社会労働委員会 第26号
- 発言数
- 80 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1963/05/08
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の麻薬取締法等の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。中野四郎。
○中野委員 麻薬取締法等の一部を改正する法律案について、主として麻薬取締法の一部改正についての質問をいたしたいと存じます。 いまさら申し上げるまでもなく、麻薬禍問題は、昨三十七年において大きな政治問題としてクローズアップされまして、当委員会におきましては麻薬対策小委員会を設け、濃厚地区である京浜、阪神、北九州地区の麻薬濃厚地区を重点的に視察をいたしまして、多くの点を実地に調査してまいりました。これらのことにつきましては、すでにその後の国政調査の報告書に詳細に述べてございますので、これは当時の会議録を参照することといたしまして、これよりも先に当委員会は、麻薬禍対策について参考人を招致して、各関係者よりその実情をつぶさに聴取いたしました。三十七年四月の二十七日の当委員会において、麻薬対策の強化に関する決議がなされ、次いで五月七日には院議をもって麻薬対策強化に関する決議がなされたことは、委員各位の御承知のとおりでございます。また参議院の社会労働委員会においても、第四十一回国会に同様趣旨の決議が行なわれ、国会全体をあげて麻薬禍対策の強化に乗り出した次第でございます。 かかる事態に対処するために、政府におかれても十月十六日閣議決定によって麻薬対策関係閣僚会議が設置され、その下部機構として、総理府に麻薬対策推進本部が置かれて、各省庁間の連絡協議をより密接に、強力な諸施策の推進がはかられておると聞き及んでおりますが、今回おそきに失した惑はありますが、麻薬取締法等の一部を改正する法律案が提出され、審議される運びになりましたことは、麻薬禍を憂えるわれわれの全面的に賛意を表するところでございます。 前置きはこのくらいにして、麻薬取締法等の一部改正の本論に入ろうと思います。昨年十一月十三日に麻薬対策推進本部から発表された麻薬対策要綱に従って、順次その大綱について質問をいたしたいと存じます。 まずその項目を見ますると、第一に啓発指導、第二に麻薬犯罪取り締まりの強化、第三に麻薬中毒者対策の強化、第四に麻薬管理の強化の四項目となっておりますが、まず昭和三十八年度の各関係官庁の予算額はどのくらいで、前年度と比較してどういうふうになって、おりまするか、この点を御答弁願いたいと存じます。
○牛丸政府委員 まず厚生省関係の三十八年度麻薬対策費の予算額を御説明申し上げます。 麻薬の取り締まり強化費といたしましては、捜査用の器具整備費、取り締まり活動費、取り締まり旅費、取締官事務所の施設整備費等がその内容でございますが、その総額は二億九百五十八万八千円でございまして、前年度の予算は一千五百九十七万四千円でございます。 次は麻薬中毒者対策の経費でございまして、その内訳は、一国立の麻薬中毒者収容施設費、これは百ベッド、五十、五十の二カ所分の施設費、それから麻薬中毒者収容設備整備費補助金、これは都道府県が設置いたします麻薬中毒者収容施設に対して、国がその二分の一を補助する金額でございます。その次は麻薬中毒者入所措置に対する補助、これは十分の八の補助でございますが、その総額が麻薬中毒者対策費として二億一千五百七十一万五千円、これは三十七年度は麻薬中毒者収容設備整備費の補助金として七百五十二万三千円だけが計上されていたわけでございまして、それが二億一千五百七十一万五千円になっております。 第三の大きな項目といたしましては、啓発指導費として一千六百二十二万七千円、これは前年度は四百二十九万五千円でございます。その内訳は、麻薬禍撲滅の啓発宣伝費と麻薬対策推進費、これは麻薬相談員その他麻薬対策推進協議会等の費用でございます。そのほか麻薬取締官事務所の通常の経費等が一億九千九十二万五千円でございまして、三十八年度の厚生省関係の麻薬対策費総額は六億三千二百四十五万五千円でございまして、前年度の一億六千三百九十七万八千円に対しまして、約四倍くらいの増額になっておるわけであります。 そのほかに予算との関係におきまして、機構整備といたしまして、本省の麻薬課を麻薬第一課、第二課と二つの課にいたしまして、正規の麻薬の生産指導なり監督という問題と、不正麻薬の取り締まり及び中毒者対策というものを、二つの課に分離しておるわけでございます。そして増員を二名本省において見たわけであります。そのほか、地方の麻薬取締官に対しまして増員十三名、それから都道府県に配置しております麻薬取締員の増員十八名、計三十三名の増員を見たわけであります。 以上が厚生省関係の麻薬対策費関係の概要でございます。
○中野委員 この三十八年度の予算を大体各省別に見ますと、法務省では三十七年度の五倍、厚生省でも約五倍強、警察庁に至っては六倍というような相当の数字が出ておるのですが、従来から言われておることですが、犯罪捜査の機動化については、かつてはジェット機と自動車の競争だというふうに言われておったのですが、機動性ということについては、相当重点を置かなければならないと思うのです。いまの薬務局長の説明によりますと、この機動性についての予算的な措置が、まだ相当不十分のように思えるのです。特に海上捜査の機動性、高速艇というようなものが相当論議の中心になるということは、水ぎわですべてを防げと言われておる密輸入に関するところの麻薬禍撲滅するとなれば、この方面にも相当力が入らなければならない。そこで、まず第一に機動性の点について、一体どういうような措置を具体的にとっておいでになるか。これは予算の具体化と伴って相当大きな問題だと思うので、さらに局長から機動性について明確な分布割り等についての計画を伺いたいし、それから引き続いて海上保安庁の方の高速艇等はどうなっておるか。あるいは機動性について今度の予算ではどういうふうな措置をとっておるか。この点について伺っておきたい。
○牛丸政府委員 機動性の予算といたしましては、捜査用器具の整備費がその中心になるわけでありまして、前年度四百四十三万円が今度六千四百三十七万円で、約十数倍の増額になっているわけであります。この内容は自動車の整備、それから携帯用無電機の整備等がその中心になっております。これは主として麻薬取締官の各事務所に対する機動性の整備でございます。このほかに警察関係並びにその他関係の官庁の機動性の整備費というものが計上されておるわけでございまして、その点につきましては関係の官庁のほうから御説明を願うことにいたしたいと思います。
○和田政府委員 海上保安庁関係の麻薬関係の予算を申し上げます。 大蔵省のほうと私ども折衝したのでございますが、人間につきましては、努力が足りませんで認められてございません。巡視艇につきましても、九隻、約二億一千五百万をお願いいたしましたが、これもゼロでございます。結局、活動力あるいは捜査費といたしまして、これは大蔵省の説明では、麻薬を中心にその他の犯罪ということも含めまして五百二十八万五千円でございます。これ以外に一般の警備用といたしまして、初めて自動車を五台、それから高速機動艇につきましては、これも麻薬というだけではございませんが、警備用の高速機動艇を十二隻いただいております。
○中野委員 海上保安庁の問題については後ほど伺うつもりでおりますが、そこでさらに、法務省関係のほうは、今度のこの予算的処置をどういうふうに具体化されておるか。それからついでに伺っておきたいのは、昨年の十一月あるいは十二月を期しまして、少なくとも中毒患者の徹底的検挙という点が内閣の小委員会で論議され、その結果は、警察庁のほうよりの報告を伺いますと、一月、二月というようなときに行なわれたようでありますが、そのときに法務省のほうの話し合いでは、各刑務所が相当満員であるために、これらを北海道に移動せしめて、何らかの処置をとるというようなことを約束されておりますが、その後の実態をこの機会にひとつ御説明願いたいと思います。
○竹内(壽)政府委員 法務省におきましての麻薬対策経費につきましては、先ほど概数をお述べいただきましたとおりでございますが、中身を申し上げますと、検察庁の関係におきましては、麻薬犯罪の取り締まり強化という項目で、調査活動費、麻薬調査票、資料作成費、それから麻薬係検事、事務官の増員等をお願いいたしました結果、十分な目的を達成してはおりませんけれども、相当程度の予算を認められてまいっております。特に増員関係はむずかしい事情にありましたにかかわらず、専従の検察官を三名と事務官六名を認めてもらっております。 なお、所管全体といたしまして、もう一つは麻薬犯罪対策の研究でございますが、これは法務総合研究所におきまして研究するための経費をいただいております。 それから麻薬中毒者対策の強化という線によりまして、いまも御指摘がございましたように、収容施設の整備関係としまして各所修繕費、それから保護観察の充実という面におきまして職員の旅費、それから矯正施設の中においての医療関係の備品整備費、そういうものをそれぞれ計上さしていただいております。合計いたしますと五千万、前年度が百三十一万八千円でございますので、差し引き四千八百万の増額になっておる次第でございます。 それから第二の検挙取り締まりに際しまして、収容施設の関係でございますが、私どもの矯正関係が主としてこの問題につきまして対策を講じたわけでございます。ただいま矯正当局の者が参っておりませんので、詳細につきましては私としましてもわかりかねるのでございまするけれども、収容対策の一環といたしまして、最も濃厚地区である横浜地域の収容者が増加するであろうということを予想いたしまして、横浜刑務所から他の刑務所に収容者を三十七年十月から十二月までの間に合計百五十名を移送いたしております。これによりまして麻薬関係違反者の警察当局の検挙に対しまして、収容に何らこと欠くというようなことのないように処置をいたした次第でございます。このようなことは運用においてもできることでございまするが、さらにあけました収容施設に麻薬中毒者を入れるのにふさわしい施設の整備、それからそれに伴って医薬品その他の治療器具等をも整備いたしまして、取り締まりの受け入れ態勢といたしまして万遺憾なきを期しておる次第でございます。
○中野委員 三省の大体の計画を伺いましたから、そこで要綱に基づいてひとつ逐次伺っていきたいと思います。 第一に、啓発指導の面でありますが、昨年来新聞あるいはテレビ、ラジオあるいは週刊誌、その他麻薬についての記事を取り扱っておるものを見ましても、あるいはドラマ、推理小説とか実話もの等、いろいろな形式がございますけれども、この麻薬の問題を取り扱っておる中で、実際に正しい啓発指導の面というよりも、むしろ逆効果を示すものが相当あるように私には思える。この啓発指導ということが第一番に項目の中にあげられておりまするゆえんは、いまさら申し上げるまでもないと存じまするけれども、まず麻薬禍というものがどんなにおそろしいものであるかということを一般大衆に知らしめる、浸透せしめるということがこのことの解決をはかる一つの方法でございまするので、したがって、この啓発指導の面が各省においてどういうふうに取り扱われるか、特に担当省であるところの厚生省は、これに最大の力をいたさなければならぬだけの責務を持っておると私は思うのであります。麻薬の被害というものがいかにおそろしいものであって、人体に一体どういうふうな影響を及ぼすものであるか、物心両面においてどういうふうな影響をもたらすものであるかということを、きわめて簡潔に一般の大衆が知り得るような処置をとることが、第一番であろうと思います。この点について、第一番に厚生省は一体どういうふうな処置をとっておられるか、あるいは法務省でも矯正局方面あるいは各方面において、どういうふうな感覚によってこれを処置しておられるか、この点をまず伺っておきたいと思います。
○牛丸政府委員 麻薬に関するPRの要諦は、ただいま中野先生からおっしゃった通りであろうかと考えております。特に麻薬の弊害といいますか、おそろしさということが一般にまだ知られない段階においては、ややもすると興味本位にとられがちな点もあるわけでございまして、私どもとしましては、まず民放、テレビ等がこういう問題に対して一番影響力を持っておるわけでございまして、また現実におきましても、テレビのドラマ等に麻薬関係が一番多くその主題として扱われておるような傾向でございましたので、民放のそれぞれの責任者にみんなお集まり願いまして、こういう趣旨に対する啓発、指導、特に麻薬が興味本位に扱われないようにという点を十分連結はとりあえずいたしたわけでございますが、それはそれといたしまして、私どもとしては一つの資料をつくっていって、具体的にこういう問題があるということをお示しすることが一番いいのじゃないかということで、厚生省にございます麻薬の対策推進のための会議の中で、婦人団体の中央の組織の方々にお集まり願いまして、そういう点の御相談もしたわけでございます。そのときに一番要望されたのは、売春とかその他の問題と違って、麻薬についてはわれわれも具体的に啓発、指導する材料なり知識を持たないから、そういう知識なり材料になる資料をとりあえずつくってくれということでございまして、ちょうど三十八年度予算も成立して施行の時期に入りましたので、とりあえずいま私どもが準備しておりますのは、そういう麻薬のおそろしさというものをはっきりと一般の人たちにわかってもらう資料としてのパンフレットなりリーフレットその他の材料をつくって、そういうものを各婦人団体なりあるいはその他の啓蒙を担当してもらう各団体の指導者にお配りするというようなことをまず考えておるわけでございます。それから一般の大衆に対しましては、映画なり、そういうものが一番大きな影響力を持っておるわけでございまして、現在麻薬禍のおそろしさというもの、それからそれが一般の社会から隔絶された特殊のグループだけの問題ではない、すぐ家庭に近接した、具体的なわれわれの身近の問題であるという趣旨のPRを中心にした映画をつくっていきたいというふうに考えておるわけでございます。 それからこれは主として特殊な地域に関係がございますが、ちょうど現在はモルヒネのもとでございますケシの栽培の時期でもございますので、ケシの不正栽培に対する啓蒙運動、これは毎年やっておるわけでございますが、そういうものに対するポスターを全国的に配付して、不正の栽培を防止するという点も考えておるわけでございます。 今年度は幸い啓蒙に関する予算も大幅に増額になりましたので、あらゆる手段を利用しまして、特に麻薬がおそろしい、家庭の中にすぐ接近している危険性を持っているという点、それからこれは正当に医療用として使用される以外は全部そういう点が問題でございますので、そういう麻薬の正当な評価なりおそろしさという点を中心にして啓蒙の運動を展開していきたい、かように考えておるわけでございます。
○中野委員 どうもお話を聞いてみてもおざなりな感じが強い。厚生省はもっと熱意を持って、これを真剣に浸透させなければだめですよ。幾ら予算をとっても、それをこなすだけの力がなければ何にもならない。特にこの啓蒙宣伝というものがどんなに大事なものであるか、あるいは指導が大事なものであるかということは、前項に申し上げたとおりです。しかしいま局長のお話を聞いてみると、端的にいってあなた方の従来の考え方を少し進めた程度のものであって、こんなことでは、日本の麻薬禍を撲滅するということにはあまりにもほど遠い。もっと真剣にやらなければだめだ。一体役所が熱意を持ってこれに取り組まなければ、何も意味がないと思うのです。それから一つは、伺っておるとどうも他力本願で、みずから立ってこれを徹底的に払拭しようという考え方が見えない。これは局長に少し酷なことばかもしれませんが、われわれ予算を審議するものとしては、特にあなた方に強く要望しなければならぬ、もっと熱意を持ってこのことをやらなければいけない。特に厚生省はその所管なんだから、この啓蒙、指導というようなことにあなた方は徹底的に力を入れなければならぬ。今度の予算の大部分を費やしてもこれに持っていかなければならぬ。一体国民の中で麻薬の話をしても、われ関せずえんということで、麻薬に対するおそろしさというものの認識がないことなんです。しかしその当事者はそんなことには耳を傾けばしない。だから、一般の大衆に向かってどうするか、こういう点に特に力を入れなければいけないのです。特に私が伺っておきたいのは、たとえば神戸の番町地区とか横浜の黄金町、こういう地区の住民が麻薬追放運動には相当協力しておるわけです。しかしその効果が実際あがってくるかというと、どこかあなた方にほんとうの熱意のあらわれがないために、せっかく立ち上がっても暴力団のほうの圧力が強い。町をうろついておるチンピラの圧力のほうが強いから、おそれをなしてしゃがんでしまうのです。これらをほんとうに一方においては助成し、この人たちが立ち上がったら、それをさらに活発に活動していけるように持っていく。一面においては、一般の大衆に向かって麻薬のおそろしさというものを知らしめる、こういうようなことによってその目的を達成していかなければいけないと思うのですが、たとえばいま言う番町地区や黄金町の協力会の連中、自主的に立ち上がっておる連中に対する助成の方法はどうしているのですか。またこの人たちが実際上活動でき得る措置を今度とっておるのですかどうですか、この点を伺いたい。
○牛丸政府委員 運動の方法といたしましては、私どもも責任がありまして、私どももみずからやるべきことでございます。しかし問題が問題でございますので、あらゆる組織をこの協力の中に入っていただいてやるということは考えております。そういう場合、いま一番問題になるのは、番町地区なりあるいは横浜の黄金町地区というような直接麻薬の被害を受けられておる地区の住民の方々が、現在立ち上がっておられます。そういうものに対しましては、私どもとしましては、主としてそれは麻薬の相談員、指導員の人たちも関与しておるわけでございます。そういう面からの協力はもちろん私どももやっていきたいと思います。それからそういう方々が、結局は経済の問題その他にもなると思いますから、そういう点についての具体的な協力のしかたについては、これから検討していきたいと考えております。
○中野委員 ちょっとわからぬのは助成の方法です。もっと具体的に、相談員にはどうしてやるのか、協力員にはどうしてやるのか、あるいはこういう人たちがこれからやっていこうとするのには、相当横の連絡がなくてはいかぬ。こういうような問題であなたのほうはどういうように考えておられるか、この点を伺いたい。
○牛丸政府委員 番町地区はりっぱな組織がございますし、その中核をなしておりますのは、私どものほうでお願いしておる相談員の人たちでもございますので、こういう組織を中心にして、神戸なら神戸の他の地区に対する横のつながりを醸成していく。これは県なりあるいは麻薬取締官事務所の職員をして、そういう組織に対する強力な協力のしかたなり、あるいは指導のしかたを私どもとしてもお願いをしていきたいと思います。それから横浜のほうは、最近そういうふうな動きが非常に活発になっておるわけでございますので、これに対してもすでにその地区の麻薬の相談員がそれにタッチしておるわけでございますから、私どもとしては、県がそういうふうなものの推進協議会というものを持っておりますので、そういう推進協議会を中心にして、そういう地区の運動の活発化というものに協力をしていくようにやっていく、かように考えております。
○中野委員 ここでもまた大事な問題はあるのですよ。たとえば地域地域で立ち上がってくれた人は、麻薬のおそろしさというものを認識して、みずから勇気をふるって立ち上がってくれた人なんです。これが全国にたくさんできればできるほど、こういう問題の推進の目的は達成でき得る。しかし、この人たちがせっかく立ち上がっても、口では助成とか協力とか言ったって何らの具体的なことが示されなければ、この人たちはしゃがんでしまうのです。地域地域のいわゆる圧力に参ってしまうのです。だから、せっかく協議会をつくったら、これをぐんぐん盛り立てていく。これを柱にして、いま言うような啓発、指導を行なうというようなことも必要なことなんです。 そこで、いま横浜の問題が出たが、ひとり横浜ばかりでないのです。全国濃厚地区にそういうような傾向が強くなってきて、たまたま番町地区なんかは強力な団体ができ、黄金町、日ノ出町の方面では強力な推進団体が出てきた。しかしまた、九州にもどこにもあるそういうような人を、立ち上がってさらに勇気をふるってこの目的を達成してもらう一つの方法としては、縦からあなた方は助成するとか補助するとか言っておるが、横の連絡というものは全然ない。この人たちが横の連絡を持って、さらに勇気をもってこれをやってくるという過程になれば、この効果はずっとあがってくる。言いかえれば、全国、こういう人の連絡協議会を、あなたの方で指導してそういうものをつくって、この目的を達成するように強力な指導をしなければならぬ。その指導の道があなたに明らかになっていないから伺いたい。これをやるのかやらないのか。やるというならば、どういうふうにやるか、やらないでこのままほうっておくなら、もう問題にならないことなんだが、その点を伺っておるのです。
○牛丸政府委員 これは現在、ごく一部でございますが、当然九州なり愛知なり、そういう濃厚地区にもこういうふうな団体ができることは私どもも期待しておるわけでございます。その中心になっている指導者の一人としては、麻薬の相談員もおるわけでございます。これが三十八年度におきましては約二百名近くに増加するわけでございますから、これを年内においてはひとつ早急に全国的な打ち合わせ会を開いていきたいというように私ども考えておりますし、そういうものを一つの中核として横の連絡をする。そして番町地区において成功した例なり失敗した例なり、あるいは黄金町なり日ノ出町地区において成功した例、そういうようなものをお互いにそこで研さんし合うような機会を持って、それを継続的なものにしていって、新しく発足する他の地区の呼びかけにもそれを利用していく。まずその中核となりますのは、全国に配置されております麻薬の相談員なり、そういうふうなものから手始めにして、いま先生のおっしゃったような組織化にはぜひ早急に努力していきたい、かように考えております。
○中野委員 これはあえて声を大にして申し上げずともわかり切ったことなんだが、助成とそれからあなた方の熱意いかんによっては、相当各地区の濃厚地区で、地域的に協力する団体ができてくる可能性はあるのです。だから、あなたのほうでまず熱意を示すことなんだ。いかなる方法によってこれを助成するか、あるいは協力体制はどうするか。あなた方の予算の許す範囲内において、一体どういうふうにこれらをば助成していくかというふうなことを具体的に示せば、この人たちは立つに決してやぶさかでない。そして、その立ってくるのを待っておったのではしようがないから、現在そういうような地域地域において相当な協力体制ができておるのだから、とりあえずこの人たちの横の連絡をとるために、本来はそういう全国協議会のようなものをつくって、お互いにこの目的達成のためにどんどん推進のできるような措置をとることが先決だろうと思うのです。そして、まずできておる連中に向かってするこの啓発の方法、指導の方法をばあなた方のほうから授けていけば、なお効果的に動く。ぼくは、そういうところにあなたのほうの熱意が欠けておると思うのです。役所であるから、何か予算をもらってしまうと、あとはどうでもいいというふうで放置しているような傾向が強い。大体今日、この麻薬を日本じゅうに振り回されて、天国だなんていわれるような汚名を受けるのは何かといえば、役人が悪い。率直にいえば、役人の怠慢からきたと言っても過言ではありません。特にあなた方がその点に留意をされてふるい立って、こういうような大きな問題が構成されてきたのだから、その醸成されたときには、あなた方が立ち上がって、一緒になってこの問題の解決のために努力しなければ何にもならないと私は思う。そこで、今度麻薬対策推進地方本部というものを設置しておるはずでありますが、これはいま状況はどういうふうになっておりますか、各地方の状況をひとつ……。
○西村国務大臣 中野委員からいまお話がございましたが、実は啓発指導は必要ですが、その方法をいかにしてやるかということでございます。パンフレットを出したり、あるいはテレビでやって一般に知らせることも必要であるけれども、この地方本部を強化したい。これはどうしても地域住民の協力なくしてはできないのです。地域住民が協力することで大部分は防げるのでありまして、私も神戸の番町の方々にお会いしましたが、そこで私が一番考えていたことは、この地方には、もちろんいろいろな推進本部ができていますが、実効をあげるのには地方推進本部の強化でございます。ところが、いままで私もそう考え考えつつおっただけでございまして、いままでは実際の指示を十分にいたしておりませんが、いま御意見もございましたので、ひとつ今後は、この地域住民の盛り上がる活動に対しましては十分力を入れたい。しかも予算がきまりましたが、実行予算の使用の点につきましては、まだ十分な討議をいたしておらないのでございますが、この地方本部の強化、地域住民の協力、こういうふうなことにつきましては、ひとつ十分気をつけたい。しこうして、それらの横の連絡につきましては私も考えたことがございますが、まだ実行いたしておりません。はなはだ怠慢じゃないかとおっしゃればそういうことになりますが、いまの点は十分私のほうもわかりますので、強力にやっていきたい。これが一番手っとり早いと私自身は考えておるわけでございます。現在どういうふうに地方本部を推進できておるかということは、それぞれ関係の担当の係から申しますが、私はやはり地方ができたときは、本省からだれか係官が行って、みずから指導し、みずから前進するようにしたらよかろうということをかねがね思っておりますから、いまの御意見は十分ひとつ参考にいたしまして、今後はそういうふうにしたいと思います。部分部分のことは、担当の係のほうから……。
○中野委員 ほかにもまだ相当質問がありますから、あまりこだわらずに率直に申し上げておきますが、あなたのほうで組んでおられるこの啓発指導費はきわめて少ない。これでは問題にならないですよ。こればかりの金で、いまおっしゃるような問題を解決しようということは、なかなかできるものではありません。しかし来年度の予算のこともさらに考えなければならぬことでしょうけれども、許された範囲の予算をもっと大きくこのほうに盛り込んで、実際上の目的達成のために活用しなければならぬのです。 そこで最後に、いまの一項の点だけですが、結局は、各地の協力会の全国協議会というようなものをつくる意思はあるのですか、ないのですか、それだけを伺っておきましょう。
○牛丸政府委員 私どもとしては、横の連絡はぜひ必要だと思いますので、設置をしていきたいと考えております。
○中野委員 ほかの方の質問もあることですから、自分のほうも少し進めていきましょう。 そこで二項の麻薬犯罪の取り締まり強化の面について少し聞きたいのですが、第一番に、麻薬事犯の大半がヘロインなんだ。特にこれは密輸入にからむものですから、いろいろこの点については聞きたい点があります。 まず第一に、麻薬という定義はどういうものをいうか、これからまず伺っておきたい。
○牛丸政府委員 これは現行の法律に規定がございまして、麻薬というものは「別表に掲げる物をいう。」ということで、別表に列記されているわけでございます。結局、私どもが現在麻薬と申し上げておりますのは、第一にはアヘンアルカロイド系の麻薬、つまりモルヒネ及びその塩類、その他のコデイン、それからアヘンアルカロイドを中核とするいわゆる自然天然の麻薬というのがその一つの類例になります。その第二は、コカのアルカロイド系の麻薬でございます。それから合成麻薬として化学的に精製された麻薬があるわけでございます。そういうものが別表に全部列挙してありまして、結局新しく精製される麻薬というものもこの別表に記載され、あるいは別表に基づいて政令で規定されて麻薬というふうになるわけでございます。
○中野委員 今度のこの麻薬取締法の別に考えなければならぬ問題だと思いますが、ただこの際は取り締まり強化についてですが、たとえばペチジンとデノロールは麻薬ですね。そうすると、こういうものはやはり今度の取り締まり強化の中に入っておるのですか、どうですか。
○牛丸政府委員 合成麻薬の一つとして、この取り締まりの対象になるわけであります。
○中野委員 そこで話を二つに分けて、覚せい剤の取り締まり法がある。覚せい剤は、大体ヒロポンを中心としておる。しかし最近流行の睡眠薬というのですか、アンフェタミンとかバルビタールというものがあるのですが、こういうものは一体どういうふうな取り扱いをしているのですか。
○牛丸政府委員 覚せい剤は覚せい剤取締法に定義があるわけでありますが、バルビタール系の睡眠薬というものは、今日国際的にもこれをコントロールすることは問題にはなっておりますけれども、麻薬の概念には入っていない。したがって、麻薬取締法の取り締まり対象のワク外でございます。
○中野委員 ここが問題なんだね。麻薬というと、ただ別項にあるようなアヘン系統のものとか、あるいはコカ系統とか、大麻というようなものだけでなく、一方を押えれば、ゴムまりじゃないけれども、一方はふくらんでくる、だんだん形が変わってこういうようなものに手をつけてくるのです。その傾向はすでに御承知のとおりです。あなた方がただ昔の法律のままに、こだわっておるうちに時代はどんどん進展して、麻薬の性質そのものがどんどん変わってくるのです。たとえばいまの睡眠薬にしてもそうですね。ヒロポンというものは、覚せい剤であるからヒロポン対策というものはあるけれども、実際上は、そのほかの睡眠薬というものは、ヒロポンにかわるようなものがだんだん発明されてきている。もっともっと強力なヘロインにかわる薬が考えられてきておる。そういうものが対象にならないということになるといけない。取り締まりの対象にはなりましょう。取り締まりの対象にはなるけれども、法律の中にはっきりとうたってないために、いろいろ問題が起こってくる。先日あなたもお聞きになったでしょうが、アメリカのシーバース博士なんかの話を聞きますと、最近においては、アメリカではゴムのりを溶かす溶剤ですか、あのにおいがやはり一種の麻酔状態を起こすというので、あれがはやってきて、アメリカでは取り締まり方法がなくて困るという、これはそのとおりですね。ゴムのりを溶かす薬のにおいを、子供が飛行機をつくりながらかげばふらふらとなる、そういうものをやられたら取り締まりの対象にならぬというのですが、時代は遠慮なしに進んでいるのですから、法律もその先へいって待ったをくれなければ、何にもならないじゃないですか。今度の法律改正の重点の中にこういうものは含むのですか。あるいは覚せい剤の中にこういういまの睡眠薬を入れる――今度は覚せい剤の会社もやらなければならぬでしょう。そういうような場合に、あなたの方ではどういう処置をするつもりですか。これは薬務局としてはたいへんなことです。麻薬の性質もどんどん変わってくる。名前も変わってくる。しかしその効果は同じ、あるいはより強力なものが出てきた。それをほうっておいて、古い法律をたてにとってとれとこれだということでは、役所があってもなくても同じことになる。この点いかがですか。
○牛丸政府委員 麻薬の概念は、ただいま中野先生がおっしゃったように、やはり時代とともに変わってくるわけです。たとえばオートンというのは、従来は一般薬でございましたが、これを二十九年に麻薬として規制しているわけでございます。したがいまして、そういう一つの一般薬としての規制しかやっていなかったものも、一般の従来の麻薬と同じ性質を有し、それが社会的に規制を必要とする段階になりますならば、これは当然麻薬に指定をして、麻薬取締法のワク内に入れていくという措置は考えていかなければなりません。 しかし、それはそれとして、もう一つは、バルビタール系の睡眠薬なりあるいはその他の、現在の段階においては麻薬の概念には入らない、しかしある程度の規制が必要という、いわば限界的なものもあるわけでありまして、そこの点はなかなか問題はあるかと思いますが、麻薬の問題として考えれば、いつまでも固定概念で麻薬というものがあるわけではありませんで、そのときそのときの薬の状態、精製された新しい薬が社会的にいかなる効用なり影響を及ぼしているかということから、麻薬的な医薬品は、一般薬の中から麻薬のほうに指定をしていくという措置は当然とらなければならぬというふうに考えております。
○中野委員 先ほども申し上げたように、新しいいろいろなものが出てくるのですから、それに対する対策というものはなくてはならぬ。悪いことはすぐ千里を走るのですから、アメリカではやったものはすぐ日本にくる。いいことはこないが、悪いことはすぐくる。たとえばゴムのりなんかの溶剤が、いま日本にはんらんしてきたらどうするつもりですか。何で取り締まるのですか。子供がその辺で飛行機の模型をつくる、あるいは何かをつくっていて、そのゴムのりのにおいをかいで、いい気持でふらふらとなる、それをどうしますか。
○牛丸政府委員 これは、一つは情報を収集して、国際的にそういう点の情報交換なり、新しく国内で開発されないで、外国で開発されているような麻薬的なものは当然早く麻薬に入れる、そうして未然にそういう弊害を防ぐということは、この際必要だと思います。 それからゴムのりの件は、これは私もシーバース博士から聞いたわけでございますが、これは現在の法律では毒物及び劇物取締法で取り締まりができるというふうに考えます。
○中野委員 言うはやすくして行ないがたしというので、話としてはよく聞けるけれども、実際上の取り締まりはどうするかという具体的な問題があなたから聞けないのは残念ですが、これはしっかりやらなければいけない。時代に先行して、さらにそれを防ぐだけの用意をしなければ何にもならない。どろぼうをつかまえてから、なわをなうどころではない、稲を育てて、それからなわにしようというようなお考え方では、とうていだめだと思います。 そこで、これは少し変わった角度から聞いてみましょう。大体ヘロインの入ってくるのは密輸入ですが、これは警察庁のほうでわかると思いますが、この事犯件数とか、あるいは厚生省のほうで調べたものでもけっこうです、それからヘロインの密輸入のルート、それからヘロインの生産地とその純度、この点について各所管から、最初の事犯件数については警察庁のほうと厚生省のほうと、両方から伺いたいと思います。密輸入のルートについては、海上保安庁のほうにひとつ伺っておきたい。これは少し伺わなければならぬ大事な問題があると思います。
○牛丸政府委員 三十七年の集計ができたわけでございますが、密輸事犯の検挙数は三十七年で十三件、二十名でございまして、これは前年の十一件、二十一名を件数としては上回っておるわけでございまして、船舶によるものが十二件、それから民間航空機によるものが一件というふうになっております。 それから密輸ルートは、従来は香港、マカオが中心でございます。最近はバンコクのルート、それからインド方面からのルート、それから韓国方面からのルートも相当活発になっているようであります。 それから密輸事件によって検挙された者によって押収された麻薬は、なまアヘン、塩酸モルヒネ、ヘロイン、ケシ、大麻草等でございまして、これも三十七年においては、なまアヘンが七千五百八十九グラム、塩酸モルヒネが百六十三グラム、それからヘロインが七千九百九十一グラムというような数字になっております。
○楢崎説明員 ヘロインの輸入源、密輸ルートについては、厚生省からお話がありましたところとわれわれの把握しておるところも大体同じ状況であります。ヘロイン関係の犯罪につきましては――麻薬取締法違反というのは、事実上ほとんどがヘロイン関係の犯罪でございまして、これにつきましては、三十七年の警察の検挙件数は二千二百二十五件、人員にしまして二千四百二十九名、全麻薬関係の犯罪の八六・七%、こういうふうになっております。
○和田政府委員 密輸のルートにつきましては、ただいま厚生省のほうから御答弁になりましたのと私どものほうで情報を得ておるのとは、ほぼ同じでございまするが、特に注目すべき点は、韓国から――もちろん韓国は生産をしておりませんが、小型船によって日本とは現在相当往復いたしております。このルートがかなり重要ではないかというふうに考えております。
○中野委員 そこで、いま伺ったのは密輸入の点ですが、海外から密輸入してくる者に対してどういうような対策を立てておられるか。厚生省としてはどういう対策を立てておるか、それから警察庁はどういうふうな対策をとられるか、それから海上保安庁はどういう対策をとられるか、これが問題の焦点です。これを伺いたい。
○牛丸政府委員 これは海外からの情報を得て、そして国内に入ってくる船なりあるいはその他の航空機なり等に対して、目を光らしていくということが要諦であるわけであります。私どものほうですべてができるわけではございません。各地区の麻薬取締官が、神戸なりあるいは横浜というような、そういうところの関係の機関と協力して情報の交換をし合い、あるいは共同して密輸船舶の検挙なり捜索に当たるということを現在やっておるわけでございます。
○楢崎説明員 警察庁といたしましては、密輸入の対策としまして、まずいま局長からお話がありました海外からの密輸入に関する情報の収集ということに重点を注ぎまして、これに関連しましては、具体的には本年度の予算で決定されました海外駐在官を一名バンコクに駐在させるということで、これはすでに担当者をきめまして、現在外務省の研修所に入っております。 次に、昨年の十月、十一月にわたりまして、東南アジアの諸国の麻薬関係のゼミナールを開きまして、麻薬関係の情報の連絡強化あるいは相互の連絡等、こういったことについて推進をはかっておりまして、これは本年度も九月に再び第二回のゼミナールをやる、こういうことで計画を進めております。 そのほか、容疑船舶あるいは航空機、あるいは乗り組み員に対する内偵の強化ということで名簿を整理する、あるいは視察内偵対策の強化、こういったことを進めております。
○和田政府委員 ただいま厚生省並びに警察庁のほうから答弁がございましたが、同じようなことでございますが、特に船舶につきましては、外航船舶、つまり外国と行き来する船舶の船員あるいはその外航船舶と陸との通船の船員、あるいは沖商――船に食糧、そういったものを入れる沖商、あるいは港湾労働者等につきまして情報網を設定いたしまして、情報の入手強化をはかるとともに、他の機関と緊密な情報交換をいたしております。 それからもう一つは、私のほうで、こういった麻薬関係の前科者のリストを一応関係の役所から、また、私のほう自体でも持っておりまして、視察内偵の強化をやっております。 なお、先ほど申しました韓国からは小型船もございますが、大型船舶によりまして相当入ってくる。この船につきましては、すでに要注意船としてリストをつくりまして、各管区本部並びに保安部署に配付いたしまして、立ち入り検査をいたしております。 なお、密輸入のために、場合によっては密封して海中に投げ、あとで拾うというような例もございますので、私のほうの巡視船艇によりまして、日本の港に入る前から、あるいは出るまで注意警戒し、あるいは停泊中も動静を見ております。同時にまた、私どもの職員だけではございませんが、関係の職員で徹底的に船内の捜索をやる船内捜索班を編成いたしまして、その発見に極力つとめておるところであります。
○中野委員 これはたいへんな問題ですが、密輸入対策がはっきりしなければだめなんです。 第一番に厚生省と警察庁のほうに私は要望もしたいし、御意見も聞いておきたいが、いまのお話を聞きますと、旧態依然たるもので、ほんとうに新しい角度からの密輸入の絶対対策というものは立っていない。一例をあげれば、国際情報ということが第一でしょう。国際的情報をキャッチしなければならぬ。警察庁の場合も、いま香港に行っておる酒井君にしましても、一生懸命やっておりますよ。やっておりますけれども、麻薬の情報をそう一生懸命やってはおれないという領事館の情勢なんです。いまジャカルタへ一人と、今度新しくバンコクへ一人行くというのですが、バンコクへ行って一年や二年や三年くらいあんなところにおって、麻薬の情報を得るなんておこのさたです。第一番に、向こうのことばがわからぬでしょう。地理がわからぬ。人情がわからない。また、向こうには独特の政治情勢がある。その中へ溶け込んでいって麻薬の実態を把握して、情報を国へ流そうというには相当な年月がかかる。百年河清を待つがごときものなんです。これはまだそれよりももっと有効な方法がある。海外派遣は必要なことではあります。必要なことではあるけれども、現在、領事館におる人、大使館におる人たちを活用する措置は幾らでもあるが、そういう予算もまだ組まれていない。たとえば、先日来しばしば小委員会で申し上げたように、シンガポールなんかでいわゆる税関――あちらでは税関がやっておりますから、税関へ行きますれば、相当大がかりのリストができておる、アルファベットによってAならAという頭文字のある者、何という人間をさがそうといえば、すぐ二分間でさがしてくる。数万人という中毒患者、あるいはそういうような常習犯に対して、それほどの設備が整っておるのですよ。先日、警察庁のほうでセミナーをおやりになって、各国からああして出てこられて、いろいろと御参考になったことと思うのです。あのセミナーも確かに有効ではあったが、もう一歩進めて、そういうようなリストの交換をするというようなところまでいかなければだめなんです。向こうでは完備したリストがある。日本ではまるでお手あげなんで、何にもありはしない。たとえば麻取の連中が、一生懸命中毒患者とかバイ人の写真をとってリストをつくっておる。どういたしまして、向こうだってちゃんと心得ておる。その麻取の、いわゆる麻薬取締官のリストをつくっておるのです。あのやろうはどこで生まれて、どういうやつで、親戚はどこにあってどういうやつか、いざとなればどうというふうに、ちゃんと二の手、三の手を打っておる。向こうの悪いことをやるやつのほうが、ずっとドスがきいておるのです。悪いやつほどよく眠るというけれども、よく眠るか眠らぬか知らぬけれども、とにかく先へ回ってちゃんと対策を立てておるのです。それを知らないで、向こうのリストをつくることに一生懸命で、まごまごしているうちに、逆にこちらのけつがあらわれるというようなばかげたことをやっておって、いつまでたったらこういう問題が解決すると思うのですか。啓蒙指導も大事でありましょう。これは国内に対して、一般国民に対して必要ではある。しかし何といったって、密輸入の原則といってもいいくらいのものは、日本でできないのだから、すべてが密輸入で外国から来るのですから、これをぴったりと情報をキャッチして防ぐということが、まず最大の問題でしょう。そうすれば、いまのようなちゃちな考え方で、旧態依然として麻薬の密輸入対策、これというようなことをやっておったのでは、これはいつまでたってもだめですよ。根本的に考え直しなさい。 それから特に海上保安庁、そうですよ。和田長官おいでだけれども、あなたは予算の取り方が実際へただよ。長官に言っては悪いかもしれぬが、欲ばり過ぎるよ。できるかできないか、たいてい山を見て出せばいい。だから便乗予算といわれる。へたな軍艦みたいなものまで要求してくるものだから、できはしないですよ。長官に対してはたいへん悪いのですが、あなたの努力をされることは認めますけれども、しかし水ぎわ作戦といって、主体はあなたのところじゃないですか。あなたは厚生省と警察庁の協力を得てこれを摘発し、検挙するのですが、いまのこの予算で、あなたのところの予算は今度は五百万かそこらふえただけでしょう。しかも先ほどお話を聞けば、要求したものはまるで入っていませんわ。そしてあなたのところで一番大きな問題をあげれば、大きな船の中に小さなブツを発見しなければならない。現地を私たちは見せていただきました。そしてマークされた船がどこにおって、どういう人間かということも伺いましたが、しかし実際にこれを検挙しようという場面で、確かに厚生省あるいは警察庁の協力のもとに、あなたのほうは非常に体制がうまくいっておりますが、実際に追っかける船そのものが満足にないのですよ。これは長官の予算の取り方もへたですが、同時に、あなたのほうも、もう少し真剣にこの麻薬の問題に取り組んでもらう決意をしてもらわなければいかぬと思うのです。その上に立って、警察庁もあるいは厚生省のほうも、これが三位一体になって足らざるものを補うような処置をとっていくことが必要だと思う。たとえば船の中でアヘンを見つける。アヘンの実体が何だかわからぬ、これがアヘンだかどうかわからないということがずいぶんある。今度はあなたのほうの予算で、その鑑定の新しい機械を購入されるでしょう。そういうものは、直ちに保安庁と、あるいは警察庁と連絡をとってやる必要があると思います。たとえば警察庁でもそうですよ。あなたのほうの予算で、今度五百名の警官をふやされる。伺うところによれば、これは一年たたなければ間に合わないのです。海外へ派遣して情報をキャッチする、領事を派遣するのに、四年、三年たたなければ間に合わないようなものをつくったり、警察官がいまから講習を受けて、一年たってからちょろちょろ出ていく。一体これをどうするつもりですか。ますますこれははんらんしてきますよ。だからわれわれは取り締まり法を強化して、日本という国は麻薬を取り扱っては損だ、えらい目にあうのだという認識をまず強める必要があると考えたから、この取り締まり法に取り組んでおるわけです。しかし、考え方によれば、その衝に当たるところのあなた方の連絡がばらばらじゃだめです。たとえば警察庁と麻取が、自分らのなわ張り争いというか、功名争いというものに終始して、実際上の効果をあげるという、これの効果が阻害されておる点がないとは言えませんよ。皆無とは言えません。麻取のほうに言わせれば、子豚を太らせてなるべく大きいやつをあげようといっておるし、あなたのほうではブツさえあげてもらえばいいというので、いろいろな策をしておるけれども、とにかくこの麻薬の問題を徹底的になくしようとするならば、その担当するところの各省が緊密な連絡のもとに、持てる力をお互いに分け合って、協力体制を発揮して、そしてこの問題を解決するようにしなければだめだと思うのです。 いま第一に申し上げたように、海上保安庁では手も足もありませんわ。あなたのところで持っておる船なんかで追っかけておったのでは、逃げるやつのほうが早いですわ。シンガポールなんかに行ってみますと、驚いたのは、何という名前だか、私は横文字に弱いからわからないけれども、エンジンの二つついたボートが二十ぱいくらい並んでいます。実地をやって見せてくれる。たとえば、仮想といたしまして向こうへ行くやつが密輸船だとしますと、五はいも六ぱいも一ぺんに飛ばします。向こうの速力の倍ある。だから、先へ回って途中から威嚇射撃してとめる。そういう方法を実地に見せてくれましたけれども、実情において、日本にはそういう機動力がありません。アメリカの古ぼけた船を払い下げてもらって、それをがたがた走らせているから、満足なことができないのはあたりまえだと思うけれども、そういう足らざるところは、今度の予算がある程度までいったところで協力体制をしくようにしていただきたいと思います。そうしなければだめです。 それから、海外からの密輸対策ということは非常に大きな問題です。私はこれにこだわろうとは思いませんけれども、この点については従来の厚生省の考え方を一変して、あるいは警察の考え方をさらに躍進させてこの問題に取り組んでいただきたいと思うのです。われわれは、ほかに何もあなた方に憎まれ口をきこうと思うのではありませんけれども、この問題だけはどうしても国家民族のために遂行しなければならぬ問題、貫徹しなければならぬ問題だと考えて、熱意のあまり申し上げることだから、非礼な点はお許し願いたいと思いますけれども、もう少し役所の各方面でも熱意を持って、強力な力を発揮するように御努力を願いたいと思います。 そこで、さらに伺っていきたいのですが、国内の密売組織の取り締まり強化に伴う問題ですが、最近は密売組織がだいぶ移動してまいりました。横浜で少し押えれば、すぐ川崎へ逃げていってしまいます。神戸できびしくすれば、すぐ大阪へ逃げます。大阪できびしくすれば、名古屋へ逃げる。最近の愛知県における麻薬暴力団というか、組織の力というものは相当顕著な姿を見せてきました。従来は名古屋で、今池という昔の赤線地域を中心にいろいろなものがあった。最近はそうじゃないのです。駅裏とか中村旧遊郭とか、ないしは蘇鉄町の淫売宿というところに移動してくる。これはなかなか容易な問題ではない。これを把握することも容易ではないが、検挙することはなお容易ではないと思います。しかし、これは捨ておいたらたいへんです。ですから、この密売組織を、取り締まりの強化に伴って現在移動しておるものを、どういうような形において破砕するかという点について、私はまず警察当局のお話を一応伺いたいと思います。
○楢崎説明員 お話のとおり、麻薬の密売が、日本ではいわゆる麻薬暴力団によって行なわれておる。これが麻薬犯罪対策として非常にむずかしい問題の一点であると思います。これは、警察といたしましては、暴力団の資金源の一つが麻薬である、しかしもっと根本的には、暴力団の組織そのものを追及することが重要であるという意味におきましては、総合的な暴力団対策として取り上げておりますが、この中で、特に現在麻薬暴力団としてわれわれが把握しております百四十ほどの組織がございますが、そういう団体については徹底的にこの組織を解明する、そして違反の検挙をいわゆる暴力団の中枢にまで及ぼしていく、こういうことについて努力する、これが現在、警察が麻薬対策としてとっております。密輸入対策の次に重要なものでございます。
○中野委員 それは保安課長、どうなんですかね。もう少し百尺竿頭一歩を進めて、その根源をたたくくらいの努力をしないのですか。たとえば、この麻薬の問題を取り上げる各委員諸君の心境というものは、私はわかるのです。札にならぬですからね。代議士や県会議員は札に弱いですから、札になるほうには力を入れますけれども、これはあまり札にならない問題なのです。右翼、左翼から憎まれても、恨まれてもやらなければならない問題だから徹底的にやる。そこであえて申し上げるのだが、たとえば何々組というものが厳として組織の上に立って、下に流しておるということは大体わかっておる。いつもかもたたくのは、下っぱのほうなのです。何で抜本塞源の方法をもって〇〇組というものを徹底的に洗う――必ずしも麻薬でなくても、ほかの方法であるでしょう。法治国といわれるのだから、あらゆる法律にかかるような状態を呈しておるのだから、やればやれぬことはないと思う。この前、保安局長の野田君にも申し上げたのだが、この点はどうも私には納得できないのです。もっとこれらを破砕するような方法をしないのですか、どうなんですか。下っぱのほうだけやってしまわないで……。
○楢崎説明員 ただいま申し上げました札つきの麻薬暴力団につきましては、お話のとおり実際に手足として使われる者が犯罪で検挙されましても、それがいわゆる中枢に及ばない、それを追及する犯罪捜査の困難性というものに阻害されまして、これをいかにして追及するかということがわれわれの一番大きな問題でありまして、その点につきましては、先ほども申し上げましたように単に麻薬犯罪ということでなくて、あらゆる犯罪、法規違反というものを活用いたしまして、麻薬暴力団を壊滅させるということに努力しておるわけであります。現に横浜あるいは大阪あるいは東京、兵庫というようなところにおきましては、麻薬暴力団はかなり中枢に至るまで解明されて、また一部壊滅しておるものもございます。しかし、ほんとうの元凶につきましては、まだまだというふうにわれわれは考えております。これからも一そう努力したいと思います。
○中野委員 私は警察のやり方というものには少し歯がゆいものを感じるのです。私一人じゃないと思うのだ。最近の誘拐事件にしても何にしましても、何か警察は肝心のところへいくとくつの上からかいておるような感じがするのです。これほど顕著な事実、彼らは最近においては暴力団と称して、それらの子分と称して、ちゃんと自分の親分の名前をあげて活動しておるのです。あなた方もそういうふうに発表されまするし、マスコミも全部何々組配下何々というふうにやっておるのです。系統立って組織立っておるのだから、やればやれぬことはないと思う。こういう問題についてはむろん確実な証拠をつかむ必要もありましょうし、いろいろと道もあろうと思いまするけれども、しかしこれは徹底的にやらなければならぬ問題なのです。特に今度あなたのほうは五百人からの警官がふえ、予算も五倍からついておるのですから、これは麻薬ばかりじゃなく、ほかの面からも強くやっていただきたいと思う。 そこでもう一つ、いま伺って御返事がなかったのですが、現在の取り締まり強化に伴って密売組織が相当移動してますね。その移動状況をここで聞いてみてもあまり効果があることじゃないけれども、一応質問する過程として、いまどういうような状況にあなたのほうでは見ておられるか。この点についてお答えを願いたい。
○楢崎説明員 麻薬犯罪の、ことに密売状況の変化につきましては、すでに御承知のことだと思いますが、昨年の秋、暮れに麻薬犯罪の徹底的な検挙をいたしまして、その後いわゆる麻薬の濃厚地帯といったところでは、麻薬犯罪が――いままではそこに行けば有力者、あるいは麻薬関係の販売者がたくさんいた。そういうようなところが非常に少なくなりました。一部につきましては、ほとんど完全に麻薬濃厚地帯が姿を消したというようなところがございまして、この反面といいますか、その結果、いままで麻薬犯罪が出ていなかった大府県の周辺の道府県あるいは大都市の周辺の小都市、そういったところに麻薬犯罪が非常に広域化しておる。これが顕著な事実であります。三十七年度につきましても、たとえば今までヘロイン関係の犯罪の検挙を全く見なかったというような北海道、山形、茨城、石川、島根、岡山、山口、佐賀、長崎、こういったようなところにヘロイン関係の犯罪が出ております。広域化、それから密売組織の巧妙化と申しますか、いろいろ密売の方法を変えまして、たとえば郵便配達にする、あるいは密売組織そのものは麻薬を携帯しない、実際の中毒者が取りに来る、あるいは麻薬の実際の売買に当たる者は、ほかからニコヨンといいますか、浮浪者を雇ってきて、警察が検挙するものはこういうもので、組織の中枢には及ばない、そういうようないろいろな方法を講じておりまして、麻薬犯罪は取り締まりの強化とともに非常に広域化し、取り締まりも困難になってきておる、こういう状況でございます。
○中野委員 御報告を聞いただけでも、相当広範囲にこの問題は広がってきております。ますます取り締まりのほうとしては、しにくくなってきております。それだけに、最初申し上げたような啓発、指導ということはますます必要になってくるのです。従来のように濃厚地区だけならいいのですが、濃厚地区だけではない。取り締まりの強化に伴って移動するのです。移動すると、これがまた新しい地域へさらに移動するのです。これはおそろしいことなんです。あなたのほうで、よく厚生省の白書か何かの中に、麻薬中毒患者四万人ということを書いておる。何が根拠か私は知りませんが、そんなことをここで一々どういう根拠だといって食い下がるような気持ちにはなりませんけれども、とにかくあなたのほうの推定四万人あるいは一般社会でいわれるような二十万、三十万というようなものが減っていかないで、ふえる傾向にあるのです。まことにおそろしいことだと思うのです。 そこで、あとは同僚の方々からいろいろ御質問がありましょうから少し進みまして、今度は罰則の強化について少し伺っておきましょう。一番盲点はこれだろうと思うのです。日本の国に持っていけば金がもうかる、罰則は軽い、なに、ちょっいとひっかかったところですぐ保釈になる、罰金で済むのだ、なに何とかすれば親分のほうでもらい下げてくれるのだというような感覚から、盛んにバイ人がはびこってくることは枚挙にいとまがない。そこで今度われわれが一番心配し、考え、あるいは政府のほうで提案になった最大の問題は罰則の強化です。日本へ行って麻薬をなぶったのではえらい間尺に合わない、えらい損をするのだ、罰則は重い、また体刑で罰金じゃないのだというような強い意思表示をすることは、日本における麻薬天国というような汚名をば返上したいという考え方に基づいてのものであります。そこで、この刑の最高を無期まで持っていったことはいいのですが、なぜ死刑にできなかったのですか。すでにアメリカでも死刑にしておる。タイでも死刑にしておる。また死刑のいわゆる最高刑を律しておる国は枚挙にいとまがないほどある。しかし実際行なったことは、リアンホウ事件ですか、あのタイにおける一つの例を私は知っておるだけでありますが、なぜ死刑にまでできなかったか、この点について立案した厚生当局から御意見を伺いたい。
○牛丸政府委員 麻薬の犯罪の最高刑を死刑にしろということは、私どももたびたびこの法律の改正案をつくるときに伺ったわけでございまして、法務省当局といろいろと打ち合わせをいたしまして、そういうふうな線でいけるかどうかの検討を願ったわけでございますが、しかしいろいろと法務省当局で御検討なさった結果、最高刑を、他のいろいろな犯罪との関連その他もあろうかと思いますが、無期ということで、従来の刑を相当これでも強くやっていただいた。それから罰金の併科ということ、それから従来は併合罪の規定であったわけでございますが、これが単独でそういうふうな刑を執行できるというふうになった点で、いままでの刑に比べると画期的な刑になったと言うことができると思います。
○中野委員 またつまらぬところを遠慮するものだね。これじゃ羊頭を掲げて狗肉を売るものです。私は死刑にしろと言うんじゃない。死刑まで持っていくということが、わが国を麻薬天国というような汚名から脱却せしめる最大の手段だと言うのです。現に死刑にした国はあるけれども、死刑を執行した国というのは、私の知っておる限りはタイだけです。アメリカでもやっておりません。しかし死刑になるということが、どんなにその犯罪者に与える影響というものが大きいかということを考えなければならない。社会的な効果、あるいは精神的な効果というものを考えなければならぬ。なぜ法務省はこれをやらなかったのですか。何か法務省は法体系とかいろいろなこと――私はあまり法律のほうには強くありませんが、法務省のほうはどうしてこれを死刑まで持っていけなかったのですか。あなたのところの大臣は、この前いばっておったじゃないか。相当極刑に処すのだ。極刑というのは、死刑が一番極刑なんです。新聞に書くだけで実行されなければ、何にもならぬじゃないか。だからひとつ法務省当局から、死刑にしなかった理由をまず伺いたい。それから続いて、その罰金刑の最高を五百万円としておるけれども、なぜそれ以上できないんですか。遠慮することないじゃないですか。こんなぼろもうけをするやつに対して、何で法務省は情けをかけなければならないのですか。情けをかけるなら、平沢貞通かなんか、まだわかってないんだから、もう少し情けをかけたまえ。だけど、とんでもないところに情けをかける。どういうわけで法務省がこういう立案をされたか、これを伺いたい。
○竹内(壽)政府委員 中野先生のおっしゃる意味はよくわかるわけでありますが、もちろんこの刑罰の対社会的な効果、刑罰そのものに死刑を設けることによって、この種の犯罪におちいることを抑制しようというような気持ちを世間一般に与える、そういう意味の効果を私どもも高く評価しておるものでございますが、それと同時に、またこの刑罰のあり方というものにつきましても、慎重に考慮しなければならぬと思うのでございます。そこで仰せのように、日本が麻薬天国であるといわれるゆえんのものの一つは、もちろん刑罰だけじゃございません。取り締まりが何となく緩慢であるというようなことも、刑罰をして真に効果あらしめるゆえんではございません。ではありますけれども、刑罰もまた現行法のように非常に軽いということも、先生御指摘のとおりだと私ども思います。 そこで、私ども当局といたしましては、死刑という刑が一体どういうような姿になりつつあるかということも慎重に考慮いたしました結果、死刑をやめまして、無期懲役というところまで実は持っていったわけです。その状況をやや詳しく申し上げますと、現在、世界の各国で死刑を廃止しておる国がすでに三十幾つございます。それからまた、死刑を廃止しておりませんでも、国連の社会防衛委員会等からは、なるべく死刑という刑罰は少なくしていこうじゃないかということが、いろいろな機会に国際会議でも問題になっております。日本にも死刑を存置しなければならぬという罪はあるわけでございますけれども、しかし最近の大勢によりましては、逐次少なくなってきておることは法制史の示すところでございますが、特にこの刑法の改正の準備草案等をごらんいただきますとわかりますように、死刑の数は非常に少ないものにしぼってきております。そうしてこういう世界一般の刑罰、特に死刑という罪罰のあり方についての傾向をも十分考慮いたしたのでございます。私の主としてねらっておりますところは、そういう威嚇的な意味においての刑罪という点でありますならば、無期懲役という刑は、現在あります刑としましては、不確定な状態においていつまで勾留されておるかわからぬというような状態の刑としましては、心理的にも実質的にも、むしろ極刑と申して差しつかえないほどの厳重な刑であるという考え方に立ちまして、しかも実効をおさめるような方法ということを考慮いたしました結果、無期懲役については文字どおり無期でございますが、その他の法定刑につきましても、単に法定刑を引き上げただけでなくて、その運用の面におきまして、従来は常習犯という考え方を持って臨んでおりましたが、常習犯という考え方を一てきしてやめてしまいました。したがいまして、これは法律的に申しますと、一つ一つの行為が併合罪ということになろうと思います。併合罪ということになりますと、長期の半分まで高く上げ得るわけでございます。たとえば十五年ということになりますと、その七年半が上に積み重ねられますが、この場合は刑法十四条の規定により二十年以下において処罰する、こういうことができるわけでございます。で、罪金刑につきましては、なるほど仰せのとおり、五百万という金額にしぼりました。この五百万という金額は、もし罰金が納まらないときはからだでつとめるというのが、刑罰のたてまえでございます。そういたしますと、この罰金を一日幾らということで換算をしてつとめることになりますが、労役場留置という換刑処分は、二年ということが最高になっております。そういたしますと、五百万円を二年で計算をいたしてまいりますと、一日の換算率が六千八百円ということになるのでございまして、これは日本の現行法であります最高の額であります。 それからなお、先ほど申した体刑と同じようにこれは併合罪になりますので、この罰金刑が、五百万円が千万というふうに加算されて、その範囲内で実際の利益は取ってしまうということができるわけでございまして、そういったような法律の技術的な問題をも考慮いたしますときは、体刑の面では無期懲役というところまで踏み切ろう、罰金という面では、日本で現在あります刑罰の中で、罰金刑の一番高い五百万円という金額をとり、しかも併合罪加重ができるというたてまえをとって、利益を剥奪するのには五百万という法定刑を設けておけば、ほとんどこれは剥奪し得るんじゃないかという考えのもとで、実際的に効果のある刑罰ということでこの刑を出したわけでございます。で、これを出すことによりまして、これに準じてその他の刑も三倍ないし五倍というふうにずっと高くなってまいりましたことは、この罰則全体をごらんいただきますとわかるわけでございます。 こういうふうで、刑法の将来の刑罰のあり方、それから必要性、いまの麻薬天国であるということが、私はむしろこれによって麻薬地獄だというように変わってくるんじゃないかというように思っておるわけでございます。そういうふうな諸事情を考慮いたしまして、これが最も適切な刑じゃないかという確信を持って、この案に御賛成を申し上げてきておるわけでございます。
○中野委員 変なところだけは、ばかにまた先々進国的な考え方で、現にアメリカなんかでも死刑にしておる。死刑のいわゆる刑罰があるのです。だからあまり変なところにこだわらないで、私はもう少し強い意思表示をすることがいいと思います。 まあしかし、それにかかわり合っておられませんから、それではなぜその資金等を提供した者の法定刑を五年以下にしたのですか、これがちょっとわからない。いま麻薬をなぶるやつが、罰金の五百万ばかりおそれておりませんです。あなた方の考え方からいけば、なるほど法体系の上からこれが一番最高刑だとおっしゃるけれども、麻薬という特殊のものをなぶる者にとっては、こんな金は微々たるものです。何億という、特に先日のリアンホウというやつが日本に送り出そうとしたヘロインの額は、四貫五百匁というのですよ、十五キロに及ぶものを日本に発送しようとしてつかまった。けたが違うんですよ。日本でつかまえているのは何匁、向こうで送るやつは何貫目、九牛の一毛にすぎないものをふんづかまえて、それをもって律するという考え方では、この麻薬の大問題を解決しようという努力はちょっと見られないと思う。ところが、一番悪いやつは何だといえば、下っぱでその辺で三つや五つのブツを売買するのではなくて、先ほど警察庁の保安課長が言うたように一番かしらですよ。金で操作するやつなんで、子分を十分に動かすやつです。これが一番悪い。これをやっつけない限りにおいては、何もできやしない。この資金を提供するやつが一番親方なんだ。ところが、罪はそこにはこない。大体子分がかぶるのだ。そして微々たる刑にみんな処せられる。一番頂点におるところの資金提供者の法定刑が五年以下になっているのは、これは軽過ぎるじゃないですか。あなたの先ほどの御説明からいえば、私はいささか矛盾しておるように思いますが、この点はどういうわけですか。
○竹内(壽)政府委員 この資金の提供者は、刑法の体系から申しますと、幇助罪あるいは共同正犯なんかありますが、そういう共犯のほうでございます。そこで本犯が、本件の条文から申します毛、輸入、輸出、製造等の行為をいたしました場合には、その共犯でありますから、輸入、輸出、製造等の本犯と同じ刑を持っておることになることは当然であります。ところが、輸入も輸出も製造にも着手していない状態でございますと、資金を提供した人はこれを罰することができないというのが、現在の刑法のたてまえでございます。そこで、それではいま中野先生のおっしゃるように、資金を提供したやつこそその推進力ではないかということになるわけであります。そうすると、本犯の犯罪が成立しない場合でも罰する道を開くということこそ、余さず漏らさず取り締まりの目を固めていくゆえんである、こういうふうに思うのであります。そこで従犯を特に独立の処罰体系に置きますことは、刑法としては異例なことでございますけれども、特に麻薬犯罪という事情にかんがみまして、この種の提供行為につきましては、本犯が犯罪になるかならぬかは別としまして、資金を提供したということ、そのこと自体で独立に罰しようとする規定でございます。そこでこの条文は、本犯が成立しなかった場合に適用されるものでございます。金をもらったほうの本犯が何も犯罪にならなくて、金を出したほうだけが罰せられる規定でございますので、その刑罰は五年以下ということに低くしたのでございますが、この金を出した人が、金を出したがために輸入が現実に行なわれたということになりますと、輸入の共犯として先ほど申しました無期以下の重い刑で同時に罰せられる、こういう両面を持った規定でございまして、さように解釈することによって、初めて五年以下という刑が出てくるのであります。法律技術的なことを申して恐縮でございますが、もしこれを十年以下の懲役に処すというふうに上げて参りますと、今度は本犯が成立した場合に、刑法の総則によってその人が幇助犯であるといって――幇助犯ですと、半分以下の刑になります。半分以下でやると、無期懲役の半分ということで十年以下ということにしますと、せっかく独立の罪を認めたにかかわらず、今度は刑法総則から除外されるという結果が運用の面で起こってくるのでありまして、ここのところは少し低くしておかないと、いまのような解釈、運用ができない、こういう法律上の事情がありまして、五年以下、こういうことにいたしたわけでございます。
○中野委員 いずれそれは同僚からいろいろ御質問がありましょうから、先に進みます。 そこで、今度の麻薬中毒者対策の強化の面でありますが、従来麻薬中毒者は精神衛生法の五十一条によって取り扱ってきておりますが、今回特に麻薬取締法に麻薬中毒者の医療の面を取り入れて、別個の法律によらなかった理由はどういうところにありますか。
○牛丸政府委員 麻薬の患者が、従来精神衛生法によって取り扱われていたことはそのとおりでございますが、これを麻薬取締法の中に取り入れまして、従来の精神衛生法による措置入院とは別個にいたしました理由は、麻薬中毒者の特殊性と申しますか、従来の精神衛生法によりますと、その精神衛生法の規定によりまして、みずからを傷つけたり、あるいは他人を害したりする、そういう自傷他害のおそれのある場合にしか措置入院ができないというような規定になっておるわけであります。これは精神病者に対してそういう規定がございまして、それを麻薬中毒者にも準用している、こういうのが精神衛生法のたてまえでございます。そうしますと、麻薬中毒者のいわば禁断症状を起こしている、そういう非常に危険があるというときだけしか措置入院ができない。それがおさまってしまったら当然退院をさせなければならぬというようなことに法律の規定によってなるわけでございますので、これは麻薬中毒者の中毒症状を治療する立場から見ると、きわめて不十分でございます。むしろそういう禁断症状を起こして、そのあと一定の期間治療を継続して、そうして麻薬に対する本人の依存性というものを脱却する、そういうふうな治療法というものが麻薬治療の一つの中心になるわけでございますので、そういう麻薬中毒者の特殊性から、精神衛生法の規定からむしろはずして、麻薬取締法の中に特別な規定を設けた方がよろしいではないかという趣旨でございます。
○中野委員 関連して聞いておきたいのですが、中毒者の多くは、大体麻薬犯罪を犯した犯罪者であると思うのです。これらの者についての措置入院と、それから刑事手続との関係はどうなっておるか。
○牛丸政府委員 これはもちろん刑事手続の方が優先するわけでございまして、犯罪者は刑法によって処断される、刑事処分によって優先されるわけでございます。
○中野委員 そこで、中毒者の措置入院について人権問題がからんでくると思うのです。それについてどういう考慮が払われておるか、具体的に示してもらいたい。
○牛丸政府委員 今度の法律の改正の重点は、中毒者の対策の点でございまして、ただいま御指摘になりました中毒者の対策が強制入院をたてまえとしている以上は、その中毒者の人権の尊重ということも当然考えていかなければならないわけでございます。そういう趣旨から、この条文の五十八条の中にそういう規定があるわけでございますが、五十八条の十三のところに、麻薬中毒審査会という条文がございます。これは審査会の構成をここにうたっているわけでございますが、要するに麻薬の中毒者というものは、警察なり、その他麻薬中毒者を発見した各関係の官庁なり、あるいは医師その他の麻薬の担当者から通報がございます。あるいは直接そういう者が報告して発見した場合には、これを入院させる強制入院の措置がこの条文によって規定されておるわけでございますが、その場合に、中毒症状を起こしたり、そういうふうな者はいわば観察入院と申しますか、とりあえずの問題としては、ある一定の期間病院に入院さす。しかし、これをいよいよほんとうに強制入院をさせるというふうにするためには、ただいま申し上げました審査会の意見を聞いて、そうして知事が強制の入院命令を出す、そういうふうな措置をとる。それからその期間も最長六カ月をこさない。これは六カ月あれば中毒者の治療には十分であるという判断のもとに、いつまでも強制入院をさしておくということも、これは人権問題として問題がございますので期間を制限する、そういう二点において中毒者の人権を考慮して、そういうふうに規定にうたったわけでございます。
○中野委員 時間もありますから、そこで鑑定医の問題をちょっと聞きたいのですが、精神衛生鑑定医によって麻薬中毒者の診察に当たらしめることになっているが、その基準は一体どういうものを考えておるか。それからその鑑定医の数、それから全国に配置する状況はどうなっているか、この点をひとつ。
○牛丸政府委員 精神衛生鑑定医というのは、これは精神衛生法によって定められたものでございまして、麻薬中毒者の実際の治療を行なう先生方はほとんど精神衛生関係のお医者さんでございますので、特別に麻薬中毒のための鑑定医制を設けないでも十分じゃないかという趣旨で、精神衛生鑑定医の方々にそういう鑑定医の仕事をお願いするという趣旨でできたわけでございます。しかしこれは全国的にいろいろと散在されておるわけでございますので、一定の基準を設けて、麻薬中毒者の中で入院を要する者の鑑定をする必要がある、そういう者のために五十八条の六の第二項で「精神衛生鑑定医は、政令で定める方法及び基準により、当該受診者につき、麻薬中毒の有無及び」云々というふうに、麻薬中毒の有無と措置入院を要するかどうかという判断は、政令に定める方法と基準ということになるわけでございます。そしてその政令はどういうことを考えておるかといいますと、一定の検査法というものを政令できめて、麻薬中毒者であると思われる者を、一定の試験なり診断の結果そこで判定するわけでございますが、その判定、診断の方法、それからどういう検査をするかというようなことをこの政令できめていく。それでそこに一定の中毒の度合いとか、そういうものの一つの基準を設けまして、その基準に従って判断をしていく。この基準は、現在精神衛生審議会というのが厚生大臣の諮問機関として設置されております。それへ麻薬の小委員会をつくっていただきまして、現在審議をしていただいて大体案はできたわけでございます。これは全く純粋に医学的な問題でございまして、そういうものに従ってやりたいと考えております。 それから精神衛生法による鑑定医の数でございますが、これは全体で千九百二十二名全国に指定されております。特に濃厚地区の東京、神奈川、福岡、愛知、大阪等におきましては、その合計六百七十人の鑑定医が現在すでに指定をされておるわけでございまして、これは麻薬中毒者の発見なり、そういう診断には十分であろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。
○中野委員 そこで麻薬中毒医療施設は省令でどういうふうにきめるのか、また国立に二つの施設を予定しておるようですが、一体どことどこへするつもりか、その運営費は大体どのくらいを見込んでおられるのでございましょうか。
○牛丸政府委員 厚生省令で定める病院といいますのは、これは国立の麻薬の専門の病院、それから都道府県立でできております麻薬の専門の病院、そのほかには、精神衛生法によって指定されている精神衛生の精神病院というようなものを私どもとして現在予定しております。それから今度の三十八年度の予算において考えています国立の場所は、一カ所は千葉県の下総の国立病院でございます。そこへ特別に病棟をつくって麻薬の中毒者の収容施設をつくっていきたい。それからもう一つは、これは関西のほうで、大体三重県の榊原に、これも国立病院でございますが、現在予定しておるわけでございます。それから運営費は、国立のほうは、これは設置をしたあとで予算措置をしたいと思っております。その他予算的に措置されておるものは、設備の費用だけでございます。
○中野委員 そこで、この中毒患者のアフターケアの問題について少し聞いてみたいと思います。これは非常に困難な問題であることは私もよくわかるのです。昨年、私たちは東南アジアの方面を視察してまいりましたが、この点については各国とも非常によくできておるのです。特にシンガポールにおける解毒島なんかもそうですし、それからタイでもそう、ビルマでもそう、香港なんかでも非常によくできておるのですが、その施設を見てきて、アフターケアの問題は、麻薬中毒者に対する重要課題と申しても差しつかえないと私は思うのです。中毒者対策の成否はこれによってできるかできぬかと申し上げても過言でないと思うのです。このアフターケアに対して、厚生省は、対象は異なっておってもいろいろの保護施設があるようですが、どういう対策をなさるつもりか、お聞かせを願いたいと思うのです。 それから続いて伺っておきたいことは、この中毒者そのものは、なるほどそれぞれの処刑を受け、あるいは収容を受けて当然のことでありまするが、その家族というものは、相当これは考えなければならぬ問題であります。一軒の生活の柱である者が逮捕され、あるいは拘禁された場合、これはこの間ちょっと話を聞いてみると、米国なんかでは、それぞれの処置を受けた中毒者の家族に対しては社会保障とか失業保険等によってこれらの生活を保障する、それを請求することができるという処置をとっておるのです。これはなかなか問題なんですね。たとえば香港なんかでは、中で職業補導をやっておりまするが、そこででき上がりました品物は全部それを一般に売って、その金は、その収容されておる者の家族の生活が困窮しておる者にこれを給与するというやり方は、私は気がきいておると思うのです。やはり収容をして相当な期間を経て禁断症状がとれ、そしてその習性がついてくる、しかし出てから再びその道に入ったのでは何にもならないのです。この間シーバース博士の話を聞いても、アメリカでも大体七、八割までが再犯を行ない、いわゆる再入所をする。これはどこの国でも麻薬の現象なんです。たばこと同じなんです。シンガポールなんかで聞いてみても、収容されてくる者の六〇%までは大体再犯者だ、こういう例を見ても、このことはなかなか大問題だと思うのです。厚生省のほうは、これに対する対策を一体どういうふうにするつもりでおられるのか、ひとつ熱意のある答弁を伺いたいと思うのです。これこそ厚生大臣がおられればなおいいことなんだが、ひとつしっかりした腹をきめてやらないと――一方においては密輸入をどんととめる、一方においては国内において取り締まりの体制を強化し、そして一方においては罰則を強化することによって、国際的な日本の天国的な見方を改めさせ、一方においては、国内におるところの中毒者をば十二分に矯正、補導をしていかなければならぬ。こういう大事な面について、一体厚生省はどう考えておられるのか。
○牛丸政府委員 措置入院をしましたあと、最長六カ月で中毒患者は退院するわけです。これであとどういうふうになっていくかということは、ただいま先生御指摘のとおり非常に重大な問題でありまして、この指導よろしきを得なければ、再びまたもとのもくあみになってしまうという危険があるわけです。それで私どもといたしましては、麻薬の身体的な依存度というふうなものは、絶対になくなるという期間は、医療的には六カ月で十分である。そうすると、あと特定の場所に収容してさらにいろいろなことをやったほうがいいという意見と、それから家庭に帰してそこで指導したほうがいいのじゃないかという意見と両方あるわけでございますが、ただいまお話のありましたシーバース博士のアメリカの実情を私も伺ったわけでありますが、やはり家庭に帰して早く環境にならしていくほうがよろしいというようなことを聞いておるわけです。私どももそういう点では、麻薬の依存度がなくなってくれば家庭に帰し、そうして正業を得て、今度は再びそういう麻薬におちいるような環境から脱却するような方法を講じていくべきじゃないかというふうに考えています。しかし今年度の予算的な問題としては、この点は残念ながら十分な予算的な措置は講じられていないわけでございまして、さらにこれからあと研究をしていかなければならぬと思いますが、さしあたって私どもは麻薬の相談員というようなものを倍増いたしまして、特にこういうものを濃厚地区により多く配置いたしまして、そうして収容施設、そういう病院から出てくる麻薬中毒患者のあとの相談に十分応じてやるような体制をとっていく。そうしてもとのところに帰っていかないように、そのためには職業のあっせんなり、あるいはその家族の生活のめんどうを見るためにはどうすればいいか、たとえば生活保護の適用ということになれば民生委員その他の問題もございますし、子供の問題もございますし、そういう現在の社会福祉情勢との密着においてこの問題はとりあえず解決していく必要があるのじゃないかというふうに考えているわけでございますが、さらに将来にわたっては、この点は非常に重大な問題でございますので検討していきたい、かように考えております。
○中野委員 アフターケアの問題は非常に重要視されなければならぬ問題でありまして、ただ現在、いわゆる予算的な裏づけがないということはまことに残念なことであります。しかし、おいおいこの問題も満たしていくようにわれわれも努力をいたします。したがって、現在の予算の許す範囲において最大限の処置をとっていただきたいと思う。 そこで、法務省の関係でも、刑務所なんかにかつて麻薬中毒者がある程度収容されていると思う。そういうような連中の出所後の経過というものはお調べになっていらっしゃるだろうと思うのですけれども、あなたはおわかりになるかどうか存じませんが、もしおわかりになりましたら、現在収容されておる麻薬中毒患者、刑務所に収容されておるものは大体何名くらい、どういう処置をとっておるかということ、それからその出所後の経過についてちょっと聞かしていただきたい。
○竹内(壽)政府委員 私はちょっと正確にわかりませんので、ただいま御質問の点は、後刻調べましてお答え申し上げます。
○中野委員 そこで最終の大事な問題を伺いたいのですが、これは一九六一年の三月にニューヨークで制定された麻薬単一条約について、まだわが国では批准されておりませんが、批准国も少ないようでありますけれども、もしわが国が批准する場合、この法律に一体どれだけの効果があるか私は疑うのです。ここにいただいております資料を見ますと、一体国際条約の中の麻薬条約に入るとどれだけの功徳があるのですか。中を拝見すると、こんなことなら何も単一条約の中に入る必要がないように思うものばかり書いてあるのですが、どんなねらいがあってどういうような功徳があるのか、これをひとつ伺いたい。そうしないことには、この条約の内容からくるものもある。たとえば刑事犯人を引き渡しする場合でも、条約の中を見ても、特別なそういうようなあれがあるかと思うとないのですね。訴追することはできるようですけれども、たとえば日本とアメリカとの間においては、日本で犯罪を犯してアメリカに逃げたやつは、アメリカで逮捕してアメリカからこっちに送還してもらうことができる。しかし、こういうような国と国との条約がない限りにおいては、日本でやったやつが香港に逃げる、香港でやったやつが日本に逃げてくる場合はどうしようもない。そこで、こういう条約の中にどんな功徳がありやなしやといって調べてみると、何もない。一体麻薬単一条約とはいかなる功徳のあるものであるかどうかということを、局長、あなたは行ってきただろうから明確に示してもらいたい。
○牛丸政府委員 単一条約と申しますのは、従来の九つの条約を集大成したものでございます。そういう点では従来の条約と変わりはないわけでありますが、ただいま中野先生の御指摘になった功徳がないように思うと言われるのは、おそらく、取り締まり面についてはあまり功徳がないと思います。これはなぜかと申しますと、取り締まりというような行政は、各国それぞれの主権の尊重によってやるというたてまえで、あまり国際的に規制してないわけでございます。したがって、国際会議におきましても、ほとんど国内の取り締まり体制を強化するというような決議をしたり、そういうふうな点のことで、それ以上他の主権の干渉になるような条約にはなっておりません。したがって、この条約は、それ以外の正規麻薬の国際的な管理、生産の管理とか、あるいは輸出入、そういうふうなものの正規麻薬に関連しては、これは各国がこの協定に基づかないでそれぞれの立場でやるということになりますと、非常に麻薬の国際的な出入りというものが規則を乱すような結果になるわけでございますので、そういう点については生産国をきめて、そういう生産国でなければ外国に正規麻薬の輸出ができないというような規定をし、あるいは医療上輸入をする麻薬というものは、そういう生産国として国際条約で指定されたものでしか輸入をしないというような取りきめがあるわけでございます。そういうふうな麻薬の正当なルートにおける取り扱いについては相当の効果を来たしておる。しかし不正麻薬については、各国それぞれ罰則を強化するとか、あるいは取り締まりを強化する、あるいは情報の交換を大いにやろうじゃないかというような干渉なり決議というようなことが、条約の主たる内容になっておるというふうに私は考えておるわけでございます。その点から見ますと、取り締まりの強化としては、国際条約がそう具体的にこういうプラスがあるというような指摘はできないのじゃないかというように考えておるわけでございます。
○中野委員 時間も、だいぶ経過したから、最後のほうにいって、医者の問題を少し聞いておきたい。これはなかなか大問題なんです。不正麻薬のほかにも、医療用の正規麻薬の不正使用というか、麻薬の中毒者と知りながら継続して不正をしたり、また逆に脅迫によって不正をせざるを得ないような場合が頻発してきているように思う。厚生省の麻薬の白書とでもいうような報告書を見ましても、警察庁の報告書を見ましても、麻薬の犯罪に医者が相当関係していることが顕著な事実としてあらわれてきておる。医療関係者の麻薬違反の傾向は最近減っていないのです。これはどう考えてみても、あなたのほうの白書を見た限りにおきましては、ふえておっても減っておりません。そうしますと、これは取り締まり上なかなか問題なんです。 先日、私は名古屋の医師会の主催で、それぞれの各地区の支部長と称する方がお集まりになって、たしか名古屋の警察本部の保安課長であろうと思うのですが、御一緒に出ていろいろと意見を聞きました。なかなか強い意思表示があったわけなんです。その中で、医者の麻薬事犯のあった場合には、でき得るだけ医師会を通じて一応医者に勧告をしてもらいたい、そうして医師会がこれについてそれぞれの処置をし、なおかつ聞かざる場合においては、いわゆる犯罪的な罰則が加えられても異議がないという意見のように私は伺いました。これはアメリカの例でもそうなのです。アメリカでは医者が、犯罪の場合は別ですけれども、中毒者であるという場合においては、医師会に警告を発して、医師会がこの医師に勧告をして、そうして自分みずからケンタッキー州の収容所に入ってなおしてくれば依然として医師の免許を保持し、医療に当たることができるという制度なんです。それを聞かない場合においては免許を取り上げ、そうして強制的にケンタッキー州の収容所に収容するという処置のように伺っておるのですが、医療関係者の麻薬事犯というものは、先ほど申し上げたようにふえる一方の傾向にあるときに、日本でもこれは大きな問題だろうと思う。へたに医師会を通じて勧告したりなんかする場合においては、人権問題が起こってくるだろうと思う。アメリカでやっておっても、日本ではたして適するか適せぬかということは大きな問題であろうと思う。これは、あなたのほうではどういうふうに取り扱っていらっしゃるか。この取り扱い方いかんによっては、相当大きな問題になる。たとえば、先日来の警察の白書を見ましても、二十人のリストの中に三人くらいの割りで医師が関係しておる。これは脅迫によったものかもしれない、あるいは知らずにやった事犯が、つい犯罪として捕われたかもしれない、または自分みずからが中毒患者として現に船橋の収容所にも入っておる人もあったくらいなのですから、自分みずからそういうような中毒患者としていろいろ捜索された方があるかもしれない。しかし、いずれにしましてもこの問題は明確にしておかないと、将来いろいろな問題が起こると思いますから、厚生当局は医者の麻薬事犯についてはいかなる処置をとる考えであるかという点を聞いておきたい。
○牛丸政府委員 ただいま御指摘のように、麻薬取り扱い者による事犯は年年増加しておるわけでございまして、昭和三十七年におきましては百二十四件、百六十二名で、その前の三十六年の九十一件、百二十名と比較して、いずれも増加しておるわけであります。その違反内容を見ますと、麻薬中毒者に不正施用が六一%、それから帳簿不記載などの形式犯的なものが二七%、自分に不正施用したものが一一%というようなかっこうになっております。それでこれは、ただいまアメリカの例も引用されてお話がございましたが、ただいま申し上げましたところでもおわかりのように、違反の内容というものは非常にバラエティーがあるわけでございまして、必ずしも全部いわゆるヘロインとか何かを不正施用したというのと違って、二七%というものは形式的な違反というようなものであります。それから、この不正施用の中でも内容をいろいろと調べてみますと、いわば麻薬中毒者が麻薬の不正入手がなかなか困難になってくる、そうすると、どうしても医療担当者のほうにそのしりを持っていくというようなかっこうになって、初めは胃けいれんとかなんとかいうようなことで、その痛みをとめるために麻薬を打った、そうするとそれが実は麻薬中毒者であった、そういうものもございますし、あるいは初めから故意として不正施用しておるというようなものもあるわけでございます。そういう事犯の具体的な内容によって取り扱いが違ってくるのじゃないか。したがって私どもは、第一次的には麻薬の取り扱い者として行政指導の責任にあるわけでございまして、常時麻薬医療担当者なりあるいは薬局その他小売業者に対しては、一般的な正規麻薬の取り扱いが事犯にならないようにという指導をやっているわけであります。これは当然麻薬取締員なり薬事監視員なり、厚生省の行政系統の指導でいくべき性格のものでありますが、そういうものと関連して最近特に麻薬の違反者が多くなって、その違反がほんとうの意味の故意によるものであるならば、警察とも連絡をして一般的な麻薬違反者の事案として取り扱わなければならぬことでありますし、それからこういういわば形式的なものは、指導によってやっていくべきものも相当あるんじゃないか、そういうことで、これは麻薬を医療上当然常時使用しなければならない人たちでございますので、その辺の指導を十分やっていきまして、そうして正規麻薬の正しい取り扱いと正しい施用というものに重点を置いて指導していきたい。しかし、中には初めから故意に麻薬の不正施用をする人もおるのですから、これに対しては一般の麻薬事犯と同様の処置をせざるを得ない、こういうふうに分離して指導を適正にやっていったらいいじゃないか。私どもは、第一線の取締官なりあるいは府県の取締員の会議などで、そのつどそういう趣旨の指導をやっておるわけでございます。
○中野委員 やはり医者という立場を相当考慮しなければいかぬと思います。これは警察庁に特に頼んでおきたい。先日愛知県の豊橋で起きた事件なのですが、やはり警察当局の軽率の面からきたものであろうと思う。あるいはマスコミの記者諸君の頭脳がすぐれておったかしれないけれども、また医者は、元来医薬あるいは医療技術を身につけたものからくるものもあろうけれども、一面においては、精神医療と申しますか、人格的なものも相当あると思う。ところが、先日豊橋で起こった事件は、警察側で漏らしたわけではないだろうと思う。あるいはマスコミの記者諸君がそれを探知するのが早かったかもしれないが、とにかく警察の捜査官のもとに十数台の自動車が各新聞社や放送局の旗を立てて、ある一軒のうちを捜索したわけなんです。しかし、これはブツは出なかった。ところが、あくる日その地方の日刊新聞を見ると、一面のトップに、さながらその医者が麻薬の常習犯であるがごとき感を与える記事が載っておったわけなんです。最近の悪い癖で、だろうとか、あっただろうというようなことばじりは入れてありますけれども、見る読者の側になれば、そんなことはわかりはしない。だとか、こうだという断定的なものはないにしても、写真が入れられ、診察室はめちゃくちゃにこわされるというような実情が新聞に載っておりますと、その医者の信用は全くゼロになってしまう。これはよほど考えなければいかぬ問題だと思う。実際上の犯罪が行なわれておったならばやむを得ないことではあるけれども、そのときの支部長会議の報告を聞くと、そうでよなかったようであります。ただ、だまされて売ったという事例はよくある。近ごろは、甲の医者に行って腹が痛いからと言ってモルヒネを特に打ってもらい、それじゃ量が足らないので乙の医者に飛び込んで行って、どうにもたまらないからまた打ってくれ、さらに丙の病院に行っておるというようなことをやるやつがおるのです。そういうような問題をすら、いまのようなことから大きく取り上げられたというようなことによって非常に憤激しておられた事実を私は知って、こういう問題は特に留意をして今後の取り扱いをされなければいけないと思うのです。 そこで最後に、行管の山口局長に伺っておきたい。行管の局長は、去る四十回国会でなされた衆議院社会労働委員会あるいは本会議、または参議院においてのいわゆる麻薬に対する決議文をごらんになっておりますか、またごらんになっていらっしゃるとすれば、はたしてこれを尊重していらっしゃるかどうかを伺いたいと思います。
○山口(一)政府委員 麻薬関係の各省にわたります定員並びに機構の査定にあたりましては、一通りそれに関連いたしました資料を拝見いたしております。
○中野委員 一通りはけっこうなんだが、これは御尊重なさるのですかどうなんです。院議をもって決定したものなんです。国民の代表であり、国家の最高権威であるところの国会において、院議をもって決定したものなんです。参議院は、なるほど社会労働委員会においてのみ決議をされましたが、その意思表示は、衆議院においてなされたものと何ら変わるところはないと思うのですが、この院議を尊重なすっていらっしゃるのですか。尊重する意思があるのかどうか、これを伺っておきたいのです。
○山口(一)政府委員 当然、院の御意向につきましては尊重いたしまして、その線で査定をいたしたわけであります。
○中野委員 どうも私は尊重していらっしゃらないように思うのですがね。名長官が控えておられる行管においては、どうも私は納得のいかぬ点がある。すなわち、衆議院の社会労働委員会の決議にいたしましても、院議をもって決定いたしました決議文にいたしましても、参議院の決議の中にも、麻薬取締員を急速に増員するとともにということが前提であります。これは各党共同提案であります。どの党が反対とか、どの党が賛成という問題ではございません。してみれば、国民の総意をもって、院議をもって決定され、参議院においても衆議院においても同じように――参議院においては、麻薬取締官を大幅に増員することということが院議の第一条件になっておりますが、今度の増員のしかたは、はたしてわれわれの国会の意思をば尊重の上においてなされたことかどうか。はなはだいやなことを言うようでありますが、残念ながら、今日麻薬取締官の増員は一体何名なんですか。警察官は五百名おふやしになりました。そうして麻薬取締官の問題については、院議をもって各院が同じような決議をしておりますが、この点については全く軽視していらっしゃるように私は考えますが、いかなる根拠に基づいてこういうふうになさいましたか、この点を伺いたいと思うのです。
○山口(一)政府委員 取締官の増員につきましては、定員の審査にあたりまして、特に中毒対策等に重点を置いて査定をいたしたつもりでございます。ただ、御承知のとおり、全般的に政府の職員の増加につきましては抑制をするという、これまた一つの方針を立てておりますので、その方針のもとにおきまして、私どもといたしましては最大限努力をいたしたつもりでございますし、特に数の点につきましては、十分関係各省の御期待にあるいは沿い得なかったかと思いますが、私どもといたしましては各省の関係を見渡しまして、特に麻薬の問題その他定員全般にわたりまして、各省を通じまして重点を置きました事項の一つとしてこの査定をいたしたのであります。すでに実数につきましては、これまで関係各省の局長からそれぞれの例につきましてお話がございましたが、一括して申し上げますと、厚生省関係におきまして、薬務局に二名、地区麻薬取締官事務所全体を通じまして十三名、警察関係におきまして、警察庁に、保安局並びに管区警察局を合わせまして十名、検察庁関係におきまして、麻薬関係を含めましてそれを担当ずる検事三名並びに事務官六名、以上が国家公務員の関係でございます。なお、これと並行いたしまして、予算面におきまして、地方の地方警察職員、お話のございました五百人、並びに府県の地方吏員といたしまして、厚生省系統の地方職員が十八名、以上が麻薬に関係した職員の増員であります。なお、このほか税関関係の職員の増加いたします中に、密輸等の取り締まり面を考慮いたしまして、三十八名が麻薬に関係するものとして国家公務員の中で増加をいたしております。数の点につきましては、あるいは御期待に沿い得なかった点があったかと思いますが、われわれといたしましては十分に重点を置き、院議の線に沿いまして、以上申し上げましたような数を決定いたした次第でございます。
○中野委員 私は、行管のほうは認識の不足があると思うのです。それから、考え方の誤りがあると思うのです。少なくとも現在の麻薬禍というものを実際上に認識し、そうして、これを三年間なら三年間の短時日の間に払拭しようという熱意を込めて院議をもってこういう決議をした。われわれは、なるほどあなた方のような役人生活をしたことはございませんけれども、少なくともこれに関する限りあらゆる知能を集めて、そうしてしぼってこの決議案としてあらわしたわけなんです。ところが、いまあなたが御報告になるまでもなく、取締官を十名や八名ふやして、一体何をなさろうというのですか。これはあなたのほうは、警察をもってやったほうがよいのだ、厚生省の麻取のものは、むしろ麻薬の管理強化に向けたほうがよいのだというお考えでおいでになるのではないのですか。もししかりとすれば、これは非常に大きな認識の間違いです。改めるべきです。この人員の増加について、私らのほうはあなた方のところへずいぶん陳情にも参りました、お願いにも参りましたが、がんとして聞かない。なぜ聞かないのでしょうか。そのよってくる考え方というものは、ひとえに検挙、取り締まりは警察をもってなすべし、麻薬の管理強化はむしろ厚生省をもってなさせるべしというような、浅薄な考え方の上にこういうような処置をおとりになったのではないか。もしそうだとすれば、これは非常に遺憾な問題です。日本の麻薬禍というものは、そんな簡単なものではない。行政簡素化はけっこうです。簡素化はけっこうでありますけれども、時と場合によるべきものであります。かかる重大な国事に関する問題を、単なる割り出しからこういう処置をされたとあらば、これは行管当局の間違いであると思うのです。それも予算的措置がないならともかく、ある程度予算的措置があるではありませんか。山口さんのいまの御答弁を聞けばおざなりの御答弁で、ほんとうのよってくるものは何ですか。やはり取り締まりは警察にまかすべきなんですか。麻薬の取り締まりは一切警察にまかしておけばよいのですか。そうして、厚生省はあくまでも麻薬管理強化に力を入れていけばよいのですか。この点ひとつ局長から明確にお答えを承っておいてよしたいと思いますが、どうでしょうか。
○山口(一)政府委員 麻薬の取り締まりの問題につきましては、ただいま御指摘の点は、われわれも最も重要な点だと思っております。したがって、三十八年度の定員の査定におきましても、その点につきましては、一応現在の厚生省の地区麻薬取締官事務所における仕事はその特性を十分に生かし、また、警察の陣容における活動はその本来の機能をさらに発揮させるというように、それぞれの長所を生かすというたてまえのもとに、両方につきまして必要な査定をいたしたつもりでございまして、一方をどうする、あるいは取り締まりの機能を一元化するというような問題につきましては、ただいまのところまだ結論を下す段階にきていない次第でございます。
○中野委員 その衝に当たる役人がそういうような考え方では、この大きな問題は片づきませんよ。われわれが心血を注いでこの問題について全力を傾けておっても、さて役人の手に回るとそれがこういう冷淡な扱いを受けるような結果になる、こんなことではだめなんです。だから、最初に申し上げたように、今日日本が麻薬天国などといわれる汚名はどこに原因があるかといえば、全部役人の怠慢からきたと申し上げて過言でないと思うのです。特に今度予算も相当増加され、国民も真剣に、熱意を持ってこの問題解決のために立ち上がってきたときに、そういうような甘い考え方では、決してこの大問題を解決する道にはならないのです。反省を願いたいと思いますよ。 そこで、総理府から来ておられると思いますから最後に伺いますが、私は、役人にまかしておくということは、こんなあぶないことはないと思う。乱暴な言い方で恐縮に存ずるが、大体私の持っておる考え方だから率直に申し上げるのだが、あなた方にまかせておいてはこの問題はなかなかうまくいかぬと思っておる。ところが、すでに今日、内閣の中に正式に麻薬対策本部というようなものができたんですから、これだけにまかしておいて――いわゆる閣僚懇談会というものがある。そうしてこの人たちが中心になってやっていただければけっこうだが、先ほどからの質問の過程過程において、私が案ずるところ、こんな状態ではまことに心もとない。そこで、きょうは徳安長官に来てもらえばよかったのですが、急なことだからかわりにおいでになったのであるから、あなたは率直にこうだああだということは言えないと思うが、あなたのほうの意見も聞き、またことづけてもらいたい。内閣の中に正式に、ちょうど売春対策審議会のような、もっと強力な麻薬対策審議会というものをつくって、この麻薬対策本部の推進力になるような努力のない限りにおいては、この問題は百年河清を待つようなものです。そう思うのですが、総理府では一体この審議会をつくる気持ちがあるかないか。むろんあなたによってすっと答弁はできないと思いますので、この点は徳安君自身からも聞きたいのですが、現段階においてはどう考えておられるか、聞かしてください。
○野海説明員 麻薬審議会を設置しろという御意見は、実は去年推進本部を設置する以前から、いろいろ先生方からもお聞きしておるわけでございます。また、国会等の関係のいろいろな意見もお聞きしておるわけでございますけれども、前提としまして、内閣あるいは総理府でいろいろ検討いたしました結果、売春対策審議会の中に特別小委員会が置かれておりますし、さしあたり推進本部と閣僚会議というかっこうでやっていくことがいいのではないか、審議会としては麻薬対策特別小委員会で検討していただくということで考えていいのじゃないかという前提で、現在のような機構にいたしたわけでございます。なお、今後の麻薬対策の推進の状況等を見まして、将来の問題としては十分検討いたしたいと考えておるような次第であります。
○中野委員 将来の問題として考えてみるといううちに、日にちはたってしまうのです。もう焦眉の急を要する問題なんです。ですから、あなたからあえて答弁を求めようとは存じませんが、この委員会において申し上げた点を長官にお伝えを願って、ただ長官にまかせっぱなしでは徳安君も困ってしまうでしょう。閣僚懇談会は、三度や五度は火花を散らすようなことを言っても、すぐふわっと消えてしまう。それを補佐する局長連中の意見を聞けば、ぼやけておるような状態です。こんなぼやけておるような状態で、このおそろしい麻薬の問題を解決するのは不可能に近いとあえて断言する。だから、せめてものことに内閣の中に正式に麻薬対策審議会をつくって、それぞれ専門家の方に集まっていただいて、それが推進力となってこの問題が一刻も早く解決するようにつとめていただきたいということを強く言っておいてください。 まだ質問したいことも少しばかりありますが、昼食もとらずに皆さん方に御迷惑と存じますから、私はこの程度で質問を終わります。
○秋田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明九日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後一時二十五分散会