国際労働条約第八十七号等特別委員会 第5号
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- 会派数
- 1
- 開催日
- 1963/06/27
会議録
○倉石委員長 これより会議を開きます。 結社の自由及び団結権の保護に関する条約の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案件を一括して議題とし、昨日に引き続いて質疑を継続いたします。森山欽司君。
○森山委員 前回に引き続きまして質疑を続行したいのでありますが、政府の御都合で、文部大臣が長い間この委員会にお見えになっている時間がないようでございますから、文部大臣あるいは文部省に関係ある事項を質問さしていただきたいと思うわけでございます。 まず第一に、地方公務員の管理職の範囲の基準の問題でございますが、今度の改正法案によりますと、「人事委員会規則又は公平委員会規則で定める。」ということになっておるわけでございますが、教職員に関しては政令で基準を定めるというふうな特例を設けておるようでございます。この特例を設ける必要、なぜそういうことが必要かということにつきまして、文部大臣あるいは文部省の係官のほうから御答弁を得たいと思います。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 管理職は、文部省の見解としましては学校長及び教頭ということを考えております。このことは、すでに校長につきましては法律制度の上にきわめて明瞭なことでもあります。教頭につきましては、管理職手当を出してよろしいという予算上の考慮も払われておることは御承知のとおりでございます。そこで、そのことを念頭に置きまして政令で基準を定めるということにいたしまして、そして公平委員会等でもってその基準に従って規則で具体的に制度をつけてもらう、こういう予定にいたしておるわけであります。 政令で定めますゆえんのものは、小中学校ないしは後期中等教育に関します限りは、いわゆる教育の機会均等化をはかるという必要性の上に立ちまして、特に義務教育の場合におきましては、地方自治のたてまえ、分権のたてまえをとってはおりますものの、学校教育法には、その質、内容が全国基準は一定であるべきことを要求いたしておりますことからいきましても、学校の管理運営につきましては、やはり地方ごとにちぐはぐがあるよりも、管理職というものは全国同じ制度のもとに運営されたほうが適切である、そういう考え方に基づきます。
○森山委員 そうすると、教育の関係のことが全国的にあまりばらばらにならないようにということで、現行の学校教育法でも、校長、教頭の職務というものは全国的に統一をされておる、だから、地方公務員の中で教職員に関する限りは政令で基準をきめてばらばらにならないようにしたい、こういう御趣旨に承ったわけでございます。 だいぶ前から校長、教頭については管理職手当が支給をされておるようでございます。その支給されております状況、並びに支給することにはなっているが実際やってないところも一部にあるやに聞いております。その辺の状況について、これは大臣からでなくてけっこうですから、適当な政府委員から御答弁願いたいと思います。
○荒木国務大臣 御指摘のとおり、管理職手当を両方に出すたてまえになっております。校長につきましてはほとんど例外がございませんが、教頭につきましては、地域によっては辞退し、もしくは出さないということにしておるところもあるようでございます。さらに具体的なことが必要であれば、政府委員または説明員からお答えすることをお許しいただきます。
○今村説明員 校長につきましては昭和三十三年度から、教頭につきましては昭和三十五年度から管理職手当が支給されております。現在校長については全国、教頭につきましては北海道を除く全都府県につきまして、管理職手当の支給がなされております。
○森山委員 管理職手当の制度ができて、実施状況は、ごく一部を除いてはようやく軌道に乗ろうとしておるようでございますが、今日のように軌道に乗ってまいるまでには相当な経過があったと思います。われわれは、一部の地方では校長あるいは教頭の管理職手当を受け取らないとか、あるいは受け取ったものを一カ所にプールして、何かほかの使途に使おうとする動きがあったように聞いておりますが、そういうようなところのおもな二、三の例についてこの際御説明を願いたい。また、なぜそういうことをやろうとしておるかということについても、御見解を伺いたいと思います。
○荒木国務大臣 元来予算財政措置というものがなされておるにかかわらず、一部ではありましても、辞退もしくは支給しないということになっておることは、不当なことだと思います。そういうことになりましたことは、主として日教組のこれに対する反撃と申しますか、その反対行動のゆえにそうなっておると承知しております。さらに具体的には説明員から申し上げます。
○今村説明員 校長につきましては、学校教育法の二十八条に校長の職務が、「校長は、校務を掌り、所属職員を監督する。」とうたってございます。教頭につきましては、学校教育法の施行規則に、「教頭は、校長を助け、校務を整理する。」というぐあいに書いてございます。したがいまして、いろいろ問題がございましたのは、教頭の職務が管理職としての性格を有しておるかいなかという問題につきまして、いろいろ議論があったわけでございます。したがいまして、特に教頭の問題につきまして、管理職という性格であるかいなかという問題につきまして、教育委員会と教職員の団体との間に論議がございました。そのゆえに、北海道、京都のごときはつい最近まで教頭の管理職手当を支給しないという模様でございましたが、最近支給するようになったわけでございます。そういう議論がございましたがゆえに、一部では管理職手当を支給した後において、それを積み立てておくといったような事態もございましたが、最近ではそういう傾向はほとんどなくなったように聞いております。
○森山委員 校長、教頭の管理職手当という制度ができまして、これに反対をする、また、ただ反対しただけではなくて、現実に実施をしないところが出てきた。その理由は、いまの法律上における校長、教頭の性格論からそういう反対論が出てきたのか、あるいは他にいわれがあって、校長、教頭に対する管理職手当の支給に対して反対が出たのか、その辺のところの御見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。
○荒木国務大臣 ただいま説明員から申し上げましたように、制度の上から申しましても、また財源措置がとられておるというところから申しましても、国の立場からする見解はきわめて明瞭であると思います。それがあえてそうなりましたゆえんのものは、先刻も触れましたように、日教組という団体のいわば利害、打算に基づくところの反対行動の結果が実力的にさような影響を与えてきておる、そういう事柄だと理解しております。
○森山委員 この日教組という団体の利害、打算から、その内容はどういうことか、もう少し承りたいと思います。
○荒木国務大臣 説明員からお答えを申し上げます。
○今村説明員 御質問の趣旨を十分理解しないままにお答えすることになるかと思いますが……。
○森山委員 もう一回申し上げましょう。 校長、教頭を管理職として管理職手当を支給するということが昭和三十三年度以来行なわれておるわけです。これについて反対がある。その反対をする理由は、学校教育法等の法律上の理由からどうも解釈上おかしいとか、あるいはまた財源問題とか、そういうことにあったのか。それ以上に何かほかに特殊な思惑があってこれに反対をしたのか、その辺のところの見解を伺いたい。いま大臣は、これは日教組のほうの都合でそういう反対があったのだというお話があったので、それは一体どういうことですかということをお聞き直したわけであります。
○今村説明員 説明員の説明の限度ではむずかしい御質問かもしれません。現象として争われましたのは、学校教育法及び学校教育法の施行規則の法律における職務の性格論、それから現実の校長、教頭の勤務の実態論等につきまして、それぞれの立場からするそれぞれの意見があったわけでございます。 なお、日教組の運動方針等に校長、教頭の管理職手当に反対をするという問題は、始まったころから累年記録されておることでございます。
○森山委員 この問題は、もう少しお聞きしたいのでありますが、一日、二日かかりますから、この程度でとどめたいと思います。 次に伺いたいのは、荒木文部大臣御出席なので、特にお伺いいたしたいことなのでございますが、文部大臣は、日教組を相手にせずということで、日教組が会いたい会いたいと言ってきても、一向お会いにならない。どういう御心境で日教組にお会いにならないのか。また、どういうことを根拠にしてお会いにならないのか。この機会に、ひとつその御心境ないし御見解についてあらためてお話を伺いたいと思います。
○荒木国務大臣 昭和三十五年の八月早々であったと記憶しますが、日教組の委員長名をもって中央交渉と名づける団体交渉を再開することを要求するという要求書をもらいました。それに対してノーと答えまして以来、その後二回ほど同じような趣旨の要求がきましたけれども、断わりました。それは、日本の地方分権をたてまえとします小中校の教育制度、そのことからいたしまして——申し上げるまでもなく、地方公務員法に職員団体がつくれることが明記されておることは当然といたしまして、日教組という全国組織の団体が合法的に存在しておることは、むろん否定するものではございません。ですけれども、中央交渉という名前いかんにかかわらず、従来やっておるあの交渉を再開することを要求するといわれましても、文部大臣に人事権もなければ、給与決定権もない。それは御案内のごとく教育委員会に与えられておる、法律で明記されております。その権限のない者が、職員団体の中央組織でありましょうとも、団体交渉に応じるということは法律制度を乱るものだ、かように考えまして、ノーと答えたわけでございます。
○森山委員 そうすると、文部大臣が日教組にお会いにならないのは、現在の法制のたてまえと申しますか、日本教育制度の現在のたてまえをくずしたくないということが根本であるというふうにいまお伺いいたしましたが、それだけでございますか。
○荒木国務大臣 お答え申し上げます。 教育制度あるいはそれに関する法律制度をくずしたくないということよりも、法律違反は犯したくないということであります。ただ当時も言われたことでございますが、それは法律制度論としてはそうであろうけれども、現によかれあしかれ日教組という団体があるじゃないか、五十万の団結を誇っておる。デモクラシーとは話し合いからだというじゃないか、事実問題として理屈抜きに話し合ったらどうだという説は、新聞記者諸君からもしょっちゅう出された質問でもあり、お説でもありました。それに付して、私は、それでもノーと答えたいということでまいっておるのであります。 その意味は、毎度申し上げておることですけれども、日教組の、たしか昭和二十六年の九月に制定しましたみずからの組合綱領、教師の倫理綱領と名づけるもの、その趣旨は端的に申せば、共産革命の同志を養成することが組合員たる教師の使命であるというふうにみずからが定めております。そういうことを綱領としてはっきり態度を示しておるところの団体、そういう団体の代表者と、事実問題としましても、会って一体何の意味があるだろう。そのこと自体が教育基本法第十条から見ても許されざることだと私は理解するのであります。その基本的な考えを民主憲法下の教育基本法第十条から見ても妥当なものに性根を入れかえてくるなら別だが、そうでない限り事実問題としてもお目にかかるわけにまいりません、お目にかかりたくありません、ということでお断わりをしておるのであります。
○森山委員 文部大臣がなぜ日教組とお会いにならないかというお話については、よくわかりました。私も実際、先ほど大臣がお話しになりましたような性格を日教組が持ち、自分の言い分を押し通すために、全国各地において学校の先生としては世のひんしゅくを買うような腕ずくでの実力行使をやっておる。これが世の指弾を買ったばかりでなく、内部にも動揺が起こって、組織も割れてくるというようなことになってまいったわけです。これでは組織がもたないというので、何とかものやわらかにやるところがないかというので、中央交渉ということを考え出したのじゃないか。そういういわば戦術的意図を持った中央交渉という線に大臣がお乗りにならないことは、私はまことに賢明なことだと考えておる次第でございます。深く荒木文部大臣のそういったお考え方、行き方に対して敬意を表してやまない次第であります。 しかし、この際伺っておきたいのでございますが、日教組の中央交渉かどうかは存じませんけれども、日教組自体あるいは総評の一部として、日教組の関係者が自治大臣あるいは労働大臣にお会いになっているような事例もあるわけでございますが、こういった事例について大臣はどういうふうに見ておられるか、ひとつお伺いをいたしたいと思います。
○荒木国務大臣 いま御指摘のような具体的事例も、新聞記事で私も承知しないわけではございません。そのこと自体、これこそ事実問題でございますから、それぞれの立場において会ったほうがいいと思って会われたのであろう、こう想像するだけでございます。 私の場合は、教育の責任者として、憲法はもちろんのこと、先ほど申し上げました教育基本法第十条の趣旨には厳粛に従っていくことが私の職責である、とかように考えまして、私としてはノーと答えた、そういうことであります。
○森山委員 今度の改正案によりますと、在籍専従制度を廃止する、ただあまり急に廃止をしても、急激な変化を避けるために暫時の猶余期間を認めるというふうな法案が提出をされておるわけでございます。 この在籍専従問題を初めといたしまして、各種の問題について、日教組はILOに対して提訴をしておる。もう一々私ども覚えておりませんが、非常に地方的な、小さいこまごました問題まで一々ILOにかけつけて、国内のことを海外にわめき散らして、ある意味において国際的なひんしゅくを買っておるというような事例もあるわけであります。これらの提訴に対する判決はどうなっておるか、判決と申しますか、結果がどういうふうになってきておるか、この件について御説明を願いたいと思うわけであります。
○荒木国務大臣 昭和三十五年の九月だったと記憶しますが、日教組はILOに提訴をいたしました。事柄は多岐にわたっておるようでございますが、主たる提訴の案件は五つであったかと記憶いたします。 第一は、日本の文部大臣が日教組に会わない、交渉に応じない。交渉に応じるように勧告してくれとの訴えであったと思います。これに対しましては、すべてこれ結社の自由委員会で受けとめまして、昭和三十五年の秋から三十六年の六月上旬までの慎重審議の結論が出されているわけでありますが、いま申し上げた第一点については、文部大臣と日教組との間には労使の関係はない。労使の関係のないところには団体交渉などあり得ないということでありました。 第二点は、ストライキ権というものが日教組に与えられていないことは、いわば片手落ちである。ストライキ権を与えるような措置を講じるように勧告してくれとの趣旨と記憶します。これに対しましては、日教組の組合員が公務員であるというゆえをもって、そのゆえの身分地位にかんがみて、これに対して日本の制度上ストライキ権が与えられていないということは、結社の自由その他の条約の趣旨から見ても当然のことであるということでありました。 第三点は、たとえば教育課程、道徳教育の再開、あるいは地理、歴史教育の教科等の問題を初めとして、これらの問題についても日教組と文部大臣との間に団体交渉を持って定めて実施すべきにかかわらず、一方的にやっておることは不当である。だから、すべからく団体交渉を通じて事をきめるようにと日本政府に勧告してくれとの趣旨であったと思います。これに対しまして、結社の自由委員会は、それらの課題は教育政策の課題であるから、労使間の団体交渉事項とはなり得ないということであったと思います。 第四点は、在籍専従者の制度を日本政府はILO八十七号条約批准と同時に廃止しようとしておることは不当である、だから在籍専従者の制度を存置するように日本政府に勧告してくれとの訴えもありました。これに対しましては、結社の自由委員会としては、八十七号条約批准を機会に、従来制度上認められておるだろうけれども、在籍専従者の制度は廃止することがILO関係の条約の趣旨から見ても当然のことであるということでありました。 五番目には、いままでいろいろと実力行使その他で刑事処分を受け、行政処分を受けておるけれども、これは日本政府の弾圧行為の結果であるから、すみやかにこれらの処分を取り消すように日本政府に勧告してくれとの趣旨であったと思いますが、これに対しましては結社の自由委員会は直接答えないで、日教組の破壊的活動は結社の自由のたてまえからいって容認しがたいという趣旨の決定を下したのであります。 そのほか地域的な具体的問題につきましても、組合に対する干渉だ、弾圧だというこまごました訴えもあったようでありますが、おもな点は以上五つであったと承知いたします。
○森山委員 ただいま文部大臣の御説明によりまして、国内的にもいろいろ日教組の騒ぎ立てて問題にした事柄は、文部大臣のき然たる態度によって、これに対して正しい姿勢をもって対応されてきた、しかもこれが国内で通らないということになると、ILOの場まで相当こまごました問題まで含めて——いまおもな点五点については御説明がございましたけれども、それらのことごとくがILOにおいて通るところとならない、むしろ提訴したところの日教組のほうが国際的にその行き方について少なくも尊敬を受けるというようなことにはなってない、むしろ日本の労働団体として好ましからざる結果を受けておるというふうに私どもは理解をいたしたわけでございます。 先ほど来の当面のILO八十七号条約の批准に関連いたしまして、大臣から持っておられるお考えを率直に伺うことができましてまことにありがとうございました。ちょうど参議院のほうの委員会もおありのようでありますから、どうかこれでお引き取りになってけっこうでございます。政府委員のほうは残っていていただきたい。
○倉石委員長 この際、委員長から政府側に要望いたしておきますが、ただいま森山委員の御発言になりました日教組の提訴及びその結社の自由委員会の裁定は、たいそう広範なもののようでありますけれども、なるべく要領よく書き出しまして、資料にして全委員に配付せられるように要望いたします。
○森山委員 それでは、前回に引き続いての質疑を行ないたいと思います。 前回の質疑におきまして問題になりました職員団体の交渉の問題で、今回提出されました改正案の条項では、ちょっと誤解を招くおそれもあった点がございました。この点について大臣並びに政府委員の御答弁の中には、ちょっと混乱があったように思いますので、この機会にとりまとめて政府の見解をお示しを願いたいと思います。
○大橋国務大臣 登録されました職員団体に対しましては、政府当局といたしましては積極的に交渉に応じるたてまえをとるのでございます。と申しますのは、登録された職員団体はその構成、組織、運営等が十分事前に審査されておりまするので、これは職員団体として当局の交渉の相手方となる資格ありということを事前に承認をされておる団体であるからでございます。これに反しまして非登録職員団体につきましては、そのようなたてまえにはなっておりません。しかしながら、申すまでもなくこれらの団体が当局と交渉することはもちろん妨げる趣旨ではございません。当局といたしましては、登録されていない職員団体につきましては、まず交渉に先立ちまして、その責任において、構成、組織等から、その団体が職員団体として交渉をするに適当なものであるかどうかということを判断し、その判断に基づいて初めて交渉を受け入れることになるからでございます。
○森山委員 ただいまの労働大臣の御答弁でおおむねけっこうだと思っておるわけでございますが、国際労働会議第四十回の報告の三に、公務員は公務員だけの組会をつくっても条約違反ではないということをはっきりいってあるように思うのであります。おそらくこの趣旨に沿って職員団体の職員構成等を御検討になるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○大橋国務大臣 職員がどのような労働者団体を結成するかは職員の自由であり、これを禁止するつもりはございません。しかしながら、公務員法上職員団体という定義がなされておることに対応いたしまして、結成された事実上の労働者団体が職員団体であるかどうかということは、その構成員あるいは組織、運営の実態等によりまして、社会通念に従って決定されるべきものと考えます。
○森山委員 ただいまの御答弁と、国際労働会議第四十回の報告の三というものに、公務員は公務員だけの組合をつくっても条約違反ではないという回答があったように聞いておりますが、それとの関係について、おおむねこの線に沿ってのいまの御答弁だというふうに理解してよろしゅうございますか。
○大橋国務大臣 そういう趣旨だとおとりいただくことはけっこうであると思います。
○森山委員 では、次の質疑に移りたいと思います。 改正案によりますと、当局と職員団体の交渉について、国の事務の管理運営に関する事項はその対象とすることができないということになっておりますが、現行制度ではどうなっているか。また、これとILO八十七号条約との関係はどうなっているか、御説明をお願いいたしたいと思います。
○増子政府委員 現行法のもとにおきましても、行政機関の活動のための包括的、統括的権限に属すべき事項、いわゆるここで申します管理運営事項につきましては、もちろん交渉の対象にはならないというふうに解釈され、運用されておるわけでございます。したがいまして、改正法案におきましてはこれを法律上明記したということでございまして、現在の実態を何ら変えるという考えはないわけでございます。 なお、御質問のうちでILO八十七号条約との関係についてお触れになったのでありますが、この条約の保障しております団結の自由ということは、もちろん勤務条件の改善等、そうした経済的なものの改善を目的としておるわけでございますから、それと直接関係のない管理運営事項につきまして交渉の対象にならないということにつきましては、この条約の趣旨に反するというふうには全く考えていないわけでございます。
○森山委員 そこで、この職員団体の交渉の問題でございますが、今度の改正法案によりますと、この交渉のやり方について、たとえば「交渉は、職員団体と当局があらかじめ取り決めた員数の範囲内で、職員団体がその役員の中から指名する者と当局の指名する者との間において行なわなければならない。交渉に当たっては、職員団体と当局との間において、議題、時間、場所その他必要な事項をあらかじめ取り決めて行なうものとする。」というようなことが書いてございます。その他ございますが、人数を制限する、あるいは議題、時間、場所、そういう点をはっきりきめてやるんだということが書いてあるわけでございます。私ども常識からすれば、これはきわめて当然なことでございますが、なぜこういう当然なことを法律に書かなければならなかったか、ひとつその間の経過を伺いたいのであります。
○増子政府委員 今回の改正法案に、ただいまお話しのような交渉に関する手続を設けたのでございますが、このねらいといたしますところは、あくまで当局と職員団体との交渉が合理的な秩序に従って、しかも目的にかなうような方式で行なわれること、それを念願いたしまして、そのためのルールをここに規定したという趣旨でございます。考えてみればあたりまえのことではないかという御意見でございますが、確かに一般にこの交渉関係というようなことを考えます場合は、だれが考えましても、このような手続というものが考えられるものであるというふうに私どもも考えているわけでございます。ただ、御承知のように、当然のことが必ずしも実際にはなかなかそのとおりにいかないということもございます。なお、従来この職員団体と当局との交渉というような形は、いろいろな場合に行なわれておるわけでございますが、そうしたいままでの経過に見ましても、やはりこういったルールというものが十分確立され徹底されることが必要であろうということで、特に今回の改正法案におきましては法律で明記したということでございます。なお、この改正法案に列記しております事項のうち、一部は現在でも人事院規則によって定められているものでございます。
○森山委員 ただいまのお話を伺いますと、書いてあることはきわめてあたりまえだ、しかしあたりまえのことがあたりまえに行なわれないところに問題があるんだ、そういう例もあるやに承っておったのであります。あたりまえのことがあたりまえに行なわれないような面がわが国労働運動の一部にあるとすれば、これはまことに遺憾にたえないところでございまして、どんな例があるのか、公務員調査室長は現場をお持ちにならないので、現場をお持ちの方は、文部省とかあるいは自治省あたりにもそういう事例を取りまとめられてあるかもしれませんが、これは国家公務員法、地方公務員法通じての問題でございます。こういう規定がなぜ必要であるかということについての具体的事例の一、二を、ひとつこの機会にここで披露していただきたい。
○佐久間政府委員 御指摘の規定が設けられました事情につきましては、先ほど他の政府委員から申し上げたような理由でございます。具体的にどんな事由があるかということでございますが、手元にとりまとめた資料もございませんが、二、三記憶いたしておりますことを一例として申し上げますと、某都道府県の税務署員が税務署長に対しまして、要求が正当である旨の文書に捺印することを強要いたしまして、拒否いたしました署長を軟禁、つるし上げを行なったというような事例もございます。また、某市の職員組合が交渉の際、市長の耳元で拡声機によって大声を発したために、市長が入院を必要とするという診断を受けたというような事例も報告を受けております。また、最近ありました例でございますが、某市におきまして、市長、秘書課長を軟禁いたしまして、午後三時ごろから翌日午前三時ごろまで交渉いたしました結果、秘書課長が疲労のあまり卒倒したというような事例も耳にいたしておるわけでございます。
○森山委員 こういうことは、終戦後の混乱した時期ならば、まだ交渉にふなれであるために行き過ぎがあったこともやむを得ないという見方もできますが、もう戦争が終わって今日まで二十年近い。しかも最近の事例として、いまどこの市だか知りませんが、市長や秘書課長が午後三時から翌日の午前三時ごろまで軟禁をされて、卒倒をするというような驚くべき交渉が今日なお行なわれていることを聞きまして、まことに遺憾にたえない。私はすべての職員団体がそうやっておるとは思っておりませんが、一部にしろそういうものがあるということは、実はまことに意外でございまして、ほんとうはここまで書かなくてもよいようなものを、ここまで書かざるを得ないという気持ちは十分了解できるのであります。私も、かつて勤評闘争その他の問題で、だいぶ日教組関係で問題を起こしたことを記憶しております。念のために、この機会に文部省のほうから、日教組関係のこの種の事態についてひとつ御説明を願いたい。
○今村説明員 記憶でございますので、日にちなどが食い違うかもしれませんが、昭和三十三年度、勤務評定の時代に、高知県で組合員が教育委員長、教育長を二日にわたって囲み、交渉して、眠らせず、食事をとらせずに、困った事態がございました。それから三十四年になりまして、大阪府で、組合員が二十四時間をこえて校長を囲んで交渉し、十八名の校長が入院をするという結果もございました。そのうち一人、夕陽丘の校長は入院後学校に出てまいりましたが、疲労の結果死亡するという事態がございました。それから京都で、組合員が校長と二十四時間以上交渉して、校長が胃かいようになって入院するという事態もございました。それから三重県では同じようなケースで、教職員課長が二十四時間以上にわたって交渉し卒倒するという事態がございました。岐阜県でも似たような事件がございました。その他、あちこちに類似のケースがございました。
○森山委員 ただいま自治省並びに文部省のほうから、そういうような事例の二、三と申し上げたのですが、二、三にとどまらない、非常に多いということが判明をいたしました。しかし記憶によるとか、手元に十分な資料がないからという御答弁でございましたが、こういう種類のことがあったということについては、私は委員長にお願いして、そういったおもな事例についての資料をこの委員会に提出をしていただきたいと思っておるわけでございます。委員長、よろしゅうございましょうか。——それから、私は先ほど申し上げましたように、こういうむちゃなことをやった例があり、しかもその数は必ずしも一、二にとどまらない。すべてのものがそういうやり方をやっているとは私は申しません。しかし正常なやり方をやっているところでは、こういうような手続の規定が設けられるということは、むしろかえってルールができて仕事がやりよくなるという意味で、私は大部分の職員団体の諸君はこれに賛成をするだろう、異議を述べるものはないと思う。もし反対するものがあるとするならば、こういうルールにそれたところのやり方をいままでもやってきたし、これからもやろうとする諸君が反対するに違いないと私は思う。もしそうであるとするならば、こういう規定はほんとうはあたりまえのことなんですから、置いておく必要がないようなものであるけれども、反対があるだけに、これはぜひともこういう規定はやむを得ないこととして置かざるを得ないのではないかというような感じを持った次第でございます。 それから、次の問題に移りたいと思います。ここで国家公務員法も地方公務員法も、不利益取り扱いの禁止について規定をしておりますが、その不利益取り扱い禁止の規定のただし書きとして、「いかなる場合においても、法令に基づく職員たるの義務に違反する行為は、職員団体における正当な行為と認められない。」私は、法令に基づく職員たるの義務に違反する行為を職員団体がやろうとは思わない。しかしながら、そういうような法令に基づく職員たるの義務に違反する行為をやって、職員団体における正当な行為だというようなことを主張された例があるのですか。これも当然なことが書いてあるのだが、あらためてこういうただし書きを規定した、これはどういうわけなのか、ひとつ伺いたいし、特にこういうものを規定せざるを得ないということについての経過、沿革というようなものについてもひとつお聞かせを願いたいと思います。
○増子政府委員 この点につきましても先ほどの場合と同様でございまして、現在におきましても、ただし書き等の明文を待つまでもなく、同様であるというふうに考えておるわけでございます。しかし、先ほどの場合と全く同様でございますが、当然のことが必ずしもそうでないというふうに思われる状況がございますために、またそうしたことが全くなくなるということがきわめて望ましいことでございますので、そういう意味におきまして、いわば念のためといいますか、そういうことでここで規定をいたしたわけでございます。
○森山委員 これまたあたりまえのことなのであるが書いた、こう言われるのですが、公務員調査室長に伺いますが、政府としてこういうことをあらためて書いておかなければならぬというふうに、提訴されたりあるいは問題になったというような事項をいま具体的にお持ちですか。
○増子政府委員 たとえば、争議行為の禁止というようなことは当然法律に規定されておるわけでございます。しかし、それにもかかわらず、組合運動の一環としましてしばしばこの規定がきわめて励行されないというような事態がございましたことは、これは世間一般に周知のことでございます。そういう意味合いにおきまして、この点はやはり明確に注意を喚起する必要があるということでございます。
○森山委員 いまの不利益取り扱い禁止の第百八条の七のただし書きについて、法令に基づく職員たるの義務に違反する行為が、職員団体における正当な行為だということでやって、しかもこれが裁判所等において問題となって、こういう趣旨において職員団体における正当な行為と認められないといったことについての判例等が出ておると思う。そういうものをひとつ資料として出していただきたい。
○増子政府委員 御要請の資料は提出することにいたします。
○森山委員 次の問題に入りまして、今度の地公法には、チェックオフの問題について第二十五条に第二項を設け「職員の給与は、法律又は条例により特に認められた場合を除き、通貨で、直接職員に、その全額を支払わなければならない。」労働基準法の第二十四条の適用除外を、国家公務員と同じようにされるということになったわけでございます。そこでチェックオフというもの、組合費の月給からの天引き制度というものは、国家公務員においては現在認められておらない。また地方公務員においても、今後この改正法案によって認めないということにする。これは当然簡単にわかることでありますけれども、ILO八十七号条約との関係、それから今日国家公務員において、チェックオフの禁止がどの程度励行されておるかということについて、この機会に御説明願いたいと思います。
○増子政府委員 国家公務員につきましては、御承知のいわゆる一般職給与法に基づく人事院規則によりまして、いわゆるチェックオフが禁止されておるわけでございます。したがいまして、この規定によりまして各省庁におきましては、法令に定められたもの以外はチェックをしてはならないということで実施をされておるというふうに承知をいたしております。
○森山委員 労働大臣にお伺いしますが、国家公務員におきましては、月給から組合費を天引きしてはならぬということになっておりますが、それは確実に励行されているとお考えですか。
○大橋国務大臣 いま公務員調査室長から申し上げましたとおり、そういうことになっておって、励行いたしておるわけでございます。
○森山委員 ただいまチェックオフの禁止が励行されていると思うというお話でございますが、われわれの聞いておるところでは、一部にチェックオフの禁止が励行されてないという、ところもあるやに聞いておるのであります。私の知っている範囲においても、例をあげればできないことはございません。ごく一部でございますが、もし励行されていないところがあります場所については、大臣としてはどういうふうにお考えになりますか。法律にきめてあってもやらないというのでは、どんな法律をきめてもしようがないということにもなるわけでございまして、これから地方公務員に、これを国家公務員の例にならってやろうということでございますから、国家公務員の例はきわめて重要でございまして、法律に規定されておっても実行できなければ何にもならない。私は率直に言って、現在においてこれが一、二のところにおいて励行されていないという例を知っておる。今後の問題がございますから、ひとつこの問題についての大臣の御見解並びに御決意を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 この問題につきましては、人事院において責任を持ってその励行を確実にされるべき事柄でございますから、もしそれに反するような事実がありましたならば、人事院に十分に注意を喚起したいと存じます。
○森山委員 人事院の総裁に伺いたいと思います。
○佐藤(達)政府委員 ただいま労働大臣からお答えいたしましたように、給与の監査という権能を人事院に与えられております。したがって、私どもとしては人員の許す限り、各省に出向きまして給与簿の監査をやっております。しかしながら、この給与簿の監査の上に出ておりますものと隠れておりますものとございますので、あるいは隠れておるものに目が届かないということはありましょうけれども、われわれの承知しておりますところでは、そういう面ではっきり出てきたというものはないと考えております。ただし、給与局長もただいまおりませんから、詳しいことはあとでまた別の機会にお答え申し上げます。
○森山委員 これからチェックオフの禁止の問題が地方公務員に実施をされることに、この改正法案が通ればなるわけでございますが、ちょっと心配なことは、いままで月給からの組合費の天引きをやっておったところが、この法律が通ることによってできなくなる。そうすると、いわば一つの脱法行為としていろいろなことを考えるだろう、こう私は思うのです。この地方公務員法によりますと、条例で天引きする場合を規定すればいいことになっておりますから、たとえば何らかの場合に、貯金の名目で毎月、月掛けみたいな形で月給から事実上の組合費の天引きをやるというような脱法行為が行なわれないとは限らない。その程度に踏んでおいたらよろしかろうと私は思っておるわけですが、この辺の事情について自治省はどういうふうに考えるか、ひとつ見解を承りたい。
○佐久間政府委員 私ども調査をいたしましたところでは、現在地方公共団体の中でチェックオフをいたしております職員団体は、全体の九%程度の数でございます。ただいまお話のございましたような貯金の名目で云々というところまでは、私どもも承知をいたしておりません。法律が成立いたしましたならば、法律の趣旨をくみまして指導をしてまいるようにいたしたいと思っております。
○森山委員 自治省としては、そういうことのないようにこれから特に注意をしていくというお話があったわけでございますが、チェックオフの問題は国家公務員、今度は地方公務員ですが、三公社五現業——三公社もチェックオフは禁止されておったように思う。私の経験からいたしますと、月給から組合費の天引きをするだけじゃない、これはILO八十七号条約によりますと自主運営の相互不介入ですから、組合費の取り立てを一々使用者側がやってやるというようなことは自主運営に反すること当然でございますし、相互不介入の精神に反することもとよりだと私は思うのでありますが、特に留意すべきことは、闘争資金まで月給から差っ引いているというような例が現実にあるわけでございます。私はこういうような三公社の例などを見ておりますと、どうもいささかどうかなという感じを持つのですが、労働大臣の御所見はいかがでございましょうか。
○大橋国務大臣 三公社五現業につきましては、法律上チェックオフを制限いたしておるような規定はございません。これは労働組合と使用者との団体交渉によってその辺のことがきめられるたてまえに相なっておるのであります。現実には、従来は相当数の組合がチェックオフを交渉によって実施いたしておったのでございますが、最近におきましては三公社五現業とも、理事者側は、国家国務員法に準じまして、逐次チェックオフはやらないという方向に進みつつあるのでございまして、法律上の取り扱いといたしましては、国家公務員法とは違いますので、あるいは例外が多少残っておるかもしれませんが、それは脱法行為というような事柄ではなく、新しい理事者側の方針がまだそこまで十分実行されていない、しかし逐次実行されつつある、その間における問題だ、かように理解をいたしております。
○森山委員 私のことばがちょっと足らなかったのですが、労働基準法第二十四条、いわゆる二四協定なるものが要るわけでございます。ところが、二四協定が締結されてない場合、そういう際においてはチェックオフをする必要はないわけです。そういう無協定の状況において、そしてまた趣旨として月給から組合費を差っ引かないというたてまえで、協定を結んでおらない、そういう状況においても、事実上の差っ引きをやっているという事例があとを断たない。だから法律上禁止されている場合、それから労働基準法の適用によって協定が結ばれていない場合、これは各企業体あるいは官庁において同じ状態になるわけでございます。そういう際においても、その実施状態について趣旨どおりいっていない。三公社のほうでは二四協定を結んで月給から組合費を差っ引いてやるというようなことはやらないという方針をきめても、そしてそういう趣旨から二四協定を結ばなくても、実際上給与から組合費を天引きしている例が決してないとはいえない。そういう問題について政府の方ではどうお考えになるか。
○堀政府委員 ただいまお話しのように、労働基準法の二十四条では、労使間の協定によりまして賃金の一部を控除するということが認められております。私どもの聞いておりますところでは、三公社五現業につきましても、二四協定を結ばないで、しかも控除しておるというような例は聞いておりません。控除するときは二十四条に基づくところの協定を結んで控除する、これは当然のことでございます。
○森山委員 労政局長はそこまでおっしゃいますけれども、あなたと論争したくはないけれども、二四協定を締結しなくても月給から組合費を天引きしているところがあります。しかし、そういうものはないというお話なので、たいへんけっこうである、政府の管理体制はたいへんごりっぱだ、もし仰せのごとくんばという条件つきで、そう申し上げるよりほかないのであります。しかし万が一にも、せっかく法律でこういうことをきめても実行できない、協定を結ばなければならないということをきめても実行できないということでは、末端において困るわけでありますから、そういう点については、ひとつ格段の御留意を私はお願いいたしたいと思っておるわけであります。 それから次に、改正法案においては、職員の政治的行為の制限については別に法律で定めることになっておりますが、これについて政府はどういう考えを持っておるか、承りたいと思います。
○大橋国務大臣 公務員の政治行為につきましては、御承知のとおり現行法におきましては、国家公務員法の委任によりまして、人事院規則でこれを規定することにいたしておるのでございます。改正法におきましては、これを将来は法律によって制限するようにすべきものであるというたてまえをとる考えでございますが、しかし何ぶんにも、その法律を立案いたしまするには相当なる準備を要しまするので、その法律が制定されますまでの当分の間は、現在の人事院規則における制限をそのまま踏襲をいたしたいという趣旨の規定に相なっております。
○森山委員 今度の条約批准に伴って、総理府に人事局を設けるということになっておりますが、この人事機構の改革をされようとする理由について、きのう河野先生に御答弁が一部あったようでございますが、この機会にあらためてその理由について御説明を願いたいと思います。
○大橋国務大臣 従来から、人事管理の責任体制が不明確であるという点が審議会からたびたび指摘されておるのでございまして、これらの各種の審議会の意見は、国会に対して責任を負うところの内閣に人事局を置いて、そこで人事管理の責任をとるべきであるということがいわれておるのでございます。今回ILO八十七号条約を批准するにあたりまして、正常な労使関係を確立いたしまするためにも、政府側における人事管理の責任体制を同時に確立する必要があると考えまして、人事局の設置を御提案申し上げておる次第でございます。
○森山委員 そうすると、今度は総理府の人事局と人事院とが並存する、共存するわけでございますが、大ざっぱに言って、どういうような事柄を所掌するということになっておるのか、伺いたいと思います。
○増子政府委員 ごく原則的に申し上げますと、人事院は、いわゆる中立機関として内閣から独立して行なうにふさわしい事項、すなわち人事行政の公正確保または職員の利益保護という見地からいたしますところの給与の勧告でございますとか、あるいは人事行政の改善のためにする意見の申し出、あるいはいわゆる不利益処分等の審査あるいは任用における試験の実施といったような項目について所掌するということでございまして、人事行政のその他の部門に関する事項は、総理府人事局において所掌するということにいたしておるわけでございます。なお現行法におきましては、特別職の給与とかあるいは共済組合制度、または退職手当制度等は、大蔵省の主計局給与課において所掌しておるのでございますが、これらの事務も人事局に統合することにいたしておるわけでございます。
○森山委員 今度総理府に人事局を設けて、従来人事院の所掌していた仕事の一部を総理府人事局に移すというお考えのようでございますが、昨日河野先生がこの委員会の席上で、これについての人事院総裁のお考えはどうかということを聞かれたわけでございます。その際、私ははっきりしたことばづかいを忘れましたけれども、人事院総裁は、これについて何か消極的なようなお返事をなさったように思っておりますので、もう一度、どういうような御答弁をなさったか、ちょっと承りたいのであります。
○佐藤(達)政府委員 昨日の要点は、すでに国会の御審査に入っております以上は、こちらの御判断に待つほかはない、したがって意見がましいことを申し上げるつもりはありませんけれども、従来この法案に対して人事院としてはいろいろな疑問を持ってきておった、そういう疑問の点から、にわかに賛成いたしがたいという態度を表明してまいりましたということを、きのう申し上げたつもりでございます。
○森山委員 いろいろな疑問を持っているから、にわかに賛成しがたい、こういうお返事のように了解をいたしますが、いろいろな疑問というのは、大体どんなことに疑問を持っておられるのか。ごく大ざっぱなところだけ、ひとつこの際御説明を願いたいと思います。
○佐藤(達)政府委員 ごくポイントだけを申し上げます。 ただいま政府委員から申しました公務員法上における人事院の使命、しかも中立機関としての人事院の使命という点は、まさに先ほど述べられましたように、人事行政の中立、公正の確保、それからもう一つは公務員の利益の保護、これを言いかえれば、勤労者としての公務員の保護ということもできると思いますが、要するにその二つがポイントであるということは、われわれも全然異存はございません。ただその面から人事院の仕事というものを、どこまではこの原則に触れ、どこから先はそれに触れないという線を引くかどうかという考えあたりについて、この政府の原案に対してはわれわれは疑問を持っておる、一口に言えばそういうことになります。 たとえば、この法案の表に出ております形を手がかりにして申しますれば、従来人事院規則というものに大幅に委任されておった事項が、そっくりそのまま政令あるいは総理府令というものにいってしまう。ところが、従来その広い人事院規則の内容になっておったものを検討してみますと、先ほど申しましたこの二つの原則に当然含まれるものがあるのではないか、とすれば、それがそっくりいってしまうことについては、本来公務員法の期待しておる人事院の先ほどの大きな使命というものに抵触をする、そうすると公務員法の理念からいってどういうことになるか、そういう系統の疑問が、ポイントとして申し上げれば、主であると申し上げてよろしいと思います。
○森山委員 ただいま人事院の総裁から、前回の御答弁よりはやや詳細に、にわかに賛成できないゆえんをお話しになったわけでありますが、この点について政府はどういうふうにお考えか、伺いたいのであります。
○大橋国務大臣 先ほど申し上げましたるごとく、行政審議会その他の審議会におきましても、国会に対して責任を負う政府において人事行政について責任を負えるような体制を持つということが当然必要であるというような意見が述べられておるのでございまして、この点につきましては、政府もその必要を認めておるわけでございます。かような趣旨で人事局を立案いたしたのでございまして、この人事局につきまして、人事院におかれましてはいろいろ疑問を持っておられるようでございますが、私どもといたしましては、実施に際しまして、十分人事院とも協議をいたし、これらの疑問を解消いたしまして、相ともに手を携えて公務員の利益を保護し、また人事行政の公正を期して参りたいと存じます。
○森山委員 ただいまの大橋大臣の御発言は、きわめて重要だと思います。従来人事院に与えられておりました権限が大幅に総理府人事局に移された場合、そして従来の人事院規則にまかされておったものが政令に移るというような場合には、ただいま大臣からお話がありましたような、実施について今後人事院と十分御相談をしていくということになりますれば、先ほど来の人事院総裁の、にわかに賛成できない理由の一部は解消することになろうかと思うわけでございますが、人事院総裁の御所見を承りたい。
○佐藤(達)政府委員 これ以上申し上げることは、実は少しわれわれとして限界を越えるのではないかと思いますけれども、要するに、現在の国家公務員法のねらいとしておる理念というものが貫かれれば、われわれとしてはたいへん喜ばしいことと存じます。
○森山委員 質疑もだいぶ長時間にわたりましたし、社会党の諸君も腹がすいたという話でございまして、われわれのほうもその点全く同感でございますから、まだ御質疑申し上げたいことはたくさんございますけれども、最後に一つだけ御質疑申し上げて私の質疑を終わりたいと思います。 今度のILO八十七号条約の批准に伴う国内法の改正に際して、各方面からいろいろな御意見があるようでございますが、その中に、公務員の団体協約締結権を内容とする団体交渉権を与えるべきだというような意見があるわけでございます。そういう意見について、現に主要な諸外国の取り扱いは一体どうなっているだろうかという大体の推移と、それからまた当面これについて政府はどうお考えになっているかということについてお答えを願いたいと思います。
○大橋国務大臣 諸外国の例につきましては、後に政府委員から申し上げます。 確かにILO条約批准に際しまして、公務員に団体交渉権を与えろという議論が出ております。御承知のとおり現行法におきましては、国家公務員につきましては、一部の人々には協約締結権を含む団体交渉権が与えられております。これはいわゆる現業関係の職員でございます。これに反しまして、現業以外の事務に従事する公務員に対しましては、団体交渉をすることは認めるけれども、団体交渉に基づいて政府当局と協約を締結することはできないということに書いてあるのでございます。この意味は、たとえ協約を締結した場合においても、その協約は法律上拘束力を持つものではない、いわゆる紳士協約にとどまるものだというような意味に解釈すべきであると思っておるのでございます。もちろん団交権を与えろという主張は、この団体交渉を通じてでき上がった団体協約に対して、今後は法律上の拘束力を付与すべきであるという議論であると了解いたすのでございまするが、御承知のとおり、現行の国家公務員に関する制度といたしまして、公務員の勤務条件その他に関しましては、おおむねわが国の体制は法律をもって規定をいたしてあるわけでございます。したがいまして、国会によって制定された法律に規定された事柄が他の話し合いによって、すなわち労使間、政府及び公務員間の団体交渉によってその内容が当然に変更されるというようなことは、これは制度上全く考えられないわけでございまして、かような意味において完全なる団体交渉権、協約締結権というようなことはもちろん問題にはなりません。したがって、法律上の効力を認める場合において、かような現行の法律の内容と異なった内容の協約ができた場合には、いかにそれを取り扱うべきか、それに対する法律上の効力というものはいかなる性質のものであるべきかというような基本的な問題があるわけでございます。そのほか、団体交渉権を認めるということになりますると、いかなる範囲の事柄について認めるか、そして先ほど申し上げましたとおり、認めた場合においても、法律その他現行制度との関係をいかにするかというような問題もございます。また公務員の従事しておる仕事の性質によりましては、政府と団体交渉をするということが適当かどうか大いに問題になる職務に従事しておる人もあるわけでございまして、いろいろ公務員につきまして団体交渉権ということを考えてまいりますと、今日検討を要する問題がたくさんあるのでございます。もちろんこれらについては、外国の例はそれぞれについてあるわけでございますが、しかしやはり公務員制度は国家の行政権の根本に関する問題でございますので、それぞれの国の事情等によりまして、その取り扱いもいろいろでございます。わが国の公務員制度としていかなるものが適当であるかということになりますと、これは政府といたしましても今後検討すべき重要なる問題ではあると考えますが、しかし簡単に結論の出る問題とは考えられません。今後いろいろな機会に、政府といたしましてはなお十分この問題を研究してまいりたいと思いますが、いまそれについて申し上げる段階ではございません。
○増子政府委員 諸外国の例はどうなっておるかという御質問でございますが、私ども調べております範囲はいろいろな国にわたっております。もちろんこれは網羅的でございませんが、それらの中で一つ一つについて申し上げる時間はないと思いますので省略させていただきますが、ただいま大臣からもお話がございましたように、公務員制度自体が各国によりまして、その国の歴史なり国情によって変わっておるわけでございます。簡単に申し上げますと、公務員の範囲というものも国によって若干の差があるわけでございますので、日本の場合と比べまして、日本の公務員といわれておるものが外国で全体としてどうなっておるかという比較はきわめて困難でございます。それらの点を省略して申し上げますと、たとえばドイツのごときは、いわゆる官吏というものとそれ以外の職員、これも政府職員でございますが、それは別になっておるわけでございます。官吏については協約締結権は行なわれておりません。その他のものは民間と同様な扱いを受けておるというようなこと。それからイギリスの場合は、別に一般公務員について官吏その他という分け方はございませんし、全体を通じて大体同じ方式でございます。これも法律的にいう協約締結権というふうには考えられない実情でございます。いわゆるホイットレー協議会を通じての協定ということがございますけれども、これは最終的には国会の承認ということによって初めて効力を生ずるというような形でございます。それからフランス、アメリカ等も若干それぞれの国情に応じた取り扱いをいたしておりまして、いわゆる民間と全く同様な協約締結権が国家公務員全体に与えられておるという例はきわめて少ないように存じております。
○森山委員 ただいま政府委員のほうから、外国の立法例のごく大ざっぱなところ、それから公務員の団体交渉権、特に労働協約の締結権を内容とする団交権についての、いわば法律的な見解を大橋大臣から承ったわけでございます。わが国の官公労労組の現実の行き方というものを見てまいりますと、この問題については先ほど人事院総裁のお使いになった、にわかに賛成できないということばがございますが、にわかにという形容詞すら要るかどうかについて疑念を持っている方が、私はたいへん多いと思うのであります。そこで、願わくはこの問題につきましては、法律上の検討もさることながら、やはり政治家として、日本の労働運動の健全な発達という観点から、はたして現在主張されておるような団交権を付与することが適当かどうかということについて、一つの政治的なアプローチをされた御見解をお持ちのことと思いますが、だいぶ時間も切迫しておりまして、一時までに私の質疑を終わるということになっておるようでございますから、それについての大臣の御答弁は格別承りませんが、十分ひとつそういう観点からも御検討を加えられるように希望をいたしておきます。 この機会に委員長にお願いをしておきますが、この種問題についての外国関係の資料の提出を政府側に要求していただきたいと思います。 長時間にわたりましたが、時間もまいりました。残余の質問は、後ほど委員諸君の質疑されます際に関連質問として質疑させていただくことにいたしまして、私の質疑を終わりたいと思います。
○倉石委員長 この際、暫時休憩いたします。 午後零時五十五分休憩 ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕