社会労働委員会 第23号
- 発言数
- 147 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/03/26
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 この際、お諮りいたします。 理事藤本捨助君より理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、同君の理事辞任を許可することに決しました。 つきましては、理事に一名欠員を生じましたので、その補欠選任を行ないたいと存じますが、補欠選任につきましては、委員長より指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、井村重雄君を理事に指名いたします。 ————◇—————
○秋田委員長 内閣提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案及び大原亨君外十六名提出、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案の三案を一括議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。大原亨君。
○大原委員 この国会で同僚委員から厚生大臣に対しましても、あるいは予算委員会等におきましても、社会保障全体の長期計画についていろいろ議論がありました。池田内閣の所得倍増計画というのは、大体月給二倍論から出てきたわけですけれども、しかしいろいろと国会の論議の中におきまして、自由経済を建前としておるのだから、月給二倍論とか所得倍増計画といっても、毎年々々計画的にどうやるのだということを具体的に政策の裏づけでやるのではなしに、全体として所得を上げていくのだ、こういうばく然たる説明が池田総理大臣からあったわけです。しかしながら、社会保障の問題につきましては、本委員会でしばしば議論がありましたように、昭和三十六年には五・三%物価が上がっておる、昭和三十七年は六・八%上がっておる、こういうふうに物価が上がっているわけですけれども、それにつれて所得倍増の、言うなれば毎年実質的に七・二%上がれば十年間で倍になるわけですけれども、そういうことから言うと、実質的な所得倍増というものは、物価値上がりによりまして食われてしまっておる。こういうことで、ともかく若い労働者等の初任給は若干上がっておりますが、しかし求職難と中高年令層の就職難が共存しておる、こういうふうな矛盾した面がたくさん出ておって、依然として階層間の格差の問題が問題になっておるわけでありますが、私はきょうはこの三つの法案に関係をいたしまして、いろいろと社会保障やあるいは戦争犠牲者の問題等について議論をいたしたいと思うのでありますが、ともかくも長期的な社会保障制度の確立についての計画が必要である。こういうことについて、わが党の同僚委員からしばしば大臣に対して質問があったわけであります。で、私はこの問題につきまして、あらためて厚生省の社会保障に対する、長期的な計画についての心構え、こういうものにつきまして最初にお伺いいたしたい。
○西村国務大臣 所得倍増計画に対する社会保障の長期計画というものにつきましては、所得倍増計画の通りに一応厚生省としてはやった次第でございます。しこうして、それもだんだん社会情勢の変化に伴いますものもありますので、やはり一部修正をしていくというようなものもあるわけでございます。しかし、それかと言いまして、たとえば先般も、屎尿処理等の清掃事業に対しましても五カ年計画をつくりましたが、そういうふうに必要なものにつきましては、この十年長期計画をさらに短年度にまとめて計画をつくるものもあるわけでございます。しかしそれも、予算上何年はどうする、何年は幾ら計上するというような、現在の予算は単年度制度でございますので、その年度々々の予算をきめるということではなしに、ある事業量の目標をきめていくということで三十六年の長期計画を厚生省としては立てましたが、そのうちの必要な部分については調整をしていっておる。必要なものについては五カ年計画でこれを改正して、なおその五カ年計画が終ればさらに後期の五カ年計画、こういうような考え方をしていくのが時代の変化に応ずるゆえんではなかろうか、かように考えた構想のもとに五カ年計画をつくっておるものもあるのは、大原先生も御承知の通りであります。いずれにいたしましても、しっかりした目標は持ちたい、かように考えておる次第でございます。
○大原委員 社会保障の問題は、今大臣の御答弁がございましたけれども、これは経済全体がよくなれば自然に社会保障制度も上がっていくのだ、こういうふうなものではないわけです。従って、社会保障の問題につきましては、これは意識的に、目的的に、今お話しがありましたようにきちっとした計画を立てないと、社会保障制度の前進というものはないわけです。社会保障制度のにおいがする、それらしいと、こういうようなことでちょっぴりちょっぴり政策をこま切れにいたしましてやるというふうな方法も、もちろんあるでしょう。しかし、これは基本的な意味における社会保障制度の確立のためには、必ずしも全部が全部プラスになる方向ではないわけです。従って、今大臣から、十年の所得倍増計画に見合う長期的な計画については考えるけれども、さしあたり五年ぐらいに区切って社会保障制度の確立について目標を定めてやりたい、こういう所見の表明があったわけであります。私から申し上げるまでもなく、社会保障の中には医療保障の問題がございまして、これも非常にたくさん問題がございますけれども、一応国民皆保険ということで一つの目標を達成して、これを樹立させるというふうな段階に来ておると思います。もう一つの柱であるところの所得保障の問題につきましては、これは遺憾ながら、大臣は抽象的に五カ年計画というようなことを言われましたけれども、この点が欠けておるのが、私は日本の社会保障制度における展望の上において一番の欠陥であると思う。たとえばフランスでもイギリスでも、あるいはイタリアその他でも、EECの諸国にいたしましても、ヨーロッパ並みとかあるいはヨーロッパ以上の大国というふうなことが言われ、世界一の経済成長が言われるわけですけれども、とにかく第二次大戦後飛躍的に、所得保障の面について非常に大きな努力をいたしておるわけです。従って私は、きょうはそういう所得保障の面に限って、医療保障の面はあらためて国民健康保険等の議論の際にやるといたしまして、所得保障の面について一つ集中いたしまして質問をいたしたいと存じますが、所得保障の面におけるそういう五カ年計画、大臣がおっしゃいましたその五カ年計画についての大体のお考え、目標、こういうものにつきまして、もう少し突っ込んで具体的に御答弁をいただきたいと思います。
○西村国務大臣 所得保障の中で厚生年金につきましては、これは給付内容が悪いということは前からの問題でありますし、また国民年金にいたしましてもそうで、給付内容が悪いから改善ということになっております。しかし現在のところ、これを五カ年間でどういうふうに毎年々々上げていくかというようなことよりも、厚生年金については来年は再検討、再計算の時期、これは法律的にそうなっておるので、ぜひこれが改善をいたしたいと思っておるのであります。また国民年金にいたしましても、これは四十一年ですか、改正の時期になっておる。そういう時期に来て、これはやはり給付改善をやっていく、練り直すということで、毎年々々、物価が上がるからそれに見合ってこれを直していくというようなことは、これはなかなかいとまもないことであろうと思われるわけであります。従いまして、ものによりましては、たとえば医療保障の問題は別だと申しましたが、医療保障の問題につきましても、国保等はある年度計画をもって給付の改善をやりたいと考えておりますが、ものによっては五カ年に区切ってやれるものもあるし、ものによってはやれないものもある。厚生年金はやはり五カ年ごとで再計算の時期が来ますから、しこうして厚生年金は来年はぜひ給付改善をやりたい。しこうして後に、国民年金も、そういうふうにその時期が来れば給付の改善をやりたい、かように現在は考えておる次第でございます。
○大原委員 国民年金と厚生年金と、それからいわゆる公務員や公共企業体等の共済年金が大体の所得保障の柱でありますけれども、厚生年金につきましては、たとえば企業年金という問題が出ておりまして、比例報酬分については企業年金で各会社でやらせることができるような方法を政府は考えておるようでありますが、たとえば国民健康保険や一般の健康保険につきましては、最近の新聞で非常ににぎやかになりましたが、生命保険会社が健康保険をやるというようなこともあります。わが党といたしましては、これはきわめて重大な問題であると見ているのであって、そういうことをやりましたら、医療保障というものが非常にいびつにひずんだ形になってきて、そしてそういう方面にタッチした会社や資本の力が政治を動かして、厚生年金やいわゆる各種の健康保険につきましての改善を妨げるというふうな事態が、自由企業でありますから、当然圧力となって現われてくると思うのでありますが、きょうは、私は大臣に対しまして所得保障やそういう面に立ち入って時間をかけて質問をする時間はありませんけれども、企業年金あるいは生命保険会社の健康保険、そういう問題に対しまして、厚生大臣としてはどういうお考えで閣議やあるいは政府の方針の決定に臨まれるか、大臣から厚生年金のことについて御答弁がありましたので、この機会に一つはっきりと社会保障を確立する、こういう意味におきまして御見解を明らかにしていただきたい。
○西村国務大臣 医療保険にいたしましても、年金保険にいたしましても、いずれにいたしましても、今までやはり段階を経てずっとやって、ようやく皆保険の段階になったのであります。ところが、皆保険になった今日考えてみますると、やはり各保険にでこぼこが非常にある。従って、それを何とか調整しなければいけないのじゃないかということが、世の中の一般の世論ではなかろうかと思います。従いまして、昨年の七月の社会保障制度審議会におきましても、皆保険ではあるがそれを調整すべき段階ではないか、こういうふうなことも言われておりますし、私もまたそうではなかろうかと思っております。従いまして、現在ばらばらになっておる保険制度をできるだけ統一したい。しかしこの統一、調整の仕方は、保険そのものを合併するとか、一本にやる方がいいか、あるいは資金の面でもって調整する方がいいかということは、これからの研究問題であろうと思うのであります。 厚生年金を来年ぜひともやりたい。これはやりたいと思っておりますが、今御指摘がありました企業年金との関係をどうするのか、これは厚生年金の改正で一番頭の痛い問題でございます。従いまして、私は、ここに結論をもってこうこうすべきだということは申し上げられませんが、いずれにいたしましても、現在企業年金の行なわれておる会社が相当数ありますから、これを厚生年金の改正のときにうまく取り入れていきたい。しこうして、今言いましたように定額部分はそのままとして、その報酬比例分に対してこれをいかにあんばいよく取り入れていくかということが、厚生年金の改正の主眼点ではなかろうかと思っておるわけでございます。私の方で成案ができましたら、社会保険審議会等にもお諮りをいたしまして、もちろんこれは国会の審議を経ることにもなろうかと思いますが、企業年金をどういうふうに厚生年金に取り入れていくかということが、一つの眼目の重要な点になるのでございます。 もう一つ、生命保険会社がいろいろな保険に今後いろいろ問題を提起しようということを、新聞でいろいろ私も拝見いたします。いたしますが、いずれも、今保険会社でやったらどうだというおぼろげながらの考え方でございまして、成案を得て厚生省に交渉しておるものはあまりないのでございます。私は、このやり方につきまして、どういうふうな考えをしておるかということを聞かなければ、はっきりしたことは言えませんが、少なくとも調整の時期でございますから、ばらばらに皆保険の姿をしたくない、こういう意思だけは持っておるのでございます。
○大原委員 これは国民健康保険の審議のときに十分審議をいたしたいと思うのですけれども、まだ固まっていないときに、どういう方針をとるかということを明確にすることが大切なのであります。生命保険会社が健康保険に手を出しまして、国民健康保険あるいは一般健康保険の家族給付のたとえば半額分を負担するとか、あるいは非常にデラックスな高級な病院における差額徴収分を負担するとか、そういうふうにどんどん手を出して参りますると、国民健康保険あるいは政府管掌保険、組合保険等が、一般的にこれをよくしていこうという努力に対しまして逆のブレーキをかける結果になりまして、医療保障の前進のためにはきわめて重大な分かれ道になると思うのであります。企業年金の問題につきましても、そういう基本的な考えを私たちは持っておって、これを簡単に調整年金と称して厚生年金の中に組み入れることについては絶対に反対でありますけれども、とにかくそういう生命保険会社が健康保険に手を出して、そうして自己負担分を負担していくというようなことを実際に政府が認めるというような企業運営の承認をいたしますと、そういう面におきましては将来きわめて大きな問題が起きる。その点については、厚生大臣としては明確な方針を持って臨んでもらいたい。大蔵大臣やその他が、企業との間において税法上、その他生命保険会社の運営について監督権を持っておりますので、一方的にその方へ進んで参りまするとこれは大問題である。医療保障を前進させない。今回の国民健康保険で、いわゆる世帯主につきましては一応七割のめどが立ったのであります。これは当然、家族につきましてもそういう問題を持っているわけでありますが、そういうときにおきましては非常に大きな障害になってくる。従って、特に生命保険会社が国民健康保険の問題を取り上げる、一般健康保険の問題を取り上げる、これにつきましては厚生大臣としては明確な方針を示すべきである、私はそう思いますけれども、いかがですか。
○西村国務大臣 さいぜんも申しましたように、ただああいうふうな概念が新聞に出ているだけでございまして、真相は私はわかりませんが、少なくともやはりばらばらなことをやられては困りますので、私といたしましては、相当慎重に事をはかりたいと思っております。 企業年金にいたしましても、これはやはり現在の企業年金の発達からいきまして、それは企業内の問題であるという考え方も十分わかるのであります。しかし、一方において現実に行なわれているということもわかりまするから、ここで私が、企業年金は考えるとか全然考えぬとか言うことはまだ早い時期でありまして、いずれにいたしましても、これは慎重に扱わなければならぬと思っている次第でございます。いずれにいたしましても調整の時期で非常なすっきりした年金制度をやりたい、かように考えているのでございまして、御質問の趣旨は、気持も十分わかりますから、十分尊重いたしまして今後に善処していきたい、かように思っておる次第でございます。
○大原委員 きょうはこれが本論ではございませんけれども、もう二、三の点につきまして質問いたしておきたいのですが、厚生年金の来年度の抜本的な改正にあたりまして、中小企業や零細企業等、きわめて経済力が貧困で労働者の賃金の安いところにおきましても、そういう人々に対しまして厚生年金は社会保険といたしまして、五名以上につきましては強制適用になっているわけです。しかし、その問題でこまかい質問をいたしませんが、少なくとも六十才以降の老後の所得保障、これは所得保障の一つの基準ですが、いわゆる養老年金の部分、六十才以上の所得保障の面につきまして、月に大体少なくともこれを下らない、こういう目安が絶対に必要であると私は思うのです。そういう基準が必要であると思うのです。どういう目安を持ってやるかということが、一つの社会保障制度の水準をきめていくことになると思います。そういう点では非常に大きな基準になる問題でありますが、小さな点は先般も本委員会で質問いたしましたけれども、ここではそういう大まかな点について、厚生年金の改正についての一つ腹がまえ、六十才以上の、一応企業で一番働き盛りのときに働いて、老後の所得保障が問題となる六十才——定年制の問題とも関連いたしますけれども、そういうときに、大体最低どのくらいは所得保障をするのだ、こういう点について私はお考えがなければならぬと思いますが、その点について具体的なお考えを一つお聞かせ願いたい。端的に言いますと、今まで通り生活保護を一歩も出ない程度に所得保障をするのかどうか、こういう点について、私は端的に一つ御質問いたしたいと思います。
○西村国務大臣 厚生年金の所得保障ですが、定額部分につきましては、おそらく端的に申しますれば、相当に手直しが行なわれる。しこうして、報酬部分についても同じく相当手直しが行なわれる、私はかように考えております。しこうして現在の定額部分である二千円は、これはどの程度上げるか。今御指摘のように、二千円のきめ方というのが生活保護との関連を持っておる数字でございますが、それと見合いましても、相当上げなければならぬのであります。社会保障制度審議会の答申は、これは三倍にすべきだ、二千円を六千円にすべきだという答申があります。一応のこれは答申でございますが、定額部分を幾らにするかということは現在のところきめていませんが、これも相当に上げなければならぬ。しこうしてまた、報酬部分につきましては、現在標準報酬というものが、これはこれでいいか悪いか、あるいはこれは現在の方法でいっても相当に引き上げが行なわれなければならぬだろうと思います。しかし、それは技術上の問題でございまして、報酬月額を手直しするか、あるいはまた比率を手直しするかということでございますが、いずれにいたしましても、これも報酬部分も手直しされなければならぬと思っております。今定額と報酬とをプラスした金額を一体幾らにするのだ、こう言われても、これはなかなかこれからの調査研究、審議するところでございまして、数字も持っておりませんし、また言うべき段階でもなかろうと思いますが、いずれにいたしましても定額部分と報酬部分は、両者につきまして相当に手直しされるということだけははっきり申し上げられる次第でございます。
○大原委員 これは機会を改めまして、各項目について十分議論いたしたいと思うのですけれども、もう一つは国民年金の問題です。国民年金の問題は、三十五才までは百円、三十五才以上は百五十円納めて、四十年間かけて、五年間据え置いて三千五百円、こういうことなんですが、これは所得倍増計画と見合った社会保障の計画の中におきましては全然具体化しない。従って、当面の問題は福祉年金であります。そういう福祉年金におきまして、養老年金、母子年金あるいは身体障害者年金、そういう中において養老年金が一つの基準として考えられるので、養老年金の場合を言いますと、本年の改正で初めて百円ほど上がるわけんです。月に千百円ということになる。これはやはり、国民の自営業者のほとんど全部が適用される所得保障といたしましては非常に貧困であって、結局物価がどんどん上がっておるけれども、千円という福祉年金は、実質的には千円という貨幣の価値は下がっておる。物価が上がりまして、実質上所得保障は後退しておる、こういうことであります。間違いのないことです。そういうことなんかにいたしましても、その問題を含めて、スライド制だけというような消極的な問題でなしに、積極的に五カ年計画があるということであるならば、五カ年間にはどれだけ上がるのだというような、一つの国民生活の安定という面において、底上げという面において、はっきりと厚生省が政府全体の方針を立てる際における心がまえを確立しないと、母子福祉の問題にいたしましても、身体障害者の問題にいたしましても、社会保障全般が依然として問題を残していくということになるのであります。従って、そういう所得保障面における養老年金について五カ年間で一体どうするのか、たった百円ぐらい上げたのじゃ、これは創設当初の千円が実質的に下がっておる。そういうようなものは、結局企業年金でもそうですが、掛金でも現在の貨幣価値で積み立てて、そして財政投融資等で政府が使う場合、資本家が使う場合は、その当時の価値で使っておいて、実際には掛金をかけました人に対しましては、実質的にこれは犠牲をしいることになる。こういうふうに私は思うのでありますけれども、そういう国民年金の所得保障の中の養老年金についての計画について、政府ははっきり方針を示すべきである。その点につきましての厚生大臣の御答弁をいただきたい。
○西村国務大臣 養老、身障、母子年金は、これはあくまでも国民年金の補完的な役割をいたしておるわけでございますが、大原先生のおっしゃるのは、養老年金は、物価が高騰の割合に上がり方がたった百円で少ないのじゃないか、こういうことでございます。端的に申し上げまして、私もこれはそう思います。思いますが、大体三十四年この制度発足以来、今回初めて上げたのでございます。実はざっくばらんに申し上げまして、もっと上げればよかったのでございますが、いろいろな都合で百円の値上がりになったのでございます。一方、身障あるいは母子年金は三割上げました。非常に差ができたのでございますが、何と申しましても老齢、身障、母子、このいわゆる低所得の方々を考えた場合に、身体障害者あるいは母子の方々の方が、これはやはり何と申しても苦しいだろうということでその差がついたのであります。しこうして、昭和三十四年から今日まで物価の値上がりは、これは全国的に言いますれば別でございますが、農村と都会とではやはり相当に開きがございます。農村ですと、おそらく一一五%ぐらいじゃなかろうかと思っておりますが、それでは物価高騰にも追っつかぬ程度ではございますけれども、一割の値上げになったわけでございます。従いまして、十分とは申しません、不十分ではございましたが、千円のところを百円上げたのであります。しかし、身障、母子世帯につきましては三割上げたのであります。制度発足以来初めて上げたのでございます。しこうして、物価に見合うように毎年々々計画的に上げられるかどうかと申しますと、私はどうも確約はできないのでございまして、これは来年物価が五%、上がったら、それに見合うように五%上げるというような年度計画はできないのでございまして、やはり物価の上昇、国民生活の向上等と見合いつつ、一つ改善をしていくよりほかに手はないのじゃないか、かように思っております。要するに、今回の老齢年金につきましては、十分とは思わないが、農村等の物価の上昇にやや見合った——それに追っついてもおりませんけれども、やや見合ったというようなことでがまんをしていただくことになった次第でございます。はなはだどうも残念でございますが、御了承を賜わりたい、かように思います。
○大原委員 物価が上がっただけを確実に福祉年金で引き上げてスライドしていくということもはっきり保証できない、こう言われるのですけれども、物価を上げただけ上げたのではしょうがないのであって、所得倍増計画は実質所得をそういうふうに上げていくことなんですから、底を上げなければ実際上生活が苦しくなるのですから、つまり物価を上げただけ上げたのでは元も子もない。問題にならぬ。物価が上がっただけ年金の額を上げなければ、これは実質的に下がったことになる。そのことははっきりいたしておるのですから、そういう消極的なことだけでなしに、積極的に一番底になっておるところの国民年金の所得保障、養老年金はもちろんですが、今の母子年金にいたしましても身体障害者年金でも、三割というのは千円の三割なんですから、これは全然問題にならぬと思うのです。もう少し長期的な計画で——五カ年計画と言われたけれども、そういう底を少なくともどれだけ上げるんだというはっきりした方針、金額を示せなかったらその考え方、そういうものについて厚生大臣がはっきりした見解を持たれないと、あっちから要求されてちょっぴり社会保障に類する面をやっていく、そういう圧力に屈して全体の社会保障が前向きで前進をしない。結局大蔵省は、それを口実にいたしまして国民年金はこの程度でがまんしておけ、こういうことになるのであります。従って、長期計画を厚生大臣が立て、政府の方針として最底辺をどれだけ上げていくんだということについて、確固たるそういう考え方を持ってやらないと、池田内閣が社会保障を三本柱の一つにしておるけれども、これは言うだけであって、実質的には欧州諸国に比べて全然前進をしていない。欧州諸国では、少なくとも所得保障といえば、幾ら何でも一万円を下るところはないでしょう。一万五千円以上でしょう。だから私はそういう点から考えてみて、一ぺんにはいかないけれども、五カ年計画なら五カ年計画でどういうふうにやるんだ、こういう金額なりあるいは方針について、明確な、確固とした譲れない厚生大臣の見解を、もう厚生大臣もだいぶお勤めになりましたから、しっかりした考えを持って内外に臨まれるということは当然であると思う。その点について、もうちょっと具体的な御答弁を賜わりたい。
○西村国務大臣 これは大原先生も御承知のように、現在老齢年金、それから母子及び障害年金は、所得保障、それで生活ができるという制度でないのでございまして、これはあくまでも拠出年金、今の国民年金の補完的な制度でございます。生活保障で老齢年金をやっておる、老齢者は千円で生活ができるというものではない、あくまでも補完的な制度でございます。しこうしてこれをむやみに引き上げるということになりますと、国民年金の給付の改善をやらなくてこれのみ引き上げますと、やはり拠出制と無拠出制との関係が起ころうと思うのであります。従いまして、引き上げるにいたしましても、福祉年金にはやはり限度があるのじゃなかろうか、私はかように考えておるのでございます。私の考えは間違っておらないと思いますが、福祉年金というものはあくまでも生活保障じゃない、国民年金の補完的な役割をしておる毛のじゃなかろうか、かように私は思っております。しこうしてバランスを考えつつ引き上げをする、これのみ独走するわけにはいきません。国民年金の給付の改善とのバランスを考えつついかなければならぬ、かように考えております。
○大原委員 今の点は政府委員から答弁になってもいいのですけれども、国民年金という方は、掛金の半額は国で出しておる。そういたしますと、これは税金で出しておることになるわけです。その残りの方は、掛金で出しておることになる。しかし、この出し方についていろいろ議論があるわけです、一つの税金ですから……。だから国民年金自体をよくしていくということについても、実質的には積立金を税金と掛金でやっていくわけですが、その積立金が四十年後、四十五年後になった場合は、実際上貨幣価値がゼロになっている。そうすると、その制度というものは逆に国民を苦しめている。保障になっていない。こんなに物価がどんどん上がって、経済成長に見合うた金額を保障されなければならぬという面において、きわめて手が抜かっておる。国民年金給付についても上げなければいけない。補完的なものであっても、それに達する当面の問題の社会保障の一環として福祉年金があるわけです。これは税金でやることになっている。これは社会保障でないというふうなことを厚生大臣は言われるけれども、社会保障制度についてどういうようにお考えになっているのですか。社会保障とは何ですか。
○西村国務大臣 社会保障でないと言ったのではない。生活保障、所得保障でない、こういう意味でございます。なお今言いました点につきまして、質問の要点がはずれると議論があれになりますが、私の言わんとするところは、福祉年金というものはやはり国民年金の補完的な役割をしておるんだ、こういうことでございます。従いまして、国民年金の給付の内容に見合いつつ上げていかなければならない、こういうことを申し上げたのですが、なお政府委員からはっきり答弁させれば、もっと問題がわかると思いますから……。
○滝井委員 関連。戦没者等の妻に対する特別納付金支給法について先日私が御質問申し上げた点で、政府側が答弁を留保しておる問題があるわけです。これを一つ明確にしていただきたいと思うのです。 そのまず第一は、特別給付金の事務処理費五千六百六十八万七千円のうち、本省の事務費が五百七十三万七千円、それから事務委託費として五千九十五万円あるわけです。この本省の事務費は、本省ですからわかりますが、五千九十五万円は市町村の事務費だ、こういうことになったわけです。そうしますと、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の中において、郵政大臣が償還金の支払いの事務を取り扱うわけですが、この郵政省関係の事務費は一体どうなのか、この点に対する御答弁がなかったわけです。これは郵政省、大蔵省、厚生省三者で打ち合わせなければなりませんのでしばらく待ってくれ、こういうことでございましたが、この点はどういうようになったか、まず御答弁願いたい。
○稲村説明員 ただいまの御質問でございますが、郵政省の事務取り扱い経費は、国債整理基金特別会計の方から出るわけであります。国債整理基金特別会計といたしましては、一般会計の国債費からこの事務取り扱い費の繰り入れを受けまして、そして国際整理基金特別会計から支出いたします。この未亡人の関係に関しましては、三十八年度予算におきまして、元金償還手数料として二千四百万円が計上されてございます。この元金償還手数料のうちで郵政省関係にどれくらい行くかということでございますが、大体従来の実績、遺族国債、引揚者国債等の実績にかんがみまして、約九五%くらいが郵政省の取り扱いになるだろうという算定をいたしまして、そのうちの二千二百万円くらいは郵政省に行くのではないかと考えております。それで郵政事業特別会計といたしましてこの二千二百万円を歳入に受けまして、そしてそれを郵政省として事務取り扱い費として支出するという格好で予算上の措置をいたしてございます。
○滝井委員 そうしますと、国債の償還金の支払いに関する事務のお金は国債整理基金特別会計から郵政省の特別会計に入れてやる、こういうことになるわけですね。そうしますと、この金は主として大蔵省所管で処理されるわけですね。そもそも、もとが出てくるところの会計というのは、大蔵大臣所管の国債整理基金特別会計から出ていくわけです。そうしますと、どうして市町村関係の事務もそこでやらないのですか。郵政省だけの事務費は国債整理基金から出すけれども、その他のものは一般会計から出すというのは、ちょっとおかしいと思うのですが。たとえば、福祉年金の関係は全部郵政省が取り扱ってくれるんだが、それは厚生省一般会計から出しているでしょう。私が先週お尋ねしたときには何もはっきりしなかったのだけれども、さようになったら郵便局の事務だけは国債整理基金特別会計から出すというのは、どうもおかしいと思う。じゃ、今までの引揚者の国庫債券、遺族国庫債券の事務費も全部そういう形になっておりますか。
○稲村説明員 先日お答えいたしました点は、たしかこういうふうに申し上げたと思います。この経費は国債の元金支払い手数料でございますから、従いまして、日銀を通じて支出されるんだというふうに御答弁申し上げたと存じます。要するに、日銀を通じますが、遺族とか引揚者及び今度の未亡人特別国庫債券につきましては、法律で日銀以外に郵政大臣がその事務の一部を取り扱うことができるということになっておりまして、これは実際上、その元金の支払いが非常に広くまたがりますために、郵便局の窓口で支払われるという場合が非常に多いわけであります。このやり方は、前の遺族国債、引揚者国債のときも同様でございましたので、同じやり方で今回もやりたいということでございます。で、経費といたしましては、国債関係の事務取り扱い経費でございますから、これは従来とも市町村を通ずることはなく、国債整理基金特別会計から支出されております。従来通りのやり方でございます。
○滝井委員 そうしますと、遺族国庫債券も引揚者の国庫債券も、全部事務的な経費は国債整理基金特別会計からやっている、こういうことですか。
○稲村説明員 国債の、何と申しますか、遺族や何かの場合には利払いがございますが、そういう元利払い等の手数料は、すべて同じやり方でやっております。
○滝井委員 事務費は全部郵政省の窓口を通じてやっておるわけですか。今度の戦没者の妻に対する特別給付金支給の事務費二千二百万円を、郵政省の特別会計に出すように出しておりますかということを聞いておるのです。
○船後説明員 予算の立て方の問題でございますので、私から御答弁いたします。 御承知の通り、今回のこの遺族給付金の事務は二つに分かれるわけでございます。前段階に、まず給付金の受給者の権利を裁定するということがあります。これを裁定いたしますとそこで国債が交付になりまして、その上で国債の支払いになるわけであります。厚生省所管におきましては、給付金の受給権の裁定という事務があります。この事務は市町村の窓口を通じて行ないますので、先ほど先生仰せの通り、五千六百万円の経費というのが、そういう調査とか裁定とかいった経費として厚生省の所管に組まれております。次に国債が交付されまして、これが償還されますと特別会計の仕事になります。従いまして、それに関する事務費は国債の方の特別会計に計上される。ただし、その財源は一般会計から繰り入れる、その金が二千四百万円でございます。これを国債整理基金の特別会計が一般会計から受け入れまして、さらに郵政特会から二千二百万円を繰り入れる、こういうことになるわけでございます。
○滝井委員 それはわかりましたから、そうすると、遺族の国庫債券や引揚者の国庫債券も、同様にそうしておりますかということを尋ねておるわけです。
○船後説明員 従前から交付公債はすべてそういう扱いになっております。
○滝井委員 そうしますと、今度は郵政大臣が、十一条の二項でその事務の一部をさらにだれかに委託することができるわけですが、この委託できる者はどういう者ですか。そしてその事務費は、郵政省の特別会計からその者に渡すことになるわけですね。国債整理基金特別会計、郵政省の特別会計、それから今度は十一条二項で政令で指定する者に行くのですが、これは一体どういう者を意味するのですか。
○山本(淺)政府委員 地方の郵政官署で、郵政大臣がその権限をさらに委任するということでございます。
○滝井委員 そうすると、「その事務の一部を政令で定める者」というのは、地方の郵便局という意味ですか。
○山本(淺)政府委員 さようでございます。
○滝井委員 それは郵政大臣ではないのですか。郵政大臣が自分の郵便局に事務の一部を委託するのに、その事務の一部を政令で定める者でやるなんといったら、全国の郵便局の名前を書かなければならぬことになるでしょう。常識で考えても、そんなばかなことはないですよ。
○山本(淺)政府委員 ちょっと私、条文を見間違っておりましたが、沖繩の郵政官署でございます。
○滝井委員 私、おそらくそういうことじゃないかと思っていた。従って、今度郵政大臣はその者に資金を出さなければならぬことになるわけですね。それが三項になる。これがおそらく沖繩の郵便官署にやるということになるわけですね。 次は、生活保護法との併給の問題です。これはきょうまでに明確な方針を出していただくお約束でございましたが、大蔵大臣としてはこの未亡人の特別給付金と生活保護とは併給をいたします、収入の認定をいたさないということでやるように努力をしたいという答弁をしておるわけです。そこで、もし収入の認定をするというならば、今年度の生活保護費の中から一億程度は削減をしなければならないわけです、認定をしないというならば原案通り通します、予算委員会でこういうせとぎわになってきて、それは以心伝心で私の気持はわかってくれ、こういうことで私は以心伝心で併給をするものと理解したわけです。これはきょうまでに主管省としての厚生省の方針を出していただくというお約束でございますから、きょうその答弁を一つ明確にしておいていただきたい。
○西村国務大臣 今回の戦没者の妻に対する交付金と生活保護の収入との関係はどうかという問題は、いろいろ関係個所とも交渉いたしました。私たち寄り寄り考えました結果、生活保護の決定にあたっては、今までは、一切の収入につきましてはいわゆる収入認定を行なうことが原則になっておったのでございます。しかしながら、今回のこの給付金は、戦没者の妻の方々が、社会の非常に特殊な事情のもとに置かれておったというその精神的な労苦に対しまして、国として特別な慰謝をしようというものでございますから、これは他のものと区別いたしまして、この交付金に対しましては収入認定をしないという方針でございます。しこうして、中でも生活保護者の方々が自分の希望で国債を買い取ってもらいたいという場合につきましては、ただいま大蔵省とも折衝して、そういう場合は生活保護者の方であるから買い取るように交渉はいたしておりますが、その場合に、その金が自分もしくは子供の更生のために使われるとか、あるいは戦没者の慰霊のために使われるというようなものにつきましては収入認定をしない、かように考えておる次第でございます。
○滝井委員 それで明確になりました。そうしますと、認定をしないことが原則、それから同時に、生活保護者がこの国債を国に買い取ってもらう場合には、先週に御質問申しましたように、政令でその場合を定めておるのは四条の四項であるわけですから、それ以外には生活保護法の問題が出てきたわけです。この慰霊その他のために国債を特に生活保護者が買ってもらうという場合についても、これは認定をしない、こういうことですね。今の答弁はそういうことでございましたが、それで間違いないですね。
○西村国務大臣 国債を買い取ってもらう場合に、その収入が自立更生のためである、また戦没者の慰霊に相当するようなことを行なうという場合には、これは認定をしない、こういうことでございます。その裏はその他の場合があるわけでございますから、その目的が自立更生、戦没者の慰霊のために行なう場合は認定をしない、こういうことでございます。
○滝井委員 従ってさらにその裏は、毎年もらう、第一年度一万円、二年度以下ずっと二万円、これは認定をしない、こういうことになるわけですね。
○西村国務大臣 さようでございます。
○滝井委員 わかりました。
○大原委員 それでは前の質問に引き続きまして、厚生大臣に社会保障の問題につきまして、これは簡単に締めくくるわけですが、医療保障と所得保障の二つがあるわけです。所得保障の問題について、厚生年金と国民年金と公務員等の共済年金があるわけです。厚生年金については来年において抜本的に改正したい、こういうことです。国民年金の当面の問題、ここ二、三十年の問題は福祉年金の問題です。もちろんこれは、政府の制度の中においては補完的なものではあるのですけれども、しかし国民年金の中において、二、三十年も掛金をかけてしまって、完全にもらうのは四十年かけて五年据え置いてですけれども、それまで所得保障について、国民年金の福祉年金の部分について改善をしないというようなことは、世界のどこの国だって、こんな貧困なところはありはしません。そういうことで考えてみますと、ようやくにいたしまして百円ほど上がったわけですけれども、実際には、物価の上昇に比べまして実質的に下がっているわけです。たとい三割で三百円上がるといたしましても、これは所得保障の前進ということには何ら積極的な意味はないと私は思う。もう少し確固とした抜本的な対策を立てないところに、私は社会保障制度全体が進まないことがあるし、部分的な問題だけを解決いたしまして、全体の問題が依然として前進をしないということになると思うのです。この問題は、経済成長によって所得が倍増するというような抽象的な問題ではないのですから、政府が意図的に目的的に計画を立ててやらなければならぬ。だから、社会保障の国民年金の部分について、根本的な認識が大臣においてきわめて私ども納得できない。厚生大臣は、十分広範な厚生行政について、全部が全部はっきりした意見をお持ちになるということはなんであるけれども、所得保障の面におきましてはっきりと見解を持ってもらいたい、このことを私は強く要望いたしておきますが、これに対しまして御見解をお答えいただきたいと思います。
○西村国務大臣 厚生年金のうちでも拠出年金、これが主眼でございますが、しこうしてその給付につきましては、これは再計算の時期があることはあなたも御承知の通りでございます。これはその再計算の時期になれば、そこでもって検討して給付の改善が行なわれるというようなことでございます。しこうして、今そのうちで拠出しない無拠出の福祉年金は、これはあくまでも国民年金の補完的なものである。従いまして、私はこの福祉年金を、年度に計画を立てて上げるということは困難ではなかろうかというので、上げないというのではありません。今度は、制度が三十四年発足以来初めて上げたのでございまするが、これを上げないというわけではありませんけれども、これを計画的に考えることは、一方の拠出年金との関連も考えつついかなければならぬ、こういうことを申し上げたのでございます。
○大原委員 これはちょっとくどいようですけれども、拠出年金の方も上げるのですよ。拠出年金の財源は、御承知のように税金と掛金ですが、これは全部国民が直接間接に負担しているのです。だからこの福祉年金の方は、政府の方では、何でもかんでも、何も出させないでただで国民に対してくれてやるのだと言うけれども、やはりこれも国民が負担しているのですよ。だからこれは税金で出すのですけれども、その税金で出す面が多くなれば、これは社会保障の形態になっているのです。だからそういう面において福祉年金についての改善方策を立てなければ、二、三十年間は自営業者、農民や中小企業その他の一般国民にとりましては、これは実際上放任状態と同じなんです。千円や千三百円ではどうにもならないでしょう。だからそこをはっきり上げていくという政策がなければ、社会保障の改善ということにはなりませんよ、こういうことを申し上げているのです。大臣いかがです。
○西村国務大臣 そういう今の御質問ですと、私はどうも質問のピントが合わないようでしたら、お答えがいつまでたっても平行線でございまするから、一応政府委員にこの答弁をさせてみます。私の申し述べましたのは、福祉年金というものはあくまでも生活保障で、それで食えるというものじゃない、こういうことを言っておるのであって、あくまでも国民年金の補完的なものだ、こういう言い方をしておったのですが、質問のあれと食い違うと答弁になりませんから、政府委員に一つ答弁させます。
○山本(正)政府委員 大原先生も御承知のように、わが国の年金制におきましては、拠出制の年金というのを建前といたしておりますので、厚生年金におきましても、国民年金におきましても、拠出制の年金によってどれだけ老後の保障をするかという建前になっておる次第でございます。先ほど来御意見がございましたように、拠出制の年金におきましては、物価の上昇あるいは生活水準の上昇というものとどう見合っていくかということは、大きな問題であるわけでございますが、保険数理を計算します際におきましては、御承知のように、物価の変動がないものという前提に立ちまして、給付額を決定し、かつまた保険料を決定いたしておる次第でございまして、現実の問題といたしましては貨幣価値の変動もあるのでございますので、そういったような変動に対しましては、そのつどの改正の時期におきまして、生活水準あるいは物価の変動というものを考慮に入れまして再計算をするということに相なっている次第でございます。ただ国家公務員共済組合の制度のように、最終賃金と申しますか、最終時の俸給を基本といたしております制度におきましては、生活水準なり物価の変動というものがおのずから反映されますので、そこに自然の調節ができるわけでございますが、先ほども御指摘のありましたような、国民年金におきましては定額の保険料でございますので、定額の保険料の年金制度におきましては、それだけに物価の変動とか生活水準の上昇に対応する給付という問題に、非常にむずかしい問題があるわけでございます。そこで、この拠出制の年金制度を建前といたしておりますので、今大臣から御答弁がございましたように、福祉年金は、拠出制の国民年金制度を実施するのだが、経過的に、あるいはまた補完的にそういった制度が必要であるというので、当時老齢者につきましては千円ということで全額国庫負担、税金負担の福祉年金を支給するということになりましたので、これは当時におきましても、その額で生活保障ができるというような考えに実は立っていないわけでございます。ただ、現実問題といたしましてどうするかという問題が起こりまして、本年度初めてその引き上げの法案が出ておる次第でございますが、やはりわが国の現在の建前といたしましては、あくまでも拠出制の年金を中心といたしまして、拠出制の年金額が老後の生活保障に足りるような金額にしていく、そしてそのために保険料なり国庫負担なり、その他の仕組みを考えていく、こういった建前をとっておりますことは申し上げるまでもないことでございます。その意味におきまして、法律の四条にもございますが、拠出制の国民年金におきましては、そういった生活水準等に大幅な変動があるときには再調整しなければならない。福祉年金の問題につきましては、実はそういった法律の条文がございませんが、あくまでも拠出年金につきましてはそういった調整をいたしまして、それとの関連におきまして福祉年金を考えていくというような考え方の上に立っておる次第でございます。
○大原委員 その答弁の限りではそれはわかるのですけれども、それじゃ考え方がまるでなっておらぬじゃないですか、こういうのですよ。一年間に五%ずつ上がったところで、二十年間では、複利計算をすればまだ上がるけれども、大体十割上がることになる。そういうことから考えてみましても、かすみたいになってしまうわけです。結局は、そのときそのときに掛金をかけたものが、財政投融資を通じて、国の政策という名前において大きな資本に流れて、実際には貧乏人から金を吸い上げて大きな資本家が使う、そういうシステムだ、こういう非難を免れることはできないわけです。長期的に見てみるとそういう結果になる。だから、そういう点については的確な方針を拠出制の年金について示すとともに、不合理を是正しながらも、福祉年金を通じまして所得保障、社会保障の——千円や千三百円で食えるのではないけれども、それに近づけていくようなそういう方針がなければならぬではないか、こういうことを私は言っている。その点、説明していることと私どもが主張いたしていることに若干のギャップがあるのは、政府のそういう国民年金の性格上やむを得ないけれども、こういう点について私どもの主張点を明らかにしておきます。そういうことを前提といたしまして、これから私は一般的に、戦後の戦争犠牲者の問題について論点を進めていきたいと思います。 これは総理府の徳安長官にも御出席をいただくことになっておるのですが、時間の都合であとでお見えになると思いますけれども、政府全体といたしましては、いわゆる戦争による犠牲者の人的、物的な損害に対する補償、そういうものに対する国としての施策につきましては、今日までどういう点をお進めになって参りましたか、項目だけでもよろしいから、頭の中にあるものだけでよろしいから、おあげいただきたいと思います。
○西村国務大臣 国といたしまして、戦争の犠牲者を救う場合に、広く考えれば、多かれ少なかれ、どなたも戦争の犠牲をこうむっておるのでございます。しかし、国家がこれを援護しようということにつきましては、国の経済の状況、国の一般の状況、その援護し得る力があるということと見合って今までやってきたのでございます。従いまして第一番には、戦傷病者の遺族の援護、あるいは戦争で傷ついた戦傷病者の方々の援護、あるいは外地から引き揚げて参りました方々の援護、こういうふうにして、これの一連の援護の法律があるわけでございます。従いまして、原爆被爆者の方々に対しましても、十分ではございませんが、今医療の点につきまして救護をいたしておるのでございます。 〔委員長退席、井村委員長代理着席〕 今回は、あらためてまた戦争未亡人に対しましてもやることになりましたが、あくまでも経済の成長と見合いつつ今まではやってきたのが実情でございます。関係法律を全部あげよ、事項を全部あげよといえば、政府委員からあげさしてもよろしゅうございます。
○大原委員 一つずつやっていきますが、今まで政府は、まずあげることは軍人軍属の恩給、これは総理府関係の制度でありますけれども、それと戦傷病者戦歿者遺族等の援護についての法律がございます。つまり軍人と軍属と準軍属とを対象といたしました、いわゆる戦争犠牲者に対する施策があるわけであります。私はもう一回全体の立法の趣旨をお聞きいたしたいと思うのですけれども、いわゆる恩給法によるところの軍人、判任官以上の軍属に対するこういう法律の立法の趣旨というか、これはどういうところに根拠を置いて施策をしたのですか、どういう根拠でこの法律をつくったのか。これは復習になりますけれども、もう一回、お尋ねいたします。
○山本(淺)政府委員 恩給局がお見えになっておりませんので、かわってお答え申し上げます。 軍人軍属に対します恩給の基本的精神、性格は、国が雇用主の立場におきまして、完全なる国家補償をするという趣旨に立法の基本が置かれておると承知いたしております。 次に、ただいま御指摘の軍属、準軍属に対しまして主として援護を行なっております遺族援護法の基本的性格は、同法の第一条にもございますように、国家補償の精神に基づいて援護するということでございます。従いまして、基本的な精神とするところは同じであると存じますが、遺族援護法におきましては、純粋な国家補償というよりは、援護という名前によって象徴されますように、多少世にいうところの援護的性格をあわせ持っておるということで、精神、性格の多少の相違というものはあろうかと考えております。
○大原委員 これからいろいろと法律を改正したりスライドするときにそういう考え方が影響してくると思うのですが、軍人軍属あるいはそういう軍人軍属、準軍属等の遺族を含めましての援護の問題につきましては、たとえば軍人恩給等では中尉クラスを一つの基準にしながら、戦後はその軍人の階級差はなくなったのですし、貨幣の価値もうんと変わってきたのですから、そういうことで上等兵と大将との差をつけない、こういうことを従来主張いたしました。従って、そういう観点から戦争犠牲者に対しまして施策をするということについては、全体の前進の問題もあるけれども、われわれといたしましては、これは社会保障の前進のために一つの意味のあることである、こういう主張をいたしておるのであります。従って恩給法上の軍人軍属の問題と、遺家族の援護法における問題につきましては、考え方が違うわけですけれども、私どもが考えてみますのに、今回援護法についての改正案が出ておりますが、これは準軍属と軍属あるいは軍人との間において差別扱いをすることは、基本的にはいけないのじゃないか、こう思います。この点につきましてどういう観点で今日なお差別があるのか、あるいは将来はこの差別については撤廃をする方向に行くのかどうか、こういう問題の大まかな点につきましての御意見を聞かしていただきたい。
○山本(淺)政府委員 仰せのように、今日の社会通念のもとにおきましては、先生御指摘のような点は非常に重要な点だと考えております。そのゆえに、今回遺族援護法におきまして、軍属及び準軍属、なかんずく準軍属の処遇の大幅な改正をいたしまして、今まで未処遇とされておりますこと、あるいは援護の内容におきましてあまりに大きな差のありますることを是正いたしたのが、今回の援護法の改正内容でございます。そういうふうな大幅の改正をいたしたのでありますが、御指摘のように、その後におきましても、たとえば準軍属に対しまする遺族給付金は、従前は五年間だけやるというふうになっておりましたのを、今回は年金にしたのであります。また、その他の遺族要件あるいは戦時の災害要件等も取っ払ったのでございますけれども、なおその額におきましては、遺族年金の半額に据え置かれておるというような点がございまして、完全に軍属、準軍属の処遇が同じになっていないのでございます。仰せのように、準軍属も軍人軍属と同様に、今次の戦争によりまして被害を受けた者であることには変わりないのでありまして、私ども、将来にわたりましてもこの準軍属の処遇の改善は大いに努力いたしたいと思うのでございますけれども、やはり基本的には国との間の一定の身分関係と申しましょうか、そういう点におきましては、準軍属は軍人軍属とは違う一面のあることもまた事実でございますので、準軍属に対しまする処遇をよくすることは非常にけっこうでございますが、同時に、他の一般の戦争犠牲者の援護との均衡も考える必要がございますので、今日の時点におきましては、今回の改正程度でやむを得ないところではないかというふうに考えた次第でございますが、先ほども申しましたように、御指摘の点を十分尊重いたしまして、今後も慎重な検討は続けていきたいと考えております。
○大原委員 これは大臣にお尋ねしますが、今回の援護法の改正案で準軍属についての一部改正があるのですけれども、その中には動員学徒の問題等がありますね、徴用工もありますけれども。そういう場合に、本人の意思でなしに、国の意思や戦争目的ということで国の目的に動員されたのでありますが、そういう人々が、特にたとえば動員学徒等におきましてもそうですが、未成年者で、本人の意思能力のない人でありますが、これが労働できるということで、学校を捨てまして国の方針に従った、総動員法によってやったわけですが、そういう者が、どこに軍人や軍属との間に差別があるのですか。だから差別が基本的にないとするならば、これを解消するようなことは当然のことであって、当然そういう方向で将来にわたって努力をすべきである、こう思いますけれども、厚生大臣いかがですか。
○西村国務大臣 今言いましたように、国家との関連がどういうふうにあったかというような建前でずっと言ってきております。しかしながら、あなたがおっしゃるような御意見もごもっともでございまして、従いまして今回のこの一部改正をやったのでございます。さらにこれは、やはりこの改善を検討を続けなければならぬと私は考えておるものでございます。
○大原委員 動員学徒や、その他いわゆる準軍属等の関係においても将来とも改善する方向でやるのだ、こういうことですね。厚生大臣、重ねて御答弁願います。
○西村国務大臣 検討いたして参りたいということでございます。
○大原委員 戦争未亡人の問題につきましては、今まで同僚委員から質問がありましたし、私もあとでこまかな問題、あるいは若干の問題等につきまして一つ論議をしたいと思います。 そこで、戦争によります一般災害についての実態をどういうふうに政府は把握しているのかという問題につきまして、これは政策でなしに、実態について私はお聞きをしたいと思います。戦争中にいわゆる強制疎開がございましたね。強制疎開は、大体どういう対象者に対してなされておるのですか。これは法律をつくる場合あるいは改正する場合には、法の均衡、政治の公平ということがありますから、一つ一つお尋ねするのですけれども、強制疎開の問題はどういうふうになされて、対象者は大体どのくらいあるのですか。これはいろいろな問題で将来出てくると思いますので、この実態だけについて、政府委員はたくさん見えておりますから、政府委員を含めて、だれでもいいから答弁して下さい。
○西村国務大臣 政府委員から答弁させます。
○山本(淺)政府委員 これは厚生省の所管でございませんので、厚生省といたしましては、ただいまのお尋ねにお答えする資料は持ち合わせておりません。
○大原委員 これはどこが所管しているのですか。これは問題が出てきたときにどこかで所管するのですか、あるいは一般の戦争犠牲について、人的な、物的なそういう損害についての概括的な実態把握の上で、少なくともいろいろと施策はあると思うのですけれども、出てきたたびごとに行き当たりばったりにやっておるわけですか。——それでは困っておられるようだから、大体強制疎開の対象になったのは、全部が全部これは焼夷弾で爆撃を受けておりませんけれども、私が調査したところによると、二百七十九都市が対象になって、大体六十万戸から七十万戸ぐらいが強制疎開で家をこわされておる、こういうことであります。これは私の方から申し上げたので、実態に誤りがあるかと思いますが、こういうことであります。 もう一つ一お尋ねしたいのだが、一般戦災は大体どのくらい損害があるのですか。たとえば一般戦災で死んだ人とか、負傷した人とか、あるいは焼けた戸数とか、人員とか、そういうものがわかっていましたら、これに関連をいたしまして一つお尋ねしたいと思います。
○西村国務大臣 おそらく今のような調査の資料は確かにあると思います。それが正確なものであるかどうかは別として、それは私はどこに持っておるか知りませんが……。
○山本(淺)政府委員 一般の戦災者につきましては、戦時中戦災保護があって、戦争の中期くらいまではこれに基づきまして諸般の援護が講ぜられたのでございますが、その後、東京以下大都市におきまする非常に激しい空襲が打ち続きまして、その事務が事実上続行できなくなったというのが、実情であるように聞いております。その後この法律は、生活保護法の第一次の発足とともに廃止されたのでございます。ただいま御指摘の一般戦災死亡者と称せられるものの数でございますが、約三十万というふうにいわれております。
○大原委員 一般戦災による死亡者が三十万ということですが、これは原爆の被爆者も入っておりますか。
○山本(淺)政府委員 詳細な資料はちょっと持っておりませんが、入っておるのではないかと考えております。
○大原委員 その数字はやはりおかしいです。常識から考えてもおかしいです。焼け出された人が九百七十万人、約一千万人といわれておる。そこで死んだ人がどのくらいか、こういうことですけれども、今のお答えの数字は非常にずさんな数字です。根拠がないです。それから負傷者等のこともあるわけですが、これは一つ前へ進むことにいたします。 地主補償の問題が最近また出て参りましたが、これは厚生大臣にお尋ねいたします。地主補償は、戦争に伴う戦後補償の問題として議論されておるのですが、厚生大臣には先般の予算委員会でも御質問いたしましたが、やはりこの問題については一つの見解を持っていただきたいと思うのです。地主補償の問題については、約二百万といわれるし、あるいは八十万ともいわれるが、私の家もその該当者ですけれども、そういう地主の方々に対しまして最高三百万円、そうして二千八百五十億円の予算を要求して議員立法がいろいろと議論されておるようでありますが、政府におきましてもいろいろな方針をお持ちのようであります。こういう莫大な金が戦後補償の名前において使われるわけですけれども、社会保障制度について重大な責任を持っておる厚生大臣が、この問題について、はっきりした見解を持って臨んでもらいたい、こう私は思います。これは非常に大きな地主団体等の圧力団体が、莫大な運動資金でやっておられるということでありますけれども、この問題に対しましては厚生大臣としてどういうふうにお考えでありますか、一つ見解を明らかにしていただきたい。
○西村国務大臣 それはまだ日程に上っていないわけでございまして、調査しようという段階でございます。しこうして、いよいよあなたが言われる二千八百五十億がかりに日程に上ってくるということになれば、私は厚生大臣として社会保障を進める立場にありますから、それとの関連において私としては十分意見はありますが、今はそういう事実問題として日程に上っておるわけではありません。調査をしよう、どうして調査をするか、その意味も、内閣といたしましても総理大臣あるいは大蔵大臣が、たびたび予算委員会等で申し上げておる通りでございます。
○大原委員 調査をする場合に、どういうつもりで調査をするかということが問題でございます。調査をする出発点には、一つの施策の結論があるわけでございます。従ってそういうときに、厚生大臣といたしましては社会保障制度を前進させる観点からどう考えていくか。こういう問題については、厚生大臣がもう少しはっきりした具体的な見解を示されてもしかるべきだ、こう思いますけれども、いかがですか。
○西村国務大臣 それは別個の問題とは考えません。やはり一定のワク内でやることでございますから、当然関連性を持っておるものでございます。 〔井村委員長代理退席、委員長着席〕 従いまして、それが日程に上りまして社会保障を圧迫するというような現実の問題が起これば、私としては十分意見があるところでございます。いずれにいたしましても、今の段階で、それがどうだこうだということにはならない、かように私は思っておるわけでございまして、調査するということの是非につきましては、調査費を組んであるのですから、私も国務大臣として必要ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
○大原委員 そういう見解については、私はきわめて遺憾であるといわざるを得ない。社会保障の担当大臣が、そういう問題について明快な結論を持っておられる、こういうことが私は絶対に必要であると思う。この点については問題を保留いたしまして、後に議論をいたしたいと存じますけれども、この問題はきわめて重大な問題であります。しかし、この問題について時間をとることが本意でありませんから、論点を進めて参りますが、その他企業整備の問題がございます。あるいは徴用工の問題は、準軍属の問題として処理されておりますが、処理されていない面もあるわけであります。 そこで戦争未亡人に関する問題について今までいろいろ議論がありました。十年間を通じまして年間二万円平均ですから、月千六、七百円になるでしょう。従って私どもは、厚生大臣や政府委員との間の質疑応答において、立法の趣旨に対する見解については問題を持っております。しかし、戦争犠牲者に対しまして給付をする——先ほどの議論からわかるように社会保障制度の非常に貧困な現在において、特別にこれを取り上げてこの問題に対する施策をやるということについては、私どもは原則的に賛成であります。ただし、これが立法の趣旨においても、あるいは制度全体においても、社会保障制度を前向きに前進させる大きなてこ、推進力になるような、そういう意義がなければならぬというように思う。それは私は、厚生大臣がそういう施策をやられる場合における少なくとも最低限度の責任であろうと思う。厚生大臣いかがですか、戦争未亡人の交付金に対します立法の趣旨を、これは最終段階になりましたので、念のためにもう一回政府の方から簡単にお聞かせいただきたい。
○西村国務大臣 交付金の性格は慰謝ということではございますが、その収入によりまして母子の家庭が何らかの形で救われることを希望するものでございます。しこうして、それは社会保障の面から考えましても非常なプラスになるということでございまして、結果的には社会保障の推進ということにもなろうが、社会保障の観点から推し進めたものではございません。従いまして、これは貧富の差なくやるものではございますけれども、夫を失っておる家庭というものは大部分所得が低いし、いろいろお困りである。それで金の性格は慰謝でございますが、その収入をもって幸福になってもらいたいということが、私たちの目的でございます。
○大原委員 いわゆる母子家庭、未亡人に対しまして、これは戦争ということはもちろんございますけれども、慰謝ということで、精神的な痛苦に対する償いということでこの立法はなされた、こういうことで、今までの軍人軍属や遺族等の、つまり国との間における特別権力関係というものが中心となった考え方よりも少し違った範疇であります。従って私どもといたしましては、国民年金につきまして、後に改正案が出て参りましたならば提案をいたしておりますけれども、いわゆる福祉年金の所得保障の一番底を上げていく。六十才から六十五才が千円、六十五才から七十才が二千円、そうして七十才から以上は三千円というふうに初年度において考えていきながら、所得保障の中における国民年金の福祉年金を底上げしていくという考え方であります。そうしてその際に、初年度において母子家庭に対しましては七十才以上と同じように三千円、年間三万六千円、こういう考え方で全体の社会保障を前進させる構想を立てながら、その中において特別に戦争犠牲者に対しまして応急の施策が必要であるという場合においては特別の措置をとる、こういう特別の立法や施策というものに対する私どもの考え方をやっていこう、そういうふうに考えておるところであります。従って、私どもはそういうふうに考えておりますけれども、それに対しましてどのようなお考えを——見解としてでもよろしゅうございますから、私どもの考え方に対します御所見のほどがあれば、一つ厚生大臣よりこの席上で明らかにしていただきたい。
○西村国務大臣 福祉年金につきましては、さいぜんも申しましたように、やはりこれの改善をはからなければならぬと思っております。しかし、現在の建前の国民年金等と一般の拠出制年金とのバランスをとることを考えるということでございますが、今の老齢の国民年金の三千五百円は、低いのはきまっておりますから、これは並行的に行かなければならぬというふうに私は考えておるのでございます。さらに母子家庭、それから身障というものについては十分われわれとして施策をいたし、老人福祉法を今回出しましたが、そういうことにつきましても施策を進めていかなければならぬ、かように考えておる次第であります。
○大原委員 総務長官がお見えになりましたからお尋ねいたします。 今まで私ども、戦傷病者戦没者遺族等の援護法について、あるいは戦没者等の妻に対する特別給付金の問題の審議に関連をいたしまして、戦争による犠牲者の人的、物的な損害に対する国の施策について、社会保障の全体の観点から質問を続けてきたのであります。私がその問題に関連をいたしましてあげました問題点、二十幾つか私どもの手元にはございますし、私どもとしては、それらの問題を総合的に調査をしたいと思っているのです。総合的に調査をいたしまして、社会保障制度を前向きの形で取り上げていきたい、こういうふうに考えております。今議論をいたしましただけを申し上げましても、あなたの関係の恩給法関係、それからそれに密接な関係がございますが、いわゆる遺家族の援護法の問題、今上程されておる援護局の関係の問題、あるいは今議論いたしませんでしたが、将来大きな議論になります引揚者に関する問題、あるいはこれは準軍属でありますが、動員学徒の問題や一般戦災の問題、企業整備の問題、あるいは徴用工の問題、これから原爆被爆者の問題をやって参りますが、強制疎開の問題、あるいは地主補償の問題等について、議論でなくて実態と私どもの考え方についての質疑応答をいたしたのであります。従って、私はこの際総務長官がお見えになりましたから御質問いたしますけれども、私どもの考えは、地主補償の問題等も、てんでんばらばらでなしに、一般的に戦争による人的、物的のそういう損害で、日本においては医療保障に見合うところの所得保障の中において、母子年金や養老年金、身体障害者年金、あるいは家族手当という社会保障がおくれているわけですから、それらを総合的に進めていく施策の中において前向きに考えるべきだ、それに反するような形において考えるべきではない、たとえばうしろ向きの例は何かと言うと、私どもの関係でありますが、私も地主の端くれでありますが、地主補償で二千八百五十億円の補償というのは、一度合法的な手続によりまして買収の措置をとったのでございますし、そういう問題で二千八百五十億円の金を使うということは、社会保障制度全体から見ましてきわめてこれはうしろ向きである、あるいは金鵄勲章の一時金等の問題にいたしましても明確である、しかしながら、他の施策において、戦争犠牲者の問題を社会保障制度前進のためのてこ、あるいは特例として取り上げる場合においては、私どもは十分この点についての見解を述べて前進をはかっていきたいという考え方、基本的に、そういう問題に対しまして総務長官は、一般戦災の問題は個々の団体や圧力において問題を解決されておるけれども、政治全体として政治の公平、政治への信頼をはかる上から、公平を期する上においてどのような考え方で持っていくべきであるか、こういう点については、国務大臣といたしましての厚生大臣にもいろいろ質疑応答いたしましたが、総務長官の方からもこの際、地主補償の問題、金鵄勲章の問題等を含めて、私が申し上げました意見について、御所見のほどを明らかにしていただきたい。
○徳安政府委員 国全体の大きな施策につきましては、閣議の決定なりその他の方法で御審議を願うことになると思いますが、私どもの方の関係は、法律やその他の関係で特に総理府でなすべしという御決定を見たもの、あるいは政府で法制という手続の済みましたものにつきまして取り扱っておるわけでございまして、政府全体で取り扱うべき問題を、ここで私が御答弁することはいかがかと思いますから、これは国務大臣である西村厚生大臣にお願いした方がいいと思います。ただ、今お話しのような点につきましては、ごもっともの点がございますので、いろいろ御意見を伺いまして、その御意見が国会全体の御意見であるような場合におきましては、もちろん政府は十二分に耳を傾けて措置をすることにやぶさかではない、かように考えております。
○大原委員 総務長官は、総という名前がついても総理大臣ではないのですから、御答弁の通りですけれども、厚生大臣と総務長官に対しまして若干質問をいたします。 戦争による人的、物的な損害に対しましては、政治の公平を期するという建前からも合理性がなければならぬ。そういう観点から、戦争犠牲についての実態を調査して、それに対応する施策を前向きに進めなければいかぬ。てんでんばらばらでなしに、公平に進めていく。こういう観点から、そういう戦争犠牲の問題に対する総合的な実態調査をする機関を政府の中において設けて、そしてその中の一環として、それぞれの施策を緩急に応じて取り上げていくべきである、このように私は考えるわけでありますが、国務大臣である厚生大臣はどのような御所見をお持ちになっておるか。引き続きまして、総務長官の徳安さんの方からも御答弁をいただきます。
○西村国務大臣 今あなたは、企業整備や疎開というような、いろいろなことをおあけになりました。戦後処理の問題、これは今までずっと援護すべきものはいろいろ援護してきましたが、この段階で一つ総ざらいにこういうものを調査する機関をつくったらどうだ、こういう御意見は、十分御意見として承っておきます。 それから社会保障との関連でございます。これは全然関連がないわけではございませんので、一定のワクから予算を組むわけであります。しかしまた、事柄は別の事柄として理由があって、それぞれ申し述べられておるのでございます。従いまして、そういうものをこの段階で総体的に調べたらどうかというような御意見は、十分尊重したいと考えております。
○徳安政府委員 私が御答弁するのは当たらないかと思いますが、こういう戦後処理につきましては、いつまでも不愉快なことを言ったり聞いたりするのもよくないので、過去におけるその一切を総ざらいをして、将来に禍根を残さないような措置をとることがいいのじゃないか、そのためには、何らかの機関でもこしらえたらどうかというような御説も方々から私ども聞いてはおります。しかしまだ、これに対しまして政府で取っ組んでこうしようという段階までにはなっておりませんが、御意見等もございますから、十分一つお聞かせ願いまして、また私どもの方としても相談をしてみたい、かようには考えておりますが、現段階では、ただいま話題になっております大きな問題等が、議題になりまして論議されておるわけであります。その他の問題につきましても、今お話しのような点もございますから、今厚生大臣がお話しになりましたように、御意見を十分伺いまして、研究いたして参りたいと考えております。
○大原委員 こういう調査をするということになれば、おそらく総理府だと思います。近く制度が変わって、総理府総務長官も国務大臣になられるらしいのでけれども、それは別にいたしまして、これはやはり総合的に調査をしてそれに基づいてやるということでないと、政治に対する全体の信頼を失うのではないか。 それから、私は、戦争未亡人の問題につきましては、あとで詳細な問題ももうちょっといたしますけれども、これは金額は月に直しまして千六百円余りでありますが、この問題につきまする私どもの考え方は申し上げた通りであります。 私はこれから原爆の問題についても、その被害の実態と施策について質問をいたしたいと思いますが、たとえば広島や長崎、その他全国的にそうなんですけれども、原爆孤老とか戦争孤老とかいうことが言われている。つまり子供がなくなって年寄りだけ残っておる。そして実際上、親戚その他係累に生活を依存することができないから、非常に困っている。養老院にもはいれない、こういう方も多いのであります。従って、そういう問題から言いますと、ここでも議論になりましたけれども、未亡人だけでなしに、戦争によって子供がなくなった、その親に対しましても、特に母親等に対しましても、準母子年金という制度もあることですから、その方の趣旨から言いましても、将来制度といたしまして考えるべきではないか。あるいは、一般戦災者の問題は先ほど議論いたしましたが、一般戦災者等の未亡人の問題につきましても、逐次母子所得保障を確立する上におきましての施策といたしましてやるべきじゃないか。これはこれといたしまして、さらにそういう点において施策を進めていくべきであるというふうな御意見や御要望を聞くのでありますが、この年寄りの問題と、それから一般戦災者の未亡人の問題、こういう問題等につきまして、現在の一般法である国民年金、厚生年金で足りない点を補っていくという意味において、こういう問題についても将来施策を考うべきじゃないか。こういう点につきまして問題を具体的に提示いたしまして、厚生大臣の見解を伺いたいと思います。
○西村国務大臣 一般戦災者の未亡人その他について考えるべきじゃないか。これはなかなか大へんなことでございまして、これは考えないというわけにはいきません。現在は一般法でそういう母子家庭等の救済はやっておりますが、それは非常に大へんな仕事でございまして、ここで私からこうするということは言いかねるわけであります。原爆の方々につきましても、これは同様でございます。一般戦災者となかなか区別しにくいということで、非常に気の毒で不満足ではございまするが、特別な病気が原爆では起こっておるからということで、医療だけにつきましては万全を期したいということでやっておるのでございます。しかし、一般戦災者の方々をどうするかということになれば、非常な大きな問題でございます。直ちにここで云々するというようなことはできません。そのために、貧困なものには一般法で貧困の手当てをし、母子家庭に対しては、母子家庭に対する手当てをするという制度になっておるのでございまして、さら救えるものだけは救っていくということにつきましては、十分検討をいたして参りたい、かように考えておるのでざいまして、総ぐるみといたしまして戦争犠牲者全部をどうするのだ、こういうことはなかなか容易ならざる困難があろうかと思っております。そのうちで救えるものは徐々に救っていくというよりもやはり方法はないのじゃないか、かように考えております。しかもその援護も、やはりあくまでも経済の成長と救える力というものを考えつつやらなければならぬことではなかろうか、かように考えておる次第でございます。
○大原委員 社会保障の中で所得保障が一番おくれておるのでありますが、その中で特に戦争犠牲者の問題はいつまでも問題になる。ドイツやその他欧州等におきましては、この問題は相当早くから取り上げられておる。そうして社会保障全体が前進をしておる。こういうことは各政府委員からそれぞれ事情を聞きたいところでありますけれども、そういう時間もございませんので進めていきますが、たとえば一般戦災者にいたしましても、強制疎開や家屋疎開や、あるいはバケツ・リレーや、消防や竹やり訓練なんかを総動員してやったわけです。やった気持においては一つもかわりはないわけです。たまたま——たまたまとは言わないけれども、そこに権力関係があるかないかということで、いろいろせんさくして議論になるわけです。だから私は、そういう点において、今厚生大臣が御答弁になりましたけれども、これが一つの集団で意思表示をするというようなグループになりますと、これは施策といたしましてはやりいいし、進むのであります。しかしながら、これは考えてみますと、たくさん問題があるということで、将来戦争犠牲の問題として、あるいは社会保障全体の問題として議論していきたい、こう思います。 そこで原爆の問題につきまして、私、先般の予算委員会で御質問いたしましたけれども、念を入れて厚生大臣に質問いたしますのは初めてであります。しかし、時間が相当迫っておりますから端折って申し上げますけれども、つまり原爆の被害につきましては、今日依然としてその被害の実相というか、その被害の実態、あるいは被害の大きさという点につきましても十分解明されていないのであります。従って、原爆被爆者の問題について、一般戦災者との関連がむずかしいというような厚生大臣の御答弁になるわけであります。私どもといたしましては、こういう戦争を繰り返してはならぬということが前提でございますけれども、とにかく原爆被爆者の問題につきましては、実際に人道上放置できない問題である。先般も申し上げましたけれども、原爆病院に行ってみたり、被爆者の病院に行ってごらんなさい、こういうことを大蔵大臣にも申し上げたけれども、私はぜひ実際に見てもらいたいと思う。どういう被害の実相なのか、どういう被害によって大体どのくらいの大きさの損害を受けておるのか、どういう原因によってどういう被害の影響を受けているのか、また損害を受けているのか、こういう問題につきまして、これは議論を進めていく上において政府委員の方から、まずその二点について簡潔にお答えをいただきたい。
○尾村政府委員 ただいまの御質問の、現在置かれております原爆被爆者の状況で、特に医学上の問題をまず申し上げさせていただきます。 現に広島、長崎の両原爆病院におきまして、それぞれ病床に相当収容いたしまして、入院治療を要する者が治療を受けております。なおそのほかにも指定病院が約三百弱ございまして、ここで治療を受けておりますが、これらの状況は、原爆の被害が三つございまして、一つは、もちろんこれの特徴である放射能線による被害、それからいま一つは、同時に発生いたしました熱エネルギーによる火傷を中心とする熱による障害、いま一つは、物理的な爆発力によります暴力による被害、それぞれの被害を受けまして、一部は、手足等の切断その他の外傷性のものが中心になって、不具者となっておる方もございます。あるいは火傷によりまして火傷痕を残し、それに放射能の被害が加わりまして、ケロイド等の単なる瘢痕でなく、放射能性の瘢痕でいろいろな障害を受けておる者もございます。一番共通的にございますのは、やはり放射能が、外形上は現在不具その他の外貌は残しておりませんけれども、内臓等に主として放射能障害が残りまして、いろいろな障害を体して現在治療を受けておる。この中で最も目立っておりますのは、白血病並びに特定の放射能と非常に関連があると思われますガンの発生等は非常に重症でございまして、気の毒な状況であります。しかしながら、現在のところ、約二十六万人が手帳を発行いたしまして被爆者ということになりまして、健康診断を年に定期的に受ける。その結果、必要な者は精密検診を受ける。症状が起こりますならば、今の白血病を中心とする放射能中心の原爆症、あるいは目立った後遺を残しております不具その他の治療、こういうようなものが現在まで約五千名原爆症として、いわゆる認定患者で治療が行なわれております。その他三キロ以内で比較的多量の障害を受けた者が、放射能の影響が残っておりまして、諸種の健康障害、かぜその他も普通人より多いという者につきましては、やはり現行の法律によりまして、それぞれ国の負担を、本来の保険その他の諸制度に加えまして、自己負担をなくして治療しておる、こういう状況で、これは年々数万以上の数でございます。それが今の医学的な現状でございます。
○大原委員 原爆によって死んだ人あるいは障害者はどのくらいですか。
○尾村政府委員 当時の即時死亡者につきましては、非常にこれは資料不足でございまして、当時の広島、長崎の地域在住住民から推定をいたして、その後生存したという証拠のない者は死亡した、こういう推定では、今までのところ、両市並びに両県の資料に基づきまして、約三十万人が原爆の原因によりまして死亡しておるであろう、こういうことが、今大体の共同の推測計数になっております。それからその他の被爆者は、生存したのは約三十万、そのうち、現在確認して適用交付数が二十六万人でございますので、四万人はその後一般疾病その他で入院して——これは普通の死亡率でも年に二千ないし三千死亡するわけでございますが、これらによって死亡された方、並びに現在までこの法律に基づいて連係がつかずに確認ができない方がまだ若干ある。これは年々数千名新たに適用の申し出をされておりまして、次々と追加確認をいたしております。
○大原委員 先ほど政府委員が答弁になりました一般戦災者で三十万人が死没者だと言われましたけれども、今の御答弁から言うと、これは非常にずさんであるというようなことが、厚生大臣わかるでしょう。だからそれはともかくといたしまして、そのことは議論の中心点ではありませんから、その点だけを明らかにしておけばよろしいのですが、これは公衆衛生局長は専門家ですからいい。 科学技術庁の方にもお聞きしたいと思うのでありますが、こういう席上で言うことがいいか悪いかということは別ですけれども、しかし、もうこの問題はこういう席上で議論してもよろしい時期に来たとも言える。つまり端的に言って、遺伝的な影響はあるのですか、ないのですか。
○尾村政府委員 遺伝的な影響につきましての研究は、進めておるわけでございますが、現在までのところ、すなわち被爆後十七年間でございますが、その間に被爆者で結婚をした方が相当数ございます。この方々から生まれた第一世代の出生児、これにつきましては、一般的な被爆を受けない国民の同年令の奇形その他の遺伝的な障害発生と、今までのところは率において差がない。現在十七年間の結果では、一応さようなふうになっております。ただし、遺伝とは関係ありませんが、当時胎内にもうすでにおって、これは遺伝ではなくて、胎児としておったわけでございますが、この方々が母親の腹壁を通して放射能を受けた。これからどの程度生まれたかといいますと、これは大体二十一年の七月までに全部出生は終わっておるわけです。このときの方が、今の原爆法によって、言います二条、特別被爆者の方ではまた条文が違いますが、こういう形で被害を受けるであろうということで対象になっておるわけでございますが、この方々の中でも、いわゆる奇形というような形の発生率が特に高いというデータを、今までのところはまだつかんでおりません。しかしながら、親と同じように個体としても被爆を受けて放射線障害があるだろうということで、全く同様な取り扱いで保護しておる、こういう形であります。
○大原委員 胎児の問題、こういう問題については、はっきりしないことについては言わない方がいいと思うのですが、しかしそういう被害については、明らかにすべき点は国の科学の責任で明らかにする、そうでなくては治療についての方法がありません。従って申し上げるのですが、今のお話のように、数千万度の熱エネルギーや爆風以外に放射能ですね、放射能が人体にどういう影響を及ぼすのですか。これはどこが主管で——戦後十八年ですけれども、科学技術庁の放射線医学総合研究所で、先般大蔵大臣も十数億円の予算を使ってやっておるというふうに言っておられましたけれども、その他いろいろあるのですが、大体放射能はどういう影響を及ぼすのですか。これから原子力時代ですけれども……。
○内田政府委員 大原さんの御指摘のように、科学技術庁の所属機関に放射線医学総合研究所がございまして、これが放射能による人体障害の実態とか、そればかりではございませんが、その方面の研究をいたしておるのでありますけれども、その所長の塚本博士がそういう問題のためにわざわざ来ていただいておりますので、委員長のお許しを得て塚本博士からお答えをさしていただきたいと思います。
○塚本説明員 お答え申し上げます。 放射能の人体に対する影響を大きく二つに分けますと、先ほど御指摘のように個人の一生の問題、つまり、これを身体的影響と申しておりますが、それから遺伝的影響に分けることができると思います。個人の一生の問題の方につきましては、これは大きく二つに分けておりますが、それは急性の放射能症——先ほどからお話しの原爆被爆者が約一カ月以内ぐらい、あるいはもう少したっておるのもありますが、起こしたいろいろな放射能による急性の障害でございます。もう一つは、非常にむずかしい問題でございまして、晩発障害と申しておりますが、数年ないし数十年たってから起こってくる問題でございます。この中に、寿命が短縮する、あるいは白血病、その他の腫瘍が発生する、そういう問題が起こっております。ただ非常にむずかしいと申し上げました理由は、こういう病気は一般の非被爆者の中にも全く同じ形で起こりますので、統計的に被爆者と非被爆者を比較して初めてそれが白血病がふえたとか、あるいは先ほど御指摘の遺伝の問題にいたしましても、そういうことになっております。従いまして、十数年を経過した今日で身体的影響ですらもすべてが解決したと思いませんし、また遺伝的の問題になりますと、ことに優性、劣性等の問題がございまして、数代後にまで及んで統計的な調査研究をいたさなければ、現段階でふえたとかふえないとかいうことを、簡単に申し上げるわけにはいかないと思います。
○大原委員 私も専門家でありませんから、御答弁の趣旨で十分理解できない点もありますが、急性のそういう影響あるいは長期的な影響、こういうものがあるということについてのお話でありますが、そういう長期的な影響等を含めて、これから原子力時代なんですけれども、そういう被害を受けることがあってはならぬ。しかしながら、そういう戦争で受けた被害という広島、長崎の経験というものは、これは世界的にもただ一つしかない。従って、そういう長期的な問題を含めて、研究は、政府の方で責任を持ってやるところがありますか。これはおたく、放射線医学総合研究所でやるわけではないのですか。科学技術庁でやるわけではありませんか。
○塚本説明員 お答え申します。 私の研究所は、放射線障害のいろいろな問題、ことに従来判明しておりません微量の放射線の長期にわたっての効果がどうであるかというようなことを、動物実験あるいは人体についていろいろ研究しておるわけであります。原爆被爆者のうちにも、そういう意味でいろいろな問題がございますので、われわれのところでも、先ほど局長の御説明のように、原爆被害者がおいでになりましたときには、指定病院にもなっておりますので、そういう点についても診断しております。ただ、むしろそういう統計的な問題あるいはこれから長期にわたるそういう問題につきましては、私の方といたしましては、特にそれを含めてやっておるわけではございません。むしろもう少し基礎的な、たとえば放射能がからだへ入ってどうなっているとか、その後どういうふうになっているとか、微量放射線が当たって、将来そういうものが遺伝的あるいは人体的にどの程度の放射線で、どういうことが起こるであろうというようなことをいろいろ詳細に調べていっているわけであります。原子力の平和利用の時代に欠かしてならない研究だと思いまして、そういう方にかなりの重点を置いてやっております。
○大原委員 これは大学の先生の講義ならいいのだけれども、やはり政府が責任を持ってどこかの機関で研究させる。これは人道上の立場からいってもそうです。戦争等の特別権力関係ということでなしに、人道上の立場からいってもそうなんです。そこで、これは科学技術庁の方で、かって長官の中曽根国務大臣がここへ見えて、はったり答弁をやったことがある。科学技術庁の放射線影響についての総合研究所ができた以上は、科学技術庁が全部やりますということであった。実際には、今までの被爆のそういう影響についての基本的な研究もなされていない。今の答弁からも、うかがわれるわけです。次官、そうですね。なかなか、そう一つのところだけではできない。統計的な資料を含めて非常に膨大な資料が要るでしょう。だから、動物実験の話が今ありましたけれども、これは動物実験程度ではできる話ではありません。従って、ストロンチウム九〇とかセシウム一三七とか、あるいはいろいろそういう放射能による被害があるわけだが、これが人体にどういう影響を及ぼすかという問題については、こういう実際経験の問題を十分研究して、そして治療に役立てることが必要です。いつかも質問いたしましたけれども、そういう影響と治療について研究する政府の機関は、大体どことどこにあるのか、もう一回御答弁を願いたい。
○尾村政府委員 現在一時大量に放射を受けた方が二十数万で、この方々が法律に基づくべきが前提でありますが、治療しつつ、その貴重なデータがまた人類の役に立つということも、御説の通りでございます。現在これが扱われておりますのは、ほぼ大分けしましてこの研究という形は三つございます。 一つは、二百数十の指定病院で原爆、被爆者の重度の者の治療をやっておる約五千名でございますが、この方々が、毎年一ぺんそれぞれの経験に基づきまして、研究結果をお互いに取り集める。これが非常に貴重でございます。これが第一類でございます。これは毎年広島、長崎で、原爆医学研究会を厚生省と地元の県との主催で催しまして、毎年その研究成果も、りっぱな冊子にいたしまして内外に交換するという形でやっておりまして、これが重い症状を現在有しておる方の治療をやりつつ、その治療結果等の再検討を通じまして治療法の研究をいたしておる。同時に、発病しておる症状の類別あるいは程度というようなこともわかってくるわけであります。 第二の問題は、やはりこれは基礎的な問題と兼ねまして、臨床医学としての正規の組織的な研究所という形で、文部省の方で三十六年度は広島、三十七年度は長崎というふうにきまりまして、すでに広島では、できて研究に従事しておられますが、要するに、両大学に原爆治療研究所が設置されまして、これが大学のレベルで正当な研究を進める。これはもちろん治療もある程度いたしますけれども、診断を通じての研究もいたされます基礎研究もやっております。 第三番目の予防衛生研究所は、両所に支所を設けまして、これが終戦以来相当巨額な金を毎年つぎ込んでやっております。アメリカ政府の出資によりますABCCが両方に置かれておりまして、これが両方合わせて約一千名のうち九百五十名ほどは、日本人の学者以下日本人の従事員でやっておるわけでございますが、この研究とタイアップいたしまして、統計的、疫学的な大きな研究も、遺伝も含めて続行しております。現在三つの大きなテーマになっておりますいわゆる寿命調査、すなわち死亡をなくする調査、先ほどのお話にもありましたように、いわゆる加齢現象が早くなりまして予定よりも短くするというようなもの、病理調査、成人の健康調査、この三つの分類をタイアップしてやっております。三十八年度は、また支所の特別研究費といたしまして、限界の研究のために一千百万円の新特別研究費予算を計上したという形になっております。
○大原委員 それで政務次官、せっかく御出席いただきましたけれども——塚本博士が所長をしておられます稲毛の研究機関は、かって文部省と厚生省が俗に言うと奪い合いをやったということの経過があるのですが、そこで科学技術庁の所属ということに結論はなった。どこが持ってもいいわけですけれども、しかし研究できるスタッフとそういう体制、研究の内容が進行しなければならぬ。これは私は単に広島、長崎の原爆の被害だけじゃないと思う。そういう面において、研究の分野を相互に連絡をとりながら、相互の確定をしながら、そして相互にむだがないように、総合的にやるべきだ。それは厚生大臣、厚生省についても言えるのです。きょうは時間があまりありませんから申しませんが、たとえば予防研究所は何を予防するのですか。予防研究所の支所とABCC二つあるのですが、日本の側における研究の自主性はどこにありますか。私は制度の全般の問題について議論すれば幾らでも資料を持っておりますが、予研の支所がここにあるということはどういうことですか。何を予防するのですか。これは経過的にそういうふうになっておるわけですけれども、私は総合的に考え直してみなければいけない問題があると思う。予防研究所の職員とABCCの職員が併存しておるわけですが、待遇上の問題もあれば、外交上の身分の問題もある。いろいろ占領時代から続いてきた問題があるわけです。政府全体で関係機関が総合的にこの問題は研究分野、責任分野を明確にしながら——設置法等の問題を議論すればお困りになる問題はたくさんあるけれども、そういうことをあげつらうのがここの目的ではありませんけれども、総合的に研究分野の調整をしながら、実際的には内容ある研究が進んでいくというふうにしなければなりません。絶対この問題はむだなことをしてはいけません。今までの経過的な問題もありますけれども、そういう点について将来総合的に十分連絡をとった上で善処してもらいたい。このことを厚生大臣と科学技術庁の政務次官の方にそれぞれ御答弁いただきたい。
○西村国務大臣 千葉の稲毛の研究所にいたしましても、最近でき上がったばかりでありますから、予防研究所はその当時の過渡的な問題としてあれしたかもしれませんけれども、あちらこちらばらばらやって研究成果がまとまらぬのでは非常に悪いのでございますから、十分総合性を発揮していきたいと思います。各省に分属いたしましても連絡を十分してやりますから、互い互いセクショナリズムで機関を取り合うことが能ではありません。あくまでも成果を上げることでございますから、今ありまする研究機関を、十分連絡をとってうまくやっていきたい、効果を上げるようにしたいということを十分考えたいと思います。
○内田政府委員 大原さんの御所論については、私は全くその通りだろうと思います。でありますから、私の方の所属機関は放射線医学総合研究所、総合という字がついておるのでありまして、おっしゃっる通り、私は政府全体として総合的運営をはからねばならぬと思います。ただ今塚本所長が申されました三つに分かれるというのは、広島、長崎などにおける大量の放射線被爆者に対する治療とか研究とかいうものを取り扱う仕組みとしては、その三つであるでありましょうが、われわれの方の放射線医学総合研究所は大体が原子力の平和利用に伴う、微量の放射線の蓄積などによる障害、その予防などに関する恒久的な、あなたがさっきおっしゃられたような恒久的な研究、調査というものに、つまり今後の問題に力を入れている。もう一つは、これは新しい分野でありますが、放射線の医学的利用といいますか、例のトレーサーとか、その他治療手段として高エネルギー放射線を利用する、医療手段としての放射線の活用ということを根本の目的として研究いたしておるのが特色だと思いますが、今あなたのおっしゃられた点については、お説の通りだと思います。
○大原委員 広島、長崎で原爆の被爆を受けました三十万の被爆者がおるという御答弁がありましたが、たとえば現在のアメリカやソビエトの実験によりましてさらに放射能がその人のからだに累積をする、あるいはいろんな影響を及ぼすということもあるわけですから、その以前の問題も研究するんだ、中曽根国務大臣はここでこう言ったのです。広島、長崎の問題も研究するのだ、これが発足したらどんどんやるんだという話でした。実際できぬことを言ったってしょうがない。事実そういう手足がない、そういう組織がないところでやるといいましても実際できないわけです。そこでそれぞれの研究機関において縄張り争いなどがないようにして、可能な限り実質ある研究を進めていくように、これは政府の方において調整を願いたい。その点につきましては問題を後日に留保いたしておきますけれども、そういうことをお願いいたしておきたいと思います。 それから厚生大臣に質問いたします。今まで質疑応答いたしましたけれども、原爆による障害というものはきわめて大きいのです。その特色は、家にいたしましても、あるいは人間にいたしましても一ぺんにたくさんの人が死んだ、害を受けたということです。だから生活能力やあるいは人体に対する影響力が非常に大きい、しかも深刻である、こういう人道上放置できないところから、認定被爆者と特別被爆者の制度ができまして、十分ではございませんけれども、医療保障の面におきましてはやや前進をいたしておるのです。しかしながら問題は、被爆をいたしました、あるいはケロイドがある、放射能がある、生活力がない、娘さんにいたしましても青年にいたしましても、一生を棒に振った人がたくさんおるわけです。そういう実態から考えてみて、私は、医学的な問題と一緒に社会的な生活的な調査を、地主補償について政府はしようといたしておるのですけれども、この問題については徹底的にすべきである。その調査の上に立って十分そういう施策を立てるべきであると考えます。私はこの調査につきましてきわめて不十分であると思いますが、国務大臣である厚生大臣に、こまかい点はともかくといたしまして、総括的な御答弁をいただきたい。 もう一つは、それに関連をいたしまして、厚生大臣はぜひとも近い機会を設けて、一つ広島、長崎の原爆病院に実際に行って、あるいは研究機関を訪れられて、そういう実態について十分把握をしてもらいたい。この二つの点につきまして御質問いたしておきたいと思います。
○西村国務大臣 原爆の被害者の方々はまことに気の毒でございます。これは医療の面につきましても十分調査をしますとともに、その他生活上の問題につきましてもやはりいろいろ調査をしなければならぬ。非常にお気の毒な方々でありますし、調査には万全を期したいと思っておるわけです。私も長崎、広島にはちょっと訪れたことがありますが、そういう意味におきましてこれを拝見したことはありませんので、なるべく機会を得ましてぜひとも私もそれらのことを身をもって把握したい、しこうしていろいろな施策の参考にしたい、かように考えておる次第でございます。
○大原委員 時間も迫って参りましたからできるだけ質問をしぼろうと思います。厚生大臣は現地に行って研究所あるいは被爆者の実態に触れてみようというお話ですので、その点につきましては了承申し上げます。 もう一つ私は概括的に要望を申し上げて、それに対するお答えをいただきたいのですが、つまり医療保障の面においては、人道上の立場から認定被爆者と特別被爆者の制度ができました。しかし生活力がない、からだが弱いあるいは非常に大規模な普遍的な損害を受けておる、先ほど言ったけれども、原爆孤老といって、足も手もいかれた年寄りも残っておる。こういう問題等があって、生活の問題仕事の問題、健康上の問題、たくさんの問題があるわけですが、その医療の裏づけとなるような、たとえば医療手当は現在認定被爆者について二千円出ておりますが、医療手当の増額、あるいは病院その他に対しまして特別被爆者等が通院をいたします際における、所得の若干の日当等の補償あるいは原爆病院等でなくなった場合に葬式料もないというような実情がたくさんあるわけですけれども、そういう人々に対する弔慰金、あるいは葬式料、あるいは今まで国民年金の審議のときにいろいろ議論をいたしましたけれども、放射能による内科的な疾患、そういう疾患に対しまする特別の問題、この点を考慮いたしました特別の身体障害者の年金、これは部分は限られておりますけれども、そういう問題等において、あるいは参議院の方から議員立法で、被爆者の治療に要する旅費の問題認定被爆者、特別被爆者とそれぞれ区分けをいたしまして法案も出ておるようでありますけれども、そういう問題等の医療の裏づけとなるきめのこまかい、そういう生活上の手当、つまり援護法というふうに一般的にいわれておりますが、そういう問題について立法上きわめて困難な問題ではありますが、医療についての放射能の影響の実情を認めたのでありますから、その裏づけとなる問題については医療保障を全からしめる。あるいは社会保障制度の欠陥を補っていく。こういう特別立法の建前からも、私はそういう生活上の問題につきまして、現在二千円の医療手当がございますけれども、そういう具体的な施策を総合的に考えてこの問題の前進をはかっていただきたい。これを厚生大臣に要望申し上げまして、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
○西村国務大臣 そういうお説のようなことも十分考えていかなければならぬと思います。しこうして今回も医療手当の所得制限等も多少考えましたが、いずれにいたしましても医療に万全を期したい。非常にまた気の毒な方方でございますので医療に万全を期したい。なおそれにつきまして、生活上の問題その他もありましょうから、私といたしましては十分その現状を把握したい、かように考えておる次第でございます。一歩々々進めていきたい、かように考えております。
○大原委員 それでは、私はもう一つ申し上げたい点、それは医療法実施に伴う国民保険財政の問題があったのでしたが、せっかく御出席いただいておりますけれども、これは国民健康保険のときに審議をいたしたいと思います。従ってその点につきましては触れないことにいたします。 以上戦争犠牲者に対する救援や補償の問題につきまして、当面政府から提案をしておられますところの二法案の問題に触れながら総括的な質問を申し上げたのであります。従ってこの問題につきましては、あらためて各論的には機会を得ましてこの質問を進めていきたいと考えておりまするので、きょうはこの程度にとどめておきまして、後日この問題につきましてはあらためて質問をいたしたい、そういうことにいたしておきたいと存じます。法案についての各論はあるのですけれども、同僚議員から質問がございますから、私の質問はこれで終わりたいと思います。
○本島委員 法案が上がりそうなこの時期を考えまして、私どもも質問がだいぶあるわけですから、そういう点を委員長も運営上お考えを願うことを前もって申し上げて、ただいまの御質問に関連して一言だけ承りたいのです。 私ども未亡人の立場に立ちますと、今回のように犠牲者に対する援護が非常におそきに失した、こういうふうに考えるわけですが、それでも今回法案が提出されて、多少の援助をしよう、こういうことは悪いことではない。けれどもおそきに失したうらみというものは、かなりあるわけなのです。なぜかというと、夫をなくして戦争にとられて、子供をかかえておる妻の今日までの苦しみというものは、今これを出されたからといって補いがつくものではない、こういうふうに私ども体験者は思うわけです。そういうようなふうにいたしまして、もう一言——先ほど言われておりましたときに厚生大臣は確約を与えて下さっておらないので、その点について関連質問をさせてもらいたいのです。ということは、戦没者の妻等に対しては今後手々差し伸べてやれというわけですが、戦災者——この戦災者というものの統計ですらも、原爆の犠牲者三十万といわれておるのに、戦災者は原爆犠牲者を含めて三十万でしょう、こういうでたらめな答弁はないと思うわけです。当時戦争の犠牲にあってなくなっていった人はずいぶんあるわけですが、戦災者の保護というものはたしか住宅に入れる程度で、それも二十六年くらいに打ち切りになっておるのです。それからこの当時なくなって、子供をかかえておる未亡人たちに対する援護は戦時中に一時金の形で打ち切られておって、戦後やられておらないのです。補償というものは何もされておらない。御承知の通り戦時災害保護という形で、先ほど答弁にもありましたけれども、空襲が激しくなってからはやっておりませんと、こう言っておられます。それ以後戦争が終わっても占領という形が外地内地に限られないで、原爆や焼夷弾を落とされたときには戦場という形が日本の内地に起こってきているわけです。そういう場合における犠牲者に対しては今日何らの手を加えられていないということが明確になったわけです。従って私どもは何としても戦争という一貫した立場に立てば、内地におる戦災の犠牲者、こういう人たちに対しても援護の手を差し伸べるべきだと思う。それに対して厚生大臣は明確な答弁をされておりませんので一言申し上げますが、当時、戦争中なくなった方々に対しては五百円程度しか金が出ておらないのです。たとえば救助作業等の危険を冒してやる人たちに七百円、千円程度で打ち切られて、しかも焼夷弾や空襲が盛んになってきてから後の保護というものは加えられていなかった。そうして働き手を失った人たちが今日までどれだけ苦しんできているか、これを認識していただき、これに対する援護の措置を近い将来にするかしないかという、それだけの御答弁をいただきたいと思うわけです。
○西村国務大臣 一般の戦災者の妻に対しても同じようにすべきではないかという御意見ですが、今の時点におきましてそれはやはり戦没者の妻と区別して考えざるを得ないのでございます。これはさいぜんもたびたび私が申し上げておるのでございますが、今回は戦歿者の妻ということで、一般戦災者に対してこれを取り上げることは、この時点では申し上げられないのであります。
○秋田委員長 井堀繁男君。
○井堀委員 ただいま提案になっております二法案、さらに社会党から提案になっております原子爆弾被爆者の医療等に関する一部改正案が提案になっておりますが、これに関連をさせながらお尋ねいたします。 本法案の改正の要点はごく明確でお尋ねする余地のないことでありますので、またその改正の趣旨が準軍属に対す処遇を改善しようというのでありますから、多年われわれの要望しておりまする点について、ようやくではありますが、改善の意図を立法の形でなされようということに対しては敬意を表するにやぶさかではございません。ただこの機会にお尋ねしておきたいと思いますのは、準軍属に対する当局の見解を少しただしてみたい、こういうふうに思います。 この法律によりますと、準軍属に対する定義がなされておるのであります。この法律の第二条第三項に、準軍属に対する規定を一から五までいたしておるのでありますが、そのおもなるものは、古い時代のものが主であります。たとえば旧国家総動員法によるものでありますとか、あるいは戦争以前に行なわれました閣議決定による義勇隊、あるいは満州開拓青年義勇隊といったようなものを列挙いたしておるのでありますが、私どもこの準軍属に対する政府の考え方をこの機会にお尋ねしてみたいと思うのであります。そうすることによりまして、本法の改正に対する趣旨が徹底すると思うからであります。厚生省が戦争犠牲者に対するいろいろな措置を取り上げて御努力なさっております点に対しては敬意を表するのでありますが、われわれから申しますと隔靴掻痒といいますか、まことに上っつらをなでて、本質を忘れておるのではないかという感じが強いのであります。そういう意味で、この法律こそ戦争犠牲者に対する保護のよりどころとして一番明確な法律だと思うからお尋ねいたすのであります。 そこでまず第一に、準軍属に対するこの法律の規定は了承しておりますが、これを拡大する御意思があるかないかを厚生大臣にこれからお尋ねしようと思うのであります。そういう意味でお聞きしますから、厚生大臣、そういうつもりで事務当局の御答弁をお聞き願いながら、一つ私の質問に答えていただきたいと思います。 まず第一、準軍属に対する処遇を今回改善しようとなさっておるのでありますが、当局の準軍属に対する実態把握について、現状で満足しておるのであるか、もう少し拡大しようとするのであるか、あるいはこの法律の解釈は、もうこれが限界であって、厚生行政の一つのよりどころになるのか、事務当局の見解をまず伺っておきたいと思います。
○山本(淺)政府委員 準軍属の範囲につきましては、いろいろお考えがあろうと存じます。御案内の通り、現在の法律におきましては、総動員法関係による国家権力が直接に対象に及んだ人、及び戦闘に直接参加せざるを得なかったような人といったような、その方の置かれた特別の地位あるいは特別の生活環境というものに着目して、法律に掲げてあるような各項目を拾っておるわけでございます。私ども法を運、営するものといたしましては、やはり先ほど来いろいろ御意見の出ました戦災者につきましても、同情の念を禁じ得ないのでございますが、援護法は、先ほども申し述べましたように、国家補償の精神に基づいて援護をするということでございますので、どうしても国との身分的なつながり、あるいは権力関係のいかん、あるいは直接戦闘に巻き込まれて相互に戦火を交えるに至った人々といったような限定を、この法律の精神によりますとどうしてもとらざるを得ないことであると考えております。しかしながら、今日の規定せられた限度でよろしいかどうかということにつきましては、問題がないわけではない、率直に言うならば、いろいろ問題はあろうと考えております。しかしながら、その中でも私ども現在若干危惧いたしておりますのは、防空関係の従事者、これは総動員関係ではございませんけれども、防空法関係に基づくところの、やはり国家権力の及んでおるという点がございますし、西ドイツでは防空関係者だけは一般の戦災者と切り離して処遇をしておるようなところもございますので、この点につきましては将来よく考えてみたいと存じております。ただし相当年月の古い時代のことでございますし、今日これを具体的に拾うとなりますと、補償関係におきまして非常に困難が伴うというような実務上の困難性はあると考えておりますが、いずれにせよ、十分今後検討をしてみたい、かように考えて おります。
○井堀委員 厚生大臣にお尋ねをいたします。今事務当局の御答弁がありましたが、私は今の答弁の中で最も重視いたしたいのは、戦争が終息いたしましてからかなり長期間にわたるということであります。なるほど、その間における事実関係などのかなりあいまいになったところもあると思いますが、私が今お尋ねいたしたいのは、元来、終戦直後こういう処理をいたさなければならないことは、当然の国の義務であった。しかし当時は、戦後日本の経済が、国民の生存を維持するに困窮しておるような、情けない話でありますが、外国の援助を得ながら細々と立て直しをやったという経過などが長く続いておるわけです。幸いにいたしまして、日本の経済も、世界の驚異するほどの発展をいたしておる今日であります。私は、今日こそ戦争犠牲者に対する徹底的な援護をはかる条件が整ってきたというべきだと思うのであります。こういう意味において、むしろ今日まで当然国が責めを果たさなければならない戦争による直接の犠牲者、その援助は当然考慮されなければならないし、また実施の可能な条件が整っておると思うのであります。そこで、本法の第一条にも規定してありますが、軍人軍属に限ったということは、言うまでもなく、戦争以前の法律概念あるいは政治支配の形の中における関係から割り出してきておるということは、この法律を一貫して流れております。それで先ほど私が第二条の三項を取り上げたのであります。でありますから、これはもちろん最小限度国が国民に対する義務を負うべき限界を明らかにしておるのでありますが、新しく日本の国を興し、過去の傷を改めていこうという建前に立たなければならぬということは、言うまでもないのであります。こういう点に対して、この援護法の抜本的改正がなされなければならぬ。それをただ、悪いことではもちろんありませんけれども、わずかに準軍属というものを多少拡大解釈をしようという努力にとどめたということは、どうしても了解ができないのであります。せっかくここまで意を用いるならば、政府としては、なぜその根本に触れて処置を講ずる改正案をなさなかったのであるか。この点、従来池田総理並びに政府が国民にいろいろ公約をいたしましたり、施政方針で述べておりますこととは、こういう事実において非常な相違がある。せっかくよい機会をとらえながら、なぜそういう急所に触れるような改正をなさらなかったのか。なぜ本質的な問題に言及されるような改正をなされなかったのであるかを、一つ厚生大臣に伺いたい。せっかくこういう提案をされながら、小言を言うような質問はいたしたくないのでありますが、竿頭一歩進めて、本問題になぜ取り組まなかったのであるかについて、何か御事情があったとするならば、その事情を伺っておきたいと思います。
○西村国務大臣 一般戦災者を含んでという話は、今の時点ではなかなか容易ならざることでございます。あくまでも国家が補償しようという建前ならば、やはり国家との関係におきまして何らかの形をとって、その犠牲になったということを建前にしておるのでございます。しかし今回の改正は、やはり紙一重で救われるものと救われぬものができる。こういうようなことは非常に遺憾でございますので、そういう建前に立ってはおりますが、その建前に立った上で救える人だけは一つ救ってやりたいという観点から、相当なこの改正をやったわけでございます。従いまして、今一般的な戦争の犠牲ということをどうして考えないかということでございますが、それは少し無理ではなかろうかと私は思うのでございまして、準軍属の点につきまするこの範囲をもう少し広げたらどうか。今後私は準軍属の範囲を絶対広げぬとは申しません。申しませんが、やはりそれには相当の理由あるいは明確に把握できるかどうかというようなこととにらみ合わせまして、進めることは十分検討はいたしまするが、全般的な戦災者を救うということは、この時点ではとうてい考えられないことじゃないか、こう思っておる次第でございます。
○井堀委員 戦争犠牲者に対する政府の考え方、方針がきわめて明らかになったのであります。私はもう少し高く買っておったのであります。先ほど事務当局の答弁の中にもちょっと触れられておりましたが、西ドイツの例などを引いて、防空関係のものを、やはり準軍属というかどうかは別として、戦争犠牲者として取り上げられた。その措置を講じようとしておるわけなのです。こういう問題については、私は、内閣の性格にももちろん関係することでありますが、それよりもっと大切なことは、与野党を問わず、戦争犠牲者に対する国の方針というものは、今後の日本を建て直す上に非常に重大な影響があるから、実は質問をいたしておるのです。決してあげ足をとったり相手の意表をつこうとするようなそういう根性ではありません。これはせっかく事務当局がちょっと言及されましたが、私どもも諸外国の戦争犠牲者に対する処遇の問題を調べた。私は、戦争に勝った国と負けた国と違いのあることはやむを得ぬといたしましても、特に敗れた敗戦の国においては、こういう問題の扱い方については戦勝国と異なった形をとることは当然であります。でありますけれども、直接戦争の犠牲を——しかもそれは時代が変わっておるのです。言いかえますならば、戦争前の日本と戦争後の日本とは、当時の指導者は、一応形式的ではありますが、処罰を受けたり、責任を追及されたりして、新しく出たものは別な形に立って国づくりをしなければならぬというのが当然でなければならぬ。こういう問題にけじめを一つ一つつけていくということが大切でありまして、そのけじめをつけるためには、この法律は最も重要であると思うからお尋ねしたのであります。決して私はあなたのあげ足をとろうなどとは一つも思っておりません。こういう将来にわたって大切な法律でありますから、改正をする際には、そこまで徹しなければならぬのではないかということをお尋ねしたわけであります。 そこで、お答えがいただけなければいただけなくても差しつかえありません。ただ、そういう大切な法律であるというふうにわれわれは理解をして、改正に対して期待をかけておる。国民はなお期待をかけておるということを注意を促すものであります。 次にお尋ねをいたしたいと思うことは、この法律によって、今後戦争関係の問題をどう扱うかという一つのものさしになると思うから、お尋ねするわけです。それは、厚生省所管、他の所管でもありましょうけれども、他の所管にありますならばついでにお答えを願いたい。戦争関係による犠牲者というものは、先ほども具体的な例があげられ、ことに私が社会党の提案に関心を寄せておりますのは、広島、長崎の原爆被害者は、ある意味において今後のいろいろな問題との関連を持ってくると思いますから、その処置は慎重でなければならぬことは言うまでもありません。そこでこの点もう一つ関連して、本法案の中における一条、二条の関係が今後影響してくると思いますが現在の長崎と広島の場合は、これはまだ私は未解決であると思うのであります。日本はやはり今後においても国際的な立場において主張しなければならぬ時期が必ずくると思うのであります。私は、この際何もアメリカや連合国を非難しようと思いませんけれども、こういう国際法で禁じられた原子爆弾が、しかも非戦闘員の多数を殺戮するような戦闘行為によって失なわれた犠牲者に対して、日本はやはり適切な処置を打っていくということが、国際的舞台における正義を訴える基本的な足場になると考えるのであります。この点に対する政府当局の見解を一つ伺っておきたいと思います。
○西村国務大臣 御質問の趣旨が非常に——はっきりしないと言っては悪いですが、国際法を犯してやったのじゃないかというようなことで、非常に法律問題となりそうでございますので、法律問題になりますれば、私からいろいろ申し上げるのはどうかと思われます。やはり今回の処置は法律以前の問題が相当あるのでございます。法律問題になりますれば、また別個のもっぱら国際法の法律解釈をめぐっての議論ではなかろうかと思われますので、私から答弁するのはどうかと思われます。
○井堀委員 最も大事な問題ではありますけれども、時間もありませんから、むしろ場所は予算委員会などにおける質問であったかとも思うのでありますが、一つそういう質問があったということを十分記憶にとどめて、今後の問題にも出てくると思われますから、次の機会を私は得たいと思っておりますから、厚生大臣からただいまの答弁がありましたことは速記などに明確になっておりますので、後日の問題としてまた言及の機会を得たいと思っております。 そこで、本法案の中における具体的な事例について一、二ただしておかなければならぬのでありますが、それは、今回の改正によりまして、準軍属に対する処遇の改善は、今後この法案に対する改善を次々と発展せしめるよい機会を得たものと敬意を実は表しておるわけであります。そういう意味でお尋ねをいたしますが、この準軍属に対する遺族給与金の問題あるいは給与期間の制限を排除するなどの処置によって、軍属と準軍属の均衡をとろうとした点であります。ここで、この部分に限って軍属と準軍属の関係を均衡せしめたのでありますが、むしろこの機会に、準軍属というものを軍属と全く同様の解釈にするという考え方にはどうしてならなかったのであるか、この点について一つお尋ねしてみたいと思います。
○山本(淺)政府委員 軍属と準軍属につきましては、先ほど申し述べました通りに、国との身分的なつながりにおいて基本的に違うのであります。従って援護法の発足当時におきましても、このような国との身分的なつながりの差というものをある程度考えざるを得ないというような次第でございまして、そういう差別があるわけでございます。それで今回の改正によりまして、金額は遺族年金の半分であるという以外につきましては、全部軍属と同じように政府としては多年の念願を果たし得たと考えておるところでございまして、そうした残っておりまする差につきましては、今後できるだけ努力をしたい、かように考えておる次第でございます。
○井堀委員 もう一つお尋ねしたいと思います。そうすると、軍属と準軍属との差は事実上必要を生じないというふうに理解しておりますが、それで間違いないでしょうか。
○山本(淺)政府委員 やはり国家補償の精神に基づいて援護するということでございますので、国家補償の限度といいますか、そういう点におきましては、全く同じにするということは、今日の段階では必ずしも適当でないんじゃないかという一面もあろうと存じます。
○井堀委員 そういたしますと、軍属と準軍属との違いをどういう点でけじめをおつけになっておるか、もう一度伺っておきたいと思います。
○山本(淺)政府委員 たとえば遺族にとりまして、全然処遇が及ばないというようなことであってはいかぬと思うのです。従いまして、六十以上の親であればすべてに行き渡る、戦時災害要件もつけないといったような点につきましては、今回差をなくしたわけでございますが、具体的な国家補償の額といたしましては、現段階においては若干の差があることもやむを得ない、こういう理解でございます。
○井堀委員 もっとも国の援護というものは、国の財政力その他の事情にもよってくると思うのでありますが、これは意見にわたりますからなんですが、こういう点の差を事実の上においてつけないようにして、自然にそういう形をなくしていくということが、最初私の質問いたしました趣旨を理解するならば明確だと思うのであります。もし議論をするとするならば、どうしても軍属と準軍属というものを、別にそういう法律の中に残しておこうとする考え方が、根拠があるかないかということについては、相当時間をかけて論議をする価値のあるものと思うのでありまして、この点を論及して明確にいたしたいと実は思っておったのでありますが、私どもに与えられた時間が非常拘束されており、非常に残念であります。今後も私はあることと思いまするが、議事進行に協力するにやぶさかではありません。法律の改正趣旨が、漸進的なものではあるけれども改善でありますから、そういう点でわが党は協力をいたしておる。委員長にも希望しておきますし、特に与党諸君にも要望をこの機会に私どもはしておきたいと思いますが、法案の重要な部分について、一党の要するに主義主張が、前提を明らかにして、そしてこういう重要部分について政府並びに当局の見解を明らかにするという機会は、最小限度の条件でなければならぬ。そういう審議の時間も得られないようなことでありましては、協力をするという以前の問題だと思いますので、きょうのところはがまんをいたします。けれども、今後こういうことを繰り返さないように、委員長には厳重に議事進行上御注意をいただきたいと要望いたしておきます。 そこで簡単に一問だけいたしておきたいと思います。準軍属と軍属の内容について、この規定の仕方が、もう問題があるわけであります。これは法律概念の上になりますが、こういう法律の精神というものをどう理解しておるかということは、政策の立て方によって変わってくると思うのであります。この議論は一応預けておきます。 そこで事務当局に伺っておきたいと思いますが、今のところこの規定は、準軍属についてはきわめて狭い範囲に限定しておりますが、この法律改正によりまして、これが漸次拡大するような機会が必ず生まれてくると期待をかけておるのであります。そういうものに対して何か御検討なさっておいでになることが、あるのかどうか、あるいはまだそこまで検討していないのであるか、この点を伺っておきたいと思います。
○山本(淺)政府委員 先ほど申し上げましたように、防空関係者につきましては速急に調査してみたいと考えております。
○井堀委員 次に、問題を変えまして、戦没者の妻に対する特別給付金の法案について、もう一点だけお尋ねをいたしておきたいと思います。 この受給権者に対する規定であります。受給権者は一から七までを列挙してありますが、この際における準軍属の立場はどういうふうに理解し、またどういうように法律の中に採用するかについて、お尋ねをいたしておきたいと思います。
○山本(淺)政府委員 準軍属の妻につきましても、ここに掲げてある条件に関する限り全部適用がございます。
○井堀委員 この要綱の第二の一、二、三、四のうち、一は「旧軍人、旧準軍人又は旧軍属」に限定をいたしておるのでありまするが、この準軍属をこの際加える考えはないのかあるのか、また規定してなくてもそういうものが適用されるのか。
○山本(淺)政府委員 それはそこではなくて、第二条の四号でございまして、「遺族援護法第二十三条第二項第一号に掲げる遺族に支給される同法による遺族給与金」、これが準軍属でございますので、遺族給与金の出ておりまする準軍属の妻には全部支給されることになっております。
○井堀委員 そういう解釈だと私思うのであります。そういう場合には、やはり準軍属というようなものを、こういうところに明記していくというふうに心がくべきではないかという意味で、実はお尋ねしたわけであります。 はなはだ残念でありまするが、時間の都合もありまするので、議事進行に協力する意味で、また他日別な機会を得て質問することにして、本日はこの程度で終わります。
○秋田委員長 河野正君。
○河野(正)委員 今回の法律によりまして、それぞれ戦没者の妻、あるいは準軍属の遺族等とありまして、新しく恩典の制度があるわけであります。そこで私は時間もございませんから、一言だけお伺いをしておきたいと思います。 御承知のように、三十四年に施行されました未帰還者に関する特別措置法によりまして、生存の期待を持てない未帰還者について、そういう方たちにつきましては厚生大臣、実際には委任を受けました都道府県知事ということになりますけれども、厚生大臣が死亡宣告を請求いたしまして、そうして裁判所が死亡を確定する。それから実はそれぞれ戦没者の妻に対しまする給付金の問題も解決するのでございますし、さらに今度行なわれます援護法の改正に基づきまするそれぞれの恩典制度が適用されるということでございます。ところが、私の手元にございまする資料を見て参りましても、昭和三十五年九月末におきまする死亡宣告の申し立て件数の累計というものが四千八百八十三件、ところがそのうち死亡宣告の確定が行なわれましたのが千七百九十二件でございます。そういたしますると、留守家族の承認をいただいて申請はしたが、今申し上げますように、過半数でありまする三千九十一件というものが、実は確定を受けないということに実態は相なっておるわけです。そこで私の心配いたしますのは、この死亡宣告というものを受けて、それぞれの法律の適用を受けるということになっておると、やはりこの死亡宣告の確定というのが非常に重要な要素になってくると思う。ところが今申し上げますように、私ども承知いたしておりまする実数というものは四千九百件近いのであって、千七百九十二件が確定されておる。これは申し立てておりますにもかかわらず、未確定のものが多いわけであります。そこで、そういう点が一体どういうふうになっておるのか、せっかく法律ができましても恩典を受けることができぬわけですから、そこでそういう点に対します御所見を一つ承っておきたいと思います。
○山本(淺)政府委員 河野先生の御指摘の点は、われわれも非常に大事な点だと思っております。法制局といろいろ詰めまして、結局戦時死亡宣告は、御案内の通り、すべて古い時代にさかのぼって死亡の日が確定するわけでございます。従いまして、先生御指摘の今日現在において死亡宣告の確定のないもの、つまりこの未亡人法の施行後に裁判の確定のありますものも、すべて死亡の時期はずっと古い時期になりますので、この戦没者の妻等の給付金法は当然適用がある、こういうふうに法制局とも打ち合わせまして、そういう読み方をしておりますので、御安心いただきたいと思います。
○河野(正)委員 適用は受けるわけですが、この死亡宣告というものがだんだんおくれて参りますと、実際に今すぐ法の適用を受けるというわけには参らない。ところが、今私が実数を申し上げますように、申請はしたが確定されないという実数が非常に多いわけですね。そういたしますと、なるほどさかのぼって適用を受けるということでございますけれども、それまで受けることができない。実は三月二十日付の朝日新聞でも、十八年ぶりに戦死公報が来た、そこで遺家族は、このお役所仕事の怠慢ぶりというのか、スローぶりというのか、そういう点に対して非常にあきれておるというような意味の記事が記載されておるわけです。時間がございませんけれども、今申し上げますように、せっかくいい法律ができましても、死亡宣告というものが、事務上であるのかあるいは裁判所の都合であるのか、いずれかわかりませんけれども、申し立てましても確定というものが非常におくれておる。この点遺家族にとりましても戦没者の妻にとりましても、私はかなり重大な問題ではなかろうかというふうに考えるわけですが、そういう点についていかがですか。
○山本(淺)政府委員 従前は、この関係遺族がこういう法律の制度をよく理解しませんで、自分の肉親は生きておるのではないかという、から頼みの気持から同意を渋っておったのでございます。ところが、最近はこの法の趣旨が非常に理解されまして、先生御指摘のように、進んで同意を申し出るような傾向でございます。現在先生の御指摘のようにおくれておる点は、一つは家庭裁判所内の問題と、それから第二は、審判が確定するまでに六カ月の告示期間を置かなければいけません、そういう関係でおくれておるような御印象をお持ちになっておることだと思います。
○河野(正)委員 今私が申し上げましたように、家族が実は生存しておるのではなかろうか、むしろそういうことを期待するために申し立てを行なわないというようなことにつきましても、留守家族の感情でありますから、私も理解することにはやぶさかではございません。ところが、実際に申し立てはしたけれども、確定がなかなかされないという実数が非常に多いわけですね。ですから、留守家族のそういうふうな感情ではなくて、むしろ私は裁判所なりそういう役所にそういう隘路があるのではなかろうか、そのために結局留守家族というものが非常に利益を受けることができないということになりますならば、私は大へんだと思うのです。そういう戦時死亡宣告の確定というものが裁判所の事情で非常におくれておる、これは留守家族の事情ではない。当然留守家族は同意をして申し立てをしておるのですから、これは留守家族の事情ではありません。要は、私が今申し上げますように裁判所の事情であろうと思いますが、一応実数というものが、これは厚生省で発表された厚生白書の数字ですから、厚生省はつかんでおるだろうと思いますけれども、非常に未確定の数字が多いし、それがもし裁判所の事情であるとするならば、やはり私はお役所と申しますか、そういう意味で促進していただくようにこれは御配慮願わぬと、せっかく同意をして申し立て申請はした、ところが今申し上げますように、このせっかく生まれた制度の恩典に浴することができないというのでは困るので、もしおくれておる隘路というものがそういうことで非常に明確であるならば、それに対して政府は最大の御配慮をいただきたい、そういうふうに申し上げておるわけです。
○山本(淺)政府委員 今先生方のお手元にこの法律案の参考資料を差し上げてございますが、百十九ページに昨年の十二月一日現在の数字が入っておりまして、先生のごらんいただきました数よりもはるかに進んだ数字が出ております。しかしながら、なお御指摘のような点はあろうと思いますので、実情をよく見きわめまして、必要がありますれば法務省を通じまして善処方をお願いするようなことも考えてみたいと思います。
○秋田委員長 ただいま議題となっております三案のうち、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案に対する質疑は終局いたしました。 —————————————
○秋田委員長 次に、ただいま質疑を終局いたしました両案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 これより戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案の両案を一括して採決いたします。 両案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、両案は原案の通り可決すべきものと決しました。(拍手) —————————————
○秋田委員長 次に、松山千惠子君、大原亨君及び井堀繁男君より、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。大原亨君。
○大原委員 ただいま議題になりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議を、自由民主党、社会党、民主社会党を代表いたしまして提案いたします。 附帯決議 政府は、軍人軍属と準軍属との間に待遇上の差別があるにかんがみ、準軍属の待遇を改善するよう今後努力すること。 以上が案文でございます。全会一致御賛成あらんことをお願いいたします。
○秋田委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、本案には松山千惠子君、大原亨君及び井堀繁男君提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、西村厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。西村厚生大臣。
○西村国務大臣 政府といたしましては、ただいまの附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、検討いたしたいと存じます。(拍手) —————————————
○秋田委員長 この際、松山千惠子君、小林進君及び井堀繁男君より、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されておりますので、その趣旨の説明を求めます。松山千惠子君。
○松山委員 私は、ただいま議題となりました戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案に対して、自民、社会、民社三党を代表いたしまして、附帯決議を付すべしとの動議の説明をいたしたいと思います。 以下、案文を朗読いたします。 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案に対する附帯決議(案) 戦争による犠牲は、戦地におけるもののみに限らず、内地等における戦争被害等を考慮すればきわめて広汎に亘っている実情にかんがみ、政府は今後、戦後法的にいまだなんらの援護をうけていない者に対する措置を検討すべきである。 以上でございますが、何とぞすみやかに御賛同を賜わり、御可決あらんことをお願い申し上げます。
○秋田委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○秋田委員長 起立総員。よって、本案には松山千惠子君、小林進君及び井堀繁男君提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、西村厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。西村厚生大臣。
○西村国務大臣 政府といたしましては、附帯決議の趣旨を尊重し、検討をいたしたいと思います。 —————————————
○秋田委員長 ただいま可決いたしました両案についての委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 暫時休憩いたします。 午後二時十一分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕