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43回国会衆議院1963/02/05

社会労働委員会 第4号

発言数
56
登壇者
6
会派数
2
開催日
1963/02/05

会議録

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 これより会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。吉村吉雄君。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私はきょう、非常に今、日本の国にとって重要な雇用の問題について質問をさせていただきたいと思います。  雇用問題につきましては、前国会並びに今国会における大臣の所信表明の中でも、非常にこれを重要視して諸般の施策を行なうということを言っておるのでありますけれども、さらに、今の政府の政策の中心と考えられますとえろの所得倍増計画、この中でも最終の目標として完全雇用に進んでいく、こういうことが言われております。私がまず冒頭にお尋ねを申し上げたいのは、この所得倍増計画の中で述べられておりますところの完全雇用の方向に進んでいくというその考え方と、大臣の所信表明の中で述べられましたところの完全雇用に対する考え方というものの中に、ややニュアンスの相違があるのではないかというふうに考えられるわけです。と申し上げますのは、所得倍増計画の中では国全体としての方向を強く示しておるように考えられるわけでありますが、大臣の所信表明の中で言われておりますのは、労働行政の目標としてということが主張されております。従って、この点については、国全体として雇用問題というものと取り組んでいかない限り、労働省あるいは労働大臣だけでは本問題は解決し得ないはずだと思いますので、この点について、国全体、政府全体としてどういう形で取り組もうといたしておるのか、このことを初めにお伺いをしておきたいと思うわけです。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 お説の通り、雇用問題の解決、ことに完全雇用の達成ということは、これは国の経済全体の問題でございまして、経済全体の成長なくしては完全雇用の達成はとうていあり得ないことでございます。ただ、私ども労働行政の立場といたしましては、とにかく経済の成長に伴って完全雇用の道に進んでいく、そのことを労働行政のいろいろな施策を行なうにあたりまして頭に置き、それを目標としながら進むべきである、かように考えて、所信表明において申し上げた次第なのでございます。そこで、この完全雇用達成の基盤になりまする国の経済全体の成長でございまするが、これは所得倍増計画全体がそれであると申し上げてよかろうと存じます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 そこでお伺い申し上げたいのは、ただいまの大臣の答弁によりますと、当然国全体の目標としてやっているんだ、こういうお話でございます。だとしますならば、たとえば農林省におきましては、農業基本法を中心として、農村における労働力というものをできるだけ第二次産業の方向に向けていくという方針がとられております。さらに貿易の自由化なりの政策が進められることによって、石炭産業に見られるごとく、あるいはその他の地下産業に見られるごとく、相当数の離職傾向が出ている。また、政府機関でありますところの電電公社あるいは国鉄、こういった公社におきましては、合理化という名において相当人員の縮小ということが行なわれておるわけでございますが、このような状態から考えて参りますと、農林省は農林省の考え方によって農村政策を進めているのではないか、あるいはまた、通産省は通産省として貿易自由化の方向を進めていく、こういうことが、しわ寄せとして、結果として労働者の雇用問題に集まってきているというふうに考えられるわけです。もし政府全体として雇用の問題と取り組んでいくとするならば、そのようなことを、現在のようにいろいろな問題が起きないように、計画的に農村労働力の移動の問題、あるいはその他の産業の労働力の流動化の問題、こういうことをもっとスムーズにできるように進めていくのが、国全体としての雇用に対する考え方でなくてはならない、このように考えるわけですけれども、現状はそうなっていないと思うのであります。こういう点について大臣はどのように考えられますか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 高度成長を進めて参りますためには、各経済官庁が、それぞれ所官の範囲内で所官の事業につきまして目標を立てて参ることは、これは当然だろうと思うのでございます。この間におきまして各省の施策がほんとうにうまく調和、調整がとれまして、そうして摩擦を生じずにいくということ、これは望ましいことではございますが、必ずしも常に期待できると限ったことではございません。従って、時としていろいろな面で摩擦現象が起こるのもやむを得ないことではないかと思うのでございます。御指摘になりました農林行政における労働力節約、すなわち経営合理化、また自由化対策としての経営合理化に伴う人員の縮小、こういったことはやはり生産費の引き下げを目途とし、それによって国全体の経済の成長という方向へ進むためには必要なる施策であることは、御承知の通りでございます。これらの施策が行なわれる反面におきまして雇用問題という問題が生じて参るのでございますが、これはどうも、先ほど来申し上げましたごとく、経済成長のためにはやむを得ざる摩擦現象であるといわなければなりません。そうしてこの摩擦現象として起こってきた雇用問題を、そのときどきに応じましてできるだけ円滑に解決していくというのは、これはやはり雇用対策を担当する労働省の使命である、かように考える次第でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 国の経済全体の発展の過程で起こる摩擦についてはある程度やむを得ない、そうしてその摩擦をできるだけ少なくしていくという考え方で労働行政を行なっているというお話でございますが、私は、雇用の問題については、そのような各省で起こってくるところのいろいろな障害、そういうものを労働省が単に跡始末をする、こういう態度は、雇用問題に対する積極的な心がまえというようにはとうてい考えらはないと思うのです。本来、雇用の問題は、職場を与えてそこに安定せしめていくというところに本来のねらいがあるわけでありますから、従って、離職をした者の再就職のあっせんをするというだけでは、消極的な雇用対策と言われてもしょうがないと思うのです。もっと積極的に安定した職場を長く維持せしめていく、そうして国の経済政策の中で摩擦を少なくしていくというためには、政府全体として雇用の問題と取り組むという、そういう姿勢、そういう総合的な施策がなくては、労働省は単にしりぬぐいをやるだけの機関になってしまう。現在の労働行政の中で最大の欠陥となっているものは、雇用についての積極的な施策というものがなくて、単に跡始末のための行政が行なわれている、こういうふうに見られる節々が多いわけですけれども、これでは労働者の生活安定を念願とし、それを任務とするところの労働省、労働大臣としては、そういう態度、そういう状態はやむを得ないのだということでは、労働大臣としての任務に沿わない考え方のように考えられますけれども、この点は、もっと労働者の生活安定、そして労働行政の最終の目標とするところの完全雇用という立場からするならば、もっと積極的な立場で政府全体の中で雇用の問題を重視せしめていく、こういう態度がなくてはいけないと思うのですけれども、こういう点について、大臣の答弁ではどうも納得できがたいので、再度もう少し積極的な立場での考え方を聞かせてもらいたいと思うわけです。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 お話はまことにごもっともでございまして、私もさように存ずるのでございます。すなわち、労働省といたしましては、所得倍増をモットーとする経済政策による高度成長、この高度成長の面におきまして欠くべからざる人的要素をいかにして補充し、供給するかということが、大事な仕事になっておると思うのでございます。このためには、特に労働力の不足を感ぜられておる面がございまするので、積極的に、こうした面に能率的な労働力を供給することによって労働者に安定した職場を与え、生活を安定さしていく、これが御指摘の積極的な面ではないかと思うのでございます。従来は、雇用対策が主眼を求人、求職の紹介ということに置いておったのでございますが、近年に至りまして、労働省といたしましては、むしろ積極的に進んで技能労働者の養成をはかるとか、あるいは年少労働者に代替する労働力としての中高年令層対策を進める等のことを行なって参っておるのであります。この成果は非常に上がってきておると思うのでございます。明年度におきましては、これらの面におきましても従来の努力をさらに倍加しょう、これによって雇用対策としての積極面を強調いたしたい、かように存じて、予算等もさような心がまえで編成をいたした次第なのでございます。ただ、先ほど御質問になりましたいろいろな離職者をどうするかというような問題、これは摩擦現象として起こって参ったものでございまして、これに対してはやはり労働省として対策を引き受けなければならない。しかし、この対策を進めるにあたりましても、今申し上げましたような方向で、できるだけ問題の解決をはかって参りたいと存じております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 私の積極的なという意味は、大臣が今答弁されたのと少し異なりまして、離職した者をどうするかということも雇用政策の一つでありますけれども、もっと積極的な立場から言うならば、離職をせしめない、こういう立場でいくことが、安定した職場を与えることの基本にならなければならぬと思うのです。しかし、国の経済政策の観点から、労働力というものが、相当産業間で移動が起こる、そういう過程でございますから、当然にその労働力の流動というものについても考えていかなければなりませんけれども、そういうことをやっていく場合の、この中心としてもっと政府が考えなければならないのは、通産省なら通産省、農林省なら農林省で考えているその政策を進めることによってどの程度の労働力というものの余剰が起こる、そういうことが総合的にある程度予見されるはずでありますから、離職を現象化せしめない以前にそういうことを行なって、その発展過程でできるだけ混乱というものをなくしていく、こういう立場で政府全体が取り組んでいくという姿勢が必要ではないか。今日の状態では、農林省は農林省の考え方で事を進める、通産省は通産省の考え方で事を進める、建設省は建設省の考え方で事を進める、こういうようなことが行なわれておりますから、結果としては労働力が過剰になったりあるいは偏在をしたり、こういうふうになってしまって、その跡始末だけに労働省が追われているのではないか。もっと国全体として総合的な政策を立てて、この摩擦というものを少なくしていく。今日において起こっているところの摩擦というのは、これはやむを得ずして起こった摩擦と言うのには、私は政府にしては無責任な態度だと思うのです。そういう摩擦をなくすような総合的な計画を立てていくというのが、国全体としての正しい経済政策であるというふうに思うわけですけれども、こういう点について、国全体としての雇用問題というものについて、政府全体としてほんとうに真剣に討議をしたという跡が見られない、こういうふうに考えますので、一体政府全体として、雇用問題というものを真剣に、全閣僚が討議をしているというようなことがあるのかないのか、ここらのことを一つ聞かしてもらいたいと思うのです。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 確かに、政策に伴なって当然離職者の予想される場合は少なくないと思うのでございます。こういった場合におきまして、従来とかく各省が独自に政策を進めていく、その結果離職者が出る、そしてあとで労働省がその離職者に対する対策の問題に取り組んでいくというような形になっておった、そういうことが多かったことは認めざるを得ないと思うのであります。しかし、お説のように、かような行き方でいつまでもあってはよいものではないのでございまして、政策の理想といたしましては、これらの経済政策と並行して常に雇用対策というものが考えられていかなければならないし、またその雇用対策については、関係各省が一緒になってこれに向かうという姿勢をとるのが、これはもう当然であると思うのでございます。特に石炭離職者の問題がやかましくなりました昨年秋以来、石炭合理化の政策につきましては、御指摘になったような対策が打ち立てられたわけなのでございまして、御承知の通り、石炭離職者に対しましては、関係閣僚会議が設けられ、そしてここで石炭合理化の政策と同時に雇用計画というものが論議され、そして雇用対策と合理化計画というものが、常に表裏一体となって進められるというような形をとることができたわけなのでございます。かような行き方は、この石炭合理化の問題か初めてのことであったと思うのでございます。私どもは、こうした行き方がほんとうに雇用問題を合理的に、またできるだけ完全に解決するゆえんである、かように存じまして、今後できるだけいろいろな政策につきまして、こうした形に従うようにいたして参りたい、かように存じております。ただいまのところは、石炭の問題につきましては、この離職者の問題は、常に閣僚が総がかりで研究し、調査し、また論議し、そして対策を決定していくというようなことになっておりますが、私どもは、希望といたしましては、今後いろいろな雇用政策につきましても、こうした行き方をすることによって、労働行政を一そう積極的に進めるようにいたしたいものだと思っております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 今の政府の政策の中心になっておるところの所得倍増計画によりますと、十カ年の中で大体第一次産業からの労働力の移動を二百四十三万というふうに想定をしております。それから自由業者関係の方からは二十三万人、これは学卒等を除いた、ほんとうの意味での労働力の移動というふうに想定をいたしておるわけです。こういう長期にわたるところの計画があるわけですから、当然それにふさわしいところの雇用政策、摩擦が起き得ないような計画的な雇用政策というものがなければならないと思うのです。所得倍増計画というものは、単にッアピールするだけのものではなくて、今までの政府の計画の中では珍しく長期にわたって各方面から検討されたものであるわけですから、それを中心となしている以上、当然に、ただいまのこの農村労働力の流動化に対する対策というものは、労働省は労働省として、一つの行政機関の中で各省との間の相互調整の中で常に計画されて、混乱を少なくしていくような立場で政治を進めていくのが、これが政府の責任だと思うのです。あるいはまた、先ほど大臣から答弁がありました石炭産業等の問題についても、これも偶然に起こった問題ではないわけでありますから、エネルギー産業の将来のあり方等についても、これまた倍増計画の中では明らかにいたしておるわけです。ところが、そういうものが現象として問題化されて初めて政府としてはこれと取り組んでいく、こういう姿勢が、実は労働行政のあり方として非常に問題だというふうに私は考えます。先ほど大臣も認められましたように、どうも全体としての総合的な対策というものを立て得ないで、それぞればらばらにやっている。その跡始末に労働行政が追われている。これでは、完全雇用ということをいかに所信表明の中で言われましても、その実態というものがなっていない、こういうふうにならざるを得ないと思うのです。十分にこういう点についてはこれから留意をしていただいて、完全雇用の実現の方向に進んでいただきたいと思うのです。  そこで、そういう熱意というものを大臣が持っておられるという答弁もございましたから、続いてお尋ね申し上げたいのですけれども、昭和三十四年に、雇用審議会では「完全雇用に関する答申」というものを内閣総理大臣に出しております。この中では、将来完全雇用に進んでいくために、国としてどういう施策を行うべきかということを、大綱的なものからやや政策の具体的なものまで述べておるわけです。たとえば最賃法の改善、あるいは賃金体系の改善、あるいは労働基準法というものをもっと確実に守らせる、あるいはまた労働時間の短縮という方向に進むべきである、こういうようなことを政府の政策目標としてやっていくべきである、こういう趣旨を述べておるのでありますけれども、この審議会の答申について、政府としてはこの実現のためにどのような努力を払ってきたのか、この点をお伺いしておきたいと思うのです。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 これにつきましては、労働省といたしまして今日まで及ばずながら努力はいたして参っておるのでございますが、各項目についてどういうふうにやっておるか、政府委員から申し上げるようにいたしたいと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 その政府委員の答弁の前に、大臣にお伺いしておきたいのは、この答申書の最後の項に次のようなことが書かれてあります。「政策の推進」という中ですけれども、「完全雇用達成の途は容易でない。それだけに、責任体制を明らかにするため、政府は毎年、就業状態の変化、完全雇用への接近の度合、その他雇用失業関係指標の詳細な動きについて実態を公表し、かつ、完全雇用への接近を目的とする施策の方針を明らかにすることがとくに必要と考える。このために、内閣総理大臣に対し、毎年、就業状態の動きがどれだけ完全雇用の方向に進んでいるかいないかの総合的判断を客観的立場から報告する機関として、少数の専門家の委員から成る諮問委員会を設置することが適当である。」 こういうことが書かれてありますけれども、この勧告といいますか、答申の、内閣総理大臣に対するところの完全雇用への方向を報告するための諮問委員会というものは、その後内閣に設置をされたのかどうか、このこともあわせてお尋ねをしておきます。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 その委員会はまだできておりません。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 実は所得倍増計画の中でも、完全雇用ということを非常に大きくうたっておる。大臣も所信表明のつど、完全雇用ということを再三強調される。われわれももちろんその方向に進んでいかなければならない、こういうふうに考えておりますけれども、そうであるならばあるほあるほどに、この雇用審議会——雇用問題についての権威ある機関ともいうべきところの雇用審議会が、三十四年にこのような勧告、政府に対してこうあるべきであるという答申をいたしておるわけですから、そういうものについて全然設置もしていない、でいながら完全雇用へということを幾ら口にされても、これは熱意がないといわれてもやむを得ないと思うのです。一体なぜこれが設置されないのか、あわせてお伺いをしておきます。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 このときの問題でございますが、そういう諮問委員会的なことの一つの構想がここに出されておりますが、政府としてその後検討した結果、毎年政府として経済白書、それから労働省は年次労働経済分析ということで、雇用、賃金その他労働諸条件の推移を毎年国民の前に公表しているので、それとのダブリや何かをどうするか、今のところ、そういうふうな年次報告で国民には十分知らせることができるのじゃないかということから、まだこういうふうなことはそのままになっておるのです。結局労働省側といたしましても、年次労働経済分析で雇用だけの問題をいっても、ただ雇用がどういうふうに動いたかといってもそれだけではまずいし、やはりそれと関連して労働経済一般の年次報告でいいじゃないか、これはもちろん閣議へも報告されますし、それから企画庁の方で、またさらに国民経済全体として雇用との関連も含めて年次の経済報告も行なわれるわけですから、それで一応かえようということに相なったわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 労働省がそういう判一断で、労働白書をもってこれにかえていこうということでやってきたというのですけれども、労働白書は、なるほど労働経済全般の問題について相当詳しく触れてはおります。ここで指摘をいたしておりますのは、一体日本の労働状態というものは、どれだけ完全雇用の方向に進んでいるのかいないのかということについて、これを明確に国民に、あるいは政府自体に知ってもらう、こういう意図を持ってこれは勧告をされているものだと思うのです。  私はこの際、労働行政を担当される方々に特に御注意を申し上げておきたいと思うのですけれども、どうも自分たちの都合のいい問題については答申、勧告についても採用する。都合が悪いことについてはこれを採用しない方向に進んでいるのじゃないか。たとえば一例をあげますと、昨年も、あるいは今も問題になっておりますところの失対事業等の問題については、雇用審議会から再三にわたって失対事業についてかくあるべきであるというような答申がなされている。しかし、これについてはあまり熱心に実行しないでおいて、そうして本来は、雇用審議会の中に失業問題の専門委員会もつくれることになっておるわけですから、当然雇用審議会の中でやっていいはずの失対事業問題を、調査研究会というものを新たにつくって、そうして自分たちの意図をその中で生かしながらやっていこう、こういうようなことが考えられる。これは事実に基づいたことでございますから、私はそういうような労働行政のあり方というものが大へん問題だと思う。雇用審議会はやはり雇用問題についての権威ある機関でございますから、そこから出された答申については、万難を排してこれを行なっていく、そういう立場でなくては完全雇用というものは実現しないと思うのです。にもかかわらず、都合の悪いことについてはやらない、もっとも労働白書についてかえることができるというような答弁をいたしておりますけれども、労働白書は全体について触れておるわけですから、もっと端的に完全雇用の方向へ進んでいるのかいないのか、こういうことについて国民の関心を呼びさますためには、このような機関があった力がよりいいことは言うまでもないのですが、一体なぜこういうことを労働省は実施しようとしないのか。そこらが、行政担当者の立場として非常に問題だと思う。もっとすなおな気持で各審議会なり何なりの答申というものはできるだけ実施をしていく、こういうような方向で進んでもらわなければいけないと思うのですが、どうですか。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 今度の労働省の失対改善案について、なぜ先に雇用審議会の方へ諮問しないのかというふうなお話でございます。先国会でもお答えしたと思いますが、今までも雇用審議会から、失業対策について、また具体的に失業対策事業の改善につきましての答申がございました。それについては、われわれの方で、その中に出た、たとえば能力のある者については高度の失対事業をやるようにというふうなことや、その他の改善について、できるだけ答申の線に沿うように改善してきたつもりでございますが、その改善をそういうふうな方向でやった結果、どうも過去三年間の高度経済成長にもかかわらず、失対事業のやり方、その他地方の事業主体側からいろいろの問題が出されまして、そういう個々の具体的な実施上の問題点につきまして、雇用審議会より労働省が責任を持って実情をよく調査し、そして現実に立脚して今度は労働省の方から一つ具体案をつくって、その具体案について雇用審議会の意見を聞いた方が、より根本的な問題解決に接近するのじゃないかということからそういうふうにやったことでございまして、雇用審議会の方から調査をし、その具案体をつくってもらうよりか、いろいろ労働省の方から具体案をつくって、それについて御審議を願う方がいい、そういうふうに判断した結果、御承知のような形式をとった諮問になったわけであります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 三治局長の答弁は、私の質問の趣旨をはぐらかしておると思うのです。私の言うておるのは、雇用審議会の中には失業問題の専門委員会をつくってもいいということまで書いてあるのだ、従って、失業問題の一つであるところの失対事業の問題等については、当然その専門委員会で論議をしてもいいはずだ、にもかかわらず、調査研究会というものを新たにつくって、そして一つの答えを出したということは、自分たちの意向に沿うような結論を出すために、そのような法的に根拠のない機関をつくったというふうに見られてもしょうがないのじゃないかというふうに申し上げたわけですけれども、そのことは先ほどの質問と関連して言っておるわけでございまして、あなた方の方で各審議会——この場合には雇用審議会の方から、完全雇用への専門の諮問機関をつくるべきであるという答申が出ておる。それは昭和三十四年に出ておるのだけれども、これはいまだに実施していない。ということは、どうも自分たちの都合のいいことについては採用し、都合の悪いことについては採用しない、こういう行政機関としての独断的な方向というものがここに出ておるのじゃないかというふうに考えられますから、一つの例をあげて申し上げたわけです。ここは一つ誤解のないようにしてもらわなければならぬと思うのです。  大臣に重ねて質問しますけれども、完全雇用というのは、再三申し上げますけれども、大臣が就任の際にも、あるいは各国会が開かれた場合に、いつでも完全雇用へということを第一目標に掲げている。この完全雇用の問題について雇用審議会が明確な答申をしておる。政府はこういうような施策を行なうべきである、こういう委員会を設置して、そうしてやっていくべきである、こういう答申が出ているのにもかかわらず、いまだにこの諮問委員会というものを設置しない。こういうふうなことについては、どうも言うこととやることというものが、一致していないのじゃないか。これは行政機関が独断専行的に、自分の思うようにやっていこうとする意図がこのようなことで現われているのではないかというふうに私は考えるのですけれども、大臣は一体どう考えますか、お尋ねをします。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 雇用審議会の答申の重点は、毎年の就業状態がどれだけ完全雇用の方向に進んでいるかいないかという一貫した総合判断を報告する機関として諮問委員会をつくる、こういう点だと思うのでございます。私はただいままでの経過を聞いておりますと、この報告はとにかくいろいろな諸統計によって行なわれておる。ただ、その判断をどうするかという点で、少数の専門家の委員をつくるという点だと思うのでございます。これはとにかくいろいろ十分なる根拠があって答申されたことでございましょうし、またそれが今日まで見送られておったことにつきましても、いろいろ事情があろうと思います。しかし、あらためての御質問でございますので、私といたしましてはこの問題をもう少し再検討いたしまして、明確な回答を出したいと思いますので、しばらく御猶予をいただきたいと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 大臣の今の答弁で、ややわかりましたけれども、私は強くこの際大臣に要望しておきたいのですが、雇用の問題は、労働省だけでこれを処理しようと思ってもでき得ない問題だと思うのです。先ほど大臣も認められたように、これは政府全体が取り組んでいく、こういう姿勢がなくてはならない。今日までの政府の雇用に対する考え方というものは、そういう政府全体としての取り組みが足りなかった点があるということを先ほど認められましたけれど、その一つの原因と見られるものには、やはりこのような内閣総理大臣の諮問機関として、雇用問題だけを、完全雇用の問題がどうなっているかということを検討する機関というものは、ないよりはあった方が、各大臣の関心というものがそこに高まるはずですから、そういうことで政府全体として取り組む姿勢を確立するために、私はぜひ必要ではないか、こういうふうに考えますから、これは一つ考慮をしてもらって、ぜひこの答申に応じていただくように強く要請をしておきたいと思います。  その次に、事務当局に質問をしたいと思うのですけれども、昭和三十六年度平均の失業保険受給者というのは三十八万人となっています。それから日雇い失業保険の受給者数は十八万六千人という工合に統計は出ておるようでありますが、三十七年の平均はどれだけになっていますか。  それから第二番目は、常用雇用労働者に対するところの臨時工の割合というものは、三十四年から三十七年までの間にどういう数字になっていますか。  それから第三番目は、企業整備に伴うところの整理人員というものは、三十六年と三十七年度とでどのように変わっていますか。  その次は、技能労働者の数でありますが、これは私の知ったことだけを申し上げますと、三十七年度の三月現在では百二十五万六千八百四十二名というふうな数字が出ていますが、三十六年度はどのくらいの数字であったのか。  以上、一つお知らせを願いたいと思います。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 一般失業保険の数字から申し上げますが、三十六年度で受給者の年度平均が三十九万九千人でございます。三十七年度は四−十月までしか出ておりませんので、それを申し上げますと、四−十月の平均四十三万九千人でございます。  それから日雇いの労働者の雇用でございますが、これは三十六年度が三十五年度基準で一〇七・二%でございますが、三十七年の四−十月で一〇七・五%で、〇・三%ふえておりますが、ほとんど日雇い労働者の増加はそれほどございません。  一方、常用雇用の数字から申し上げますと、三十五年基準で三十六年は一一一・六%でございますが、三十七年の四−十月では一一八・八%に相なっております。  それから臨時工でございますが、臨時工は、製造業で三十五年度の対前年の増加率が本工で六・九%、三十六年が六%の増、臨時工は三十五年度、対前年一二・九%の増というのが、三十六年度は七・九%の増加でございます。この臨時工と本工の増加した労働者の割合、それを含めて、全部の雇用労働者の増加した割合に占める臨時工の割合が、三十五年度では一三%でございましたのが、三十六年度一〇%で、これは労働力異動調査によっての調査でございます。  あと訓練の関係は、訓練局長から……。

村上茂利労働事務官(職業訓練局長)

○村上(茂)政府委員 吉村先生から御指摘がございました技能労働者の不足数百二十五万六千八百四十二人という数字は、三十七年二月一日現在で調査したものでございますが、その前年におきましても二月一日に調査を行なっております。その数字は百十六万三千六百四十二名でございます。なお、もう一年前にさかのぼりまして三十五年二月の数字を申し上げますと、八十一万一千三百五十四名となっております。逐年不足数が増加いたしておりますが、著しい経済の伸びに対応しまして、このような数字が表われておるというふうに判断いたしております。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 企業整備の件数は、三十六年度月平均で、事業所が二百七十六で一万人でございます。三十七年の四月−十月で、月平均二百四十七事業所で一万三千人でございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 ただいま事務当局から、二、三の問題点を聞いたわけですけれども、さらに労働経済指標のナンバー八十六で見てみますと、臨時雇用の労働者数というのは、三十六年平均は百四万人と出ています。ところが、三十七年の一月以降の平均は百四十四万ぐらいになります。それから日雇い労働者の関係は、三十六年度平均が八十五万、それから三十七年度平均が百十万、三十七年度の方は、私の方で計算をした数字ですからそう間違いはないと思うのですが、指標によりますと、そういう数値が出ておる。今事務当局が答弁をされましたように、大臣お聞きになったと思いますけれども、失業保険の受給者数についても、三十六年度と三十七年度を比較しますと、相当数増大をしておる、臨時雇用者の問題についても、これまた増大をしておる、あるいは技能労働者の関係から見て参りますと、これも年ごとに不足数が増大をしておる、こういう状態にあるわけです。これは労働白書の方では、雇用問題というものは相当好転をしているというふうに言われておりますけれども、内容的に見てみますと、非常に多くの問題がひそんでおるということを数字の上で表わしているのではないかと思うのです。こういう諸点について大臣は一体どのように考えられ、これをどういうふうにしてなくしていこうとしておるのか、所見をお伺いしたいと思うのです。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 三十七年度から、御承知の景気調整のためのいろいろな措置が行なわれまして、これによりまして雇用関係の方面に相当の影響がありましたことは事実だと存じます。従って、三十七年度の統計にはその点が当然現われておるわけでございます。この景気調整ということは、経済成長の過程におきまして、将来伸びるためにやむを得ざる一つの段階であったと思うのでございます。しかし、その効果が相当おさめられましたので、将来におきましてはさらに一段の経済成長が期待できると思っております。従って、労働省といたしましては、この機会にこれらの諸問題を解決するよう鋭意努力をいたしたいと存じます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 問題は、言葉の上では解決しないことだと思うのです。先ほども指摘を申し上げましたように、完全雇用ということは再三にわたって各大臣が表明をしておる。ところが、これが具体的なことになりますと、その政策は政府全体として取り組まれていない、こういうところに、今申し上げたような種々の好ましからざる現象が起こってくる。これて、大臣としては経済発展の過程でやむを得ない、こういうふうに言われますけれども、労働者にとっては大へん迷惑なのです。国民にとっては大へん迷惑なことなのです。そういう迷惑を起こさないようにしていくのが政府の責任であり、それが雇用政策であると私は思うのです。ですから、抜本的な対策を講じてというふうに言われ、あるいは諸般の対策を講じていくというふうに言われますけれども、今のままの状態で、一体これをどう具体的に解消していこうとするのか、この辺を私としましてはもっと具体的なものとして聞いておきたいと思うのです。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 来年度におきましては、労働省といたしましては職業訓練、職業指導を強化するとともに職業安定所の機構の拡充等もはかって参るつもりでございます。これらの考え方は、従来窓口の応接によりまして職業紹介に主力を置いておりました職業行政というものを、訓練あるいはケース・ワーク的なこまかい職業指導、こういう面に逐次切りかえていくことによりまして、時勢の要求に応じた優秀な労働力の育成に努めますとともに、雇用行政そのものの充実をはかっていこうというのでございます。ひとりそうした新しい施策を行なうばかりでなく、従来雇用面におきまする大きな問題として停滞して参っておりました失対事業につきましても、この際できるだけの刷新をして参りたい。これをもって雇用行政改善の一助にいたしたいと考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 職務の問題についてはあとから少し触れますけれども、この際臨時工等の問題について、年ごとにふえていくとというのは雇用安定化の方向にないわけですから、これを法的に規制をする——現在の立場で言いますと、基準法では、二カ月以内に限っては臨時工としては認めてもいい。しかし、現実には、二カ月ごとに雇用期間を更新して、三年、五年という工合に雇用されておるのが実態なんです。こういうことを放任しておいたのでは、いつまでたっても臨時工の問題は解決しないだろう。行政機関としては、これらについての監督を強化するのがその具体的な一つの方策であり、もっときつく言うならば、法律自身を改正してでも、臨時工については、二カ月以上同一人を雇用する場合には本工にしなければならないというくらいに法の規制を強くしていくとか、このくらいにやっていかなければ雇用の安定化というものは望めないのではないかと思う。それをやるのが、完全雇用なり雇用の安定化を主張する労働省の当然のあり方ではないか、こういうふうに考えるわけですが、どうもそういう点が放任をされておりますから、臨時工と本工との割合というものは、どんどん臨時工だけが多くなっていく。しかも、先ほど申しましたように、農村の労働力はどんどん都市に流入してくる。流入するような政策が行なわれている。この新規労働力というものは、ほとんどと言っていいくらい臨時工になっている。こういう不安定な状態を、やはり具体的に行政指導の中で、あるいはその法規制の中で政府として処置をしていくという、そういう強い姿勢、正しい姿勢がないと、言葉の上だけでは解決をしていかないのではないか、こういうことを私どもとしては考えておるのですが、どうですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 その点は私も全く同感でございまして、十分共鳴をいたす次第でございます。従って、この臨時工の問題につきましては、労働基準監督署並びに職業安定所の双方の機関を十分に連絡いたしまして、実効ある対策を進めるように十分研究をいたしたいと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 大臣のその実効ある措置を特に期待する以外にはないわけですが、期待をしてそれが実現しない場合には、われわれの方としては法改正等について提案を申し上げるつもりもありますから、その際は、大臣は賛成をするものというふうに、この場合は理解して期待をしておきたいと思うのです。  次に、大臣から今少し答弁がありましたけれども、今度は事務当局にお伺いしておきたいと思うのですが、今日における状態の中では、やはり労働力の流動化というものを促進する。これは中高年令層の再就職対策から見ても非常に必要なものであり、産業の全般的な発展、こういうことからも緊急を要する事態になっていることは言うまでもないと思うのです。そこで、大臣も、この職業訓練の方向に力を注いでいるという趣旨の答弁がありましたが、昭和三十八年度で職業訓練をやろうとする総数は、一体雇用促進事業団の方も含めて全体として何名ぐらいになりますか。

村上茂利労働事務官(職業訓練局長)

○村上(茂)政府委員 三十八年度における訓練生の数は、一般職業訓練としましては四万三千八百六十五名、転職訓練としましては三万一千三百二十五名、身体障害者の訓練が千百八十名、指導員訓練が三百二十名、こういった数字になっておりまして、総数約七万六千でございます。なお、三十八年度中には訓練は開始いたしませんけれども、約一万七千名の訓練がにし得るように三十八年度中に施設の拡充を行ないたい、かように考えておる次第であります。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 それで昨年度も職訓については相当力を入れてきたはずですが、予定されたほどの入所者があったのかどうか。

村上茂利労働事務官(職業訓練局長)

○村上(茂)政府委員 訓練所の入所状況につきましては、職種によって多少の差はありますけれども、私ども、大体二倍程度の応募者はある、ただしその場合に、若年層と中高年令層に差がありまして、若年層の方が応募率が高い、それから中高年令層につきましては、従来訓練中の援護措置がやや手薄でございましたので、訓練は受けたいが訓練を受けている期間の生活に困難を来たすということで、ちゅうちょしている向きがあったようでございます。従いまして、吉村先生御承知かと存じますけれども、訓練中の生活援護を充実いたしましたならば、中高年令層の入所状況もさらに上昇するのじゃないか、こういうように判断いたしております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 大臣に今度はお伺いしたいのですが、先ほど事務当局からも答弁がございましたけれども、技能労働者の不足数だけでも、三十六年度と三十七年度を比較しますと約四十万不足数が増加する、こういう状態になって、三十七年二月現在では百二十五万六千八百という数字になっておるわけです。それから農村からの労働力の流動の問題については、農業基本法の精神からしますと、現在農業に従事しているその労働力を移動させなければならない、こういう計画になっておるわけです。これは、先ほども申し上げましたように、年間では二百四十三万人の移動を行なう計画になっておるはずです。ということになりますと、今のお話のように七万六千ですか、その程度の職訓というようなことでは、大臣が大言壮語するように大々的な職業訓練というわけにはいかない。かりにそうであったとしても、現状必要とする労働力の流動対策から見るならば、これはもうお話にも何にもならないような、そういう職訓政策ではないかと思う。ですから、これは政府の政策全体から見るならば、この職業訓練制度というものについては、もっともっと思い切ったところの方針というものを立てて、これを急速に具体化しなければ、所得倍増政策が考えているような政策というものは実現ができ得ないと私は思うのです。七万六千人やその程度の職訓で、これが画期的なというようなわけにはいかないような気が私はするのですけれども、こういう点につのいて、今日のこの経済の諸情勢に対応するために、このような状態でいいというふうに考えておるのかどうか、この点を大臣から一つお答え願いたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 この程度では不十分ではないかという仰せでございますが、これで十分だとは決して考えておりません。できるだけ拡充いたしたい、かように思っておるのでございますが、御承知のように財政の問題もございまするし、また指導員等の問題もございまするので、今後ともせっかく努力をいたしたいと思っておるところでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 これは大臣、今後の話ばかりされますけれども、私は再三指摘しますが、所得倍増政策というものについては、政府全体としてこれを政策の基本としながらやっているわけです。その中で労働力がどう変動し、どう流動していかなければならないかということも、大体書かれているわけです。今日の状態で百二十何万かの技能労働者の不足がある。こういう状態のところですから、六万や七万の職業訓練で各経済界の需要に応ずるというようなことはとうていでき得ないわけですから、ここは、そのすべてが職訓を必要とするということではないと思いますけれども、大臣もお認めになっているように、相当大がかりなこの職業訓練、しかも、その訓練所に入っている者についての生活の保障、こういうものを考え合わせながらやっていくためには、政府全体としてもっと本気になって取り組んで、そうして職業訓練所の設置等についても、できるだけ地方に分散をさせるというような形で大々的なことを打ち出していかなければ、所得倍増計画は名のみになってしまう、こういうふうに考えます。所得倍増政策そのものに私は賛成をしようとするものではないけれども、相当緻密な計画を持った政策でございますから、その政策を政府が進めるとするならば、それに対応する諸般の政策というものがなくてはならない。そういう点から見て最も重要なのは、私は雇用の問題だと思うのです。雇用の問題について、どうも大臣自身が、七万やその辺の職訓をやって将来に云々ということを言われても、とうていこれは私は満足するわけにはいかない。そういう状態だから、今のように労働というものが不安になっている。このように考えられますけれども、政府の中で、雇用の問題についてもっと積極的に取り組む姿勢というものを大臣みずからがっくり上げていくためには、大臣のほんとうの腹がまえというものをしっかりしなければいけないのではないか。これはもう年ごとに、だんだんと労働の雇用の問題というものは深刻になっていく、こういうふうに私は考えます、か、大臣どうですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 これは御説の通りでございますが、この訓練につきましては、一応長期的な計画もございますので、この際、それを政府委員から御参考までに御説明いたさせることにいたします。

村上茂利労働事務官(職業訓練局長)

○村上(茂)政府委員 所得倍増計画に対応します技能労働者の訓練の問題につきましては、すでに三十五年でございますが、職業訓練長期基本計画を策定いたしまして、昭和四十五年度までに熟練工六十一万人、半熟練工九十四万人、合計百五十五万人を、公共職業訓練及び事業内訓練——会社、工場て行なっております事業内訓練で訓練する、それから中堅工の再訓練を百三十九万人について行なう、それから監督者訓練を四十二万人について実施するという、昭和四十五年度までの訓練目標を設定したのでございます。それに対応しますところの各年次における訓練施設の拡充計画をも一応つくったのでございますが、遺憾ながら、ここ二、三年の実績を見ますると、長期基本計画に掲げましたところの各年次の目標と、訓練所並びに訓練生の数がかけ離れまして、計画よりも実績が下回るという状態になって参りましたので、三十八年度におきましては相当施設を拡大いたしまして、この長期基本計画に接近さしたい、こういう観点から予算を編成しておるのでございます。  そこで長期基本計画によりますと、たとえば三十八年度の計画では、訓練生の数が約八万七千、それから事業内訓練では五万五千、こういう数字を三十五年当時一応予定しておったのでありますが、事業内訓練につきましては、すでに七万二千という数字でございますから計画数を上回っております。しかしながら、公共訓練においては若干まだ目標数字を下回るということから、先ほどお答え申し上げました通り、三十八年度中に一万七千人の訓練をなし得るような施設拡充をいたしまして、三十九年度におきましては九万数千名程度の訓練を実施したい、こういう形をとりまして長期基本計画に接近さす、三十九年度においては目標に接近し得るというふうに私ども確信いたしておるのでございます。ただ、総体の数として百二十六万も不足なのに、七万や八万やったってとても及ばないじゃないか、こういう御懸念があると思いますが、国全体の訓練教育としましては、御承知のように工業高等学校などもございますし、また高等工業などもございます。あるいはまた、通産省所管では開発青年隊といったような組織もございますし、また農林関係では伝習農場といったような各種の施設があるのでございますが、労働省といたしましては、労働市場における雇用の流れ、労働力の流れと対応してどの程度の分野を担当するか、こういう問題もあるわけでございますが、先ほど申しましたように、四十五年度までに熟練、半熟練を合わせまして百五十五万人を訓練しよう、こういう目標を設定して実施しているわけでございます。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 ただいまの説明については、要点はこちらでも記入しましたけれども、この長期計画並びに今日までの実績、こういうものについては、あとで委員会の方に資料として提出をしてもらうようにお願いをしておきたいと思います。委員長、一つよろしくお願いいたします。

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 承知いたしました。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 ただ、今の答弁の中で、先ほどの答弁と少し食い違っているのではないかと思いましたのは、三十六年度の訓練所の入所実績、こういうものについては、あなたの方では大体のところ計画通りにいっておるという先ほどの答弁がありました。ところが、今のお話によりますと、どうも計画に対して訓練入所者数というものがぴたっと一致しない、こういう答弁のように聞いたわけですけれども、この点は実績としては、私の感じとしては入所者数というものがどうも計画数に満たないということで、かえって苦労しているという実態があるのではないか、こういうふうに考えられます。従って、この点については、一つそういうような障害というものを排除しながらやっていただくようにお願いをして、あと資料を提示してもらって、機会をあらためて質問をしていきたいと思います。  次に、技能労働者の不足の問題の中で特に問題だと思いますのは、昭和三十七年上半期の労働情勢報告にも書いてありますけれども、技能労働者の不足というものが、規模別に見ますと、大規模なところよりも、小規模になればなるほど、技能労働者の不足数というものが目立っている、こういうふうにこの報告書は指摘いたしております。これは中小企業の経営者の経営上の問題ばかりではなしに、労働者の生活上の問題から見ても、非常に大きな問題がここにひそんでおるように考えられます。ここで報告せられておりますのは、五百人以上の場合の不足数というものが一〇・五%、ところが十五人から九十九人の規模においては、二九・三%、こういう工合に、規模が小さくなればなるほど、技能労働者が不足しているということを明らかにしておるわけです。これは一体どういうところに原因があるというふうに考えられ、これを排除するためにどういう対策を立てようとしておられるのか伺いたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 従来までの中小企業における技能労働者の不足の原因として考えられますことは、第一は、中小企業においては、独自の技能者の養成施設が欠けておったという点でございます。それから次には、労働条件の規模別格差、従いまして、技能労働者がある程度まで腕が上がった場合において、この労働条件の格差ということを頭に置いて大企業へ移動していく、こういった関係が総合いたしまして現状が導かれてきた、かように存ずる次第でございます。そこで労働省といたしましては、特に中小企業の技能者の不足の補充という意味合いにおきましても、公共的な職業訓練機関をできるだけふやしていくことが必要だ、こう考えております。と同時に、中小企業者の共同の経営によりまする共同訓練施設をつくっていく、そうしてこれを政府でも援助をしていくということで、できるだけ養成していくということを第二にやっております。それから第三といたしましては、労働条件の格差の問題でございますが、これにつきましては、逐次格差は減少の方向に向かってはおりまするが、しかしなお相当の格差がございまするので、いろいろな面から中小企業の労働条件を指導いたしまして、逐次格差の減少に向かうようにいたしていきたい、こういう対策を総合いたしまして、できるだけ中小企業に重点を置いて技能者の補充をはかっていきたいと考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 その次にお伺いいたしたいのは、大企業に若手労働者というものが集中して、中小以下の方に中高年労働者というものが割合にたまっている、こういうことが中小企業の経営というものを圧迫している原因じゃないかというふうに思うのです。私は先ほどの質問と関連をいたしまして、中小企業——規模の小さい企業ほど技能労働者が不足するということの大きな原因というものは、やはり何といっても労働条件というものが大企業よりも悪い、規模別に見て賃金格差、労働条件の格差がある、こういうところから大企業に引き抜かれていくということも、一つは原因じゃないかというふうに思うのです。そうなって参りますと、これらの原因というものをなくしていくためには、雇用審議会の方で指摘をして、その改善を強く要求いたしておりますところの、労働条件の中で、最も基礎的なものと思われますところの賃金、その資金の中で特にその基盤的投割を果たしますところの最低賃金法というものを、もっと生活を保障し得るよな、そういう最低賃金法というものに改めて、これを全国一律に適用する、こういうふうな方針というものを国自体が出していかなければ、先ほど言ったような問題は根本的に解決をしないのではないか、こういうように私は考えます。現在の最低賃金法は、相当労働省で苦労をして、その適用範囲を拡大しようとしておるようでありますけれども、これはかえって問題を複雑化するだけだ、いかに適用範囲を広げてみましても、内容的には最高賃金法的な性格を持っておる、こういうことで相当不満もあるわけですけれども、そるような点から考えてみて、この技能労働者数不足の最大の原因となると考えられますところの労働条件の格差の問題解消の重要な手段としては、最低賃金というものを根本的に改正しろという雇用審議会の答申の趣旨に沿っていくことが必要じゃないか、こういうふうに考えられます。  それからいま一つは、中高年令者というものの離職対策、再就職対策というのが、これまた今日の大きな問題となっているわけですけれども、なぜ一体中高年令者が離職をやむなくされるのか、こういうことを考えてみますと、どうしても経営者の方としては支拡い金額というものを少なくしたい、これに対して中高年令者は家族を持っている、こういうことがこれまた一つの大きな原因になって離職傾向に拍軍をかけており、再就職を拒んでおる大きな原因じゃないかと考えます。そういう見地から考えて参りますと、これらの問題を解決する一つの方法としては、先ほど申し上げましたように最賃法の再検討、それからこの際、各外国で行なっておりまするような児童手当あるいは家族手当、こういうものを国が責任を持って制度化していく、こういうような方向をとらなければ、中小企業と大企業との事業別格差上から起こるところの技能労働者の不足の問題、あるいはその他の労働諸問題というものは解決しないのじゃないかというふうに考えますけれども、大臣はどう考えられますか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 大企業と中小企業の労働条件の格差ということは、これは根本的には大企業と中小企業の生産性の格差からきているのでございまして、根本的な解消はなかなか困難なわざであるというふうに考えるのでございます。しかしながら、それにしても現在の日本の状態は、先進諸国に比べましてあまりにも格差が極端ではないか、こういうふうに思われるのでございます。従いまして、労働条件のいろいろな面においてこの格差を縮小するということは、これは政府といたしましても常に目標と考えておるのでございますが、その一方法といたしまして最低賃金法の改正をどう考えるかという点でございます。最低賃金法も、できましてからまだ三年でございまして、できるときのいろいろな状況等がありまして、まだ全国一律に職権でもって最低賃金をきめるというようなことは、情勢上なかなかむずかしいところではないかと思うのでございます。しかしながら、とにかく最低賃金法があり、そしてこれが運用されておりまする以上は、できるだけ法の目的といたしました趣旨を発揮するようにこれが活用されなければならぬことは当然なのでございまして、私どもといたしましては、さような目標を達成するためには現行法でどの程度まで運用によって可能であるか、もう少し時期をかす必要がありはしないか。それにしても、やはり運用上いろいろ留意すべき事柄もあろうと存じまして、ただいま中央最低賃金審議会に、最低賃金制度の趣旨を達成するために、いかに運用すればよろしいかという運用上の基本方針を諮問いたしておるところなのでございます。従って、その諮問の結果を見まして、その上で将来の運用を考えて参りたいと思います。  それからもう一つの御質問は、家族手当あるいは児童手当とかいうようなものを、中高年令者の離職者対策として考える必要はないかという点でございます。この家族制度というものは、私もずいぶん昔に研究したこともございまするが、いろいろ問題があるようでございまして、なかなか結論を出すのも容易なことではございません。しかし、せっかく昨年賃金部というものができて、労働省の賃金に関する部局も新しい陣容がそろったのでございますからこの家族制度の問題もその賃金部で十分に研究をさしてみたいと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 最賃の問題については、雇用政策上の観点から再検討をしていくことが、雇用安定のために非常にプラスをするだろう、あるいは雇用審議一会の方でも、その趣旨のこと三十四年に答申書の中に載せておる、こういうことですから、今日におけるところのある最低賃金法というものは、大臣今答弁のように運用上の問題でなくて、基本的に欠陥を持っておる、このように私どもとしては考えて、再三本委員会においても指摘をいたしておりますが、この点についてはあとでまた議論をするといたしまして、次に、ぜひ雇用政策上お伺いしておきたいと思いますのは、労働時間の関係の問題です。これも経済指標によりますと、一週四十八時間以上の労働をしておる者が、農林、非農林を含めますと千六百三十万人という工合になっておる。これは昨年の実績からしますと、これまた増大をしている。昨年といいますのは、この場合三十六年度ということになります。さらに週六十時間以上の労働をしている者が、これまた農林、非農林合わせますと千六十万人もおる。こういう状態であることが経済指標の中で明らかになっています。基準法では四十八時間を基本として、超過勤務等については、労使の協定によって行なう、こういう定めになっておるのでありますけれども、この実績が示すものは、非常に多くの人たちが、基準法の基本とする四十八時間以上の労働に従事をしている、こういうことになっておることを示すわけです。これは、先ほども冒頭に質問をいたしましたところの失業者の数字の関係等から見まして、こういう形態というものは決して好ましい形態ではないと思うのです。私は、この点についての大臣の見解をお聞きしますと同時に、諸外国の労働時間というものは一体どういうふうになっているのかということを、事務当局の方からあわせて答弁をしてもらいたいと思うのです。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 労働時間の問題につきましては、御指摘のように超過労働が非常に広い範囲で行なわれておるものと考えております。特に中小企業において、過長な時間外労働が行なわれておるようでございまして、私どもは、労働行政の当面の課題の一つとして、特に中小企業における長過ぎる時間外労働をなくしたいと考えまして、いろいろ積極的な施策をとって参りたいと思っております。外国の時間との比較等につきましては、政府委員から申し上げます。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 外国の労働時間との比較を御報告申し上げます。年によって数字がかなり動くのでありますが、ILOの労働統計年鑑の一九六〇年の分で申し上げますと、大体アメリカからカナダ、あの辺が三十九時間から四十時間になっております。それからヨーロッパでは、フランス、西ドイツ、イギリス、この辺が大体四十五時間から四十七時間見当、それからイタリアとかオランダが、大体四十八時から四十九時間、日本の場合は、毎勤統計によりますと、三十人以上のところで大体四十八時間程度ですが、ただ、三十人以下を含めてみますと大体四十八時間から四十九時間、この見当になろうかと思います。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 今の日本の労働時間の方は、どういう草出基礎になっているかわかりませんが、今局長が答弁をされたILOの国際労働統計年鑑によりますと——労働統計調査月報で私は日本のものを申し上げますと、今の答弁とはだいぶ違うようです。これは全企業について調べておるものと思いますけれども、大体五十時間以上、年とともにこれが増大しているという実績を示しておりますが、これは労働統計調査月報ですからまさか偽りではないと思う。ここは少しまじめにごまかさないで言ってもらいたいと思うのです。規模別によればもちろん違いますけれども、国際比較の場合には、全労働者を対象としてこれを比較するのが当然のはずですから。私は、労働時間が今日の日本の労働問題の中で非常に大きなウエートを占めていると思う。だからILO等からもああいうような勧告を受けておるし、あるいはまた、国際的な趨勢としては、労働時間は短縮の方向にある。にもかかわらず日本だけが、先ほど言いましたように時間外労働というものが非常に多い、あるいはまた、国際比較を見てみましても、西欧あるいは米国等から見ても非常に長時間労働をしている。これは雇用安定という観点から見て、あとで触れていきますけれども、非常に重要な点ではないかというふうに思うのです。ですから、労働省の方でも、数字をあまり問題はないのだというような気持で発表するのでなくて、赤裸々な姿を発表して、そうして国民に関心を持たせ、だからどうしなけばならないのかということを政府全体として考えていく、こういう方向でないと改善の方向には進んでいかないように思うのです。ですから、私の調べた範囲で申し上げていきますと、この労働時間の問題については、労働省としてはもちろんでありますけれども、もっと関心を持って、できるだけ労働時間短縮の方向に進んでいかないと、これは所得倍増計画が考えておる将来の国民生活というものの光明にはとてもほど遠いことになる、こういうことになるであろうと思うのです。ですから、雇用審議会の方でも労働時間の短縮のことについて触れて、これをできるだけ早く実現をするようにしなさいという答申がなされている、こういうふうに申し上げていいのではないかと思うのです。この前、河野委員の質問に対して大臣は、労働時間短縮は好ましいことではあるけれども、こういう趣旨の答弁がございました。私は、その前に当然問題にしなければならないと思うのは、この四十八時間以上労働しているという実情、これについてもっと行政指導なり規制というものを強くしていく、これが前段の対策ではないかと思うのです。そういう角度から見て参りますと、今の労働基準法には抜け穴がある。これは労使が協定をすれば何時間やってもいいことになっておる。こういう状態では労働者の生活というものはとうていよくなっていかないわけですから、この労働基準法の中で、たとえば一日の時間外労働は何時間という工合に規制を加える基準法の改正、こういうようなことをやっていかないと、今日の状態では野放しになってしまって、あなた方の意図する労働時間短縮というものは実現しないのではないかというふうに考ええます。ですから、これはどうですか、こういう点について時間短縮ということが一つの自分のねらいだというふうに言っておるわけですから、その前段の対策として、とりあえずは時間外労働を法的に規制する、そのための基準法改正、こういうことを考える必要があるように思いますけれども、大臣の所見はどうですか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○大橋国務大臣 法律改正の問題につきましては、将来、問題としてよく研究をいたした上でお答え申し上げたいと思います。  なお、その件につきまして政府委員から申し上げます。

大島靖労働基準監督官(労働基準局長)

○大島政府委員 ただいま吉村先生から御指摘のありました日本の労働時間の数字について若干申し上げたいと思いますが、先生が今御指摘になりました五十時間余という数字は、一九六〇年、先ほど申しました年におきましては五十六時間だろうと思います。これは労働力調査による数字でございまして、各国の労働時間のILO統計年鑑に記載されておりますのは、雇用労働者の労働時間でございます。ただ、労働力調査によりますと、業主及び家族労働者も含んだ数字になっておりますし、それからもう一つは、たとえばその人が昼間工場で働いて、夜帰ってまたアルバイトをするというような場合も、その人の労働時間として加味されてくるわけでございます。従って、各国の比較といたしましては、やはり毎勤続統計による数字の方が国際比較としては正鵠ではないかと思います。ただ、毎勤統計におきましては一応三十人以上になっておりますので、従って三十人以下の分、これは三十人以上よりもさらに若干長いわけでございますから、その辺も加味いたしまして、三十人以上の場合は四七・八時間になっておりますが、先ほど四十八時間ないし四十九時間と申し上げた次第であります。  なお、先生御指摘の通り、中小企業の労働条件、ことにあまり長過ぎる労働条件、また恒常化した残業、こういった問題については、政府としては非常に大きな関心を持つべきであります。また、これを私どもも全力をあげて、できるだけ当面四十八時間ぐらいの目標をもって短縮して参りたいと思っております。その具体的な考え方といたしましては、私は、まず第一に、やはり女子、年少者の超過勤務、この女子、年少者、保護労働者の労働条件の確保は、労働基準法に基づくところをきちんと守ってもらうということがまず第一だろうと思います。さらに安全上危険な職種とかあるいは衛生上有害な職種、こういったところの労働時間は、逐次短縮するような方向に向かいたい。さらに、たとえばダンプカーとか砂利トラック、こういった、その運転時間の長いことが一般公衆、公共の迷惑になるようなもの、こういったものについては、やはり世論の力とともに、労働時間の短縮の方向に向けていきたい。さらに、直接の労働時間の問題のほかに、たとえば一斉週休制の問題あるいは商店、サービス業の一斉閉店制の問題この問題は、労働時間短縮の見地からも非常に大きな意味合いを持つわけでありまして、たとえば、十時閉店が九時閉店になりますと、この一時間ということは、月間において、おそらく一挙に一割くらいの時間短縮になるわけで、今後も一斉閉店制、一斉週休制というものは強く指導して参りたいと考えております。さらに、恒常的な残業の問題につきましては、昨年宮崎県の延岡で自動車修理業が残業規制の業者間協定を結んだケースがございます。私どもこれを非常に注目いたしまして、その実施の状況を見守ってておるわけなんでありますが、現在までのところ、非常に好調に進んでおりまして、こういった施策をさらに全般的に進めて参りたい、こういうような考えで、ただいま御指摘の吉村先生の年来の御主張であります中小零細企業のあまり長過ぎる労働時間の短縮に、私どもも懸命の努力をいたしたいと考えております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 中小企業ばかりでなく、もっと労働政策の基本として私は労働時間の問題を主張しておるわけですが、付随をして考えなければならないのは、中小企業の労働者はなぜ一体長時間労働になるかということが問題なんです。それは低賃金だからどうしても時間外労働をしなければ飯が食えないというところにも原因があるわけですから、そういう労働時間の問題を労働時間の問題としてだけ処理できない。それは雇用問題も政府全体の問題として処理しなければならないと同じように、超過勤務の問題等についても、もっと賃金の問題とあわせ考えながらやっていかなければならない。だから私どもといたしましては、当面労働時間の問題について必要なことは、この四十八時間ということについてもすでに国際的には問題がある。それ以上やっているものについては法でもって規制をして、これを少なくしていく、こういう方針が打ち出されなければ、野放図な今日の状態というものは改善をされないのではないか。政府の方でその用意がないとすれば、社会党としては、そういうことについて政府の協力を求めるようにしていきたいというふうには思います。同時にまた、最低賃金法の問題も、うらはらの問題として考えていかなければならない問題であることは言うまでもございませんから、その点も十分配慮の上で、一つ特に善拠をしてもらうようにお願いしたいわけです。  最後に、いわゆる潜在失業者の問題でございますが、いろいろの統計あるいは労働省発表の資料、こういうものを見てみましても潜在失業者というものについては明確な把握というものがなされていないように考えられます。ですから、労働省としては潜在失業者というものがあると考えておるのか、ないと考えておるのか、この辺をまずお伺いをしておきたいと思います。  さらに第二点は、雇用審議会では、これは昭和三十四年だと思いますけれども、潜在失業者というのはこういうものであるという一応の定義みたいなものを発表いたしたことがあります。その当時の数値は詳しくは覚えておりませんけれども、多分推計で八百万くらいはなるのではないかという三十四年ごろの数値だったと思います。そういうことを発表しておりますが、この場合の潜在失業者というものは、雇用審議会としては最低生活ができ得ない、最低生活をするだけの賃金が入らない者、これを一応潜在失業者というふうに定義づけたというふうに私は考えています。この点から考えてみまして、労働省としては、この雇用審議会の出したところの潜在失業者に対する考え方を承認しておるのかどうか、ここを一つお尋ねしたいと思っております。

三治重信労働事務官(職業安定局長)

○三治政府委員 潜在失業者あるいは不完全就業者という問題は、学問的にも非常に各方面でいろいろ議論されておりますが、政府といたしましては、不完全就業の問題として、労働力調査の方で臨時調査として、いわゆる意識面からの調査ということで一応統一しております。それから雇用審議会の出された——これは雇用審議会の前の、いわゆる閣議決定による失業対策審議会の方で、今仰せられたような所得部面からの分析が相当進められております。この所得面からの分析のものは、そのときのいわゆる最低生活というまでには至らないのですが、一応その所得基準をどこに置くかということについて、われわれの方としては十分に議論がされていない。この基準は、雇用労働者、それからいわゆる自営業主、それから農業者というものによってそれぞれ基準を異にして線を引いておりまして、そういう場合においてどこに所得の基準を置くか、しかもそれが、大体において就業構造基本調査からの分析であります。就業構造基本調査の方の所得の出し方というものは、一応の数字は出ておりますが、しかしこれは御承知のように、国民所得の統計にもちょっとまだ使えないような所得調査でございます。それは三年に一度、また短期に年間のおおよその所得を聞き取って、それを全体に延ばしていく、こういうような関係で、国民所得統計にもそういう就業構造基本調査による年所得というようなものが使えないということもございます。従って、そういう部面だけから潜在失業者の範囲をきめていくのも、いわゆる心理研究という面ではいいわけでございますが、われわれ政府として不完全就業者をどういうふうに見ていくかということになりますと、やはり本人が自分はもう少しいい所得にありたい、しかしそれの仕事が、それだけ与えられていないということ、しかもそれを本業としてやりたいというふうな、そういう労働能力の意識の部面から、本業で、しかも自分が満足するまでに至らなくても生活できる、その就業状態への希望の表明という部面からとったものが、やはり出てきたといってもいいんじゃないかということでやっておりまして、われわれとしては、そういう労働力調査による不完全就業者の把握として今日までやっておりますが、これにつきましては、われわれの統計の分析からいきますと、三十四年に二百四十万人ぐらいと推定しておりますものが、三十六年三月では百四十四万人、この三十七年におきましては、調査のやり方を変えてみたのでこれと直接比較はできませんが、百九十三万人というふうな数字が出ております。

吉村吉雄日本社会党

○吉村委員 潜在失業者の問題というのは、特に日本の場合には重要だと思うのです。外国の例から見てみましても、完全失業者というのは日本には非常に少ない。しかし、では一体失業者がほんとうにいないのかということになりますと、今各方面から言われるように、最低生活といいますか、そういうものをようやくしているというものが相当数おるわけですから、労働省の今のような見解に立った潜在失業者の把握が正しいかどうかということは、非常に疑問があると思うのです。私はこの際、やはり雇用審議会で一応明らかにしたような所得基準というものから出していくことが、労働省的な考え方ではないかと思うのです。なぜならば、雇用かいなかということは、生活ができるかできないかということが基本の問題ですから、就業構造上の問題ではなくて、結果として、その労働者が生活できるのかできないのか、できるだけの賃金がもらえるような場があるのかないのか、ここが一番問題のはずですから、そういう状態から見ますと、就業の構造、需要の状態というもの、条件というものをどうつくるかということは別問題として、結果的に労働者が働こうと思っても働く場所がなくて、しかもまた、その収入というものが非常に少ない、生活に支障を来たしている、こういうところを基準にして考えていくしかないんじゃないかというふうに思うのです。ですから、この点がどうもあいまいになっているところに大きな問題がひそんでおりまするし、雇用審議会は雇用審議会としての考え方で潜在失業者というものを定義づけるし、労働省は労働省としての考え方で把握をしていこう、これでは的確な対策というものは出てこないと思うのです。この点は一つ十分検討していただいて、そうして潜在失業者の数というものを明確に把握をする、それでこれに対するところの適切な対策を打ち出していく、そうでないと、雇用不安というものは将来増大をするというふうに思います。この点については特に当局の方でも十分重要視してもらって、いい対策というものを打ち出してもらいたいと思うのです。そうでないと、この潜在失業者というのがやはり大きな社会不安の原因にもなるし、あるいは労働者にとっては労働条件低下の遠い原因にもなっている、こういうことにもなるはずでありますから、雇用問題の解決のために、ぜひとも潜在失業者の問題について真剣に取り組んでいただくように強く要請をしておきたいと思うのです。  まだ特に潜在失業者の問題、それから現在の労働者の収入の実情等についても実は明らかにしておきたい点があったのでありますけれども、時間の関係もありますから省略をして、あと機会を新たにしたいと思うのです。  私は最後に、労働大臣並びに当局の方々の強く考えてもらいたいと思うことを申し上げておきますけれども、今の労働省の労働行政の中での雇用対策というものは、どうも経営者が勝手に経営に失敗して労働者が首になった、あるいは政府の各省ばらばらの政策によって労働者が離職をする、これに対するところの再就職をどうするか、こういういわば経営者のしりぬぐい、各省のしりぬぐい、そういうことに追われているというふうに考えられてしょうがない。雇用の問題はそういうしりぬぐいの問題でなくて、今日労働者が働いておる職場にどう安定をさせ、生活を安定さしていくか、やむなく離職をしなければならない者については直ちに次の職場に行って生活が安定する、こういう事前の施策をつくり上げていくというのが、これが労働者としての積極的な雇用対策でなければならぬと思うのです。遺憾ながら事後処理的な、しりぬぐい的な雇用政策に終わっている。こういう点については、十分改めてもらうようにしなければならぬと思うのです。  その次に申し上げたいのは、以上のような考え方に立ってやっていく中でぜひとも今日必要だと思いますのは、先ほども申し上げましたように、雇用審議会等でも触れておるわけでありますけれども、まず最賃法というものの検討、これは最賃法そのものにすでに国際的に見ても疑問とされることが多いわけですから、現実にもまたこのことは大へん問題になっておるわけですから、これについての再検討ないしは新たな立法、こういうことを真剣に考えることが必要じゃないかというふうに思いまするし、完全雇用の方向を指向する以上は、労働時間の短縮という問題についても、もっと国際的な視野に立って真剣に取り組んでいく、この前の委員会で、大臣から千葉県庁の問題について答弁がありましたけれども、ああいう態度では、私は完全雇用を口にする労働大臣というわけにはいかないと思うのです。そういうものをやはり助長していくという積極的な態度がなくてはならないという観点から見ましても、労働時間の短縮という方向にもっと真剣に取り組んでいく。その前の対策としては、超過労働時間については法律の改正なり、あるいは行政上の指導という観点からしても、四十八時間以上の労働時間についてはこれを強く規制をする、こういう方向で進んでもらいたいというふうに思いまするし、労働力の流動の問題については、もっと本腰を入れて積極的な職業訓練、しかもこの職業訓練の施設等については、都市に集中をしないで、もっと農村の方に施設を拡大していくという立場で労働行政というものを進めていかなければ、完全雇用ということは口だけであって、実際にはこの実現の方向に進まない、こういうふうになろうと思います。政府並びに与党の方でそういうことについて用意がないとすれば、社会党の方では基準法の改正なり最賃法を新たに提案するなり、そういうことによって、大臣が再三答弁をしている完全雇用の方向に野党から協力していきたいというふうに思いますから、その際は特に政府や与党の方で協力をしてくれるものというふうに期待をして、私の質問は一応終わります。      ————◇—————

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 この際、小委員の補欠選任についてお諮りいたします。  去る二日、委員井村重雄君が委員を一たん辞任されましたので、麻薬対策小委員が一名欠員になっております。その補欠選任につきましては、委員長より指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 御異議なしと認め、井村重雄君を小委員に指名いたします。  なお、今後小委員に欠員を生じました際の小委員の補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり)

秋田大助自由民主党

○秋田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本日はこの程度にとどめ、次会は明六日午前十時より委員会を開くこととし、これにて散会いたします。    午後零時三十二分散会 ————————————————————— 社会労働委員会議録第一号中正誤 —————————————————————  一ページ一段二十行、同段三十一行、二段十八行、及び二ページ二段二十六行の「大原享君」は「大原亨君」の誤り。

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