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43回国会衆議院1963/02/27

社会労働委員会 第14号

発言数
180
登壇者
10
会派数
2
開催日
1963/02/27

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより会議を開きます。  内閣提出の国民健康保険法等の一部を改正する法律案、麻薬取締法等の一部を改正する法律案、老人福祉法案及び大原亨君外十六名提出、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案、以上四案を一括議題とし、審査を進めます。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。西村厚生大臣。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 ただいま議題となりました国民健康保険法等の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  わが国の医療保険制度は、今後その内容を充実するとともに、各制度間において、なお給付内容及び被保険者負担等の面における総合調整を要するところが多い現状であります。ことに、国民健康保険につきましては、その給付内容を改善し、被保険者負担の軽減をはかることが、同制度の対象とする被保険者の実状から考えて、当面の急務とされるところでありますので、早急にその給付率を引き上げ、給付期間の制限を撤廃する等、給付内容改善の措置を講ずるとともに、低所得被保険者の保険料負担の軽減をあわせて行なうようにするため、この際国民健康保険財政に対する国の援助を一段と強化することが必要であると考えるのであります。  また、国民健康保険制度についての改善と並行して、健康保険、船員保険、各種共済組合の被用者保険各制度につきましても、この際給付期間の制限の撤廃、継続給付の期間の延長等の措置を講ずることにより、その給付内容の向上をはかるとともに、国民健康保険財政の負担の軽減に資することが適当であると考えるのであります。  以上のような理由により、この法律案を提案した次第でありますが、次にこの法律案の内容について御説明いたします。  まず、国民健康保険関係につきましては、第一に、世帯主またはこれに準ずる被保険者が療養の給付を受ける場合の一部負担金の割合を、十分の五から十分の三に引き下げことといたしております。  第二に、療養の給付に関して、給付開始後原則として三年と定められていた給付期間の制限を撤廃することといたしております。  第三に、国民健康保険の被保険者が生活保護法による保護を受けるに至ったときは、その日から所要の医療給付は生活保護の医療扶助によって一元的に行なうこととし、国民健康保険の被保険者資格を喪失させるように改めることといたしております。  第四に、国民健康保険の被保険者のうち、保険料の負担能力の乏しい低所得者に対して、保険料を一般の者より大幅に減額して賦課するため、これに必要な規定を設けております。  第五に、以上に申し上げました給付率の引き上げ、保険料の軽減措置等の施策を実施するための費用について、国が所要の財政措置を講ずることとし、調整交付金の総額を、市町村の療養給付費見込み額の百分の五から昭和三十八年度においては百分の八・八、平年度においては百分の十に増額することといたしております。  第六に、現行国民健康保険法の施行の際の経過措置として認められていたいわゆる給付制限を、昭和四十年三月末日までにことごとく廃止させることといたしております。  次に健康保険等の被用者保険関係につきましては、第一に、健康保険の任意継続被保険者の被保険者資格期間を、現行の六カ月から一年に延長することといたしております。  第二に、健康保険、船員保険、公共企業体職員等共済組合、国家公務員共済組合及び地方公務員共済組合の療養の給付の支給期間につきまして、現行の三年の制限を、被保険者資格存続中の者についてはこれを撤廃し、被保険者資格喪失後の者については五年に延長することといたしております。  なお、本改正は、国民健康保険の療養給付率の引き上げに関する部分は十月一日から、その他の部分は四月一日から実施するものでありますが、国民健康保険の療養給付率の引き上げについては、特別の事情がある保険者で都道府県知事の承認または認可を受けたものに限り、昭和四十年三月末日まで猶予を認め、また、国民健康保険の療養給付期間の制限の撤廃についても同日まで猶予を認めることといたしております。  以上がこの法律案の提案理由でありますが、何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました麻薬取締法等の一部を改正する法律案について、その提案の理由を御説明申し上げます。  この法律案は、最近における麻薬犯罪の悪質化及び麻薬中毒者の増加が、保健衛生上及び治安上重大な問題を提起している現状にかんがみ、麻薬の取り締まり及び罰則を強化するとともに、麻薬中毒者に対する入院措置を講ずる等、麻薬対策を強化に推進するため、麻薬取締法の一部を改正し、あわせて、大麻取締法及びあへん法の一部を改正するものであります。  まず第一に、麻薬取締法の一部改正について御説明申し上げます。  改正の第一点は、麻薬の取り扱い及び監督の強化に関することであります。すなわち、麻薬取り扱い者の免許の相対的欠格事由を拡大して覚醒剤中毒者等には免許を与えないことができることとすること、麻薬取締員の定数について、現在の百名以内を百二十名以内に増員すること、及び国または都道府県の機関は厚生大臣の交付する犯罪鑑識用標準麻薬を所持し、使用することができることとすること等であります。  改正の第二点は、麻薬、大麻またはアヘンの慢性中毒者の入院措置に関する規定を設けることであります。麻薬中毒者等の入院措置といたしまして、現在、自傷他害のおそれのある者については、精神衛生法によって精神障害者に準ずる措置がとれることになっておりますが、麻薬中毒者対策としましては、この措置のみによることは必ずしも十分と申せない実情にありますので、新たに麻薬取締法自体において、麻薬中毒者等の通報、診察、入院、入院中の措置、退院等について、実態に即した規定を設けようとするものであります。  なお、麻薬中毒者等の入院措置は、麻薬中毒者等の身体の拘束を伴うものでありますので、人権保護の見地から入院期間が三十日をこえる措置をとる場合には、麻薬中毒審査会の審査に基づいてこれを行なうこととし、また入院期間は六カ月をこえることができないこととする等の規定を設けております。  改正の第三点は、麻薬犯罪に対する罰則を強化することであります。すなわち、現行麻薬取締法違反の罪に対する最高刑である「一年以上十年以下の懲役及び五十万円以下の罰金」を「無期又は三年以上の懲役及び五百万円以下の罰金」に改めるほか、以下それぞれの違反行為の段階に応じ罰則を強化するとともに「麻薬の密輸出入及び密造」についてはその予備を罰し、また「麻薬の密輸出入及び密造に要する資金、建物等の提供」及び「不正取引の周旋」は独立罪として罰することとしようとするものであります。  次に、大麻取締法及びあへん法の一部改正についてでありますが、これらの法律におきましても、麻薬取締法の罰則の強化に伴い、それぞれの違反行為の段階に応じ、罰則の強化をはかろうとするものであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由及び改正の主要点であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました老人福祉法案につきまして、その提案の理由を御説明申し上げます。  最近におけるわが国の老人の生活の実態を考察いたしますと、老齢人口の著しい増加の傾向、私的扶養の減退、老人を取り巻く環境の急激な変動等によりまして、その生活はきわめて不安定なものとなっており、一般国民の老後の生活に対する関心もまた著しく高まっている現状であります。  政府といたしましては、このような現下の老人問題の重要性にかんがみまして、この際、老人福祉に関する諸施策を体系的に整備拡充し、他の関係諸施策と相待って、老人福祉施策を幅広く、しかも強力に推進して参りたいと考え、この法律案を提案した次第であります。  次に、本法案の内容について、その概略を御説明申し上げます。  最初に、この法律案では、老人福祉に関する原理、すなわち基本的な考え方を国民の前に明らかにすることによって、老人福祉に関する国、地方公共団体の施策、あるいは老人及び国民の心がまえについて、いわば指標を与えることといたしております。  このため、まず老人福祉の基本的理念としまして、老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきたものとして敬愛され、かつ健全で安らかな生活が保障されるべきことを明らかにいたしました。  また、老人自身に対しましても、単に閑居しているのみの生活が心身の健康の保持を阻害する原因となることにもかんがみ、老人は、その知識と経験を社会に役立たせる等、社会的活動に参与するよう努めるものとし、その希望及び能力に応じた活動に対しましては、社会としてもできるだけその機会を与えるべきものと規定いたしております。  さらにこのほか、老人福祉に関する原理といたしましては、国及び地方公共団体等が老人福祉増進の責務を有することも定めております。  次に、この法律案において定める具体的な事項について申し上げます。  第一は、健康診査の実施でありますが、老人には一般に健康をそこなっているものが少なくないので、六十五才以上の老人に対しまして健康診査を実施することといたしました。   第二は、老人ホームヘの収容等の措置であります。現在生活保護の対象となる老人のうち、居宅において生活することの困難なものにつきましては、主としてその最低生活を保障するという観点から、養老施設への収容が行なわれているのでありますが、この法律案におきましては、老人福祉の観点から、身体上、精神上の障害あるいは家庭内の事情等により、自宅で生活することが困難な状態にある老人につきまして、その状態に応じ、養護老人ホームまたは特別養護老人ホームに収容いたすこととしました。また、老人ホームへの収容の措置と並んで、老人を適当な家庭に預けて養護する制度も設けることといたしました。  第三は、老人福祉のための各種の施設に関する規定であります。この法律案では、老人福祉施設として、措置を受けた老人を収容するための養護老人ホーム及び特別養護老人ホームのほか、無料または低額な料金で一般老人の利用に供するための軽費老人ホーム及び地域老人を対象とする総合施設としての老人福祉センターを設けることといたしております。なお、現在あります生活保護法による養老施設は、この法律の施行に伴いまして、養護老人ホームに切りかえることといたしております。  第四に、以上申し上げましたもの以外のおもな施策について申し上げますと、国民の間に広く老人の福祉についての関心と理解を深めるとともに、老人に対しみずからの生活の向上に努める意欲を促すため、老人の日を設けること、日常生活を営むのに支障がある老人の世話を老人家庭奉仕員に行なわせること、老人クラブその他老人福祉増進のための事業を行なう者に対し援助を行なうこと等の規定を置くこととしております。  最後に、以上あげました施策に要する費用につきましては、都道府県または市町村が支弁することとし、これに対して国は費用の性質に応じ、その十分の八ないし三分の一を負担し、またはその一部を補助することができることといたしております。  以上この法律案の提案理由を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いする次第であります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 次に大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は、日本社会党を代表して、原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律の提案説明をいたします。  昭和三十二年、政府は、ビキニの水爆実験による被害を一つの契機として、国民の中よりほうはいとして起こった原水爆禁止と被爆救援の国民の世論の中で、原爆被爆者の医療等に関する法律を提案、実施し、その後若干の内容改善がなされたのであります。  しかるにその医療法は、給付が医療の範囲に限定されており、五千万度の熱風と放射能による人体の被害による原爆症治療のための栄養費や生活費の裏づけがなく、特に原爆による外症、内科的疾患による身体障害者に対する所得補償など、緊急かつ未開拓の分野が残されていることは、人道上からもゆゆしい問題であると存じます。今日、政府は、戦後処理と称し、二千八百五十億円を要求されている地主補償や、金鶏鵄勲章に対する一時金などに、巨額の国費を投入せんとしているのでありますが、二発の原爆による三十万人の死亡者遺族と三十万人余の被爆者及びその子孫はもちろん、このような悲惨な原爆被爆者を一人もつくるなと心から願っている心ある国民の立場からは、断じて了承できないところであります。  特にアメリカの原爆投下は、毒ガス以上の非人道的兵器であり、この国際法に違反する行為に対する補償は、あらゆる戦後処理に最優先するものといわねばなりません。  わが党は、医療法より援護法へという被爆者と国民の要望にこたえて、大要左の通りの法律改正案を提案いたす次第であります。   原子爆弾被爆者の医療等に関する法律の一部を改正する法律案要綱  一 法律の題名を原子爆弾被爆者援護法に改めること。  二 医療手当月額の限度を現行の二千円から五千円に引き上げること。  三 被爆者が健康診断または認定被爆者としての医療の給付を受けるため労働することができないことにより収入が減少したと認められる場合には、政令の定めるところにより、援護手当を支給することができることとすること。  四 被爆者で原子爆弾の傷害作用に起因する身体障害が存するものには、年額八万四千円の範囲内で、障害の程度に応じて政令の定めるところにより、障害年金を支給すること。ただし、同一の障害について、増加恩給その他障害年金に相当する給付を受け得る場合は、この法律による障害年金は支給しないこととし、この法律による障害年金の方が多いときは差額を支給することとすること。なお、障害年金は、国民年金との関係では、国民年金法上は公的年金として取り扱うこと。  五 被爆者が原子爆弾の傷害作用に起因して死亡した場合においては、その葬祭を行なう者に対し、三万円の葬祭料を支給すること。  六 都道府県が被爆者のために生活医療相談所を設置した場合には、国は、予算の範囲内において、これに要する経費の一部を補助するものとすること。  七 認定被爆者については、所得税法上の障害者控除(税額六千円控除)を受けられるような措置を講ずること。  八 認定被爆者については、国鉄運賃法による身体障害者に関する運賃割引を受けられるような措置を講ずること。  九 原爆被爆者の遺族補償については本法の原爆被爆者援護審議会において実態を調査した上援護対策を樹立すること。  十 施行は、昭和三十八年四月一日からとすること。  提案の要旨は以上の通りでございます。何とぞ慎重審議の上、全会一致御賛同あらんことをお願い申し上げて、提案説明を終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 四案に対する質疑は、後日に譲ることといたします。      ――――◇―――――

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 次に、内閣提出の母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。大原亨君。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案、これにつきまして質問いたします。  この法律案の審議に入るに関連いたしまして、この母子家庭の保護という問題は、影響するところ非常に大きいと思います。つまり全体の社会保障の分野からいいますと、所得保障の中に占める母子援護対策、こういう問題であると思うのです。従って社会保障制度全体をどういうふうに前進さしていくかという問題は、本委員会やあらゆる会議において、今日までいろいろと議論をされたところでありますけれども、そういう中において母子福祉対策をどのような位置づけをするか、こういうことがきわめて重要な問題であると私は思うのでありますが、社会保障全体の中で、母子対策の基本に対してどういうふうな考え方をもって臨むか、こういう点について厚生省の御見解をお伺いいたしたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 母子福祉対策でございまするが、現在までやりましたのは、そのたびにいろいろな法律をつくりまして、たとえば児童福祉法の中にもありますし、母子福祉資金の貸付等に関する法律にもありますし、あるいは国民年金法等にもまたありまするし、児童扶養手当等にもありまして、いろいろな制度でやってきておるのであります。私どもといたしましては、この母子福祉対策というのは、社会保障の中でも非常に重要な部分でございまして、何と申しましても母子と母子家庭というものは、低所得者層に属するものでございますから、われわれとしては非常に重要に考えておりますし、でき得るならば機会を見て、統一的な法律案でもつくったらというようなことを私自身も考えておりまするが、今回の法律もそういうような一環として、その内容の改善に努めたというようなことになっておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 たとえば母子福祉貸付金の中身の中に例をとってみますと、生活資金の貸付なんかあるわけです。それは本人や子供に対する一定の基準を設けてやっておるわけでありますけれども、しかし大体こういう生活資金を貸し付るというふうなことは、将来よほどの保証がない限りは、原則として貸し付けるべきではないし、これらは所得保障として給付すべきものでありますけれども、そういう所得保障の問題を貸付でやるというふうな弥縫策というか、そういうものはいつまでも続けるべきじゃないと思うのです。  まあそれはともかくといたしまして、母子家庭の実態ですね。全国でどういうふうな数字の実態であって、この法律による適用対象者はどういうふうになっておるか、こういう点につきましてお答えいただきたい。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 母子世帯の現状でございますが、五年置きにこの実態調査をいたしておるのであります。直近の調査は、昭和三十六年八月一日に実施いたしましたが、五年前の三十一年と比較して現状を申し上げてみたいと思います。三十一年当時の調査では、母子世帯が百十五万でございましたものが、三十六年の調査では百二万九千に減少いたしております。そのうち六十四万世帯が母と十九才未満の子からなっております。三十六万世帯が母と義務教育前の児童のみの世帯となっております。  それから母子世帯になった原因の調査でございますが、三十一年の当時と比較して申し上げますと、死別が三十一年当時は七七・九%でございました。それが三十六年では七七・一%というふうに減少しております。その内訳は、戦争のために御主人がなくなったという戦争死が三十一年が二六・一%であったものが、三十六年では一四・一%と減っております。それから病死が三十一年には四七・六であったものが、三十六年には五六・二というふうに増加をいたしております。なお生別のものが三十一年には二〇・一でありましたのが、三十六年には二〇・八と増加をしておりまして、特に離婚が三十一年には一四・六でありましたものが、一六・八と増加をいたしておるのでございます。それから現金実収入の調べでございますが、世帯平均で、総数平均が月額一万九千二百十八円でございます。これは一般勤労世帯の平均収入の三万三千円と比べると少ない額でございます。それから母子世帯の収入がだんだん増加したというような傾向が見られるのでございまして、たとえば月額一万円未満の収入の世帯が、昭和三十一年には四八%ありましたものが、昭和三十六年には二丁五%と減少をしております。それは一万五千円未満が昭和三十一年には七〇・六%であったものが、これも四三・二と減少を見ておりますが、一万五千円以上の収入のある世帯が、昭和三十一年には二八・七%であったものが、昭和三十六年には五六・五%と増加をいたしております。  なお、母子世帯と生活保護の関係でございますが、昭和三十一年度におきましては、母子世帯の保護率と申しますか、これが一〇・六%、十二万世帯でございました。一般家庭は当時一・四%でございました。それが三十六年度では十二万から八万世帯に減少しまして、その率も七・九%に下がっております。しかしそれでも、一般家庭に比べると保護率は約四倍でございます。  それから貸付の額とか人員等につきましては、お手元に参考資料をお配りしておきました。これでごらん願いたいと思いますが、この参考資料の二十八ページに貸付決定額の欄がございます。これによりますと、昭和二十八年以来三十五年度までの累計が八十七億円になっております。それから次の二十九ページには、二十八年度以来の申し込みと貸付の決定状況の三十五年度までの統計資料がございます。それから三十八ページに、貸付の人員の二十八年以来の表がございますが、三十六年度では約五万人が貸付の対象になっております。以上でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 非常にたくさん問題点について御答弁あったのですが、これは一つ一つ非常に大きな問題ですけれども、三十六年現在で一万円未満が二一%、これは一人で一万円未満というのじゃありません。家族をかかえた母子家庭で一万円未満というのでありますから、これは生活上は非常に大きな問題です。それから生活保護では三十六年には七・九%ですか、こういうふうに生活保護の受給者があるわけであります。私ども、こういう部分的にいろいろな政策を政府が提案するということは、今の現状においては賛成でありますけれども、しかしながら全体の社会保障について、私は厚生大臣がしっかりした考えを持ってとってもらいたい。社会保障の中で、医療保障と所得保障が非常に大きな問題ですけれども、医療保障でも今日はきわめて困難な情勢にあります。これは昨日やきょうの新聞で非常にはっきりいたしておるわけであります。この問題は、あとで保険の問題その他の問題において、私ども徹底的に議論いたしたいと思いますが、特に所得保障の問題で、今の生活保護基準で、いわゆる低所得階層の所得保障の対策をこれによって立てるというふうなことは、これは早晩乗り越えていかなければならぬ問題であります。この生活保護の問題で解決できないというふうな人たちに対しまして、こういうふうな、言うなれば弥縫策をやっておるわけでありますけれども、後に出てくる戦争未亡人に対する交付公債の問題もそうですけれども、とにかくそういう応急措置はもちろんですけれども、所得保障の問題について厚生省がしっかりした対策を立てられる、こういうことが私は絶対に必要だと思うのです。社会保障制度審議会からの答申については、私どもいろいろと問題点があるわけです。問題点はございますけれども、十年後の展望について、欧州の水準に達する、こういうことを言っておるわけですが、私はこの問題について、若干の長期的な計画を立てることが絶対必要である。今日まで委員会でいろいろと議論された問題ですけれども、私はそういう対策の中から、こういう当面の対策をやっていく、こういうことが必要だと思うのです。厚生大臣、どうですかね。毎日毎日、あれやこれや追っかけ回されて、非常に頭が一ぱいになっておると思うのですけれども、所得保障の問題について、しっかりした救貧対策を乗り越える対策を立てる、こういうことが私は絶対に必要である。そういう長期計画を立てるということを、あらゆる審議の機会に私は集約的に政府に対して要望すると一緒に、政治の上に反映さしてもらう、そうして政府がしっかりした対策を立てることが絶対必要である、こう思います。厚生大臣、いかがですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 さいぜんも申しましたように、この児童福祉法が昭和二十二年にできて以来、その中にも母子福祉を含んでおりますが、今議題となっております法律も、議員の皆様方から昭和二十七年に立法されてできたのでございまして、かくのごとく、自来ずっと、生活保護法におきましても母子加算の制度があると今御意見がありましたように、ばらばらの制度になっておるのでございます。もちろん大原さんのおっしゃる通り、社会保障は医療保障と所得保障でございます。従いまして私たちといたしましても、この所得保障についてはまとまった考えをしなければならぬと思いますが、所得保障の根幹は何といいましても国民年金の問題であり、児童手当の問題ではなかろうかと私は思うのであります。児童手当につきましても、これは所得保障の非常に大きな柱でございますが、いまだにわが国といたしましては検討中の段階にあるわけでございます。しかしこれは相当に重要な問題でございますので、今政府も一生懸命取り組んでおりますが、御案内のように、この母子につきましての所得保障、あるいは低所得者としての母子に対する所得保障というようなものは、今後一貫性を持ちまして整理する時期が来る、かように思っておりますし、またぜひやらなければならぬ、かように考えておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 厚生大臣は、永遠に厚生大臣をやられるわけではないのです。今までの慣例に従いまして、大体短く区切ってやられるわけですが、しかし実際西村厚生大臣のときに――各厚生大臣がそうなんですが、これだけは厚生省に残しておくというような、そういうものをきちっとして残しておかれることが、政治家といたしまして必要だと思うのです。だから私は、あなたがせっかく今日まで厚生大臣として、厚生行政の問題について熱心に御勉強になりましても、ようやくマスターされたと思うと――あなたは相当続かれると思いますけれども、実際上、次にはもうかわってしまうわけです。厚生大臣が入れかわり立ちかわりです。そうしたら、また初めから議論をし直すということではいけないわけです。だから西村厚生大臣はきわめて自由な立場で、フランクにこれに取り組んでおられるけれども、この際私はあなたの在任中に、そういう問題について――所得保障について社会保障制度審議会から答申があったわけですから、所得保障の問題について、私はあなたがはっきりとした、具体的に裏づけのある方針をつくって、これを今日以後の厚生行政の指針とする、こういうことでやっていただかないと、希望的な観測だけで、いつもそれがいいと思いますというようなことでは、厚生行政の進展がないと思う。もう少し具体的な所得保障に対する方針を立ててもらいたい。もし現在そういう手持ちがない、希望的観測だけであるならば、そうするならばいついつごろまでにはどういうふうにしたい、こういうお気持を示していただくことが、ここにおきまする議論、あるいは社会一般の議論を、政治の上に集約していく上においては、きわめて重要な問題だと思いますが、将来どういうふうに所得保障全体についてやっていくか、こういう問題についての決意をお示しを願いたい、こういうふうに思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 非常に大きい問題でありますから、短期間にこれを――私自身はそういう気持を持って、私どもでき得る範囲内で検討し、やっておりまするが、やはり多少の時日の経過が要ると思うのでございまして、今いつごろこれをできるか、またそのときに私がおらないようになって、ただ言いっぱなしではないかというようなおとがめもございますが、実際問題としては多少の時日の経過が要る。しかしその方向に全体として進んでおる、こういうことだけは申し上げられると思うのであります。今まではばらばらに出てきたが、この所得保障というものに対しては、一定の目標を持ってやる、そういうことには前進しておるということを申し上げられるだけでございまして、いついつまでにやるというようなはっきりしたものは、今持ち合わせないのははなはだ残念でございますが、あるいは君は言いっぱなしになるのではないかというようなことでございましょうが、やはり多少の時日の経過は要りますから、ということを申し上げるほかに、ただいまのところしょうがないわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 与党である自民党の党の政策でも、選挙のたびごとに出てくるわけですが、あるいは予算編成のときに出てくるのですが、社会保障を重点にする、あるいは福祉国家をつくる、こういう宣伝をいたしますね。そういう中において、たとえば先般厚生省が長期計画をつくったと思うのです。あれもどうなっているかということを、蒸し返しになりますが、もう一回私は確めてみたいと思うけれども、とにかく福祉国家をつくるといったところで、所得保障についての方針がしっかりしなければ、私は民主国家における福祉国家というようなことは一声えないと思うのですが、これは看板に偽りあり、こういうふうに判断してよろしいですか。厚生大臣、いかがですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 福祉国家をつくることは、結局われわれの政治の目標だということで、すぐ福祉国家ができるという、こんな簡単なものではありません。やはり政治の目標だ、従ってそれに近づきつつあるのだ、またわれわれの党としても政府といたしましても、それに近づけるような政策は今まで部分的ではございますが、十分とっておると思うので、羊頭を掲げるわけではありません。それはりっぱな政治の目標だ、こういうことを言っておるのでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 これはとにかく所得倍増計画とか月給二倍論ということを、高度成長政策の出発として言ったわけです。経済がよくなれば、社会保障も生活もよくなって安定してくるのだ、こういうことを言っているのですから、経済成長政策の裏づけになるような所得保障、社会保障の政策を立てる、こういうことが池田さんの演説していることの裏づけになるのだから、こういうことをやらないでおいて、社会保障をやります、所得保障をやりますと言ったところで、インチキになりますよ。だからそういう面において厚生大臣は、ぴしっとしてやっておかなければならぬ。与党の諸君だって、それは国民に対してうそを言うことになる。そんなことはいけません。所得倍増政策といい、高度成長政策という、そういうことを言っておいて、昭和三十一年から三十二年までは神武景気だ、三十四年から三十五年にかけては岩戸景気だといった。今度は神武景気からちょっと不景気になって岩戸景気、また不況になったら賃金が上がらぬ、社会保障に限界があるということを言ったんでは困る。そういうことを一貫して、社会保障、所得保障政策をやるということが、国民経済の観点からいっても必要なんです。これは今日の資本主義の立場に立っても、そういう進歩的な前向きの政策だったらそうなんだ。たとえばEEC諸国において、今日は公的扶助というものは古くさいことになっている。だから児童手当の問題でも、失業手当の問題でも何でも、戦後どんどん経済の発展と一緒にEECの諸国においては、資本主義の中においてやっているのです。日本においてはさっぱりそういうことをやっていないじゃないですか。ほんとうにちょっぴりちょっぴりやって、一方においては地主補償二千八百五十億円も出すということを言っておいて、あとで議論するけれども、そういうことを言っておいて――厚生大臣としては国務大臣として、何を先にやるかということについてやるべきだ。だからそういうことでここで議論したい。委員長に討論方式に切りかえてもらってもいい。とにかくこれを与野党で議論して、社会保障政策について長期的なぴちっとした計画を立てることが大切であるし、その中において当面は、母子福祉についてはこういうことをやります、戦争未亡人についてはこういう政策をやりますという政策を立てなければ、これは政治というものじゃありませんよ。これは厚生大臣の在任中に、所得保障を一つの柱とする社会保障に対するきちっとした計画をつくってもらいたい。こういうことを特に厚生大臣に要求しておきますが、もう一度国務大臣として、あるいは厚生大臣としても確信のある御見解を示していただきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 お説はごもっともだと思います。従いまして母子につきましてはさいぜんも申しましたように、社会層からいえばきわめて低所得の方々が多い。そういうようなものについて所得保障を与えるということは、きわめて重要なことであります。今回の法律の改正は、引き上げでございまして、部分的なことで進んでおるのではございますが、一貫いたしまして考える時期もそろそろきておるわけでございますから、私たちは決して言葉だけではなく、私どもといたしましてはできるだけ十分検討をいたしたい、かように考えておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 今日の社会におきましては、働き手の主人がなくなる、主たる家計の担当者がなくなることは、いわゆる個人の責任、残った者の責任ではない、こういうことははっきりしておる。これはもう議論する余地はない。だからそれに対する社会保障を前進させるということにつきましては、これも私は異議はないと思う。そうして未亡人その他生別、死別で残っておる婦人、子供に対する社会保障を進めるということも、基本的に与野党を通じて異議はない。福祉国家という看板に偽りがある与党の政策なら別ですけれども、今までの質疑応答におきまして、こういう問題については異議はないわけです。だからそういうことで考えてみますと、そういう母子家庭あるいは寡婦、そういうものに対する日本政府の施策というものは、どういう面とどういう面において施策が施されておるか、こういう点を、全体の政策の一環としてお聞きするわけですけれども、お答えをいただきたい。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 母子福祉対策で厚生省の関係では、社会保障の施策としては、ただいま大臣が申されました母子福祉年金、あるいは児童扶養手当、あるいはその他の年金があるわけでございます。それから社会福祉の施策としては、ただいま御提案中の母子福祉の資金の貸付の制度、この中にはいろいろ母子福祉相談員というような母子世帯に対するケース・ワーカーをする制度、あるいは売店の優先設置の制度、あるいは母子寮、一これは児童福祉法の中にありますが、それから住宅政策、なお住宅政策では建設省関係で、第二種公営住宅というものを設けられておりますが、母子家庭のために特別のワクをいただいております。その他私の方では、母子福祉センターという母子の相談、指導、あるいは技術の習得等のセンターがございます。それから三十八年度は母子休養ホームというような、母子世帯のいわばいこいの家を新しく設けようというようなことをやっております。その他生活保護の加算制度とか、あるいは大蔵省なり自治省関係の税制における優遇制度、これは免税点を高くするとか、あるいは税の控除を設けるとか、それから労働省方面では、職業の補導とか、就職のお世話のこと、あるいはこれは母子家庭の子供の就職が非常に困難だというような事情がありましたときに、身元保証の制度というものも設けましたり、大体そういうような制度が現在行なわれておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 今お話のほかにも、戦傷病者、戦没者等の遺族のことに関連してそれぞれありますけれども、抜けておる点もたくさんあります。しかしこの問題は生活の面、仕事の面で、やはり総合的な施策が必要でしょう。そこで、これは主管局は児童局ですね。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 さようでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 婦人少年局あるいは他の局との関係はどういうふうにとりながら、全体の総合的な施策の推進をやっておるのですか。そういう権限の分担あるいは運営上の問題について、具体的にお答えいただきたい。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 実は昭和二十四年でありましたか、母子福祉対策要綱というものが閣議決定になりまして、各省所管の母子福祉対策につきましての総合的な対策要綱が決定をされたのであります。これに基づきまして、各省それぞれ所管事項に従いまして法律をつくりましたり、いろいろな制度を設けたのでありますが、世話係と申しますか、厚生省の児童局がこれを担当いたしております。  先ほど申しました母子の職業対策につきましては、労働省と厚生省と共同通牒を出しましたり、いろいろやっておるわけであります。その他、税制の問題についての優遇措置は、自治省なり大蔵省に私の方からいろいろ交渉いたしまして、それぞれの法令の特例措置を設けてもらっておるのでありますが、私の方の母子のいろいろの団体がございますから、その団体と連絡をとりながら、母子の要望を私の方を通じて各省に働きかけ、あるいは国会にもお願いをして、いろいろの施策をやって参っておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 母子福祉対策についての総合対策を立てながら、児童局が事務局をやっている、こういうことであります。たとえば今は進学期、就職期でありますけれども、母子家庭の進学率なんかもあれば聞きたいのですが、それは別にいたしまして、進学と就職ですね。就職でも母子家庭などでは非常に不利な扱いを受けるわけです。だから、あなたの方は事務局を担当しているわけですけれども、そういう問題等についても総合的にほんとうに生きた対策を立てないと、役人のなわ張り根性で、各局や部課に分けてあると、その範囲の仕事で、だんだんと幅が狭くなって、それで全体としては総合的な生きた施策はできない。税金が生きて使えない。こういう結果になるわけですよ。たとえば就職対策その他の問題につきましても現状でできる問題もあるわけです。進学については、資金の貸付の問題もここに一部出ておりますが、たとえばそういう就職の問題等については、あなたの方は児童局として、そういう総合対策の事務局として気を配ってやるということで、実際上の努力をしなければならぬと思うのです。それは所管はあなたの方でなかったら、そういうことも含んで例を引いて御答弁いただきたい。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 確かに先生のおっしゃるように、母子の福祉対策は各省の施策にまたがっておりますので、大臣が申されましたように、一貫的に総合的に運営するということをねらいにいたしまして、努力は続けておるのでありますが、まだ至らない点がありまして、まことに申しわけない次第でございます。今後とも事務局的な役割を児童局として大いに果たして参りたいと思います。  なお、御質問にございました母子家庭の児童の進学率の問題につきましては、一般家庭の進学率が四六・二に対しまして、母子家庭の児童の進学率は二五・六というような低率にございます。これは文部省の統計速報の昭和三十四年度の資料でございますが、このためにも就学資金制度、あるいは育英会の奨学資金制度もいろいろございますから、これが相携えてこういう進学率を高めたいと考えております。  なお、母子家庭の御婦人の就業の問題につきましては、労働省にいろいろお願いをいたしておるのでありますが、労働省としてもいろいろ各般の施策を、職業補導の面におきましても、あるいは職業安定の面におきましても、進めていただいておるわけでありますが、特に昭和三十年でございましたか、母子家庭の子女の就職促進のために、厚生、労働の連名通牒を出しまして、身元保証制度の確立を促したわけであります。三十七年現在、三十一の都道府県が条例を設けまして、この身元保証制度の確立を見ておるような次第でございまして、こういうような就職の面あるいは教育の面、その他の面につきまして、大いに母子世帯の要望にこたえて、児童局が推進の役を果たして参りたいと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 一般が四六・二、母子家庭が二五%と言われましたが、たとえば、ことし政府の方の出した昭和三十八年度の進学率の目標は六十何%だし、これは中学校から高等学校に行くときですね。これはちょっと古い統計ですけれども、実際上私はこういうところに問題があると思うのです。高等学校にやりたいというのは、今日だれでもできることだったらやりたい。きらいだという子はだめだけれども、やりたいということは最低の願いだと思うのです。そのときに、たとえば生活保護の場合には、高等学校に入っておる子供が定時制その他に入った場合に、収入があればへづったりするでしょう。そういう矛盾があるのです。一方においては生活保護家庭の多い母子家庭に進学の手当を出す、こういうこともあるわけです。一方では出しておいて、一方では控除するということがある。これは生活保護が低いからなのです。そして救貧政策であって、権利としての保障ではないからです。どうしてもこれらの問題を根本的に解決するためには、児童手当あるいは国民年金の内容をよくしていく、こういう水準を引き上げていくことが絶対に必要なのだ。だからその問題を議論しておるわけです。そういう私が申し上げたような、一方では進学手当を、今回もちょっと増額いたしましたけれども、出していながら、たとえば生活保護が多い母子家庭に対しましては、これを収入として認定する。直接はしないけれども、こういうものが累積しますと、勤労収入なんかと重なってくると、またへずられる、こういう結果になるわけです。だから、そういうことは今のような基本的に社会保障制度が非常に貧困では、話にならぬというわけです。一つはそこにある。それから制度としまして児童手当やその他の諸制度がないということ、寡婦年金の制度が非常に貧困だということが一つある。あるけれども、現実のそういう救貧政策や総合政策を進めていく上においては、一方では出して、若干でも増額しながら、一方ではへずられるということがあってはならぬと思う。たとえば進学手当等は、計算の基礎に入れませんが、ここに出てくる具体的な問題だけれども、進学に要する経費を貸す。そういうように進学を最低必要と認めながら、そういう施策をしながら、生活保護との関係で矛盾を来たす、こういうような問題等があるわけです。総合施策を要する問題があるわけです。こういう問題についてどういうようにお考えですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 社会局長からお答えすべきであろうかと思いますが、生活保護の世帯の子弟の進学問題につきましては、法律上いろいろむずかしい問題がございましたが、運用上世帯分離といいますか、当該児童をその生活保護世帯から分離いたしまして、高校進学の道を開くというような制度を認めておるわけでございます。今回の母子福祉資金の貸付の法律の改正も、実は国の予算を一億増額いたしまして、高校の就学資金を、千円を千五百円と五割の増額をいたしたのも、先生の今おっしゃるような趣旨にかんがみての改善でございます。今後もこういう点につきましてさらに努力を続けて参りたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 この法律によりまして、各種の貸付金の種類があるわけですが、その場合に生活資金とか、あるいは修学資金等もそうですが、実際返す必要ないというか、返されないようなものもここにあるわけです。そういう場合の財政上の措置というか、制度上の措置はしてあるわけですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 この法律には、支払い猶予とか、償還の免除とかいうような制度もございまして、無理のないように運用いたしておるのでございます。しかし大多数の母子世帯で、貸付を受けた人たちが自立をいたしまして、その償還率も八五%程度になっておるのでありまして、未償還のものの中に、そういうような猶予とか、あるいは償還を免除するというようなケースもあるわけでありますが、今後ともそういう点については適正な運営をやって参りたいと考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 貸付金全体の中で、将来償還をしなくてもやむを得ない、あるいは免除する、こういうものを資金の上では何%ぐらい見ているのですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 先ほど申しましたように償還率が八五%――これはお手元の資料の三十八ページにございますが、八五・六%が三十五年の実績でございます。従いまして残りの一四・四%が焦げつきなり、あるいは償還免除、あるいは償還猶予というケースになると存じます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それは行政上の措置によって、そういうふうに認定すれば返さなくてもいい、こういうことですね。基準がありますか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 基準は特にございませんが、償還をいろいろな理由で延期してもらいたいとか、あるいは償還の能力がないという場合には、この十条の三によりまして免除の規定がございますから、これは実施の主体にまかせてあるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 私は、未亡人対策や母子対策、児童対策、こういう面の関係者に全部来ていただいてこの問題をやらないと、税金が生きてこない、こういうふうに思ったわけです。それで将来の一つの方向づけをすることが私の審議の目標ですから、運営上においても政策上の面においても、矛盾なくやっていきたい、こういうふうに思っておる。せっかく児童局が事務局だというのだから、そういう関係各省の母子対策、これに関連いたしました対策についての施策の項目と金額、そういう問題等について近く会議を開いてもらいたいし――あとで戦争未亡人等の問題もあるわけであります。私は、社会保障的な見地から取り上げる、こういうことでこの趣旨を理解しておるわけですけれども、とにかくそういう観点から議論する機会があります。この法案が慎重審議して、何十日かかるか何日かかるかわからぬが、しかしこの問題は別にして、これが済むくらいまでにやってもらいたいけれども、集めてやりたいけれども、万一そういう機会がなくても、あと陸続として質問者があるのでありますから、この国会中にはそういう機会がありますから、関係者に集まってもらって、私どもはいろいろ政策を具体的に考えたいと思うけれども、総合的な施策を考えていきたい。そうしなければ、部分的にちょびちょびやるだけであって、全体として有機的な政策は立てられない。社会問題の解決にならない。少しは役立つけれども、ほとんど役立たない。こういうふうに私どもは考えますから、母子対策についてはこういういびつなというようなことは言わないけれども、とにかく少しでも前進すればよいけれども、これだけでは済まない。こういう観点の上に立って総合的な施策を一つ検討したい。私が申し上げましたように、そういう資料等についても、各省で総合的に考え方をまとめた上で今国会中に早急に出してもらいたい、こう思いますが、いかがですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 資料の点につきましては、できるだけ早く提出させていただきたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 それではその次に参りまして、この中で各項目にわたっての質問は、あらためてもう一回やっていきたいと思いますけれども、事務費というのがありますね。これはこの制度全体を運営する一つの事務費であるかと思うのですが、事務費の支給状況――新しい改正は別です。あらためてやるが、支給の状況、それから受け入れ団体、その予算額等についもお答えをいただきたい。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 事務費につきましては、法律上この貸付金の利子、違約金、そういうものと、それから県の繰入額から充当する、利子、違約金等の中から充当する額の限度は、その三分の一であるという規定があるわけでございます。それによりまして計数を申し上げますと、償還金の利子が三十六年度は三千六百三十二万四千円、違約金等が六百八十万一千円でございます。それと法律の第十二条の三項による事務費充当可能額、先ほど申しました償還金の利子等の合計の三分の一額でございますが、これが昭和三十六年度は千四百三十七万五千円でございます。そして三十六年度の事務費の支出の総額が三千二百六十一万八千円でございます。これは実施主体である都道府県がこれだけ支出しておるわけでございます。今回この三分の一の事務費充当可能額を二分の一の額に上げることによりまして、約一千万円くらいの事務費の増額が予定されておるのであります。

大原亨日本社会党

○大原委員 これに関連して、私はよくわからないからお尋ねするのだが、この貸付資金等は資金運用部からも一部出ていますね。財政投融資から出ておるでしょう。その場合に、たとえば三分の一を二分の一にすることになれば、利子の金額は少なくなる。あるいは減免についても、利子が入ってとない。元が入ってこない。元が入ってこないのは予算上措置すればいいが、そういう利子なんかの計算が入ったりする場合の関係はどうなるのですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 本年度予算の四億円というのは、一般会計で国が予算措置をしたものが四億円でございます。これは預金部資金からの融資はやっておりません。その四億円に対して、都道府県がその二分の一の相当額二億円を繰り入れるわけでございます。運営はこの貸し付けた利子なり償還利子、こういうものと県からの一般会計への繰り入れによって運営をいたしておるのでありますが、それが先ほど申しましたように、三十六年度は三千二百万円必要とした。ところが例の修学資金が、実は無利子でございます。修学資金のワクがだんだんふえて参りましたのと、今回新たに修業資金を無利子にしようというようなことで、この事務費に繰り入れるところのいろいろ償還金の利子が減って参ります。その関係で三分の一の充当可能額を二分の一の充当可能額に改めた、こういうような趣旨でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 しかしちょっとお聞きしますが、収入の方は、資金の原資はどこから入るか。これは全然財政投融資でない……

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 資金の財源は、国がたとえば来年は四億出しますが、それに対して県が二分の一の二億を出すだけであります。これに従来の償還金、これが今まで十一億あります。だから三十八年度の資金源は十七億くらいになるわけでありますが、今度は運営費の方は、事務費はこの償還の利子がもうついておりますから、この償還の利子の今までは三分の一がこの事務費に充当できる、残りは県が一般会計から繰り入れまして、それで運営をしておるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それで大体わかりましたが、その中で無利子は高校進学と、それから修業資金というのは、これは事業継続資金のことですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 これは各種学校とか、あるいは看護婦等の養成施設、そこで二年間修業する場合に修業資金という制度がございますが、それを今回、今度の法律改正で従来は利子三分取っておったわけでありますが、無利子にするという改善をしたわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 それでは私の手元にいただいておる資料にありますけれども、この母子福祉資金貸付制度の法律改正に伴う新旧対照表、こういうのがございますね。この中でまず第一番目の事業開始資金ですね。事業開始資金を今回、十万円を二十万円に引き上げたわけであります。この場合、今までの実績から見て、母子家庭においてどういう事業資金として活用しておるか。こういう実績をちょっとお答えしていただきたい。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 実は十万円でやれるいろいろの事業の種類を調査をしたのでございますが、大体十万円では、駄菓子店、あるいは金魚屋、今川焼屋、その他酒類を扱わない屋台店、あるいは行商、移動、販売業というようなものが、現在では十万円以内でできる。しかし例の日用品店とか、ガラス店、生花店、文房具店、あるいは構内の売店、たばこ屋というようなものは、どうしても十五万円ないし二十万円の資金を必要とする。あるいは最低どうしても二十万円なければならぬというのが、化粧品店とか、婦人の下着店とか、塗料店とか、理髪店、美容店というような調べがだんだんついて参りましたので、最近のいろいろな事情にかんがみまして、この十万円を二十万円にいたしたのであります。従って従来は十万円では、今申しました主として行商とか移動販売という程度のものしかできなかったわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 ちょっと触れられたのだが、今度二十万円になって、新しく実際に即して事業を興して、自活をしていくという仕事の分野をもう一回一つ。分野はどういう点を考えておるか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 大体十五万円から二十万円程度の資金でやれるものは、日用品店、これはプラスチック製のものを主として取り扱うお店でございます。それからガラス店、生花店、文房具店、小さな本屋、駅の構内等の売店、たばこ屋、くだもの屋、中華そば屋、惣菜店というのが、大体十五万から二十万程度。二十万ぐらいの資金を必要とするものが、化粧品店、婦人の下着店、塗料店、陶器店、理髪あるいは美容、パーマネント屋でございます。小規模の喫茶店、おとうふ屋、それから趣味の店といいますか、いろいろおしゃれの品物を売る店、荒物とか金物の兼業店、食料品店というようなものが考えられるのでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 しかし今みたいなものは、二十万円でできはせぬですよ。今言われたような文房具店から本屋から、まあピンからキリまであるけれども、こんなものは実際上はできぬ。何らかの基盤がなければ、二十万円では実際問題としてできはしません。やはり行商や日用品を移動販売する程度じゃないですか。これは十万円よりも二十万円はいいにきまっておるですよ。私はたばこにしても、たばこなんかは特に大蔵省の専売局の認可許可の関係があるが、そういうところ等と連絡をとって、総合的に、そういう場合には優先してやるとか、そういう制度をやるなら意味がある。そういう総合施策をやらないと、自分で責任とってやっていくといったところが、政策としてはあまりきめのこまかい政策じゃない。もしそういう政策をやるのだったら、総合的に各関係者と話し合ってやるべきだと思う。そういう点を……。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 御意見のように単にこの二十万円の資金だけでは無理がございますから、たとえば公共施設の利用を大いに勧めるというようなこと、あるいはたばこの小売店の専売小売人の指定を優遇するという施策が必要になって参るのでございます。そのために法律の十六条でもそういう規定がございまして、現在こういう公共施設の中に、母子世帯で店を持っております軒数が千百二十五ございます。それからたばこの小売人の指定も、一般の指定の割合が二一二%に対しまして、三二・六%というように優遇をされておりまして、現在大体指定されておりますたばこ屋さんの数が三千百五十二軒あるのでございまして、あるいは事業継続資金というようなものもございまして、一応二十万円で店をつくりまして、材料その他の仕入れ等で継続資金制度を活用ができるわけでございます。なお、こういうことを、母子相談員というものがおりまして、逐次相談相手になりまして、できるだけこういう商売が成り立つように、いろいろ援助をいたしておる次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 その点は、生産資金についてはやはり官庁の行政指導という関係等も、緊密に連絡してやらないといけないと思うのです。これは同僚委員から他の側面からいろいろ質問があると思いますが、私はこの点については、今御答弁になりましたが、そういう点等で総合的に生かしていくような方法を考えないと、二十万円ではとてもできないのじゃないか。それから支度資金というのは、一万五千円据え置いてございますね。支度資金というのは、今までの実績から考えてみて、これでよろしいのですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 実は今回の改正も、未亡人の団体からいろいろ御要望がございましたものを取り上げたのでございますが、支度金につきましては、団体からも従来要望を聞いておりませんので、従来のまま実は据え置いたような次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 この問題は直接関連しておるのではないのだが、最近は職安法や緊急失対法の改正問題が、非常に大きな問題になっておる。失対事業には半数の婦人がおるのです。ほとんど母子家庭の婦人ですね。生活保護をもらうよりも、勤労所得についてはそういう控除というものがないから、特に他の副業や内職ができる。自分で働いて生きていきたいということでやっておるわけですが、全体の三十五万の登録者の中で、半分は婦人です。婦人の中でほとんどが手に覚えのない母子家庭や、あるいは主人が突然死んだために、自分で定職がない、さしあたって日々収入のある失対、こういうことでやっておる。半分以上がそういうふうになって、それが停滞をしておる。子供があるので、家政婦だ何だと労働省は今言っておるけれども、そういうものは机上プランであって、できる人とできぬ人があるわけです。将来は子供が大きくなるから、今できないからといって、将来できないということはないけれども、しかし実際問題としては、そういうふうに停滞をしているわけです。そういう場合に、立ち上がり資金、支度資金等ございますけれども――支度資金の制度もその一部だと思うのだが、しかし一万五千円くらいではどうにもならぬ。与党はこれでいいと思われるかもわからぬけれども、そんなものではだめなんです。いかがですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 多きに越したことはないと思いますが、先ほど申し上げましたように、従来母子団体等からの要望事項の中に、支度資金の増額についてはあまり触れていないのでございます。今回は修学資金なり修業資金というような面に、実は重点を置いた次第でございまして、支度資金につきましては、残念ながら手を触れなかったのでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 技能習得資金は、今までの経過から見てやはり役に立ちますか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 お手元に各資金の利用状況でございますが、三十五年度の分、三十六ページでございますが、これをごらん願いますと、技能習得資金というのは〇・一%で、非常に低率になっております。これは技能習得よりも、むしろ直接事業を始めたいとかいうようなことにどうも要望が強いようでございまして、現在のところは、この構成比は非常に低くなっております。

大原亨日本社会党

○大原委員 生活資金については、相当の需要があるというふうに思われますが、生活資金は今回改善案が出ておりますが、どういう考え方でお出しになりましたか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 実はこの生活資金というのは、生業資金を借りまして、あるいは技能習得資金を借りまして、その間生活が困難だという場合に、生活資金のこういうような制度を設けたような次第でございまして、この技能習得資金の割合が低ければ、また生活資金の割合も低いというような状態でございます。  今回一つの重点として取り上げました修業資金、これは今まではやはり非常に率が低かったのでございますが、いろいろ調べてみますと、利子を払わなくちゃならぬということが、一つの隘路であったというようなこともわかりましたので、今回はこの修業資金を修学資金と同じように無利子にしまして、大いにこれを奨励して参りたい、こういう趣旨でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 大体生活上必要な資金について、利子のある金を使うというようなことは、実際上、貧乏な人ですから、これは常識からはずれておるわけです。一部はそういうふうにはすされたことはいいことですし、実際に即して減免措置がなされるということになれば、活用されると思いますけれども、大体これは制度自体がいびつだ。根本がなっておらぬと思います。  それはともかくといたしまして、それから事業継続資金を一回について五万円以内、こういうふうにありますね。これは何回でも繰り返せるわけですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 これはお説のように、一回に限ることなく貸付ができるわけでございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 今まで何回か借りた人はありますか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 多くのケースがございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 何回も借りられれば――何回も借りるということはないけれども、借りられる余地があれば、周知徹底しなければだめだけれども、これは小さくても非常に活用されるものではないかと思うのです。  それから住宅資金は、今日までの実情はどうですか、こんな小さな金で。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 住宅の補修資金の関係でございますが、これは昭和三十五年四・九%、これは他の支度資金なり技能習得資金に比べると、かなり利用度は高いわけでありますが、未亡人団体の御要望では、むしろ転宅資金――自分の住宅を持っておるケースよりも、むしろ借家住まいの方が多いために、そういう場合の資金を何とかしてほしいというような御要望に基づきまして、今回転宅資金の新設をいたしたような次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 これは住宅資金と転宅資金がございますね。住宅資金は自分の住宅の補修、それから転宅資金の場合は、母子寮から出ていくのですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 さようでございます。母子寮から第二種公営住宅と申しますか、建設省の関係の公営住宅に入る場合の資金をお貸ししょうというような制度でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 本年はどのくらい見ているのですか、何世帯くらい。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 この世帯は、実は総ワクの中で運用するということで、内訳は示していないのでございますが、大体貸付一件当たりの額が今回は一万二千円と考えております。

大原亨日本社会党

○大原委員 たとえば低家賃住宅で、建設省所管では都道府県、市町村の自治体の所管だと思うのですが、そういうとことの関連は行政上つけておりますか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 建設省と相談しまして、第二種公営住宅のうちの千五百戸を、毎年特別のワクを母子家庭のためにもらっておるのであります。現在の消化状況はその約九割程度でございますが、家賃を都市におきましては大体二千円、町村におきましては千五百円程度にしてもらっておるのであります。それから資金の関係が一万二千円にきまりましたのも、この公営住宅等の敷金が大体一万円程度はかかるというようなことから、こういう一万二千円という額をきめたような次第でございます。

大原亨日本社会党

○大原委員 母子寮の中にいる母子世帯だけでなしに、一般的にも生活の実態から、そういう低家賃住宅へ移るような行政措置をしたらどうですか。現実問題として、家賃で非常に困っている人が多いわけですね。全然人間らしい生活をしていない、こういう人が多いわけですから、少なくとも低家賃住宅であれば、母子家庭に重点を置くべきではないですか。骨子寮だけでなく、他の母子家庭等もできるような措置をして、転宅資金というものも、現在ある高い家賃、部屋代から、一つの生活建設のささえにする、そういうことは考えられませんか。母子寮だけに限定したのは、母子寮から追い出すということですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 資金のワクがだんだんふえますに従いまして、そういうふうに運営をして参りたいと思いますが、現在母子寮におります者で、すでに経済的に自立できる、あとはもう住宅の関係だけだ、あるいは子供が大きくなりまして、二人かせぎまして、経済的にも世帯の更生ができたというような母子に対しまして、こういうような住宅資金の活用がなされると思いますが、将来母子寮だけでなしに、だんだんそれを広げて参りたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 これは将来ぜひ広げて下さい。そのことが私は非常に要望されていると思います。母子寮に入っている人だけでなしに……。  それから千五百円、二千円の家賃というふうに言われたけれども、第二種の住宅の中で七百円という低家賃のものがありますね。スラム街その他未解放部落にやっているそういう住宅も、やはり建設省と話をして、優先的に適用になるような、そういう措置を住宅公社でやるべきじゃないですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 ただいま二千円なり千五百円と申しましたのは平均でございまして、いろいろな減免の規定を適用したり、あるいは先ほど申されました特殊の地域におきまする低家賃の住宅には、優先的に入れてもらうような連絡を絶えずいたしておるのでございます。今後ともそれを強化して参りたいと思います。

大原亨日本社会党

○大原委員 それで、次に質問される八木委員も見えたわけですが、小さな問題がまだずっとたくさんございますけれども、私が先ほど質問いたしましたように、母子対策、寡婦あるいは児童、親のない子供、こういうものの対策は、母子対策として有機的に、総合的に連携をもって各省のものをやって、全体としてこの対策が生きてくるようにすることが一つと、もう一つは基本的には、家族手当法、児童手当法、こういうものをヨーロッパの国では戦後経済発展の中でつくってきたのです。日本はそれがおくれていて、十年後の展望を社会保障制度審議会は示したけれども、その中身はあいまいである。十年後にはまた向こうの方が進んでおるという実情ですから、早急にこれをやるべきだ。社会的な基盤に対しましての社会保障をやることが、口先だけではない福祉国家の中身である。従って私は、そういう各省庁にわたるところの問題点について総合的に検討して、その中においてこの母子福祉の貸付金等の問題も運用すべきである、こういう見解を述べたし、そういう問題について検討する機会を持ちたい、先ほどもこういう意見と質問をいたしたわけであります。従いまして、八木委員も見えましたので、具体的な問題等もなお残っておりまするけれども、こういう問題について後の機会に検討する、こういうふうに質問を保留しておきまして、八木委員にかわりたいと思います。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 八木一男君。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、厚生大臣や政府委員に御質問をいたしたいと思います。  今大原委員から大局的な点を中心にして御質問がございました。さらに引き続き日を改めて御質問があろうと存じます。昼も迫っておりますので、私も質問申し上げたい点全体を、きょう残された時間で申し上げる時間の余裕がないと思いますので、ごく問題を限って御質問を申し上げまして、後日また続けて他の問題について御質問を申し上げたいと思います。  まず、この問題については、先般社会保障制度審議会で答申を得てからお出しになったわけであります。抽象的な、概括的な答申が出ておりますけれども、そのほかに、そこの討議で具体的な問題が討議をせられておりました。それについて厚生大臣御存じでありますかどうか、伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 私もその討議の詳細は知りませんけれども、、母子家庭は低所得者の一環として十分やったのだということは、あの答申を見まして、そういうふうな意味で存じておるわけでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 答申については集約して、長い文章ではなくて、短い文章で端的に言われておりますが、答申の内容は私も文章を存じておりますが、いろいろなことを検討しなければならぬということが書いてあるわけです。そうしますと、その検討の中において、厚生省自体ももちろん検討されると思いますけれども、あのような審議会の場で出た問題を、非常な大きな参考とせられて、これから検討されなければならない。でございますから、これは児童局長さんですか、大臣にもおせわしいと思いますけれども、その内容についてはやはり御連絡になって、厚生大臣が大局的な御判断で、この問題の検討を進めるというような手腕を発揮していただけるように、逐一御報告、御連絡になっていただく必要があります。その内容全部ではありませんが、そこで出た問題の一つといたしまして、この資料の中にも二十八年から三十八年までの母子福祉資金貸付の国庫予算額が載っておりますけれども、そこで昭和三十二年には五億九千万円、三十三年には五億四千万円という予算が組まれて、その後少し減りまして四億から三億、今年はちょっと回復しまして四億になりましたけれども、そういう問題の指摘がなされました。もちろん、この問題は貸し付けたものが償還になって、その貸付原資が蓄積されるものであることはみな存じております。しかしながら、今大原委員の指摘されたように母子家庭に対する総合的な、根本的な対策が非常に乏しいというときに、こういうような母子福祉資金貸付をもって、自分の生活を立て直しをしていくということを補助的にやっておられるわけであります。その問題に対して国庫の出す金が逐年減ってくるというのは、これは取っ組みが非常に消極的であろうと思う。蓄積をされているからいいのだという考え方は、大蔵省的考え方であって、厚生省としてはいわゆる原資が蓄積されてもかまわないわけである。   〔委員長退席、柳谷委員長代理着席〕 その前に、昭和三十二年とか三十三年とかいうような財政ワクの少ないときに、六億近くの金が国庫から直接出ておる。それがその後減るということは、大蔵省の変てこりんな意見に押されて、厚生省の取っ組みが鈍かったという証拠ではないか。それに対して、それならばその金を全部消化し切れないというようなことを言う人があるかもしれない。消化し切れなければ、そこに条件が問題になる。母子家庭ですから、一般の貸付条件よりずっといいことはわかっておる。据置期間も長いし、利息もそう高くない、それから償還期限も長いということはわかっているけれども、一般の貸付条件ではなしに、母子家庭という実態から見た場合、それだけ貸してもらえる資金がありながら消化をしないということは、母子家庭に対しては条件が過酷であるということになろうと思う。それは厚生省自体が本腰に取っ組まないからで、三十二年に六億近くの金が出たのに、消化が不十分だということで、予算が減らされるということであってはならないと思う。それについて厚生大臣の御答弁を伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 私は、この母子家庭の貸付金制度は、母子にとっては非常に重要な便利な制度ではなかろうかと、私自身は思っておるのでございます。ところが聞きますると、どうも消化の問題を今御指摘になられましたけれども、そういうようなことを事務的には言っておりました。しかし、御指摘のようにこれが無利子であるとか、あるいは非常な低い利子であるとかいうようなことになりますれば、この需要は必ず起こるものでございましょう。しかし、一方国家財政とともに、地方財政がやはりこれにくっついていかなければならぬ問題もあるわけでございますから、従いまして、本年度はまあ前年度よりも一億ばかり増しましたが、さらにこれが需要がありますれば、これ以外に返ってくるものがありまするから、原資はもっと大きくなりますけれども、需要ができ、これによって母子家庭が十分更生の道がたどれるということならば、四億ぐらいはわずかな金でございますから、従いましてこれはますます活用していきたい、私はかように思っている次第でございますが、今までの事情を聞きますと何となく消化が……、こういうようなもとも言っておりますが、それにはやはり相当な理由があるだろうと私は思います。しかし私は、非常にいい制度だ、かように考えておるものでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 大臣から御答弁がございましたけれども、いろいろと関係がおありになると思いますから、なお局長から補足の御説明があったら伺いたい。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 八木先生の御意見のように、確かに三十二年には六億近くの予算額でありましたものが、三十五年から三億台に下げられたのでございます。ようやく三十八年度に一億また復活いたしたわけでございますが、ただ、三十二年の改正によりまして、国庫の貸付率が三分の二に引き上げられましたので、都道府県の負担の額がかなりふえて参りまして、総額におきましては、少しは三十三年に追いついて参ったというようなことでございます。なお、三十五年度の申し込み人員に対する決定人員の比率が九〇・一、金額の比率は八三%というので、大体八、九割は要望にこたえておるというような程度でございまして、それによりますと、資金の総額につきましてはまずまずのところではないかという考え方も、一部あるわけでございます。しかし今回のように修業資金の無利子の制度を設けましたり、いろいろ内容を改善いたしますと、申し込みもふえて参るわけでございますから、そういう結果を見まして、金額については今後とも大いに増額をするように努力をいたして参りたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 厚生大臣も局長も一生懸命やると言われて、それはけっこうです。一生懸命やっていただきたいのですけれども、少し遠慮が過ぎると思うのです。こういう問題は、何といいますか、政治の大きな激しい渦巻から外になっていますので、よほど厚生省なり児童局なりが堂々と自分の主張を出されないと、あと回しにされがちです。それだけの資金が昭和三十二年度、三年度に出たのですから、それを予算が減らされるということは、条件が、一般から見て非常に緩和されているけれども、母子家庭の実態から見て、まだ十分活用されるだけの条件ではないとか、あるいはまたこの中の項目――かなり研究してやっていられますけれども、まだもっとほかの理由で借りられるという項目が必要である。あるいはまた、同じ項目であっても、最大限度が少な過ぎて、それでは中途半端で事業ができないとか、あるいは中途半端ではないけれども、それ以上、五割増しなり十割増しなり借りたいけれども、そこで最高限度がきめられているから借りられなくて、資金が消化されないとかいう問題になろうかと思う。ことに物価の上昇は非常に大きいですから、予算にしろ、一件当たりの貸付にしろ、貸付の実際の総額にしろ、もしそのままであれば前より後退したということになろうと思う。ですから、その点について、やはり母子家庭の立場に立って、厚生省も児童局も強く正しい主張を出していただく必要があろうと思う。大蔵省の方が見えているか見えていないかわかりませんけれども、大蔵省の方といえども、冷酷な感情の持ち主ばかりではないでしょうけれども、大きな予算の渦の中にあって、事務的に頭がくるくる回っていますから、こういうものがあとにされるというおそれがありますので、よほどきぜんとした態度でものをやっていただかなければならぬと思います。ことに本年度要求を出された入学支度金という項目が削除されている。これはもう厚生省で一生懸命考えられた。しかも、われわれから見ればやや遠慮がちに過ぎると思われるものを出されたのですから、確信がおありになったと思う。それが、省議か閣議か何か知りませんけれども、そんなところでこれが削除をされるというようなことがあってはならないと思う。御主人がなくなって、母子家庭で苦労して育てられた子供を入学させたいというようなことは、お母さんのいろいろな目的の中の具体的な最大の眼目の一つです。実際に高校へ入学したら、あるいは大学に入学したら、いろいろなものがかかるわけです。非常に多くの金がかかる。原案ですらこんなものでは足りないと思います。この足りないと思う遠慮がちのつつましい原案が、省議か閣議か何か知りませんけれども、そこで取っ払われるというようなことがあってはならないと思う。それについて一つ厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 このために省議を開いたわけではございません。もっぱら児童局を中心にして、大蔵省と交渉したのでございまして、交渉の事柄は事務的でございますが、政治上は非常に大きい問題でございます。従いまして今度、十分とは言えませんけれども、新たに設けました転宅資金等もありますし、また十万円の生業資金、事業開始資金等二倍にいたしたわけであります。その辺は一歩前進と考えておりますが、今後は母子家庭の実情等も十分調べまして、これはわずかの金で非常に助かるのでございますから、私どもとしては十分力を注ぎたい、かように考えている次第でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 入学の支度資金ですか、それで要求された児童局の予算の金額は幾らですか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 実はお説のように、入学資金の新設の要望が非常に強いものでございますから、児童局として省議で大いにがんばりまして、厚生省としては大蔵省に要求をしたのでございます。ところが入学支度金というのは、入学をした者には公平にすべて貸し付けなくてはならないであろう。そうなりますと、高校の入学者が毎年大体一万人くらいおります。大学が三千五百人くらいおりまして、こういう人たちに対して公平に高等学校は一万円、大学は二万五千円としましても――私立学校振興会で調べましたところが、高校に入るための受験料なり入学金等が、平均して八千九百円くらいかかるというので、一万円にいたしましたし、大学の方も二万五千五百九十二円かかるというので、二万五千円にいたしたのでありまして、この額は適当な額であったと思いますが、先ほど申しましたように、一万人と四千人のものに公平に貸し付けなくてはならぬということになりますと、総額が二億円になるのでございます。従いまして、一億円の増額しかできなかったものですから、残念ながらあきらめざるを得なかった。しかしこれは最も必要な要望でございますから、将来大いに努力をして参りたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 ここに与党の尊敬する先生方がおられると思いますが、こんなものを削除されたことについては、与党の先生方も非常に憤慨をしておられるのではないかと推察をするわけです。ことしこれができなかったから、母子家庭で一生懸命育てた子供さんが、高等学校なり大学に入学したいけれども、受験料とか入学金とか、そういういろいろなものが払えないで、素質を持ちながら高校進学を断念せざるを得ない。御主人がなくなって子供さんを育てて、その子供さんが社会であるいは家庭でしあわせになるような素養をつくるため、学校に入れたいというのが、だんなさんがなくなってから何十年かのお母さんの悲願だろうと思うのです。それをこのくらいの金で断念をしなければならないということになったら、そういうことができないのだったら、母子家庭のことを政府が考えているということは言えた義理ではないと思う。たった二億円です。児童局では、二億円という金額に対して、一億円に削られたからできないと言われるが、全体の予算から見れば、二億円が一体何ですか。ことしこれをきめられないと、ことしの入学者には間に合わない。ここで委員会の御賛同を得たら、これを入れる修正をわれわれはしたいと思いますし、そのくらいのことは、政府に、予算の中で予備費がたくさんあるわけです。予算が、冷酷な大蔵官僚にそれが入れられなくても、国会が修正をすれば、これはどうしても出さなければならない。そういうことについて、政府の立場でありまするけれども、われわれがこれを修正をする場合に、厚生省の方は、ほんとうによく厚生省の考える通り修正しようと思っても、大蔵省ににらまれることをおそれて、今回だけはそうならないようにお願いしますというようなことを、自民党の有力な委員諸公に逆なお願いに上がるような妙な傾向が前にありました。児童局はよもやそういうことはないと思います。西村厚生大臣はよもやそういうことはなさらないと思いますけれども、そういうことではなしに、政府側、厚生省側としても、これが行政上非常にいいことというような意味で空気をつくるように、厚生大臣や局長が御努力になるかどうか、一つ伺いたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 私はそれは必ずしも不賛成ではございません。また厚生省としても要求をいたしたのでございます。しかし、いろいろな交渉で、結果的にはこうなったのでありまして、すでに予算はまとまっておるわけでございまするから、今直ちにそれを直すということは、私としてはどうも申しかねるのでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 なかなか立場上言えないでしょうけれども、そうこわい顔、むずかしい顔をなさらないで……。これは法律は国会で審議するのですから、きまったら、予算はどうあろうとも、予備費がそのためにあるのですから、執行しなければならない。われわれは努力しますから、厚生省は少なくともじゃまをしない。それからできる範囲で、厚生省も自分の方の悲願が達成できるように、立場の許す最大限度で、厚生大臣や局長も努力されるということでなければならないと思います。あえて御答弁は、非常にむずかしい顔をなさったようにお困りでございましょうから、求めはいたしませんけれども、そのような気持であると私どもは推察をして、その問題を進めて参りたいと考えているわけであります。  その次にもう一つ、その審議会の中で、貸付全般についての保証人の問題が論議になりました。大体貸借関係では、担保とか保証人というようなものが普通一般にあります。しかし、そういうような普通の貸借関係、そういうようなものでこの母子福祉資金の貸付というものを律してはならない。そのことについて厚生大臣のお考えを伺いたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 だいぶ経過もあるようですから、政府委員から答弁いたさせます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 経過もあるようですからと言って、その政府委員のお話はまた伺いますけれども、この母子福祉資金の貸付というようなものは、ほんとうに気の毒な人ですね。それで大体貧しい人です。ですから、自分自体に担保にするような財産であるとか、それから気やすく保証人を頼めるような、そのような保証人となっても平気だというような財産なり、そういう経済的な能力のある人に近づきの少ない人、保証とか担保とかいうことができかねる人、そういう人にこういう貸付をして、その人たちが生業に親しんで、何とかよりよき生活を建設できるようにしようというこの貸付の法律が、一般的にぼんぼんもうける人たちみたいに、財産をたくさん持って、工場をたくさん持って、敷地を担保に建物を建てて、もうけてそれを返すというような能力のある普通の人の貸付条件と同じように、そのような担保だとか保証人とかいうようなものを、普通の貸借関係の条件を、絶対不可欠なものとしてこういうような母子家庭に対する貸付の制度を考えること自体が、間違いであろうと思う。一つ、根本的な理念についての西村厚生大臣のお考えを伺いたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 御説のように、これはもともと金のない人に貸すのでございます。従いまして、すべての事情からいきましても、一般の貸付とはおのずから違わなければなりませんし、むずかしいことを言って貸さないように貸さないようにすべきものではなく、なるべく貸すように貸すようにすべきものであろうと私は考えます。しかしながら、今までどういう経過をたどってやっておったかということを私は存じませんから、今申し上げましたが、精神としては貸せるように貸せるようにすべきであろう、私はかように考えて運用をしたいのでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 お気持は大へんけっこうでございます。  それでは局長の方の経過の御説明を伺います。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 社会保障制度審議会で八木委員の御意見がありましたから、さっそく立法当時の文献をいろいろ読んでみましたところが、法案審議の際に、特に保証人の規定に関して大いに論議が戦わされまして、結論は、貸付制度である以上は、保証人を立てることが要件となることはやむを得ないであろうということで、こういうような条項になったというふうな記録がございます。しかしこの運用におきまして、この保証人の制度が、母子家庭に対する貸付を阻害しないように努力をせよというようなことで、その意を体しまして、先ほど申しましたが、償還金の支払い猶予とか、償還金の返還免除とか、あるいは借り受けをする者の相互保証というようなことで、できるだけ御趣旨の線に近いように運用をして参ったわけでございます。もちろん物的担保を排除いたしましたのも、御説のようにこういう物的担保のない人たちでございますから、保証人でこれにかえるというようなことで、物的担保を排除したのも、そういう八木先生の御趣旨に沿うのではないかと思います。ただ、これは財務当局の方面でも、貸付制度である以上は、やはり保証人を立てないと、償還の意欲なり責任感というようなものが乏しくなるのではなかろうか、しかもこの償還金が、他の母子家庭に対する財源になるわけでございますから、そういう意味のお互いが協力するという精神からもやむを得ないのではなかろうか、こういうことで現在に至っておるわけでございますが、またいろいろ御意見もあるようでございますから、検討させていただきたいと思います。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 経過は伺いました。貸付制度であるから、実際に合わないけれどもやむを得ないだろうというのが、立法のときの趣旨だというようなことでありますが、それは普通の、行政的に考えられて立法せられるときの普通の形式です。これ自体が普通の形式では困ると思うのです。貸付制度であるから、保証人を立てることはやむを得ない一やむを得ないということは、実態に合わないということを考えながら、貸付制度という言葉にとらわれて、今までの既成の法律概念の、強い人がいばる、金持ちがますますもうける、困った人たちはますます苦しい生活をしなければならない、望みは薄いという世の中、こういう今までのやり方を認めているのです。金を持っている連中なんか貸す必要はない。保証人のとれるような連中は、個人的にその人から借りればいい。担保物件がある人は、それを売り払って金をつくればいい。担保がなくて、保証人をとりにくい人だからこそ、国の公的な貸付制度が必要なんだ。それにもかかわらず、一般私法上の概念、強い者は勝ち栄えるというような概念を、国家のこのような法律のときにも、実態はそれに合わないと考えながら、やむを得ないというようなことを考える、そのような立法精神が間違いだ。これはこの問題だけで大きな声を出して、少しお気の毒に存じますが、国家の今の立法全体がそうだ。強い者はどんどん強くなるように、金持ちがどんどん金持ちになるように、貧しい人はいつまでたってもうだつが上がらないように、そのような貸付は担保がなければいけない、保証人がなければいけないというような条件がある。  さっき大原委員から住宅の問題が出て、第一種、第二種公営住宅の問題が出ておりました。それはいいです。ところが、それは絶対量が足りなくて入れない。ほかの方へ行ったらどうか。第二種に入れない人が第一種に入ろうと思ったら、一定の収入がなくては入れない。公庫の住宅に至っては、一定以上の収入がなければ受け付けもしない。ところが、それよりほかのところで家を借りた方が高いのです。第二種に入れない人は、その次には第一種に入れたらいい。第一種に入れない人は次の住宅に入れたらいい。ところがそれは大きな金がなければ、収入がなければ入れない。そうしたら、ほかのところで借りればずっと定いというならいいのですよ。ところが第一種よりもその次のものは高い、そういうふうになっている。楽な人は楽になり、苦しい人は苦しさが直らないというように、行政も立法もなっている。ですから、こういうことについては既成概念にとらわれていただきたくない。お宅だけが悪いのではない。日本じゅうの法律がすべて間違った法律なんだ。  貸付という人間のつくった言葉に、なぜ固着をしなければならぬか。こんなものは人間のつくった字ですよ。母親の苦労とか、子供が将来よくなるということとは関連がない。貸付というのはただ字ですよ。これを全部供与するといったって、ちっとも悪くない。そういう人たちに全部ただで上げても、ちっとも悪くない、悪くないと考えるなら、貸付という文句を使っても、担保や保証人は一つもなくていいわけです。しかも、母子家庭の場合は非常に謙虚で、非常にまじめで、ほかのところと違って償還率がいいわけです。一生懸命になって仕事を片づけて、苦しい中から返していく。こんなに償還率のいい貸付制度はない。ほんとうに一生懸命な、善意のお母さんたちばかりなんです。だからいい。今厚生大臣はよく内容を御存じないと思いますが、相互保証という制度があります。お母さん同士の相互保証という制度、これは今までよりいいですよ。厚生省も御努力になった。ところがお母さん同士は、母子家庭で苦しんでいる。そういう人たちの相互保証というのは、もしその人がいきなり死んだら困ると思っても、ほかの母子家庭の立場がわかるから、保証なさるでしょう。お母さんとしては、金のふんだんにある保証人よりも、貧乏人のお母さんに頼むでしょう。もしその人がいきなり死んでしまって返せないときに、厚生省はよもや冷酷なことは言わないだろうと思うけれども、法律上保証人となれば、やはり返さなければならない義務がある。そういう冷酷なことはしておられません。知っております。知っておりますけれども、そういう制度になっているわけです。そうなれば、がっちりしたお母さんだったら――おやじよりお母さんはがっちりしているものです。返さなければならないなと思っているときに、あの人が死んでしまってこっちにかかってきたら、自分の細々確実な計画を立てて返そうと思っておったのが、一ぺんにひっくり返る。自分もあそこの保証人になってあげたいが、もし交通事故でそのお母さんが死んでしまったら、ひっくり返るという心配がある。実際冷酷なことはせられていないけれども、そんなに苦しんでいるお母さんたちに法律上の心配を、もし厚生大臣がいきなり鬼のような人になったり、児童局長が鬼のような人になったときに、やられるかもしれないという心配を残しておくような制度がいかぬ。そうでしょう。ですから、こういうものはやっておられないのだし、保証人なんか削除されたらいいのです。西村さんも局長さんもみんな仏のような人だから大丈夫です。しかし世の中には、どんな鬼のような人間がおるかしれない。仏にしてもいつ気違いになるかもしれない。ですから、実際やる気がないなら、取り立てる気がないなら、制度上保証人はやめたらいい。あるだけでも気にかかる。(発言する者あり)があがあ言う人たちは、借金しても返さなくてもいいと思っているような人かもしれない。男でも僕みたいな気の小さい人間は、そういうことで連帯保証したら、もし突然その人がなくなったら返さなければならないと思います。返さなければならないとなれば、そのときは死にものぐるいで返しますけれども、そのときにやはり自分の女房なり子供なりが路頭に迷わない程度でしか、連帯保証はしたくない。しかし義理につまされて保証しなければならないこともある。そういうときに悩みがある。こんなに大きな声を出せる男でもそういう心配がある。今わあわあ言っている人は、気が強いのかもしれないけれども、そうでない人もある。女であるお母さんだったら、どんなに気にかかるかわからないと思う。  西村厚生大臣、経過はおわかりになったと思います。実際は保証人は取り立てておらないのです。原資が少なくなるということには全然関係ありません。今児童局長にお聞きになってもけっこうです。実際にないものを制度として残しておくことによって、そのために気の小さい人は、保証人になって下さいと言いにいけないわけです。言いにいってなった人はまた気にかける。そのようなむだなものを、ただ貸付というような人間のつくった言葉、法律論者か財政論者か知らないけれども、人間の苦しみを知らないで、言葉の字句だけにこだわるような連中のブレーキにかけられる必要はない。この問題を一生懸命やっておられる厚生省が、そんなブレーキにかかる必要はない。そんなものを取り払って、保証人などという制度はやめるということに、厚生大臣は御決意願いたいと思いますが、いかがでございますか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 私たち、たとえばいろいろな奨学資金などやっておるわけでありますが、そういう場合におきましては成功払いで、本人が成功したら払えばいい。普通の場合は、そういう貧しい人の場合は払わないでもいい。本人が成功したら払え、こういう制度もやっておりますが、しかし国家の法律となりますると、やはり私一存ではいきません。財政当局とこういう点については十分検討しなければならぬと思います。しかし八木さんのお気持も、貧しい人を苦しめるような法では困るということだろうと思います。従いましてそういうようなことは、この法律の趣旨にかんがみまして、これをあくまでも母子がこの金によって自立、更生ができるようにということでございまするから、絶対に過酷なことはなさないのでございまして、今保証人は絶対につくる必要がない、つくらぬ、こう申しましても、財政当局とのいろいろな検討もありますので、検討するということで一つ御了承を賜わりたいのでございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 局長にちょっと伺いたいのでございますが、これは法律の何条に関係があるのですか。行政事項ですか、法律事項でございますか。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 これは法律事項でございまして、六条でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 どういうふうに書いてありますか、ちょっと読んでみて下さい。

黒木利克厚生事務官(児童局長)

○黒木政府委員 第六条、「貸付金の貸付を受けようとする者は、保証人を立てなければならない。前項の保証人は、貸付金の貸付を受けた者と連帯して債務を負担するものとする」という規定でございます。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 そういうことを見たらやはり気になりますよ。実際は取り立てておらないのです。ですから、この問題についても今国会で修正すべきものだと私どもは考えております。それについて大蔵省がいかぬというようなことをいってじゃまをなされないように、大蔵省がじゃまをしにきたならば、厚生大臣が大蔵大臣をぶんなぐるような勢いで、これをけっ飛ばすというくらいな決意の表明を願いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 御意見は承りましたから、検討いたします。

八木一男日本社会党

○八木(一)委員 昼食の時間が参りましたので、あとの質問は留保しておきたいと思います。      ――――◇―――――

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 この際、お諮りいたします。  本日、社会保険診療報酬支払基金理事長久下勝次君から、社会保険に関する問題について参考人として御意見を拝聴いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

柳谷清三郎自由民主党

○柳谷委員長代理 御異議なしと認め、そのように決しました。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      ――――◇―――――    午後二時二十二分開議

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。河野正君。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 本日は、医療費をめぐりまする一、二の点について、お伺いを申し上げてみたいと考えております。  その第一は、大臣もすでに御承知のように、医療報酬調査会設置法の今回の国会提案を見合わせられましたことは、先般の委員会におきましても御報告をせられた通りでございます。ところが、昨日来の新聞を見て参りましても明らかでございますように、この調査会法の生みの親とも称すべき社会保障制度審議会――実は医療報酬調査会設置法は、医療問題の解決策として政府が特に社会保障制度審議会に立案を依頼したものである。しかも閣議で決定をし、三十六年の三月には国会に提案をしながら、政治情勢の変化ということを理由にして、今回その提案を見合わしたということについては納得できぬということで、社会保障制度審議会というものが強硬な申入書を総理あるいは厚生大臣に提出した。せっかく厚生大臣が、この医療費問題を何とかうまく、円満に解決しようというようなことで出された新構想だったと思いますけれども、その構想も早や挫折した、こういう事態が発生をいたしたわけです。これは国民の健康を守り、国民の医療の問題を解決するためには、きわめて重大な問題だというふうに考えるわけです。こういう事態に対しまして、所管の厚生大臣としてはどういうふうにお考えになりまするか、まずもって一つ御所見を承っておきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 今、河野さんが述べられましたように、私は、実は当委員会におきましても、例の懸案の臨時医療報酬調査会法案の取り扱いにつきましては検討中というようなことを申しておったのでございまするが、政府といたしましても、法案の提出をするか不提出にするかという時期がきましたので、いよいよ諸般の事情を考慮いたしまして、この国会には提案をしないという決心をいたしまするとともに、それに対応いたしまする私の考えを、実は御答申をいただいた社会保障制度審議会の委員の方々にも御説明して御了承を得たいために、先般話し合いを二回ほどしかけたわけでございます。いろいろな御質問が各委員からこもごもありましたが、私といたしましては、いろいろ申し述べまして、実は了承を得られるというように思っておったのであります。しかし、委員の方々が後ほど寄りましていろいろ御相談なさった結果でございましょう、ああいう申し入れをされたことは事実でございます。私が考えるのは、調査会法案は、そのものが答申にはないわけでありまして、答申の中には、医療をやはり根本的に解決しなければならぬ、従って、医療報酬の何か算定の基礎になるようなものを研究するとともに、やはりルールをやらなければならぬというような精神を盛り込んでおるのでございまして、たとい法的に調査会法案というようなものを出すことができなかったとしても、その御趣旨を十分体していろいろな施策を考えるからということで、私は代案と申しますか、私の考える案は提示いたしたのでありまするが、ああいうような結果になった次第でございます。しかし、もう一方、当時中央医療協議会についても答申を同時にいただいたのであります。しかも中央医療協議会の方は、答申を十分尊重してそれに基づいて法律として提案をいたしまして、それは通過をし、すでに法律として現存しておるものであるから、これはそれだけで開かなければならぬし、また、それはそれだけで十分目的があるのだから、こういうことで臨んでおりましたが、あの委員の一部分の方々が、やはり調査会法案を出さなければと、こういうことであったので、私も多少所見が違うのであります。いずれにいたしましても、今私が最も力を入れなければならぬことは、やはり現在法律として制定されておりまする、しかも昭和三十六年の十一月から一年になんなんとする間、まだ開くことができない中央医療協議会はすみやかに開きたい、かように考えて、関係団体につきましては、今後といえども極力いろいろお勧めを申し上げ、私も努力をするところでありますが、不幸にいたしまして多少審議会の方々から遺憾の意を表され、再考を求められておるようなことでありまするが、その再考というようなことにつきましても全然考えないわけではございませんが、法律としてこの国会へ提案するということは事実上やはり困難なことでありますので、これを提出するというようなことは、私は今考えてはおりません。しかし、中央医療協議会に対しましては、これはでき得るだけ関係団体を説得いたしまして、それの開催ができるようにということは、これは私の責務でもございますので、今後十分努力していきたい、かような気持でただいまいるわけでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 三十六年の十一月中央医療協が改組されまして、今日まで発足を見るに至らぬ。そこで大臣としても、何とかして中央医療協議会の発足を実現したいというようなことから、今回の新しい構想に基づきまする提案が行なわれたのであろう、そういうふうに私は理解いたすわけでございます。ところが、今も御指摘を申し上げましたように、社会保障制度審議会の強硬な申し入れが行なわれ、そのために、この医療行政を正常化いたしまする中央医療協議会の発足というものは、大体見通しが立たないような状態になったのではなかろうか、そういうことを感ずるわけです。ところが、当面して、この四月には、新薬採用に伴いまする結核の治療指針の改正、あるいはまた九月には、もう予算では決定をいたしてございますけれども、地域差の撤廃の問題、あるいは今ほうはいとして医療費の改正の問題等も出て参っておりますので、そういう問題も私は待ちかまえておるものと考えております。そういうようないろいろな具体的な問題が横たわって、そういう問題を迅速に解決していかなければならぬ、そのためには、今私が御指摘申し上げました中央医療協議会の発足を何とかして見させていかなければならぬ、そういうようにきわめてせっぱ詰まったと申しますか、事態は非常に急迫した事態に追い込まれた事態ではなかろうか、実は今、具体的問題が横たわっておりますために、そういう感じを私は強く持つわけです。そこで、今きわめて重大な事態に際会をいたしたわけでございますが、そういう当面する具体的問題に対しましてはどういうふうにお考えになりまするのか、この辺の所感を一つこの際承っておきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 社会保障制度審議会からいただきましたああいうことはそれといたしまして、私は、やはり中央医療協議会の開催ができますように、あらゆる方法をとっていくつもりでございます。これはもう私としては当然な責務でございます。しかし、見通しとして、ああいうようなことが審議会から出されたのであるから、きわめて困難じゃないか、悲観的じゃないかというような御意見であろうかと思われますが、私は、それはそれといたしまして最後まで努力をしたい、かように思っておる次第でございます。最も端的に申し上げますと、あの法律は、医療担当者と支払い団体とそれから公益委員――公益委員は、これは厚生大臣が国会の御承認を得ることになっていますけれども、みずから任命されることができる。一方の方は、支払い団体にしましても、医療担当者にいたしましても、厚生大臣が関係団体に代表者を送ってもらうという組織になっておるのでございます。そこで関係者の方々が、いや、僕は送らぬよ、やり方が好かぬから送らぬよ、こう言われればきめ手がない法律になっておるのであります。これは厚生大臣の不徳のいたすところと言えばそれまででございましょうが、それのみならず、それは別といたしましても、厚生大臣が一つ代表を送ってもらいたい、甲の団体が、いやそれは困るよ、こう言えばこれは成り立たないのでございます。従いまして、最終的にせっかくおきめいただきましたこの法律は、厚生大臣が医療費の決定はあるけれども、厚生大臣は、この役所だけでやるのはあまり民主的でないから関係団体の意向を聞こうという、せっかくのこの国会の意思の反映でございますが、それが行なわれないのだということになりますれば、これはまた、そのときにおきまして別途の考え方を私としてはしなければならぬ。そのために――あれはあくまでも諮問機関であります。諮問機関ができないために、行政をおろそかにするということはできませんのでございますから……。しかし、まだその段階ではございませんので、私は最終まで努力を傾けたい、私自身の心境はただいまそういう次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 ところが、実は、この医療報酬調査会法にかわるべき機関として、大臣は、省令で学識経験者若干名に医療報酬算定の基礎になる問題の検討を委嘱しよう、こういう一つの新構想と申しますか、そういうものを表明された。ところが、この新しい機関、省令に基づきまする機関、これに対しましても、医師会を初めといたしまして歯科医師会、薬剤師会、こういう三師会では、診療担当者が加わらぬ機関は承服できぬと言うて、これもまた反対の声明を発表しているというふうに新聞では報道されている。そうしますと、この問題の解決は、一体どこに突破口を見つけて解決していくのであろうかというようなことを、私も内心非常に憂慮するわけであります。今は社会保障審議会が強硬な申し入れをした、そのために暗礁に乗り上げたということでございまするけれども、ところが一方、診療担当者の方も、診療担当者が加わらぬとの西村厚生大臣の新機関の提案には賛成できない、こう言う。またこちらの方でも反対の声が起こる。そういうことになりますと、一体これはどういうところから、国民の健康を守るための医療問題が解決するのかというようなことを、国民の健康という問題、医療という問題は非常に重大な問題でございますから、そういう意味で私ども非常に心配いたすわけでございます。全くお先まっ暗だというふうな表現を使うことがいいか悪いか存じませんが、そういう言葉を使った方が適切ではなかろうかというふうな感じを持つわけでございますが、大臣、大体見通しとしては、どういうふうな見通しを持っておられまするのか、一つこの際お伺いを申し上げておきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 あのときに医師会は、私が省令で学識経験者を選んで、その学識経験の中にお医者が入らぬからいやだと言ったのじゃないのです。それは新聞にそうありましたらちょっと新聞の誤報だと思いまするが、別な問題から言ったのでありまして、医師会の方は、私が提案したそのことにつきましては、あまり反対はないのであります。別な問題で反対をしたのでありまして、私の提案それ自身ではないのであります。しかし、いずれにいたしましても、厚生大臣が医療問題につきまして研究機関を持って十分やりたいということは、当然私がやらなければなりませんから、これは協議会とは別個な問題で考えてもいい問題でございます。しかし、協議会は、行政を進める上におきましてやらなければなりませんから、これにつきましては、私は今後も支払い団体の方につきましても、医療担当者の方につきましても、努力を傾けるつもりでございまして、今直ちにそれが不成功だろう、こう私は即断はいたしておりませんし、私自身としても努力をするつもりでございます。審議会の方々は、どういう考え方か知りませんが、ああいう声明を出しましたが、あれはあれとして調査会法――中央医療協議会というのがもう法律にあるのでありますから、しかもそれは同じように答申をいただいたものです。私の所期したのは、審議会の方々も、なぜ法律を施行しないのだ、こういうことを言ってもらうのじゃないかと実は思っておりましたが、それは一つも触れなくて、出していないではない、法律を出し得ないという、法律のみやんやん言っておって、私個人としてはちょっと意外に思ったのでございます。もちろん調査会法案を提出して、そうしてそれがいろいろなルールをきめられるということなら、それはそれでりっぱでございますけれども、それは法律でございますから、政治情勢によって私がみずから判断して出さない、従って、目的はあくまでも答申の御趣旨には沿うていろいろやるのだから、こう申し上げたのでございますが、あのようになりました。しかし、それはそれといたしまして、協議会の開催につきましては、私は両者に今後もいろいろ力を尽くし、しこうして最終的にこれが結果を見まして、またその結果によって考えなければならぬ、かように私は思っておる次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 国民の健康の問題でございまする医療問題でございますから、大臣きわめて終始御努力を傾注されておりまする熱意には敬意を表するのでございますが、先ほども御指摘を申し上げましたように、四月には、当面して新薬採用に伴いまする結核の治療指針の改正、そういうものを控えておるわけですね。これは今までも、新薬については大臣が決裁をされてやられた実例もございます。ところが、この九月の医療費の地域差撤廃については、これは医療費の問題ですから、やはり中央医療協議会にかけないと工合が悪いのじゃなかろうかという感じもいたします。それから、さっきも御指摘申し上げましたように、医療費の改善と申しますか、値上げと申しますか、そういう点につきましては強い要望等がございます。これも当然中央医療協議会にかけなければならぬ。そこで長い目で望みを捨てず説得に当たるのだ、こうおっしゃっておられますけれども、今申し上げまするように、当面して具体的な問題が横たわっておる。その問題を何とか解決しなければならないということでございますから、ただ望みを捨てずに説得工作を続けるということだけではなく、やはり説得工作を続ける以上は、何とかうまくまとまるという確信がなければならぬと思うのです。それも今申しましたように、具体的な問題が横たわっておりますから、やはり緊急を要すると思うのです。そういう点について、この際大臣の方で、見通しがあるかないかということを明確にしていただかないと、国民の不安というものは解消せぬと思うのです。この問題については国民もかなり重大な関心を持っておりますから、一つそういう点に対しまする見通し、あるいはまた御所見等がございますなら、この際国民の前に明らかにしていただきたい、かように考えます。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 見通しと申しましても、実は私は、正直なところ、審議会の方がああいう結果になろうとは思わなかったのであります。従いまして、今後両者にお勧めするわけなのでございますから、両者の意見がどういうふうに合うか、これはここで私が努力すると言っても断定はできないと思っておるわけであります。私は自信があると申しましても、またこの間のようなことにならぬとも限らない。しかし、自信がないと言うわけにもいきませんので、これはもう努力すると言う以外に、現段階ではちょっとお答えしようがないような次第であります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 歴代の厚生大臣もそうでございますけれども、やっぱり医療問題を解決するという姿勢に、かなり問題があるのじゃないか。と申しますのは、今日までも終始そういう形で経過いたしましたが、たとえば三十六年の十一月には医療協の改組を行ないました。ところが特定の団体の反対があって、それがおもしろくいかぬ。それでまた大臣が、何とかうまく解決しようということで新構想を示しておると、また反対の声が起こってきてうまくいかぬ。私は、これはもう大臣がほんとうに国民医療を守る、健康を守るというきぜんたる態度を示す以外に解決の道はないと思うのです。今のようにあっちから反対があり、こっちから反対があればその都度よろめくような格好では、国の完全な医療行政の遂行は困難である、私はこういうように思うわけです。そういう意味で、私はやはり、この際一つ国民の健康を守るんだ、国民の正しい医療行政を推進するんだという立場に立ったきぜんたる態度をお示しになる以外にもう解決の道はないのじゃないか、こういうように考えるわけです。そういう点に対します大臣のきぜんたる決意のほどを一つ伺っておきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 河野さんのきぜんたる態度というのはよくわかります。言外の意味がわかります。わかりますが、今それを具体的に言うことはどうかと思われます。従いまして、そういう方面において、しかし円満に解決するということは、最も大事なことでございます。いろいろな面を考えまして、もちろんほっておくわけにはいきません。きぜんたる態度で十分やるつもりでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 いずれ、この問題は重大な問題でございますから、さらに機会を見つけて一つお尋ねもし、お伺いをして参りたいのでございますが、そういうような医療費問題に関連をして、この際所信を明らかにしていただきたいのでございます。それは、去る二月四日の新聞によりますると、診療報酬請求事務の簡素化について、厚生省が目下検討しつつある問題点を明らかにされた点でございます。もちろんこの事務簡素化の問題は、当委員会におきましてもしばしば論議が集中されて参りました。また日本医師会等の四つの要求の一つの柱でもあるようでございます。最近請求事務が非常に複雑になって、そのために国民の医療、診療というものがかえっておろそかになる、そういうふうな悪弊から、医療担当者の中からも一つ簡素化してほしいという強い要求等もあるようでございます。しかし、この事務簡素化という問題は、それぞれ関係者があるわけでございますから、そういうそれぞれの関係者が十分納得の上で実行に移されるということでなければならぬというふうに私は考えるわけです。そこで、この事務簡素化という問題が及ぼす影響というものはいろいろあるわけです。そういう影響のある関係者が、十分納得するということで実現されなければならない。そこで私はこの際、今厚生省が検討されております請求事務の簡素化、こういう問題について一つこの委員会におきまして明らかにしていただきたい、かように考えます。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 支払い事務の簡素化は、これは医療担当者の方も今までの一つの問題点でございまして、だれも簡素化を好まない者はないと思うのです。ただ、その方法というものが、それじゃどういう工合にやるのかという点で確定したものが何もありません。厚生省でもいろいろなことは研究いたしておりますが、まだ確固たる成案が何もあるわけではございません。また、医療担当者の方も、何かいろいろやっておるようであります。また支払者団体の方も、これにつきましては御意見がありましょう。従いまして、私は、でき得るならば厚生省が中心になりまして、医療担当者、支払い団体の方々とも御相談して簡素化の方に持っていきたい。年々歳々この支払い事務はふえるのみでございます。従いまして、やはり一定の人数で支払い事務だけふえれば、従事員の方々にいたしましても労働過重になりますし、またお医者の方々にしても、非常になれない仕事をやるわけでございますから、ぜひとも一つ簡素化したい。しかし、その方法いかんということで、ほんとうにどうしたらいいというようなことは、まだちっとも出てきていないのであります。それは乱暴な計算をすればいいかもしれませんが、一方やはり医療の正確ということはあくまでも期さなければなりませんから、そういうことを考えつつ簡素化の事務をどういうようにやるかということは一つの問題点でございますが、簡素化したらどうだということは、ようやく一つの大きな世論になっておろうかと思いますから、私は支払者団体あるいは医療担当者の方にも連絡をとりつついきたいと考えて、せっかく努力をしかけておるところでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 一部の紙上では、具体的に、こういう面について簡素化をやったらどうだというような試案等も発表されておるようであります。それは最終的決定ではないでしょうけれども、こういう場合についてはこういうふうな簡素化、こういう場合についてはこういうふうに簡素化をやるというふうな荒筋は、すでに発表されておるかのように理解するわけですが、そういう点はいかがでございますか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 私はちょっと見ただけで、まだあの全体につきまして見ておりませんが、たとえば千円以下は大ざっぱにやったらいいだろうとか、ほんとうの思いつきのようなことから出ておりません。従いまして、これは今後の問題でございますが、可及的すみやかに簡素化の道に持っていきたい。私の知っている範囲内では、今やっているのは思いつきの程度しか出ておりまん。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 現在では思いつきの範囲を出ておらぬということでございますけれども、それは別として、一応簡素化が行なわれる際に考えられるその方法としては、大体大別して二つの方法があろうというふうに考えるわけです。その一つは、今大臣からもお話がございましたように、請求いたします一件々々の内容の簡素化ですね。これは今大臣からもお話がございましたように、非常に金額の少ないやつは、内容的に簡単にやっていくというような問題があると思う。それからもう一つ考えられます点は、長期にわたる疾病の場合には何カ月かまとめて請求すればよろしいというふうなことで、件数自身の簡素化、たとえば毎月々々請求するものは三カ月に一ぺんでよろしいということになれば、それで一件だ、そういうふうな簡素化ができる。そういう点が、実は今具体的に決定はないといたしましても、大体考えようとすれば考えられるということになろうと思います。  そこで、もちろんこの簡素化が医療担当者等にとって非常にけっこうなことであることは、今大臣からもお話がございましたように、私どもも否定するものではございません。そこで、きょうは若干角度を変えて、実際にその事務を担当いたします支払基金、こういう機関との関係について一、二お伺いをいたして参りたい、そういうように考えます。  その際一つ問題となります点は、この一件々々当たりの内容そのものが簡素化されますと、非常に事務量が軽減されるということになると思います。その際、今まで一件当たりの事務費というものは、それぞれ変遷はございますけれども、その点については後ほど若干触れますが、現在の段階におきましては十一円五十銭、ところが内容が簡素化されて、事務的に負担が軽減されるというようなことから、そういう事務費単価に影響が及ぼされないかどうか、こういう点は直ちに問題になる点でございますから、そういう点についてはどういうふうにお考えになりますか。これは支払基金の理事長が御出席でございますから、理事長から一つお伺いをいたしたいと思います。

久下勝次社会保険診療報酬支払基金理事長

○久下参考人 事務簡素化につきましてのお尋ねでございますが、先ほど来大臣からお答えのございますように、私どもといたしましても、簡素化が具・体的にどういうふうに決定されるかということにつきましては、まだ何も伺っておらないのでございます。ただ、お尋ねがございますから、御参考に、今まできわめて事務的に、成案までいかない程度でいろいろ私ども御相談を受けております機関がございます。そういう点についての経験をお話してみたいと思います。  いろいろな角度から簡素化というものを、先ほどお話しのようにどういう方法で簡素化するか、どういう立場で簡素化するかというようなことがありまして、必ずしも支払基金の事務といたしましては、簡素化したから減るのではなくて、むしろ支払基金の事務としてはふえるような試案さえあった経験もございます。さような関係で、実は今、当然に簡素化が行なれわれば支払基金の事務量が減り、さらに事務費の方にも影響があるだろうというようなお話でございますが、そういう簡素化の案も出てくると私は思います。その辺につきましては、これは厚生省が中心で当然お考えいただくことでございますし、そういう場合につきましては、今までの経験から申しますと、常に私どもの方に内々の御相談をいただいております。その辺のことも十分厚生省としては御考慮の上で、御決定になるものと考えておるわけであります。そういう場合に、具体的な案が出ました場合には、私どもとしても、大ぜいの人をかかえて仕事をやっております関係もございますので、十分意見を率直に申し上げまして、そうして御参考にしていただくつもりでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 その内々の相談ということは、どういう相談ですか。

久下勝次社会保険診療報酬支払基金理事長

○久下参考人 内々と申しますのは、請求事務の簡素化をいたしますと、私どもの方の仕事にいろいろ影響がございます。たとえば、今までの仕事のやりくりを変えていかなければなりませんとかいう意味での影響があるわけでございます。それで、一つの案が出ますと、支払基金としてはこの問題についてどういう考えを持つかという意味での御相談が、公式ではございませんが、あるわけでございます。過去にもございました。そういうことでございますので、そういう機会に、私どもの方の立場としての御意見も十分申し上げたいという意味でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 実はずっと以前からの資料もございますが、昭和二十五年以降の事務費単価及び職員一人当たりの取り扱い件数、こういう問題に対しまする資料を拝見いたしますと、昭和二十五年の五月では事務費単価が十一円、ところが二十五年の十月には十円というふうに一円下がっておる。それからまた、二十七年におきましては十一円五十銭、二十八年におきましては三十円、ところが二十九年には十二円五十銭というふうに単価がまた切り下げられておる。それからさらに、三十一年から二年にかけましても、十二円から十一円五十銭というふうに単価が切り下げられている。それから三十四年から三十五年にかけましても、十一円五十銭から十一円、三十七年には、三十六年度が十一円でございますけれども、十一円五十銭というふうに五十銭引き上げられておる。こういうふうに、年々歳々ネコの目が変わるように単価が変遷を見ておる。こういう変遷を見た理由は一体どこにございますか。

久下勝次社会保険診療報酬支払基金理事長

○久下参考人 御指摘のように、基金創設以来、十数回にわたりまして基金の事務費の変遷がございます。これは実はそのときどきによって事情は違っておりまして、一がいには申し上げられないのでございますが、どうして基金の事務費が動くかという前提を申し上げた方がよろしいのではないかと思います。  支払基金の事務費と申しますのは、法律に基づきまして、請求件数に応じて各保険者に分担をしていただいておるのでございますが、これは支払基金を運営して参りますのに必要な経費をまず私どもの方で積算いたしまして、そうして特に職員のベース・アップがございますと財源の不足を来たしますので、この程度上げていただきたいということを交渉するわけでございます。多数の保険者がございますが、それぞれ御相談申し上げまして、その御了解を得たところで、一件当たりの事務費単価というものはきまって参るわけでありますから、時によりますと、二、三年前でございますが、別途積立金を七千五百万円ほど保有しておった時期もございますが、その際に、それだけ経費が余っておるならば、この際事務単価を下げたならばどうか、また必要なときには上げるからということで、一時五十銭ほど下げたこともございます。そのときどきの状況によって、必要経費を、委託する保険者から見ていただくという建前でおるのでございますが、件数の推移等に応じまして、あるいは所要経費の変化等に応じまして、そのつど御相談申し上げておるのが変化の理由でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 その辺が私どもは納得いかぬわけです。と申しますのは、戦後ずっと今日までの経済情勢を見て参りましても、物件費が上がる一方ですね。ベース・アップもそうでございましょう。ところが、この必要経費ということでございますけれども、当然同じ取り扱い件数にいたしましても、物件費が上がっただけ単価が上がるのが常識ですね。御承知のように、最近の状況を見て参りましても、一人当たりの取り扱い件数は、昭和二十五年におきましては千五百五十七件、それから年々歳々増加して、三十七年におきましては三千八百四十二件、それから超勤等を見込んでこの業務要員一人当たり取り扱い件数を見て参りますると、昭和二十五年におきましては千八百四十八件、それが昭和三十七年におきましては四千四百六十八件、その間、取り扱い件数が減少したという例は一例もない。年々歳々ふえるばかりです。でございますから、私がここで疑問を持ちますのは、必要経費の見方に非常に大きな問題があるのじゃなかろうか、こういうふうに私は判断をするわけです。と申し上げますのは、作業量がふえるわけですから、結局支払基金の歳入がふえるということは当然でなければならぬ、それだけ従業員がよけい仕事をしておるわけですから。しかも一方におきましては、物件費がどんどん上昇していくというような情勢でもございます。それですから、歳入がふえなければならぬのは当然なことです。それに、今申し上げますように、単価を切り下げるというようなことはどうも理屈に合わぬ。要するに、歳入がふえたということは、取り扱い件数がふえたということでしょう。結局支払基金の歳入というのは、単価かける取り扱い件数ということになるわけですから、これは小学校の一年生でもわかる。ですから、歳入がふえたということは、それだけ仕事量がふえたということです。仕事量がふえて歳入がふえると、今度は単価を切り下げる。頭はいつも押えておこうというようなことになりますると、そのために、従業員ばかりではない、環境の整備もできぬでしょう。前近代的な施設の中で働らかなければならぬ。そういうことで一体能率が上がるのかというようなことも、私は言及をしなければならぬ。そういう点について、私は、基金から出されたこの資料を見て参りましても納得するわけにいかぬ。一体理事者として、どういう頭でそういうことを今日までながめてこられたのか。私はちょっと常識を疑うのですが、その点いかがでしょう。

久下勝次社会保険診療報酬支払基金理事長

○久下参考人 御指摘のように、基金の取り扱い件数は、年々一割程度増加をしておりますことは事実であります。それに対応する人員をどうするかということは、基金運営の一番大事な問題でございまして、数字だけをごらんになりますと、確かに御指摘のように一人当たりの取り扱い件数が非常にふえておりますことも事実でございます。今、数字的にははっきり申し上げられないのでございますが、私どもとしては、事務の運営の方法につきましては、できるだけ能率的に間違いのない仕事のできますように、私の方では業務規程と申しておりますが、これを毎年検討し、次々と改正をいたしております。こういうことによりまして、職員の事務量の負担を実質的に軽減するように計らっておるわけでございます。さらにまた、これはまだ数は少ないのでございますけれども、一台三百数十万円いたします会計機を購入いたしまして、これによって支払い関係の事務その他統計、あるいは給与関係の計算等のことに役立たせておりますが、これはまだ総数二十二台ほどしか整備してございませんけれども、こういうものを整備いたしましても、そのための人員は相当節減になるのでありますが、そのための定員減はいたしておりません。さようなことで、職員がだんだん年数がたちますと仕事になれて参りますことが一番基本でございますが、一方におきまして、今申し上げたような二、三の点につきまして、常に事務の能率化、簡素化につきましても検討いたしております。今御指摘の数字そのままが、全部職員の事務量負担になっておるとも考えておらないのでございます。しかし、これは今までの、昨年度までの、経過でございます。昭和三十七年度、本年度予算を計上するにあたりましては、これらの点につきましてもいろいろ各方面から御指摘もございますし、また私どもの方の内部の理事会におきましても、河野先生のお話のような御指摘が相当ございます。そこで本年度の予算を編成するにあたりましては、こういう考え方でやったのでございます。これも御参考に申し上げますが、御承知のように、基金の取り扱い件数は毎月非常な増減がございます。そこで、少なくとも大体最低の取り扱い件数の月を押えまして、これをそこまでは定員で見ていく。それ以上を越えます分につきましては、臨時のアルバイトといいますか、雇用員を採用いたしまして、そして件数を処理するようにして、職員一人当たりの件数はできるだけふやさないような方法を、本年度の予算といたしましてとったわけでございます。私どもとしては、来年度予算、まだ決定いたしておりませんけれども、こういう考え方をやはり続けて参りたいと思いますし、先ほど来申し上げました業務規程の実質的な改正によります事務の負担の軽減等につきましては、現在も、十項目ほどにわたりまして鋭意検討を進めて、近く成案を得る見込みでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 これは機械化あるいはまた運営方法の改善等によって、職員の労働過重というものを防止しておるというお話ですけれども、それは幾分か機械化によって防止されるでしょう。しかし、昭和二十五年の千八百四十八件が、三十七年におきましては四千四百六十八件というふうに、倍以上に取り扱い件数が伸びておるわけですから、そういう一部の機械化やらあるいは運営方法の改善等で、労働過重が全面的に解消されたというふうには理解しがたいと思うのです。これはぜひ一つお認め願わぬと私ども困ると思うのです。  そこで、今のような格好で推移をいたしていきますと、巷間では豊作貧乏という言葉がございますが、仕事はすればするだけ、結局従業員は損しなければならぬ。これは魚屋やあるいはお百姓さんと違うわけですけれども、やはり労働者にそれだけの負担がかかれば、それだけのめんどうを見なければならぬということは、今政府でも非常に強く考えておられる点でございます。そこで私は、今のようた運営についてはどうも納得いきませんし、この点は非常に問題点が起こってくる可能性がございます。それなら一体、今事務費単価というものが一件当たり十一円だとか十一円五十銭だとかいわれておりますが、そういう十一円や十一円五十銭という単価はどういう根拠でできたのか、その単価の出て参りました根拠について一つお示しをいただきたい。

久下勝次社会保険診療報酬支払基金理事長

○久下参考人 事務費計算の根拠についてのお尋ねでございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、必要な経費を件数で割りまして、保険者から委託費としていただくというのが基本的な建前でございますので、まずこの必要な経費というものが問題と言えば問題でございます。職員の給与をどういうふうに、どの程度のベースにするか、あるいは先ほど御指摘のございました、いろいろ郵便料が値上げになったり、あるいは鉄道運賃が値上げになったりした場合に、いろいろ物件費がふえて参ります。そういうものをどう見るかということにつきましては、もちろん計算の基礎に入れまして、その都度毎年々々予算を編成する際に、必要経費を私どもとしては積算をいたしまして、足りない場合には、これだけ値上げをしていただきたいというようなやり方でやっております。しいて言えば、科学的根拠はないといえばないのかもしれませんが、ずっとそういう経過で参っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 その点が、やはり私は非常に問題だと思うのです。一方的に当局側が、これだけが必要経費だ、そこでその必要経費を取り扱い件数で割って単価を割り出されますと、ここに非常に重大な問題があると思うのです。と申し上げますのは、仕事をよけいすればするだけ単価が安くなる。先ほど申し上げましたように豊作貧乏になる。そこでやはり必要経費というものは、たとえば能率を上げていくためには、職員に対してはどういう処遇をやらなければならぬ、あるいは職員に対しまする厚生施設の面についてはどうあるべきだ、あるいはまた、基金の施設についてはどういう改善をやっていかなければならぬかというような一切の計画の上に立って、そしてそれが必要経費だ、その必要経費を取り扱い件数で割って一件当たりの単価を割り出すということであれば、これは納得できますけれども、自分たちで勝手に職員の処遇はこの程度でよろしい、あるいは基金の施設は老朽化して非近代的な設備でよろしい、厚生施設はどうでもよろしい、そういう考え方の前提に立って必要経費を定める、そして取り扱い件数で割られるということは、これはとんでもないことです。そういう結果が出てきておるし、すでに理事会でもそういう意見が出ておるじゃないですか。たとえば、それは退職金の積立金を食いつぶすとか、そういう問題が出ておるじゃございませんか。私は、そういうふうな、悪い言葉で言えば独善的な考え方でやられては、いろいろ労使間の問題も円滑にいきますまいし、また実際に基金の使命を達成される上におきましても、十分な能率を上げるわけにいかぬという結果に陥ると思うのです。そういう考え方というものは徹底的に改めていただかなければならぬと思いますが、その点いかがですか。

久下勝次社会保険診療報酬支払基金理事長

○久下参考人 ただいま河野先生が御指摘になられましたような問題は、私が先ほど申し上げました必要経費として計算いたします場合には、すべて考慮しておるつもりでございます。ただ、組合側の要求があったものを、全部が全部要求があったからということで積算の基礎に入れるということでは、また反面、いろいろ保険者も多いことでございますので、必ずしもすらすら通りにくい面もございます。私どもの機構については、御承知だと思いますが、理事会というような最高の議決機関を持っておりますが、この理事会は、各側の利益代表の方が参加をしておるわけです。従いまして、少なくとも私の気持としては、独断でやっておるつもりはございません。そういう方々の御意見につきましては十分尊重して、経費の計算の中にはそういうものをできるだけ加味するようにやっておるつもりでございます。不十分な点はあろうかと存じますが、そういうつもりで今までやってきておるのでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 どうも納得がいかぬわけですが、それは私どもは、何も労働組合の代弁をしてここでお話しておるのではない。国会議員という立場から、どうあるべきかということをここで私は論議をいたしております。そういう前提を御理解願ってもらわぬと困る。何か私が労働組合の代表だというような格好で物事をお聞きになりますと、私に対する答弁というものもゆがめられると思うのです。私どもは、もちろんいろいろな資料等によってそういうことを申し上げておるわけです。今の必要経費というものにどういうものさしを当てるかということについても、いろいろ問題がございましょう。しかし、少なくとも私どもは、今支払基金で考えられております必要経費というものが、われわれが客観的に見て納得のいく必要経費でないということは、これはもう論議の余地がないと思うのです。と申し上げますのは、どこに参りましても、あの支払基金が今のような施設でいいというふうには私は理解しない。私もちょいちょい支払基金の方に足を運びますが、今の施設でいいというふうには私どもは理解することができない。あれが適切な施設であるというふうにお考えになるなら、これは私は問題だと思うのです。この点も大いに反省してもらわなければ困る。あれが支払基金として最も適切な施設であるというふうな判断は、この際改めていただきたい。  それからなお、施設にいたしましても、これは何も組合だけではございませんが、当然施設の改善をしていただく。施設の改善は能率にも関係してくるわけですから、当然やってもらわなければならぬ。また能率を上げるためには、厚生施設等についてもお考え願わなければならぬ。あるいは機械化の点につきましても、すでに機械化を実施することによって相当の能率を上げつつあるかのようなお話でございましたけれども、むしろその点については、組合側がもっと機械化してほしいというような意見もございます。ですから、今の機械化がこの目的に沿うような程度で行なわれておるというように、私どもも客観的に理解することはできぬ。そういうことで、いろいろ問題があるわけなのです。そういう問題に対して一つ十分耳を傾けていただいて、そしてそういう立場に立って、今後必要経費というものについてお考え願うならば、私どももけっこうでございますけれども、もうすでに、今までの必要経費の見方というものはどこまでも正しいのだ、独善的な形でやっておられるのかもわかりませんが、しかし、客観的に納得されるような格好で必要経費というものが算定されておらぬということは、これは私どもはそういうふうに言い切らざるを得ない。少なくとも今の必要経費の見方については、いろいろ仕事も多いわけですから問題がございましょう。そういう点は、私どももわからぬわけではございませんけれども、これはやはり再考の余地があるというくらいの考え方を持っていただかぬと私は困ると思うのです。そうせぬと、私は今後こういう問題を円満に解決するということは、なかなかむずかしい問題じゃないかというように考える。そういう意味で、どういうふうに御再考願ったか、一つあらためて御所見を承っておきたい。

久下勝次社会保険診療報酬支払基金理事長

○久下参考人 ただいま具体的な問題を取り上げての御質問でございますから、率直に申し上げてみたいと思います。  まず、施設の関係は御指摘の通りであります。私どもといたしましても、実は毎年年次計画を立てまして、そしてこれの改善あるいは改築、新築等をいたすことを考えておるのでありまして、実は昭和三十八年度の予算をつくるにつきましても、まずその点を十分御考慮いただきたいということを関係の向きにお願いしておる最中でございます。ただ、何分にも給与改定の問題もかかえておりまするし、あれこれ重なりますために、昭和三十八年度におきましては、私どもの希望の通りにどうも今の情勢では費用をお支払いになる方面から御了解が得られないようで、はなはだ遺憾に思っております。しかしながら、これもできるだけ一つ実行して参りたいという考えで、これからまだ折衝を続けるつもりでございます。  それから職員厚生費の問題でございます。これも確かに御指摘のように理事会でも御指摘を受けておりまして、私ども機会あるごとに、これは何らかの形でふやしたいという気持は持っております。これまた全体の事務費のワクに影響があることもありますので、私ども自身が考えるような工合にも実はなかなか実行はできない点が多いのでございまして、この点につきましても、私どもも、これでけっこうで十分だということは一つも申しておらないのでありまして、今後とも努力を重ねて参りたいと思います。  それから事務の機械化につきましてお話がございましたが、実は私、申し上げませんでしたが、先ほど申し上げたのはごく一部の機械化にすぎませんで、こういうことで基金の業務が適正に、あるいは間違いなく実行できるかどうかということについては、非常な懸念を私は持っております。特に東京、大阪等の大基金におきましては、非常に取り扱い件数がふえましたために、今までのやり方では早晩行き詰まりがくるのではないか。そういうことも考えまして、昨年の秋から、監督官庁の御了解を得まして、基金本部の中に事務機械化を専念して研究をする係を設けまして、今検討を続けておるところでございます。これは基金の仕事をできるだけ多く近代的な機械に乗せてやるような方法で、今検討を進めさせておるところでございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 これは一つ大臣にお聞き取り願いたいと思うのですが、今申し上げますように、この支払基金の事務費単価というものは、支払基金におきまする必要な経費を取り扱い件数で割って、それを一件当たりの単価にしておるわけです。そこで問題は、その必要な経費の算定の仕方が非常に重要な条件になってくると思うのです、ところが、今私が御指摘をいたしますように、その必要経費そのものが、客観的に見て納得のいける必要経費であるかどうかという点が非常に問題になる。納得のいかぬ必要経費をその取り扱い件数で割ってもらったら、大へんな単価になると思う。それですから、私どもは単価の問題を検討する際には、その必要経費というものが、だれが見ても納得のいく必要経費であるかどうかということをわれわれはまず考えてみなければならぬ。そうせぬと、結局さっきの豊作貧乏ではないけれども、仕事はやってもやってもかえって損をするという結果になる。結局労働者だけが労働過重を強制されるという結果になるわけです。それですから、当然、職員が能率を上げれば、職員の処遇についても考えてもらわなければならぬだろう。あるいは能率を上げるためには、施設の改善もやってもらわなければならぬだろう。あるいは厚生施設に対します改善もございましょう、そういう一切の面――しかし、それにも支払い団体側の制約があろうかということは、私どもも納得ができぬわけではございません。しかしそれは限界の問題だと思う。いずれにしても、そういう一切の問題を十分尊重した上で必要経費というものが組み立てられなければならぬ。そういう必要経費でございますならば、この取り扱い件数で算出した一件当たりの単価というものも、非常に合理的な、納得のいくような単価になっていると思うのです。ところが、残念なことには、この施設の改善も行なわない。そこで実際には退職金の積立金をくずして施設の改善をやっておる、そういう実情です。多分ことしは、退職者は二百五十一人程度であろうというような想定のもとに、その退職金だけを確保して、あとはつぶして、そうして施設の改善等を行なっておる、そういう実例がございます。それでは困るので、やはり当然必要なものは必要経費の中に繰り入れる、そういう形からこの単価というものが割り出されなければならぬ、こういうふうに私どもは思うわけでございますが、厚生省として、大臣としてどういうふうにお考えを願えますか。この際、大臣の良識あるお答えをいただきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 この経理上の監督は厚生省がいたしておると思いますが、私は直接あまりつまびらかにしませんし、また支払基金も、なまけておって一回も行っておりませんので施設がどうなっているかわかりませんが、今あなたがおっしゃいますように、能率を上げてますます給与が少なくなったという結果が、こういう方式ならばややもすると出がちだというふうな仕組みになるような感じもいたします。とにかく、そこでそうなったのではこれは大へんでありまして、非常にお気の毒でございます。もちろんそのつもりでやっているのではないでしょうが、仕組みそのものがそういうふうになるような感じです、単価をきめる場合には。しかし、それは絶対に私たちも賛成できないことであります。せっかく必要経費というものが――今理事長がお話しになりまして、十分従事員のことを考えてやっておるというのですが、今まで十分でなかったかもしれませんが、私の方も、今あなたが申されましたような気持におきましてこれはやっていきたい。しかし、これは支払いの簡素化をする、件数はますます少なくなるから、それと直接の結びつきをしないで、この支払い事務あるいは医療担当者の能率を上げるとか、そのために件数が減ってくるとかいうようなことと別に、これは従事員のこととかなんとかを十分に考えて、支払い必要経費というものはやはり見る、こういうことでいかないと、件数が減ってきたら、これはますます収入が減るというようなことにもなるような計算、やり方でございますから、十分注意いたしてやります。やりますが、医療費の支払いの簡素化ということは、これとは別個な問題でやっていきたい、かように私は思っている次第であります。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今大臣から適切なお答えをいただきましたが、今のような方針でやっていただかないと、結局劣悪な事務費単価の集約、集計という一つのワク内で従業員の処遇がきめられる。今大臣は、他の公務員なら公務員との均衡がどうだということを当然考えなければならぬというお話でございましたが、そういうことでなくて、もう初めから劣悪な単価がきまっておる。そうしますと、もう支払基金の算入というものは、それに取り扱い件数をかければ出てくるわけですから、その集計そのものも非常に不合理な集計が出てくる。その中で賃金の割合がどの程度かわかりませんが、七割か八割程度が人件費の比重だというふうに私どもは考えます。そうしますと、もともとこのワクというものが非常に劣悪な形で算出されるということになりますと、今の大臣が心配されておりますような、件数が減るとすぐ賃金が下がってしまうというような悪条件が生まれてくるわけです。それでは、せっかく今まで長いこと苦労いたして参りました従業員に対しても相済まぬという結果になって参りましょうし、そのために労使間に紛争が起こってくるというような結果になって参りますから、私はやはり基本的には、今申し上げますような事務費単価というものが適切な、合理的な、納得のいくような単価の決定方法を考えていただかなければならぬ、こういうふうに実は考えて申し上げたわけです。特に取り扱い件数の中身を見て参りましても、共済が四分の一、健保が四分の一、政府が四分の二ですから、これは政府の比重がかなり強いわけですよ。それですから、どこまでも大臣としては、今私が申し上げましたような方針で一つ今後単価の算定についてはお考え願う、こういうふうに強く要望いたしたいと思いますが、そういう点については、大臣いかがでございますか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 十分意見のあるところを尊重いたします。これはおそらく、単価等につきましてはやはり政府が大部分でございますので、大蔵省等との折衝が必ずあるわけです。一々大蔵省としては干渉するでしょうから、十分今の意見を尊重いたしましてやっていきたい、かように思っております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 これは大蔵省にお伺いするというより、むしろお願いをいたしておきたいと思いますが、今申し上げますように、単価のきめ方というものは非常に重大な影響をもたらすわけです。そこで、今大臣からも御所見を承って参りましたが、この単価の算定というものは、政治的にきめてもらっても困るし、それからまた、従業員あるいはこの施設の内容等々、そういうような事情というものも十分尊重してもらって単価というものはきめなければならぬということは、当然なことだと思う。そこで、大臣もそういう点を十分尊重して、今後単価の算定に当たりたいというような御所見もございました。そういう点については大蔵省が規制をしたり、そういうことはないと思いますけれども、この際一つ、大蔵省からもせっかく御出席でございますから、御所見を承っておきたいと思います。

船後正道大蔵事務官(主計官)

○船後説明員 支払基金の手数料の単価については、先生の仰せの通り全く基金の主たる収入でございまして、これによりまして基金の収支予算ができるわけでございます。決して政治的と申しますか、そういうことできめるべきものではなく、十分に基金の収支の状況を勘案して決定して参りたい、かように考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今いろいろ御要望を申し上げたわけでございますが、この際、せっかくの機会でございますから、運営の面につきましても若干お伺いをして、御所信を承っておきたいと思います。  それは、今私ちょっと御指摘をいたしましたように、必要経費の算定のいたし方についていろいろ問題がある。たとえば施設の改善等について、十分めんどうを見てもらえぬ。それは一部の例でございますけれども、そういう点から、積立金をくずして流用される。そういたしますと、これは積立金ですから、結局いずれか積立金の方向に返さなければならぬと思いますけれども、今のような実情で積立金を食いつぶしておるわけですから、そういう積立金を返還し得る能力ができてくるのかどうか。私は、少なくとも今までのような必要経費の組み方では、そういう点が若干問題になるのじゃなかろうか。この点は、理事会でも若干問題になっておるようでございます。そういう点についてはいかがでございますか。せっかくの機会でございますから、この際伺っておきたいと思います。

久下勝次社会保険診療報酬支払基金理事長

○久下参考人 職員の退職死亡手当積立金を、将来にわたる部分を施設の方に流用いたしておることは事実でございます。これは必ずしも運営上適切なものと私ども考えておらないのでございますが、実は今まで長い間、各方面の保険者とのお話し合いの結果、基金の事務費のうちから施設に充当をしてよろしいワクは、おおむね六千万円程度までというような話し合いになっておるのでございます。もっとも最近、ここ一、二年は全体の経費が苦しいものでありますから、必ずしも全額事務費を純粋に流用しているとは限りませんが、とにかくそういう一つのワクがはめられた話し合い、約束になっておるのでありますから、さような関係上、どうしてもやらなければならない施設につきまして、過去におきまして退職死亡手当積立金を流用しております次第でございます。これにつきましては、当時から計算をいたしておるのでございますが、一応施設の整備の計画が終わりましたならば、今度はその六千万円というワクを財源にいたしまして逐次積立金の方に返還をしていく、こういう実は計画を立てておる次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 今理事長にお答えを願いましたように、かなりの金が積立金の中から施設の改善等に振り向けられておる。私どもが承知する範囲におきましては、累計をして一億四千百七十六万円程度のものが流用されておるというふうに、私どもは仄聞をいたしております。その点から見ましても、そういう経費というものは、さっき申し上げました必要経費の中に当然含まるべきだ、そういう金が含まれておらぬ必要経費については、私は問題があるというようなことを先ほどから指摘しておる。ですから、理事長は、当初は必要な経費の基礎というものが適切であったかのようなお話でございましたけれども、そういう積立金を食いつぶしておる、そういう事例も、今までの必要な経費の設定の仕方にやはり問題があった一つの証拠であろうというふうに私は考えるわけです。それですから、今までの必要経費というものが、必ずしも納得のいくような必要経費でなかったということは、私はこの積立金を食いつぶしたという実例から見ても明らかだろうというふうに考えるわけです。これは一例でございますけれども、そういう点からも、私どもの指摘が正しいということを実は考えるわけです。でございますので、その点は大臣からもいろいろと適切な御発言がございました。そこで大臣の方針に沿って、今後は一ついろいろと御検討をいただきたいというふうに考えます。  そこで、だんだん時間が参りましたから結論に移りたいと思いますが、いろいろと予算上の問題等もありますから、私はここで明らかにされるかされぬかわかりませんけれども、一応先ほども内々の相談があったというお話でございますが、事務的に若干御相談があっておるのではなかろうか、そういうふうに判断をいたします。厚生大臣の方では、大体今、あらあら事務簡素化というものはこういう方法もある、こういう方法もあるというようなことであったということでございますが、支払基金としては、今までいろいろと交渉の過程の中で、こういう簡素化をやった場合にはどういう結果が出てくる、あるいはこういう簡素化をやった場合にはどういう結果が出てくると、いろいろ一案、二案とあるだろうと思いますが、そういうふうな点について御検討をされたいきさつはございますか。

久下勝次社会保険診療報酬支払基金理事長

○久下参考人 請求事務の簡素化につきましては、本来は基金自体が考えるべき問題ではないとも思いますけれども、お話しの通り、基金事務に大きな影響のあることでもあります。そこで基金事務ができるだけ間違いなく、能率的に行なわれますようにという意味で、私どもが意見具申を内々いたしましたものは、たとえば保険者名のコード化というようなことも、むしろ私どもの方からお願いを申し上げておるような例でございます。これは基金の仕事が正確に、間違いなく能率的に参りますと同時に、またおそらく医療機関の方面におきましても、コード化されますれば非常に記載が簡単になります。能率的になるのではないかということも考えまして、実はお願いをし、厚生省におきまして革ある程度の御了解をいただいておりますような次第でございます。この辺は、基金自体が申し上げました簡素化の一例でございます。  そのほか、医療機関が、先ほど来お話がございましたのを伺っておりましたのすでが、請求明細書を毎月つくりますのに非常に手数がかかる。御承知の通り、社会保険の診療につきましては、特別な診療録をつくることになっております。その裏に、毎日々々の診療行為を診療、投薬あるいは注射、処置等に分けまして、日々記載をすることになっております。御承知だと思いますが、これをそのまま何か写して出すような方法はどうかという、これは主として医療機関の負担を軽くしょうという意味からのほんの試案にすぎません。ところが、基金にそういうものが提出されますと、基金としては、今までは御承知の通り、注射が何回とか投薬が何回とか往診が何回とか、まとめて御請求をいただいております。非常に仕事の上では能率的でございます。これを一つ一つ拾い出して集計をいたさなければなりません。これは審査委員会と事務職員双方に大きな負担になります。従いまして、ある意味では簡素化でございましても、基金の仕事の上では簡素化にならないという意見を申し述べた経験がございます。これはほんの一例にすぎないのでございまして何でございますが、お尋ねでございますから、具体的な例をあげて申し上げてみたのでございます。いずれにいたしましても、くどいようでございますが、事務の簡素化ということは基金にとりましても重要な問題でございますので、十分一つ私の方からも意見を申し上げますし、また御相談も申し上げたいと思っておる次第でございます。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこで、いろいろ御相談願うというのはけっこうでございますけれども、問題は、その御相談願う際の姿勢が非常に私は問題だと思うのです。と申し上げますのは、少なくとも今日までの状態を振り返って参りますと、私は必ずしも支払基金の姿勢が正しかったかどうかということについては、率直に申し上げて疑問を持たざるを得ない。と申し上げますのは、仕事量がふえるわけですから件数もふえるわけでございますので、そういたしますと歳入もふえる。歳入がふえると今度は単価を下げるというようなことで、全く支払基金の事務というものが、今日までもてあそばれてきたというふうな一つの実情にあったと思うのです。それは仕事量がふえれば、当然それだけ労働者の職務が過重になっているわけですから、それに対する処遇というものが考えられなければならない。ところがそういう点は、少なくとも今日までの実績の中では、明確に出ておらぬということがはっきり言えると思う。そこで、大臣もいろいろ事情を聴取されて、どうも今の仕組みではいろいろ心配があるだろうというふうに御憂慮をされておりますことは、理事長も御承知の通りであります。そこで一つ、この事務の簡素化に伴って支払基金の施設あるいは職員にしわ寄せが起こらぬように、簡素化になって事務量が減った、そこで人間は要らぬ、あるいは賃金は下げてもよろしいというような形が生まれないように、そういう姿勢で一つ今後いろいろと御折衝願わぬと、これはかえって職員の間にも不安が助長するでございましょうし、かえって能率を阻害するという結果になると思う。もちろん、今までにもたびたび指摘いたしましたように、昭和二十五年と今日を比較いたしましても、一人当たり取り扱い件数というものが倍以上になっておるというような格好でございますから、必ず私は労働過重というものが強制されておるというふうに――それはもちろん一部は機械化されておりますから、額面通りそのまま過重になっているかどうかわからぬけれども、少なくとも過重になっているということは容易に承知できると思うのです。この点は理事長もお認め願えるでしょうね。

久下勝次社会保険診療報酬支払基金理事長

○久下参考人 先ほどもお答え申し上げました通り、従来のままの形で職員の負担過重を進めていくことは適当でないと考えまして、昭和三十七年度の予算編成のときから、先ほど具体的にお答え申し上げました通り方向をだいぶ変えまして、負担過重を少なくするような方向に持ってきたつもりでございます。従いまして、結局今までのような形でやることは適切でないと私は考えております。

河野正日本社会党

○河野(正)委員 そこでこの点は一つ大臣にお聞き取り願って、大臣の御所信を明らかにしていただきたいと思いますが、だんだん大臣も支払基金の実態をお聞き取り願って、職員が非常に憂慮する点が若干御理解願えたのではないかと思うわけです。そこで、今後そういう不安を一掃するためにも、あるいはまた支払基金の事務能率を上げていくためにも、そういう不安になるような悪条件を一掃してもらわなければならぬ。そのためには、事務費単価というものをより合理的に算定していただくということが、私が特にお願いをいたして参りたい一点でございます。  それと同時に、事務の簡素化が、これは診療担当者側に行なわれる場合もございましょうし、あるいは支払基金側の立場から見て行なわれる事務の簡素化もございましょう。医療担当者の方に行なわれます簡素化、これは問題ないと思います。ですが、支払基金の側における事務の簡素化のために従業員にしわ寄せを行なう簡素化、要するに一件当たりの内容の簡素化で事務量を軽減するという問題もございましょう。それからさっきも御指摘いたしましたように、二カ月、三カ月の疾患は、一月にまとめて一件で請求するというような結論が出てくるところもございましょう。そうしますと、取り扱い件数そのものが減少いたします。そういうために、それが職員の賃金その他の処遇に悪影響を及ぼしたり、あるいは職員の定員を減少せしめるというようなしわ寄せが行なわれるということには問題がある。それは全く、極端に言いますと賃金を下げるための簡素化になったり、首切りのための簡素化になってしまう。そういうことではないと思う。そういう意味で、今後支払基金におきます経常費の問題、あるいは事務費単価の問題の算定に当たっていただくことを強く要請いたしたいと思います。時間もございませんし、この点、一つ最後に大臣の明確な御所見を承っておきたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 事務の能率化によって、それが労働者にしわ寄せになるというようなことは厳に慎まなければならぬと思います。しかし、極端なことを言って、事業量がうんと減ってしまって人が少なくなるというようなことがもしあるとすれば、それは結局、そういうような人員の他に転向というようなことも考えられますけれども、今の状態ではおそらく件数もますますふえていきますし、あなたがおっしゃいますように、能率を上げて収入が悪くなるとかいうようなことは厳に慎まなければならぬ。運用につきましては、御注意もありましたから今後十分に気をつけていきたい、かように考えております。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 滝井義高君。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣、お忙しいでしょうから、二、三十分間時間をいただいて、今新聞を非常ににぎわしております医療費問題を、どういう工合にうまく打開していくかという西村構想ですか、それについてこの際、少し国会としても大臣の考えを聞いておく必要があろうと思いますし、またわれわれとしても党の態度を決定する上にきわめて重要だと思いますので、一つ率直に大臣の考えをお聞かせ願いたいと思います。  まず第一に、二月の中旬以降、いろいろとあなたが精力的に、行き詰まっておる医療の問題を打開するためにお動きになった点については、深い敬意を表するわけでございます。そこであなたが十六日以来お動きになった基本的な構想、こういう構想で自分はこの局面を打開したいという、その構想をお持ちでお動きになったと思いますが、あなたの胸の中にお持ちのその構想を一これは今暗礁に乗り上げてしまったといわれておりますけれども、歴史的な経過をわれわれは知り、同時に、将来の打開と発展の道を切り開くためには、あなたがどういう構想を持って動いたかを知っておくこともまた必要かと思いますので、一つここで率直に、あなたが胸に秘めてお動きになったその構想を一応御説明願いたいと思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 非常に長い間の懸案になっておりましたこの医療問題につきまして、昭和三十六年でしたか、時の厚相古井さんが、やはり何らかの打開の方法はないかということで社会保障制度審議会に諮問をした、その諮問に基づいて例の答申をいただいたのであります。その答申が二つの法律になりまして出ましたのは、中央医療協議会と例の臨時医療報酬調査会法案であったわけであります。具体的に法律としての答申ではありませんでしたが、答申の趣旨に基づいてああいうことになったのです。そのうちで、中央医療協議会は三十六年の十一月に成立しました。調査会法案は、御案内のような経過をたどって、そうしてついに成立を見なかった。私は昨年の七月に厚生大臣を拝命いたしましてから、やはりその問題は、実際これは一番大きい問題でございますので、いろいろと検討して参ったのでございます。関係の団体あるいは先輩の方々にも意見を徴しましたし、いろいろ自分自身として考えて参ったのでございますが、先般滝井さんからこの席上におきまして、一体この段階になってどういうことかとお尋ねがございましたときは、まだ実は検討中だと、こうあなたにはお答えしました。しかし政府といたしまして、実はあの臨時医療報酬調査会法案は総理府の所管事項として懸案事項にいたしておって、法律をこの国会に提出するか不提出にするかという時期が迫りましたので、私はいろいろな準備をいたしまして、この法律案はこの国会には提出しないという決心を定めまして、以後の処置をとったわけでございます。私が第一に考えましたことは、あの法律そのものの所期しておることはそれ自身としては十分価値があり、十分意義のあることだ、かように思っておるわけでございますが、しかし、現実の問題として、二回も提案をいたしましたけれども一回は審議に至らず、第二回目は、衆議院は通ったけれども参議院で成立しなかった。その不成立の理由いかんはありましょうけれども、とにもかくにも成立しなかった。こういうような客観的状況も考えまして、私はその場合には、法案それ自身が不備だから、それならば修正して出すという方法もあるからといって、そういう修正でというようなことで考えました。考えましたというのは、目的それ自身は医療問題をやはり研究して、医療の報酬につきましてトラブルが起こらないようにしようという趣旨は十分尊重しなければならぬから、いろいろ考えたのでございます。しかしながら、それもやはりどうも国会にはどうかと思われまして、ついに私はこれは国会に出さない。しかしその目的それ自身、せっかく社会保障制度審議会が答申をしていただいたその趣旨に沿って、十分やることはなければならぬし、それはまた、今後の医療問題を円満に解決するための方法でもあるからということで、あえて代案ではありませんが、私は厚生大臣の責任におきまして、調査会が期待するようなことをやる組織を考えてやったらよかろう、こういうこと。もう一つの点は、同時に答申を承りました中央社会医療協議会は、これは皆様方からもたびたび御指摘がありますように、長年の間成立するに至らない。私といたしましては、とにもかくにもこれを構成するのが厚生大臣の最も重要な務めでございますので、私の今申しましたような案を持ちまして、医療担当者あるいは支払者側は円満に私の意図するところを御了解になっていただきまして、そうしてこの協議会を開きたい、かように私は思ったのでございます。しこうして、それにはまず第一番に、関係者はもちろんのことでございますが、せっかく御答申をいただきました審議会の皆様方に、今日に至りました事情、提案をあきらめた事情、それにかわる私の考え方等も申し述べて参ったのでございます。実は事志と違ったと申しますか、非常におしかりを受けたようなことになりました。それはもう滝井さん、十分新聞で御案内の通りでございます。しかし私といたしましても、それはそれといたしまして、やはりこの中央医療協議会は、現在法律は厳存いたしております。またこれによって行政が阻害されるということは、これはまことに残念なことでありますので、今後もこの点につきましては十分な力を尽くす、かような心境でただいまおるわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、今大臣の御答弁、要約しますと、臨時医療報酬調査会はこの国会には提出をしない、これにかわる調査会の期待する組織を考えたい、中央社会保険医療協議会は早期に構成をしたい、こういう三つが骨子になっておるわけですね。そうしますと、事志と結論が違ってきた。違ってきたけれども、今後十分力を尽くしたい、こういうことになったわけです。一つ一つ尋ねていきたいのですが、そうしますと、まず第一に、事志と違ったけれども、臨時医療報酬調査会は閣議等の決定か了解か知りませんが、得ておりますから、今度の国会には依然として提出しないという心境は変わっていないのかどうかということです。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 事志と違ったというのは、ちょっと言い過ぎましたが、これは支払者団体とかあるいは医師会に対する最後のあれではありませんので、社会保障制度審議会がそのような気持ではなかった、あのような気持ではなかったろうと私は思っておるだけで、まだ事は志と全部違ったわけではありません。社会保障制度審議会だけが私の思っているところとちょっと違った、こういうことでございまして、それから調査会法案は、この国会には出す気持は今のところ持っておりません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、事志と違ったというのは、支払い団体、それから療養担当者側、社会保障制度審議会、三つのところにいろいろ話をしたのだが、違ったのは社会保障審議会だけだ、こういうことがわかりました。そうしますと、次は、あなたのお考えになっておりました調査会に期待する目的を達成するその組織ですね、お考えになった組織、その組織というものはどういう性格のものであり、そしてどういう内容のものをおやりになるつもりなのか、新機構の性格並びに審議する内容、これを一つわかりやすく御説明願いたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 第一番は、学識経験者を委嘱するということでございます。その目的とするところは、医療報酬の算定をします学問上のいろいろな問題を研究していただくためでございます。その方法は省令を持っていたしたい、かように考えております。  第二番は、それでは一体何を学者に頼むのか、こういうことでございましょうが、医療問題は多くの問題を控えております。たとえば医療担当者、お医者さんが適当な稼働状態でどのくらいの所得水準があったらよかろうか、あるいはまた、お医者さんの商売を企業として見た場合に、投資されたものに対します商売としての利潤、減価償却、あるいは、ただいまは技術革新が非常に進歩のテンポの早いときでございますので、きょう使っておる器具もあしたは変えなければならぬ、あるいはいろいろな経費もかかります。そういうものをにらみ合わせたお医者の所得、あるいはまた皆保険でございますが、この皆保険のもとにおきまして、国民総所得に対して医療全般をどういうような位置づけにしなければならぬであろうか、あるいはまたお医者のみならず、一般の方々が経済成長下で所得がますます上がってくる。上がってくるときに、今までの医療費の値上げでございますと、医者の方から申し出なければ一お医者が申し出て初めて発効するというようなことになりますが、そういうようなことはあれとしても、経済成長下における医療費の改定というようなものはどういうようなことになるのか。医者が言い出さなければほっといていいものかどうか、そういうようなことも含めていろいろ研究する事項があるわけでございます。そういうことを一体として研究していただきたい。  第三番は、その研究した成果を厚生大臣に報告してもらって、厚生大臣が、この報告に基づきまして責任官庁としての態度をきめたい。ただし、学識経験者に委嘱いたしましても、それを調査会とか審議会とかいうようなことにして、その意思を決定するのではない。あくまでも委員、と申し上げるよりも、個人々々、研究員というような資格でやりたい。しこうして、その時期等におきましても申しわけ的ではないので、可及的すみやかに皆さん方にお調べを願っていきたい。しこうして、それをやったからといって、それが中央医療協議会の審議を少しも拘束するものではないというような構想を持って、こういうような構想でやれば、たとい総理府に調査会ができましても――やはり総理府に置くということになれば相当に権威の高いものになりますけれども、実質的にはあまり相違がないのじゃなかろうか、こういうような仕組みでやって所期の目的を達する、かように考えておったような次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 学識経験者で構成をして、医療報酬算定の学問上の研究をする、いろいろ項目をおあげになりました。しかも、これは省令でおつくりになる。そうしますと、まず第一の問題点は、学識経験者ということになりますと、人数は一体どの程度にされるつもりなのか。臨時医療報酬調査会は五人か七人くらいだったと思いますが、その程度の少数の人数にするのかどうか。  第二番目は、それならば、その構成する学識経験者というものは、経済学者や財政学者や統計学者や、それから同時に医療技術の経験のあるような人、そういうものも入れることになるのか、まずそこらあたり、一つ構想を御説明願います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 人数は限っておりません。若干名でございまして、若干名という意味は、研究すべき事柄によってお願いしよう、だんだん考えていった上で、これはぜひやらなければならぬといえば、その事柄によってきめていきたいというので、それが五人になるか三人になるか、それからまた、その委員のメンバーをあらかじめ経済学者だとか、あるいは医者だとかいうことは考えないで、問題ごとにお願いしてみたい、かような考えを持っておったわけでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、医師の所得水準とか、企業として医業を見る場合に、投資に対する利潤、減価償却、技術革新が非常に早いのでそれに対応する医療の設備やなんかも考える、皆保険における国民所得の中における医療技術者の位置づけ、経済成長と医療費の値上げの関係とか、それぞれ専門ごと、問題ごとに専門家を三人か五人ずつやる、従って人数は――大臣は四つか五つ問題をあげましたけれども、一つの問題に三人か四人ということになると、重複する人もありますけれども、結局委員の総数というものは十五人か二十人くらいになる、こういうことなんですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 いや、根本的には何人と限っていないということです。何人と限っていないから二十人も三十人にもするかといえば、そんなに大ぜいでなくてもよかろうと思います。そんなに問題点もなかろうと思いますが、しかし、人数は今五人とか七人とかきめてはいなくて、問題ごとに頼んでいきたい、こう思っておったわけであります。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうしますと、そういう研究をするのは、支払いとか療養担当者とか、そういうことに無関係の学識経験者ということなんですか、それとも、それに関係ある人でも、その専門家というものは委嘱をしていくという形にお考えになっておったのですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 私は、学識経験者の意味も、学識と経験者と二つに分けて考えておったようなわけでございまして、ただ単に学校を出てやっておる人のみを考えておりません。学識と経験者というようなことをおぼろげに考えておったような次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 そうすると、その構想の中には、結局国民所得、経済成長というような関係ということになれば、必然的に保険経済ということにも関連してくるので、支払い側に関係ある人も入れる、療養担当者に関係する人ももちろん入れる、こういう素直な考え方でよいわけですね、そこは。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 きわめて素直な考え方をいたしておったのです。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 わかりました。そうしますと、もう一つの問題は、大臣御存じの通り、今国会でも非常に問題になっているのは、法律に基づいても、あるいは閣議決定とか省令でも、調査会、審議会というのが三百くらいある。それから、公団、公庫、事業団ですか、こういうようなのが三十くらいあり、毎年予算の時期には十も二十も要求が出てくる。そういうものはやめるべきだという要求が、うつぼつとして国会の中に起こっているわけです。そういう中であえてこれをおつくりになるので、いわばちょっと時代逆行の感じもなきにしもあらずですが、物事には行きがかりがあると思うのです。政治はある程度妥協だという面も多いのです。だけれども、もし大臣の今の御説明のような状態であるとするならば、中央社会保険医療協議会も拘束をしないのだ、研究の成果を大臣に報告をしてもらって大臣がきめる、こういう御意向のようでありますが、中央医療協議会がきめてもこれはその通りにはならぬわけですね。これはやはり大臣が最後はきめるのです。大臣がきめたものを、また中央医療協議会に出してきめてもらってまた大臣がきめる、こういう二段がまえになる。そうしますと、やはり政治家というものは、所信を貫かなければほんとうの政治家ではないわけです。自分が調査会、審議会をつくってやらしておって、案をきめて今度は中央医療協議会に持って行っても、これは大臣の意思と違っておれば、そんなものを採用する必要はないわけです。そういう点があるので、閣議了解の調査会、審議会というのは、今の国会内の情勢から考えて反対の方向に進んでいる。それから大臣の最後の研究の成果の取り扱いについて、ちょっとひっかかるところがある。こういう点は、大臣、一体どうお考えになっているか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 調査会とか審議会とか、たくさんあって、今少しも働いていないのみならず、また、従来皆さん方から批判を受けました点は、調査会、審議会は隠れみのではないか、それだから調査会を使ってうまく隠れみのにしている、こういうようなことのために、調査会、審議会というようなものはそんなにつくらぬで役所は役所の権限でやれ、こういうような意思ではなかろうかと思うのであります。しかし、私は、その意味から申しまして、調査会とから審議会というようなものの形にしてその意思を決定して、調査会がこういう結論を出したから厚生大臣がこうするのだというようなことならば、政令でやることも非常に差しさわりがあるのでございますけれども、私はそういう意味ではありませんので、あえて省令でいこう。もちろん、大臣はいかなるものでも省令を出せないということならば、大臣の働きというものが非常に限定されまして何事もできません。ただ、調査会をつくるなら法律でつくれということも、あなた方の方、あるいは国会においてもこれがずいぶんやかましい問題になっておることは、十分承知をいたしております。それでありますから、調査会、審議会等にしても、その意思を決定してというようなことは考えぬで、個人々々の考えに重きを置こう、こういうふうに私は考えまして、――そんなことは役所でできるんじゃないか、こういうことかもしれません。また、役所でこれにかかわらず当然やることじゃないか、そう言われればそれまでですが、実はこの医療問題は非常に広範な問題でございます。やはり役所を離れて多くの権威者もおることでございます。それほど大きい問題でございますので、特にこういう制度をつくり、しこうして、せっかく社会保障制度審議会の方々が一生懸命考えていただいた答申の精神はそれでもって十分生きる、こう私は考えたので、そういう方法をとろうといたしたのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 いろいろ大臣御説明いただきましたが、研究の成果を大臣が採用して、それを今度は中央医療協議会に出すということになりますと、これは屋上屋を架するというか、臨時医療報酬調査会であろうと、省令でつくられた研究員と申しますか、研究員の集団がやったものであろうと、それを審議会と言うか調査会と言うか知りませんが、研究集団でもいいですし、あるいは研究会でもいい、何かそこにすりかえが行なわれたような感じがあるわけです。  そこで、そのことはしばらくおくとして、今のような大臣の構想でそれぞれの団体にお会いになったわけでございますが、さいぜんの大臣の御答弁では、社会保障制度審議会だけがちょっと意志と違ったのだ、こういうことでございましたが、支払者側の健保連その他については今の構想で何ら異議ない、これでよろしいという形が出ておったのでしょうか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 健保連につきましては、第一回にお会いいたしましたときには、とにかく法律は提案しないということと、大臣として責任を持ってこの調査会法案に所期するような方法を考えたい、またその内容をまだ詳しく言う段階でなかったので、支払者六団体の方は、どうも大臣が考えておることははなはだあいまいだ、もう一ぺんそれでは会合を持とうじゃないかということでお諮りをしておるのです。大臣が一体何を考えておるのか、あいまいだ。その十分言えなかった段階だと申しますのは、やはり省令等で出すものにつきまして十分な検討をしなきゃならぬというようなこと、それからその他の問題がありましたので十分な説明をしなかったのでありますが、大かたこういうことなんだ、それでは説明が不十分で納得できない、それではいずれまた詳しく御説明する機会はつくりましょうということで、支払者団体と会ったのでございます。ところが、支払者団体の方の考え方は、どちらかと申しますと、調査会法案をなぜ出さぬかということを考えることの方が先なのでございます。従いまして、私は支払者側に対しましては、まだ交渉の途中だと考えておるのであります。医師会等につきましても、十分説明をしましてある程度納得は得ておりますが、もう一ぺんぐらいは説明を聞こう、こういうようなことになっておるのでございます。ただ、答申をいただきました審議会の方は、これはせっかくお知恵を拝借したいといって政府がお願いして、そうして答申したものに対して、これを提出するに至らなかったので、私は二回にわたりましてお会いしたのでございます。最後のときに、私は詳しく申し述べたのでございますが、どういうことか、実はそれが私の期待と全く反して、――もちろんほめられはしないだろうと思いましたが、ああいうふうになった。しかも私が残念に、不思議に思うことは、現在成立しておる協議会はなぜ開かぬのか、こういう御質問は一言もない。ただ通過しなかった調査会法案を出すべし出すべし、それを出さないのは筋が通らぬ、こういうのであります。出さないのは筋が通らぬかもしれませんけれども、私といたしましては、出して通過せしめ得ないというのはまた政治の筋が通らぬのであります。私はそう申しました。しかし二代の大臣は出したじゃないか、筋が通らぬといわれる。それは筋が通らぬとあなた方はおっしゃるかもしれませんけれども、私の筋は、出せば必ず通したい。今は客観情勢等はそうありませんし、またこの法律が唯一無二のものではない。他に方法があれば、円満にこの協議会を開きたいために他の方法をとりたいのだ、こう私は言っておるのでございますが、不幸にしてああいうようなことになりましたのは、私として不徳のいたすところと申し上げるよりしょうがない次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 だいぶわかって参りました。健保連等を中心とする支払い側については、大臣の説明が不十分である、支払者の基本的な考え方は、法案を出してもらうことが何よりも一番いいのだけれども、しかし大臣がそれほど言うならば説明はまた聞いてもよろしいということ、なお大臣の方も説明をするつもりだ、現在もなおINGの形にある、交渉途中と考えている。それから担当者側の団体にも十分説明をして、ある程度納得は得ておるつもりだ、こういうことですね。そうしますと、壁は社会保障制度審議会だけだ、ここに答申を求めて調査会法とそれから医療協議会法の改組をお願いして、医療協議会法だけは三十六年の十一月に成立したけれども、調査会法がだめになっている、問題はここにあるようでございますが、突き詰めたところ、社会保障制度審議会の西村構想反対の一番根本的な理由はどこにあると大臣はお考えになっていますか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 審議会の委員の方方、皆さんの意見もそれぞれ違うところがあろうと私は感じておるのですが、審議会の意見としては、まとめるとあんなことになるのではないかと私は思っております。それは、われわれがしかけたものじゃないではないか、政府が何か医療問題のうまい解決方法はないか、こう政府からお尋ねを受けたのではないか、そのお尋ねを受けてわれわれは一生懸命努力して、こうすべきじゃないかといって出したものを、ただ単なる政治情勢が、客観情勢がというようなことで出さぬというのはどうもけしからぬ、そういう一点に聞こえるようなわけでございます。それは全部の方々じゃないと思いますが、ああいうふうな会としてのまとめがそうなったのは、やはり筋が通らぬじゃないか、出すべきじゃないか、こういうようなことではなかろうかと私は感じ取っておるわけでございまして、委員の各員のそれぞれには相当にいろいろな意見があるようでございまして、あるいはまあやむを得ぬじゃないかというような意見もないわけではございません。私はまた審議会に対しまして説明を申し上げたので、意見を聞いたのではないのです。調査会は出すように至らない、しかし、こうしたいのだという意見を申し上げただけなので、あそこで、あなた方どうしましょうかと私は意見を聞いたわけではなかったのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 社会保障制度審議会は、形としては大臣に意見を求めたわけではなかったけれども、いわば積極的に建議をしたことになるわけですね。大臣の考えと社会保障制度審議会の考えとがすれ違いになった、こういうことです。そこで社会保障制度審議会は、これは諮問機関ですから、この諮問機関の意見を聞く聞かぬということは、内閣の責任でおやりになったらいいと思うのです。われわれが今、社会保障制度審議会の意見を聞く聞かぬで問題にしている職業安定法及び緊急失対法の一部を改正する法律については、これは法律で聞かなければならぬものを聞いてきていないから、われわれは怒っておるわけです。そこで大臣の考えは大体はっきりしてきました。客観情勢は、臨時医療報酬調査会を出し得る政治情勢ではない。そこで内閣としては、西村厚生大臣としては、今国会に臨時医療報酬調査会を提出する意思はありません、中央社会保険医療協議会はすでに三十六年十一月に国会を通過をして、もはやこれを開催せざるを得ない客観情勢になっておる、だから自分としてはこれを早く開きたい、これだけがはっきりしてきたわけです。それからあとのことは、社会保障制度審議会が何と言おうと、火責め水責めをしようと、これはもう政府の側の責任で、国会、立法府の責任ではないわけです、総理の諮問機関ですから。そこで、いわばあなた方がこの局面を打開するためにはどうしたらよかろうかと言って諮問をしたところから建議が出ておるので、これをどうするかということは、国会の問題というよりか、池田内閣自身の問題です。そこで国会としては、はっきり確認ができたことは、もう臨時医療報酬調査会は出しません、医療協議会を動かさざるを得ない情勢が来ている。こうなると医療協議会を動かしてもらう以外にない、こういうことになるわけです。そこで医療協議会を動かす動かさぬの質問は、もうちょっと譲って二の次にして、先に私がお尋ねしたいのは、その局面を打開するために、大臣いろいろなものをおつくりになろうとしておるけれども、これは社会保障制度審議会その他のアインヴァント、いわゆる異議が入りましてなかなかうまくいかぬ。新聞はみな西村構想暗礁に乗り上げたと書いてある。これはもう船が暗礁に乗り上げたら、みんな手をかけておろす以外に方法はないわけです。岩の上に乗り上げているのですから、何とかする以外にない。そこで何とかする方法はないかということですが、私はあると思うのです。同じような効果を得る方法があるのです。それは何かというと、すでに私がここで何回も指摘しておる先般の医療法の改正で、すみやかに発足をさせなければならない医療協議会、この医療協議会を動かすということです。これはまだ大臣、委員を任命されていない。ここに学識経験者を中心に任命しますと、ここは公的医療機関の診療報酬について調査審議する権限がある。そこで、すでに日本の医療費の調査というものは、昭和二十七年の三月と十月調査しかないのです。医務局が中心になって、三十五年に全国の公的、私的医療機関の調査をやろうとしたけれども、医師会との話し合いがうまくいかずに、私的医療機関はできなかった。そこで公的医療機関だけおやりになった、その資料をここに出してくれということをこの前から私はお願いしておるので、これはいずれ、きょうでなくても、あしたにでも出してもらわなければならぬと思いますが、この公的医療機関の調査資料が出てきたのです。日赤、済生会、国立病院、府県立病院が出てきたのですから、それを基礎にして、まず公的医療機関における今あなたの言われたような四つか五つの調査項目というものを中心にして、具体的な調査の結論が三十五年に出てきていますから、これを同時に素材としながら、医療協議会でおやりになったらいいと思うのです。これがまず一つです。  それからいま一つは、すでにあなたの御答弁の中に出てきたように、客観情勢は中央社会保険医療協議会はもう開かなければならぬ、こうおっしゃるのですから、中央社会保険医療協議会の公益の委員四人を早く任命していただく。同時に、あなたの今の御説明では、あなたの構想については、健保連を中心とする支払い側も大体納得をする見通しで、医療担当者も大体大丈夫だろう、こういうことですから、公益四人をしまして、そうして同時に、健保連その他にも、辞を低うして入ってもらって――大臣御存じの通り、あそこは専門委員を置くことができるのです、部会を設けることができるのです。そこで、国会が承認を与える四人の委員を中心にして、そこへ部会を構成したらいい。そこで積極的にやるわけです。そうすると、公的医療機関のものはもう医療協議会でやる。そしてこちらは省令も何もつくる必要はない、逆行もしないですから、そこでおやりになる。やったのは、これは医療協議会の中でやるのですから、大臣に答申がくるわけです。そうしたら、それを大臣が最終的に決断を下したらいいのです。(「それは違う」と呼ぶ者あり)違いやしない。違う機能を考えるから問題が起こるのです。だから、これは諮問機関は諮問機関の立場でいいのです。あなたが腹をきめれば、これはできるわけです。そこで私は、もしあなたがこの腹をきめ切らぬというならば、もうこの段階では、西村さん一人では荷が重過ぎるという気がするのです。これは法律があるのですから、当然やらなければならぬものなんだから、その二点について、あなたは一体どうお考えになるかということです。これは法律にあるのですよ、法律でやる。医療協議会は、公的医療機関の診療報酬を調査審議する権限がある。それから医療協議会は、発足さえすれば医療費の額を算定するのです。算定するためには、基準をつくらなければ算定ができないのです。やみくもに今の十円を十一円にすることはできないのですよ。科学的な、合理的なものがなければいかぬ。そこで支払い側と受け取り側、すなわち療養担当者側と保険者と三者構成でやるのですからね。材料はそこの専門部会でできるのですから、あなたも、いわゆる問題ごとに部会をつくって集めてきたらいい。そうすればこれはフェア・プレーでいくし、納得するわけです。(「そういう考え方もあるけれども、別の考え方がある。」と呼ぶ者あり)その別の考え方というのが無理なんです。無理だからできなかったのです。だから、その二点について、大臣の考えを私は聞かしておいてもらいたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 そういうようなことを含めていろいろ考えてみました。しかし、非常にりっぱな示唆でございますが、私今ここで、それを直ちに取り上げるということは申しかねます。また、公益委員の問題は、この前の御質問のときもお話がございました。それも私は、実は一番初めは、中央突破でいこうとかいうような、公益委員をまっ先に考えたこともあるのでございますが、今回になりまして、今滝井さんの言われました案につきましては、りっぱな示唆を与えていただいたのでございまして、いずれも並行的に考えていきたい、かように思っておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 大臣、この医療費の問題を、われわれに待った待ったと言うて待たし始めたのはいつごろからかというと、橋本厚生大臣のころからなんですよ。それで大臣をずっと数えてみますと、これは順序は違うかもしらぬが、今私が思い出すままに言うと、まず橋本さん、それから医療に熱心であったのは次は堀木さん、それから坂田道太さん、神田博さん、それから中山マサ先生ですね――ここにいらっしゃいます中山先生、それから古井さん、それから灘尾さん――ずいぶん熱心でした、それから熱心な西村英一先生、もう一人渡邊良夫さんがおられたわけですが、そうするとこれで九人ですよ。実に変遷九代に及んでいるわけです。こうなりますと、結局、保守党内閣というものは医療費問題を解決できないのかという疑いが出てくるのです。そんなに長くこれを放置するわけにはいかぬと思うのですが、大臣、一体この段階で――石の上にも三年くらいすわっておると、大がい出世できるらしいのですが、しかし、もう橋本さんから足かけ六年ですよ。石の上にも三年というけれども、倍もすわれば大がいできなければならぬ。そこで、大臣としては、暗礁に乗り上げた現段階で、中央突破というものが考え得るのか得ないのかということです。中央突破といっても、今言ったようにだいぶ情勢が変わってきたのです。もう支払い側も担当者側もある程度説得できるんだ、これは納得しておる。ガンは社会保障制度審議会だけだという形ですから、そうすると、いつごろくらいから医療協議会をお動かしになる所存ですか。この前は、滝井君、もうちょっと待っておけと言ったので待ったわけですが、これであなたが大臣になってから三回目です。仏の顔も三度というけれども、西村厚生大臣の顔を三度拝ましてもらうわけです。一体いつごろか、それをちょっと示唆することが、また政治家としては馬力をかけることになるのです。それは土俵がないと相撲にならぬのですけれども、勇み足とかいって、足をちょっと踏み出して負けるところに相撲のおもしろさがあるのですが、土俵がなくてはどうにもだめです。七月になれば内閣の改造があるのですが、僕らは大臣には残ってもらいたいと思うのです。今まで九代にわたって大臣が変わったというのはどうしてかというと、私しょっちゅう言うのですが、長くて一年ですよ。短かったら七カ月か八カ月で大臣はだめになる。ようやく医療費問題のむずかしいのを解決しようと思って、手につばをして、向うはち巻をして支払い側と担当者側に乗り込んで行ったら、とたんに大臣が首になってしまう、それではいけないと思うのです。そこで、私どもは、この次は大臣の留任運動を起こしたいと思うのです。七月改造があっても、もう少し西村さんには残っておってもらいたいと思うのです。しかし、それについては、やはり大臣、三月三十一日くらいまでには、やるならやるという土俵をきめてもらわぬことには留任運動などできぬでしょう。それをもうちょっと滝井君待てと言うなら待ちましょう。三十六年の十一月から待っておるのですから、待てと言うなら待ちますけれども、しかし、待てば海路のひよりがくるという、そのひよりの日にちがいつくるかということを教えておいてもらわなければならぬと思うのです。そうすれば、われわれも、大臣が土俵の外に踏み出さぬように、土俵の中でがっちり取り組むように、側面から野党は野党なりに協力することができると思うのです。ここらあたりの大臣の心の中を一つ打ちあけてもらいたいと思うのです。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 これは滝井さんも知っているように、いろいろな方法は幾らでもあるのです。けれども、医療問題は、調べるとかなんとかいうような方法以前の問題、理屈以外の問題があり、それでやはりひまをとるわけです。御承知の通り、中央医療協議会の立て方というのは、公益委員は厚生大臣が選べますが、あとはその関係団体にお願いするわけです。代表者を送って下さい、いや、あれが出るから出さぬよ、こう言われればそれまでなんです。非常に理屈以外の問題があるので、なかなか手間取るわけです。従いまして、私は支払者団体にしても、医師会にしても、相互理解ということに極力努めておるわけでございます。私が大臣の名においてこういう調査会みたいなものを持たなくても、協議会が満足に開かれていくものならば、協議会の中でもいろいろな方法はたくさんあるのです。しかし、その満足に開かれる段取りにならないものですから、今いろいろな方法を考えるのですが、その方法の以前の問題が一つあるのでございまして、その点について努力をすると言っておるので、いろいろなことを考えておるのでございます。しこうして、あなたのおっしゃいますように、何回聞いたって待て待てだ、こういうことでございますが、おのずからやはり制限はあるものだと私も考えます。従いまして、もうしばらく待ってくれとまた言うことになりますが、一つすみやかに開かれるように努力いたしたい。おのずからやはり時日の制限も出てくるのではなかろうか、かように考えておる次第でございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 関係団体にお願いすることもよく知っております。大臣御承知の通り、あれは法律で半年に一回以上ですか、開かなければならぬことになっておるのですよ。労働組合が春闘で違法の行為をすると、みんな首になっておりますね。これは、あなたは違法の行為をしておるのですよ。法律が三十六年十一月にできて、その法律を動かさないのだから、これくらい違法の行為はないですよ。法律を破るどころじゃない、法律を動かさないのだから、ここを根本的に考えてもらわなければならぬ。お互いに民主政治家です。国家の最高機関の国会でつくった法律を動かさぬで、そのまま大臣がたな上げしておるというようなことはないですよ。ここなんです。だから、一体どこがその法律を動かさないような壁になっておるかということを、われわれの前に明らかにしてもらわなければならぬ。ところが、今明らかになっていない。社会保障制度審議会だけが反対であって、あとは医療団体も支払者側も大体説得ができる、こうおっしゃるのですから、そうすると、社会保障制度審議会は関係がないのですのですから、私はまず四人の公益委員を御任命になって、そして今度はそれぞれの団体にお願いしてみたらいい。一体どこが委員を出さぬか、これをわれわれの前に明らかにしてもらいたい。この前から私はそれを言っておる。そんなことをどこかがまだわからぬならともかく、わかってそうするのなら悪質です。わからぬならばやってみたらいい。医療担当者にお願いしてみたらいい、あるいは保険者団体にお願いしてみたらいい。保険者団体といってもたくさんありますから、一人がいやと言っても、出たいという者は幾らでもあります。たとえばあなたの方の社会保険審議会だって、このごろは労働者側委員がもめたでしょう。出たい出たいといって多かった。出たいという人は多いのですよ。だからお願いしてみて、どこに一体隘路があるのか、だれがこれにじゃじゃを振っておるのか、だれが一体いわば泣く子と地頭に勝てぬような事態になっておるのか、それがわかればみんな国民医療のためにお願いしますと頼めばいい。私はここをはっきりしてもらわなければならぬ。そこをあなたが中央突破というなら、中央突破をやるべきだ。国会のまわりにデモが来たら、けしからぬといっておまわりさんが追っ払ってしまうでしょう。そういうことをおやりになる池田内閣が、国会でつくった法律を動かすことに怠慢であって、待て待てと言って昭和三十六年十一月以来、三十七年じゅう待たしておって、またこれから待たせようということはいけないと思う。どうですか、大臣、待てと言うなら待ちますが、徳川家康になりたくないのだけれども、なるつもりで、参議院を予算が通るまで待ちますか、それまでくらいに一つ明確な方針をいただけますか。私は医療協議会を発足せいとかなんとかいうワクははめませんが、明確な方針をいただけるかどうか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 私はさいぜん申しましたように、まだいろいろ交渉の段階だ、従いまして、最終的に円滑に、円満にやりたいということが一つの考え方になっております。しこうして、あなたがおっしゃったようなことにつきましても、これは来ない人は来ないのじゃないかというような考え方もできるわけであります。それは私も十分考えておるわけでございますが、今時期を切れということを申されましたが、当たらずといえども遠からずのそういう時期ごろまでに――これは四月一日から結核治療指針の問題もあります。いろいろありますから、そういう時期までということじゃなくて、一つの目標としては私は十分考えて、今せっかく円満にやりたいという努力の最中でございますから、どうぞそういう意味で御了承願いたいのでございます。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 あなたは昨日か一昨日か、この問題について池田総理にお会いになったわけです。一体池田総理のこの医療問題に対する考え方はどういうところにあるのか。きょうの新聞等をごらんになると、毎日新聞かなんかの社説に書いてあったと思うのですが、医療行政に対する池田内閣の指導力というのは、ほんとうに欠除しているわけです。厚生大臣ばかりにまかしておって、火中のクリというものを拾おうとしない、私から見ておると。だから臨時医療報酬調査会というのは、これは内閣の総理府につくられ、池田総理が主管大臣、責任者だったわけです。あなたの方は、何といいますか、いわばお手伝いをするというところだった。だから私はかつてあの法律が出たときに、池田総理に来てもらって御質問申し上げたわけでありますけれども、この問題についても、こういう段階になって、あなたばかりが火中のクリを拾っているというような形はいかぬと思うのです。そこで、私はこれは非常に重要な段階にきておるので、厚生大臣の力に不足はないと思いますけれども、内閣がやはり一体になって、今あなたの言われたように、結核の治療指針の問題も四月一日からは動かさなければならぬ、やはり三月三十一日までには目標として何とかしなければならぬということがあなたの腹の中にあるとするならば、これはやはりその裏づけを池田総理にもきちっとしてもらわなければいかぬと私は思うのです。  そこで、これは私、委員長にお願いをしたいのですが、これはきわめて重要な問題です。大臣九代にわたってこの問題は解決しないのですから、一つ最近の機会に、私は医療金融公庫法の審議の過程でもけっこうだと思いますが、ぜひ池田総理に一回出てもらって、そうしてこの行き詰まった、西村構想が暗礁に乗り上げた現段階で、西村厚生大臣が十分に八面六臂の活躍をして目標を達成できるように、池田内閣として西村厚生大臣をバックアップする形をつくってもらわなければいかぬと思うのです。そうしないととてもこれはいけませんので、ぜひ一つ理事会に諮って、池田総理の出席を求めて、最終的なこの問題の見通しをつけていただきたいと思うのです。総理がここに出て西村厚生大臣のバックアップをしてもらうということは、西村厚生大臣としては当然望むところだろうと思いますが、どうですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 これは私一人だけでやっておる問題ではございません。総理にもいろいろ御相談を申し上げまして、総理は総理としての動き、考えを持ってやっておるのでございます。今の、この委員会に総理が出てきてというようなことは、それは委員長の方の取り計らいで、私から別にどうこう言うわけにいきません。ただ、私としては、関係党三役あるいは総理等にも十分相談を申し上げて、総理は総理としての動きをいたし、考えを持ってやっておるわけでございますので、総理がこの席に出ていろいろすることについては、ちっともあれはありません。

滝井義高日本社会党

○滝井委員 異議ないわけでしょう。実はあの法律ができてから動かなかったので、一回総理に来てもらって質問をやっておるわけです。ところが、やはりきわめて微妙な段階で、厚生大臣がやっておるからもうしばらく待てということなんです。いつまでたっても微妙だ微妙だということになるならば、微妙でない段階はないわけです。政治はいつも微妙なのだ。その微妙な政治をうまく処理することが卓越せる政治家であり、卓越せる行政家になるわけだから、だから池田総理が卓越せる政治家であるかどうか、われわれは見せてもらわなければならぬのです。あなたをバックアップして、あなたが十分活躍のできる裏づけというものを池田総理につくってもらわなければいかぬ。場合によっては、これはしばらくできぬとするならば、さいぜん言うように、厚生大臣を八カ月か九カ月で首にするからできないのだから、あなたの留任、こういう点もぴちっと池田総理大臣に言う必要があると思います。だから委員長、機会をあらためて、最近の機会に総理が出席して、この問題に対する責任ある答弁をいただけるような機会をつくっていただくことをお願いして、私のきょうの質問を終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 久下参考人にはありがとうございました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明二十八日午前十時より委員会、委員会散会後理事会を開会することとし、これにて散会いたします。    午後四時五十六分散会

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