国際労働条約第八十七号等特別委員会 第7号
- 発言数
- 329 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/07/05
会議録
○倉石委員長 これより会議を開きます。 結社の自由及び団結権の擁護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案を一括議題とし、昨日に引き続き質疑を継続いたします。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 昨日文部大臣は、日教組は今度の改正案においてもおそらく登録されない職員団体であるから交渉はできない、こういうお話でありましたけれども、これは先般来の討論の中で明らかになりましたように、登録、非登録にかかわらず職員団体は交渉ができる、登録、非登録の問題は主として法人格付与の問題に関係をして、実質上組合活動には影響がない、こういう説明が政府当局からなされておったわけです。日教組の文部大臣交渉において、ことに国家公務員の勤労条件の問題について交渉できるかどうか、これを再度伺いたい。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 現在の日教組の構成、組合の構成メンバーは国家公務員たる教職員がきわめてわずかであるという内容を前提として申し上げます場合に、これは地方公務員の職員団体の連合体であるということであろうと思います。したがって、日教組という名において国家公務員に関する勤務条件の改善等について文部大臣が相手をするという団体ではないと思います。
○多賀谷委員 そういたしますと、一体ILO八十七号条約の第六条の規定は、もしおっしゃるような事実であるとするならば、日本の国内法、ことに改正せんとする国内法は八十七号条約違反になりやしませんか。
○荒木国務大臣 八十七号条約は結社の自由、団結権の自由、それを保障するのが主眼点だと思うわけですが、その意味で国内法で言うならば、憲法におきましても結社の自由が包括的に基本的人権として認められておることに相照応するぐらいの課題かと思います。そういう意味において職員団体がつくれるということは何ら制約がなかろうし、かつまた登録ということが労働省から説明されたような趣旨であろうと私も解するのでございますが、そのことと日教組の現状のままにおける、すなわち先ほど申し上げたきわめて少数の国家公務員たる教職員がメンバーとして入っておること、そのことは地方公務員としての職員団体であって、国家公務員としての職員団体とは考えられない性格のものだ、したがって、文部大臣が応諾義務を持つところの交渉相手とはなり得ない、そういうふうに理解しております。
○多賀谷委員 しからば、同じような問題でお尋ねいたしますが、都労連という組合がある。都労連という組合は一般地方公務員の職員とさらに地方公営企業に属する職員、これらを含めておるわけです。しからば、人数から言うならば、おそらく一般職の組合員が多いのだろうと思います。その場合に、東京都と都労連という組合は交渉できるかどうか、これは自治省にお尋ねをいたしたい。その問題は、地方公営企業の職員の問題に関してできるかどうか。
○佐久間政府委員 改正法案によります地方公務員法上の職員団体となる連合体は職員団体の連合体でございますから、それを構成いたします個々の単位職員団体が地方公務員法上の単位職員団体でなければ、そこでいう職員団体には入らないと考えておるわけでございます。したがいまして、地方公務員法上の職員団体のほかに地方公営企業労働関係法上の労働組合である団体とあります場合におきましては、改正法案にいう連合体、したがってまた職員団体にはならないというふうに解釈をいたしております。
○多賀谷委員 交渉は……。
○佐久間政府委員 したがいまして、法律上の職員団体ではございませんが、事実上の労働者団体ということになるわけでございますから、これと交渉を東京都知事がするかしないかは事実上の問題であって、適当と思えば交渉に応ずる、適当と思わなければ応じないということになろうと思うのであります。
○多賀谷委員 団結権を認めておるわけですから、ことに日本の憲法は団結権並びに団体交渉その他団体行動権を認めておるわけですから、事実上の団結権があればそこにおのずから交渉という問題は起こると考える。 そこで、私は、現在の法律がいわゆる法上の交渉という問題、こういう法上の交渉と事実上の交渉、法にない交渉、これを区別しなければならない理由を見出すことが困難です。これはどこかに欠陥がある。第一、改正法が八十七号条約違反じゃありませんか、これは労働大臣にお尋ねします。
○大橋国務大臣 八十七号条約に違反しないように運用する、こういうつもりでできたものでございますから違反ではございません。
○多賀谷委員 違反しないようにできたものだと言われますけれども、日本のいまの自治労にしても日教組にしても、あるいは都労連にしても、ことに都労連の場合には同一公共団体に属しておる労働者、これが団結をするのに法上の交渉ができないというのはおかしいでしょう。これはどこか欠陥があるのです。法律のほうが欠陥があるのです。労働法の発生の歴史を見てごらんなさい。私がいまさら専門家の大臣に法を説くまでもないと思うのです。この事実行為をあとから追認した形が労働法です。労働法の発生過程というものは世界的に見るとそうです。日本の場合はいわば与えられた労働法の形になっておりますから、必ずしもそうではないでしょうけれども、事実はそうでしょう。労働法が市民法の中にその分野をだんだん広げていったという法律の発生過程というものはそういうものです。ですから、現在のようにすでに有力な組合がある、それが法の外にあるというのは、少なくとも憲法は別にして、労働各法規の外にあるというのは非常におかしいことじゃありませんか。まずどういうふうにお考えですか。
○大橋国務大臣 そういう団体が法の外にあるとは考えておりません。
○多賀谷委員 じゃ、何にあるのです。
○大橋国務大臣 職員団体であるかないか内容を精査して、職員団体であるということになりましたならば、登録なき職員団体としての保護を与えられます。
○多賀谷委員 登録なき職員団体ということで、職員団体には間違いないですか、都労連は。さっき自治省から答弁がありましたが……。
○佐久間政府委員 都労連の場合は職員団体ではございません。
○多賀谷委員 労働大臣、お聞き及びのように登録の職員団体ではない、ところが法律にいう職員団体でもない、こういうんです。非常におかしいでしょう。同一公共団体に属しておる職員によって構成される団体でも法のいう職員団体ではない、だから法の外にあるということになりやしませんか。あるいはそれは職員団体とみなすということですか。
○大橋国務大臣 私は法律の解釈を申し上げたわけでございます。
○多賀谷委員 ちょっと自治省と意見が違いますがね。労働大臣は法律上の職員団体だ、ただし登録をされていない、こういう話、登録ができない。ところがあなたは、法律上の職員団体ではなくて、それはいわば法律の外である、こうおっしゃっておるわけです。これは一体どうなんです。自治大臣がおられませんけれども、ひとつ調整をして御答弁願いたい。もう一度自治省から答弁願いたい。
○佐久間政府委員 都労連は、構成をいたしております単位職員団体、単位労働者団体が地方公務員法上の職員団体でありますものと、地公労法の適用を受けます労働組合でありますものとあるわけでございます。地方公務員法上の職員団体といたしておりますものは、単位職員団体であるものの連合体をさしておるわけでございますから、地方公務員法上の職員団体にはならないというふうに解釈をいたしております。
○堀政府委員 ただいまの問題、法律技術的な問題でありますので、私から補足してさらに申し上げます。 現行法上、御承知のごとく、一般の民間の労働組合につきましては労働組合法、それから公営企業あるいは三公五現というものにつきましては公労法あるいは地公労法、それから国家公務員、地方公務員につきましては、それぞれ国家公務員法、地方公務員法と、このように分けまして、それぞれその関係の勤労者が組織する団体につきましての規定を設けておるというのが現在のわが国の法律の体系でございます。 そこで、ただいま御質問のありました件につきましては、これは自治省から答弁いたしましたように、職員団体のその連合体が職員団体と見られる、こういうことになっておりまするので、職員団体のほかに他の団体が入りました連合体は、自治省が申しておりますように、地方公務員法上の職員団体とはならないということになるわけでございます。しかして、そういうものはしからば何であるか。これはもとより言うまでもなく、憲法に基づきまして結社を保障されましたところの労働者団体でございます。そういうようなものにつきましては、これは先ほど自治省から答弁申しましたように、それぞれ関係の向きに対しまして交渉をしようということを申し入れることはもとよりできるわけでございます。その場合において、その関係の相手方におきましてそのような団体と交渉するかどうかということを判断いたしまして、適当と認めれば交渉を行なうというたてまえになっておるわけでございます。そういうふうに労働省、自治省におきましては理解いたしております。 ただ、その場合に、先生のただいまのお話のように、なぜそのようなややこしいことになるのか、こういうことになるわけでありますが、それは初めに御説明いたしましたように、わが国の現行の法体系というものが、労働法の体系というものがいまのような体系になっておるということから出る問題でございます。これらの問題をさらに今後どうするかということは、これはさらに将来検討しなければならない問題であるとは思いまするが、現行法のたてまえからいたしまして、ただいまは、いま申し上げましたような取り扱いをするということになると考えます。
○多賀谷委員 そういたしますと、憲法に基づく団結権によっていわば結成される自由を持っておる組合ですね、この組合は交渉できる。それは結局八十七号、結社の自由及び団結権の擁護に関する条約の規定する連合体である、こういうように解釈してよろしいですか。
○堀政府委員 そのとおりでございます。
○多賀谷委員 文部大臣、八十七号条約の連合体というのは単位組合と同じような活動ができる、こういう状態になっておる。それを条約はきめておる。ですから、少なくとも構成員の中に国家公務員がおるのですから、その構成員の勤労条件を向上さすために交渉をする、その交渉相手は文部大臣である。それは当然できるわけじゃありませんか。
○荒木国務大臣 一般的に申しまして、条約を引き合いに出さぬでも、憲法上勤労者の団結する権利は保障されております。団体行動する権利も保障されております。そのことに一点の疑いもないと思います。八十七号条約も趣旨においてはおよそ日本の憲法によって勤労者に対して保障しておる内容と同趣旨のことを規定しておる条約だと思うわけであります。その点からだけ申しまして、交渉能力があることをいささかも否定する余地はない。ですけれども、交渉能力はありますが、交渉を申し入れられた場合に、応諾するかいなかは別問題です。これは九十八号条約の系統に属する課題として受け取るべき問題だ。それは公務員なるがゆえに勤務条件が法令によって定まっておる。したがって、そういうことを念頭に置きながら九十八号条約は除外しておると承知しておるわけでございます。だから、登録の問題も九十八号条約に根拠を置いて初めて説明がつくのであって、八十七号の一般の交渉能力を否定するということにあらずして、応諾すべきかいなか、応諾義務ありやいなやという観点に立ってのみ理解される登録の制度だと思うのであります。したがって、そういう関連を念頭に置いて解釈します限り、八十七号条約違反でないのみならず、一方においては九十八号条約で認めておる。したがって、使用者側に応諾義務を生ずるところの交渉相手としての職員団体であるかいなかということを選別する手段が登録という制度だ、かように理解するのであります。
○多賀谷委員 日教組は交渉能力は、文部大臣に対して国家公務員の問題についてはある。しかし、その交渉については九十八号条約による団体交渉、こういう権利として、いわば交渉を受けた側は必ず応諾をする義務があるというほどのものではない、こういうように理解してよろしいですか。
○荒木国務大臣 お答え申します。 大体そういう気持ちをお答え申し上げたわけですが、ただ、この前の御質問にお答えしましたように、現在の日教組というのは国家公務員たる教職員はきわめてりょうりょうたるものであるということからいたしまして、それが国家公務員たる職員団体であるとは理解できない。地方公務員たる職員団体との連合体であるという理解に立ってお答え申し上げておるわけであります。
○多賀谷委員 もとへまたお返しになりましたけれども、しかし構成員の中には入っているわけでしょう。りょうりょうであろうと構成員の中に入っているわけですから、当然構成員の要求を掲げて戦うというのは、これは組合の目的ですよ。その数の大小を問わない。ですから、そのことについては当然交渉能力があると考えてよろしいでしょう、地方公務員の問題ではないのですから。
○荒木国務大臣 いままでの論議を通じて、いま御審議願っておる改正案を基礎として言いました場合に、職員団体とは何だという定義と申しますか、その範囲が多賀谷さん御指摘のとおりのことだという前提においてお答えしますが、そういう意味合いからいきまして職員団体であることは間違いない。しかし、それは地方公務員の連合体たる職員団体である。そういう意味において、地方公務員の職員団体としての交渉能力はむろんありますけれども、応諾義務は登録によって定まるという内容である、この改正案は。それを国家公務員が一部入っておるから国家公務員の職員団体としての交渉能力があるじゃないかという意味でお尋ねがあったとしますれば、職員団体をいま申し上げたように解する限りにおいては、国家公務員の職員団体という立場での文部大臣との間における交渉能力ということは、これは少し違うかと思います。
○多賀谷委員 文部大臣にわざわざ来ていただいて、そうしてほかの方々の答弁も聞いていただいておるわけですが、いま問題になっているのは、地方公務員法や国家公務員法による職員団体の問題じゃないのですよ。労政局長が答弁をしましたのはそうでなくて、日本の法律体系の中にあまりにもさい然として国家公務員の団体並びに連合体、地方公務員の団体並びにその連合体、こういうように細別をしておるものだから、その連合体というものは現行の法律の範疇に入らぬ。しかし、憲法が規定している団結権の範囲からそれは事実結成ができる。そうしてそれは交渉能力があるのだ、事実問題として。こういうお話をされておるわけです。 ですから、いま労政局長が言いましたその範疇に属する組合について私は質問をしている。その範疇に属する組合としては、日教組というのは国家公務員の団体をかかえておるわけです。ですから当然、その地方公務員法のいう職員団体だけの問題じゃないと思うのです。国家公務員を構成員にかかえておれば当然憲法にいう団結権があるのだし、それからILO八十七号条約の六条にいう連合体なんであるから、八十七号条約は、この連合体というのはその単位組合と同じように扱えということを書いてあるのですから、当然交渉能力があるでしょう、こういうことを質問している。 大臣は一度交渉能力があるようにお話しになって、また逆にお返りになった。そうして今度は地方公務員法に基づく職員団体のお話をされておりますが、それから一歩論議は進んでいるわけですから、御答弁を願いたいと思います。
○荒木国務大臣 一般論として、八十七号条約に基づく団結権、結社の自由と同じことと理解しまして、その意味における職員団体の交渉能力がすべてにあるということは一つも疑いません。
○多賀谷委員 労働省――どこでもいいですけれども、いま文部大臣は交渉能力があるけれども、いわゆる九十八号条約に掲げてある団体交渉ではないから拒否できるのだ、こういう話ですね。この点はどうなんですか。日本の国家公務員法、地方公務員法の交渉というのは、いわゆる九十八号条約に掲げている団体交渉権ではない。要するに不当労働行為の保障のない交渉ですね。ですから、その点は何も日教組だけの問題じゃなくて、全体にそういうことが言えるのじゃないですか。統一して労政局長、御答弁願いたい。
○堀政府委員 先ほど申し上げましたように、憲法に基づくところの事実上の労働者の団体、これは団結権もありまするし、もとより交渉能力もあるわけです。ただ、その場合におきまして、それに応ずるかいなかということは、その相手方たるべき責任者が判断してきめる問題だと考えます。九十八号条約の第四条等の規定も御承知のようにあるわけでありまするが、これは労使間の交渉が円満に行なわれるように国が助成をするというようなことをきめておるわけでありまして、使用者が労働団体の交渉に応ずることを強制する意味ではございません。これは六十号事件等、ILOの報告におきましてもそのようなことがいわれておるわけでございます。 したがいまして、問題は、そういう交渉の申し出がありました場合に、それに応じて交渉をするかどうかという問題でございます。これは前からの議論のときに労働大臣からもお答えいたしておりまするように、登録というものは、いわばこういう団体はこういうものであるということが非常に明らかにされるためのものでありまするから、登録されておれば、これはすぐ応じて間違いないということでございます。したがいまして、それからあとの問題は、その相手方たるべき責任者が、それに応じて交渉するかどうか、それが適当かどうかということを判断した上でおきめになる問題である、このように考えます。
○倉石委員長 この際議事進行でちょっと政府にお尋ねいたすのでありますが、事実上の連合体というものが交渉能力があるというのでありますけれども、その交渉能力というのはどういう法的根拠に基づいて言われるのであるか。
○堀政府委員 これは先ほども申し上げましたように、憲法二十八条に基づくものでございます。またILOの九十八号あるいは八十七号、さらにILOの憲章というようなものの精神からも出てまいる。ただし、それに応諾することを使用者が強制されるかどうか、そこまでは扱っておらない。これはILOの報告におきましてもはっきりと述べておるところであります。
○倉石委員長 日本の法律で、事実上連合体は交渉能力があるということを法的に説明することができますか。
○山内(一夫)政府委員 交渉することができるという意味で交渉能力があるという意味合いと、相手方がそれに応諾してこなければならないという意味とは、二つ、そこが私は一緒に用いられておるような気がいたすわけであります。交渉能力があるということは、先ほど文部大臣がおっしゃいましたように八十七号条約の問題であると思うわけでございます。日本国憲法でいけば、日本国憲法の労働三権の規定からくるところであろうと思います。で、労働者団体が相手方に対して自己の構成員の要求をひっさげて要求する、そういう一つの団体的な行動が現に行なわれておる場合に、そういうことをやったためにある種の刑罰を受けるとか、雇用関係における不利益な取り扱いを受けるとかいう形で労働者団体の組織に国家権力が干渉を加えますならば、交渉能力を国家法は否定しまする考え方に立ちまするけれども、そういうことはILOの八十七号条約なり日本国憲法の禁圧するところでありまするから、その前提として考えますれば、およそ職員団体といわれるものでありましても、そういういわれないところの、一般の八十七号条約でいいまするところの労働者団体でも交渉能力があるというふうに私は理解いたすわけであります。 交渉能力があるところの労働者団体の要求に対しまして、当局がその申し込みを受けて、それを積極的に交渉に応じていくかどうかということは、もう一つ私は別の問題であろうかというふうに考えておるわけでございます。
○倉石委員長 私の疑問がまだ解けないのでありますけれども、日本の憲法あるいは八十七号条約の結社の自由ということは、これは当然承認されておる。それが交渉能力があるということをいま言われるのは、どういう根拠に基づいて言っておられるのかということを聞いているのであります。交渉能力というのは、相手方は一体だれと交渉をする能力を持つのか、そうしてまた、憲法でいう団結権の自由、これは保護されるべきでしょう。しかし、それによって必然的に交渉能力が出てくるという解釈は、どういう根拠に基づいて説明されておるのであるかということを解明してもらいたいと言っているのであります。
○山内(一夫)政府委員 日本国憲法の場合は、団体行動権の中に団体交渉権が当然包括されますから、根拠規定はそこに求めるべきであると思いますが、八十七号条約の系列できめますならば、そのことを積極的に規定した規定は私はないと思いますが、それは八十七号条約が当然カバーしている問題であると思います。その根拠をどこの条文というわけには、ILO条約の場合にはちょっと言いかねるかと思います。
○倉石委員長 昨日の質疑応答の中で、登録された団体と登録されざる団体とは、交渉において別に区別をしないのだというお話です。そのお話と、ただいまのお話の憲法による結社の自由ということを認めておるその連合体との交渉が混雑しているのではないかと私は思うのです。昨日の説明は、それはそれなりに理解されますけれども、連合体というものが、もちろんこれは憲法によって保障される、それが交渉能力を持つということを政府ははっきり言っておられるのであるけれども、それはおそらく多くの委員諸君も十分に御理解ができないのではないかと思う。団結の自由を認めれば当然そこに交渉能力が発生するんだという考えに立たれる根拠はどこにあるかと聞いているのであります。
○山内(一夫)政府委員 完全に御答弁できるかどうかよくわかりませんけれども、労働者団体を認める、あるいは労働者の組織を認めるということは、一定の労働条件なり勤務条件に対して一つの解決をしようとする意図のもとに相手方と交渉する、そういった組織を認めるわけでありますから、そういった労働者団体を認めるということ自体が交渉能力あるということとのうらはらの関係で、当然そういうことに相なるのであろうと私は思います。
○倉石委員長 もう一つお尋ねいたしますが、具体的に申せば総評という労働組合の連合体がございます。ただいまの御説明によれば、交渉能力ありとこういうふうにおっしゃるわけでありますが、その交渉能力は、一体事実上実現する場合にどこを対象にして交渉され、どういうことによって立って交渉するのであるか。
○山内(一夫)政府委員 総評が一つの労働者団体であるか協議会であるかということは、私ちょっとよくわかりかねますが、かりに労働者団体であるという前提に立ってお答えをいたしますれば、その傘下の各労働者、あるいはそこの中には国家公務員もいるかと思いますが、それはそれぞれの労働者が勤務しているところの事業所の使用者との勤務条件を解決いたすわけでありますから、それは総評が包括しているところの労働者の勤務先が非常に多様になるそれぞれにおいて一つの交渉能力を持つ、こういうことに相なろうかと思います。
○倉石委員長 非常に鮮明でありませんけれども、これは後日に残すことにいたしまして、質疑を継続いたします。多賀谷真稔君。
○多賀谷委員 いま法制局から答弁がありましたように、日教組の団体は構成員に国家公務員を持つ、ですから、その国家公務員の勤労条件については当然文部大臣が交渉の任に当たる、こういうことになるでしょう。いま法制局が答弁をされたとおり私が具体的に申し上げれば、そういうことになりましょう。大臣、どうですか。
○荒木国務大臣 交渉能力は、集団として存在できる――単なる個人の集まりでなしに、集団であるという意味において集団としての存在を肯定され、事実上行動することを否定することはできないという意味が、私は憲法のいう勤労者の団結し団体行動する権利の一般的な概念だと思います。 それが具体的に交渉能力というものが具体化されるのは、たとえば今度の改正案によって、登録ということによって交渉相手が特定してくる。その場合に、私の理解に従えば、登録されたる職員団体はその相手方が応諾義務を持つ、その応諾義務を生ぜしめる一種の行政行為が登録ということである、こういうふうに考えるのであります。 したがって、日教組が国家公務員のメンバーを含んでおるから、そのことに関心を持ち、行動することは御自由でしょうけれども、文部大臣がその交渉申し出に応ずるかいなかということは、今度の改正案におきましても、地方公務員の職員団体であるという認識に立ちます限りは労使の関係はないわけですから、応諾義務を生じた形における交渉相手方ではあり得ない、そういうものだと思います。
○多賀谷委員 どうも文部大臣、あなたは質問とそして政府が答弁をしておることを、よく聞いてもらいたいと思うのです。 まず第一の点は、登録と非登録にかかわらず交渉は同じだということを再三答弁している。あなたのほう、すなわち日本政府からILOに対して、とにかく職員団体が実際交渉を行なう場合の条件について、登録を受けた職員団体と登録を受けてない職員団体との間に何らの差別を設けないと言ったでしょう。ですから、登録は交渉と関係がないということを再三再四にわたって政府は言っておる。まずこれをはっきりさせていただきたい。あなたのは日本政府の考え方と違いますよ。
○大橋国務大臣 文部大臣と打ち合わせておりまするので、私からも申し上げたいと思いまするが、団体交渉につきまして、日教組が団体交渉の能力があるかないか、これは日教組の内部組織を十分に検討しなければ、私はどうか、いまわかりません。しかし、国家公務員の問題について日教組が団体交渉をする権能を内部的に与えられておると仮定をいたしました場合には、これは先ほど来文部大臣も申され、また法制局からも申し上げましたように、国家公務員たる職員の問題について団体交渉の能力があるわけでございます。 その場合に、問題は、今度は国家公務員法上の問題になってくると思います。国家公務員法におきましては、御指摘のごとく、登録した団体については団体交渉ができるとはっきり書いてあります。しかし、このことは、昨日も申し上げましたるごとく、登録なき職員団体には団体交渉権はないのだという趣旨ではないのであって、団体交渉については、いやしくも職員団体である以上は同じようなものであるということを申し上げました。 そこで問題は、日教組が国家公務員法上の職員団体であるかないかということに相なると思うのです。この点につきましては、その構成等から見まして、国家公務員法上の職員団体と見ることは困難ではないかというのが先ほど来の文部大臣のお答えでございます。そういう点を明確にいたしておきたいと思います。
○多賀谷委員 私の議論は一歩出ているのですよ。それは、日本の法制上、公務員の種類によって法体系が違い、別々に分断をされておる。しからば、いろいろな労働者にまたがった連合体あるいは単一組合は団結権はないのかと聞いたら、ありますと答えておる。ですから、いま問題になっている国家公務員法上の職員団体あるいは地方公務員法上の職員団体、――非登録、登録にかかわらずですね、このいわば別の労働者の連合体並びに単一組合ができるはずで、それは一体交渉能力があるかないかと聞いたら、それは団結権もあるし交渉能力もあると言っておる。ここまできておるのです。 ですから、委員長が先ほどその質問をされておるのですね。それで交渉能力があるとするならば交渉できるではないかと、こうおっしゃる。 それを文部大臣は、今度は登録、非登録の問題を言って否定をされておる。もう一つは、これは地方公務員が主であるから地方公務員法上の職員団体であるからということを言っておる。 もうわれわれの議論は、この二つは卒業しておるのですよ。ですから、その地方公務員法、国家公務員法上の職員団体のことを言っているのじゃないのです。ですから、それ以外の連合体がある。それがまさに日教組であるとするならば、それはできるじゃないか。国家公務員法について交渉能力があるじゃないか、こう言っておるのです。これ、ひとつ調整をして述べてください。
○荒木国務大臣 さっき登録のことに触れて申しましたが、その点は法制局から、必要とあらばはっきりしたことを言っていただきます。 いまのお尋ねの、日教組の中に国家公務員たる教職員もメンバーとして一部入っておる。そういう姿の日教組といういわば連合体が文部大臣と交渉能力があるか。これは一般論としての交渉能力はあることは、先刻申しました。交渉能力というものを、二つに分けなければ混乱するかと思いますが、文部大臣が交渉された場合、応諾せねばならないという関係は、労使関係になければ出てこない、そういう概念だと思います。交渉能力あって、日教組が私に交渉したいと言ってきておるというときに、イエス、ノーは自由であるという意味における交渉能力というものはあるだろう、それは事実問題だ、かように思います。
○多賀谷委員 その点は明確になりました。 私は法制局にお尋ねしたいのですが、国家公務員法、地方公務員法にいう交渉というのは、拒否をされても不当労働行為にはならないでしょう。だから、いまのお話では応諾の問題は自分の意思にあるのだ、こういう文部大臣の話ですが、ですから、いま日教組を対象にして国家公務員の勤労条件の向上についての交渉は、結局国家公務員法上あるいは地方公務員法の職員団体の交渉と差異がないと考えてよろしいか、どうですか。
○山内(一夫)政府委員 いまの例で、日教組の一部分にいまの国立大学の職員があるという仮定でお答えいたしまますが、それを文部大臣が受けられて交渉に入れば、それは職員団体との交渉と同じ系統の交渉に私は相なると思います。ですから、その交渉を、文部大臣のおっしゃるのは拒否するかどうかは、非登録団体であるからこれは自由である、こういうふうにお述べになっていると私は思います。
○多賀谷委員 どうも、法制局も混乱をしちゃいけませんよ。いま非登録と登録については交渉には関係ない、こういう事実に立って、そういうことになっているわけですね。ですから非登録、登録の話は一応済んだことです。終わっているのですよ。これは差異がないのだ、こういうことを日本政府はILOで言っているのですから。ですから、もう登録非登録は議論として出てくる余地がないのですよ。ですから、私が言っているのは、結局非登録、登録は余地がない、それから公務員法上の組合あるいは地方公務員法上の職員団体の問題も、一応それ以外の問題を聞いているのですから、これも出てくる余地がない。 そこで、現在の公務員法並びに地方公務員法の職員団体の交渉というのは、交渉を拒否しても現在の制度には不当労働行為という規定がない、保障がない。だから、団体交渉権がほしい、こう言っているのですよ。ですから、現在の法律並びに新しい改正法案における職員団体の交渉というものは同じですね。ですから、その交渉とあなたのおっしゃる事実上の団結権を持っている組合の交渉と同じじゃないか、こう言っているのです。
○山内(一夫)政府委員 それはおっしゃるように同じだと私は思います。
○倉石委員長 大原享君から関連質問の申し出がありますから、この際これを許します。簡潔に願います。大原享君。
○大原委員 関連質問ですから簡単に申し上げます。 文部大臣の質疑応答を聞いておりまして、文部大臣はこういうようにお考えだと思うのです。質問を展開するためにちょっと聞いておくのですが、つまり団体交渉の当事者は任免権者である当局だ、任免権者が当事者だ、あなたのいままでの演説や他の議事録を見てみますと、そういうふうにお答えです。そうですね。
○荒木国務大臣 人事権を持ち、給与権を持つ者、言いかえれば名実ともに使用者、それと被使用者の関係に立つ者相互間のことを典型的な姿として考えております。
○大原委員 つまりあなたの御答弁は、任免権者が団体交渉権の当事者だということです。 今度はひとつ自治省関係にお尋ねします。政府委員でよろしいですが、地方公務員である学校の教職員は、実質上知事が予算権や財産権を握っているわけですね。だから、任免権者である教育委員会と交渉しただけでは問題解決にならないわけですね。したがって、公共団体と一律に言いましても、教育委員会は自主性を持った執行権と議決権を持っている合議体の機関ですけれども、この県知事と交渉することが、実質上の権限を持っているところとはできる、こういうのがこのILO八十七号条約や憲法にいうところのいわゆる地方公務員――これは地方公務員ですよ、国家公務員との関係ではありませんよ。――地方公務員か、そういうふうに他の自治体の労働組合と連合体をつくってもよろしいし、あるいは教職員が知事と交渉してもよろしい、こういうことになると思うのですが、いかがですか。
○佐久間政府委員 教職員組合が知事と交渉できるかというお尋ねでございますが、御指摘のような知事の権限に属することにつきましても、教職員の勤務条件にかかわる事項もあるわけでございますから、その関係におきましては知事と交渉することもあり得ると思います。
○大原委員 きのうも佐久間政府委員の御答弁は一貫してそうだったのです。 それで、交渉能力とか連合体をつくる権利を団結権として認めておるということは、文部大臣、こうなんですよ。これは登録云々の問題を別にいたしまして、事実上権限のあるところとは団体交渉をして、労働条件を中心にして交渉するのが、これが連合体をつくる団結権を保障している法の精神なんですよ。 そこで、考えてみますと、最初の日に森山さんの質問に対しまして文部大臣が御答弁になりましたことで、いろいろ演説されておりますが、そのことについて資料がここに出ておるのです。この資料をずっと読んでみますと、つまり五十四次報告ですが、あなたは五十四次報告の一部をとっておられるのですけれども、この報告の中にございますように、欧州の通常の自治体というのは、自治体がほとんど完全に権限を持っているわけです。たとえば警察官の服装まで州によって違うというふうな自治能力があるわけですよ。だから、その権限のあるところと交渉するのが通常だということをここでずっと述べておるところに、文部大臣との交渉問題はやっていて、半ば否定したような報告になっておるわけなんですね。だから、権限のあるところと交渉するということはこの五十四次報告にずっと一貫して流れている精神なんです。 そこで、事実上連合体をつくりまして団結をいたしました日教組が、いま多賀谷委員が指摘されましたように、国家公務員の――国家公務員を含む、地方公務員たる教職員も含む、その際に――国家公務員の給与の例によるというふうに、日本の法律は地方公務員の給与の基準を設けているわけです。一方、文部大臣は――私は関連質問ですので、はしょって質問いたしますけれども――文部大臣は、もう一つは義務教育国庫負担法によって定数その他労働条件に直接、間接に関係ある問題で、半額負担法によって文部大臣は一つの大きな実質上の権限を持っておられるわけです。もう一つは、人事局をつくるという新しい改正案の構想によりますと、人事担当官で統一的に人事について――教職員については、あなたは国家公務員について発言をされるということになっておるわけです。給与の分配等についても、今度は人事院からそのほうに移るのですから、実質上文部大臣は国家公務員を通じて、その例によるというふうに地方公務員はなっておりますから、予算上も財政上も、あるいは制度上も権限があるわけです。 そういうことに対しましては、地方公務員であっても国家公務員でございましても、同じように団結をいたしまして連合体をつくって――大体外国の労働運動や普通の労働運動というのは、同一職種の者が団結をしている場合が多いわけです。そういうところから同一職種の同一労働条件という問題が出ておりますけれども、そういう連合体をつくって文部大臣と交渉するということは、多賀谷委員が御指摘になりましたこと以外に、私がいま二、三点申し上げましたけれども、権限のあるところと団体交渉をして労働条件の改善をやるということが法の趣旨なんです、団結権の趣旨なんです。だから、多賀谷委員とあなたの御答弁でニュアンスの違うのは、任免権者というふうにあなたは非常にシビアーに限定されているのですが、その考えは今日どこにも通用されていない。そこで、任免権者でない知事とも団体交渉をすることができる、いわゆる交渉することができるのですし、文部大臣との間においても、勤務やその他について実質的にも形式的にも全然無縁であるということは言えないわけですから、連合体をつくって団体交渉をするということは、いまの多賀谷委員の質問を一つ一つ積み上げてまいりますと、私は否定することはできない。八十七号条約の連合体をつくるという労働団体としてのいわゆる交渉能力というのは、相手方が権限を持っておる、そういう関係の相手方が交渉に応ずる責任があるといううらはらの問題と一体のものであるというふうに私どもは理解をいたしておるわけですけれども、これはひとつ労働大臣から、この点につきましてはILO八十七号条約の問題といたしまして御見解を明らかにしてもらいたい。
○大橋国務大臣 ILOのこまかいいきさつ、私もよく承知しておりませんので、お許しを得まして、政府委員から申し上げたいと存じます。
○堀政府委員 お許しを得まして、私から答弁いたします。 先ほど申し上げましたように、市町村立学校の教職員の任命権者、これは都道府県の教育委員会でございます。ただ、その具体的な勤務条件は都道府県の条例で定めることになっていること、これまた御承知のとおりでございます。 そこで、そういう関係におきまして、日教組がこのような教職員の具体的な勤務条件を定める条例の内容について、いろいろ都道府県当局に交渉を申し出るということはできる、これも自治省から答弁されたとおりであると思うわけであります。 それならば、国あるいはもっと具体的に申しますれば文部大臣と日教組が交渉できるんじゃないか、こういう御質問になるわけでございます。これは法制上はやはり国はそこまでの権限は持っておらない、こう解釈すべきであると思います。もとより事実上の影響力はあるだろうと思いまするが、そこまで広げて使用者としての立場を解釈すべきではない。したがいまして、地方公務員の関係におきましては、やはり教育委員会あるいは都道府県知事というものが使用者と認められることはありましても、文部大臣が使用者と認められるわけにはならないであろう、このように考えております。
○大原委員 簡単に申し上げますが、つまりいまの点、私が申しましたのは、多賀谷委員の質問の続きでありましたから、はしょったのでありますが、国家公務員たる教職員が日教組という職員団体の中にあるし、国家公務員の勤務条件というものは、特に給与については国家公務員の例によって地方公務員がきめられておるので、実質上政府が法制上のあるいは行政上の措置をとったことが影響するわけです。 その際に、私は二つのことを一緒に言ったわけだが、国家公務員の職員団体のそういう勤務条件にかかわることを日教組が文部大臣と交渉することができる。それと一緒に地方公務員も、任免権者でなくても完全に一いわゆる使用者は日本においては権利を持っていないから、非常に外国に比べて制限されておるということはこの報告によっても推測されます。したがって、そういうわけでございますから、実質上権限を持っておるところも、任命権者でなくても、連合体をつくって勤務条件にかかわる問題について交渉することは、これは当然交渉能力を承認された労働団体が交渉できる権限があるし、当局もそれに応ずる義務があるのではないか、こういうことを私は申し上げているのです。 二つのことを一緒に申し上げましたが、その点で問題だけを明らかにしておきますと、文部大臣の御答弁と自治省の御答弁の中で、自治省のほうはあなたと同じように、つまり知事に対しても――任免権者は教育委員です、知事じゃございませんけれども、教育委員会でなくても――知事と交渉ができる、こういうことを言われたのです。しかし、任免権者でない当局との間においても関係のある事項については団体としてその勤務条件の交渉の改善をやるという意味において、知事と文部大臣との間においてもこれは基本的にそう差別すべき問題ではないのではないか、こういうことを私は言った。この点の指摘だけを私はしておきまして、これはあとでさらに二つの点から議論を進める、こういうことで私の質問はこれで打ち切ります。
○荒木国務大臣 私の答弁を御要求じゃございませんが、私の発言に関連しての御質問でもございますから、この機会に簡単に申し上げておきます。 御指摘のとおり、私、演説等でむろん言っております。演説のみならず、いまでもそう思っております。私の申します意味は、先刻応諾義務ということばを使いましたが、それは労働組合法上いうところの応諾義務という意味ではございませんで、概念の混淆があるわけです。労働組合法の適用されない公務員の場合におきまして、たとえば地方公務員でもって職員団体が任命権者との間に勤務条件の維持、改善について交渉することができるという趣旨のことがあるわけでありますが、あの規定そのものに基づいて、あの法律に限定された課題について交渉を申し入れましたときにノーと言うことはできないという趣旨のものと私は解しておるわけであります。さりとて、応諾義務と申しましても、労働組合法上いうところの応諾義務のごとく不当労働行為の救済措置が法文上明記されているわけではむろんございませんので、その中身はむろん違いますが、行政上の責任を課せられた趣旨である、交渉を申し入れられたらばノーとは言えない、ノーと言うについては客観妥当性のある理由がなければいけないという責任を課せられた規定ではなかろうかという意味において応諾義務ということを申し上げているわけであります。その概念に立ちましての交渉相手となれば、それはやはり任命権と給与権を持っておるものでなければ、仰せのごとく国、政府あるいは国会といえども、地方公務員たる教職員の――国家公務員も同様でしょうけれども、給与とか人事についてその根本法を定めたり、予算を決定したり、提案したりという関係においてはむろん関係はございますが、その因果関係をたどって極端までいけばとどまるところを知らない。そこで、憲法に地方自治をきちっときめておる。地方自治の体系が予算上も財政上も、その他もろもろの制度上きちんときめてある。そうして任命権者なり給与決定権者というものは教育委員会ということが制度づけられておる。そこで区切らなければかえって混乱を来たすであろうというたてまえが地方公務員法五十五条以下の規定であろうと私は理解するわけであります。そういう意味での典型的な団体交渉相手というのは任命権者であり、給与決定権者である教育委員会である。文部大臣ではない。そういう趣旨の交渉相手にはなり得ない。 ただし、一般的に交渉能力があるということばで先刻来論議されておりますが、その意味における憲法に直結した姿の交渉能力はむろんありますから、事実問題としては文部大臣も日教組を相手にして話すということはあり得る課題でございます。しかし、それはイエス、ノーは自由である。それは地方公務員法にいうところの交渉相手とは違うのだ。地方公務員法にいうところの交渉相手はノーとは言えないという責任を負わされた相互関係であるところに違いがあるであろう。したがって、給与につきましても、御指摘のごとく国家公務員の例によるとはございますけれども、自治省からか発言がありましたとおり、国家公務員の例にはよるが条例で定めなければ最終的にきまらないという、不完全ではございましょうけれども、制度上任命権者、給与決定権者というものは地方公共団体だぞというたてまえはくずすわけにいけないものだろうと思います。その前提においておしゃべりもしておりまするし、いまもお答え申し上げていることを御理解いただきたいと思います。
○大原委員 私いま言った真意をもう一回明らかにしておきます。つまり日教組とか自治労というふうな地方公務員が団結しますね、その中に若干国家公務員が入っています。しかし、その自治労とか日教組という団体は広島県なら広島県の教育委員会と交渉もできるし、知事とも交渉ができるし、あるいは山口県の知事とも交渉ができる、これが八十七号の論争をめぐるこの報告の中にずっと一貫して書いてあるのです。そういうことになりますと、直接の、そのものの組合というものが任命権者とのぴったりと表裏一体の関係になくても、そういう組合運動を通じて実際の同じ職種の賃金や労働条件の問題として影響があるのですから、これは普通の常識なんですから、そういう場合には他の知事さんともやるし、他の教育委員会ともやるのです。そういう意味において、特に文部大臣は義務教育国庫負担法や、あるいは給与その他の法律については権限を持っておられるわけですから、権限の範囲において交渉することができるというのが交渉能力なんです。そのことをあなたは一番シビアーに解釈して任命権者である教育委員会というふうに演説もしているし、実際あなたはそういうことを言っておられるが、そういうことは実質上、予算上の権限を持っている知事だってできるのです。 だから、私の申し上げているのは、そういう交渉能力というのは、連合体をつくる団結権を保障したということは、これはやはり労働運動の歴史の中から出ている問題でありますから、四角四面に条例をつくるのがすべての権限を持っているのだというようなことは、そしてその対象団体だけ交渉するのだということは、これは運動の実際上からも合致しない意見です。したがって、私はその問題については、私の主張については別にこの八十七号の報告や、ずっといままでの解釈その他等を持ってまいりまして議論いたしますから、この問題は私の発言で、ひとつ保留いたしておきます。
○多賀谷委員 私は、この八十七号条約が規定をしておる労働者団体及び使用者団体の連合及び同盟についての日本の法制上の扱い方がきわめて不備だと思う。これは日本の公労法あるいは地公労法、国家公務員法、地方公務員法とおのおの団結権を細分したところに問題がある。これはむしろ発生の過程において労組法一本でいったときのほうがやはり法体系としてもまとまっているし、また八十七号条約並びに日本の憲法に即応した法律体系になるのではないか、争議権とかそういうものは禁止するならばそういう中で禁止すべきであって、おのおの組合を、当該国家公務員は国家公務員の連合体でなければ国家公務員法上にいう職員団体の連合会でないなんというものの考え方が本来間違っているのですよ。このことを私は指摘をして一応質問を本日のところ終わりたいと思いますが、これはやはり再検討する時期が来ておる。八十七号を批准するについては、労働組合を同じ範疇のものだけしか、おのおのその単位組合も連合体も認めないというものの考え方が条約に即応してないのではないか、こういうように思いますから、ひとつ再検討を要望して質問を終わりたいと思います。大臣から一言……。
○大橋国務大臣 この問題は、日本の制度といたしましてはなかなか重要な問題でございますので、十分研究をいたします。
○倉石委員長 有馬輝武君。
○有馬(輝)委員 最初に労働大臣にお伺いをいたしたいと存じます。 労働政務次官がお帰りになりまして三日の新聞記者会見において発表されたこと、並びに昨日当委員会におきまして御報告のありました点については、現在の政府のILO条約に対する考え方の全般を示しておるものと理解してよろしいかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。
○大橋国務大臣 ILO条約は一日もすみやかに批准いたしたいと考えております。
○有馬(輝)委員 私がお尋ねいたしましたのは、田村君が報告をされ、あるいは記者会見でお話しになったことは、ILO問題について政府の現在の態度を示しているものと理解してよろしいかどうかということであります。
○大橋国務大臣 私は政務次官からは昨日ここで述べられたような趣旨のことを報告を受けております。これによりまして、政府といたしましては一日も早く批准を完了しなければならない、かように考えておる次第であります。
○有馬(輝)委員 政務次官の御報告なり、談話なりを了承した上で一日も早く批准したい、こういう御答弁だと受け取ってよろしいかと思います。 そういたしますと、政務次官も新聞会見の談話の中で発表しておられますように、今度の案件が継続審査というようなことになるとたいへんな問題だということを政務次官は触れておられるわけであります。少なくとも現在までの各会期末におきます状態等については当然予想されることでありますし、また今次会期は四十五日間も延長された、その間において総理並びに労働大臣がしばしば言明しておられましたように、八十七号条約についてはどうしても批准しなければいけないのだということで事を進めてきていただいたと思うのでありますが、そういう考え方があるならば、当然会期を見て、そしてそれに伴うスケジュールが立てられてしかるべきであったと思うのであります。この点について大臣としてはどのような御見解を持っていらっしゃるか、お聞かせをいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 今国会でぜひ国会の御承認を得たい、かような考えのもとに今国会の会期中常に与党と連絡をいたしまして、国会の審議の促進を期しておったような次第でございます。
○有馬(輝)委員 いま大臣から御答弁がありましたけれども、会期はあすまでということになっておるのであります。ところが、政務次官も心配されましたように、ILOの空気というものは、日本政府がどのように説明しても、現在までの経緯から見てその説明は通らないような空気にある。これはもう常識的に、政府側も、私たちが考えましても、一致した見方だろうと存じます。前の理事会におきましては、こういうことが続くならば、実情調査のために調査員を派遣する、あるいは審議の結果を公表するというような強硬措置にも出なければいかぬのじゃないか、特にデ・ボック代表なんかがそういうことを言っておったのであります。これは向こうの理事会できめることでありまするけれども、今度実情調査にでも日本に来るということになりました場合に、政府としては今度の経緯をどのように説明しようとしておられるか、これをお聞かせをいただきたいと思うのであります。
○大橋国務大臣 私どもはまだその段階ではないと思っております。
○有馬(輝)委員 その段階ではないという御答弁でありましたが、といたしますと、先ほど労働大臣が批准を終えたいという方向で努力しておるという答弁でありましたが、きょうの午後とあすにかけてそのような形に持っていける自信をお持ちだというふうに受け取ってよろしいのですか。
○大橋国務大臣 まだ当委員会におきましても継続審議の取り計らいにきまったわけでもないようでございまして、せっかく審議を促進していただいておるわけでございまして、私もそれに協力するという意味でここに出てきておる次第でございます。また明日をもって会期は尽きるのでございまするが、次の理事会までには相当期間ございますので、この間にできるだけ批准を促進するようにいたさなければなりませんし、また不幸にして理事会までに批准ができないというような状況でございましたならば、この事情を十分に先方に説明いたしまして、重ねて納得を得るような最善の努力を尽くすべきだ、かようにまず考えております。
○有馬(輝)委員 次に、人事院総裁にお伺いをいたしたいと存じます。 本委員会におきましては、河野委員並びに森山委員の質問に答えられまして、政府原案に対して疑問を持っており、にわかに賛成しがたいという趣旨のことを述べられたのでありますが、前二回の御答弁を聞いておりましても、その反対される、あるいは疑問を持たれる根拠がつまびらかでありませんので、この際その根拠をつまびらかにしていただきたいと存じます。
○佐藤(達)政府委員 お答え申し上げます。私どもが疑問としております根本の点を、多少思いつめた表現になるかもしれませんけれども、申し上げますと、 まず第一は、今度の改正によってわが人事行政の機構というものが相当大幅に後退するのではないか、明治憲法時代に近い形になってしまうのではないかという心配が一つであります。公務員制度調査会の答申などもたびたび引用されておりますけれども、それよりもさらに上回った点があるように認められるという点が一つ。 それからもう一つ、これも思い詰めた表現でありますけれども、現在御審議をいただいております地方公務員法というものとこれを比べました場合に、今度は、いままで地方公務員よりも上回った保障を受けておったはずの国家公務員が、大体都道府県の職員以下、市町村の職員よりは多少いいと思いますけれども、その中間の程度のところでの中立機関による保障を受けるということになってしまいやしないか、こういう心配が基本になっておるわけであります。 それで、これから先のことは、先ほど御指摘の河野委員あるいは森山委員にも申し上げたことばでありますけれども、現在の中立機関としての人事院の使命というものは、申すまでもなく人事行政の中立公正を確保する、あるいは国家公務員の中立を保障するという点が一つと、それからもう一つは、公務員の利益を保護する、特に勤労者としての公務員、いわゆる団交権のない公務員、この立場を中立的に保護してやろうというのが大きな使命であると思うのです。これらは当然第三者的な中立機関がその任に当たらなければならないものと思っておるのであります。 そういう点から今度の改正案を見ました場合に、やはり相当の心配が出てまいります。申すまでもなく、試験だとかあるいは公平審査だとか、あるいは職員団体の登録だとかいう仕事は残していただいておりますけれども、そのほかに勧告権も残していただいておりますけれども、それ以外の点について、いま申しましたような原則に触れるような基準的の事項が相当政府側に移されるようになっておる。これをたとえば一つの手がかりといたしまして、人事院規則で従来きめておった事項という点を持ち出して考えてみますと、もちろん規則という以上は基準的な事項でありますからこそ規則の形をとっておる。処分的の事項が規則に定められるはずは実際ないのであります。相当に基準的な事項が従来中立機関の人事院の規則にまかされておった。それはいま申しましたように、先ほどの根本の使命からいって当然である。それが今度大幅にほとんど政令にまかされてしまうということは、ことばはあまり適切でないかもしれませんけれども、いま申しましたような中立的な使命を持ったそういう立場から定められるべき基準というものが政府の手によってきめられることになってしまうのではないかということが、非常に大きな疑問の一つになるわけです。 先ほど地方公務員法のことにちょっと触れましたけれども、今回提案になっております地方公務員法においては、人事委員会の権限については一指も触れられておりません。人事委員会の権限を分割するような動きは地方公務員法については出ておらないわけであります。そして、しかも現行制度のままに、条例についてさえも地方の人事委員会は意見を求められるという権限が保障されております。今度の政令について、われわれは何ら一言の発言権もないというような点から申しまして、どうもこれはたいへんなアンバランスじゃないか。県の職員以下になる、中立機関による保障というものが国家公務員の場合落ちてしまうのじゃないかという点が、われわれとしてはこれは思い過ぎかもしれませんけれども、心配になっているわけであります。 たまたまこれは規則の面から申し上げましたけれども、たとえば実体の問題といたしましても、職階制の問題、これは今度政府の人事局に移ることになっている。地方公務員法の場合はどうなっているか。今日の政府案においても、それは依然として地方の人事委員会の権限に残されているというような点もございます。あるいはまた先般国会の大多数の、ほとんど全会一致の御支持によって国家公務員の営利企業に対する天下りを規制する法案が通過いたしました。この法案の実体はまさに中立機関としての人事院を全力をあげて御支持願ったものとして私は喜んでおるわけでございますが、今度の改正案になりますと、その関係のことは政府の人事局でお扱いになってしまう。これは一体国会に御報告になるのやらならぬのやらというような点も、今度の御審議によっておきめになることでございますけれども、そういう点についても私どもは相当疑問を持っている。あるいは懲戒権の問題などにいたしましても、公務員制度調査会では、せめて懲戒権を要求する。各省各省に対して懲戒権の発動を求めるというところまでの権能は人事院に留保されている。あるいは中央の公務員研修機関も、公務員制度調査会の答申ではやはり人事院に認められているというような点から、先ほど申しましたいろいろな根本の地位からだんだん出発してまいりますと――何も私どもは人事院のなわ張りを確保しようというようなことでなしに、公務員制度、国家公務員の制度という点から申し上げたいことはまだたくさんありますけれども、ここではきわめて遠慮した形で申し上げておるわけであります。ただ問題としてわれわれが悩んでおるところをここで申し上げさせていただきたいというようなことでありまして、その辺のところにわれわれ悩みを持っているということだけをここで申し上げさせていただきたいと思います。
○有馬(輝)委員 率直な、また正当な人事院としての立場からの御説明でありました。よく疑問とされる点についてわかったのであります。それを要約して言いますと、たとえば国家公務員法第三条三項に規定されております人事院の権限事務、これの一割がいったとか二割がいったとかということ、人事局にそれが移されたというような末梢的なことでなくして、人事局の設置ということが国家公務員法を設けられた根本的な問題に起因する、またそれが心配だというふうにいまの御答弁を要約して受け取ってよろしいのかどうか、この点を再度お伺いいたしたいと存じます。
○佐藤(達)政府委員 非常に精密な形での表現をとりますというと、政府部内の御都合によって人事局をおつくりになるということは、そのこと自体は何らわれわれの関知するところではないわけであります。いま申されました国家公務員法上の人事院のあるべき使命として掲げられておるそれらの使命に触れるような権能を人事院からそちらのほうへお移しになるということについて、われわれは非常に疑問を持っております。要するに国家公務員法のいまお示しになりましたような、あるいはまた先ほど私の申し述べましたような点に手を触れられるということについては、相当危惧を持っております。人事局はそれとは別のことです。われわれにはおかまいなしにおつくりになることについては、これは全くわれわれの申し上げる筋ではない。きわめて理詰めに申し上げれば、そういうことになるわけです。
○有馬(輝)委員 休憩になるようでありますから、総裁にこの際お伺いをいたしておきたいと存じますけれども、それは国家公務員法と憲法二十八条との関連についてであります。私は今度の八十七号条約の批准ということが、結局団結権の最低保障といいますか、それの基準を定めるものにすぎないというふうに理解をいたしております。現在まで八十七号条約に抵触する法規というものは、これは抽象的に概念的に考えるならば憲法二十八条に違反するものではないか、このように考えておりますが、この視点からいたしまして、国家公務員法自体がこの憲法二十八条との関連でどのように把握さるべきであったか、占領下においてあのような形で国家公務員法というものが制定されましたけれども、本来的な姿からいたしましてどのように把握さるべきであったか、この点についてお聞かせをいただきたいと存じます。
○佐藤(達)政府委員 ただいま御指摘の憲法二十八条と直ちに公務員制度と接触いたします問題点は、やはり団体行動権、それからそういういわゆる労働基本権といわれているそれと公務員の立場の問題とのつながりであろうと思います。御承知のとおりに、国家公務員法では、公務員についてはまだ団交権は認めておりません。その他の争議行為は認めておらないということが事実であります。しかし、それを否定しっ放しではこれは筋が通らないということで、普通に団交権の代償といわれておりますその機能を人事院にお預けいただいておる。中立機関として人事院にお預けいただいておる。その機能の最も焦点となるものは御承知の勧告権だといわれておるわけです。それにまた私どもの先ほどの説明から申しますれば、勧告権のほかにいわゆる給与関係においてのいろいろな基準をきめた人事院規則というものがございます。勤務条件についての人事院規則というものがございます。これも普通は団交の内容となるべき事項でありますけれども、やはりこれは中立機関たる人事院におまかせいただいて、それを規則できめるというような部面において、二十八条とのつながりがまず把握されることだと考えております。
○有馬(輝)委員 そういたしますと、いまのお考えからいたしますと、国家公務員に対して労働三権が完全に与えられない時点におきまして人事院の性格を変え、あるいはその権限を縮小し、あるいは他に転移する、全然性格の違ったものに転移することは、許されないというお考えに立たれるわけですね。
○佐藤(達)政府委員 そういう点に深刻な疑問と不安を持っておるということが、先ほどの私の御説明でございます。
○倉石委員長 午後一時四十分に再開することといたしまして、この際暫時休憩いたします。 午後零時三十九分休憩 ――――◇――――― 午後二時二十八分開議
○倉石委員長 休憩前に引き続き会議を開き、質疑を続行いたします。有馬輝武君。
○有馬(輝)委員 今度は組合員の範囲なり管理職の定義の問題につきまして、労働大臣にお伺いをいたしたいと存じます。 今度の国家公務員法の新法百八条の二に職員団体の規定があります。この組合員の範囲というものは、本来組合自体で自主的に決定すべきものであることは明瞭でありますが、ここの百八条の二によりまして特に管理職の問題をこのように取り上げまして規定することは、八十七号条約との関係におきまして矛盾するのではないかと存じますが、この点について労働大臣の基本的なお考えを伺わせていただきたいと存じます。
○大橋国務大臣 労働組合法におきましても、使用者の利益を代表するような立場にある職員は労働組合に入らないというような規定がございます。このような規定は労働者の団結権をむしろ尊重する意味のものでございまして、ILO条約の趣旨に反するとは考えられません。従来国家公務員法におきましてはこの辺のことが明確でなかったのでございますが、今回これをはっきりすることが労働組合の団結権擁護の趣旨にかなう、かように存じまして、明確にいたした次第でございます。
○有馬(輝)委員 管理職の範囲を人事委員会なりまたは公平委員会できめるということになっておりますが、大臣として一般的に考えられていらっしゃる管理職、これは各省の本省で言いますならばどのようなものか、お聞かせをいただきたいと思います。
○増子政府委員 職員のうちで、いかなる者がいわゆる管理職員等であるかという問題につきましては、その職務が人事、労働関係等につきまして管理、監督の権限があるということが一応明確であるものでなければならないというふうに考えられるわけでございます。したがってまた、大体におきましては各省あるいは法令等によりまして、そのポスト、ポストについての権限が一応定められておる、それによって判断されるわけでございますが、具体的なその範囲につきましては、御承知のようにこの改正案におきましては、国家公務員の場合は人事院規則で定めるというふうにいたしてございます。したがいまして、それらの扱いにつきましては、人事院の判断に待つということになるわけでございます。ただ一般的に一応考えられますことは、あるいは非常臓明確に典型的な場合として考えられますのは、本省庁におきましては、少なくとも課長以上はそれに該当するであろうというふうに私どもは考えております。
○有馬(輝)委員 現在まで労働省として、いまおっしゃったような概念でもって各省庁を指導し、あるいは見てこられたのか、この点をお伺いいたします。
○大橋国務大臣 国家公務員法におきましては、御承知のとおり人事院が法律の施行のいろいろな面を担当いたしておりまして、労働省が公務員の問題について方針を示すというようなことはやっておりません。
○有馬(輝)委員 それでは人事院にお伺いいたしますが、この点についてはどのような見解でもって臨んでこられたか、お伺いをしたいと思います。
○佐藤(達)政府委員 御承知のとおり、現行法のもとにおいては非組合員の範囲というものは特に限定されておりません。したがって、いわば組合の自主的判断に全部ゆだねてあるというのは法則上のたてまえでございますが、しかし、組合自身の基本的な性格なりあるいは自主性ということから申しますれば、交渉の相手方になるべきものが入ってくるということはナンセンスでありますから、したがって、多くの組合の規約によりますと、実際上そういうものは自主的に排除している。また、たまにそうでないものが人事院の登録の際にまいりますけれども、これはおかしいじゃないか、自主性というような見地から見て、あるいは相手方という立場との関係からいってもおかしいじゃないかというような注意を与えておることはございますけれども、実際上の制度としては、いま申しましたようなたてまえになっております。
○有馬(輝)委員 管理職にあるべき者が組合に加入するというケースもあるでしょうし、逆に組合員であるべき者が強制的といいますか、上からの締めつけによりまして、おまえは管理職的な立場にあるじゃないかというようなことで組合員から除外される、こういう動きに対して相当の事例があると思うのでありますが、そういった際にはどのような指導をされたか、お聞かせをいただきたいと思うのであります。
○大塚政府委員 お答えいたします。お話のようなケースというのは、実はわれわれは登録に関してはまだ一ぺんも伺っておりませんので、したがいまして、その点でことさら指導したということはないと思います。ただ、各省庁におかれまして、あるいは職員団体として入ることがおかしいというような場合はあるいは注意をされる、あるいは当人の職務上おかしいということで入っていた方が抜けるとか、あるいは入れという勧誘に対して入らなかったということは当然にあり得ると思いますが、人事院に持ち込まれたというケースは私は記憶しておりません。
○有馬(輝)委員 私はいまの管理職の場合の問題をお伺いし、いまみたいな質問をいたしましたのは、これは組合の分裂と弾圧というような角度から、組合員の範囲についても意識的に狭めていくケースがありますのでお伺いしておるのでありますが、そういった具体的な事例については人事院はどうなさるのですか。
○大塚政府委員 不当労働行為というような規定は、御承知のとおり国家公務員法にはございませんけれども、しかし組合に加入するというようなことは、あるいは脱退するというようなことも含めまして、それは当然に職員の自由な意思によって行動せらるべきものだと思われます。したがいまして、管理者側が、どういう組合に入ってはならぬとか、あるいは入っている組合から抜けろというようなことは、九十八条二項におきまして、一応団体交渉権はともかくといたしまして、団結権を保障しているたてまえから申しますと、決して望ましいことではないと思っております。 それから、もしそういう問題で具体的に問題が起きまして、行政措置の要求というような形で人事院に持ち込まれました場合には、その行政措置の要求の審査がなされるだろうと患われます。しかし、いままでの問題としましては、そういう加入、脱退ということに関しての行政措置の要求はなかったと思います。ただ、一般的に脱退をしろというふうな形に近いような、組合の主張での不当労働行為だというふうな措置要求は、昨年あたりあったように記憶しております。
○有馬(輝)委員 国税庁長官にお伺いいたします。現在国税庁におきまして、定員のうち何名が全国税の組合に入り、また何名が第二組合に入っておるか、そこら辺の事情を明らかにしていただきたいと思います。
○木村(秀)政府委員 国税庁の職員約五万名でございますが、そのうち全国税労組に加入しておる者が八千名ちょっとこえておると思います。それから新組合の組合員が約八千名、大体一六%くらいずつだと思います。それから全然どの組合にも加入いたしておりませんのが約半数でございます。それ以外はその他の組合、署別、局別のその他の組合に加盟をいたしております。
○有馬(輝)委員 五万名のうち、正常な形で組合に加盟しておる者が八千名くらいしかないという状態、これはいま人事院のほうでおっしゃった加入、脱退については自主的な本人の判断に待つということが筋だということで見過ごされるような状態にあれば、何も組合員が五万名のうち八千名だからどうこうということではないのでありますが、 〔委員長退席、小笠委員長代理着席〕 問題は庁の税務署長あるいは課長その他の役職員の者が陰に陽に、仕事の場を通じて、あるいはうちへ帰ってから呼び出しをかけて組合脱退を強要するという事態について、事実あることは国税庁長官もう十二分に御承知のところだろうと思います。私がここで問題にしたいのは、そういう形でやっておることを見過ごしておる国税庁長官、またそういう事態があるのに対しまして、人事院はどのようにお考えか、この点についてお聞かせいただきたいと思うのであります。国税庁長官には、どのような根拠でそれを見過ごすどころか、むしろ意識的にやっておるのか、大蔵省としての労働慣行に対する基本的な考え方をこの際お聞かせいただきたいと思うのであります。
○木村(秀)政府委員 ただいまのお話のございましたように、国税庁といたしましては、特定の組合から脱退せよとかあるいは特定の組合に加入せよというようなことはやっておりません。むしろ昨年も、職員組合の適法な運営に不当に干渉するということは、これは特に規定はないけれども不穏当な行為であるということを指摘した通達を出しております。ただ、職員の一般の動きといたしまして、特定の組合については従来行き過ぎた、法の範囲を逸脱した動きがございまして、それが一昨年、昨年あたりから職員の間に相当批判が起きまして、その結果相当の脱落者が生じ、また第二組合の結成も行なわれたという経過に相なっております。したがって、管理者がそういうことを命じておるというようなことはございません。
○有馬(輝)委員 ここは、ILOに関連いたしまして国内法の一般的な概念の論議の場でありますから、これ以上突っ込んで論議することを避けますが、国税庁長官の言明にもかかわらず、事実あるわけです。私はくだくだしいことは申しません。ある事実を、ここでいまないとおっしゃった。繰り返して申しますが、そのようなことがないのか、あった場合にはどうされるのか、いま一度御答弁をいただきたいと思います。これは具体的にあなたの部下の職員の中から、どのような場に出ても証言をするという者もあるわけです。その場のがれの言いのがれじゃなくて、この際はっきりしておいてください。
○木村(秀)政府委員 ただいま申し上げましたように、通達によってそういう不穏当な行為については指摘をいたしております。したがって、そういうことはないと信じておりますが、一部の局においてそういう事実があったとして、現在人事院の公平審理に持ち込まれている事実はございます。ただ、それは管理者といたしましては、そういう通達で警告をすると同時に、会議の際等にも趣旨を説明いたしておりますので、私といたしましてはそういうことはないと確信しております。
○有馬(輝)委員 いまの発言の問題は、機会をあらためて、事実に基づきまして本委員会における国税庁長官の発言の責任の問題として取り扱いたい、このように考えております。 いまの問題に対しまして、人事院のほうから見解をお伺いいたしたいと思います。
○佐藤(達)政府委員 先ほど他の政府委員からお答えいたしましたように、明らかに公務員法の違反になるかどうかという問題は、要するにこれは事実の認定の問題でございますし、実態をとらえてよほど正確な判断をいたしませんと、その案件についてのわれわれの態度はきめがたいのでありまして、そういう紛争があったからといって、怪々に人事院がそこに介入していくということもまた、他の見地から申しますと、われわれ自身の権威を害することにもなるという、なかなかデリケートなところの問題がありまして、先ほど政府委員から答えましたように、たとえば人事院に対する苦情があるとか、あるいは行政措置の要求というような手続がとられるという場合には、もとよりこれは乗り出しますけれども、そうでない場合にはやはりよほど慎重に事態を見きわめた上で対処すべきことであろうというふうに考えております。
○有馬(輝)委員 次に、調査室長にお伺いしたいと思います。先ほどお尋ねいたしました第百八条の二の管理職の定義の中で「機密の事務を取り扱う職員」という事項があります。この機密の事務という点は、労組法の第二条でいうところの「使用者の労働関係についての計画と方針とに関する機密の事項」という事項がありますが、このようなものとして限定して受け取ってよろしいのかどうか、この点をお伺いいたしたいと存じます。
○増子政府委員 国家公務員法の改正案に関するものとしては、ただいま御質問におなりになりましたと同じでございます。そのとおりでございます。
○有馬(輝)委員 次に、交渉の手続の問題についてお伺いいたしたいと存じます。人事院規則14-0の第二項に「交渉は、機関の長が適法に決定し」ということがあります。この機関の長が適法に決定するということは、ILOとの関係でどのような解釈をされるか、この点をお伺いいたします。質問の趣旨は、交渉の一方がこの内容について決定し得るかいなかという問題であります。
○大塚政府委員 ちょっと御質問の趣旨がよくわかりかねますが、交渉事項を交渉の相手方が一方的に決定し得るか、こういうことでございますか。
○有馬(輝)委員 そういうことです。
○大塚政府委員 それならばお答えいたしますが、国家公務員法では、勤務条件その他社交的、厚生的活動を含む合法的な事柄で交渉ができるというふうな規定がございますので、一方的に交渉事項になるかならないかということは――法が規定しておる交渉事項になることならば、当然に申すまでもなくそれを交渉の相手方が否認するということはおかしいだろうと思います。ただ、お尋ねのILOの八十七号条約との関係ということになりますと、私どもは八十七号の解釈を云々する立場にはないのでわからないのでございますけれども、八十七号各条には交渉の内容というようなことに触れる部分はないと思います。しいて出しますれば、あとのほうにあります労働者の団体及び使用者の団体の定義の部分、労働者の勤務条件の改善、進歩あるいは増進というふうな意味の規定――忘れておりまして恐縮でございますけれども、そういう意味のあそこの労働者団体の定義をしたところから、当然に交渉の事項の範囲は推定されるのではなかろうかと思われます。その点は国家公務員法の現在規定している交渉事項というものと別に矛盾抵触するところはないと思います。
○有馬(輝)委員 次に、労政局長にお伺いをしたいと存じます。国家公務員における今度の改正案におきまして、交渉の内容たり得るものは、公企労法の第八条で規定されておる団体交渉の範囲、こういったものと同じ範囲のものと理解していいかどうかということであります。
○増子政府委員 いわゆる勤務条件に関する事項ということでございますが、公労法には労働条件に関する事項ということで一応各号に列挙してあるわけでございますが、いわゆる勤務条件というのは、一般労働関係では労働条件というのと同じことであるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、一般に勤務条件というものの中には、公労法のそこで列挙してありますものは当然入るものというふうに考えておるわけでございます。
○有馬(輝)委員 国家公務員法の現行法におきましても、とにかく公務員は交渉することができるというぐあいになっておりますが、この交渉の概念の中には、いまお答えになりましたようなものが含まれておるか、ほとんど全部を包含し得るかどうか、この点についてお伺いをいたしたいと存じます。
○増子政府委員 現行法では、御承知のように、九十八条の第二項におきまして、「勤務条件に関し、及びその他社交的厚生的活動を含む」目的のためにということがございます。「社交的厚生的活動」というものの内容は必ずしも明確ではございませんが、この場合で中心になっておりますのは、もちろん「勤務条件に関し」ということが中心であろうかと思います。地方公務員法も大体同じように規定いたしておりますが、「社交的厚生的活動」に関する分は、「これに附帯して」というような表現もいたしております。今回の改正法案におきましては、大体この地方公務員法の現行の表現を踏襲しておるのでございます。要するに、交渉という場合に問題になりますのは、勤務条件の維持改善ということであろうというふうに考えておりますし、現在でも、もちろんこの解釈運用は人事院で行なっておるわけでございますが、勤務条件ということで、これこれは当たらないとか当たるとかというような人事院の決定は特になかったように私存じております。ただ、いわゆる国の事務の管理運営に関する事項は、公労法でも、御承知のように、公共企業体の管理運営に関する事項は交渉の対象とならないということで規定されておりますが、その点は、改正法案におきましては明示をいたしておりますが、現在では、国家公務員法にはその明文はございませんけれども、同様に考えておるわけでございます。
○有馬(輝)委員 その管理運営の事項につきましてはあとでお伺いしたいと思います。国家公務員法並びに公企労法におきまして、先ほど私が申し上げました第八条に列挙されたもの、これは各企業体によりまして若干のニュアンスの差はあるかもしれませんが、ここに列挙されておる一、二、三、四号に掲げられておるものを各企業体なり省庁によりましてその範囲を狭めるとかなんとかいうようなことは許されないと思うのでありますが、その点について労政局長からお聞かせをいただきたいと思います。
○堀政府委員 公労法に掲げてありますることは、労働条件に関することであります。それの内容を具体的に規定しておるものでありまして、これはおのずからその範囲は客観的に定まっておるわけであります。したがいまして、これを各省庁等におきまして狭めたり広げたりかってにするようなことは、お説のとおりできない問題である、このように考えます。
○有馬(輝)委員 そのできないことをやっておる省庁に対しては、どのようなことになるのですか。
○堀政府委員 公労法関係におきましては、たとえばただいまあげました問題について団体交渉を申し入れたときにそれを拒むというような場合には、あるいは不当労働行為というような問題が出てくるだろうと思います。
○有馬(輝)委員 その不当労働行為とわかっておるものを、ただ団体交渉の場で意識的にやるというようなことよりも、もっと悪質なケースがときたま見られるわけであります。 この際、私は林野庁長官にお伺いをいたしたいと存じます。本年の四月二十二日に、労使関係の正常化についてという文書を出されまして、とにかく各出先機関に対しまして、労働協約破棄の押しつけをいたしておるわけであります。その内容について、破棄する対象になる事項は三つあげてありまして、法律命令に違反した協約、これは一応常識的に考えられることであります。次に、上部協約に違反した協約、これも一応常識的かもしれません。ただ問題は、権限外事項にかかわる協約というように三つをあげまして、具体的にはレクリェーションの運営に関する事項であるとか、あるいは休日及び超勤命令に関する協約であるとか、旅費、超勤に関する協約であるとか、あるいは休日、休暇に関する協約であるとかいうようなことを一つ一つ破棄しておるのであります。その数も膨大な数にのぼっておるのであります。この点について、この第八条違反ではないかと思うのでありますが、この点の見解をお聞かせいただきたいと思うのであります。
○田中(重)政府委員 お答え申し上げます。 国有林野事業の問題につきましては、まず昭和三十五年の四月に、いま御直間にありましたような法令あるいはその他の不法あるいは違法の協約、あるいは経費援助、そういうものにつきまして、これを打ち切ることによって労使関係の正常化をはかるということで改約いたしまして、さらにその後、その年の九月に、団体交渉を正常なルールに乗せるということから、労使双方で団体交渉に関する規約を協定をいたしまして、その正常化をはかったのでございましたが、その後なお、そのときの趣旨の徹底が十分でなかったというようなことで、一部の協約の残存しておるものがあって、労使の紛争のもとになるということがございましたり、さらに新しく同じような趣旨の協約の発生も見られたということで、本年の四月にいまお話しのように、まず公労法第八条のただし書きに規定されております管理及び運営に関する事項は団体交渉の事項とできないというその法律違反の面、その他法律に反すると考えられる内容、並びに上部の機関で協約をいたしたものに、その基準に違反をしておると考えられる協約、あるいは先ほど申し上げました団体交渉のルールについての協約、それに反すると考えられるものを整理いたしまして、労使の関係をどこまでも適法かつ法を順守していくという基盤の上に立って団体交渉を進めていくという態度をきめたわけでございます。
○有馬(輝)委員 何を説明しておられるのかわからないのでありますが、私がお伺いしておるのは、この第八条ではっきりあげられておるものさえも、管理運営事項ということで全部破棄しておられる、その理由についてお伺いをしておるわけです。 具体的に申し上げますならば、たとえば長野営林局におきまして、休日休暇についても破棄しておられます二十一件、これは同じ日本語でありながら、第八条の第一項に掲げておるのと、休日休暇ということばとどう違うのですか。私がお伺いしたいのは、あなたのところで出された労使関係の正常化についてという通達は、違法ではないかということをお伺いいたしておるわけであります。
○田中(重)政府委員 お答えいたします。 公労法の八条のただし書きに違反しているかどうか、その管理運営事項であるかどうか。その判断につきましては、これは個々の具体的な事例について判断を進めてまいるよりほかないと考えておりますが、私どもの判断といたしましては、違法であるというふうには考えていない次第でございます。
○有馬(輝)委員 あまりにも歴然としたこと、ここに明記されておることなんですよ。それを違法ではないとおっしゃる林野庁長官の答弁に対しまして、労働大臣どうなんですか。
○堀政府委員 ただいまお話しのありました林野関係の問題でございます。なるほど公労法の八条には、ただいまお話しのような労働条件を具体的に列記いたしまして、そのような問題は団体交渉の対象事項になる、このように規定しておるわけであります。この具体的な事例につきまして、私どもとしては詳しく承知しておりませんが、一般論として申し上げますけれども、ただいまお話しのような具体的な問題につきましても、先ほどのお話によりますと、たとえば三十五年の九月に団体交渉のルールに関する労働協約を締結しておられるのでありますが、それに基づきまして、たとえば上部協約の定める基準に違反する事項を定めておるために下部の労働協約としては効力を否定されるべきもの、あるいは下部機関の権限に属しないために下部機関の交渉範囲から除外をされておるような事項というような問題がありますれば、そういうものについて、それに反するような事項をきめた協約を破棄するということは、これは公労法八条の趣旨に反するものではないと考えます。ただし、私は具体的な個々の事例がどうであるか、あるいは下部機関の権限というものがどの程度のものであるか、あるいは上部の機関相互間の協約に違反するというものがどういうものであるか、そういうような細目は存じませんから、具体的な判断をここで申し上げることはできませんが、一般論といたしまして、たとえばただいま申し上げましたようなことでありますれば、これは公労法八条に違反するものではない、このように一般論としては申し上げます。具体的な事例についての判断は私ども承知いたしませんので、ここで御答弁申し上げる範囲ではありません。個々の判断は林野庁のほうにお聞き願いたいと思います。
○有馬(輝)委員 労働大臣にお伺いをいたします。いま申し上げましたように、林野庁長官との応答の中ではっきりいたしておりますことは、第八条に明記されておることを協約で取り上げながら、最近漸次これを破棄してくる。しかもその理由として、管理運営事項であるというような理由をあげておるわけです。 私がここで問題にいたしたいと存じますことは、今度の国公法の第百八条の五で、「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、当局と交渉することができる。」ということになっておりまするけれども、いまの林野庁の例のように、各省庁によりましてその恣意にゆだねられて、交渉の範囲が狭められ、ゆがめられ、ほとんどチェックされてしまうのではないかというおそれがあるがゆえに、いまみたいな質問をいたしたわけであります。この点について、今度の法改正にあたりまして、この法の趣旨をいかように生かしていかれるのか、お伺いしたいと思います。
○大橋国務大臣 法を厳重に励行するようにいたすつもりでございます。ただ、その場合に御承知をいただきたい点は、交渉の相手方となります行政機関の側におきましては、御承知のようにそれぞれの事項につきまして行政機関としての権限がございますので、権限外の事項について交渉を求められましても、これはどうも交渉として取り上げるわけにいかないという場合があり得るということだと思うのでございます。しかし、いずれにいたしましても、権限ある機関におきましては、これらの団体交渉には誠意をもって接するように厳重に督励いたす考えであります。
○有馬(輝)委員 法成立の過程におきましては、政府としてはいま労働大臣がお話しになりましたように、厳重に規制していくという立場で臨まれると思うのでありますが、現に至るところでこの法の趣旨というものがゆがめられておるのです。ですから、私はその事態に立っていまみたいな質問をやっておるわけであります。 厳重にやっていくということだけで、どうして規制できるのですか。この点いま一度お聞かせいただきたいと思うのです。
○大橋国務大臣 今回の国家公務員法の改正案におきましては、御承知のように人事局も設置せられまして、これらの問題につきましては人事局がその責任において十分に調査し、また励行方について連絡の役目をいたすわけでございます。したがいまして、公務員のこういう権利及び利益を保護するために人事局が設けられるのでございますから、この点は十分御期待をいただいてけっこうかと存じます。
○有馬(輝)委員 それで、具体的にいまお伺いをしたいのでありますが、たとえば管理運営事項、この百八条の五の第三項にあげられております「国の事務の管理及び運営に関する事項は、」というこの管理運営事項の概念規定というものは非常に困難だと思うのでございます。それだけに、今申し上げますように、この第三項によりまして第一項が大きく制約されるおそれがあるんじゃないか、このように考えますので、この管理運営事項に関する定義を法制局のほうでこの際はっきりさせておいていただきたいと思うのであります。
○山内(一夫)政府委員 管理運営事項というのは何であるかということを積極的に定義するのは、私も実際困難だろうと思うのでございます。それを一言にしていえば、国なり地方公共団体なり、あるいは公労法まで考えますれば公共企業体なりが、公共の福祉との開通において自己の行政を決定する責任を有する事項、これが管理運営事項であるというふうに一応なるのではないかと思うわけであります。 ただ、その管理運営事項と、その勤務条件とのことばの関係でございますが、これは勤務条件であれば団体交渉になるというのが労働関係では本来なんでありまして、一つの事項がかりに管理運営事項と、それから勤務条件と両面持っておりますれば、その勤務条件である面についてはむろん団体交渉ができるわけでございまして、勤務条件を押しのけて、管理運営事項であるからといって団体交渉を拒否するというふうに管理運営事項という概念は理解さるべきではないだろうと思うわけでございます。 ただ、ではどうして管理運営事項というものが団体交渉の対象にならないというふうに規定されたかという点でございますが、これは先ほど申しましたように、国なり地方公共団体なり公共企業体なりは、直接一般国民の公共の福祉に責任を持っておる事項でございますから、この部分については、行政の全体的な責任の観点からいって、当該所属の労働組合なり職員団体なりとある種の協定に達して、それを、ことばは悪いかもしれませんけれども、ゆがめたように処理することをおそれたための規定だというふうに理解するわけでございます。 そういう意味で、今お尋ねの管理運営事項が何であるかということを積極的に定義するのは、先ほど私があらまし申し上げたようなことばの雰囲気で御理解いただく以外には、正確な定義というものは、今までもずいぶん考えてみましたけれども、できないのではないか、かように思っておるわけでございます。
○有馬(輝)委員 正確に定義できないような条項であれば――少なくともいまお答えの趣旨は、第一項に規定されたものをチェックするような性格のものではないというぐあいに理解すべきだと思うのであります。そうであり、さらに正確に定義できないものであるとすれば、この第三項は削除してもいい性質のものではないかと思うのでありますが、この点について、労働大臣の御見解を伺いたいと存じます。
○大橋国務大臣 削除すべからざるものと存じまして、規定を置いたわけでございます。
○有馬(輝)委員 木で鼻をくくったような御答弁なんですが、問題は、いまお伺いしましたように、この条章があることによって、せっかくの立法の趣旨というものがゆがめられていくおそれがあると思うのです。そうであり、さらに定義がはっきりしないものならば、私は削除してもいいと思うのです。いま一度労働大臣の御見解を伺いたい。
○大橋国務大臣 公労法の第八条に公共企業体につきまして同じような規定があるわけでございまして、この規定は必要であると思って置いているわけでございます。国家公務員法にも交渉の問題を規定いたします場合は、やはりあくまでもこれは官庁の内部における官庁対職員間の問題でございますから、官庁対国民の関係に影響するがごときことについては、これを官庁と職員との間でかってに取りきめることができないということにいたすのが官庁の仕事のたてまえ上当然だ、こういうふうに考えて削除すべきではないと思っております。
○有馬(輝)委員 いまの第一項に関連しまして法制局にお伺いしたいと思います。「職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、」とありますが、「その他の勤務条件に関し、」というのは、たとえば異動なり転勤なり、その他の問題等についても含まれているかどうかということが一点。 それから、現行の国家公務員法におきましても交渉することができるようになっておりますが、その対象の中に入っているかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
○山内(一夫)政府委員 結論から先に申し上げますれば、転勤は端的に申し上げれば入らない、かように思います。 それから、現行法でも入っていないと思います。
○有馬(輝)委員 その転勤について入らない理由ですが、勤務条件ではないのですか。
○山内(一夫)政府委員 たとえば転勤について例をあげますれば、僻地に転勤されるということについて、これはその当該職員について重大な問題であるということ、そのことを先生は御理解の前提にしての御質問だと思います。どこそこで勤務せよということは、私は管理運営の問題だと思うわけです。 ただ、こういうところに行って働くについては、これだけの労働条件がなければ困るという形で、職員の側がそれを問題にいたしますれば、そういう観点から考えますれほ、勤務条件の面を含みますから、その限りにおいては団体交渉の問題たり得る、かように思っているわけでございます。
○有馬(輝)委員 いま転勤の例であげましたけれども、とにかく交渉の対象にいまのような視点からなる場合に、これは当事者は交渉を拒否し得ないというぐあいに理解してよろしゅうございますか。
○山内(一夫)政府委員 勤務条件に該当するというふうに私申し上げました限りにおいては、それを持ち出したところの職員団体なり労働組合の性格にもよります。労働組合の場合は、これは、それを拒否することは不当労働行為になりますし、公務員法の関係でいいますれば、午前中問題になりましたところの職員団体の登録の前提を置いて考えれば、求められた交渉に対してはやはり交渉をするのが当局側のたてまえである、かように考えるわけであります。
○有馬(輝)委員 けさほどの多賀谷委員とあなた方との論議をまた蒸し返さないようにしてください。私は重複した論議は避けたいということでいま論議を進めておりますので、そういうことで御注意をいただきたいと思うのであります。 次にお伺いいたしますが、第百八条の五の交渉事項について「適法に管理し、又は決定することのできる当局」というものは、具体的にどういうふうに理解すればよろしいか、これをあわせて法制局のほうからお聞かせをいただきたいと思います。
○山内(一夫)政府委員 勤務条件をどういうふうに設定するか、これはまあ法律の場合は国会でございますから、それについてどういうような勤務条件としての法案を出すかというような問題、あるいはいろいろな法律のもとでそれぞれ当該職員の勤務条件を決定する機関というものは、膨大なる国家機関の系列の中でそれぞれそれを分掌しているところの機関があるわけでございます。それを公務員法は当局という概念でとらえておりまするから、そういった勤務条件を決定するところの職責、権限を与えられたところの機関をそこでさしている、かように考えておるわけでございます。
○有馬(輝)委員 具体的にお伺いしますが、たとえば地方の税務署なり、あるいは営林署なり食糧事務所なり、こういったものの機関の長はこの「適法に管理し、又は決定することのできる当局」というぐあいに理解してよろしいかどうか。
○山内(一夫)政府委員 それぞれ関係法令なり、それからまた主管の大臣からいろいろな権限を委任されている部分がいまおっしゃった機関にはあるわけでございます。その限りにおいてその当局と申しますか、いまおっしゃったところの人事院規則の機関に該当することは十分あり得ることと思います。
○有馬(輝)委員 次に労働大臣にお伺いしたいと思います。 先ほど人事局が設置されるならばというお話があったわけでありまするけれども、人事局が設置された場合に、その性格の問題については私午前中に人事院総裁にその関連においてお伺いをいたしたので、はっきりいたしておりますが、人事局が設置されましてその後審議会の答申が出るまでの運営の問題について私はお伺いしたいと思うのであります。これはただその審議会の結論が出るまでの、具体的に申し上げますならば庶務その他の事項に限定されると思うのでありますが、その点はどのようになっておりますか、お聞かせをいただきたいと思います。
○大橋国務大臣 審議会というのは、何のことでございましょうか。
○有馬(輝)委員 私がお尋ねしました立場は、人事局が発足したならば直ちに現在人事院のやっておるような仕事の一部を具体的に仕事を始めるのじゃないか、こういうことでございますが、そういうことじゃなくて庶務その他の事項に限ってだけやらなければいかぬと限定されるというぐあいに考えておるわけです。そういうことでお伺いしておるわけです。
○大橋国務大臣 政府原案におきましては、九十日以内に人事局が発足することになっておりまするし、人事局は発足と同時にこの法律の定めまする権限を行使するように規定ができております。
○有馬(輝)委員 私の質問がはっきりしないから答弁があれかと思いますが、公務員制度審議会が何らかの結論を出すまでは、そういった問題に関連をして行政機能を果たし得ないものと理解してよろしいかどうかということであります。
○大橋国務大臣 公務員制度審議会というのは、おそらく当委員会におきまして何か政府案に対しまして修正案を御検討になっておるその中の問題じゃないかと思うのでございます。政府といたしましては、修正を予想せずに原案についていま説明をいたしております。したがいまして、いかなる修正を皆さんが御相談になりますか、これは私どもはいままでの段階では承知いたしておりません。
○有馬(輝)委員 農林大臣に最後に一言お尋ねをいたしておきたいと存じます。先ほど林野庁長官にお伺いしたことであります。 それは、公労法の第八条によりまして団体交渉の範囲について規定があるわけでありますが、そこで取り上げられておる具体的な問題について通達を出されまして、これを破棄しておる事実があるわけであります。これを大臣としては、法のたてまえから労働慣行についてどのような考えを持っていらっしゃるのか。この一方的な破棄に対してどのような考え方を持っていらっしゃるか、この点についてお伺いをしたいと思うのであります。
○重政国務大臣 私はきわめて常識的な考えであります。いろいろ話を聞きますと、常識的に考えてもどうも第八条にだれが見ても違反するというような、違反すると申しますか、行き過ぎであるということがきめてある労働協約というようなものはひとつやめて、正常な、つまり適当なものにしたらよろしい、こういうので、まあ常識に合わないと申しますか、というようなものはひとつ破棄するということでやったわけであります。
○有馬(輝)委員 私がお尋ねしておりますのは、その破棄することが常識に合わないんじゃないか、法律に合わないんじゃないかということでお尋ねをいたしておるわけであります。第八条の第一項、第二項、第三項、第四項に歴然とあげられておるものを管理運営事項とかなんとかいう名目で破棄しておられるのですよ。これをどのように考えられるかということをお伺いしておるわけです。
○重政国務大臣 御承知のとおり三段階になっておりますが、中央できめた労働協約に違反しておるというようなものはこれはやめてもらうよりほかしょうがない、こういうたてまえでやったわけであります。
○有馬(輝)委員 その中央で取りきめられた点については下部において何も再度結ぶ必要はないというような観点からの御答弁かと思うのであります。 先ほど法制局にもお尋ねいたしたのでありますが、第八条で規定されているような事項については、適法に管理、運営でき得る立場にある地方のたとえば営林局長なり、税務署長は交渉の相手となり得ると、これははっきりしておる。そこで、いま第八条にあげられておるような問題についてすでに協約を結んでいて、それを一方的に破棄するということについてどのように考えられるか、これをお伺いしているわけであります。
○田中(重)政府委員 お答えいたします。いまの御質問の趣旨は、第八条に掲げられておるものを不当に管理運営事項なりとしてその範囲を狭めて、そういうことについて協約したものを破棄しておるじゃないかという御趣旨だと理解いたしましたが、この第八条の趣旨は、あくまでもそれは労働条件について規定をされておるというふうに理解をしておるわけであります。したがって、そこに「ただし」ということで管理、運営に関する事項は団体交渉の対象とできない、こうなってくると考えるのでございます。それで、その第八条のただし書きに該当するかどうかの判断につきましては、先ほども御答弁を申し上げたわけでございますけれども、個々の具体的な事項についてそれぞれ判断をせざるを得ない、こういうふうに考えるわけでございます。一般的な考え方といたしましては、先ほど山内局長からお話があったかと思いますけれども、個々の具体的な問題についてはそのように判断せざるを得ない。 〔小笠委員長代理退席、 委員長着席〕 ただ、その場合にその、事項について管理運営事項であるということと労働条件であるということとのうらはらの関係にある事項があると思います。そういう事項については労働条件たる面についての団体交渉をし、あるいは協約を結ぶということは、これは適法であると考えますが、管理運営事項であるというふうに考えられる面につきましては、あくまでもこれは第八条のただし書きの趣旨で処理していくというふうに考えている次第でございます。
○有馬(輝)委員 その管理運営事項と交渉事項との関連について私が申し上げておることと、林野庁長官がいま答弁なられたこととは、具体的な事実の中で相反するのではないか。林野庁は管理運営事項という名称でもって制約してはならない第一項の事項を強引にはずしておる、そういう立場から御質問いたしておったわけであります。この点については、具体的な問題としてまた後日はっきりとさせていきたいと存じますから、本日の私の質問はこれで終わります。
○多賀谷委員 ちょっと関連して一言。 いまの点に関連しますが、林野庁長官は、この管理運営事項を分離をして考えられておるようです。管理運営事項である場合に、それが労働条件とうらはらの場合には労働条件に関してのみ団体交渉ができる、こういうように言われたようですね。 その点、私は少し違うと思うんですよ。日本政府がILOに出したのは、「管理運営事項であっても、それが職員の勤労条件に関するものである限り、団体交渉の対象となるものと、関係規定は解釈され、承認されておる」ですから、管理運営事項であっても勤労条件に関する限りは団体交渉の対象になるんですよね。ですから、その点をひとつ誤解のないようにもう一度答弁願いたい。
○田中(重)政府委員 管理運営事項であっても労働条件に関する限りというおことばでございますが、管理運営事項である限り、これは私どもの見解では第八条のただし書きに該当する、こういうふうに理解をいたしております。ただ、それに伴った労働条件の発生する場合があると考えられますが、その労働条件については、これは団体交渉の対象として取り上げることができるというふうに考えております。 先ほども申し上げましたように、何が管理運営事項であるかどうかということは個々の具体的な事項について判断せざるを得ない。ということは、組合側から団体交渉の場で、ある一つの提案がなされる、その提案についてそれが管理運営事項であるかどうかの論議が展開される場合がありますけれども、その場合に、私どもの立場としては、それが第八条のただし書きに該当するというふうに理解する限り、それは交渉の対象とはしないという理解でいるわけでございます。
○多賀谷委員 その点が、日本政府がILOに報告を出した報告文と違うわけですよ。いいですか、「管理運営事項であっても、それが職員の勤労条件に関するものである限り、団体交渉の対象となるものと、関係規定は解釈され、承認されておる」と日本政府は言っておるのですよ。要するに不可分の場合ですよ。管理運営事項というものと勤労条件がうらはらで不可分の場合には、たとえ管理運営事項であってもそれは団体交渉の対象になり得ると、こう言うのですよ。あなたの言われるのとちょっと違うでしょう。問題はここなんですよ。もう一度御答弁願いたい。
○田中(重)政府委員 私どもの見解といたしましては、ただいま申し上げましたように、管理運営事項であると解せられる限り団体交渉の対象とすることはできないというふうに理解いたしております。
○多賀谷委員 林野庁は日本政府の機関じゃないか。いやしくも日本政府が国際舞台に回答書として、公文書で出しておるわけでしょう。その日本政府が出しておるのに、下の官庁がそれをきかずして違う解釈をするということは許されませんよ。一体これはどういうことなんですか。私が言うのとあなたの言うのは違うと判断をされていますか、どうですか。私がいままで読みましたね。私が読みました文章とあなたの答弁とは、あなたは違うと理解されていますか、同じであると理解されていますか。
○田中(重)政府委員 私がただいままで答弁を申し上げました内容は、多賀谷先生の質問をされております内容と結局は同じだというふうに理解をされるのでございます。
○多賀谷委員 では私は、その答弁内容というのは、日本政府がILOに出しましたその回答、一九六二年の第六十六次結社の自由委員会において取り上げられた文章どおりである、こういうように解釈をして質問を終わります。
○倉石委員長 田邊誠君。
○田邊(誠)委員 ILO八十七号条約批准を促進をするという政府の立場から、国内各関係法の改正案があわせて出されましたけれども、現在の政府の立場を考えてみますならば、国内法の改正点というのはあくまでも八十七号条約批准のために必要な改正というものを厳格に、しかもそのために必要な部面にとどめて改正されるのが本来の考え方であることは言うまでもございませんが、今回の国内法の改正点について、中には八十七号条約に関係のない部面、あるいはまた八十七号条約にかえって抵触をするおそれのある改正点等が見受けられることは、たいへん重大なことだろうと思います。私は時間がございませんから一、二の点に問題をしぼり、それ以外の問題についてはごく概括的に政府当局の見解を承っておきたいと思います。 まず最初に、八十七号条約は言うまでもなく組合の結成並びに加入に対してこれを労働者の自主的な判断にまかせ、しかもその積極的な意思というものを尊重するというところにその大原則が置かれておるわけでございますから、国内法の問題についても組合の結成、加入という問題は特に重要視しなければならぬと思う。 公労法の改正の中でもって、今回第三条二項に改正がございます。この改正は、組合の結成と加入に関する「労組法第五条第一項及び第十一条第一項の規定による労働委員会の権限は、政令で定める区分に」よって労働委員会なり公労委がこれを行なうということになっておりますけれども、労組法の五条一項の条項というのは、言うなれば労働組合というのは労働委員会に証拠を出して初めて組合法上にいうところの保護の権利を与えられるという形になっておるのであります。言いかえますならば、この提出がなければ各種労働委員の推薦あるいは不当労働行為に対する救済の申し立てないしは法人登記上の証明が得られないという形になるわけでございますけれども、たとえば個々に提出する組合の規約の中でいろいろなことが書かれてございます。これは組合みずからが決定すべきことである。たとえばその第六項に「総会は、少くとも毎年一回開催すること。」という条項がございますけれども、最近の傾向として役員の改選を二年に一ぺんにしようというような現実的な動向がありまするし、それに関連して総会を二年に一ぺん開くという規定をいたしたといたしますならば、 これをもっていわゆる規約の証明が得られない。したがって法人の登記ができないという事態になるわけでございます。このことは八十七号条約第七条にいうところの「法人格の取得については、この条約第二条、第三条及び第四条の規定の適用を制限するような性質の条件を付してはならない。」という規定に違反するという形になるのではないかと考えるわけでありまして、私はあくまでもこの点は組合の自主的な意思決定にまつべきものであると考えますから、厳密な意味におけるところの労組法第五条第一項というのはこの際削除するほうが正しい意味において八十七号条約を厳守するという形になるのではないかと考えるわけでありますけれども、労働大臣の見解を承りたいと思います。
○堀政府委員 ただいまお話しのような原則はそのとおりでございます。ただ、御指摘のありました労組法五条第一項、第二項の規定がありまして、その中に「組合の規約には、左の各号に掲げる規定を含まなければならない。」ということで列記してございますが、政府といたしましては、この各号に列記するような規定を含むということはやはり最小限度その組合の民主性を確保するための規定である、このように解釈しております。したがいまして、資格審査の場合にただいまお話しのような結果にはなるわけでございますが、御指摘のような「総会は、少くとも毎年一回開催すること。」というような規定は、組合の民主化の見地からこの程度の規定が含まれることが妥当である、このように現在のところ考えておるわけでございます。 しかし、この労働組合法のみならず、他の労働関係法の規定全般にわたりまして、制定後相当の時日もたっておりまするから、これらの問題についてさらに今後いろいろ常時検討を要する問題が出てくると思いまして、実は労働省におきましても各学界の権威者を集めました労使関係法研究会を設置して御検討を願っておるわけでございます。これらの検討をするべき点はいろいろあると思いまするが、ただいまのところはここに掲げてありまするような程度の事項はやはり組合の民主性を確保するために必要な規定であると考えております。また、この程度のことで区別いたしますることは、ILO八十七号条約の審議経過から見ましていわば第二次的な差別である、このように考えておるわけであります。
○田邊(誠)委員 私どもは、あくまでも労働組合の結成と加入については、もちろん規約の規定も含めて労働者自身が判断をし、決定をすべきものであると考えるというこの原則を貫くことが必要であると考えておるのであります。いま労政局長の言われたような点を百歩譲って認めたにいたしましても、これはあくまでもいわゆる例示的、訓示的な規定として残存すべきでありまして、そのことによっていわゆる法人登記の制約や、あるいは労働委員の推薦等の制限が設けられることは、この条約第二項自身だけが尊重されるということと違うのでありまして、第一項目との関連においてこれが解されるというところに大きな制約があるものと考えざるを得ないのでございます。八十七号条約第七条の法人格取得に関連をする精神からいきましても、この第五条の第一項と第二項が併列をされているところに大きな問題があり、これは八十七号条約違反であるという観点に立たざるを得ないと私は判断するのであります。労政局長の答弁は、第二項についてのみ最低限度の必要事項であるという、こういう答弁でありますけれども、それは私どものとらざるところであります。やはり第一項というこういう制限という前提があればこそ私どもは第二項というものの列記もまたこれは制約規定であり、あるいは抵触規定である、こういうように考えざるを得ないのでありまして、その点に対するところの政府の見解をこの際明確にする必要があると思うのであります。いかがですか。
○堀政府委員 お話しのように五条二項がありまして、その二項の規定を含むような規約がなければならない、このように取り扱われておるわけでございます。ILO八十七号条約の解釈、いろいろ御意見はあると思いまするが、政府といたしましては、ここに掲げておるような規約を持っておるということは組合の民主化の見地からも最低限度必要なことではないか、このように考えております。また、この資格審査等にあたりましても、これは国の機関が恣意的に自由裁量的に審査をするのではなくして、御承知のように、公正な関係者をもって構成されまするところの労働委員会が、いわば客観的に定まっておりまする法律の条件を客観的に認定するという問題でありますので、ただいまお話しのようなおそれは少ないのではないか、このように思っております。 ただ、私が初めに申し上げましたように、労働関係法規全般の細目につきましては今後いろいろ検討すべき問題点が含まれておることは事実でありまして、これらの問題につきましては、先ほどお話しいたしましたような措置をとっておるわけでございます。
○田邊(誠)委員 公労委なり労働委員会なり第三者機関が認定をするしないという問題ではないのでありまして、八十七号の第七条の規定によるところの法人格取得についてのいかなる条件も付してはならないというこの条約を厳格に守る場合には、これに制限を加えるような国内法というのは、直接であれ間接であれ、この際排除すべきであるということは、これはだれしもいなめない事実でございまして、そういった点で何か第二次的な問題であるという解釈はこの際は成り立たないと私は考えるのでございます。ひとつこの点は、いま言いましたように労組法自身――あなたのほうは、要らない何か抵触規定や違反規定を盛んに設けて改正案をつくりましたけれども、こういう重大なところに対する検討が不足をしておることはたいへん粗漏でありまして、この際労組法の問題にさかのぼってまで八十七号条約批准とにらみ合わせて、早急な御検討をいただかなければならぬ問題ではないかと考えるわけであります。 あまり突き詰めた意見になりませんけれども、先ほどのお約束に従いまして、さらに質問を続けたいと思います。 いまの問題をもし一応現状のままと判断をいたしましても、先ほど来、多賀谷委員等から質問をされました組合員の範囲については、私は公労法の規定というものが、組合の結成及び加入について労組法に根拠を求めるという形から言いまするならば、非組合員の範囲は包括的に公労委がこれを認定をし、告示をする、こういうことになっておることに対して、先ほど多賀谷委員から、確かにだれを組合員にするか、組合員の範囲をどうするか等は組合の自主的な判断にまつことが大原則であるという論理の展開がございました。一体公労法上は非組合員の範囲というものを公労委が行なって告示をするというのでありますが、いま私が指摘をいたしましたように、一般の労働組合はいわゆる労働委員の推薦やら法人格の取得やら、そういう事態に対してこの法が生きてくるわけでございまするから、あくまでもこれは個別的認定であり個別的な規制であります。私どもは、公労法といえども、この組合結成にあたっての範囲の問題については、やはりこの一般労組法の規定によるところの、たとえばこれを私どもが認めたにいたしましても、あくまでも例示的、個別的な最小限度の認定という制限にとどめることが至当であると考えるわけであります。一体この違いをどうして公労法上設けねばならぬか、この点に対して先ほど来明確な御答弁がございませんでした。この点は大臣もお聞きになっておったと思うのですが、ひとつ労働大臣からお答えを願いたいと思います。
○堀政府委員 非常に法律技術的な問題を含みまするので、まず私から御答弁申し上げます。 大体今度の改正法案によりますると、公労委が組合について組合法二条一号に規定するものの範囲を認定して告示する、このような制度にいたしたわけでございます。従来は管理監督の地位にある者、機密の事務を取り扱う者、この範囲を公労委の決議に基づき労働大臣が定めて告示する、このような制度になっておったわけでございます。それを今度は公労委が認定して告示する、こういうたてまえにいたしましたのは、やはりこういうものの範囲は第三者機関である公正な独立した公労委というものが認定して告示することが妥当ではないか、こういう点で書いたわけでございます。 その場合におきまして、ただいま御質問のように、なぜそのようにするのか、こういうことでございまするが、公社、現業等の機関においては、公共の福祉にきわめて関係のある事業を国民の信託を受けて行なっておる業態であるわけであります。そうして、この公労委があらかじめ認定して告示するといたしましたのは、いまのような公社、現業等の特殊な性格にかんがみましてこのようなことを設けたわけでありまするが、本来この組合法の第二条第一号に規定するものの範囲、これはもう客観的にきまっておる問題であります。公労委が自由裁量によってこれを恣意的に認定するというようなものではなくて、客観的にきまっておりまする範囲を認定して告示するわけであります。なぜ告示するかと申しますると、いま申し上げましたように、三公五現が公共の福祉にきわめて関連が深いというその見地からいたしまして、いろいろな誤解に基づくところの摩擦が起きますることを事前に予防する、こういう考え方でもってやっておるわけでございます。
○田邊(誠)委員 公労法が公共の福祉等の必要でもって一般の労組法の適用を受けざる特殊な立場に立つということに対しては、実は公労法の他の部面においていろいろな制約があることからいって、われわれは別の角度からそれを認識しておるわけでありまするけれども、少なくとも組合の結成、加入については、そうしてそれといわゆるうらはらの関係にあるところの非組合員の範囲については、これはあくまでやはり八十七号の一番の大原則でございまするから、これは厳格な適用をするという立場に立たなければならぬわけでございます。したがって、これはあくまで労働者の権利でございまするし、いわばILOというのは労働者の消極的な団結権ということよりも、積極的な意味におけるところの団結権に対して、国がこれに対するいわゆる援助をし、あるいはまた別な意味における指導をするという形が当然であります。そういった点から言いまするならば、いわゆる網羅的に包括的にこの範囲を規制をするということは、これはやはり八十七号に具体的あるいはまた精神的な意味において抵触するということは、これはわれわれは一般的に言って疑いない事実だろうと考えるわけであります。そうして、公労委の認定というのはそうそのときそのときによって変わるべきものでないというけれども、実際には各三公社五現業のいろいろな状態の中で組合員の範囲というものはいろいろと違いがある。たとえば国鉄の場合における助役や、あるいはまた郵政省の場合におけるところの現業の副課長、課長代理等々は一律一体にはたしてどうこれを認定すべきものかということについては、いろいろと意見の分かれるところであります。そういった点から言いまするならば、私はやはりこの結成、加入という問題については、もし法で規制をする場合があったにいたしましても、これはあくまでも消極的な意味におけるところの規制、最小限度の規制でなければならないということを考えてみた場合には、現行法でもって一番これに近いのは労組法の規定であることは事実でございますから、ここまでこれを改正することはどうしても現在の公共企業体のたてまえからでき得ないということはないと私は思う。労使関係の問題からいいますならば、公労法は別の意味におけるところの制約を労働者に与えておるのでありまして、そのことによって公共の福祉が保たれるという意図を貫いておるわけでありますから、少なくとも加入、結成というこの条約の基本的なかまえからいいますならば、これを民間の労働組合と差別をするということは、政府はこれを順守しようという立場からいいますならば、とらざるところではないかと私は考えるわけです。この点は一般的な政治問題でありますから、労働大臣からお願いいたします。
○大橋国務大臣 私は、労働組合が組合員の範囲を自主的にきめるべきものであるというのは、組合員となることを許されております者の中で、具体的にいかなる範囲の人々を組合に包括するか、これは自主的にきめるべきものだと思うのであります。しかし、管理職員についての制限規定は、管理職員というものが、組合対政府という場合に、政府の利益、すなわち、国民全体の使用者としての利益を代表するものでございますから、この国民全体の利益を代表する人はどうしても残っていなければならないわけであります。それが組合のほうへ入ってしまったのでは、国民全体を代表する政府の立場を擁護する機関がなくなってしまうのであります。したがって、国民全体を代表する政府の立場を団体交渉において担当すべき人というものは、組合外にあくまで残っているべきものである、こういう趣旨でこの制限が行なわれておるわけでございますから、その者がいかなる範囲の人であるかということは、労働組合が決定すべき事柄ではなくして、やはり少なくとも第三者がきめるべき事柄である、こう私は考えます。
○田邊(誠)委員 これは微妙な言い回しをしていますけれども、その考え方というものはILO条約に違反をするという形にならざるを得ないのでありまして、再考をお願いしなければならぬ点であります。一体組合員たるべきものを決定をするのは組合、労働者の自由であります。そしてそのことが組合の自主性を侵して、ほんとうの意味におけるところの労働組合の組織としての形態をなすかなさぬかは、労働者自身が決定をすべきものであります。それを実は法が概括的に規制をするのでなくて、いま言った労組法のたてまえからいって、その届け出の際に最小限度のそれに対する規約等の規定が法に合致をするかしないかという事実問題でこれを認定するのであれば別でありますけれども、前もってこれを前提として、組合員たるべき者はしかじかである、組合員たるべからざるものはしかじかであるという認定をするのは、明らかに組合の結成を組合員みずからすることができるという自由の原則を踏みはずしたものである、こういうふうにお考えになりませんか。
○大橋国務大臣 政府が職員団体を認めまする以上は、その団体との交渉にあたりまして、政府側を代表すべき人というものを当然考えなければなりません。この政府側を代表すべき人が労働組合の中へ包括されてしまうということになりますと、国家の利益を守るということが不可能になるのでございまして、そのために一般の職員の組合には管理、監督の職員は加入してはならないという規定を置いたわけでございます。したがって、この管理、監督の職員に関する限り、この人々を組合に入れるべからずということは、これは組合が自主的に決定する問題ではなくして、法律自体が国家的要請に従って規定する事柄でございます。したがって、法律で個々の場合まで詳細に検討した上で規定すればそれに越したことはないのでございます。しかし、それはなかなかできませんので、何らかの機関に委任をしなければならぬ。これを政府機関の一方的な取りきめ、すなわち、行政命令等できめるということは事態の性質上必ずしも適当ではない、こういう意味で、具体的には人事院にきめてもらう、公労法におきましては労働委員会がきめる、こういう仕組みをとったものと考えます。
○多賀谷委員 ちょっと関連。 私は労働大臣から新しい理論の展開をお聞きしたのです。いままでわれわれは労働関係を扱ってまいりましたが、いわば管理、監督、機密の事務を取り扱う者を、一般の労組法と違って、公労法並びに公務員法で特に第三者機関の認定をすることになっておるのは、国民の利益を代表する側の者を一般の組合員に入れることは、これは国家の立場からいけないからという理論構成が一つ入ってくる。私がこの委員会で昨日から議論をしておりました点も、そういう理論は入っていないのです。たとえば機密の事務を取り扱う者とは何ですか、こう聞きましたところが、それは労組法にいう使用者の労働関係についての計画、方針に関する機密の事務で、国家の機密の事務じゃないのです。国家の機密の事務については、国家公務員、地方公務員は、公務員たる関係において機密を保たなければならぬということがある。ですから、そういう要素は入ってこない。国家、国民を代表する者であるから使用者を組合員に入れてはならぬという理論は入ってこないのです。だから、いままで労働大臣の告示であったものが今度は公労委の告示でよいということになったのは、あくまでも国家的見地からじゃないのです。ただ労使関係として見ている。 ところが、あなたは、ここに非職員の範囲に新しい要素をお入れになったが、それは政府全体としての考え方、まとまった考え方ですか。私は初めてその理論構成を伺うのですが、どうですか。
○大橋国務大臣 私は特別新しい理論を申し上げたわけではないのでありまして、使用者たる国民の利益を代表してということは、これは労務管理の担当者としてという意味でございます。したがって、労組法にそのことを申しておるので、国民全体というのは、つまり使用者たる国民、こういう側です。この団体交渉というものは職員と使用者の間で行なわれるわけでございます。この政府を代表する公務員というもの、これはあくまでも使用者の立場にあるわけでございますから、この者がその団体交渉の一方の当事者でありまする組合に加入しておるということになりますと、これはあたかも一人の代理人が双方を代表しておるようなことであって、これは団体交渉という法理の上からいってもどうも合理的でない。これらの趣旨からこの管理職員の除外例というものが当然に認められておる、こう思うのでございます。 したがいまして、これはさような意味で厳格なものでございまするから、労働者が自主的にきめるべき問題ではなくして、他の方法によってきめられるべきものであります。
○多賀谷委員 私はそう理解できないですよ。第一には、先ほどおっしゃいました理論とあとからおっしゃいました理論とは、必ずしも一致しないですよ。初めは、公の立場としての使用者、すなわち国民を代表する政府及び公企体だから特別の要素があるのだというような説明をされた。私が反駁しましたところが、今度はまたがらっと変わったような答弁をなさっている。これは私は後に速記録を見てはっきりさしたいと思います。 それからもう一つは、大橋さんの考え方が私はふに落ちないのです。それは非組合員の範囲というものをきめたのは、かような人々が入っておることは組合の自主性を侵すのだ、支配介入になるおそれがあるのだ、これが大原則なのですよ。大原則でありますから、労組法の二条のただし書き一号に書いてある。そうして管理、監督及び機密の事務を取り扱う者というのも、労組法の二条ただし書き一号と同じでありますということを再三答弁をしているのですから、公務員並びに公企体の非組合員の範囲は労組法と何ら変わりがない。ですから、そういう観念は入ってこないのですがね。いま言われておる非組合員の人々が入ってきておるならば組合の自主性が侵されるからだ、こういうのですよ。 しからば、管理職の組合というのは何ですか。管理職の組合というのは、あなたが言われるように国を代表する連中ばかりが集まってつくるのでしょう。管理職の組合を認めるというのは、いわば労使関係においての管理職だけが集まって組合を結成する場合には、本来その組合の自主性を失なわないのだ、こういうのでありますから、管理職の組合というのはできるのですよ。ですから、公労法における非組合員も組合は結成できるのですからね。それと同じような課長なら課長連中が組合をつくろうと思えばできるのですよ。 ですから、どうもこれは労使関係に限定をしてお考えになったほうがいいので、公共の立場であるとか、国民の代表たる使用者の範囲を確立するのだというようなお話をなさいますと、一体管理職の組合はどうなんですか、あるいは公労法及び地公労法における管理職だけが集まって組合をつくる場合はどうですか、こう聞きたくなるのです。ひとつ御訂正を願いたい。
○大橋国務大臣 先ほど申し上げたとおりでございまして、私は、管理職員すなわち除外職員の範囲を労働組合が自主的にきめるということは、職員組合においては適当でないと思います。
○田邊(誠)委員 いまの問題は、国民の立場なり公共の福祉なりということから網羅的にいわゆる管理職の立場というものを規定をする、こういうことが組合の自由な結成を阻害する形になることは明らかであろうと思うのでありまして、たとえば役付でない労務担当官等がこの範疇に属するという形になってまいりますならば、これが対外的な意味におけるところの国民なり公共の福祉というものを守るということに該当するかしないか、当然論争のあるところだろうと思うのであります。実はこの問題についてはあらためてさらに政府の統一的な見解を求めたいと考えるわけでありまして、私が質問をいたしたい最も重点的な問題でありまする公労法十七条の問題に質問を移したいと思います。 公労法十七条一項に加えて二項を設けたのでありますけれども、まず十七条一項というのは「職員及びその組合は、同盟罷業、怠業、その他業務の正常な運営を阻害する一切の行為をすることができない。」こういうことになっておるわけであります。今度「公共企業体等に対して」というふうになるわけでありますけれども、この十七条一項の規定は、ILO八十七号条約にいうところの、権利の行使は自由でなければならない、禁止してはならない、こういうことばの意味と、憲法第二十八条の団体行動権の制限、禁止をしてはならないという、こういうことと全く同じ意味であるのかどうか、まずもってお伺いしたい。
○堀政府委員 八十七号条約は、その条約が制定されました際の審議経過から見まして、直接争議権の問題に触れておらないことは明らかであると思います。八十七号条約の審議経過を見ましても、「条約案はもっぱら結社の自由を取り扱うものであって、争議権を取り扱うものではないという主張は正当と思われる。」あるいは日本に関する六十号事件におきましても、「ストライキ権一般がいかなる限度まで労働組合権を構成すべきであるかという点について、結社の自由委員会が見解を表明することは要請されておらない」ということを言っておる点から見ましても明らかであると思います。そこで、ただストライキを禁止されるような場合におきましては、「これらの労働者の利益を十分に保護するための適当な保障を与えることが必要であると考える」という見解もあわせて述べておるのであります。 ところで、わが国におきましては、公務員につきましてはその勤務条件は法令によって規定されておりまするし、また人事院あるいは人事委員会という機能もあるわけであります。また公社、現業につきましては強制仲裁制度を規定いたしまして、公労委の仲裁裁定というような制度も設けられており、かつ仲裁裁定は完全に実施されるという慣行が最近確立しておるのでありまして、ILO八十七号条約あるいはILOの考え方に矛盾するものではない、このように考えておる次第であります。
○田邊(誠)委員 私の質問に対して正確にお答えございません。私は、八十七号条約が直接的に争議行為禁止について例示的に述べておらないことは承知をいたしておりますけれども、争議行為を禁止することを是認するという立場に立っておらないことは事実でございます。八十七号の条文にも見受けられますとおり、原則的には労働者が団体行動するところの権益は侵してはならないというのはあくまでも前提でございます。しかし、いま労政局長からお話がありましたように、遺憾ながら日本の国内法の中では、公労法あるいは地公労法等におきまして争議行為の禁止をうたっておりますけれども、そのことはいま答弁にもありましたように、あくまでも公共の福祉、公共事業というたてまえの中から、これを公共の福祉を守るということで言われておるのでありますけれども、しかし、これにはあくまでも大前提がついておるはずであります。いまお話がありましたように、あくまでも労働者の生存権、生活権、あるいはその職場におけるところのいろいろな条件というものを満足に満たすという立場があることは、いま不完全ながらも答弁の中にもあらわれたわけであります。そこで、いろいろ人事院の問題あるいは調停、仲裁等の問題をお話しがありましたけれども、これが厳密な意味におけるところの労働者の生活権あるいは職業上におけるところの満足な保護を与えておるかどうかという点については、これはもう言わずもがなでありまして、きわめていろいろな面におけるところのこれまた付随的な制約があるわけでございます。この点に対して予算上、資金上の問題も含めて、また時間が許せば質問をいたしたいのでございますけれども、争議行為の制限禁止というものは、もし言い得るとすれば、あくまでもこの大前提が確立されておるときに初めて言い得ることばでございます。これが不完全な状態であり、これがまた行なわれておらない、こういう事態の中では、争議行為を制限をし、また争議行為の制限禁止からくるところのいろいろな法律上のあるいは行政上の措置というものは許すべからざるものである、こういうふうにわれわれとしては考えるわけでございます。あくまでも、そういった前提、その時点の上でもってこれを考え、じかも一律一体に争議行為を見るのではないのでありまして、もちろんいわば行動をしたところの実力行使なり、あるいはその行動というもののいろいろな内容、その限度というものもあわせて見詰めながら判断をすべきことは、言うまでもない事実であろうと私は思います。こういった立場に立つことは、当然いまのお話を演繹しての考え方でなければならないと思いますけれども、その点はそういうふうに考えてよろしいわけでしょうね。
○堀政府委員 先ほどのに補足いたしますが、八十七号条約の八条の中にも、「この条約に規定する権利を行使するに当たっては、労働者及び使用者並びにそれぞれの団体は、他の個人又は組織化された集団と同様に国内法令を尊重しなければならない。」ということが明記されておるわけでございます。 それから、ただいまの公労協関係の問題につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、現在の公労法におけるところの強制仲裁制度と、さらにその裁定が完全に実施されるという慣行が確立されておるわけでありますから、十分な保障がなされておると考えます。 なお十七条につきましても、これはやはり争議行為を禁止しておるのでありますから、十七条に違反した人に対しましては、十八条もしくは国家公務員法もしくは各公社法に基づくところの処分が加えられるのも、これもまたやむを得ないところであると考えます。
○田邊(誠)委員 あなた方のほうは、たとえば労働者の権益を守る問題、あるいは労働者の行動に対して制約をする場合におけるところの大前提というものが完全な意味において確立されておらない、こういうことに対してあまり言及をされないのであります。仲裁裁定が必ず厳格に実施をされたという数はきわめて少ないのでありまして、そういった点から言いまするならば、こういう欠格的な現実の状態の中でもってこの公労法がはたして生きてまいるのかどうかという点に対しては、私どもとしてはきわめて危惧の念を抱かざるを得ないのは当然な話だろうと思うのです。労働者は、こういった争議行為の制限規定というものが一方的にとられることに対して非常な心配をしておるのは実は当然な話であると思うのであります。 労働大臣、具体的な事実をいまここでやりとりする時間はありませんけれども、私が申し上げて、また労政局長も一応はお認めになった、厳格な意味におけるところの八十七号条約における争議行為を認めておるということではないけれども、争議行為の禁止を認めるという立場に立たない現在の国際的な立場からいいまするならば、これを禁止、制限をするという場合には、あくまでも労働者の権益というものを完全に守るということが大前提であり、この前提に対しては、従前ややもするならばこれがそこなわれがちであった事実がございまするけれども、私は、人事院勧告なりあるいは調停、仲裁等の問題に対して、過去の問題は譲るにいたしましても、政府がこの前提というものをしっかり守っていくということがあくまでも国際信義の上からいって必要なことである。こういうことに対しては、今後の問題を含めて大臣は忠実に実行されるという御意思がおありであるかどうか、ひとつこの際政を代表してお話を承りたいのであります。
○大橋国務大臣 憲法に基づきまする労働者の団体行動権を、公共の福祉の理由によっていやしくも制限する場合においては、それにもかかわらず必ず労働者の権利、利益が確実に擁護される保障がなければならない。このことは私は当然のことであると考えるのであります。人事院の勧告あるいは公労委の仲裁裁定等につきましても、政府は、従来からもこの趣旨で極力これを尊重し、実施するつもりでまいっておるのでございまするが、しかし御指摘のごとく、いままでの実情は、必ずしも完全無欠とは考えられません。しかし、このことは国際的ばかりでなく、国内労使関係の上にとりましてもきわめて大切なことでありまするから、今後は政府といたしましては、新たなる決意をもちまして労働者の権利、利益の擁護に進みたいと存じます。
○田邊(誠)委員 したがって、労働者の権益が守られる、こういう政府の場におけるところの立場が守られることは、あくまでもこの条約の厳守にあると同時に、公労法のたてまえ、憲法のたてまえからいって、とらるべき措置であろうと私は思うわけでございます。 私は、ここでもって一言だけ事実問題に対して郵政大臣にお伺いをしておきたいのでございます。 いままでいわゆる十七条関係でもって、いまの労働大臣のお話にありましたように、調停なり仲裁なりというものがはっきりと実行され、実施をされないにもかかわらず、あるいはまたその実施のまだ過程におきまして、労働組合に対して不当な処分を行なったという事実がおありかどうか。そして、その中において、労働組合の役員なりあるいは中間機関の役員に対して、団体行動をとったところの機関の責任を追及して処分をしておるという事実がありまするけれども、この労働組合のいわゆる決定なり指令に基づいて行なった争議行為上におけるところの機関責任の追及というものを一体どの法律に基づいていままで行なってきたか、ひとつその法的な根拠を承りたいと考えるわけであります。先ほど労政局長のお話がありまして、一般的におけるところの各種の法律の適用については十分承知をいたしておりますので、私はいまたった一問だけ質問をいたしますのは、あくまでも機関の責任を追及した争議行為上におけるところの処分の問題に対しては、一体どういう法律上の根拠に基づいていままでこれをなされてきたか。あなた方から提供いただきました資料に基づきまして昭和三十三年以降の事実を私は承知する上に立って、ひとつこの見解を承っておきたいと存じます。
○増森政府委員 お答えいたします。私どもといたしましては、不当な処分はいたしておりません。みな違法な行為に対しまして処分をしているつもりでございます。 それから、先ほど先生の御質問で何の法規、どの根拠で処罰したかという御質問でございますが、これは私ども郵政職員につきましては国家公務員法の適用がございますので、国家公務員法に基づきまして処分をいたしたわけであります。
○田邊(誠)委員 あなた方のほうの職員が適用になっているところの労働関係法は、一体何ですか。
○増森政府委員 お答えいたします。公労法の適用もございますし、国家公務員法の適用もございます。
○田邊(誠)委員 労働大臣、郵政省の職員の労働関係適用法規というのは、公労法と国家公務員法と両方ですか。
○大橋国務大臣 公労法におきましては争議行為の禁止、すなわち違法性が規定いたしてあります。しこうして、これに違反したる場合には馘首される場合もあるということでございますから、違法の争議行為は、労働組合の行動であるという理由で免責されるものではないという趣旨でございます。したがって、免責されない違法行為であります以上は、国家公務員法上の職務義務違反として国家公務員法の規定で処分されるものと考えます。
○田邊(誠)委員 正確にお答えがございませんけれども、労働関係法は公労法ですね。いま大臣は、十七条違反は十八条の解雇の規定がない場合には国家公務員法八十二条によって懲戒処分を適用するということのお話がありましたけれども、これは実は私はたびたび政府に対してこの見解が誤りであることを指摘してまいったのであります。しかし、残念ながら免職だけが十八条を適用いたしまして、それ以外の処分を公務員法八十二条によって処分しているのじゃない。しかも、郵政省は首を切るということに対して機関責任を追及するという、労働組合運動の中に起こった事実に対しても、公労法適用でなくて公務員法八十二条によるところの免職の規定を適用いたしておるのであります。いわゆる個々の職員が犯したところのいろいろな問題、たとえば暴行を働いたりという、そういう個個の問題であれば、これはいずれにいたしましても論争の点になりましょうけれども、機関責任を追及するという労働運動上の行為に対して国家公務員法を適用するということは、私はでき得ないと思うのであります。いま大臣はそういうお答えをいたしましたけれども、郵政省は、いま労働大臣が解雇の場合は十八条だけれども、あとの処分に対しては公務員法八十二条の適用だという政府の統一見解がございましたけれども、そのとおりやっておりますか。
○大橋国務大臣 ちょっと私の説明を補足いたします。 私の申し上げましたのは、第十八条に「解雇されるものとする。」こういうふうに規定をしてあるということを申し上げたのでありますが、解雇につきましては、手続等は十八条には全然規定いたしてございません。したがいまして、この解雇を実施いたします手続その他は国家公務員法による以外はないわけでございます。
○堀政府委員 ただいまの大臣の御答弁をふえんして申し上げます。ただいま大臣が申されましたように、一つの行為が同時に二つ以上の法律に定める要件をそれぞれに充足する場合におきまして、その行為に対してはそれぞれの法律が適用される、これは法律上一般原則として当然のことであると思うのであります。したがいまして、公共企業体等の業務の正常な運営を阻害する行為は同法十七条により禁止されておりまして、これに違反する行為を行なった場合は十八条による解雇というものがあるたてまえになっておるのであります。そうして、これらの行為が同時にこれらの職員に対して適用される国家公務員法あるいは公社法等の懲戒規定に該当する場合には、それらの法律の定めるところにも従いまして、これを懲戒処分にも付し得るということになるのでございます。これは法律の一般原則上当然のことである、このように考えております。
○田邊(誠)委員 郵政省は公務員法八十二条適用によって首を切ったのと、それから公労法十八条によって首を切るという、いわゆる免職と解雇があります。これは一体どういう仕分けでもってあなたのほうは首をお切りになったのですか。
○増森政府委員 お答えいたします。別に方針といったようなものはございませんで、その場合その場合によってきめております。
○田邊(誠)委員 全く同じケースでもって、一方は国家公務員法、一方は公労法を適用する、こういう事実がないですか。
○増森政府委員 ございます。
○田邊(誠)委員 これは全くもって基準もなければ、同じケースでもって、あるときは公労法十八条による解雇、あるときは国家公務員法八十二条によるところの免職という。 法制局、こういう形でもって適当にそのつど便宜的に懲戒の処分をしたり、あるいは労働法上によるところの処分をしたりというようなことが、何らの基準がなくて、裁量権としてまかされているわけですか。しかし、私が最初から前提として言っているのは、個々の職員の懲戒の問題ではなくて、労働組合運動として起こった問題の中で、しかもたとえば職場大会に事実上参加をしなくても、いわゆる指令をした、機関で決定をした、指導をした、あおりそそのかした、こういう形でもって実は処分をいたしておる。この事実をとらえて私は話を進めておるわけでございます。その中でも、いま言ったような答弁でありますけれども、こういったことが実際上許されておるという現実の姿に対して、あなたはどうお考えですか。
○山内(一夫)政府委員 国家公務員法の懲戒事由に該当した場合に、それを現実に懲戒するかどうかということは、最高裁の判例もありまして、任命権者の裁量でやるというふうに私どもは了解しておるわけであります。したがいまして、一つの事案が起こった場合に、これはその当時の任命権者が懲戒免職にするかあるいは普通の免職にするかということは、その限りにおきますれば、私はそこに均衡がとれないとしても、そのこと自体が違法であるというふうには思いません。ただ、一つの行政措置の妥当性の観点からいけば、こういう場合には懲戒にする、こういう場合には懲戒にしないというスタンダードはあってしかるべきもののように考えます。
○田邊(誠)委員 郵政省にお伺いしますけれども、あなたのほうは、同じ問題、同じケース――実際私は事実を持っていますけれども――同じ事実問題に対して、それを適当に仕分けをして、あるときには国家公務員法、あるときには公労法、こういう形でやるというので、基準もなければ、そのつど御都合主義でやっているというのであるけれども、それならば郵政省としては公労法十八条は要りませんな。
○増森政府委員 お答えいたします。私の申し上げておりますのは、一つの場合、一つの場合、国家公務員法を適用するか、あるいは公労法十八条を適用するか、そのときの模様、態様を見まして適用しているようなわけであります。
○田邊(誠)委員 全く同じケースでもって、一つは国家公務員法を適用し、一つは公労法を適用しているという事実があるのです。あなたもさっき指摘されたとおり、そういったことがありますと言ったでしょう。だから、私の言っているのは、そういったことでもって適当に裁量ができるならば、公労法十八条は要らぬだろう、こう言っておるのです。公労法十八条がなくても、かってに国家公務員法八十二条でもって処分ができるのだから、それならば郵政省の立場からいえば、公労法十八条はなくても決して不都合でない、支障がない、こういうことになろう、これは当然の話と思うのでありまして、これは法律解釈というよりも政治的な判断です。郵政大臣、どうですか。
○小澤国務大臣 両方とも必要でございます。
○田邊(誠)委員 そんな子供だましなことを言ってはいけませんよ。いままでの事実を積み重ねて、同じケースでもって両方を適当に仕分けをしているのだから。それならば、こういう場合に公労法十八条を適用した、これでなければ適用できません、それから、こういう場合には国家公務員法八十二条でなければこれは適用できません、こういう区分をして、それぞれの処分をしておるということになれば話はわかるけれども、同じケース、同じような事実問題の中でもって適当にこれを使い分けしておるのであります。したがって、郵政省の場合に限ってみれば、公労法十八条は、これは要らぬじゃないか。国家公務員法八十二条で首は切れるのだ、要らぬじゃないかと、こういうふうに言っておるのでありまして、両方必要でありますという根拠を示してください。
○増森政府委員 本質的に申し上げますと、十八条の場合は、雇用関係を断つというようなことかと思います。それから、公務員法の八十二条の懲戒処分というのは、懲戒するのだというようなことばのニュアンスがありますので、やはり個々の態様をとらえまして――両方とも必要かと存じております。
○田邊(誠)委員 この問題は、あまりくどく言ってもしょうがありませんけれども、それじゃ、八十二条によるところの免職と公労法十八条の解雇というのは一体事実問題としてどうニュアンスが違うのか、首を切ったという事実の中で。そんなでたらめな話をしてはいけませんよ。どう違うのだか言ってください。それ以外の停職、減給等の懲戒処分があることは、これは十分承知しておるのですが、それは違いましょうね。解雇と免職というのは、事実問題として首を切るという――何か一方は、懲戒だから首は三分の一ぐらいつながっておることを意味するのか。ちょっと説明してください。
○増森政府委員 効果から申し上げますと、大体似ているのでありますけれども、懲戒免職のほうは一定期間復職ができないようであります。それから、公労法の解雇のほうは、直ちに復職もでき得るという違いがございます。
○田邊(誠)委員 法制局、そのとおりですね。
○山内(一夫)政府委員 はなはだ恐縮でございますが、いまちょっと打ち合わせしておりまして、先生の御質問を聞き漏らしましたので、もう一度……。
○田邊(誠)委員 郵政省から聞きなさい。
○山内(一夫)政府委員 十八条は、やはり必要であるという結論でございます。理由といたしましては、争議行為をした者は免職されるものとするという考え方、争議行為の禁止を公共企業体の公共性から規定した立場からいたしまして、そういった違反行為をした者は免職されるのが原則であるという趣旨宣明をいたす意味におきまして、任命権者は、本来的には免職をするというたてまえとして、それを宣明いたしました趣旨におきまして、十八条はやはり必要である、かように考えるわけでございます。
○田邊(誠)委員 懲戒免職ならば一定の期間復職ができない、解雇ならば直ちに復職ができるというけれども、いままでそういう事実がありますか。こういうことが法律上の解釈からいって、それは明確化されておる、そういうふうに認識をしていいわけですね。
○山内(一夫)政府委員 懲戒免職の場合の懲戒免職された者が立ちますところの法的位置と、それから普通の免職をされた者が立ちますところの法的地位というのは、それぞれの法律によって違うわけでございます。したがいまして、その限りの差がここに出てくるわけでございます。したがいまして、どちらの免職にいたしました者も未来永劫雇わないということはないので、また新しい見地からそれを雇うということもむろんあり得るわけでございますが、ただ、懲戒免職と普通の免職との違いというものがその手続のいずれかによって出てくる、こういうことは事実であろうかと思います。
○田邊(誠)委員 これは郵政省と答弁が全く違う。こんなことでもってみだりに首を切ったのではたまったものじゃないのであります。しかも、いまいろいろな事情が違う上に立って免職と解雇というのがあるという、こういう法制局の見解もございましたけれども、郵政省の答弁では、全く同じケースでも使い分けをしたというのでありまして、これは事実問題としても違うのでありまして、将来の復職の条件が違うような余分なお話もございますから、この点はあらためて当委員会において政府の統一見解を示してもらいたいということと、いままで一体そういった解雇なり免職について復職が具体的にどういう違いでもってなされているような事実があるか、この事実問題がありまするならば、そういうことを盛んに言っておるのですから、お示しをいただきたいのであります。 政府のそういった不明確な御答弁では全く困るのでありまするけれども、私はこの十七条という規定がそういった場合に非常に悪用されておるということを心配をするのでありまするし、このことがILO精神にもとるものであるという、こういう観点に立って政府の再考を促したいわけであります。 ところが、今度の公労法改正案の中には、そういった不明確であり、いろいろと乱用されるおそれのあるところの十七条、十八条、これに関連をいたしまして、十七条にさらに二項を加えまして、「組合の決定又は指令であって、前条第一項の規定により禁止された行為を行なうことを内容とするものは、関係組合並びにその組合員及び役員を拘束しない。」こういういわば指令不拘束の条項を新たに設けたのでございます。これはもう私が内容を突き詰めて説明をいたさなくてもおわかりのとおりだろうと思うのですが、労働組合がどういう決定をし、どういう実は行動をするか、こういうことは組合自身が決定をすべきことでありまして、組合員は組合決定に忠実に従うというのが、これは組合運動からいって当然な話であります。したがって、もしそれが違法であるかいなかということについて責任を負うといたしまするならば、その一切の社会的責任というのは、それは組合自身が、組合の組織自身が負うべきものでございます。今回の十七条の二項の規定の新設というのは、こういった組合の権利、組合組織のあるべき姿、自由な決定と行動に対するところの違反行為であると同時に、このことによって組合員の個々の足並みを乱すという、こういう実は役目があるわけでございまするから、いわば組合員がこの法律規程の新設によって組合の機関決定によるところのいろいろな指令を返上するというような、こういったこともまた予想されるわけでございまして、私はこれは明らかに組合組織に対するところの介入である、こういうふうに考えざるを得ないのでございます。これはILO八十七号条約に明確に抵触をするという、こういう形ばかりでなくて、組合の統制力を無効化するという、こういうねらいがあることを私どもは考えるわけでありまして、いわば、いまでも十七条に対する労働運動上の違反行為に対する、いわゆる行政上の処罰規定というのは十八条であります。したがって、解雇以外はない。オール・オア・ナッシングであります。それをさらに演繹して国家公務員法等を適用いたしておるわけでございますけれども、さらにこの十七条二項の指令不拘束の規定を設けることによって行政処分をさらにやりやすくする、実はこういう立場を私どもは懸念をするわけでございます。そういった点から言いまするならば、この事項というのはどう考えてみましても、これは縦から見ても横から見ても八十七号条約に違反をする、組合運動に対する、組合組織に対するところの政治権力の介入である、こういうふうに考えざるを得ないわけであります。これはあまり政府の大上段に振りかぶった御答弁でなくて、ごく正直な御答弁をひとつこの際承っておきたい。
○堀政府委員 公労法十七条によりまして公共企業体等の業務の正常な運営を阻害する行為は禁止されておるわけでございます。したがいまして、この禁止されるようなことを内容とする指令はもとより違法でありまして、無効である、下部を拘束しないということは当然出てくるわけでありまして、従来ともそういうふうに政府といたしましては解釈いたしておるわけでございます。 また、このことは八十七号条約にも書いてありまするように、この条約に規定する権利を行使するにあたっては、労働者、使用者並びにそれぞれの団体は、他の国民と同様に国内法令を尊重しなければならないということが明確に書いてある点から見ましても、八十七号条約の精神に反するものではない、このように考えておるわけでございます。そこで、いまのような解釈が当然であると考えておるのでございまするが、なお一部にそれについての誤解もあるようでありますので、この当然のことを明確化したのがこの改正法案の十七条の二の規定でございます。したがいまして、この新しい規定を設けたからといって、これによって行政処分を強化するのだというような考えは毛頭ないのであります。当然のことを念のために規定して誤解を避ける、こういう意味の改正である、このように御了解を願いたいと思います。
○倉石委員長 田邊君に申し上げますが、このあと二人質疑者が残っておりますから……。
○田邊(誠)委員 それでは、これは八十七号条約批准に関係をする国内法整備という点から言いますならば、八十七号条約批准とは直接関係はございませんな。
○堀政府委員 八十七号条約を批准するにあたりまして、公共企業体等の業務の正常な運営を確保するための関係国内法改正の一環でございます。
○田邊(誠)委員 したがって、その見解というものが、八十七号条約第三条第一項の規定にこれは抵触をするおそれがある、こういう見解は当然成り立つのでありまして、あるいはこういった抵触のおそれありと考えられるような、そういうものをこと新しく設けることによって、いま私が申し上げたようないろいろな心配を、懸念を生むということが事実としてある。これはお認めになるだろうと思うのでございます。それにもちろん反対の意見もございましょう、また政府側のいろいろな見解もございましょうけれども、当然私はそういう懸念を持つ人たちもおありだろうと思うのでありまして、私は、あくまでも労働組合の行動に対して、対外的に、社会的に持つべき責任というものは、労働組合組織自身がとるべきであろうと思うのでございまして、その個々の組合に対してまで、指令を返上するような、あるいは指令に従わなくてもいいというような、そういうことをもって法の適用をさらにきびしく加えてくるということはとるべき措置でない、こういうふうに実は考えておるわけでございます。いろいろな誤解を生みやすいというようなお話もございましたけれども、私どもとしてはこの際ひとつ、この問題に対しても政府が健全な労働運動の発展をこいねがうという立場、結社の自由を認めるという立場から言いまするならば、重大な反省をしていただきまして、組合組織に対してみだりに介入するというおそれのあるような法の改正に対しては、厳に悼んでもらいたいと考えるわけであります。 公労法については、その他各種の問題がございまするから、これについてはまたあらためてひとつ質問をすることにいたしまして、委員長に協力して、次に譲りたいと思います。
○倉石委員長 野原覺君。
○野原(覺)委員 今回提出されております八十七号の批准、それからこの批准に伴うところの関係国内法の改正についてでございますが、先日来わが党社会党の河野委員、それからきょうはまた有馬委員から質問をいたしましたところ、人事院総裁の佐藤さんが所見をお述べになられたのであります。私は、この人事院というのは、御承知のように公務員にとっては争議権が剥奪されたために設けられた重要な代償機関でございますから、その代償機関であるところの公平、中立的な人事院総裁の責任のある発言というのは、きわめて重大であろうと思うのであります。 そこで、労働大臣にお伺いいたします。あのような佐藤総裁の発言は、聞くところによれば、文書によって政府に出されておる、このように承っておりますが、いかがですか。
○増子政府委員 ただいまの点でございますが、国家公務員法の改正案を国会に提出することを決定するに先立ちまして、総務長官名をもちまして人事院総裁に御連絡をいたしまして、その回答として人事院総裁から総務長官あてにお返事をいただいております。
○野原(覺)委員 私は実はその文書なるものをきわめて最近入手したのです。これは先ほど口頭で御答弁になられたことよりも、もっと的確な内容を持っておりますので、速記に残す関連もございますから、読み上げてみたいと思う 御連絡の件に関し、次のとおり意見を申し述べる。 御提示の法案中ILO第八十七号条約の要請に即応する措置は別として、右以外の改正部分については、公務員制度の根本に触れる重大な問題を含んでおり、各般の観点から周到かつ慎重な検討が必要であると認められる。 (イ) 任免、分限、懲戒の基準の設定、職階制、研修、政治的行為の制限等に関する事項を総理府の所掌とすることは、人事行政の公正確保、特に公務員の身分保障及び利益保護、中立性の確保の見地からみて相当とは認めがたい。 (ロ) 勧告制度を存置するとしても、公務員に団交権が認められていないことにかんがみ、給与、勤務時間その他の勤務条件に関する事項を総理府の所掌とすることは、これらをいわば労使の当事者ともいうべき政府の決定に委ねるものであって、事柄の性質上、相当とは認めがたい。 なお、公務員法、給与法等において人事院規則に大幅な委任がなされているのは、合議機関としての人事院の中立性、公平性に信頼してのものとされている。貴案では、現在人事院規則に委ねられている事項の大部分について、これを政令、総理府令に代える措置をとられているが、右の観点からみてその中には事柄の性質に応じ、法律の規定に格上げする必要があるものがあると認められる。 以上は、貴案に掲げられた主要な事項に対する所見の要点であるが、もし人事院を含む関係人事行政機関の権限に関し調整を加えるとすれば、たとえば、退職手当、退職年金、各種諸手当等に関する各庁の権限の合理化について検討の必要があり、さらには、国会職員、裁判所職員、防衛庁職員、外務公務員、教育公務員等についての任用、給与、服務、分限等に関する基準の設定とその調整、関係人事行政機関の権限の合理化の要否など広く公務員制度のあり方にまで及んで周到かつ慎重な検討が必要であると認められる。 よって、この際、ILO第八十七号条約関係以外に及んで改正を加えることについては、にわかに賛成いたしかねる次第である。 労働大臣にお伺いいたします。あなたはこの文書回答をいつ人事院から受け取られて、そして政府はこの人事院の回答文書を、どういう検討をどこでなさったのか、承りたいのであります。
○大橋国務大臣 この文書は二月十八日に人事院から発送されております。私は遅滞なくこれを受け取りまして、熟読玩味いたしました。
○野原(覺)委員 どういう検討をどこの機関でなさったか。私どもは、これはいいかげんな御答弁では済まないのです。人事院総裁の責任ある文書回答、しかも、人事院が公務員については責任を持っておる。その総裁が人事官会議を開いてこのような文書を出したものを、あなた方は真剣に検討をされたのか。どこで一体どういう検討をされたのか。二月十八日という時点も問題がある。この政府原案が作成されたそのことと関連して問題がある。いいかげんな答弁はできませんよ。それはもう一度詳しく承っておきたいのであります。
○大橋国務大臣 この法案を立案いたしております政府機関は公務員制度調査室でございます。総理府に所属いたしております。この機関において十分に検討をいたし、その検討の結果を、責任者であります私が国務大臣として熟読玩味いたしたわけでございます。
○野原(覺)委員 今度国会に出されております国内法の改正案、整備法案でございますが、これは労働大臣御承知のように、三回の経過を経ておるのです。岸内閣時代の案が一つ、それから池田内閣になってから一次、二次とその案が規定をされておる。 そこで、私はお伺いいたしますが、今度の整備法案というものは、検討した結果、この人事院の意見が一つでも原案の中のどこかに反映いたしましたか。それとも、完全にこの人事院の意見が間違いであると断定して、おとりになりませんでしたか。もし間違いであると断定をされたならば、私はこれからその論拠についてただしていきたいと思うのです。いかがですか。
○大橋国務大臣 元来、今回提案いたしております諸法律案は、御承知のとおり、一昨年の通常国会に提案をいたしたものと同趣旨のものでございます。当時から今日まで、国会の実質的審議をいただく機会がなかったのでございますが、私は、やはり現内閣といたしまして、今回提案するにあたっては、一昨年以来の法律案をそのものの形で出すことが適当である、かように判断いたしたのでございます。 しかしながら、国会におきましてこの法案を御検討いただくということに相なりますと、当然人事院においてもこの内容を熟知し、それに対してあらかじめ人事院としての意見を準備しておかれることが、国会の御審議に協力するゆえんである、かように存じましたので、提案に先立ちまして特に――いままで政府といたしましては本案の提案についてさような取り運びをいたしたことはございませんが、このたびは特に総務長官の名をもちまして人事院総裁にこの案の内容を公式に示し、かつその意見を表明されることを希望いたしたわけでございます。かような趣旨でこの意見が出てきたものでございますから、私どもは提案に先立ちまして十分に熟読玩味いたしました。しかしながら、これによって法案の内容を訂正いたしたということはございません。
○野原(覺)委員 人事院にお尋ねをしたのは、労働大臣のいわば慎重な配慮でなされたというようにも聞こえるのございますが、この種の法案を国会に出す限り、政府は当然人事院の意見を尋ねるべきです。これは当然のことです。そうしてしかも、人事院から貴重な意見が出された。その貴重な意見というものは、一昨年池田内閣が用意した法案のままこの国会に出されたというところからもわかるように、一つも採用されていない。ほごのごとくちりかごの中に捨てられたか、たなに上げられたか知りませんが、あなたが検討したといいますけれども、ははあ人事院からきたのか、読んでおけという程度で、何も検討していない。検討したならば、国会に提出する政府原案のどこかに何らかの措置がとられてもしかるべきものではないかと私は思うのです。せっかく人事院にお聞きになられて、その意見をお取り上げにならなかった理由を、後学のためにもう一度承っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 せっかく人事院で慎重に御検討になりました意見でございますので、ああ人事院から返事がきたかといって、ただわきへ積んでおいたというようなことではございません。先ほど申し上げましたとおり、私も責任者といたしまして十分に熟読玩味させていただいたのであります。 ただ、今回提案いたしました法案は、今回あらためて提案をすることになったわけではございませず、政府といたしましては一昨年の国会以来一貫しておる事柄でございますので、この段階において修正を施して提案するということは適当でない、かように私は判断いたした次第でございます。それ以外に他意ございません。ただこの上は、こういう意見を十分に国会におきまして検討されることを希望いたしておきます。
○倉石委員長 この際、委員長から政府側に要望いたしますが、ただいま御議論になっておるようなことをわれわれは初めて承るのでありまして、審議上非常に重大であると思いますので、資料として各委員に配付されるよう願います。
○野原(覺)委員 倉石さんともあろう特別委員長が初めて承るということを私は承りまして、実は意外の感に打たれておるのであります。 労働大臣、私は、ほんとうにあなたがまじめにこの国内法の整備法案を提出されかどうかについて、遺憾ながら疑念をはさまざるを得ないのです。一昨年用意したんだから、これを出すんだ、人事院から貴重な意見が出されておるにかかわらず、その意見はこの委員会で審議する際に取り上げてもらいたい、これはとんでもないお考えでございますよ。私どもは、人事院の意見は、人事院総裁にここに来ていただきまして、いろいろただしながら、もとより審議の中に取り上げてまいりますけれども、その前にあなたのほうは文書でこれをいただいておる。そうして何も採択していない。 そこで、私はお伺いいたします。公務員制度の根本に触れる重大な問題を含んでおる、こう人事院総裁は断定しておる。八十七号批准はともかくとして、右以外の改正部分については、公務員制度の根本に触れる重大な問題を含んでおる、こう断定されて、周到かつ慎重な配慮をしてもらいたいということをお述べになって、その次には何と言っておるかというと、「人事行政の公正確保、特に公務員の身分保障及び利益保護、中立性の確保の見地からみて相当とは認めがたい。」政府が出したこれは相当とは認めがたい。私は、このことばは非常に重大な中身を持っておると思うのです。わかりやすいことばでいえば、この法案はなっとらぬということです、人事院に言わしたら。これはだめじゃないか、公務員制度の何たるかも知らない原案じゃないかという、手きびしいこれはことばでございましょう。 まずこの点について、大橋さんは御検討なさったそうでございますから、これに対する明確な所見をお持ちだろうと思うのです。承っておきたい。
○大橋国務大臣 御指摘の点につきましては、政府は原案をいろいろな角度から再検討いたしました。その結果申し上げられますことは、この法案は、この「任免分限、懲戒の基準」その他一般的に人事行政に関する基本的な基準というものは、本法案におきまして人事院にこれらの改善のための勧告権または意見の申し出の権限が設定をされておるのでございます。したがって、この点を背景といたしまして、すべて法律によって直接にもしくは法律に基づく命令によって定められることになっておるのでありまするから、総理府の所掌になることによって、これらの事項に関する人事行政の公正、中立性の確保が危うくされると考えることは相当でないというのが私の判断でございます。
○野原(覺)委員 この点は私も意見を持っておりますが、あなたのただいまの意見に反論を加えますと時間を要しますから、他日の機会に譲ります。きょうはお伺いだけをして、記録にとどめておきたいと思うのであります。 その次、「(ロ) 勧告制度を存置するとしても、公務員に団交権が認められていないことにかんがみ、給与、勤務時間その他の勤務条件に関する事項を総理府の所掌とすることは、これらをいわば労使の当事者ともいうべき政府の決定に委ねるものであって、事柄の性質上相当とは認めがたい。」 あなたのほうは人事局を設置した、そうして公務員の重要な事項に関して政令、総理府令で規定をしていく。このことは、人事院の意見としては、政府といえども労使の当事者じゃないか、労使の当事者であるものが、かってにやるとは何事だ、はっきりいえばこう言っている。政令とはそんなものですか。だから、少なくとも団体交渉権は認めろ。人事局を設置するならば、人事局の設置についても問題がある。しかし百歩譲ってこれを認めるとするならば、団体交渉権は公務員の組合に与えなければこれはたいへんなことだと言っておるのですよ。この点をどうお考えですか。
○大橋国務大臣 御承知のとおり、政府は行政の主体でございまして、人事行政につきましても直接その運用指導に当たることとなるわけでございます。政府といたしましては、国会に対する行政府としての責任を明らかにしなければならぬ。この行政の責任を明確にするという意味から考えましても、本法案のねらっておることは必要な事柄である、かように考えたわけであります。 なお、万一職員の取り扱いに不公正、不利益の生ずる場合があったといたしましても、職員は随時不利益処分の申請を、あるいは行政措置を人事院に要求することによって、是正救済を仰ぐ道が開かれていることは御承知のとおりでございます。 これらの理由によりまして、これらの点に関する人事院の意見につきましては、遺憾ながら採用しがたい、かように存じまして、原案を提出いたしたのであります。
○野原(覺)委員 日本の労働大臣としてはきわめて情けないお方だと、遺憾ながら私は思わざるを得ない。大橋さん、失礼でございますが、あなたは一体この労使関係をどうお考えになりますか。政府がかってに何でもできるものではございませんよ。公務員といっても、使用される者です。政府は使用者の関係にあるのだ。そこから出発をしておるのでございましょう。だからして、人事院は、労使の当事者ともいうべき政府の決定にゆだねることは――あなたに言わせると、救済機関があるからその機関にゆだねてやってもらったらいいではないかと言うけれども、そういう繁雑なことを押しつけること自体が間違いじゃございませんか。 だからして、百歩譲って、ここでこの人事局を設置して公務員の管理体制を強化する、公務員は、先ほど申し上げた一切の事柄について政府が政令、総理府令で規定していく。そうなって、つまり公務員をがんじがらめに縛りつけていく。そういうことは、労使の当事者ともいうべき片一方が決定すべきものではないというのが労働法の原理ではございませんか。労働組合法というもの、労働関係立法というものはそこから出発するのではございませんか。そこが話し合いではございませんか。あなたの考えを聞きますと、私は、あなたのような考え方で今度の国内法の責任者として当たっていただくことは、これはきわめて失礼な言い方ですけれども、気違いに刃物を持たせるようなおそるべきものを感じますよ。(「ほんとうに失礼だよ」と呼ぶ者あり)失礼な点は取り消しましょう。(笑声) そこでこの点は、自民党の中にも良識のある方がございまして、人事局を設置するならば団交権くらいは与えないと事は済まないじゃないかという、そういう良識のある方もたくさんおられるわけです。せっかく人事院がこういうものを出されて慎重な検討をしてくれと言っておるのでございますから、提案をされておりますけれども、あなたとしてはなお慎重な御検討をなさる必要があるかと思う。先ほどあなたの御意見によれば、委員会でやってもらいたい――委員会でもいたしますが、残念ながら、この国会でこの法案は処理できないような事態にきておることを私どもは理事諸君から承って、きわめて遺憾にたえないのですが、たとえばこれが次の臨時国会に持ち越されるという場合には、この問題を中心に論議をしてまいりたいと私どもは考える。したがって、提案の責任者であるあなたとしても、この点については慎重な配慮をしていただかなければならぬのではないか、それが当然のことではないかと私は思うのでございますが、いかがですか。
○大橋国務大臣 この法案におきまして総理府に人事局を設けますということは、事実上認められておりまする団体交渉というもの――御承知のとおり、公務員の勤労条件というものは、ほとんど中央の権限で統一的に規定されております。したがいまして、事実上の団体交渉の窓口となるべきものは、何と申しましても、政府全体を統一して代表する機関が必要だ、こう思うのでございまして、今後国家公務員の勤労条件の改善ということにつきましては、従来の人事院に依頼するだけでなく、むしろ政府の人事局というものが窓口になる。もとより本法案においても、団体交渉の結論でありまする団体協約の締結権は認めておりませんが、しかし、それ以外の団体交渉については、現在の行政機構の中では適切な中央の窓口はないように私は思う。こういう意味でも、人事局を設置して、そこで人事行政についての所掌事務を取り扱うということは、むしろこれは国家公務員の権利、利益を擁護するという上から申しましても適切かつ必要なことではないか、かように存じておるのでございまして、さような意味から、私は、法案でとられておりまする措置が、現状よりも一歩前向きのものであるという考えを持っておるわけでございます。
○野原(覺)委員 労働大臣、八十七号条約というものをどうお考えになりますか。これは多賀谷委員が過日その基本的な見解、あなたのお考えをただしておられますが、この八十七号条約というものは、労働者側にとっては、使用者と話し合いをしていかねばならぬというのが団結権ということになっておると私は思う。単に組合を結成するというのじゃないのですよ。組合を結成して、勤務条件その他について使用者側と話し合いをしていくのだ。その話し合いをしていくこと、これがまとまることは、その約束を取りつけていくのだ、これが八十七号条約の精神になっておると私は思いますが、これは間違いでございましょうか。
○大橋国務大臣 原則的には、あなたの言われるとおりだと思いますが、御承知のとおり、公務員の勤務条件というものは、大体において法令によって規定をされておるわけでございます。したがって、法令によって規定せられておる事柄を当事者間の団体交渉によって変更するということは、これは困難であるわけでございまして、さような意味で、団体協約というものは、これはたとえ書面の交換がありました場合においても法律上の拘束力を伴わないものである、こういう扱いに現在の公務員法ではなっておるわけでございます。
○野原(覺)委員 法令で規定するといたしましても、その法令は八十七号の条約の精神に違反するものであってはならない、私はこう思います。いかがですか。
○大橋国務大臣 私が法令で規定するものと言いましたのは、団体交渉の内容となるところの勤務条件、その勤務条件は法令で規定してあります。したがって、団体交渉において法令で規定してある勤務条件を変更するような法律上の拘束力のある団体協約の締結は、従来からも認められておりません。今回も認められておりません。しかしながら、それ以外の勤務条件の改善を目的とする話し合いは、いままでの公務員法においても認められておりまするし、また今回の改正案においても認められておる。認められておるだけではなく、今回の改正案におきましては、実際上責任ある機関として人事局が設けられるのでございますから、団体交渉によるところの改善措置というものは今後一そう期待できるだろう、そういう結果になる、こう申し上げたわけでございます。
○野原(覺)委員 私がお尋ねしておるのは、その政令とか総理府令で規定をしていくわけです。それから国内法も、今度の国内法の整備で、これが通れば決定をみるわけです。そうした場合には、八十七号条約の内容に抵触する国内の法令というものはどうなるか。かりにこの国会を通過する、あなたのほうが政令で出す、それが八十七号条約の精神から見て違反をするという場合には、その法令の効力というものはどうなるとお考えになりますか。
○大橋国務大臣 条約違反の法令の効力がどうなるかというお話だと思いますが、これに対しましては、法制局からお答えがあるでございましょう。しかしながら、今回提案いたしておりまする事柄は、ILO八十七号条約には絶対に違反する事柄は一つもございません。
○野原(覺)委員 一つもあるかないかは、これから時間をかけて私ども論議をしてまいりたいと思うのです。かりにあるとすれば、これは法制局の御答弁を待つまでもなく、八十七号条約の第八条に規定をしておりますね。「国内法令は、この条約に規定する保障を阻害するようなものであってはならず、また、これを阻害するように適用してはならない。」と、第八条に明確に規定しておるわけですね。日本の憲法の精神から申しましても、条約は国内法令に優先する、これは政府の有権解釈でもあります。今日まで吉田内閣以来の政府はそういう見解をとってきておる。したがって、あなたのほうがどんどん政令を出し、総理府令を出して、人事局を設置する。それから国内法の整備原案についても、自民党の多数でもって押し切っていく、少数の正論を通さない。でき上がったものは、さあたいへんだ、公労法の四条三項は撤廃してみたものの、今度はまた八十七号違反の法令ができた、こういう事態を私どもは憂えるのです。これは国際的にも醜態ですからね。八十七号条約の批准というのは、これに抵触するような法令をなくするということが一つです。もう一つは、進んで団結権を保障することのできる立法措置を講ずるということが中身に出てくるわけなのです。公労法の四条三項とか、四条一項ただし書きというものは削除しておる。これは今日問題になってきたから削除したわけです。 ところが、今度は人事局を設置して、そうして労使対等の原理でいかねばならぬところの使用者が、自分かってにいろいろなことを規定していく。労働者の意見を聞かねばならぬという八十七号の精神からいって、そういうものを規定していくということになりますと、せっかく批准をして落ちついたものの、この批准は何の足しにもならぬという問題は残るわけです。この点についても、時間がございませんから、私は慎重な配慮を願いたい。これは労働大臣、よく考えていただかなければならぬと思うのです。自民党の中にもいろいろ御意見があることを私どもは承っております。その御意見の中に、そういう問題を残してはたいへんなことになるということを心配された御意見のあることも聞いておるのであります。したがって、ここは与野党とも衆知を集めて、人事院の意見を慎重に傾聴して、ほんとうに悔いを残さないところの国内法の改正というものをやらなければならぬときにきておると思う。これは国際的な義務でもあると思う。今日国際的に問題にされてきた日本としては、これは大事な点でありますから、労働大臣から御所見を承っておきたい。
○大橋国務大臣 この法案の内容につきまして、当委員会において、詳細に検討されることは、私どももこれを希望いたしております。
○野原(覺)委員 あまり膨大な内容で、実は何時間あっても足らぬのでございますが、皆さんにも御迷惑をかけますので、私は他日の機会に譲らなければならぬと思うのですが、重要な点を二、三お聞きして次の方と交代したいと思うのです。いままで触れていない個所についてお尋ねをしたいと思うのであります。 まずその第一点は、御承知のように、公労協関係、公務員組合関係にも、今日ストライキ権というものは禁止されております。ところが、ILOの報告書を拝見いたしてみますと、こういうことが書いてある。これは何回も言われたことでありますけれども、 「したがって、特定の労働者のストライキを禁止する場合、常にこれら労働者の諸利益を完全に守るため、適当な保護が与えられることが必要である。この原則は、ILOの理事会が結社の自由委員会の勧告に関して繰り返し強調してきたものである。」 つまり、ストライキを禁止しておるその代償措置を考えてやらねばならぬ、こういうことが言われてきて、公労協関係では調停、仲裁の制度がとられ、そうして公務員関係では人事院あるいは人事委員会の制度というものがとられておるわけであります。 そこで、今度の改正原案で労働大臣にお伺いしたいことは、代償措置の充実ということについてはどういう考えでこられたのか。あなたのほうは、人事院の権限を半分剥奪して、総理府の中に取ってしまった。これは人事院の代償措置というものが軽視されたと私は思うのです。 そこで、一つ一つお伺いいたしますが、この代償措置の充実ということがILOでは何回も繰り返し強調されてきておるのですが、公労関係ではどういうことをお考えになってこられたか、地公労ではどういう御努力をなさっておるのか。国公、地公では、どういうことになるのか、御説明願いたい。
○堀政府委員 ただいまのような適当にして十分な保障が必要であるということをILOの報告にも述べておりますことは、お説のとおりでございます。 そこで、公労法、地公労法関係におきましては、御承知のように公労法、地公労法に基づくところの強制仲裁制度というものが確立されておるのであります。以前におきましては、この公労委等の仲裁裁定が必ずしも完全に実施されておらないというような面もありましたので、非常に問題はあったと思うのでありますが、新しい公労法の改正以後、すなわち新しく公労委が発足しました以後におきましては、公労委の仲裁裁定というものはすべて完全に実施されるというよき慣行が確立されておるところでございます。したがいまして、公労法、地公労法関係におきましては、十分にして適当なる保障が現になされておる、このように私どもは考えております。 しかし、なお地公労法の関係につきまして、はなはだこまかいことでありまして恐縮でございますが、前の公労法が改正になりましたときに、地公労法もあわせて改正が行なわれるべきであったのが、そのままになっておる面があるのでございます。特にこの地公労法の関係におきまして、仲裁その他がありました場合に、今度の改正におきましては、いろいろなILO八十七号条約に直接触れる点の改正と同時に、なされました仲裁裁定等を当該仲裁裁定が実施されるようにできるだけ努力しなければならないというような、公労法と同じような趣旨もあわせて含めまして、さらにこの制度としての運営が完ぺきに行なわれますようにあわせて配意をしておるところでございます。 公労法、地公労法については以上のとおり考えておりますが、公務員法関係につきましては他の政府委員から申し述べます。
○増子政府委員 国家公務員法におきましては、御承知のように、人事院の勧告に基づく給与の法定主義ということによりまして、公務員の勤務条件の維持改善をはかるということで、これが保障の措置というふうに考えておるわけであります。
○佐久間政府委員 地方公務員法におきましては、現行制度で十分であるという考え方で、特に改正を加えておりません。
○野原(覺)委員 公労法、地公労法は若干問題があるとしても、私は公務員法にやはり問題がたくさんあると思います。国家公務員の場合は、人事局の設置、人事院の権限剥奪、これは代償措置というものは充実どころか、半減されておるわけです。ILOは充実を強調しておるのですが、政府はそれが充実の方向にきていない。 それから、地方公務員法の場合には、実に簡単な御答弁でございましたが、私どもはこれは非常によくないと思います。地方公務員の場合は、御承知のように、人事委員会がその勧告の代償機関になっておりますが、一体今日の人事委員会というものは公務員の意見を正しく反映するようにできていないのではないか、このことがILOからも指摘されております。所見を承っておきたいと思う。
○佐久間政府委員 人事委員会、公平委員会につきましては、法律によりまして、議会の同意を得て、人事行政に関し識見を有する学識経験者の中から選ぶことになっておるわけでございますから、地方議会が公正な民意の代表機関として中立公正な人選をするということがたてまえになっておりますし、実際の運用におきましても、そういう方向で努力がされておるわけでございますので、この人事委員会、公平委員会の機構によりまして公務員の利益が十分に守られるものというふうに考えておるわけでございます。 〔委員長退席、 小笠委員長代理着席〕
○野原(覺)委員 人事委員会のないところはどうなるのですか。人事委員会というものは都道府県にはあるようですね、それから五大市。十五万以上の都市では仙台くらい。たとえば福岡市には、ここは四、五十万の人口だと思いますが、人事委員会がない。そういう人事委員会のないところは代償機関がございませんね。これは一体どういうふうになるのですか。
○佐久間政府委員 人事委員会を設置していないところにつきましては公平委員会がございます。公平委員会はそのほかの地方公共団体全部に設置されております。措置要求、不利益処分、いずれも人事委員会と同様な権限を持っておるわけでございます。
○野原(覺)委員 公平委員会は勧告の権限はないと私は思いますが、条文を示してお教えを願いたいと思います。
○佐久間政府委員 給与の勧告権は公平委員会は持っておりません。
○野原(覺)委員 そういたしますと、給与の勧告権がない。公平委員会は給与については代償機関とは言えないのです。こういうことが今度の改正原案には依然として盛られていない。これは私時間がないから、ずいぶんはしょって申し上げておりますから飛躍して聞こえるのでありますが、ILOのほうから、はっきり人事委員会に対する所見が出ておるのです。 「人事委員会の数的構成の上にいろいろな利益が正しく反映すること、また同委員会の中立もしくは公益委員のすべてにその不通性ができ、一般の信頼を受けることを確保するためにいかなる措置をとるかを考慮するよう日本政府に対して示唆する。」 こういうことばで出ております。ところが、これは出ていないのです。今度の改正原案には人事委員会のないところは依然として勧告の代償権がない状態に放置されております。 それからもう一つお伺いしたいことは、人事委員会または公平委員会もないという町村がございませんか。公平委員会のないところの町村がございませんか。あるとすれば、どのくらいあるのか。そういう町村では完全に代償機関がないのだが、これはどういうことになりますか。
○佐久間政府委員 最初のお尋ねでございますが、私どももILOからそのような示唆のありましたことは承知をいたしております。しかし、現在の人事委員会、公平委員会は、先ほども申し上げましたように、「委員は、人格が高潔で、地方自治の本旨及び民主的で能率的な事務の処理に理解があり、且つ人事行政に関し識見を有する者のうちから、議会の同意を得て、地方公共団体の長が選任する。」ことになっておるわけでございまするので、人事委員会、公平委員会の委員が使用者側の代表というわけではございませんで、公正な民意を代表した中立的な立場で職務を執行されるたてまえでございまするので、私どもはこの現行のたてまえが適当であろうという考え方を持っておるわけでございます。 第二番目のお尋ねでございますが、公平委員会は、二、三年前までは設置しておりませんでした町村もございましたが、そのことは適当でございませんので、極力指導をいたしました結果、現在では全市町村に置かれておるわけでございます。
○野原(覺)委員 たてまえ論で御答弁になられたのですが、これは私は間違いだと思うのです。現実にはやはりILOから指摘されたように、不偏性を欠いておるのです。今日の地方自治体のあり方及び地方自治体の長のいろいろなあり方から見てそういう結果を来たしておる。公務員の利益を正しく反映する人事委員会になっていないのです。この実体をILOは指摘したのです。なるほど、議会主義で、議会があれば公正だということは形式論です。しかし、そういうことはILOは取り上げない。事実上片寄っているじゃないか、公務員の意見というものは人事委員会に反映しないじゃないか、この実体をついてあの勧告が出ておるのですよ。これはひとつ十分考えて、いまからでもおそくございませんから、私どもが審議する間にやはり政府のほうでも積極的に修正すべき点は出すべきなんです。ぼくは先ほど申し上げましたように、悔いをあとに残さないように、八十七号条約の精神にぴったり合致したりっぱな国内法を整備するということが、これは私ども国会の責任でもあるし、政府の責任でもあろうと思うのです。こういう点はひとつ謙虚に政府側としてもお考え願いたい。 もう一点、これは労働省にお聞きいたします。労働基準法の適用でございますが、労働基準法の適用は、非現業の職員に関しては現行法ではどなたが監督機関の役目を果たすことになっておりますか。
○堀政府委員 地方公務員の場合におきましては人事委員会でございます。
○野原(覺)委員 「人事委員会又はその委任を受けた人事委員会の委員」、これは地方公務員法の五十八条第三項にあるようですね。もしくは「地方公共団体の長」とあります。あなたもお聞きのように、人事委員会のある市町村は五大市だけなんです。それと仙台だけなんです。ほとんどの大都市が人事委員会がないのですから、たとえば長崎市、福岡市、静岡市、こういうところでは市長がその監督機関の役目を果たしているのです。この点をどうお考えになりますか。基準行政から見てどうお考えになりますか。
○堀政府委員 私、基準局長をだいぶ前にやっておりましたが、内容を最近忘れまして、ちょっと御答弁が粗雑になる点はお許し願いたいと思います。 この点は、いろいろ問題があるわけでございますが、ただいま申し上げましたように、非現業については人事委員会ということを原則にしておるわけでございます。現業的なものにつきましては、これはいろいろややこしいたてまえになっておりますが、大体において労働基準監督機関において監督するということになっておるわけでございます。非現業につきまして確かにただいま御指摘のような自己監督というようなおそれもございますが、非現業につきましてのたとえば勤務条件、給与その他の問題等は法令ですでに定まっておる、そのほかの安全、衛生等の面につきましては、基準監督機関をまつまでもなく、当然理事者、当局において十分に責任をもって配意すべきであるという考え方から、ただいまのようなたてまえになっておると記憶しておるのでございます。 しかし、いろいろ問題点もございます。地方公務員の非現業、現業等の関係に対する労働基準法の適用とその監督機関の関係、いろいろ入り組んだ仕組みになっておりますので、私どもも今後の問題として十分に検討させていただきたいと思います。
○野原(覺)委員 これは労政局長がお認めになったように、労働大臣よくお聞きを願いたいのです。基準行政違反の責任を負わねばならぬ市長が監督をする、自分の違反を自分で監督をするのです。これはたいへん法の不備なんです。人事委員会が置かれておれば問題がないのですけれども、先ほど言ったように五大市と、十五万以上の都会では仙台市だけです。人事委員会はないのですからね。地方公務員法の五十八条第三項には公平委員会という文言はないのです。だから、これもせっかくやるのでございますから、当然国内法の整備の中で修正をしなければならぬ個所だと私は思う。自分の違反を自分で監督するなんていうばかなことはないのです。労働基準法の責任を負わねばならない者が、その基準監督の役目をやるなんていうことでは、私は基準行政は成り立たぬと思うのです。この点についても御一考をわずらわしておきたいと思います。 そこで、労働大臣にもう一点お伺いいしたいことは、職員団体の定義です。これは労働組合の定義と比べてその内容がはるかに限定されておるわけですね。これを限定しなければならぬ積極的な理由がありましたらお教え願いたい。
○大橋国務大臣 特に限定をしてないという解釈でございます。
○野原(覺)委員 職員団体の定義を読み上げますと、「勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合団体」、こう書いてある。労働組合の定義をずっと見てみますと、「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合団体」、「主たる」ということばがあるかないかで、これは中身は違いますね。これは違いませんか。
○大橋国務大臣 文理的にはなるほど「主たる」があるとないとで違うと存じますが、運用上は同様に取り扱っております。
○野原(覺)委員 これもあなたと議論をすると時間がかかりますから、要望申し上げておきますが、私は実体上、運用上、中身に相違がないというならば、やはり労働組合のほうの規定に準じてこの「主たる」ということばを挿入されることが望ましいのではないかと思うのであります。これもひとつ御検討をお願いしたいのであります。 なおその他たくさんあるわけでございますが、質問されてない個所だけはしょって私はお伺いいたします。 多賀谷委員が質問をした中に関連をするのでございますが、管理、監督の地位にある者は管理職団体というものをつくることができるのだ。そしてその管理職団体に属する者、いわゆる管理者というものは一般の職員団体に入ることができないのだ、今度の改正原案にそううたっておるわけですね。入った場合にどうなるかと多賀谷委員が聞いたのです。そうしたら労働大臣は、登録上の要件であって交渉権はございます。こう明確に御答弁になったのです。交渉権には何ら差しつかえありません、速記を見たらこれははっきりしております。 そこで、その点はよいのでございますが、お聞きしたいことは、いわゆる管理職といわれる方が一般職員団体に入った。そうした場合に、その管理職者を懲戒分限の対象にするということはなかろうと思いますが、これはどうお考えになりますか。
○大橋国務大臣 労働組合に加入したゆえに懲戒の対象となるということは考えておりません。
○野原(覺)委員 そういたしますと、この管理職の者は一般職員団体に加入してはならぬという規定は置くけれども、加入した場合には一般職員団体は交渉権はある。それから、加入した管理職者を懲戒分限の対象にするということは断じてない、これは大事な点ですからもう一度承っておきたい。
○大橋国務大臣 お尋ねのとおりでございます。
○野原(覺)委員 そういたしますと、学校の校長が教員組合に加入するという事例をとって私はお伺いをしたいと思うのです。一体校長と教頭、あるいは校長というものが管理職であるかどうかには私は大きな疑問を持つのです。これは厳密な意味において私は管理職でないという見解を持つのです。 これは荒木さんがおられますから、権威者ですから、荒木さんの御意見、文部大臣の御意見を承りたいのですが、文部大臣いかがですか、校長は一般職員団体に入ってはいけませんか、お尋ねします。
○荒木国務大臣 事実問題として入ることそれ自体を防ぎようはないと思います。
○野原(覺)委員 そうなりますと、校長が一般職員団体に加入してもこれは防ぎようがない。それから、懲戒分限の対象にすることもない。そうしてその職員団体は交渉権を持つ、登録の場合の条件にしかすぎない。これははっきりしたと思います。あまりにも問題がすなおに解決されましたので、私はこの問題はこの辺でおきたいと思います。 そこでもう一点、労働大臣にお伺いしたいことは、これも多賀谷委員が質問したことでございましたが、公労法改正原案によりますと、労働組合法の二条一号を準用するということになっておる。ところが、今度の国家公務員法の改正の原案によりますと、消えてなくなるところの公労法四条一号のただし書きを持ってこようとしておる。ここのところを多賀谷さんが何回となく繰り返して質問したのです。そうしたら労働大臣は、実質的に差別はない、また労政局長も、実質的には同じですと言明をされました。同じだとするならば、私は公務員法の改正原案におきましても、労働組合法の二条一号準用と、すっきりさしたほうがいいのではないかと思う。同じものを二つ表現を変えて置きますから、これから先の法解釈に問題が起きてくるのです。立法者のあなた方が提案説明をして、ここで幾ら同じだと答弁しておっても、法律解釈というのはそういうものではない。国会におけるところの答弁というものは、何ら解釈には役に立たない。その法の解釈からいくと問題が起こりますから、同じものならばこれは同じように整理すべきだ、こう私は考えるのですが、労働大臣いかがですか。
○大橋国務大臣 特に反論いたしません。
○小笠委員長代理 野原君に申し上げますが、あと井堀君が質疑をされることになっておりますので、結論をお急ぎ願います。
○野原(覺)委員 実は委員長、たいへん協力しておるつもりです。尋ねたいことがたくさんあるので協力しておりまして、私は断片的に飛び飛びに実はなってきておるのであります。 そこで、これも多賀谷委員の質問されたことですが、政府の答弁が私の聞いたところでは明確を欠いておりますので、これをはっきりさせる意味でお尋ねいたします。 それは、職員団体の団結権に関する軍隊警察の例外規定についてであります。軍隊警察は例外として国内法においてその団結を禁止することができるということになっておるわけでございますが、お尋ねしたいことは消防職員の場合です。 消防職員の場合には、国家公務員の消防職員には団結権を認めております。ところが、地方公務員の消防職員には団結権を認めておられない。これはどういうわけか、承っておきたい。
○増子政府委員 国家公務員における消防職員は結社を禁止していないという御指摘でございますが、実は国家公務員の中にある消防職員といいますのは消防庁の職員しかないのでございます。つまり第一線の消防機関といいますか、消防活動に従事する職員ではなくて、消防に関して総合的な企画とかあるいは助言、指導といったような仕事をしておるのが消防庁でございます。地方公務員の消防職員というのは、これは第一線の消防職員という意味でございます。
○野原(覺)委員 企画とか事務をやっておって、消防自動車を運転したりホースを持ったりするのではない、だからこれには職員団体としての団結権を認めても差しつかえない、こういうことだと思います。 そうなりましたら、防衛庁の一部の職員はいかがですか。鉄砲を持たない、大砲を持たない、軍艦に乗らない。たくさんおるでしょう、役所に。この職員には、その論法からいけば当然私は団結権を保障すべきだと思う。この点をお伺いします。
○増子政府委員 防衛庁の職員に関してでございますが、防衛庁が軍隊であるかどうかということにつきましてはいろいろと御議論があるところでございますが、少なくとも警察的治安作用、これは当然持っておるわけでございます。そういう意味におきまして、軍隊警察ということを国際条約で表現しております場合のその作用、治安警察作用、そういうものを担当しておるものであることは疑いのないところであるというふうに考えることと、それから防衛庁職員につきましては、御承知のように自衛隊という組織で、自衛隊員という形で全体が規制されておるわけでございます。そういう意味におきまして、自衛隊、防衛庁の職員は、自衛隊という隊組織に編成されておる、一括して活動の主体になるというふうに考えておるわけでございます。駐留軍労務関係は、御承知のように自衛隊からはずれておるわけでございます。
○野原(覺)委員 これは労働大臣、あなたにお尋ねしたいと思うのですが、お聞きになって非常に明確を欠くでしょう。あなたは多賀谷委員にこう答えたのです。地方公務員の消防職員に団結権を認めない理由は、これは警察行政を行使する実質上の警察だ、こう答えておる。国家公務員の消防職員は実質上の警察権行政の行使はしない、だから団結権を認めるのだ。 それでいくならば、私は、防衛庁の一部の職員は実質上の軍隊じゃないと思います。大体自衛隊が軍隊であるのかないのか、こんな議論を私はいまはいたしませんが、池田内閣も、吉田内閣以来ずっと軍隊じゃないということにしてきたんじゃありませんか。しかし、そういうことはあまりにも理屈っぽくなりますから、私は触れません。実質上の警察か、実質上の軍隊かでいこうと思う。で十七号条約のこういう例外規定というものは、大橋さんが御承知のように、法律上は厳密に解釈すべきものですね。そうなりますと、国家公務員の消防職員に団結権を認めるならば、防衛庁の職員になぜ団結権を認めないのか。争議権じゃないのですよ、団結権でございますよ。これは私は必ずILOで問題になると思います。矛盾ですね。これはどうお考えになりますか。
○大橋国務大臣 御承知のように、治安警察につきましては、治安警察の直接の活動というものと、この活動を指揮いたしまする指揮の行政作用、これは不可分のものと考えなければならぬと思うのでございます。したがいまして、防衛庁におきましては、制服部隊は治安警察の活動部隊でございますが、防衛庁の内局の職員は、これを指揮するところの防衛長官の直接の補助機関でございます。したがいまして、警察活動というものについて考えまする以上は、指揮権と一体に取り扱うべきものだ、こういわなければなりません。したがいまして、警察庁においては指揮権を持っておりまするので、やはり警察庁の職員は、地方の警察職員と同じように職員団体の結成を禁止される。しかしながら、消防につきましては、国家消防庁は指揮権を持っておりません。あくまでも消防活動は実働部隊、また指揮官、どちらも地方公務員でございますから、私はこの原案でその点は一向矛盾はいたしておらない、こう思う次第でございます。
○野原(覺)委員 この点は、ただまいの御答弁では、遺憾ながら納得できないのです。これは私は問題として残しておきたいと思います。 皆さんの御迷惑もございますから、最後に、私は文部大臣にお伺いいたします。日教組の役員が県教組の交渉へ参加することができますか。いかがですか、
○荒木国務大臣 事実問題としての参加は自由であろうかと思いますが、地方公務員法第五十五条にいうところの交渉することができる当該公共団体との交渉に正規の代表者として参加するということは当然にはできないと思います。
○野原(覺)委員 労働大臣にお尋ねしますが、ただいまの問題は、ILOの今度の八十七号の精神及び改正原案からいって、どうお考えになりますか。
○山内(一夫)政府委員 改正原案を前提といたしました場合に、県教組が県知事と交渉し、あるいは教育委員会と交渉する場面を考えてみますと、日教組の役員が県教組の交渉権限をまかされた形で登場することは考えられるわけだと思います。日教組自身の総合的な組織体として出てくるということは、先ほど言った登録の職員団体との関係で、交渉を求められたときにそれを拒否するという自由は県の側にある、かように考えております。
○野原(覺)委員 これはあなた方がそういう考えを持っておれば、ますます八十七号条約侵害になりますね。ILOの結社の自由委員会の五十八次報告で、重大な警告を日本政府に発したのです。読み上げてみますと、――中央段階で交渉するか、地方段階で交渉するか、どの手順の段階で交渉するかは、組合側の代表として交渉に当たらせるかどうか、一切を含めて、組合側が自由に行ない得るものである、とILOは断定したのです。 日教組の団体が日教組として乗り込むのじゃやないのでよ。県教組が日教組の委員長に委任する、そのことを聞いておる。それはできるか、こう聞いておる。いかがですか。
○山内(一夫)政府委員 それは、いま申し上げたように、できると思います。
○野原(覺)委員 これは文部大臣、今度の改正原案ではできるようになりますからね。これは、従来は、現行法ではやはり問題があったのです。私どもは問題がないという解釈できたのですけれども、現行法のもとでは、当局はこれを拒否してきたのです。 〔小笠委員長代理退席、 委員長着席〕 こういうことを登録その他を取り上げて、問題があるというので拒否してきましたけれども、今度の改正の場合には、これは拒否できなくなったわけですね。このことは今後の問題ではありますけれども、ひとつ文部大臣としても十分お考え置き願わなければならぬかと思うのです。 これは文部大臣に多賀谷委員、大原委員から日教組との交渉についていろいろ質問をいたしまして、御答弁がなされておりますが、非常に問題のある個所で、これをあなたとここで議論をいたしますと、たいへんな時間がかかりそうです。ですから、私はここで蒸し返しませんが、自民党の皆さんもこの次ゆっくりやれということですから、どうかひとつ来国会は荒木さん、文部大臣として御出席下さるように私は祈っております。 以上で終わります。
○倉石委員長 井堀繁男君。
○井堀委員 会期も余すところ一日ですが、ただいままでの質疑応答を伺っておりますと、なかなか多くの問題を残しておるようであります。しかし、ILO八十七号条約に対する疑義はきわめてわずかなもので、ある程度了解ができたと思うのであります。さらにこの条約批准に当然伴われる公労法、地公労法についても、ある程度の了解ができるような質疑応答がかわされたようであります。残すところのものは、公務員法と地方公務員法には非常に大きな問題が山積しておることが明らかになったようであります。したがいまして、政府としては、この際国際信用を挽回いたします最もよきこの機会を逸することは、今後わが国の国際的ないろいろな地位を判断いたします場合に、万難を排してILO八十七号条約と公労法、地公労法をこの際この国会で議決することは必ずしも不可能でないと判断されるのでありますが、この両公務員法を除いて条約批准に踏み切る決意はおありでないか。いい機会だと思いますので、政府を代表して閣僚どなたでもけっこでありますから、所信を伺っておきたい。
○大橋国務大臣 政府といしましては、御審議お願いいたしております関係法案の成立を待って批准すべきものなりという考えでございます。
○井堀委員 まことに遺憾な御答弁で、わが国の国際的な立場において非常に残念に思うのでありますが、政府はそういうかたい決意をしておいでになる以上は、もう会期は余すところ一日でありますからいかんともしがたいと思うのであります。 さらに、私本論に入ります前に、実は巷間に伝えられております自社両党の折衝の問題について伺うことが議事進行上きわめて重要だと思いましたが、もう何しろきょう一日でありますから、一応の質問をいたしましたあとで、委員長なりあるいは社会党さんの代表者からお漏らしをいただける機会をぜひ得たいと思っております。 時間の都合もありましょうから、ごく基本的な問題をお尋ねいたしておきたいと思っております。 まず第一に、私どもがこの条約並びに法案を審議するにあたりまして、この法案は国際的にかなり強い関心が集中されておりますだけに、わが党といたしましても明確な態度を打ち出しますとともに、政府に対する疑義をぜひただしておきたと思いまする点のみを取り上げてお尋ねをいたしてみたいと思うのであります。 まず第一に伺っておきませんければなりません問題は、わが国が国際的な地位を回復するために、国連に復活をしようとする際における異常な日本政府の努力が続けられたことは今日忘れかけられておると思うのであります。このことは、ILO八十七号条約をわれわれが検討する際にぜひ思い起こしておかなければならぬ事柄だと思うのであります。 第二の問題は、ILOに再加盟するということは、国連へ復帰する一つのステップであったということは間違いがないのであります。こういう関係は、条約批准にあたりましてぜひとも国民とともに思いを新しくする必要があろうと思いますので、その辺の経緯を実は外務大臣にお尋ねをいたしたかったのでありますが、欠席のようでありますから、政府委員からその辺の事情を簡潔にひとつお答えを願って、それから質問に入りたいと思います。
○高橋(覺)政府委員 お答え申し上げます。 御承知のように、ILOにわが国が再加盟いたしましたのは一九五一年の十一月二十六日でございます。このときには、実はわが国はサンフランシスコの平和条約に署名いたしましたが、まだ発効する前でございまして、ただ一日も早く占領を終わらして、そして国際社会に復帰したいということから、当時ILOのみならず、国際食糧農業機構FAO、あるいはユネスコ、WHO世界保健機構、こういうような諸機関にいずれも五一年じゅうに加盟いたした次第でございます。国際連合自身につきましては、当時わが国に関係しない問題で各国の加盟が非常な障害がございまして、わが国が国際連合それ自体に加入することになりましたのは、御承知のようにそれから約五年ぐらいたっておるわけでございますが、大体国際連合関係の専門機関と申しますか、こういう機関にはできるだけ入りまして、そして一日も早く国際社会の一員として十分に国際的な協力に参加したい、こういう態度で政府はその一つとしてILOの参加も五一年に申請いたした次第でございます。
○井堀委員 続いて外務省にお尋ねしたいと思いますのは、一九五一年、すなわち二千四回の総会の委員会で、日本政府代表に、ILO復帰に対しまして各国の労使の委員から幾多の質問が出ております。その質問に対して、憲法二十一条、二十八条を引き合いに出して、日本がILOに復帰することに十分な用意があるという意味の説明をしておるのでありますが、この点に対する当時の記録がありますならば、簡単にひとつ御発表していただきたいと思います。
○高橋(覺)政府委員 一九五一年にILOにわが国が加盟いたしました。同年の第三十四回の総会においてでございます。ILOの加盟は、当時国連の加盟国でございますと憲章の義務を受諾するという通告のみで十分でございましたが、わが国が当時まだ国連の加盟国でございませんので、総会におきまして三分の二以上の多数の賛成を、加盟承認の決定を必要としたわけでございます。この総会の選考委員会の小委員会というところにおきまして、わが国の申請が審議されたときに、各委員の質問に答えまして日本政府の代表は、日本の憲法第二十一条、二十八条は結社の自由、それから勤労者の団結権等を保障しているということで、ILOに対する参加の義務を当然十分履行する用意があるということを答えております。そしてその労使側の委員も、これらの日本の規定というものを非常に重視しているということをいっております。そういたしまして、日本のILOの再加盟に関する決議のうちに、 「国際労働機関の総会は、」「日本国は本機関から脱退する前に批准した諸条約から生ずる義務が引き続き拘束力を有することを承認するという日本国政府の適法に権限を与えられた代表が選考委員会の小委員会で行なった声明に留意し、国際労働機関の他の加盟国と同一の権利及び義務をもって日本国が本機関に再加盟することを承認することを決定する」こういうふうにいっております。
○井堀委員 以上できわめて明らかになりましたように、すでにILO八十七号条約に規定しておりまする結社の自由並びに団結権を保護する規定につきましては、ILO憲章の前文できわめて明快であります。さらに日本がILOに再加盟をいたしまする際における経緯も明らかなように、政府代表は憲法二十一条すなわち集会結社の自由の問題、二十八条の団結権及び団体交渉権に関する事柄を明確に諸外国に誓約をして日本の立場を明らかにし、各国の同意を求めて再加盟が許されたという経過からいきましても、ILO八十七号条約というものはこの前文と全く一致した内容のものであるし、またこういう基本的な条約は国連でも重視しておりまする条約の一つであります。でありますから、早期締結で批准を与えるべきは当然でありますが、さらに、私はこの条約批准に関連をいたしまして、国内法の改正をするとするならば、その日本政府が世界に約束をいたしました基本的なものを一歩も踏みはずすということは許されないのみならず、もしそういうことをやりますならば、国際的信用というものは全く地に落ちると思うのであります。そういう意味におきまして、私はこのILO条約を締結するにあたりまして、また国会はこれに承認を与えるにあたりまして、この点を十分に留意しなければならないと思います。こういう点から今回の国内法の改正の中でも問題がかなりあることが、もうすでにいままでの質疑の中でも明らかになっております。 私は重複を避けて、この際一、二の実例をあげて政府の態度をただしておきたいと思うのであります。それは日本の国際的信用を守る意味においてお尋ねをいたしますもので、どうぞそのおつもりでお答えをいただきたいと思うのであります。 私は、国家公務員法、地方公務員法の政府案というものはこれに対立をしておると思う。すなわち条約とは逆な改正であると断ぜざるを得ない点が幾つもあります。 その中の第一は、いわゆる人事院の分断といいますか、政府に人事局を設置しようとするこの改正案の基本的な考え方であります。この点についてお尋ねをぜひしておかなければならぬと思うのであります。たいへん時間をとって恐縮でありますが、そのお尋ねを進める上に必要でありますから、この国家公務員法の改正案の中で人事院が分断されるといいまするか、人事院から人事局へ移される事務はどういう事務であるか、それから人事院に残るものは何と何であるかということを、できるならば項目的にひとつこの際御説明を願って、そうして人事院の性格がどのような変化を遂げるかを明らかにいたしたいと思うのであります。
○増子政府委員 改正案によりまして、人事院が現在現行法で所掌しております事項のうちいわゆる人事行政の公正確保、職員の利益保護に関する事務で中立的な機関が行なうことの適当な事務というもの、これを具体的にいいますれば、職員の給与その他の勤務条件の改善あるいは人事行政全般の改善に関する勧告、意見の申し出、それから公務員の任用に関する試験に関する一切の事項、それからその他いわゆる苦情処理でございますが、勤務条件に関する措置要求あるいは不利益処分の審査請求等に対する処理、なお職員団体に関する管理職の範囲の決定あるいは職員団体の登録関係事務、それらの事務が人事院に残るわけでございまして、その他の事項はすべて人事局に移される、かようなことになるわけでございます。
○井堀委員 この際人事院にちょっとお尋ねしてみたいと思うのであります。人事院に残る事務についてはいま御説明がありました。ところが、人事局に移管されるものが、かなりの量と質において人事院の本質を全く取りくずしてしまうようなものが移管されるようになると思うのでございますが、人事院から見ました人事局に移管される事項について、人事院の性格をどのように変化するかという見解をひとつ人事院の立場で伺っておきたい。できるならば項目的に……。
○佐藤(達)政府委員 人事院に残るものについては、ただいま政府委員の述べられたとおりであると考えます。 次に、人事局に移管される事柄といたしましては、とらえ方がいろいろございますが、一つはこの基準の設定という面からとらえまして、まず任免、それから分限、給与その他の勤務条件あるいは政治的活動というようなことについての基準の設定、そのほかたとえば私企業に対する天下りの関係の規制の仕事というようなものが一つ。それから実体的にとらえて職階制関係の事柄、それから職員の公正、安全あるいは能率、それから研修というような面の事柄が移るということになります。
○井堀委員 私の法案に対する調査でありますから、間違いがあれば訂正を願いたい。人事院規則の中で、人事記録に関する問題、給与簿と給与の支払いの関係、職階制の実施、任用の方法、臨時職員の採用、休職、復職、退職及び免職の方法、職員の能率増進、勤務評定、身分保障、懲戒、服務制度、こういうふうに人事院規則の中から最も重量な人事管理に関する内容のものが人事局に移管されると思われるのであります。このことは言うまでもなく、人事院を分断するということであれば、人事院の生命は私は残ると思うのでありますが、たとえ方としては適当でありませんけれども、ミミズを二つに切った場合に、切られても当分の間両方とも動いております。しかし、もうミミズの生命はなくなっている。私は人事院の制度というものは、公務員法の中における背骨のような存在だと思うのであります。そういうものが一体今後人事院として存続して、公務員法の、要するに民主的な公務員制度を保持していくことが私は不可能になってくるのではないかと思われるのでありまするが、一体人事院はそういう姿で人事院の生命を維持できるとお考えであるかどうか。この点について率直にひとつお答えを願いたい。
○佐藤(達)政府委員 先ほど述べましような趣旨から申しまして、少なくとも今日の国家公務員法が理念として公務員制度のあるべき姿とされておるその趣旨から申しますと、大幅にその性格が変わってしまうというふうに考えております。
○井堀委員 私がお尋ねしているのは、性格よりも、もう人事院の機能が公務員法の精神からいって全く役立たなくなるのではないかという考え方があるわけであります。それは私は二つの面から問題を取り上げてみたいと思います。 一つは、公務員法制定当時の経緯、すなわち政府が当時国会に提案いたしました際における説明を見ましても明らかなように、日本の封建的な官吏制度というものを近代的な、すなわち民主的なものに置きかえる。いわゆる民主制度の基本的な一つの大きな変革である。それは、一つには公務員もまた労務者として、すなわち労務を公に奉仕する、ことに国民のすべてに忠誠を誓わしめる、またこれに奉仕する労務でありますから、こういうものが一般の労働者のように労働三権すなわち団結権、団体交渉権、そして罷業権といったようなものを完全に行使するということは、ここに一つの矛盾が生ずる、混乱を生ずるから、それを完全に保障するための制度として、公務員の労働三権を守らんがための人事院の設立であることは、当時の政府の提案理由の中できわめて明確であります。この精神からいきますならば、人事権を内閣に移すということは、これは単なる修正や改正ではないのであります。日本の公務員制度に対する根本的な変革を企てる結果となるのであります。こういうものに対して、人事院はあらゆるものを賭してそれを守るべき使命が公務員法の中に規定されておると思うのであります。人事院総裁はこれに対する責任を十分感じておると思うのでありますが、ただ責任を感ずるということでは済まぬと思うのあります。あなたは公務員法に基づいて身分は政府の権力から独立しておるはずであります。自由な立場が保障されておるはずであります。先ほども質問者の中で明らかにされましたが、政府に対して人事院の見解を書面によって申し送られたということでありまするが、私はそういうなまぬるい責任のとり方は、この公務員法の精神から許されないと思うのでありますが、その点に対するあなたの見解をこの際はっきりひとつ伺っておきたいと思います。
○佐藤(達)政府委員 先ほどのおことばにも、ただいまのおことばにもありましたように、われわれとしては正しいと信ずる意見を政府の当局に申し述べましたし、またこの御審議の席上でも発言の機会をお与えいただきまして、われわれの疑問とするところを述べさしていただきました。いわばそれ以外の方法について、あるいは考えられるものがあるかもしれませんけれども、私どもの立場としては、そう露骨に、はでな動きということをするのはまた節度を越えるものではないかというようなこともありますからして、ただいま申しましたような趣旨において国会の正しい御裁断をお願いするという以外に方法はないと考えておりました。
○井堀委員 私がお尋ねをいたしたいと思いまするのは、日本のいまの議会は、御存じのように政党を中心にする運営がとられております。また内閣も政党の裏打ちがあって一応その地位が得られるということは、きわめて明白な事実であります。こういうように政党によって議会が運営されるということは、私は、大きな特徴もありまするが、欠点もあると思うのであります。そういうものを補完していくためには、人事院の存在はきわめて重要だと思うのであります。 こういうときに、人事院として、私はただに政府に意思を表明するといったような消極的というよりは、むしろ先ほどもお話があったように、委員長もこの書類を御存じないのであります。国民はまして知る由もないわけであります。この事柄は政府と人事院の問題ではないのであります。日本の公務員制度に対する問題でありまして、直接にはすべての国民に奉仕を約束されている公務員の身分、しかも労働三権に影響をする重大な変革が起ころうとしておるわけであります。私はもっととるべき処置があるはずだと思うのであります。もちろん国会はそのためにいま審議をいたしておるわけでありますが、私はそういう点をもう少し国会なら国会に対して、-政府に出すだけでなくて、なぜ国会に対して、われわれ議員に対してあなた方の意思のあるところを明らかにされる努力をなされなかったのであるか、こういう点にも不可解な感じを強く持つのであります。私どもがこういうことをあなたに申し上げるのは、あなたが政府の権力から独立しているということはもちろんでありますが、同時に国民全体に奉仕せしめる民主的で能率的な公務員の運営をあなたは掌握されておるわけであります。こういう改正が行なわれるときには、少なくとも議員個人個人に当然そういう意思を述べられる自由と義務があるわけであります。われわれのほうから質問しなければ明らかにしないというようなことは、怠慢のそしりを受けるのではないか、 これが一つ。 いま一つは、人事院の責任の重大なことは、私はこの制度の運営の上に人事院は反省が足りないのではないか。すなわち人事院は国家公務員にとっては、ことばは適当でないかもしれませんが、守護神のような役割りをいたすべきであります。すなわち労働三権を完全に担保するためにその保護の衝に当たるべき人事院が、公務員からあまり歓迎されないということは一体どういうわけでありましょう。特に公務員法を改正した当時の経緯を振り返ってみれば明らかなように、あなたはだれかの質問にお答えになったようでありまするが、旧憲法時代の官吏に戻るのではないか、まことにおそるべき一つの傾向が察知できるのであります。こういうようなものについては、私は民主主義を守るということは国民すべての義務であると同時に、人事院の味方になるものは国民のすべてでなければならないと思うのであります。奉仕を、要するに高い能率とよいサービスを受けようとする国民の側からいいますならば、私は人事院の公正な態度というものが公然と発表されて批判を待つ、あるいは支持を得るという態度が、この制度の中では当然とられなきゃならぬじゃないか。もうこの公務員法の改正案が出てから三年になるのであります。私はこういう態度は実にけしからぬと思うのであります。もちろん人事院は必ずしも公務員のすべての味方ではありますまい。たとえば政治活動を規制いたしましたり、あるいは公務員のための政府に対する勧告が思うように実施されなかったり、そういう点をあげていきますと、人事院のいままでの努力に対して報われぬものもあったかと思うのであります。だけど、その都度これが――公務員の一部には流されるかもしれません、政府にはわかるかもしれないが、国会議員の全部にも十分わからないような事情であります。ましてや、一般国民に対しては理解するよすがもないわけであります。私は、こういう大きな根本的な改革が行なわれるときには、人事院は大胆率直に国民に、すなわち世論に訴え、国会の審議をするときには十分な資料をどんどん出してくるべきではないでしょうか。こういう措置をおとりにならなかったのは一体どういうわけでしょう。
○佐藤(達)政府委員 いろいろお叱りの筋はよくわかります。ただし、私どもの根本の考えは、最後の立法は国会においておきめになることである、その御審議はもとより周到に行なわれる、その機会においていろいな考え方、御批判がその場に出るであろうということを第一の願いといたしまして、なお先ほど申しましたように、政府に対しては書面において、あるいは行動において、できるだけの話をしてまいっておるというようなことでまいった次第であります。 それから、先ほどおことばがありました運営上の反省ということは、まさに適切なことと私は痛感いたします。私自身は実は最近就任いたしましたばかりでございますけれども、前から反省は続けておられたと思いますが、私自身その点に大いに力を注ぎまして、これをりっぱなものに盛り立てていこう、ほんとうに各方面から信頼できるものにしていきたいということで努力を続けておる次第でございます。
○井堀委員 まことに遺憾でありますが、御存じのように、いまの議会を中心にする民主政治はやはり世論政治であります。限られた議員だけの精力的な努力だけでは不十分でありますために、世論を背景にして国会の運営がなされて初めて意味があるのであります。ことに、いい悪いは別といたしまして、一つの政党が長い間政権の座にある日本の姿であります。こういうときには、要するに積極的に欠点をカバーしていくための組織が私は人事院の組織だと思うのであります。こういう点では返す返すも私は、ここまで追い込まれたということは残念しごくだと思うのであります。 そこで、観点をかえて、ひとつ政府にお尋ねをしてみたいと思います。特に労働大臣は、日本の労働行政の中でも公務員の問題は、先ほど言うように人事院の制度がいまでさえ多くの欠陥を持ち、不十分な点があるのでありますから、これはもちろんそれを充実し、欠点を補うために人事院の精力的な努力も要請されますが、私は制度上の欠陥ではなくて運営上の問題、あるいはこれを理解するだけの政治力あるいは世論が不十分だと断ずることが正しいと思うのであります。しかし、それはそれとして、政府はこの際人事院の中から、先ほどあげられましたような人事管理の重要な権限を内閣へ移すわけであります。ここで一つ問題が起こると思うのであります。 それは今度の改正案にも出ておりますように、公務員法の一例をとってみますと、百八条五の場合における交渉、すなわち団体交渉に対する規定をいたしておるのであります。これはいうまでもなく、私はいとも危険な、要するに一つの改正の代表的なものだと思うのであります。これはいろいろな意味で問題があります。 第一に問題になりますのは、日本の公務員法のたてまえからいたしますならば、当然労働三権というものは、罷業あるいは団体行動、そういうものを他の労働者と差をつけるということは、先ほど来申し上げておりますように、公務員の立場を公共福祉という立場から考え、その制限、制約を受けるということは、私はある意味でやむを得ないと思う。やむを得ないということよりは、そういう方法によって公務員の労働条件の維持、改善をしていく道を開くということは、私は進歩的な一つの制度だと思うのであります。それはこの際団体交渉の一部を復活させるといいますか、あるいはこの際それを定めようとする一つのきざしが現われている。ことに私はきざしということを言うのでありますが、すなわち憲法でいう労働三権のうちの団体交渉、それもきわめて不完全なもので、いろいろな制限を加えておる。このことは憲法二十七条並びに二十八条の規定にも反するのであります。団体交渉権を許すとするならば、――団体交渉権というものは、労働大臣が一番よく御存じのように、世界の一つの常識として定められているものがあるはずであります。団体交渉権、団体協約を結ぶ、そうして団体行動の裏打ちがあって初めて労働三権というというものは完成されるのであって、どの一つだけを取り上げても、それは労働者の民主社会における権利を守るものとはならないのであります。もし団体交渉権だけを復活するとするならば、そこには今までも公務員の紛争の中に例をよく見ることができますように、正常なる労使関係ではない。ヤマネコという言葉は適当でないかもしれません。ヤマネコ・ストライキという、要するに変則的な紛争を巻き起こさざるを得ないと思う。なぜかといえば、団体交渉を認められた以上は、その組合員は幹部に向かって自分らの労働条件の改善のための交渉をさせるにきまっております。その責任者は、話し合いで話がつくというのであれば何も労働三権の必要はないのであります。やはりその背後には団体行動権というものがあって、労使対等の立場が守られるということは、日本の憲法でも、あるいは労働基準法でも、労働組合法でも、労調法でも、きわめて明白なところであります。その部分だけを復活せしめるということは、あえて公務員の労働関係というものを混乱におとしいれる原因をまくことになるのではないか。私は時間があれば具体的な例をあげて政府の考えをただしたいのでありますが、あまり時間を取ることはいかがかと思いますから、私の意見を先に述べておきますが、これは労働行政の基本をなすものだと思うのであります。私はこういう点は十分配慮をすべき問題ではないかと思うのであります。 一体ここでいう交渉、すなわち団体交渉の道を開くということは しかもこの団体交渉を見ますと、いろいろな制約を加えている。手かせ、足かせをしますから。私どもは戦争前の労働運動を経験しているのであります。団結権もありませんでした。団体交渉権も認められておりません。罷業権もなかったのです。反対に弾圧はあった。その中でも労働者は団結して自分らの地位を守ろうとして戦った経過もあるのです。ましてや憲法で保障されて、この際この八十七号条約を批准するという日本の国際的な一つの労働方針というものを打ち出した以上は、堂々と職員が結社の自由の中から、人事権を持ちました政府に向かって要求をひっさげて戦うということはきわめて当然な勢いといわなければならぬと思う。こういう危険をあえてなさろうとすることについて、われわれはどうしても理解ができない。この点に対する国民の納得のできるような御答弁がありますならば、ひとつ伺っておきたいと田ふう。
○大橋国務大臣 法案におきまして、団体交渉の手続につきまして規定をいたしましたのは団体交渉の制限ではないかという御意見でございますが、団体交渉というものが現在の公務員法におきましても認められておる。そして、労働協約の締結権こそ認められておりませんが、この団体交渉を通じて、勤務条件の改善を職員団体が自主的に取り運ぶという趣旨が認められておるのでございまして、それであります以上は、この団体交渉について一定の規律を設け、そして団体交渉が能率的に円滑に取り運ばれるように試みるということは、これは団体交渉を保護するゆえんであり、決してこれを制限することにはならない。したがって、このことは職員団体の権利であります団体交渉を、政府といたしましては従来以上に大切に考え、これを保護しようという気持ちのあらわれであると御理解をいただきたいのであります。
○倉石委員長 井堀君にちょっと御相談ですが、文部大臣は他の所用で時間を急がれるようですが、文部大臣に先にやっていただけませんか。
○井堀委員 文部大臣には、もう少し聞いてからがいいと思いましたが、そういう都合なら、伺うこともちぐはぐになるかと思いますが、要点だけつまんで質問したいと思います。 私は特に文部大臣に御出席を願いましたのは、日本の教職員、教育に従事しております職員は、他の国家公務員あるいは地方公務員と違って、非常に大きな影響力を持つ、いわゆる公に奉仕する労務であります。先生方が自分の労働条件を守るのに、民間の労働組合と同じような労働三権を行使することを余儀なくされるような状態に置いておくということは、私は、日本の次の時代をになう人々の教育に重大な影響を持つと思うのであります。こういう点から考えて、今回の改正などについては、まず第一に、あなたが長い間日教組を相手にして御苦心をなさっておいでになるようであります。その現象的な、部分的な事態だけを大きく社会が受け取るような傾向があって、その本質、すなわち教職員といえども、この苦しい困難な経済社会の中にあってその生活を守らなければならぬということは、私は、教育行政の上からいっては、まことに不都合きわまるものだと思うのであります。こういう者こそ、一般の民間の労働者と異なって、労働三権に十分取ってかわるだけの措置が講ぜられてくるということでなければ、いま生活を守る闘争といって突き上げてくるものを押えることは、きわめて不合理なことだと思うのであります。もしこういう抜本的な改正をするならば、この機会ではなかったかと思う。そういう点に対して、文部大臣としては一番御苦労なさっておいでのようでありますが、お考えになったことがあるはずだと思う。なぜこの際そういう問題に対して改正をなさろうとしなかったのであるか。また、この程度の地方公務員法やあるいは国家公務員法の改正によって前進できるとお考えでありましょうか。きっと私はできないと思うのであります。ひとつ、教育行政を担当される立場の大臣として、あなたの偽らざる御見解をお漏らし願いたい。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 国家公務員であれ地方公務員であれ、教職にある者は公務員であるという意味においては共通なものでございまして、いわば、労使の関係に立って勤務条件の維持改善をはかるということは、教職員なるがゆえに特別の制度を考えるというごとは必要ではない、むしろ一視同仁の扱いをすることこそが適切であろう、したがって、いま御審議願っております改正案で十分であると考えております。
○井堀委員 それ以上のことをお尋ねいたすことはどうかと思います。なるほど政府案がこういう形で提案されている以上は、これを主張なさることは当然の立場と思うのであります。だからこれ以上のお答えを伺おうとは思いません。具体的な例をあげてお尋ねすれば多少御見解のほどが伺えると思ったのでありますが、時間の都合もありますから、希望だけを強く申し上げて、ひとつ十分御反省をいただきたいと思う。 それは、あなたはいま国家公務員、地方公務員として無差別の原則を主張されたが、それはそのとおりであります。私は差別を要求するのではないのであります。さっきから論議を続けかけておりますように、公務員に対する労働三権を担保するための制度が、まだ未熟であるかもしれませんが、しかし、制度として新しい一つの生命を持っていることは間違いないわけであります。私はここで特にあなたに名ざしで伺ったのは、同じ公務員の中でも、成年に達し、あるいは社会人として十分な力を持っている人を相手にする公務員と、まだその意思も固まらないし、思想も持たない、生活力も持たない中学、小学校の児童に接触する公務員というものは、どこの国でも、これの扱いについては非常な神経を使っておるところであります。そういう配慮というものがあってこそ、私は日本の教職員が民主的な団体活動へ成長していけるよすがになると思ったから実は伺ったわけであります。これ以上のことはお答えができぬとなれば、ひとつ強い要望としてお聞き取りを願っておきたいと思います。
○倉石委員長 井堀さん、文部大臣はよろしゅうございますか。
○井堀委員 いいです。 次に、もう一つ人事院総裁に伺っておきたいと思うのであります。 私、この公務員法が国会に上程された経過なりそのいきさつをずっと調べてみますと、なるほど戦後の大きな変革時代に生まれた一つのものでありますけれども、その間には学者の間にも幾多の意見があるようであります。大体通則的なものとして問題になりますのは、明治憲法のもとにおける官吏、すなわち天皇の名において人民に君臨するという形であります。ところが、今度の公務員法は、それを主権在民といいますか、国民のすべてに奉仕するというたてまえの公務員制度をしいたところに私は大きな変革があると思うのであります。この制度に対する今度の改正というものは、大きななたを入れたというよりは、むしろそれに死命を制するような結果を招くのではないかと思われるのであります。この点に対する人事院の御見解を国民の前に明らかにしていただくことが大切だと思いますから、ひとつ……。
○佐藤(達)政府委員 憲法第十五条第二項でございますか、公務員は全体の奉仕者であるという規定がございます。これが今日の憲法における公務員制度の根本になるものと考えております。これはいろいろな意味を持っておりますが、ただいまおことばにありましたように、天皇の官吏ではないのだ、国民に奉仕すべき公務員であるということ、それからいろいろと発展いたしまして、そのことばの中には、公務員の中立性ということもそれから出てまいります。あるいは公務員の身分の保障あるいは給与の保障、これは全体の奉仕者である以上は当然全国民的の関心事であるべきだというようなことも出てまいると思います。そういうような面を具現するものとして公務員法はできておる、私はさように考えるわけであります。
○井堀委員 労働大臣にお尋ねをしますが、いま人事院総裁の答弁の中で明らかになりましたように、要するにそういう日本の国民主権のもとにできておる公務員制度を今度は大きく変更する。それがどういうことになるか、いろいろな事態が予測できますが、その中で一番懸念されるのは、さっきもちょっと質問いたしかけたように、人事局を設けて各省にそれぞれ人事官を設置されるようなぐあいのようであります。そうしますと、言うまでもなく公務員に対する人事管理の責任体制は確立するかもしれません。責任というものは民主主義の原則であります。その義務を拒むわけにはいかぬと思う。その義務の受け入れ方が、今度改正法によって新しい公務員に対する労使関係のきざしになって出てくると思う。これは外国の例などを見ましてもわかるのでありますが、イギリスや――アメリカは多少背景が違いましょうし、日本とよくいろんな情勢の似通っておりますスカンジナビアの公費の労働慣行なんかを見ますと、この点に対してはよほど考えなければならぬのではないか。特に日本の民族感情といいますか、一方では官吏といいますか、まだ官尊民卑の残滓的なものがある。そこへこういう制度を持ってきますと、非常に跛行的な一つの混乱が起こってくる。労働慣行からいいますと、日本の場合にはちょうどコースを逆にとってきているのではないかと思われる。この辺に対するあなたの御見解はいかがでありましょう。これは労働行政のあり方に対する一つの見解でもあろうと思うので伺っておきます。
○大橋国務大臣 現在の公務員のあり方、すなわち全体に対する奉仕者としての公務員の性格は、これはわが国として変更すべき事柄ではないと思うのでございます。むしろかような意味におきまして、その公務員の勤務条件はできるだけ擁護、改善すべきものであると思うのでございます。かような見地から考えました場合においては、現在の日本の行政組織の上から申しまして、人事院の現状というものは公務員の利益を十分に擁護する点において足りないものがあるのではないか。その理由は何であるかと申しますと、行政全体について政府が責任を負っておるわけでございまして、人事行政につきましても行政でありますから例外にはなっておりません。その責任のあります政府が、公務員に対する人事行政において積極的な役割りを果たすべき立場に立つということは公務員を擁護する上からいって当然ではないか。責任のあるものにやはりその責任を実現するだけの組織とまた権限を与えるということが行政の責任を明確にするゆえんでございまして、このことによって、私は日本の人事行政が初めて改善され、したがって公務員の権利、利益の擁護ということが確保されるものだ、こう思うのでございます。 先ほど井堀委員は、人事院からその権限の一部を取って人事局をつくる、そうするとこれは二つに切られてしまって、どちらもミミズならば死んでしまうというふうに仰せられましたが、むしろ、私といたしましては、非常に生命力の強い動物ならば二つともそれぞれ一匹ずつになって生きるということもあるわけでございまして、そういう意味でこの新しい制度の運用に期待をいたしてよかろうと存じます。
○井堀委員 一問だけで終わりたいと思いますが、もう一つ問題があると思うのであります。それは外務大臣の提案理由の説明の中にも強調しております。この八十七号条約の精神の重要な部分の一つは、労使関係というものは法律や制度で縛るべきものでないという国際的常識がうたわれておる――あなたもよく使われるのでありますが、――正常な労使慣行の積み上げが制度化され、法律によって規律を保っていくというのが世界の歴史なんであります。また常識なんであります。 ところが、チェックオフだとかあるいは在籍専従という問題は、私は、確かにその本質は必ずしも賛成したものではないと思うのでございます。労働組合の自主性を要するに育成していくという立場あるいは公務員が国民全体に奉仕するという立場から、民間の労働組合と同じような専従制度が望ましいとは考えません。しかしながら、日本の労働組合の歴史というものは、実は戦時中に壊滅されて、全く白紙に文字を書くような状態で誕生してきた労働組合でございます。悪口を言う人はポツダム労組などと言いますが、そういう歴史的な背景があるわけであります。その中から要するに必要を積み重ねてきて、在籍専従あるいはチェックオフといったような手段が用いられておるわけであります。こういう問題は法律で改めたり、あるいは国の制度の中で取りかえるというのではなしに、労使の良識的な努力によって改善をはかるべき対象であろうと思うのであります。私は、そういう方法をとるということが実は新しい一つの労働対策ではないかと思うのであります。 それを、今回の場合は、もちろんいきなりそういう制度を改めるのではなくて、多少の期間を置こうというわけでありますから、そういう考え方はよくわかるわけでありますが、この際しかも八十七号条約を批准しようというときに、そういうことをおやりになるということは、私は本質的に大きなあやまちをおかすことになるのではないかと思います。あなたは、労使慣行を尊重される立場からこういう点については深い経験をしておいでになる。たとえば日雇い労働者、まあ失対関係で言いますと失業者同盟のような性格を持っておる団体です。しかし、これといえども事実上団体交渉をお受けになっておるじゃないか。私はそのこと自体がいい悪いを言うのではなくて、要するにそういう必要性というものを慣行の中にどう積み上げていくかということが、私は、労働行政としては基本的なものでなければならぬ。特に公務員の場合には法律でくくりますから、人民の名前において押しかけてくる。国会の決定だということで押しつけていきますならば、私は自然発生的にゆがんだようなものになってくると思うのであります。こういうことは私は、労働行政にとって非常に大切なことではないかと思う。ILO八十七号条約がこのことを非常によく教えておるはずであります。この点に対するあなたの見解を伺いまして、時間の都合もありましょうから、あとは留保いたしておきます。
○大橋国務大臣 労使問題において労使間の慣行の積み上げが制度になっていくべきものだということについては、私もそのとおりに思うのでございます。そこで私、就任以来、国家公務員の給与担当を命ぜられておりました。かような立場におきまして痛感いたしましたことは、国家公務員法においては職員団体には協約締結権は与えられておりません。しかしながら、職員団体は常に団体交渉を要請されるのでございます。また私といたしましても、立場上この団体交渉には常に応じてまいっておるのでございます。さて実際団体交渉においていろいろな問題に直面して痛感いたしますることは、現在の公務員制度においては、政府は責任はあるけれども、しかしこれを処理することができないような仕組みに相なっておるのであります。そしてまた、処理するための部局もできておらないような次第でございます。したがって、団体交渉の窓口にはなることはできましても、その団体交渉について実のある話し合いに入るということは事実上できない。このことは公務員の勤務条件の改善の上から申しましてもまことに不都合なことだと思います。 こういう意味におきまして、今度の改正案において内閣に人事局が設けられ、そしてそれが人事行政の諸問題について職員団体との話し合いの窓口となりそして、その話し合いを通じての感触をもって諸法規の立案、実施に当たるということに相なりまするならば、公務員の地位の保護という上においてまさに完ぺきになるのではなかろうか。労使交渉の慣行という上から申しましても、このたびの人事局というものは、私は最も大切な事柄だと存じておる次第でございます。
○井堀委員 これで政府に対する質問は終わりたいと思うわけです。 最後に、もう明日で終わりになるわけでありまして、あと先になってしまいましたが、この法案をめぐりまして世間も非常に強い関心を持っておるのでございます。とりわけ、こういう状態を何とか合理的に能率的に進めるためのいろいろな方法があると思うのでありますが、ただこの機会に伺っておきたいと思いますのは、自民党と社会党の幹部のお方々がたいへん御努力をいただいたそうでありまして、その御努力に対して感謝をするにやぶさかではございません。また、新聞の伝えるところによりますと、労働団体の幹部と自民党の代表者とがお話し合いをいたしていろいろと御苦心のほどが伝えられておるわけである、そういう点の努力については、私どもは重ね重ね敬意を表するのであります。問題は、そういう国民の全体、事と次第によりましては民主主義の原則に言及するような重要な法案、国際的にはきわめて関心の高い問題を取り扱うときにあたりまして、やはり議会の中において多くの論議が続けられて、それが国民にそのまま伝えられ、またそれがはね返ってわれわれの努力を推進せしめるということが、私は議会政治のあり方としては最もよい方法だと思うのであります。ああいう――まあ私どもが参加しなかったからとかなんとかいう意味ではございません。こういう点について、ほんとうは議事進行に関することでありますから、劈頭に発言を許していただこうと思っておりましたが、その機会も得られなかったので、実はもうおしまいになりましてこういうお尋ねをすることはいかがかと思いまするが、あるいは政府が条約と公労法、地公労法だけに限ってこの機会に決定をみようという態度になれば、明日法案が成立することは不可能ではないと実は期待しておりましたが、政府側の答弁によりますと、どうやら五案一括してでないとという強い御決意のようであります。そういたしますと、物理的にこの法案は継続審議もしくは流産のうき目を見なければならぬと思うのであります。いずれそういうことになるにいたしましても、今後わが党といたしましては、この問題に対するいろいろな措置を考えていかなければならぬと思いまするので、ひとつ許されまするならば、委員長なりあるいは社会党さんのほうから、結果だけでけっこうでありまするから、承っておきたい。
○倉石委員長 お答えいたします。 私のことだと思うのですが、私が自由民主党を代表して社会党の方々その他の方々、井堀さんにもお目にかかったことがございますが、まだ委員長就任前のことでございますから、両党あるいは三党、その他組合の方々とお話ししたことについて、ここで委員長として御報告をいたす筋合いではないと思いますので、そのお返事は遠慮さしていただくほうがいいと思います。 ただ、それだけではせっかく御協力を願っております同僚の方々に相すまぬことだと思いますが、しいて申せば、国会提出前の案件じゃないのでありまして、すでに国会に上程されておる法案の取り扱いその他について両党あるいは関係者との間に意見の調整をするということこそ私どもは非常に民主的な手段である、国会の運営というものはそうあるべきだと思っておるわけであります。幸いに三党とも、このILO案件が国際的に非常に大きな問題になってきており、国際信義の問題であるという大乗的見地に立って御協力願って、本委員会が結成されて、じみちな審議が進行しておることは国のために非常に喜ばしいことである、かように考えておるわけであります。
○井堀委員 党の関係はそういう御趣旨であるとするなら、組合との関係で――これはことに新聞記事でございますから、真偽のほどは私は決定的なものとは思いませんけれども、事柄が事柄であるのと、それが影響するところが大きいと思いますから、一言だけお許しを得て伺っておきたいと思う。 それは、朝日新聞の六月二十一日の記事で、「“団交権、確約うける”総評評議員会「倉石文書」明るみに」こういう大きな見出しなんです。これを読んでみますと、私も労働組合の実務を担当しておりますから理解ができるわけでありますが、こういう立場の幹部は決してこういう問題については想像などは発表せぬものであります。議会とは違った一つのルールと信義があるわけであります。それの発表によりますと、何か文書を、労働組合の代表にあなたがお出しになったという意味のことが出ておるのであります。そしてその条件については、何か値引きを要求するといったような記事の内容であります。記事の内容よりも重視いたしたいと思いまするのは、もちろん当時はここの委員長でもありますまいが、少なくとも自民党の大幹部であり、ILOの党を代表しての責任者がこういうぐあいに報道されるということについては、まあ俗にいう火の気のないところに煙が立たぬと申しますが、こういう点では、あなたがおっしゃるように、議院のこういう問題については明らかにすることが適当な機会ではないかと思いまするので、一言伺っておきたい。
○倉石委員長 お答えいたしますが、それぞれの家庭の事情でいろいろな御発言をなさることについて、他人が責任を負うわけにはいかないと思います。また新聞記事等についても、私が党の責任ある立場として会見をいたした記事については責任をとるべきであろうと存じますけれども、われわれの関係のない記事には責任を負うことができないと思います。 ちょっと速記をやめてください。 〔速記中止〕
○倉石委員長 速記を起こして。 委員会は暫時休憩して、理事会をこの場でいたします。 午後七時四十三分休憩 ――――◇――――― 午後七時五十六分開議
○倉石委員長 休憩前に引き続いて会議を開きます。 本日はこの程度にいたしまして、明六日午前十時に開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後七時五十七分散会