社会労働委員会 第13号
- 発言数
- 176 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/02/26
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の雇用促進事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。澁谷直藏君。
○澁谷委員 私は雇用促進事業団法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質疑を行ないたいと思います。 まず最初に、大臣の提案理由を拝聴いたしますと、今回の改正の措置は、さきの第四十回国会における決議と、昨年十月鉱業審議会から出された中間答申、この両者を十分に尊重して今回の改正案を提出した、こういう説明でございますが、三治局長にお伺いいたしますが、昨年十月の鉱業審議会からの中間答申というものがどういう答申をしておるか、まず最初にそれをお伺いしたいと思います。
○三治政府委員 昨年十月の中間答申におきましては、政府は炭鉱離職者の特殊事情及び問題の緊迫性にかんがみ、炭鉱離職者対策に準じた対策を早急に樹立する必要があるということで、その中身につきましては、再就職促進対策といたしまして、転職訓練について訓練期間中の安定をはかるための訓練手当、技能習得手当、別居手当——これは石炭につきましては三十七年度からつけましたが、それを職業訓練につきまして石炭離職者と同じように考慮してほしいということと、それから広域職業紹介活動が円滑に行なわれるためには、移転宿舎用の宿舎の増設、移転資金の増額というものをはかる必要がある。なお労使及び関係行政機関との間で連絡協議するための場を設けることが望ましいというふうになっておりまして、広域職業紹介活動を石炭と同じように重点を置いて、そこに石炭に準ずる援護措置を講ずるということが、中間答申のおもだったところでございます。なお各企業においては企業内の配置転換、会社みずからの系列会社へのあっせんということに最大限の努力を払う、こういうものが答申のおもな内容でございます。
○澁谷委員 ただいまの説明を伺いますと、鉱業が貿易自由化の影響を受けて、石炭の場合と同じような緊迫した状態にある、従って石炭の離職者に準じた措置をとるべきであるという趣旨のようでございますが、しからばお伺いしたいと思いますが、最近の貿易自由化の影響を受けて、金属鉱業等から出ておる離職者の状況、それからその発生いたしました離職者が現在までにどのような経路を経て、再就職なりあるいは社内の配置転換を行なっておるか、そういったような状況についてお伺いをいたしたいと思います。
○三治政府委員 昨年の四月以降、特に貿易自由化に対処する各企業の合理化の線が具体的に出て参りまして、それ以降今日まで約九千七百名ほどの離職者が出ておりますが、このうち貿易自由化に関連すると思われるのが約九千名でございます。そのうち現在、十一月まででございますが、就職が確定した者が約三千六百名でございまして、十一月末現在でまだ安定所に求職申し込みをしている者が五千名というふうになっております。
○澁谷委員 そういたしますと、大体離職者が九千七百名程度おって、そのうち三千六百人が就職決定し、残余の者については現地安定所等において紹介に努力しておる、こういうことであるようでございますが、この数字だけを見ますと、その発生した離職者の数、さらにまた就職決定しないで残っておる離職者の数というものを考えますると、その状況において石炭の場合とは、事情がだいぶ異なっておるのではないかというような感じがいたしますが、そこで石炭の場合は、たとえば北九州の特定の地域に大量に集団的に離職者が発生しておる。従ってこれを全国の地域に分散して、いわゆる広域な職業紹介をやらなくちゃならぬ、こういう事情があるわけでございますが、この金属鉱山等の場合は石炭の場合と違いまして、その点において事情としてはより容易な状態にあるのではないかと思うのでございますけれども、その点についての当局の見解をお伺いしたいと思います。
○三治政府委員 先生おっしゃる通り、この非鉄金属につきましては、離職者の発生府県が約三十三府県に及んでおります。千人をこすところは岩手県一県でございます。あとは大体三百人ないし五、六百人の程第でございます。従って石炭のように、筑豊地区というふうに、万をもって数えるような離職者が一カ所に集中して発生するということはないわけでございます。従って労働省といたしましては、こういった人たちの離職対策につきましては、やはり各府県が相当な力をこれにかけるわけでございます。その点におきましては大量のものが、この離職の発生によって長く滞留するということは、われわれとしては予想できないわけであります。できるだけすみやかに再就職される態勢ができると思います。ただしかし石炭の離職者と同じように、やはり長年地下労働で、しかも人里離れた奥地に雇用されていたという意味においては、その離職者の本人につきます状況は、石炭と関連したところがあるのではないかというふうに考えます。
○澁谷委員 次にお伺いいたしたいと思いますことは、発生した九千七百人の離職者のうち、すでに三千六百人が就職の決定を見たということでございまして、これはおそらく私の推定では、従来勤めておった会社の社内における配置転換といったような努力が、非常に大きく働いておるのではないかと思うのでございますが、はたしてそうであるかどうか、その点について一つと、それからもう一点は、この法律案は二年間の時限立法になっておるのでございますが、その二年間の時限立法と時期を限ったその原因は、一体どういう点にあるか、さらにまたことしから来年にかけて、今後、どの程度離職者が発生する見込みであるか、この三点についてお伺いをいたしたいと思います。
○三治政府委員 貿易自由化に対処して、各企業が合理化の線を強く打ち出してきたわけでございますが、この貿易自由化に対処できる態勢が大体において二年の、本明年で大体の見通しがつくというのが、われわれの過去、通産省並びに企業との連絡でわかったところでございます。本年が一番多くて、明年度におきますと約半減いたしまして、四、五千人程度になる見通しでございます。さらに再来年になりますと、ほとんどそういう事情が、まだそういう見込みはほとんどないというふうな見通しでございますので、今明年の、三十七年度、三十八年度の離職者について、その方たちが再就職するまでの措置をとれば、有効な措置になるのではないかというふうに考えて、そういうふうにしたわけでございます。離職者の数は、ことしは先ほど申し上げました約九千七百名程度でございますが、来年度にかけましては約四千名というふうな発生見込みでございます。
○澁谷委員 ただいまの説明を伺いますと、昨年の九千七百人という発生離職者が一番大量でございまして、いわばこの非鉄金属等における貿易自由化の影響を受けたものとしては、昨年がつまり最高の山であった、本年におきましては大体四千人程度の離職者の発生程度で済むのではないか、さらに明後年になりますると、さらにこの離職者の発生見通しはぐっと激減をしてくる、こういう見通しという説明を伺いまして、私はこの非鉄金属等の関係が、それほど事態は重大ではないというような印象を受けて、まことにけっこうだと思うのでありますが、そこで、これは本来は通産省にお聞きするのが当然でございますが、この離職者の面ばかりではなしに、非鉄金属等の企業に対して、政府全体としてどのような対策を講じておるか、もしおわかりであれば、その概要、その要点だけでけっこうでございますから、お伺いをいたしたいと思います。
○三治政府委員 非鉄金属につきましては、その需要が石炭のように絶対的に減るということはない。むしろ経済ベースで生産されるならば、国内の開発をやりたいというのが、基本的な対策でございます。そのためには現在の非鉄の鉱脈の探査、いわゆる探鉱、鉱脈があるかどうか、その品位がどうか、その埋蔵量がどの範囲にどの程度あるかという調査が、現在の企業では、優秀な二、三の企業を除いては、ほとんどそういう余力がない中小企業が非常に多いので、こういう非鉄金属の探査について国が援助してやる。現在の山では経済ベースに合わぬけれども、その付近にさらに新しい鉱脈を発見したり、また新しいところに新鉱脈が出るならば、非鉄鉱業の将来は期して待つべきものがあるということで、この非鉄につきましてはむしろそういうふうな探鉱、さらにあるいは開発という面に力を注ぐということで、今度新しく非鉄につきましては鉱脈を探る探鉱事業団が、政府の外郭団体としてできるようになっておると思います。さらに中小企業で自分の山の付近で鉱脈を開発する場合、それから大企業なんかで特別にそういう探鉱事業を営む場合、これはこの事業団から資金の援助、補助金、こういうふうないろいろなルートを通じて鉱脈の発見、それの経済的な開発に一段の力を入れるというのが、今度の非鉄金属の貿易自由化に対処して、最大の努力をする方針ではないかというふうに考えます。なお銅、鉛につきましては、優秀な山があるわけですが、ここ数年まだ経済的に輸入品の価格と国内品の価格とにおいて相当差があるというので、これは最終的にはどうなったか、私は存じませんが、そういう銅の消費会社と生産会社とが、輸入品と国産品とをプールした価格でやる。従って輸入数量によって、それを買う方はある程度金を出す、国内産の銅を買う方はある程度補給金がもらえるというふうに、生産と輸入する数量とをプールして価格計算をするというふうな一つの方式を、消費者、生産者の間で、政府も入って協議をして、そういう価格プール制の方途につい研究しておられます。これは別に政府から、そのために特別な補助あるいは特別の援助を得るということでなくて、おそらく通産省の行政指導なり、または銅消費者、生産者間の協定なりというところで、そういうふうな輸入と生産との価格プール制に進むものではないかというふうに考えております。
○澁谷委員 貿易自由化に対処して、金属鉱業の体質そのものを改善をして、そして海外の企業と競争をしていかなくちゃならないということが、一番根本の問題でございまして、そういった問題に対処して、企業自体はもちろんでございますが、企業だけの努力では十分ではございませんので、当然それに対して政府がてこ入れをしなければならぬというような問題が、いろいろあると思うのでございます。そういった問題についてお聞きしたい点がございますけれども、きょうは通産当局がおいででございませんので、これは別の機会に譲りたいと思います。 そこで次にお伺いしたい点は、今回の法律案において、金属鉱業等の離職者を対象として、いろいろな援護措置を講ずる、こういうことでございますが、この離職者の範囲は一体どういう範囲になっておるか、これをお伺いしたいと思います。
○三治政府委員 金属等の関係につきましては、炭鉱離職者というように、法令上はっきり範囲が書けませんので、銅、鉛というふうな代表の鉱物をあげまして、その他政令に定める鉱物というふうにしておりますが、政令に定める鉱物につきましては、非常にこまかく分かれておりまして、アンチモニーとか、水銀、亜鉛、硫化鉄、マンガン、タングステン、モリブデン、それから黒鉛、硫黄等で、硫黄が従来の分類だと入らないのだそうですが、現実に硫黄の方は自由化と関係ないということがいわれておりますが、われわれの方は、硫黄は現実に離職者が出ておりますので、ぜひ入れたい。しかし非鉄金属という分類法では、何か直ちには入らないのだそうです。それから石こう、石綿、それから珪砂というふうな非金属、またそれに類似した鉱物で、特に必ずしも貿易自由化というふうには言えなくても、企業合理化のために相当整備が行なわれるというものは、これに類似したものとして入れていきたいというふうに考えております。
○井村委員 関連して。非鉄金属というものの解釈について、ただいま政令の該当するものを言われたのですが、軽覆土はどうなっていますか。これは非鉄金属ではありませんけれども、硫黄、石こう、石綿等を含めるならば、軽覆土、これも鉱業という言葉を使うのですが、これも近年、こんろあるいは断熱れんが等の需要が非常に少なくなったために、かなりの地方的に——全国的ではないけれども、地方的に相当の失業者を出している例もあるのです。
○三治政府委員 軽覆土鉱業については、まだ通産省と協議中だそうでございます。問題になっておるということであります。
○井村委員 それが通産省と目下いわゆる折衝中であるということならば、全国で軽覆土鉱業の事業数あるは従業員数、または今日どういうような状況にあるか、よく調査していただいて、硫黄、石こう、石綿を含むならば、これはそんなに多いことはないと思いますが、ぜひ一つ、この軽覆土鉱業の関係も含めるように、十分考えておいていただきたいと思います。
○三治政府委員 この点については、さらに関係方面とも連絡しまして、検討さしていただきたいと思います。
○澁谷委員 この法律の援護の対象になる離職者は政令できめる、こういう仕組みになっておるわけでございますが、これは一般的にも言えることでございますが、せっかくこういった援護法の特別法をつくって、気の毒な離職者に対してあたたかい援護の手を差し伸べよう、こういうことでございますけれども、肝心の政令に入るか入らぬかということで、この法律の対象からあるいは入り、あるいははずれてしまう、これが実際といたしましては、一番大事な点なんです。ところが政令のということになれば、当然これは国会が関与する機会はございません。政府だけで話し合いをしてきめてしまう、こういうことになるわけでございます。それで私は特にお願いしたい点は、ただいま同僚の井村君からも御質問がございましたように、そのボーダー・ラインにあるようなものがいろいろとあると思うのです。せっかくこういう法律をつくったというその趣旨に立って、できるだけ一つ、現実に貿易自由化の影響を受けて離職者が出てくる、そういう現実がある場合は、できるだけ、解釈を広く考えて、漏れなく一つ、政令で救い得るように、格段の御留意を願いたいと思うのでございます。これは特にお願いをいたしておきたいと思うわけでございます。 次にもう一点お伺いいたしたいと思います点は、石炭鉱業は御承知のように、いわゆるエネルギーの構造的な革命ともいうべき影響を受けて、大量の失業者が発生した。従ってこれは一般的な失業対策のワクの中では、とうてい十分な対策を講ずることができないということで、特別の法律その他をつくって援護措置をやっておる。その必要性は当然認められまするし、現在政府がやっておる、また今後やらんとしておるその対策は、妥当だと考えるわけでございますが、今回この石炭に準じて、金属鉱業等の離職者に対しまして、石炭の場合とほぼ準ずるような特別の援護措置を講ずる、こういうことになって参ったのでございます。私はただいまの答弁を伺っておりまして、石炭の場合と金属鉱山の場合は、その質、量ともに深刻の度合いにおいて、相当な隔たりがあるということは認めざるを得ないと思います。しかしながら政府が国会の決議なりあるいは鉱業審議会の中間答申というものを尊重いたしまして、今回のこの特別措置に踏み切ったという点につきましては、私は了解ができまするし、賛成でございます。ただ問題は、今後の問題でございますが、私は原則として失業対策というものは、一般的な失業対策のワクの中で、それぞれの失業情勢に対処していくというのが原則でなければならぬ、かように考えるものでございます。従って石炭は当然でございますし、今回の金属鉱業等に対する特別措置も、これは了承いたします。今後これに準じたような、離職者に対する特別措置を講じなくちゃならぬと思われるような事態があるかどうか。これは遠い将来のことは神様でないからわかりませんが、近い将来において、そういったような必要性のあるような状態が、石炭と金属鉱山以外に予想されるかどうか、この点についての当局の見解をお伺いしたいと思うのです。
○三治政府委員 失業対策につきまして、一般的に政府が基本的な失業対策を樹立して、そのワクの中で全体を処理すべきだという御意見につきましては、私たちも同感でございまして、一つの部分について特別の対策をとりますと、またそれに準じて準じてというふうなことになって、かえって一般的な基本的な失業対策が忘れられがちになるということになると思います。従って将来におきましても、この経済変動または産業構造の変動による離職者対策につきましては、労働省としてはできる限り失業対策の幅を広くし、深くすることによって、各産業とも、またいかなる理由による離職者についても、同じ統一した線で離職者対策または失業対策がとられることを、基本線としていきたいと思います。ただ石炭につきましては、御承知のように地下労働で、しかも急速なエネルギー革命による産業構造の変化に伴う離職者対策ということで、地下労働で、しかも長年一般産業社会生活から離れておられるという特殊事情から、今度の非鉄につきましても、石炭とその深刻さにおいて相当異なりますけれども、やはり鉱山労務者という性格が類似しているということから、特別な対策を考えたわけでございますが、一般のこういう鉱山労働者という特殊な労働条件または労働事情以外の、一般の産業における産業構造の変化または景気変動に伴う離職者対策というものにつきましては、私たちは一般的な失業対策ということで万全を期していくようにしたいと思います。従ってこういうふうな特別な処置、特別な臨時立法というものにつきましては、今後はできるだけ差し控えていきたいと思いますし、今当面において、そういうことが予想されるという産業離職者はないものと考えております。
○澁谷委員 ただいまの説明は了承します。 そこで、私があらためて申し上げるまでもないことでございますけれども、およそ近代福祉国家といたしまして、完全雇用ということは福祉国家を建設するための、主柱ともいうべき重大な政策でございまして、現在の内閣ももちろんそういった線に沿って、各般の施策を進めておられるわけでございます。従いまして、そういった完全雇用政策を推進する場合に、行政機構の面におきましてはこの職業紹介体制、さらには職業訓練体制、この二つがその中核ともいうべき柱をになっておるわけであります。従って、今後のわが国のいわゆる経済の高度成長というものを考えた場合におきましても、今後ますますこの職業紹介、職業訓練の二つの行政部門というものは、その重要性が加わってくるわけでございまして、これはほんとうに真剣になって、この行政部門の強化充実ということを考えなくちゃならぬ、かように私は常日ごろ考えておるわけでございます。来年度の予算案は現在審議中でございますが、石炭の離職者の問題もある。さらには金属鉱山の離職者もある。さらにまた全般的な問題といたしまして、非常に多量の新規労働者というものが労働市場に入ってくる。しかも一方におきましては、百数十万に及ぶいわゆる技能労働者の不足という事態があるわけであります。そういったことを考えて参りますると、この昭和三十八年度というものは、職業紹介、さらには職業訓練の両部門において、非常に大事な年に当たっておるのではないかと考えておるわけでございます。 そこで両局長にお伺いいたしたい点は、来年度の予算案において、人間の面、職員の増員の問題、さらには施設の問題、さらに事業費の面において、従来よりどの程度の強化策なり充実策が講ぜられておるか、その主要なる点について御説明をお伺いしたいと思います。
○三治政府委員 今後の雇用対策、失業対策につきまして、われわれの職安機構の刷新改善というものが非常に必要だというお説でございます。われわれも全くその通りだと思いまして、職員につきましては、石炭鉱業臨時措置法が成立いたしますれば、百八十九名増加になります。そのうち百八十六名が、就職促進指導というふうな特別なケース・ワーク的な仕事で、職業紹介のめんどうを見る新制度をつくるようになっております。これがさらに三十八年度予算におきまして、一般安定所、労働出張所等を総合いたしまして、この百八十九名を含めまして約四百名の就職指導官を置くようにし、その石炭の百八十六名以外につきましては、内部の配置転換でそういう特別な指導者、就職指導官を養成して再配置をする、こういうふうにいたしております。 それから事業費におきましては、おもに職業紹介の関係で、きめのこまかい指導をやるための職業指導適性検査の器具につきまして、主要な大部分の安定所に配置できるように、そういう職業適性検査の器具、それに伴う資材というものを相当予算に入れております。 なお訓練所の関係につきましては、今後全離職者について安定所が適性検査をやって、各職種別の適性に合うための選別、またはそういう訓練所への入所あっせんを全面的にやり、転職訓練につきましては安定所で行なうようにしております。そのために、あとで訓練局の方でお話があると思いますが、一般訓練所の相当な増加ということを考えておるわけでございます。 さらに私たちの方では、一般のそういう求職指導、訓練所への入所あっせん、適性検査並びに就職指導をやる問の裏づけといたしまして、就職指導手当を組みました。これは再就職にいくまでの期間、生活の安定が得られるように就職指導手当を組んだわけでございます。これによりまして、従来とかく安定所の窓口で、新卒または中高年齢層、または一般の失業者の再就職がなかなかできなかったのが、相当進歩した形で再就職のお世話ができるようになるのではないかというふうに考えております。
○井村委員 関連して。この法案の重点は、職業訓練をやるということが一つ。それから離職者を雇い入れる事業主に対して雇用奨励金をやることが一つ。もう一つは、労働者住宅確保奨励金を出すということが一つ。これはいずれも重要でありますけれども、とかくこういう新しい構想には、すべて予算が総花的になって、いずれも徹底しないといううらみが従来非常にあるのでありますが、一体どこに重点を置かれるのでありますか。この技能訓練をするということは、今日技能労働者が非常に不足しておるという現実に即して、今澁谷委員も、これは非常に大切なことであると言われたのでありますが、お互いになけなしの予算を使うのでありますから、最も効果的なところに重点を置かなければいかぬ。従いまして、この転職あるいは離職していく、この労働者が将来を非常に楽しんでいく、安心して生活するには、やはり少々当時が苦しくても、技能訓練に相当長期間を費やすということが、将来の安定のために非常に重要だと思うのです。従いまして私はこの職業訓練手当、別居手当というものに重点を置く、これが一つ、もう一つは雇い主は雇用奨励金を非常に複雑な手続でもらうよりは、労働者の住宅を確保するということが非常に魅力的であると思うのです。私はむしろ雇用奨励金なんという、こういうけちなものはある程度やめて、職業訓練と労働者の住宅確保ということに、重点的な予算を来年度組まれた方がいいのじゃないかと思うのですが、お考えいかかですか。
○三治政府委員 この法案のための特別の予算は約一億でございまして、そのうち住宅確保奨励金の方が六千万円、雇用奨励金の方が四千万円程度でございます。先生の言われました職業訓練の関係の経費につきましては、この訓練手当は失業保険受給中は要らないわけで、失業保険でやる。技能習得手当と別居手当の方につきましては、事業団の方で予算を組んでございます。それでその日額は、三十八年度におきましては訓練手当が日額三百六十円、これは従来日曜日を除いて出勤日数について一日三百円でした。その三百円を二十五日だけであったのを、今度は休んでも生活費的なものということでこれを三十日分、いわゆる暦日全部三百六十円やる。それから技能習得手当につきましては今年度と同じように七十円、これは出席日数に応じて七十円をやる。それから別居手当が寄宿手当にかわりますが、寄宿手当につきましては今年度と同額、月額三千六百円でございます。
○井村委員 この職業訓練手当は、炭鉱離職者の就職奨励金と非常に性格がよく似ておりますが、しかし長い目で見て、とにかく日雇い労務者的なものを社会へほうり出すか、とにかく三カ月訓練するものを六カ月やるか、その問題になると、私は日額三百六十円というふうな日額というようなちっぽけな金ではなしに、これはほんとうに学生に奨学資金をやるという程度で、もっともっとこれは大幅にやって——実は雇用奨励金というものは非常に手続がめんどうくさい。経理がめんどうくさい。私は事業主はこういうものはあまり望んでいないと思うのです。こういうものに四千万円の予算をかける。全体で一億円しかない予算であるならば、むしろ訓練手当を大幅にやって、安心して家族を養って、とにかく技能訓練を受けて、将来とにかく有為の労務者になられるのだという筋を一本通す。片一方は事業主に対しては、工場を改造して住宅にするとか、いろいろな住宅の確保という問題は、単に新築のみならず、この古い住宅を改造するとか、あるいは自分のうちの二階を改造するとか、便所をふやして多人数同属せしめるとかいうふうな、住宅を確保するということが、労働者にとっても雇い主にとっても私は一番魅力だと思うのです。こういうふうな総花的なことをやらないで、みみっちい奨励金のわずかぐらいやらなくても、この二つの筋で通して、私は来年は構想を新たにしてもらいたい、ぜひ私はこれを考えてもらいたいと思うのです。私もこの実情はよく見ております。去年も九州をちょっと回ってみました。こういう奨励金はあまり考えていません。それよりも、とにかく二十人、三十人入れるのだ、雇うのだ、これらがむしろ同居できるような、あるいは独身者であれば独身寮、あるいは家族であれば家族が何とか住まえる住宅の確保ということが、私ども非常にありがたい、こう言うのですから、一つ筋を通してやってもらいたいと思うのです。これは私の強い要望でありますから、来年度予算において、何らか新生面を出していただきたいと思います。
○三治政府委員 雇用奨励金につきましては、なるほどお説のような、手続がめんどうくさいために、また賃金月額が二万円以下で雇わなければ出さないというふうな、非常にめんどうな——しかも手続の一番めんどうになりましたのが、事業主に親切と思ってやった前払い制度で、あとで精算する。従って前渡しとあとの精算と二回の手続になる。これを今度は手続を簡素化いたしまして、そういう支払い賃金の額にスライドするのではなくて、むしろ中高年令になるほど雇用がむずかしくなるわけでございますので、三十八年度からは年令階層別に雇用奨励金の額を変えたいというふうに考えております。たとえば三十五才から四十才未満の方が就職される場合には、雇い入れた事業主に雇い入れた数に応じて五千円、これは一カ月五千円でございますが、三カ月後に一括支払いしたいというふうに考えております。 それから住宅の関係は、一種、二種、四種までございまして、この四種というのが来年度新設でございますが、これは、まず家ができてからでないと雇い入れないというのではまずいのではないかというので、とりあえずは就職がきまったならば、間借り生活ができるように、いわゆる家賃補助を最高五千円まで。そうすると大体私の方では二千五百円から三千五百円くらいの負担をして間借り生活ができるように、とりあえずそういう間借りの家賃補助というものを第四種として入れております。増築、改築の部面につきましても、その程度に応じまして、補助金と申しますか、そういうものを出すようにはしております。 あと訓練の関係につきましては、訓練局長の方からお答え申し上げます。
○村上(茂)政府委員 御指摘の職業訓練につきましては、私どもも極力改善に努力したいと考えております。非鉄金属関係にしぼって申し上げますならば、非鉄金属鉱山で離職者が発生いたしました際に、まず第一にとりました措置といたしましては、鉱山もよりの訓練所に離職者を収容いたしまして、すでに訓練を開始しておるという措置を講じております。しかしながら今後におきまして、なお離職者の発生が予想されまするので、来年度におきましては、転職訓練としては新たに八千七百三十人の訓練定員をふやしております。これは炭鉱離職者以外でございます。純然たる一般の転職訓練として八千七百三十名の拡大をはかっておりますが、そのほかに非鉄金風関係といたしましては六百人の訓練定員を別にまた用意をしておる、こういう態勢になっておりまするので、来年度におきましては極力この訓練所で訓練をするということに努力したいと思います。その際は先生御指摘のように、三カ月といったような短期のものでなくて、これは訓練職種によって期間の長短はございます。訓練の難易によりまして短い長いがございますけれども、そういった訓練職種に応じまして訓練期間を定める、実情に適した訓練を行なっていきたいと考えております。 なお訓練手当につきましては、本年度三百円でございまするので、二十五日計算にして月七千五百円でございます。先生御指摘のように、これではとてもやっていけないではないかという御意見がございますので三十八年度におきましては、生活費的なものと、技能習得手当的なものを含めまして、月額一万二千五百円になる職業訓練手当を支給いたしたい、かように考えておる次第でありまして、もちろん失業保険金を受給する方は、失業保険金をもらうわけでありますが、それが今申しました一万二千五百円程度に達しないという際には、その差額だけはさらに補てんをする、こういうような処置を講じまして、少なくとも月収一万二千五百円程度のものを訓練生に確保して、訓練にいそしんでもらいたい、かように考えておる次第でざいます。
○井村委員 よくわかりましたが、一つこの訓練手当というものは、将来への飛躍のものでございますから、これは来年度は相当思い切って私はやってもらいたいと思う。こういうものは惜しみなく予算を使ってもらいたいと思う。それから住宅の問題もわかりましたが、全体で一億程度では非常に少ないのです。とにかく二兆何千億の予算ですから、われわれはこういうふうなものはもう少し大胆に出していいと思うのですから、やってもらいたいと思います。 そこでもう一つ、雇用奨励金ですが、これは今改正されたようにおっしゃいますが、これは雇用主の考え方は、もっと簡単にしてほしいというのです。いわゆる中高年層の人は家族が多いから、家族手当的なものが非常に負担になっているから、そういう一日幾らとか、前払い、あと払い精算ということではなしに、中高年層の労働者を雇った場合の家族手当的なものをめんどう見てやる、それが私は一番筋が通って簡単だと思うのですが、こういうふうに一つ法の改正を、来年は考えてみてもらいたいと思うのですが、いかがですか。
○三治政府委員 労働者個人に直接支給するということはまだ考えておりませんが、中身につきまして、先生のおっしゃるように、五十才以上の方を雇用された事業主に対しては七千円支給する、四十才から五十才未満の方は六千円、三十五才以上四十才未満につきましては五千円というふうに、年令階層別に高年令者の方を高め、五十才以上を七千円、こういうふうに変えたいということにいたしております。そういう家族手当的に、再雇用された本人に直接払うことにつきましては、いろいろな理由がございまして、それを取れないようになっておりますが、これは雇い主に払う、しかもその手続を非常に簡素化いたしまして、三カ月後に一括して払う、こういうことにいたしております。
○澁谷委員 先ほどの質問に戻りまして、新年度において職業紹介関係、安定行政の関係において、どの程度の充実強化が行なわれておるかという質問に対しまして、いろいろと答弁はございましたけれども、ほとんど見るべき強化策は行なわれておらないという印象を受けざるを得ないのでございます。増員がわずか百八十六人というような程度では、安定行政に負託されたるところの重責を十分に果たすことはできないのではないかというふうに私は心配をするものでございます。 そこで私は質問をやがて終わりますが、私は、先ほども申し上げましたように、完全雇用政策の実現ということは、この日本がはたして福祉国家になれるかどうかという、そのキー・ポイントであると私は確信をいたしております。従いまして、この完全雇用政策を推進する二つの柱である職業安定行政機関、職業訓練行政機関というものは、ほんとうにその使命は重大だといわなければなりません。わが国の現状を見てみますると、一方においては石炭等から大量に失業者が発生してきておる。なおまた失業対策事業におきましては、これは十数年前からのいろいろな影響がございまして、現在においても全国でやはり四十万前後の失対事業に働く失業者がおる。しかも他面におきましては、技能労働者については百数十万の不足である。新しく学校を出てくるいわゆる新規学卒に対する各企業の争奪戦というものは、これはもう想像以上に深刻なものがあるわけでございます。しかもそういった中において、特に中小企業においては、新鮮な労働力というものを得ることが非常に困難である。政府は今回中小企業基本法案を提案いたしておりますけれども、将来、日本の中小企業の運命というものを考えた場合に、この労働力を得られるかどうかということが、一つの非常に大きな問題になってくるということを私は考えておるものでございます。特に昭和四十二年以降だと思いますが、新規学卒がもう激減をいたしまして、現在の約半分程度になるわけでございます。そういったような状態になったときに、はたしてこの日本の企業問における労働力の配分というものが、円滑に行なわれるかどうかということが、日本の産業の死命を握るような大問題になってくる。そういったような情勢は間違いなくくるわけでございますから、現在からそういったような情勢というものを見通して、それに対処する体制というものを整備しなくちゃならぬということを私は考えるものでございます。一方において失業者、他方において求人難、こういう奇妙な現象が混在し共存をしておるというのが、わが国の現状でございます。今後、日本の経済のいわゆる高度成長を進めていく過程におきまして、この不思議な混在、共存というものを、漸次整理していかなくちゃならない。そうして前向きな国の発展に寄与できるような労働力の配分という政策をやっていかなくちゃならない。それをになうものはすなわち職業安定機関であり、職業訓練機関でございます。ただいまお伺いしたような百八十人程度の増員とか、若干の事業費の増額といったようなことでは、将来の大問題に対処するにはきわめて不十分と言わなくちゃならない。これはこの法案とは直接関連はございませんから、私はこの問題を打ち切りますが、いずれ機会をあらためまして、一つ本格的にこの問題について当局の御意見を伺いたいと私は考えております。大体ただいまの御答弁を伺いまして、今回のこの法案に対する政府側の考え方は了承をいたしました。 以上をもって私の質問を終わります。
○秋田委員長 吉村吉雄君。
○吉村委員 ただいま与党議員の方から、完全雇用への方向についての、大へん熱意ある意見の開陳があったわけでございますが、私ども野党といたしまして、今まで主張しておったようなことを澁谷委員が大へん強調をされたことについて、心強く思ったわけでございますけれども、現実にはなかなかそういうふうな政策がとられていかないというところに問題があるわけですが、私はきょう、今問題になっておりますところの雇用促進事業団法の改正にあたって、この法律が制定をされるときの趣旨、こういうものにのっとりまして、どういう状況に今日なっているかということを中心にして、若干当局の見解を承っておきたいと思うわけです。 この雇用促進事業団法制定にあたって、政府の提案説明を見て参りますと、行政面におけるところの職業訓練の拡充あるいは職業紹介体制の充実、こういうことをやっていくと同時に、きめのこまかい施策というものを必要とする、そういう見地からこの事業団法というものが必要だというふうに述べられておるわけです。従ってその後の労働省当局の発表される文書等を見て参りますと、労働雇用状態というものは大へん好転しておる、こういうようなことが再三にわたって強調をされておるのでありますけれども、しかし全体としての雇用の状態というものは、あるいは好転をしているかもしれませんが、労働白書が指摘をしておりまするように、その中身については非常に多くの問題がある。たとえば失業保険の受給者というものは相当ふえつつある、あるいは臨時工の割合というものもこれまた増大しておる、それから労働力の需給の問題については、産業別あるいは企業別、地域的に非常にアンバランスになっているというような問題があるということを、これまた労働白書で指摘をして、これらの問題を解決するためには、相当思い切った対策というものを樹立しなければならないということを述べていることは、御承知の通りだと思うのです。そういうような状態の中で、この雇用の問題を前進させるために、きめのこまかい施策というものをやっていくという考え方を持って制定をされたこの法律の趣旨から見まして、私はどうしてもきめこまかいところの施策というものをやるためには、今日の労働情勢というものはどういうふうになっているかということを、それこそきめこまかく把握をしておかなければ、正しい対策というもの、きめのこまかい政策というものは打ち出されるはずはない、こういうふうに考えられますので、そういう点を前提として若干お伺いをしておきたいと思うわけです。 一つは、この前の本委員会でも、私は大臣並びに事務当局の見解を承っておいたわけでありますが、潜在失業者というものについていろいろの見方というものがある。この潜在失業者問題は、いわばわが国特有的なものではないかとすら考えられるのでありますけれども、この潜在失業者というものの理解の統一をしておかなければ、正しい意味での雇用政策というものはできてこない、こういうふうに考えますので、まず私が承っておきたいのは、労働省等で、政府で発表をいたしますところの完全失業者という数字は、比較的少ない数字になっておるのでありますが、完全失業者というものについて、一体労働省としてはどういう定義を持って臨んでおるのか、ここをまず明らかにしてもらいたいと思うので、この点を承っておきたいと思うのです。
○三治政府委員 現在完全失業者についての調査をやっておりますのは、労働力調査でございます。労働力調査によりますれば、調査期間中、一時間以上所得のある就業をしていない、しかも求職活動をしておる、こういう条件でとっております。非常に少ない数字になっておるのは御承知の通りでございます。一方、安定局でやっております失業保険につきましては、やはりこの失業保険の受給者は、法の性格からいっても完全失業者であるというふうに言わざるを得ないのではないかと考えております。いわゆる失業保険の毎月の受給実員は、その当該月における完全失業者である。従って調査のやり方、これは労働力調査は御承知のように非常に大きなサンプルでやっておるので、誤差が大きいわけでありますが、失業保険の方におきましては、これは安定所の窓口で現実に支給しておる実人員でございますから、これはもう間違いない実員、こういうふうに考えております。諸外国においては、大体において失業保険の失業者数を使うことが一般的でございますが、ただアメリカとカナダだけが、日本と同じように労働力調査による失業者数に基づいておる、こういうふうなのが実情でございます。
○吉村委員 そういたしますと、労働力調査によりますところの完全失業者に対する考え方というのは、その調査期間中、一週一時間以上働いておるものは全部完全失業者ではないということになる。そうしますと、今私が聞き落としたかどうかわかりませんが、失業保険の受給者というものは、政府の発表する完全失業者数にプラスされたもので、いわゆる失業者という認定をしておるのですか。
○三治政府委員 労働力調査による完全失業者の中に、失業保険の受給者が当然含まれておる、こういうことであります。
○吉村委員 そうしますと、労働経済指標等で発表されるところの失業率というものは、諸外国の例などから見ると大へん少なくなっておるわけです。これは諸外国の例から見ると、このくらいの状態であれば、日本は完全雇用に達しておるというふうに見てもいいと思うのですが、このような完全失業者に対するとらえ方というものは、私は非常に問題だと思うのです。当然、今のように一時間でも働いておれば、それはもう失業者でない、こういうような理解の仕方をしておったのでは、正しい意味での雇用政策というものはできてこないじゃないか、こういうふうに私は考えられてしょうがないのです。そこで一体潜在失業者と称されるものは、どのくらいの数字になっておるのか、こういう点がむしろこれにからんで問題になってくるわけです。完全失業者に対するところの労働省としての見解は私はわかりました。納得するという意味ではありませんが、その見解だけはわかりましたけれども、そうしますと、潜在失業者というものについては、どういう考え方でこれはとらえられておりますか。
○三治政府委員 これも同じく労働力調査で、毎年三月臨時調査をやっております。この臨時調査におきまして、いわゆる追加就業希望で、しかもそれを本業として望むという方たちの数を、われわれの方では一応潜在失業者というふうに考えております。この数が、三十六年の三月、百四十四万人でございます。三十七年には、調査の方法を変えまして、その前との連絡が必ずしも一致しておりませんけれども、新方法による調査によりますと、三十七年の三月は百九十三万人、こういうふうになっております。
○吉村委員 不完全就労者といいますか、潜在失業者といいますか、これについての国際的な基準というようなものがありましたならば、一つ教えてもらいたいと思います。
○三治政府委員 この潜在失業、あるいは不完全就業、または不完全失業者というものの測定の基準につきましては、五七年のILOの第九回の国際労働統計家会議で議論されましたけれども、まだ結論を得るに至っておりません。従って完全失業者と、またそれの類縁の不完全就業という問題につきましては、まだ学者の問でいろいろ議論をされておりますけれども、従ってこういうふうに統計家会議で五七年に議題に上がったわけですが、これについてわれわれの方も、まだ参考にするような資料が得られなかった、こういうのが実情でございます。
○吉村委員 その一九五七年にILOで議論されて、まだ結論は出ていないとしても、例示的にこういうものではないかということを示したものを私は見たのでありますけれども、これは大体三項目になっておりまして、短時間就労者で、もっと働きたいという意思を持っている者、これが一つの例である。それから技術やあるいは能力を持ちながらも、それを発揮でき得ないでいる者、発揮しようという意思がありながら、発揮できないでいる者、さらに企業の生産性が低いために、労働者の所得が非常に低い、こういう三つの種類が、いわゆる不完全就労者のタイプとして例示できるということを、ここで示しておるというように私は考えておったわけですけれども、国際的な基準というものがまだ正確にはない、こういうふうにいたしましても、労働省がやっているところの不完全就労者に対するとらえ方というものと、国際的に論議された中でのとらえ方というものは、私は非常な差があるのではないか、あるいはまた雇用審議会等で一応出しておるところの不完全就労者に対するとらえ方、これに対するところの定義、こういうものと、労働省がやっておるところの意識調査的なものを中心としたとらえ方というものとは、非常に相違があるのではないかというふうに思うわけです。なぜ一体労働省としては、このような国際的な論議の方向、あるいは雇用審議会がすでに発表しているようなとらえ方というものを採用しないで、独自の方法をもってこれをとらえようとしているのか、この考え方というものを明らかにしてもらいたいと思うのです。
○三治政府委員 今言われました三点のうちで、一、二のいわゆる短時間就労、パート・タイム的でなくて、また臨時的な仕事でなくて、もう少し正常な仕事というものを望む人の数というものは、この労働力調査の臨時調査で完全にとってあります。 二番目の、技術その他、自分はもう少し能力があると思うけれども、現在は自分の能力から見て、より低い仕事についている。従っていま少しいい職業、また程度の高い作業に従事したい。これもこの臨時調査の調査対象になっておるわけでございまして、この一、二につきましては、労働力調査の調査に大体合っておる。 ただ三番目の企業の生産性の低いため、これがいわゆるこちらの方だけで潜在失業、不完全就業というものを分析していきますと、やはりその働いている場所、たとえば家族労作的な経営、あるいは小さな小売店というふうなものにつきまして、これは資本装備率が低い、または各人の一生懸命働いても、そういうふうな所得が得られないという、生産性の低さからくるものについての潜在失業につきましては、やはりある程度そのときにおける国民の生活水準、所得水準というものと、どの程度の隔たりがあるもの以下をとるかというふうなことになるわけです。この方面で潜在失業あるいは完全就業を規定しているのが、雇用審議会でいろいろの資料をもらってやりましたやり方だと思います。従ってこの三つを同時に満足さすような調査の方法があるかといいますと、これはちょっと現実に——この前も専門家でも結論が得られないように私は承知しているわけなんですが、そういう状況ではないかと思います。この三つが同時に満足されるような調査というものが、現実に技術的にできないというのが、私の現在の考え方でございます。
○吉村委員 いま一つお伺いしておきたいのですけれども、国際的な例として一週一時間でも働いたものは雇用者である、不完全就労者ではない、こういうような統計のとり方をしているという国はほかにありますか。
○三治政府委員 労働力調査でそういうふうな規定をやり始めたときは、アメリカも同じような状況です。この労働力調査のやり方、テクニックまた理論、いわゆるサンプリングのやり方の理論というものは、アメリカで当時やっていたものを、そのまままねてやったわけでございます。これは私あるいは違っておりましたら、統計調査部長に訂正していただきますが、現在では労働力調査でアメリカでは、たしか十時間かに直した。十時間未満の就業については、完全失業者の方へ入れるようなふうに、いつだったか直したような例があるわけなんですが、最近私の方はあまり聞いておりません。従って現在の日本と同じような調査をやっておりますのは、アメリカとカナダというものだけだと聞いております。
○吉村委員 アメリカの労働力調査によって出されますところの不完全就労者の中には、日本で出しているものと違うものがまだたくさん入っておるはずだと思うのです。たとえばある地域の中で、そこで就労が不可能だという者、こういうものも全部不完全就労者の中に含まれている、こういうことがむしろアメリカではその失業者の数が多過ぎて、発表しておるのではないかということが問題になっているくらいなんです。ですから同じ労働力調査ということを採用したとしましても、日本のような場合と、日本のやり方とアメリカのやり方とでは、だいぶ相違がある。私が特にこういう点についてしつこく申し上げますのは、何か日本の雇用状態というものは、他国に比して非常によい条件になっているのだというように思わせるごとく資料をつくっているのではないか、作為的にそうしているのではないかというふうに考えられる幾つかの理由がありますから、これは申し上げているのであって、こういうようなことでは私は非常に問題だというふうに思うのです。先ほども申し上げましたように、一週一時間以上働いているものは雇用者として、これを見ていくのだ、こういうようなやり方をやっておったのでは、完全雇用ということをやろうとしても、これはほとんど不可能に近い。から念仏だといって差しつかえないと思うのです。ですからもっと完全雇用ということを目標にして、政策を進めるのにあたっては、いわゆる問題になっているところの不完全就労者というものに対する統一的な見解、こういうものをぴしっと打ち立てていって、これに対するところの対策というものを総合的に確立をする、こういうことがなくてはならないというふうに私は思います。たとえば雇用審議会が昭和三十四年ですか、ここで一応発表いたしましたところの不完全就労者に対する見解というものは、所得基準というものを中心にして、そして最低生活ができ得ないもの、それだけの就労なり、あるいはそれだけの収入がないものを、不完全就労者というふうにとらえているわけです。これに対しては労働省は、先ほど申し上げたように意識調査を中心にしたとらえ方をしておる。その結果は三十四年の状態について見ましても、雇用審議会の考え方をとりますと、不完全就労者というのは七百三十万くらいおる。ところがこれを三十六年に引き直してみましても、非常に多くの不完全就労者というものが、雇用審議会の考え方でいけば存在をするということになります。しかし労働省の考え方でいきますと、先ほど局長の答弁にもあったように、百四十四万前後だった、こういうふうになります。労働省は、まあ国の行政機関として、そういうことをやっておるのでありますけれども、雇用審議会は、政府の雇用問題に対する諮問機関として、非常に権威のあるものであることは言うまでもないと思うのです。雇用審議会でいろいろ答申をしているものの中で、労働省が採用していることも非常に多いわけですけれども、この不完全就労者の問題については、全然その方針というものを採用していない。採用しないとしても、数字の上で差がないとするならば、私は雇用政策を推進するのにあたって、そう差のある対策というものが出ないと思いますから、これは了解できると思うのですが、今申し上げますように、一方においては約八百万人くらいの不完全就労者がいるという見方に立つ、労働省では百四十四万人くらいしかないという見方に立つ、これではこのとらえ方が全く食い違っていますから、これでは雇用政策というものを樹立するというについても、非常に問題が多くなって、統一的な雇用政策というものは樹立できないのじゃないかという気がするわけです。ですからこういう点について、一体どういうふうに考えられているのか、一つ承っておきたいと思うのです。
○三治政府委員 不完全就業者をいろいろの方法で分析、研究するということは必要なわけでありまして、今後もわれわれの方としても、いろいろの統計を使って、こういう不完全就労の型を見出していく、またそういう存在はどの程度あるかという問題については、今後とも研究していきたいと思いますが、政府の雇用政策の重点は、やはり産業の近代化または経済の高度化の資料といたしまして、雇用者、いわゆる賃金労働者の数のふえ方、これを中心に雇用の改善、完全雇用への接近の資料としてみるというふうに申し上げて過言ではないかと思います。従って各年度の経済計画におきましても、雇用の数の増加というものを中心に見ていきたいというふうに考えております。それから政策といたしましては、従って賃金労働者の増加というものを見ていく場合の実際のやり方といたしまして、雇用構造の改善につきましては、新規労働力の完全就業、いわゆる中学、高等学校、大学から出られるこの方たちの社会への雇用の希望を、社会が全体として必ず受け入れられるような経済の発展へ持っていきたい。従って新規労働力については、長期経済計画におきましても、長期経済の発展のときにつきましても、これは最小限は新規労働力の職場は確保するような立場でいきたいということが一つでございます。 それからその新規労働力だけで満足はできない。そうすると産業構造の変動は必ず起こるわけでございます。そうするとそこに転廃業の問題が起きるわけですから、そういう転職者の雇用の場を見出す。これは全体の雇用が伸びていけば、その間に差引の問題がありますけれども、そのうちで一番はっきり区別すべきは、やはり農業と非農業の関係ということでございます。従って、そうすると長期計画においても、これからの雇用の計画におきましても、農業から非農業へどの程度雇用者として、また業者として転換できるか。そっちへどの程度産業の転換が行なわれるかということが一つの問題でございます。従って農業基本法もできましたし、今後とも農林、労働または関係各省とも、この農業からどういう形で非農業の方へ農業従業者が転換できるか、その転換した先の職場はどういうものであるか、こういうような分析が、今後も非常に必要ではないかというふうに考えているわけでございます。それからさらに非農業の部門の中で、雇用がどういうふうなふえ方をしていく、その産業の中の分配の好ましい姿というものは、やはり製造業で雇用者がふえていく形がいいのではないかということでございます。従って製造業の雇用の増加というものに、政府の経済政策、雇用政策の重点を置いていきたいというふうに、そういうことを相互勘案しながら、逐次完全雇用への接近に持っていくような経済の発展というものが必要ではないかというふうに考えて、そういうふうに毎年度の経済計画または雇用の見込み、あるいは雇用の状態の分析について、以上の諸点を勘案の上、われわれの方では種々の雇用の分析をしていく、こういうわけでございます。
○吉村委員 いろいろの政策を推進しようということについてはわかります。わかりますけれども、完全就労の状態になっている数の把握、逆に言うならば不完全就労者の数の把握、こういうことが正しく統一的な見解というものが確立をしなければ、労働省の労働白書なりその他の各発表になっておる数値というものを見て参りますと、労働省の見解によれば、週一時間以上でも働いておれば、それは雇用者であっても完全就労者としてこれは計算をされている、こういうことになってくると思うのです。そういうことでは、完全雇用の方向にかりに進んでいったとしましても、中身にはわずかに一カ月五時間か六時間しか働けないという人もいるのですから、これでは正しい意味での完全雇用ではないということになることは、私は言うまでもないと思うのです。問題は完全雇用への方向を進めるのにあたっても、完全雇用者とは一体どういうものかということについて、雇用審議会なり、あるいは労働省の見解が一致しないということでは、これは幾らたっても議論は一致しないことになるわけです。私が今問題にしているのは、雇用状態は大へんよくなったよくなったと言っておっても、しかしそれに使われておるところの土台になる数字は、一週間に一時間でも働いた者は完全就労者として計算をして、それで雇用状態がよくなったと言うのでは、大へん問題ではないか。こういうことを言っているわけですから、そういう点について一体どういう考え方でおるのか、明らかにしてもらわないと、労働省で言うところの雇用状態がよくなった、向上したということは、どうも信が置けないというふうになるわけですから、この間における考え方を一つ明確に示してもらいたいと思うのです。
○三治政府委員 経済の全体の姿の中における雇用の動きにつきましては、今申し上げまして、それに対して先生が、そういう今の労働力調査においての就労が、非常に短時間の就労の者も含まれている、これをわれわれの方は離職者でつかんでいるというふうに言った。その就業の時間によっても、自営業並びに家族従業者も含まれているわけなんですが、そういうものを除いた雇用者の増減、しかしこれだけで私たちは雇用の改善ということを言っているわけではないのであります。毎年労働白書でもいろいろ雇用の面で分析しておりますように、これは労働力調査でやるのが全体の姿、その内部においてまず第一にあげられますのがいわゆる毎月勤労統計調査でございます。これは賃金調査とともに、三十人以上の事業所の雇用者数をつかんでいる。これまで毎月雇用の変動がどういうふうになっているか。三十人以上の事業所の雇用の増減というものは、これは大体において完全就労、いわゆる近代的な雇用労働者といってもいいのではないかというふうに思うわけでございますが、その毎月勤労統計におきましても、経済の動きによって相当の雇用が増加をしております。それから失業保険の被保険者の数、これも景気の変動によって増減に多少の差はございますけれども、失業保険の被保険者は毎年相当数ふえておりまして、むしろ、経済全体の雇用者の動きによりますと、雇用者の数が若干上回る。そのうちで被保険者の数がふえているというふうになっております。従ってそういうふうな労働統計の各種の調査を相互に勘案して、その中で雇用がどういうふうな動きをするかという問題も、われわれとしては毎年分析しているつもりでございまして、いずれの調査をとりましても、大体において一貫した強い線で、雇用労働者がふえていくということは十分言えると考えております。
○吉村委員 雇用の安定とか雇用状態の向上とかということは、中身も伴っていかなければならないのではないか。単に量的に雇用者がふえたということだけでは、これは必ずしも雇用状態がよくなったということではない。なるほど雇用も量的には相当ふえておるかもしらぬけれども、しかしそこに現われる数字の中を見ますと、一時間でも二時間でも働いた者は、やはり雇用者として扱われておるというのが、今の国のこの発表された数字の内容でしょう。そうなればこれは雇用の向上ということではなくて、非常に内容的に問題があるということになりはせぬかということを申し上げておるのですよ。そこは局長、一つそういう不安も心配もないのだというのであれば、それはそれでいいのです。しかし今のような統計の出し方をするならば、一時間でも二時間でも働いた者は、雇用者としてこれをながめていくということでは、非常に問題があるというふうに私は思うのです。その点についてもっとはっきりした見解を聞かせてもらいたいと思うのです。
○三治政府委員 その点は、完全雇用者といっても完全就労、いわゆる賃金労働者として完全にフルタイムの雇用になっているかいないかという問題は、確かにあるわけでございまして、その点はおっしゃる通りだと思います。そこに、この全体の雇用者の数を政府が出す場合に、その中身についてのそういう先生の御心配の点は、確かに私はあると思いますが、では先ほどから議論しておりますように、そのうちでどれだけが不完全就労かという問題の分析については、これは政府としても十分な基準がつくり得ない。従って先ほど来申し上げておりますように不完全就業者の方は、何と申しますか、意識調査で行なっている、こういうことでございます。その点は確かに問題にすれば、十分問題になるところでございますが、それではその二千四百万からある雇用者、いわゆる賃金労働者というものについて、どれだけが不完全就業者であるかという問題になってきますと、従来のその所得的な、いわゆる生産性の低い、またその反映としての所得の低いところに線を引くようにして、雇用審議会においては一つの線が示されたけれども、それではわれわれの方としてはやはり政府の正式なそういうものとして発表しにくい、こういうことでございます。その点はまあ中身がどの程度、この程度という議論は、まだ相当学者先生方からもいろいろの研究調査が出てくると思いますし、また経済の実態も進歩して、そういうあいまいなものが現実の部面としてなくなっていかなければなりませんし、また実際この数字におけるいろいろな見解が出てくるのも、経済の実態、雇用の実態がそこにあるわけだから、その実態をどういうふうにあちこち分類しても、どこかで線を引いてみても、その問の何と申しますか、線の引き工合というものが、議論になるのではないかというふうに考えております。従って、われわれとしてさらに何とか言えとおっしゃっても、以上のような見解しか言えないわけでありますが、その全体の雇用者数のうちで、完全雇用労働者というふうなものが今後もどういうふうになるかということは、十分研究して参りたいと思いますが、さらにそちらよりか私の方として今計画しておりますのは、今度の新産業都市の法律によって、各地方でいわゆる新産業都市の将来の発展計画というものが、各地域計画として相当詳細に今具体的に検討されつつあるわけであります。この資料を現在われわれは集めておりますが、ごく概算をやってみましても、今後五年間に大体われわれが労働供給を見込んでいるものの二・五倍の労働需要をもたらすような計画になっております。従ってわれわれの方としては、各地域がそれぞれ理想的な発展計画を描いて、その労働需要を、自分のところで足りなければ、隣接府県からも持ってくる、こういうような計画でやる。それを単純集計してみますと、その新産業都市の計画されただけでも、これは四大工業地帯は抜けている、その他の地域の新産業都市の労働需要の計画を足しただけでも、われわれの日本全体の労働供給の二・五倍になるというふうな計画になってくる。これを今後私たちは三十八年度で早急に調整をしなければ、この計画なり労働需要見込みが、いかにも過大であるのではないか。従ってその裏づけとなる資本の投下の計画あるいは開発計画ということも、非常に過大になる。そういう意味において雇用のこういう雇用構造を持っているか、いわゆる産業別構造を持っているか、これについて各地で現実に基づいて検討され、意欲的に計画されているものを調整し、全体としてその雇用計画が、地域別、産業別にバランスのとれたもりにするような、労働省としての試案を三十八年度につくる。こういうことによって、地域別、産業別の雇用の見通し図を私の方ではつくっていく。そういうことによってさらに完全雇用への接近が、具体的に雇用計画として現われてくるのではないかというふうに考えております。
○大原委員 関連して。今の質疑応答の中で、あなたの方は、いうなれば労働の量について問題にしていけば、質の問題はおのずから解決できるという考え方です。これは池田式の考え方です。大資本家がもうければ、だんだんとおしめりが下の方に及んでくる。ニンジンを前にしておいて、よくなるぞよくなるぞといって引っぱってくる。そうでなしに、各国の労働統計がやっているように、完全失業者と不完全失業者についてきちっと基準を設けて、それに基づいて今度は労働の質の面から実態を把握して、これは客観的な資料なんですから、そうい資料をもとにして対策を立てる。その対策にはいろいろな方法があるだろう。今あなたが言われたような、池田総理が言うような方法もあるだろうけれども、そのことは私は絶対に必要だと思うのですよ。一週間に一時間以上働けば、完全失業者の中に入らぬというようなことはおかしいです。そういう方針については、雇用審議会が一つの基準を出しているわけです。つまり潜在失業者については、そういうところで働いて、そしてその賃金で最低生活を保障できるという所得を、一応の客観的な基準にしたそういう統計を出している。今ILOの基準を吉村さんが言ったけれども、その統計を基準にしながら、そういう点を加味しながらやっていく。そういうことについての実態把握の方法を変えていかなければいかぬですよ。これは労働者はそういうことで一つの統計を通じて、企業家、使用者に対して社会的な基準を示す、労働者保護の基準を示すわけです。ですから、そういう点から統計というものは実態を把握するのだから、やり方を変えるべきだ。諮問機関の雇用審議会は一つの方針を出しているのだから、そういう点については今までの方針を変えるべきである。そういうことについてはあなたは御答弁はできないかもしれないが、後刻労働大臣も含めて、学働省において政府の統計実態把握の方針を変えるべきだと思いますが、その点について一つ検討してもらいたい。
○大宮説明員 現在労働統計につきましては、先生御指摘のような問題も考えまして、いろいろな面から、できるだけ接近するような努力をしておるわけでございます。先ほど来先生が申しておられますように、確かに雇用の問題も量的な問題ばかりでなくて、賃金その他の労働条件が同時にどんなふうに改善されてきておるかということも把握しなければなりませんし、また総理府統計局の労働力調査の完全失業者というものは、ILOの統計家会議の決議による定義にのっとってやっておるのでございますが、それはいわば先進国に当てはまるような定義であるきらいもあるわけであります。従いましてそれだけでは日本の失業の実態を把握するのは不十分であるということで、日本独自の考え方から、先ほど職業安定局長が申し上げましたように、臨時調査のような形でそれを補足するものもやっておりますし、さらには失業の数的な趨勢につきましても、単に労働力調査の完全失業者の結果ばかりでなくて、各種の失業に関する指標もあわせとりまして、それらを総合勘案して、いろいろな判断を下していくということでやっておるわけであります。従いまして雇用の量的な数字のほかに、たとえば主要な労働条件であります賃金とか、労働時間がどう推移しておるかという点につきましては、毎月勤労統計というものによりまして賃金が月々わかるように、また労働時間の状況が月々わかるようにというふうにしまして、いろいろな指標を使いまして、雇用の量的並びに質的な推移、さらにその問題点を把握するように努力しておるわけでございます。しかしまだまだ完全に、これでもう間に合うというものでもございませんので、さらに今後ともわれわれはそういう把握の体系につきましては、整備充実するように心がけていきたいと思います。
○吉村委員 完全雇用実現というのは、所得培増計画の中にも明確にうたわれておるし、先ほど来から言われておりますように、福祉国家としての当然の目標になるわけです。けれども、今のような見解に統一をされて、そうしてたとえば日本が完全雇用の国になった、こういったとしたならば、これは大へん問題だと私は思うのです。一時間以上働いておるものが全部であるからということで、これが完全雇用だということになったならば、完全雇用ということは中身が何にもないということになると私は思う。そこで、労働白書やその他で、雇用状態というものは大へん好転しておるというふうに言うけれども、しかしその中身を洗ってみると、それに使われているいろいろな統計というものを見ると、非常に多くの問題があるのではないか。あるということについては、先ほど局長も若干認められたようでありますけれども、そうだとするならば、国民があるいは関係者が一定の統一をされた方向に従って、これこそが完全雇用の方向であるとか、あるいはこうなって初めてよくなったのだという、統一された見解というものが打ち出されるように、資料というものは整備をされていかなければならぬじゃないか、そういうことをやっていくのが、労働省の主要な役割の一つだと思うのです。どこの国を探してみたところで、一週一時間以上働いておれば、それは就労者でございます、完全就労者でございますという統計の出し方をとっているところはないと私は思うのです。こういうようなことでは非常に困りますから、不完全就労者に対するとらえ方については、政府として統一された見解というものを早急に出す、そしてそれに基づいたところの調査というものをやっていく必要がある、こういうふうに私は考えます。そういう点について、大臣はいないのですけれども、明確な答弁を承っておきたいと思います。しかし、将来の方向についてのことでもありますし、重要な問題ですから、機会をあらためて大臣の見解等も承っておきたいと思うのです。私をして言わしむれば、やはり雇用されているかいないか、あるいは完全雇用であるかないかということは、そこで働くことによって労働者が生活ができるかどうかということが、何といっても中心にならなければならない。ですから、雇用審議会等では相当慎重な審議をいたしまして、そうして所得基準というものでやるしかないという方向を打ち出しておるわけですから、労働省としては当然雇用審議会の考え方を採用してもらって、そうしてこれに基づいて諸統計というものを進めてもらう、こういうことが最も実情に適しておるのではないかというふうに考えますけれども、これまた大臣がいないので、明確な答えは得られないと思いますから、これも保留をしておきたいと思います。実は、雇用促進事業団法の審議の前提として、今の潜在失業者のとらえ方、こういうものについて大半時間を費やしてしまったわけです。と申し上げますのは、雇用促進事業団というものを設立した趣旨というものは、きめのこまかは施策というものをやっていくためだ、こういうことを強調されておりますから、そういう施策をやっていくためには、当然事態というものを正確に把握する、こういうことが前提とならなければならない。その意味では、今の当局の答弁では、潜在失業者の問題なり、あるいは完全就労者に対する見解なり答弁についても、国際的に見ても非常に問題があり、あるいはまた国内的な実態の問題から見ても、大へん多くの疑問点があるわけです。従って、雇用促進事業団法についてのいろいろ中身の問題については、また機会を改めて質問をさせていただくことにいたしまして、次の予定もあるようでありますから、一応きょうはこれで終わって、質問は保留をしておきたいと考えます。
○秋田委員長 この際、本会議散会後まで休憩いたします。 午後一時二十六分休憩 ————◇————— 午後三時二十分開議
○秋田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 ————◇—————
○秋田委員長 この際、お諮りいたします。 本日、日本原子力研究所副理事長森田乕男君から、日本原子力研究所における労働問題について参考人として御意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。 ————◇—————
○秋田委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。田邊誠君。
○田邊(誠)委員 質問に入る前に、一言関係者の皆さんに注意を喚起しておきたいと思います。 政府がいろいろな施策を進めるにあたって、政府みずからの機関でその行政を行なうと同時に、政府関係の機関を設置をいたしまして、政府の施策はもちろん、国全体の仕事を進展させるための方策を講じておるのでありますけれども、いわゆる政府の関係をする諸機関、公社、公団、その他の法人でもって設置をされ、仕事をされておりますけれども、これらの政府関係の機関に、当初の設置の趣旨あるいは性格と相反して、仕事が順調に進んでおらないという部面がかなり存在をいたします。特に、実際に仕事をやる部面における労使関係の円滑な運営ということが不可欠の要件でありまするけれども、ややもすれば、これらのところで労使問題が非常に数多く起こり、またかつ、非常に解決が延引をしているという事態を私どもは注目もし、また遺憾に思っておるわけであります。本日、私はこれらの労使問題を取り上げ、国の行政の円滑な運営の一助としたいと考えて質問を予定いたしておるのでありまするけれども、先ほど来かなり長い問お待ちをいたしておりまするが、関係者の皆さんでおいでになっていただけない方がかなりございます。私は以下の質問の中で明らかにいたしまするけれども、国会がこれらの問題に注目をして、皆さん方の真意を明らかにし、また、われわれの意見も伝える中でもって、正常な労使の運行と、また事業の運営をはかってもらいたいと念願しておるにもかかわらず、国会におけるところの審議に支障の起こるような、そういう事態をあなた方の方でもって引き起こすことは、きわめて遺憾であろうと考えるのでありまして、ぜひとも一つ定められた時刻においでをいただきまして、みずからの所見もお述べになると同時に、われわれの要望にもこたえてもらいたいと考えておるわけでありまするけれども、本日は質問の時間が今まで延びて参りましたことは、以上のような状態の中で私はきわめて遺憾に思うわけでございます。なおかつ、科学技術庁の原子力の当局なり、あるいは日本原子力研究所の当局についても、必ずしも私が要望いたしました方々がお見えでございませんが、私はこれに対する所見を承ることは一応抜きにいたします。特に本日参考人としておいでをいただきました原子力研究所の副理事長さんは、私は原子力研究所の代表者としてお見えであろうと考えるのでありまして、私の質問の中には、昨年来の国会の各委員会におけるところの原子力研究所の菊池理事長の御答弁に対するさらに重ねての御意向も承りたいと考えておるのでありまして、その点に対する個人の御意見は別として、所を代表する立場のものとして統一的な見解をお持ちであろうことを私は確信をし、その前提の上に立って質疑を重ねまするから、もし食い違いの点がございますならば、あらためて菊池理事長のおいでをいただくことを、私はお含みいただきたいと考えるわけであります。 最初に、科学技術庁長官がお見えでございますから、科学技術庁が非常に熱望いたし、そしてまた、日本の科学の先端をいく原子力研究の発展のために、昭和三十一年の五月、日本原子力研究所法が成立をいたしまして、従前の財団法人の研究所から特殊法人として再発足をいたしたのでありますが、その後、この成立の趣旨にかんがみて、従事するところの所員はきわめて熱心に、誠実に仕事をされてきておると思うのでありますけれども、ここ七、八年ばかりの間にしばしば労使問題でもって紛争が起こっており、これはかなり解決が長引いておるという事態がございます。特に、一昨年から昨年の春にかけての賃金引き上げの問題をめぐる労使の問題は、中労委のあっせんがあったにも一かかわらず、これが最終的に不調に終わっておるという事態の中で、現在、労働組合の方から茨城県地方労働委員会に対していわゆる救済の申し立てが行なわれて、その審査を重ねておるという状況でございますけれども、この経緯と事態に対して、科学技術庁といたしましては十分な関心を払っていらっしゃると思いますけれども、一つかいつまんでこの状態に対して、特に現在の労使の現状、この地方労働委員会にかかっておる救済申し立ての問題に関するところの審査の現状に対して、長官からまずもって御説明をいただきたいと思います。
○近藤国務大臣 不問に付すというお話でございますが、一言お断わりを申し上げたいと思います。 本日の委員会は、私どもの委員会にとりましては、実は本筋でないと申し上げては大へん恐縮でございますけれども、週にきまっております定例委員会等は前もって十分承知いたしておるわけでありますが、今日、当委員会に先だちまして、すでにカナダの原子力関係者の方並びにフランス大使の来訪を受けるということにつきまして、私から快諾の返事をいしておりました関係上、抜き差しならなかったために、皆様方の御要望に十分こたえられなかったということは申しわけないと思いますけれども、万やむを得なかった処置でございますので、御了承いただきたいと思います。 それから今おくれましたのは、ただいま予算委員会の方に第一分科会主査の報告がございましたので、それに出ておりましたために、二つからだがございませんので、どちらからおしかり受けなければならないとは思いますけれども、決して怠けておったわけではございませんので、御了承いただきたいと思います。 それから、ただいまお尋ねになりました原子力研究所におきましての労使の問題につきましては、私、就任以来、問題を十分に把握いたしておりませんので、皆様方がお聞きになりたいという問題は、専門の立場において政府委員の方からお答え申した方が適当であると思います。政府委員がお答えいたしまして、なお私がお答えを申し上げなければならない場面につきましては、私の考えを申し上げたいと思います。
○田邊(誠)委員 先ほど私は、あえて本日の委員会の開会の経緯に対する関係者の注意を喚起いたしましたけれども、それに対する答弁をわずらわしたのではございませんので、懇切丁寧に長官からお話しございましたけれども、私はそういった言いわけをここでもってお聞きしようと思って長官においでを願ったのではございません。が、それはそれといたしまして、この原子力研究所の問題に対して、あなたの知っておる範囲におけるところの経緯をまず私はお伺いして、不足でありますならば、私の方から関係者に対してさらに突っ込んで御質問をいたすつもりでございますから、あなたの知る範囲でもって、一体これをどういうふうに把握されておるか、ここは社会労働委員会ですから、あなたの直接担当の科学技術特別委員会とはいささか違いますので、労使問題に限っての立場でございますから、それに限って御答弁をわずらわせればけっこうであります。そういうふうに取り運びいただきたいと思います。
○近藤国務大臣 それでは、私が知っております範囲につきまして概略お答えいたしたいと思います。 昭和三十六年の十月以降一人当たり二千二百五十円の原資をもって給与改善をはかられたいというあっせん案が示されましたので、研究所といたしましては、当年度の予算で定める給与ベースをもとに二千二百五十円を改善するという了解のもとにあっせん案を受諾するようになったと聞き及んでおるわけでございます。その後、三月三十日付をもちまして所の方針に基づいて策定した給与基準の承認申請、及び三月三十一日付をもって同給与改善に要する予算使用承認申請があったので、科学技術庁といたしましては、三十一日付をもってそれぞれ承認を与えたような次第でございます。 なお、研究所が中労委あっせん案の受諾後四月十一日に至る間、労使間において、ほとんど連日にわたって団体交渉または事務折衝が行なわれたのでございますが、この間のおもなる争点は、あっせん案の実施に関し、予算べースをもとに一人当たり二千二百五十円の配分協議を行なおうとするところの方針に対し、労組側は実行ベースに上積みすると主張して譲らない点にあり、労使の主張は相対立したまま推移したと聞き及んでおります。その間において、労組の申し入れに対し、中労委からあっせん案の疑義解明があったと聞いております。 また、四月十三日に至りまして、労組は、四月六日から十一日に至る研究所側の措置は労組法の規定に基づく不当労働行為を構成するものとして、茨城県地方労働委員会に提訴し、その後三回にわたり審問が行なわれて現在に及んでおるものと了知いたしておりますが、中労委あっせん案の受諾について科学技術庁のとって参りました態度につきましては、中労委あっせん案について、研究所としては、昭和三十六年十月一日現在において実施される給与改定の平均一人当たり所要原資として、昭和三十六年度に予算単価に上積みされるものであると了解して受諾したい旨の連絡があったので、適当と考えてこれを了承いたした次第でございます。 そういうわけでございまして、不当労働問題についてどう考えるかというようなことにつきましては、私どもの立場といたしましては、これが特に不当労働問題の介入にならない、該当しないものであるという判断を持っておる次第でございます。
○田邊(誠)委員 今長官から大略の説明がございましたが、いささかその経緯に欠くる点もございますけれども、私は今長官の答弁をされたのにのっとりまして、さらに具体的な質問をしてみたいと考えるのであります。これはただ単に、現在起こっておるところの地労委にかかっておる問題というだけではなくて、毎年々々賃金問題やその他の労働条件の問題が出され、これが解決が長引いているということで、この辺でもって一つ断ち切ってもらいたい、私どもはこういう最終的な希望を持つわけでありますから、そういった点からお聞き届けをいただき、質問に対して御答弁をいただきたいのであります。 今御答弁がありましたように、一昨年の秋、原子力研究所の労働組合が五千円の賃金引き上げを要求いたしまして、種々折衝を重ねて参りましたけれども、原子力研究所の理事者の人たちは、いわばこの賃金引き上げに対して明確な意思表示をするところの当事者能力に欠くるがごとき回答をいたして参りました。具体的な賃金要求に対するところの最終的な、明確な回答というものが出し得ないというままに、三十六年の十二月二十五日に地労委のあっせん申請が組合から出されました。そして三十七年三月八日に、あっせん委員であるところの当時の藤林中労委会長から、あっせん案の提示がございました。ここまでは、私は今の御答弁の通りであろうと思うのであります。今長官のお話をお聞きしておりまして、その前段が抜けておったのでございますけれども——原子力の局長がお見えですか、次長がお見えですか。今長官が言われました中に、一体中労委のあっせんがある前に、原子力局としては原子力研究所に対して、これに対する何らかのサゼスチョンなり何らかの指示をいたしておったとい事実があるかどうか。具体的な中労委のあっせんに入る前の事態として、所側の回答の不満な点を私はお聞きする前提として、局のそれに対するところの当時の態度をお話しいただきたいと思うのです。
○江上説明員 実は私も昨年の七月に現在のポストにつきましたので、こまかいニュアンスまでは存じません。私の聞いておりますところでは、当然局としましては、原研が特殊法人であるという性格あるいは法令上いろいろ内閣総理大臣の認可事項もあるという関係上、事実、所側から相談を受けていろいろ相談には乗っておったというふうに聞いております。
○田邊(誠)委員 森田副理事長さんにお伺いをいたしますけれども、今長官からいろいろと答弁のありました経過の前に、中労委のあっせん申請が組合からなされる前に、あなたの方では、組合の賃金引き上げの要求に対して、具体的にどういうような回答を三十六年十二月以前においてなされていたか、この点に対する御答弁をお願いしたいと思います。
○森田参考人 お尋ねの点についてお答えいたします。 先ほどから田邊先生がおっしゃいましたこと、われわれまことに同感にたえないのであります。われわれといたしましては、法律、政令、予算その他に非常に制約せられ、制約せられた中における自主性によって組合と交渉いたしておるというのがその実情であろうかと思うのであります。そこで、あっせん案の前にどういたしたかと申しますと、われわれも一応の考え方を持っておりますので、われわれ頭の中で考えた案と申しますのは、もしもわれわれの原子力研究所の従業員が一人一人公務員として、同じランクの者としてやった場合にどういう結果になるだろうということを命じて調査させましたところ、七・一%というのが公務員の上昇率であったのでありますが——これは原子力局の方にも申しておりませんし、われわれ内部の中でやったことでございますが、大体九・六%というのが正しいのじゃないかという考えをわれわれは持ったわけでございます。しかしながら、現実はなかなかこれだけの金が出るという見込みがないことは、われわれ責任者として一応の判断に立ちまして、そこでどうしようかということで考えましたのが、中曽根長官がおられましたときに、公務員を一〇〇とした場合に一般の事務員は一二〇、研究者は一三〇という線をお出しになったことがございました。この一二〇、一三〇というのも非常にむずかしいことでございまして、何を一〇〇にとるかということは非常にめんどうなことでございますが、何を一〇〇にとっても、少なくとも公務員との格差が漸次縮小してくるということは間違いがなかったことでございますので、その当時の格差を維持するということから、少なくともこれくらいはほしいというのが八・四%という数字なのでございます。ただ、これを組合に言いました場合に、実際は言ったのでございますが、お前はほんとうに八・四%出すのかと言われたときに、われわれが、出せます民間の会社であれば、自分のふところ金で出すので、出す出さないということは、自分の裁量でもって答え得ることなのでございます。しかしながら、われわれは国からいただいてきたところのお金でもってまかなう以上は、どれだけ金が——七・一%以上の金が出るやら出ぬやら、実際のところはわからないわけであります。しかし、われわれとしては、これは組合に約束するのじゃない、少なくともわれわれ経営者としてはどうしても出したいのだということで、八・四%というものをはっきりと組合にも話しまして、そうして局にも、八・四%いただけるならば、われわれの方の労使間も非常にけっこうでございますということを申して、あっせん案の前に八・四%ということをお話しはいたしました。
○田邊(誠)委員 いろいろ余分な御答弁はいただかなくてもけっこうでございます。私は、今まで国会におけるあなた方の代表者の発言というものを参考にしながら聞いておりますから……。そうすると、八・四%というのを所側の回答として組合に提示をされた、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますね。
○森田参考人 回答という意味は、これくらいは、つまり自分のところの理想としてはほしいのだという回答をいたしたわけでございます。
○田邊(誠)委員 あなたは労働組合の委員長じゃございませんですね。研究所の理事長代理でございますから、労使の団体交渉中でもって、所が労働組合の要求に対して一体回答をどう出したのかというのが私の聞きたいところであります。理事者側としては、この賃金要求に対して一体どういうような回答を中労委の申請の前に出されたか、これを聞いているのです。
○森田参考人 これは八・四%というものを回答として出したわけであります。回答として出しましたが、これは条件付で出したので、少なくともこれだけの金が出るならばこればけ支払えますという条件付でないと……。われわれの方は自分の手金で出すのではございませんから、これはどうしたって条件をつけなければならぬわけであります。
○田邊(誠)委員 ちょっと発言を明確にしてもらわぬとよくわからぬけれども、八・四%というのは、労使の団体交渉の中における理事者の回答としては受け取れないじゃないかと私は今感ずるのでありますけれども、その点は、これは回答ではなくて、何か一つの腹がまえというか、心づもりといいますか、そういうような気持を表明されたこともあるのですか。
○森田参考人 先ほど条件付と申しましたのは、つまりわれわれの置かれている地位がそういう工合になっているので、そういう工合に答えざるを得ないという意味のことでございまして、これを組合の方は回答と思われたかもしれませんが、とにかくこれだけのものを出したいのだということで局と折衝をしておりますという回答をいたしました。
○田邊(誠)委員 労働件の問題については逐次お伺いをいたしますけれども、一応労使問題の具体的な経緯についてあらかじめお伺いしておきたいわけです。あなたの御意向に対してはさらに御質問をいたすつもりでございますけれども、三月の八日に中労委からあっせん案が労使双方に提示をされました。先ほどの技術庁長官の御答弁によりまして明らかなごとく、労使ともにこのあっせん案を受諾された、こういうことであろうと思うのでありますけれども、この点、研究所の理事者側としても間違いございませんね。
○森田参考人 これは解釈が二つございまして、組合の解釈をいたしておる解釈に従って、組合はそれでけっこうだという返事をいたしました。われわれの方はそうではなく、予算単価に二千二百五十円を積むんだという了解のもとに受諾をいたしますという返事を申し上げました。しかしながら、中労委の方では、二、三日たちまして藤林先生に私お会いしましたところが、そういう条件付の受諾は受諾とは認めない、こういう御回答が、ございましたので、正式の受諾と中労委では解釈をしておられぬと思います。
○田邊(誠)委員 長官もその辺まで詳しくは御説明ございませんでしたけれども、そうしますると、これは中労委のあっせん案でありますから、やはり中労委が、受諾であるか受諾でないか、その解釈において明らかにすることが必要でございまして、藤林あっせん案は再度藤林故会長から説明があって、いわゆる理事者の方でもって受諾であるというふうに考えておっても、事実上中労委としてはこれを受諾したとみなさない、こういう回答があったといたしますならば、最終的に客観的に見た場合には、この中労委あっせん案をあなたの方では受諾したのでない、お断わりしたのだ、こういうふうに客観的にわれわれは見ていいと思うのですけれども、その通りですね。
○森田参考人 その通りでございます。
○田邊(誠)委員 藤林会長からいわゆる中労委の解釈が三月の二十五日ですかに出て、これに対して中労委の解釈がわかった以上は、あなた方はこれに向かって最善の努力をする、いずれにいたしましてもこういうことが必要であったわけでありますけれども、その点に対するところの具体的な努力というものが、あっせん案提示後において、原研の理事者側でもってされたという経緯が一体ございますかどうか、お伺いをしたいと思います。
○森田参考人 これは、藤林あっせん案をその通りに実行することが可能か不可能かという問題にかかってくるのでございますが、事実、実行単価に積んだ金でまかなうということは、三十六年度限りにおいてはあるいはできるかもしれませんが、三十七年度の予算がすでに人件費も予算もきまっておりますし、あれをそのまま実行するということは非常に困難を来たすということで、二千二百五十円を実行単価に積んだ基準線の引き上げというものは、われわれには不可能である。もしそれをどうしてもやる場合には、予算とともにいただかなかったらわれわれはできないのだ。しかし、予算もきまっておってこれ等でできないという判断のもとに、それ以上の努力はそうしなかったということもございますし、この予算単価に積むか実行単価に積むか、そのいずれによるかということは監督官庁の御解釈にわれわれは従って、予算単価に積むということにわれわれ了承して回答としたわけでございます。
○田邊(誠)委員 従って、原子力局の判断におまかせした、こういうことですね。
○森田参考人 さようでございます。その解釈にわれわれは従いました。
○田邊(誠)委員 原子力局の次長にお伺いしますけれども、当時あなたの方は、政府が実際のところ委嘱をして、権威ある労働問題のいわば裁定機関として設けておるところの中央労働委員会から、きわめて権威のある形でもって、しかも原子力研究所の予算上の問題、その他特殊的な事情というものも勘案し、さらに三十五年当時におけるところの中山あっせん案等の出された経緯等もよく了した上で藤林あっせん案が出された、こういう状態でありますけれども、今副理事長のお話を聞きますと、原子力局が押えたためにこのあっせん案を受諾することができなかった、あなたの方では、そういうところのあっせん案をあなたの方でもって押える、こういう細部にわたってまでの権能をお持ちでありますか。
○江上説明員 藤林あっせん案に対する態度といたしまして、原子力研究所理事者側では、その置かれている地位、それから現実の財政上の制約、あるいは法令上の制約、こういったものを種々御勘案の上、予算ベースに上積みする二千二百五十円の解釈というもとなら受諾できる、こういう判断で原子力局に御相談があった。従って、原子力局としては、これを適当と考えて了承をした次第でございます。 なお、今の問題はすべて権限的な問題ではございませんけれども、権限に基づく行為としては、原子力研究所が給与基準をきめようとするときには内閣総理大臣の承認が要る。それから、そのために、現実に支払うために予備費を使用しよう、あるいは予算を変更するというときには内閣総理大臣が要る。その段階で、内閣総理大臣、すなわちその委任を受けた理事長といたしましては、その可否をきめる、そういう仕組みになっているわけでございます。
○田邊(誠)委員 原子力研究所法のどこに一体そういうことが書いてありますか。
○江上説明員 まず、給与基準の承認申請につきましては、原研の定款の第三十六条でございます。それから予備費支出承認につきましては、原研の予算総則の第三条ということでございまして、これの根拠は原研法に基づいて、原子力研究所はその業務運営に関して内閣総理大臣の監督を受けるというところにあるのであります。
○田邊(誠)委員 具体的に法律の建前で言えば、そこまで細部にわたるところの制約まで与えているのかどうかという点は、今あなたの方でそういう定款を見せられましたけれども、これはかなり疑義のあるところであります。一体この法律の趣旨はそこで制約をするというふうに定められているのかどうか、この点は大へん疑義のあるところでありますけれども、そういう解釈でもって、すべてあなたの方でこの点に対するところの監督権が及ぶものである、こういう解釈でございますか。
○江上説明員 ただいま私の言葉が足らなかったかもしれませんが、法律上は、先ほど申し上げたような一般的な書き方になっております。それで、具体的にどこまで監督という行為の内容が原研を規制するかということは、これは、国家としてはそれに基づく規則等によってきめる。それから、原研は、そういった特殊な立場にあるということを考えて、どこまで監督官庁の規制のもとに服する分ということを自分できめていかなければならぬ。従って、定款とか予算総則で定められておりますことは、原研が自分の意思として、それだけは監督官庁の承認のもとに置こう、こういうことできめられたものでございます。そう理解しております。従って、法律上当然にそこまで権限があるということを申し上げたつもりではございません。
○田邊(誠)委員 そうすると副理事長さん、あなたの方は、あっせん案を受けられてからあとは、予算上の問題でもって科学技術庁の御判断にまかしたということでありまするから、あっせん案三項にもありまするし、具体的な労働三権を持っている労働組合との自主的な団体交渉、こういった労使双方で対等の立場でものをきめていくということは完全に踏みにじられている、そういったことは実施できなかった、こういうことがございますね。最終的にはそういうことでございますね。あなたの方はもう権能はない、当事者能力はない、こういうふうにみずから手をあげられて、それですべては原子力局の判断にまかした、こういうのがあなた方の立場であるというふうに一つ理解しておいてよろしゅうございますね。
○森田参考人 当時の状況をわれわれが判断いたしますと、七・一%以上のものを取るということは非常に至難であるということは、大体いろいろの局の御意向なり大蔵省の御意向なりを聞いて承知いたしております。当時の三木長官も、何とかして原子力研究所にはよけいやりたいという御意思もあったと思います。そこで原子力研究所に特有な何かの理由があれば、それに対しては七・一%以上何とかしようということで、いろいろ局の方とも相談いたしまして、初任給調整あるいは研究要員手当をつけたりということで、七・二五%、とにかく七・一を〇・一五%上回ることになりましたので、われわれもその御努力に対して非常に多といたしまして、もうこの辺でわれわれとしては、それ以上戦うと言っては悪いですが、努力してみてもだめだという判断に立って、そしてこの配分について組合と話をしようじゃないかということで、組合にいろいろ話しかけたのでございますが、予算単価に上積みする話ならどうにも話にはならないということで、実のある団体交渉ができなかったということが実情でございます。
○田邊(誠)委員 いろいろ問題点はございますけれども、一通り経緯をお聞きしたあとで、問題点に対してさらにお聞きをいたします。そういたしますと、当時中労委あっせんの二千二百五十円というものを実施することは予算上、資金上とうていできない、すなわち三十六年度のこのベース・アップについては、これは原資がない、こういうようなあなた方の見込みでもって、この二千二百五十円というベース・アップのあっせん案を実行することができなかった、こういうことでございますか。
○森田参考人 三十六年度限りにおいては金がありました。そこで全部二千九十九円と申しますとややこしいのですが、とにかく当時のあるだけの金は全部つけまして、そして一時金なりあるいは手当として支払いを了したということであります。
○田邊(誠)委員 私の聞いておるのは、中労委あっせん案を忠実に実施するための原資がなかったかどうかということなんであります。さっきあなたは、三十六年度限りはできるというお話がありましたね。それを再度念を押して、その通り原資はあった、こういうお話であればそれでけっこうなんであります。
○森田参考人 さようでございます。三十七年度に持ち越すということは、とうていできなかったということでございます。
○田邊(誠)委員 原子力局の次長さん、三十六年度は予算があった、原資はあったというのです。あなたの方で押えたのですな、これは。
○江上説明員 原資があったという意味でございますが、先ほどちょっと言い忘れましたけれども、研究法の中に、予算については内閣総理大臣の認可を要するとあります。それに基づきまして、先ほど申しましたように予備費等につきましては、流用については内閣総理大臣の認可を要する、従って予備費等を含めて考えれば原資はあったと言えるかと思いますけれども、それの流用につきましてはおのずから制約がある、そういう意味において、その困難性ということを所側が判断されてそういう態度に出られた、受諾するときに条件をつけて受諾された、こういうふうに了解しておるわけでございます。
○田邊(誠)委員 私の話をよく聞いていない。今、副理事長に私が再度念を押したのは、中労委あっせん案に対して、これを忠実に実行するだけの原資があったかと言ったら、ありました、三十七年度以降の問題は別といたしまして、三十六年度はあった、こういう答弁をしておるのであります。いいですか、実行単価とか予算単価と言っておるのではありません。そういたしますならば、原資があるという意味は、すなわち研究所としてはこのあっせん案を受諾する用意あり、準備あり、こういうことに受け取るのであります。それを実施できなかったというのはあなたの方が具体的に制約を与えた、こういうことになるのじゃないですか。その見解を聞いておるのであります。
○江上説明員 先ほど申し上げたのは、予備費を含めて三十六年度予算というものを考えれば、原資があったということは事実であろうと思います。所側が申されたことは、従って原資としてはあった、しかし、そこで判断したについては、原資はあったけれども、諸般の情勢を考えてああいう条件付きの受諾になった、こういうことを申されたのであろうと思います。われわれも、諸般の事情から考えまして、そういう了解で受諾することは適当である、かように考えて申し上げたわけであります。
○田邊(誠)委員 この際、委員長から注意をしてもらいたい。私の質問は順を追っていわゆる予算単価上におけるところの、具体的な実施というものがどういう経緯でなされたか、こういうことは先ほどお聞きしたのであります。今私の聞いておるのは、藤林あっせん案を忠実に実施するだけの、それに対して所が条件付でもって受諾をされた、しかし、藤林さんに問い合せたところが、それは受諾にはならぬ、従って結果としては拒否したことになる、こういう経緯はお聞きしたのであります。その経緯をお聞きした上に立って、一体この受諾ができるかできないかという判断を所はしないでもって、原子力局におまかせしたとさっき言ったじゃないですか。だから原資はあたったけれども、予備費を回すなりの措置はまかりならぬ、これは適当でないという判断をしたのはあなたの方かと聞いておる。所の方でもって判断をしたかしないかこれはさっき聞いた。私の質問をよく聞いていないからそういう答弁をする。
○江上説明員 御参考のために読み上げますけれども……。
○田邊(誠)委員 まだ質問は終わっていないじゃないか。具体的にあなたの方は、そういった予備費を回すということをしても、予備費の中でも給与に該当しなければならぬじゃないかという、こういうものはありますよ。いろいろな予算の編成上からいえば、私もいささかそれは知っておる。しかしそれを回すか回さないかということの判断を、所は所なりにしたいと思う。しかしその前に、八・四%の引き上げをしたいという要望を持ってあなたの方と当たった、こういう経緯のあることも私は聞いておる。八・四%が一体どのくらいになるかも私は承知しておる。そういう経過があった中でもって、最終的な判断というものを所はなし得ないであなたの方にこれをまかした、従って制約を与えた。ほんとうの意味におけるところの藤林あっせんを受諾すべきでないという、こういう結論を出したのは、あなたの方ではないかと私は聞いておる。
○江上説明員 先ほど申し上げましたように、予算上の制約あるいは財務当局との関係等もございまして、いわゆる実行、ベースと見た場合の藤林あっせん案の受諾はされても、実施が困難であろうという判断は申し上げたように聞いております。
○田邊(誠)委員 どこで申し上げたの。
○内田政府委員 私から口を出すことでないかもしれませんが、私の判断を政府委員として述べさしていただきます。 これは実は原子力研究所に限らず、政府関係機関の理事長その付理事者というものは、非常にいろんな法令上、予算上の制約を受けて、労働関係などにおきましても、当事者として必ずしも十分かつ完全なる能力を持っていない面がありまして、非常に気の毒に思われる面もあるのでありますが、この点につきましても、当時労働関係の当事者として折衝に立ちまして、そうして労働組合側は一五%のアップを主張し、研究所側は条件付で八・四%くらい引き上げたいという意向も当初あったと聞きますが、一五%と八・四%でありますから、結局当事者間で話し合いがつかずに中労委にあっせん申請があった。これは労組側からあっせん申請が出たわけであります。その回答が来まして、ここにも回答があるのでありますが、その回答の内容というものは、そのときの賃金の実行ベースの上に中労委のあっせん案の二千二百五十円を積み上げるべきか、あるいはまた、予算単価の上に積み上げるべきかということは、それだけでは必ずしもはっきりしていないで、両様にとれたわけです。先ほどの副理事長の森田さんのお話は両様にとれて、研究所としては、実行ベースの上に二千二百五十円を積み上げることは、三十六年度の予算においては予備費を流用すればできると考えるけれども、しかし、そのときはすでに三十七年度の予算が編成されて一これは三十七年の三月の中ごろか終わりくらいでありますが、編成されておって、もし実行ベースの上に二千二百五十円を積み上げるということになると、三十七年度の予算においてはとうていむずかしいという判断も研究所側としておありになって、三十六年度においては可能かもしれないけれども、引き続く三十七年度においては無理であるということも一応研究所の理事者側としては判断されて、そして科学技術庁、つまり総理大臣の代行機関であります科学技術庁の当局に相談があったわけであります。その相談の結果は、経営者側としては、それは予算ベースの上に二千二百五十円を積み上げるものと了解して受諾しようということになった、こう私は考えておるわけでありまして、その後さらに組合側から、研究所側の解釈に承服せずに藤林さんの意見を徴された。その結果が先ほど述べられた通りになっておりまして、従って、それが混乱をいたしまして、別の面から茨城県の地労委に提訴されておると聞いております。その問の経緯は、今私が申すようなことであって、三十七年度の関係を考慮して、双方協議してかようなことになった、こう理解していただきたいと思います。
○田邊(誠)委員 政務次官からせっかく御答弁がございましたけれども、私どもは、一般的な問題はあとでさらに長官なり政務次官にお聞きしてみたいと思ったのですが、今具体的な問題を積み上げて参りますると、やはり前提的な一般論としては、今政務次官からお話のあったようなことが通用してくるのですけれども、だんだん突き詰めて参りますと、最後にはやはり意見が分かれてくるのであります。今次長のお話のように、これは最終的には、予備費を使っても給与改定をやるという場合もあると思うのです。従って、実行単価であろうと予算単価であろうと、所は八・四%の引き上げの主張を当初持ったのですから、これは予算単価に直しても、実行ベースに引き直してみた場合に七・一%が立証できない、こういう理由には、残念ながら数字的に見てならないと思います。 そこで、次長からお話がありましたが、その中に、財務当局といろいろ何か関係があってこれはなかなか不可能である、こういうお話がありましたが、これは一体どういう意味ですか。その持つ意味は大蔵省という意味ですか。
○江上説明員 その前に、先ほどの言葉でやや不正確な点がございましたので、訂正させていただきます。 予算ベースか実行ベースかという問題が出ましたのは、そういう予算べースという了解のもとに受諾の回答を出したあと、四月に入ってから藤林さんの見解というものが示されたわけであります。従ってそのときに、そこで先ほど森田さんは、判断を局側にまかせたと言われましたけれども、そのときにわれわれ予算ベースという了解のもとに受諾することについて事実上了承したわけでありまして、実行ベースとなればまた話が違う。実行ベースということになれば、いろいろな点でなかなか困難なのではないか、こういう判断を申し上げたというふうに聞いておるわけでございます。 それから先ほど財務当局と申しましたが、もちろん予備費の流用の問題でございますので、これは大蔵省と事実上連絡をして、われわれとしても態度をきめなければならぬわけでございますので、そういう判断をいたします場合には、事実上大蔵省当局の意見等も聞く、そういういろいろな点から判断して困難であろうということを申し上げたわけでございます。
○田邊(誠)委員 次長さん、こういう問題は、われわれもいろいろ経緯を承知しておらぬと判断に誤りを犯すので、私もかなり正確にいろいろとものを調べて参りましたけれども、あなたももうちょっと勉強していらっしゃい。藤林あっせん案に対して所が回答した。しかし、それに対してやはり疑義があるというので、藤林あっせん員は三月二十八日、所の首脳部を呼んだ。それであっせん案の趣旨というものは、三十六年十月一日現在の給与実行単価二万九千九十二円について、一人平均二千二百五十円の原資をもって賃上げを行なうよう示したものである。所側の了解したような、いわゆる予算単価二万八千九百四十一円に対して二千二百五十円を増額するということではない。これはあっせん案の趣旨に反する。従って、回答はあっせん案受諾と認められないから、再考慮するよう要請があったんじゃないですか。四月に入ってからではない。いいですか、そういう不正確な答弁をされては困る。三月中に藤林さんから具体的に、所のいわゆる回答というものは、これはあっせん案の趣旨を十分に了解した上での回答でないと再度の解明があった。これは決して新しい年度になってからではありません。大蔵省の主計局次長代理さんがお見えでありますが、一つ私の今言ったことが間違っておるというなら言って下さいよ。
○江上説明員 私が申し上げましたのは、私の調べました資料によりますと、あっせん案に対する疑義解明というものについて労組側から申し入れをしたのが、これは文書でございます。だから口頭の事実は、私あるいは聞き忘れておるかもしれません。三月三十一日付で労組側が申し入れをいたしまして、これに対する中労委の藤林あっせん員の解明というものが、文書で解答が参りましたのが三十七年四月四日付ということになっておりますので、そのことを申し上げたわけであります。
○田邊(誠)委員 労働組合のとったいろいろな行動に対して聞いておるのじゃなくて、所側のとった行動に対して聞いておるのです。さっき科学技術庁長官の答弁に、藤林さんから当局に対して再度これは正式な受諾にならぬ、こういう解明があったということをちゃんと言っておるし、副理事長も答弁しておる。そう言って、副理事長さん、回答はなかったんですか。口頭であろうと、労働組合が疑義解明を中労委にして、それに対する文書回答があったのは四月四日かもしれませんけれども、所が藤林さんに呼ばれて、それであなたの方の解釈というものはあっせん案の趣旨と相反する、再考慮するように、そういう要請が三月二十八日になかったんでしょうか。
○森田参考人 一番最初に藤林さんの御意思がはっきりわかったのは三月十六日です。それは、解釈について二つあるがどちらですかということをわざわざ私が聞きに行ったときに、藤林さんがおっしゃったのです。それが三月十六日です。その後正式に理事長と一緒に藤林さんに会ったのが、ちょっと今はっきりしないのですが……。三月十六日に向こうの御意思ははっきりいたしました。
○田邊(誠)委員 次長さん、よくその辺を確かめて下さい、国会の場ですからね。私ら、なまはんかで言っておるのじゃないのです。いずれにしても、三月中にあったことは間違いない。三十六年度の給与ベース改定の問題について、われわれ今論議しておるのですよ。 そこで、大蔵省の岩尾さんお見えですが、今財務当局と、形式上は別として、事実問題としていろいろと実質的に相談をした、こういう話が科学技術庁からあったのです。そうしますと、大蔵省は、もちろん政府が出資をしているいろいろな関係の機関の予算の使い方その他に関心を持つのは、元締めのあなたの方としては当然だろうと思います。具体的に予算を実施する上に立って、予算の範疇でもって、予備費であろうとあるいは具体的な給与の項目であろうと、こういったものについて所が一つの見解を持ち、あるいはまた原子力局が一つの見解を持っておるとすれば、大蔵省はこの点にくちばしをいれて、そいつはまかりならぬとか、法律上いかぬとか、こういうふうな指示をすることになっているのですか。
○岩尾政府委員 ただいまお話しいただきましたように、現在の原子力研究所法によりまして、予算並びに定款の変更につきましては大蔵大臣との協議ということになっておりますので、その協議権でわれわれ相談にあずかるわけでございますが、それ以外は、事実上、実際出資をする法人の給与なりあるいは予算がどう執行されるかという面で御相談を受けるわけでございまして、必ずこうでなくてはいかぬというような法律上の権限はございません。
○田邊(誠)委員 だんだんいろいろ聞いて参りますと、責任が一体どこにあるのかはっきりせぬですな。みんな少しずつ逃げております。それならば、それがめぐりめぐって、一体どこに犠牲なりしわ寄せがくるかということが問題なんであります。 そこで、給与問題について、最後の点が残っていますから、もう少し聞きたいのであります。そういたしますと、副理事長さん、あっせん案が出てから実質的な中身の問題に対する団体交渉というのはなされていなかった、事実上できなかった、今言ったいろいろな制約が——いろいろと御相談をする向きが多かったために、実質的な団体交渉というものはなされておらなかった、こういうことでございますか。
○森田参考人 おっしゃる内容のあるということが——藤林あっせん案その通りをするという内容の団体交渉は、すでにできなかったわけでございます。そこで、配分についての団体交渉をしようじゃないかということでいろいろ話をかけましたが、それにはなかなか応じてくれなくて、実のある団体交渉ができなかったということでございます。
○田邊(誠)委員 事実問題を一つ整理しておきたいと思いますけれども、そういたしますと、あなたの方は、まあ百歩譲ってといいましょうか、実行ベースではできない、予算ベースでなければできない、こういうお話があって、どこで権能を発揮されたかは別として、その当時のベース二万九千九十二円に上積みするという形になれば、二千九十九円、こういうものでなければできなかった、そういう観点でもってこの給与改定をされた、こういうことでございますか。
○森田参考人 結局二千九十九円をどう配分するかということになったのでございますが、二千九十九円を全部基準線に積みますと、これは三十七年度に支払い不能に立ち至るということが、二千九十九円のうち千八百四十円を基準線に積むことにいたしまして、分配をいたしました。
○田邊(誠)委員 どうも私の頭がよくないせいか、さっき二千二百五十円は、いわゆる実行ベース二万九千九十二円に上積みできぬ。従って、予算ベースである二万八千九百四十一円に二千二百五十円を上積みして、それでもって給与改定をしたというふうに私は聞いたのでありますけれども、今のお話を聞きますと、千八百四十円で改定をしたというお話であります。そうすると、あなた方が中労委に回答したいわゆる実行ベースではできないから、予算ベースでもって二千二百五十円を実施します、この回答とも違うのですか。
○森田参考人 あっせん案は、実行予算にしましても、予算単価にいたしましても、それに二千二百五十円を積み重ねた原資をもってやれということで、これを全部ベース・アップの基準線に使うようには申してはおられません。そこで、二千九十九円を全部基準線に積みますと三十七年度に給与支払いが至難になりますのでということと、それから研究所独特の性格からして、研究者を優遇するための措置、そういうものの金を引いて基準線に全部積み重ねた金が千八百四十円である、こういう意味でございます。
○田邊(誠)委員 そうすると、あなた方は中労委をペテンにかけたわけですね。中労委のあっせん案は、本給、初任給調整手当、研究手当及び特殊勤務手当について二千二百五十円の原資をもって改定することということになっておるのであります。ところが、あなたの方は、この二千二百五十円の上積みというものが、いわゆる実行ベースでなくて予算ベースでなければできぬ、こういうことでもって回答をされたということを、私は先ほど来の御答弁で承知をしておるのでありまするけれども、そうすると、この給与ベースの改定以外にこの原資を何かに使って、先食いしている、残ったものでもって中労委の回答を実施した、こういう格好ですか。何ですか。ごまかしちゃだめです。
○森田参考人 本給、初任給調整手当、研究手当、特殊勤務手当、こういろいろございまして、つまりそういうものを含んで予算単価に二千二百五十円、実質的には二千九十九円でまかないます、そうして給与改善をいたします、こういうことであります。
○田邊(誠)委員 ここにはいろいろ勤務手当などを総ぐるみでもって——これはおじやみたいにして何でもやれというふうには書いてないです。給与の問題なり労働問題というのは、そんなにいいかげんなものじゃありませんよ。このいわゆる賃金引き上げ、再度の藤林さんのこれは、あなた方に対する——三月二十八日、あるいは十六日に聞かれたそうでありますけれども、これについても、二千二百五十円の原資をもって実行単価に上積みをして賃金引き上げを行なうようにという趣旨である。賃金引き上げを行なうという趣旨でありまするから、賃金引き上げというのは一たびいたしまするならば、それが三十七年度、三十八年度、その後における給与の基礎になり、引き続いてそれが伸びていくのであります。生きていくものであります。そういう意味におけるところの賃金引き上げにあなたは全部充当した、こういうことでありますか、どうですか。
○森田参考人 初任給調整手当、それから研究手当というものは、これは未来永劫に増額をいたしておりますので、これは賃金改善のために使った金額と私は了承いたしております。
○田邊(誠)委員 それ以外のものは何も使いませんな。
○森田参考人 若干の特殊勤務手当、これは守衛とか、そういう者に対する賃金の増額を手当としていたしました。これもずっと続くもので、賃金の増額と存じます。ただ、一部分のものに対する賃金の上昇であったということでは、これは全体のベース・アップにはなっていない、こういうことでございます。
○田邊(誠)委員 千八百四十六円というのは一体何ですか。それ以外の、差引をいたしますると、いわゆる予算単価に上積みするが二千九十九円といたしましても、残るのは二百五十三円でありますから、この二百五十三円というのは一体どこに使ったのですか。
○森田参考人 二百五十三円というのは、私の手元にちょっと数字がございませんけれども、大体二百五十九円でございますか、二百五十九円を、大体一人当たりで、残った金額につきましては、これは三十六年度限りでございますから、一時金として全部に支払いました。これはベース・アップになっておらないということは、御指摘の通りでございます。
○田邊(誠)委員 一つ正確に言ってもらいたいですね。さっきは賃金引き上げに対する回答として——私は正確にものを記憶しておきたいと思っているのです。これに対して予算ベースでなければできない、こういうお話でございましたから、これは中労委に対する回答といたしましても、あなた方の主張というものはこれは明確になっておるのでありますけれども、今聞きましたら千八百四十円だけであって、あとの二百五十九円というのは、これは一時金に支給したというのです。だから、私の言いぐさは悪いけれども、これは明らかに中労委に対するペテンじゃないですか。そうじゃないですか。そうじゃなければ何ですか。二千二百五十円の原資をもって賃金引き上げをやれというのですよ。それなら千八百四十円しか賃金引き上げの原資として用いないでもって、二百五十九円を一時金として支給していいなんて、あっせん案のどこに書いてありますか。
○森田参考人 あっせん案をその通り受諾いたしておりましたならば、御指摘の通りでございますが、われわれの方は受諾をいたしておらない。向こうさんもそのような了解になっておると思うのであります。しかも、二千九十九円の中でこれは組合に約束したことでございまして、二千九十九円はお払いしましょうということで、それを支払いをいたしたのでございます。
○田邊(誠)委員 委員長からも御注意をいただきたいのですが、中労委に対する回答ももちろんでありますけれども、ここへ来ての御発言でもって私はさっきから聞いておるのだ。賃金引き上げの要求に対して、あなた方の方は一体どういう処置をされたか、こういうことを聞いているのでありまして、それは予算ベースでもって二千二百五十円を上積みする、こういうふうに中労委に回答した。ところが、それは中労委の藤林さんの見解はそうでない。こういうことでもって、それならばそれは実行できません。一体、実行できませんとなったら、あなたはあとは野となれ山となれ、何をやってもいいのだ、そういうものですか。だから中労委に対するペテンじゃないかと私は言っているのだけれども、一体あなた方は、中労委に対してそういうことを言っているのですか。今のあなた方の発言というものは、国会でもってわれわれに対してそういうふうに発言しろと教えてくれましたか。そういうふうに言ってないでしょう。そういうふうな形では、これは困るというのですよ。あなたじゃ話にならぬ。大体あなたは、何か労働問題じゃ所側の責任者であるような話を聞いたけれども、どうもそうでないような気がするな。そんな認識とそんなどんぶり勘定みたいないいかげんなことでやっておったのでは、労働問題はうまくいきませんよ。 どうです、科学技術庁長官、今お話を聞いておるような状況でありまして、あなたがさつき経過報告をされたような工合にはどうもなっておらぬですね。いわゆる予算単価でもって二千二百五十円賃金引き上げをする、こういうことでもってみな原子力局も了解をしたというのだけれども、実際にそれも実行してない。その中に、一時金の何か三十六年度限り——これは十月からの賃金引き上げですから、半年間、六カ月分についてだけ二百五十九円を勝手に流用したという。これは長官、どうですか。
○内田政府委員 補足説明を……。 〔「誤解があると悪いから、ちゃんと説明をしてもらったらどうだ」と呼ぶ者あり〕
○田邊(誠)委員 まだ私が質問をしているのだから、そうあわてなさんな。
○秋田委員長 まだ質問が続いておりますから……。
○田邊(誠)委員 私は、答弁はちゃんとおとなしく聞いているのだから、幾らでも答弁しなさいと言っているのだ。さっきから、そのときはいつも答弁をしないでもって、それであとで言い足りないなんて、そういうわけにいきませんよ。正確に答弁をしていれば、なごやかにやりますよ。 どうですか、長官、あなたの経過のお話と今の副理事長さんのお話というのは、どうもいささか食い違うように思うけれども、そういう認識の誤りというものがやはりこの事態を引き起こした一つの要因じゃないかと私は思うのですけれども、近藤さんの御見解をここで承っておきたいと思います。
○近藤国務大臣 私、先ほどから伺っておりまして、私もおそらく田邉委員にはおしかりを受けるたぐいの労働問題の関知者だと思うのでございますが、ただ一つ、公平に質疑応答を聞いておりましてお願いいたしたいと思いますことは、何分、原研の理事長あるいは副理事長という方は、国会答弁とか国会質疑ということにあまりなれておられませんので、こいねがわくは、もう少しやさしい声でじゅんじゅんとお尋ねいただいた方がよりいいのではないかと思います。 補足説明は必ずしも副理事長でなくとも、その他の政府委員でも、あらゆる角度から御説明を申し上げて御納得をいただきたいと思うので、この点をお願い申し上げたいと思います。ただいまの質疑応答のいろいろの行き違いに対しましては、私も決してけっこうだとは思いませんけれども、しかし御納得のいく説明のできるような雰囲気というものも、やはりわれわれがつくっていかなければいけないのではないかと思いますので、この点どうぞ御了承いただきたいと思います。
○内田政府委員 私から申し上げまして田邊さんにまことに恐縮でございますが、副理事長の森田さんの言われることは、こういう説明だと思います……。
○田邊(誠)委員 それは副理事長さんからして下さい。
○森田参考人 先ほど局から御説明がありました通りに、支給基準については総理大臣の認可を要するということでございまして、二千九十九円の原資をもって基準線を変えるということが、はなはだむずかしい状態であったということを御了解を願いたい。そこで二千九十九円のうち、できるだけ基準線に上積みをいたしまして、そうしてどうしても残る金がございましたから、これは一時金で支払っていくという、やはり支給基準については総理大臣の認可を得るというところに問題があるのではないかと存じます。
○田邊(誠)委員 またさっきと話が違って参りました。近藤長官のお言葉もございますが、実は私は日ごろ大へんネコのようでございまして、これは委員の皆さんが御承知の通りだと思います。私は理の通ったことに対しては、決してあえて追及するとか、そういう態度ではないつもりでございます。ただ、私の知識、理解する範囲では、先ほど来の副理事長さんなりその他の方々の答弁ではどうも納得しがたい、こういう私は考えでございます。今お聞きをしますると、原資はあった、二千九十九円で支給したかったけれども、何か給与の体系なり基準というか、そういったものについて当局の許可がなかったから、原資はあったのだけれども、遊ばしておいてはもったいないから、親心でもって二千九十九円やむなく一時金で支払った、こういう格好ですな。
○森田参考人 これは先ほども申しました通り、三十七年度に、支給基準にあまり積みますと支払い不可能なことになりますので、二千九十九円の中、千八百四十円の限度において三十七年度以降支払い可能であるという状態のもとにやりましたことと、それからいろいろ局の御指導もありまして、研究者に研究手当をつけ、それから技術者がなかなか採れない状況から、初任給の調整手当をつけるというような処置をいたしたわけでございます。
○田邊(誠)委員 原子力局でそういったことをしろというわけですね。そうでなければいかぬ、原資はあるけれども、実際には千八百四十円しか賃金引き上げには使ってはいかぬ、これは予備費を回すとか回さないとかいう話じゃない、あと二百五十九円は賃金引き上げに使ってはいかぬ、こういうふうにあなたの方では命令したのですか。
○江上説明員 私の聞いております範囲では、基本的なラインの中での配分の問題、個々の手当を幾らにするというような問題について、そこまで立ち入った考えなり、技術上の指導をしたというふうには聞いておりません。
○田邊(誠)委員 一体そうすると、われわれはどういうふうに理解をしたらよろしいのですか。所の方では二千九十九円の上積みの原資がある、そういうふうに思っておるけれども、これは局の方でもってそれをお認めにならぬから、千八百四十円でもって賃金引き上げの原資に充てて、あとは一時金に回した、こう言っておるのですよ。原子力局の方では、そこまでくちばしをいれておらぬと言うけれども、僕らは一体どういうふうに理解をしたらよろしいのですか。そんな責任をみな回避するような格好でもってやっておったのでは、これは問題が解決しませんよ。これは不当労働行為にもなろうし、賃上げはいつも円滑にいかないで、労働組合が実力行使もしょうという格好は、これは無理はないですね。そうは思いませんか。一体今お聞きをしましても、どこを最終的なめどにしたのか。ボタンを押したのがどこなのか、さっぱりわからない。こういう状態でありますけれども、これは一つ私どものわかるように説明してもらいまして、長官のお言葉のように、なごやかに発言できるように、一つ私の方もお願いをしたいのであります。私の方からお願いしたい。これじゃなごやかにできませんがね。さっぱりわからない。両方でもって責任がないと言っている。これじゃ幾らおとなしい当方であっても、おとなしいだけで相済まぬ。この跡始末は一体どうしてくれるのですか。これでは時の氏神でしょうがない。私もどうも少し気が短いものですから、堀さん、これはどういうことになりますかな。問答を聞いておりまして、これはタヌキとムジナの化かし合いみたいなものでしてね、責任はどこにもない。最後の給与の決定というものを、所の方では原子力局におまかせして、千八百四十円にしちゃいかぬという話だし、局の方ではそこまで立ち入っていないというのだけれども、一体こういったときはどうあるべきでございましょうか。あなたはなかなか博学だから、一般論を言われては困るが、一般論は言わなくてもけっこうです。あなた、一つこの裁断を下して下さい。
○堀政府委員 ただいまの御質問を私は裁断すべき立場じゃございませんが、ただいま伺っておりまして感じましたことは、私どもの中労委その他の関係者から、この事件の問題点について聞いておりました理解の上に立っての問題点というのは、ただいま御質問がありましたように、二千二百五十円を予算ベースの上に積み上げるか、あるいは現行、ベースの上に積み上げるか、その点が係争の問題なのである、このように了解しておりました。従いまして、原研の方におかれましては、現行ベースに積み上げることはできなかったけれども、予算ベースの上に積み上げた、このように理解しております。ただいま御答弁を聞いておりますると、どうもそのほかにも問題点があるように、率直に申しまして伺ったわけでございます。ただ、私どもといたしましては、これは予算ベースの上に二千二百五十円を積み上げることは積み上げたんだ、このように聞いておりまして、ただ、今伺っておりますると、どうもそうでもないというようなことがありまして、私も率直に申しまして同じような疑問を持った次第であります。どちらが——原子力局が正しいのか原研が正しいのかという点は、私、事情も存じませんけれども、また裁断すべき立場にもございません。率直に申しまして、そういう感じを持ってお聞きしたような次第であります。
○田邊(誠)委員 これはもう労働省だっておかしいと言っているのですけれども、副理事長さん、これは天下に不可思議な、原研の七不思議の一つですな。これは困った問題ですよ。私は十分承知をしておるつもりです。科学技術特別委員会の議事録も私なりに読みまして、近藤長官の苦衷の点もいろいろと推察しているのです。それから原子力局の立場というもの、研究所の立場というものも、私は私なりに理解した上に立って質問をしているつもりであります。ですから、最初から、何でもかんでも所でもって全部やらなければいけないじゃないか、それをやらぬのはけしからぬじゃないかという質問はしていないのです。相当へり下って低姿勢でやっているのです。池田さんではないけれども、いつまでも低姿勢というわけにはいかないのです。 こういうことになるのじゃありませんか。来年度予算は、研究所はたしか六十億近くの予算を予定しているのでございますけれども、そのうち五十六億三千九百万円というのが、政府が今国会に提案されておる原子力研究所向けの予算でございます。従って、こういう予算を支出されようとしているのでありますから、政府なり科学技術庁は重大な関心を払っているということも、また事実でございます。原研法に基づいて、原子力局がこれに対するところの具体的な監督の立場にあることも承知をいたしておりますけれども、給与の問題については、科学技術庁あるいは大蔵省と自主的に相談をされる立場であっても、一体どの程度の制約権があるものかということになりますと、きわめて微妙な問題ではありましょう。しかし、私は原研法二十六条なりその他の条項に照らしてみても、給与の水準なり一つの基準なりについては、これは科学技術庁なり原子力委員会なりできめるということはあると思う。しかし、これを事実問題に移して実施をするのは、あくまでも研究の理事者側にあると私は思うのであります。これは当然給与の配分問題等も含めて、この断を下すのは研究所にありと私は判断いたすのであります。これは私の端的な発言で、あまりひだの多い発言ではございませんから、あるいは単純過ぎるかもしれませんけれども、ごく突き詰めて言ってみて、一つの規範なり一つの水準の問題についての論議は、科学技術庁なりにもある、しかし、具体的に実施をする、配分の問題も含めての決定権というものは、原子力研究所にまかされておるのじゃないかというように判断するのでございますけれども、次長さん、どうですか。
○江上説明員 私も先生の御意見と同様に考えております。
○田邊(誠)委員 副理事長さん、どうなんですか。
○森田参考人 こういう問題で最も苦心しておるのは、中にはさまれておるわれわれであるということを御了解いただきたいと思います。御承知の通りに、本来われわれは特殊法人であって、民間の資本が四、五%入っておりますためにそうなっておりますが、一方組合の方は、労働法上の全部の権利を持っておるのでありますし、われわれの方は、非常に制約された中におるというところに根本的なむずかしさがあるのではないかと私は感じておりますが、今おっしゃいましたようにだんだんなっていけば、われわれの方も非常にしあわせに存じます。
○田邊(誠)委員 そういう答弁をされるから困るのです。それでは、現実にはそうなっていないのですか。あなたは、そういうふうになってもらえればよろしいという希望条件を述べたけれども、それでは困るのです。時間ばかり食ってしまう。次長はそういうように言われておるが、あなたの方は、それは希望条件ですか。昨年の十月十日の科学技術特別委員会において、菊池理事長がおいでになっていろいろと発言をされておる。これはあなたと一体であろうと思うのでありますけれども、菊池理事長は、この問題は給与そのものの問題である、この事態の裏には、結局原研の給与というものがどういうものであるべきかという問題に対して、必ずしもはっきりした考え方がない、理事者側にこういう給与に対するところのはっきりした考え方がないというところに問題があるのです。これではどんなことがあってもそれに対処できません。これは理事長の発言だけれども、あなたもその通りですね。一体給与の問題はどういうことになっているのですか。私の言ったことが間違っていたら、田邊さん、あなたの言うことはしろうとだからそれは足らぬ、こういうように教えてくれればそれでいいのですよ。将来に対する希望条件を述べてもらっているのではないのです。
○森田参考人 菊池理事長がそこで申しましたことは、原研に考え方がないということではなくて、その考え方を持っても、なかなか実現がむずかしいという意味の発言だと私は了解いたしております。
○田邊(誠)委員 どうも困った話でありまして、そういったきわめて責任感のない、無気力の態度で問題の解決をはかろうとしてもなかなかはかれない。これは事実であろうと思うのであります。私は、特殊法人で政府の監督権があるということを承知いたしておる。しかし、それだからといって、全部が全部政府におんぶし、政府に全部おまかせをしなければ何もできないというものではないと思うのです。これは三公社もある。政府に直結している五現業もあります。これは公労法の適用を受けている。こういうふうな政府の機関であっても、労働組合との団体交渉で最終的な妥結をする、こういうことであります。政府の統一見解という、あなた方のワクよりももっと大きいワクがあるわけです。しかし、それでも団体交渉を積み重ねて、ましてや配分等の細部の問題は自主的な交渉でもって解決をしているというのが、長い間の戦後における労働組合の、官公庁におけるところの立場であっても、現在そういう状態である。これは一部の労働三権を認められておらない、公共企業体等労働関係法の適用しか受けていないいわゆる政府の機関であっても、こういう状態である。あなたの方は、少なくともこれは純然たる民間の会社などとは思いませんけれども、しかし監督権はあっても、実施権能というものは、あなた方理事者にある程度まかされているわけです。ましてや労働組合は、労働三法のいわゆる労働三権が認められているところの労働組合であります。労働組合から要求のあることは当然であります。団体交渉はゆえなくしてこれを拒否することはできないことも、また当然な話であります。そういたしますならば、いかような制約があろうとも——あなた方の立場、苦衷はわかる。しかし、そのことによって労働組合なりあるいは働いているところの所員に対して、おれの方はこれだから、お前たち一つこれでもってがまんしろ、もうこれ以上は団体交渉できない、一方的に支給する、こういうことはあくまでも許すことのできないことであります。こういうあなた方の立場というもの、これを私どもは労使関係を離れて見た場合に、かなりわかる面はあっても、これを労働者に押しつけることは、現在の労働法上の建前からいってできない、こういう状態であろうと私は思うのですけれども、この法律は、特に労働法上の労働者に対して義務を免れることはできない、このことは御承知でございますか。
○森田参考人 先生のおっしゃる通りでございまして、われわれは誠意をもって制約の中において自主的に、懸命に交渉はいたしておるつもりでございます。
○田邊(誠)委員 それはここで誠意などと言っても、さっきのような聞いている者がだれもわからぬような、一番の権威者である堀労政局長ですらもわからぬ、中労委を足げにして、あれが聞かなければ、国会も聞かなければ、それでもってほうかむりして何とかきょうは済ましておこうという、こんなその日暮らしのような態度では、これから先のいわゆるほんとうの意味における労使の正常な関係をつくることはできないと思うんです。今も賃金引き上げの問題は起こっているでしょう。一体どのようになっているのですか。あなた方は具体的に回答しましたか。どんな回答をしたのですか。
○森田参考人 御承知の通りに、公務員のベース・アップの問題が国会にひっかかっておりまして、つまりわれわれの方は公務員に準じて扱うということで、公務員がきまらないうちは原子力局の指示も得られないし、あらかじめわれわれとしてのものの考え方を申しますと、昨年と同様な大へんなむずかしい問題になりますので、今のところはわれわれとしてこういうものの考え方でベース・アップをしたいのだという程度で、具体的の数字等には入れないというのが実情でございます。
○田邊(誠)委員 そうすると、労働組合がどんなことをやってもそれはしようがない、公務員の給与がきまらぬうちはきめられないのだ、こういうことですね。私はそんなことじゃないと思うんですよ。これはもうさっき近藤長官も言われたし、原子力局の次長も言われ、労働省の見解もある程度明らかになった。あなた方はもっと勇気を持っていいのですよ。もっと自主性を高めていいのですよ。あなた方が決断すれば、あなた方さえ勇気があればできるはずです。それをようせぬようでは、これは理事者としては、どうも完全な意味における適格性を持っているというように認識をすることは、なかなかできぬのじゃないかと思う。具体的な回答をしないというのですね。三十五年に中山あっせん案が出ていますね。原子力研究所をつくった当時の国会の意思なり政府の考え方なりからいっても、これは財団法人よりも特殊法人として政府の監督下に置くけれども、しかし優秀な技術者を集め、原子力研究のいわゆるメッカとしてその内容を充実発展させるためには、少なくとも公務員の給与よりも、事務系統で二割、技術系で三割くらいの上積みがなければならぬだろう、こういう中山あっせん案が出たことは御承知の通りでありますけれども、一体この中山あっせん案の精神というものを尊重されて、今回の給与引き上げについても対処されるお考え方があるかどうか、これだけは答弁できるでしょう。
○森田参考人 中山あっせん案の御趣旨を非常に大事にいたしまして、昨年われわれの回答を出したわけでございます。今回につきましても、局に対してはいろいろ研究者に対して特に優遇をせられたいという要望をいたしておるのでございまして、中山あっせん案を十分に尊重いたしておりますことは間違いございません。
○田邊(誠)委員 そういたしますならば、公務員の給与引き上げがきょう衆議院の本会議を通過いたしました。池田総理も早く支給しろなんて言っていますから、これは間近くきまると思うのでございますけれども、公務員の給与ベースの引き上げが間近くきまるという現時点において、このベース・アップが実現をした場合は、一体どのくらいの引き上げをされる御用意がありますか。今までずっと話してきたのだから、この辺で一つあなたの腹がまえというものを示して下さい。
○森田参考人 これは軽々に、今のところちょっと申し上げにくいので、局と十分に御相談してきめたいというふうに思っております。
○田邊(誠)委員 中山あっせん案の趣旨を尊重するというけれども、三十四年十二月に中山あっせん案が出て、大体二割、三割公務員給与に上回るものを支給すべきである、こういうことでございましたけれども、その後の状態というものを見ますると、三十五年十月に一二・四%の公務員の給与改定が行なわれました。労働組合は、この当時中山あっせん案の趣旨を尊重して、公務員給与との格差を維持するとするならば、二二%ぐらいの引き上げが必要である、こういうふうに言ったけれども、あなたの方は原子力局に一六・八%の要求をされたそうでございまするけれども、結果は一二・四%の公務員の給与改定と同じでありました。あなたは数字にこまかいそうでございまするけれども、これならば差が縮まることは事実ですね。三十六年の十月、公務員の給与改定が七・一%行なわれました。労働組合は一四%の要求をいたしましたけれども、あなたの方は八・四%の要求をされた、こういうふうにさっき言われましたけれども、結果は三・一%に終わった。そういたしますると、三十四年十二月の中山あっせん案が出て、公務員給与よりも二割、三割よくなければほんとうの研究所の技術者を集めて満足な研究をすることはできない、こういう原研法ができた当時の趣旨というものを尊重してこれを生かす、こういう立場であっせん案を出されましたけれども、その後二回も公務員給与の改定をやりましたけれども、実際問題としては、この格差というものはますます縮まってきておる、こういう状態というものは、数字を見ても明らかな通りであります。そういたしまするならば、一つこの際、あなたは中山あっせん案の精神を尊重するということでありまするから、相当な英断をもってこれに当たるという気がまえがおありだろうと思いまするけれども、そういうふうに国会は理解をしておいてよろしゅうございますか。
○森田参考人 格差がだんだん縮小されるということにつきましては、われわれ経営者として一番つらいことでございまして、そのために昨年も格差が縮小をしないようにするために、あれだけの決心をして努力をいたした次第なのでございまして、ただ遺憾ながら、私はっきり申しますれば、原研法ができた当初より原子力自体に対するものの考え方、全体のバックグラウンドというものが少し変わってきて、縮小やむを得ないのだという一つの思想があってこういうことになってきたのではないかということを私は非常に心配いたしておる次第でございます。
○田邊(誠)委員 そういった空気があるとすればそれをあなた方は抵抗して、その孤塁を守っていくのがあなた方の立場でしょう。いや決して孤塁ではありません。原研の重要性というものは、ますます世論が認識を始めているのです。その重大性というものを、三十一年当時よりもさらに認識をしているというのが一般的の空気だと私は思う。しかし、中にある者がそういった事実の認識に立っておるということは、私こそ実はきわめて遺憾であります。どうですか次長さん、三十一年につくった当時の給与より、だんだん格差が公務員に比べて縮まってきておる現状であります。具体的な数字を説明した通りであります。これは最初につくった考え方と違うのではないか。これは、私はあの当時の国会の議事録も一通り拝見をいたしました。やはり特殊法人にしなければならぬという中には、施設を充実させる、そしてまたそこに働いている人たちに対しても一つできるだけの給与をやる、そういった意味合いでもって一つ研究所を発展させようじゃないか、こういう趣旨の答弁が当時あったはずであります。これは当時の中曽根長官でしたか、からも、そういったことが言われたはずであります。そういった点から言いますならば、だんだん公務員給与との格差は縮まってきている、そういう空気が出ているということを副理事長さんから聞きましたが、私はきょうの副理事長の今の発言ぐらい切実に聞いた発言はありません。そういう空気があるとすれば、少なくとも科学技術庁の当局、その中で特に原子力の研究所を監督する立場、そしていろいろな面におけるアドバイスをする立場であるあなたの局は、そういった空気がもしありとするならば——私は一般的な空気としてないと思うが、ありとするならば、この点は一つあなた方もがんばって、なるべく設立当初の意図なり性格なり精神というものがなくならないように、薄らがないように配慮をするのがあなた方の立場であろうと思うのでありますけれども、今の身につまされる理事長のお話を聞いて、どうですか、原子力局としては、そういうような努力を今までやってきたかどうか、今後もそれをさらに続けるという御熱心な態度がおありかどうか、その点を一つお伺いしておきたいと思います。
○江上説明員 原研設立の趣旨から見まして、日本の原子力研究の中核体である日本原子力研究所に対しましては、最高の研究の環境の整備をするのみならず、その研究者に対しては、この種の政府機関のうちで最も高く、民間の水準を含めて考えましても相当上位にあるという処遇を与えるという基本的な態度で臨むべきであると思います。 なお、研究者以外の職員につきましては、同種の職域にある人たちとの均衡を考慮して適正な処置をすべきである、かように考えます。この基本的な考え方は、原子力委員会としての基本的な態度でございまして、原子力局としても同様に考えております。 なお、中山あっせん案当時の考え方につきましては、先生も御存じの通り、藤林あっせん案の中に「この中山あっせん案に示された格差維持の原則を将来に向って明示することは、中山あっせん当時とは四囲の事情が異り、困難であると考えられる。しかし、発足以来中山案の過程を経て今日に至った原研特有の特殊事情は今日においても尊重しなければならないものと考え、」云々、こういうふうに書いてございますが、同様な考え方で臨みたい、かように考えております。
○田邊(誠)委員 現実はそういうふうになっておらないのでありまして、だんだん格差が縮まってきている、その他いろいろな公社ができておることも私は承知しております。その当時とは、そういう意味合いにおけるところの比較対象になる部面がふえてきていることも、これは承知しなければならぬ、しかし、そのことがやはり当初の精神を失わしめ、あるいは中山あっせん案が、これは原則的に示した精神というものを踏みにじっているというふうに解釈することは、私はいかぬと思います。そういった意味合いにおけるところの皆さん方の最善の努力ということが望ましいことは、事実であろうと思うのであります。私は給与問題でいろいろお聞きしたいのですけれども、理事者の皆さん方のお約束もあるようでありますから、結論を早めていきたいと思うのであります。今賃金の問題は、非常に大きくクローズ・アップされておりますけれども、この研究所の賃金だけの問題ではなくて、いろいろ労働条件が複雑でございます。この問題が快刀乱麻を断つがごとくうまくいけばいいのでありますけれども、実はなかなかうまくいっていない、こういう状態が、私は、実際に従事するところの職員といいましょうか、所員といいましょうか、そういう方々の仕事や研究に大きな支障を来たしておるところの要因ではないかと思うのです。研究所全体の待遇の問題ばかりではありません。これは非常に危険な仕事をされておるわけでありますから、それに対するところの安全体制や運転体制というものを確保することも必要でございましようし、危険に対するところの予防施設を完備することも、これまた必要なことであろうと思うのであります。 そこで、これは抽象的なことを言っておったのではどうも話にならないから、具体的な事実でもってちょっとお聞きをしておきたいのであります。今月の二十一日の夜六時五十五分に東海村の原子力研究所のウランの燃料再処理試験室でもって爆発事故が起きて、少量の放射能が飛び散った、こういう事故が起こったようでございますけれども、一体これはどういう原因でもって起こったのでありますか。
○森田参考人 起こりましたのは、廃棄物処理場の実験室でございまして、実験室の十号室で、二十三坪ぐらいのところに、ケロシンとTBPの溶液がまざっておったところに、硝酸を入れましたところが、それが反応を起こしまして——二時ごろにそれを入れたのでございますが、ちょうど六時四十分ぐらいに所員が全部引き揚げて、引き揚げるときに発熱していないかということを見て帰ったのでございますが、不幸にしてそれが希釈熱のために発熱をいたしまして、一本爆発いたしました。それで近所に置いてあった石油カンが——十九個ほどあったわけでありますが、そのうちの二つが続いて爆発したということで火災を起こしたのでございますが、放射線があったかなかったかということはすぐに調べまして、放射線の関係では、その作業以前の放射能と全然関係のないものであるということがわかりまして、いわゆる非常事故態勢という態勢をとらなかった、単純なる火災であったということになっております。まことに申しわけないことと思っております。
○田邊(誠)委員 まあ危険があるかないかということについての科学的な知識は、われわれはございませんから、突っ込んで疑義をただすわけにはいきませんけれども、しかし一応この試験室は、放射性物質を扱う第一種管理区域内に指定されておったことは事実のようでございます。その場合に、爆発事故が起こってから、所員なり、あるいはこれは防護隊というのですか、正式な防護隊というのはまだないそうですが、防護要員といいましょうか、そういう人がかけつけたようであります。防護服というのですか、何かそういったところに入るには身固めをして入るそうですけれども、一番最初に入った人は、全部身固めをして入りましたか。
○森田参考人 一番最初入った方は、富岡と申しますのと二人——その辺は第一管理区域ではございますけれども、放射線はほとんどないということを十分知っておりましたので、一応防護服に身を固めずに入りまして、消火弾をもって消火をいたしたということでございます。防護服の設備は別にしてございますが、それを着ずに二人は入りまして、その後全部で、所長代理以下八十五名消火に当たりまして、七時十五分には鎖火いたしたということでございます。
○田邊(誠)委員 あとから入った人は防護服を着ておったそうですね。
○森田参考人 私、あちらの報告を聞いておりまして、防護服に関しましては、ほんとうのところはっきり存じません。最初の人が着てないことは知っておりますが、あとの人は、私は着ておらなかったのじゃないかと思います。
○田邊(誠)委員 新聞の報道ですし、また私が違う面から聞いておる範囲では、八十人ばかりが入りましたけれども、防護服に身を固めた同研究所の保健物理研究員ら八十人が、現場にかけつけて消火に当たったと新聞は報道しておるのですが、新聞がまさか虚偽の報道をしているわけでもないと思います。そのフィルム・バッジをつけて入った人がおるようですが、それはあとで測定すれば、カウントが低カウントであるかないかわかるはずでありますけれども、しかし、全然危険がないということをあなた断言できますか。これは何で第一種の危険区域に指定されておったのです。やはり危険がある、そういうことが予測できるでしょう。それはカウントが高いか低いか知らぬけれども……。
○森田参考人 その近辺にウランの硝酸溶液がありましたので、そこが第一管理区域になっておりますが、そこの実験室の辺は、全然汚染されてないという確信のもとに、一番最初の人は入ったという工合に聞いております。その後保健物理の人は身を固めて入ったのだろうと思います。最初の数人は、その二人が大丈夫だという判断で入ったということを聞いております。
○田邊(誠)委員 私は質問をするためばかりでなく、これは関心を持っているから全部の新聞を見たのですが、それを大体総合して、間違いない報道のところだけ実はいろいろと聞いておるのであります。あなたの方は当該者なんだから、もうちょっと正確な点を知っておいてもらわないと困ります。爆発事故としては初めての大きな事故というのだけれども、国民は原子力研究所がいつも爆発しやしないかと思って心配しているのです。そんなものじゃないとあなた方は言われるでしょうけれども、問題は安全体制が一体どうなっているかということなんです。その場合、やはり日ごろの訓練が行き届き、体制がきちんとしておれば、防護服に身を固め、きちんとそれに対する対処をするという形になるだろうと思うのでありまして、そういった措置がなされてないところに問題があるのですけれども、何か新聞が書いておるところでは、事故発生から約二十時間たった二十二日午後三時三十分過ぎになって、やっと科学技術庁に報告をしたというのでありますけれども、そのため同庁では、原研内の連絡体制に不備があるのではないかと見て関係者から事情を聞くとともに、緊急対策について再検討を指示した、こういうふうになっておるのですが、これが事実だとすれば、一体どうして科学技術庁に対する報告が二十時間もおくれておるのですか。
○森田参考人 当初口頭または非常に簡単な書面でもって報告はいたしまして、二十時間おくれたというのは、東海でもって全部総合して、完全な報告体として報告をしたのは二十時間後だということでございます。
○江上説明員 私の聞いておりますところは、直接原子力研究所を監督いたします原子力監理官のところへ報告が参りましたのが、朝の九時半でございます。それから書面で概要を書いて報告が参りましたのが、午後二時半ごろというふうに承知しております。
○田邊(誠)委員 また所の言うことと局の言うこととは全く違うじゃないか。朝の九時何分まで報告がなかったというじゃないですか。すでにこれはテレビやラジオでは報道されていますよ。監督官庁に対する報告は翌朝までなかったというのです。一体これでいいのですか。給与の問題だけはしょっちゅうお伺いを立てるけれども、こういうときの報告というのは、そんなにおくれてもよろしいようにあなたの方の機構はできているのですか、皮肉な質問をするようですが。重大な爆発事故が起こったのですよ。その報告を翌日までなさないというようなことが、常識として考えられますか。夜中であろうと、どこであろうと、課長のうちであろうと、局長のうちであろうと、次長のうちであろうと、連絡のしょうはあるはずですよ。これは一体どういうわけでおくれたのですか。
○森田参考人 向こうにいる責任者が、これは単純なる爆発で、翌日まで延ばしても心配ないという判断に立ったものと私は存じております。これからは、もし事故があれば、とにかく迅速に連絡をいたして疎漏のないようにいたしたいと存じます。
○田邊(誠)委員 今後疎漏のないようにと言ったって、取り扱うところが違うのですから、僕ら国民の立場からいっても、原子力研究所というのは何か事故が起こっては困るぞ、そういう常識的な心配をしておるのですよ。そういう国民の気持も考え、あなた方の置かれておる特殊な立場というものを、そういうときにこそ迅速果敢に発揮されるべきものであると私は思う。そういうことがなされておらないということで、あなた相済みますか。あとでもってそれは大した事故でなかったと言うけれども、もし放射能で危険なことがあったら、あなたどうしますか。あなたの首を切ったって済みませんよ。そういう単純な言いのがれの言葉で、相済みませんじゃいけませんよ。
○森田参考人 私言いのがれをしておるおるつもりはございませんが、いろいろ当時の東海における最高責任者の話を聞きますと、単純な爆発であるということが非常に早く判明いたしましたので、外に早く連絡してかえって御近所の方等に心配をかけては悪いので、とにかく鎮火しておさまった翌日にちゃんと連絡すればよろしかろうという判断に自分は立った、自分では正しいと思ってそういたしましたということの報告を聞いております。
○田邊(誠)委員 あなたの見解を聞いているのでありまして、副理事長さん、われわれも人を使う身になってみた場合に、部下がどうであろうと、最終的な責任はあなた方が負うべきものですよ。あなた方が、やはりそういう体制に置くという努力をしなければ、万一の事故があったら、あとどうにもなりませんよ。あとでもっておわびをしますということでは相済まぬのでありまして、そういった点から、私は、この爆発事故というのは、やはり研究所としてはそれこそ重大なこととして、幸いにしてこれはあるいは放射能の危険な状態というものはなかったかもしれないけれども、あるいは爆発事故としてもすぐにおさまったかもしれないけれども、そういうことに対してこそ原子力局に当然早く連絡をして、指示を受けて相談をして適切な措置を講ずることが、千五百人の所員を預かり、それと家族を含めてのあなた方は親の立場で、あるいは付近の住民、あるいは研究所の設置に対する大へんな関心を持っておる国民に対する責任ではないかと私は思うのです。そういった点からいって、ことに私は、この一事をもってしても、大へんなあなた方の認識の足らなさを嘆かざるを得ません。一体こういうことは、やはりわれわれが、心配しておる所の全体的な体制というものが確立をしてない。さっき申し上げましたように、やはりこれは安全体制や運転の体制、労働条件、それからいろいろな施設の完備、こういったものが充足されて、初めて仕事の円滑な遂行というものができるのでありまして、何かそこに欠けるものがあるのではないか、こういうふうに思うのです。このことが、一番最初から問題にしておる労働問題にも響いてくるのじゃないかと思うのです。そういう点で、きょうは実は副理事長さんの御出席をわずらわし、いろいろお聞きしました中で、総体的に労働問題ばかりでなくて、今のような事故の発生の対処の仕方をながめてみても、この原子力研究所の運営に対して、さらに改善をする余地がありと私は考えるのでありますけれども、近藤長官、せっかくずっとお聞きでこざいましたけれども、今のような労働問題、特にその中の賃金の問題における労働省の見解すらも、どうも不可思議だと思わせるような事態、爆発事故に対するあとの処理の連絡遅延の問題、こういった問題を考えてみた場合に、私はやはりさらにこの研究所の内容改善に対して一段の努力が必要ではないか、そういう点にこそ科学技術庁も総力をあげて取り組み、そしてあとは自主的な判断におまかせして、理事者側が自由濶達に運営ができるような体制をつくることが一番緊急な問題じゃないかと思うのでありますけれども、一つ長官の決意のほどをお伺いしておきたい。
○近藤国務大臣 原子力研究所というような特殊な機関でございますので、もちろん賃金、給与というようなことも大事なことでございますが、これは考え方によりますと研究所内で解決のできることでございます。しかしながら、今回、たとい問題にならないほどの爆発事故であったといたしましても、国民一般に与える影響は非常に強いということは私も田邉委員と同感でございまして、この点に対して、私は研究所がほんとうに一生懸命取り組んで下さらなければならないという気はいたしたわけでございます。その点につきましては田邉委員と同感でございまして、今後研究所のあらゆる問題を、一応あらゆる角度から取り組んでみる時期に来ているのではないかという感を深ういたしておりますので、できるだけ御期待に沿うように、当庁といたしましても努力をいたして参りたいと思っております。
○田邊(誠)委員 約束の時間が参りましたので、実はさらに具体的な、突発をしている事故の原因の探求なり、それに関連する労務関係なり、そして一番最初からお伺いいたしました賃金問題を含めての労使関係の正常化というものの一体あり方はどうすべきか、こういったことについて、実は労働大臣がお見えであれば、さらに政府の統一的な見解をお伺いしておきたかったのでありますけれども、お見えでございませんので、一つ私は菊池理事長にもまたおいでいただいて、いろいろと質問をする機会があろうと思いますので、そのときまで留保をいたしますけれども、しかし、きょうお聞きをしました範囲では、やはり科学技術庁の直接の担当部門の原子力局あるいは研究所の理事者、この人たちが現在の労使関係に対する正しい認識というものをお持ちでないという点が、私は非常に残念に思うのであります。特に理事者が、監督権者としての政府なり科学技術庁の制約というものがあったにいたしましても、これを必要以上に感じ、これに対する正しい意味におけるところの自分たちの自主性を守る、こういう考え方と熱意、努力というものがまだまだ不足をしておるということを考えざるを得ないのです。そういった意味合いで、研究所は労使問題におけるところの当事者能力がある、こういう認識でもって、いかなる制約があろうとも、そのことによって労働組合なり労働者に対して制約を加えるという理不尽な態度に出ることなく、あくまで当局に向かってその自主性を守り、実施できるような、こういう一つ熱意を持って対処されることが必要ではないかと思うのでありまして、その点に対するあなたの一そうの御努力をわずらわしたいと思うのであります。現在の時点におけるところの賃金の問題や、あるいは不当労働行為に関するところの地労委のあっせんの状況等を含めて、労働条件の確立の問題について、われわれは、実は非常に不十分な点が多い、こういうふうに認識をせざるを得ないのでありまして、本日実は疑義の解明ができなかった藤林あっせん案に対するところの態度等は、一つぜひとも十分に科学技術庁と研究所と意思の統一をはかり、その上に立って、今第三者にかかっておるこれらの問題に対するところの誠意ある対処を願わなければならぬと私は考えるのでありまして、これらの問題を含めて、今長官のお話のありましたような前向きの体制を一日も早くつくっていただくことをお願いして、とりあえず本日の私の質問を終わりたいと思います。
○秋田委員長 森田参考人ありがとうございました。 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十七日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後五時三十七分散会