社会労働委員会 第46号
- 発言数
- 142 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/07/04
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 議事に入ります前に私より一言、当委員会における法案審議に関し、ごあいさつ申し上げたいことがございます。 今次第四十三国会社会労働委員会における法案審議の状況は、諸般の情勢により、重要法案につき十分審議を尽くさなかったことは、まことに遺憾の至りであります。今後はこれを先例とせず、少数意見を尊重し、審議を尽くすよういたします。(拍手) この際、おはかりいたします。 理事大原亨君及び八木一男君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、両君の理事辞任を許可することに決しました。 つきましては、理事に二名欠員を生じましたので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、補欠選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、それぞれ中村英男君及び小林進君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○秋田委員長 内閣提出の国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案、船員保険法の一部を改正する法律案、政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の一部を改正する法律案、及びばい煙の排出の規制等に関する法律の一部を改正する法律案、参議院提出の薬事法の一部を改正する法律案の五案を一括議題といたします。
○秋田委員長 まず、内閣提出のばい煙の排出の規制等に関する法律の一部を改正する法律案について、提案理由の説明を求めます。西村厚生大臣。
○西村国務大臣 ただいま議題となりましたばい煙の排出の規制等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。 ばい煙の排出の規制等に関する法律の施行に関しましては、近く指定地域の指定を行なうことといたしているのであります。 この法律の規制対象外となっている規模の小さい施設から発生するばい煙について、たとえば近隣への生活妨害の問題が生ずるおそれがありますが、指定地域内におきましても、かかる施設について地方公共団体が条例を定めてこれを規制するということが考えられるのであります。このような条例を制定することは、本来この法律の趣旨に反するものとは考えていないのでありますが、この法律を本格的に実施するにあたりまして、この点の解釈を明確にするために、この法律と指定地域内におけるばい煙の排出を規制する条例との関係を明らかにする条文を加えるという改正を行ないまして、国及び地方を通じまして、ばい煙防止対策の円滑な実施をはかることにした次第であります。 以上がこの法律案を提出する理由であります。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○秋田委員長 次に、参議院提出の薬事法の一部を改正する法律案について、提案理由の説明を求めます。提案者高野一夫君。
○高野参議院議員 ただいま議題となりました薬事法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を説明申し上げます。 医薬品の調剤または供給の業務が、国民の疾病治療ないしはその予防を目的として、国民保健の上にきわめて重要なる使命を持つものであることは申すまでもありません。したがって、医薬品は他の一般商品と異なり、生命の保持という特別の重要使命を持った特殊性を持つものと考えます。そのような特殊性を持つ医薬品であり、国民保健に関する責務を果たすべき特殊の業務でありますために、薬事法または薬剤師法、その他医薬品、薬業に関する一連の法律によって規制が加えられ、それらの規制を受けながら義務を果たさなければならぬ状態と相なっておりますことは、各位のすでに御承知のとおりであります。 しかるところ、医薬品の調剤及び供給の業務に携わっている薬局、薬種商及び一般販売業のごときは、現在都市に集中し、繁華街に偏在乱設される反面、これらの施設のない地域では住民に不便を与え、偏在の地域にあっては必然過当競争の激化となり、いわゆる乱売が行なわれ、その結果は経営の不安定を招来して、あるいは施設に欠陥を生じ、あるいは医薬品供給の適正を阻害する結果となり、そして今後とも、かかる事態はますます激しくなる傾向にあります。このことは、偏在乱設に大いなる原因があるばかりでなく、医薬品販売の特殊の使命感を持たずに単なる営利事業として経営に当たる大企業体が実現することにも原因があると考えます。 現行の薬事法をもってしては、偏在乱設を防止する道もなく、一定の基準に適合すれば開設を許可するよりほかない状態にあるのであります。現行薬事法制定にあたって、国会は、新規開設の際には適正配置を考慮して許可、不許可を決めるよう要請しており、厚生省も極力その指導を行なっているのであります。その結果、主要なる都道府県においては適正配置の内規を定めて、それをもって行政措置に役立てようとしております。しかし、これはあくまでも内規にすぎず、法律に基づく条例ではないために、十分の目的を達し得ない現状にあります。 これらの欠陥を是正して、乱設偏在を防ぎ、各自が適正なる医薬品の供給や調剤を行なうことができるようにいたしまして、国民の医療と保健に奉仕せしむべきであります。そしてこのことがあわせて無薬局地区や無薬店地区の解消にも資する一助ともなり得れば、国民皆保険医療に協力せしめるゆえんともなろうかと考えます。よって、本改正案を提出いたした次第であります。 次に、その内容について概略の説明を申し上げたいと存じます。 第一に、薬剤師でない者が薬局を開設する場合には、管理薬剤師を置くことになっておりますが、特に大企業体においては、事業量が多い場合に、一人の薬剤師のみでは適正なる管理をなし得ない実情にありますので、本改正によりて、かかる場合には薬剤師の員数を、現在のごとく一人に限るのでなく、必要に応じてその員数を増加せしめるよう、省令をもって定めたいのであります。 第二には、薬局、一般販売業及び薬種商について、配置の適正を期するため、基準を都道府県の条例で定めて、開設許可の要件とすること、その基準に基づく許可、不許可の判定には、地方薬事審議会の意見を聞くこととしてあるのであります。 そしてその配置の基準は、薬局、一般販売業及び薬種商が、安定した経営を保持して、住民に対し適正な調剤の確保と、医薬品の適正な供給をはかることができるように、人口、交通事情、その他調剤及び医薬品需給に影響を与える各般の事情を考慮して、都道府県の条例で定めることにいたしております。 ただし卸売り業のみを行なう一般販売業又は薬種商については、この配置の基準を適用しないことといたしたいのであります。 第三には、本改正案は、公布の日から施行することといたしますが、ただし管理薬剤師の員数に関する規定は、公布の日から起算して六ケ月をこえない範囲内において政令で実施期日を定めることにしてあります。 以上、この改正法律案の提案理由及び内容の説明を申し上げましたが、何とぞ御審議の上、御賛同賜わりますよう、切にお願い申し上げます。 —————————————
○秋田委員長 まず、国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案について、八木一男君より質疑の申し出があります。これを許します。八木一男君。
○八木(一)委員 厚生大臣並びに関係の大蔵省筆に対して質問をいたしたいと思います。 厚生大臣にまず最初に御質問をいたしたいことは、今次の国民年金法の改正にあたりまして、この内容が非常に不十分である。そしてこの福祉年金のみにとどまっておって、拠出制のほうについては全然改正が行なわれていない。このような不十分な改正案しか出さなかった理由をひとつ伺っておきたい。
○西村国務大臣 国民年金制度は、社会保障ではもうその心棒でございまして、私たち非常に重要視いたしておるのでございますが、制度発足以来まだ日が浅く、また制度発足から今日までもいろいろな改正をしてまいったのでございます。しかし国民年金制度に対しましては、いろいろ問題がありますし、また社会保障制度の中心的なものでございますけれども、やはりあくまでもその制度の改善は拠出制を中心にして考えなければならぬと思っておるのでございますが、この拠出制の問題を考える場合におきましては、これは再計算の時期等もありますし、また今後の国民生活の水準等も考えていかなければならぬと思っております。しかし、とりあえず拠出制度の補完的な役目をなしておる福祉年金だけでも早くひとつ改正をしたいということで、今回の改正案を出したのでございまして、これによってわれわれは十分であるとは思いませんが、将来に向かって、この拠出制の内容の改善ということには今後十分な努力を尽くしたいと思っております。しかも厚生年金は来年がちょうど再計算の時期になっておりますので、その厚生年金の改正等とも見合いまして将来は考えていきたい。ことにまた、昨年、社会保障制度審議会の答申及び勧告もございましたので、そういう線も十分考えまして、ただいま十分検討いたしておる最中でございますが、とりあえず福祉年金の改正を提案いたしたような次第でございます。
○八木(一)委員 非常に重大な法案で、この法案の審議をほんとうにしようといたしましたならば、一委員である私だけでも十五時間ぐらいかかる。他の委員の方も同じくらいかかられると思う。しかし国会の会期末で十分な審議を尽くし得ないことは非常に残念に思っておりますが、単刀直入にこれから御質問をいたしますので、端的な御返事を賜わりたいと思います。 いま私の質問に対して、拠出制に重点を置いた質問のように受け取られて、そっちのほうのことを言われました。それはそれでけっこうです。けっこうですが、この福祉年金のほうについて、とりあえず出したと言われておりますけれども、このとりあえず出した福祉年金の改正があまりにも不十分で、年金制度がこのままでいくと、四年目の改正がこのくらいのことであると、福祉年金制度がストップするおそれすらある内容であると思うわけであります。国民年金法が昭和三十四年に発足をいたしますときにも、国会における論議で、時の総理大臣の岸信介君と厚生大臣の坂田道太君は、いろいろの論議の過程で、非常に乏しいということに対して答弁ができなかった。非常に乏しいとか、制度の組み立て方が悪いということに対して答弁ができなくて、まず発足して、不十分であるけれども、これから直しますのでごかんべんをして通してくださいということを、総理大臣並びに厚生大臣が強調して言われたのです。しかしながら、このような大事な問題を、このような乏しい誤ったスタートでするときには非常に禍根を残すから、私どもの考えておるような仕組みの、そのような十分なものでやるようにしなければならないことを主張いたしましたけれども、与党の数が多数で、不十分な、また組み立ての誤っている年金制度が通って発足を見た。そこで内閣自体で、とにかく毎年々々よくするからかんべんをしていただきたいというのが最低の約束になっているわけです。約束になっているのにかかわらず、幾多の少しずつの改正はありましたけれども、その約束は金額自体についてもあったわけです。ところが福祉年金については四年間放置をされて、四年後にこの改正が出た。月一千円の老齢福祉年金を今度は一千百円にしよう。あるいは所得制限ということばには法律上は当たりませんけれども、概念上は大体それに当たる所得制限が、五十万であるのを六十万にしよう。それからもう一つは、母子年金の基本額を、月千円を千三百円にしよう。それから障害年金の、一級障害福祉年金の基本額を、月千五百円を千八百円にしよう。こういう内容になっておるわけでありますが、御承知のとおり、昭和三十四年から現在までに物価が非常に上がっているわけです。物価が上がっている計算を、それぞれ当局に数字を出させて質問いたしたいと思いましたけれども、時間の関係上省略をいたしまして、大まかに論議をしてみましても、その当時の千円はいまの六百円か七百円、一番よく見てそのくらいの購買力しかありません。そこで百円ふやしても、百円が昔に比べて六、七十円の購買能力しかないということになると、現在この老齢福祉年金を千百円にしても、スタート当時の実質の七百円程度にしかならないということになるわけです。改正をすることはいいけれども、四年目にやっと改正ができたときに、前よりも実質的に金額が減っているというような改正では年金が発展する勢いをとめる。あるいは逆行するということになろうかと思う。このような不十分な改正案は実に遺憾きわまるものであります。ほんとうに実質的に年金制度がどんどん発展しなければならない問題であるという点、それから最小限度でも内容が毎年毎年直していくということを約束した点、そういう点から見ても、千円のものが、われわれの主張する四千円、三千円にならないにしても、少なくとも政府の原案として出てくるものが二千五百円とか二千円に出てこなければ、実質的に見て最小限度のつじつまも合わない。ところが、実質的に二千円とか二千五百円にもなっておらないし、ほんとうの物価の問題だけを補正するにしても、少なくとも千五百円ぐらいにしなければならない。そういうこともできないで千百円にとどまった、こういうことは非常に怠慢であると思います。政府自体が怠慢であるのか厚生省が怠慢であるのか、どっちだか知りませんが、どちらにしても政府の責任である。こういうことについて、非常に怠慢であったことについての厚生大臣の意見を伺いたいと思います。私どもは、この意見によっては責任を追及しなければならないと思うのであります。
○西村国務大臣 福祉年金の増額につきましては、先般の国会でも附帯決議もありましたし、私たちも十分なことをいたしたいと思ったのでございます。しかし、全般的に、いま御指摘がありましたように、他の障害及び母子年金等はまあまあというところにいったのでありますが、福祉年金につきましては、率直なところ、十分なことができなかったと私は思っております。しかし、これはやはり財政との関係等もありましたので、こういうようになったのであります。私たち、これであきらめるものではございませんから、さらに今後十分な検討をし、十分に力をいたしていきたい、かように思っておる次第でございます。福祉年金はむやみに上げるわけにはいきません。やはり拠出年金との関係はありますけれども、老齢年金については、私たちはこれは少し力が足りなかった。しかし、これも財政上その他の理由によることでございますので、今回は御了承を賜わりたい。相変わらず私たち力を尽くしたい、かように思っておる次第でございます。
○八木(一)委員 厚生大臣、非常にまじめで、熱心に努力していられるのはわかりますけれども、本腰を入れての努力をしておられないと思う。いままでも何回も年金問題は討議をしました。そのときの厚生大臣のお約束では、こんな問題で大蔵省との論戦に負けることはない。大蔵省の財政上の都合があるということだけであきらめることはない。大体今度は、年金に対しては厚生省の取り組みは弱い。たとえば国民年金その他については、かなりでもないけれどもちょっとしたものを出したけれども、年金の取り組み方は非常に弱かった。厚生大臣自体、たくさんのものを通さなければならないという中で、年金の問題の取り組みが非常に弱かった。大体原案の出し方から弱腰である。それすらもへつらうようでは困ると思う。 基本論を言うと長くなりますけれども、ここで、御承知のように社会保障制度審議会は各省の次官も全部入って、自民党の方々も入って、それでまとめた答申です。ですから、社会党はこれでは不十分だとは思うけれども、社会党の非常にきびしい仮借のない批判ではなしに、一般的な批判としてこの答申が出ているわけです。答申を読んでみますと、「本案は、この際止むを得ないものとして了承するが、」——ということは、厚生大臣の立場を考えて最大限に弱めたのです。そのあとを読んでみる。「制度創設以来今日までにおける国民生活の向上、物価の上昇等を考えた場合、極めて不十分であり、急速に拡充すべき年金制度の在り方にも悪影響を与えるおそれがある。」わかりましたか。「昨年八月における本審議会の勧告に即応して、根本的な方針を確立し、これにもとづき、年金額の引き上げ、受給要件の緩和等、引き続き内容の改善をはかるべきである。」これは政府のメンツを立てて最大限に弱めた。ここで特に重要なのは、「急速に拡充すべき年金制度の在り方にも悪影響を与えるおそれがある。」というところです。金額はふえていながらこのような答申をしなければならなかったのは、年金制度は発足後間もないから、急速にぐんぐんと伸びなければならないものである。そこで、ほかの厚生省以外の政策やまた厚生省のほかの政策と同じように、予算が伸びればいいというようなことでこんな取り組みをしたならば、伸びるべきものがとまってしまう。とまり方がひんぱんになると、これは逆行するということになるわけです。いまの金額にしても、昔の千円が、いま実質上、甘目に見ても六百円か七百円くらい。今度の改正が通っても七百円ちょっと。実際に四年の間に、老人に対するあるいは障害者に対する、それから母子家庭に対するこのような制度の給付が具体的に減っているわけです。減っているときに改正案が出た。その改正案が通っても具体的にまだ減っている。そういうことでは、発展すべき年金制度がとまるだけではなしに後退するということになる。そういうことが、厚生省の原案が弱かったために、また原案を全部通し得なかった大蔵省との交渉のために起こっている。そういう弱腰であっては困ると思う。厚生大臣がすべてについて、いままでの自民党の閣僚に比べたら非常に熱心であることは、私どもも認めている。しかし熱心だけではいけない。この国民の問題は、熱心にやったけれどもできませんでしたではおさまらない。国民がほんとうに給付を受けるものを給付ができるような法律をつくらなければ、厚生大臣としての責任が保てない。そういう点で非常に遺憾であります。厚生大臣がほんとうに決心をし直して、今後の問題が通らなければ辞表をたたきつける、池田内閣にみずから不信任案を出すというくらいの決心でやっていただかなければならないと思う。 この問題はすべてに言えるわけでありますが、厚生大臣はいま、老齢福祉年金については不十分だ、しかし障害福祉年金や母子福祉年金についてはある程度やったという御発言がありました。これは老齢福祉年金のことを先に申し上げたのでそういうことばになったと思います。御性質から見て、厚生大臣自体がずるい逃げ方をしたとは思いませんけれども、不用意に出たおことばだと思いますが、本心からそれを思っておられるならば、これまた非常に重要な問題であります。大体片方が百円、片方が三百円上がったから、障害や母子のほうはよかったのじゃないかという考え方でこれを考えていただいたら困る。障害者の年金というものはどういうものであるか。一級障害だけしか政府は支給しておりません。両眼が失明している、あるいは両足がだめだ、両手がだめだという条件は、非常に重度の身体障害者であって、労働能力が激減をしておるわけです。その人がたとえば八歳でそうなっても、十歳でそうなっても、あるいは二十五歳でそうなっても、一生涯労働能力の喪失した状態で送らなければならないわけであります。そうなれば、七十歳以上の老人よりも、比較的に見ればはるかにこのような保障をしなければならない要件が強いわけです。一級障害はもちろんでありますが、二級障害になって片足がだめだ、片手がだめだというような場合でも、私どもの考え方では、老齢福祉年金より以上にその人たちに対するこのような保障をすべき必要があろうと思う。ですから、千円と千五百円だ、片方が百円、片方が三百円上がった、だからこれはまあまあましだという考え方でこれを処理してもらったならば、いつまでたってもそのような必要とする人々に対する所得保障が完全にできない、その人たちはこの期間中不幸な状態で過ごさなければならないわけです。 それとともに、いま個人としての障害者を申し上げましたが、障害者はりっぱなわれわれの同胞であります。当然結婚して、人間としてのいろいろな権利を享受しなければなりません。その場合に、家族を扶養する義務が、障害者でありながら妻に対して、子供に対してあるわけです。その場合にどうするか。そういうことを考えましたならば、老齢福祉年金が千円であるから少な過ぎる、これは三千円、四千円にしなければなりません、その金額の問題ではなしに、それに対応して、一級障害に対しては少なくとも倍ぐらいにしなければならない、二級障害でもそれ以上、あるいは同額ぐらいにしなければならないというようなバランスになろうかと思う。それを二級障害、三級障害に対して支給の道を開かない、また開いていない、または内科障害に対して支給の道を開いておらない。そういうことを放置して、三百円だけふえたから少しはましだというような考え方でこの障害福祉年金の問題を考えていただいているということになれば、非常な間違いであろうと思います。その点についての厚生大臣の御所見を伺いたいと思います。
○西村国務大臣 老齢年金、それから母子年金、障害年金等も、特殊な位置に置かれておる方々でございますから、その福祉について私たち十分考えたいのでございます。しかし、いずれにいたしましても、やはり財政的な制限もあることは事実でございますが、その場合におきまして、今回この障害、母子だけが多少三百円で、ほかの老齢が百円になったということは、やはり実態調査をいたしまして、同じワク内で考えたときにどういうふうなことにしたほうがいいだろうかという考え方もあるわけでございます。もちろん、私は三百円で足りるというのではございません。しかしこの額の引き上げとともに、また制限の緩和もやったのでございまして、制限の緩和等の附帯決議は十一項目ついておりましたが、そのうちで急ぐもの及び影響の非常に大きいものということの制限緩和を三項目ほどやりました。しかしまだ制限が残っております。その制限の残っておりますものにつきましても今後考えなければならぬと思っておりますから、やはり私がまあまあというのは、老齢年金はまあ非常に少なかった、一方のほうの二つのものはまあまあだろうと、こういうことで、十分であるという言い方ではないわけでございまして、その辺御了承を賜わりたい。さらに私たち、内容の改善に向かいましては、制限緩和とともに今後十分力を尽くしたい、かように考えておる次第でございます。
○八木(一)委員 時間がありませんから、いま言ったようなことは全般に当たりますので、全般について——障害の問題は拠出年金にも関係があります、それからいろいろの金額の問題、これは福祉年金全体、また拠出年金にも関係があり増す、またこれから申し上げることも、一点例をあげてたとえば所得制限のことを申し上げたらこれはほかの問題とも関連がある、それだけではないということを御理解いただいて将来に対処していただかなければならぬと思いますが、時間の関係上、一つ一つの特徴点の問題で、どうしても直さなければならない問題について申し上げていきたいと思います。 障害の問題に入りましたから障害から入ります。障害福祉年金の問題で、まず第一に、金額の問題が非常に少ないから金額を上げるという問題、それからもう一つは、一級だけではなしに二級、三級あるいは四級についても、これは金額の差はあってよろしいけれども、給付をつけるという問題を進めなければならないけれども、当然その場合に一級障害の金額は上がり、二級障害はそれより少し少なくということになろうと思いますが、一級障害がいまの千八百円ということでは、そういうこともなかなかできないような状態です。一級障害をもっと多くできなくても、一級障害が千八百円でも、二級障害が、たとえば半端な金額であってもこれはつけなければいけません。そういう点で一級障害をもっと上げて二級、三級につけるということ、それから内科障害の点、それからもう一つは扶養加算の点です。母子福祉年金に多子加算がございます。子供が多ければその点で生活が苦しい。一般的な家族扶養手当ができていない。特に生活に困る人だけちょびっとそれに似たようなものが芽を出しているという場合に、なぜ障害者の子供に対する加算、妻に対する加算がないか。現行の法制上でもバランスを欠いております。片方では子供にふやしておる。そういう問題も直さなければならないと思います。その点についての厚生大臣のお考え、また厚生大臣のお考えだけで不十分でありましたら年金局長のお考えを伺いたい。
○西村国務大臣 いま申しましたように、障害者につきましても、給付をさらに二級に進め、また三級に進めるというようなことも考えられまするし、また加算の問題もあります。またその他内科的疾患の問題もあります。たくさんの事項があるのでございますが、これは私たちとしては、重要な問題からとっていって今後解決をいたしたい、かように考えておりまするが、あの附帯決議の十一項目の中でそれぞれ検討はいたしております。必ずしも実行できないものもあるし、早い機会にこの実現を期したいというものもありますが、今回提案いたしておるものは、この法案にもありますように、制限は三項目ほどしかやれなかったのははなはだ残念でございまするが、今後十分考えていきたい、かように思いますが、障害それ自身のことにつきましては、局長もいますから局長からお答えいたさせます。
○山本(正)政府委員 ただいま八木先生の言われました障害福祉年金の問題につきましては、御指摘のように各般の問題があるわけでございます。特に、いま御指摘もございましたように、国民皆年金という態勢になりましたので、各制度間の、あるものには認められておってあるものには認められていないというようなアンバランスの是正ということも、非常に緊要な問題でございます。中でも国民年金につきましては、内科障害の取り扱いというものは、制度ができました当時から非常に強くこれが改善を望まれているわけでございまして、いま大臣が御答弁になりましたような趣旨におきまして、各年金間相互の問題をもちろん考えて、ある制度にはあってある制度にはないというようなアンバランスを是正しなければならないと同時に、こういう緊急の問題については、できるだけ早く結論を出して改善していくという方向をとっていかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
○八木(一)委員 いま時間がないから私もぱっぱっと言ったのですが、答弁をぼやかさないで、この問題はやる、この問題はやる——全部やるのがあたりまえですが、この問題はこういう理由であるということならばそれをまた追及します。この問題はやるのだ、この問題はこういう理由があるからちょっと待ってくれというなら、それはまた追及します。ですから、ばく然としないで、厚生大臣、いま言った問題について、全部とにかく近い将来にやられるというようなお約束を願いたい。いま質問した障害の点についてだけでいいんです。あと老齢、母子はまたやりますから。二級、三級、内科障害、それから家族や子供の点です。
○西村国務大臣 内科障害の点は、これは一応もっともと考えられるのでありますが、技術上非常な問題があるわけであります。せっかくいま審議会にかけて答申を求めておるわけであります。御承知のとおり、内科障害で気の毒であるからといって受給者をだれにするかという問題、その他技術上の非常な問題がある。また内科障害の範囲をきめるという問題、そういうことでありますから、今後十分検討させていただきます。 それからその他の、附帯決議十一項目につきましてもわれわれは順位をつけまして、今回改正されるものはいいが、残ったものにつきましては、これは当然やるべきではないかということを検討いたしております。 それから、いま言ったとおりで、内科障害の問題も検討いたしておりますので、十分検討の上に善処したい、かように思っておる次第であります。
○八木(一)委員 急ぎ過ぎて恐縮ですが、この前の附帯決議、きょうつく附帯決議は全部やってもらわなければなりません。やってもらわなければ院議に反するわけですから、厚生省及び内閣を徹底的に追及いたしますからやっていただかなければなりません。 そこで、いま具体的に申し上げたのです。二級、三級まで及ぼすことをやるかということと、それから家族手当、たとえば障害者の扶養家族について、母子加算と同じように加算をつけるかという問題について御答弁が抜けておるわけです。
○山本(正)政府委員 いま御指摘のように、国民年金におきましては、拠出制で一級、二級、それから福祉年金で一級だけといったようなかっこうに本来法のたてまえがなっておるわけでありまして、これをまず一級、二級の中にも入ってない内科疾患というものを取り上げる、この方向で大臣も言われました技術的な問題をすみやかに結論を出して、その方向で改善いたしたい、かように考える次第でございます。そこで級をふやしていく、いわゆる対象範囲を広げていくという問題につきましても、順を追って実施していかなければならぬのではないか。先ほど申しましたようなほかの年金との制度のバランスを考えながら、特に国民年金の中におきましては、拠出年金と母子年金というものを、一方につけて一方につけないといったようなことのないような方向で考えていくという考え方なのであります。 それから扶養加算につきましては、これもまた制度のたてまえの問題がありまして、ほかの制度との関連——アンバランスという問題もあるわけでありまして、これも検討いたしておるわけであります。
○八木(一)委員 ぼくはわかっている。ことばはアンバランスと簡単に言われましたが、アンバランスがあるからそれについては実現するように考えていくということですね。 それからその次に、障害についてもう一点だけ申し上げておきますが、障害年金を支給する条件として、本人所得制限については今度十五から十八に上げる。これも少しですが、物価から見れば同じようなもので、ほんとうに上げたことにならないのですが、とにかく上がっておる。ところが配偶者の所得の制限があるわけです。この制限規定は、非常に複雑なへんてこりんな規定になっておるからずばり言えませんが、二十万円をこえたような収入を奥さんが持っていたならば障害福祉年金がこないということになっておるわけであります。この問題は老齢のほうでもありますが、配偶者所得制限というものは撤廃すべきだと思う。全般的に世帯所得制限ということばではありませんが、そのことばに当てはまる非常に複雑な規定の制限があります。それは家全体で大体五十万円あれば支給を受けられない、今度六十万円に上げようというものがあるわけですね。それが一方にある。そのときに、それ以上のものについても福祉年金はほんとうは差し上げたいけれども、財政の関係があるからしばらく待ってもらいたいということで、そういう制度ができた。これは撤廃すべきだと思うし、もっと上げたいけれども、まあまあ現時点としてはしようがないと思います。しようがないと思うときに、配偶者所得制限というようなよけいなものはつけなくてもいい。というのは、非常にお年寄りの点も重視しなければなりませんが、お年寄りが大体しあわせに過ごしてこられた、そして老齢福祉年金をもらえるときになった、親孝行なむすこさんとお嫁さんがいて、今度六十万円の収入がある人に老齢福祉年金がいくわけです。差し上げるのは当然です。もっと七十万円の収入の人のお父さん、お母さんにも上げたらいいと思うのですが、政府はそうしてない。そのときに、目の悪い人の奥さんが子供がいるから子供をかまわなければならないが、御主人が目が悪いから、何かの仕事を一生懸命やって、非常に苦しみながら御主人のことを介抱しなければならないし、子供を育てなければならない。それに家計が苦しいから自分も働かなければならぬという、三重苦でやってわずか二十数万円の収入を得たというときに、その収入が制限条項にひっかかって、重度の障害の人に障害福祉年金がいかないということは非常に不合理だと思うのです。お年寄りも大事だけれども、親孝行のむすこ、嫁を持っている六十万円の収入を持っているお年寄りと、奥さんが子供をかかえて、目の い人をかかえて一生懸命働いて数万円の収入しかない人、これは世帯といってもそれしかないわけですから、そういう場合に片方は出て片方は出ない、こういうことは非常に不合理だと思うのです。年寄りのときもそうです。親孝行のむすこや娘がいない、嫁がない、だから七十五歳のおとうさんがしようがないから一生懸命働いている。その人が二十数万円かせいだ、そのためにおばあさんのほうは老齢福祉年金がいかない。親孝行のむすこの六十万円の収入のある世帯のおとうさんにはいく。こういうような配偶者所得制限という、非常な不合理な所得制限がある。外国の例でも、本人の所得制限、あるいは家計全体の所得制限がある例があっても、配偶者所得制限というような理屈に合わない制限をしている例はないと思います。これはきわめてばかな国で一つくらいやっているかもしれませんけれども、そういうところは非常に社会保障に不熱心な後進国であって、日本みたいな先進国はそういうことをしてはいけません。そういうことで配偶者所得制限を即時撤廃しなければならないと思いますが、それについての厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
○西村国務大臣 それは理論だけでいけばそうであるかもしれませんが、その他の制限があるわけで、たとえば夫婦の福祉年金の減額制度もございますし、相当に引かれます。そういう場合にそれを先にすべきか夫婦の福祉年金の減額を先にすべきか、あるいはいま言いましたように、夫婦間の所得制限を撤廃すべきかどうか、撤廃しなくても緩和したらいいのじゃないか、御主人がよけい取る場合は奥さんの千円くらいは問題でないかもしれませんから、所得制限を緩和するという方法はあります。いずれにいたしましても、まだまだ夫婦間の福祉年金の減額、あるいは夫婦の間の配偶者の所得のいまの制度、そういうようなものをやはり彼此研究をいたしまして、これは財源とのからみはありますから、ある金でやるならばいずれを先にすべきかという検討はいたさなければなりません。しかし御趣旨におきまして、福祉年金をやるからにはそういうようないろいろなからませた制限はなるべくしたくないという気持ちだけは十分あるのでありますが、実行問題になりますれば、その彼此いずれをとるかというようなことにつきましては十分今後検討してまいりたい、こう思っております。
○八木(一)委員 熱意はわかりますが、いずれをとるかなんという、そんなに弱腰では困ります。厚生大臣のまじめな努力はわかります。だけど、お年寄りだとか未亡人だとか障害者というのは、ほんとうに気の毒な立場で、政府のあたたかい施策を長いこと要望しているのです。ですから、いずれをとるかということにつきましては、片方はできて片方はあとまわしになるという、そんなことではなしに、老齢福祉で今度次に言おうと思ったのですが、これは何回も何十回も言っているのです。そんなものが撤廃できないというばかなことはありません。夫婦の受給制限で千円が七百五十円にされてしまう、それはもちろん直していただかなければならぬ。厚生大臣がいずれをとるかということではなしに、いずれも絶対にとるのだ。大蔵省いますか。大蔵省がこのような問題で制限を加えるようだったら、大蔵省の資格は断じてない。そういうような大蔵省を前にして、厚生大臣は、ほんとうに熱心だったら要求は絶対に通す、大蔵省が聞かないならば大蔵大臣と対決をする、それができなかったら、それで負けたならばその経過を表明して辞表をたたきつけて、天下に池田内閣が社会保障に熱心でないということを声明して、国民のために政治家としての責務を果たすというかっこうでやっていただかなければならぬと思う。そういうことで、いま夫婦の受給制限の問題に触れられましたけれども、夫婦の受給制限を撤廃する問題については厚生省は要求する準備をされたか、要求をされたはずです。その金額は幾らであったか、年金局長でけっこうですから、幾らの予算であったか伺いたい。
○山本(正)政府委員 三十八年度の予算要求に際しまして、国民年金審議会の意見を尊重いたしまして予算要求したわけでございます。その一項目といたしまして、ただいま御指摘の夫婦受給制限の緩和の形で出しております。はなはだ不徹底と言われるかと存じますが、現在の二割五分を差っ引いておるというのを、一割だけにするという緩和の線で実は要求したわけでありまして、それだけで、年金の金額はいま正確にわかりませんが、四カ月で約四億円でございますから、年間にいたしまして十二億くらい、こういった数字で要求いたしましたが、実現しなかったような次第でございます。
○八木(一)委員 厚生大臣、お聞きのとおりたった十二億。いまの配偶者所得制限を撤廃したときには、どのくらいの金額を要するか試算したことがありますか。
○山本(正)政府委員 現在試算はいたしておりません。
○八木(一)委員 推算はできませんか。
○山本(正)政府委員 見当でございますが、十億前後じゃないかと思います。
○八木(一)委員 厚生大臣、お聞きのとおりです。両方とも十二億、十億、こういうふうな問題です。年金全体で三百何十億というような、四百億くらいの予算です。そういうような予算ですが、物価だけから考えても何十億というものをふやしてもあたりまえだと思う。政府の全体の予算率も上がっておる。年金制度というものは発足したばかりだから、前からあった制度と違って急速に発展してしかるべきものであります。しかも物価も上がっておる、こういうような条件です。それからまた、政府が再々国民年金制度をよくするということを公約をしておる。社会保障制度審議会はじめ、あらゆる条件についてはよくするということを再々勧告をしておる。そういう条件であれば、これは厚生省が要求をしなかったら大蔵省が、変じゃないかと言うべき性質のものであります。厚生省が言ったものになたをふるうというようなことは、とんでもないけしからぬことです。大蔵省もけしからぬけれども、このような要求を出せなかった厚生省もけしからぬ。そういうことについてほんとうに反省をされる必要がある。前から何回も附帯決議がつけられ、また各審議会から勧告が出され、ここで論議をされた問題を実現するために、勇往邁進していただかなければならないと思いますが、厚生大臣の御決心を伺っておきたいと思います。
○西村国務大臣 附帯決議につきましては、これは皆さま方の御意見でございますから、実現に対しましては十分努力をいたしておる次第でございます。今回、制度発足以来初めて福祉年金の増額をはかったのでございます。その額は、いま御指摘のように必ずしも十分でなかったことは私も認めますが、今後ひとつ十分に力を入れたい。ことに附帯決議につきましては十分検討の上に力を入れたい、かように考えておる次第でございます。
○八木(一)委員 本人所得制限が、今度十五万が十八万になった。それから世帯所得制限というものを五十万から六十万にしよう。これも物価の関係からいくと当然で、結局名目的収入が上がっておりますから、四年前と比べたらこれは前と同じか減っておるくらい。実質的に所得制限を緩和したことにはならない。大蔵省、よく聞いておいてください。大蔵省は、発足したものが前進することにブレーキをかけないでもらいたい。こんなものは、十五万が十八万になったってあたりまえです。名目所得がふえておるのですから、前のところでとまっておる状態です。五十万が六十万になってもとまっておる。とまっておる状態であるから、これはどうしたのですか、一つも進まないじゃありませんかというくらいのことを大蔵省が言うくらいの覚悟でやってもらわなければ困る。厚生省がなまけていたら、大蔵省が、ほんとうに国民のために財政を運用する立場から言うのがあたりまえです。ましてや、厚生省が出したやつをちょっとでもなたをふるうようなことは——なたをふるった、二つ条件を出しておるのに一つしかできていない。こんな大蔵省はけしからぬ。今度田中大蔵大臣に来てもらってこの問題を徹底的に追及いたしますが、大蔵省は、厚生省関係の予算については一切なたをふるわないばかりでなしに、このような社会保障制度に金をかけることは、社会保障制度審議会の答申、勧告にあるごとく、国民のいろいろな購買力をふやし、いろいろな生産の健全な増大と発展に非常に寄与する経済的な効果もある、そういう点も考えられて、財政はただ締めればいいというような近視眼的な財政政策でなしに、少なくとも厚生省の要求については一切なたをふるわないというように大蔵省はしてもらわなければ困る。そういうことを、これは答弁は時間の関係もありますから、主計官はひとつ大蔵大臣に厳重に伝えておいていただくと同時に、主計官自体としてもそういう努力をしていただく必要があろうと思う。 厚生省のほうに返って申し上げますが、いまいろいろなことを申し上げました。まだ老齢福祉年金については七十歳ではならない、これは六十代から支給しなければ、非常に不幸な境遇にあった老人の場合実際の役に立たない。残念ながら、しあわせな人は長生きです、不幸な人は寿命が短い。しかも同じ年齢であっても不幸な人の六十八歳は、しあわせな、健康な、ごちそうを食べていた人の七十三歳よりも身体的に老齢化しておる。そういうこと左考えたときに、この年金制度の不可避的なそういう点の不合理をなくすためにも、そういう気の毒な人に対処するためにも、年金は拠出、無拠出を問わず六十歳から支給しなければならぬ。これが一ぺんにできなくても、どんなへっぴり腰の政府でも、六十五歳から支給するような法案を出してこなければならぬという条件があるわけです。そういう問題全体については、私たちは、年金については六十歳から支給すべきだ、これは拠出も福祉年金も同じだ、そして拠出年金については、いまの年金は非常に少ないから多くしなければならぬ、福祉年金についても少なくとも七千円まで持ってまいらなければならないけれども、当面のところでも三千円、四千円くらいまで持ってこなければならない、母子年金は当然それに対応してこれくらいのところ、一級障害はそれを越したそれ以上の金額、二級障害はそれと同じような金額にならなければならないと考えております。そういう意味では、このような政府のほんとうにストップあるいは後退を意味するような改正案には実際は賛成できないわけです。われわれとしては対案を出し、あるいは大幅な修正案を出して対決をしなければならない法案でございますけれども、国会があのような状態で、末期で非常に時間が迫っておる、そしてこのような乏しいものでも一生懸命に待っておられる方があるから、私どもとしては忍びがたいのを忍んで、今回限り修正案を出すことを時間的な点であきらめて、この法案に賛成するごとになろうかと思うけれども、それについても政府はほんとうに本腰を入れてやってもらわなければならぬ。そうでなければ私どもとしては承服できない。そこでいま言ったようなたくさんの問題がある。拠出年金については、たとえばいまの免除の分の国庫負担だけしておる。ところが保険料についても国庫支出をして、保険料が負担できないような人に一番、老齢保障にしろ、障害保障にしろ、または母子、遺族保障にしろ必要なんだから、そういう人たちに——この前改正したけれども、三分の一くらいしかつかないというような間違いを直して、ほんとうに必要な人に必要な給付がいく、保険料の負担能力がない人に負担をさせないで、国庫の支出でいくというように社会保障的に変えなければならない。拠出年金についても福祉年金についても、物価とともにスライドする、それと同時に生活の向上に従って上げていかなければならない。第三要件として、発足した当初の制度であるから、それを加速度的に進めなければならない。この三つの進めなければならない要件があります。物価にスライドして進めるのが第一の要件。その次に、生活水準が全体上がった状態において当然進めなければならない。そのほかに、これが一番肝心なんだが、発足して間もない制度だから、ほかの制度とのバランスではなしに、それを追い越して急速に進めていかなければならない。そういう要件について私どもは考えておるわけでございますが、どうかそういうことについて、厚生大臣はよく御理解いただいて、前進をはかっていただきたいと思います。 最後に一つ——最後とは言いません、御答弁によっては続きますけれども、この問題の集約として、今度の国民年金法の改正が成立しても、制度審議会の答申よりはなはだしく後退を意味するような不十分なものであるから、来年度においては必ず——この内容については私ども申し上げたようなことの十分なことを望みますが、政府もいろいろのことがありましょう。その内容について、できるだけ十分に盛った改正案を来年度は出すということのお約束をいただきたいと思うわけであります。その点について、どうかひとつ前向きの積極的な御答弁を厚生大臣からいただきたいと思うのです。
○西村国務大臣 さいぜんも言いましたように、国民年金は社会保障の心棒でありますから、制度全体につきましてもこれは十分考えなければならぬわけでございます。制度発足以来、今回初めて福祉年金を増額いたしたのでございます。私は非常に前向きである。不十分であるということはあなたも十分おっしゃいましたが、どうかひとつ御賛成を賜わりたいと思います。あくまで私たち、今後この改善に対しましては十分努力をいたしていきたい、かように考えておる次第であります。
○八木(一)委員 来年度に改正案を出すことをぜひお約束いただきたい。改正案の内容は、われわれは十分なことを申し上げました。ですけれども、厚生省も都合があって、私が言ったことが百が百まで盛れないこともあろうと思います。しかしながら、改正案を出す、できるだけこの論議を尊重した、いままでの附帯決議を尊重した、各審議会の答申を尊重した内容を盛った改正案を来年度において、政府の責任において必ず出すということのお約束をいただきたいと思います。
○西村国務大臣 いますぐ改正案を出すとここで約束はできぬ。私は、全般を考えまして、内容改善に対して努力するということで御了承を賜わりたいと思うのでございまして、改正案を来年度出しますと言い切ることはどうかと思います。やはり全般的な問題をとらえまして、この問題につきましてはこの問題として前進いたしたい、かように考えておる次第であります。
○八木(一)委員 厚生大臣、もっとほんとうに厚生大臣として——まじめな御努力はわかっておるし、私短い時間だから、大きな声を立てたから感情をそこねたのかもしれぬけれども、そうではなしに、ほんとうに前向きの御答弁をいただきたい。ということは、いま言ったことは、厚生大臣としてはみんないいことだと思っておる。ところが財政上の問題があったり、あるいはわずかの技術的ないろいろな問題があって、その問題についての御答弁があっただけだ。厚生大臣としては、それはやらないとは言っていないわけだ。言っていないでしょう。やろうという考え方でやっておるのでしょう。それならば、それだけのいろいろな問題があるときに、それだけ全部をわれわれは期待したいのだけれども、全部はできないこともありましょう。しかしながら、何らかの改正が、当然この一年間努力されてなされなければならぬ。そんなにたくさん問題があるのに、一つもないということはあり得ない。それだったら厚生大臣は直ちに辞職してもらわなければならぬ。何らかの改正案を盛られるということは、それは法律だから改正案を出さなければならぬ。その意味で内容についてわれわれは要望を申し上げたけれども、これこれのこの金額はこうだということは、いま申し上げても要望、要求だけであって、お約束できないことはわかっております。しかし、国民年金の改正案を出すということはお約束できるはずだ。お約束ができなかったら、一つもやらないということです。内容についてはわれわれ要望を申し上げましたけれども、厚生大臣の非常に熱心な御努力に信頼して、いいものが出ると期待いたしますから、国民年金の改正案を来年度出すということはぜひお約束をいただかなければ、私どもとしては、ほんとうに国民の要望にこたえることができないと思う。これは自民党の方々も同じだ。いろいろな問題がある、これはどうしても片づけていただかなければならない。その中でこれとこれとこれが先になる、これがあとになるということもありましょう。先になったものだけでも、どうしても改正案を出していただかなければならない。その意味でぜひ改正案提出についての前向きな、率直な御答弁をいただきたいと思います。
○西村国務大臣 努力するということで、積極的な点で改正案を出すということになれば、これは増額を認められて、全部内閣として予算が認められてから後でないと改正案が出せないのでございます。だからして私は、その内容改善に努力するということだけであなたの気持ちに十分こたえておるのではないかと思うのですが、全部予算が認められなければ法律として出せませんから、そこまで私が出すと言えば——総理大臣が言うなら別でございますけれども、全部予算を通過しなければ私は出すということは言えませんから、私の範囲内では十分努力する、こういうお答えで御了承を賜わりたいと思います。
○八木(一)委員 厚生大臣は、そういう点の御答弁では形式的です。 そこで委員長、ほんとうならこういうときに総理大臣に来てもらわなければいけない。厚生大臣はやりたくてもやれません。責任ある池田君に来てもらわなければ——池田君を要求していま来てもらえますか。時間がありませんから、池田君の来る来ないは別にして、池田君が来るまでに、厚生大臣はとにかく改正に努力する、改正案を出すためにほんとうに責任を持って対処するという御答弁をいただきたい。そういう改正案が出ないくらいだったら、厚生大臣西村さんがお考えの社会保険がとめられるのだったら、これはその職にとどまってはおられない。厚生大臣の職を賭しても出すために努力をするという御答弁をいただきたいと思います。
○西村国務大臣 内容の改善について十分努力し、附帯決議の趣旨もございますから、十分尊重して努力します。
○八木(一)委員 責任を持って努力してください。もう一回……。
○西村国務大臣 うそは申しません。
○秋田委員長 滝井義高君。
○滝井委員 時間がありませんから、六、七点質問をしますから要領よく答えていただきたい。 まず第一は、いまの国民年金は保険料が百円ないし百五十円、年金額が三千五百円、これは現在の生活水準から見て、いわゆる時間的なズレがあるわけですが、十九世紀のような感じがするわけだ。二十世紀の後半の人間衛星も飛ぶ時代ですから、この制度をあなた方としては一体どう発展させていこうという腹案をお持ちなのか、こういうときに少し明らかにしておいていただきたいと思うのです。 いま巷間では、免除の階層がだんだん多いし、それから保険料が百円と百五十円ではいかぬだろう、もう少し保険料を二百円とか三百円とか、段階をつけたらどうだという意見もあるようです。それから同時に所得比例の保険料、いわゆる健康保険みたいな標準報酬的なああいう考え方にして、ちょうど医療が均一に受けられるように年金も均一にしたらどうだというような話もあるわけですね。何かこれはいまの定額の保険料で定額の年金をくれるということでは、所得再分配の効果というものも必ずしも大じゃないわけです。したがって、これを一体どういうぐあいに発展さしていくかということは、厚生年金の改正の問題が現実に登場してきておるのですから、この段階では当然考えなければならぬ問題点だと思うのですよ。その点、あなた方はそういう国民年金を具体的に今後発展せしめる方途について、何か考えておるかどうかということです。
○西村国務大臣 いまの給付の内容が、老後の生活に十分でないといわれておりますから、その引き上げは考えておりますが、いま言いましたように、それを引き上げる場合に、国家の援助もさることながら、保険料の問題も出てきます。その場合に、いわゆる再分配の方法をとるかどうかということでございまして、その点については十分まとまっておりません。しかし所得による保険料のかけ方をつまり違わせる、またはその給付を違わせることにつきましては、いろいろ技術上の問題もずいぶんあると思います。あると思いますから、少なくとも今度厚生年金の改正がありましたら、その問題等もやはり勘案いたしまして、再計算の時期くらいまでには十分方針を立てたい。いままとまってこうする——とにかく三千五百円は引き上げなければならぬだろう、こういうことは明らかですが、どの程度に引き上げ、またその方法論を、結局所得を勘案してやるかどうかということにつきまして、まとまった考えはいま持っておりません。おりませんが、いずれにいたしましても再計算の四十一年の時期くらいには十分これは考えなければならぬ、かように思っております。四十一年の再計算の時期に必ずしも拘泥するわけではございません。物価の上昇、国民生活の向上の程度等も見合いましてこれは考えることでございますけれども、一応再計算の時期というものもありますので、それまでにひとつ十分固めたい、かように考えておる次第であります。
○滝井委員 その場合に、被保険者の所得というものが問題なんですね。労働者ならば、これは被保険者の所得がわりあい明白なんです。ところが、国民年金の対象者というものは農家とか中小企業者です。しかも農家で——私が農業をやっている、しかし私の子供や妻は農業をやっていなかったという場合において、妻や私のむすこはいわば無所得なんです。ところが、これは年金の被保険者になってきているわけです。こういう独立自営業者の所得の把握ということが非常に困難なわけです。最近、あなたのほうの何か雑誌その他を見てみますと、この所得をどう把握するかということに非常に苦悶をしておって、実態調査その他をおやりになっておる。この被保険者の所得をどう考えるかということが、今後の国民年金制度を確立する上に非常に重要なポイントになってきている。この所得をどう把握するか、この所得の把握のしかたについて、あなた方は何か統一見解を持って、国民年金に対処しておるかどうかということです。
○山本(正)政府委員 ただいま滝井さんがおっしゃられましたように、この国民年金の被保険者の所得の把握は非常にむずかしい問題でございます。先ほど大臣から言われましたように、今後国民年金を充実していくという問題につきましては、国庫負担の問題もさることながら、保険料をどういうふうに負担していくか、あるいは負担の限度をどうするかというような問題がございまして、所得の把握は、現在では一応公的なものといたしましては住民税の関係で所得の申告がございまして、その申告所得を基準にするということが可能でありますれば、事務的には比較的簡単にいくわけでございますが、はたしてそれが負担能力の正確な反映としてこういった制度に取り入れられることができるかどうかということは、非常にむずかしい問題がございまして、現在国民年金審議会におきましても、国民年金の長期計画をどうするかということで、そういった基本的な問題を検討していただいておるといったような段階でございます。
○滝井委員 これはやはり所得把握に対する統一的な、きちっとしたものをきめないと、年金の額、保険料の負担の能力等をきめる上に非常に支障を来たすわけです。しかも御存じのとおり、国税とそれから地方税、いわゆる住民税と、われわれが末端で税務署に納める税金、この関係は、いまお互いに秘密で、必ずしも見せ合いをしたり、ざっくばらんにしていないわけです。したがって、住民税の所得の把握というものは、必ずしも所得税ほど正確でないわけですね。ここらに、今度住民の間に格差を設ける保険料にするということになると、これは不満が出てくる可能性が出てくる。これはわれわれが国民健康保険の保険料を取る場合に多く見るところです。それから国民健康保険と国民年金の取り方が違っているという、非常に行政上統一を欠いた面があるわけです。今後そういう点に対しては、政府はもう少しわれわれにも十分納得できるような検討をしていただいて、その上でひとつ資料を一ぺん出してもらいたいと思います。 それからもう一つ、この年金における妻の扱いです。国民年金では妻は任意適用です。厚生年金では、妻の座は——健康保険ではある程度被保険者できちっと確立をしておるのですが、厚生年金でも確立をしたような形にはなっておる。その場合に厚生年金は世帯主義で、国民年金は個人主義でしょう。こういう考え方に立ってみると、必ずしも年金における妻の座というものがどうも明白でないのですね。ところが最近は、選挙権でも妻のほうが二百万以上多いのですから、年金における妻の座を確立してやる必要があると思うのです。この妻の座をあなた方は一体どう確立しようとするのかということです。
○山本(正)政府委員 御指摘のようにこれは非常にむずかしい問題でございまして、厚生年金では、妻の扱いといたしましては、加算制度で年金受給者の妻には加算がある。国民年金では、御指摘のようにそれぞれ個人で被保険者になれる。そこで一番問題なのは、若いときには厚生年金の被保険者で入っておって、そして国民年金の受給者の方と結婚するといったようなケースが将来非常に出てくるわけでございます。それに通算年金の制度ができましたので、この妻の扱いについてさらにこの際何か統一的な方法を考えなければならないということは、御指摘のとおりでございます。昨年の制度審議会におきましてもそういった趣旨のものが出ておりまして、方向といたしましては、厚生年金の中においていわゆる妻の独立の年金を認めるかといったようなことが一つの考え方でございます。それから国民年金の任意加入の配偶者を強制加入にするかといったようなことも一つの方法でございますし、まだほかに方法は幾つかあると思いますが、その方向をどういう方向をとるかということにつきましては、今日検討の段階でございまして、まだ方針を明らかにする段階になっておりません。
○滝井委員 この年金制度における妻の座というものを明白にしないと、国民の中の半数を占める女性の老後というものは非常に不安定なんですね。これは、男性だけが政治をやるから男性だけが安定しておればいいというものではない。うしろに大臣をやった女の方もおられますから、これはほんとうはうしろの先生から言っていただかなければならぬことを代弁しておるのですが、妻の座を確立していただく、そして女性の老後を安定せしめるということにする必要がある。戦後くつ下と女性が強くなったというけれども、それは見せかけだけであって、実際そういう老後を保障する面については強くなっていないのです。この妻の座の確立の方途を、今度はどうせ厚生年金改正のときにも考えなければならぬ問題ですから、ぜひやっていただきたい。 それからもう一つは、国民年金と厚生年金との関連をあなた方がどの程度考えておるかということです。すなわち、厚生年金は定額二千円、ところがこちらは定額三千五百円。三千五百円をきめるときには、一応いまの生活保護法というものをある程度——六十歳の老人か何かの生活保護を考えて小山さんのときにおつくりになった。ところが今度、この厚生年金の定額二千円を四千円にしてくれ、六千円にしてくれ、七千円にしてくれと、いろいろ議論があるわけです。そういう場合に、国民年金との関連というものを当然あなた方は考えなければならぬと思うのです。これは、私は比例報酬部分よりか定額部分との関連が一番強いと思うのです。そうしますと、これは厚生年金と同じように四千円、五千円、六千円に上げるということになると、財源の問題というものは相当大きな問題になってくるわけですね。ここらの国民年金と厚生年金との関連、厚生年金が現実に改正されようとする時期が目睫に迫っておるこの中で、一体大臣はどうお考えになっておるかということです。さいぜん八木先生が大きな声で言われておるところもここだと思うのです。
○山本(正)政府委員 一番肝心な点の御質問でございまして、今後まず厚生年金の改正問題が出てくるわけでございますので、私どもといたしましては、この厚生年金、国民年金、両者の関係あるいはその他の年金制度の関係というものを、それぞれの要素の違いも若干ございますけれども、アンバランスがあまり大きくないような方向に行かなければならぬということは基本的に考えておるわけでございます。ただ、いまも最初に滝井先生から御指摘がありましたように、国民年金と厚生年金の立て方が個人単位と世帯単位と申しますか、実は妻の扱いとも関連してくる問題であります。そこで厚生年金の定額分と国民年金の年金額との直接の結びつきといったような深い形にはなってないわけでございますが、今後これをどういう結びつきにしなければならないか、あるいは結びつきと離れて別個の観点から、それぞれ幾らの額がふさわしいということをきめていくかということは非常に重要な問題でございまして、今日こう行くのだといったようなはっきりしたものは、実はまだ持っていない次第でございます。その点御了承願いたいと思います。
○滝井委員 厚生年金は二十年ですね。それから国民年金は四十年、しかし二千円になるには二十五年でいいわけですね。その場合に、一体この線をどういうところで合わせるかということは、これは小山さんがお考えになりましたときも、当時やはり定額が二千円だということで、二十五年で二千円だ、こういうことになっているのだと私は思うのですよ。そこにつくった小山さんがいるが、おそらくそうだったと思う。そうすると、今度厚生年金をあなた方が四千円、五千円、六千円、七千円にする場合には、当然二十五年二千円というものが今度は関連が出てくる。これは当然出てこざるを得ない。これが出てこないというと、いままでここで小山さんがわれわれにいろいろ説明しておったことはうそになってしまう。そこで、そうなると基準年次というものをどういうふうに合わせるかということが当然問題になってくる。そうすると、それに関連して保険料の負担能力が問題になってくる。それを百円と百五十円とつくったのは、やはり現在の日本の農家なり中小企業者の最低の負担能力というものを考えてきめたのだと思う。そうして全部足並みをそろえて、できるだけ保険料の免除者を少なくして、最大公約数でいけるところは百円か百五十円だという、これはある程度の科学的な調査の結論から出てきたものだと思う。そうしますと、これは科学的な調査で百円や百五十円が日本の現在の中小企業や農民の負担の限界だと思うならば、その後池田さんが、所得倍増政策をとって、これが一体どのくらい上がっているかということが問題になってくる。小山局長がつくったときは、日本の経済力と見合って最低の負担能力が百円か百五十円だ。そのうち池田内閣が所得倍増計画をとって、全部国民の生活を上げたのだからということで——三十五年十二月に総選挙によって天下をとってから、三十五年、三十六年、三十七年、三十八年と、予算編成は足かけ四年間ぐらいになるわけですね。その四年間の間に所得倍増でどの程度国民所得が上がったか、上がった分だけ百円なり百五十円の負担能力がふえていく、こういう形が出てこなければならぬ。そこらのことと、いまの基準の年次、二十年とか二十五年というものの負担能力が、電子計算機でしたら出てくるのではないかと私は思うのですが、そこらをあなた方はどう把握しているかということです。その把握のしかたは、一つのあらわれとして、池田さんが天下をとってから消費者物価は、昭和三十五年が三・八、三十六年が六・二、三十七年が六・七、合わせて一六・七上がったわけです。一六・七消費者物価が上がったそのほかに、国鉄運賃、郵便料金というものが、一四、五%上がっている。米代は一割二分上がった。教科書は一割四分上がった。しかし年金は、老齢年金をとってみると千円を千百円にしか上げなかった。一割しか上げなかった。所得倍増政策をやって消費者物価は一割六分七厘上げたけれども、年金は一割しか上げなかった、こういうことになり、今度はいま言ったところにも関連が出てくるわけです。無拠出年金は、物価がそれだけ上がったけれども百円上げるだけだ。そうすると、拠出のほうの保険料の負担力をどの程度見るか、それに見合った拠出年金の引き上げをどの程度見るかということが、これと関連して出てこなければうそになるのです。無拠出のところだけ当たって、拠出のところを当たらぬというわけにはいかぬ。そうすると小山さんがつくったときに、月千円の老齢年金が、拠出の三千五百円でバランスがとれていた。これを千百円にしたときには、そちらをどのくらいにするのかという問題が出てくる。こちらが一割だから、そちらも一割だけだというわけにはいかない。なぜならば、これは御承知のとおり、身体障害者なり母子は一割以上上げているわけですから。これは上げるなら上げるだけの理論的な根拠があったはずです。その理論的な根拠は、すなわち拠出年金にも適用しなければならない理論的な根拠なんです。科学的に言えばそうなります。ここらの関連をひとつ説明してもらわなければ納得がいかない。非常にむずかしい問題だけれども……。
○山本(正)政府委員 非常にむずかしい御質問でありますが、福祉年金を上げたから拠出年金もということじゃなしに、本来の立て方といたしましては、拠出年金をどうするということから福祉年金をどうするという、理論的にはそういう筋かと存ずる次第でございますが、ただ問題は、確かに拠出年金というものが、制度を立案いたしました当時の金額でそのまま済ませられぬということは、当然考えられるわけでございます。そこで拠出年金をどうするかということは、単に物価の問題だけじゃなしに、生活水準の問題、これがあるわけでございます。それからいまおっしゃられましたように、それじゃ負担能力というものがそういうふうに上がったからと言われましても、国民年金の被保険者のほうの負担能力が、平均的に上がっているかどうかといったようなことも十分検討しないと、簡単には幾らにするといったような結論は出ぬわけでございますが、厚生年金の改正、これを実態に即したようにやりまして——現在国民年金の受給者というものは、遺族年金は若干出ておりますけれども、本格的なものはまだ先でございますので、若干時間的なズレはございますが、実際は間に合うということで厚生年金の改正をやりまして、国民年金の根本的な検討をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
○滝井委員 これはむずかしいところですから、やっていると一日もかかるからこれでやめますが、なおいまのところはもう少し理論的にきちっとしておいてもらわぬと困ると思うんです。こういうどさくさのときにこういう大事な法案をいつもやられるので、ほんとうに根本的な討議ができないんですね。だから政府もひとつあまり強行採決やなんかやらずに、こういう地味な法案はひとつ地味にやって、ほんとうに納得がいってみんなが協力して前進ができる姿をつくってもらわなければいかぬと思う。 それで、もうあと二点ですが、一つは国民年金の事務処理の経費です。昭和三十六年は九十円、三十七年は百十円、三十八年は百二十円になった。国民健康保険を見ると、去年が百二十円でことしが百三十円、十円という差がある。健康保険組合は被保険者一人当たり百四十円なんです。同じ厚生省の中の事務費でも、こういうように、大臣、違うんですよ。これはおそらく、理論的な根拠を言ってごらんなさいと言ったって、なかなかむずかしいと思うんです。これは差があっても私はかまいやしません。かまいやしませんけれども、やはりここらあたりは、何かきちっとしたものをする必要があるんじゃないか。国民健康保険とそれから国民年金と、同じく市町村に事務費をやってやらせるわけです。それで国保は百三十円で国民年金は百二十円というのもちょっとおかしいような感じもするし、保険組合は百四十円になっております。そういう同じ厚生省の行政の中ですから、少しくやはり考えてもらう必要がある。やるならば一律にみな百三十円くらいにずっとしておくほうが、けんかが起こらぬでいいじゃないかという感じがするのです。そうなると年金局長は手腕がない、それから保険局長は十円よけいにとっているから手腕がある、こういうようなことにもなりかねない。これは大蔵省にあなた方二人が共同戦線を張って、来年は百四十円にするなら百四十円もらう、こういうようにして努力をする必要があるんです。 それから国民年金の行政費の財源です。これがはっきりしないですね。いろいろ見ると、何か手数料にまた付加をつけてみたりなんかして、おそらく保険料の徴収のしりをたたくためにこういう制度を設けておられるのだろうと思うんです。市町村の国民年金の行政費というものの財源はどういうふうに細分されておるか、おそらく大臣、御存じないんじゃないかと思うんです。非常に複雑です。だから、たとえば市町村交付金、印紙売りさばき手数料、昭和三十七年から印紙売りさばき加算手数料、納付組織対策費、いろいろなものがあるんです。しりをたたくためにこういうのはいいと思う。私、この制度ができたときから事務費をしょっちゅうやるんです、これは事務費がうまくいかぬと制度はうまくいかぬですから。だけれども、あまりいろいろこまかい制度を分けてやるのじゃなくて——もうそろそろ年金制度に対する理解はできてきたのですね。社会党も反対と言っていたのだが、きょうはおそらく賛成するんですよ。賛成するくらいになってきたのです。だいぶ前進している。世の中が変わってきているのです。だからもうちょっとこういう事務費も、そう項目を小さく分けてちびちびしみったれの金をやらずに、思い切って事務費は事務費できちっとやる、印紙の売りさばきがいいところはきちっとやるというように、何か一本か二本立てにしないと、公務員の給与みたいに給料袋を持って帰って妻をごまかすためにはいいけれども、給与の総額を見るためには、上からずっと見るとどうもわかりにくいという給与体系のようでは困るのです。こういう点どうですか、もう少し事務費の出し方をすっきりするということですね。
○山本(正)政府委員 御指摘のように、事務費につきましては毎年いろいろくふういたしまして、市町村の要望にこたえていく方向をとってきておるわけでございまして、別ワクで事務費が追加されてきております。それともう一つは、実態的に個々の町村におきましては納付組織といったようないろいろの協議会組織ができておりまして、そういった面からこの制度の推進をされておるわけでございます。制度が発足日浅いというような点でこういった複雑さがあるわけでございますが、今後はその点、御指摘のようにすっきりしていくという方向にいかなければならぬじゃないか、かように存じておる次第でございます。
○滝井委員 どうぞ事務費をひとつしっかりやってください。 最後に、今度のこの改正で、児童扶養手当も母子年金の前進で前進することになったのですね。すでにこの年金制度ができて以来、日本における賃金体系がだんだん変化をしつつある、したがって児童手当制度をつくるべきであるということをわれわれはここで再三再四言ってきたわけです。そして昨年、当時灘尾さんのときでございましたか、中央児童福祉審議会にそういう問題はひとつお願いをして、日本の児童手当制度については抜本的な検討をしたいということだったのです。自来一年三、四カ月が過ぎてきたわけですが、一体どういう状態に児童手当制度の創設はなりつつあるかということです。これをちょっとこの機会に説明をしておいていただきたい。
○黒木政府委員 中央児童福祉審議会の中に児童手当特別部会をつくりまして、ただいままで十四回審議を尽くしまして、一応特別部会としては研究がまとまりました。いま最後の仕上げをしておるのでございますが、これを中央児童福祉審議会の審議にかけまして大臣に意見を述べてもらうという段取りで、近くそういう運びにいたすことになっておるのであります。
○滝井委員 そうしますと、これは大臣にお尋ねしますが、その答申が出ますと厚生省は本腰になって、この児童扶養手当法でなくて、本格的な児童手当の制度の創設に乗り出していくという腹を大体固めておると見ていいですか。
○西村国務大臣 児童手当の問題は非常に重要な問題で、いま児童局長が言われたような段階になっております。しこうして、やはり機運がだんだん進んでおると思いますから、私のほうでもここで十分検討を急がなければならぬという段階でございますので、その暁にはこの児童手当のほうも考えられる、かように考えております。
○滝井委員 先日黒木さんがお書きになった、名文の、児童が危機的段階にあるという児童福祉白書をお出しになった。これは日本の雇用形態が中高年齢層を雇わなくなりつつあるわけです。新規若年労働力を採る、こういう形でしょう。なぜかというと、子供が多いときには扶養手当を出すということになると賃金がふえるから、なるべく子持ちは少ないほうがいいという形態もあるし、それから技術革新で年功序列の賃金体系、終身雇用制度というようなものに変化が生じておる。そうしますと、危機的段階にある児童問題を解決しようとすれば、やはりヨーロッパ諸国のように児童手当というものに踏み切らざるを得ない段階に来ておると思う。ただ文章が危機的段階だけでなくて、その危機的段階を解消する具体的政策の前進がなくてはいかぬと思うのですが、そういう点について、大体あなた方のほうはどういう腹をきめられておるのですか。あの審議会をやったときは、相当腹を固めたということじゃなかったかと思うのです。
○黒木政府委員 これは所得倍増計画の閣議決定におきまして、十カ年計画の後半期に実施するというようなことがございますので、昭和四十年以降できるだけすみやかな機会に実施したいというようなつもりで準備いたしておる次第でございます。
○秋田委員長 吉村吉雄君。
○吉村委員 だいぶ時間が切迫しておりますので、単刀直入に質問しますから、簡潔に答弁を願いたいと思います。 それは、現行の国民年金法六十五条によりますと、公的年金受給者あるいは軍人恩給の受給者、こういった人々については併給の制限があるわけですが、公的年金受給者にして限度額二万四千円となっているために、併給を制限されている人数は一体どのくらいになっているのか、事務当局のほうからお伺いをしておきたいと思うのです。
○山本(正)政府委員 今回、ことしの十月で扶助料の関係が完全に実施されるということによりまして、ことし経過的に国民年金の分で併給されるが、十月以降については落ちると予定されている人員が二十三万五千人であります。
○吉村委員 この併給制限の問題について、軍関係の年金受給者とそれから一般の公的年金受給者との間に、軍関係の場合には七万円を限度額とする、一般の公的年金の場合には二万四千円が限度額でございますが、この差を設けた根拠というものは一体何ですか。
○山本(正)政府委員 福祉年金と他の公的年金との併給の要望が非常に強かったわけでございまして、そこでその額を一体どこに引くかということで、二万四千円、これは先ほどもお話がございましたが、厚生年金の定額が当時二万四千円である、その他二千円というようないろいろな数字がありまして、二万四千円にしたわけであります。 ただ軍人軍属の戦争公務による公務扶助料につきましては、生活保障的な部分と慰謝料的な部分がありまして、その倍率が当時の数字で大体三倍ぐらいになっている。下士官クラスをとりますと大体三倍になっているということから、二万四千円の三倍ということで七万円まで公的扶助料との関係の併給は限度を上げる、こういった措置が講ぜられた次第でございます。
○吉村委員 この福祉年金の場合一大体性格的に考えてみますと、どうしても救貧的な内容が含まれておると思います。そうしますと、生活扶助を受けておる人にして七十歳以上の方々が受けるところの生活扶助額というものを考えてみますと、現行制度のもとでは相当低いとはいいながらも、額は二万四千円以上になるのではないかというふうに考えられます。しかもこの生活扶助適用者については、年金は併給されているはずだと思うのです。こういう点から考えてまいりますと、一般の公的年金受給者に対する制限額二万四千円というものは、生活扶助の関係から見るならば非常に問題があるように思いますけれども、この点はどういうふうに考えておりますか。
○山本(正)政府委員 御指摘のように、これは当時からいたしますと、福祉年金の額も、先ほど問題になりましたように二万四千円で低いじゃないか、生活保護も相当上がっているじゃないかというような御意見が出てくる問題でございます。これをどうするかという問題は別といたしまして、確かに当時から比べますと、他の制度との比較におきまして低いじゃないかというような御意見が出ると存ずる次第でございます。
○吉村委員 この点は、時間もございませんからここで根本的な論議をしようとは思いませんけれども、生活扶助基準の問題あるいは現在までの物価の値上がりの状況、こういうことから考えてみますと、軍関係の人たちに対する制限額が七万円であって、他の公的年金の受給者に対する制限額が二万四千円というのは、あまりにも差があり過ぎるというふうに言わざるを得ないのです。私どもは、この併給額が、軍関係の人が高いからということを問題にするのではないのでありまして、国民年金制度という観点からするならば、もっと軍関係のほうも上げる必要があるのでありましょう。同時にまた、この均衡というものから、あまりに差があってはいけないわけでございますから、根本的な立場から言うならば、同じ額でしかるべきであるというふうに私は考えます。しかし、いまの制度のままでは約三分の一、これではとうてい福祉年金でございますというようなわけにはいかぬでありましょうし、実際にこの制度があったとしても、いま言われましたように約二十三万人という方々はこの制度の恩恵を受けることができ得ない、こういう状態になっておるのでありますけれども、私は制度上から見ましても非常に大きな問題ではないかというふうに考えます。 さらに、いまの政治のもとでは、この国会でも問題になっておりましたように、政府のほうでその意図があるかないかは別といたしまして、軍関係の諸問題に対する扱い方というようなものを考えてまいりますと、どうも戦前の方向にすべての制度が引き戻される。言いかえますと、軍関係のものを優先的に扱っていこうというようなことが、ばらばらではありますけれども、総体的にながめてみると、そういうふうになっているように見える節々が多いわけです。ですから、これがいわゆる反動コースではないかという見方も、こういう一面からも私は言い得るように考えられます。ですから、国民年金制度というような、国民全体を対象とする制度でございますから、この格差というものは当然なくしていくというたてまえをとっていくのが最も正しいあり方ではないかというふうに考えますけれども、時間の関係もございますから多くは触れませんが、このような不均衡な状態に対して一体厚生大臣はどういうふうに考えておるか、お伺いをしておきたいと思います。
○西村国務大臣 いまの御質問に答えるためには、二万四千円というものが他の制度に比べてバランスがとれておるかおらぬかということの問題に帰着すると思うのでございますから、慎重に今後検討いたしたい、かように考えております。
○吉村委員 それでは、いまの問題についてはひとつ誠意を持って検討してもらうように要望しておきたいと思うのです。 最後に、先ほども滝井先生のほうから触れられましたけれども、児童扶養手当と児童手当との関係でございますが、新聞の報道によりますと、児童手当を制定するという方向に厚生省としては踏み切ったという報道がなされております。あるいはまた、今日までも、社会保障制度審議会における意見、あるいは本委員会におけるところの意見等から考えてみまして、児童手当というものを制度化しなければならないという機運になっていることは言うまでもないと思うのであります。厚生省がそこに踏み切ったということについては、おそきに失したとはいいながら、そういう決意を持ったということには私は敬意を表するわけでございますが、ただ去年の本委員会におきましても私は質問をしておきましたけれども、児童福祉審議会ですか、ここには児童手当の専門の小委員会をつくって、去年の当時の児童局長の答弁によりますと、あと二カ月程度で第一次草案的なものができるという答弁もされたことを私は記憶しております。それからだいぶ日にちがたっておるのでありますけれども、一体この児童手当については、ほんとうに実現をする、実施をするという考え方で具体的にその専門委員会で審議会が行なわれているのかどうか、行なわれているとするならば、今日の状況はどうなっているのかということをお聞きしておきたいと思いまするし、なおいま一つは、児童手当が実現をした場合に、この児童扶養手当というものの関連はどういうように措置をされるという考え方で事に臨んでおるのか、これを承っておきたいと思うのです。
○黒木政府委員 先ほど申し上げましたように、ただいままで十四回ほど審議をいたしまして、もう第三次ぐらいの草案をつくってみたのでございますが、一応研究が終わりましたので、今月もう一回最後の仕上げの特別部会を開きまして、それを来月にでも児童福祉審議会にかけまして御審議を願って、できるだけ早い機会に大臣に意見を述べてもらう、こういうような段取りで進んでおる次第でございます。 それから児童扶養手当は国民年金の補完的なものでございますから、児童手当制度とは本質的には内容が異なると思います。ただ、児童手当ができました暁には、当然児童扶養手当の内容は吸収される、かように考えております。
○秋田委員長 八木一男君。
○八木(一)委員 厚生省に御質問をいたします。今度のこの国民年金法の一部を改正する法律案で、福祉年金の金額は、老齢については月千円が千百円、母子については千円が千三百円、障害については千五百円が千八百円になるわけでございまするが、先年、この国民年金法が昭和三十四年に通って実施されるにあたりまして、生活保護法の適用を受けている人は、この第四条の規定によりまして実際にこの福祉年金の恩恵が受けられないから、これは困るではないかということがその当時論議をされました。それで坂田厚生大臣から、これに対しては生活保護法の中に老齢加算、母子加算、身体障害者加算をつけて、これがそういうふうに不合理にならないようにいたしますという御答弁があり、翌年この実施を見たわけであります。これは最初にそういうことでスタートが悪かったので翌年になりましたけれども、翌年ではなしに直ちに実施しないと、一番気の毒な生活保護家庭の老齢、障害者、母子家庭に対する措置がおくれることになると思いますので、即時これに対応した老齢加算、母子加算、身体障害者加算を採用して引き上げる措置をとられる必要があろうと思いますが、これについて厚生省の御意見を伺いたいと思います。非常に専門的なことでございまするから、先に社会局長にお答え願って、それから厚生大臣からお答えを願いたいと思います。
○大山(正)政府委員 今回国民年金法が改正になりまして、実際に福祉年金が増額支給になります時期から、生活保護におきます母子加算、老齢加算、身体障害者加算もそれに相応して引き上げる、そういう予定でおります。
○西村国務大臣 局長がただいま申しましたように引き上げをする予定でございます。
○秋田委員長 受田新吉君。
○受田委員 今度の改正案の中で、いま八木委員も指摘された三十四年十一月から実施された国民年金のうち、老人の福祉年金が四年の間にわずかに百円しか上がらないということはどうしたことか、また寡婦年金にいたしましても障害年金にいたしましても、ちょっぴり比率は高いけれども、三十四年の当時から本年まで、東京都の物価というものは約四割五分上がっている。とういう実情において、このささやかな引き上げというのは何を基準にしたかということ、これはその生活実態を把握しない、原則的に生活を根底とする年金でないということになるのでありまするが、もっとはっきりした生活実態に即応した年金額というものを決定すべきではないか、かように思うのでございます。これは福祉年金ほか三つの年金に共通する問題でございます。なお、身体障害者に対する年金額の支給対象になる人も、実は一級だけを対象にしているのであって、非常に障度のひどい人に対してのみ適用されている。もっとこの範囲を広げて、身体障害の苦痛をしている人々に広く恩恵に浴せしめるという金額の問題と範囲の問題、これをまずお答え願いたい。
○西村国務大臣 第一点の問題でございまするが、これは制度発足以来初めての引き上げでございまして、十分の額と言うわけではございませんが、財政上のいろいろの都合もございましてこういうふうになったのを御了承賜わりたいと思います。 第二番の問題は、いろいろこの国会でも附帯決議がありまして御要望がございます。そのうちの一部分は実現いたしたのでございまするけれども、いま申しましたような障害の程度をさらに下げて、一級でなしに、二級、三級とさらに下げてくれという問題は、今後十分検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○受田委員 あなたの御答弁ははなはだ誠意がない。四年間に百円ほど上げて、千円を千百円にしたのはやむを得なかった措置だなどということは、国民年金の精神からいって許されないことだと思う。少なくとも物価高に即応した、ある程度の給与の上昇に伴うとか、物価高に伴うとかいう形で千円を千五百円にするとかいうことであれば一応筋が通るけれども、四年間にたった一割ほど上げるということはとんでもない考え方であると思う。これは問題である。また支給対象を広げる問題について、一部を範囲拡大するという程度でございますけれども、これはもっと真剣に考えた措置が必要であったと思います。 いま一つ児童の手当でございますが、現に不幸な家庭の子供たちは、労働基準法に違反して強制労働をさせられておる。そういうところで働く貧困な子供たちがたくさんおる。そういうことを考えたときに、社会保障の大欠陥ということも起こる。児童憲章にうたわれてある大原則を果たすためにこそ児童手当というものについてはもっと増額して、もっと比率を高めて、また加算率も高めて、子供をかわいがるという手だてをすべきではなかったか。この点について、将来を背負う子供たちをもっと愛する意味で児童手当の基本的な考え方を直し、その増額措置をとり、加算額をふやす、また就学義務をよう果たさない不幸な子供たちがたくさんおることを考えて、真剣に社会保障全般の問題と取っ組むという決意を厚生大臣から承りたい。
○西村国務大臣 この福祉年金はあくまでも拠出制年金の補完的なものでございまして、この金で生活できるというものではないのでございます。しこうして、今回老齢年金につきましてはわずかながらの増額で、これは私も十分であったとは申しておりません。しかしながら、今後努力をするつもりでございます。いろいろな財政上の都合等がありましてそうなったのでございます。児童の問題につきましても、今後十分検討いたしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
○受田委員 年間に五十日以上も学校を休んでいる義務教育の長期欠席児童が小学校で全児童の〇・七%、中学校で一・七%という比率を示している。こういう実情を考えて、補完的な手当だとおっしゃるけれども、この手当は実際は非常に生活に潤いを与える重大なもので、あれはいいかげんな手当ではない、本質的な手当である。したがって長期欠席、また労働基準法違反による児童の強制労働、そういうものの絶滅を期するための思い切った増額措置が必要であったと思う。社会全般の問題で、国民年金の大きな改善をもっと敢然とやるべきであったと思いますので、当局の今後の決意をお伺いして、私の質問を終わらしていただきます。
○西村国務大臣 意見は十分今後尊重したいと思います。
○秋田委員長 これにて国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○秋田委員長 次に、本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もございませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議ないと認め、そのように決しました。 内閣提出の国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○秋田委員長 この際、井村重雄君、八木一男君及び受田新吉君より、国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。八木一男君。
○八木(一)委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、ただいま可決になりました国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議を提出いたしたいと思います。 まず、案文を朗読いたします。 国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案 政府は国民年金制度の重要性にかんがみ左記事項につき、すみやかに検討すべきである。 一、左の大綱に従って改善を行なうこと。 1 各年金の年金額を大巾に引き上げることとし、厚生年金の改正との均衡をはかること。 2 老令年金、老令福祉年金の支給開始年令を引き下げること。 3 福祉年金の給付制限を緩和すること。 4 保険料、年金額、給付要件、受給対象等すべての面において社会保障の精神に従って改善すること。 5 右の実現のため大巾な国庫支出を行なうこと。 二、特に左の事項については可及的すみやかに適切な措置を講ずること。 1 各種福祉年金額を大巾に増額すること。 2 老令福祉年金、母子福祉年金、準母子福祉年金、障害福祉年金等の本人所得制限額をさらに引き上げること。 3 夫婦とも福祉年金をうける場合の減額制度を廃止すること。 4 老令福祉年金及び障害福祉年金における配偶者所得制限を緩和又は廃止すること。 5 母子福祉年金、準母子福祉年金については、精神薄弱者を扶養する場合は、二十才に達するまでこれを加算対象とするよう努力すること。 6 障害福祉年金、障害年金の受給者の子について、母子年金同様の加算制度を設けるよう努力すること。 7 内科疾患に基づく障害に対しても障害年金、障害福祉年金を支給すること。 8 福祉年金と他の公的年金との併給の限度額の不均衡を是正すること。 9 保険料の免除を受けた者の年金給付については、さらに優遇措置を講ずるよう検討すること。 10 拠出年金について物価変動に対応する年金額のスライド規定を設けるよう検討すること。 11 年金加入前の身体障害については、広く社会福祉施策の全体系のうちでその保障を確保する途を研究すること。 12 年金受給要件に達しない者の実納保険料がその被保険者のものとして確保されるようにすること。 以上が案文であります。 理由は同僚諸君が十分におわかりだと存じます。どうか満場一致積極的に御賛成を願いたいと思います。
○秋田委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、本案については井村重雄君、八木一男君及び受田新吉君提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、西村厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。
○西村国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重し、これが実現につきましては、慎重に検討の上努力をいたすつもりでございます。 —————————————
○秋田委員長 次に、船員保険法の一部を改正する法律案について御質疑はございませんか。——滝井義高君。
○滝井委員 たった一問です。労働大臣もいらっしゃっておりますが、先日失業保険法を審議する際に、失業保険では通算を行なうことにしたわけです。すなわち、いままでは同じ事業所にずっとつとめておらなければならぬのに、今度は事業所が違っても失業保険を通算をしてくれることになったわけです。その場合に海と陸との通算は、はしなくも、立法上検討しておったのだけれども法律に盛り込むことをうかつに忘れておりましたという答弁があったわけです。そこで、これはぜひひとつやっていただきたいということになりましたが、これは大事なところですからさらに検討いたします、こういうようになったわけです。たまたま、失業保険のあとを追って船員保険法の失業保険の部分が改正されることになったわけです。ところが厚生省のほうは、それをおやりになっていないわけです。しかしこれが実際に動くのは昭和四十年ですから、まだ日にちがあるわけです。そこでこの際、両大臣仲よくお並びになっておるのだから——これは海と陸が手をつないで、海と陸との通算のできるような措置を労働省はやると言っておるのだから、厚生省もそのとおり受けてやる、こういう言明をしていただきたいと思うのです。これ一問です。
○西村国務大臣 陸のほうでやりますれば、海のほうでもやりたいと思います。
○滝井委員 陸と海とをつなげてくれ、こういうことです。
○西村国務大臣 了承いたします。
○秋田委員長 これにて船員保険法の一部を改正する法律案についての質疑は終局いたしました。 —————————————
○秋田委員長 ただいま委員長の手元に、小沢辰男君、五島虎雄君及び受田新吉君より、本案に対する修正案が提出されております。 ————————————— 船員保険法の一部を改正する法律案に対する修正案 船員保険法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。 附則第一条中「昭和三十八年四月一日」を「公布の日」に改める。 —————————————
○秋田委員長 趣旨の説明を聴取いたします。小沢辰男君。
○小沢(辰)委員 私は、自由民主党及び日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、船員保険法の一部を改正する法律案に関する修正案を提出いたします。 お手元に御配付いたしましたような内容でございますので、朗読は省略いたしますが、施行日を「昭和三十八年四月一日」とありますのを「公布の日」に改めるという内容でございます。
○秋田委員長 本修正案について他に御発言はありませんか。 —————————————
○秋田委員長 次に、船員保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付しますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 これより内閣提出の船員保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決に入ります。 まず、修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、内閣提出の船員保険法の一部を改正する法律案は、小沢辰男君、五島虎雄君及び受田新吉君提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○秋田委員長 次に、政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。 —————————————
○秋田委員長 質疑の通告がありませんので、本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 内閣提出の政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 ————◇—————
○秋田委員長 この際、戦傷病者特別援護法案の起草の件について議事を進めます。 小沢辰男君より発言を求められておりますので、これを許します。小沢辰男君。
○小沢(辰)委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党を代表いたしまして、戦傷病者特別援護法案の起草の件について御説明を申し上げます。しかしながら、詳細につきましては、すでに各委員のお手元に配付いたしてございます試案がございますので、その内容の説明は省略させていただきたいと存じます。 本試案を成案とし、これを本委員会提出の法律案とせられんことを望みます。 以上の動議を提出いたします。
○秋田委員長 ただいまの小沢辰男君、小林進君及び受田新吉君提出の動議に対し発言があればこれを許します。——別に御発言もないようでありますので、直ちに採決いたします。 小沢辰男君、小林進君及び受田新吉君提出の動議のごとく、お手元に配付した試案を成案とし、これを本委員会提出の法律案とするに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 なお、この法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ————◇—————
○秋田委員長 次に、ばい煙の排出の規制等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。 質疑の通告がありますので、これを許します。島本虎三君。
○島本委員 この地域指定がおくれている理由はどういうわけですか。
○五十嵐政府委員 地域の指定は、実はいま事務的には進めておりまして、今回提案、御審議をいただいておりますこの法律案の成立、可決を見ました暁には、直ちに指定をする準備を進めておるわけでございまして、おくれております理由は、地域が指定になりましたときに、この法律と条例との間に法律上の解釈の明瞭を欠く点がございましたので、その点の解釈を明瞭にするために今回法律の一部改正案をお願いしておるわけでございます。そういうような理由でおくれておるわけでございます。
○島本委員 いま最も大事な新産業都市の指定を一生懸命になって受けようとしておりますが、そういうふうになった場合は、当然公害としていろいろなものの発生が予想されます。これに対しての防除対策というようなものを新産業都市建設促進法の中になぜ盛らなかったのか。これから漏れたものに対して、今後各都市で条例を制定してやろうとする動きが当然出ると思う。これとの関係をどういうふうに思うか、お伺いしたい。 〔「簡単にやれ」と呼び、その他発言する者あり〕
○秋田委員長 御静粛に願います。
○五十嵐政府委員 新産業都市の問題につきましては、その都市建設の基本計画におきまして厚生省もその協議にあずかるという形になっておりますので、新産業都市を建設する基本的な段階でそういう公害をあらかじめ予防するという趣旨から、この建設の基本的な計画ができなければならないと考えておるわけでございます。 なお、この新産業都市が建設されまして、その都市がかりにばい煙の排出の規制等に関する法律の指定地域にならない場合で、もし必要がありますれば、そこでその都市が条例をつくるということも可能でございます。また今回の改正案によりまして、かりにその都市が指定になりましても、なおその上この法律の対象になっておりますばい煙排出施設等以外の施設につきまして、条例で規制していくということも可能でございます。
○島本委員 どうもうるさいので、やじにこたえて少し質問を簡単に急ぎますから、もう少し的確に答弁してください。 いまの地域指定をやって——こういうふうな出されているものは、目に見えるばい煙だとか、そういうようなもののみに限るのですか。まだ目に見えない範囲がたくさんある。そのほか水も、音も、においも、まだまだたくさん残っておるのです。こういうものを合わせて、今後はこの防除施設をはっきり規制し、これを強化していくのでないと、せっかく煙だけやっても他のほうに抜け道が出たら何にもならぬ。こういうものは今後やはり急がなければならないと思うのですが、大臣のこういうような点に対しての見通しと、今後どういうふうにしていくか、はっきりした所信を承りたい。
○西村国務大臣 新産業都市にはこれから公害になるような事件がたくさん起こるのでございますので、私はその公害がひどくならない——いま新産業都市で指定されるところは工場もないわけで、これからつくるわけでございますから公害の問題はないわけでございまするが、それをあらかじめ防ぐ方途を講じなければならぬと思っておりますので、なるべく早い機会に指定地域に入れまして、十分に工場に対して責任を持たしたい、かように考えておる次第でございます。
○島本委員 水、音、それから煙、こういうような公害を総合的に今後排除するような方策を考えてこれを実施する機関、こういうものをはっきり見込みを立ててつくる意思があるのかどうか。あったならばその措置を述べてほしいというのです。私のほうはこれは大きく考えておるのですが、これは煙ばかりの問題ではない。目に見えるのは煙ばかりではない。目に見えないのもあるのだから、これをもう少し総合的に考えて、公害から国民を守るという大きな角度から、厚生大臣は大いにがんばってもらいたいということなんです。そういうことをどういうふうに考えておるかということです。
○西村国務大臣 公害の問題につきましては、これは一口に言いますけれども、なかなかむずかしい問題が含まれております。行政機構上も非常に複雑いたしておりまするが、しかし厚生省の立場といたしましては、いま御指摘のような機関もつくりまして今後はひとつ十分やっていきたい、かように考えておる次第でございます。
○秋田委員長 これにて本案についての質疑は終局いたしました。 —————————————
○秋田委員長 これより本案について討論を行ないます。——討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。 ばい煙の排出の規制等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 ————◇—————
○秋田委員長 次に、参議院提出の薬事法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。 質疑の通告がありますので、これを許します。五島虎雄君。
○五島委員 この法律案の趣旨には反対するものではありません。ただ一つ疑問に思うのは、今後この法律案が公布され、施行された後にはいろいろみずからの規制が始まるし、また企業々々においては薬剤師の人数もそれで決定されます。したがって、この法律の要望するように今後の薬品の販売規制、系統の明確化、そういうことがあってそうして乱立の防止になり、そして国民医療の増進ということになるならば非常に幸いだと思うわけです。ところが一方においては、あまりに規制を強化するがゆえに非営利事業を規制してしまって、そうしてたとえば農業協同組合の事業、あるいは生活協同組合の事業に対するところの規制をいたずらに強化することによって、それらの仕事の発展を非常に阻害するようになりはしないか、こういうようなことが憂慮されるわけです。したがいまして、この問題について、たとえば生活協同組合法とかあるいは農業協同組合法に規定されるような保護の立場で別の法律がある。しかし今度の薬事法の一部改正法によって、一部これを強力に規制してしまうということになると、どういうように政府は考えているのかということがわからなくなりますから、したがって、高野さんの考え方もここで明らかにしておいていただきたい。今後これらの、たとえば農業協同組合あるいは生活協同組合その他の業種における非営利団体の仕事に対して、これを強力に縛りつける意思はないのかどうかというようなことについて、提案者の考え方を聞いておきたいと思います。それと一緒に厚生省は、今後生活協同組合とか農業協同組合とか——生活協同組合が担当でしょうけれども、そういうことに対して無理な規制をしないのかどうか、育成強化の方向をたどっていくのかどうかというようなことについて、あわせて質問をいたしておきます。たったこれが一点です。それがはっきりしておれば質問はもうやめます。
○高野参議院議員 ただいまの五島さんの御質問でございますが、今度はこの中に卸販売業というのはございませんけれども、たとえば卸を専門にやる場合は適正配置を適用しないという条文がございます。したがって、小売りと卸が今度は判然と区別されておるわけであります。したがってメーカー、即、小売りという段階が明確に系列化してまいりますので、従来とまた違いましてこの改正案の成立によって適正なる流通経済の安定ができようかと、一つは期待しております。 それから、現在スーパー・マーケットのあり方がきわめて好ましくない状態でございますので、これを規制したわけでございますが、いまおっしゃる営利を目的としない農協とかあるいは生活協同組合等については、弾力的の考えを持っていいのではないかと考えております。ただし、それは現在の生協の多くが員外者にどんどん売っておって、ほとんどスーパー・マーケットと変わらない実情にある。これだけはひとつ正確に守ってもらって、やはり組合員に限る販売行為に限定しなければならない。これが現在、スーパー・マーケットとほとんど同様に組合員外に、地域にいたしましても、職域にいたしましても、どんどんやる。ただ入り口に札が書いてある、員外者は売らぬ。しかし員外者は平然と入って、平気で物を買える、こういう事態も十分規制していただくことによりまして、いわゆる非営利的の生協なり農協の適正なるあり方が得られるのではないか。そういうような適正なる生協なり農協に対しましては、この適正配置の運用にあたりましては、弾力的考えを行政当局に持ってもらって差しつかえないのじゃないか、このように考えます。
○西村国務大臣 私も営利を目的としない団体等につきましては、この運用に万全を期したい、弾力性を持たせたい、かように考えております。
○秋田委員長 これにて質疑を終局いたします。 —————————————
○秋田委員長 これより討論を行なうのでありますが、討論の通告がありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。 —————————————
○秋田委員長 この際、河野正君より、薬事法の一部を改正する法律案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。河野正君。
○河野(正)委員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議了されました薬事法の一部を改正する法律案に対しまする附帯決議の提案をいたします。 まず、案文を朗読いたします。 政府はこの法律の施行に当り左記事項につき留意すること。 一、対象が特定され且つ営利を目的とせざる法人・団体等については、適正配置につき弾力的な運用をはかること。 二、中央・地方の薬事審議会に消費者代表をいれること。 以上であります。 何とぞ御賛同あらんことをお願いします。
○秋田委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、本案については河野正君提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、西村厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。西村厚生大臣。
○西村国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、政府といたしましては、十分趣旨を尊重して善処いたしたいと考えます。 —————————————
○秋田委員長 次に、おはかりいたします。 本日議決いたしました五法案につきまして、その委員会報告書作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。 本日はこの程度にとどめ、次会は明五日午前十時理事会、十時半から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時六分散会 ————◇—————