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43回国会衆議院1963/05/21

社会労働委員会 第31号

発言数
243
登壇者
11
会派数
3
開催日
1963/05/21

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の労働災害の防止に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。吉村吉雄君。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 この労働災害の防止に関する法律案につきましては、再三審議が行なわれておるわけでありますが、ここでさらにこの法案の持っているほんとうの目標というものは一体何なのかということについて、若干根本的な問題を明らかにしていただく、同時に、基準法なりあるいは安全衛生規則なりとの関係の問題について、具体的な事項について当局の考え方を明らかにしていただくようにしたいと思います。  実はこの法案をずっと通読してまいりますると、ねらいというものは労働の安全を目標にする、こういうことのために民間の協力を受ける必要がある、こういうことが書かれておるわけでございますが、読めば読むほど、安全の山を目標にしておるらしいのですけれども、山に登ろうと思って山に登ってみると迷路に入ってしまって、とんでもないけがをする山の方に突き当たるのじゃないかという気さえするように考えられますから、特にこの際、提案の説明の中では触れられておるわけでございますけれども、今日世界に誇るべきところの基準法もある、あるいはその安全についての詳細な規定をしておりますところの安全衛生規則もある、こういう状態の中でなお障害が発生しておる。したがって私の考えでは、基準法の完全実施なり、あるいはその安全衛生規則というものを充実する、あるいはこれを完全に実施をさせる、こういうことに重点を置いていった方が、障害撲滅のためには今日の段階としては効果的ではないかというふうに考えられます。ですから、そういう状態であるのにもかかわりませず、この法案を出して、そうして民間の協力を得ていこうとするということについては、考え方それ自体はわからないわけではございませんけれども、種々それに伴って弊害というようなものが起こってくるようにも考えられますから、大臣にこの際明確にしていただきたいと思うのは、基準法という法律があり、それに基づくところの安全衛生規則というものがあって、それらがいまなお完全に実施をされていない。こういう段階の中で、この法案をつくっていくというほんとうのねらいというものはどこにあるのか、提案説明では聞いておるわけでありますけれども、さらにもう少し詳細に説明を願っておきたいというふうに思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 この労働災害の防止に関する法律案の目的は、申すまでもなく労働災害の防止にあるわけでございます。しこうして、その目的を達成いたしまする方法として、この法案の意図いたしておりまするところは、第一には、事業主の団体による自主的な活動を促進するような措置を講じていくということ、第二には、労働災害の防止に関する特別規制を行なうことであります。これらの二つの手段を通じまして、労働基準法と相まって総合的かつ計画的な防止対策を推進しようというのが、本法の目的であるわけでございます。ただいまお述べになりましたごとく、労働基準法及びそれに基づく安全衛生規則等をより精細に規定し、またこれを厳格に適用することによって、ある程度労働災害の防止を現状においても進めていくことは当然考えられることでございます。しかしながら、これにつきましては、最近の技術の革新その他によりまして、災害の種類もいろいろ変わってきておるのでございまして、これに対しまして労働省といたしましては、常に時代の要請に応じて安全衛生規則を補充し、防止の実をあげるように留意はいたしておりまするが、なお監督等につきましても十分に努力はいたしておりまするけれども、現在の情勢といたしましては、ある程度の限界のあることは認めざるを得ないと思うのでございます。このことは、たいへん遺憾なことでございます。私どもは、限界をなるべく遠くへ押しやるように日夜努力はいたしておるのでございまするが、この際において、単に災害に対する基準監督行政ばかりでなく、むしろ事業主の自主的な活動によって災害防止の目的に協力をしてもらうということが、より有効な方法であろう、かように考えたわけでございます。この点につきましては、申すまでもなくいろいろな弊害を伴うことも予想できまするので、これにつきましては十分留意をいたしてまいりたいと存ずるのでございます。  それから特別規制につきましては、特に建設工事の請負等につきまして法的な措置を講じまして、労働基準法の運用を一そう的確ならしめようといたしたのであります。これらは、基準法と両々相まって災害の防止の目的を達成できるものと存じております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 大体提案説明の中に盛られているものと変わりない説明があったわけでありますが、それでは事務当局の方にちょっとお尋ねをしておきます。従来の障害あるいは災害というものについては、政府の調査からしますと、件数の上ではたいへん増加をしておりますが、労働者の数の割合から見た障害件数、こういうものは減っておる、そういうデータが出されております。これはそのとおりだろうと思うのですけれども、従来までのこの障害の発生の原因がどこにあったのかということについては、大体のところ、労働者の側の熟練不足とか、そういうものに関連をする障害もあるだろうと思うのですけれども、私の知る限りにおきましては、安全衛生規則に基づくいろいろな施設なり設備なり、こういったものが完全に実施をされないために起こる障害が割合として非常に多かったのではないか、こういうふうに考えられます。したがって、現在までの災害の原因というものは、設備に基因をする、あるいは施設に基因をするものが多いのか、あるいは熟練不足なり、あるいは精神緊張の弛緩なり、そういうものに基づいているものが多いのか、こういったものについて、大体どちらのほうが多いかという傾向についていろいろ調べられておると思いますから、その点をひとつお聞かせを願いたいと思います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 災害の原因についてのお尋ねでございますが、災害の原因の大部分は行動災害、すなわち労働者の行動によって起こる災害であります。要するに、突然、全然関係のない自動車が来て起こった事故とか、そういうことじゃなしに、何らかの労働者の行動による災害であります。ところで、この労働者の行動による行動災害が、いま吉村先生御指摘のように、労働者の不注意とかあるいはふなれとか、そういうもので起こったものが約八〇%ございます。同時にまた、設備の不完全さ、不備によって起こりましたものが、同じく八〇%程度ございます。と申しますことは、すなわちその災害の原因として、単に設備の不整備ということだけ、あるいは労働者の不注意、ふなれということだけで起こったものではなしに、両々相重なって起こるものがきわめて多いということでございます。したがって、対策につきましても、安全教育もさることながら、同時に安全施設の整備、このことに両々相まって対策を進めていかねばならないと考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そうだといたしますると、必要なことは、設備なり施設の不備から起こってくる災害の発生防止については、それらを十分充足するという行政上の監督というものが必要になってくると思います。それから一面、労働者のふなれあるいは不注意、こういうものについては、労働者の災害防止に関する教育、こういうものをもっと積極的にしていくことによって、いま起こっている災害というものは相当防止可能じゃないかというように考えられます。そのように考えてまいりますと、この二つの原因というものをどのようにして排除していくかということについては、基準法の現在の考え方なりその中に盛られている性格なり、こういうものをもっと充実していきさえすれば、大体いまの原因については排除していけるはずだというふうに思われます。にもかかわらず、民間の団体の協力を得るためにと、こういうふうになってきたのは一体どこに原因があるか、その考え方の骨格となるものは何なのかということについては、どうですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 私どもは、基準法並びに安全衛生の規則の規定に基づきまして、安全指導というものを過去五カ年間、旧産業災害防止五カ年計画のもとに懸命の努力を続けてまいったのであります。しかしながら、残念なことに、災害率こそ低下いたしましたけれども、絶対数は相変わらずふえてまいったわけであります。昨年の夏、内閣の産業災害防止審議会におきまして、この結果に基づいて、この際政府として絶対的な減少の方向をたどらしめるべく画期的な対策を打ち出すべきであるということで、産業災害審議会の御答申の中に、政府として産業災害を画期的に減少せしめる科学的な計画と決意を表明すべきであるということと、さらに業界における自主的な安全衛生体制の整備ということをうたわれたわけでございます。私どももこのことが非常に大事である、すなわち設備の整備ということ、それから安全衛生ということのさらに根本として、そういった安全衛生についての体制の整備ということが基本的に必要であるということを痛感いたしたわけであります。この意味におきまして、今回の法案に、その自主的な体制の整備ということを骨子として、法案を組み立てた次第であります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 その次にお伺いしておきたいのは、労働災害の防止にあたって、労働者の発言権、考え方、こういったものを災害防止計画の立案なり、あるいはその他の具体的な計画の立案なりにあたって反映をしていく必要がある、こういうふうに考えますが、前回の委員会でもこの点はだいぶ議論をされておったようでございます。そこで労災補償法の精神から見ますると、労災補償法の改正という問題については、労働者側の意見、それから使用者側の意見、あるいは公益代表者の意見というものが当然出ておったと思いますけれども、この点で労働者の意見というものはどういうふうに述べられておったのか、記録があるならばそれを正確にひとつ述べていただきたいと思います。

大野雄二郎労働基準監督官(労働基準局労災補償部長)

○大野説明員 本法案の作成にあたりまして、労災審議会において数次にわたって検討が行なわれました。労働者側の意見といたしましていろいろございましたが、結局集約いたしますと、災害防止計画の作成にあたりまして労働者側の意見を尊重するようにしてほしいということでございます。法案におきましては、これがため中央基準審議会の意見を聞くようになっております。それから、この法律を将来大成する場合におきましては、労災審議会において審議の機会を与えてほしい、こういう意見がございました。これもまた、労災審議会の性格上当然付議されることに相なると存じます。その他議論の過程におきましてはいろいろの問題が出ましたが、最後の段階におきましては、そういった問題は解決いたしております。  それからなお、中央労働基準審議会におきましても、同じようにいろいろの問題が出ておりますが、大体同じような問題でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 基準法の就業規則策定についての規制の中では、就業規則に労働安全の定めをする場合には云々という項があります。しかも就業規則に労働安全の定めをしている事業場というものは、非常に少ないのではないかというふうに思いますけれども、この労働安全に関する問題というものは、労使が対等の立場に立って交渉の上で結論づけられるという考え方が正しいのではないかというふうに私は思いますけれども、基準法の就業規則の項の中では、それが明確に裏づけされていません。労働安全の定めをする場合は、というわけですから、定めをしない場合も、あり得るというふうになるだろうと思います。もちろんこれは、就業規則上の中に盛る条項として言われておることだというふうにも解釈できるのです。そこで、労働安全についての協約の場合はもちろんそうでありますが、就業規則上にこれを盛る場合についての労働者の立場というものは、あるいはその労働安全についての交渉の事項というものは、労働条件というふうに解して、そうして指導に当たっておるのかどうか、ここをひとつお聞きしておきたいと思うのです。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 ただいま先生御指摘の点につきましては、安全衛生関係に関する事項という点については使用者の一部であるという形でもって、全面的に労働基準法の体系におきましては、使用者に義務づけておるわけでございます。しかし就業規則に盛られた内容について、それが具体的な場合においては、あるいは労働条件というような形において労働者と非常に密接な関係が生じてくるという場合もあろうかと存じます。したがいまして、安全衛生ということにつきましては、これがすぐ全部労働条件かどうかということにつきましては、やはりその具体的な問題で、就業規則の内容によって検討しなければならないのではなかろうかというふうに存じております。  それから基準法の八十九条において、作成届け出の義務の中でいま先生がおっしゃいました点は、確かに「安全及び衛生に関する定をする場合においては、これに関する事項」というふうに、任意的な記載事項という形で規定しております。これは基準法が各業種につきまして一律的に規定してございますので、必ずしも安全衛生関係を規定しなくてもよい事業というものも、たとえばサービス関係のある部分については考えられる場合もあろうというような形で、こういう規定が出てきたのであるというふうに解釈されます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 次にお伺いしますけれども、公共企業体等労働関係法の団体交渉をし得る事項の中には、労働安全については団体交渉の対象事項であるというふうに明確に規制されています。言うまでもございませんけれども、公共企業体の労働者については、団体交渉事項というものは相当に制約されて、列挙事項になっておるわけですけれども、そこですら労働安全に関する事項については団体交渉の対象事項であるということを明確に規定をしておる。基準法上でいいますと、いまの答弁によりましても、ある問題については、ある場合については該当するかもしれぬけれども、ある場合については該当しない、こういう答弁でございますが、この公労法の安全に対するところの考え方といまの答弁の内容とでは、だいぶ違いがあるのじゃないかというふうに私は思うのです。本来の趣旨から申し上げまするならば、労働安全の問題については当然労使の団体交渉の対象事項である、こういう考え方に立って労働省が事に臨んでいくというのが、たてまえではないかというふうに思いますけれども、この点についてはどうですか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 公労法の解釈については、私から申し上げるあれはございませんけれども、基準法の八十九条におきましては、ものの考え方といたしまして、労働者に災害を起こさせない、そういう労働者保護という観点におきまして、使用者側に全般的にこの条文についての義務を課しているわけでございます。その内容を受けまして、就業規則でつくる場合にはこれに関する事項を明確に書きなさい、こういう行政取り締まりの規定という形で出てきているわけでございまして、たとえば使用者側が機械施設として持った中において、こういう点については安全装置を確実につけなさいという観点においては、あくまで使用者側がその義務を負うということになるわけでございます。団体交渉の対象になるかどうかという観点から、これをがっしりきめているわけではございません。そういう意味で、法体系上の違いがあるのではないかというふうに考えるわけでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私の言っていることはごく簡単なことです。公労法のもとでは、労働安全については団体交渉の対象事項であるということが明言されているわけです。一般組合法の適用を受ける労働者についても、当然そうあるべきであろう。しかも労働基準法は、労働条件についての最低の基準を定めたものなんです。だから、そこに明確になっていないとしましても、労働安全に関する事項については、公労法の定めているとおり、その考え方というものは当然労使の団体交渉の対象事項である、こういう考え方に立って指導なりあるいはその他の措置というものがなされていいのではないか、なされるべきではないかというふうに思いますから、その点についての考え方をお尋ねをしているのでありまして、法の解釈、他の法律との関連とかなんとかということを言っているのではないのです。一体労働安全の問題は、労使の団体交渉の対象事項という考え方で指導しているのかどうか、このことを聞いているのです。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 たとえば安全施設につきましては、工場を設置しますときに、もうすでに大綱というものは定まっているわけです。それについて、安全上最低基準はこうなくちゃいかぬということを、基準法並びに安全衛生規則で定めているわけでありまして、その意味でもすでに前提としてきまっている問題であります。その上で、就業規則として安全の問題についても定めていくわけです。さらにそれ以上の問題について、労使交渉で安全の問題を交渉するということは、もちろん労働条件に関することとして、これまた当然のことであろうと思っております。先ほど来お話のありました基準法と労働関係法との違いというものは、法のたてまえがちょっと違いますが、基本的にはそういうふうに考えるべきものだと考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そうしますと、基準局長の答弁はこのように理解していいわけですか。労働安全に関する事項については、それは労使の団体交渉の対象事項である、そういう考えが正しいというふうに解釈していいですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 安全の問題と申しましてもいろいろございます。その中で労働条件に関する事項については、もちろん団体交渉の対象として差しつかえないというふうに考えます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 安全の問題は非常に範囲が広い、そのうちの労働条件に関する問題は、こういうことでございます。しかし具体的には、公労法の八条でいっているところの労働安全ということばの中には、いろいろの問題が含まれておると思うのです。それといまの局長の答弁というものは、一体同じ内容のことを言っているのかどうかというふうに、さらに疑問が発展してくると思いますから、この点は一体どのように解釈したらいいですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 その点は、私は基準法にいたしましても、その他の——その他の法規については私直接お答え申し上げるのはいかがかと思いますが、要するに私の解釈によりますれば、労働基準法並びに安全衛生規則というもので安全についての基本的な最低基準がきめられておる。これは就業規則でも労働協約でも、もちろんそれを下回ってはならない。基準法並びに安全衛生規則のその最低基準以上の形において、就業規則を経営者の意思によってきめるわけです。それ以上の安全の問題については団体交渉でおきめになるわけでございますが、その安全というものはもちろんその労働条件に関する問題、こういうふうな理解をいたしております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 大体わかりました。  では次にお伺いしますけれども、この法案の中で最も重要な点は、協会が、災害防止規程というものをつくり得る権限が与えられている点であろうと思うのです。この災害防止規程というものがつくられて労働大臣が認可をした場合には、非常に重要な役割を果たすことになるだろうと思いまするので、特にこの点を中心にして次の問題をお伺いしておきたいと思うのですが、その前に、現在、労働安全に関することを就業規則上で定めておるところと定めていないところがあるだろうと思いますけれども、ほとんどのところは、労働安全については、就業規則上で定めているという事業場というものは少ないのではないかというふうに私は推察をするのでありますが、この点は一体現状はどういうふうになっておりますか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 その点、ただいま明確に調査しました資料はございませんけれども、いままで私どものほうにいろいろ参りました資料の中では、主として基準法の八条に規定しておりますところの公共的な企業、特に建設業あるいは運輸業、貨物取り扱い業というような点につきましては、わりあいとその詳細な規定がございます。就業規則のていさいといたしましては、その内容が非常に詳細かつ膨大でございますので、一部これは別個な形において規定したというような状況でございます。件数その他については、後に調査いたして御報告したいと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 それからこの法律案の第何条でしたか、使用者というものについての定義は、基準法上の第十条にいうところの使用者であるという定義をしております。したがって、ここで非常に問題になってくるのではないかと思いまするのは、第三十九条で、災害防止規定をつくる場合に労働者の意見を聞かなければならない、このようにはなっております。従来までの質疑応答の中で明らかになりましたのは、この場合の労働者の代表というのは、組合がある場合には組合の代表、組合がない場合には過半数の労働者の代表という答弁がなされております。したがって、この災害防止規程を策定をする場合の労働者の代表の立場、その性格、地位というものは、先ほど大島局長の答弁から考えてみますると、非常に重要な役割を果たさなければならない。もっとことばをかえて言いますると、当然これは、災害防止規程をつくるのにあたっては団体交渉、いわゆる法によって裏づけられたところの労働者としての立場において発言をし、そして協約化していく、そういう姿でなくてはならないというふうに思いますけれども、この三十九条にいうところの「意見を聞かなければならない。」というのは、基準法上でいうところの就業規則策定にあたっての「意見を聴かなければならない。」という意味ぐらいのウエートしか持たないのかどうか、この点をお尋ねしておきたいと思うのです。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 基準法によくこういう形の労働者の意見聴取の規定がございますが、法律的にはこれと同一の意味合いであります。ただし、私ども考えますのは、およそ安全とか衛生のことについては、私は労使の対立とか意見の不一致は、なかなかないものと思うのであります。したがって、そういう意味で事業場内における安全の問題、衛生の問題については、常に労使が提携し、協調し合って進めていくべきものと考えておりますので、そういった意味で、実質的には、協議する、相談する、意見を聞くということじゃなしに、そういった手続そのものが安全衛生上重要なものになると理解をしております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 安全に関する問題は労使の意見対立がないであろうという、そういう推定についての半分くらいの意味は、私は了承します。しかし、全部を了承するわけにはいきません。ですから、公労法のもとでも労働安全については団体交渉の対象事項というふうにいっておるのは、そういうことを予知しておるものというふうに私は理解します。さらに現場のほうにおきましても、そういう問題については、労使の間で安全を期するという点については一致をするけれども、具体的にどういう方法でやっていくかということについては、意見が相違するというのが間々あることは、基準局長も御承知のとおりだと思うのです。特に私は若干安全管理を現場でやってまいった例から申し上げますると、安全委員会の運営なりその他をやってまいりましても、安全を確保するということについては確かに双方とも意見の相違はないのですけれども、いま申し上げましたように、具体的な問題については非常に意見の相違を来たす。たとえば設備をこのようにするならばもっと労働者の安全を期し得られるし、災害の発生を防止することもでき得るという意見が一方にある。ところが、経営者、使用者の立場に立ちますと、それはわかるけれども、しかし資金の関係でそれがなかなかでき得ないということになる。こういう意見の相違は具体的に起こってくるわけですから、ここが非常に大切なところだというふうに私は考えます。したがって、災害防止規程をつくるにあたりましても、労働者の立場というものが法的に裏づけられないところの、単に善意なものを期待するという、安全の問題については意見の相違がないだろうからという、そういう抽象的な、観念的なことだけでは、私はほんとうの意味の安全を期することはでき得ないのではないか。意見は十分戦わしていって、そうして最終的にこのようになったという、その結論は労使がこれを尊重していく。この場合の労働者の代表の立場というものは、あくまでも労使対等の原則に立ったところの発言権というものが法的に裏づけされなければならぬではないか、こういうふうに考えますけれども、抽象論でなくて、いま申し上げたような具体的な例についてどのように考えられますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま先生御指摘の点は、実情まさにそのとおりであろうかと思います。ただ、私どもが考えますのは、あくまでもよく話し合っていけば、終局的には必ず意見の一致を見るのではなかろうか、こういう意味合いなのでありますが、この労働災害防止規程というものは、私は非常に重要な問題だと考えております。したがって、かりにこの意見を聞いても、いろいろ反対があるとかそういうふうなものについては、終局的には災害防止規程というものは労働大臣の認可を要する問題でありますが、そういったときの認可についての非常に参考になる点であろうと思います。したがって、こういった問題については、あくまで話し合っていくという態度が、やはり安全衛生上必要でなかろうかと考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 安全に関する問題は、基本的には労使の団体交渉の対象事項であるべきだという先ほどの御答弁があったわけですが、この法案にいうところの協会または中央協会の構成者というのは、申し上げるまでもなく、これは事業主だけです。事業主だけでございますから、当然一方の側の意見を代表する、こういうことになります。あとで触れていきますけれども、安全管理士あるいは衛生管理士、この人たちといえども、安全なり衛生なりについてその充実のために一生懸命やっていくという、そこはいいのですけれども、あくまでもそれは事業主の意向を受けたものとしてながめざるを得ない、こうなってくると思うのです。このことは、この法案でも、使用者というものはこういうものであるということを明確に定義づけているところからも、大体推測ができるわけです。私がここで申し上げたいのは、先ほども言いましたけれども、一方の側というものは事業主、すなわち使用者の意向によって大体運用されていこうとする、その場合に、労働者に非常に関係の深い問題については、労働者の意見というものを法的に裏づけていくというようなことをしない限りは、どうしても使用者の意見が通ってしまって、先ほど局長の答弁の労使対等であるべきであるということはから念仏になりかねない、このようになってくると思うのです。したがって、との場合の労働者の意見の反映というものをもっと強力にするということが必要ではないか、こういうふうに考えます。その点は運営でやっていく、運営でやっていくというふうに言われますけれども、しかし、現地の各事業場の安全委員会なり衛生委員会なりの運営の状況等を見てまいりましても、そういうような抽象論で事は解決をしていないというのが実態だと思います。真に労働安全を望んでいくとするならば、そういう労働者の発言権というものを、的確に法的に裏づけをしていくということが最も大切なことではないか。それがまた基準法の精神に沿うということにもなるのではないかというふうに思うわけです。私は、この点は、どうしても労働者の発言権というものについてはもっと強力なものとして、法的な裏づけをしていかなければ、あなたたちの考えるような結果にはなっていかない、こういうふうに思います。これはあとで党のほうでも十分相談をしていくことになっておりますけれども、この点十分考えておいていただきたいというふうに思います。  それから、特に災害防止規程策定にあたって労働者の発言権というものを重視しますのは、この災害防止規程ができて労働大臣の認可を経れば、これは就業規則に優先をするということになるように法律では書いてございます。就業規則に安全衛生に関する定めがない事業場というものは非常に多い。多いとするならば、ここできめられる災害防止規程というものは、それらの事業場に全部適用されるということになります。これはたいへん重大な結果を招来するというふうに私は思います。安全衛生規則は最低の基準を示したものである。これがなかなか守られていない。これが守らしてしかるべきところの就業規則というものも、あまりできていない。こうなってまいりますと、これからつくられるところの災害防止規程というもの、しかも事業主が主体になって運営する結果として一生まれる災害防止規程ですから、結果としては労働安全衛生規則の基準よりも下回る、実情に適さしめるということで、現在のものよりも下回るような規程ができるおそれが非常に多いと思うのですが、この点についての危惧はないのですか。

大野雄二郎労働基準監督官(労働基準局労災補償部長)

○大野説明員 三十七条二項一号に、労働大臣は、その災害防止規程が内容が法令に違反しないこと、すなわち安全衛生規則に違反しないというときでなければ、認可をしてはならないという規定がございまして、御懸念のようなことはないと存じます。  それから先ほどの労働者側の意見の問題でございますが、もしここで労働者側の意見と合意をしなければならないということで、聞くというだけでなくて、一致しなければならないのだということにいたしますと、労働協約との抵触が理論上非常にむずかしいのであります。すなわち防止規程について、段階は違いますが、労使の合意が必要だということになりますと、それが適用される事業場における労働協約にどういう影響を来たすか、その関係上、四十条の三項に「労働災害防止規程が会員の事業について適用される労働協約と抵触するときは、その限度においては、適用しない。」こういう規程を設けまして、現在の団体交渉、労働協約という体系を変更しないように考えたわけであります。したがいまして、確かに理論的には、先生御指摘のように、場合によっては労働者の意見が違うということも考えられるわけでございますが、その場合にどういうふうに解決をつけていくかというと、この四十条の三項の労働協約に優先性を認めるということによって解決をいたしております。もしこれ以外の解決方法をとりますと、ただいま申し上げましたように非常に混乱を生ずるので、この法律によって、現在の基準法、労働組合法という体系に影響を来たさないように考えているわけでございます。そういうことで御了承願いたいのであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 先ほど来の答弁によりますと、やはり産業の近代化なりその他の事情によって、いまの安全衛生規則というものが実情に合わないという点が相当ある。こういうことについては、できるだけ実情に沿うように改正にもつとめておりますという答弁もございました。私が問題にしますのは、この就業規則上の安全に関する事項というものを定めていない事業場というものは、相当数多いだろう、あるいは実情に沿わないという状態になっているかもしれない、こういう状態の中で、何が将来適用されることになるかということを考えてみますと、この災害防止規程が適用されることになっていく、またそのことをねらいとしているということは、この法案が各条項の中でそれを示しているわけです。実情に即さしめるということを言っているわけですから……。ですから、ここに三十七条の二項で、労働大臣の認可というものについては、安全衛生規則なりその他法律の定めに違反してはならないということは書いてありますけれども、そこの部分は問題ないと思うが、その安全衛生規則なり何なりが適用されていないところについては、全部適用されることになっておっても、現在それがそう実施されていないということが問題ですから、そういう個所については、今度はこの災害防止規程が適用されることになる、これが安全衛生規則と同じような役割を果たすことになるわけでしょう。ですから、そういう場合につくられるところの規程というものが、労働者の意見が対等の立場で反映されないということは使用者側の意見どおりのものになってくる、しかも法的にそれが効力を持つということになりますから、その点は非常に重要な問題ではないかと考えられる。しかも実情に即せしめるということで、いまの衛生規則の基準よりも非常に下回った規程というものができる危険があるのではないか。こういうふうに考えられますけれども、この点は一体どうかというのです。

大野雄二郎労働基準監督官(労働基準局労災補償部長)

○大野説明員 この点につきましても、三十七条二項に「労働者の利益を不当に害するおそれがない」ということを要件といたしておるのであります。認可の場合におきましては、ただいまの御懸念のようなことがないようにつとめてまいることになっております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 いまの三十七条の第二項は、労働大臣の認可条件としてこれこれということを書いてあるわけです。「内容が法令に違反しない」ということ、これを部長は答弁をしておると思うのですが、私が問題にするのは、いまの安全衛生規則なり何なりが十分に適用されない事業場が多いのではないか、あるいはあなた方の答弁によりましても、実態に即さない部分が相当多くなっている。特に建設業についてはしかりということを説明の中に書いておる。だから実態に即せしめる、あるいはその適用が十分でないというところについては、今度はこの規程というものが就業規則に優先をして適用されることになるわけですから、その水準というものは非常に下回ったものになっていくのではないか、こういうふうになると思うのです。もしそうでないとするならば、現在の安全衛生規則を適用せしめるために、監督を強化すればいいはずなんです。そのことをしないでいるというのは、してもなかなかできないということは、結果においてはいま私が申し上げたような危惧というものの原因になるのではないか、こう思うのですが、どうですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 この三十七条第二項第一号の「内容が法令に違反しないこと。」についての御質問でありますが、要するに安全衛生規則に定められておる内容より下回るということはございません。ただ、先般来御説明申し上げておりますのは、安全衛生規則では各産業、業種の実態に応じて非常にこまかい定めができないから、したがって一般的、概括的、抽象的な定めにならざるを得ない、そこからさらに具体的になってくる規程については、どうしてもこういう災害防止規程というような形をとらざるを得ない、こういう意味で申し上げているわけで、したがって、内容なり水準において安全衛生規則を下回るということはあり得ないと思います。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そうだといたしますと、実態に即せしめるということを主要なねらいにしていくということになるならば、現在の基準法の精神のもとでも、当然安全委員会なり衛生委員会なりを設置しなさいということになっている。ここの協会の中でつくられるところの災害防止規程というものは、専門家が集まってつくることになっているだろうと私は思います。しかしそれは、実情に適したものかどうかということは、だいぶん違うと思うのです。当局が意図するように実情に即せしめるというのであるとすれば、それはあくまでも現場の実態に即した経験を持っておるところの、基準法上でいうところの安全管理者なり、そこで働いておる労働者なりの意見というものを十分に反映する、こういうことのほうがより効果的だと思うのです。だからそういう点については、現在の基準法あるいは安全衛生規則をもっと厳重に運用していきさえするならば、その危惧というものは解消するはずだ、にもかかわらずこういう規程をつくろうということは、かえって現在の水準よりも低いものをつくる結果になりかねない。なぜならば、今度は協会のほうで自主的に安全の管理運動をするということになりますから、監督行政は一生懸命やるやるといっても、そこに依存する気持ちが当然にして起きるのじゃないかというふうに思います。いままでですらも監督行政については不十分だということは、再三にわたって指摘されておるわけです。今度事業主の団体が自主的にやっていく、しかも国からの補助、労災保険からの資金を補助してやっていくということになるならば、監督行政に当たっておる末端の人たちは、そちらに依存する気持ちというものがどうしても醸成されてくるのじゃないか。したがって、今度の災害防止規程というものができるということは、建設業のように、安全衛生規則が実情になかなか即さないという部面については非常に下回ったものが、しかも事業主の都合のいいものができる危険性がある。それから、現在それが適用されておりながらも実際に実施をされていないような事業場については、監督不十分といいますか、行政監督の不行き届きというものを醸成する、そういう危険が起こってくるのじゃないか。こういうことが労働安全というものを希求しながらも、結果としては安全維持の水準というものを非常に低くしてしまう、私はこういうふうに考えられてしょうがないわけです。特に再三問題にしておりますように、もしほんとうに労働安全というものを維持していくための民間団体の協力を得るためにということであるならば、安全維持のために一番真剣に考えているはずの労働者の意見というものを、こまかい規程の中に現場の体験をしておる組合の意見を反映できるような、そういう仕組みでなければこれは効果を期し得ない、こういうふうに考えますけれども、どうです。

大野雄二郎労働基準監督官(労働基準局労災補償部長)

○大野説明員 御承知のとおり、現在の法体系のもとにおきまして、安全衛生といたしましては就業規則を定められておる、その就業規則の制定におきましては労働者側の意見を聞いて使用者が定める、こういうことになっておりますが、先ほど御指摘がありましたように、必ずしも全部の事業所においてかような就業規則ができていないことになっております。これは安全衛生に関する就業規則が、任意規定であるということに基づきます。そこで今度の災害防止規程というものは、比喩でございますが、いわば集団的な就業規則とお考えになればいいと思います。そういうような性格を持っておる。これが設定されることによりまして、いままで事業主が安全衛生に関する就業規則を設けない、そのために災害が起きる、そういうようなことがなくなってまいるわけでございます。この制定におきまして労働者側の意見を反映する必要があるということにつきましては、まさにお説のとおりでございます。したがいまして、先ほどから局長が再三再四強調いたしておりますように、十二分にこの意見を反映して規程を設けていこう、こういうことになっております。ただ意見を反映すれば十分なのでございまして、意見が合致しなければならないというのは労働協約の段階においてやればけっこうだ、先生もお認めになりますように、安全衛生の問題につきましてはおおむね労使の意見が一致するということでございますので、この規程をもって十分と考えるのでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 これはそう簡単に了解というわけにはいかないのです。言わんとするところ、ねらいとするところはわかる、わかるけれども、現実の問題はなかなかそうならないというふうに、大体断定的に申し上げても私はいいと思う。というのは、いまあなたの答弁の中にも、安全衛生規則というものがある、しかも基準法のもとでは、就業規則の中に安全については定めてもいいし、定めなくてもいいということになっておる。しかし労働省の立場からするならば、定められてしかるべきことだという立場でなくてはならぬと思うのです。ところが、就業規則には残念ながら安全についての定めがない事業場というものが多いという現実を、あなたは認められておるわけです。だから、そうだとするならば、この法律、いわゆる最低基準を示しているところの労働基準法の完全な実施の方向に、現在の行政監督というものは指向されてしかるべきじゃないか。それを放置しておいて別な手段に訴えるということは、それは本末転倒しているのじゃないかということを申し上げておる。そこで私は、もしこの業者団体によるところの協会によってそれを補完するというのであるとするならば、その場合に最も大切なことは、もっと実情に適したようなものをつくるという意向もあるでしょう、あるとするならば、労働者の意見がそこに反映をされていくという、そういう仕組みでなくてはならない。この法案で見る限りにおきましては、現場の労働者の意見というものを反映するというようなことはない。おそらく安全管理士とかあるいは衛生管理士ですか、こういう方々と、あるいは業者の団体の幹部、こういう方々が集まって、机上プラン的にやっていくというしかけにならざるを得ないだろう。だから、現実の災害防止規程をつくるということに沿わない机上プラン的なものになってしまう、こういう点が当然に予測をされるというふうに私は思うのです。それは、今日までの労働基準法の実施の状況から見ても、そうだということが言えるでしょう。これは実施されてしかるべきだけれども、なかなか実施できないでいるということが、それを物語っていると思うのです。現実に即さないものは、やはりなかなか実施できないということなんです。だから、このような協会や何かで民間団体の協力を得てやるとするならば、この運営のあり方については、労働者の発言というものをもっと的確に反映をされる、そういう仕組み、そういう機構、特に基準法上でいうところの安全委員会なり衛生委員会なりというものの、そういう性格のものを数多く置かなければ、これは幾ら当局のほうでこれによって安全の維持といっても、遺憾ながら、その結果というものは芳しくないということになりかねない。逆に言うならば、基準法なり安全衛生規則なりというものは、この法案がつくられて、災害防止規程が制定をされることによって骨抜きにされる危険すらある、こういうふうに私は思うのです。どうです。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 私は、およそ、労働者を雇って働かせる以上、十分な安全の体制を整えて働いてもらうということが、使用者の前提的な責任であろうと考えております。したがって、就業規則におきまして安全についての定め、あるいは別個でもいいわけですが、安全の規則というものを定めておくということが必要になるわけでございます。ただ残念なことに、就業規則というものは一種のひな形がありまして、要するにそれに大体の定め、サンプル的な定めをしておけばそれで済むというような傾向もなきにしもあらずで、ほんとうをいいますと、その産業に特殊な、あるいはその工場に特殊な、ほんとうに具体的な規則なり安全規則というものがあってしかるべきだと思うわけなんです。ただ、なかなかそういうふうに、ほんとうに具体的なものをこしらえている事業場は必ずしも多くはない。ただ、たとえば先般来申し上げておりますように、建設業にいたしましても、特殊の非常に熱心な企業におきましては、実に詳細なその事業場、その産業に特有な安全の規定等を持っているところがあって、そういうところにおいては、非常に一般的に産業災害率が高いにかかわらず、そういう企業においては非常に顕著に低くなっているという事例があるわけです。したがって私は、何もそれは必ずしも規定にそう具体的に詳細にきめておるから、そうなっておるとは申しませんけれども、そういう態勢が前提として一つ必要であろうと思うのであります。したがって、今回の労働災害防止規程におきましても、業界全体として、その産業特有な災害防止、安全衛生についての具体的な定めをしていくという、この態勢そのものが、一つ大きな意味を持つと思うわけであります。  それから、もちろん先生御指摘のように、基準法並びに安全衛生規則に基づく監督と指導というものは、ますます強化しなくてはならないと思います。この点は、基準審議会あるいは労災審議会等におきましても、労働側の御意見としてあったところでありますが、私どもはこの点は、特に今回の法案立案の際におきましても、御審議の経過におきましても、私としては肝に銘じておる点でございまして、この法案が成立いたしましても、従来の監督、指導というものはますます強化してまいりたいと存じます。  なお、労働側の意見の反映につきましては、先ほど申し上げました労働協約と就業規則という面の違いがありますけれども、私といたしましては、ほんとうに具体的な現場の労働者の意見が、切実にここに反映いたしますように努力をいたしたいと考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 努力するとかいうことについては、この問題ばかりでなくて、再三にわたって言われるが、それは当然なすべきことだと思うのです。いま基準法というものが、労働省も認められておりますように、最低基準のものであるのにもかかわらず、各事業場ではまだ実施をされていない、こういう状況にあるでしょう。そういう状況なんですから、まずそこを固めていくというのが、あなた方にとって当面やるべきことではないかと思うのですよ。それを民間の協力に依存するということは、言いかえますと、責任回避だというふうに私は思います。民間の事業主の協力を得る手段については、私は現行の法律のワク内でもたくさん方法はあるだろうと思います。たとえば、自主的なその事業の実態に適したような規定をつくる必要があるとするならば、そういう意見というものを、どんどんと現在の安全衛生規則の中に取り入れていってもいいはずだと思います。ですから、やる方法は幾らでもあるので、当面最も大切なことは、最低の基準といわれるところの基準法というものを、完全に実施せしめるための、そういう行政でなくてはならぬじゃないかと思うのですよ。それを放置する——ということは語弊があるかもしれませんけれども、それももっとやっていくんだ、こういうふうには答弁されますけれども、そのことを避けて、別な団体でやっていくというその考え方に、私は非常に危険なものを感じさせられてしょうがない。だから、もし業者団体の協力、この協会によって災害の防止というものに役立てたいとするならば、もっと実態に即したような方向をとらなければいかぬだろう。実態に即した方向とは何かというならば、それは、現在の安全衛生規則上にいうところの安全委員会とかあるいは衛生委員会とかの、それと同種の活用というものでなくてはならぬじゃないか。こういうものでないと、規定というものはあっても、それが現場におりていった場合に、現地におりていった場合に、どうも現在の現場の実情に適さないということになりかねない、こういう不安ということを持たざるを得ないのです。だから、安全衛生規則と災害防止規程というものは、同じようなものができるという危険を私は感じてしようがない。どちらかというと、災害防止規程は安全衛生規則よりも、これよりも下がったものになりかねないというふうに思われるのですけれども、その心配はほんとうにないですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 私は、この法案による自主的活動に責任を転嫁して、基準法に基づく監督、指導をおろそかにするのじゃなかろうかという点につきましては、私としては実に残念でございますが、ただこれは、私どもの基準法、安全衛生規則に基づく指導、監督活動に対する激励のおことばとしてちょうだいいたしたいと思います。本年度の予算編成の際にも、この法案と並行しながら、私といたしましては、本来の基準法、安全衛生規則に基づく監督、指導の強化という点を、特に重点を置いて大蔵省とも折衝いたしました。御承知のとおり、相当本年はその監督、指導の経費が膨大に増加いたしまして、先般御可決いただいたわけでありますが、その予算に対しましても、私どもはますます強化する責任と決意を持っております。  なお、最後に御指摘のありましたこういった活動に、災害防止規定等によって、従来の就業規則とか、そういう点から水準が低下するのではないかということについては、およそそういうものであるならば何も新しい施策を要しないのでありまして、この法案を御可決いただきますならば、ここにこれを絶対に下らない、さらにますます水準を高くしてもっと実情に沿うような形に持っていくということを私はお誓いできると思います。   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 法案提案者の立場としては、もちろんいまよりも災害が発生するということを考えて提案をしたものではないと思うのであります。しかし、予期しない事態というものが起こるというのが今日の情勢だと思うのです。基準法の問題についても再三指摘をしておるとおりです。  それから、労働安全の問題については、労使の団体交渉によってゆだねられているのだ、こう言われておりましても、あなた方もお述べになっておるように、就業規則の上においても安全衛生についての定めがないという事業場が数多いのは、そういう実態というものを示していると私は思うのです。だから、そういう点から考えてまいりますと、願っておるところは、私は決して否定をするものではない。しかし、その動き方、その道筋というものは、今日の段階では基準法というものの完全実施という方向に全力を傾けている。そういうことの中で、民間の業者団体の、あるいは業者の協力を得る道というものは、この協会をつくらなくたってでき得るはずだというふうに私は思うのです。ねらいとするところは、実態に即さしめる、あるいは事業主の自主的な活動というものを促進する、こういうことで安全の維持ということに尽きるわけですから、、したがって、この一つの規定をつくったならばこれが完全に実施されていくという、そういう姿でなくてはならない、こういうふうになると思うのです。ところが、現在の安全衛生規則というものがつくられておっても、これがなかなか守られていない。そのために障害が起こっている。こういうこともあなた方の答弁によって明らかにされておるわけです。ですから、再三申し上げますけれども、この際は、基準法の完全な実施と、それから産業の近代化なりあるいは工事の変わり方によりまして、安全衛生規則というものが実情に即さないとするならば、即さしめるようにやっていく。そのための意見の聴取というものは、業者のほうからも、あるいは労働者の側からも取り入れて、そうして安全衛生規則というものを実態に即さしめるということが当面大切なはずだと思うのですけれども、それをやらないで、そうして別なことをやっていくというところに非常に問題があるわけです。それもやっていくというお話でありますけれども、人間の力というものは、二分するよりは集中的に力を加えたほうがいいわけです。だから、そういう点では、特に私の考えとしては、基準法で十分事足りる、それを完全に実施していくということに専念すべきじゃないかというふうに考えます。  さらに、いま一つこれから問題になると思われますのでお伺いしておきますけれども、安全管理士あるいは衛生管理士というものができる。ところが、基準法上でいいますと、安全管理者と衛生管理者というものを置かなければならないということになっています。この新しい法律でいうところの安全管理士の資格、要件については、この前の質疑応答の中でやや明らかになってまいりましたけれども、特にこの基準法上でいうところの安全管理者と安全管理士、これとの関係は一体どういうことになるのかということをお伺いしておきたいと思います。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 先生の御指摘のように、基準法におきましては、五十三条の規定によりましていろいろの選出の基準というものを規定してございます。この災害防止法におきましては、安全管理士、衛生管理士という名前で、これは別段基準法上の安全管理者と法的なつながりはございません。しかし、この協会の活動の趣旨からいたしますならば、相当高度の管理士というものを予想しておりまして、現実の問題として、災害防止規程というものについての学識経験的な知識というものを活用いたしましてそういう規定がつくられる、あるいは事業場の要請によりまして高度な技術をそれに対していろいろ指導する、こういうふうな形になってまいりますので、実質的には、各個々の事業場で法的義務をもって選出されましたところの安全、衛生管理者というもののよき相談相手になっていく、こういう形に実質的にはなってくるのではなかろうかと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そうすると、実際の基準法の適用は各事業場が受けるわけですけれども、この協会に加入をしたところの事業主あるいはその団体、こういうところで現実に安全維持のための意見というものが、安全管理者と安全管理士の意見というものが食い違うという事例が起こる場合も想定されるわけです。こういう場合には一体どういうふうになるのかということは、どうですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 安全管理士と安全管理者の意見の食い違いが起こってくる、食い違いがあるといたしますれば、その起こってまいります原因は二つあろうと思います。一つは、現場の実情というものについての認識の差異から起こりまする場合と、それからもう一つは、そういった事態に対処すべき科学的な方策といいますか、これについての見解の違い、こういうことであろうと思います。したがって、その両者ともいずれの意見を重しとすべしというきめはないわけでありまして、したがって、現実の事態の認識と、これに対処すべき科学的方法の探求ということで、あくまで両者話し合いをいたしまして、一致した結論を見出すべきものと考えます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 安全管理者の立場というものは、基準法上の定めによってその位置なり性格というものが与えられているわけです。ところが、今度の協会によってつくられるところの、この法案によってつくられるところの安全管理士というのは、先ほど来問題にしておりまするように、事業主の団体として運用されていく、その中から選任をされるということになりますから、私が特にそのことを強く申し上げますのは、この場合の、この法案でいうところの事業主というのは、基準法の第十条でいうところの使用者と同じだ、こういうことを言っております。この場合の使用者というものの定義については、基準法の第十条で、「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。」こういうことになっておりますから、利害代表の立場から言いますると、これは事業主の立場に立ったところの人ということにならざるを得ないと思うのであります。一方、安全管理者の場合には、基準法上の定めに基づいての立場でございますから、いま申し上げたようなものとはだいぶ性格が違うということになる。したがって、どういう方法で安全の管理をやっていくかという場合に、その意見の相違というものは、安全管理士の意見というものは、事業主の意見を代表するという意見がどうしても多くなる可能性というものが多いと思います。そこで、具体的にはいろいろな意見の相違というものが起こってきた場合に、どちらの意見でしなければならないかという場合には、行政官庁がやはり判断を示すという時期が起こってくるのじゃないかというふうに思います。そうでないと、たいへんうまい運営ができないように考えられるわけですけれども、いま基準局長の言うように意見の相違はないであろう、あるいは調整がされるであろう、そういう安易な考え方だけでは、私はやっていけないように思います。こういう場合には一体どうするか。初めにも申し上げましたように、安全を維持しようということについてはわかるのです。そこの点は一致します。しかし、設備の点をどうするかということになりますると、これは完全に意見が対立するというのが、安全運動上の一番大きな問題点なんです。ですから私は、この場合には、あくまでも労使対等の立場でやっていくということでないといけないということを再三主張します。今度のこの法案でいうところのものは、そういう意味では労使対等の原則をくずしておる。しかも事業主の思うような災害防止規程というものができかねないというふうに、私はその点を非常に心配しておるのです。いま申し上げましたような安全管理士と安全管理者の意見の相違というような場合についても、そういう事業主、使用者の立場に立っての安全管理という意見が強く押し出される危険がある、こういうふうに思いますけれども、この心配はないですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 私どもは、安全管理者にいたしましても、衛生管理者にいたしましても、その活動につきまして、さらには一般的な安全活動、衛生活動、すべてにつきまして、あくまでも率直な事実の認識と、その事実に対する科学的な対策ということによって進めていくべきものだと考えておるわけであります。したがって、具体的なケースで解決のつく問題は別といたしまして、非常にむずかしいケースがございます。そういった場合によく私どものところへ相談に見えるわけでありますが、最終的には私どもの産業安全研究所でありますとか、衛生研究所でありますとか、そういったところの科学的な判断に従ってもらって解決する場合が多いわけであります。したがって、先生御質問の安全管理者、衛生管理者にいたしましても、単に使用者の立場に立つとか、労働の立場に立つとか、そういう形ではなしに、やはりあくまでも率直な事実の認識と、これに対する科学的な対策の樹立、こういった観点を基準にしてものごとを処していくべきである。また、そういった点についての意見の相違というものは、話し合っていけば終局的には必ず解決のつく問題じゃないかと私は思っておるわけでございます。ただ先生御指摘のような点については、今後とも私ども十分戒心していかなくちゃならない点でございますから、私どもも、今後ともそういった点について十分の注意を払ってはまいりたいと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 これも安全管理士なり衛生管理士なりが将来果たすであろうところの役割というものは、本法案の上では非常に重要な役割を果たすというふうに私は思います。その場合に、私の考え方からしますならば、労働安全という問題については、労使の差なく、その維持のために努力していかなければならないものだというのであるとするならば、この協会の構成のあり方を、やはり労使あるいは公益の代表によって構成するという姿でないと、一方的な運営になりかねない。これは先ほど一つの例で申し上げましたけれども、安全を進めていく、安全運動をやっていくということについては一致しておっても、どうするかという方法論になると、金がかかるという問題でまずつまずいてくる、意見の相違がそこで起こってくる、こういうことは数多くあるわけですから、したがって、安全管理士が将来果たす役割というものを考えた場合には、これはほんとうの意味での科学的な立場に立って判断をする、そういうことをやってもらうとするならば、この協会の構成というものは三者構成にしなければ、将来やはり非常に大きな問題を残すというふうに私は指摘をしておかなければならないと思います。  それからいま一つは、現地におきますところの労働基準監督署の監督官の意見と安全管理士の意見というものが、もし食い違いが起こった場合にどうするかという問題が起こってくると思います。先ほど来の局長の答弁によりますと、監督行政を将来にわたって強化していくという答弁がありました。私は、それだけでもやってもらわなければならないというふうに思いますけれども、私の危惧するのは、この協会ができることによって、業者団体が自主的に安全の管理をやっていくという傾向が生まれるということになると、監督行政はどうしても軽視されるという危険を感じているということを再三指摘をしておきました。そうでないというふうにしてもらうならいいと思います。ただ起こってきますのは、就業規則の上で安全に関する規定のない事業場等については、この災害防止規程が適用されるということになります。法律の解釈からいけば、そういうことになるわけでしょう。その場合に、労働基準監督署の監督官は何を基準にして一体監督行政に当たるか、こういう問題にぶつかってまいりますと、優先をするのは安全管理士の意見が優先するということになりかねない。このように考えますけれども、この行政監督上の問題と、安全管理士がこれから果たしていく役割における現地の混乱というものはどのように考えますか、混乱はないというふうに考えますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 労働基準法並びに安全衛生規則の解釈、運用については、もちろん基準監督官の見解が有権的でございます。したがって、その点につきましては、安全管理者といえども、あるいは安全管理士といえども、要するに労働基準監督官の見解と運営が有権的でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私の言っておるのは、就業規則の中で安全に関する定めのない事業場は、たくさんあるというふうにいわれておるわけです。それから安全衛生規則というものがあるけれども、実態に即さないという事業場もたくさん出ておることも、あなた方の答弁によって明らかになっておる。そういうところについては、この災害防止規程が適用されることになるでしょう。なるということにこの法律では書いてある。この場合には、そういう事業場については、監督官庁であるところの基準監督署の監督行政の基準はないということになるのです。あるものは、今度できるところの災害防止規程だけがあるということになる。そうじゃないですか。だとしますると、安全管理士の意見が優先をするような形になると、監督行政の基準が、そういう事業場に限ってはないということになってくると思うのですが、その心配はないですかということを聞いておるのです。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 事務的なことでありますので、補足説明いたしますと、基準監督官はあくまでも基準法の最低基準の監督についての権限を持っておるわけでございまして、基準法を上回るもの、それが災害防止規程によって就業規則の中に取り入れられるもの、それは認可事項の中にございますように、法令違反しないという実態でここに入ってくるわけでございます。あるいはそれ以上のものが入ってくる、こういう状態になってまいりますので、基準監督官としては、それが法規に照らして違法であるかどうかという点について監督するわけでございますので、ただいま先生御指摘のような混乱は生じてこないというふうに考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 起こってこないならば私はいいと思うのです。しかし、この法案の内容の説明なり何なりを考えていきますと、安全衛生規則が適用しにくい、そういう事業場が多くなった。したがって、業者の自主的な判断に基づいて、労働者の意見を聴取しながら実情に適さしめるようにつくっていこうというのが、災害防止規程でしょう。だとするならば、現在安全衛生規則が適用でき得ない事業場に適用するものができるということになるでしょう。そういう予見をしておるのです。だから、そういうところについては、災害防止規程以外には監督行政の基準になるべきものはないじゃありませんかということを申し上げておる。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 法律の立て方といたしましては、先ほど申し上げましたとおりに、就業規則には書いてないけれども、業者団体に加入しておる会員である事業主というものがその防止規程を受け入れまして、就業規則でこれをうたう、こういうことになった場合に、監督官庁は、それが基準法の最低条件に照らして、法定どおりに動いておるかどうかということを監督するわけでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そういうことになるだろうと思います。その場合には、就業規則にその条文が盛られるということになりますから、当然それは監督官庁の基準になります。しかし、その母体となるものは災害防止規程だということになるでしょう。そういうことを私は指摘しておったのです。だから、この場合に一番問題になりますのは、監督官庁の意見というよりも、その協会の意見というものが優先をするということになりかねない。だから、監督行政を強化しよう、強化しようと思っても、その基準がない。基準ができるのは、災害防止規程だということになる。この災害防止規程というものは、どういうふうにつくられるかといいますと、どうしても事業主に都合のいいような災害防止規程ができる危険性があると思う。しかもそのできた災害防止規程というものは、就業規則に優先をして、それを基準として行政官庁が監督行政に当たるということになりますから、この場合の災害防止規程というものは、非常に重要な役割りを果たしていく。同時にまた、安全、衛生管理士というものも重要な役割りを果たしていく。これと現場の基準法上にいうところの安全管理者、それから行政監督署の意見、こういうものについて行政監督上非常に混乱が予想をされます。私はそういうふうに考えます。ですから、こういう点については十分配慮をしながらやっていくように、特に前もって要望しておきたいというふうに思います。  次に私が申し上げておきたいのは、どう考えてみましても、この災害防止に関する法律というものは、いまの状態の中では、そう期待するような効果というものはあげ得ないのではないかというふうに思います。もしほんとうに災害防止というものを真剣に考えてやっていくとするならば、再三申し上げていますけれども、今日の基準法の最低の線、これを完全に実施させるための監督行政を強化すること、こういうことでなくてはならないと思います。その上に業者団体の意見を反映せしめて、もっといいものをつくるというならば話はわかる。ところが、その最低の基準であるところの基準法あるいは安全衛生規則すらも完全に実施をされていない。監督が十分行き渡っていない。こういう状態の中で、別な業者団体にこの安全管理の仕事を依存をしていこうという考え方は、私はとうてい賛成するわけにいかぬ。それは必ず監督行政というものを怠慢化せしめる原因になっていく。そうしないように努力をするというふうに言いましても、人間の気持ちというものは、やはりそうはいかないと思います。いまですらも仕事が多くてどうにもしようがないでいるという状態ですから、今度は国から一億五千万円ものお金を出して、業者団体が自主的にやるのだということになるならば、地方の監督行政に携わっておる人たちは、そこにおんぶをするという気持ちが、これはほんとうにそう考えなくたって、自然にそういう弱点というものが露呈をされてくるというふうに私は考えますから、いま再三そのことについて申し上げておるわけです。  さらに、もしこのような協会をつくってやっていくというのであるとするならば、それはやはり労働者の意見も、使用者の意見も、対等に反映し得るような機関でなくてはならない。今日の状態では、この法案の中身を見ますと、労働者の意見を聴取しなければならないというふうに書いてありますけれども、それは団体交渉の対象事項としての労働者の権利として認めているものではなく、単に意見を聴取すればいいのだということになりかねない。現在の就業規則と同じようなことになってしまうだろう。これではほんとうの意味の労働者の災害というものを防止するという、災害防止規程というものはつくられていかない。事業主の都合のいいようなものができる危険性を私は感じます。ですから、もしこういった民間団体をつくるとするならば、それは三者構成、こういうことでやっていくのが正しいのではないかというふうに思います。  最後に申し上げたいのは、実態に即してやっていくということであるとすれば、もっと現地でいろいろな体験をしているところの、現在基準法上でいうところの安全管理者なり衛理管理者なり、そこの指導のもとに働いているところの労働者の意見なり、こういうものを聞かない限りは、この災害防止規程というものは、いまの基準法上でいうところの安全衛生規則よりももっと抽象的になりかねない、こういうふうに思います。しかもそこでできたものは、すべての事業場を拘束する、就業規則に優先するということですから、たいへんなしろものだというふうに言わなければならないと思います。ですから、あとでまたいろいろ質問があると思いますけれども、そういうような労働者の意見というものは——労働安全については団体交渉の対象事項であるのだとすれば、当然それは団交らしく労働者の権利というものをこの法案の中へ明記する、こういうふうにしなければいけないのではないかというふうに思います。  いろいろ申し上げましたけれども、以上のような危惧を持っておりますが、そういうことについて、総括してひとつ大臣の所見を承っておきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 吉村先生の御意見は、私もよく了解のできるところでございます。そこでこの防止規程と基準法の関係でございますが、この防止規程というものの趣旨は、労働基準監督の一部を肩がわりしようというような考えは毛頭ないのでございまして、基準監督にさらにつけ加えてそれ以上の措置を防止規程で確保するようにいたしたいというのが、この規程をつくる趣旨でございます。したがいまして、基準監督のことにつきましては、今回の法案のできるできないにかかわりませず、労働者といたしましては、極力御趣旨のように監督を一そう励行し、また時勢の進運に伴いまして、法規の陳腐になりました事項は常に時勢に応じて改善をして、積極的に基準監督行政を進めてまいる所存でございます。この防止規程は、ただ一般的な基準監督として要求すること以外に、それぞれの業種につきましてそれ以上のことをやっていただきたい、こういう趣旨でやってまいりたいと思うのでございます。特に災害防止規程の作成にあたりまして、これに直接大きな関係のあります労働者諸君の意見を反映せしむるということは、これは審議会においてもさような意見が述べられておりましたし、私どもも、当然労働行政の性質上さようあるべきものと考えております。したがいまして、この災害防止規程の認可にあたりましては、それに先行する行政指導を通じまして、労働者の意向を十分に反映するような実効ある措置を講じてまいりたいと存じております。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 関連して。さっきから吉村君は、労使対等の原則を貫けという非常に重要なことを主張しておられる。先日から、地方選挙前から滝井君の質問の項目の中にも入っていたと思いますけれもど、労働者の意見を聞かない、業者だけの問題として考慮していることについての質問をされておりましたけれもど、そのとき労働者の意見は十分聞くように取り計らう、そうしてきょうの吉村君の質問に対する答弁の中にも、労働者の意見は十分取り入れるようにいたしますからというようになっておりますけれども、法文上を見ると、ただ単に三分の一くらいの労働者を持っているところの業者が二十以上で協会をつくって、その過半数の意見を聞くとかいうことですけれども、労働基準法そのものが弱体であるのじゃないかと思うのです。労働基準法の就業規則の手続をし、届け出を出すときは、過半数の労働者の意見を聞いて、そうして意見が合わないときは、労働組合ないしは労働者の代表がその就業規則に意見を付して監督官庁にそれを出せばいい。出して労働者の意見が取り上げられた場合もあるかもしれぬけれども、ただ単に文書をもって届け出をするだけだ。そうすると、法文上は意見を付して提出しなければならないというようになっておるだけで、それを単に労働基準局が取り上げて、何もしなかったら労働者の意見は全然通じないということに相なるわけです。したがって、大体力の弱い団体におけるところの就業規則は、会社あるいは事業場の一方的見解によって行なわれる。それを基準局が監督をされることになりますので、その就業規則の中の衛生あるいは安全規則をつくってもいい、つくらぬでもいい、こういうように、ほんとうに放任の形ではないかと思う。ところがILOの労働機構には、この災害の事故数等を毎年国は報告しなければならない。しかも日本の経済の中には自由化の問題もあり、いろいろの産業の改編が行なわれるであろう。そういうとき、建設とか、現在考慮されるところの業種においては、累年にわたって災害がずいぶん多くなってきた。したがって、今度は業者のみの団体を法人化してやられる。それについては、何もこの法文上から労働者の意見というものが聞かれない。なるほど中央労働審議会の意見を聞くというのですけれども、労働大臣はすべて意見を聞かれるわけであって、意見だけ聞かれるけれども、それを尊重されるかどうかということは、これは大橋労働大臣ですから十分意見を聞かれるだろうと思うのですけれども、しかし常時の労働災害を排除していく、そうしてできるだけこの件数を少なくするというようなことについては、直接現場に働く労働者の意見を反映しないシステムがどこにあろうか、こういうように思うわけです。したがって、十分労働者の意見を取り上げてやります、こういうようなことについては、具体的にどういうように考えられているかということをもう少し明確にしてもらわぬと、労使対等の原則のもとに、やはり労働基準法そのものがあって、労働基準法そのものが不十分である、原法そのものが不十分であるから、ひとつ業者間の団体をここにつくって補足するのだといわれましても、これはちょっと問題があるのじゃないか、こういうように思いますから、明確にしていただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 この災害防止規程の作成につきましては、この法案に規定いたしてありまするごとく、労働大臣の認可によって初めて効力を生ずることに相なっております。したがいまして、労働大臣に認可を申請する手続、また認可に必要なる手続的な条件等につきましては、いずれ何らかの規定を必要とするわけでございまして、これは行政的に措置できると存じます。その際におきまして、その手続規定を通じまして、労働者の意見が十分に反映するような手続を規定いたしたい、かように存じます。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 もう一件お願いいたします。そうしたら、こういうようなことがなぜ提案されなければならないか。それは労働者の災害が非常に多いというようなこともあるし、災害が起これば業者も損害である、そうしてひいては日本の産業が発展しない、こういうところからこの考え方が出てきたんだろうと思うのです。しからば、労働基準法の八十九条、九十条の内容を改正する気持ちはございませんか。たとえば安全衛生規則のごときは、就業規則の中にはつくってもつくらぬでもいいというようなことで、いかに最低とはいえども、これは設けなければならない、こういうように改正する。あるいは九十条において、手続上労働者の意見を聞いて、合意しなければ就業規則の手続をとってはならない、こういうような強行的なことも並行的に考慮されながら、一方では、しかもそれが最低であるから、より高度の災害を防止するためにこういう法律案を考慮しましたというような考え方があっていいのじゃないか、こういうように考えるのですけれども、労働基準法の改正というようなものは並行的に考えられておりませんか、どうでしょうか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 ただいまのところでは、労働基準法の御指摘の条文の改正は考えておりません。しかし何ぶんにも技術の革新によりまして、設備の状態、またこれに対する労働の状態というものは非常に急激に変わりつつございますので、これらの事情に対応いたしまして、できるだけ安全衛生を全うしたいという見地で災害防止規則をつくってまいりたいと考えます。これらの規則ができ、またそれを運用していくという過程を通じまして、行政的に見まして安全衛生に関する基準法の内容を整備しなければならぬというような場合も、あるいは将来あり得るだろうと思います。そういう事態につきましては、労働省といたしましては絶えず安全衛生の立場から実情を十分にながめまして、そのときどきに必要な措置を怠らないようにいたしたいと存じます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 最後に大臣にお伺いしておきます。  先ほどちょっとお尋ねしたのですけれども、公労法上では安全に関する団体交渉の対象事項というものが明記されておるわけであります。そういたしますると、これからこの災害防止規程というものが、安全の管理上果たす役割というものが非常に大きいということは、大臣も認められておるとおりですから、これは当然公労法の精神どおり、団体交渉的な立場に立ったところの労働者の意見の反映、こういうふうになっていかなければならぬのじゃないかというふうに考えます。意見聴取をこれからの手続の中で十分にやっていくとはいいましても、具体的な問題については、単に現在の基準法上の就業規則と同じように、意見は聞きましたという程度になりかねない、こう思いますから、公労法の八条と同じような精神で運営をしていくというふうにできるのかどうか、この点をひとつ明らかにしていただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 なるほど公労法にはさような規定もございます。しかしながら、労働基準法の考え方といたしましては、この安全につきましては、基本的にはこれを使用者の責任として法体系をつくり上げておるのでございまして、使用者が自己の責任において安全衛生に関する規定をつくるにあたっては、労働者と十分に話し合いをした上でつくる、これはこの安全衛生に関する規定というものが労働者に直接影響することでございまするから、同じであろうと思うのでございます。  そこで今度の災害防止規程につきましても、むろんそのことで重要な事項は、実際的にやはり就業規則の中に取り入れられるものもあろうと私は存じます。その場合においては、当然これは基準法上の労使の話し合いに基づいてやられるべきものであるし、またそういう趣旨で運用さるべきものだと思います。要するに労働災害防止の規定というものは、目的はあくまでも災害の防止、減少にあるわけでございまして、この目的を達するには、使用主がある決意をするだけでは足りないのでございまして、この決意に対応して協力する労働者側の将来の行動というものが保証されて、初めて災害防止の実があがると思うのです。したがいまして、私は、安全衛生等の規定について、労働者側の協力を最初の段階からあらかじめ確保するという意味におきまして労働者の意見を十分に聞き、また話し合いの結果に基づいて内容を取りきめていくということは、当然の事柄だと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 いまの意見を聞くということでございますけれども、これは法文上でも明確になっておるわけです。私の申し上げておるのは、安全に関する事項というものは、方向については労使の意見が一致しますけれども、具体的な内容については、意見が相違するという例が非常に多いから申し上げておるのでありまして、この場合、当然安全の維持については使用者の責任ではございますけれども——だとするならば、使用者が独自にやってもいいはずです。国がお金を出して補助してまでやっていくというためには、その必要があってやっていくわけですから。一番災害を受けて困るのは労働者でございますから、したがって、労働者の意見というものを反映するというその反映のしかたについては、公労法上のような形でない場合には十分とはいえない、こういうふうに考えられますから、これからの手続の制定にあたっては、そういう考え方に立ったものというふうに理解をしてよろしいですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 私は、この安全衛生の問題は、労働者の完全なる協力がなければ目的を達成することができませんし、また労働者の完全なる協力を得るためには、その内容をきめる前にあらかじめ労使が十分に話し合いをし、意見の一致を基礎にして定められることが、当然望ましい、こういう意味におきまして、運用上においては、団交を基礎にして決定していくということが正しい行き方だと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 やや納得をしました。そうすると、この災害防止規程の策定にあたっては、労働者の意見というもの、労使対等の立場に立って交渉し、話し合いが行なわれ、合意に基づいたものが初めて労働大臣の認可条件になるというふうに理解してよろしいですね。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 さような趣旨でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 了解しました。  それでは、私の質問は以上で終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 島本虎三君。

島本虎三日本社会党

○島本委員 労働災害の防止に関する法律案の概要について、いままでそれぞれ質問がありましたが、私自身、この法律案の中で若干疑義があります点を解明するために逐条的にお伺いしていきたい、こういうように思うわけです。  その前に、ただいままでの吉村委員の質問に関連して、大体の考え方だけをひとつ伺いたいと思います。それは、基準法の実施に全力を尽くしているというような答弁がいままであった。大臣もいまつけ加えて、今回のこの法律案はそれ以上の措置を行なうためにやったのだ、こういうような御答弁があったわけです。まことにそうだとまさに答弁として完ぺきであって、それ以上のものはない、こういうように私どもとしては思うわけです。この基準法実施に全力を尽くしているということばが、どういうような具体的な方法によってあらわれてきたのか、いまあらわれてきたのはたった一つしか見ておりませんが、具体的に、この問題に対しての考え方と対処をまず聞いておきたいと思います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 私どもは、産業災害防止につきましての監督指導行政を今後とも強化してまいりたいと思うのでありますが、法案をつくりますと同時に予算折衝の時期になりまして、私といたしましては、この法案ができて業界における実施体制が確立しますといたしましても、従来の監督はますます強化いたしたいということで、大体前年度の安全関係の予算総額が一億九千万円であったのでありますが、それを二億四千万円くらいに増加いたしたわけであります。こういった形で予算の確保を通じて監督行政を強化いたしますとともに、私といたしましては、特に災害率の高い業種あるいは特に災害率の不良な事業場につきまして特別の指定をいたしまして、今後の監督をさらに一段と強化してまいりたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 これからのものはわかります。それでことばだけじゃ私ども国民に相すまないのです。基準法ができたのは昭和二十二年四月、現在が三十八年、それ以来連綿としてこれは実施されておるわけでございます。本日初めてこういうようなことが行なわれたはずではないわけです。それまでの間に、歴代の大臣もまた局長も、同じような考えでこれを実施してきておるのじゃないかと思われます。いまこつ然としてそういうような構想が浮かび上がったのじゃないと思う。二十二年四月、基準法が制定されて以来現在までの間に、こういうような精神でやってきていながら——おそらくは私どもとしては、ここに一つだけ取り上げてもおわかりのとおりに、ほんとうにざんきにたえない点もあるわけです。ことしの二月ごろの予算委員会の第四分科会、それから三十七年の十二月十三日の参議院の社会労働委員会、この中で、くしくも同じような問題が取り上げられた。地方自治体がこれを行なっている清掃作業員のほう、これがウイークポイントになっておって、青森その他において二十五人も死んだ人を出しておきながら、基準法の安全衛生関係の点がさっぱり伸びておらないという事実を指摘されて、そして局長自身も、参議院の去年の十二月のときに平あやまりにあやまっておる。予算委員会の第四分科会においても、今後このようなことがないようにしたい、こういうように言っているわけです。基準法の実施に全力を尽くしておらなければならない——昭和二十二年四月に発足以来、いつでもこういうことばかり言って、そして行なわれているのはこういうような事故で、被害を受けているのは労働者である。これではやはりから念仏にすぎないのじゃないかと思うのです。こういうようなことがあってはいけない。したがって、今度の場合は、私としては逐条的に聞いていきたいと思うのです。これを言い出しました以上、東京の夢の島のあの災害の清掃作業員の処理の問題、それから青森にも起こった同じような事件の問題、それからそのほか各都市でも清掃作業員の死傷問題が続発しておったわけですが、現在これに対してどのような善処をいたしましたか、具体的な事実をお示し願いたいと思うのです。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 かねて先生御指摘のように、清掃作業における労働条件の問題、この点については、従来とかく注目を浴びることが少なかったのでありますが、ますますその仕事が重要になりますし、それから作業そのものが非常に困難な、つらい作業でございますので、今後ともこの業種における労働条件というものは、ますます向上していくべきものだと思います。ただいま夢の島のケースについての御指摘がございましたが、昨年の十二月に夢の島におきまして、清掃労働者が災害にあいまして死亡いたしたのであります。この点につきましては、はなはだ残念でございますが、私どものほうといたしましても清掃事務所に対しましては、今後の清掃事業場の安全の見地からしての整備のいたし方、あるいはこれについての作業の段取り等について、詳細に厳重に注意をいたしておるところでありますが、何ぶん水谷さんという方がなくなられまして、この点についての労災補償の問題につきましても、私ども至急に支払いをいたしたいと思ったのでありますが、遺族の発見が——本人が名前がちょっと違っておりました関係上、御遺族の発見に手間どったのでありますが、最近その御兄弟の——お一人はまだ不明でありますが、お一人がわかりましたので、直ちにその半額を銀行のほうへ払い込みましたような事情でございます。  なお、安全の措置については、先ほど申しましたように、今後こういう事故の起こらないように、作業場の整備、仕事の段取りについて十分の注意を今後ともいたすつもりでおります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この労働災害防止に関する法律案の第六十八条に「国、地方公共団体及び公共企業体等労働関係法第二条第一項第一号に規定する公共企業体が行なう事業については、適用しない。」とある。こういうようなりっぱな法律案を出していながら、それをいままた重点的に行なわなければならない安全整備、作業取り締まり、これを厳重に注意しなければならないというほうは、これを除外したという理由はどういうようなことになるわけですか。

大野雄二郎労働基準監督官(労働基準局労災補償部長)

○大野政府委員 お答えいたします。  第三章の団体のことでございますが、この問題につきまして、国、これに準ずる地方公共団体——地方公共団体はこれに準ずると考えるわけでございますが、国のほうは、事業主団体の組織、運営というものを援助する立場にございますので、国みずからそういうことは妥当いたさない。地方公共団体についても同様でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、そういうような大事な業種であるところの清掃事業、特に地方公共団体、公共企業体が行なっている事業は適用を除外した、平たく言えば、経営者が国または地方自治体であるということのために除外したと言う。では、実際の作業の取り締まり、実際の監督指導、こういうような点はどういうふうにしてこれを強化していくのですか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 ただいま先生御指摘の点については、団体の清掃に関する規定が適用になるわけでございますが、一般の労働条件、安全衛生の問題、これはあくまでも労働基準法の適用対象になるわけでございまして、地方公務員法に明確に規定しておるところでございます。当然その規定が、今後も従来どおり適用されることになると思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、最も数の多い、重要だと思われる地方自治団体の清掃の問題は除外しても、基準法の中において十分これをやっていけるとしたならば、同じような問題に対しても、なぜ特にこういうようなものをつくらなければやっていけないのかという疑問が当然起きてくる。こういうような自治団体、このようなところはいままでやっておらない。やっておっても、監督行政の手が伸びていない。サボっている。サボるままに放置してあった。したがって人畜の被害が出てきた。これに対しても、強力な行政指導やこれに対する一つの措置、こういうようなものを講ずるのでなければ安全衛生の効果はあがらぬのです。それが、現在出されている法律案によらなくとも、基準法によってりっぱにやっていけるとするならば、それによってほかのほうだって一緒にやっていけるのじゃないですか。こういうようなウイークポイントの点にこれを及ぼすのでないといけないと思う。そうすると、それ以上の点、それ以下の点、いろいろあると思うのです。いままでのウイークポイントをそのままにして、地方自治体であるからといってそのままにしておいていいものであるならば、今度できるこういうような一つの法律によるところの団体——二種類ぐらいあるようですが、こういうようなものを通じて行なうこういうようなものも、おそらくは私としては心配にたえないような状態に運営されるんじゃないかと思われるのです。最も重要なこういうようなものに対してはそのままにしておくのですから——それとも、これに準用するような何か適当な措置を講ずるのですか。それとも、基準法によってそのまま実施していったら、清掃のほうだけは完全にいくし、他のほうはいかないのですか。この辺を、私不敏にして十分理解できませんので、わかるように御説明願いたいと思います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 この産業別の協会を設置いたしますのは、業種を指定いたしまして設置いたすわけでございますが、この指定業種につきましては、私どもいま考えておりますのは、特に災害率の高い業種について、総体的な組織の状況等を見ながら指定してまいりたいと思っておるわけであります。その他の問題につきましても、全般的に中央協会のもとに包括して措置をいたしてまいりたいと存じます。ただ国家並びに地方公共団体につきましては、先ほど労災部長から申し上げましたような理由で除外いたしておるのでございますが、これについては基準法の監、督指導はもちろんでございますし、特に清掃事業については、前回のような事件もございましたので、私どものほうとしては、格別の関心を持ってこれに指導と援助を与えてまいりたいと考えております。何ぶんにも清掃事業の将来における役割り、それから労働の困難性、こういう問題について私どもはこの際心を新たにして、この労働条件の向上に一そうの努力を払わなければならないと考えておる次第でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 誠意に期待する以外にないですね。具体的なものはまだ御発表になれない。ただその誠意に期待する以外にないということは、まことに心細くもあり、心強くもあるわけです。こういうような状態ではほんとうの審議にはならないんです。そこが私としては一番大事なところであろうと思ってやったのですが、そのような誠意だけにゆだねていいだろうかどうか、こういうふうに思います。こういうものはそれでは困る、こう言わざるを得ません。これはあえて労働災害防止に関する法律案、これを出しているけれども、それによらなくとも、それにかわるような一つの指導方針、こういうものを出して、これによってそっちのほうはやりますよというなら具体的でわかります。これはもう除外されているのだからいままでどおりやりますよと言っても、昭和二十二年四月以来ほったらかされていた場所なんですから、それを口だけで、口頭禅と申しますか、それだけで誠意を持ってやると言っても——私はあなたを信頼しますよ。労働大臣もかつてないような優秀な大臣ですから、私もその点は信頼できますよ。しかしながら、何もないところにおいてただ信頼せいと言うほど不安定なものはない。この点なんですよ。何もなくてもあなたを信頼して、今後万全を期することができるという確認を、ひとつあなた、はっきり言ってください。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 昨年来、本件につきまして社会労働委員会においてたびたびの御質問、御意見の御開陳でありますので、私どもも、清掃事業の労働条件の今後における向上という問題については肝に銘じておるわけでありまして、今後私といたしましては自治省とも相談いたしまして、清掃事業の今後の発展のために、労働条件、労務管理の近代化、こういう点に努力を続けたいと思っております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 他省の問題になると局長ではだめなんです。これは大臣でないと自治大臣と対等にやれないでしょう。あなた、大臣でないのにやりますと言ったって、業務連絡ぐらいしかできない。大臣、それでいいんですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 これは他省の所管事務になりまするから、こちらといたしましては、法令の根拠に基づかなければ権限を持ってやるわけにはいきません。しかし、御承知のとおり労働基準法というものもございまするので、これに基づまして必要な措置をとるようにいたしたいと思います。つきましては、何しろ相手が相手でございますので、こちらも十分に研究をし、自信のある対案を示したいと存じまして、目下せっかく調査をいたしております。できるだけ早く結論を得まして御趣旨に沿うように明確にしたものを出したいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 同じ適用除外の中で、現在いろいろな法的な盲点にある、またこの高度経済成長政策をいかに実施しても、これから漏れるものに沿岸漁民があるんです。これは人口の点からなにしても、いまの状態では、いかに政府が政策を進めてもそれだけは救えない、こういうような状態にあるために無理をするような作業が行なわれる、あの二十トン未満の沿岸漁船を操業してやっているこの被害というようなものも、日本沿岸各般を通じて被害が多いわけです。一方は自分がほんとうに一人親方のような立場でやっている、こういうようなものは労災保険の適用はもちろんない。どのような災害を受けても、これはほったらかされておるような状態は、法の盲点ではないかと思う。二十トン、三十トン以上のものは、これは当然船員法の適用を受けるから、ある程度の補償はあるかもしれません。しかしながら、それ未満の零細漁民に対してはこの適用から除外した、こういうことに対しては、将来いろいろな点で考えてやらないといけないのではないかと思う。こういう問題に対しては局長あたりも詳しいのではないかと思いますが、これに対する救済の考え方をはっきりさせていただきたいと思う。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 災害防止法におきましては、船員法の適用を受けますところの船員につきましては、この法律から適用を除外しております。しかし先生御承知のように、船員法の対象となる船員の定義は、二十トン以上の船舶に乗り組む船員でございます。したがいまして、合法的に基準法の適用を受けますのは二十トン未満の漁民ということになるわけであります。これは従来どおり労働基準法の規定によりまして、監督指導をやっていきたいと考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 やっているのですか、やっていないのですか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 労働基準法の規定によりまして、二十トン未満の漁民については基準法を適用し、監督を実施しております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そういう問題については、いろいろと沿岸漁民のほうからも、現在のままではいけないから、それをもう少し広範囲に拡大して適用してもらいたいという要請も強く出ておる。その適用が、いわば片や一人親方である以上これは労働者とは認めがたい、使用者がなければだめだ、こういうことで、そういう問題については現在いろいろ研究中でもあり、具体的な対策がまだ出されないままになっておるのではないかと思うのです。現にそのままやっておるとすれば、私としてはそういう前提で次に進んでもよろしゅうございますね。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 二十トン未満の漁船の労働条件について、私どものほうでも、もちろん労働基準法の適用がある問題でございますから監督なり指導も、十分手は至りませんが、行なってはおりますが、ただ、いま先生御指摘のように、いわゆる一人親方とか、あるいは家族労働者の使用の問題とか、いろいろ複雑な労務態様をなしております。したがって、基準法を適用いたすにつきましても、なかなかむずかしい点はございます。ただ御指摘のように非常に重大な、また日の当たらない部分であります。私どもも、今後とも十分実情を調査し、対策を進めていくようにいたしたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 第二条にきめられている用語の意義の中で、労働災害、これは第一に明確に言っておりますが、労働災害と限定し、産業災害としなかった理由について解明願います。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 産業災害、労働災害というふうに世間ではいろいろ使われておりますが、ここで定義いたしましたのは、当該事業場におきまして労働者が就業中に労働者自身が受けるところの災害、それは物的災害であれ、あるいは作業構造上の災害であれ、そういうものをひっくるめまして、ここで労働災害というふうに規定したわけでございます。産業災害という表現になりますと、その概念がやや広くなろうかと存じます。単なる爆発ということによって、それがその事業場だけでなく、公害的な影響も及ぼすというようなものにつきましては、これは産業災害というように言っておるようでございますが、それとの混同を避けますために、先ほど申し上げた趣旨で労働災害というように書いたわけでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうなりますと、具体的な例で、煙を大いに吐く業種、この煙は煙突を高くしますから、当然風に乗って工場以外のところに全部落ちるようになる。工場そのものには落ちない。工場の労働者としては、直接煙の害は受けないけれども、今度一たん自分の住みかに帰って、自分の工場から出されたばい煙を吸って、そういうようなことのためにいろいろ病気を発し、損害をこうむる、こういうような場合も当然あり得るわけです。今後やはりそういうような問題については、産業災害と見るか労働災害と見るか、こういう区別だけの問題ではなしに、大きい一つの災害、公害というような見方から規制しなければならないというのは、全世界的な動きになっているわけです。これにははっきりと労働災害というふうにうたってあって、産業災害、いわゆる公害というものに対してはオフリミットで、手は触れませんよと言っている。これは競合し合ってこれによって害を受ける、そんなおそれは全然ないのですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 この労働災害は、いわゆる公害という概念とは別個でございます。ただ先生御指摘のように、病気なり障害というものが何によって起こったか、すなわち工場で働いておる間にばい煙を吸って起こったのか、うちへ帰ってから生活中に吸って起こったのか、この辺、事実上競合することは非常にたくさんあろうかと思いますが、これはやはり労働災害の業務上の災害の概念の判定の問題でございまして、事実上競合するような場合は非常に多かろうと思いますが、ここで取り扱いますのは、公害とは別個の概念としての労働災害でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 疑問に感ずるところは、これはやはり公害と見られない、いわゆる産業災害でもない、労働災害として直接受けるものである。間接に受けるようないわゆる労働災害または公害というところに及ばないということになると、これは範囲の問題、距離の問題で今後問題になる要点が多いのじゃないか、こう思われるわけです。これに対しては、私は将来十分考えておいてもらわないといけないと思うのです。このままにしておいても、必ずこの辺から将来問題は発生してまいりますから……。私はいま具体的な例はあまり知りませんが、もっと言えというならば、たとえばにおいの問題から始めて、九州の延岡の問題から稚内の問題、いろいろありますが、そういうのは現在法律では規制できないのか。基準法や何かで規制されないために住民、市民が重大なる影響を受け、健康上にも重大な悪影響を受けておる事例があるわけです。法律ではどうにもできない、労働災害として規制はできない、ただやりっぱなしということは、将来の公害対策として一つの重大な欠点になる、それだけは私は申し上げておきたい、こう思います。  次に第四条のほうにいって、「労働大臣は、毎年、中央労働基準審議会の意見を聞いて、基本計画の実施を図るため、次の事項を定めた労働災害防止実施計画を作成しなければならない。」ことになるわけです。そういうことになりますと、当然この中央労働基準審議会というようなものが、重大な一つのポイントを握ることになるわけです。巷間伝えられるところによりますと、これは機能は麻痺しているのじゃないか、十分発揮してないのじゃないか、こういうようなことをいわれておりますが、これはどういうようなものでしょうか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 中央労働基準審議会におきましては、この法案策定のときにも、しばしば会議を開いていただきまして、非常に真摯な御意見の開陳と交換があったわけであります。麻痺しておるというのはどういうことなのか、ちょっと私も理解に苦しむわけですが、私の経験いたしますところでは、労使公益とも、活発な御意見の開陳と御交換、さらには時によりましては、実地視察等も行なっていただきまして、非常に活発な御活躍を願っており、私どもとしては、そのつど非常に有益な御意見、御叱正を賜わっておる、かように考えております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 去年一年間で何回開催しましたか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 正確な数字はわかりませんけれども、これは会長の石井照久先生が取りきめまして、必ず毎月一回平均実施しています。そのほかに、災害防止関係の最近の技術進歩に応じますところの規則の改正という専門技術的な問題につきましては、特別な安全衛生部会というものを設けまして、規則改正の事前の審議というものは数十回開催しておる、こういう状況であります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 労働大臣の諮問機関なんですが、これに対しては建議権や勧告権は認められておりますか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 これは労働基準法によりまして建議権がございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 第四条によって、労働大臣は、労働災害防止実施計画を作成するのに、中央労働基準審議会の意見を聞くことになっておるのですが、これはただ聞いてだけおるのですか、それとも、 この審議会の中にはいろいろな部門があり、いろいろな人たちもおると思いますが、今後は全面的にこのようなものを活用して、大臣が動くとともに、こういうような審議会が動くことになるのですか。法が成立した以後はどういうふうなことになりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 労働基準審議会は、いま申し上げましたように毎月一回以上開いておるわけであります。その際、私どものほうから資料も提供いたしますし、それから特にこういった点についての御意見を承りたいという点について、私どものほうから会長にお願いしておるわけです。毎回必ずその会議のあとに、会長から、その他の問題について随時各委員の御意見の開陳を願っておるわけであります。その意味で、いわば私どもとしては、中央審議会はフルに御活躍を願っておると存じております。また御意見の点につきましては、現在までのところ、労使公益いろいろ御意見はございますが、終局的には意見の御一致を見て、私どもに御教示をいただいておる状況であります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 この点だけはわかりました。  次に第八条のほうにまいりまして、二の労働災害防止協会、この協会にはどのような業種を予定されておりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 法律制定後指定するわけでありますが、現在一応考えておりますのは、建設業、林業、それから陸上貨物取り扱い業、港湾荷役、こういった関係を指定業種にいたしたいと予定はいたしております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そのうちの港湾荷役の点は、船内作業も含みますか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 含みます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 いままでいわゆる港湾荷役の問題等においては、全世界的にも日本の作業状態の悪いこと、この安全衛生関係の改善の要望というものは強かったのですが、港湾荷役は船内作業も含むということで、この点は私は了承して次のほうに移ります。  先ほどからいろいろと言われておった中で、この中央協会及びいろいろな労働災害防止協会、こういうような協会ができますが、これには会費収入、事業収入、政府の補助というようなものが見込まれるようです。この会費収入を見込んでおって、それで完全に業者を中心とした運営になってしまう場合には、完全な安全衛生という点はほかのほうに行ってしまうおそれがあるということが一番危惧され、吉村委員もその点についてはいろいろと質問を展開されたと思うのです。この点については、会費収入を見込んでおって、なおかつ完全に法律によって盛られた労働省側の意向並びに労働大臣の監督の意向を受け入れて、完全にこの業態を運営することが可能でしょうか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 補助金を支出するにつきましては、協会の予算全体について何分の一であるとか、そういった補助のしかたではなしに、やはりどうしてもやっていただかなくてはならない仕事について補助金をお出しするという形の、補助金の出し方にいたしたいと考えております。したがって、従来から会費を取って運営されている団体もここに入ってまいりますし、また新しく会費を徴収する場合もありましょうが、それはそれで独自の安全活動をおやり願う。ただ国家としてお金を出してやっていただくものにつきましては、やはりお金を出してその仕事を指定するという形になるわけです。したがって、その点につきまして十分な補助金を出す趣旨の達成ということは可能であろうと考えます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 こういうようなものは必要な場合には政府補助によって動かす、こういうような場合にはよくわかるのです。現在までいろいろ基準行政を見てまいりましても、業者が任意団体とは申しませんが、要請に基づいてこういうような団体を会費制でつくる、こういうようなものに対して幾らやっても実があがらない、あがらないという事実が逆になって、依存性が全面的に高まってしまう。したがって基準局あたりがつくっても、その中の什器、備品までも全部寄付にゆだねたという過去の事実があるわけです。過去の事実がはっきりしているのに、今度だけはだいじょうぶ、運営だけはうまくいきますよということになると、この点私は危惧を感ずるわけですが、いままでのように、いろいろな協会がありましたが、基準行政関係のいろいろな寄付を願っておったような悪弊は、現在は全然ございませんか。それから今後この十四条の協会、すべてこういうようなものの規制の中に、会費制によっても運営が全きを期せられるのかどうか、この点は私は疑問としております。その点をもう少し具体的に、過去の例からして、現在これをやったならば、完全にそういうような弊はないということを断言してもらいたいと思う。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 基準局の庁舎の建設につきまして寄付を求めたりいたしておることは、現在はございません。なお本団体につきましては、もちろんそういうことは予定もいたしておりませんし、この協会のたてまえからいたしますと、そういう可能性は全然ないと考えております。この点については、私どもこれに依存してどうこうということは考えてないことをはっきり申し上げたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 現在においてはないということで安心しましたが、過去においてはこれはあったのです。いまの大臣になってからはないのかもしれぬ。前の福永大臣のときには、予算委員会であやまっているのです。こういうような実例もあるので、それに対して具体的に今後はこういうような弊害が絶対ない、こういうような確証をここにやっておくのでないと、この十五条だけはちょっと困る。つまり十五条の会費の収入、事業収入、政府補助、この三つで運営するようになっておりますから、こういうようなものを見ます場合には、過去においてこういうふうなことは弊害があったが、今後は絶対ない、今後と過去はどうなんだ、大臣が違っただけだ、こういうようなことでは信憑性がないと申しますか——私としてはこれは十分信用しておきましょう。こんなことがあっては今度はたいへんですからそうしておきましょうが、えてしてこういうようなところに、会費運営制度を行なう場合においては、遠慮をして、中に十分の意向を盛れないだけではなしに、その上にあぐらをかいて、逆に業者から寄付を取るという存在に堕しがちになる。そういうふうなことは絶対ないように気をつけないといけないと思うのです。この運営について、会費納入の点で、これは局長の意見はわかりましたが、大臣はどういうふうにして今後運営していきますか。今まで例があったことは十分承知しております。この点、大臣のほうから明確にしておいていただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 会費に伴って弊害のないようにという御趣旨は同感でございます。特に会費ばかりでなくて、この協会の会計を明確にする等、弊害のないようにいたしたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その点はくれぐれも大臣に要請しておきたい。  三十六条のほうに急に飛びますが、労働災害防止規程がいろいろ三号まできめられておるようです。これは一つの具体的な労働者に対する規制になるのではないか、こういうふうなおそれもありますが、規制になるとすると労働強化になるのではないか、労働強化になるとすると権利義務の規制になるのじゃないか、当然こういうふうなおそれが生じてまいりますが、この点はどういうようにお考えになりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 災害防止規程は、労働者の労働強化とかそういうことではなしに、災害から労働者を守るということが基本的な趣旨であることは申すまでもないわけであります。ただ具体的な災害防止の手段方法に関しまして、もちろんその施設、設備の整備だけでなく、作業の実施方法というような点で労働者の作業がもちろんからんでくることは当然でありますが、しかしそれは労働強化というような問題でなしに、終局的に災害から労働者を守る、こういった意味の規程に相なろうと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その点は私のほうからくれぐれも要望しておきますが、そういうようにして労働強化にならないように運営すべきだろう、こういうふうに思います。  ついでですが、三十七条に労働災害防止規程の認可、こういうふうなことになっておりますが、その二項に一、二、三、四号までずっときめております。これはこうきめることによって基準法を値下げするのじゃないか、別なものをつくって委任してしまうのではないか、こういうふうなことが当然考えられますが、これは大臣権限になるわけでございますけれども、そういうふうなおそれは絶対ありませんか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 これは先ほど吉村委員の御質問にもお答え申し上げましたごとく、基準監督の内容の一部をこの防止規程に肩がわりしようというのではございませんので、基準監督はますます強化いたしてまいりますが、それ以上の事柄につきまして防止規程によって完備をはかろう、かような趣旨でございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 もしそうだった場合には、業者のほうはこれによって直接自分のほうに被害はなくて、受けるのは労働者だ。労働者が、身命にかかわるような被害を受けるかもしれない。それを防止するためにこれをやる。こうなったら、受ける主体が労働者である場合には、これは業者が一方的にきめるが、大臣がそういうような重大なものに対しては認可をする、こういうようなことが基準法の一つの値下げにもならない、なおそれを上げることにもなるとするならば、これは当然労働者の承認、こういうようなものを入れておいてやったほうが一番すっきりするのじゃないかと思うのです。これも入れないという理由はどういうことですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 先ほど来もその辺の点についての御質問があったのでございますが、要するに先生も御承知のとおり、労働条件について、就業規則という段階と労働協約という段階があるわけでございます。労働協約はもちろんその労使の意見の合致ということで、就業規則は本来経営者が独自に定めるべきものでありますが、しかし労働条件でございますから、直接の影響を受ける者が労働者である、それからまだ労働者の労働の実態に即したものであるべきである、こういう点から労働者の意見を聞くことになるわけです。したがって、その点につきましては、意見の一致を見るということになりますと、それは労働協約の段階になる。本法案に規定いたしております災害防止規程というのは、いわば集団的な就業規則であります。就業規則の段階のことを申し上げておるわけなんです。したがって、労働者の意見を聞く、その意見を聞く手続につきましては、今後省令をもって定めてまいるわけです。したがって仰せのとおり、労働者の意思の合致ということになりますと、それは労働協約の問題であります。その辺二つの段階——労働協約というものは労使の意見の合致でございますから、その点に触れるものについてはこれを拘束しない、こういう規定を置いておるわけであります。したがって、段階の違う問題とお考えいただいてしかるべきかと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 段階が違うけれども、法律によってこれをはっきりときめられる以上、これは双方とも拘束を受けるのははっきりしている。拘束を受けるうちでも、これをやられることによって身命にかかわるのは、経営者ではなくて労働者であります。労働者である場合は、労働協約であろうと就業規則であろうと、命にかかわるような重大な問題で、これは決していわゆる基準法の値下げにはならないんだ、むしろ値上げになるんだ、別なこういうようなものをやっても、大臣が認可する以上、それを強化することによって労働者のためになるんだ、これを拒否する労働者はないし、円満にこれを実施して、それによって実があがるのに、これを基準法ではなくて就業規則であるから要らないのだとかなんとか言うことがおかしい。ほんとうにそうだった場合には、大臣と同様に、これは労働者の承認を得て、円満にその仕事をなし遂げるというような態度が必要なんじゃないですか。それを労働者だから要らないんだ、就業規則的にこれを運営するから要らないんだ、この考え方がくさい。これはくさくないんだったら、理由をはっきりしてもらいたい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 先生がおっしゃる意味は十分わかるわけなのでありますが、私、先ほど申し上げましたのは法律的に過ぎたかもしれませんが、要は、労働条件として非常に労働者に関連の深いことでありますから、労働側の意見を十分聞くということ、それからさらに、災害防止規程というものは労働大臣の認可にかかわらしめております。したがって、その認可に持ってまいりますまでの先行する手続の上で、いま島本先生おっしゃいましたような、十分その実情に沿った、労働者の利益をほんとうに守るような規定でなければいけないわけであります。したがって、まず先行する過程において労働者の意見を聞き、さらに労働大臣が諸般の状況を全般的に見て妥当なものとしてその認可に当たる、こういう二重のチェックをいたしております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 ちょっとくどいけれども、もう一回念のために……。労働者の意見を聴取するということは、拘束力があることが前提でないと、ただ聞きっぱなしであるということをおそれるから、いまのような質問になる。拘束力があるというのはどこの条文にはっきりしておるのか、それを示してもらいたい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 法文におきましては、意見を聞くと相なっております。したがって、その意味におきましては、基準法等におきます就業規則の定めにおける労働者の意見聴取と同じ法の構成に相なっております。ただ、ここで変わりますのは、その後において労働大臣の認可にかかわらしめておる点が、就業規則の場合とは違っておるわけであります。したがって、その場においてさらにチェックできる仕組み、二重のチェックできる仕組みに相なっております。

島本虎三日本社会党

○島本委員 一言だけ聞くのですが、意見を聞くということは、労働者の意見を聞きっぱなしじゃなく、言った以上それをはっきりとして聞いてくれる、十分参酌してそれを実行してくれるのだ、こういうようなことであればいいのです。それがいわゆる拘束というのです。そうでないと困る。したがって、その心配がないかということを聞いておるのですが、あなたの御答弁ではその心配があるのです。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 私は、安全とか衛生につきましては、経営者が労働者の意見を聞きまして——いろいろの意見が出るでしょう。しかしそれを全部そのまま聞けといっても、それはいろいろの意見がございますから無理でございましょうけれども、肝要な点につきまして経営者が労働者と十分に話し合いをいたしますれば、現実の事実の認定とこれに対処すべき科学的な方策と、この点につきまして必ず意見の一致が見られるものと私は信じておるわけなのであります。したがって、その点について現実の問題としては心配がないのじゃないか。ことにこれが安全衛生の題問でございますから、私は必ず労使の意見の一致が得られるのではないかと思うわけであります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 その辺は少し心配ですけれども、心配だといってもしようがないから、次へ移ります。  これは元方事業主ということばでいっておりますが、元方事業主というようなものは、今後は下請の労働者に対する責任も負う、こういうことになるわけですが、この災害防止のいわゆる義務は、このあらわれた条項によりますと、はたして完全に負わせるということになるのか、負ってもいいということになるのか、この辺少しあいまいだと思うのですが、この点は五十六条、五十七条によって、これはどういうような規制になっておりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 五十六条以降の特別規制措置でございますが、これは建設業その他におきまして、同一事業場において使用者が重なり、あるいは並行しておりますような場合、同一事業場において数個の使用者と労働の関係がございます場合、しかもその労働の実態というものが同一事業場で混在いたしております場合、こういった場合におきましては、安全措置の上からいっていろいろ問題が起こる。しかもそれが、基準法の面におきましては雇用関係というものが前提になっておりますので、自分が直接雇用しておる労働者以外には責任は及ばないわけであります。したがって、こういう点について特別の措置が必要ではないか。具体的に申しまして、その事業場内において安全についての統一的な管理を、一番その事業場において経済的といいますか、事実上の支配力を持つ元請の者に負わせるということが第一の点でございます。それから第二に、同じ事業場において元方の提供いたしますような施設そのものについて、十分な安全措置、安全保持の責任を負わすということ、こういう二点が特別規制のポイントでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 元方事業主がそれを負わないという場合、これはやはりこれによって見ますと、「統轄管理者の選任、協議組織の設置、作業間の連絡及び調整、作業場所の巡視その他必要な措置」、こういうようなことになっておる。こういうような義務を課せられていても、こういうようなことでは完全に災害防止の義務を付したということになるのかということを、私はまだはっきりと、なるということについて然諾することができない。これくらいならだれでもやります。このほかに、もっとその他の条文の中においても、いわゆる元方事業主の義務は、これは少しあいまいであると思われることに対して、これはあいまいではございませんというふうに明確にしている点はどこですか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 事務的に補足申し上げますと、元方事業主に課しました義務というのは、先ほど局長が申し述べた通りでございますけれども、下請自体も、この法律と離れて基準法上の使用者としての義務もあるわけでございます。その点については、別段元方にその義務が行ってしまうというようなことではございません。基準法の義務は基準法の義務で生きている。ただ五十六条で新たに設定いたしましたのは、元方事業主の労働者と下請事業主の労働者が同一の場所で混在して働く場合に生ずる災害の原因というものをいろいろ調べてみますと、やはり事業主間の連絡その他というものが非常に悪いために起こる災害というものが、圧倒的に多いわけでございます。したがいまして、その点を調整することによって、基準法上課されております個々の事業主の災害防止というものが非常に補足的に効果があがってくる、こういう観点に立ちまして新しく元方事業主の義務をきめた、こういうことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そうすると、作業員だとか、いろいろこれに対して規定されてあるような、こういうようなことをする程度のものが元方事業主の義務だ、こういうことになってしまうわけですが、私としては、災害防止の義務が、これは総体的に元方事業主の義務としてはっきりしているんだな、これによってだいじょうぶなんだということはどこなんだということを示してもらいたいということなんです。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 五十六条の第一項の最後のところに、具体的には「統轄管理者の選任、協議組織の設置、作業間の連絡及び調整、作業場所の巡視その他必要な措置」といたしましてただいま考えておりますのは、合い図方法の設定、あるいは監視員というものを設定するということを労働省令で詳細にきめる、こういうことでございます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 選任だとか設置だとか連絡だとか調整、巡視、これだけだったら、これだけやっていて完全に災害防止の義務というようなことには、私はあいまいだと思う。問題にすると、必要な措置はこの中に全部入って、これは政令で定めるということがみそなんですな。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 その他必要な措置で、労働省令で具体的に定めたいと思います。  それからもう一つは、元方に課されました義務として、五十七条においては物的な設備、施設あるいは原材料、こういうものについても下請の労働者に使用させる、こういう実態がございますれば、元方の事業主に対してやはり労働省令で定める基準に従って具体的な管理上の義務を課していく、こういう考えでおります。

島本虎三日本社会党

○島本委員 言っている範囲ではわかりましたが、それも今後この法律にある以外のこういうような政令だとか、そういうような関係してくるいろいろな場所でこれがきめられるということになると、これもあいまいじゃないか、まことに災害防止の義務を実施する元方事業主の義務は、考え方によれば、法律上あらわれてきているだけではあいまいじゃないか、こういうように思われてなりません。これは大事な点ですから、あなたの考えは、今後の問題で政令その他にゆだねるという点でわかります。しかしその他必要な措置を講ずる、それ以外の具体的にあがっている問題だけでは、少し心配な点があるわけです。今後はこういうような点が一等重要な点で、この点が一番ウイークポイントになるおそれがある、私はそう思います。この点は、私はほんとうに大事なところだと思っている点なんです。  そのほかにまだまだありますけれども、もう私もいいかげんに腹も減ってまいりました。しかし、ここで聞いておきたいのは、六十条なんです。この六十条は緊急措置となっておりますが、この緊急措置は、はたしてやる意思があるのですか。それも、やる意思がないのだけれどもこれだけつけなければどうにもしようがなくて、法律のていさい上つけたのですか。この点、少し皮肉ではございませんが、意思があるならばはっきりそれをここに明言してもらいたい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 緊急措置につきましては、従来労働基準法の五十五条に規定があるわけなんであります。ただ、この基準法の規定は安全衛生規則に定めがあって、これに違反した場合において発動することに相なっておるわけです。しかし、具体的なこういう緊急措置の起こり得る場合というのは、必ずしもすべて安全衛生規則の法規によって定められておるわけではございませんので、したがって、そういう場合以外におきましても緊急の必要あるときは発動いたし得るようにいたしておきませんと、いざというときに因るというわけです。ただこの緊急措置というものは、やはり非常に影響も大きいものでございますから、したがって必要の限度においてこれを発動するというのであります。したがって、私どもとしては、むやみにこの緊急措置を頻発するつもりはございませんが、しかし緊急の必要のある場合はやはりこれは発動しなくてはならない。一がいにどのくらいやるかということは申し上げられませんですが、むやみに発動する気持ちはございませんけれども、必要のある場合は果断なる措置をとって災害を未然に防止するということが、私どもに課せられた責任であろうと考えます。

島本虎三日本社会党

○島本委員 そこなんです。六十三条によって労働基準監督官の権限というものがはっきりしてきている。この権限によっても「元方事業主、注文者又は請負人の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問をすることができる。」程度なんです。質問することができる程度、これでは、いままでの実情として往々にしてあった点では、こういうようなことをしておったのでは基準監督官となれ合いになってしまう、サロン化してしまう。マージャンをやるために特別に車を派遣して、そこへ行ってやる間に、どこかの帳簿を見るどころか、どこかのマージャンの帳簿でも見ておるような状態になってしまうおそれがあるわけです。こういうような例がいままでたくさんあるわけです。いままでは、こういうような点がいけない、こういうような点が一番弱点だと指摘されている。これだけはどうも証拠がつかめない。行っているはずなんですが、事業場へ行かないで、とある保養所、とある事業場のうちの別邸あたりへ行って、完全に監督に行っているはずなのがマージャンをやっていた、そうしていつか知らぬうちに帰ってしまった、見てほしいところは全然見てないし、きまった視察もしておらない、こういうようなことがいわれておってもつかみ得ない。しかしながら、こういうようなものについては、ここにすでに六十三条にあるように「請負人の事業場に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、又は関係者に質問をすることができる。」この程度のことでごまかそうとしている。こういうようなあいまいな点が一つある。おそらくそれだけではない。いままでの法によっても行なわれていたような実態が、もうすでにそういうように不完全なような状態で、末端のほうにいってみますと、これは大臣や局長は知らぬかもしれないが、おそらくそういうような実態が、いままで数限りなくわれわれも耳にしておりまして、そういうような弊害があるということはよく知っておりました。しかし、この程度のことをやっては、おそらく今度でき上がる団体が、結局そのかわりをつとめるようなことになりはせぬか。もしそうだった場合には、完全に魂がなくなってしまう、この権限がそれによって沈没してしまうというようなことをおそれる。いままでもたくさんあった。今度あらためてこれをつくっても、権限が帳簿の点検程度であり、質問する程度であるというようなものならサロン化してしまう。サロン化はマージャンのいい場所になってしまって、これが役人の一つの捨て場所になってしまうという場合には、この法律はつくってもつくらぬでも同じようなことじゃないか。利用のしかたによっては、とんでもないことになるおそれがあるわけです。いままでの例として、これは否定なさるのでありますかどうか。否定することはできないと思います。現にこれをつくっても、いままで以上にそれはやらないという確証、御信念があるならば、この際、もう一回はっきり言ってもらいたい。この点については、大事ですから大臣と両方から承りたいと思います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 六十三条の規定につきましては、これは司法警察官としての職務規定、これは通常の例文であろうかと存じます。なお、緊急措置並びにさきに申しました二点の特別規制の点につきましては、団体組織の問題とは別個の面の規定に相なっております。したがって、それにかかわりなくこの点は行なわれるべきものと思います。  なお、基準監督官のあり方についていろいろ御教示をいただいたのでありますが、これは私、全国の労働基準局統轄の責任者といたしまして、今後とも労働基準の監督指導というものは、数多くの労働者の労働条件にかかわる大事な問題でありますから、私ども厳正な立場で誠心誠意の努力を続けてまいりますことをお誓い申し上げたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 労働基準監督官の職務の執行につきましては、厳格に励行すべきものだと存じますので、この上とも十分留意をいたしたいと思います。

島本虎三日本社会党

○島本委員 終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 二時三十分まで休憩いたします。    午後一時三十四分休憩      ————◇—————    午後二時五十六分開議

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 質問の順序を一部変えまして、きょうは建設省の出席を求めておりますから、建設事業における災害につきまして、最初に質問したいと思います。  本法をつくる目的は、非常に災害が多い業種を指定いたすということになっておるわけですが、問題は、建設業界の災害の一つは、今日非常に大きな労働災害の問題であると思います。建設業界において、労働災害が非常に多いという原因は一体どこにあるのか、こういう点につきまして私は逐次質問をしていきたいと思うのですが、その点について、それほどこまかな答弁を求めるわけではありませんが、なぜ建設事業界において災害が多いか、こういう点についてひとつ概括的に、まず労働省のほうから見解をお話し願いたい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 建設業における災害の原因につきましては、いろいろな機械によります災害、あるいは作業の動作、方法による災害と各種各様でございますが、私どものほうの統計の示すところによりますれば、たとえば死亡者について申し上げますと、やはり墜落災害というのが一番多うございます。これが大体全体の死亡者の中で二六%程度を示しておる現況でございます。さらに物が飛んできましたり物が倒れてまいります、そういったいわゆる飛来倒壊による災害が約二二%程度ございます。さらに動力運搬機によります災害が約二〇%、大体こういった災害原因が主たるものでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 どの資料を見てみましても、建設業界は災害が多いわけですが、比較的にそういう多い理由はどこにあるのか、どこを是正すればいいのか、こういう点ですね。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 前回の社労委員会以来、災害の原因についての御意見なり御質疑がございましたが、私からもお答え申し上げましたように、一つは設備の不十分による災害、もう一つは作業の不注意と申しますか、ふなれと申しますか、そういった点から起こります災害、こういった両面の原因があろうかと思います。さらに、その基本と申しますか、それ以前の問題として、やはり事業場全体としての安全管理体制と申しますか、組織とか連絡とか、そういった事業場全体としての安全管理体制、こういったところが災害全体の原因でもあり、同時に、建設業においては特にそのことが顕著であるということであろうと思うわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 ただいまの御答弁では私満足できませんが、それでは建設省計画局長にお尋ねします。  計画局長は、建設省としてはいろいろな公共土木事業等をどんどん進めておられるわけですが、その中で災害が多い原因につきまして、どういうふうにお考えですか。

町田充建設事務官(計画局長)

○町田政府委員 私ども建設業関係を所管しております者といたしまして、建設業法の中にもこの労働災害の問題が取り上げてあるわけでございますが、作業現場で働く労働者自身の災害の問題は、労働基準法なり労働安全規則は労働省所管でございまして、建設業法では、もっぱら、これが第三者、一般公衆に与える損害、こういうものを防止する、こういう立場で考えておるわけであります。しかし、第三者に与える損害あるいは労働者に与える損害といいましても、大体原因は同じでございまして、私ども、事故が発生いたしました場合、関係業者に出てきていただいて一々原因を調べておるわけでございますが、先ほども労働省から御説明のありましたような点がおもな原因になっておるようであります。そのほか、特に最近市街地におきましていろいろな事故が多いわけでございますが、そういう市街地の事故は、いま労働省からお話がありました以上にあるいは包摂されるかと思いますけれども、非常に現場作業場が狭隘であるとか、あるいは作業場の周囲におきますいろんな建物、こういうものが多い、あるいは地下埋設物の所在というものが必ずしもはっきりしない、埋設物の管理者に所在を確かめましても、管理者から回答があった事実と違う、もっと深いところにあったとかもっと浅いところにあったとか、埋設物の所在がはっきり確認されていないというふうなことも事故の一つの原因になっておると思います。私ども、いままでおもな公害事故、第三者に与えました損害につきましてその原因を調べたところによると、大体そういう状況でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 きょうは建設大臣は来てもらっていないんだが、建設大臣は——あと逐次質問していくのですが、夜間作業をやれと言いましたね。それは新聞報道その他でやられましたが、夜間作業をどんどんやれということ、私はこのこと自体についてとやかく言うのじゃないけれども、いまのような建設業界の、これからだんだん指摘する問題点がある、そういう条件の中で、そういうことを督励すればますます災害が多くなってくる。大体やはり人命を尊重するというのが、基準法の最低の原則です。そういう点から考えてみまして、そういうハッパのかけ方というものは、そういうことだけ推進するのは、労働安全という面から考えて一面的じゃないか。これは労働大臣にも見解を聞きたいのでありますが、それとともに、私は改善すべき問題がたくさんあるのじゃないか、こう思うのですが、そういう点を反省してみられて、何かお考えありますか。

町田充建設事務官(計画局長)

○町田政府委員 深夜における労働、こういうものをできるだけ避けなければならぬ、安全という面からは確かにそういう要請があるわけでありますが、一方、特に市街地における工事が一般交通に与える影響ということを考えますと、一般交通の激しい昼間はできるだけ避けて深夜作業をやらざるを得ない、こういう要請も片方においてあるわけでありまして、この辺の調整はなかなかむずかしい問題があろうかと思いますけれども、夜の作業をやるようにという指示をされておりますのは、そういう特殊な条件のもので、一般的にそういうことを大臣がおっしゃっているわけではない、私はかように考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 労働省は、労働安全を考える場合にやはり非常になすべきことが多いと思うのですが、そういう夜間作業、突貫作業につきまして、特にどういう注意をいたしましたり、監督をいたしておりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま御指摘のような問題につきまして、一方において工事の要請からしてそういった夜間作業その他の要請があり、一方において労働者の保護という問題があり、この調和をいかにするかということが問題でございまして、私どももその点につきまして非常に心配いたしておりまして、先般も市街地の労働基準局に対して、特に市街地における夜間の建設事業、こういったものについて監督なり指導を加えさしておるわけであります。たとえば東京の基準局におきましても、局長みずから地下鉄工事へ参りまして、安全上の各般の問題を検討いたしております。今後ともこういった点については、私ども建設省と連絡をとりつつ、この両面の調和をはかってまいりたいと存じます。

大原亨日本社会党

○大原委員 調和をはかるのはよいのですが、調和をはかるということなんですが、特に気をつけてやっていることはないですか。私は労働者から聞いているのですが、あなたが言われるように足を踏みはずして墜落したり、あるいは物が落ちたり、夜間作業は非常に危険があるわけです。あなたが言われた条件は、全部夜間作業が過重されるからです。そういう点について監督行政が必要なわけです。それについては、きめのこまかい監督が必要であると思うのです。すべての例をあげて質問をしても切りがないわけですけれども、そういう問題について建設業界全体に人命軽視の風潮がある。そういうところへもってきて、夜間作業や突貫作業だけハッパをかけるということは片手落ちです。労働災害に対する考え方というものが、基本的に確立されていないと思う。  もう一つ建設業界について指摘したい点は、基準局長の御答弁によりますと、きわめて表面的な安全管理とかその他のことですが、実際には土建業界における労使関係の封建性、こういうものが災害の大きな原因になっている。災害の統計にあらわれない災害がたくさんある、こういうことを実際に第一線で働いている人がよく言っているわけです。これはできるだけ安全競争の中で災害をなくしようということですが、雇用関係が明確でないからやみからやみに葬るというような危険がある。したがって、こういう問題については労働省として十分な方策を立てないと、そういう政策の犠牲になるということが多い。土建業界の労使関係における封建性の問題ですけれども、労働安全の問題は、労働者の生活、賃金、労働条件、睡眠とかその他の環境をよくしていくことが問題なんです。そのもう一つの基本は、労使関係を明確にしまして、使用者側にちゃんと、労働者に対する、雇用をいたします責任を明確にすることが必要なんです。そういう労使関係における不合理な点を改善するということについて、労働省はどんなことを努力いたしておりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま大原先生御指摘の安全管理体制における建設業界の基本的なあり方並びに安全以外の労働条件と申しますか、労務管理についての建設業界のあり方、この点について、御指摘のような点がなお多くございますので、私どもも労働基準監督ないしは安全監督を、建設業の非常に大きな重点として努力をいたしておるのであります。ことに最近は建設業における若い労働力の不足の問題ということで労務管理の近代化、労働条件の向上ということが、業界自体においても必要であるということをはだに感じ取っております。私どもも基準法施行の面から、いま先生御指摘のような基本的な欠陥を早急に是正せしめるように努力いたしておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 いまの御答弁も十分納得できないのですが、たとえば飯場等を設けるというようなこともやむを得ないという場合が、労務需給上の関係ではあると思うのですが、それを実際に私どもが見てみますと、非常に睡眠ができない、あるいは衛生上悪い、こういう条件であって、しかも賃金については中間搾取の機構が非常に複雑になっておって、不平や不満が蓄積をしておる、そういうことなんです。もちろん安全衛生の行政における一般的な注意すべき問題については、それはいろいろあるでしょうけれども、しかしながら、そういう基本の問題について、私どもはやはり考えを十分していかないと、労働災害というものはなくなることはない。しかも夜間作業なんかやるということになれば、昼寝ようと思ったって睡眠のできる条件でないところで寝ているのです。そして夜間の作業をやらせるということになって、モルヒネ等をやるかどうかは別としまして、とにかく睡眠のできないのに夜間の突貫作業をやらせる、若干の賃金をもって保障するというようなこと、そんなことが大体新しい憲法のもとで、あるいは新しい基準法のもとであるべき問題じゃないと思うのです。そういう問題について労働省として指示をし、あるいは建設省として——建設省が全部公共土木事業をやっているわけじゃないが、直接間接にやっている面は非常に多いわけです。したがって、そういう面に注意をしているのかどうか、こういう面について、私は注意を喚起する意味におきましてお聞きしたいわけです。突貫作業を夜間にやるということだけを強調いたしまして、そして昼間のそういう設備とかあるいは睡眠等についての施設なんかについて、全然忘れているというようなことでハッパをかけたってこれはいけない。業者というものは、本来はもうけ本位にやるのですから、命令されればいろいろな単価等において条件は出すでしょう。出すけれども、それが労働者に返ってこないということで、非常に不平や不満がある。そういう環境の中で、そういう点についてお気づきになっているかどうか。都市の建設事業等におきましても睡眠する場所がないじゃないか、そういうこと等も非常に問題が多くて、不満が多いわけです。そういう点について御配慮になっているかどうかということをお聞かせ願いたい。

町田充建設事務官(計画局長)

○町田政府委員 万やむを得ずそういう夜間作業をしなければならぬような工事を発注いたします際には、私どもといたしましては、発注者の立場として、そういう夜間作業に必要な、特に安全の設備に要する費用もございましょう。そういう安全経費を請負金額の中に十分発注者として見込むというふうなことも呼びかけておりまして、御趣旨のような安全確保のための措置、安全経費、そういうものについて発注者に十分注意を喚起しておるつもりでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 非常に抽象的な答弁で全然納得しません。これでは問題は解決されておるというふうには思いません。それから、建設業界が最近は非常に大きくなって、仕事も多くて景気もいいわけです。これは道路とか橋、土木事業、建築事業、業種によって違いますけれども、労働省はそういう建設事業界における雇用形態について、科学的に各方面から実態を調査したことがありますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 雇用形態という意味にもいろいろございましょうが、私ども安全に関連いたしまして、建設業における特殊性と申しますのは、何と申しましても下請の関係の問題が大きな問題であろうと考えます。特に下請の建設業が中小企業である。この点、災害率の問題におきましても、大企業に比べまして中小企業は非常に多いわけです。特に建設業等におきましてはその点が著しいわけです。こういった点が、建設業におきまする安全問題の一つの特殊性をなしておるだろうと思います。なお雇用形態と申しますか、同一事業場におきてまして各種の工事責任者というものが混在して、その中で同一地域において各種の労使関係が一緒に混在しておる。この点も建設業における特殊性でございます。そういった点からいたしまして、今度の法案におきましても、御承知のような特別の規定を設けるようになりました次第であります。

大原亨日本社会党

○大原委員 建設省のほうの質問を早く終わろうと思ったのですが、もうちょっと法案に即しまして御質問いたしたいと思いますから、しばらくごしんぼうを願います。  労働災害の防止に関するこの法律は、法律の体系からいいましたら、どういうふうな位置づけになっておるのですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 関連いたします労働法規といたしましては、労働基準法と労災保険法がございます。今回の法案は、基準法が安全に関しましての最低の基準を設けまして、この最低基準を確保するというたてまえになっておりますのに対しまして、今回の法案は、それにプラスして、国も積極的に産業災害の減少のために努力しなくてはいけない、業界におきましても自主的体制を整えなくてはいけない、さらにただいま申しましたように、下請、元請との関係におきましても、元請も、これは基準法上の責任はないわけでありますけれども、積極的に協力していくべきだ、こういうふうな態勢のものであります。したがって、基準法にプラスするたてまえの法律に相なっております。  さらに労災保険法との関係におきましては、これは労災保険経済からこの法案に要する経費が出ますので、その経費の支出という関連において、労災保険法との関係が出てまいる、こういうふうな位置づけに相なると考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 労災保険との関係はあとにするとしまして、基準行政の面からいいますと、労働基準法が本法で、これは基準法で決定されておる本法の規定の言うなれば特別法の関係でこの法律が規定をされておるのですか、どこに法律の根拠を置いてこの法体系を組み立てたのですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 労働基準法が、いま申しましたように最低基準を確保するためにあるわけでございまして、その基準法外の分野における新しい法律と考えておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 つまり御答弁によりますと、この法律は、言うなれば労働基準法の特別法のようなものだと思うのです。しかし、そうすれば労働基準法のどの条章によって特別法をつくったのかという関係が出てくると思う。その条章に関係する何かあると思うのです。労働災害を防止するという法律なんですから、基準法の中央基準審議会その他の運営とも機構的には関連をいたしておりますけれども、ともかくも基準法によるいろいろな機関や条文を随所に引用しておりますので、そういう点から考えますと、やはり特別法ということになれば、その依拠している母法における条文がなければならぬと思うのです。ふわっとどこからか出てきているような印象をこれは与えるわけです。それであっては、幾ら口で何と言いましても、基準法の関係からいっても、法律の秩序からいきましても納得するわけにはいかないわけです。その点はいかがですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま申し上げましたように、基準法から派生した法律とか、あるいは基準法の特別法とか、そういう形ではなしに、同じく災害防止を目的にはいたしておりますけれども、基準法外の新しい分野における新しい立法、こういうふうに考えておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 こまかな議論ははしょりますけれども、大まかに言いますと、労働基準法は、基準監督官がこういう面については法律にきまった原則に従って業者を拘束したり監督するわけです。安全衛生の監督行政というものはそれが原則なんですよ。その中で例外的に集団的な監督をいまの実情から考えてやっているわけです。その中には、安全委員会の全国組織を利用したり、衛生委員会の自主的な組織を利用しているわけです。そういうものが基準法上あるわけです。そこで事業主だけの災害防止を目的とした団体をつくっているわけですけれども、その他の団体やあるいは法律の基準監督行政の運営との関連なしに、この問題を考えることはできないと思うのです。それでなければ、私は絶対に賛成しませんよ。労働安全の問題は、私が申し上げたように労使関係の根本にわたる問題です。雇用関係の封建性をちょっと例示的に指摘をいたしましたけれども、その根本にわたる問題です。職業紹介にも基準法から派生して問題になるわけです。そういう点から考えてみて、あまり根拠法規もなしに、ふわっとこういう団体を横からつくっていくということは、いままでの答弁を聞いておりますと、足りないところを補足するのだという答弁ですけれども、それは特別法の関係ですよ。母法があって、その母法の足りないところをやっていく。それで全体的な有機的な関連ができてくる。あなたの御答弁によると、母法、特別法の関係はないということですが、私は基準監督行政のあり方についての原則の問題を、集団監督という現在の実情を認めながら、法律規則にある問題点について概括的に問題を提示したわけですが、そういうものとの関係は一体どうなるのですか、法律的に説明をしていただきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 これはどういうふうに説明すればよろしいのでございましょうか。実は労働基準の励行につきましては、御承知のとおり、行政機関の役割りといたしましては、一つは監督権の発動、すなわち監督行政である。労働基準法は、申すまでもなく基準監督という監督行政の根拠法として存在をいたしておるものでございます。もとよりこの監督行政は、最低の労働基準を事業場に確保することを目標といたしておりますものでございますが、一面行政機関といたしましては、かような監督すなわち命令、禁止、制限、こういうような権力的な行動のほかに指導行政という面があると思うのでございます。指導行政といたしましては、従来特に取り上げるべき法体系はなかったのでございますが、今回の労働災害防止に関する法律のうちのこの団体関係の条項は、これは明らかに指導行政です。その指導の方法といたしましては、事業主の団体を自主的につくらせ、そうしてそれの団体の自主的活動として、事業場における安全の保持を進めていこう、こういう考え方であるわけでございます。したがいまして、この災害防止団体関係の規定は、基準行政におきましては従来の基準法に基づく監督行政のほかに、今回新しく団体を中心とする指導行政の制度を設けたということに御理解いただいてよろしいのではないかと思うのであります。もっとも今回の法案もこの指導行政だけではございませんので、建設業に対する元方責任というのは、これは基準法に設けております安全上の行為を命じたものでございまして、これは明らかに基準法の補完的な監督規定であるというふうに思います。  それからもう一つ、この協会というものが団体としてできまして、この団体は自主的に設けるべきものでございますが、しかしこの団体が設立され、その事業を運営していくにあたりましては、所管の行政機関として労働大臣がその設置及び運営について監督をいたします。これは監督行政でございますが、この監督行政は、基本的には災害防止という目的ではございますが、しかし直接的には団体の行動を制限するという意味の監督行政であります。したがいまして、監督行政といたしましては特別規定及び団体に関する監督規定、これは監督でございます。しかし団体をつくったという精神そのものは、一つの指導行政という理念で御理解をいただいてはいかがかと考えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 いまの大臣の御答弁で、労働者の御提案になっておりますこの法律案があいまいというか、各種の要素からでき上がっておるというとこはわかりますが、ある意味では非常に卒直な答弁ですが、私が質問しょうと思うことを先取りされたところもあるのです。第四章なんかを例に出すと、いまの建設業の労働災害の防止に関する特別規制、いま言われた監督の問題です。元方事業主なんかの問題ですが、この項目は、第一節においては元方事業主の義務を書いて、第二節では緊急措置を書き、それから第三節では監督等ということで監督の問題に触れておるわけです。これは法律の体系からいいまして、いま大臣が御答弁になりましたように労働基準法の改正でこれを補うべきものじゃないですか。これを事業主が労働災害防止団体を自主的につくるということだけで指導していこうというところへ持ち込まれているということは、大体法律の体系から言うて、あまり便宜主義過ぎると思うのです。これはあなたがいまいみじくも答弁になったように、労働基準法の法律体系の中へぴしっとその修正の形で補うべきものでありまして、こういうばく然たる、根拠のない法律の中へ、こういう監督行政にわたる面についてのいま申し上げたような問題を持ち込むということは、法体系としてまずいということだけでなしに、基準法の精神に違反をしておる、こういうふうに私は思うのです。大臣、いかがですか。いま大臣は非常に明快な答弁をさまれしたが、私が法律を見ましてまず第一に問題として感じたのは、そういう点なんです。これはあなたが言われたように、基準法の中へ入るべきものです。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 この特別規制の条項につきましては、確かに先生御指摘のような点はあるのでございますが、ただ先生御承知のとおり、基準法の体系と申しますのはあくまで労使関係、雇用関係ということを前提にいたしておるわけであります。ところがこの特別規制のほうは、元方事業主の統括管理責任とか、あるいは施設に関する責任を元方事業主に課しておるわけです。したがって、この規制の対象というものは、直接雇用関係がない部面にまで及ぶような関係の規制に相なっております。したがって、その点が基準法の基本的な体系とは異なる面なんです。しかしその監督的制規であります点、並びに産業災害を防止するというための監督的規制という意味合いにおいて基準法を補完するような作用を持っておる、こういうふうに考えるわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 いまの答弁ではますます問題になってくるわけです。アウトサイダーを規制するというふうな場合には、自主的なそういう団体だけの指導の限界ではできないわけですが、それはともかくとして、そういう法律体系において、いまどなたか御答弁ありましたけれども、元方事業主等の義務ということが書いてある。これは元方事業主の義務ということで元方をやはり取り締まっていく、あるいは安全行政の監督をしていくということをやっておるから、案外いいように見えますが、これを裏返してみますと、職業紹介法その他の問題にも関連いたしますけれども、土建事業界において、たとえば下請下請ということでたくさん労務供給事業があるわけですが、そういった言うなれば労使関係を不安定にしておる——同じ職場で働いていても、同じ仕事をやっていても賃金が違うのです。実態を調べてごらんなさい。同じ仕事をやっておっても、請負業種によって賃金が違うわけです。これが労使関係を不明朗にし、あるいは不満を助長しており、あるいはこういうことがいろんな働く条件をつくる上においても、みな影響しているわけですけれども、そういう内部の矛盾というか、封建性というものを逆に固定させるというか、裏づけるような元方事業主に対する義務を頂点とする監督のあり方、そういうことがいいんだということを前提としたような、そういう法体系の組み立てになっておる。それに対しまして、基準法上やるようなそういう問題をここへ出しておりますから、二重、三重の意味において、労働基準法のそういう法の精神から言いまして、労働基準法の分野できめるべき問題について、いまのようなお話の御答弁になっておりますけれども、そういう矛盾をそのまま温存するような形において法律の体系にしておる、そういうふうなことは内容的に見てもゆゆしい大問題ではないか、私はそういうふうに二つの面から、違った方向から攻撃するようですけれども、これは法律といたしましてはそういう二重の不備な点を持っておるというふうに思っておるのですが、これに対して見解があればお聞かせをいただきたい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 先生もよく御承知のとおり、建設業等におきましては、同一事業場で数個の請負人が共同で作業しておるという実態がございます。そこから実は建設業における災害というものが相当多発しておりまして、たとえば同一的な安全管理の欠除でありますとか、施設の不十分、こういった点から出ます災害が非常に多いわけであります。したがって、これを何とかいたしたいというのが発想の端緒でありますが、しからば、元請人にそういった義務を課することの可否の点でございますが、この点につきましては、やはりそういう発注が元請人のほうから出ておることでもあります、そこから災害の原因が出てくるという点もある、また、現実の問題といたしまして、元請人にはそれだけのことをなし得る能力もある、こういった認識から出発いたしまして、こういった規定をこしらえたわけなのであります。先生のおっしゃる意味も私もよくわかるのでありますが、ただ、何ぶんにも建設業等における非常に大きな災害を何とかして減少せしめたい、この一つの有効な実効性ある手段として、私どもはぜひこのことをやらしていただきたいと思うわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 基準法との関係につきまして、もう一回申し上げますが、基準法との関係は、あくまでも労働基準行政は基準法を基礎にしてなすべきなのです。基準法を基礎としてなさないで、てんでんばらばらに思いつきの法律案をつくっては、かえって本末を転倒してくると私は思うのです。だから労働臣大がお答えになりましたけれども、第四章は、政府として法律において安全衛生の基準を定める上において、最低基準を政府が組織的に、あるいは制度的に、物心両面からつくっていくという趣旨からいいますると、これはやはり基準法の分野に属する問題であります。労働大臣が言われたように、基準法で足りない点をここで補うというようなことは、私は基準体系としてはまずい。基準法を基準監督行政の中心とするというたてまえをやはりくずしてしまう。これでは実質的な基準法の改悪やあるいは骨抜きになる。この問題は新しい分野ですから十分研究や討議が立っておりませんが、必ずそういう問題が将来起きてくる。こういう面において、事はきわめて私は重大であると思うのですが、こういう点について、もう一度法律的なちゃんと納得できるような御答弁をしていただきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 先ほど申し上げましたるごとくに、労働災害の防止につきましては、行政上の措置といたしまして監督面と指導面とあると思うのでございます。監督行政は国の権力的な行政行為として行なわれるのでございまして、常に使用主に対しまして新たなる義務を命じ、あるいは行為を禁止、制限するという形で行なわれるのでございます。これは労働基準法が明らかにそういう形で行なわれております。しかしながら、災害の防止につきましては、かような最低基準を確保することだけでは必ずしも万全を期しがたい場合もありますので、それ以上に安全のために使用者の協力を期待するということ、これは私は指導面の行政であろうと思うのでございます。そこで今回の法案におきましては、災害防止規程としてこの指導行政のよってもって立つ基礎を明らかにしたのでございまして、その場合におきましても監督行政はあくまでも基準法に基づいて行なうべきであり、また今後災害防止規程で定められた事項もこれを実行いたしまして、一般的に最低基準として取り上げることが必要だと認められました場合においては、この内容を将来基準法の一部に改変するということも十分に考え得るところであります。それならば最初からそれを基準法の一部にして、監督行政にしたらどうだという言い方もあり得るわけでございます。しかし私どもといたしましては、現実の行政措置といたしましては、まず一応使用者の自主的な協力として防止規程をつくってもらう、これを実際に運用してまいる、その結果適当なる時期に逐次それを権利義務として強制するという形において基準法を完備してまいりたい、これが現実の基準行政の進歩であるというふうな考えを持っておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 内容的に逐次質疑応答をしておりますとわかるわけですが、そういうことになりますと、私はますますおかしいことになると思うのです。つまり労働基準法に従って、しかも一条、二条、三条の精神に従って全体の組み立てがなされておる。労働基準法の中におきまして、監督行政の面と指導行政の面があることは私は理解できるのです。しかしながら、それであれば基準法を中心として、たとえば基準監督官が足りない、いまの基準監督官では、一応基準法に従って監督しようと思ったら七年かかる、七年間なければ一わたり作業場を見て回るわけにいかぬ、少なくともいまの七倍の人員がなければできない、こういうことを学者が言っていましたけれども、そういうできない面をつまんでから一括指導していこう、こういうことだろうと思うのです。であると、やはり基準法との関係、いわゆる母法との関係や根拠法規の関係を明確にしておかないと、指導行政自体が逸脱するのじゃないか。指導行政の限界を越えてなされますと、事業主団体だけがみずから意思を決定してやるわけですから、それを包括的に労働大臣が監督されるわけですけれども、それはますます危険な方向にいくのじゃないか、こういう点を一点私は指摘をしておきます。  それから、それに関連しまして、具体的な問題を取り上げて質問いたしますと、いま申し上げたように事業主だけの労働災害防止団体をつくるわけですけれども、この団体は、政府の定める長期計画に従って一年間ごとの実施計画を立てて、業種を指定されるわけでしょう。その中で、会員である各企業の就業規則よりも優先する労働災害防止規程をきめるわけです。政府のかわりにそういう専門家を置きまして、自律ということになるかどうかは別にいたしまして、自律行為を行なうわけです。自分で監督するわけです。私は就業規則のそういう位置づけ、あるいは労働災害防止規程との関係だけを取り上げて御質問するわけですが、就業規則についてのつくり方と、それから法律的な効果について決定いたしておる労働基準法を上回るような、そういう規程の法律的な効力というものは、明らかに労働大臣や基準局長が御答弁になったこととは違う。具体的な問題を取り上げて言うわけですが、それは労働基準法を逸脱している、そういうふうに私は思うのです。それについて法律的に納得できるような御答弁をしていただきたい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 御承知のとおり、労働基準法が安全についての最低基準を定めております。各個の企業が就業規則を定める場合におきましても、この労働基準法あるいは安全衛生規則の最低基準に抵触することはできないわけでございます。さらに労働協約の定めもございますが、今回の災害防止規程につきましては、まず第一に、労働基準法並びに安全衛生規則に抵触することができないことはもちろんでございます。第二に、そういったいわば集団的な就業規則ができました場合は、各会員はこれを守らなければならないのであります。したがって、個々の就業規則には優先いたすわけであります。しかしながら、第三に、労働協約には優先しないということを四十条で規定いたしたわけであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 私、念のために聞きましたところが、最初の原案は、この労働災害防止規程というのは労働協約よりも優先するというようになっていたそうですね。それをほじくって言うわけじゃないから頭をひねられてもよろしいですが、しかし基準法にちゃんときめてある、就業規則には安全の問題がきしっときめてあるわけですが、今日までの基準法の運営で現場において労働安全を期そうと思いましたら、やはり施設がいつも問題になっているのです。労使がいろいろ話し合いをしましても、使用者側はできるだけ安く使ってもうけようと思うから、設備をサボるわけです。そこで労働者側の、こういう設備をしてもらったら労働災害がなくなるんだという要求を拒否するわけです。だから現場において労働者が自主的に自分の意見を持って、安全の問題を自分の問題として提起する、安全の問題を労使がそれぞれ別個な立場、自主性ある立場で協力していくという協力関係はそこでできるわけです。労働者の発言力を弱めるようなことは——現に就業規則においては、労働組合が過半数以上占めておれば、その労働組合の意見を聞かなければならぬ。これは実質的に労働協約と同じような効果を持つわけです。労働組合がない場合においては、それにかわるべき代表者との間において調印するわけですが、そういう場合にはめくら判になって、御用団体以上のひどいやつもあるわけですが、とにかく基準法によって就業規則を実行させながら、職場においてそういう具体的な要求を中心として、抽象的な設備の基準とか技術の水準をいうのではなくて、それの裏づけになる具体的な問題について発言していくようなチャンスを——労働災害防止規程という事業主団体の決定によって、そのほうが優先して、それが労働者にはね返ってきて事実上それを守る義務を与えるようなことは、基準法との関係が明確でない、基準法をないがしろにした法律になる可能性、指導という名前において独走する可能性がある。そういう点を、私は労働大臣と基準局長の御答弁から判断するわけです。これに対する反論をお伺いしたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 先ほど来災害防止規程は就業規則に優先するというふうな問答がございましたが、法的には災害防止規程そのものは、直接労働者には関係のない事柄でございます。労働者に対して効力があるのは就業規則でございます。ただこの災害防止規程が認可を受けました場合においては、事業主は、その災害防止規程の趣旨に反しておる就業規則を自己の事業場で持っております場合には、これを災害防止規程に適合するように改正すべきであるということが、この法律できめられておるわけです。したがいまして、この改正にあたりましては、労働基準法の手続によって改正すべきものでございますので、したがいまして、労働者との話し合いを基礎にし、成規の手続によって就業規則を改正するということに相なるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それは、あなたの御答弁はこういうことですか。労働災害防止規程は、就業規則できまっておる安全衛生に関する問題、施設に関する問題、条件に関する問題と矛盾をしたような場合においては、規定に従って就業規則を改正するような、そういう手続をとった後に改正して初めて効果があがるのだ、こういう法律の条文になっておるというのですか。もし就業規則を改定しなかったらどうなりますか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 改正しない場合には、会員として災害防止規程を守らないという責任を生ずるわけでございまして、労働者に対しての問題ではなく、会員が協会に対して守らないという責任を生ずるわけであります。したがいまして、その場合においては、労働者とすみやかに話し合いをいたしまして、災害防止規程に反するような就業規則を改正するようにすればよろしい。それができない場合は、どうも労働者に対する関係においては、この就業規則は、少なくとも労働者の協力を得る必要のある条項については労働者の承知がなければ、成規の手続によって就業規則を改正するまでは効力を生じない、こういうふうに御解釈いただきたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは続いて質問しますが、労働災害防止規程に会員が従わなかった場合、守らなかった場合における行政上の処置、罰則は何ですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 罰則はございませんが、協会としての組織の処罰を受ける。

大原亨日本社会党

○大原委員 どういう処罰ですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 たとえば協会の規定の定め方によるわけでありますが、除名とか、過怠金でありますとか、そういう形の処罰を受けます。

大原亨日本社会党

○大原委員 ということは、非常に大切なことを議論していると思うのですが、そういうことになりましたら、労働基準法のワクを越えた指導じゃないですか。指導の名前による非常に大きな国家権力の——法律は国家権力だから、国家権力によるコントロールじゃないですか。こんなことは私はもってのほかだと思う。そういうことでは、職場職場における安全の確保はできないですよ。労働者の責任において、あるいは使用者の責任においてできないですよ。そういうことは労働基準法の法体系から考えてみておかしいし、法体系を逸脱したようなことになったら、これは非常に労働基準法自体というものも——いまでも空文化ということがあるし、最近これを充実しなければならぬというような、そのこと自体も否定することになるのですよ。そういう点は絶対納得できませんよ。いかがですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 御意見でございますが、労働災害防止規程というものは、基準法ないし労働衛生規則の水準を下回ったものでは絶対あってはならないのですし、またそこに新しくできますものは、やはり就業規則の水準を上回るものができていかなくては進歩にならないと思うわけです。そういった意味合いの規程でございますので、先生の御心配もさることながら、前進の形で災害防止につとめる、こういった業界の実施体制を整えるべきものと考えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 あなたの御答弁の気持ちはわかるのです。あなたの気持ちはよくわかりますけれども、実際の職場、作業場において労働者の安全を守る、安全の対象物は労働者なんです、生きているのですよ。これは人間として、労働者として尊重されなければならぬということは、憲法やあるいは労働法や基準法の体系なんですよ。だから私は、労働者がそういう自主的に問題を提案いたしましたり、あるいは労使間で、信義誠実の原則で、対等の原則で話し合ったことについては、これは誠実に保障していきながら、そのことが一般の基準を法律できめている以上に上回っていくようになって、初めてりっぱな安全に関する勧告が確立するわけです。だからそのことの上下関係をまず考えてごらんなさい。いまのような現状で、事業主だけが集まって災害防止規程を設けて、幾ら勧告すると言いましても、規程のきめ方と運営のしかたにおいて、事業主が営利本位になっていくことは当然なんです。だから対象である労働者の発言力を弱めるということは、基準法の精神に反していると思うのです。私は、その精神の上から言いまして、この就業規則に対する効力のきめ方というものは、労働者の意思が反映するような仕事のきめ方が基準法の精神であるから、労働組合をつくって、集団的意思表示をするのが一番いいのです。ですけれども、とにかく集団的意思表示をさせようという基準をきめようという最低の原則をきめておるのですから、就業規則でそれをじゅうりんするような法律効果を及ぼすような、そういう制度をつくることについては、遺憾ながらこれは基準法とこの法律との関係が明確でない。実質的に基準法に基づく監督と、足りない面の指導をやるべきであるのに、そういう有機的な関係なしに、根拠法規なしに設けられたならば、この事業団体は独走する可能性があるし、基準法違反、憲法違反になる可能性がある。あなたはどういう答弁をされるか知らぬが、私はそのことを現実に指摘しておきます。  質問を進めてまいりますが、午前中の吉村委員の質問に対しまして、重大なことを労働大臣は御答弁になりました。これは私どもは非常に関心を持っておるところです。その点はどこかと言いますと、労働災害防止規程をつくるに際して、これは何条でしたか、三十九条には、関係労働者の意見を聞くというふうになっておるわけです。その三十九条に、そういう指導という名前において、相当労働者に対しても拘束力のある——もちろん使用者に対して大きなコントロールをするところの規程をつくる際に、関係労働者の意見を聞くというところは、一つの法律といたしましては、これは私どもといたしましても、一部分ですが、理解ができるのです。そこで、けさの吉村委員との質疑応答の中で明らかな点はどこかと言いますと、これは重大な労働大臣の御答弁であって、当然の答弁でありますけれども、労働者の意見を聞くというのは、基準法の精神、第二条にうたってありまするが、労使対等の原則に基づく労働者側の意見の発言の場所である、こういう御答弁をされたというふうに、私は午前中の質疑応答で聞きましたけれども、この点を確認する意味で——まさか二、三時間前に答弁されたことを労働大臣がお変えになるとは思わないが、確認する意味でひとつお答えをいただきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 労働災害の防止に関する措置につきましては、単に事業主の意思決定だけで効果をあげ得る事柄が少ないのでございまして、どうしても労働者の協力によって初めて効果があがるというような事柄が必ずあるのでございます。したがいまして、労働者の協力を確実にするというような措置を必要とすることは、この災害防止規程の性格上当然でございます。したがいまして、今朝申し上げましたような趣旨の考えをもっていたさなければこの規程をつくる目的が達成できない、こういうわけでございますので、けさほどの御答弁を申し上げたのでございます。  そこで、先ほどちょっと大原委員から御質問がございました点は、この災害防止規程ができることによって就業規則があいまいになるではないかというようなお話でございましたが、この災害防止規程というものは、ただいま申し上げましたるごとく、関係労働者の代表者がその内容の決定に必ず参画するという形でできるものでございまして、単に事業者だけが、営利主義的な立場で労働者に関係なく、かってにきめるというようなものではないし、またそういうものは認可をすべきものではないと思っております。したがいまして、就業規則との矛盾の問題につきましては、そういった趣旨でお考えいただきまするならば、おのずから解決の道があるものと存じます。

大原亨日本社会党

○大原委員 関係労働者を代表する者の意見を聞くことができるでなしに、聞かなければならない、そういう拘束性のある表現ですが、そういう法文を裏づけるような、そういう制度的な——四つほど業者を指定するわけですから、制度的な裏づけはどういうふうにお考えになっておりますか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 この関係労働者を代表する者の意見及び学識経験者の意見の意見聴取の方法につきましては、同じく第三十九条に「労働省令で定めるところにより」、ということになっておりまして、したがって、その意見聴取の手続は労働省令で定めることに相なっております。現在のところ私どもが労働省令で考えておりますのは、一般的に基準法でもよく規定いたしておりますように、過半数を代表する労働組合があるときにはその労働組合の意見を聞き、労働組合の組織がないようなところでは労働者を代表し得るような者の意見を聞く、こういうふうなことを労働省令で定めてはいかがかと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 もう少し組織的な、制度的な、具体的な答弁はできませんか。そういう抽象的な答弁でなしに、ここらは非常に大切なところですから、そういう裏づけをされるような、組織的な、具体的な答弁はできませんか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 労働省令で定める場合に、個々具体的に書くことはちょっと困難だろうと思うのでありますが、要するに大原先生の御意見の趣旨は、ほんとうに、先ほど来おっしゃいますように、労働者なり労働組合の切実な意見、現場の意見が災害規程に反映するように、こういう趣旨であろうかと思いますので、その辺の手続の定め方については、十分その趣旨を生かすよなう形において検討いたしたいと考えます。

大原亨日本社会党

○大原委員 いまの御答弁は非常にじょうずな答弁ですけれども、中身を言いますと具体案がない、そういう用意がないし、そういう準備もしておらぬ、裏返しますとこういう答弁です。非常にじょうずな答弁ですけれども、中身はないということです。  それはともかくといたしまして進行いたしますが、その規程を今度は協会のそれぞれの組織の中で運営をする際が、実は問題であります。これは会に対しまして具体的に規程を適用する問題でありますから、この問題は私はきわめて大切であると思うのですが、その中におきまして、具体的な問題でいままで御答弁になりましたようなそういう趣旨が生かされるような保証につきまして、いままで二、三の質疑応答がありましたけれども、ひとつその保証につきまして、なければないでけっこうですけれども、できるだけ具体的に答弁をしていただきたい。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 この協会の運営につきまして先ほど来お話がございましたし、また大臣からも申し上げましたように、要するに産業災害の防止というものは、労働者の協力というものがぜひとも必要なわけであります。したがって、そういう意味合いにおきまして、労働者の、あるいは労働組合の協力を得られますような運営のしかたというものは、十分検討、研究いたしてまいりたいと思っております。具体案と申されると、協会の組織自体、法案ができてからの問題でございますので、そこまでの具体的な方策というのはちょっと私もまだ申し上げられないと思いますが、そういった御趣旨を生かすような運営の方途につきまして、十分研究もし、検討もいたしていきたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 せっかく労働大臣が先ほど御答弁になったわけですけれども、就業規則と労働災害防止規程作成の関係について、頭のよろしい労働大臣は一応筋を立てられたわけですが、しかし労働災害防止規程とそれから就業規則やあるいは労働協約、そういう安全の対象となる労働者の意見をつなぐ場所、これが運営であります。私はこれを制度的に保証をするという、そういうことが法文上なければならぬと思うし、それから省令等がございましたならば、その具体的な裏づけがなければならぬと思いますが、そういうことがないということは羊頭狗肉の法律ではないか、御答弁になることと中身がまるきり違うではないか。一たんこの法律が発効しまして、事業者団体の自主的なそういう防災団体ができました後に、このことを制度的に裏づけると言いましても、これはなかなかできません。この大切な面におきましては、私は国会の審議におきまして具体的に御答弁なさっていただくことが、まことに当然のことではないかと思うのですが、この点につきましての御答弁をお聞かせ願います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 労使話し合いの必要性につきましては、先ほど来申し上げたとおりでございまして、労働災害の防止につきましては、労使の完全なる一致協力がなければできないことでございます。したがいまして、この法案の運用につきましては、さような根本的な考えを持って進むというお約束は、先ほど申し上げましたとおりであります。そこで御質問といたしましては、その考え方を実現するために具体的にどういう方法をいま考えているかという点でございますが、御承知のとおり、私どもといたしましては、事は労使間の問題でもございますので、この法案成立の暁におきましては、労使の代表者と十分この問題について腹を割った話し合いをいたしまして、両者の完全なる一致のもとに具体的な方法を決定いたしたい、かように考えておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 建設省のほうはお急ぎのようでありますから、最終的に私の意見を申し上げておきますが、土建業界は、建設業界、公共土木事業との関係は、いままでの質疑応答によりましても、あるいは今後におきましてもきわめて問題のあるところであります。だから、そういう労働省との連絡を無視いたしまして、河野建設大臣がかってにきょう言ったらあしたやれというかっこうで、設備も何もないのに夜間作業や突貫作業を無理やりに命令するということは、判断といたしまして、実行する政治的な識見や気魄は、全体といたしましてはちょっぴりくらいは尊敬いたしますけれども、そういうことは——私はいろいろと働いておる労働者の意見を聞くわけでありますけれども、これは一々申し上げませんが、しかしそういうことは、私は労働者を保護する労働省の立場、あるいは労働基準法の立場を無視したようなことでいけないことである。したがって、建設省にお帰りになりましたならば——閣議においてもそうですけれども、大橋労働大臣、あなたはお帰りになりましたら、河野建設大臣に対しまして厳重にそのことについて御注意申し上げていただきたい。よろしゅうございますか、御答弁をひとつ……。

町田充建設事務官(計画局長)

○町田政府委員 先ほどもお答え申し上げましたとおり、大臣が、工事を急ぐようにということはなるほどおっしゃっておりますが、それは決して労働基準法なりそういう守るべき法規を無視してやれ、こういうことをおっしゃっている趣旨では毛頭ございません。もちろん法規に定められた労働安全衛生、そういう法規の範囲内でできるだけ工事を促進するように、こういう御趣旨でございますので、現場でそういう趣旨に沿うように、いかに労働安全衛生、そういう面との関係を考慮しながら、迅速に工事を進めていくか、そういうところに現場の責任者の苦心があるわけでございまして、そういうものを無視しておっしゃっている、そういうことでは毛頭ございませんので、誤解のないようにひとつお願いしたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 実際にはそういう結果をもたらしておるということを私は指摘したわけです。その結果を言ったのです。夜間の突貫作業をやれといいましたら、これを相当長期にわたって続けていく場合には、非常に大きな問題をかもすのです。問題を発生するのです。そういう点について、労働省のほうも十分発言しなければなりませんけれども、労働省と十分協力するというふうな心がまえでないといけない、こういうことを私は申し上げておるのであります。その点はひとつそういうことで念のために申し上げておきます。  それから監督行政の一元化ということで次に質問いたしますが、これはしばしばここでも議論になったことですが、政府側の答弁では、若干答弁のニュアンスが違うというふうに私どもは受け取っておるのであります。大体通産大臣が鉱山保安について労働基準法上の監督行政を持つ、そういうことは、私は業者との関係その他を考えてみまして、労働者保護の立場に少なくともたてまえ上立っておる労働省とは、違った点があると私は思うのです。ちょうど事業主が防災団体、労働災害を防止する団体をつくって、労働大臣の監督下とはいえ事業主が自主的に監督をする、そういう制度や運営において弊害が出るのと同じような問題が起きると私は思う。この点について労働大臣の御答弁は、やはり労働基準行政に保安行政、鉱山保安の関係、そういうものの一元化をすべきであるという御見解であるやに伺ったのであります。しかしながら、きょうは通産省は出席をいたしておらぬようでありますが、通産省の鉱山監督局長の見解は、事業を監督するものが、労働基準法上の監督をすることがよろしいような御答弁であったというふうに伺っておるのであります。私はこういう労働災害を大きく問題とするようなそういうときにおきまして、これはきわめて重大であると思います。労働省は、一部の人の批判によりますと、土建業とか、あるいは運輸業とか、その他の四つの業種を指定されておりますが、鉱山保安については、そういう事業主団体を指定することを回避しておる。なぜかというと、一面これはちょっと矛盾した議論ですが、大体石炭とか鉱山なんていうものは、事業主が逃げ腰になっておるから、そういう安全施設等について金がかかる投資をするわけがない。相当長期的な労働者保護の投資をするわけがない。もうけてもうけて、目の前でもうけまくって逃げていくという、そういうような風潮があるように聞きます。そういうところにやっても効果がないというようなお話も一部には聞きますが、いろいろと考え方においては矛盾をいたしました考えが方々で起きておるようであります。監督行政の、少なくとも最も災害の多い、最近も山口その他にありましたけれども、炭鉱災害等においても一元的に労働災害防止についての監督行政をなすべきである、こういうふうに考えますけれども、ひとつこれは国務大臣大橋さんのほうから、はっきりした御見解を御答弁いただきたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 私は、労働災害の防止ということは、できるだけ労働災害の発生を減少させる、そうして労働者の労働力の擁護をするということが目的であると思っております。したがって、どこが所管するかということは、やはりその目的の上から考えて、どちらが実際的に有効な行政をなし得るかということによって判断すべきではなかろうか、こう思っておるのでございます。具体的な問題につきましては、今後労働省の所管行政における災害の発生率と、それから鉱山における災害の発生率を比較いたしまして、いずれかまさっておるほうにその行政を統合するということがよろしかろうと思っております。

大原亨日本社会党

○大原委員 御答弁といたしましてはすっきりした答弁ですが、それではこういうことですか。やはり通産省の管轄の鉱山保安監督の面を労働省に一部移譲して、そうして通産省においても一部残しておいて、競争してからいいほうをとるということですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 労働省といたしまして、十分鉱山の保安の内容につきましても検討し、労働省においてこれを所管した場合にはかようかくかくにやり、この程度の成果をあげ得るだろうという十分な自信がありましたならば、労働省で一元化をいたしたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 労働大臣は賢明で知っておられますが、大体事業者に対しまして天下ったり、あるいはそういう監督を通じて業者と非常に密接な関係のあるような者が、鉱山保安の問題について、非常にむずかしい問題について監督できるわけがないのですから。これは常識なんです。やはり第三者で、法律上の別個な根拠のある機関が統一的に労働保安の問題についてはやるべきだ、こういうことがいいにきまっておる。だから労働大臣がこの問題についても十分考えてもらいたいし、特に斜陽産業については、労働安全の問題を事業監督しておる通産省にまかしておくと、安全設備等については、しょうがないということで投げやりになる。そういうことでなしに、労働大臣として発言されるという、そういう機会にこそこれが要るわけです、自主的な産業災害の防止団体が要るわけです。だから集団的に足らない部分を指導していくということは、現在の労働基準監督行政の実情から考えて、基準監督官をふやしていく、機動力をつけていく、なお足りない分野はどんどんふえておるから、集団指導はある程度やむを得ないと思う。しかしこれが、基準法やあるいは労働法や憲法の法体系の中から逸脱するようなことではいけないということをいままで重ねて言っておるわけで、私はそういう面からいいましても、こういう斜陽産業こそ業者で団体をつくらして、そうして労働災害防止について集団的な指導をするということは、私は意味があると思うのです。そういう点では、私は大切な点が抜けておると思います。いまの質問に対しは御答弁にならなくてもいいですよ。御答弁いただけるんだったら、ひとつ答弁してください。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 元来、一般的な工場監督につきましても、当初は農商務省の所管でありましたものを、いろいろ変革を経まして、今日の労働省の前身であります内務省の社会局の所管に相なったような例もございまして、私は、この行政の移管は、日本の労働行政の発展の上からいって成功であったと確信をいたしております。そこで、鉱山保安の問題でございますが、かような先例もございますので、今後十分検討いたしたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 次に御質問申し上げますが、これは非常に重要な問題です。中央の労働災害防止協会や地方のそれぞれの協会ができるわけです。ある意味におきましては、労働省の外部団体がふえるわけで、まことに欣快にたえない、のではありません。欣快にたえないとは言いません。しかしそういうことを言う人があるのです。外郭団体がどんどんできてきて、そして事業主だけの団体と、労働省の天下った役人とが癒着いたしまして、そして労働監督というものが実際上麻痺するおそれはないか、こういうことが一部で言われておるのです。これは法全体の仕組みがそうですけれども、そういう点で、大体、協会の会長さんなんというような人はだれがなるのですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 協会の役員等につきましては、それぞれ協会自体がおきめになるようなたてまえになっておりまして、労働大臣がこれを認可するとか任命するというような形には全然なっておらないのであります。したがって、協会自体がおきめになるということであります。ただ、会長一人とか、理事五人とか、こういった人数だけを法律できめておりまして、したがって、協会自体がおきめになるということで、まだ人事の問題とか、そういう点については全然話も出ておりませんし、私も承知をいたしておりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 一億五千万円労災の特別会計から入ってくるわけですが、私はちょっと聞き漏らしておりましたが、全体では予算はどのくらいの大きさになるのですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 全体では、中央協会と業種別協会と合わせまして、一億五千万円の予算になっております。その内訳がどうなるかということは、業種別団体がどの程度できるかということにもよってその配分がきまってまいると思うので、まだ確定はいたしておりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 事業主の負担はどのくらいですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 事業主の会費でございますが、これまた協会自体がきめるべきものでありまして、従来会費を取っております団体がこの構成分子になりますれば、その会費がそのままになりましょうし、あるいはまた新しく会費を取るという場合もありましょうし、これも全然定めはいたしておりません。

大原亨日本社会党

○大原委員 小さい問題を逐次聞いていきますが、秘密保護の義務を安全管理士や衛生管理士にかぶせておりますね。大体、秘密とは何ですか。秘密の限界ですね、だれが判断するのですか。それで罰則がついておりますね。体刑までついております。これは一体どういうことですか。大体、そういうことになれば、安全管理士や衛生管理士が科学的な根拠で、良心に従って実際に事業体を監督することができぬじゃないですか。

小鴨光男労働基準監督官(労働基準局監督課長)

○小鴨説明員 五十五条で安全管理士、衛生管理士につきまして秘密保持の義務を課しておりますが、これは先ほども申し上げましたように、技術的な機構につきまして、いろいろコンサルタントとしての役目を果たすわけでございます。したがいまして、個々の事業の中におきまして、科学技術的な製造工程その他についての知識というものもあるいは看取する場合もあろうかと思います。したがいまして、そういう場合におきましては、現在の情勢下におきまして、そういう企業の秘密というものを漏洩しないようにする必要性があるということで、五十五条で規定したわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 いまの点、文章に「盗用」というのがありますね。盗用ということばは、いままで法律の用語としてありましたか。どういうものを持ち出した場合に、盗んだということになるのですか。これは大切な点ですよ。これは安全管理士や衛生管理士の機能を発揮する上におきまして、非常に大切な問題であります。実際どういう根拠でそういう罰則をつくるのですか、その根拠を言ってみてください。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 この安全管理士が職務に関して、たとえば新鋭機械でございますと、機械の秘密、技術の秘密を知悉し得る場合がございます。その場合に、これをたとえば他の会社に漏らす場合、これが秘密を漏らした場合でございますし、また秘密を漏らさなくても、みずからその知り得た秘密を利用してこれを実用に供するという場合が盗用でございまして、両様の禁止が必要だと存ずるのであります。

五島虎雄日本社会党

○五島委員 関連して。私もこの法律についていろいろ質問をしたい。しかしやはり約束もあるので、特別に全体についての質問は私はしません。だが、この罰則の問題について、盗用とか秘密保持の問題がありますけれども、今日までずいぶん審議されておるわけですが、この協会をつくって災害を減少していき、日本経済の発展のために寄与するため、労働基準法の本法から、特別法規とも言えず、また何か補完の法律とも言えず、新たにこれを考慮する。ところが、あくまでその組織は、労働者の十分の意見を聞くということはさいぜん言われたわけですが、そしてまた参与等々をつくって、労働者の代表を参与の中にも入れていって十分基本的な問題を審議してもらう、そしてりっぱな基本法をつくると言われましたけれども、この項目の中に労働者に罰則を与えている個条があるわけですね。それは、五十六条の一項と四項、あるいは五十八条の一項から三項に関する措置に違反した場合は、五千円以下の罰金に処するというようなことです。労働基準法では完全でない労働災害防止の問題について、それを補完する意味において業者の協会をつくっていく。協会をつくった、法律ができたら、労働者は罰金に処せられるような大きな義務をしょい込むということが一見あるということは、重大な問題ではなかろうかと思うわけです。  それからもう一つは、三十五条におきまして、アウトサイダーを規制するという条項があるわけです。そこで、協会をつくった場合は、それは法人でなければ第三者に対抗できないということの性格を付与して、そこには業務を遂行することができる。そうして三十五条の三項を見ると、「労働大臣の要請があったときは、当該指定業種に属する事業の事業主及びその事業主の団体で会員でないものに対して第一項第二号の業務を行なうことができる。」ということは、とりもなおさず今日までいろいろの法律によって、自由を原則とすべき参加しない協会員外の人々に対して、これを規制できるというようなことになっておるわけです。これもまた重大な問題で、論議する価値のある問題ではないかと思うわけです。そうすると、こういうような協会外の指定業者に対しては、これは労働基準法をもって指導していくのか、あるいは指導することができないから協会に委任をして、協会さん、ひとつ指導をしてやってくださいというようなことで、労働基準局長以下の監督指導の業務は一体どうなっていくのかというようなことが二項あるわけですが、この二点について明らかにしておいてもらったら、私の関連する質問は終わりたいと思うのです。

大野雄二郎労働基準監督官(労働基準局労災補償部長)

○大野説明員 第一点でございますが、なるほど五十八条第三項の規定におきまして、労働者には罰則がかかります。しかしこれは、団体とは一応関係のない第五十六条のいわゆる統一安全管理についての労働者の義務でございます。これは法律にもございますように、作業場所の巡視その他必要な事項の中には、たとえば合い図とか、そういうものが入っております。労働者がせっかくきめられた合い図を守らないとこういう規定を設けた意味がなくなりますので、そういう観点から必要に応じてかような規定を定めたわけであります。  それから第二点でございますが、三十五条第三項におきまして、労働大臣の要請があったときは指定業種のアウトサイダーに対して協会が第一項第二号の業務——第一項第一号だと御指摘のように規制という問題が生ずるかもしれませんが、ここに書いてございますように第二号でございます。したがいまして、技術的な指導援助をやるということでございまして、規制ということとは何ら関係ないのでございます。非常に専門的な知識で、ここをこうすればいい、ああすればいいという、いわゆるセーフティ・エンジニアの指導ということがここで問題になっているわけでございます。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田委員 できるだけ簡単に、短時間に切り詰めてお尋ねしますから、簡単な明確な答弁をお願いします。  この法案の目的は、この法案に伴う提案理由の説明のとおりであるとするならば、一応私たち肯定せざるを得ないのであります。ただ問題は、従来の労働基準法における事業主の責任というようなものがこの法案に肩がわりされる危険はないかという懸念、さらにここにあげてありまする中央の協会並びに業種別協会、それぞれ会員として構成される人々の負担する会費、国から出す補助金のほかに、これらの協会の持つ会員が負担する会費というものがどういうふうになっているか、経済的な負担の量というものが非常に大きいことになると、労働基準法の事業主の責任体制が今度の法案に肩がわりされて、これだけ金を出しておるのだ、こちらがやるのだという軽い気持ちになってくると、災害防止どころか、災害が一そう激しくなる危険がある。この点について御答弁願います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 基準法に基づく使用者の責任は相変わらず存続するわけでありまして、私どもは、基準法に基づく監督なり指導というものは、ますます強化いたしてまいりたいと思います。  会費につきましては、従来会費を取って安全関係の推進をやっております団体がこういった協会に加入してまいるわけでありますから、したがって、そういうものの会費はおそらく存続することになるだろうとは思います。また場合によっては、新しい活動ということで会費の徴収が行なわれることはあり得ると思いますが、これはもちろん会員総会における決定に基づくものでありまして、これによって基準法の施行がゆがめられることのないように、これはむろん私どもの十分注意すべき点だろうと考えております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この協会は、中央であると業種別であるとを問わず、理事その他の役員がおるわけです。その役員というのはどういうところから出すことを予定されておるのか、その役員には非常勤の手当を出すのか出さないのか、そういうことくらいは、ちゃんと法案を出される以上用意されておると思いますから、全然無検討でこういう法案が出されているとは思いません、その内容をお示し願います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 役員の人事につきましては、協会自体がおきめになることでありまして、ただ法案は、たとえば会長一人、理事何名、こういうふうな規定だけをいたしております。したがいまして、具体的な人事は協会自体がおきめになることでございます。  なお、役員の報酬等につきましては、協会の定款で定められるところであろうと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 協会の自主的な決定に一任するということでありますけれども、ここではっきりお尋ねしておきたいのですが、中央の協会、業種別協会とを問わず、労働省の退職官吏をこれに横流しするということは絶対にしないという意思が、はっきりしておるかどうかをお答え願います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま申し上げましたように、協会自体のおきめになる問題であろうと考えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 労働省としては、天下り人事などは考えておらぬ、協会の自主性によるものであるから、労働省からは差し向けないということが、大臣言明できるかどうか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 労働省といたしましては、労働省からだれか必ず入れなければならぬものであるというような考えは毛頭持っておりません。これはあくまでも協会自体の自主的にお考えになるべき事柄だと存じます。またその自主的な決定のもとに、労働省からだれか人を出してもらいたいというような話でもございましたならば、そのときにおいて、労働行政に支障のない範囲において十分に検討いたしたいと存じます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 とかくこういう協会ができる場合には、関係省の天下り人事が行なわれるという批判を受けておりまして、公庫、公団等の設定においても、十分政府が御注意を受けておるところです。したがって、高級公務員にしても、ここに一つのおば捨て山ができるという安易感を持ってこういう大事な災害防止を考えてくれたら、これはたいへんなことだと思う。その点について労働大臣としては、こういう機関を設けて、そこに労働省の高級公務員の行く先を求めるというような安易な気持ちがみじんでもあったならば、これは許されないと思うのです。お求めには応ずるといういまの御発言ですが、協会からはおそらくお求めが出ると思います。お声がかかったときには喜んで差し向けますというような前提のもとにこの協会をつくるというようなことは、私は感心しないのです。大臣、さもしい次第でございますけれども……。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 求めに応ずるということを申したのではございませんので、労働行政の立場から十分に検討しなければならぬ問題である、かように考えます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 さっきの発言とちょっと違うように思います。違いますね。要請があればという御答弁であったと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 御要請があった場合におきましても、労働行政といたしましては、十分慎重に検討すべき問題だと思うという趣旨を申し上げました。速記録でなお確かめたいと思いますが、先ほどと同じことを申し上げた趣旨でございます。もし違っておりましたならば、後に申し上げたことが正しい答弁でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 なかなかおことばづかいが巧みでございますけれども、労働省の、そういう考え方をもってこの協会をおつくりになることに賛成をされるというさもしい気持ちにはお捨て願いたいと御注意を申し上げておきます。  同時に私この機会に、日本の産業災害というものがばかに高い基準に置かれておるんじゃないかと思いますが、先進国家と比較してその数字を、ごく簡明な数字をお示し願います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 アメリカの場合と比較いたしまして、災害率で約三倍に相なっておると思います。もちろん業種によってさまざまでありますが、平均的な数値では約三倍でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 西欧諸国家の例をお引き願います。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 西欧諸国につきましては、災害率について具体的に比較すべき類似の統計が欠除いたしておりますので、はっきりしたことは申し上げられませんが、イギリスの場合に比べますと、やはり日本はまだかなり災害状況は高いと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 鉱山関係などで西独との比較をお願いします。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 鉱山保安についての統計の比較はちょっと困難でありますが、一般的に申しまして、ドイツの場合の年千人率が〇・二〇に対しまして、日本の場合は〇・一二に相なっております。

受田新吉民主社会党

○受田委員 日本の災害が非常に高率である、この実情を打開するためには、労働行政の責任者たちは命がけでこれに取っ組まなければならない。現に交通機関に大きな支障を来たし、多数の人命をそこなっている最も大きな加害者は、建設業者のダンプカーであるということを国民はよく知っております。このダンプカーが暴走して、とうとい人命を平然と失っておる。この無軌道なやり方に対して、労働行政はどういう指導を加えておるか、一例をちょっと引いて当局の決意を伺いたいのであります。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま先生御指摘のダンプカー、ことに建設業におけるダンプカー事故は非常に大きな数字にのぼっております。私どもは、安全対策の上から見ましても自動車による災害というものについては特に留意をいたしまして、私どもも昨年来のダンプカーによる交通事故についての原因をいろいろ調査いたしたのであります。それに、よりますと、やはり基本的に労務管理がきちんとしているということが一番大事であろうと思います。次に賃金における請負制と申しますか、往復がひんぱんになればなるほど賃金が上がるという、そういった賃金のシステム、これが非常に影響すると思います。第三にやはり運転手の十分なる注意、この点が重要であろうと思います。そういった点にかんがみまして、私どもといたしましてはこのトラック関係、ダンプカー関係につきましては各地方基準局をして厳重な監督を実施せしめ、この労務管理の基本についての体制の整備に努力いたしておる次第であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 十分地方の監督署まで動員してやるとおっしゃるけれども、地方の監督署の職員というのは十名そこそこではないですか。そういうもので多数の事業所を担当して、ゆっくりとこれらを指導監督することができますか。監督署の構成そのものに限界がきておるということを私は指摘したいのでございますが、いかがですか。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 御指摘のように、労働基準行政を実施いたします上につきまして、いろいろそういった隘路もございます。ただ私どもといたしましては、その人員なり予算をもって何とかして全般的に実効性のある措置をとりたいということで、たとえば個々の事業所もさるここながら、業界全体としてのこういった体制の整備、こういったことを努力せしめる、またそう実現せしめるというくふうをこらしまして、全般の労務管理体制の近代化につとめておる次第でございます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 特に大企業の事業主は別としまして、こういう事故を起こしがちな事業所といえば、中小事業所であります。そういうところは、日本の大企業と中小企業に対する政府の考え方が差別待遇をしている関係、金融面その他においても大幅な相違点を来たしている関係で、欧米の先進国のような大企業と中小企業に公平な擁護をしている国と、違った問題が起こっていると思うのです。中小企業に対するもっとあたたかい国策を樹立して、大企業と中小企業のバランスをとるようにされるならば、中小企業にこれだけの犠牲のしわ寄せを——無理やりに超過時間あるいは未経験者を採用する、あるいは年寄りを採用するというような無理をして、人的構成にも中小事業所に非常な無理が起こっておるんですね。その無理をあえてするところに、無理やりなダンプカーの暴走もあり、未経験な青少年がこれに乗っかってくる危険もあるわけなんです。そういうところもこまかい心づかいをして、労働行政を徹底させる配慮を、労働大臣、あなたのような非常に俊敏をふるわれる労働大臣がおられる間に、中小事業所に対するもっと真剣な取っ組みをされて、どのような小さな事業所といえども国の恩恵に浴し、あたたかい愛の光を降り注ぐ施策をとる必要があるんですがね。いかがですか大臣、こういう災害を起こす根本問題に、国の施策の大欠陥がひそんでいることを御承知でございますかどうか、御説明をかりるまでもなく御答弁を願いたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 ダンプカーの問題を取り上げてみましても、そこに中小企業対策の不十分という問題があることは、これは仰せのとおりでございます。これらの点につきましては、まことに遺憾に存じます。今後とも十分に労働行政においても留意をいたしたいと思います。

受田新吉民主社会党

○受田委員 この産業関係の災害についていろいろな欠陥があるわけですね。各省においても、労働省だけでなく、建設省にしても、運輸省にしてもいろいろある。そういうところで、災害の結果に基づいて総合的な施策を検討したことがあるかどうか、その検討に基づいてこれを各省別に実行に移してきている経過等についても、簡単に御説明を願いたいのです。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 内閣に産業災害防止協議会というものがございまして、この協議会の幹事として各省から代表者が出ております。たとえば労働省からは私が出てまいっております。この協議会におきまして、各省関係の産業災害全部について検討をいたしております。したがって、それに対する対策も、各省でこの協議会を中心にして連絡をとっておる次第であります。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は、政府のやり方にどこか抜けたことがあることを指摘したいのです。大事な人命を預かる仕事ですから、これはゆるがせにできないのです。だから個々の問題について、これを防止するにはどうしたらいいか、炭鉱などでも中小炭鉱などに犠牲が多いというところには、労働監督の行き届かないところが相当にあるのですから、そこに重点的な予算を振り当てていくという努力をされなければならない。今度こういう法案が出てきて、労働基準法の責任以外に新しい別の責任体制をここへ確立したわけでございますが、これがほんとうにいままでの労働基準法による事業主の責任を完全に果たすことに前進させることと、さらにこの協会によってこれを裏づけするようなりっぱなお仕事をしてくれるというのなら、私は意味があると思うのです。これがもし責任が転嫁されるということであり、労働省の労働行政の指導監督が手抜かりになって、こちらのほうにおまかせするというような、かりそめにもゆるんだ心があったとしたならば、災害防止どころではなくなるわけです。私はそこを特に御指摘を申し上げておきたい。  最後に、御注意を申し上げておきますが、この災害防止は、ただ単にそれぞれの業者だけの問題ではありません。やはり国民全体がこれに熱意を入れる、審議会の答申の中にも、国民運動を展開することをちゃんと明記してあるわけです。労働省が中心になられようと、どの省が中心になられようと差しつかえございませんが、全国民に労働災害の防止を十分周知徹底させる。  テレビ、ラジオなどを通じて、テレビなどでもいたずらに娯楽時間をふやすことなくして、こういう事業場等の実写をやり、災害がどういうところから起こるかということを十分想像させるようにして、国民全体に災害防止の空気を巻き起こす努力をしなければならない。人づくりという大事な目標を立てている池田内閣として、池田総理に忠実な大橋労働大臣がおられる限りは、人づくりと同時に、人命を守るということに十分力を入れてもらいたいのです。もう少し国民全体に人命のとうとさを教え、そして新技術、革新技術を取り入れて機械化されたこの際、これに伴うような人的な構成、技術的な実力者をそれぞれ用いて、いいかげんな人的構成にしないように、機械と人間とぴったり一致して、安心して産業の発展に貢献できるような根本国策を、大橋労働行政の中にちゃんと打ち立ててもらいたい。いいですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 受田先生のお説はまことに同感でございまして、今後ともさような趣旨を労働行政の上に十分に生かしてまいりたいと存じます。

受田新吉民主社会党

○受田委員 質問を終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これにて労働災害の防止に関する法律案についての質疑は終局いたしました。     —————————————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより討論に入ります。  労働災害の防止に関する法律案を討論に付します。討論の通告がありますので、これを許します。大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は日本社会党を代表いたしまして、労働災害の防止に関する法律案に関しての社会党の態度を明確にいたしまして、皆さま方の御賛同をいただきたいと思います。  第一番は、労働災害の防止のための新しい法律をつくらんとすること自体が、いまの条件の中で問題を持っておるという点であります。もしほんとうに労働災害を防止しようとするものでありますならば、賃金や労働条件を向上させながら、労働者が常に安定した状態のもとで働けるような、そういう問題解決と並行して労働安全の問題が考えらるべきであると思うのであります。さらに、労働基準法や安全衛生規則、災害補償などを改正充実して、監督行政を一貫して確立することによってのみ、事業主に対しまして安全衛生に関する必要なる基準を守らしめることができるというふうに考えるのであります。そういう点におきまして本法律案は屋上屋を架するといいますか、法的にもきわめて根拠のあいまいなものであるというふうに考えざるを得ないのであります。  第二番目には、その一つの問題点といたしまして、私との間における質疑応答に明らかなように、労働基準法との関係が明確でないのであります。労働大臣も質疑応答の中で明らかにされましたように、第四章の事項などは、少なくとも労働基準法の法体系の中における監督行政の欠陥を補う部面でございますから、これを労働基準法と関係の薄いこういう災害防止法の中に組み入れるということは、法体系といたしましても納得のできない点であります。そうしてその中におきまして、質疑応答で指摘いたしましたように、元方事業主との関係やあるいはそれを通ずる指導監督行政のあり方等につきましても、現在の土建業界における封建的な労使関係を解決することに役立つよりも、これを制度として裏づける危険性のほうが大きいといわなければなりません。  特に第三点といたしまして、関連いたしますが、労働基準法を母法といたしまして、そうして監督指導行政の補完的な立法であるという立場を明確にしないで、この法律案のような、独自の法体系による事業者団体を自主的に設立することを明文といたしまして、監督行政をなすべき部面につきまして、この広範な事業主団体が労災保険の特別会計からの財政的な援助を受けまして仕事をなしていくというふうなことは、今日の貧困な基準行政における物的な基礎というものを、ますます危険におとしいれる可能性があるというふうに考えるのであります。  特に質疑応答の中で指摘いたしましたように、就業規則に基準法は一定の保障を与えまして、法的な裏づけをいたしておるわけですけれども、たとえ労働者側の意見を聞くといたしましても、労働災害の防止規程という事業主団体の規定というものが就業規則に優先をするというようなことは、労働災害を防止する対象である労働者の安全を進めていく上におきまして、労働者の自発性と自主性を阻害するおそれがあるというふうに考えるのであります。  また労働行政の一元化の面からこれを見てまいりますと、貿易・為替の自由化のあらしの中におきまして、非常に困難に直面をいたしております鉱山における保安行政、設備その他におきまして非常に困難に当面をいたしております鉱山災害の防止等に対しましてこそ、こういう自主的な団体の育成が法体系の秩序立った範囲内におきまして実施さるべきであるにもかかわらず、そういう点が無視されておるという点を指摘しなければなりません。私どもは、労働基準監督官の充実——現在の秩序でありましたら、監督官は七年かからなければ法律に従いまして作業場を監督できないような貧困な状況であります。そういう監督官を充実させながら、機動力を強化しながら、この基準法の精神に従います基準監督行政を進めていく、そういう基準監督行政の本道に対する努力を十分しないでおいて、こういう事業主団体設立と、そうしてその指導運営に依存をするような労働災害の防止の政策というものは、私は基準監督行政のたてまえから、きわめて大きな問題があると存じます。  以上申し上げましたけれども、私どもといたしましては、あくまでも憲法や労働法や労働基準法等の原則に基づきまして、労働者の自主的な創意と自発性を十分尊重しながら、労使対等の原則の中におきまして設備の改善その他がなされることにおいてのみ、こういう労働安全の問題を成果あらしめることができると思うのであります。特に、いまも指摘がございましたけれども、中小企業等におきましては、労働災害を防止するための設備、そういうものがきわめて財政的に困難である、そういう労働安全設備に対する融資等の財政的な裏づけ等もございません。あるいは通産省における鉱山監督行政の一元化等もございません。そういう面におきましては、労働災害の面におきまして解決すべき問題がきわめて多いにもかかわらず、こういう法律によりましてあたかもこの問題を回避しているがごときことは、私どもといたしましては納得のできないところであります。したがって、集団的な労働基準行政の指導体制を、現在の基準法の補完的な立法措置制度といたしましてこれを運営するということにつきましては、私どもといたしましては、そういう面におきましては納得できる点がございますし、あるいは労働者の意見を聞く場合等を通じまして、規程の作成やあるいは運営におきまして労使対等の原則に対する配慮をするという点などについても部分的には納得をしますけれども、あまりにもこの労働災害の防止に関する法律案は問題が多くて、法律といたしましてもきわめて未熟であって、問題点が多い法律というふうに指摘をしなければなりません。この場合におきまして、このままでこの法律案を通すということに賛成をいたすということにつきましては、これは労働基準行政を正しく進めていく上におきまして私どものとらざるところであります。  以上の数点を指摘しまして、日本社会党といたしましては、本法案につきまして反対をいたしたいと存じます。  以上申し上げまして皆さまの御賛成をいただきまして、全会一致この法律案をひとつやめていただくようにお願いをいたしまして、私の反対の討論といたします。(拍手)

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 受田新吉君。

受田新吉民主社会党

○受田委員 私は、この法案に対しまして、条件つき賛成の意思を示したいと思います。  私が先ほど質疑応答によって獲得いたしました問題点は、この災害防止に対して政府がどのような熱意を持っているかということでありましたが、この点につきまして、大橋労働大臣が最後に非常な決意を表明されたことで、この問題の解決が根本的に期待できる面が開かれたと思います。ただここで問題になるのは、今度できたこの機関が、従来の労働基準法によって事業主に課せられた安全衛生の責任というものにひびを入れはしないか、責任転嫁のきずなになりはしないかという懸念でございます。しかも今度できる中央及び業種別の協会に役員、会員を置き、そして会員は会費制をしくであろうというような想定のもとにおきましては経済的な負担も存する、人的構成もりっぱなのができ上がっておる、そこで労働基準法の第五章に規定された安全衛生のうち、経営者、事業主の責任もそこで一応ある程度手伝いしてくれるなどという安易な気持ちを呼び起こす懸念が多分にあるということ、もう一つは、先ほどの質疑応答を通じて明らかにされたように、労働行政の中に当然労働省が手を打っておかなければならない問題点、すなわち末端の監督署に十分の人的配置をして、中小企業の事業所にも行き届いた監督ができるようにしなければならない、そういう手を打たないで、ここに新しい機関を設けられたとしても、これは別の意味で屋上屋を重ねる批判を免れないと思います。したがって、労働行政につきまして、労働基準法の実施について最小限を規定したこの法律でできれば最大限にまで労働基準法を守っていくような風潮をつくること、そういうところで労働行政の上で積極的な手を打ち、人員をふやすこと、そして行き届いた監督ができること、こういう施策を一方にとらなければ、新しい機関ができた意義が用をなさないと思います。  さらに諸外国と比較をいたしまして、日本の災害数が非常に多いという数字は、先ほど来政府委員から御指摘のとおりです。人命軽視の労働行政を平然と長年にわたって行なってこられた労働省としましては、関係各省と十分一致してこの問題の解決に懸命に取り組み、特に国民運動にまでこれを発展さして、とうとい人命を守る風潮をつくること、そしてもう一つは、中小企業の繁栄を十分もたらす方向に政治を進めること、このことは欧米先進国が大企業と中小企業にそれぞれ公平な措置をとっておりまして、その労働賃金におきましても、大企業、中小企業の区別なく、年齢的にほとんど同じ給与が支給されているのを見ましたときに、日本の中小企業と大企業の賃金差というものがあまりに大きいこと、そして女子や年少者に過重な負担をかけているというようなこと、こういうところに低賃金国家日本の悲劇がある。その低賃金国家日本の悲劇が、すなわち災害人員が非常にふえるという原因にもなっていることを、労働省は十分考えていただかなければいかぬのであります。政府といたしましてはこれらの点を十分勘案をされまして、今度できる機関に、ただ単に屋上屋を重ねるそしりを免れるだけでなく、また労働基準法による事業主はいままでに倍加した責任を感じて安全衛生の体制を固めること、さらに労働省の指導監督を一そう強化され、諸外国の労働行政を上回る実績をあげてもらうこと等、十分実績を示していただくことで私はこの法案が生きてくると思うのであります。したがって、災害防止に対する根本的な考え方において一応これを了とし、その実績をあげることに政府が命をかける努力をしていただくことを条件にして、本法案に賛意を表するものであります。(拍手)

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより労働災害の防止に関する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十二日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後五時九分散会

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