社会労働委員会 第34号
- 発言数
- 4 件
- 登壇者
- 2 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1963/05/28
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の職業安定法及び緊急失業対策法の一部を改正する法律案、失業保険法の一部を改正する法律案、及び、政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の一部を改正する法律案の三案を議題とし、審査を進めます。
○秋田委員長 順次、提案理由の説明を聴取いたします。大橋労働大臣。
○大橋国務大臣 ただいま議題となりました職業安定法及び緊急失業対策法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 わが国の雇用失業情勢は、経済の高度成長のもとにおいて全般的には著しい改善を遂げ、現行失業対策制度の創設当初に比べ著しく変貌するに至っております。すなわち雇用の大幅な増加、失業の減少のほか、労働市場の需給関係にも著しい改善が見られ、若年労働力、技能労働力を中心として労働力不足の声さえ聞かれるに至っております。 このような情勢にもかかわらず、失業対策事業の運営を見ると、全般的に就労者の固定化、老齢化の傾向が著しく、制度創設の趣旨に反し民間雇用への復帰が著しく困難な実情にありますほか、事業実施の面においても種々問題が指摘され、制度の検討を要望する声が各方面から生じてまいっているのであります。 このような事態にかんがみ、労働省といたしましては、昨年五月、失業対策制度のあり方について学識経験者に調査研究をお願いし、その報告を受けて失業対策制度の刷新改善の構想を固め、昨年十月雇用審議会に諮問したところであります。 この構想は、失業対策としては中高年齢の失業者を重点としてこれに積極的な職業訓練、職業指導等を行ない、その就職を促進するとともに、それでもなお就職できない失業者につきましては就業の機会を与えることとし、失業対策事業は就労者の能力等にふさわしい運営をしてまいろうとするものであります。 雇用審議会におきましては、この構想について慎重な審議が行なわれ、昨年十二月中間答申をいただき、去る二月四日最終的な答申をいただきました。政府といたしましては、その趣旨を尊重して構想に再検討を加え、ここに職業安定法及び緊急失業対策法の一部を改正する法律案として提出した次第であります。 次に、その内容について概略御説明申し上げます。 従来、失業対策事業に就労する人々は、中高年齢者等就職のむずかしい失業者が多く、しかも十分な職業上の指導または訓練の機会もないままに失業対策事業に就労しており、そのことが今日見られるごとき就労者の固定化、老齢化を招く大きな原因となっていることにかんがみまして、今後は、中高年齢失業者等に対しましては、積極的な雇用対策を講じ、その就職の促進をはかるため、職業安定法の一部を改正することといたしました。 すなわち、第一に、中高年齢失業者その他就職が特に困難な失業者に対しましては、労働大臣が定める計画に従って職業指導、職業紹介、公共職業訓練、職場適応訓練等の一連のきめのこまかい就職促進の措置を講ずるものとし、このため職業訓練施設の飛躍的拡充等転職訓練の強化をはかりますとともに、公共職業安定所に就職促進指導官を配置する等、その指導能力の向上をはかることといたしました。 第二に、このような措置を受けている者に対しましては、その就職活動を容易にするとともに生活の安定をはかるため、就職指導手当または職業訓練手当を支給することといたしたのであります。 次に、失業者の能力等に見合って失業対策事業を再編するとともに、事業の適正な運営をはかるため、緊急失業対策法の一部を改正することといたしました。 すなわち第一に、失業対策事業につきましては、失業者の技能、体力等を考慮して、これにふさわしい事業の種目を選ぶこととし、また労働大臣が事業の種目、規模等を決定するにあたっては、地方公共団体の長の意見を聞く等、地方の自主性を尊重することとするとともに、失業対策事業として、失業者就労事業と高齢失業者等就労事業とを行なうことといたしました。 第二に、失業者就労事業に紹介する失業者は、原則として、さきに申し述べました職業安定法に基づく就職促進の措置を受け終わってもなお就職できない者とし、例外的に地域の失業情勢から見て特に必要があると認められる場合は、就職促進の措置を受け終わらなくとも失業者就労事業に紹介することができることといたしました。なお、現在失業対策事業に就労している者は、経過措置を講じて引き続き失業者就労事業に紹介することとしております。 第三に、就労者の賃金については、現行のいわゆる低率賃金の方式にかえ、その地域の類似の作業に従事する労働者の賃金を考慮して、地域別に作業内容に応じて定めることといたしました。さらに従来のいわゆる夏季、年末における特別措置については、臨時に支払われる賃金として特別の定めをなし得るようその根拠を明らかにいたしました。また、労働大臣はこれらの賃金の決定にあたっては、新たに設置する失業対策事業賃金審議会の意見を聞くことといたしております。 第四に、事業の適正な運営をはかるため、事業主体に運営管理規程を作成させることといたしました。 第五に、国または地方公共団体等は、高年齢の失業者またはこれに類する失業者に就業の機会を与えるため、高齢失業者等就労事業を実施することといたしました。この事業は、就労者の特性を十分考慮して事業の種目の選定及び運営を行なうとともに、賃金についても特別の配慮を行なうこととしております。なお、この事業は、昭和三十九年四月一日から施行することといたしております。 以上のほか、本改正案の附則におきまして施行期日、経過措置を定めるとともに、その他関係法律の条文について所要の整備をいたしております。 以上、簡単でございましたが、この法律案の提案の理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手) 次に、同じくただいま議題となりました失業保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 失業保険法は、昭和二十二年第一回国会において制定されて以来、数次の改正によりその内容を整備充実し、今日に至るまでわが国における雇用失業対策の重要な柱の一つとして、よくその機能を発揮してきたところであります。 近年、わが国の雇用失業情勢は、経済の高度成長に伴い全般的に著しい改善を示しておりますが、なお、石炭鉱業、金属鉱業等の一部の産業からは相当数の離職者が発生しつつあり、また、中高年齢の失業者等はその再就職が依然として困難な事情にあります。したがって、これらの者を含めた失業者の生活の安定をはかり、その再就職を促進するための諸施策は、さらに一段と強化されなければならない現状にあります。 また、昨年八月、社会保障制度審議会から社会保障制度の総合調整に関する基本方策について内閣総理大臣あてに行なわれました答申及び勧告には、社会保障制度を一そう充実強化すべきことが要望されているところであります。 さらに、失業保険財政の問題につきましては、さきの第三十四回国会において可決されました失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律の附則において、国庫負担の割合、保険料率等について、昭和三十四年度から昭和三十六年度までの収支の実績に照らして検討の上、昭和三十八年三月三十一日までに所要の改正を行なうべきこととされております。 このような事情にかんがみ、政府といたしましては、ここに、給付の改善及び失業保険受給者に対する就職促進に関する措置の充実をはかることを主とした失業保険法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。 次に、その内容について概略御説明申し上げます。 第一に、一般失業保険の給付の改善についてであります。 まず、失業保険金の最高日額を、最近における賃金の上昇傾向等を考慮の上、現行の七百円から八百六十円に引き上げることとし、また、最低日額につきましても、告示の改正により現行の百二十円を百八十円に引き上げることとするほか、新たに、扶養親族を有する受給資格者について、配偶者及び子の数に応じて扶養加算を行なう制度を設けることとし、給付内容を改善することといたしました。次に、同一事業主に継続して雇用された期間の長短に応じて給付日数を定める現行制度につきましては、今回これを改めることといたしました。すなわち、失業保険に関する事務処理体制を大幅に機械化する方針のもとに、これが整備をまって、昭和四十年度からは、異なる事業主に雇用された場合にも、被保険者として雇用された期間を一定の方法により合算し、その期間の長短に応じて給付日数を定めることとし、制度の合理化をはかることといたしました。 次に、現在受給資格者が公共職業安定所の指示した公共職業訓練を受ける場合に行なっている給付日数の延長措置を、法令の規定に基づく訓練、講習についても行なうこととするとともに、新たに、転職訓練期間中は技能習得手当及び寄宿手当を支給することとし、受給資格者が進んで転職訓練を受け得る条件を整え、その再就職促進に資することといたした次第であります。 さらに、失業中に疾病にかかり、または負傷した受給資格者に対しては、新たに、失業保険金相当額の傷病給付金を、所定給付日数を限度として支給することとし、これら失業者の労働能力の回復保全に資することといたしました。 第二に、一般失業保険の保険料率の改訂方法についてであります。 現行制度におきましては、短期間の給付予想額によって緊急に保険料率を引き上げ得ることとしておりますが、最近における失業保険財政の状況に照らし、また、失業保険制度においては、好況期に生ずる剰余をもって不況期に増大する給付を保険料率を引き上げずにまかなうよう、その財政を運用することが適切であるとの観点に立ちまして、今回これを改めることといたしました。すなわち、積み立て金の適正規模を定め、この規模を積み立て金が上回り、または下回るに至ったときには、一定の範囲内で、保険料率を弾力的に上下させる措置をとり得ることといたしております。 第三に、日雇い失業保険についてであります。 まず、国庫負担率につきましては、昭和三十五年度以降三分の一の国庫負担を行なってもなお相当額の赤字が生じている収支の状況にかんでみ、現行の原則四分の一の国庫負担率を原則三分の一に引き上げることといたしました。 次に、現行の継続三日、通算五日の待期制度は、月の前半には失業しても保険給付が行なわれない場合が多い等の問題点がありますので、これを改め、各週最初の不就労日については失業保険金を支給しないこととし、制度の改善をはかったところであります。 また、公共事業等に就労する日雇い労働者の場合に見られるように、予算年度の切りかえ期、積雪期等、年間一定の時期に三カ月ないし四カ月にわたって就労機会が少なくなる者に対して、その期間失業保険金の支給を受けることができるようにするため、新たに、日雇い失業保険の給付の特例制度を設けることといたしました。 第四に、失業者多発地域で給付延長措置の適用を受けている受給資格者が、労働力需要地域へ移転して求職活動を行なう場合にも、給付延長措置の適用を受けられることとしたこと、就職促進措置の拡充に伴い給付制限事由を整備したこと等、所要の整備をいたしております。 以上のほか、本改正案の附則におきまして、激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律の一部を改正し、激甚災害による事業の休廃止に伴い被保険者が休業した場合、その休業を失業とみなして失業保険金を支給する措置を決定できることとするとともに、その他関係法律の条文につき所要の整備をいたしております。 以上、簡単でございましたが、この法律案の提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手) 第三に、ただいま議題となりました政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。 この法律案は、一般職種別賃金の制度を廃止するため、この制度に現在なお効力を与えている根拠規定を削除しようとするものであります。 御承知のとおり、一般職種別賃金の制度は、政府関係等の一定の労務者の賃金額等を規制するため、同一地域の同一職種の労働者に支払われる一般的な賃金額を告示するもので、戦後物価統制の一環として制定された法律、すなわち政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律によって定められたものであります。この法律は、国等が民間に発注する工事、物品等に対し、受注者がその代金を請求する場合、労務費の単価については一般職種別賃金額をこえてはならないことを規定するとともに、あわせて連合国軍関係労務者及び公共事業関係労務者の賃金も一般職種別賃金によるべきことを規定していたものであります。しかしながら、その後数次の改正により、この法律の基本的部分は廃止され、現在では、この制度は暫定的に国の直轄直営の公共事業の労務者の賃金についてのみ適用されているものであります。 ひるがえって、この制度の実際について見ますに、最近におきましては、告示金額の算定基礎となる民間建設業労働者の賃金が、労務需給関係等から大幅に変動する実勢にあるため、これに即応して本制度を運用することが困難になってきております。このような状況のもとにおいて本制度を存置することは、制度本来の趣旨に即しないばかりでなく、かえって公共事業の円滑な施行を妨げることとなるおそれがあります。 この法律案は、以上の理由により、一般職種別賃金の制度に現在なお効力を与えている根拠規定、すなわち政府に対する不正手段による支払請求の防止等に関する法律を廃止する法律の本則ただし書の規定を削除することによって、この制度を廃止しようとするものであります。 以上が、この法律案を提案いたしました理由とその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。(拍手)
○秋田委員長 暫時休憩いたします。 午後四時一分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕