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43回国会衆議院1963/02/14

社会労働委員会 第9号

発言数
89
登壇者
11
会派数
2
開催日
1963/02/14

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより会議を開きます。  厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。長谷川保君。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 去る一月三十一日の本委員会で、滝井委員から、中央社会保険医療協議会問題をすみやかに解決するようにという非常に強い質問及び御要望があった。   〔委員長退席、小沢(辰)委員長代理着席〕 率直に申しまして、一昨々年以来の医療問題の混乱、中央社会保険医療協議会の問題も含めまして、私はいわばこじらした病気というようにしみじみと経過を見て思う。よくもまあここまでこじらしたものだというように思います。なかなかこの解決は大へんなことであるけれども、しかし、どうしてもこれはすみやかに解決しなければならぬ。大臣も、一月三十一日の滝井委員の質問に対しまして、ただいま私としては全力を傾倒いたしまして、すべての点でなるべく早く開けるように努力しておるところでございます。こうお答えになっております。どういうような御尽力をなさっているか詳しく伺いたいのでありますけれども、お答えの中にも、今それをあまり申し上げたくないというようなお答えもございます。私もその点は、一応ある程度の了解はするのでありますけれども、しかし、この問題はもうほんとうにほっておけない。一月十二日の讀賣新聞の社説でも、この懸案の解決について、「この状態を知りながら、長い間その場しのぎに終始してきた政府や政治家の責任も重大である。それだけに関係者はこんどの国会再開を機に、懸案の医療問題と真剣に取り組んでほしい。」こういうふうに論じております。これは国民の声だと思う。実際これをやらないと医療自体が荒廃をする。国民が医療を受ける権利は人権の根本の問題だと思いますけれども、それが受けられなくなってきつつあるというように考えるわけでありまして、ぜひともこれは今国会の会期中に解決をしてもらいたいと思う。私、いろいろずっと従来のいきさつを調べてみたわけでありますが、ちょうどこの問題が本委員会に上程されておりました昨年、一昨年、私は本委員会におりませんでしたので、書いたものでいろいろずっと調べてみましたが、私は解決の糸口がないことはないという気がするのであります。書いたものをずっと読んで参りまして、日本医師会にいたしましても、あるいは歯科医師会にいたしましても、医療報酬算定の基礎となるルールの確立という、そのものに反対する理由はない。ただ、問題はそのやり方です。従来ありましたような一方的な、官僚的な押しつけ、こういうものをされるということを非常に危惧しておられる、こういうように私は思うのであります。これは昨年の四月六日の日本医師会及び歯科医師会の臨時医療報酬調査会設置法案反対声明というのを読んでみまして、その一番最後のところに、「なお、このような調査会を内閣に設置する場合は、民主的仲裁裁定機関であることが望ましい」という言葉がある。これが昨年四月六日の日医及び日歯の反対声明であります。私はこれは解決の糸口になると思う。つまりこの言葉でもわかりますように、一方的な官僚支配的な申しつけはお断わりだということでありまして、仲裁裁定的な機関であるとするならば――こういうものをもし設けるとすれば、そういうものであるなら望ましいというのでありますから、これは私は解決の糸口になるというふうに読みとったのであります。私が読みとることが間違っておるかどうかは別問題といたしまして、こうなら解決できるのではないかと思うのであります。つまり、今までのこの法律の建前、制度の建前でございますと、臨時医療報酬調査会の方でルールをつくって、それを中央医療協に諮問するという形になっております。それだから困るというのであります。だからこの点は、日本医師会が強く言っております自由経済社会における診療報酬制度の確立ということ、この問題とかかわり合わせて、それではむしろ逆に中央医療協の方で、今できておる法律である三者構成という形で、そこで日本医師会の方あるいは歯科医師会の診療担当者の方からその診療報酬等々についての要求を出させて一これは当然出す権利もあれば、出す能力もあるわけでありますから出させて、そこで支払者側、保険者団体側と十分話し合わせる。話し合いはつかないでしょう。そこで、第三者である学者諸君、学識経験者諸君がその問題についての御意見を十分出してもらうというところで、なお話し合いがつかないでしょう。それを臨時報酬調査会を、名前はどうあろうといたしましても少しく内容を変えて、仲裁裁定機関的なものにして、そこでは臨時医療報酬調査会の設置のあの法律の中にありますような中立的な、いろいろな調査資料を整える事務局を、りっぱなものをつくっておいて、その資料を土台にして裁定していくということにしていけば、この問題の解決の道がそこにあるのではないかというように私は思うのです。だから支払者団体側にいたしましても、診療担当者側から持ち出して参りました診療報酬のいろいろな要求を、そこで力で押し切られるのではかなわぬけれども、そうではなくて、一つ上の仲裁裁定的な機関でこれを裁定していくという形にしていくならば、これはそれ以上のものを望むことはどこにもできないのでありまして、支払者団体側、保険者団体側といたしましても、これは納得するのは当然であります。こういうように考えられるわけです。ですから、私はこの問題のいきさつを二、三日かかって全部書類を調べてみましたが、調べて、決してできないことはないのではないかというように思うのです。こういう私の意見を、私はいろいろなことを調べまして持ったのでありますけれども、そういう可能性があるかないか、そこらでこの問題の解決の糸口がつかめるのではないかということでありますが、大臣はその辺についてどのようにお考えになりますか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 お話の点は、臨時報酬調査会というような組織に仲裁裁定に似たような権限を与えて、そうしてそれにさばきをさせるようにしたらうまくいくのではないか、こういうお尋ねのようでありますが、もちろんそういうことも一つの方法であります。しかし、大体この問題は、それ以前の問題がだいぶあるのでありまして、つまりあなたがおっしゃいましたように、非常に長くこういう問題がスムーズに、中央医療協議会という今法律で定められてある協議会がうまくいかない、それ以前の問題があるわけであります。いわゆる理屈を離れた対立といいますか、そういうような問題もあるわけであります。従いまして、どういう制度、組織がいいかという問題と、それからそういう根本的なことを離れた問題ということもあるので、なかなかむずかしいのであります。元来三十六年の十一月に法律が定められまして、いまだに発足することができないのは、これは一つは私の力の不足も十分認めます。はなはだ残念でありますが、さりとてあの法律では、中立委員というものは厚生大臣がみずからきめることができるわけで、これは私がその気になればやれることでございます。しこうして三者構成である他は、医療関係者、もう一つの支払者団体の方に、これは委員を送ってもらいたいということを厚生大臣がお順いする立場でございます。もしそういう立場で厚生大臣がお願いいたしますと、理由はいろいろありましても、おれの方は委員はかくかくの理由で送らぬよと――それはどういう理由であろうとも、そういうような理由になると、なかなかそこがむずかしいのでありまして、全員を集めるということはなかなかむずかしいのであります。理論の前に一つの問題点があるわけでございまして、非常にむずかしいと思っております。  それからもう一つ私が考えるのは、これはつまり医師会と支払者団体が労使の関係にあるのだろうかどうだろうか。労働問題でございますと、一方は賃金を上げよ、一方は上げない、そこで衝突があって仲裁裁定にかけて、仲裁裁定でもってやってそれに従うということが大体建前になっておりますけれども、医療問題につきましては、そういう労使の問題よりも、やはり医療問題それ自身の全体を取り扱う機構の問題にも何か若干迷うようなところがあるのじゃなかろうかと思います。普通これに関係ない人が卒直に考えまして、意見は違っても両者が寄ってそこで相談したらいいじゃないか、相談をしてきまらなければ、公益委員というものがおるのだから、それが中立の立場でいろいろ考えてくれるのだ、ルールをきめるにしても何をきめるにしても、中央医療協議会の中にもいろいろ部門を持てるじゃないか、こういうようなことで、両団体が感情的にもしっくりいって相談の場をつくろうということでないと、どうもいかなる組織、方法を考えてもなかなかうまくいかないのだ。今、長谷川さんのおっしゃったように、ただ単にルールをつくって押しつけるというようなことだから医師会側が賛成しないのだ、調査会というものをもう少し迷った性格にして、仲裁の労をとるような組織にしたらいいのじゃないかということも、私はこれは将来に向かって十分研究すべき事柄であろうと思っております。私が今努力いたしておりますのは、結局、現在の法律があるから、両者に何とか一つ寄ろうじゃないかということと、それとやはり医療問題の研究というものは、医者の立場からだけではなしに、支払者の立場からいっても国民の立場からいっても、研究しなければならぬ問題は両方にあるということは、やっぱり慰めてもらわなければならぬのじゃないかということを申し上げまして、ただいませっかく努力をいたしておるのでございまして、今御意見のありました点も、私は将来に向かっては十分参酌いたしまして取り組んでいきたい。この前の滝井さんの質問でも、どうしておるのか、今言え、こういうお話でしたが、私も決心はそろそろしておるわけでございますが、やはり最終的にならぬと検討中といわざるを得ないのでありまして、十分御意見のあるところも尊重いたしまして善処したい、かように考えておる次第でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 御承知のように、昨年の十二月二十一日には日本病院協会から、医療費のワクの拡大の要望書なるものが出ております。確かに私は、いろいろ正しい算定をしていられると思うのでありますが、一三・八%の経営費ということを非常に強く訴えておる。このままでは病院はやれないから、すみやかに善処してもらいたいという要求が出ている。一月二十二日には日本医師会から、御承知のように、国民の健康と医療に対しての緊急要望書、健保法の抜本的改正、医療経済の確立についてという強い要望書が厚生大臣に渡されている。私は今厚生白書を読んでみると、病院ストが静かになっていった関係のことを少しく書いている。いろいろもっともらしいことを書いておりますけれども、そんななまやさしいものではないと思う。ちょうど「月刊社会保障」の十二月号に、毎日新聞の論説委員の五局さんが、医療費の値上げの台風が近づくということを書いておられる。関係者は、だれが考えてもそうだと思う。だから、非常な危機がまた迫っているぞ、また三年ほど前の三十五年ごろのあの事態がすぐ目の前に迫っているぞということを私は思うのです。これから私が御質問申し上げますのは、さきにも申しましたように、国民の医療というものを受けます人権がもう侵されてしまっているぞという事態になって、また急速に大きな問題がのしかかってくるぞということを感じますから、きょうの質問をするわけであります。だから今までのいきさつはいろいろありますが、やはり関係者が今までの行きがかりを全部捨ててもらわぬと、厚生大臣自体が、たとえば社会保障制度審議会あるいは社会保険審議会等に関する法律をある程度無視したやり方をしてきておる、あるいはせっかく諮問に対して答申をしているのに、それを無視し、あるいは全然変えたものをやろうとしてきた、それはいい悪いは別問題としまして、あるいは医療協に諮るべきものを諮らずに、この間滝井さんが質問したようにやらざるを得ぬ事態になっている。西村厚生大臣もそれをおやりになるという事態になっている。それは一々、みなよほどの勇断を持って断ち切っていかないと解決の道がないです。だから私は、さきに申しましたように、いろいろな文書を読んでみました。たとえば三十六年六月二日に出しました医療二法修正問題に関する健保連の声明書とか、三十六年十二月十七日に出た健保連その他のものの非協力声明というようなものをいろいろ読んでみまして、なるほど保険団体の言い分にももっともなこともあると思いますし、医師会側で発表しておりますものを見ましても、もっともだと思うものがたくさんあるわけです。だからどこかで糸口をつかまなければならぬが、さっき申し上げました三十七年四月六日の日医、日歯の臨時医療報酬調査会設置法案反対声明の一番最後のところを見ると、糸口はないことはないじゃないか、医療懇談会というものを灘尾さんが心配してつくっておられる、あそこを足場にして――双方の感情が競合してくるということはありますけれども、これは感情だけの問題でない。従来長い間の日本医師会、歯科医師会等の厚生当局に対する不信感というものが非常に強くあるわけです、だから単なる話し合いくらいでは済まないのであって、やはり制度をつくっていって、一方的な押しつけをされるんじゃないということが日本医師会、日本歯科医師会にはっきりしてこなければ、そういう確信が出てこなければ、この話し合いの場というものは持てないのです。私はそうにらんでおる。持てないでおっていいときではない。五局貞次さんのおっしゃるように、もうすぐ目の前に台風が近づいているぞ、また大騒ぎになるぞ、こう思いますから、どうしてもこの国会開会中にこの問題を解決するということでやってもらわぬと、迷惑するのは国民です。病気を持っておる国民であります。それはお医者さんも迷惑するでありましょうし、各方面も迷惑するでありましょうが、一番迷惑を受けるのは国民でありますから、これはどうしてもやってもらわなければならぬ、こう思うわけです。だから厚生大臣、これ以上御答弁ができないということであろうかとも思いますけれども、そこらに開く道があると私は思うんだが、厚生大臣は単に話し合いでいけるというふうな確信を持っていらっしゃいますか。台風は近づいている。それは歴代四代にわたります大臣が苦しみ抜いてきたことでありますから、ある意味では、それによって大臣をやめたと考えられる大臣もおるわけです。非常に重大な問題ですけれども、これはどうしても解決しなければならぬ。台風が近ついているという点で、もう少し大臣のお考えを、今の御計画をどういうふうにやっていくのか漏らしていただきたい。それをここでお漏らしになることが、また一面では、大臣のおっしゃるように困難を増し加えるというあり方も出てくるかもしれませんが、一面では、それがきっかけで解決の道がついていく。国民も、そういう道ならば、これは当然やるべきではないかというような世論も起きてくるのでありましょう。国民の世論を背景にしなければこれは解決できませんよ。そして正しい筋を通していくということがはっきりしないと解決しません。そういう点で、今までのいきさつを、診療担当側も、保険団体側も、厚生省当局も一切を捨てて、そして解決の道にいかなければならぬ。そういう問題について、大臣の腹がまえをもう少し聞かしてもらいたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 腹はあるのです。腹はあるのですけれども、結局簡易保険を短時日の間にやったので、やはりそこに相当なひずみが来て、医者の方から言わせれば、自由診療を今までできたものが相当の制限になったというようなことで、今まで、皆様方も承知いたしておったように、医療担当者といりものが、どっちかというと、厚生省をばかのように言っていたわけです。それがやはり保険の制度をつくったということでひずみが来た。しかし、私の医師会に対する説得は、それは国民保険といもうのを認めぬということならばともかく、認めてやろうということならば、多少行き過ぎがあったけれども、それを徐々に直していくと言っておるではないか、こういう説得をいたしておるのであります。しこうしてまた、支払君側の立場も、医師会の方で医療が上がるといえば支払者の方が悪いし、支払者側の方がいいと言えば医師会の方ではふくれる。そういうような今までの関係になっておったから、法律ではそれのきめ手はないのであります。厚生大臣は、どうか代表者を送って下さい、こう頼む立場でございます。従いまして、その代表者の両方が大所両所から、自分の方に多少歩が悪くても、国民の医療である、もっと高い見地からその土俵で議論をしようという気持になってこそ、初めて中医協というものが開かれるのでありますけれども、今までのいきさつでもってそういうことができなかったのでありますが……(「それはできぬ」と呼ぶ者あり)そこはそう断定してもらっては困るので、そのためにこそ、私は今日まで努力いたしてきておるのでございます。まあいろいろな組織をつくるとかなんとかいうその組織上の問題は、これは第二ではありませんが、ともかくといたしまして、一つ土俵に上がってもらう、それでどういう条件を出せば土俵に上がってもらえるかという条件もありますが、その条件というのがなかなかむずかしいのでございますから、条件はともかくとして、土俵に上がって下さい、そういうことを今盛んに説得をいたし、今日までずっときておるのでございます。しかし、どうしても土俵に上がらぬということになれば、そのときにまた私は、これは厚生行政の責任を持っておる厚生大臣としては、別な考え方をしなければならぬのであります。しかし、まだその時期にあらず、努力は努力として、努力を傾倒するということで今やっておるのでございまして、私は今までそれをやってきましたが、近く何らかの方法で、というのであります。しこうして、将来の医療問題につきましては、これはどうしてもやはり組織全体としてある考えをしなければならぬのじゃないか。もし医師及び支払者団体というようなものが労使関係にあるとするならば、仲裁裁定というようなものは必要でしょう。それも私は必要だと思う。それでなければさばく人がありませんから、別個な仲裁裁定というものも必要だ。しかし、はたして支払者団体と医者というものが労使関係にあるかどうか、労使関係のようなものであるが、こういうことについては少し研究を要するのじゃなかろうか、こう私は考えております。皆様方にも、この問題につきましては非常に御努力を願わなければならぬと思っております。私はこれは他日――他日といっても遠い先じゃありませんが、皆さん方にお話しいたしまして、御協力を願うということもあろうかと思われますので、今努力しておる最中でございます。いましばらく御猶予を願いたいのでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 先ほど来申し上げましたように、待てないときが来ているので、さらにまた、今のいろいろな保険医辞退だとかいうようなものが重なって参りますと、大混乱になってしまう。だから私は、そういう時期が――私が言うだけではない、毎日論説委員の五島さんも言っているように、台風が近づいているぞということは、この問題に関係している者は、みなはだで感じていることでしょう。だから、何にしても、これは両者の言い分が、ずいぶん違うのでありますから、両者の言い分を一カ所で、双方ともに大いに言うがいいと思う。そういう意味では保険団体も医療協に出席すべきであって、医師会も出る、保険団体も出てもらうということをする。ただ、そこで一方的にどっちか側の力で押し通されるということではかなわぬことは、これはどっちでも同じだと思う。だから大いに両方の言い分を持ち出してきて話し合う。話がつかぬ。そこで学者が入って、両方聞いて、それで自分たちの意見も言ってもらう。それでも話し合いがつかぬ。そこで大臣がこれこれだと裁定を下せば、また大臣がやめなければならぬということになるかもしれぬ。やはり私は、臨時医療報酬調査会を先にやらないで、先にルールをつくって持っていくという行き方ではなくて、そこで両方の言い出したものを受けて、それから中立的な機関、調査機関等、十分なものをつくっておいて、それによって客観的な判断をしていくという行き方で――なるほど労使ではありません。労使ではありませんが、取引であります。しかも、国民の生命をかけております重大な取引であります。ですから、そこで十分な、客観的な判断をしてもらう。それには双方とも従うという形をとる以外には道はない。大臣が幾らやっても、腹を切るだけになってしまうということになるのではなかろうか。ことに非常に困ったことに、この背後には大きな票というものがある。民主主義の非常に悪い面がここに出てきている。こいつがくせ者だから、なかなか容易なことではない。けれども、選挙の票がどっちに食いつこうと、迷惑するのはほんとうに国民です。そういうことに関係しない国民、党利党略に関係のない国民です。しかも、生命をかけている問題。どうしてもこの問題は、やはりそういうようなものを全部断ち切って、しかも一方的な押しつけでないということでやってもらわなければならぬ、こら思うわけです。私の言うことは、あるいは今の大臣の心境と少し違うかもしれませんけれども、十分に考えてもらいたい。そうしてこの問題を、今国会中に解決するということにあらゆる努力を傾倒してもらいたいということを、強く要望するわけです。  次に、私はそういう立場を内に含みながら、今日、国民が医療を受けるという人権がはたして守られているかどうかということについて非常な危惧を持っておりますので、以下質問をいたしたいと思うわけであります。いろいろな面から質問をしてみたいと思います。  まず第一に伺いたいことは、政府管掌健康保険の三十七年度末の見込み、決算の見込みはどういうようなことになっておりますか。まだもちろん確実な数は出ませんけれども、大体の見込みはついていると思います。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 政府委員から答弁させます。

竹下精紀厚生事務官(社会保険庁医療保険部長)

○竹下政府委員 三十八年の予算の基礎になりました十月までの収支をベースといたしまして、収支見込みを申し上げますと、まず歳入におきましては、保険料収入が約千三百七十八億余りでございます。一般会計よりの受け入れが五億円でございます。積立金より受け入れを二十億円、雑収入が約八億円余りで、合計いたしまして、歳入合計が約千四百十二億円余りでございます。歳出の方で見て参りますると、医療給付費――医者に対する支払いでございます。これが約千百九十四億円、年金給付費、これは傷病手当金その他でございますが、百六十八億円、業務勘定への繰り入れが約二十四億円、予備費二十三億円、合計いたしまして千四百十二億円と、収支大体相償うという見込みでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 予備費が二十三億という線を出しているわけですね。三十六年度末の積立金は二百九十億四千四百万円というように政府の書類で見たのでありますが、短期給付である健康保険にずいぶん大きな積立金がある。また内容をいろいろ見ていきますと、まだ問題をいろいろはらんでおりますけれども、こういうような大きな積立金を持ち、剰余金を持っていくというようなことは、短期給付ではどうであろうか。もしこういうようなことであるならば、保険の給付の内容を引き上げるべきではないかと思うのです。逆に保険料を下げるという手もありますけれども、あちこちに行って労働組合などの人と会って実際に聞いてみると、保険料を下げるという希望ももちろんありますけれども、むしろ保険の給付の内容をよくしてくれぬかという希望が非常に多いのであります。私もそう思う。三十八年度予算を見ましても、保険料収入は千七百三十三億、保険給付は千六百四十二億ということで、この限りで見ますと九十一億円の黒字ということ。雑収入が九億七千二百万円、合わせて、この限りにおきましては百億円余の超過ということになっておるわけであります。業務勘定その他が別にありまして、この業務勘定それ自体に私は問題を持っておるのでありますけれども、こういうことになる。だから、こういうような保険の勘定がなされており、そうして大きな積立金を短期給付で持っておるというようなことは変だと思う。保険の給付の内容をよくするか保険料を下げる、どちらかを選ぶべきだと思いますけれども、これについては大臣、どうお考えになりますか。大臣でなくても、局長でもけっこうです。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 制度全般の問題でございますので、私から申し上げたいと存じます。積立金が短期給付としては多過ぎるというような前提でのお話でございまして、この点は、私どもむしろやや判断を迎えておるものであります。先ほど御説明を申し上げました数字でもおわかりのように、三十七年度の決算見込みでも、支出が年間に約千二百億程度になるわけであります。そうしますと、現在持っております積立金というのは、たかだかその二割程度でございます。医療費の増減の傾向が急激に変わって参りますと、この程度の積立金を用意しておきませんと制度としては非常に不安定な状態に置かれるわけであります。ただ、おっしゃるように短期の制度でございますから、何でもためればいいのだというような考えで運営するということは、もちろん避けにやならぬわけでありまして、そういうような意味からいたしまして、大体三月ぐらいまでを限度と考えてそれ以上多くなるようであれば積極的に施策を考えていくという判断は当然出て参らにゃいかぬと思いますけれども、少なくとも現在の積立金の状況だけで多過ぎるという判断は、少し危険だという考えでございます。  それから、もう一つ先生がお触れになった問題。実は、これは私どもも実態としてはあり得る問題だと思うのでありますが、御承知の通り、現在の政府管掌健康保険の保険料率は、基準が千分の六十であるはずなのであります。ただし、情勢によってこれを六十五まで上げることができる、こういうことになっておるわけであります。従って、正常な運営としてはできるだけ千分の六十に置いて、何らかの事情でふえなくちゃならぬというようなことが出てきた場合には保険料率を若干上げて調節をする、この弾力性を確保するということが、この制度の安定した運用を考える場合には非常に必要なわけなんであります。これは、かつて昭和二十九年当時、この制度が非常な財政危機にさらされましたときに千分の六十五に引き上げ、その後若干引き上げて、今千分の六十三までおりているわけでありますが、ほんとうなら、この程度に積立金が持てるところにきたわけですから、千分の六十におろしていくことが、より望ましいわけでありますが、そこら辺に何といっても理外の理が働きまして、まあまあというようなことになって現在に至っておる、こういう状況でございますので、概括的な御意見としては、私どもも努めて制度の内容を充実することにすべての収入を充てるというように考えたいと思っておりますが、現在の政府管掌の状態が持ち過ぎるという判断は当たらないという考えでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私は、こういうような会計をしておって患者に対する十分な給付が行なわれておるなら、こう申しません。しかし、この健康保険の会計を見ていきますと、一般会計の五億円を――昨年も本年も来年もそうです。扶養者を入れて二千万人の保険をやっているのに、五億円しか一般会計から受け入れないというのは、これ自体が変じゃありませんか。大臣、そう思いませんか。国民二千万人の人々の健康を守っておりますこの政府管掌健康保険に五億円しか一般会計から入らない、これ自体にも問題がある。これは前に滝井委員たちがその点を追及しておられることをときどき耳にしておりましたけれども、私もこの会計を見て、それ自体が根本的に間違っておると思う。御承知のように、組合管掌でも事務費の補助は八億八千九百万円というのが予算に出ておるわけでしょう。それをなぜ一体、こういうような政府管掌健康保険にわずかな一般会計からの練り入れでやっているのか。大臣、この点どういうお考えで今度の予算をお組みになったのか。また、これは昨年も一昨年もそうでありますが、あなただけじゃない、歴代の大臣の関係もありますけれども、この点、大蔵省との関係はどういうようないきさつになっておるのですか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 やはり保険でございますから、給付と保険料とバランスをとることが根本でありまして、国家財政をそれにむやみやたらつぎ込むということは、程度の問題があろうかと思います。私は、五億は多いということは申しませんけれども、やはり保険という制度のためにそうなっておるのでありまして、保険料と給付というものが見合っておるというのが、根本の建前であると思っております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今申しましたように、組合管掌でも事務費に八億八千九百万円予算が出ておるのですよ。だから私は、政府管掌に五億円しか出ていないのは変じゃないかと言うのです。だからこういうところにすでに保険給付の内容自体をよくしていこうとする情熱がなくて、そして、ただその場その場を合わしていけばいいというような、ほんとうの国民の医療保障に対する情熱、社会保障に対する情熱というものが、池田内閣の三木の柱と言いながら、ないではないか。そういうようなわずかなものを一般会計から入れて、事務費とも何ともつかぬようなものを入れて、そうして健康保険の会計は順調になっているというような書き方をこの説明書に書いている。私は読んで憤慨した。この三十八年度の予算の説明書を見て憤慨した。何を言っているのか。こういうようなことで積立金はつくっていく。これはどうしても持っておることが必要だ。けれども給付の方は改善しようとしない。ここに日本医師会のこの保険制度に対する大きな反発があり、また後に申し上げます被保険者の惨たんたる保険給付の状況が出てくる。これは根本的に考え直してもらいたいと思いますけれども、時間の関係もありますから、関連してまた少し先に申し上げてみます。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 先の議論をなさる前に、今お話しのところだけを御説明申し上げておきたいと思います。  先生ちょっと勘違いをしておられるようでございますけれども、政府管掌では、事務費、人件費は全部一般会計で持っているのでございます。従って、組合管掌の方でおあげになっている八億に対応する分は、何十億というものが国の方から一般会計の負担で入っている、そういうからみ合いでございます。ただ結論として、かつて三十億であった政府管掌の繰り入れ金が、現在五億に減っているということについては、私ども非常に残念だという気持は持っており、その点は先生と同じ考え方でございますが、議論の前提としてそれをおっしゃると、それは違うことになるわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 実は私もそう思って予算書を調べてみた。ところが、調べてみてもそれは出てこない、それは予算書のどこに省いてありますか。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 それは、厚生年金保険の特別会計というのは勘定が分かれておりまして、今のような事務的経費、それから人件費の類は業務勘定というのに含まれておるわけでございます。その業務勘定の収支を合わせるために、そこに非常にたくさんの一般会計の負担による繰り入れ金が入っている、こういうからみ合いになっておるわけでございます。その業務勘定の中には健康保険の事務的経費のほかに、厚生年金の事務的経費も入っておりますから、その点は、正確に議論する場合には分離して考えなければいかぬのでありますが、大ざっぱな見当としては六割か七割、そのくらいが健康保険分、あとの三割――結局六割五分と三割五分、これは見当で申し上げるわけでありますが、そのくらいでにらんでいただくと、両者の費用の分担割合がわかるわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 おそらく私が言うのよりもあなたの方が、専門ですから正しいだろうと思います。私がどう見ましても、健康保険の方から業務勘定に繰り入れていく大きな金がございますね。それと業務勘定の中で一般会計からの受け入れというようなことを合わせていってみる、そしていろいろ庁舎の建築だとか、あるいはまた、福祉施設の経営の費用とかいうものをにらみ合わせていきますと、どうしてもあなたの言うような大きな勘定が事務費として一般会計から入っているとは思えないのだが、その点は、三十八年度予算で金額にしてどのくらい入っておりますか。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 金額で正確に申し上げることができなくて恐縮ですが、見当を申し上げますと、今健康保険組合に対する事務費の負担金として国が入れておりまする金が、大体政府管掌の実際上の事務費の半分程度の金額が結果的には入っております。従って、一人当たりに直してみると、その二倍分だけが政府管掌の方では使われている、こういうことになっておりますから、現在政府管掌の人間がかりに八百万おるとしますと、その人間に対して、組合管掌の一人分に対して事務費系統の国庫負担金として見ている分の二倍をかけたものが、実質的に政府管掌に対して一般会計から繰り入れられておる、こういう関係になっております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 その点は私の方が見方が悪いかもしれませんから、さらにまたいろいろ勉強さしてもらいます。  そこで、それでは今のような積立金を大きく持っておりまするその健康保険の給付のあり方でありますけれども、第一に、今度の予算書を見まして、この項目別の調べを見ましても患者の食費が一日百二十円である。三食に分ければ一食四十円である、こういうように書かれております。事項別調べの二ページに出ておりますけれども、一口の食費が百二十円、一食当たり四十円、こういうようなものが妥当であると予算をつくりましたのは、どういうところから出てくるのか。われわれの常識では全然考えられないのだけれども、大臣、この点どういうようなお考えでしょうか。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 政府委員から答弁させます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 結核療養所一般食百二十円、特別食百五十円四十銭と、これは保険と違いますか。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 今のお話は国立結核療養所の食糧費の問題だと思いますが、これは保険の算出基礎とは、ちょっと別個の問題になっておるのではないかと思いまして、国立療養所の運営予算の方の単価でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 保険も同じようにやっているんじゃないですか。保険の場合にはどういうように算定をしていますか。私の実際聞いておるところでは、やっぱり百二十円というのが材料費になっております。違いますか。大体どこでも事実そうやっていますよ。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 保険では、別にそういうふうな内訳から積み上げて算定するという仕方をしておりません。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 それでは、保険では実際どうやっているか伺いましょう。実際どうやっていますか。

松尾正雄厚生技官(保険局医療課長)

○松尾説明員 事務的なこまかい問題でございますので、私から御説明申し上げます。  ただいま保険で給食の点数は幾らであるかというような御質問でございますが、局長からお話がございましたように、点数表をきめますときの、三十三年行なわれましたときの作業経過から判断いたしまして、いわゆる幾らであるかという、個々の材料費等を積み上げまして出したものではないわけでございます。一つの医療機関全体として、当時の八・五%の値上げがこれでまかなえるかどうかという判断ででき上がっておりますものですから、必ずしも中の材料費が幾らかであるかという積算によってできておらぬわけであります。実態につきましては、全体の費用の中で、たとえば基準給食でありますと一定の栄養量を確保できるようにというようなことは、個々の病院のいろいろな運営の方針におまかせしておる、こういう実態になっておるわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 一応その通りでありますが、私は大体全国的に見て乙地を考えて参りますが、基準給食では何点に考えておりますか。材料費として何点かけていますか。それは指示が出ています、おたくの方でね。

松尾正雄厚生技官(保険局医療課長)

○松尾説明員 材料費について何点か、幾らであるかという指示をいたしたことはないと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 これはあるいは厚生省から直接ではないかもしれません。府県の方からかもしれません。けれども、明らかに指示がされております、何点以上を材料費として使えという。それが乙地の基準で参りますと、百二十円という数字になるでしょう。だからどこをずっとお歩きになっても、普通は百二十円になるように計算するのでしょう。実態をお調べになってごらんなさい。だからこれではどうにもならぬ、これでは病人が死んでしまうと思う良心的なところでは、やむを得ずそれは実際においてはふやしておりますけれども、保険の方で入院をしますときに、単なるつかみ金でやっているわけじゃないでしょう。もともと算定の基礎があって、今の点数というものをつくってきたのでしょう。だから乙地で基準食をやっているところでは、大体百二十円ですよ。間違いないです。だから私が、この百二十円という国立療養所の数字を見てすぐぴんときたのもそれです。百二十円です。  それじゃ、話を少しあなた方の方に合うように持って行きましょう。それでは国立療養所で患者食糧費を一日あたり一般食百二十円でやれる、それで病気がなおる力を持った食事ができますか、このことを一つ大臣の良心から伺いたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 療養所等の食費ならば、昭和三十七年は、予算単価では百二十円でなくて、百十五円であるはずです。三十八年で、それではいかぬからということで二種に分けて百二十円にし、それから百五十円四十銭に上げたのであります。だからして、もし療養所の単価に合わせて病院がやっているという、百二十円にしたということは、それはちょっと私には合点がいかぬのであります。今申しましたように、一般の保険の方はそうやっておらないのですが、療養所の方の関係ですと、昨年が予算単価で百十五円、その中では食えぬからといっていろいろねばりましたところが、それでは予算単価として一種類つくって、一つは百二十円に値上げし、一方は百五十円四十銭に上げしょう、こういうことで、特殊な患者については百五十円四十銭に上げましょうといって単価を上げたのでございます。今お尋ねの問題がどの点になるか、もう少し事務当局に調べさせます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 とにかく国立結核療養所で、これは命令入所の患者も入る、健保の患者も入る、生保の患者も入る、この入りまする患者に一日百二十円。特別食というのは、申すまでもなく、これは手術後の非常な危機にある患者、あるいはまた、危篤の状態に近いような重篤な患者に対する食事でありましょう。そのほかにもありましょうが、大体そういうことであります。それが一食五十円、普通の患者は一食四十円である。今日、御承知のように、食堂で召し上がってもそんなものは一つもありません。こういうものが、あなた方は知らぬといっても、保険でも同様ですよ。一日百二十円です。そういうようなもので、一体患者がなおると思われるのかどうか。だから厚生省はしきりに差額徴収ということをやかましく言いますけれども、しかし事実は、患者はやむを得ぬから差額で食っているのです。しょうがないから、これではやれぬから、自分で金を出してやっている。保険では一日百二十円分の食事しか給付できないのだ、こういうなら別であります。そこまでしか保険はしないのだ、あとは足らぬところは自由にやってくれ、こういう行き方でいいというなら別であります。それならそれで全部保険制度はくずれていくのでありますが、この点は、療養所もそうですし、保険で入院している者も全部そうですが、そういうようなものでいいと、よもや大臣は言うまいと私は思う。これは大蔵省ともずいぶんやかましく折衝をなさったのだろうと思いますけれども、船後主計官がお見えだそうでありますが、大蔵省はどうしてこれでいいと算定するのでしょうか、厚生省はこれ以上要求をしないのか、それとも大蔵省がこれで切ってしまったのか、これは国民の人権の問題でございますから、この点伺いたい。

船後正道大蔵事務官(主計官)

○船後説明員 国立病院と療養所の患者の食糧費の問題でございますが、予算単価につきましては、先ほど厚生大臣からお答えがございました通り、前年度が、一般食、特別食平均いたしまして百十五円でございましたのを、三十八年度からはこれを一般と特別とに割りまして、それぞれ百二十円と百五十円にする、かような引き上げをいたしました。これにつきましては、最近の物価の状況あるいは他の機関における食糧費の状況、これらを勘案したのでございますが、ただ、ここで食糧費と申しますのは材料費だけでございまして、光熱水料でございますとかあるいはこれに伴う人件費分、機械器具の償却費、これはいずれも別個でございます。従いまして、純粋な材料費といたしまして一日百二十円でございますと月に三千六百円程度、大体標準世帯における食糧費から考えましてもバランスは失していない、かように考えます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 病院の食糧というのは、病気をなおす力を持っていなければいかぬですからね。今、御承知のように物価が上がってしまって、うちの大学に行っているむすこがどんぶり飯を食いに行くと、飯だけで今四十円ですよ。白ネギが一本八円、十円する。そういう中でこういうものでやれるということでは、療養所もしくは病院の食事がどんなにみじめなものになっているかということを一つ考えてもらいたい。時間がありませんから、私は一例としてこれを申し上げて次へいきます。  この間の滝井君の質問のときに、大臣は、現在のところ、国立病院の会計はとんとんとなっているだろうというような認識に立っているわけでございますというお話がございました。滝井君からも、その点は、お宅の方の関係の医務局で出しました三十五年度の公的病院の経営実態の内容を詳しくお引きになって、そういうふうになっておらぬということをずいぶん追及なさった。これはお宅の方の医務局において出しました三十五年度の経営実態でありますけれども、もちろんこのあと、三十六年においてわずかに引き上げられた点はございますけれども、この三十六年の三月末の実態でお調べになっているというので見て参りますと、病院は大きな赤字になっている。精神病院の赤字は二五%、厚生省の結核病院の赤字は、医療費用と医療収入の比は一四八・三、つまり四八%赤字になっておる。一般病院の赤字は、施設ごとの調査であったと思いますけれども、厚生省では三三%のものが赤字、府県が五一%のものが赤字、市町村が六〇%のものが赤字、日赤が三七%の施設が赤字、済生会が二二%のものが赤字、厚生連が二三%のものが赤字、その他のものは六〇%が赤字、こういうのがお宅の経営実態調査に出ているわけです。また、国立病院の特別会計をこの予算で見て参りましても、三十八年度の特別会計は、診療収入が百六十億円、病院経営費が百七十一億円、これに一般の病院がやっておりますような看護婦養成費を二億四千万円入れ、あるいはまた、一般の病院は償却費を持っておりますけれども、国立病院にはそれがありませんから、施設整備費三十七億円を入れると、これが二百十一億円になります。そうすると、収入、支出の差は四十九億円程度、赤字が約三〇%という計算になっていく。これをとんとんにいっているというような認識を持っていると言われるのでありますけれども、それはどういうところから出てきたのでしょうか、伺いたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 国立病院は相当数が多いのでございまして、中には非常に利益を上げているところもある。つまり患者の数によるわけであります。中にはあまりうまくいっておらないところもあるわけです。いなかの方で患者のないところはそうです。それですから一がいには言えませんが、大体国立病院全体としてみれば、そんなに赤字になっていない、とんとんぐらいであろう。今あなたは三十五年度の統計をおっしゃいましたが、私の聞いた範囲内では、三十七年のある時期においてそういうことになっているというのでありまして、ところによりまして非常に違うけれども、大体において、それを全部集めた国立病院という一つのことで言い表わせば、まあどっこいどっこいにいっている、こういう意味においてとんとんと言ったわけであります。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 ただいまの御質問の医療経営実態の調査の問題でございますが、これにおきまして、各施設の赤字の病院のパーセントはお話の通りでございますが、これは三十五年の最も経営が苦しかったときの状態でございまして、それから御承知の通り、三十六年には二回にわたりまして保険点数のアップもあった次第でございまして、だいぶん状況がこれからは変わってきているわけでございます。もちろんその間に人件費、物価の上昇、それから各施設々々の診療点数の状況、いろいろな状況がからみ合ってきておりますので、現在の状況はだいぶ変わっておるわけであります。ところで、このときに国立病院の状態がだいぶ赤字ではないかと言われますが、この調査は国立病院全部の調査ではございませんで、抜き取り調査でございまして、ただいま大臣のお話がありましたように、国立病院の中には、いろいろ経営のバランスのはなはだいいところもあれば、悪いところもある。そういうものの抜き取りでございますが、それにいたしましても、一般病院につきましては、医療費用と医療収入の比率が九五・二と書いてございますが、これの赤字、黒字の比率を申しますと、今の九五・二は収入が分母で支出の方が分子になっておりますので、支出の方を普通やりますように分母にいたしますと一〇五ぐらいになりまして、全体におきましては、この抜き取り調査におきましても黒字でございます。従いまして、二十一施設のうちで十四施設が黒字、六六・七%の施設が黒字だ、こういうような形になっているわけでございます。なお、三十五年度国立病院全体として見ますと、病院の経営だけで考えますとそのパーセントは一〇三・五、三・五プロの黒字になっておりますし、三十六年度は、病院だけの経営で考えますと一〇七・二、七・二プロの黒字でございます。もっともこれも今お話しのございましたように、国立病院が陸海軍の病院を引き受けまして、だいぶ施設が荒廃しておりますので、そのための施設整備費等につきましては、だいぶかかるので今の計算に入れておりません。看護婦の二分の一の費用も入れていないという計算ではございますが、そういうような状態になっております。  それから国立療養所の関係のデータでだいぶ赤字が多いというお話でございましたが、これはお話しの通りでございまして、御承知の通りに、国立療養所には現在二割引をやっております。健康保険の普通の単価の二割を引いた金額でしか請求していない。また、基準看護、基準給食等もとっていないという状態でございまして、この点検討しているところでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私は、国立病院や国立療養所が独立採算でやっていいということは、みじんも考えないのですよ。それ自体は赤字でもいいのですよ。それは少しもかまわぬ。それがほんとうの仕事をやっておって、そういうことであればいい。たとえば無医村に対して国立病院がどんどん診療していくというような、収入にはならないような仕事で、国民の公衆衛生あるいは医療ということのできないところに手を伸ばしていく、あるいはまた、貧しい方々で、貧しいけれども生活保護にもかからない、かからないけれども医療費は出せないというような人を救うために、そういう人たちの医療をするためにやっていくということ、あるいは予防衛生という立場でどんどん結核の検診をしていくとか、成人病の検診をしていくとかいうようなことで赤字になるなら、少しも差しつかえないと思う。また、本来国立病院はそういうことをすべきものだと思うのです。それでなかったら、一般の民間の機関でけっこうじゃないですか。国立や公的機関が存在するのは、そういうことをするためにある。だから離島診療にいたしましても、あるいは山間僻地の診療にいたしましても、そういうことをやるのが国立病院のやるべき仕事、公的病院のやるべき仕事だと思うのです。そういうことで赤字になるなら、少しも差しつかえない。今お話しのように、二割の割引の医療をしているから国立療養所が赤字になっている。国立療養所は確かにやっておりますけれども、先ほど申し上げたように、お宅の実態調査でも、支出の方は一四八・三ということだから、これから二割をとりましても二割八分三厘、約三割が赤字になるということです。しかも、一般の病院は、施設をつくっていくのは自分たちでやらなければならぬ、看護婦を養成するのも自分たちでやらなければならぬ、償却もしなければならぬ、利子も払わなければならぬ、税金も払わなければならぬ。こういうような問題は国立病院にはないのです。だから二割割り引いてやらしているからといっても、そんなことは理由にならぬでしょう。それから一般病院の実態調査の方で出て参ります一般病院の赤字にいたしましても、厚生省立が今お話のように六六%ばかりは黒字だ、三三%は赤字だ、しかもその赤字の計算が、今申しましたような施設費その他のものは、償却というようなことはしておりません。施設費はほかから入れる、一般会計から入れるというような形でいっておるので、病院自体の採算ではない。私は、国立病院は赤字もいい、ほんとうにいい仕事をやっていくのならば赤字でけっこうだ、それが国立病院の任務だ。ただ問題は、それを今厚生省はむしろ独立採算にしてやろうとしている。そうして、しかも患者の方にその赤字をしわ寄せしていくということにしようとしている。それをおそれ、同時にまた、そういうことを一般の診療機関、病院その他の診療機関に押しつけるから、日本医師会はさか立ちをしてけんかになってしまうということになり、患者の方は、そういうところだからろくな食事も受けられないという医療保険になってしまい、そして患者の医療もろくに行なわれないというところを、厚生大臣がとんとんにいっていますということで、それ以上考えないでいいんだというようなことを考えたら大へんなことになる。それが今の日本の医療保障の実態である。これは根本的に考え直してもらわないといかぬ。そうしないと、池田内閣の三本の柱が泣くじゃないか。池田内閣が泣くだけならいいけれども、それは国民が医療を受けられないということになる。正しい健全な医療を受けられないということになるのだから、この点を根本的に考えなければだめだ。そうしないと、一番最初申し上げました中央医療協議会の問題も解決していかない、こういうように私は考えるから、今この質問をするわけです。でありますから、こういう問題についてとんとんだ、そんな認識を、厚生省の首脳部諸君が大臣にさしたらいかぬですよ。また大臣もそんな認識じゃ困る。それでは医療協の問題は解決しませんよ。また、国民の医療の問題は解決しないのですよ。そんなものじゃないのです。今の国立病院自体だって、六六%黒字、三三%赤字だというけれども、その黒字の実態をごらんなさい。どういうことで黒字になっているか。食わせるものも食わせない、そして差額徴収をとっているということになっている。  そればかりではありませんよ。もう少し質問を続けてみたいと思うのでありますが、もう一つ考えておきたいことは、この前にも、私はこれは予算委員会でも追及したのでありますが、ちっとも変わらないのでまた追及する。一体保険の方で、入院料の中に暖房料をとることを許しているところは、日本じゅうのどことどこの県ですか。逆に言えば、暖房料を入れておらぬ県がたくさんあると思うのでありますが、どことどこの県だけが、冬、暖房料を許しているのですか。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 暖房料――名前はそういう名前じゃございませんが、そういうことで特掲をしてやっているのは北海道だけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 先ほどもお話しのように、国立病院を初めといたしまして、日本の医療機関が非常に荒廃をしている。ひどい木造バラックで、また最近はどうにもならないからというので、いろいろな方面から融資をして鉄筋コンクリート病院が至るところに建っている。この冬に、一体病人が入院して医療を受けるときに、暖房をしないというようなことで病気がなおるという考え方がわからない。それとも、この暖房料というものは、差額徴収でとっていいという考え方で保険をやっておられるのか。私は、当然保険給付の中にこういうものをどこでも入れるべきだ、冬であれば、鹿児島でも雪の降る時代でありますから、日本じゅう、患者の暖房のための費用というのは保険で給付すべきだと思うのです。今聞いてみますと、北海道以外にはないと言う。新潟も、あるいはまた石川も、秋田も、青森もないと言う私は静岡県でありますが、静岡県のようなところでも、冬、鉄筋コンクリートの病院あるいは木造のひどいバラックの病院で、暖房というものを給付しないでおれ。生活保護で入っております思考は、自分で差額を払うことも本来できないでしょう。それだから、結局はこういうような扱いをしている。これは一例でありますけれども、こういうところに、先ほどの食事とともに、今日の日本の医療行政、医療保障というものが、まことに非人間的になっているのではないかということを思うのでありますけれども、大臣、こういう点はどうお考えになりますか。冬、バラックや鉄筋コンクリートの中で、こういう暖房なしでいいというのですか。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 私、もう先生が十分御承知なんで、簡潔な言葉で申し上げたわけなんです。特掲してやっているのは北海道だけで、もちろん全部に入っているわけであります。計算全部の中には入っております。ただ、これが幾らというふうな入れ方をしておらないという意味で、特掲しているのが北海道だけだというふうに申し上げたわけでありまして、現在の医療機関の費用全体は、過去において使った金をもとにして算定しているわけでありますから、当然暖房料は現在の中に入っております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 それだから変になるのですよ。それでは入院料の内訳を示せというと、そういうのはわからぬという先ほどのお話でしょう。食事の問題で、これこれという積算でやっているのじゃありませんという。それが今になって、暖房料は入っておりますというなら、冬の入院料の中に幾ら入っているのですか。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 これは結局、現在の医療報酬の算定の仕方に連なる問題なんであります。先生がお求めになっているのは、およそ病院というものを経営しようとすれば、積み上げるとどれだけの金が必要で、どうなるから幾らと算定すべきだということをやるという頭で、いろいろ問題をお考えになっているわけであります。病院だけを考えれば、確かにそういうふうにする算定が一番わかりやすいわけ上であります。特に病院の経費の中には、いわば硬直性を持った経費が非常に多うございますから、それがいいわけであります。ところが、現在の医療費は、これはもう申し上げるまでもなく、医療機関全部を平等に取り扱うという前提で計算をされておるやり方なんであります。従って全体として幾ら、特に大多数の医療機関である開業医の状態はどうなっているかということをもとにして算定をして、それでワクをきめて、それから次の配分というふうにかかっているわけでありまして、従って、結果としてその中に、どれが幾ら幾らというふうに積み上げ計算ができないような工合になっている、こういうわけでございまして、この点は、打来の問題として論議をし得るように組み立てるという議論は十分あり得るわけでございますが、これは十分関係者が納得しなければできぬわけであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 時間もおそくなって参りましたから、あまり詳しいことは伺っている余裕がありませんが、私は、今のはどうも厚生省の方針がそこで一貫したものになっておらぬということを非常に残念に思うのです。それで、もし今お話しのように、実際入っているのだ、では、どういうように積み上げているのか、積み上げたところから医療報酬というものは考えられてこなければならぬじゃないか。そういうものは何ら考えないで、大づかみでやっているというようなことで、どうもこっちを押せばこっちへ逃げる、こっちを押せばこっちへ逃げるというような形になっておりまして、そうして医療を担当しておりますれを納得させる、あるいは被保険君たちを納得させるようなものになっておらぬというように思うのであります。私は、暖房料というものが入っているという話を今初めて伺いましたけれども、どうもそういうようなふうには、現場のものをいろいろ調べてみますとなっておらぬように思う。しかし、もう時間も迫って参りましたから、そのことについてはいずれ後に伺うとしまして、一応休憩してまた午後伺います。

小沢辰男自由民主党

○小沢(辰)委員長代理 午前中の質疑をこれで終わりまして、午後からまた再開をいたします。   一時まで休憩をいたします。     午後零時十、五分休憩      ――――◇―――――    午後一時二十八分開議

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続けます。長谷川保君。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 午前の質問でも、ちょっとふに落ちない点がいろいろありますけれども、時間の関係もありますから、またのときに聞くことにいたしますが、ついででありますから、国立病院の特別会計でどうもふに落ちない点を一つ聞いておきたいと思います。  三十七年度予算に比べまして、三十八年度予算で医療収入が非常にふえているのですね。一九%くらい上がっている。これはどういうわけでしょうか。三十七年度が百三十四億に対して、今度は百六十億の診療収入ということになっております。これはどういうようなところからこんなに大きな収入が上がるという見込みなんでしょうか。何かことしは診療報酬を一つうんと上げてやろう、一九%も上げてやろうというような腹があってのことなんでしょうか。私には、どうしてこれがこういうふうにふえたのかどうもわからぬのですが、どういう理由ですか。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 これは結核療養所の一部を病院に転換いたしますので、そのことによるベッド数の増加ということも少しございますけれども、一番大きな原因は、診療点数の増加でございまして、三十七年度の診療点数の見込みが、入院一人当たり九十三点と見ておりましたのが、実績は百十点ぐらいにぐんぐん上がっておりまして、それで三十七年度の見通しにおきましても、診療収入が予定より十数億増加したのでございます。そういうような関係から、診療収入をこのように多く見、また同時に、それに従いまして薬品費の支出の面で多く見ておるのでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 それからもう一つ同じところで、借入金を十億円いたしますね。そしてこれでいろいろ施設をつくっていくのでありましょうが、これは将来診療収入によって弁済をしていくという計画なのでありましょうか。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 借入金の関係は、三十八年度予算におきまして十億借り入れることになっておりますが、これをもちまして病院の整備を促進していく。そうしますと、病院の方々も、診療により精を出してもらえるということもございまして、今までの実績から診療収入等も上がっていきますので、バランスもよくなっていく。こういうようなところから、借り入れました金の利子をこれで払っていく、元金の方は一般会計の方で補てんしてもらおう、こういうような形であります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 先ほども申しましたように、私は、国立病院というようなものは、公的病院の中でも、ことに僻地だとかあるいは離島とかいうようなものによって代表されますような医療の行き届かないところに、採算に合わなくてもいいから、むしろ合わないことをやるべきだ、そういう大きな任務を持っていると思うのです。ところが、どうも見ていると、むしろ国立病院の方が独立採算という点を強くしますために、そういう点が逆に行なわれない、ほとんど行なわれていないのではないか。私の知る限りにおいては、寡聞でありますけれども、どうも逆に国立病院などはむしろそういうことをやらぬ方が多い、やらぬというような形になっているのではないかと思うのです。そこで、今のような独立採算というような考え方で国立病院の運営をしていくのには、根本的に一つ大きな疑問がある。これはもう前からも言われておることでありますけれども、なるほど非能率なことをしてもらっては困りますが、同時にまた、今日の医療制度で行き届かないところに、国立のものが採算を無視して、やはり人命を守るという立場から医療を行なっていく、あるいは予防的な医療をやっていく、そういうことを当然すべきである。ところが、どうも見ておって、そういう考え方が足らぬのではないかと思うのでありますけれども、大臣これは政策の問題でございますから、そういう点をどうお考えになっておるか、この際承っておきたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 お話の趣旨は十分わかります。実は現在でも、国立病院を一つの病院企業として考えた場合、つまり私立病院として考えた場合、投資によりまして、そしてそれで収入を得て、なお利益を得るか、そういう意味の企業と考えると、これははなはだしく企業の体系にはなっていないのであります。今そろばんの上で独立採算ということをいっておりますが、実際は施設の償却をしたり、そういうような意味からいけば、もうはなはだしく国家が持ち出しでございます。持ち出してございますけれども、それではといって何でも国家が全部持ち出すのだというようなことにはならないから、金の面の収支ではとんとんにいきたい、こういうことをやっているので、これは一私企業あるいは私立の病院と考えたときには、もう絶対に引き合わない商売であります。しかし、引き合わない商売でいいのであります。従いまして、私たちは、あまり独立採算、独立採算ということを強く言うわけではありませんが、ある程度はそれを言わなければなりません。しかし御案内の通り、国立病院は、厚生省といたしましては陸海軍から引き継ぎましたが、その後施設補修等を非常に怠っておるのでございまして、施設の老朽のところを直したい。それがなかなか国家から金が出ないというようなことで、今回は、病院といたしましては初めての制度として、財政投融資からの借入金をいたしたのでありまして、今あなたがおっしゃいますように、独立の採算を強調するの余り、それが患者にしわ寄せになるというようなことは、私たちの絶対にとらないところでございます。さりとて、採算を全然無視してやるというわけにも参らぬ。そのようにその間の調節をとっていきたい。御趣旨のことは十分尊重していきたいと思っております。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 私は、国立病院、国立療養所を経営していく厚生省の方針というものをよほどしっかりしておきませんと、やかましく言って独立採算をしていけば、今言ったような企業的な立場に立ってしまう。しかし、それでは国家がやる理由はないのです。民間の施設にやらせればいい。民間の施設は経済が成り立つようにしてやらなければいかぬ、そういうふうに考えなければいけませんけれども、国立あるいは公立のものというのは、そういうことで押していくと大きな間違いになってくる。ところが現在は、そういう企業簿記ということを強く主張しておるようでありますが、企業簿記を使うのはけっこうです。けれども、その事業、病院を経営していく政策、方針としましては、そういうことではなしに、国民の医療というものの行き届かないところを国立が特に挺進して受け持っていく、開拓していくという方針を立てていきませんと、国立病院をやっていく理由がない。そんなものは一般の民間の企業としてやらせればいい。その方がよほど親切で、うまくいくということになってしまう。もちろん施設をどんどんよくしなければいけませんし、しますが、そういう点は、ともすると、現場においては非常な間違いが起こっておりますから、これは大臣として十分当局を督励してやっていただきたい。  そういうことで考えて参りまして、非常に私は遺憾に思いますのは、お宅の方の実態調査を見て参りますと、これはほかの諸君も取り上げたようでありますが、医師の充足率です。この実態調査によりますと、厚生省の関係の病院では八六・三%、市町村関係で七五・五%、厚生連関係で六五・五%、公的病院をとらえているわけでございますが、この充足率はどういうふうに見てやったのか。つまり収容のベッドの定数というようなものでやったのか。実際収容しておる者を、外来とも合わせて割っていって、医療法によるものによって見ると八六・三%というふうになっておるのか。充足率をどういうふうに見たか、よくわからないのでありますが、いずれにしても、八六・三%あるいは六五・五%ということ、ことに国立がそういうようなことであるというようなことは重大な問題だと思うのでございます。これは長年言われておるのでありますが、ちっとも改善ができておらぬと思う。一体こういうようなことで患者の診療が十分できているのかどうか、この点を承りたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 充足率は定数で実員を割ったものでございますが、詳しいことは政府委員からお答えさせます。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 これはちょっと私、書類をもって調べてみなければわかりませんが、私の調査に対する記憶では、病院のその前一年間の収容患者数によって医療法での定数を計算いたしまして、それによって現在おる医者の数を割った数だと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 これはずいぶん厚生省でも骨を折っていると思うのですけれども、依然としてこれが変わらない。一体これを充足する見込みはないのかどうか。このことを私が今伺いますのは、こういうことによって、やはり患者の生命に影響を及ぼすような大きな間違いが出てきておる。これは全国の病院、結核療養所で、すでにそういうことが起こっておるということを知っているからであります。  たとえばここに一つの例でありますけれども、岩木療養所の問題であります。青森県の国立岩木療養所、患者数は百四十名、ところが、ここで医師の定員が五名あるということだそうであります。これも少し変だと思うのでありますが、とにかく医師の定員は五名だ。ところが、実際においては二名しか配置されていない。ところで一人の患者が、十月のことでありますけれども、大喀血をした。すぐそれで処置をすれば多分死ななかったであろうものを、昼休みのために看護婦が一名だけしかおらぬ。また医者は、所長は学会、他の一名は弘前大学へ受講に行っている。そのために医者がいない。平日でも医師は非常勤だというのです。こういうように私は承知をしているのでありますが、火曜の午前から水曜の午前まで、木曜の午後から金曜日の午前まで、こういうように療養所にいないということであります。こういうような事態が起こるとなると、これは実に容易ならぬことであります。一体こういうような事実があるようでありますけれども、これはゆゆしい問題であります。厚生省の直接のお仕事の中でこういうことが行なわれて、そのために大喀血に対する処置ができないためについに窒息死をしたというのであります。こういう事件がやはり方々に起こっているように思う。大なり小なり起こっているように思うのです。これを充足する道はないのか。ないとすれば、もちろん患者の収容ということをやめなければならぬはずである。一体ここらの消息はどうなっているのか、厚生省はどれだけの努力をしているのか。人命に関する問題でありますから、これは非常に大事な問題であります。こういう点は、充足についての努力、また見通し、また充足できないならばその原因、たとえば給料の問題とか、いろいろな問題が出てくると思いますけれども、そういうようなことについて御意見を承りたい。

西村英一自由民主党厚生大臣

○西村国務大臣 非常に大事な御質問でございます。公務員の医者、それと公務員でない普通の開業医というもののバランスと申しますか、こういうことは私どもの厚生省の行政としても最も重要なことでございまして、今御指摘になりましたような公務員たる医者というものに、あまり好んでなる人がないのであります。しかも、それはまた地域的でございまして、あるところでは公務員たる医者は十分充足されておりますが、地域的には非常に少ない。また病院によって――病院によってということは、療養所というような特殊な病院はなおさら充足率が少ない、こういうことが現実の問題であります。そこで私たちの方といたしましても、公務員たる医者の待遇の改善あるいは勤務条件なりにつきましては、相当今後力を入れなければならぬと考えておるわけでございます。御承知のように、医者の俸給等につきましても、一般公務員よりは優遇はされなはおりますが、それでもなおかつ私的の医者というものとは比較にならないような低額でございますので、こういうことが起こるのであります。さればといって、むやみやたらに、公務員たる医者がほかの公務員を引き離して、それの五割も六割もよけいとるというようなことも、またこれは現実公務員でありますから、なかなか容易でないのでございます。そこで方法はいろいろあろうかと思うのでございまするが、一方は待遇改善をしつつ、また勤務条件をよくしつつ、他方では医療行政のそういう面につきまして特殊の工夫をしなければならぬ。特殊の工夫と申しますのは、これは私、西村個人の考えでございますけれども、やはり国立病院につきましてもピンからキリまでございます。ブロックには大きい病院がございます。そのブロックの中心になる、たとえば今度できました博多の基幹病院であるとか、あるいは仙台の病院であるとかいうところには、いつも地方の病院を助けるような、ある程度のリザーブを持っておるというようなことも、一つこれから必要になるのではないかと思っておるのでございます。今御指摘になりましたようなわずか五人くらいな病院でございますると、いろいろな理由によって、その中にお医者が一人もいないというようなことも間々できないと限らないのでございまして、五人が五人そろっておればそういうことはないでしょうが、五人がまたそれで欠けておって、しかも、そのうち一人がおのおのの理由によってということになると、そういう場合にはリザーブされた病院から特別に行く。普通の私的の病院でございますると、お医者さんが休む場合には必ず自分の代診を雇って行くのでありますから、今申しましたように、そういう国立病院全体としての工夫をこらしていくというようなことも今後必要になるのではないか、かように考えておるのでございますが、現実は、今申しましたように、あなたが御指摘になりましたように、はなはだ遺憾な点が多々あろうかと思われます。私の方も最も重要な問題といたしまして、これは私たちがどんなことを言っても、医療は医者がいなければゼロでございますから、十分気をつけていきたい。なお、医務局長から詳しいことは御説明申し上げます。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 岩木療養所で診療上の事故がございまして、患者さんの猪股さんが喀血せられた場合に病院に医者がいなかった、これははなはだ管理上申しわけないことだと思います。責任を感じておるわけでございますが、お話の通りに、病院の定員五名のうち医師が充足せられておりますのは三名で、このほか一人の非常勤の者がおった。医師の一人は弘前の方に勉強に出しております。従って、二人の医師がそこの病院で勤務しておった。院長は学会へ出張で不在であった。そのときに、そこにおりますもう一人の医師が他の非常勤の医師を呼びまして引き継ぎをして、近くの大学であります抄読会に出席するはずであったのでございますが、たまたま交代に来る非常勤の医師がおくれた。こういうようなことで、そこに一時間くらいのギャップができました。その間に患者さんが喀血を起こされた。まことにその点申しわけないわけでございまして、そういうことがないように十分注意をしておったわけであります。ただ、病院側は、その近くにあります浪岡病院というところからお医者さんの応援を求めたりして応急の処置はやっておりますが、今のような問題が起こりました点は、病院管理として、はなはだ遺憾だということで処分を加えておるようなわけであります。しかし、根本におきましては、お話の通り結核療養所に医者がなかなか来てくれない、結核に対して若いお医者さんたちが魅力を持って来ないというようなところに根本的に問題があろうかと思うのでございますが、今大臣からお話のありましたように、できるだけ待遇をよくするようにわれわれ一そう努力いたしますと同時に、国立病院とかほかの療養所との間の応援態勢も平生から十分考えていかなければならない、こういうようにわれわれも考えておるわけでございます。  なお、医者の確保等については、大学等と十分連絡をしていきたいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 厚生省自身が、医師の充足率八六・三%で医療法の違反をしておる。公的病院、今の市町村、厚生連ともに全部そうだということになりますと、これは実に重大なことであります。みずからそういうようなことでありながら、一般の民間の病院に対しては、きわめてきびしい態度をとっているわけであります。きびしい態度をとるのがあたりまえでありますけれども、厚生省みずからがそれができぬというようなことではどうにもならない。ことに、先ほど申し上げたような岩木療養所の例のごとき、こんなのも極端でありますけれども、百五十人も患者がいる病院に、医者がいないときがあるなんということは容易ならぬことであります。これは医者をしかったって始まらないので、問題はむしろ厚生省自身に責任がある。国立病院等に対する医師の充足等の問題を見て参りますと、ほとんど処置なし、行政なしというように私どもには感ぜられる。もう長年の問題です。これはもし医師がほんとうに足らないなら足らないで、大学をふやすということを考えなければならない。幾ら医者をつくっても開業医になってしまうんだということなら、開業医になる、病院に勤めない、その理由は一体どこにあるのかという点を追及していって、それを満たす工夫をしなければならぬし、こういうような医療法違反を厚生省みずからがやっておって、そうして処置なしということでは、これはどこへ出しても通る話ではないのであります。これはどんなに力を入れましても、事人命に直接関係している問題でありますから当然やらなければならぬ。こういう問題について何べん伺いましても、あるいは何年たちましても、ほとんど処置なしということではいけません。これはやはり大臣、これもまた腹をきめて――腹が幾つあっても足らぬでございましょうけれども、腹をきめてかからぬといけない。私は処罰することを望んでいるわけじゃない。むしろこういうところへ勤めているお医者さんは気の毒だ、しかし、患者の生命の問題でありますから、これはどうしても解決をしてもらわなければならぬ。こういうことができないならば、これは閉鎖してほかのところに収容するより仕方がないわけでありますけれども、医者なしで百五十人の患者が捨て置かれる時間が毎週きまってあると、私のところへきている報告にはあるわけです。そういうようなことのないように、これはそこに勤めている医者をしかったって何にもならない、医者を充足しなければ何にもならぬのでありますから、しかることは見当違いだと思う。十分気をつけてやってもらうべきものもありましょうけれども、しかるのは見当違いだ。充足するということをしてもらわなければならぬ。こういう点について、大臣は次官とともにほんとうに考えてもらいたい。こういうほんとうに人権に関する問題でありますから、それも生命に関する問題でありますから、考えてもらいたい。患者の方でもだいぶこの問題を取り上げてくるようでありますけれども、取り上げてくるということも、解決しなければ何にもならないので、解決するようにあらゆる努力をしてもらいたいと思うわけです。  こういうような人員が非常に不足しているいう実態にもかかわりませず、この病院の実態調査の病院種別医療費用内訳という表を見てみますと、病院の医療費用の総計を一〇〇といたしまして、人件費が、厚生省の結核病院では五九・一、都道府県精神病院で五七・九、市町村一般病院で四九、市町村以外の一般病院で五〇・一ということになっております。その後のべース・アップ等によって、この比率はさらに大きくなっていると思うのでありますけれども、およそ日本の企業としては――義母の皆さんで企業に関係している方はすぐわかるわけでありますが、健全な企業経営では、人件費は大体三〇%か四〇%ということになっている。英国などは五〇か六〇くらいのところでありますけれども、日本ではそういうことになっている。四〇%をこえる、ことに四五%をこえるというようなことになれば、企業というものは成り立たないようになっておるわけであります。そういうような人件費の関係になっておる。この点が一番さきの問題とからんでくでるのありまして、こういう大きな人件費を要する企業は、日本の企業としては成り立たない。成り立たないような診療報酬を病院に押しつけていく、診療者に押しつけていくというところに問題がある。しかも、この人件費でも、今のお話の通り、給与が低いということも大きな原因で医者がおらぬ。氏名がおらぬために、患者が医者がおらない間に喀血して窒息して死んだというような事例が、大なり小なり至るところの国立病院等にも起こっておるというわけであります。こういうような医療費用における人件費の割合というものについて、私は多分昨年の予算委員会でもこれは無理じゃないかということを申し上げたと思うのでありますけれども、この点は厚生省としてはどういうように考え、どういうように改善しようとするか、改善しなくてもいいと考えているのか、医療事業という特質からして当処だと考えるのか、これらの点を伺いたいのであります。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 病院の仕打は、患者さんを入院させまして、その患者さんの看護を行ない、必要な医療を提供するために、どうしても人手をもってやっていかざるを得ない。ほかのものを生産するいろんな企業とは違いまして、原材料費等の面が比較的少ないというところで人件費がかさむのは、病院というものの特殊性からしてある程度やむを得ないことだと思いますけれども、日本の五〇%ないし六〇%近くの人件費のパーセントを外国に比べますと、たとえばスエーデンとかアメリカなどでは七〇%をこえておるところもあるように私は思っておりますが、そういうことから比べますと、日本はどちらかと申しますと少ないくらいであると思っております。しかし、これだけ人件費がどんどん増高いたしますと、病院の経営もこの点ではなかなか苦しくなってきておるのもまた不実でございまして、いかにして、人も少なくして済ましながらいいサービスをし、今のお話のように事故の起こるような  ことがあってはならないわけでございますが、病院経営が健全にいくかということをわれわれとしては十分研究していかねばならない、こういうふうに考えておるわけであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 厚生省の方の特別会計を見て参りましても、今の人件費等の問題と比べ合わせまして、やはり施設費については、別に大きくつぎ込んでいかなければならぬということになっているわけです。そうなりますと、一般の病院では、診療報酬の中でこういう人件費を食われていくといたしますと、患者に十分な医療を施しますための医療設備あるいは検査設備というようなものを整備することはできない。患者の処遇をよしていくような、そういう方に金を回すことはできないと私は見ている。私は自分自身も病院の経営に関係してみまして、こういう比率ではやれるものではない、日々に進歩して参ります施設を絶対に追求していけるものではないということをよく承知しております。だからこれらの問題も中央医療協の問題と結びつけて考えられるから、私は申し上げているわけでありますけれども、こういう問題も具体的に変えないといけません、スエーデンが、あるいは米国が、あるいはイギリスがというようなものを日本に持ってきても、それは企業は絶対に経営できません。そういうことでありますから、こういう問題も一つ根本的に、将来どういう方式をとっていくか、診療報酬の中で人件費の占める割合はどのくらいが妥当であるかということ、こういう問題は、厚生省は真剣に考えてもらいたい。そうしないと、一方では病院ストがまた起ってきます。そしてこの問題がさらに大きく混乱するもとになり、ます。だから今の、医務局長のお考えは心してもらわぬと、こういう問題は解決できませんということを私は強く思うわけです。  次に、その問題とすぐうらはらになるわけでありますが、地域差を廃止するということに踏み切られた。これはけっこうなことだと思うのです。これも日本医師会が強く要望せられていたところでありますが、また道理でありましてけっこうでありますが、まず第一に、地域差を撤廃することによって今年度どれくらい医療費がふえるのか伺いたい。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 ならして申し上げますと、地域差を撤廃することによって、年間でございますと全体の医療費が三・六五%でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 金額にしてどのくらいですか。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 金額にいたしまして、厚生省関係の制度で約二百億、ほかの制度、たとえば国家公務員共済組合その他ございますが、全部を入れますと約二百五十億でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 これはすでに同僚議員から伺ってあるかもしれませんが、これを上げなければならぬという理論的根拠があってお上げになったに違いないと思うのです。そうすると、当然上げなければならぬという理論的根拠があってお上げになったとすれば、少なくとも新年度、四月から上げるべきであったが、それを九月から上げなければならぬという理由はどこにありますか。

小山進次郎厚生事務官(保険局長)

○小山政府委員 これはまだ上げておりません。上げ得るための費用を計上する準備をいたしまして、現在予算で御審議をいただいているわけであります。そういうふうに計上していただくようなことにいたしましたのは、ごく簡単に申しまして、現在一般の傾向として、医療機関がとかく都市に集中する傾向がございます。かなり地方が開けて参りましても、この傾向は弱まるどころか、考え方によればむしろ強まる傾向があります。国民皆保険のもとにおいては、全体の問題としては十分に考えなければならぬことでありますが、現在あります地域差が、結果的にはそうなりやすい傾向をさらに強める作用をするということは否定できないわけでございます。そういうような事情からいたしまして、地域差の問題については、今後も存続していくべきであるという議論もないではございません。たとえば生活保護の基準にも地域差があるんじゃないか、あるいはいろいろな労働者の賃金にも地域差があるんじゃないか、従って、医療報酬にも地域差があるのがあたりまえだというような議論もないではございません。率直に申しまして、この議論は五分五分の議論だと思っております。そういう意味で諸般の事情を考えて、この際撤廃をしていく方向に踏み切るべきが至当であろう、こういう考え方で組んでいただくことにしたわけであります。四月からという要求でございましたのが九月からということになりましたのは、本年度のいろいろな財源の関係等で、やむを得ず九月からということになったわけでございます。実施する場合には、当然のことながら中央医療協議会に諮って、その議を経た上で実施いたします。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 当然四月から上げるべきだけれども、財源の問題で四月に上げるのを九月に上げるのだというお話でありますけれども、やはりそういうところにけさからの問題の根本がある。上げるべきものなら上げる。財源がないから上げません、だから医者は少ないままでやっていなさい、こういうことになるとどうにもならぬ。今日のような医療協の対立が始まってしまう。財源がないから医者はたくさん給料を上げません、だからなしでも仕方がありません。生命に関するときにはそれはできないのですよ。そういう考え方は、してはいけないのですよ。生命はあらゆるものを越えてとうといものであります、とうとばなければならぬものでありますから、それではいけない。財源があるかないかということは、結局は人間の考え方ですから、あるといえば三千億も自然増収がある。ないといえばない。財源があるとかないとかいうのは、これは人間の考え方なんです。政治をとる者の考え方です。だから、これは厚生省だけでやるわけではありません、大蔵省もそこに大きな責任があるわけでありますけれども、そういうことが人間の考え方で出てくる。どっちでもなるようなものを、財源がないから、道理は上げなければならないけれども上げられないのだ、安いものでがまんしておけ、こういう考え方がやはり今日の医療混乱の根本になっている。私は、そういう考え方について、厚生省も大蔵省も十分考え直しをしてもらいたいというように思う。この問題が、今から伺います看護婦の問題とからんでくる。  看護婦対策について次に伺いたいのでございますけれども、厚生白書を拝見いたしました。厚生白書では、病院関係の看護婦の必要数十四万六千七百九十四人、就業数十三万二千六百五十人、不足数一万四千百四十四人となっております。これは病院関係となっておりますが、全国では一体幾ら足りないのか、このことをまず伺いたい。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 ただいまのお話の看護婦の需給がどうなっているかという問題の計算の根拠でございますが、病院関係の勤務看護婦の今お話がございました人数の計算は、現行医療法の基準によって、一般病院では四ベッドに一人、こういうふうな計算によって計算いたしました場合にはこうなるというのでございまして、これはただ計算の一つの基準だということでございます。先ほどから医療法の基準についてお話がございましたが、これは大体各病院によりましていろいろの事情の差はあろうが、この程度のところに持っていってほしいという基準でございまして、最低限度というほどのものでないことは、御承知の通りだと思うのですが、四人に一人というような基準によりまして計算した場合には約一万四千名の不足になる。診療所関係については、そういう基準がないのでございますが、三十五年の実績で見ますと、一診療所当たりで〇・七人くらいになっておりまして、それを基準として将来を考えてみますと、四十五年には一万九千人くらいが、こういう基準で計算した場合には足らないというふうになるのでございます。これは三十六年度では不足が一万五千九百名でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 ところが、私は不思議なことを見出したのであります。実態調査のところを見て参りまして、看護婦の充足率のところの「一般病院の開設者別、医師、看護婦充足率」というのを見て参りますと、厚生省のは、看護婦充足率が一〇四・五%となっている。都道府県が一〇四・七%となっておる。日赤が一〇二・六%、その他一〇三%、少ないのが市町村の九二・九%、済生会が九七・五%、厚生連八九・六%、こういうふうになっている。厚生省や都道府立が一〇四・五%、一〇四・七%という数字になっているのだが、これはほんとうでしょうか。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 これは先ほどの医師の充足率と同じように、看護婦充足率も手を加えたものではなくて、事実そのサンプルに当たりました施設の数字をそのまま出しておるわけでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 どうも私は変だと思うのです。どこの国立病院へ行っても、どうもこういうことは考えられない。東一病院に伺っても、看護婦がない、どうにもならぬと言っておる。つい二、三日前にある国立の施設へ参りましたが、そこでも同様、病院長や総婦長が頭を下げて、涙を流さんばかりにして看護婦を探している。東京の近くの病院です。それだから、これが事実とすれば、これは驚くべき事実です。どうもわれわれの現場を見ての事実とは違うと思う。だから、こういう認識のもとにやっておられると、やはり違うのではないかと思うのだけれども、その点どうなんでしょうか。もしこれが事実だとすれば、私はまた言い分があるんです。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 今のお話の点、看護婦にいたしましても医師にいたしましても、調査の対象になりましたのは全病院ではなく、一部の病院の抜き取りであるということが一つと、これが医療法上の基準に照らしての計算がこうなるということでございまして、東一段階につきましては、医療法上に計算せられました必要数と思われますもの以上に看護婦の定員を置いておるのでございますが、それでも東一という病院では診療濃度が相当高い。手術とか検査等が相当多い。また、外来の患者さんが多いという関係からして、もう少し看護婦の数をほしいと、こういうふうに言われるわけでございまして、忙しいという点で看護婦の手が足らないということを言われるのだと思います。ちなみに申し上げますと、国立病院の入院患者の診療点数につきまして、入院料を除きましたもの、従いまして診療行為でございます。これを東一とほかの国立病院全体の平均とを比べますと、たしか東一は平均の倍くらいある。従いまして、診療介助につきましても、一般の国立病院よりも倍くらいになる。もちろん看護婦の仕事は診療介助だけではなく、いろいろな生活看護と申しますか、そういう看護プロパーのものも相当ありますが、その仕事の一部にかなりのウエートをもって診療介助の仕事がございますので・そういうような点から見まして、東京第一病院などは、今の医療法の基準よりも多くの定数を配置しておってもなお足りないということになっております。各病院々々を、入院患者四人に一人とか、外来三十人に一人というような基準で縛ってしまうこと自体、機械的にそういうふうにものを考えること自体に問題があると考えておりまして、医療法では基準ということよりも、標準という言葉を実は使っておるような次第でございます。その点、よくおわかりだと思いますが、つけ加えさせていただきたいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今の話の中には、非常に大きな問題が入っております。というのは、いわゆる基準看護というものでは親切な看護はできない。だから東一が、御承知のように外来は非常に多い。医療の幅も奥行きも非常に広いものをおやりになる。こういうことで親切な看護をしようとすれば、基準通りでは足りない。このことを一つ次官は十分お考え願いたい。これが看護行政の中で今後占めなければならぬ大きな問題だと思います。というのは、数年前につき添い看護をはずした。そのとき私たちは、はずすことに大反対した。そうしたら患者が困るぞと言った。けれども、不幸にして、つき添い看護の中に共産党の組織の手が伸びたということも一つの大きな原因でありましたけれども、それを政府は非常におそれたと私は見たのでありますが、とにかく何でもかんでも切ってしまおうというので切った。そのために不幸な事件が起きて、私は当時厚生大臣の不信任案を衆議院へ上程して、提案説明したのでありますけれども、非常に不幸な事件が起きた。まず第一に、今の基準看護ではほんとうの親切な看護はできぬぞということ、これは私も自分で関係してやってみて、しみじみとわかった。どうしても、少なくとも今の基準看護のままでは、つき添い婦をつけなければだめだ。重態な者あるいは手術直後の者に対しては、つき添いをつけなければならぬ。今の基準看護の少なくとも二割以上ふやさなければならぬということを、実際の現場において私は深く思うし、そういうことをまず看護行政の中に一つ根本の問題として考えてもらいたい。今の基準看護じゃだめだということをまず一つ考えてもらいたい。ちょうど局長からお話が出ましたから、これは今後の看護行政で十分考えていただきたいということを申し上げたい。  いま一つ、もし実態調査がその通りだとすると、私は言わなければならぬことがある。先日、東京近くのある国立病院の付属の看護学院に、その卒業生のことで行ってみた。そうすると、こういうお話があった。外へ看護婦を出すことはできないのです。なぜできないか。厚生省の医務出張所の方から通達があって、看護婦を高等看護学院の付属しておる親病院の外へ出すな、もしどうしても本人が出るといった場合には国立病院へ向けろ、それ以外に出すなという通達が来ています、こう言っております。厚生省は一体そういう通達を出しているのかどうかということを一つ承りたい。  実際、私があちこちの病院の高等看護学院を訪ねてみますと、そこでは非常な人権じゅうりんが行なわれておる。外から卒業年次の看護学生に参ります手紙は、ひどいところは、看護婦の雇い入れの関係のものとにらんだら没収して見せない。また、看護学生を外から行った者に会わせない。この間もあるところで、どうしてもその病院に勤めるのはいやだ、しかし出ることができないからといって学生が夜中に脱さくをしている。そうしてある病院に行った。こういうような事件さえも起こっておる。病院を経営しておりまする院長や事務長諸君が、それだけ真剣にならなければならないという看護婦の情勢だということです。それだから、ここにありますような一〇四というような実態というものはどうかということが一つ大きな疑問であると同時に、もしこれがほんとうであるとするならば、それを守るためにはそういうような看護学生の人権じゅうりんまでもしておる、しかも、厚生省の出先である医務出張所長がそういう通達まで出してやっておるという現状は、ほんとうに考えなければならぬのじゃないか。もしかくのごときことを厚生省がよしとするならば、他の一般の病院の看護行政というものを厚生省はどう考えているのか、一般の病院あるいは診療所の看護婦の充足というものに対して厚生省はどういう政策を持っているのか、それを承りたい。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 第一点の、看護婦を国立病院以外に出すなというふうな通達を厚生省から出した覚えもございませんし、出張所もそういうようなものは出していないと思います。と申しますのは、国立病院の看護婦の養成は、先ほど予算上御指摘がありまして私も触れましたように、その二分の一を一般会計から入れているような情勢でございまして、国立病院の役に立てると同時に一般の役に立てる、かえって私どもはそれの方を強く考えているわけでございまして、国立病院だけがこれを使おうというふうな考え方は持っていないのでございます。  なお、人権じゅうりん云々の問題につきましては、そのようなことがあってはならないと思いますので、施設名をお教え願いますれば私どもの方で注意いたしたいと思いますし、また、国立以外のところにおきましても、教務主任会議等がございますので、それらのところで注意をいたしたいと思います。  それから一般につきましては、従来個々の医療施設で、おのおの独立して自分のところの看護婦を養成するというような場合が、どちらかというと強かったのじゃないかと思いますが、そういう不足の事態につきまして、自然の状態だけに放置しておいてはいかぬというので、ある程度将来計画を立てまして、これに応じまして看護婦の養成をふやしていくように、ことに公的の医療機関、国とか都道府県等を初めといたしまして、公的の医療機関がそれについて努力をしていただきますように強くお願いをしていきたい。そういたしまして、養成者の数をふやし、また、養成所の定員一ぱいを採るように要請をいたしまして、公的医療機関で、できるだけ看護婦さんと養成につきまして、責任を負っていくような態勢をとるように今努力をしておるところでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 ところが、今言ったようなことは全部事実を申し上げておるのでありまして、そういう点は、どうか厚生省は十分腹に置いて行政をやってもらいたいと思うのであります。同時に、せっかくのお話でありますけれども、私が三十七年度の厚生白書を見て参りますと、三十一年対三十六年の看護婦、准看護婦を含めてでありますが、この志望者数がどんどん減っていっておる。三十六年と三十一年とを比べますと、志望者数の割合は四五・五%になっております。入学者数はこれまた減って参りまして、八五%という形になっていっております。こういうようなところから看護婦の非常な不足が来ていることは明らかであり、また不足が将来もいよいよ激しくなるということは、火を見るよりも明らかだと思うのでありますけれども、こういう点について厚生省は対策を持っておられるのか。定員一ぱい採れと言うけれども、志望者がぐんぐん減っていっておるその原因を追及してこれを直さなければ、この問題は解決しないのであります。そういうものに対してどういうような対策を持っておるのか、承っておきたい。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 お説の通りに、看護婦の志望者の数が減って参りまして、ことにこの二年ばかりは減り方がひどいようでありますが、 これは一つは、ちょうど高等学校卒業生が、戦争中の影響で一番少なくなってきておるのが三十八年だと思いますが、来年は少し高等学校の卒業生がふえてくると思います。准看の方はそうではありませんが、そういうふうな日本人の年令構成の問題が一つ、それよりさらに、ほかの産業がいんしんをきわめておりまして、そちらの方が人を引く力が強い。それに対しまして、看護婦さんの待遇と仕事が、魅力が少ないというふうなところにあるのだと思います。従いまして、根本的にはやはり看護婦さんの待遇をよくし、労働条件をよくしていくというふうなことが一番問題になるのじゃないか、こういうふうに考えるわけでございますが、同時に、看護婦さんになっていただけますように、高等学校の卒業生等に対しまして勧誘を十分やっていくというような手も打ちたい、こういうふうに考え、かつ養成所が、高等学校に対しまして、また府県に対しましてそういうPR活動を活発にしていきますようにお願いしておるような状態であります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 今看護婦さんの不足の実態を、私の持っております資料で一つ申し上げてみましょう。東京都医師会が昭和三十七年二月に行なった実態調査、三千二百八十名の看護婦、准看護婦を新たに雇い入れた。ところが、一年間に三千四百五十四名がやめていったことが明らかになった。東京の慶応病院では、昭和三十六年中に、看護婦四百名中百二十名がやめている。慈恵医大でも、同じ期間に、二百名のうち八十数名が退職した。厚生省が三十七年の五月に人事院に提出した資料によっても、国立病院、療養所における年間、看護婦、准看護婦の採用率一二%に対して、退職率は一四%、退職者が採用を上回っておる。こういうような事態からしまして、どうも先ほどの厚生省の実態調査は私にはよくわからぬ。看護婦不足はますます深刻になっていきつつある。その結果、看護の手抜きが行なわれる。いわゆる無人注射が行なわれておる、輸血をするのに人がついていない、無人病棟が行なわれる、そういうところから看護が十分に行なえないどころではなく、死ぬ者が出てくる。先ほどの例もその一つの例でありますが、これもその一つの例であります。  国立高崎病院の輸血中の患者の死亡事件、十二月六日、入院中の方が胃ガンのために輸血をしておった、いわゆる輸血に二連球をつけて、おかなければならぬ、点滴注入をしていくのに時間がかかりますから二連球をつける、空気の圧力で早く輸血をしよう、そうやっておきながら看護婦が他の患者を見回りに行った、いわゆる無人注射の状態がそこに起きた、血管の中に空気が混入してついに患者が死亡したという事件が起こった。今この看護婦は、医打とともに業務上過失致死で起訴されんとしている。聞くところによると、この高崎病院には看護婦が相当おるということでありますけれども、基準看護というものの足りなさか、あるいは先ほどの一〇四という看護の充足数が出ておりますけれども、その中には。パートタイムとかいろいろなものが入っているのではないか。ずいぶんひどい話でありますけれども、国立の病院でありながら、ところによっては医師が実際には判こだけついて、日常、朝から晩まで勤務しているのではないという療養所もあるということを聞きます。もちろん、いつもいないのではありませんけれども、そういうことも聞きます。同様に看護婦の問題でも、そういうようなことが行なわれているのではないか、たとえばパートタイムの看護婦を雇ったらということでずいぶん開拓しております。これもいいことだと思いますけれども、しかし問題は、パートタイムに勤めに参ります看護婦さんたちは、大体結婚をしている人です。そのために昼間だけはやります。夜はやらぬ。夜は常勤の看護婦がたびたび夜勤をしいられておる。これは労働基準法もくそもあったものではない、看護婦は基準法以外だというようなことから、殺人的なものに実際なっている。実にひどいものになりますと、一カ月の間、十五日から二十日の夜勤をさせられるという事態が起こっておる始末です。だから私の今申し上げた高崎病院の事件、こういうようなことで看護婦が過失致死で引っぱられてしまう、もしこれが起訴されるということになければ、看護婦という資格も失うのであります。看護婦行政についてたびだび言っているのでありますけれども、今のような態度ではだめです。それは根本的にしっかりやらないと、患者の人権というものが守られているかというような点で、私は全く守られておらぬぞというふうに考えるのであります。今の厚生省のやっておる態度というのはなっておらぬ、少なくとも今日のようなこういう緊迫した事態において、看護婦を充足する手というものが事実行なわれていないじゃないか、一体どれだけ行なわれているか。三十八年度の予算を見たって一体どれだけのことが行なわれておるか。こんなことでは、今日の緊迫した看護婦の不足問題というものは解決できませんよ。そしてこういうような不幸な事件というものが次々に起こって参りましょう。今も、方々へ行ってごらんなさい、こういうような無人輸血と申しますか、無人注射と申しますか、こういうような事態というものが至るところにあります。看護婦なし、これが普通です。全国の国立病院を調べてごらんなさい、全部やっております。ここの静脈のところをこうやって針を入れておいて固定して、看護婦はいません。しかも、点滴を早くやるために二連球でやって、そしてうっかりしておってほかの仕事にかかっていたために死んでしまった、こういう危険性は私は非常に多いと思う。看護婦行政だって、これは本気になってやらなければだめです、こんなことでは。一〇四、こんなことをいってもだめです。これはまず根本的に賃金問題、今度は公務員の給与の改定でもって医者も看護婦も給与ベースが少し上がるようでありますけれども、まずあんなことでは志望者は出ません。これは悪循環をどこかで切らなければいけません。低賃金と労働強化、こういうことをやめなければいけません。  日赤で調査したものがあります。看護婦二千名を調査いたしますと、既婚者が二一%、結婚後も働きたいと思っている人が三〇%、条件によってきめるという人が三五%、結婚とともにやめるという人が一四%ということになっております。看護婦さんたちが働けるような給与、結婚して子供ができても働けるような二十四時間の保育施設、こういうようなものをつくっていく。それから今日のようなひどい過労、ことに手術室とか中央材料室とか放射線を浴びるような職場、こういう職場における労働時間をまず短縮する。あるいは一看護単位を大きくずれはするほどいいと思って、どんどん大きくしていく傾向がある。七十名、八十名という傾向がある。その看護単位を四十床以内くらいに制限する。夜勤、ことに深夜勤の回数を月六日以内くらいに制限する。夜勤は一組二人以上とする。こういうようなことをしていく必要がある。ことに法律をもって、そういうものをできるだけ規制していく必要がある、生理休、産休、週休、休憩時間、育児時間というようなものを完全に実施していく必要がある。寄宿舎にいたしましても、深夜勤で帰ってくる者もある、一人一部屋のアパートをつくっていくというような、いろいろやるべきものがあると思う。国はそれらのことについて何ら手をつけていない。こういうような看護婦の待遇というものをよくすることによって志望者が出てくるでありましょう。そういう法律の制定及び財政の問題について、厚生省は何らやっておらぬと言って、差しつかえないと私は思う。こういうような点を将来やっていって、抜本内な解決をする必要があると思うが、厚生省はそれについてどういうお考えを持っているか伺いたい。今までのようなごまかしじゃだめです。何年やってもちっとも変わらない、そういうことじゃだめです。根本的にやり直さなければだめです。これは大蔵省も予算の編成のときに考えてもらいたい。今言ったような不幸な実態が、全国至るところに出ているのです。表面に出せば刑事問題になりますから、みなひた隠しに隠しているけれども、事実は一ぱいある。実態をよく調べてごらんなさい。必ず、今のような無人の輸血なんというのは、みんなやっています。やっていないなんて言ったら、私はやっている例を幾らでも持ってきてあげます。幾らでもやっている。それは人命の問題ですから、ほんとうに考えてもらいたいと思う。今のようなお茶を濁しているような看護行政ではだめだ。根本的に考え直してもらいたい。一つ厚生省の御意見を……。

渡海元三郎自由民主党厚生政務次官

○渡海政府委員 御指摘まことにごもっともであると存じます。看護婦対策につきましては、現下最も緊要な問題であるということは御指摘の通りでございます。私たちも、このことにつきまして予算編成当時にも種々努力をいたしたのでございますが、微力そこに至らずして御指摘を受けましたような予算状態ではございますが、しかしながら、私自身も実は夜の夜中に大蔵省に参りまして、これだけはやっていただきたいのだということを主計管に頼んだというふうな状態でございます。認識不足だと言われたらそれまででございますが、もう長谷川委員御指摘の通りの現在の行政機構でございますので、一朝には参りませんが、今言われましたような点はごもっともでございますので、私たちは相当の覚悟を持って今後前進のために努めたい、かように思っておるような次第でございます。このたび看護課を新設いたしましたのも、そういった点につきましてもっと体制を整え、抜本的予算もとれるような姿にしたいと思いまして、そういった制度も設けたような次第でございますので、今後とも努力を重ねましてやっていきたい。この問題は、今も御指摘にございました通り、低賃金、重労働ということが根本ではございますが、もう一つは、その反面、経済の伸びというものがこういった女性の職場に対する進出を非常に困難にしておるというのが現在の情勢でございまして、この情勢は喜んでいいのか悲しんでいいのか、とにかく産業のいんしんがそういった職業への進出を非常におくらしておるということは事実でございます。女性の持つ特色のそういった職分に対して、彼らに誇りと自信を持たすというふうな社会風潮をつくることによって、それらへの希望者もふやしていくということをあわせ考えて、今後の充足等に合わしていきたい、かように考えておりますので、何とぞ御協力、御援助賜わりたいと思います。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 この問題は生命の問題ですから、一朝にはできないでは済まされない。その問題は、他の一般の仕事とは別に考えてもらいたいと思う、それだから一朝にしてやらなければだめなんです。こうやっている間に、こういう不幸な状態の中で実際にたくさんの人が死んでいるのです。けさから申し上げているようなひどい食事、ひどい看護、医者もろくにおらぬ、見てもらえぬという状態の中で、助かるべき者が死んでいるのですよ。だから、生命の問題ですから、ほかの問題と違う。これは一朝にしてやらなければだめなんです。一朝にしてできないということでやっているような情熱ではだめなんでありまして、この点は姿勢を改めてもらいたいと思うのです。  ついででありますから伺いますが、最近東京都内の大病院が実態調査した結果、つき添いをつけておったというので基準看護を取り消されたということを伺いましたけれども、そういう事実があったのかどうか、どこどこですか。

松尾正雄厚生技官(保険局医療課長)

○松尾説明員 東京都内の病院におきまして、日常の都の保険部の指導の業務といたしましていろいろ調査をいたしましたところ、さようにつき添いがあった、かなりついておったというところがございましたことは報告を受けております。しかし、まだ取り消しということはやってないと思います。これらにつきましては、ただいま先生の御指摘のような現状でございますので、この断面をもってすぐとらえるわけではござませんので、十分に病院当局とも話し合いの上で、いろいろ改善策を考えてほしいということで、まだ話し合っている段階のはずでございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 先ほど来申し上げておりますように、基準看護ではだめなんです。ほんとうに親切なことはできないのです。先ほど申しましたように、高崎の病院は基準だけ看護婦がいるようにも伺っております。それでもそういうことになる。基準ではだめなんです。基準よりも、もっとよくしなければだめです。聖路加ほどによくしなくてもいいと思います。あそこまでいけば理想でしょうが、全体にあれだけのことをすることはできますまい、これは当然のことであります。もちろんあそこまでいかなくても、これは基準ではだめです。少なくとも基準を割以上上回る人員を配置しなければ、親切な行き届いた病院には絶対なりません。むしろ基準をとっておってもつき添いをつけている、そこに不正があったというなら別でありますけれども、どちらも非常な苦労をして看護婦を集めておるのです。そうして今のようなパート・タイムというようなこともあるわけです。そうすると、夜間は困ってしまう。あるいは、基準でも、手術直後の患者に全部看護婦をつけるわけには参らぬということに、経済の方から押されてくるわけです。そういうことになって参りますと、どうしてもこれは基準以上につき添いをつける方がほんとうなんです。一昨日ちょっとこの事件を伺って、基準取り消しというようなことをしたというように聞きましたので、これは非常に困ったことになったと思ったのです。しわ寄せは何にいくかというと患者にいく。病院はそれでいいでしょう、基準をやめてしまえば楽でいい、責任はとらぬ、よろしいでしょうけれども、しわ寄せば患者にいく、患者がそういうことのために看護を受けられないというような形になってしまう。自分で看護婦を雇える人は別でありますが、雇えない人はどうしようもない。ことに生活保護で入っている、うちの人は働かなければならぬ、そういうような場合にどうしようもない。しわ寄せが患者にいくのです。だから軽々に基準を取り消すなんということはしないでもらいたい、それそこ人命に関係してきます。そういう点はぜひ十分気をつけてもらいたい。先ほど基準看護はやめる、標準看護というようなことになっているんだというようなお話もありましたけれども、しかし、言葉はどうでもいい、何にしても、患者が病気のときに看護がしてもらえるようにしてもらわなければならぬ。そういうことが行なわれませんから、この点は軽々に、厚生省として基準を取り消すなんということをしないでもらいたい。それは患者に非常な迷惑です。むしろ、どうやったら基準を守れるかということに協力をし、そうして逆に基準を上回るようなことを、あるいはつき添いをつけられる人はつけてもよろしい、そういうことによって、病院に入っている貧しい患者たちに看護の手が厚くなってくるという方法であればいいじゃないか、そういう方法で、実際に病気をなおせるということを考えてもらいたい。今のような基準あるいはそれ以下のものでは、ほんとうに死ぬといような危篤の状態のときに、不親切に扱われてはたまったものじゃない。いよいよ天国に行く、地獄に行くというときに、不親切にこの地上を追い出されるような格好はたまったものじゃない。そういうことになりますから、一つこの点は腹を入れかえて、十分に看護対策をやってもらいたい。そうして先ほど来申しましたような、どうやったら看護婦がもっと多くなるかというようなことについて、いろいろな方策があるはずです。厚生省がやっておられる方策がありますから、それを一つ十分にやってもらいたいと思うわけです。  それでこの三十八年度の予算を見ますと、保健婦、助産婦、看護婦の養成指導費というのが一億四千万円、前年から見れば確かに多くなっておりますけれども、この額では今言ったようなこはできませんし、内容はできておらぬわけであります。そこで伺いたいことは、一体この補助は公立だけのものか、またこれは設備費だけ、つまり看護婦の養成所をつくるというためだけなのか、運営費についてはどうなっているのか、民間の看護婦の養成施設、いわゆる准看護婦を含めまして、養成施設についてはどうなっているのか、そういう点を伺いたい。先ほどのお話では、むしろ民間の方に看護婦を充足するような努力をしているのだというお話でございますが、どうも局長の言葉はうまいが、事実は反対だと私は思っておりますけれども、今度の予算は、一体どういうように使うようになっているのか承りたい。

尾崎嘉篤厚生技官(医務局長)

○尾崎政府委員 まず、看護婦の養成施設を新しくつくります費用といたしまして、新設四カ所、増改築八カ所分を見ております。これはおもに都道府県、市町村、日赤、済生会などの公的医療機関を対象として考えております。それから養成所の備品類、これを整備させる。これは新規でございますが、その予算が新たに入っております。これは二百七十カ所、同じく都道府県、市町村、日赤、済生会というふうなところでございまして、私的医療機関の養成所には、この補助を出すようになっていないのであります。なお、養成所の運営費の補助につきまして、何とか補助金を出すようにと努力をしたのでございますが、運営費の補助金がだめで、今の備品費の補助という形で出ておるわけでございます。  私立の養成所につきまして、補助金を出すことを考えたのでありますが、この関係は、憲法上、教育関係の施設に対しまして補助を出す場合には、その補助する対象に対して、ある程度人事とか予算、運営の面におきましてコントロールを加えなければならぬような規定で、ちょっと問題がありますので本年は取りやめたわけでございます。  なお、このほかに、看護婦の生徒に対しまして貸費するというふうな費用、これを千三百三十名を二千二百八十七名に増加させております。これは邪道府県が、その管内の養成所の方の看護婦さんの生徒と話をしてつけてやるという費用でございます。これは、公的と限っておるわけではございません。  以上の通りであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 貸費制度が行なわれているようだが、これも同様でありますかし国公立あるいは公的病院の付属のものだけであって、ほかには出さぬのですか。それらの点につきましては、時間もありませんから、あまり詳しくもお聞きする余裕がありませんけれども、これは、どんなに看護婦が不足しているのだから、政策として、民間でも何でもどんどん出したらいいじゃないかというように思うのですが、ただ大蔵省が許さぬということで、一億四千万円でこの看護婦問題を解決しよう、こういうことなのかもしれませんけれども、やはりこの点は、主計官もよく考えてもらいたい。今言ったような重大化しているときに、そんなことを言われておっては困るのでありまして、これは大蔵省の方にも、次官としましても、大臣としましても、十分今後折衝してもらいたいと思います。貸費制度も、国公立のものというような、公的な病院というようなものだけであって、民間のものにやらぬというようになっては、これは、こんなに看護婦が困っておるときに、ことに先ほど来申しておりますような、厚生省はけっこうだと申しておりますけれども、事実においては、看護婦学生の人権まで無視していくようなことが行なわれて、現に医務出張所の方から、先ほど申しましたような通達が出ておる。これは出ておるに違いない。出ておるようなことで、一体民間の病院はどうにもやりようがなくなってしまうことになる。そうすれば、勢いこれは何とかひっこ抜かざるを得ないという形になってくる。そこに混乱が起こってくるということになる。だから、むしろ看護婦の絶対数が足りないから、民間の方にも補助するという体制をとるべきだ、そして、たとい全部でなくても、一部分でも補助していけば、また民間の方でも、それならおれの方でもやろうかということになる。いずれにしても、あらゆる努力をしてもやるべきだ。そういう努力のあとが見えないが、どうですか。

渡海元三郎自由民主党厚生政務次官

○渡海政府委員 先ほど局長が答えました、民間の方のためにも看護婦養成をやっているのだと言いますのは、今の公的機関を通じまして、養成した看護婦を、民間の方へもできるだけ働きに出ていただくようにという気持で指導したということをお答えしたのだろうと思います。  なお、ただいの民間もやるべきじゃないか、それを大蔵省が拒んでおるのじゃないかということでございますが、もちろん大蔵省の意見ではございますが、財政援助ということは、現在の財政事情、あるいは相当憲法上からもなにされている点がございますので、この点、全国的な組織といたしまして、民間のそういった養成施設に運営することは、予算時期が間に合いませんでしたので、まだコントロールできなかったのでありますが、各地方団体が地方の医師会等と連絡をとりまして、民間の施設といえども、憲法上許す範囲の組織をつくり上げて養成施設をやっていただくときには、できるだけ各都道府具から補助金等を出していただいて、養成施設を充足するように行政指導をやっておるような状態でございます。そういった関係で、今の看護婦の志望者に対する貸費制度というものにつきましては、これは憲法上そういった規定もございませんので、民間の養成所に対する分も、公立の場合と同じように貸与している、こういうことであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 まだ二、三伺いたいのでありますが、他の機会に譲りまして、結核の問題をもう一つだけ最後に、同僚諸君もだいぶお疲れのようですから、この点を伺って、あとは他の機会に伺うことにいたしたいと思います。  結核対策は、私は再検討をする必要があると思うのです。今日、結核病の状態というものは、決してそんなによくなっておらぬ。それはなるほど死亡者数は減ってきております。これは激減していることは御承知の通りです。死亡者数は減っておりますけれども、内容は決してそんなによくなっておらぬ。これは昨年の厚生白書を見ましても、ことしのを見ましても十分推察できます。御承知のように厚生白書の六十八ページに出て参りますが、死因の類別で見ていけば、男の三十代では、病死の中で――この上に事故死がございますが、病死の中では結核が随一です。女は二十五才から三十四才で、やはり死亡の第一位であります。それで発病から死亡までの期間、これは数年前の三、四倍に延びているわけです。そして、これまた三十六年度の厚生白書にも出て参りますけれども、結核の新発病は年に四十三万人くらいある。そのうちで感染性の患者は十万六千人というように書かれております。この、感染性の患者を見て参りまして、三十五年度末に入所しております入院患者数は五千八百六十五人、在宅の感染性の患者は十万人をこえるのであります。こういうような状態です。これを、病院を確かに減らすという体制を今とっておる。そうしてもはや結核に対しては、ほとんど厚生省は、新しい施策は全然ないと言って差しつかえない。こういう結核に対する認識というものは、事実と違っていませんか。私はこれは非常に大きな問題だと思うのです。一体結核対策をもう一度考え直す必要があるのじゃないかと私は思うのでありますが、これらについて厚生当局の御意見を……。

渡海元三郎自由民主党厚生政務次官

○渡海政府委員 死亡原因の中で、戦後急激に、細菌性と申しますか、結核、肺炎、胃腸病といったようなものの死亡の原因が少なくなりまして、成人病が五〇%以上占めておるということは喜ばしい現象でございますが、細部に検討いたしましたら、今長谷川委員の御指摘になられましたようなものがまだ残っておると思います。要は、そういった病原菌を根絶することでございますので、私たちは、今後ともそういった方面に努力しなければならない、かように考えております。事実、私も政務次官に就任いたしましてからまだ日も浅いのでございますが、できるだけ各結核療養所を見て参りまして、所によりましては、非常にそれが満度にまで利用されておるところと、あの当時、軍の施設をそのまま受けて療養所としたということもございまして、地域的に非常に少ないところと、それから満所になっておって、入れたくても入れられないというところがございまして、こういった点については検討を要する点もあろうと存じますが、今再度検討すべき時期ではないかと言われる御認識に対しましては私も同感でございまして、本年度の予算におきましても、命令入所の数を相当額ふやしていただきましたのもそういった意味でございまして、決して軽視すべき問題でなくて、この機会を逸せず撲滅まで持っていかなければならないと思います。死亡原因にいたしましても、現在日本人の寿命は伸びましたけれども、細菌性の死亡が、なお欧米諸国と比べまして五倍くらい、たしか外国が一・なんぼ、日本がまだ六・幾らでございます。私も三十六年の統計で見たのでございますが、なお五倍くらいの程度に率がなっておるという点からも、私たちはゆるがせにすることができない問題だ、かように考えておるような状態でございます。  なお、本年度行ないました結核対策に対する細部のことにつきましては、局長から答弁させます。

尾村偉久厚生技官(公衆衛生局長)

○尾村政府委員 ただいま政務次官が、説明されました通りでございまして、長谷川委員が御指摘になりましたのは、確かに結核の過去との比較をいたしますと、死亡率を初め、いろいろな点では好転しておるような内容も多いのでございますが、しかしながら、現実の断面を見ますと、ほかの病気と比べて、まだまだ数におきましても、悲惨さにおいても非常に高いという部面が大きくあるという面を御指摘していただいたことと存じます。さような意味で、二十八年と三十三年に結核の実態調査を全国的にいたしまして、これでは確かに重症結核患者が前の年よりも約四割減少しているということでございますが、その減少した結果が、なお依然として八十六万人あるというようなことでございます。経過としてはよろしいが、他の疾病と比べますと何倍という重症の患者をかかえておるわけでございます。さような意味では、来たる三十八年度も第三回目の大きな実態調査の予算も今お願いしておりまして、これによってさらに、前につかんだほかに社会的な要因、あるいはさらに今後これを急激に減らすべきために欠陥になっておる因子というものをつかんで、一そう正確な政策をこの際立てていこう、こういう意図もございます。なおかつ、先ほど御指摘のように、現実の結核問題の一番重点であるのを全部御指摘になられたわけですが、すなわち、かつての十五才から二十五才程度の年令階層が極端に多い犠牲者であった部面が、最近は三十才ないし四十五才程度のいわゆる中年階層、さらに部分的には六十才程度の老年階層に慢性の肺癆、しかも最近の治療の対象にならないようになった慢性肺癆が、しかも空洞性のものと感染性のものと、これが一番蓄積した重点になっておるということが一つでございますし、また、せっかく健康診断あるいは医療機関にかかりまして発見されましても、三十五年当時は、経済的な事情あるいは家庭的な事情等から正当な入院治療が受けられない、それが先ほど御指摘の通りでございまして、これが一番最近における重点にやらなければいかぬところでございますので、当国会にお願いいたしまして結核予防法の改定をして、一昨年の十月からちょうど今の欠陥にとりあえず合うように、重度の患者で、しかも人に感染させるような、しかもなおりの悪いというものを、大部分公費をもって収容治療して本人たちをなおすほかに、新たな患者の発生を減少させる、こういうところに重点を置いたわけでございます。これだけで結核対策が全部片づくわけでも何でもない。さような意味で、またこの部分だけでも三十七年度に比べまして全額の上でも非常な増額、六割、人員にいたしまして約五割の増加で九万四千名、全体の現在の結核入院患者のほぼ半数が、この制度によって入院できるようにいたしたわけでございますが、しかし、これに伴いまして、来年の実態調査の結果も見まして、さらに足らないところは新たな政策を追加していく、これによって急速に結核を撲滅する、こういうような熱意も持っております。これは、今年の予算の中でも結核予算の伸びが非常に大きいというようなことでも、厚生省全体の意図も御了解願えると思いますが、かような形で対策に処していきたい、こう存じておるわけであります。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 三十六年度の厚生白書におきましても、在宅の感染性の患者が十一万人はあるというように書かれておるわけでありますが、実際地方で、私の関係する社会福祉法人の結核病院でありますけれども、それが昨年四万人、地域の予防検診をしてみたわけです。結核検診をしてみたわけです。四万人の結核検診をさせてみた。ところが、初めて検診をやった地域でありますけれども、そういうところをねらってやったわけですが、場所は静岡県の浜名郡の湖西町というところです。これをやって実に驚いたのは、もう化学療法をいいかげんにやり散らしました重症の患者、これが手のつかないようなのが実にたくさんいるのです。そしてりつ然としたわけです。しかし、そういう人々がおるということについては、これは医師の責任もありますけれども、同時にまた、国立の療養所等々が、先ほど申しておりますようなところが非常にまずい食事をしておる、看護婦もろくにいない、非常に不親切だ、それだからいるに耐えないといりようなことが一つの大きな原因。第二の許しがたい理由は、重症の患者を、看護婦が足りない、医師が足りないために入れないのです。国立療養所は入れないのです。国立病院に入れない。重症の患者は断わっておる。これは国立病院だけとは申しません。ほかの病院、どこでもそうです。ケース・ワーカーのいるようなところは、ケース・ワーカーが患者を見てもいきなり入れない、よその病院を世話する。入れない。こういうふうになっているのです。これが実態です。一つは、今申しました化学療法をいいかげんにやりっぱなし。少し臨床的によくなると、そのうちパスをとてつもなくたくさん飲ますというようなことをして、患者が胃をこわしちゃって医者にかからない。うちに沈澱してしまう。一つは、病院に入りたいけれども入れない、あるいはおったけれども、とても不親切でいられない。からだはよくはないが、家に帰って肉親の間でというような形になる。こういうようなことになっている。これが実態です。だから私は、重症患者を入れないという――先ほど来申しておりますように、国立病院などは赤字になったっていいですよ。どんな赤字になったってかまわぬのだから、ほんとうに手の届かない病人を医療するということになれば、幾ら赤字になってもかまわぬです。こういうような重症患者を入れないということを、病院当局も、婦長も、ケース・ワーカーも一緒になってやっているというのがほんとうに実態ですよ。そういうことについて、やはりやり直してもらいたい。  それからもう一つは、結核はもう山を越したというようなことからしまして、非常に大きな問題として考えなければならなぬことは、これは大学において結核医を志望する学生というのは、医学生でほとんどいなくなってしまったのです。医者にいたしましても、看護婦にいたしましても、結核病院には新たには来ないのです。そこで養成する者はともかくとして、新たには来ないのです。看護婦の状態もそうですし、医師にしましても、結核医なんというものはもう得られない。だからよほどその点は、厚生省のいわば気を許したというか、結核は山を越したという空気、それが日本全体にもそういう空気が広がってしまって、結核をほんとうに専攻する人がいなくなった。ある点では結核はおもしろくない、もうわかり切っちゃったからおもしろくないという点もありましょう。けれども、重症結核の問題は、化学療法の新しい分野ではずいぶんおもしろい線があるのではないか。つまり手術をせぬでも、化学療法でもっていけば空洞でも何でもなおっていくというおもしろい、新しい分野もないではないと思うのです。重症結核の手術にいたましても、今まで手がつかなかったものが、ここがこうなればなおるのだというような、そういう線も出てくると思う。私の関係しておる病院は、重症結核の手術をしている例では全国で随一だと思います。これは厚生省で統計をおとりになっているが、広島療養所と一年にわずか一か二例違っているだけです。随一だと思いますけれども、これはあくまでも人道的立場でやっているからだ。そういうような計算を抜きにして、ほんとうに助けなければならぬということからやっていく、そこにまた新しい分野が開けて、非常に興味のある分野があるわけです。だからこういうような点が考えられないで、結核療養所に勤務する医師はないという事態が今日出てきておる。これは非常に市大です。だから私は、三十八年度で実態調査をなさるというお話でございましたが、なさいましたら、この点は徹底的に改めてもらいたい。厚生省自体が、新しい結核に対する対策のムードというものをつくり上げていくということだけはしてもらいたいと思うのです。  そこで、まず考えてもらわなければならないことは、医療金融公庫も銀行も、あるいは国庫も、結核病院をつくるということに対して融資をしないわけです。補助をしないわけです。そうでしょう。これ自体が根本的にいけない。医療金融公庫に行ったって融資しませんよ。結核病院と言ったら融資しません。これは絶対融資しません。私は自分で念を押しているからわかっておる。改めてもらいたい。結核病院でも、それはやめていい病院は別です。やらなければならぬという立場にあるような、また事実をお調べになって、ほんとうにりっぱにやっているという――待機患者もない結核療養所もあると思います。けれども、待機患者で困っている病院もあるのです。私が関係している病院もそうです。待機患者が今なお切れたことがない、多くて困っているのです。そういう事態です。だから自分の関係している例を言って恐縮でございますけれども、そういう病院が全国に相当あると思うのです。そういうものに対してはやはり金融をして、そうしてその設備をちゃんとしてやる。今まで長い間、結核の病院といい、療養所といえば大体もう耐用年数は過ぎてしまっている。病院は、大がい戦時中、軍の病院であったようなものを使っておったりする。私の近くの天竜社なんか見たって、実に惨たんたるものです。私は行くたびに、火が出たらどうなるだろうと思って心配しているのです。そういうようなものをどんどん設備をよくして、鉄筋コンクリートに切りかえていくということによって、医師も行くでしょう、看護婦も行くでしょう。しかし、医療金融公庫も融資しない。銀行も一切融資しない。生命保険も融資しない。国庫も補助しない。府県も、もちろん私立の方に補助をしない。私は、こういうような結核を扱いますものはむしろ公的病院だ。でありますから、こういうものを専門にやっているものに対しては、補助をするという態度をまずとる。そういうようなところから――結核の重要性というものは今なお残っておるんだ、大へんなんだというようなことから、そういうことであれば、医者も看護婦も行こう。今のようなだだっ広いサナトリウム式の、歩くことばかりさせられるようなところで、看護婦が働くはずがないのです。あのぼろぼろの、研究所もないようなところで医者が働くはずがない。だからこういう問題を根本的に立てかえていく。先ほどの看護婦体制とともに、こういう問題を立てかえていかなければこの問題は解決しない。けれども、これはきわめて重大である。まだ予防検診なども、これは民間のものでも補助を出していいと思う。今ろくにやってはせぬ。こういうものに補助を出して、民間のものでやってもよろしい。まじめにやるものにはどんどんやらせる。そうして重症患者が家に沈澱することを探し出して、それを病院に収容する。病院の方では、国立、公的な病院はもちろんでありますけれども、それが命令入所したときに断わらないというような形にしてやってもらいたい。こういうような点についての根本的なお考えを、一つ立て直してもらいたいと思います。  これ一つ伺って、まだほかにありますけれども、また、社会局長その他おいでいただいて恐縮でありますけれども一やってよければまだやりますが、だいぶ長くなりますので、また他の機会に伺うことにいたしまして、きょうはこれ一つで終わりたいと思います。

渡海元三郎自由民主党厚生政務次官

○渡海政府委員 有意義な御示唆を賜わりまして、まことにあがとうございました。私事を申しましてまことに恐縮でございますが、実は私、町長をやりましたが、昭和二十八年のときに、町民全般に対しまして、私自身、その当時制度はございませんでしたが、検診をやりました。その検診をやりましたときの記憶では、九〇何%の参加率を得ましたが、そのためには相当の努力をし、夜十二時までかかってその日検診した。レントゲンの検査を受けに来ていただけなかった者は、十二時までかかって、あくる日、本日はここでやるから来て下さいと、こういうふうな通知まで出してやって、思わぬ方の病気になっておられるのを見ておる経験を持っておりますが、私は非常に重要なる問題でないかと思っております。  今の医療金融公庫の問題でございますが、私はそのようなことがあってはならないと思いますので、さっそくこの点は取り調べまして善処させたい、かように考えます。  なお、療養所の現在の状況が、旧軍の古い建物をそのまま利用しておるといった関係で、魅力のない、何と申しますか非常に悪いところであるということは、御指摘の通りであります。私もだいぶん療養所を見て回りまして、早く改造しなければならないという点を感じたのでございますが、何分にも国庫予算にも制限がございますので、先ほど御質問の中に御指摘がございました借入金の十億という問題も、補助金あるいは一般会計からでしたら限度がございますものですから、財政投融資の分でできるだけ伸ばしたいというふうな気持から、さしあたり本年度十億の口火を切ったような次第でございます。この制度がもしうまくいくようでございましたら、療養所の分に対しましてもそういった制度をもって、今申されました療養所の整備に充てていきたい、かように考えておるような次第でございます。  なお、検診につきましては、私自身もそのような実績も持ったような状態でございますので、必要であろうと思いますし、予算面におきましても、委託検診というものは予算も持っておりますので、実際行政運営の面におきまして、できるだけこれが励行されますように今後とも努力さしていただきたい、かように考える次第でございます。

長谷川保日本社会党

○長谷川(保)委員 きょうは、いろいろ伺いまして、なお伺いたいこともございますけれども、先ほど申し上げましたように、他の機会をいただきましてまた伺うことにしまして、きょうはやめておきますけれども、非常に悪い癖は、どうもこういう委員会等で質問応答すればそれでおしまいということになってしまうというのが多い。そういうことが多いのでありまして、きょう伺いましたことは、一々私は国民の生命に直接関する問題として真剣に伺ったわけでありまして、また、厚生省の行政、政策をちゃんとりっぱにやってもらいたい、改めてやってもらいたいということを、国民を代表して心から願っているのでありまして、この点、どうか、どの政策もみな重いことには間違いありませんけれども、十分お含みの上、一つ政策に実現できるように御尽力をお願いしたい。単に意地悪く質問して追い詰めるというようなことで私はきょうはいたしませんでした。そういうことではなしに、建設的な立場で申し上げたわけでありまして、ぜひその点お含みの上で、国民のためにしっかりした厚生行政をやっていただきたいとお願いいたしまして、私の質問を終わります。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 本日はこの程度にとどめ、次回は来たる十九日午前十時より開会することとして、これにて散会いたします。    午後三時二十二分散会

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