商工委員会 第23号
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- 2
- 開催日
- 1963/05/10
会議録
○逢澤委員長 これより会議を開きます。 商業に関する件について調査を進めます。 百貨店に関する問題等について質疑の通告がありますので、これを許可いたします。板川正吾君。
○板川委員 百貨店の割賦販売に対する問題について、ひとつ次官及び局長に伺いたいのですが、百貨店の割賦販売に対する通産省の指導的な立場というのは、どういうような原則でおられるのですか。百貨店の割賦販売に対する通産省の態度、現状について、ひとつ説明をしていただきたいと思います。
○佐橋政府委員 百貨店の割賦販売につきましては、御承知のように、割賦販売にはいろいろ分け方がございますが、総合割賦販売と称するいわゆるチケットによる販売、それから個品の割賦販売と二色ございまして、いわゆる非常に問題になりましたのは、総合割賦販売の問題でございます。この問題につきましては、いわゆる顧客を組織化し、あるいは固定化するというようなことで、中小企業その他にも与える影響が非常に大きいのでございますので、例の信販の問題等が起こりましたときに、通産省としては、百貨店、信販業者に対して通牒を出しまして、総合割賦制販売につきましては、自粛をするように要望いたしております。ただ、個品の割賦販売につきましては、これはただいま申しましたような顧客の固定化、あるいは組織化というような問題もございませんし、いわゆる割賦販売自体が、個品の割賦販売の場合には、市場の拡大を通じての価格の切り下げだとか、あるいは消費者の生活の計画化、合理化というような点にプラスがございますので、個品割賦販売につきましては、百貨店に対して何ら制限を加えておらないというのが、現在の通産省の百貨店に対する割賦販売の取り扱いでございます。
○板川委員 昭和三十三年九月に、通産省の企業局長通達ですか、これで割賦販売に対する自粛の通達が出され、それから一年間のうちに産業合理化審議会の流通部会で割賦販売に対する一般的なあり方をきめるから、それまでひとつ自粛していてほしい、こういう通達があるのです。それで、その後三十四年、一年後の十月に「百貨店業者の割賦販売の自粛について」という企業局の通達がまた出されております。その三十四年十月の企業局の通達の精神というのは、現在も継続されておるのですか。
○佐橋政府委員 三十三年の九月に通牒を出しまして、ただいま御指摘のように、それは暫定的な通牒でございまして、産業合理化審議会の流通部会でこの問題についての検討をいたした上最終的な通牒を出すということで、三十四年に通牒を出してございますが、現在もこの精神によって運用いたしております。
○板川委員 そうしますと、百貨店法の精神からいいまして、一般の小売り業者を圧迫するような不特定多数を対象とする割賦販売等については、百貨店としては自粛してほしいという精神には今日も変わりないと思うのですが、それはそういう意味において変わりないですか。
○佐橋政府委員 一番初めに御説明を申し上げましたように、三十四年の通牒、その前の三十三年の通牒、いずれも総合割賦販売が中小企業に与える影響が非常に大きいという意味で、総合割賦制について、中小企業を圧迫しないように自粛措置を講じておるわけでございます。
○板川委員 ここに例があるのです。これを見ていただきたいと思うのですが、これは銀座の松屋で、銀座進出の何十周年記念特別大廉売ということで、家庭電気用品の月賦販売を承る。頭金なしで二十カ月均等払いだ、一流メーカーの品物だ、こういうようなポスターを各電車内に発表する、あるいは折り込み広告をする、こういうような宣伝をやっておられるのですが、この程度は、その自粛というものの限界に触れていますか。これはやむを得ないと思いますか。たとえばルームクーラーあるいは電気冷蔵庫の月賦販売を承る、こうなると、無差別に不特定多数のものが対象だ。信用調査をした上でなくて、だれでも、行けば月賦を承る、月賦販売で二十分の一か何かを払えば品物が引き取れるという形になってくると思うのです。これはやや自粛の線から逸脱をしているのじゃないか、私はこう思うのですが、どうですか。
○佐橋政府委員 ただいま先生御指摘の松屋の割賦販売、松屋は、従来いわゆる割賦販売をあまりやっていなかったと思うのでありますが、今回四十周年を機会にやるというそのポスターは、私がただいま説明をいたしました個別割賦でございまして、いわゆる総合割賦、チケット式による割賦方法ではないわけでございまして、われわれの通牒の線には違背しないものだ、こういうふうに考えております。
○板川委員 そうすると、これはここの問題ばかりでなくて、何十周年記念とか何とかということは、これは三十九年でも三十八年でも幾らでも理由がつくのですから、それは特別な理由ということにならないと思うのです。たとえば各デパートがこういうふうにだれにでも月賦販売をする、こういう形になった場合に、小売り商業を圧迫するということはないですか。
○佐橋政府委員 だれにでもということは、私ちょっとどういう販売の仕方をやっておるかわかりませんが、御承知のように、日本の場合は、信用調査機関というものがあまり発達いたしておりませんので、それぞれ割賦販売をするものが相手方の信用状況に対して確証を持たないと、これは売るほうで非常な損害を受けるわけでありますので、その点についてはいい手だてを考えておるのだと思いますが、ただいま先生の御指摘のように、百貨店が個品の割賦販売をやるということは、必ずしも中小企業の圧迫になるということはないのではないか、私たちはこう考えておるわけであります。
○板川委員 三十四年の通牒ですが、制限金額がある。たとえば三十四年十月の通達によると、共通チケット発行機関のチケットによる百貨店の総合割賦販売は、金額、取り扱い商品、及び流通地域の三点から制限しておるのですが、これは割賦販売の法律を審議したときに、この場合の金額、これは現行千円になっているのですが、これを三千円程度まで引き上げるという要望が出されておって、多分答弁でもそういうことになっておったと思うのですが、その後制限金額は引き上げましたか。
○佐橋政府委員 この通牒を出しましたときに、千円という限度がありまして、千円以下の毛のについては総合割賦を行なってはいけないということをいたしまして、その後情勢によっては三千円まで上げるというようなことを言ったかと思いますが、現在問題がございませんので、現行千円のままで、三千円引き上げをやっておりません。
○板川委員 これは、国会審議のときは引き上げるんだというような答弁をされておって、いまでも引き上げてないというのですが、今後引き上げるおつもりですか。
○佐橋政府委員 現在のところ、あまり問題が起こっておりませんので、現在千円の限度を上へ上げるということは考えておりません。
○板川委員 じゃ前に戻りますが、百貨店が一般の不特定多数の相手にどんどん割賦販売を始めても、いまのところ、自粛の線にそれは触れてないから、通産省としては問題ではない、こういう当面のお考えですね。
○佐橋政府委員 この割賦販売というのは、御承知のように、消費者にとってもきわめて便利な制度でありまして、ただいま申しましたように、個々の消費生活の計画化、合理化というようなことが非常にできるわけでございまして、割賦販売が公正に行なわれる限りにおいて、これは百貨店でやろうと、中小小売り商がやろうと、チェックすべき筋合いのものではないのではないか。特に、現在一番割賦販売が行なわれます電気器具につきましては、われわれ実際に商品を買う場合でも、百貨店でいろいろなメーカーの製品を見て帰って、しかも小売り商から買うというようなことが、多く行なわれておると考えられます。と申しますのは、結局現在、いわゆる有力なメーカーの製品につきましては、月販会社がありまして、中小小売りといえども割賦販売をやってくれるわけでございまして、それから実際に商品を手に入れました後にも、アフターサービス等の問題もありまして、近間で買っておいた方が便利があるというようなことで、大体そんなような形で行なわれておるのが多いのではないか、こういうふうに考えますので、百貨店の個品割賦販売について、私は、現在の段階では何ら制限を加える必要がないのではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
○板川委員 それでは次の問題に入りますが、最近、百貨店が、これは特定のお得意で、全部ということじゃないだろうと思うのですが、プリンスホテルとか帝国ホテルとかというところの一室を買い切って、展示会をある期間行なうということをやっておるようでございますが、これは一体どういうような手続で現在やっておるわけですか。たとえば百貨店には、御承知のように、売り場面積の規制というものがあるわけです。これが継続的になされれば、売り場面積のまあ合法的な違法行為といいますか、脱法行為じゃないか、こう思うのですが、そういう問題について、通産省はどういう見解を持っておりますか。
○佐橋政府委員 御指摘の出張販売につきましては、出張販売をいたします場合に、通産局長に届け出をして、そのチェックを受けることになっております。御指摘のように、出張販売が継続的に行なわれれば、まさに売り場面積の脱法行為になりますので、その点については厳重に取り締まっておるわけでございます。
○板川委員 出張販売というんですが、私がいま聞いたのは、出張販売というより、店外販売ということのほうが妥当じゃないかと思うのです。たとえば帝国ホテルへ行って、外人客が団体で来て、品物を買いたいが、めんどうだからひとつ持ってきてくれといって、帝国ホテル内に展示をし、販売をするというならば、これは出張販売になるだろうと思うのです。あるいは高校生に学校が制服をあっせんする、その学校へ行って注文を取るというのも、これもまた出張販売になるだろう。しかし、帝国ホテルなりプリンスホテルなりという有名な一流のホテルの一室を買い切って、相当期間——特定のお客さんには違いありません。案内状によって行くようですから、だれでもというんじゃない。しかし、それを相当継続するという式をやっておるのですが、これは出張販売じゃなくて、店外販売、要するに売り場を一時そこへ移動させたということになるんじゃないですか。その出張販売と店外販売というものを混同しているような感じがするのですが、私が聞いたのは、いわゆる店外販売のほうです。店外販売については、どういうふうなお考えを持っておられるか。
○佐橋政府委員 ただいまの二点、一点はホテル等に百貨店が出ておる場合でありますが、それも通産局でチェックをいたしておりまして、施設が特定しておるということと、大体短期間でございますのと、それから顧客の範囲が大体ホテル内に宿泊する人というふうに特定されておりますので、中小企業者に対してたいした悪影響がないということで、現在チェックはいたしておりますが、認めておるのが現状でございます。 それからいわゆる学校の制服なんかの問題でありますが、これはいろいろ問題がございます。しかし、この問題は大体東京都に特定いたしておりまして、ほかの府県にはあまり問題がございません。で、東京都のいわゆる東京学校服協同組合と百貨店の間に数回会合を持ちまして、現在は一つの線が出ておりまして、百貨店は原則として注文取りに行ったり宣伝したりするようなことはしないというような線で話がついておりまして・現在トラブルは起こっておらないのが実情でございます。
○板川委員 私が質問しているのは、出張販売じゃないのです。それはわかるのです。学校とかホテルに泊っておる人を対象に、要望があって、そこに展示し、注文を取り、販売するということは、出張販売だろうと思う。それでなくて、ホテルに泊まってないですよ。ホテル内で展示会をやりますが、そこへ案内する人は、ホテル内にいるのではない。一定の登録者といいますか、名簿に載っておって、その人に案内状を出して、プリンスホテルとかどこそこでいつからいつまで展示会をやりますから、ぜひ買いに来てください、こういう案内状を発送する。プリンスホテルに泊まっておる人を対象にして売るのではないです。都内の各所のお得意さまに何百、何千という案内状を出して、そこが一つのデパートの——ある期間、限定されてはいますよ。しかし、売り場面積と同じ役割りを果たすのですがね。この出張販売じゃなくて、店外販売といいますか、こういうものに対する規制は考えておられないですか。
○佐橋政府委員 先生の御指摘のような事実がございますが、それもチェックいたしておりますが、われわれのほうの見解では、いわゆる特定施設内で短期間行なわれるということ、それから顧客対象も、必ずしも私が答弁しましたようにホテル内の宿泊人ばかりではありませんが、通知を出した顧客の対象が限られておるということ、それから扱います商品が大体高級品でございまして、中小商業者に対して著しい悪影響を及ぼさないというふうに現在のところは認めて、この店外販売を認めておるケースがございます。
○板川委員 私の質問している焦点は、結局売り場面積の脱法行為じゃないか、こういう点です。これが拡大されると、そういうことになるのではないか。中小企業圧迫というよりも、一応一週間とか、プリンスホテル、帝国ホテルという範囲内ですから、限定されていますが、だんだん数多くなったらどうなるだろう。理屈はいろいろありますよ。何周年記念とか、何とか大奉仕廉売会とかなんとかいうことで、これを帝国ホテル、プリンスホテルからだんだん格下げして、二流、三流のところで同様のケースをさらに拡大されていったならば、売り場面積の脱法行為になってくるのではないか。だから、それを認める基準というか、いいとすれば、その限界というのは、どんなふうに考えておるわけですか。
○佐橋政府委員 ただいま御指摘のように、これが至るところで行なわれ、かつ頻度も非常に多いということになりますと、先生の御指摘のような問題が起きると思います。ただし、現在のこういった催しの開催というのは、一百貨店についてそうたいへんな回数が行なわれておるわけでございませんので、ただいま先生御指摘のような懸念があるとしますれば、一百貨店でのいわゆる頻度の問題なり何なりというようなものについて、基準を設けて実行させるというような方法が必要かと考えております。
○板川委員 この販売のしかたですね。きょうはちょっと公取を呼ぶのを忘れたのですが、まあ独禁法のほうからいって、他の顧客を——他の顧客といったって、顧客というのは、別に松坂屋なら松坂屋、三越なら三越ときまっておるわけじゃないのですが、そういう一流ホテルに招待するという形で顧客を自分のほうへ誘引するというのは、不公正取引の方向に入るんじゃないかなというような感じがする、独禁法の形のほうから問題もあるんじゃないかな、こう思うのですが、どうですか。
○佐橋政府委員 これは公正取引委員会のほうで御判断なさることだと思いますが、顧客の送迎とかなんとかいうことでもなしに、現在ある上得意に対して、百貨店のごみごみしたところでなく、特定の商品を一部分並べてやるというのは、現在私ども認めておるわけでございますので、不公正取引というふうには、私の段階では考えておらないわけでございます。
○田中(武)委員 関連して。今の板川委員の質問に関連してですが、それじゃ佐橋局長は、百貨店法の第九条に該当する行為は、具体的にどういうものだと思っておりますか。
○佐橋政府委員 第九条には、いわゆる出張販売あるいは顧客の送迎というような代表的な営業行為を二つばかり並べまして、その他いわゆる百貨店の事業活動を通じて中小商業に悪影響を及ぼす場合には勧告ができるという規定になっておるわけでございますが、何といいますか、いわゆる百貨店法の脱法的な行為、特に一般の中小商業者と競合するような顧客に対して特別なサービスをして顧客を吸引するというような行為が、私はこれに該当するのではないかと考えております。
○田中(武)委員 それじゃ、これはこれに該当しないといういまの答弁ですが、どこまでいったら該当するのか、お聞きいたしましょう。いいですか、出張販売とか顧客の送迎というのは、一つの例示なんですよ。問題はあとにかかるんです。中小商業者に対して云々にかかるんです。出張販売とかあるいは顧客の送迎ということは、一つの例示なんです。わかりますか。そうすると、あなたが見て、今まで板川君の言ったことは、これも当たらない、これも当たらないという。それじゃ、当たるのはどういうことを予想しておるのか、それを一ぺん聞きたいのです。
○佐橋政府委員 現在九条に例示してあるような行為は行なわせておりませんが、結局百貨店が過剰サービスをして中小商業者に対して著しい悪影響を及ぼすという行為が該当するわけでございまして、ただいま板川委員の御質問のように、百貨店等の場合に、いわゆる上得意に対して特定な高級商品の展示をするというのは、必ずしも一般的な中小商業者に対して著しい悪影響を及ぼすものでないという意味において、これは入らないのではないかというふうにわれわれは考えておるわけであります。
○田中(武)委員 私の言っておるのは、条文に書いてある抽象的な著しいとか、そういうことを聞いておるのじゃないのです。それじゃ、具体的にあなたのほうとしては、九条によってこういう場合は勧告するんですね。ならば、一つの基準があるわけでしょう。百貨店法ができてからもう七年たっておるのですが、いまだかって、その勧告はあったのですか、なかったのですか、ないでしょう。ということは、基準はどうなっているのですか。一応基準を立てて、ここまできたときに勧告するのだという基準がなくてはいかぬ。だから、逆に言うならば、具体的にどういうことをやったら行き過ぎだ、こういうことについて具体的な例をひとつ出してください。
○佐橋政府委員 先ほど来質問がありましたいわゆる総合割賦などにつきましては、これは中小商業者に対して著しい悪影響を及ぼすものだということで通牒を出したわけでございますが、九条の例示行為に対して、そのほかのものについてはたしてどういう基準があるかということにつきましては、基準は現在のところ持っておりません。これはなかなかむずかしい問題でございまして、現実に百貨店がある特殊の営業行為を行なって、それが中小商業のほうから非常に問題であるというようなことになりました場合に、この問題を取り上げて、九条に該当する行為なのかどうかということを判断して処理するというふうに考えておりまして、事前に、どういう行為が、しかもどういう基準に達した場合にはどうだというようなことは、行為の性質自身が非常にむずかしいものでございますので、これは問題が起きましたときに、その行為に対して自粛なり何なりを行なわすということで考えておるわけでございます。
○田中(武)委員 それじゃ、私は、あまりにも、法に対してそれを管理し、実施し、監督していくという点からいって、怠慢じゃなかろうかと思うのです。じゃ、第九条というのは、問題が起きたときに初めて取り上げるような規定なんですか。それは、小売商業調整特別措置法十五条との関係は、どうなりますか。問題が起きたときに取り上げるというのは、小売商業調整特別措置法の十五条にあったでしょう。
○佐橋政府委員 問題が起きた場合ばかりではございませんが、いわゆる影響を及ぼすおそれのある場合ということでございます。しかし、われわれが具体的に判断をいたします場合に、きわめて基準の立てにくい商業者の行なう行為でございますので、どこまでやったら、いわゆるサービス過剰、あるいは中小商業者に対して影響を与えるかというのは、これは営業方法というのは千差万別でございますので、事前に基準を立ててというような筋合いでは、ちょっと実際の運営がいたしかねる。結局何といいますか、特別な手だてで営業を行なうという場合には、事前にわれわれがそれを知り得れば、その及ぼす影響等も考えるし、あるいはそういうような行為を行なおうとすれば、事前に周辺の中小商業者等で問題を提起されますので、それを受けて判断をするという以外にちょっと手だてがないのじゃないか、こういうふうに考えておるわけであります。
○田中(武)委員 私は、それがおかしいというのです。九条というのは、そんな法律と違うでしょう。問題が起きてから受けて立つというのと違うでしょう。あなたが言うているのは、小売商業調整特別措置法ですね。ちょっと十五条を見てください。十五条は、そういう問題を小売り商業者から提起されたときに、紛争があった場合に受けて立つ法律なんですよ。九条はそうじゃないのです。百貨店法九条と小売商業調整特別措置法十五条とは、性格が違うのですが、それをあなたが同じように言っているから、間違いなんです。どうですか。
○佐橋政府委員 百貨店法九条と小売商業調整特別措置法の十五条とは、確かに違いますが、九条の場合も、小売り商のほうから問題が提起されることばかりではございませんで、役所が百貨店の営業行為を見ていて、これは九条に該当するかどうかということは、必ずしも小売り商の申し立てがなくとも運営はできるわけでございます。しかし、現実の問題としましては、われわれは役所の中に入っているわけでございまして、そうしょっちゅうぶらぶら歩いているわけでもございませんので、どこまでがおかしいか、いわゆる中小商業者に対して影響を及ぼすかということは、私は、従来は、周辺の小売り商があの百貨店の行為はおかしいとかいうことがあった場合にやるということを申し上げたわけでございます。
○田中(武)委員 一番最初も、いまも、そういう言い方をしたわけですね。行き過ぎであるかどうか、いわゆる九条の勧告を要するかどうかは、周辺の小売商等から問題が起きたときに受けて立つんだ、先ほどこういう答弁をされたでしょう。それが誤りだ、こう言うのです。やはりむずかしくても、法律があり、それを所管する局長ならば、ある程度のものさしはつくっておく必要があると思うのです。いままでなかったというなら、それは企業局がどうかしているのです。やはりものさしを持っておらなければならぬ。そのものさしがいまないということならば、そういうふうに検討してつくろうとしておるのか、それとも、いままでと同じようにつくらないでほうっておく、そうして問題が起きたときに取り上げていくというならば、小売商業調整特別措置法の十五条との違いはどうかということです。
○佐橋政府委員 百貨店法九条と小売商業調整特別措置法第十五条との関係は、先生おっしゃるとおりでございまして、中小商業からの異議あるいは苦情の申し立てを受けて九条を発動することでないことは、仰せのとおりでございます。ただ、中小商業者の事業活動に悪影響を及ぼす営業行為というのは、営業行為自体が、御承知のように、小売商も——百貨店を含んで、商業の営業行為というのは非常に複雑多岐でございまして、いわゆる基準らしい基準というのは、つくるのが非常に困難でございまして、この法に抽象的に書いてありますように、いわゆる商業の発展を阻害するとか、あるいは中小業者に対して悪影響を及ぼすというような行為と考えられるものについて勧告する。現在の段階では、いわゆる千差万別の営業行為に対して、ここまではいい、ここまでは悪い、この営業行為自体をいろいろと推測するということは、われわれ役人の頭ではなかなか困難でございますので、現在の段階では、これについて基準をつくろうということは考えておりません。
○田中(武)委員 それがおかしいのです。役人の頭で考えろとは言っていないんだ。この法律では、百貨店審議会があるのです。審議会の議を経て一つの基準をつくるべきなんです。いま私がこう言うたからあなたもそういうことになったと思うのですが、いまこの論議をする以前のあなたの考え方は、やはり百貨店法九条と小売商業調整特別措置法の第十五条を同じように考えておった。具体的にそういう問題が起きた場合に、どっちが先に動くのですか。具体的に、周辺の小売商から、あれはたいへんだ、われわれはあのためにやっていけないんだ、こういうことが起きた場合に、どっちを先に動かすのですか。九条が先なのか、小売商業調整特別措置法の第十五条が先に動くのですか。どっちですか。
○佐橋政府委員 実際の運営は、ただいま言われましたように、われわれとしては小売商の苦情を待たずとも動き得るのですが、現実の問題は、私は小売商の苦情があったときに動く場合が多いということを申し上げておるわけでございますが、九条と十五条の関係では、もちろん九条が先に動くべきものだ、こういうふうに考えております。
○田中(武)委員 ともかくむずかしいことはわかりますよ。それなら、やはり百貨店審議会に一ぺんかける、一ぺん相談するということはできませんか。
○佐橋政府委員 先生の御指摘でございますので、百貨店審議会にかけてもいいのですが、かけても、ただいま申しましたように、いわゆる商業者の営業行為というのは、ほんとうに千差万別で、いろいろの知恵を出されるわけでございまして、それについて、すぐここまできたら動き出せるというようなきわめて具体的な基準というものは、おそらくつくるのは不可能でございまして、きわめて抽象的な基準、そうすると、九条と似たり寄ったりのような基準しかできないのじゃないかということを懸念しておるものでございます。
○田中(武)委員 先ほど独禁法のことも出ておったが、独禁法で公正取引ということがある。そして今度不公正取引とは次のようなものだという告示第十一号が出ておる。それにしてもやはり抽象的なんだ。具体的なものさしといっても、それはつくりにくいと思うのですよ。しかし、法律によって公正取引ということばが出てきた。それに対して、不公正取引とは次のようなものをいうのだといって、十二号まである十一号告示をやっておると同じようなところまでは、一ぺんやっておく必要があると思う。法律が出てから七年間何にもやっていないということになれば、法律が空文化するじゃないか。それはむずかしいけれども、やはり大体の目安をつくっておく必要がある。そのための法律です。百貨店審議会の議を経るというようになっておるから、一ぺん相談してみる必要がある。いままでしていないということがおかしいんだ。
○佐橋政府委員 九条には「出張販売、顧客の送迎」という一つの事例をあげて、「その他」となっておりますが、その他の営業行為で中小商業者に悪影響を与え、あるいは商業の健全な発達にならないというようなものはまずどんなようなものであるかというようなところを事前にやっておくことは、一つの意味があると思いますが、ただいま言いましたように、きわめて抽象的で、これ自身を発動したことがないというのは、ただいままで説明しました総合割賦制のようなものは、まさにこの九条を背景にいたしまして、百貨店業界に自粛勧告をいたしておるわけでございまして、これが動いていないわけではございませんが、田中先生の御指摘もありましたので、一ぺん考えてみたいと思います。
○田中(武)委員 そこで、「その他」とはどういうことかということには、対決して敗れたのですが、社会党案に具体的に書いておるのですよ。そういうことを参考にして、一ぺん百貨店審議会で論議をしてもらいたい。要望しておきます。
○板川委員 先ほど局長は、過剰なサービスで小売商業者に影響を与える場合は問題だと言っておる。この過剰なサービスの一例をあげてみたいのですが、それは各デパートで新年早々初荷と称して、お客さんのほうに注文をしない白い絹地、これを一匹かそこそこ送ってよこす。その中に手紙が書いてあって、新年おめでとう、紅白の絹地をぜひということでお送りします、こういって、これをただで送ってくれるかなと思っていると、代金、運送賃がちゃんと請求書に入っておるのです。こういう習慣が実はずっとあるようなんで、一つのうちに二店、三店のデパートから品物が届く。これは返すことができないじゃないかなということがあって、従来、それをたいして必要ではないんだが買っておこうというようなことになっておる習慣があるようです。中の手紙に、もし不要なら返してくれということがあるならいいんだけれども、注文もしない品物を、お正月早々という気持を利用して押し売りするというのは、これは過剰サービスじゃないですか。注文しない品物を運賃、代金請求書を入れて送ってよこす、こういう販売のしかたがありますか、どうですか。
○佐橋政府委員 ただいま板川先生の御指摘の、いわゆる初荷と称して紅白の絹を上得意に送るという例は、(板川委員「上得意じゃないよ」と呼ぶ)これは百貨店にあるようでございます。ただいま板川先生は上得意じゃないと言われましたが、これは上得意でございます。われわれのところには送ってまいりません。これは百貨店で掛け買いをなさっておられる方、いわゆる現金買いでなくて帳面で買える方のところへ、戦前からそういうものを送るというのがありまして、これはいわゆる市販のお値段よりはおそらく二割方くらい安いのを送って、そして顧客に非常に喜ばれたという風習が現在でも残っておるようでございまして、現在では、この掛け買いの上得意に対して、予約をとってそれから送るというのが実情だそうでございますが、数回送ってそのまま受け入れていただいておる方には、予約をとらずに送るという事例もあるようでございます。この場合、もちろん不要であった場合には当然返品は可能であるというふうにわれわれは考えておりますが、これは古い百貨店の営業行為として、各百貨店で行なっておるようでございます。
○板川委員 私は別に上得意でもなかったが、二つのデパートから初めて——掛け買いをしておるのはずっと長いですけれども、しかし、初めて送られました。そこで、注文もしないものを送るという習慣は前からあるようでありますが、あちこち聞いてみると、返せないものと思って、幾つも幾つもうちにあるという。それは上得意とかなんとかいうていさいのいい名目を相手方に与えて、実は実質的には押し売りだと思うのです。もしそれが徳用品で安いものというならば、ある程度注文をとってどうかというなら、お得意さまのサービスとしてわからぬでもないが、やぶから棒に二つも三つも送られてきて、しかも運賃込みで注文もしないものがくるという売り方は、私は、デパートとして過剰サービスだ——過剰サービスより、商行為としてあまり芳しいことではないと思うのです。これは私は、ひとつよく取り締まってもらいたいと思うのです。注文したものを売るようにしてもらいたい。たいへん困っておるという人があちこちある。これはどういうふうに扱いますか。
○佐橋政府委員 ただいまの御指摘でございますが、予約もとらずに押しつけてくるというのは、これは商行為としてもちょっとおかしいと考えますので、今後予約を厳格にとって行なうというふうに話をつけさせたい、こう考えております。
○板川委員 それは実は、これが幾つもあってもしようがないし、一つは買ってやろうと、一つを返したところが、返したということに対してだいぶけしからぬというような向こうのデパートの態度なんです。そういうなら品物を買ってもらわなくてもいいですよ、こういう言い方をしておるデパートがあるので、この初荷と称するやつは、全く強制的な売り方をしているのじゃないかなと思うのです。それは不要であったら返してくれということは、案内状には一言もないし、お得意さまとかなんとか、ていさいのいい名目をつけて押し売りをしているのじゃないか。返したら、その引き取りについてだいぶ渋っておりまして、文句を言っておるというデパートがある。これは買う方としても、まことに不愉快な気持ちになっておると思うのです。ぜひひとつそれは取り締まってもらいたいと思います。その押し売りの問題とか、ポスターで割賦販売をじゃんじゃんやるとか、あるいは店外の販売場を設けて売るというような行為は、私は、百貨店の全体の売り方として、やはり将来中小企業、小売り商業者を圧迫してくることになると思うのです。いま、なるほどこれという問題が持ち上がっていないかもしれません。しかし、将来これが拡大されると、中小商業者を圧迫するということにもなるから、ひとつこの辺で、田中委員も要求されましたように、一つの基準を立てられて、小売り商業者に圧迫がいかないような指導をされることを要望したいと思うのですが、これに対して次官と局長から御返事を承りたい。
○廣瀬(正)政府委員 田中委員の御発言にお答え申し上げましたとおり、その問題につきましては、十分に検討いたしたいと思っております。
○板川委員 以上でけっこうであります。
○西村(力)委員 廣瀬次官に警告したいと思うのですが、ことしの二月、三月にかけて、私の市で、Kという会社の石油ストーブの事故から火事があった。事故というのは、け倒したとかなんとかじゃない、自然にストーブ自体から発火した、こういう事態が起きておるのです。この件については、通産省のほうで消防庁と連係して、JISマークをつける、それからその会社の前の不良品については、新聞広告をもって回収をはかった、こういうことになっておりますけれども、その所有者は、この新聞広告を見ていない。それで平気で使っておったら、そういう事故にあった、こういうことであります。 そこで一つは、こういう火災とか消防上の問題を含む通産省所管の製品、あるいは衛生的に問題のある通産省所管の製品、そういう場合には、一般的に役所のセクショナリズムを排して、十分な連係をして、あやまちなからしめるという方向を謙虚にとっていくことが必要じゃないか。とかくすると、これは所管の問題であるから、他の介入をあまり快しとしない、こういう事態が一般的にあるのじゃないか。この問題については、通産省と消防庁が協定を結んだそうですから、それはそれでけっこうですが、一般的にそういうぐあいにして、謙虚に国民のためを思うた行政のあり方をやってもらわなければいかぬじゃないか。 それから新聞広告をもって処置したからそれでよろしいというような官僚的なやり方は、ぼくはいけないじゃないかと思うのです。これは各販売店においては、K会社の旧型のストーブをどこそこに販売したということは、大体においてわかるだろうと思う。だから、それを回収するまでの努力をさせる。そして新品と取りかえるくらいの措置というものは、通産省の強力な指導があってしかるべきじゃなかったか。この火事を見まして、私はさように思っておるのです。出たあと始末でありますけれども、通産行政のあり方として、この点は、そういう指導性を持って十分にあなた方のほうで指導していただかなければいかぬじゃないか、こういうことを思っているのです。一つの火事なんかは、乾燥のために使っておって、そこから約十メートルくらいある自宅に帰って五分もたたぬうちに、そのストーブが燃えて火事になった。これはまことに危険なストーブじゃないかと思いますが、これはまだまだ一般民間に残存して使用さされておるのじゃないかと思われますので、この際、販売系統を通じて回収し、品物を取りかえるというようなことをやらせる必要があるのじゃないか。 それから、これはどうかと思うけれども、そういう火事にあったうちに対しては、その会社なり何なりが、一片の見舞いの微意を表されてしかるべきじゃないか。これは法的にどうこうという問題でも何でもないけれども、そんなことも考える。それは末梢的な問題ですが、とにかくそういうものは早く、日本国じゅうにあるとするならば、徹底的な回収をはかるということをやってもらいたい。一般的に通産行政において、衛生的に、あるいは消防上の問題とか、いろいろ関連のある問題については、オープンな立場でひとつやっていただきたい、かような警告的な要望というものを申し上げたいと思うわけなんです。お話がありましたら、承りたいと思います。
○廣瀬(正)政府委員 石油のストーブのJISマークの実施につきましては、ただいま御発言の中にありましたように、消防庁と十分話をいたしまして、何か協定を結んだように聞いておるのでありまして、そういうようなことで、関係の役所と十分連係をとりまして、遺憾なきを期してまいりたいと思っております。 なお、不用になりましたストーブの回収の問題につきまして具体的にお話がございましたが、それがどんなことになっておりますか、私つまびらかに存じておりませんので、十分調査いたしまして、十分注意してまいりたいと思います。
○田中(武)委員 時間があるようですから、少し質問したいと思います。その前に局長にちょっと資料を要求したいのですが、できるかできないかわかりませんが、できなければけっこうですが、全国の百貨店で発行している商品券、それが物で買われたのと、いわゆる未回収というか、買っていないものとの差があると思うのです。だから、百貨店協会あたりで調べたらいいんだと思うのだが、商品券を発行し、それが現物と引きかえられたのが幾ら、したがって、そうでない、いわゆる商品券として金は取ったが、現物とかえられていないというもの、それが一体幾らぐらいあるのか。それと、商品券と実際物とかえられたときの期間ですね。いわゆるどういうような資金の回転を示しておるかというようなことは、わかりますか。といいますのは、商品券というのですでに先に金を取っておいて、それが不用というか、使われずに百貨店のそのままの収入になるのは、相当あると思うのです。同時に金利の問題が出てくる。そういう点のわかる資料、こういうことを申し上げているのですが、できますか。
○佐橋政府委員 商品券の発行は、大蔵関係でございますが、私のほうでも、ただいま先生の御質問のうちで、商品券の発行高、現物化した量というものは、わかるようでございます。ただいまの、どのくらいの時期にどう回転しておるかということは、ちょっとわかりかねるようでありますが、前の二つの資料はあるようであります。
○田中(武)委員 回転のほうは、わかる範囲でけっこうです。何とかできれば、金利のほうとの関係があるから、聞きたいと思います。 次に、商品取引所の問題についてお伺いしたいと思うのですが、これはたまたま当委員会の繊維小委員会におきまして、参考人に来てもらっていろいろ意見を述べてもらったときに、いろいろ疑問に思ったので、お聞きするわけです。 まず最初に、商品取引所の存在の価値といいますか、存在の理由はどこにあるのですか。
○佐橋政府委員 商品取引所の機能といいますのは、いわゆる常設不断の市場を提供しておるということと、大量の取引が迅速確実に行なわれるということ、それから公正な相場が形成される、それから価格の平準化作用が行なわれる、五番目は、価格の変動に対するいわゆるヘッジ作用が行なわれるというのが、取引所の主たる任務といいますか、意義であろうと考えております。
○田中(武)委員 現在、商品取引所が、そういうような趣旨の上に立ってスムーズに行なわれていますか。
○佐橋政府委員 いわゆる時期的にはいろいろ問題がございますが、取引所の機能は十分に果たしておる、こういうように考えております。
○田中(武)委員 いま五点ばかり取引所の任務をあげられましたが、その任務を発揮するには、どういう経済状態の基礎が必要なんですか。
○佐橋政府委員 御承知のように、商品取引所は、全商品に行なわれておるのではなくて、特殊な商品について取引所にいわゆる上場されておるわけであります。その場合に、その取引所に上場されるものというのは、結局その商品自体がある程度の耐久性を持っておるということ、それからその取引の対象になるいわゆる量的な問題、これは大量に取引対象のものがあること、それから同時に、その商品が大体均一性があって、常時代替ができるということ、それからその商品の生産なりあるいは販売なりが多数によって扱われておって——一部分のものがいわゆる独占価格を形成し得るというような立場にあるような商品は、いわゆる商品取引所に上場する物資としては不適格なものだというふうに考えられておるわけでありまして、以上述べましたような性質の商品について取引所に上場されておるわけでございまして、そういう性質を備えた商品、それから同時に、その商品の生産、流通の過程が多数によって行なわれておるというようなことが、前提になるわけでございます。
○田中(武)委員 私が言っておるのは、そういうことではなくて、商品取引所というようなものが、いまあなたがおっしゃったような機能を発揮する前提としては、自由競争、自由な経済組織、こういうものが土台になっていなければならないと思うのです。いわゆる需要供給によって価格が形成せられる。アダム・スミスではないが、目に見えぬ糸によって価格が形成されるという観念の上に立つのですよ。そうじゃないですか。
○佐橋政府委員 取引所というのは、資本主義の一つの典型的な形でございまして、ただいま田中先生の御指摘のように、自由競争というのが前提に立つということは、当然でございます。
○田中(武)委員 きょうは、実は本番ではないのです。本番のときには、農林関係と繊維局長にも来てもらいたいのですが、繊維を一例にとれば、生産の段階においては、繊維工業設備臨時措置法等で統制というか、干渉を受けておる。あるいは自主調整といった、いわゆる自由なる競争がないわけです、生産の場において。ところが、価格の面においていま言ったようなことと、両立しますか。
○佐橋政府委員 現在、繊維等につきまして生産の調整等が行なわれておることは事実でございますが、これも、何といいますか、厳格に社会主義社会、全体主義社会のように、需要を測定して生産を調整しておるのではなくて、きわめて大まかな需給の想定に立ってやっておるわけでございまして、その生産段階だけでありまして、いわゆる流通、消費の段階においてはチェックをいたしておらないわけであります。だから、この商品取引所がいわゆる完全な形で行なわれるかどうかという点については、多少の疑問はございますが、現在の取引所は、現在の機能のもとにおいてはその効果を十分に発揮しておると、私は考えております。
○田中(武)委員 私は、それだったら、繊維工業設備臨時措置法の解釈にはならない。大まかにチェックしておると言うが、そうじゃなしに、繊維工業設備臨時措置法というものは、繊維工業の不況克服のために、あるいは自由化云々といううたい文句のもとに、やはり消費を想定して、これだけ余っておるからということでなにしておるのでしょう。あるいはそれ以上に業界が自主調整をやっておるのでしょう。繊維工業の歴史を見れば、自主調整の繰り返しと言ってもいいくらいです。生産の場において、そういった経済がある。しかし、それに立っての取引というのが、極端な議論かもわかりませんが、ほんとうの自由競争の自由経済の上に立っているというところに、矛盾はないのですか。ここに私は矛盾があると思うのですよ。したがって、政府の繊維行政の一貫性がない。こういうところを実は言いたいわけです。しかし、これは繊維局長等もおる場でやりたいと思います。これはあなた、ちょっと僕の言うことは矛盾していますか。一方において干渉経済を行ないながら——あえて統制経済とまでは言いませんが、それに似たようなことをやっておる。しかも法律によって強制しておって、一方において、全く自由競争によって、需要と供給によっていわゆる相場を立てて価格を安定させるということは、どんなもんでしょうか。
○佐橋政府委員 現在の資本主義体制においても、アダム・スミス流の完全な自由競争というのはどこにもないと、私は考えておるわけです。若干のいろいろの制約下における自由競争でございまして、その意味において、私は、現在の繊維設備制限のように、いわゆる恒常的に非常に過剰設備がある。結局、そういう恒常的な過剰設備のために繊維の相場というのがずっと下押しになるということに対して、政府がある程度のてこを入れるということは、取引所とは必ずしも矛盾してない、取引所自体の相場形成、あるいは現物の相場というものが、むしろ逆にそういったことへ反映をいたしまして、いわゆる設備の廃棄、あるいは若干の生産の規制ということが行なわれるのは、私は必ずしも矛盾ではない、こういうふうに考えております。
○田中(武)委員 その点では、まだ若干意見を異にいたします。だが、きょうは関係者もおりませんから、あとに譲りたいと思います。そこで商品取引所の機能と、いわゆる卸売り市場というか、現物の市場との違いはどうですか。
○佐橋政府委員 いわゆる商品取引所は、原則としまして——というのか、大体先物取引でございまして、現場の現物の取引と取引所の相場というものが、若干遊離するということはあり得ると思います。取引所自身が先物取引でございまして、ある期間にわたって価格の平準化作用を行なうというところに取引所の一つのねらいがあるわけでございまして、いわゆる現物の取引、その場での取引というのと、それから先を見越した取引というのは、いわゆる思惑も入り、その点に平準化作用が行なわれるわけでございますが、そういう意味で、多少遊離するということがあり得る、こういうふうにわれわれは考えております。
○田中(武)委員 まあそうだと思うのです。私は、取引所における市場ということは、観念市場だと思うのです。いまあなたのおっしゃったように、現物とは離れて、いわゆる将来を見越しての売買をやる。そこにきわめて投機的なものができる。ギャンブルとまでいかないとしても、そこに取引所の問題が出てくるのですが、そういう点についてはどう考えるのですか。
○佐橋政府委員 取引所に関係いたしておりますのは、大部分がいわゆる当事者と申しますか、メーカーであり、商社であり、消費者であるわけでございますが、そのほかに、いわゆる場違い、しろうと筋というのが入ってまいるわけであります。このしろうと筋が若干入ることによって、いろいろ相場が動きますが、これも一つの将来にわたっての価格の平準化作用というのが行なわれる仕組みになっておるわけでございます。大部分は現物の相場を基準にしまして、先行きのいわゆる需給の見通し、価格の上下関係というものを勘案して、売り買いをいたすわけでございます。現在高いものを買った場合には、すぐ売っておくというようなことが行なわれて、平準化作用が行なわれるわけでございまして、一つの投機の場であることは間違いありませんが、その投機自体が、いい意味において作用している、こういうふうにわれわれは考えておるわけであります。
○田中(武)委員 商品取引所法は、そういう観念でできておりますか。あなたはいましろうと筋が云々と言われたが、あれは会員制でしょう。一般市場との違いは、私は観念市場だと言ったが、違いのもう一つは、売買者が限定せられているというところが、一般市場と違うんですよ。仲買い人があって、いわゆる売買する者は限定せられると思う。いまあなたがおっしゃったように、実際はそうかもしれませんが、商品取引所法の概念は、そんな観念から出ていますか。
○佐橋政府委員 商品取引所は、先生の御指摘のように、会員制でございますが、仲買い人は売買をやるわけでございますが、その仲買い人自身は、いろいろな者から委託を受けて売り買いをいたすわけでございます。その場合に、仲買い人がしろうと筋から委託を受けて売り買いをするということは、取引所法は当然認めておるわけでございます。
○田中(武)委員 そこなんです。それが投機の場になる。そこが問題だと私は思うのですよ。いわゆる仲買い人でない者は、できないと思うのです。ところが、仲買い人が委託を受けてやるということは、法ではっきり認めていますか。 そこで、これは農林関係ですが、こういう広告をしている。「商品投資、小豆手亡、手軽にできる財産づくり、株よりかんたん誰れでもできる」というのが、日刊紙に出ている。神戸穀物商品取引所仲買人何々KK。こういうことが、厳格にいって許されておりますか。
○佐橋政府委員 先生の御指摘のように、そういう点で、確かに商品取引所は投機の場でございますが、現行取引所法は、仲買い人がしろうと筋から委託を受けて売買をするということは、当然認められております。たとえば商品取引所法第九十七条で「商品仲買人は、受託契約準則の定めるところにより、商品市場における売買取引の受託について、委託者から委託手数料を徴し、」云々と書いてございまして、仲買人は委託者から委託を受け得るという規定になっておりまして、法には委託をし得るものの資格は制限をいたしておりませんので、これは制限なくしろうと筋からでも委託を受け得る、こういうふうにわれわれは解釈して、現行ももちろんそのように行なわれております。
○田中(武)委員 受託契約準則というのがもとになるんですね。準則は、それぞれのその取引所の定款、あるいはその付属の規定によってつくられるんですか。
○佐橋政府委員 ただいま申しました九十七条の契約準則は、定款云々ではなくて、取引所が受託を受ける場合には、これこれの項目をきめろというようなことを指示いたしてつくらせておるわけでございます。法に基づいてつくらせておるわけでございます。
○田中(武)委員 そうすると、商品取引所を投機の場に、もっと言うならばギャンブルの場に使うということを、法律は許しておるということですね、
○佐橋政府委員 先生の御指摘で、投機の場、ギャンブルの場ということばはいかがかと思いますが、学識経験者あるいは有識者の間でも、このしろうと筋というものが入るということが好ましいということはいわれておりまして、しろうと筋が入るということをこの法律は拒否したものではないわけでございます。ただ、現実の通産省の所管物資につきましては、約三分の二は当事者でございまして、三分の一がいわゆる場違い、しろうと筋が参加をいたしております。
○田中(武)委員 取引所法の本質として、そういうことでいいんでしょうか。その理論を押し詰めていくならば、私は、やはりギャンブルの場と言ってもいいような気がするのです。同時に、ノミ行為ということがあり得るのじゃないのですか。
○佐橋政府委員 それは、しろうと筋の参加を法は成立のときから当然認めており、現行もそのとおり行なわれておりますが、いわゆる当事者だけの場合、たとえば毛等につきましては、毛紡績あるいは商社というような当事者だけの場合には、大体ものの考え方といいますか、あるいは相場の動向についても、同じような方向が出るわけでございまして、一般に弱気の場合には全部売りに向かってくるというようなことが行なわれまして、これはやはり場違いが入っておるということが、いわゆるいろいろの相場ができるわけでございまして、当初からしろうと筋の参加ということを法は容認しておったものだと考えております。
○田中(武)委員 先ほど言った受託契約準則というのは、法によって定められておるというが、そういう準則がありますか。あったら一つもらいたいのですがね。これはなるほど、私は、その委託売買のところに、会員から委託を受ける場合と一般から委託を受ける場合と、解釈上はあると思うのです。会員の委託と一般から受ける委託、それは解釈上ではあり得ると思うのです。しかし、その一般というやつを広げていくと、ちょっとおかしなことが出るのじゃないかと思うのですよ。この規定は、私は、委託ということがあるから一般のやつがあるということにはならないと思う。会員間の委託契約になっておる。だから、準則でどうなっているのか。なるほど、その委託には、会員相互間の委託行為と、それから同時に、一般からのやつもあり得ることは、解釈上出てまいります。しかし、売買契約を委託を受けてやるということになると、当然法律は禁止していますが、ノミ行為があり得るのです。その点については、どういうように監督しておられますか。
○佐橋政府委員 法律は、先生の御指摘でありますが、会員相互間の受託行為ばかりではなくて、一般の受託行為も容認しておると考えております。その場合のノミ行為云々につきましては、九十四条にノミ行為の禁止規定があるわけでございます。
○田中(武)委員 ところが、あなたの言っている理論を進めていくと、ノミ行為は禁止しているけれども、それができるようなことを容認しているということなんです。法律には、ノミ行為禁止規定はありますよ。あるけれども、準則にのっとってやる限りかまわないのだ、こういうことになると、ちょっと理屈が合わぬことになりませんかな。そうすると、あなたの言っているのは、たとえば一般から資金を募る、こういう広告も合法だと思うのです。
○佐橋政府委員 いわゆる一般会員から委託を受けて取引所の仲買人が玉の売買をいたします場合に、ノミ行為が行なわれるということはあり得るので、法自体としてはノミ行為を禁止しておるわけであります。いわゆる受託準則というのは、受託の条件、それから受け渡しその他の決済の方法だとかいうようなことをきめさせておるわけでございまして、いわゆるから売り、から買いというようなことをなるべく法は押えますが、ノミ行為というものは法律で禁止をされておるわけでございまして、こういう条項で取引所というものは運用をされておるわけでございます。
○田中(武)委員 なるほど、法の解釈では一般のやつはとめていない、禁止していないと解釈できる。しかし、実際の場において取引できるのは仲買人だけだ、こういう法の精神、すなわち観念市場としての取引所は、売買できるものを限定しておるという、これが一つの要件なんです。ところが、それが一般から、しかも広告を出して、こういうようなことをやってやることまでも容認をするということになれば、やはり法は禁止していないとしても、取引所法の存在の価値というか、存在の理由に反する、こう思うのですが、どうですか。
○佐橋政府委員 取引所法で、売買の対象といいますか、当事者は、仲買人でございますが、仲買人が、とにかくいわゆる業者、あるいはメーカー、あるいは商社の委託を受けて売り買いする、あるいはまた一般のしろうと筋から委託を受けて売ったり買ったりするということは、取引所本来の機能としていささかもおかしくはなくて、法の精神に違背するものだとは私は考えておらないわけであります。これは売買を、仲買人が物を持っておるわけでございませんし、これは相当な金が動くわけでございますので、いわゆる委託者の依頼なしにやるということには、相当問題がある。それから同時に、かりにから売り、から買いをやる場合でも、から売りをすれば、当然現実にこれだけのものを受け渡ししなければなりませんので、から売りをすれば当然から買いをしなければならぬということで、いわゆる価格の平準化作用が行なわれるわけでございまして、この法自体の精神からいっても、場違い筋が入ってくるということは、決して拒否しておらない。現実にもそれを認めておりますし、それがしろうと筋が不必要な好奇心、投機心をそそるような広告をするというようなことはいかがかと思いますが、これは法が禁止しておることではない、私はこのように考えております。
○田中(武)委員 取引所法の目的の第一条から、あなたのおっしゃるような無制限にしろうと筋を歓迎するというのは、出てきますか。これはやはり関係者においてやるべきじゃないですか。仲買人というのは会員であって、それを通じてやるので、法は禁止していない。なるほど、九十七条の受託行為の中には禁止していないと思います。しかし、そういう広告をしたり、投機心をあおるというのは、商品取引の概念からはずれてくるのではないか。 ここであなたと二つの見解の違いが出てまいりました。第一点は、たとえば繊維において、取引所法というようなものは、あくまでも自由競争、自由経済がたてまえである。ところが、商品取引の場においてはそうでありながら、片や生産の場においては、干渉経済であり、あるいは統制経済にいまなっておるということで、両立するかどうかということが一点。それから取引所法の精神からいって、しろうと筋を歓迎するというような考え方、これが許されるかどうかというのが第二点。この問題を一つお預けしておきまして、今後もっと役者をそろえてもらってやりたいと思っておりますので、きょうはこの程度にしておきます。
○逢澤委員長 次会は、来たる十四日火曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時一分散会