社会労働委員会麻薬対策小委員会 第1号
- 発言数
- 48 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/02/05
会議録
○柳谷小委員長代理 それではこれより会議を開きます。 麻薬対策に関する件につきまして調査を進めます。 この際、関係各省庁より麻薬対策に関してそれぞれ説明を聴取いたします。牛丸厚生省薬務局長。
○牛丸政府委員 三十八年度の厚生省関係の麻薬対策費の予算案につきまして、御説明申し上げます。 お手元に差し上げました資料に従って御説明申し上げますと、第一は麻薬取り締まりの強化に関する経費でございまして、その内容は、捜査用の器具機材の整備費、それから取締活動費、取締旅費、取締官事務所施設の整備費等がその内訳になっておりまして、その金額は総額二億九百五十八万八千円で、前年度千五百九十七万四千円に比しまして大幅の増額になっておりますが、捜査用の器具整備費が六千四百万円でございます。それから取締活動費が千二百五十三万円。旅費が一千八十七万円。取締官事務所の施設整備費は、各事務所の改築費用と車庫、宿泊施設等の新設を含んでおりまして、一億二千百八十万円の内容になっております。 次の麻薬中毒者の対策といたしましては、国立の麻薬中毒者収容施設費が二カ所、百床ずつ合計二百床。これは東京周辺の関東地区と関西地区一カ所というふうに現在予定しておるわけでございまして、その経費が一億百二十万円。次は麻薬中毒者収容施設の整備費補助金でございまして、これも同じく二カ所、百床ずつの二百床になっておりますが、これは都道府県が設置いたします麻薬中毒者の収容施設に対する整備費の二分の一補助というふうに考えておるわけでございます。次は麻薬中毒者の入所措置費補助金でございまして、六千八百万円程度であります。これはちょうど精神衛生法なりその他と同様に、麻薬中毒者の強制収容を都道府県知事の命令によっていたしまして、収容の期間は最長六カ月以内ということになっておるわけでございますが、その入院に要する費用は全額公費負担で、その十分の八を国が補助する。補助率十分の八とここに書いてありますのはそういう意味でございます。あと十分の二を都道府県が負担する、そういう考えで、これはいずれも法律に今度改正のときに考慮いたす点でございますが、予算の内容はそういうふうになっておるわけでございます。 そのほか啓発指導として、麻薬禍撲滅啓発宣伝費が約一千万円。それから麻薬対策推進費が五百七十二万円で、これは推進のための会その他の費用でございます。そういう主要の都道府県にいろいろな各関係の学識経験者なり団体からなっております推進の会というふうなもの、それから麻薬中毒者相談員に対する経費等がこの中に含まれているわけでございます。その他一億九千万円というのは取締官事務所八カ所の職員の費用等がおもな内容でございます。 その計は六億三千二百四十五万五千円で、前年度の一億六千三百九十七万八千円に対しまして約四倍の増額となっておるわけでございます。 そのほかに、本省におきましては現在薬務局に麻薬課というものがございまして、麻薬の総合的な行政を担当しておるわけでございますが、その麻薬課の定員を二名増員いたしまして、そうして麻薬第一課、麻薬第二課というふうに一課を新設して事務の分掌をしていきたいというのが、その次の費目であります。そのほかに、麻薬取締官は現員百五十三名を全国八地方の取締官事務所に配置しておるわけでございますが、それに対しまして情報官と鑑定官——麻薬の鑑定をする官でありますが、そういうものを十三名増員をいたします。それから麻薬取締員といいますのは、これは各都道府県に数名の者が配置されて、総員で現員が百名でございますが、これを十八名増員いたしまして、主として麻薬の濃厚な地区の府県に増員の配置を考えておるわけでございます。 そのほか、国際会議の会議費として一百万円ございます。 厚生省関係の麻薬に関連する予算の内容は以上の通りでございます。
○柳谷小委員長代理 次に法務省。
○荻野説明員 三十八年度予算といたしまして、ただいま要求中の事項と金額について、ごく概略を申し上げたいと思います。 第一は検察庁関係の麻薬検察の充実強化に要する経費でございます。これが四千百五十二万四千円という要求額になっております。会議費でございますとか、麻薬調査票、資料作成費でございます。さらにこの中で特に申し上げたいのは、麻薬係検事三名、事務官六名の増員、これが三十八年度の予算としてただいま要求しておる分のおもだったものでございます。 そのほか、麻薬犯罪対策の研究の費用といたしまして、法務総合研究所に二百二十七万四千円という予算を要求しております。 もう一つおもな項目といたしましては、麻薬中毒者の対策強化の関係の経費でございます。主として施設関係、これは刑務所あるいは拘置所等のそれぞれの保護房、医療室等の増築または模様がえ等の経費でございまして、四千三百二十六万一千円。そのほか、刑務所の収容しております麻薬中毒者の治療関係の施設備品費といたしまして二千四百六十九万七千円、こういう要求額になっております。 総額にいたしまして一億一千三百二十九万八千円でございまして、前年度と比較いたしますと四千八百九十六万五千円増となっておる次第でございます。 ごく概略を申し上げました。
○柳谷小委員長代理 次は海上保安庁。
○樋野説明員 海上保安庁では、麻薬及び一般の治安関係予算といたしまして三千百万円で、三十七年度に対して五百万円の増でございます。以上でございます。
○柳谷小委員長代理 次は警察庁。
○野田政府委員 三十八年度の警察庁関係の予算概要を申し上げます。 三十八年度分として認められました警察庁における麻薬関係の予算は、総額一億九千八十一万円でございまして、三十七年度の麻薬関係予算五千四十六万七千円に比べますと、一億四千三十四万三千円の増でございます。 この内訳を概略申し上げますと、麻薬犯罪の取り締まり体制の整備の面で千七百十万四千円、これは地方警察官の増員の五百人と国家公務員の増員十人の分でございます。 第二に、麻薬犯罪の取り締まり活動経費におきまして一億五千九百八十五万七千円でございまして、この点は先ほど申し上げました昨年度三十七年度の五千四十六万七千円に相当する金額でございますが、三十七年度に比べまして取り締まり活動の経費において一億九百三十九万円の増でございます。 第三は、麻薬犯罪の捜査用の機材の経費として、これが千二百六十三万三千円でございまして、これは三十七年度予算にはなかったものでございます。捜査装備品として、携帯用録音機とその他のカメラ並びに携帯用の小型無線機等でございます。
○柳谷小委員長代理 なお、もし各省でこれに伴って新しい法案なりあるいは法の改正をしようとしておりましたら、その概要を御説明願えませんか。厚生省から……。
○牛丸政府委員 お手元に資料を差し上げてあると思いますが、麻薬取締法、その他関係の法案といたしましてあへん法と大麻取締法という、麻薬関係の三つの法律がございますが、今度の国会で御審議をわずらわしたいと思いますのは、主として麻薬取締法の一部を改正する法律として考えております。その内容は、従来麻薬中毒者に対する対策が法律上明確にされておりませんでしたので、麻薬中毒者に対する入院の措置、それに対するいろいろな法律関係を中心に法律の一部改正をやっていきたい、もう一点は罰則の強化という点で法律の改正をお願いしたい、大きな点は二点でございますが、その詳細にわたりましてはここで一応この法律案要綱の案といたしまして、まだ正式に決定を見ておりませんが、大体の内容はこの要綱案のところに書いておりますようなものでございます。 簡単にその大綱を御説明申し上げますと、第一は改正の趣旨でございますが、第二、改正の要点といたしまして、そのうちの第一は、「正規麻薬の取扱い及び監督に関する事項」といたしまして、「麻薬取扱者の相対的欠格事由を拡大し、覚せい剤中毒者等には免許を与えない」これは麻薬の取り扱い者は免許の場合にいろいろな要件がございますが、大体薬事法における薬局その他一般販売業等の許可の場合と趣旨を同じくして、「覚せい剤中毒者等には免許を与えないことができることとする」というふうにしていきたい。 第二点は、麻薬取締官の定数を、これは先ほど予算の説明で申し上げましたように、取締官の増員を見ましたので、それに応じて取締官及び取締員の定員の増を規定しております。 第三点は、「麻薬に関する犯罪鑑識を行なう国又は都道府県の機関であって厚生大臣の定める機関に勤務する職員は、当該機関に厚生大臣の交付する鑑定用麻薬を所持し、使用することができることとすること。」これは業務上正当な行為として、麻薬取締法によって禁止されております麻薬の所持、使用というものをここで合法化していくという趣旨でございます。 改正の第二点は、麻薬中毒者の入院措置に関する事項でございます。まず厚生大臣が、麻薬の中毒者の治療施設として、専門の治療機関を指定する。そういう指定の病院に、あとで出てきます都道府県知事の命令によって、一定の麻薬中毒者を強制的に入院させるというような考え方でございます。 第二の厚生大臣の指定による麻薬中毒者の鑑定医制度を設ける、これは麻薬中毒者というものを、具体的にはたして麻薬の中毒であるか、またその中毒の度合いはどの程度であるかということを、専門の先生をお願いして鑑定をする、そういう専門の鑑定の制度を設けていくというのが第二点であります。 第三点は麻薬取締官、取締員及び警察官等、そういう関係の官吏が、麻薬中毒者について都道府県知事に通報をする義務を付加する。 都道府県知事は、麻薬の中毒鑑定医の鑑定によりまして、入院を必要とすると診断された麻薬中毒者を、治療のために必要な期間、麻薬の中毒者治療施設に入院させる権限を与える。 その次は、三十日をこえる場合には、都道府県知事の入院措置は、あらかじめその理由及び必要を認める入院期間について、麻薬中毒者医療審査会、これは法律または麻薬中毒の医療に関して、学識経験のある者によって構成された審査会の機関でございますが、そういう機関の審査を受けて、当該入院措置が適当である旨の決定に基づいて、都道府県知事が入院の措置を行なう。これは少なくとも中毒者は社会に害を及ぼすとはいえ、身分を拘束する人権の侵害にもなる行為でございますので、慎重にこの問題を判断して、そして公平を期するという趣旨において、鑑定医の意見をまず土台にし、それにこういう中毒者の医療審査会というものの意見も聞いて、その決定によって都道府県知事が一定の期間身分を拘束する、強制入院の命令を出すというような考えでございます。 その入院をしている中毒者については、メサドンとかサロルフィン等の一定の麻薬を治療のために使うことはできるようにする、いわゆる漸減療法でございます。 それから次は、そういうふうに厚生大臣から指定をされました麻薬中毒者の治療施設の長は、措置入院している麻薬中毒者の行動を制限する、あるいは所持品の検査等についての必要な規制を行なうことができるようにしていきたい。 都道府県は、麻薬中毒者の相談員を置くことができる。これは入院前並びに入院後の麻薬中毒者に対する相談事務をする職員でございまして、そういうようなものを都道府県が置く。 次は都道府県は、麻薬中毒者の鑑定、措置入院、麻薬中毒者相談員、麻薬中毒者医療審査会に要する費用、これは経費の負担でございます。 国は、そういう都道府県の支弁する経費に対して、措置入院については、先ほど説明しましたように十分の八を負担する。 また相談員に要する費用と都道府県が設置します麻薬中毒者の治療施設の設置に要する経費の十分の五を補助することができるようにするというのが、その主たる内容でございます。 その次は罰則の強化に関することでございますが、その第一は、麻薬取締法罰則の最高、これはヘロインの密輸入等でございますが、「一年以上十年以下及び五十万円以下の罰金」という現行法を、「無期若しくは三年以上の懲役及び五百万円以下の罰金」に改め、それに応じまして、その他の罰則の引き上げを行なうとともに、麻薬の不正取引に要する資金とか、建物の提供、それから麻薬不正取引の周旋をした、そういう者に対しては、従来は共犯等によって処罰されておるわけでありますが、これを独立罪として新設をして罰するようにする。 麻薬取締法の罰則の強化に応じまして、関連の法律でございます大麻取締法及びあへん法についても、その罰則の強化をはかるというのがおもな内容でございます。 その他につきましては、施行を来年度初め、四月一日からしていく。以上の麻薬取締法の法律改正及び大麻、あへん法の取り締まりの改正に関連して、精神衛生法と、厚生省設置法等の所要の改正を行なう。それから麻薬中毒鑑定医の診断の方法、基準等に関する厚生大臣の諮問は、精神衛生審議会に対して行なうこととする。これは経過的な規定でございます。 そういうものを内容といたしまして、現在麻薬取締法等の一部改正の法案を準備いたしまして、内閣の提出として御審議をお願いしたいと思うわけでございます。簡単でございますが以上御説明申し上げます。
○柳谷委員長代理 法務省、何かございませんか。
○荻野説明員 ただいま薬務局長から御説明いたしました程度でございます。
○樋野説明員 ございません。
○野田政府委員 警察庁関係は、先ほど御説明いたしました麻薬関係の定員十名を増員いたしますので、国家行政組織法の定員を改正するという意味で、警察法の一部の改正をいたします。ただ、定員十名ふえるわけですが、この法律改正では九名となっておりますが、この定員増員と別に、本年十月以降におきまして、バンコックに駐在官を外務省として警察官一人を出向させるということになりますので、その移しかえもございますので、定員は警察法の改正におきまして、九名の増員というふうになります。以上でございます。
○柳谷小委員長代理 御質疑はございませんか。——小林君。
○小林(進)小委員 これは大蔵省の方ではずいぶん思い切って出したことでしょうが、われわれの方に言わせれば、こんなわずかな予算では抜本的な麻薬対策はできぬと思っている。予算関係は別として、一つお聞きしたいことは、これは委員会でも正式にお尋ねしますけれども、今度の罰則は、最高無期もしくは三年以上の懲役及び五百万円以下の罰金となっておりますが、要綱をおつくりになるまでには、法務省、厚生省、特に外務省を通じて、条約とか外国立法なんかも参考にされてやられたことだと思うのでありますけれども、率直に言って、五百万円以下の罰金なんて少な過ぎると思うのです。麻薬犯罪などというものは、何しろ膨大な金を扱うのですから、現物はもちろん没収になるのでしょうが、隠し財産もあるし、私は五百万円以下の罰金なんということは、今日この時勢にあんまり少な過ぎる。刑罰も、法務省なんかに言わせるならば、他の犯罪との均衡がありますから、殺人罪だって最高は死刑になるとしても、最低は三年以上の有期懲役で、他の犯罪との均衡上もいろいろお考えになってやったことだと思うのですが、これではまだ軽過ぎると私は思う。たとえていえば、もしどうしてもこれが他の強盗殺人のように死刑まで持っていけないとせられるならば、私も詳しく知ったわけではないのですけれども、アメリカのように未成年者に麻薬を中毒させたとか、吸引させたとかいう者は死刑にするとか、そういう特殊な規定があるわけです。そういうふうに同じ麻薬の犯罪でも、被害者といいますか、被害法益によっては死刑もあるというふうな規定にできないものかどうかです。 それから罰金刑の五百万というのは少な過ぎる。少なくとも一億くらい持ってこなければ、一商売したとすれば五千万円や一億くらいはすぐもうかるのに、五百万円なんというのは、根本的に麻薬を取り締まろうとする国の体制から見て、どうも少しみみっちいのじゃないかと思うのでありますが、これはまた委員会でお尋ねするとしても、こういうような刑罰を各省の間で話し合いできめられるまでの経緯を少しお知らせ願いたいと思うのです。これでいいとせられるならば……。
○荻野説明員 ただいま御質問のございました罰則の引き上げ、ことに罰金刑の問題でございますが、私どもも厚生省の方から御協議を受けまして、諸外国の法制、また実際例等を調査いたしました。御指摘のございましたアメリカのルイジアナ州では、お話のように未成年者に対しまして販売した者は死刑にするという条文もございます。しかしながら無期懲役という刑は相当思い切った刑でございまして、ほかのたとえばイギリスでございますとか、フランス、ドイツ、アラブ連合、香港、この辺の刑と比べますと非常に重いわけでございます。 また罰金刑の点でございますが、これは常習ということを私ども今度の考え方からはずしておりまして、営利ということでしぼろうというような構想であります。従いまして事実が二つ、三つございますと、それが併合罪の関係で加重されるわけでございます。 それからもう一つ、刑法の条文に、もし罰金を納めませんでしたときには、労役場留置の規定があるのでございますが、これが最高二年というふうにきめられておるのでございます。かりに五百万円の罰金といたしましても、かりに二年間やるといたしますと、一日で八千円とか九千円の割合で勤めるというのもおかしな格好になるわけでございます。現在の法制といたしましては、五百万円の罰金というのは一番高い罰金であろう、かように思っておるわけでございます。千万円とか一億円にいたしましても、納めませんでしたとき、裁判所は一日五十万円に換算して労役場に服させるとか、とんでもないおかしなことになるのではないか、こういう点もあるわけでございます。私どもとしては、幾つかの事実がございましたならば罰金刑は併合罪になる、五百万円が二つあれば千万円、それから譲渡の場合でございましても、三百万円以上ということになりますと、これも三つ、四つ重なれば合わせていかなければならない、そういう考え方を一応持っておるわけでございます。
○小林(進)小委員 そうすると最低三年ということになりますと、執行猶予になる可能性があるわけですね。どうですか。放火は四年以上、執行猶予はありませんね。麻薬犯罪はうまくやれば執行猶予の恩典にも浴せる、こういうわけだ。私はその三年が気にいらぬ。麻薬を吸えばもはや懲役にいく、執行猶予にはならぬ、放火よりもっと重いぞという考え方だ、麻薬の犯罪に対するとり方ですよ。だからそういう意味において、あなたは今度は無期懲役だと言われる。これは政治犯と同じように扱って、いわゆる天皇陛下——縁起が悪い話だけれども、おなくなりになったから減刑だ、恩赦だ、そういう恩赦のときはどうなるのですか。無期懲役だといっても、大赦、恩赦は普通の政治犯のようにあるのですか。こんなやつはいかなることがあろうとも、恩赦にも浴せない、特赦にも浴せない。そうして最低の方も執行猶予の恩典にならぬ。必ず四年以上だというくらいに私は持っていきたいと思っているのだけれども、三年にされた理由は何ですか。放火より軽い理由というのはどうですか。
○荻野説明員 これは放火の場合でございましても五年以上だと思います。五年以上の場合でございましても、これは酌量減軽いたしまして二年半ということがあり得るわけです。やろうと思えば執行猶予できるのでございますが、しかし裁判所の方も三年以上という刑でございますと、これはめったなことでないと執行猶予はおつけにならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。
○小林(進)小委員 だからその意味においてやはり三年以上にしなさい。三年はやはり執行猶予の恩典に浴する可能性はありますよ。
○河野(正)小委員 考え方として、小林先生からお話がありましたけれども、金で解決するという考え方がよろしくない、これが小林先生の言われる本旨だろうと思いますし、私もそう思う。たとえば麻薬中毒者の場合でも、今度の法律では漸減療法ができるようになりますけれども、漸減療法ということがいいか悪いかということは、学者の問では異論があると思う。私は漸減療法は反対だ。それですから、中毒者の治療に対してもそういう強い意見がある、そういうことの方が今後防止する意味においては非常に効果があるという考え方が、学者の中でもあるわけです。それですから、そういう犯罪というものは営利を中心としてやられるわけです。だから金で解決する、罰金で済むという考え方はよろしくない、小林先生もそういう点を指摘されたと思うのです。そういう意味で懲役の多い少ないは法律の方にまかせますけれども、ただ犯罪を起こした場合に金で済むのだ、こういう思想は、せっかくここでわれわれが意気込んで、何とかして麻薬の撲滅をはかっていきたいという私どもの意気込みの前には、いささかすっきりせぬものがある、こういうふうに私は考えておるのですが、どうですか。
○荻野説明員 現行の麻薬取締法で参りますと、場合によりまして罰金が選択刑になっておりまして、罰金だけで済むということがあったわけでございます。ところが、今度の改正についての私どもの構想といたしましては、罰金ははずしてしまいました。罰金に処するのは、これは併科するわけです。懲役ばかりでなしに、懲役にプラスでございます。今までは「または」というくらいでございましたが、そういう考え方でございます。
○河野(正)小委員 もう一つ、これはもう啓発運動というのが着々行なわれておりますから、急を要すると思いますので、この際意見を申し上げておきたいと思うのですが、この麻薬禍の撲滅に対して非常に積極的に御啓蒙を願っておるようでけっこうですけれども、最近私どもがいろいろ仄聞するところによりますと、今の啓蒙の仕方についていろいろ問題があるというふうに聞くわけです。 〔柳谷小委員長代理退席、小委員長着席〕 というのは、たとえば写真とか、中毒患者の女のヌード写真みたいなものが出ていますね。これが公にやられておる啓蒙宣伝の中で出ておる。そういうふうな、撲滅というよりも、多少エロ、グロがかったような啓蒙宣伝が非常に積極的に行なわれておる。これがかえってああいう社会では魅力になっておる。そういう啓蒙宣伝についても、おやりになるのはおやりになってけっこうですけれども、もう少し考えたらどうかという意見がかなり識者の問には強いのです。ですから、これはいずれまた別の機会にいろいろ意見を申し上げますけれども、すでにやっておることですから、そういう点についていろいろ世間の識者の中でかなり強い批判がありますから、そういう点は少し尊重されて今後の啓蒙宣伝等にお当たりになった方がよろしいのではないか、こういうふうに思いますので、一言意見だけ申し上げておきます。
○牛丸政府委員 ただいまの河野委員の御意見、私どもも同感でございまして、たとえばテレビ等のいろいろなドラマの放送等におきましても、ややもすればそういうふうな傾向も見受けられますので、民放等にも私どもの方から要請いたしまして、もっと適正な麻薬の広報、特に麻薬中毒なり麻薬のおそろしさということから、そういうものに対して国民が正当に認識をしていただいて、そうしてそれを使用しないようにするという点に重点を置いて、広報をやっていただくようにお願いをしておるわけでありますが、なお現実に行なわれておりますいろいろな雑誌等においてもそういうことがあるかと思いますので、その点は十分私どもの方も注意をいたしまして、善処していきたいと思います。
○小林(進)小委員 それからもう一つ、この法案に出ておる中毒患者の処置の仕方なんですけれども、これは主体はみんな県知事ですね。麻薬取締官は厚生省で掌握しておいでになるだろうけれども、取締員は県に配属になっておる。これは今度少しふえまして、百名から百二十名にふえました。しかし中毒患者を調べても、それを県知事に通報をして、県知事がその処置をして入院せしめる。こういう設備なんか県の方で、国はうしろに引っ込んで、補助金を二分の一くれたり四分の一くれたりする。金の面と人の面だけは国が持っておるが、あとの運営その他の処置は県知事にやらせる、こういう建前なんですね。それは事実上その方がいいのですか。国が全国一律に直接やるわけにはいかないのですか、どうですか。
○牛丸政府委員 これは厚生行政の基本的な問題と関連があるわけでございますが、要するに麻薬の取り締まりということは、これは国が中心になって、警察なり麻薬取締官なり、その他関係の行政庁でもやっておるわけでございます。しかし中毒者となりますと、そういう取り締まりと密接な関係はあるわけでございますが、そういう中毒者の居住する住民の福祉というような観点で、原則として都道府県知事の府県の任務としてやりたい。それに対して、こういう問題でありますから、国も大幅な責任を分担する。しかし、現在の都道府県という行政機構を一つの中核としてやるというのは、たとえば精神病に対する問題、あるいは結核その他に対しても、すべてがそういうシステムになっておりますので、そういうシステムをとりたいというふうに考えております。
○中野小委員長 ちょっと私の方から二、三、野田保安局長にお尋ねしておきたいのですが、今度警察官の増員が五百名ありましたが、その配置あるいは施策等についてお伺いしたい。 もう一つ、ついでのことですから、先日コロンボ計画でおやりになりました各国から集まった麻薬取締官のゼミナール、あれは大へん好評であったのですが、その後どういうような反響があり、どういうような効果があったか、一つあわせてお聞かせ願いたい。
○野田政府委員 麻薬関係の国家公務員の警察官につきましては十名でございますが、そのうち四名を警察庁の保安課に増員しまして、あとの六名はこれを二名ずつ三つに分けまして、関東管区警察局と近畿管区警察局及び九州管区警察局、この三つの管区警察局に配置することになっております。 なお、県の五百人の増員の分につきましては、主として警視庁、神奈川、大阪、兵庫、福岡、この五つの麻薬犯罪の非常に多発しております府県、これが大部分でございますが、そのほかにこれに準ずる十の府県に重点的に配置するという計画になっております。 先般実施いたしました東南アジアの各国の麻薬取り締まりの警察官等を招待いたしましたセミナーにつきましては、十一月の十日から十二月の二十日まで約四十日間実施いたしまして、この間に各国から麻薬取り締まりにつきましての法制、あるいは取り締まり機構、あるいは麻薬事情等を十分に討議、研究をいたしますと同時に、麻薬犯罪に対する捜査、麻薬鑑識等の技術面におきましても、いろいろと研究をいたしたわけでございます。まだこの成果というのは、具体的にはっきりどうという形ではございませんが、この参加者の一同が口をそろえて申しておりましたことは、麻薬の国際的な捜査の協力体制をつくることが非常に重要であるということを痛感した。従って、この麻薬セミナーの効果は、今後の一年、二年という間における各国の麻薬捜査の協力、援助の実態によって現われるものだということを確信しているのだということを、フィリピンの代表、あるいはマラヤの代表、シンガポール、香港の代表等が、口をそろえて言っておりまして、こういう意味では麻薬取り締まりについて、東南アジア各国とわが国との間に一つの非常に近親感が強まった。そういう土台の上に、今後の国際的な麻薬捜査の協力体制のまず最初のいい基礎が築かれた、こういうことは言えると思うのでございます。その後、香港から麻薬についての犯罪情報等も、前よりも非常に来やすくなったようでございまして、先日も領事館を通じてバゴット麻薬課長から、麻薬に関する情報が非常に親切な形で届いておりますが、おそらくこういう形の協力というものは、従来よりも非常に円滑にいくのじゃないかというふうに考えております。 なお、本年、三十八年度におきましても、引き続きまして第二回の麻薬セミナーをことしの秋にまた四十日間くらいにわたりまして実施する予定でございまして、この点は外務省及び海外技術協力事業団の方と打ち合わせ済みでございます。
○中野小委員 その節、話題に上りましたか。たとえば日米間においては、日本で犯罪を犯した者が米国へ行っておる場合に逮捕することができるという協定があるのですが、先日もその点がだいぶ話題に上ったのですか。たとえば香港で犯罪を犯した麻薬犯罪者が日本に来た場合、日本で逮捕して向こうへ引き渡すとか、あるいは日本で犯罪を犯して逃げた麻薬犯罪者を向こうで逮捕して日本へ引き渡すというような、お互いに約束の取りかわしをしようというような意見がかなり強く出たのですか、この点はどうなりましたか。
○野田政府委員 犯罪捜査が外国人に及ぶというのは、非常に限られておるわけでございますが、いわゆる犯罪者の引き渡しという問題は、警察だけの申し合わせではできない国際的な問題ではないかと思います。従って、犯罪者の引き渡しについては、やはり国際的な条約等の締結が必要ではなかろうか。今の段階では、情報の交換なり捜査協力ということはできますけれども、逮捕をして引き渡すということは、現在の段階ではむずかしいのではないかと思います。そういう面で外務省の条約局の方にこの問題の研究をお願いしてございますが、今のところでは、この点はまだ解決していないわけであります。
○中野小委員長 薬務局長にお尋ねするのですが、今度の麻薬条約をいよいよ調印した後、批准するのですが、これは麻薬犯罪者を取り扱う上において一番大事なことだと思うのです。特にこれは日本で麻薬なんか製造していないのだし、国際的犯罪なんですから、従って外国へ逃亡してしまえばそれでよしということになったのでは、これはどこの国も迷惑すると思うのです。従って、麻薬条約を批准するにあたっては、そういうような点についてのいろいろな国際的協約を結んで、そうしてこちらで犯罪を犯した者が外国へ逃亡した、そういうような場合においては逮捕して引き渡すというような話題は出なかったのか、あるいは将来どういうふうにするつもりなのか、この点がどうも放任されておれば、ざるの目のように水が漏ってしまうのですが、どういうお考えであるのか、この機会に、当時の状況から将来どうするかということを明らかにしておいてもらいたいと思うのです。
○牛丸政府委員 昨年、国際麻薬会議におきまして討議になりましたいわゆる単一条約の内容でありますが、これは従来ございました八つの条約のいわば集大成という内容が主でございまして、麻薬の不正取り引きに関する条項の中で、お互いに情報を交換するなり、あるいは危険薬品としての麻薬の国内法規の整備というようなことは、条約の内容として規定されておるわけでございます。 〔小委員長退席、小沢(辰)小委員長代理着席〕 しかし、具体的に犯罪者をどうするかということは、先ほど野田局長からも御答弁がありましたように、これは純粋に外交上の問題と思いますので、単一条約でそこまでは論議をされなかったのが実情でございます。
○中野小委員 保安局長についでに伺いますが、今度予算の編成上、外国へ情報官あるいは領事として派遣されるように漏れ聞いておるのですが、一体どことどこへおやりになるつもりか。それから現在酒井領事があなたの方から派遣されて香港におりますけれども、現地へ行ってみると、領事館の用に忙殺されて、実際上警察から派遣されて、しかも麻薬の問題を担当するというには、あまりにも隔たりがあり過ぎると私は思うのですが、今後派遣される場合においては、相当大きな問題がこれにはあると思うのです。特に私は当時心配したのですが——野党の方がおいでになっても、麻薬に関する限りは超党派的だから、ざっくばらんに申し上げるのだが、タイとかビルマというようなところへは、実際問題として厚生省方面の専門的知識を持った者を派遣することが、一番妥当だと思っておるのですけれども、しかし、警察庁の方は事実上において、私の方でやって相当有効なことができるということでおやりになる。今度取り締まりの方も五百人からの増員があったのですから、麻薬取り締まりに関するウエートは相当警察庁にいったといっても過言でないと私は思う。そういう観点からぼつぼつ伺うのですが、外国派遣はどことどこへやられて、どういう方法をもってこの効果を上げようとしておられるか、伺いたいと思います。
○野田政府委員 今回の予算で認められましたのはバンコック一カ所でございます。警察から現在派遣しております。その他の大使館あるいは領事館と同じように目下人選をしておるという状態でございます。
○中野小委員 今度の予算を内容的に見て、海上保安庁にちょっと伺うのですが、あなたのところは御努力のかいもなく、まことに予算が少なくて恐縮に存じておるのです。予算面に出ておるものを見れば、なるほど二、三載っておりますけれども、麻薬取り締まりに検察庁あるいは麻取、あるいは各方面と連絡をとって、実際上の効果が上がる自信があるかどうか、海上保安庁にこの機会に聞いておかなければならぬと思う。
○樋野説明員 船舶その他の増強は全部だめでございました。しかし、私どもの現有勢力をきわめて機動的に使いまして、各官庁と協力しまして最善を尽くしたいと考えておる次第でございますが、先生の御指摘の通り、そういう面におきましての勢力の増強がございません以上、きわめて寒心にたえない次第でございます。
○中野小委員 巡視艇の増強九隻というのは、内容的にどういう形のものですか。たとえばシンガポールなんかには麻薬取り締まりのために大きな船でなく、きわめて快速のプロペラの二つついたようなすばらしいスピードの出るボートというのですか、ボートより少し大きいのですが、そういうのを幾つか準備しておりますね。それでかなりひんぱんに出入りする外国船に対して、あるいはマークしたものに対してはきびしい立ち入りをやって取り締まっておるのですが、あなたの方のこの九隻というのはどんな形のものですか。一体どの程度の能力を持ったものですか。
○樋野説明員 予算に要求いたしました九隻は巡視艇でございます。約十五メートル、速力は最高十五ノットでございますが、やはり先生のおっしゃいましたような三つの足を持ちまして、三十ノットくらい出る船が最適でございますが、建造費の関係でそういうふうに実現されなかったのであります。
○中野小委員 海上保安庁はPRがちょっと下手じゃないですか。予算を取るときに、もう少し真剣にこういうような問題に取り組んでいただきたかったと思います。あなたの方の要求のときは、派手に大きな船まで要求してしまうものだから、便乗予算といわれて、かなり圧縮されたと思うのです。しかし、事麻薬禍の撲滅のために、特に私らは三年間なら三年の間に徹底的に撲滅をはかろう、こういう熱意に燃えておる国会のこれを背景にして、もう少しまじめな意味で、しかももっと有効適切な要求をすればよかったと私は思うのです。しかしあなたの方がだいぶ派手な予算の要求と同時に、PRがあまりうまくなかったように思うのです。この点は今後大いに注意をされて、次の予算要求のときなんかでは努力なすった方がいいと思います。ただどうもこの程度の報償費なんかで、一体実際上の情報を手に入れることが可能なのですか。そしてあなたの方はどこから情報を手に入れるものか、こういうような点、二点について聞いておきたいと思います。
○樋野説明員 わずか五百万円、しかもそれが他の治安関係の経費と一緒でございますので、先生の御指摘の通り、それで効果を上げ得るとは、私どももまことに残念でございますが、言い得ない状況でございます。ただ私どもは平素の業務が人命の救助その他で、大いなる共鳴者を得ておりますので、私ども海上保安庁の接触がございますそれぞれの海事関係の者からの、道義的あるいは国家的の意味合いによっての協力者からとるよりか、今のところ金によって、報償によっての情報は非常にむずかしいということを御答弁申し上げます。
○中野小委員 先ほど河野さんかあるいは小林さんからの御質問の中で、ちょっと法務省の方に伺っておきたいのですが、五百万円以下の罰金、あれは併科とおっしゃった。併科けっこうなんですが、千万円以下というのを、あなたの方は五百万円以下とお直しになったのですが、どういう意味なんですか。何か法体系の云々というのですが、そもそものわれわれの要求は千万円以下というふうにしたのです。半分に値切ったのは一体どういうわけですか。
○荻野説明員 先ほどお答え申し上げませんでしたが、私が先ほど申し上げました経緯につきましても、実はまだ確たるものではないのでございまして、正直に申しますと、ただいま法制局でもって審議の最中でございます。そして私どもは、千万円というのは事務当局としては聞いておりませんでしたが、非常に重い刑を考えたつもりなのでございます。先ほどちょっと申し上げましたが、刑法の原則に、もし罰金を納めませんでした場合には、一日幾らと換算いたしまして、労役場に留置することになっておるわけでございます。これが二年間と縛られておりまして、かりに一億とか二億とかいう罰金にしたといたしますと、二年間以上縛れませんので、一日の換算率がどえらい金額になってしまうわけでございます。 それともう一つ、これはこまかいことを申し上げかねるのでございますが、私どもの構想といたしましては、従来はたとえば自分のために所持しておりましたとか、あるいは人に麻薬を売ってやるという場合に、場合によって罰金で済む場合があったわけでございます。または十万円以下の罰金とか、こういう規定の仕方でございました。そういうのをはずしてしまいまして、すべて懲役だ、しかもまた営利の目的のあるものは、これは情状によって罰金をつけ加えるのだ、大もとの輸出入、製造のようなものは五百万円、それから譲り渡し、譲り受け、営利の目的のございますのは三百万円というふうに考えたわけでございます。 それからもう一つは、私どもは、現行法は常習犯という規定がございますが、かようなものを考えませんで、営利の目的があって何回もやれば、一つ一つの事実について刑をはめていく、併合罪の加重を考えよう、こういうような構想でただいま法制局ともんでおるわけでございますので、一両日お待ちをいただきますと、原案の確たるものが出ると思います。御了承を願いたいと思います。
○中野小委員 あまり法体系なんかにとらわれないでいただきたいと思うことは、立法府である国会側の意向は、罰するというのが目的ではなくて、きわめて短期間に麻薬禍を払拭してしまおうというのがもっぱらの目標なんです。従って法体系上からいえば、少し無理だと思っても、やはりこれは社会情勢から考えてみて、こういうふうなものは一切覆滅する必要があるという国家的な要望から出た問題であって、従って場合によれば時限立法でもいいと思うのです。何も恒久立法でなくてもいいのです。議員立法であれば、こちらの方で出しますが、政府で提案してくるのですけれども、その案をおつくりになるについては、特にこの点は考えておいていただきたいと思う。五年なら五年、三年なら三年の時限立法でも私は支障ないと思う。しかし最も厳罰でもって臨むということです。ですから罰金刑を一切私の方では求めない。最低三年、最高死刑まで持っていきたいと思うのですけれども、まあ現在から考えて、無期懲役程度まで持っていって、さらに先ほどの御説明で了解したのですけれども、それぞれ営利を目的とする者に対しては罰金をもって併科する、追徴金をとる。それからもう一つ申し上げておかなければならぬことは、たとえば麻薬を自分みずから扱わないで、資金をこれに与える、これは最も憎むべきものなんです。これは犯罪の最もつぼなんです。これらに対しては同罪をもって律する、実際にものを扱わなかったからこうだというようなしんしゃくをせずに、立法の趣旨がそこにあるのだということを考えられて、同罪をもって律するという方法を私らは希望しておるのです。その立法技術等で、あなたの方で現在操作しておられる過程において、どういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
○荻野説明員 先ほど厚生省の薬務局長から新設規定の御説明がございましたが、ただいま先生から御質問がございました資金を提供したとか、あるいは取引の周旋をしたというものは、独立罪で私ども規定いたしました。これはもともと証拠さえはっきりしておれば、先生御指摘の通り同罪として処断すべきものでございます。もし同罪として処断するのに本犯が見つからなかったとか、本犯の成立が非常にあぶないというような場合も、ぜひこの新設の規定を動かそうというわけでありまして、原則といたしましては本犯の共犯として私どもは考えておるわけでございます。
○中野小委員 これで終わりますけれども、まあひっくるめて言うと、今度の予算編成上から考えてみると、取り締まりのウエートは、野田さん、あなたの方へだいぶかかってきた。予算もたくさんお取りになったし、人員も大いに増強を認められた。それに大いに警察庁は報いるべしと私は考えておる。それから厚生省の方では、これは何かいろいろ検討してみると、本来の麻薬管理という面にかなり力を入れなければならぬようになっておるのです。これは万全を期していただかなければならぬことであるが、最近私は自分の耳に実際に入れておるのですけれども、一時姿を消したヒロポンが、非常に急速なテンポでまたぼつぼつ顔を出してきたような傾向がある。これは芸能人にしても、それから表現の仕方がまずいが、遊び人というのですか、そういうような夜の世界を占めておるような人が、ぼつぼつヒロポンをまたもや使い出してきた。あなたの方でこれをキャッチしておられるかどうか知らないけれども、そういう傾向が強くなってきた。これはやはり一方を押えると一方が出てくるのです。しかし、こういうものに対して、もうヒロポンの方は済んだのだというような甘い考え方を持っておると、大きな間違いだと私は思うのです。厳重に取り締まらなければならぬと思うのです。特に最近東京の夜の町で新宿方面では、特にこのヒロポンの動きが激しくなっていることを注意しなければならぬと私は思うのです。すでに警察庁の方では情報等を入れられておると思いますけれども、かなりそういうようなものの動きが激しくなっておることを決して見のがしてはいかぬと思う。両々相待ってこの取り締まりを厳重にしていただかなければならぬ。 それからあなたの方で今度やらなければならぬいわゆる麻薬管理について、これは医者等の関係も相当あると思いますし、これはお医者様に、誤解があって迷惑をかけてはなりませんけれども、麻薬管理については相当深刻な手を入れないと、これを放任しておくことは、やはり弊害が相当各方面に広がっておると思うのです。こういう点に十分留意をしていただきたいし、それから野田さんにもお願いしておきたいが、ヒロポンがちょっと近ごろ頭を持ち上げてきておるのです。それが案外な方面に広がっておることに留意しなければならぬことも、こういう場所で申し上げてはどうかと思うから深くは申しませんが、どうか一つ御注意願いたいと思う。 それから六大都市以外でも、地方のちょっとした都市、こういうところにもだいぶ近ごろは麻薬のあれが回っておるのです。従来は横浜なら横浜が何といってもポイントだった。あそこを集中的にぱっと押えていきますと、川崎へ逃げる。それっというので川崎を押えると、今度はそれからすぐ座間の方へ逃げるとか、厚木へ逃げるというふうに、小さい都市へだんだん逃げる傾向があるのです。それもそう大がかりのものではありませんけれども、そういうような地方都市に麻薬禍があるのではないかという感が深いのでありますが、警察庁ではこういう点についてどんな情報をつかんでおられますか。もし捜査に差しつかえのない程度のものならば、一つこの機会にお聞きしておきたい。たとえば名古屋なんかでもそうなんです。最近名古屋の方には、今まで今池なり港町なりをば中心に相当関東、関西のやくざが入ってきて、そして一定の大須なら大須という歓楽街を中心にして、その土地のなわ張りを持っておる連中を追っ払って、そこへなわ張りを持つ。そこが橋頭堡になって、関西なり関東からそこへ麻薬を流し込んでくる。これが従来の大きいバックをたてにとって、各方面にいく。最近は今池なんか取り締まりがきびしくなっておる。港町なんか汐止の方は取り締まりがきびしくなっておる。そこで今度河岸をかえて中村の方へ逃げる。中村を押えにかかるとすぐまたはたの方へ逃げていくという傾向が現実にあるのです。だから、そういう点も私らの方では非常に心配しておるのですが、現在警察庁の方ではどの程度のことをやっておられるか、支障のない程度お話を願えればけっこうだと思うのです。
○野田政府委員 具体的な情報というものは格別申し上げるものはございませんが、お話のようにヒロポンの問題にいたしましても、やはり上向きに犯罪がふえつつあるということは、取り締まりの検挙等の件数の上にも出ておりまして、この点警察としても、つとに第一線の各県に連絡して、これらの取り締まりに鋭意当たっておるわけでございます。 なお、麻薬犯罪というものが、御承知のように従来東京、横浜、大阪、神戸、福岡、この五つで約八割の犯罪があったわけですが、この周辺の千葉、埼玉あるいは静岡、名古屋、岡山、広島、山口、長崎、そういうふうに従来比較的中心だった大都市のまわりの府県に次第に浸透しつつある、これは明らかなことでございまして、こういう面で、現在ちょうどこの二月一ぱいかけて麻薬の取り締まり強化月間を全国的に実施しております。この取り締まりを通じて、どの程度の検挙実績が出るか、新しい犯罪の分布なり手口なりが出るかということを注意して見ていきたいと思いますが、全体の流れなり、特徴、傾向というものは、今御指摘のあったようなことは出ておると思います。そういう方面に特に注意をいたしまして、今後取り締まりの強化をはかって参りたいと存じます。
○中野小委員 これ以上はもう申しませんが、今度の予算的処置については、野党の方にもほめていただくほど、麻薬に関する限り予算は思い切って取れたはずなんです。従って、私は、それだけに責任を痛感しなければいけないと思う。厚生省が今度の施設をする、あるいは施策を行なう上においても、非常に留意しなければならぬ。警察庁にいたしましても、海上保安庁こそきわめて少ない予算ではありましたけれども、麻薬に関する予算としてはとにかく最近にない大きな予算をつけたわけなんですから、金が足りなくてできなかったというような言葉は断じて言われない。従って、これはあらゆる形において万全を期さなければいかぬと思うのです。こういう点について特に留意してやっていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。
○小沢(辰)小委員長代理 他に質疑の申し出がありませんので、本日はこれにて散会をいたします。 午後四時二十七分散会