P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
43回国会衆議院1963/03/20

社会労働委員会 第22号

発言数
132
登壇者
12
会派数
2
開催日
1963/03/20

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより会議を開きます。  八木一男君外八名提出の生活保護法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。     —————————————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)議員 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題と相なりましたわが党提出の生活保護法の一部を改正する法律案、すなわち生活保障法案につき、その提案の理由、趣旨並びにその内容の大綱につき御説明申し上げます。  生活保護制度は、憲法第二十五条の精神を実現すべき制度の中で非常に大切なものであり、社会保障制度の基盤をなすものでありますが、この重要な制度を規定する生活保護法が、制定後、十数年間、その間に社会状態、家族関係、経済状態、生活水準等の急激な変遷に際会しているのにかかわらず、変化に応じた根本的な改正がなされず、その運用もまた枝葉末節にとらわれて根本的精神にもとる方向がとられ、そのため、憲法に明記された健康で文化的な生活を営む国民の基本的権利が実際には保障されず、多くの不運な人たちが人間らしい生活をなし得ないでいる現状は、まことに憤激にたえない状態であり、その間の政府の責任は、まさに重大といわなければならないと存じます。  わが党は、この現状にかんがみ、生活保護法を抜本的に改め、その重大な欠陥を是正して、憲法の条章のほんとうの意味の実現をはかろうとするものでありまして、法律名も、その趣旨に即応するよう生活保障法と改めようとするものであります。  以下、順次主要なる改正点とその理由について御説明申し上げます。  まず改正の第一の柱は、本法の施行及び改正をより実情に即した適切なものにし、特に保護の基準を適切なものにし、その改正を社会経済情勢に対応して迅速に行なわせるようにするために、生活保障審議会をつくることであります。生活保護制度には生活、住宅も教育、出産、生業、葬祭、一時の各扶助制度があり、また六種類の加算制度、四種類の控除制度があり、かつ、その基準は年令別、性別、世帯構成別、所在地域別におのおの計算されるわけでありまして、非常に複雑な構成になっておりますことは各位の御承知の通りでありますが、そのあらゆるものがあまりにも低過ぎていることは、周知の事実でございます。  まず、その中心である生活扶助制度で調べてみますと、東京都標準四人世帯で、一カ月一万二千二百十三円、一人当たり月三千五十三円しか支給しないのでありまして、そのうち飲食物費について、年令別、地域別に一食当たりを出しますと、六才から八才までが一級地で一食平均約二十二円、四級地約十六円、十八才から十九才までが一級地約二十九円、四級地約二十一円、六十才以上一級地約二十五円、四級地約十八円ということに相なるわけであります。多いところで二十円代、少ないところでは十数円代の食費という、まことに驚くべき僅少な金額に相なるわけでございまして、これでは全く健康な生活ということはできず、ただ現在生きているというだけで、自分の体力を消耗し、当然長らえるべき生命を縮めていると言っても、断じて過言ではないのであります。嗜好品費を分析いたしますると、たばこ、甘味は考慮されておらず、パンツなど消耗度の高い下着が一年に約二着余、四十ワットの電灯しかつけられない状態では、文化的な生活などとは絶対に言えないのであります。  右のような実情から見て、即時大幅な基準の引き上げが断じて必要であり、その後も物価の上昇に見合うことはもちろん、さらに一般の生活水準の向上等に従って、時を移さず改正をさるべきものであります。  しかるにかかわらず、基準の引き上げについてはその場限りのごまかしの方法しかとられていなかったため、生活扶助を受ける世帯の生活水準は、一般勤労世帯の生活水準に比して、立法当時よりぐんぐんと低下してきたのであります。  すなわち、その比率は昭和利二十六年及び二十七年が五四・八%でありましたのが、二十八年より四〇%台に下がり、三十二年度よりは三九%台に下がり、三十七年度の改定によってようやく約四二%に達しただけであります。本来、健康で文化的な最低生活の水準というものは絶えず進展すべきものであり、単純にきめがたいものでありますが、特定の地域における特定の時点においては客観的に決定し得るものであり、かつ決定すべきものであります。  しかも、最低限度というからには、その実施を予算のワクというもので縛り不可能にすることは絶対に許されないものであり、逆にそのことを国民に保障するために、予算が組まれなければならない性質のものであります。  しかるにかかわらず、この当然の原則が完全に無視され、主管官庁の予算要求が当てずっぽうのきわめて無責任、無気力、不十分のものであり、さらに、それすらも予算のワクということで大なたをふるわれるというやり方では、いつまでたっても不運な人たちが人間らしい生活を保障されることは実現できないことになり、その間における人権の侵害は、あとからではいかにしても補うことができなくなるわけであります。  このような欠陥をなくし、かつ、この法律の運用の大綱をより実情に即したものとし、この法律に筋金を入れるために生活保障審議会の制度を設けようとするものであります。すなわち、同法の第二章のあとに生活保障審議会の市を起こし、基準決定に関する厚生大臣の権限との関係に関して第八条に第三項から第五項までを新しく規定するほか、所要の改正をすることによって同審議会の活用をはかろうとするものでありまして、まず審議会は、両院の同意を得て内閣総理大臣が任命する委員八名及び厚生、労働、大蔵、地方自治、文部各事務次官、計十三名をもって構成され、十分重大な任務を補佐するに足る事務局を置き、毎年一回以上保護の基準の適否に関する報告をし、変更の必要を認める場合の勧告権を持ち、厚生大臣はこれについて必要な措置を講ずべきこととし、また厚生大臣に保護基準の制定改正の際の諮問義務を課し、厚生大臣が審議会の意見によりがたいと認める場合の再諮問義務を規定するとともに、従来社会福祉事業法に規定されておりました、社会福祉審議会の生活保護専門分科会の機能をも本審議会に吸収し、実施要領その他の本法の施行に関する重要事項及び本法の改正についても諮問を受け、またはみずから進んで関係行政庁に意見を述べ、関係行政庁はこれらの答申、勧告、意見を尊重すべき義務を規定するものでありまして、審議会として最も大きな権限を付与して、その熱心な調査、民主的な審議による適切迅速なる決定によって、従来の政府の怠慢、無責任のため憲法第二十五条の精神が実際に十分に確立されていない弊を除こうとするものであります。  改正の第二の柱は自立助長に関してであります。  本法の目的として、第一条に自立助長が明記をされておりますが、自後の具体的条文はわずか生業扶助の項を除いて、それ以外はこの目的を実現しようという意味を持つものは全然なく、それのみか、この目的を抹殺する作用を有する第四条の如き規定すらあるのであります。  自立助長は対象者が機械ではなく、生きた感情を持つ人間であることを念頭に入れたものでなければ実効が上がりません。現在の収入認定の制度は、不運な人が何とか苦しい努力の中から人間らしい生活を再建しようとする意欲を喪失させる仕組みになっております。夫が死亡し、足腰の不自由な老母と、幼い三人、四人の子をかかえている母が懸命に働いた収入が扶助の金から差し引かれるのでは、疲れだけが残る仕事をやめて、せめて家族たちのそばにいて子供たちをかわいがり、親に孝養を尽くした方がよいという気持になることはあたりまえの話であろうと思います。苦しい中、条件の悪い中で母を慕う子供、看護してあげたい親を目をつぶって家に残し働きに出ることは、その子供に、親に、少しでもおいしいもの、栄養になるものを食べさせたいという考え方で気力をふるって働いているのに、その収入が実際の生活を潤すものにならないのでは、働く意欲など喪失し、自立の道は閉ざされてしまうことは明らかであります。  現在の制度の運用においてもこの実態が直視され、行政上はこの法律をできるだけ広く解釈して、冷酷無比な収入認定の制度を緩和しようという方法がとられておりますが、いかにせん第一四条第一項の鬼畜のごとき条文に縛られて、十分なものになっておりません。  いわゆる勤労控除という制度は、大衆の切なる希望に従って厚生省が知恵をしぼり切ってつくった制度でありますが、条文に縛られて必要経費の控除という理論の上にしか立てないため、実際の働きによる実生活の向上という問題はほとんど解決しておらず、勤勉控除等でもし実際的に幾分の効果ありとしても、この制度は働く者一名につき幾らの控除の制度であって、前例のごとき、家族を多くかかえた未亡人には何分の一の効果しか及ばないわけであります。従って、この勤労控除の制度は必要経費補てんという目的のため有効な制度であり、存続拡充すべきでありますが、ほんとうに自立を促進するためには、これとは別に対象家族に応じた、しかも必要経費というワクに縛られない収入認定控除の制度をつくり、要保護者家庭中のある程度働き得るものが、家族のために一生懸命働いた収入が実際に相当程度全家族を潤し、その結果さらに働く意欲を燃やし、仕事の習熟、顧客の増加等によってさらに収入がふえ、自立の道が急速にかつ大きく開けるようすべきであります。本案はそのため第八条の二の規定を新しく設け、右の目的を達成しようとするものであります。  以上は、自立助長をはばむ収入認定を緩和しようとする条文でありますが、他の点においても、自立助長に配慮いたしておりますことはもちろんであります。  改正の第三の柱は、適用の過酷な要件を緩和しようとするものであります。  現行法でこれを規定しておりますのは、保護の補足性の条項、すなわち、第四条第一項及び第二項であります。まず第一項は、「保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。」と規定されているのでありまして、「あらゆるもの」まで極端に縛ったこの過酷きわまる条文のために、数年前までは病床の老人がただ一つの楽しみであったラジオ、それも売り払った場合幾ばくの金にもならないものでも処分しなければ扶助が受けられない、なき夫の形見の記念品を泣く泣く手離さなければ扶助が受けられない、田畑のまん中の家を処分しなければ医療扶助が受けられないといった状態があったわけであります。  このように、実情に合わない条文に対して、行政に当たる者は、厳密にいえば、この悪条文を幾分犯したともいうべき苦しい解釈をしながらできるだけあたたかい運用がなされ、現在ではラジオとか、自転車とかを保有し、かつ家屋等の全般的な処分をしなくても保護が受けられるようになってはおり、また、逐年幾分ずつ緩和される傾向にありますけれども、やはりこの条文に縛られて、実情にそぐわず、対象者の人間らしい感情を踏みにじり、あるいは再起の希望を断つことが非常に多いわけであります。  この点を改めるため、右条文中、「その他あらゆるもの」を「その他のもの」に改めて、冷酷な鉄条網を取り払い、さらに積極的に第四条第一項に後段を加えて、たとえば親の形見、夫婦の記念品、老人、病人、子供等の娯楽品など、社会通念上保有されることが適当なもの及び将来再起のため必要な、たとえば家屋、田畑、店舗、オートバイ、三輪車等々、自立助長に適当なものの保有をしたままで保護が受けられるようにしようとするものであります。  次に、第二項では、民法の扶養義務者の扶養が本法保護に優先して行なわれるものとすることになっており、この条文のため、家族とともに余裕のないきりきりの生活をしている人が要保護者に対する扶養義務のため、その生活を破壊されたり、またそれをめぐって親戚間の感情が対立したり、また遠方に親戚がいるため保護を必要とする者が急速に保護が受けられなかったり、いろいろの不都合が生じ、担当者も扱いに苦悩する現状にかんがみ、実情に合わない民法の扶養義務優先条項を削除して、あたたかい運営を行なおうとするものであります。  改正の第四の柱は、現在保護は世帯を単位とし行なうことを原則としているのを、個人単位を原則とすることに改めようとするものであります。  現在世帯単位を原則とされているため、民法にいわゆる生活保持義務者ではない扶養義務者が同一世帯にいることによって、要保護者と完全に同一水準の生活をしいられることになっていることは、全く不合理といわなければならないことでありまして、実例をもって考えてみますと、障害者の父、病人の母、幼い弟妹二名と同一世帯でいる十八才の少年が、どのくらい懸命に働いても、収入がこの五人分の生活保護費以上の金額にならない限り実生活費を引き上げることにならないわけであって、若い青年の人権がじゅうりんされ、両親に対する孝心も実際には実を結ばないことになるわけでありますので、このような重大な欠陥をなくすため、第十条な改め、原則的に個人単位とし、ただ例外として同一世帯の夫婦と未成年の子供のみを単位として扱うことにしようとするものであります。  このことによって、要保護世帯の中で懸命な努力をする青少年は、その働きに見合う生活を建設し、かつ実際的には収入のある部分は、両親や弟妹の生活のため消費せられて、青少年の勤労による自己の生活建設の努力と、家族に少しでもよい生活をと願う愛情が、実際上実を結ぶことになると考えるものであります。  改正の第五の柱は、本法施行上の苦情の処理を民主的なものにするため、中央、地方に苦情処理機関を置こうとするものであります。  従来、本法の取り扱いにいろいろ苦情が生じ、かつ、その処理が必ずしも適切に行なわれないことは、いわゆる朝日裁判の例をもっても明らかでありますが、裁判に訴えることはもちろん、実際は官僚の手によって冷やかに処理されることが多い、知事決定に期待が持てず、苦情申し立てすらもあきらめている対象者が多い今日、民主的な機関を設けて本法のよき運用を期することが緊要なことであり、そのため、第六十五条の二の規定を新設し、第六十六条に改正を加えまして、保護の決定及び実施についての審査請求や再審査請求については、厚生大臣が裁決する場合は中央生活保障審査会の、都道府県知事が裁決する場合は地方生活保障審葺合の議決を経て行なわなければならないものとし、第九章の二を新設して、中央審査会及び地方審査会の組織及び権限を規定したのであります。  中央審査会は厚生省に置かれるものであり、厚生大臣の任命する学識経験者六名、関係行政機関の職員五名、計十一名をもって構成するものであります。特に、その機関の特質にかんがみ、心身故障など特別の場合のほかは、その意に反して罷免することができないことにしようとするものであります。地方審査会は、各都道府県に置かれるものであり、関係地方公共団体の職員六名、学識経験者七名、計十三名をもって構成し、委員の身分が保障されることは、中央審査会と同様であります。  以上が具体的な改正点でありますが、その他本法の理念を明らかにするための改正を行なうものであります。  まず、現行法の目的が、生活に困窮する国民に対してつくられたものであるとしているのを発展させ、憲法第二十五条の理念を明確に確立させるため、生活に困窮するというあいまい、かつ消極的な規定を改め、健康で文化的な生活を維持することができないものに対して適用させるものであることを規定するため、第一条及び第四条を改正し、さらにこの改正と前述五項の抜本的な本法骨組み改造に対応し、かつ、題名より恩恵的なものであるという誤解を一掃し、国民の生存権を明確にするため、題名を生活保障法と改正しようとするものであります。  本改正法は、昭和三十八年十月一日から施行しようとするものであり、ただし、生活保障審議会に関する規定は、その任務上昭和三十八年四月一日公布から直ちに施行するものであります。  本法施行に要する直接の費用は、生活保障審議会及び審査会の費用で年間約五千万円であります。  以上が本法案の内容の概要でありますが、要するに本法案は、社会保障の基盤の法律である生活保護法が、あらゆる面でその目的を十分に果たしておらず、国民の生存権がはなはだしく侵害されている点を根本的に改め、憲法第二十五条の精神を実際に確立しようとするものであります。健康な生活を保障する目的を持った法律が不完全であり、対象者が自分の体力を食べて健康をすり減らしながら毎日を送らなければならない状態、文化的などとはどんな観点よりも言えない状態、寿命や人間性をすり減らす状態を幾分でも少なくするためには、この法律をごまかすことすらしなくてはならない状態、関係官庁が違反すれすれの行政解釈をしなければならない状態等を考えるとき、生活保護法の改正は一日もゆるがせにすることはできないと存じます。  このような欠点を根本的に改め、ほんとうに健康で文化的な生活を保障し、さらにほんとうに自立の助長をはかるため、あらゆる観点から検討いたしました本法案でありまして、憲法を尊重し擁護する義務を持たされ、そのことに最も忠実な各位の慎重な御審議の上、急速なる満場一致の御可決を心からお願いする次第であります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 本案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ————◇—————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 内閣提出の、戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案を議題とし、審査を進めます。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 まず提案理由の説明を聴取いたします。西村厚生大臣。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 ただいま議題となりました戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  過ぐる大戦において、戦闘その他公務により死没された軍人、軍属、準軍属等の戦没者等の遺族の方々に対し、政府といたしましては、恩給法、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の施行により、公務扶助料、遺族年金等を支給するなど、これまででき得る限りの措置を講じてきたところであります。  しかしながら、これらの遺族の方々のうちでも、戦没者等の妻であった方々につきましては、一心同体ともいうべき夫を失ったという大きな心の痛手を受けつつ今日に至ったという特別の事情があると考えられます。従いまして、この際、このような戦没者等の妻の精神的痛苦に対しまして、国としても何らかの形において慰謝することが必要であるものと考え、これらの方々に特別給付金を支給することといたしますため、ここに、この法案を提案することといたした次第であります。  次に、この法案の概要について御説明いたします。  まず、第一に、昭和十二年七月七日に勃発した日華事変以後に公務上負傷し、または疾病にかかり、これにより死亡した者の妻であったことにより、本年四月一日において、旧軍人、旧準軍人または旧軍属にかかる公務扶助料、特例扶助料、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金、特例遺族年金または遺族給与金、もとの陸軍または海軍の雇傭人簿にかかる旧令共済殉職年金等を受ける権利を有する妻に二十万円の特別給付金を支給することといたしたことであります。  第二に、この特別給付金は、十年以内に償還すべき記名国債をもって交付するとともに、この国債は無利子とし、昭和三十八年五月一日をもって発行することにいたしました。  なお、国債の償還金の支払いについては省令をもって規定いたすこととなりますが、本年十月三十一日に第一回として一万円を、その後、一回に一万円ずつ毎年二回、最終回は昭和四十八年四月三十日に一万円を支払うことといたしております。  第三に、特別給付金を受ける権利は、譲渡を禁止しておりますが、相続についてはこれを無条件に認めるとともに、国債についての継承についても、民法の原則により相続人が受継するものといたしております。  その他、特別給付金につきましての時効、差し押えの禁止、非課税、実施機関等所要の事項を規定いたしております。  なお、この法律による特別給付金の支給件数は約四十四万程度と見込んでおります。  以上がこの法律を提出いたしました理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 次に、ただいま提案理由の説明を聴取いたしました戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案にあわせて、内閣提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、国民健康保険法等の一部を改正する法律案及び滝井義高君外十一名提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。長谷川保君。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案について若干の質問をいたしたいと存じます。  まず最初に伺いたいことは、この提案理由の説明を拝見いたしましても、戦没者の妻の精神的な痛苦に対しまして国として何らかの形において慰謝をしたいということであります。誤った帝国主義の考え方からいたしまする大束亜戦争及びその前の日華事変等々、まことに大へん遺憾なことでございましたが、ことにこの誤った戦争の最大の犠牲者となりましたものは戦没者の奥さんたちでありまして、まことに私どもは、この戦没者の奥さんたちに対しましては深い同情をし、また何とかしてその生活が守られて、子たちとともにりっぱに過ごしていただきたいということは、われわれすべての国民の深い念願であります。今回この種の法案ができましたことにつきましては、社会党といたしましてもそういう立場で賛成の意を表するつもりでございますが、軍人恩給が復活いたしますときに、私ども社会党といたしましては、軍人恩給の復活という立場ではなくて、すべての国民がいわば戦争の犠牲者である、従って全国民の中で不幸な人々、生活が困難な人々、そういう人々を国が平等にささえ、保護し、そしてすべての人々が貧しくとも健康な生活ができるようにという立場で、全国の未亡人たちにも、みなしごたちにも、生活に困難をする人々にも、社会保障をすべきであるということを強く主張したのであります。しかし、当時社会保障という言葉に対する遺族の一部の方々の誤解、また、ためにする者の扇動等もありまして、生活保護を受けるということをむしろ非常な不名誉とするという考え方が、社会保障と結び合わされるのに非常に誤解がありまして、そしてついにそういうわれわれの主張は受け入れられませんで、軍人恩給の復活という特別な方々に対する保障という形になっていったわけであります。私どももやむを得ず、そういう立場を遺族の方々がお持ちになるようならばということで、当時、位階勲等による差別をとれ、戦没者の遺族に対しましては全部平等に恩給を出すようにということで強く主張したのでありましたが、今日この法案が出てくるに及びましても今日の軍人恩給の、ことに一番大きな犠牲者でありました、いわゆる職業軍人でない方々、田畑から、工場から、家庭から召集されて参りました方々の御遺族、つまり下級の兵等に対しまする恩給等が額としてきわめて不十分であって、何とかしてこれをもっと多いものにして、生活が安定をして子たちを育てて参ることができるようにということを考えております立場から、今回のこの法案につきましては、それに対しまするせめてもの補強のことになるであろう、またせめてもの慰めになるであろうということでこのことを考えるのでございますけれども、ただ、この提案理由の説明を見て参りましてふに落ちない、筋がうまく通っていないのではないかという点が少し考えられるのであります。まずここに、戦没者の妻に対する精神的痛苦に対しての慰謝ということでこれがなされるということになっておりますけれども、この趣旨をこういうようにのみ考えていっていいのであろうか、まずそのことを伺いたいと思うのであります。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 今回の未亡人に対する給付金の性格は何かということであろうと思います。昔の遠い日清、日露の戦争当時におきましても、妻が夫をなくしたという悲しみに対しましては同じことであったと思うのでありまするが、今回の日華事変以来の戦争おきましては、一心同体の夫を失ったということの妻の悲しみとしては、それ以上に世間の目と申しますか、世間の考えといいますか、戦没者の妻に対する処遇といいますか、世間の感じがだいぶ違って、ほんとうに夫を失いながら、世間的冷遇の中に生活をしながら今日に来たったと思うのであります。これは敗戦という非常にみじめな現実につながりましたことでございます。従いまして、従来の戦争も妻としてはまことに忍びがたいものでありまするけれども、今回の戦争における妻の立場は、それ以上に特別なものがあったと思うのでございます。従いまして、国家といたしましてこれらの方々に何らかの形で慰謝したい。戦争が済みました直前には、わずかながら慰謝の意味でおお灯明代というものを差し上げましたが、今日国家といたしましても、やや経済もよくなったという立場において、これはぜひとも考えてやらなければならぬ、いわゆる特別な状況にあったということに対するほんとうの心からの慰謝ということでございます。従いまして、この金の性格はどうであるかを一言で言えば、この金は、現在の未亡人が置かれておった特別な事情にかんがみまして慰謝をするのだ、こういうことに解しておる次第でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 その趣旨は賛成でありますけれども、戦没者の妻に対する慰謝という形でこれが立案されたものであるとしますならば、二つの問題が起こってくるのであります。   一つは、第五条の権利の承継のことでありますが、戦没者の妻を慰めるということであれば、すでに施行前になくなりましてこの権利を請求することができなかった人々、なくなった婦人たち、それからいま一つは、これを受けた後に民法に従って相続をする、その相続人がこの権利を承継するというのは変ではないか、もうなくなってしまった人に対しましては、いかんとも慰謝の方法はないのであります。またこの旅行後に戦没者の妻がなくなりまして、あとその相続人が相続していくのは変ではないか、このことが一つの私の疑問であります。戦没者の妻に対する慰めということであれば筋が通らぬのではないか、これが一つであります。  もう一つは、日華事変からいたしまして太平洋戦争になりましてから、御承知のように空襲があった、内地もついに戦場と化して、防空のために動員されておりましたような方々の中で、空襲を受けてその夫が死んだ、ことに町の防空に動員されておりました方々、そういう方々がついに火に囲まれて死んだというような例がたくさんございます。その残されました妻に対する援護は、生活保護等々除きましてはされておらない、あるいは母子福祉資金の貸付等の制度を除きましては、何ら援護されておらないと思うのです。そういうような人々が、今日やはり同じ戦争の犠牲者として、戦争のために特に大きな痛手を受けました者といたしまして取り残されておると思うのです。そういう人たちも、みんな地方では未亡人会等を一緒にやっていらっしゃいます。ところが、今回のこの措置がそういう人たちに及ばないということになりますと、そういう人たちを、今この制度が行なわれることによって、ことさらにまた悲しませると思うのです。自分の夫が同じように戦争で死んだ、そして自分たちは子供をかかえて悪戦苦闘してきた、しかるにもかかわらず、今回の措置は戦没者、軍人、準軍人等の方々に対する措置であって、同じように戦争の犠牲者となりながら、自分たちはまたここで国家から何らの保護を受けられないということは、私は悲しみを新たにさせるものだと思うのです。またそういうことが同じ地方の、今まで手を取り合って助け合って参りました未亡人会に水をさすという形になって、そこにねたみ心やその他のものが起こってきて、せっかく今日までがっちり手を組んで、お互いに助け合って参りましたものにひびが入る。そういうことをさすべきではない。だからこの際一歩を進めて、そういうような防空活動その他に動員されてなくなられましたような方々、空襲を受けてその中で夫を失いました方々、あるいは広島の原爆等々によって夫を失いましたような方々、そういう未亡人たちにもこの恩恵を広げていくべきである。そしてそういうような冷たいものが、悲しいものが未亡人会等に入ってこないように、そして同じ戦争の中で夫を失って苦闘して参りました方々を、また新たな涙にむせさせないようにすべきだと思うのでありますけれども、この二つの点を大臣はどうお考えになりますか、伺いたいのであります。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 その対象をどういうふうにつかまえるかということでありますが、この法律としては、日華事変以後の戦争に限っておるということ。もう一つは、現在のいろいろな援護法その他でもって、それぞれ公務扶助料とかあるいは特別の扶助料あるいはこの特別遺族年金とか、いろいろな法律によって、それぞれ遺族は扶助料をいただいておるのであります。今回の戦争によって、多かれ少なかれ皆さん犠牲者があるわけです。しかし、それと区別されて、遺族の方々は特別な扶助を受けられておる。従いまして、そういう扶助を受けられておる妻を対象にいたしておるのであります。しこうして、未亡人の慰謝というならば、死んだ方は一体どうするんだというようなことも、まことに公平の原則からいきますとどうかと思われますけれども、法律で支給する場合には、今の援護法におきましても、やはりある時点を限りまして考えておることでございますし、それからまた、妻にやるならば、再婚したらどうするかというような議論も起こります。けれども、少なくともこの法律施行のときに資格を持っておる方々に対しましての慰謝ということでございますから、その方に何とか幸福になってもらいたいということを念願するためのものでございますから、その資格の後に本人がどういうふうなことになったかということで、失格するということはかえってどうだろうかと思われます。従いまして、これをもう少し広く考えたらどうか、こう申しますが、やはり現在の遺族というものにつきましても、それぞれ公務扶助料、特別の扶助料をもらっておる方々は、今回の戦争において特別な事情のあったものでございますから、そういうものを受けておる方々を対象につかまえるのが適当ではなかろうか、こう考えたような次第でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私が申しますのは、戦没者の妻を慰めるということ、それは賛成ですよ。非常にいいことです。ぜひしなければならぬと思いますが、今申しましたように、それならばもうなくなった方にもそれを出すというのは、少し筋が通らないのじゃないかということと、一方に、今申しましたように戦災の未亡人が何らの保護を受けずしておるわけです。その人々にまでこの法律はなぜ広げていかないか。だからそういうような今まで恩給法、援護法、共済組合等によるもの、いろいろ書いてございますけれども、そういうような方たちだけではなくて、この際やはり、戦争によって一番大きな痛手を受けた被害者中の被害者である戦没者の妻という方々を慰めるというならば、なぜ空襲等によって夫を失って、同じように苦闘してこられました方々を慰めるようにしないか。もしそういうなくなった方あるいは相続者にこの権利を承継するというほどの親切があるならば、なぜ戦災で夫を失った、同じような戦争の痛手を受けました方々に対しても、これを広げないかということを聞いておるのでありまして、その点を……。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 一言補足いたします。  ただいまの先生の御意見ごもっともでございますが、こういうふうに立法の際には考えた次第でございます。先ほどのお話にもございましたように、この法律施行前になくなられました戦没者の妻につきましても、今はなくなっておられますけれども、過去におきまして特段の御心労をせられた人々であることに思いをいたしますと、まことに同情を禁じがたいものがあるわけでございますが、先ほどお話にもございましたように、国民経済の回復を見た今日、国として慰謝するという考えをとろうとするその際には、すでに対象として存在していないということによりまして、過去のそうした妻には、お慰めする方途としてこういう措置をとることができないということで対象としないわけでございます。そういうことをするならば、それでは今後法律施行後なくなった人については、その相続人にまで権利を引き続き与えるということは行き過ぎでないかという点も、確かに御議論のあるところでございますけれども、政府部内でいろいろと検討いたしました結果、この給付金はあくまで一時金の性格を持ったものである。従って、支払いは国債という形であと十年にわたりますけれども、金の本旨としては、今日国家財政に十分な力があるならば、今日二十万円一度にお上げすべきところの性質の一時金である。そういう一時金であるといたしますれば、今後なくなられた人につきましても二十万円を与えますという、そういう形での慰謝を国として表明した以上、その者がなくなったからといって、二十万円の権利の裁定をしたことを、結果において取り消すようなことをするようなことは適当でない、こういう考えで、死亡あるいは再婚等によって、ただいま大臣が申されましたような気持で失権させないということにした次第でございますし、こうした個人に交付する公債の形といたしましては、相続人に権利を与えることが本筋でございますので、そういう常例に従ったということでございます。  それから、ただいま最後に御指摘のございました戦災者の中でも、防空に従事いたしました人につきましては、十分特別な事情が考えられると存じます。これは確かに一般の戦災者とは違って、当時の社会の特別の危険な任務についた方々でございます。従いまして、こういう人々をどう処遇するかということは、この法律のいわば根っこでございますただいま御指摘の遺族援護法の問題として、将来十分に検討するという必要があろうと存じます。今日といたしましては、非常に挙証が困難なようにわれわれの今日までの研究では見ておりますけれども、御指摘のように問題がございますので、将来の問題として十分検討させていただきたい。そういう上でまたこの給付金の適用をやるかどうかということが、二段目に考えらるべき問題だと考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私は確かに、あの敗戦の空襲のさなかで、いろいろそういうことで防空活動をしておった、そこでついになくなったというようなことを証明することが困難である、挙証が困難であるということで今まで手がつかなかった、そしてこの問題にも今度は入れないで、次の段階で援護法において考えていこうというお話でありますが、やはりこういう新しい制度をつくるときには、そのときにやらないといけません。今申しましたように、私が心配しますのは、今まで一緒に手を組んで、未亡人会等で仲よく励まし合ってやってきた人たちの中にみぞが入りますよ。私はすでにそれを聞いておる、耳にしておるのです。こういうように、国の力ができてきたから戦没者の妻を慰めよう、大へんいいことだと思うのです。大へんいいことだから、どうかそのことによってみぞが入らないように、涙を新たに流す者がないようにさしていただきたい。みんな慰めてやってもらいたいと私は思うのです。だから、むしろ防空活動を夫がしておってついに死んだということの挙証が困難であるならば、何もそこにとどめなくても、戦災で夫を失った——その戦災で死んだということはみなわかります。これは今戸籍簿を見ればみんなわかります。まだまだ今日の段階でありますれば、現地において、その市町村においてお調べになればみんなわかります。だから防空活動とばかり言わなくても、空襲を受けて戦災で死んだということそれ自体が、いわば国の誤った政策による失敗でありますし、国の責任でありますから、従って、そういう人たちまで全部広げればできるじゃないか。だからこの法律をつくりますならば、今これをやるべきである。そうして新しい涙を流さないようにすべきである。戦没者の妻を慰めるという大へんいい考え方でこの仕事をやるのでありますから、同じ戦災でなくなった人の妻に新しい涙を流させないようにしてもらいたい。これをそこまで広げると申しましても、これは四十四万と参考資料に書いてございますから、それならばそう大したことはないと私は思います。だからそういう人たちにもこれを広げてもらいたい。この法律はみんなが喜ぶ法律にしてもらいたい。そしてさらに局長がおっしゃるように、なおそういう人たちにも、遺族の援護法を将来当てはめていくということをまた考えてやってもらいたい。必ず将来遺族の援護法を改めて、そういう方々を吸収するというよりも、むしろ今日新しいこの法律ができるのであります、そして国の税金を出すのでありますから、このときに、やはりこの法律で吸収できるだけのことは吸収しておくということをすべきでありまして、こういうことに対しては、私は戦没者の妻の方々も何ら異存はないと思うのです。自分たちの仲間みんなに広げてもらいたい、こういうのは当然であろうと思うのです。私はすでにある未亡人会でそういうことを耳にいたしましたので、このことをことに強く要求するわけでありますけれども、当然そこまで広げてやればいいじゃないか。そうすれば、これはすべてのこの戦争による未亡人たちを一様に慰めることになりますから、この新しい法律をつくるこの際こそこれをやるべきだ、そこまで広げるべきであると思うのであります。ことに、おそらく、この法律の提案の説明には書いてございませんけれども、この法律が提案されておりますうしろには、御承知のように家族制度が順次崩壊をして、ようやく戦争の犠牲者でありました戦没者の奥さんたちも子供たちが大きくなって、もう戦後十八年、十八才以上になってきた、こういうときでありまして、順次お子さんたちが成人して一人前になって、新しく家庭をつくっていかれるということになった。しかし家族制度が崩壊してきております関係上、そこに新しいものの考え方と古いものの考え方との間にみぞができる、そこにまた、長い間暮らしてきて子供たちを育てたにかかわらず、新しい涙の極ができてくるということもないとは言えないと思うのであります。そういう方々のためにも、これはほんの一助のものではありますけれども、苦労して参りました戦没者の妻たちを、そこで幾らかでもより平安な生活ができるように、安らかな生活ができるようにということをこの点で考えていっているのだと私は推測をし、またそういう効果があるものと考えておるのであります。そういうような意味をも含んでいると思いますので、同じ戦争による犠牲者となられました戦災の未亡人たちに対しましても当然今これを広げるべきだ、こう思うのであります。大臣、この点はどうでしょう。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 これは一般戦災者に対してどうするかということでございまして、その一般戦災者のうちで特に戦争と濃厚な関係を持った方があるじゃないかという御質問です。それも一応はわかりますけれどももやはりこの対象者のつかまえ方は、現在この法が施行される本年の四月一日において、それぞれの理由があって、公務扶助料とか給付金とか、いろいろいただいておる、そういうものは的確にわかっておるものでございますから、それを対象にすべきでありまして、一般戦災者も、それによって未亡人になったということをつかまえるということは、これは別な問題でございます。従いまして、十分お気持はわかりますけれども、その一般戦災者のうちで特別な対象が、何らかの形で遺族の給付を受けるというようなことになれば、それはそのときというよりいたし方がないのでございます。今局長からもその対象をつかまえがたいということを申しましたが、その対象をつかまえがたいということもありますし、もう一つは、一般戦災者との対比の問題にもなります。従いまして、現在何らかの形で行なわれておる扶助料その他を受けておられる方々を対象にするというより以上に、対象のつかまえ方がないと思うのであります。気持はわかりますけれども、対象はさように考えて適当ではなかろうか、現在の時点におきましてはそれが適当ではなかろうか、かように考えておる次第でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 世界の文明国ではどこでも十分な寡婦年金等があるわけでありますが、日本におきましては、国民年金等の中にありますものも、きわめてわずかの人しか対象としておりません。また金額もわずかであります。だから私は、日本がその点おくれておりますから、今ここでこういうものが出ていくならば、厚生年金とは違いますけれども、やはり本来は、全部の未亡人たちにも適当な方法で寡婦年金等の制度を十分につくるべきでありますけれども、まだそこまでいっておりませんから、今この法律を新たにつくろうというならば、市町村へ行って調べればそんなにむずかしいことではありませんから、私はぜひそこまでこの法律を広めることを考えてもらいたい。もしそういうことをしていくことによってこの法律の成立がおくれて、せっかく非常に喜んで待っております戦没者の妻たちが、それについて非常に待ち遠しく考えられ、がっかりなさるというようなことであるならば、第二次として——第一次の今度はこうするが、第二次としてそういう方たちをも考えて、そういう方たちにも同じような処遇をしよう、少しくおくれましても、こういうふうにしてもけっこうだと思うのです。そういうことになれば、先ほど申しましたように、せっかく各地の未亡人会が非常にりっぱに活動して、戦没者の妻と子たちを守って参りましたその美しい、けなげな活動に、先ほど申しましたような悲しいみぞが入るというようなことがなくて済むから、どうかそういう点について、もっと考えてほしいと思うのです。  それから、私の持ち時間はもうすでにわずかでありますし、その点はまた後に滝井委員等もお聞きになると思いますから、次に伺っておきたいことは、この給付金は、たとえば生活扶助を受けております場合、生活扶助の方を削るというようなことはないのかどうか、それとは関係ないのかどうか、その点を一つお伺いします。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 この交付金を生活扶助において収入と認めるかどうかという点でございますが、これはただいま大蔵省といろいろ打ち合わせ中でございます。目下検討いたしております。検討いたしておりますが、気持といたしましては、この交付金の特殊な性格にかんがみまして慎重に取り扱いたい、かように思っておりますから、今ここでそれは交付の対象にするとかしないということは、ちょっと申し上げにくいのでございます。ただいま一生懸命検討中でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 この点は、戦没者の妻を慰めるという立場でこの法律ができるのでありますから、これは絶対に収入と認定して削るべきでない、もしそういうことをしますならば——またそのことで、気の毒な貧しい戦没者の妻によけい大きな涙を流させることは絶対にすべきではない、もしそういうことをするというならば、私はこの法律に反対します。そういうむざんなことをすべきでない。これはあくまで収入認定とは別個なものとしてやってもらいたい。この点は切に要求をいたしておきます。  それから、この法律をさっと読んだだけで私は読み落としがあるかもしれませんが、新聞報道では、再婚した場合にもこの給付をするということであります。この法律を読んだところでは、そういう点が何も書いてないように思うのですが、その点はどうなるのでありますか、私はその点を明確にしておきたいと思う。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 収入認定の問題ですが、せっかく御意見もあることですし、今この段階では、私はここでどうということは言えませんが、御意見のあるところは十分尊重いたして参りたい、かように考えております。  なお、あとの問題は事務当局から説明させます。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 再婚も死亡と同様でございます。先ほど申しましたように権利を裁定いたしますと、その者に二十万円を上げるという権利が確立するわけでございます。あとは本人がなくなった場合に相続人が——死亡するというようなことは当然民法でいきますし、再婚の場合におきましては、その権利を受けたその者がおるわけでございまして、積極的に法律で排除しない限り、あくまでその者に権利が続くということでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 そうすると、再婚した戦没者の妻にはこなくて、その権利を承継した者にくるということでございますね。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 ちょっと説明が不十分でございましたが、再婚した場合におきましては、再婚しました妻であった方その方自身が本然の権利者でございますので、その方がなくならない限り、その方が引き続いて受けるわけであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 それでよろしいと私は思うのであります。そういうことであればけっこうだと思います。  それからもう一つ伺いたいことは、これは無利子としたということですね。先ほどのお話のように、これは一時金の性格のものを国が金がないから分けて出すのだ、こういう意味で無利子とするのだということなのかどうか。どうも一時金として出すべきものを、国が金がないから長いことかかって出すということであれば、十年間にこれを支給するということであれば国債を出すのでありますから、当然利子をつけるべきだと思うが、利子を無利子としたというのはどういう理論的根拠があるのか伺いたい。その他の国債は全部利子がついているのが、これだけつけないのは、どういう理論的根拠があるのか伺いたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 個人に交付する国債でございまするから、普通常識的に考えれば、ある金額を定めて利子をつける、これが普通の行き方でございましょう。しかし、要するに、その元金と利子とをどれだけにするかということが一番大事なことなんでございます。こういうような点で利子をつけない根拠いかん、こう問われると、非常にむずかしい根拠はないわけでございますが、元利を含めて二十万円とするのが適当でなかろうか、こう見たわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 要するに、つかみ金のお見舞金を差し上げるということですな。わかりました。  そこで、もう一つ伺っておきたいことは、第三条及び第六条の関係です。これは第三条に、未亡人の請求に基づいて、厚生大臣が行なうということになっていますね。これが全国的にみなうまくいくかどうか。なるほど部会等々考えますれば、こういうことを知らぬでいるという人は、あるいは少ないかと思います。けれども、こういうような法律ができても、うっかりしているというような場合がずいぶんあるのではないか。ことに、さっき申しましたような再婚したような場合には、なおさらそういうようなことがありはせぬか。また、それが三年たつと時効でその権利を失うという第六条との関係、私は今日恩給法や援護法などを調べてみましても、実にむずかしいですね。これくらいわれわれが本気になって恩給法と援護法をしっかりやるには、これはまず三月くらい勉強しなければ、複雑でわかりません。そういうようなことで、今日でも請求をしない人も相当ある。それが初め厚生省あるいは恩給局等で考えたよりも、次々と新しい請求者が出てきた。少なくとも軍人恩給が施行されまして、それから後数年間、予想以上にそういう人が次々に出てきたという理由だと思いますけれども、同様に今度のこの法律が出ましても、われわれつくる者はみんな知っていると思っているけれども、実際においてはなかなか国民に浸透しないものです。金をくれるというのですから、知らぬでいる人は割合に少ないかもしれませんが、それでも案外浸透しないものです。だから三年の時効というものをつけて、こういう本人の請求によってこれを厚生大臣が支給するのだという行き方は、もう少し親切に考えてやらないといかぬのではないかと思うのです。これは厚生省がお調べになったってわかるのだから、こういうようなことを三年ばかりの時効でやっていきますと、これはその権利をむざむざ失う方が相当あるのではないかということを思うのです。だから私は、むしろこの時効なんというものはつけるべきでない、つけないでおやりになった方がいい。戦没者の妻と申すと、少なくとも十数年たっておられます。普通でいえば十八年以上たっておられまして、その余生というものはそういつまでも続くわけではないのでありますから、こんな時効なんというものをつけて、今の本人の請求によって厚生大臣がこれを裁定して給付していきますと、そこにせっかく権利を持ち、与えられながら実際は行なえないという人が出てくるのではないかと、法律をずっと一通り読みまして感じたのでありますが、そういう点は大丈夫でありましょうか。私は時効を取るべきだと思う。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 長谷川先生の御注意は、非常にわれわれ行政を担当するものといたしまして、留意しなければならないところと考えておる次第でございます。ただ、この給付金は、法律にも書いてございますように恩給なり遺族年金なり、そうしたいわば基本になりますところの年金の権利を有するものが請求することになっておりますので、現在までに恩給なり遺族年金につきましては、ほとんど九九%といっていいくらいに本人からの請求が出ておるような状況でございますので、この給付金につきましては、全然別種の給付金ではございませんので、比較的そういう点は関係者が熟知しておると考えております。しかしながら、万一にも権利の上に眠るというようなことがあっては、せっかくの法律をつくった役割を果たし得ませんので、都道府県なり市町村なり、あるいは遺族会等の関係団体等の活動もお願いいたしまして、所定の時間に十分請求ができるように、御指摘の点は十分心して行政に当たっていきたいと考えております。  なお、時効が三年と定めてございますが、これは引揚者給付金のような手近な例でも三年という例がございますので、援用しておるわけでございます。ところが、引揚者給付金の場合は、ごく一部でございますけれども、期間内に請求が出せなかった人がございまして、その後、国会で時効の延長を立法していただいたような経緯もございます。私どもといたしましては、ある意味では非常に簡単な請求でございますので三年あれば十分やれると思いますけれども、万一多少でも残るというようなものがその後において判明いたします場合におきましては、また国会に所要の法律改正をお願いするということもあろうかと存じますが、現在のところ、十分御注意の点を留意してやりますれば、ほぼ目的は達し得るものと考えております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私の時間はすでに過ぎましたので終わりますが、どうかこの給付金を絶対に生活保護における収入認定としないということ、さらにこれを全戦災未亡人、防空活動その他で夫を失いました未亡人とか、その他の戦災未亡人に広げるように強く要望して、私の質問は終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まず大臣に、厚生大臣としてでなくて、国務大臣としてお尋ねをいたしたいのです。  御存じの通り、自由民主党では、戦後処理の問題として国会に今意思表示をしておるのは、まず第一に金鵄勲章を意思表示しておるわけです。これは議員立法で内閣委員会にお出しになった。それから地主の補償の問題、これは二千八百五十億ですか、これをお出しになろうとしておるわけです。調査費を一億八千九百万円おきめになった。それから軍人の関係、それから今日のこの戦没者等の妻に対する特別給付金で、これは八百億ちょっと要るわけです。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕  なおあとに続いておるのが引揚者給付金で、五百億程度では少ない、あれではわれわれの外地に残した財産の補償ではないのだ、とりあえずお見舞というが、そういう形でもらったのであって、これは最後のものではないのだ、こうおっしゃっておられるわけです。先日、全国大会も開かれました。そうしますと、今長谷川さんも指摘しておりました戦災者、企業整備、いろいろたくさんあるわけです。これらの戦争犠牲者に対する政府としての基本的な態度というものは、一体どういうものがあるのかということなんです。まばらまばらにそれぞれ陳情請願があったものから片づけていくというようなやり方では、あなたの方の厚生行政全体として考えた場合に、それらの金を一々取られていくと厚生行政が非常に前進しないわけです。たとえば厚生行政の長期計画をお立てになろうとしても——すでに私が指摘したように、九代の大臣にそのたびごとに長期計画を立てて下さいと言ったのです、みな立てます、立てますと言うんです。しかし一向にお立てにならぬわけです。これは根本はどこにあるかというと、長期計画を立てれば、五年なら五年の計画の中で、予算は五年間きめられてしまうわけですが、それは大蔵省が予算の弾力性を失うということで反対するわけです。ところが一方、こういう戦後の処理の問題については、十年間で国債を差し上げます、そうしますと、八百億の金が社会保障の予算と類似のものとして厚生省の予算になるわけですから、きめられてしまうわけです。そして全体の社会保障というものが前進をしないという形が出てくる。なぜならば国民の財布は一つなんです。税金は一つの口からしか出ていかない。そういう点で、この際戦後処理の問題を、内閣として大所高所から全般的にどう処理するかという基本方針をお出しにならぬと、力の強いところからむしり取られていって、あとに残るものは哀れなものばかりだということになるという可能性があるわけです。そういう傾向は出てきているわけですよ。そしてそれが選挙のたびごとに自由民主党と結びついて票になっていく、こういう不明朗な政治というものは、ここらで私ははっきりさせなければいかぬと思うのです。そこで、こういう戦後処理の問題を一体どうするかということですね。一番弱い未亡人の問題について早く処理をしなければならぬ。しかし御存じの通り、母子家庭は百三万あるわけです。そしてその所得は一万八、九千円以下であるという実態です。この制度で救われるのは四十四万人しか救われない。なおあと六十万程度の者が残っているわけです。四十万は救われたが、あとの六十万はどうするんだという問題に対する解答はないわけです。戦後処理の全般の問題の一環として戦争未亡人の慰謝をやる、こういう形になってこなければいかぬと思うのです。やはり政策というものは、かゆいところに手が届き、均衡がとれた政策でなければならぬと思うのですが、一体戦争犠牲の全般の問題を、国務大臣として、池田内閣はどう処理されようとするのか、それをまずこの際明らかにしておいていただきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 国務大臣としてという特にあれですが、戦争によっての被害というものは、さいぜんも申しましたように、多かれ少なかれみな被害を受けておるのであります。しかしその被害を国家が救う、補償するあるいはほかの形で慰謝をする、いろいろありましても、それはやはり一時にできることじゃない。やはり経済の成長、国に力がついてこそ初めてできることでございまして、それはそのときどきに応じてといいますか、戦争に直接関係があったかなかったかというような厚薄の問題、程度の問題、事柄々々によって判断する、しこうして日本の経済力というものを勘案しつつやるよりほかにしょうがないのじゃないかと私は思うのであります。従いまして、従来の政府といいますか、歴代内閣がとってきた態度も、一番直接な、戦争にかり出されてなくなったというようなことで遺家族援護法というようなものが制定され、しこうして国の力がつくにつれて、徐々にいろいろな戦争の犠牲者に対して及んでおるのであります。今滝井さんは、今回のこの未亡人の問題でも何か選挙のにおいがあるのじゃないかということを申されましたが、私どもはみじんもそういう考え方は持っておりません。これを今回やろうとしても、やはり国に力がなければやれぬことでございますけれども、この程度はやれるじゃないかということで今度提案をいたしたような次第でございまして、今戦災者に対して総合的に云々というようなことは少し無理ではなかろうか。要求される方が無理ではなかろうか。しこうして事柄は、やはりその事柄々々で考えて、他のものとの均衡が失われないようにしていかなければならぬということを考えておるのでございまして、そのために厚生省の予算が、社会保障の予算が少なくなるのじゃないかとか、そういう御意見もございまするが、それとの関連は全然ないわけではございません。が、そういうことを勘案しつつ国が、また経済の力ができれば、それはそのときに応じて、いろいろな戦後の処理と気の毒な方々に対する救いというようなことは、補償の形でなしに報償の形、あるいは慰謝の形、あるいは社会保障の形、いろいろな援護の形で国の力とともに、経済の発展とともに現われてくるのじゃなかろうかと、私は国務大臣としては思うわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 国の力がつく、経済が発展をする、池田内閣は昭和四十五年までに日本の経済を二倍にするとおっしゃっておるわけです。経済については、少なくとも社会党のいう計画経済でなくても、経済計画はお立てになっておるわけです。そうしますと、その中で戦争の犠牲を受けたものは、今金鶏勲章の問題が出ているわけです、地主補償の問題が出ておるわけです。それから引揚者の問題は、一応形は済んだけれども、あれでは不満であるとおっしゃっておるわけです。同時に、今度の関連する戦争未亡人の問題、あるいは幾度かベースアップその他で改正になった恩給、それから戦傷病者戦没者遺家族援護の問題があるわけです。大体今出てきているのはそれだけなんです。それで自由民主党は、前の実態調査では地主は困っていないという結論が出たにもかかわらず、やはりおやりになろうとしているわけです。また調査費も一億八千五百万円と大きいです。そして議員連名で綱島君を先頭にしてお出しになろうとしているわけです。内閣はそれについて否定はしていない、むしろ肯定的な方向なんです。補償は出さないが、報償はしたいとおっしゃっているわけです。そうしますと、まあ力があると見える。二千八百五十億は出さないにしても、千億くらいは出すのじゃないかといわれているわけです。そうなりますと、それなら金鶏勲章を先にやってみたらどうだという問題にもなってくると思うのです。これはおじいさんばかりです。日清、日露の戦争ですから七十才以上です。ところが、そういうところはあまり力が入らない。法案としては出ておるが、力が入らぬという問題もあるわけでしょう。だから、四十五年には経済は二倍にいたします、池田はうそは申しませんと胸をたたいておって、従って所得は倍になるという池田内閣の政策なのですから、そうしますと、倍になる中でまず一番に未亡人をやります、第二番目には金鶏勲章をやります、第三番目には地主をやります、四番目には何をやりますというくらいのおよそのことは言う必要があろうと思う。それはそう言っておけば、そうむちゃくちゃな陳情も起こらぬでしょう、政党の公約なのですから、安心して待つようになる。ところが、そういうことは言わずに、何かそのときそのときの風の間に間に絵をかかれたのでは困るということなのです。経済は二倍にするとおっしゃっておるのだから——大臣は経済が発展したらと言うけれども、経済は、池田さんの年率三カ年間は七%くらいと言うより以上に伸びていっているのです。ことしはちょっと伸びそうにないのですが、大体伸びていっているわけでしょう。世界に冠たる経済の伸びだ、神武景気だ岩戸景気だと、われわれが知らなかった言葉まで出てきているわけですから。そうしますと、こういう底辺にいらっしゃる方、社会のいわば一番低い消費水準の方、戦争犠牲の方はそういう人が多いわけです、そういうところの底上けの政策を、経済が二倍になったならば具体的にどうするかということは、総合的に内閣として出すことが当然なんです。ところがそれは、経済の力が強くなったら一つ一つ出していこう。一つ一つはどういう順序で一体お出しになるのか。そういう調査研究くらいは、内閣としておやりになるのが当然なんです。ただ地主の要求があったから、地主だけは一億八千九百万円を出して調査しますということでなく、一億八千九百万円を、日本の戦争犠牲者のために地主もひっくるめてやります、これなら話がわかるんです。ところが、特定の地主だけをとって、前に調査したときは困っておる者はおらない、こういう結論が出ておるにもかかわらず、やるわけなんでしょう。こういうところが、私はアンバランスだと言うのです。それはかつて政友会の基盤は地主であったかもしれませんけれども、自由民主党は幾分状態が違ってきておるわけです。むしろ農村の地主というよりか、自作農を中心に自由民主党の勢力はあるわけです。だから、もうちょっとそこらあたりの頭を切り変えてもらって、あの一億八千九百万円を、地主もひっくるめた日本の戦争犠牲者のために一つ調査費を出す、これならば筋が通るんです。そういう点を、むしろ国務大臣として、勇気を持って閣議で御主張になっていくことになると、戦争未亡人の問題なんかもすっと筋が通って非常にいいことになる、痛くもない腹を探られないことになる。どうですか、そこらあたりは。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 地主補償の問題でございますが、これは総理大臣、大蔵大臣がたびたび言明しておるので、私から今それに対していろいろ申し上げることはないと思います。ただ、私たち戦争犠牲者に対するものは、今回も援護法の改正を出しまして、救われてない方々等も一つ完全に援護したい、しこうして未亡人の方々に対する気の毒な状況も慰謝したいということであります。今あなたがおっしゃいましたように、その他の方もずいぶん被害があるじゃないか、一般戦災者あるいは強制疎開あるいは企業整備、いろいろあるじゃないか、そういうことも少し調べるべきじゃないか、こういうことのようでございますが、それはそれとして、やはりそれは調べることは調べましょう、しかし、あの地主の調査会の調査費をもって一般を調べるというようなことと、これは話は全然別になると思うのであります。私といたしましても、あれを調べることは別にそう悪いとは思いませんし、またそれが圧力団体云々というような話もありますが、それはどうだったのか知りませんが、少なくとも今回提案をいたしましたこの未亡人給付金はそういうこととは別で、この時限においては適当じゃなかろうか。しこうして私の方からは、遺族援護法によって救われない方々も、同時に救いたいという考えをいたしておるのでございます。そういう意味で御了承を賜わりたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 戦没者等の妻に対する特別給付金の支給の問題を私は問題にしておるのではなくて、もう少し大所高所からものを見なければならぬということです。閣議というものは、何も厚生大臣としての立場でものを言うのではなくして、やはり閣僚としてものを言うわけですから、その場合には、自分のところの戦没者の妻の問題が片づいたら、あとはどうなってもいいというわけにはいかぬ。やはり大所高所から日本全体を見て、あなたの言うように経済の発展を見る、同時に、他の戦争犠牲者の状態も見て妻の問題を片づける。同時に、金鶏勲章の問題も片づけなければいかぬだろう。同時に、わが方の妻の問題が片づくとすれば、なお六十万の母子家庭がある。その中に一体戦争犠牲者はいないか。やはりこういうかゆいところに手が届く政策を大臣としては主張してもらわなければいかぬと思うのです。ただ自分の所管の戦没者の妻の問題が片づいたら、あとは知らぬという顔をしているんじゃ、これは国務大臣としては幾分欠けるところがあります。   〔小沢(辰)委員長代理退席、委員長着席〕 特にその場合に、地主の問題について困っていないという結論が出ているんです。前の調査では、他の一般国民に比べたら困っていないという結論が出ておる。ものには緩急順序がある。急がなければならぬものと、ゆるやかにしていいものがある。その緩急順序を誤っておりはしませんかというのです。そういうところを、やはり実力者大臣ですから、きちっと、実力者大臣らしく閣議で御主張になる方がいい。何も河野さんや、そういう人たちの発言を黙って聞くだけじゃだめですよということです。やはりそういう人の言うことにも耳を傾けてもらわなければならぬけれども、同時に、あなたの主張も他の大臣に耳を傾けさせなければならぬ、こういうことなんです。だからそろいう点でどうも痛くない腹を探られる、選挙対策のにおいがするというのは、そういうことです。これは未亡人の問題じゃなくて、地主の問題なんかはそういう傾向が強いわけです。これは私の良心が言っておるので、大臣、よく考えておいていただきたい。  そこで次に、法案に入っていきますが、何らかの形において慰謝をするために、戦争未亡人の方に特別給付金を支給するわけです。その場合に二十万円というお金を出すことになるわけですが、一体これはどういう理論的な根拠で二十万円ということになったのですか。これは慰謝するわけですね。何か他に関連するそういう制度があって、二十万円というお金を出すことにするのか、これは別に根拠はない、全くのつかみ金であります、こういうことですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 理論的な根拠と申しますと、まあ慰謝を申し上げるのは、五万円上げても慰謝になりましょうし、あるいはまた百万円上げても慰謝になりましょう。けれども、国家財政との見合いにおきまして、また、今日の貨幣価値から考えて、社会通念として、やはり出すからには、本人の幸福を願うからには、従来の慰謝をするからにはこれくらいの金でなければならぬだろうということから考えて、元利含めて二十万円というような金になったのであります。そういうので、それは根拠はないと申せば根拠はありませんけれども、そういう意味において根拠があると言えば根拠がある、こういうことではなかろうかと私は思う次第であります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ちょっと重要な発言があったわけですが、元利を含めて二十万円だ、そうすると元は幾らです。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 言い違ったら訂正いたしますが、無利子の二十万円ということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 元利を含めて二十万円だ、こうおっしゃったわけです。そうすると、これはこれから質問する重要なポイントですが、今、元利含めて二十万円だというなら、元は幾らかということです。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 普通の状態で国債というと元金に利子をつける、こういう考え方であるわけでありますが、今回の二十万円に利子をつけなかったのは、たとえば十五万円にして利子をうけても二十万円になるが、利子をつけぬで元金に利子も含めて二十万円だ、こういうことを言ったので、それが誤解を招きましたならば、無利子の二十万円を交付金として上げましょう、こういうことでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そこが誤解を招くならばこうしましょう、そういう勝手なことはできない。法案にきまっておるのです。だから、そう滝井さんからおっしゃられれば無利子の二十万円にしましょう、黙っておれば元利含めて、二十万円じゃ、こういうもろ刃の剣のような答弁をされては困る。そこは重要な点だから、私、これから質問するところです。大臣いなくてもかまわぬのですが、大臣がひょっこりそうおっしゃったから、大臣、きちっとしなければならぬ。一体どっちです。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 それでは前の言葉を取り消して、無利子の二十万円でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、もう一つ大臣のおるうちに伺いますが、さいぜん長谷川さんの質問で、生活保護との併給の問題です。これはまだ大蔵省と折衝してその結論が出ていないという御答弁だが、これは私は納得いかないのです。すでに大蔵大臣は私に対して、それは自分としては、ここで君が言質を求めるならば併給をしないという答弁をします、しかしもうちょっと余裕を与えてくれ、いずれこれは話し合ってやるから、自分の気持ちは君の気持ちと同じだ、こういう答弁をしているのです。これは二月の予算委員会、予算の通る前です。しかしまだそれが交渉ができていないなんということになると、できるまでこの法案を私たちは待つことになる。さいぜん長谷川さんが言うように、これは一番重要な点なんです。だからこれははっきりとした大臣の所信を——大蔵大臣は私の気持と同じです。併給だ、こういうことです。それから社会局長も、ちょっと条件がありましたけれども、大体併給の方向です。大臣は、まだ検討中だからきょうは答弁できないということでは納得できないのです。きょう答弁できなければ、先まで延ばして答弁を待たなければしようがないですがね。これはどうですか、はっきりして下さい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 さいぜん申し上げた通りです。急速にこの結論を得るように努力をします。大蔵大臣は、公式の席でそういうことを申し上げたかどうか知りませんが、急速に結論を得るように努力いたします。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、それはどういうことですか。社会局長、まだ交渉ができないのですか。それなら大蔵省の主計局長を呼んで下さい。これはあと回しにします。それじゃ大臣、けっこうですから。  次は、この法案は、昭和十二年七月七日勃発した日華事変以後に死亡した者の妻に限るというのがまず第一ですね。日華事変以後に死亡した者の妻に限るということが、一つの条件です。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 それからもう一つの条件は、しかもその妻が公務扶助料等を受ける権利を有しておらなければいかぬということ、こういう二つの条件が重なってきておるわけですね。その場合に……   〔「大臣ちょっと待ってくれ」と呼ぶ者あり〕

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員長代理 静粛に願います。ちょっと速記をやめて。   〔速記中止〕

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員長代理 速記を始めて下さい。      ————◇—————

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員長代理 それでは厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生関係の一般行政の中の結核問題について、御質問をいたしたいと思います。  大臣のお時間がないようですから、要約して申し上げますが、結核予防審議会の方で、昨年厚生省に対して答申があったはずであります。結核の薬品についての抗結核薬剤の問題と、その他これを浸透する問題と、そのほかに肝臓とか、あるいはまた肺気腫だとか心臓なんかの検査を無料でやるように、早くやるようにという答申があったはずであります。このエチオナミドの問題は、大臣十分御承知の通りでございますが、前に、ストレプトマイシンとヒドラジドとパスの三剤併用で、日本の結核患者がそれによって相当たくさん治癒した、また治癒しつつある状態でございますけれども、しかしながら非常に結核が重いために、それだけでなおり切らないで、その主剤に対する抵抗性が菌にできてしまったために、新しい薬品でなければなおらない状態があるわけです。前の三剤適用で、結核患者のうち七割くらいは内服薬だけでなおるわけでございますが、あとの残りのうち耐性菌ができた人の中で、半分くらいはカナマイシンとそれからエチオナミドとサイクロセリンというような新薬の適用によって、結核がなおるということが医学的にはっきりわかっているわけです。   〔小沢(辰)委員長代理退席、柳谷委員長代理着席〕 医学的にはっきりわかっていることを、治療指針で取り上げるような答申が出たわけでございます。厚生省の方も、この問題を即刻に実施したいという計画で予算を組まれ、いろいろしておられるわけです。ところが、行政上の措置としてこのエチオナミドを取り上げる問題について、まだはっきりと確定をしていないことは、非常に遺憾な状態でございます。ただそれ一つで自分の命を保全する、また患者がなおることを要望している家族が、それ一つをたよりにしておる状態でございますのに、いろいろの行政上の状態で、その問題を取り上げることが最終的に確定しておらないという、非常に遺憾な状態にございます。それを取り上げることは、たとえば一般に、中央医療協によって審議をしてというルートでございますけれども、今の中央医療協の状態では、たとえばこの四月一日からこれを採用することが、非常に至難な状態であるように仄聞をいたしております。あしたでもそれが解決して、あさってでもかけて、しあさってでもできるということならば、これはけっこうでありますけれども、そうでない状態であれば、大臣が最終的に、職権をもってこれを取り上げられる権限を持っておられるわけでございます。どうか非常に大ぜいの患者の切なる希望をいれるために、大臣がこの問題について急速に、少なくとも本年の四月一日からこれを実施できるというふうに踏み切られることを、ぜひ決心をしていただきたいと思うわけです。この点についての大臣の御所見を伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 結核の指針の問題でございますが、これにつきましては、予算上からも四月一日からやるような予算を組んでおるわけでございます。しこうして、なるべく所期の目的を達成したい、かように思っております。しかし、まあ八木さんも御承知の通り、中央医療協議会というものは、そういうようなものを原則的に御相談する機関でございまして、今の段階では、急速にこれを開きたいということ  でせっかく努力中でございます。しかし、それが開けなかったらどうするかということでございますが、開くように努力しておる最中でございますから、開けなかったらどうするかということを今ここで言明することは、やはりいろいろなことに影響を及ぼすと思います。しかしながら、事病気に関する問題でもございますので、私もその点はその機に臨んで慎重に考えたい、かように思っておる次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 大臣の積極的に取り組まれる気持はこれで推察できまして、その点はいいわけでございますが、非常に大ぜいの患者がこれ一つをたよりに生きている状態でありまして、また家族もそれをたよりに生きる希望を見出しているわけでございますので、ぜひ大臣のほんとうに国民のためを思われた推進を願いたいと思うわけです。そこで、中央医療協というものが開かれようが開かれまいが、開かれたときにこの問題について異議のあるはずはないと私ども思いますし、厚生省もこの点については見通しを持っておられると思う。ただ、ほかの問題で医療協が開かれていない。ほかのいろいろな問題で、ほんとうに国民の中の病気で苦しんでいる人が犠牲にされる、そのような政治がとらるべきではないと思う。大臣みたいな先輩に釈迦に説法で非常に恐縮でございますが、大臣、十分にそのことをおわかりいただいているものと信ずるものでございますが、とにかくいろいろなことがあるから今言いにくいというお話は、お立場はわかります。ですから、中央医療協を成立させて、そこで審議させていく方法であろうとも、またそれ以外の方法であろうとも、少なくとも昭和三十八年四月一日からはエチオナミドを必ず適用して入れるという気持の御表明を願いたい。方法の点についてはそれ以上申し上げませんけれども、昭和三十八年四月一日から必ずこれを実施するという御答弁をぜひいただきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 さいぜんも申しましたように、十分御意見のあるところを尊重いたしましてやりたいと思っております。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 要約して申し上げます。大臣は、私の申し上げたと同じような気持を表明されたと私は理解して、問題を進めたいと思います。  次に、このエチオナミドの問題については、実際にいろいろな準備の時間が要ります。それを今から急速にやっていただいていると思いまするが、この準備を進められまして、それを大臣がやられたときに、実際にやることがおくれないように今から準備していられると思いますけれども、さらにたんねんな準備を急速にしておいていただきたいということ、それからもう一つはも今度の方には、たとえは肝臓や心臓や肺気腫、そういう問題についてのことが答申にありながら、それを取り上げられる格好が予算に出ていないという問題については、それを実現するために最大の努力を急速にしていただくということ、もう一つは、予算が実際の患者に比して非常に少ないと思うのです。予算という金の問題で人間の命、人間の希望を断つというようなことのないように、その問題についてはやり方がございます。大臣としてはこの金の問題も解決して、このいい制度が全部の患者に適用されるように、最大の御努力を願うというようなことについて——もっと詰めてお話をしたいわけでございますが、大臣のお時間もありまするから、大臣としてはその点について、最大の御努力をこれから実際にしていただくという御決意をぜひ承らしていただきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 結核の撲滅について、従来も政府は非常に力を入れてきました。いま一息というところで結核も非常に少なくなると思いますので、今回は予算上におきましても、強制入院等これは相当大幅に見たつもりでございます。しこうして……(「足りない」と呼ぶ者あり)足りないという御意見もありまするけれども、これも非常に力を入れたものでございます。従いまして、もう一息というところでございますので、御意見のあるところも十分尊重いたしまして善処したい、かように考えております。      ————◇—————

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 内閣提出の戦没者等の妻に対する特別給付金支給法案、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、国民健康保険法等の一部を改正する法律案及び滝井義高君外十一名提出の国民健康保険法の一部を改正する法律案、右四案を一括して議題とし、審議を進めます。  質疑を続けます。滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それではもう一ぺん前のところを繰り返しますが、昭和十二年の七月七日勃発した日華事変以後に死亡した者の妻であるということと、しかも公務扶助料等を受ける権利を有するものである、こういう二つのワクがかかっておるわけです。  そこでまずお尋ねをいたしたいのは、嫁入りをして間もなく夫であるその軍人が戦死をした、あるいは戦病死した、この場合に、戸籍を入れた場合と戸籍を入れない戦争花嫁——お嫁に行った。いなかでは、戸籍はしばらくしてから入れる。たとえば今足入れ婚というのがありますが、そういうふうなものです。戸籍が入っておって、実家に帰って復籍する、今度は戸籍は全然入れていない、そして戦争花嫁で実家に帰る、こういう二つの場合が一番問題なんです。一体この二つの場合の取り扱いをどうするかということです。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 旧民法時代には、今お尋ねのような点が、支給するかしないかという境になっておったことは当然でございますが、現在におきましては、新民法のもとにおきましてはそういうことはございませんし、援護法は、そういうことで支給しないというような制限は設けておらないことは、先生御承知の通りでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、前者、すなわち一応入籍をして実家に復籍をした場合というのは、戸籍が動いておるから割にわかりやすいわけです。ところが後者の、嫁入りはしたけれども、まだ入籍はしていなかった、そうして実家に帰った、この場合も今の御説明ではもらえることになるわけですね。この場合はなかなかわかりにくいわけです。そこでこの場合の具体的な証明は、一体本人としては、どういう方法で嫁入りをしておったという証明をすればいいかということ。それから、現実に前者も後者も、多く公務扶助料をもらっていない。なぜならば、実家における父母等がもらっているわけです。戦争花嫁ですから、子供がない。多く老父母がもらっておるわけですね。従って、ここにいう公務扶助料等をもらっておった実績は、その実家に帰った嫁は持たないわけです。これらの諸君は公務扶助料に縁がなかったために、こういう法律ができても、これは自分がもらえるかどうかの疑問点があるわけです。そこで今もらえるということははっきりしてきた。しからば、一体どういう証明をしたらもらえることになるのか、こういう点を一つわかりやすく説明しておいていただきたい。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 これはいろいろございますが、まず遺族援護法でいきますと、先ほど申しましたように、内縁の妻は当然の受給権者でございます。ところが、軍人恩給が復活いたしまして恩給法に移行した場合におきましては、ただいま滝井先生おっしゃったように、恩給法では内縁が認められておりませんので、現在の援護法の規定では、そうした内縁の妻はベースアップをしない一万円の遺族年金を受ける権利のみを持って、恩給法上の公務扶助料は、子供のあります場合は子供に行っておるということでございます。従いまして、このケースにおきましては、いわゆる内縁の妻は、一万円ではございますけれども遺族年金をもらっておる権利者でございますので、そうした内縁の妻には今回の特別給付金は当然行くわけでございます。  なお、一般論といたしまして、御指摘のように内縁関係の事実関係を明らかにするということは、実際問題としては非常にむずかしいことでございますが、今回の給付金が成立しました暁におきますいろいろの請求書類等におきましては、十分そういうところはPRもいたしたいと考えております。しかし、もともと、先ほど申されましたようにこの特別給付金を受ける権利を受けます前に、当然順序といたしまして、恩給法なり遺族援護法等の所定の年金を受ける手続をとってもらうということを予定いたしておりますが、むしろ先生の御指摘の問題は、その根っこの方の年金の受給について正当な権利者である者が、権利の上に眠らないように十分注意しろということであろうとお察しいたしますので、そういう点は、現在におきましても、十分都道府県を通じて関係者に間違いのないようにいたしておるつもりでございますが、なお抜けておるところがあるといたしますれば、十分注意いたしたいと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 こういう問題については、取り扱い上ぜひ御注意を願いたいと思います。  次は、現実に公務扶助料をもらっておる未亡人が、この法律が施行したあとに再婚をする。再婚をしますと、根っこの公務扶助料はもらえなくなっちまう。しかし、この給付金はついていくわけですわ。それは間違いないですな。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 これは先ほど長谷川先生にお答えいたしましたように、この給付金は、あくまで私どもとしては一時金であるという基本的な性格にかんがみまして、再婚いたしましてもいわゆる一万円ずつの国債の支払いの受けられる権利は消滅しないものと考え、そのように法律をこしらえておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それを確認しておけば、あとでまたそこが出ますから。  次は、この国債が記名国債であって、さいぜんちょっと問題にしておりましたが、大臣は無利子だ、これは一体どういう理由で無利子にしたんですか。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 先ほど大臣が申されたことに尽きると思いますが、当初、政府部内におきまして、どのくらいの給付金を差し上げることが適当かというような議論がいろいろあったわけでございます。利子をつけることが常例でございましょう。そういう場合におきましては、この八百億に六分くらいの利子をつけるといたしますと、さらに三百億以上も要るという財政上の理由があるわけでございます。   〔柳谷委員長代理退席、委員長着席〕 従いまして、かりに十五万円くらいなら十五万円くらいの元金にいたしまして、六分くらいの利子をつけるということも、あるいは考えとしては出得たかと思いますけれども、一方遺族の心情といたしましては、なるべく額面を多くしていただくことの方がむしろいいという御要望も非常に強いというふうに承知しておりましたので、異例の措置ではございますが、無利子とし、額面は二十万円ということにした方が時宜に適する、こういう判断で無利子とした次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 まあそれは与える方の勝手な解釈であって、こういうことは前例がないわけでしょう。ありますか。大蔵省の方、どうですか。

稻村光一大蔵事務官(理財局国庫課長)

○稻村説明員 国債のあれで無利子という前例があるかという御質問かと思いますが、これは国債と申しましてもいろいろございまして、若干性質は違うのでございますが、出資国債につきましては無利子の前例がございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 こういう給付金とは縁もゆかりもないものですね。今これと類似のものとして、遺族国庫債券ですね、お灯明料というんですか、引揚者国庫債券ですね。これは全部六分の利子がついておるわけでしょう。そうしますと、この法律の根本的な理由は、戦没者等の妻に対する特別の給付金として差し上げる、しかもそれは手痛い犠牲を戦争で受けたんだ、だから何らかの形で慰謝をすることが必要だ、こういう考え方でお出しになるわけです。そうして国債を上げましょう。他の類似の国債はみんな六分の利子がついている。ところが、利子をつけると三百億の金になるから、三百億の金が惜しいからやりません、これではまるきり——経済が発展して神武以来の好景気だというときになって、三百億の金を四十四万の夫を失って路頭に迷おうとする未亡人にやらない。こういうところが、自民党の政策はけちくさいと言うんですよ。もう少しおやりになるのならば、利子もおつけになって、きちんと二十万円を上げましょう、こういう政策を私はどうして打ち出せぬのかと思うんですね。ここなんですよ。物事を総合的に大所高所から見てくれと私は要求するんですよ。ところが、それをいよいよ最後の段になると、六分の利子をつけるところを、しみったれに削る。元利合計で十五万です。それじゃその通りかというと、いやいやそうじゃありません、利子は別です、利子はないのです、こういうことに答弁が右往左往することになるわけですね。それではどうもいかぬですよ。私は、だからこれは利子をつけるべきだと思うのです。社会党は利子をつける方に修正したいと思うのですが、何かこれをつけて国家財政上大きな支障を来たしますか。まず国債整理基金特別会計、どのくらい金が余っておりますか、現在。

稻村光一大蔵事務官(理財局国庫課長)

○稻村説明員 国債整理基金に金が余っているかどうかという御質問でございますが、直接関係いたします問題として、今回の未亡人に対する特別給付金の交付公債につきましては、その償還は国債償還という格好で行なわれるわけでございます。この国債償還におきましては、本年度から来年度に対して約百十四億繰り越すことになっております。さらに来年度の償還計画におきまして、三十六年度の財政法上に基づく繰り入れがございます。こういうものを勘案いたしまして、来年度の国債償還計画につきましては、いろいろの要素があるわけでございますが、約五百億程度の財源が三十九年度以降の国債償還財源に使う目的で、平準化資金として使えることになっております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 厚生省御存じの通り、三十九年度五百億いくわけですね。だんだん国債償還というのは少なくなるのです。というのは、遺族関係の人数がずっと減ってきますから、あれは百億以上減るんですよ。そうすると、ここで未亡人四十四万、ことしは四十四億しか要らぬわけです。これは利子をつけてやったって、六分として二億四、五千万円あったらいいわけです。そのくらいの金は、私は未亡人に利子をつけるべきだと思うんですよ。これを利子をつけない、しかもこれは異例の措置ですよ、国債に利子をつけないなんというのは前例がないのだから。今何か出資国債みたいなものには前例があるそうですけれども、そんなものはこれと関係がない。これと関係があるものは、みんな利子がついておる。利子がついておるのだから、この際自由民主党が少し善政を施したから、社会党にも利子くらいの善政は少し施さしてもらいたい。これは機会均等、お互い選挙をやるのですから。そこで未亡人の皆さんを喜ばせるのは、自民党だけが喜ばせるのは均衡がとれない。だから社会党は、ぜひ利子だけは修正さしてもらいたい。これは厚生省も大喜びのはずです。  それから先になって三百億というけれども、十年後で三百億ですから、これは大した金じゃないんですよ。なるべく貧しいところから先に食っていかぬと、地主に大きなところをとられたら大へんだから、この際先に貧しい未亡人に一つ先取りをする、こういうことでいかないと、前例がないのですから、ここらあたりはこれから理事さんに党としては要求したい。

稻村光一大蔵事務官(理財局国庫課長)

○稻村説明員 先ほどの御説明で、若干足らない点を補足いたしますが、先ほど申し上げましたのは国債償還資金ということで申し上げたわけでございます。利子の支払いはその償還資金とは別でございまして、これは一般会計から繰り入れを受けまして支払うわけでございます。従いまして、先ほどの五百億と利子の支払いとは、関係がないのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、一般会計からどの程度の利子をことし繰り入れておりますか。昨年度利子の支払いが、国債整理基金では百八十億くらいあったかな、ちょっと私、今国債整理基金のあれを持ってきておりませんが、ことし幾ら利子の支払いを入れていますか。

稻村光一大蔵事務官(理財局国庫課長)

○稻村説明員 三十八年度は約九十一億でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 九十一億あれば、これは何とかやりくりがつくと思う、一億ちょっとですからね。しかも公債を上げるのは十月一日ですから、半分で済むわけだから、一億二、三千万円あったら済むわけです。ことしはわずかで処置できるわけです。来年になったら、これは正常に組んでもらったらいい。ことしは一万円しか上げないのですから。だからこの点は自民党が二十万円、社会党が利子だけ、二大政党両々相待ってこそ円滑に政治が行なわれるのですから、それ以上答弁は要りません。喜ぶことはお互いにやらなければいけない。  それから、この四条で、政令で定める場合を除くのほか、この国債は譲渡したり、担保権の設定ができないことになっているわけです。一体政令で定あるというのはどういう場合でしょうか。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 これは国に譲渡する場合、それから地方公共団体または国民金融公庫に対して担保権を設定する場合、その他第三としては大蔵省令で定める場合、こういうことが引揚者給付金なりあるいは遺族国庫債券の場合の先例でございます。従いまして、この特別給付金の場合におきましても、このような先例を勘案いたしまして、実情に合致した措置をとりたい、かように考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 この未亡人が持つことになる交付国債を国に譲渡する場合とは、一体どういう場合でしょうか。それから国民金融公庫は、何か緊急の場合に金を借りる場合があると思いますが、地方公共団体に担保権を設定するというのは、具体的にどういう場合でしょうか。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 国に譲渡する場合というのは、普通に言っております買い上げの場合に該当いたすと存じます。それから地方公共団体が担保権を設定する場合でございますが、これは各府県条例で定めておりまして、もちろん全国画一ではございませんが、私どもの承知しておる数府県におきましては、たとえば遺族国庫債券等について担保権を設定して、遺族の便宜をはかってやっておるように聞いております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 国が買い上げる場合は、二十万円の額面のものを二十万円で買い上げてくれますか。

稻村光一大蔵事務官(理財局国庫課長)

○稻村説明員 国の買い上げをいたすかどうか、どういう場合にいたすかという点につきましては、今後の問題として検討いたしたいと思っておりますが、前例といたしましては、引揚者国序債券及び遺族国庫債券につきまして、災害等の場合に罹災者についてやったことがございます。ただし、その場合に全額やるかどうか、どういう買い上げの方式をするかという点につきましては、なおそのときの実情に応じて検討いたしたいと思っております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 今までの引揚者等の場合はどうしておりますか。それは五万円なら五万円のものを五万円で買い上げてくれるのですか、それとも額面を幾分割るのですか。

稻村光一大蔵事務官(理財局国庫課長)

○稻村説明員 従来の例では額面でございました。ただし、これは利付債でございまして、その点今度のは無利子でございますから、若干性質として違うものがあるかと存じます。それから、額面で、前のは引揚者、遺族で五万円でございましたが、今度は二十万円で、財政負担等のことも考えなければならないかと思われます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ここが問題なんです。今す、では利付で、利付のものは当然買上価格というのは値が高いです。利付でないものは安くなるのです。こういうところに差別が出てくるのです。そこで私どもとしては、理論的に言ってもこれは筋が通らないことになる。たとえば、私たちが母子福祉資金の貸付に対して一つ修正してもらいたい、高等学校に行くときには困るじゃないか、何とか一つ修学資金その他支度金みたいなものをしてくれと言ったけれども、自由民主党はがんとして聞かなかったのです。この母子家庭で一番問題は、やはり急場に金が要るというときに、二十万円の額面のものが二十万円でもらえるところに魅力があるのです。ところがそれが利子がつかない、利子がつかないから他の引揚者その他と差別待遇されるということになると、この政令で定める場合は、特別に譲渡その他担保権を認めますといったって、これは非常に差別待遇されるわけです。額面だけはなるほどいいかもしれぬけれども、さて国に買い上げてもらおうというときには差別待遇が出てくる、こういうことなんです。経済の原則が貫くところ、これは当然なんです。だからまた一つ利子をつけなければならぬという根拠が明白になってきたわけです。  それから、地方公共団体の担保権設定の場合は条例で定めるといっておりますが、具体的にこれはどういう条例で定めておりましょうか、一、二定めておるところの例をちょっと……。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 たとえば、高知県、東京都なんかについては、条例で担保権を設定しておるように聞いております。詳細は存じませんが、そういう制度がありませんと、事実上遺族がいただきました五万円の弔慰金国債が、いわゆるやみの金融ブローカーによって操作されるという弊害が目に余るということで、高知県あたりではやっているというふうに聞いております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはやはり災害その他緊急な場合なんでしょうね。国が買い上げをする場合と同じでしょうか。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 担保権の設定でございますので、国民金融公庫も、御存じのように生業資金として貸し付けるのに適当な場合というふうに限られておりますのと同じように、条例で都道府県限りでやっておりますのも、ねらいは生業資金ということであると聞いております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、この国債を担保にして、たとえば国民金融公庫から生業資金を借りるという場合には、その価値はどの程度評価して、最高限度貸してくれますか。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 これは本日、銀行局がお見えになっておりませんのでなんでございますが、先ほど申しましたように、引揚者給付金等の例もあるわけでございます。しかしながら、この給付金を考えてみますと、本来の根っこというべきいわば年金につきまして、すでに担保権の設定が行なわれておるわけでございます。従いまして、そうした基本的な年金について担保権が設定せられて、それが生業資金として妥当な場合には現に担保貸付が認められておるわけでございますので、この給付金についてさらに担保権を今にわかに設定する必要があるかどうかという点は、もう少し検討さしていただきたい。特に昭和三十八年度におきましては、初年度でございますので、早く権利の裁定のありました者としからざる者とで、いろいろこうした面での均衡を失するというようなことも、遺族感情を考えますとかなり問題があると思うのであります。従いまして、まだ最終的に詰めてはございませんけれども、国民金融公庫による担保権の設定は少なくとも昭和三十五年度以降において考えるということで、それまで十分実情等を検討しようじゃないかというような話し合いを銀行当局といたしておるような状況でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 次は五条で、この未亡人がなくなる、そうするとその相続人は、「自己の名で、死亡した者の特別給付金を請求することができる。」わけですね。この条文と、今御質問申し上げました政令で定める場合のほかは譲渡、担保権の設定はできないことになっておる、同時に八条で、一般的な譲渡と担保を禁止しているわけです、その場合に、相続人が自己の名でやるということは一種の譲渡にならないですか。たとえば株券を滝井義高からその子供の滝井宏隆に譲るという場合には、これは譲渡になるのです。税金がかかるわけです。従って、この三つの条文は、何か筋が通らぬ感じがするのです。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 この八条の「特別給付金を受ける権利は、譲渡し、又は担保に供することができない。」というのは、言うならばある種の一身専属的と申しましょうか、十年間にわたって二十万円を受けることができるという基本的な権利でございまして、「譲渡し、又は担保に供することができない。」こういうふうにいっておるわけでございます。ただいま御指摘の相続の場合は、あくまで民法にいうところの相続でありまして、法律概念としての譲渡とは全然別の概念でございます。従いましてそれは矛盾しない。それからもう一つ御指摘の四条の四項の「政令で定める場合を除くほか、譲渡、担保権の設定その他の処分」というこの規定は、いわば証券に化体されました債権としての国債についての規定でございまして、八条とは全然別の概念で、矛盾はしないと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それはどういう点で矛盾するかというと、この国債は記名国債なんです。ここは一身専属を具体的に記名国債、その記名国債を譲渡することはできない、こういっておるわけです。ところが、その相続人がやるときには名前を変えなければならぬわけです。その者の名でやるわけでしょう。自己の名でということは、相続人の名でということでしょう。そうすると名前を変える。名前を変えるということになると、一般の株式と何ら異ならないわけです。(「子供だけだろう」と呼ぶ者あり)子供だけじゃない。相続順位があるのですから。従って、たとえば私が死亡すれば、株は私の子供に相続される。しかしそれは、今度は子供の名前に変えなければならぬから、贈与税がかかってくることになる。そうすると、この場合は一身専属でなくなるわけです、記名国債なんですから。私が一身専属であるかということを念を押すのは、そこなんです。記名国債で滝井春子なら春子という名前が書いてあるのです。春子に専属している。それを相続するなら、その春子も、今度は滝井宏隆なら宏隆に変えなければいかぬ。変えるということは、国債の概念からいけば譲渡なんです。これは相続であるかもしれないが、譲渡でもあるのです。ところが、これは譲渡を禁止しているでしょう。(「譲渡と相続は違うだろう」と呼ぶ者あり)譲渡と相続は違うけれども、名を変えるということは——一身専属というのは、その滝井春子の夫の滝井義高が死亡しだからこそ春子にやるのだから、そうでしょう、だから一身専属なんです。ところが、今度春子が死亡した場合は、その記名国債を別の者の名に変えることになると、国債の性質が変わってくるのです。そこに相続論を持ってくることになると、ちょっと理論の筋が通らないのです。そこで、それならば一体そういう無利子の国債を一身専属の形でおやりになるとすれば、私はなぜ一般会計から金を未亡人におやりにならないのだと言うのです。一般会計からおやりになってもいいじゃないか。一般会計から現金を毎年々々おやりになる。これは一身専属です、死亡すればだんだんそれは消えていくのですからね。何で回りくどい、めんどうくさい国債でおやりにならなければならぬのか。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 もちろん記名国債でございますが、相続を否定していないところから見まして、相続の原則に従いまして、国債の名義人が変わるということは当然ございます。しかし、それはあくまでこの八条でいいますところの譲渡ではございません。こういう法律の規定は、引揚者給付金の場合その他も常にこの規定でございまして、特に今度の場合、特段の規定を用いたものではないと考えております。  なお、最後に先生の御指摘になりました一身専属的なものであるならば、何で回りくどいような国債という形をとるか、しかも利子をつけないような妙な形にしたかというお尋ねでございますが、これは先ほど大臣も申しましたように、本来利子をつけるのが常例であるとは思います。しかし、その場合におきましては、受給者といたしましては、元本と利子を加えて幾らぐらいのものがもらえるのかというのが通例考えられる姿でございます。従いまして、そういう普通の方を考えますと、これは仮定でございますけれども、かりに十五万円ぐらいの元本にいたしまして利子をつけるというようなことも、あるいは一つの案として考えられたと思います。しかしながら、遺族の感情から見ますと、そうした十五万円というような半端な金額よりは、やはり普通仏壇に国債を上げます性質のものとしては、二十万円といったような金額の大きいものの方が遺族の感情を満たすことになるのだという御意向が、非常に強かったように拝聴いたすのでございます。そういういきさつもございまして、異例ではございますが、特に利子をつけないということが国債の本質上絶対に許されないことではないということもございますので、二十万円という額面について利子は付さないということにしたいきさつがございます。また、先ほど申しましたように、私どもといたしましては、今日国家に直ちに八百億の余裕がございますれば、きれいに一時金として現金で一般会計に組んで出すということが一番すっきりすることでございましょうけれども、財政の事情から見まして、やはりこれを十年分割で払うということが国家財政の運営上よろしいということで、国債にされたわけでございます。国債で出す以上、性質はあくまで一時金である、単に支払いは十年に分けて分割するだけのものである、こういう基本的態度をとりまして、国債で二十万円無利子ということでお支払いをするということにしたわけでございまして、これが先生の御指摘のようなことにするということは、当初から一貫いたしましてそういう考えは持たなかったのだ、こういうふうに御理解いただきたいのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 私は一時金に八百億出せと言っておるのじゃないのです。これは年二万円ずつ定額を差し上げるのですからね。第一年度と最後の年が一万円になっているだけです。そうしますと、利子もつけない、そして異例の国債の方法をとるというなら第一めんどうくさい。それだけ事務がややこしくなる。幸いに今母子福祉年金あるいは老齢福祉年金を差し上げているのだから、それと同じに、まず第一年度には一万円、第二年度から二万円の定額を差し上げたらいい。これは所得制限をやらないのですから、きわめて簡略です。調べる必要も何もない。戦争未亡人は公務扶助料をもらってわかっているのですから、申し出た者に追加したらいいんです。国債にして、また申請をやらせて調べるというようなめんどうくさいことをおやりになるくらいだったら、公務扶助料をもらっている未亡人に、すべて公務扶助料の追加という形で二万円上げたらいいのです。事新しいものでも何でもないのに、事新しそうにやるところに問題があるのです。役人は仕事をつくればそれだけいいのかもしれぬけれども、それだけ事務が多くなるし、未亡人はめんどうくさいですよ。ですから、どうせ慰謝料を差し上げるのですから、これから十カ年にわたって二十万円差し上げます、これなら利子がつかなくていいのです、毎年二万円ずつ差し上げます、十カ年です。しかし、第一年度は予算の関係がございますから、国家財政の関係がございますから一万円ですということで、公務扶助料をいただいている六万九千人ですか、その方に、ことしは一万円足す、来年度は二万円足せばそれでいいのです。三十九年度から引き上げのある分は、その分と一緒に加算して上げたらいいのです。それなら事務もめんどうくさくなくて、また申請もしなくていいのですから、これほど簡単明瞭に慰謝ができることはない。利子の問題もないのです。ただならぬ官給事務があって忙しいときに、また未亡人が役場に申請に行かなければならぬ、そんなことをやる必要はない。今いただいている人に二万円追加します、これでけっこうだと思うのです、慰謝料ですから。政治というものは、あまりスタイリストじゃいかぬと思うのです。スタイルばかりつけずに、必要なものは差し上げますという形でいいじゃないですか。二十万円差し上げるときまったのですから、何も法案をつくってやらなくたって、ちょっと修正したらいいでしょう。今の援護法なり恩給法をちょっと修正した方が早かったのです。それをよほど大事をとって——どうせおやりになるのだったら、事務を簡素化した方がいいですよ。あなた方だってそうでしょう。援護事務や恩給事務が多いのに、その中へまた未亡人の事務を一つ加えるのですから。加えなければ、援護局がなくなるというのなら別ですけれども。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)そんなことはないと言っておる。そんなことはないなら、私はその方がよかったのじゃないかと思うのですが、なぜ一般会計から出されなかったのかということなんです。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 お言葉を返すようで非常に恐縮でございますが……

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いや、返して下さい、議論ですから。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 実はこのやり方の方が、一番簡明なやり方だという結論でございます。といいますのは、先生御指摘のように、いわば有期年金的に毎年二万円ずつ加えていくという方式も十分成り立つわけです。一つの考え方としてあり得るわけです。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 一番簡単です。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 いや簡単ではない。といいますのは、結局国が特別給付金を今日の段階で二十万円出そうというのは、その対象となる人に、二十万円の金ではございますけれども、金の形をとった明瞭なる慰謝をしたいという気持から、こういう給付金が出るわけでございます。ところが、年々の有期年金にするということでございますと、来年、遺族の戦没者の妻でなくなる人がどれだけあるかわからない、ところが、だれも自分の余命が何年間かということはわからない。そうすると結局、大げさな言い方をしますと、四十数万の全対象者が幾らもらえるのか、自分が早く死ねばそれだけもらえない、そういうことでは、一体現段階において感覚でつかみ得る、金額で表示されるどれだけの慰謝を国からしてもらったのかわからない。だから今日の段階で、そうした対象の人には二十万円上げます、そのかわりなくなっても、あるいは再婚しても、二十万円という金には変わりません、こういうふうにいく、はっきりと遺族に感覚でつかみ得るような二十万円を上げますという措置にした方が、遺族も気持が明るいであろうし、国としてもあと十年間毎年々々恩給等にプラスしていくよりも、一回権利があるかないかという裁定をすれば、あとは自動的にいく方が事務の簡素化から言いましてもはるかに利点がある。こういうことでございまして、決して役人がよけいな事務をつくるというような気持に基づいてこういう考えを出したのでないということを御了承いただきたいと思います。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 二十万円というのはもうきまっておるのですから、二十万円を十年間に上げますと、これで仏壇にはけっこう同じことです。私は何もその二十万円を削れというわけじゃない。その場合に、死亡してもこの二十万円は相続できますよ、十年間ですから。ただ、出し方を一般会計から出すだけの話なんです。母子福祉年金をもらっている人は、一緒にもらえばいいのです。公務扶助料をもらっていらっしゃるのだから、一緒にもらえばいいのです。その場合、今度はもう一回役場に行かなければならぬ。これをもらいに行くのに、一回で済むのが二度になり、二度で済むのが三度になる。そして事務は代書人に書いてもらわなければならぬ。こういう場合、あまり代書人のところに行かせる制度というものはやらぬ方がいい。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 いや、代書人に書いてもらうような書類じゃありません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 しかし、これをやりますのに、一回目には申請しなければならぬのです。役場なり役所に行かなければならぬのです。それなら、今公務扶助料をもらっている人には全部二十万円追加します、これでいいのです。妻の年金をもらっている人に一万円追加します、これだけでいいはずです。ところが、これはやはり申請をしなければならぬ。漏れている人だけ申請したらいいのです。どうももったいぶった国債で、利子のつかないものをやっていかにも割り切れない。まあいいでしょう。  それから、この支払い事務は郵政大臣が取り扱うのです。そうしてこの特別給付金の事務処理費として五千六百六十八万七千円計上しているわけです。これは莫大な額ですよ。事務費は要らぬというけれども、五千六百六十八万七千円ですよ。これはわれわれ貧乏な社会党にとっては莫大な額です。社会党の半年分の党のまかないの費用に匹敵する額ですよ。しかも本省の事務費が五百七十三万七千円、事務委託費が五千九十五万円となっておるわけです。これは郵政省にいく分はどれくらいになるのですか。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 ただいま先生の申されました予算は、本省及び都道府県、市町村におきます権利の裁定関係の経費でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、支払い事務をやる郵政省には一文もやらぬおけですね。そんなもの、ただで郵政省はやらぬですよ。

稻村光一大蔵事務官(理財局国庫課長)

○稻村説明員 国債に関します事務は郵政省ではございませんで、日本銀行に取り扱わせることにいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 しかし十一条の「国債の償還金の支払」というところに、「国債の償還金の支払に関する事務は、郵政大臣が取り扱うことができる。」と書いてある。法案に書いてあります。

稻村光一大蔵事務官(理財局国庫課長)

○稻村説明員 先ほど申し上げました国債に対する事務は、日本銀行がやるということでございます。ところが具体的な、毎期、半年ごとの一万円の支払いにつきましては、郵便局が窓口になって支払いをするということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 その場合に、そうすると窓口になる郵便局については、一文も事務費を出さないのですか。たとえば年金の支払いについては、やはり郵政省に金を出すのです。年金局長おるでしょうが、年金の支払いに、一体郵便局に幾ら金を出しているのですか。それは何千万という金を出しておりますよ。そうすると、この国債の事務を取り扱わせるのに、この十一条を見てごらんなさい。あとで質問いたしますが、郵政大臣ということがたくさんあるのです。それをやらせるのに、あの忙しい郵便局に金をやらぬというばかなことはない。しかも、その予算は五千万円も組んでおるのですよ。

稻村光一大蔵事務官(理財局国庫課長)

○稻村説明員 郵便局にその事務を取り扱わせますについては、国債の利払いの事務取り扱い手数料といたしまして、国債整理基金から日本銀行に渡します分が、郵政省の方に回るわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、今度は国債の利払いはないわけですか。掛金だけしか払わないのですから……

稻村光一大蔵事務官(理財局国庫課長)

○稻村説明員 失礼いたしました。利払いだけでなくて、今度の場合は、要するに元本の償還の支払いでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、ことしの郵政省の会計の中に一体幾ら入ることになるのですか。この国債は一人や二人じゃない、四十四万人の支払いを委託するのですよ。これをお読みになると、十一条に郵政大臣がたくさん出てくるのです。まず、「郵政大臣は、前項の規定により取り扱う事務を処理する場合において、特に必要があるときは、同項の規定にかかわらず、その事務の一部を政令で定める者に委託して取り扱わせることができる。」一体郵政大臣は、だれに事務の委託をすることができるかということに疑問が出てくるわけですが、これはだれに委託をさせるのですか。十一条の二項の委託は、一体だれに委託させるのですか。それから、今度はその次の条項を見ると、「郵政大臣は、同項の政令で定める者に対し、その支払に必要な資金を交付することができる。」郵政大臣はこの資金も交付することができるのですよ。郵政大臣は、一体どこからこの資金を持ってくるのですか。こういう資金は、この四十四億に余る金が、郵政省のことしの予算の一体どこにプールされておるか。しかも、事務委託とか交付金の手続は、郵政大臣が今度は大蔵大臣と協議をすることになっておるわけです。だから当然、その資金が郵政省の会計のどこかにたければ、こんな規定は必要ないことになるわけですよ。しかも、郵政省が取り扱う事務については郵政省令で定めるのですよ。だから当然、こういう十一条の国債の償還金の支払いの事務について、これだけ郵政大臣の名前が出ているからには、その財政上の裏づけが、何か一般会計からされていなければ、郵政省というものはとてもやれぬですよ。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 まことに恐縮でございますが、郵政及び大蔵でちょっと話し合いをさせていただきます。間違うといけませんから。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 それでは、それはあとにしましょう。  次は、厚生大臣の持っている権限の一部を、都道府県知事その他政令で定める者に委譲ができますね。一部の権限を委譲するというのは、具体的に一体どういうものですか。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 今のところ、権利の裁定を考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 権利の裁定と申しますと、日華事変以後のものと、それから公務扶助料等を受ける権利を有する者と、こうなっているわけですね。結局その者が国債をもらう権利がありますと、また申請するわけでしょう。それを今度認定するわけでしょう。そういうことになるわけですね。その権利の一部を、都道府県知事その他政令で定める者というのは、だれですか。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 これは沖繩につきまして、場合によって南連の事務所長に委任することも、法律的には可能にしておきたいということでございます。しかしながら、なるべく早くこの権利の裁定を終えるためには、むしろ常連に委任しないで、厚生省に名簿がございますから、厚生省で直接やった方が早いのじゃないかということで現在検討いたしておりますので、多分委任しなくて済むのではないかと考えておりますが、もうしばらくその点については詰めてみたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、沖繩については、厚生省としてはキャラウエー高等弁務官と十分意思疎通をはかって、沖繩の未亡人についても差し上げますという言明を得ているのですね。これは総理府を通じて、十分事務的な打ち合わせは完了しているのでしょうね。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 国会に法案を出しました瞬間に、特別地域連絡局長に、しかるべく現地への連絡方を頼んでおりますから、問題なく適用することができると考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 次は、さいぜん問題になりました、生活保護との併給の問題です。この問題については、すでに大蔵大臣は、きょう君が言明をさせるとすれば、私は併給いたしませんと言います、しかし、私の気持はあなたと同じだから、もうしばらく待ってくれと、こう言うたのが二月の中ごろだったのです。もうすでに一カ月経過しているわけです。予算は参議院を通ってしまいますし、この法案も、来週くらいには通そうか通すまいか、こういっておるのですから、生活保護との併給の問題について、きょうはぜひ一つ結論を出してもらいたい。もしきょう出なければ、今の保留の問題と一緒に、来週の火曜日にもう一ぺん私は質問しますから、それまでに出していただけますか。

渡海元三郎自由民主党厚生政務次官

○渡海政府委員 前に予算分科会で滝井委員より御質問がありまして、大蔵大臣がこれに対する回答をされているのを、私も速記録を読ませていただきました。本交付金につきましては、その特別な性格にもかんがみまして、収入認定につきましては特別な取り扱いをしたいという考え方のもとに、目下検討中でございまして、最後の結論を出しておりませんので、今日中に結論を出して言えということでございますが、残念ながらここで結論を申し上げかねますので、御了承賜わりたいと思います。なお、来週の火曜日までには結論を出せということでございますが、私たちも、本法案審議の際におきましてぜひとも結論を出すべく目下折衝中でございますので、ぜひそのようにいたしたいと考えております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 では一つ、鳴くまで待とうホトトギスで待ちます。  次は年金局長。昨年の通常国会でございましたか、福祉年金と公務扶助料との併給の問題が決定したわけですね。戦闘公務は七万円まで、非戦闘公務は二万四千円までになったわけです。これは戦闘公務と非戦闘公務と、どうして七万円と二万四千円との違いが出たのだ——戦闘公務は、やはりこれは慰謝をしなければならぬのだ、こういうことで額が多くなったわけですが、この額は、すでに物価も上がったし、それから福祉年金の引き上げも、今回あなたの方としては、わずかでございますが千円を千百円、それから千五百円の母子福祉年金を千八百円ですか、身体障害者も引き上げましたね。この七万円については引き上げる意思はないのですか。理論的に言ったら当然引き上げざるを得ない問題だと思うのですがね。この福祉年金と公務扶助料とを併給してもいい、その最高額は七万円だ、こうなった。ところが、御存じの通り、再来年になりますと当然公務扶助料も上がりますね。それから再来年になると、ことし上がった遺族年金もまたやはり上がりますよ。池田内閣の物価政策というのは、これは池田さんが一・一と言うときは七%ぐらい物価が上がる。二・八と言ったときには、やはり倍ぐらい上がらなければならぬことになる、今までの事実から言えば。うそは申しませんと言うが、冷厳なる現実は、物価はどんどん上がっておりますから、従って、こういう恩給類似のものあるいは年金等で生活していらっしゃる方々の生活レベルを上げようと思えば、当然これも上げざるを得ない。そうすると、併給を認めたからには、この七万円とか二万四千円をそういつまでも保つわけにいかぬ。当然検討しなければならぬ段階に来ておると思いますが、これについては一体どうお考えになるか。

山本正淑厚生事務官(年金局長)

○山本(正)政府委員 この問題は滝井先生はよく御承知の通りでございまして、この併給の制度ができます際に、ものの考え方になるわけでございますが、いわゆる年金制度としての最低額と申しますか、一般全部を通じましてその最低額的なものは、月額二千円程度というものはやはり年金で何とか処理するというふうな考え方が基本にあったわけでございまして、それで年額といたしまして二万四千円、従って一般公務の場合には二万四千円、そうして戦争公務という特殊事情の分につきましては、その倍率で大体三倍程度ということで計算いたして、端数を整理して七万円という限度を設けた次第でございます。  そこで基本的な考え方からいきますと、公的年金の額のそういった最低の線をどう考えるかということから、この二万四千円なり七万円という平均の限度額が出ているわけでございまして、従いまして、公務扶助料あるいはその他の被害による年金というものがふえたから、このワクを直ちに上げるという問題としてよりも、理論的にはやはり一般公的年金の最低生活額といいますか、その一般年金額との関連において考えるべき性質のものではないか、かような考えを基本的に持っている次第でございまして、従いまして軍人恩給の増額があった、直ちにこの七万円をどうするといった性質のものではないのじゃないか、かように理解しておる次第でございまして、直ちに扶助料が上がったらこれを上げるというふうな考え方には立ってない次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 少なくとも公務扶助料等を考える場合には、やはり生活保護費というものを頭に置いて考えていくわけです。これは社会保障でないといっても、やはり最低生活というものを保障しなければならぬというようなことが、絶えず頭にあるわけです。あなたが言うように、二千円というようなものを頭に置いているということは、やはり生活保護の六十才の老齢者に支給する額は二千円程度なんですから、そうすると今度は生活保護が一割七分上がって、東京等の一級地は、一万二千二百十三円なのが一万四千二百八十九円になるわけです。一側七分上がる。そうなりますと、当然福祉年金と公務扶助料を合体したものの総額が七万円と、こうきている。ところが、公務扶助料が、三十九年になりますと七万二千円になってしまう。そうすると、合体することの意味がなくなる。合体したものが七万円なんだから、合体する相手方が七万円以上に上がってしまったら、合体するという法律は抜けがらになってしまって意味がない。だから、いつまで抜けがらにするわけにはいかない。政策というものは、その時期が来る前に新しい政策をやらなければならぬ。三十九年にそういうことが来ることが明らかであるならば、三十八年に何らかの対策を講じなければならぬ。当然これは、常識として上げなければならぬではないですか。それを上げないで、そのままほおかぶりでいきますか。ほおかぶりで左右は風が当たらぬかもしれませんけれども、前とうしろには風が当たりますよ。どうですか。

山本正淑厚生事務官(年金局長)

○山本(正)政府委員 今御指摘のように、三十九年でございますから、十月ですか支給されますと、現在の併給の見込み人員というものが大体五十七万でございますが、そのうちで二十三、四万のものが該当しなくなるというような見込みを計算しておる次第でございます。ただ、今申しましたように合算額云々という、結果的にはそうなるわけでございますが、やはり公的年金とのバランスということでものを考えるのが筋ではないか、従って、先ほど生活保護の例示もございましたが、生活保護の引き上がっておるというような、そういった事情というものは、やはり公的年金の額をどうするというもとの方をどうしていくか、改善していくという方向を考えることがまず先であって、その際にどう考えるかというものの考え方になるのじゃないか、かように存じておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 しかし、これは上げないと不合理でしょう、合体するものですからね。公務扶助料と福祉年金と併給してもよろしいという法律的な制度をおつくりになって、片方が七万円をこえたときに併給の意味がなくなるわけです。なくなった抜けがらの法律を置くわけにはいかないから、修正せざるを得ない。まあそうなると思う。そうしますと、まず公務扶助料が今六万一千円ですね。それから今度未亡人が二十万円もらうと、一万ないし二万が一年に併給されますね。それから福祉年金の併給がありますね。それから生活保護の併給が可能ですね。この四つが、未亡人については可能になってくるわけですね。それはその通りでしょう。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 公務扶助料と今度の特別給付金が一緒に出るということは、法が当然予定しておるところでございますから、その通りでございます。それから生活保護世帯につきましては、公務扶助料が別個に出ておるわけでございまして、全国的に生活保護世帯というのは非常に少ないのじゃないか。この戦没者の妻の家庭をとって考えますと、非常に少ないと思います。もし万一ありますれば、先ほど来政府委員が早急に結論を出すと言ったところに従いまして、出るものは出るというふうに御理解いただいてよろしいと存じます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 公務扶助料を受けていらっしゃる四十四万の世帯の中で、生活保護の対象者はどの程度いらっしゃいますか。

大山正厚生事務官(社会局長)

○大山(正)政府委員 今回の特別給付金の支給対象、あるいは公務扶助料の支給されている方につきまして、生活保護を受けている者が何名かということは、実は具体的な数字はただいまのところございません。今回の戦没者等の妻に対する特別給付金の支給対象につきましては、さきの予算分科会でも御説明申し上げましたが、通常の保護率から推計いたしますと約九千人、従いまして、四十三、四万の戦没者の妻のうちで、約九千人くらいが生活保護の該当者ではないかというように推計をいたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これはこの前お聞きしたが、もう一ぺんここで確めておかなければならぬということで確めたわけでございますが、九千人というと、これは額としては相当の額になるわけですね。それで私はこの前、一万人と見ますとちょうど一億円ですね、一億の生活保護費の併給をすれば、ことしの生活保護の予算の中から生活保護費が、昨年が六百十一億九千一百万円で、ことしが七百二十二億六千八百万円、この七百二十二億の中から一億削ってもいいことになるのです、認定をするとすればですね。しなければ、このままでいいということになる。だから田中さんに、あなたが認定をすると言えばこれは一億予算を修正しますよ、しないということであれば原案のままでよろしい、こういう詰め方をした。そこで、一億修正されたら困るのだから、私としては、あなたが無理を言えばこれは認定をすると言わざるを得ない、しかし、そういうことになれば認定をしないというあなたの気持と同じだ、こうなったわけです。だから私の方は、目をつぶって予算を修正しないで通したわけです。そこで今の公務扶助料は併給しないのですよね、生活保護と併給しますか。

大山正厚生事務官(社会局長)

○大山(正)政府委員 収入として認定いたしております。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 公務扶助料というものは認定をするわけですから、これは収入にはならぬことになる。そっくりそのまま収入にならぬ。そうすると、併給可能なところは、二十万円もらううちの一年一万ないし二万の分と、それから今度生活保護——公務扶助料を一応除外してみる。生活保護と福祉年金、これは可能なわけです。ここらの政策が、私は今後の社会保障政策を前進するのに非常に重要な政策になってくるのです。これは私たちは未亡人に合掌しなければならぬところです。未亡人の力で、とにかくこういう四つの政策というものがうまくコンビネーションをされていくと、この未亡人の地位というものはぐっと上がってくる。四十四万の地位は上がってくるのです、併給ということが可能になってくると。そうしますと、あと六十万程度母子家庭がいらっしゃるのです。そしてこの母子家庭の一カ月の収入というのは一万、九千円以下です。従って、これは当然政府としては、戦争未亡人についてこれだけの具体的な政策をやるということになれば、それらの未亡人についても、また政策を何らかの形でやらざるを得ない形が出てくると思うのです。これはすべての人が、政治の恩典は太陽のごとく均霑するということが必要なのだから、そういう点で私たちは、この四つの問題な特に出してきて言うわけです。そして同時に、あなたの方で、今度は公務扶助料と福祉年金の併給の問題のワクを上げてくれるということになれば、ここでまた一歩の前進ができるわけです。ところが、これをこのままにしておくと、三十九年の六月になって、そうして七月から七万四千二百円に上げられてしまうと、もう福祉年金と公務扶助料の併給の問題というのは意義がなくなってしまう、このワクを広げてもらわぬ限りは。そういう点は、私は先のことを指摘しながら言っているわけです。やはり政策というものは、絶えずどこか一つを突破口としながら前進をする。しかし、その前進する政策というものは、絶えず大局な見ながら、大所高所から、できるだけ政策の前進しやすいところから前進をして、他のものをそれに向かって引き上げていくという政策をとってもらわなければいかぬと思うので、それを厚生省がやらないところに問題がある。厚生行政がいつも立ちおくれになるのはそのためです。だからこの未亡人の特別給付金の支給の問題について、厚生行政前進の橋頭堡としてもらわなければならぬと、こういうことなんですよ、私の言いたいのは。それをあなた方が使い切らなければ能吏ではない、こういうことになる。  そこで、そういう観点に立ってもう一つ質問をしたいのは、山木さんの方の母子年金に準母子年金というのがあるわけです。未亡人が子供を持っておる場合が母子年金で、しかもそれが所得制限をつけて、千五百円月に上げましょう。今度は三百円上がりますけれども……。その場合に、おばあちゃんが、あるいはおねえちゃんがおかあさんのかわりをやっておるときには、年金を差し上げますよ。準母子年金を差し上げたわけです。今度、夫が戦死する前にその妻がなくなってしまっておった。そうしてその息子が戦地に出ていったときに、息子のその子供をおばあちゃんが、あるいはその戦死した息子の妹なり姉がその一家にあって育てておったという者については、何もないのですよ。ことが一つこの政策には欠けておるんじゃないか。ちょうど準母子年金と同じように、母親がやっておったらこれは準母子給付金というか、準特別給付金か、やはりそういう制度を考えてやる必要があるんじゃないか。妻が死んで、妻には上げます、しかし、その母親には、なるほど何もいかないでしょう、子供がおるんですから。子供に公務扶助料がいってしまうのですね。順位からいくと、妻から子供、子供からおばあちゃんになるわけでしょう。この場合に、二十万とは言わぬが、半額でも、やはり嫁のかわりをした母親、嫁のかわりをした妹とか姉ですね、こういう者に——弔慰金が違うとおっしゃっているけれども、やはり制度としてはやっていいのじゃないか。あなたは今、仏壇に供えるとおっしゃった。嫁に上げるということは死んだ人に供えることなんですから、仏壇に供えるというこの言質は、私は重大なことだと思う。仏壇に供えるというからには、死んだ夫に対するあれなんですからね。だからこれは両面があるわけですよ。そうすると、おばあちゃんが一生懸命にやっておった、それはいわば嫁がわりですよ。こういうところまで、やはり政策というものはいってもいいんじゃないかと思うのです。そんなに数多くないでしょう、数多くないと思うのです。おばあちゃんは公務扶助料をもらっていないんですね、息子がおるから。その息子も、二十になったらだめになるでしょう。そうすると、たまたま妻が死んでしまっておったということで、これはもらえないんですからね。だから今日やっておったのでもいいです、あるいは日にちを切るのは。妻がおれば公務扶助料をもらっておったのです。ところが、妻が早死にしてしまった。公務扶助料をもらって一、二年して死んでしまった。そうしてあとは、おばあちゃんが幼き子供々育てている、こういう場合があり得るわけです。公務扶助料をもらっておって、日華事変から以後に死んだ者という輪をかけているのです。その一つの輪を締めてしまっておるのだから、その中におけるすでに公務扶助料をもらう権利を持っておった妻にかわって、おばあちゃんがした場合には出したらどうか、こういう理論なんです、準母子年金を出したのですから。社会保障よりかもっと大事にしなければならぬというので、戦争未亡人について慰謝料を出すのでしょう。年金においておばあちゃんや妹、姉に出すのですから、その子供を養っておった者だけ出すのですから、従って、それよりか大事な戦死者の子供を見ているおばあちゃんなり弟妹に出さないという理論は出てこない、出して当然のことなんです。それよりか低い年金は出しておるのですから。だからここはあなた方がもう一歩考えて、これは与党からしりをたたかれて、あるいは忙しくてそこまで頭が回らなかったでしょうが、きょうは冷静になって、そこまで考えてみる必要があるのじゃないか。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 先生のお気持はよくわかりますが、今次の戦争でお気の毒な方は、親や子やいろいろたくさんあるわけでございます。その中で、妻だけに給付金を出すのは何であるかという本質に帰着するわけだろうと思います。結局提案理由の中にも書いてございますように、一心同体である夫を失った妻としては、気の毒だといっても親や子とはおのずから違った特別の心情にある、その一点に着目して出しておるのである。従いまして、滝井先生が御指摘のようなケースは非常に御同情にたえないところでございますが、そういうケースを拾いますと、親なり子にも気の毒な人はたくさんあり得るわけでございます。従いまして、今国民年金との比較の話が出ましたが、やはりこの給付金は、所得補償としての感覚は全然考えていない。やはり金で出してはおりますけれども、そういう特別の心情におかれておる妻だけに対して特別の慰謝をするのだ、そういう割り切り方をして、妻以外については対象としない、こういうふうに整理したわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 ところが、三十八年の四月一日現在で、再婚または死亡していないということが第一条件なんです。そして、それからあとは、再婚しようと死のうと勝手なんでしょう。だからここらが問題なんです。現在再婚または死亡していないということ、しかしそれから先は、仏様がどう言おうと再婚してもどうでもいい、そうでしょう。だからそういう点で、こういう制度ができるときには、しつこくじゃなく、きちっとできるだけ範囲を広げてやっておかないと、あとからまた運動して広げるということは醜態なのです。私は今までそういう例を知っておるから、法案を通すときには、きちっと考え得るすべてのものを考えて議論をしておく必要がある。それが国会議員の任務なんだ。そういう意味で、怱忙のうちにできておる法案だから抜けておるところがある。準母子年金では、おばあちゃんが子供を育てた場合にやっておるのです。私は、その資格のないおばあちゃんにまでやるというのじゃない。資格があって現実に達者でむすこを育てておる、こういうおばあちゃんには、全額でなくてもいいから、少なくとも半額ぐらいは与えてもいいんじゃないか。あるいは妹さん、姉さんがやっておった、しかも子供のある場合でよろしい。これは仏に対する愛情ですよ。残された者に対する愛情だと思うのです。で、これは再婚したらやらぬ、死亡したらやらぬというのなら、私はそういうのは言いません。ところが、現実に再婚していないということと、現実に死亡していないという条件をつけておるが、一たび国債を手に入れたら、あとは野となれ山となれということではいかぬのじゃないかということです。ここがあなたの方の政策では一つ抜けておるのです。だから、そこらあたり、私たちとしては、年金でそういうところがあるのですから、何かそういう点を考えてやる必要はなかったかということなのです。

山本淺太郎厚生事務官(援護局長)

○山本(淺)政府委員 あまりくどくどは申し上げませんが、要するに国としては、二十万円という国債の形ではありますけれども、金銭で慰謝をするということは、非常にお気の毒なことをしたといって国が頭を下げることだと思うのです。従いまして、今日、法律施行の際ある時期をとらえなければなりませんので、四月一日にそうした公的年金の出る人につきましては、国は真心をこめてあやまる。あやまるということで、慰謝としての国債の給付の権利を裁定する。裁定するということは、国が頭を下げることだと思います。従いまして、そういう場合に条件付に頭を下げるというようなことじゃなくて、下げるときには、あっさりと頭を下げるという気持で権利の裁定をするということでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 これ以上は議論になりますから、きょうはあと理事会があるそうですからやめます。そこで次回は、事務費その他の問題についてもう少し明快に御答弁ができるように、大蔵省、郵政省、厚生省で十分協議していただきたいと思います。あとは保留いたします。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十六日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時四十七分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗