建設委員会 第4号
- 発言数
- 40 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/02/15
会議録
○福永委員長 これより会議を開きます。 土地区画整理法の一部を改正する法律案及び共同溝の整備等に関する特別措置法案の両案を一括して議題といたします。 —————————————
○福永委員長 まず、両案について、提案理由の説明を聴収いたします。河野建設大臣。
○河野国務大臣 ただいま議題となりました土地区画整理法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。 現下の宅地難を解決するためには、宅地造成事業を積極的に推進する必要があることは申すまでもないところでありますが、そのためには用地買収の方式による宅地造成事業のほかに、土地区画整理の方式による宅地造成事業をさらに強力に推進する必要があると思われるのであります。 土地区画整理事業は、御承知のように、宅地の造成並びにその利用の増進をはかるとともに、道路、公園等の公共施設を整備して、健全な市街地の建設をはかることを目的とするすぐれた手法の事業でありますが、一面複雑な権利関係がからむ困難な事業でもありますため、地方公共団体、日本住宅公団等の公的機関による施行の能力には限界があります。従って、土地所有者等が自主的に設立する土地区画整理組合による自発的な施行を促進し、宅地難の解決に資すべきものと考えられるのであります。 しかしながら、土地区画整理組合の事業におきましては、組合員の所有地を減歩して生み出した保留地を処分して事業資金に充当する方法をとっておりますが、保留地が処分できるようになるまでには、数年の工事期間と多額の工事費を要しますので、多くの土地区画整理組合がその間の事業資金の調達に苦急いたしているのであります。 このような現状に対処するため、相当規模の住宅市街地を造成することを目的とする土地区画整理事業を施行する土地区画整理組合に対しまして、その事業の公共性にかんがみ、その事業資金について特別の助成の措置を講じることが時宜に適した策であると考えまして、このたびこの法律案を提出することといたした次第であります。 次にその要旨を御説明申し上げますと、都道府具または指定都市が一定の要件を充足する土地区画整理組合に対し事業資金を貸し付ける場合には、国がその貸付金の二分の一以内の金額を都道府県等に貸し付けることができることといたしております。そして、国の都道府県等に対する貸付金及び都道府県等の土地区画整理組合に対する貸付金は、いずれも無利子とし、償還期間はそれぞれ六年以内及び五年以内とすることといたしております。 以上が、この法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。 次に、ただいま議題になりました共同溝の整備等に関する特別措置法案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。 最近、大都市におきましては、地下埋設工事その他道路の掘り返しを伴う占用工事が非常に多く、そのため道路交通の障害及び道路の不経済な損傷が著しい現状であります。これに対処して従来より、関係機関との緊密な連絡のもとに、地下埋設工事の施行時期及び実施方法につきまして合理的な調整と改善を推進して参ったのでありますが、なお、現下の交通状況にかんがみ、抜本的に掘り返しを防止する方策を講ずる必要があります。 そこで、交通の著しく輻湊する特定の道路につきましては、特に道路管理者が道路の付属物として電話線、電線、ガス管等の公益物件を共同して収容する共同溝の整備を行なうものとし、もって円滑な道路交通の確保と道路の構造の保全をはかる必要があると考え、このたび、この法律案を提出することといたした次第であります。 次に、この法律案の要旨について申し上げます。 第一に、建設大臣は、交通が著しく輻湊する道路で、道路の掘り返しにより道路交通上及び道路の構造の保全上著しい支障を生ずるおそれがある道路を、道路管理者の意見を聞いて、共同溝を整備すべき道路として指定することができることといたしました。 第二に、この共同溝を整備すべき道路におきましては、原則として車道の掘り返しを伴う占用の許可を認めないことといたしました。 第三に、道路管理者は、共同溝を整備すべき道路の指定があったときは、関係公益事業者の希望を聞いて共同溝を建設し、これに電話線、電線、ガス管等の公益物件を敷設せしめることといたしました。 第四に、共同溝に公益物件を敷設することとなった公益事業者は、共同溝の整備に要する費用の一部を負担しなければならないことといたしました。 第五に、国は、共同溝の整備に要する費用のうち、公益事業者が負担する費用を除いた道路管理者の負担分についてその二分の一を負担し、または補助することといたしました。 以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願いいたします。
○福永委員長 以上で両案に対する提案理由の説明聴取は終わりました。 両案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○福永委員長 次は、建設行政の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の通告があります。順次これを許します。岡本隆一君。
○岡本(隆)委員 この前の委員会で、私の方の中島委員が河野建設大臣に、河川法の改正をやられるそうだが、その概要をあらかじめ知らしてもらいたい、こういうふうなお尋ねをいたしましたところが、私の方では、今調整中だから言えないが、しかしながら、もし意見があればあらかじめ言ってもらいたい、こういうことでございました。 そこで私は、きょうは私が日ごろ考えておる河川問題について、河川法を改正されるなら、こういう点を一つぜひ織り込んでもらいたい、こういうふうな意見を申し述べながらいろいろお尋ねをいたして参りたい。従ってきょうは、いわば建設省に援護射撃するようなきわめて建設的な御質問になると思いますから、そのつもりで一つお答え願いたい。 まず第一には、今度の河川法の改正問題というのは長い間の懸案でございます。時代の進運とともに古い明治時代の河川法がすでにいろいろな施策の点で隘路になっておる。だからこれを改正しなければならぬということは、久しく言われているところでありまして、また現実にたくさんの矛盾を持っております。ところが、これを改正しようとして、たとえば昭和二十九年にも建設省はいろいろお考えになった模様でありましたが、結局は関係各省間の話し合いがつかないでお流れになったというようなことを聞いておるのでありますが、この改正にあたっては、まず第一にはどういうところに主眼を置くかということが一番大きな問題であろうと思う。私はどうしてもこの河川法の改正は、治水第一主義、治水を何ものにも優先して、その建前に立ったところの改正をやっていく。もちろんそれは利水の問題もありますけれども、しかしながら、これはやはり河川というものを合理的に管理をして、十分に国民の生命、財産を守ってしかる後に、そこで生じたところの水を利用していく、こういうふうな立場に立ってもらわなけばならないと思うのでありますが、この基本的なかまえの問題について大臣はどのようなお考えを持っておられるか、承っておきたいと思います。
○河野国務大臣 私もおおむね御意見の通り考えております。治水については万全を期さなければならないと第一義的に考えます。ただし、利水につきましても、なるべく今日のわが国の産業発展の現状等から考えまして、また将来を勘案いたしまして、できるだけ利水におきましても総合的に水の便をはかりたい、こう考えております。
○岡本(隆)委員 そこで第二番目に希望するのは、河川管理の一貫性を樹立してもらいたい。現在河川の管理が各府県にまかされておるというふうなことで、今度の改正の主眼点の一つはそこにあろうかと思います。歴史的に見ますと、河川法ができた当時は、地方行政庁でいえば官選知事がやっていた。だから、いわば地方というものは出先機関であった。それが地方の知事というものが非常に性格が変わって参りまして、今日では公選知事であり、同時にまた地方自治体は完全な自治体になった。こういう建前からいきますときに、河川の管理が各府県にまたがっておる場合に、幾つにも管理者が分かれておるということで非常に不便な点が多いということはよくわかります。そこで、当然河川の管理は、流域ごとに一本化されるであろう、こういうふうに思うのでございますが、しかしながら、小さな支川、派川に至るまで、すべて国で管理するということは困難であろうと思います。従って、今の河川法は、建設大臣が認定したところの河川を河川と考える、こういうような建前に立っておりますけれども、そういうようなことでなしに、河川法というものはやはり自然の河川そのものを——常識的に考えられる河川という意味でありますが、そういう自然の河川そのものを全域的に河川法の対象として考えて、そこで治水、利水をはかっていく、こういう考え方に立たなければならない。そしてまた、その河川の規模の大中小に応じて、大きな部分は国が管理し、中くらいのところは都道府県が管理し、小さなところは市町村で管理する、こういうふうな三段階に分けたところの管理の方法をとる、こういうようなことになっていかなければならぬと思うのでございますが、そういう点についてどういう構想を持っておられるか。
○河野国務大臣 お話の通り現状におきましては、古くから地方長官にそれぞれ委任いたしております問題でございますので、この現状を一気に理想的に、またわれわれ行政の立場にありますものから考えまして、最も合理的に一気に直すということができれば一番けっこうでございますけれども、なかなか実情を打解して合理的理想的に一気にいくかどうかということには相当の困難があると考えます。従って、理想はどこまでもお話のように考えるし、また河川ごとに一貫してやる方がいい場合もありましょうししますから、それらを総合して立案するつもりでございますけれども、前回申し上げました通り、漸進的にでも現状を打開して進むことの方がよかろうという建前を私はとっております。従って、理想的なものが通らぬければやらないということよりも、少しでもいいから進まなければいかぬということを考えてでかすということに重点を置いていきたいと思いますから、そういう意味において一つ考えておりますことは、地方におりますものはいろいろなことを考えている。地方にいる人と中央にいる人と、これは社会党と自民党ではございませんで、中央と地方の考え方でございますから、従って、われわれは地方をあまり押えつけて一気に中央集権的な考え方もどうかというふうに思いますししますので、そこらのところで妥協しつつ、話し合いをしつつ理想に向かっていきたいと考えておりますから、せっかく御協力をお願いしたい。
○岡本(隆)委員 もちろん、これには地方の方の非常な反発があるということも予想されます。しかしながら、私はやはりそういうふうなことを考えても、なおかつ治水、利水一貫した行政をやっていくためには、この際相当思い切ったことをやらなければ、小きざみに何べんもやるというふうなことはなかなか困難だと思う。だからある程度この際思い切ったなにをしていただきたいと思うのでございますが、しかし大臣が今ある程度妥協した中をとった線でいかなければならぬというふうなことをおっしゃいましたので、それではどの程度まで今考えておられるのか、その辺を承りたい。
○河野国務大臣 私が申し上げましたのは、まとめることに相当に熱意を持っている、しかもまとめるには理想に近くまとめたい、しかし今ここでこうだということを出したときに、話が違うじゃないかということで怒られると困るから、今のような用語を用いたので、私の目指ざすところは、理想になるべく近いもので、御期待に沿うようなものをまとめあげたいと考えておりますことを御了承いただきたい。
○岡本(隆)委員 あなたの御答弁を聞いておりますと、この間からどうも玉手箱をかかえてじっとふたを押えているというふうな形で、あけてみるまで何が出てくるかわからないというのが今の河川法の改正問題の現段階であろうと思うのでございますが、しかし、一応理想的な姿というものを考えてはいるということでございますので、そういうふうな考え方で進んでいただくことをお願いいたします。また私はそういうふうな理想的な形になるものという期待の中で、河川管理についての問題をもう少し申し上げておきたいと思う。希望を申し上げておきたいと思う。 それは地方自治体から河川管理権を奪う以上、やはりある程度これにおみやげを出さなければ、対価を出さなければ、地方自治体としては黙って引っ込んでいはしない。そこで私は、河川管理については国が全責任を負うのだという建前を明らかにしてもらいたい。国の責任というものをはっきりとうたってもらいたい。だから第一条に目的のところで、国がこの河川法を制定するのは、治水、利水はもちろんやるのだが、しかしながら、国は国民の生命と財産をみずから守るということについては、全責任を持ってやるのだ、こういうふうなことをはっきりとうたいまして、河川法というものはみずから水禍から国民を守るためにつくるのだということを一本大きく打ち出していただきたいと思うのでありますが、そういう点どういうふうにお考えになっておりますか。
○河野国務大臣 私もその通り考えております。
○岡本(隆)委員 そういうふうな建前に立って参りますときに、私は河川管理上国の方の施策に誤りがあったときには、やはり今までのようにのらくら逃げているというようなことでなしに、はっきりと国が賠償義務を負うというふうな形を今後打ち出していただきたいと思うのであります。 たとえば例を申しますと、泰阜ダムの問題があると思うのです、泰阜ダムを設置することを国が許しまして、それから後そのダムの上流飯山の方面の河床が今日高くなったために、非常に大きな災害が一昨年起こっております。あれはやはり河川管理を国が誤ったためであると思うのです。それまでにも泰阜ダムを閉ざしてくれ、泰阜ダムをこわして水の疎流をよくしてくれという陳情が幾度も行なわれながら、なおかつ泰阜ダムをそのまま放置しておいたということが、一昨年のあの飯田地方の大惨禍の原因であったと思うのです。中島さんがいつも言われるのはそれなんです。だからそういう点、もし管理上誤った措置をしたということがあるならば、国はそれが明らかになったときには直ちに改めなければならぬ。だからダムをつくっても、そのダムはこわしていかなければならぬ。あるいは、もしこわすことができなければ、あすこのところを全体に対して大きな補償をして、あの地帯一帯を遊水地帯に変えていくことをやらなければ、あすこではこれから後、水禍というものは年々歳々繰り返されるであろうと私は思うのであります。だからそういう点国は今後そういうような方針をとるのだということをこの際はっきりしておいてもらいたい。また同時に、法律の中にもそういうことをはっきりと書いていただかなくてもいいですが、そういうような点に対しては、ある程度責任を食うのだということを明らかにしておいてもらいたいと思うのでありますが、その点御意見いかがでしょう。
○河野国務大臣 行政の上におきまして、すべて私はそうだろうと思うのです。国が間違った施策をし、よって住民諸君に迷惑をかけた場合には、国が責任をとる、これはあたりまえのことでございます。この問題に限ったことではないと思うのであります。ただし、今例にとられましたダムにつきましては、私も昨年短時間でございましたが、現地を視察いたしました。しかし、山の谷合いがああいう脆弱な風化したような岩石になっております以上は、もしあのダムなかりせばどういうことになったであろうか。今度は下流の方面におきましては逆に相当の被害が起こるであろうというので——私はダムの埋まったことについては、もしくはダムによって一部に御迷惑をかけたことははなはだ遺憾でございます。しかし、谷合いのああいう脆弱なところに集中豪雨があれば、当然あのダムの有無にかかわらずやはり相当被害があったろうと思う。これも地元の人には御了解いただけるのじゃないかと思います。ただし、あのダムをあのままにしていいか悪いかということにつきましては、その後私はそれと別に検討しなさいということを命じてあります。と同時に、また中部電力からは、地元に対してしかるべき補償の道を講じてお話し合いがついておるそうでございます。そういうふうにこれはついておりますから、そうしたいというわけではございませんが、今お話しのような点は、法律に記載した例もないかもしれませんが、するとせないとにかかわらず、また国においてそれだけ積極的に河川の管理をやって参った以上は、その責任がどこまでもあることは当然である、私はそうあってしかるべきだと考えます。
○岡本(隆)委員 砂防の問題はあとで触れようと思っているのでありますけれども、山がああいうふうな状況であれば、国がああいうところへダムをつくれば、同時に砂防工事というものを強力に進めなければ、ああいうことが起こってくるということは十分予想されることなんです。だから、ダムをつくったことが誤りである、さらにまた、ダムをつくりながら、砂防を怠ったということが一そうの誤りである、こういうことが私は言えると思うのであります。だから、二つの誤りが重なってきておるのにかかわらず、あの地域については、もしダムをつくらなんだらどうなったろうということは、私はこれは現地の人には少し気の毒な言い方であるというふうに思うのであります。だからそういう点、当然ではありますが、今日国がいろいろ責任を負わなければならないものに対して、すったころんだでのらりくらり、一向責任を行政に対してとろうとしないというところに国の大きな行政の姿のゆがみがあると思う。それを改める、しかし、改めるについては、まず第一に、ああいう水禍というものは、生命も財産ももろともにふっ飛ばしていくという、非常におそろしい災害を住民に与えるものであるだけに、河川法の中にはそういう点をより一そう強調すべきである、こういうふうに思うのでありますが、いかがでしょう。
○河野国務大臣 これは速記録に残ることでございますから、私も一言言わしていただきたい。及ばずながら私も長いこと政治をやっておりまして、役人でありますれば知らぬこと、われわれが大臣をいたしておりまする以上は、当然責任をとるべきものについて、のらりくらり逃げ隠れようという量見は毛頭持っておりません。あくまでも進んで責任の場に立って、責任を明らかにするということは当然だと思います。従って、そういうことは、法律にあるとかないとかということとは別だと思う政治家を志す以上は、国民に対して御迷惑をかけたら、その責任はすぐとらなければいかぬ、とるべきものだということを私は申し上げたのであって、のらりくらり逃げ隠れようという量見は毛頭持っておりません。ただし、今あの地方の問題については、お話が出ましたから、私はごく短時間の視察でございますから要を尽くさぬかもしれませんが、あそこに砂防をいたしましても、砂防にもおのずから限界があると思います。あれだけ大規模に土砂が崩壊するところに現在やっております程度のわずかな砂防では、問題にならぬだろうという場合も見受けられます。従って、特殊の地方でございますから、全国共通の考えではあの地方はいかないと私は思います。従って、今ダムについても、砂防の基幹になる程度に一ぺん変えたらどうか、ある程度上の方を取ってあそこに土をある程度埋めて、あの高さまでたまっていいか悪いか議論があるが、しかし、ある程度まであれを下げて基盤をあの程度に置くというために使うように考え直したらどうか、それについて考えてもらうということを今私は具体的に指示してあるところでございます。 その他につきましては、むろんそれはお話しの通り、たとえば非常に大きな雪が降った、今までやっておけばよかったのにやってなかったじゃないかというような場合もありましょうし、あそこにあれだけの土砂くずれがあるということは今まで思っていなかったかもしれぬ。だんだん調査をしてみると、あそこの地盤がこういう土質であって、大規模の土砂崩壊があるのだということになって、思わざる災害が起こったというようなことがありましょうと思いますから、それについてはそれぞれしかるべき機関において善後措置を講じて参っておるということだと私は思うのでございます。従って、河川法におきまして、水を治めるという意味におきまして必要な処置はむろんこの際しなければならないということは思いますけれども、法律にそういうことを一体積極的に書くようなことがあるかないかというようなことについては、十分検討を要することだろうと申し上げておるのでございます。
○岡本(隆)委員 自分はどこまでも責任をとるのだという大臣の心がまえは私はよく存じております。しかしながら、私が申し上げているのは、今までの日本の国の政治のあり方というものが、そういう点において、必ずしも大臣のお気持のような形では運営されておらなかったということを申し上げておったわけです。 それから、今私が申し上げました泰阜ダムは、あるいはまぎらわしい例であるかもしれません。しかしながら、もう一つ別な例を申し上げますと、私の近くに淀川がございます。何べんも委員会で申し上げた問題だから、きょうは触れぬでおこうと思ったのでありますが、淀川の一つの例をとりましても、嵐山に保津峡というのがあります。あの保津峡の上がネックになりまして、鶴岡に毎年水害が起こることは大臣御承知でしょう。また同じような例として、淀川の支川である木津川の上流の伊賀上野の盆地の入口に岩倉峡というのがある。そこがネックになりまして、伊賀盆地が例年水害にやられるということも大臣は御承知であろうと思う。ところが、それじゃどうして亀岡や伊賀盆地があのような水害が起こるかということになりますと、上流の河川の改修がどんどん進んだからです。従来ならば上流の方ではんらんをする。あるいは上流の方でくねくね回ってくるのが、捷水路がつくられたり、あるいは護岸がかっちりされて、上からどんどんまっすぐに吐き出されてくる。しかしながら、出口がもとのままなんです。いつまでも昔のままなんだというところに、あのはんらんの原因があるわけだ。河川改修というものは、もしほんとうにまじめに各地の住民のためを考えるなら、そういうふうな条件がそろってきたら、当然その狭窄部を開くということをやらなければならない。ところが、開いたら下流が持たないということで開かないのです。そうすると、今度は下流の方ではそれじゃそれを受けられるだけの遊水地帯というものをつくって、それを開く道が講ぜられるかと言えば、それは自然のままなんだからということで放置して、下流はやはりその狭搾部から流れてくるものを受けられるだけの計画洪水量より計画が立てられない。そういうことになって参りますと、もう現地の者が、これは天災でなくて人災だ、こういうことは、これは国で責任をとってもらわなければ困る、だから国に賠償の責任がある、こういうことを言うのも私は当然であると思う。だから国がほんとうにそういうようなものを賠償しなければならないということになるなら、国としてもやはりそこまでの責任を負うた河川に対するところの治水対策というものが私は立てらるべきだ、こう思うのであります。そういう意味において、国が一貫した河川行政をやらなければいかぬ。ある一カ所に対してしわ寄せをやっちゃいけない。現に伊賀盆地や亀岡の人は治水行政の誤りのしわ寄せを受けているわけです。だから、そういう点をどうしてやるんだ、それに対して国が責任を負うのか負わぬのか、こういうことを私は申し上げている。そういう点についてのお考えを承りたい。
○河野国務大臣 ちょうどいい機会でございますから、私にも、私の勝手になるかもしれませんが、発言をお許しいただきたいと思います。 実は私も先般伊賀の上野を二回ほど通りまして、現地の事情も多少は心得ております。また同時に、あそこにネックがあって、豪雨のたびに水がたまって迷惑なさることも聞いております。しかし、これは決してそのままでおこう、全然やる意思がないということじゃない。やる意思がありましても、たとえば上にダムをつくろうとすれば、地元の方が反対してダムができない。下の方をやろうといえば、やはり上と下との間においてバランスがうまくとれていかないということで、御承知の通り、いずれも民間の御協力なくてはできないことでございます。決して役所の方が怠慢で、そういう計画なしに、上の方だけあけてみたら水がさっと流れてきて、必要以上に伊賀に水がたまってしまう、下の方をもっと——治水でございますから順序はこざいましょう。順序はございましょうが、順序通りに運ぶことも、民間の御協力がありませんのでできない場合も相当にあるということは御了承いただけると思うのです。もっと極端に申しますれば、私は政党政派を超越してこういう問題には御協力いただきたい。たとえば九州の有名なダムにしても、そういうことを申し上げては恐縮ですが、地元のある方が反対していらっしゃる。しかも非常に金持ちで、それで金にあかせて反対していらっしゃる。その背後関係等については私も承知しておりますが、これはあまり申し上げるのは適当でありませんから申し上げませんが、こういうことでも、全部感情とか政派とかいうものを超越して、指導的立場にあられる方が御協力いただきましたら、もうちょっとうまくいくのじゃないか。そういう例は必ずしも九州ばかりじゃございません。近くは、今、淀川水系でもお話しになりましたが、滋賀県にもその例があるはずでございます。そういうものは私は全国にあると思う。こういうことはお互い政治家として非常に適当でないと考えるのでございます。もしその役所の設計計画自身が悪いならこれは別でございます。大体はそれ以外に方法がないだろう。こういうことがどんどん進めば、今のような被害なしに、被害を除去するために計画を進めて参るものが、そういうことのためにその事業が進まぬというのは、非常に遺憾に考えられる点も、私は一方において全国にその例少なしとしないと思います。従いまして、今のお話の点もごもっともでございますので、こういうものは遅滞なくやるべきことを私は考えます。私も決してほうっておこうとは考えておりません。たとえば琵琶湖の水にしても、そういうことが大阪府との間に言えると思います。大阪府の方でどのくらい負担するか、どっちでどうするか、負担の形式をとるか、寄付の形式をとるかということもひっかかってくるという問題も、近日解決するようですけれども、ございます。そういうことのために、治水の事業が思わぬところに支障を来たしているのであります。わずかばかりの用地の関係で進まなかったりするようなことがあることも御了承いただきたいと思うのでございまして、決してそれなるがゆえに、今のような問題がおくれておる責任を回避しようとは思いませんけれども、そういう点で御協力いただけるようになりますれば、さらに一そう——予算がないからやれない、予算をお前つけないからやる気がないのだということは、これははなはだ遺憾なことでございますけれども、私は必ずしもそうとばかりは言えないと思うのでございまして、それらの点については一つ私もできるだけ努力いたしますから、御協力いただきたいと思うのでございます。
○岡本(隆)委員 一つ一つの例について言えば、なるほど下筌ダムの問題などは、あるいは大臣のおっしゃるようなことがあるかもしれません。しかしながら、またそうでない場合もあるのです。たとえば地元に反対がある場合、私から言いましたならば、役所がそれを好都合にして足踏みしていると見られるような場合があるのです。たとえば亀岡の盆地の場合は私はそれだと言えると思うのです。なるほど伊賀上野の盆地についてはいいダムサイトがない、これは私にもあの地形から見てわかります。しかし亀岡の場合には上にダム予定地があるのです。現にそこで反対運動が起こっております。私の方にも陳情に参りました。しかし河川局長にも私は言ったことがある。河川局長も私に言われました。反対運動が起こっているから岡本さん頼みますよ、なるほど本腰に調査に入ってほんとうにやる気になって、京都府なら京都府の土木部長を通じてほんとうにやる気で現地にかかられたら、私だってなんぼでも、現地の反対運動の中に入ってでも、現地の人に叱られても、私はそういう点の問題はやはりある程度お手伝いするのがわれわれの義務だと思っております。だから、どんな反対を受けても私はやる覚悟を持っております。にもかかわらず、そういうふうな動きはきわめて緩慢であって、むしろあれは反対運動があるからもうちょっとあのままで置いておいた方がいい。むしろそれよりもランクが上に上がっておるのが青蓮寺ダムです。御承知のように高山ダムを今やっております。高山ダムの上にもう一つ木曽川筋にダムをつくる。その水は大阪の方へ流すのだ、こういうような形の利水のダムが上のランクに上がりました。そしてその地域においては、現実に亀岡に見るような大きな水害はございません。にもかかわらず、それの方が先のランクに上がる。現実に水害に悩まされておる地域の上流のダムが一向調査が進まないというような例もあるから、私もこういうことを申し上げるのです。これは後ほど大臣の方でもよくお調べを願いまして、そういう点についてやはり行政の筋というものを通していただきたいと私は思うのです。
○河野国務大臣 もうちょっと議会の方が手がすきましたら、さっそく私現地に参りまして調査を進めることにいたします。
○岡本(隆)委員 そこでもう一つ、自治体から河川の管理権を取り上げるという格好になりますので、やはり自治体に安心感を与えるために、もう一つその政策を考えていただきたい。それはどういうことかと申しますと、治水審議会というふうな形のものをつくってもらいたいということであります。国が大きな河川の治水についての権限を握っていく以上、やはり関係するところの府県の知事もしくは議会の代表、あるいはまたそれに利害のある町村の代表、そういうような人たちによって治水審議会をつくり、そこに大きな工作物をつくったり、利水施設をつくったり、あるいはまた河川にいろいろな手を加えていくというような場合には、一応審議会の議を経て、それらの人々の同意を得て、その上で仕事を進めていく、こういうような機関を設置することが一つの対象条件でなければ、なかなかこれは、国に管理権を取り上げるということは大問題になると思うのであります。だからそういう点、こういうような引出物を一つ出していただきたいと思うのでありますが、御意見を承りたい。
○河野国務大臣 よく検討いたします。
○岡本(隆)委員 その次に私の希望するところは、洪水地域の指定ということをやっていただきたいと思うのであります。どういうことかと申しますと、まず第一は遊水地帯をつくらなければいかぬということです。従来河川行政というものは、川を山から海へまっすぐどんどん早く流すというような考え方に立って治水対策が講じられておりましたが、これはやはり今までの河川行政の一つの誤りであったと思うのです。一つは食糧増産の必要があって、耕地をつくる必要があるというような建前でもってどんどん干拓や埋め立てが行なわれたようでございますけれども、しかしながら、もう今は日本も農業の構造改善というふうなことで、また主食は戦争がない限り外国から輸入することもできるのでありますから、もう耕地面積をこれ以上今からふやす必要はなかろうと私は思うのであります。従って、住民を水禍から守るという意味からは、むしろ遊水地帯をこれからつくっていく必要があると思う。ところが、先年災害視察に北海道へ参りました。北海道の石狩川の泥炭地帯です。たんぼが浮くのですね。稲がはえたまま、途中で下を離れて、たんぼが浮いておるというような現状です。また泥炭地帯の道を歩きますと、まるでカステラの上を歩いているように、ふわふわしている。ああいうところを見ますと、あれは何年もの間アシが土砂に埋もれて倒されて、その上また洪水がきては、アシが倒れて土砂に埋もれるというような形でできた地域であって、これは明らかに千年来の洪水地域であるということがわかっておる。そういう昔からの洪水地域に田畑をつくり、さらにまた住居を建てる、こういうようなことで、水の中へ人間の生活みずからが飛び込んでいっておる、こういうようなことが行なわれておるのが、あの泥炭地帯の実相です。しかもその泥炭地域の中へ今日でもまだなお開拓が進められて、田がつくられておるのです。だからこういうことはもうやめてしまって、そういう地域は洪水地帯として湿地は残していく。むしろそこへ池とか沼とかいうような形で残して、そこで魚の増殖をやるとか、あるいは水の中で栽培できるようなハスでも植えるとか、そういうような形でそういう湿地を利用しつつ洪水に備える、こういうことをやらなきゃならぬと思うのです。だから法律でもってはっきり国がそれらの湿地を全部洪水地域と指定する。指定されたところの洪水地域に対しては、これは管理者の許可がなくては埋め立てはできない。あるいはまた、埋め立てをやるような場合には、ほかにそれに見合うような調節整備をしなければそれを埋め立てできない、こういうふうなことをはっきり法律の中にうたって、洪水地域の指定というものをやるべきである、こういうふうに私は思うのでございますが、これについて建設大臣の御意見、さらにまた農地局長から、これについて何か文句があるなら一つおっしゃっていただきたい。
○河野国務大臣 ただいまお話の点は、私も二、三その例を視察したことがございます。確かに必要であると考えております。しかし、一方におきましては、何分食糧の増産もさることながら、宅地の造成等に土地を非常に強く要求いたしておりますので、これらの点をなるべく合理的に土地利用の面から考えていきたい。ただし、お話の遊水池と申しますか、それの必要であることは絶対に私も認めるものでございますから、今申し上げましたような意味におきまして、十分検討するということでお許しをいただきたい。
○小林説明員 ただいま農林省の方の意見はどうかという御質問でございますが、河野建設大臣から御説明がございました通り、遊水池なるものはなるほど必要でございます。一方農林省といたしましては、戦後食糧増産の建前でどんどん開墾干拓を進めて参っておりますが、最近では事情が異なりまして、もっぱら構造改善事業の方に重点を置きまして一農家の耕作反別をふやす方向にいろいろな方策を考えております。従いまして、内水面干拓等につきましても、現在実施しておる地区も十町歩ほどございますが、これらにつきましては特に遊水池でなければならないところを無理に干拓をしておるわけではございませんで、建設省その他と協議をいたしまして、これは内水面の干拓をした方がいい、それによって付近の町村の構造改善の役に立つというようなところをいろいろ水利的に検討いたしまして干拓を進めておるわけでございます。ただいまお話の遊水池の指定ということになりますと、これはなかなか建設省としてもむずかしい問題であろうかと思いますが、農林省といたしましては無理に遊水池であるべきところを干拓しようという意識もございませんので、総合的に考えまして、遊水池であるべきところは遊水池であっていいし、また水利的に内水面の干拓をした方がいいという結論が出ますれば干拓をする。今後も構造改善に役立つように進めていきたい、こう考えておりますので、今お話の遊水池を指定するという問題につきましては、いささか検討さしていただきたいと思います。
○岡本(隆)委員 大臣は参議院の予算委員会へお急ぎのようでございますから、これと関連したことをもう一つだけお伺いして行っていただきたいと思います。今合理的に十刑利用をしていきたいということですが、私もそういう意味で申し上げているのです。もう一つの問題と関連しますから次に進みますが、たとえば中小河川の周辺の農地が今どんどん宅地化されていく。昔はたんぼが両側にあった。一帯の盆地の中がずっとたんぼだった。その中を中小河川が一本流れておる。そういう形のままでそれが宅地化されていきまして、工場になりあるいは住宅になる。そういたしますと、たんぼの湛水量というものは非常に大きいものです。そのたんぼの湛水が、住宅や工場になって屋根から軒へ、といから全部排水となって一時に出ますと、従来の中小河川では持たないんです。そういう状態のままでもって宅地化が行なわれているところに、今日各地に水害が出ておる大きな原因があるのです。だから、土地の合理的利用をやるとするなれば、そういうような中小河川のある地域においては、やはりあらかじめその水路を広げることができるという余地を残しておかなければならぬ。だから、大体この地帯を宅地化する、土地利用をする、こういうことにきまりましたら、そういう中小河川の両岸なり片岸なり、適当な地域五十メートルとか百メートルとかいうふうな範囲を洪水地帯として指定をして、それを順次に——これから先買いの法枠ができそうでございますから、先買い権でも発動して、一部ずっと築堤を、たとい低いので、もいいから、その中に水のつかないときにはつくってもよろしい、しかし、つくときにはやってもらっては困るというような形で、もう家を建てさせない、やはりこういうふうな形の予備をしておかなければ——これは治水問題ですが、幾ら合理的利用をしようとしても、これでは種々の工場をつくってもすぐに機械はぬれてしまう。そういう意味においては、農地の開拓の場合も、たとえば何十町歩ある、何百町歩あるというような場合、その半分を洪水地帯として残し、半分を開拓するというような形でそういうふうな水害から守る設備を残しつつ開拓を進める、土地の合理的な利用をはかる、こういうことをしなければならぬ。だか、遊水地帯の設定というものは、この際、河川法を改正されるなれば、ぜひとも織り込んでもらわなければならない問題で、洪水地帯の指定という問題は、非常に重要な問題であるということを私は痛感いたしますので、こういうとこを申し上げておりますが、その点、私一多少御意見が違うようでございますけれども、もう一度よく考えていただきまして、法律改正の中で十分北かしていただくようにしていただきたいと思います。
○河野国務大臣 ただいまお話しになりました点は、たとえば私の地元の鶴見川等において、その例を非常に深く痛感いたしております。従いまして、将来の検討の資料として十分に御趣旨の点を松付いたしたいと考えております。
○岡本(隆)委員 それじゃ大臣に対する質問は次会に残します。 次に、林野庁にお尋ねしたいと思いますが、私は、日本の森林行政には治水的配慮が欠けておる、こういうふうにかねがね思っておるのであります。それはどういう点でそういうことを申し上げるかというと、今日の水害の原因が、戦時中どんどん伐採が行なわれた、しかもそれに対して、植林や砂防が行なわれなかった。山が荒廃して、土砂がどんどん流れてくるというふうなことが今日の災害の原因である、こういうように聞いておるのでありますが、科学技術庁から出しました日本の資源問題という資料を見ますと、昭和二十年の全国の伐採面積というものは大体八十万ヘクタール。これはグラフで見ておりますから大よその数字ですが、二十年の人工造林は五万ヘクタール、そういう状態が二十二、三年ごろまで続いております。そして二十五年になりましてようやく日本も敗戦の虚脱状態から立ち直ったと申しますか、そこで二十五年になりますと七十万ヘクタールの伐採に対して三十万ヘクタールの造林をやっております。それから二十六年は八十万に対して三十万、三十年は七十万に対して四十万、三十三年は七十万に対して三十五万、大体伐採面積に対して二分の一というところが造林が行なわれている現状である。そうしますと、戦時中に年々大きく開きが出ており、しかも戦後なお今日に至っても、切られておる部分に対して半分くらいの造林しか行なわれておらない。こういうことでは、山の中に至るところ荒廃林ができて、これが山くずれの原因になってくるということは当然である、こういうふうに思えるのですが、林野庁の方はそれをいかがお考えですか。
○吉村政府委員 ただいまの御指摘の伐採面積と造林面積でございますが、確かに終戦当時はまことに過伐、乱伐が行なわれておりまして、造林がそれに伴っておりませんでした。しかしながら、その後逐次人心が安定して参るに従いまして造林も進んで参っております。それでただいま先生のおあげになりました造林面積は、おそらく人工造林面積をおあげになっておられるのではないかと思うのでありますが、造林の方法には人工造林と天然更新と二つありまして、天然更新の面積すなわち造林の総面積をあげて参りますと、逐次回復して参りまして、三十一年度ごろには大体植伐の均衡がとれて参っております。三十一年度の数字をここで申し上げますと、伐採面積が約七十四万六千ヘクタールに対しまして、人工造林が三十六万七千、それから天然更新が三十一年度は五十一万八千というような形になっております。かような形で三十一、二年度になりますと植伐の均衡は大体とれまして、その後木材の価格の高騰その他によりまして、造林意欲も非常に上がって参りました。最近はほとんど伐採をしたあとのみならず、拡大した原野地、未立木地、無立木地等への造林も逐次行なわれてきているという状態かと考えております。
○岡本(隆)委員 人工造林はわかりますが、切ったあとほっておくんでしょう、天然更新の場合は。
○吉村政府委員 天無更新——一番理想的に申しますと、国土保全その他から申しますと、天然更新が一番いいのであります。ただ、天然更新のできる樹種とできない樹種とあるわけでございます。たとえば先生の地方から中国、九州、あの方面へ参りまして、アカマツ林というようなものは、これは植栽をするよりもむしろ天然更新をした方がいいわけでございまして、これはほうっておいたのではいい成林はしないのでございますしこれは下種の補整、天無下種補整をいたしまして下種を促し、それからはえて参りますとこれを保育するということは、人工造林の場合と同じでございます。むしろ集約な施業をいたしませんと、完全な森林にはなってこないのでございまして、ほうっておいた天然更新というような感じで考えられますものは、やはり戦中に放置されたものでございまして、そういうものは逐次ごらんのような薪炭林のような形になってしまうのでございます。
○岡本(隆)委員 そうしますと、私もう一つ、日ごろ疑問に思っておったことですが、私どもがあちらこちら歩きますと、至るところ山はまる裸です。それで、まる裸になっておるところはこれはどうしてもくずれやすいです。あれを一ぺんにまる裸にせずに、間伐をやるなりあるいは帯状に山を切っていけば、山は今日ほどは荒廃しない、私はこういうふうに思うのです。日ごろ思っておったのです。ところが、この資料を見ますと、林野庁の方針が昔、戦前は択伐や間伐が行なわれた。ところが、最近は伐採方法が、独立採算の関係で——特別会計になっておりますから、独立採算の関係で、伐採の方法が皆伐方式に変わったというふうなことを書いておるのでありますが、なぜそういうふうな——いかに独立採算制であるといえども、これは国営事紫であり、国有林なんです。だから、やはり山を守るということはまず第一に考えていかなければならぬ、そういう見地に立てば、これはやはり皆伐方式をとるべきではない、私はこのように思うのでございますけれども、皆伐方式をおとりになったのはどういう理由なのか。採算上の問題なのか、あるいはそれでも十分山は守れるという自信がおありになるのか、そういう点を承りたい。
○吉村政府委員 森林の中には、国有林、民有林合わせまして、面積大体二千四百万ヘクタールでございますが、そのうち七百五十万ヘクタールが国有林になっております。今、先住の御指摘の国有林の伐採方針でございますが、ただいまの国有林の占めております位置は、大体奥地の、あまりいいところはないのでございますが、そういうところの森林は生産性も非常に低いわけでございます。非常に過熟な林分が多うございまして、ほとんど生長がとまっているというようなものが多いのでございます。それに引きかえまして、最近の木材の需要尾の増というのは非常に大きくなっておりまして、こういう情勢に将来ともこたえて参りますためには、やはり生産性の高い森林をつくって参らなければならぬ、生産力を増強して参らなければならぬということになるわけでございます。必ずしも国有林の特別会計の採算自体だけの問題でなしに、国土保全上差しつかえないようなところは皆伐して人工植栽をして参る。択伐の更新をして参りますためには、やはり天然更新という作業が十分にできるようなところでないとなかなかむずかしいわけでございます。従いまして、やはりある程度の面積を伐採をいたしまして人工植栽をして参るということが、一番得策なのではないかというように考えられるわけでございます。一方、御指摘の国土保全上の問題でございますが、これは御指摘のように、あらゆる森林にはおそらくこの国土保全機能がないというようなことは言えないかと思うのでございますが、その中でも特に重要なものは、保安林といたしましてただいま大体四百万ヘクタールの保安林が全国にあるわけでございますが、こういう中におきましては、一部の大面積保安林は別といたしまして、重要な保安林につきましては、先生の御指摘のような択伐、それから帯状の伐採でありますとか、いろいろ伐採の方法を指定いたしまして、自由に伐採をさせないようにいたしております。それから普通林の伐採におきましても、伐採をいたします場合には、あらかじめ都道府県知事に届出をいたしまして、その着手をいたす前に十分係官が指導をいたしまして、国土保全上支障のないように措置を講ずるようにいたしておるわけでありますが、昨年の四十四国会におきまして、森林法の改正を提案いたしました場合にも、この保安林の管理体制の整備拡充ということには、この管理責任もはっきりいたしまして改正をいたしたわけでございます。
○岡本(隆)委員 あちらこちら地方を歩いておりまして、そのような治水的見地に立った山の管理というようなものが行なわれているというふうには私は見受けられない。むしろ採算第一主義で、とにかく木を切り出しやすいように、片端から切って下へ落としていく、こういうふうな方針が至るところで行なわれておる。しかもそれが国有林まで行なわれてきておるというふうなことに至りますと、私はこれは言語道断であると思う。帯状に刈っていきますなら、ある一つの山を二段階か三段階に分けまして、一番先から刈る、その次は中から刈る、下から刈る、そうすればその水勢が相当とめられる。それを皆伐方式をとったというような、しかも国有林でそういうことをやるというようなことは、これはやはり土砂の排出を多くしますから、一つ一つの山から出る量は少なくとも、それが集積すれば非常に大きな量になって土砂が排出される、河川の河床が上がってくるわけでありますから、そういう点は私は特に今後方針を変えていただきたいと思うのです。 林野庁でもすでに択伐と皆伐との山はだに及ぼす影響を調査しておるわけです。その調査の——林野庁の試験場の成績を見ますと、崩壊地の侵食量というものはヘクタール当たり年に百ないし四百立米のなにを出しておる。すっかり皆伐して裸地になりますと、十ないし百立方メートルのものを出している。ところが森林地になるとそれが〇・一から一だ。まさに土砂の排出量というものは、森林に比べますと、すっかり裸にしたところは百倍、それからまた崩壊したところは四百倍になる。そういうような数字をはっきりあなたの方の研究所で出しておるのです。そういう研究を片一方でやっていながら、片一方ではその研究の成果というものを無視したようなことをあなたの方でやっておられる。これは私は重大なあなたの方の手落ちであると思うのでありますが、林野庁の方はどう思いますか。
○吉村政府委員 それは確かにそういう調査の結果がございます。従いまして、私どもといたしましては伐採後、裸地として放置をしないということにいたしておるわけでありまして、伐採をいたしました後、引き続きまして造林をして裸地として残しておかない。それから民有林におきましてもそういうことを特に指導をしております。それから保安林におきましては強制的に伐採後直ちに植栽をしなくちゃならぬというように指導いたしておるわけでございます。ごらんになりますと、かなりほうってあるように、遠くから見ますと見える山があるかと思いますが、よくごらんになると、最初は三十センチ程度のものをぼつぼつ植えてあるわけでございますから、あるいはお目にとまらぬで放置されているというふうにお考えかと思いますが、大体そういう方針で、あの調査の結果は慎重に私どもも尊重をいたしまして、事業の実施はいたしておるのでございます。
○岡本(隆)委員 私もしろうとでありますが、やはり頭の中にいつも治水のことを考えていますから、植林をやっているかな、こう思って絶えず見ております。だからそういう点、ある程度のことは見落としするかもしれませんが、私はそういう気持で見ていて私が日ごろ痛感しておるのでありますから、林野庁の今後の方針を十分そういう点考慮をしていただきたいと思います。昨年、三十七年の林野庁の特別会計のなにを見ますと、事業収入が七百九十四億、約八百億ですね、それに対してあなたの方が造林事業に出しておられる費用が百二十三億、それから治山事業に出しておられるお金が四十億というふうに見たのでございますが、これは少し砂防に対する努力が足りないのではないか、あれだけ伐採をし、あれだけ大きな国有林を持っておりながら、しかも砂防に対するところの費用の三十億というものは、これは災害予防上非常に少ないのではないか、だから林野庁の方でもっと災害防止のための努力をしていただかなければならぬ、こういうふうに思うのでございますが、御意見いかがでしょうか。
○吉村政府委員 国有林の治山事業におきましても、やはり御案内の通りの治山治水十カ年計画に沿いまして実は年々計上をいたしておるわけでございます。その進行の状況は、やはり最近の災害の頻発状況を見ますと、十分でないということを私どもも考えまして、実は最近も十カ年計画の再検討という問題も取り上げまして調査をいたしておるのでございますが、御指摘のそういった不十分であるという点につきましては、私どももただいま真剣に検討をいたしておりますが、逐次改良をいたして参ると同時に、さらに予防の方面に力を入れて参りたい、かように考えております。
○岡本(隆)委員 もうこの程度でやめておこうと思いますが、特に私は政務次官にお願いしておきたい。山地の荒廃がひどいために災害がどんどん起こる。二十五年から三十年の五年間の平均で、年度災害に対するところの損害は二千四百億、最近は年三千億以上の被害を災害によって受けておるのに、災害防止に対して行なわれるところの施策が非常に乏しいと思うのです。ことに砂防であるとか、あるいは遊水地帯の設定であるとか、こういう点について、一段の努力をしていただきまして、今度はもっと災害防止の見地から、やはり日本の治山問題についても、建設省はある程度どんどん意見を申し述べることができるような機関を一つつくってもらいたい。そうして災害防止というものが何をおいても国民の大事な暮らしを守る手段であるという観点に立って、今度の河川法の改正というものは、それこそ一つ大きな英断をもってやっていただきたい。あなたの方はたまたま河野建設大臣の内助をやるということになりましたが、なるほど河野さんは実力者と言われております。しかしながら、単に河野さんの威令が役所の中で行なわれるというようなことだけでは、私は実力者に値しない、やはりこういうような大きな政治的な課題、長年何人も手をつけることのできなかった大きな課題を、ずばっと解決するというようなところに、初めてほんとうの河野さんの実力者と見る一つの理由になると思うのであります。またそれを助けられた次官松澤さんの大いに成果の上がるところでありますから、一つ河野さんを助けてうんと勇断をもってりっぱな河川法を作っていただくようにお願いいたしまして、私のきょうの質問を終わります。
○福永委員長 次会は来たる二十二日金曜日、午前十時より理事会、同三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時六分散会