社会労働委員会 第40号
- 発言数
- 228 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/06/06
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の失業保険法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。
○八木(一)委員 内閣提出の失業保険法の一部を改正する法律案について質問を申し上げたいこ思います。 まず質問を申し上げる前に、この失業保険法の一部を改正する法律案についての社会保障制度審議会の答申が全員に配付されているかどうか、伺いたいと思います。
○三治政府委員 先生の御注意によって、委員部のほうに届けてございます。
○八木(一)委員 この失業保険法の改正案については、一月三十日付で社会保障制度審議会の答申が出ているわけであります。その答申は非常に内容をえぐった答申になっておりますので、審査をする意味においてこれを全員に配付していただく必要があるわけでございますが、その点がされておりませんでしたので御注意を申し上げましたところ、きょう準備がされているようであります。まず第一に、御一緒に御審議になる方々に、この失業保険法の一部を改正する法律案についての社会保障制度審議会の答申を知悉していただく必要があろうと思いまするし、また労働大臣もこれを読まれていますけれども、もう一回読まれた上で質問にお答えを願いたいと思いまするので、この点について私、朗読をさしていただきたいと思います。 社会保障制度審議会 会長 大内 兵衛 労働大臣 大橋 武夫殿 失業保険法の一部を改正する法律案要綱について 昭和三十八年一月九日労働省職発第三号で諮問のあった標記に対する本審議会の意見は次のとおりである。 記 本案は、かなり苦心の跡が認められ、一歩前進した部分も相当にあるが、わが国の中高年齢離職者の再就職が困難であり、かつ、低賃金層の多い現状よりみて、給付期間の延長、給付率の増大、適用者の拡大など、根本的改善を行なう必要がある。特に保険料率の弾力的変更(第三十条)によって、簡単に、保険料を引下げ、ファンドを作り、かつ、福祉施設費の増大をはかるような措置をとれば、給付内容の改善をはかるうえに阻害となるから、適当でないと考えられる。 その他の条項については、次のとおりに考える。 一 失業保険法の最低日額一八〇円は、なお不十分と思われる。 二 扶養加算の単価は、一率二〇円とすべきである。なお、支給の範囲を扶養する両親にまで及ぼすことを検討すべきである。 三 傷病期間中における保険給付の制度を設けたことは妥当であるが、これを失業保険金支給日数の枠外に置くよう、ならびに、医療給付については被用者医療保険が適用されるよう本審議会の勧告の趣旨にそって検討する必要がある。 四 職業講習および指導のための給付制限事由の整備については、その具体的執行に当って、職業選択の自由を侵害しないよう、また善良な失業者を威迫しないよう、特段の配慮が必要である。もし、かかる配慮ができないならば、この条項は削除すべきである。 五 その他の条項については、おおむね了承する。 というようになっております。 この答申につきまして、労働大臣はこれを尊重されなければならないと思いまするが、その点について、提出された法律案においては尊重された形跡が見られないわけでございますが、それについての労働大臣の御所見を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 この失業保険法の一部を改正する法律案は、昨年八月、社会保障制度審議会からなされました社会保障制度の総合調整に関する基本方策についての答申及び社会保障制度の推進に関する勧告中におきまして、失業保険の給付の改善に関連しまして種々要請されております諸点を尊重いたしまして、立案をいたしたものでございます。すなわち今回の改正案におきましては、失業保険金の最高日額及び最低日額の引き上げ、扶養加算制度の新設、公共職業訓練受講中の保険給付の拡充、被保険者として雇用された期間の通算による給付日数の決定等をはかっておるのでございますが、これはいずれも社会保障制度審議会の答申及び勧告の趣旨に従ったものなのであります。この法案の立案をいたした後におきまして、その大綱に関して社会保障制度審議会に重ねて諮問をいたしたのでございますが、それに対する答申は、ただいま八木委員からお読み上げになりましたとおりでございます。すなわち答申は、まず第一に、この案はかなり苦心の跡が認められ、一歩前進した部分も相当にある」というふうにはっきり書いてあるのでございます。さらにそれ以上の諸点について、一、二、三、四等の条件を付せられておるわけでございます。御承知のとおり、本法案の提案に際しましては、予算を伴うものでございますので、すでに予算等が決定の後でございますから、これらの諸点につきましては、政府といたしましても次の機会にこれを尊重いたし、できるだけすみやかに実現するようにいたしたい、かように存じておるのでございます。
○八木(一)委員 いまの労働大臣の御答弁は、前段において昨年八月の社会保障制度審議会の答申、勧告を相当に取り入れられた点は、私も認めたいと思います。しかし全部を取り入れられたり、それからそこの一番主要な部分を相当に取り入れられた部分はないわけであります。失業保険について、具体的な問題として、たとえば扶養加算をつけたという問題あるいは金額を引き上げたという当面の問題については、確かに努力をしておられます。労働省の努力、その点は認めたいと思います。しかしながら、失業保険というものは社会保障の一環であって、社会保障が、必要な人に必要な給付がいくという原則が、八月の答申、勧告に入っているわけであります。そういう点が、この場合においてほとんど取り入れられていないというふうに考えられます。少しは取り入れられていますが、ほとんど取り入れられていない。 それからもう一つ、社会保障制度審議会の答申、勧告におきましては、たとえば今度の三十条の改正のようなことは一つも示唆しておらないわけであります。しかも今度の要綱提出にあたっては、それはいけないということが明らかに書いてあるわけであります。この三十条の改正というようなものは、予算には関係がそうないわけであります。それをしなければ予算支出を増大するということはないわけです。したがって、三十条の改正をやめるということは、予算の総ワクが大体決定した後においてもできるわけであります。そしてこのように三十条の改正はいけないということが指定してございますのに、それを強行されたということは、制度審議会の答申をはなはだしく尊重しないばかりでなしに、反対の方向の法律を提出されたということが言えると思うわけでございますが、それに対しての労働大臣の御所見を伺いたい。
○大橋国務大臣 この保険料率の弾力的変更の条項につきましては、社会保障制度審議会においても意見を述べられておりますように、私どももこの点は了承いたしまして、これが運用につきましては慎重にいたすべきものであるという考えのもとにやってまいりたいと思っております。
○八木(一)委員 社会保障制度審議会の考え方を尊重してやっていきたいという労働大臣のお考え方は、非常にけっこうでございます。ただ法律に非常に悪い点がございますので、逐次もう少し具体的に御質問申し上げたいと思います。 まず、失業保険は社会保障の一環だと私どもは解釈をし、これは世論になっておりますが、労働大臣は、憲法二十五条に定まった、たとえば国民の健康で文化的な最低生活を保障するその具体的な条件として、社会保障をどんどんとよくしていかなければならないという点について、非常に熱心に取っ組んでいかれる責任があり、そして取っ組んでいかれるお気持があろうと思いますが、それについての労働大臣のお考えを伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 労働省の使命といたしまして、労働省の仕事の範囲内におきまして、仰せのような方向に進みたいと思っております。
○八木(一)委員 もちろん労働大臣は労働省のことについて一番責任を持っておられますから、一生懸命御推進願いたいと思いますが、さらに厚生省所管やあるいは他省の問題であっても、事労働者の福祉、社会保障に関する問題については、熱心に取っ組んでいただきたいと思います。ことに労働省の所管については、最も熱心に取っ組んでいただきたいと思います。労働省の所管の部分でいろいろの点がありますが、社会保障の中で、労働省の所管事項として失業保障というものが中心事項であろうと思います。その失業保障について、ほんとうに熱心に取っ組んでいただけるお気持ちがあるかどうか、蛇足でございますが、もう一回伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 失業問題というものは、社会保障といたしまして労働行政の面においては基本的な問題でございまして、これがあって初めて国民の生活の基礎が安定いたすものと考えておるのでございます。したがいまして、失業保険並びに失業対策につきましては、私は常に心血を注ぐという気持ちで取り組んでおるわけでございます。今回の失業保険法の改正も、さような気持ちに根ざしたものでございます。また、問題になっております失対の問題も同様の気持ちに根ざしておるのでございまして、いずれも労働者の生活安定のために必要適切である、かように考えて提案いたした次第でございますので、この法案に続きまして、失対関係の法案につきましてもどうぞすみやかに御賛同を得たいと思います。
○八木(一)委員 前段はけっこうでございますが、後段については非常に問題のある法律でございますので、私どもは徹底的に慎重に審議をしたいというふうに考えておりますことを、質問の中でございますが、明らかにいたしておきたいと思います。 それから、いま私は失業保障と申し上げましたけれども、労働大臣は、失業問題というふうなことばを使って御答弁になりました。社会保障の一環としての御質問でございまするから失業保障ということばを使ったわけでございますが、労働大臣も失業保障という点で、そのように熱心に取っ組んでいかれるというお気持ちであろうと解釈をして、先の質問に進みたいと思います。もし違いがありましたら御指摘を願いたいと思います。 失業保障の問題でございまするが、失業保障という問題は、社会保障の中の一つの非常に大きな部分であります。たとえば病気やけがに対する医療の保障と、それから老齢に対する保障、あるいは遺族とか災害に対する保障、それと並んで、その中で一番中軸にでもなるべき重要な社会保障の柱が失業保障であろうと思います。その失業保障を完全にするためには、どのような目標に向かって急速に進まなければならないかということについて、労働大臣としての卓見がおありであろうと思いますので、その点について労働大臣の考え方を伺わしていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 失業の問題につきましては、まず失業という事態の発生を未然に防止するためにあらゆる措置が必要であると存じます。これはもちろん、労働行政のみのよくするところではございません。基本質的には産業行政全般の成果がそこへあらわれてくると存じますが、しかし労働行政の面におきましても、職業紹介あるいは職業指導、職業訓練、かような方法を通じまして失業の発生を防止するような措置が必要であると思うのでございます。不幸にして失業という事態が発生いたしました場合においては、その個人につきましてはその生活を安定するとともに、再就職を促進するためのあらゆる措置が必要であると存じておるのでございまして、この面は、完全に労働行政で責任を持ってやっていくべきものであろうと思います。そのためにありますのは、現在では失業保険並びに失対事業であると考えております。
○八木(一)委員 失業ということは好ましくないことですから、完全雇用を達成するということについて、ただ職場があるということではなしに、完全な労働条件が備わった、たとえばりっぱな全国一律の最低賃金制があったり、それから最低賃金だけではなしに、その上の年齢別の最低保障がちゃんとあったり、それからすべてのその他の労働条件が完全に整った、質も完全に伴った完全雇用が達成されることが大事であるということは言うまでもないことでありまするが、それまでの間の失業という問題が残念ながらある。あるいはまた完全雇用ができても、職業転換中に摩擦失業があるという問題についての失業保障について、労働大臣の御見解を伺ったわけでございます。失業保障ということに限ってどのようになるということについて、労働大臣の御所見をひとつ伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 失業に対する保障として考えられるのは、失業期間中における生活の保障であると思うのでございます。このためには、社会保障制度によるところの失業保険、またそれに該当しないものもございまするので、それに対しましては社会保障も必要であろうと思います。しかしその社会保障といたしまして現在厚生省で行なっているものは、労働力の保全という意味から申しまして、必ずしも十分ではないのでございます。したがって、労働省といたしましては、現在のところこれにかわるべきものとして、失業対策事業を行なっておるようなわけでございます。
○八木(一)委員 私、現在のことを伺っているのじゃなしに、どういうふうになすべきかという労働大臣の将来の考え方を伺っているわけです。私の質問のことばが足りなかったので、少し別な意味でとられて御答弁になったかと思います。そういう意味で申し上げておりますので、問題をはっきりするために私のほうから申し上げますと、もちろん労働大臣がおっしゃったように、社会保障ということばでおっしゃいましたけれども、一番最低の社会保障である生活保護というような問題では、これは事例をあげれば幾らでもあげられますけれども、ほんとうに人間としての健康で文化的な生活を保全する状態ではありませんし、また労働大臣の言われるような労働力を保全するというような状態でもないわけです。そういうものと別に、失業した場合にその間の生活をする、また労働大臣のことばを拝借いたしましたならば、労働力を完全に保全するという立場で考えまするならば、失業保障というものは、完全にどの失業者に対してもこれが確立されていなければならない。たとえば失業保険であらゆるものをカバーする、失業保険でカバーできないものに対しては、失業手当制度というものが確立されなければならぬと思います。これについては、賢明な、この行政には明るい労働大臣でございますから、すでにお考えがあろうと思いますけれども、現在の段階について御説明があったわけでございますが、近い将来の問題として失業保険法を完全にする、また失業手当制度を創設する、そうしてあらゆる失業者が、そのような積極的な失業保障で失業期間中の生活を維持することができる、労働力を維持保全することができる、そうして自分の気に沿わない労働の安売りとかいうことでなしに、ほんとうにいろいろの意味で、自分に適合した職場を得て就職するまでの生活をそういうものでするというような失業保障を完成しなければならないと思います。そのような失業手当制度、あるいは失業保険制度の拡充適用あるいは内容の改善というような問題について、非常に積極的に問題を進めていただかなければばらないと思いますが、それについての労働大臣のお考えを伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 失業に対する対策の根本は、先ほど来申し上げてまいりましたるごとく、第一は失業中の生活の保障であり、第二には失業中の労働力保全である、これを兼ね備えていかなければならない、これが私は根本的な考えであると思っておるのでございます。 そこで、現在の失業保険法におきましては、生活の保障をいたしますると同時に、これと並行いたしまして職業訓練を実施していくというような点等も考えておるのでございます。しかしその給付の内容につきましては、できるだけ充実していくようにこの上とも努力する必要があると思っておるのでございます。同時に、失業保険制度によってカバーされない方々も多数あります。この方々に対しましても、失業に対する対策の根本が、先ほど来申し上げましたるごとく、第一は生活の保障であり、第二は労働力保全であるというのでございましたならば、理想としては、失業保険の行なおうとしておるようなことを、その他の方々に対しましても同じように推し広めていくということが今度の理想でなければならぬ、こう思うのでございます。したがって、仰せのごときいわゆる失業手当制度並びに失業期間中の職業指導、職業訓練、こういうようなことは、失業保険の受給者ばかりでなく、すべての失業者に対して行なわなければならぬ性質のものであろうと思っておるのであります。ただ、現状について考えてみますと、現在の日本の制度はそこまで決定する時期に達しておりません。したがって、失業手当制度にかわるべき方策といたしまして、失業対策事業というような制度が一般的に行なわれておるわけでございます。しかし、これとても、昨年の石炭離職者に対する対策、また今回考えております失業対策制度の改正案等におきましては、失業保険の給付内容と同様な職業訓練及び就職までの就職促進手当というような制度を新設いたしまして、逐次理想に近づけつつある、こういう次第でございます。
○八木(一)委員 失業保障について申し上げておりますので、どうか質問者の申し上げたことでひとつなるべく御答弁を願いたいと思います。 そうなりますと、さっき申し上げましたような失業手当制度というものをできるだけ早くつくらなければならないということについては、労働大臣はそういう考えを持っておられると思いますが、それについての御見解を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 現在行なっております失業対策事業というものを失業保障の一つとして考えました場合には、生活保障の面はともかくといたしまして、労働力の保全という観点から申しまして必ずしもこれは理想的な方法ではない、こう私は思っておるのです。したがって、将来の理想といたしましては、先ほど来申し上げましたごとく、逐次失業手当制度というような方向へ進むべきものである、またそれによって初めて失業者に対する対策として完全なものに近づけるということができると思います。
○八木(一)委員 いま労働大臣は、私が御要望したにかかわらず、現在の失対事業とつなげて御答弁をされております。そういうことでなくて、失業保障という問題の将来の展望について申し上げておりますので、そっちのほうのことでずばりお答えを願いたい。ただいまいろいろ労働大臣のほうが、職安法、緊急失対法の答弁を考えておられたものが、失業保険法の答弁の中にちらちらと出てまいります。関連があるとおっしゃれば関連がないことはないと思いますが、そうなりますと、その観点でそのことについては職安法を審議するとき十分に私どもは質疑をし、また御答弁を伺いたいと思いますので、質問者の申し上げた点でひとつなるたけ御答弁を願いたいと思います。 先ほど労働大臣が言われました、たとえば職業訓練とかそういう問題については、これは労働省の行政としては、もちろんされなければならない問題であります。どんどんと推進をされなければなりません。ただ、それを失業保険の会計でするのが妥当であるか、ほんとうの労働省の一般的な予算の歳出としてするのが妥当であるかという問題は、はっきりさい然と区別をして考えていかなければならないと思います。それからもう一つ、手当制度についても、ほんとうの意味の失業手当制度と奨励金的な失業手当制度とは違います。ほんとうの意味の失業手当制度というものについて、非常にりっぱなものを近い将来においてつくっていくという努力を大きくされる必要があろうと思う。そこは表向き似たように見えても内容の違うものがございますので、ほんとうの意味の将来の構想として、失業保障制度の中で失業保険がカバーできない点については、失業手当制度の完全なものを急速に将来つくるという考え方がおありになってしかるべきだと思いますが、それについての御答弁をひとつ伺いたい。
○大橋国務大臣 私は、行政の実務をいたしておるものでございますから、将来の展望を申し上げる際におきましても、これが実現についての具体的な段階というものをどうしても頭に置いて御答弁申し上げるようなことに相なるわけでございます。 そこで、ただいま御質問の失業手当制度でございますが、私は、失業者に対する失業保険でカバーし切れない面の対策といたしましては、失業手当制度というものが将来当然必要な事柄であると思っておるのでございます。その将来できる失業手当制度が現在の制度のもとにおいては何によって代行されておるか、こう考えてみますと、言うまでもなく、失対事業等によって代行されておる形になっておりますので、したがって、失業手当制度を将来実現するように進めてまいるということに相なりますと、現在の失対事業というものを基礎にいたしまして、その内容を逐次拡充し、そうしてだんだんに失業手当制度に内容的に変貌させていくというような行き方が考えられる実現への筋道である、こういうことを頭に置きながら先ほど来申し上げたとおりであります。したがいまして、失業手当制度の必要性という問題についての八木先生の御意見には、私は全く同感でございます。
○八木(一)委員 現在の問題については、現在よりもほんとうに近い将来の問題については、職安法の質疑のときに十分申し上げますので、将来の問題として、失業手当制度または失業保険制度であらゆる失業者を――もちろん完全雇用政策があって失業者が出ることは好みませんけれども、少なくなったほうがいいですけれども、とにかく失業者のある間の失業者については、全部そのような失業手当制度や失業保険制度でその生活の安定をはかるということが必要であるという点については、労働大臣もお認めになったと思います。そういう点で、その全部という点についてはお認めになったかどうか。全部失業保障で、将来の問題として失業者のある間の失業者、あるいは完全雇用政策がやや達成しても、いわゆる摩擦失業者に対して、失業保障で完全な健康で文化的な人間らしい生活ができる、そういうような保障をすべきであるということを労働大臣は考えておられると思いますが、もう一回ひとつ……。
○大橋国務大臣 そのとおりでございます。
○八木(一)委員 そうなりますと、結局、たとえば失業保険というものを拡充する方法がある、それがない場合には失業手当という方法で、そのない場合の問題について対する方法があると思いますが、どちらの方法がいいか。失業保険に全部一括してしまうほうがいいか、失業手当制度で全部カバーするほうがいいか、これについてはいろいろ論議があろうと思いますが、とにかく失業保険と失業手当の問題で、あらゆる失業状態に対して健康で文化的な生活ができるようにするということにならなければならないと思います。そうなりますと、いまの失業保険のように、たとえば五人未満の事業所は一部その人たちで組合をつくったときに適用はあろうとも、原則的には五人未満の事業所には失業保険がない。あるいはまた失業保険の給付を受けても、失業保険の内容自体が非常に乏しいので、三カ月、六カ月、九カ月というような、そういう保障しかない。それが切れたときに、その次に失業保障がないというような状態、あるいは石炭や何かで少しは伸びておりますけれども、原則的にはそういう問題であるということ。それからもう一つ、前の職場がなくていま失業状態になる、たとえば学校の新卒業生であって就職ができない、いまの失業保険であれば、前に一回職場があって、そして五人未満の事業所であって一定以上の保険料を払ったときに失業保険をもらえる条件ができてくる、その条件も、もらえる給付金も、ある程度の時限にきたら切られてしまう、その金額も少ないというような状態になっております。たとえば新卒業生が、就職の意図があるにもかかわらず、政府の雇用政策がまずいために就職ができない、学校を卒業しているからすべて自分で生活を保持しなければならないという者に対しても、これは失業保障を適用しなければならない。たとえばいろいろの会社やその他のつとめ先で、定年制とか定年制に準ずるものがあって、たとえば五十代ぐらいでその職をやめなければならない。そのときに、まだ自分が働かなければ生活ができない、家族を養うことができない、そして働く意欲がある、そういう人たちが、たとえば五十五でその職をやめなければならないというときに、六十なり六十五なり――それは人口の問題や、あるいはまた労働力の問題や、あるいはまた老齢化の現象をどう見るかという問題で、どこからが老齢保障になるかどうかという問題は議論があろうと思いますが、つとめ先をやめなければならない状態から老齢保障の対象になるべき時点までは、これは明らかに失業と見て、そのような失業保険あるいはまた失業手当というような、失業保障制度を適用させるような方向に急速に持っていかなければならないと思います。それについての労働大臣の御所見を伺いたい。
○大橋国務大臣 将来の政策といたしまして、当然お説のようなことが考えられなければならぬと思います。
○八木(一)委員 そういう問題について、労働大臣は非常に熱心な御努力を願いたいと思いますし、労働大臣がたとえば内閣総理大臣になられても、後任の労働大臣はそれを厳重に引き継がれるというようなことをして、これを進めていかれなければならないと思います。それからさらに、労働大臣のいまの御決心を内閣総理大臣なり大蔵大臣に浸透して、その人たちが本腰にそれをやり、またその後任者が本腰にそれをやるというような態勢をつくっていただかなければならないと思いますが、それについての労働大臣の御決心を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 私の申し上げておりまするのは、私個人の気持ちだけを申し上げておるのではございませんので、政府を代表いたしまして、政府全体の気持ちをお伝えいたしておるわけでございます。
○八木(一)委員 そうなりますと、たとえば新卒業生が就職できないときにも、失業保障を適用させるように進めていく、それからまた途中の失業者については、失業状態であるときにはすべて失業保障が適用するように進めていく、また定年退職その他になったときも、老齢保障適用期まではその失業保障を適用するというような方針を進めていくことを労働大臣が政府を代表して明らかにされましたことを、非常に喜びを持って確認をいたしておきたいと思います。それをいつごろから始めていただけますか。
○大橋国務大臣 就任以来そういうふうにやっております。
○八木(一)委員 そういう方針であります以上、今度の失業保険法の改正についても、もっとそういう方針の芽でも出ておらなければ非常に残念だと思うわけです。失業保険法についてはある程度の改正は盛り込んでございますけれども、そういう方針について芽が出ておりません。たとえば五人未満の事業所に対して、ただいままである方法をもって事務組合をつくれば失業保険が適用になっておりまするが、それを強制適用をして、そうして五人未満の事業所も失業保険の適用になるというような方法などは、いまの完全な、あらゆる失業に対する失業保障をするという政府の御決心を伺うまでにおいても、政府がやりたいということを言っておられた。したがって、そのような御決心が固まったいまにおいて、この失業保険法にそういうように積極的な問題が入っておらない点は非常に遺憾だと思いまするが、それについてどのように考えておられるか伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 芽が出ているか出てないか、顕微鏡で十分に見ていただく必要があると思いますが、少なくとも種だけはしかけてあるつもりでございます。
○八木(一)委員 種はまいてあります。その点は、労働省はわれわれから見てずいぶん妥当でない政策を強行されるときもありますけれども、また少しましなことをやられたときにはそれを申し上げておかなければならないと思いますが、五人未満に対する適用の道を開かれたのは厚生省関係の健康保険その他よりは早かった。その点は私ども認識をいたしております。しかしそれを開かれてからすでに数年たっているわけなんです。それで社会保障制度審議会その他でも、五人未満の事業所にあらゆる社会保険を適用すべしということは何回も答申に出ておりますし、ほんとうに完全な世論になっている。そのときに、前に芽を出してもいま足踏みになっておったのでは、これは困る。今度の失業保険法の改正に五人夫満の事業所に失業保険を強制適用する、それを出していただかなかったのは非常に遺憾でございますが、それについてどうお考えになっておりますか。また来年は、必ず五人未満にも強制適用の失業保険の改正案を出すお考えがあるのかどうか。あっていただきたいと思いますが、これについて伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 五人未満の事業所に対する失業保険の強制適用を今回の法案の中に盛り込むことができなかったことは仰せのとおりでございまして、との点、私どもも非常に残念に思っておることの一つでございます。ただこの問題につきましては、労働省といたしましてもできるだけすみやかに実現いたしたいという強い熱意は持っておるのでございまして、現在の段階におきましては、雇用審議会の専門委員会におきまして、強制適用を困難ならしめておるいろいろな原因がございますので、それらの原因に対して検討をし、かつそれらの原因に対していかにこれを克服するか、その方法をあわせて検討をいたしてもらっておるのでございます。これらの検討の結果可能なりという判断ができましたならば、すみやかに次の段階に進みたいと思っております。
○八木(一)委員 その結論はいつごろ出ますか。
○三治政府委員 今年始めていただいたわけですが、結論をいつまでにぜひお願いしたいというふうには申しておりません。とにかく有沢委員長の断で専門委員会におろして検討していただくというところで、いま三回ほど審議をやっていただいておりますが、いつまでにということはまだ申してございませんので、もう少し審議の状況を見まして、政府としても積極的に考えてまいりますし、われわれとしても積極的に取り組んでまいりたいと思います。
○八木(一)委員 それは、発足いたしましたのはいつごろでございますか。
○三治政府委員 この失対制度の答申が出ました最後のときに注文がつきまして、そのときに決定したのですから、二月に決定しまして、たしか四月の初めだったかと思います。あとでまたお知らせいたします。
○八木(一)委員 四月の初めに発足したのですか。大体でけっこうです。
○三治政府委員 大体四月に発足したわけであります。
○八木(一)委員 四月の初めからいままでに三回開かれたということは、いまたくさん、何十何百とあるような有名無実の審議会の平均から見れば、普通に作業しておられるということは言えると思います。ところが熱心な審議会から見れば、そのスピードは非常に鈍いと思う。それでこの問題の重要性から見れば、四月から五月までに三回ということでは、本腰にかかっていられるようには私どもとしては理解できない。もちろんそこの審議会の専門委員の方にもお忙しい方もおありになると思いますけれども、もっと本腰にかかっていただくように労働省のほうからお願いをしていただきたいと思います。これはほかの審議会でも、労働省が熱心にやられれば連日やられるというところもあると思うのです。それは早く結論を出していただくというふうにしていただきたいと思いますとともに、その結論が、どこに困難があるからどう打開するかという前向きのことであろうと労働大臣の御答弁から伺っておりますけれども、その前向きが、いやが上にも前向きになるように、労働省としてはその熱意を持って、そういう前向きの御検討をそちらに要請していただきたいと思います。私どもの考え方で言えば、隘路があるということはないと思います。というのは、いま、たとえば失業保険にしても、あるいはまた健康保険その他にしても、五人以上が強制適用、五人未満が強制適用じゃないということになっておるわけです。そこで問題によっては、残念ながら六人、七人の事業所であっても労働者がそういうことについての知識がない、使用主が非常に知識がないだけじゃなしに、知識がある者の中で頑迷固陋な非常にけしからぬ使用者がいて、それを労働者に知らしめないでいる。また知った労働者があっても強圧を加える。そして強制適用の法律を、自分が入らないことによって保険料負担を免れるというような、非常にけしからぬ凶悪な使用主もいるわけです。そういうようなときに、そういうことが起こるのは、また労働者がそれについて気がつかないで抵抗ができない、またけしからぬ使用主がそういうようなことをやるというのは、たとえば四人のところにはない、なくてもこれは法律違反ではない、そうして六人のところ、五人のところにはなさなければならぬ。そうすると、こういうむずかしい法律を知らない労働者としては、隣の四人のところはないからそんなものだろうということで、そういう制度があるということが――そういうものを希望する心は持ちながら、そんなものを知らぬのであきらめる。それに便乗して使用主が、そういうものはないのだということになる。少なくとむ労働者というものについては、失業保険なり健康保険なり、あるいは労災保険なり、一切の社会保険があるということになっておれば、たとえばそういうような使用主の無知、使用主の弾圧、労働者のそういうことを知らないこと、そういうことで適用外になることはないわけです。だから五人以上でもそういう適用漏れがあるときに、五人未満にやったらなかなかむずかしいというような、非常に上つらな俗論があるのですが、それは違うのです。あらゆる職場において働く者に対しては、すべてそういうような社会保険があるということになれば、それはみんなわかります。また各労働者のほうがお互いに知らせ合って、そういうものがあるのだ、あるのを適用しないのはけしからぬから適用するように運動させる、適用しないものに対して、適用しろと言えということが急速に広まります。いまネックと思われることも、強制適用に踏み切ったならば、二カ月か三カ月で私は解消すると思います。また解消させるために、私どもは十分に皆さま方に協力を申し上げることができると思います。ネックと考えられることは私はないと思います。ただし、私の断定だけではいけませんが、その他に事務的な点で御心配があろうと思います。いままで事務的な点の御心配で、そのように特に社会保障が必要な人たちに対して社会保障が抜けておるということは、これは政治として許されないことだと思うのです。その事務的なことがむずかしいからむずかしいからといって延ばされることは、断じて許されないと思います。労働大臣あるいは労働省としては、そういうことでなしに、前向きに御検討になっておられると私どもは考えますけれども、ほんとうの決心を示されないと、そのまわりの人たちもその気になって本腰に審議をしませんし、またやればできると思うことを、まあむずかしいと思うから、このくらいの答申にしておこうというようなことにもならないとも限りません。答申を制約しろという意味ではございませんけれども、ほんとうの意味で一番社会保障の必要な人に社会保障を適用させるために、そのような道を切り開くためにいろいろなことを検討してくれという強い決意を、労働大臣から強い要請をなされましたならば、その審議会の答申も非常に早くなる。早くりっぱな解決案が出ると思うので、そういうふうにぜひ審議会に御要請を願いたいと思います。審議会がもし頼むに足らざるようなことがあれば、審議会でなくても私どもも御相談があれば、どうやればできるという具体案を持っております。それからそういうことがなくても、労働省自体にはりっぱな頭脳の持ち主、手腕の持ち主がおありになるから、審議会でもしそういうようなほんとうに実現するための方途を見出せなければ、労働省自体で見出していって、そして少なくとも来年の通常国会においては、これを適用させるような法律改正を提出されるというようなことにしていただく必要があろうと思う。この点について、労働大臣の御決意をぜひ伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 この問題は、私は就任以来何とか早く五人未満の事業所に適用するようにしたいと存じまして、いろいろ事務当局とも相談をいたしておったのであります。それらの努力の一端といたしまして、審議会におきましても御検討を願うことに相なったのでございます。長年の問題でもございますので、私といたしましては、一挙に一人というところまでいかないにしても、現在の五人以上というのを、さしあたりでも四人以上なり三人以上なり、段階的にでもできるだけ広めていくべきではなかろうか、こういうふうに考えておりますので、今後とも努力をいたしまして、できるだけ御期待に沿うようにいたしたいと思います。
○八木(一)委員 前向きの御努力の御決意はけっこうですけれども、非常に熱心な聡明な労働大臣としては、いまあげられた例は非常に微温的過ぎて残念だと思います。一挙にすべての労働者に適用するということが、事務的な障害も実際なくして、そして問題を解決する具体的な道だと思いますし、それから特に四人の事業所の労働者よりも三人の事業所の労働者のほうが――それはでこぼこはありますけれども、なべてその人たちのほうが労働条件、賃金が悪いことが多いし、失業の危険性の度合いが多いし、蓄積はない。ですから、その失業保障その他の社会保障の必要性が大なわけであります。でございますから、五人以上というものを下げるというような画期的な状態において、一人以上、すべての事業所に、労働者と名のつく者にはすべて失業保険が適用され、その他の社会保険が適用されるというような道に向かって、労働大臣の熱意とそれから手腕と政治力を発揮して、ぜひとも来年度においては、すべての事業所にそのような失業保険の適用をするというような改正案を提出するようにしていただきたいと思います。それについての労働大臣のぜひ前向きな御決心、前向きな御答弁を御期待申し上げます。
○大橋国務大臣 私の気持ちは、先ほど申し上げましたるごとく、できるだけ早くすべての労働者に適用するようにいたしたい、こういうことで努力をいたしておるわけでございます。ただ何ぶんにも、そういうことを実現するためにはいろいろな困難な点もございまするので、答申が出ました暁においてそれを十分に検討いたしまして、そして労働省の力の及び得る範囲でできるだけ大幅に前進させたい、こういう気持ちで進むつもりでございます。
○八木(一)委員 ぜひとも来年度には、全労働者に失業保険はもちろん、ほかの省の関係もございまするが、すべての社会保障が適用されるという法律案が出されることを強く期待をし、強く要望をしておきたいと思います。 それからほかの問題に入りたいと思います。いまのは適用の問題でございまするが、今度は給付期間の問題でございます。今度の失業保険法の改正案に、本格的な給付期間の延長というものがない。三カ月、六カ月、九カ月という現在の給付期間について、それを延長することがこの中に入っていないということは非常に残念でございます。社会保障制度審議会の要綱についての答申については、給付期間の延長ということが、明らかに第一項として、変えなければならない第一問題として出ておるわけでございますが、それについてなぜ出されなかったか、今回は出されなかったけれども、この次には強力なものを出される御意思があろうと思いまするが、それについていまどのような状態にあるか、お気持ちであるか、お伺いしたいと思います。
○大橋国務大臣 今回は被保険者としての雇用選択期間の通算による給付日数のきめ方などを新しくはかったわけでございますが、しかしこれは給付を受ける資格者の問題でございまして、給付期間の延長ではございません。給付期間についても目下いろいろ検討をいたしておるわけでございます。将来逐次前進の方向に向かいたいと思います。
○八木(一)委員 先ほど一番最初に申し上げて労働大臣も御賛成になった方式からいえば、給付期間というものは、再就職までの期間すべてまで延長しなければならないと思います。そういう基本的な方向がございますのに、この三、六、九というものが数年聞くぎづけになっているということでは非常に残念でございまして、今回の改正に出ませんでしたけれども、来年度はこれを大幅に延長されるというようなことを、ぜひお約束をいただければ非常にしあわせだと思います。
○大橋国務大臣 何ぶんにも、この失業保険制度が保険として経営されておりますので、したがいまして給付期間の延長ということは、当然保険財政の問題がございます。したがって、保険料の引き上げ、あるいは国庫負担の増額というような財政的の問題もございますので、それらの点につきましても慎重検討をいたしておるところでございます。
○八木(一)委員 その次に、今度は失業保険金の最低日額は百八十円、それから最高のほうは八百六十円ということになりましたけれども、その保険金額の引き上げ、あるいは保険給付率が現在原則的に六割になっておりますけれども、それをたとえば八割とか九割とか、賃金に対する率を引き上げるというような問題がなされなければならないということが、一般の社会保障に対する世論であり、社会保障制度審議会においてもそういうことがしばしば言われているわけでございます。それについては今度はあまり進んでおりませんけれども、さらに進めるにはどのように、いつごろなさるかというような点について御意見を伺いたいと思います。
○三治政府委員 給付率の増大につきましては、たしか勧告の場合におきましては、賃金の低い階層について特に配慮をするというようなことではなかったかと思いますが、いろいろ検討いたしました結果、給付率を一律に上げるのはどうか、したがって、底のほうを上げることによって低賃金労働者については一律に最低を上げる。そうしますと、従来たとえば百二十円で六割のものが、今度百八十円になればその給付率が七割なり八割になる。それを一定の、たとえば日額三百円未満のものについては八割まで上げるというような線の引き方についていろいろ検討したのですけれども、実質受ける方方も非常に若年者で、そういう低いのはほとんど初任給、新規学卒の者が大部分でありまして、そういう方たちは、現在のところ非常に需給が逼迫しておるのでありまして、したがってそういうことからいって、就職した後も移動率が実際上非常に高い。もちろん労働条件の悪いところ、または就職条件が違うというようなことで、自分で判断されて移動される者もあるのでございますが、最近の新規学卒の労働移動が非常に高いということが一つあります。それを八割給付にするとか、七割五分、七割にするとかいうふうになると、さらにその移動傾向を助長することになりはしないか。働いておっても働かなくても、そうもらう金額が変わらないとなると、そちらへ行っておって、またやめてこちらへ行く。それについては、非常に先生、反発なさるわけですけれども、実際上の取り扱いや、また事業主その他の関係からいきますと、その場合におきましてもやはり不足するものは方々で引っぱり合う関係になるということからいって、若年者は、現在のところそう就職に困難性がないのではないかということから見れば、一つは底上げをする、それから低い賃金労働者の中で家族を持っておる者について何とか考慮するほうが、よりベターではないかということで、扶養加算を給付率について考慮していく、扶養加算制度をつくっていく。ですから、底上げと扶養加算をしたということで、社会保障制度審議会の勧告を、われわれとしては最大限に考慮していくというふうに考えているわけであります。
○八木(一)委員 底上げと扶養加算は、われわれがさきに主張して、社会保障制度審議会に出て、皆さん方がそれを幾ぶん取り入れられたということになっているのです。しかしその前に、日本の賃金が非常に低い。その低い賃金に対して、原則として六割の失業保険金では、これは健康で文化的な生活が維持できない。だから諸外国においては賃金に対する六割という率であろうとも、わが国は賃金自体が低いのであるから、これは八割、九割に一般的にしたっていいのだ。直ちにできないとしても、少なくともある程度以下の賃金のものについては底上げをしなければならない。底上げを、いま労働者の考えているより、もっとたくさんしなければならない。そうして扶養家族手当も、このような少ないものではなしに、もりとたくさんしなければならないし、それから第二子以降金額が減るような理屈の合わない、金額を値切ったようなそういうやり方ではいけないというふうに考えるのが一般的な世論だ。それについて幾ぶんの前進は見ましたけれども、十分な前進を見ていないことは非常に残念でございます。これをまた急速に、そのような正しい世論に従った方向になるように、たとえば来年度においてこれを改正するというような御意思で、ぜひ実現をしていただきたい。それについての労働大臣のお考えを伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 給付率の問題につきましては、いろいろ御意見もございますが、この上とも十分に検討いたします。
○八木(一)委員 それからほかの質問者もおられるようなので、私まだまだ五時間も六時間もやることがあるのですが、ほかの質問者に協力する意味で、少しほかの関連した問題に移りたいと思います。 ちょっと局長に事務的に伺いたいのですが、この前失業保険料の引き下げをやりましたけれども、それはいつでございましたか。
○三治政府委員 三十五年でございます。
○八木(一)委員 それから次に、国庫負担の三分の一を、原則四分の一に変えられたのは、いつでしたか。
○三治政府委員 三十四年でございます。
○八木(一)委員 ただいま労働大臣が給付率を上げる、給付期間を延長する、あるいはまた五人未満の事業所の適用を促進するというような、非常によい前向きなお考えを伺って非常にけっこうだったと思いますが、いままでの失業保険については逆行する方向をとっている。たとえば三十五年に保険料を引き下げた、三十四年に国庫負担率を下げた、そのことについては、その方向が非常にけしからぬということで徹底的に追及をいたしました。その追及をいたしましたことについて、そのときから労働省におられましたので局長に伺いますが、それについて労働省としては慎重な検討をして、十分な反省をされたかどうか伺っておきたい。
○三治政府委員 先生いまおっしゃったとおり、この前の保険料の引き下げ、国庫負担率の引き下げのときには、国会の審議で相当議論がありました。そのために附則の第五項に、失業保険の財政について三十八年三月三十一日までに所要の改正を、財政を検討して行なうというふうにまでされたわけであります。したがって、保険財政を検討いたしましたところ、ちょうど高度成長になりまして、保険料率は下げ、国庫負担は下げても、なお従来に増していわゆる剰余金が出たわけであります。したがって、今度の改正につきまして政府部内で検討しました結果、いましばらくはそのまま持続すべきであろう。ただし、日雇い保険につきましては、財政を検討した結果赤字が出る。したがって今度は、失業保険の部面につきましては三分の一負担ということに原則を変えたわけであります。そういう意味において、この附則によって政府に課せられたいろいろな検討をした結果は、一般保険については現状維持、それから日雇い保険につきましては国庫負担を三分の一にするということに変更したわけでございます。
○八木(一)委員 労働大臣、実はそういう経過がございます。労働大臣は聡明でおられますので、そこに労働省の重大な手落ちをすでに気がつかれておられると思う。そのままほうっておいて黒字になった。赤字になればもとの三分の一に戻すというようなことになっておった。そこでなぜ黒字になったかというと、これは失業保険給付のちょっとしたいじくりはあっても、根本的な前進をその間に停とんさせておいて、黒字が出たからといって四分の一を固定されるような方向になってきた。労働大臣としては、財政があるからたとえば給付期間の延長、あるいは給付率の引きあげ、あるいはその他事務的の点もありますが、五人未満の適用とか、あるいは新卒業生の適用とか、そういう方向をとるために金の問題が関係があるとおっしゃった。それからいま失業保険会計自体が非常に黒である。黒であるだけじゃなしに、これを推進していって、赤になれば国庫負担が四分の一から三分の一に戻るという状態になっておる。大体三分の一が四分の一になったのは、倉石労働大臣の時代に、猛烈にぼんやりしておってやられてしまったわけです。けしからぬ話ですが……。そういうようなことを戻す要件があったのですが、戻そうとしていないわけです。給付期間の三、六、九を、たとえばこれじゃ少ないけれども、すべてを二年間にするとかいうようなこと、また三カ月については、季節労働その他で理屈は言われると思うから、それは別な問題にしても、六、九については、同じように二年間にするというようなことは、当然その改正案を出されなければならないわけです。給付率についても、財政上の底上げだけを考えられて、一般的に八割にして、底はさらに十割にするというような、積極的な失業保険の改正をやられれば、やられるだけの財源はあったわけです。それでたとえ赤が出ても、それは国庫負担が三分の一に戻って、赤ではなしに前進ができた。そういうことを労働省がこの数年間なまけておった。労働大臣も、最近の御就任以後においては責任がある。そういう状態であるから、ひとつ財政のことなどは顧慮しないで、当然失業保障の方向に向かって、失業保険法を大幅に改善するということをやられなければならなかったと思う。それについての労働大臣のお考えを伺いたい。
○大橋国務大臣 先ほど八木委員も御指摘のごとく、現在の失業保険制度は、なお現在の段階では、適用外の人々が現実に失業者として相当あるわけでございます。そこで、労働省といたしましては、失業者に関する対策は失業保険だけで考えるということでなくて、他の対策とも総合的に考えることが現状においては適当である、こういうふうに思っております。したがいまして、国庫の新たなる支出を要請する場合におきましても、これを失業保険の国庫負担率の引き上げという形に持っていくか、あるいはその他の失業対策の改善のために持っていくか、それはやはりそのときどきの情勢によりまして高い視野から判断することが適当だ、こういうふうな考えを持っておるわけでございまして、財源が十分にありまするならば、失業保険の国庫負担率を引き上げさせるということが適当でございましょうが、しかし他の対策で急ぐ場合におきましては、それはしばらく置いて、その急ぐ対策を取り上げていくということも、そのときどきに応じてお許しをいただきたい、こう思います。
○八木(一)委員 労働大臣の御答弁、六割くらいはけっこうなんですが、けっこうじゃない点もあるわけなんです。大体職業訓練をするとか職業指導をするとか、それについての経費を出すというのは、ほんとうを言うと労働省の一般財政の支出で扱うべき性質のものです。失業保険というものは失業保障自体のために使うべきものです。その点において労働省のやり方が――大橋さんになってからとは言いません。いままでずっと、ごちゃごちゃになっていた。その点についてはやはり御検討になって、当然職業訓練やそういうお金は、大蔵省のがんこ頭でも出さなければならないのですから、そっちの一般支出から出させるべきだ。それはしかし、現在の問題ですからそう強く申しませんけれども、大蔵省から一般財源として金が出て、その問題がさらによく推進するように、ひとつ御努力願いたいと思う。いまやっておられることをいかぬと言うわけではありませんけれども、それをやっておられるからといって、失業保険給付自体の前進をとめられては困る。労働大臣も、とめない、進めたい、しかし財源の関係があるからそれをやっているので、こっちのほうはそれだけ財源がないから、ある程度の前進しかできないとおっしゃった、そういうことだろうと思う。そのすなおなお気持ちは受け取りますけれども、非常にすなおな、おりっぱなお気持ちですけれども、もっと勇敢でもっと失業者のために考える積極的なお気持ちになっていただきたい。そういう点は財源の問題ですから、いま言ったように、保険料の問題なりあるいは国庫負担の問題なり、それと同時に現在の黒字の情勢なり、あらゆる点で給付を増大する余地が十分にある。 それから次の保険料の問題、あるいは国庫負担の問題、そういうことをしていただかなければならないと思う。前に、この保険料の値下げの入った失業保険法の改正案、これは船員保険法等の一部を改正する法律という前代未聞の、奇妙きてれつな法律案として出てまいりました。ですから、海員関係の人たちしか自分に関係がないと思うようなごまかしの法律が出てきた。その中に失業保険法の改正が入っておる。日雇労働者健康保険法の改正も入っておる。日雇労働者健康保険法は前向きだけでしたからけっこうですけれども、失業保険法の部分については非常な改悪が入っている。そういうような前代未聞の、わけのわからない法律名で出してきて、二年間出してこられた。私どもが気がついてそれを阻止したけれども、三年目に無理やり多数で通された。多数で通されたときの労働大臣の考え方は、名前は申しませんけれども、実にけしからぬ考え方です。大橋労働大臣はそういう考え方にはならないと思いますが、そこで申し上げたことは、いまの所管局長は部長でおられたと思うからよく御存じだと思いますけれども、失業保険給付というものをほんとうにしっかりする、失業保障をしっかりするということをしなければ労働の安売りになる。ずいぶん条件に合わないところに、いやいや就職をしなければならないことになる。それで資本家のほうは、失業保障がよくなることを希望しない、悪くなることを希望しているわけです。失業保険が、失業保障がよくならなければその間に食えないから、しぶしぶで本悪い賃金で、悪い労働条件で働かなければたらない。それからまた、からだが悪くても、無理して早く職業につかかければならない。そういう意図のもとに、あのような失業保険法の引き下げが行なわれた。当然黒字であれば、失業保険給付の前進がなされるわけです。前進がなされると、失業者は生活に困る度合いが少なくなる。生活が困らなければ、労働を安売りする条件が少なくなる。労働を安売りする条件をつくっておかないと、低賃金で労働者をこき使って利潤をあげようとする独占資本の目的には沿わないというような観点から、あのような失業保険料の引き下げを内容とする改悪案が通った。まさか大橋さんは、そのような間違った労働に対する考え方はお持ちになっておられないと思いますけれども、その当時の労働大臣は、そのような考え方を持ったような答弁をせられた。そこで非常に激論になりました。議論をした結果、労働大臣としては、その当時の労働大臣は、その自分の主張を正当化するための論駁をすることができなかったわけでございます。そして明らかにその点については、その改正と称する改悪案はいけないということが論議の結果明らかになったにかかわらず、多数をもってそれを通過させた。そういうような経過がございますが、労働大臣として、失業保障を完全にすることがなければ、いまの低賃金労働、非常に労働条件の悪い労働をしいられ、そしてその点で搾取がどんどん高まるというような条件を破砕することが、その面からできなくなる。それと同時に、失業保障をほんとうに完全にやるということは、憲法二十五条の精神に従って国として絶対にやらなければならない、そのためにそれを進めなければならないわけでございますが、それをいろいろな要素で、財源その他というようなことをいって、それを進めることをはばんでいる勢力がある。しかもその財源については、そのように黒字があって、できる条件があるにかかわらず、いろいろの点でそういう状態が――少しは前進は見ているけれども、前進しなければならない前進をおくらしている、少なくしている条件がある。これは非常に困った問題であろうと思います。大橋労働大臣はそういうお考え方ではないと存じますけれども、お考えがないかどうか、そういうお考えであるかどうか、伺っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 私は、失業保険制度の前進は、労働者の生活を安定し、また労働者の生産性を向上させ、日本経済の発展のために望ましいことである、基本的にはさように考えております。
○八木(一)委員 そういう考え方でぜひやっていただきたいと思うのですが、もちろん労働省の局長以下労働省の一生懸命な公務員の諸君も、労働大臣の考え方を聞かれたので、その方針でいかれると思います。いままでもその気持ちをお持ちになっておられるべきだと思いますし、またおられたと解釈したいと思いますけれども、あらわれた現実は、それと方向が逆になっている。そこには資本家の圧力、あるいはまた資本家の代弁者としてのいろいろな評論家の圧力、言論の影響、そういうことが出ていると私どもは思っております。そういうことのないように、労働大臣のいまの御決心に従って、いろいろな原案をつくるためには、局長以下努力していただきたいと思うわけであります。残念ながら今度の法案については、それと逆行する非常に悪い点が出ている。その点について、これから御質問申し上げたいと思います。 それは第三十条の改正であります。政府から関係資料を出された要綱の方に、保険料率の弾力的変更等として、「労働大臣は、毎年度末において保険料収入及び国庫負担の合計額と保険給付費及び福祉施設費の合計額との差額を前年度末における積立金に加減した額が、当該年度の保険料収入の二倍を上回り、又は一倍を下回るに至った場合において必要と認めるときは、中央職業安定審議会の意見を聞いて、千分の十二から千分の十六の範囲において保険料率を変更することができることとすること。」ということがあります。このような、いま言った点から、まさに反動的な改正をなぜ出されたか、それについて労働大臣と所管局長と両方からお考えを承りたい。
○大橋国務大臣 局長から申し上げます。
○三治政府委員 これは社会保障制度審議会の審議のときに、われわれはきつい御質問を受けました。しかし、われわれがこういう規定を設けたのは、経済の高度成長によって非常な黒字が出る場合、今後技術革新や経済の変動によって黒字が出る場合に、現在の規定でいきますと、非常に赤字が出た場合に、直ちに保険料を上げなければならぬような規定になっている。また、非常に黒字が出れば保険料を下げなければならぬ規定になっている。したがって、そういうことでなくして、それをミックスして、非常に高度成長の場合には、保険料が普通よりよけい集まり、しかも失業者が少ない。したがって二倍になる。経済が悪くなった場合には、保険料の集まりが減る、それに反して給付額が増加するというふうになる。そこに、もう少しそういう経済の変動の山を、保険料と給付というものをミックスして、著しい変化がないようにしたらどうか。この規定は、われわれ別に腹があってしたわけではなくして、そういうことをいろいろ研究しているとき、前に健康保険法のほうでは、ちゃんと三十五年に、健康保険の財政の安定のためにということで、そういう弾力的な規定が入ったわけであります。われわれはそういうことで、保険というものは、この失業保険は短期保険であるけれども、非常に給付が増大し、また保険財政が拡大していった場合に、経済の変動によって直ちに保険財政、保険給付、この保険制度が危険におちいらないようにするためには、そういう弾力的な規定が必要だということで、これはわれわれのほうとしては、政策的なことよりか、そういう保険財政の技術的な立場から見て、健康保険法の例にならって入れたわけでございます。
○八木(一)委員 いままでに、そういうふうに困ったことがあるのですか。
○三治政府委員 失業保険が赤字になりましたのは二十九年のときだけでございます。
○八木(一)委員 そのときにはどう対処されましたか。
○三治政府委員 積み立て金をくずして給付に充てたわけでございます。
○八木(一)委員 二十九年にあっただけで最近はない。二十九年は積み立て金をくずしてそれに充てたのでしょう。そういう必要はないじゃないですか。積み立て金をくずして――積み立て金というのは、生命保険会社の法定準備積み立て金じゃなしに、剰余金です。この性質は、積み立て金ということばを使っていること自体がおかしい。前年度の剰余金です。それ以外に何も法的に積み立てなければならないという規定はない。剰余金を使うのはあたりまえじゃないですか。しかも二十九年に処理できているのに、それ以後そういう事態は起こっていない。起こった二十九年に積み立て金をくずしたというと、何か使ってはいけないものを使ったみたいに見えるけれども、この積み立て金は剰余金以外の何ものでもない。そういうことばを勝手に使っているだけです。剰余金を使うのはあたりまえだ。それで処理できるのに、なぜこういうものを使わないのです。
○三治政府委員 そういう八木先生の御議論からいきますと、積み立て金があれば、赤字が少々あってもその積み立て金で処理できるから、何らこういう規定は必要ないじゃないかという議論になると思います。ところが一方、先ほど先生の御意見がありましたように、三十四年の場合におきまして政府が――と申しますか、保険料を引き下げようという議論が出て、保険料率を政府は引き下げようという案を提出いたしております。そういうことも、結局積み立て金が多くなれば、給付の改善と保険料の引き下げ、両方に進むべきだという議論も当然出てくるということになるわけであります。われわれのほうとしては、保険財政の安定のために保険料率を、そう積み立て金が多くなったから保険料を引き下げろという議論も出る場合に、そういうことでなくしてやはり安定的な財政をやっていく場合に、そういうふうな弾力的な規定によってやったほうがいいのではないかということで、われわれのほうではそういうふうにやるべきだ。しかも何と申しますか、今度これをきめたから赤字になった場合に積み立て金をくずしてはいけないということでなく、赤字が出れば積み立て金は当然くずすわけでございます。それから給付の改善をやるのに、これによって妨げになるというふうなお考えがあるかもわかりませんが、これは単に財政的な問題だけで、給付の改善をどういうふうにやるかという問題は、むしろ財政からの理由がなくなるようにこちらのほうで安定した財政制度をつくっていく、そして給付の改善は、社会の進歩に応じて給付の改善をやっていくというためにこういう弾力的な規定をして、われわれのほうとしては、決してそういうふうにこれが給付の改善の制限になるとは思っておりませんし、むしろ逆だ、保険財政が安定していけば給付の改善は社会の進歩に応じて改善していく、むしろそういう基礎をここでつくり上げたいというふうにわれわれも思っておりますが、われわれのほうも、御説明しても納得いただけないようでございますが、気持ちはそういう気持ちでございます。
○八木(一)委員 労働大臣からひとつ伺いたいと思いますが、いまの職安局長のことばを受けますと、たいていの問題には非常にずばりとした労働省的理屈の根底に置いた御答弁が普通あるのですが、いまの御答弁を聞かれると、非常にしどろもどろの御答弁だということは、労働大臣もお聞きになったと思います。労働大臣自体、もちろん最高の責任者としてはこういうことを御検討になっておられると思いますけれども、この三十条の弾力的変更というものは、全然意味のないだけではなしに、非常に反動的な意図を含んでいると断定せざるを得ないと思います。それについて労働大臣としてのひとつ意見を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 私はこの条項が失業保険制度の前進に対して促進的なものであるか、あるいは仰せのごとく反動的なものであるかという問題は、この規定自体の問題でなくて、この規定を運用する場合のやり方の問題であるというふうに考えておるわけでございまして、八木先生の仰せのような気持ちで運用をいたしまするならば、確かに反動的な結果を生ずるおそれなしといたしません。しかし私どもは、先生の言われたようなお気持ちでなく、これを進歩的に運用すべきものだという基本的立場でおるわけでございます。
○八木(一)委員 進歩的な立場で、これのみではなくして、全部運営していただく気持ちだと思います。その点非常にけっこうだと思います。しかし、この条文は非常に反動的な点を含んでおって、大橋労働大臣がその気持ちはなくても、次の労働大臣がこれを反動的に運営する危険度は非常にあるわけであります。その問題についてそうでございますので、さらに進めて御質問申し上げたいのですが、労働大臣がもしこまかい字句についてすぐお調べになれなければ、御答弁できない場合には職安局長からでけっこうですが、現在の法律とこの条文の違った点を、私は研究しておりますから知っておりますけれども、とにかく労働省側から、どの点とどの点とどの点が違っているか、ことばの端々はけっこうですから、ポイント、ポイントを伺っておきたい。
○三治政府委員 現在の法律の制度だと、積み立て金の一定額を下回ったら直ちに保険料を上げなければならぬ。それから、それ以上になった場合には逆に下げるというふうになっているのを、そこに大臣の権限を――それを一一、保険料率変動の場合には、全部国会でやらなければならぬ。しかも現在の場合は、積み立て金の金額と保険料の収入の金額と給付の見込みとの比較でそれがきちんと規定されてある。そうすると、現在の法の体系からいきますと、そのまま政府は自動的に国会に保険料の変動を提出しなければならぬが、緊急やむを得ない場合には先にやって、それを次の国会で事後承認をとるというのが、現在の保険料率の変更のしかたであります。
○八木(一)委員 上げるほうだけでしょう。
○三治政府委員 下げるほうもそうです。したがって、それを今度は、そういうふうなきちんとした保険の収支だけですぐ料率の変更を政府に義務づける、しかも国会の承認を経てやるというのを、先ほど申し上げましたように、経済の波に対応して弾力的に労働大臣が運用できるようにやる。しかもこれは私たちが腹黒く新しくつくった制度ではなくて、健康保険制度はちゃんと三十五年にそういうふうな保険財政の安定的運営ということでできている。その前例にならってわれわれはやったということのほか他意はない、こういうふうに申し上げているわけであります。
○八木(一)委員 労働大臣にお答えになっていただければ一番いいのですが、ちょっとこまかい字句ですので職安局長でもけっこうですけれども、職安局長の御答弁が足りないときには、私が研究したところでそれを御説明申し上げて労働大臣の御意見を伺う。 いまの御答弁にもちょっとあいまいなところがあったけれども、大体失業保険料の上げ下げは法律でやらなければならぬ。しかし緊急の事態がきたときには労働大臣が上げることはできる。その上げることは、国会に承認を得なかったらもとに戻る。上げるほうだけはできるようになっている。下げるほうは、今度はそういう緊急措置ではできない。しかし今度は上げ下げは国会にはかられて、労働大臣が職業安定審議会にはかってできる。ここが一つの問題点である。たくさんありますよ。もう一つのファンドの問題。まだある。問題点をあげてくださいと言うけれども、職安局長は一つしか言っていない。三つも四つもこの中にある。その一番最初言ったほうから言いますと、いま上げるほうは緊急処置ができるのです。しかし国会の承認を得なかったらもとに戻る。しかし、上げ下げ両方できるようになるということは、下げる意図のもとに法律改正が行なわれて――いま物価が上がるといけないから、費用が上がるといけないからという議論がある。何でも下げればいいと思っているような世論がありますけれども、この点に関する限り、かってに下げることは猛烈な反動です。ということは、保険料を下げて得をするのはだれか、これはたとえば五百人なり五千人なり五万人なり、そういう労働者を使用する事業主は、五万人分の保険料は下げられただけ得をする。労働者のほうは、それによって失業保険の給付期間が延長になり、金額が引き上げになり、同じく労働者の立場にある人たちに失業保険が適用される道が狭くなる。そういうことによって失業保障というものがない人――ある人も短い、少ない。そういう状態で、その失業者が、低い賃金であっても、自分の技能や健康に合わない職業であっても、しかたなしに就職をして労働の安売りをしなければならない。安売りをさせることによって資本家は低賃金、悪い労働条件で労働者をこき使うことができる。まず第一に自分の保険料負担を資本家が免れ、そしてその間接的な、しかも大きな効果として低賃金労働をしいることができる。そういうことを考えて独占資本が下げようとしているために、こういうことが影響してこういう法律が出てきた。非常に反動的な法律だ。いままでに、赤字のときに上げる法律がある。ほかにも助ける方法がありますよ、国庫負担をふやせばいいんだ。そっちがあるのに、赤字で収捨がつかないときの手だてはいまの法律である。下げることを推進するような法律をなぜ出さなければならないのか。それは独占資本の方針に従って、独占資本の負担を軽くして労働者の生活保障を拡大する道をふさいで、労働者を低賃金でこき使おうという独占資本の方針に従った労働省の政策です。このような間違った改正条項を出すということは実にけしからぬと思う。それについての労働大臣のお考えを伺いたいと思う。
○大橋国務大臣 先ほど来局長からお答えを申し上げましたるごとく、この条項は労働省の新発明ではなくて、これは健康保険においてとられておる制度をそのまま借り用いたわけなのでございます。しこうして別に反動的な意図から出てきたものでないことは、これによっておわかりいただけると思うのでございますが、先ほど私も申し述べましたるごとく、運用のいかんによりましては、仰せのごとき心配もなきにしもあらず。しかしながら、われわれは確固たる決意をもって、これの運用にあたってはあくまでも前進の姿を続けたい、こういう考えでおるわけでございます。まだこの条文ができ上がらないうちから、いまのように八木先生からたいへんなおしかりでございまして、もしこれができ上がって、御心配のような運用でもかりそめにもあるとしたら、どれほど先生からおしかりを受けるかわからないのでございまして、どの労働大臣が見えましても、八木さんが議席をお持ちになっておられる限り、さようなおしかりを受けることを当然予想されるような運用をされるということは、絶対にあり得ないと考えます。
○八木(一)委員 労働大臣がそのような反動的な運用を絶対にしないと言われましたので、やや安心しました。しかしその労働大臣も、これは二十年も三十年も労働大臣をされるわけではないと思いますが、次の労働大臣もそうされないというふうにされるそうで、その点やや安心しましたが、非常に心配はあります。それで私どもは、与党の賢明な方々に御相談をして、この点を修正の努力をいたしたいと考えております。与党の方々は非常に賢明であれですから、修正の交渉に応じていただけると思いますけれども、不幸にして応じられないでこの法律が成立したときには、労働大臣がほんとうに、いまおっしゃったように反動的な運用をされないようにしていただきたいと思いますし、さらに労働大臣大橋さん自体がそうであっても、ほかの方がそういうふうな反動的な運用をするおそれがあるときには、絶対にさせないようにするようなことを、その状況を勘案されて措置を考えていただきたいと思います。それについて、いま一点だけ申し上げたわけでございまするが、職安局長は忘れられたのかどうか、ほかの問題について言っておられません。 次の問題点は、今度は保険給付費並びに福祉施設の合計額ということが書いてあります。福祉施設費というものは前に書いてなかった。福祉施設費というものを失業保険合計で使うことを正当化した文句がある。いろいろの福祉施設、失業者のための、特に雇用促進や何かの施設に使うこと自体については――使うことでなくて、そういうことを推進すること自体は、われわれは賛成です。けれども先ほど申し上げたように、これは一般会計の支出として扱うべきものであります。そういうものでありますのに、いままでそうでない方法の失業保険の金を使ってこられたという点に非常に問題がある。しかし問題自体がそのような再就職のための措置でありますので、筋は違っておりますけれども、私どもは疑問とそれに対する批判を残しながらいささか目をつぶって差し上げておいたような状態であった。ところが今度は、それを正式に認めさせるような文句になった。保険給付及び福祉施設の合計額との差額という文言で、福祉施設費を使うのがあたりまえになったような文言だ。そういうことになって、一般会計から福祉施設費がとれるやつを大蔵省の壁を突き破れない、もうすっかり失業保険会計でそれをやる。そうすると、本来の失業保険の給付がそれだけ分詰まるわけです。そういうような取り組み方では困る。その問題を進めなければなりませんから、一般会計からぐんととってくる、いまの福祉施設費、訓練費や何かも、十倍でも百倍でも千倍でも一般会計からとってこられたらいいのです。失業保険の金は失業保険の給付自体をよくするために使う、これが本筋だろうと思う。残念ながらいまの状態では出ないから、訓練費が出ることを私ども大きな声をあげてわあわあ言いませんけれども、筋としてはそうなんです。それをここに書かれて、ますますそっちの道に行ってしまったというようなことになっては、福祉施設費自体が増大する、給付費自体が増大する道を狭めることになる。そういうふうになる危険性が多分にありますので、それについての労働大臣のお考えをひとつ伺いたいと思う。 〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕
○大橋国務大臣 福祉施設の経費を一般会計において負担させるべきか特別会計において負担しても差しつかえないものであるか、この点についての基本的な考え方は、全く八木委員と同じように考えております。ただ現実の問題といたしまして、労働行政全体の発展のためにやむを得ず特別会計に依存しておる面もありますことは、御承知のとおりでございます。ところでこの条項は、特別会計の財政の健全を維持するための規定でございますので、現実に支出されておりまする福祉施設の費用というものは、これはあくまでも頭に入れて会計の収支全体をやらなければならぬ、こういう考え方で、三十条にこの字句が入っただけでございまして、これでもってますます一般会計で負担すべきものを今後は特別会計で肩がわりさせるのだというようなことは、毛頭考えておりません。
○八木(一)委員 不幸にしてこれが修正にならないで通った場合に、そういうふうにならないように、労働大臣がおっしゃったように徹底的に一般会計からぐんぐん出させる。それでそのこと自体はりっぱに充実をしていく。それで失業保険の金は失業保険の給付に充てる、両方ともよくするのです。よくする意味において一般会計からうんと金をとる。大蔵省にこのようなことをやったために口実を与えて、金を向こうに持っていかれちゃうということのないように、こっちに持ってくるように、不幸にして修正にならないで通ったときにそういう懸命な努力、こん身の努力をお願いしたいと思います。修正のことについては、自民党の中に賢明な方々が少ないのか、一人、二人になりましたけれども、残った賢明の方々は、これをお聞きになったら三十条をやめようという気にもちろんなっておられると思います。これから修正交渉をいたしますけれども、そういうことであります。 それから次に、その問題についてもう一つ大きな点がありますが、それを前に置きまして非常にけしからぬ点を発見しておりますので……。福祉施設費ならば、これは失業者なり労働者のためにやられるのだから、会計上では筋違いで、会計上の金が少なくなるという心配はあるけれども、そういう御努力があるということで目を半分ぐらいつぶらないでもないのですが、とんでもないところに使われているわけです。というのは、これは最近の資料ではなくて、私はきょうはあわてて来ましたので、昭和三十八年一月二十六日に労働省の出された三十八年度予算の概要というところです。この書類は正しいものだと思いますが、この一番おしまいの「失4」というページにとんでもないことが載っております。公務員宿舎施設費四千七百五十九万四千円、失業保険特別会計から支出されておる。これは支出だと思います。貸し付けじゃありませんね。支出ですね、それについてひとつ御答弁願います。
○三治政府委員 これは失業保険特別会計所属の職員の住宅費でございます。
○八木(一)委員 失業保険特別会計所属の職員の住宅であっても、国の公務員です。国の公務員の住宅施設について国から出すのがあたりまえで、失業保険というような失業者のために使わなければならない大事な金を、そのような国がまかなうべき宿舎費に充てるということは間違っておりませんか。私は間違っておると思います。労働大臣、どうお考えになりますか。
○大橋国務大臣 特別会計所属の国家公務員の厚生施設についての費用は、その給与と同じようにその会計の負担とするということは、現在の一般的な慣例になっておるようでございます。もちろんその場合に、その会計に負担の能力がなければ、一般会計の繰り入れ等を考えるのは当然でございまするが、本会計におきましてはその余力ありというふうに判断をいたしまして、一応この会計で負担をいたした次第でございます。
○八木(一)委員 これは何といっても、労働大臣もおかしいと考えておられると思う。公務員宿舎と失業保険給付とは関係がございません。余裕があればと言っても余裕がないのです、あらゆる点で。ごく簡単なことを申し上げますと、今度の改正案でプラスの点でございますが、たとえば扶養家族手当については、配偶者の場合、それから第一子の場合二十円です。ところが第二子から十円にされちまう。第一子だって第二子だって、金がかかるのは変わりがありません。それではなぜ第二子から十円にするか、それは金がないからといってへずっている。絶対第二子は十円にしなければいけない、失業者は子供を生まないように、第二子以下はつくらないようにという基本政策が池田内閣にあればとにかく――あれば大問題ですが、そういう問題がない以上は、第一子に二十円で第二子は十円にする、そんなことは筋が通らない。そういう一番小さい点を考えたって足りない。足りないのに、なぜ公務員宿舎に五千万円近くのものを出すか。前の福祉施設費も、これは国の直接の一般会計から出すべきものなんです。しかしこれは失業者のためにいろいろなことをされるというので、半分目をつぶっております。ほんとうは直していただかなければならない。大蔵省から、一般会計から持ってきていただかなければいけない。しかし公務員宿舎に五千万円出す、この額の大きさもそうですけれども、性質が全然違いますから、こういうことは許されないことです。それについて労働大臣、もう少し明確な御答弁を願います。
○大橋国務大臣 お話の点は、よく当局から大蔵省の主計局のほうにも申し入れさせておきます。
○八木(一)委員 これについては、予算がいま通ってしまっておりますけれども、非常に筋違いですから、大蔵省のほうに予備費や何かありますから、別な金を出させてこれにつける、そしてその金は直ちに失業保険給付に回すか、直ちに回さないでも、その金は翌年失業保険を改善するために必ず使うというふうにぜひしていただきたいと思いますが、もう一回労働大臣の御答弁を願います。
○大橋国務大臣 よく事務当局から主計局のほうへ話をさせます。
○八木(一)委員 これ一つだけでもほんとうは十時間ぐらい追及しなければならぬところですが、ほかの方もおられますから……。 その次には、今度はファンドの問題、たとえば保険料の二倍に達したならば、労働大臣が必要と認めたら職安審議会の意見を聞いて下げることができる。一倍以下に減ったときは上げることができる。そうならば一倍から二倍まではファンドですね。基金ですね。そういう基金をつくるようなことは、その基金だけは固定されて、失業保険給付を伸ばすことに使わないということになる。こういうことは間違いだと思うのです。失業保険は、職安局長が言ったようにあくまでも短期保険です。そんな積み立て金の必要はございません。なぜこういうことをされたか、労働大臣のお考えを伺いたい。
○大橋国務大臣 これは保険財政の健全を目標とした趣旨でございます。財政そのものを健全にしたいという趣旨でございます。
○八木(一)委員 こういう間違った条項が出ていますので、労働大臣も御答弁が苦しいだろうと思いますけれども、何でも健全のほうがいいに違いありません。けれども、問題は、例は悪いかもしれないけれども、どっちを健全にするかということです。たとえばうちに住んでいるときに、そこの犬が健全になって人間のほうが不健全になって死んでしまったら何にもならないので、健全ということは、やはり失業者の生活が健康で文化的で、その人たちが健康を守れる、そういう健全の方向に向かわなければ、会計なんというのは二の次、三の次だ。人間のつくったそういうものは、健全というもののためにブレーキになっては困る。そんなことをしなくても健全なんです。二十九年以後そんなことがあったことはない。二十九年も積み立て金の取りくずしでできた。その積み立て金というものは、積み立てをしなければいけない法律というものは一つもない。剰余金ということで処理できているのに、そういうことをまだ考える。しかも一年分の保険料は幾らですか。いまたしか七、八百……。
○三治政府委員 三十七年度六百六十億です。
○八木(一)委員 労働大臣すでに御承知だと思いますが、一年分の保険料は六百六十億。まあ年によって違いますが、大体六、七百億というような巨大な金です。そういう金を、失業保険法の目的である失業者の生活の安定をするということに使わないで、ただたなに上げておく、こんなむだなことがありますか。健全化と言われますけれども、不健全になったことがない。いまの積み立て金、剰余金で済んだ。不健全になったことはないのです。なってから考えるならば別ですけれども、一回でもなって困ったことがない。ないにかかわらず、六百億ないし七百億という巨大な金を、その金自体の使わなければならない方向、使うことにブレーキをかけて金庫の中にしまっておく、そんなむちゃな話はない。そんないままでしていないことをなぜしなければならないか、労働大臣、どうお考えですか。
○三治政府委員 この点、八木先生非常に御不審のようでありますけれども、われわれのほうは、そういうファンドでたな上げして、そして特別それをふやそうというふうなことで考えているわけではないわけであります。景気の変動で、いままではなかったけれども、今後給付の改善をこういうふうに逐次やっていきますと、年間の給付の額というものは相当な額になってくる、したがってこの二倍という線も、今後非常に給付が改善され、増大していけば、非常に膨大な金になるわけであります。そういうところからいっても、健康保険のほうではどれだけの場合にどういうふうに下げる、こういうふうになった場合にこういうふうに上げるということだけでないわけであります。したがって、われわれのほうとしてそこに限界を設けたのは、こういうふうなことをやることによって保険料率を下げる意図があるというふうに――先ほどの説明に補足させていただきますが、そういうことも考慮して、一倍、二倍という限界を設け、健康保険の場合にはそういう場合がない、それをそのままないようにすると、ほんとうに労働大臣のフリー・ファンドで料率をある一定の限度上げたり下げたりすることになります。しかしそれにも、健康保険よりもさらにあとからつくるのだから、はっきりした理由を持たせたほうがいいだろうということで、ここに上限、下限を設けたということでございます。したがって、今後給付率がふえていけば、その二倍以上にならなければ保険料率を下げられないわけであります。下げる根拠も非常に明確になってきて、自動的に、この前非常に国会で問題になったように、ただ保険料が一千億になったから、八百億になったから下げろという議論も出てこない。したがって、ここにその内容として、大臣が先ほど申し上げましたように、保険財政の安定ということを理由にして、一つの限界を設けることによれば、そういうふうにただ保険料の積み立て金の絶対額が千億とか八百億とかいうことで保険料率を下げようという議論もなくなるだろう、それは他方、保険の給付が改善していけば、当然そういう問題のチェックになるということに一つの大きな理由があるということをつけ加えて申し上げておきます。 それから先ほどの福祉施設であれますが、この福祉施設のほうは、各社会保険ともきちんと給付に準ずる経費として各保険法規に入れておりますが、失業保険のほうは、失業保険のほうだけ保険給付についての支出の部面についてはっきりした根拠がない。したがって、今度の改正では法規の手続上の問題を正確にするためにこれを入れたから、どんどん給付費に食われるということではない。これはむしろ金を持っておる大蔵省のほうが、そういう歳出の権限を法律上持たすことについては反対するくらいでございまして、これがあるから特別会計のほうが黒字になればどんどんこちらのほうで肩がわりするというふうな意図や、われわれ内部の事務当局間の関係からいけば、そういうことは絶対にない、むしろわれわれのほうが、ある程度そういう給付でできないことは保険施設費で改善していこう、今度の改善でも、この保険施設の中で訓練所に入った者には一万二千五百円やろうということになると、若い者で七千円とか八千円しか保険料をもらえない者については、その差額を保険施設費として加えようというような予算も入れておるわけですから、そういうふうないわゆる再就職なり、いろいろ保険給付では一律にできないことを、こういう部面でもめんどうを見られるように、はっきり法的な財政上支出の根拠を設ける。しかしこれは、われわれのいまの各省共通、大蔵省との協定では、大体三%ないし五%が限度というふうに、一応財政の内規としてはなっております。これがそう二割、三割とかいうふうになることは、絶対あり得ないというふうに御了承願いたいと思います。 それからこのファンドを積み立てておいてどうするのだということをこの前から非常に御心配になっておりますが、しかしこのファンドは、ただ労働大臣が料率を下げたり上げたりするときの目標だけでございまして、実際の経済の動きによって、また給付を改善することによって、そのファンドが一年未満の場合に、労働大臣が引き上げましてもなお足らない場合には当然国会の承認になるわけです。そのファンドを理由にして給付が改善されないとかなんとかいうことは、財政が絶対的に優先だというならば別ですけれども、これはただ財政を健全化する一つの手段としての規定だけであって、給付の改善を社会政策として労働省や政府としてはかっていくというときに、このファンドのあれに先縛られて、そちらをないがしろにするということは絶対ございません。その点だけは、われわれのほうとしてひとつ誤解のないようにしていただきたい。したがって、法規上そう読めるとおっしゃればそのとおりでございますが、先ほど大臣がおっしゃったように、そういう運用の問題だし、これは強力な野党のいる限り、こういう規定がそう伝家の宝刀になるということはわれわれとして予想できない、こういうことでございます。
○八木(一)委員 福祉施設のことは非常におかしな話で、いま聞くと、大蔵省というところは実にけしからぬところだと思う。大蔵省は出すものを出さないでこっちのやることに文句をつけるな、出すものを大蔵省が出すなら、何も特別会計で出そうとしないでいいのだということで、これは労働省と大蔵省のつき合いなんということを考えすに、けしからぬ大蔵省に徹底的に反駁しなければならぬ。大蔵省が実際的に金を握っておるから強いということにへこたれないで、出すものを出してから文句を言えということでやっていただきたい。もちろん労働大臣はやっていただけると思いますが、局長もがんばっていただかないと、大蔵省が何とか、こっちがぐあいが悪いとかこっちがぐあいが悪いとか、そういうあいまいな大蔵省は徹底的に論駁しなければならない。それとともに福祉施設費については一般会計から取って、失業保険の給付のほうの改善と失業保険会計とあまり競合しないように努力してもらいたい。 それからもう一つ、ファンドの問題について心配はないと言われるけれども、ファンドをつくっておけば下げる要件にならない、これはおかしい。あなたのほうで、この改正案でかってに下げられる要件をつくっておかなければ、ファンドなんかつくらなくてもかってに下げられないわけです。それが第一なんです。いまおっしゃったように、ファンドに縛られないということが言われるけれども、非常に心配があるわけです。これについては、自民党のあまり賢明でない人がいなくなったので、賢明な人たちに相談して削除したいと思いますが、不幸にして修正が通らないときには、労働大臣は、いま職安局長が答えましたように、ファンドというものをくぎづけにして、ファンドがあるからこれ以上は給付費に使えないというようなことは一切言わない、給付を前進させることが先である、この場合にファンドがなくなってもいいのだ、ファンドというものはある必要はないのです。それからもう一つ、なくなったからといって、そこで自動的に労働大臣が必要と認めない場合にはむちゃくちゃできないわけですから、上げ下げの問題についても、さっき言ったような考え方によって処理されるというように、労働大臣にしていただきたいと思います。そういうふうにしていただけると思いますが、ひとつ労働大臣の御意見を承りたい。
○大橋国務大臣 もとよりそういうふうにいたすつもりでございますし、また三十条でごらんのとおり、中央職業安定審議会の意見を聞くことがこの場合の要件になっております。この審議会におきましては、他の審議会と同様三者構成をいたしまして、有力なる労働代表がおられるわけでございますから、必ず御期待のようなことがおのずから期待できると思います。
○八木(一)委員 それとともに、この会計の問題については、いまの条文にありますように、国庫負担三分の一を残念ながら倉石労相時代に四分の一原則に切り下げられてしまったけれども、それが会計の状態によっては三分の一に戻せるわけです。足りなくなったときには、第一に国庫負担の増額によってまかなうという方式をとられるべきだと思う。そういうことがあるから、ファンドなんということは一切考えずに、それから財政というようなことを心配されずに、そういうことによって金が出てくるわけですから、給付の改善のために勇敢に推進をされる。それで来年度にはそういうふうな給付の期間の延長とか、あるいはさらに金額の増大であるとか、そういうような法律案を出される努力をひとつしていただきたいと思いますが、労働大臣の御見解を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 保険給付の内容の改善につきましては、制度の本旨ということから考えまして、世論の動向を見ながら絶えず前進を心がけております。
○八木(一)委員 食事の時間になりかけておりますので、もうすぐ中断いたしますけれども、関連のあるところをもう少し……。 ただいま一般的に申し上げましたけれども、一般的な失業保険と日雇い失業保険との関係であります。この関係は、同じ法律でちゃんと規定してあるわけでございますから、当然会計が流動せねばならぬと思うのにかかわらず、いままでは一般失業保険と日雇い失業保険の会計を別に見ていろいろ処理しておる。それで日雇い失業保険のほうがあまり黒字が出ない、赤字になるから、なかなか給付の前進ができないというような制約をされておったわけです。そういうことは、大体制度がいろいろな点で、たとえば保険料の徴収方法、それから失業保険金の支払い方法等の技術的な問題があるのみで、すべての労働者が同じ制度の中で、失業状態に対してお互いに失業保障を受けられる。もちろん、いろいろな条件の違うところがありますけれども、そういう観点に立たなければならないと思う。ところが実際の法律は一つになりながら、中で違っているわけです。少なくとも会計は流動しなければならない。ただ一つ問題点は、いま国庫負担が、一般的な失業保険のほうは原則四分の一というふうに残念ながら改悪をされた。それから日雇い健康保険については、今度は三割にされようとしている。その点はけっこうです。その点はけっこうですが、それ以外に、国庫負担を三分の一にするよりも、もっと二分の一ぐらいにしてほしいと思いますが、それ以外にも一般失業保険のほうは非常に黒字でございますから、その会計と日雇い労働者健康保険の会計との流用をはかることは、この失業保険上できることです。そういうことが失業保険のほうの、いささか財政的余裕のある使い方としては非常に広義に属するものではないか。失業保険自体の給付をよくするということが第一義。その次に、ほんとうは一体になるべきものが分けられておる。しかし同じ法律で規定されているから、一般失業保険の黒があった分を日雇い失業保険のほうに金を持っていって、たとえば待期日数がある。ふだんの蓄積がなくて乏しい賃金ももらえない失業期間のときに、すぐ失業保険金というものがもらえない。間に待つ時間があっては困るというような問題は、そういう問題で一ぺんに解決ができるわけです。待期期間を全廃することも可能である。そういうふうな方向に使われるのが二番目に大事だと思う。訓練の施設費にかかる、これもわれわれは否定していないが、その次だと思う。公務員の住宅に使うなんというのは断じて許されない。ところが二番目に――一番目と同じように、これは制度があるから二番目と言っているが、失業保障は第一番目に属するものです。ただ、いま残念ながら会計が分かれている現状において二番目に申し上げたわけですが、そういう問題が行なわれておらないで、そうして不都合にも公務員住宅に失業保険の金が使われるというようなことが行なわれておる。それを直して国庫負担が日雇い失業保険の三分の一になることはいいけれども、それでは足りない。さらに二分の一、四分の三くらいに上げるとともに、一般失業保険会計を日雇い失業保険会計に持っていく道をひとつ――これは労働省の行政解釈でできると思う。それをやっていただいて、待期日数を全廃するなり、あるいは保険金額を上げるなり、そういうことに使うというような努力をそういうことでしていただきたい。それについての労働大臣のお考えを伺いたい。
○大橋国務大臣 日雇い失業保険と一般の失業保険の特別会計は、それぞれ別建てに相なっておるのでございますが、私どもは、日雇い失業保険につきましては常に内容の整備充実ということを考えておるのでございます。そのために国庫負担の増額等についても、あらゆる機会に要望をいたしておるのでございますが、それについて財源的に失業保険会計の余裕金をもってまかなうというようなことに相なりますと、この国庫補助についての財源を強化してもらうということとも関連して相当問題があるのではなかろうか、こういうふうに思っております。そこで労働省といたしましては、ただいまのところは現在のたてまえのもとに独立して日雇い失業保険の内容強化をはかっていきたい、この考えておるのでございます。しかしながら、失業保険全体について、法律として一つの体系になっておるわけでございますから、いろいろな御意見もあろうと思います。将来十分に検討をいたしてまいるべき事柄だと思っております。
○八木(一)委員 労働大臣のお考え、大体前向きの御答弁で、そういうことだと思います。いま技術的には、幸いに国庫負担が三分の一に日雇い失業保険のほうはなった、片方の一般失業保険のほうは四分の一であるという点では、こっちからの金をこっちの日雇い失業保険に回したら、その国庫負担として計算するのはごちゃごちゃになるのではないかというようなことを大蔵省は言うかもしれません。言うかもしれませんけれども、それはほんとうにやる気であったら技術的に解決はできると思いますし、もっと大事なことは、失業保険の全体の国庫負担率を三分の一に引き上げて、そうしてその流動が完全にできるようにすれば一番いいうけです。現在の方式だけでやるとするならば、日雇い健康保険の三分の一の国庫負担ではまだ足りないので、二分の一の国庫負担にするというように、分離するなら分離するで厚みをかけていただかなければならぬ。そういうようないろいろな方式があると思う。とにかくすっきりしたりっぱな方式はいい、それが一番いいのですが、どのような方法であっても、たとえば日雇い失業保険の金額が上がり、待期日数が全廃され、そういうような方向が早くつけば、私どもは、法律の理屈解釈ではなしに、失業をした人の生活が早く失業保険によって安定するということを望んでおるわけでございまするから、方法はどちらでもけっこうですけれども、少なくとも待期日数が全廃されるとか金額がいまよりもぐっと上がるとか、そして労働者自体から取れる保険料を上げないで、失業保険がふえるというような方向に強力に前進をしていただきたいと思います。その点でまだまだ十分とは言えませんから、来年度においてこの日雇い失業保険の給付内容をよくさせる、労働者の負担をふやさないで、国の負担をふやしてよくさせるというような方向で来年は改正案を出されることをひとつ御推進願いたいと思いますが、労働大臣の御意見を伺いたい。
○大橋国務大臣 世論の動向、識者の意見をいろいろ参考にしながら前進につとめてまいりたいと思います。
○八木(一)委員 それではお食事の時間ですから、その後に継続させていただくことにして、この辺で一応中断いたします。
○柳谷委員長代理 午後二時まで休憩いたします。 午後零時五十一分休憩 ――――◇――――― 午後二時四十三分開議
○秋田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続けます。八木一男君。
○八木(一)委員 失業保険法の最高及び最低日額をきめたわけですが、それについて、この程度にとどめられた理由がありましたら、それを伺っておきたい。
○三治政府委員 失業保険金の最高日額は、三十六年の法改正によりまして、同年七月一日から七百円とされておるわけです。 〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 この最高額は、国会で議決された三十六年四月以降、雇用労働者の賃金は、毎月の勤労統計における全産業常用雇用労働者の平均的給与額について見ますると、最近までは約二〇%ほどの上昇を示しておりますので、八百六十円に改めようとするものであります。 次に、最低日額につきましては、最近における新規学校卒業者の初任給及び失業保険の受給者中、百八十円より低い保険金日額を受給する者の比率が三十八年度では三%程度になると見込まれることを考慮いたしまして、また職業安定審議会におきまして、当初私たちの原案では百六十円でありましたものを、諸般の情勢を考慮して百八十円まで引き上げるようにという答申が出ましたので、それによりまして百八十円に上げようとするものであります。
○八木(一)委員 社会保障制度審議会の答申では、もっとこれを引き上げるようにということが出ていることはよく御存じだと思いますけれども、もっと引き上げたほうがいいと思います。失業保険会計にはそれだけの余裕があるわけですから、百八十円ということじゃなしに、二百何十円というところまで引き上げてしかるべきだと思いますが、もう一回ひとつ伺いたい。
○三治政府委員 現在百二十円のところを百八十円にいたしましたのは、上昇率から言いますと非常に高い上昇率になるわけであります。約五割程度の上昇率であります。これは最近急激にここ数年来初任給賃金が上がったことも関連いたしまして、われわれのほうとしては相当思い切って上げたわけであります。従来失業保険の制度のほうから言いますと、改正するときには二割ずつ逐次その情勢に応じて上げるというのが原則だったのですが、最近ここ二、三年来急激に初任給賃金が上がってきたことを考慮しまして、ここで五割の引き上げをやったわけであります。今後ともこの改善につきましては、われわれのほうとしてもそういう賃金の上昇の実態その他をいろいろ考慮いたしまして、できるだけ引き上げるように努力していきたいというふうに考えております。
○八木(一)委員 いままで二割、今度五割にされたというけれども、片方で賃金の上昇があり、それから底上げを急速にしなければならないという状態があるので、その点でははなはだ不十分だと思いますけれども、今後とも上げるように努力をしていただきたいと思いますが、労働大臣のお考えを伺っておきたい。
○大橋国務大臣 賃金の実勢によりまして、できるだけこれに即応して措置するように将来とも考えたいと思います。
○八木(一)委員 賃金のみではなく、最低の保障額を上げるという観点も特に重視されまして、積極的に上げる努力をされることを期待いたします。 最高についてでございますけれども、保険金の最高を八百何十円かにされたわけでございます。その後の保険料はこれにバランスをとって組み立てられていると私は理解しておりますけれども、そうでございますか。
○三治政府委員 保険料のほうは、最高制限はございません。保険料のほうの対象になる賃金額につきましては、最高制限がございません。支払われた賃金額について労使共同負担で千分の十四を徴収する、こういうことになっております。
○八木(一)委員 次の問題に移ります。扶養加算の問題でございますが、扶養加算を配偶者について二十円、第一子について二十円、第二子以下について十円というふうに削限をされました理由について伺いたい。
○三治政府委員 この扶養加算制度は、われわれのほうとして、社会保険で取り上げておりますのをいろいろ検討したわけでございますが、厚生年金保険法によります加給年金、これは扶養する配偶者、十八歳未満の子または廃疾の状態にある子、各一人につき四百円、こういうふうに厚生年金では加給年金が一律になっております。それから児童扶養手当法による児童扶養手当の額は、義務教育終了前の子について、一人目が八百円、二人目が六百円、三人以下が四百円、こういうふうに三段階になっております。それから扶養加算とは若干――こういう保険制度ではございませんが、現在の一般職の職員の給与に関する法律による国家公務員の扶養手当というものを見ましたときに、配偶者及び子一人につき月額六百円、あとの子について四百円、こういうふうに三通りの額があるわけでございます。それで私たちは、この厚生年金保険法の四百円では、全部一律では少し少ない。そうすると、その差をつけるのに、この三段階つけるのも、一週間ごとに払うのにも何か少し複雑であるということで、六百円、四百円としいう二段階制をとった。これは理屈の上では一つにしなくちゃならぬ、二つにしたらいい、三つにしなくちゃならぬ――現行法そのものでもわれわれが考えた中で、三色の方策がとられておるわけでございます。それで私たちはその中間をとったという実情でございまして、これは特別こうしなくちゃならぬという確固たる理屈とかなんとかいうものがあるわけではございません。
○八木(一)委員 このような扶養家族という点について、家族手当法を制定すべし、あるいはまた児童手当法ということが与党側でも言われておりますが、そういう問題の額の決定については、将来の人口をどのようにするかという問題とも関連があるわけです。たとえばフランス等においては、そういう点で人口をふやすように、多くなれば多くなるという方法をとっておる。わが国の将来の人口構成がどうあるべきかということについては、政府のほうでも確定した、どうあるべきかという御意見がないように承っておりますし、また諸学者はいろいろ研究をしておられると思いますけれども、かなり大勢を制したような確定的な論議が行なわれておりません。そういう状態でございますから、そういうものと関連して金額をおきめになることについて、金額自体非常に少ないことも問題はありますが、金額を同額にすべきか、しり上がりにするか、しり下がりにするかという問題についていろいろ御苦心があろうと思います。御苦心があると思いますけれども、そのように問題が確定をしていない、人口がふえるような方向に向かって考えなければならないか、減るような方向に向かって考えなければならないか、重要な問題について確信がおありにならないと思いますけれども、確信がおありにならないときには、そういう問題について、その観点から見てもこれは同じ額にしておくのが至当であろう。そのような将来の人口構造との問題は別にいたしましても、もっと具体的な話で、たとえば扶養家族手当は失業者が生活に困る、普通の失業保険金だけでは、家族があろうとなかろうと同じ金額になる、その場合に実態に合わないから、扶養家族手当でその実態に合わない点を少しでも修正をしようというようなお考えでやられたと思う。そうならば、家族が二人よりも三人のほうがその状態が強い、三人よりも四人のほうが強いということは当然いわれるので、失業保険の扶養家族手当で全部がまかなわれる以上は、家族が多くなったほうがさらに生活が苦しくなるわけです。その観点から言えば、これはしり上がりに金額がふえてしかるべきだと思う。少なくとも同額にならなければ全然理屈に合わない。それにもかかわらず、二十、二十、十というふうに下げたのは非常に間違った組み立て方であろうと思います。それについての労働大臣のお考えを伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 家族の扶養加算につきまして、家族数に応じて金額を一律にすべきか、あるいは逓減、逓増、どういう方法をとるべきかという問題でございまするが、先ほど局長から申し上げましたごとく、現在の立法例は区々に分かれておるのでございます。この失業保険法におきましては、今回新しく採用いたした制度でございまするので、一応かような算定方式をとりたわけでございまするが、今後施行の実情を十分調査いたしまして、目的上から考えて、特に低所得者層の生活の資源であるという点等をも考慮いたしまして、今後実情に合うようにくふうを加えたいと存じます。
○八木(一)委員 別にこうしたければならないという意見で、こういうふうに逓減方式をきめられたのではないということは、労働大臣の御答弁でも職安局長の答弁でもそういうことであります。前の例を引かれておりますが、厚生年金ではそうではない。児童扶養手当八百、六百、四百と言われたけれども、これは労働大臣もほかの方も御承知のとおり、そういうふうに逓減のつもりでやったのではない。実は母子福祉年金との関係で、母子福祉年金のほうでは、母と子を一組としたものについて母子福祉年金が出る。それから第二子以降については同額がずっと出る。多子加算というものが出るという組み立てであったわけです。その問題から関連をいたしまして、ちゃんとした母子関係にない、たとえばほんとうは母子であるけれども、戸籍その他の状態で母子年金の支給がたらないような問題についてのいろいろな検討が始まりました。それ以外の問題も含んでおりますが、おもにその問題に対処しようということで児童扶養手当法という法律ができた。それで実は母子一組のその一つの生活単位に上げる金額を、母子という条件が法律的にないために、最初の千円というものを支給することは法律的にやりにくいということで、第一子の方に多くつけ、第二子に少なくつけた。それで母子福祉年金では第一子まではあれで、第二子以後の加算は同じなんです。それと同じシステムでやっておるのです。ただ、母と子のそのような母子家庭に幾ら上げるかということを同じようにしたいけれども、法律体系上それができないから子供に上げるということで、第一子に多くしておかないと、実質上の母子家庭に支給されるものが最初が少なくなるので、そういう意味で八百、六百、四百ということになった。これは明らかに、児童扶養手当はそのように逓減という意味は全然なくて、母子福祉年金に法律上の母子という関係のない実際上の母子家庭を入れられないために、それに合わせて苦心をしてつくった。それでこの児童扶養手当は、逓減の思想は一切ないのです。それからもう一つは、厚生年金もそうです。そのほか一つ言われましたけれども、そのようなものは古い法律です。いま現段階において法律を考えられるときには、古くさい、幾ぶん考え方の未熟な点でつくられたものを手本にされることは間違いです。いままであった法律でも、その不十分な点、誤った点は直して、新しいりっぱな立法をなさるべきで、そのような古い法律が一つあった――古い法律でもそうでないものがりっぱにある。それから児童扶養手当はそういう経緯で、表面的に見るともしそういうふうに見えても、実際は逓減の思想は一切ないということであれば、当然古い法律を参考にせられても同額にすべきだ。それからもう一つ、古い法律の一つにごくわずかな誤りがあっても、いまみたいな考え方としては、誤りがない立法をされなければならない。現実の生活で、家族が逓増するごとに生活が苦しくなる程度は多い。そうなれば、その意味からも、ほんとうは逓増をしなければならない。それにもし問題があれば、少なくともそれとあまり相反しないように並列で、同額にしなければならない。逆に逓減をされるということでは実情に合わない。人口構造についての覚悟がきまっていなければ、その点でそれを方向づけられない、この一片の法律の問題で大きな問題を方向づけられないという観点から見ても、同額であるべきだ。そういう点で、社会保障制度審議会でも明らかに同額にすべきであるということを言っております。社会保険審議会ですか、職業安定審議会の答申では同額にするのが望ましい、同額にしてほしいというような表現でありましたけれども、社会保障制度審議会では同額にすべきであると、確信を持ってきちっと要綱について答えておるわけです。そのような審議会において、実情を無視されておりますけれども、少なくともこのような確信を持って言っているものについてこたえられなければ、このような非常に大切な機関の重要な審議について、尊重されておらないということになろうと思います。それ以外の理由も、さんざん申し上げましたとおり、これを同額にしてはいけないという理由は一つもない、むしろ同額にしなければならないという理由は山積をいたしております。この点で、いま法律は出しておられますけれども、同額にする方向が正しいということについて、労働大臣の弔う少し具体的な御意見を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 八木さんのお話、まことにごもっともなことと拝聴いたします。特に本件につきましては、社会保障制度審議会の答申その他の機関の答申等六ございますので、今後とも実績等に徴して、すみやかにいかにすべきかということについて検討を続けたいと存じます。
○八木(一)委員 いま幸いにして私の質問、労働大臣の御答弁を聞いておられた与党の非常に賢明な諸君の御同意を得て、修正に対する努力をいたしたいと思います。おそらく大賛成をされると思います。けれども、不幸にして賢明と思われる諸君が非常に無理解で、これを承知なさらないときには、非常に残念でございますが、この法律が通る段取りになろうと思いますけれども、その場合には、労働省みずから翌年度においてこのような不合理を改めるというような積極的な取り組みをしていただきたい。それについて、もう一回労働大臣の御見解を伺います。
○大橋国務大臣 先ほど来申し上げましたごとく、何ぶん新しい制度でございますので、一応控え目に取り扱ったわけでございます。今後実績を徴しまして、逐次改善の方向に向かうようにいたしたいと思います。
○八木(一)委員 実績に徴してということは、いまの段階におけることばであろうと思いますが、いま労働大臣も御答弁の中に、そういう方向がいいというお考えを十分に含めて御答弁になりました。予算の点もこれはほとんど心配ない金額であるし、もっと多くてもこれは予算は十分にありますので、ぜひ来年度に改正案が出されるものと私どもは期待をいたしまして、この逓減がいけないという問題については一応おきたいと思います。 その次に金額の問題であります。二十円では、最初の制度だからこれだけにしたと思われますけれども、はなはだ少ないと思いますが、これについて労働省側の御意見な伺いたいと思います。
○三治政府委員 先ほど申し上げましたように、その母子年金の一番上の、先生のおっしゃるとおり八百円とかいうのは、母子一体ということであって、それは考慮の外だというのがわれわれ事務当局の考えで、大蔵省から断わられた理由でございまして、先生御承知のとおり、これは扶養加算の金額の基準ではないんだということで、それはオミットになったわけであります。そうすると、四百円一律か、それに四百円では少ないからもう少し何かの理由をつけて上げようということで二段階設けたということも、これはここで言うべきことでないかもしれませんが、そういうことでございます。この金額につきましては、私たち各国の失業保険法のいろいろの加算制度をずっとずいぶん手間ひまをかけて調べてみたのですが、先生のお話のように、子供がたくさんあるとだんだ上がっていくのだから加算しろというのはベルギーです。これは非常に複雑でありまして、何歳夫満が何ぼ、何歳未満が何ぼ、たとえば第一子、第二子、第三子からどうやる、この支給順序というものは非常にややこしくできております。とにかくこの制度として、子供がたくさんあるほどふやすというのはベルギーだけでございます。それから一番社会保険の元祖であるイギリスと西ドイツでございますが、イギリスははっきり逓減制、第一子、第二子、第三子とずっと逓減制、それから西ドイツのほうは、一律ではございますけれども、妻、子、一子、二子まであって、第三子以降はカット、スイスその他は二人目から下げるというふうにいろいろありまして、一律のところは、むしろ支給人員を制限するのが大体のあれで、逓減するのが大半ということになっております。金額も、各国調べてみたのですが、大体イギリスのほうが、為替換算にしまして第一子が八百八十二円、それから第二子が四百七十八円八十銭、それから西ドイツが大体八百十円、そのかわり第三子以降は給付がないわけであります。それからオーストラリアなんかは、これは一人が四百十五円、それから第二子以降は三百十四円九十二銭、これは為替換算でありまして、そういうふうになっております。必ずしもそう高くない。われわれ日本的なのがあるかと思っていろいろ調べてみましたが、そういうのがないわけであります。先ほど大臣が仰せのとおり、われわれのほうも、その理論的な理屈はこうでなくちゃならぬというのはないわけでございます。そうした事情やその他やってみました上でいろいろな状況を見て、できるだけ改善に努力していきたい、こういうふうに存じております。
○八木(一)委員 いま諸外国の失業保険の扶養家族について言われましたけれども、フランスの失業保険手当制度だけではなくて、全部のそういう家族の手当制度について、さっき申し上げたような事態がある。別に家族手当というものは全部にあって、失業者にもつくというようなシステムであればいいわけですが、そういうことがなくて、いまちょっと芽が出たわけです。その芽が出たときには、先ほど私が申し上げたような、実態に即したらしり上がりになるべきである。そうでなくても、少なくとも同額であるべきである。それから人口政策から見れば、その人口政策の結論が、政府においても、与党においても、野党においてもまだ確定的な結論が出ていないというときだったら、これはフラットに、同じにしておくのが一番間違いのない道であるということは前に申し上げたとおりであって、各国の失業保険の扶養家族の制度が――ほかの家族手当や何かとの関連を拓きにして、それだけやると間違いが起こります。またかりにそうであっても、各国の制度が非常にそういう点で日本と状態が違う。たとえば家族を扶養しなければならないような状態が日本に多い。それから蓄積がなくて、失業のときに扶養することが非常に困難であるというような条件が多いことを考えるときに、日本においては、他国がたとえどうであっても、さっき申し上げたような方法をとっていかなければならないと思います。そういう点で、日本自体の方向に従って、先ほど労働大臣が言われましたような方向で、これをフラットの方向に導くように、また金額も前進する方向に導くようにしていただきたいと思います。 次に傷病期間中における保険納付の傷病給付金をつけるという制度をつくられたことは、これは非常に前進であろうと思います。前進でありますけれども、実際的にこれに制限がついている。たとえば病気の間傷病給付金というような関係で金が支給される、それから別に失業保険金が支給される権利がある。これは権利である。それはいいのですが、その傷病給付金が、失業保険の支給される期日、一年ですね、それをこえると傷病給付金か失業保険金のどっちかが切られてしまうというふうにこの法律を理解しておりますが、それが非常に、親心が「お」のところまできて、あとはちんと切ってしまうような、喜ばしておいてぶんなぐるというような――ぶんなぐるという表現がいいかどうかわかりませんが、一同さすっといてあとはさするのをやめてしまう、牛乳を三分の一飲ましておいてあとはひったくるというような表現が一番当たるかと思いますが、そういうような制度をつくりながら、仏つくって魂入れずということになっていると思う。なぜこのような一年の制限をされているのか、そういう点について御見解を伺いたい。
○三治政府委員 あるいは先生の御質問に合わぬお答えになるかもわかりませんが、私たちが傷病給付金を考えましたのは、失業保険の受給期間中に病気になられた方について所得保障がなくなる、その所得保障を、いままで失業保険の対象ではないといってカットしていた。そのカットしたのを、やはり病気で一月、二月休まれるのに、その間に所得保障が切られるのは失業保険の受給者として耐えがたいことであろうから、さらにその間をつなごう、失業保険と失業保険の間に、途中で病気で一月、二月休まれる場合に、名前は失業保険金にならぬけれども、失業保険金と同額で、実質上は内容は同じにしてそれをつなごうというのが、今度の傷病手当金でございます。健康保険による傷病手当金と同じようには考えていない、むしろ再就職するまでの、失業保険受給期間中、途中で病気で休まれてカットされるのをつなぐということで、こういう制度をきめたというふうに御理解願いたいと思います。
○八木(一)委員 そういうことで、その親心がカットされているわけです。そういうふうに、失業保険受給期間中というのが一年ということで制限をされるということは、失業保険金受給期間中ということは皆さんが考えたので、そんな考え方でなくて、これは十分出せるわけです。それを切られたところにおかしな点がある。たとえば残念ながら長い病気にかかって傷病給付金を六カ月もらった。その間は失業保険金はもらってませんね。それから失業保険金は、もとの権利によって、九カ月もらえる人であったならば一年三カ月までもらえなければならない。これがあとの三カ月分はもらえなくなるわけでしょう、これでは。そうすると、失業保険給付期間中という、しなくてもいいような関所をつくっているからそういうことになるわけで、傷病給付金というようないい制度をつくったならば、病気の間は傷病給付金をもらえる、病気が終わってから今度は再就職までの生活をつないで、その間に職をさがさなければならないのですから、それが権利に従って、ただでさえ九カ月、六カ月が少ないといわれているのですから、病気の間そういうことができませんから、病気が終わったあと、生活をしながら職業をさがすという期間は、やはり六カ月、九カ月要るわけです。それを傷病給付金が六カ月あったら、あと九カ月はそういう失業保険はいままでもあるのですから、これがもらえるようにしなければ、権利がそこで三カ月間打ち切られるというようなことは、こういう傷病給付金というような制度をつくりながら、仏つくって魂入れずということになると思う。それの制約は、ただ失業保険期間中においてというようなことを法律に書かれるからそういうことになる。書かなければ、そういうことをしないで済むわけです。たとえば傷病給付金の支給中は失業保険の――たとえば失業保険納付期間中でなければ失業保険金は支給しないというたてまえを労働省のベースによって堅持するにしても、傷病給付金納付期間中は失業保険支給期間に含まずということを入れれば、そういう問題、一年三カ月まで支給できるわけです。幾らでも法律的に考えられるわけです。失業保険給付期間というようなワクみたいな考え方を取っ払えば、もっと自由にできるわけです。やる気があればできるわけです。失業保険給付期間中でなければ支給しないのだというように形式的にきめたその考え方が間違いであって、せっかくいい制度があったならば、不幸にして六カ月も病気をされる人はたいていないでしょう、ないけれども、その中でも一番不幸な人は六カ月でも九カ月でも病気をされて、それから失業者の状態で職業をさがさなければたらないという人は数が少ない。 〔小沢(辰)委員長代理退席、藤本委員長代理着席〕 数が少ない人が、自分の失業保険金の権利、逆に言えば失業保険金の九カ月の中を八カ月もらって、それから傷病給付金になったときに、傷病納付金をもらえる権利を、一年のところであと残りがほしいのに中断をされるということになる。そういうことを、そのワクを撤廃していただくことが、せっかくつくったこの親心を完成する道だと思う。そういうことはごく簡単に変えられることです。それについて労働大臣、そのワクをはずして、失業者の中で病気になって一番不幸な人が、そういうように救われるようにされる必要があろうと思います。それについての労働大臣のお考えを伺いたい。
○大橋国務大臣 現行制度におきましては、失業期間中に疾病にかかりますと、疾病にかかっておるために労働能力がない。したがって労働の意思と能力があって、しかも職業につくことができない人が失業者であるというような形式的な失業者の定義を基礎にいたしまして、その傷病中は失業保険給付そのものすら行なわないようなたてまえに相なっておるわけなのでございます。このことが、理屈はともかくといたしまして、失業者の生活の実情に適合しないことは明白でございまするので、今回の改正は、さしあたりその部分を是正しようということを動機といたしまして行なった次第なのでございます。したがいまして、御趣旨のように十分療養期間を与えることができないような制約があるのでございますが、なお私どもこの上のことというものを考えることになりますと、失業保険制度の本質論等のたてまえもございますので、この上ともなお慎重に検討する必要があるのではなかろうか、こういうふうに思っておる次第でございます。
○八木(一)委員 それについて、せっかく病気の間に失業保険金をもらえない、これは非常に不合理な制度でございます。それに対してその不合理なことを改めるために傷病給付金をつくられた、これは非常に前進であろうと思いますが、せっかく前進をしているのに、それを急に最後のところでスピードをゆるめる必要はないわけです。そういうことで、たとえば病気の場合に、大体そんなに長い病気はないと思います。それから失業保険給付は、残念ながらいまのところ三、六、九です。ですから、それがたとえばその該当者百人のうちに、一人か二人がこれをこえてもごくわずかです。それからこえる日数が、一年を二カ月こえるか三カ月こえるかということが、ほとんど九割八分くらいまでが実情だと思います。そうならば、ほとんどそういうようなほかの点についての御心配はないと思います。大体三、六、九という失業保険金を受け取る権利を一年以内に行使しなければいけないということ自体が、ただふわっときめたわけです。三、六、九の間に行使しなければいけないというきめ方は、それを三年以内に行使するように責めたらいいという、どっちでも筋が通る。一年という数が割り切れるからすぽっと一年にしただけであって、一年じゃいけない、一年三カ月じゃなければいけない、十一カ月じゃなければいけない、どこにむきちっとそうじゃなければいけないというものはないわけです。ないけれども、一年というのは数がいいからやってしまった。そこで実際にそのような親心が出た制度があるのに、その一年という制約のために、あと二月、三月のところが親心がほんとうに実現しないというととであれば、これはその部分だけ一年オーバーしても、一つもほかの法令や労働省の考え方に差しさわりはないと思う。それをまた一年ということをあまりくずしたくないというなら、ほかを一年にして、傷病給付金の期間は一年の期間に算入せずということにすれば、そういう方法であれば、労働省のいまの方針を大きくくずすことなくしてそれが実現できるわけです。そういうことをぜひ御検討になっていただいて、それを翌年度に直していただくように、ぜひ労働大臣に御推進を願いたいと思いますが、労働大臣のお考えを伺いたい。
○三治政府委員 われわれもこの問題についてはいろいろ研究しましたのですが、先生のおっしゃるとおり、一年のワクをはずせば、それはまた新しい自由な構想が描けるわけですが、しかし、われわれのほうとしては一年ということでやったわけです。その点につきましては、いろいろ問題がありますので、十分検討してみたいと思います。
○八木(一)委員 労働大臣、前向きに実現の方向に向かって御検討願えますか。
○大橋国務大臣 できるだけ前向きの方向に向かって検討したいと思います。ただ、御承知のとおり失業保険でございますので、失業保険のプロパーの給付でありまする保険期間の一般的の延長とか、いろいろそういった、失業保険制度としてなお優先的に考えるべきではなかろうかと思われるような問題もございますので、それらの軽重の差を十分考えながら、前向きに検討を続けさせていただきます。
○八木(一)委員 それでは、あとをはしょりまして、もう一点だけにしまして、一応保留しまして滝井さんにかわりたいと思いますが、今度の法律の中で非常に反動的な部分があるわけです。 それは、職業講習及び職業指導のために給付制限のことをやろう、職業指導、職業講習を受けなければ、失業保険金を一カ月間停止することができるというような条文がこの中に入っております。これは非常に反動的条文であると思いますが、どのような理由があってこのような反動的なものを出されたか伺いたい。
○三治政府委員 現行法におきましても、いろいろ安定所の指示した職業、そういうものについて正当な理由がなく拒否した者には給付制限の条項があるわけです。今回入れました職業指導、職業講習というのは、制度として職業指導、職業講習を新しく政府が雇用対策上拡充しよう、そこに人も金もつぎ込んで拡充しようという制度でございますので、従来の職業訓練と同じように、その規定の条項を入れる新制度を設けたために、それと現在ある給付制限条項と類似の制度であるので、それと比較考量して制度的に入れた、こういうことでございまして、別に他意があるわけではないのであります。
○八木(一)委員 さらに詳しくお尋ねするときは、条文を全部突いてお尋ね申し上げますけれども、時間の関係もありますから端的に申し上げますが、従来の給付制限は、不正な手段とかなんとか詐欺的な行為、そういうようなことに対する問題であろうと思います。その問題とこの問題は全然性質が違う。職業講習とか指導するということについて、一方において奨励的ないろいろなことを考えておられる。これはまあいいと思う。それに対して、そうではなしに、その指導や何かについて役所の言うとおりに受けない場合には、失業保険金の給付を制限することができる。失業保険金というものは、その人たちが保険料を出し、また使用主が保険料を出す。その人たちのものとしてその給付が行なわれることがはっきりきまっているわけです。失業保険金を受ける問題は権利であります。はっきりとした権利を、ほかのもので制限を加えるというようなことは、法律全体の体系上、非常に失業保険法自体の違反であるものを失業保険法に加えるというようなことになろうと思うのです。失業保険金をもらうということ、給付を受けるということは被保険者の権利である。その権利を何ゆえにそういうようなことで制限するのか、もう少しはっきりと御説明を伺いたいのであります。
○大橋国務大臣 失業保険法の基本的な目的は、再就職までの間の本人の生活を守るということでございまして、要するに失業保険法によって生活を維持していくことだけが目的ではなく、基本的には、やはり再就職をできるだけ助成するということでなければならないと思うのでございます。したがって、政府といたしましては、被保険者に対しましてはできるだけそういう面のお世話をしなければならない、こう考えまして、この方面に力を入れてまいりたいと思うのでございますが、これに対しまして、客観的な十分な理由なくして、自己のわがままによってこれに従わないというような場合には、失業保険法の大きな目的から申しまして何らかの処置をすることが本人のためにも必要であろう、また社会のためにも必要であろう、こういうふうに考えるわけであります。そこでなるほど保険金の受給資格というものは、これは権利ではございまするが、しかしながら、この権利にはある程度の制限が加えられるのはやむを得ないのでございまして、かような形の権利を内容とした受給者の権利である、こういうふうにお考えいただくべきものではなかろうかと思っております。
○八木(一)委員 労働大臣のいままでの御答弁は非常に前向きでけっこうでしたけれども、いまの御答弁は非常に困ると思います。失業保険法の目的というものを、法律によらずしてあまり拡大されては困る。失業保険法にありますように、第一条に「失業保険は、被保険者が失業した場合に、失業保険金を支給して、その生活の安定を図ることを目的とする。と書いてございます。失業保険法というものはあくまでも失業保障を実際にやる法律として、失業者の生活の安定をすることがこの法律の目的であります。労働問題として労働省の関係する問題、雇用、失業の問題で失業者が再雇用されるように、また完全雇用が達成されるように一生懸命やられることは、労働省の非常に大切な任務であります。その点について労働大臣に一生懸命やっていただかなければならないわけでございますが、事失業保険については、失業保険の任務は失業者の生活を安定させることが目的であって、それに付随して再就職のためということが労働行政として行なわるべきであって、そこをまぜこぜにして御解釈になっては困る。失業保険金を受け取ることは被保険者としての権利であります。その権利を、失業保険法に書いてないほかの条項から押し出して、そのような政策に従わない者については罰則的にその権利を制限するというようなことは、法律の体系上許されないことであります。労働大臣はそういうお考えではなしに、そのような制限条項は法律の目的に合わない、法律の趣旨に反対であるということをどうか御理解になって、この問題についてのお考えを伺わしていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 失業保険法にうたってありまする労働者の生活の安定を目的とするということは、単に失業保険の給付を受けておる期間、すなわち六カ月とか九カ月とか、その期間だけの生活の安定をはかればそれでいいというものではなかろうと私はこう思うのでございまして、その労働者のその後の生涯を通じて生活の安定をはかっていくようなことをやはり失業保険法は考えるべきものだ、こう思うのでございます。したがいまして、今回の改正案におきましては、失業期間中において職業訓練、職業指導を行なう。そしてその職業訓練のために必要がある場合においては、特別に給付期間の延長も行なうというようなことまで規定いたしておるのでございます。これらの点から考えましても、そこの労働者の生活の安定を目的とするというのは、その後の労働者の長い将来にわたっての生活の安定ということをやはり頭に置くべきものだ、こう思うのであります。したがいまして、法律の形式といたしましては、現在失業保険法ではなく職業安定法に規定をいたしておりまするが、職業紹介所の職業指導に従わない場合には失業保険の停止をするというような条項もあるわけでございます。私は国の法律の理解をいたすにあたりましては、個々の法律だけを見るべきではなく、国の法律全体をながめまして全体として理解をし、全体としてその精神を確かめ、それに基づいて運用をいたすべきものではなかろうか、かように存ずるのでございます。
○八木(一)委員 失業保険法は、先ほど申し上げましたように、被保険者が失業した場合に失業保険金を支給してその生活の安定することを目的とすると書いてあります。生活の安定ということは一つありますが、失業保険金を支給して生活を安定することを目的とする、失業保険金の支給ということは中心課題であり、中心の目的であります。したがって、生活の安定について労働大臣が言われるように、長い目で見て就職を促進するほうがいいということは、労働行政としてはやっていただくことが必要であります。それはやっていただくことは非常に賛成であります。しかしながら、失業保険法自体が、失業保険金を支給して失業者の生活を安定する目的になっている以上、支給ということは絶対の条件であります。それを――長い目で見てという考え方はいいのです。長い目で見て奨励金を出す、そういうような職業のいろいろなことをする人に奨励金を出すというような前向きのことであれば、これはかまいません。ところが、本来の失業保険法の目的である、失業う保険金を支給して失業者の生活を安定するという失業保険法の目的の中心課題について、ほかの労働行政上の考え方でそれに制約を加えるということは許されないことであります。そういう点でこの条文は非常に失業保険法の本旨にもとるものであって、非常に反動的なものであろうと思います。親心でいろいろなことをやられる、その指導がよければ、それを拒否するようなことは起こらないわけです、その方針がよければ。労働行政については、ほんとうによいものをやるという自信があれば罰則は必要ありません。罰則に近いような制限規定など、必要ないはずであります。そうなれば制限規定はその意味においても必要がない。実際にたとえば講習をやる、あるいは指導をやるときに、労働省の末端のそういうことをやられる方の中に――一生懸命やっている人が大部分でありましょうけれども、人間の中でありますから、百人のうち一人はその人格において一〇〇%ない人があろうと思います。またほかの面については非常な有能であり、熱心な人であっても、人間的に性格の合わない人に対する対処のしかたは、非常に親切でない場合も起こり得るわけです。どんなに善人といわれる人でも、そういうことがあるわけです。それでそのような一方的な、その人たちの感じで、この者はこの職業講習を受けるべきだ、指導を受けるべきだという強圧を加えるおそれがある。そのような事態、たとえば百のうち九十八が妥当であろうとも、百のうちたった一つか二つにしろ妥当ではない指導を行なって、それに従わないからといってそれで失業保険金の給付を制約する。片方は、失業中の生活が苦しい、失業保険の給付制限をされたら食えないから、しかたなしに不当である指導、不当である講習でも、自分が健康上やあるいはその他の理由で、それが労働省から見たところ至当であっても、本人としては非常に耐えがたいというような問題であっても、無理やりにそっちに追いやられるおそれがあるわけであります。こういうように失業保険金の給付を制限して職業指導、職業講習をするということは、うっかりすると職業の選択の自由を奪い、国なりその背景にある独占資本の方向に、強制的に労働をさせるような方向に持っていくというおそれが多分にあるわけであります。そういうお考えはあってはならないことであって、労働省が持っておらないといたしますならば、このような制限規定は一切撤廃をすべきであります。そういう点についての労働省側の御見解を承りたいと思います。
○三治政府委員 いま全部新しくこういう給付制限条項をつくるというわけではないのでございまして、現行制度の二十一条に給付の制限というのがありまして、受給者が公共職業安定所の紹介する職業につくこと、またはその指示した公共職業訓練を受けることを拒んだときは、その拒んだ日から起算して一カ月間は失業保険金を支給しない、こういう給付制限の原則があります。しかもこういう場合、いまこれをやった場合に、先生のおっしゃるような問題も考えられるので、そのあとに、第一線の職業安定所の職員がやる場合に基準をつくる必要があるということで、その「公共職業安定所は、受給資格者について、前項各号の一に該当するかしないかを認定しようとするときは、労働大臣が中央職業安定審議会の意見を聞いて定めた基準によらなければならない。」ということで、この給付制限については、この条文だけでなくして、三者構成の中央職業安定審議会の定めた基準があって現在行なわれておりまして、その基準によってやる。第一線がやって、それについて不服があるものについては労働保険審査法があって、その不服の申請ができているような救済法もあるわけでございますので、そういうおそれは間々あっても救済措置もある、しかもこれとの関連で、今度われわれが雇用政策を進めていきます場合に職業訓練、さらに公共職業訓練ばかりでなくて職業講習も予算措置をとって拡大していく。職業指導のほうも職業指導官をつくって職業指導の中身を改善し、特別措置をとっていく、こういうふうに前進した雇用政策をとる場合に、これとの関連でこういうふうなバランスをとる規定を入れたわけでございます。これが全然新しく、労働省がそういう施策を行なわないでこういう条項を従来どおりやっているものに加えるというならば、先生の御意見もあるいはあるかもわかりませんが、現在加えたいというのは、政府が法制上、予算上新しく措置をとって人員を配置し、予算をつけてやることが、現在ある二十一条の給付制限の条項と同格であるということで、見込んで追加条項を入れたということで、別に新しく特別な、従来制限できなかったやつを、新しく給付制限の条項を入れたということではないことを御承知願いたいと思います。
○八木(一)委員 いままでの法律で公共職業安定所の訓練を受けぬときの制限、これ自体が非常に悪い条項であります。いま言ったように、失業保険法においては失業保険金を給付してその生活を安定させることが目的だ。また保険料を支払っておって、一定の年数がたっている以上納付は権利であります。行政庁のいろいろのやり方に、指示を受けないということで権利を制限することは、この法律のたてまえとしても間違った条項であるし、また社会保障制度のたてまえからしても断じて間違いであるし、憲法二十五条の精神からも違背をされておる。そういう点は検討をして、このようないままでの制限条項は削除をしなければならないときに、それに追加して制限条項を加えることは、まことに反動的な意図であろうと思う。労働省はほんとうに失業者の再就職のために一生懸命やっているという確信があれば、このような制限条項をつけないで、威迫をされたような感じを対象者に与えないで、堂々と職業訓練をし、指導し、講習をされるべきであろうと思う。そのようなほんとうに国民から危惧を持たれない、労働省が、自分の職業訓練所における訓練あるいはまた講習、指導について、国民が完全に喜んでその事を受けるというようなことを自信を持ってやられるためにも、このような制限条項はいままであったものは撤廃し、追加すべきでないというふうに考えられますが、それについての労働大臣のお考えを伺いたい。
○大橋国務大臣 これと同じ趣旨の条文が現行法にありますことは、先ほど局長から申し上げたとおりでございます。そこで私は記憶は十分ではございませんが、最初のこの条分の入った法律が国会に提案せられた当時、その問題をも含めまして社会党も御賛成をいただいておったことだと思いますので、特別に現在この問題だけがどうこうという事柄ではないのではなかろうか。しかし御意見のこともございますから、一応これはこの際お認めをいただきまして、今後この条項の運用につきましては従来以上に慎重に留意するはもちろん、その運用の実情等をもあらためて検討いたしまして、適当な機会にまたお答え申し上げたいと存じます。
○八木(一)委員 いま突如として、この前にこれが通ったときに社会党が賛成をしたということでございます。古い年代でございますから、それが反対か賛成であるかというはっきりしたものをいま持ち合わせておりませんけれども、少なくとも失業保険法が社会労働委員会にかかり、私や同僚諸君がいたときにおいてこのような問題に賛成した事実はございません。そういうことでございまして、自民党なり政府が、社会党が言えば一から全部聞くとおっしゃるならばこれは別問題であります。昔かりに芦田内閣等でそういうことがあったかうしれませんが、その時代が変遷をしておりますし、この問題自体が悪ければ、そういう問題に籍口しないでその条項を削除し、新しく追加するようなことは絶対になさらないというようなことにしていただかなければならないと思います。先ほど労働大臣は運用だと答えられました。運用については、このような間違った制限規定がある以上はこの制限規定が実行されないよう、それから制限規定が実行されるかもしれないという脅迫を与えて、本人の意思に沿わない、本人の状態に合わない訓練なり、そういうものを強制しないという方針をとって行政に当たっていただかなければならない。ほんとうに社会保障の根本的な権利からも、社会保険の保険料を払って保険金を受ける権利を持った人に対する権利の立場からも、それからこの法律自体の立場からも、ほんとうの根本目的の立場からも背反したこのような制限条項を追加することはやめにいたしまして、いままであるものはこれを削除するという方針で労働省としては進まなければならぬ。技術的にそれが削除できないまでの短期間においては、そのような弊害が労働行政として一切起こらない方針でやっていただくという必要があろうと思います。それについての労働大臣の御意見をお伺いいたします。
○大橋国務大臣 申すまでもなく、職業の選択については各人の意思が絶対に尊重さるべきものでございます。したがいまして、この条項の運用によりましてそうした点にまで行政庁が立ち入って、かれこれ指図いたすというようなことがあっては断じてならないと存じまするので、さような意味で今後監督に十分注意をいたし、さような行き過ぎのないようにいたしたいと思うのでございます。
○八木(一)委員 まだまだ質問がございますが、一応もうちょっとで中断をしたいと思います。 いままで申し上げたことで、労働大臣からかなり前向きの御答弁をいただいております。それから問題でこれは絶対に直さなければならないという点について指摘をして、そのような方向について、これは速記録どおりですから一口に言えませんけれども、そのような問題があるという点については労働省本認められております。その問題を解決しなければならないという点が答弁の中で明らかにされておるわけです。それを解決するために、私どもはこの改正案を審議する過程において問題になった心配の点、それからさらによくしなければならない点について、与党の諸君と相談をいたしまして、むしろ与党の非常に賢明なる諸君の前向きに引っぱっていただくような力でこれを修正していきたいと思います。もし残念ながらそのようなことにならない場合には、労働省自体で来年度において改正案を出す、行政運用の問題については、行政運用で万遺憾なきを期すというようなことにしていただきたいと思います。 一つ一つの項目で同じようなことを申し上げましたので、それについて労働省としての総括的な、このような趣旨に従って改正案を前進させるなり、行政運用で誤りなきを期するというような積極的な、前向きな御答弁をいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 労働省といたしましては、失業保険に対しましては常にその実施の実情を顧みて、将来とも前向きの姿で絶えず前進を心がけてまいりたいと存ずる次第でございます。
○八木(一)委員 まだ質問点がございますが、いろいろな都合がありますので、一応中断をいたしまして、同僚の質疑に譲りたいと思います。
○藤本委員長代理 滝井義高君。
○滝井委員 失業保険に関する二、三の問題について、時間がございませんから、簡単に質問をさせていただきたいと思うのですが、まず第一に、今度失業保険の最高日額と最低日額の引き上げが行なわれたわけです。そこでこの理論的な根拠なんですが、七百円の頭打ちを八百六十円にされ、同時に最低日額百二十円を百八十円にしておりますが、これは一体どういう理論的な根拠で百二十円を百八十円にし、七百円を八百六十円にすることになったのか、それをちょっと説明願いたいと思います。
○三治政府委員 失業保険金の引き上げにつきましては、また引き下げにつきましては、十七条の三、失業保険金額の自動的変更ということで、この根拠になるのが、毎月勤労統計で百分の百二十をこえ、また下げる場合は――こういうことはあり得ないわけですが、法文上は百分の八十を下がった場合にはそれだけ下げるということになる。したがって、毎月勤労統計の実際の平均給与額がずっと年次的に出てくるわけですが、前に七百円にきめましたときが、昭和三十六年の法改正によりまして七月一日から七百円に変えております。それから毎月勤労統計の賃金上昇率、これは全産業の常用雇用労働者の平均定期給与額についての上昇率を見ますと、最近二〇%をこえることが明らかになったわけでございます。したがって、その二〇%をこえることが明らかになったことを考慮して八百六十円にしたわけでございます。最低日額につきましては告示でやることになっておりますが、これは最近におきます新規学校卒業者の初任給及び失業保険の受給者中におきまして、百八十円以下の保険日額を受ける方々の比率が三十八年度では三%程度になる、非常にネグリジブルになるということを予想いたしまして百八十円にした、こういうことでございます。
○滝井委員 そうしますと、毎月勤労統計で常用雇用の賃金の上昇が二〇%をこえたから七百円を八百六十円にした、こういうことになると、それは別にこれだから百六十円上げたのですという理論的根拠ではないわけです。ただ二〇%をこえたから腰だめ的に百六十円上げた。これは百六十円でなくても、三百円上げて千円にしてもいいわけです。実は職業安定審議会その他の議論を見ても、これは千円くらいにすべきだという意見が相当あったはずです。数年前ここの委員会で、多分あのときは最低額が三十円かそこらだったのですが、私は失業保険の最低額が三十円かそこらではいかぬじゃないかということで、当時堀さんが職安局長でなかったかと思いますが、それは滝井さん、なるほど御指摘のとおりです、これを変えなければいかぬというので、あなたの言われるように、これは政府のほうで自由に変え得るわけですから、お変えになって、当時三十円か七十円であったと記憶しておりますが、それを百二十円にしてくれたわけです。ところが今度は、いよいよ常用工の賃金がずっと上がったので七百円を八百六十円にすることになったわけですが、この八百六十円というのは、いま言ったような百六十円上げなければならぬというきちっとした根拠はなかったわけです。そこでこのことはあとで私は触れますけれども、この頭打ちというものはいろいろなものに影響を及ぼすのです。まず第一に私がお尋ねしたいのは、傷病手当金との関係です。この病傷手当金は標準報酬日額でいきますと千七百三十円くらいになるのです。そしてその六割というと千円になってしまう。今度あなたのほうで傷病給付金という新しい制度をおつくりになってきておるわけです。これは将来、傷病手当金と傷病給付金というものは見合っていかぬといかぬことになる。これはそういう連関を持つわけです。なぜならば、今度のあなた方の立法を見てみますと、健康保険のものの考え方を失業保険に相当とってきておるわけです。たとえば福祉施設、こういう点をおとりになってきておるわけでしょう。そうしますと、当然失保の日額の最高額についても、傷病手当金というものを頭に置かなければいかぬと思うのです。傷病手当金というものは最高額が千七百三十円ですから、その六割というと千円になってしまう。立法する場合には当然そういうことを考えなければならぬ。しかも原案は、千円くらいがいいのだという考えが労働省内部に幾ぶんあったはずです。それから審議会のほうも、そういう考え方があったわけです。職業安定審議会、社会保障制度審議会だってそういう考え方があったわけです。一体どういう理由で、それがいつの間にか、たいして科学的根拠もないのに八百六十円と、こう百四十円の値下がりをしたのかということです。
○三治政府委員 先生のおっしゃるように、健康保険のほうの傷病手当金が最高千円になったわけです。したがって、われわれのほうでも社会保険の中で均衡をとるためには、そうしたらどうかということの案も確かにありました。ところが、種々折衝した結果――現在の賃金上昇やいろいろの賃金改善の動向から見ると、この十七条の三の自動的変更規定は、労働者になかなか有利な規定なんです。千円にするならばこの条項は要らなくなる。二割以上上げたり何かすると、この条項は無意味になる、法律違反になる。二割に比例して上げるということになっておりますその二〇%をこえて毎勤の上昇率に比例して給付額を上げる、健康保険の傷病手当金の千円に合わせるならば、この条項をカットするか、こういうわれわれの内部の議論になったわけです。その点についていろいろ比較検討した結果、この際千円は有利なようだけれども、過去の経験から見て、健康保険の改善と若干前後することはあっても、やはり従来どおり自動的変更を入れておいたほうが実情に合うのじゃないかということで、あとから追加して入れたこの十七条の三をまたさらに落とすのは忍びないということで、この条項に従って毎勤の上昇率に比例して約二三%上げる、こういうことにきめたわけでございます。 〔藤本委員長代理退席、柳谷委員長代理着席〕
○滝井委員 そうしますと、これは八木さんも指摘しておりましたけれども、この失業保険法というのは、少なくとも失業労働者の生活の安定をはかるということなんです。生活の安定をはかるということは、もらった賃金の六割で食っていける、最低の生活ができるということが原則でなければいかぬと思うのです。八百六十円のほうは、いま言ったように、あなたのほうでは毎月勤労統計の常用労働者の賃金が二〇%くらい上がったということで、傷病手当金に合わせて千円になると、失業保険法の十七条の三というものは削除しなければならぬという矛盾が起こってくる。この辺は食えるから、それで目をつぶしましょう、片目をつぶします。そうすると、最低のところ、この百八十円というもので一体食えるかどうかという問題になってくるわけです。なるほど、この場合に一つ問題になるのは生活保護ですね。生活保護の基準が問題になってくる。ことしは生活保護が東京でいえば一万四千二百八十九円、三十七年は一万二千二百十三円だったと記憶しています。それが一七%上がったわけです。この場合は、生活扶助額を見ると百五十四円くらいになるのですね。これはなるほど百八十円よりかちょっと少ないのです。少ないけれども、問題はこの百五十四円というのが無理なんですね。これを食費に直してみますと、六十歳のおじいちゃんにとってみると一食二十五円、一日七十五円。そうすると、一日七十五円で一体食えるかということなんですよ。七十五円では栄養失調ですよ。百八十円のところでは、失業者が単身ならばいいのですよ。しかし扶養家族が、たとえば炭鉱離職者のように三・四人もおるということになりますと、これは食えなくなっちゃう。同時に、これと最低賃金との関係が出てくると思う。やはりこういうものの関連の中で、失業保険の日額の最低というものはきめなければならぬのじゃないか。ここの場合を、賃金の六割ということできめるわけにはいかぬのじゃないか。頭のほうはある程度目をつぶしたにしても、最低のところを、もう少しどうして上げられなかったかということです。上げるのは、あなたのほうの政令で上げることができるわけでしょう。大臣の権根で上げることができるわけですから。そうしますと、いま業者間協定を所澤さんやら稲葉さんですか、ああいう人たちにお願いしておやりになっていますね。これを労働大臣の職権でやるか勧告でやるか、いろいろ方法があると思うのです。しかし、九条の業者間協定というものが大勢なんです。これで、あなた方の指導で現在業者間最低賃金適用者数は二百十九万人でしょう。ところが実際は、一日三百円以下が多いのです。ところで、ここの失業保険の最低の日額をぐっと上げていきますと一最低賃金も上げざるを得ないのです。だからこういう失業保険の最低日額というところは、生活保護にも関係してくるし、最低賃金にも関係してくるし、さらに訓練手当その他にも影響するところが大きいのです。だからここを、やはりもう少し底上げすることが一番必要ではないかと思う。これはここでわれわれがやかましく言うので、たぶん三十円か七十円を百二十円にして、今度は百六十円にするとか言っておったが、大橋労働大臣の勇断で百八十円にしたのかもしれませんけれども、ここらあたりを、いまの最低賃金の二百四、五十円ぐらいまで持っていったらいいのじゃないかと思うのです。そうすると、失業しておって失業保険をもらうときに二百五十円だから、まさかうちの最低賃金を二百五十円にはできぬだろう。どんな因業な、ユダヤ人のような高利貸し的事業主でも、二百六十円ぐらいにはするだろう。そうすると全般的な底上げになる、こういう形に私はなるのじゃないかと思うのですが、ここらあたり、もう少しヒューマニズムを持ってお上げになる必要があると思うのですが、その点どうですか。
○三治政府委員 この点の最賃との関連、それから生活保護との関連、そういうものを種々検討しましたけれども、これによるべしというはっきりした根拠がなかなか出なかった。したがってわれわれのほうは、大体新学卒の初任給の上昇率を見て、これが非常に上がったという理由で今度は非常にがんばって上げた。その結果約五割上がった。われわれのほうとしてみれば、大体初任給の引き上げと見合うのは百六十円、四割程度と思っていたのが、さらに職業安定審議会の意見で、二十円上げて百八十円にしなさい、底はなるべく上げなさいということで、政府原案の百六十円を、さらに職業安定審議会の意見を取り入れて、先ほど先生のおっしゃったとおり、大臣の英断で百八十円まで上げた。その百人十円になった結果は、結局百二十円に対して五割アップになっているわけでございますから、この辺でとにかく一応やっていただく。さらにこういう初任給が労働力不足の関係から上がるようなことや最賃が進むようなこと、それぞれ勘案して、これといったきめ手はありませんが、できるだけ底上げについてはわれわれとしても努力をしていきたいというように考えております。
○滝井委員 それでは、失業保険の日額の全国平均は一体どのくらいになるのですか。
○三治政府委員 いま資料を調べておりますから……。
○滝井委員 実はこれが重要なところなんです。この全国における失業保険の平均日額というのがどういうところに影響してくるかというと、まず第一に失対の賃金に影響します。
○三治政府委員 最近におきまして、若干月によって十円、十五円の差はありますが、大体四百四十五円でございます。
○滝井委員 大臣、いまお聞きのように、失業保険の全国の日額平均というのが四百四十五円です。これから数字を言うと、非常にみんな並んでくるんですよ。失業保険がことし四百四十五円平均、それから失対の賃金が四百五十八円でしょう丁四百二十五円が三十三円上がりましたから四百五十八円、いまもめておる就職促進手当は三百七十七円ですよ。 〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕 これにベースアップやら、それから今度扶養加算を加えてくると、これは四百五円になる。それから職業訓練手当、これは三百六十円でしょう。これに技能習得手当七十円をつけると、これがやはり四百何ぼということになってくる。それから就職指導手当というのが今度ありますね。これは三百二十円ですよ。これは日雇い労務者を対象にするから低くしてこざるを得ない。ちょっと低くしている。失対、それから就職促進手当、職業訓練手当、失保の日額、こう並べてみますと大体同じです。ここなんですよ。これは失保の日額を基礎にしてこういうものをつくったのか、こういうものをつくるときの失保の日額が、結局そうなるようにしなければならぬのか、鐘が鳴るか撞木が鳴るか知らぬけれども、大体一連のものです。これに生活保護費が加わってくる。そうするとこれは、私に言わせれば劣等処遇の原則です。失対の賃金を上げると生活保護を上げなければならぬ、生活保護を上げると失対の賃金を上げなければならぬというので、両方が突っぱり合うんです。だから大蔵省にいくと、労働省の頭をなでて、今度は厚生省の頭をたたいておくわけです。そうして今度は、労働省が頭をなでられていい気持ちになっていると、たたかれた厚生省がかっかっとおこって、いい資料を持っていって上げる。そうすると今度は、大蔵省が労働省の頭をばんとたたくんです。それで今度はこれがちょっと上がるわけです。そうするとたたかれた労働省が、厚生省が上がったじゃないかとこう言う。こう突っぱり合って、いつも四百円をちょっと上がったり下がったりしながらいく。これを劣等処遇の原則という。働いておる人の賃金は、働いていない人よりか幾ぶん上だという、ここですよ。だからいつも生活保護が押えられるという形になる。これが劣等処遇の原則で、これは学問的にもはっきりしている。こういう形になって、大蔵省から労働省と厚生省があやつられるから、この際労働省と厚生省が連合戦線を張って、まず失業保険の日額の最低を上げていく。そうすると、いま御説明になりました四百四十五円が上がるんです。四百四十五円が上がれば、これは必然的に失対の賃金も上げざるを得なくなる。生活保護費も上げざるを得ないことになってくる。(「それじゃ物価が上がる」と呼ぶ者あり)物価が上がると言うけれども、それだけ購買力がふえて日本経済は成長していく。池田さんの言うように七・二の成長を達成することができるんですよ。これは宮澤経済企画庁長官の見解と大橋さんの見解は、幾ぶん違うから安心して質問できるのですが、大橋さんはわれわれと同じような見解です。こういう点があるので、私たちは失対の日額というものが非常に重要な、いわば社会党の主張する、社会党の構造改革論における底上げ政策の一番大事なところです。基本です。いわゆる富士山のピラミッドの底辺です。底辺がしっかりしなければいい政策は立たぬ。保守党の政策は非常に進歩的でないと言う前の石田労働大臣等が、大橋さんのバックアップになっておるかどうか知らぬけれども、新しい経済労働政策をやろう、労働憲章を出そうと言われるならば、やはり私はそこのところをきちっとする必要があると思うのです。そうしないと食えぬですよ。栄養失調ですよ。どうですか、そこらのもう少し全体を考えて、日額の最低のところは大臣の職権でおできになるのですから、検討してもらいたいということなんです。
○三治政府委員 いろいろ問題があろうかと思いますが、われわれとしては、大臣の御指導のもとに最大限上げたと思います。一応政府としてこれだけ底上げしたというのは、われわれから見れば、相当な努力をしたと思っておりますので、この点は、この程度にしていただきたいと思います。これは別に法律をどうこうという問題ではございませんが、いま先生がおっしゃったようにそういういろいろあげられたようなものの均衡条件というものを勘案し、比較検討して、今日ではこれを最大限に上げたというふうに御理解願いたいと思います。
○滝井委員 そういう失業保険の日額というものは、他の関連政策にきわめて重要な影響を及ぼすものでありますから、今後できるだけ最低日額の引き上げについて、ひとつ努力をしてもらいたいと思います。 それから扶養加算です。これは配偶者と第一子が二十円で、第二子以下十円になりました。これは何か他の政策と見合って、二十円とか十円をおきめになったのですか、それとも労働省独自で、他の政策とは関係なくこういう制度をおとりになったのですか。
○三治政府委員 先ほど八木先生の御質問も、同様な御質問があったわけでございますが、われわれもこの扶養加算制度を現実的にやろうと認めて、諸種の制度を検討しました。ところが、これによるべしというはっきりしたいい資料がなかった。それで、厚生年金は四百円で一律になっております。それから児童扶養手当も、第二子以降六百円、四百円になっております。それから一般職の公務員の給与も、六百円、四百円になっている。それで私のほうも、これに準拠して二十円、十円ときめたわけでございます。 それから、さらに外国の失業保険の諸立法もずいぶん見たわけでございますが、一律に扱っているところは三人目から切る。給付しない。それからイギリスその他英連邦系統は、大体において第二子以降みな段階的に下げております。それから扶養加算の金額もそれほど大きくありませんで、為替換算でやってみても、イギリスあたりで、大体第一子が八百八十二円、第二子以降になると四百七十八円八十銭というふうになっております。この金額も為替換算でございますが、それほど多くはないということから、われわれのほうとしては、大体において公務員の給与の六百円、四百円というものを基準にしてきめたというふうに御理解願いたいと思います。
○滝井委員 そうしますと、現在厚生年金の扶養手当四百円と、それから児童扶養手当四百円、一般職扶養手当四百円、そういうものを考慮されたと言われるわけですが、この際、御存じのとおり政府が職能賃金ですか、能率給的な職能賃金の検討を始めておりますね。最近あなた方は、安定賃金ということも言われておりますけれども、同時に、技術革新が行なわれて、年功序列の賃金体系というものは幾ぶんこわれ始めつつある。それから家族の多い者は、そうなるとやはり雇いにくくなる。必然的にこれは国が乗り出して、児童手当をつくらなければならぬという意見がだんだん濃厚になってきているのでしょう。同時に、厚生省のほうでは、無拠出の福祉年金における母子年金については、それに見合う生別母子家庭ですね、主人と生き別れをした者について、やはり何かしなければいかぬ、未亡人だけじゃないのだということで八百円だったのを千円にして、それから今度は第二子六百円を七百円にして、三子から四百円、こういっているわけです。こういう制度が過渡的な制度としてできていますが、少なくとも厚生省ばかりでなくて、将来、日本全体の勤労者の児童手当をどうするかという問題と、扶養加算というものは重大な関連があると私は思うのです。今度進歩的に失業保険に扶養加算をおつけになったということについては、やはり何か長期の日本の賃金体系の変化、日本の雇用情勢の変化、日本の技術革新の状態、経済の成長、こういうもの、それから日本における若年労働力の減少、子供の出生率の多産多死型から少産少死型への転換という人口構造の変化、こういう総合的なものの中から、この際やはりまず児童手当の第一歩として扶養加算をやろうというような大局的なものに立っておやりになっておるのか、それとも、まあまあ失業保険に千二百億以上の金がことしはできるのだから、何ぼかこれをつけておかぬと八木や滝井がやかましく言うだろう、社会党がやかましいだろうということでおつけになっているのか。一体これはいずれでしょうか。
○三治政府委員 先生の前のいろいろの理由は、目下われわれは研究中でございますが、そちらのほうの結論を得てやったわけではなくして、社会保障制度の勧告が昨年八月出まして、その中にこの問題が出されておりました。それでこの制度に踏み切った私たちの考え方は、低額所得者に対する給付率の引き上げ、または一律的な引き上げという問題に対処することをいろいろ検討した結果、日本の賃金が現在年功序列型賃金になっておる。そうすると若年労働者は賃金が低い。それが失業するとその六割で低くなる。いわゆる食えない賃金が、さらにその六割の賃金という一般に言われるようなことになる。しかしながら、初任給賃金は急速に改善されております。そういう観点からいって、むしろわれわれのほうは、一般的にただ賃金の絶対額が低いから、その納付率を一律的に引き上げることについては、種々検討した結果必ずしも得策ではない。むしろそういう給付率の引き上げをいろいろ考慮するならば、一律六割の給付率の改善について何らか考慮しなければならぬというときに、配慮すべきことはやはり扶養家族を持った失業者の待遇がまず優先ではないかということから、扶養加算制度を考えたのであります。こういうふうに理解していただきたいと思います。
○滝井委員 やはりこの扶養加算という制度をおつけになったならば、日本の賃金体系全体の大きな見通しに立って、そうして、いま厚生省のほうでは、社会福祉審議会か何かのところに依頼をして、ことしの秋ごろにその結論がたぶん出てくるのですね。そういう場合に、いわばわれわれの見方からすれば一つの突破口ができた感じもするが、これは一律二十円ではどうにもならぬのであって、家族の多いもの、子持ちは雇わぬ、中高年齢の人を雇うにも家族が多いから雇わないという面もある、技術の面もありますが。そういう隘路を打開していくためには、厚生省が社会保障的な見地からではなくて、やはり労働省が賃金政策の上からもタイアップして押していく必要があろうと思う。そうして少なくともイギリスあたりでやられているように二千円か三千円、それがあったら一人の子供が食っていける。フランスの児童手当ですか、フランスはずいぶん人口構造が違いますけれども、こういう形のものに、日本の賃金体系の一環として、労働省が積極的に扶養家族手当ですか、児童手当を考えていくべき時期じゃないかと思うのですがね、あまり小さい意味でなくて。そういう点で、失業保険にこういう制度ができたことは一歩の前進だとは考えております。前進だとは考えるけれども、ひとつその気宇を広大に持っていただきたいということです。あまり狭苦しく、失業保険の会計も少しばかり金が余った、まあまあ子持ちのところには何ぼか楽にさしてあげようかというけちな気持ちじゃなく、もうちょっと長期の見通しに立ってやってもらいたい。そのことが、池田さんの人つくりのあそこにうんと学者を集めて何回も意見を聞くよりか、大橋労働大臣の英断一つで、人つくりの問題がうんと前進する形が出るんじゃないかという感じがするのでありまして、百日の説法をやるよりか一つの実践で、ひとつこの面からやってもらいたいと思うのです。 それからいま一つは、被保険者として雇用された期間の通算による給付日数の決定ですか、今度通算をして、同一事業主でなくても通算をしていただけることになりました。この場合に陸と海との関係ですね。いわゆる船員保険等との関係です。これは今度は連結がされてないようですが、これはどうお考えになっておりますか。
○三治政府委員 この点は、確かにいままでは、陸と海とは全然別々の人たちだということでずっと考えておったわけでございます。いろいろ海運の合理化というふうなことから、ここで若干問題が出ないとも限りません。しかしわれわれのほうで種々、と申しますか、どうもこの点は、私もいまになってみれば若干研究が足らなかったと思っておりますが、陸と海の関連につきましては、私たちももう少し研究さしていただきたいと思いますが、確かにその関連はつくる必要がある、同じ失業保険制度でございますから。この点は、今度の改正ではうっかり――と言うといかにもほうでおいたみたいですが、十分さらに検討する時間がなかったということは弁明さしていただきたいと思います。
○滝井委員 なかなか正直ですよ。したがってそれ以上申し上げません。 そこで船員保険は総合保険で、厚生省所管ですね。労働省所管でなかった。だからおそらく見落としたと思います。これは幸いなるかな、今度健康保険に関連して船員保険の改正が出ております。何か与党さんのほうでは、いままでは国民年金と老人福祉法だけ二法を一緒に審議してくれ。今度は厚生三法で船員保険も一緒にやってくれとおっしゃっているから、これは大橋労働大臣と与党の理事とがお話し合いになって、船員保険の改正はまだ審議しておりませんから、そこでひとつ修正をするなりしてもらうと非常にいいのですがね。せっかく他の制度の通算をしてもらって、同じ労働者である船員保険だけをまま子扱いにするというのはいかぬのです。われわれが、これは与党がやったんじゃない、野党でやったんだと言ってつむじを曲げてもなんですから、あなたのほうが率直に手落ちだと言ってお認めになったのですから、これは、あやまちを改むるにはばかることなかれということばが昔からありますので、思いついたら大みそかの晩からでも直すということが必要であります、政治では。これは船員保険法の改正がたまたま出ているのでありまして、だからこれは御検討になっていただいて、技術的に予算上非常にむずかしいというならば、あえて私は御無理は申しません。しかしこれは、何か予備費その他からでもやればそう大きな額ではないと思うのです、失業保険ですから。何かひとつ御考慮願いたいと思うのです。船員保険法の一部を改正する法律案がいま提案されているのです。どうでしょうか、御検討いただけますか。
○大橋国務大臣 他省の仕事とも関係がございまするので、私どもといたしましても至急検討はいたしまするが、なお大蔵省、厚生省あたり、関係当局とも打ち合わせをした上何ぶんの扱い方をきめさせていただきたいと思います。
○滝井委員 これは一つの盲点だったわけですから、仲よくひとつ修正をして、できればぜひ海と陸とをつないでいただきたい、こう思うわけです。 次は、今度電子計算機システムによっていろいろ記録が整備されますね。これが昭和四十年から被保険者期間の通算を実施することになるわけでしょう。そうすると、だいぶ日にちがあるわけですね。この法律が通って来年からというわけにいかぬ、というのは何か技術的に非常にむずかしい訓練その他を要しなければならぬのですか、そこらをちょっと御説明願いたいのです。
○三治政府委員 本年度債務負担行為で契約しまして、ちょうど機械が入って整備されて仕事が始まるのが四十年度が最適ということで、四十年度にさせていただいたわけでございます。
○滝井委員 そうしますと、その電子計算機システムが入ってくるとどういう利点があるかというと、ここに書いてあるのですが、不正受給の早期発見及び予防も可能になる。それから業務の能率が上がることは当然だと思いますが、資料の整備もいい。それから季節労務者の把握と、一の不正受給の早期発見、予防も可能になるというのは、どういうシステムでそういうことになるのでしょうか。しかもこれは相当ばく大な金のかかる機械だろうと思うんですね。債務負担行為でお買いになってやって、これから二年間もかかって四十年からしかできないのですから、まずどういうことでそういう不正その他が防止できるのか。季節労務者の把握がどうして容易になるのか。それによって一体財政負担というものはどの程度軽減されてくるのか。
○三治政府委員 一人ずつの雇用の期間、経歴がずっと出るわけであります。いまのところだと、季節労務者につきましてはその整理を各安定所でやっているわけですが、安定所を一つ動くとわからなくなるわけでございます。それから、たとえ同じ安定所に毎年季節的に出てこられる方でも、何千人というものを整理するのは、いまの手数からいくとなかなかむずかしい。そういうことで、現在千五百五十万の被保険者が、二、三年たつと千七百万近くになるわけです。それで全体のそういう被保険者の個人の職業、経歴がわかるようになれば、そこに反復して失業保険をもらっている期間がわかってくる。しかも職業との関連がわかってくる。そういうことによって季節的な職業に反復していくということがどの程度あるか、それで現在の三カ月の制度だと、被保険者期間が六カ月以上九カ月未満の者も三カ月――これは新規学卒やその他でちょっとつとめてやめる者も三カ月の給付、これは季節労務のために三カ月というのが原因ではあったわけでございますけれども、そういう短期雇用の部面についてもそれが一律になっておりますので、現在の三カ月給付のものが、その点だけで全部が季節労務者とは必ずしも言い切れないわけでございますので、それはやはり電子計算機で個人歴を見て初めてわかることじゃないかと思います。それからいま不正受給で一番多いのは、やはり失業保険をもらいながらつとめている。初めは失業をしておる。しかしながらつとめ始めた。しかしせっかくくれるのだから、その間に失業保険が切れるまでつとめながらもらいに行くというケースが、不当受給では非常に多いわけであります。しかしながら、再就職すればそれがすぐ電子計算機のほうへ職業歴が出てくる。被保険者が受給と両方に出てくるわけはない。そこでダブリがすぐ発見される。しかもいまのところだと各安定所ごとに登録しておりますが、これを中央で一括して全国全部、アメリカの社会保障制度のように全被保険者に対して一連番号がつくということになれば、そこに重複して、失業保険の受給者であり片や被雇用者であるということがすぐ発見できるという、いろいろな利点もあるのではないか。またこの電子計算機でそういう各個人ごとの雇用歴が出ることによりまして、労働移動の問題、それから雇用期間の問題、こういう資料がいろいろ出て雇用政策上非常に参考になるのではないかと思います。
○滝井委員 どのくらい防止できるのですか。百聞一見にしかずで、そういう機械ができたら見せてもらいたいと思うのですが、そういうことでどの程度の防止になるのか。私ちょっと調べてみましたら、季節労務者と見られる者が約三十四、五万くらいおりますね。これらの者に対する給付額は百十億くらいになる、約二割ちょっとこえるというようなことを書いたのを見たことがあるのです。そうすると、特にあなたのほうでこの電子計算機システムを採用することによって、季節労務者の把握が非常にうまくいけるということになると、いまあなたの御説明のような不正受給があるとすれば、不正受給が起こるというのは失業保険の日額が少ないということも一つの大きな原因です。それだけでは食えないから目を盗んで働く。それはわれわれが実態調査をやると、生活保護者が生活保護を受けておる。生活保護を受けておる人で、ケースワーカーなり民生委員の目を盗んで働いていない人はほとんどいなかった。全部働いておった。いわんや失業保険を受けておる人というのはぴんぴんした元気な人ですから、日額が安ければ目を盗んで働く傾向ができるのは人情になってしまう。つかまえてもなかなか文句の言いようがない。私のところに来てごらんなさい、ごらんのとおりなべとかましかありません、子供が六人も七人もおります。こう言われると、やはり安定所のケースワーカーもほろりとしてしまう。やはりそういう点がある。だから電子計算機システムで季節労務者を把握し、不正受給を防止する形ができるのはいいけれども、そこらあたりの問題が出てくるが、いまのような状態で、失業保険受給者の二割以上が季節労務者で、百億をこえる金を支払っておるということになりますと、このシステムで一体どの程度の節約になると考えておるのかということですね。
○三治政府委員 現在、例年発見しております不正受給の金額が約二億でございます。ところが電子計算機でいけば、少なくとも倍の四億程度は発見できるのではないかと思います。 それから季節労務者は、われわれのほうは不正受給とは別個に考えている。季節労務者に不正受給があるとは考えておりません。むしろ季節労務者につきまして、どういうふうにこういう保険制度が適用できるのか。一応三カ月にやったけれども、はたして雇用の実態や産業というものが、どういうふうになるのかということを知りたいということが主でありまして、季節労務の約二十七万人で給付額七十七億現在あるわけでありますが、これを特別少なくするとかなんとかいうことば、また季節労務対策として別個であります。これは不正受給とは直接関係ございません。ただこの給付額が、先生のおっしゃるように一般保険の金を非常にたくさん食うような傾向に、毎年十億、二十億、三十億とふえていくわけでありますから、そうすると季節労務者の、いわゆる六カ月ないし八カ月働いて三カ月失業保険金をもらう、毎年繰り越すものがあまりにも乱用されるとなれば、かえって雇用の不安定が出てくるのじゃないか。季節労務者と言うとなるほどいいようだけれども、やはり雇用の安定という立場からいけば、こういう季節労務者的な雇用者は少なくしたほうがいいわけです。われわれのほうは、季節労務者がどんどん失業保険をもらってふえていく傾向にあるのを、これを電子計算機の解明によって実態を明らかにして、そうしてこういう季節労務者によっての依存する産業が、年間雇用ができるような雇用政策を考えていかなければならないという意味で申し上げているわけで、季節労務者の給付金額を、ただ単に不正受給と同じように減らすとかどうとかいうことを考えて言っているわけではない、別個の問題だと考えておるわけであります。
○滝井委員 私は、そういう意味で言ったのではないのです。季節労務者を正確に把握することができるということは、その結果として不正の防止ができるようになってくる。そのことは一体どの程度でしょうか、こういう、参考のために聞いておるのですから、ひとつ御心配なく……。 その次は、傷病期間中における保険給付の問題です。この場合に、今度健康保険法や国民健康保険法が改正になりまして、これは労働者が企業をやめて雇用労働者でなくなると、直ちに国民健康保険に入るのですよね。そして国民健康保険に入ったが、失業しておるんだから賃金も少なくて、子供が多くて食えないというと、直ちに今度は生活保護になるわけです。これはもう順序です。そうすると、生活保護になりますと生活保護費をくれるわけですね。これは単給の場合と併給の場合、いわゆる医療だけをする場合と全部生活費まで受けて――生活保護を受けると、今度は医療券を別にくれますから併給になるわけですが、この場合に、これは生活保護と併給はできるかどうかということです。
○三治政府委員 これは、生活保護のほうより失業保険のほうが優先して払われて、それが生活保護の基準に足らない場合には、生活保護が別に払われることになります。
○滝井委員 これは病気をするわけですからね、収入は無一文です。生活保護になりまして、そして併給ですね。生活費は向こうから持ってきてくれる。しかし病気の費用も医療券でみる、こうなるわけですね。その場合に、これは十五日以上の場合ですから、当然そういう場合が起こり得るわけです。その場合に、これはもらえる資格はあるわけです。併給するかしないかの問題だけです。たとえば今度未亡人の給付金をくれることになったわけです。二万円ですね。十カ年間、二十万円くれるわけですね。これについては大蔵大臣なり厚生大臣等の英断で、これは生活保護と併給しましょう、こう割り切ってきたわけです。それと同じ形で、これは哀れな失業者なんですね。生活保護に転落するような、全く哀れな、子だくさんの人たちです。そうすると生活保護はもらえる。同時に、失業して間もなくですから、傷病期間中における保険給付、いわゆるちょうど失業保険金と同じ額をくれるわけでしょう。傷病手当金とは併給しない、これは法律にはっきりしておるが、生活保護との併給は何も書いてない。ぼくは読んでみたとき、書いてないと思いました。それはやってくれるかくれないかということです。引く引かぬは、これは厚生省の問題ですからね、労働省としては、これは生活保護をもらっておる人にもくれますかどうですかということです。
○三治政府委員 われわれのほうは、失業保険の受給期間中で、病気されて傷病給付金をもらう資格のある人には出します。
○滝井委員 わかりました。そうすると、生活保護をもらっておってもこれはくれる。それから先、これをどういうように認定するかしないかは厚生省の問題だ、こういうことになるのですよ。労働省では見解をはっきりしてもらえれば、それから先は相手はまた別にいきますから、それで一ついいところをもらいました。 次は、最初ちょっと落としましたのが、もうちょっと聞いておきたいのですか、失業保険の最低日額というものは依然として六割ですね。六割の原則がずっといっているわけでしょう。その場合に、私たちのものの考え方は賃金が非常に安い。そこでさいぜん申しますように、六割ではどうも百七十円とか百八十円にしかならないで、とても食っていけない。最低は百八十円ですから食っていけない。六割が百五十円しかならなくても百八十円くれるわけですよね。そこで、たとえば給料が月額一万二千円以下、日本では一万円以下の労働者というのは五百万も六百万もおりますよ。そういう非常に低賃金の労働者については、その日額を、今度は六割でなくて八割でやるように考えたことはないかということです。一定の賃金以下の者については、それは八割にしましょう。さいぜんも私は、この百八十円を上げてくださいと言ったのです。しかしそれを上げるについては、労働大臣が自主的に上げられますから、他のものと関連して上げてみてくれませんかと言いましたが、同時にもう少し前進してみますと、その八割というところにひとつ持っていってみたらどうでしょうか、こういう検討はされたことがありませんか。
○三治政府委員 この資料で、そういうたとえば日額三百円以下の人はどういう階層の労働者であるか、どういう家族構成であるかということについていろいろ検討をしてみたわけなんですけれども、実のところ資料がございません。しかしいろいろ受給者の年齢構成とか性別というものを見ますと、たとえば日額三百円未満、二百五十円未満の方について受給者の実態を調べてみると、ほとんどが若年の労働者ということです。これはまた反面、賃金が年功序列型になっているということから、低額賃金の人はいわゆる若年者になる、こういうことになるのです。ところが実際われわれが検討した結果、若年者の労働力というものは今後ますます不足して、失業の実態、失業の苦しみというものはほとんど予想されない。本人に働く意思と能力があって健康を維持されるならば、ほとんどそう困らないのじゃないかということでございます。ことに賃金の実態総合調査から見ましても、大体一万円未満の方では、二十四歳未満の方が七四%を占めている、こういう実態です。したがって低賃金者というものは、賃金の現在の実際からいってほとんど若年労働者である。その人が失業した場合に、非常に低い失業保険の日額になるわけです。そうすると二十歳未満、二十一歳から二十四歳未満の者が若干含まれているわけですが、二十歳未満の者は、大体親と一緒に住んでいるというところから見ますと、その人たちが失業したからといって、生活が困難だから七〇%、八〇%に給付を上げて、そこに給付の充実をするよりか、われわれとしては、やはり家族持ちの方を給付の重点にしたほうがいいだろうということで、扶養加算に踏み切った、こういうことでございますので、われわれのいろいろ研究した結果、この賃金日額の低い方たちは、失業の危険性からいって、確かに受給者も多いわけですけれども、実際においては、再就職の場は現在も、今後とも非常に確保される、窓口は非常に広いということからいって、給付を改善するよりか、むしろ扶養家族を持っておられる方の失業者というものの給付の改善に資したほうがいいだろうという判断で、そちらのほうの低額者についての給付率の引き下げはしなくして、むしろ最低基準を、先生の先ほどおっしゃったようにできるだけ早く上げていくということと、それから扶養加算のほうを多くしていくということの改革にしたわけでございます。
○滝井委員 時間がありませんから先に進みますが、保険料率の弾力的変更、この問題ですが、現行の保険料率が千分の十四ですね。一体この千分の十四の保険料率というものは、受給率がどの程度のときに収支相償うことになるのですか。
○三治政府委員 今度改正したのを平年度化しますと、大体三・六%が収支相償うことになります。いままでで最高の給付率は、二十九年度の場合が六・三、三十年度で五・二というふうに、それから三十三年で四・四というふうに受給率がなっております。いずれも景気調整期のときの受給率、そういうようなことを考えますと、現在のこの千分の十四は、大体においてその景気のいいとき、悪いときの中位数になるだろうというような予想をしております。これが今度の改正を考慮しますと、三・六%で収支相償うことになります。それでいままでの高いときは先ほど申し上げましたが、給付率の低いときは、三十六年が二・七%、三十五年が二・九%、三十七年は三・二%の受給率になっております。それで大体この三・六%の、現在の丁四%の保険料率で景気調整、好景気の中間にいくんじゃないかというふうに考えております。
○滝井委員 それだったら、こういう弾力条項は必要ないわけですよ。千分の十二と千分の十六の間においてやれるようにするということの必要はないわけで、いまあなたの言うように、千分の十四で三・六だと受給率が、これはちょうどうまいところ収支償っています。これならそれは要らないわけですよ。
○三治政府委員 逆説的に言うとそういうことになるわけですが、しかしそれは、そういうふうに受給率が現在の保険料率でも足らない場合、余る場合が出てきますと、この場合保険料率の現行の変更規定というものにおきますというと、〇・一%上げるのでも国会の承認を得なければならないということになっているわけでございますが、たしか三十五年の健康保険法の改正で、健康保険のほうはいち早く弾力条項を入れているわけでございますので、われわれのほうも制度全般を検討した結果、健康保険の弾力的条項を入れたほうが財政的安定を得るいい方法ではないか。しかもこれは野放しで保険料率を変更するということがなくして、一定の限界を設けて、最低一倍、最高二倍ということで、保険料率を、しかもこれをさらに中央職安審議会の意見を聞いて、労働大臣がきめるというふうになっておりますので、われわれのほうとしては、失業保険の今後の改善、進歩をはかっていく立場上、やはり財政のほうも弾力的条項を置きまして、財政の安定というものにも気を配りたいということで、この規定を入れたわけでございます。
○滝井委員 ちょっとぼくがひっかかるところが出てくるのです。どうしてひっかかるところが出てくるかというと、もともと千分の十六だったんですよ。それは三十七年までじゃなかったでしょうか。法律は三十六年の六月の改正か、三十五年までは、六法全書を見ると千分の十六です。そして千分の十六を千分の十四にお下げになったのは、あなた方お下げになった。同時に、そのときに三分の一の国庫負担を四分の一にお下げになった。もちろんそれは弾力的な条項をつけましたけれども、お下げになったわけです。それならば、いまになって、こういう弾力条項が必要だ、しかも当時昭和二十九年、三十年、三十三年というものは六・三とか、五・二とか、四・四という、収支相償う率よりかずっと高かったわけです。そうしてたまたま三十五年、三十六年になったら三・六より低い二・九とか、二・七になったわけです。なったとたんに料率も引き下げるが、同時に国庫負担も引き下げる、こういう処置をおとりになったわけです。あのときにそうやらずに、千分の十六だけを十四にします、国庫負担はそのままです、それをつけておいたほうがもっと弾力的な運営ができるわけです。ところが、みずから両方くびっちゃったわけです。そうしていまになったら、経済が安定をしておるときに、今度は弾力条項をつけなければならぬから千分の十二から十六の間を、健康保険もやっておるのだからわがほうもやらしてくださいというのでは――経済が非常に大きくゆれ動いているというときならば、ある程度こういうことは成り立つと思うのですよ。ところが、いまあなたのおっしゃるように経済は安定をして、そうして受給率も三・六ならばいまの十四できちんと収支相償うときに、逆説的に言えば変えなくてもいいときにお変えになるということは、あまり朝令暮改的じゃないか。三十六年の六月にお変えになっておって、そうしてそれからまだ二年もたたないのだ。池田内閣は、依然として高度経済成長政策で経済の進みぐあいは間違っておらぬ、七・二は変える必要はない。われわれがそれはちょっと過度成長じゃないですか、設備投資もまたことしは三兆八千億円になっていますよ、これは少し過剰投資の傾向があるが、幾ぶんこれは引き締めたらどうですかと言ったけれども、その必要はないと池田さん、おがんばりになっているわけです。そこでいまになったら経済変動のために弾力条項を入れなければならぬ、健康保険も入れておるのだからというのは、どうも健康保険、健康保険とおっしゃるから、あとで健康保険の違うところも指摘しますがね、この点はあまり朝令暮改の感じがするのですがね、この点大臣どうですか。三十六年にわれわれは、これをやりよると不景気になったりするとたいへんですよと言ったが、いや、だいじょうぶだということで十四にお下げになって、そうして三分の一を無理やりに四分の一に、われわれの反対にもかかわらずおやりになったのですよ。ところが今度は、三分の一のほうは昔のままにしておいて、四分の一のままで、そうしてここの保険料の上げ下げのところだけ――下げるという分があるから確率は半分ですけれども、しかし千二百億もお金がたまっているのですから、これは私はそう動かさずに、心配ならば国のほうは足らぬときにはすぐに三分の一に上げてもよろしい、あまりこういうむずかしい条項じゃなくて、もっと簡単に国のほうが上げ下げができるような収支をやるべきじゃないかと思うのですが、この点大臣の見解をお聞きしたい。
○大橋国務大臣 この規定は、上げることについても下げることについても一まとめに書いてあります。そうして率といたしましても上下双方に千分の二ずつという公平な割り当てになっておりますし、しかし私ども今回この条項を置きました趣旨は、御承知のとおり失業率が年々低下いたしてまいりまして、その結果といたしまして、失業保険金の給付総額も保険料収入に比べて著しく減少してきた。したがって、年々剰余金の累積が増大しつつある状況でございます。かような状況のもとに先年保険料率を千分の十六から十四に引き下げ、かつ国庫負担金を引き下げたのでございますが、それにもかかわらず、依然として剰余金の蓄積は増大の一路をたどっております。したがって国内におきましては、この際多大の剰余金の蓄積をかかえておるのではないか、かような実情にある限りさらに保険料を引き下げることがしかるべきではないか、こういうような御要望がむしろ強いのでございまして、いまのところ引き上げろというようなことはございません。しかしとの拠出されて累積しておりまするこの金額を、できるだけ確保しておくということが、労働省といたしましては失業保険経済の健全化、安定化のために必要だ、こう判断をいたしたわけでございます。そこで下げる場合においては、蓄積額が年間の保険料の二倍以上に達した場合でなければ引き下げることはできないんだ、こういうふうにしたことによって、むしろ引き下げ論に対する防波堤をつくったという点が、現在の段階においては重点として御理解いただいていいのじゃないか。私どもはむしろ、この際は引き下げの論もしかるべきでございますが、いろいろな点において、この失業保険法の給付の内容については決して現状で満足いたしておりません。いろいろ改善強化すべき面があると思いますので、その方面につきまして逐次研究を重ねた上、できるだけ改善をはかってまいりたい。それについても、できるだけ蓄積を減らすことになるような料率の引き下げは避けていきたい、こういう気持ちの一端がこの条文に相なっておるわけでございます。
○滝井委員 いまの大臣の御説明の中で、当該年度の保険料の収入の二倍以上になったときには料率を下げてもよろしい。ここの点に一つからくりがあるのですよ。どういうからくりがあるかというと、御存じのとおり最近における初任給というのはぐっと上がってきたわけです。したがって、失業保険の保険料収入というのはウナギ登りに上がってきておるわけです。たとえば昨年が六百四億、今年は百四、五十億ふえておるのですから七百四十八億になったわけです。そうすると、この積み立て金の増加傾向はどうかというと、昨年が千百四十二億、ことしは千二百五十七億ですから、ちょっとしかふえないのです。反対に保険料のふえる分が多いのですよ。だからなかなか二倍に追いついていけないのです。ここに一つのからくりがあるのですよ。最近における初任給がぐっと上がっていきますから、健康保険でも保険料の収入がうんとあるのです。しかも雇用労働者が急角度に増加をしてきますから、これは健康保険組合でも政府管掌、当該組合管掌やっぱり七、八十万、約百万程度、その分だけ国民健康保険からざっと流れてくるのですから。それと同じような形で失業保険の保険料――これは雇用労働者五人以上がみんな入るわけですから、そういう形ですからなかなかシーソーゲームになっている。たまる額よりこれのほうがウナギ登りに早く上がっていくのです。だからなかなか追いつかないというからくりがあるわけですよ。ここに一つの問題点があるので、なかなか問題じゃないかということが一つ。 それからいま一つ。この条項で過去十カ年間の受給率はどうなるかということです。これが大事な点だと思う。いろいろ五%とか六%の受給率が上昇した場合もあるが、しかし三・六をはるかに割る、一%以上を割る二・七とか二・九になってきているわけでしょう。こういうようにゆれがあるけれども、一つのゆれをずっと線を引いてみると、やっぱり三・六から四くらいの間でずっといっていますよ。そうすると受給率というものは、池田さんじゃないけれども、長い目で見てみると日本経済というものは、やはり失業保険経済というものは安定した形でいっているということですよ。そうでしょう。そうすると、あまりこの弾力条項をつけて金をためることを考えるより、むしろこれを出して給付の改善に持っていったほうがいいんじゃないか。これは失業保険は短期保険ですからね。そんなに金をためて――年金と違うんだから、金をため込んで、労働者に金はたくさんあるんだぞと言いながらちびちび出すような、そういうわれわれの祖父がわれわれにちびちびお金を出してくれたようなことは、とらなくてもいいんじゃないかというような感じがする。むしろ大橋さん、これはひとつ労働者の給付の改善で出してやってもいい。そうして足りなかったときには大蔵省から、四分の一を三分の一にしてもよろしいというところがあるから、それを活用して、もうちょっとゆるやかな弾力条項にしたらいいと思う。そうしますと、何というんですか、四分の一と三分の一ですから相当差が出てくるわけですね。しかもその額が七百億とか八百億に対する額なんですからね。給付は七百八十億でしょう。保険給付七百八十億の三分の一、四分の一といったら、相当の違いが出てくる。そこらあたりをもうちょっと考えていくほうがいいんじゃないかという感じがしますね。これは法案が出てしまったからなかなかあれですが、そういう二つの点について、私問題があると思うのです。
○大橋国務大臣 この点につきましては、先ほどちょっと申し上げましたとおり、私どもはむしろ滝井さんと同じ考え方に立っておるわけでございます。したがって、社会保障制度審議会等で指摘いたしておりまするとおり、現在の保険制度にはなお給付の面について改善すべき余地が多々あるのでございまして、これをできるだけ進めていきたい、それについては、やはり保険経済の健全化をまずはかっていくということが課題でございます。しかるに最近の実情から見まして、積み立て金が過大である。ついては保険料率を引き下げてはどうかというような空気もございますから、まずその方面にしっかりしたせんをかいまして、なかなか保険料率の引き下げはできないんだということを、一応この条項ではっきりしたわけでございます。先ほど、からくりがあるじゃないか、こう仰せられましたが、そういう点を利用いたしまして、収入の減ることをまず防ぐというのがこの条項の趣旨でございまして、別にこの条項をたてにとりまして、積み立て金が年間保険料の二倍になるまでは改善をしないんだというのではなく、改善のほうはどしどしやってまいりたいと思っております。
○滝井委員 改善はぜひどしどしやっていかなければならぬが、保険料率を引き下げるという場合には、必ずしもこれがきちっと強力な拘束力のあるものかどうかはわかりません。一倍を下回るに至った場合、必要と認めるときというふうに、必要と認めるということがあるんだから、労働大臣が必要と認める場合には中央職業安定審議会にかけて引き下げることもできるでしょうけれども、しかしこういう条項ができると、やはり保険料収入の二倍以上ということで非常に問題になってくるんですね。二倍以上の積み立て金ということになると、これはなかなかならぬものですからね。そういう問題があるということをひとつ注目をしていただきたいと思います。 そこで、それと関連をして、これはもう私がいつも申し上げるところなんですが、この事務費ですね。他のものは、これは法律をごらんになると、事務費は予算の範囲内で出すことになっておるわけです。「国庫は、前二項の費用の外、毎年度予算の範囲内において、失業保険事業の事務の執行に要する経費を負担する。」こういうことになっておるわけです。ところがこの事務費は三十七億程度要るわけでしょう。それで一体国が幾ら出しておるのですか。
○三治政府委員 四千百万円でございます。
○滝井委員 実はこれは、もう私前から再三、再四言うけれども、改善されないんですよ。それで、あなた方が今度は健康保険のまねをされたわけですよ。弾力条項も健康保険だ。それからこの福祉施設も、この費用の中に、健康保険が加えておるからというので今度はこれをお加えになったわけです。それを今度は全部まねされたわけです。そうすると事務費のほうも、やっぱり健康保険なり厚生年金をまねしなければならぬと思うのです。他のものは積み立て金を持っていますよ。健康保険もことしで三百億ぐらいになっておると思います。厚生年金の積み立て金は、御存じのとおり三千億、四千億ですからね。はるかに失業保険より多いわけですよ。もうこれは十年ぐらいしたら一兆円をこえます。厚生年金はそれだけばく大な積み立て金を持っておるけれども、事務経費はちょうどこれと同じ法文の書き方ですよ。国は「毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務の執行に要する経費を負担する。」ことになっているわけです。ところがあなたのほうだけは、三十七億の事務費が要るのに四千百万円でしょう。去年は四千二十三万円か何かですよ。やっぱりずっと四千万円ですよ。そうすると三十七、八億も事務費が要るのに、それは全部今度は国が持たずにおまえのほうの会計から出せ、運用した利子か何かから出してこい、そうして国は、事務費はもう法律上は予算の範囲内ということで、予算は四千百万しかない、しかしあとのことは全部健康保険と同じことをやりました、ここだけは別です、こういうことはちょっとなかなか言いにくい点ですよ。だからここらあたりを変える必要があると私は思うのですよ。もうこれは二度目か三度目ですよ。予算委員会でも一ぺんやったのですよ、石田さんが労働大臣のときに。これはどうしても失業保険にこういう弾力的な条項をつけて、今度健康保険のように福祉施設を入れることは、私は問題だと思うのです。しかし福祉施設をお入れになるとするならば、事務費だけは、国が全部持てとは言いません、しかし三十七億も要るというならば、二十億か三十億は持つことがほんとうでしょう。それがいままで押えつけられておった。きょうはここに大蔵省の主計官を呼んで言わなければならぬところだけれども、みんながわあわあ言ってせき立てるものだから私忘れておったのですが、これは大臣どうですか。ことしは私、目をつぶりたいと思うのです。しかし来年度については、これは何らかのことを考えてもらわなければならぬと思うのです。どうですか。
○大橋国務大臣 お話につきましては、私もまことにごもっともであると存じます。ただ、従来の沿革もございまして、にわかに改正できるかどうかわかりませんが、できるだけ努力をいたしてみたいと思います。
○滝井委員 この事務費の問題はすべて健康保険に右へならえをされて、ここだけはどうも健康保険と同じではだめですということにならぬと思うのです。こういう社会保障立法ですから、右へならえするのが当然だと思います。労働省だけ例外ですよ。だから私は石田さんのときに、あなたのような政治力のある人がなぜぼやぼやしておるのだと言ったら、何とか努力する、努力するというだけで努力していないのです。だからこれは、ぜひひとつ努力をいただきたいと思います。 最後に、ちょっと日雇いのところで伺いたいのですが、この日雇い労働者の健康保険の保険料率は、平均的に見ると一般の失業保険の保険料率の二倍になっておるんですね。今後これを引き上げることは非常に困難なんです。だから三分の一に返ってきたと思うんです。返ってきたと思うんですが、ここらあたりの対策というものを、今度の失対の打ち切りといったらおこるけれども、職業安定法の改正、それから緊急失対法の改正等の関連もあるのですが、この事態というものはあまり変わらぬのじゃないかという感じがするのです。この一般の失業保険に比べて二倍の保険料率を払わなければならぬという、この事態を何か改善するいい方法がありますか。
○三治政府委員 これは保険の負担を現在以上にさすことについては、私たちはする意思はないわけです。しかしながら、給付の改善はできるだけやりたいというふうな関係で、今度の保険料は変更しなくて相当な給付の改善をやって、そうして三分の一の負担に戻していく、政府の三分の一の負担に、日雇い保険の保険料が特別高いから、その政府の負担分をふやして、そうして給付を改善していく、こういう方向で改正したわけでございます。今度の改正では、現在の三分の一にしてもなお若干の赤字が予想されますけれども、今後はこの問題で赤字が出た場合でも、なるべく保険料の負担はかけないで対処していくように考慮していきたいというふうに考えております。
○滝井委員 それから今度、保険金の日額を二百四十円と三百三十円と四百五十円ですか、三段階にしたわけでありますね。そうして一番下を排除するわけですね。二百四十円をどけて、三百三十円と四百五十円の二つにするわけですね。
○三治政府委員 その二百四十円、三百三十円は従来どおりと変わりません。その給付のやつは全然変更ございません。むしろ待期の改正をやったのと、それから六カ月以上全然失業保険も日雇い失業保険ももらわない人たちが季節的に失業する場合に、一般保険の例にならって六十日まで給付する。季節的な日雇い労務者の方に対して、そういう季節的な失業について対処するように、日雇い労働者についてもそういうような対策を講じたということでございまして、従来の一級、二級のものについては全然変更はございません。
○滝井委員 ちょっと私は他の書物を見て勘違いをしておりました。 これで終わります。
○秋田委員長 井堀繁男君。
○井堀委員 失業保険法の改正に対しまする大臣の提案理由の説明を伺いまして、まことに感に打たれたところもございますが、なお隔靴掻痒の点もありますので、一、二疑問の点をただして、われわれの党の意思を明らかにしていきたいと思います。 提案理由の中でも強調されておりますが、最近の傾向として、斜陽産業といわれております石炭産業、金属鉱業などから出てきます失業者の多発的な量と質の点について、政府もその異常性をお認めになっているが、一般的には中高年齢の失業者が非常に増加しつつあって、しかもその就職が困難である事情をお認めになって、この失業保険法の改正にこれを取り入れる意味の御説明がございました。まことにごもっともなことであります。ところが改正案の内容を検討いたしてみますと、なるほど保険金の限度を引き上げる、あるいは扶養加算を実施する、あるいは職業訓練のための期間中の給付を実施するといったような、従来にない画期的な改正を試みようとしておる点については、われわれは敬意を表するにやぶさかではありません。しかしその内容が、実情とかなり間隔があることに難があるという点であります。実情を認識しておるものに対しまする対案としては、あまりに微温的であるといわなければならぬのであります。私はこういう種類の改正を行なうときにはいつも言うことでありますが、日本の国民経済あるいは国の財政能力というものとのバランス、調整を考えることは当然だと思うのであります。きょうは時間がありませんからその数字をここで引用することは避けたいと思いますが、国民経済の実力なり財政能力というものは、政府がたびたび他の機会に明らかにし、またその成長を誇っておりますことは言うまでもないのであります。こういうものに見合いますこの保険法の改正は、私は全く羊頭を掲げて狗肉を売るといった式の改正であると言わざるを得ないのであります。羊頭狗肉と言えば多少言い過ぎであるかと思いますが、それは先ほど言いますように、今日の失業保険法の改正は、あなたの主張しておられるとおり非常に喫緊を要するし、適切な機会であると思うのであります。そういうときにこそ、やはり国の財政能力に見合う改善が行なわれてしかるべきと思うのであります。こういう点に対しまして、どうも総括的に見てまことに不徹底である。 そこで具体的なお尋ねをいたすのでありますが、先ほどの質問者との間にもかわされておりましたから重複を避けますが、まず保険金の限度を引き上げるということの目的は、失業保険法の大目的であります離職者の生活の安定をはかるのだ、そして次の健全な労働につけるようた準備態勢を整えてやるということが最重要目的でなければならぬのであります。そういたしますと、今度引き上げております金額が問題になるのでありますが、最高七百円を八百六十円に上げたということは前進ではあります。しかし不徹底ではないか。すなわちここで言っております。労働省は法律の義務づけもありまして、毎勤統計などによってはじき出してくる作業がありますが、この点について、私はきょうは納得のいくように御説明を願い、質問を展開していきたいと思ったのでありますが、少なくともこの質問をいたしますためには、二時間ないし三時間を要すると思うのであります。それだけの時間をかけて討議をしませんと、かえって誤解を生むような結果になると思うので非常に遺憾に思うのです。 私は今後のこの委員会の審議でも、委員長にも要望いたしておきたいと思う。わが党はなるほど比較少数ではありますけれども、こういう基本的な政策に関係を持つ法案の改正については、やはり一党の意見が十分述べられて、そうして質疑応答ができる最小限度の時間だけは与えてほしいのであります。理事の申し合わせによりますと、私の時間をむやみと制約されるような御注文がありますが、私は限度があると思うのです。自民党の中にもこれに対しては権威者もおいでのようであります。労働省所管の法典としてはかなり重要の位置を占める大法典です。労働政策の基本をなすものであります。こういうものを、わずかの時間で質疑をさせられるということはまことに遺憾と思いますので、皆さんのお約束もあるようでありますが、決して私は無理な注文をいたしておるつもりではありません。 まことに遺憾でありますが、私どもの質問をいたしたい要旨は、労働大臣並びに事務当局にはおわかりいただけると思いますので、簡潔でけっこうでありますから、この際これはついでに申し上げますけれども、社会保障制度審議会でもその答申の中で指摘をいたしております。すなわち給付率の増大という抽象的な答申であります。もちろん当局を拘束することをはばかって提案をいたしておるものと思うのであります。しかしこの趣旨は、全体を一読いたしますれば、一通りの良識を持っておりますものであれば深く理解のできることでありまして、その前文にも明記してありますように、要するに失業者の生活の安定が得られるという内容のものでなければならぬことは言うまでもないのであります。それにいたしましては、その最高額をわずか百六十円引き上げたということは、PWの計算の中からもこういう数字は出てこない、あまりに低きに失すると私は思うのであります。これが終戦直後のように、日本の財政、日本の国民経済の貧弱な場合において、いかにそういたしたくてもできないという状態のときにおける上げ方と同じ上げ方をいたしておる。特に最低の百二十円を百八十円にしか上げなかったということは、これは答申案の精神にもありますように、低額の賃金労働者がまだ一方残っておるのであります。要するにこれは日本の賃金政策の基本をなす問題であります。こういうところに、賃金安定政策を政府が世論に問おうとする態度からいたしましても、いかに弁解をいたしましても賃金が生活の最低を保障するという原則、国際的な良識の上からいっても、こういう際にこそ、いかに失業者といえども最低が百八十円で一体成り立つかどうかということは、あまりにも明白な数字であると思うのであります。何ゆえにこういう低い数字にとどめなければならなかったかについて、われわれは理解ができないのであります。まずこの点についてひとつ当局も政府も、基本政策との関連もありますから、質問ははなはだ要を得ないかと思いますけれども、おわかりいただけると思いますので、お答えによりましては多少時間をちょうだいして、いま少しこの点についてお伺いしてみたいと思います。ひとつ簡潔でけっこうでありますから、要領を得た御答弁を願いたいと思います。
○大橋国務大臣 労働省といたしましては、失業保険の改定につきまして、まず最も大切な点といたしまして給付率の増大、少なくとも失業保険の最低日額の引き上げが必要であると考えたのでございます。これは相当思い切った増額が必要であると存じましたけれども、しかし財政当局の意向等もございますので、いろいろ相談をいたしました結果、とりあえず百六十円にいたしたい、こういうことで職業安定審議会に諮問をいたしました。しかるところ、この職業安定審議会におきまして審査に相当の日数を要し、一方におきまして、予算の決定をしなければならぬ時期が迫っておりましたので、とりあえず予算に直接関係のある事柄につきまして審議会の御意見を一応取りまとめていただいたのであります。それが昨年の十二月に答申されたのでございますが、それによりますと、百六十円は少額に過ぎる、百八十円に上げてしかるべきである、こういうことでございました。権威ある審議会の答申でございましたので、十分に尊重し、検討の上、百八十円という審議会の御意向に従いまして予算を編成いたしました。幸い大蔵当局の了解を得ましてこの金額を決定いたしたのでございます。その後になりまして、審議会はさらに検討をされました結果、百八十円ではなお不十分であるという最終的な結論になられたのでございますが、すでに予算をきめた後でございますので、この御答申につきましては将来の機会に善処をするというつもりで、百八十円で原案を提出いたしました。
○井堀委員 予算編成後であったのでということでありまするから、われわれ予算に対して不満の意を表し、組みかえの中でもこの点を指摘しておいたわけでありますが、決定した以上は一応やむを得ないと思いますので、次の機会に必ず――最低を百八十円では不満だということで審議会でも修正してさらに答申をしておるという経過にかんがみましても、実情に沿うよう最低の引き上げを最も近い機会に用意されんことを要望いたしておきます。 それから最高の点についてはお答えをいただかなかったわけでありますが、これは私は保険経営の中では議論のあるところであろうと思うのであります。相互扶助的な役割りから考えれば、野放しに上を上げるということはいかがなものであろうかという議論については首肯できるのであります。しかしながら、これを今日八百六十円にとあるということは実情にあまり開きがあり過ぎる。でありますから、保険の性格をこわさない限度においてという条件には私は賛成でありますが、なおかつ、この八百六十円という頭打ちはどうにも理解ができないのであります。これはわれわれがいま一つの案を持ち、それに対する当局の見解をただすのが親切な質問かと思いまするが、冒頭に申し上げましたように、時間の制約もありますのでごく簡単にお尋ねをしておるのでありますが、内容について一応政府の見解をこの際伺っておきたいと思います。
○三治政府委員 この最高日額は、三十六年の法改正によりまして、同年の七月一日から七百円となったわけでございます。この最高額が国会において議決されました三十六年の四月以降の雇用労働者の賃金は、毎勤によりますと、この改正の通りました後には二〇%以上になることが予想されまして、それで二三%上げて八百六十円にしたわけでございます。法律上は十七条の三によりまして、二〇%以上になる場合にはそれに比例して最高金額を上げるというふうな規定になっておりますので、そういう法的根拠と、毎勤の結果ということから、上がった額の率に比例して最高額を引き上げたということでございます。
○井堀委員 事務操作の上について私はそごがあると思いません。だからここで二つの提案がなされなければならぬ。一つはこの法の改正においてなぜ触れなかったかということ、いま一つは毎勤の統計のとり方にある。この点は今後きっと大きな世論になってくるでありましょう。賃金問題を論議するときのこれはきわめて重要な一つのファクターになるからであります。これは冒頭に申し上げたように時間をかけてじっくりお尋ねをし、また御答弁を願わなければならぬ問題でありますので、ここに問題があるということだけを明らかにいたしておきまして、残念でありますけれども、このような重要な問題について質問を進めることが困難でありますので、このことを申し添えて留保いたしておきたいと思います。 次の問題は、同じく審議会が指摘をいたしておりまする一つでありますが、今度の給付制限に関する点に対する注意であります。私は、これはこういう労働法典の中において基本的な問題に触れる点であると思いまするから、お尋ねをいたしておきたいと思うのであります。給付制限をいたしまするのに、公共職業安定所の指示した法令に基づく訓練または講習を受けることを正当な理由がなくして拒んだ場合、それから公共職業訓練を受けることを拒んだ場合、従来ありますのと同様の意味において、保険の給付を一カ月間制限を加えるというこの制限であります。これは憲法で保障されておりまする職業の選択の自由の問題に影響すると思うのであります。これはどういうお考えであろうかは伺うまでもないのでありまするが、私はこういうように失業者を再訓練して正常な、あるいはよりよい就職を与えるという趣旨については、決して理解ができないのではないのであります。しかしそれを急ぐのあまり、角をためて牛を殺すというたとえがここにぴったり当てはまると思うのであります。ここを審議会は予見して、四のところでこう注意をいたしております。「職業講習および指導のための給付制限事由の整備については、その具体的執行に当って、職業選択の自由を侵害しないよう、また善良な失業者を威迫しないよう、特段の配慮が必要である。」というこのきわめて短い文章によって、行政責任者に対する警告を発しておるのであります。これを要するに、すなおにとりまするならば、この際この給付制限については、こういう形で修正を出されるのではなくて、もっと変わった形において修正がなさるべきではなかったか。この点に対する政府の考え方は、この答申に対する理解をしていないか、あるいは理解をしての上で、承知の上でこういうふうになされておるのか、これは労働行政の衝に当たられる大臣の今後のいろいろな問題との関係がございまするから、労働大臣の見解を明確にひとつこの際伺っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 中央職業安定審議会の答申にも、また社会保障制度審議会の答申にも、この条項につきましては、その実施にあたって周到なる配慮に基づいて、いやしくも個人に与えられておる基本的な権利を侵害することのないようにしなければならぬ、かように述べておられますが、この点は私どももまことにそのとおりであると考えまして、これが実施につきましては十分に検討し、特に制限の原因となるべき事由等、並びにその取り扱いの方法等につきましては、また審議会等において十分研究していただいて、それに基づいてはっきりした規則を定め、なお周到なる監督のもとに行なっていくということに万全衣尽くすようにいたしたいと存じます。
○井堀委員 私は、この点は修正をいたしたい重要な部分の一つでありますから、この際実際の審議の状況もありましてこの処置は困難かと存じますので、いまの大臣の御答弁を私は重視いたしまして、行政上の今後の措置として十分御注意をいただきたいことを強く申し添えておきたいと思っております。 次に、同じくやはり答申の中で強く指摘しておりまする、これは毎回私どもの要望しておることで、容易にいれられないことでありますが、それは適用範囲を拡大せいということであります。ことにいま特例のような措置でとっておいでになりまする五人未満の事業場の当然加入の手続を、この際法律の中で改正すべきではなかったか。これをなされなかったことについては、私は非常に遺憾に思うと同時に、御答弁のいかんによりましては、具体的例を通じて政府の再考を願おうと思っております。抽象的でありますが、この際なぜ五人未満の事業場の労働者を当然加入の方向に改正をなさらなかったか、それをなさらなかったのには何か深い事情でもあるのであるかを伺っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 五人未満の事業所について強制適用の範囲を拡大したいというのは、労働省といたしましては前々から考えておるところでございまして、今回入れなかったのは、その準備が整わなかったという以外に何ら理由はございません。いろいろ準備中でございますが、特に準備と申し上げますのは、現在四人以下の事業所に強制適用をすることに伴う種々の実行上の困難、これに対して具体的にいかにしてこの困難を克服するか、その考え方をはっきりいたすという、そのためにいろいろ調査をいたしておるわけでございます。
○井堀委員 準備ができなかったとおっしゃるのでありますから、私は能力のいかんに関する議論になると思いまするから多くは申し上げません。私はこういう重要な問題は、ぜひ急速に準備を整えて改正すべきであるということは、根本的には法の前に平等であるという、民主政治にとっては非常に大事な基本的な労働者の人権がそこなわれておるということであります。こういう基本的な人権がそこなわれておるものを、事務上の準備が思うようにまいらぬからということで今日まで漫然としておることは、まことにもって行政責任者としてはその責任を深く謝すべきであると思うのであります。 そこで私がそういうことを申し上げるのは、現実の上で一つの事例がございまするから、これを申し上げて、至急にその措置をとっていただきたいと思うのでございます。これは、いま問題になっておりまする一つの自転車工場が倒壊することによりまして、これに関係する事業場が、労働省の調査によりましても三百以上にのぼり、それがさらに販売関係その他を入れますると、十万人近い人々が一つの自転車工場が倒壊することによって事業が破綻をいたしましたり、縮小いたしましたり一それは結局において五人未満の事業場の労働者にとっては、労働組合の組織も持っておりません。だから民主的な発言の機会も与えられないままに、もちろん失業保険にも入っておりませんから、こういう人々は権利の前に眠る以外にないのであります。私はこういう問題が随所にあると思うのであります。でありまするから、私は失業保険の対象は、むしろこういう零細事業場に働いておる労働者のために、比較的安定した職場にあり、比較的高額の所得のある者が、その保険の制度によって弱い者を助けていくというのが、保険のあるべき姿だと思うのであります。こういう点から考えましても、この際この改正を怠ったということは、私は労働行政を預かる者としては重大な責任だと思うのであります。至急にひとつこの点の改正を強く要望いたしておきたいと思うのであります。 最後にお尋ねをいたしたい点がございます。それは今回の中高年齢層及び斜陽産業などによる特殊な失業者の再雇用の問題の際の職業訓練関係でありますが、これはぜひひとつ明確な御答弁をいただきたいと思うのでございます。さきに炭鉱離職者の再雇用の一番重要な部分と私は思うのでありますが、それは快く職業訓練を受ける人々が多く、そしてその結果がよいことを願っておる一人であります。ところがその障害になっておりますのは、その訓練を受ける機関の性格の問題であります。でありまするから、政府はこれに対して、議会の要請もありまして訓練手当の増額をはかり、そしてその実をあげようとする、その善意には私は敬意を表するのであります。しかしここでも隔靴掻痒である。もう少し引き上ぐべきではないかと思うのでありますが、その引き上げを行なうためには、私は失業保険法やあるいは炭鉱離職者の臨時措置法の中で行なうということも一つのやり方ではありますが、基本的には職業訓練法の改正を行なって、そしてこうした特殊な失業者を救済するというだけではなく、訓練法の精神にありますように、日本の経済、産業の発展のために、そうして労働者の生活が安定し、向上される、そのたてまえを貫く、やはり職業訓練法の中に手当の問題を規定していくように改正すべきものではないかと思うのであります。この訓練手当を増額される親心があるかどうか、またそれを基本的に行なうためには、職業訓練法の改正の中で考慮すべきではないかと思うのでありますが、この点に対する大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 職業訓練は、最近の産業労働界の実情から考えまして、ますますその重要度を加えつつありまするし、また国といたしましても、この点については労働政策としてますます力を入れなければならぬ点であると思います。かような意味におきまして、職業訓練法そのものの改正により、職業訓練中の手当を原則として国の負担によって行なっていくということは、これは将来の理想といたしまして、私どもも早くさようにいたしたいものだと考えるところでございます。現在におきましては、その段階に至る第一の過程といたしまして、とりあえず失業保険法の改正によりましてそのきわめて一部分をまず実施に移してみたい、こういう趣旨でございまして、今後逐次お示しのような方向に向かって前進をさせていきたいものと存じております。
○井堀委員 時間を皆さんたいへんお急ぎのようでありますから、私は何も異を立てて皆さまの審議に協力しないというのではございません。しかし法案の中で重要な部分については、与野党を問わずやはり明らかにする必要があると思いますのでお尋ねをしているので、ひとつもうちょっとお静かに願いたいと思います。 申し上げるまでもなく、今度の改正の中で日雇失業保険の問題と、それから従来にない一つの改善と私どもが敬意を表しておりますのは、雇用主をかえる、すなわち雇用の場所が異なることによって保険を中断するといったような不合理が是正されようとしております意図については、すなわち通算といいますか、そういう制度が試みられておりますことについては、確かに一つの進歩だと思うのであります。この際、日雇い失業保険の特殊性については他の法案との関連がありますから、その節お伺いする機会があろうかと思いますので、そのときに詳細にいたしたいと思うのでありますが、失業保険の性格からいいますならば、さっきの零細事業場の労働者の場合と質は多少異なりますけれども、できるならば失業保険というものは一本にして、そしてそういう特殊なものに対しては、国庫の負担によって保険の欠陥を補完していくというのが正しいやり方だと私は思います。そういう意味で、今回は、国庫の負担金を増額しようとする失業保険法の改正の一歩を踏み出したことについては、一つの特徴があると思うのであります。こういう点については、もっと抜本的に失業保険のあり方の中から、こういう改正を行なうときには、やはり失業保険法の一つのたてまえがあるわけでありますから、そういうたえまえに沿うような方向にぜひひとつ改善をしていただきたい、そうすべきではなかったかと思うのであります。こういう点については、具体的な例をあげてお尋ねすれば明確な御答弁をいただき、また改善のよすがにもなると思いまして、実は質問を用意しておるのでありますが、何か与野党の話し合いの七で、あとをたいへん急いでおるようでありますから、今後のことを委員長に強く要望し、私は質問をこの程度に留保しておきたいと思います。一応改正の重要な部分と思われる点を一、二指摘いたしまして、十分な理解ができる御答弁をいただくことができないのを返す返すも残念に思いますが、以上はなはだ遺憾でありますが、一応重要と思われる点だけについては御答弁をいただきましたので、その答弁の精神を基づきまして、今後抜本的な失業保険の改正とその運用の面において一段の改善を要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○秋田委員長 大原亨君。
○大原委員 最後に大臣に簡単に質問いたしますが、失業保険を認定する際に、結婚という事態の変化があった際に、その結婚を就職の意思がないというふうに一方的に認定をするということは――時間がないから私は例を指摘いたしませんが、そういうことは失業保険運用の精神からいいましても、憲法の精神からいいましても、結婚いたします婦人の立場を無視するものであると思うのですが、そういうことの絶対にないように行政上の指導をしてもらいたい。これは事実あることでありますから指摘いたすわけですけれども、その点について簡潔にお答えいただきたい。
○大橋国務大臣 就職の意思があるかないかということは、そのこと自体について十分検討して決定すべきものであろうと存じます。結婚の場合において、はたして本人に就職の意思があるのかないのか、これは形式的に、画一的に決定するわけにはまいりません。その点について従来事務的に不行き届きの点がありましたならば、今後十分に留意をいたすようにいたします。
○大原委員 それから山林労働者や漁業や建築労働者に対しまして、日雇い健保や失業保険の問題がしばしば議論されました。この問題については漸次道が開かれておるわけですが、これらの不安定な低所得階層に対する失業保険の適用につきまして、さらに改善に努力されるように要望いたしたいと思うのですが、大臣の御見解を承りたいと思います。
○大橋国務大臣 十分御要望に沿うようにいたしたいと思います。
○大原委員 この法律の改正案の中で、待期日数の問題について改正がございますが、飛び飛び断続五日、それから連続三日、こういう二つのことがあったわけでございますが、今回の改正案で、連続三日という従来の措置の、言うならば低所得階層の既得権が剥奪されるような事態が起きるのであります。この点は起きないということであればけっこうなんですけれども、私は、低所得階層の失業保険の適用につきましては、そういう点についてきめのこまかい措置をすることが、物価が上昇いたしましたり、諸般の問題から申しまして必要であると存じます。その点について、行政上の措置を含め、あるいは将来の問題を含めまして善処していただきたいと存じますけれども、それに対する御所見をお伺いいたしたいと思います。これが最後であります。
○大橋国務大臣 政府委員からお答えいたします。
○三治政府委員 月の初めに継続三日失業して、そのあと失業保険金をもらうようになるのが、今度は一週間ごとの日曜日だけ給付がなくて、ウイークデーに失業した場合には日雇い失業保険金が出せるようになったのでありますから、われわれのほうとしては非常な給付の改善だと思っております。三日継続した人たちに、あと日曜日にも保険金を支給するというのは制度の混乱を来たしますので、この待期制度のものは切りかえのときで、今後一週間単位でやっていくのが正しいかと思っております。
○秋田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。 ―――――――――――――
○秋田委員長 ただいま委員長の手元に、澁谷直藏君より、失業保険法の一部を改正する法律案に対する修正案が提出されております。 ――――――――――――― 失業保険法の一部を改正する法 律案に対する修正案 失業保険法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。 附則第一美本文中「昭和三十八年四月一日」を「公布の日」に改める。 附則第十条のうち炭鉱離職者臨時措置法第十七条第二項から第四項までの改正規定中「ある場合において、前項の規定による手当の日額に相当する額が四百五十円に満たないときは、その者の手当の日額は、同項の規定」を「あるときは、その者の手当の日額は、前項の規定」に改め、「(その額が四百五十円をこえるときは、四百五十円)」を削る。 ―――――――――――――
○秋田委員長 修正案の趣旨の説明を聴取いたします。澁谷直藏君。
○澁谷委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました失業保険法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨の説明を申し上げます。 修正案の原文は、お手元に配付されました文書によって御承知おきを願いたいと思います。朗読を省略いたします。 修正の要点は二つでございまして、一つは、昭和三十八年四月一日の施行日を、公布の日に改めるということでございます。第二点は、扶養加算制度に対する修正でございまして、炭鉱離職者で手帳の発給を受けた者の受ける就職促進手当、最高日額四百五十円の内ワクとして規定しております扶養加算手当を、その外ワクに改めんとするものでございます。皆さま方の御賛同をお願いいたします。(拍手)
○秋田委員長 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三による内閣の意見があればお述べ願いたいと存じます。大橋労働大臣。
○大橋国務大臣 ただいま御提案になりました修正案につきましては、このような修正が適当であると委員会の御判断がありましたならば、これに基づき措置いたしたいと存じます。
○秋田委員長 修正案についての御発言はありませんか。 〔「なし」と呼ぶ者あり〕 ―――――――――――――
○秋田委員長 なければ、次に、失業保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に申し出がありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。 「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 これより内閣提出の失業保険法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決に入ります。 まず、澁谷直藏君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。 次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。 これに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立多数。よって、内閣提出の失業保険法の一部を改正する法律案は、澁谷直藏君提出の修正案のごとく修正議決すべきものと決しました。 ただいま議決いたしました本案についての委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 本日はこの程度にとどめ、次会は明七日、本会議散会後委員会、委員会散会後理事会を開会することとし、これにて散会いたします。 午後六時二分散会