題です。これは大臣も知っていると思う。昭和三十三年七月に生産制限が発足した。このときは不況対策としてこれは発足したのですよ。そうしてその不況対策が一年で効果をあげてきて、値段がよくなってきた。そうしたら、その翌年の三十四年七月には、鉄鋼関係はどうしたかといえば、今度は好況対策——不況対策で発足したものが、一年たったら好況対策で、そうして好況公販として、価格を上げないようにするのだという理由で、同じことをまた延長してきた。それから一年たった三十五年の七月には、今度はどういうことをやってきたかというと、好況対策から、不況のおそれがあるというので、安定公販にすりかえてきた。そうして三十四年の三、四月は、今度はまた公取その他から注意を受けたりして、どうですか、同じことを不況対策としての角度で扱い、好況対策としての角度で扱い、そうして安定価格という対策で扱っていく。ですから、口の先の理屈はどうでもつくのです。しかし、この利益はだれのためになるかというのです。これは製鉄業者の利益のためにやっているんで、国民大衆の利益のためにはかっている施策ではないのです。こういう形で経済の民主化と言う、統制がどうだとか言いながら、大企業というものは、常に不況は不況の中で、好況は好況の中で、不安定なら不安定の中で、擁護されて、消費者はそれの犠牲になり、中小企業は常にその犠牲になる。これを守ってやるというか、中小企業なり消費者を守るということが原則にならないで、日本の中小企業対策もくそもありはせぬです。その実態がそうです。また今日、このような運びの中でどうなっていますか。多角経営と称して、いろいろな企業が中小企業の分野にどのように入ってきていますか。外国資本がどんな形で入ってきていますか。私は、この次にはいろいろ例をあげて述べたいと思うのですが、これは大へんなことですよ。何らの措置もなくして、歯みがきなら歯みがき、マックスファクターならマックスファクターの化粧品、くだものならくだもののように、ユナイテット・ステーツ・フルーツ・カンパニー、こういう会社がどんな形で、どんなふうに入ってきて、これが将来日本の産業界に対してどういうふうな影響を持つかということを無視して、自由主義経済だから野放しなんだ、こんなことは、私はとてもできるものじゃないと思う。でありますから、いま言ったように、それは口先だけで言うならば、どんなことでもなにします。ですから、そうではなくて、だれのためになって、経済の民主化というものの本質はどっちなんだかということが明確にならなければ、この中小企業というものを浮き彫りにして、問題点がどこにあって、そうしてどこのうみを出せばどうなるのだということがきまらないのは、そういうことです。事業分野の確保という事柄が、憲法で定められておる公共の福祉という精神に反するものではない。そして外国でやっておるこれらの事柄は、自由主義経済でずっと進んだものです。経済の民主化の方向に進んでいくことが望ましい方向だ、こういうことが言えると思うのです。重ねて鉄鋼に関するあの扱い方、それから物価に対する扱い方、その中において中小企業にしわ寄せをされておるこれらの具体的な問題、そしていま言った自由主義経済と相反するものかどうか、われわれの考えている経済の民主化の方向というものと経済の自由活動というものとは相反するのかどうか、大臣の所見を伺いたいと思います。
○福田国務大臣 私は、自由主義経済あるいは統制経済といいますか、要するに、経済の運営をうまくやって国民の生活を安定し、その所得をふやしつつ文化生活ができるようにするというのが、根本の目的であると思います。しかし、そのスタートをするものの考え方は、自由主義から出てものを見ていく、統制から出てものを見るという考え方はあると思います。いま世界じゅうどこでも、統制だけでやっているという経済はないでしょう。また自由主義だけでやっている経済もない。その点ではよくわかっております。ただ私たちは、やはり自由主義経済というものを基礎にしてやっていくということを申し上げておるわけであります。 そこで、いまあなたから具体的に鉄鋼の問題をお出しになりましたけれども、私は、鉄鋼の問題でも、今度また値上げをしようと言ったけれども、これには反対であるということをはっきり声明をしております。決して大企業などを擁護するようなことは、いたしておりません。私が言うていることは、減産をしておりながら値上げをするなどというのはけしからぬじゃないか、何言っておるかと、はっきり言っておる。また毛織物の問題について、あまり相場が暴騰しておりますから、毛織、人絹についてはけしからぬ、何らかの対策をとれと言って、そして人絹、毛織の値段もいま下がっていることは、皆さん御承知のとおり。人絹についても、私はちゃんとそれだけの手を打っております。それは公販の場合においても同じであります。ただ標準値段というものはきめますけれども、標準値段より上へ出て、その標準値段を上げろというようなことを言っておる、そういうことには反対であるということであります。ただ、ものによっては標準値段以下のものがたくさんある。実際に標準値段の下のほうでいまのところ交渉して使っておったのを、今度はだんだん標準価格に近づけようという努力を八幡なり富士がいたしておる。これはいたしかたがない。標準値段に近づけておることを文句を言うことはない。私たちがいま大いに大企業を擁護しておるとおっしゃるが、八幡や富士はどうですか。実際に決算をごらんになればわかりますが、どちらかといえば、やはり配当金も株でもって出すようなやり方をするほど、そうもうかっていない。株価にもちゃんと反映して、七十円前後でいまのところはもっておる。この間うちまでは、四十円まで下がっておったじゃないですか。そういうことを考えてみれば、決して大企業だけを擁護しようなどという考えをして、われわれは政治をしておるのじゃない。現にまた、八幡がそういうふうな四十円に下がったようなときに、それに関連ある中小企業者が、それでは困るから、もっと八幡を助けるようにしてくれ、親企業のほうへ仕事を出してやってくれということを、実は皆さん方の代表が連れてわれわれのところに陳情においでになっておられるわけなんです。そういうことを見ても、いかに大企業と中小企業のつながりが密接であるか、そこいら辺に非常に大きなつながりがあるということはおわかりを願えると、私は思うのでありまして、これは何も永井さんを理屈で納得させようという気持ちはありませんが、実際がそうであるということ、また決して大企業を擁護するというような政策はやっておりませんということを、具体的な例をもっていま御説明を申し上げた。あなたは少しでも値段を上げたようにお思いになるが、絶対そんなことは許しておりません。大企業に横暴をさせるような、そんなやり方は断じてしておらないということは、ひとつおわかりを願いたいと思います。
○永井委員 これは大臣、ボクシングをやる場合、目方によってランクをきめる。レスリングをやるときもそうです。これが統制経済ですか。やはりそれは自由なんですよ。勝負をやる場合、強い者と弱い者が同じにやることが自由じゃない。大企業と中小企業と自由な土俵の中で自由に取っ組み合わせれば、それは負けるにきまっている。これが公正な一つの勝負における民主化なり、経済における民主化の方向であって、大臣、どうかしているんじゃないですか。そういうことを制限するなんという問題の取り組み方、経済には経済の土俵があると思う。取り組み合わせるなにはあると思います。羊の中にオオカミを入れたら、食いつぶされるのはきまっている。オオカミを入れないためにさくがあるのはあたりまえだ。それが自由主義経済じゃないですか。オオカミを入れないためにさくを設けるのは、いけないというのですか。そんなものの考え方はだめだ。それからまた、八幡の問題のときに下請からこう言ってきた、あたりまえですよ。いきなり三割も発注を落として値引きをして、鉄鋼が自分の高度の設備投資のしわ寄せというものを下請のほうへかぶせておいて、そして自分の安全をはかる、こういうようなやり方の関係であの連中が音をあげているときに、どうかもう少し何とかしてくれ、こう言って、自分の身がそういうふうに不当な目にあっているにもかかわらず、親企業のために陳情する、それがあたりまえで、陳情することがうんと下請のための利益になるのだというものの理解のしかたが、私は狂っていると思う。そういうのを見ても、いかに景気、不景気のしわ寄せが、八幡の不景気のしわ寄せが中小企業にぴーんといっているか、こう理解するのが大臣としての理解であって、こんなに下請が八幡のために生活している、利益を受けているのだ、おまえやはり八幡に向かって足を向けて寝られないぞ、こんなものの理解のしかたじゃ、私はどうかしていると思うのです。だから、こういうことを論議していけば際限がない。どこに問題の力点を置いて考えているかという違いだと思う。私は、その立場において大臣にものを言うのではないのです。私は、お互いにこの機会に、中小企業というものの問題の所在を明確にして、そうして体質的に日本の経済が持っておるこの中小企業の悩みというもの、工業は工業の分野で、商業は商業の分野で、下請関係は下請の関係で、スーパーマーケットの影響を受けるところは影響を受ける領域において、どうそれを処置していくかということを、一つの中小企業を守るだけでなしに、国民経済的な立場で、社会的な一つの条件の中で処理していこう、こういうのです。その処理のしかたは、私は片寄ったことを言っておるのではない。そういうところを正しく理解をしてもらいたいと思うのです。
○逢澤委員長 暫時休憩いたします。 本会議散会後再開する予定であります。 午後一時十三分休憩 ————◇————— 午後三時十七分開議
○逢澤委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。 内閣提出の中小企業基本法案等八法案についての質疑を続行することにいたします。永井勝次郎君。
○永井委員 大臣は何時ごろここに出席されますか。
○逢澤委員長 三十分ぐらいだそうです。
○永井委員 温厚な委員長の議事さばきでありますから、免じまして大臣のいないところでやりますが、三十分して来なかったら、もうやめます。 午前中の質疑で、中小企業対策というからには、工業の関係においては八六%、商業関係においては九七%までも占める中以下の零細業態、こういうものが占めておるのであるから、それが対象になってこなければならない、焦点がここに合ってこなければ、ほんとうの実情に合った中小企業対策はできない、こういうことを基本にしてお尋ねをしたわけであります。そこで、企業格差を政府は是正していくんだ、この法律に基づいてそういうことが可能である、こういうことの説明があったわけでありますが、その可能な条件というものが、われわれまだ納得ができないわけであります。そこで、こういうふうにやるのだから企業格差が解消していくのだ、こういうことが納得できるように、これから解明していただきたい、こう思うわけです。 企業格差をなくす方法に、理論的にいえば幾つかの方法があると思います。非常におくれているものを底上げしていく、いわゆる二重構造を底上げによって解消していくという、こういう方法が一つあるでしょう。もう一つは、一つの基準を置いて、基準以下の足手まといのところは削り取ってしまって、そうしてその上に近づけていくというようなやり方もあると思うわけであります。また、その二つが組み合わさったやり方もあると思う。そこで、工業の分野において、具体的に格差是正の施策がどういうふうに進められるか。近代化施策もあります。団地形成もあります。これは具体的に見えておりますが、これだけの予算、これだけの規模では、この膨大な中小企業の格差是正ということには、サンプルにはなるかもしれませんけれども、具体的な施策としてはわれわれは認めることはできない、こう考えますが、この工業の分野における格差是正というものが、どういう段取りで、どういう段階的な進捗によって進められるか、これが一点。 それから私は、一つの中小企業対策を進めていく場合、外国の例にもありますように、やはり事業分野というものをある程度明確にしておいて、そうして合理化なりあるいは格差是正の施策が一定の効果を持ってくるまでの期間、他から侵食されないような施策が必要である。したがって、中小企業の問題については、各国ともそういう登録制をやる、何をやるというふうにしておるわけでありますから、そういう関係はどうなるのか、大企業との接触はどうなるか。 それから貿易の自由化なり、技術革新なり、流通革命なり、こういった新しい時代の方向の中で、多角経営、企業合同、あるいは大きな広告によるところの市場占拠というような、いろいろな大規模な方法がとられておるわけであります。こういう事業分野の確定をある程度しないならば、私は具体的に幾つかの例をあとで申し上げたいと思いますが、多角経営なり、企業合同なり、あるいは系列化なり、大量生産、大量消費というような、こういう総合的な施策の中で、中小企業というものが、このままにしておくならば、相当大企業に席巻されてしまう、食い荒されてしまうという心配があるわけでありますが、一定の中小企業の効果をあげる過程で、そういうものの補正はどういうふうにするのか。この三点について明確にしていただきたい。
○樋詰政府委員 格差の問題があるということは、これは事実でございますが、これを解消する具体的な方法、可能性というようなものが、この基本法にどういうふうに盛られているかということにつきましては、これは物的生産性をまず高めるということによって企業みずからができるだけ能率的にものをつくり出し、あるいはサービス業、商業であれば、水揚げ高をふやすということをするためには、この第二章にございますいろいろな設備の近代化、技術の向上、経営管理の合理化、規模の適正化といったようなことをやる必要があるのでございまして、そのほかに、われわれといたしましては、自己資本の充実、あるいは金融の円滑化、労働力の確保といったようないろいろな措置が必要であろうか、そう存じております。そのために、この基本法の関連法といたしまして、中小企業近代化促進法、あるいは中小企業近代化資金助成法、あるいは中小企業高度化資金融通特別会計法、中小企業信用保険法の改正法、または中小企業指導法その他の一連の法律を提出いたしておるわけでございまして、もちろんこの法律だけでいまわれわれがここで御審議願っております第二章関係のものがすべてカバーされるというのには足らないかと存じますが、今後さらにいろいろな検討を加えました上で、所要の法律をつくっていくというふうにしたいと考えております。 もう一つ、せっかくつくっても、それが価値通りに売れないという場合に、中小企業の悩みがございますので、そういう悩みを除去するためには、結局価格形成力と申しますか、価値実現性と申しますか、せっかくできたものを、大企業で百円で売れるなら、中小企業でも百円で売れるというような方向にもっていく必要があろうかと存じまして、そのために第三章を置きまして、事業活動の不利の補正に関する規定を設けたわけでございます。午前中にも先生から御指摘がございましたが、中小企業の一番の問題は、非常に数が多過ぎるということでございまして、まず中小企業同士の過当競争という問題がございます。そこでまず、中小企業の過当競争をやめるためにも、組織を整備して、できるだけつまらぬところにエネルギーを使わぬようにする必要がございます。また、先生御指摘のように、製造関係の中小企業の半分くらいのものは下請という関係にございますが、その下請につきましては、従来の前近代的な隷属関係から、できるだけ近代的な規格統一等によって専門生産をやるというかっこうにして、一つの親企業に隷属でない対等の立場で部品を提供し、あるいは修理をするといったようなかっこうに持っていくという、社会的分業体制の確立ということをぜひやりたい、そういうふうに思っておるわけでございます。 特に、午前中来いろいろ御指摘になりました大企業等の不当なる進出等によって中小企業が苦境に立つという場合につきましては、これは事業分野をあらかじめきめることは、自由化されて外国からもいろいろのものがどんどん入ってくるという時代でもございますし、技術革新の時代で、日進月歩でいろいろものの製法も変わってくる。しかも生活様式が変わることによって、前文にもございますように、需給構造にも非常に大きな目まぐるしい変化があるというような際に、あらかじめこれは中小の分野、これは大企業の分野というふうに規定することは、経済的にもいかがかというふうな観点に立って考えておりまして、ただ、大企業等の不当な進出によって中小企業の事業活動の適正な機会が侵されるというおそれがある際には、それを除去するために、たとえば現在でも百貨店法というものにつきまして、これは法律のいう最も典型的な面におきまして、大規模な企業の規制ができるということによって、一番数のたくさんある小売店というものに与える影響が多いということから立法がなされておりますが、この百貨店法の活用あるいは小売商業調整法の運用等により、できるだけ紛争を避けていきたいと思っております。さらにそのほか、団体法によりますアウトサイダー規制命令でありますとか、あるいは設備の新設の制限、禁止の命令とかいったような、現在ございますいろいろな法律——もちろんそれだけで十分だとは存じませんが、さらに直すべきところは直すというかっこうで、そういう著しく弊害のある場合にそれを是正するというかっこうをとるということで、初めからそれはだれの分野というふうに確定しなくても、一応の経済目的は達し得るのではないかという観点から、この法律を御審議願っているわけでございます。 それからもう一つ落としましたが、小規模企業対策、いわゆる切り捨てかどうかということでございますが、もちろんわれわれは、切り捨てということは全然考えておりません。これは第二十三条にも、いろいろな施策をやるほかに、特に小規模につきましては、経営改善、福利事業の推進、あるいは協同小組合の組織化、あるいは小口保険といったようなものによる金融の道の円滑化というようなことを通じまして、早く政府の諸施策を受け入れるような体質をつくらせるということに努力してまいりたい、こう思っておりまして、規模の小さい方には規模の小さい方でまた向くような、おのずから分野もあると存じますし、そういうところには大企業がそう出てくるということもないと考えられますので、切り捨てではなしに、自発的に転換したいとおっしゃる方には御相談に乗ろう、こういう考え方でございます。
○永井委員 いま長官のいろいろ言われたことは、それは月並みなことなのです。ここに政府の一つの案もありますけれども、これにちゃんといろいろあります。しかし、これは図表では項目だけは非常にたくさんありますけれども、これに具体的な裏づけ、予算なり何なりを結びつけたものはない。この九九・五%、日本の全産業の中に占める中小企業のウエートから言えば、二階からの目薬にもならない。ただ一応こういうものもありますということばだけを羅列しただけで、経済の実体としてのものはない、こういうことが言えると思います。ですから、こういうものでは救えない。価格差是正の考え方はわかるけれども、これでは実働として効果はあがってこない。それから、いまのように切り捨てではないのだ、しかし、事前に自発的になにするものについてはと、こう言うのでありますが、自発的にいかざるを得ないように追い込んでいく政策が、この基本法だ、こう思うのです。でありますから、たとえば農業基本法においても、決してそれは貧農切り捨てでない、こう言うのであります。貧農切り捨てでないと言うが、この基本法が発足して実際の実働の中でどうなっているかと言えば、専業農家から第一種兼業に落ちている。第一種兼業から第二種兼業に落ちている。第二種兼業から今度は転落していく。他に転じていく。農村における青年層はどんどん都会に出てくる、こういう現実が、現実として出てきているわけです。経済の必然性からそうなっていくわけです。たとえば中小企業の問題にしても、首切りではないのだと言うが、この案にもあるように、転業についてはこうだという、受けるほうを考えておかなければ、うそになる。だから、一応はこう書いておかなければいかぬ。それから所得倍増計画の国の大きな筋として確立されておる政策から言えば、農村からはどんどん労働力が出てくるのだ。それから中小企業の関係からは、有業人口が漸減して、ここから大企業等への労力給源というものが出てくるのだ。所得倍増計画の中では、農村からこれだけ労働力が出るのだ、中小企業からこれだけ労働力が出るのだ、そして有業人口はこういうふうに漸減してくるのだ、こういうふうに示されているわけですね。そういう示されている中で、先ほど来の日本の全産業の中における中小企業の位置づけというものが確立されて、そこで進んでいくというならば、中小企業の分野だけでこれは消化できるわけのものではない。だから、これは追い込まれていく。それは自分のところで首を絞めたり、首をはねたり、殺したりしないかもしれないけれども、自殺せざるを得ないように追い込む。なおこれは悪質だ、こう思うのです。そういう施策がこれではないか、こう思うのであります。 そこで、たとえば八幡と富士が企業合同をやる。そして企業合同をやって規模を大きくして、さらに系列化を拡大していく。アルミから、油の関係から、機械から、これはどんどん多角経営をやろうとする。大企業はこれだけ企業合同して、富士と八幡が合同して、さらに多角経営へ伸ばしてくるということになれば、これに刃向かうことは、とてもできないと思うのです。たとえばアルミの生産分野だって、八幡となにが進出すれば、競争相手にはならないと私は思う。三菱関係だって何だって……。これはもうたいへんな騒動になっていることは、長官がよく御存じなんです。これは相当の企業規模、資本背景においてもこういう関係にあるわけでありますが、これがなまの中小企業の関係でぶつかれば、もうとても問題にはならない。そういう関係は、戦術は、たとえば東芝においてもある、日通においてもある、北炭においても、ポリプロピレンにおいてもある、王子製紙においてもある、いろいろな面にある。いままで大企業は、原料生産は、貿易が自由化されないで、管理貿易であった、外貨割り当てだった。したがって、原料高の製品安で、国内における中小企業収奪の中において大企業は太ることができた、安定をすることができた。しかし、貿易が自由化されれば、原料高の製品安というのをのほほんとしておれない。そこで、その分野まで危険分散の多角経営ということに伸ばしていく。企業の規模を大きくするための、巨大化のための企業合同がはかられる。これは現に起こっている。政府はそのために特定産業というようなものをなにしながら、あるいは独禁法に穴をあけながら、その面はぐんぐん自由に伸ばすようにして、そうして中小企業の分野には、もう知らぬ顔をしている。これじゃ、もう出発点から中小企業の対策ではなくて、中小企業のほうには引導を渡す、まあ迷わず成仏せいというお経の役ぐらいな役割りより、この基本法はなさないのではないか。そういうことに現実になると思う。ですから、そういう大企業の多角経営、企業合同が現実に起こっている。私が一々例をあげなくても、——あげろというなら何ぼでもあります。そういう関係と中小企業との実際接触点において、どうこれを実際に処理されるのか。その場合に、そういう条件の中で、そういう競争の中で、中小企業が格差を是正して、そして発展できる条件がそこにどういうふうにあるのか。これは経済的な実態でありますから、もっと説明していただかないと——説明していただけばわかりますから、そういう関係をもっと明確にしていただきたい。ただ項目だけ並べたのでは、私はこれは中小企業対策の実働にはならぬ。実際的な効果というものは期待できない、こう思うのです。ですから、この問題を明確にしていただきたい。
○樋詰政府委員 この法律をつくることによって、中小企業がますます窮地に追い込まれるのじゃないかというふうな、これは私の聞き違いかもしれませんが、もしそういうようなあれでございますれば、われわれはもちろん追い込むなんというようなことは毛頭考えておりません。むしろ逆に、このまま放置しておれば、それこそとんでもないことになるというふうに考えますので、こういう客観情勢の変化の中に、中小企業がとにかく経済的に存立基盤を見つけるということのためには、この基本法に示してある方針を大原則としていろいろやっていく以外に道がないという確信のもとにこれを出したわけでございまして、われわれは、この基本法ができたことによって悪くなるというようなことはもちろんないのみならず、これによって他のいろいろな施策というものが従来よりも一そう活発に講ぜられるということになりますれば、この法律の目的は、もちろん即効薬ではございませんが、漸次その効果を発揮して、中小企業はその重要な社会的、経済的使命にこたえるだけの安定した経営ができるというかっこうになり得るもの、そういうふうに思っておりまして、この基本法に書いてある以外には道がないというふうに信じております。 それから、確かに農業と一緒に、中小企業のいわゆる小規模の事業主というものがだんだん減って、そしてそれが中堅企業あるいは大企業というところにおける勤労者になるということ。これは私は、企業数をいまのままで置いておいて、そしてそれに全部生産性を上げなければならないのだというよりも、そこに働いておられる方々がいまよりももっとよりよい生活を享受できるというかっこうになるということのほうが、現実的で、必要であろうか、こういうふうに存じておりますので、たとえば中小企業が、単に大企業の勤労者になるというだけでなしに、われわれのほうで言っております協業等によって、かりに中小企業同士が合併した場合には、いままで一国一城のあるじであった中小企業の経営者が、中には課長になり、あるいは部長になる、このような使用人的な地位に落ちる人もできてくるわけでございますが、しかし、それによってみんながいままで以上に豊かな経済生活を営むことができるということになるということであるならば、しかもそれによって日本全体の経済の水準も上がっていくということにプラスするならば、ただ独立の事業者の数が減るということは、必ずしも悪いことではないのじゃないか、そういうふうに考えております。われわれといたしましては、先生の再三御指摘の大企業等のいろいろな進出等もございますからこそ、その国民経済的な見地に立って考えなければならないということで、この基本法の御審議をいま願っているのでございます。 それから八幡、富士等の合併といったようなことがあった場合には、中小企業はいまよりもますます苦しくなるのではないか、こういうお話でございますが、これはむしろ八幡、富士といったものがかりに合併いたしまして超大企業ができるといったような場合にも、われわれは決して大企業と中小企業があくまでも対立の関係にあるということではないのです。やはり大企業は中小企業があっての大企業です。結局中小企業をとことんまでいじめつけては、大企業自身にはね返ってきて、それを自分でやろうとすると、とても高くてやれぬということになって、やはり下請に出さなければいかぬということにもなるわけでございますので、単に大企業同士がかりにいろいろな事情で合併するということがございましても、そのこと自体が中小企業の地位に対して非常に悪く影響することはないのじゃないか。場合によっては、企業の経営安定のために多角経営をすることも若干必要があり得るかと思っておりますが、先生御心配のように、それがかりに市場独占によって独占の弊害を及ぼすといったようなおそれがある際には、別途独禁法の立場において厳重に取り締まっていただくことをすればいいのではないか。こういう問題は、大企業との問題というよりも、むしろ大企業同士、超大企業と大企業との間のいろいろな競争であるといったような場合には、いまのアルミの問題でも起こってきやしないかと思いますが、下請の関係におきましては、親が大きくなるということは、必ずしもそのために下請の地位が相対的に悪くなるものではないというふうに考えております。
○永井委員 繰り返して言うようですが、従来のような大企業と中小企業との状態ではないのだ、この基本法に書いてあるように社会的、経済的基盤が変化したのだ、その変化というのは何かといえば、貿易の自由化であり、技術革新であり、流通革命である。いまこういう大きな革命が来たのだ。その革命が来たのに対応するためにいま経済界にどういう実際的な動きが起こっているかといえば、大企業は国際競争力を強化するために、さらに企業を巨大化そう、生産性を高める、量産の体制に持っていく。もちろん質的な内容も伴ってくる。そうすると、その量産なり技術革新なりを導入してやった場合、その市場というものが海外において拡大できるならば、これは国内の市場においてはそう大した変化はないけれども、外に出れば相当競争力が必要だ。もちろん外にも相当力を出すだろうが、より安定をはかるためには、国内における市場のシェアを確保するという安易な方向にいま動いておるのが、大企業の実態ではないか。それが多角経営としてあらわれ、あるいはこれが企業合同としてあらわれ、あるいは生産から消費への距離短縮といういろいろな総合的な施策になってあらわれてきているじゃないか。だから、従来のような中小企業対策ではだめなんだ。非常に大きなよって立つ基盤の変化によって、その変化に対応するための施策が、この基本法でなければならぬ。ところが、大企業のほうは、いま言ったようなそういう攻勢をかけてきておるのに、中小企業のほうは、いや大企業があっての中小企業だ、中小企業あっての大企業だ、だから、その関係は相互依存の関係であって、対立する関係はないのだ、こういう考えによって貫かれていくならば、私は、本質的にものの考え方がだいぶ違ってくるのではないか、こう思うのです。現実には大きな変化がある。今日市場のシェアを拡大するためには、大企業がいろいろな手で動いてきておる。これをどう防衛しながら中小企業のあるべき姿をなにしていかなければいけないかというのが、当面の課題ではないか、こう思うのです。ですから、その時点に立ちますと、私は、やはり中小企業の事業分野といいますか、そういうものをある程度考えに置かなければ、この境界線もなしに、無境界にして、そこで占拠したほうがそれで優位なんだ、こういう投げっぱなしならば、どんどん中小企業というものは、長官や通産大臣の意図に反して、非常な打撃を受ける結果になる。その関係を、こうなるからいいんだ、そういうふうにはならないのだということを明確にしていただきたい。長官の話を聞いていますと、資本主義経済の発展の過程においては、中小企業というものはつぶれて、そうして大企業とその労働者と、こういう姿になることが、これが資本主義発展の過程なんだし、その方向なんだから、それでけっこうなんだ、こう言うなら、それでまたけっこうなんです。しかし、中小企業が、現状においてこれは維持、発展できるのだという考えに立っているんだから、そこでそういう形で維持、発展ができないではないか、こういうことなんです。その点間違わないで、ひとつはっきりさせていただきたい。
○樋詰政府委員 内外の経済基盤の変化に即応いたしまして、大企業の側においても、自分の防衛体制を整えるためにますます大きくなろうという努力をしているということは、これは先生の御指摘のとおりだと思います。また、今後いろいろなマスプロするような原料品の部門においては、大企業のウエートというものがだんだん高くなるということは、これはやむを得ないのじゃないか。特に装置産業であるとか、あるいは鉄鋼のごとく、何十億、何百億もというような固定資産が要るという業種、そういう製品をつくる部門におきましては、これはかりに現在中小企業がいろいろやっておりましても、それはむしろ大企業にだんだん変わっていくということになるのは、これは経済の流れかと存じますが、しかし、いろいろな部品の中でも、比較的に数の少ない専門的部品でありますとか、あるいは二次製品以下ということになりますと、重工業、軽工業を通じて、それは中小企業で扱うというものが今後も決して減らない。また、いわゆる小回りをきかせるということで、中小企業でやるほうが経済界の非常に敏感な変動にも応じ得るというような、いろいろな面があって、結局経済的に合理的な生産ができるのじゃないか、こう思いますので、そういう二次製品以下の部門において、中小企業は将来どんどん伸びていく可能性がある、こういうふうに思っております。そういうふうに思っておりますので、あらかじめここは中小企業の分野というふうに、必ずしも初めから法律ではっきりいたしませんでも、何か将来においてそういう規制をする必要があるといった場合には、たとえばこの春からいろいろ騒いでおりましたアメリカのセーフウエイの進出というようなものに対して、大企業が外国の資本と提携してそういうことに乗り出すということは非常にまずいからということで、一応やめさせたといったような事実もあるわけでございますから、われわれといたしましては、できるだけ、そういう場合には行政指導によって、そうして両方納得の上で、協力的に共存共栄できるといったようなかっこうに持っていくということでやっていきたい。いまのこの段階において、いきなり法律でぴっしり運用をきめておくということは、けさほど大臣から申し上げたと思いますが、一応われわれ政府側としては、必ずしもそれが最善の道ではない。むしろわれわれの十九条に規定さしていただいておるほうがいいのではないかというふうに考えております。
○永井委員 法律的な規定によらないで、行政措置の役割りにおいて十分そうした大企業の不公正な進出は押えていけるだろう、調整していけるだろう、こういうお話でありますが、もしそういうことが行政権限で可能であるとするならば、それこそ官僚行政、経済における官僚の干渉ということになって、すべての措置が万全にいくものではない。それほど官僚が万能ではないわけですから、生きて動いてきびしく発展していく経済をつかまえて、行政指導をするというような大それた指導は、なかなか私はできないと思います。ですから、それにはやはり法的背景が必要だ。もし行政権限でできるならば、過去における幾多の実績が信頼できるかどうか、ここは信頼の問題だと思うのです。だから、その信頼の問題として、私は、午前中、鉄鋼の問題はどうだ、不況条件、好況条件、安定条件、そのつど、同じような内容でいて、こういうふうに名前が変わってやっている。大企業とぶつかったら、これは従来はかたなしなんです。ですから、そういう行政権限ではだめなんだ、信頼ができないんだ、こういうのがわれわれの考え方です。これは一般にはどう言われておるか、通産大臣も知っていると思いますが、通産省というのは、これは三井省、三菱省、住友省、こう言っておるのです。財閥省なんです。それから中小企業庁は、何と言っているか、系列庁と一般に言っておるのです。だから、まるで大企業の手先が通産省だ、これほど世間で言われるような実態の中で、行政措置でやるということは、われわれは信頼できない。その措置が適正であるということはできない。ここにわれわれの違いがあるわけであります。そこで現実に起こっておることは、大企業が国内の市場において安定をはかっていく危険の分散をやる、こういうことで多角経営という形も出てきている。それに対応する中小企業の側の対応策が、明確でないんだ。それは行政措置でいくんだ、こういうことであります。でありますから、われわれは、その点は信頼できない、こういうことでいいと思います。 その次に、この大企業のこういう技術革新、貿易自由化に備えた国際競争力強化の設備投資というものが、目ざましく進んでおるわけであります。そうすると、大企業への設備投資、中小企業への設備投資が、ここ数年間どのような割合で、どのように動いておるか。この数字を見たら、とてもこれは比較にも何にもならない状態で、だんだん格差が縮む方向ではなくて、私は拡大する方向にあると思うのです。四兆近いこの設備投資、そのうちの三兆幾らというのは、ほとんど大企業への集中投資だ。その残りが全部のなにだというような現在の設備投資の中で、次の設備投資がフルに活動してきた場合における生産体制というものは、とても歯が立たない、こう思うのですが、その点はどのようにお考えでありますか、通産大臣から伺いたいと思います。
○福田国務大臣 設備投資の数字は、後刻中小企業庁長官から申し上げることにいたします。私は、先ほど来、午前中もいろいろ永井さんの御高説を承っておりますが、大企業と中小企業というものをさい然と分けてものを考える、そしてそのファンクションというものを別個のものとして考えることは、むずかしいのではないか。また、そう考えるべきでないのじゃないか。大企業が、たとえば設備投資をしますことは、それ自体がやはり相当な仕事を持つことであり、同時にまた、大企業が仕事を持てば、その系列、または系列でなくとも、それに関連、またの関連というものにずっと波動していくことになるかもしれないけれども、そういうような関連の中小企業がやはりそれによって潤うのでありますから、大企業が設備投資したのは全部の企業のためであって、中小企業には何らの影響がないのだという考えであってはならない。同時にまた、中小企業が設備の改善をすれば、それ自体がやはり大企業にいい意味ではね返ってくると見なければなりません。中小企業に投資したというので、大企業に何らの影響がないというようなものではない。小企業の場合も同じであります。要するに、一つの産業なら産業に関連があり、またその産業と関連がある別の産業というふうに、相関的に順次つながりを持っていくものである、こういうたてまえでやはり行政をやらなければならない、政治をやらなければならない。立法いたす場合におきましても、また同じような考え方でわれわれは立法をいたしておるつもりでございまして、さい然とこれを分けるというのはいかがなものか。大企業が独立して存在して、中小企業とは全然関係がない、こういうものではないのじゃないかと私は考えております。
○樋詰政府委員 大企業と中小企業の投資の割合は、これは先生も数字をお持ちだと思いますが、最近数年間、中小企業に対する投資が、全体の大体二九%というぐあいに、三割を割っております。ただわれわれは、この基本法制定を機会に、できるだけこれを格差是正の方向に持っていきたいということで、三十八年度は、少なくとも全体の三分の一程度は中小企業のほうに設備資金が回るようにということをまず第一として手がけたいと思ったわけでございます。最近の中小企業金融公庫の調査によりまして、大企業、中小企業等の設備が大体どの程度計画されておるかということを見ますと、三二%余りのものが中小企業のほうにいくのじゃないか。また中小企業のほうでそれだけの希望を持っておって、それだけはわれわれとしても十分確保したいと考えておるわけでございます。こと数年来は、確かに大企業の著しい設備拡張競争のようなものがあったりいたしまして、設備投資額に占める率が、だんだん大企業のほうが多くなってきたということは事実でございます。しかし、ここである程度一段落というかっこうで、この次は中小企業のほうで、今度は大いに能率をあげるべく設備の建設その他に向かう段階にきたのではないか。またいまのような中小企業が全体の三二、三%を確保したいという希望に対しては、できるだけ応ずるような裏づけ措置を大蔵省あたりとも相談して確保したい、そういうふうに考えております。
○永井委員 格差が現実にあることはこれは事実でありまして、認められるだろうと思う。そこで、この格差をこういうふうにすれば是正できる、あるいはその方法では是正できないんだという一つの対立した意見になっておるのであります。そうすると、そういう関係から、それじゃ格差是正のための設備投資はどうかということになれば、いま言ったように、九九・五%の中小企業はわずかに三割前後、〇・五%前後の大企業に設備投資の大部分が集中投資されておる。こういうようなことを一つ見ましても、この設備投資が次に生産的に活動してきた場合において、市場における力関係は明確であろうと思う。いまはこれらの親企業が原料生産の部門に力を入れておる。やがてそれが一段落したら、次に加工分野に力を入れてくると思うのです。たとえばトヨタ自動車工業における協力工場の関係、及び工場におけるいろいろな考え方というものが、いまのところは対下請関係の合理化、単価切り下げを追求している。そうしてその次には、自分のところの工場、系列工場をだんだん大きな協力工場にしていく。それから小さな協力工場をもっと格上げしていく。そうして再下請工場というふうにこれをだんだん整理していくという方向。そうして正従業員と臨時工との関係を事実関係において労働者関係もなにしていく。これがトヨタのひとつのこれからのスケジュールであります。こういうふうな関係から考えましても、いまの下請工場が、いつまでも下請工場で固定するものではない。再下請工場がそのままで固定するものではない。これは景気の動向によっては上に吸い上げられて、トヨタの直接の工場支配の中の系列として動くかもしれない。こういう非常に不安定な条件になるわけですね。だから、中心が整備すれば、次々とこうやってくるわけです。そういう関係において、この現在の下請関係、系列関係が、大企業が太ることはそれ自体の成長ではないか、こういうふうにのんきに、この下請関係の中小企業からいえば、安閑としておれるわけではないのです。非常に不安定な条件であるわけです。ですから、私は、通産大臣が言うように、大企業の設備投資は中小企業と無関係だ、国民経済なり社会条件と無関係でそういうものがあるなどという、そんなばかげたことは考えておりません。社会現象である限り、経済の一つの活動である限り、多いか少ないかの差はあるけれども、無関係でそういうものが動いているとは考えません。しかし、大企業の設備投資が少なくも中小企業のためになされているんだなどと、そんなことは考えない。ですから、ウエートの問題であると思うわけです。そういう関係から申しますと、私は、やはり産業秩序、経済秩序、こういうものの発展過程で、やはりこの経済の民主化、こういう一つの筋を通した秩序形成というものが、積み上げられていく方向でなければならぬと思うのです。このまま乱雑に、自然発生的に問題をさせておいて、そうしてできたところで、問題が起こったらそこで処理していこう、こういうのでは、犠牲が多くて効果が少ない。やはり経済秩序はどうあるべきか、産業秩序はどうあるべきか、そしてその中における経済民主化の方向、国際競争力を強化する方向、わき道をしないですっと短時間で成長させる経済形態というものはどうかという一つの——行政で指導するというなら、そのぐらいの一つの分析と見識とそれだけの思慮とを持って指導するのでなければ、おっしゃるようなわけにはなかなかいかぬと思うのです。ことに私は、だれがやっても、この中小企業の日本の問題はたいへんなことなんですから、もうごみためのようなものなのですから、そのごみために吹き寄せられた紙くずをどういうふうに発展させるか。口先では成長させ、底上げさして発展させるということを言いますけれども、実際問題としてやるということは、私は、それが非常に困難な問題だということはわかります。そういうふうにわかればわかるほど、この基本法においては、考え方というものを明確にしておきませんと、これからの具体的な政策推進において混迷がきます。混乱がきます。行き詰まりがきます。でありますから、それをこの基本法の段階において明らかにしておくことが、必要だと思います。 そこで、設備投資がそのような状態だ。そうすると、その設備投資が、大企業でありますから、もっとしっかりした資料に基づいてやる。ですから、利益のないところに設備投資をするばかはありません。それから設備投資をしたという以上は、それを確保するために、価格その他においても管理価格等が出るわけでありますから、そこで独禁法に穴をあけようというのが、現在の政治的な方向だと思うのです。そういう方向に大企業がぐんぐんきておるときに、それに対応していくべき中小企業のほうが、こんなものの考え方で基本法を考えていたのでは、私はたいへんだと思うわけです。そこで、その点をお尋ねをしておるわけです。ですから、投資が現在のままずっと続いておるわけです。大企業のところに集中されておるわけですから、金融その他の面からいったって、そんなに中小企業に金融のワクがいかないことはおわかりのとおり。そこでこの格差是正ということは、ある程度の期待はできるけれども、それ以上はできないのではないかということが一つです。 それからいまこういう一つの政策の中で、産業都市の指定であるとか、低開発地域の指定であるとか、地域開発計画というものが、国の大きな政策で進めておられる。そうしてコンビナート形成という問題が進められておる。そういたしますと、この現状のような形のままでいいのかどうかということは、これは国の施策との関係においても、相当ぶっつかってくると思うのです。さらに農村地帯における農村人口の漸減という問題は、従来のように農村地帯における商店とかあるいは中小企業の関係が、今日のままの現状で過ごせるとは思いません。相当この足場がくずれてくると思います。さらに交通機関がいろいろ発達すれば、歩く距離で町が形成されたのが、もっと長距離になる。あるいは鉄道関係からいえば、途中の小さな駅はとまらないで、あるいは貨物の取り扱いを抜いて、スピードアップするというような、こうした大きな流れになってきますと、そういう関係からのいろんな転換もある。こういうことを多角的に、総合的に考えてまいりますならば、私は、今後における中小企業のあり方というものを、大企業との対応なくして考えることはできないと思うのです。その対応というのは、共存共栄という形ではなしに、やはり経済的な形が弱いですから、法律的な力において補強して、対等の立場においてこの力関係をきめていく。あるいはそういう関係が経済的な分野でできなければ、これは社会政策的な補強工作によって、その地位を格上げしていく。そうして対等の力関係で公正な経済運営ができるようにする。そういうふうに個々の問題はいろいろありましょうが、基本的な考え方は、中小企業は中小企業、零細企業は零細企業の中で、対等の一つの団体交渉なり何なりでもってみずからの力を発揮できるような条件を確保していく、こういうことが私は必要であろうと思うのです。大臣、この地域開発の問題、コンビナートの問題、それから農村地帯における人口漸減のいろんな動き、あるいは都市における疎開するニュータウンの計画、こういうことで大きく今後いろいろ変わっていくと思うのですが、そういう関係を含めて、基本的に、これからの中小企業政策の具体的な推進にあたって、何をどういうふうに考えていくことが必要か、その重点の置きどころがどこにあるかという事柄について、お示しを願いたいと思うのです。
○福田国務大臣 私は、午前中にもお答えをいたしましたが、産業の構造の中において、大企業と中小企業との関係が問題なのです。中小企業と小企業との関係がまた問題である。その関係を調整するということを公正に、いまあなたが言われるようにいわゆる調整するために、何らかの法的措置あるいは行政的措置をやっていく必要があるということについては、あなたと少しも私は意見は違っておりません。それはおっしゃるとおりだと思っております。 それから、いま新産業都市の問題等が起きてくる、あるいは農村の人口の移動が行なわれつつある、こういうような事態と中小企業との関係をどう見るか、こういうことでありますが、私は、そういうようにいまは外部の環境も変わり、それから産業構造も変わり、地域的な経済も変わりつつある時代であると思うのであります。そういうときには、その一つの現象現象について、やはり私は、何らかの、いわゆる中小企業というものをバック・アップしてやるところの行政措置なり、法律なりが必要だ、それに伴って実体法というものがここに出てくるべきものである、あるいは行政的措置が出てきてしかるべきである、こういうふうに考えておるのであります。しからば、それは何をするのか、こういうことになりますと、まだ新産都市も具体的にきまっておるわけでもなし、東京都ならば、事実問題として人口がどんどんふえて、四百万から一千万になってしまった、そういう中において、物価問題等もいろいろ出てきておりますが、いままでの小売り商業というものはどうなる、あるいはまた、工業を分散しようというので工場をどんどん外に出そうということですから、そういうことになったら、小売り業がどうなるか、こういう問題がすぐ出てくると思うのであります。私は、そういう具体的な問題と直結してものを一つ一つ解決していくというのが、これが政策である。そうしてその政策から、そこに法律が生まれる、あるいは行政措置が生まれてくる、こういうふうに私は考えておるのでございます。いずれにしても、いまあなたが言われたような中小企業のいわゆる弱いところを補完してやる方向でいかなければいけない、それを明らかにしておるのが中小企業基本法の思想である、こう私は理解しておるわけであります。
○永井委員 なおいろいろ質問がありますが、ほかに質問者もあるようでありますから、一応私はいま一問をいたしまして、あと留保して、議事進行に協力していきたい、こう思うわけであります。 私は、国内の関係は国内の関係だけで、ある程度いま言ったように煮詰めていけば、行政措置でもいろいろできます。しかし、これから外資の導入があり、貿易自由化の中における国際的な関係ということを考えますと、行政措置だけではなかなかいかない。そこの関係を明確にしていく必要があるんじゃないか。外資なんかにおきましても、いま約六千億から導入されておるでありましょう。五千九百億前後が導入されておる。そうして一年間のロイヤリティの支払いが、一千億からある。そのほかに賠償があり、何がある。そうしてたとえばユナイテッド・ステート・フルーツ会社などは、これは世界にずっと根を張り、網を張って、そうして南米なんかでは、大宅壮一が文春に書いておったように、爆撃機をアメリカからチャーターして、その国を爆撃する、これだけのことをやるだけのたいへんななにを持っておるわけでありますが、これが最初なまの資本で日本に入ろうとした。そうしたらば大騒ぎをされたので、今度東洋果実ですか、これが、二百万前後の資本で一つちょっぴり頭だけ出した。この頭だけ出せばそれでいいんでありまして、この会社がいま何をやっているかと言えば、気象状況なんかを調べて、日本は亜熱帯から亜寒帯まで北にずっと続いて、季節的な段階が明確だ。こういうところに季節的な気象条件を生かしてくだものをずっと配置すれば、こんないいところはないじゃないか、こういうことで、たとえば日本におけるくだものの消費は何が一番多いかというと、これはミカンが多い。その次はリンゴだ。その次はイチゴだ。こういうことで、イチゴは何ぼつくたって食卓から拒否されない、消化しきれないということはない。北海道に対して、いまそのイチゴをどんどんやってきておるというような実情です。それからクルミをもっと奨励をして、長期計画でやる。そういうような大外国資本が、基礎的に根を据えてこうやってくる。たとえば歯みがき粉だって、郵便受けに見本だといって置く、台所に置く、それから玄関に置く、ただで使ってください、こういうふうに置いて歩いておるという実情、そういうような一つの外国資本が背景になってやってきた場合、しっかりした考えを持たないで、大企業に対する遠慮からふらふらやっていたら、私はたいへんなことになると思うのです。でありますから、この際、外国資本だからこうするのだ、民族資本だからこうするんだ、こういう差別はできないわけでありますが、そこには企業に対するしっかりした意見というものを持っていなければならぬ。そういう意味において、私は、事業分野の問題なり、あるいは社会政策的な施策なり、それから一つのサンプルだけではなしに、この政策でこうやるというならば、金融の面、税制の面でこうやるんだという具体的な面、そういうもので、そのときそのときをお茶を濁すのでなしに、ほんとうにこれが生きて中小企業の力になるような量を与えなければ、見本だけではだめだ。そうしなかったならば、貿易自由化の中でたいへんなことになってしまうのではないか、こう心配するわけであります。そういう意味において、この中小企業基本法は、社会党だからこうだ、自民党だからこうだ、基本的にはいろいろな違いはありましょうけれども、それを何とかしなければならぬという課題は、私は同じだと思う。テーマは同じだと思う。そのテーマの運びと基本的な考えは、違うものは違う、合うものは合う、こういうふうに論議の中で明確にして、その違いの点を早くはっきりさせなければ、ああでもない、こうでもないと、何だかわけのわからぬ議論をしておったんでは、前進はない。その意味において、中小企業に対する取っ組み方というものを、もちろん案をまとめる過程においては十分尽くされたでありましょう、しかし、いまこういう委員会で論議の過程においては、さらにそれを深めて、いろいろな情勢の動きも通産大臣はよく御存じでありますから、それに対応していく態勢を、ここの場所でざっくばらんに、これはこうだ、あれはああだと、割り切れないものは割り切れないでいいが、何か奥歯に物のはさまったような歯切れの悪い発言でない方向で、議事が進むように願いたいと思います。これに対する考え方をひとつ……。
○福田国務大臣 まず、自由化に関連して、国内経済だけではないんだ、海外との関係で考えねばいけないというお話であります。確かにOECD加入問題、あるいはガットの問題等々ございます。ございますが、われわれとしては、今度のOECDの場合にいたしましても、向こうから代表が来ていろいろ話をしておりますが、日本の場合においては、たとえば技術導入などというのは、EECでは六カ国が一年間にお互い同士の間に二百件くらいしか技術導入していないのに、日本では一国でもって三百件以上やっている。このごろは、四月、五月は六十から七十件。この率でいきますと、七百件くらい技術導入をするだろうというふうな実態もよくわかってくれまして、なるほど留保条項をつけても、日本の場合もっともだという——技術導入をして中小企業を圧迫するようなことになっては困るのでありますから、そういう弊害が起きそうな場合には、それをチェックできることを認めてやろう、こういうことであります。資本を持ってきていろいろなことをする場合におきましても、これはOECDの場合において、必ずしもそういうような基本的な、資本導入について制限を一切してはいけないということはありませんから、制限を何ら触れないでも、いま言われたように、ある程度日本が措置をしていってよろしいということも、おいおいわかってきておるのであります。実を言うと、通産省としてはこれが一番頭の痛かった問題でありますが、大体向こうと話をしてみまして、その面では一応われわれとしても所期の効果をあげ得た、こう考えておるわけであります。 そこで、あなたが最後に申されました、たとえばフルーツの問題等についても、向こうの大会社が出てきてどうこうするという場合においても、行政指導の面で、おっとどっこい、そう簡単にやらせるつもりはないし、あなたなんかもやらせるつもりはないでしょう。しかし、また一面から考えると、そういうような機構ができて、いい安い品物がどんどん全般の消費者に渡るということを頭から否定してかかるということは、政治の理念として受け入れられることではありません。それはそれでいいことだけれども、それによってこうむる被害をどういうふうにして救うか、またそれによって影響を受ける人をどうして救ってやるかという問題が、ここに出てくるわけであります。これはわれわれとしても十分考えていかなければならぬと思っております。また、向こうでそういうことをやるならば、日本も共同して同じようなシステムにおいて、たとえばくだものを売るというようなくふうもできないわけではないと私は思う。こういうことも、われわれ行政面において指導できる。それがもしどうしてもいかぬということであれば、場合によっては法制的にものを考えるということもあるでしょう。いずれにしても、私は、行政面あるいは法律等を通じて、個々の問題について立法して、その措置を考えていくというようなふうにいたしたいと思います。 それから先ほどちょっと私、お話を聞いておって、そういうような行政面でやることは官僚統制になるというようなお話もございました。確かにそういう場合もあり得ると思います。しかし、実際問題としてはたしてそうかということになりますと、たとえば今度の場合に、スーパーマーケットが出てくる、住友と協力するとか三菱とどうするとかいう話があったときに、われわれが呼んで、そんなことはしないでくれ、こういうことを言うと、向こうはやめます。やはりやめておる。これに対しては、官僚統制でけしからぬというおことばは一つもない。やはり皆さんのしてもらいたいということをやれば、官僚統制にはならないのでありますから、そこのところは、事実問題で、個々の問題をどういうふうにうまく処理していくかということによって、事は官僚の統制にもなり、事は民主的によく運ばれたといっておほめにあずかることにもなるのだと、われわれは考えております。政治理念は、民主的に運営をすべきだというその観点から立って、ひとつ今後も、あなたの御希望のように大いに努力をいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。 ————◇—————
○逢澤委員長 この際、派遣委員より報告を聴取することにいたします。すなわち、内閣提出の中小企業基本法案、永井勝次郎君外三十名提出の中小企業基本法案及び中小企業組織法案、予備審査の向井長年君提出の中小企業基本法案の四法案の審査のため、去る六月七日から四日間にわたり、現地に委員を派遣し、六月八日大阪、六月十日名古屋において、それぞれ四法案についていわゆる地方公聴会を開催し、現地で意見を聞いてまいりましたので、その報告をお聞きすることにいたします。田中榮一君。
○田中(榮)委員 それでは私から、派遣委員を代表して、今回の委員派遣について御報告申し上げます。 今回の委員派遣は、去る五月二十八日の理事会において取りきめました「委員派遣及び現地における会議開催要領」に基づき、内閣提出の中小企業基本法案、永井勝次郎君外三十名提出の中小企業基本法案及び中小企業組織法案、並びに予備審査中の向井長年君提出の中小企業基本法案の四法案審査に資するため、大阪及び名古屋において、いわゆる地方公聴会を開催したものであります。 まず、派遣委員としては、委員長の逢澤寛君、小川平二君、正示啓次郎君、私、田中榮一、板川正吾君、田中武夫君、松平忠久君、佐々木良作君、並びに商工委員として、浦野幸男君、久保田豊君、中村重光君が参加され、また、現地において菅野和太郎君、海部俊樹君、加藤鐐五郎君、早稻田柳右エ門君、久保田鶴松君、加藤清二君、横山利秋君、並びに春日一幸君が、それぞれ大阪または名古屋の会議に出席されました。 現地における会議は、すべて国会の委員会における議事規則及び手続に準拠して行なわれ、六月八日は、大阪商工会議所会議室において、六月十日は、名古屋商工会議所会議室において、それぞれ午前十時より会議が開かれ、両会議とも、四法案について簡単なる説明があった後、両会議の地域における各界の代表者十名ずっの方から意見を聴取し、活発な論議が行なわれました。 以下、両会議における意見の要点を簡単に御説明申し上げます。 まず、大阪地方公聴会の場合は、次のとおりであります。 一、浅野歯車製作所専務取締役、浅野総一郎君。 今国会の中小企業基本法案については、それぞれの内容に不満足な点があるとしても、提案されたことに大きな意義があるので、ぜひこれを通過させ、今後早急に関連法案、特に事業活動の不利の補正、金融、税制等の法案を整備して、基本法の精神を具体化されんことを要望する。 二、大阪府中小企業団体中央会相談役、石橋助司君。 中小企業者の範囲について、資本金の限度を一億円ぐらいに引き上げること、下請事業者への圧迫を排除する措置を強化すること等を要望する。 三、布施総合企業組合常務理事、岡本一郎君。 中小企業者の範囲について、事業の内容をも考慮して定めること、金融、税制面の規定及び小規模事業者対策の規定を具体化すること、事業分野の確保及び組織に関する国の助成の規定を入れること等を要望する。 四、大阪商工会議所専務理事、里井達三良君。 関連法規の整備強化と予算の裏づけを行なうこと、小規模企業については、別段の角度から強力な振興策を講ずること、商業対策を強化すること等の希望条件を付して政府案に賛成する。 五、灘、神戸生活協同組合組合長、田中俊介君。 中小企業の近代化はもちろん望ましいが、他を排除して現状維持をはかるのは好ましくない。特に流通部内においては、基本法ができることによって物価高を招いたり、正当な協同組合活動を阻害するようなことは避けるべきであり、消費者の擁護に十分留意すべきである。 六、大阪府立経済研究所所長、竹内正巳君。 独禁法の精神を堅持すること、中小企業関係行政機関の発言力を強化すること、雇用対策を前向きに進めること等の希望条件を付して政府案に賛成する。 七、関西主婦連合会会長、比嘉正子君。 産業道徳の修身書たる基本法の制定が望ましいので、市中銀行貸し出しの一定割合を中小企業向けに確保すること、中小企業の自主性尊重及び専門化の規定を明確化すること等によって、政府案に野党案の長所を取り入れ、成立をはかるよう要望する。 八、大阪経済大学教授、藤田敬三君。 重点的な施策については思い切った財政措置を講ずるとともに、関連法規を整備すること、中小企業者の範囲については業種ごとの特殊性を考慮すること、中小企業専門の研究機関及び教育機関を設けること、下請協同組合の育成に積極的対策を講ずること、最低賃金制度を徹底化すること、小規模企業者に対する社会政策を推進すること等を考慮し、理想的な基本法をつくるよう調整をはかるべきである。 九、兵庫県織物協同組合連合会会長、村上允常君。 必ず今国会において基本法を成立させること、関連法規をすみやかに整備すること、特に輸出振興及び体質改善対策を強化すること、中小企業者の範囲を資本金一億円まで拡大すること等を要望する。 十、全国青果小売商組合連合会副会長、森本喜一君。 政府案の前文及び第一条に、社会政策の面をも力強く実現すること、商業対策にサービス業をも含めるとともに、これを強化すること、事業活動の不利の補正関係条項、特に下請、事業分野、官公需の規定を強化すること、金融、税制関係の条文を具体化すること、中小企業省を設けること等を考慮して、よりよい基本法を成立させるよう要望する。なお、社会党案の協同組合組織一本化は、現状に合致しない。 次に、名古屋地方公聴会の場合は、次のとおりであります。 一、トヨタ自動車株式会社副社長、大野修司君。 公正なる自由競争を通じ、国際的競争力を高めることに留意すること、画一的な中小企業対策を避け、弾力的な施策を講ずること、近代化その他の関連法規を整備すること等を希望して、政府案に賛成する。 二、中川鉄工協同組合理事長、加藤政太郎君。 法案の内容は超党派的に研究すること、中小企業が真に大企業と対等の立場に立ち得る施策を確立すること、組織の指導者を確保すること等を要望する。 三、日本福祉大学講師、金持仲子君。 小規模企業、商業のような部門にこそ、こまかな具体的施策が明文化される必要がある。政府案で中心課題たる金融、税制面に具体的な施策が示されていないのは疑問である。また、中小企業者の範囲等についても、中堅企業の育成に力点があり、弱小企業が脱落するおそれが感じられる。野党案のような事業分野の確保は妥当である。以上を考慮して一そうの審議が望ましい。 四、名古屋大学経済学部長、末松玄六君。 独禁法及び特定産業振興法との関連を十分に審議する必要がある。野党案については、事業分野の確定は必要ない。小規模企業関係は、具体性があるが、むしろ単独立法によるべきである。金融、税制、労働等では、具体性があってよい。組織は、社会党案よりも民社党の同業組合案が進歩的である。二重構造の用語は不適当である。以上を考慮して、三党案の長所を政府案に取り入れるべきである。 五、テオ食品株式会社社長、染葉熊平君。 中小企業の従事者の生活水準を向上させる旨を明確に表現すること、商業対策にはサービス業を含めること、金融については、政府金融機関に対する財政投融資の一定割合を確保するとともに、市中銀行の資金が大企業に流れ去る現状を是正すること等の配慮のもとに、政府案を修正してすみやかに成立させるよう要望し、あわせて中小企業省の設置を望む。 六、中日運送株式会社営業部長、丹羽俊夫君。 基本法とともに、十分な予算の裏づけと政策を実行する機構の拡充が必要である。政府案はあまりにも抽象的で、特に金融、税制、労働の面では具体的な施策に欠けており、また中小企業本位で、零細企業切り捨ての危険がある。大企業からの圧迫排除の規定は、ぜひ必要である。政府案の中小企業者の努力の規定は不要である。 七、愛知県中小企業団体中央会会長、宮木乕一郎君。 中小企業者の範囲について、商業の場合も五千万円くらいまで引き上げること、市中銀行の集中融資を排除すること、輸出金融を拡充すること、事業分野の確保措置を講ずること、官公需の確保をはかること、労働力を確保すること、組織の整備、強化について助成を強化すること等を考慮して、すみやかに基本法を制定するとともに、関連法規、施策を整備するよう要望する。 八、全日本商店街連合会会長、山田泰吉君。 中小企業者の範囲については、政府案に賛成する。小規模企業のため、別の立法も必要である。組織については、社会党案の協同組合一本化には不賛成である。事業分野の確保は必要であり、また、紛争処理については社会党案が進歩的である。金融、税制については、自民、社会、民社の各案がよい。一般に工業偏重であり、将来、商業に対し予算及び行政機構の面で格段の拡充が必要である。 九、全国金属労働組合愛知地方本部執行委員長、山田将資君。 中小企業者の自主的組織化、協業化について強い対策を講ずること、下請関係を正常化すること、最低賃金制度の徹底を期すること、官公需は中小企業に直接発注されるよう措置すること、労働者の福利厚生施策を重んずること等によって、経済の二重構造を解消する基本法を制定する必要がある。三案の中では、具体性のある社会党案に賛成する。政府案の中小企業者の努力の規定は削除すべきである。 十、全日本小売商団体連盟副会長、渡辺義信君。 産業分野の確保、同業組織の確立、官公需の一定割合の確保、商工会に対する指導、助成の強化、小規模企業の組織に対する特別の助成、市中銀行貸し出しの一定割合の確保、税制上の特別の措置、中小企業対策予算の確保、中小企業省の設置等を条件とし、政府案を中心として社会党案、民社党案を取り入れ、早急に成立させるよう要望する。 以上が、両会議における意見の概要でありますが、この際委員長にお願い申し上げます。 両会議において、大阪は速記をとり、名古屋は録音テープにより会議の内容を記録いたしましたので、会議録ができましたならば、本委員会の会議録に参照として掲載されるようお取り計らい願います。 それでは、詳細は会議録によって御了解願うこととし、簡単ではございますが、以上で報告を終わります。
○逢澤委員長 以上で派遣委員の報告は終わりました。 なお、ただいま報告の中で、意見聴取会の記録を本委員会議録に参照として掲載すべきとの御要望がありましたので、おはかりいたします。 そのように決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 〔意見聴取会記録は本号その二に掲載〕 ————◇—————
○逢澤委員長 それでは、報告前の八法案についての質疑を続行することといたします。始関伊平君。
○始関委員 私は、政府案と社会党案との内容の相違点、それからその背景になっております考え方の相違点につきまして、二、三お尋ねをいたします。 第一点といたしまして、政府案では、基本法制定の背景として、企業間格差の存在、それから中小企業の経済的、社会的存立基盤の変化等をあげております。また、第三条の二項において、中小企業諸施策の実施は経済的諸事情の変化に即応すべきことを規定しております。換言しますと、中小企業の振興はもちろん望ましいのでありますが、中小企業が従来のままの姿で存続することは、必ずしも許されることではない。また、中小企業のあり方は当然に変化し、変貌していくべきものとしているように見受けられます。この点は、社会党案がこういう点についての認識に欠けておるやに思われるのに対して、顕著な相違をなしておると思うのでございます。 私は、まず最初に政府に伺いたいのでありますが、ここに経済的、社会的諸事情の変化と、またそれに基づく経済的、社会的存立基盤の変化ということが書いてあるわけでございますが、これは不可避的なものであるのか、また、日本の経済の発展という見地から見て望ましいとお考えになるか、この点と、もう一つ、いまのような考え方は、中小企業に従事しておる者の多くが、変化を好まないといいますか、あるいは変化に目をおおうと申しますか、現状のままで自分たちを保護してもらいたいと考えておるのでありまして、私は、この辺に基本法のむずかしい点があると思うのでありますが、世俗的なこういう期待と、それから基本法の根本的態度との間にややそごがあると思うのでありますが、これに対する大臣の所見を伺います。
○福田国務大臣 御質問のように、経済的、社会的な事情があって日本に中小企業というものが存立をいたしております。ところが、今日経済的、社会的に大きく変貌を遂げつつありますので、いままでの姿そのままで中小企業を育成、強化していくことは——それができるものもあります。それは変化のあまりない部門においてはできるけれども、変化のある部門においてそのままの姿でこれを育成していくことは——だから、それを押し詰めていけば、むしろ社会保障的な、あるいは社会福社的なものの考え方を入れた基本法というようなことは、これは別途の方途によって考えればいいのであって、私は、中小企業というものは、経済的な事情からいっても、社会的な事情からいっても、今後ますます変貌は避けられないということを基本に置かなければいけない、そしてその変貌に応じつつ、しかもこの中小企業を育成、強化していくというたてまえで進むべきであると考えておるのであります。なぜ今日のような中小企業が日本に存在したかということになれば、やはり地域性というのが、ずいぶん大きく響いておったと思います。もう一つは、人口が多かったということが、非常に今日の日本の中小企業の特異性をなしておったと思います。それから技術が非常に昔のままの姿で今日まであったということであります。ところが、今日では、まず技術の面からいいますと、自由化を控えて世界と太刀打ちしていかなければならない経済ということになれば、技術は大きく変貌をしてくるわけになります。しかも、いままでは地域地域でもって、交通機関が非常に発達しておらなかったから、地域性というものが非常にウエートを持っておったわけです。いまは交通機関がどんどん発達して、国内においても自転車から自動車というわけです。国際的にはこれが飛行機、そのうちにもっともっとスピードがついてくるだろう。これがまた大きく変えてくると思うのであります。技術の変化がその上に加わってくるということになりますが、日本においては、先ほど申し上げたような地域、人口、技術というような面において、いままでは非常に特異性があったと思っておるわけであります。そこへもってきて人口が多かったから、労働の需給の状況は、非常に供給が多いという状態であり、したがって、低賃金ということも望まれたのでありますが、今日においては、どんどんそういうような労働力がほかのほうに転用されるというか、移り変わりつつありますので、低賃金によって労働力を確保するということもできなくなるというような特殊事情も起きてくるわけであります。いずれにしても、先ほど私が申し上げたような三点から、日本の中小企業には特異性がある。しかし、それは今日の経済的、社会的事情から見て、大きく変貌を遂げつつある。それに即応しつつ中小企業を育成、強化していくということが必要である、格差をなくしていくことが必要である、こういう考え方に立ってこの基本法を提案しておるわけでございます。
○始関委員 社会党提案者代表の田中君に伺いますが、二重構造といい、あるいは企業間格差といい、その解消ないし是正は、国民経済全体の成長、発展があって、その過程においてのみ可能であると私どもは考えております。したがって、中小企業対策といっても、国民経済全体の発展をとめてしまっては意味がないと思うのでありますが、どうも社会党の案は、この点に対する考慮が不十分ではなかろうかという感じがいたします。社会党案では、経済の民主化ということに非常に重点を置いておりますが、われわれの考えでは、民主化というのは、結局経済発展に寄与するために関連があるわけでもありますから、大企業を押えて格差を縮めたって、これは中小企業のためになりません。あまりうれしくはないだろうと思うのです。社会党案のほうは、根本的な点として、私どもに目立ちますのは、中小企業の経済的、社会的存立基盤の変化——言葉はこれと違っていいのですが、そういう思想が全然入っておらない。こういうことでは、私は、われわれの言う国民経済全体の発展を阻害することなしに中小企業の成長、発展をはかるということは、困難ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○田中(武)議員 ただいまの私に対する質問は、最初に大臣に対して質問せられたのと関連があります。そこで一緒にしてお答えを申し上げますが、まず、政府の基本法をお立てになった態度、われわれが基本法を立てた態度が食い違っている、当然であります。これは大企業と中小企業の今日のあり方を、量的な面から見ていく考え方と、質的に見ていく考え方との違いがある。こういう考え方から出発しております。すなわち、そのことを二重構造ということばであらわしておりますが、大企業と中小企業の今日のあらゆる問題は、いわゆる経済の二重構造、したがって、大企業、中小企業の違いは、量だけでなく、その根本は質の違いである。それが二重構造ということばと格差是正ということばに変わっておるのだと思います。 それから、中小企業の立つ経済的その他の基盤は変わるかというのですが、これも量的には変わっていくと思います。しかし、質的には、現在の政府案をもってしては変わらない、このように思うのであります。さらに、国民経済全体の上に立って二重構造の解消がなし遂げられて、初めて私はあなたがおっしゃるような国民経済のすべてにおける寄与といいますか、それが達成せられる、このように考えております。 なお、中小企業が進歩していく、変わっていくということ、私も変わっていくと思いますが、あなたの考えておられるように、一人が百歩前進するよりか、われわれは百人が一歩前進するほうが、政策とし、基本法としては適当なものであろうと考えております。
○始関委員 田中君の御答弁につきましてこちらから申し上げたいことがありますが、あと回しにいたします。 そこで、政府案の背景となっておりますもう一つの大きな思想と申しますか、柱は、現在の中小企業に対して、経済的合理性を貫いていくことを強く要請している点にあるというふうに、私は理解いたしております。たとえば、政府案の基本法が、中小企業の高度化と申しております。そこで企業規模の適正化とか、あるいは事業の転換に関する施策というものを明文化したのも、こういう考え方のあらわれである。中小企業は、成長産業と衰退産業の二つに分けざるを得ないというふうな考え方になっておると思います。私も、こういう点でも基本法のあり方についてむずかしい点があるのだろうと思いますが、そこで私は、大臣に三つの点を伺います。 第一に、私の言うがごとく、経済的合理性を貫こうという本旨であるならば、経済的合理性を貫きながら中小企業を保護育成しようということは、一見矛盾のような感じもあるのでありますが、具体的にはどうすることであるのか、これが第一点であります。 第二点としては、特に問題となっております大企業と中小企業との関係について、経済的合理性という考え方と中小企業の保護育成という考え方と、どういうふうに調和させるのか、この点もちょっと伺っておきたい。この点は、またあとでも問題といたします。 第三点といたしまして、従来、日本における中小企業問題は、さっき大臣のお話にもございましたが、わが国の人口問題と密接なる関係があるとされていたと思います。いわば過剰人口の掃きだめであって、農業と並んで、私は、中小企業というものが過剰人口の掃きだめであったと思うのであります。日本の地域的な、狭い範囲での需給関係があるというようなことをさっき大臣おっしゃいましたが、そういう点もございますが、概して申しますと、零細企業なんかについては、日本の産業構造のあるべき姿からそういう中小企業が必要であったという面よりも、人がおるからしようがない、そういうものから出てきた面のほうが、相当目につくと思うのであります。でありますから、これはさっき永井君の質問でしきりにやっておりましたが、中小企業、特に零細企業に従事する人口が、経済の高度成長のうちに合理的に吸収せられて、その結果、中小企業、特に零細企業の数が減っていったとしても、これは差しつかえないという理屈になると思うのであります。この点は田中君にも伺いますが、社会党でも四十五条、四十六条というのがあります。あれを見ますと、大体において私はこういったような考え方を是認しておるんじゃなかろうかと思いますが、その点をはっきり御説明を願いたいと思います。 なお、それに関連いたしまして、これは大臣に伺いますが、諸外国では、家内労働法といったようなものを制定して、これはさっきお話がございましたが、必ずしも経済的な観点ではなくて、零細企業に社会政策的な特別な配慮を加えておるような例も聞いております。私は、零細企業というものは、ある程度数が減っていくと思いますが、また、それは日本の経済構造全体の上から何ら差しつかえないと思いますけれども、しかし、全部なくなるということはない。やはり相当なウエートを占めると思いますので、こういったような点について、今後何らか具体的な政策を展開されるお考えはないかということをお尋ねいたします。 以上、四点です。
○福田国務大臣 まずお答えをしていきますが、経済的合理性を追求しないで中小企業問題を解決はできない、そういうことを前提としてこの法案ができておるのではないかというお話だと思います。私もさように考えます。中小企業だからといって、経済的合理性を無視して存在するはずはございません。経済的合理性があるからこそ、格差の是正がそこに順次行なわれるということになるのでありますから、私は、これを前提として認めないわけにはいかないと思います。それから、そういう場合に、経済的合理性ということを主張して貫いていくというと、合理性に合わないものは、そこで何らか脱落するとか、変わっていかなきゃならなくなるのではないか、その場合に、それの保護はどうするんだ、こういうことであります。こういうことについては、われわれの考えとしては、たとえば町に千軒の戸数があるところならば、これは一応例でありますから当たっておるかどうかはわかりませんけれども、酒屋さんが何軒くらいあればいいじゃないかとか、あるいはとうふ屋が何軒くらいあればいいじゃないかというようなデータは出てくると思うのです。そういうことをよく知らせるということ、そして合理性のある案をつくって、それを知らしてやるということは必要だと思う。そうしないと、いつまでも数多くそういうものが存在しているということでは、意味がない。それならここで一体どうしたらいいか。二軒が一緒になってやっていくようにして、それから残ったものは今度は別の工場に行って働くようにするとか、何かそういう工夫をしたらどうかというようなことも、将来起こり得るし、またそういうことが現に起こっていると思います。これはいなめない事実であります。その場合に、そういうことをするときにこれを保護する工夫を具体的にどうしたらいいかということが出てくるわけでありますが、これは私は、そういうことを明らかに知らせるとか、また必要があれば、何らかその場合に、職業紹介をするとか、あるいはほかの職業に転換するのならば、金融的な措置を考えるとか、いろいろあると思いますが、これはやはり保護していく方針で臨んでいきたいと思います。 それからもう一つは、日本に人口が多い。人口が多いが、これがだんだんといわゆる合理性のある大企業なりあるいは中小企業に吸収されていくということになれば、今度はもうだんだん人がそういう方面にかわっていくじゃないか、中小企業に従事しておる者がかわっていくじゃないか、それはいいのか悪いのかというお考えでございます。私は、そういうふうになっても、少しも差しつかえないと思っています。ということは、私たちが商売を選んだのは、何のために商売を選んだのか。われわれが仕事を選んだのは、何のために選んだかといえば、社会のためになりながら一定の所得を獲得するというのが、これがほんとうの考え方であります。できるだけその所得が多いほうがいいのであります。いま不利な所得にでもかじりついていろいろという必要はない。むしろ、たとえば小売商をやっているよりは、どっかの会社へ勤めて、そしてちゃんと三万円なら三万円の月給をもらったほうが得だという場合に、その人が転業することをやめろ、その商売をあくまでもやっていなさいと言う必要は、一つもないのであって、そういうふうに変わっていくことは、少しも私は差しつかえのないことであろうと考えておるわけでございます。この点は、そういうふうに変わりつつある。いわゆる人口問題に対する一つの見解として、これは農村問題についても何でもいろいろありますが、私は、中小企業の場合においても、それはそういうふうに転換していって差しつかえないものじゃないか、こう考えておるわけであります。 それから最後に、そうは言っても、やはりある程度のものは、どうしたって中小企業というものは必要なんだ。その中小企業が、非常に格差があるということ、いわゆる中小企業が非常に収入が少ない、しかも社会的に見ればそれは必要なものだということになった場合に、これは何らか保護するところの家内労働立法というようなもの、あるいは名前は別としても、いわゆる社会福祉的な考えとか、あるいは保護政策的な考えから、何かの立法をつくる考えがあるかということでございますが、私は、これは一定の安定度に来たときに——いまは非常に変わりつつあるわけでありますから、まず変わりつつあるものに対応する政策を考えておりますが、将来は、そういう問題も当然考えていってしかるべきものである、かように私は考えております。
○田中(武)議員 お答えをいたします。 私は、わが党案も、また政府案も、中小企業の範囲ということで、きめ方は違っておりますが、上を押えておる。すなわち、わが党では勤労事業者、政府では小規模事業者とうたっておられます。したがって、経済政策のみで私は中小企業の対策として、政策として尽きるとは考えておりません。そこにやはり社会政策を入れていかなければならない、こう考えております。その点が、経済合理性の追求ということだけでなく、われわれは、経済政策と社会政策をあわせて基本法に盛っておるわけでございます。 さらに、衰退していく業種は認めるか、認めます。したがって、わが党案三十三条には、それに対する措置を明確に規定をいたし、なお御指摘の四十六条、ことに第二項において規定を盛っているわけでございます。言われました四十五条の雇用の拡大、こういうことは、これが社会政策になるのか、経済政策になるのかわかりませんが、そういうものも、もちろん規定をいたしております。さらにそのためには、最低賃金法とか、家内労働法とかいったものが必要である、そういうふうに考えております。
○始関委員 では次に、国民経済の二重構造という問題、これはちょっとことばの使い方もあるようですが、考え方の内容にかなり影響があると思いますので、ちょっと伺っておきたいと思います。 日本の経済の中に、近代化された企業と、近代化されていないいわゆる前近代的な企業とが混在している。これは事実だと思います。しかし、中小企業の中でも、全部が全部前近代的というわけのものでもないので、相当によくやっている、いわゆる近代化されたものも入っておる。社会党案あるいは政府案の定義に従っても、その定義の中にある中小企業というものが、すべて前近代的だというのは、私は言い過ぎではなかろうかと思います。二重構造という考え方に関連して、経済に断層がある、こういう考え方も、私は工業についてはおかしいのじゃなかろうかと思います。たとえば企業の生産性等について申しましても、最も優秀なものを一〇〇とすれば、九〇のものもある、八〇のものもある、さらに五〇、四〇というものが下のほうにつながっておるのでありまして、いわゆる連続的傾斜構造説というものが、私は妥当だろうと考えております。私は、政府案のこの基本法は、いま申しましたような見地に立って立案せられておる。いわゆる断層があって——田中君がはっきりさっき言われましたが、断層があってどうにもしようがない、そういう絶望的な状態に中小企業というものがあるのじゃない、こういう認識のもとに私は政府案が制定されているとは思いますが、その点いかがでございますか。 もう一つそれに関連して、大体これはこの前の委員会で松平君が言われたのでありますが、経済構造の二重構造という考え方の中には、金融、租税制度などが日本では大企業本位にできておる、中小企業には不利にできておって、こういういわば背景となる経済の仕組みそのものを二重構造の概念のうちに包含すべきであるという議論がございました。歴史的に考えてみますと、明治維新の当時、資本蓄積の少なかった後進国としての日本が、財閥というものを育てて、これで資本を集中しようとした、こういう歴史的な事実があったのだろうと私は思っております。それから戦争中または戦後において、いわゆる傾斜生産方式という名のもとに、基礎産業——基礎産業というのは、たとえば石炭が入るのでありますが、石炭の中にはいわゆる中小炭鉱もございますが、基礎産業が概して大企業であるとかりにいたしましてもよろしゅうございますが、そういう大企業本位の政策を立てたということは、一つの事実かもしれません。しかし、これは戦後のあの産業壊滅の状態の中で産業復興をしようとすれば、だれが考えたってああいうふうにするよりなかったので、これは社会党の水谷さんが商工大臣で、いわゆる石炭の傾斜生産方式をやったということは御記憶のとおりでございまして、あれは私は、好むと好まざるにかかわらず、選択の余地がなかった、こう思っております。しかしながら、松平君が言われますように、こういう事柄が、自由主義国家といいますか、資本主義国家といいますか、こういう日本に必然的である、どうにも変更のしようのない本質的なものであるという考え方は、私は間違いであろうと思う。政策的に当然変更のできるものだし、また現実に変更されつつある。それから今回の基本法も、そういう見地に立って立案されておると思いますが、この点について大臣、また関連する部分について田中君から、御答弁願います。
○福田国務大臣 仰せのとおりでございまして、いわゆる傾斜的に産業がずっと連なっておる。それをどこで切るかということについていろいろの考え方があるというような立場に立って、基本法というものをわれわれは考えているわけであります。また、金融の面あるいは税制の面その他において、いわゆる中小企業の下の者にもっとよりよくしていく、上にはきびしくても下にはよりよくするということについては、これを現実に是正する考え方で、いままでもやってきておりましたが、今後もこの方針を一そう強めてまいらねばならない、こういうふうに考えておるし、それは可能なことである、かように考えておるわけであります。
○田中(武)議員 先ほども申しましたように、中小企業と大企業との違い、これがいわゆる量だけの違いであるのか、質的な違いがあるのかという観点の相違だと思います。明治の革新といいますか、改革といいますか、あの際に、封建主義の中に資本主義が突如として入ってきた。そこにほんとうの意味の資本主義の発展はなくして、その中に封建性を含んだまま発展してきた。そういうところに体質的な、いわゆる構造的なものができておる、こう私は考えるわけでございまして、もちろん、政策面におけるいままでの保守党政府の税制、金融が、大企業に対して中心的になされた、そういうことによる格差もあります。しかし、表面的なものだけを見て、基本的なものを忘れたら、私は、根本的な解決はできないのではないか、このように考えております。 なお、おっしゃるように、私は、いわゆる中小企業の中でも、企業性の強いもの、勤労性の強いものはあると考えております。すなわち三千万円で押えるのか、五千万円で押えるのか、その押え方によって違いますが、いわゆる中小企業の中でも、企業性、経済性を持って相当な効果をあげておるものが、確かにあります。しかし、一面そうでないものが多いわけです。したがって、いま大臣言われましたが、その点が大事なんです。より大きいものよりか、より小さいほうへ、より零細なほうへ手厚い政策、手厚い対策を持つことが必要だと思います。そういう意味において、わが党提出のほうがはるかにまさっております。
○逢澤委員長 提案者松平君の発言を許します。
○松平議員 いま私のこの前の答弁について引き合いに出されましたので、この際、若干補足して私からも答弁させていただきたいと思います。 われわれの考え方の基本になっておるものは、資本主義の発展の経過が違っておると思うのであります。第一のヨーロッパにおける資本主義は、やはり始関君もその点についてはわれわれと一緒に行ったときに聞いてきたわけでありますが、キリスト教というものは、資本主義に非常にブレーキをかけておるものであります。これはわれわれの想像以上に資本主義の中に、一つの秩序をキリスト教は植えつけておると思います。したがって、この資本主義の悪い面をそれによってある程度是正してきておる。御承知のように、たとえばシェークスピアの「ヴェニスの商人」というものは、あれは当時の資本主義の発展の過程において、キリスト教では金を貸した場合に利息を取ることを禁止しておるわけですが、それをユダヤ人はキリスト教信者ではないので利息を取っておったということから生まれてきておる一つの悲喜劇というか、悲劇であります。あの一つを見てもわかるように、資本の悪い面というか、いわゆる利潤追求主義にある程度キリスト教がブレーキをかけてきておると思います。 ところがアメリカはピューリタンが植民していったのでありまして、いわゆる宗教革命において、従来の堕落した宗教をむしろ改革していこうという考え方の者が、ニュー・イングランドにずっと押し寄せてきたわけであります。そこで、アメリカの資本主義の発達というものは、ジャスティスとフェアプレイというものが最も重んぜられるようなことにならなければならないということで、したがって、独禁法のようなものは、アメリカにおいて非常に発展してきておる。フェアプレイでいこうじゃないか、この考え方なんですよ。そこでアメリカ独特の一種のフェアプレイとジャスティスが、アメリカの資本主義に一つの秩序を与えておると思います。ところが、いまの日本は、田中議員からも答弁がありましたごとく、明治のころの政策というものは、封建的なものと資本主義とが結びついて、そこで権力と資本が結びついて発展してきたのが、日本の資本主義なんです。そこにいわば構造的というか、そういう違いというものが、ヨーロッパとアメリカと日本において見られるわけであります。 そこで、これを日本的にどうやって直していったらよいかというと、やはり日本では、そういうほかの国には見られないような、いわゆるゆがんだ方向で発展をしてきておりますので、このゆがんだ方向というものを直していかなければいけないと私は思います。いまあなた方が資本主義を信奉する立場においても、ゆがんだ方向というものは、構造的に直していかなければならない。 それから、いまおっしゃいました戦後におけるいろいろなやり方についてのことは、当時としては是認できます。是認できますけれども、今日なおかつそういう方向が残っておって、つまり明治からの行き方の大資本と権力とが結びついて、そうして政治も壟断するし、自分たちの都合のよいような法律をつくらせる、こういうことをするわけでありますけれども、そういう仕組み、そういう背景を直していかなければならないと思います。極端にいえば、日本にはジャスティスもなければフェアプレイもない、そういうような発展のしかたをしていったわけであります。ですから、そのことを私たちはやはり構造的に直していかなければならないと考えております。その点をひとつ御理解を願いたいと思います。
○始関委員 時間がございませんので、押し問答は避けまして、中小企業の事業分野の確保の問題につきまして、非常に議論がございましたが、重要な問題でございますので、私もちょっとお尋ねをしたいのであります。 中小企業の事業分野を確保することについて、政府が責任を持つべきであるという意見がございます。社会党は、特にそのために一章を設けております。政府案にも規定があるわけでございます。私も、政府がこの中小企業の適正な事業分野を確保し、大企業の不当な進出を排除して、中小企業の適正な事業活動の機会を確保するようにすべきである、という意見につきましては、趣旨として同感であります。ただ問題は、社会党案のように、法律でいわば機械的に分野というものをはっきりきめて、ここには大企業入るべからずというやり方がよいのかどうかという点については、非常に疑問だと考えております。たとえば、これは中村重光君が先般の本会議の基本法の審議の際に申したのでありますが、中村君は、英米等の先進諸国において、中小企業は大企業のそれに劣らない高い賃金と生産性を実現し得る合理的な活動分野が確保されている、こう申しております。これは私も確かにそのとおりだと思います。しかしながら、これは政府が保障してそうなったということではなくて、長い歴史の後に——いまジャスティス、フェアプレイのお話がございましたが、そういう影響もあるのかもしれませんが、長い歴史の後に、経済発展の自然の帰結としてそういうところに落ちついておると思うのであります。もし無理に中小企業の事業分野を確保しようとすると、どういうことになるかというと、私は、二つの結果が予想されると思います。それは、非能率産業というものが温存される結果になるということであります。具体的な例をあげてもよろしゅうございますが、第一に、非能率産業を温存する結果になる。第二の結果といたしましては、さっきもお話があったのでございますが、今日では貿易が自由化されておる。だから、そのように無理な事業分野を確保いたしましても、結局意味をなくすことになると思うのであります。たとえばマカロニーが新しい機械を入れることを妨げるといたしましても、そういう優秀な機械でマロカニーが安く入ってくるということであれば、しかも貿易自由化でこれを阻止する手がないとすれば、これはだめになるので、私は、中小企業対策というものは、流動的に、かつ国際的な視野で、今日では考えざるを得ないと思いますが、その点、やはり社会党案と政府案ではかなりニュアンスの違いがございます。この点につきまして、大臣の御所見を伺います。
○福田国務大臣 お説のとおり、経済は、自由化その他技術の革新等が行なわれつつある現状においては、大きく変動いたしておるのでありますから、その点も十分考慮に入れて政策を実行し、あるいは行政を運営していかなければならない。ただ、中小企業のやっておる、まあまあ中小企業がやったらいいじゃないかという仕事がそれではないかというと、私はやはりいまの段階においてもあり得ると思います。そういうものをあまり大企業が侵すようなことはなるべくさせないがいいということについては、私はやはりそういう考え方でやっていったらいいのじゃないかと思うのでありますが、しかし、流動性ということを無視して今日の経済を論ずるわけにはいきません。 先ほど松平さんは、何か、私の取り違いかもしれませんが、いままでのわが党といいますか、池田内閣なり何なりがいかにも大企業の言うことばかり聞いておる——自由党の考え方あたりをあるいは御批判になったのではないかという感じがしましたので、一言お答えします。 少なくとも私は、そんな考えは一切持っていない。先般も鉄鋼を値上げしようなんと言ったから、すぐに反撃をいたしております。また、毛織物を値上げしたりあるいは人絹糸を上げたりするのもけしからぬと言ってやっておる。これはいささか文句を言われておりますけれども、私はそんなことは驚いていない。私は何も池田さんをどうするつもりはありませんが、池田総理も、そういう意味ではかなり良心的であります。いわゆるフェアプレイ、ジャスティスの考え方をかなり持って、何とかしてそれをやりたいと思っているわけであります。これは総理、総裁がわが党においてかわられても、わが党が持っておる良識、良心というものはあると私は思います。ただ、あなたが仰せになったように、歴史的な過程において、確かに日本の政治がそういうような欠点を持っておったじゃないかということになると、私はそういうものはなかったとは言いません。あったでありましょう。またその残滓がないとも言いません。しかし、それを払拭するために、われわれは良心に基づいて政治をやっているということだけは、ひとつ御理解を賜わりたいと思うのであります。
○田中(武)議員 いまわが党案の十八条、十九条、すなわち、中小企業者の事業分野の確保に関連いたしまして、始関委員は、中小企業の事業分野の確保ということをやるならば、非能率産業を温存するではないか、こういう御質問でありますが、法律は、一条だけをごらんになって解釈してもらっては困ります。十八条、十九条とともに、わが党案の二十二条、すなわち、第三章第三節、経営の近代化、こういう点を見ていただきましたならば、中小企業も、いままでの中小企業ではなく、近代的な経営をし、そうして専門化していき、能率の向上をはかること、それが先ほど来論議になっております、その基盤であるところの構造的なものを変えていくのか、あるいは量だけの違いかということが、この産業分野の確保についての意見が分かれるところだと思います。したがって、おっしゃるように、非能率的産業を温存するということはないと思います。 さらに、貿易の自由化と、これに関連してはどうか、これは同じく第四節、第二十八条以下に貿易政策を置いております。ただし、ただ、いまのところ、野放しに自由化のあらしの前に立たしたならば、立っていけない中小企業もあるだろうから、第三十二条では、保護関税等も考えている。そういう考え方を持っておりまして、われわれは、十八条、十九条によっていわゆる関連法を出します。これには審議会等を設け、弾力あるものとして運用さしていく。そうして十九条には、その必要要件を掲げているだけであります。あなたもお認めになると思いますが、大企業、大産業が、二次製品、三次製品に進出していく。今日八幡のごときは、四十八種か五十種近い分野に手を伸ばしているのであります。そういうものに対しましては、何といいますか、一つの制限を加えていく、そういうことが必要であり、わが党案の十九条第二項は、禁止ではございません、必要なる制限を大臣が行なう、こういうことでございまして、オフ・リミットではなくして、特別なときはいろいろ審議会において許可する場合もあり得るわけであります。そういうように物事を機械的に考えていただいては困ります。条文を解釈するときには、一条にとらわれず、全法律の中を流れるところの精神をくみ取っていただきたいと思います。
○始関委員 時間がございませんので、答弁者と議論をすることは避けたいと思いますが、私は、たとえば大きなメーカーが二次品、三次品に手を出すと申しますのは、さっきから申しておりますような経済的、社会的諸事情の変化、消費構造の変化なりあるいは生活様式の単純化というようなことに伴って、つまり大量生産に向いてきたという客観的な事実が一方にあるのであって、ただ単に利潤追求の立場からむやみやたらに手を出しておるというふうに理解すべきものではあるまいと思います。中小企業の機械化、近代化を進めるということは当然でございますが、その趣旨といたしますところは、そうすることによって、当然その中小企業に向く分野においては大企業にも対抗し得るということでなければならないと思います。ただ、急激に、あるいは不当に出てくるような場合には、それに対して何らかの措置が必要であるというふうに、私は大企業と中小企業との関係の調整については理解しておりますが、その辺は見解の相違ですから、あまり議論をいたしません。 その議論に入ります前に、渡邊君にお尋ねしたいのですが、いまお聞きの問題ですが、大企業が従来中小企業の領分であった分野に進出している事例というものは、相当に多いと思います。しかしながら、それについては、いま申しましたとおり、一般的に申しまして、消費購買力が旺盛になって、いわゆる消費の層が厚くなったこと、しかも生活様式の単純化など、消費構造の変革に基づくところが大きいのであって、経済的合理性を貫くという見地から言いますと、ある意味では当然であるといってもいい面も、かなり私はあると思います。しかし、ここにむずかしい問題があることは、私も承知しておるつもりでございます。そこで私は、渡邊君にお尋ねしたいのは、大企業の中小企業分野への進出について、不公正な取引方法その他、公取委員会の立場から見て好ましからざる事態というものが看取せられますか、あるいは今日までにそういう事例があったかどうかということをひとつお尋ねしたいと思います。
○渡邊(喜)政府委員 大企業の企業分野とか中小企業の企業分野とかいったような問題は、ただいま伺っておりましたところにおきましてもいろいろ議論があるように、非常にむずかしい問題だと思います。ただ、公正取引委員会としましては、大企業が新しい分野に進出します場合におきまして、不公正な取引方法を用いてその取引分野を競争するとか、独占するとか、あるいは従来の競争者を排除する何らかのそうした特別な意図をもってやるという問題になりますれば、これは当然独禁法に抵触の問題が出てくるわけです。過去におきまして、どの程度の事案がどんなふうにあったかということをいまここで正確に申し上げるだけの資料は持っておりませんが、私の聞いておりますところでは、たとえば流通分野におきまして、おとり商品のようなものを用いて、そして顧客を誘引する、そういったような関係でもって、いわば他の競争者に対して、いかにも自分のところは安いのだというふうな姿を見せよう、そしてそこに競争上特別な、いわばそうしたフェアでない方法によって顧客を誘引する、こういったことが問題になったという事例は聞いております。
○田中(武)議員 いま始関君は、大企業が二次製品、三次製品に手を出すことはあえて利潤追求のみではない、こうおっしゃいましたが、もちろん事業欲というようなことがあるかもわかりません。しかし、資本主義の中にあって、営利会社の企業活動は、やはり利潤追求でございます。しかも、これは大阪の公聴会でも出た話ですが、石油ストーブというものを一つ例にとりましても、これは従来の中小企業と呼ばれる人たちがつくって、営々苦心をして宣伝をしてまいりました。ところが、これがいけると見れば、大企業がぐっと乗り出してきて、そうしていままでつくっておった中小企業はそのために倒されている。これは最近の事例であります。あなたは独禁法においてどうかとおっしゃるのですが、独禁法においても、はっきりしたものはいま公取委員長が言ったようなことになろうと思います。しかし、独禁法に基づく公正取引委員会の不公正な取引の方法、すなわち、俗に告示第十一号といわれておるその第六項に「正常な商慣習に照して」云々とあります。たいていの場合、これで逃げられるわけです。こういうことが商慣習だといわれておったことに、私は今日まで疑問があったと思う。したがって、わが党案の十八条、十九条のような規定を盛って、初めてこの独禁法が動くのではなかろうかというように考えております。
○始関委員 大企業と中小企業の問題は、非常にむずかしいのでございますが、原則としては、少なくともその分野の商品については中小企業が独自の力で対抗できるような底力、つまり機械化、近代化を進めるということによって対抗するのが、基本法の根本の精神であって、いま申しますように、かきをつくってここへ入ってきてはいかぬというのは、私はあまり感心した方法ではなかろうと思います。 私は大臣に伺いたいのでありますが、いま田中君の言われたような議論が出てくるのは、いわゆる二重構造説をとって、経済構造に断層がある、大企業と中小企業というものはさい然と二つに区別し得る、こういう前提に立つからだと思うのでありまして、ただいま例の出ましたストーブについては承知しませんが、やはり大中小と層がいろいろあって、傾斜構造説ですか、ああいう立場で——どうも質的な違いということを田中君はしきりに言っておりますけれども、そうぴしゃりと大中小というものがほんとうに大きな断層でどすんと落ちているというものじゃない。その辺に対する考え方が違うから、いまの社会党案のような考え方が出てくるのではなかろうか。また、大企業と中小企業の関係を対立的にばかり考えていく、こういう考え方から出てくるのであって、これはあまり適当な考え方ではなかろう。こう考えております。 それから事のついでですが、中小企業省を設置しろという議論があります。私は、この議論はお話にならぬと思いますけれども、これも田中君のことばでは大企業と中小企業というものは質的に違うと言いますが、どすんと大きく断層があって離れておる、こういう考え方から出るのじゃないかと思いますが、この辺について大臣のお考えを伺います。 もう一つ、ついででありますが、大企業と中小企業の問題については、何か政府案にも一条あるのでありますけれども、具体的にどういうふうに対処せられますか。紛争処理機関をつくれというような考え方もあるのでありますが、これについて大臣の意見をちょっとお伺いします。
○福田国務大臣 ただいま中小企業省をつくるという考え方についてどう考えるかという御質問でありますが、私も始関委員と見解を同じゅうしておるものでございます。それはどういうことかといえば、大企業から中小企業、小企業まで傾斜してこの産業構造というものはあるものであって、たとえば繊維産業にしても、鉄鋼にしても、みなそういう構造をしております。したがって、通商産業省がいま行政をやっておるときには、常にその産業に属する中小企業がどうあるべきか、どうしてやったらいいか、大企業はどういうふうにしたらいいかというふうな、そこにさい然たる考えはありませんが、少なくとも下の人たち、いわゆる小企業の人たち、中企業の人たちにこれがどういう影響があるだろうかということを考えないで行政措置をしておることはないのであります。中小企業というのは、その場合に共通のカッコでくくれる部分だけを取り上げて、中小企業庁が仕事をいたしておるのでありますから、これももちろん意味はありますが、ここから下は全部中小企業だから、中小企業庁を独立させて中小企業省でやるのだという考え方でやりますと、ある場合には通産省というものが全部中小企業省に吸収される場合があるし、あるいは通産省と中小企業省がいつもその産業自体について対立的な抗争をしなければならぬということになるのじゃないかと思うのでありまして、私は、現在の仕組みで十分その目的を達し得るものであるという考え方に立っております。 それから紛争処理の問題について、何か機関をつくってはどうかというお話でございますが、これはなかなかむずかしい問題でありまして、それでは、いま単純に機関をつくったら、それで全部が片づくかということも考えなければいけない。その機関の内容をどうするかということも、非常にむずかしい問題を含んでおります。したがって、これは慎重にひとつ研究をさしていただきたい、かように考える次第であります。
○田中(武)議員 ものごとには積極的なものと消極的な施策が必要であります。おっしゃるように、中小企業に対して積極的にいろいろの施策を与えて成長さしていくことも必要でございます。が、しかし、一面においては、それだけでは現在の大企業と中小企業との違いは救えない。したがって、消極的な政策の一つとして、中小企業の手厚い保護、そのためには仕事をこしらえてやる、こういうことも、必要ではなかろうかと思うのです。あなたと私とは、あるいは政府、自民党とわが社会党との違いは、いわゆる中小企業が量だけの違いか、質的な違いか、こういう点にあろうと思います。あなたは、中小企業の体質改善ということばを使いませんか、使いますか。もし体質改善ということばを使われるならば、これは質的な違いがあることを認められたわけです。もちろん、かつては小企業だったものが大企業となっておる。松下電器しかりであります。八欧電機しかりであります。そういうことをわれわれは別にいけないとも何とも思っておりません。しかし、先ほども言ったように、一人が百歩よりか全体が一歩、二歩前進するようにやるのが、国の施策ではなかろうか、このように考えておるわけでございます。したがって、こういった消極的施策といいますか、保護的施策といいますか、一方を進歩的施策とするならば、一方を保護的施策という面に置いて、こういった紛争処理機関、あるいはまた事業分野の確保、これも私は必要であると思う。だからこそ、わが党の案にはそれを明確にいたしておるのであります。 さらに、中小企業省をつくることはナンセンスであるということでございますが、その考え方こそナンセンスでございます。実は隣に通産大臣がおられて悪いのですが、通産省が中小企業の利益代表者であるとは、今日だれも考えておりません。かりに中小企業庁がありましても、これは通産省の中の一部局にすぎません。したがいまして、過去の例からいいましても、中小企業庁が中小企業政策として考えました多くの施策並びに予算等が、まず省内において削られたという事実等を見ました場合には、やはり中小企業に対する専門部局が必要である。それがいまのような中小企業庁というようなことではなくて、やはりその長官たる者は、あるいは大臣たる者は、政策の基本をきめる閣議において発言できる機会がなければならぬと思っております。
○始関委員 おそくなって強縮ですが、あと二、三でやめます。 どうも私は、大企業と中小企業が全く異質なもので、その間につながりのないものだという考え方は、とても納得できませんが、これは見解の相違として、この程度でやめておきたいと思います。 田中君のほうは、大企業と中小企業の関係について非常に御熱心ですが、そこでひとつ伺いたいのは、社会党案の第三十九条であります。この「小売商業部門における正常な経済秩序の確保、中小企業者と大規模の事業者等との間における取引条件の改善」等々を規定しております。そこで私は伺いたいのでありますが、大企業との間の問題に非常に御熱心な社会党は、農協、生協と中小小売商との間の問題について、どういうふうにお考えになっておるかということであります。その一つは、いわゆる農協デパートの都心進出でありますが、また、生協の販売所、あるいは床屋さん、パーマ屋などもありますが、こういうものが町のまん中へ堂々と出ていく。これは厚生省へ行って幾ら話をしても、生協なんかの場合、どうにもならぬのでありますけれども、これでは員外利用を制限しているという趣旨は、全く有名無実になって、中小企業保護の立場からは無視し得ないものがあるのではなかろうかと思いますが、いかがですか。
○田中(武)議員 おっしゃるように、大企業との間において生ずることについては、われわれは熱心に研究をし、そしてまたそういう積極的な条文を入れております。しかし、あなたのおっしゃる農協なり生協についてはどうか、これはわが党案の一般消費ということばで表現していますように、一般消費とは、農協、生協が員内活動としてやることを一般消費とは考えておりません。したがいまして、農協あるいは生協の行き過ぎは、員外利用ということにあろうと思います。そのことは、それぞれその消費生活協同組合法あるいは農業協同組合法等の問題であり、その範囲において活動している限り、私は別に問題がないと思います。もしあなたがおっしゃるように、町のまん中で云々ということで、それが部外者にやっておるとするならば、そういう農協、生協は、中小企業の問題とは別に、それ自体の足元の法律、すなわち農協法あるいは消費生活協同組合法の違反だと考えておるわけでございます。
○始関委員 これで最後でございますが、田中君の御見解でございますが、どうも町のまん中に店を出すということになりますと、員外利用の規制ということは、実際上もうだめなんです。そこで、そういう方面の対策としては、私は、そういう店を出す場所について、工場の外に出るときなどはやっぱり政府の認可事項にするとかなんとかいう問題がございますが、時間がなんございますから、それはそれでよろしゅうございます。 最後に政府に伺いますが……。
○田中(武)議員 ちょっと待って下さい。答弁いたします。 始関さんは、小売商業調整特別措置法の第十五条を御存じですか。そこには紛争を生じたときのあっせんという方法がありますが、これまた、かつてこれが具体的に知事の手元に出たことはないのです。もしあなたがおっしゃるように、町のまん中に持ってきて、その対象を頭から員外利用と考えるならば、現在でもある小売商業調整特別措置法の十五条を働かせばいいわけなんです。なお、法に基づかない購買会のごときは、われわれも否定の立場をとっております。
○始関委員 最後に大臣に伺いますが、中小企業基本法の出た背景といたしましては、中小企業を取り巻く環境の変化あるいは存立基盤の変化等によりまして、非常に暗い面が強調されておるのでありますが、私は、経済の高度成長に伴なって、旺盛なる消費購買力というものを背景として、あるいは中小企業の分野が新しく開けるという面もあろうと思いますけれども、いま相当に繁栄、発展しておるという面もあるのじゃなかろうかという気がいたします。その辺の認識はいかがでございますか。 それから、最近において、中小企業と大企業との生産性の格差は、幾らか縮まる傾向にあると聞いておりますが、いかがでございますか。これが第二点。 さらに第三点として、たとえば英米等では、大企業の生産性を一〇〇といたしますと、中小企業は九〇とか八五くらい。したがいまして、日本におけるような意味の中小企業問題はないということでありますが、日本でもやはり長期の観点に立って、政府が適切な助成策その他の対策を講ずることと相まって、いまの経済の根本的なあり方のもとにおいて、こういうようなところまでいけるだろうか、またいかさなければならないというのが、基本法の根本的なねらいのようでございますが、いかがでございますか。
○福田国務大臣 お説のとおり、中小企業には全然暗い面ばかりではございません。それ相当の繁栄すべき要素、また事実繁栄しておるものも確かにございます。と同時に、生産性の問題につきましても、いままでは非常に開いておりましたが、三十五、六年ごろから順次その格差を縮めるような方向にあるように、私は数字的に記憶をいたしております。たいしたことではございませんが、少なくともいままでは開きつつあった。それがとまって、少し大企業に近づきつつあるということは、数字的にも証明できるところであります。したがって、これをうまく進めていきますならば、欧米のように格差は八〇あるいは八五とかいうような程度まで持っていける。そうすれば、中小企業だからといって、それほど卑下したり、あるいはまた所得自体、あるいは関係者の生活自体が脅かされるということもないわけでありますから、そういうことを目標にして今後ひとつ中小企業基本法を運営し、あるいはこれに基づく単独立法等を順次制定いたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○田中(武)議員 いまの始関君の質問並びに大臣の答弁の中で、若干われわれの見解と違うところがありますから、その点だけ申し上げておきます。と申しますのは、最近中小企業の生産性が上がり、格差が縮められてきておるのではないかということでありますが、これは大企業の系列に入った企業では、あるいはそういうことが若干あるかもしれませんが、池田内閣のいわゆる高度成長政策において、むしろ格差は大きくなりつつある、このように考えております。
○逢澤委員長 明日は十人の参考人の方から意見を聴取し、質疑を行なう予定であります。 次会は、明日午前十時より開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時四十一分散会 ————◇————— 商工委員会現地調査会記録 一、日時及び場所 六月八日(土) 大阪市(大阪商工会議所会議 室) 六月十日(月) 名古屋市(名古屋商工会議所 会議室) 二、案 件 中小企業基本法案(内閣提出第六五号) 中小企業基本法案(永井勝次郎君外三十名提出 、衆法第一〇号) 中小企業組織法案(永井勝次郎君外三十名提出 、衆法第一一号) 中小企業基本法案(向井長年君提出、参法第四 号)(予) 三、出席者 (1) 派遣委員 団長 逢澤 寛君(自由民主党) 小川 平二君( 同 ) 正示啓次郎君( 同 ) 田中 榮一君( 同 ) 板川 正吾君(日本社会党) 田中 武夫君( 同 ) 松平 忠久君( 同 ) 佐々木良作君(民主社会党) (2) その他の出席商工委員 浦野 幸男君(自由民主党) 久保田 豊君(日本社会党) 中村 重光君( 同 ) (3) 現地参加議員 海部 俊樹君(自由民主党) 加藤鐐五郎君( 同 ) 菅野和太郎君( 同 ) 早稻田柳右エ門君( 同 ) 加藤 清二君(日本社会党) 久保田鶴松君( 同 ) 横山 利秋君( 同 ) 春日 一幸君(民主社会党) (4) 政府側出席者 (通商産業省) 中小企業庁長官 樋詰 誠明君 中小企業庁振興 部長 加藤 悌次君 中小企業庁指導 部長 影山 衞司君 (現地当局) 大阪通商産業局 長 久保 忠雄君 名古屋通商産業 局長 狛 哲夫君 (5) 意見陳述者 (大阪) 浅野歯車製作所 専務取締役 浅野総一郎君 大阪府中小企業 団体中央会相談 役 石橋 助司君 布施総合企業組 合常務理事 岡本 一郎君 大阪商工会議所 専務理事 里井達三良君 灘神戸生活協同 組合組合長 田中 俊介君 大阪府立経済研 究所所長 竹内 正己君 関西主婦連合会 会長 比嘉 正子君 大阪経済大学教 授 藤田 敬三君 兵庫県織物協同 組合連合会会長 村上 允常君 全国青果小売商 組合連合会副会 長 森本 喜一君 (名古屋) トヨタ自動車株 式会社副会長 大野 修司君 中川鉄工協同組 合理事長 加藤政太郎君 日本福祉大学講 師 金持 伸子君 名古屋大学経済 学部長 末松 玄六君 TO食品株式会 社社長 染葉 熊平君 中日運送株式会 社営業部長 丹羽 俊夫君 愛知県中小企業 団体中央会会長 宮木乕一郎君 全日本商店街連 合会会長 山田 泰吉君 全国金属労働組 合愛知地方本部 執行委員長 山田 將資君 全日本小売商団 体連盟副会長 渡邊 義信君 ————◇————— 大阪における現地調査会記録 午前十時五分開議
○座長(逢澤議員) それではこれより現地調査会を開会いたします。 申し合わせによりまして、私がこの会議の座長をつとめますので、よろしくお願いいたします。 まず、私から派遣委員を代表して、一言ごあいさつを申し上げます。 この会におきましては、内閣提出の中小企業基本法案、日本社会党提出にかかる中小企業基本法案及び中小企業組織法案、並びに民主社会党提案にかかる予備審査中の中小企業基本法案、以上四法案について各界の代表の方々の御意見を伺うことになっておりまするが、御意見をお述べいただく前に、この調査会の開催の趣旨並びに会議の運営方針等について申し上げておきたいと存じます。 この会議は、今国会提出になりました中小企業基本法案等四法案についての審査に資するため、衆議院の商工委員会が成規の手続によりまして、委員派遣を行ないまして、大阪及び名古屋において現地の御意見をつぶさにお聞きするために設けたものであることをまず御承知おき願いたいと存じます。四法案につきましては後ほど簡単に説明があることになっておりまするが、いずれも中小企業の発展をはかるため、そのあるべき方向並びに基本施策をうたったものでありまして、去る二月七日に内閣及び日本社会党から本院に提出されましてからも、ひとり商工委員会のみでなく、今国会における国会の最も重要なる案件の一つとして、去る二月十九日の本会議において趣旨の説明、質疑が行なわれました後、商工委員会の議に付せられ、鋭意審査中のものであります。 御意見を陳述される方々におきましては、以上の趣旨をおくみ取りの上、忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。 それではまず出席の方々を御紹介申し上げます。 私が団長の逢澤寛であります。次に向かって右側に自由民主党の田中榮一君、正示啓次郎君、向かって左側が日本社会党の田中武夫君、板川正吾君、久保田豊君、及び民主社会党の春日一幸君の諸君であります。 なお現地参加の菅野和太郎君が出席になっておりますから、御紹介申し上げておきます。 商工委員会調査室からは、専門員の渡邊一俊君、調査員の工藤成一君が、また衆議院事務局からは鈴木参事が出席しております。次に、政府側からは、樋詰中小企業庁長官、加藤振興部長、影山指導部長、橋本振興課長、橋本中小企業基本政策審議室長が出席しております。 また、本日各界を代表して意見を述べていただく方々といたしましては、浅野歯車製作所専務取締役の浅野総一郎君、大阪府中小企業団体中央会相談役の石橋助司君、布施総合企業組合常務理事の岡本一郎君、大阪商工会議所専務理事の里井達三良君、灘神戸生活協同組合組合長の田中俊介君、大阪府立経済研究所所長の竹内正己君、関西主婦連合会会長の比嘉正子君、大阪経済大学教授の藤田敬三君、兵庫県織物協同組合連合会会長村上允常君、全国青果小売商組合連合会副会長の森本喜一君、以上の十君であります。 次に出席されております方々にあらかじめ申し上げておきます。この会議の運営につきましては、会議開催要領を理事会において決定いたし、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則、議事手続に準拠して行なうことにいたしております。つきましては、議事の整理、秩序の保持などは、団長であります私が行なうものといたし、傍聴につきましても、報道の任に当たる方々、その他の方で特に団長の許可を得た方々のみ、この会場にお入りになっておりますわけであります。傍聴の方々もこの点を御了承の上、静粛に傍聴をお願い申し上げます。 なお、念のために申し上げておきまするが、発言をされる方々は、必ず座長の許可を得て発言していただくことといたし、またこの会は説明会ではありませんので、御意見を陳述される方から委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おきを願います。 次に会議の順序を簡単に申し上げますると、まず各案について簡単に御説明を願い、次いで各意見陳述者から順次御意見をお述べいただき、そのあとで委員の側から質疑が行なわれることになろうかと存じます。したがいまして、意見陳述の方に申し上げまするが、時間に余裕がありませんので、でき得る限り要点をまとめてお述べいただき、御一人長くとも十五分以内にお願いいたします。また発言の順序は座長においてきめさせていただきます。 それではまず政府案について中小企業庁長官から簡潔に説明を願うことにいたします。樋詰中小企業庁長官。
○樋詰中小企業庁長官 政府案の詳細につきましては、すでにお手元に前もって御送付申し上げまして法案と提案理由に書いてございますので、ここであえて繰り返すことを避けさせていただきまして、二、三分政府案制定のポイントについて申し上げたいと思っております。 申し上げるまでもございませんが、中小企業というのは、数におきまして全国の企業の九九%をこえておりますし、そこに働く人の数も七五%以上の人でございます。また付加価値生産額におきましても、全国の付加価値生産額の半分以上は中小企業の手になる、こういうふうに言われているわけでございますし、もう重要性はいまさら申し上げるまでもございません。ところが現実を見てみますと、大企業と中小企業の間、また中小企業の中においても比較的規模の大きい方と小規模企業の間というような方の間には、いろいろな格差がございます。この格差があるということ、並びにそれに伴なういろいろな不利というものが、社会的、経済的な制約になっておりまして、そうしてそのためにいろいろ中小企業が健全に伸びるということについての支障になっていることは、これは申し上げるまでもございません。 われわれは、こういう中小企業の置かれてる姿にかんがみ、また特に最近技術革新、あるいは自由化、あるいは生活様式の変化による需給構造の変化とかいったようなものから、中小企業のよって立ってきた基盤に相当大きなひびが入ってきたというふうに考えますし、また労働力の不足ということ等もございまして、中小企業としてこの新しい条件の変化に即応した施策がぜひとも必要だろうと考えたわけでございます。そこでこのような事態に対処いたしまして、中小企業をして真に健全な体質のものたらしめ、その成長発展と、そこに働く人々、中小企業の経営者並びに従業員の地位の向上をはかろうということをねらいとしてつくったのが、この法律でございます。結局中小企業をしてほんとうに働く人にとって魅力のあるものたらしめたいというふうに考えております。中小企業の成長、発展なくしては、日本経済の均衡ある発展はできない、こういう根本認識に立って、この法律を制定しているわけでございまして、われわれのねらっております格差の是正ということができますならば、いろいろ言われております二重構造の解消ということも、当然それに伴って実現されるものというふうに考えておるわけでございます。 このような根本認識の上に立ってとるべき政策態度といたしましては、中小企業に内在する前近代的ないろいろな要素がございます、それを改めまして、経済的、社会的諸事情の変化に即応して、その発展の方途を経済的合理主義の追及の中に見出し、みずからその体質を改善するということにつとめるとともに、中小企業を取り巻く周囲の社会的、経済的制約による不利を補正して、自主的努力がりっぱに功を奏することができるように、総合的見地から思いやりのある援助と協力をすべきであるというふうに考えております。この見地に立ちまして、政府、地方庁はもちろん、大企業その他すべての中小企業と関係のある方々には、この事態を十分に認識していただいて、中小企業に協力していただくという国民的義務があるということを宣言しているわけでございます。 この法案に関連いたしまして、今まで二、三いろいろ御注意といいますか、御意見をいただいていますので、補足さしていただきますが、一つは非常に抽象的であるということでございますが、われわれは、これは基本法でございますので、考え方、あるいは政策の大方針というものをここできめ、具体的には、たとえばこの国会で決定いただきました近代化促進法、あるいは中小企業指導法といったような一連の法律を別途制定いたしまして、肉づけをしていきたいというふうに考えております。 それから小規模事業あるいは商業に対する配慮が乏しいといったような御意見も伺うわけでございますが、この全条が商業並びに小規模事業全部にかかるわけでございまして、ただその中でも特に小規模事業なり商業なりにつきましては、そのままでは政府の施策が受け入れがたいといったような面がございますので、その政府の施策が受け入れやすいような態勢を整えるということのために、二十三条を特につくったものでございますし、また商業につきましても、近代化あるいは経営の合理化ということはもちろんでございますが、特に小売商業には前近代的なものが多いということで、十四条を設けているわけでございます。 こういう意味でございますので、われわれといたしましては、この一条から三十三条まで、このすべてが商業にも、工業にも、中規模の方にも、小規模の方にも、全部ひっかかる、その上に特に商業あるいは小規模の方には特別の配慮を払って、こういう規定を置いているということをおくみ取りいただきたいと思うわけでございます。われわれといたしましては、この法律をもとにいたしまして、最も血の通った愛情のある具体的な施策を裏づけていきたいと考えております。
○座長(逢澤議員) 次に、社会党案について提出者から説明をお聞きすることにいたします。提出者田中武夫君。
○田中(武)委員 社会党案につきましても、すでにお手元に法案並びに詳細な提案説明を提出いたしておりますが、簡単に社会党の中小企業基本法案ほか一件について御説明を申し上げます。 政府の中小企業基本法案は、わずか七章三十三条で、ほんの宣言的に規定したにすぎないのであります。ことに商業、零細企業に対しては、申しわけ的にただの一条しか規定がなく、どうとでも解釈できるような責任のがれのあいまいなものであり、また中小企業の組織については一言も触れていないのであります。政府が商業、零細企業に対しては何らの施策を持っておらず、中小企業庁にあっても、より大きなものを対象としており、零細企業切り捨ての思想が現われており、またそこに働く労働者の生活水準の向上、福祉増進の理念は全く無視せられているのであります。 それに対しましてわが党案は、まず第一点といたしまして、基本政策として、国民経済の二重構造の解消、経済の民主化、自主的な共同化、中小企業に対する積極的な助成、中小企業労働者の所得の増大、さらに中小企業者、労働者、農民相互の調和の五つの柱を明確に打ち立てているのであります。 次に、中小企業省を設置し、通産省と対等の立場に立って強力に中小企業の利益を守っていく。 第三点といたしまして、中小企業者の範囲を従業員三百人かつ資本金三千万円といたしております。政府案は従業員三百人並びに資本金五千万円となっております。そうして別に勤労事業といたしまして、おおむね従業員十人、資本金百万円を分離し、政策の恩恵が小企業、零細企業にも十分に浸透するようにいたしております。 第四点は大企業との関係について。大企業が中小企業の分野への不当な進出、これに伴う圧迫の排除のため、中小企業の分野の確立、官公需の発注についても、中小企業に一定割合を確保する。また中小企業調整委員会を設け、大企業との間における一切の紛争を中小企業者に有利に処理し、一方的な泣き寝入りの現在の状態を是正していく。 第五点は零細な勤労事業に対し、特に別ワクのものとして組織、税制、金融、労働福祉、社会保障の全般にわたり社会政策的な立場をあわせ考慮いたしております。 第六点は商業についても、従来の工業偏重を避け、別に一章を設けてこまかく規定いたしておるのであります。 また同時に提案をいたしております組織法案は、言うまでもなく中小企業の組織の確立、運営等について詳細な規定を持っているのであります。 以上がわが社会党案の内容の骨子でございます。皆さんがたれにも遠慮なさらずに、ほんとうに意見を聞かしていただく、こうしていただくならば幸いだと存じております。
○座長(逢澤議員) 次に、民社党案について、予備審査案件でありまするが、出席されております春日一幸君から便宜説明をお聞きすることにいたします。春日君。
○春日委員 わが党案は参議院提出議案でありまするが、便宜私がかわって御説明を申し上げます。 わが党中小企業基本法の性格とその使命につきましては、この前文の中にこれを集約いたしております。すなわち、中小企業は、わが国産業経済の中において雇用、生産、流通、貿易各般にまたがって重要なる役割を果たして参っております。それで現在そうでありまするが、なおまた将来の理想社会においても、中小企業の国家社会に対するその使命は重大である。したがいまして、中小企業が自己の創意を傾けて企業の発展、従業員の生活水準の向上をはかり、もって国民経済の発展に寄与しようとするその努力、これは高く評価されなければならないと弁識をいたしておるのでございます。すなわち、中小企業者のその安定と振興のための努力は、それは国民経済のためになされるものであり、その福祉は国民がこれを享受する。でありまするから、中小企業が安定と振興をはかることのためにする努力、これに対して、またその障害条件の排除について国が協力をするということは、当然にして不可決の要件であるといたしておるのでございます。しかるところ、今中小企業が置かれておる状態は、経済的、社会的に多くの制約を受けております。さればこそ二重構造ができ上がりまして、企業間、産業間、階層間に所得格差の著しき断層をつくることに至りました。 これはどういうわけであるかということでありまするが、これはわが国の政策の資本主義的な偏向が大きく現われたものである。その累積がこのような結果をもたらしたものであるとこれを受け取りまして、だとするならば、国はこの反省の上に立って、国民経済に見られておるさまざまな不均衡とこのひずみ、ゆがみ、これを是正しなければならぬといたしておるのでございます。ゆえに画期的な諸施策を強力に施行せなければならぬといたしております。 これは当面の問題でありまするが、将来につきましては、そもそも人というものは、これはもう単一の経済人ではない。趣味、嗜好、いろいろと異にいたしておる多元的な存在であるから、現在多元的なこの社会が形成されておるのである。このような多元的社会においては、社会化された基礎産業と一緒に、中小企業はわが国経済活動の基礎をなすものである。このような基礎産業と中小企業を認めまして、かるがゆえに今後とも中小企業の経済活動の基盤をここに確固たらしめなければならぬというのが、この精神でございます。将来は、わが国の何といっても各層の願いは、全国民の中産階級化であり、福祉社会の建設である。そのためにはこのような国民各階層間の所得格差の断層をなくしていく。そうして中小企業の安定と振興をはかり、もって関係従業員の賃金と生活を引き上げていく。そうすることがまず大前提となるものであるから、そのような立場においてこの法案がすみやかに制定されなければならぬ。かくのごとくに規定をいたしておるのでございます。以上です。
○座長(逢澤議員) 以上で各般の説明は終わりました。 それでは次に、各意見陳述者から順次御意見をお聞きするのでございまするが、この際自由民主党の浦野幸男君が出席されましたので、御紹介申し上げます。 それでは順次御意見をお聞きすることにいたします。 まず、浅野歯車製作所専務取締役浅野総一郎君から、御意見をお聞きすることにいたします。
○浅野総一郎君 第四十回国会において流れてしまった基本法案が、再び今度の国会に提出されて、まあ今度こそはどうやらこれが成立しそうな気配にあるということは、私たち中小企業の経営者にとって、その内容がかりに不満足なものであったとしても、喜ぶべきものでなかろうかと存じます。しかしながら、前に流れてしまったこの法案が再びここに現われたのを考える場合に、前に政府が、この法案が出ましたときに、この法案というのは中小企業のまず憲法である。ですから、いやしくも当面の経済的、社会的現象に惑わされて、中小企業者そのものの行くえを誤らしめるようなことがあってはならない、こういうことから、慎重にこれを検討して、まず二、三年はかけて、各関係省庁ともいろいろ調整した上でしっかりしたものを出すのがよい、こういうふうなことから流れたものと思います。それが二、三年を経ずして今回提出されたことについて考える場合に、今回の国会にかかっております特定産業振興法、何かそれの関連法案と、その振興法のために必要な法案として出てきたような感じを受けるわけです。それだけに、この中小企業基本法案は、中小企業の全体のために役立つものではなく、大企業の関連産業である中小企業にとってはすぐに役に立つ法案ではあるが、全体のためには非常に抽象的で、直ちに中小企業経営のために役立つものであるとは思われないのであります。ところが、この法案が出ますと、中小企業経営者は、そういうふうにはとらずに、これができるとすぐにでも中小企業の現在の問題が一挙に解決されて、すぐにでも中小企業の天国が来る、こういうふうに考えておる人が非常に多いのじゃないかと思います。こういうふうにこの基本法案の真の姿といいますか、現実の姿が中小企業者に理解されておらないということは、ちょうど前に所得倍増計画が出まして、それが出たときに、国民全体が、あすにでも、すぐにでも自分の所得が二倍になるというように勘違いしまして大騒ぎしたことから、現在の物価高といった経済混乱を招いてしまったのと軌を一にするものじゃないかと思います。そこで私の望みたいのは、この中小企業基本法案というのは、すぐに役立つものではなく、長い時間をかけて初めて効果をあらわすものだということを中小企業者に十分徹底させるよう、広報活動をお願いしたいのであります。 この法案というのは、まあ中小企業が大企業と互角に相撲をとるために、まず中小企業にその体力をつけさせようということが一つのねらいになっております。それは政府案で言われる高度化でございますし、民社党案の七章の近代化なんかが、これに当たると思いますが、そういうふうに体力をつけさせて、その上で今度は公平な土俵をつくって——公平な土俵というのは不利の補正に当たるわけですが、公平な土俵をつくって、その上で大企業と対等の相撲をさせよう、そういうことがこの基本法案のねらいになっておると思います。ところがこれはあくまでも理念でございまして、この理念を具体化するためには関連法案というものが必要になるわけなんですが、この関連法案は、今回の場合に中小企業の近代化促進法と、非常にわずかしか出ておりません。特に中小企業者が真に望む不利補正関係の関連法案は、ほとんどない、全然ないと言っていいくらいであります。したがって、この基本法案が成立したからといって、あすにでもよくなるというものではない、こういうふうに考えるわけでございます。 次に、高度化の問題でございますが、中小企業が現在最も苦しんでおるのは雇用の問題でございます。まあ平たく言えば、人は雇いたくともなかなか来ない、こういうことなんでございまするが、なかなか来ないということは、まあ賃金が低い。賃金が低いということはまあ生産性が低いということになるわけでございます。生産性が低いということは、これに非常に相関関係を持ちます労働装備率が低い、こういうことになると思います。そこでこの労働装備率を高めるために、金融、税制、技術教育、訓練等、それから規模の適性化、このような逆な配慮があって初めて装備率というものが高まるわけでございます。この点、民社案にしろ、政府案にしろ、社会党案にしろ、三案それぞれ取り上げていただきまして、非常にけっこうなことだ、こういうふうに考えるわけでございます。 ただ、これらを具体的に実行するということになりますと、たとえば金融の面にしましても、毎年々々だんだんよくなっております。特に去年あたりはずいぶん中小企業金融が円滑に行なわれまして、ずいぶん助かったのでございますが、今後の経済情勢の急激な変化というものを考える場合に、今までのように去年よりにことしの方がましになった、ことしよりも来年の方がよりましにするというような、いわばなまぬるい方法じゃなしに、抜本的に、根本的に考え方を改めて、飛躍的に予算を強化し、早急に実行していただかないと、せっかくの高度化政策も時期を失してしまうんじゃなかろうか、こういうふうに考える次第でございます。 次に、不利補正の問題でございますが、せっかくの高度化政策によってかりに生産性が向上したとしましても、それが流通過程において価値として実現しなければ、何もならないことは申すまでもございません。この点高度化政策と同様、三案それぞれ取り上げていただいておりますが、高度化政策と違って、この不利補正の問題は、だれが政権を握って、だれが為政者になっても、実際に実行するのはむつかしいんじゃないか、こういうふうに考えております。たとえば政府案の第十九条の事業活動の機会の適正な確保にしましても、民社案第十三条にあるように、大企業との競合ということは当然起こって参ります。大企業の分野を制限するということは、大企業の反対が非常にあるということは覚悟しなければなりません。その場合に、われわれ中小企業者としましては、大企業の強大な政治力を考えるときに、大企業と摩擦いたしますと負けるのがわかり切っておるといいますか、中小企業としてまずあかんなという考えが先に立つのでございます。まああきらめを感ずるというのがわれわれの正直な気持じゃなかろうかと思います。今回不利補正関係の関連法案がないということから見ても、この問題がいかにむつかしいものであるかということは、十分われわれとしてわかっておるのでございます。しかしながら、この不利補正という問題、民社案では補正どころか、是正というふうにはっきりしろというふうにおっしゃっておりますが、この問題こそ中小企業者にとって一番待望する問題じゃなかろうかと思います。これがなければ、いろいろな中小企業政策も、結局のところ効果があがらないんじゃないか、こういうふうに考えます。そこで政府におかれましては、非常にむつかしい問題ではございますが、大企業ばかりの世の中ではないということを考えていただきまして、国民全体の福祉という観点から、ねばり強くこの不利補正の精神の実現に邁進されるように強く希望いたします。 次に、四番目に税制の面について少し申し上げたいと思います。以上の高度化政策なり、不利補正の政策によって、一応中小企業がだんだん成長しまして、幾ぶん太って参りますと、今度は税金というのが待ちかまえておるのでございます。ちょうど長良川の鵜のように、食べさしてもらうとあとですぐに取り上げられる、こういうのが現在の税制でございます。この問題につきましては、現在の税制の欠陥をいろいろな人が指摘しておりますし、中小企業への特別償却等が考えられておりますので、いずれ改善されるとは思いますが、そのうちで、私は特にこの問題につきまして、同族会社の留保金課税ということを問題にしていただきたいと思うのであります。と言いますのは、中小企業の大半は同族会社でございます。ところが、中小企業の自己資本の充実が叫ばれておるのに、中小企業は、内部留保をしようとすると、その内部留保に対して一割なり二割、現在累進課税になっておりますが、税金がかかる、こういうふうになっておるのでございます。これはこの基本法の趣旨と全く逆行するものでありますので、私の試案としては、留保金課税をなくするかわりに、中小企業者というと、同族会社というものは資本者が少ないですから、むやみな配当も勝手にできるわけです。ですから、増資を前提としない限り、ある程度の配当を制限してでも、内部留保が厚くできるように配慮していただければありがたいと思います。 いろいろ注文をつけましたのでございますが、私たち中小企業経営者としては、今回の中小企業基本法案はあくまでも理念法案であるということは、十分承知しておるのでございます。ですから、今後——実行は今後のことになるとは思いますが、今回ぜひこの法案を成立さしていただきまして、そしてその法案の精神を実行する具体的な関連法案を早急に整備されて、中小企業の健全な発展のために御援助賜わりますようにお願い申し上げて、私の意見を終わります。(拍手)
○座長(逢澤議員) 次に、大阪府中小企業団体中央会相談役石橋助司君から、御意見をお聞きすることにいたします。
○石橋助司君 私は、町工場の経営者でございますので、具体的に、率直に申し上げたいと存ずるのでございます。 まず、中小企業の範囲の問題でございますが、先ほど中央会の相談役というふうになっておりますが、私、中央会の籍を抜きましてからもうしばらくたっておりますので、会議所に籍を置いているものでございますけれども、私どもといたしましては、中小企業の資本金は一億円ぐらいというふうに考えており、また陳情もいたしておったのでございます。ところが、政府案は五千万円になり、また商業、サービス業関係では一千万円、五十人以下というふうに今度の案ができておるのでございますが、理由といたしますところは、最近諸先生方も御承知のように、見本市をごらんになるたびに、外国製の機械だけでなしに、内地の機械も相当毎年進歩をいたしておるのでございます。下請業者にいたしましても、毎年機械をかえていかなければ親企業のコストダウンにもついていけないという現状でありまするし、また専門業者としても、同業者と競争していくためにかえていかなければならぬのが現状でございますので、まず最低五千万円ぐらいはぜひとも必要だというのが、今日の中小企業界の現状ではないかというふうに考えるのでございます。 次に申し上げたいことは、ただいま申し上げましたように一年ごとに機械はかえなくとも、それぞれ高度化をさしていくためには相当設備の拡充もやっていかなきゃなりませんし、あるいは技術の研究その他、中小企業にありましても、最近ではいろんな設備、品質管理その他の設備が必要でございますとともに、最近の雇用関係が、特に中小企業には悪化をいたしておりまして、大企業までとはいかなくとも、福利厚生の施設であるとか、あらゆる面についての施設がぜひともなければ、雇用することは現在では困難になっておりますので、こういうふうな観点から、ただいまこの政府案の中に盛られておりまする中小企業の対策費が百二十五億円ですか、程度であり、また財政投融資にしても千二百十億円程度でございますのですが、一体この程度で日本の中小企業政策というものがうまくいくのかどうか。先般岡山の鉄鋼団地を私見て参りましたのですが、あすこの施設にいたしましても、いま少し政府の補助があり、また金融措置がとられたならば、非常にうまく日本的にモデルの団地になるんではないかというふうに見てまいっておるのでございます。悲しいかな、いま一歩の補助金がなしに、金融措置がとられないために、どうもびっこのような形であの団地ができておるのでございますけれども、ああいったふうな形つくって魂入れずということもございますが、そういうふうな形ではないかというふうに考えますると、対策費なんかについても増額をされ、また財政投融資にいたしましても、いま少し大幅な増額を政府並びに各党にぜひともこれはお願い申し上げたいと思うのでございます。 次に、例の下請支払の問題でございますが、これは独禁法につきまして、もう何回となしに要路の方々、あるいは皆さんにもお願いいたしたのでございますが、今日に至りますまでこの問題は解決いたしておりませんので、中小企業者といたしましては、非常に苦痛をなめておるんです。具体的に申し上げてはなはだいかぬのではないかと思うのでありまするけれども、ちょうどその人が私どもの業界であり、しかも社会党の議員である親子の経営しております山口自転車というところが、本年の四月一日に倒産をいたしまして——どういう経路で倒産いたしましたかと申しまするというと、最初九十日の手形を発行しておりましたものが百二十日になり、次には百五十日になり、次には百八十日の手形を発行するように相なったのでございます。そこで四月の一日に最後に倒産をしたのでございまするけれども、その債務が驚くなかれ六十数億円で、その中の三十六億円ほどが丸紅、あるいは富士銀行その他の銀行になっておりまして、残りの三十億円がわれわれ下請部品業者にそれがかかっておるのでございます。そういうふうな大きな債権を負って、中小企業というものは非常に困難をきわめておるのが現状でございます。これはまあ具体的な例でございますが、こういった問題が随所に見られておりますので、こういった問題、何回お願いいたしましても、どうしてもこれが規制措置がとられませんし、また規制措置がとられても、非常にざる法に似たようなものでありまして、これについては罰則規定か何かをつけていただかなければ、この問題は解決し得ないのではないかというふうに考えるものでございます。こういった点についても、特段の御配慮をお願い申し上げたいと存ずるのでございます。 その他いろいろございますが、皆さまもおいででございますので、私の意見はこの程度で終了いたしたいと存じます。
○座長(逢澤議員) 次に布施総合企業組合常務理事の岡本一郎君に御意見をお聞きすることにいたします。
○岡本一郎君 岡本でございます。中小企業基本法案といたしまして提出された三つの問題点について申し上げたいと思います。 まず政府案でございまするが、概して「講ずるものとする」というような末尾の結句になっております。日本社会党、民主社会党も——社会党は概して「しなければならない」としておるのでございます。「講ずるものとする」という意味と、「しなければならない」という意味の強弱の効率的効果としては大差ないといたしましても、読みながら受け取る感じは相当に違ってまいります。現在の情勢は、御承知のように、憲法を中心とし各法が規定され、必要に応じて関連法が国会で審議の結果、具体化されておる。ただし、その施策の具体的な実現の方法は、政令、通達によるところが多いようであります。したがって基本法のごとき、いわゆる宣言的規定では、関連法並びに政令、通達によっていかようとも判断し得ることになりはしまいかと、われわれ業者は考えておるのでございます。ですから、われわれ業者といたしましては、中小企業基本法そのものに具体的な条項を持たしめる必要性を痛感するものであります。さらに立法の趣旨、各条の理解につきましても、全面的に中小業者の努力とか、自己責任原則の立場をとることは、本法案の趣旨の上から見て、また形態の上から見ても、妥当でないと考えられます。要は中小企業の経済的、社会的な不利を改正し、格差の是正を明らかにし、特に小規模業者については、社会政策的な見地から特別な抜本的処置を必要とするのではないかと考えられる次第でございます。 政府案第二十三条の小規模企業対策を見ましても、現実に具体的と考えられる条項は見当たらない。この規定では、小規模業者の定義をうたっており、工業においては二十人、サービス業、商業においては五人以下としておりますが、この従業員だけの規定では、その実態とそぐわないものができてまいります。 第二条の関係に引例いたしますると、資本金五千万円以下であろうと、三千万円以下にしようと、その資本金によってその事業規模の測定をすることは不可能であると思います。現在の純企業資産を出資の総額によることは、その規模判断の基礎には全くふさわしくないものがあります。さらに内部、外部の借入金、純資産、含み資産、または不動産の借り入れたものと自己所有等によっても、その資本金というものについては非常に大きな格差を生じます。 次の従業員の数にしましても、四百人おるといたす工場があっても、これが手内職、いわゆる手工業的なものであれば、近代化は当面の問題とはならないのであります。反面、従業員が二十人でも、完全に近代化された設備の上に立ち、生産力を上げているものは、大企業の中に将来堂々と君臨する要素を持っております。したがって第二条関係、第二十三条関係につきましても、それのみによって区画することは適当でなく、要はその内容によることとしたいと存ずるものでございます。 第三条の四項には、事業の共同化、商店の集団化、事業の転換をはかるとありまするが、これは経営形態の近代化と一口にうたいましても、実現することはまことに困難であり、業者をして努力以上のものを必要とする問題でございます。この点は、組織化についても同じことが言えると思います。従業員三百人の事業と従業員十人の事業では、たとえ同じ業種であっても、その操業主の考え方は相違しておる面が多分に存在いたします。さらに主人一人で旋盤を回しているものとは全く異質のものであり、第十二条の規模の適正化とかみ合わせて、さらに深く検討を要するものではないでしょうか。 この企業合同の面では、現行中小企業等協同組合法の中で、企業組合が存在をしております。この企業組合も数においては年々減少していく傾向にあることは、特にこの点について留意していただきたいと存ずるのでございます。これは第十三条の規定にかんがみ、現存の組織の助成と育成のために特別な施策、御配慮を要望いたしておきます。 法案全体の問題としましては、条文自体が具体的でないということと、他の既存の法律、または政令等と競合、矛盾撞着があり、本法実施の際に立法の趣旨を尊重できないようなことになりはせぬかとわれわれは懸念しておるものでございます。 この点について簡単な事例を申し上げますと、現行中小企業等協同組合法第二十三条の三に事業協同小組合の組合員に対する助成の項目がございます。この項目の中に「政府は、事業協同小組合の組合員に対し、税制上、金融上特別の措置を講じなければならない。」と規定しております。これは本日御出席の春日先生は、この組織法でございまするが、この説明のときに、大阪にお越しになりまして、勤労事業者に対する助成行為であるから、これは特に配慮するというようなお話しもあり、この点につきましては、現在では三党になっておりまするが、当時は二党でございますが、二党いろいろ調整をされて了解済みであったと思うのにもかかわらず、この勧労事業を主とするというふうな春日さんのお考えに私は間違いはなかったと思うのですが、これがいまだに実現されておらないのでございます。 この法文をそのままわれわれ業者がわれわれの立場で理解すると、政府の義務規定であるとちょっと考えられるようでございまするが、「ならない。」とある点でございます。政府は「特別の措置を講じなければならない。」とありますから、そういうふうに感じているのでございまするが、感じたので、即刻この措置をとるというふうに考えておったものでございまするが、この法律の制定は、たしか昭和三十二年だったと思います。本法を制定せられて今日に至るまで、何らの措置も講じられておらない。その講じられておらない理由をいろいろな機関を通じて探索をいたしてみますると、その理由は、「税制上、金融上」と簡単に規定しただけでは具体性を欠き、一つの要望的な宣言規定にとどまります。特に税制上の問題となると、租税公平の原則、並びに負担公平の原則等が存在して、容易に助成措置は実現しないのであります。この前例にかんがみ、本基本法案においてさらに具体的に実施の可能性を表現していただきたいと存ずるものでございます。もちろん関連法中、すでに通過したものもあるようでございまするが、税制等の問題については、基本法によって具体的に表現せない限り、相当な時日を要し、または時期を逸するおそれが十分あると考えます。 以上は概して政府提出の案件によるものでございまするが、社会党案の第十八条、民社党案第十二条の中小企業者の産業分野、または事業分野の確保に関する件につきましては、従来相当慎重に審議されておった問題でございまするから、特にこの際基本法の中に組み入れていただきたいという考えを持っております。 さらに社会党案の通則第十条の組織関係についての要件は、助成でございまするが、現行中小企業等協同組合法の一条、五条、三条に一致いたしております。基本法制定に要する案件であるとこの点は信じておりますと同時に、民社党案も第九条におきまして、中小企業等協同組合に対する国の助成強化を規定しております。これはさらに同業組合も入っておるわけでございまするが、この点当然のことであるとわれわれは思考し、政府案に早急に組み入れていただきたいと切望いたします。 簡単でございますが、終わります。
○座長(逢澤議員) 次に、大阪商工会議所専務理事の里井達三良君から御意見をお聞きすることにいたします。
○里井達三良君 私は、若干の要望事項を加えまして、政府案に賛成をいたします。 まず基本法案の構想を見ますと、一方におきましては、中小企業の不利の補正の問題につきまして、表現は若干弱いのでありまするけれども、かなり明確に施策の方向を打ち出しております。また同時に他方におきましては、現在日本経済が直面しております産業構造の高度化とか、国際競争力の強化、こういう問題の促進の問題と関連させながら、中小企業の近代化、合理化、高度化に関するさまざまの積極的な施策を講じようとしていることがうかがわれるのであります。二つの点におきまして、バランス上にあるいは若干の問題があるといたしましても、その基本法のねらっておりますところの基本的な構想が、いわば中小企業の高度化に関する基本法というような性格を持ってるという点におきまして、私はこの法案の精神に賛成をいたします。いわば国際的視野において中小企業の問題を政府が取り上げ始めたということを、この法案を見まして感ずるわけであります。従来の中小企業対策が、ややもすれば現状の温存、維持ということを中心として、救済的な対策に終始してまいったのではないかということを考えますときに、この基本法が持っております精神が、孤立化された封鎖経済の中での日本経済における中小企業の問題の取り上げ方から一歩を進めて、開放経済のもと、自由化のもとでの中小企業の高度化の問題を積極的に前向きに取り上げておる、こういう観点に対して賛成する次第であります。 ただ問題は、先ほどからもいろいろと公述人からの御意見もございましたように、基本法は本来中小企業の進むべき新たな道を明らかにし、中小企業に関する政策の目標を示すということをうたって制定されたもののようでございますから、その条項が抽象的、包括的であることはどうしてもやむを得ないし、またそういう性格のものであるとは思いますが、この基本法は、関連法規との関連において、合わせて一本になる性格のものであることは間違いのないことでございます。したがいまして、関連法規を整備、強化いたしまして、それに対する財政的な裏づけを十分に行なうということでなければ、本法案の具体的な効果は得られないのは申すまでもないと思う次第であります。基本法が絵にかいたもちにならないような配慮は、関連法の整備、強化、具体化にあるというふうに考えます。 次に、先ほど石橋公述人からも御指摘がありましたが、中小企業の対象範囲の問題でございますが、これは先ほど申しました中小企業の高度化が国際的な視野において行なわれるのを助成する法案であるということを申しましたこととの関連がございますが、規模の範囲を工業関係では資本金五千万円以下、並びに従業員三百人以下、商業またはサービス業におきましては一千万円以下、並びに五十人以下に拡大したということは、近年における中小企業の実態から見て、まことに妥当な点であるというふうに考えます。特に中小企業の中でも、この限界中小企業——中企業と申してもいいかとも思いますが、限界中小企業が今日受けておりますところのいろんな困難は、非常に大きなものがあるというふうに考えます。高度化政策の中で一番対象となるべきものの範囲が、かなり上の方に回ってくる。しかもその限界点におるところの中小企業が、税制上、金融上、あるいは国の施策上のフェーバーを与えられていない分野に属するものが非常に多い。こういうものの育成、近代化こそが、日本の中小企業のレベル・アップの一つの中核になるべきであるというふうな観点からいたしますと、この対象範囲の引き上げをぜひこれは行なっていただきたい。 次に、小規模対策でございますが、基本法の体系が、かなり中堅企業と申しますか、中小企業、成長的な、あるいは成長の方向に向いているような、向くような中小企業の育成、強化にあるといたしますと、いわゆる小規模、零細企業に対する対策は、これと同じようなレベルで同じような高度化政策をどうしても受け付けにくいような、浸透しにくいような状態に中小規模、零細企業が置かれていることは、当然のことであると思います。したがって、先ほど企業庁長官が、あらゆる施策が小規模事業にも均霑されて、それに加えて一つの小規模対策を行なうんだとおっしゃいましたが、私はこの問題は、やはりひとつ範疇がかなり違うのではないか。したがって小規模企業に対して、小規模企業を対象とする、いわば別段の尺度が必要ではないか、こういうふうに考えます。 具体的に申し上げますと、現在小規模対策といたしましては、商工会法に基づいて商工会、または商工会議所が行なっております経営改善指導員による指導、この政策だけが唯一のものであるというふうに、まあ大きな政策としてはそれだけであるというふうに考えますが、この点におきまして、この小規模企業対策をもっと税制、金融の面から補正し、強化していく必要があるんではないかというふうに考えます。 釈迦に説法でございますが、現在従業員九人以下の零細企業を国際的に比較いたしますと、アメリカでは全体の五二%、それから西独では四四・八%、対しまして日本は実に七一%というような大きな層の零細規模の企業をかかえておりますし、また従業員九人以下の零細企業の従業員の数を全体との比率で見ますと、アメリカではわずかに三・六%、西独では二・四%に対しまして、日本では一四・六%というかなりの比重を持ってるわけでございますから、小規模対策は非常に重大であるというふうに考えますが、この政策につきましては、基本法の中のねらいの中心であるところの高度化政策とは、かなり違った別段の尺度からこれを行なわねばならないという意味におきまして、本法案の中に別項を設けてこの小規模対策についての問題をうたっておるということは、正しいのではないか、そういう意味において私は賛成をいたすわけでございますが、これを裏づける関連法規といたしましては、商工会法だけでなく、もう少し税制、金融の面から手厚い施策が必要ではないかというふうに考えます。 さらにまた、商業の問題でございますが、商業はこの基本法の中ではお添えもののような位置しか占めていないという批判もございますし、私どももそういうふうな懸念を感じるものの一人ではございますが、これもまた先ほどの全体の条項が商業にも適用されるというふうなこととは一応別に、やはり商業は商業としての特別の別ワクの対策が必要ではないかというふうに考えます。特に流通革命の中で、スーパーマーケットの問題とか、いろいろな大資本との問題、あるいは過当競争、小売業自体の中の問題等もございまして、これを近代化の方向で考え直す、経営形態の近代化の方向でこれを考え改めていくということについては、私は非常に賛成でございますが、この際、この具体的な方法をひとつやはり関連法規において明らかにしていただきたい。またこれを推進するところの一つの行政機構といたしまして、私は商業における商務局——通産省の中に商務局のような行政機構をぜひひとつ設けていただきたいということをつけ加えたいと思います。商業流通に関する行政というものは、日本の場合は非常に手落ちだったということをこの機会に反省していただきまして、行政上にもひとつ思い切ったその政策を出していただきたい、かように考えるわけでございます。 さらになお次には、中小企業の事業活動の機会の適正な確保、第十九条にございますこの問題につきましては、私ども特に商工関係の問題を扱っておりますものにとりましては、農業協同組合、生活協同組合等との競合の問題を非常に重大に考えております。農協、生協等の員外販売の行き過ぎによりまして、配給ルートが混乱する。特に小売り部門が不当な利益の侵害を受けているという事実を十分に感得をされまして、法的な措置を何らかの関連法において——十九条の関連法において明確にこの方途を打ち出していただきたい、かように考える次第でございます。 最後に、中小企業政策審議会の問題でございますが、審議会が内閣に設置されて、全般的な見地から中小企業の問題が検討されるということは、非常に賛成でございますが、ただ問題はこの運営にあると思います。従来から、いろんな政府の審議会が、一つの何か政策上のエキスキュースのたまり場のような感じがいたしますが、おそらく基本法に基づいて設置されますところの中小企業政策審議会の運営は、そういうふうなものでないことを望みたいわけでございますが、特にこの際申し上げたいのは、中小企業が非常に地域性があるということでございます。地域によって非常に中小企業が変わった性格を持っておるものがたくさんある。こういう意味におきまして、業種、業態の実態を地域によってやはりかなり反映させる必要があるんではないか、こういうふうなことから、我田引水になるかとも思いますが、少なくとも中小企業の中心地であるところの大阪から、審議会のメンバーを少なくとも若干名をぜひお入れを願いたい、こういうふうに考えます。 以上簡単でございますが、若干の意見を申し述べて政府案に賛成をいたします。
○座長(逢澤議員) 次に、灘神戸生活協同組合組合長田中俊介君から、御意見をお聞きすることにいたします。
○田中俊介君 今までの公述人の多数の方々が、それぞれ中小企業の立場からお述べになったのでございまするが、私は消費者の立場からこの問題について意見を述べたいと思うのでございます。 私は、先ほど経済企画庁におきまする国民生活向上対策審議会におきまして御審議になりましたその答申、それは現在の物価問題を適正に考える上におきまして、消費者の立場を重視しなきゃならないということがその答申の要旨でございました。物価をほんとうに安定し、国民生活を稗益し、ほんとうにその有意義なる活動を保持して、ことに勤労者農民をして喜んで生産に従事せしめるということは、何よりも政治の上の根本の問題ではないかと思うのでございます。そういう点におきまして、この中小企業を育成されるということは、私はごもっともだと思うのでございます。ことにわが国におきまして、苛烈なる国際競争に打ち勝つために中小企業が近代化しなければならないということは、申すまでもないわけでございまするが、同時に、それは近代化に向かって進むわけでございまして、現状維持をするということではないことは言うまでもございません。ところが、工業部面につきましては——とにもかくにも、流通部面におきましては、特に御注意を願いたいと思うのでございます。と申しますのは、部外者を規制する、あるいは抑制するというような条項がございました。もしそういうようなことになりました暁におきましては、いわゆる中小企業以外におきまして、流通部門に介入をいたしておるものはどういうことになりましょうか。現にけさほどでございます。兵庫県におきましては、スーパーマーケットをして薬品類の取り扱いを事実上阻止する条例が出たのでございます。そういうふうな意味におきまして、近代化に向かって前向きの姿勢で中小企業を育成されるということは、私は双手をあげて賛成するものでございまするけれども、現状そのものの上においてあぐらをかくというようなことは、いかがなものでございましょう。もしそういうことになると、これは大へんなことになるのではないかと思うのでございます。ことに消費者の立場というものにつきましては、消費者の組織化というものがいかに大切であるかということは、英国の例におきましても、あるいはスカンジナビアの諸国におきましての例におきましても、いまさら私が申すまでもないことでございます。そういうようなときにおきましては、生活協同組合、あるいは農業協同組合が巨大なる発展を遂げまして、物価を安定させまして、国民生活、経済生活の基幹になっておるわけでございます。ただいま里井さんは、この生活協同組合の員外販売を規制しろというふうなお話がございましたけれど、生活協同組合は主として組合員に対する福利の増進をはかる機関でございます。したがって員外販売のごときは自主的に規制すべきものでございまして、法律をもって民衆の自発的の意思を阻害すべきではないわけでございます。現にスウェーデンにおきましても、イギリスにおきましても、そのような法律の規定はいささかもないのでございます。私はそういう点におきまして、この基本法ができますることによりまして、ただでさえもわが国におきましては、消費者の組織化がおくれております。そのために勤労者が、物価高によりまして、現在きょうこのときにおいて非常に苦しんでおるということは言うまでもございません。ことに生鮮食料品の高騰のごときは、消費者組織の拡充なくして、農業協同組合というものの提携なくして、根本的に是正する施策は生まれ得ないと思うのであります。そういうふうな意味におきまして、このような農民、あるいは消費者の自主的組織を規制するがごとき措置は、断じておとりになるべきものではないと思うのでございます。 政府の原案におきまして、第十七条におきまして、「中小企業の取引条件の向上及び経営の安定に資するため、中小企業者が自主的に事業活動を調整して過度の競争を防止することができるようにその組織を整備する等必要なる施策を講ずるものとする。」とございますが、この程度のことでございますならばけっこうでございまするけれども、もしそれが一歩を進めまして、社会党の原案にありまするごとき規制というふうなことになりますると、消費者としてはその規制がどのようになるのであろうか、中小企業が団結して部外者を一切排除するというようなことになると、消費者活動は全くその活動を阻害されてしまうということにならざるを得ない。こういう点につきましては、為政の御当局は、深甚なる御配慮を願いたい。現在ではまだ十七条だけでございましたなれども、これは基本法でございまして、基本法からさらに進みまして細則ができ、指導要綱ができるというふうになりましたなら、そのときにおいては、十分消費者の地位、その利益の擁護ということをお考えおきを願いたいのでございます。 ことに戦争前は、協同組合、産業組合というものは一切無税でございました。戦後それが課税をされておるのでございまするが、今この基本法によりまして、税についても考慮するということでございまするけれども、これはけっこうでございます。であるならば、このような点は当然協同組合にもそれを及ぼしていくことは、言うまでもないと思うのでございます。そういう点につきまして、わが国におきまする消費者組織、勤労者、農民による組織、これは社会党さんなり、民社党さんがそのよって立つ、ほんとうに国民生活の基盤となさるところであろうと思うのでございます。そういうような点について、政府は申すまでもないのでございまするけれども、両党の御当局は、十分この点について御考察を願って、中小企業を育成される、近代化する、前向きの姿勢に改めるということは非常にけっこうでありまするけれども、同時に、それによって新しく生まれんとするところの協同組合というものの活動をいささかでも阻害するというようなことになるならば、これは将来の日本国民生活の上にとってゆゆしい大事と思うのでございまして、その点を一番消費者の立場に立って申し上げる次第でございます。
○座長(逢澤議員) 次に、大阪府立経済研究所所長の竹内正己君から、御意見をお聞きすることにいたします。
○竹内正己君 私は若干の注文をつけまして政府案に賛成いたします。賛成いたします大きな理由は三つございます。 その一つは大企業と中小企業の関係を協力的な関係として取り上げている。対立的ではなく、協力的な関係として取り上げておるということでございまして、そしてその中で経済政策としての筋を一応通そうとする形がまあ現われておるということでございます。 第二点は格差の是正、二重構造の解消という問題を最も実践的な方法で解決しようとする意図が現われておるという点でございます。 第三点は先ほど里井公述人から陳述がございましたとおり、いわゆる国際的な視野、観点というものが織り込まれておるという点でございます。 これをやや具体的に申しますと、大企業と中小企業の関係は、もともと社会的な分業関係にあると見ていいわけでございまして、それぞれの生産なり、流通なり、それぞれの段階で、特定の段階で社会的な分業関係を営んでおるわけでございます。したがいましてもし自由、公正な取引なり、あるいは均等な発展の機会、公正な取引の条件が与えられるならば、十分両者は競争的な関係で共存共栄してやっていけるものと見ていいんではなかろうかと思います。そういった意味では一応基本法が独禁のたてまえを堅持するというたてまえに立って書かれておる限り、こういった社会的分業関係を適正にしていくという観点から協力関係をとらえる。そしてその中で経済政策としての筋を通すという点が、やはり基本的な点ではないかと思うわけでございます。 それから第二点の二重構造の解消なり、あるいは格差是正が現実的な政策である、それの方法が現実的な政策にかなっておると申します意味は、大企業と中小企業の格差の是正をする一つの結節点——結び目というものを中堅企業層に置いておるということでございます。これは基本法にははっきりは出ておりませんが、関連法規にはかなりそれが具体的に出ておるわけでございまして、このことは技術の浸透過程なり、あるいは現実の経済の動きの中で企業が一応生産性の高い層なり、成長産業なり、移っていく過程を考えますと、かなり現実性のある政策の立て方ではなかろうかと思うわけでございます。そしてそれと同時に、下から足を引っぱります最低限の小零細企業については、やはりこれも一応かさ上げをする、いわゆる底上げをするという立場で、いわゆる他の企業との従業者の生活水準が均等化するということをねらいとして考えておられるという意味において、いわゆる企業として取り扱っていく、そしてレベル・アップをしながら格差を全体として縮小するというねらいが出ておるわけでございまして、その点におきまして一応経済政策としての筋を通しておると言えるんではなかろうか。もしこの際に、そこに救済的、あるいは社会政策的な考慮を加える必要があるとすれば、それは基本法の中においてではなく、むしろ基本法の外において、十分政府において別途考慮するということが必要であり、同じ基本法の中で経済政策と社会政策を混同して実施するということについては、従来からのあやまりを犯すと同時に、かなり保護、温存、救済の面が強くなって、前向きの政策がとりにくいという点が懸念されるわけでございます。そういった意味で第二点がより実践的な方法を打ち出しておるんじゃないかと思うわけでございます。 それから第三番目は、先ほど里井公述人の言われましたとおりでございまするが、やはり国際的な視野に立って問題を考えなきゃならない。最近特に欧州方面における中小企業における一つの大きな発展の中で目立っておりますことは、企業規模がかなり中規模化していくという傾向を持っておりますことと、大企業との関係が非常に有機的になっていくという関係と、もう一つは販売組織を確立しておるという点でございます。いわゆる規模が拡大していく、あるいは中規模化していくということと、販売の組織を確立していくということの中には、実は企業の協業なり、合同なり、合併がかなり行なわれておるわけでございます。もちろん組織によるいろんな働きかけも必要ではございますが、やはり規模の適正化なり、あるいはそれの拡大を通じて技術進歩が入り得るようにするという形が必要であり、それに応じて流通の過程におけるいろんな革命的な動きに対する対処も必要ではなかろうか、そういった意味ではやはり前向きに問題を考えるという点が基本的に重要ではないかと思うんでございます。さらにもう一つの点は、今までのいわゆる封鎖経済のもとで起きましたいろんな政府の政策のきめ手というものが、自由体制のもと、あるいは解放体制のもとでは次第になくなっていく、いわゆる直接的なきめ手がなくなっていく。次第にまあ間接的、より間接的な方法、より誘導的な方法に従わざるを得ない。もしそうだとすれば、基本法の中に直接量的な規制を伴うような、いわゆる規制措置、たとえて言えば財政面において何割を確保しなければならないとか、あるいは一定割合を確保しなければならないとか、そういった直接な規制なり、あるいは分野を確定してしまうといったような規制措置を直接織り込むということは、必ずしも得策ではないんじゃなかろうか、むしろそのことが別の面では進歩を阻害する面をも持っておるとも考えるわけでございます。したがってできるだけ柔軟性があり、しかも誘導的な方策で導いていくということがまあ自由経済、あるいは自由体制のもとにおける一つの政策のあり方であるという意味で第三点を支持いたすわけでございます。 しかしながら、最初に申しましたとおり、若干の注文があるわけでございまして、その一点はあくまでも独禁のたてまえが堅持される、そういったたてまえを堅持された産業秩序の維持、それがまあ前提になっておるわけでございます。ところが先ほど浅野公述人からも説明がございましたとおり、特定産業の振興臨時措置法との関係で中小企業法が考えられておるというような発言があるほど誤解を招きやすいような事態が実は今発生しておる。で、この点につきましてはあくまでも基本法を通す、あるいはその精神を生かすという意味で独禁のたてまえを堅持するという政策を、あらゆる経済政策の中で堅持していただくということが一つの前提になるわけでございます。 それから第二点は、中小企業の問題は、実は中小企業の行政の狭いワク内だけでは片づくものが非常に限度が知れておるということでございまして、先ほど申しました雇用の問題にいたしましても、あるいは社会保障の問題にいたしましても、さらに建設との関係において、あるいは農林との関係において、あるいは運輸との関係において、あらゆる面において中小企業問題は関係しておるわけでございます。だとすれば中小企業庁長官が各省大臣と対等の立場において、あらゆる機会においてあらゆる閣議において、あるいは委員会において発言の機会を持ち得るだけの権限の拡大が必要ではなかろうか。で、この点は社会党案、あるいは民社党案に出ております省の設置という形まではいかなくとも、少なくとも権限の拡大について十分御考慮あることをお願いする次第でございます。 最後に小零細層の問題でございますが、この点は切り捨てという感じを政府の案は受ける、一般に誤解を招いております。その点は誤解を招くような節もございますが、実はこの問題については小零細企業は雇用に役立つからという意味で温存するのでもなく、さらに非能率だという意味でこれを排除するのではなく、新しい産業なり、新しい近代的な雇用の吸収という点について、特に前向きに解決していただくという点に御考慮をお願いしたいと思う次第でございます。 以上で私の陳述を終わります。
○座長(逢澤議員) 次に、関西主婦連合会会長の比嘉正子君から御意見をお聞きすることにいたします。
○比嘉正子君 中小企業基本法案を読んで感じましたことは、この政府案について申し述べますが、これ読んでみまして、産業道徳のりっぱな修身書であるということを感じたのでございます。そして読んでいるうちに心あたたまる思いがいたしたのでございます。この法案の成立は、中小企業者だけでなく、国民の一人としてたいへんうれしいことと思います。それで私はこの政府案に対して公述をいたしますのに十五分の時間が与えられましたけれども、私はまことにりっぱな法案で賛成でございますと一言で片づきますけれども、あまりにそっけないことだと思いますので、一行々々検討して思ったこと、感じたことを二、三申し述べたいと思います。 私は先に修身書であると申しましたが、深刻な苦悶をしている中小企業の諸問題を解決して近代化をはかるためには、この法案は心として——心の問題だけでは片づかないと思います。自主規制はまことに美しいんですけれども、大所高所から見た国会の国づくりから、まただれが見てもわかりやすいように、そして逃げられる法規でなく、ちゃんと軌道を引いてもらいたいと思うのでございます。 それで私は中小企業が一番困ってるのは何だろうかということを、問題を四つあげてみました。それは中小企業は低利資金を——低利の必要資金が得られないということ、それから頭脳の投資が得られない、それで過当競争に悩んでいること、それから自主性の確立ということの、こういうような問題点をあげまして、その問題点の上に立って政府案を読んでみたのでございます。 そして第一、その中小企業は非常に一番困っているということは、やはり低利資金が得られないということだろうと思うのです。それで資金調達の中小企業の実情を見ましたときに、大企業と比べて——大企業は非常に低利な利息を払って借りておりますけれども、中小企業は二倍の利息を払って借り入れをしております。たとえば一千万円を借りるときに、一千万円の利息を払いながら、三百万円は定期預金にさされて、実質に使えるのは七百万円というような状態でございます。ですから高利貸的要素のあるところの信用組合だとか、あるいは相互銀行だとか、農協だとかというような銀行を相手にして高利なお金を借りて運営するものですから、非常にその資金面で苦しいのでございますので、なかなか近代化というものは、この点で頭打ちをするんじゃないかと思います。そしてこの点をどういうふうに法案はこれをきめていらっしゃるかということを見ましたときに、第五章の二十四条の中に、資金の融通の適正円滑化というのをうたってありますが、政府金融機関であるところの国民金融公庫だとか、中小企業公庫、あるいは保証協会、商工中金などの拡大強化をして育成するということは、まことにけっこうでございます。ぜひやっていただきたいと思いますが、私、お願いしたいことは、大銀行、いわゆる市中銀行、地方銀行が、このごろよく銀行の大衆化と言っておりますが、銀行のこの大衆化というのはどういうことかということを調べてみますと、この大衆化は、われわれ主婦のいわゆる何ですか、へそ繰りまでかき集めて預金をさせようというのが、大衆化らしいのでございます。そしてそのお金はどうするかというと、それを中小企業、あるいは主婦のへそ繰りなんか集めて、これを大企業に奉仕をしておるというのが現状で、それからもう一つは公共性をうたっておりますけれども、この公共性がずいぶんもうけておりますけれども、それじゃ公共性を発揮して研究所を寄付しただろうか、文化会館や社会福祉に寄付しただろうかと調べたら、一向にしていない。できたら、この市中銀行が大衆性だとか、公共性ということを盛んにPRしておりますので、これを一つつかまえて、その公共性を発揮させるために、あんた方は貸し出しの何%を中小企業のために融資しなければならないという具体的な明文を、いわゆる五章の二十四条に明記したらいかがでございますでしょうか、ということを考えたのでございます。 それから二つ目には、中小企業の自主性に欠けているという点から、これをどうすればいいかということを考えた。なぜならば中小企業というものは、大企業だとか、国家の保護のもとに処して依存性があって、そのために誇りを持ち、それから信用度を高め、そして安定性を保とうとしているような現状でございます。これを是正して、そして自主的に成長させるにはどうすればいいかということのこの法案を見ましたところに、この第六条に書いてありますけれども、非常に弱いように思うのです。自主的に自分も努力——中小企業自身も努力させようという個条には、まああたりまえのことを書いてありますけれども、強いことが書かれていないというように私は感じたのでございます。 それから中小企業がもう三つ目に困ることは、過当競争でないかと思う。悩まされているのじゃないかと思うんです。たとえば私たちは消費者として非常に感ずることは、消費者は、適当に競争していろいろ適当につくらして、そして売ってもらったほうが得なんですけど、そうはいかないのでございますが、たとえば石油ストーブをつくってどんどん、どんどん去年売れると、大きなメーカーまであらゆる会社がこれを競争してつくって売ります。そしてインスタント食料品をつくって売れると、あらゆる会社がこれをまねしてつくって売り出す。これは中小企業も大企業も同じなんですけれども、そういうことによって過当競争が生じて倒産する中小企業たとかというのがいろいろ出て参ります。こういうふうな過当競争の状態をただ救うためにはどういう個条があるかと思いまして見たら、第一章の第三条の中に、中小企業の専門化、技術の専門化をはかるということの個条をお入れになったらどうかなと思ったわけなんです。いわゆる中小企業の適正化だとか、協同化、工場、店舗の集団化ということをうたってありますけれども、この専門化ということは考えられないでしょうか、そうすればいい品物ができ、そしてよく売れて消費者も、それから中小企業もよくなっていくんじゃないかと思います。 それから第四に考えましたことは、頭脳の投資が得られないということ、今優秀な技術者だとか、人というものは一流メーカーを希望して、どんどん一流メーカーに流れておりますけれども、中小企業に来たがらない。すぐれた頭脳ですぐれた商品技術を持つということは、消費者にとってもいろいろ願わしいことでございます。この点困っている頭脳の投資については、どういうふうに扱っていらっしゃるかということを見ましたら、一章の第三条の二項には、技術者の養成、技術の向上をはかると書いてありますけれども、どうしてはかるかという具体的施策は関連法規にも書いてなかったように思うのでございます。お金の要らない訓練所、それとも人づくりができる環境をつくるように条文を入れてほしいところです。また日本のみしかつくれない特殊な手工芸は、名人芸として終わり滅びつつある実情を見ましたときに、こういう手工芸家の中小企業——弱小企業を救うためにも、この人たちがつくっているものに物品税を廃止するような方法も考えていただきたいと思います。 それからもう一つ、この政府案と社会党案の違うところをちょっと見ましたんですけれども、この一章の第二条に、中小企業の範囲ということに、政府案では五千万円以下の会社、並びに三百人以下の会社で、個人であって工業、鉱業、運送業その他の業種に属する事業を主たる事業として営むもの、と、それから資本の額、または出資の総額が一千万円以下の会社及び常時使用する従業員が五十人以下の会社、並びに個人であって商業、またはサービス業に属する事業を主たる事業として営むもの、というふうにこれは書いてありますけど、私、これは社会党案よりこのほうがいいんじゃないかと思うんです。なぜならば、これは非常に範囲を広げて、この恩恵を受ける人たちが広がっていくということをたいへんけっこうなことだと思います。それで最低、個人並びに商業も書いてありますから、最高をきめて、最低は幾らでもいけると思うのでございます。ただ小さい商売人のほうがこの恩恵に漏れなく浴せるように運営すればいいんじゃないかと思うのでございます。 以上は感じたことでございますけど、私、この法案はやはり産業モラルと、中小企業の経済的基盤を近代化をはかるために、その確立するよいチャンスであると思うのです。ほんとうにこのごろはもう一つの会社が自己の利益のみ追求する時代は過ぎましたので、大企業も中小企業も国民も共存共栄の上に立って、そして協力させるような、それから協力ができるように政府は規制したほうがいいんじゃないかと思います。正しく筋の通るものは、法律で強力にこれをうたって下すったほうがいいんじゃないか。あんまり弱いとこれがまた実行ができないとたいへんいわゆる仏つくって魂が入らないような法案になりますので、私は政府案を読みまして、ちょうど政府案の中に二、三社会党のこのいい案をミックスしたらたいへんいいものができるのになと思ったのでございます。 以上をつけ加えまして、政府案に賛成いたします。
○座長(逢澤議員) 次に、大阪経済大学教授の藤田敬三君より御意見をお聞きすることにいたします。
○藤田敬三君 私は政府案、各党案を一括いたしまして、私の意見を述べさしていただきます。その意見もどちらかと申しますと、関連法規の整備の過程で問題になるようなことが多いのでありますけれども、私はやはり何と申しましても、ここがこの法律を生かすか、またある意味の大きなざるにするかの分かれ目だと思いますので、この点を強調したいと思うのであります。 その第一点は五千万並びに三百人以下というような定義に従っていろいろ政策をする場合に、各業種ごとの特殊性をよく勘案しまして、当面のワクをこれによって定めて、それぞれ無理のない対策を講じていただくということが、日本の経済全体のために必要でありますが、なかんずく中小企業にとっては、それは重大な問題になるというように考えるのであります。 それから第二点としまして、いろいろ中小企業のための生産分野のことが問題になりますが、これはもちろんできる限り研究を続けなければなりませんけれども、しかし当面としましては、これよりもむしろアメリカあたりでも実施しておりますような、国家、公共の事業における中小企業への配慮というような点で自明の政策を講ずることができやしないかと考えるものであります。 それからその次は、先ほどからもお話が出ました下請代金支払遅延等防止法の徹底の問問ですが、これも親企業に対する下請協同組合についての政府のある程度の積極的な対策というようなものの中から次第に掘り下げていくというようなことが可能でないかと、私どもの経験からすれば考えられるのであります。 それから第四点は、政府が特に従来からとっておられますし、今度の法案にも相当きめこまかく指摘されておる近代化の対策とか、その他振興諸政策等はけっこうだとは思いますけれども、やはり抽象的であるだけでなく、やや羅列的であるというような点、その点をもう少し今後研究願いまして、そして重点的なものには思い切った財政的な措置をしていただくというようなことをしなければ、日本の中小企業の本格的な体質改善ということは望まれぬのではないかというように考えられるのであります。そのためにはやはり専門の本格的な研究機関というものをやはり国でつくる必要があると思います。その意味ではやはり先ほども問題になりましたし、社会党、民社党あたりで指摘せられておる、省に拡大するということを、その名前はとにかくとしまして、予算とか、その他長官の権限等において、竹内氏が言われたように今とは比較にならないような強力なものにしなければ、政策としてもやはり意味をなさぬというように考えられるのであります。 それからその次は、中小企業の方の教育と、まあたとえば再教育をするということと、それから将来の中小企業に従事する人をつくる本格的な教育機関、名前は大学であろうが何であろうがいいのでありますけれども、しかし、今はその中小企業のための本格的の人づくりの機関というもののないということは、これは非常に不見識なことである。日本人は中小と言えば問題が中小であるかのごとく考えておるという点が、もう日本人のコンプレックスからきている萎縮であると私は考えるのであります。そういうようなことが一つ。 その次は協同組合をつくるとか、それから労働組合をつくるというような組織化の面と中小企業の労働者と国家、公共の教育機関というものとを結びつけるというような政策、このことによって中小企業の現在における雇用の面における困難を相当緩和することができるのではないかというように、私は真剣に考えておるのであります。それからこれは非常に慎重を要するのではありますけれども、やはり本格的な日本の構造高度化のためには、もう少し本格的な徹底した最低賃金法の問題を検討するということが、日本のまあ全体の国民の義務として課せられておる問題だ、こういう工合に思います。だからそれは政策としては慎重を要しますが、これをうやむやに捨て去る、放置するというようなことは、私は中小企業政策だけでなしに、日本の経済政策全体のために惜しむべきことだと思うのであります。 それから最後に小規模企業のことにつきまして、里井氏から基本法の趣旨とは一応を切り離して、それ自体の対策を講ぜられたいというような意見がありましたが、これはそれ自体けっこうではありますが、しかし基本法にも盛られてある、やはり構造の高度化政策の一環としての日本の小企業政策ということは、私はあくまで重要でありますから、これはそれを今後も関連法等においてあくまで徹底的に研究しなければ、全体の構造が本格的な基盤を得ることができないようになるんじゃないかと思うのであります。そういう意味におきましては、特に家内労働法と最低賃金法と関係させて、小企業等で家内労働法を考えるというふうなことが必要であると思いますので、こういう諸点を考慮にお入れ下さいまして、今後各党の案を国家のために理想的なものに調整して下さることを私は希望する次第であります。 以上であります。
○座長(逢澤議員) ありがとうございました。 次に、兵庫県織物協同組合連合会会長の村上允常君から御意見をお聞きすることにいたします。
○村上允常君 私は中小企業基本法案に関する要望事項を三つ申し上げたいと思います。 第一の問題は、中小企業基本法は必ず今国会において成立さしていただきたいこと。中小企業基本法はその性格上具体的な施策を定める規定はないが、この法律によって国に各種の中小企業施策を講ずる義務を課している点で画期的な立法であるので、中小企業者はひとしくその成立を渇望している。去る二月七日政府提案され、休会明けの国会で審議中のことと仄聞しているが、中小企業者の立場を十分御理解いただき、この審議を促進させ、必ず今国会で成立させていただきたいこと。 第二の問題は、基本法関連法規は、すみやかに整理していただきたいこと。基本法に定められた諸方針を具体化するためには数多くの関連法規の整備が必要であると思われるが、これらの法規については基本法成立後すみやかに整備をされたい。中小企業の振興については、体質改善と輸出振興が特に必要であるので、右の具体的措置は次の諸事項が実現されるよう御取り計らい願いたい。 輸出振興については、 (A)輸出協調体制の確立。現在繊維工業界規制の振興法としては、繊維工業設備臨時措置法、輸出入取引法並びに中小企業団体法があるが、これらの法律による規制方法はそれぞれ異なっており、またその運営方法にも全く関連がない。このような状態では、原糸の生産、織物の生産、輸出の各段階の調整が困難である。輸出の振興をはかるためには、各段階の総合的な調整をはかる要があるので、これらの法律が統一的に運営されるよう措置する要がある。 (B)輸出生産金融制度の確立。輸出生産金融については、現在前貸貿手制度があるが、中小織布業者はほとんどこれを利用し得ないので、中小企業輸出金融公庫を設立するか、商工組合中央金庫に輸出生産資金別ワク融資制度を設けて、中小織布業者の輸出生産資金を輸出貿手と同率程度の低利で融資する措置を講ぜられたい。 (C)輸出振興基金制度の確立。わが国の繊維製品は、価格の変動の幅が大きいため、輸出振興上種々問題が多い。このことは体質の弱い中小企業者が大部分の輸出品を生産していることに基因するものと考えられる。この弊害を除去し、輸出価格の安定をはかるためには、中小織布業者の体質改善を促進する要があるので、中小織布業者の輸出品生産数量に応じ、一定額の積み立てを行なわせて輸出振興基金を設け、この基金を活用して不況時の不当な値下がりを防止する措置を講ずる必要がある。 体質改善については、綿スフ織物業は輸出産業としてきわめて重要な地位を占めていることは御承知のとおりであるが、最近の労務供給の不足状況と関連し、労務費が急激に上昇しつつある。このような労務費の上昇に対処し、輸出の振興をはかるためには早急に設備の近代化を推進し、生産性の向上をはかる以外に道がないので、すみやかに次の措置を講じてほしい。 (A)近代化積立金制度を創設してほしいこと。われわれは一昨年来このことをお願いしてきたが、これについては三十八年度税制措置として中小企業設備の五年間三分の一、割増償却制度が創設されることになったことは御承知のとおりであります。しかし、この制度では利益が出る場合には効果があるが、利益がない場合効果がない。綿スフ織布業はきわめて零細な多数の業者で構成されており、競争がはげしいために景気変動がはなはだしく、周期的な不況に見舞われている。このような不況時に税制措置を有効に生かすためには、あらかじめ一定額を積み立てて利益を確保する要がある。また積立金制度をとれば一時に多額の資金を必要とする設備近代化が比較的円滑に実施できるので、きわめて効果的である。せっかくこのような税制措置を講ぜられるのであるから、これが最も有効に活用されるよう、ぜひ積立金制を採用してほしい。 (B)資本金の蓄積のできる税制を確保されたい。国際競争力を確保するためには、設備近代化と同時に自己資本の充実をはかり、企業の体質を改善する要があるので、すみやかに次の措置を実現されたい。 (イ)中小同族会社の留保金課税を撤廃すること。 (ロ)中小企業の固定資産の減価償却限度額を大幅に引き上げること。 (ハ)中小企業の償却資産の再評価を再度実施すること。 (ニ)電気、ガス税を撤廃すること。 第三の問題は、特に本法に対する意見としては、中小企業者の範囲を資本金一億円まで拡大されたい。政府原案では中小企業者の範囲は、資本金五千万円以下の会社並びに従業員三百人以下の会社及び個人となっているが、最近の全製造業平均の従業員一人当たり固定資産装備額は、中小企業庁の中小企業基本調査によると、資本金百万円未満の会社では一人当たり十一万八千円になっております。百万円以上一千万円未満では十九万四千円、一千万円以上一億円未満は三十七万円、一億円以上五十億円未満は八十九万六千円、五十億円以上二百八十六万円となっており、近代化された企業では、従業員一人当たり固定資産装備額は、少なくとも百万円以上とならなければならない。また経営総資本に対する固定資産の比率は四四・三%(昭和三十七年中小企業経営指標)である。したがって固定資産の全部を自己資本でまかなうとしても、経営資本対自己資本比率は四四・三%にしかならない。健全経営を行なうためには、経営総資本の五〇%程度を自己資金によることが必要であるので、固定資産に見合う資金はすべて自己資金によるようにすべきである。もしこのようにした場合、資本金五千万円では従業員五十人ということになり、現在の中小企業の実態に合わないので、少なくとも一億円まで拡大すべきである。 以上三項目を要望いたします。
○座長(逢澤議員) 最後に、全国青果小売商組合連合会副会長森本喜一君から御意見をお聞きすることにいたします。森本君。
○森本喜一君 御指名をいただきました森本でございます。本日公述人として政府提出並びに社会党提出の中小企業基本法案について一中小企業者たる私の意見を申し述べる機会を与えられましたことを、深く感謝する次第でございます。 まず意見を申し述べる前に参考まで申し上げておきたいことは、過ぐる三月十九日に東京の九段会館におきまして、日本中小企業政治連盟主催で、全国中小企業団体中央会、全国商工会連合会、全日本商店街連合会等、中小企業関係八団体協賛のもとに、われわれ中小企業者がこぞって中小企業基本法制定要求貫徹大会を開催し、中小企業基本法政府案に対する六項目の修正要求を決定し、今国会成立を決議したということでございます。 わが国経済は二重構造という大きな弱点を持ち、かつこの二重構造の底辺に位するところの中小企業は、その業種の多様性、従事者の多数、またその内部にはらんでいる問題の多いことで世界に例を見ないことは、周知の事実でございます。しかもわが国民経済上、中小企業の占めている役割の重大なることは多言を要しないのであり、わが国全体が中小企業国家であると申しても過言ではないと私は思うのであります。特に最近の高度経済成長によって大企業と中小企業の間に横たわる生産性、賃金、資本装備率等の諸格差はますます拡大していますし、また今日ほど中小企業を取り巻く経済情勢が大きく変革しようとしているときはないと思うのであります。 したがいまして、このような時期に際し、わが国経済の長期的展望の中で中小企業の進むべき道を明らかにし、その安定と振興をはかろうとする中小企業基本法の立法の趣旨には、全面的な賛意を表明するものであります。こうした施策の確立が、ひいてはわが国経済の強化に役立つものと確信するものでございます。 しかして、中小企業基本法の制定にあたっては、その安定と発展を眼目に置きつつ、中小企業を取り巻く経済環境の整備を第一として、中小企業が当面している問題また将来起こることが予想されるもろもろの問題についての解決策が総合的に打ち出されていなければならないと考えます。 以上の見地から、政府提出の中小企業基本法案の主要点について意見を申し述べたいと思うのであります。 まず最初に政府案についてでありますが、その第一点は、前文及び第一条の「政策の目標」についてでございます。中小企業が国民経済上果たすべき重要な使命にかんがみて、その成長発展をはからなければならないと指摘しておりますが、これを見ますと、中小企業問題を経済政策的な面からのみ追求し、これがための対策のみが強く打ち出されているやに感じられるのであります。このままでありますると、成長する可能性を持った中小企業のみが本法の恩恵に浴して、現状維持と安定を望んでいる大多数の中小企業及びその他のものが取り残され、そこに相変わらず中小企業問題が残るであろうことは、容易に想像できるわけでございます。したがいまして、前文及び第一条においては、所得格差の是正を第一として、中小企業の成長発展と安定を主眼とした経済政策と、中小企業従事者の生活水準と、二重構造により生ずる不平等を是正するための社会政策的な各種政策を力強く表現していただきたいのでございます。この趣旨は、先般成立しました農業基本法の前文並びに第一条政策目標にも「農業従事者が他産業の従事者と均衡する生活を営むことを目標として地位の向上を図る」と規定しておりますように、農業と並んで恵まれない立場にありながら、国民経済の発展に寄与している中小企業の立場を御理解いただければ、この規定の必要性は御了承いただけるものと存じます。 第二点は、第三条「国の施策」でありますが、国は、第一条の目的を達成するため、一項の一から八までの施策を総合的に講じるとしておりますが、同条二項において、前項の施策は、経済的、社会的諸事情の変化を考慮して、産業構造の高度化、国際競争力の強化を促進するため行なうとの趣旨が強調され、せっかくの国の施策にしぼりをかけ、政策の恩恵に浴する対象を制限しているように感じられるのであります。このように限定されますと、先ほど申し上げましたように、成長する業種と取り残される業種との差がますます拡大し、新たに二重構造がつくり出されることが予想され、このことはわが国経済にとって決してプラスとは考えられませんので、国の施策は、諸格差の是正をはかり、均衡ある国民経済の成長発展に資するためにも講ずる、すなわち私が申し上げました第一条の目標を達成するため行なうことに改める一方、その内容を盛り込んでいただきたいのでございます。 第三点は、商業対策についてでありますが、本法が中小製造業対策を重点的に考える意図は理解できるのでありまするが、中小企業の八三%が商業、サービス業に属する事業者であることを忘れてはならないと思うのであります。すなわち第十四条の規定においては、流通機構の合理化に即応した小売商業対策のみに受け取れるのですが、これにサービス業を加えるとともに、九条から十三条までの施策を適用し、国民生活水準の向上変化に即応できるよう適切な施策を講ずる一方、商業、サービス業に対する国の予算措置、金融上の措置を講じていただきたいのでございます。 第四点は、第三章で規定しております「事業活動の不利の補正」の点でございますが、この条項は前文の中小企業の経済的、社会的不利の補正が中小企業安定にとって非常に重要であるとの趣旨から生まれてきたものと思いまするが、第二章の中小企業の構造の高度化等の条項に比較しましても、それにまさるとも劣らぬほど重要なのでありますが、何か物足りなさを感ずるわけでございます。 第十八条におきまして下請取引の適正化が明らかにされておりますが、これに加えて、最近とみに激しくなっております企業の系列化についても、系列内中小企業を不当に拘束してはならない、すなわち自主性の尊重を明示する必要があると思うのでございます。 第十九条の事業活動の適正な確保についてでございますが、皆さんすでに御承知と存じまするが、最近、業界内部の過当競争に加えて、中小企業をめぐる大きな社会問題となっています大手メーカーの進出、大資本スーパーマーケット、農協、生協、購買会等の中小企業分野の進出により、中小企業の事業分野が非常に狭められ、その利益が不当に侵害されているのが実情でございます。すなわち、最近とみにその動向が注目されている大商社、百貨店、外国資本等によるスーパー進出が随所において企図され、地域の中小商業者が地域経済の発展に即し長年にわたる営々の努力によって築き上げてきた商店街、市場等の既得権を無視して、中小商業が持つ市場を略奪せんとするような無謀な計画もあるのでございます。特にスーパー等がおとり商品として正常でない安売りを行ない、過当競争をますます激化さし、ために中小商業者において倒産、破産等の悲しむべき社会問題を起こしつつある現状を見るとき、中小企業が直面する問題を解決するには、第十九条の規定はあまりにも弱く、きめ手を持たないのは遺憾であります。したがいまして、私はこの中小企業の分野を確保するため、第十九条の規定をさらに強化する一方、あらゆる経済紛争の解決をはかり、公正な経済秩序を確立するためのきめ手として、労働紛争における労働委員会のごとき、中小企業者が容易に問題の解決をゆだねられるような公正な行政機関の設置を希望する次第でございます。 第五点は、第二十条の国からの受注の機会を確保する規定でありまするが、国、地方公共団体、あるいは政府関係機関の直営事業については、民営圧迫のおそれのないようにお願いしたいのでございます。また官公需の一定割合を中小企業に確保するということを明記していただきたいのでございます。 第六点は、中小企業の発展にとって最も大切と思われます第五章の金融、税制についてでありますが、まず金融については、第二十四条において規定している条項に加えて、政府関係金融機関の金利を引き下げるとともに、信用保証事業の保証料率を一元化すること、また小口無担保(三十万円以下)保証を拡充していただきたいのでございます。 次は税制でありまするが、現行税法において中小企業が受けている不公平を是正し、中小企業の体質改善を促進し、競争力を強化するためには、何といってもこの税制の大幅な改正が必要であると思うのでございます。たとえば所得税、法人税の軽減、事業税の撤廃、減価償却の拡大等、中小企業を中心とした大幅な政策減税が緊急を要する問題であろうと思うのでございます。 以上中小企業基本法政府案を中心にいたしましていろいろ御意見を申し述べて参りましたが、さらに社会党案については、中小企業者の組織についてでございますが、現在の複雑な中小企業の組織を整備しようとする意図は理解できるのでございますが、中小企業の組織は、業種別、地域別、目的別協同組合組織に再編成するのが至当であって、社会党案のように協同組合組織に一本化しようとすることは、どうかと思われるわけでございます。 なお、第三章第一節の事業分野の確保の規定の中に商業が入っておりませんことは、まことに遺憾に思われるわけでございます。 最後に、中小企業基本法の制定が他方面に甚大なる影響を及ぼすとお考えの向きもあるやに聞いておりますが、私どもは決してそのような考えはございませんし、またわれわれは、成長する中小企業に対してはできるだけの助成策を、その他の中小企業には安定策をと申しているのでございまして、幸いにして現在国会の審議に付されている諸法案の根本理念は大同小異と存じますので、従来の中小企業対策が不十分なものであり、その上個別的で総合性に欠けていた点から見ましても、この中小企業基本法の制定が画期的な意義を持つものであると確信しているものでございます。このような点から、一中小企業者の私が申し上げました卑見を十分お取り上げいただき、この基本法をお通しいただきたいと存ずるわけでございます。 それから、最初に政府側からおっしゃいましたように、いわゆる国の柱として重要なポストを占めており、あるいは税に、あるいは生産に、あるいは流通過程においてもこの大きなウエートを占めておる中小企業に、中小企業庁として、いろいろ通産局、企業庁あたりでよくお世話はいただいておりまするが、大きな国の柱にもなり、あるいは農村関係とも匹敵するような中小企業関係に中小企業省という一つの独立した官を設けていただきまして、そうして国の繁栄に大きく貢献する中小企業の上に中小企業省を設置していただいて、そうして中小企業を伸ばす、中小企業の繁栄は即国の繁栄だということも申されておりますように、ぜひ私どもはこの中小企業省の設置を要望いたす次第でございます。 これで私の意見を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○座長(逢澤議員) 暫時休憩をいたしまして、午後一時三十分から再開いたします。 なお、午後は委員からの質疑がございますので、陳述者の方々も御出席の上、お答えを願いとう存じます。 午後零時二十七分休憩 ————◇————— 午後一時三十三分開議
○座長(逢澤議員) 休憩前に引き続き会議を開きます。 傍聴の方々に申し上げまするが、先刻も申し上げましたとおり、会議はすべて国会における委員会の議事規則に準拠して行ないます。不規則な発言、拍手や声援等は御遠慮をお願いいたします。 午前の会議において意見陳述者の方々の御陳述は終わりましたので、次いで委員諸君からの質疑の通告がありますので、これを許可いたします。 なお、時間の都合がございますので、委員の方からの質疑も要点的にいたされまして、お答えになる方も簡潔にお願いを申し上げます。 それでは質疑を順次許可いたします。田中榮一君。
○田中(榮)議員 まず私は、最初の浅野総一郎君にちょっとお尋ねと申しまするか、意見を申し上げてみたいと思うのでありまするが、浅野君からのお話によりますと、特定産業振興法の関係をちょっとお述べになったのでありまするが、今度の中小企業というものは、特定産業振興法を成立させるために中小企業法というものを成立させるんだというような、前後したようなお話がございましたが、これは誤解ではないかと思っております。中小企業基本法というのは、もうすでに三、四年前から与党内部におきましてもいろいろ議論がございまして、何とかこれを成立させねばならぬという議が起こっておったのでございまして、最近政府が、これを政府提案として採用していただいたのでありまするが、特定産業振興法というのは、国際競争力を強化するために緊急に立案せねばならなくなった後発的の事由によって起こったのでございますので、多少誤解があるのではないかと思いますので、その点はいかがでございましょうか。
○浅野総一郎君 私は、振興法との関係を申し上げましたのは、前に基本法が流れたときには、政府の見解としては、相当慎重に扱うべきだということで流れたと聞いております。相当慎重にといいますと、相当の時間をかけるというのがまあ常識でございますが、それが今国会に出ましたので、割合比較的短い時間に再び出てきたということから考えますと、ちょうど振興法が出まして、この振興法を考えてみますと、その振興法に関連のある大企業の下請とか協力工場が相当強化されないと振興法の目的が達成できない、そういう意味から、大企業に比較的協力関係にある中小企業を育成しようと——対立関係にあるところと、まあ協力の関係にあるところと、両方あるわけなんですが、区分はできないにしても、一応その協力関係にあるところを育成していこうと、そういうねらいのもとに出たようにまあ感じたわけなんです。といいますのは、大企業と競合関係にあるところを救済するには、どうしても関連法規として不利補正関係の法規が必要なんですが、それが全然出ておりませんし、高度化に関してだけ二、三出ておりますので、そういうことから、何か特定産業振興法の、まあそれを側面から援助するために出てきたんじゃないかと、こういうふうに考えたわけなんです。
○田中(榮)議員 わかりました。今の促進法は全然そういう趣旨ではございませんで、これは特定の産業だけを国際競争力強化のために振興しようとする案でありまして、これは中小企業基本法とは全然別個なものでございまして、しかしながら、促進法の内容、まだ提案になっておりませんが、中小企業、あるいは農山漁村の農業者、漁業者に不利なようなことがあってはならぬというような規定が促進法の中にもうたわれているようでございますから、中小企業のためには、別にこれによって中小企業が圧迫されるということは私はなかろうかと考えております。 それからもう一つ、石橋助司君にちょっとお伺いいたしますが、中小企業の資本金は一億円ぐらいがいいというお話でございますが、これも相当問題になったのでありますが、現在の中小企業としては一億円は少し大き過ぎるんじゃないかという感じがいたしまするが、特に一億円でなくてはならぬという特別な何か理由がございますか、あればちょっと教えていただきたいと思うのでありますが。
○石橋助司君 特に一億円でなければならぬということではございませんのですけれども、五千万円以下であった場合には、中小企業としていろんな施策を施す場合に、まあ金融にいたしましてもいろんな問題で不便を感じますことと、でき得れば一億円ぐらいまでに幅を広げていただいた方が中小企業としては経営しやすいんじゃないかということの理由によって申し上げたわけなんです。
○田中(榮)議員 それからもう一つ、下請代金支払遅延について大へんお困りのようなことについてお話があったのでありますが、これはどの会合に参りましても、下請代金支払いが非常に遅延をしておるというようなお話がございますが、さてしからばどのような工合でという具体的に御質問いたしますと、どこでもみんな「ちょっとそれは申しかねる」ということで、なかなか申していただけないのでありますが、何かどこでも今支払代金が遅延しているようでありますが、何か特別に非常に悪いというような点が、著しい何かたいへんな不利があるというような点がございますれば、それをひとつ知らしていただきたい。どこのどの社とか、そういうことは言わずにですな、こういうようなティピカルな例があるということがありましたらば教えていただきたいと思います。
○石橋助司君 一々ここで名前を申し上げなくても先生方もすでに御承知だろうと思いますし、ここにおられる傍聴者の方でも皆さん御承知なことと思います。一々もう名前をあげるほど少ないのじゃなくて、あげられないほど多いと思います。
○田中(榮)議員 わかりました。よくわかりました。 それでは里井達三良君にちょっとお伺いいたします。中小、特に小規模事業について御意見がございましたが、小規模事業につきましては経営改善指導員の指導がたいへんいいが、これを大いにもっと強化したらいいじゃないかという話がございましたが、この経営改善指導員というものは、ほんとうに皆さん方の目から見て役に立つ、現在の指導員の俸給とか、そういう点からいってあれでいいというお考えでございまするか、何かこれについて、もっとこうしたらいいじゃないかという特別な御意見がございますか。
○里井達三良君 経営指導員は、私ども大阪では、具体的に申しまして、五十人の指導員を商工に分けまして、各地区の工業会がございまして、その工業会の非常な御支持によってその事務所に常勤をいたしております、二名ずつ各区ごと。ところが、この零細小規模企業の数が、御承知のように大阪では十数万、これに対してわずか五十人の指導員を配置して経営の指導に当たるということは、ほんとに九牛の一毛だと思うわけです。ねらいはまあ非常によくて、各個にこういうものを指導するというポイントは私は間違っていないと思いますが、私が先ほど申しましたことは、これ自身の内容がやはりもっと改善されねばならぬということ以上に、小規模対策というものがこういうものだけであってはならないんではないか。もっと税制、金融面において政府の手厚い保護がなくてはならないんじゃないか。そういうことによって、基本法の中でうたっておる近代化、高度化へ小規模自身も近づけるような一つのステップをつくる。それでなければ、基本法の中に小規模の問題をうたうということはあまりに平行的過ぎやしないか。断層を一つ置いて、その上で考えるというふうな立場を申し上げたことでございまして、指導員自体の問題につきましては、はなはだ不十分であるというふうに考えております。
○田中(榮)議員 わかりました。 それからもう一つ、田中俊介君にちょっとお伺いいたしますが、現在、生協で組合員のためにいろいろ便宜をはからって、生活必需品を割合に安く配給していただいていることは、これはもう消費者として非常に私は恩典だと思っております。ただ、最近いろいろ各方面からの声としまして、生協が、ある一定の許されたる範囲のアウトサイド——員外販売というものは、これは許されている範囲においては差しつかえないんだけれども、それ以上に生協があまりに活発に活動されますと、いわゆる小規模事業者、小売商人等が非常に迷惑をこうむるということをわれわれは聞いておるんですが、これはまあ生協だけではなくて、農協もそうでありますが、そういう点ほどのように自制をされておるんでございましょうか、それちょっとお伺いしたいと思っておりますが……。
○田中俊介君 私の申し上げたいのは、この中小企業基本法ができまして物価が高くなるようなことは絶対に困るんです。この法律ができまして、業者が勉強されまして値段を下げて消費者の生活が安定するということになるならば非常にしあわせだと、こういうふうに思うんでございます。そういう点につきまして、今の私どもの方のやっておりまする具体的の例を申し上げますると、たとえば書籍、雑誌でございますね。これを扱うにつきましては、私どもが扱いましてから、いわゆる書籍、雑誌業者の相当の抵抗があるんだというふうになりますと、業界が今度中小企業基本法によりまして団結をして、アウトサイダーには卸しをしない、あるいは営業の許可をしないというふうになりますと、この消費者団体が今度雑誌や書籍のような文化的の品物を新しく扱うということができなくなります。私どもは、こういうような文化的のものを広く組合員に配付するのが、社会福祉の上からいいましても、また組合の本質からいっても、必要なことだと思うんです。そういうようなことのないように、今後におきまする運営にあたって、格段の御配慮を願いたいと思うんです。 それからもう一つ、今の員外販売のお話でございますが、私どもは、この生活協同組合というものは、組合員の出資によりまして組合を結成しております。その組合員の福利をはかるために団結をしておるんでございます。それを、もし生協が自発的に積極的に組合員以外に販売をするということをいたしましたならば、組合の組織はくずれてしまうんです。組合の自殺行為になるんです。でございますから、生活協同組合が積極的に員外販売をするということは絶対にないんです。それの証拠には、私どもの組合の店の中に、店の中にも、店の外にも、「組合員以外の販売はお断わりします」ということを表示しております。お買いものは全部組合員に限りますというふうに言っているわけです。ですから、員外販売を積極的にやるというようなことは、これは生協の本質上あり得ないことですね。生活協同組合は、組合員を包容しまして、その人方から出資金をもらっておるんです。その出資金を出さない人にも同じような均霑をいたしましたならば、生協はもう組織上成り立たないわけですね。
○田中(榮)議員 わかりました。 最後に森本さんにちょっとお伺いいたしますが、三月の十九日に東京で大会が行なわれまして、そのとき私もたぶんちょっと出席したと思っておりますが、そのときの空気としては、現在の政府提案の中小企業法案、それを一日も早く成立さしてくれと、こういうことでございましたが、それとも何かほかの決議でございましたか、その点ちょっとお伺いしてみたいと思います。
○森本喜一君 この三月十九日に東京の九段会館で開きましたのは、中小企業基本法の要求貫徹大会でございまして、その大会で、八団体が共催で、そうして政府提案の中小企業基本法に対する六項目の修正を満場一致で決議いたしまして、そしてそれぞれ政府なり関係方面に委員が陳情に参ったはずでございます。
○座長(逢澤議員) 田中武夫君。
○田中(武)議員 私も二、三の方から御意見を承りたいと思うんですが、まず最初に浅野さんにお伺いします。浅野さんは、中小企業と大企業との関係、これについてだいぶん強調していられましたが、その中におきまして、大企業と中小企業との間に起こるところの紛争の処理、これについてどのようにしたらいいかお考えになっておりますか。 なお続けます。政府案及び民社案には「あつせん」というようなことがありますが、わが党は第八章一章を置きまして、六十一条から六十三条の部をもちまして、中小企業紛争調整委員会、こういうものを考えておるんですが、そういうことについてもひとつ御意見を伺いたいと思います。
○浅野総一郎君 大企業と中小企業との紛争の起こった場合にどういう方法があるかという御質問なんですが、私としては、実際は方法がないと思うんです。といいますのは、われわれの経験する範囲からしましたら、たいていの場合まあ大企業の力に押されてしまいまして、たとえば先ほど石橋さんからもお話がありました下請代金の遅延防止にしましても、まあ六十日というようなものは空文にひとしくて、私の方でも、現実にもらう手形に六十日以内というようなものは一枚もないわけでございます。そこで、社会党案のようにもし実行ができましたら実際ありがたいんですが、しかし、どなたも御存じと思いますが、こういう問題で大企業がほんとうに動きますと、たいていの場合われわれの方の負けになるので、まあ方法がないというか、まあ政府の努力を待ちたいという以外に意見はございません。
○田中(武)議員 質問じゃないんです。申し上げますが、こういうことができればありがたいと、こうおっしゃったわけですが、われわれは、労働争議における労働委員会のような制度を考えて、中小企業紛争調整委員会を考えておりますので、できればありがたいんじゃなしに、できるように、あなた方のほうからも声をあげてもらいたい、こう思っております。 次に、里井さんにお伺いいたしたいんですが、実はきのう商工委員会におきましても、中小企業基本法についての今後政府が考えている関連法を明らかにせよと、こういうようにわれわれから迫りまして、まだ政府のほうでは今出しておる程度のほかは公表できない段階のようなんです。そこで、あなたは、関連法の整備強化が必要であると、こうおっしゃったんですが、どういうような法律、あるいはどういうように法律を変えるべきであるかというような御意見がございましたら、一、二申し述べてもらいたいと思います。 それからもう一つですが、この小規模事業、俗に言う零細企業、わが社会党案で言うならば勤労事業でございますが、呼び方はいずれにいたしましても、このような企業に対する対策は別に定むべきであると、こういったような御発言があったと思うんですが、私たちは、社会党の基本法の中に、いわゆる勤労事業、零細事業の対策を考えておるんですが、その点についても御意見がありましたら伺いたいと思います。
○里井達三良君 関連法案の整備が必要だと申しましたことに対しまして、具体的にどういうことを考えているかというお話でございますが、目下のところは、先ほど申しましたような精神で、各条項ごとに妥当な関連法案ができることを期待している程度でございまして、特別に現在政府で考えております以外のものにつきましては、はっきりした形では私どもはまだ考えておりません。また、小規模の問題につきましては、現在のいわゆる小規模対策を基本法の中から切り離してというふうには私は申し上げたつもりはないんでございまして、やはり小規模企業といえども、基本法の精神の中で生きていけるようなレベル・アップをやるべきである、そのためには、現在の中小企業に対して基本法が求めているような高度化のスピードというものは小規模には非常に無理であるから、小規模対策をもう少し経済政策として確立できるような線まで上げる必要があるということでなくて、経済政策としての小規模対策というものをもう少し高度化に近づけるまでの限度において助成をしていく必要があるんじゃないか、さういうふうに考えているわけです。それで、具体的に申しますと、今商工会法で行なわれているようなもの以外に、やはりたとえば金融対策にいたしますと、国民金融公庫の貸し出しは、むしろもう二十人以下、五人以下の小規模に限定してこれを行なうべきである、そうすることによって、中小企業のワクが拡大したために、小規模、零細にしわ寄せが——資金の面でしわ寄せがくるのを防ぐことの一助にもなるではないか、しかもやはり専門金融機関として国民金融公庫のようなものを専門的に小規模に用いたらどうだろうか、こういうことを私見として考えておるわけです。
○田中(武)議員 大体われわれの考えているところとあまり変わりないと思うんですが、この政府案を見たときに、一番われわれがやっぱり指摘しておるのは、基本法だけではよくわからない、基本法に基づいて今後どういう法律をつくり、どういう法律をどう変えていくのかということがはっきりしないといけないと、そういうようにわれわれは指摘しておるわけなんです。 それから、いわゆる零細企業に対しましては、たとえばわが党案の四十九条の二項、これは零細企業に対する金融についての資金の別ワクを定める、あるいは五十四条で、税金の面において、勤労事業については基礎控除等を勤労所得のように考えていくんだと、まあこういうような規定を持っておるんですが、そういう点について特に何かございましたらお伺いいたします。
○里井達三良君 別にございません。
○田中(武)議員 次に、竹内さんにお伺いいたしますが、竹内さんは政府案にまあ賛成、こういうことで三点をあげられたわけなんです。そのうちの第二点で、格差是正をされるのがうたわれているから、それで賛成だと、こういうようにおっしゃったんですが、この政府案で格差是正の具体的な施策がどっか出ておるでしょうか。 なお、もう一点続けて申し上げます。もう一つは、中小企業基本法は経済政策的なものであって、いわゆる零細勤労事業に対する社会政策的なものは別に置くべきじゃないかと、こういうような御意見でありましたが、かりにそのまま受け取るならば、中小企業という中に、零細企業は別のものであると、こういうお考えであるのか、そらとも、やはり中小企業の中にいわゆる零細企業もあるということならば、その基本法である限り、零細企業、勤労事業についての規定を持たねばならぬと思いますが、そういうような点でいかがでしょうか。
○竹内正己君 お答えいたします。 最初の、政府案に出ております格差是正が実際的な方法にかなっておると申しましたのは、実は一つは、格差が一番現在開いておりますところは、実は非常に大きな企業とその次の層でございまして、その結節点になる中堅企業の育成というのが一つのきめ手になるという点で申し上げたわけでございます。これは基本法の本文にはうたわれてはおりませんが、関連法規では、近代化促進法なり、あるいは投資育成会社なり、大体ねらっております層というのがその辺にまあ出てくる。と同時に、規模の拡大という中にやはりその思想が入っておるものと存ずるわけでございます。いわゆる五千万円、あるいは三百人の線に上げたということに、やはりそこにまあ中堅的なものを育成しようという思想が強く出ておると思われますのと、それから同時に、現実に動いております中小企業の技術振興のあとをたどりました場合に、やはり技術の進歩が段階的に入っておるという点を考えますれば、最も有効に入り、そして上との差を縮め、下を引き上げる結節点になる層というものを、これは必ずしも中規模とは規定いたしませんが、それぞれの業種において見出す、そういったことが一応近代化促進法の中でかなりはっきりと述べられておるんじゃなかろうかと、まあこういうように考える次第でございます。 それから第二番目の、小、零細層を別に考えるのかどうかというお話でございますが、実は政府案にいいます小企業の二十人あるいは五人以下、あるいは社会党案にいいます十人あるいは五人以下、あるいは民社党案にいいます九人あるいは二人以下、その中に含まれておる業者の数がどれだけあるかと申しますと、あよそ四百万ございます。国勢調査と、それから事業所調査、その間に、業主ではあるが事業所を持たないというのが百万ございます。それから、事業所統計の中で、事業所はあるが従業者が一人もないというのが二百万ございます。そうしますと、およそ各案で考えております小規模事業者あるいは勤労事業者といわれているものは、おそらく一人でも従業者があるものじゃなかろうか。とすれば、いわゆるこの小、零細層といわれる中でも、おそらく三分の一以下も救われない。とすれば、やはり小規模事業、そういったものは、もしできるならば、事業対策として拾えるものは小規模として拾い上げるといたしましても、それ以下に漏れるものが非常に多いということを考えますれば、やはりそこには、たとえば家内労働法なり、あるいは社会保障なりの充実がなければ、基本法の中で業者を全部ひっくるめまして、およそ五千万円から、あるいは二、三千万円から、一人も従業者がない、事業所もないというものをひっくるめました一つの法案というのは無理があるんじゃなかろうか、むしろ経済政策として筋を通して、社会政策の裏づけを別途考えるという方が有効じゃないかと思う次第でございます。
○田中(武)議員 この格差是正の問題につきまして、いわゆる大企業と中企業と申しますか、これの間の格差是正ということになりますと、小の方がよけい格差が広がってくると思うんです。その点と、それから私たちもこの基本法でこまかい規定をすべて持とうと思っておりませんが、やはり中小企業政策の中に社会政策的なもの、社会保障的なものも必要であるということを宣言しているわけなんで、それに従ってやはり関連法規を整備していく、そういう考えであることだけを申し上げておきます。 それからもう一つ、中小企業庁を強化しなくちゃいけないと、こういう意見はわれわれも同感なんですが、まあ省までいかなくとも、拡大する、こういう御発言のようだったんですが、何か省でなくって、いい方法がありますか。
○竹内正己君 お答えいたします。 まあ中小企業の中の層を伸ばせば中小企業内部の格差が開くんじゃないかという最初の御質問だったと思うんでございますが、実は現実に動いております統計で調べます限りでは、中小企業内部の格差は縮まっておるのでございます。そして、むしろ非常に開きつつありますのは、大きい層とその次の層。で、おそらくまあ結節点を中心にして考えますれば、大体あとの層は上がりやすい——底上げはもちろんせねばいかぬのでございますが、という意味で、まず当面問題になる層、そこに重点が置かれるというのは、現実の問題としては是認されていいんじゃないかという意味でございます。 それから、あとの、まあ省とまではいかなくともと申し上げましたのは、実は私、この点につきまして自信はございません。省であることができればなおけっこうと思います。その点では行政上のなには知りませんので、ただ申し上げたい点は、実は中小企業省としてできましただけじゃなくして、地方の自治体における窓口の問題、これとも関連して十分御考慮をお願いしたいと思う次第でございます。
○田中(武)議員 そこでですね、いわゆる中小企業政策の中に社会政策も必要だということはお考えなんですね。
○竹内正己君 はい、考えております。
○田中(武)議員 はい、どうもありがとうございます。 次に、比嘉さんにお伺いしますが、比嘉さんは政府案にまあ賛成、こうおっしゃいまして、若干の希望をつけられたわけなんであります。その言われておるたとえば金融の問題について、一定割合の資金の確保とか、あるいは中小企業の専門化、こういうことを希望意見に述べられましたが、そのことはわが社会党案に全部あるのでございます。それを申し上げますとともに、定義に触れられましたが、あなたは政府案の定義がいいと、こういうふうにおっしゃいましたですが、政府案の定義でいきますと、五千万円並びに三百人となっておりまして、三百人以下の従業員であるならば、優に十億の資本があっても中小企業だという解釈になるんですが、それでよろしいでしょうか。
○座長(逢澤議員) 比嘉君。——速記をとる関係がございますから、逐次座長の許可を得て御発言をお願いいたします。比嘉君。
○比嘉正子君 政府案の、五千万円以下、それから三百人以下の会社及び個人であって、と書いてありますね。これだったら、三百人以下ということになると、以下だと、やっぱり十人も以下でしてね、五人も以下でしょう、従業員の数。それ以上となると困りますけれども、それ以下だったら、五人でも十人でもこの中に入るということに解釈したわけなんです。それから、資本額または出資の総額が一千万円以下の会社、それから五十人以下の会社及び個人とありますから、まあ上だけの線をきめておいて、下は零細の業者までも浸透するというふうに解釈できるわけなんです。それで私は、これはいいんじゃないかと思ったんです。それで、なぜと申しますと、やっぱり私たち、一万円の意見も出ていましたんですけれども——最高一億円、一億円の意見も出ていたんですけれども、実際面として、一億円あれば救えるものを、五千万円にしぼったために、中途はんぱなことになっちゃって伸びられないという実情があるわけなんです。五千万円投資すればちゃんとなるものを、あるいは三千万円のために、あとわずか二千万円借りられないために、ちゃんと計画通り近代化できないということが実際的にあるわけなんです。ですから、私、これが零細者を押えるあれだったら反対ですけれども、これは下の方まで浸透性があるように書いてあるものですから、これに賛成したわけなんです。
○田中(武)議員 三百人とか、五千万円とか三千万円についておっしゃっておるんです。で、これは、五千万円であろうが、三千万円であろうが、これは数の問題なんです。私がお伺いしておりますのは、あなたは政府案に定義は賛成だとおっしゃったが、政府案と社会党案は——数字と違うんです。「並びに」というのと、「かつ」というのがあるんです。そこで、政府案に賛成なされるならば、五千万円並びに三百人ですから、どちらか一方がかかっておれば中小企業ということになるんです。そういたしますと、今申しましたように、三百人以下であるならば、資本金が十億でもいい。御承知のようにオートメーション化いたしました今日では、三百人ぐらいで優に業界を左右するような企業もあり得ると考えるんですが、その「並びに」ということとですね、それから「かつ」という点についてお伺いいたしたいと思うんです。
○比嘉正子君 「並びに」「かつ」とか、「また」という字の解釈の仕方ですか。
○田中(武)議員 いやいや、あなたは定義は政府案のやつを賛成されたんですよ。そうすると「並びに」になるわけですよ。それで、「並びに」でいいんですかと聞いてるわけです。
○比嘉正子君 「五千万円以下の会社並びに常時使用する……」——それでいいじゃないんですか。資本金の上をきめて、また従業員の上をきめて、両方きめてあるからいいじゃないですか。
○田中(武)議員 あのね、もう質問をやめますが、あなたの考えは社会党の「かつ」なんです。
○比嘉正子君 社会党の「かつ」ですか。
○田中(武)議員 ええ「かつ」。政府案の「並びに」というのは、どちらか一方あればいいということなんです。従って、あなたがおっしゃるように、五千万円できめ、三百人できめとるからいいんじゃないんです。どちらかが当てはまれば中小企業になるわけですよ。
○比嘉正子君 両方なくちゃいけないんでしょう、この場合はね。
○田中(武)議員 両方というのが、社会党の「かつ」がそうなんです。だから、あなたの御理解ならば、三千万円とか五千万円は別として、ともかく社会党の「かつ」ということに賛成をせられたと了承いたします。 次に、森本さんでございますが、私、これは森本さんに意見を聞くというよりか、誤解を解くということも含めて申し上げたいと思います。それは、あなたは、労働問題で労働委員会があるごとくと、こうおっしゃったわけなんです。ちょうど私たちもその考え方で、わが党の、中小企業紛争調整委員会、こういうのを置いたわけなんです。従って、あなたのおっしゃったような御意見、すなわち労働問題に対する労働委員会のごときものは、わが党の六十二条で中小企業紛争調整委員会というのをつくっておる、つくるようにしておるということを申し上げたいと思います。 それから、組織について、社会党のように協同組合一本ではいけない、地域別、あるいは産業別等々がある、こういうことなんです。われわれといたしましても、地域別、産業別、それぞれ必要であることはわかっております。その地域別、産業別を協同組合方式でやるんだと、こういうのがわれわれの考え方であることを申し上げておきます。 それから次に、わが党案の十九条に関連しているだろうと思いますが、なぜ事業分野の確保について商業をはずしたのかと。おそらく十九条で「中小企業者の事業分野の確保を図るため製造業、建設業及びサービス業に属する事業のうち、」と、こういうふうにうたっておって、商業をうたっていないからそうおっしゃったのではないかと思うんです。しかし、事業分野という問題につきましては、いわゆるこれらと商業とは若干違うと思うんです。われわれが商業において事業分野というならば、結局製造業と、卸、小売り屋の問題だと思うんです。そういうことにつきましては、わが党案には三十九条以下に規定をしております。ことに四十条「商品の流通秩序の維持」というところで明確にいたしておりますので、この点御了解を得たいと、このように思うわけですが、何か御意見がありましたらお承りいたします。
○森本喜一君 ただいまおっしゃいましたこの中小企業の組織の問題でございましたが、産業別、いろいろ出てはおりましたが、大体私どもの解釈は、協同組合一本にというように大体私はまあ解釈したので、それでわれわれの実態はそれに合わないと、かように思って指摘したわけでございます。 それから、ただいまお聞きいたしました、労働委員会があるようにということは、現在の大体中小企業関係の実態から見まして、そうして先ほど申し上げましたような実際いろいろの大きな問題に直面しておる中小企業関係が、あらゆる方面から実際大きな問題がかぶさってきておる、それにもかかわらず、第十九条ではどうも弱い、そういう解決ができない、だから、ひとつ労働紛争における労働委員会のように、すぐにわれわれのそういう問題を取り上げて処理していただけるような行政措置を講じてもらいたいと、こういうことをまあ要望したわけでございます。
○田中(武)議員 組織の問題については、地域的、産業別、いろいろありますが、その形態を協同組合とわれわれはいっているのでありまして、その点御理解願いたいと思う。 それと、もう一ついっているのは、十九条ではなくて、社会党案六十二条で、中小企業調整委員会というものを設けることにしているんです。これが私実はこれの立案者でありますが、労働問題に対する労働委員会のごときというのは、まさにあなたの御意見の通りのものをここへ入れているので、御了解願いたいと思います。 最後に村上さんでございますが、これは当基本法とは直接関係はないかと思いますが、しかし、中小企業政策で大きな問題であろうと思いますのでお伺いいたしますが、先日の集中豪雨で兵庫県の北部はたいへん被害を受けた。ことにあなたの組合の傘下のいろいろの事業所においては、浸水のために機械等も水びたしになってしまって使えない、こういうようなことがあったと聞いておりますが、簡単でよろしいですから、その被害状況と要望があれば言っていただきたいと思います。
○村上允常君 お答え申し上げます。 兵庫県の西脇を中心とした播州織りは、わが国の輸出産業織物の八五%を生産しております大きな全国一の産地でございますが、織布工場の数が千三十六工場、染色工場の数が二十八工場、織物整理加工する工場が十二工場でございまして、織機の台数は二万三千台、従業員数は約三万人でございます。年間の生産数量は三億ヤールでございまして、外貨三百億を獲得しているわけであります。この産地に、六月四日の払暁から、西脇市、多加郡、加西郡及び加東郡の一円にわたって襲いました集中豪雨によりまして、当地の播州織り業界並びに商工業者は、いまだかつてない壊滅的な被害を受けました。当地では直ちに、このたびの予期しない水害による必然的に生ずる諸問題を解決するために、鋭意その対策を講じておるのであります。しかしながら、何分にも被害地の一部には交通の途絶などあるため、現在に至るも被害状況を把握できないこともありますが、きのう七日正午までに判明いたしましただけでも想像に絶するものがありまして、とうてい私たちの力では復元できるものではございません。つきましては、国及び県当局におかれましても、当地の窮状を御賢察くださいまして、何とぞ特別の御措置、格別の御配慮を賜わりますよう要望する次第でございます。 糸染め工場二十八工場あるうちに、浸水工場が八工場でございまして、原糸及び製品の損害額が二千八百三十九万円、いろいろ染料やその他合計いたしまして、被害額は染色関係で七千百八十三万円でございます。織布工場千三十六工場のうちで、織機二万三千台ございますが、浸水工場は二百三十四工場でございまして、織機の浸水したのが五千九百十台、まあ作業不能による損失、大体前後平均いたしまして十日間のやはり休業を見なけりゃなりませんので、この被害総額は七億一千五百六十三万九千円ということでございます。それから、整理加工工場十二工場のうち、浸水工場数が四工場でございまして、その被害総額は一億二千二百七十九万円、その他商社関係三十二社ございまして、いろいろ損害負担がかかりますので、その損失千六百万円ぐらいでございまして、被害の総額は九億二千六百二十六万六千円というようなことでございます。その他、家屋の流失が西脇市だけでも三戸、これは多可郡、加西郡、加東郡を合わせますと、約これの三倍ぐらいな倒壊、流失家屋になると思います。店舗で、浸水店舗が二百九十店舗でございまして、平均十万円ぐらいな損失でございまして二千九百万円、床下浸水店舗が三百五十店で、平均二万円ぐらいで三千六百万円ということで、その他農作物の被害、死者が二名ございまして、非常にまあ苗代の浸水、それから田畑の流失等、まだ全部調査も、連絡もできておりませんが、相当かつてない大きな被害があったわけなんです。そして西脇市から以北の十三の木橋が全部流れまして、西脇市の中心の豊川橋にその木材が全部ひっかかりまして、それがせきになったような状態で、加工場なり染色工場、民家へ浸水いたしまして、非常に大きな損害をこうむっておるわけでございます。 それにつきましてお願いいたしたいことは、災害のために生ずる製品納期の遅延などによるキャンセル及びクレーム問題に関しましては、紡績商社との交渉段階において被害地へのしわ寄せがさらに大きくならないよう、側面より御協力をお願いいたしたい。二の問題は、災害復旧資金として、長期にしてかつ低利な融資あっせん措置をすみやかに講じていただきたい。三の問題は、中小企業振興資金、設備近代化及び共同施設の償還免除等、延期措置をすみやかに講じていただきたい。罹災事業場に対する税の減免措置をすみやかに講じていただきたい。 以上いろいろ申し上げましたが、こういうような状態でございます。よろしくお願いいたします。
○田中(武)議員 これで質問を終わりますが、この際ひとつ議事進行としてお願いいたします。ただいまの被害の御報告に対して、団長からちょっとごあいさつ願いたいと思います。
○座長(逢澤議員) ただいま兵庫県の一部に先般来の豪雨による被害状況の報告を受けまして、私ども今回御地に伺っておる一団としまして、衷心お見舞いを申し上げます。 御承知のように、今回の長雨に対しては関西方面が主として中心的の被害を受けております。従って、国会におきましても、政府を鞭撻しまして、特に麦の被害に対しては即刻調査団を派遣をいたしまして、昨日からきょうにかけて各地に派遣をいたして、そうして被害状況を調査いたしまして、それぞれの応急措置を講じ、かつ将来に対しての措置も講ずることにいたしております。 中小企業の被害に対しましてはまだそうしたことを聞いておりませんが、きょうは幸いにして大阪通産局長並びにその関係者も来ております。それから、政府の方も、通産省のほうからも来ておりますので、私ども帰りまして、もしそういうような対策をやっておらぬとしますると、それぞれの措置を講じたいと思います。心からお見舞いを申し上げます。
○村上允常君 どうもありがとうございます。
○座長(逢澤議員) 次に正示委員のほうから……。
○正示議員 それでは私からお尋ねを申し上げます。まず十人の陳述者の皆さま方から、法案の内容——三つの法案の内容、あるいは関連法規運用の面において若干のいろいろの御注文があったようでございますが、ただ、中小企業基本法を早期に成立させることについては、一様に御希望が強かった、かように拝聴いたしたわけでありまして、この点、関係者として衷心から感謝を申し上げております。 それから、ただいま田中武夫委員から比嘉正子さんとの間に問答がございまして、社会党が「かつ」という、ちょっとこうだいぶん違うんでありますが、そういうふうな言葉がありましたから、ちょっと私もふえんいたしておきます。比嘉さんに申し上げますが、現在の中小企業金融公庫法その他、中小企業のいわゆる定義というのがあるわけであります。これを御参考に申し上げますと、「資本の額又は出資の総額一千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人」、こういうことで今日まで中小企業の範囲というものが行なわれてきておるわけであります。これを時勢に合わせまして出資の額を五千万円と、こういうふうに上げたのが今度の政府案でございます。この点はよろしく御理解をいただきまして、どちらが勝つということじゃございませんが、ぜひとも早期に成立するがごとく(「何言ってるんだよ、質問せぬか質問を」と呼ぶ者あり)ということをつけ加えて申し上げておきます。——不規則なる発言は御遠慮願い上げます。 次に、国際的な視野、あるいは中小企業と大企業との協力関係、あるいは経済政策的立場においてと、各陳述者の方々の中には若干ニュアンスが違っておりましたが、こういう見地において中小企業基本法案の成立に賛成される御意見が多数を占めたように拝聴いたします。 そこで、実はこの点をひとつ私はまず第一に竹内先生にお尋ねをいたしたいのであります。先ほども田中武夫委員との間に問答がございましたが、まず田中榮一先生からもお話がありましたが、国際競争力の強化、これはまあ特定産業振興法という名前で出ておりますが、ねらうところは国際競争力の強化である、こういうことでいま一つの法案が審議されておることは申し上げるまでもございませんが、この国際的視野、こういう見地に立つときに、この点をまず竹内先生に伺いたいんですが、これまでの独禁法というものの根本を守っていくことについては、これは何ら異議はないのであります。しかしながら、日本が徳川三百年の鎖国を解いて、黒船が日本に訪れ、日本の社会が上から下まで大混乱を起こした当時において、いわゆる全国にわたった藩が解消いたしまして日本国家というものが結成されたことは、いまさら申し上げるまでもない。ここにおいて日本の産業が国際競争に打ち勝つために、大中小を問わず、あるいは生産者、労働者、経営者、消費者を問わず、とにかくそれぞれの立場を団結しつつ強めていくけれども、しかし、外に向かっては協調していくんである、協力していくんであるという考え方が、私は、いまわれわれの行ないつつある立法の骨子であろうと思うのであります。そこで、まず第一に伺いたいのは、そういう見地に立ちまして、この国際競争力の強化法、すなわちこれは国際競争に打ち勝つために日本産業全体の体質を改善せんがために必要なる最小限度のことはやらなきゃいかぬ、また、独禁法に対しましても、若干のそういう必要に応じた解釈、運用ということを考えていかなきゃならぬという見地に対しまして、竹内先生はどういうふうにお考えであるか、まず第一点をお伺いする次第であります。
○竹内正己君 実は基本法が本来立っておる根本の精神は、私は独禁法の精神だと思います。それがなければ基本法の権威が守れないという点では、まあ絶対に譲りたくないわけでございます。さっきおっしゃいました国際競争力の強化というために、独禁法を自主的に緩和し、あるいは適用を除外するというような形でもし進むとすれば、かりに中小企業側でいかに組織を強化してやってみましても、カルテル対、対抗カルテルという関係ができまして、むしろ結果は好ましくないんじゃなかろうか。で、国際競争力の強化という場合にまず考えなきゃならない点は、いままでの封鎖体制のもとででき上がった産業構造をそのまま維持していくということがはたして可能かどうか。むしろ新しい国際分業の観点に立って、根本的に考え直すという点からまず考えていただきたい。そのもとでどうしても独禁法を緩知せんけりゃならないという点があるならば、これはやむを得ないと思うのでございますが、まず産業のいまのあり方がいいかどうか。これはおそらくいままでは封鎖体制のもとで、為替管理のもとで、そしていろんな援助のもとで行なわれましたから成り立った産業も多いと思うのでございますが、今後おそらくそのままの形で伸ばすということになれば、その無理が必然的に重なって、そしてこれが穴あけをせんならぬという口実ができるとすれば、これはゆゆしいことじゃないかと思う次第でございます。そういう意味でやはり独禁法の精神は基本的には守っていただきたい、それを前提にして成り立つと申し上げたわけでございます。
○正示議員 わかりました。 次に、従来とかく自由民主党は労組に弱い、大企業の労組というものには自由民主党はもう全然歯が立たぬというふうなことが言われておるんですが、最近の自由民主党はこれに非常に深く反省をいたし、労働組合の立場、特に先ほど来、これは比嘉さんなり田中さんからもたいへんその点を強調されたわけでございますが、私は生産者、労働者、経営者は同時に消費者である——立場を変えれば消費者である。この消費者の立場を強く守っていくということを度外視しては新しい経済の運営はできないということが、最近のわれわれが体験で教えられた物価問題、賃金問題その他からくるところの結論であろうと思うのであります。そこで、これも対立関係においてこれを把握いたしますると、どうも中共式になるのであります。しかし、ソ連はだんだんと、フルシチョフの最近の発言を見ましても、もはやそういうふうな固定した概念社会主義というものはもうオブソリートである、したがって、新しい見地において社会主義というものも考え直すというところへ来つつあると、まあかようにわれわれは認識し、それと同じ意味において、日本でも、今の消費者、生産者、労働者、経営者、この関係というものを、対立した闘争関係において把握するんじゃなくて、相協力する、利害の究極においては一致するところの関係において把握していかなきゃならぬ。こういうふうな見地に立ってお尋ねをいたしたいのでありますが、先ほど浅野さん、あるいは里井さんから、また竹内さんからも、藤田先生からもお話があったのでありますが、特に小規模の零細企業等につきまして、税制上、あるいは金融上の特別規定を設けて若干いわゆる社会政策的な色彩を持ったようなことを考える必要があるんじゃないか、まあこういう御提案、私は非常にこれは傾聴すべきものだと思います。ただこれを中小企業基本法という経済立法の中に織り込めというところに、非常にこれはむずかしい問題があるのでありまして、この点、社会党の方々とわれわれ若干見解を異にします。ところが、私はこの租税特別措置法というふうなものの中にそういう考え方を入れることは、これはできると思うのであります。またこれを考えていかなきゃならぬと思うのでありますが、同時に、ここでひとつ、皆さまがどなたもおっしゃらなかった問題を私は尋ねたい。で、このお答えを里井さんからいただきたいと思うんですが、皆さん、大企業が今日賃上げ賃上げと言って春闘をやり、あるいは年末闘争をやります。あるいはお盆の闘争というようなことにもなるのでありましょうが、私は、大企業においてこの関係、いわゆる労使の対立関係を簡単に解消するということはむずかしいと思いますが、中小企業、特に零細企業においては、たとえば従業員は同時に経営者であるということ、これをもう少し具体的に言うならば、みんなが株主になるということ、こういうことは私は企業の規模が小さければ小さいほどやりいいと思うんです。そして、そういうことに対応して税制も考えるというようなこともできると思うんですが、そういう御意見が、まあ浅野さんからも税制についてはございました。内部留保に対して特別の免税を考えて、配当制限ということをあわしてやるべきであるというような御意見があったように思いますが、里井さん、経営者と労働者を対立するような形における現在のやり方というものをですよ、労働者は同時にその会社の株主であるという形においてだ、経営者であるという形においてやっていくということをお考えになっておられませんかどうか、ちょっと伺いたいと思います。
○里井達三良君 たいへんむずかしい御質問をいただきましたが、小規模企業の特徴というものは、ただいま正示先生からお話になりましたように非常に同族的な形態をとっている、そのこと自体はとりもなおさず経営者が同時に従業員であるということだと思います。したがって、そういう面ではすでに経営者が従業員であるという形が現在の小規模企業の指導的な形であるというふうに考える。ところが、この点自体にやはり問題があると私は考える。やはり企業の経営におきましては、経営者と、それに従事するところの労働者、こういうものが互いに同じ土俵の中で相撲を取るという形において、あるいは対立し、あるいは協調するというのが資本主義の精神ではないかと思います。したがって、同族会社の形において小規模事業を固定さしておくということにつきましては、私はむしろ逆の考え方をしているわけであります。近代経営となるような助成策を講じ、むしろ経営者と労働者を分離できるような形で小規模の事業を高めていくという政策をとることの方が妥当ではないかと——先生の御意見と若干違いまするけれども、そういうふうに私は理解をしてるわけです。
○正示議員 ちょっと私の発言に誤解があるようでございます。私は決して現状維持とか逆行とかという意味じゃなくて、労働者、経営者、あるいは労使といいますか、そういうものが今日鋭く対立するという関係だけじゃなくて、お互いに対立し、協調すると言われた、そこのとこだ。その協調するということを具体的にやっていく一つの方法としてですね、たとえば六千円、五千円の賃上げをするという要求を出すような場合に、それだけりっぱな企業ならばだ、その企業の株をみんなで持つということも考えられるんじゃないか。先ほど比嘉さんが、預金の大衆化と言いましたか、民主化と言いましたか、そういうことで証券民主化ということをいまやっておることは御承知のとおりでございますが、そういう考え方を新しく入れていくことが、これからの新しい労使協力関係の企業の内部の姿になっていくんじゃないか。むろんこれは、経営者はどこまでも経営者の責任があり、労働者は責任を持つことは、これは当然でありますけれども、そこに利害共通的な面もあるのじゃないかという意味で申し上げた。——比嘉さんが何か御意見があるようでございますから、お答えをいただきたいと思います。
○比嘉正子君 中小企業の置かれている立場というのは、片っ方では非常に経営が苦しいわけなんですね。資金面やいろいろの面で苦しい。片っ方では労働組合の波に乗って労働攻勢があるわけなんです。その中小企業の労働攻勢なるものが、大資本の労働者と同じようなケースで来るわけなんです。そこに中小企業の苦悶するところがあるわけなんですね。救われない状態があるわけです。で、私考えますには、やはり対立関係じゃなくして、労働組合がもう少し、賃上げ闘争だけじゃなくして、経営のことも、それから品質をよくすることも、いわゆるそういう点までも労働組合の運動のテーマに入れたら非常におもしろいなあと思うんです。賃上げというよりは、むしろ自分たちも株主になって経営に参加する、自分のつとめている会社の株を獲得する。そういうような行き方もあるのじゃないかと思うのです。だから、対立の形で私は日本の産業というものはよくならぬのじゃないかと思うんですね。賃上げと、それから物価高とイタチごっこしてるような状態だったら、いつまでたってもよくならぬ。協調の上において、共存共栄の上において、やっぱし持ちつ持たれつやった方がいいんじゃないかと思うんです。
○正示議員 ありがとうございます。 もう一つ、藤田先生に最後にお伺いいたします。先ほど里井さんから通産省の中に商務局を置くというふうなことも考えるべきじゃないかという御意見があった。で、まさに消費者行政、流通機構についての行政というものがただいま欠けておる一つの大きなウイーク・ポイントだと思います。そこでこれを充実していかなければならぬのでありますが、しかし、単に流通機構といいましても、御承知のように通産省だけの問題じゃございません。農林省もございますし、先ほど来、田中さんや、また森本さん等のお話のように、非常に複雑であります。そこでまあ流通機構の面を整備しつつあるわけでございますが、これも各省にまたがっております。しかし、一番欠けておるのは、消費者の立場を——まあ中小企業が同時に消費者であるということを今申し上げたわけでありますが、そういう意味から、たとえば生活局というふうなものをつくらなきゃならぬというふうな考えもありまして、今日これを経済企画庁が御承知のようにやっておりますが、それについて藤田先生は流通機構と消費者行政をあわせてですね、何か先生としてのお考えがあったら伺いたいと思います。
○藤田敬三君 私は専門は工業政策、あるいは工業経営をやっとるもんですけれども、同時にやはりただいま御指摘のような面について興味を持っております。その中で特に従来感じておりましたことは、やはり流通の面における政策が従来ともに非常に弱かったという点が、これは現在でもやはり流通革命とかいいながら、政府自体のいろんなそれに対応する機構は十分にできておるものではないと思うのであります。それは同時にですね、消費者の利害に直接結びつくわけでありますから、まず商業、広い意味の流通の対策を早く立てるような機構を、政府のこのたびのような中小企業基本法あたりでやはり商業の面が非常に弱いというようなことが批判されましたのを機会に、ひとつそういう機構をお考え願うということは、非常に時宜に適したものじゃないかと考えております。
○座長(逢澤議員) 次に板川議員から質問を願います。板川君。
○板川議員 前の質問で残っておる数点について質問したいんですが、まず第一に浅野さんと里井さんにひとつ伺いたいと思います。特に浅野さんが、この中小企業基本法が昨年国会で流れて、したがって政府が昨年その審議の中で、基本法をつくるのには少なくとも準備が二、三年要るんじゃないかと、なかなかたいへんな作業だと言っておったわけです。で、農業基本法のときには、政府が農業基本法の調査委員会を設けて、準備に二年を要して、資料も十分つくって基本法を出した。ところが、政府が昨年までは全く準備がないと言っておりながら、一年後の今日、農業より、考えてみれば非常にむずかしい企業内容を持っておるわけですが、この基本法を出すというのには、一方において貿易の自由化のために特定産業振興法を出さなくちゃいけない、その特定産業振興法を出すために、それじゃ大企業擁護になるから、あわてて中小企業基本法を出したんじゃないか、こういうふうな御心配を持っておったということは、私はまあある意味でごもっともだと思うんです。で、いま正示さんがですね、特定産業振興法というのは、黒船来朝のときと同じように国際的な視野に立たなくちゃならないんだと、こう言うんですが、私は、明治の黒船来朝のときよりも、皆さん方は戦争中の企業合併のほうが一番身近かに感じておるだろうと思うんです。御承知のように、戦争中、重要産業統制法という法律ができまして、いくさに勝つためにはということで中小企業の合併が促進されて、中小企業者の商権が剥奪されて、そして中小企業者がみんな大企業の使用人というふうになってきた、このほうが私は浅野さんの記憶に新しんじゃないかと、こう思うんです。だから、そういう心配をするのは、私は当然だと思うんです。で、まあ特定産業振興法というのは、国際競争力を強化するという美名を持っています。しかし、その内容はですね、結局合併を促進するということで、ある意味じゃ重要産業統制法とその形は変わっていますが、合併を促進する、しかもその法律の内容の中には、中小企業と合併をして、中小企業の事業場はやめて、大企業で集中生産をする、こういう形になる。中小企業の事業場の従業員なりは、どこか転廃業をさせられるということもある。あるいは中小企業を買いつぶしてしまって、大企業だけで集中生産をするということもある。これはまあ国際競争力ということの名分を掲げてやろうとしておる。そこに浅野さんや里井さんが御心配されたのは、私は当然じゃないかと、こう思うんです。 それから最後に浅野さんが言ったことは、政府の法案でですね、結局基本法には具体的な個別法の法案が明らかでないと、こう言っておりますが、実はきのう商工委員会でも、その政府案の個別法の法案の名前なり、大体の方向なりをひとつ委員会に出してほしいと、こういうまあ強い要望をしておるんですがね。政府の中でも、最初は、五、六十の法案を用意をしておると、こういう放送討論会などで言明された方もおりますから、浅野さんや里井さんはこの中小企業基本法の審議を通じてこれを補完する個別法がぜひ明らかにしてもらいたい、こういう強い要望を持っての発言かと思うんですが、いかがですか、その点は。
○浅野総一郎君 お話のように非常に強い要望を持っております。特に高度化政策よりは、不利補正の点に関係した関連法規なり、かりにそういうのができなくても、近いうちにこういうふうな方針でやっていくつもりだというような点だけでも明らかになる、そういうようなことを希望いたします。
○里井達三良君 板川先生の御質問の中に、私は国際競争力強化法案——特定産業振興法案との関連においてこの基本法を考えてるというふうに申し上げたかのようなあれがございましたが……(板川委員「いや、それは浅野さんです」と呼ぶ)これはそういうものがあろうとなかろうと、現在の自由化の大勢において、中小企業が自分自身を高めていく必要がある。そういう意味で基本法は非常に積極的な前向きな法案であるということを申し上げたわけであります。ただ、内容といたしまして、この基本法だけではもちろん完ぺきなものでないし、またこれを補完すると申しますか、むしろこれを肉づけ、立体化する関連法案が必要だということを申し上げたわけであります。現在、近代化に関するいろんな法案、指導法案とか、さらに信用保険の法案等がございますが、こういう問題の審議の過程でもいろんな問題点が出て参るわけでございます。そういうものを拡大して、さらに各条項ごとに、基本法案の条項を見ることによって具体的な関連法案を完成させていただきたいということを考えている程度でございまして、具体的にこの問題についてどういうことがどうだというようなことまではまだ考えておりません。
○板川議員 次に石橋さんと藤田さんにお伺いをいたしたいんですが、下請代金支払遅延防止法の運用についてであります。昨年法律を改正しまして、親会社は下請会社に支払うべき代金を延滞した場合には、六十日以上過ぎた場合には法定の利子を払え、こういう法律改正を昨年やりました。で、その後の運用というものを詳細に実はまだ報告をとってないんですが、下請代金支払遅延防止法というのは、私どもがもっと抜本的な改正をして、大企業と中小企業の不利を是正する必要があるんじゃないかと思うんです。抜本的な改正をしたいと実は思っておるんですが、この昨年の法改正をひっくるめて、この下請代金支払い等の関係についてどういう改正を要望されるのか、そういう点をひとつ伺いたいと思うんです。 それから藤田先生にはもう一つ大企業の系列支配という関係についてですが、産業の民主的体制を確立するという意味から、この系列に対する産業体制の民主化という意味の要望といいますか、民主化をするためにどういう点を要望をされておられるのか、こうしたらもっと系列化というものが大企業の支配の中から民主的な経済体制に発展するだろうというような点について、御意見を承りたいと思います。
○石橋助司君 昨年法改正をしていただきましたんですが、実際問題として運営は困難です。それはどういうわけかと申しますに、かりに仮名を使って親会社に投書いたしましても、あるいは他の官庁に投書いたしましても、直ちにその内容によってどこのだれがやったかということはすぐ親会社に知れるわけでございます。そういたしますと、もうあすから出入りが差しとめになってしまうというような状況で、実際問題として運用はいたしかねるような状態でございます。そこで、罰則規定かなんかを設けなければ、この運用は生きていかないんではないかというふうに考えているわけです。で、罰則規定なんでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、私は法律家でありませんからよくその点はわかりませんけれども、そういう場合には、税制かなんかの関係で、若干まあ税金で措置するというようなことができ得れば、一つの罰則規定になるんではないかというふうにも考えております。
○藤田敬三君 下請取引の正常化に関する当面の対策なんですが、それにはまあいろんな法律をこしらえることも必要とは思いますけれども、しかし、結局は下請側が足並みをそろえて、親企業に対してもう少し正面からものが言えるようにしてあげるということが一番大事だろう、こういうように私は考えておるんです。で、それは結局できるだけ本格的な下請協同組合をつくること、これはなかなか言うべくして行ない得ないことも多いのでありますけれども、しかし、行ない得るにもかかわらず協同しないという場合が実情としては相当あるわけであります。それを実際そのようなものに持っていくためには、私の経験からしますと、やはり系列診断をもう少し広範に推し進めるということよりほかにないと思うんです。ところが、ただいまの予算ではとうてい私どもが考えるような広範な系列診断を行なうことができないし、また、事実、現在は、広範だけやなしに、比較的狭い範囲の系列診断でも、予算があまりにも切り詰めてある。本格的な予備調査ができない。これは先般も私は、やや狭い範囲の会合で直接樋詰さんにもお話をしたんです。予備調査が本格的にできなければ、結局おざなりの系列診断になる。それによって得るところは非常に不正確な政策になるというように思うんです。しかし、それがどういうようにしてその予算がきめられるかというようなことはいろいろあるでしょうけれども、しかし、現在やっとる診断員が考えてですね、しかもそれが職業診断員でない者が考えて、これは無理だと思うような貧窮した予算は私は意味をなさんと、そういう工合に考えておるのであります。そういうような点を是正なされば、下請に関する協同組合は相当程度進み得る。そうすれば下請側の力もある程度つくようになるし、また親側の理解も進む。両方から無理な下請関係がある程度解消され得ると思う。まあそういう意味合いで私は、あれはただ法文を幾ら書き直してもだめだというぐあいに思っておるものであります。 それからもう一つの系列の生かし方でございます。これはまあ親の方と系列企業の双方がやはりある程度協調いたしまして、特に大事なのは、私は、親同士が無理な利己的な系列をつくらないで、筋が立つ範囲で系列を共用する、両方で分けて系列を育てていく、そしてやがては——これはもう系列に関する一応の研究者の共通の見方になっておりますが、社会的分業ができるとこまで育てていく、そういうような気持で親は系列を利用する方が、結局において業界全体として得るところが多いし、特に国際的な視野に立てば、絶対にそれをせざれば、国際的な競争は不可能であるというように考えるんです。ほかにいろいろ問題はございますけれども、中心的な問題はそういうことになると思うんであります。
○板川議員 下請関係の企業者が団結をして発言権を持つべきだ、そして公正な主張をして取引関係を公正化するということについては、社会党の案の中にそういう点が十分主張してあるわけであります。 そこで、後間の関係もありますから、田中さんに一つ伺いたいんですが、スーパーでけさも薬品販売の禁止条例が出たというようなお話ですが、これは参考に承っておきたいんです。これはまあスーパーで何を売ろうが、これはやむを得ないんですが、特に保健剤を中心としてですね、独禁法でいう不公正な取引、いわゆる乱売をやってはいけないということは、独禁法の建前から禁止をされております。また薬事法等で、あまり誇大な宣伝、販売方法についても規制があると思いますが、ただこの条例の内容について参考に承っておきたいと思ってるんです。これは不公正取引の基準としては、原価を割っておとり的な販売をしちゃいけない、そういうことによって他の顧客を自分の方に引きずるようにしちゃいかんということ、不公正取引になっとるわけですが、しかし、この保健剤というのはあまり売れないだろうということで高い原価をつけたら、割合に宣伝がきいて、まあきく薬かきかない薬かわかりませんけれども、非常に売れたという場合がありまして、最初予定しておった販売量の二倍にも三倍にもなってくると、ずつと原価が安くなるんですね。安くなっておるんですが、もとの値段で売る、こういうことになっておりますから、ある意味では消費者がばかを見る。売る方も、大量生産でできてくるからどんどん売りたい。そこで販売の方法が非常に裏取引になりまして、何百ダース売ったら幾らか割り戻しするというようなことになって、実際百円の安価が五十二円ぐらいで入るんですね。ですから、まあ二割程度、三割程度安く売っても、これはまあ乱売にはならないということになっておるんです。まあ販売の方式が問題だと思うので、条例の内容等について、簡単でけっこうですが……。
○田中俊介君 お答えをいたします。私はまだ条例の内容は読んでおりません。けさ実は新聞で発表されまして、それはどういうことかと申しますと、スーパーは、いわゆる自分が自由に取って——セルフサービスですね、そういうところには売らないという規約です、というふうになります。それからもう一つは距離制限を設ける。その二つが中心になりまして新聞に発表されておりました。ただ、条例の条文は私はまだ見ておりません。それで、今仰せのとおり薬は原価が相当安いものが、これは宣伝をしなきゃならないために、いわゆる広告費を非常に取ります。それで製造の原価はかなり安いんだというところから、大量販売をしますところは、かなり安く仕入れることができる。また、大量販売いたしますると、いわゆる卸価格よりもリベートがばく大に来るというようなところ、それからもう一つうがって申しますならば、薬品というものは、ずいぶんいま製薬会社は大量製造いたしまして、大量販売に努力いたしております。そうすると地方のほうの薬局にずっと回しまするけれども——先渡しですね。ところが、売れないから、地方においては相当滞貨をしとる、そういうものを集めれば非常に安く買えるという話も——これはうがった話ですよ、そういうことをしとるとは言うんじゃありませんけれども、そういうことがございまして、つまり薬の原価はあってもなきがごとしというのがいまの流通界の状況じゃないか。それを、スーパーは多量に売りますために安く売っとるということですね。それは私は、消費者の立場から申しますならば、無用ないわゆる誇大広告といいますか、大量広告といいましょうか、そういうものよりも、消費者にとって実質的にいいものを適正価格で売っていただくのが、これからの流通経済の実態であるべきじゃないかと、私はそういうふうに考えるんです。そういうような意味で正しいものが薬を扱おうとしました場合に、いまの中小企業基本法によりまして、もうそういうものはアウトサイダーだから薬を卸してやらぬというようなことになれば、これは中小企業基本法が国民生活にマイナスになる。だから、そういうことにならないような御処置をひとつ十分お考えおきを願いたい、こういうふうに思うわけです。
○板川議員 わかりました。あとでもしありましたらば送ってもらいたいと思うんです、内容がはっきりしましたら。 それからもう一つ、一点だけ比嘉さんに伺いたいんですが、先ほどの田中委員との間のやりとりにもありましたように、その中で、まあ、五千万というのは社会党の三千万よりも中小企業政策の恩恵を受ける層が多いからしたがって、まあ五千万の方がいいじゃないかと私は思うというお話でございました。で、まあこの議論でいきますると、一億にしたほうがさらに恩恵を受ける層が拡大するわけですからいいじゃないかという議論もあり得ると思うんで、ただし中小企業政策というのは、弱い人を政府がある程度政策的な保護を加えて強くしようというのが中小企業政策の目的ですから、上弦をどんどん、どんどん高くしますと、実はほんとうの中小企業、零細企業、下の方に恩典が実はなかなかいかなくなってしまうんです。そこで私ども社会党としては、それは高いほどけっこうかもしれませんが、特に中小のうちの中の中以下に恩典を十分得るようにするためには、三千万の方がより適切じゃないかという考え方を持ったわけです。その高いほどいいという考え方は、今言ったように、政策の中心というのがだんだんぼけてくると、こういうことになると思うんですが、その点はどうですか。
○比嘉正子君 実は金の値打というものがだんだんなくなってまいりましたので、五年前の一千万円が今では千円の価値しかないというふうな状態になっているわけなんです。それから、いろいろの物価高によって、仕事をやるんでも、それから近代化をやるんでも、ちょっと多く出せばやれるというような状態がよくあるわけなんです。そして問題は、金高が多いということよりは、むしろ最低のいわゆる弱小企業に資金が回るかどうかというのが問題だと思うんです。それで下の人も規制するといけないんです。五人以上だとか、十人以上の会社じゃなくちゃいけないとか、あるいは一千万円以上の会社にしか融資しないとかということになるとたいへんですけれども、まあその以下は幾らでも融資ができるというふうにうたって下されば、上は一億円や五千万円しても心配ないんじゃないかと思うわけなんです。ただ、いわゆる金の値打というものがだんだんなくなってきたのでということでね。
○板川議員 ああそうですか。(笑声)じゃあ上を一億にすれば、それだけ対象となるものが広くなる……。
○比嘉正子君 そうです。それもあります。
○板川議員 広くなるということは、弱い層を強くしようという——下ほど弱いんですから、それが上のものがどんどん入ってくると、中小企業政策の保護を加えてそれを強くしていこうという恩典を受ける層が薄くなってしまって、実は重点がぼけるんじゃないかなと思ったわけですが……。
○比嘉正子君 そうじゃないんです。
○板川議員 けっこうです。わかりました。
○座長(逢澤議員) 浦野議員。
○浦野議員 すでに皆さんから相当重要な点の御質問がありましたので、私はごくしぼりまして、三点お願いいたしたいと思います。 岡本さんにお尋ねいたしたいんですが、先ほどいろいろと御説明の中に——まあ岡本さん以外の方のお説明の中に、中小企業の資本金は一億ぐらいを希望するという御意見がだいぶあったわけでありまするが、その後、一億円というのに何か理由があるかということについては、さほど理由がないという御答弁があったわけであります。私はこれを御質問申し上げるわけではないんですが、こうした意見がある中で、岡本さんはちょっと変わった御意見を持っておみえになりました。というのは、中小企業の規模というものは、これは社会党、自民党、いろいろとこれは将来問題になってくることだと思うので、非常に重大だと思いまするが、岡木さんは、資本の額で中小企業の規模を限定すべきでない、一億円、あるいは三千万円、あるいは五千万円、たとえば一千万円でも、その中に社内保留のものがある、あるいは借入金がある、あるいは大きな事業をやっておるところもあるから、三千万円とか五千万円とかいう資本で中小企業の規模を限定すべきでないというような御意見があったわけであります。そうしますと、この中小企業の規模というものを何かで表現しなきゃならないと思いますが、そうした金額で縛らないとするならば、何かほかに中小企業の規模を裏づけるものがあるか、表現できるものがあるかということをちょっとお聞きしたいんですが……。
○岡本一郎君 その規模の問題ですがね、それは自民党案——政府案ですか、さらに社会党案にいたしましても、これは大した問題じゃないんですよ。お互いに協調していけばこれは結論が出る問題でありまして、私はそういう立場を離れて申し上げてるんで、結局そういうところに現われた事柄のみをつかまえて、そうしてこれが中小企業であるとか、これが大企業であるというふうな事柄がおかしいんじゃないとかと思う。もう少しその企業の実態を見きわめるような方向を考える必要があるんじゃないかということなんです。最初説明をいたしましたように、かりに四百人おりましても、これは手内職的な工業であれば、これは進歩しないんだ。また先がつかえておるというふうな事業もあるでしょう。これは大企業としてみなすわけにはまいりません。かような内容をもう少しさらに検討する必要があるんじゃないかという事柄を申し上げておるわけなんです。資本の総額というふうなものにつきましてことさらに限界を強く設ける必要はないんじゃないか。資本の総額が多ければ——小さいものはもう資本の総額を伸ばすというふうなことができない。大企業にいたしますれば、増資をしていけば、株主は喜んで増資を受けるというふうな立場をとっておりますでしょう。中小企業といえども、いつまでも中小企業であることにみずからをとめておるわけじゃないんですよ。やはり進んで大企業の系列に入ろうとする意欲を持つとるんじゃありませんか。しからばそういうふうな理念に立ってもう少し考え方を変えたらどうかということなんです。
○浦野議員 そうすると、そうした資本に制限されずに中小企業の規模というものを——しかし、何か中小企業と大企業の限界をきめておかなければならないと私どもは思っておるんだが、結局資本にあまりとらわれなくていいという、あるいはこうした中小企業の規模を別にきめなくてもいいという意味ですか、そういうわけじゃないですか。
○岡本一郎君 具体的に申し上げますと、私は企業組合の常任の理事をいたしておりますが、企業組合と申しまするものは、皆さんのお考え方と多少違った要素を持っておるのではないかと思います。と申しますのは、これは零細企業対策の一環として現われておるものであります。で、この企業組合が、組合組織でございますから、事業所の数におきましてはかなりのものを持っております。かりに一組合百といたしますと、その組合がその事業所の営業に要する資金の調達をするためには、相当な額をもくろまなければならないということなんですね。しかし、その実態なるものは、ゼロが百集まってもゼロだということになるんです。で、そういうふうな零細企業をかかえておる、その企業合同したような形の企業組合なるものが、資本金はこれは百から集まりますからかなり上回ってくる。そうすると国民金融公庫の対象にならないとか、いろいろな問題が起こってくるわけなんです。だから、そういうふうな面までも考慮しなければならないのではないかということを申し上げておるわけなんです。
○浦野議員 それから次にもう一点お伺いしたいんですが、企業組合が減少していくというお言葉があったように思いまするが、これは自民党案にいたしましても、社会党案、民社党案、みんな企業の協業化ということを強く出しておるんです。表現の仕方は多少違いまするけれども、協業化ということは将来避けられない、またそうしなきゃならないという方向に進んでおるわけでありまするが、そこで、企業組合が減少していくことは、どういう理由で減少していくかということとですね。もう一点は、もしその協業化をした場合に、それは協同組合方式でいくがいいか、あるいは企業組合でいくがいいか、あるいは株式でいくがいいかという問題と、それから同業者だけのこの協業化がいいか、あるいは業種によっていろいろ違うんでむずかしいかもしれませんが、企業組合の専務やっておみえになりますので、いろいろあなたの体験からですね、同業的な協業化がいいか、あるいは各種の業種を含めた協業化といった方法がいいか、この二点、ちょっとお教えいただきたいと思うんです。
○岡本一郎君 この問題につきましては、いろいろなケースがあると思います。かりに事例を協同組合にとりましても、同一業種ということによって組合を運営されておるところもありますし、また商店街等では、種々雑多な業種が含まれておるのでございますが、かようなところを包含いたしまして組合をつくっているものもあり、これはそれぞれ特色があるわけであって、それは運営のいかんによって機動力を発揮しというようなことになるのであります。それらについての考え方は、それは運営をするもの自体がよほどよくその点を先に考えて確立すべきではないかということでございます。そうしてさらに、さいぜん私が前段で申しましたのは、いわゆるいろいろな法案の中に盛り込まれておる事柄で協業ということがあるが、協業ということは非常にむずかしいんだ、こんなことは簡単にできることではない、協業を強化しようとするなれば、もう少しいろいろな点で助成措置を講じてやらなきゃだめなんだということを言ってるんですよ。助成措置がない協業化なんかあり得ない。そんなばかなことはありませんよ。助成措置があって初めて協業化が成り立つんじゃないですか。
○浦野議員 それから、最初申し上げた企業組合が減少していくというこの一番大きな理由は何ですか。
○岡本一郎君 それは私申し忘れましたが、減少していくという理由にはいろいろな要素が含まれていると思うんです。まず、企業組合というものを監督官庁が本質的に理解をされておらないのではないか。と申しますことは、具体的に申し上げますと、中協法——中小企業等協同組合法でございますが、この九条の十というところに、企業組合はさまざまな事業を行なうというふうに書いてあるわけでございます。そしてさらに二十三条の二というところに、企業組合の組合員が組合から受ける所得については、企業組合の組合員でない従業員と組合員である従業員が同じ基準によって給与または所得を受けるなればこれを給与所得にするとか、または退職所得にするというふうな特定な規定がある。で、この規定が、特定であるから、いわゆる完全な一つの合同体ではないのじゃないかという前提に立ってのお話ならわかるんですが、やはり完全な合同体である、これは企業組合といえども、一般法人がいわゆる協同した、法人の中には企業組合類似の法人ということがございますが、これは同じことなんです。出資をして、異業種が集まっても、また同業種が集まって一つの株式会社をつくりましても、これは企業組合類似の法人ですが、それと同じような取り扱いをしてるというところに問題があるんじゃないかと思う。これは税の問題と多少関連いたしまするから、きょうはあまり詳しく申し上げてもおわかりにならぬと思いますから省きますけれども……。
○浦野議員 それでは最後に森本さんにお伺いしますが、先ほど、紛争調停の機関を設置せよ——設置せられたいのと御要望があったわけですが、この紛争調停というものは、大企業と、下請企業というんだか、中企業ですね、これを中心にした紛争を目的としておられるか、あるいはスーパーとか、農協とか、生協とか、デパートとか、こういった形態と小売業者との紛争を主にするか、あるいは同業者間の紛争を主にするか、あるいはそれを全部ひっくるめての紛争の調停か、あなたの考えておみえになる点はどの点でございますか。全部ですか、あるいは別々ですか。
○森本喜一君 お答えいたします。私の申し上げました点につきましては、先ほどお話し申し上げましたいわゆる流通過程において、業界の過当競争、これが非常に熾烈化してきておる。同時に、スーパーがおとり商品として非常に正常でない安値で売る。これが今後やはりスーパーがたくさんできてまいりますと、スーパー対スーパーの過当競争、あるいはスーパー対百貨店対策とか、百貨店はスーパー対策、こういうような点で大企業のお互いがやはり過当競争を始める。そうすると、この過当競争の結果は、倒産、破産ということになり、やはりメーカーにも大きく響いてくる。しかも国の経済にまで大きい影響を与える。こういうことになりますと、なおさらかよわいわれわれ零細業者に響いてくる。こういうことが、十九条では、どうも私どもの見方では非常に弱い。ですから、私どもとしては、そういう点を対象としてぜひ私どもがそういう問題を処置してもらうために——今まで独禁法とかいろいろありまするが、こういう点についての法は、申告とかはいろいろ相当めんどいようにも思われるし、今までの事例を見ましてもそう簡単にいってない。だから、こういうようなものを行政的に——先ほども申し上げましたようないわゆる労働委員会のようなものを、ひとつ行政措置を講じてもらって、すみやかにわれわれのその日その日を暮らすような零細業者の悩みを、簡単にまあ手っとり早く処理していただく、解決してもらう、こういうような行政機関を設けてほしい、こういうことでございます。
○浦野議員 以上です。
○座長(逢澤議員) 次に久保田議員。
○久保田議員 まず最初に里井さんと、それから竹内さんと、藤田先生にお伺いいたしたいと思います。 一番根本の問題は、いま自由化を前にして高度成長がこれだけ進んできたという中では、結局この大資本といいますか、そういうものの資本構成力が——蓄積力が非常に中小企業とは格段に違っておる。その上へ持ってきて国のあらゆる経済政策、税制から何から一切を含めて大資本の資本蓄積には非常に貢献をしておるけれども、中小企業の資本蓄積がむしろ逆に働いておる、全体が。むしろ逆に中小企業を一つの犠牲にして、その上に大資本のいわゆる資本蓄積を非常に強めている。したがって、中小企業としては、あらゆる生産性向上なり、経営の合理化なり、何をやりたくても、資本蓄積というものができない。あらゆる意味で、自己資本だけでなく、他人資本まで含めてそういうことがほとんどできないというのが、今日の一番これからの問題の中心になろうかと思うのです。そういうふうな情勢の中で、私が一番最初お伺いいたしたいのは、いま出しておられまするような政府案程度の中小企業のいわゆる育成策といいますか、強化策といいますか、補助策といいますか、そういうもの程度では、とうていいまの政治全体の動き、経済全体の動きからくるものをささえるには不十分じゃないかというふうに思うんです。まして今度の案は、政府案にしましても、これは単に——そう言うと非常にまずいですけれども、要するに大体通産省の案なんですね。しかも通産省の中の中小企業庁がこれをやるんだ、だから、予算の裏づけもなければ、経費その他の裏づけもほとんど貧弱だというふうな中で、今後追い追い法律の整備もやっていこう、予算あるいは財政措置等もだんだん強めていこうという程度のことなんでありまして、連関法案が相当できても、あるいはこれに対する予算が多少ずつでもふえていっても、国全体の政策並びに経済の動きがいまのような大きな動きになって、まして自由化の前に立っておるときには、私はこれではとうてい中小企業の体質改善というふうな問題は根本的にはできない。やらないよりいいけれども、できないのではないかというふうに思いますが、こういう点については——この法案の基本的な評価の問題になりますけれども、この点については、里井さんないしは竹内さん、あるいは藤田先生たちはどうお考えになりますか。
○里井達三良君 基本法案の評価の問題と非常に関連いたしますと思いますが、大企業は国際競争力と申しましても、大企業だけが国際競争をやってるんでないんで、ピラミッドの底辺にやはり中小企業がある。その底辺を非常に強いものにしなければ、ピラミッドの頂点が非常に危ういものになる、まあそういうふうな考えでおるわけであります。そういう意味で、中小企業と大企業との間の資本蓄積の間における格差というようなものを縮めるということは、御指摘の通り非常に大切なことだと思います。大資本の場合は、増資、借り入れ、あるいは財政的な低利資金の供与等の、いわばまあ政治的と申してもいいような力でもってかなり資本蓄積が行なわれます。しかもその資本蓄積は、ある場合におきましては過度な信用膨張によってささえられている、そういうかなり不安定な問題もあると思います。これはやはり高度成長政策の中にそういう問題は若干出ていると私どもは思っておるわけでありますが、そのしわ寄せがやはり中小企業の資本蓄積の過小ということになって出ている。これを補正するものは、やはり私は一方では財政だと思います。そういう意味で従来の財政政策をかなり大きく転換していただいて、基本法の精神を生かすような思い切った財政資金、一般財政、特別財政等、財政投融資を通じた思い切ったやはり飛躍的な財政資金の投与というものが中小企業に対してなされるということが、この法案の肉づけの根本的な要件であると、そういうふうに考えてるわけでございます。 ただ、この法案の中で、ただいまお話がございましたような、これだけでこういった問題が解決するかということにつきましては、やはりこの法案をどんなふうに具体化して実践化していくかということについて、やはり超党派的にこの問題をお考えを願ってこれを推し進めていただく、そういう意味におきまして、先般可決されました中小企業投資育成株式会社に対して、私どもが、これは非常に対象は小さいものではございますが、だんだんこういうものが拡大することによって、ただいまお話の中小企業における資本調達の困難を是正してまいる一つの契機になるんではないか、こういうものの積み重ねがやはり中小企業の高度化、近代化のことになって結晶するんではないかと考えております。将来は非常に悲観はいたしておりません。
○竹内正己君 お答えいたします。基本法そのものは、実はこれだけではどれだけの基本化ができるかわからぬと思うのでございます。精神としては非常にけっこうと思うのでございますが、問題は、どの程度予算の裏づけがつくか、あるいは関連法規の整備をされていくかというところにあるんじゃなかろうか。いわばまあ橋頭堡ができたという感じしか実は持っておりません。たとえば先ほどおっしゃいました大企業だけが競争力がつくということはこれはあり得ないわけでございまして、おそらく関連産業が全般的にレベル・アップされなければだめでございます。しかも系列という形だけで進むならば、これはおそらく行き詰まりが非常に早いんじゃなかろうか。むしろ一般的なレベル・アップが起こらなければ国際競争にも勝てない。それと同時に、現在の日本の重化学工業を中心とする高度成長の行き方自体にも反省を加えなければならないし、さらに特に輸出において重要な比重を占めるたとえば中小企業費にとってみました場合に、輸出振興として組まれている予算が今年度でもたった四千七百万円でございます。たとえば農林省のマグロとかミカンのカン詰とか、そういった若干の数字だけ合わしただけでも一億をこしておるわけでございまして、そういった意味では、先ほどおっしゃいました通産省の行政として考えるのではなくして、もっとやはり広い立場から経済政策全般の中で考えていただきたい。そうでなければ精神は生きないと思うわけでございます。
○久保田議員 特に私の聞きたいのは、中小企業だけこういうふうにしても、大企業というか、独占企業の活動がますます——あなたのおっしゃったように、要するに独占禁止法のワクが法制的にも実際的にもだんだん、だんだんはずれてくる。ましてこれが自由化になってくると、ますますそういう格好になってくる。こういう片方の方の進み方の方がはるかに自由であり、強力であり、そしてテンポは早いわけですね。そういう中で、いま政府が構想してる程度のこの連関法規の整備や、それに対する裏づけ程度のものでは追っつかないんじゃないかと、こういう点なんです、私の申し上げているのは。その点はどうなんですか。
○竹内正己君 お答えいたします。中小企業の問題に非常に関心を持っておりますのは、実は大企業が持っておるわけなんでございます。といいますのは、現在、ここでもそうでございますが、昭和三十二、三年ごろから、関経連でも中小企業の生産性向上の問題、大企業との関係のあり方を問題にしておりますし、関西経済同友会でも同様なんでございますが、そのねらいとしておりますのは、中小企業が育って来ない限りは、やはり自分たちの合理化も生産性向上もできない。で、むしろ大企業自身が中小企業の伸びることを望んでおるわけでございますが、現実にはその行き方が系列という形をとっておるために問題が非常に多いんじゃなかろうか。とすれば、系列ではこなし切れない面、たとえばいまの大企業自身の規模では、系列が排他的なものであり、あるいは封鎖的なものである限り、中小企業が専門化していくだけの量産化もできないという問題がたくさんあるわけでございまして、その間に、大企業側の資本蓄積と同時に、中小企業のそういった専門化を助けるような施策——そこを対立的に見たんでは、もうどうにも解決がつかぬのじゃないかと思います。したがって、それを協力的な形にどう進めていくか、そういった意味ではおそらく下請取引の問題でもそうでございますが、近代化の基本ということは、やはり確定計画に基づく行き方——いわゆる非常に不確定な計画が現在行なわれておりますが、そういうものを一歩でも確定計画に持っていって近代化できる基礎をつくっていく、そういう意味で法の裏づけが実は大きくものを言ってくるのじゃなかろうかというふうに感ずるわけでございます。
○藤田敬三君 ただいまの大企業の利害と中小企業の利害の問題ですが、まあ日本の場合はいまの段階では中小企業を本格的なものにしなければ自分たちも立ちいかない、これは竹内氏の発言によく似ておるんですが、私の場合は、もっと大企業が中小企業のことは自分のことだというように考えて、中小企業基本法のことを処理するように国会のしりをはたくというぐらいにお願いしたいぐらいなんです。だから、自分たちが中小企業の分野へ進出するとか、それからまたお互いに中小企業のほうにしわ寄せするとかいうようなけちなことばかしを考えずに、日本の中小企業を本格的なもの、国際的な水準のものにすれば、結局大企業もそれで全部が浮かび上がるが、それをいまのようにけちなことをしよれば、結局共倒れだというように私は考えております。日本の場合は、いまの段階では。またある程度になったらですね、中小企業が強くなれば、それを大企業が競争者として多少まああれするようなこともありましょうけれども、いまの段階で中小企業のことは自分のことでないような態度は、非常に遺憾に思っております。そういうようなところが重点だと思いますが。
○久保田議員 私も実は、中小企業の問題が日本の産業構造全体を高度化するというか、近代化するためにぜひそのレベル・アップが必要だと思うんです。それはまあ御承知の通りですね。日本で親会社というのは八千幾らある。中小企業は、製造工業だけで見ても二十二万ある。そうすれば、大体製造工業の半分がそうなんですよ。ですからこれがレベル・アップしなければ対外的な競争のできないことは明らかなんです。ところが、いままでの経過では、ある親会社については、自分のところの利益のために自分で金を出したり、あるいはバックしたりして、多少やってやったと。しかし、どうもやりきれぬからというので、要するにこれはまあ資本力が全体として——資本の蓄積が国全体として足りないということからくるのでしょうが、大企業からいえば、一つは自分の資本の節約方法として、一つはコストを落とす方法、この二つの方法から中小企業をずっとつかんでいるというのが今日の姿だと思うんです。そういう中で、いいときは中小企業は多少はやらせるが、悪いときになれば全部これにしわ寄せをする。そしてまあ要するに景気、不景気のクッションにしてきたのが今日までの実情です。ところが、それだけじゃいけなくなったというのが今日の実情で、中小企業に対しても大企業もあれを持った。しかしながら、反面、大企業自体が国際的に太刀打ちしていくには、自分自身がまだ国の力なりなんなりで資本蓄積を援助してもらわなきゃならん。なるべく金を中小企業のほうへは出さぬで、国の方でめんどうを見せておきながら、その成果だけは受け取ろうということになってくると、いまの段階では、下手すれば、国際競争がひどくなれば、中小企業はますます、景気のいいとき、不景気のときにかかわらず、国際競争のしわ寄せがくるという体制にならない限りでは、ないと思うんです。そこで、これに関しては中小企業側からどうするかと、非常にさっきからいろいろお話がありましたが、むずかしい問題があるわけですが、大企業側を何とかピシッと押えていく体制というものを立てなければ、これはとても話にならん。幾ら中小企業の下請代金の遅延防止法をつくってみたところが、いまお話のあったように、そんなことを持ち出せばすぐ注文ストップだと、こうやられればそれで終わりなんで、まあそういうところを労働三法のように、あるいはその他のように、すべての体制が整えばいいですけれども、私はやっぱりそういう意味で大企業の制限法案というものをこれの裏づけにしなければ中小企業というものはなかなか育たないというふうに考えるわけです。この点に対するお考えと、もう一つは、その方法は具体的にどうしたらいいかというと、われわれのほうの案では、御承知の通り、労働争議のときのあれみたいな、まあ要するに労働委員会みたいな中小企業委員会というのをつくって、そこでもって紛争の処理をしようという、こういうわけですけれども、これはもうなかなかいまの段階では非常にむずかしいと思います。 そこで藤田先生にお伺いしたいのは、あなたの御意見の中に、下請協同組合というものをつくったらどうかという御提案があったようであります。これの構想なり、これの裏づけをするものは要するに何かということなんですね、この点について御意見がありましたらひとつ聞かしていただきたいと思います。
○藤田敬三君 これは、先ほどもちょっと申し上げましたように、現在は下請協同組合をつくるということが、どちらかというと困難なような状態にあります。それを促進するのは、やはりある程度の業種別診断とか、あるいは系列診断とかいうようなものを進めることによって、それが多少とも促進されることは事実なんです。そういうようなことのためにもう少し全般的に費用を組んでもらえば、それだけおもな大企業には必ず下請協同組合ができる可能性もあるわけなんです。いまは相当な規模のものでも、それがはっきりした形では出ていない。ただ懇談会のようなものができておるだけでしてね。それは寄りましても、お互いに下請業者が敵視し合ってる。実際に協力して親に対して正当な発言をするというようことにはなっておらぬ場合が多いのであります。それが企業診断等をして、下請協同組合自身が双方にまた利益であるということをよくのみ込んでもらうようにすれば、自然にそういう風潮が行き渡る。そうすれば下請代金のことなんかもおのずからあれしますし、その他の紛争もなくなるし、親と親とのまた協調ですね、それもできるようになる。今のところではあまりにもその対策が費用のために押えられてる。そういう意味で大蔵省あたりはもう少し中小企業の勉強をしてもらいたいと私は思うんです。国会のほうがして下さるのはいいですけどね、大蔵省の金を持っとる人がね、もっと中小企業がどんなところで困っとるかを知ってもらう、そういう点が私は大事で、金を出す人が勉強してもらわな金が出ません。私の学校でもですね、私の学校の理事長が勉強してくれにゃ事業ができないんです、私が学長でありましても。そういうような格好で、大蔵省がもっと中小企業の勉強をしてもらわなだめです。私はそういうぐあいに申し上げます。それが要点です。
○比嘉正子君 委員長、たいへん失礼でございますけれども、さっきの訂正をちょっとさしていただきます。よろしゅうございますか。
○座長(逢澤議員) はい、比嘉正子君。
○比嘉正子君 私、板川先生の御質問、大へん錯覚を起こして、ほんとにぼけたお答えをしたんです。それをちょっと訂正さしていただきます。先生は中小企業の範囲についての質問をして下すったのに、私の頭は、中小企業にでも一億円までは融資しなくちゃいけないという考えで、融資の答弁ばっかししていたんです。食堂のときに、やっぱし一億円まで貸してあげないとだめだなんていう話がずっとこっちまで持っていたもんですから、ついお答えがトンチンカンになりました。ですから、中小企業の範囲はこの原文のとおりで私はいいと思いますので、訂正さしていただきます。
○久保田議員 その次はひとつ石橋さんと竹内さんにお伺いしますが、いま中小企業対策のうちで一番重点は、結節点をですね、要するにこれを強化するということ、もっと言葉をかえて言えば、いわゆる限界中小企業というものを強化することだと、こういうまあ御意見、それを具体化してみると、石橋さんの御意見だと、今のように大体取引なり生産の規模が大きくなった段階では、資本金一億ということまでしたほうがいいじゃないか、こういう御意見だったようにとるわけですが、そこでお伺いいたしたいのは、私はやっぱり中小企業対策というのは、これは中小企業といっても非常に層が広うございますから、なかなか一点取ったというふうな政策はとれないのじゃないかと思う、これは政治的にですね。したがって、たとえば中小企業の対策でも、いま申しましたような下請ないしは系列下にあるものとしては、おそらくは一千万円ないし一億円ぐらいのものが下請の有力なものになるのじゃないか。それから以下のものが再下請ないしはその他の五百万円以上ないしは三百万円以上のもの、それから以下の零細企業に近いものと、こういうふうになると思うんです。そこで問題になりますのは、この結節点というもののつかみ方が、今日の段階でどういうものを中心にして国民経済的につかんでいったらいいのかということ、特に中小企業の生産業等において限度をきめるということになれば、結局どの程度の生産規模を持ったものが、あるいは事業活動規模を持ったものが、いわゆるいま理想とされる中小企業の生産性の大企業との格差が縮まったもの、かりにこれが八五%になるか、大企業の方を——企業企業によって違いましょうけれども、一〇〇とすれば、そのうちの八〇ないしは西洋のように八五ぐらいのものをいわゆる中小企業の生産性の基準にするか、それを実現するにはどの程度の生産規模なり企業規模を持ったらいいか、その中で資本金はどうであって、そして借り入れ資本はどの程度のものを依存したらいいかということがやはり問題になるのじゃないか。そういう観点から見ると、私は、まだ十分にわかりませんけれども、いまの段階でも、このいわゆる中堅企業育成というところへすぐに飛び上がるのは早いんじゃないか。それよりもう一歩下の、何というか、下請企業なり系列企業として独自性のある程度持てるようなほかの施策と並んでやるということになれば、やはり五千万円、ものによっては融資の限度なりなんなりというものを一億なら一億までというふうにした方が、条件としては適当ではないか。それからさらにその中間の五百万ないしは三百万程度の、まあ小の部類ですね、そういったものについても、これはやっぱりある程度のものを考えなきゃあいかぬじゃないか、さらに零細というふうな、三つの段階に考える必要があると思いますが、その点について、いまのいわゆる結節点の限界中小企業というものの規模で、これをどうお考えになっておるのか、またそれをどういう方向へですね、下請のままで置くのか、独立中堅企業に育てていくのか、こういう問題について、ひとつ竹内さん、里井さんにも御意見があれば、それから石橋さんと、経験者としてお聞きをしたいと思います。
○石橋助司君 大体中小企業一本として政策を行なう場合には私は非常に無理があるんではないかと思う。まず五百万以下は社会政策でいき、五百万以上の中小企業は産業政策でいくというふうな行き方がとれれば、そういうふうなあり方のほうがいいのじゃないか。なぜならば、もう五百万円以下の事業場は、人の問題で行き詰まるときがもうじきにくると思うんです。それから、一千万円前後で、まあ特殊な企業は別でございますけれども、一般企業といたしましては、やや人も求められる。しかし、五千万円ぐらいになれば大企業と同じぐらいの厚生施設も持ち、あるいは賃金なんかもまあ大企業に近い賃金が支払い得る体制がとれるのではないかというふうに考えまして、中小企業の扱い方については二本立ぐらいに持っていくべきではないかと、こういうふうに考えております。
○里井達三良君 久保田先生の御質問、非常にごもっともだと思います。ほとんど賛成でございますが、ただ問題点として、中小企業対策を一本の姿でやることが非常にむずかしいならば、何から手をつけるかということ。まあ同時に手をつけることはもちろん必要でありますが、私はいまの日本経済が置かれている段階では、どうしてもやはり中堅企業の育成という問題、特に経済の構造の基礎になっておる機械工業における中堅企業の育成が一番大事じゃないかとかように考えております。そういう意味におきまして、多少中小企業としては中堅企業、中規模の対策に傾斜をするのもやむを得ないのではないか、どれもこれも、みそもくそも一緒に一つの政策の中でやるということは非常に困難ではないか。そういうふうなことで、やはり選択的な政策が、弾力的に、ときに応じて、世界経済の状況に応じてとられることが望ましいんじゃないかと、かように考えております。
○竹内正己君 お答えいたします。結節点という考え方は、実は規模的には非常に摘出しにくいんでございます。業種によって非常に違う点があるのでございますが、一般的に言えば、系列的な企業ならば、大体協力工場的な性格を持った企業、あるいは専門的な工場で多数元方につながるような工場というところにあるのじゃないかと思うのでございますが、さらに地域開発的な観点から言いますれば、必ずしもそういうものではなくして、やはりその地域で一応まあ指導的な立場に立てるような企業ということになりまして、非常に問題が多いのじゃなかろうか。したがいまして、規模とか資本金の問題は、これは業種ごとにある程度こまかくきめていただくということが必要じゃないかと思うのでございます。で、全般的な定義として最も必要なことは、やはり中小企業の性格をはっきりあらわしておく。まあアメリカの小企業法で言えば、これはもうはっきりと、独立企業で子会社的なものでないというようないろんな規定が入っておりますし、その分野で圧倒的な勢力を持っていないとかいうようないろんな規定が入っておりまして、実は業種ごとにきめられておるわけでございます。で、おそらく政府案におきましても、一応こういう規定をされまして、貸し出されますとき、あるいは個々の法律についてそういう規定を設けられるのじゃないかと聞いております。したがって、規模を一律にこうだときめてしまうのは、必ずしも賢明じゃないと思いまして、ごく概念的な規定でいいんじゃないかと思うのでございます。 同時に、そういう結節点を中心とするということが、一応中規模層に現在は集まっておるのでございますが、これは現実の問題から言いまして、大企業としてもその層を育てなければどうにもならないところへ来ておりますわけです。ところが、実はそういう協力工場的なものは、大企業のバックがありますために比較的銀行から融資が得やすいという利点を持っておりまして、実はこの点の問題は現在だんだん片づきつつございます。むしろ現在では、二次下請、三次下請の問題が集中しておるという点からいいまして、政策の線としては、一応中堅企業から次にもう下の段階に及ぶという点を相当考慮していただく。最底辺の問題は、やはり底上げという点で、最賃なり、あるいは社会保障なり、転業なり、いろんな面で前向きに解決していただく。まあ三段階ぐらいにどうしても考えなければならぬのじゃないかと思うのでございます。
○久保田(豊)議員 もう一点、特に森本さんにお伺いをいたしますが、つまり零細製造業ないしは零細商業というやつですね、これはいろいろ今のお考えの中にも、これは社会保障的な意味で取り上げた方がいい、それを強くしなきゃいかぬという意見と、産業政策としてなり、あるいは経済政策として取り上げなきゃならぬ、こういう御意見と、両方いろいろあって、それのミックスしたものが適当じゃないかというのが今日の御意見のようです。ただ、問題は、こういう零細企業というものの基本的な経済上の性格はどういうふうに理解をして政策を立つべきかという点が一つと、かりに経済政策でいくということになれば、形としてはこれから先は共同化とかなんとかというかっこうでいって、そうしてそれの果実が、いまの税金や金融その他の面で確実にやっぱり生活向上というか、経営安定という立場に集約——実が結ぶようにやるよりほかにはないんじゃないかというふうに思うわけです。特にこれが零細企業がさらに小企業になり、さらにこれから大企業になる、こういう政策をとれといっても、なかなか実際問題としてはむずかしいんじゃないか。もちろん能力のあるものはいったらいい、いかせるような道を十分に政策としても講じてやらなければいかぬが、そうでないもの全体については特にそういう配慮が必要ではないか。私の方——私はまあいなかですけれども、町村関係の商工会等を見ますと、企業診断をやって、店をきれいにしたり、指導をやっても、あまり需要が増さないんですね。商人なんか売上がふえないんです。一軒ふえればその隣が減ってくる、こういうかっこうになって、全般のいわゆる国民的購買力がふえてこない限り、金をかけてみてもちっとも効果がないんです。これは大きな町は違うと思いますが、非常に経済の活動範囲というものが限定をされてしまうわけですね、市場範囲というものが。そういう中でこれをどうするかということが、やはり一つの大きなポイントではないかと思うんです。ただ、現在行なわれている、さっきどなたからかお話のありました協業化やその他に対してはほとんど補助らしい補助がないというのと、一生懸命やってもみんな税金その他で持っていかれてしまう、これじゃ一生懸命やったってしようがないというのか、まあ今のほんとの零細商工業者の腹のうちだろうと私は思うんです。これを具体的にどうするかについては、まあ抽象的に言えば税金と金融の問題ということになろうと思います。農村や町の場合と大都市の場合とは協業化の形が違うと思いますが、具体的にどういうふうなことをやっていくのが一番今日の段階では有効かという点ですが、この点については岡本さんからもひとつ御意見がありましたら、大筋の線だけでけっこうでございますが、お示しいただきたいと思います。
○岡本一郎君 具体的に申しますと、現在政府がお考えになりました商工会という零細企業対策の一環がございまして、それと、さらにこれは昭和二十四年からあるわけでございまするが、協同組合法による連合会、現在は中央会というようなことになっておりまするが、これが各県に存在し、さらに全国にもつながりまして、東京に本部があるわけでございまするが、この両者の政府から補助する補助金の割合を見ますると、非常に府県中央会または全国中央会の方面に流れる額が少ないのではございませんか。こういうことが零細企業のほんとうの体質改善を妨げておるのではないか。さいぜん藤田先生のお話だったと思いますが、中央会というところも同じような調査機関を持っております。しかし、これらの職員の給与なんかは非常に零細をきわめておって、真にその仕事に取り組む意思があるのかどうかさえも疑わなければならないような事態でございます。ですから、こういうふうな面にもう少し補助の額をふやしていただいて、そしてもう少し——大体協業をお考えになっておるんだったら、その面にまで浸透していかなきゃあいかんじゃないかというふうに考えております。
○座長(逢澤議員) 次に森本喜一君。
○森本喜一君 最近流通革命のあらしが激しくなってまいりまして、われわれ中小企業関係、特に零細企業関係の商業関係においては、非常にテンポが早過ぎて、どうしていいかほんとうにわからないというのが現状でございます。実際問題といたしまして、この流通革命のあらしが、どうしてもこのままではいけない、こういうような気持ちに業界全体が実際なってきた。好むと好まざるとにかかわらず、もうこのままの営業状態ではいけない。さすればどうしたらいいのかということでございますが、いろいろ中小企業対策としては、施策は、あるいは県なり、市なり、あるいは融資関係でもございますが、なかなかいままで自由にやってきたお山の大将の方ばかりでございますので、その協業化とか、あるいは協同組織に切りかえるとかいうことは、なかなか容易でないわけでございます。ここでひとつ何とか政府の力で呼び水をしてもらわなければ、このままではいわゆる自主的にと——これは当然でございますが、何と申しますか、なかなか踏み切りがつかない。で、ここでわれわれ中小企業者の融資関係もずいぶんございますが、比較的短期融資が多くて、われわれのような零細業者の人たちの収入から見て、あるいは五十万円借りても一年間で支払う、あるいは二年間で元利とも支払う、こういうような融資機関はありましても、なかなかそれを完全に支払っていくという力のない零細業者が非常に多いわけでございます。こういう観点からどうしても今度の協業化とか、あるいは時代に合った消費者からお互いに喜ばれるような店舗改装をやるとか、こういうような点を考えますときに、やはり長期的な融資、あるいはそれに対する補助とかなんとか、ひとつ積極的にそういう面のお力がなければ、なかなか踏み切れないんじゃないか。ぼつぼつあるいは業者自体が寄って、スーパーを経営しよう、あるいは協同組織によって仕入れをしよう、いろいろ集まって苦心をし、各方面でそういう検討を進めてはおりますが、さらばといって、なかなか踏み切るところは二割にも、おそらく一割にもならない、こういうような現状でございますので、これからいろいろこういう面の施策について、ひとつ指導者をできるだけいわゆる中小企業関係団体に、県なり市なり、あるいは政府なり、商工会議所あたりからのそういう面の積極的な指導的な立場の人たちが、関係団体を集めたり、また自主的にひとつ来ていただいて、そしてそういうあたたかい施策を与えてやってもらいたい。それによってわれわれもやはり——決して甘えるばかりでない、みずからの力で、そして力を結集して、いままでの不合理な面——私ども中央市場関係におりまするが、やはり小さい業者でもお互いがひとつ小さい車を持っても、半分しか積んでない、わずかの仕入れも日々朝早くから出てこなければならぬ、こういうような労力の点の矛盾もあるわけでございます。こういう点を、いわゆる企業合同をやるとかいうことになりますと、非常に輸送面の合理化、あるいは人手不足、この人の資源を非常に合理的に、有効かつお互いの困る面を打開することもできるから、できるだけ私どもはそういう面につとめて業者を持っていきたい。どうしてもそれが不可能な面に対しては、社会保障のような面でひとつ取り上げていただきたい。できるだけお互いの力を結集して、そして時代の要請にこたえるように、消費者からも、また一般社会からも愛されるような企業に持っていきたいという熱意には、われわれ零細企業者といっても変わりはないわけでございますので、何とかできるだけひとつそういう施策の上に私どもを導いてもらう、呼び水をかけてもらう、こういうようなことによって自分の力とともにひとつ立ち上がっていく、これによって初めて私どもも時代の波に乗れるんじゃないかと、まあかように考えているわけでございますので、この点何とかひとつそういう面の施策をできるだけ早く取り上げていただきたいと思うわけでございます。
○久保田(豊)議員 最後に藤田先生にちょっとお伺いしますが、あなたのさっきのお話の中に、中小企業のいま一番困難をしておる労働問題の解決の一つの方向として、中小企業と、労働組合と、学校教育というものを、これは結びつけ方は非常にむずかしいが、これはやっぱり統一、統合したような国の施策というものがぜひ必要だというような御意見があったように思うんです。それはどういう内容か、もう少し具体的なお考えがあればお聞きをしたいと思うんですが。
○藤田敬三君 ただいまの御質問は、もちろん中小企業の労務対策を、現状のもとでその困難を緩和する一つのねらいだと思いまして、私はかねてから考えておるのでありますけれども、それはいまお話がありました中小企業の労働組合の方から、つまり中小企業労働者で組織化されておる人たちへは、特別の政府または公共団体の便宜を労働者の教育の上で与える。今日ですと、たとえばいろんな技能的な教育をするにしましても、いろんなむずかしい資格やテストがありまして、それでなければそういう教育は公からはしてもらえない。それから大学あたりでもなかなかそういうような教育はしてもらえません。そういうような実情からしますと、組織化して進歩的に進出していきたいと思うような、まじめな労働者の方ですね、そういう中小企業の中で、企業者においてもそれも一応見て、もちろん合同労組なんかは多少違いますけれども、しかし、それも含めましても、業者も労働者も近代化しようとする意識の高いような組織があるような、そういうようなところで働いておる労働者には、少しは資格が足らんでも、やはり近代的な労務者になれるような教育を、ほとんど費用がかからないでしてあげるといういうようなことをすることになれば、中小企業のほうにも労働者は相当集まり得るということが考えられるわけですし、それから協同組合を特につくっておるような中小企業者で、非常にその態度が見るべき成果をあげておるような協同組合の雇用しておる労働者には、やはりそれと同じような形で特別の便宜を国家または公共体がはかるというようなことは、今後の中小企業の労務対策としては非常に必要なことじゃないかというように考えておる、そういうぐあいに申し上げているわけなんです。
○春日議員 最初に竹内さんと里井さんにお伺いをいたしたいと思いまするが、それは中小企業の定義に関してでございます。申し上げるまでもなく、この基本法ができますると幾つかの関連法律が制定をされるのでございましょうから、したがって、それらの施策の恩恵を受ける資格条件がこの定義によって制限を受けるのでございまして、したがって、ここの定義はきわめて重要な意義を持つと思うのでございます。そこで、この自民、社会、民社三党三案についてその定義を見てみますと、自民党と民社党との工業関係については、これは資本金の額が五千万円、または三百人ということになっております。ところが、問題は商業関係でございまするが、商業関係については、民社党案は工業関係と同じようにこれを五千万円、ただし従業員というものを、これをわが党案においてはひとしく三十人——これは社会党と同じように三十人といたしておるのでございまするが、自民党案では資本金は今まで通り一千万円でくぎづけにいたしておるということについて、異様なことにお考えになってはいないかということでございます。この法律は、御承知のとおり、提案理由の中にも書いてありまするように、わが国の経済構造が変わってきた。言うならば経済のかっぷくが大きくなったし、中小企業協同組合法が制定されてから十数年たって、この間、価格の大いなるインフレートがあったから、この変化に即応するために資本額を高めていこうというところにあるわけでございます。わけてただいま公述人各位からお述べになりましたように、今までは流通部門に対する施策が非常に希薄であった。消費者の利益を確保するためにも、また時流に即応するためにも、商業政策というものを特に強化してほしいという要望等がありまする情勢の中において、商業の定義をいままでどおりの一千万円にくぎづけしてしまっておくということは、これは変ではないかとお考えにはならないかということでございます。社会党案に見ましてもこれは三千万円とうたっております。わが党案においてもこれは五千万円。商業が近代化し、高度化し、消費者の利益をはかり、スーパーマーケットに対立し、百貨店に負けない、そういう体制をつくるためには、やはり相当の国の施策のフェーバーを受けなければならぬ。一千万円ぐらいではふろ屋だってできやしません。散髪屋だって、町のまん中につくろうとすれば、なかなかできやしません。こういうような中小企業の商業関係が、その資本の額を一千万円で押えられる。もっとも、その従業員が五十人以下であればいいという救済はあるではございましょうけれども、一個の政策理念といたしまして、工業が五倍にされておるものを、今まで商業も工業も資本の額においては同じく一千万円であったものが、片っ方は五倍にされ、片っ方はいままでどおり、こういうことで、これでよいとお考えになっておりますか。この点はいかがでありますか。
○竹内正己君 商業のほうの一千万円、五十人という問題でございますが、実は資本金規模が、商業も工業も共通でございますけれども、非常に基準にはならないというのは、もう現実じゃないかと思うのでございます。むしろ取り扱い高なり何なりから、もう少し実態を究明してみなければならないと思うのでございますが、特に商業の場合には、おそらく電話一本で相当大きなまかないをやっておるものもおると思いますし、ただ、ここで政府案で考えておられますのは、おそらく固定資産その他から見てこういうふうな規定をなさったんだと思います。むしろ従事員のほうを上げたという点に意味があるんじゃないかと考えておるわけでございます。現実には私、この点はよくわかりません。はたして妥当かどうか、この両者が合うかどうかという問題はわかりません。
○里井達三良君 三百人と五千万円という線は、私は最近の中小企業の実態から見まして、大体において、いわゆる貨幣価値の下落等もございまして、実態的に見れば三百人以下の工場は五千万円以下の資本金というものがイコールの形で一応合うのではないかというふうに思っております。それから、商業の場合も同じようなことがおそらくいえるのではないか。一千万円が低いということにつきましては、やはり商業が持っておる固定資産等の実態から見て、一応その辺が資本と従業員との比率がかなりプロポーショナルに合うのではないかというふうに考えております。
○春日議員 これは端的にそのようにお述べになりましたけれども、実際的には社会党も三千万円を標榜し、わが党も五千万円を標榜いたしておりまするのは、これは全国における商業者関係の強い要望にこたえての表現であるのでございまして、この点については十分御検討が願いたいと思うのでございます。と申しますのは、いずれにしても経済のかっぷくが大きくなってきた。それから、この協同組合法制定以来、二十三年から三十八年までの間に相当物の価格のインフレートがあったというこの経済基盤の変化に即応してこの資本金のマキシマムがかくのごとくにこれが高められたというこの事実関係は、これは認めなければなりません。で、工業関係においてそのような要因に基づいて引き上げがなされ、商業関係においても同様の要因があるのに、この引き上げが資本の額においてなされていないということは、これは相当の理由がなければならないでございましょうが、そのことは全国の商業者、流通部面に当たっております諸君が納得できる程度のものでなければならぬと思うのでございます。われわれが中小企業問題を長く専門的に検討いたしておりまするが、われわれ政策専門家にしても、このような片手落ちのやり方が納得できない。しかるに業界からは、商業関係の資本額が二十三年当時と全然手が加えられていないということに対する大いなる非難とか、あるいは修正要望とかいうものが今出されていないということは、あるいはそのような事実関係を十分御承知ないのではないかと考えられますので、どうかひとつ虚心たんかいに御検討の上、あらためて国会に対する意思表示が願いたいと思うのでございます。 次は、質問を進めまして、里井さんにお伺いをするのでございますが、里井さんは大体において政府案に賛成である。で、賛成の趣意といたしましては、大体この政府案というものは、その政策の方向というものの基本的構想、これがおおむね可なりというところで賛成をせられておるのでございます。で、私はここで特に注意を——喚起と言っては失礼でありますが、特に御注視を願いたいことは、たとえばこの金融に関する政府案についての問題でありまするが、これは二十四条に書いてありまするが、政府案によりますると、「民間金融機関からの中小企業に対する適正な融資の指導等必要な施策を講ずるものとする。」と書いてあるのでございます。これは一体どういうことでございましょうか。「適正な融資の指導等必要な施策を講ずる。」というようなことは、まあ言うならば、何を言っているのかわからない。さらに言うならば、何にも言わなかったと同じことだと思うのでございます。関連して御銘記を願いたいことは、昨年自民党案が提出をされました。当時の自民党案、私ここに条文を持ってまいっておりませんが、私の記憶をいたしておるところによりますと、昨年の自民党案の中における金融の措置といたしましては、こういうふうにうたってあったと思うのでございます。それは「中小企業に対する貸し出しが大企業に比べて不利にならざるよう政府は適切な措置を講じなければならない」あるいは「中小企業に対する貸し出しが大企業に優先して行なわれるよう政府は特別措置を講じなければならない」と、自民党案は同じ金融についてこの二条を設けまして、その是正措置を宣言的に条文の中に明示をいたしておりました。ところが、今度二十四条の中では、ごらん願っておりますとおり、何を言っておるのかわけのわからない、うまくやれやというようなことが書いてあるわけでございます。で、私は、この自民党案から政府案に変わりましたその内実について、お互い国民は判断をしてみる必要があると思うのでございます。政党政治のもとにおいて、自民党自体としても、こうせなければならぬという御判断のもとに、とにもかくにもあの自民党案が昨年あの形で制定され、国会に提出をされました。ところが、今度政府が責任を持ってこの金融問題についての国家宣言をしようと思えば、ああいうような自民党の言うたような歯切れのいいものの言い方はできないという形になりました。なぜできないか。それは国内において大企業の側から、あるいは金融の側から強烈なる反対がなされたからでき得ないと判断するしかないと思うのでございます。少なくとも自民党の政調会においてこれが定められて提出を見たものが、一年後の本日、こういうような形で、言うならば、気の抜けたサイダー、ラムネ、金魚酒みたいになってしまったんでございまするから、それには相当の理由がなければならぬ。それはそういう反対勢力が現存するからであると理解せなければならぬと存ずるのでございます。だといたしますると、いま里井さん、竹内さん、御両所は政府案に賛成だ、というのは、その政策方向というものがおおむね可なりであるから賛成であると言われましたが、これが可なりということは、将来そのような金融措置に対する特別措置法とかなんとかいう関連法規が提出をされて、こういうような政策方向についての解決点が明らかにはかられるであろうから、われわれはまあまあこれを橋頭堡として期待し、かつこれを容認すると、こういうのでございまするが、期待されたところでですよ、反対勢力が現存をいたしておるというこの現実の中において、そういういわば中小企業の金融が適切に行なわれるような関連法規が提出されるという見込みは断じてないのでございます。と申しますることは、ここに岡本君からお述べになりましたけれども、昭和三十二年、あの団体法の制定のとき、二十三条第三項に、小規模事業者に対しては、税法上、金融上特別の措置を講じなければならないと政府に義務づけをいたしたにもかかわらず、自来六カ年たっても何らそのことが実現をいたしておりません。そのこととあわせ判断をいたしまして、この際われわれは、このような条文では中小企業の諸問題を解決するきめ手にはなり得ない。役に立たない。何でも成立すればいいというものではない。方向がそういう方向であるならば、内実は、いずれあとからと期待をしたところで、弥勒さんの出生を待つみたいなもので、何年たっても結局その実現を見ないというようなことでは、私は、中小企業者にあらぬそら頼みをさせて、あとに幻滅の苦渋を彼らに与えるだけであって、これは責任が非常に重いと思うのであまするが、この点についての御両所の御判断はいかがでありますか。
○里井達三良君 お答えをいたす機会を与えていただきました機会に、ちょっと先ほどの御質問に対してつけ加えさしていただきたいと思います。商業五十人以下、しかも資本金は一千万円以内ではないかという御質問に対しまして、商業界では、確かにおっしゃるように、あるいは三千万円に増額してほしいというような要望は私どもも聞いております。しかし、問題は、政府案が五十人並びに千万円以下という線で出ております関係上、一千万円以上の資本金のところでも、従業員が五十人以下というところになりますと、一千万円を——先ほど私は一千万円と五十人がプロポーションになると申しましたのは、誤まりでございます。撤回をいたします。五十人以下というところは、かなり大きく現実に一千万円を上回っている、そういう意味におきましては、商業界にはこの規模に対する大きな不満は私はないというふうに確信をいたしております。
○春日議員 その問題だけ切り離して、委員長。
○座長(逢澤議員) 春日君。
○春日議員 社会党案、民社党案と比べて政府案と違いまするところは、社会党、民社党案によりますると、たとえば五十一人で資本金がかりに一千万円以上のものでも、このすべての政策の対象になるのでございます。ところが、現在、御承知の通り問屋だとかいろんな商業規模が、いろいろと協業化その他によって従業員数がふえてまいりました。なるほど現行制度三十名から五十名にふえたということは、一歩の前進ではございまするけれども、われわれが申し上げるのは、すなわち、現在資本額のマキシマムがこれだけ増大されたその根本的な原因はどこに見るか。そのことは、この十数年間における価格のインフレート、それから経済かっぷくの増大、ここにあるんですね。その事情というものは、工業にも商業にも同じことに及ぶ事情なのです。したがって、工業が五千万円に引き上げられたとき、商業が引き上げられない、わずかにそこに従業員数において三十人から五十人に引き上げられておるということの効果、意義、こういうものと、資本金だけはいままでどおりに捨て置かれるということの苦渋、こういうものとをプラス、マイナスして判断し、さらにその合理性というものを分析して判断いたしますると、民社党案のごとく、従業員は三十人、資本金は五千万円と上げることのほうが合理的であるのか、従業員だけ上げてしまって資本金は押えておくことが合理的であるのか、これは五十一人の場合とその資本額とをあわせ判断いたしますると、これはもう明らかなことだと思うわけでございます。すなわち、変化に基づいて対処するというのでありまするから、対処のしかたが、中小企業の場合においては商業も工業も同然のものでなければならぬ、こういう立場に立っておるのでございまして、このことはひとつあらためて御検討を願っておきたいと思います。前の質問に対してお答えをお願いいたします。
○里井達三良君 ただいまのあとのほうの御質問に対してお答えをいたします。第二十四条におきまして「民間金融機関からの中小企業に対する適正な融資の指導」ということは、ほとんどその実があがらぬのではないかというお話でございましたが、私はそんなようには理解をいたさないのであります。現在の中小企業に対する融資の割合から見ますると、政府金融機関から行なわれているものと一般金融機関から行なわれているものとの比率は、数字は私はただいま記憶いたしておりませんが、一般金融機関からの融資の比率というものは、かなり高いわけでございます。そういう意味におきまして、第二十四条におきまして、むしろ政府金融機関の金融の補完という意味、あるいは逆に民間金融機関からの中小企業金融に対する補完を国の金融機関がやるのか、この点にはかなり問題はあると思いますが、少なくとも民間の資金——銀行資金を中小企業に回すということに対する一つの方向を、やはりこの基本法第二十四条においてはっきりと示していただいたということは、かなりの進歩ではないかと思っております。また、事実この問題の具体的な側面から考えますと、これは直接の融資ではございませんが、先般衆議院を通過いたしました中小企業投資育成会社におきまして、この政府資金あるいは地方庁の資金に加えて民間資金がかなりのウエートを持ってまいるわけでございますが、この場合に、民間資金が、特に金融機関あるいは証券等を重点といたしまして現在出資の話が進んでおることは御承知の通りだと思います。この比率から申しますと、民間金融機関の分担する比率というものは非常に大きいわけでございますが、これに対する国の行政指導というようなものは、現在においてもすでに進んでおる。具体的に申し上げますと、全銀協に対しまして、本日お見えの樋詰中小企業庁長官は、すでにこの会社設立に伴なう出資についてお話し合いをされているというふうに漏れ伺っているわけであります。そういうふうに、実態的にもやはりこういうことは、民間の金融機関のインタレストを中小企業に向けさせるという方向で、私はこの条項は効果のあるものであるというふうに考えます。
○春日議員 全国銀行の貸出総額が、ここに板川君から統計を拝借いたしましたが、合計十二兆五千億円、これに対しまして商工中金、中小公庫、国民公庫、この三政府関係金融機関の総貸出高というものは六千五百億円。十二兆五千億の資金規模の中において、中小企業に対する貸し出しシェアーを、すなわち、雇用においては七九%、生産において、あるいは輸出において、圧倒的な地位を占める中小企業に重点的に、すなわち、たくさん働く者にたくさん栄養を与えろと、このような趣意に立って民間金融機関の中小企業への貸し出しが大企業に劣らざるよう、そして不利にならざるようこれを貸し出せと、自民党さんが昨年度その議員提出法案の中で条文の中に明示されました。それが今度なされてはいない。なされていないのみならず、ここに書いてありますように、適切な指導が行なわれるように何か施策を講じろというようなことになってきたんだが、こういうことで将来に期待するとしても——期待をしてはたしてなるものならばいいが、去年自民党さんが——天下の自民党さんが、与党が言うたことが今度法案の中に書けないようでは、こんなふうに弱くなっちまったらなおさらだめになってしまうんだということについて、あなた方に御心配はないか、この案で賛成だ賛成だと言われておるけれども、これが通ってしまうと、ほんとうに金魚酒になってしまって、せっかく中小企業の多くの諸君が期待しとっても、何にもそのフェイバーは及ばないと、このようなことになれば指導者の責任は重いが、まあそのように端的に賛意を表せられてよろしいかしらと、まあ老婆心ながら御心配を申し上げておるのでありまするが、(「商工会議所だからしようがないんだろう」と呼ぶ者あり)いや、進みましょう。竹内さんは研究所長さんでありますから、学者的立場でひとつ公正な御意見をお述べ願いたいと思うんです。
○竹内正己君 実は民間の金融機関に、ある一定割合を中小企業に貸し出せというような規定がもし可能ならば、これは十分あってけっこう思います。ただし、おそらく保証問題が起こったり、いろんな関係で、現在の法律の上ではできなかったんじゃないかという気がするのでございます。それに関連しまして、実は所得倍増計画のときに、民間金融機関と政府のいろんな融資と合わせて大体一定量の確保、これは運転資金ならば全体の貸し出しの中で五五%でございますか、設備資金ならば四〇何%というのを、実は答申案に出したことがあるのでございますが、そのとき非常に大蔵省が反対したわけでございます。しかし、一応答申案に具体的に数字を出しておりますが、そのときに、もしこういうふうな法律である程度の考慮が政府で払われるとするならば、将来何らかの形で財政資金と補完し合いながらそういう安定した資金の融通の方法を考える道の橋頭堡ができたというふうに理解できるんじゃなかろうか。さらに進んで言うならば、一定の回転基金、そういった性格のものを、これはアメリカの小企業法ははっきり出しておるわけでございますが、国会の承認を得てある一定の回転基金を、それは一般の貸し出しにも使いますが、さらに災害の融資にも使うといったような形での中小向けの融資が確保されておりますが、もしそういうふうな形にでも進み得る一つの橋頭堡として——まあ安心したという意味じゃございませんが、一応書かれておるということは、何らかの義務づけでございますし、それを足場にして次のものをかちとり得るという意味で申し上げたわけでございます。
○春日議員 時間がございませんので、私も簡単に質問いたします。次は灘生協の田中さんにお伺いをいたします。あなたのただいまの御公述によりますると、消費者の利益は最大限に確保されなければならない、消費者の共済共用をはかることのための生協、これは何人もこれに対してとかくの論議をはさむべきではない、奔放無拘束にこれをなさしめるべきである、中小企業の利益を確保することのために員外利用の制限なんかはもってのほかだと、こういう意味の公述がございましたが、そこで私は伺いたいのでございまするが、中小企業の国家的、社会的、特に小売業の国家的、社会的役割を何と評価するかについてでございまするが、現在北海道から九州まで消費者に消費物資を供給する使命をにのうておりまするものにはさまざまございます。百貨店があり、生協あり、職域購買会あり、市場あり、いろいろあると思います。そこの中で圧倒的なパーセンテージを占めておるものは小売業者であると思うのでございます。したがって、国の施策は、この小売業者が消費生活者に消費物資を供給する本来的使命をになうところの社会的、国家的機関であると、かくのごとくにまあ弁識しても大きな間違いではないと思うのでございます。したがって、施策の根幹は、これらの小売商がやっていけばやっていける体制の確立、ところが、やろうとしても、それに対して何らかの障害のものがありといたしますならば、それを排除することのための適切な施策を講ずるということも、またこれ国家的、社会的立場において余儀ないことであると思うのであります。私は、そういう意味において、たとえば生協の皆さま方が——田中さんはまあ伝統的にこの生協の指導者として、いまお話しになりましたように、それは自主的にそういうものは規制されるのであり、それは自己防衛の手段として当然員外販売というものはある点においてそれは規制されるんだと、こう述べられておりますけれども、全国の小売商業者の非難事項は、その生協が無差別に、もうだれにでも売るというところにこの非難があるのでございます。したがいまして、国会では、小売商業振興特別措置法制定の当時にもこの問題が特に論議されたのでございまするが、たとえば総販売高の一定割合、それを二〇%と見るか、三〇%と見るか、その限界にとどめて、それ以上の無差別員外販売は禁止すべしという意見がございました。私は、こういう考え方というものは——これは農協も含めての問題でありまするが、小売業者がやっていける体制を確立し、小売業者がやろうとしてもやっていけない、目の上にそういう員外販売が横行してやっていけないとするならば、それに若干の規制を加えていくということは、国全体の施策としてこれはやむを得ないのではないかと考えます。 それからもう一点は、これは税法上の問題でありまするが、私もいま正確な税率を伺ったのでありまするが、これによりますると、生協の法人税率は二八%、ところが、小売商店の税率は、二百万円以下は三二%、以上のものは三八%と、ここに最低のものといえども五%のハンディキャップがあるわけでございます。税金を一ぱい納めるものと、それから二八%、ここに五%のハンディキャップがありまするものとが、自由に競争的にここで競合してまいるという形になりますれば、税金の安い方が勝つことは当然のことでございます。したがって、中小企業、小売業者が負けるのでございます。だから、生協は生協の組合員に重点を置いて、員外販売は特殊の例として、営業上真にやむを得ない生鮮食料品でありまするとかなんかというようなものに対する腐敗を防止するとか何らかの特別的な配慮のもとにおいて、一定の限界にこれをとどむべきではないかと、こういう小売業者の要請は、むしろ私は公正な理論ではないかと思うのでありますが、この点いかがでございますか。
○田中俊介君 生活協同組合は、春日先生のおっしゃいまするように、現在の小売の総シェアーのわずか一%もまだいっておりません。でございますから、国民生活の大部分の物資というものは、小売業者あるいは百貨店、あるいはスーパー、そういうものによってまかなわれているわけでございます。したがいまして、生活協同組合はそのうちのごく一部分を担当しているにすぎないのでございます。それからもう一つ、今の生協は無差別に員外販売をやってるかのごときお話を承りましたけれども、生協は現在組合員以外に積極的に売るという体制は少しもやっておりませんことは、先ほど田中先生に御答弁申し上げましたとおりでございます。そういう点におきましてですね、生協が員外販売を自主的に規制をいたしております。そういう点で、いささかの御心配もございません。生協が国民生活の過半数でも占めている、そうしてそれが大々的にやっているということでございますならば、これは春日先生の御心配のようなことがあるでございましょうけれども、一%にもまだいっておりません。そうしてそれは消費者の自主的の組織である、そして消費者の立場でございまするので、それは必然的に物価を安くしたい、安く買いたいというのは、生協としての消費者の根本的のものの考え方でございます。そういうものの考え方のものが、現在においてはきわめて少数者である、その少数者のものを圧迫するようなことのないように、その発展を阻害することのないように、これはお考えおきを願いたいと思うのでございます。
○春日議員 北欧三国のように生協経済国家といわれるような地域におきましても、御承知のとおり組合員外というものは、たしかウエーティング・サークルとかなんとかいう名前で、二割の限界かなんかにおいて員外販売が認められるが、それ以上は禁止されておるというようなことでございまして、大体そういう生協が相当に消費流通部面にその使命を果たしておりますところにおきましても、そういう第三者的規制というものがなされておるのでございます。いま田中さんから、一方的と言っちゃ語弊がありまするが、あなたのほうの心がまえから、そういう自主規制がなされて、実害を与えていないというお言葉でございまするが、実際、国会においてわれわれが陳情を受けまするのは、そうではなくして、その員外販売が非常に多い、あるいはこれは誇大に表現されておるのか、あるいは過大にこれを恐怖的に受けておるのか、これはわかりませんけれども、そういうことがございますので、こういう問題についてわれわれが条文の中にこれをうたわんといたしておるのでございまして、なお私はこの機会に特に消費者に御理解を願いたいと思いますることは、団体法といい、この法案といい、この中小企業の安定と振興をはかるということの趣意は、過当競争を防止するというところにあるのでありまするが、そのことは、結局商売をやる限りは、健全な適正なマージンを得て、それによって親には孝行、子供に教育、自分の老後の安泰と、こういう健全なるマージンが確保される商売がやれるようにというのでございます。で、私は、値段が安いが、その安さが過当競争で原価を切ったり、そういうその病的な競争によって値段が安いというようなことは、すなわち、消費者が他人のふしあわせを基礎にしてみずからのしあわせを願うということは、これは正当な希望ではない。だから、若干高くなるかもしれないけれども、たとえばそれはやっぱり国民がその福祉を分かち合うという立場においてその人たちもやっていける体制、そのためには適正な価格というものはやむを得ないものであるというこの容認の上に立って、価格構成について、高くなってはなりませんけれども、合理化や近代化や、さまざまな施策を講じて安くするのでありまするが、しかし、この団体法にしろ、今度の基本法にしろ、高くなる面が——私は、近代化や合理化やオートメ化ができないものは、高くなる面があろうと思います。散髪料金やそういうようなサービス料金は高くならざるを得ないと思うのでありまするが、それはみんな給料が高うなっていくのでありますから高くならざるを得ないと思う。で、それはやっぱり国民全体の福祉を分かち合うという立場において容認されて法のコンストラクションが考えられるのだと思うのでございまして、この点もひとつ御検討が願いたいと思うのでございます。 時間がございませんので、私、最後に森本さんに伺います。森本さんの項目の中で、強く六項目の修正の御意見がございました。私はこの六項目はことごとく同感でございまして、わが党案の中にも、中小企業の産業分野の確保に関する法律、あるいは官公需の確保に関する法律、あるいは中小企業の資金の確保に関する法律等、まあ幾つかの単独関連法案を提出をいたしまして、その実現をはかっておるのでございます。しかし、あなた方がこの六項目の修正を要望されておりまするが、われわれのいままで自民党政府との間の接触の感触から申しますると、なかなかその修正というものは困難ではないかと思うのでございます。そういたしますると、中政連並びに全日商その他、あなた方のその関係団体は、その六項目の修正が実現されるにあらざれば、政府中小企業基本法案については断固として反対されるものであるかどうか、この点をひとつお述べ願いたいと思うのでございます。
○田中俊介君 ただいま春日先生のお話の中に、生協があたかも無差別に員外販売を積極的にやっているようなお言葉がございましたけれども、そういうことは全然ございません。のみならず、今の日本の生活協同組合法、農業協同組合法は二割の員外販売を認めているんです。生活協同組合は員外販売を認めておらないのが現在の実情でございます。でございますから、法的規制はすでにできておるんだというふうに御了承を願いたい。 それからもう一つは、生活協同組合は、生活協同組合だけが、自分だけがうまくやればそれがいいというふうには決して考えておりません。現にわれわれの組合の定款においても「生活協同組合はあまねく社会全般の福祉を増進するをもって目的とする」というふうにしるされておるぐらいです。そういう点で、春日先生が、あたかも、生活協同組合は利己主義であるごとく仰せ願いましたのは、いささか当を得ておらないのではないかと私は考えております。
○春日議員 了解。森本さん、お願いいたします。
○森本喜一君 去る三月十九日の大会で、中小企業関係の八団体の共催のもとで六項目の要求を決議いたしまして、そうして申し入れたわけでございますが、ただいまこれについて、もしこれが通らなければ中小企業法案は要らないんだと言うのかと、こういうお言葉でございます。私どもは、それぞれ政府案が出、自民党案が出、そうして社会党案、それから民社党からも出されております。今回の機会は中小企業関係の問題を取り上げてもらい、三党とも大きな関心を持ってこの中小企業関係の基本法を出していただいたわけでございます。ここで私どもは、いずれもわれわれのために出していただいたその結果が、いよいよ本日ここに公聴会、今後遠からず、いよいよ最後の結論が出るものと思います。私どもの強く要望申し上げました点は、どうしても基本法をつくっていただくためにはこの六項目がぜひ必要だ、こういうことは私どもまあ強く要望したわけでございます。しかし、私どもの要望は、要望でございます。これを決定されるのは結局自民党なり社会党なり民社党の議員の方々でございますので、大同小異でございますが、私はこの自民党案——政府案、社会党案、それから民社党案、こういうような三党がこぞって取り上げていただいておる問題、ぜひ中小企業基本法を通そうという三党首のこの気持ち、これに私どもが要望申し上げましたる六項目はいずれか取り上げてもらえるという期待を持っておるわけでございます。われわれ、今国会に提出されましたこの基本法案が画期的な基本法案である、われわれのほんとうの憲法だというような考え方で、大きな期待を持っております。その上に私どもの要望するこの六項目が取り入れられるならまことにけっこうだと、かような考え方でおりますのと、三党それぞれ今国会には通してやろう、こういうようなあたたかい気持ちも見受けられるわけでございますので、私どもの要望が全面的に通らずとも、できるだけ私どもの要望のとおり、そうして今国会にこの中小企業基本法が通りますことを念願するものでございます。
○座長(逢澤議員) 他に御発言などもないようでありますので、これにて本現地調査会を終えるものでございまするが、この際派遣委員団を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。 意見陳述者各位におかせられましては、長時間の会議にもかかわらず、終始熱心をお示しくだされ、まことにありがとう存じました。本案審査に資するところきわめて大なるものがあったと存じます。 また、この会議開催のために格段の御協力をいただきました大阪通商産業局、大阪商工会議所、大阪府、大阪市の各当局に対しましても、この席を拝借いたしまして深甚の謝意を表する次第であります。 これにて散会いたします。どうも御苦労さんでした。 午後四時五十三分散会 ————◇————— 名古屋における現地調査会記録 午前十時十五分開議
○座長(小川(平)議員) これより現地調査会を開会いたします。 申し合わせによりまして、私がこの会議の座長をつとめますので、よろしくお願いいたします。 まず、私から派遣委員を代表して、一言ごあいさつ申し上げます。 この会議におきましては、内閣提出の中小企業基本法案、日本社会党提案にかかる中小企業基本法案及び中小企業組織法案、並びに民主社会党提案にかかる予備審査の中小企業基本法案、以上四法案について各界の代表の方々の御意見を伺うことになっておりますが、御意見をお述べいただく前に、この調査会の開催趣旨並びに会議の運営方針等について申し上げておきたいと存じます。 この会議は、今国会に提出になりました中小企業基本法案等、四法案の審査に資するため、衆議院の商工委員会が成規の手続により委員派遣を行ないまして、大阪及び名古屋において現地の御意見をつぶさにお聞きするために設けたものであることを、まず御承知おき願いたいと存じます。各法案につきましては、後ほど簡単に説明があることになっておりますが、いずれも中小企業の発展をはかるため、そのあるべき方向並びに基本施策をうたったものでありまして、去る二月七日に内閣及び日本社会党から衆議院に提出されましてからも、ひとり商工委員会のみでなく、本会期における国会の最も重要なる案件の一つとして、去る二月十九日の本会議において、趣旨の説明、質問が行なわれました後、商工委員会の議に付せられ、鋭意審査中のものであります。御意見を陳述される方々におきましては、以上の趣旨をおくみ取りの上、忌憚のない御意見をお述べ願います。 それでは、まず、出席の方々を御紹介申し上げます。私、この会議を主宰いたします小川平二でございます。次に、向かって左側は、商工委員長の逢澤寛君、自由民主党の田中榮一君、向かって右側は、日本社会党の松平忠久君、田中武夫君、中村重光君の諸君でございます。次に、現地参加委員として、自由民主党の早稻田柳右エ門君、浦野幸男君、海部俊樹君、日本社会党の加藤清二君、横山利秋君、並びに民主社会党の春日一幸君がお見えになっております。なお、ここに御出席されております現地参加の商工委員及び議員諸君は、いずれもこの基本法案の商工委員会における審査には格段の御尽力を賜わっておる方々でございますが、衆議院における委員派遣についての取りきめ上、選挙地の府県選出議員は成規の派遣委員とはなり得ませんので、発言を御遠慮願っております。以上、御了承を願いとう存じます。次に、衆議院商工委員会調査室からは室長の渡辺専門員及び工藤調査員、また、衆議院事務局から鈴木参事が随行してまいっております。次に、政府側からは、樋詰中小企業庁長官、加藤振興部長、影山指導部長、橋本振興課長、橋本中小企業基本政策審議室長が出席されております。また、本日各界を代表して意見を述べていただきます方は、トヨタ自動車株式会社副社長の大野修司君、中川鉄工協同組合理事長の加藤政太郎君、日本福祉大学講師の金持伸子さん、名古屋大学経済学部長の末松玄六君、TO食品株式会社社長の染葉熊平君、中日運送株式会社営業部長の丹羽俊夫君、愛知県中小企業団体中央会会長の宮木乕一郎君、全日本商店街連合会会長の山田泰吉君、全国金属労働組合愛知地方本部執行委員長の山田將資君、全日本小売商団体連盟副会長の渡邊義信君、以上十君でございます。 次に、会場の方々にあらかじめ申し上げておきますが、この会議の運営につきましては、会議開催要項を理事会において決定いたし、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則、議事手続に準拠して行なうことにしております。したがいまして、議事の整理、秩序の保持等は、会議を主宰いたします座長の私が行ないます。傍聴につきましても、報道の任に当たる方または一般の方で、特に座長の許可を得た方々のみがこの会場にお入りになっておるわけでございまして、傍聴の方々もその点を御了承の上、静粛に傍聴いただきとう存じます。 なお、念のため申し上げておきますが、発言をされる方は、必ず座長の許可を得て発言していただくこととし、また、この会は説明会ではございませんので、御意見を陳述される方から委員に対しての質疑はできないこととなっておりますので、あらかじめ御承知置き願います。 次に、会議の順序を簡単に申し上げますと、まず、各案について簡単に御説明願い、次いで各意見陳述者から順次御意見をお述べいただき、そのあとで委員の側から質疑が行なわれることになろうかと存じます。したがいまして、意見陳述の方々に申し上げますが、時間に余裕がございませんので、でき得る限り要点をまとめてお述べいただき、お一人、長くとも十五分以内にお願いいたしとう存じます。この点は、恐縮でございますが、ぜひ御励行をいただきとう存じます。また、発言の順序は、座長においてきめさせていただきます。 それでは、まず政府案について、中小企業庁長官から簡単に御説明願うことといたします。樋詰中小企業庁長官。
○樋詰中小企業庁長官 政府案の内容につきましては、すでにお手元に御送付申し上げました法律案並びに提案理由によって十分に御承知だと思いますので、あえて重複することを避けますが、若干補足的に説明さしていただきたいと存じます。 申し上げるまでもなく、中小企業は、企業の数において九九%、従業員の数で七五%以上というふうに、非常に重要な部分を占めておるのみならず、付加価値生産額等におきましても、わが国の全体の付加価値生産額の約半分は中小企業の手になるといわれておるわけでございます。しかし、大企業と中小企業、この中小企業の中におきましても、中規模企業と小企業との間には、労働生産性あるいは賃金、あるいは利潤率等におきまして、相当の格差がございます。また、その格差があるということのために生ずるいろいろな不利が相まって社会的、経済的な制約となっておることは、これは申し上げるまでもないわけでございます。一方、技術革新でございますとか、あるいは自由化の進展でございますとか、生活様式の変化といったようなことから、需給構造が変化いたしておりますし、また、労働需給の状況といったようなことも変わっておりまして、従来不完全競争と封鎖市場というものの上に成り立っておったといわれた中小企業の存立基盤には、非常に大きな変化が見受けられるわけでございます。いまや、われわれは、大企業も中小企業もすべて世界市場に直結しておるというわけでございますので、中小企業問題も、単に狭い国内的な見地からだけでなしに、国際的な視野から解決すべき必要があろうかと存ずるわけでございます。 そこで、このような事態に対処いたしまして、中小企業をして真に健全な体質のものたらしめ、その成長発展と、中小企業に携わる経営者あるいは労働者といった方々の地位の向上をはからんとするのが、本法のねらいでございまして、中小企業をして真に魅力のある働き場所ということにしたいというふうに考えております。これなくしては、国民経済の均衡ある成長発展はないと信じております。 本法のねらいといたしております格差是正の努力、それが実を結んだときに、二重構造は解消されるものであるというふうに確信するものでございます。このような根本認識の上に立ちまして、中小企業に内在する前近代性を改め、経済的、社会的諸事情の変化に即応して、その発展の方途を経済合理主義の追求の中に見出し、みずからその体質を改善することにつとめるとともに、中小企業を取り巻く周囲の社会的、経済的制約による不利を補正し、自主的な努力がりっぱに功を奏するように、総合的見地から思いやりのある援助、協力をすべきであるというのが、われわれの政策態度となっておるわけでございまして、政府、地方庁はもちろん、大企業その他中小企業と関係のございますすべての方々には、よくこのことを認識していただきまして、協力を求めようとするものでございます。 なお、この法案につきまして、一、二点申し上げさしていただきたいと存じます。 政府案は非常に抽象的であるという御批判をいただいておりますが、われわれは、基本法でございますので、以下逐次検討、審議を進めましたならば、関連法規を制定していただきまして、それに肉づけをしていきたいと存じております。また、商業と小規模事業についての配意が足りないという御批判を各方面からいただきますが、この基本法案の前文、全条文が、商業にも小規模事業にも当然適用になるわけでございます。ただ、商業にとりましては、あまりにも前近代的な要素の多く残っておる小売り商業の経営形態の近代化というようなことについて、ほかの部門ではないような特色が見受けられますし、また、小規模事業につきましては、政府のいろいろな施策そのものが直ちに受け入れがたいといったような情勢にもございますので、政府の施策が受け入れることのできるようなまず情勢をつくるということが必要であろうということから、特に二十三条を置いたわけでございます。 政府原案につきましては、自主的努力ということを強調して、突っ放しておるではないかといったような御意見を承りますが、われわれは、先ほど申し上げましたように、官民すべての方々が中小企業を健全に育て上げる責任を持っておるというふうに考えておりますが、何と申しましても、一番大事なのは、中小企業者御自身の自主的努力であるというふうに考えて、この点、当然のことでございますが、規定さしていただいておるわけでございます。 われわれといたしましては、今後、この基本法を制定していただきましたならば、これを骨格といたしまして、すべての施策が真に血の通った、愛情のあるものになることを期待いたしておるわけでございます。
○座長(小川(平)議員) 次に、社会党案について、提出者から説明をお聞きすることといたします。提出者、松平忠久君。
○松平議員 日本社会党の松平でございます。 ただいまから日本社会党提出の中小企業基本法案外一件について、簡単に御説明申し上げたいと存じます。 実は本案は、三年ほど前からわが党におきまして、中小企業の基本法をつくろう、こういう考え方で、われわれ中小企業の関係の議員、今日ここに列席されておられる加藤君や横山君の御参加も願いまして、法案をまとめ上げる作業をいたしたわけでございます。そこで、一昨年大体法案ができましたので、昨年の第四十国会にこれを提出いたしたわけでございます。当時自民党の中小企業基本法案も提出されておりません。もちろん政府案も提出されておりません。私どものほうで、最初に衆議院の段階におきまして、この法案を提出したわけでございます。政府案を提出する場合におきまして、私は通産大臣に対して、あまり宣言規定でないようにしてもらいたい、なるべくひとつ中小企業者の皆さんを納得させるような方向で取りまとめてもらいたいということを、ここにおられる春日君と二人で申し入れをいたしたことがございます。しかし、今日提案されてきております政府案は、七章三十三カ条でございまして、いずれも宣言的な規定であります。ことに商業とかあるいは零細企業に対しての規定というものはきわめて簡単であって、ただの一カ条しかございません。しかも、どうにでも解釈できるような、いわゆる責任の所在のはっきりしていない、あいまいなものであります。一番大事なことは中小企業の組織でありますけれども、この組織についても、ほとんど規定らしい規定がないわけであります。商業、零細企業に対してほとんど施策らしいものがのっておらないし、中小企業の中でも、国際競争力を増すという観点から、中の中でもその一番上のほうのものを対象としておるように見えるわけでございまして、農業基本法と同じような考え方で、いわゆる弱小企業の首切りというか、弱小企業の方面への配慮というものは全く見られない。したがって、そこで働く労働者の生活水準の向上であるとか、あるいは福祉の増進というような概念が、この中からは生まれてきておりません。そこで、これからこれと比較しつつ、社会党案について御説明を申し上げます。 第一は、基本政策として、国民経済の二重構造の解消、経済の民主化、自主的な協同化、並びに中小企業者に対する積極的な助成、中小企業労働者の所得の増大、さらに中小企業者、労働者、農民、この各階層間の調和をはかる、この五つの柱を明確にいたしておるのであります。 第二は、中小企業省を設置しなければならない。すなわち、基本法をつくってみたところで、関連法規をつくらなければだめなのであります。関連法規をつくることは、やはりつくる者が権威を持って閣内において発言する、そういうことができて初めて中小企業の皆さん方の要望を政治において実現することができると思います。でありますがゆえに、中小企業省というものがなければ、この宣言的な規定をつくってみたところで、その実現をはかっていくということはしょせん非常にむずかしいのじゃなかろうか。結局おざなりなことになりはしないか。やはり閣内において中小企業者の味方となって、これを政治に反映さしていくような、そういう機関が必要なのでございます。そういう意味において、中小企業省の設置をわれわれはうたっております。 第三は、中小企業者の範囲でございますが、一応従業員三百人、かつ資本金三千万円ということにきめておる。この点は、政府案は従業員三百人並びに資本金五千万円となっておることは、御承知のとおりであります。別に勤労事業、いわゆる政府のいう小規模企業、この定義を下しておるわけでありまして、おおむね従業員十人、資本金百万円以下、こういう定義を下しておりまして、政策の恩恵が小企業、零細企業に十分浸透するように配慮をしたつもりでございます。 第四は、大企業との関係については、大企業の中小企業分野への不当な進出、これに伴う圧迫の排除のために、中小企業の事業分野の確保、官公需の発注についても、中小企業に一定割合を確保する。この点が政府案と違っておるところで、政府案の規定は非常にあいまいでございます。割合も何もございません。なおまた、中小企業の調整委員会を設ける。これは中政連が主張しておるいわゆる公正経済委員会と名前は違いますが、機能は全然同じでございます。これによって、大企業その他との紛争の一切を公正に、かつ有利に解決をして、そして現在見られる一方的な泣き寝入りの現状を是正する、こういう考えでございます。 第五は、零細な勤労事業者に対して、特に別ワクのものとして、組織、税制、金融、労働福祉、社会保障の全般にわたって、社会政策的な立場をもあわせ考えて、このレベルアップをしていかなければならない、こういう考え方でございます。 第六は、商業についても、従来は、中小企業というと、実は工業に偏重いたしておったのであります。そこで、従来の工業偏重を避けて、別に一章を設けて、こまかく商業についての振興策を規定したつもりでございます。 以上が大体わが党案の内容でございますが、さらに加えて、組織法は、中小企業の組織または運営についてきわめて重大な関係がありますので、別に組織法という法案を作成いたしまして、ただいま国会に提出をいたしております。 以上が大体大まかな社会党案の内容でございますので、どうぞひとつ皆さん方からも気がねのない、御遠慮のない、率直な御意見を聞かしていただければ幸いと存じます。
○座長(小川(平)議員) 次に、民主社会党案は、予備審査案件であり、提出者または派遣委員が御出席になっておられませんけれども、春日一幸君がお見えになっておりますので、春日君は地元議員でございまするが、便宜春日君から説明をお聞きすることといたします。 春日一幸君。
○春日議員 わが党案は、参議院提出の案件でありまするが、この際、便宜私から御説明を申し上げさしていただきます。 まず最初に、わが党基本法案の基本理念、それから法の構成とその機能の概要について簡単に申し述べたいと存じます。 基本理念でありまするが、ただいま政府並びに社会党から御説明のございましたとおり、中小企業は、わが国産業経済の中において、雇用、労働、消費、貿易の各般にわたって大いなる地位を占めておるのでございます。これは、今後においても、また将来の理想社会においても、中小企業の果たすべき社会的、経済的な役割りは重いのでございます。したがって、このような国家的、社会的使命を果たすためにするところの中小企業の努力、これに対して国家が協力をすることは当然のことであり、不可決な要件であると弁護をいたしておるのでございます。しかるところ、中小企業の置かれておりまする現状にかんがみまするに、これは経済的な社会的なさまざまな制約を受けまして、多くの困難にさらされておるのでございます。世にこれを二重構造といい、また細分してこれを多重構造といい、ここに産業間、それから階層間、それから企業間に大いなる所得格差が生じてまいっておるのでございます。こういうような現象はどうしてあらわれてきておるか。これは、私どもの認識によりますると、長年にわたる大企業偏向の政策のあらわれであると、われわれはこれを受け取っておるのでございます。だといたしまするならば、国は、この中小企業者の重き社会的、国家的使命にかんがみまして、その大いなる使命をになうものが、不当にこの紐帯の中に金縛りにされておるという事態は、これは不当なものである。したがって、国はこの反省の上に立って、国民経済に見られる不均衡とゆがみを是正せなければならぬ。そのための基本的な政策はいかにあるべきかというのが基本的な理念でございます。この理念の上に立ちまして、構成は、まず第二章におきまして調査と計画、やはりこの自由にして公正なる競争が弱肉強食的な形になりますことのためには、ある一定の限界において、公共の福祉のために国家的調整があってもよろしからん、そのためには、やはり調査が行なわれ、計画性のある経済政策が行なわれなければならぬ、これが第二章でございます。それから現在の協力組織は、協同組合法、団体法、環衛法等、幾つかの指導方針が錯綜いたしておりまするので、これをやはり一個のものに集約して、系列化せなければならぬであろう。それから第四章は、中小企業の産業分野を法律によって規制して、弱肉強食を公共の福祉の名において調整をはかるべきである。それから第五章におきまして、中小企業者の事業活動の保護をせなければならぬ。中小企業者以外の諸団体、大企業、生協、農協その他のものから来たる圧迫を排除して、中小企業者がやればやっていける体制の確立、これが第五章でございます。第六章は、官公需の発注が現在のところ大企業に偏向いたしておりまするので、こういうような官公需の発注について、中小企業からも調達するように政策的に方向を変えていくための国家的施策が必要であろう。七章には、設備、技術、経営等の近代化、八章は貿易上の施策、それから九章におきましては、商売は元手次第というのでございまするが、金融が中小企業に薄く、大企業に偏向いたしておりまする現状にかんがみまして、中小企業の資金を確保することのための国家的措置、これでございます。それから十章は、税金が重いから、減税を標榜いたしております。労働対策が十一章、こういうような基本的政策や運営の完ぺきを期するために、国家的機関として中小企業政策審議会を設けるというのでございます。 よろしく御検討の上、御質問願いたいと思います。
○座長(小川(平)議員) それでは、次に意見陳述者の方々から順次御意見を承ることといたします。 まず、トヨタ自動車株式会社副社長の大野修司君から御意見をお聞かせ願いたいと思います。
○大野修司君 御指名によりまして、中小企業基本法案に対する意見を述べさしていただきます。 中小企業の構造は、非常に多様であり、また、かつ複雑でありますので、本日ここに申し上げまする意見は、自動車工業に携わる者として、自動車工業を中心とした中小企業に主眼を置いて申し上げたいと存じます。 全般としては、政府案の趣旨について賛意を表するものであります。 この賛意を表する理由について申し上げますれば、まず、自動車業界では、自由化を控えての国際競争力強化のために、昨年末に乗用車政策特別小委員会において、業界での諸問題を検討いたしました。また、これについて政府に対して答申を行ないましたが、その中でも、部品工業の合理化推進を強く打ち出したのであります。すなわち、部品規格の統一、また単純化、部品専門メーカーに育成をするなどがあげられておるものでございます。本案の趣旨も、その線に沿っておるものであると思われますので、われわれの方針をこの機会においてバックアップしていただけるものとして、意を強くするものでございます。特に自動車産業にあっては、御承知のごとく、協力工場を一体としたピラミッド型に構成されており、そのすそ野には多くの中小企業の協力を得ており、業界の発展は、これら中小企業の発展を離れては考えられないのであります。ちなみに当社の例を申し上げますると、直接に御協力をいただいておる部品メーカーの約四五%が政府案の中小企業の範囲に入るものと思われますが、本案で述べられておる資金、技術、税制などに関する国の施策には、大いに期待をしておるものであります。業界においては、従来からも、当社のみならず、他社においても大同小異に御協力をいただいておる部品メーカーに対しては、大体次のような援助を行なっております。施設の合理化援助及びその指導、二、施設の資金あるいは融資のあっせん、技術者採用のあっせん、実習教育の受け入れ援助またはその指導、品質管理その他の管理手法の指導、支払い条件を含めての安定取引の実施、各種研究会、講習会等への援助などを今日まで行なっておりまして、業界全体のレベルアップについていろいろと努力を重ねてきておるわけでございます。したがって、今回のこの法案における諸政策は、業界としてこれら努力に一そうのよりどころを与え、さらに努力の及びがたい第二次、第三次の協力工場の発展のためにもなるものと存ずる次第であります。 以上の賛意のよってきたるところについて申し上げますが、さらに若干の希望を申し上げたいと思います。すでに政府では、中小企業近代化促進法、中小企業近代化資金助成法、中小企業投資育成株式会社法、中小企業指導法等々によっていろいろ具体案を考えておられますが、前にも申し上げましたように、中小企業は、その経営の規模においても、業種においても、あるいは他企業との関係においても、多様複雑であります。したがって、本案における諸施策の具体化、実施化にあたっては、画一的ではなく、弾力的に行なわれることを希望する次第であります。政府案における審議会組織については、関係業界の代表参加があったほうが、施策の効果をより大きく期待できるのではないかと考える次第でございます。 最後に、国際競争力を強化するには、公正なる自由競争に立ってこそ可能があることは申すまでもなく、また、中小企業の健全なる発展を助成するよう推進されんことを重ねて望むものでございます。 以上でございます。
○座長(小川(平)議員) 次に、中川鉄工協同組合理事長の加藤政太郎君から、御意見を承ることにいたします。
○加藤政太郎君 ただいま御紹介を受けました加藤でございます。 私は、この中小企業基本法案に対しましては、一昨年社会党の代議士先生諸公のお招きをいただきまして、組合の強化、組織の運営活動に対しての参考人として招聘されまして、これを研究した一人でございます。なお、昨年の二月、自民党の朝めし会、すなわち、平河町の砂防会館で、自民党の柴田先生から、組合活動の実態と協同組合の組織における事業活動のいま行なわれている中川の実態をつぶさに報告していただけぬかということで、当時自民党の森山欽司先生が座長におなりになりまして、つぶさにその報告をいたしました一人といたしまして、私たち全国中小企業団体中央会から、今年一月、政府案、各政党の比較対照表をいただきましたので、中川鉄工協同組合としてのわれわれ中小企業の考え方、政府案、各政党の比較対照表、これを小冊子にいたしまして、私たち組合員二百七十五工場全部に必読として参考に供した次第でございます。本日これを持ってきております。かく考えますとき、私たちがいろいろの観点から考えまするに、昭和三十五年ごろから、とりわけ中小企業に対する各政党の働きかけが活発化していることは、御承知のとおりでございます。さきに自民党の計画には、中小企業連絡協議会、民主社会党は不振生協研究会、社会党は零細企業の組織強化計画、これらによって、これを盛り上げて呼びかけておられたことは、御承知のとおりでございます。いま現実に三者三様のお考えをされても、世界の情勢上、わが国の貿易自由化に即して、政府の方針以上の大企業における設備投資、近代化と、それに比較して著しいおくれをとる中小企業、零細企業対策は、政府の方々や代議士諸先生方の一考すべき問題として当然のことと存じます。いまやその二重構造は、ますます深刻化する状態であります。この実態に対処して、中小企業の現実に生き抜く道を見出すとともに、中小企業自分自身がその体質に即したお互いの組織化と、組合の結束による対策が生まれなければ、これを乗り切る上に重大な岐路に立つことは、私たち火を見るより明らかでございます。これを考えるとき、政府の御提案に対しましても、諸先生は超党派的に強力なものとして政府に働きかけられるよう、私ども組合自体が結束し、それの裏づけとなる一つの示唆を政府に与え、しかして協同組合の本旨にのっとりまして、中小企業の現在のありさまを達観し、実行に移しておるという私たちの体験は、政府の方々やそれぞれの立場にある重要な方々においても、御研究が必要だと存じます。また、われわれ自身もそれを感じ、それを強行することが、私たち国民として、また中小企業に携わる者として、当然の責務でなかろうかと考える次第でございます。 こう考えますとき、今度御提出いただきました中小企業基本法案の中で、貿易自由化のための対策として今回各政党が出された問題も、協同相互扶助によって、大企業に対抗するだけの力をつくらせるというような大きな望みをかけておることは、私たち中小企業者として当然でございますが、大企業がこれにたよれる中小企業になるという点において、私たちの真実の姿が必要でなかろうかと存じます。ここにおいて、私たちはすみやかに自分たち組合の体制をととのえ、その団結の力をもっておのずと自主的にこれを克服するだけの力が肝要だと存じます。ここにおいて、自他ともに許す私たち組合は、確実にその事業を把握し、その基盤に立って、福祉の増進と、働く労働者の将来を約束いたしまして、労使が協調して、現在の軌道に乗りつつ、活発な運営をしている一人でございます。 なお、社会党で今度出されました基本法案の運営ないし裏づけのための組織法案も拝見いたしましたが、これにはなかんずくわれわれの考えていることが、細かく、微に入り細に入り、ほんとうに行き届いた運営面の御指導をいただいておりますが、これも、自分の事業の健全な運営の中にこれを取り入れるが是か非か、今後における私たちの運営には、自分の体質に合わせた方法を取り入れるべきだと存じます。かく考えますとき、中小企業庁並びに自民党、あるいは社会党、民社党と羅列いたされましたこの比較対照表を私たち一見いたしましても、今度提出された法案の中身にあまり変わりなく、ただ字句の配列によってこまかい説明があるということを感じまして、われわれはこれをよく見きわめて、中小企業の現在の動向に対しては、ほんとうに今後における運動が必要だということを確信いたしました。そこで、私たちのいろいろの方策の中で、目的、目標、近代化と小売商業、労働、下請取引、事業分野、官公需、小規模事業、金融、税制、組織等、それらの観点から考えますとき、私たちはつぶさに実行してこれを体験し、ほんとうのわれわれのにじむ声を超党派的にお取り上げいただきまして、中小企業の今後に処すべき大方針を立てていただきたいことを特にお願いいたします。それは、私たちがどちらにも行けるという判断に苦しむような方策より、ある程度社会党のように、ほんとうに手を取り、あるいは足を取り、耳となり、目となって、働けるような示唆を与えていただくことが、親切な方策でなかろうか。こういう点を考えますとき、私たちは私利私欲を離れ、あるいは自分の体験から考えまして、一つの責任を持つ理事長として考えます場合、われわれは超党派的に、いかなる党派にも偏しない中立の立場から、皆さまに御提案し、これに対して御審議をいただく前に、私たちの意見としてお述べした次第でございます。ありがとうございました。
○座長(小川(平)議員) 次に、日本福祉大学講師の金持伸子さんから、御意見を伺うことといたします。
○金持伸子君 ただいま御紹介にあずかりました日本福祉大学の金持でございます。 私は、いままで御意見を述べられました方々と違いまして、直接に利害関係はございませんけれども、これまで中小企業に関しまして、わずかでございますけれども、いろいろと実情を調査いたしましたり、研究してきた観点から、今度の中小企業基本法案に関しての意見を少し述べさしていただきたいと思います。結論的に申し上げますと、わが国の産業分野において中小企業が非常に大きな役割をになっていることは、これまで皆さま方が説かれたところで、ここであらためて私が繰り返すまでもないことでございますが、そういった中で、中小企業に対してどのような態度をとるかという、中小企業に対しての具体的な政策を政府及び各政党の方々がお考えになられますことは当然のことで、そのことに関連しまして、私は、政府案につきまして若干意見のあるところを述べさしていただきたいと思います。 政府案につきましては、前文のところで、貿易の自由化、技術革新の進展、また生活様式の高度化などによる需給構造の変化とか、そのほか労働力不足の中で中小企業が当面しているいろいろな困難に立ち向かって、中小企業の経営の安定と、中小企業に従事している方々の生活水準の向上をはかるためにこの法案が提案されたということが、提案理由としてうたわれておるのでございますけれども、私どもが具体的に条文を見てまいりますると、その条文に盛られております内容では、はたしてその前文にありますような点に十分こたえられるかどうかという点で、いささか疑問を抱くところでございます。たとえば、先ほども御指摘がございましたが、第一点といたしまして、中小企業、小規模企業に対しての施策があまりにも明確さを欠いているのではないかということでございます。中小企業構造の高度化というようなことが、第一章においてかなり具体的に盛られているのでございますけれども、中小企業の分野、特に小企業分野において非常に問題があるのでございまして、この点の施策が具体的に盛られない限りは、中小企業の中でも特に中企業分野に関しての助成とか、企業の振興ということのみに注意が払われまして、実質的にはどれほどの具体的内容が盛られるかということについて、疑問を感ずるのでございます。特に、企業の規模規定に関しまして、資本金が五千万円以下並びに従業員三百人以下というふうに、広く規定におきまして上へ広げるということになりますると、小規模企業に関しての規定が十分に盛られていないということが、一そう政策の欠除としていろいろと不合理な面を生じてくるのではないかと思います。この点、従来からの中小企業政策というものを見てまいりますと、大企業が経済力を立て直して、日本の経済の中で非常に大きな力を占めるに至るようになる過程で、中小企業問題というものが絶えず問題にされてきておりまするのと同じように、ここでも大企業の問題として、中小企業の問題が、中小企業そのものの問題というよりも、大企業に関連しての中小企業問題というものが述べられておるにすぎないような感じがいたします。 第二点といたしまして、第一番目の小規模企業、零細企業に関しての施策が明確でないということと関係があるのでございますが、特に最近大資本の進出が大きくなっております商業部門に対しての施策も、やはり明確さを欠いておるように思います。 そのほか、金融、税制に関しましても、実際に、特に小規模企業に対しての御配慮が前文に盛られておるようになされるならば、特に金融、税制部面に関してのより一そうの具体的な規定というものが必要になるのではないかという点を感ずるのでございます。 そのほか、第四点といたしまして、事業分野に関する規定につきましても、中小企業の伸長ということを前文においてうたっておりますものの、具体的に大企業の進出をどの程度において規正していくかということが、たとえば事業分野等におきまして明確に規定されませんと、やはり実際に運用する上には、有名無実になるおそれがあるのではないかと思います。しかも、一章から七章に至るいろいろな政策が盛られている中で、予算的の措置の面でどうなっているのか、その辺も一つ疑問に思うのでございます。 最後に、特に重要な問題といたしましては、以上の政府案に見られる範囲内では、特に労働者対策が欠除しているのではないかということを強く感ずる次第でございます。従来、中小企業の問題と申しますのは、低賃金が可能になるような過剰労働力が底辺に非常に広範に存在することをもって、それがささえとなっていたのでありまして、かりに政府のほうで幾ら中小企業構造の高度化ということをお進めになったといたしましても、底辺部分の施策というものが、特に労働者対策というものが完全に行なわれないとなりますと、やはり悪循環の繰り返しというのにすぎないのではなかろうかと思います。そういうふうに見てまいりますと、特にこの最後の部面に関しまして、政府案のほかに、社会党案ないし民社党案として提出されております法案を検討させていただきますと、その辺については、かなり具体的な政策等々が盛られているのでございますけれども、実際に二重構造を解消して、そして中小企業の真の繁栄ということを問題にいたしますならば、より一そうの労働者対策に関しての具体的な条項というものが盛られてよいのではないかというふうに感ずる次第でございます。そして小企業、特にいままで申し上げましたように、小企業ないし商業部門におけるいろいろな施策に関しましては、この小企業ないし商業部門に関しましては、特に前近代的な要素が非常に多いので、その部門に関しては、企業者の自覚というものが一そう望まれるというような声もあるのでございますけれども、そういった企業者の自覚が望まれるような分野にこそ、政府の積極的な施策が繰り広げられて、初めて中小企業に対しての振興政策というものが有名無実に終わらなくて、実のある、一そうよいものになるのではないかと思います。現在の条文に盛られている内容のままでは、どちらかといいますと、中小企業の中でも中堅企業の育成ということに非常に力点が置かれており、結果としては、それに達し得ない弱小企業の脱落ないし切り捨てということが行なわれることになるのではないかということを憂慮する次第でございます。そういうことでもって、私たちが現在直面しております経済が混乱させられないように、より一そうの審議をお願いいたしたいと存じます。
○座長(小川(平)議員) 次に、名古屋大学経済学部長の末松玄六君から、御意見を承ることといたします。
○末松玄六君 御指名によりまして、政府案と社会党案と民社党案の三つについて、私は比較検討いたしまして、その長所、短所を簡単に指摘さしていただきたいと思います。ただ、資料がどういう間違いか、私の郷里の方に行ってしまいましたために、特に社会党の組織法案については十分に検討する余裕がございませんで、ほんとうにぱらぱらっと見たような程度で、たいへん恐縮でありますが、しかし、大体批評はできると存じます。 まず、政府案でございますが、この基本法案というものが、いままで中小企業につきましては、ばらばらにいろいろの単独法でもって出てきておりましたですが、中小企業の国民経済に占める重要性、あるいは社会に占める重要性にかんがみまして、ここで各党が非常に真剣に、長期間をかけて勉強されまして、一体どういうところに漏れがあるか、あるいは基本的な政策において欠けるところがなかったかどうか、こういう反省のもとに、ここに基本法案という形で打ち出されたということは、私どもはたいへん敬意を表しておるところでございます。したがいまして、これが多少宣言的といいますか、あるいはスローガン的になるのは、これはやむを得ないところがあるのではないか。たとえば、先ほど長官が言われましたように、政府の案で多少スローガン的なところがありますが、これは関連立法、たとえば近代化促進法というのはさきに出ておりますが、こういったものによって逐次具体化していこう、基本法案では、いま申しましたような中小企業政策目標というものを明確にするというところだろうと思うのです。だから、その抽象性はそれでいいとしまして、その政策目標でございますが、国民経済の成長発展という立場から見まして、中小企業の役割を正しく見て、これを大いに指導、助成、発展させていこうというわけでありますから、この第一条の政策目標には、これで欠陥はないと思うのであります。ただ、問題は、一方において特定業種振興法というものを考えておられるのでありますが、中小企業政策といったようなものの基本政策を考えるときには、やはり独占禁止法との関連において考えていかなければならないわけでございまして、中小企業基本法案で中小企業について一つの政策を明確にしても、国の総合施策の中で、たとえば、特定業種振興法——まあこれも運用には非常に気をつけられるようであり、また業種も限定されるそうでありますが、これによってわれわれが考えているような独占政策というものをここで放棄する——独占政策といっても、それはもちろん反独占政策でありますが、それをここで放棄するようなことがありましたならば、基本法案でいかに成長発展の施策をやるのだと言われましても、その足もとをすくわれてしまうという意味において、ここに不安があるわけでありまして、これに対する世論は比較的少ないわけでありますけれども、これは大企業だけの問題でなくて、大企業と中小企業との関係である。この点を特定業種振興法との関連においてよく審議されまして、一体基本法案の精神がこれで失われてしまうかどうか、よく検討していただきたい。そういうことのないように、たとえば、独占禁止法につきましては、従来独占禁止法がとかく中小企業の価格協定といったようなものを取り締まる傾向が強かったのでありまして、その大企業の市場支配あるいは所有の集中といったようなものにつきましては、わりあいにおろそかになっておるような傾向が見られます。これも実は十五分ではだめでありまして、事実をもって言わないとおしかりを受けますけれども、独占禁止法をほんとうの独占禁止法の精神に照らしてやっていく、そういう観点のもとに、この政策目標というものを明確にじていただきたいということであります。つまり、総合政策との関連において明確にしていただきたいということであります。 次に、この政府原案でありますが、この事業分野の画定に対する考え方は、これはけっこうでありまして、この点は、社会党案と民社党案は事業分野の画定ということを明確に言っておりますが、しかし、事業分野というものはこういうふうに明確に画定すべきものではないと私は思っております。理屈を言うひまはありませんけれども、世の中は違っていきますから、もし大企業が中小企業の分野にきたとしましても、経済的に成り立たないものは成り立たなくなるわけでありまして、われわれは、むしろ大企業と中小企業とが、公正な環境において公正な競争をするような場をつくり出してやるように努力するということが、非常に大切だと思っております。そういう意味におきまして、そういう点に気をつけるならば、あとに述べますような、たとえば、事業活動の不利の補正というようなことに力を入れますならば、事業分野の画定というようなこと——これは画定しましたら、固定的になってしまって、にっちもさっちもいかない、むしろ自繩自縛になる。たとえば、中小企業の中でも、成長発展して百貨店になったってふしぎではないわけであります。中小企業の小売店が発展してスーパーマーケットの大きなやつになっても、それはもうそれでけっこうでありまして、そういう流動的に、動態的に考えるならば、固定的な産業分野の画定というものは、これは、ちょっと先に触れますが、社会党案と民社党案の一つの欠陥だろうと思います。 それから、あと構造の高度化ということを言われましたのは、これはたいへんけっこうでありまして、これは社会党案の組織の問題と関連していきますが、社会党案では、組織というものが、これは体系の整備ということに非常に努力されたことはたいへんけっこうなことでございますけれども、しかし、私どもは、協同組合のあり方というものにつきましては、これは根本的に検討しなければならない段階にいまきておると思います。かつての空想社会主義の産物であるロッチデールの原則では、これは現在の事情には合わない点が非常にあるわけでありまして、根本的にこの組織化というものが必要であることはわれわれは認めますが、それを認めるだけに、組織というものはもっと時間をかけて慎重にやるべきであろうと私は思います。さればこそ、社会党も組織法案として単独に出されたことは非常にけっこうでありますが、事業協同組合が中心でございまして、この点は民社党が同業組合の設置ということをうたっておりますが、この点のほうがはるかに進歩しておるわけでございまして、この同業組合というもののあり方、つまり、同業組合というものはなぜ違うかと申しますと、事業協同というよりも、やはり情報のセンターとか、教育訓練の中心であるとか、市場調査活動であるとかいったようなところに力を入れていくということが、現実的に所有が分散しておると、なかなか統一といっても簡単でないのですが、現実的に協同化の効果が発揮されるというところを民社党案はねらっておるように思われるわけでありまして、そういう点で、この組織の問題につきましては、まずまず民社党の同業組合というものを一方においては考えながら、それから構造の高度化という点で考える。ただし、政府案で非常に気をつけなければならぬのは、合併、合同とか、規模の点をいたずらに強調し過ぎて、めちゃめちゃに大きいやつほどいいのだという考え方は、これは非常に危険になるわけでありまして、最近通産省の合併白書なるものを見ましたけれども、その第一章においては、いたずらに大規模経済の利益を説くだけであって、規模拡大の限界というものを十分に認識されておらないおそれがございます。そういうような思想の中におきまして、合併、合同を推進していきますと、これは非常に危険がある。われわれは、やはり適正規模ということは、規模の限界もあるのだということを明確に認識されるということ、ただし、これは規模の適正化については公表する公表の義務がある、これはなかなかむずかしいことだと思いますが、公表の義務がありますから、この辺を考えてやっていただきたいということであります。 それから、あとは小規模対策でありますが、これは社会党案、民社党案では非常に力点を置かれ、私ども非常にけっこうだと思っております。また、具体性もあると思います。ただし、これは中小企業の成長発展と、あるいは国民経済を豊かにしていくという中での中小企業の役割りということを考えていくならば、むしろこの小規模対策というものは、家内工業立法であるとか、あるいは小規模立法といったような別な立法をもって、これとの関連において、もちろんスローガンとしては掲げておきまして、そうして別の立法でもう少し細部にわたって、その指導援助、あるいはまた中にはもうやめたほうがいいものもございますから、そういうものの事業の転換、皆さんの考えておられるようなことを円滑にやっていくということは、たいへんけっこうなことだと存じます。そういう意味において、これはこのくらいの規定でいいのじゃないかと思います。ただし、もう一つ、社会党案と民社党案を見ますると、たとえば、市場確保の問題、あるいは金融の円滑化あるいは金融の集中的な融資の排除の問題でございますとか、あるいは民社党が言っておりますように、民間金融機関の一定割合の確保でありますとか、あるいは金利についての考慮、貸し付け利率の公正化ということを民社党はうたっておりますが、実は政府案と比べてみると、社会党案、民社党案は、金融あるいは市場の確保ということについて非常によく勉強せられて、前進的であると思います。もっとも、おそらく自民党も非常に勉強されておることとは思いますが、いまいったような基本法案といったようなことで、これは関連立法にゆだねるというようなことであるかもしれませんが、しかし、この基本法というものを制定したときに、今日の中小企業の基本問題が、やはり金融とそれから市場の確保、それから税金の問題、それからもう一つは労働力確保の問題、この四つに集約されるわけでありますから、基本法案において社会党案と民社党案くらいの具体性が望ましい。もっともおのおのその長所、短所はいま時間がございませんから十分に言っておるひまはございませんけれども、たとえば、市場の問題で、もう少し市場調査を積極的にやるように、そういう実施施設の整備でございますとか、海外における経営活動の助成でございますとか、あるいは貿易金融に対する助成でございますとかいうような点で、非常に具体性があると思います。それから金融の問題につきましても、いま申し上げましたようなことであると思います。ただ、われわれは、金融につきましては、もちろん政府系の金融機関に対して財政投資の金を大いに動員することをやると同時に、民間機関というものが長期金融であり、そうして低コストでできるようなくふうを考えるという点になりますると、民社党案、社会党案にあるように、信用補完制度、それから信用保険と保証制度の拡充ということは非常に大事なことでありまして、このくらいのものは政府案に十分盛り込んでおかなければならない問題点であるというふうに考えます。つまり、われわれはもっと金融を長期化して——アメリカのごときも二十年、三十年の長期金融をやっておる。しかも、それが政府の保証は九〇%元本に対してやっておるというような事情を、われわれはもう少しよく取り入れなければならないのではないだろうかという点を考えるわけでございます。 まあ政府案について、社会党、民社党案についていろいろとあちこちしましたけれども、次に社会党案の欠陥を申しますと、二重構造の解消というのをうたっておる。先ほど春日さんは二重構造と俗に言っておりますがというお話でありましたが、長官も二重構造というようなことばを使われますが、私どもとしては、学問的には不明確な二重構造といったような文言は、法律の中の条文のことばとしては適当でない。これを格差というならば格差、あるいは近代化というものがおくれておるというなら、おくれておるという意味において明確にされるべきでありまして、二重構造の解消というようなことでははなはだ不明確であるという点、これも社会党案の欠陥であるというように私は思う。それから、なお政策目標につきまして、いずれも国民経済の役割りだけを考えまして、これが中小企業というものが広範な所有の分散というものを基礎にして、もちろん零細ということではございませんが、民主主義の根幹をなしておるという事実に注目すべきであろうと私は思っております。そういう点では、民社党が、前文並びに本文において、社会的な使命を経済的な使命とともに強調しておる点は非常にけっこうだろうと思います。それが政府案並びに社会党案では前面に出てきておらないという点は、欠陥であろうというふうに思うわけであります。なお先ほどの事業部門の拡張に対する考え方は、これはよくないということは申しましたことです。それから金融政策、それから市場確保の政策、それから労働力の確保あるいは中小企業における勤労者の労働条件の向上、そういう点をうたっておる点も、非常にけっこうであります。それから社会政策についても、これは先ほど松平さんから、少しわれわれは前進しておると言われましたけれども、組織法の中に商店街振興組合法といったようなものを言うておられるところをみると、まだこれは不勉強であるというように私どもは見ております。ですから、これは特に自慢するほどのことではないというふうに考えるわけです。 あとは、民社党につきましては触れましたので、要するに各党それぞれ非常に勉強されておるということだけは明らかでございまして、そのいいところをできるだけひとつ政府案に盛り込んで、早く実施していくということが、今日の政治情勢において実際的な見方ではないだろうか、かように考える次第でございます。
○座長(小川(平)議員) 次に、TO食品株式会社社長染葉熊平君から、御意見を承ることといたします。
○染葉熊平君 ただいま御指名いただきました染葉熊平であります。 お呼び出しの肩書きは、TO食品社長とありますが、実は営業所長、株式会社浜松宣伝弘報社社長、こういうぐあいに——なお株式会社浜松魚市場の代表取締役をしています関係で、社団法人静岡県魚市場協会の会長でもあり、地元浜松商工会議所の食品副部会長もさせていただいておりますが、浜松商工会議所の主唱によりまして、昭和二十七年、地元預金は地元の産業へ還元融資するの体制をしっかり整えなければいけないといったようなことから、現在の浜松信用金庫の設立になりまして、自来その理事に、中政連の浜松支部副支部長といったように、その末席を汚させていただいております。 なお、御参考までに、浜松魚市場は資本金一千万円で年間売り上げが五億、従業員が二十二名、宣伝弘報社のほうは、資本金百万円で、従業員六名といったほんとうの中小企業、小規模企業者として、あるいは魚市場所属の業界の人たちを通じ、あるいは自分の業者として、この身に直接感じたままを率直に申し上げまして御参考に供したいと存じますが、まず第一に、こうした機会をおつくりくださった当局に深く感謝申し上げるものであります。 まず概論的に申し上げまして、地方の統一選挙も去る四月に済んだばかりでありますが、マスコミは、最後の勝敗は天候と浮動票にあるとよく伝えます。率直に言って、この浮動票の対象となる有権者は一体だれだろうか、まず分類して、勤労者か、農業人か、あるいは中小企業、零細企業者かというように、諸先生方に十分な御考慮を願って本法の御審議に当たっていただきたい、かように思います。中小企業、ことに零細企業を御するものは天下を制すると言うも過言でないと私は思うからでございます。 さて、そこで、政府案の政策の目標、中小企業の範囲を見ますると、われわれの期待は大きく裏切られたような感じであります。何となれば、中小企業基本法とは、中小企業、小規模業者の憲法であって、一定水準以下の企業者は、この基本法の成立によって長い間の政策の谷間から脱却できるのだといったように大きく期待しておるからでありますので、そうした考え方もやはり基本にしていただくことをまず第一にお願いいたしまして、第一条政策の目標についてでありますが、最後の、「従事者の地位の向上」云々とありますが、これは社会党提案のように、「経済的地位の」と、この二文字がなぜ入れることができないのか。あるいは第四章二十三条の末尾のように、「他の企業の従事者と均衡する生活を」云々といったような意味、すなわち生活水準の向上というような字句をなぜ入れないだろうか、当然入れるべきだと考えるのであります。 次に、第十四条の「商業」というところに、サービス業が落としてあります。第二条の本文に「次の各号に掲げるもの」としてあります。ということは、第一項と第二項を含めた言い方なのか。第一項のカッコ内の「業種を除く」と、除外してある。これで除外してあるのだということであるのか。その点どうも不明確のように私思います。本文の各号がほんとうなのか、第一項のカッコ内のがほんとうなのか。本文を主にするならば、十四条の本文、「中小商業」の下には当然サービス業も入れるべきであり、除外してあるということであるならば、これはまた変わった角度から検討しなければならない問題だと思います。同条で「流通機構の合理化に即応することができるように」九条、十一条、十二条、十三条の施策を講ずるとあります。先ほど長官のお話によりますれば、この小規模商業にも前文が生かして使われるのだといったような意味のことばがありましたけれども、この表から見ただけでは、商業者、サービス業者あたりに特に第十四条の対象となるような事項が非常に多いということを考えました場合、全面的に施行されるということであるなれば問題はありませんけれども、この小規模企業者にこそ基本法の精神を生かしていただけるように、特に十四条本文中の「小売り商業における」云々と、小売り商業と限定した意図が私にはちょっとわからないのでございます。何となれば、近時世上の論議の焦点となっている生鮮食料品の問題点は、流通面にあると言われております。ところで、産地や消費地の仲買い人制度、ことに全国五千有余ある、二、三百万から五百万、一千万程度の小資本で、青果市場であるとか魚類市場であるといったようなものを自己の資本で、自分が開設者であり、自分が荷受け人であるといったような、これらのものへの対策は、消費者に直結するからということで、小売り面だけの問題で解決するわけではありません。特に他の生活必需物資等をも考え、にらみ合わせた場合、その従業員は、数人あるいは十数人、二十数名前後であり、特にこのサービス業の中には、トヨタ自動車さんの副社長さんもお見えになりますけれども、自動車の修理業等も含まれていると聞いております。となりますと、自動車の修理業はどうでもいいというように、サービス業として落とすかもしれませんが、しかし、中小企業者、零細企業者の機動力は、ほとんどが二流品、三流品の入れかえのものを使うのがおもであり、修理業者のごやっかいにならなくては仕事になりません。機動力なくして現在の営業が成り立つとお考えになる方はおそらくございますまいといったように考えていった場合に、このサービス業の中へこれら自動車修理業も含まれているということでありますので、その点をもにらみ合わせて、中小商工業、サービス業と修正してもらうことが、あるいは十四条の本文中の「小売商業」以下を、「中小商業等の経済的地位を安定せしめるよう近代化のため必要な」云々というように入れていただきますれば、と考えられます。 次に、二十三条の「小規模企業」に対して、「第三条第一項の施策を講ずるにあたっては」とありますが、この条項の該当者には、第三条第一項だけを対象としておるのか、その実施には特にという意味なのか不明でありますけれども、こうしたような点は民社党の定義、第三条はもって模範とすべきであるというように考えられます。政府案の第二条最終へ、「この法律で小規模企業者とは、常時使用する従業員の数が二十人以下(商業またはサービス業を主たる事業とする者については五人以下)とする、」これらへ特に温情のある政策目標たらしめるように明記していただくこと。さらに、二十四条の資金の円滑化についてでありますが、同条の終段、「政府関係金融機関の」云々とありますが、政府金融機関に対する財政投融資の一定割合を確保するとともに、その機能を強化して持っていっていただけるだろうか、いただけるはずだ。文字で表現いたしますると、「信用補完事業の充実」ときわめて簡単です。しかしお帰りの節、静岡県下いずれへおりてごらんになっていただいてもわかりますが、一昨年の二月から県衛生課長のすすめもありまして、県内の全部の魚屋の陳列ケースや冷凍施設も、九〇%でき上がりました。しかし、その経費は約十二億円と推定されまして、国金、信用金庫、相互銀行等から借り入れましたが、現在でもその元利金の残金が二億数千万残っておるといったようなわけでありまして、県の衛生部のあっせんももちろん受けてはおりますけれども、信用度の低い小規模業者への信用補強制度としての現在の信用保証協会のあり方は、手数料を徴収しております。これなどもやはりもう少し何らかの形で借り入れ業者の負担を増さないような方途に持っていっていただかなければならぬ。もちろん関連法等で考慮していただけることとは期待しておりますけれども、さらに金融関係では地方の小都市の預金が大都市の本店銀行へ集中して、大企業中心に大量に流れ去っておるといったような実情は御存じのとおりであります。これらの現状是正に特段の施策を早急に進捗せしめながら、関連立法とともに、本案が中小及び特に小規模企業者への守り本尊になるような役目を果たすように修正して、早急な成立と、中小企業省の設置を特にお願いし、最後に天災、人災等で非常に災害が多い、こうしたような場合、農業者の場合はいろいろと損害見積もりで、賠償あるいは損害補償等があるようです。中小企業者へもそうしたような道が開けるように、第三条の適当なところに入れていただきたいということをつけ加えまして、自分の発言を終わらしていただきます。
○座長(小川(平)議員) 次に、中日運送株式会社営業部長の丹羽俊夫君から御意見を承ることにいたします。
○丹羽俊夫君 政府案、あるいは社会党、民社党から提出されております中小企業に対する法律案が、私の手元にまいりましたのが今月の六日で、ただ法案がまいっただけでございます。それに対して皆さん方がお考えになった参考資料そのものが、どういう資料に基づいてこういう法律案をつくったかというようなこと、皆さん方が検討されたそういう参考資料がまいっておりませんので、具体的にここで数字をあげたりなんかして意見を申し上げることはできませんが、でき得るならば今後こういう法律案あるいは参考資料は、意見を述べる者にもっと早く手元に届くように、そうして考える時間を与えていただきたい、かように思います。 この中小企業基本法案の意見を述べます前に、中小企業に対する考え方、ものの考え方、こういうものが一番大事になるのじゃないか。中小企業をどう思っておるか、どのように規定していったらいいのか、こういう基本的な一番もとになる考え方が一番大事じゃないか。この点につきまして、法案にあらわれておりまする文章には、非常にばく然としており、具体性が何もない。ただ中小企業庁長官は、先ほど関連法案を改正して、そうしてこの法案に肉を盛り、血の通った法案にしたいということをおっしゃっていますけれども、過去において、いろんな中小企業に対する法案がたくさんできました。しかしながら、このできた法案によっていままでいろいろな施策を行なってみえた。その行なっていただいた結果が、現在のような中小企業の困窮状態になってきておる、こういうことを一番最初に考えていただきたいと思う。こうして本法案を成立していただき、これを機会にして、そういうことのないように、繰り返してないように、ほんとうに抜本的な対策を立てていただきたい。これが前文に対する私の考え方でございます。たとえば岸内閣当時に団体法というものができましたけれども、この団体法ができるときに、この法律によって中小企業者は救われるのだ、よくなるのだというふうに言われておりまして、私どももまたそのように考え、そのように努力をしてまいったのでございまするが、しかしながら、現状はそうではない。先ほども申し上げましたように、困窮の一途をたどってきておる、こういうこと。具体的に申し上げますけれども、大企業は近代化設備がどんどんとされていくのに、中小企業は近代化どころか、老朽化した機械を使ってやらなければならない。格差がうんと開いてくる、こういうこと。それでこの法案が提出されましたので、この法案の問題になる問題を二、三あげまして、私の意見にしたいと思います。 中小企業の基本政策といいますか、われわれを救っていただく、われわれをいいほうに決定していただく一番問題は、たとえば農民の方々には農林省というものがございます。大企業に対しては通産省、はっきり省として、ここに具体的に、いわゆるそのときどきにその施策が行なわれてきております。しかしながら、私ども中小企業に対しては、中小企業庁というもので、このお役所だけです。しかしながら、ここへ私どもいろいろな書類、陳情、いろいろなことをするわけなんですが、表面に出ましたものを見ておりますと、いわゆる予算にいたしましても、何にいたしましても、われわれのでき得る、われわれが近代化設備を買い入れよう、あるいはまた体質改善をしようといたしましても、予算がなければ、資金がなければ、これはできないわけです。それで国の中小企業に対するそういう裏づけ、こういうものが過去においてはなかったように記憶いたしております。たとえば昭和三十三年度の予算にいたしましても百億ちょっと、日本の企業の八〇%以上を占める中小企業が、この程度の予算でもってどうして近代化ができるか、どうして体質改善ができるであろうか、これに大きな疑問を持つわけなんであります。そうしてこのような予算、設備であるからこそ、中小企業に対する金融が逼迫していってしまって、そうして現在のような困窮状態になったのじゃないか、私どもはかように考えております。 たとえば本法案の第一条に、中小企業が国民経済において果たす重要な使命、また中小企業の経済的、社会的制約による不利を補正する、こういうふうに第一条では明確にうたわれております。しかしながら、それに対する、あとに出てくる条項で、それを、ではどういうふうに補正するのか、具体的に、いわゆる数字をあげなくてもけっこうですが、ではどういうふうに——大企業からの圧迫、あるいは経済的、社会的な制約を、中小企業者に対してこういうぐあいにはねのけてやるのだというところが一つも出ていない。ほんとうに抽象的なものだけしか出ていない。それから、これは私が聞いたところなんでございますけれども、この法案が通産省ですか何かで原案をつくられましたときには、もっと具体的に、詳細に、中小企業基本法案というものができておったように聞いております。しかしながら、実際に私の手元へまいりまして読んだ範囲内では、非常に抽象的になってしまっておる。では、通産省の原案では非常に具体的になっておった、詳細になっておったものが、どこでそんなふうに抽象的に、ばく然としたものに削られてしまったのか、こういう疑問、これが真実であるかどうか、こういうふうに考えてまいりますと、中小企業者に対しては、ほんとうにお題目だけを、スローガン程度のものを掲げておいてやればいいのだ、こういうふうにひがんだ考え方をしなければならないというふうに考えるわけなんであります。ほんとうに中小企業に対して国が、日本の企業数の八〇%以上、あるいはまた生産にいたしましても七〇%をこす、この国民経済をささえておるほんとうの基幹産業であるこの中小企業を救ってやるのだ、よくしてやるのだ、またそこに働いておる労働者の質的な向上もはかってやるのだというふうにお考えいただけるならば、もっと実のある法案にしていただきたい。たとえば、現在私どもが一番困っておりまする問題、どうしてこんなふうになってきたか、ただ一つの例なんでございますけれども、国の政策そのものが、何か大企業に片寄ったような、大企業だけを中心にした考え方でもって回っておるような気がするわけなんであります。たとえば、私ども中小企業といたしましては、いわゆる大企業のあらゆる面に対する進出、あるいは大企業の圧迫、こういうものが非常に多いわけなんです。こういうことから守っていただく、あるいはまたこういう問題を解決していただくということが、とりもなおさず中小企業の発展、よくなるということじゃないかと、こういうふうに考えておりますし、こういうことが条文の中にはっきりうたわれない限りは、ほんとうにお題目的程度なものになるのじゃないか、こういう疑念を持つわけなんであります。たとえば社会党案のほうでは、中小企業の事業分野というものをはっきり提案してみえますけれども、こういうものを考えていただいたならば、中小企業というものがもっとスムーズに、うまく回っていくんじゃないか。車の両輪、片方曲げれば動かないと同じように、中小企業でも国の経済発展のための一車輪でございますので、この車輪を、ほんとうにパンクしないがんじょうな車輪にしていただきたい。特に私どもが痛切に感じますのは、金融の面、税制の面、労働者の雇用の面、この三つが非常に私どもの現在の重荷になっております。たとえば大企業のほうでは、比較的低利な金利でもって大量の資金を借り受けまして設備改善ができる。しかしながら、中小企業者にとってはそういうことが非常に困難である。特に税金の問題では、いわゆるとらなければ損だというような税制じゃないか。私どもが幾らこういうふうで苦しいんだと言っても、いや、これだけの事業をやっておれば、当然これだけは出してもらわなければいけないというような、とらなければ損だというような税制じゃないか。こういう税制の改革も、ひとつ私どもとしては望みたい。それから労働者の雇用の面でございますけれども、これは現在の職業紹介制度、これが大企業に対する労働力の供給制度というようなふうに考えられてならない、こんなふうに思うわけです。事ほどさように、私どもの企業に必要な人を確保する、労働力を確保するには、このくらい困っているのだ、技術者が足らない、人そのものが足らないというふうに困っているのだ、かてて加えて資金がない、借りようと思っても非常にむずかしい、高い金利を出さなければならない、こういうことでは、とてもじゃないが、中小企業が日本経済発展のための一車輪として十分活躍すること、回っていくことはできないのじゃないか。 ここで私がひとつ皆さん方にお考え願いたいことは、税制に対する特別措置、こういうものも考えていただきたい。それから中小企業が日本の全生産量の半分以上を占めておるにもかかわらず、それに対する資金量——援助資金、低利資金、こういうものはわずかに一〇%足らず。これでは、本法案の第一条に掲げてありまする、日本経済発展のための重要な使命をになっているのだ、あるいはまた、社会的、経済的な不利益をはね返してあげるのだというふうにおっしゃっても、これでは、とてもじゃないができない。それで私が、これは極言するならば、日本経済発展のために五〇%以上尽くしているのだという使命を皆さん方がお認め願えるならば、それに相当するところの資金量——設備改善、体質改善に必要な資金量を当然私どもとして受ける権利があるのじゃないか。これは極言でございますけれども、そういう権利があるのじゃないか。そのくらい私どもが困窮しているということをひとつよくお考え願いまして、一日も早く中小企業基本法案を、私どものためになるような法律で衆議院を、あるいはまた今国会を通過いたしますように切にお願いいたしまして、私の意見としたいと思います。
○座長(小川(平)議員) 次に、愛知県中小企業団体中央会会長の宮木乕一郎君から御意見を承ることといたします。
○宮木乕一郎君 御指名をいただきました宮木でございます。本来、私口べたでございますところへ、最近歯の治療をいたしておりまして、さだめしお聞き苦しいところがあるかと存じまするが、あらかじめ御了承をお願いいたしたいと存じます。 中小企業の経済的、社会的制約による不利を補正して、公正かつ自由な競争の基盤を整備し、二重構造の解消と格差の短縮のために、中小企業者の久しく念願いたしてきました中小企業基本法の制定は、ぜひとも早急に実現を見たいものであります。政府におかれましても、また各党におかれましても、基本法案の内容においては多少異なるところもありますが、中小企業基本法を制定することの一点においては完全に一致せられておりますことは、私ども中小企業者にとってまことにありがたい次第であり、また意を強くしておるところでもございます。この意味におきまして、私ども中小企業者は深く感謝しておるものでございます。申すまでもなく、私ども中小企業は、一口に中小企業と申しましても、業種、業態、規模において複雑多岐にわたっております。そのため、中小企業の中においても、その立場によっていろいろ考え方も異なっておりますことは、御承知のとおりでございます。そこで、私は、私ども中小企業の各立場にある異なった意見の中から、公約数的なもの、あるいは各立場にある方の完全に意見の一致しているものについて、参考意見を述べさせていただきたいと存じます。 まず第一に、中小企業の範囲でございますが、大企業は先ごろの経済成長政策によって超大企業化しつつありますが、私ども中小企業は依然として中小企業であります。また四年に一度は見舞われておりまする不況の波で、いつも不安にさらされてまいりまして、これは中小企業経営基盤の不安定な点であり、これを安定させるためには、資本の充実がぜひとも必要であると考えます。しかしながら、現実は資本の蓄積には非常に困難があります。今回中小企業投資育成株式会社が設立発足せられるよしでございますが、この会社によって資本充実の助けを受けるものは、ほんの一部の優秀な中小企業のみであります。そこで、一般的な中小企業者にとってぜひとも必要なことは、中小企業の資本充実を助けるための税制の確立でございます。そこで、中小企業税制の改革のもとに、中小企業の資本を十分に高めさせていく方途を講じていただくことによって、私は次のごとく中小企業の範囲を定められるようにお願いいたします。工業、鉱業あるいは運送業等にありましては、資本または出資の総額が五千万以下の会社、または常時使用する従業員の数が三百人以下の会社及び個人というふうにしていただきまして、この額については非常にまちまちの御意見がございますが、零細企業者もこれで含まれるということから考えますれば、きょうの物価比例から参りまして決して高きに失するということはないと存じます。なお、商業、サービス面につきまして、法案には、あるいは一千万というところもございますが、私はこの額は同額でけっこうだと存じております。例をあげて申しますれば、同じ商業でも貿易等に従事する業種では、これでもなお低きに失する金額ではないかと存じます。ただいま申しました第二の、商業過程の方は五十人以下の会社及び個人ということと一応定めて、各施策ごとに効果をあげられるように、弾力ある運用をしていただきたいと存じます。 次に、第二は金融の問題でございます。中小企業経営の不安定は、資本の不足について金融の不円滑が大きな原因をなしておるものと存じます。政府の財政投融資は最近やや向上はしておりますが、政府関係中小企業金融機関になされているところはまだまだ十分でございません。ときとすると、政府の引き揚げの時期においては、非常な苦境に立たされることが間々ございます。特に不況のおりには、民間金融機関から締め出しを食い、あるいは大企業のしわ寄せにあえいだことは、しごく最近の例によっても明らかなところでございます。また輸出金融にありましても、商社までは完全にその道が開かれておりまするが、私ども下請の中小企業メーカーには及んでいないのが現在の実情でございます。さらに不合理と思われることは、二重構造にあえぎ格差短縮に極度の努力を傾注している中小企業者特に小規模事業者と、零細になればなるほど高い金利を背負っておるような事実でございます。そのために、政府関係中小企業金融機関に対する財政投融資を大幅低利に投入確保するように処置し、かつ、この面で金利の大企業との格差を是正するとともに、不況時における民間金融機関の大企業集中融資を排除し、輸出面における中小企業製造業者への融資の円滑化をはかるようにせられたいと存じます。 第三に、事業分野の問題でございます。大企業の中小企業分野への進出に加え、農協、生協、購買会等が、その組織によって中小企業を圧迫して、中小企業の経営をはなはだしくおびやかしておる面が各方面にあらわれていますことは、御承知のとおりでございます。これがために、中小企業者の利益の不当な侵害を排除し、中小企業者以外のものの事業活動の調整をなすべく、強力に必要な施策を講ずることのでき得る処置をせられるよう、切にお願いをいたす次第でございます。 第四点は、官公需の中小企業への発注、均等な機会を確保せしめることでございます。政府並びに政府関係公共機関は、わが国における最も大きな購買力をなすものでありますが、日常の事務用消耗品的なものを除いては、ほとんど大部分が大企業に発注せられているのでありますが、アメリカの例に見るがごとく、受注能力、技術の適格性を有する中小企業者には、ぜひとも官公需の受注に均等な機会が与えられるように講じていただき、安定した発注先が確保できるようにしていただきたいと存じます。 第五点は、労働力の問題でございます。私ども中小企業者の最近一般の悩みは、新鮮な労働力の極度の不足でございます。そのために、ある企業においては大企業よりはるかに高い賃金支払いを余儀なくせられ、それでも労働力が確保できない現状であります。したがって、中小企業においては、比較的高い年令層の労働力により、ために生産性の向上を阻害しておる面が非常に多いのであります。基本法において、労働力確保に必要な施策を講ずべき規定を確立せられることを切にお願いいたします。 以上の諸点が、基本法にぜひとも盛っていただきたい点でありますが、中小企業基本法は中小企業者の憲法であります。詳細な事項にわたっては関連法の整備、関連施策が強力に樹立せられて、初めて実のあるものとなります。したがいまして、私どもは、中小企業基本法をぜひともすみやかに制定していただくことを熱望しておるとともに、関連法の整備によって強力な中小企業振興施策が推進せられることを、切に願ってやまないところであります。また私どもは、多難な中小企業の障壁を突破し得るの道は、中小企業者のおのおのが、強力な団結によって組織の力をもってこれに当たるのほか、道はないものと確信しております。そのため、組織の整備、強化、拡充のための助成施策を樹立していただき、中小企業振興のための諸施策の推進は組織を通じて行ない、組織の一段と強化せられるよう切にお願いいたしまして、私の意見発表を終わらしていただきます。
○座長(小川(平)議員) 次に、全日本商店街連合会会長の山田泰吉君から御意見を承ることといたします。山田泰吉君。
○山田泰吉君 公述の前に、立って申し上げることをお許しいただきたいと思います。きょうこの機会を私たち代表にお与えいただきましたことは、この上もない光栄でございます。それから、農業基本法の制定と違いまして本中小企業基本法は、非常に時間的に時間がございませんで、短い間ではあったのでございますが、三党の諸先生方並びに政府の関係の方々がよくここまでおまとめいただいて、この点厚く御礼を申し上げます。一々一党一派の内容を検討いたしますと、われわれも申し上げたいことがたくさんあるのでございますが、しかし、政府、三党の皆さま方のお考えいただいた長所をとっていただくならば、りっぱな中小企業基本法ができると、私はかように感謝をしておる一人でございます。したがって私は全日本商店街連合会の代表として公述をいたします。 第一問でございますが、中小企業の範囲、いわゆる定義の問題でございます。この点で社会党案は、小規模企業対策を重点的に、いままでよりしぼってやれという意図は、私たちにもよくわかるのでございます。しかし、今後の経済情勢が非常に高度に成長するものと思考しておるのでございます。したがって、ただいま大企業の方々が何十億、何百億といわれる資本を持っておやりになっているときに、三千万、五千万の資本では、やはり零細中小企業でないかと私は確信するものでございます。したがって、この点は、先ほど末松教授の言われましたごとく、別に零細企業の法案をおつくりいただくことが正しいのではなかろうか。そういたしませんと、何十億、何百億というマンモス企業の方々と、その下におります中小企業の方々に置き去りを食ってしまう心配が非常に強いのでございます。したがってこの点は政府案に私は賛成いたすものでございます。 第二問でございますが、政府案の第一章総則の一条から八条まで、中小企業に対する国の施策の方向を示した点で八つの施策を示しております。この点、社会党案も施策の方向としては大体同じような内容でございます。その中で、社会党は中小企業省の設置を織り込んでおられます。通商産業省の一部局としての中小企業庁では、今後の中小企業対策には十分でないという点は周知の事実でございます。これは本基本法制定の問題が起こりました当時から、強く業界から要望して参った問題であったのでございます。この多年の業界の要望が政府案で回避されました点は、まことに遺憾でございます。特に百三十万小売り商の指導機関でございます企業庁の一商業課では、まことに私どももの足りないのでございます。戦前ですら日本に商務局があったのでございます。西ドイツには国内商業局を持っております。したがって、われわれ百三十万の小売り商としては、すみやかに国内商業局的な局の御設定を強く要望するものでございます。 中小企業の組織の問題、第三の問題点でございますが、中小企業の経営を近代化し、発展させるには、事業の共同化、協業化あるいは集団化が必要である。政府案は、この問題について、第二章中、中小企業の構造の高度化の中で、一条、十三条を設け、事業の共同化のための組織の整備に必要な施策を講ずるとしております。社会党案では、特に一章を設けて、現在の多種多様な組織を協同組合に統一して設立を簡易にし、国が積極的な助成措置をして組織化を推進すべきだとしてございます。まことにけっこうなことでございますが、ただ、従来の協同組合の理論では処理しかねる問題がございます。特に先ほど末松教授からもこの問題がございましたが、私たちのやっております商店街振興組合は、この協同組合では処理できないのでございます。この点をお忘れになったのではなかろうかと存じます。この商店街振興組合法が昨年制定せられますとき、きょう御臨席の諸先生方にも非常に御協力をしてつくっていただいたのでございますが、この組織は、都市計画等と関連して、地域社会の発展のため、環境の整備等を行なうものでございまして、このために商店街振興組合法が制定せられたのでございます。この新しい組織法が、社会党さんの案でまいりますと除外され、協同組合に統一しようとする、その統一のための逆行と私は考えるのでありまして、したがってこの点は賛成できないのでございます。 第四問にまいりまして、この項は、私たち二百万卸、小売り、サービス業等、商業者の最も注目しておる点でございます。事業分野の確保の問題、この点でございますが、これは中小企業の安定を阻害する外的要因は、過当競争、大企業の圧迫、取引条件の不公正、このほかに中小企業以外のものが行なう事業活動、たとえば商業ではデパート、生協、農協、購買会、さらに大資本によるスーパーマーケットの進出等が、中小商業者にとって現在大きな脅威となっておることは、御承知のとおりでございます。これらの事業活動の不利を補正するため、政府案では第十七条から二十二条までに、過度の競争の防止、下請取引の適正化、事業活動の機会の適正な確保等々をあげておりますが、経済紛争を調整するきめ手が明らかでございません。この点、社会党案では、中小企業調整委員会を設置して、大企業との間の一切の紛争を処理することとしてございます。この点まことに進歩的であると考えております。しかし、政府自民党、社会党、民社党案の各案を通覧して、その内容を検討してみますと、この問題について、私たちが、きょう流通革命に直面して、最も困難な現状に当面しておるときに、二百万商業者の問題について、全くすべてが明確でない。生産と消費との関係の中で流通革命が論議されております現在、はたしてこれで効果的な施策が打ち出されるかどうか、全く疑問であるというほかございません。消費経済の面での商業問題は、やがて大企業にもメーカーにも及ぼす重大問題であることを深く認識していただきたいと思います。 第五問の金融、税制問題についてでございますが、中小企業の問題は、金融問題であり、税制問題であるといわれております。そのために、政府案は、第二十四条に資金の融通の適正円滑化、第二十五条に企業資本の充実をあげて、租税負担の適正化をうたってございます。しかしはなはだこれも具体性に乏しいと思います。これについて、自民党案は、十二条に示されたように、中小企業専門金融機関の育成、資金増大のための財政の充実、中小企業資金の優先確保に民間金融機関を指導し、信用補完制度の充実、貸付条件の公平、六に輸出金融の円滑化等々と、かなり具体的な処置を講ずるよう明記されることが望ましいとしてございます。その上、社会党、民社党案におきまして、さきの自民党と同様にかなり具体的で、国は、中小企業者に対する金融の円滑化を確保するため、金融機関の融資総額の一定額を義務づけ、中小企業の緊急救済資金の設置、二に金融機関の集中融資の排除、三に中小企業に対する信用補完制度の拡充等をあげてございます。さらに税制の面でもかなり具体的に問題点をあげられましたことは、まことにわれわれにとって力強い限りでございます。しかし、全体的にこの中基法を見ますときに、この法律も、私たち商業者から見ますと、相変わらず工業に片寄り過ぎておりまして、商業に対してはなはだ薄いのはまことに遺憾でございます。本中小企業基本法は、全部で七章、三十三条、附則二項からできております。鉱工業生産の拡大、二に商品の流通の円滑化、三に海外市場の開拓、四に雇用の機会の増大等、国民経済のあらゆる領域にわたる発展に寄与するとともに、国民生活の安定に貢献してきた中小企業すべての分野において、今後ますますその使命を十分に果たし得るように、適正な施策を講ずるを主眼としたものでございます。この中で二百万商業者に関しまする項目は、高度化の章、第十四条「国は、中小商業について、流通機構の合理化に即応」できるように、第九条の設備の近代化、または第十一条から前条までの、経営管理の合理化、企業規模の適正化、事業の共同化のための組織の整備の施策を講ずるほか、「小売商業における経営形態の近代化のため必要な施策を講ずるものとする。」「2、国は、中小商業について第九条若しくは第十一条から前条まで又は前項の施策を講ずるにあたっては、地域的条件につき必要な考慮を払うものとする。」第十一条、経営管理の項において「国は、中小企業の経営管理の合理化を図るため、経営の診断及び指導並びに経営管理者の研修の事業の充実、経営の診断及び指導のための機構の整備等必要な施策を講ずるものとする。」、第九条におきまして、設備の近代化の項で「国は、中小企業の設備の近代化を図るため、中小企業者が近代化設備の設置その他資本装備の増大、設備の配列の合理化等をすることができるように必要な施策を講ずるものとする。」以上でございますが、ここで二百万の商業者に対しまする基本法が三十三条中たった三項目にすぎない点は、三百万商業者としてまことにさびしい限りでございます。先ほど企業庁長官から、全項が商業者にも当てはまるようになっておるという御説明をちょうだいいたしまして、今後のいろいろな法律の中でわれわれが満足するものがつくっていただけると思っておりますけれども、人情といたしまして、だれかがどこかにまいりまして、太郎おまえには自転車を買ってきてやる、次郎おまえには飛行機を買ってきてやる、しかし商店街おまえは言わないけれども何かあるだろうということでは、今日まことにさびしいのでございます。特に流通革命が叫ばれております今日、せっかく待望の基本法が制定されながら、依然として高度化、近代化の面において、融資、税制の面において、何ら商業者に対しては具体性、積極策が示されておらないのでございます。この点二百万の卸、小売り、サービス業者にとってただただ遺憾でございます。 試みに本年度の商業対策の予算を見ますと、三十八年度の予算は、中小企業近代化促進費として総額六十四億八千六百五十万円でございまして、その中で設備近代化資金は四十一億円ございます。これはすべて工業向けでございます。残ります二十三億一千万円は中小企業高度化資金の名において予算化されております。この内訳を見ますと、商業関係は商店集団化、この予算が一億円、これはすべて問屋の集団化でございます。残ります三億四千万円が共同施設費に二億、協業化資金に一億四千万、合わせまして四億四千万円でございます。二百万に近い商業関係者全体の対策費は実に三億四千万円でございまして、一店舗当たり百七十円であります。カレーライス一皿にも足りない額でございます。この少額の、なきにもひとしい予算で一体何を私たちは近代化するのか。こういう状態でございますので、賢明なる諸先生方の御明察によりまして、この中小企業基本法が制定されることはまことに喜ばしいことでございます。しかし、この目的を真に公平に産業に及ぼすためには、基本法による関連法規におきまして、今後は商業関係者にも公平な施策を行なわれますることを期待条件として、私どもは本法に賛成をいたします。なお、この法案の制定によって、昨年制定されました商店街振興組合の中に商工会の地域の問題が解決しておりません。すみやかに本法でこの問題を解決していただいて、これらの地域にある零細な小売り商やサービス業者たちが、商工会議所地域の商業者と同じに、振興法の適用を受けて平等に生業たらしめるようになることを切望してやみません。中小企業基本法の条文と本基本法の根本理念は、当然これが解決を指向しておると信じております。 以上でございます。
○座長(小川(平)議員) 次に、全国金属労働組合愛知地方本部執行委員長の山田將資君から御意見を承ります。
○山田將資君 それでは、私も恐縮でございますが、所見を述べさしていただきたいと思います。 いま御紹介がありましたように、私は機械金属の中小企業での労働組合の執行委員長をいたしております。特に、御承知のように、中小企業の機械金属の労働者は、さいぜんもいろいろ御意見が出ておりましたように、二重構造の中での苦しみ——私どもはむずかしい法理論的なことについては不得手でございますけれども、そこで私がずっといままで歩んでまいりました中で、神武以来の景気あるいはなべ底景気等、いずれの時点においても、私どもの組織の企業は、絶えずあえぎながら、あるときは金融の締め出しによって企業を倒産し、内整理に入る、等々の問題については、私どもやむを得ず職場を確保するために、生産の管理をしたり、あらゆる角度から私どもはいまの経済構造の中であえいでおるものであります。したがいまして、そういうような点から、私は身をもって感じたことを皆さんに所見として出しまして、今後この法案をよきものにされんことを願うものであります。 まず、現下社会問題とまで発展しつつあります中小企業あるいは中小商工業の強化をはかるには、第一番に、日本特有といわれるような経済の二重構造、さいぜん先生はないと言われましたけれども、私どもは事実大きな生活の格差、いわゆる賃金の格差、生産性の格差、こういうものについての二重構造をなくしていく、そのためには、独占大企業中心的な政策をひとつ解消する、言い方をきつく言えば、打破をしていく、そうして経済の民主的なあり方、これを基本的な政策として、この法案をつくり上げていくべきではないか、こういう基本的な態度であります。そのために、大企業独占から不当な圧迫を受けております私ども中小企業者の自主的な協同化、組織化等々によって、大企業と対等の地位を確保していく、並びにそのような機関を経て金融の措置、税制等の問題を処理をしていくというような具体的な助成策を根本的に講じなければならないと思います。 そこで、具体的な内容でありますけれども、まず私どもの組合組織の中の企業でありますが、名目どおり大企業に鈴なりになって一応関係を結んでおるのが実態であります。特にこの一、二年間は、貿易の自由化という名のもとに、年に何割というような下請加工賃の引き下げがされてきております。さらにこれはまだまだ続くものだと思うのです。特に物価は年々激しく騰貴をしております。にもかかわらず、中小企業者に加工賃として出されるものは引き下げをされておるのが実態であります。したがいまして、このようにばらばらになって、鈴なりのように関係をしておるのを組織化をして、そして一つの窓口をつくって、大企業と受注関係その他一切の問題を処理をしていく、でなければ、中小企業については恵まれた条件はない。いままでずっと私たち見ておりますと、上から言われたままで、おざなりに泣き寝入りをしておるというのが実態でありますので、まず第一番に組織化をして、窓口を一つにして交渉をし、正常な単価あるいは取引条件をつくるようにしていっていただきたいと思います。さらに私は、この内容につきましても、一応でき得るならば、社会党が出しております案、統一された組織化、こういうものについては、可及的すみやかにできるように指導と施策を講ずる内容をつくっていただきたいと思います。これはずっとこの法案と並行して考えられることでありますけれども、私どもはいままでずっと最低賃金制の問題を取り上げてまいっております。このことは、さいぜんも申し上げましたとおり、中小企業の経営者が泣きながらでも引き下げられる。これは底なしの低賃金であるからです。ですから、一応この法案と並行して、最低賃金、全国一律の法案を通していただいて、並行して充実をしていく、こういうことが必要ではないかと思います。 次には、金融と税利の問題でありますが、私ども仲間の組織では、昨年の十月に二つの企業が倒産をしましたが、どうにかいま私どもの手で何とか更生手続を経まして、再建の方向に向かっております。これも重大な金融の面において大きな欠陥がある。特に自転車操業によって、一般の市中銀行等々から締め出しを食って、雪だるまのようになって高利を生み出していく、こういうような条件の中から、ついには、いま申し上げましたような内整理に入ったというのが事実であります。したがいまして、さいぜん申し上げました組織の一元化の中で金融問題を考えると同時に、今後国の予算の中で現在では約一%程度の予算があるようでありますが、中小企業のしょっておる重大な使命、日本の経済構造の中での役割、国民経済に対する役割を御配慮願って、国の予算を、ある程度基準をつくって、大幅に中小企業に流していただくような内容のものをつくっていただきたいと思います。 次には、官公需の問題でありますが、これも、さいぜんたくさんの諸先生方が言われたように、大企業を中心とし、また、大企業を経て中小企業に流れ込んでくる、こういう二重の手間を省くためにも、そうではなくして、中小企業の育成のためにも、中小企業に直接発注、調達のできるような条件と内容のものをつくっていただきたい。 次には、労働福祉と雇用関係でありますが、私どもの組織では、現在愛知県には百に及ぶ中小企業、あるいは中企業もありますけれども、これらの中で絶えず人手不足を叫んでおるのであります。このことは、賃金の問題、労働条件のこと、等々ありますが、特に、福利厚生の面で貧弱であるということは、皆さん御承知のとおりであります。近代的な労使関係を確立する、その側面的には福利厚生の施設を政府資金で何とかサゼスチョンしていただくというような条件を具備していただきたいと思います。そうして、いままで二人でやっておった作業を一人で行なうというようなことも解消されるように、そうして求人難の解消を特に中小企業においてでき得るような条件を具備すべきではないかと思います。 次に、さいぜんから意見もありますが、私は、予算の関係等々を考えてみて、中小企業省を設置していただきたい。これも政府案ではございません。ですから、今後中小企業省を設置をし、予算あるいは地位向上のための独自の省を設置していただくことを念願をいたします。 なお、政府案の条文の中で、中小企業の努力というところがありますけれども、これについては、私どもの判断では、現在行なわれておりますような、前向きで、上向きな企業についてはめんどうを見るけれども、そうでないところは整理淘汰をするというような気持ちが私どもには受け取られるわけであります。したがって、この条文については、ひとつ削除をお願いしたいと思います。私どもで言いますと、ビルド・スクラップということで言っておりますけれども、このような判断になるような内容については、削除をお願いをしたい。 最後に、私はあまりむずかしいことはわかりませんけれども、一応全体的に見た内容では、政府案は抽象的である。さいぜん長官が言われたように、全体的な流れは附則に書いてあるのだ、こういうことですけれども、やはり条文の中でも親切に、血の流れた内容を具体的に表現されるということが私は望ましいと思います。少なくとも仏をつくって魂を入れないというようなことでは、私ども十分認知をして、この法案に協力することはできないと思うのです。 以上、いろいろ申し上げましたけれども、このような法案とうらはらで、やはり私は最賃制の問題と社会保障制度の確立、充実をしなければ、この法案のみではりっぱに中小企業の育成、また所期の目的が完全に達成をされる、かようには考えませんので、その点も含めて、ひとつ今後の審議については慎重にお願いをしたい。 以上、申し上げまして、まことに簡単ですけれども、所見にかえたいと思います。
○座長(小川(平)議員) 最後に、全日本小売商団体連盟副会長の渡邊義信君から御意見を承ります。
○渡邊義信君 御紹介をいただきました渡邊義信でございます。 私はみずから小売り商をいたしておりますので、実は先ほど最初に政府案を長官から御説明をいただきまして、一体この法案が通ったら、中小企業者はこの法律によって何か助けを請うことができるであろうか、そのような疑問を持ったわけでございます。第一に、今日中小企業者は実質的な努力をし尽くしております。そしてきょうは十日でございますが、手形が支払い日で、雨が降って困って、おそらく夕べは夫婦けんかを盛んにやったであろうと思うのです。それほど実は困っておる状況のもとにおいて、中小企業基本法によって何とか救われよう、このような考え方を持っておるであろう、そしてこの法律が一日もすみやに成立することを望んでおる次第でございます。 委員長からお送りをいただきました各党の案を通読いたしまして、各党とも中小企業者がわが国経済活動の上に重要な地位を占めておるということ、それから大企業と中小企業との間に大きな格差があるということ、小規模事業を育成しなければならぬという立場、それから格差是正のために、あるいは社会党の表現でいいますと、二重構造を解消するために、どうしても中小企業者を育成、助長してやらなければならぬというその大目的はでき上がっておりますので、ぜひともその大目的を達成するために、いままで多くの方々が公述をせられました要旨を組み入れていただいて、政府案を中心にして一日も早く成立をさせていただくということを、まず第一点として願望をいたす次第でございます。 そこで、この中小企業基本法が、先ほど長官みずから、これはたとえば抽象的であるという説明をなさり、小規模事業に対する配慮が不十分だ、小売り商業に対する形態も指導も不十分であるとみずから認めていらっしゃるけれども、その中に、どうかひとつ社会党の案、民社党の案——この中には非常にすぐれた点が盛られておりますので、それを取り入れていただきまして、ほんとうにこの中小企業基本法によって中小企業者が救われる、こういう態度に立って、政府、各党ともこの問題に取っ組んでいただくことが第二の私のお願いでございます。そしてそのでき上がったものは、先ほどどなたかおっしゃいましたが、中小企業団体法をつくります前に、やはりこのような公聴会を行ないまして、この団体法によって全国の中小企業者が救われるのだ、このような表明であったわけでございますけれども、事実この団体法によって一つの商工組合をつくろうといたしますと、めんどうくさくて、途中でやめてしまいます。たとえば、不況要件を書類で書いてこいと役所はおっしゃるけれども、組合の人たちがそんなものを書くといったってなかなか書けませんので、そのうちに県内でつくろうと言っておった組合員も、何をしているか、そんなめんどうくさいものならやめてしまおうということでやめてしまうのです。そんな立法にならないことをお願いをするわけです。さらに小売商業調整特別措置法という法律をつくっていただきました。その中で、小売り屋の望んでおります、卸屋さんが小売りをやって困る、メーカーが小売りをやって困る、この問題を助けてもらいたいという要請を受けて、その十四条の中には、政府が指定をした物品について、指定する地域内で小売りを営む卸売り業者は知事に届け出をすることになっているので、その方法によってひとつ流通秩序を確立しようではないかという念願を持っておりましたけれども、その小売商業調整特別措置法は昭和三十四年にできたのに、今日まで私どもが何回要請をいたしましても、地域指定も物品指定も何らいたしてくれません。こんなことでは法律をつくってまさに魂を入れずと申しますか、政治的につくったにすぎない法律ならば効果がございません。そこで、以下少なくも私の申し上げるように、政府案を中心にいたしまして、その中に、社会党案あるいは民社党の案を取り入れた修正案を申し上げますが、少なくもその程度のものは取り上げていただいてこの基本法を制定をしていただきたいと存ずるわけでございます。 まず第一に、第一章の「政策の目標」の中で、政府案というものは、中小企業のいろいろの問題を、これはこうだ、これはこうだということでお認めをいただきながら、その目標のところで、「中小企業の経済的社会的制約による不利を補正する」と書いてございますが、こんな程度では不利の補正ではございませんので、政策の目標、第一条を、中小企業の経済的社会的制約を根本的に是正をするというような考え方に改めて、この文章も改めていただきたいと思うわけでございます。 それから、すでに多くの方々から公述をせられましたように、中小企業省を設置をしていただく、おそらく、中小企業庁では、予算の使用権もございませんし、閣議における発言権もございませんでしょう。重要な問題について発言権も予算の使用権もないようなところで、とうてい多くの中小企業者の理想を受け入れるわけには参らないと思いますし、同時に、この法律の施行にあたっても、そのような不十分なことを免れ得ないであろうと思いますので、第何条になりますか、一条の二になりますか二条になりますか、そこに、「国は、中小企業者に対する施策を積極的に推進するための行政機関として、別に法律で定めるところにより、中小企業省を設置する。」このように明確にしていただきたいと存じます。 それから第二条の中小企業者の定義でございますけれども、これにはいろいろの問題があり、国際的な見地から書く必要もございましょうが、「この五千万円以下の会社並びに」を「また」という条項に書き入れていただきたいと存じます。そしてこの資本金、それから従業員の数というものは、今日われわれの中小企業という一般論の上からいいますと、できるだけ低い金額と低い数を決定をしていただきたいと思いますけれども、全般的な数の上に、国という立場に立ってごらんをいただきますときに、この商業においては、一千万円以下、あるいは五十人、このような数が適切であるならば、この法案全体の中に、小規模事業者、小規模企業者、あるいは社会党の表現で言いますと、勤労者と申しますか、勤労事業者と申しますか、そのようなものと明確にして、これにその組織、制度、金融、あらゆる面に沿うような措置をしていただくことが必要だと存じます。 それから第三条でございますが、第一条の目的を達成するために重要な条項がきめてございますが、その末端のほうに、この事項だけはぜひ入れていただきたいと思いますが、九番目として、中小企業者のための資金の確保をはかること、これは資金量の問題、大企業と中小企業との利率の問題等も将来入るわけでございますけれども、そのこと。 それから十といたしまして、中小企業者のための産業の分野を確保すること。 それから十一番目として、小規模企業者に対する特定の施策を講ずること。 十二番目に、中小企業者の同業及び協力組織の強化整備をはかるということ。 次に、国、地方公共団体の物資の調達は、一定割合以上必ず中小企業者から調達をする、このような条文をここに基本線として含めていただきたいということをお願いを申し上げます。 さらに、第十三条に参りまして、十三条の二といたしますか、国は、小規模企業者の同業組織、協同組織についての保護と助成をはかること、このように明らかにしていただきたいと思います。 さらに、十三条の三といたしまして、国は、商工会が——先ほど御意見がございましたが、商工会の地域等が不明確でございますけれども、商工会の中に入っておるところの中小企業者は、この法律によっていろいろな保護を受け、商工会の活動に大きな影響がありますので、国は、商工会が中小企業者の事業の発展に影響が深いので、これの指導と助成をはかること、そのようなことを入れていただきたいと思うわけであります。 さらに、十四条の次に、すでにこれも何回も公述がございましたが、流通秩序の確立の問題でございます。これは若干現実を付加して説明をいたしますると、すでに御承知だと思いますけれども、黄色い帽子という問題がございました。黄色い帽子というのはどういうことかと申しますと、あるメーカーが黄色い帽子をつくって全国の学校にメーカーから直接売ろう、こういう方策を立てまして、帽子屋さんをはじめその他が大反対の運動をいたしました。途中でうやむやになりましたけれども、このような問題、それから卸屋さんが、いま名古屋で申しますと長者町、大阪で申しますと丼池、東京で申しますと何とかいうところ、そこへ行きますと、卸屋さんか小売り屋さんかわからぬような状態になっております。それからメーカーが株主配当だといって盛んに、自分でつくったものが売れないようになりますと、そのものをサービスに使って株主に配当をいたしております。そうしてそれには制限がございませんので、大きく小売屋さんが影響を受けております。このような問題についてどうしても流通秩序を確立していただく。メーカーは物をつくること、卸屋が小売屋へ売るということ、小売屋が消費者へ売るという一つの過程、これは業種によって違いますので、法律、政令その他でおきめをいただくことになりましょうが、国は、流通秩序の確立を阻害するものを排除するため必要な措置を講じなければならないと、このような条文を入れていただきたいと思うわけでございます。 さらに、十四条の三にこのような文句を入れていただきたいと思います。国は大企業その他が中小商業者の事業活動を直接間接に圧迫することがなきよう、予防、抑制の措置を講ずるものとする。ここに実は私は新聞を持ってまいりました。「ブームをせり合う百貨店、舶来で勝負」というのが出ております。これはみんな百貨店は外国の百貨店と提携をいたしまして、貿易の自由化を種にいたしまして、おれのところとおまえのところと契約をしよう、そのほかへは出してはいかぬぞ、それでおれのところだけで買えということでいっておりますので、品物が売れて困ると書いてあります。いまごろ商店街へ行ってごらんなさい。品物が売れて困るなんというところは一軒もありません。そういうことを規制するのは、一体だれが規制をしてくれるか、これは国の権力以外、規制をしてもらう方法はないと思うのです。そこで、いま申しましたような条文を入れていただきたいということをお願いをするわけでございます。 さらに十五条の二、これは中小企業の産業の分野の問題でございます。これもすでに公述をされた中にありますが、国は、製造業、建設業、商業、サービス業のうち、中小企業者による経営が経済的、社会的に適切であると認められる業種を指定して中小企業の産業の分野を確保する措置を講ずるものとする——これは名古屋の方は御存じでありますけれども、名古屋に西区というところがございます。そこではメリヤスの加工がずっと従来盛んでございました。それから学生服をつくることも盛んでございましたが、最近のように大企業が第一次産業、第二次産業、さらに第三次産業にまで手を伸ばしておりまして、そこらのメリヤスの加工屋さんも——学生服はみんなです。何とか言って毎日ラジオで放送いたしておりますが、あれによって仕事がなくなってしまうのです。今日、貿易にも関係をしない、ほんとうに国内で中小企業者がやってよろしいというようなところには、国の経済、貿易にも関係ないことであれば、中小企業者にその分野を保たせてやることが必要だと考えております。そこでこのような条文を入れていただきたいと考えております。 それから十六条の、これはあとのほうになろうかと思いますが、技能者の養成という問題を、この政府案の中には忘れておるのではないかと思うのです。技術者の中に含むという考え方かもわかりませんけれども、今日中小企業者の中で、たとえば大工になる人、左官屋になる人、板金工、縫工、こういう人の訓練がございませんので、やはりこの企業の部門の中に技術者と同様に技能者を養成するということ、それから従業員に対して福利厚生施設の拡充助成、こういう問題も明確にしてもらいたいと思います。さらに中小企業の従業員諸君には、これはあまり極端なことはいけませんけれども、せめて各種の保険制度は強制的に入れるような方向に持っていくことが必要ではないか。これによって中小企業に居つくところの従業員というものがある程度安定するのではないかと考えております。 さらにそのあとに、国は中小企業従業員確保のため職業紹介そのほか積極的な措置を講じなければならない——先ほども申されましたように、名古屋でも、職業安定所を通じまして人を雇用するような状態はほとんどございません。みな、安定所みたいなものは何もならぬ、あんなものは大企業の手先で、そっちばっかり行ってしまう、大企業のところに行けば何もかも便利でしょうけれども、中小企業ではなかなかそのようなことにはなりませんので、どうしても大企業偏重で、職業紹介所によって小売り屋さんや卸屋さんの小さいところへ来ている人は少ないのです。みな銭を使って九州へ行ったり長野に行ったり富山へ行って、頼むから来てくれと言って連れてきている。そういうことを修正していただかなければ相なりません。 それから、時間が五分以内ということでございますので急ぎますけれども、金融の問題です。金融の問題は今日名古屋の業界が借りておりますのは、大企業は一銭八厘から三銭くらいで借りております。それから中小企業になりますと、安いところで二銭四厘、高いところになりますと二銭七厘から三銭、これに信用保証でもつけますと三銭四厘、要するに貧乏人の小さいものほど、信用のない人ほど高い銭を借りております。今日経営というものは、一厘を争う時代になっておりますので、その一厘を争うような状況の中においては、どうしても大企業並みの融資ができるような方向をとっていただきたい。そこで、先ほどお話がございましたように、財政投融資の中から一定の割合を下らないところの中小企業者のための資金の準備、それから国の金融機関、それから政府関係の中小企業者の金融機関の中から小規模事業者のところにも一定割合を貸すというような方向をとってもらわなければなりません。 さらに申し上げますことは利子の問題です。いま申し上げましたように、利子を、どうしても大企業と競争ができる場を持てるような程度に下げてもらうこと、これは先ほど末松先生もおっしゃったとおり、そのとおりでございます。片一方は一銭八厘で借りておって、片方は三銭二厘で借りておる。これで競争して中小企業者は自分で立っていけなんていったって、できるわけはないのです。こういうことがないようにひとつ御配慮をいただきたいと存じます。 それから税制の問題をちょっと申し上げますと、たとえば、今日の税法では同族会社が社内留保をいたしますと、その社内留保資金に税金を取られております。そんなばかなことは——同族会社というのは大体中小企業なんです。せっかく積み立てて資本金をふやせというのに、その中から税金を取っていきよる。それから同族会社の行為否認という原則を打ち立てて、税務署の役人が来て、あなたのところは同族会社だから月給上げたやつは、それはあかんぜと、こう言っていく権利が税法上の中に認められておる。そんなものは当然早くやめてもらわなければいけません。そこで、国は租税負担につき特別措置を講ずるということをこの中に入れていただきたいと存ずるわけでございます。 時間がございませんので最後にいたしますが、この中小企業基本法を実施に移すために必ず予算を組めということをこの中に含めていただきたいと存ずるわけでございます。 以上取り急いで申し上げましたが、実は中小企業基本法をお出しになった政府あるいは自民党もそうかもわかりませんけれども、なお中小企業の実態の把握が浅いのじゃないかと存じております。どうかその意味合いにおきまして、私はみずから商売をやっておりますので、その点も含めて申し上げましたが、そのような立場をよく御理解いただきまして、三党の出しておる長所をその中に含めていただいて、りっぱな中小企業基本法をおつくりいただくことを切にお願い申し上げまして、私の公述を終わることにいたします。
○座長(小川(平)議員) 以上で各陳述者の方々の意見の開陳は終わりました。 暫時休憩をいたします。 午後は一時五十分から再開し、委員からの質疑がございますので、陳述者の方も御出席の上お答え願いたいと存じます。 午後零時五十二分休憩 ————◇————— 午後一時五十二分開議
○座長(小川(平)議員) 午前に引き続き会議を開きます。 暑うございますから、どうぞ御遠慮なく上着をおとりください。 念のため申し上げますが、発言をなさる際には、録音をとり、会議録作成の関係もございますので、発言のつど逐次座長の許可を得て御発言を願います。 午前の会議において意見陳述者の方々からの御陳述は終わっております。次いで委員諸君からの質疑の通告がありますので、これを許可いたします。 なお、時間の都合がございますので、委員の方からの質疑も要点を申し上げますから、お答えになる方も、簡潔にお願いいたしとう存じます。逢澤商工委員長。
○逢澤議員 私は、公述人各位の最も熱心にその要点の核心に触れてのお話を拝聴しまして、大いに参考になることがありました。そこで個々の皆さまにわたっての質疑はこの際省略いたしまして、ちょっと申し上げておきたいことがありますのは、それは、この原案は、自由民主党におきましても、相当長期にわたっての研究と各方面の示唆や意見を拝聴しまして、当時成案を得、そしてまた政府案としましても、政府の方々も最も熱心に核心をつかんで、きわめて抽象的なような御批判もありましたが、これは御案内のように、関連法案によってこれを充実しよう、そういうことでできております。これは御承知のとおりであります。 そこで、本朝来皆さんの御意見を拝聴すると、その間には、いよいよ法律にいたす上においては若干の修正もまたやむを得ないのじゃないか、こういうことも私ども拝聴しております。一昨日も大阪でこうした会をやりまして、大阪方面の各位からこもごも意見を拝聴しました。きょうはここでやり、十二日には東京で同様のことをやります。そこで、これらの意見を総合しまして、原案であるからあくまでもこれを固執するというようなけちな考えでなしに、各地の公述人の方々のお述べになりましたこともよく参照いたしまして、できるだけ期待に沿うような、かつ本法案の提案の趣旨に沿うようなことでやりたいと思うております。したがって、皆さん方のお一人お一人に対する私の質疑は省略させていただきます。
○座長(小川(平)議員) 田中武夫君。
○田中(武)議員 二、三のお方にお伺いいたしたいと思います。 まず最初に大野さんにお伺いいたしますが、先ほどの御意見の中で、産業ピラミッド型に、こういうような御意見がございましたが、それは系列強化、こういうことを意味するものでございますかどうか。その一点をお伺いいたします。 それから第二点といたしましては、これは大野さんと末松教授にお願いしたいのですが、お二人とも中小企業基本法と特定産業振興臨時措置法とに関連を持たしておっしゃいました。われわれもまた中小企業基本法で、政府は格差是正と言いながら、一方において格差をつくっていくような特定産業振興法、まさに政府は政策上精神分裂ではないか、このように考えておるのですが、お二人の意見を聞いておると、特定産業振興臨時措置法は反対のように受け取れるのですが、いかがでございますか。
○大野修司君 最初の系列強化というお話について、ちょっと私から説明を申し上げたいと思いますことは、われわれがいま協力工場と申して、そこから品物を購入している関係は、競争の関係ではないのでありまして、いわば共同体のような形態において部品工業の強化されることが自動車工業の強化になる、こういう前提から申し上げておるのであって、むしろ自動車工業の部品をつくる専門家になってもらいたいということで、それが単にトヨタならトヨタの系列下であるという考えとは違います。ただし、その部品メーカーがりっぱに完成していただかないと、われわれの品物のある部分を担当していただいておるので、それが育成されない限りわれわれの事業も強化されない、こういう補完の関係にあるということで、系列下におさめるという考え方とは違う、こういうふうに御了承いただきたいと思います。 それから格差の問題について先生の御質問はちょっと私よくわかりかねるのですが、もう一ぺん……。
○田中(武)議員 公正な競争の確保、こういうことをやったわけなんですね。それから中小企業基本法は格差是正を目標にうたっているわけなんです。ところが、特定産業振興臨時措置法は産業界に格差をつくっていく結果になるわけなんです。そこで、あなたが公正なる競争の確保というお考えの上であるならば、特定産業振興臨時措置法は御賛成でないと受け取るのですが、いかがでしょうかと申し上げておるのです。
○大野修司君 公正なる競争ということ、——いま貿易の自由化ということの大前提は、公正なる競争の上に立つ、こういう原理でありますので、この原則を踏みはずすということについては、いまわれわれの考えております部品工業の今後の育成ということについても当然その基本の上に立って考えらるべきである、こういう意味を申し上げたわけであります。逆に申しますると、競争ということをなくすという考え方、こういうふうな面をとりますならば、あるいはわれわれのつくっている品物はほかではつくれないとか、ほかの部品工業でつくっておるものはわれわれにはつくれないとか、こういうふうになりますと、現在の自動車工業について申しまするならば、その製品をつくる方法、あるいはその性格、それが逐次変わってまいります。現在の段階においてこれを固定するということにおいては非常に危険があるわけでありまして、あるいはその製法においても設備においても逐次変わる段階にある場合に、むしろワクにはめることは中小企業並びにわれわれともどもに今後の発展を阻害する、こういうふうに考えて先ほどお答え申し上げた、こういう意味であります。
○田中(武)議員 そうすると別に特振法と関連を持って発言せられたわけではないのですね。
○大野修司君 それとは全然関係を持っておりません。
○末松玄六君 私は、いまの特振法に反対であるかという御質問ですが、特振法の趣旨は、貿易の自由化に対して、たとえば自動車でございますとか、あるいは石油化学とか、こういった国際競争力を考えますと、特にマス・プロ方式でいってコスト・ダウンをしていかなければならないようなもので、まことに特定の業種であるから、国際競争力という点からいって、そういう業種に限って振興策を講ずるという趣旨に反対ではありませんが、それを、もし、へたに運営いたします場合には——実は運営協議会とか、そういったものがありまして、もう一つは自主協調のような形を尊重する、あまり官僚統制にはならないのだというようなことで、そこにチェックがありますけれども、へたにそれをいたしますと、過度の集中を起こして、今度はこの基本法の精神を、あなたがおっしゃったように、根底を破壊してしまうおそれがないか、その点を慎重に関連において審議していただかないと、たとえば中基法なら中基法だけを審議しておってもだめだ、特振法との関連において、そういう過度の集中というような形にならないように、それがもしほんとうの意味の国際的に見た適正規模化の推進ということならば、これは必要だろうと思いますが、過度の集中にならないように、そうして独占禁止法の精神を破壊してしまうことのないようにしていただきたい、こういう趣旨でございます。
○田中(武)議員 末松先生には、またあとでまとめてお伺いすることがありますから、次に加藤さんにお伺いします。 わが党案、社会党案の七章五十八条以下で、特に中小企業に働く労働者の問題、労働者の福祉だとか、あるいは社会保険、そういうことに触れておりますが、あなたは実際そういうことと取り組んでおられるのですが、特に何かこういう点がありましたら簡単にお述べ願いたいと思います。
○加藤政太郎君 ただいまの御質問に対しましてお答え申し上げます。 御指摘のとおり、私たち協同組合は、自主的に大企業の系列化するということなく、自然にその系列をつくり得る体制を持っております。したがって、ただいま御指摘のとおり、いろいろの福利施設、労働者、働く人のための福利施設、厚生施設には、私たち献身的に取り組んでいる現状でございます。したがいまして、政府がお示しになっております年金事業団の福利厚生に対する貸し付け問題、あるいは現在問題化しております炭鉱離職者、すなわち雇用促進事業団のあらゆる貸し付けの一般的事業の進め方、これに体当たりいたしましたとき、はなはだ遺憾なものがございますので、意見として、また、その内容について諸先生の御批判がいただきたいと思います。というのは、きょうも一人受けまして、炭鉱離職者の問題を高度に盛り上げて、私は、九州唐津、多久、佐世保と歴訪いたしまして、真実炭鉱離職者の声を聞き、炭鉱離職者の雇用問題を把握してまいりまして、ここ数日の間に十二人ほど呼び寄せまして、組合の事業内に稼働させております。しかるに、これに対する共同宿舎、この施策において大きな問題点にぶつかりまして、現在はなはだ帰趨に迷っている次第でございます。というのは、雇用促進事業団のいわれます共同宿舎においては、その決定を見まして、組合の事業として計画を進めてまいりましたときに、貸し付けの方法に衝撃を加えられまして、われわれまことに難儀をしておる現在でございます。というのは、貸し付けにおいては、据え置き期間が一つもないということでございます。私たち五千万の予算で、五階建ての炭鉱離職者のアパートをつくるに際しまして、まず願書を出しまして、その願書の中から二千六百七十万の許可をいただきました。五千万の計画を立てることによって、二千六百七十万の許可をいただいたわけでございます。しかるに本省の労働省へまいりまして、安定局長さん並びに政務次官の田村先生にお目にかかったときに、そんな高い計画を立てるから資金難になるのだ、そういうことを聞いてあ然としました。私たちは膨大な計画を立てたのじゃない。五千万円出したことによって、政府の示される単価が鉄筋コンクリートは五万五千円、六万円なんだ。市場価格で建てますと目下八万円を下らない市場の単価なんだ。その差額が二千三百万あって、これが合計して五千万円になったのだ。そういうことは知らぬけれども、ほんとうにそういうことかと言って事務局をお呼びになったら、そのとおりでございました。私は、政務次官とおっしゃる方が、局長ともあろう方が、その内容も知らずに私たちに貸し付けてやるという現状で、きのう、おととい正式に雇用促進事業団から据え置きがありませんということを耳にいたしました。こういうふうに炭鉱離職者の問題、雇用問題一つを取り上げましてもこういう難問題にぶつかりました。しかるに、還元融資、年金貸し付けに対しましても、私たちのいまの問題は、日本でいま共同給食をいたしましても、この問題は、その場に当たりまして全く難渋をしております。長野県の伊那の給食事業、あるいは三重県の桑名の現状を把握いたしましても、いまなお赤字を続けておるにかかわらず、建物は一年、土地も一年、中の設備は、しかも担保力においてはこれは従前のとおり、据え置き期間は、余裕期間半年と一年に限定いたされまして、設備の内容においては、これが信託担保でございます。土地は御案内のとおり、第二になっておっても第一にしろという組みかえをさせられまして、その変更をいま強制されております。そういうような状態が現実にあるわけなんです。
○座長(小川(平)議員) たいへん失礼でございますが、時間の制約がありますので、どうぞなるべく簡略に願います。
○加藤政太郎君 そういう点を現実に裏書きするような難問題が、育成という口の下から、事実、中小企業の政府の方針に沿う事業に参画いたしましても、いまなお難渋しておる現状でございます。こういう点も、あらかじめ政府の御方針並びに今度の中小企業法案に対しましても、幾重にもあたたかい法案にしていただきたいということを特にお願いいたしまして、参考にいたしましてこの事業の計画を策定いたしました。
○田中(武)議員 次に末松先生にお伺いいたしますが、きょうは審査会で皆さま方の御意見を伺うのがたてまえでございますから、私は議論をかけるつもりはございませんが、まず最初に、先生は事業分野の確保について、これはあまりよくない、こういうような御意見のようでございましたが、われわれといたしましては、先ほど渡邊さん等からも出ましたように、中小企業が営々と努力し、あるいは宣伝をし、そうして道をつくったところへ大企業が資本力をもって乗り込んでくる、こういうのが実態であり、二次、三次製品に手を伸ばすという状態、これをわれわれは何とかしなくちゃならないのじゃないか、こういう考えが事業分野の確保でございまして、先生のおっしゃるように、中小企業から松下電器が生まれてもいいじゃないか、私もそう思います。小売り屋さんからスーパーあるいは百貨店になってもいいと思いまするが、われわれ基本法を論議するにあたりましては、一人が百歩進むよりか、百人が一歩進む、こういう考えで努力をいたしておりますので、おっしゃるように、中小企業、ことに零細企業の全部の水準がレベル・アップしたときには、百万円を三百万円とかあるいは一千万円とか、あるいは一方、中小企業の定義を一億とかに伸ばしていく余裕があるのです。そういう点について、もう一度、この産業分野の確保についての御意見を聞かしていただきたいと思います。
○末松玄六君 時間がありませんから簡単にお答えいたします。 なぜ、私が事業分野の画定について消極的といいますか、否定的な考え方を持つかと申しますと、やはり中小企業の問題について、根本認識において違うからだと思います。しかし、いまこれを言っておる余裕がありませんが、たとえば大企業と中小企業、これは国民経済構造の場において公正な条件こそが基本的に大事であって、たとえば一例を言うならば、金融において、皆さんは、ある一つの事業に集中融資されることを排除されておる。それは、先ほど申し上げたように、私は大へん賛成で、いい考え方だと思います。つまり日本の金融において、一つの事業に不当に集中することこそ根本的に欠陥であるということを私は言っておるので、それを是正するならば、なぜ事業分野というものまで画定しなければならないか。画定したために、中小企業の成長発展がわれとわが首を絞めるという、この動態的な事実を皆さんにもう少し理解していただかないと、立法は基本政策であって、常に朝令暮改する性質のものではない。いわんや中小企業の憲法をもって考えておられるような重要な法案でございますので、当然これは長期計画ということを考えるならば、国民経済構造はもう少し弾力的であり、流動的であり、変転してやまないものだということをお考えにならないと、現在の中小企業の分野が明日の分野であると思ったら大間違いである。この点を十分お考えくださいまして、むしろ、たとえば人間の割り振りとか金の流れとか、それからもう一つの問題は、皆さんの社会党の案でも私が賛成しておきましたのは、皆さんは官公需の確保なり、あるいは輸出の振興なり、あるいは輸入品との競合の点における中小企業の保護とか、こういった取引条件あるいは市場の確保という点に格段の注意を向けておられることこそ本質的である。それを事業の分野というようなところまで、なぜそういう——われわれは、実は国民経済構造は、その辺はむしろ自由にまかしておくほうが大事じゃないか。もっとも、この点は社会党は重要産業の国営化を考えておられるようでございますが、そうすると、もっと根本的にそれこそ田中委員と議論しなければならぬことになってくるわけですが、その時間がありませんが、私の言った趣旨は、そういう民主的な企業制度というものをたてまえにして、そこまで法律によって阻害してはならない。大企業が悪いわけでもないわけなんです。しかし、それが不当な資本力、あるいはある金融機関の不当な資金的な援助によって進出してくるからそれが可能になるということ、それをとめれば、どうしてくるでしょうか。経済的に成り立たないものをやる必要はない。なぜやるかというと、資金的に余裕があるからである。資金的に余裕があるからというのは、資金の流れに不公正があるからである。それを是正するということこそ大事である。こういう観点に立っております。
○田中(武)議員 いまの先生の御意見は、むしろその原因となるべきものを排除するほうがいいのじゃないか、こういう御意見のようですが、事業分野の確保については、われわれにはわれわれの考え方がありますが、これはまた何かの機会にお話を伺いたい、こう思いまして次にまいります。 次に、先生は、組織の問題につきまして手きびしい御批判がございましたが、私、社会党案、民社党案を比べまして、考え方といたしましては、御承知のように、いま中小企業の組織の法律というのがたくさんございます。それを一本化の方向に持っていこうという考え方は一致しておる。それから産業別、地域別の同業組合のほうがいい、こういうことでございますが、われわれの十四条でやる事業と、民社案にいう八条三項、そういうようなところの事業とはあまり変わりはない。同業組合にどのようなことをできるようにするかということは、われわれの協同組合の十四条での事業とほとんど変わりはないわけです。そこで、現在では同業組合法というのはないわけでございまして、われわれは同業組合を地域的に、あるいは産業的に何々協同組合としていったらいいじゃないか、そういう考えであるということ、それからもう一つ、これは山田さんにも関連するのですが、商店街を協同組合として一本化することはよくない。現に商店街振興組合法ができたときだから、こういう御意見だったと思いますが、要は、できるところの組合に今までやれておったこと、あるいは援助を受けたこと、補助を受けたこと、全部ができるようにするならば、法の一本化こそ望ましいのじゃないかと思うのですが、お二人の御意見を伺いたいと思います。
○末松玄六君 田中議員にお答えします。なるほどその名前の違いのように見えますけれども、同業組合がいいと私が思いますのは、ちょうどアメリカにトレード・アソシエーションというのが非常に発達しておるわけです。そうして現実に中小企業者が協同化あるいは集団化をやる場合に、事業協同という線を押し出すよりも、むしろ情報のインフォーメーション・センターというような中心、それを事業の中心にする、そういう考え方に同業組合のねらいがあるわけです。なるほど、条文をみると、同じように、おっしゃるように、事業目的あるいは事業が書いてあるわけです。しかしながら、どこに重点を置いて運営していくかということになりますと、私は事業協同組合の今までの活動状況という点からみて、いままで日本に欠けておった同業者の団結という点からいって、トレード・アソシエーション的な活動が非常に欠けておった、この点を重点に置いておるというところは同業組合のほうが進んでおる、こういう考え方です。 それからもう一つ、それよりも本質的なのは、ロバート・オーエンが考えたような初期の空想的な社会主義といったようなものに、フランス革命の直後にできていったああいう協同組合なる形態ですね、それは田中議員のごらんになっておりますその組織法案の中の原則に非常に確認して出てきておるわけです。ところが、実際に、私どもが団体法あるいは協同組合法というものの活動状況を見たときに、一体加入脱退の自由というものを十分認めておって、はたして事業の活動ができるかどうか。ここら辺のところに——その加入脱退を否定するという意味ではないのです。一人々々がほんとうにできた人間ばかりであって、たとえば日本の道路において、免許状をもらった者は、道路交通法というものがなくても、相手の交通の状況を考えながら安全な運転が責任をもってできるのだ、そういうときには、道路交通法は要りません。現に、われわれは道路交通法によって非常な手きびしい統制を受けているけれども、これは産業の交通の促進と人命の安全というところからそれをやっておるわけです。そういう面において、事業についても交通整理というものが非常に必要になってきておるわけです。たとえば団体法の運用においても、アウトサイダーがどんどん出ていってしまって、そうして、もし組合がそういう調整というようなやかましいことをいうなら、おれたちは勝手にやるのだということをやられてしまっているがゆえに、そこで五十六条、五十七条、五十八条といったような直接に大臣命令の形で業者を縛らなければできないというような形が出てくる。それでもうまくいかないという問題がございます。というのは、それは業者の三分の二以上の同意を得るときに国は云々というようなことがありまして、その組合が、商工組合員というけれども、私からいえば、商工組み合わぬ員、こういうような形が現実において割合に多いわけです。そういう意味において、われわれはもっとまじめに——いま急に田中議員に聞かれても、私はすぐにお答えできませんけれども、この組織法案というようなものは、何しろフランス革命の当時とは時代的にだいぶ違ってきておりますから、われわれはもう少し真剣に、現代の技術的、社会的、経済的な革新に合うような協同化のあり方というものを——合同、合併は、一つの高度化の方法で、これは一つのよりどころでしょうが、その中間の協業とか、あるいは集団化とか、共同化ということですね。そのときに、もう一つ、いまのトレード・アソシエーション活動というものがございますが、もう少し固まったものでございますね。あるいはこれを事業協同会社というか、私はそういうような構想をもっております。事業協同会社法案といったような考え方を私は持っておりますが、それはともかくとして、いま根本的に考えなければならぬときに、おたくのものをみていると、実は十分に勉強しないで恐縮であるが、組合の体系の組織化ということに結果としては重点を置いておって、組合のほんとうのファンクションをこういう現在の状況に合うようにするという点において、なお強勉の余地があるのではないだろうか。私のことばがたいへん手きびしいという印象を与えましてたいへん恐縮ですが、きょうは陳述だから何でも意見を言え、こういうことになっておりますので、手きびしいということで、私は口がちょっと悪いほうなものですから、たいへん恐縮でございますが、そういう意味でもっとお互いによく勉強して、そこのところにいくべき段階にきているのではないか、こういう考え方でございましたので、あしからず御了承願いたいと思います。
○山田泰吉君 ただいま田中先生のお尋ねでございますが、商店街振興組合法を昨年先生方にもお願いをしてつくっていただきましたときに、一部では協同組合があるからそれでいいではないかという議論がかなり多かったのでございます。ところが、実際に私たち戦後十五年これに携わってまいりました者から見ますと、従来の協同組合で何とか組織化をはかろうと多年努力してまいったのであります。ところが遅々としてこれが進まない。この理由はどこにあるかと申しますと、商店街という組織は、地域社会のあり方に困難性があるということを認めたのであります。それは、一つの町でございますから、この町の発展、いわゆる商店街振興組合法の主眼であります地域社会の環境の整備をはからなければ、商店街の繁栄はできないということ、したがって、その中の構成分子に、あるところではデパートもございますし、銀行、会社、またお寺があったり、神社がある。しかし、そういったものを一括した一本化の組織でございませんと、街路灯にしても、道路の整備にしても、日よけ等にいたしましても、歯抜けになって、目的が十分達成できない。したがって、商店街振興組合法は、過去の同業組合ではなかなかまとまってまいりません。そういう点から、地域社会の環境の整備を最大目的とした商店街振興組合法をお願いしてつくったわけでございますので、これをもとの同業組合に——もとと申しますよりも、いままで困難してできなかった同業組合の一本化ということは、私どもとしてはどうも納得がいかぬ、こういう意見を申し上げたわけでございます。
○田中(武)議員 末松先生とそれから山田さんですか、いままでの協同組合、われわれは協同組合という形態に一本化する、これはまさに末松先生が言われたように、体系の一本化に重点を置かれておる、こういうことですが、それも大きな考え方の一つなんです。同時に、いままでの協同組合ができなかったこと、それもやれるようにしたい、こういう考えでございまして、そうするならば、商店街振興組合と同じことがやれ、同じような設立要件とするならば、別に法律がなくても、この法律でいいじゃないか、そういう考えでおることを御了承願いたい。 次に、末松先生にもう一点お伺いいたしたいのですが、これも実は立法論としては私も議論を持っております。しかし、それはやめることにいたしますが、先生は二重構造の解消という、二重構造ということば、これが法律用語として適当でない、こういうような御意見だったと思いますが、私は、すでに俗語といいますか、常識語として、経済の二重構造はもうだれも言っておるわけだ。それを法律化したときにどういう定義を下すか、これは解釈法学の場においてなされると思いますが、われわれはまたわれわれとしての定義を持っているわけなんですが、こういう常識化した用語を立法に取り入れることは、どうなんでしょうか。
○末松玄六君 私は適当でないと思いますが、なるほど、このことばは割合に人口に膾炙しましたことはお説のとおりで、私も認めます。しかし、学問的には、田中委員は自慢いたしておられますけれども、二重構造というのを初めに言い出した方が、いま間違いであったということで、訂正されておるような始末でございますし、一体国民経済構造に二重があるはずがないわけなんです。跛行性と申しますか、ゆがみというものがある、それから格差というものがあることは、私も否定しておりません。先ほど一人誤解された方がありましたけれども、それは個人的に話してわかっていただきましたが、私はいろいろな意味において、たとえば生産性の格差、あるいは賃金の格差、あるいは経営のやり方におきまして、非常に近代化の程度とか、あるいはおくれの程度、そういう意味における経営の能力の格差でございますとか、あるいは労働条件、その他賃金以外の労働条件の格差、付加価値の格差、資本装備率の格差とかいうような格差がございまして、その格差を解消するということをおっしゃいましたならば、私は賛成であるが、すでに実は人口には膾炙しても、学問的に非常に現在問題になっておるような、そういう不明確な概念を皆さまのいわゆる国会において非常に重要な政策目標の中に掲げられることは、適当ではないのではないだろうか、こういうことを申し上げておきます。だから、これは字句の問題でございますが、しかし、字句と、中小企業の本質が現段階においてどうなっておるかということに対するこの二重構造論の認識において、多少違うところがあるかに私は思います。二重構造とこういった場合には……。しかし、田中委員は二重構造というのをどういうふうにおとりになっておりますか、質問いたします。
○田中(武)議員 私は、実は衆議院の本会議において、この法案を提案したときに、自民党から質問を受けた。それで私はこう答えたのです。先進国の産業経済の構造の状態と後進国の産業経済の状態が、一国の産業経済の中に同居しておる、この状態を二重構造という。それから先生のおっしゃったように、いろいろの格差、こういう説明を加えた。一言で言うならば、先進国と後進国の経済状態が日本の経済の中に同居しておると、こういうように解釈しておるわけです。この状態をいう。
○末松玄六君 議長、質問してよろしゅうございますか。——質問させていただきます。 それでは、田中委員は、先進国の中におくれたものは全然ないとおっしゃるのですか。そうしてまた日本は後進国であるということは初めて聞きましたですが、中進国というのはありますけれども、日本は後進国であるというのは初めて聞きましたが、新説だと存じます。中進国ということはあります。しかも、最近の日本のいろいろの経済指標の点から申しまして、実態的に見て、日本を後進国であるというふうな自覚のもとでは、この中小企業政策の根本政策を立てることは、私はすでにそれはもう昭和二十八年以前の認識であろうと存じます。
○田中(武)議員 議論はこちらはできぬことになっているのですが、何か……。
○末松玄六君 いや、納得していただくために……。
○田中(武)議員 私はいま後進国と言ったのではないのですよ。日本の経済の中に、先進国の状態と後進国の状態が同居しておる、こう言ったのです。
○末松玄六君 ですから、後進国と……。
○田中(武)議員 先進国の中に、それじゃ後進といいますか、なにがないかというと、アメリカ等でも、中小企業ということばはどうか知りませんが、日本の中小企業とは相当違っている。大企業は、日本にあっても欧米に負けない設備、生産性を持っておるものがたくさんあります。と同時に、一方裏町で手工業をやっておるという状態があります。それを、片や先進国の状態であり、片や後進国の状態である、このように申し上げておるわけです。
○末松玄六君 いま田中委員が言われたことで、先進国——たとえば私が一番勉強したのはドイツでありますけれども、アメリカはちょっとしか行かなかった。ドイツの中において、なぜ彼らがその中小企業概念を非常に社会政策的に考えていくかというと、それが非常におくれたものがあるからです。したがって、彼らの中においては、もう日本で中小企業と考えておるものは、彼らは大企業に考えています。五十人以上のグロースベトリープと考えておるわけです。そうしてそういうものはインドゥストリーとして、ハントベルクとは明確に区別しておる。つまりヨーロッパの中小企業というものの概念は、ハントベルクス・ポリティークになっておるということです。しかし、そういった後進的なものはヨーロッパの中に厳然として存在しておるから、ですから日本の状態をもって先進国と違うのだ、二重構造だということは、だからこそ混乱が生ずる。それよりもすなおに格差、こういうふうに言われていたほうが、法律用語としては適当ではないだろうか、こう考えるわけなんです。
○田中(武)議員 私たちが問題にするのは、規模が小さいというだけでなくて、それが前近代的である、こういうことで、日本の中小企業としては特殊的なものがある、このように考えておるわけです。
○末松玄六君 いや、だから、田中委員の認識ですね。
○座長(小川(平)議員) 末松玄六さんにお願いいたしますが、さきに申し上げましたとおり、ただいまは討論をいたすのではないのです。お含みいただきます。
○末松玄六君 ええ、そうです、もちろん、私はお答えしておる形で言っております。私は、つまり政策目標が非常に大事であるということを申し上げて、いまの点は中小企業は前近代的なものが多いという意味で、二重構造の格差を言われたなら、これはもう政府の原案と比較しても、非常にそれこそ後進的な考え方だということを申し上げなければならぬわけです。その中小企業の中に、もう近代的なものがたくさん出てきておる。ただし、大企業と比べていろいろな点でその格差が生じておるのは、資金、人間の流れ、物の流れにおいて不公正が生じておるから、その不公正を是正するというところにこそ中小企業政策の新しい目標がなければならない、かように思っておるわけです。
○田中(武)議員 末松先生は、ともかく日本には二重構造というものはないのだという御議論ですから、これはいつまでやってもらちはあかないと思いますが、おっしゃるように、私は中小企業の中においても格差はあると思います。したがって、わが党案でいう勤労事業には、特別な手厚い政策を加える、そういうような格差はある。この上に立っております。もうこの程度でこの件は打ち切りたいと思いますが……。
○末松玄六君 座長、委員の約束で私の発言を封じられるのは非常に困るのですがね。私は、先ほど申しましたように、二重構造ということばはちょっと適当でないが、格差がある。また田中委員がおっしゃったように、日本にも田中委員のおっしゃったような意味の後進性、確かに非近代的なおくれたものがあるということを否定しておるということはございませんから、その点はよく……。しかし、そうだからといって、それが全部ではないのだ。むしろ近代的なものが出てきておるのだということ、そしてそれをこの基本法は、その発展成長を助成指導するのだ、こういうことで、設備の近代化、経営管理の指導助成、あるいは金融、税制の不公正の是正、及びマーケットの確保ということにいくんだ、この根本認識に立っていただかないと、私は、基本法というものは意味がないのだ、こういう点を申し上げておきたいと思います。
○座長(小川(平)議員) 田中武夫君、その点はこの程度でよろしゅうございますか。
○田中(武)議員 そうなると、こっちが今度は言わずにはおられない。はたして日本の経済に二重構造あるいは三重構造があるのかないのか、こういう点については認識の違いでございますから、もうこれ以上議論をいたしません。ただし、末松先生も、中小企業の中においてすらなお格差がある、こういう面でわれわれの勤労事業、いわゆる零細企業、これを特別な別ワク政策として考えているということについては、賛成していただけると思うのですが、いかがですか。
○末松玄六君 それであればこそ、私は一番初めに、勤労事業というものは、中小企業基本法でなしに、家内労働法であるとか、あるいは手工業法というような形で別の立法を、あるいは勤労事業者法という皆さんの好きな名前でもけっこうでございますが、そういう形で制定して、その指導助成を大いにやるべき政治的な必要性が大いにあるということは、認めております。また、ことにこの中小企業基本法の推進の過程において、皆さんが注意されて、事業の転換、あるいは社会党のいわゆる衰退する産業の中におきまして、現にいま加藤さんが言われた石炭産業といったような斜陽産業がございますが、こういうものをじょうずに転換さしていくということにおきましても、なお零細あるいは非常に勤労者的な、そういう家内労働者的な業者を社会立法によって救ってやる。私は、本法は経済立法としての性質を非常に多分に持っているのだ、こういう認識のもとに立っております。
○田中(武)議員 私がお伺いしたいと思った点に先に入ったわけですが、この点は山田泰吉さんも同じ御意見ですが、この特別立法で社会政策的なものをつくる。これはわれわれも考えております。しかし、現在の中小企業といえば、やはりいまおっしゃったような零細企業、勤労事業も含めておるのです。したがって、中小企業基本法が経済政策だけだということは、私はどうかと思うのです。そうするならば、中小企業の定義を変えまして、零細企業は別だと、こうしなければいけないと思う。したがって、これは基本法でございますので、一応零細企業を入れて、片や経済政策、片や社会政策、こういうものもあり得るということをまず宣言をいたしまして、こまかいことは、おっしゃるとおり、単独立法を考えております。これについてお伺いいたします。
○末松玄六君 確かにその点で、私ちょっと言い過ぎまして、失礼いたしました。この経済立法が立体であるということに訂正さしていただきたい。おっしゃるとおり、やはりこの社会立法というものを完備する。先ほど私が申し上げたときには、だから勤労事業者はそれほど詳しく書かなくても、一条か二条で、これの保護、助成、指導の必要であるということをまずうたっておいて、そうして別な関連立法によってやればいいという考え方に立っておりますので、それは田中委員のお考えでけっこうだと存じます。
○山田泰吉君 私も末松先生と大体同意見でございますが、私たちが集まりますと、そういう零細な方々は一体企業であるか生業であるかということがいつも論点になっております。そういう点から、同じような方向で特別な対策をつくっていただけばけっこうだと思っております。
○田中(武)議員 考え方はあまり変わりないと思うのですが、私は、やはり社会政策もあり得るのだということを宣言し、そうして単独法をもっと考えると、こういう考えでおりますので、御了承願いたい。 次に、染葉さんにひとつお伺いいたしますが、実は一昨日の大阪公聴会で、同じようなことをおっしゃった人に対して、春日委員から、私がいま申し上げるのと同じような質問をしたのですが、あなたはいま、一面、たとえば中小企業省の設置その他数点の要望がありました。そうして一方、基本法の早期成立と、こうおっしゃいましたが、これは早期成立の中に、おっしゃるような意見がうまく入れば一番いいのですが、そうでなかった場合に、少々不足でも早期成立させよということか、少々おくれても要望はいれろということか、その点をお伺いいたします。
○染葉熊平君 でき得れば、われわれの考え方を取り入れたものが早期にできることが望ましいのでありますが、中小企業、特に零細企業者が非常に大きな期待を持って刮目して待っておりますので、本日の公聴会にも中小企業団体法といったようなこともだいぶん話題になりましたが、団体法の二十九条の改正に三、四年日が延びたのですが、よしんばある程度は、全部取り入れられないにしても、なるべく早くこの基本法が、もちろん精神としては全部を取り入れていただいた上で成立を願うのですが、とにかく手っ取り早いところ成立していただきたい、かように考えます。
○田中(武)議員 わかりました。 最後に、山田泰吉さんにもう一つお伺いいたしたいのですが、先ほどの御意見の中で、商業、ことに小売り商施策というものに欠けておる、こういう御意見でございましたが、わが党案は、四章第二節に、商業に関する施策というものを起こしまして、この四十条で、あなたの強調せられました商品の流通秩序の維持という条文を持っております。われわれとしては大体御要望に沿うておる。しかもあなたのおっしゃった百貨店、スーパー等々、これにつきましては、すでに百貨店法を改正し、それを百貨店スーパー規制法としていくように、われわれは構想を持ち、近く議会に提案をする運びになっておりますので、ひとつわが党案の商業施策に関して御意見があれば聞かしていただきたい。
○山田泰吉君 ただいまの御質問にお答えします。百貨店、スーパーマーケットの進出の抑制は必要であると考えます。そのほか、農協、生協等についても何らかの規制を要するのではないか、これについて、ひとつ先生のほうもお聞かせいただきまして、こういう点も、ひとつ何らかの措置を願います。私の特にお願いしたいことは、中小企業の施策というものが、いろいろな法律ができたり、予算の面でも、予算取りはしていただきますけれども、他を見ておりますと、まことにもの足りないのであります。それは交通の部面を見ましても、道路、電気すべての重要産業を見ておりますと、これを成功させるにはどれだけ予算が要るか。これを三年や五年にやるということで予算化されておるようでございますが、私たち中小企業問題になりますと、ほんのおつまみ銭でどうしてはねのけるかというような予算の使い方ではなかろうか、かように考えます。われわれの近代化、協業化をやるには、一体どれだけ日本ではかかるのか、これを何年計画で達成してやろう、こういう考え方に立って、私はあたたかい施策を講じていただきたいと思います。以上でございます。
○田中(武)議員 実は、私も、この基本法が成立すれば、その上に立って、政府に予算要求というかっこうで、中小企業の方々の団結を希望しておるわけなんです。いまおっしゃいました中で、たとえば農協、生協のような、他の法律によるものはしばらくおくといたしまして、購買会のようなものは、われわれも反対なんです。生協のことをおっしゃいますが、生協は全体の小売りの一%程度ですし、これは別個の法律でありますので、その点で検討していきたい、このように考えております。
○座長(小川(平)議員) 重ねてお願いをいたしますが、この会議は、院における議事規則に準拠しておりますので、参考人から議員への御質疑は御遠慮していただきたいのであります。 田中榮一君。
○田中(榮)議員 それでは、私は質問をする前にちょっとお断わりしておきたいと存じまするが、先ほど、この審査会が始まる前に、名古屋中川鉄工協同組合の加藤さんからこういう印刷物を、私ども委員をはじめ皆さんのお手元に配付していただきまして、たいへん参考になると思い、厚くお礼申し上げておきたいと思います。その中に、これをごらん願うとわかると思うのですが、四つございまして、中小企業庁と書いてありますのは、これは現在出しております政府案でございます。その次に、自由民主党、社会党、民主社会党と三案ございまして、実は自由民主党といたしましては、三十六年の春ごろから商工議員連盟ができまして、御当地の加藤鐐五郎先生を会長といたしまして、辻先生、ここにいらっしゃいます浦野先生、菅野先生、それから早稻田柳右エ門先生等が非常に御熱心に商工議員連盟を指導していただきまして、有志議員の案ができまして、それを中心にいたしまして、自由民主党が採用いたしまして、自由民主党案というものができまして、昨年の通常国会に、社会党、民主社会党と相前後いたしまして、議員立法の形で国会に提出をいたしました。その案の内容が自由民主党の案でございます。その後、政府与党におきまして十分に折衝を重ねました結果、政府原案を出す前に、与党側も十分相談をいたしまして、現在の政府案というものをつくり上げたわけであります。したがいまして、この自由民主党案、いわゆる議員立法で出します際には、社会党案と同じように非常に膨大なものになっておったのでありまするが、これはいろいろと慎重に検討を重ねました結果、中小企業基本法案なるものは、いわゆる基本法であって、どなたかおっしゃいましたように、スローガン的なものだというおことばがございましたが、そういう主義、綱領、目標というものを掲げるものであって、あとは関連法規にゆだねて、それによってひとつ運営をしていったらいいだろうということで、三十三条にまとまったわけでございます。その点だけひとつ御了承願っておきたいと思います。 実は、本日、先ほど来伺っておりますと、十人の皆さま方、非常に研究をなっていらっしゃいまして、どなたの御意見もみんなりっぱな御意見でございまして、十人の皆さま方に一々お伺いしたいのでございますが、委員長からわれわれも時間を守れということでございまして、私どももまた時間を守らなくちゃいけませんので、ごく少数の方だけにしか御質問できませんのを御了承願いたいと思うのであります。 まず第一に、大野修司さんにお伺いしたいと思っておりますが、あなたのほうは、日本でも有数なトヨペットの生産をなさっていらっしゃって、自動車工業としては日本でも一位を占めておる大きな会社でございますが、現在、あなたの会社の立場から見まして、やはり多数の中小企業というものが鈴なりにぶら下がっておるのじゃないかと思うのであります。こうした中小企業に対して、親事業としてどういうふうに育成をしていらっしゃるのか、ごく簡単でよろしゅうございますが、要点だけちまっとお話し願いたいと思います。下請対策に対しては、どういうことをおとりになっているか、簡単でよろしゅうございます。
○大野修司君 お答え申し上げます。概要にさしていただきます。 現在、われわれが注文を出しております、協力工場と称しておりますが、その方面に対しては、設備近代化の資金のあっせん、あるいは当社から、当社において十分利用した結果、価値のあると思うものを、協力工場に設備の譲渡等もいたします。あるいは協力工場等において、今後の設備の改善については、工場のレイアウト、そういうものの指導をしております。これが設備関係であります。 次に、技術開発の方面に至りましては、おのおのの中小企業において、技術研究の設備を充実することの困難がありますために、特に豊田中央研究所というものを開きまして、これをその会社の皆さんに開放しております。その設備の利用をさしておるわけであります。 次に、もう一つは、現在各協力工場は、技術者の不足を訴えておりますので、その各社におります高校出の技術者をもって、工業技術短期大学を開いております。これによって専門的な研究、学習を二年間ほど続けております。これは人員の関係もありますので、場所並びに先生方のいろいろの御教示を得ながら、だんだんこれを拡充していきたい、かように考えております。 それから、技術者の採用のあっせんをしております。それは、一口に中小企業と申しますけれども、相当専門的に進んでおる工場等もございますので、そういう内容を説明をいたしまして、そういうところに、われわれのほうから技術者の採用あっせんをいたしております。特に、また新規採用を中小企業でされました場合に、われわれの方に受け入れまして、実習の教育をしております。すぐ明日から仕事の役に立つように、当分の間はわれわれの工場で教育の実習をする、こういう手段を講じております。 次に、経営の合理化の点につきましては、御承知のごとくTQCの導入、あるいは経営の管理、研究、あるいは工程管理、運搬管理、管理手法の指導、われわれも、あるいはまた、きょうここにおいでになります先生方にも、御協力を得て指導しております。 次に、これから申しますことは、企業の規模の適正化でございます。この問題については、非常にむずかしい問題がありますので、その工場の能力あるいは資金、それらの関係から共同の施設を利用する。あるいは一つの輸入機械をして二社、三社においてこれを利用させる。あるいは、これを言いかえますと、最近言われますコンビナート方式、こういうことも取り入れて、現在指導しております。 その次には、各工場の経営の安定をはかるためには、支払いの安定、注文の安定ということが必要でありますので、大体五カ年計画を示し、その中から一年間の発注の概要を報告し、三カ月目ごとにこれを訂正しながら、時期において多少ふえる場合、減る場合がありますので、こういう調整を三カ月ごとに行なっております。そういうことと同時に、支払いの方法は、大体現金七五%、手形は二五%、その手形は六十日以内、こういうことを明確に指示しております。これは、大体例を申しますと、今月の十五日までに入荷されたものは、いろいろ試験あるいは検査等がございますけれども、翌月の上旬までには支払う。下旬以降のものは、翌月の下旬に支払う。この規定もきめております。もし、その間に不良等が出まして、支払いの困難になりました場合には、特別融資の方法を考えております。 これらを総括して考えますならば、われわれの協力工場に対する考え方は、われわれの発展は協力工場の発展である。同時に、協力工場の発展なくしてわれわれの発展はない。いわゆる共同体であるという考えに立脚しております。この点は、自動車工業の特性かと考えられますので、その点をひとつ御報告しておきます。
○田中(榮)議員 せんじ詰めますれば、あなたのほうの親事業、いわゆる大企業ですね、大企業というものは、弱小企業、中小企業、いわゆる下請企業ですね、その企業の発展なくしては、あなたのほうの工場の発展ははかり得られない、いわゆる大企業も中小企業もお互いにきわめて密接な共同体である、共存共栄である、こういう見地から経営をなすっていらっしゃる、こう解釈してよろしゅうございますね。
○大野修司君 けっこうでございます。
○田中(榮)議員 ありがとうございました。 その次に、加藤政太郎さんにちょっとお伺いいたしますが、三者三様の案を持っておるのですが、やはりあなたもよいものを取り入れて、そうして一日も早くつくってもらいたい、こういう御意見と解釈して差しつかえございませんか。
○加藤政太郎君 差しつかえございません。
○田中(榮)議員 ありがとうございました。 それから末松先生にちょっとお伺いいたします。ほかの方からも御意見が出たようでございますが、すべて日本の産業、特に大企業と中小企業というものは、お互いが対立的な観念で施策をすることは適当でない。やはり労使協調——とは別でありますが、とにかく大企業と中小企業というものが、いわゆる共同体と申しますか、一体となって今後運用していかなければ、日本の産業の発展はむずかしい、こういう御意見でございましょうか、どうでしょうか。
○末松玄六君 先ほど議論しましたように、その共同体という意味がどういう内容を持っているかということによって、そうですというふうに簡単には答えられませんのですから、これはお答えできませんが、しかし、国民経済構造の全体の、つまり簡単にいえば、富の増大をはかって、その分配を公正にして、国民の生活程度を高めていく、そうして愉快な社会環境をつくるということにおいては、何人も疑いない。それに対しては、大企業も中小企業も、そのような大きな、皆さんの政策目標に掲げられているような、国民経済あるいは社会の健全な発達のため——これは法律の好きな文句ですが、そのために、互いに協力しなければならないということだけは間違いないでしょう。
○田中(榮)議員 ありがとうございました。 それから、もう一つお尋ねいたしたいと思いますのは、先生が最初に、基本法はスローガン的なものになってしまうのだ、これはやむを得ないのだ、逐次関連法でも設けて具体化していくほかなかろうという御意見でございますが、私どもも、中小企業の基本法でありますから、これがあまり具体的になってしまうと、一般の法律と何ら区別がつかないことになってしまう。そこで、基本法というものを、ある程度——一ぺん制定したならば、それをそのまま置いておいて、関連した法規というものを、経済の情勢によって逐次手直ししていく。いわゆる基本法というものは政策目標をきめるのだ、こういうことでわれわれは考えておるのでございますが、先生もやはりそういうふうにお考えになっておりますか。
○末松玄六君 それでけっこうだと存じます。ただし、目標と、それから表現としては、社会党の案にあるように、基本計画と実施計画——ある程度の実施計画というものも、基本法にうたわれておかれたほうがいい。それはどうせ皆さんも、金融の問題であるとか税金の問題であるとか、それから労働の問題でございますとか、市場の問題、商業の問題というふうにいかれるわけですね。ですから、第一条は、いまのように基本的な政策目標、それを実現するための実施計画というものは、そこにある程度の具体性を盛っておかなければならぬが、現在のような皆さんの御案でございましたら、その程度で、あとは関連立法によって具体化していく。基本法というものの性格からいって、そういう御方針でいいでしょうと思います。
○田中(榮)議員 ありがとうございました。 そこで、もう一点お尋ねいたしたいと思います。先ほど田中委員との間に、事業分野の確立につきまして、いろいろ御意見の交換があったのでありますが、この中に、先生は、業者の間の、大企業、中小企業の間の不利の補正というようなことをなるべく具現するように努力すべきである、こういうお考えでございます。この不利の補正という場合に、何かこれに対して、ある一定の調整のための機関を設けるとか、そういうようなお考えなんでしょうか、どうなんでしょうか。
○末松玄六君 そういう機関を設けても、それがうまくいくかどうか、私も自信がありませんが、それはむしろ法律規制、先ほどどなたか言われましたが、国家権力というものによって、やはりそこに介入していくということが大事じゃないでしょうか。つまり、単なる一つの調整機関のようなもの、あるいは紛争処理機関のようなものを設けておきましても、実際には、それが両方の主張を寄せて二で割るようなことになりまして、なかなか現実においては——そういうところこそ御遠慮なく、国家権力によって、こういうような不公正はなしにするということを私は明定すべきだと思います。そうして、そこに紛争の余地なからしめるようにすることこそ、親切な法律配慮じゃないかと思います。
○田中(榮)議員 いま一点お尋ねいたしたいと思うのであります。 産業分野の確立ということは、非常に必要なことであろうとわれわれも考えておるのであります。ただ、それを実施する場合において、非常に困難な点がある。と申しますのは、憲法によってお互いに営業が自由である、憲法によって営業自由の原則というものが確認されておる。そこで中小企業の分野に大企業というものが入っていく、その場合において、これを法律でもって抑制するという場合においては、やはりある程度公共の福祉というような点から考えていかないと、このあれが抑制はできない。まあ先生はその必要はないという御意見でありますから、それでいいと思うのですが、私どもは、どうも産業の分野に大企業が入っていく、それをある程度抑制するためには、やはり憲法の規定というものもあるし、それについては公共の福祉という点から、ある程度これもまたはねのけられるというような感じがするのですが、そういうような点は、先生はどうお考えになっておりましょうか。
○末松玄六君 先ほど来、私は田中委員の御質問に対してもはっきりと申し上げましたように、産業分野の画定ということは、実際御着手になられましたら、おそらくこれは雲をつかむようなもので、おわかりにならないと思うわけでありますし、問題なのは、やはりたとえば資本の供給というような点において不公正がある、その不公正を是正されておかれるならば、産業分野ということは、おっしゃるように、憲法によって営業の自由が認められておるわけでありますから、それを制限するようなことはやるべきじゃないじゃないかという観点に立っております。もし、そういうものが、具体的に、たとえば、先ほどいろいろと御指摘のあったように、大企業がどんどん小売りの分野に入ってくるとか、あるいは二次製品の分野に紡績資本がどんどん入ってくるというようなことは、私どもは、これは経営診断の立場から、実際にデータをとってみますと、ペイしていないのです。償却もできないのです。ということは、そのような先行投資が許されるような資金の供給源があるはずである。こういう点を明確にして、それはちょっと資金が行き過ぎるじゃないかという、そのところへ規制をするということが大事であって、あくまでも国の統制というものは、そういった間接的といいますか、そういう原因にさかのぼるべきであって、その業種というものはこうこうである。これは中小企業の分野だ、これは大企業の分野だといっても、われわれはいま五千万円以下ということにかりに中小企業の範囲をきめておいても、基本法としてはおかしな話であって、これはそれぞれの、金融とか労働とか、いろいろな立法において、——その範囲というものを基本法の中で明確にしておくと、これはまたすぐに法律改正に持っていかなければならない形になると思います。現実に金融機関が金を貸すときに、何千万円以下ということでないと不便だからということでありますが、それはむしろ関連立法のほうにおいてきめて、中小企業という概念は弾力性のあるものにしておいたほうがいいという考え方を私は持っているから、先ほど範囲の問題には触れませんでしたけれども、それはそういうわけなんです。ですから、大企業と中小企業といっても、それは一体どこで線を引くのか、これは皆さんも自信がないと思うのです。そういう意味で、むしろ環境の中において公正に競争ができるような場をつくっていただくということこそ非常に大事である。しかし、中小企業は、それにしても、自分で経営能力を上げていくとか、あるいは技術を向上していくとかいうようなことについては、指導がなければなかなかできない面がございますから、その面は、国はある程度の特典をもってそれを指導援助していく。だから診断とか指導機関を強化する、こういうふうに現に皆さんもお考えになっているわけです。そういうことでやっていくことが望ましいと思っております。
○田中(榮)議員 どうも末松先生ばかり責めて恐縮でございますが、最後にもう一点お尋ねしたいのです。 最近、中小企業が非常に労働力が不足である、求人難が非常に大きな問題になっておりますが、この求人難を解決する第一の方法としましては、中小企業みずからが、その体質の改善をはかり、環境の整備によって生産性の向上を考えていって、そこで初めて求人難の解決ができるというふうによく言う人があるんですが、そういうようなことはどういうふうにお考えでございましょうか。たいへん抽象的で恐縮でございますが……。
○末松玄六君 これにつきましては、やはり政治的な配慮が非常に必要である、そのようななまやさしいものじゃなくて、私は、実はこの三月も名古屋市に頼まれまして合板工業の診断をいたしました。この間、水島工業地帯に行って三菱の下請け工業百軒、これも診断いたしましたが、人手不足という問題は、実に徹底的な問題でございまして、生産性を上げて労務管理を近代化しながらやっていけば——人間が来るというような、なまやさしい問題ではございません。しかも、一部の方が陳述されましたように、職業安定所の実態というものは、これは原因とか実情はともかくとして、結果として大企業のほうに流れていくようなふうの仕組みになっております。そこで、最もよいきめ手は、ちょうど中小企業専門金融機関があるがごとくに、関連立法として中小企業専門職業安定所というものをつくっていただく。そうすれば、その所長は中小企業のほうに人を送れば出世していきますので、非常にうまくいくのではないだろうか。私は、中小企業省というのも、これをつくっていただくならほんとうにけっこうでございます。望ましいのですが、あまり現実に考えて恐縮ですが、なかなかそこまでは一挙にはいかないとすれば、少なくともその第一段階として、何でも中小企業専門というやつをつけていかれれば、非常に効果を発揮するのじゃないだろうか。ちょうど商務局とか国内商業局というお話もありましたように、そういう責任の所在を明らかにしていくということが、人の問題におきましてもいまは非常に差し迫った問題であろうと思います。そうでなかったならば、ほんとうに人間が——私どもが診断しておりますと、人間の労働の投入量が隘路でございます。金よりも何よりも、人間さえあれば、問屋や小売店でもメーカーでも困りません。その人間が、ただとれないだけでなしに、やめていってしまうというところに、実はあまりにも急激な成長の刺激と申しますか、そういうことがあるのです。そういうのはひとつ国の配慮において公正に雇用の機会が——雇用というのは雇うほうでございますが、そういうことがあるように配慮していただくならば非常にけっこうだろうと思います。
○田中(武)議員 関連して。先ほど来いろいろ議論をやりまして、私もう一つ先生の考え方がわからなかったのですが、結局こういうことですか。中小企業というものは、体質的なものでなくして、いわゆる施策の結果こういうものができた、こういうお考えなんですか。中小企業というものは、体質的なものでない……。
○末松玄六君 両方であると思います。政策の影響と、主体的な体質の問題と、二つが重要な因果関連を持っております。
○田中(武)議員 体質的であり、構造的であるとするならば、まだ議論になりますが、やはり二重構造ということはあり得ると、こういうように思うのですが……。
○末松玄六君 いまおっしゃいましたことは、よくわかりませんでした。もう一度お願いいたします。
○田中(武)議員 中小企業というものは、体質的な面もある。これをお認めになるのだったら、やはり——いや、政策面と両方ともある。したがって、中小企業の今日の状態が政策面から起こっておるというならわかる。体質的なものがあるというなら、経済の二重構造ということもやはり言えるのじゃないかと思うのです。いわゆる経済の構造的な中から、宿命の中から、中小企業と大企業との格差、あるいはそれぞれの間における格差が起こっておるというのが、二重構造という考え方と違うのでしょうか。
○末松玄六君 先ほど来、座長は議論してはならないとおっしゃるのに、また議論をされております。しかも、われわれ陳述人は、はかないものであって、陳述はできても、委員に対して——私は心臓強く切り返しをしておりますが、質問をしてはならないというわけであります。ただ問題は、いまおっしゃっておる中で、田中委員の意見がわかってきましたが、やはり格差ということでおっしゃっておるようでありまして、その格差を二重構造ということばで言ってもいいじゃないかというわけですから、それは田中委員のことばの趣味の問題であって、格差ということで私は了承しておきます。ですから、これ以上議論をふっかけられないようにお願いしたい。
○田中(榮)議員 山田泰吉さんと山田將資さんお二人にお伺いしたいと思うのです。ちょうどお二人の御意見が同じようなことを御説明いただいたのでありますが、山田泰吉さんのほうは、大企業、中小企業の紛争解決の処理機関が何か必要じゃないか、社会党案に掲げられているのはたいへん進歩的であるという御意見、それから山田將資さんのほうは、何か一つ窓口になって大企業に対して交渉して、正常なる取引をさせるようなものがほしい、こういうように御説明願ったのであります。お二人のお考えは大体一致しているように思うのですが、その点、山田泰吉さんのほうから、もうちょっと御説明願いたいと思います。
○山田泰吉君 お答え申します。この基本法の制定は、最初、企業庁長官殿が、基本法であるからあまり具体的に示されていないのだというおことばがございましたから、申し上げることもどうかと思ったのでありますけれども、従来、いろいろな委員会制度もできておりますけれども、これは先ほど末松先生がおっしゃいましたように、施行なさる責任者の方々の言いのがれにどうも委員会ができているようでございまして、反対、賛成、いつも二つに分かれます。その場合、適当なところで、たとえば百貨店審議会にいたしましても、一万坪出てきたから、三割切って七千坪許可しようというようなことになりがちでございますので、この問題——弱い中小企業がこれにかみついてまいりましても、なかなか目的が達成できない。したがって、もう少し明確にこういうものを、末松先生からお話のございましたように、割り切るものも出てくることが好ましい。したがって、その点、社会党さんが前進的であると申し上げたつもりでございます。
○山田將資君 それではお答えします。さいぜん陳述の中で出しましたように、下請企業が文字どおり鈴なりになっておって、さいぜん組織問題もいろいろありましたけれども、現状では、そういうようなグループ的なものはあっても、実際にそれが交渉するような一つの体系はできていない。逆に、お互いに足を引っぱり合ったり、相手の腹をさぐって、少しでもたくさん親企業から受注をとろう、こういうような程度にしかすぎないと思うのです。したがって、社会党で出しておりますような一つの組織形態をつくって、そうして一つの窓口をつくる、そこから受注条件とかあるいは支払い条件等々を話し合っていけるような強力な機関をつくっていきたい、こういうことであります。
○田中(榮)議員 私の質問は終わります。
○座長(小川(平)議員) 中村重光君。
○中村(重)議員 末松先生と田中委員その他でいろいろ意見が取りかわされました。そういった政策目標のことについて末松先生にお尋ねしたいのですけれども、もうずいぶんこれで時間をとりましたから、そこで渡邊さんと山田さんに、この点については一言なかるべからず、こういうことではないかと思いますのでお尋ねいたします。 私は、率直に、政府提案の政策目標というものに対しては、現在の日本の経済の中にあるところの格差、まあ二重構造というようなことに対しまするいろいろ議論があったわけですけれども、この政府案の政策目標というものは第一条に出ておるわけですが、これはあまりにも現象的に問題をとえらておると思う。どうして格差が生じておるのか、その原因をもっと究明する、それを構造的にとらえていかなければ問題の解決にはならぬと私は思う。そこで、これは理論の問題ではなくて、どうしてこの格差を解消するかということに取り組んで、それを政策目標の中に明らかにしていくのでなければ、具体的な政策というものは生まれてこないと私は思うわけです。 そこで、政府案の中には、中小企業の経済的社会的制約による不利の補正であるとか、あるいはまた生産性等の諸格差が是正されるとか、これははっきり格差を解消するという決意というものがここにあらわれていない。根本的に格差を解消するという考え方が政府案の中には出ていない、私はこう考えております。そこで、いろいろ関連立法の話も出ておるわけですが、そういうことをいろいろお話しいたしますと——時間がございませんからお話しいたしませんが、この第一条の政策目標の中からどういうものが出てきたかというと、第十四条のいわゆる中小企業近代化促進法、これを受けて高度化貸し付けの関係の法律案といったようなものが出てきておる。そこで、日本の産業構造高度化あるいは国際競争力を強化していくんだということで、特定の業種、特定の企業に限って、これに対する助成というものをやろうという形であらわれてきておるというわけです。中小企業全体を振興していかなければならない、中小企業の体質を改善していかなければならぬという取り組みというものは生まれてきていない。さらに、また、問題として指摘しなければならないことは、前文には、特に小規模企業の従事者に対して適切な配慮を加えるということが明らかにされておるのでございますけれども、政策目標の中には、これを意識的に削ったのかどうか——それが削られておるということなんです。そういうことから、いろいろ関連法も出されておりますけれども、この小規模事業者をどうして育成していくのかという形の関連法というものも出されていない。それから、また、事業転換というようなものも、御承知のとおりに第十五条に出ておるわけでございますけれども、特定の業種、特定の企業に限ってこれを強化し育成をする。ところが、政府の助成から漏れる他の中小企業は、それでは存立できるのかどうか、これが存立できないとして事業転換という形で、政府はこの転換を指導していこうという考え方の上に立っておるのか、そういうものが関連法の中にも出されていないし、また、この条文を見てもきわめて抽象的で、私は中小企業は非常に不安な状態におちいっておるのではないかと思うわけです。 それから、先ほど、末松先生は不利を補正するために金融、税制といったような問題をお出しになりましたが、私は、これを構造的にとらえていくということになるならば、単に不利を補正するという形で、税制、金融だけの問題では解決し得ないものがある。しょせんは、大企業の大きな資本力というものに対しては、これと競争して、ともに併立をしていくということはとうてい不可能なことである。それならば、単に税制、金融の面からこれを規制するということだけではなくして、大企業の進出をチェックするという制度的なものをつくるのでなければ、中小企業の存立というものは不可能である、こうまで私は極言をして差しつかえないのではないか、そういうように実は考えるわけですが、これらの点に対しての考え方をひとつ聞かしていただきたい。
○渡邊義信君 ただいま中村先生の考え方の基礎については、私はそのとおりだと思うのです。そこで、やはり私は中小企業者の中におりますので、今日どうして中小企業者が苦しくなってきたかというのは、やはり過去の制度、資本主義というものの重視、それから経済的あるいは社会的な要素が自然にこうなってまいりましたので、ここで中小企業者を救済しなければならないということを認めれば、先ほど小規模事業者あるいは勤労事業者と申しますか、小規模企業者とも表現をいたしておられますけれども、この分野に入っておる人がおそらくこの中小企業基本法の中できめられた七割くらいあると思うのです。それですから、その問題を強く取り上げて、その方向を示してやらなければ、当然、経済競争の基本は公正にして自由な中でやらなければいかぬのであるけれども、そのことがすでに大いにずれてきたので、格差というものが出てまいりました。そこで、それを是正していくということが必要なために、基本法というのが生まれてまいったわけだと思いますので、先ほど話がございました小規模事業者に対する問題をはっきり明示をして、そうしてこの方向によって小規模事業者も救われていく、同時に、中小企業者の育成の手も伸べていくのだということ、それから、先ほどの中小企業の分野と大企業の分野という問題も、これもいろいろの原因があって、そうなってまいりましたので、ここでその原因を芟除するような国の権力を差し伸べてやる。理論として、それでは金を拘束すればいいではないか、あるいはお得意さんを減らせばいいではないか、こういうことをやるほうがむしろ困難であって、ここに基本法によってはっきり明示をして、その目標を示すことが必要であろうと考えております。ただ、中小企業者の従業員の問題ですけれども、これは今日大企業と同じような考え方で指導していくところに多少の疑問を持っておるわけでございまして、社会党の案の中では、その問題をきわめて明確に示しておいでになりますけれども、中小企業の従業員はやがて中小企業者になるのだ、そういう前提の上に立って指導していただくような考え方を持っていただきたいと思うわけでございます。 いま申し上げましたように、私の考え方としては、基本法に、先ほども問題になりました産業の分野の問題、小規模事業者の問題、これらを明確に示すことこそ、今日の中小企業者は望んでおり、かつ、そうしてもらわなければこの格差の是正というものはできないと考えております。
○山田將資君 ではお答えします。さいぜん申し上げましたように、全体的な社会党案と政府案でありますけれども、そういう面からいって、社会党案の中には、いろいろ具体的な内容が入っておる。特に、いまの事業分野の問題についても、末松先生はいろいろ御発言がありますけれども、ある程度そのような大企業に対する制限的なものは考えるべきではないか、こういうふうに私は考えるわけです。それと同時に、私は、他の立法もこの法と並行して完成させるべきものである。といいますのは、さいぜん申し上げました最低賃金制の問題をある程度具体的に推進させなければ、いまの中小企業に従事する労働者の賃金その他労働条件、これが大きく影響して求人難問題が発生をしておるというのが現実の問題ではないかと思うのです。したがいまして、大小にかかわらず最低賃金制を確立して、これと並行するならば、その点についても緩和できる、このように考えますので、一応この法案とともに、そのような諸立法についても配慮をされることが中小企業育成、助成のために必要ではないかと思います。
○末松玄六君 中村委員のお考えの中で、やはり誤解をされている面がありますので、お答えしておきたいと思います。 私は、いまの大企業の不当な、かつ、急激な進出といったようなものは、私のいわゆる不公正な環境になっておるわけでありまして、そういう環境とか、あるいは構造とか、そういう理解において政策を発動していかなければならないということについて、してはいけないというようなことを言ったことは一度もございません。中村委員にその点誤解を解いていただきたいと思います。つまり私のは事業分野の画定はする必要はないのだ、ただし、そのもとですね、資金の面とか人間の面とかいうことで不公正がありましたら——不公正はまた現実にある。それをただすことが必要である、こういうことを申し上げておりますので、何か私がただ税制とか金融の面だけの平板な、それの補給のようなことだけを末松は言っているのだというような御理解のように承りましたので、その点誤解がございませんようにお願いしたいと思います。
○中村(重)議員 末松先生にお尋ねします。時間がありませんから、その点は簡略にしますが、先ほど来、大企業と中小企業の協調、そういうことでお話があったわけです。もちろん、私は大企業と中小企業が敵対的な立場に立っての対立ということで申し上げるのではないのですけれども、御承知のとおり、協調ということは社会的分業、こういうことにもとられると思います。ところが、御承知のとおりに、中小企業が、たとえば加工部面において、あるいは食品部面において、これは中小企業の分野である、こういうことで中小企業が安住の地として事業をやる、ところが大企業が資本力にものを言わせ、もちろんそれは技術革新のときにおきましては、いつも固定するものではないにしても、中小企業の分野へ次から次と進出をして、中小企業に残されたものは大企業が全然採算に合わない、こういうことで問題としない事業、そこで技術革新の時代においては、中小企業の分野というものは、新たにつくられはするけれども、それを、また、大企業は、これはと思うならば、そこへ進出をしていく、こういう形が現実の問題として起こってきておる。そうなってくると、先ほど申し上げましたように、税制、金融という面で中小企業の経営をなめらかにするということだけでは、中小企業というものは、いつまでたっても安定した事業の確保というものができないのじゃないか。そこに、何か構造的な、制度的なものを求めておるのではないか、その必要というものがあるのではないか、こう思うのですが、末松先生は、事業分野の確保ということはできないとしましても、そういうチェックをするということについての政策的なものが必要とはお考えにならないかどうか、その点に対するお考え方をひとつお聞きしたい。
○末松玄六君 それこそ必要であるということを私は繰り返し言っておるわけで、どうしてまた質問されるかと思っているくらいです。それが必要である。私は、たとえば、金融機関がある業種に対して融資を不当に集中するということを排除すれば、そういうことはだんだんと避けることができるのだということで、そのもとを押えるのです。ですから、それは必要であるということを言っておるわけです。おわかりになりませんでしょうか。だから、社会党案の中に、集中融資の排除というのがあるでしょう。それは非常にけっこうであるという考え方に立っておるのです。そして全部大企業と中小企業が協調関係にあるというふうに甘く考えておりますが、それだったら中小企業問題というものはないはずである。問題というのは、そこに協調関係もありますし、対立関係もある、この前提に立っておる問題意識があればこそ、こういう中小企業というような法律が必要になってくるというわけです。それでなければ「中小」というものをとるわけですからね。企業基本法でいいはずなのであって、そこに、構造的に見て、あるいはあなたの言われる制度的でもいいですが、不公正なものがあるということを認めておればこそ、その根をとめることが大事であるということを申し上げておる。事業分野なんということは、皆さんが現象の問題にあまりにも拘泥した考え方であるということです。そうしてそういう固定的なことは不可能であるということです。
○中村(重)議員 それでは次にお尋ねします。 中小企業政策審議会の点ですが、これも末松先生にお尋ねします。この点については、先ほどの陳述の中にも触れられなかったわけですが、政府案は、審議会というものについてきわめて抽象的に書いてあるわけです。構成の面も不明確である、また運営の面におきましても不明確である。ですから、中小企業審議会には、中小企業の意見が大きく取り入れられ、また発言の機会を与え、これを尊重するというシステムをつくっていかなければならないのではないか。アメリカにおけるところの農業政策——こういう形で、農民の意見というものによって農業政策が大きく左右されておるという面がありますが、そこまでいかないにしても、やはりこの審議会の運営というものに対しては、中小企業の意見を十分聞くというような考え方でいくならば、政府案の審議会というもののこういう形に対しての御意見はどうなのか、その点ちょっと承りたい。
○末松玄六君 審議会は、中村委員のおっしゃるように、それを有効に活用するという点からいって、けっこうであると存じます。
○中村(重)議員 宮木さんにお尋ねいたしますが、先ほど中小企業の定義の問題で、この程度が適当である、こういう御意見がありました。ところが、御承知でありましょうが、政府案の中には、従業員三百名、資本金としては五千万円、「並びに」ということになっておりまして、従業員が三百名以下であれば、極端にいって一億円あるいは二億円の資本であっても中小企業の範疇に入るという形になっております。この点、社会党案は「かつ」というのでしぼりをかけておる。現在資本金一千万円という中においても、一億円程度の資本金を持つ企業を中小企業として取り扱っている、そういうことですが、そうした「並びに」という形で、しぼりをかけないということになってくると、実際において秩序が保てるかどうか、そういうことをお考えになって、これが適当であるということであったのかどうか。その点お聞きしたい。
○宮木乕一郎君 ただいまお尋ねの問題につきましては、先刻陳述のときにも申し上げましたが、この五千万、一億がはたして大資本であるかということでございます。これは、物価との比例から考えてみると、大きくも見えますし、小さくも見えるということに相なるように存じます。ただいまお話のございました「並びに」と「または」ということ、私、まことに申しわけございませんが、法律のことはあまり詳しく存じません。従来の「または」という観念でこの法を解釈さしていただいておる考えでございます。
○中村(重)議員 染葉さんですか、先ほど、商業関係について、こういう抽象的なことではだめだというような御意見でありました。特に、その中にサービス業のことについて触れられたと思います。このサービス業について、何か具体的な、制度的なものでもお考えになっておるかどうか。たとえば、よくサービス業者が言われることは、適正配置ということ、サービス業は現在のように適正配置という形をやらないまま放任をするということは、非常にたやすく事業を開始できるという関係上、非常に過当競争という形が出てくる。これではいけないというので、特にこのサービス業のことに対しての適正配置というようなことを強調されるわけです。それらのことに対して何か具体的な御意見があれば、この際聞かしていただきたいと思います。
○染葉熊平君 これは質問してはいけないということですから申し上げられないのですが、中小企業基本法の二条の定義の一、二、ほんとうはこれからいかないと、カッコしたのを除いているのか含めているのか、私、頭の悪さか、わかりません。だから、そのほうからお伺いしたいのですが、それは私なりに解釈さしていただいております。 次に、御質問のサービス業の関係なんですが、十四条の商業という欄に、これがカッコの中が生きておるなら、当然商業、サービス業といったように載るはずなんですが、載っていないから、カッコの中は削除したのであろうか、こんなふうに私考えたのであります。 そこで、御指摘のサービス業と申しましても、あるいは旅館であるとか、いろいろの業種があり、その中に自動車等の修理業も入っていると私聞いております。そういった場合、中小企業者が使っている三輪とかなんとか、いろいろな機動力の車は、ほとんどがニューで買えば五、六十万円する車を、十五、六万円か二十万円くらいの入れかえのものを使っているのが大部分なんです。そうしたような車をおもに使っているものは、修理によって初めて生かされている。その場合の修理がまともにできなかったら、機動力に支障を来たす。それでは、中小零細企業の障害になるから、サービス業も当然入れるわけだ。あるいは旅館とかホテルとかいったようなのは、サービス業ということになっているそうですが、観光資源云々といったように、時の脚光を浴びているといったような観点から見ても、当然これはサービス業もやはり入れておくべきではないかということと、当初に企業庁長官から、商業や零細についてはいろいろとあるのだが、この法律の前文を適用する予定だというお話がありました。しかし、ほんとうに前文を適用する予定であるなれば、十四条への表現もおのずからそういう表現が出てくるはずでありますが、出ていませんので、サービス業等も、やはり零細中小商業と同じように、この中へサービス業が、床屋さんだろうが何だろうが、一応含まれるように、お説のように地域等の関係もありますので入れておいていただくほうが、中小企業者のために、特に零細企業者のために親切ではないか、かように思いましたので、特にサービス業ということについて触れたわけであります。以上です。
○中村(重)議員 丹羽さんにちょっと御意見を伺いたいと思います。 先ほど、いろいろ議論されました第一条の政策目標の中から出てきている問題で、第十一条の経営管理の合理化であるとか、あるいは企業規模の適正化とか、あるいは商業を非常に軽視しているということについての第十四条の問題などが出てきたわけです。確かに御意見がございましたように、商業なんかにいたしましても、こうした条文の中から出てきました関連法、まあ近代化促進法であるとか、あるいは高度化資金の貸し付けの関係の法律、そういうものの中で、商業関係からはスーパーマーケット、これを山田さん御意見のように二億四千万かそこら、それから交通難を緩和する、こういう問題と卸商の近代化をはかるという面ですね。卸商の団地をつくる、大体一カ所二千万円程度、五億円というのが関連法の中から出てきている。ところが、流通革命の中におきまして、大量生産、大量消費、こういうので、この生産者、大企業と消費者を結ぶパイプは非常に大きくなり、短くなり、窓口は広くなる、こういうことで、卸商というのは将来どうなるのかという不安というものが実はあると思う。そういうことに対する将来のビジョンというものを与えていくということ、実際は政策目標の中にそういうことに対する考え方をより一そう出してこなければならないのではないか。それから、先ほどちょっと触れましたように、これを受けて立法しましたところの関連法規の中の、いわゆる近代化促進法の中では、特定の業種を高度化する、あるいは国際競争力を強化するというようなことで、特定の業種、特定の企業に限って是正措置を講じていこうという考え方の中に、それは、他の業種というものに対しては特別の措置をやらない、こういうことから、新たに地域的な格差、業種間の格差、企業間の格差というものが生じてくるという形になる。これらのことは、この基本法があまりにも経済合理主義にとらわれ過ぎておるという点に私は欠陥があるのじゃないかという考え方を実は持っております。これらのことに対する御意見を伺ってみたいと思います。
○丹羽俊夫君 非常にたくさん御質問がありましたので全部お答えできるかどうかわかりませんけれども、まず第一番に、私どもが一番痛切に感じておりまするのは、運送業にいたしましても、大企業といわゆる子会社的な、そこから資本の出た会社がどんどん伸びてきてしまって、小さな、五台、十台持っておる運送業そのものが圧迫されてしまう。ねっちもごっちもならない。これは先ほどもいろいろ御説明がありまするが、資本の力で何ともいたし方ない、泣き寝入りの状態である。こういう不公平な状態では、幾ら前文で中小企業をおだてていただいても、その実利がないのじゃないか。いま先生の御発言のようなことがあるならば、中小企業に対してもっと実のあるやり方、実のある法案をつくっていただきたい。特に問題になりまするのは、労働力の問題、近代化の問題、これには当然資金的な面も要ります。しかしながら、先ほども申し上げましたように、国の予算そのものが大企業偏重、これが非常にはなはだしい。その結果が現在のような中小企業の困窮を生んでおる。こういうものを解決するためには、やはり均等に、いわゆる不公平のないように、平等に中小企業の発展を考慮してもらわなければならない。 それから、もう一つは何でしたでしょうか。
○中村(重)議員 商業関係と、スーパーマーケット的な高度化という形で出てきたわけですね。
○丹羽俊夫君 これは、たとえば大資本を持って、大きな資本のバックを持ってやればできるわけです。ところが、中小企業、小さな商店というもの、これでやはり生活しておるわけなんです。ところが、小さな商店からいきますと、その地域に大きなマーケットなり百貨店なりができますと、そちらのほうにお客さんが吸収されてしまう。これじゃいけないから、社会党案にあるように、いわゆる企業分野をきめてもらう、ここまで進出してはいけない。もっと中小企業をあたたかい目でもって育成してやりなさい。こういう事業分野をはっきりときめてもらうことが、中小企業を守っていただく、より一そう育てていただくということになるのではないか。だから、政府案で言われているようなことではなくして、社会党から御提出のあるように、事業分野をはっきり明文化して、中小企業を育成していただきたい、このように思います。
○松平議員 大野さんにお伺いしたいと思います。 これはちょっとこの問題からはずれるかもしれませんけれども、関連があるので、お伺いしたいのですが、自動車産業のいわゆる部分メーカーが非常に困っておるのは、各シャシ・メーカーが自社だけの規格をいろいろつくりまして、そうして発注するわけです。そこで日本の国のものを外国に輸出しても、部品がなかなか間に合わない。おたくの部品と、たとえばルノーやその他いろいろシャシ・メーカーがございますが、そういうふうなものは間に合わない。そういうところに非常に困る点があるので、しかも、中小企業は非常に困っているというので、国会でこの問題を取り上げまして、そうして少なくとも共通の部品というものにさせていかなければいけないのじゃないかということで、数年前に国会で決議をいたしまして、そうして共通部品をつくるようにということで、この決議を通産省が尊重いたしまして、部品メーカーに流した。部品メーカーは非常に喜んだ。部品メーカーは、これは非常にいい、画期的な決議をしていただいた、こういうことで経費もはぶけるわけです。型を一つつくっても、ほかの会社の型がずいぶん違うようじゃ困る。それがある程度JIS規格で、共通の部品をつくるようになるならばけっこうだということでやった。そうしたところが、シャシ・メーカーのほうは、そういうものを引き取らない。自分のほうは自分のほうの規格でやるのだということで、せっかく政府がそういうことを国会の決議に基づいて指導したけれども、シャシ・メーカーがその国会の決議を尊重しないという態度をとられたわけであります。したがって、部品メーカーは、中小企業者として非常に損をした、こういう苦情をわれわれは聞いておるわけであります。現在その点はどうなっておりますか。
○大野修司君 お答え申し上げます。自動車自体の設計というものが、各社において根本的に相違がございます。その相違があるという点が、いまの部品についての設計の相違ということに相なっております。先ほど、前半において陳述いたしましたように、最近におきましては、自由化対策の一環といたしまして、部品の規格の統一化、単純化というものを再確認しております。はたしてこの部品規格の統一化、単純化というものが、各社の車が違うのにどの程度までできるかということは、今後の問題だと思いますけれども、その方向に進んでいることは現実でありますし、いま先生のお話のように、先につくって損をしたということを私まだ聞いておりません。なぜならば、いままで注文してある先は、いままでの規格をずっと続けておりますので、その分野については、私のほうは、注文した限り全部ちょうだいしておりますので、そういう点は存じませんけれども、いままでのところは、車をつくる根本の設計が違うので、共通し得る範囲を、その中から各社において相談してまとめておる、こういう状況でございます。
○松平議員 その次に、時間がございませんから飛び飛びになりますが、金持さんにお伺いしたいのです。婦人の立場として、いわゆる消費生活の台所を受け持っておる者の立場といたしまして、商業についてお伺いしたいと思います。 商業については、消費者が便利になるようなことが望ましいということが一つございます。すなわち、やはり手近なところで簡単に買えるというようなスーパーマーケット式なものが私は一つの行き方だろうと思う。しかしながら、これが大企業によって進出されてくるというところに問題がまた一つあるわけであります。ですから、矛盾がそこにあります。つまり、流通機構については消費者が便利のいいようなことが一つなければならないということがあると同時に、小売り商業に従事しておる人たち、こういう人たちの生活のことも考えてやらなければならない、こういう問題があると思うのです。そこで、主婦の立場としましては、小売りというものについてどういう行き方がいいのか、つまり、そういう立場から言うならば、幾らかやはり安くて便利な流通機構がいいのじゃなかろうかと思うのですけれども、あなたのお立場でお伺いしたいと思います。 それから、もう一つそれに関連しまして、先ほどちょっと聞き漏らしたのですけれども、政府案が商業の対策について不明確だというようなことをおっしゃいまして、小企業についても小売り商についても、いわゆる前近代的な状態があるということ、したがって、これらの経営者、つまり企業者としての自覚というものを促していかなければならない、こういうような御発言があったように思います。先ほど前段に私が質問を申し上げましたこともそれと関連があるように思うのですが、企業者に自覚を与えるというような政策、やり方、それに対して何かいいお考えとか思いつきがありましたら、あわせてお伺いしたいと思います。
○金持伸子君 二つの問題について御質問がございましたけれども、あとの問題から先に御返事を申し上げたいと思います。 私が、先ほど商業とか小企業分野に関しまして、特に企業家としての前近代的な部分が非常に残っているから、そういう分野では企業者としての自覚がもっとまたれるのではないかというふうに発言をしたとお受け取りになったようでございます。ちょっとその辺、私のほうのことば足らずの面もあったわけですけれども、そういう見解もあるようですが、企業者の自覚をまつというような抽象的な、ないしは企業者自身に責任を転嫁するような考え方、そういう考え方に基づくということには問題があるのではないか、そういう企業者の自覚をまたなければならないといわれている企業にこそ、はっきりとした政策というものが必要ではないか。たとえば労働者対策、先ほどから最賃制の問題等が出ておりましたけれども、具体的にそこで働く人々の問題、また勤労事業者に対しての育成、保護とか、そういうものが盛り込まれていいのではないかという意味で申し上げたのでございます。 第一の点に関しましては、なるほど消費者の立場といたしましては、安くて便利で手軽に買える店ということは非常に魅力があるわけでございます。できるだけそういうふうな店ができることが望ましいのでございますけれども、私どもの周辺で見ておりますと、幾つもそういう店ができるので、お互いに競争ばかりして、安売りをして共倒れになっていくというのが現状になっておるのです。共倒れになった後にどうなるかといいますと、初めに非常に安売りをした品物が、ほかの店がなくなった段階ではすぐに高くなって売られる。そういうことで安売りということが、その企業が進出してくるためにとられた手段で、消費者の側の利益という面からあまり考えられていない。そういうことで安くて便利ということは確かにけっこうなことでございますけれども、結果として消費者の消費生活を混乱させるような、非常に無計画な競争が行なわれますと、かえって私どもは迷惑するのじゃないかと思います。その点で過当な競争を避けるような、具体的な政策というものが盛り込まれることが望ましいと思います。
○松平議員 この問題について、山田泰吉さんと渡邊さんにお聞きしたいのでありますが、現在の小売り商は非常に過当競争である、こう思います。過当競争であるということは、この商業に従事する人々が非常に多いということなのであって、この多いという原因が一体どこにあるのか、どうして一体小売り商ばかりそう多くなるのか、物を買う人の購買力がそんなに多くならぬのに、小売り商がどんどん多くなってくるということは、これは社会問題じゃないかと思う。 そこで、この点は最低賃金とそれから給与体系というものに私はあるのではないかと思う。つまり、今日の給与体系で、人生五十五年でもって退職してめしを食っていけるような退職金をくれる会社はないと思います。そこで、どうしても手っとり早く食い延ばしをするというので、しろうとの店が出てくるというようなことがあって、そのためにくろうとが非常に困っております。そこに一つの原因がある。これは社会全体の政策の点でありますけれども、そういうことが大きな原因をしているような気がします。小売り商が非常に多くなってくる原因はどこにあるか、あるいは国民の勤労性がだんだん失われて、手っとり早くブローカーでもやるかというような気持ちの者が多くなってきたということも聞いておりますけれども、それらの点についてひとつ分析をしていただきたいと思います。
○山田泰吉君 松平先生の御質問にお答えいたします。 特に戦前、戦後を通じまして、中小企業の中で小売り商が非常に激増する。したがって、そのことによって過当競争が行なわれておる。これはおっしゃるとおりでございまして、その理由がどこにあるか。一方から見ますと、最低賃金制とか給与体系の問題ではないか、こういう御質問でございますが、現在の小売り商の激増というものは、そういう問題もございましょうけれども、一口に言って、いままでこの業界がいろいろな政策からほとんど放任の状態でございました。したがって、零細な資本でその日から何とかなるというのが最大の原因だと思います。一例を申しますと、退職をされて、百万か二百万あれば、それにどこか親戚でまた百万も借りてくると、すぐ店先を借りて小売り商が始まる。または店員をされておりました方が、これは小売り商自体も大きな反省をいたさなければなりませんけれども、給与体系というものをしっかりいたしておりませんから、先が不安であるので、仕入れがわかって、親戚で少し金が集められると、どこかの間借りでまた小売り商を始める。自分はスクーターのうしろに荷物を積んで、御主人のところのお得意回りをする。そういう現状で、二つの道から非常に小売り商が激増するのであります。一方、百貨店とかスーパーの圧迫も相当強い過当競争の原因ではございますけれども、日ごとにどんどんふえてまいります小売り商の激増を何らかの形で制約いたさなければ、過当競争は消えないと考えております。
○渡邊義信君 小売りのふえるということは、いま山田さんがお述べになったような原因というものが主たるものでございますが、そのほかに、たとえば、今日名古屋の場合で申しますと、商店街で生活をしていくのが非常に苦しいので、どこかいいところはないかというので、既往の小売り屋が店をどこかへ出そう、出そうと考えておる。そこで、一面は店をやっておること自体が損になっておるのにもかかわらずやっておる現況でございます。これはメンツのためにやっておるという見方が強いわけですが、それがたとえば高架下ができる、あるいは駅前の地下街ができると、既往の店がそこへどんどん出してくる。そうすると、自分の本拠のところが売れなくなる。先へ出たところはまた多少売れる、こういうことで新しいところ、新しいところへ既往の店がふやしていくという問題が一つと、もう一つは、小さな資本ですぐ手近にやっていかれる、その両方が重なり合いまして小売り屋が幾らでもふえていく。これが今日の名古屋における現況であり、同時にほかの地域も同じような方向であろうと考えております。
○松平議員 末松先生にお伺いしたいと思うのですが、今日の金融制度については、われわれはわれわれの考えを持っておりますけれども、一つ困る問題は、銀行も私は困るのじゃなかろうかと思うのですが、大企業の融資の理由というものが、ほんとうに融資を必要として借りる場合がむろんありましょうけれども、しかし、そうではなくて、自分の会社の株価の維持をするとか、また、いまおっしゃいました半分広告をするために第二次産業、第三次産業に手を伸ばしてくる、こういうような現状があるわけであります。ところで、はたしてその融資の理由がどういうものであるかということは銀行側でもなかなかわからぬような仕組みになっておると私は思います。そこで、いまおっしゃいましたことの中には、いわゆる企業診断をやればわかるのだ、こういうお話がございました。私もそうだろうと思います。そこで、企業診断なり公認会計士というものか何か、こういうものを活用する方法を考えて、大企業に融資をするという場合に、はたして正常な融資であるかどうかということを、何らか公の機関において調べる必要があると思うのです。また、公の機関でなかったら、これは別途の半官半民のものを考えて、そして診断士の資格も上げ、公認会計士の資格も上げて、そこに生活できるだけの十分な給与をやって、そして何らかそういう意味に協力させるような立場にこれを位置づけるような機関と申しますか、そういうものが必要じゃなかろうかと思うのですが、それらの点についてのお考えをお聞かせ願いたいと思う。
○末松玄六君 これは非常にむずかしい問題と思いますが、一つは調査ということもあります。銀行当局に対しては大蔵省という監督行政、しかも非常に強力なものがありますので、その場合における指導金融というものを明確にする。つまり大蔵省並びに日本銀行、地方銀行、これが相当強力な指導をやっておるわけでありまして、これが実態を知っておるわけです。またもう一つ、金融機関がよくわからないというお話でありますが、今日金融機関ほどその実態を調べておるものはないと思いますので、そういうところでわかると思うのです。だから、別に調査機関をつくらなくても、そういった指導監督に当たる中で指導金融を明確にしてそういうものをつくっていくということが一つの方法だろうと思います。 それからもう一つ、私は長期的に見て、実はその金融機関がコマーシャルベースというものを非常に持っておる限り、実は中小企業金融という方向に指向せざるを得ないような客観情勢が、資本の自由化というものが進行するにつれて、封鎖経済から開放経済になってくるという観点からして、次第にむしろ中小企業金融が非常に重要な融資の対象になるという客観情勢が出てくる。と申しますのは、もう一つ、ただ調査するというだけじゃなくて、いわゆる起債市場、公社債市場というものがだんだんと出ていって、大企業が社債とか増資はもとよりですが、社債による外部自己金融、つまり外部資本金融ですか、そういったものを次第に高めていくということになりますと、金融機関のほうは中小企業のほうに勢い重点を置いていかなければならないというような、そういう客観情勢があって、コマーシャル・ベースでも実は次第に環境が是正されていくような状況にありますので、あまりに、たとえばそういった調査機関——なかなかこれはいますぐにお答えできませんけれども、やはり当局がそこで指導基準をつくって、非常に極端な集中融資といったようなものについては、窓口指導によってこれを是正していくというようなことが望ましいのではないだろうかというふうに私は思います。
○松平議員 もう一点それに関連しまして末松さんにお聞きしたいのですが、先ほどもどなたか公述人の方からお話がございまして、私もそのとおりだろうと思うのですが、今日の金融制度、ことに金利については、大企業ほど安くて長期である。条件から申しまして、中小企業ほど高い金利で短期みたいなものもある。金融機関も独立採算制ですから、もちろん損をすることを覚悟で金を貸すわけにはいきません。しかし、何と申しましても、あなたが先ほど来言われたいわゆる公正な競争の場を与えるということについて考えてみると、どうしてもこれは中小のほうの金利を下げるということにしなければならぬわけです。この点についての金融機関の経理状態というものもむろん関係があるとは思いますが、私は、いま申しました中小のほうになるべく下げるような方策をとっていくためには、どういうことをしたらいま一番いいかということについてお考えをお聞かせ願いたい。
○末松玄六君 現在資金源としては、いまのコマーシャルベースでおやりになる民間金融機関というのは、比較的高金利の、まあ預金面が一番大きいことは御存じのとおりでありますが、しかし、それにたとえば中小企業金融というような点を考えていきますと、金融債というのがありまして、これが七分であって五年というわけで、非常に高金利な資金コストです。日歩二銭くらいの資金コストになるのではないだろうか。それに信用が非常に不安定なものが現実にありますので、そこに保証料その他がつきますと、先ほどおっしゃったようなふうに、二銭があるいは三銭五厘といったようなふうに上がっていく実情にあるわけであります。したがって、資金源を金融債並びに預金というものによってもっていく限りは、それはなかなか現実の問題については低金利ということがむずかしくなってくるわけです。それと、もちろん資金量というものに制限がある限り、それはなかなか、中小企業に長期的には私はいくと思いますが、現在はできない。そうすると、有力な資金源というものは、先ほど来お話が出ておりますように、財政投融資という形になるのと、それからそれのほうから出ていくのと、郵便貯金、つまり運用部の資金がございます。それからもう一つ、一般会計の繰り入れといって、年末に皆さんが中小企業なんかに緊急融資されて補給されるのがあります。そういったような資金源が考えられるわけでありまして、そういう意味でやはり財政資金というものを、これでしたら長期の低コストの資金というものが——国民経済の中で中小企業政策の重要性を考えるならば、税金で集めた金を低コストでもって、しかもこれがめちゃめちゃに資本の乱費をするのじゃないのだ、国民経済の健全な発展に寄与するのだという長期計画を推進するのに必要であるとするならば、これらの財政資金というものを具体的には商工中金、中小企業金融公庫あるいは長期信用銀行——長期信用銀行というのは三つございますが、つまり長期信用銀行と興業銀行、不動産銀行、この三行、それからその他の特殊金融機関は、なお医療金融公庫とか——医療金融公庫の資金が、私の調べでは一番安いことになっております。だから、これは非常にうまくいっているようでありますが、そういったようなもの、あるいはまた住宅金融公庫というのがございます。これも比較的に資金は安いわけです。だから、そういう方向に財政資金をもっと大幅に動員するということが資金コストを下げ、しかもそれを長期化するという点において私は必要だろうと存じます。
○松平議員 宮木さんにお伺いしたい。先ほどちょっと中村君の質問で答弁のことが不明確であったのですが、いわゆる範囲について五千万円または三百人以下ということを陳述されたわけであります。その中村君の質問に対するお答えの中で、一億円、二億円も現在ではそうたいしたことはないということを答弁なさったわけなんです。そこで法律をつくる場合には、ある程度のふわっとしたワクのようなものがないとまずいので、範囲というものをきめるわけなんですが、あなたのお考えでいきますと、極端な例を言うと、資本金は十億円で、そして使っている人間は二百人だというものも中小企業の中に入れる、こういうお考えですか。
○宮木乕一郎君 これは常識論と申しますか、あまりそういう極端なものは私はないと存じます。かつまた、いわゆる零細企業という面から考えますと、やはりでき得べくんば二つの方式にしていただきたいと存じますが、常識論といたしまして、五千万円または三百人で支障はないものと存じます。
○松平議員 あなたのお考えであるならば、「または」ですから、どちらかということになるわけなんですね。そういたしますと、資本金のほうは一応五千万円ということになっておっても、「または」ですから、三百人以下の場合は資本金はどうでもいいのだ、こういうことになるわけですよ、あなたの考えによれば。「または」なんだから、どっちでもいいというのだから……。
○宮木乕一郎君 いえ、これは、ついでに申し上げて相すみませんが、従来一千万円または三百人の観念から推して私は申し上げておる問題でございまして、ただいま御指摘のごとく、あるいは十億、二十億というのまで含んでいただくという考えは毛頭ございません。
○松平議員 それでは三百人以下の場合は、資本金はどの程度までのものを常識的にあなたはお考えになっているのですか。三百人以下の場合において、あなたのほうは「または」なんだから、それだけでもう中小企業なんですから。そうすると、資本金は常識だというと、どの程度までのものは中小企業の範疇に入るというお考えですか。一億、二億ということをさっき言われたけれども……。
○宮木乕一郎君 現在考えておりますところによりますと、あるいは一億でも、これは考えようによっては妥当だとも考えられますが、一応従来一千万でありましたものをにわかに十倍にするということは、いささか暴論のように考えますので、一応五千万の線を考えておるわけでございます。
○松平議員 この問題については実は範囲というものは非常にきめにくいと思うのです。業種、業態によって私は違うと思う。アメリカのように、各業種によって中小企業の一種の定義のようなものを下しておる国もございます。日本においても、たとえば鉱山業なんかやっているところは、資本金は二千万円でも従業員は一千人も使っているというところもございましょうし、また資本金は三億円もあるけれども従業員は五百人でやっていける。ことにいま技術革新の時代で、オートメーション化されてしまうと、そういう企業がだんだん出てくると思います。そこで業種によっては、これは政令で規定するというふうに弾力性を持たしたほうがいいのじゃないかという気がしているわけです。そういう私の考えについてはどうお考えになりますか。
○宮木乕一郎君 しごく先生の御意見同感でございます。
○松平議員 はなはだ恐縮ですが、もう一つ宮木先生にお伺いしたいのですが、組織の問題です。組織にはやはり組織をしたほうがいいのだという、呼び水といいますか、助成政策をとるべき必要があると思うのです。そこで金融並びに税法上の助成政策が必要だろうと思います。また現在もある程度はございます。商工中金にいたしましても、あるいは中小企業等協同組合法の中のいわゆる課税について利用配分による配当金には課税しないということがございますが、そのほかに、現行法では非常に不満足だと思うのですが、組織をもう少し、だれもができる、やるような具体的な助成政策というものはお考えになっておりますかどうですか。組合のほうに御関係のある中央会でありますのでお聞きしたい。
○宮木乕一郎君 お答えいたします。ただいまお話しの組織金融と申しますか、金融問題につきましては手っとり早い一つの例を申し上げます。 従来、近代化振興資金として国からお金を出していただいて、県でまたその等額を出し合って貸し付けるという問題につきまして、私も実は愛知県のそういう審議会のメンバーになっておりますが、今日までの運用面ははなはだ潰憾な点が多いのです。と申しますのは、規定によりまして、年間三百万もうけたところは貸すな、二千万以上借金しているところは借すな——これではほんとうの零細企業だけより回っていけないという規定に縛られておる。それで、ただいま御質問のございました方法については、無理して開設するということは非常にけっこうなことでございます。むしろ、私の考えといたしましては、従来の——そんなことを申し上げて相すみませんが、四十億や五十億で日本全国の人間が近代化するにはあまりにも情けない金額でございます。ですから、その金額、つまり無利子の金額は零細企業の方にお分けをしまして、りっぱにやっていける会社には、あるいは三分なり三分五厘なりの金利を取りまして、そして三百億なり五百億なり大口にお貸し出しを願うということにしていただければまことにけっこうだと存じます。
○座長(小川(平)議員) 民社党案の説明をされました春日一幸君から発言を求められておりますので、派遣委員外ではございますが、特にこれを許可いたします。 ただし、時間に制約を受けておりますので、四時三十分までには会議が終了できますようお含みの上御発言願います。
○春日議員 それでは時間の制約がございますので、末松教授にただ一点のお伺いをいたします。 問題は、中小企業の産業分野の確立に関する件でございます。先生は、そういう国家規制を行なうことは適当ではないと述べられました。しかしながら、わが党案におきましては、これは中小企業基本法の一大支柱に相なっておりますので、したがいまして、教授がわが国中小企業問題の最高権威者のお一人と目されておりますだけに、そういうような権威者から、こういうことは適当でないと公述されたことは、われわれも、この政策の妥当性と必要性の将来に重大な影響を与えると考えますので、私ども党が研究をいたしておりますその必要性について申し述べて、あらためて公述を願いたいと思うのでございます。 われわれの基本法は、この冒頭宣言とも目すべき前文の中に書いてございます。それは、現在の中小企業の困窮が、すなわち、政策的に資本主義偏向のあらわれである。大企業偏向政策の累積した結果このようなものになったのだ。だから反省をしてこれを直せといっておるのでございまして、直すための具体策をかくかく講ずべしというのが前段でございまして、言うならば、これは医学でいう臨床医学みたいなものでございましょうか。かたわになったものを整形する、血が出ておるものは包帯を巻いて血どめをするという臨床医学的なものであり、しこうして、先生の言われましたところのいろいろな公正かつ自由な競争の基盤を確保すれば、将来にわたって云々という問題は、言うならば、原理学、病理学的なものでございまして、将来こういうひずみや病気を起こさないことのためには、かくかくの措置をとれ、けれども、現在あらわれておるこの現象についてはこのような具体策をもってこれを直せ、こういういわば経済改造法案的性格と意義を持っておるのでございます。したがいまして、現状を直すということが最も必要に迫られておるのでございますが、そのためには、ただ原理的な諸施策を講ずるだけでは、五年、七年すぐにたってしまいまして、その間の国民の困窮はどうにもしようがないわけでございます。したがって、われわれは中小企業の産業分野の確保、官公需の確保、あるいは中小企業の資金確保、こういうような国家権力の介入を認めんといたしておるのでございまして、他方、共産主義でも、平和共存で何となく社会化されております。資本主義経済も、だんだんと計画経済化されまして、社会化されておりまして、純粋の共産主義経済も、純粋の自由経済も、いま世界にはあり得ないと思うのでございます。こういう意味で、憲法論がございましたけれども、労働者のストライキの規制、あるいは交通自由の原則が道路交通法によって規制、あるいはまた、百貨店法が制定されて自由開業の規制、これは憲法の職業選択自由の原則も、各所においてこれが規制を受けておるのでございます。こういう段階において、いまジェット戦闘機からたとえばエプロンまで、これは伊藤忠なんかを諷刺したことばでございましょうが、そんなふうに大企業というもの、わけて資本主義というものは、もうければもうけるほど、もっともうけたいという一個の性向を持っておりますので、こういうものを規制いたしますためには、国家権力を介入せしめる。全国民が日本の産業経済のいずれかにとどまって、そのなりわいを果たし得ることのためには、ただ単に自由競争の原理の上にこれをゆだねておいては、その成果が得られない。よって、だれが見ても中小企業にふさわしい産業であり、過去の生産実績も、中小企業の手によって消費者の需要が満たされてきたとおぼしき産業については、これを国家が法定して、中小企業の産業分野として、自由競争と弱肉強食との一点を、ある限界においてこれをチェックしていく、こういう意味で、中小企業の産業分野を法的に確保する必要がある、こういうことでこの政策を掲げておるのでございまするが、それでも、なお、かつ、けしからぬとお述べになるのでございますか。
○末松玄六君 繰り返して申しますように、大企業が急激、かつ、資本力だけでもって中小企業の既成の分野に進出してくることをチェックするということは、必要であるというふうに——先ほどの中村委員のお話でも、私がチェックすることに反対しておるというふうにお話になりましたから、そうではないのだ。ただし、私のやり方は、産業分野の画定ということではなくて、それは現象にとらわれたやり方であって、その根本にさかのぼって、資金の面、特に人間の面、そういう点において、むしろこれをチェックすべきであって、これが第一次——皆さんがおやりになるのは、中小企業はこうこうこういう面で非常に多数を占めておる、これが中小企業の分野である、こういう考え方で分野を固定的にしてしまうということは、かえってひいきのひき倒しになりまして、われわれがアメリカの歴史なんかを特に調べてみましても、百貨店法においてもそのきらいがあるのですけれども、中小企業の正しい、合理的な成長発展、近代化の過程を、そのような法律の規定がもし阻止するというふうな、われとわが墓穴を掘るというような方向にいきつつあるということが、アメリカの中小企業の歴史なんかを調べてみますと、出てきておるわけでございます。ですから、お説のように、そういうふうに急激、かつ、資本力だけによって中小企業の既成の分野を侵食して、多数の中小企業を困窮におとしいれるというような事態は、政治的にこれを立法的措置によって阻止することが必要であるということはまことに同感である。ただ、その手段として、産業分野の確保という手段ははなはだ拙劣な手段である、こういうことでございます。
○春日議員 教授は、原理的な政策を講じて、たとえば金融なんかをぐっと締めていけば、そんな余分な商売を始めることができなくなるのじゃないかというお説等もございまするが、しかし、将来、経済規模の拡大によりまして、大企業が金融に依存しなくても、自己資本が蓄積されましたような場合、もうければもうけるほど、もっともうけたいという資本主義的性向が、やはり株主配当をより多くしようと思いまする場合、中小企業の産業分野の中でも、もうかりそうな仕事は無差別にこれを手がけていくというのが現在の動向でございまして、また、これは本質的な性向でございます。そういうものをやはりチェックしていって、全国民が日本経済活動の中のいずれかの分野でそのなりわいが立ち得るの経済秩序の体制を確立するということは、政策として、国家宣言として、あり得ていいことだと思うのでございまするが、まあ時間がなくなりましてまことに残念でございますが、いずれまたお二人の中でお話し合いをいたしたいと思います。どうもありがとうございました。
○座長(小川(平)議員) この際、派遣委員を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。 意見陳述者各位におかれましては、長時間の会議にもかかわらず、終始真摯な態度で御熱意を示され、まことにありがとう存じました。法案審査に資するところ、きわめて大なるものがあったと存じます。 また、この会議を開催するにあたりまして、派遣団のために格段の御協力をいただきました愛知県、名古屋市、名古屋通商産業局、名古屋商工会議所の各当局に対しまして、この席をかりまして深甚の謝意を表する次第であります。 最後に、地元の議員諸君の御協力に対しましても、厚く御礼を申し上げます。 これにて散会いたします。 午後四時三十分散会