社会労働委員会 第25号
- 発言数
- 92 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/05/07
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の労働災害の防止に関する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。滝井義高君。
○滝井委員 地方選挙の前に一応私、労働災害の防止に関する法律案について大ざっぱな御質問を申し上げておきましたけれども、幾ぶん重複するところがあるかとも存じますけれども、もう一回、当時の質問から漏れておった点をあわせながら質問をさしていただきたいと思うのです。 まず第一に、当時、昭和三十三年の八月に、産業災害防止対策審議会の答申によって産業災害防止総合五カ年計画をお立てになったわけです。ところがその後、概観してみますと必ずしも災害は減っていなかったわけです。まず私がお尋ねをしたいのは、当時の産業災害防止総合五カ年計画というものが、一体どういう内容を持った計画であったのかということです。これを大ざっぱに御説明を願って、あわせてその総合五カ年計画というものにどういう欠陥があったために、産業災害の減少というものがはかばかしくいかなかったのか、この二点をまず御説明を願いたいと思います。
○大島政府委員 前の産業災害防止五カ年計画の内容は、当時昭和三十二年の数字を基礎にいたしまして、当時における毎年の災害増加傾向というものを五カ年間伸ばしてまいりまして、このままいけば当然予想せらるべき産業災害の増加というものを、五カ年間の努力によって総数を半減に持っていきたい、こういう内容でございました。ところが、その後五カ年間における産業災害の推移を数字的に見てまいりますと、昭和三十二年における休業一日以上の災害件数は総数約七十万件であります。この数字を一〇〇といたしますと、昭和三十六年、一昨年の確定数字によりますれば、これが一一四・八まで上がっております。すなわち、絶対件数は減るよりもむしろ逆に増加いたしてまいったような結果でありまして、はなはだ残念であります。ただ昨年、昭和三十七年の数字、これはまだ確定数字とは申し上げられないのでございますが、一応私どものほうの手元で集計いたしました結果によりますれば、毎年増加いたしてまいりました災害件数が、三十七年に初めて絶対数が減少しておるのではないかと思われる数字になっております。この数字は、三十六年が一一四・八でありましたのが、一一二に落ちておるのであります。ことに死亡者は、三十六年が六千七百十二人でありましたが、三十七年におきましては六千百人に減少いたしております。これはここ数年来初めてのことであります。死亡者については確定数字と申して差しつかえないのでありますが、災害の絶対件数については、労災関係の報告が労災の治療の関係でだいぶんおくれてずれて出てまいりますので、まだ確定とは申せませんが、大体の傾向といたしましては、三十六年までは絶対件数は増加しておったけれども、三十七年に至って初めて減り始めたのではないかと思われるわけであります。しかしながら、この災害の絶対数が増加いたしましたのは、一つには労働者数の雇用の非常に大きな増加がございます。これが昭和三十二年の労働者数を一〇〇といたしますと、昭和三十七年におきましては雇用者数は一五七と、約六割の増加を示しております。したがって、災害率の面から見ますと、死傷年千人率、この点から申しますと、一年間に労働者千人当たり何件の災害があったかということでありますが、昭和三十二年を一〇〇といたしますと、三十七年には七一・三という数字になっております。約三割の災害率の減少が見られたわけであります。この過去五カ年間の実績を振り返ってみますと、絶対数の減少というものは、遺憾ながら所期の目的に到達はできませんでしたが、従来の毎年の増加の傾向が、やっと三十七年において初めて低下の傾向を来たしたのではないかと見られる点と、災害率については非常に大きな減少を示しておるということが、この成果であったろうと思います。と同時に、何と申しましても絶対数をもっともっと減らしていかなければならないのでありますが、過去の災害防止の対策を考えてみますと、やはり基本的に申しまして、国の災害防止行政の監督指導の強化はもちろんさらに一そう必要とせられるところでありますが、同時に、民間各会社、団体の自主的な活動のさらに一そうの進展が望ましいと思うわけであります。災害の原因を振り返ってみましても、行動災害によりますものが大部分でありますが、それが人の行動によりますものと、同時に機械設備の不備によりますもの、これがやはりそれぞれ大部分を占めております。こういった点につきまして、国の行政の強化とあわせて、民間団体、各企業体の一そうの自主的な活動が望ましいと考えておるわけであります。
○滝井委員 ただいまの御説明で、昭和三十三年の八月に答申がございまして、その後五カ年計画をお立てになったわけですが、そうしましてちょうど四年目に当たる三十七年に減少してきているわけです。これが減少した理由が、監督を強化したり、民間会社の自主的な活動ということで成果として出てきたのか、それともたまたま偶然昭和三十七年には、炭鉱等のああいう大災害が三十六年にうんと起こったのですが、たまたまなかったということで減ってきておるのか、われわれとしてはそこらの何か昭和三十三年、四年、五年、六年と、こういう順を追った災害減少の推移を見る統計的な、科学的な資料がやはり必要になってくるわけですね。それはそういうぐあいになっているのですか。三十三年以来ずっと急カーブに、三十三年に一〇〇であったものが七一・三に減るだけの段階的なものを経て三十七年にはそういうことになったのか、それとも突如として突然変異的に三十七年に減少してきているのか、そこらはどうですか。
○大島政府委員 全般的な傾向から見ますと、災害の絶対件数の推移を指数で申し上げますと、三十二年を一〇〇といたしまして、三十三年が九九、三十四年が一〇四、三十五年が一一一、三十六年が一一四、三十七年が一一二、ここで下がっているわけです。それから一方死傷年千人率で申し上げますと、三十二年を同じく一〇〇といたしまして、三十三年が九四・五、三十四年が九〇・一、三十五年が八三・八、三十六年が七七・七、三十七年が七一・三でございます。こういった関係で、段階的か突然変異的かという、この点につきましては、私どももこの三十七年——まだ確定ではございませんので、集まった資料を産業別とか、企業別とか、原因別とか、そういうことについて詳細分析をいたしておるのであります。ただ、総体的にただいまのところ私ども推測いたしておりますのは、何か特別の理由があって減ったと申しますよりも、全体的な安全、災害防止の全般的な浸透というものがようやくここに成果を見出してきたのじゃなかろうかという感じがするのであります。たとえば、いまお話しの炭鉱災害等につきましても、数的には、いま申し上げましたような総数に非常に大きな影響があるとは思われないのであります。全般的に災害多発産業における災害率の減少というものも最近非常に顕著なものがございまして、そういった全般の安全の浸透というものがようやく緒につきだしたという感じがいたしております。
○滝井委員 そのことは、たとえば最近における一番災害の多いといわれる土建業あるいは林業等においても、いままでは手でやる、もろ手の労働というのが多かった。しかし、最近における技術革新によって非常に機械化が進んで、働く人が少なくなったというようなことが大きな原因になってきているのではないでしょうか。そこらあたりの何か科学的な検討をされたことはありますか。
○大島政府委員 技術の進歩、オートメーションでありますとか、そういう関係ももちろん部分的にはございましょうが、全般的に申しますれば、それが原因で減ったということでもなかろうと思うのであります。全般の災害の原因を分析いたしましたものによりますと、要するに、労働者の行動による災害というものが非常に多いわけなんであります。その行動災害というものをさらに原因に分けてみますと、要するに、人の作業によって起こった災害というのが約八〇%であります。同時に、機械設備に関連いたしまして起こった災害が、これまた同じく約八〇%に上がっております。と申しますことは、すなわち、行動災害の原因が、やはり人の行動と機械の関係から出てくるものと競合した原因によって起こっている、こういうことが言えると思うのです。もちろん技術の進歩、オートメーション化、そういったものもいろいろ影響はありますでしょうが、全般的にはやはり、ここ数年来、条件としては大体同じ条件において災害は見ていっているのではないか、こういうふうに考えております。
○滝井委員 次は労働災害の防止の計画についてでございますが、計画は基本計画と実施計画に分かれることになっておるわけですが、五年に一回おきめになる基本計画ですね、これは第一次の産業災害防止総合五カ年計画と今度おつくりになる——中央労働基準審議会の意見を聞いておつくりになるわけでしょうが、大体大まかな構想は労働省としてはすでにお持ちでしょうか。
○大島政府委員 実は前回の産業災害防止五カ年計画が一応三十七年度で終了いたしますので、昨年の八月に内閣の産業災害防止審議会から政府に御答申がありまして、新しい五カ年計画を立ててしっかりやりなさい、こういう趣旨の御答申がございました。昨年の十月に、政府といたしまして新しい産業災害防止五カ年計画を立てたわけでございます。この内容は、前回の場合は産業災害の絶対数の減少で計画を立てておったわけでありますが、昨年立てましたのは、災害率の減少ということで計画を組んでおるわけであります。その理由は、災害の件数というものの非常に大きな部分は中小企業が占めておりますものですから、したがって、絶対件数で自分の中小企業で当てはめた場合はどういうふうになるかといった場合、絶対数で申しますと、なかなかその数字が具体的に出てこないわけであります。むしろ災害率のほうが各企業体にじかにぴんとくるであろう、こういうことで災害率をもって計画を組み立てたわけでございます。 それによりますと、昭和三十六年の実績が、全産業合計で死傷年千人率が二一・〇五という災害率になっておりますのを、昭和四十二年の目標時におきましては一二・三〇、大体年間減少率といたしましては八・八%の減少、こういうふうな計画で、これは各産業別にさらにそれぞれ災害率が違っておりますので、これを大体半減の計画で産業別に立てております。それからさらに、規模別であまり災害率の違わない業種は別でございますが、規模別に非常に違う業種が多うございますので、規模別のそれぞれの災害率の減少計画も立てておるわけであります。 そういった形で、すなわち災害率を基本として、産業別、規模別にこれをさらに砕きました詳細な計画を立てておるわけであります。今回もしこの法案を御通過いただきました暁におきまして、新しい五カ年計画としては、やはりそういった線で計画を組むのが一番適当ではなかろうか、こういうふうに考えておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、基本計画は、「労働大臣は、五年ごとに、中央労働基準審議会の意見を聞いて、労働災害の減少目標その他労働災害の防止に関し基本となるべき事項を定めた労働災害防止基本計画を作成しなければならない。」、とうなっておる。いま御説明いただいた三十六年から四十二年にかけて年間八・八%ずつ減少さしていく、しかもそれは産業別あるいは規模別に分けて減少さしていく、これが基本計画の骨子になるわけですね。そうしますと、今度はさらに、これを実施計画に移す場合には、また中央労働基準審議会の意見を聞いて労働災害防止実施計画をおつくりになるわけですね。やはり同じように、今度はそれぞれの産業別、規模別——ということは、ある程度企業別というか業種別というか、そういう非常に細分化されていくことになるのですが、その基本計画を受けてできる実施計画の内容を、今度は具体的にそれぞれの事業場におろしていくわけですね。それは一体どういう形になるのですか。
○大島政府委員 この法案の第四条の実施計画につきましては、第三条の基本計画が五年間の長期計画といたしますと、第四条の実施計画は、これは毎年立てます年次別の計画になるわけです。したがってその骨子は、いま申しました基本計画と同じような組み方で、やはり産業別、規模別にその年々の翌年の減少計画というものを立ててまいるわけであります。この目標に到達するために、その年度と申しますか、あるいはその翌年度と申しますか、これから一年間努力していくべき具体的な災害防止の施策について、各業種について重要と思われる点を指摘し、また原因等につきましても統計上詳細に分析しまして、そういった点を、災害の種類でありますとか対策、こういった点についても指摘しながらその目標を達成していくような実施計画、毎年の計画、こういうことに相なるわけであります。
○滝井委員 大体これで一応基本計画と実施計画ができることになるわけですが、そうしますと、この前五カ年計画を立てたけれども産業災害がそう目立って減少をしなかった理由は一体どこにあるのだということで、局長さんのほうで五つばかりあげられたわけですね。雇用労働者が非常に増加をしたということと、それから特殊の産業に災害率が依然として高い。たとえば鉱業、林業、貨物、それから建設業ですか、こういうところが高い。それから一日以上の休業が全災害に占める割合というものは、中小企業が非常に多い。大企業の二倍以上だ。それから四番目は、新しい職場に入った人が災害を受けることが高い。同時に、重大災害が減少されなかった。こういうことが、産業災害がはかばかしく減少しなかった理由であるということをおあげになったわけです。そうしますと、われわれが基本計画を立て、毎年度の実施計画を立てる場合には、やはり特殊の災害の非常に高い産業に重点を置かなければならぬことは当然だし、同時に、中小企業に重点を置かなければならぬ、それから新しく入った人に重点を置かなければならぬ、こういうことになるわけです。実は私も学生のときに専門的にやったことがあるのですが、軍隊でも、馬から落ちるのは、月曜日に馬から落ちるのが一番多い。災害も、曜日を見るとやはり月曜日と金曜から土曜にかけて多くなる。週の初めと週末。それから時間的に見ると昼めしの前、もうやがてめしを食うのだからという安心感がぽっと出たときに災害が出る。それから、やがて会社がひけるぞという四時かそこらに多くなってくる。そういういろいろのこまかい対策というものが必要になってくるのですが、この前災害が減少せぬ原因として基準局長さんがおあげになったのは、産業としては鉱業、林業、貨物、建設業等をおあげになったし、特に目立って多いのは中小企業で、大企業のおよそ二倍ある。それから新しく職場に入った者。これらの具体的な対策をやるためには、当然これらの教育をしなければならぬだろうし、同時に、人の行動によって起こるものと機械によって起こるものと二つある。機械によって起こるものということになると、やはり安全装置をつけるとかいうような設備の更新上の金が要るわけです。たとえば八幡製鉄の煙突からまつ黒い煙が出る。集じん装置をやらなければならぬ。集じん装置をやると、一本の煙突に八百万から千万かかる。八幡製鉄は二百本の煙突を持っておるから、これをやると二十億の金がかかる。こういうばく大な金がかかるので、企業はまつ黒い煙を出しておるけれどもやらないわけです。それを厚生省がやらせようとしても、通産省が待ったをかける。そんな金を通産省はとても出せない、こういう問題が起きてくるわけです。ちょうど公害を防止するのにばく大な金がかかるのと同じように、災害防止についても、特に中小企業その他に重点を置いてやる、あるいは新規に入った人に安全衛生の教育を十分にやるということになると、やはり相当金がかかってくるわけです。こういう企業に対する財政上の措置、これはちょっと見るとこの法律にはないわけです。普通は、やはり災害を防止するためには、金融機関その他から金を貸してやるというのが必ずついておらなければならぬと思うのですが、罰則のみがついておって、そういう財政的な援助の問題というのが欠けておる感じがするのです。りっぱな基本計画ができ、実施計画ができても、これはやはり財政的な援助措置というものを考えてやらないと、竜を描いて眼を入れないことになる。煙はうんと出る。この煙を吸ったら肺ガンになる、横浜ぜんそくが起こることはわかっておるけれども、川崎の煙をとめることができない。とめようとすればばく大な金がかかって、企業が倒れるという問題があるわけです。それと同じ形が、大なり小なり労働災害防止の問題についてもあると思うのです。だからわれわれは学生のときから、労働災害を防止する安全衛生の教育というものはおやじ教育だということを言っておった。やはり経営者の教育が一番大事だ。そういう意味で、あとから御質問をいたしますが、協会をおつくりになると思うのですけれども、こういう実施計画をやり、災害の減少目標を立てる場合に、それぞれの産業別、業種別に防止のための対策をやろうとすれば財政上の措置を必要とするが、それらの問題に対する労働省の見解をひとつお聞かせ願いたい。
○大島政府委員 災害防止のためのお金の問題でございますが、本来、産業災害防止上必要な措置は経営者の責任でございますので、企業者が負担すべき筋合いのものでございます。国家がとれを補償するとか補助するとか、こういう性質のものではないと考えております。ただ中小企業につきましては、安全施設をやりたいけれどもどうにもお金のやりくりがつかぬという場合が非常に多うございますので、一昨年から、御案内のとおり中小企業金融公庫を通じまして安全設備のための特別融資を実施いたしておるわけであります。こういう措置を今後ともさらに広げていきたいと思いますし、今度の法案が通りました暁においても、今後こういった団体の活動としても、そういう点にもだんだん伸びていくような形が望ましいと思っておるのであります。と同時に、災害防止対策全般についての教育の問題あるいは技術指導の問題、こういった問題につきましては、今回の法案にもありますように、労災保険特別会計のほうから新規団体に補助金を出しまして、これによってまかなっていただく、こういう形に持っていきたいと思っておるわけであります。
○滝井委員 この災害防止のための活動をおやりになるのは、たとえば講習をやったり試験、検査をやるというふうな簡単なことは、協会でやっていけると思うのです。しかし、問題は設備だと思うのです。たとえば中小炭鉱が坑道のほかに風洞といいますか、とにかくいい空気が入る、あるいは悪い空気が抜けていく坑道をつくらなければならぬ。ところが金がないためにそれがちゃちな状態だったために、坑内の火事が起こると、そこから風が入ってこないので大災害が起こるということは、いままでもたびたびあったわけです。ところがいよいよ責め立ててみると、実はやりたかったのだが金がなかったのだ、こういう場合が多いわけですね。一種の災害であるばい煙、これは広義の公害で、これは住民からするならば一つの災害になるわけです。私は、やはり労働災害防止のためのこういう法案をお出しになるならば、通産省の世話も必要かもしれないけれども、中小企業金融公庫その他から、きちっと協会その他がぜひやらなければならぬという証明をつけたら、それは必ず労働省も世話をしてやって、中小企業には金を貸すのだというような条文があるほうが、この法案がますます光ってくるのじゃないかという感じがするのです。そういう点について、ちょっと読んでみますけれども、欠けておるのじゃないかという感じがするのです。罰則はありますけれども、罰則があるとともに、やはり金を世話してあげようということが必要ではないか。というのは、この五条をごらんになると、労働大臣がおきめになった基本計画なり実施計画というものを、今度は効果があがらなかったときに、あるいは効果があがり過ぎたときも同じだけれども、変更することになるわけでしょう。中央労働基準審議会の意見を聞いて、基本計画または実施計画を変更しなければならぬという義務規定になっておるわけです。そうしますと、私のところは金がないのでできませんということになると、やはりこれはできないということになってしまうのです。そうすると変更しなければならぬことになる。翌年度の八・八%を、池田内閣の所得倍増計画みたいに手直ししなければならぬことになるのです。所得倍増計画ならば少しは目をつぶるけれども、災害はどんどん起こっているのにうまくいかないから手直しするということは、やはり人道的に見てもよくないことです。何か財政上の裏づけをする対策というものをどうしてこの法案に入れなかったかということです。
○大島政府委員 ただいま滝井先生からお述べになりました点は、私どもも災害防止の点からいって最も重要なポイントであると思います。実は昨年、私ども大蔵省の銀行局長と話し合いまして、とりあえず十億の原資をもちまして長期低利の安全特別融資をやるということを取りきめまして、実施をいたしております。この二月現在におきまして約六億八千万の中小企業の安全施設の融資をすでに実施いたしております。この点につきまして、私ども当初から一つ基本的に疑問に思っておりましたのは、中小企業の経営者というものが、ほんとうに安全施設はぜひともやらなくちゃいかぬけれどもお金が足りないということなのか、あるいは低利であっても、やはりそれだけお金を使うことですから、返さなければいかぬのですから、安全施設なんかにはもったいない、もっとほかの運転資金とかそのほかのほうに回すことが望ましい、こう考えているのか、この辺の見きわめがなかなかつきにくかったわけです。総額にいたしましても、私どもとしてはもっと大きな資金源を必要とすると思っております。私どもとしては、当面この十億の原資をもって、これがいかに現実に中小企業の安全融資のために需要されるかということをひとつよく見てみたいと思いまして、昨年来実施をいたしておるわけなんであります。これが現在約七億近くの融資になっております。これは私どもの判断では、すでに一方において相当多くの経営者の皆さん方は、お金が長期低利で回ってくれば安全施設にやってくれるということでありますし、一方においては、こういう金融施策がありますのにもかかわらず、これ以上の金額にはまだならないということは、一面において、お金があってもなお安全施設に対する関心がまだ十分ではないという面と、両面を示しておるのだろう。したがって私どもとしましては、中小企業の経営者の皆さんの安全施設の整備に対する関心と熱意をさらに促進しますと同時に、一方こういった施設をさらに拡充していく、この両面の措置が必要だと考えております。いまお述べいただきました点につきましては、私ども非常に重要な点であると思っておりますので、今後とも事実上そういう形で進めてまいりたい。これは金融措置でございますので、事実上の問題としてすでにやっておりますし、この金額をふやしたり期間を延ばしたりする点については、事実上行政当局の間の話し合いで済むと思いますので、法案には載せなかった次第であります。
○滝井委員 全国的にやはり中央、地方に協会ができてくることになりますと、その協会の活動が活発になればなるほど、問題は、だんだん精神的な思想の普及だけでなくて、実践面になりまして、ほんとうに毎年の実施計画が着々と進められていくということになるためには、やはり安全衛生のための施設、安全装置が完備してくるということが大事だと思うのです。 そこで、これは大臣にお尋ねをすることになるのですが、この労災のほうのお金はいま相当に余裕ができてきておるわけですね。黒字なんですよ。これは労働者側も、金をやってしまうわけじゃないのだから、貸すわけですから、これをちょうど年金福祉事業団みたいに——事業団をつくれとは申しませんけれども、いま何十億という金が黒字で余ってきつつあるわけですから……。ますます人の寿命が長くなって、いま生命保険会社は金が余って因っておる。二兆円ぐらいたまってきておるのです。これはだんだん医学、医術が進歩するし、みんながからだを大事にするようになって寿命が長くなってくるから、生命保険会社がもうかることになる。それから火災だって、みんなが注意すると、消防ポンプはあっても要らないようになる。こういうようにだんだんいい面が出てきているわけですから、それと同じように安全装置ができ、安全衛生のための設備ができるということになりますと、その分だけ、労災の金はメリットシステムですから、浮いてくるわけですよ。この金を、何か基金みたいなものをおつくりになって、この労働災害防止に——そう銀行局や何かに頭を下げなくても、あなたのほうにお金があるわけだから、もちろん大蔵省と相談しなければ自由に使えぬですけれども、しかしやはり自分のほうの金を使うことになれば、銀行局その他に対する頭の下げ方も少なくて済むわけです。こういうのを、いま六億八千万安全融資をおやりになっておるというなら、それを二十億ぐらいにする。そのくらいの余裕はあるのです。七十何億ぐらい余って、三十何億事業主にお返しになったでしょう。あのお返しになる金を基金にして、やはり中小企業なりこういう産業に融資をする、そうするとそれがまた返ってくるのです。そういう形にして何かこの法案の裏づけをしないと、この前私が言ったように、協会みたいなものができてもこれは単なる協会になって、宣伝啓蒙はできるかもしれぬけれども、具体的な設備その他の実践活動ができない。ところが、これは金を貸す形ができると協会にも入り手が多くなるし、その浸透力というものは二倍にも三倍にもなってくると思うのです。そういう意味から、来年度予算の編成期も近くなりつつあるこの際、大臣として何かそういう構想を立てる必要があるのではないかと思うのですが、労働大臣どうですか。
○大橋国務大臣 お説はまことにごもっともに存じます。実は労災の余裕金をそういう方面に運用することも検討いたしてまいっておるのでございますが、現在までの段階ではまだ大蔵当局と相談がまとまりませんので、さような運びに至っておらないのはまことに残念に思います。来年度以降引き続き折衝いたしまして、何とかそういう方向に持っていきたいと思います。
○滝井委員 予算編成期も近いですから、そういうように余ったお金は事業主にお返しになるよりか、事業主と労働者の双方に役立つように使えるよう、ぜひひとつ御検討をお願いしたいと思います。 次は指定業種ですが、労働災害の発生率その他の事情を考慮して、中央労働基準審議会の意見を聞いて指定することになるわけですが、一体この指定の基準は、やはりあなたのほうでおつくりになって、こういう基準でひとつ御検討を願いたいとかいう、何か案がないと中央労働基準審議会がかってにやるというわけにはいかぬと思うのですが、これは一体どういう方面の業種を指定しようとするのか、その指定の基準というものをお考えになっておるならば伺いたい。
○大島政府委員 指定業種の関係につきましては、もちろん基準審議会の御意向も承るわけでありますが、現在予想せられる業種として私どもの頭にありますのは、建設業でありますとか、林業でありますとか、あるいは陸上貨物取り扱い業あるいは港湾荷役業、こういった業種が一応考えられるわけでございます。その考え方といたしましては、特殊に災害率の高い業種、それからその業界における安全産業災害防止活動の組織が相当程度進んでおりますもの、それからその災害の原因なりこれに対処すべき対策というものが、一般的全産業的、全国的な特殊な対策を必要とする業種、大体こういった基準で考えて指定さるべきものである、こういうふうに考えております。もちろん基準審議会の御意向をよく承った上できめたいというふうに考えております。
○滝井委員 そういたしますと、建設業とか林業とか陸上貨物取り扱い業あるいは港湾荷役業、そういうようなものが、これは業態から見ても普通の一般業態とは非常に違っているわけですが、指定を受けますと、何か恩典があるのでありますか。何か国は、指定をした業種についてはこれこれのことをしてやるとかいうような、この立法によって何か特別な恩典が与えられるのですか。監督ばかりを受けて恩典がないのでは困るのですが、この四つ、五つの指定を受けた業種については、たとえば特定産業振興法というのが最近できまして、自動車とか特殊鋼とか有機化学とかいうようなものは、外国との競争に耐え得ないから、これは何とかしてやらなければならぬという考え方から、企業合併を促進したり、そのほかいろいろ恩典が与えられるようになった。保護政策をとられる。こういう災害の多いものは、いま御説明のとおり全産業的に見ても、あるいは一般産業から見ても、非常に特殊の対策を必要とする、こういうことになりますと、特殊の対策ということは、やはり金がかかるということになるわけですが、こういうものについてこの立法によって特にこれこれの恩典があるという、何か特筆大書すべきものがありますか。
○大島政府委員 この指定によりまして受ける直接的な恩典というものは、特に法律に書いておるわけではございませんが、私ども考えまして、最も大きなこの業界におけるプラスとなると思いますことは、すなわちその指定業種におきまして協会が設立されまして、これに国から相当大きな補助金が参るわけでありますが、この補助金の使い道の中で最も直接に業界の安全上、災害防止上プラスになります点は、やはり技術指導の問題であろうと思います。この協会にはもちろん安全衛生の専門家を多数置きまして、これが詳細なその業種に特有な技術指導を行なってまいるわけであります。もちろん各会社とも安全管理者とか衛生管理者を置いておりますが、しかしそれでなかなか手の回らない、あるいはもっと高度な技術者というものを協会に置きまして、これが技術指導を行なう、この点が直接受ける最も大きな効果であろうと考えております。
○滝井委員 そうしますと、指定業種になると協会をつくって、そしてそこに補助金がくるということと、相当の技術者が送られてきて、技術指導ができるという二点なんですね。技術指導を受ける、安全装置をつくる、こういう形になると、やはりもう一押しの金融上の措置というものがちょっと欠けていますね。指定業種にしたところには、やはり国が、さいぜん御説明のあったような低利長期の金をとにかくめんどうを見るというところまでいくと、これは確実に竜を描いて眼を入れることになるので、ますます指定業種の問題から考えると、ぜひひとつ大橋労働大臣に骨を折ってもらわなければならぬところだと思うのです。ぜひひとつそういうところをお願いしたいと思うのです。(「賛成」と呼ぶ者あり)与党さんが賛成してくれるから来年を待ちます。 次は、中央労働災害防止協会でございますが、この中央労働災害防止協会というのは、全国を通じて一個しかつくることができないわけですね。そうしますと、一体この会員たるものの資格と申しますか、それはそれぞれの業種別にいろいろ団体ができてくると思うのです。だんだんこの思想が徹底をすると、非常に地域別にもこまかい連合体みたいなものができてくると思うのです。たとえば石炭なら石炭にもできる、繊維にもできる、鉄鋼にもできる。ところがその地域の繊維と鉄鋼と石炭なら石炭の団体が、また一つの連合体をつくる、そして全国のこの団体につながっていくことになるのだろうと思います。この中央労働災害防止協会というものは、一体加入の資格というのは、業者がつくった団体が加入することになると思うのですが、すなわち機構というか、少し中央労働災害防止協会の輪郭を簡単にわかりやすく描いてみてくれませんか。
○大島政府委員 この法案の十三条で、「中央協会の会員の資格を有するものは、次に掲げる法人その他の団体とする。」三つあげておりまして、一つが協会であります。この協会と申しますのは、先ほどお話の出ました指定されました業種につきまして設立される業種別災害防止協会でございます。これが会員になるわけであります。 それから第二に、「全国的な事業主の団体で労働災害の防止のための活動を行なうもの」、すなわち現存いたします団体で申し上げますと、たとえば全安達なり全衛協、こういった形の全国的な災害防止団体というものも加入できるわけであります。 それから第三に、この二つのほかに、「労働災害の防止のための活動を行なう団体で定款で定めるもの」、こうあります。その定款で定めるものには、先ほどお話しのような地域的な各種の安全衛生団体というものもこの中へ入り得られるわけであります。 すなわち、全体の会員構成といたしましては、業種別協会、それから全国的な安全衛生団体、それから定款で定めるその他の災害防止の関係の団体、この三種類が直接の中央協会の構成員に相なるわけであります。そのほかに、先ほどお話しの指定業種については業種別の団体が別個にできる、こういうわけでございますが、その業種別の団体は、いま申しましたように中央協会の当然の会員になる、こういうことでございます。
○滝井委員 そうしますと、一と二はよくわかるのですが、三のほうの「労働災害の防止のための活動を行なう団体で定款で定めるもの」ということになりますと、定款の中へ労働災害の防止をうたっておけばいいわけですよね。そうしますと、一と二はわりあいにわかるのだけれども、三というものは一体どういうようなものが考えられますか。
○大島政府委員 たとえば現在でも、地方におきまして地方的な安全衛生活動を行なっている団体がございます。これが加入を希望し、かつ中央協会がこれを加入せしめるという意思決定と申しますか、これをいたしますと、定款で定めますと、これによってそういった地域別の安全衛生団体が加入する、こういう形になるわけであります。
○滝井委員 安全衛生というと非常に範囲が広くなるわけです。たとえば日本医師会とか地方の医師会あたりでも、安全衛生のことをやるわけですね。そうすると、こういうものも加入ができるかということなんです。それから労働組合だって、安全衛生の問題は、保安部長なんか置いてやっておるわけでしょう。定款でも労働者の災害防止のために組合は経済活動とともにやらなければならぬと書いてある。そうすると、そういうものも——この前のときは事業主が主としてつくるのだったのですが、私もこれは何回も読み返してみまして、会員の資格の三に至ってちょっと行き詰まってきたのです。そうしますと、これは非常に広いものになるのだがという感じがしてきたのです。安全衛生というと、非常に広いものになる。たとえばこの前、国鉄の操車場の照明の問題を出したわけです。操車場の照明がない、あっても暗いので、汽車の間にはさまれたり何かして、しょっちゅう事故が起こるから、これはやれというので国鉄がストライキをやった。ところが、やった連中がみな首になった。首になったけれども、十河さんはやむを得ず門司の操車場、鳥栖の操車場にはあかあかとしたものをつけた。そのかわり三人か四人首になっちゃったけれども、やはり労働組合というのは、安全装置をやれ、照明装置をつけいという運動を一つの大きな運動としてやっているわけです。だからここらの(ハ)のしぼり方というものは、定款にそういうことをうたえばということになると、これは非常に範囲が広くなってくるのですが、ここらはもうちょっと何かきちっと説明していただけぬでしょうか。
○大島政府委員 ここに書いております「労働災害の防止のための活動を行なう団体」と申しますのは、これはもちろんもっぱら産業災害防止を任務とする団体、こういうように解釈をいたしております。
○滝井委員 上に「もっぱら」をつけるとわかるわけです。ところが「もっぱら」がなく、「労働災害の防止の活動を行なう団体で定款で定めるもの」、こうなっておるから、何項かある活動の中の一つにそういうものをしておると、これはなかなか範囲が広くなるがということだったのですが、わかりました。そうしますと、安全衛生の問題は医師会等もやっておる、労働組合もやっておるが、当然労働組合はこういうものには入らぬ、医師会等も入らぬ、こう解釈して差しつかえないですね。
○大島政府委員 そういうふうに考えております。
○滝井委員 次は、労働災害防止協会と中央労働災害防止協会との関係です。これは業務の状態を見ても、やることはほとんど同じことをおやりになるようになっておるわけですが、この両者の関係はどういうことになりますか。それから同時に、労災の方の特別会計からお出しになる補助金は、中央協会にいって、それからその協会にいくことになるのか、中央協会と協会とは法人格は別個だから、それぞれ補助金が独立していくことになるのか。この両者の関係、それから補助金のやり方、これを御説明願いたい。
○大島政府委員 構成につきましては、業種別協会は中央協会の会員になるわけでありますが、それぞれ業種別協会はまた別個の団体として存在するわけであります。業務の関係につきましては、三十五条に「協会は、次の業務を行なう」として、労働災害防止規程を設定すること、会員に対して、災害防止の技術的な指導、援助を行なうこと、この二点をあげて、そのほか、当該指定業種にかかる災害防止についての各種の仕事を行なう。そこで業種別協会の方は、その業種に特有の産業災害防止の各種の仕事をやっていくわけでございます。中央協会の方は、この業種別協会に対する援助なり指導も行ないますと同時に、指定業種でない業種、これが非常に多うございますし、また中小企業等も非常に膨大に存するわけであります。これらに対しては、直接の安全衛生上の指導援助を行なう、こういう仕事の関係に相なります。補助金の経路につきましては、中央協会、業種別協会、それぞれ直接に補助することに相なると思います。
○滝井委員 そうしますと、補助金は中央協会と業種別の協会別々に差し上げる。中央協会の業務と協会の業務とを見てみますと、御指摘のように、協会の方は「労働災害防止規程を設定する」、それから「会員に対して、労働災害の防止に関する技術的な事項について指導及び援助を行なう」、要綱の説明の業務のロのほうをごらんになると、「機械器具について試験及び検査を行なうこと。労働者の技能に関する講習を行なうこと。情報及び資料を収集し、及び提供すること。調査及び広報を行なうこと。」というようなことは、ほとんど中央協会がやることと同じことをおやりになるわけですね。そうしますと、これは何も二つの団体にお分けにならなくとも、中央協会というものをつくって、こういう名前を言うのは全国で一つあったらいいことになるわけで、お金も一つのところへ出すほうが能率的ですから、そしてその下部の支部組織を各都道府県におつくりになって、中央協会と地方協会、こうおやりになったらいいのじゃないかという感じがするのです。医師会なんかも、日本医師会と都道府県医師会とは別の法人で、全然別個の独立のものにはなっております。しかし、これは上から補助金が出るわけでも何でもない団体ですが、今度これは主眼が、労働災害をこれから五カ年間に少なくとも年率八・八%ずつ減らしていこう、こういうお考えのもとにおやりになるのですから、中央、地方がびしっと一件となっておやりになっておいたほうが、あなた方の監督もうまくいくだろうし、予算の流れも一筋の筋でずっと流れていきますから、それのほうがいいのじゃないかという感じがするのですが、どういう理由でこういう別個のものをして全く別個の仕事をやらせなければならぬのかということなのです。中央は中央の仕事をやる、地方は地方の仕事を分担しておやりになったほうが、一つの人格にして中央から地方にやったほうがいいのではないか。ばらばらにたくさんな協会が業種別にできて、しかもこの会員が(イ)、(ロ)、(ハ)とあるようにいろいろなものが出てくるということになると、船頭多くして舟が山へ登ってしまう感じがするのです。すでに既存の団体が多いというので、あるいはこういうことになったのかとも思いますけれども、そこらの点は、中央から地方にかけてどうして一本にできなかったのか。
○大島政府委員 中央協会と業種別協会の業務の関係につきましては、第一に、技術的な事項についての指導、援助につきましては、指定業種について業種別協会ができますと、その業種についてはその業種別協会がやる、それから指定されない業種全般について全国的には中央協会がやる、こういう形になるわけです。しかし、その他の業務の関係、たとえば機械、器具の試験、検査でありますとか、労働者の技能習得の問題でありますとか、情報の収集とか、こういった問題は、一応中央協会が全国的に取りまとめて行なうたてまえになっております。しかし、指定業種特有の関係のものにつきましては、業種別協会がこれも行ない得ることになるわけであります。そこで、滝井先生が御指摘になりましたように、中央協会一本にして、これをむしろ地方別支部組織と申しますか、こういう形でやっていくことももちろん考えられるわけでございますが、特にこの業種別協会の設立を考えましたのは、先ほども申しましたように、産業災害防止上特殊の必要のある業種、建設業でありますとか、貨物取り扱い業でありますとか、こういう非常に特殊の態様の業種については特殊の対策等、きめのこまかい措置が必要であろうということによるものでありまして、したがって、業種別協会ができると申しましても、どの業種でもこしらえればできるという問題ではないのでございまして、特殊の必要のある業種を指定いたしまして、ここに特別のものだけこしらえる、こういう関係になっておりますので、業種別団体を特に認めました理由は、その業種の特殊の安全対策上の必要性に基づくということに考えておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、労働災害防止協会、いわゆる協会というのは、指定されたものだけしかつくれないわけですか。指定されなくたって、事業主が今度補助金をくれるというのでつくる可能性が出てくるわけですよ。そういうことが一つ。いま一つは、指定されたものは必ずつくらなければならない、義務になるのかどうかということです。そういうことはないと思います。指定されてもつくらない場合も出てくると思います。そうでしょう。そうしますと、労働災害防止協会というものは、この法律にはどこにも指定業種と書いてないのだけれども、局長さんはさいぜんから指定業種、指定業種と言われるので、ふしぎだなと思っていたのですが、指定をされてもできない場合があるし、指定をされなくてもつくる場合があり得るわけです。そういう場合に、中央は、これは中央一本ですから一つしかつくることができないと法律にうたっているからいいですけれども、地方は、必ずしも指定されようとされまいと、幾らつくったっていい。その場合、指定されて労働災害防止協会をつくらなかった場合には一体どうなるのか、指定をされないでもできたときにはどうなるのか、こういう二つの問題が出てくるわけです。
○大島政府委員 法案の四十二条に、「協会は、指定業種ごとに設立することができるものとする。」とありまして、同じく法案の二条に、指定業種とは「労働大臣が、労働災害の発生率その他の事情を考慮し、中央労働基準審議会の意見を聞いて指定する業種をいう。」というふうになっております。したがって、業種別協会は指定されました業種についてのみ設立されるということになります。ところで、指定いたしました業種について、いやだというものを強制する規定は別にございません。ただ先ほど申し上げましたように、災害率が特に高く、その災害防止活動というものが非常に組織立っており、またその対策に特別の配慮が必要だという業種を指定するわけでありますから、指定いたしましてそれができないということは、事実上はないものと期待をいたしております。法律上は必ずしも強制されるものではございません。
○滝井委員 そこで指定を受けたものはおつくりになると思うのです。しかし、「指定業種ごとに設立することができるものとする。」のであって、指定を受けなくてもこれはつくっていいわけでしょう。そこが、私がさいぜん言った会員の(ハ)なんです。もっぱらというのがあるそうだから、「労働災害の防止のための活動を行なう団体で定款で定めるもの」というのがこれになるわけです。いわゆる指定を受けない——指定を受けるものは(イ)、協会なんです。しかし、指定を受けなくてやれるというのが全国的な事業主の団体、たとえば日経連、経団連というようなものがこれになるわけでしょう。それから同時に、日経連、経団連ではない、そういう違った労働災害をやる指定でないものが、今度は会員になることができるわけですから、そうすると、(イ)の協会というものは、法律面では業種別の指定した団体だけのようであるけれども、実際は(ハ)というものが出てくるのではないですか。
○大島政府委員 仰せのとおりでございまして、指定業種以外にそういう産業災害防止上の団体ができますと、これは業種別協会ではございませんが、先生がおっしゃいました(ハ)、すなわち法案でありますと十三条の第三号によりまして、中央協会へ加入しようと思えば、それは可能であるということになるわけでございます。
○滝井委員 そういうことも可能ですよね。それを聞いておけばいいです。そうしますと、その(ハ)によって中央協会の会員となったものについても補助金はいくことになるわけですね。
○大島政府委員 中央協会の会員に補助金がいくのではなしに、中央協会そのものに補助金がいくわけであります。その中央協会が、補助金をもらった恩恵を、会員が間接に受けるということはあるわけでありますが、会員に直接補助金がいくわけではございません。
○滝井委員 そうすると、ずいぶん前に読んだのだけれども、あとの条文の関係がわかりかねますから質問いたしますが、この労災の特別会計から出ていきます労働災害防止対策費、公費一億五千万円というのは協会にいかないのですか。
○大島政府委員 予算でおきめ願っております一億五千万円のお金は、中央協会と業績別協会と、この双方に参るわけであります。
○滝井委員 そうしますと、中央協会と指定業種のつくったものだけ——これはちょっと問題があるね。予算を重点的にお使いになる、こういう意味ならば、あるいはそれはそれでいいのかもしれぬけれども、ちょっとひっかかるところがある感じがしますね。というのは、この目的を——労働災害をできるだけ少なくしょうというのは、指定された非常に高いのもやらなければならぬが、少ないところがますます少なくなれば多々ますます弁ずるわけですから、そういうところに金がいかないということになると、これは(イ)、(ロ)、(ハ)の(ハ)のところ、あのもっぱらのところはお金がいかないから、お金の来ぬところはそう力を入れてやってもしようがないじゃないかという可能性があるわけですよ。だからそういうところにもやはりランクをつけてやって、協会をつくって労働災害を防止しよう、労働省の意向に御協力を申し上げようという熱意のある事業主には、やはり幾ぶんやる必要があるのではないですか。
○大島政府委員 国から出ます補助金がいきます対象は、いま申し上げましたように、中央協会と指定業種別の協会と、この双方に参るわけであります。ただ、たとえば中央協会がその補助金をもらって、それをどういうように使うかということは中央協会がおきめになるわけであります。したがって、そのお金の恩典は当然その会員に直接、間接に及ぶこともあり得るわけです。その辺は、中央協会がそのお金の使い道についてきめていくことに相なるわけです。
○滝井委員 補助の条文の五十三条を見ると、労働災害防止団体に対してやることになっておるわけですね。中央協会とか業種別の協会とは書いていないのですね。そうすると、労働災害防止団体というのは、結局中央労働災害防止協会と労働災害防止協会、こういう二つにしぼられてきておる。そうしますと、中央協会から金をもらう以外に方法はない、条文の上では。そういうことになりますね。そして労働災害防止協会、この協会だけは別格扱いにして、これには金がいく。何かちょっと条文の構成上、中央労働災害防止協会は、(イ)、(ロ)、(ハ)と三つのものが会員になることができる。そして(イ)の労働災害防止協会というのだけは特別の待遇をしてやる、これは指定業種だから。——理屈が通るかな。ちょっと少し、(イ)、(ロ)、(ハ)と並べておりますけれども、まあ通るということにしておきますか。 それから次は、安全管理士及び衛生管理士を、今後労働災害を防止をする上で技術的な指導をやる上には、この両管理士が非常に重要な役割を演ずることになるわけです。その場合に、最近こういう技術者というのは非常に少ないと思います。特に労働省令で定める資格を有する安全管理士、衛生管理士というものを中央協会は置かなければならぬことになるわけですね。これは、中央協会は一体こういう人を何人ぐらい置くことになるのか。そしてその労働省令で定める資格というものはどういうものなのか。
○大島政府委員 安全管理士、衛生管理士につきましては、中央協会におきましては、現在の予算におきまして大体二十名程度を考えております。さらに業種別協会につきましては、大体六十名前後を考えております。資格は、労働省令で定めることに相なるわけでありますが、相当高度の専門知識、経験を要しますので、大体大学、高専を出て、工学とか医学の課程を修めまして十年ぐらいの経験を持った者、それから大学、高専を出ていませんでも、学歴に応じまして一定年限の経験、学歴を持ちまして労働大臣の行ないます一定の試験に合格した者、大体こういうふうな資格を考えております。すなわち技術、経験において相当高度のレベルの方々を予想いたしておるわけであります。
○滝井委員 そうしますと、この中央協会の安全管理士と衛生管理士と、それから業種別の協会に置く管理は同じ労働省令で定めることになるのですか、全部資格は同じですか。
○大島政府委員 労働省令で定めます資格そのものは、一応同一に考えております。ただ、たとえばその試験を行ないますような場合、あるいはその経歴、経験を考えます場合、それはどういうふうにとるか、こういうことは一般的な場合と業種とで違ってくる場合はあり得ると思いますけれども、一応、とにかく要件としては大体同じに考えております。
○滝井委員 そうすると心配なのは、中央に二十人と六十人ということになると、各都道府県に一名か二名ぐらいしか置けないことになるわけですね。大学の工学部を出て十年の経験の者が八十人得られるかというと、これはいま、なかなか困難だと思うのですがね。これの見通しがきちっとおありになるのかどうか、やはり相当の高給をもってかかえないと、現場のそれぞれの業種別の機械の設備、安全装置その他に相当精通しておかなければいかぬでしょうからね。これは大体八十人も得られる見通しなのかどうか。
○大島政府委員 仰せのとおり、現在技術者の確保はきわめて困難な状況でございますが、ただ、衛生管理士につきましては、各業種、各地方におきまして思いのほか非常に熱心な、ことばは悪うございますが、安全気違いというような非常に熱心な方々がいらっしゃいますので、ある程度の技術者は確保できるのではないかと考えておりますが、ただ、この法案が成立いたしましても、早急に確保するということになりますとなかなか困難な事情もありますので、過渡的にはパートタイムのような形の技術者の確保ということも考えなくちゃいかぬと思いますが、長期的には相当数の確保はできるのじゃないかと思います。さらに、これは将来の問題でありましょうが、中央協会等におきまして、こういった専門的な安全管理士、衛生管理士の研修とか講習とか養成機関、こういうふうなものの設置も将来の問題として考えられていいのじゃなかろうかと考えております。
○滝井委員 たまには安全気違いもおるかもしれぬですけれども、こういう協会とか役所というものは給料が安いですから、優秀な人がなかなか来にくいわけですね。その例は、すでに保健所の技術者の医師とか薬剤師、歯科医師、保健婦、看護婦とか、なかなか来にくい現状です。岩手県や秋田県のごときは、その充足率が二割八分とか三割という情けない状態です。りっぱな法律ができても、問題は、専門的な活動をおやりになる安全管理士とか衛生管理士というようなものがいなかったら処置ないわけで、やはりいまから長期計画をお立てになって、協会から学費を出して大学の医学部や工学部の人に給費制度みたいなものをおつくりになって、そしてこの法律ができたら、長期計画ですから、五カ年計画を第二次、第三次とおやりになると思うのですが、そうなりますと、これは大学にお入りになった優秀な学生の人をおつかまえになって、二十人や三十人はきちっと確保する方策をおとりになることが必要じゃないかと思いますが、養成とかいっても、大学をいまから労働省につくるわけにもいかぬでしょうし、そうしますと、この協会ができたら、この協会が貸費か給費をやって、そしておつくりになるという制度をやることが必要じゃないかということは、もうすでに現在、厚生省のほうで保健所の医師がその制度をおやりになってもなお充足できないという状態です。いわんやこの制度ができて、一番このかなめになる技術指導者がいなかったら、これはいかに団体ができても口先ばかりの団体になって、とうとい労災の金を食ってしまうことになりますから、金も生かす、できた機構も生かすためには、やはり中心になる、かなめになる管理士を速急に養成をし、充実をさせることが必要だと思いますが、そういう点お考えになりませんか。
○大島政府委員 ただいまの技術者の確保についての滝井先生の御指摘の点は、私どもも、一番困難ではありますが、重要なことだと考えておるわけであります。特にいま御指摘のありました給費生の制度というのは、私もいま伺いまして、非常にいい御着想ではないかと思いますので、そういった点もひとつ検討させていただきたいと存じます。いずれにいたしましてもこの仕事は相当長期間かかって、たゆまざる努力を続けていかなくてはならぬ問題でありますが、長期的な観点に立って技術者の確保につとめてまいりたいと思っております。
○滝井委員 安全、衛生の両管理士を確保する努力は、この法案の上では非常に重要なものだと思うので、ぜひひとつせっかくの御努力をお願いしたいと思うのです。 それから労働災害防止規程でございますが、これは特に業種別の協会にはあるけれども、中央協会にはないわけですね。これはどうして中央には要らなくて、この協会には要ることになるわけですか。
○大島政府委員 この労働災害防止規程というのは、その協会の構成員である会員を拘束するわけでございますから、やはり一定の範囲ということが必要になる。中央協会でございますと、先ほど申し上げましたように中央的な団体でありますとか定款で定められた災害防止団体、こういうふうな形になりますので、災害防止規程の拘束の対象が非常にばく然といたしまして、実効を期しがたいと思いますので、指定業種の業界のみに災害防止規程を定めることとしたわけであります。
○滝井委員 この協会というのは非常に災害の多い指定業種だ、しかし中央の協会にも、その協会のほかに(ロ)と(ハ)の災害防止のために活動を行なう事業主の団体、あるいはもっぱら災害防止のための活動を行なう、定款にそういうことを定めている団体というようなものがあるわけですね。そうしますと、当然指定業種のほかの(ロ)と(ハ)の団体についても、それぞれ多かれ少なかれ災害はあるわけですから、それらのものに対しても、機械、器具その他の設備、作業の実施方法等について講ずべき具体的な措置を安全管理士なり衛生管理士というものは指導しなければならぬと思うのです。そうしますと、それらのものに防止規程というものがやはり必要じゃないか。ところが、これは法案の構成が複雑になっておるのですけれども、協会にはそういう防止規程というものがあるのだが、中央にはないのだ。しかし業務の状態を列挙しているところを見ると、むしろ中央協会のほうが協会よりも非常にやる仕事は多いのです。業務のイが(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)、(ヘ)、(ト)、(チ)まである。協会はロのところのこまかい(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)、(ホ)「機械器具について試験及び検査を行なうこと。」から(ニ)の「調査及び広報を行なうこと。」、こういうことは、ほとんど全部中央協会と同じことをおやりになるわけです。そうしますと、中央協会にも何かそういうきちっとした規程というものが必要じゃないかという感じがするのですが、それはちょっと抜けておるのですね。そうしますと、中央協会に加入する(ロ)と(ハ)のところには具体的な指針がない、こういうことになるわけです。そうしてこの法案では、指定業種の協会だけに一番重点を置かれている。これは法案が重点主義で、それでもいいと思いますけれども、この労働災害防止規程というものは、やはり中央にも必要な感じがするのですがね。というのは、協会のほかに会員はもう二つの(ロ)と(ハ)があるのですから、そこのところは、ただ会員にはなっておるけれども、ちっとも世話をされていないのですね。さいぜん言ったように、そこには補助金も中央協会からもらいなさい、こちらの方は知りませんぞ、こういう形でしょう。災害を防止する規定というものは、微に入り細をうがっておってもちっとも差しつかえないのじゃないかという感じがするのですけれども、その点について、いま局長さんの言われただけの理由ではちょっと納得がいかないのですが……。
○大島政府委員 もちろん指定業種以外、すなわち中央協会の業務の対象になる業種につきましてもそういう必要性があり得ると思います。しかし、要するにその必要性の有無と、そういう防止規程をこしらえて、それを適用していく実効性の確保の成果いかんということに帰するわけでございまして、したがって、そういう指定業種以外にそういう必要性の生じてまいりますような業種も、もちろん将来あり得ると思うのであります。したがって、そういうものについては、さらに指定業種にしてそういうふうな業種別の協会の形に持っていって災害防止規程をつくる、こういうことはもちろん可能と思います。したがって、要するにその業種におきます必要性と実効性の確保、この辺を見定めて業種指定を行なっていく、こういうことになると思います。
○滝井委員 次は、防止規程をおつくりになるときには労働大臣の認可が要るわけですね。こういう現場のこまかい、災害防止の機械、器具とか設備をするというような具体的な行動に対して、変更する場合も設定する場合も、一々労働大臣の許可を得なければならぬというのは、これはどういう理由ですか。
○大島政府委員 これは災害防止規程につきまして労働大臣の認可を効力発生要件にいたしました理由は、この防止規程が設定されますと、それはその会員の就業規則に優先するわけでありまして、その限度におきまして労働者の労働条件を具体的にきめていくわけでございます。したがって、そういうふうな重要な問題でございますので、やはり適法性、すなわち基準法ないしは安全衛生規則には違反できないわけでございますから、そういった意味合いの適法性及びその指定業種における具体的な妥当性と申しますか、そういった点をやはり一応労働大臣の手元でチェックして、これは初めて効力が発する、こういう形にいたさないと、指定業種協会がそれをつくれば直ちにそれが就業規則に優先いたしまして、労働者の労働条件を直ちにきめていく、こういう形になるのは妥当を欠く、したがって認可という制度にいたしたわけでございます。
○滝井委員 実は私、この前も問題にしたのはそれがあったからでございますが、「協会は、防止規程を設定し、変更し、又は廃止しようとするときは、」当然これは労働大臣の認可が必要だけれども、同時に、「関係労働者を代表する者及び労働災害の防止に関し学識経験がある者の意見を聞かなければならない。」ということになっておるわけですね。この場合に、協会が関係労働者を代表する者、それから労働災害の防止に関し学識経験を有する者、これらの意見を聞くということは、具体的にはどういう形で聞くかということなんです。建設業なら建設業、港湾荷役なら荷役といっても、これはいろいろたくさんあるわけですね。そこでその関係労働者を代表する者といって、じゃ全国の港湾労働組合の代表の意見を聞くのか、たとえば関門なら関門だけの地域のものを聞いたらいいのか、ここらあたりもばく然としておるわけです。それから学識経験者といっても、これは学識経験者の意見を聞きましたといえば、聞きましたということになってしまうわけです。ここらが、私がこの前言ったように、協会というものは、なるほど労災の金は事業主の納めた金である、そして災害を防止する責任は一応日本の立法形態から言うと事業主にある、だけれども、労働者がこういう協会ができた場合に手をこまねいて無関係であってはならぬ。というのは、災害の防止というのは事業主だけがいかにがんばったって、労働者が乱雑、不注意であったら災害防止はできないわけですから、やはりこの問題についてはお互い命が大事、人権が大事ですから、災害の防止については、金は事業主が出しても、労使が協力しなければいかぬ。そのために労働者の技術に関する講習等も行なう、協会も行なえば、中央協会も行なうことになっておるのだろうと思うのです。技術の講習その他を行なうとすれば、労働者の協力を得なければならぬ。どこかに労働者がこの協会に対してものを言うところがなければならぬと思っておったのですが、あのときはまだ十分勉強しておりませんでしたけれども、少し読んでみますと、その規定のところだけに労働者の意見を聞くというのがあるわけですね。これ一つですよ、この法文の中で労働者の意見を聞くというのがあるのは。しかもそれが就業規則に優先するという、非常に重大な労働条件に——労働協約に抵触するときはちょっと問題があるようですが、就業規則については、これはそれを越えていく力のある防止規程だ。だから労働大臣が関与するんだという説明だけでは、何かここらあたりの労働者の意見を聞き、学識経験者の意見を聞く形をもう少し明確にしておく必要があるのじゃないか。それから協会についても、労働者の講習その他をやろうとすれば、当該協会に所属する労働者の団体の何らか意見を聞く形ですね。この災害防止は幾ら事業主が力んでみたところで、労働者の協力がなかったら、災害防止はできぬことはもうわかり切っておることですから……。しかし、その中でも特に事業主の責任が重大であり、事業主の教育が重大であるということは、私も認識をしております。ここらあたりの意見の聞き方というものについて、あなた方は一体どう考えておるのか。
○大島政府委員 法案の三十九条に、協会は、労働災害防止規程を設定しようとするときは、労働省令で定めるところにより、関係労働者を代表する者及び学識経験者の意見を聞かなければならない、変更、廃止の場合もまた同じである、こういう規定を置いております。そこで労働省令で具体的にその手続をきめていくことに相なるわけでありますが、たとえば関係労働者を代表する者といった場合には、全般を代表するような労働組合が存在いたします場合にはその労働組合の意見を聞くとか、またそういう労働組合が存在しない場合におきましては、その労働者の過半数を代表する者の意見を聞くとか、そういうふうな手続を労働省令で定めたいと考えております。また学識経験者の範囲等につきましても労働省令で具体的にきめてまいりたい、かように考えております。
○滝井委員 省令で具体的にどういう形でお定めになるのか、私もちょっと考えつかないわけですけれども、これはやり方によってはなかなかむずかしい問題だと思うのです。学識経験者といってもピンからキリまでありますし、聞いたといえば聞いた、聞かなかったといえば聞かなかったというようなことになる可能性もありますし、まあ最後には労働大臣の認可という関門があるから、労働大臣を信頼しておけばいいようなものですけれども、やはり労働者にとっては命にかかわる問題ですから、省令で定めるときには、何か意見をぴしっと述べる機会を——この法案が通るまでに省令の案でもおできになれば、見せていただけば一番いいと思いますが……。
○大島政府委員 今申しましたように、労働者を代表する者、学識経験者の選考の範囲、こういったものを労働省令できめたいと思っておりますが、いま具体的なその案を持っておりませんが、一応の考えといたしましては労働省令の案としてまとまり得ると思いますので、またそういった点についても御説明申し上げたいと思います。
○滝井委員 素案でもかまいませんから、この法律が通るまでに、こういう形の省令だということをできればお示し願いたいと思います。 それから、この協会に対する発言の場ですが、これはこの前もちょっと質問いたしたのですけれども、労災の金は本質的には労働者に事業主が出した金なんですが、それをまた事業主の団体に還元する形になるので、何らかの形で——参与でもかまわぬと思うのですが、といってこれは評議員会みたいなものもはっきりしないのですが、しかし定款で定めれば何か意見を聞く場所くらいは、中央とその業種別の労働組合の意見を、労働災害防止規程を変更するとき、あるいは設定するときには聞くわけですから、そういう聞くのをスムーズにやるためにも、何か労働者の意見を聞く場所だけは——これは事業主の団体ですから、そう中にまで入って会費まで分担するというわけにはいかぬと思うのです。会費が要るわけですから……。だから何か意見を述べる参与制度みたいなものはつくっていただいて、こういう問題については労使が相協力し、一体になってやることはちっともかまわぬことだと思うのです。だからそういう機会はぜひひとつ大臣、つくっていただきたいと思うのですが、そういう点はどうですか。
○大橋国務大臣 そういう運びにいたしたいと思います。
○滝井委員 次は、この前最後にちょっと問題にしておりました高圧ガスの取り締まり法における高圧ガス協会との関係ですが、これは私少し見てみますと、この法案の二条の一項一号に「労働災害 労働者の就業に係る建設物、設備、原料、材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動によって、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。」、こうなっておって、特にガスが入っておるわけです。それでこれは最近液化石油ガス、LPGですか、こういうプロパンガス等が出て参りまして、販売人が家庭に配るんだって、販売人は労働者ですから、こういう高圧ガス取り締まりのために高圧ガス保安協会ができて、これも会費と検査手数料でやっていくようになるわけですが、この高圧ガス取り締まりには通産省のほうから補助金か何か出すことになるのですか。
○大島政府委員 補助金の有無につきましては、私現在承知いたしておりませんので、さらに照会いたしまして御連絡申し上げたいと思います。
○滝井委員 では高圧ガスの取り締まりは通産省の所管ですけれども、御存じのとおり、高圧ガス関連産業というのは急激な技術革新ができて、最近われわれのような石炭の産地でも、プロパンガスを全部使っているわけです。そうしますと、これを扱う労働者というものは、工業用の燃料に使うわけですから、相当程度やはり災害があるので、高圧ガスの取り締まり強化のために高圧ガスの取り締まり法というものが新しく今度衣装がえをすると思うのです。それでこれに保安協会ができる。もしこれが多かったら、これがあなたのほうの指定業種になった、こういう場合、二つになるわけですね。この前ちょっと私ここで問題点として出しておったのですが、うかつにガスというのを読み落としておったものですから、そこまで言わなかったのですけれども、これはやはりガスということでこの法律の対象になるわけです。そうすると、この関係は、通産省と労働省との関係はどういう形に今後なって運営をされていくのか。爆発が起こって、いやいやあれは通産省の所管だからといって、労働省逃げるわけにはいかぬと思うのです。労働者がそこで死んだり負傷したりするということはあり得るわけですから、あれは高圧ガスの取り締まり法でやっていくんで、わしのほうは知らぬといったって、そうはいかぬと思うのです。ここらの法案をよく読んでみるけれども、なかなか関係がはっきりしないんですね。私も読んでみたんですが、提案理由もちょっともらってきて見ていますけれども、なかなかどうもはっきりしないのですが、ここらの関係はどういうぐあいで処理していくのか。
○大島政府委員 ただいま御指摘の高圧ガスから生じます災害につきまして、通産行政と労働行政との関連の問題がございますが、これは同じような種類の問題といたしましては、ほかに火薬の爆発の関係がございます。あるいはまた電気設備の関係がございます。すなわちこういった問題につきましては、単にその工場なり作業場だけの問題のほかに一般公害と申しますか、製造から運搬、流通過程にかけて、一般人にまで災害の及ぶ範囲の非常に広範な問題なんです。したがって、そういう意味合いにおきまして、通産省におきまして高圧ガスの取り締まり法とか、あるいは火薬の関係の法律とか、あるいは電気事業の関係の法律で、一般的な施設面におけるそういう災害の規制をいたしておるわけであります。しかしその規制の結果の影響というものは、当然労働者にも及ぶわけです。そのほかに一般人にまで及ぼされるというわけでございます。しかしその面における労働災害の面につきましては、やはり労働省の所管事項である。ただ規制の法律がそういうふうにございますので、そこへまた別に労働法規を持っていって二重に規制することは、これは全体としては適当でないので、そういう形に相なっておるわけであります。したがって、いま御指摘のような高圧ガスの関係でこの法案との関連になってまいりますと、そういった高圧ガスの関係でできます団体が、どういう仕事を現実に行なうかということによって定まってくる問題だと考えております。
○滝井委員 高圧ガスの保安協会は、高圧ガスの保安についての調査とか研究、指導及び検査を行なうのですね。ほとんど中央の協会の行なうのと同じようなことを行なうわけです。そうしますと、私が言いたいのは、この高圧ガス保安協会というのを(イ)(ロ)(ハ)の(ハ)に入れて、そうして中央協会に加入さしてもらうと、これは非常に有機的な連携がいくわけですよ。そういうことが可能かどうかということなんです。それが可能ならば、通産省のものであっても、それは今度はおたくのほうの管理士が少し行って交流をすればいいことになるわけですよ。そういう連携がとれておるかどうかということですよ。非常にガスが大規模化してきましたから、これは通産省だけにまかせるわけにいかぬと思うのです。
○大島政府委員 高圧ガスの関係にいたしましても、爆発の関係にいたしましても、結局、要するに通産と労働の現実の密接な連絡関係が問題だろうと思います。したがって、いま御指摘のような問題につきましても、今後私どものほうで通産の関係局課と緊密な連絡をとりまして、とにかく人命に関する問題でございますので、災害防止の目的を達しますような措置でもってやってまいりたい、かように考えております。
○滝井委員 できるだけひとつ高圧ガスの取り締まり法を取り扱う通産省と、あなたのほうの関係を十分ひとつ調整をしてもらいたいと思います。 それからいま一つは、この基本計画と実施計画を作成したときに、六条で公表をすることになっておるのですね。こういう立法は私初めてなんですが、これはどういう意味があるのですか。公表して悪いことはないけれども、特に公表するという意味はどういう意味なんでしょう。
○大島政府委員 この基本計画並びに実施計画を公表いたしまするのは、やはり最大の目的は、これは災害防止計画そのものが、各産業、各企業あるいは各労働者の問題でございますので、広くよく周知徹底してもらいたいということが最大の目標でありますが、あわせてやはり政府といたしましてもこういう計画で努力を続けてまいりたいということを中外に宣明いたしまして、政府みずからもつとめる、こういう意味合いと了承いたしておるわけでございます。
○滝井委員 中外に宣明するのはわかるのですが、その宣明のしかたですね。いままで役所はたとえば官報にばっと載せる。それで公表したのだという形なんですね。いままで特にこれを公表するなんという条文をうたった法律は、私寡聞にして初めてなんですよ。特にこれを別途に強調したところは、やはり何かあるのだろう。そうしますと、これは何というか、パンフレットでも刷って相当業界にも出す、われわれ国会議員にもこういう新しい五カ年計画を立て、実施計画を立てたのですということをきちっとしてくれる、こういう意味だろうと思うのです、特に法文に公表と書いてあるのは……。いままで私たちがした法文の中には、こういうことはないのですね。国会に報告するとか、内閣に報告するというのはあるが、しかし天下に、中外に公表してその指針を明らかにするというのは初めてなものですから、新機軸だからびっくりしておるのです。だから何かよほど新しいことをおやりになるだろうということなんですが、これはいいことですよ。いいことですから、そのやり方は、ひとつほんとうに中外に公表したようにしてもらいたい。 それから四十二条の関係ですが、その意味ですが、指定業種ごとに設立することができる。そして特に労働者の数を縛っていますね。これは一体どの程度の労働者を使っておれば、ちょうどこういう率をかけて指定業種になる、こういうことになるのでしょうか。
○大島政府委員 四十二条第二項におきまして、指定業種ごとに協会を設立される範囲でございますが、その協会所属の事業に使用される労働者が、その業種全体の大体三分の一程度をこえた場合にこの第二項に該当する、こういうふうなつもりでおります。
○滝井委員 そうしますと、その業種全体というと、建設業なら建設業の業種別組合というのは、東京都なら東京都、福岡県なら福岡県でその建設業の三分の一がおった場合に業種別の組合をつくってよろしいというのではなくて、全国的に見て業種別の組合をやる、こういうことなんですね。
○大島政府委員 さようでございます。
○滝井委員 そうしますと、全国的な組合になりますから、この指定する協会というのは、いわゆる協会というのは労働省としては数はどの程度になるのですか。見通しとしては中央に一本できますね。そうすると、今度は(イ)に当たる協会というのは、あなた方のいまの腹づもりとしては一億五千万円という予算の関係がありますから、どの程度おつくりになるおつもりですか。
○大島政府委員 現在のところ、大体先ほど申し上げましたような四業種につきまして四協会と考えております。
○滝井委員 わかりました。そうすると、これは全国的な組合ですから、やはり相当努力していただかないと、網羅的なほんとうの力のある協会になかなかなりかねると思うのです。ぜひひとつ努力していただいて、一億五千万の金では少ないようでありますけれども、ぜひ努力していただきたいと思います。
○五島委員 関連して。この場合の率は三分の一ぐらいに想定すると言われるけれども、この条文で見ると、常時雇用する労働者の数の三分の一ということになりますが、特に四協会を想定するにあたって、それらの災害率の多いところは、常用労働者のみならず日雇い、それから社外工、臨時工、そういうような臨時雇いとかなんとかが非常に多いんじゃないか。そういう者は一体どのように考えられるのですか。というのは、常用労働者が七〇%、八〇%で、日雇いあるいは臨時工が一〇%とか二〇%というところはまあまあというところなんですが、五〇%以上の臨時工等々をかかえておる職場、事業場、そういうところについて常用だけを基準とされるということはどうだろうか、こういうようにも考えられるのだが、その点については、その常用労働者以外の労働者についてどういうように考えられるか。しかも災害率の多いところは、そういう常用労働者じゃない日雇いとか、そういうところでなかなか訓練ができないというところに災害率が多い。それを防止するのにはどうするかというようなことが、一番眼点でなければならぬのじゃないか。建設にしても、あるいは港湾にしても、そういうようなことについてどう考えられるか、こういうことです。
○大島政府委員 ただいま五島先生御指摘の御疑問はごもっともでございますが、この四十二条二項の意味は、すなわちこういう指定業種を指定して協会をつくって、こういう災害防止活動をやっていかしめるに適当な、かつ実効のあがり得る組織であるかどうか、こういう意味合いでございます。ただ、それについては一応の基準をこしらえなくちゃいかぬから、こういうふうな書き方をしたわけなんでありまして、必ずしも常用工、臨時工を区別するという意味合いはないのでございます。ただ基準といたしまして、常時使用される労働者という意味は、常態として雇用されておる労働者で、いわゆる常用工、臨時工を区別する、こういう感じのことではございません。要は実効のあがるような団体であればいい。すなわち三分の一という数字も必ずしも固定した問題じゃなく、要するに実効があがるかどうか、こういう目的判断の問題であろうと考えます。
○五島委員 そうすると、四〇%あるいは五〇%、六〇%の日雇い、臨時工員がおった場合、そういうところの意見は、労働者の代表で意見を聞くということは、さいぜんの滝井さんの質問にあるわけですが、そういう人たちの意見はどういうように聴取されて、どういうようになるのかということの構想がありますか。
○大島政府委員 この第四十二条第二項の意味合いは、常態として雇用される労働者というものを一応の基準としてとういう計算をするという意味合いであります。 さらに労働者の意見を聞く場合は、先ほどもお答え申し上げましたように、その具体的な聞き方の手続につきましては労働省令で定めることに相なっておりますが、ただいま考えておりますのは、代表すべき労働組合がある場合は労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表するような人を呼んで聞く、こういうような構想を考えておるわけであります。そういうような労働省令の案についての骨子を早急にまとめて、また御連絡を申し上げたいと思います。
○滝井委員 だいぶ時間が過ぎましたからあと二問で終わりますが、そうしますと、中央に災害の頻発する四つの大きな業種に協会ができてくる、こういう形になりますと、安全監督行政と申しますか、最近は自治体でも外郭団体がよけいにどんどんできて、自治体の仕事をそれが全部やってしまって、自治体の仕事はだんだんやせ細っていくという形になるわけですが、役所が政治を治めずに、民みずから自分を治めるというようなことは、一番よいことではあるが、その場合の安全監督行政のあり方ですね。こういうように専門家の安全管理士を置き、衛生管理士を置き、そうして労災の金を出してどしどしと試験、検査もやるし、労働者の教育も講習もやり、情報の収集もやるというようにして、中央、地方相まって災害防止をやるという場合の安全監督行政のあり方ですね。これは一体どういうあり方に今後なっていくのか、こういう法律ができればいままでのあり方とは違った形に当然ならなければならないが、そのあり方の未来像は一体どういうことになるのですか。
○大島政府委員 ただいま御指摘のございました点は、私ども非常に重要だと考えておる問題でございます。基本的に申しまして、こういう法律ができ、またこういう団体の自主的活動が促進されるといたしましても、国が行ないます安全衛生についての監督指導の行政は、ますます強化さるべきものと考えております。したがって、先ごろ御可決いただきました本年度の予算におきましても、災害防止対策関係の予算の総額は三億八千六百万円にのぼっておりますが、この中にはこの法案の関係の一億五千万円が含まれております。したがって、それを差し引きますと二億三千六百万円になりますが、これは前年度の予算一億九千百万円に比べまして約四千万円の増加に相なっておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、この法案の施行、自主的災害防止活動の促進と相まって、国の行ないます安全衛生上の監督指導はますます強化いたし、あわせてこの団体の行ないます自主的活動との重複を避けながら、重点的に全般的なてこになるような安全衛生上り問題について、力強く行政を展開していきたいと考えております。
○滝井委員 この行政官庁との関係ですが、これは五十四条に「労働災害防止団体は、その業務を行なうにあたっては、関係行政庁と密接に連絡するものとする。」という、ただの一行しかないわけですね。何かここらあたり、この行政官庁と、それからこれは基準行政を行なう大島さんのほうと一番関係があることになるわけでしょうが、もう少し何か労働災害防止団体との関係を具体的に明白にしておく必要があるのではないかと思うのです。これは労働大臣が非常にすべての条文に、さいぜんも申しましたように、いろいろのことを労働大臣にみんな持っていかなければならぬことになって、名前は自主的な団体だけれども、どうも労働省の出先みたいなにおいがしてくるわけですね。やはり自主性はある程度ぐっと持たしていく。そして関係行政官庁との関係はこうやれということに、あまり労働大臣が表面に出ずに立法の構成をやるほうが、もっと私はよかったのではないかという感じがするのですが、全条文にわたって大事なところはほとんど全部労働大臣が出てきてしまって、何か労働省の出先機関ができていくような感じがするのです。そうでなくてさえ、どうもこういうのができるとすぐ労働省のお役人さんが天下りにいってしまうということをいわれておるのですから、痛くもない腹を探られないように、ほんとうの労働災害防止のための団体だというようにするほうがいいのではないか。そういうためには、五十四条あたりをもう少し具体的に書いて、「労働大臣は」と労働大臣がすべてのところで頭にくることをもう少し少なくしたほうがよかったのではないかという感じがするのです。これはあとの祭りで、しょうがありませんが、そういう感じがするということだけ申し添えておきます。 それから、いま一つは、第四章の労働災害の防止に関する特別規制です。これは非常に複雑な条文で、なかなかわかりにくいのです。元方事業主なんという、どうもわれわれが聞きなれないことばが出てきておるのですが、この第四章の意図するところをひとつ簡単に、わかりやすく御説明願いたい。
○大島政府委員 第四章の労働災害防止に関する特別規制の概略を申し上げますと、大体ポイントが三つございます。 第一は、たとえば建設事業等におきまして、同一場所におきまして発注者から元請がありまして、さらにその下に第一次、第二次の下請がある。それが同一の場所で工事をやっておるという場合に、従来の基準法、安全衛生規則の関係でいきますと、その下請の使っておる労働者と下請の経営者との間の労使関係、これが問題になるわけでありまして、元請人あるいは第一次の元請人と請負人、この末端の現実に働く労働者との関係は出てこないわけでございます。しかし、その間工事場が同じでありますから、したがって、いろいろな観点で安全上の統一的な管理が必要である。こういう観点から、その元請の経営者に基準法上の責任はないけれども、今度の法律によりまして、その作業場内における統一的な安全管理の体制の整備を義務づけたわけであります。これが第一点であります。 それから第二点は、発注者でありますとか、あるいは元請人が施設をこしらえます。たとえば建築工事場におきまして元請人が足場をこしらえる、あるいはクレーンを下請の者に使わしめる、こういった場合、基準法の関係からいたしますと、その元請人にはその安全保持の責任は出てこないわけなんです。その元請人が直接労働者を使っておる場合には安全保持の責任が出るわけでございますが、下請に負わして下請の労働者を使っておる場合には出てこない。これにつきまして、やはり同じ作業場内におきまして、現実の問題としてその施設の責任者がこれについて責任を負ってもらう、これが第二点であります。 それから第三点は、これはちょっと角度が違うわけでありますが、災害防止上緊急の必要があります場合、経営者に対しましてその作業の停止その他必要な命令を出すことができるということであります。これは従来の基準法の規定でもそういう類似の規定がございますが、これは基準法ないし安全衛生規則に定めがあって、それに違反して急迫の必要がある場合、こういうふうに相なっております。そういった定めのない場合のことを考えますと、やはり緊急の必要な場合は、こういう中止命令その他必要な命令ということは必要になるのであります。この点を新しく定めましたのが第三点であります。 この三つのポイントが第四章の特別規制の骨子でございます。
○滝井委員 そうしますと、その場合に、一体協会はどういう役割りを演ずることになるのですか。やはり自主的に労働災害を防止しようということで補助金も出して動いてもらうわけですが、そこには専門のこの衛生及び安全の管理士がおる。こういうことになると、先に権力の基準局長等が出ていってそういうことをやれということの監督をする前に、やはり自主的な安全衛生の運動をやろうとする協会が、元方事業主ですか、そういうところに、法律上基準法ではできないにしても、言うことがほんとうなんです。それを労働省令で定めてこうやれと基準局が出ていくのではなくて、その協会との関係ですね。これはここにはどうもうたわれていない。ここにくると、協会というのが出てこないのです。こういうところにこそ、やはり協会が出ていかなければならぬ。これが今後の安全監督行政と自主的な安全活動との関係をうまくする道だと思う。まず協会が先に出ていって、そういう労働災害防止に関する特別規制というものを監督官庁から受ける前に、協会みずからが指導してやらせる体制が必要だと思います。それがどうも条文において欠けておるような気がするが、その関係はどうなりますか。
○大島政府委員 ただいま御指摘の点はもちろんそのとおりでございまして、たとえば建設業が指定業種になりまして、建設業のこういう協会ができてきます場合には、先ほど私が申し上げましたような観点におきましても、十分の協力と指導と援助をやっていくべきものだと考えます。ただ、いま申し上げましたような第一点と第二点、特に最近市街地におきます高層建築物の現場におきます災害というものは、非常に災害率が高うございます。この点についての具体的な措置が早急かつ喫緊の要務でございますので、これは災害防止団体の活動にまちますとともに、さらに直接法律の不備と申しますか、今まで足りなかった点を補充するという意味合いにおいて、この第四章の特別規制を加えたわけでございます。
○滝井委員 監督官庁が出る前に、できるだけ、そういう協会ができたら積極的に動かしてもらいたいと思います。 これで終わりますが、第五十六条の「建設業その他労働省令で定める事業の事業主」という、その他労働省令で定めるものは、この場合どういうものですか。
○大島政府委員 現在のところ、建設業のほかに、たとえば造船業等が一応考えられると思いますが、さらにこの法案が通過になりますまで具体的な業種について検討をいたしていきたいと思います。
○滝井委員 大体大ざっぱな私の質問は終わりました。 新しい構想でできる団体でございますから、りっぱに法律の目的が達成できますよう、またその予算の使用が最大の効率をあげられるようにぜひ運営していただきたいことを要望して、私の質問を終わります。
○秋田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明八日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後一時四十二分散会