社会労働委員会 第10号
- 発言数
- 64 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/02/19
会議録
○秋田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出の雇用促進事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
○秋田委員長 提案理由の説明を聴取いたします。大橋労働大臣。
○大橋国務大臣 ただいま議題となりました雇用促進事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。 各国における貿易自由化の大勢に即応し、わが国経済の一そうの伸展をはかるため、政府は、さきに貿易の自由化を推進することを決定したのでありますが、これに伴って、わが国における鉱業、特に金属鉱業等におきましては早急に抜本的な体質改善を行なう必要に迫られております。しかもその過程において鉱山の縮小、休廃止等によりかなりの離職者が発生しており、このため、政府としては従来とも各般の施策を講じて参ったのでありますが、今後においても相当数の離職者の発生が見込まれているのであります。 自由化に伴う金属鉱業対策につきましては、さきの第四十回国会において決議がなされており、また、政府も鉱業審議会に対して自由化に対処する鉱業政策のあり方について諮問し、昨年十月同審議会から中間答申をいただいたのであります。政府といたしましては、国会における決議及び鉱業審議会の答申を十分に尊重いたしまして、今後における金属鉱業等の健全な発展をはかるための諸施策を講じ、これによって安定した雇用の確保に努めるとともに、金属鉱業等からの離職者に対しては、その諸事情が炭鉱離職者に類似しており、その再就職も困難な状況にあることにかんがみ、これら離職者に対する従来の施策をさらに一そう充実したものとするため特段の措置を講ずることといたしました。 このため、職業紹介、職業訓練の体制を整備するほか、昨年末において、雇用促進事業団の業務の一部を拡充して、公共職業訓練を受けるこれら離職者に対して職業訓練手当のほか技能習得手当や別居手当を支給することとし、移転資金についても増額をいたしたのでありますが、今回さらに、雇用促進事業団の業務の特例として、これら金属鉱業等離職者に関してその業務を一そう拡充して行なわせることとし、ここに雇用促進事業団法の一部を改正する法律案を提出いたした次第であります。 次に、その内容について概略御説明申し上げます。 まず、雇用促進事業団の行なう業務の特例として、新たに、公共職業安定所の紹介により一定の要件を具備した金属鉱業等離職者を雇い入れる事業主に対して、雇用奨励金及び労働者住宅確保奨励金を支給することとし、これらの業務の実施について必要な規定を整備いたしたのであります。なお、このような事業団の業務は、金属鉱業等において貿易自由化に対処する態勢の整備等の事情を勘案し、この法律の施行後二年間に限り行なうものとし、これに伴って必要な経過規定を設けております。 以上のほか、本改正法案の附則におきまして、かかる業務の特例に関する規定は本年四月一日から施行することといたしております。 以上、この法律案の提案理由及びその概要につき御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
○秋田委員長 なお、本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○秋田委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。小林進君。
○小林(進)委員 きょうは、労働大臣の所信表明に関しまして、わが党では大原君と吉村君が御質問を申し上げる順番になっておりまして、一切の資料を整えておったのでありますが、公務やいろいろの用事でまだここへ参っておりません。両君が参ります間のつなぎまでに、若干の質問を行ないたいと思うのであります。 私の本会議場における代表質問に対しまして、総理大臣から、ILOの批准の問題について、この通常国会中に行ないたいという御答弁がございました。労働大臣からも、その総理の御答弁を受けて、総理の答弁の通りである、こういう御答弁を得たわけであります。その後、その問題が一体どう具体的に進んでいるのかということを、私どもは昼夜の分かちなく耳をそばだてて事の成功を祈っていたわけでありまするが、新聞紙上伝うるところによれば、一進一退でどうも同じところばかり堂々めぐりしているようで、ばかばかしい感じを受けないのであります。ところが、今朝の新聞によりますると、ジュネーブにおきまして今月の十九日から結社の自由委員会が開かれる。そこで当然、わが日本におけるILO八十七号の批准問題が取り扱われるという順序になっておるのであります。これを受けて外務省では、先般その報告を兼ねて帰朝いたしておりました青木大使が、急遽今ジュネーブに帰られたようであります。帰られるからには、わが政府のこれに対する確固たる一つの方針というものも、あるいは自由委員会、あるいは次の三月五日でありまするか、開かれる理事会等々に対する方策や回答はちゃんと持っていかれたものと私は判断をいたしておるのであります。一体どういう回答とどういう方針を持っていかれたのか、これは外務省の責任者のおいでを待って、支障ない程度に一つお尋ねしておきたいと思うのであります。 あわせて、労働省の方も工藤審議官が現在ジュネーブにおりますが、工藤審議官は十八、十九両日、結社の自由委員会が日本のILO八十七号批准問題を審議するに対して、対日強硬勧告を避けるため関係筋に国内事情などを説明する予定である、こういうふうに報道をせられておるのであります。出先の工藤審議官が説明をせられるについては、やはり相当大臣から具体的な回答内容、方針等も指示を受けて、その上に行動をせられると思うのでありまするが、一体どういう指示と方策を授けられているのか、支障のない程度に大臣から承りたい。これは大臣がいられるのに、今の基準局長の大島君にお伺いするのもおかしいのでありまするが、大島君も、かっては工藤君の前任者としてILO問題では非常に努力せられておるのでありまするから、一つ支障のない程度に御回答を伺いたいと思うのであります。私はこういう人間が柔和なものでありますから、なごやかな質問をいたしまするけれども、心中は烈々たるものでありまして、これは実に国家の運命にも関するような国際的重大問題でございますので、一つ誠実に満ちた大臣の御答弁を承りたい。
○大橋国務大臣 仰せのごとく、先般青木大使が諸般の打ち合わせのために帰国いたしております。その際に、ILO条約の問題につきましても、労働省にも打ち合わせに参りました。その際にもいろいろ申したことであり、また、工藤審議官が先般出発いたす際にも打ち合わせをいたしたのでありまするが、実は労働省といたしましては、ILOの問題につきましての従来からの経過を、一応詳細に説明をいたしておいたわけでございます。御承知の通り、ILO関係の法律案は、従来数回にわたって国会に提出になったのでございますが、いずれの回におきましても、衆議院において委員会付託も行なわれずに審議未了になっておる状況でございます。その間の詳細な事情を十分に説明をするように申しておいたのでございます。なお、これと並行いたしまして、国会の各政党の間で、この問題をいかに処理すべきかということについていろいろお打ち合わせが進行中でございまするので、その打ち合わせの進行状況につきましても、私どもの漏れ聞いておる範囲でこれを説明いたしまして、これらの事情から見まして、政府といたしましては、今国会においてはぜひこの案件を成立にこぎつけたいという考えを持っておるということ、そうしてそのためには、政府といたしましてはただいま法案の調整中であるが、おそくも今月中あるいは来月早々には衆議院に提出をいたしたいということ、さらに提出後におきましては、各政党間のいろいろなお打ち合わせが今なお進行中でございまするから、それによっては、多少政府案について修正が行なわれるかもしれない。しかし、いずれにしても、政府としてはこの機会をはずさず、ぜひ批准にまでこぎつけたいというかたい決心であるということ、このことをよく先方に説明するように申しておいた次第でございます。
○小林(進)委員 日本の政党は、西欧の政党と違いまして、西欧では、内政問題では政党の対立があるけれども、事、外交、国際問題については与野党の間に対立は少ない。それに反して、日本においては、国内問題は、ともすると与野党の間に共通の場を見出しながらも、外交、国際問題になると、全く対立をするという批判を受けているのであります。しかし、その中で、少なくともこのILOに関する限りは、与野党の間に何らの対立はないのであります。政府の方も促進をしたいという、われわれの方はもっと早く批准をすべきであるということを重ね重ね政府に勧告をしているのであります。(発言する者あり)ちょっとうるさいようですが、こういう人は、ILOに関する野党の真意を理解する能力がないから、こういう無責任な放言をされるのでありますけれども、われわれ野党の方は、ILO八十七号を早急に批准すべきであるということは、繰り返し繰り返し政府に申し上げておるのであります。そういう共通の場を見出しながら、なぜ一体今までできなかったか。絶対に私どもは反対した覚えがない。それはILOを批准するのに必要な法律の改正さえおやりになればよろしい。それに限るべきものを、政府は、その必要な法律の改正に便乗して、ILO批准に関係のない、国際的に関係のないもろもろの法律の改正を一挙におやりになろうとするところに、二年、三年、四年と、じんぜん日を重ねて今日に至った理由があるわけであります。その問題はあとにいたしましても、事態は、三月五日にILOの理事会の本会議が開かれるわけだ。そこまでに、労働大臣も、去る四十二臨時国会のときに、ILOは次の通常国会に必ず提出するということを言われておりますから、昨年度から今度の国会に政府がILOを提出されることは、国際的にすべてが了承しておる問題であります。それが、もはや日本の国会の半ばを過ぎた三月五日になっても、なお国会にこれが出ないということになれば、ジュネーブにおけるILOの重大宣言といいますか、事情調査何とかという項目が発動せられて、モリ労働代表等が論じているような形で日本に調査団が来る、そういうようなことになりかねない。まことに国際的な不名誉であり、信頼を失墜するような問題を惹起するおそれもございますので、いま一度大臣にお伺いたしたいのでありますが、ほんとうに三月の理事会が開かれる前に、このILO批准に関する問題を国会に提出する準備と心がまえがおありなのかどうか、承っておきたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 三月五日にILOの理事会が予定をされておりますが、政府といたしましては、必ずそれ以前に提案をいたす考えでありまして、目下準備もそれを目途として進めております。
○小林(進)委員 お話の通りに、政党間で話も進められているようでございますから、ここでまたあまり大臣を深追いいたしまして、むしろ聞いて問題を、前向きの姿勢をうしろ向きに変えるようなことであってはいけませんので、私どもその点は慎重にかまえて質問をいたしておるつもりでありますけれども、大体私は、今ILOを批准するために改正をしなければならない直接の関係法案は公労法第四条の三項、地公労法第五条の三項、これだけを改正すれば、直ちにこれは批准ができて、国際上における日本の信頼をそのまま回復できるのであります。なぜそれだけの法律の改正を、そう手間取っておいでになっているのか、それが私は不思議でたまらない。あとはILO批准に関係のない法案なんです。だから、それはすべて一般の法律がこうやって各委員会に付託になるように、国内法は国内法でいつの機会でもお出しになって、政府は多数をお持ちになっているのでありますし、強力なる与党でありますから、お気に召すままに改正をおやりになればよろしいのであって、それを何で一体ILOの批准にひっかけて、共同、同一の時限においてその改正を行なわなければならないという心情が、私にはわからない。大臣の一つ明快な、私どもが納得し得るような御答弁をお願いいたしたいと思います。
○大橋国務大臣 問題は公労法並びに地公労法が、ILO条約の批准と同時になぜ必要となるかという点であろうと思いますが、ILO条約の趣旨であります結社の自由、また労使の相互不介入、こういう趣旨を達成いたします上からいって、この二つの法案の改正が同時に行なわれることが適当である、こう政府といたしましては考えておるわけでございます。
○小林(進)委員 三月五日に間に合うように関係法案の提出をして、国会の審議にまかしたいという大臣の決意を承ったのでありますから、これ以上問題を堀り下げることはやめて、労働省関係はこれで終わることにいたしましても、ただ、特にここで私が承っておきたいことは、それは私もここで承る範囲で、政党間の話し合いでありますが、関係責任の大臣が、それも漏れ承る範囲でありますが、ただその話の過程において、今の国鉄の労働組合のあり方であります。私は第二組合とか第三組合等をつくって、働いておる同じ企業の中における労働者に差別をつけて、そしてもろもろの労働者間の対立を激化せしめるような形が行なわれておるというようなことで——これはきょうだけではありません。私は、三十三年から無慮五年間、国鉄当局に、そういうような不当労働行為あるいは不当なる支配介入のあり方はやめなければならないじゃないかということを強く言ってきたのであります。これに対しましても、今の参議院議員ですが、亀井前労政局長、今の堀労政局長にも、繰り返しそういうことに対する労働省の見解を聞きながら、そういう形が一日も早く改められることを祈ってきたのでございますが、もしそういう形があるとすれば——私は、あるとは大臣には申し上げません。そういうような形があるとすれば、大臣は一体これに対してどういうふうにお考えになっておるか、私はこのILOの批准の問題に関連いたしまして、特にこの問題に対して大臣の御意見を承っておきたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 従来から国鉄当局が、国労と第二組合の間において労働者の差別待遇をいたしているのではないかということで、当委員会でもたびたび問題になったことがございます。また、これに関連いたしまして、公労委におきましても審理が行なわれたこともあると承知いたしております。元来、さようなことは、これは申すまでもなく労働組合法による不当労働行為でございますから、さようなことは断じて許さるべきではないのでございまして、これの是正につきましては、当然公務委においてしかるべき裁定が行なわれるものと存ずるのでございます。もしそういうふうな事態がしばしばあるようでございましたならば、労働省といたしましても、政府の一機関でございまして、民間の企業とは違いますので、またそういう立場から適当な勧告をいたすことも十分に考えるべきだと存じます。いずれにしましても、さような不当労働行為はあってはならないはずであるし、かりにあったといたしましたならば、断じてこれは是正しなければならぬと考えます。
○小林(進)委員 ただいま非常に大臣の明快な御答弁をいただきまして、これは私どもまことに感謝にたえません。こういうような公共企業体あるいは国関係の労働者に対する不当労働行為の問題について、おそらくこういう明快な御答弁をいただいたのは、これは歴代大臣の中で、大橋国務大臣が初めてじゃないかと思いまして、非常に私も明快な御答弁ではっきりいたしました。一つわれわれの関係者にも大臣の今までの御答弁を伝えて、問題解決の方向へ私ども努力いたしたいと思います。いま一そう問題の解決の方向へ、大臣も努力下されんことをお願い申し上げる次第であります。
○島本委員 今の不当労働行為につきまして、いろいろ小林委員が質問して答弁がございました。私は関連して、一、二点大臣に伺いたいと思います。 それは、この間の日曜日の午後六時から放送討論会がありまして、そして政府側から大臣が出ました。そして副幹事長でございます鈴木善幸さんが、自民党側から出ました。社会党側からは横山さんが出られ、それぞれ出て討論された。その中で大臣の意見として、交渉を煮詰めさして、十五日のように突発的にやるのではなくて煮詰めて、それで解決をはかればいいんだという御意見、これは表現は妥当だと思うのです。その通りです。ところが、いろいろ私どもの方で、これは困るのではないか、こういうように思われる点が一、二点あるわけであります。この公労委の場合には、ことに電電公社、専売国鉄の場合なんか、国労の場合を含めて、一括してこれを指導してゼロ回答を出さしたのも、これは労働省であるというような風評が流れて私の耳に達しました。もしそうだといたしますと、これは、せっかく大臣が交渉を煮詰めてやれと言いながら、労働者の指導機関はそれに対してゼロ回答をせいということをやっているとすると、これはちょっとゆゆしい問題じゃないかと思うのです。これはどういうことでございますか、はっきりしてもらいたいと思います。
○大橋国務大臣 労働省が一括指導してゼロ回答をさせたという事実はございません。実は私の聞いておりまする範囲では、今度の回答をするにつきまして、各公共企業体ではいろいろ意見があったようでございます。それは、ある企業体では、ほんとうのゼロ回答をしたいのだという強い意向が示されたようでございます。それに対して他の企業体においては、初任給についてはある程度考えたいという意向もあったようでございまして、その初任給についてある程度のことを考えたいという意向を持っておる公共企業体で大蔵省と交渉をいたしましたところ、ほかの方はゼロ回答でいくんだから、お前の方だけそういう回答を認めるわけにいかぬというようなお話も多少あったようでございます。それについて労働省の方へ御相談がございまして、何とか大蔵省で自分たちの要望に耳を傾けてもらうように労働省からも口添えをしてくれないかということで、労働省も、労政当局としての立場から、この公共企業体の自主的な回答についての考え方であります初任給の手直しについて、そういう希望があればできるだけ認めてやってほしいということを大蔵省に御相談した、こういう事実でございまして、指導をいたしたいということではございません。
○島本委員 今回の場合に、特に具体的な例をあげますれば、アルコール専売で、当局は組合と団体交渉の席上、労働省からのさしがねであるし、これはやはり労働省から指導されたので一これ以上の答弁はできないということで交渉が打ち切りになったような経過を大臣は御存じでございましょうか。もしこれがあったとすると、今の言葉と逆に下部の方がそういうように動いているということになりますが、こういう事実がありましたかありませんか、経過を明確にしてもらいたいと思います。
○大橋国務大臣 アルコール専売でそういうことをもし言われたといたしましたならば、それは事実の誤解に基づくものではないかと思うのでございまして、労働省が、こういう回答をしろ、あるいはこの程度で回答をとどめておけというようなことを指図する権限も能力もございませんし、また、その立場にもないわけでございます。ただ、それらの企業体が大蔵省に交渉をいたします場合において、なかなか大蔵省の方でも簡単にオーケーをくれない場合がありますので、そういう場合に、労働省に口添えをしてくれという御依頼を受ける場合がありまして、そういう場合に労政的立場から口添えをいたしたという事実は、これは先ほど申し上げました通りあるのであります。要するに、労働省の立場は、公共企業体の要望を大蔵省に説明する場合の口添えであって、公共企業体の回答を内容的に指導するというものではございません。
○島本委員 もしそうだとすると、ここではっきり確認しておきたいと思います。アルコール専売の団体交渉には、労働省としては、そういうような交渉当局に対する態度として、そういうような指導は全然しておらないということをここで確認したいと思いますが、その通りでよろしゅうございますか。
○大橋国務大臣 労働省といたしましては、アルコール専売ばかりでなく、どの企業体の交渉につきましても、内容的指導は一切いたしておりません。
○島本委員 それからもう一つ。今度はそれと逆な例を一つだけ申し上げてみたいと思う。それは国会で法案が通ると附帯決議がつくわけです。その附帯決議に対しては、所管の大臣がそれぞれ所信の表明をするわけでございます。その場合には大がい、いわゆる事業的な面とそれに伴う労働条件の問題とが、二つつくのが常習のようでございます。そこで三十五年の二月、三十四国会で、電信電話設備の拡充のための暫定措置に関する法律通過に伴う国会の附帯決議、これがついたわけです。その三項目に、「電信電話事業における労働条件の特異性にかんがみ、労務管理、特に給与、配置転換労働時間等につき、万般の合理的施策を行い、従業員の電信電話拡充計画完遂への協力をはかること。」という決議を行なって、政府では、その通りやります。ということを言っているのです。この附帯決議は四項目ありますが、三つだけは全部やってしまって、この労働条件に関する部分だけはそのままにされておる。あげくの果てに、十七日には、東京——大阪間の即時化を管理者の手によって、いわゆる組合との談判決裂、交渉決裂ということで一方的にやっておる。逓信委員会ではやりませんと言ったことを、一方的にやってしまっておるわけです。それは結局、決議の労働条件に関する部分を完全に軽んじておるわけです。逓信委員会というあの公的な委員会で発言しておることを、完全にその裏をかいておるわけです。国会の議事録にまではっきり残っておる尊重されなければならぬこの附帯決議の労働条件に関する部分は、全部これはそのままにされておることについて、労働大臣としては、これはまことに困ったことではないか、こういうようなことをほうっておいてなぜやらぬのだ、こういうように言ってやるのが、サービス機関の大臣としての態度であり、あなたの権威だ、こういうように思うわけです。労働者に対するサービス機関は労働省ですから、その長であるあなたとしては、当然こういうようなことを考えてやるべきではないか。ことにこれを無視されるようなことがあった場合には、これは労働条件の方だけ無視するのはけしからぬ、こういうことを当然言ってやってしかるべきだと思う。これが無視されておるのに、それをそのまま認めておるということは、労働大臣の権威に関する問題だと思いますが一大臣はこの問題に対していかがお考えでございますか。
○大橋国務大臣 個々の企業体の労働条件の決定というのは、労働省の権限ではございませんので、労働省といたしましては、個々の企業体につきましても民間企業体と同じように、労働基準法その他労働の一般的基準については責任を持って処理しなければならぬと思います。しかし、それ以上の個々の問題は、これはその担当大臣の権限でおやりになることでございます。しかしながら、事が労働条件の問題になりますと、おそらくは関係の労働組合と担当の省との間の団体交渉問題になってくる場合が多いだろうと思いますが、先ほど申し上げましたごとく、経営者側の大蔵省に対する希望についても行政面から口添えする場合もありますので、現実にそういう点について問題がありました場合、組合等の希望もありますれば、十分にその内容を検討いたしまして、理事者に対して適当にわれわれの意見も参考のために申し上げるというようなことは、これはサービスとして十分考え得るところだと思います。
○秋田委員長 小林さん今外務省の太田管理課長が来られましたから……。
○小林(進)委員 それでは、外務省の説明員がおいでになったようでありますから、若干御質問を申し上げます。 今まで日本へ報告がてら帰っておられました。青木大使も、いよいよILOの結社の自由委員会が十九日から開かれるということで、急遽帰っていかれました。そして、今日まで日本が再三再四の勧告を受けているにもかかわらず、八十七号の批准をしない、そのしない今までの経過並びに今次国会における経過等を報告せられ、けさの新聞に報道せられておるわけです。その青木大使に総理大臣ないし外務大臣が与えられたILOの自由委員会における報告の内容を、支障のない程度に一つお聞かせを願いたい、これが第一点であります。
○太田説明員 お答え申し上げます。 青木大使を一時外務省に戻しましたのは、外務省といたしましは、全くガットの問題で戻したのであります。ただ、ILOを主管いたしております大使でございまして、御承知のような情勢でございますから、大使が戻っております間には、それはいろいろILOのことについてもしたのでございますけれども、主たる目的はガットでございます。それから今回急遽帰りましたのも、きのうからガットの理事会が始まっておるのに間に合うためだと私ども聞いております。御承知のように、本日から結社の自由委員会があるはずでありますが、あれは日本は出られないのであります。第一、日本は結社の委員会の委員になっておりませんし、全然入れない委員会でございます。 それから特に青木大使に対しまして、外務大臣の方からこういうことを報告せいということを青木大使に言ったということはございませんが、御承知のようにILOに対しましては、結社の自由委員会の方の関係で、いろいろ政府の情報を随時出すということになっておりますので、そういう情報は出しておるのでございます。この情報は、ただいま先生の御承知のような情勢を説明しまして、これは新聞にも出ておるのでございますが、大体あの新聞が正確でございます。それで、今度の国会に出すのだということを総理も言われ、大橋大臣も言われ、そういう状態で今話し合いを続けておる、それだけの事実を説明した文書は出しました。ただし、これは青木大使が持って参ったのではございませんで、別途ゼネバに送ったものでございます・
○小林(進)委員 青木大使はジュネーブ帰任後次のように語った。「政府は、与党と野党の話し合いは、もういま一歩というところまで進んでおる。政府の今期国会への提出と審議に対する決意はかたく、たとい話し合いが最終的につかなくても、三月のILO理事会までには提出されるものと信じている。今度の国会中には批准が実現できると見ているのでILOに対しては自信を持って臨む」。こういう談話を発表しているというのであります。なお、別の項目には、今おっしゃるように、なるほど青木大使がその報告書類を持っていったかどうかは、これは別にいたしましても、ILO八十七号条約批准問題のその後の経過に関する報告文書を提出した。なるほどこれは外務省が、ILOの理事会ですか、結社の自由委員会ですか、どちらか知らないけれども、報告文書をお出しになった。その報告文書について、あなたは御存じの通りとおっしゃいましたが、私は知りません。政府の公文書を私が知っているわけはないじゃありませんか。それを支障のない程度でお聞かせ願いたいと思います。
○太田説明員 その新聞のあとに、たしか報告はこういう内容であるということが出ておったかと存じます。私は、朝ちょっと見て、出ておる新聞がございましたので、それを先生お読みになっていらっしいるかと思ったのでございます。大体それに間違いはない、その通りを申し上げたのでございます。その内容はただいま申し上げましたが、ここに原文を持っておらないのでございますが、総理も労働大臣も、ILOは今度の国会に出すのだということを国会その他で言っておられる、今その提出の目標で、いろいろ与野党間の話し合いを続けておるような状態である、そういうことを報告した文書でございます。
○小林(進)委員 先ほどからの御答弁をお聞きしておりながら、この八十七号の批准問題については、外務省と労働省との間に、若干問題の取り方のウエートの置き方が違っているのではないかという感じを受けた。そこで、あなたに聞いたところでしょうがありませんが、われわれ国民の側からすれば、総理大臣が今度の国会でも外交問題についての施政方針をおやりになった。何か去年の十月あたり外国を回って、日本の経済も復興成長したし、国際的な信用も非常に伸びた。そういうことを言っておられるが、その裏側をなしているこうしたILOの理事会関係等から日本が強く非難をされ、世界の労働階級からも非難を受けている。私は、労働大臣がいま少しおいでになれば、労働大臣にもお聞きしたがったのでありますけれども、現在アメリカが日本の綿製品等を規制しようとしておる。業者を初め大臣、外務大臣も、若干新聞で拝見したところでは、強硬にアメリカをなじるような態勢を示しておられるようでありますけれども、私は、ああいう問題の底にも、やはり日本の低賃金やら、あわせてILOを批准しなかったという日本政府のあり方等が、私は間接的に、そこら辺まで問題が波及しているのではないかというふうにも考えているのであります。外務省の立場で、日本が数年の間あれほど強い勧告を受けながらも、なおかつILOの八十七号を批准しなかったことによって失った信用というものは、一体どれくらいのものか。これはしかし、ますではかるわけにもいかないし、はかりではかるわけにもいきませんけれども、日本の経済の伸長が世界の信用を回復した、そのうらはらには、そういうILOという世界の舞台において日本が非難を受けたことによって失った信用も、私は非常に大きいのではないかと思うのであります。そういう面の統計、あるいは統計でなくても何か資料があったら、一つお聞かせを願いたいと思うのであります。あるいは実際に何ら影響はない、ILO八十七号を批准しないことによって、ますます日本の信用は回復したとおっしゃるならば、回復したというふうに一つお答えを願いたいと思うのであります。
○太田説明員 非常にむずかしい御質問でございまして、確かに先生御指摘のように、外務省の上の地位にない者といたしまして、こういうことをお答えするのはどうかと思いますけれども、私の存じております限り、特にこれがために、たとえば貿易やその他のことに響くんじゃないか、そういうことは現われてないということは、私断言できると思います、でございまするけれども、私ども外務省のILOを所掌いたしております者といたしまして、こういう勧告がございますのに批准をされておらないのは、確かに遺憾に存じます。そういう事態が是正されるのを希望するのは、私も希望いたしておりますけれども、それ以外の分野におきまして、ILOという日本が加盟国であります国際機関を除きました部面で、そのことの影響が特に非常に出ておるかと申しますと、私も注意しておるつもりでございますけれども、特にそういう影響は現われておらないように考えております。
○小林(進)委員 そういう貿易問題とか経済問題で、国際場裏の中に直接浮かんでくる日本問題といえば、賃金の問題でありますけれども、今ILOの八十七号、賃金問題には直接の関係はありません。それは労働者の権利の問題であり、自由の問題であり、役員選挙の自由の問題であり、組合の支配介入の問題でありますから、この問題は権利に関する、組織に関する、団結に関する問題でありましょうけれども、日本の賃金がやはり安いからということで日本の貿易に影響していることは、どうですか、お見せになるわけにいきませんか。
○太田説明員 私ども、全くしがない役人でございまして、ILOだけを管理しておりますが、日本の貿易と賃金という大きな問題をお答えする資格があるかどうか、疑うのでございますけれども、日本の低賃金ということは今まで言われておりますけれども、今ここに資料を持っておりませんので、記憶でお答いたしますと、たしか数年前、ガットがILOに対しまして、日本というのは低賃金国かどうかという調査を頼んだことがあったと記憶いたしておりますが、そのときのILOの方から出しました報告書は、一、日本はもはや低賃金国ではないのだ、第二、もし日本に低賃金の部面が残存しておるとするならばそれはいよいよもって日本の商品を買わなければならない、日本の商品を買ってやれば低賃金がなくなるのだ、こういう報告書が出ているということをここに申し上げたいと思います。資料を持っておりませんので、確実であるかどうかわかりませんが、大筋は間違っておらないつもりでおります。
○小林(進)委員 非常にいいお話を承りました。私は労働行政の一端を研究しておる者といたしまして、特に、社会労働委員会では、日本の賃金問題が今国会の重要なポイントになっておるわけだ。けれども、労働省の大臣を初めそういう方々から、そういう勧告なり回答がJLOからなされているということは、不肖にして聞かなかった。私も知らなかった。しかし、あなたからそういう有力なる回答をガットの要請によってILOがなされたということは、将来日本の賃金を、私どもともに勉強していく上において、実に重要な参考資料と思います。これはぜひわれわれの方にその資料を配付していただきたい。これは委員長にもお願いしておきます。今の外務省のお答えを裏づけするようなガットに対するILOの回答を、資料としてちょうだいいたしたいと思います。 あなたが、そういうようなことで日本が低賃金でないとおっしゃれば、問題はややわき道にいきますけれども、私はやはり、こういう立場からお聞きをしなければならないと思うのであります。これは私が本会議で質問した問題でありますけれども、あなたに実はお聞きする真意じゃなかったが、問題がそこまでいきましたから、やはりそこから解決していかなければなりませんからお伺いするのでありますけれども、昨年、日本の経済使節団としてEECを財界の巨頭が訪問されたことがありましたね。アメリカ、イギリス、EECというふうに、三班か四班に分かれて行かれた。そのEECを訪問した隊の団長ではないでしょうけれども、隊員に含まれておるのかもしれませんが、新日本汽船会長の山県勝見氏が帰ってきて、日本の賃金問題を経団連——経営者団体協議会ですか、日経連か忘れましたが、そこで報告されておる。その報告を聞きますと、日本の賃金ベースは大体イタリアの水準に近づきつつあるんだ、低賃金ではないんだ、イタリヤの水準に近づきつつあるんだ——大島さん、あなた知恵をつけちゃいけない。あなたにはあとで質問しますから。この本は、外務省と労働省でおつくりになった。われわれに言わせれば、巧妙にできているインチキの書だ。僕らはそう考えておる。これを持っていって、得々として説明したわけだ。日本は低賃金じゃありません、イタリア並みの賃金だと西ドイツのエアハルトに言ったわけだ。エアハルトは、御承知のように一昨年日本に来て、日本は低賃金国だ——あなたはガットのことをおっしゃいましたが、エアハルトは、日本はこんな低賃金で自由貿易をやって、世界と自由に貿易するなどというのは思い上がっておる、そこから改めなさいと強硬に日本に苦言を呈していったから、敵はこのエアハルトだと思って、あなた方がつくった資料を持ちながら日本の経団連の代表がエアハルトに言った。そうすると、エアハルトは黙して語らず、一言も言わなかった。言わなかったから、これでエアハルトもようやく、日本の賃金が低水準じゃないということを了承してくれたんだなと山県氏一行は考えた。そうしてやれやれと思ったところが、その同じ話をまたフランスへ行ってやった。そうしたら、フランスのCNPFのビリエ会長、これは内容はわかりませんけれども、私の浅学をもって想像すれば、やはり日本の経団連か日経連か、経済団体のグループの会長じゃないかと思うが、このCNPEのビリエ会長が、実はEECの内部では、イタリアの賃金が低いということで、今非常に問題にしておる最中だ、だからEECからこういう低賃金のイタリアはボイコットしなければならぬ、貿易は平等にやれぬと問題にしているイタリアの賃金に、ようやく日本が近づきつつあるなどということは、日本の低賃金を正当化することの埋由にならない。正当な理由にはならない。こうきめつけられたのであります。それで山県氏は実に私どもは西欧の事情を知らないことに顔を赤くする思いをした、日本の経済代表も、西欧の事情についてはいま少し勉強していかなくちゃならぬということを痛感いたしましたと報告しているわけです。いわゆる日本の経済界のチャンピオンにして、私をして言わしむれば、なおかつ日本の低賃金についてはこれだけの反省をしている。しかるに何です。国際舞台で日本の政治を論じていこうとする、その末端にいるあなたたちが、まだ日本が低賃金だということがわからない。日本の経済界のチャンピオンでもこれくらいの反省があるのに、日本の政府、総理大臣のごときは失敬千万な答弁をしている。日本は低賃金国じゃない、イタリヤ並みだ、イタリヤが低賃金なんてアメリカは言わない、こういう不遜な答弁をやっている。あなた方もそれを受けてそういうようなことを言っている。この問題をあなたはどう考えますか。山県君の言った報告は間違っているのですか、フランスのビリエ会長の主張が間違っているのか、エアハルトは黙して語らず、このエアハルトの態度が間違っているのか、お聞かせを願いたい。
○太田説明員 話が非常にむずかしいことになりまして、私ども直接経済問題とか賃金問題を所掌しておりません者に対しまして教えていただきまして非常にありがとう存じますが、私ILOを所管いたしまして、その関係で私の感じておりますことは、賃金というものは相対的なものでありまして、非常に高いものと比べれば低く見えるし、低いものと比べれば高く見える。私の申し上げましたのは、日本の賃金につきまして、外国が普通一般に考えておりますものが実態と非常に違う、低賃金であるということを考ておるのでございますが、それが非常に是正されてきており、また、日本の賃金が非常なスピードで、日本の経済が成長した結果上がっておるというように私は承知しております。そういうところをとらえましたものを申し上げましたので、上と比較すれば低賃金ある、下と比較すれば高賃金である、こういう議論は起ころうかと存じますが、そういう問題になりますと、ことに外務省、しかもその中の国際連合局の者がお答え申すのが適当かどうか、労働省の方もおいでのことでございますので、そちらの方にお尋ねいただけたらと思うのでございます。
○小林(進)委員 賃金問題をあなたと議論するのはやめますよ。やめますけれども、私も一昨年、ずっとアメリカを振り出しにぐるっと回ってきた。大使館から公使館から領事館から。出れば外務省の書記生まで一緒になって歩いたけれども、今の賃金でけっこうでございますなんて、一人も言わなかった。全く低賃金で私どもやっていけません、何とか賃金をめんどうを見てもらいたい、あなたの同僚、あなたの先輩、あなたの後輩はみんな言った。あなたも家に帰ったら、きっと奥さんの前では、日本の賃金は安くてたまらぬ、生活は苦しいと言いながら、こういう公式の場では日本は低賃金じゃない、賃金は上昇しているとおっしゃる。そういう公私を区別するようなことを言っちゃいけませんよ。人間は変わらないんだから、あなたがいかにうまいことを言ったって、だめだ。それならばあなたは、外務省の役人が出先にいようと内地にいようと、みな低賃金じゃありませせん、私どもは今の賃金で満足でございますと、りっぱに言えるように省内の意見をまとめておきなさい。それなら私もあなたの答弁に了承しますよ。しかし、国自体から見るならば、あなた方は非常に上層の賃金をもらっている。ハイ・クラスなん、だから、それではだめだ。私の問いたいのは、賃金論争じゃないのだ、そういう賃金を含めて国際的な非難がまだ日本にあるということは、日本の労働行政全般が、まだ先進国並みにいっていないという一つの裏づけじゃないか。だからILO八十七号の労働者の権利が抑制されているということと賃金が低賃金であるということは、これはやはり二つじゃない、一本だ。日本は経済が成長した、あるいはWHO等における分担金が世界の六大国並みだなんていうことで、そういう国際的な分担金だとか賦課金とかいうものばかりは五大国、六大国、七大国並みに大きくふっかけられて、そして政府自身がいい気持になっている。その反面にはこういうような、いわゆる前近代的な労働行政があるじゃないか、賃金行政があるじゃないか。だから貿易の面においても経済の面においても、世界並みのおつき合いはごめんこうむるという、こういう空気があるんだろうと私は思う。だからILO八十七号を批准しないことは、貿易や経済に直接関係ありませんなんていうのは、あなたの狭い考えです。みんな関係があるのです。賃金とも不可分でありますし、日本の貿易にも関係があるのです。しかし、あなたは影響がないとおっしゃるなら、これは見解の相違ですから、これ以上私は言ったってしょうがない。関係はある、重大なる関係があるのだけれども、あなたはないとおっしゃるならしょうがない。これ以上議論しても仕方ないから、もうお帰り下さい。 それでは、次に大島さんに一つお伺いします。あなたは「日本の賃金事情」等を作成された責任者の一人でありますけれども、どうでしょうか、私は、賃金等を国際的に比較する場合には、製造業者の賃金を比較するとか何々関係の賃金を比較するとか、そういう賃金の比較の仕方は正鵠じゃないと思う。その国を代表する賃金は、やはり国がきめた賃金だと思う。政府が関係した賃金、それはやはり最低賃金ですよ。最低賃金のない国はともかく、ある国ならばやはりその国の最低賃金、その国自体の最低賃金を比較すればいい。そういう意味において、日本にもあなたがおつくりになった最低賃金があるのだ、アメリカにもやはり州々に最低賃金があるのですから、そういう国々の最低賃金と最低賃金をなぜ一体御比較にならなかったのでありますか、その事情を一つお聞かせ願いたいと思います。
○大島政府委員 最低賃金額の国際比較というのは、非常に困難な問題だろうと思います。と申しますのは、各国におきまして最低賃金の制度が成り立っております経済的、社会的背景も違いますし、それから最低賃金制度そのものの成り立ち方、あるいは最低賃金の表示の仕方、これらがもう各国別で各種各様でございますので、この金額を直ちに比較するということは、非常に困難なところであろうと存じます。
○小林(進)委員 その最低賃金がそれぞれの事情によって違うのだから比較が困難だとおっしゃるならば、最低賃金によらない、こういうあなた方の賃金の比較はさらに困難であると同時に、あいまいもことして信頼に足りないものと思うのであります。一体どちらの方に正確さがあるのですか。
○大島政府委員 賃金水準の国際比較も、また同じように非常に困難な問題であろうと存じます。ただいま一般的に、賃金水準の国際比較ないし国際格差として言われておりますのは、その国における製造業の名目賃金の平均賃金の国際比較、こういうことで、一般的に賃金水準の国際比較ないし国際格差が言われておるわけです。これも各国の統計の取り方でかなり違います。また、単純に平均賃金でありますから、従って、各国における労務構成あるいは産業構成、そういうものが非常に異なっておるわけなのでありますが、ただ、厳密な意味での国際比較というものは、最低賃金と同じく非常に困難であろうと思います。一般的に今用いられておりますのは、先生御承知の通り単純の平均賃金の国際格差、こういう意味で用いられておるものと存じております。
○小林(進)委員 ちょっと論点を変えますが、例の最低賃金法に基づく賃金の労働者を、二百五十万円までさしあたり伸ばしていきたいというふうに言っておられましたが、現在の実数はどこら辺までいって、協定賃金による内容はどんな工合になっておりますか、お知らせを願いたいと思います。
○大島政府委員 現在、最低賃金法による最低賃金でカバーされております労働者が、この一月末現在で約百九十三万人に上っております。この百九十三万という数字は、大体日本の民間の労働者総数の約一〇%になります。中小企業だけをとってみますと、大体一八%に上るわけであります。現在決定されております最低賃金の業種は、繊維産業、食料品産業あるいは窯業、それから機械器具産業、こういった産業に多数にできております。現在決定されております最低賃金の金額は、三年前から各種各様でありますが、最近できて参ります最低賃金の額は、大体三百円から三百二十円くらいの見当の金額できまっておるのが多うございます。最低賃金ができました結果、その金額以下の労働者でそのために金額が約一五%ないし二〇%の上昇を示している、これが現状でございます。
○小林(進)委員 最近締結せられておるのが三百円から三百二十円、カバーせられておる人員が百九十三万人、だいぶふえましたね。これは、あなた方の方では目標に近づいておめでたいことかもしれませんが、私どもの方ちはっともおもしろくない。いよいよ低賃金に百九十三万人が縛りつけられておるので、まこと同情にたえないという見方をしなければならぬと思うのですが、それにいたしましても、百九十三万人の中で最低賃金に縛られておるものが一体幾ら、最低賃金の中の一番低い線と高い線、それから平均の線をお示し願いたいと思います。
○大島政府委員 現在きまっております最低賃金制で、その中での金額の最低と最高という御質問だろうと思いますが、最低につきましては、三年前に法律が施行せられて、その直後ごろにできました最低賃金で大体二百七、八十円くいの見当だと思います。それから最高については、特殊な業種でありますが、一日六百円程度、これが最高で、あろうと思います。
○小林(進)委員 今の御答弁もあまり確信のないような御答弁でございましたが、こういうものは三年前に締結せられたものでありましょうとも、やはり労働省といたしましては、常時監督を厳にして、絶えずこれを引き上げるように見ていかなければならないと私は思います。最高六百円、これはまた特殊な一つの技能でありましょうが、その平均もやはり常に見ていただいて、だんだん平均のレベルが上がるように指導していただかなければならぬと思います。 ところで、三百円といたしましても、一カ月二十五日働くとすれば七千五百円、そういう勘定になるわけでありまして、総理府でお出しになった労働力調査によれば、わが日本にはまだ年収十二万以下の労働者が実数にして五百九十九万人、比率にして二七・一%を占めておる。これは期末手当から超過勤務手当から、その他の臨時給も全部含まれておる。こういう労働者をも含めて、年収十二万円に満たざる者が五百九十九万人いる。また、自営業種の中でも年収十万円の者を見ると、実数にして三百五十四万人、比率にして三一・二%を占めている。こういうわけで、雇用労働者と、自営業種はあなたの管轄ではないにしても、年収十二万以下の低所得階層が九百五十三万人を占めている、こういう数字が現われておるわけでありまするが、これを一体お認めになりますか。これは認めざるを得ないと思いますけれども、あなたたちの国際水準における労働賃金の事情を述べられるときに、こういう数字をまともに正しく読んだ上で、こういう賃金事情なるものをお出しになったか、お聞かせを願いたいと思います。
○大島政府委員 ただいま御指摘になりました数字は、おそらく自営業種を含んだ数字だろうと思います。それと雇用労働者につきましても御指摘の数字が出ております。統計は各種の雇用労働者の総体でありますので、その数字をそのまま日本における賃金構造として出すのはいかがと思うわけでありまして、その中でやはり製造業なら製造業として、製造業における常時雇用者として掲げる方が、適当で正確な日本の賃金構造を示すものだろうと存じます。
○小林(進)委員 もう一回言って下さい。
○大島政府委員 ただいま御指摘の統計の数字は、雇用労働者の賃金構造を示すものとして、直ちにその数字を用いますことはいかがであろうかと思うのでありまして、たとえば私どもの方の個人別調査でありますとか賃金構造の基本調査、これによりまして製造業なら製造業の雇用労働者の賃金階級別の労働者構成というものがございますが、たとえばそういう数字でございますと、日本における賃金構造というものをほぼ正確に表示できるものじゃないかと存じます。
○小林(進)委員 その調査の仕方は、これはあなたたちの方が専門で、私どもの方はしろうとですから、これはどうもけんかにならない。けんかになりませんけれども、しろうとはしろうととして言えば、そういう製造業等に常用雇用の形で定着している労働者は、労働者の中でも非常に安定した、中間に位する労働者だ。けれども、日本の労働者はそればかりじゃない。雑役で働いておる者も労働者だ。失対事業で働いておる者も労働者だ。だからやっぱり労働賃金というからには、そういった安定をした製造業に携わっておる労働者だけとってきたって、それで日本の代表賃金のごとく取り上げて比較対象されることは、むしろ安きについて、日本の労働事情を正しく把握しておる考え方じゃない、私はそう考える。だからやっぱり、ほんとうにあなた方が賃金の実態をとらえるならば、もろもろの業種、特にそういう安定した製造業とかサービス業とか——サービス業はそれよりは落ちますけれども、もっと下にいるそういう不安定な労働者、季節労働者あるいは日々雇用せられておるような、そういう労働者の実態もあわせてちゃんと把握して、そしてその中から平均賃金なり国際水準なりと比較する賃金も出してもらわなければいけないと思う。一体あなた方のお出しになった製業者の賃金はお幾らになるのですか。これは比較ばかり出ておりますが、数字で合わせたら幾らになるのか、ここにお出しになった日本の製造業者の労働者の一カ月の賃金は。
○大宮説明員 日本の円に直しますと、昭和三十六年の平均で申し上げますと、製造業その他、調査しました産業全部をひっくるめました月平均が二万六千六百二十六円、そのうち製造業だけを取り出してみますと、二万四千二百八十六円でございます。
○小林(進)委員 今、私どもがこうやって、日本の全雇用労働者の中で一カ月一万円以下の労働者が五百九十九万人あって、それが総雇用労働者の二七・七%を占めておる、こういう数字を出しておるときに、あなたたちが労働者の国際水準の賃金を比較するときには、今も言うように、日本の労働者の平均賃金が二万六千六百二十六円だという、こういう数字で国際水準と日本の労働賃金を比較せられておる。こんな実情にそわない——これが平均ですか。そうして製造業だけの労働者の平均賃金が二万四千七百八十六円だとおっしゃる。しかも、三十六年六月に日本の労働者の平均賃金は二万六千六百二十六円だという、そういう基準で外国の賃金との比較をされたのでは、労働者は泣いても泣き切れません。一体この平均はどういうふうにお出しになったのですか。私が先ほど申しましたように、三十六年の四月には、少なくとも同じ日本人の三分の一は、いわゆる月収一万円以下、期末手当も入れ、臨時収入も入れ、あるいは超過勤務手当までも入れて、一万円に満たざるものが三割もいる、それをも含めた平均賃金を出したところで、いかに私がしろうとはいえ、日本の労働者の平均賃金が二万六千円ということは信じられない、これは変ですね。
○大宮説明員 先生御承知の通り、日本の賃金は、外国の賃金と比べまして、個人々々の間の賃金の差がかなり大きいのが特徴でございます。たとえば規模別の格差等が大きい、あるいは年令別の格差が非常に大きい、こういうのが特徴でございまして、それらを賃金の二重構造といったようなことで呼ばれる場合が多いのでございます。それで、そのような賃金の二重構造が好ましくないということは、これはだれも異存がないのではないかと思います。そういう低賃金のところがかなりの数あるということは事実でございまして、外国にもその点は正直に紹介をしてございます。ただ、そういう低賃金のところは、できるだけ早く経済成長に伴って急速に改善していかなければならない。そのためには貿易を盛んにすることも一つでありますし、国内的にもそういう低賃金層に対する対策を強化していかなければならない、こういうのが実情ではないかと思います。従いまして、平均しますとかなり高くなりますが、その間、非常に高いものと低いものがあることは事実であります。
○小林(進)委員 いよいよ奇々怪々のお話を承ることになるのでありますが、それではお尋ねいたします。日本の平均賃金が、昭和三十六年六月で二万六千円何がしであるということを私は認めましょう、認めるが、同時にその時限において、日本の雇用労働者の約三分の一、二七・七の%労働者の賃金が一カ月一万円以下であったということもお認めになりましょうな、これは認めざるを得ないでしょう。これは総理府の統計局が出した資料でありますから、これはお認めになると思いますが、いかがでございましょう。
○大宮説明員 二万六千六百二十六円と申しましたのは、三十六年の平均でございます。これは大した問題ではありませんが、それから三十六年における、どれくらいの賃金をもらっているものがどんなふうに分布しておるかということを調べますと、確かに月当たりにしまして、一万円未満のものは、先生御指摘の程度の二七・八%あるのでございます。
○小林(進)委員 それで今度基準局長にお伺いするのでありますが、今もちょっと統計部長さんが言われたように、そういう年令別、規模別の賃金の格差があるのは現実の姿だ、いわゆる賃金の二重構造という好ましからざる姿である、だからその格差を縮めるために努力をするとおっしゃいました。これは基準局長、その答弁でよろしゅうございますか。
○大島政府委員 ただいま大宮部長から御報告申し上げましたように、日本の賃金構造の特色は、確かに規模別格差、年令別格差にあると存じます。この点につきまして、規模別格差につきましては、私ども基準行政としては、中小企業の賃金並びに労働条件をできるだけ上げて参りたいという基本方針で努力をいたしておりまするし、また、現実に日本の賃金構造を見ましても、年々低い層の賃金労働者のパーセンテージは低下いたしております。また、年令別の賃金格差につきましても、これは賃金体系の問題でありまして、いわゆる年功序列型の賃金が現在問題になり、かつ職務給といったような問題が現在盛んに論じられております。ただこの問題は、各企業によって成り立ちなり、沿革なり、事情がいろいろ違いまして、まだ研究の段階でありますが、大きな趨向といたしましてはこういった方向へ動きつつある、また、私どもとしましてもできるだけそういった方向への御援助は申し上げたい、こういう気持でおります。
○小林(進)委員 そういうふうな賃金の二重構造が好ましくないから、それを努力するとおっしゃる、当面問題になるのが年功序列の賃金とおっしゃいますが、ほんとうにあなたのおっしゃるような意向が間違いがないならば、私はこれを是正する道は、年功序列賃金ではなくて最低賃金法だと思っておる。これこそあなた方の権力の及ぶ範囲なんだから、この点にこそ、こういう二重構造を是正するための第一番目の努力がなされなくてはならぬと思う。ところが、先ほどからお伺いいたしますと、ようやく賃金が上がって最近是正をせられてきて、一日の日当が三百円から三百二十円とおっしゃいました。三百円なら一カ月働いて幾らになりますか。先ほども言いましたように、二十五日働いたところで七千五百円にしかならないじゃありませんか。その七千五百円といういわゆる最低賃金を、あなたたちみずから承認をし、それを奨励しておる。確かに奨励をしておる。百九十三万から二百五十万に持っていこうというのだから、これは奨励です。そういう三百円や二百七十円の低賃金を、業者間協定なり、職権に基づく最低賃金なり、いろいろな形でふやそうふやそうとして努力をしておきながら、口の上では、その格差を好ましからざるものであるから是正していきたいということは、話が非常に矛盾をしておるではないか。これくらい大きな矛盾はない。しかもあなたのそばの調査部長の方では、昭和三十六年の六月においてしかり、日本の賃金の平均は二万六千円だという。二万六千円という平均賃金が出ているにもかかわらず、同じ労働省の中で、基準局が、一カ月の賃金が七千円から七千五百円という賃金の協定をつくるように一生懸命に奨励、督励をしておるということは、矛盾といわざるを得ない・どうでございましょうか、矛盾ではありませんでしょうか。
○大島政府委員 最低賃金の現状につきましては、先ほど御報告申し上げた通りでありますが。今後この最低賃金制度をいかに運用していくか、この問題につきまして、現在三者構成の中央最低賃金審議会で御検討いただいておりまして、今週もまたそのための小委員会が開かれるわけであります。かねがね当委員会で小林先生から、最低賃金制の問題について、いろいろ御研究の結果を私どもお教えをいただいている点が多々ございます。本日もまたいろいろお教えをいただきました。こういった御意向につきましては、私から逐一中央最低賃金審議会の小委員会で先生の御意向等も御報告いたしまして、今後の最低賃金制の運用の基本方針を御検討願いたいと思っておるわけであります。もちろん平均賃金と最低賃金の違いはございます。しかし、今後とも私ども最低賃金制の運用を通じて、できるだけその規模別格差の縮小をはかって参るように努力をいたしたいと思っております。
○小林(進)委員 基準局長が努力をしていられるその努力の跡は、私はこれを認めるにやぶさかなものではないのであります。同時に、日本は何といっても資本主義の国家でありますから、日本の政治、経済を支配しているものは独占資本、企業家であります。しかし、この独占資本というものは、基準局長御存じの通り、賃金に対しては常に抵抗する部類なんです。どんなに景気がよくてもうけようとも、もうけたから賃金をくれるなどということを言う階層じゃない。景気がよくてもうければもうけるほど、このもうけたときにこそ不景気に備えて利益の蓄積をしなければならぬから、労働者に再配分するのはごめんこうむるといって賃金の値上げに対しては徹底的に抵抗する。不景気になれば不景気で、いや不景気だから、こんなときに賃金値上げなんかやれるものじゃない。いかに春闘をやろうとも賃金を払わぬ。好況は好況、不況は不況それを理由にして、賃金は絶対払わないという本質を持っておる。これは資本の本質です。その本質を労働省といういわゆる労働者の側に立つ機関を設けて、国際的な視野や国内的な視野に立って客観的に是正して、適当な賃金を払わなければならないというのが、労働省の存在しておる理由です。基準局のある理由です。職業安定局のある理由です。これをやってくれなければ、労働省なんというものは要りませんよ。むしろあなた方がなければ、私は事の理非を明らかにして戦いやすい。総理大臣を前にしてどんどん賃上げ闘争もやるけれども、労働省という中間機関があるから、あなた方の窓を通さなければならならい。その窓が賃上げをするがごとくせざるがごとく、労働者の味方であるがごとく味方であらざるがごとく、ヌエ的な行動をしておられるので、せっかくわれわれの闘争が途中でぼけてしまう。だからその意味において、あなたたちが、ほんとうにこういう賃金に対して公正な軍配を入れて、そういう資本の誤りを訂正しながら正しい行政をおやりになるという心がまえがないならば、私どもは、残念ながら労働省廃止運動でもやらなくちゃならぬ。そこは一つしっかりかまえてやっていただかなければならぬと思うのでありますが、中央最低賃金審議会もあるならば、そこを一つ大いに活用していただきたい。それは資本が今の日本を支配しているのでありますから、私はそういう大きな抵抗の前であなたたちのやりづらいこともわかります。やりづらいこともわかりますから、一から十までうまくやってもらいたいというふうな現実に即さないような要求はいたしませんけれども、やはりできるだけ国際場裏においても非難せられないような、そういう適当な賃金をきめてもらわなくちゃならないと思う。 私は、なお参考までにお伺いしたいのであります。これは雇用の問題じゃないけれども、賃金をおきめになるときに、どういう立場でおきめになるか知りませんが、人事院は、東京都における独身成年男子十八才程度の標準生計費というものを出しております。それによりますと、昭和三十六年の四月で一カ月九千八百二十円を要するといっておりますが、三十七年の四月には一万九百六十円を必要とする、これは人間が人間らしい生活をして生きるためにはこれだけのものが必要なんだということで、人事院が客観的に東京都に出した数字なんであります。少なくともあなたたちが最低賃金をおきめになるときには、人間が人間として生きるために、最低このくらいは保障するという賃金をおきめになるのがほんとうじゃないかと私は思う。昭和三十七年の四月で、単身者にしてなおかつ一万九百六十円要るというならば、これだけの生活をするためにも、最低賃金はやはり一日四百円なければ生活ができないじゃありませんか。だから今あなたが三百円なり三百二十円の賃金をお認めになっておるということは、いわゆる単身者の成年の生活費を生計費以下で生きていけ、こうあなたは腹の中で指示していられるものと解釈をしていいかどうか。どこかに間違いがなくちゃいけないでしょう。昭和三十七年の四月で、一万九百六十円なくちゃ生きていけないと人事院は数字を出している。ところが、労働省の方は、ともかくそれに満たない、働きながらも三百円か三百二十円の賃金で生きていらっしゃいとあなたは命令している。一体どっちが正しいのです。私どもは判断に困ります。
○大島政府委員 ただいま御指摘の人事院の生計費の数字は、十八才の独身男子の東京における標準生計費であろうと思います。現在の最低賃金制におきましては、最低賃金額をきめるにつきましては、生計費の問題でありますとか、あるいは企業の払い能力でありますとか、あるいは類似の賃金水準でありますとか、各方面勘案の上きめる建前になっておりますし、さらに現在きまっております最賃は、大部分十五才の新制中学卒業生という形で実質的にきまっておりますのが多い。従って、その十八才の東京における標準生計費と直ちにその金額を比較するのもなかなか困難なものがありますが、御趣旨の点は、今後とも最低賃金審議会において十分御検討を願いたいと思っております。
○小林(進)委員 おっしゃる通り、年令に若干開きがありますから、それはわかります。時間ももう十二時半を過ぎましたし、賃金問題はこれくらいにしておきたいと思いますが、ただ、先ほどのお言葉の通り、中央最低賃金審議会に問題を提起して、何とか新しい構想を打ち出したいという考えを私は非常に期待しております。その点においてどうか今後も大いに努力していただきまして、賃金は日本だけの問題じゃなく、先ほども言いますように国際的な問題でありますから、一つ国際的な非難に耐え得るような、正当な賃金を早く打ち出してもらいたいということをお願いいたしまして、賃金問題はこれくらいにしましょう。 次に、一、二分職安局長にお尋ねいたしたいのでありますが、労働省は各市町村に職安をお持ちになっておりますが、この市町村における季節労働者の統計があるのかどうか、あったら一つ資料をいただきたいと思う。私は時間がなくて、私の関係しておる市町村を全部調べるわけにいきませんが、たった一つの例として、新潟県の高田職安の安塚という小さな出張所の三十七年度の秋冬季節労働者を送り出した状況を、これは数字を見せていただきましたけれども、それによると男子が三千二百四十人、女子が四百十九人、合計三万六百五十九人、昨年の同期よりも七百七十人増となっている、こういう状況です。もう私どもの郷里の新潟なんか、その通りで、どんな農村に行っても二軒に一軒は季節労働者が出ている。中には職安を通じて行く者もありましょうし、縁故をたよっていく者もありましょうけれども、ほとんど農村はがらあきです。おじいちゃんとおばあちゃん、おかあちゃんと子供がいるという状況であります。そして出て行った人たちが働く場所、この場所の資料があったら私はお聞かせ願いたいと思いますが、大体一番大きな口が土工です。その次が大工かその下請、これが最高で千九十一人、それから酒造、いわゆる酒屋の酒造工が七百七人、雑役が二百二十一人、この雑役というのは、もろもろのことをやっているパチンコ屋の玉洗いまでこの雑役に入ります。それから採炭夫が二百十八人、店員が二百十六人、機械の雑工が二百七人、荷扱い手が百七十六人、ほかに色染だとか製本だとか——製本といってもこれは本屋の荷づくり専門、それから練炭製造、それから静岡や暖かい地方におけるミカンつくりの農夫だとかそれから製めん、二十何種類に分かれている、こういう状況であります。この諸君は、半年はこういう労働に従事しているのでありますから、この意味においてもこれは農林省の管轄に属するのか、労働省の管轄に属するのか、私は判断に迷っている。収入の面からいいましても、現在の日本の農家の一戸平均の収入は大体四十万から四十一万でございますけれども、そのうちのいわゆる農業による収入は二十万前後、農業外収入、今のこういうものによる賃金が、今は二十万を突破している。むしろ五〇%以上になって、農業収入よりは農業外の収入がだんだんふえているというのが、全国農民の所得の内容です。いわゆる生活を維持しているその収入の面からいっても、農業以外の収入に依存しているし、それから一年間を通じての労働の量からいっても、農業に従事している時間よりは、いわゆる季節労働という名のもとに、農業外の、こういう他の職業による期日が、これももう五〇%、半々ぐらいになっている。だから私はまず第一番としては、これは農民じゃないんじゃないか、労働者じゃないか、だから当然労働省の管轄でこれを処置すべきものと私は考えるが、これは大臣の問題でしょうけれども、おいでにならないから、局長一つ適当にお答えを願いたいと思う。
○三治政府委員 季節労働の関係につきましては、私の方の職安関依でできる限りタッチしているつもりでございます。資料も毎年準備いたしてございますので、あとで御説明に上がりたいと思いますが、ごく概略を申し上げますと、三十六年のわれわれの業務統計によりますと、季節的な労働的な労務のあっせん数が約十九万三千人程度になってございます。その中で一番多いのが、御説の通り建設関係の季節労務でございます。その次が農林漁業関係でございます。それから食品製造関係の、この三つにほとんど季節労務は集約されてございます。それからこれにつきましては、農林省の方も最近農業調整会議というものを補助金として持ちまして、これと各職安との連絡で、できる限りこの季節労働につきまして調整する——調整と言うとちょっとおこがましいわけでございますが、情報の交換をやって、季節労務に関して万遺憾なきを期していきたいというふうにしてございます。 それからなお、この関係につきましては、さらに最近になりまして公共事業その他建設関係の事業の発展に伴っていろいろの——あとで労働基準局長からお話があるかと思いますが、労務の問題、就業場所のいわゆる労働基準の問題でありますが、それはさておきまして、この問題につきまして農林省の方とも今後ともよく連絡をとりまして、出かせぎに行く前にその労働条件、それから期間、そういうものも一応統一的に、いわゆる集団出かせぎと申しますか、集団的にやるようにいたしております。これにつきまして、農林漁業の関係につきましては、大体使用者側が農協なんか入っておりますので、割合に労働条件が私の方では統一化されていると思います。しかし、建設業関係につきましては、まだそこまでは至っておりません。それから食品関係につきましては、これはもう大体工場管理で、そんなに特別な問題はないのじゃないかと思います。そういうのが現状でございます。 なお、農業収入と農外収入で、だんだん第二種農家が多くなる。これは出かせぎよりか、むしろわれわれの農林省との共同研究によりますれば、また諸統計によりますれば、在村、いわゆる農家にいながら農業はやらぬ、しかしながら、在村で就職をして賃金をかせぐ、いわゆるかあちゃん農家と申しますか、御主人なり、その家族の長男なり、次男なりが、いわゆる通常雇用として通勤して所得をかせぎ、出かせぎの関係の方は、その農閑期なり、または季節的に他へ出て働いて所得を持って帰るというふうでございますが、圧倒的に農外収入の多いのは、いわゆるそういう兼業——そこに在村しながら毎日通勤しての賃金所得の増大、こういうふうにわれわれは感じております。ただ出かせぎ関係の方は、季節的に東北あるいは山陰、または四国と中国の関係にございますが、これは農村の非常に自然的な条件によって、農業の内部においてもやはり労働力の需給調整は必要だ、そういう意味においても出かせぎはある程度必要だ、また事実そういうことは必ずしも管理よろしければ悪いことではない、それは自然条件によって年間平常的に農作業ができないということからいっても、そういうことができることが必要じゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○大島政府委員 農村からの季節労働者が出ていきます先の産業、これは今職安局長から御報告申し上げましたように約二十万人、この中で約四割は建設業に就業いたしておるようであります。この建設業の労務管理、これが一般産業に比べますと、まだまだ近代化の進みがはばかしくない面も多いのでありまして、私どもといたしましては、この建設業の労務管理の近代化には今後ともさらに力を注いでいきたいと思いますし、なお、季節労働者の関係で特に私ども関心を持って心配いたしております点は、一つは安全の問題であります。ふなれな労働者でございますので、従って事故率もはなはだ高い。この問題につきましては、建設業の産業災害防止については今後とも努力をいたしたい。もう一つの問題は、行き先の建設業が、ともすると零細の建設業が多いものでありますから、仕事を終わって帰りますときに、しばしば賃金不払いの問題が生ずるわけであります。こういった点につきましては、出ていきました産業の所在します監督署と、それからその労働者が出て参ります農村の監督署、この辺で連絡をとりまして従来ともこの賃金不払いの問題の解決に当たっておりますが、今後ともよく注意をして参りたいと思います。
○小林(進)委員 時間もありませんから、これでやめますが、ただ、私が職安局長にお願いしておきたいのは、今もおっしゃるように二十万というその二十万は、職安を通じての季節労働なんです。ところが、実際は、その職安を通じないが、さっきも言うように、縁故とかいろいろな関係で出ていくものが何倍もあります。ありまするから、できればやはり、そういう季節労働の実態を、まだどこもつかんでいなくて、これは労働省がつかんでもらわなければいけませんから、あなた方が町村長とか末端を通じてそういう実態をつかんでもらいたい。これはぜひお願いしたい。あなたのところじゃないですか、どこですか、つかむところは。何でもいいから研究してもらって、つかんでおいてもらわないとその不備問題は出てこない。これは今も基準局長が言われましたように、安全の問題だとか賃金不払いの問題等々おっしゃいましたけれども、そのほかに、われわれに言わせれば失業手当の問題、失業保険の問題、健康保険の問題、いろいろの問題が全部入ってくる。それがみなまだいいかげんになっている。言っては悪いが、いいかげんになっておりますから、そういうものをきちっとしてもらいたい。農民というものは、百姓をしながらも、いわゆる資本主義の歯車から落とされて、だんだん格差をつけられて貧乏していく。今度は食えなくなって季節労働で飛び出していったら、これもまた国の保護からはみ出されて、今おっしゃるような一番弱い産業の一番どん底で働いているようなことでは、どっちへ回っても救われない。私どもは、こういうところへいま少し本格的な行政の焦点を合わせてもらわなければならぬ。その合わせるためには、実態の数字をつかんでもらわなければ何にもなりません。職安を通じての二十万の数字はありがたくちょうだいしますから、それ以外の数字もできるだけつかんでいただきたい、そうして抜本的な対策を講じていただきたい。
○大原委員 関連して。小林委員から賃金問題で非常に有効な発言があったわけですが、私も、最低賃金制についてどういうふうに日本においては考えてやるべきか、こういう問題について、これは次の機会に時間をいただいて徹底的にやりますが、きょうは関連質問ですから、この点を一点だけ職安局長にお尋ねしたいのです。先般、私は党の決定で広島に豪雪地の視察に参りました。広島とか、岡山とか、兵庫県とか、九州とか、今まで予期しなかったところ、そういう備えのないところで豪雪を受けましたところにおける失業問題ですが、このことだけを一点質問したいと思います。つまりそういうところでは炭がまがこわれる、あるいは道路その他の日雇い賃金がなくなる、農村では御承知のように五反、六反の百姓ではやっていけない、出かせぎに行く体制もないし、あるいは行く先もない、自分の家も見なければならぬ、こういうことで非常に困った失業者がたくさん発生いたしておるのであります。これは今までの豪雪常襲地帯とは違った意味の、そういう問題があるわけであります。従って、その問題は、先般も事務的にお話をしましたけれども、そういうところに第一は季節を限って失対を興していく、そういう方針があるというふうに考えられるが、どういうふうに考えておるかということが一つ、それからその場合に、豪雪に伴う失業者の失対の予算のワク、支出を県にするかあるいは町村にするかという問題はどうするのか、それから全国的に大体どういう方針でこの問題と取っ組んでいるかという問題と一緒に、予算上不足の点については大蔵省との間においても話し合いをいたしておるのかどうか、今までの既存のワクの中で操作いたしますと、いわば既得権を食うというふうな結果になりますけれども、それらの二、三の問題につきまして、職安局長のお考えを一つお伺いしたい。
○三治政府委員 先日も御連絡いただきまして、さっそく該当県に連絡いたしまして、いろいろ資料の提出を今命じてございます。それで今度の豪雪に対しては、どういうふうな——山間僻地で特別に生活に困られる方に対し、非常対策として期間を定めて失対をやる方針で今検討してございます。 なお、事業主体を県がやるか町村がやるかという問題については、これは現地の県の指導にまかしたいと思います。 いずれにいたしましても、こういう非常事態につきまして、できる限り臨機応変の対策を期限を切ってやることについては、私たちも現地の事情を十分聞いた上で考えたいと思います。 なお、今の予算でやれるかどうかにつきましては、その出たところで非常に多くなればとてもできませんし、そう大した額でなければあるいは既存のワクでできるかもわかりませんし、その点は、いずれにしても、何と申しますか、やることにおいてわれわれの方で決心したわけですから、一つおまかせ願いたいと思います。
○秋田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は明二十日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。 午後零時四十二分散会