国際労働条約第八十七号等特別委員会 第3号
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- 開催日
- 1963/06/25
会議録
○小笠委員長代理 これより会議を開きます。 委員長が本日所用のため出席できませんので、委員長の指名によりまして、私がかわって委員長の職務を行なうこととなりましたから、よろしくお願いいたします。 結社の自由及び団結権の保護に関する条約(第八十七号)の締結について承認を求めるの件、公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律案、地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律案、国家公務員法の一部を改正する法律案及び地方公務員法の一部を改正する法律案の各案件を一括議題とし、質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。森山欽司君。
○森山委員 ILO八十七号条約及び関係国内法案が国会に提出されましたのは、昭和三十五年四月二十八日の第三十四回通常国会でございました。今日は昭和三十八年六月二十五日、法案が提出されましてからまさに満三年余を経過して、国会は四十三国会になっておりまして、十国会目で与野党の質疑に入り、審査がようやく軌道に乗るようになったわけでございます。この法案が提出されるまでの経過を加えてみますと、おそらく六年越しの懸案であろうかと思っておるわけでございますが、問題が起こりましてから、さらにまた法案が提出されましてから、相当長時日を経過しておりますので、この法案の内容の理解ということについて、私ども必ずしも十分でない情勢にあろうかと思います。 そこで私は、まずこういうILO八十七号条約及び関係国内法案が提出されるに至りました問題の発端、事の起こりは何であったか。この条約の批准自体は、わが国における結社の自由が憲法その他の法律によって保障されておるのでありますけれども、さらに国際労働条約の水準まで高めるというふうに理解はいたしておりますものの、しかし、そういう筋だけではなくして、事の起こり、問題の発端ということについて、政府側の説明を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 私の就任前の古いこともございますので、答弁の正確を期する意味で政府委員からお答えさせていただきます。
○堀政府委員 ILO八十七号条約の問題が取り上げられましたのは、御承知のように、この条約は昭和二十三年のILO総会において採択されたものでございます。そこで、国内的にその経緯を申し上げますと、昭和三十二年、四十回のILO総会におきまして、日本の国内の諸組合からの提訴等がありまして、その問題がILO総会において取り上げられたのでありますが、政府におきましても、問題の重要性にかんがみまして、同年九月、ILO八十七号条約の批准の可否につきまして、労働問題懇談会を労働省に設置いたしまして、これに諮問したのであります。 この懇談会は、昭和三十四年二月十八日、政府に対しまして次のような答申を行ないました。それは、 ILO八十七号条約は批准すべきものである。右条約を批准するためには、公労法四条三項、地公労法五条三項等を廃止しなければならない。この廃止にあたっては、関係諸法規等についての必要な措置を考慮する。要は、労使関係を安定し、業務の正常な運営を確保することにあるので、関係労使が国内法規を順守し、よき労働慣行の確立につとめることが必要である。 以上のような要点を内容といたしますところの答申を政府に対して行なったのであります。政府はこれを受けまして、昭和三十四年二月二十日の閣議におきまして、 八十七号条約を批准するとともに、これに伴いまするところの公労法四条三項、地公労法五条三項の廃止にあたりましては、業務の正常な運営を確保するために関係諸法規について所要の改正を行なう、これらの措置を講じた後、条約批准の手続をとるものとする。 まだそのほか細目はございまするが、以上のようなことを骨子といたしまする閣議決定をいたしました。それに基づきまして法案の提出に至ったわけでございます。 大体、国内的にILOの批准問題が脚光を浴びるに至りましたのは以上のような経緯でございまして、その後、ただいま先生お話しのように、国会に関係法案を提出いたしましたが、そのつど審議未了になるというようなことで今日に至っておるわけでございます。
○森山委員 私がお伺いしているのは、法案作成に至るまでのそういう立法的な準備段階の話を伺っているのではなくして、先ほどお話がありましたように、昭和三十二年にILOに組合のほうから提訴された。一体どういうことを提訴したのだということであります。そして、自来今日まで、ILOにおいてこの条約を批准した国は六十一カ国あるというふうに聞いておりますが、その中で特に日本の問題が大きく取り上げられてきた。また、国内的にも、この問題が早急な解決を望まれながら、難渋をしておった大きな問題であった。そのことは一体何であるかということを、もう少し明確にしていただきたいと思います。
○堀政府委員 先ほど私がちょっと簡単に申し上げたのでございまするが、国内の労働組合におきましてILOに対して申し立てをいたしましたのは、当時の機関も労組及び全逓でございます。機関車労組は、昭和三十二年の春の賃金引き上げをめぐる紛争に際しまして、公労法に違反して争議行為を行なったので、国鉄当局は、その責任者として組合の役員を解雇したのでありますが、これらの組合は、この被解雇者を事実上の役員としてとどめたのであります。国鉄当局は、これに対しまして、公労法四条三項の規定に抵触するものとして、機関車労働組合及び同じような事態のありました国鉄労働組合との団体交渉に応じないこととしたのでありますが、機関車労組は、昭和三十三年の四月、ILOに対しまして、公労法四条三項は労働組合権を侵害するものである、こういう申し立てを行なったのであります。 次に、郵政関係につきましては、昭和三十三年春の賃上げの紛争に際しまして、同じく公労法違反の争議行為を行なった全逓労組の役員を解雇したのでありますが、全逓労組がこれらの被解雇者を事実上役員としてとどめたので、郵政当局は、やはり団体交渉に応じなかったのであります。これに対して、全逓労組もまたILOに対して申し立てを行なった、こういうことになっておるのであります。 その後、同じくこれらの問題につきまして、現在までILO結社の自由委員会において審議されておりますこの日本に関する事件、これは百七十九号事件と一括して呼ばれておるのでありますが、国内の組合としては総評、機労、全逓、日教組、国公共闘、国労、自治労、それから国際組合といたしましては、国際自由労連、国際運輸労連、国際郵便電信電話労連、国際公務員連合、国際自由教員連合、こういうような各組合から申し立てが行なわれておるのであります。 これらの申し立てを大別いたしますると、一つは当局側の労働組合権侵害の具体的な事実を訴えておるわけでございます。それから第二には、先ほど申し上げましたように、公労法四条三項に違反しておるというような問題、その他法律上の問題につきまして、法律制度が八十七号に違反しておるというような点につきましての申し立てがなされておるわけでございます。 以上が、大体今日までILOにおいて八十七号関係をめぐりましていろいろな審議が行なわれておる発端になった問題でございます。
○森山委員 ですから、初めから、この事の起こりは、昭和三十二年の春に国鉄や郵便などの公共企業体の組合が違法な争議行為を行なったことだ、そういうことから問題が起きたのだということをはっきりお話ししていただければけっこうだったんです。 昭和三十二年のいわゆる春闘におきましては、各企業で、法の禁止に違反して争議行為が行なわれた。国鉄は一番激しかったのでありまして、勤務時間内の職場大会や、順法闘争などと称する争議行為が繰り返して行なわれました。その結果、汽車や電車は運休となったり、おくれたりしたものが全国で何千本も出ました。通勤者や旅行者が大きな迷惑をこうむったことはもちろん、生産者が出荷ができなかったり、送った荷物が途中で滞ったり、生鮮食料品で腐るものが出る。国民大衆の受けた有形無形の損害はばく大なものであった。こういう状態に対して、国鉄当局が、当然の措置として、違法行為の責任者である国鉄労組及び機関車労組の三役等二十三名を公労法十八条の規定に基づいて解雇した、そういうことが問題の起こりであったのだということを、この審議を始める前に明確にしておく必要があろうと私は思うのであります。 また、全逓の場合におきましても、昭和三十三年の春闘におきまして、郵便事業の職員の組合である全逓労組が、公労法の禁止に違反して違法な争議行為を行なった。その結果、三役を含む七名を解雇したのをはじめ、多数の者が処分を受けた。このときの全逓労組の争議行為は、みずから公労委に調停を申請しておきながら、調停案を自分たちの組合に有利にするために公労委に圧力をかけると称して行なわれた言語道断なものであった。この争議の結果、何十万という郵便や小包が最高十日から一週間もおくれ、国民が非常な迷惑をこうむった。特に就職や入学試験の通知が届かなかったためにせっかくの就職の機会を失ったり、入学ができなかったというような事態が生じたことは、人道問題とさえいえるのであります。こういう違法なる行為に対して、郵政当局が三役の解雇その他の処分を行なったことは、当然過ぎるほど当然の事態である。にもかかわらず、それらの解雇されましたところの組合幹部が、従来の組合の役職に居直る。それは公労法に違反する。その結果、団交拒否というようなことになり、裁判にも出したが、裁判に本、負けてしまった。なかなか話がつかない。中途に公労委のほうからあっせん案が出てまいりました。そのあっせん案によって当面の収拾はしたが、機関車労組あるいは全逓等は、ついにこれを国際舞台に持ち出した。自分たちの違法な争議行為を海外に持ち出して、海外の援助を請うてみずからの立場を合法化しようとしたのがこのILO八十七号条約の問題の発端ではなかったかと私は思うのです。これに対する労働大臣の一所見を伺いたい。
○大橋国務大臣 どういうふうに考えるべきか、私といたしましては、このILO条約は日本がILOに加盟をいたしておりまする以上は、ILOの基本的な原則を示しておる条約でございまするので、これに加盟をするように日本としては取り運んでまいりますということは、これは加盟当時から当然のことではなかろうかと思うのでございます。むろんこのILOの加盟問題が、国内問題としていろいろな経緯をとってまいっておりますその間におきましては、御指摘のように、国内労働組合の法規違反の事柄がILOに提訴され、これらがいろいろILO問題について国内に反映をいたしておるということも十分に認めることができるのでございますが、ともかくILO条約の批准ということの根本は、日本がILOに加盟をいたした当時からの基本的な問題でありますし、またこれに加盟するということが、日本の国内の労使間の将来のために好影響をもたらすものと確信をいたす次第でございます。
○森山委員 労働大臣が言われようとすることは、問題の発端は違法な争議行為であった、それについてその違法な状態を打開する道がない、その窮地を打開するために組合は海外に援助を求めた、それがILO八十七号条約の問題の発端であったということはお認めになるが、しかし、今回ILO八十七号条約を批准しようとするのは、そういう違法な行為を是認するというような考え方は毛頭なく、ILO八十七号の本来の趣旨に沿って結社の自由というものを——これはわが国においては憲法でも、あるいは関係法律においても十分保障されておるが、さらに国際労働条約の線にまでその水準を高めようというのが今回の御提案の趣旨である、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますか。
○大橋国務大臣 まさに私のお答え申し上げたいと思いましたことを、私以上に明快にお話しがございました次第でございます。
○森山委員 ということでございますならば、この八十七号条約及び関係法案の御提案の趣旨は了解するにやぶさかではないのでございます。そしてまた、これらの問題については、昨日も提案理由の説明におきまして関係者大臣からお話しがございました。 ただ、この八十七号条約の批准と関係法律案の提出につきまして、世上、特に急進政党の方々並びにわが国言論界及び文化人の一部から、これをもって便乗改正であるというような意見を述べる者があるのでございます。これについて労働大臣はどういう御見解を持っておられるか。便乗と考えておるのであるか、あるいは、便乗ではない、こうやることが当然のことであるとお考えになっておるのか。この辺の事情について御説明を願いたい。
○大橋国務大臣 ILO条約批准に伴います関係法案は、自由にして民主的な労働組合の発展を期するという労働政策の基本的立場に基づくものでございまして、特にILO条約の趣旨に抵触する国内法の規定を改めますほか、ILO条約の趣旨、精神であります労使団体の自主運営、相互不介入の原則をより一そうよく実現するための改正をいたしますとともに、公務員、公共企業体の業務の正常な運営を確保するための改正を行なうものなのでございます。したがいまして、これらの国内法の改正は、ILO条約八十七号を批准するに当然必要な最小限度のものでございまして、便乗的なものは毛頭も含んではおりません。現にこのことは、この問題につきまして特に政府が諮問をいたしました労働問題懇談会の答申におきましても、公労法、地公労法の改正のほかにこれらの改正が必要であることを示唆いたしているような次第でございます。
○森山委員 自由にして民主的な労働組合運動の運営を期待するということで国内法規の改正をお考えになったということは、ILO八十七号条約の精神と申しますか、労使団体の自主運営と相互不介入の原則、そういうものを実現するという趣旨でお考えになった。その辺のところはどういうふうになっておりましょうか。
○大橋国務大臣 御質問の趣旨をいま一度お述べいただきたいと存じます。
○森山委員 自由にして民主的な労働運動が伸びていくように国内法規の改正をされたというふうに私はお話を承った。自由にして民主的な労働組合運動、そういうこととILO八十七号条約の精神と申しますか、労使団体の自主運営、相互不介入の原則、そういうものをどういうふうに組み合わしてお考えになっているか、承りたい。
○大橋国務大臣 今回の国内法の改正は、八十七号条約を批准するに際しまして、同条約に抵触する規定を改めますとともに、公務員、公共企業体の業務の正常な運営を確保するための整備を行なう。このほか同条約の趣旨、精神をより一そう実現するために改正をするという考えで立案をいたしたものでございます。しかしながら、ILO条約の趣旨とする労使団体の自主運営、相互不介入の原則が、わが国の労使関係に十分取り入れられているかどうかはなお問題のあるところでございまして、この点検討を要しますことは、同条約の批准に関して行なわれました労働問題懇談会の答申にも指摘せられてあるところでありますので、これらの原則がわが国の労使関係に十分取り入れられますよう、今後とも検討を続けてまいりたいと存じます。
○森山委員 そうすると、関連国内法規は、わが国の労働組合運動の正常な発展とILO八十七号条約の精神である労使団体の自主運営、相互不介入の原則を実現するという二つの目的をもちまして国内法の改正をはかられた、こういうふうに理解をしてよろしいわけでございますね。
○大橋国務大臣 さようでございます。
○森山委員 そして、この労使団体の自主運営、相互不介入の原則を実現するために関係国内法を検討されるというお話がございましたが、今回の改正でこれらの原則は十分わが国の運動に取り入れられることになるのかどうかということになりますと、先ほど大臣のお話だと、まだ十分じゃない、だから一そう検討を進めたいということですが、この線に沿って将来国内関係法を改正するというお考えをお持ちでございますか。
○大橋国務大臣 さしあたり法規の改正につきまして今後のスケジュールとして具体的なものを持ち合わしている次第ではございません。しかしながら、わが国の労働運動の今日までの実情を考えまして、今回の法令の改廃だけによって申し分のない状況に直ちになるというようなことを考えることはいかがかと存じまして、この上とも日本の労働運動の健全な発展のために努力をいたすべきものではないか、かように存じておるところでございます。
○森山委員 公共企業体の職員ばかりでなく、公務員が争議行為を行なうことは、国家公務員法、地方公務員法、公共企業体労働関係法等でそれぞれ明文の規定をもって禁止されておる。にもかかわらず、これらのものを組織する職員団体ないし労働組合が実力行使等と称して争議行為を行なう事例が今日なおあとを断たないというわけでありますが、これに対する政府の所見及び対策を伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 お尋ねのございましたように、公務員や公共企業体の職員が、国家公務員法、地方公務員法あるいは公労法と、明文の規定のありますにもかかわりませず、これに反する実力行使と称する行動、あるいは正面切ってストライキをかまえて争議行為に出るという事例は、遺憾ながらなお一部に見られるところでございます。政府といたしましては、公共企業体等の紛争にあたりましては、自主解決が不可能な場合には、すみやかに公労委の調停、仲裁等の手続を踏みますよう労使当事者におすすめをいたし、公労委の仲裁裁定が出ました場合には、これを完全実施するという方針で一貫して臨んでおることは御承知のとおりであります。また、国家公務員について人事院勧告に関しましても、極力これを尊重し、地方公務員についても人事委員会の勧告が尊重されるよう施策いたしてまいったところでありまして、今後ともこの方針で施策を進め、これらの職員の勤務条件を向上させるように努力をいたしたいと存じます。しかし、それにもかかわらずなお違法行為に出るような職員に対しましては、理事者側において法規に照らし、適正な処分をもって臨むべきは当然であろうと存じます。
○森山委員 政府の、争議行為が禁止されておるにかかわらをずなお実力行使と称して争議行為を行なう場合についてのお考えはわかりましたが、その争議行為の禁止については、一部に、完全な代償措置が必要とされているにかかわらず、わが国の場合は公務員、公共企業体職員の争議行為の禁止には完全にして十分な代償保障措置がないから、これらの争議行為の禁止はILO八十七号条約に違反するという説をなす者があります。この点について政府の見解を伺いたいと思います。この問題については、ILOの見解も出ておるようでございますから、この機会に争議行為の禁止とILO八十七号条約の関係を明確にしていただきたいと思います。
○大橋国務大臣 答弁を正確にいたしまするために、政府委員から申し上げます。
○堀政府委員 ILO八十七号条約は、その審議経過から見まして、直接争議権の問題に触れるものではないことは明らかでございます。これはILO八十七号条約の審議経過中に、条約案はもっぱら結社の自由を取り扱うものであって、争議権を取り扱うものではないということを数カ国政府が強調したが、この主張は正当のように思われる、こういっておるところでも明らかになっておると思います。また、日本に関する六十号事件の問題につきまして、——本委員会は、結社の自由及び団結権擁護に関する八十七号条約または団結権及び団体交渉権に関する九十八号条約が特別には取り扱っていない権利であるストライキ権一般のいかなる限度まで労働組合権を構成すべきであるかの点について見解を表明することは要請されていないと考える、こういっておるところでも明らかだと思います。 ただ、ただいまお話しのようなストライキが禁止されるような場合におきまして、これを労働者の利益を十分に保護するための適当な保障措置が必要であるという、そういう原則の問題につきましては、ILOにおきましてもときどき出されております報告の中にもそのような趣旨を述べておるのであります。たとえば五十九年報告におきましては、——若干の労働者がストライキを禁止されるすべての場合においては、これらの労働者の利益を十分に保護するための適当な保障をこれらの労働者に対して与えることが必要である、と述べておるのであります。ただし公務員につきましては、公務員の雇用条件は法令によってきめられて、確保されておるのでありますから、公権力の機関として行動するこれらの公務員につきましてはストライキに参加することができないのが通例である、このように同じく五十九年の報告でいっているのであります。 そこで、ただいま大臣から申し上げましたように、公労法関係の組合につきましては争議権は禁止されておりますが、かわりにいわゆる強制仲裁制度があることは御承知のとおりでありますし、また仲裁等はそのまま最近は完全実施される原則が確立されておるわけであります。公務員につきましては、ILOの述べております幾多の文書からも、直接法令で勤務条件が保障されておるという見地から、これとはまた別個の観点で見るべきであるわけであります。しかもその上に、ただいまお話しのありました人事院勧告、あるいは人事委員会の勧告というような制度もありますから、わが国の法制は、ILO八十七号あるいは九十八号、あるいはその他の一般的の考え方から申しまして抵触はしておらない、このように考えております。
○森山委員 この争議行為の禁止について代償保障措置というのは、ILOはどういうことばを使って表現しておるのですか。
○堀政府委員 ILOの五十九年報告によりますと、——若干の労働者がストライキを禁止されるすべての場合において、これらの労働者の利益を十分に保護するための適当な保障をこれらの労働者に対して与えることが必要である、こういう文句であります。
○森山委員 そうすると、現在の少なくとも公共企業体については適当な保障がされておる、こういう政府の見解でございますね。
○堀政府委員 そのとおりでございます。
○森山委員 次に、在籍専従の問題を伺いたいと思います。 これは公共企業体にも公務員にも関係がございますが、今回のILO八十七号条約の関係法律といたしまして、公共企業体の場合も公務員の場合も、在籍専従制度を廃止することになっております。この理由を伺いたいと思います。
○堀政府委員 公務員は、本来全体の奉仕者として公務に専念すべき義務を有しておるのであります。また、公社職員も、公社の高度の公共性にかんがみまして、公務員に準ずるものとして職務に専念すべき義務を持っておるのでありますが、現行法のもとにおきましては職員でない者の労働組合の役員就任が認められておりませんために、もし在籍専従を許可しなければ労働組合にその業務に専従する役員を置くことができないこととなり、労働組合の運営が思うように行えないこともあり得るので、特に在籍専従制度が認められておるわけであります。 しかし、今回ILO八十七号条約を批准することに伴いまして、本改正法案におきましては役員の選出を自由にし、非職員であっても労働組合の役員に就任し得ることとしたのでありますから、本来職員はその職務とする公務に専念すべきものであるということにかんがみまして、この際在籍専従制度を廃止することにしたものであります。
○森山委員 従来の在籍専従の実態を見ますと、いまお話しになったような意味においても廃止する必要があろうとも思われますが、従来の在籍専従の中には、たとえばある教職員出身の在籍専従者のごとき、教員の生活は一年足らず、今日まで十数年間専従職員として仕事をやってまいっております。そして、もうすでにか、あるいはこれから間もなくかわかりませんが、恩給か共済年金の期限が来るというふうに聞いておるのです。どうしてそういうことになるのか。学校の先生として子供を教えることを一生懸命やっているならともかく、学校の先生として子供を教えることはわずか一年足らずの経験しかなくて、あとはあげて組合の仕事をやっておる。しかも、今日まで十数年たって恩給がつくとか共済年金がもらえるとか、そういう事例があるということを聞きまして、私は現行の専従制度というものは非常に不合理があると思うわけでございますが、そういう点についてどういうお考えを持っているか、伺いたいと思います。
○堀政府委員 お話しのように、現在の在籍専従制度にはいろいろ不合理な面があると思うのでございます。これは、現行の法律体系が先ほど申し上げましたようなことになっております結果認められたこの在籍専従制度に伴うところの不合理な面でありまして、今回これが廃止されることになりますれば、その不合理な面はなくなると考えておるわけであります。
○森山委員 なぜ不合理な面があるかということを伺いたいのです。
○堀政府委員 大体、本来職務に専念すべき立場にある職員が在籍専従に従事するということが、たてまえからして不合理であると考えるわけであります。また、その在籍専従に従事します者が、お話しのように長い間その在籍専従に専念するというようなことになりますと、これもまた非常におかしな面があるわけでありますし、あるいはその在籍専従期間中におきまして、たとえば退職したときにおきましての退職手当というような問題につきましても、現在の法体系はいろいろ問題があるわけでございます。
○森山委員 問題は、その在籍専従というものの専従の法的性格ですね。私が聞いておるところでは、休暇ということです。休暇というのは、われわれは、一日二日休むとか、そういうのを休暇だと普通は考えておるのです。十何年も休暇をとるというような、そういう方法しか一体在籍専従というものにはないのかどうか、それを伺いたい。
○堀政府委員 ただいま私の説明がちょっともたもたしておりまして恐縮でございますが、私が、長い間、十何年もこのような在籍専従に専念するということが非常に不合理であると申しましたのは、いまのような休暇を受けて、しかもそれが長い間続くというようなことは非常に問題があるということでありまして、ただいまのお話のとおりでございます。特に民間等におきましては、現在わが国の組合が企業別組合であるというような点もありまして、若干まだこういうものが残っておるわけでありまするが、その場合においても休暇専従というような例は非常に少ないわけであります。でありまするから、現在の休暇専従というような問題につきましては、特に在籍専従制度の中でも不合理な面が著しい面ではないか、このように考えておるわけでございます。
○森山委員 しからば、どういう形における在籍専従があるかということになるわけでありますが、後ほど他の方々からも御質疑があろうかと思いますから、私は省略さしていただきます。 ただ、在籍専従制度を廃止すると、非組合員たる過激分子が組合の役員として入り込んできて、組合運動が過激化することも考えられるのですが、こういう点についてはどうですか。
○堀政府委員 お説のように、在籍専従制度が廃止された後におきまして、企業と何の関係もない部外者が専従役員に就任いたしまして組合運動を指導するというようなことの可能性も考えられるわけでございます。しかし、政府といたしましては、組合運動も戦後十数年の歴史を経まして、徐々に組合民主主義が確立されつつある現状でございまするので、部外からの専従役員につきましては、このような基盤と背景のもとにおきまして組合員が選出するものでありまするから、在籍専従廃止によりまして摩擦も起こると思うのでございまするが、労使関係がこれによって悪化するというおそれは一般的には少ないのではないか、このように考えておるわけでございます。
○森山委員 この在籍専従を廃止するという原則は立てておられまするが、今回の改正法を見ると、附則で三年間の猶予期限を設けております。その設けられた理由を説明してください。
○堀政府委員 従来から公務員、公社職員関係の組合におきましては、在籍専従役員をもって組合が運営されておるわけでございまするので、この際一挙にこの制度を廃止するというようなことにいたしますると、組合の運営に支障を生ぜしめるおそれがありまするので、特に三年間の猶予期間を設けまして、その間に組合が在籍専従制度に依存することなく、みずからの力によって自主的に組合を運営し得る体制を確立されるということを可能ならしめるために、三年間は従来どおり在籍専従制度を認める、このように附則で規定しておるわけでございます。
○森山委員 次に、今度の公労法の改正法案の第十七条の二に「組合の決定又は指令であって、前条第一項の規定により禁止された行為を行なうことを内容とするものは、関係組合並びにその組合員及び役員を拘束しない。」とありまして、争議行為の決定または指令の不拘束性の規定をしておりますが、これはどういう趣旨で設けられたか、伺いたいと思います。
○堀政府委員 ただいまお話しのありましたように、公労法十七条で禁止されております争議行為につきまして、これを行なうというようなことを内容にする組合の決定、指令、これは現行法上におきましても当然のことであると考えるのであります。このような当然なことをなぜ今回新たに設けたかという御質問でございまするが、従来までこのようなことが当然と考えられておるにもかかわらず、上部の労働組合の決定または指令によりまして、十七条で禁止されている争議行為が行なわれてきておった例も見受けられるのであります。また、そういうような組合の決定または指令に従わなかったことを理由として組合が統制処分に付するというようなことは法律上無効であるわけでありますが、そのような考え方をする人が一部にある。あるいは公労法十七条で禁止されている争議行為を行なったことを理由にして解雇その他の処分を受けた場合におきまして、組合の決定または指令が上からあったのだ、それに従ったのだから責任はないのだ、このような抗弁も一部になされる場合があるわけでございます。こういうような法律上当然のことにつきまして、従来ややもすればこれに反するところの考え方があったわけでありますので、この際こういう当然のことをさらに明文をもって明らかにいたしまして、関係の労使にのみ込んでいただくという意味で十七条の二を設けた次第でございます。
○森山委員 そうすると、違法争議行為についての組合の決定または指令が組合員を拘束しない、そういう措置だというが、こういう規定を設けた結果相当な効果があるとお考えでございますか。
○堀政府委員 大体この種の規定は法律上当然のことでありますから、かりにこれがない場合におきましても、これは当然そのとおりなのであります。ただ現状は、一部においてややもするとこれに反するような考え方があるわけでありまして、そのような現状におきましては、このような規定を明文をもって設けるということは、関係労使に対してその趣旨を明らかにするという趣旨から有意義であります。しかし、これらのようなことが労使関係者に十分理解されるというような時代におきましてはこれは必要がない規定かもしれません。要するに十七条の二の規定は、従来の法律上当然無効であるということを念のために明らかにした規定であるわけであります。
○森山委員 条理上当然のことであるということをわざわざこのむずかしい法案の中に織り込んだということについては、相当な必要性を痛感されたから織り込んだのじゃないのですか。
○堀政府委員 先ほど申し上げましたいままでの実情にかんがみまして、必要性があると考えて織り込んでおるわけでございます。
○森山委員 また、こういう規定を入れると相当効果があると考えたから規定したのじゃないのですか。
○堀政府委員 政府といたしましてはそのような考えでございます。
○森山委員 そうすると、相当な必要があり、また相当な効果があるということでこの条文をつくられた、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○大橋国務大臣 先ほど来、政府委員から申し上げましたるごとく、法律的にはこの条文は新しい法律上の原則をつくるものではなく、従来から解釈上当然と理解されておったことを明文をもってはっきりするという解釈的な規定でございます。したがいまして、必要があるかないかということになりますと、法律上は必ずしも必要なものと考えるべきではないかもしれませんが、しかし、書く以上は、ある程度書く意味のある場合もあると考えます。
○森山委員 こういう規定は法文として規定しなくとも当然のことを規定したものであるというお話でありますが、これは仮定の議論でございますけれども、かりにこういう規定がなくても法律的解釈には差がない、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。現行法上でも同じだ、こういうことでございますか。
○堀政府委員 現行法でも同じでございます。そのような判例もございます。
○森山委員 現行法と同じだというのでございますが、ここに新たに十七条の二という項目が設けられた以上、この問題について、どうせ規定してもしなくても法律的に同じならば、という御意見もあろうかと思うのです。しかし、政治的に見ますればそういう必要性もあり効果もあると考えてつくった条項でございますから、政府としてはこの条項の重要性をどの程度考えられておるか、伺いたい。
○大橋国務大臣 政府といたしましては法律的に絶対に必要なものであると考えておらないことは、先ほど申し上げたとおりでございます。しかし、かような規定を設けることに相当有意義な場合もある、こう思っております。
○森山委員 先ほどお伺いした在籍専従制度廃止の問題、それからただいまの争議行為指令の不拘束、拘束しないという改正、こういうふうな改正によって今後公共企業体等の労使関係のより一そうの正常化を期待することができるというふうに政府はお考えですか。
○大橋国務大臣 そのとおりでございます。
○森山委員 公共企業体関係はあと一問で終わりたいと思います。 すでに公共企業体等の関係のあり方について、臨時公共企業体合理化審議会その他の審議会から答申が出されておると聞いております。いろいろな問題点がある。政府は、現在公共企業体等のあり方で健全な労使関係を確立し、業務の正常な運営を最大限に確保することができると考えているのかどうか、公共企業体等の根本についてのお考えを承っておきたいと思います。
○大橋国務大臣 公共企業体の労使関係のあり方につきましてはいろいろ問題の存するところでありまして、今回の改正においてもその正常化をはかるために若干の措置を講じているところであります。もちろん公共企業体の労使関係の正常化をはかり、その業務の正常な運営を確保するためには、今回の改正をもって十分とは申しがたく、政府といたしましては、今後ともさらに労使関係の正常化のためにできるだけの努力をいたしたいと存じます。
○森山委員 公共企業体関係の質問はひとまずおきまして、次に公務員の関係についてお伺いいたしたいと思います。 まず、端的に私は、ILOの批准に伴って共産主義運動が労働運動面にどういう影響を及ぼすか、特に公務員の場合をお考えになって、公安調査庁のお考えを聞かしていただきたいと思います。
○齋藤(三)政府委員 ILO条約の批准に伴いまして、どのような共産主義運動が労働組合運動に影響を与えるかというお尋ねかと存じまして、お答え申し上げます。 まず考えられますのは、レッド・パージであるとか、あるいはいろいろな事情で現在組合外におる共産党員、あるいは政治活動家が組合員に入るとか、あるいは労働組合の役員になるということが可能となると存じております。したがいまして、さような場合になりますと、それらの人々の抱く階級闘争主義あるいは政治闘争主義というものが組合の活動にいろんな影響を及ぼすのではないか、かような点をまず第一に考えております。 しかしながら、反面、最近の傾向でございまするが、労働組合の中で社共の対立、あるいは日共のしめつけというような傾向もございます。したがいまして、さような傾向がそれらに対してどのような影響を及ぼすかということは、今後の労働組合の動向いかんにかかわるものと存じております。 また、国家公務員の問題でございまするが、現在国家公務員は、全体で党員が二万五千くらいと私どもは推定いたしております。大体官公庁の労組は総評に入っておりまするが、六十組合の総評傘下のうち三十四組合が官公庁関係でございます。また四百万の総評の加盟員のうち二百四十万が官公庁労組ということになっておりまして、官公庁労組がわが国の労働運動に対して非常な大きな中心勢力になっておるというふうに見てよい、かように存じております。現在官公庁労組の日共党員二万五千と申し上げましたが、そのうち数の多いのは教職員関係あるいは自治体関係、国鉄、電通関係などであります。また、組合人員に比較しまして党員の割合の多いというのは全税関、全司法、全国税、全建労等が見られるのであります。かような関係で、これらの官公庁労組に対する本条約の影響については十分戒心を要する必要がある、かように存じております。
○森山委員 ただいま公安調査庁の長官からILO批准に伴う共産主義運動の影響、労働運動面への影響の一端のお話があったわけでございますが、その際、公務員の組合運動の現状のまた一端のお話があったわけであります。この際、この条約批准の結果憂慮すべき事態が生じないかということを政府の立場——公安調査庁も政府でございますけれども、公務員の給与等を担当する主務大臣としての労働大臣から御見解を承りたいと思います。
○大橋国務大臣 最近におきまする職員団体の動向等をながめてまいりますると、逐次健全な方向に進みつつあるように存じます。また、現在の状況から考えられますることは、今回の国内法の改正によりまして役員選出の自由の原則の結果、職員以外の者が役員に就任することが法律的に可能になってまいりまするが、このことによりまして現在の組合における勢力関係に大きな変動を来たすような事態はない、こう考えておるのでございます。 しかし、事は重大でございまするので、今後政府といたしましては、職員と協力いたしまして、相ともに組合の健全化に努力をいたしたいと考えております。
○森山委員 私は、この種の質問を国会で承っておりますと、関係大臣からも、労働運動は逐次健全な方向をたどって心配がないというふうに、たいへんさわりのない御返事があるわけでございます。はたしてわが国の国家公務員の場合の労働運動のいき方というものについて、それほど楽観してよろしい状態であるかどうか、もう一度重ねて伺いたいと思います。
○大橋国務大臣 国家公務員の労働運動も、やはり国内の組合運動の大勢に全然切り離れた動きはあり得ないのでございまして、わが国労働運動の健全化への傾向というものから考えまするならば、私は大きな心配はない、こう存じております。
○森山委員 そういう御見解もけっこうでございますが、それでは伺いたいのです。先ほど公安調査庁の長官から二万五千名の公務員関係の党員がおる。数で多いところとともに、比率の多いところとして全税関、全司法、全建労、全国税等があげられたわけですが、この種組合の行き方については、大臣はどういうふうに考えておられるか、承りたい。
○大橋国務大臣 御指摘の組合は、公務員職員団体の中では、いわゆる左寄りの組合でございまして、かねてから政府といたしましても、これらの組合の動向につきましては注意をいたしておるところでございます。そのために、関係当局に対しましては、十分に管理体制の強化によって組合の過激な行動を避けるように注意を喚起しておるところでございますが、今回の公務員法の改正その他の新しい法案の実施に際しましても、ますますこの点に留意をいたしたいと存じます。
○森山委員 公務員の組合運動の中には注目すべきものがいろいろあるわけでございますから、政府においてこの点格段の留意をいたされるように私は希望をいたしておきたいと思います。 そこで、今度の公務員法の規定の中に、職員団体という項があるわけでございます。この職員団体の規定で、「職員団体」とは、という第百八条の二の定義があるわけでございます。それから労組法の第二条の「労働組合」とは、という規定があるわけです。規定のしかたを見ますと、「「職員団体」とは、職員がその勤務条件の維持改善を図ることを目的として組織する団体又はその連合体をいう。」それから労働組合法には「この法律で「労働組合」とは、労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体又はその連合体をいう。」。 片方は「主たる」と書いてあって、片方は何も書いてないのですが、この辺の差はどういうふうに理解をしたらよろしいか、伺いたいと思います。
○増子政府委員 職員団体の定義に関しましての御質問でございますが、職員団体につきましての条文としましては、いまお読みくださいましたように、勤務条件の維持改善を目的として組織する団体といたしておりますが、これは職員団体としてのいわば本質的な目的を規定いたしたということでございます。労働組合法には、「自主的」とか、あるいは「主として」とか「主体となって」というような、いろいろないわゆる形容詞が入っておるわけでございますが、根本的にはこの種の考え方は職員団体としては別に排除はいたしていないわけでございます。すなわち職員団体として職員の勤務条件の維持改善を目的とし、それをねらいとしてできておる団体ということでございますから、常識的に考えますと、これが中心的目的でございまして、その他付帯的な目的があるかないかということはこの際は別に問うていないわけでございます。したがいまして、その点に関する限りは、「主たる目的として」という表現の場合と大差のないものだというふうに考えておるわけでございます。
○森山委員 無条件で、「図ることを目的」というのと、「図ることを主たる目的」とは差がないという御見解ですか。労働組合法では労働組合については「主たる目的」ということを書き、またただし書きもつけて明確にしておるのです。いまのお話ですと、「勤務条件の維持改善を図ることを目的として」と書こうとも、あるいは「勤務条件の維持改善を図ることを主たる目的として」と書こうとも、同じことだ、こういうことですか。どうも私はだいぶ感じが違ってくると思うのですがね。
○増子政府委員 改正条文の考え方といたしましては、ともかく職員団体の本質的な目的としましては勤務条件の維持改善にあるということを明確にいたしたわけでございます。したがいまして、少なくともこれが中心的な、主として目的としているという状態は当然必要であろうというふうに考えるわけでございます。
○森山委員 この問題はもう少し私にも検討さしていただきたいと思うのですが、どうも、ただ「目的」と書いたものも「主たる目的」と書いたものも実際上差がないというお話なので、ただ無条件に「主たる目的」というふうに読み返していいのか。それにはやはり何らかの条件が要るのじゃないかと私は思います。いま公務員制度調査室長はどちらでも同じだというふうな御発言のように受け取りましたが、もう少し私にも検討さしていただきたいと思うのです。 それから、今度の公務員法で組合交渉の問題が規定に出ておりますが、第百八条の五によりますと、「登録された職員団体は、職員の給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、当局と交渉することができる。なお、これに附帯して社交的又は厚生的活動を含む適法な目的のため交渉することを妨げない。」ということが書いてあります。 登録された職員団体は当局と交渉することができる。登録されない職員団体というのもあるのじゃないかと思うのですが、登録されない職員団体はあり得るかどうか、承りたい。
○増子政府委員 職員団体の定義は、先ほど御質問のありましたような規定でございますが、このような職員団体として考えられるものの中に、一定の条件を具備していることが確認されたものがいわゆる登録された職員団体ということでございますから、いまの御質問は登録されない職員団体というものがあるかというふうに私伺ったのでございますが、もちろん職員団体の中には登録をされない職員団体もあり得るわけでございます。おそらく御質問の御趣旨は、登録された職員団体は交渉することができると書いてあるから、登録されない職員団体は交渉できないという意味であるかどうかということであると解しまして、私お答えをいたしたいと思うわけでございます。 この規定を読みますと、御指摘のような御疑問もあろうかと思うのでございますけれども、私どもとしましては、一般に職員団体、すなわち第百八条の二の定義に該当するような職員団体というものが、職員の勤務条件等につきまして、希望や不満を当局に表明したり、また要求書を提出したりすることは当然できるものというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、そのような意味における交渉ということは、登録されない団体でもあり得るということでございます。 しかしながら、現実の交渉関係というものを考えてみますと、それが正常な目的にかなった形を行なわれることが望ましいということは言うまでもないことでございます。このような観点から見ますと、この交渉の手続に関する規定の前のほうの百八条の三に登録制度が規定されてございますが、この登録制度との関係において見ますと、登録された職員団体というものは、ともかく職員団体として、また民主的な組織として通常具備すべきものと考えられます要件をすべて備えているということが公に確認され、証明されるわけでございます。したがいまして、当局との交渉がこのような職員団体を中心として行なわれることが今後における正常な労使関係を確立する上にも好ましいというふうに考えられるわけでございます。このような趣旨におきまして、この規定といたしましては、登録された職員団体を主体として交渉関係を規定したわけでございます。 したがいまして、登録されない職員団体は一切交渉はできないのだという趣旨を含んでいるわけではなく、また、当局がこれに応ずることも、この法律として一切排除し禁止しているという趣旨ではないわけでございます。
○森山委員 この法文によると、登録された職員団体は当局と交渉することができるが、登録されない職員団体もあり得る。そうすると、登録されない職員団体は、この法文からいたしますならば、反対解釈として当局と交渉することができないような感じを私どもは法文上は受けるのであります。にもかかわらず、いま公務員制度調査室長の話によると、登録されない職員団体も当局と交渉することができるのだ、こういうことだ。これは一体どういうことでそういうことになったのか。 この問題は、聞くところによると、ILOとの間にやりとりもあったやに聞いておるし、それから、労働省としても見解をお持ちのようでありますので、この際その見解を明らかにしていただきたいと思います。
○堀政府委員 労働省といたしましては、公務員制度調査室とも相談をしたのでありまするが、ただいま増子室長の申し上げたと同じ見解を持っております。
○森山委員 ILO当局とこの問題で何かやりとりがあったのじゃないですか。
○堀政府委員 ILOに対しまして、政府としては、登録された職員団体とは積極的に交渉を行なうという趣旨である、したがって、登録されない組合と交渉しないということではない、こういうような趣旨の説明をしております。
○森山委員 登録された団体と積極的に交渉する、登録されない職員団体とは交渉しないわけではないということは、法律上どう違うのですか。
○堀政府委員 ただいま増子室長の答弁にありましたように、登録されておりまする職員団体、これにつきましては、その構成、内容、考え方というようなものが非常にはっきり当局としてもわかっておるわけであります。こういうような職員団体に対しましては積極的に交渉に応ずる、こういう趣旨の法文であるとわれわれは理解しております。したがいまして、登録されない職員団体に対しても、当局は、必要と認めれば交渉を行なうということは当然のことであろうと考えております。
○森山委員 交渉する際の技術的な問題としては、積極的に交渉するとか、あるいは交渉に応じないわけではないということはあり得ると思うのですけれども、法律的性格としては、登録された職員団体は当局と交渉することができる、登録されない職員団体は当局と交渉することはできないということになるのじゃないですか。
○増子政府委員 この点は先ほど私が申し上げたとおりでございまして、ここに明らかに法文として登録された職員団体は交渉することができると規定いたしました趣旨は、先ほど申し上げたことを繰り返すことになるのでございますが、登録されることによりましてそれが民主的な職員団体としての要件が満たされていることが確認されている、そういう職員団体との交渉関係を持っていくということによって今後の労使関係の正常化が期待されるという趣旨におきまして、この条文の規定としましては登録された職員団体というものを主体として表現したということでございます。
○森山委員 そうすると、登録されない職員団体も当局と交渉することができるというようにここには書いてないけれども、そういうことを意味しているということでございますね。先ほど労政局長は、ILOに対する回答として、登録された職員団体とは積極的に交渉する、登録されない職員団体とは交渉に応じないわけではない、というようなお話があった。しかし、それは法律用語じゃなくて、ひとつの取り扱いの問題だと思うのです。しかし、技術問題は別にして、法文としては、登録されない職員団体も当局と交渉することができるというふうに考えてよろしいのですか。
○増子政府委員 法律の条文の解釈としては、ここに明記してございますように、登録された職員団体とは交渉することができるという意味以外には読みようがないかと思っておる次第でございます。
○森山委員 登録された職員団体は当局と交渉することができるということはわかりました。しかし、登録されない職員団体は当局と交渉することができるのかということを聞いているのです。
○増子政府委員 この点も先ほど申し上げたのでございますが、百八条の二の定義に該当いたしております職員団体というものが、その構成員である職員の勤務条件の維持改善を目的として組織されたものでございますから、この勤務条件等につきまして希望や不満を表明したり、要求書を当局に提出するというようなことは当然できるものというふうに考えておるわけでございます。
○森山委員 そうすると、登録された職員団体も、登録されない職員団体も当局と交渉することはできるのだ、こういうふうに考えてよろしゅうございますね。 そうすると、登録というのはどういう効果を持っておりますか。それを伺いたい。
○増子政府委員 まず、登録の要件として条文に規定いたしておりますところ、これはいずれも職員団体として、あるいは民主的な組織として当然具備すべきだと思われる条件を満たしているかいないかの確認の問題でございます。登録されますればそうしたものがすべて確認され、公に証明され得る職員団体であるということでございますので、その意味におきまして、登録されない職員団体の場合におきましては、端的に申し上げますと、まだこれは素性がわからないという問題もありますけれども、登録されておりますれば、これはすべての組織あるいは目的等が規約その他で明確になっておるという点が違うわけでございます。 それからなお、これは登録というものの当然の効果ではございませんけれども、この改正法案におきましては、法人格取得の場合に、その際法人格の取得を申し出ます場合には、登録によって法人格を取得するという規定がございます。 それからなお、在籍専従制度は、先ほど御質問がありました際にお答えがありましたように、一応原則として廃止されますけれども、なお経過規定としまして三年間は従前の例によって認められるという場合に、国家公務員法におきましては、従前の例というのは登録された職員団体についてあるわけでございますので、その限りにおいて登録に伴ういわば付随的な効果でございますが、その点が出てまいるということでございます。
○森山委員 そうすると、登録によって法人格の取得とか、それから専従の問題とか、そういう面において便宜がある。それからなお、登録してある団体は身元が明らかだから、労政局長の言われる積極的に交渉相手にしてもいいが、登録してない団体は身元が不明確で、どのくらい組合員がいるか、またどんな連中がやっているのかよくわからない、だから、応じないわけではないが、なかなか積極的に応じがたいという技術的な問題としての差がある、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○増子政府委員 大体そのとおりでございます。
○小笠委員長代理 この際、森山君に申し上げますが、労働大臣は参議院の委員会に出席を求められておりますので、暫時中座をいたしますが、質疑は引き続き政府委員に対してなされるようお願い申し上げます。 暫時休憩をいたします。 午後三時三十九分休憩 ————◇————— 午後五時九分開議
○小笠委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。森山欽司君。
○森山委員 休憩前の質疑におきまして、新しい国家公務員法の第百八条の五に、登録された職員団体は、当局と交渉することができる。しからば、登録されない職員団体があるかということについては、登録されない職員団体もあり得る。この条文だけから見ると、登録されない職員団体は当局と交渉することができないような反対解釈も可能なわけでありますけれども、政府委員の答弁によりますると、登録されない職員団体も当局と交渉することができないことはないという趣旨の答弁があったわけでありまして、この条文自体は非常に明確を欠く。私どもは、登録された職員団体は、この法律にありますように、俗なことばでいえば、それは素性がわかっている職員団体でありますから、それと交渉することができることは当然でございますが、登録されない職員団体、その素性のよくわからない職員団体について、登録されて素性がよくわかっておる職員団体と同じように交渉できるかどうかということについては、事実問題としては相当な差があるであろうと思うわけでございます。そういう意味におきまして、法律上交渉できる、できないの問題とともに、その交渉をすることについての表現の仕方について、登録された職員団体と登録されない職員団体の間には差があるというような気もするわけであります。 そこで、現在提出されております改正法案中の第百八条の五の、登録された職員団体は当局と交渉することができるという表現については、必ずしもこのままの表現で適当であるかどうかについては疑問もございますから、この点について、きょうこれ以上政府側の御答弁をお伺いすることを留保いたしまして、政府部内においてこの点について今後どうするかということについての御意見をひとつおまとめ願いたいということで、次会に留保さしていただきたいと思うわけでございます。よろしゅうございましょうか。
○大橋国務大臣 さっそく御要望におこたえいたしまして、政府としての確定的な見解を準備いたすことにいたします。
○森山委員 したがって、政府側としてこれについて、解釈でいくのか、あるいはまた適当な別途の表現を用意するのか、そういう点について次会において明確に願いたいと思うわけであります。 それから、同じ職員団体の問題に関連いたしまして、職員団体の構成範囲は、現行の国家公務員法上どういうふうに解釈され、また今度の改正法案ではどういうことになっているか、伺いたいと思います。
○増子政府委員 職員団体の構成員の範囲についてでございますが、現行国家公務員法におきましては、職員のみをもって組織すべきものというふうにされておるわけでございますが、改正案におきましては、先ほどお答え申し上げましたような職員団体の定義に関連いたしましては、職員のみというふうに必ずしも制限はいたしていないわけでございます。事の性質上職員がその主体を占める、さらに具体的にいいますと、職員のみがこれを構成する場合が多いことと思われるのでございますが、若干の非職員が加入しておること自体によりまして、それが直ちに職員団体ではないというふうには扱わないという趣旨に解しておるわけでございます。
○森山委員 現行の国家公務員法には、職員のみをもって組織するということは明文がございますか。
○増子政府委員 現行の国家公務員法九十八条の二項におきまして、明文上必ずしもそのとおりに読むべきだということは言えないという御意見もあるわけでございますが、従来この解釈運用に当たっております人事院当局におきましては、今日まで引き続き、現在もさようでございますが、職員のみをもって構成すべきものであるという解釈をとっておるわけでございます。
○森山委員 現行法の解釈として、職員のみをもって組織すべきものとされておるという御回答のように思うわけであります。改正法案では、職員にあらざる者が加わってもいいというのは、どこにどういうことでそうなっているのか、伺いたい。
○増子政府委員 百八条の二の職員団体の定義といたしましては、先ほど来申し上げておるような表現をいたしておるのでございますが、百八条の三の職員団体の登録ということにおきましては、——先ほど申し上げましたように、職員団体におきましては、通常の場合において職員のみをもって構成される場合が多いであろうというふうに考えられるのでありますけれども、若干の非職員が加入しておる場合でも、そのゆえをもって職員団体でないというふうに考えておるのでございますけれども、——登録の場合におきましては、その点を明確にいたしまして、すなわち多くの場合職員団体がそうであろうということが考えられる事項によりまして、「登録される資格を有し、及び引き続いて登録されるため」の要件といたしましていろいろなこまかな規定がございますけれども職員をもって組織される——特に警察等の職員につきましては結社の自由を認めていないのでありますが——その警察等の職員以外の職員をもって組織されることを必要とするということにいたしまして、その例外の措置といたしまして、いわゆる免職の処分を受けました者等で、その「処分を受けた日の翌日から起算して一年以内のもの」云々の規定がございますが、これは、行政処分といたしましての免職処分は一応有効でございまして、その限りにおいて職員の身分を失うわけでございます。つまり、そのように職員の身分を失った者も構成員としてとどめておる場合には、登録の要件を満たさないというようなことはしないということをここで明確にいたしておるわけでございます。したがいまして、厳密な意味におきまして現職職員のみというふうには限定していないということが、ここで一つ明確になるわけでございます。 なおまた、代表者につきましても、登録要件としましては、非職員をもって代表者として、あるいは役員としての就任を認めている場合でも、これは登録の要件に適合しないというふうには扱わないということを明記いたしておるわけでございます。
○森山委員 登録された職員団体の際に、免職された職員、職員にあらざる者、そういう者の加入を認めておることはわかりましたが、登録されない職員団体の場合について、職員にあらざる者が加わってもいいという、そういうお考えですか。
○増子政府委員 職員団体としましては、先ほど来申し上げておりますように、職員が主体となっておるもの、その目的が職員の勤務条件の維持改善を目的とするものであるという趣旨から、多くの場合これは職員だけで組織する場合が普通の場合であろうというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、その場合において若干の非職員といわれる者が入っておりましても、その本来的な性格なり目的というものは失われていないだろうという意味におきまして、これは職員団体というふうに解するわけでございます。したがいまして、御指摘のように職員でない者が加入しておるという場合も、職員団体としてはあり得るわけでございますけれども、先ほどの登録の要件には当たらないということになるわけでございます。
○森山委員 登録されない職員団体の場合、職員にあらざる者が若干入ってもいい、その若干というのはどのくらいを言うのですか。
○増子政府委員 要するに、職員団体として職員の主体性が認められるということでありますが、その主体性が否定されるということになりますれば、すなわち非職員がその団体の主体的な部分を占めておるというようなことでございますれば、もはやこれは職員団体とは考えられないということになろうかと思うのでございます。一般の労働組合におきましてもその趣旨は大体同様であろうかと思うのでございます。
○森山委員 その主体性が失われないというのは大体どの程度、たとえば半分とか三分の二とか、そういう数量的な限界が何かあるのじゃないですか。われわれは百人のうち三人とか五人とかいうのを若干と思っているのですが、しかし三十人とか四十人というのも若干に入るのか。その程度でも主体性が失われると見るのか。その辺のところは、どういうふうなことを基準にしてお考えになっているのか。若干とか、主体性が失われる、失われないの基準は何ですか。
○大橋国務大臣 これは、先ほど来政府委員の申しましたごとく、職員団体はやはり職員が主になって組織した団体、したがって、その団体の意思決定に際しましては、職員の多数の意思がその団体の意思として取り上げられるような実質を持っておることが必要であろうと思うのでございます。したがいまして、職員よりも職員以外の者の数のほうが多くなるというようなことに相なりますると、多数決原理によって職員の意思が没却されるというようなこともあるでございましょうし、また数そのものばかりでなく、役員の構成とか実体とか、そういうことをながめました場合に、本来主体であるべき職員が主体性を失ってしまうというような団体の運営の実情がありまするならば、これはどうも職員団体と認めるわけにいかないと思うのでございます。 まことに抽象的な表現ではございますが、要はさような点を主眼として、実情に即して解釈をいたしてまいるべきものかと存じます。
○森山委員 労働大臣の御回答は、職員の過半数または職員の主体性を喪失しないような数、そういう両者を総合したような数ならば、職員にあらざる者が職員団体に加入してもよろしい、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
○大橋国務大臣 そういう趣旨のお答えを申し上げました。
○森山委員 そこで、公務員の勤務条件は、一般の労働者とは異なって法令できめられておるわけでありますし、ILOは、公務員の労働者団体については、その構成員の範囲を公務員に限定しても条約に違反しないといっておるようであります。しからば、職員団体の構成資格について、非職員の加入を認めるようなお考えで法律をお考えになる必要はないのではなかろうか。そういうことは今度の改正法案を見ても明文上は書いてないわけです。登録団体については、免職職員を職員団体の中に加入することは認めていますけれども、非登録団体については何ら規定がない。要するにILO条約の精神ということ、ILO条約の解釈と申しますか、ILO当局の考え方と申しますか、そういうことになっているわけでありますが、しかし、ILOは公務員の労働者団体については、その構成員の範囲を公務員に限定しても条約に違反しないというふうにいっておりますから、そういう職員以外の者が公務員団体に入ることを、解釈としてはたして認める必要があるのか。その点について御答弁をいただきたい。
○増子政府委員 ただいま御指摘のように、公務員の団体の構成員の範囲を公務員のみに限るということは、そのこと自体においては純粋に形式的な性格の差別にすぎない。したがって、直ちにILO八十七号条約の第二条に規定する無差別加入の原則に抵触するものとは考えられないという見解は、ILO条約勧告適用に関する専門家委員会の見解としても示されておるのでございます。その点は御指摘のとおりでございます。 しかしながら、この見解につきましては、そのあとのほうにいろいろと詳細な条件あるいは考え方が示されておるのでございます。すなわち、構成員を公務員のみに限っても、それは絶対無条件に条約に抵触しないのだというふうにいいきっているわけではないのでございます。たとえば代表者は職員でなくても、あるいは公務員でなくてもよろしいのだということが保障されていなければならないとか、あるいは特にそのような公務員の団体、つまり非職員が一人も入ってはいけないというような形においてのみ公務員団体が認められる、その他の公務員団体は組合としての活動が認められないというようなことになりますと、やはりいわゆる組合権の侵害というような問題が起こってくるというようなことで、外国の事例等に関連するILOの見解を調べてみますと、単純に職員団体の構成員を職員のみに限ってしまうという制度を厳格に扱っていくことは問題があるというふうに考えるわけでございます。 したがいまして、先ほど申し上げましたように、職員団体としての構成員の範囲は主として職員ではあるけれども、若干の非職員が入っておる場合でも一応職員団体として取り扱う必要があるということにいたしたわけでございます。
○森山委員 どうも私は、いまの答弁は実は納得がいきかねておるのであります。その登録団体に免職者の加入、すなわちすでに職員でなくなっておる者の加入を認めるという程度において認めること、これは差しつかえない。しかし、先ほどの大臣並びに政府委員のお話のように、組合員の半数近く入る場合もあり得るような、そういう非職員の加入までILO条約によってやらなければならないかどうか。公務員についてそこまで、はたして認める必要があるのかどうかについて、私は多大の疑念を実は持っておるわけです。だから、代表者の問題の場合につきましても、代表者については組合員にあらざるだれを代表者に選ぼうと、これは自由ですから、そんなことは問題じゃない。 ただ問題は、構成員の問題です。もう一つ何か例をあげましたけれども、どうも厳格に解するとやはり問題となる余地があるといっていますが、たとえば外国の例で、すでにILO八十七号条約を批准しておる国で、非職員の組合加入を認めてないところの例が、フランス、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、パキスタン、キューバ、メキシコ、オーストリア、ブラジル、ウルグァイ等のほかに数カ国が、非職員の組合加入を認めないという例がもう現実にあるんです。 私はどうも、非職員をその程度まで認めなければならないのがILOのはたして趣旨であるかどうかについて疑問を持つわけでありまして、この件についてILOの見解として、公務員の場合にはILO八十七号第二条の無差別加入の原則に抵触するとは考えられないという基本的な考え方に、わが国において一体かくも大幅に違った見解を持つ必要がどこにあるのか。その根拠をここに示していただきたい。また、その根拠を委員の各位にいまお話しを願いたいと思うのです。
○増子政府委員 ILOの見解につきましては、先ほどお答えいたしましたとおりでございます。 それからなお、御指摘になりました外国の例がございますが、確かに御指摘のような国はございます。ただし、これらの国におきましても、北欧三国の場合におきましては現職職員のみには限っていないという点がもちろんでございます。いわゆるもう職員でなくなった者というものも正規の構成員として認められておるという例があるわけでございます。 なお、問題は、職員団体に職員でない者が入っておった場合に、それはもはや職員団体としては全く取り扱われなくなるということを考えますと、結社の自由あるいは組合の活動、運営というような点におきまして制限を受けてくることになるという意味でILOは問題としておるわけでございまして、特に今回の改正法案につきまして、日本の労働組合あるいは職員団体からの提訴に対して、ILO当局が日本政府に照会してきておりますのは、いわゆる登録されない職員団体、すなわち非職員が加入しておるために登録されない職員団体はいわゆる組合としての機能を発揮できるのかできないのか、ということを聞いてきておるわけでございます。この点に関連しまして、先ほど来問題になりましたような意味におきまして交渉の問題をお答えしたとおりに、ILOに言っておるわけでございます。すなわち、そういう意味におきまして非職員が入っておる団体が職員団体として取り扱われず、しかも、何らその勤務条件等の維持改善についての発言の機会がないということになりますと、やはり条約との関係が問題になる、こういう考え方でございます。
○森山委員 登録されているといないとにかかわらず、その職員団体に職員にあらざる者が加入しておるということは、ある程度認める。そのある程度とは、たとえば免職された者とか、かつてやっておった者とかいうようなふうに限定されればけっこうですけれども、それがとんでもない形において、たとえば先ほど大臣、政府委員の話のように、組合の過半数を制するには至らぬけれども、相当の数が入ってくるような形になってきた場合に、一体それはどうなるのだ。そういうことまでILO条約の趣旨に沿ってやらなければいけないのか。具体的に申しますと、たとえば全国税に民主商工会というのとか、あるいは土建関係のものとか、そういうようなものがもし一緒になって組合らしきものをつくった際、しかもその過半数はもちろん国税の職員だ、しかしそうじゃない連中も相当入っているというような事態ができた場合に、それでもなおかつ、それは数で多いから、また職員団体の仕事を名目にしておるからということであるならば、要するに職員の勤務条件等に関係しておることをやっておるからというので、それをやはり職員団体として認めなければならないのですか。 私が申し上げたいのは、免職者とか少数の前そこにつとめておった者がまだ組合員として残るというならわかりますよ。組合の役員をしておった者とかごく少数の者を例外的に認めるならわかりますけれども、とんでもないほかの者がいろいろな思惑で一緒になるということもあり得る。あり得るが、それは、かりに五千人に対して片一方千人くらい入っても差しつかえないのだということになれば、形式上は公務員の組合としての主体性は失ってないかもしれないけれども、実際上は相当な影響を私は受けるようになると思うのです。そこまで非職員の加盟を認めることになるのですか。しかもこれは法文には書いてない。法文には書いてないが、政府のほうの解釈としてそういうものが入るというふうに私は伺っておるのですが、それは間違いないのですか。
○大橋国務大臣 私どもは、もともと職員団体でございますので、その職員に無関係な人たち、先ほどお話しのような例の組合、そういうようなものはもともと職員団体として扱うべきものとは考えておりません。職員団体でございますので、役員であるとか、あるいは元役員をしておったとか、あるいはかつて公務員をしておったとか、そういうような人が現在非職員の地位にありながら従来の縁故関係をもって組合員として存続する、そういうことだと思うのです。 しかし、その場合においても、その非職員の数が非常にふえてしまって、いかに縁故者とはいえ、現役の意思が没却されるというような段階になれば、これはいかに関係の深い人でも、そういう人がたくさんになった団体を認めるというわけにはいくまい、こういう趣旨で申し上げた次第でございます。
○森山委員 そこで、職員にあらざる者、少数特殊の縁故ある者が加盟することは登録団体としても認めておるし、それから、登録されてない団体においてもある程度認めるにはやぶさかではありませんが、職員にあらざる者が相当数入っても認めざるを得ないようなお話なんで、その辺のところはどういうふうに解釈したらいいでしょう。はっきりしておきませんと、私はこれは相当今後大きな問題になると思うのです。そこのところはこれから非常に大事なことになると思うのです。ことに、先ほどの交渉権というと語弊がありますが、交渉することができるというお話ですから、交渉することを妨げないと申しますか、職員団体である素性がわかったら相手にするというのですから、その辺のところはどうやって非登録の職員団体を職員団体として認めるのか。どうもILO八十七号条約の線に沿ったものが、そんなに範囲の広い無差別加入の原則を持っているようには公務員の場合思えないのです。 そこのところは、いままでの御答弁ではどうも明確を欠くように私は思うのです。もしいま御答弁願えればけっこうですが、先ほどの登録問題とあわせてお返事をいただけるならば、次会におまとめを願ってお返事を願う。おまとめになる際には、労働省、公務員制度調査室ばかりではなく、これは政府の、たとえば国税なんかの場合、あるいは地方公務員のほう、あるいは教職員のほうに非常に関係が深いと思うのですが、そういう際に一回よく政府部内の思想を統一して、各方面の意見を聞いて、はっきりしたお返事をいただきたいと思うのです。
○大橋国務大臣 登録外の職員団体につきましては、いかなる団体が職員団体としての資格があるか、これは事実によって認定するという法律構成になっておりまして、法律上特に厳格な規定をいたしておりません。したがいまして、運用にあたっては、ある団体が職員団体であるかないかということは、交渉の相手方、すなわち交渉に当たる官庁において、これは職員団体なりやいなやということをまず認定してかかるべきものだと思うのであります。その認定の当否につきましては、法律には規定はございません。争いのある場合は、これは裁判によって決せらるべきものと思うのでございますが、その裁判の規範となるべき点は何であるかというと、要するに、職員の自主的な団体として、職員の勤務条件について職員が指導的な立場に立っておる団体であるかどうか、ということにあると思います。 いずれにしても、関係職員と全然無関係な人が組合員として入ってくるというようなことは、職員団体の性質上、職員団体たる性格を害する問題である、かように私どもは考えておるのであります。
○森山委員 大臣にお伺いしますが、職員にあらざる者が入ってくるというのは、どういう意味でございますか。交渉の場面に入ってくるということでございますか。その辺のところはどうですか。
○大橋国務大臣 職員にあらざる者が組合員として加入しておるということです。
○森山委員 職員にあらざる者が加入することは一応認めて、政府委員の先ほどの御説明によれば認めておるわけですから、そういう者が入っているのは交渉の相手にしないのだ、こういうことになってしまっては、もう先ほど来の御説明とだいぶん違うわけです。ちょっと矛盾していると思いますけれども。
○大橋国務大臣 政府の考えといたしましては、職員団体に職員に縁もゆかりもない赤の他人が組合員として入ってくるということはもともと考えておりません。職員団体に組合員として入ることを許される非職員の範囲というものは、かつて職員であった者であるとか、あるいはかつて組合の役員であった者とか、あるいは現に役員である者、そういう方々に当然限られるべきものである。そのことは職員団体たる性質からいっておのずからそうあるべきものだと考えております。そして、そのことは組合員の加入を制限しておるというふうな事柄ではないのでありまして、職員団体である以上はそれは当然そうあるべきもの、こういう考え方でございます。
○森山委員 だいぶ先ほど来のお話で非職員の範囲が非常に広く解釈されておるような印象を受けたのですが、大臣のお話でだいぶ狭まってきました。非職員というのは、かつて職員であった者とか、あるいはかつて役員であった者とか、あるいは役員、職員として免職処分を受けて目下係争中の者とか、そういうようなきわめて限定された者たちの無差別加入は認めるけれども、それ以外の者が加入をして職員団体と称するものは、登録されてない場合においても交渉相手とはしない、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
○大橋国務大臣 そういう意味でございます。
○小笠委員長代理 本日はこの程度にし、明二十六日は午前十時三十分より開会いたします。 これにて散会いたします。 午後五時四十七分散会