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43回国会衆議院1963/05/31

商工委員会 第31号

発言数
86
登壇者
10
会派数
2
開催日
1963/05/31

会議録

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の輸出硫安売掛金経理臨時措置法案を議題とし、質疑を続行いたします。久保田豊君。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 きょうは理事会の約束もあるので、ちょっとだめ押しの意味で重要な点を三点だけお伺いをして、質疑を終了させたいと思います。  その第一点は、いままでの質疑の中で明らかにならなかった点でありますが、貿易自由化による肥料の輸入自由化の問題、特に硫安ないしは尿素については、政府はこの二法が存続しておる間はやらないという意思か。あるいはその後においてはどうするのか。肥料関係だけは、特にア系肥料については三十九年の七月まで、この二法が存続する間はこれをやらないのかどうなのかということを明確にお答えを願いたいのと、それからもし貿易自由化をするとすれば、どういう体制をとるのか。その間いままでの政府の答弁のように――バルク・ラインによる価格決定方式をとれば別でありますが、いますでに業界に流れておるような二法による方式では、輸出赤字はこれからも当然出るわけであります。それも相当大幅なものが出る。そうすると、何らかの形でこれが国内肥料価格に転嫁をされないという保障は、どこにもないのであります。しかも、今度の政府の財政措置でも、この二百十五億、実質は百二十五億、さらにそれのほんとうの赤七十三億をはっきり利益で埋めるという保障がないことが、いままでの質問の中で明らかになった。要するに、帳簿上のそういう処理ができるというだけの話である。こういう点が非常に懸念されますので、そういう点から見ると、いやおうなしに外国へ出したものによる赤字の国内肥料価格に対する転嫁という問題が、三十九年の七月までの間に、肥料資本としては当然具体的な日程に出てくる。その場合に、消費者の立場に立つ者とすれば、これに対処していくものは、いまの段階では、肥料の輸入をすればいいという主張以外にはないと思う。そしてこれによって内輪から肥料資本を抑制するという体制になってくるのは、これは当然です。この前、三十四年当時肥料二法が問題になったときも、そういう一部の主張は農業団体等にあった。その保障がない限り、いままでのような二法があれば別ですが、二法がなければ、当然直接にか何らかの回路を通って、国内の肥料価格に転嫁されてくることは必至になる。こういう点がありますので、私はそういう問題が出てくると思う。こういう点で、少なくともこれは肥料二法の現存している間でも問題になると思います。ですから、これに対する政府の、少なくとも通産大臣のこの点に対するはっきりした見解が、一番大事だと思う。この点も、今までのお答えのように、これからすべてひとつ勉強して、各方面の御意見を聞いてやりますということでは困るわけです。ですから、この点を明確にお答え願いたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お答えをいたします。  肥料二法は、来年の七月までは存在しておりますので、それまでの間は、肥料については自由化はいたしません。その後の措置についてはどういうふうにしたらいいかということは、ただいま検討するというのでは困るというお話でございますけれども、いろいろの問題、いま仰せになった問題等も含めて、検討をさせていただきたい。ただ、基本的な考え方としては、そういうようなことで農家に安い十分な肥料を供給するという目的を阻害しないような形において処置をいたしてまいりたい、かように考えておるわけであります。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 今度の法案全体は、形はきわめて事務的なようでありますけれども、これは当然肥料二法並びに肥料二法を土台とする現在の肥料政策というものに、根本的に決定的な影響を与えるものだと私は思う。そういうふうな重要なものであるにかかわらず、しかも、その方向というのは、政府が何と否定しようとも、これは肥料二法改廃の方向であります。ここに出ておるものは、現在の肥料二法をあくまでも存続していこうという体制でないことは明らかであります。これはどんなに政府が強弁されようと、ごまかされようと、その方向ははっきり出ておる。にもかかわらず、これに対する政府の具体的な態度、政策なり、その方向というものは、一つも示されておらない。この点については、いままでのところでは、今度さらに百三億の財政資金をつぎ込んでやる合理化によって幾ら肥料が下がるのか、これも、政府としては今回の第三次合理化計画では、一つも示していないのが実情でございます。さらに過去の赤字の処理についても、経理上の処理は、形はそうなりますけれども、これははっきり利益が出なければできないわけであります。その利益がはりきり出るという保障も、これにはついておりません。メリットは確かにあるでしょう。メリットはあるけれども、それが利益としてこのものを埋めるという保障は、一つもない。会社の利益になるかどうかということはわかりません。そういうメリットがあるにしても、それがいわゆる営業上の利益としてはっきり計上する形になるかどうかということは、一つも保障がない。しかも輸出については大幅な赤字が出ることは、だれも否定できないのです。しかもここに出ておるところの経営の多角化、つまり生産多角化によってアンモニア工業を盛んにしよう。これとても、はっきりもうかって利益があって、肥料の輸出による赤字を補てんするという保障は、この新しい分野にもない。こういうことになれば、これは肥料会社は、みずから大多数のものが――一部のものは私は十分この新肥料価格でやっていけると思いますけれども、おそらく大部分の肥料会社というものは、そういう保障が一つもないのですから、どこかでその穴を埋めざるを得ないということになれば、そのしわ寄せが寄ってくるのは、どうしても国内の肥料価格ということに何らかの形でなる。これは硫安そのものでもってカバーするとはきまらない。尿素なり、高度化成なり、あるいはその他の形に転嫁してやるということも十分考えられる。すでに尿素のごときは、国際価格はどんどん落ちているのです。落ちているにかかわらず、しかも重要なものであるにかかわらず、尿素を肥料国内価格の決定の中心に置いていないのです。中心肥料にはしていないのです。こういう状態なんです。これでは、実際においては、今日の肥料二法を実質上はずすということになる。しかも、それを裏づけるいわゆる今度の第三次合理化計画というものは、農民、消費者の立場から見れば、何の保障にもならないのです。また、輸出工業としてもこれだけでは十分にならないということが、今度の審議で私は明らかになったと思うのです。これに対します対策は、当然政治的責任から見れば、この法案と同時に出さなければならないものです。ところが、この法案の準備なり政策は、具体的には一つも出していないのです。これでは、正直に申しまして、のめようがないのです。特に国内消費者の農民の立場を考えれば、これはのめないというのが実態だろうと思うわけです。そこで、私は大臣に念押しの意味でお聞きをしておきますが、これらに対する新しい肥料政策なり何なりは、いつごろどういう仕組みをもって作業に取りかかるのか。私どもの聞いた範囲では、この問題は非常に複雑であります。複雑であるだけに、単なる官僚の話し合い、研究だけでは、解決がつかぬ問題であります。少なくとも相当トップ・クラスがこの問題に真剣に、取っ組まなければ、重要な問題になると思うのです。ところが、そういう点については、いままでは閣議においても昨年十二月にああいう暫定的な方針をきめただけであって、肥料政策そのものについては、何らきめていないのです。肥料二法を廃止するのかしないのか、その後においてどういう政策をとるのか、これも一つも具体的に明らかになっておらない。政府としては、いつまでにこの問題をどういう形でまとめていくのか、そのくらいの見当がつかなければ、来年の七月、肥料二法がいよいよ期限切れになるまでには何とかいたしますということでは、私は安心できないと思うのです。こういう問題について、大臣としては、いつごろまでに、おおよそどういう手順で、この新しい肥料政策というものを立てていくのか、その場合の基本的な考えはどうなのかということを、もう一度ここでもって明らかにしていただきたい。それがなければ、簡単によろしいというわけには私はいかぬと思うわけであります。この点はどうでしょうか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お答えをいたします。  肥料二法が来年の七月末日で切れますので、それまでは肥料二法に基づくいままでのやり方を続けていくわけであります。それからその後はどうするかということは、大体来年の休会明けまでには政府の方針をきめて、法案を提案いたすか、あるいはまた政策的にこのように処置をいたしますということを皆さんに御報告をして処理をする。どちらにいたしましても、その措置するめどを年末ないし休会明けまでに置きたい、そして慎重に研究をしてまいりたい、こういう考えでございます。いま久保山さんが仰せになりましたような諸種の問題は、われわれとしても十分考えておるところでありまして、そういうような問題も含めて、今後十分検討してまいりたい。ただ、その場合に、機関をどういうものをつくってやるかというようなことについては、これはわれわれに一応おまかせを願いたいと思うのですが、政府としては、やはりどうしても来年の七月で法案が切れるという以上は、それに対して間に合うような政策の決定は、これは先ほど申し上げたような時期までにはきめなければならない。トップ・クラスでやらなければいかぬかどうか、そういうようなことはいろいろございますが、やはり最後の責任は政府だと思うのでございます。審議会をつくるか、会合を持つかは別といたしましても、政府として責任を持ってその方策を打ち出すことにいたしたい、かように考えておるのでありまして、あなたの御意見も十分参考とし、尊重いたしつつ、問題の解決に大きく前進していきたい、かように考えておる次第でございます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 もう一度お伺いしますが、来年七月で肥料二法が切れるとしまして、いままでのような形でないにしましても、どういう政策を立てるにも相当の金のかかる仕事です。政府が、握りきんたまで一つも金を出さぬ。そして肥料政策を新しく肥料二法の処理と同時にやれといっても、これはできる相談ではありません、したがって、どうしても予算の編成期前に政府が政策を立てなければ、七月までに何とかやれるからといっておっては、もう手おくれであります。予算も何もつけないで、ただ法律を動かすという程度の、そんな前提に立った肥料政策なんかは、これは、少なくとも国内の農民から見れば、への役にも立たぬ法案だと思うのであります、なぜ私がこの点をしつこくお伺いするかというと、今度のこの法案の出る段階においては、大蔵省は、あなたのほうとの折衝の過程で、この肥料について金を出さぬぞという、どうも縁切り状みたいなかっこうでもらってきて、それを後生大事に通産省としては何とかしているという印象が非常に強い。少なくとも輸出産業としても、国内産業としても、非常にむずかしいものです。肥料政策がいままでと同じ形でいいかどうか、これは問題ですしけれども、そういうにおいが非常に強い、したがって、来年度の予算編成のできる以前に、肥料政策は明確に立てておかなければだめだ。それから後に立ったならば、どんなきれいな文章をつくってみても、どんな法律をつくってみても、これは実際の食いものにはならぬ。ごまかしの法案にしかならぬ、この点を考えると、いまから始めてもおそくはないのではないか。この問題の複雑さから考えてみると、いまから政府が真剣に取り組んで初めてようやく間に合うようなものになるのじゃないかと考えられる点が一点。それから肥料二法がなくなれば、当然肥料審議会は実際にはなくなるわけです。肥料審議会がなくなれば、いまの肥料審議会の構成でうまくいくかどうかは別問題として、公の場で肥料政策をやるという機関がなくなるのです。ですから、私は、肥料審議会のある間に、しかもこれが十分に機能を発揮し得る間に、肥料政策というものははっきり確立して、政府が示さなければいかぬと思う。この二点から、いまのようなばく然としたお答えでは、私どもは安心できない。これは当然だろうと思う。この二点から、それとの連関において、政府はいつまでに作業をして、いつまでにどうするということを明確にもう一度お答えいただかなければ安心ができない、こういうことであります。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 いまからすぐにでもそういう研究にかかれ、そういう政策立案について考えろ、こういうお話でございますが、御意見まことにおっしゃるとおりであります。しかし、われわれは、いままででもやっておりましたし、いまやめておるわけではございません。こういう御審議を願っておる過程においても、やはりそういう問題を常に頭に入れながら研究をいたしておるわけでございます。  それから肥料審議会のあるうちに確たる方針を立て、またその肥料審議会にその方針を示すべきではないかというお説でありますが、ごもっともだと思います。われわれは、案ができれば、やはり肥料審議会にも御報告申し上げるということは当然なことであります。なるべく早くそういうような政策の決定をいたしたい、かように考えておるわけでございますから、御了承を願いたいと思います。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 これで約束の時間が切れますから、もうこれ以上は追及しませんけれども、いまのお話でも、はたして大臣の腹の中には、まだ少なくとも来年度予算編成までにはっきりした形にして予算化しなければいかぬという考えがあるか。それには、この問題のいままでの経過と複雑さから見て、とにかくいまから始めても、そう簡単に間に合うものじゃない。この点についてのはっきりしたお答えがない。私は、当然予算編成前に決定すべきものだと思う。そうして肥料審議会にかければ、これも相当問題になりましょう。しかしながら、少なくとも肥料審議会において、あすこは御承知のとおり各関係の者が入っているわけですから、ここでもって十分に討議をして、私は肥料審議会の委員ですけれども、おそらくこれはそう簡単にまとまるというようなうまい政策が出てくるかどうかわかりませんけれども、少なくとも骨子はあすこでまとめるということにならないと、この問題は前向き前向きというけれども、いまのままでいけば、どうもあまり前向きにならないような結論になってしまう、こういう点が非常に心配されますので、とにかく予算編成前にこの問題のめどをはっきりつける決心があるのかないのかという点、そうして必要な予算を来年度予算には必ず盛り込むという決心があるのかないのか。もっとも、七月改造で大臣をやめるからおれは知らぬというなら別でありますが、少なくとも担当大臣としては、私は当面それくらいのはっきりした誠意というか、熱意がなければ、この問題は解決しないと思います。この点をあらためて、くどいようですが、もう一度お伺いしておきます。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 御趣旨に沿って努力をいたしたいと思います。

板川正吾日本社会党

○板川委員 私はこの肥料関係の法律の審議の過程を通じて、どうも政府のほうで国会軽視をする傾向が喰いという感じをつくづく感じたのであります。そこで大臣と委員長にひとつ要望を申し上げてみたいと思うのです。  この輸出硫安売掛金経理臨時措置法案という法律は、内容は、御承知のように非常に簡単なように見えます。しかし、この法律が通るということは、従来の肥料行政の根本的な変更を来たすということになるだろうと思うのです。根本的な肥料行政の変革を来たすような内容を持つ法律でありますが、しかし、この法律に出された政府の資料というものは、まことに微々たるものである。大臣、ちょっと見てください。この法律で政府が出した資料は、提案理由が紙一枚、それから硫安工業対策という閣議決定の資料も紙一枚、それから法律の要綱が一枚、参照条文が一枚、これだけですよ。わずかこれだけでこの法律を通していこうというのです。これはほおかぶりをして、なるべく国民に内容を示さないでいこうという、立法府軽視の態度ではないかと思うのです。資料がないかというと、そうじゃないのですね。足鹿委員や久保田委員に質問をされて、資料があるなら出せと言われると、即座に印刷した資料を出すではないか。持っておりながら、実は出さないでおる。聞くところによりますと、農林大臣は、おれの許可のないものをやたらに資料を出すなと言っておるそうです。秘密の内容のものを出せということになれば、それは大臣の許可も必要であると思います。しかし、これは秘密ではなくて、政府の刊行物の中には、すでにそうした資料が十分報告されておるのです。一般に公知されておる刊行物の、その内容から拾い上げた数字を出せといっても、何か出し渋っておるという感じがするのですね。これはどうも国会の審議軽視になるし、もしこういう方向でいけば、中小企業の資料なんか出さなければ、これは今国会で審議未了になりますよ。だから、私は国会の審議をもっと重視して、事前に十分な資料を出してほしいと思うのです。なぜこの法案を出したかというためには、少なくとも肥料工業の現状の分析の資料くらいは出すべきではないか。肥料工業の現状がこうであるから、こういう法律でこうするのだ。あるいは過去の輸出会社の赤字を処理するためというのでありますが、しかし、実際は肥料二法の廃止を含みとする肥料行政の転換なんですから、そういうような肥料行政の全般を分析した現状分析の資料、こういったようなものを出して、もっと国会の審議を通じて国民に明らかにするような方式をとるべきではないか。どうもこの重要法案を非常に簡単に見て、わずか紙ぺら四枚くらいで、あとは資料がありながら出さないでおるという態度は、まことにけしからぬ行為だと思うのです。これでは今後の重要法案の前途が思いやられますから、ひとつ反省の上に、十分な資料を事前に出してもらいたい。資料が出なければ審議を中断するということもあり得ますから、御了承願いたいと思うのです。  それから、これは委員長に申し上げたいのですが、それは専門員の運用であります。いろいろ人数が少なくて苦心されているのかもしれませんが、専門調査室で出した法案の問題点というのがあるのですが、わずか二点でありまして、重要な基本的な報告については、ほとんど指摘がないのですね。もちろん法案の審議は、議員が責任を持ってやるべきですが、しかし、議員の知識というものは、すべてにおいて万全ではない。そのために専門調査室があるのです。その専門調査室としては、最近法案に対する審議の資料としては、非常に不十分な傾向になってきておるのじゃないか。これだけの法案について、問題点二点、それもたいした内容を持っていない。この点は、委員長から専門調査室を激励して、そうして十分な資料を勉強され、人数が足らなければふやすこともあり得るのですから、国会の審議が十全に行なわれるようにしていただきたいということを要望いたします。そうでないと、今後の重要法案について、なかなかその審議が進まない、こういうこともあり得ますから、その点を御了承願いたいと思います。  以上、二点を要望いたしておきます。

久保田豊日本社会党

○久保田(豊)委員 ちょっと私もそれにつけ加えておきます。いま板川委員から申しましたことは、単に肥料法案だけではない。きのう、おとといから出されました金属鉱業等安定臨時措置法案についてもそうです。これもたった二つ、提案理由の説明書と要綱というこの二つだけです。これで審議しろ、こういうのが、すべて最近の通産省のやり方です。政府全般はどうか知らぬが、こういうことでもって審議はできませんよ。だから、肥料だけでなく、大臣はひとつ部下を督励して、ひとつあらゆる問題について、必要な資料は――こっちから要求のあったものはもちろんですが、要求のない以前に、審議に必要な関連の資料というものは、そろえて出すのが当然です。それは、なるほど議員が努力してやらなければいかぬということはわかりますけれども、しかし、議員の能力には御承知のとおり限界がありますから、議員が必要な資料を全部自分で集めるということになると、たいへんであります。私ども、努力はいたします。努力はしますけれども、政府ももっと――これはすべての法案について、もっと資料を正確に、しかも事前に、豊富に出してもらわなければならない。注文すれば出るのです。持っておりながら出さない。そしてわれわれには、こんな資料、これが参考の資料になりますか。この金属鉱業等安定臨時措置法にしたって、すべてこの調子です。ほかの法案も同じです。これでは困る。  それから、専門調査室の人についても、これは少し耳が痛いかもしれぬけれども、もう少し活動してもらいたい。いまのような程度の準備の補助では、役に立たない。もう少し問題を突っ込んで、必要な資料は、あらかじめ議員のほうと打ち合わせるなり、あるいは政府のほうと打ち合わせるなり、委員長と打ち合わせるなりして、もう少し具体的にえぐって、資料とかあるいは問題点の整理をするなり何なりしてやってくれるならば、これは助けになりますけれども、いまのようでは、あったってなくたっていい。こういう要するに国会軽視のあれというものは、これはこの機会に、この法案で特にそれが目立ちましたからいうのですが、単にこの法案だけではない。すべてについてそうです。この点は、特にこれは大臣から責任を持って答弁を願うと同時に、実行してもらいたい。委員長にしても、これは重大な決意を持ってはっきりした処置をしてもらいたい。これは、自民党の諸君といえども同じだと思う。こういう程度で審議をして通しましたというのでは、これはざっくばらんに言って、国民に対して言いわけになりませんよ。この点はどうか。いま板川委員の要望に対しまして、私は、ひとつ大臣なり委員長のはっきりした決意なり、具体的な処置をお聞きしたいと思います。

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 ただいまの板川委員、また久保田委員のお話について、委員長からお答え申し上げます。  第一点の、委員会審議に対する政府側の資料に対しては、私も同感であります。したがいまして、御要求に対してそれを出すということはちろんでありまするが、提案をするに先立って、提案と並行して、できるだけの資料を提出するようには、私からも努力することをお約束申し上げます。  また、専門員に対するいろいろの御要望でございまするが、私どもも、つとめて努力しております。専門委員の諸君も、実はよくやってくれておると私は考えておりまするが、委員諸君のところにおいていろいろ御要望があるとすれば、ざっくばらんにそれをお話をいただきまして、私どもも鞭撻をいたしまして、皆さまの、また、委員会の運営に支障のないようにいたしたいと存じます。御了承いただきます。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 御趣旨を体しまして、十分注意をいたしてまいりたいと思います。

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 他に本案についての質疑の通知はありませんので、おはかりいたします。  本案についての質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、討論に入るのでありますが、通告もありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 御異議なしと認めます。  採決いたします。  本案を原案のとおり可決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員、よって、本案は原案のとおり可決いたしました。     ―――――――――――――

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 次に、本案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表して、岡本茂君外六君より附帯決議を付すべきものとの動議が、提出されております。  まず、提出者より趣旨の説明を聴取することにいたします。板川正吾君。

板川正吾日本社会党

○板川委員 輸出硫安売掛金経理臨時措置法案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表し、趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。     輸出硫安売掛金経理臨時措置法案に対する附帯決議(案)   本法は、いわゆる肥料二法を中心とする肥料政策に密接な関連を有するものであり、また、肥料工業をめぐる内外の諸情勢が激変しつつある実情に鑑み、政府は、左記諸事項を基調として、速やかに総合的肥料政策を確立するよう配慮すべきである。     記  一 肥料の輸出による赤字の国内転稼により現行国内肥料価格を上昇させないこと。  二 ア系肥料の国際輸出競争が一層激化しつつある現状に鑑み、更に積極的な輸出振興対策を講ずること。  三 今後の肥料政策は、単に硫安のみに重点を置くことなく、尿素、高度化成等肥料全般にわたるものとし、特にその合理化計画を明確にすること。 以上であります。  前文についてはいまさら申し上げるまでもないところでありますので、事項別に若干補足的に御説明いたしますと、第一点は、輸出赤字の国内転嫁についてであります。現行肥料二法によって、輸出赤字は国内に転嫁させないことになっておりますが、すでにFOB仕切りが実施されており、また明年には肥料二法が失効することとなっておりますので、このまま放任しますならば、輸出赤字の国内転嫁の懸念が全くないとは言い切れないのであります。したがいまして、将来も絶対に国内転嫁による価格上昇を来たさないよう、対策の確立を急ぐ必要があると存ずるのであります。  第二点は、輸出振興対策についてであります。ア系肥料の輸出に関する諸外国の熱意は、高まる一方であり、東南アジア等に対する欧州諸国の売り込み競争は、いよいよ激化しております。最近は、特にニトレックスの結成があり、その活動が活発化しつつある現状におきまして、わが国の輸出振興対策には見るべきものがないといっても過言ではないことは、まことに残念といわなければなりません。ア系肥料は、わが国にとっては付加価値、外貨手取り率がきわめて高い重要な輸出商品であり、また、肥料工業の設備等の実情から見て、これを健全な輸出産業として育成していかなければならないことは、御承知のとおりであります。この観点からして、肥料の輸出振興策の必要性は、あらためて申し上げるまでもないところでありますが、この際、とりあえず肥料輸出にあたっての延べ払い条件の緩和措置を講ずるとともに、万般の輸出振興対策を早急に、かつ、強力に推進すべきことを特に要望するものであります。  第三点は、今後の肥料政策についてであります。肥料の需給計画、合理化計画、価格目標等は、従来硫安偏重のきらいがあったのでありますが、尿素、高度化成等の需要と生産は、今後増大の一途をたどるものと思われますので、肥料政策においては、広く各肥料全般について総合的な計画を立て、特に重要な肥料については、その合理化目標を含む合理化計画を明らかにする必要があると存ずるのであります。  以上の趣旨によって、本附帯決議案を提出した次第であります。何とぞ全会一致の御賛同をお願い申し上げます。

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。  採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付するに決しました。  この際、通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許可いたします。福田通商産業大臣。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 ただいま御決定を見ました附帯決議につきましては、その内容を十分尊重して、今後措置をとってまいりたいと考えておる次第であります。     ―――――――――――――

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 なお、本案に関する委員会の報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 次に、内閣提出の金属鉱業等安定臨時措置法案を議題とし、質疑に入ります。松平忠久君。

松平忠久日本社会党

○松平委員 金属鉱業等安定臨時措置法案に関しまして、質疑を申し上げたいと思います。  本国会におきましては、非鉄金属の自由化を前にいたしまして、それぞれの対策が講じられつつあります。これは、昨年の本会議における決議に基づいて、政府側においてそれぞれの対策を実現させる、こういう措置をとられておるわけでありまして、その意味におきましては、われわれも、昨年の本会議の決議の推進者といたしまして、御同慶にたえないところであります。しかしながら、今日までの対策は、名前が同じであっても、内容が違うというような、あるいは内容が後退しておるというような面がかなりございまして、したがって、それの運営については、今後心配が予想されておるところでございます。そこで、それらの問題につきまして、この際若干質問を申し上げ、さらに、本法案は、小委員会におきまして詳細に質疑をしたいと思うのであります。  政府におきましては、自由化の速度を早めるという考えのもとに、今日まだ自由化されておらない非鉄金属、鉛、亜鉛のごときも、時期を早めて自由化をするという方向に踏み切ったような新聞報道を見ましたが、これらの非鉄金属で自由化されておらないものの自由化を、一体いつごろまでにやるのか、時期をどの程度早めたのか、こういうことについて伺いたいと存じます。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 自由化の問題は、御承知のように、日本の経済を世界の経済とよく手を組ませて、しかも日本経済を大きく発展させていこうという目的で、できるだけこれを進めていくということについては変わりはございませんが、ただいま御指摘がございました非鉄金属の問題については、われわれは、まだいつの時期に自由化するか、またこれを早めようというような考え方でその時期を決定しようとは考えておりません。これは慎重に考えて処置をいたしませんと、日本の非鉄金属に対して重大な支障を起こすおそれがあると考えておりますので、つとめて慎重に態度を決定いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 非鉄金属の自由化は、きわめて重大な影響を与えるので、その時期を早めるということは、私どもとしては、諸般の政策が実現されて、大体めどがついたときでなければ、してはいかぬということをかねがね申しておったのでありますが、ただいまの大臣の言明によると、慎重にする、こういうことであって、それまでの間に、各般の政策を実現させていかなければならぬと考えておるわけであります。  そこでお伺いしたいのは、たしか昨年の暮れであったかと思いますが、石炭産業におきまして重大な危機に直面し、そして石炭政策のある意味の転換をはからなければならぬというので、もろもろの政策が決定されたわけであります。そのときに、閣議において大臣が発言をされて、非鉄金属についても石炭に準ずる措置をとらなければならぬということで、閣議の決定を見たということを聞いておるわけでありますが、その石炭に準ずる措置ということで閣議の了解を得た点については、どういう点について一体石炭に準ずる措置をとるということに了解を得たのか、この点をひとつ明らかにしてもらいたいと思う。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 確かに私は、閣議におきまして、いま御質問がございましたような趣旨の発言をいたしておるわけであります。ただ、石炭鉱業と非鉄金属とは、その内容におきましていささか相違をいたしておる面があります。共通の面もございますけれども、共通しない部面もございますので、これに対しても適当な援助の措置を講ずべきであるということを閣議においても主張いたしておったわけであります。その後、いわゆる失業者といいますか、終閉山になったような場合の労務者の対策につきましては、石炭において実施をいたしておるものの一部をそれに準用いたしまして処置をいたしておりますが、石炭と同じ程度の扱いにはいたしておらないわけであります。それは、先ほども申し上げましたように、石炭鉱業と非鉄金属との間においていささか相違の点もございますので、そういう点も考えながら措置をいたしておる、こういう次第でありまして、具体的な内容につきましては、鉱山局長から説明をいたさせたいと思います。

松平忠久日本社会党

○松平委員 石炭産業と非鉄金属とが全然同一のものでないということは、これはだれも承知である。したがって、石炭産業同様ではなくて、石炭産業に準ずる措置をとるということになったことは、了承ができます。しかしながら、準ずるということは、ある程度石炭産業に対する政策を非鉄金属にも準用するということでありまして、そのことは、ごくほんの一部をすることが準用であるのか。準用ということばは、石炭産業に対する対策の少なくとも六〇%程度はしていかなければならないということが、常識的には準用ということに考えられなければならぬと思うのでございますが、お伺いをしたいのは、石炭産業における離職者対策についてでございます。この離職者対策については、その骨子とするところは、石炭産業離職者に対して一日四百五十円、その後与野党で話し合いをした結果、いわゆる家族加算と申しますか、扶養加算としまして五十円を追加する。すなわち、五百円を平均して二年間、失業保険を最高一年といたしまして、その後二年間継続するということが、骨子であろうと思うのであります。そのほか、移住資金とか、あるいは住宅対策、あるいは雇用奨励金というようなものもございますけれども、その骨子となるものは、離職者に対する手当だろうと思うのです。この問題については、今日まで通産省は、労働省との間に一体どういう話し合いをしておるのか、お伺いをしたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 準じて処置をすると申し上げたことについて、六〇%くらいはやらなければいかぬじゃないか、こういうお話でありますが、非鉄金属に対する扱い、石炭鉱業に対する扱いということで一番大事なことは何かといえば、やはりスクラップ・アンド・ビルドといいますか、将来その産業を育成して、そしてその産業の中にある労務者その他の人たちが安心して仕事ができるように、しかもまた、その鉱業が日本の経済に寄与し得るような姿に持っていくことが、一番大事なことであると私は思うのであります。石炭鉱業におきましても、この場合においては、スクラップ・アンド・ビルドという形において表現されておるわけでございまして、非鉄金属の場合におきましては、そういうような今後の対策として、いまここに出ております法案、探鉱融資事業団法案その他も出しまして、これを育成していく方面にも大いに力を入れていくということでございます。しかし、今日の段階におきまして、そういっても、とうてい将来やっていけないようなものもございます。そしてそれによって、労働者の方が失業をされるという場合があるわけであります。そのときには、その失業という面においては同じことでございますが、しかし、これは必ずしも非鉄金属だけではなくて、ほかの繊維産業におきましても、どの産業においても、失業という問題がないわけではありません。これをどの程度に取り上げていくかということは、政策の問題にも関係してくることでありますが、もちろんそういうものを全部取り上げて処置するということがいいわけでありますが、それを石炭と同じ程度にやるかどうかということになりますと、いろいろ財政面の問題もあったり、あるいはその他の事情等もございまして、なかなか取り上げにくい場合もあることは、御承知のことだと思うのであります。したがいまして、私たちとしては、非鉄金属は石炭と同じようなものであるからしてというような趣旨で、できるだけするように努力したつもりでございますが、いろいろ予算編成その他の問題に当たりまして、なかなか思うように、われわれが考えたほどにはいっておらないという意味で、おしかりを受けることはわかるわけでございますが、その間の詳しい経緯を話せということでございますので、局長から答弁をいたさせたいと存じます。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 ただいま大臣から、大綱につきまして御説明があったわけであります。石炭対策と鉱業対策とは、同じ地下資源ということで共通いたしておりますし、体質改善をするという面でも共通しておりますが、鉱山の場合は、鉱物をさがす意味の探鉱に極力重点を置きまして、探鉱融資事業団もすでに設立をされておるわけであります。  それから、大臣がさっき言われました雇用安定に関する問題も、これは石炭と非常に共通する点がございまして、鉱業審議会の答申にも、石炭に準ずる措置ということがあがっておるわけでございます。通産省といたしましては、極力石炭と同じように努力をしておるわけでございます。昨年の十二月十七日に、雇用促進事業団の業務方法書の一部を改正いたしまして、訓練手当の増額であるとか、技能習得手当、別居手当の創設とか、そういう点につきまして、石炭に合わせるように努力いたしますとともに、雇用促進事業団法の改正によりまして、住宅確保奨励金、あるいは雇用奨励金の確保につきまして、石炭並みの措置がとられるようになったことは、御承知のとおりであります。ただ、先ほど松平委員から御指摘がありましたように、雇用促進手当、就職促進手当につきましては、石炭の場合、一つの場所から大量に発生するというような特殊の事情がございまして、非鉄金属とは必ずしも同じでないというような政府部内の意見が強くございまして、実現はしなかったわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 石炭産業に準ずるということが閣議で了解されているのであって、繊維難業に準ずるというような了解ではないと思います。ほかにも失業者は出ます。しかし、ほかの失業者に準ずるということは閣議の決定ではないわけであって、石炭産業に準ずるという決定になっているわけですね。したがって、この際、ほかの失業者の例をとってきてやるこの説明のしかたは、当てはまらないと思います。それは大臣に特に申し上げたいと思います。  そこで、石炭産業に準ずるという措置について今日までとってきたところは、いま御報告がありました訓練手当とか住宅の関係、このくらいではないかと思います。あとの離職者の手当については、就職促進手当は一文も出ておらない。移住資金も一文も出ておらぬでしょう。中小炭鉱がつぶれた場合のように、退職金を出すことができなくなったときに、政府が十万円を限度として退職金を出してやるという制度もございません。それからむろん扶養加算もない。こういうことが、一番重要な、最も助成として額の大きいものは、全部非鉄金属には当てはまらない、準用されておらない。そうして額の一番小さい訓練とか住宅の関係とかいうことだけが準じておるというようないままでのやり方というものは、石炭産業に準ずる措置ということにはならぬと思います。たとえば金の面でいうならば、いま申しましたように、就職促進手当というものは、扶養加算を入れて五百円、しかも二年間、それから移住資金は、たとえば北海道から東京に来る場合において、移住資金として国家が出しておるのは、家族約八万円。中小炭鉱がつぶれてその退職金が出せないという場合におきましては、三十万円未満のものに対しては、三十万円までは、その差額について政府が最高十万円は出してやる、こういうことが決定しておる。それらのことは、ことごとく非鉄金属にはない。これは一体どういうわけですか。これはどういうふうにいままで政府部内で折衝してきておるのか。一番肝心かなめのものは準用せずして、付帯的のものだけ準用するというやり方は、なるほど繊維産業とか、あるいは駐留軍の離職者に準ずる程度しかやっていない、こういうことなんです。閣議において石炭産業に準ずる措置を講ずると言いながら、今日までそれらしいことはほとんどやらない。肝心かなめのことは財政上だめだということでもって見送りになっているのが、今日の状態だろうと思う。そこで、このことは、もうちょっと考えてみなければならぬと思う。なるほど、石炭産業と非鉄金属の間には違った問題もございます。しかし、いまあなたがおっしゃいましたように、共通した面が非常に多いということ。しかも、これは自由化の波に直面しておるという危機が迫っておる。こういうことでありますから、ほかの、つまり石炭産業以外のものとこれを同じように取り扱って、つまり駐留軍の離職者対策に準ずるようなことしかやらぬということは、これは閣議の決定にそむいておると思うのです。この点どうですか、大臣。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 仰せのとおり、準じてという意味の解釈ということはありますが、方針として準ずるという場合に、私申し上げたのは、離職者対策というのは一つの対策、一つの柱ではございますが、しかし、これを育成していく、鉱業自体を育成していくということも、何といっても一番大きい。何となれば、そこに残られた労務者の人たちの待遇改善その他は、かかってここに出てくるわけであります。そういうことから言いますと、そういう面は非常に重要な柱になるわけであって、そういう点から見ては、われわれとしてはかなり前向きの姿勢で、あなた方がこういうことをしたらいいじゃないかということをできるだけしたわけでありますから、その意味では及第点をいただいておるんじゃないか。その及第点のほうを加えてみますと、いま労務者に対する対策のほうは、なるほどそのほうの点数は幾ぶん悪くなりますが、平均点のほうでは大かた六十点くらいはちょうだいできるんじゃないだろうか、こういうような考えでおるわけであります。しかし、これは答弁としてはかえってあなたにおしかりを受ける答弁になるかもしれませんが、われわれとしても、失業者が出ることを好んでおるものは一人もいない。なるべくその産業がうまくいく、そしてそれをうまく育成していくことが、一番の願いでありますが、また出た場合には、できるだけそういう人たちに、理由はどうであろうとも、あたたかい気持でこれを処置していきたいということ、これは事実でございます。しかし、政治というものから見て、どこで線を引くかということは非常にむずかしいことになるわけでありまして、線の引き方が悪いということでございますれば、全部やらなければいかぬということになる。いまのあなたは、繊維とかあるいは駐留軍なんというのを引っぱり出すのはけしからぬ、こう仰せになりますけれども、失業するという事態においては同じだと思う。だから、そういう人が出たら、これは全部救えるという政治にしたいと思います。しかし、そこにはやはり予算とかあるいはその他の制約というものが、どうしても出てくるわけであります。それではたしてうまくいくかどうかということがありますので、どこかでは線を引かなければならないということから、今回の場合においては、石炭に限って線を引かざるを得なかったということでございますので、あなたの御趣旨に沿うようにはわれわれとしても今後外力はいたしたいと思いますけれども、なかなか思うようにいかない面があることも、松平委員の御理解を賜ることができるのではないか、かように考える次第であります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 その点は、むずかしい点もあるでありましょう。しかしながら、いまあなたがおっしゃった石炭産業に準ずるということは、全般の政策として準ずるようなことにして、そしてたとえば探鉱融資事業団法というものを制定して、これによっていわゆる食いつなぎというか、そういうことをしていかなければならぬということで、それはまあほめられるのじゃないかとおっしゃいましたけれども、これは六十点くらいは差し上げてもいいと思うのです。ところが、こっちのほうは二十点しか差し上げられない。全然やってないんだから、二十点もいかぬくらいです。  そこで、私はちょっとお伺いしたいのだけれども、一番肝心かなめの中小企業の鉱山が、どんどんつぶれているんですよ。それで実は私も大土森に行ってみて、悲惨な状態を見てきた。がらんとしたところに、昔なら小学校の生徒が三百人以上おった、ところが今日行ってみると、二十人かそこらしかいない。こういう実情でもって、しかも別れ別れに暮らしているというような状態なんですね。こういうものが、たとえば松尾鉱山にもかなりあるということを聞いておるし、やはり大量に出ておるところがあるわけですよ、実際いいますと。そうしますと、やはりこの離職者手当というようなものは、一番肝心かなめの政策なんだから、離職者手当というようなものをやはり考えていかなければならぬのではないか、石炭に準ずるというなら、考えていかなければならぬのではないか、こう思います。ところが、片方の炭鉱の方は、なるほどスクラップ・アンド・ビルドで、スクラップ化するという場合におきましても、炭鉱の経営者自体が金をある程度出すということになって、政府も金を出してああいうことをやっているわけです。ところが、そういう政策は、いまのところこの鉱業にはない、非鉄金属にはない、こういうことであるから、離職者就職促進手当というものについても、その経営者の、何というか、足並みがそろわぬということがあるかもしらぬ。あるいはまた業種、業態が非常に多いということであるから、石炭のような画一的な、統一された職業ではないということから、むずかしいという点もあるかもしらぬ。そういうようなことも考えられます。しかし、この問題について、一体通産省と労働省とが折衝をしたことがあるのかどうか、あるいは大蔵省と折衝をしたことがあるかどうかということですよ。もう初めからあきらめて折衝しないというんなら、これはもう何をか言わんやだけれども、いままでの経緯をひとつ明らかにしてもらいたい。やる気があるかどうかということなんです。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 実は、ただいま御指摘の石炭の場合の離職金の問題でございますが、これに相当するものが金属鉱山にはないじゃないかという御指摘でございますが、全くそのとおりでございまして、これは、通産省といたしても、いろいろ研究を重ねたわけでございますが、石炭の場合は、スクラップ・アンド・ビルドと申しますか、買い上げ制度、これはただいま御指摘のとおりのやり方をやっておりまして、納付金制度もそれに加味されて、民間からもトン当たり幾らということで出す積み立て制度でございますので、離職金制度が可能になっておるわけでございます。金属鉱山につきましては、石炭の事情とその点が異なっておりまして、買い上げ制度を一律になかなかやれない状態であります。探鉱次第でまたよくなる鉱山も出てくるわけでございます。そういうような事情がございまして、現実の問題といたしまして、確かに大土森鉱山のような一山一社、退職金も十分に出ないという場合にいかにするかということは、現在も非常に苦慮をしておるわけでございます。現在のところ、ただいま申し上げました事情で実現していないわけでございます。今後も、この点は、現実の問題として確かに必要なわけでございます。研究を続けたいと考えておる次第でございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 もう一つ、中小の炭鉱がつぶれた場合の退職金の問題ですが、炭鉱の場合には、いま、三十万円未満の場合には三十万円になるように政府がめんどうを見てやる、こういうことがあるけれども、この中小の場合はそれが全然ないでしょう。それはどうしてできないのですか。その辺についての折衝というものはやったのですか、やらないのですか。もう初めからこれはむずかしいといってやらぬのかな。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 石炭に準ずるということでございますので、そういう意味で石炭に準ずるようにいろいろな措置について検討してもらいたいということで、労働省等とは相談をしたわけでございますが、雇用促進手当につきましては、具体的な問題として取り上げられなかったように聞いております。

松平忠久日本社会党

○松平委員 これはあれですか、事務的にただ課長同士ぐらいでもってやっていて、それでこれはだめだというのであきらめて今日まできておる、こういうことですか。もっと政策的に考えて、大臣の段階で折衝するなり、あるいは局長なり、あるいは政務次官なり、あるいは党へはかるなりということで、もう少し政策的に動けないものかね。課長ぐらいでだめでもってもうあきらめているというのが、いままでの実情のように聞いておるのだけれども、これじゃいつまでたってもうまくいかぬと思うのですよ。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 ただいま御答弁しました点を多少補足さしていただきますと、実は金属鉱業等離職者対策懇談会というのが、労働省の中に設けられております。これには経営者側、それから労働者側、それから官庁、雇用促進事業団というところが参加をいたしておりまして、金属鉱山の離職者問題について懇談会を開くことになっておりまして、現在までに開いておりますが、予算の際でもございましたので、その際の席上では、通産省の方から、労働省もこれは責任者が出ておるわけでございますが、議題として出したということはあるわけでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それはどの程度のクラスの者が行くのですか。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 労働省のほうは、職業安定局長でございます。通産省のほうは、鉱山局長でございます。それから経営者のほうは、鉱業協会の副会長でございます。それから労働者の代表は、全鉱の委員長でございます。日経連の理事も入っておられます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 そのクラスだったら、私はもう少し話を煮詰めていくことができるのではなかろうか、こういうふうに思うのですが、それができない一番の理由というのは、どこにありますか。スクラップ・アンド・ビルドの政策がないのであるから、いわゆる業者間において負担をするという、そういうことができないというのが一つのガンなのか、あるいは大蔵省がどうしてもいかぬというのか、どこに一体そのガンがあるのですか。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 いろいろ原因はあるのかもしれませんが、私は、石炭と違うのは、石炭が非常に同一地域で大量に離職者を同時に発生する、したがって、社会問題として非常に大きな問題になるということが、金属鉱山と必ずしも同一でない一つの理由ではないかと思うのでございます。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それで、この問題は、もう少しこれは懇談会の席上へでも移して、私は集約していくべきじゃなかろうかと思います。ですから、ここでこれをやりとりしておってもしょうがないと思うのですが、この離職者対策については、この一番重要なところが抜け穴になって、穴があいちゃっている、こういうことなんです。そこで、ほんのちょっぴりただ準じておるというだけにしか解せられないので、この点についてはもう少し政策的に準ずる方針というものを推し進めていくということについて、大臣の決心をひとつ伺っておきたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 先ほども申し上げたように、基本的な考え方としては、私は賛成いたしたいと思うのであります。しかし、そういう場合に、ただ線を引いていくときに、どういう基準で線を引くかということになりますと、そこにいろいろの問題が起きる。しかし、これは救済するような方向で考えてみようじゃないかということについては、何もわれわれ決して反対でも何でもないのであります。かつまた、実行に努力するということはけっこうだと思いますが、しかし、線の――政治は線の引き方のところで議論が出てくるわけです。全然同じものなら、完全に不公平ということになりますから、これはそのとおりやらなければいかぬ。しかし、先ほども申し上げたようなことがあるし、だから、これは取り上げよう、これは取り上げまい。――ちょうど入学試験の採点みたいなもので、全部入れてしまったほうがいいじゃないかといえば、それは入れたにこしたことはないが、全部入れたらどうにもならぬ。それが予算とかなんとかということで制約を受けるわけです。だから、そこのところはひとつそういう意味で研究しろとおっしゃれば、もちろん私としては研究はしたいと考えておる次第であります。

松平忠久日本社会党

○松平委員 それではとてもだめだね。大臣が決心してないからだめなんだ。腹はもうあきらめているというようなかっこうにしかとれません。それではほんの二〇%ばかりただ準ずることをやって、あとの八〇%はもうこれは線を引いて放棄するのだ、いまの答弁からいうならば、この腹じゃないかというふうに見えます。私はそういうことじゃないのだ。やはり石炭産業に準ずるのだったら、これから自由化になれば、小さいのがますますばたばたつぶれていくんですよ。小さいのがつぶれていくとするならば、退職金の問題にしても、あるいは離職者の問題にしても、どんどん出てくる。現にいま出ている。それに対して、ただ検討検討ということでもって自然の成り行きにまかすというところに、そういうところに線を引くのだ、こういうことじゃ、一体何のために準ずるということに閣議で決定したのです。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 私は一般論的にお話をいたしておるので、この問題について認識がないわけではございません。やはり山でもって鉱物を堀っておるという点では、一致しておるわけであります。そういう意味からいって、したがって、これはもう準じて扱いたいということは、私自身が閣議でも実は述べておるのであります。したがって、私が努力をするということ、その意思は疑わないようにしていただきたいと思います。ただ、私があまり先のことまで申し上げて恐縮だけれども、それじゃできるか、こう言われたときに、私は、それをできるというお約束までするわけにいかないということもありましたから、いささかあなたからおしかりを受けるような答弁になったかもしれませんが、努力することには変わりはございません。

松平忠久日本社会党

○松平委員 これは鉛、亜鉛というようなものが自由化をするというような前までに、この問題は解決しておかなければならぬ問題だと、私どもの見解としては思っているのです。したがって、そういう大臣の決心であるならば、もっと事務当局を督励したりいろいろして、これを軌道に乗せるような方向にやはり努力をすべきじゃなかろうかと私は思う。一年おくれるということになります。しかし、一年おくれても、できれば非常に歓迎すべき、最もわれわれが期待をしておる政策の一つでありますので、これはどうしても次の国会までには何とかものにするという考え方で所要の努力をしてもらいたいというのが、私の気持ちであります。  それからもう一つ伺っておきたいのは、今度出された法案でありますが、この出された法案は、大体骨抜きみたいになって出されてきたわけであります。そこで一つ伺いたいのは、非鉄金属の国際相場というものがあり、その国際相場から非常にかけ離れた出ものというものが出て、そうしていわゆる国際価格というものを撹乱しておる、こういう実情のように承っておるわけでありますが、こういう撹乱された値段、安定していない値段ということのために被害を受けているのは、私は日本だけじゃないと思うのです。これはもうヨーロッパにしても、アメリカにしても、いずれもこの撹乱工作については被害を受けておると思うのです。したがって、新しい考え方に立って、国際相場というものを各国によって安定させていくという、各国がその心がまえにならぬとだめだと思う。これは南米にしろ、あるいはカナダにしろ、そういうところのものがやはり同調して、そうして国際的に安定をはかっていくという方向にいかなければ、なかなかこの問題は解決できないと思う。ところが、そういうようなことについて、私ども業者の方から聞いているところによると、何とかしてそういう努力をしたいというので、業者間の話をしておるということも聞いております。また、そういう業者間の話に対して、ダンピングをやる連中も、これはダンピングをやってはいけなくなったのだということで、考え直してくるような方向も出ておるということを聞いておるのです。ですから、もう少し高い、政治的にこれを取り扱うということで、いわゆる国際間において、もう少し安定策というものを進めていくというようなお考えは、政府部内にはあるのかないのか。それは昔も銀協定その他ございましたけれども、それはアウトサイダーが出てすぐだめになったといういきさつもございます。しかしながら、そういうような動きで、ある程度の申し合わせをすれば、これは当分は続いていくといういままでの慣行もあるので、銅、鉛、亜鉛というような非鉄金属について、もう少し国際的にこれを安定さしていくという努力を外国の政府と一緒になってやるという考えはあるのかないのか。また、そういう試みをされたかどうかということをお聞きしたい。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 実はこの問題は、農産物の問題についても、同じ種類の問題がございます。農産物等につきましては、できるだけ国際的な立場において問題の解決をはかるよりしかたがないじゃないか。特にEECとの関係、米国の例の貿易拡大法に関連いたしまして、あなたも御存じのような、いろいろな関税一括引き下げ等々の問題がございます。こういうことと関連をいたしまして、日本の場合においても、農産物等については、そういうような国際協定によって問題を処理するのが一番合理的であるし、根本的な解決になる、こういうふうに処理をいたしてまいりたい、こう考えておるわけであります。この非鉄金属についても、国連のうちには、御承知のように、鉛とか亜鉛とかの会議がある。それからまたタングステンの会議等がございまして、何らかの形でこれは国際的に問題を解決せねばいかぬのではないかということがありまして、われわれとしても、いまあなたのおっしゃったような意味で解決ができれば、これが一番いい方法である。もう日本の経済というものは、日本の国内だけで解決することができない問題がたくさん出てきておりますので、やはり国際的に問題を解決していくという考え方に立つべきであるというあなたの御主張に対しましては、私は傾聴いたして、その趣旨で進めてまいりたいと思います。

松平忠久日本社会党

○松平委員 もう一つ、大事な問題であるから伺いたいのですが、今度のこの法案を実行していくという場合においての一番の眼目は、私は資金だろうと思います。目標年度を定めて計画化していって、いわゆる基本計画を立てる、その場合においても、生産費その他の合理化の目標を立てる、あるいは技術の向上、設備の近代化をやるとかいたしましても、ことごとくこれは金の問題であろうと思うのです。そこで法案を見れば、政府は所要の資金のあっせんをするというような条項もございます。この資金計画というものは、基本計画を立てるなら、資金計画というものを立てなければだめだと思うのです。通達大臣は、基本計画を立てるわけであります。同時に、この資金計画というものも裏づけとして立てるだろうと思うのです。そういう場合における実際の資金というものは、足りなかった場合には、開発銀行なりそういうものを使おうという考えでありますか、どうですか。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 体質改善のためには、金属鉱業につきましては、探鉱も必要でございますので、これは探鉱融資事業団なりあるいは中小企業に対する探鉱補助金というルートになるかと思います。それから製錬所の合理化あるいは採選鉱設備の近代化につきましては、これは開発銀行なり、あるいは北海近東北開発公庫、あるいは中小企業金融公庫なりが、資金の供給者になろうかと思います。

松平忠久日本社会党

○松平委員 政府関係の資金については、政府自体がおやりになるわけだから、これはできると思います。がしかし、民間あるいは民間的色彩というか、いまの開発銀行にしても、中小企業金融公庫にしても、ある程度独立採算制をやっておるわけです。そこで、これらのものが、この基本計画を樹立したときに、資金計画についても、そういう銀行筋というか、金融関係というものは協調していかなければならぬと思うのですが、それはできるのですか、協調させ得るのですか。

川出千速通商産業事務官(鉱山局長)

○川出政府委員 この市中金融につきましては、これは強制するわけにももちろんまいりませんので、国の金融機関が率先をして融資をすれば、なるべくそれに協力をしていただくという形でお願いすることになろうかと思います。

松平忠久日本社会党

○松平委員 時間がないようですから、私はこれでやめまして、小委員会等でこまかい問題の質問をしたい。以上で終わります。     ―――――――――――――

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 この際、おはかりいたします。  理事会において御協議願いましたとおり、本案を当委員会の金属鉱山に関する小委員会の審査に付するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ―――――――――――――

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 次に、内閣提出の中小企業基本法案、永井勝次郎君外三十名提出の中小企業基本法案、及び中小企業組織法案、向井長年君提出の中小企業基本法案、並びに内閣提出の中小企業指導法案、同じく中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、同じく中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律案、同じく下請代金支払遅延等防止法の一部を改正する法律案、以上八案を議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許可いたします。小笠公韶君。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 中小企業のわが国の経済、社会上に占めております重要な役割り、またこれまで果たしてまいりました偉大なる効果につきましては、いまさら申し上げるまでもございません。私は、中小企業のその社会的、経済的地位のも大なるにもかかわりませず、これまで多くの問題をかかえ、苦難の道を歩んできたことも、また事実であります。このためにいろいろな施策が行なわれてきたのでありますが、いまだ全体的かつ総合的な視野のもとに、その政策の方向あるいは態度が明示されなかったのであります。ところが、このたび、中小企業のあるべき姿とその政策の総合的目標を定める中小企業法案が、政府、日本社会党及び民主社会党からそれぞれ提案され、これを審議する機会を得ましたことを、まことに時宜を得たものと喜びに思うと同時に提案をせられました各方面の方々の労を多とするものであります。また、中小企業界多年の要望も、おそらくこの点にあったのではないかと思うのであります。  私は、法律案の内容とその意図する方向を明らかにするため、政府案を中心としながら、他の二法案に関連せしめつつ、若干の点について質疑をいたしたいと思うのでございますが、簡明にお教えを願いたいと思うのであります。  今日、日本経済の実情を見ますときに、日本の産業経済は大きな転換期に際会しており、ある意味において新しい試練期に入らんとしているのであります。すなわち、貿易為替の自由化、OECDへの加入、関税の一括引き下げ問題等、重大なる問題に直面いたしております。したがいまして、これまでの貿易為替の制限による保護政策、あるいは関税政策の運用による保護など、日本産業の保護政策は十分にとれなくなり、自由なる国際競争の中に突入しようとしているのであります。かつまた、急速なる技術革新の波は、産業構造及び需要構造の上に大きく変貌を与えんといたしておるのであります。私は、この事態は、わが国の産業全体に大きな影響を与えるばかりでなく、中小企業の面に大きなる変貌をもたらすものと考えるのでありまして、この点から考えまして、今後の日本の中小企業が、日本産業経済の中にいかなる姿になっていくであろうか、どんな点に最も困難なる事態を招来し、またどういう変化が出てくるであろうかなど、いわゆる中小企業の未来図、ビジョンというようなものを政府はどう描いて、その上にこの基本法を立案せられたか。まず、変革期に際会しての日本の中小企業の将来の未来像をいかに考えておられるかを伺いたいと思うのであります。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お答えをいたします。  お説のとおり、いまの日本の経済は、御指摘のありました為替自由化の問題とか、あるいは関税一括引き下げ、あるいは技術革新の問題等々、いまだかつて日本の経済がこれまでに経験をしなかったような大きな変貌期にあるわけであります。しかも、その中において、日本のいわゆる中小企業というものが今日まで保護政策の中において育ってきておりますが、その保護政策の中において育ってきた日本の中小企業というものは、歴史的な過程から見たり、あるいは日本の土地の地理の条件、人口の問題等々から、いろいろの特殊の事情がございますから、アメリカとかイギリス等の中小企業とはまだ変わった意味での姿を持っておることも、これまた事実であります。そういうような段階において、われわれが、いま特に日本のいわゆる経済で中小企業に与えていくであろうという大きな要素を考えてみますというと、やはり製造工業等においては、技術の進歩というものが非常なスピードで進んでいるというところに、私は大きな問題点があろうと思うのであります。現に戦争が済みましてから、外国から導入いたしましたいわゆる技術というものが、二千件近くにも上っておるわけでありまして、現在欧州あたりで、EEC六カ国の間でお互いが技術の交換をしておるのを見てみましても、年間二百くらいでありますけれども、日本では、いま各国からの技術を取り入れているのは、一年間に三百件近くございます。たいへんなことなのでございまして、こういう点を見ても、いかにこの技術革新というものが大きく日本の経済を変貌しつつあるかということは、はかっていただけると思うのであります。また、それだけのいわゆる技術の導入があって初めて日本の経済がこれだけ大きく、世界が目を見張るほどの成長をなし遂げてきておるのであります。こういう点から見まして、日本の経済というものは、そういういわゆる技術の導入というもの、あるいはまた日本国内における技術のいわゆる開発といいますか、革命といいますか、そういうもの等によって大きく変わっていくものであるということがまず考えられる。  一方、今度は流通機構の面から見てみますと、日本が人口的に、何といいますか、非常に過剰な人口を狭い土地にかかえておりまして、しかも人口の増加率は、そんなにふえてはいないとはいっているけれども、年間百万人ずつもの人がふえておる。そして東京とかあるいは大阪というような大都市に人口が集中する傾向にある。この段階において、いわゆる流通機構の問題というものも、これも一つ見のがすことのできない大きなテーマに相なっておると思うのであります。  この二つを企業といいますか、日本の経済全体が受けておるのでありますが、これは日本の経済を上から鳥瞰図で見た場合にいえることでございまして、今度は横から日本の経済というものを見てみますと、いわゆる大企業と中小企業という問題がここにあらわれてくると思うのであります。その横から見ました場合においては、何といっても、どこまでをどういうものを中小企業として認めるかということが、一つの大きな問題点になります。われわれはわれわれの考え方があることはもうすでにおわかり願っておるところでありますが、いずれにいたしましても、これが大企業と直結をしておるものと、それからまた直結をあまりしないものとがあります。概して製造業におきましては、これはつながりが多いのでありますが、流通関係等においては、つながりのないものが多い。そして今度は、大企業と中小企業といっても、中と小との関係を見ますと、中とつながりのある小企業の数も非常に多いというのが、今の実相であると思います。しかし、いずれにいたしましても、その中小企業というものは、一面におきまして大企業との間に、いわゆる生産性といいますか、いわゆる利益を生み出す力において非常な違いがある。いわゆる格差というものが非常に多いのでございまして、そうしてこのことは、また同時に、中と小との場合にもいえるところであると思うのであります。  こういうようなことを考えてみますと、その種類を分けていくと、まだ幾らでも分けられるのですが、しかし、先ほど御説明がございましたように、日本において中小企業の問題は重大であったんだけれども、いままではそれほど取り上げられなかった、それがいよいよ本格的に与野党の間で取り上げられたことはけっこうだと仰せになっておりますが、そのとおりでございまして、いま問題を取り上げただけであります。今後は、こういう基本法というものでひとつ大きく網をかけておきまして、そしてこれに従ってだんだん順次こまかくこの問題を一つ一つ解決していくような方向に政治を進めていくということについては、これは私は、与党であろうと野党であろうと、だれもがみな考えておられるところであろうと思うのであります。しかも日本にはそういうような海外と違った特殊事情がある。一方また流通部面を見ますと、これまた非常に歴史的な事情やら地域的な事情やらが大きく作用しておる面もあります。また、いままでの教育の関係とかその他のこともありまして、千差万別でありますが、しかし、まあいずれにしても、そういう企業自体が、できるだけ生産性を高め、あるいは収益率を高め、そうしてそれに従事しておる人たちの利益をも増進する方向で問題の解決をはかっていかなければならない、こういうような見方で、しかもこういう考え方で問題の処理をしていかなければならない。その第一の着手として、いわゆる中小企業基本法というものをここに提案をいたしまして、御審議を願う、こういうことにいたしておるわけでございます。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 私のお伺いしたのと若干答弁が食い違っておるようであります。私は、技術革新、産業構造の変化、自由社会への突入に伴って、現象的、具体的に中小企業各分野はいかなる変貌、変化体制をとるかということをお伺いいたしたいのであります。  それはさておき、次にお伺いいたしたいのは、中小企業対策を考えるにあたりまして、国内的視野に立って、産業政策として中小企業政策を考え、すなわち、中小企業の近代化、体質改善、並びに中小企業を取り巻く諸条件の整備、改善ということは当然でございますが、国際経済の動きの中、特に最近の世界経済の目まぐるしい進歩という立場から見まするときに、この国内的視野と国際的視野に立つ場合は、具体的施策において必ずしも同一の帰結を得られない場合が予想されるのであります。この場合において、いずれを中心としてものを考え、国際的視野と国内的視野との見地の調整の場合、いずれに重点を置いて考えられるか。このことは、私は今後の具体的な中小企業諸施策の遂行にあたって、いろいろなニュアンスを提示するものと思うのであります。問題は非常にむずかしいようでありまするが、変動する日本経済の中にあって、中小企業政策を進めるにあたって、最も大事な一点だと思うのであります。たとえば政府案の前文及び政府案の法第三条第一項と法第三条第二項との関係の規定を見まするときに、第一項の規定は、明らかにフラットに国内的立場から諸規定、諸施策の方向を規定しておる。しかるに第二項に至りましては、国際競争力の強化、国際的な視野に立ってものを考えるときには、それにブレーキをかけることの道を残しておる。こういう点から考えまするときに、私はいま申し上げましたような立場、いずれに重きを置くかという問題が、非常にむずかしい、大事であるがむずかしい。私はこういうものにつきまして、少なくとも法第三条の第一項と第二項の矛盾するような場合において、いかに政府は考えて本法を実施せられていこうとするのか、お伺いいたしたいのであります。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説のように、第三条の第一項と第二項との間には、場合によって矛盾するような問題を生じ得るわけであります。いわゆる国際的な視野を考えなければいけないということと、その国内における中小企業の育成ということとの間に、問題が起こる場合がございます。私は、しかし、基本としては、自由化をいたしてまいる場合においても、国内産業に一応の重点を置いておる、国内産業がそれに耐え得るかどうかということに重点を置いており、中小企業の場合においても、私はまず国内の問題を中心にして考えていかなければならないと思う。しかし、その場合においても、国内問題とはいっても、いわゆる国際環境が大きく変化したときに、それを無視しておったのでは、直接的ではないまでも、間接的には中小企業自体が非常な不利益をこうむることが起きてくることは、当然でございます。こういうことを考えてみますと、一応いま御指摘の面においては、国内の問題を重点として考えますけれども、しかし、どうしてもそういうことをやった場合に、国際的にはこういう一つの大きな流れがあり、これに対抗できないようなときには、それを加味しながら施策をきめていくというふうにせざるを得ない。したがって、法をつくる場合においても、まず国内の問題を第一に考える、次に、国際的環境の問題をこれに加えていく、こういうふうに御理解していただきたいと思うのでありまして、まあ重味からいったらどっちだというと、車の両輪みたいなもんですから、どっちがなくてもいいというわけにもいきませんけれども、しかし、何といってもまず国内ということを忘れるわけにはいかないと考えておるわけであります。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 この問題につきましては、なお論議が残ると思うのであります。法第三条第一項と第二項との関連の問題においては、前文にも出ている。その前文をリピートして第三条第二項を規定しているところに、意味がすでにより重くなっている、調和点を見つけるにいたしましても。そういうふうな感じがいたすのでございます。  それはさておき、私は、三案を通じまして、三案のねらっている立法目的、成果というものが、非常に大事であり、今後の具体的法律案とする場合に、いろいろ違ったニュアンスが出てくる問題ではないかと思うのでございます。すなわち、政府の前文は、公正かつ自由なる競争のもとに「経済的社会的制約による不利を補正するとともに、中小企業者の自主的努力を助長し」もって中小企業の安定をはからんといたしております。社会党案第一条及び第二条は、本法案の基本的性格をなすものでございまして、いろいろな措置をし、「もって国民経済の二重構造を解消する」ということをうたっておるのであります。私は、この二重構造という言葉につきましては、法律上に使われましたおそらく初めての用語であろうと思うのであります。社会党の御提案の基本的性格は、この国民経済の二重構造をいかに定義するか、いかにこれを理解するかによって差が出てくると思うのであります。しかも産業、経済の二重構造論につきましては、諸説があるのであります。経済企画庁の大來君のように、先進国的経済構造と非先進国的経済構造が併存して国民経済をつくっておることだと言っている者もある。あるいはまた、各企業における賃金格差のはなはだしい状態をもっていわゆる経済の二重構造と言っている人もある。さらに篠原博士のように、近代的な経営形態と非近代的な経営形態とが混在しておる、かつ、その間に賃金及び所得の格差、断層がすこぶる大きいものを称して、経済の二重構造とも称しておる者もある。また、説をなす者は、日本経済に二重構造なし、それは傾斜構造だというような学説もある。かくのごとく考えてまいりましたときに、立案にあたりまして、国民経済の二重構造というのをどうお考えになって法第一条、第二条にお書きになったか、提案者の御親切なる御説明をお願いいたしたいと思うのであります。

松平忠久日本社会党

○松平議員 小笠君の、社会党の中小企業基本法案に対する根本的な考え方に触れる御質問でございます。御質問の趣旨は、二重構造の解消とあるが、二重構造とは一体どういうふうにこれを理解しておるか、どういう概念であるか、こういうことでありますが、ただいま申しましたように、これは根本的な問題でございます。私どもも、中小企業の現在日本に置かれておる立場というものをもっと分析いたし、それからそれぞれ学者の意見等も聞いたわけでございますが、いま小笠君の言われたように、ある学者は、日本は構造的には一重なんだというような学者もあります。さらにまた三重、四重の構造があるんだという学者もございます。しかし、われわれがそれらの学者の説も十分聞き、またわれわれがいろいろ経済の諸事象を分析しました結論において、やはりこれは日本の経済のいろいろな仕組みの中に、一つの経済的な断層がある、こういう結論に達したわけでございます。すなわち、その断層を埋めなければ、中小企業の問題の解決というものの一本の柱というものは欠けてしまうのだ、こういうふうに私たちは結論を立てたわけでございます。一昨年でございましたか、欧米へ行ったときに、中小企業の問題についてもできるだけ資料を集めたいというので、方々へ行ってまいりました。ところが、日本における二重構造的な、そういう問題の解決に資するような政策というものは、ほとんどどこの先進国にもございません。ベルギーは、中小企業省という省がございますけれども、しかし、その対象とするところは、われわれがいうところの中小企業者ではなくて、職人階級の生活を上げていくために中小企業省というものが存在しておるということでございます。ただイタリアが少し似ておるような気がいたしました。いわゆるコロンボ法、商工大臣のコロンボ法というものができましたが、このコロンボ法というのが、わりあいに参考になった。そこで、一体なぜ、日本には一つの断層があるけれども、先進国には断層がないかということ、これが大きな日本の特徴ではなかろうかと思います。それは、戦後における資本主義の発展段階というものがそうさせてしまった、つまり日本の資本主義の発展というものは、御承知のように、政府権力と結びついて発展をしてきたわけでございます。したがって、明治を通じて今日に至りまして、ことに戦後は、破壊の中から日本が立ち直るということのために、大きな権力と大きな資本とが結びついて今日の発展をしてきたわけでございます。そこで、その中に取り残されたようなのが、いわゆるこの中小企業の実態でありまして、そこで経済と申しますか、組織の問題にしても、あるいは金融の制度並びに税の制度、そういうものを、いわゆる経済の構造でございますが、そういう経済の構造が、法律的にも、制度的にも、大企業に非常に有利な制度ができ上がってしまった。ところが、その反面においては、中小企業はそういう大企業に都合のいいような制度の恩恵にはあずからないという仕組みがここに出てしまった。一例をあげれば、たとえば金融にいたしましても、御承知のように、大企業ほど金融をするのに楽である。つまり低利な長期の資金というものを借り入れることは、大企業はできるが、中小企業はできない。そして下へいけばいくほど、小さくなればなるほど金利は高いというのが、日本の実情であります。そういう一つの金利政策というものが、仕組みというものができておることは、皆さんの御承知のとおりなのです。税金にいたしましても、租税特別措置法一つを見てみましても、戦後において基幹産業を復興しなければならぬという考え方から、そういう政策をとってきたわけでございます。今日もそれは続いておる。そのために、税制にいたしましても、大きなものは減免措置があるけれども、中小企業にはそういうものはほとんどない。そうして家族労働者にいたしましても、ようやく妻に対して一万円の基礎控除というものを認めるという制度ができたということでありまして、子供の働いたものに対しての税金の免除というものは、今日ない。言いかえれば、中小企業のほうにおける労働、これによって生計を営んでおる場合におきまして、それらの人が働けば働くほど税金を払わなければならぬような仕組みが、今日の税制でございます。そういった法律制度によりまして、一つの経済的な仕組みというものが、二つの仕組みのようなものができ上がってしまった。それをわれわれは二重構造と称しておるのでございます。したがって、そういうものをやらなければ、穴を埋めていかなければならない。このことは、政府案におきましても、いま小笠君が指摘をなさいましたが、生産性の格差ということでございますが、この生産性の格差ということは、生産性だけではなく、いま大臣から答弁がありましたけれども、収益率も格差があるのだ、その他万般に格差があるということは、もう少し分析してみたならば、その背景をなす経済環境というものに格差があるということにならなければならぬと思うのです。ただ、政府案は、分析をそこでとめまして、そして現象面だけとらえて、社会的、経済的不利という条件を克服していかなければならないという表現になっております。そのことは、私は言葉をかえて言うならば、もっと分析すれば、その背景をなすところの経済の仕組みというものをある程度直していって、そうしてこの構造の断層を埋めていくということにしなければならぬことになるのじゃないかと思うのです。その点についての政府案の分析のしかたが足りないのじゃないか。そうして現象面だけとらえて、格差があるということと、社会的、経済的不利な条件――これは経済的だけではなくて、社会的な不利な条件があるということを政府自体が認めているわけであります。そういうことから言いますと、私は、ここに明らかに、ことに戦後著しくなった点は、その構造的な二重ということが激しくなったということでございます。したがって、そういうふうにわれわれは分析をしており、そういう概念で二重構造というものをこの中に取り入れてきたわけでございますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 非常にむずかしい問題を多々含んでおる、また同時に、一国の国民経済運行の基本的態度に直結する重要問題であります。いまお話を伺いまして、経済の仕組みの中に断層があり、その断層を埋めていくのだ、よくわかりました。  そこで話を進めまして、私は、政府案及び社会党の案、民主社会党の案の中で、政府案以外の案で全然触れておらない問題、それは政府案第六条であります。中小企業者のみずからつとむべき心がまえという問題があるのであります。馬は川辺に連れていくことはできるけれども、水を無理に飲ますことはむずかしいのであります。やはりみずから飲もうという意欲を、経営の衝に当たる人それ自身が持たなければならぬ。その点についての宣言規定でございますが、私は必要なことだと思うのであります。ところが、第二項の問題は、中小企業者以外の者が云々とあって、これに協力するようにしなければならないと書いてあります。非常にけっこうではございますが、中小企業者以外の人々が中小企業基本法の諸施策に協力し得るような雰囲気をどうしてつくっていくか、空気をそういうふうに醸成していかなければならぬと思うのであります。この点につきまして、政府は、協力する背後的空気をどうつくっていくお考えであるか、伺いたいのであります。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 自由主義経済の形におきまして、中小企業者といい、あるいは大企業といい、いずれも自分の仕事をうまく運営できるように努力するという意思がない限りにおきましては、その仕事がうまくいかないことはもうおわかりのとおりであります。しかしながら、いかに自由主義経済のもとにあるとはいいながら、それぞれがみな相関関係にあって生成発展をしておるのでありますから、中小企業に関係のない者も、やはり中小企業の育成には協力する心がまえでなければいけない。もともとこの第六条は、あなたの仰せになったとおり宣言規定でございまして、これに対して罰則がつくわけでもなければ何でもないわけでありますが、しかし、根本は、自由主義経済でやっているのだから、本人がやる気持にならなければだめですよ、そうすればできるだけ協力するようにしましょう、こういうことを言っておるわけであります。と同時に、しかし、中小企業の者が努力するのであるから、それに対しては中小企業以外の者もやはり大いにその協力をするようにすべきものである、こういうことを訴えておる宣言規定でございまして、どういう環境をつくっていくかということになりますと、具体的にはあとでも出てきますが、例としては金融界とか、あるいは地方公共団体とか、国自体等々あげるけれども、しかし、それだけではほんとうは足りないので、そのほか、すべての施策、すべての者が、こういう気持ちで、中小企業を育成する気持ちでなければいけないという宣言といいますか、その点を明らかにしておる条文と御解釈を願いたいと思うのであります。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 中小企業基本法のスタートにあたりまして、以上のような諸点がやはり振り返るべきだと思う。これから中小企業基本法案の具体的な方向、内容について、若干お伺いをいたしたいのであります。  いろいろ書いてございますが、第一は、中小企業の体質改善、いわゆる近代化の問題、第二は、中小企業を取り巻いておる経済的、社会的環境の整備、改善と、大体この二つに尽きると思うのであります。政府案の第九条、第十条、第十一条、第十二条ないし第十四条、社会党案の第二十二条ないし第二十七条、民主社会党案の第十五条か、それに該当するものと思うのであります。そこで私は、それらの問題について、一つずつ大きな方向だけを伺いたいと思うのであります。  中小企業の近代化は、何といっても、先ほど来のお話のとおりに、中小企業発展への基本的事項であります。中小企業の近代化と申しましても、その第一の要点は、物的生産性向上の問題であります。すなわち、設備を近代化する、物的生産性の向上の問題である。第二は、人的生産性の向上の問題であると思うのであります。すなわち、経営管理の近代化、科学化であり、技術水準の向上の問題が、人的生産性の向上に当たるのであります。そこで、現在の中小企業の物的生産性を向上させるという見地から考えました場合に、政府は、具体的にこれをどういうふうにお考えになっておられるのかということが、お尋ねの中心であります。  すでに、終戦以来、中小企業設備の近代化のためには、地方自治体等におきまして、設備の貸与制度が行なわれて今日に及んでおりますが、まだその範囲は狭い。私は、たくさんある中小企業の設備の近代化は、中小企業のみずからの発意とその責任において広く行なわれることが、最も近代化を早めるゆえんであると思うのでありますが、現実の中小企業は、貯蓄力が少なく、またいわゆる借金能力も弱いといわなければなりません。そこで物的設備の改善にあたりまして、本法案第二十四条で、資金の融通の円滑化を運転資金を含めて規定いたしておりまするが、私は、中小企業の近代化を急ぐために、業種別に年次計画をもってその近代化計画の道を示すべきものだと思うのであります。技術が日進月歩の今日であります。一日も早くそうしなければならないと思うのであります。政府は、これまで中小企業振興資金等助成法によりまして、約百四十一億五千万円程度の金を国庫資金から流して、これの助成に当たってきておる。しかし、これだけではまだまだ足りないのであります。中小企業の設備近代化資金の需要要望に対して、二割か三割がまかなわれているにすぎないといっても過言ではありません。特に、その二割か三割のうち、その半分近くは政府資金によってまかなわれておる。二割の半分としましても、一割かそこらにすぎないのであります。そこで私は、現在の政府関係金融機関等におきましては、設備の近代化を促進するという見地から見て、必ずしも十分な体制になっておらないのではないかと思う。そこで、一つの御提案を申し上げたいのであります。たとえば中小企業金融公庫法第一条は、何々の長期資金であって一般金融機関から融通することを困難とするものを融通することをもって目的とすると、一般金融機関から融通することを困難とするものに限定いたしておるのであります。中小企業の設備近代化が中小企業振興の大きなてこである、こういう事実にかんがみまするときに、中小企業金融公庫法第一条は、あまりにも窮屈である。私は、全体の中小企業近代化資金の供給源としての体制にこれを改正することが、よりいいのではないか、こういうふうな感じを禁じ得ないのであります。私は、そういろ意味におきまして、この資金問題が何といっても一つのてこである、しかもそれを供給すべき体制がいまだ十分でない、こういう意味で、法第二十四条の具体的措置について、どういう腹案をお持ちになっておるか、これを伺いたいと思います。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 お説のように、企業の近代化をはかっていくということが、特に中小企業においておくれておりますから、これを近代化していかなければならない。その場合に、いわゆる資金の確保が容易でない、資金を得られない場合が多い。しかも、国が助成しておるといっても、非常にパーセンテージが少ない、この点は、われわれとしてもお設のとおり認めざるを得ないところでございます。それでは、そういうものをふやすようにしなければならないではないかということでございまして、その具体的な方法として、中小企業金融公庫法などを改正をいたしまして、これが中小企業近代化の資金源になるような方策を講じたらどうか、こういうようなお説であります。御趣旨については、われわれは何も反対というか、むしろ賛成はいたしておりますが、しかし、日本の経済全体、金融面全体から見て、はたしていまおっしゃったようにして、どれだけの金を中小企業金融公庫に回し得るということは、これはまた別途に考えてみなければなりません。そういうようなこともにらみ合わして考えていきますと、いま仰せになったような趣旨に沿って、今後改善を加えていくということには、われわれはもちろん賛成でございますけれども、非常にドラスティックな意味では、改正を行ない得るかどうかということについては、今後ひとつ研究をさしていただきたい、かように考える次第でございます。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 設備の近代化に関連して最も大きい問題に、設備機械の償却期間の問題があります。この問題は、累次にわたって唱えられ、一部の手直しは得られましたが、今日の技術、設備の発展に比べれば、あまりにも長い。私は、この意味から、この特別償却制度であろうと、あるいは一般償却年限の思い切った短縮であろうと、今度の中小企業近代化促進法第九条には、特定の場合におきましては、三分の一の割り増し特別償却制度を認めんといたしておることは、非常な進歩であります。ただ、本法案が成立した場合に、これによって指定される業種が局限されやしないかという心配を持つのであります。中小企業の近代化の促進上、償却問題が一つの重要な問題であるとするならば、中小企業近代化促進法案第九条の適用業種を、いまいかに予定し、いかに広くこれを指定するかといり問題は、最も現実的な問題であり、大事な問題だと思うのであります。これについて、どういうふうに腹案をお持ちであるか。

福田一自由民主党通商産業大臣

○福田国務大臣 設備の近代化と並んで、償却年限の短縮といいますか、これは、すみやかに合理化をし、あるいは近代化していくというときに、一番中小企業が苦しんでおる問題でありまして、私は、その点では全く御趣旨には賛成で、また、政府部内においても、強く、常にあらゆる機会をとらえて主張をいたしております。そこで、この第九条に基づいて具体的にどういうふうな業種を考えておるかということにつきましては、政府委員から答弁をさせたいと存じます。

樋詰誠明中小企業庁長官

○樋詰政府委員 中小企業政策の本命は、先生いまお触れになりました、先ほどから御指摘の金融と税制、このあたりにあろうかと、こう存じております。特別償却につきましては、御承知のように、現在資本金一億円以下の会社につきましては、それ以上の大会社よりも比較的ゆるい基準で、初年度三分の一のプラスの償却ということが認められて、これは一般的にあるわけでございます。過般この委員会で御可決願いまして、四月から施行いたしております近代化促進法によります五年間の三分の一割り増し償却、これにつきましては、まず近代化促進法で指定されるという業種に限定されるわけでございますが、いままでの業種別振興法といったようなものの経験等からいたしまして、初年度は大体二十程度の業種になるんじゃないかということは、この前申し上げたわけでございます。その意味におきましては、促進法に基づく三分の一割り増し償却というものは、これはある程度限定せられるということになるわけでございますが、しかし、そのほかに、一億円以下という企業につきまして、大企業等に行なわれているのと同じように、取得しました年に、普通償却のほかに三分の一の割り増し償却ということが認められておりますので、われわれといたしましては、今後、中小企業全体につきましては、この初年度三分の一の特別償却をさらに活用するというような方向で努力していきたい、こういうふうに思っております。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 それからちょうど政府委員の答弁でも触れましたが、もう一つの問題は、近代化に関連して重要な問題は、法人税を中心とする税体系の問題、この問題につきましては、言い古されたことでありますから、なおひとつよくお考えを願いたいというか、より引き下げていく方向に御努力をお願いして、とめておきたいと思います。  私は、ここで変転する日本経済の中で、先ほど通産大臣もお触れになりましたが、商業者の問題について、この設備の近代化についていろいろな問題があると思う。いわゆる商店の店舗の改造、商店の密集する商店街地域の地域社会としての再編成、こういう問題につきましては、物的設備の近代化の一環として、ぜひとも今後十分な御配慮を願いたい、こう考えるのであります。特に、これまでこの方面への政府機関からの金の投与はすこぶる少ないのでありますから、ぜひお考えを願いたいと思うのであります。  私は、次は、何と申しましても近代化の一翼である人的生産性の向上の、いかにして上げるかということ――中小企業の信用は、物的信用よりも人の、経営者の信用にあると言われてきたのであります。その意味から考えまして、この人間の生産性を上げるという問題が、より重要な問題として中小企業には出てまいるのであります。私は、この意味から、経営管理の合理化問題という問題を、どういうふうな順序で政府はこれを指導、育成していくかということをお聞きいたしたいのでありまするが、特に私は、小規模事業等を中心として考えまするときに、中小企業の診断員制度があります。この診断員制度は非常に広く行なわれ、十数年の歴史を持って、その効果も相当大きいものと思うのでありますが、診断員制度自体が非常にあいまいである、と言っては語弊があるが、はっきりしておらないわけであります。技術士のごとく、あるいは公認会計士のごとく、診断員制度というものをりっぱな制度のもとに直して、中小企業の経営の親切な相談相手、指導者として直していく必要があると思う。こういう手近なところから経営の近代化をはかっていくべきであると思うのでありますが、この診断員制度というものを今後どういうふうに考えていくか。現実のたくさんの診断員の方々、みんなりっぱでありましょうが、世間的権威というものから見ると、率直に言ってそれほどまだ期待できないのではないか、こういう点について、ひとつお伺いいたしたいのであります。

南好雄自由民主党

○南委員 いま小笠委員はほかの問題に移ったのですが、私、償却制度について一言だけ……。基本法ができて、特別にそういうような条文もできたのですから、今後、この条文を活用して、そうして中小企業の一番ウイークポイントになっている面を有利に解決してくれるのだろうと非常に期待して政府委員の答弁を聞いておったが、ただ、いままでのやり方の持続にすぎない。いやしくもこういう法律をつくって、そうしてほんとうに償却制度の根本まで考えていくというなら――この償却制度というものは、非常に中小企業にとっては重大なんです。これは一例をあげますが、繊維産業などというものは、大きな資本もありますが、通産大臣の郷里の福井県や私の郷里の石川県などは、加工部門の機屋にすぎない。これがけっこう相当大きな事業になっておるわけです。しかも一台の織機がせいぜい七万円か、いいものでも十二万円。半分木のものと全部鉄のものと二つございますが、半木製のごときでも、償却年数は十年、十二年なんです。鉄製に至っては十五年です。そういうような償却制度を、一億円未満の会社は何だか三分の一とかなんとかという説明もありましたが、もうかるときにはもうかりますが、四年に一ぺんしかもうからぬようなものに、十年、十五年かかって七万円、八万円の織機を償却するような、そういう税制上における償却、こういう考え方があるから、今日中小企業がどうしても生きられない。かろうじてめししか食わせないという考え方、これは税制調査会に行って、私もずいぶん文句を言った。通産大臣みずからも、そのときは大臣でなかったものですから、ぼくと一緒に奮闘努力したが、幾ら言っても、十七年から十五年になるのが精一ぱいなんです。こんな考え方では、私は、とうてい中小企業のほんとうの意味の解決はできぬと思います。幸い中小企業基本法ができ、小笠委員からまことに適切な質問があったんですが、中小企業庁長官は、いままでのただ経過を説明し、この問題を解決するだけのほんとうの熱意が足らぬと思う。これをやってあげなさい。中小企業は目がさめる。金も大事だけれども、もうかったときに償却できるような制度を設けて――もうかったときには税金を取り上げて、損したときは知らぬ顔をしておる。あの連中に青色申告をさして、八幡や富士のような制度をやれといっても、できるわけがない。結局もうかったときはみんな取り上げられる。それから損したときには泣く泣く過ごすというのが、われわれ郷里の中小企業なんです。これはひとつあなた特別に――償却制度というものは、なかなか大蔵省が税制の面でうるさい。うるさいが、中小企業から税制の面に期待する点なんというのは、たいしたものじゃないのです。一割考えてやっても、たいへんな救済になります。銭を貸してくれるのも大事だが、取られぬくふうをぜひ考えていただきたい。それをここで言明してもらいたい。償却制度については、特別に大企業と違った構想を持って臨むのだ、中小企業基本法ができたら、せめてそれくらいの約束をしてもらわぬと、お経の文句では、私は満足できない。

樋詰誠明中小企業庁長官

○樋詰政府委員 いまの南先生の御意見でございますが、われわれといたしましては、もちろんこの基本法ができましたのを契機に、いままでとは違いまして、われわれも心機一転いたしまして、もっと強力にやりたい。ただ、従来もいろいろやっておったのでございますが、いろいろな問題があって、いつも押えつけられておったということは、事実のことだと思います。現在税制調査会のほうで、いろいろ耐用年数の短縮というようなこと――それは機械等に関して行なわれますので、はたして中小企業全部にこれが適用されるかどうかということに問題がございます。そこで耐用年数の短縮の問題と税率の問題というようなことも並行して御審議願っておるわけでございまして、われわれといたしましては、ことしを新しい転機の年として、倍旧の努力をしたいと考えております。  それから小笠先生の先ほどの御質問でございますが、御承知のように、診断上といったものの法的な要件というものは、はっきりさしておらなかったわけであります。この二年間ばかり、診断員の登録ということも、非常にたくさんの方が出まして、中にはどうかと思われるような方等も出てきたというようなことのために、ちょっと停止しておりましたが、大体昨年の秋以来受付をいたしまして、ことしの春から二年ぶりで診断員の登録を開始したところでございます。なお、これにつきましては、ただいま一緒に御審議いただいております中小企業指導法案におきまして、新しく省令によって診断員の登録をするということにいたしております。この診断員につきましては、中小企業指導センターというところでの養成ということに現在つとめておるわけでありますが、いわゆる診断というのを、経営の各面にわたりまして、いますぐ診断士法というようなかっこうで取り上げることができるかどうかということにつきましては、非常に技術的にもむずかしい問題等もございますので、この診断上法をいつ出すかというようなことにつきましては、もう少し研究させていただきたいと思っておりますが、診断員の養成につきましては、センターの特殊法人化等を契機に、これも従来よりも強力にやる。それから二年ぶりで行なわれます診断員の登録制度を通じて、この県の中にはどういうような面に適格の診断員がおられるかというようなことを正確に把握して、必要な診断事業が行なわれるよう資していきたいと考えております。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 中小企業の物的生産性の向上、近代化の面から考えなければならぬもう一つの面は、中小企業の共同化の問題であります。政府案の十三条に規定いたしてありますが、この共同化の問題は、組合員制度との関連もあり、今後の中小企業対策を進める上におきましての前提条件であります。私は、この共同化に対して、組合員制度よりもう一歩進んだ体制というものを考えないと、中小企業の共同化、協業の実は長きにわたってあげにくいものと心配いたしておるものであります。組合員制度自体では、景気の動向に応じて離合集散なしとしないのであります。こういう意味において、共同化を進める上において、その主体の共同体制というものに対して新規のくふうをお考え願いたい、こう思うのであります。本法案の第十三条に「必要な施策を講ずる」とあるが、こういうところまで立ち入って共同化の問題を考えておるのかどうかということであります。  もう一つの問題は、中小企業の近代化とは若干程度は異なりますが、中小企業者相互間における秩序の確立の問題であります。この問題は、従来からの中小企業対策の一つの方向であり、十七条に規定いたしておるのでありますが、十七条は、規律の確保について、中小企業団体法による規定以外の規定というものを予定してこの十七条が立案されておるのかどうか、この点を伺いたいのであります。

樋詰誠明中小企業庁長官

○樋詰政府委員 今後中小企業がますます熾烈化します経済競争に耐えていくためには、どうしても適正規模ということを確保しなければならないので、このためには、いま先生御指摘の共同化ということが、必要だろうと思われます。この共同化には、協同組合というかっこうもあると思います。あるいは一歩進めて、合併して一つの会社になるというやり方もあろうかと存じます。また、みんなが出資をし合って一つの会社を新設するというやり方もあろう、そういうふうに考えております。これはいろいろ共同する方々の事情等によって、必ず合併しなさい、あるいは新設の会社をつくりなさいというふうに強制することもできない場合もあり得るのじゃないかと思っておりますが、組合だけでは十分でないというような場合に、お互いに話をされて、会社の新設あるいは合併という方向に踏み切られるという例も多いかと存じますし、われわれといたしましては、そういう際には、規模を適正化させるのに非常にけっこうであるという趣旨から、今後ともできるだけ御援助していくように考えております。  それから第十七条の過度の競争の防止ということにつきましては、さしあたっては団体法によります組合協約あるいは調整事業といったものを考えておりますが、はたしてそれだけ十分なのか、もっと単独の立法をしなければならないかということにつきましては、たとえば商業面におきますいろいろな最近のスーパーマーケットの問題といったような問題等もございますので、実情を十二分に把握した上で、所要の措置をとりたいと思っておりまして、この十七条は、過度の競争を防止するために組織を整備するという中には、一応既存の法律制度を活用するというほかに、新しい法制を立法するということも、当然含んでいるわけでございます。

南好雄自由民主党

○南委員 関連。いま小笠委員の質問に中小企業庁長官が答弁なさったのですが、それはいままでの考え方です。中小企業基本法をこしらえた以上は、過度の競争防止をして、中小企業団体法に基づいて調整命令の五十七条、五十八条をお出しになって、出しっぱなしにして、あなた方何にも組合の内容をごらんにならない。そして少し景気が立ち直ると、わいわい言われてむしろそれをまたはずすという。元来、中小企業というものは、だれにでもまねできる簡単な業態なんです。縛るから、ややそこに経済秩序ができてくる。その経済秩序を利用して近代化へ一歩進めるように、官庁なりそういう方面のあなた方の積極的指導というものが、いままでは全然ない。組合の幹部にまかせ切りにして、組合の幹部は少しずつ期限の延長をしてもらって、いままでのかけ足を休むという程度が、現在の状態なんです。基本法をこしらえて、いままでの構想あままでは、ただ一本のなわを引いてやる程度では、こんな基本法なんか要らない。いま言うたように、十七条を掘り下げることに関連して、企業に余裕ができたら、どんどんこれを近代化をさして高度化を進めさすという積極的構想がなくて、何が中小企業基本法をつくったということになりますか。私は、中小企業庁長官の答弁は、いままであったことのおさらいにすぎないんで、非常に遺憾です。そういう問題については、あらゆる面において高度化、技術化というふうに、積極的に余裕の出たものについての奨励が、官庁としてもあるべきものなんです。ぜひそういうように考え方を変えてもらいたい。

樋詰誠明中小企業庁長官

○樋詰政府委員 私の御説明がはなはだまずくておしかりをいただいたのでございますが、私どもも、先生のお考えどおり、いま取り組んでいるつもりでございます。特にここ十年間も、ほとんど同じ調整規程がこのままずっと続いている。業界はぬるま湯に入りっぱなしのようなかっこうで何らそこに改善のあとがないじゃないかというようなことにつきましては、審議会自体でもいろいろと御意見をいただいておりまして、われわれは、あくまでもこれは緊急避難的にやるのでありまして、事態が改善されたならば、むしろこれは前向きに今度取り組むべきであるというふうにも考えておりますので、そういう趣旨で努力するということで御了承いただきたいと思っておりますし、また、昨年御改正いただきました団体法に基づく合理化カルテルの活用、あるいは過般御制定いただきました近代化促進法といったようなものをこれから活用することによって、ただ一回何か安定カルテルみたいなものをつくれば、その中でじっとして、いつまでも前向きの新しい事態に即しないでもいいといったようなイージーゴーイングな考え方ではいけないのだというようなことを、業界にもよく徹底させることによって、先生の御指摘のような方向に指導していきたいと思っております。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 中小企業の近代化、体質の改善等に関する主要な事項は、大体以上のようなところであります。  本法案の三案とも共通で最も力点を置いておる柱は、中小企業を取り巻く経済的、社会的不利な条件の排除、整備、改善の点であると思うのであります。このことは、最も重要な内容をなしており、政府案の第十七条から第二十条にかけ、社会党案は三十五条、三十六条、十八条、十九条、四十条、四十一条、多くの条文を費やしております。  中小企業が、その資本力の弱さ、あるいはその他のいろいろな事情からして、不利な環境にあることは、いろいろお話があったとおりであります。合理的な経営を行ないたくとも、その条件をみずから満たし得ない場合が多いのでありまして、このことは、一面から見ますれば、中小企業のサイドにおきます発言力の弱さからきておるのであります。そして、その発言に裏づけがないからであります。私は、この不利なる環境の整備、改善は、簡単にできるものとは思いませんが、絶えざる中小企業の立場に立った発言力の強化によって初めて、逐次達成されるものと考えておるのでありますが、国民経済の全体の動きの中に、中小企業をいつもいかなる位置を与えておくのが適当であるか、この与えられた位置をいかにして守るため発言を常時していくかということにあろうかと思うのであります。  そういうむずかしい問題が多々あると思いますが、さしあたり政府案第十九条についてお伺いをいたしたいのであります。政府案は、「国は、中小企業者以外の者の事業活動による中小企業者の利益の不当な侵害を防止し、中小企業の事業活動の機会の適正な確保を図るため必要な施策を講ずるものとする。」とある。私はけっこうだと思う。だが、この中小企業者以外の者からくるいろいろの影響を排除していく問題につきまして、最もむずかしいのは、十九条において「不当な侵害を防止し」と書いてある。まず法文に即して言うならば、不当とはいかなる基準によって判定していくのか。不法ではない、不当。当、不当の判定をいかなる基準によるか。この基準の定め方いかんによりましては、空文にひとしいものとなる。まず、十九条の不当なる侵害とは、いかなる基準によって判定し、だれが判定するか、それを伺いたい。

樋詰誠明中小企業庁長官

○樋詰政府委員 この不当と申しますのは、全国民経済的な、あるいは国家、社会全体的な立場から見て不当であるということでございまして、これにつきましては、主務官庁が認定する。これは国民経済的な立場で、たとえば消費者の保護というようなことと小売商の権利との調整といったような問題が起こりました場合には、非常に複雑な問題がございますので、これは全国民経済的な、どうやったほうが国民経済にプラスになるかということでやりたい、こう思っておりますが、それを言いかえますと、たとえ適法、適正な行為でありましても、中小企業の立場から見てこれはとてもたいへんだ、しばらく待ってもらいたい、あるいはちょっと程度をゆるめてもらいたいといったような問題も、当然起こるのではないかと思いますが、そういう場合には、適法、適正であっても、緊急避難的に遠慮してもらうことが当然あり得るという認識のもとに、国全体の立場で考えてみたいと思います。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 全国民的な立場で判断するということ、これはわかったようなことで実はわからぬ。たとえばここに一つの業種について、全国を通じて三百人なら三百人の同業者がある。同業者がいろいろな意味において大企業から圧迫を受けておるというような場合に、これをどう考えるか。その国民経済的な立場になりますと、中小企業対策的な立場とは異なった要素がたくさん入ってくる。いろいろ異なった要素の入ったものさしでこれを判断するということは、判断をしないということにひとしいと私は思うのであります。たとえば中小企業者以外の者の活動というのに、卑近な例が、大企業等の活動がある。同時に、協同組合制度、消費生活協同組合、農業協同組合等、国の法律によって組織づけられた団体の行動も、中小企業者以外のものの例である。大企業の性質は、先ほど通産大臣からお話がありましたように、戦後日本経済の各部面、特に流通部門までも大企業が進出をしてきておる。そして中小企業の領域は、このために脅かされておる面なきにしもあらずであります。この場合、中小企業への不当な侵害、大企業の進出が不当な侵害と判断し得るかどうか、こういう問題は、国民経済的見地から判断が可能かどうか。さらにもう一つ。いわゆる法律に基づく法人による経済活動の場合、たとえば消費生活協同組同の小売り販売の場合、従来幾たびか問題を起こして今日に来たっておりますが、この問題に対する考え方というものは、主として問題になる員外利用の問題は、経済的問題ではあるが、法律に基づいて当然に法規的に処置され、かつ行政的に処置されなければならぬ問題であります。たとえば生協が、非常な経営の合理化によって、組合員に非常に安い値段で物を売る。一般の、いかなる原価計算をいたしましても、小売り値段百円をつけるものを、非常な努力によって七十円で売っておる、こういう場合に、七十円で売るということを中小企業への不当な侵害と見るかどうか、この点をお伺いいたしたいと思います。

樋詰誠明中小企業庁長官

○樋詰政府委員 いまの問題が、実際の行政になって一番むずかしい問題ではなかろうか、こう思っております。私が先ほど適法、適正な行為についてもというふうに申し上げたわけでございますが、普通の場合でございますならば、たとえば農協法等にも、これはその目的の中に国民経済の健全な発達ということが書いてあるわけでございます。もしこういうふうにいたしますと、農協の組合員だけの発達ではなしに、ひいては国民経済の健全な発達に資するということになっておるわけでございますので、組合員以外の者に、員外に利用させるといったようなもの、これはむしろ木末の法の趣旨から逸脱をしておるので、やめてもらうということがしかるべきである、こう思いますが、同時に、員外利用というものも、一体二〇%というのは何の二〇%か、いろいろなむずかしい問題があるわけでございますが、一応農協の側から見れば、適法なんだ。しかし、そのためにその付近の中小企業者がばたばたと店をしまわなければいけないくらいにひどい打撃を受けるといった場合には、やはりこれは何らかの措置を考えてしかるべきじゃないか。もちろん、これは通産大臣だけでできるわけではございません。これは関係の農林大臣その他とよく協議した上で、自粛その他をお願いするわけでございますが、全体の中で、これは適法だからということでやりますと、たとえば大企業と中小企業が争うにいたしましても、商売はだれがやってもいい、これは憲法にも認められているという問題がありまして、大企業が非常に進出してきたからというのでいきなり押えていいかどうかという問題もございますが、これにつきましては、すでに小売商業特別措置法でございますとか、あるいは業界全体の問題であれば、団体法による事業活動の規制命令といったような特別の配慮も加えられておりますので、われわれといたしましては、さしあたりは現在までありますところの法律を活用する。同時にケース・バイ・ケースで、いまのような問題につきましては、いかなる場合が不当に該当するかどうかということは、主務省の間で打ち合せていきたいと思います。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 私は、これは非常に重要な問題だと思う。私の言いたいのは、ここに十九条によって解決しない分野があるということを言いたいのであります。公正なる自由競争の場というものだけでは、中小企業の立場からいうと、解決し得ない分野を残しておるではないか、こういうことを言いたいのであります。  そこで問題になるのは、いわゆる事業分野の確定の問題に入ってくるわけであります。私は、その意味から、事業分野の確定の問題につきましては、憲法との関係において重大なる問題が控えておると思うのであります。私は、まず第一に法制局にお伺いいたしたいのでありますが、憲法二十二条には「何人も、公共の福祉に反しない限り、」云々とあって、職業選択の自由を保障いたしております。この「公共の福祉に反しない限り」とは、どう読んでいくのかということであります。

吉國一郎内閣法制局参事官(第三部長)

○吉国政府委員 憲法の第二十二条におきまして、居住、移転、職業選択、国籍離脱の自由を規定しておりまする場合に、この規定に限りまして「公共の福祉に反しない限り」という字句を加えております点につきましては、憲法学者の間でいろいろ学説がございます。ある説は、一般に憲法の保障しております基本的人権を公共の福祉を理由といたしまして制限することは許されないという前提をとりまして、本条の場合、つまり居住、移転、職業選択の自由等についてのみは、公共の福祉を理由として制限することができるという趣旨だというのが、一説であります。第二説は、基本的人権はすべて公共の福祉のワクの範囲内において認められているものであるから、第二十二条についてだけ特に公共の福祉を持ち出すことは無用だ、「公共の福祉に反しない限り」と規定いたしましたのは、いわば念のための規定であるというような考え方。第三説は、基本的人権には公共の福祉の制限というものが内在しているということは、第一説とほぼ近いのでありますが、この第二十二条の定める自由権――居住、移転、職業選択及び国籍離脱の自由に関しましては、その性質は、他の基本的人権の場合よりも公共の福祉に基づいて制限される場合が比較的多いから、第二十二条では特に「公共の福祉」云々ということで規定してあるというような、この三つの説がございます。現在学者の説もなお分かれておりますが、大体ただいままで通説に近い説が、最後に申し上げました第三説でございます。

小笠公韶自由民主党

○小笠委員 この問題は、非常にむずかしい問題であります。実は社会党案の骨子になっておるところに触れている問題であります。  まだ質問いたしたいのでありますが、時間がありませんので、私は、質問は留保しておきます。

逢澤寛自由民主党

○逢澤委員長 次会は、来たる六月四日火曜日、午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十九分散会

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