商工委員会 第30号
- 発言数
- 74 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/05/28
会議録
○逢澤委員長 これより会議を開きます。 この際、理事辞任許可の件についておはかりいたします。 理事の田中榮一君より理事辞任の御申し出がございます。これを許可いたしますのに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、許可することに決しました。 引き続き、ただいまの理事辞任に伴う補欠選任を行ないたいと存じまするが、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○逢澤委員長 御異議なしと認め、岡本茂君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○逢澤委員長 次に、委員派遣承認申請の件についておはかりいたします。 現在、当委員会に付託になっております内閣提出、中小企業基本法案、永井勝次郎外三十名提出の中小企業基本法案及び中小企業組織法案、並びに向井長年君提出の中小企業基本法案、以上四法案の審査のため、委員派遣の承認申請をいたしたいと存じまするが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○逢澤委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 次に、委員派遣についての手続等は、すべて委員長に御一任願いたいと存じまするが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○逢澤委員長 次に、二十七日に付託になりました金属鉱業等安定臨時措置法案を議題といたします。
○逢澤委員長 まず、通商産業大臣より趣旨の説明を聴取することにいたします。福田通商産業大臣。
○福田国務大臣 金属鉱業等安定臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 わが国の金属鉱業等は、御承知のとおり、貿易自由化の時期を迎えて、かってない困難な事態に直面しておりますが、政府といたしましては、これに対処するため、さきの第四十国会における金属鉱業危機打開に関する決議を尊重し、抜本的な鉱業政策を確立して金属鉱業等の長期的な安定をはかるべく、鉱業審議会の審議その他を通じて具体的施策の検討を進めてまいりました。 金属鉱業等の安定をはかるためには、鉱産物の生産費の引き下げを促進して、その国際競争力を強化することがぜひとも必要でありますので、政府は、すでに今通常国会において成立を見た金属鉱物探鉱融資事業団法に基づく事業団の探鉱融資その他の措置を講じて、金属鉱業等の抜本的な体質改善策を実施いたしております。 しかしながら、金属鉱業等の早期安定のためには、今後、この体質改善策を一そう積極的かつ計画的に推進する必要がありますが、また同時に、鉱産物は、国際的に需給、価格の変動が激しい商品でありますので、体質改善過程中の過渡的措置として、関連業界の協調による引き取り体制を中心とした生産及び価格の安定対策を講ずることがぜひとも必要であり、そのための臨時措置としてこの法律案を提案した次第であります。 この法律案のおもな内容を申し述べますと、その第一は、金属鉱業等の国際競争力を強化してこれを安定させるための計画の策定であります。計画は、基本計画及び毎年の実施計画より成り、通商産業大臣が、鉱業審議会の意見を聞いて、鉱産物の安定的かつ低廉な供給を確保するため、その合理化の目標、生産の目標等について定めることといたしております。 第二は、鉱産物の引き取りに関する取りきめであります。鉱産物の生産者及び需要者は、一定の要件のもとに鉱産物の価格、数量その他の取引に関する事項について取りきめを締結することができることとしておりまして、この場合には、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律は適用しないことといたしております。 第三は、政府の援助及び勧告であります。政府は、基本計画の達成をはかるため、金属鉱業等を営む者に対し所要の援助につとめるとともに、特に必要がある場合には、原料鉱石の輸入条件の改善、引き取り取りきめの締結または生産数量の制限について勧告を行なうことができることといたしております。 以上が、との法律案の提案理由及びその要旨であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○逢澤委員長 なお、本案についての質疑は、後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○逢澤委員長 次に、内閣提出の輸出硫安売掛金経理臨時措置法案を議題とし、質疑に入ります。久保田豊君。
○久保田(豊)委員 ひとつ大臣に大事な点をお伺いいたしたいと思うのですが、この法案は、ちょっと見るときわめて事務的な法案のようでありますけれども、実はその内包しておりまする意義は、日本の化学工業全体にとりましてももちろんそうでありますが、また、農業の立場からも非常に重要な問題であり、また同時に、日本の輸出ないしは貿易という観点から見ても、非常に重要な内容を持っておると思いますので、そういう基本の問題について、お伺いをいたしたいと思うわけです。 そこで、最初にごく事務的なことからお伺いいたしますが、この法案は、要するに、いままで出ました輸出赤字二百十五億の中で、いわゆる取り立て不能のものを、商法上の特例をこの法律によって設けて、繰り越し償還をさせようということが、第一の趣旨のようであります。そこでまず第一にお伺いをいたしたいのは、昨年商法が改正をされて、特に繰り越し償還ということを大体原則としては認めなくしたわけですね。特に繰り越し償還を認める場合には、特定の場合、つまり何というか、研究開発等の場合の特例に限る、あるいは他の法律に基づいて規定をされた場合に限るというようになっているようであります。そういうのに対して、今回、非常に大きなウエートを占める化学工業のうちでも特に大きなアンモニア系の化学工業の中心ともいうべき硫安の赤字処理について、特にこういう特例を認めたのはどういう理由かということであります。まあその理由は一応この中に書いてありますけれども、これは全く会社の経理上の理由であります。それよりも、こういう措置をすることによって、将来他の輸出産業等に同じような事態が出てきた場合に、こういうようなケースをとるようなつもりがあるのかどうか。これはまだそういう具体的なケースが出てまいりませんからわかりませんけれども、そういう点はどういうふうに政府は考えておるのか。また、そうした場合において、待に今度商法の改正によって繰り越し償却というものを認めなくしたというにもかかわらず、こういう特例を認めていくということによって、将来こういういろいろな会社の経理ないしは経営というものに悪例を残しはせぬかというようなことが、形式的には心配されるわけです。そこでお伺いしたいのは、第一に、なぜこの硫安に限ってこういう措置をとったのかということ、それから将来似たようなケースが起きた場合にはどうするつもりかという点、さらに、こういうことが一般化する、あるいはそういうふうに拡大した場合にどういう影響があるかというような点について、ひとつ政府の考えをはっきり大臣からお聞きしたいと思います。
○福田国務大臣 久保田委員も御存じのように、肥料につきましては、肥料二法というものがございまして、低廉な肥料を十分に農民に供給するという目的で二つの法律ができたわけであります。ところが、その場合において、輸出した場合にどうするかということについては、輸出会社をつくりまして、その輸出会社で公定価格で買い取ってこれを輸出して、そうして最初のうちは日本の硫安の値段は高いから損をするだろうけれども、あとではだんだん合理化が進めば、今度は逆に黒字が出てくるようになる。その黒字で赤字を埋めればいいだろうというような考え方で肥料二法というものが制定されたことは、あなたの御承知のとおりでございます。ところが、その後実施をいたしてみますと、海外に硫安の輸出をするといいますか、売る場合の値段というものが、非常にダンピング的な値段になりまして、毎年々々赤字が累積いたしまして、二百十五億ということになったわけであります。そこで、そういうことになりましたので、今度、お説のように、商法ではこういう種類のこと、いわゆる繰り越し償却ということはさせないのだという原則ができておるのでありますが、肥料については、これを持ち返って、そうして肥料会社が一ぺんに償却をいたしますと、その会社によっては、会社がつぶれてしまったり、あるいはまた非常な悪影響を与えるおそれもあり、実際問題として処理が不可能になる場合も起きて参りますので、これは十年間に償却をさせるという形で処理をしていったほうがいい、こういうことから、この法律を出さしていただいておるわけであります。したがって、肥料二法というものがあって、いわゆる硫安輸出会社というものがあった場合に、こういう特例が認められる。このような事態というものは、今後われわれとしては起こり得ないことであると思いますし、また、そういうことを二度と繰り返さないようにやってまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○久保田(豊)委員 その点の法律的ないろいろの問題等がありますけれども、時間がありませんから次へ移りますが、そこで問題は、今度はいまのような法律上の措置を講ずると同時に、それと並行して、従来のいわゆる硫安合理化資金のうち、つまり合理化資金として設備投資をした借金のうち、百三億ですか、百二億ですか、これを借りかえをする。しかも六分五厘の開銀特別融資でもって借りかえをする。さらにもう一つは、合理化資金に昨年八十億つけたわけですが、さらにそれに百六億ですか、これをくっつける、こういう財政措置ですね。要するに二百十五億の輸出赤字というものを各肥料会社に持ち返らして、そしてこの財政措置によって、ひとつ十年間に穴を埋めていこう、こういう構想だと思うのであります。そこで、非常に私ども疑問に思うのは、こういう措置によって、はたして二百十五億が埋まるかどうかということであります。私ども、個人的な感触といいますか、それでは、はたして埋まるという的確な見通しはないように思うのであります。この点はどうなんですか、ひとつ大臣から、まず第一に大ざっぱな見通しについて、それらの根拠等があれば特にお伺いをいたしておきたいと思います。あとで詳しくお聞きしますけれども、私どもいろいろ検討してみますと、どうもこれだけの措置ではとても埋まらないのではないかということが考えられるわけですが、はたしてこれで二百十五億のいわゆる硫安赤字なるものが、十年間にうまく解消するのかどうかという点についての見通しはどうか。もし解消しないものとすれば、こんな措置自体間違いだということになります。この点はどうですか。
○福田国務大臣 お説の通り二百十五億の赤字がございまして、実質の実損というものは百二十五億という数字に相なっております。それで、これを前につけました合理化資金のメリット、あるいはまた税制に対する対策等と、今度のいわゆる百三億の借りかえ等によりまして、大体これは埋め得るという、われわれとしては数字を得ておるわけでございます。詳しいことは局長から説明をさせたいと思いますが、そういう考え方でおります。それから、そういうふうにいたしまして、それでは今後の問題はどうか。今後、合理化資金百何億つけましたが、それでやっていって肥料の値段はどうなっていくかということになりますと、それの効果としては、少なくともいまある肥料の値段よりは、いわゆる硫安の値段は上がらない。むしろ下がる。合理化によって下げ得るんだという見通しは立てておるわけであります。ただ、海外へ輸出します問題等をいろいろ考えてみますと、必ずしも十分にペイするかどうかということは問題がありますけれども、ただいまのところは、御承知のように、肥料二法が現存いたしておりますので、このまま値段が上がるということは絶対にあり得ない、われわれとしてはこう考えておるわけでございます。将来においても、合理化をしていくことによって、硫安の輸出価格にもよりますけれども、これ以上に輸出価格が非常に下がるということは考えられないという感じでおりますので、大体何とかその会社ごとに、赤字があっても、うまく処理していけるのではないか。ということは、いま硫安をつくっておるのは、専業といいますか、硫安だけをつくっておるところは、どこもございません。一番多いところでも二、三〇%、だんだんその比率が下がっていくわけです。だから、売り掛け代金のうちで、二〇%なら二〇%については幾ぶんの赤字があっても、残りの八〇%の品物では黒字があるというような形において実損を吸収してもらえるのではないか、こういうような考え方を持っておるわけであります。
○久保田(豊)委員 どうも大臣は非常に楽観しておるようですが、私どもは、そう楽観はできないのじゃないか、こう思うのです。 そこで少し事務的なこと、これは事務当局のほうでけっこうですが、私どもの聞いた範囲では、まず二百十五億のいわゆる売り掛け金、そのうちのほんとうの実損分、つまり回収不能分というものは幾らになるのかということが問題になる。つまり今度は輸出会社から各会社へ戻すものは、二百十五億をそのまま戻して、これをいわゆる回収不能見込み額として計上するのかどうかというと、そうではないのではないか。御承知のとおり、肥料価格はバルク・ラインでいままでやっておりますから、バルク・ライン内の輸出価格で採算のとれるものと、さらにバルク・ライン外のものがあるわけで、そういったものを総平均して、バルク・ライン内のものを公定価格として輸出会社へ売り渡しをしておる。したがって、表面の赤字は二百十五億であるけれども、しかし、実際にはそうないのじゃないか。ある雑誌等に書いてあるところを見ますと、二百十五億の中で、ほんとうの実損額というのは百二十五億だ、あとの百億というものは、実際は実損じゃないんだという推定をしておるようです。これはおそらく官庁あたりから出たのではないかと思うのです。その中で、いわゆる租税特別措置等によって埋まるものは、五十三億ばかりです。だから、ほんとうに会社がいわゆる回収不能として見込まなければならぬものは七十三億、これだけが実際のいわゆる回収不能の実損分になるんだ、こういう推定といいますか、試算をしておるところがあるようですが、これらの点については、実際はどうなのか。特に私がお聞きしたいのは、かりにいま言ったような雑誌の推定等が正しいとして、実際の二百十五億を各もとへ振り戻すわけですね。振り戻した場合のいわゆる回収不能分として各社が決算へ計上するものは、何を計上するのかということです。この計上分は、各社によって、バルク・ライン以下の合理化をやってもうかっておるものと、そうでないバルク・ライン外のものと、非常に変わってくるのじゃないか。そういう点は、どういうふうに措置するのか、これをまず第一にお伺いしたい。
○倉八政府委員 いま先生の言われましたとおりでございまして、二百十五億というのが、マル公といわゆる輸出価格の差で、輸出売り掛け金でございますが、実質の赤字は、大臣から御答弁申し上げましたように、百二十五億であります。そこで、回収不能分は、会社においてどういうような経理をするかということでございますが、会社経理上は、輸出売り掛け金はあくまで未回収売り掛け金でございまして、今度の措置によって取り立て不能債権ということがはっきりいたしまして、各会社はそれを自分の利益金の中から十年間にわたって償却していく、こういう仕組みになるわけです。 それから第二の御質問の実質赤字をどうやって政府は埋めたのかという御質問でございますが、その中でいま御指摘の租税特別措置法、あるいは開銀の融資メリットとか、あるいは尿素の設備の特別償却で、すでに相当の部門は埋めております。七十三億が埋められなかったということになりました。それで、この分につきましては、昨年の十二月の終わりの閣議決定によりまして、先生御指摘の百三億という従来の借金の肩がわりを開銀融資でやりまして、五年据え置き十三年払いの低利融資をやりまして、これで七十三億を埋めまして、以上の措置によりまして、百二十五億の実質赤字が生まれた、こういうことに計算をしております。
○久保田(豊)委員 もう一点事務当局に聞きますと、そうすると、七十三億が実質上の回収不能額だ。これが各会社の回収不能額として計上されるわけですか。
○倉八政府委員 実質赤字の百二十五億をどう埋めるかという問題と、経理上の回収不能の債権をどう処理するかというのは、ちょっと違う問題でございまして、回収不能の二百十五億というのは、あくまで売り掛け金として残っておりまして、それを会社が持って返りまして、それを十年なら十年で償却するということでございます。それから百二十五億の実質の赤字の穴埋めは、いま申し上げましたように、租税特別措置とか、今度行ないました開銀融資の百三億ということで埋めるということでございまして、そこに二百十五億から百二十五億引いた残りが実質赤字というわけではございません。
○久保田(豊)委員 そうしますと、実質上埋めるのは、百二十五億をかりに埋めるということになりますね。そうすると、あとの百億というのは、やはりずっと会社の経理面に残っていくわけですか。会社の十年後の経理面においてはどうなんですか。
○倉八政府委員 二百十五億というのが会社の経理面にずっと残る数字でございまして、それをたとえば十年間で償却したとしますと、まあ二年度は、それが二十億引いた百九十五億ということになる。三年目にはどうなるという、こういうことでございまして、会社の帳簿上繰り延べ資産として残るのは、二百十五億ということです。
○久保田(豊)委員 そうすると、どうもそこがわからないのですが、二百十五億は、繰り延べ債権として会社の帳簿にずっと残っておるわけですね。年々均等分割をやっているから、二十億ずつはやっていくわけです。それはそうなんです。ところが、実質にこの借りかえあるいは租税特別措置等によって埋めていくものは、二十何億はないわけですね、大体において。その半分くらいしかないわけです。かりにどの程度あるかわからぬが、それには足りないわけです。それだけが実際に、実質上の赤字はそれで消えていくわけです。それで帳簿は、二百十五億のそれの不足分というものが残っていく勘定になるのではありませんか。それで消えるのかどうか。
○倉八政府委員 非常に専門的なことだろうと思いますが、二百十五億というのを資産の部に掲げましたのは、会社が繰り延べ資産としてそこに載せただけでございまして、その二百十五億というのは、毎年々々落としていきますから、減っていくわけです。ところが実質上の赤字を政府のいろいろの措置によって埋める、そのメリットというのは、会社の収益、平たく言えば収益のほうに出てくるだろうと思います。たとえば、ある会社がいままで市中銀行から借りて、五億の金利を払っておった。ところが、この一連の政府の措置によって、それが四億の金利で済んだということになりますと、会社は一億円の負担が軽くなった。したがって、それは収益の面に形を変えて出てくるんじゃないかということで、消え方は、そういうふうなやり方によって実質上の損は消えていく。ただ、帳簿上から見ると、二百十五億というのが、毎年々々二十億か二十何億ぐらいずつ減っていくということでございまして、帳簿上と実質上の問題は、実際会社の経営としましては、帳簿上では二百十五億が毎年減っていくし、そうしてメリットとしては会社の収益としてそれがあがってくる、こういうことでございます。
○久保田(豊)委員 それは大体われわれも想像できるのだが、そうすると、帳簿上落とす金額と、実際の収益でもって、メリットでもって埋めていく金額とは、当然違うわけですね。それをどうして合わせるのですか。そうすると、要するに大体十年間に均等償却する額というのは、一応の標準の額になるから、二十一億五千万円、これだけずつ年々均等で消していくということになりますね。その二十一億五千万円というのは、実質上のメリットとからの価格を加えたものを各社が落としていく、こういうわけですか。どうなんですか。
○倉八政府委員 帳簿上はそのとおりでございまして、さっきも申し上げましたように、二百十五億というのは、マル公と輸出価格の差でございまして、会社によっては、非常に合理化の進んだ会社は、損が少ないかもわかりません。ところが、帳簿上はあくまでマル公と実際の輸出価格の差であって、これだけが硫安輸出会社に売り掛け金としてかかっている額でございまして、その落とし方は、先ほど申しましたように、収益の中で実際上の損は埋めていくし、それから帳簿上の差は、毎年々々決算期に従って均等の償却をやるということでございます。
○久保田(豊)委員 それでは、いまのことはよくまだわからないところがありますが、結局は、帳簿上は十分の一ずつ均等償却をやっていく。これはメリットがあるなしにかかわらず、事実上落としていく、こういうことですわ。そうすると、あとは、メリットは別にこれは見なければわからないということですね。
○倉八政府委員 そのとおりでございます。
○久保田(豊)委員 そうしますと、そこで問題は、実質上のメリットなり何なりは、百二十五億なら百二十五億、これだけ落とせばいいとして、この百三億の借りかえと租税特別措置等によるあれによって、実際にこの百二十五億に相当する、要するに利益というものが、ほんとうの実質赤字というものが落ちていくという勘定になるわけですか。それはどういうことになるかといえば、これは結局そうなれば、大体において百二十五億を実際返還しなければならぬといえば、一年について、全体として十九社で十二億五千万円ずつ実質上の利益が出てこなければならない、こういうことになるわけですね。ところが、そこでお伺いしたいのは、それはどういう計算で出てくるのかということなんですね。百三億の借りかえで、大体普通一割ないしは九分ちょっとくらいの金利でしょう。それを大体六分五厘に切りかえたことによって、どれだけの金利負担減が実際に出てくるのかということが一つ。それから租税特別措置によって、どれだけの実際の年々のいわゆるあれが落ちていくのか、これが一つ。もう一点お伺いしたいのは、いままでやってまいりましたいわゆるアンモニア系の硫安工業の全体のいわゆる投資の残額ですね。今日の借りたものの残額です。設備投資をずっとやってきておりますね。ですから、いままでの資料によると、投資の総額というのは、大体において千四百億以上になるようです。ここに調べたものがありますが、それによると、二十八年度から三十六年度までの設備投資の総計が、千二百八十三億ばかりです。それから三十七年が約百八十億くらいの見当のようです。これを入れると、大体において千四百何十億ということになる。このうちで、いわゆる自己資金でまかなったものがどのくらいあるのか、それからいわゆる他人資本でまかなった借り入れ金、特に金融機関等による、一般銀行等による借り入れ金はどのくらいあるか、その利子の負担総額はどのくらいになるのか、その残額がいまどのくらいあって、そのうちの特に他人資本の残額はどのくらいあって、そのうちから、いま言ったような借りかえによって全部は消えないと思うのです、消えないと思うが、そういう場合のあれはどうなるのかということが、問題になると思いますが、ここらの点については、どういうふうな計算になるのか、説明してもらいたいと思います。
○倉八政府委員 第一の御質問の百三億のメリットがどうなるかという問題でありますけれども、これは約七十二億円になります。
○久保田(豊)委員 十年間ですか。
○倉八政府委員 これは五年据え置きの八年払いで、十三年という非常な特例を開きまして、したがって、これを複利計算しますと、七十三億円になります。それから一昨年とりました租税措置のメリットが、大体五十二億になります。したがいまして百二十五億ということで、実質赤字は毎年々々埋まっていくんだという計算にしております。 それから第二の御質問の、昭和二十八年以来千四百億程度の投資を硫安工業の合理化のためにやったんだが、その自己資本と他人資本、借り入れ資本の内訳を説明しろということでございますが、ちょっと私、これを手元に持ち合わせませんですから、この次にそれはお答えさしていただきたいと思います。それで、これは三月の終わりの数字でございますが、大体硫安十六社の現在の市中銀行の残が、二百八、九十億円でございます。
○久保田(豊)委員 そうすると、この二百九十億のうちの百三億を借りかえをする、こういう意味ですか。
○倉八政府委員 そのとおりでございます。
○久保田(豊)委員 そこで、要するに計算上そういうメリットが出てくるわけですね。しかし、それが利益に計上されるかどうかということは、これは別の問題ですね。そうすると、このいわゆる十二億何がしという、年々返していかなければならぬもの、これは利益から返していかなければならぬ。メリットはあっても、必ずしもそれは会社の利益ではない。特に、これからいろいろな問題、環境を考えていくと、それだけのメリットがあったら、それが必ずしもメリットとして会社に計上されるかというと、ほとんどその望みは当分の間ないと思うのです。その場合には、どういうことになるのですか。利益のないものを——計算上は確かに負担は少なくなった。負担は少なくなって、理屈の上では、なるほどそれだけ負担が少なくなったから、それだけの利益が出てしかるべきであります。しかしながら、いまのいろいろな各会社の実情は、とにかく黒字の会社が二つしかない、こう言っておるのですから……。生産費とコストの合う会社は二つしかない、こういうのが、政府のほうでいまもらった資料には書いてある。そうすると、あと全部は赤字だ、こう書いてある。そうなってくると、これがかりに七十何億のメリットがあり——百二十何億のメリットが租税特別措置等であっても、それは消極的な利益であって、積極的な赤字を埋める利益にはならぬはずであります。そういう場合が起こり得る。その場合にはどうするかということをひとつお聞きします。
○倉八政府委員 さっき大臣も御説明申し上げましたように、硫安の比率というものは、各会社において非常に下がっております。したがって、硫安だけを取り上げますと、どこもマイナスということは事実であります。ところが、いま硫安を生産しておる十六社というものは、例外なく総合化学工業会社といってもいいだろうと思いますが、その中で、十社というのは、この措置によりましても十分に償却できる会社でございます。ところが、残りの会社につきましては、われわれは専業メーカーと申しておりますが、このものにつきましては、肥料の比率が非常に多うございまして、なかなか苦しいのでございますが、それはさっきもちょっと触れましたように、今後前向きの資金によるアンモニアの総合的合理化と操業度の向上ということで、これを徐々に改善していきたい。そうしましてその穴というのを埋めていきたい、こういうふうに考えております。
○久保田(豊)委員 どうもいまの説明だけではまだ不十分ですが、その点については、これからあと具体的な問題をお尋ねしますから、そのときに譲っていきたいと思います。 そこで次にお伺いしたいのは、特にこれは大臣にお聞きしたいのは、この措置を今回おとりになった。これも閣議決定の線によってきめられたわけです。ところが、これでは、硫安工業なり肥料政策としては、ごくほんの一部をやったばかりで、特に肥料二法が三十九年の七月までこれは存続するという前提に立って、一時、そのうちの一部の措置としてこれをとられたということでしょう。ところが、これだけの措置では、いま申しましたように、赤字の解消自体も、十社についてはどうやらうまくいくかもしれぬという意味のあれです。ところが、あとの六社については、これはまだ合理化のメリットがどれだけ出てくるか、それによって大体やるのだということで、非常に不安な要素が多分にあるわけであります。そこで、今回政府がこういう措置をとるならば、その前に私がお聞きしたいのは、こういう輸出赤字が累積した根本の原因はどこにあるのだという点を、政府としては、肥料二法の措置と連関をして、当然深刻に考えてみないと私はいかぬと思うのですが、なぜこういう二百十五億の赤字が累積したのかという点について、政府としてはどういう反省というか、検討を加えてきたのか。この点をひとつ大臣からお聞きをしたいと思います。
○福田国務大臣 先ほどもちょっとお答えをいたしたのでありますが、この二法をつくったときの日本の硫安の製造原価は、大体トン当たり六十三ドル前後でございます。この法律をつくったときには五十二ドルまでいけば大体当時の海外の一番安いところで五十二ドルであったと思います。それまでやればだいじょうぶだろう。そこまで合理化ができればいいだろうということで、最初はスタートしたわけです。現在それくらいまでようやくなったところであります。ところが、西ドイツとかあるいはイタリアその他の国々が、海外へ輸出します値段というものは、これは予想外に下がってきておるのでございまして、四十五ドルになり、四十ドルを割り、三十八ドル、三十六ドル、中には二十ハドル台なんかもあるということすら聞いておるようなわけでありまして、そういうふうないわゆる見込み違い——そんなに安売りをするはずはないと思ったのが、そういうふうに安売りをする。といって、日本の国内につくった硫安を持っているわけにいきませんから、こっちも安売りをするということになりますから、輸出会社にはどんどん赤字が累積した、こういうわけでございまして、政府の立案当時の見込みが違っておったじゃないかということでございますれば、確かに仰せのとおりではございますけれども、われわれとしては、それほど値段が下がるということは、実は当時だれも想像しなかったところでございます。
○久保田(豊)委員 まあ見込みが狂った。それはだれも先のことはよくわからぬから、狂ったのはしようがないじゃないかといえば、私はそれまでだと思うのですけれども、私は、第一次の合理化計画なり第二次の合理化計画なりの経過というものを少し検討してみますと、そんなことでは済まされないんじゃないかと思う。この経過というもの、内容というものを十分政府が反省をしないと、また今度始めようとする第三次の、いわゆる体質改善計画といいますか、合理化計画、これもまた狂ってくるというふうな、前車の轍を踏まざるを得ないというふうに私は考えるわけです。この点の反省がほとんど行なわれておらないんじゃないのかというふうに、私は思うわけです。 そこで私は、まず第一に、第一次の合理化計画について、計画と実績というものを調べてみると、非常な食い違いが出ております。それは何かというと、第一次の合理化計画は、御承知のとおり、ガス源への転換ということが一つの大きな目標であります。それから肥料形態の転換といいますか、これはいままで硫安から尿素ないしは高度化成へということが、第二の大きな一つの目標であります。第三は、いま言った六十三ドルばかりしておった生産コストを、五十二ドル見当まで引き下げていこう、これが第三の目標であります。この三つの目標に向かって、政府と業界は一緒になってやった。それによって、それだけやれば硫安の赤字も解消してくるだろう、うまくいけば黒字が出るだろう、こういう形でつまりあの肥料二法の構想もできておるし、これを裏づけてきたわけですね。しかし、実績はどうかといいますと、なるほどガス源への転換ということは、これはほぼ計画どおりいったというか、むしろよけい行き過ぎているように思うのであります。ただし、流体と固体という関係からいえば、まだまだ今日から見れば、非常におくれておりますけれども、ある程度期待どおりいった。それからさらに肥料形態の転換、つまり合成硫安から尿素へという点からも、これも相当に、計画以上にいった、むしろ計画以上に行き過ぎている。しかし、その反面でどういう結果が出ておるかというと、コストのほうはどうかというと、大体において当時政府で出したものには、たしか六十二ドル三十七セントですか、これの総平均価格を、たしか五十三ドル幾らにしようというのじゃなかったですかな。そのくらいであって、大体五千五百九十八円くらいに下げていくんだ。これは実行ができずに、実際には三十三年度の総平均の価格は、五十七ドル十一セント、こういうことで、実効はたいして上がらなかったということです。その反面、もう一つ大きな点が出ておるのは、いわゆる設備投資が非常に大きくいった。最初は三百七十九億というくらいの大体の計画だった。これは改定でですね。これは二十九年から三十二年までの計画。ところが実質はどうかというと、二十九年から三十三年までに七百七十三億の実際の投資が行なわれた。そのうちでもって自己資本が二百六十八億で、他人資本が五百五億だった、こういう実績になっておるわけですね。だから、設備投資は非常に行き過ぎた。その結果として何が出てきたかといえば、いわゆる生産力が非常に大きくなったということです。生産力の点については、大体計画がアンモニア系全体で三百七十八万トン、それが実際には、能力の点からいうと四百九十八万トン、こういうふうに能力が非常にふえてしまう。その結果、装置工業ですから、休ませるわけにいかないというので、生産の計画もどうかというと、三百三十四万トンの計画に対して、四百五十万トンをつくっている。ところが、内需の方も、相当伸びる予定のやつが、内需はそう伸びなくて、二百六十五万トンどまり。そこで、しかたがないから、輸出をふやさざるを得ない。計画では五十三万トン、計画の基準年次のものが百四十三万トンもふえて、非常に輸出をよけいやらざるを得なくなった。しかも、その輸出市場に対する見通しは、価格の点で非常に甘くて、御承知のとおり、五十七ドル見当から大体において五十二、三ドル見当まで落とせば十分に赤字は出ずにいこうというやつが、大体四十四ドル幾らということに当時もうすでに落ちている。しかたなしに量はふえるは、しかも価格は落ちるから、これは赤字はどんどんふえるという結果になったと思うのであります。これは私は、政府も業界も見通しが甘かったといえばそうですが、何でもとにかく生産設備を大きくしさえすればいいんだ、とにかく自分のシェア拡大だということと、どの会社も同じように扱ってきたというところに、私は一つの欠点があるのじゃないか、こう思うのですね。こういうふうな結果になってしまった。雑誌や何かに言わせますと、労働者の賃金がこの間に一万六千二百円から二万三千百九十円に上がったから、それがこういうふうな結果を起こしたのだと言っていますけれども、それは労働者に問題を転嫁させようとすることで、これはけしからぬことだと思うのです。実際には労働者一人当たりの生産量というものが、五トンから十五トン程度にまでこの時期に上がっておるわけです。生産力だけは三倍に上がって、賃金はわずか八割程度しか上がっておらぬ。それで、これがおもな原因でなったということは言えないと思う。これはやはり政府も押えきれずに、また、民間も設備投資、設備投資で、自分のシェアの拡大のために、しかも政府が同じようにどの会社もつぶさぬという前提のもとに設備投資をどんどんやらしたというところに、こういう問題が起きてきたように思うのですが、この点については、大臣はどう思われますか。
○福田国務大臣 設備投資を各社が競ってやった結果、こういうことになったのではないかということでございますが、私は、一面においてそれはあたっておると思います。しかし、個人の会社が生産量をこれ以上ふやしてはいけないとか、またこの限度でとめておけとかということは、これはそういう一定の法律がない限りは私はできない。それは、営業といいますかの自由の原則という面から見ましても、それはできない。おのおのの自由競争というものをたてまえにして経済を運営しておる今日の経済の姿におきましては、私は、これはやむを得なかったことだと思うのであります。と同時に、そういうふうに大量生産をしたことによって、だんだんに硫安の値段が下げられたことも事実でございます。六十三ドルのものをとにかく五十二ドルまで下げてきたわけですから、しかもこの六、七年の間にそういうふうに値段を下げてきたということは、やはりメリットがあったのだと思うのであります。ただ、残念なことに、海外の安売り、ダンピングが非常にきつかったために、それに追いついていけなかったというのが実情でございまして、ほかにそれではこういう商品があったかということを見てみますと、ほとんどそういうこの種の商品はございません。このような商品は、ほかにはないのであります。なぜそういうことになるかというと、海外では、たとえば西ドイツあたりは、農民に対しては高い肥料を買わせても、すぐこれを補助する補助金を出す、しかも、海外へはすばらしい安値でもって売り払う、こういうやり方をしておるというところに、どこの国でもみなそれぞれいわゆる肥料政策については苦しい政策をとっておると思うのでありますが、いずれにいたしましても、こういうことをあらかじめよく想定ができて、こういう結果が起きないようになれば一番よかったということについては、われわれも御趣旨には賛同できるのであります。しかし、やむを得ざる結果こういう姿になっている。これは、一種の統制とかあるいは国のあれでやっていけば、また問題の一つの解決の方法があったと思います。しかし、自由主義の経済の中において、しかも大量生産のメリットを認めつつ肥料の値段をできるだけ安価にしていこうという姿でやっていく場合には、いままでのところ、その意味ではまずまず間違いはなかった。ただ、いかにも海外がダンピングをし過ぎたということだと、私は思っているわけでございます。
○久保田(豊)委員 私は、いまの肥料工業というものを——肥料工業全体じゃありませんけれども、いわゆるアンモニア系のあれを、単なる自由競争だとは少なくとも受け取れない。二法のもとで、生産数量もちゃんと調整され、そうして価格についても、あれだけ強力な調整がされておるわけです。しかも、それは法律に基づくものなんです。したがって、設備についての調整が——それはなるほど法律では、設備調整を政府がする権限はあるとは言っておりません。しかしながら、私は、こういう点については、設備の調整ということも当然政府が行政指導で十分やり得る、そこいらについての見通しの甘さなり、あるいは業界に対する政府のかまえの弱さといいますか、そういう点が、こういういわゆる過剰生産というか、過剰施設的な傾向を生んできた根本原因だと思うのであります。もちろんこれは業界自体が強く反省しなければならぬ点でありますけれども、業界自体は、やはりあくまでもシェア拡大という点から、そのほうに突っ走るのは当然であります。それを政府が、あの二法に基づく権限を利用しながら、あれだけの強い根拠を持っているものが、生産の設備調整のある程度の行政指導ができないということはうそだ、私はこう思うのであります。この点で、政府は大きな手抜かりがあったというふうに私は思うわけです。それが輸出赤字を大きくした第一の原因であるというふうに、私は思います。 その次に、今度は第二次の計画、これは御承知のとおり、いま実行中ですから、まだはっきりしたことはわかりません。わかりませんけれども、私は、これもどうもあぶなっかしい点があるのではないかというふうに思うのであります。それは御承知のとおり、ガス源の転換ということを第一に徹底し、しかもそれは固体ではなくて流体原料への転換を徹底してやろうという点でありまして、これは計画によると、三十八年末で九三%までいくということでありますから、ほぼ完成をいたす、このことはいいことだと私は思うのであります。 それから肥料形態の転換という点です。この点も、相当徹底して行なわれるようになっておりますね。しかし、ここには相当問題があるんじゃないかというふうに思われるわけです。それは、何といいましても尿素と高度化成、これは最重点が置かれる。それから硫安については、いわゆる合成硫安は減産をして、副生と回収のほうに重点を置いていく、こういうことであります。この硫安についての考え方は私はいいと思いますけれどもこういうふうな計画を立てる場合に、はたしてこういう長期の需給見通しがはっきり立っているのかどうかという点であります。これは、私どもは何か意図的に変えておるように思うのです。というのは、これは御承知のとおり、三十四年の二月に計画の策定をして、それからさらに三十六年の九月に改定をされて、現行計画になったわけです。そこらを見ますと、輸出見込みを、特に赤字を小さくするために、小さくしておる点がありはしないか。特に硫安を小さくして、尿素や高度化成というようなものの生産なり——あるいは高度化成は輸出はあまりされてありませんけれども、尿素の輸出というようなものを非常によけいに見ておるような点があるのです。こういう点は、何か輸出赤字を小さくするための一つのあれであって、実績と相当食い違っておるのではないか。特に全体としてみると、またここでも設備投資の金額が、当初の計画では四百七十七億であったわけですね。これが三十六年の改定では七百八十九億にふえておる。したがいまして、能力についても、大体六百九十八万トンというふうなものが三十八年末の計画になって、第一次計画に比べると、さらにこれは約二百万トンの増ということになりますね。こういうことになっておる。コストの引き下げについても、いまの五十二ドルですか、五十四ドルですか、これを四十七ドルに引き下げよう、これも計画どおりに進んでいない。特に三十六年度についてみても、内需は、計画が三十六年度は三百三十八万トンに対して、実際は二百二十八万トンしかないわけです。三十七年度についても、内需が三百六十一万トンに対して三百一万トン、非常に大きな食い違いがあるわけです。三十八年度になって、これが三百八十四万トンの内需になっておる。いままでの経過から見て、こういう計画では需給見通しが間違っていはせぬか。その結果として出てくるのは何かというと、やはり設備過剰という問題が一般的に出てきて、したがって、三十七年度は、御承知のとおり、一割以上の操短をやらざるを得なかった。したがって、コストの引き下げということもできてきはせぬ。さらに海外市場の状況が悪くなるということから、これまた赤字を増大する根本の原因になっておる。ここでも態様は違っておりますけれども、第一次の間違いと同じ間違いを第二次の計画、特に改定計画においても同じようにしておるのではないかというふうな点が、われわれしろうとから結果を見ると思われる。その土台になっておるのは、需給計画がずさんというか、見通しが甘過ぎるという点、しかもその裏には、海外市場に対する見通しが非常に甘いということ、さらにそれに便乗して自分たちのシェアを拡大しようという業者の設備拡大の意向に無批判に追随しておる、こういう点が多いのではないか。その結果が、今度のような赤字を生んできた根本になりはせぬかというふうに思うのですが、この点についてはどうですか。
○倉八政府委員 いま先生から御指摘のありました、また大臣も申し上げましたように、確かに従来のやり方が、結果的に見れば設備過剰になったということは、われわれも認めざるを得ないと思います。それでいま御指摘のありましたようなこともわれわれ考慮しまして、これはお手元に差し上げたと思いますが、今後の見通しということを農林省とも一緒になってつくりまして、今後硫安とか尿素、いわゆるアンモニア系の窒素肥料のあり方はどうあるべきか、それの前提として需給はどういう形になるかということをいろいろ検討しますと、いま一番話題の硫安につきましては、もう合成硫安というのは、三十六肥料年度に比べて半分以下に減る。そして回収あるいは副産というのが、大体いまの倍以上に伸びるということで、これ以上のアンモニアの増設とかなんとかは、よほど合理化に役立たない限り、もうすまいというふうにしておるわけです。こういうことを前提にしますと同時に、いま持っております施設をどうフルに使うかという問題が、次に起こって参りますから、これにつきましては、アンモニアの多角利用というところで、あるいはナイロンの原料あるいはエクスランなんかのいわゆるアクリル繊維の原料とかに向けまして、アンモニアの設備をフルに動かして肥料を安くするということに、われわれはいま重点を置いておる次第でございます。
○久保田(豊)委員 いまのお答えも不十分ですけれども、大体これはいままでのやり方でもって設備過剰というか、そういう結果をもたらしたということが一つのあれだということは認められたようでありますから、そこで第三次の合理化計画に私は移りたいと思う。 この第三次の合理化計画でも、御承知のとおり、この合理化の方向というものは、これにもありますとおり、大体、尿素、高度化成ないし高度配合化成へどんどんアンモニア系の肥料としては転換をしていこう、そのほうをどんどんふやしていこう、こういうこと。それから硫安は、むしろ合成硫安は減産をさせて、そのうちの副生と回収硫安をどんどんふやしていこう、こういうことです。それからさらにもう一つは、アンモニアの工業的の利用をひとつ高度化していこう、そのねらいは二つですね。大体においてメタノールとかあるいは酸化エチレン、メタンあるいは一酸化炭素などの工業原料用のガスの生産をどんどんふやしていこう、これが一点。これを基礎にして、メラミンとか、尿素樹脂とか、ラクタムとか、アクリロニトリル、こういうものの生産も同じ会社にやらせよう、こういうことのようですね。これによっていわゆる多角経営化をしていこう、そしていわばこれによって危険分散をする措置も講じよう、しかもその重点はどこにあるかといえば、さっき大臣からもお話があったように、いままですでに何といいますか、ある程度兼業化しているところはまずまずとして、むしろ専業的に肥料をやっているところに重点を置いて、そうしてそれをいわゆる多角経営化していこう、大体こういうふうな計画のようです。私は、それがはたして全体としてうまくいくのかどうかという点を疑問に思うわけです。第一は、ここでもまた、いわゆる生産増ということが——アンモニア生産能力の増ということがはかられているわけですね。能力の点から見ると、政府の資料によると、六百十三万トンですね、アンモニアの生産能力が。それが七百九万トン、約九十万トンばかりのアンモニアの生産増ということ、能力増というということが、やはり一つの大きなあれになっている。しかも、それは従来の兼業部門の生産力を増してくるということになってくる。こういうふうなことになっておるようです。これでは、何というか、全体としてアンモニアの生産能力の過剰設備ということが、ますますひどくなりはせぬか。むしろいまの弱小の、そしてしかも専業の、あまり熱意のないものは、この際つぶしたほうがいいんじゃないか、私はこう思うのです。むしろそのほうが全体として健全化しはせぬかというふうに思いますが、この点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○倉八政府委員 あとの問題からお答えいたします。アンモニアを増設して、いまでも余りぎみのアンモニアの設備を、さらに五カ年のうちに九十万トンを増設するじゃないかという御質問でありますが、これは数字はそうなるのでありますが、アンモニアの施設を新たにつくるというふうなことではなくて、いろいろアンモニアの技術の進歩によりましての能力増というものが、そのうちの大部分でございます。したがいまして、四十二年の姿を見ますと、現在アンモニアの七〇%が肥料にいっておりますが、四十二年にはそれが六割の率に下がってくるという、そういうわれわれ計画を持っておりまして、したがいまして、アンモニアというのが、工業用と肥料用との比がだんだん変わってきまして、そこにおいてアンモニアの多角利用というのが実現した姿になるではなかろうかというふうに考えております。 それから第一の、あまりよくないようないわゆる専業者は整理したほうが大きい意味の合理化になるではないかということでございますが、これにもいろいろございまして、たとえば東北にあるある会社のごときは、天然ガスからやっております。御承知のように、専業者ですが、それは非常にいい、一番安いというくらいの肥料もつくっております。そういうところに、さらにまたメタノールでやってみたり、ほかのまた化学原料でもつくるというならば、それをつくらせたほうが私はよかろうと思いまして、したがいまして、個々の企業体につきましては、決してどれも残すためにわれわれはやるのじゃなくて、肥料を安くつくる、安くするためにはどうしたらいいかというのが、第一の目標であり、それから第二としましては、そういう目標に向かってどういうふうに企業体を強くしてやるかというのが、われわれの今度の施策の重点だ、こういうふうに考えまして施策をやっておる次第であります。
○久保田(豊)委員 いずれにしても、いろいろ肥料の国際的な需給の前途を考えれば、これはまあほとんど無尽蔵といっていいかもしれませんが、現実の問題とすれば、いまのいろいろの状況から見て、日本ではどうしても生産過剰ということが、これはもうますますそういう結果になってくるのじゃないか。もしこれをやるには、よほどしっかりした輸出政策なり何なりが立っていなければ、なかなかうまくいかないのじゃないか。この点についてはあとで触れますが、第三次計画では、非常に小型になって、第二次計画に比べれば、手がたい計画になっていることは、私どもも認めます。認めますが、なぜこれはコストの引き下げの目標を明確にしないのですか。これによりますと、大体において硫安はどのくらいのコストとなるか。特にこの場合、副生硫安なり回収硫安が六十五万トンもできることになるわけですね。そうすると、これが大体硫安全体の大きなパーセンテージを占めることになる。その場合の硫安、いわゆる副生硫安、回収硫安はどういうふうに扱って、普通の合成硫安とどういうふうにこれはかみ合わせて価格をきめるのかという点が、一番大きな問題になろうと思うが、これについて何ら示していない。もう一つは、今度は、むしろ硫安よりは尿素のほうが生産量がよけいになるような勘定になります。尿素はどれくらいのコストにしていくのかということが、当然はっきりしなければいかぬ問題だと思うが、この尿素、硫安についてのコストの目標を示してないということは、どういうわけです。これは、あとの肥料二法の廃止ないしはその後における措置のやり方におきまして、非常に関係がある。それがあるから、あえて隠しておるのではないかというふうにさえ——これは普通の人間ならそう考えますよ。ですから、なぜ硫安並びに特に尿素の生産コストを今度の第三次に限って明らかに示さなかったか、その理由はどこにあるのか。それから副生並びに回収硫安が非常なパーセンテージを占めておるが、これの実際のコストは四十二年にはどれくらいになる予定か。これと普通の合成硫安をどういうふうにミックスして扱うのかという点。これもひとつはっきりしてもらいたい。それから尿素のいわゆるコスト、これは、尿素がほとんどア系肥料の生産の中心になる。その場合には、当然あらゆる面から見て、これははっきりしなければいかぬのじゃないかと思うが、この点はどうか。
○倉八政府委員 四十二年までの計画において値段を示さなかったと言いますが、これはまあはっきり言いまして、何ドルに下がるということは、実際われわれとしても言えないのでございまして、下がるということだけはもう全く明瞭なる事実でございますが、しかし、その下がり方が一トンについて何ドルになるということは、われわれとしましては、いまの場合にはっきり言い得ないということで、今度値段を示さなかったわけでございまして、他意はないのであります。 それから回収硫安の価格はどのくらいになるかということでございますが、これは非常に複雑な問題でありまして、学理上もまだ研究されていないのは、回収硫安をつくる場合のやり方というのが、大体硫安と同じでございまして、カプロラクタムならカプロラクタムから出るアンモニアを回収してやるということで、ほとんど工程は一つでございまして、その場合、どういう計算をしてどういうやり方で示すかというのが、まだ学問上も実際上もなかなかわからないのであります。極端に言えば、ナイロンの原料のカプロラクタムが非常に安ければ、回収硫安の値段をうんと引くこともできましょうが、生産工程から見ました場合の原価計算の方式がまだ確立されていませんから、いまのところは、先生も御存じのように、合成硫安の一番安い硫安と同じ値段だということにしておりますが、これも、ナイロンの増設が現在よりも三、四割増しますから、回収硫安も下がることだけは事実でございますが、幾らになるかということは、ちょっとわれわれもまだ計算をしていないのでございます。 それから尿素のコストでございますが、尿素につきましては、いま御指摘のように、今後ア系肥料の中心になるんじゃないかということになりますと、いま肥料の中心になっておる硫安の価格が、今後は尿素が肥料体系の枢軸価格になるだろうということは考えます。しかし、尿素のコストにつきましては、いままで申し上げましたように、われわれとしましては、下がることだけは確実でありますが、幾らになるかということは、まだ計算しておりません。決して他意あってそういうことを申し上げるわけじゃございませんから、御了承願いたいと思います。
○久保田(豊)委員 どうもいまの答弁は、事務当局としては、それは他意はないかもしらぬ。しかし、これはどうしたってこの問題を解決しなければ、はっきりしなければ、なかなか見通しはつきませんよ。いままで一次、二次とも、とにかく一応のコスト引き下げということが——何といっても、輸出工業としても、国内の農業としても、一番の主要資材である。このごろは飼料のほうがよけいになったといいますけれども、それにしても、農業の観点からいっても、どっちからいっても、これが一番のきめ手になるわけですね。そのきめ手の硫安については、実は学説上も実際上も回収硫安等については計算の方法がないからはっきりしません、尿素についても同様で、下がることは間違いありませんけれども、まだどうもと言うが、それでは肥料行政全体に対する先のめどというものが、全然立たないということになる。私は、少なくとも現在の許された条件のもとにおける試算なり何なりは、この法案を通す以上は、当然国会には出すべきだ、また公に出すべきだ、こう思うのですが、大臣、この点はどうですか。
○福田国務大臣 一応こういうような合理化をさせる場合に、めどを立てておいたほうがいいではないかというお話はよくわかるのでありますが、しかし、われわれとしては、硫安の値段は順次下がる、このやり方でいけば下がるということだけは確信を持っておるわけであります。しかし、その場合において、いわゆる損をした場合にどうなるか、うまくいかない場合が起きるのではないかというようなことでございますが、一応いまは、いままでの赤字を処理いたしまして、その処理したあとの分については、合理化資金をつけてやるから、それで大体うまくやっていける。そうして硫安の値段を上げないように、むしろ下げるようにということを言うておるわけであります。また下がるという見通しでございますから、あとはそういう硫安をつくっている会社が、あるいはアンモニア系の肥料をつくっている会社がどうなるか、そういうものならやめてしまうようなことが起きやしないかということが一番心配になるかと思うのであります。ということは、農村に対していわゆる安いアンモニア系の肥料を提供するという目的が失われてはいけないというところに、非常に大きな重点があるのでありまして、それさえ失われなかったならば、会社が自分のところの設備があるから、やはりそれは大きな目で見て運用していったほうがいい、つくっていったほうがいいのだという観点でやっている以上は、これ以上政府に対して、それではもう一ぺん赤字の処理をしてくれと言うわけにもいかないでしょう。また、そういうことは一切しないということを条件に出しておりますから、それで所期の目的は達しておる。久保田さんのように、会社の立場から言われれば、それはあなたのおっしゃる通りです。会社のほうからいえば、こんなばかな話はないじゃないかということはわかるのですが、会社も納得しておるわけでありますから、これ以上は要求しません。こう言うておるわけです。また、われわれも、それをちゃんと明らかにして、今度の合理化資金を出しておるわけであります。そういうふうにしておいて、じゃ今度は会社がどんどんつぶれていってしまった、あるいはまた、そのために硫安の値段がうんと上がって、いわゆる硫安あるいはアンモニア系の肥料というものを農家に供給できなくなるおそれがありはしないかということになれば、これは大問題でありますが、その点は、もうわれわれとしては確信を持っておりますので、この方法で大体処理がつくのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
○久保田(豊)委員 肥料工業自体としても、生産コストのメリットをどこに置くかということは、合理化を進める場合においては、やはり一番中心の問題じゃないか。特に輸出なり国内のほうの関係を考えれば、これがはっきりしないでは、肥料行政が成り立つはずはないと私は思う。いまのようなお話で、どうにも計算ができないのだ、下がることは間違いないと言うのですが、いままでも下がっているのです。しかし、問題はその下がり方が、一般の国際価格の下がりよりも日本のやつのほうが非常に少なかった。したがって、赤字が出てきたわけです。国内について一番心配しているのは何かというと、そういうふうに国際的に赤字が大きくなれば、それを国内に転嫁しやしないか。だから、ああいう二法をつくって、一応国際価格と国内価格を遮断する措置をとった。そうしてその法律に基づく輸出価格の赤字については、政府が最後には何らかの政治的処置をしてやることが当然なんです。そういう構想でできたのが肥料二法で、現在の肥料政策の根幹なんです。ところが、これはあとでお聞きしますけれども、肥料二法を廃止するかしないか、この点もなかなかむずかしい問題でしょうが、その際、前段工作と見られるこの従来の赤字を処理する場合、その裏づけになっているのは第二次の合理化計画、その合理化計画には、一番中心であるコストの表示というものが、両方とも一つもない。これでは、私は肥料行政がやれるはずはないと思う。安くなることは間違いありませんということは、わかりきった話です。金を一生懸命かけて安くならなかったら、どうしますか。そんなばかなことはだれだってやりませんよ。この点は、私は重ねてお伺いしますが、この点に対する一応の試算なり何なりがあったら、出してもらいたいと思うが、どうですか。 さっきの質問の中でお答えのない面は、副生なり回収硫安は、一般の合成硫安とどういうふうに扱うのか、ミックスして扱うのか、それとも別々に、要するに安い生産費のものと同じようにしてやるのか、どうなんですか。この点をお答え願いたい。
○倉八政府委員 第一のお尋ねの数字の問題でございますが、はなはだ遺憾でございますが、私どもではいま計算しておりませんので、ちょっとそれはいまお出しできないということで御了承願います。 それから第二の、回収硫安と合成硫安と副産硫安についてどういう扱い方をするかという問題でございますが、現在におきましては、回収硫安は、さっきも触れましたように、合成硫安の一番安い価格と同値ということにしております。それから副産硫安につきましては、これはいわゆる鉄会社とかあるいはガス会社から出る色のついたものの値段でございますから、主として全購連あたりですが、供給者と需要者が合成硫安の価格を基準にして何割引きだ、こういうふうな取引をやっている次第であります。
○久保田(豊)委員 目標コストの数字が出ないというのは、どうも一われわれとして納得ができない。この点は、なおもう一度最後にお尋ねをしたいと思います。しかし、大体のめどというものがなければ肥料業者は成り立たぬというのは、国内については御承知のとおり——質問の焦点をはっきりさせて申しますと、ことしから輸出について、輸出会社はFOBをそのまま書くということになったわけです。そうすると、赤字は当然そのまま出るということですね。国内のほうはどうするのですか。国内価格のほうは、いまのようなバルク・ライン方式をそのまま堅持することと私どもは理解するが、この点はどうなんですか。
○倉八政府委員 国内バルク・ラインを堅持します。お尋ねのとおりでございます。
○久保田(豊)委員 そうしますと、これは国内のバルク・ライン方式によっても、当然悪い会社は相当の赤字が出なければならぬということになりますね。まして輸出分は相当な赤字が出る。これは、ことしの一月から来年の九月までにどのくらいの赤字を見込んでいるのですか。この赤字の始末はどうするのですか。
○倉八政府委員 いまのような硫安の輸出が、ことしは御承知のように非常に好調でございますが、このような数量が出まして、しかも硫安のFOB、いま大体FOB価格が三十六ドル前後でございますが、そうしますと、従来の輸出売り掛け金という意味の赤字は、五十数億出ると思います。この場合に、実質上の赤字というのは、大体常識的にそれの三分の一かちょっと上ぐらいでありますから、十五億程度は出るかと思います。しかし、今度FOBの方式に切りかえましたのは、政府はこれだけの対策をやって、前向きの資金もつけてやるから、今度はメーカーとしてもできるだけ自前で合理化をやれというのが、今度の趣旨でございまして、それでメーカーとしましては、いままでは何か輸出売り掛け金というものを積んでおりまして、そのうちに何か政府がしてくれるだろう、こういうちょっと甘いといえば甘いかと思いますが、そういう考えを持っておったわけであります。今度はマル公ははっきりしている、FOB方式にはなったということになりますと、いままでよりも数段熱意を持って合理化に進むということになるだろうと思いますし、これがまたわれわれのねらいでもあるわけであります。
○久保田(豊)委員 その合理化の方向というのは、工業用アンモニアの生産、つまり多角化することによってそのほうから利益を相当に取って、かりに肥料である程度損がいってもこれをカバーするような態勢をとろう、こういうことがねらいだと思うのです。 そこでお伺いしますが、それでは、いま考えられているようなアンモニアのいわゆる多角化ということですね、その方向というのは、どうなんですか、企業的に見て安全ですか。たとえばメタノールとか尿素、メラミンというのは、現在まだ生産過剰とは言えないけれども、需給なり価格は、非常に不安定なものです。そういうほうに重点を置いていこうということになる。そういう点で、新しく工業用のアンモニアの高度化という点ですね、これがはたしてあとの肥料工業全体を安定させる道になるかどうか、これらについての見通しはどうなんですか。どうも一部では、なお全体として生産過剰という方向に向かうのじゃないか。したがって、そういう中へまた割り込んでいってみたところが、なかなか全体が安定するということがないという点が、相当心配されるわけですね。それが一点と、もう一点は、今後国際価格を大体どのくらいに見ているのかということです。大体いままでのあれからいって、いまのところは三十六ドル前後ということですが、おそらくことしの暮れないしは三十九年ごろになると、業界等の見方では、FOBで硫安については三十二ドルないし三十四、五ドルじゃないか。このくらいが価格水準になりはせぬか。それから尿素についても、大体六十五ドル見当じゃないか。中共あたりは、六十二ドル七十五セントくらいで中共向けを二トレックスが落としたようです。そういう結果から見て、日本でも、尿素について六十何ドルで中共に出しているわけですね。そういうのを見ると、大体これから一年後、その時代の価格というものは、硫安についてはFOBで三十二、三ドルからよくてせいぜい三十四、五ドルのところが標準になりはせぬか。尿素についても、いまの七十何ドルとかもっと高いという価格は、ずっと落ちて、六十五ドル見当まであれになるのじゃないか、こういうのがめどで、そうしますと、輸出に依存する面は非常によけいになってくるわけです。おそらく、この需給計画は非常に内輪に見ておりますが、実績等から見ると、よけいになる。それだけよけいにしなければ、操短せざるを得ない。国内の需要はそんなにふえるはずはないのですから、そうなってくると、工業用の原料のアンモニアの需給なり何なりというものは、非常に不安定で、価格も不安定だ。せっかくそっちに逃げておいて大いにもうけようと思ったところが、どっこい、そう簡単にはもうからぬということになる。特にこれから重点を置く尿素と硫安の輸出市場というものは、いまよりもっと採算が悪くなるということは当然です。こういう際に、もしそういうことになってくると、私は問題はさらに深刻になってくるというふうに思うのですが、政府としては、この辺の見通しを——四十二年までの見通しというのはちょっとむずかしいかと思うけれども、少なくとも今後一年先の、肥料二法を何とか処理しなければならぬというときまでくらいの見通しというものは、かなり明確なものを持っておらなければならぬと思うが、どうですか。
○倉八政府委員 第一のメラミンとかメタノールのような工業用のアンモニアを使った商品が、非常に需給が不安定ではないかという御質問でございます。メタノールは、御承知のように、昨年の三月ごろから市況が悪うございます。それからメテミンも、いまいろいろな問題をめぐりまして、さらに一社ふえるとか三社ふえるという問題があることも御存じのとおりでございますが、われわれとしましては、メラミンにしろ、メタノールにしろ、いまのほかの、たとえば家具の工業とか、樹脂工業、あるいは繊維工業が伸びれば、メラミン、メタノールも当然いまの姿の倍くらいになしてもいい、これは四十二、三年くらいの先の見通しでございますが、そういう計画を立てておりまして、この需給に合うように今後の動向を見て策定しております。一時的には先生の御指摘のようなことがありますが、中期的あるいは長期的に見れば心配はない、こう考えております。 それから国際価格を今後一年先くらいどう見るかということでございますが、これにつきましては、両様の見方がございまして、趨勢からいけば下がると思いますが、ただ、この趨勢に対しまして、また反対の動きもございます。それは欧州における例のニトレックスなんかは、御存じのとおりでございますが、いま以上にお互いに下げまいというような動きも、非常に底流には活発に動いておりまして、そういうマイナス面、プラス面が今後どうなっていくかということは、なかなか予断を許さないのでございますが、傾向としては、さらに七十セントなり一ドルくらいは下がるような傾向が強かろう、こういうふうに思います。
○久保田(豊)委員 これはだれもわからぬことですが、国際市場の見通しということは、これは私は、傾向としては、確かにニトレックス等はかなり強いカルテルのようです。罰金なんかを取っておるようです。そういう点から見ると、かなり強いのだというふうに見られますけれども、しかし片方においては、イギリスのICIですか、あれと何とかという会社と一緒になって拡張計画を立てておるというようなこと、あるいはイタリアのENIの子会社、これが各地へ支店、出張所を設けてどんどん進出しているというようなこと、あるいはアメリカのエッソが、盛んに東南アジアといいますか、こういう低開発市場へ組んでどんどん工場をつくっておる、あるいはインドをはじめとして、つまり各低開発国が自国生産を硫安その他についてどんどんやっておる、こういう点から見ると、いまニトレックスが考えておるような何らかの国際的価格協定をつくって、そしてこれ以上の硫安なり尿素の値下がりを防止するなどという時代は、そんなに簡単には来ない。したがって、いまお話のありましたように、むしろ今後二、三年間は、少なくとも私は、硫安の国際競争というものはますます激化していかざるを得ない。そうしてその中で価格というものは当然下がっていく、あるいは価格以外の面でのいろいろの販売条件の競争というようなことも、非常に盛んになってくる、こう見るよりほかはない。そういう中で、日本は、これから硫安ではなくて、尿素を中心にしてひとつ国際市場に打って出よう、こういう結果になるのです。そういう際に、その一番基準になる、繰り返して言うようですが、コストの目標さえ立ってない、そういう第三次合理化計画なんというものは、私はあり得ないと思うのです。それじゃあんまり政府が無責任過ぎる。しかも、それは単に硫安工業についてのみ、あるいは輸出についてのみの問題じゃない。すぐにこれははね返って、この肥料二法の処理いかんによりましては、国内の農業生産というものに非常に至大な影響を持ってくることです。そういう重要な、いわゆる単なる経済行為以上に大きな意味を持つものに対して、せっかく今度の措置で裏づけをするものに対して、目標コストを示し得ない。下がることは下がりますが、どのくらい下がるかわかりません。こんなべらぼうな政策というものはあり得ない。しかるに、この政策は、閣議決定を経た政策ですよ。それがこんなめちゃくちゃなことはないと思うのです。大臣はどう思いますか。
○福田国務大臣 いままでにしばしば硫安についての計画といいますか、目標を立ててやってまいりました。事実は、その目標どおりには実現をいたしておりませんでしたが、事ほどさように、この硫安というものの輸出価格、国際的な競争というものは激甚というか、きびしいわけでございます。そうであるから、いわゆる合理化の目標を立てないでも済む、立てていけないということには通じないのですが、実際問題になりますと、いまから三年、四年後、五年後というようなところまで目標をつくりましても、その間に物価の変動があったり、あるいは労働事情の変更が起きたり、あるいはその他の世界的な経済変動が起きたりしますと、そこら辺がなかなかむずかしいことに相なるかと私は思うのであります。そこで政府としては、その数字は出しませんが、少なくともいまの肥料二法がある限りにおいては、合理化のメリットをこれは組み入れていくわけでありますから、肥料の値段は一応下がっていくということは、もう明瞭であります。また、いまの肥料会社がやっておるいわゆる経営方針を見てみますと、やはり肥料部門の比率をできるだけ少なくする。たいてい一〇%以下になってしまうでしょう。そして九〇%はほかのものをつくる、肥料は一〇%以下という程度になりますれば、政府がそういうような合理化資金をつけておるのも、肥料の値段を上げないということを大体条件としてやっておるのでありますから、肥料の値段は上がることはない。いま物価というものは、いかに押えておっても、年に一%とかなんとかはずっと上がっていくものであるのに、硫安の場合は値段が下がっていく、こういうことであれば、先々のことまできめておかないでも、おしかりを受けないで済むのじゃないか、こういうような感触でございまして、実際問題として、計画を立てないで臨むのはおかしいじゃないかということでありますが、そういうものを立てたことによって、かえってそれが実現しない場合等がしばしば起きておりますので、慎重を期しておるというか、値が下がればいいじゃないか、それで大体の目的は達し得るのではないかということであります。私は、これがいわゆる統制経済の組織でございましたならば、そういうことは絶対あり得ないじゃないかといって数字は出せると思いますけれども、こういう自由主義経済の形においてやっておる段階では、実際には、具体的な数字を出すことはなかなかむずかしい。しかし、値段が上がるというようなことでは困ります。値段が下がるということだけは明瞭でございますから、まあまあこの程度で御了承を得たい、こういうふうに考えておるわけであります。
○久保田(豊)委員 それは大臣、二百二十何億という金をまたさらにつぎ込むのですから、それが値が下がるくらいなことは当然の話で、問題はどの程度値が下がって、それをいかに輸出工業として安定させるか、あるいは国内の農業との関連においてどれだけ寄与するか、その程度に下がるかどうかということが一番問題の中心であって、幾らか下がれば下がり得じゃないか、こんな程度の認識で肥料行政を扱われては困る。これは大臣として考え直してもらいたい。 そこでもう一つお伺いをいたしますが、今度の第三次計画によると、要するに肥料部門が非常に少なくなる。さっきもお話がありましたとおり、この資料を見ますと、アンモニア系肥料は、三十六年度七二%が四十二年度には六一%になる。特に硫安については三七%のものが一五%に減る。そのほかの高度の尿素、高度化成というものが相当ふえ、合成、回収硫安が非常にふえる。これは非常にけっこうだと思うのであります。この構想の土台が、かりに肥料部門ならば、いま申しましたように国際的に見る限りは、今の状況では赤字が出ざるを得ないのです。しかも相当大幅の赤字が出る。しかもその赤字の出た場合に、これを国内のいわゆる肥料価格にしわ寄せすることなく、この非肥料部門でしょっていけるというものを目標にしなければならぬと思うのです。そのめどがちゃんとついているのですか、どうなんですか。私が、さっきメラミンその他についてお尋ねしたのは、あなたは将来繊維工業その他が増産になれば、もっとどんどんそういったものの需要は増す、こう言っておられたが、いま計画されておるようなものは、私は全体としてそんなに安定したものじゃないように思う。したがって、輸出部門では明確にこれは赤字ですよ。何といったって相当大幅な赤字が出る。尿素まで含めていえば、相当の赤字が出ると私は思うのです。その赤字を非肥料部門でカバーできて、国内の肥料価格に転嫁しない、する必要はないというような、はっきりした見通しを持って政府はおやりになっておるのかどうか。この点については、大臣は責任を持って、絶対に内地の肥料価格には転嫁しないということを明言できますか。
○福田国務大臣 われわれがこの措置をとるについては、とったあとで、またそのとる過程において、業界の人たちとも連絡をとっておりますが、われわれの見るところでは、またこういうような合理化資金をつけてもらう場合においては、そういうものには転嫁をしない、国内の肥料には転嫁をしない、硫安には転嫁をしないということを明らかにされておるわけであります。したがって、私たちとしてはそれを信用しておりますが、しかし、それを単にことばの上で信用していいかどうかということならば、これは今後の課題として研究しなければならない。現にいまは肥料二法がありますから、これはもうこれでちゃんと押えていますから、転嫁はさせられようがありません。しかし、なくなった場合にこれだけで十分かということになれば、これはわれわれとしては十分研究すべき課題である、かように考えておる次第であります。
○久保田(豊)委員 それではあまり時間もありませんから、あとごく大きな点だけやります。 この今度の措置は、要するに肥料二法が、三十九年の七月に何らか処置をしなければならぬという段階にきておるわけです。そこでお伺いしますが、肥料二法は廃止するのかしないのか。これは大臣にお聞きします。いままでの閣議決定その他を見ますと、廃止をするともしないともはっきりしておりません。しかしながら、肥料業界では、大部分が、もう政府は廃止に踏み切ったのだ、その第一着として、一緒にこの赤字処理をやったのではめんどうになるから、これを前に布石としてやったのだ、こういうことを言っておる人が大部分です。これは肥料二法は廃止するのですか、しないのですか。ただ政府のほうのあれでは、法定期間まで存続すると書いてあるだけです。あとどうするということは書いてないが、これはどうなんですか。
○福田国務大臣 その問題は、これから通常国会までの間に、十分各方面の意見を聞いて検討をいたして決定をいたしたいと考えております。
○久保田(豊)委員 それでは、それに連関した問題を二、三聞きますが、大体来年の九月までは、さっきのお話では、国内価格については従来どおりのバルク・ライン方式でやる、こういうことを言っておられる。ところが、業界に流れている大体の情報は、三十八肥料年度の国内の硫安価格は、大体三十七年度で横すべりだ、そのまま据え置きだ、こういう点が政府と業界と大体できておる、こういうことをもっぱら業界の人やこれに出入りしておるところの新聞記者が言っておる。とすれば、私はこれはおかしいと思う。これはどうなんですか。そういうことは絶対にないのか、はっきり正確にこのバルク・ライン方式をとってやるのだということを大臣は言えますか。
○福田国務大臣 どういううわさが流れておるか知りませんけれども、そのことについては、われわれとしては責任をとるわけにはいきません。しかし、従来の法律を守って処置をいたして参りたいと考えております。
○久保田(豊)委員 これはどうするか、これから研究するというのですが、肥料二法をどうするかということは、なかなかここでは明言できませんでしょうが、実質上の問題を申し上げます。そこで、今の国内の価格決定方式は、御承知のとおり、バルク・ライン方式。これは最初から肥料業界が、寄ってたかって、悪い法律だというので、さんざっぱら悪口を言ってきたわけです。これでは合理化のメリットがみんなそっちに吸収されて、業者としてはうま味がない、これが今の業界を困らしておる一番根本だ、こういう悪法はないといって非難しているわけです。しかし、反面、農業のほうからいえば、不十分ながら、この二十九年から今日まで大体一かます当たり百二十円硫安価格が下がったわけです。これはさっきお話しのように、ほかの物価がだんだん上がるときに、硫安だけが、わずかスズメの涙ほどであったが、とにかく下がってきた。これは農民にとって気休めじゃないか。同時に、政府はこれを利用して、農産物価格を上げる場合の一番押えにしてきたわけです。これがなければ、百姓だって、いまのような米価の決定のしかたには満足しません。これが言いわけの材料です。しかし、内容は八年間に一かますについてわずかに百二十円です。下がったといっても、全くスズメの涙だと思う。しかし、肥料二法の処理の問題については、必ず次の国会で問題になると思うが、大臣はどうお考えですか。
○福田国務大臣 先ほども申し上げましたように、肥料の問題については、いまお話しのあったようなことも含めて十分各方面の意見を聞いて、そして態度を決定したい、かように考えておるのでございます。
○久保田(豊)委員 もう二、三これに連関した問題をお聞きします。 肥料二法が問題になるときに必ず問題になるのは、生産の調整、需給調整、並びにそれに連関した設備の調整ということです。これがなければ、価格の維持もできないわけです。御承知のとおり、いまのところ、生産なり需給の調整は、臨時肥料需給安定法によって実際にははっきりやっておるわけです。もし肥料二法がなくなったら、これの調整はどういう方式でやりますか。野放しにしてしまうのですか。何らかここに生産調整、需給調整、さらにその基礎をなすところの施設の調整というものは当然行なわれなければ、肥料二法の少なくとも骨格をやっていくことはできなくなると思う。この重大な問題を大臣はどういうふうにやったらいいと考えておりますか。
○福田国務大臣 それは久保田さんのほうが専門家でいられるから、こういうやり方もある、ああいうやり方もあるとお考えになっておられることと思う。しかし、責任のある立場にいる私としては、少なくともただいま法律があるのでありますから、来年なくなるまでに十分これを間に合わせる責任はありますけれども、慎重に検討したい、こういう意味で申し上げておるわけでありまして、これ以上私をいくらつるし上げていただいても、ここで私が、こうしますという言明は、ちょっといたしかねるかと思います。
○久保田(豊)委員 もう一点連関して重要な問題——これもたぶんお答えできないかと思いますが、肥料二法がかりになくなった場合に、もう一つ大きく問題になるのは、国内の肥料価格をどういうふうに決定するのか。野放しにするのか。その場合に、従来のように硫安価格を基礎にしてやるのか。あるいは尿素ないし高度化成あるいは高度配合化成、こういうものを含めて、少なくとも秋肥硫安について、全体の価格調整というものをどうしてもやらなければならぬと思う。それはこれから四十二年、あるいは三十九年三十九年以降になれば、これは硫安が、合成肥料が中心ではない。少なくとも尿素が中心になろうかと思います。その場合に、尿素を中心にして合成硫安なり、あるいは副生なり、あるいはその他の回収硫安なり、あるいはさらにそれに高度化成その他を加えて、肥料化学の調整をするとすれば、私は、もっと下がると思う、相当下がらなければうそだと思う。そういう場合に、この肥料二法の処理のときに、今後の化学調整の基本はどう考えられるか。
○福田国務大臣 ただいま久保田さんからもお話がございましたが、すでに肥料といえば硫安といった時代が変わってきまして、硫安、尿素その他のいわゆるアンモニア系の肥料が出てきておるわけであります。そういうようなときに、硫安だけを対象にしたような法律でもって肥料行政ができるかどうかという問題は、これはすでに真剣に検討しなければならない課題になっておると思います。したがって、そういうような問題を含めまして、今後われわれとしては研究をいたさなければならないのでありますが、しかし、産業、特に農業に対する重要性というものを考えてみますと、農家に対して必要な量を、しかもできるだけ安く提供するという、このことだけは、いかなる場合においても守っていくように政府としては措置すべきである、これだけは私は申し上げることができると思います。ただしかし、それをどういう方法でやるかということになりますと、これは今後ひとつ研究をさしていただいて、御審議を願うようにいたしたい、かようにいまの段階では申し上げる。それ以上に私から申し上げることは、困難かと存じます。
○久保田(豊)委員 もう一点だけさらにお聞きをしておきますが、いま肥料二法の処理に連関して三つの一番重要点を申し上げたわけでありますが、これらを含めて見ると、かりに肥料二法を廃止するということに政府が決定されても、おそらくその廃止ということは、いまの情勢からいうとやむを得ないことになるのじゃないか、政府的な考え方からいうと。あるいは業界の強い圧力からいうと、そうなるのじゃないかと思います。今度の、要するにあとは赤字は見てあげませんよということは、ある意味のFOBでもって、あとは政府としてはめんどうを見ませんよということは、その意味ですから。私はそれと連関して、政府の腹は、いまのところ、業界から突き上げられて、私はほぼそうなっておると思うのです。しかし、二法があっても、いまの三点を含めて、何かこれにかわる新しい法律がどうしても必要なように思う。それを野放しにするということになったら、かえって輸出に依存度がますますよけいになって、しかもこれは完全に赤字ですから、そして、しかも私の見るところによると、工業用のアンモニアの増産をはかってみたところで、これら輸出で出てきた赤字は埋まらない。それだけではとうてい負担する能力はありませんよ。そうなってくれば、どこでもって埋めるかというと、国内価格を上げるよりほかない、転嫁するよりほか道はないということになる。それで、これは政治的にも、また、それは日本の農業の今日の置かれた地位から見て、またこれから農業を開発する立場から見て、これは絶対にわれわれは容認できない。ですから、それらの新しい情勢のもとに何らかの調整をする政策と、それをはっきり法文化する新しい法律が、必ず必要になると思うが、この点については、通産大臣はどう考えておられますか。これも、せっかくいまのところ研究中で、これから大いにやりますと言うかもしれませんが、少なくとも私は、法律制定なり、新しい政策の確立ということは、絶対に欠くことのできない要件だと思うのですが、この点はどう考えておられますか。
○福田国務大臣 先ほどもお答えをいたしたところでありますが、この二法がなくなった後においてどうしたらいいかということは、これはわれわれとしても真剣に考えなければなりません。しかし、そのときに、少なくとも最小限考えなければいけないことは、私は久保田さんと一緒だと思うのです。それは農家に対して肥料をこれ以上高くしてはならない。その肥料という意味は、硫安だけで済むのか、尿素を含めるか、その他を入れるかは別といたしまして、少なくともいま硫安が問題になっておる限りにおいては、硫安をこれ以上高くなく、安くして、そうして十分に農家が使うだけの分を提供させる政策というものが、私は必要だろうと考えております。いまあなたは、業界の圧力、業界の圧力ということをよく言われましたが、私は、実は業界から一つも圧力を感じておりません。この点はひとつ御安心を願いたいと思います。
○久保田(豊)委員 これで一応質問を中止しますけれども、どうも今度の法案は、私は、当然この輸出赤字の処理をこういう形でやる以上は、少なくともこれの裏づけをして、その半分の合理化計画は出しておるわけですから、その合理化計画の一番ポイントをぼやかして、そうしてあとはどうするか、これから研究しますという態度で、赤字の処理だけ出してくるというこの態度は、政府としては全く政治的に無責任であると思う。少なくともこういう法案を出す以上は、はっきりこの第三次の合理化計画の目標はどこにあるかということも、ある程度明確にし、同時に、それを母体にした何らかの次の肥料政策を用意して、そうして少なくとも答弁をして、今度のこれをこうして偽りましても、あとは大体こういう方向でいきますから、これで御了承願いたいというのなら話はわかる。先はわからぬが、いまとにかく赤字がこれだけ詰まってきて困っておる、これだけ何とか始末を先にしてくれ、これだけはのんでくれという政府の態度というのは、私はどうしても政治的に無責任であると思う。こういう無責任のよってきたるところは、いままで当然処理しなければならないこの問題を、政府は実は処理しなかった。そうして今日会社の経理に相当の影響を及ぼすというようなことで業界から突き上げられて、そうしてしかたなしにこれだけはとにかく先に処理しろということで、これがつまり業界の圧力というところであります。そういう意味で、直接あなたにあったかどうか知りませんが、それが背景になっておることも間違いはない。したがって、私は、少なくともこういう重要な——表面はきわめて簡単な法案であります。しかしながら、その内包するところはきわめて深刻な意味を持っておることについては、それなりに政府がそれに対するはっきりした政策なりおおよそのめどをつけて、こういたしますということくらい言って、国会の審議を求めるのが常識ではなかろうか。それを欠いておる点は、きわめて遺憾であります。私は、この点を強調して、なお、あといろいろの点について質問いたしたいと思いますが、これは次の機会に留保しておきます。 ————◇—————
○逢澤委員長 次に、連合審査会開会の件についておはかりいたします。 本案について、農林水産委員会から連合審査会開会の申し入れがありました。これを受諾するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○逢澤委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、この連合審査会は、明日午前中に開会いたす予定であります。 明日は、午前十時より農林水産委員会との連合審査会、連合審査会散会後理事会、午後一時より委員会を開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。 午後一時九分散会