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43回国会衆議院1963/07/04

外務委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会 第1号

発言数
162
登壇者
17
会派数
2
開催日
1963/07/04

会議録

野田武夫自由民主党

○野田委員長 これより外務委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会を開会いたします。  先例によりまして私が委員長の職務を行ないます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。  前田正男君。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 アメリカの原子力潜水艦寄港に対しましてはかねてからいろいろと議論をされておるところでありますが、この機会に、私は、与党の立場でありますけれども、この問題について数点にわたりまして政府に質問をいたしたいと思うのであります。過日外務省から中間的な発表がございましたが、その発表をもとにいたしまして、もう少し明瞭にしていきたいと思うわけであります。  この際、その質問のまず初めにあたりまして、外務大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。現在までのところ、政府としては、寄港を断わる理由がないが、国民に与える影響を調査して慎重に返事をしたい、こういう態度をとっておられるように思うのであります。そういう態度に現在のところも変更がないか、あるいはまた、この前中間報告がありましたあとで、さらにアメリカ政府、その他から説明・情報等を得られた点があるか、そういう点について、まず質問の前提条件として外務大臣から御返事をいただきたいと思うのであります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 仰せのとおり、政府の立場として、寄港を要請された場合にそれを断わる立場にないことは、たびたび申し上げたとおりでございますが、御指摘のように、国民の側におきましていろいろ御心配の点もございますので、これらの問題について周到に検討いたしまして処理いたしたいと考えておるわけでございまして、この態度は今日も全然変えておりません。  それから、第二点といたしまして、この間中間の報告を申し上げたわけでございますが、その後も引き続き先方と照会をいたしておるわけでございますけれども、先方の御返答はただいまのところまでまだ接受いたしておりませんが、遠からず返答がちょうだいできるものと期待いたしております。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 その返答を待って政府としても態度をきめられるようにわれわれも承知しておるのでありますけれども、この際私からこれらの問題について質問をしていきたいと思うのであります。  まず科学技術庁長官にお聞きをしたいと思うのでありますけれども、ただいま外務大臣のお話のありましたように、国民に与える影響という点について考えていきますと、これは原子力潜水艦の安全性という点がまず第一の問題だと思うわけであります。ところで、この安全性についてでありますけれども、世間におきましては、一部の人たちは、原子力潜水艦が一般的な行動をしております場合、特に太平洋なんかで作戦をしておりますようなものも含まれたような全般的な事項についての安全性等についていろいろな意見が行なわれておるのでありますけれども、私は、この際は、原子力潜水艦が日本に寄港する、こういう場合を考えまして、その問題についての安全性というものを検討していくべきではないか、こういうふうに思うのであります。どうも、世間で言われておりますことは、日本の港に寄港する問題を離れた、原子力潜水艦の一般的な問題、そういうことについての議論が出ておるように思うのでありますけれども、やはり、寄港を承認するかどうかということでありますから、寄港についての安全性について検討していくべきだと思うのであります。  そこで、原子力潜水艦は軍艦のことでありますから、十分な資料を得ることはむずかしいと思いますけれども、まず第一に、日本におきましては、その安全を審査するにあたりましては、軍艦に限らず、原子力推進の船が日本に寄港するということは、臨時に原子炉が設置されたものとして安全審査をすべきである、こういうのが科学技術庁の立場だと思うのであります。ただし、軍艦の場合は、日本の主権が及ばないわけでありますから、この日本の安全審査の法律の適用外となると思うのでありますけれども、この点について、ひとつ安全を審査していく科学技術庁の立場からお聞きしたいと思います。

内田常雄自由民主党科学技術政務次官

○内田政府委員 科学技術庁長官の近藤大臣が、御承知のように病気でしばらく登院が不可能でありますので、政務次官の私からお答えをさしていただきます。  ただいま前田先生のお尋ねの点でありますが、原子力潜水艦の安全性についての学問的な立場ということからいたしますれば、日本に寄港しない場合の原子力潜水艦の安全性というものにつきましても検討をしたいという欲望があることは私ども否定をいたしませんけれども、ただいま問題になっておりますのは日本への寄港の問題でありますので、お尋ねのように、科学技術庁における安全性審査の問題も、寄港の問題を主として検討いたしたいと考えております。ただ、これは前田先生も御承知のように、原子力潜水艦というものは軍艦でありまして国際法上特殊の地位を持っておりますし、また、一九六〇年にロンドンで署名されました海上における人命の安全のための国際条約におきましても、一般の原子力船の安全審査に関するいろいろな規定がこの条約に織り込まれましたけれども、原子力艦艇はこれを除外するという規定が設けられた点から考えましても、今回原子力潜の寄港問題を取り上げた際に、私どものほうから外務省を通じて何回かにわたりまして原子力艦船の安全に関するいろいろな説明をアメリカ側にただしましたことにつきましても、原子力潜水艦の構造なり設計なり、あるいは一般の原子力船の場合におけるがごとき安全説明書の詳細というものは得られないという次第であります。けれども、私どもの立場といたしまして、原子力潜水艦に関する安全性の審査というものを放棄いたすものではございませんので、私どもは、問題を寄港に重点を置きまして、寄港に際して原子力潜水艦というものはいかなる影響をわが国の安全に与えるかという見地から、できる限りこれに対して満足のいくような形をとってまいりたいと思います。  それから、もう一つ、わが国には原子炉規制法が設けられておりまして、国内で陸上における原子炉の設置あるいはまた日本自身が原子力船などを建造いたしまする場合のその舶用炉につきましてはもちろん適用がございますけれども、外国の原子力艦艇、潜水艇、あるいは航空母艦、巡洋艦などの軍艦に関しましては、ただいまお尋ねがございましたように、外国の主権がそのまま適用され、日本の主権がこれには及ばないというのが国際法の確立された慣行であると思います。その限りにおきまして、原子炉規制法の適用がそこに及ばない部分が出てまいるということはもちろんであると私は思います。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 したがって、いまの御答弁にありますとおりに、今回の原子力潜水艦の寄港というものは、普通の安全審査とは異なるわけであります。しかし、寄港を承認するということは国民に与える影響が非常に大きいのでありますから、そういう点から、安全性を考慮して、政府としてはいろいろと検討しておられるわけだと思いますけれども、そういう点においては、従来の一般の原子炉規制法のような、臨時に炉が設置されるという場合の安全の審査とは違いまして、こういう国民に与える影響という観点からそれを審査する、しかも法律の適用外であるということで、この寄港によりまして国民にどういうふうな影響を与えるかということでありますから、それは主として一般国民大衆に対してどういうふうな危険性が与えられるか、こういうことを検討すべきであって、原子炉規制法のようにそれを運転する人あるいは操縦とかその他の内部的な問題を検討するということは、もちろんこの法律の適用外でもありますし、また主権の及ばないところでもありますから、これは当然でき得ないことでありますけれども、われわれとして議論すべきことは、この寄港によりまして国民に主としてどういうふうな影響を与えるか、こういう点について検討していくべきであると思うのでありますが、科学技術庁の検討しようという立場をひとつお聞かせ願いたいと思います。

内田常雄自由民主党科学技術政務次官

○内田政府委員 前田先生のお尋ねの線と私どもの考える点がおおむね一致するのでありますが、こういう表現がありますかどうか、私流の表現をいたしますれば、原子力潜水艦の安全性の問題に、本質的安全性といいますか、それと、相対的安全性という見地があると思います。先ほども私が述べましたように、学問的要求として原子力艦艇につきましてもこれの本質的・絶対的安全性を究明したいという欲望は私どもは持っておりますけれども、今回の場合におきましては、相対的安全性、私のいわゆる相対的安全性を確認するという立場が主になると思います。これは、さらに砕いて申しますると、わが国の港湾に原子力潜水艦が入ってきた場合に、たとえば放射性廃棄物のようなものをいかなる取り扱いをするか、原子力潜水艦が入港した結果その付近に放射性の障害をまき散らすようなことがあったらこれは全く相ならぬことでありますので、そういう問題、よく申されまする第一次冷却水の除去の問題でありますとか、あるいはイオン交換樹脂の問題でありますとか、あるいは燃料そのものの入れかえ、あるいは修理とか、そういう問題をいかに取り扱わせるか、さらにまた、運航上の問題もございまして、たとえば夜間の入港を認めるか認めないか、昼間だけに入港を限らせるとか、あるいはまた港内におきましても港路を指定するとか、さらにまた標識をつけるとか、あるいはまた先導船のようなものをつけさせるとかいうような運航上の安全操作の点もございますので、これらの点につきましては、科学技術庁といたしましては、原子力委員会などとも相談をし、また運輸省とも相談をいたしまして、でき得る限り国民の心配を排除し、不測の事態がないような注意をいたしたいと考えております。なお、絶対的安全性の問題につきましては、学問上の問題として放棄するということではないのでありまして、今日までもアメリカ側からいろいろな説明も受け、これは構造書とか設計書とかいうものは得られませんけれども、できる限りの説明も受け、いかなる手続、いかなる組織をもって原子力潜水艦の安全審査を米国自身が考えておるか、それが私どもとしても納得できる手続でアメリカ自身が安全性の審査をしているかどうかというようなことにつきましても十分関心を持ち、これから先まだただすべきことはただしてまいる、こういう立場におるわけでございます。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 原子力潜の構造等はいろいろ安全性については問題があると思うのであります。しかし、この原子力潜の運航等によります問題としては、今回の寄港に対しての検討で十分であると思うのです。したがって、その全体的な問題についての議論をする必要はないと思います。その炉の構造とか船の構造等については一般的な問題について議論をする必要があると思いますが、この際は、私たちは、まずわかりやすく、国民の皆さんにわかってもらうために、実際に米国が今回寄港を希望しておりますノーチラス型潜水艦について、——一般にはポラリスも含むのじゃないかと言っておりますが、外務省の発表しました中間報告にも書いてありますとおり、今度はそういうことはアメリカは希望しておりません。ノーチラス型潜水艦が日本に寄港を希望しておるわけでありますから、それが実際に東京湾を経て横須賀港に出入港をする場合をひとつこの際想定をいたしまして、私も安全性について検討してみたい。私も大体は技術出身でありますが、政治を長くやっておりますからそう深い知識はありませんけれども、しかし、私の知る限りの科学技術的な知識に基づきまして、そういうことをまず想定してみて、どういうふうな問題がこの安全性にあるかということをこの際質疑をしていきたいと思うのであります。  そこで、まず第一に防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思うのであります。この原子力潜水艦は軍艦としてあるので、性能を増すために安全性を犠牲にしているのじゃないかというような説が一部にはあるわけであります。しかし、私が持っております科学技術的な知識から判断いたしまして、潜水艦というものは、一般の船舶よりも水にくぐるという性質上当然強度につくられなければ、この潜水艦の役目は果たせないわけだと思うのであります。しかも、原子力潜水艦はもっと深く潜水するわけでありますから、さらにその船自身は強度につくられておるわけでありますから、軍艦としての性能を増すために安全性を犠牲にするというようなことでは、潜水艦として、特に原子力潜水艦として深く水をくぐる役に立たないわけであります。逆に、最も安全性を高くしてあるのじゃないか、しかも、これは御承知のとおり爆雷等の攻撃を受けるのでありまして、その爆雷の攻撃にも耐えるということならば、原子力潜水艦というものはほかの性能を犠牲にしても最も安全に強度につくらなければその主たる目的を達することはできないのじゃないか、こう考えるのです。これは私の考えられる科学技術的な知識からの考え方でありますけれども、防衛庁長官はどういうふうに考えておられるか、お聞かせ願いたいのであります。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 前田先生のお尋ねは専門的な問題でありますから、海原防衛局長から専門的にお答えいたさせます。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま前田先生からのお尋ねでございますが、一般的に申しましてそのとおりでございます。なお、具体的にちょっと例を申し上げますと、たとえば護衛艦の一番新しい「てるづき」型につきましては、その鉄板の厚さは、——船体の鉄板の厚さでございますが、上部のほうは大体十二ミリ、下部のほうは九ミリ程度の厚さのものであります。これが、一般の潜水艦となりますと、大体少なくとも厚さ二十ミリ程度の鉄板を使っておる。これが、さらに原子力潜水艦になりますと、これは推定でございますが、五十ミリから五十五ミリ程度の厚さのものを使用する。こういうことでございませんと、いまおことばにございましたように、これはあくまで対敵戦闘行動ということを前提にいたしますので、駆逐艦からの爆雷の攻撃というものも当然予定いたします。ある程度、三百ないし四百というような非常に深い深度にももぐりますもので、その辺の非常に強い水圧に耐え、かつ爆雷攻撃による影響等も考慮の上任務行動を果たすということになりますと、当然に、一般の船舶に予定されます以上の安全度、強度は潜水艦について要求せられる次第でございまして、先生のおっしゃったとおりでございます。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 ただいまそういうようなお話がありましたので、私もそういう観点から話を進めていきたいと思いますが、この際まず出入港する場合を考えてまいりますと、その場合に一番危険として考えられるものは衝突の可能性でございます。ただいま科学技術庁政務次官はその原子力潜水艦の入ってくる場合のことをいろいろと想定して何かお話をしておられましたけれども、実はその問題につきましては外務省の中間発表に書いてありまして、これは入ってくる場合は必ず夜間を避けて日中に入ってくるわけであります。また、浮上して入ってくるわけであります。これは領海においては特に浮上して入ることに国際条約できまっておるようであります。しかも、この中間発表に書いてありますとおり、日本側の指定する航路に従って入ってくる、こういうふうに書いてありますから、まず東京湾の中に入ってくる場合にあたりまして昼間に浮上して入ってくるということでありまして、しかも東京湾の中で全速力で入ってくるということは、これはもうだれが考えてもないことであります。また、港に入ってまいりました場合、横須賀港に入ってまいりました場合は、普通、速度を落としまして、大体半分の速力以下にするそうでありますが、だれが考えましても、十ノット以下の速度で入ってくるということは考えられるわけであります。また、艦長というものは非常に特別の訓練を受けておりまして、この中間報告にも相当訓練を受けたことを書いてありますけれども、特にその艦長は訓練を受けております。また、慎重にやっているわけであります。日本の港にも出入りした経験を持った者が非常に多いのであります。また、潜水艦の形から見ましても、これまた船の運航の慣性も非常に少ない。これもこの中間報告に書いてありますけれども、そういうようなことから、私は、まずこの東京湾、横須賀湾等において衝突する可能性はほとんどない、こういうふうに考えておるわけでありますが、防衛庁長官は自分の管轄下にも潜水艦を持っておられるわけでありますが、そういうことについて、衝突の可能性等についてまずお聞かせを願いたいと思います。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 これは専門的なことでありますので防衛局長に答弁させますが、自衛艦が東京湾をはじめいろいろな港に出入港する場合におきましては、総員が配置につきまして艦長みずから操艦することは御承知のとおりでございます。しかも、事故を回避するために有効な措置を即時とり得るように訓練をいたしておりますから、この点は、衝突の危険はないものと私は確信をいたしております。  なお、これは私の所管以外のことでございまするが、普通の船舶におきましても、港則法という厳重な法律にのっとりまして、港内・湾内におきましては安全航行いたしておりまするから、特にまた原子力潜水艦入港の場合におきましては昼間でございまするから、私どもは絶対衝突の事故はないものと確信をしておる次第でございます。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 私も、ただいまお話しのようなことで、衝突の可能性はまずあり得ないと思うのでありますけれども、しかし、この際さらに話を進めまして、衝突の場合あるいは接触等が行なわれるということを仮想いたしました場合において、この際非常に科学技術的な問題で問題になっておりますことは、日本の運輸省がサバンナ号の計算例をとりまして、真横から十四ノットで衝突した場合には、原子力船の場合は原子炉までその衝突の影響を与えるんじゃないかというふうなことが書いてあるのであります。しかし、先ほど申しましたとおり、これは非常に強度であるということもありますけれども、まず第一に、ここで想定されております真横から衝突するということが潜水艦にはあり得るか、特に、湾内に入って来、港内に入って来て現在動いておりまして、しかもかじをとっておるものが、真横から衝突することがあり得るかどうか、こういうことであります。静止しておる船ならば別でありますけれども、潜水艦のような慣性も少なく、しかも速度を落として入ってきておりまして、しかも動いておるものが真横から衝突するというふうなことはあり得ないんじゃないか。このの計算例をとりましていろいろの議論をされる人があるようでありますけれども、この計算例の根本に立っておる真横から衝突するという問題は事実上あり得ないのでありまして、こういうあり得ないものを取り上げて議論の対象にしていこうというのは非科学的ではないか。学者の諸君の中でもそういうことを言っておる人がおるようでありますけれども、科学的に判断してあり得るかどうかということがまず第一だと思うのです。その点について、そういうことを検討される部局を持っておられる防衛庁長官の御見解をお伺いしたいと思います。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 専門的なことでございまするから、専門家から答弁させます。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま、真横から、いわゆる九十度の角度をもって衝突することがあり得るかという御質問でございますが、私どもはそういう事態はあり得ないと考えます。と申しますことは、私自身も昨年大臣のお供をいたしましてアメリカへ参りました帰りに真珠湾でシードラゴンという原子力潜水艦に搭乗いたしまして、その際、この潜水艦の操舵といいますか、動かす舵輪に触れたわけであります。ちょうど飛行機のパイロット席にありますのと同じでありまして、非常に鋭敏なものであります。感じといたしましては、自動車のハンドルよりもよく切れるものであります。したがいまして、かりに万々一これが衝突の危険があるということになりますと、進行及び方向の変化はきわめて容易にできるものでありますから、九十度で真横から衝突するというようなことは実際問題としては絶対にあり得ない、こういうふうに確信いたしております。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 私も科学的な知識は十分でありませんし、また操舵とか船の経験に対して十分な知識がありませんけれども、しかし、常識的に考えても、真横から衝突するというふうに潜水艦の構造ができているというふうにはわれわれには考えられません。まず私はないと確信するわけであります。  しかし、衝突をいたしました場合のことについてさらに話を進めていきたいと思うのでありますが、衝突いたしました場合に、先ほど申したとおり、真横からではありませんし、しかも、サバンナ号の場合は十四ノットということを述べておりますけれども、港の中では十ノット以下でございます。湾内においても相当低速力で走っておる。しかも、サバンナ号と軍艦というものについてでありますけれども、もちろん、この商船と軍艦とにおいては、戦闘に耐えるという点について、先ほども申しましたとおり、もちろん軍艦のほうがたいへん強くできております。また、潜水艦は水圧に耐え、原子力潜水艦はさらに深く沈むということから見まして、先ほど海原局長からもその数字等をあげて説明しておられましたが、われわれも、大体のところ、普通の潜水艦に比べまして、原子力潜水艦は三、四倍の厚さの非常に重い外殻を持っておるのじゃないか、そうして、最大の気密に耐えないことには水が入ってくる可能性がありますから、最大の気密に耐えるように厳重にできておると思うのであります。そういう点において、このサバンナ号の衝突の計算例が大体適用されないことは先ほど来申した点でありますけれども、しかし、たとえ衝突事故が起こりましても、サバナン号のようなものでも十四ノットで真横という条件で初めて外殻が破れてくるということですから、原子力潜水艦の場合には、たとえ接触その他かありましても、——私の申し上げておるのは、太平洋で作戦行動をしているときの話じゃありませんで、東京湾に入湾して横須賀に入ってくる場合、日本に寄港する場合のお話をしているのですが、そういう場合に衝突・接触がありましても、外殻等を破られることは絶対に起こり得ないと私は確信しておるのでありますが、しかし、船の構造に関することでありますから、防衛庁のほうからひとつお聞かせ願いたいと思います。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 どういう角度で衝突いたしました場合にその衝突船の船首が外殻を突き抜けて内殻を破り、さらにその中に入ってくるかということにつきましては、私どものほうに専門家がおりましていろいろと検討いたした次第でございますが、まず、先ほど申しました外殻、一番外側の厚さの問題でございます。それから、その次に内殻の厚さの問題がございます。これは、先ほどは厚さは大体五十ミリないし五十五ミリということを申し上げた次第でございますが、この数字はそれよりもさらに厚いものを使用しておるのじゃないかというふうな判断でございます。さらには、外殻と内殻との間の空間、その間は幾らも仕切りができておるわけでございますが、これはどの部分に当たった場合にどうかということになりますといろいろと数字は変わってまいります。したがいまして、それを一括いたしまして、どういう場合にどうだということを申し上げる一般的な数字はございません。しかし、たとえば、いま例に出ておりますような船がかりに十四ノットで九十度でぶつかったということになりますと、ある程度中まで衝突船の船首が入ってくるということはわかっておりますが、これが原子炉に到達するかどうかということにつきましては、その中のさらにこまかい数字が出てきませんと確実なところは申し上げられないということでございますので、それ以上の数字的に正確なことはこの際申し上げられないことを御了承願いたいと思います。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 ただいまのお話のようなことでありますから、私が先ほど来申し上げましたとおり、真横から衝突するということもまずあり得ない。また、大体衝突ということもあり得ないのでありますが、それからまた、十四ノットの速度でぶつかるということもあり得ないようであります。また、サバンナ号に比べましてたいへんな性能を持っておるのでありますから、横須賀港に入ってきます場合、衝突ということはあり得ないと思いますが、たとえ起こり得ましても、先ほど来の私の質問及びそれに対するお答え等から見まして、衝突の場合に原子力潜水艦の外殻が打ち破られるということはまず起こらないということを私は確信しておりますけれども、しかし、衝突による衝撃でもって原子力炉が暴走したり、あるいはまた艦内の武器弾薬が爆発するという危険性によりましてこの炉が爆走するような可能性があるのではないか、爆発するような可能性があるのではないか、こういう問題でありますが、私が聞いておるところでは、この船殻のほかに完全なコンテナーを原子力潜水艦は持っておるということであります。さらにこのコンテナーがあるかないかということについてもまだ話をしてないようでありますから、私の聞いた範囲ではあるということは明瞭になっておるのでありますけれども、ひとつ科学技術庁のほうからコンテナーがあるということも明瞭にしていただきたいと思うのであります。  それから、原子炉には重い遮蔽がありまして、鉛でありますとかプラスチックでありますとか、その外側にまた重油のタンク等も持っておりまして、相当の遮蔽を持っておりますが、さらに、こ原子炉には、コントロール・ロッドのつきました制御装置を持っております。そのほかに、これは中間報告にも書いてありますが、いろいろな安全装置がある。その安全装置の中には、自動的、手動的な安全装置がありまして、これは聞いた話ではありませんで私の想像ですが、大体、発電用の加圧水型の原子炉等から見まして、この安全装置も三十くらいついておるのではないかと思うのであります。したがいまして、どういう事態が起こりましても、自動的にまた手動的にこの安全装置が働きまして、暴走その他は起こらないように炉を停止することができるように私は考えておるのであります。これは私のいままでの原子炉に対しまする知識から見てそういうふうに考えるのでありますけれども、これらの問題について科学技術庁長官は知っておられる範囲の資料についてひとつお答えを願いたいと思います。

内田常雄自由民主党科学技術政務次官

○内田政府委員 詳しいことは専門家が見えておりますから専門家から御説明をお聞き願いたいのでありますが、先ほど防衛庁からもお話のありましたように、まず第一に、原子力潜水艦というものの殻壁なりあるいは船殻なりというものは非常に厳重にできておる。たとえば、原子力潜水艦の安全潜水度というものは、私どもが聞いておるところによりますと二百メートルないし三百メートルということでありまして、船殻の耐え得る水圧が二十気圧ないし三十気圧になっているそうであります。一般のわが国における原子炉などのまわりの殻壁の耐え得る気圧というものは、せいぜい二気圧とか三気圧、四気圧くらいということでありますが、非常にまわりが厳重であるということと、それから、衝突いたしました際に、かりに原子炉に何らかの異変が生じた場合には、私どもが科学常識として伺っておるところによりましても、直ちに制御棒が働く。制御棒が故障がある場合にはボロン鋼が一時に注入されるような制御装置がありまして、ウランの核分裂というものを停止するような組織になっておる。しかし、さらに、制御装置が破られたというような場合に、一切の制御装置が働かないというような場合に、あたかも原子爆弾が爆発するときのように燃料の原子核が一時に核分裂を起こして非常に大きなエネルギーを打ち出すかというと、これは、言うまでもなく、原子炉というものは、原子核エネルギーがコントロールされるような仕組みにできておるのが、船の中の原子炉であれ陸上の原子炉であれ、原子炉でありますから、燃料の置き場所、配置の形などから原爆と違いますから、制御装置が働かない場合でも、原爆のように何百万分の一秒に原子核の分裂が一時に起こって非常に大きなエネルギーが出るというようなことは、これは科学常識として全くない。これは、アメリカなどにおきまして、原子力潜水艦ではありませんが、自動式のある小さい原子炉が制御棒を引き抜きっぱなしにされたというようなことで一時に動き出したことがありまして、御承知のSL1という自動式の原子炉で、かなり大きなエネルギーが起きて災害があったというようなことがあるのです。が、それは原爆などというものと全く比較にならない、規模から言いましても非常に小さいものでありまして、いまお尋ねのように、原爆が落ちたときと同じようなことが原子炉の故障によって起こるかというようなことは、これはもう常識として全くありません。この詳細につきましては、原子力局長その他の専門家から説明をいたさせます。

村田浩総理府技官(科学技術庁原子力局次長)

○村田説明員 御質問の中で、原子力潜水艦にコンテナーがあるかということがございましたが、その点につきまして若干補足させていただきます。  原子力潜水艦の内部構造につきましては、先生も御指摘のとおり、軍事機密に属しております関係上、その資料を得るわけにはいかないわけでございます。したがいまして、コンテナーがどういう形でどういう寸法のものがあるかということを公式に確認するには至っておりません。しかしながら、非公式に調査いたしました範囲内でわかっておりますことは、原子力潜水艦は、それ自体が、先ほど防衛庁のほうからもお答えがございましたように、非常にがんじょうな厚い鋼鉄によります船殻の中に当然入っておるわけでありますけれども、原子炉それ自体につきましても、もちろんむき出しで艦内に置かれておるわけではございません。外部に放射能が万一の際漏れるということを防ぐのはもとよりでございますが、艦内にも乗組員が多数おりますので、艦内に対しましても原子炉及び原子炉室から外へ放射能が漏れることを完全に防止するようにいたしておるわけであります。気密に保つように装置を施しておるようでございます。その気密の施しようでございますけれども、一応私どもが非公式に得ております情報によりますと、種々の安全保護装置によりまして、原子炉は完全にコンプリートリーに囲まれておる。その囲まれております原子炉は、さらにその外側を水の遮蔽で囲まれる。これは、原子炉の周囲を水が全部取り巻いておる形になっておりまして、原子炉から万一漏れてまいります中性子をここで吸収して防ぐためでございます。その水で取り巻いております装置の外に、さらに、ガンマ線を遮蔽いたします関係上、分厚い鉛並びにポリエチレンの遮蔽装置が施されております。なお、聞きますところでは、その外側にさらに、船殻までの場所の間には、たとえば補助動力機関用のディーゼルオイルとか、そういったもののタンクを配置しまして、原子炉の遮蔽にさらに役立たしておるというふうに聞いております。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 ただいま御説明がありましたとおり、衝突等の場合に起きました衝激等も、コンテナーなり厚い遮蔽等がありまして、十分にその影響を受けないということでありますし、原子炉自身においても、われわれの知る限りにおきましても、制御棒その他自動、手動等の安全装置がありまして、暴走なり爆発等の可能性はないわけでありまして、また、そういうことで中性子が漏れるとかあるいは放射能が漏れるとかというようなときも、先ほど申しましたコンテナとか遮蔽によりまして、外部に漏れるということはないわけでありますから、原子炉自身に対しますところの問題に対して、外部に対する危険性ということについては一つも問題はないと私は思うのであります。しかも、この原子炉は、これはまあ科学的な知識で皆さんすでに御承知のとおりでありますけれども、加圧水型というものはマイナスの温度係数を持っておりまして、これは温度が上がるに伴いまして反応が自然に少なくなるようになっておりますから、原子炉自身の持っております本質から見ましても、これは暴走をしないようになっているわけであります。先ほど科学技術庁の政務次官がお話しになりましたように、原子爆弾のような爆発のないことは、物理的な構造上からもあたりまえのことでありますが、しかし、この原子炉自身の性格から見ましても、温度が上がると自然に反応がとまってくるようなマイナスの温度係数を持っておりまして、暴走する可能性もないわけであります。たとえ暴走等が何かのショックでありましても、いま申しましたとおり、自動的な安全装置、その他の安全装置、制御装置等がありまして、一重にも二重にも三重にもできている。さらに外側にコンテナーがある。こういうことでありますから、この原子力潜水艦が東京湾を経て横須賀に入ってくるという問題に対しまして、衝突等の危険性もないようでありますけれども、たとえ衝突等がありましても、その原子炉によりますところの外部に対するところの暴走その他による影響がないということは、ここで大体私たちの持っておりますところの科学技術的な知識から見まして、これは一つも危険性がないということは考えられるのであります。  そこで、この場合特に私たちとしては問題になると思いますことは、これは外務省の中間報告に書いてあるのでありますけれども、この原子力船が何らかの事故でもし沈没をするというような場合にはどうなるかということも、これは中間報告に書いてあるとおりでありまして、その場合には、もちろん、先ほど申した自動、手動等の制御装置で反応がとまりますが、さらに海水によりまして冷却して反応も進まないことは当然でありますけれども、それによりますところの例の放射能の汚染というようなことにつきましても、これを取り囲んでおりますところのジルコニウムその他の関係から、非常に原子炉の燃料要素というものが耐侵食性が強いのであります。この中間報告に書いてありますとおり、非常に、一年間に何百万分の一インチしか腐食しないというようなことでありまして、これが漏れてくるという可能性もない。こういうふうなことでありますので、この入出港に関しますところの原子力船の危険性その他の問題については何ら心配はないと思うのであります。  しかし、念のためにこの際さらにつけ加えておきたいと思うのでありますが、この中間報告書にははっきり書いてありませんけれども、何らかの事故で船が沈みましたような場合に、引き揚げが可能かどうかという点であります。もちろん、東京湾とか横須賀港というようなところはそんなに深いところではありませんから、これは引き揚げ可能だと思いますけれども、そういう引き揚げ可能のときには、これは引き揚げるということになると思うのでありますけれども、そういう点については、何らか向こうから話があったり、あるいはまた政府としても考えておられるかどうかという点について、ひとつお聞かせを願いたいと思います。

島村武久総理府事務官(科学技術庁原子力局長)

○島村政府委員 お尋ねの、もし沈没した場合に引き揚げられる水深のものであれば引き揚げるかというような言い方で先方に質問いたしたことはございません。沈まないと大体思っておりますし、沈んだ場合引き揚げるかということは聞いたことはございませんが、そういうこともおそらく含めようと思えば含まるわけでございますが、何らかの事故ということが万々一でも起こった場合にどうするかということを聞いておるわけでございます。これはたしか外務省から御発表になりましたものの中にもあったかと思いますが、そのような場合のサルベージその他の処置はアメリカ側でいたすということを向こう側は言っておったと記憶しております。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 これは当然行なわれることでありますから、私どもも問題はないと思うのでありますけれども、しかし、この際、出入港によりますところの衝突あるいは原子炉の問題等に対して、いま申しましたような安全性については何ら心配はないということは、大体私の科学技術的な判断においては出るわけでありますが、そのほかに、ここで一つ問題になります問題があるわけであります。それは放射能の汚染の問題でありまして、そのおもなる問題は、いまやかましく議論になっております第一次冷却水の問題であると思うのであります。第一次冷却水はイオン交換樹脂で交換をしましたあとでありますから、この中間報告にも書いてありますとおり、飲める程度になっておるという、それはそうだと思うのであります。そうしなければイオン交換樹脂というものは役に立っていないわけでありますから、当然飲める程度になっていると思います。しかし、ここで私はひとつ科学技術庁にお聞きしたいと思うのでありますけれども、この冷却水の放出というものにつきましては、この中間報告に書いてありますが、アメリカの基準によりまして、その基準をこえる場合にはドックぎわのタンクにとってそして処理して、放出をしないように書いてあります。この場合には何もアメリカの基準に従う必要はないのじゃないか。   〔委員長退席、安藤委員長代理着席〕 これは、やはり、日本の基準に従って、その基準を越える場合には、ここに書いてありますように、ドックぎわのタンクにその冷却水を放出してもらうとか、あるいは日本の基準に合うように薄めて捨ててもらうという、こういうことになりましたならば、第一次冷却水で海水がよごれて放射能汚染があるのだということをいまいろいろと各方面で議論しておりますけれども、そういうようなことは一切議論の対象から消えてしまってなくなってしまうのではないかと思うのです。これは一般の原子力艦船の場合の話ではありません。日本に寄港する場合の海水の放射能汚染という問題は、日本の基準に従って、それ以上の場合にはタンクにとるということは書いてあるのでありますから、日本の基準でとってもらう、あるいは、日本の基準に従って薄めてから、日本の基準以内にして出してもらう、こういうことなら、潜水艦寄港によるところの海水の放射能汚染ということは一切片づいてしまうのではないか、一切の議論の対象からはずれてしまうのではないか、私はこう考えておるのでありますけれども、こういうことに対して政府はどういうふうに考えておりますか。科学技術庁、場合によりましては外務大臣も、科学技術庁がそういうふうな判断でやられるならば、外務大臣のほうとしてもアメリカにそういうことを要請される意思があるかどうか。私は、これがこの問題の解決に一番早いものだ、こう思っておるのでありますが、お聞かせ願いたいと思います。

内田常雄自由民主党科学技術政務次官

○内田政府委員 原子力潜水艦の始動時に発生します第一次の冷却水のオーバー・フロー分の放射能の点は、御承知のとおり一番問題になっておりまして、その放射能の許容基準につきましては、私どもが考えておりますところでは、アメリカの基準と日本の基準が違う、日本の基準のほうがアメリカの基準よりもはるかにきつい、そういうこともあり得るのではないかということが考えられると思います。しかしながら、アメリカの基準も日本の基準も、私どもが受けております説明によりますと、国際機関としてICRP、国際放射線防護委員会というものがありまして、それが国際的の基準を勧告いたしておるのでありまして、わが国の基準ももちろんそれによっており、アメリカの基準ももちろんそれによっておるはずでありますけれども、国際機関の示された基準が非常に幅がある。日本は原子力につきましては非常に神経質でありますために国際勧告の基準の一番きついところをとっておるのでありますが、アメリカのほうは一番甘いところをとっておる。もしかすると、さらにICRPの古い勧告の基準をさえとっておるのではないかと実は考えておるのでありまして、アメリカが幾らいばって第一次冷却水は飲んでもいいものだと言いましても、これについては、前田先生おっしゃるように、私どもは必ずしも承服しない。やはり、日本に入ってきた潜水艦といえども、それが日本の港内に出す冷却水の放射能の基準につきましては、これは日本の法令で定める基準に従ってもらって、それ以上こえる部分については、これもお話があったと思いますが、何かバージにとってもらうとか、あるいは陸上のリテンション・タンクにとってもらう。これはある期間バージなりタンクに入れておきますと放射能がずっと低くなるわけでありますから、そういうことはぜひやってもらわなければならぬ。私どもは、それについては、これは外務大臣もおられるのでありますけれども、とるべき基準についてはき然たる態度をとってもらって、安全にしてもらうことが必要でありまして、この点につきましては、実は若干アメリカ側に対する質問事項が残っておりまして、まだ最終回答に接していない点もあるような次第でございます。考え方はいま申し上げましたとおりであります。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 これは回答がまだ来ていないというお話であります。ちょっと外務大臣にお聞きしたいのでありますけれども、回答のあるなしにかかわらず、この原子力潜水艦の寄港という問題は、われわれが科学技術的に見ましても、また政府が科学技術的に見ましても、なるべく国民に不安を残さないことが大事な問題であります。そういう点については、何といっても、いま私が申しましたとおり、日本の政府の機関で、日本ではこれだけの基準ならばいいということを認めておるわけであります。アメリカの基準じゃありません。日本の政府の基準で認めておるのでありますから、日本の基準以上のときには、タンクにとるなり、あるいは基準以内に薄めてもらうなり、それができないことではない。現に、アメリカの基準以上ならタンクにとると書いてある。できないことではないわけでありますから、そういうことは、日本の立場から、アメリカに、返事をもらうわけじゃなしに、そういう条件を付して日本は承諾する、向こうが承諾してくれればけっこうでありますけれども、そういうことは外務省としても強くアメリカのほうに要望していただきたいと思うのでありますが、ひとつ大臣のお考えをお聞かせ願いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 御趣旨ごもっともでございます。せっかく私どものほうとしても検討中でございます。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 そういうことになりますと、冷却水の問題は、第二次冷却水はもちろん心配はありません。これは別に接触しておるわけではありませんから問題はありませんが、その他の廃液等もすべて薄めて処理しますので問題はありません。また、使用済み燃料も、この中間報告に書いてありますとおり、本国で処理するわけでありますから、放射能汚染の問題はそういう点では問題はないのでありますが、残った問題はイオン交換樹脂の問題であります。イオン交換樹脂の問題は、この中間報告に書いてありますとおり、十二マイル以内には捨てないと書いてあります。それ以上のものにつきましては、これは日本側の通知するところの漁区には捨てない、こういうことになっておるのであります。これは日本側の通知する漁区とはっきり書いていないのでありますが、漁区に捨てないと書いてある以上は、当然日本の通知する漁区と思っているのでありますが、大体、本来イオン交換樹脂というものは六カ月以上は処分する必要はないのであります。また、これについても書いてありますとおり、長い期間にわたって保持できるわけである。また、必要な条件が備わっていないときには持って帰って貯蔵タンクで処分するということも書いてある。したがって、私は、日本人の一部の学者たちが、日本人の食べる魚にえらい影響を与えると書いてありますけれども、そういうような問題は、日本の領海はもちろん十二マイル以内は捨てない、日本側の通知する漁区には捨てない、しかも必要ならば持って帰って貯蔵タンクで処分するというのでありますから、何らこの問題についても心配はないと思うのです。大体このこと自身は日本の今回の寄港ということには関係ないことであります。領海外のことでありますから、今度の寄港ということについては本質的には関係ないことでありますけれども、しかし、寄港の問題にからみまして、そういうような議論が出ておりますから、私はこういう点についてひとつ考えていく必要があると思うのであります。  そこで、その中で一番問題だと思いますことは、漁区には捨てないと書いてありますけれども、当然日本側の通知による漁区、こういうふうに私は考えておるのであります。この点について外務省のお考えをひとつ伺いたい。

安藤吉光外務事務官(アメリカ局長)

○安藤政府委員 御指摘のとおり、イオン交換樹脂というのは、きわめてまれに、六カ月に一回ずつかえる。この前グアム島において新聞記者の皆さんが行かれたときにも説明があったように、スウォードフィッシュ号は過去一年の間にただ一回だけしかイオン交換樹脂を海中に捨てたことがないという話であります。したがいまして、海中に捨てるということはきわめてまれであります。しこうして、投棄の場合に、いまお話のありましたように、一定の条件のもとに、この条件の中には漁区に捨てないということがございます。われわれは魚に非常に関心がございます。したがいまして、日本が指定するというか、関心がある漁区には捨てないように通知をするということでこの問題を解決するように話し合っております。

前田正男自由民主党

○前田(正)委員 それは、先ほど私が申しましたとおり、イオン交換樹脂というものは半年以上処分しなくてもいいし、大体、交換したからすぐに海に捨てなければ困るというものでもありません。それを持って帰ってアメリカとかその他の基地で処理することもできるわけであります。長い間持ち歩いておっても別に困るものではないのでありますから、日本側が通知した漁区で困るようなところがあれば、そこで交換したところで、何もそこへ捨てないで持ち帰ったって一つも潜水艦の運航に差しつかえのあるものではないのでありますから、その点はひとつよくお話し合いを願いたいと思うのであります。  そういうように私が考えてまいりますと、——私の時間もだいぶたちましたので結論に入りたいと思うのでありますけれども、先ほど来私が申しておりますとおり、潜水艦は非常に強度も強くできておりまして、また、衝突等の可能性もないし、また、たとえそういう可能性がありましても、炉の暴走とか、そういうふうな心配も全然ありません。また、放射能の可能性等につきましても、冷却水の問題も、日本側の先ほど申しましたような基準内というふうな条件を付していきますならば、何らこれは心配ない。また、魚の問題につきましても、私たちのほうから通知をする点について処置してもらえば、これは別に潜水艦としても困るわけでありませんから、問題がない。そういうふうなことでいきますと、いままでいろいろと言われておりました日本に原子力潜水艦が寄港するという問題の安全性、特に国民に対する影響という点については、心配ないのじゃないか。一般的な、原子力潜水艦が作戦行動している、そういう全体的な問題については議論は別でありますけれども、そういう点は何ら心配がないと思うのであります。特に、アメリカは、放射能の問題につきましても、それを測定するモニタリング等についてはお互いに協力していこう、こういうことでありまして、十分に予知もできるように思うのであります。これらの問題を考えてみまして、日本にアメリカの原子力潜水艦が寄港するという問題については、私の知り得た科学的な知識におきましては、そう心配ないというふうに感じるのでありますが、この際外務大臣にお聞かせ願いたいと思うのでありますけれども、そのほかに、中間発表にも、補償等については日米間で十分打ち合わせておられるということでありますから、やはり、外務大臣がお話しになりましたように、日米の関係上等から見まして、この寄港については、科学的な検討から見て心配がない、安全性について心配がないということならば、これを認めるべきであると私は思うのでありますが、大体いつごろ認めようという考えでおられるかということをお聞かせいただきまして、私の話も長くなりましたので、この辺で終わりたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 別に私は時限をきめておりませんで、政府部内におきまして、特に科学技術庁等の御意見を十分徴しまして、私どもは責任を持って処置してよろしいという心証を得られたら決行するつもりでございますが、目下まだ私どもが踏むべき手順を踏んでおる過程にあるわけでございます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 岡良一君。

岡良一日本社会党

○岡委員 きょうは、本会議の散会後、こうして私どもの申し出を快くいれていただいて、外務委員の方々が連合審査をしていただいたことを心からお礼を申し上げます。  そこで、私は、先般外務省が発表になった中間報告についてお尋ねをいたしたい、こう思っておったのでございますが、いま前田委員と政府側の方々との質疑応答の中で、若干私としてはふに落ちない点がございましたので、まず、この点を明らかにしていただきたいと思います。  まず、大平外務大臣にお尋ねをいたしますが、大平外務大臣は、当初の御答弁では、原子力潜水艦を寄港させてくれというアメリカ側の要請には断わる立場にはない、しかし、いま最後の御答弁では、十分安全性を確かめた上で善処したい、こういうような御答弁であったのでございますが、そのとおりでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 さようでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 それから、内田政務次官は、原子炉について相対的安全性というような表現を用いられました。一体原子炉の相対的安全性というものは何か、もっと具体的に御説明を願いたいと思います。

内田常雄自由民主党科学技術政務次官

○内田政府委員 ことばは適当でありませんが、舶用炉あるいは原子力艦船につきまして、本質的にそれが危険であるかないかということにつきましては、いろいろ学者間に議論があることも私どもは承っております。しかし、今回私どもが主として重点を置かなければならない問題は、いま申しますような原子力潜水艦に積んである舶用炉そのものの絶対的安全性と申しますか、本質的安全性と申しますか、そういうことよりも、わが国にその原子力潜が入港するについての安全性、これを私はかりに相対的安全性ということばで呼びまして、たとえば、港内における航法でありますとか、あるいは放射性廃棄物の日本領域内における処理でありますとか、そういうものの安全性に重点を置くことが必要だ、こういう意味で述べた次第であります。

岡良一日本社会党

○岡委員 その点はあとでなお具体的にお尋ねをいたしたいと思います。  志賀防衛庁長官あるいは海原局長でございましたか、衝突の可能性はないとお答えになりました。もちろん、潜水艦であろうと普通の船であろうと、好んで衝突するものはございませんが、ここに私は第七管区と第三管区の救助を要する海難事故の発生地域というものの地図をもらいました。そうすると、佐世保周辺、横須賀周辺には救助を要する海難事故が非常に集中しておる。こういう地域においてもなおかつ、特にアメリカの原子力潜水艦なるがゆえに衝突の可能性はない、こう言い切られますか。もしそうだとすれば、もっと具体的に根拠をお示し願いたいと思います。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 私どもが潜水艦につきまして衝突の可能性が云々と申しましたのは、先ほど大臣の御説明がありましたように、いろいろと条件がついておるわけであります。前田先生の御質問は、東京湾に入ってくるということを前提にして、これは夜間入ってくるものではない、昼間に入ってくる、浮上して入ってくる、スピードも減速である、こういうような状態において入ってくる場合において衝突の可能性はどうか、こういうお尋ねでございました。そういうふうな状態におきましては衝突の可能性はない、こういうふうにお答えしたわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 日本の原子力船開発協会の記録などを見ますると、一万トンの船が十四ノットの速力で原子力潜水艦に衝突すれば、原子炉までも相当破壊的な事故を起こすのではないかという意味にとれる報告がございました。昼間であったって、スモッグもありましょうし、特に東京湾の第二海堡付近は海難の名所とまで言われております。軽率に事故がないなどということを言われることは非常に無責任だと思うのであります。  それから、村田君にコンテナーの問題についてお尋ねいたします。このコンテナーがあるかないかという問題でございますが、アメリカでは特にコンテナーがあるかないかということが原子炉の安全性の非常に大事な要件になっておることは、村田君も御存じのとおりだと思います。ところが、現にこのコンテナーがないということをはっきり言っておるわけです。これはこの間の委員会で私が申し上げましたが、ニュークレオニクス・ウイークリーに載っておる。これは、サバンナ号の安全航行に関して、アメリカの安全諮問委員会でいろいろな基準を設けようとした。そのときに、それが非常にストリクトに過ぎるというようなことで議論になった。そのときの報道の中で、現にコンテナーのないしかも高濃縮ウランの原子力潜水艦がサンフランシスコへ九回も出入りしておるじゃないか、こういうことを言っておるわけです。これは専門雑誌なんだ。専門雑誌が、コンテナーがないしかも高濃縮ウランの原子力潜水艦が九回もサンフランシスコへ入っておるのに、なぜサバンナ号にそんな窮屈な航行安全基準を設けるのだというのが、この報道の骨子なんです。そうしてみれば、こうしてアメリカの専門的な世論としても、コンテナーの有無、原子力潜水艦にコンテナーがないということがその危険性を大きく表現しておる、意味しておるということを言っておるのじゃないかと私は思う。たとえどういうかわりのものがあったとしても、私はそう解釈するのだが、あなたの答弁では、何か代用品があるので十分それで代替ができるというような印象を受けたのですが、その点はどうなんですか。

村田浩総理府技官(科学技術庁原子力局次長)

○村田説明員 これは図面が一応来ておりますが、サバンナ号にありますような同じ型、同じ構造のコンテナーが原子力潜水艦にあるかどうかという点につきましては、先ほど申し上げましたように、公式に確認されておりません。その点はやはり軍艦の構造の一部になるからであろうというふうに承知いたしております。一般的に言いまして、原子力潜水艦自体まるい船殻に包まれておりますので、潜水艦の外に対しましては外部の船殻あるいは内部の隔壁等がいわゆる陸上炉におきますコンテナーに大体該当するのではないかと思われますけれども、あるいは、先生御指摘のように、安全性を検討しますときに、原子炉室からの気密性というものを検討いたしまして、それによって最大想定事故というものを考えるわけでございますから、そういった観点から先方に非公式にいろいろ確かめました範囲では、ただいまのニュークレオニクス・ウイークリー等の例もございますので、そういった点を指摘して伺いましたが、われわれが聞き得ました範囲では、先ほど申したような代替品といいましょうか、そういうようなものがあって、炉は完全にこの中に取り囲まれておるという話でございましたので、そういうことを申し上げたわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 この安全装置についていろいろお尋ねがあり、御答弁がございました。この点で、これは内田政務次官に重ねてお尋ねしたい。これは外務省の中間報告の中にもあったと思う。要するに、ノーテラス型の潜水艦では制御棒の数が少ない。シッピングポートの原子炉でも三十二本のものが二回目には二十本に変わったというようなことが書いてある。ところが、そういうことで、安全装置というものについては、私は基本は制御棒だと思う。それでもなお足りないときには、いろいろな緊急装置も持つ。ところが、その最も基本である制御棒の数を少なくしている。一体制御棒の数をなぜ少なくしておるのかということについて、この中間報告によれば、リコ−バー中将の言を引いて、シッピングポートでも少なくしているじゃないか、要するに、制御棒が少なくても、自然に還流する原子炉が理想的だ、いわば可動的な部分というものを少なくすればいいというようなことを言っておる。しかし、これは外務省としては非常にずるいと思う。この公聴会でなるほどリコーバー中将はそう言っておる。ところが、そのすぐ前にどう言っておるかというと、下院議員のバンザントという人が質問しておる。リコーバー中将に対して、あなたが自然還流原子炉計画を推進中であるということは承知しておる、その計画はもちろん原子炉によって占められる空間を狭く切り詰めることを目的としておると考えてよいのか、——要するにこれは軍事的な必要が私は大いにあろうと思う。できるだけ原子炉が占める空間というものを切り詰めたい。ところが、それに対してリコーバー中将は、結局そういうことになろう、この計画が二つの主要な利益を提供する、制御棒を少なくするということが、主要な重要な利益を提供する、第一の利益は、静かな音のない潜水艦になることである、——原子力潜水艦が非常にノイジーであり、クワイエットじゃないということが欠陥だといわれておる。だから、可動的な制御装置というものをできるだけ除いて、これをできるだけ音のしない静かな潜水艦にするということは、軍事的な必要から非常に大事な要件だと思う。このことをリコーバー中将ははっきりと述べておる。もう一つは、原子炉が非常に簡単な装置になる。これは、制御棒をふやせばふやすほど、それに伴う計測装置とかいろいろな装置が伴うから、この原子炉のボリュームはその付随装置によって非常に大きくなる。こういう点で、ボリュームを少なくする、かつ原子力潜水艦として軍事的に必要である音のしないようにしようという、これが制御棒を少なくした根本の理由だと私は思う。こういうことが無視されて、ただ制御棒は少なくなった、それほど安全であるというような考え方を公表されるということは、外務省としては非常に軽率なことだと私は思う。安全装置や何か、いろいろの話がございましたが、安全装置以前の問題である。一体科学技術庁ではこの問題をどう考えておるか。

内田常雄自由民主党科学技術政務次官

○内田政府委員 私が科学技術庁の専門家から説明を受けておるところを実は申し述べたのでありまして、今日原子炉の技術的発展がだんだん行なわれまして、これは原子力艦船の舶用炉に限らず、陸上の原子炉におきましても、原子炉当初の時代におけるように、制御棒で原子核の分裂をコントロールするという行き方よりも、そういう制御棒をたくさん用いるという動的な機械的な方法から、いま岡先生のお述ベになりましたような、これはリコーバーが述べておるかもしれませんが、静的な、機械的なら、ざる方法によりまして、原子炉における核分裂を制御していくというやり方に原子炉一般が進歩してまいっておる。したがって、それがたまたま原子力潜における舶用炉にも適するので、したがって、原子力潜の原子炉における制御棒の数が少なくなっておるという、こういう説明を私は受けておりまして、原子炉の一般的の進歩というものがあるならば、それが原子力潜における舶用炉においても適用されることは、それで説明がつく、かように私は理解しております。これはなお原子力の専門技術のほうの次長から説明をさしていただきたいと思います。

村田浩総理府技官(科学技術庁原子力局次長)

○村田説明員 原子炉をコントロールいたします制御棒、あるいは制御棒を含めまして制御装置というものの信頼性に関することであろうと思いますが、制御装置は、先生も御承知のとおり、原子炉の型式あるいはその原子炉の機能等に応じまして、制御効果の面から見まして最適の設計をいたすということが常識であろうと思います。したがいまして、一本当たりの効果の非常に小さい制御棒を数たくさん持ちます方式が、直ちに数が多ければ安全というわけのものでもないわけでございます。そこには炉の設計上最適の棒の数なり装置の効果なりがあるわけでございます。また、いつぞや岡先生も参考にあげられました、アメリカの原子力船の専門家と言われておりますクラウチが書きました「原子力船」という著書の中に制御装置についていろいろと論じられております。その本の日本訳の一四五ぺ−ジでしたか一四六ぺ−ジでございましたか、制御装置を論じておりますが、単にノイズとかそういう問題だけではないと思うのでございます。機械的な駆動方式によります制御装置というものは、その構造がどうしても複雑になります。構造が複雑になれば、その機械的な信頼度というものがそれだけ十分でないということもあり得るわけでございますし、かつまた、原子炉の中の核的な特性から見まして、制御棒が多ければ多いだけ内部における中性子がひずむと申しますか、中性子の流れが乱されると申しましょうか、そういうことが起こりまして、炉の性能を悪くする面がございます。そういった点から、クラウチ自身も、漸次こういう機械的な駆動方式というものを改良していくことが、単に炉の性能の向上ということだけではなくて、安全上からも必要なことだと考えるというような趣旨を申し述べておったと記憶いたしております。そういった点から見まして、単に制御棒の数がどうこうということで、直ちにそれが安全性に結びついて、数が減れば安全性が減ったというふうにつなげるのは、必ずしも常に正しいとは思わないわけでございます。なお、政務次官からお話がございましたように、原子炉技術も年々歳々進歩しておることは御案内のとおりでございまして、たとえば、陸上にございますシッピングポートの原子炉でも、当初一九五七年に稼働いたしますときには、出力が六万キロでございまして、制御棒の数が三十二本あったわけでございますが、現在は、出力も十万キロワットに増加いたしておりまして、逆に制御棒の数は二十本に減っております。それで完全に安全に効率よく運転されておると承知しております。

岡良一日本社会党

○岡委員 どうも連合審査に参って科学技術特別委員会のような問答を繰り返すのは私は好みませんが、ただ制御棒の数が少なければ少ないほどいいとか、多ければ多いほどいいとか、内田さんの言う相対的な数を申し上げておるわけではないのだが、たとえば制御棒の数を減らしてボロンに代替することが安全であるという実用段階に来ておるかどうかということについては、私は疑問があると思う。まだまだこれはシッピングポートなり何なりで研究を積んでもらわなければ、実用化することには危険があると私は思っている。  それはさておきまして、まず大平外務大臣にお尋ねいたしたいのですが、大平外務大臣は、安全性については原子力委員会の意見を尊重したいということを国会でも申されたはずでございます。ところが、中間報告を拝見いたしますと、最初に原子力推進装置の安全性に始まって、以下一三ページにわたってほとんど原子力潜水艦の安全性を説明するに終始しておる。原子力委員会の意見を尊重するという立場に立っておられるならば、こういうふうに原子力潜水艦の安全性を立証するに終始しておるような文書を公表される前に、原子力委員会と協議される、意見を求められる、こういう手続があってしかるべきだと私は思う。その手続がないということは、これは私どもとしては非常に遺憾に思っておるのでございますが、外務省はどういうおつもりで何ら内容について意見を求めることもなく公表されたのか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 中間報告は、国会からも御要請がございましたし、院外におきましても、日米間で照会いたしておりますことは一度御理解を深める意味で発表したらどうかという勧告もありましたので、私どもの主観をまじえずに、今までの照会によって知り得たことを取りまとめて報告いたしたものでございまして、それ以上のも一のではございません。しかし、この照会を発出するにつきましては、科学技術庁と十分お打ち合わせをいたしまして実行いたしたわけでございますし、また、現に実行いたしておるわけでございます。私どもの判断というようなもの、主観をまじえるというようなことは差し控えて、客観的な事項を御報告したにすぎないわけです。

岡良一日本社会党

○岡委員 原子力委員会設置法によると、原子力委員会は放射能の障害防止に関する事項が重要な任務になっておる。放射能の障害防止に関する事項が原子力委員会の重大責任になっておることは、原子炉の安全性と不可分の問題であることは言うまでもない。そういう意味で、いま大平外務大臣のお話を承ると、この中間報告についてはすでに原子力委員会との間にお話があったというように聞き取れるのでございますが、何かお話し合いがありましたか。原子力委員会は同意を与えられましたか。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 お答え申し上げます。  ただいまの外務大臣のお答えは、アメリカ側との質問応答について原子力委員会あるいは原子力局と十分連絡をしておるというふうにおっしゃったのであります。中間報告というのは、今までの折衝の結果を自分たちの見解をまじえずに要約したものである、そういうふうにお答えになったと理解いたしております。

岡良一日本社会党

○岡委員 それでは、原子力委員会は、この中間報告に盛られた内容が原子力潜水艦の安全性を立証するに足ると思われますか。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 原子力委員会は去る二月二十日にこの問題についての見解を申し述べたところでございますが、その後現在まだアメリカ側にいろいろ質問をしておりまして、その回答も来ておりません段階でありますから、それか足りるとか足りないとかというふうに決定はしておりません。

岡良一日本社会党

○岡委員 それはおかしいと思うのです。この中間報告の内容が原子力潜水艦の安全性を立証するに足るか足らないかということを私は聞いておるのです。ところが、あなた方は、それでは足りないからなお他の資料を取り併せることを要求しておるのじゃございませんか。これで足りるのなら何もそんなことをする必要はないのです。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 お答え申し上げますが、その中には利用できるものもあるかと思いますけれども、もちろんそれで全部尽くしておるわけでないと考えて聞いておるわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 それでは、原子力委員会としては、ことしの二月に、私どもの要求によって、原子力潜水艦の寄港に対しては、前提条件といたしまして、まず原子力潜水艦の安全性を取りつけるということを私どもに約束になっておる。これは科学技術特別委員会を通じて国民にお約束になった。文書をもって私どもにお渡しになった。ところが、現在まだ安全性については、この中間報告の範囲においては安全性は立証するに足らないということになっている。  そこで、私は外務大臣にお尋ねしたいのだが、なるほど、主観を抜きに報告したのだと言っておりますが、たとえば、学術会議にしても、安全性ということに対して非常に大きな関心を寄せて、原子力潜水艦の寄港問題については関心を持っておる。あるいは日本の専門の学者、原子力科学者と言われる諸君が千五百人もやはり安全性のゆえに反対の決議をしておることも私は聞いておる。そういうような段階において、専門の原子力委員会が安全性を立証するに足らないような文書を国民の前に公表されたということは、私は、率直に申し上げれば、東京の外務省はワシントンの国務省にかわって日本の国民に原子力潜水艦の安全性を宣伝されたにすぎないのじゃないかとさえ言いたくなるのです。こういう態度は、外務省としては、特に安全性が問題の中心となり注意の焦点となっておるときに、私は、非常に無責任であり不謹慎であると思うが、大平外務大臣はどう思われますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほど申しましたように、院の内外からの御要請もございましたので、その段階までに知り得たことを主観をまじえずに発表いたしたにすぎないわけでございまして、岡委員の御指摘のようなかまえた、PRを意識してやるというようなことではございません。

岡良一日本社会党

○岡委員 この中間報告に対しては、御承知のように、原子力の専門的な学者のグループなどは、学術会議なども含めて、独自にこれを検討しようという動きが出ておることは御存じのとおりです。しかし、この中間報告を原子力についてあまり理解のない方々が見ればどう思うでしょう。何もかもが安全づくめではございませんか。そうすれば、あなた方の意図のいかんにかかわらず、事実上、この中間報告というものは、まだ十分に尽くされない安全性を、その問題については安全であるかのごとくにいわばPRをした文書である、宣伝文書である、何ら科学的の根拠はない文書である、私はそう言わざるを得ない。外務大臣はどう思われますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 中間報告をお読みになった方がどのように判断されるかの問題でございますが、私どもがこれを発表した経緯、意図は、先ほど私が御答弁申し上げたとおりです。

岡良一日本社会党

○岡委員 まあいずれ他の委員からも御発表になった中間報告の内容に触れていろいろお尋ねもあろうかと思うから、私はこれ以上申し上げませんが、ただ一つお聞きをいたしたいことは、先ほども衝突云々というような問題に関してお尋ねをいたしましたが、一九六〇年の二月に、英国がアメリカの原子力潜水艦の基地を提供することについて協定をいたしております。その内容を外務省のどなたからでもひとつこの際お聞かせ願いたい。

中川融外務事務官(条約局長)

○中川政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、米英の協定と申しますか話し合いの内容につきましては、これは軍事事項でございますので、極秘になっておりまして、公表されておりません。また、われわれがイギリス政府に非公式にいろいろ問い合わせましたが、その内容については聞いてくれるなということでございますので、知りようがないわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 サバンナ号が英国へ寄港したいという話が一時単なる希望として伝えられたとき、私はたまたま英国におりました。そのときの英国の態度は、一口に申しますると、やはりサバンナ号の安全性については相当疑問を持っておる、であるから、リバプールならリバプールの港に入りたいというような希望に対しても、やはり領海内に入ってくれるなというようなきびしい、アメリカとイギリスの関係では考えられないような態度をその当時示しておったように私は記憶しておるのです。いまのこの米英間の協定にはこういう項目があります。これは私もしかるべき機関を通じて調査をしていただいた資料でございますが、まず第一に、この基地は平和時に巡回中の潜水艦が使用するもので、母港あるいは修理基地とはしないということが強くうたわれておる。それよりも、私は、この協定の中で非常に注意すべき問題は、住民の安全・健康を保障するための厳格な予防措置を講じなければならぬということがうたわれておる。御存じのように、アメリカとイギリスとの間では、原子力潜水艦の機密は機密ではなく、双方の間においては協定が結ばれ、すでにドレッドノートという原子力潜水艦第一号が英国で進水をしておる。このように、原子力潜水艦というものについて、日本の原子力委員会と違って十分な資料を持ちながらも、アメリカの原子力潜水艦の寄港に対しては、住民の安全・健康を保障するための厳格な予防措置を講じなければならぬということがうたわれておるのである。ところが、あなた方のこの報告では一体どうなんです。「また海外における寄港地(十三カ国の約三十港に百回以上)における放射能汚染の事故もなかった。これに対し特別の対策をたてたこともない。」、あるいは、「原子力潜水艦の寄港にあたっては米国港であると外国港であるとを問わず、万一の場合の退避計画などの特別措置を講じたことはないが日本側において希望すれば、万一の事故時の緊急通報経路をあらかじめ設定しておくことに米側は異存がない。」というようなことが書いてある。原子力潜水艦の安全性、それはしたがって危険性にも通ずる問題であるが、十分知り尽くしておる英国において、停泊する基地の周辺の住民の安全と健康については厳重な対策を講じなければならぬということが両国の協定の中ではっきりされておる。ところが、アメリカ側の説明かどうか知らないが、中間報告では全く事もなげに取り扱われておる。私はこういう点でこの中間報告の信憑性を非常に疑わざるを得ない。同時にまた、外務省としての責任をもあえて私は問わなければならぬと思うのである。これでは文字どおり外務省はただ迎合に迎合を重ねて原子力潜水艦の安全性を国民に宣伝するためにこの中間報告を公表されたと言われてもしかたがないのではないか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、私どもの主観をまじえて報告したわけでは決してございません。

岡良一日本社会党

○岡委員 それでは、この間参議院で湯川博士が申されたので、私重ねて調べてみたところが、やはり、ローレンス放射線研究所のテーラー博士、これは水爆の父と言われておる方でありますが、このテーラー博士がやはりはっきりこういうことを言っておる。これらの艦艇——これらの艦艇というのは原子力潜水艦のことですが、これらの艦艇が人口稠密な港湾の内外に寄港・活動することは、絶対的に必要な場合以外にはどんなに万全の注意をしても悪いことになると私は今でも確信をしておる、この原子力潜水艦の領域において全世界がわれわれアメリカを注目して以来、同じ思慮分別が外国の港の寄港にも適用されなければならないと言っておるわけであります。これはあなた方もおそらくお調べであろうが、たしか一九六〇年の合同原子力委員会のヒヤリングの記録の付録に載っておる。ただばく然と、横須賀や佐世保がよろしいかどうか、こういうことを考える前に、こういう事実を御検討になったかどうか。こういうことをはっきりと中間報告の中で国民に知らしめることが、私は、国民に忠実な、国民のための外務省のとるべき態度であると思うが、どうなんです、外務省。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 われわれの照会を通じて知り得たことを主観をまじえずに要約して差し上げたわけでございます。なお、お知らせすべきことを知らせろという御注意に対しましては、十分検討いたします。

岡良一日本社会党

○岡委員 どうもカエルの顔に水かも存じません。しかし、これはほかの方でもいい、兼重さんでもだれでも。こういうテーラー発言のようなものは、これだけではないのですよ。一九五九年の公聴会の付録文書の中にも何カ所も出ておる。あなた方は、この中間報告の一番最初に、「原子炉安全審査諮問委員会は原子炉の安全性と核推進装置の運転について厳重に審査し承認している。」と書いておられる。しかし、承認には除外がある。安全審査諮問委員会の委員長がアメリカの原子力委員会の総支配人に、一九五七年の七月十二日、シーウルフに関連してこういうことを言っておる。「海軍が危険の問題の評価に基づいて適当な港を選び、原子力船操作のために特別な港を指定されるように希望する。」、引き続いて、やはり原子炉安全審査諮問委員会の委員長が今度は原子力委員長にあてて手紙を出しておる。「原子力船の数がふえるにつれて人口の綱密な港内で船を操作する危険は実に大きいということを委員会は憂慮している。原子力船操作の計画はいずれもこの事実を考慮に入れるよう示唆があった。」、こう言っておる。さらに、ますます原子力潜水艦の建造が大幅になろうとしたものだから、「原子力船の数がふえるにつれて多数の船舶が停泊する港もしくは基地の設計に考慮すべきことを指摘し、原子力船が入港する港の数は軍事的必要に応じ最低限にとどめることが重要である。」、こういうことは、いずれも、特に人口稠密な佐世保、横須賀に関しては十分に尊重しなければならないアメリカ側自体の意見だと私は思う。事もなげに、断わるたてまえにないなどと言われては、佐世保、横須賀の住民はたまったものじゃないと私は思うのだが、一体大平外務大臣なり原子力委員会の諸君はどういうふうに考えておるか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 そういう、中間報告を契機といたしまして、それをめぐっていろいろな論議がかわされ、疑問が表明されるということはけっこうなことでございまして、そういう点についてなお私どもが究明しなければならぬことは今後も究明してまいりたいと思います。ただ、冒頭に申し上げましたように、ただいま政府としては寄港の要請があれば断わる立場にないということは、岡委員も十分御了解いただけると私は思うのでございます。私どもが締約いたしました条約には私どもは一〇〇%忠実でなければならぬと思うわけでございます。そこで、ただ、この運用にあたりまして、特に原子力自体について感受性の強い国民感情を考慮いたしまして、専門家の御意見を聞きながら鋭意努力いたしておるわけでございまして、究明すべきものは究明し、明らかにすべきものは明らかにして、大方の御納得を得るという状況において政治的な処理をしなければならぬと思っておるわけでございます。御指摘のような事情も頭に置いて慎重に対処しておるわけでございます。

岡良一日本社会党

○岡委員 特に原子力委員会にお尋ねをいたしたいと思うのだが、こういう機会に明確にお答え願いたい。それは、最近、御存じのように、サバンナ号がいよいよ就航するについて、停泊基準というものがいろいろ出てきておるわけです。この停泊基準の内容はこの前の委員会でも若干申し上げましたから略しますが、問題は、この管理区域というものは、ここに船があれば、その周辺に管理区域を置く。次には人口密度の少ない地域を設け、その次には今度は人口稠密な地帯を持ってくる。そうすると、この人口稠密な地帯と密度の少ない地帯の境界線は、原子炉の出力によって距離がきめられておる。かりに原子力潜水艦の熱出力が六万キロであれば、これは一・六マイルかける一・三三三なんです。だから二マイルだ。ところが、その上に、コンテナーがない、高濃縮ウランを使っておる、しかも、はるばるどんどんやってくればくるほど、いわゆる死の灰というものが蓄積しておるから、そういう条件を十分考慮しろということをこの停泊基準はうたっておる。そうすると、たとえば原子炉の熱出力が六万キロであろうが五万キロであろうが三万キロであろうが、そんなことは問題でない。停泊基準における最も重要な条件は、その炉の中にたまっておる死の灰の蓄積量なんです。そうすると、一体原子力委員会としてはその点をどう考えているか。佐世保や横須賀は、私も、現地の事情は、一つは行って見たし、一つは住んでいる人から聞いてみたが、現在のところまん中にある。しかも、低人口地域の者は二十四時間以内に全部疎開しなければならぬということも停泊基準の中にある。サバンナ号のような平和利用の貨客船でさえもそういう厳密な停泊基準だ。しかも、人口稠密な港については、先ほど申し上げたようにいろいろとチェックされておる。だから、原子力委員会が本気でこの問題に取り組むというなら、横須賀や佐世保において、そういう低人口地域を設定して、サバンナ号とか原子力潜水艦のあなた方の知り得た材料から、この一・六マイルが正しいのか二マイルが正しいのか、これを補正して、二十四時間以内に立ちのくような地域というものをはたして設定できますかね。私はできないと思う。そうしたら、これはもろに横須賀全市なり佐世保全市が疎開しなければならないような状態になると思う。こういう点をあなた方はもっと克明に突き詰めるべきだと思う。何にもしておらぬ。ですから、これは、あなた方は現地についてこの次の科学技術特別委員会までにぜひひとつわれわれに文書で御答弁願いたい。こういう具体的な問題についてあなた方がほんとうに責任ある答弁を出せるか出せないかということが、原子力潜水艦の安全性にかかる重大な要素だと思う。ぜひお願いしたい。  それから、さっき廃棄水の話が出ておったが、私の質問もこれでやめたいと思いますが、いま廃棄する水の中に含まれる放射性物質の核種のわからないものの最大許容量というのはどれくらいになっておりますか。

島村武久総理府事務官(科学技術庁原子力局長)

○島村政府委員 岡先生の御質問は、アメリカにおける原子力潜水艦の廃棄物の濃度の制限についてのお尋ねであろうと思うのでありますけれども、アメリカの艦政本部の定めました訓令によりますと、排出の十五分後におきまして……。

岡良一日本社会党

○岡委員 日本の基準はどうなっておるのか。

島村武久総理府事務官(科学技術庁原子力局長)

○島村政府委員 日本の場合、日本の制度できめておりますのは、核種の知れない場合におきましては、十のマイナス七乗マイクロキュリー・パー・CC。

岡良一日本社会党

○岡委員 そこで、これも私は原子力委員会の正確な御返事を資料として出してもらいたいのだが、いま局長が持っておられたアメリカの艦船局が発表したデータによると、日本では十のマイナス七乗マイクロキュリー・パー・ミリリッターですが、ノーテラス号の冷却水の放射能は、大体平均すれば三・一かける十のマイナス三乗マイクロキュリー・ミリリッターですね。日本の許容水準より三万倍だ。しかも、こういうものがウォームアップのときは横須賀や佐世保へ相当大量に捨てられることは覚悟しなければならぬと思う。こういうことは、佐世保あるいは横須賀という湾内における潮流等の関係においてどういう影響を及ぼすか、あるいはまた、われわれはお魚をよく食べるものであるが、沿岸においてこういうものがどんどん捨てられた場合においてその点にどういう影響があるかというようなことが問題になると思う。この間も海洋の汚染について専門の学者が集まってこういうことを申し合わせたことが出ておる。潜水艦が海洋に捨てる放射性廃棄物による放射能障害について政府が政治的な配慮から国民の口をそらそうとしているのは遺憾であると前提して、原子力潜水艦がウォームアップの際海中に流れ出る第一次冷却水のため、魚の中には許容濃度をこえたものができてくる、廃棄されるイオン交換樹脂は一回につき十キュリーの放射性物質が含まれているが、これは十万人から一千万人に人体許容量をこえる放射線を与えるだけの量である、日本は沿岸にも海洋にも漁場を持ち、国民も多量の海産物を常食としているが、外国の艦艇がこの事実を十分考慮して廃棄物を捨てるとは考えられない、こう言って、このほかにもまだ三項目あるが、非常にゆゆしい警告を海洋汚染に関する専門家の学者がしている。この中には政府の職員もいるが、専門家が集まってこういうふうに真摯に国民のために憂えておる。これに対して外務省なりあるいはまた原子力委員会の諸君の態度は非常に怠慢であり無責任であると私は思う。  そこで、これは委員長にぜひお願いしたい。まず第一段においては、横須賀、佐世保に原子力潜水艦が入港した場合において、アメリカのサバンナ号の停泊基準を採用するならば、この管理地域なりあるいは低密度人口地域なり、こういうものを設けた場合、どの程度の距離があり、それはあの都会地に対してどういうものになるのか、市街地図の上でひとつまるを書いて示してもらいたい。もう一つは、海洋汚染というものが、専門の学者からこの程度に心配をされておるのに対して、一体原子力委員会なり外務省としては安全性についてどの程度に安全であると言われるのか、安全だと言われるならば、それについての具体的な数字をあげて、われわれ外務委員会なり科学技術委員会にもぜひ資料として提出を願いたい。このことを委員長にお願いをして、私の質問はこれでやめたいと思います。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 岡君の御要望につきましては、当局において善処せられるよう、私から取りはからいます。  保科善四郎君。

保科善四郎自由民主党

○保科委員 私は、御承知のとおり、四十有余年にわたり海上の経験を持っており、あらゆる艦種にも乗り組み、艦長もやりました。そういう観点から、自分の体験に基づいて、この原子力潜水艦の運航上の安全性ということですか、それについて若干の所見を申しつつ、御質問をいたしたいと思います。もう一つは、安全保障条約に関連をいたしまして原子力潜水艦の寄港に関し防衛庁長官と外務大臣にお伺いをいたしますが、きわめて簡単に御質問申し上げますから、簡明にお答えを願いたいと思います。  私の体験によりますれば、やはり、船乗りとして一番注意を要する時期は、出入港であります。したがって、出入港時の部署というものがございまして、総員配置について、最も真剣なる態度をもって、慎重に、艦長みずから操艦にあたって、そうして全員でこの出入港を安全にするというのが、大体船乗りのたてまえになっているわけであります。そこで、問題は人の問題であります。私は、アメリカの原子力潜水艦の艦長以下乗員の教育なり訓練なりあるいはメンタルのテストなりというものは非常に厳格に行なわれておるというように聞いておるのでありますが、これはどういうような人が原子力潜水艦を操縦しておるか、扱っておるかということについて、防衛庁長官から、あるいは防衛庁長官御存じにならなければ防衛局長でもよろしゅうございますから、国民の前へはっきりとこれを知らせていただきたい。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 私が昨年十一月に渡米いたしまして、その帰りにハワイに寄りまして、特に希望いたしまして原子力潜水艦に乗ったのでございますが、その際に、艦長から、艦長以下乗り組み員の教育訓練の模様などをつぶさに船の中で聞きながら水中を潜航いたしたのでありますが、普通の潜水艦の乗り組み員よりも一年ないし二年の教育練度の高い者から選んで乗艦させておるということと承知いたしておるのであります。なおまた、艦長もアメリカ海軍における最も優秀な艦長を選んでこれを操艦させておる実情を私はまのあたりに見てまいったのでありますが、なお、それらにつきましては、私と同行いたしました海原防衛局長がしさいにいろいろ艦内で勉強してまいりましたから、海原防衛局長から答弁させます。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま長官から申されたとおりでございますが、数字を申し上げますと、原子力潜水艦に乗り組みます幹部につきましては、通常の潜水艦に乗り組みますための資格を取ったあとで、さらに一年間厳重な教育を受けましたあと、これに合格して初めて乗り組みが許可になっております。下士官以下につきましては、職種によって違いますが、通常六カ月前後の一般潜水艦乗り組み員に対する以上の教育を受けましてから原子力潜水艦に乗り組ましております。

保科善四郎自由民主党

○保科委員 ただいまごく簡明な説明がありましたが、非常に厳格なるテスト、再テストをやりつつ、この原子力潜水艦の扱いについては最高の注意を払っておると私は思う。船乗りの経験から申し上げますと、私の四十年の体験から言うて、出入港のときに事故を起こしたという例を私は聞いておりません。これだけの注意をもってすれば、相手があることでありますけれども、相手があっても、出入港のときは総員配置についてやっているのですから、それは十分に避け得ることでありますから、出入港のときの危険、衝突などというものは大体ないと見ていいと思います。同時に、先ほどもちょっと質問応答の中にありましたが、十四ノット以上の速力で出入港の場合に真横から衝突するなどということは、船乗りを侮辱したことであって、ほんとうに、それは、ただ作文ならいいですけれども、そういうことはあり得ない。(「「てるづき」はどうした」と呼ぶ者あり)——「てるづき」は夜間作業中の変事であって、この原子力潜水艦はちゃんと昼間低速力で十分なる注意をして出入港をやるというような例になっているのですから、これはやはり、船に四十年も乗ってみると、それはわかりますよ。そういうことは、専門家にまかして、その安全を信じていい。そうでなければ、これは天から隕石が降ってくるのを待っているようなものであって、そんなことをやっておったら、いつまでたったってこれはまとまりやしない。そういうことはやはり経験と体験によってそういうことの判断を下すべきだ、私はそういうように感ずるわけであります。  第二の点は、日米安全保障条約によって、原子力潜水艦の審港というものは、当然向こうは権利として持っているわけであります。日本は当然義務としてこれを許すべきだと思う。ただ、この場合に安全性が問題になっておるが、それは、日本国民は最初の原爆の犠牲であるために必要以上にセンチメンタルになっておると私は思う。こういうことは科学的にちゃんと安全性に疑問がないようにすることは必要だと思いますが、それについて、私は科学者も防衛庁も外務省もこの問題の積極的な取り組み方が足らぬということで憤慨している一員である。私は、最近、長い間原子力潜水艦の経験を持っているあるアメリカの海軍士官に会いまして、いろいろ話をしてみましたが、こういう体験を持っている人と話してみると、大体のことはわかるのですよ。コンテナーを持っているかどうかも大体わかります。それは軍事機密ですから、クラシファイドのものを機密保護もないような日本に話すわけはない。そういうものを話してもらいたいなら、防諜法をつくってから話してもらえばいいわけである。そういうものをよこせと言っても、これはやらぬということである。そういうことでありますから、やはり、この問題は、積極的に、原子力科学者グループなんという方々も、批判じゃなくて、こういう人とも会い、あるいはアメリカに行っていろいろやるくらいの熱心さがあっていいのだと私は思う。そこで、われわれは、国際上の義務を早く果たすように、お互い国民みんながこれは協力しなければいけない。これを批判してデモばかりやっているのは、私は安全保障条約に対するわれわれ国民の義務ではないと思う。そういう意味合いにおきまして、日米安全保障条約に関連をいたしまして原子力潜水艦というものを考えなければならぬと私は思う。この日米安全保障条約の義務遂行上、あるいは極東における戦争抑制上、その重要なる抑制力として、第七艦隊が極東方面に遊よくをしておるわけであります。この第七艦隊の最も重要なる兵力はこの原子力潜水艦である。これは、御存じのとおり、すでにいまは原子力潜水艦の時代である。原子力潜水艦に対する研究・訓練を行なわなければ、日本の海上自衛隊も海上の自衛の目的を達成することはできないと私は思う。そういう訓練の対象としてああいうようなものを活用するということも必要なわけである。そこで、この日本の安全保障の上に非常に重要な寄与をなしておる第七艦隊の付属部隊が補給と休養のために日本に入りたいというのですから、この安全保障条約に関する問題については、学者も、社会党の諸君も、それから外務省も防衛庁も、積極的に前向きの姿勢をもって取り組む、こういうことにやってもらいたいと私は思う。そういう面から非常に努力が足らぬと私は申しているわけであります。  そこで、この安全保障条約の見地から、外務大臣は、当然寄港を断わる理由はないと言うておられます。そこで、どういうような積極的な方策をもって早くこのわけのわからぬ議論に終止符を打つか、政治的な議論をしておる者もあるのですから、そういうものにどのようにしてピリオドを打つつもりか、私はお考えを聞きたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 仰せのとおり第七艦隊の一部として原子力潜水艦が活動し、戦争抑制力として機能いたしておりますことは、保科先生のおっしゃるとおり私もそのように評価しております。したがって、第七艦隊の一部をなしております原子力潜水艦が日本に寄港するということにつきまして、条約上これを断わる立場にないことはもとよりでございまするし、この寄港をみなが理解を持って迎えるという環境をつくり上げるということに私どもは熱心でなければならぬことも当然でございます。したがいまして、この問題が起こりましてから、日本の国民の側にありますもろもろの疑問点はできるだけ早く解明し、御理解の上に立ちましてこの問題を処理すべく、最善の努力をしてきたつもりでございますが、いま御指摘のように、その努力の足らぬというおしかりでございますが、私どもといたしましては、日夜懸命に努力をいたしておるつもりでございます。しかしながら、これはあくまでも政府の責任において処理すべきことでございまして、どなたの責任に転嫁すべき性質のものでもございませんから、政府として、これで私どもが政治責任を負って敢行して差しつかえないという心証を得られますならば、私どもこれを最終的に処理いたしたいと思っておるわけでございます。その時期がいつか、その姿をどうするかということにつきましては、まだ最終的にきめていないわけでございます。目下できるだけ早くそういう御理解を得てこの問題を処理したいという基本の方針に立ちまして鋭意努力しておる段階であります。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 質問通告をなさっておられます委員の皆様にお願いいたしますが、志賀防衛長官が八時に公務でここを立ち去らせていただきたいというお申し出であります。つきましては、質問通告の委員におかれましては、防衛長官に対する質問をそれぞれ御発言願いたい、かように存じますが、ひとつ御協力くださいますようにお願いいたします。

保科善四郎自由民主党

○保科委員 私はすぐに終わります。  ただいま大平外務大臣の御努力の答弁を伺いました。非常に御努力をなすっておるという点は私どもも十分に認めますが、その決定を促進する手段をとらなければ、原子力潜水艦はどういうものか、国民はわからないのです。一方の声のほうばかり大きくて、そうして、これが安全であるという声のほうが少ないものですから、どこへ行っても原子力潜水艦の質問をされる。そこで、やはり、国民に理解をしてもらう措置、これをもっと積極的におとりになることをお願いしたいと思うのです。  これは、私は専門家の立場から、若干ここで問題になりましたから、一言つけ加えて質問を終わりたいと思うのですが、ポラリス潜水艦のことが出ております。これは核戦略の一環ではないかというのですが、ポラリス潜水艦は戦略用途で、これは日本に寄港する必要は頼まれてもありません。それと、もう一つは、この原子力潜水艦も、それからポラリス潜水艦も、平時は核装備をしないのであります。そういうようになっておるのでありますから、これも見方によっては平時配備のときは核装備の潜水艦と言うことはできない。それから、もう一つは、サブロックの話が出ておりますが、これも開発中であって、まだ原子力潜水艦には積んでいない。かりに積んだといたしましても、平時は核装備をしないのでありますから、これは核装備の原子力潜水艦と言うわけにいかないのであります。したがって、こういうようなものを、あたかも原子力潜水艦というとみな核装備をしておるのだとか、あるいは原子爆弾と同じように思わせるとか、あるいはサブロックを積めば核兵器を装備した潜水艦だ、こういうような間違った考えを与えないように、クリアに国民に知らしていただきたい。そういうことを私はこの関係の当局にお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 山口鶴男君。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 ただいまの保科委員のお話にございましたサブロックに関連をいたしまして、防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思います。  かつて、二月末でございましたか、科学技術特別委員会におきまして、私がサブロックの問題につきまして大平外相にお尋ねをいたしました。これに対する外務大臣の答弁は、要はアメリカを信頼する以外にないのだ、こういうきわめて簡単な御答弁であり、時あたかも大平外務大臣が韓国政府をたいへん信頼し過ぎましていろいろふがいないこともあった時期ですから、私もその点を指摘申し上げておいたわけです。  防衛庁長官にお尋ねをいたしたいと思うのですが、サブロックが開発中である、こういうことを一貫して防衛庁は言っておられるわけであります。しかし、最近の、たとえばジェーンの海軍年鑑、航空年鑑の最新号を見ますと、私どもは、どうしても、防衛庁長官が言われるような、あるいは防衛庁当局が言われるように、サブロックが開発中であるという根拠は全くない、かように考えざるを得ないのであります。  具体的に申し上げるといたしますならば、ジェーンの一九六二年ないし三年の最新号でありますが、これにサブロックに関する記事が載っております。最近防衛庁当局がジェーンの海軍年鑑なり航空年鑑をよく御勉強されておるということを聞いておるのですが、それを見れば開発中であるとは言い切れぬと思うのでありますが、この点をまず長官からお聞かせをいただきたいと思うのであります。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 私はサブロックの開発の問題についてたびたび申し上げておるのでありますが、アメリカ国防総省が二月十八日世界に向かって公表いたしておるのであります。目下開発中で、まだ実用の域に達しておらぬということを声明いたしておるのでありまして、それに基づいて委員会において私は説明申し上げておるのであります。  その後の詳細につきましては、海原防衛局長から答弁いたします。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま先生から一九六二年ないし六三年版のジェーン年鑑についてのお話でございましたが、六二年、六三年と申しますと、大体この年鑑は六一年にできております。いまから二年前の当時の推定が、その六二年、六三年ジェーン年鑑に載っておるわけであります。その当時におきましては、サブロックというものはおそらく六二年度中には実用になるであろう、こういう推定でこざいました。これは事実でございます。しかしながら、私も委員会の席上で御説明したことがあると思いますが、これは何ぶんにも魚雷とロケットを併用したものでございまして、一ぺん水中から打ち出して、それが空中に上がって、また水の中に入って目標に当たる、こういうことでございますので、非常に技術的にむずかしいわけでございます。したがいまして、当初は昨年度中におそらくは実用化されるであろうということで研究が始まったものでございますが、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、現在なお研究・開発中の段階でございます。  一番新しい情報といたしましては、先月、六月二十四日ワシントンのUPI電がございますが、これによりますと、先般沈没いたしましたスレッシャーにもっぱらサブロックの開発・実用実験等をやらしておりましたために、スレッシャー号の沈没とともに、非常に高価な実験用の器材がともに海没した、したがって、今後さらにこの開発はおくれるであろう、こういう意味のことを言っております。このスレッシャーがなくなりましたあとは、おそらくプランジャーという潜水艦が新たにこのサブロックの研究・開発のための実験艦に指定されるであろう、こういう記事が六月二十四日発UPI電に出ております。こういうことでもおわかりいただきますように、現在まだサブロックというものは研究・開発中の段階のものであります。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 当該の航空年鑑を読んでみますと、サブロックについては、一九五八年六月に開発が開始されまして、一九六二年に初めて原子力潜水艦SSNスレッシャー号に使われた、最初の積み込みは、おそくとも一九六二年の終わりか一九六三年初頭に予定されておる、こう書いてあるわけです。  問題は、開発中開発中と言われますけれども、サブロックについては、射程距離四十キロについては現在すでに開発が終わっておるのです。そうして、サブロックについては、さらにこれが沿岸の目標について発射するとか、あるいは空中の遠方の目標に対して攻撃するまでに開発しよう、こういうことで、射程距離を百六十キロないしはそれ以上に伸ばす実験段階という意味において開発中だ、こういうふうに言われておるのであります。現にそのことは明らかでございまして、たとえば、U・S・ニューズ・アンド・ワールド・リポート、一九六三年の三月十八日号を見ますと、サブロック、それからアスロック、あるいはアルファー、この三つのミサイルにつきまして記事が載っております。サブロックについては、御存じのように、要するに、水上において発射をするもの、あるいは潜水中において発射をするもの、アスロックについては水上において発射するもの、こうなっているわけです。これについて、サブロック、アスロックともに、ナウ・イン・ユーズ、これは使用中です。ですから、四十キロの射程の、いわゆる、いままでお話しになっておる、通常の意味における、潜水して発射して、空中に飛び出して、また潜水して目標に到達して爆発するという、通常のいままですでに開発を進められております面については、完全使用中だということは明らかだと思う。この点御存じありませんか。

海原治防衛庁参事官(防衛局長)

○海原政府委員 ただいま先生の御指摘になりましたような用法のもとにサブロックが開発されておるというようなことは、そういう説をなす人があることは、私知っております。しかしながら、私どもの調査いたしました結果では、先ほど申しましたように、これはあくまで船を撃つ魚雷でございまして、陸上目標を撃つためにこの兵器を開発するということは、少なくとも責任ある米海軍当局は一切そういうことを申しておりません。これは先ほど長官が申されましたように、本年の二月十八日、国防総省につきまして照会いたしましたが、同様の回答でございます。ある方々の御推測によりますと、先生おっしゃいましたように、すでに四十キロでございますか五十キロでございますかについては問題がないのだ、それ以外のことについて研究をやっているんだ、こういうお説でございます。しかしながら、まことに残念ですが、このお説を裏書きするような事実は一切ございません。  なお、いろいろと巷間の資料につきましてのお話でございますが、御参考までに申し上げてみますと、一九六三年の五月、六月号のオーディナンス、これは非常に権威のある雑誌でございますが、これにも出ておりますが、ポラリス・サブマリンには、 このサブロックというものが完成されたあとにはおそらく搭載せられるだろうし、この魚雷の口径は大体二十一インチだというようなことがずっと書いてあります。これにも、はっきりと、サブロックは通常の弾頭ないしは核弾頭、この両用のものであって、いまだ研究・開発中のものである、こう書いております。こういう種類の報道はいろいろとございますが、先ほど申し上げましたように、私どもは、責任ある米海軍当局の言明と、私どもが調査いたしましたものに基づきまして、先ほどお答えいたしましたような判断をしている次第でございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 ジェーン航空年鑑に対しては、これが権威ある書物であるということは防衛庁当局もしばしばお認めになっているところであります。これは否定なさらぬと思う。そのジェーン航空年鑑が、すでに一九五八年に開発が進められて一九六二年に実験が行なわれ、そうしておそくとも一九六二年の終わりか一九六三年の初頭に搭載が予定されているということを明確に書いており、しかも、アメリカの、私が指摘いたしましたUSニューズ・アンド・ワールド・リポートの三月号に、サブロックについて、浮上、潜水等のミサイルでありますが、これについては、ナウ・イン・ユース、使用中、こういうふうに書いてあるわけでありますから、説がある、しかしわれわれが照会したところはこうだ、こういうことを言いましても、これはわれわれを納得させる根拠は防衛庁にはないと思う。これは、防衛庁自身が権威を認めておる書類並びに私どもが調ベましたアメリカの雑誌等からいたしまして、使用中と明確に書いてあるのですからね。それでもって、なおかつ、開発中だ、こういうふうに言い切ることは、私は少なくとも無理があるのじゃないかと思います。この点は、並行線になるかと思いますけれども、われわれの見解をはっきりここで申し上げておきたいと思うのです。  ついでにお尋ねをいたしたいと思うのですが、アメリカの国防次官のギルパトリックさんという方ですか、この方が日本にお見えになりましたときに、防衛庁長官は会見をいたされましたか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 会見いたしました。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 伝えられるところによりますと、ギルパトリック国防次官は、二月七日に池田首相とも会見をなされておるようであります。そうして、その際会談をせられました内容というのは、NATO並みの防衛努力を日本がギルパトリック国防次官に対して約束をした、こう伝えられておるのであります。そのあと同次官はイタリア等へ旅行せられたようでありますけれども、このような時期に、水爆を搭載し得る能力を持っておるこのF105ジェット戦闘爆撃機の日本持ち込みがその後間もなく実現をし、そしてまた、原子力潜水艦の問題についても、現在大平外務大臣がしばしば言明されておるように、拒否する何の理由もないのだ、要するに、安保条約のたてまえから言えば断わる理由はないのだ、こういう立場で進めておられる。まさにNATO並みの防衛努力を約するという方向とぴたりだと思うのでありますが、この点、志賀防衛庁長官、私がいま御指摘をいたしましたような事実がございますか、お聞かせをいただきたい。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 当時ギルパトリック次官は極東に視察に参った。その後承るところによると、この八月に同次官は退任せられるということでございますが、退任に先立った極東視察ということで、私との会談は単なる儀礼的な会見でございました。池田総理との会談の内容は、私は承知いたしておりません。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 帰国直後退任をせられるわけでありますが、当時、同次官は、アメリカにおきましては、いわば大ものといいますか、実力者としてきわめて高く評価をせられておった方であることは、長官も御存じだと思います。そういうことはないと否定をせられるように申されるのかしりませんけれども、私は角度を変えまして伺いますが、この原子力潜水艦の問題について、核兵器を持ち込まない持ち込まないと防衛庁長官は言っておられるわけでありますが、しかし、アメリカの新聞あるいは報道機関等が、今回の原子力潜水艦の寄港の問題が、日本に核兵器を持ち込むかどうか、そのテスト・ケースである、こういうことをはっきり言っておられることは長官も御存じだろうと思いますが、この点はいかがですか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 そのようなことは承知いたしておりません。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 これは週刊朝日でありますが、この週刊朝日に、三宅泰雄という、これは原子力委員会の方々は御存じであると思いますが、東京教育大学の教授であって、特に海洋学の問題につきましては権威の方でありますが、この方がたまたまスレッシャ一号事件の際に学会出席のためアメリカに出張いたしておったわけであります。そうして、スレッシャー号事件の当時のアメリカの模様等について、お帰りになりましてから書いておられるのが週刊朝日に載っているわけでありますが、そこに次のように書いてあるわけです。「私がアメリカにいる間に読んだ新聞に、日本の科学者や一部の人たちが、原子力潜水艦の日本寄港に反対していることが伝えられていた。かれらは、これを例の日本人のセンチメンタリズムといいたげな書きっぷりではあったが、同時にその成否が、日本に対する核兵器もち込みのテスト・ケースであるとしていたことは、注目に値する」、こう述べているのです。三宅泰雄という日本の一流の学者であります。この方がよもやデマを書くというようなことはないと思うのです。  外務大臣にお聞きをいたしますが、このようなアメリカの新聞等については外務省は内容等を十分承知しておられると思いますが、アメリカの新聞等においては現にこのような報道がなされている、こういうことについてはよもや否定されぬと思うわけでございますが、この点はいかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アメリカは言論が開放された国でございますから、いろいろな議論が展開されておりますことは御指摘のとおりでございます。ただ、今度の寄港問題が核兵器の持ち込みに通ずる道であるというふうにどなたがとりましても、私ども日本政府の不動の確信に変わりはないわけでございまして、日本政府が持ち込みを認めないのだという態度で終始やっておりますことに御信頼を置き、御激励をいただきたいのでございまして、よそさまのほうで、今度はそれは核兵器持ち込みの道だとかなんとかおっしゃることで日本政府の確信が動くものでは決してございません。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 志賀防衛庁長官が時間でございますから、ここで私は要望を申し上げておきたいと思いますが、現に、アメリカでは、外務大臣も肯定されましたように、いろいろな報道がなされております。そういう危惧がアメリカの報道によっても現にあるわけであります。しかも、サブロックについては、二月十八日のアメリカ海軍省の発表ということを根拠にしておられるようでありますが、私が指摘をしましたようなジェーン航空年鑑を初め各種のアメリカの雑誌に、現時点では使用中であるということも書かれているわけであります。したがいまして、単にアメリカを信頼するという希望的な見解でもっていろいろお話をされるということではなしに、やはり、このサブロックの問題、核兵器の問題については、より真実を明確にいたしまして、そうして国民の前に明らかにする必要がある。これは防衛庁長官の義務であろうと思うわけでございます。この点は、御答弁は要りませんが、強く私は御要望申し上げておきます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 石川次夫君。

石川次夫日本社会党

○石川委員 いまの問題に関連をして、まず防衛庁長官に、時間がないようでありますから、一言だけ申し上げておきたいと思います。  いまのサブロックの問題でありますが、質問するつもりはなかったのでございますけれども、御承知のように、兵器というのはまず開発をし試作をして実験をし実用に移る、こういう四段階を経るというのが常識であります。しかしながら、アメリカは核装備を急いでいるというか、あせっているというか、いまのアメリカの核兵器、核装備の状態を見ますと、開発即実用という形をとっておるということはまぎれもない事実であります。したがって、私は議論をするつもりはございませんけれども、現在三十七キロないし四十キロまでは開発をした、しかしそれ以上のものについてはというようなことで、ナウ・イン・ユースという形でもって現に実用に供されているということに私たちは理解をしております。たとえば、保科さんからいまお話がありましたように、御承知のように、サブロックというのは発射装置であって、水中を飛び出してロケットで落下地点まで行きますと落下傘が開いて落ちる、落ちた地点でホーミングが働いて相手のエンジンの音を聞きながら走っていく装置になっております。したがって、これには核装備をしないということを保科さんは強弁をしておられますけれども、このような精密なものに普通の火薬を詰めて発射するというようなばかげたことは、学者ならずともわれわれしろうとでも肯定するわけにいきません。これは議論する余地はありませんから答弁を聞こうとは思っておりません。しかし、だれが考えても、サブロックがついているかついていないかということは別問題といたしましても、サブロックがついたということを仮定すると、核装備しないということはあり得ないということだけははっきり申し上げておきたいと思うのです。同時に、一九六〇年の四月にフェルトアメリカ太平洋軍司令官が下院で証言したことが出ておりますけれども、太平洋に属するすべての部隊は全軍核装備をしている、すなわち、第五航空軍、第十三航空軍、第七艦隊がそれである、こう書いてあります。もちろん、日本への寄港を希望しておりますところの攻撃用潜水艦は二隊で八隻ということが明らかにされておりますけれども、これは全部第七艦隊に所属して核装備していると思われる。それはフェルト米太平洋軍司令官の証言でも想像がつくと思う。それから、あと一つ、一九六二年の五月に、ギルパトリック国防次官、ただいま話に出た国防次官でありますけれども、この人が発表しているところによりますと、三軍の核報復力の輸送手段−輸送手段というのは、御説明するまでもなく、ロケット、飛行機、原子力潜水艦、これらを含んでおります。輸送手段として数万の手段を有しておる、こういうことで、これは、事情通、情報通のものを総合してみますと、アメリカは五万発、ソ連はそれに対して一万五千発ではないかというようなことが言われておりますけれども、それらの手段は一発以上の核弾頭を全部装備しておる、こういうふうに書かれておるわけであります。したがって、こういうことばから想像されますように、いま山口委員のほうから話がありましたように、どう考えても、核装備しないということはこじつけであるということを私のほうからはっきり申し上げたいと思うのです。それは議論になりますから答弁は要りません。  ここで一つお伺いしたいと思いますのは、防衛庁の中で防衛関係の最高の権威と言われる人、私は名前を特に申し上げませんけれども、いろいろお話を伺いましたときに、ことばの端から出ましたことは、中共はそのうち核爆発の実験をやるであろう、その場合に日本が無防備でいいということは国民感情がとても許さないのじゃないか、無防備は許されないから、まあはっきりは言いませんでしたけれども、原子力潜水艦が核装備して寄港するということはやむを得ないではないか、そう思われる発言をしておるのです。実際その気持ちはありますか。

志賀健次郎自由民主党防衛庁長官

○志賀国務大臣 そういう話は初めてこの席上で承ったので、私の全然承知しないところでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これは速記をとったわけじゃありませんし、本人があとで何とか思われると困るから申し上げませんけれども、はっきり言っております。中共はそのうち核爆発の実験をやるから、やったら国民感情としてこれをじっとして見ているわけにいかぬでしょう、原子力潜水艦はそれほどの問題になりません、こういうふうに言っておるということをあなたに明確に申し上げておきたいと思います。防衛庁長官に対する質問はこれで終わります。  実は、原子力潜水艦の問題については総理大臣に来ていただいて答弁をしていただきたかったのでありますが、おいでになりませんから、外務大臣その他にかわって伺っておいて、この意味をよく伝えていただきたいと思いますけれども、先ほど岡委員のほうからも適切な指摘がありましたから、私はなるベく簡単に要点だけを御質問したい、こう考えております。  まず第一に伺いたいのは、私たちは科学技術振興の特別委員のメンバーとして、きょう特に許されてこういう機会を得て外務委員会と連合審査をやる運びになって、非常に喜んでおりますけれども、科学技術振興の立場から言いまして、ここは議論する場ではありませんから多くを申し上げませんけれども、現在の科学技術振興の行政というものは非常に低調だということを常々考えておるわけです。アメリカその他の先進国に追いついてこれを追い越し、日本の繁栄をもたらすということのためには、現在は、総消費高の中で個人の消費のパーセントというものは非常に低いし、国民の総投資の中で占める国民の福祉のための投資というものも非常に少ない。すなわち、国民の生活を犠牲にして低賃金でやたらに働かせるということでやっと外国に追いつこうという背伸びした無理な姿が出ておる。したがって、これを何とか打開をするということのためには、科学技術を根本的に立て直して、行政の上でもこれを振興させる、そういうこと以外には国民を幸福にさせるほんとうの繁栄というものはあり得ないのじゃないかという点で、私は現在の科学技術の行政は貧困であるということを憂えておりますけれども、そのためには、やはり、学者の意見、学者を尊重する、こういうことが根拠にならなければいかぬと思うのです。したがって、学者の出した学問的な意見というものは尊重し、あるいは政治家が高度の判断でもって弾力性を持たしてこれを運用するという面は多少出てくるでありましょうが、学者の意見それ自体は大いに尊重するということでなければならぬ、こう考えておりますが、外務大臣、その点いかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 日本のような環境に置かれた条件のもとにおいて、私どもの経済的な生活水準の内容の高度化をはかっていく上におきましても、あるいは文化水準を向上していくためにも、他の国に比べましてより一そう科学技術の振興という点に力点を置いた政策をやらなければならぬ、努力を重ねなければならぬという御指摘につきましては、私石川さんと全く同感でございます。したがいまして、科学者の御意見、研究の成果というものにつきましては、申すまでもなく十分尊重し傾聴して政治的な判断の資に供するのは当然だと思っております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 それなら伺いますけれども、実は学術会議で何回も原子力潜水艦の安全性の問題について勧告をしております。勧告について何らの答弁も得られなかったということで声明を発表しております。声明は満場一致の形で出ております。しかし、この声明は今度初めて声明という形でもって国民に訴えたわけではありません。しかも、この原子力潜水艦の寄港の問題に対しては、政治的にこれを判断をしてぜひの意見の声明をしたわけではないのです。あくまでも安全性という科学的根拠に立っての学者の立場で、国民を愛する立場から純粋にこれを声明したと思っております。同じ日に、きょう本会議で可決になりましたけれども、大学の総長の認証制度についてもこれに反対であるという声明が出ております。これまでも三十回ぐらい声明が出ているわけです。いままでそれらの声明に対しては一言も批判をするようなことは言わなかったけれども、今度の場合については、たとえば総長の認証制度なんということは考えようによってはきわめて政治的な問題という理解もできると思うのです。片方は完全に純粋に安全性の立場に立って反省を促すという学問的な立場に立っての意見と考えていいのじゃないかと考えるわけなんですけれども、片方の総長の認証制度、いままで何十回も出された声明については何も触れないで、今度の学者がほんとうに安全性の問題で科学的に検討した結果憂慮して出された満場一致の結論というものを尊重しないで、不当の疑いがあると言うのは、学問を尊重する態度と言えるでしょうか。この点どうお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私は学術会議を所管いたしておる所管大臣ではございませんので、この前外務委員会でも御答弁申し上げましたように、あるいは内閣委員会でもお答え申し上げましたように、学術会議に対する政府の行政権がどうあるべきかということにつきまして御答弁申し上げる立場にありません。ただ、先ほど申しましたように、科学者の御意見というものは十分これを徴して政治判断の資にいたしますことは、当然そのように心得てやっておるわけでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これは外務大臣に答弁を求めることがもともと無理かもしれませんが、よくその趣旨をひとつ内閣でもってはかってもらいたいと思うのです。  実は、これも、この委員会で話すことは適当ではないから、申し上げるだけにとどめますけれども、学術会議の声明は不当の疑いがあるということを新聞社に発表されました。しかしながら、学術会議自体に対しては、不当の疑いがあるという字は入っておりません。これは、不当の疑いがあるということ自体の裏づけをどうするかということを追及されると弁解の余地はないということで、新聞社に対してはそう発表しておるけれども、肝心の学術会議に対しては、不当の疑いがあるということは入っていない。こういう小細工をやるということは、内閣の態度としてはきわめて男らしくない、ひきょうだと考えておるのですが、そのことはここで触れる必要はございませんから申し上げません。しかし、少なくとも学者の意見を尊重するという外務大臣の意見を私も信じます。日本の原子物理学というものは、戦時中一時とだえましたけれども、かなり世界的にも評価をされておるし、特に放射線の汚染の問題、人体に対する影響の問題については世界最高のレベルにある、こういうふうに評価されておるということは知っておいてもらいたいと思います。そういう人たちも含めての結論に対して、不当の疑いがあるとか、政治的な判断であるとか言うことは、私はそれこそきわめて不当であると考えざるを得ないわけです。  それから、一つ御質問申し上げたいのですけれども、実は中間報告を読みますと、中間報告に対してはいろいろ意見がありますけれども、それは追って申し上げることといたしまして、一九五九年にスキップジャック号の艦上で、それから一九六〇年にポラリス型ジョージワシントンの艦上での上下原子力合同委員会の聴聞会で述べられたそれに対するいろいろな参考書類というものがついて報告が出ております。私全部目を通したわけではございませんで、大ざっぱに見たわけでございますけれども、この中間報告を見ますと、これ以外の資料は何も出ておりません。新たな資料は何もつけ加えられておらない、こういう印象を受けますけれども、これ以外に何か資料はございましたか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私どもが照会して、中には軍機に触れる部分でございましょう、回答が得られないものもございますけどもれ、回答を得られたものはあそこに全部盛り込んであるわけでございまして、それ以上のものではございません。

石川次夫日本社会党

○石川委員 実は、この中間報告を見ますと、いろいろばかげたことがたくさん書いてあるというふうに端的に考えるのですけれども、少なくとも、そこに出ておる文句の引用は、いま言った二つの記録以上には何にもないということだけははっきり申し上げることができると思うのです。したがって、それ以上のものがあるとすれば、はっきり、それ以上の資料があったのだということを言ってもらわないと、われわれは納得できないわけです。われわれは、この一九五九年と一九六〇年の記録をもとにしてあなた方と安全性の問題について討論をするほかない、こう考えておるわけですが、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 中間報告をどのような意味でお読みになりますか、これは私どもは規制するわけにまいりませんで、ありのままを御報告申し上げたわけでございまして、石川さんは石川さんの立場で吟味していただければ、私はけっこうだと思うのです。

石川次夫日本社会党

○石川委員 それでは申し上げますけれども、これ以上に何か新しい資料があるのならぜひ提示をしてもらいたい、こう考えるわけです。私はわれわれのほうの代表とともに黒金官房長官にお会いをいたしまして、この外交交渉について、交換文書があり、あるいはトーキングペーぺ−も膨大なものになっているというふうな説明もありましたけれども、どうも、われわれの考えたところでは、一九五九年と一九六〇年のこの艦上における合同委員会の資料以外は何ら盛られていないのではないか。これ以上の安全性を保証するものがあるならば、交換文書なりトーキングペーパーなりを出していただきたい。かくかくのことがあります、要求書を出しましたけれどもまだ回答はいただいておりません、そういうものをいただかないと、それ以上のものがあるということを確認できない、こういう立場にあるわけですが、これは外交関係で問題があるかもしれませんが、事はきわめて重要でありますから、このトーキングペーパーなり交換文書を提示していただきたいということを外務大臣に要求したいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 この中間報告では不親切だ、何かそれの材料になっているトーキングペーパー等を提示しろという御要求が外務委員会でもございましたので、これは検討してみようと私はお約束しているわけでございます。ただ、外交上、そのトーキングペーパーを一々国会に御報告するなんというのもおかしなことでございますけれども、ただ、いま石川さんが言われたように、中間報告をしたそのほかにまだ安全性に関連した新たな材料があれば、私は、これは当然国会に御報告せねばならぬし、一般の世間にも発表しなければならぬ性質のものだと思っております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 どうもあいまいな答弁ではっきりしませんけれども、それでは、出していただけるというふうに理解してよろしいわけですね。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 いま申し上げましたようなトーキングペーパーそれ自体を提示しろということは、いかがなものかと思って考えておりますが、中間報告に盛られた以外に安全性に関係したデータが入手できますれば、それは当然私は出すつもりです。

石川次夫日本社会党

○石川委員 非常に不満ですけれども、これは水かけ論になりそうですから、次に移ります。  それで、この中間報告を読みまして、私ちょっと話がはずれてまことに恐縮でございますけれども、この中間報告というのは、一九五九年、一九六〇年の記録の中から安全性を証明するために片言隻句だけをとらえてきた、こういう印象をきわめて強く受けるわけです。余談になるかもしれませんが、実は、戦前杉山平助さんというきわめて優秀な評論家がおりました。私は臨終に立ち会ったたった一人でございますが、この人は、マルキシズムの学者と討論をし、けんかをし、戦争を賛美するというようなきわめてファッショ的な立場にあった評論家というふうに言われておった。ところが、この終戦があと一カ月延びればこの人が逮捕されるということになっておったということが、終戦になってからわかりました。というのは杉山平助は赤であるというとんでもない結論が出たのです。そちらの座談会、こちらの著書というものを全部集めてみますと、そうなった。なるほどおれは赤かといってがく然とした、そういう話を実は私はじかに杉山平助さんから聞いてびっくりしたことがございますが、比喩というものは必ずしも絶対的なものではなくて、たとえにすぎない。相対的なものであります。しかしながら、それと同じような印象をこの中間報告から受けるわけであります。と申しますのは、一九五九年、一九六〇年のこの記録の中にいろいろなことが言われておりますが、先ほどテーラー博士のことばなんかも言われましたけれども、これは岡さんが申されましたから省略いたしますが、その中に、原子炉安全審査諮問委員会、ACRSと普通略しておりますが、これがアメリカの原子力委員会に出した報告が出ているわけであります。まず第一に、事前に適切な安全審査をしなければならない、——これらは原子力潜水艦についてであります。二番目は、それぞれのケースでそれぞれの知識経験を有する人が判断をすべきである、どこどこの港に入るというときにはその港に詳しい人が加わって判断しなければならない、第三番目が、人口の多い港に入港することは危険であるということが書いてあります。四番目は、隻数が増すほど危険性が増大するということ、これは当然でございしょうけれども、現在は八隻が対象になっておりますけれども、そのうちに、いまの建造状況から言えば第七艦隊に所属するのが二十隻以上になるのはそう遠い将来ではないので、この危険性は増大をする、こう考えなければいかぬと思います。さらに、軍事上の要求の場合のみ入港させるべきである、きわめて高い軍事上の要求がある場合のみ入港させるべきであると言っている。ところが、今度の寄港は、兵隊が休養するのだという名目です。休養するために人口の多い港に寄港するということはいかぬという意見も、この記録の中に含まれております。したがって、休養のために、あるいは帰休のために日本の港に立ち寄らせるということはアメリカ自体が禁止をしておることだということをどうお考えになりますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 アメリカ政府から正式な要請があったわけでございまして、アメリカ政府の責任当局から日本にそういう要請がありました以上、いま御指摘のような考えでいないと私は思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これは、アメリカ自体は非常に厳密に先ほどの停泊基準というものをきめておりながら、日本に対しては単なる休養のために寄らせるというふうに考えていいものかどうか、あるいはもっと軍事上の高い要求というものがあってそういうふうにせざるを得なかったかどうかということについて非常に疑問があると思うのです。だから、アメリカの態度というものはこの五項に大体尽きております。これはアメリカの正式の態度であります。これに対する批判というものは記録の中で出ておるわけではありませんということをまず申し上げておきたいと思います。この中間報告におきましては、アメリカの軍部の発表ないしそういう合同委員会の発表ということだけが出ております。アメリカの科学者の意見というものは全然盛られておらないという点は、われわれにとっては、非常に片手落ちではないか、こう考えざるを得ないわけであります。  なお、先ほども制御棒のことに関しまして岡さんから適切な質問がございましたから、私は省略いたしますけれども、安全性を確保する上で、たとえば、自由民主党で、「原子力潜水艦のすべて」というおそるべき本が出ております。これを私は一読してぼう然とするくらい、あっけにとられることが出ておりますけれども、私も門前の小僧で、原子力のことについては専門家でも何でもございません。そのしろうとが読んでみても非常に驚くべきことが出ております。たとえば「原子炉の暴走は起きるか」、こう書いてあります。原子炉の温度係数をマイナスにする、あるいはまたスクラムをつけておる、緊急停止装置がつけてある、スクラム棒が働く、これでも最後に十分でないということで大量の中性子吸収材を炉心に流す方法がとってある、これだけの方法をとってあるから安全だ、こういうことが書いてあります。これはあたりまえじゃないですか。これだけの方法をとって、なおかつ安全であるかどうかということを安全審査会でもって検討する、こういうたてまえになっておる。しかし、これを見ると、これだけやってあるから安全だというように書いてある。しかし、これは、ちっとも安全ではない。学問的でない。これは非常に子供だましの議論だと言わざるを得ません。それから、冷却水の放射能というものがこれに出ております。その中には、活性化物質とそれから核分裂生成物と二つに分けてあります。核分裂生成物の中にストロンチウムあるいはセシウムというものが少量ある、これはアメリカ標準局の許容度から比べたら問題にならない低いものだ、こういうふうな書き方をしております。ところが、この核分裂生成物というのは、原子力潜水艦では出ないのが当然なんです。出ないはずのものを取り上げて、許容量から比べたら低いのだとか、こういうごまかしをやっておる。しろうとはだまされるかもしれませんけれども、これは学者が憤慨するのは無理ではないと言わなければなりません。こういうことを申し上げたいのです。  それで、この制御棒の関係でございますけれども、たとえば、SL1というのが事故が出ておる。これには、原子炉の事故というのはSL1だけしか出ておらぬと書いてある。ところが、七つも事故が出ておる。これは申し上げておきますけれども、EBRとかHTRとか、大きな事故が七つ出ておりますけれども、これを見ると、SL1一つしか出ていない、こういう書き方をしておる。これは三人死んだわけですが、このSL1の実験炉が事故を起こして人が死んだ理由は、ミスハンドリングだったのではないか、こういうふうに言われておるわけです。しかし、これは制御棒を減らしたいわゆるバーナブル・ポイズンという方式でやっておるわけですが、SL1にはミスハンドリングがあったためにこういうとてつもない大きな事故があったというふうに説明しておりますけれども、学者の間の一致した評価では、バーナブル・ポイズンという方式が原因で、すなわち制御棒を減らしたことが大事故を起こした原因ではないかということが定説になっておる。したがって、制御棒を減らしたほうが安全だということは、この記録のどこに書いてありますか。一九五九年と一九六〇年の記録の中に、制御棒を減らすことによって安全性が増したということが出ておったら、原子力委員会の兼重さんでもよろしいし、外務大臣でもよろしいから、ひとつ御説明を願いたい。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 制御棒を減らしたからより安全であるとか、ふやしたからより危険である、そういうことは何も申しておりません。ただ、制御棒の数を減らしたら必ず危険になるということも言えないのではないかというふうに考えておるだけのことでありまして、その点について何も私ども結論は出しておるわけではございません。

石川次夫日本社会党

○石川委員 この制御棒を減らすということによって安全性が減ったということも必ずしも断言はできないかもしれませんが、しかしながら、少なくとも安全性が増すということは絶対に保証はないわけです。制御棒が減ったことによってSL1という事故ができたのではなかろうかという定説があるくらいで、これにかわるべき制御装置の技術的な解決あるいは学問的な解決がまだついておらないということははっきり言えると思います。ところが、これは政府が出したものではないかもしれませんが、「制御棒をたくさん使う方が旧式で非能率になるのです。」、こう書いてあります。「また、核燃料をたくさんつんでいる点も、これは原子炉の運転を安定させるため最近とられている進んだやり方で原子炉技術としてはすでに常識になっているやり方です。この二つのやり方をもって危険性の証拠のようにいう学者は最近の原子炉の技術を知らないことを白状したようなことになります。あまり無理して反対しようとするから、こんなおかしな結果になるのです。」。こう書いてあります。私のところに来た学者は必ずしも社会党びいきの学者ばかりではありません。社会党にきわめて批判的で、自民党の雰囲気、ムードが好きだと言う学者がありますけれども、さすがに、これに対しては、たまりかねた、夜も眠れなかったということを私に告白しております。これをどう考えますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 活発に安全性の論議が展開されますことはけっこうだと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 活発な論議も何もないじゃないですか。これはインチキきわまる議論で、日本の学者の総意できめた、原子炉の安全性、並びに制御棒を減らしたということについては安全だとは言えないのだということを無視している。原文を読みましょうか。制御棒についての記録、「原子炉の理想的な型は可動部分が全然ない静的な装置であろう。」、「もし出来ることなら、制御棒を全部なくしてしまいたいと望んでいる。」ということが書いてあります。しかし、このことが安全性の方向に進んでいるのだということではなくて、先ほど岡委員も指摘をされましたように、軍事上の要請ということの至上命令に何とか応じようとする意図のほうがはるかに強いファクターを持っておったということを私たちは考えざるを得ないわけです。したがって、制御棒が減ったから近代的だ、安全だというような印象を与えるような、たとえば一つの例を私はあげたわけですが、そういうことばかり書いてあるこういう本は、私は国民の科学性というものを非常に欺瞞をした、ばかにした、低能視しているパンフレットだと思います。これは政府で出したものではないかもしれませんが、しかし、あなただって由民主党の一員です。したがって、これは日本の科学性を非常に低下させる本であるから、これは回収したらどうか、こう考えますが、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 その文章は私の責任で出したものではございません。ただ、石川さんも非常に科学的な御造詣がおありになるようでありますが、安全性の技術というものもまた私は進んでいくものと常識的に考えます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 それでは、その次に移ります。  実は、廃棄物のことについて、これはあとから山口委員のほうから質問があるそうですから、私は簡単に御質問申し上げますけれども、これは原子力委員にあらかじめ確認をしておきます。日本の廃棄物の基準はICRPの十分の一になっております。アメリカの原子力潜水艦は、ICRPの百倍まではよろしい、こういうことになっております。一九五九年にこういうふうにちゃんときめております。したがって、基準が日本の大体千倍になっておる。このことはお認めになりますね。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 そういう点もただいま問い合わせておりますけれども、先ほど前田先生がおっしゃいましたように、潜水艦そのものの中は日本の主権が及ばないところであるというふうに私も了解しておりますが、日本の領域内に出てくるものが日本の規制よりも越えていいということはなかなか言いにくいのじゃないかというふうに思うのであります。ですから、そういう点ははっきりしないとまずい、こういうふうに考えておるわけであります。まだ、いまそれを越えてもいいということを言ったような記憶はございませんので、そういうことについての結論を出しましてから御批判をいただきたいと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 日本の現在の実際の濃度の十万倍から百万倍までが大体の許容度ということになるのです。このICRPの十分の一ということから見ると、単純に計算をしてこれは千倍ということになるわけです。そういうことは、許容度というのは、大体ここまではいいということではないのです。これは原子力委員会の委員に申し上げるまでもないのですが、やむを得ないときはここまでは仕方がないんだというのが許容度の考え方です。ここまではいいんだという考え方ではないわけです。低ければ低いほどいいわけです。日本はICRPの十分の一に押えているのですけれども、アメリカの原子力潜水艦に関しては百倍まではやむを得ない、いいんだとはっきり書いてあることは、いまさら申しのがれても、はっきり出ております。これはいまさら申しのがれる余地はないと思いますけれども。  そこで、問題は、アメリカの原子力潜水艦が来るから、その廃棄物についてはICRPの百倍、日本の千倍まではよろしいというふうに日本の法律を変えるという意思はありますか。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 法律を変えるか変えないかということを私どもがすぐ考えるべき立場かどうかわかりませんけれども、私どもはいまそういうことは考えておりませんし、第一、法律を変えるためには国会のあれを経ますので、そういうことはちょっとできないのじゃないかと考えております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 これだけでも日本に原子力潜水艦を寄港させるという根拠は失われるのじゃないかと私は考えております。それで、このことをまだ申し上げたいのですが、実は、日本の檜山さん、それから先ほど山口さんからお話のありました三宅さんというのは、国際シンポジウムで汚染の問題については世界最高と言われています。その人が、魚介類をいろいろ調べた結果、魚介類には、普通の海中にある放射能よりも百万倍も濃縮される可能性があるそうです。そういう例があるそうです。したがって、十二海里といっても、日本は沿岸漁業が発達しておりますから、十二海里くらいは日本はどこも沿岸漁業です。そういうところであるいはイオン交換樹脂を廃棄物として捨てる。ところが、放射能に汚染されたプランクトンを魚介類がどんどん食べて、あるいは魚介類自身四十キュリーもついているやつをぱくつくかもしれない。その魚を食った人間は一ころです。魚を特に常食する日本人としては、やはりこの点は非常に大きな問題になる。たとえば、私は、参議院の外務委員会で参考人として学者の意見を聞きましたときの記録を見て驚いたのですけれども、原爆実験の死の灰に比べて原子力潜水艦の廃棄物の水というものは問題にならないんだという比較をしております。こんなばかげたことはありません。これは比較の対象にはならないのです。ということは、核爆発はぱあんと張ってから世界じゅうずっと回って、しばらく時間がたってから地上に降下をする、こういうことになるわけです。この核爆発の実験をやったのと、局部的に海水にまじり込むというこの汚染の度合いと比較をするということ自体がナンセンスです。こういう比較の仕方ということは、比較にはならない。  その他いろいろあるのですけれども、省略いたしますが、とにかく、海水というのは、海水の拡散の速度、あるいは拡散し得る海域の広さとか深さ、海水の交代の速さ、海流、潮流、あるいはまたそれぞれが季節によって変わってくるというきわめて特殊な性格を持っておるわけです。そこで、放射能というのは固定したところに固定してしまうという危険性もあるわけです。それをまた魚がプランクトンを食べるという危険性だってないわけではない。これは決して架空のことをわれわれは言おうとしておるわけではない。魚介類を特に常食するところの日本人としては、これについてきわめて神経質にならざるを得ないという点を、私はよく考えてもらいたいと思いますけれども、驚くなかれ、中間報告では、この廃棄汚水は飲もうと思えば飲めると書いてある。海水に溶かしてしまえば、なるほど飲めます。しかし、この科学技術庁で出している「ニューロンドン港における汚染の実情」というのがあります。その中では、ニューロンドン港において原子力潜が入ってきて冷却水を出した場合に、その付近での最高放射能濃度は二かける十のマイナス四乗マイクロキュリー・パー・CC、こうなっております。百二十時間、五日たっても四・五かける十の三乗マイクロキュリー・パー・CC、こういうふうな数字が出ておりますが、これは完全な致死量です。したがって、飲もうと思えば飲めると言うなら、一回ひとつ外務大臣初め総理大臣も飲んでもらいたい、こう思うのです。こういうふうな非科学的なことを書かれたのでは困ると思うのです。これは海水に溶けた場合はなるほど薄くなります。無限大ですから。そのときの許容度みたいに考えてもらわれては困るし、ニューロンドン港の資料がたびたび出てまいりますけれども、ニューロンドン港における海水というのは、バックグラウンドとして日本の海水の百倍の放射能をすでに持っておるのです。そういうバックグラウンドを持っておるところに潜水艦が入っても影響が少ないということをことさらにアメリカでは証明しようとしておりますけれども、アメリカのこの証明自体、前提に非常に誤りがある、私はこう考えております。日本の場合とは全然比較になりません。そういう点で、もちろん日本に寄港させるということは私たちは認めませんけれども、もし寄港させるといたしましても、日本の海水の状態も一年なり二年なりよく調べて、潮流の状態、性格、そうして、どういう状態に潮流が流れて、どういうふうに現在の放射能の動きがあるかというふうなことを厳密に調べた上でなければ寄港を認めるべきでないと考えることは、きわめて常識的だ、私はこう考えるのですが、その点どうお考えになります。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 御意見としてよく承っておきます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 何を言ってもどうも張り合いがないので、熱意を失わざるを得ないのですが、たとえば、この中間報告の中で、事故はほとんど起こっておらないというふうに書いてあります。また、寄港しても事故はほとんど起こっておらないというふうに書いてあります。百回ぐらい寄ってもさらに事故は起こっておらぬ、こう書いてあります。私読み上げてもいいのですけれども、公表されたものでも十件以上事故があります。その中にはルーズベルト号が海中でもってイオン交換樹脂を捨てるやつを間違えて浮上して捨てたものですから、船自体に非常に汚染があって、大騒ぎしたという事故も含まれております。火災も何回もあります。そのほかにも放射能の事故が起こっております。百回くらい寄って事故がなかったからこれは絶対安全だということは、私はきわめて非科学的だと思う。これから先何千回、何万回寄るケースが起こり得るのに、たった百回くらいで事故が起こらなかったと言うことはおかしいし、起こらなかったということ自体もうそです。そういうふうなきわめて欺満に満ちた中間報告だと私は言わざるを得ない。  それから、この寄った港というのは、全部NATOあるいはSEATOの国で、軍事同盟を結んでおる国です。日本は安保条約を結んでおるから断われないというふうにおっしゃいますけれども、安保条約は軍事同盟ですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 あれは、御案内のように、日本とアメリカとの相互協力、安全保障に関する条約と心得ております。

石川次夫日本社会党

○石川委員 しかも、NATOの国の中で、ご承知のように、デンマークでは原子力潜水艦はきわめて危険である。ということで入港を拒否しておりますし、アイスランド、ノルウェーも寄港を拒否しております。NATOの加盟国でも拒否しております。しかるに、軍事同盟ではないと強弁をしております日本、——これは、軍事同盟でないと言っても、安保条約のことをアメリカでは、ミリタリーアライアンスとちゃんと書いてあります。日本政府がこれは軍事同盟でないと言っても、外国の理解の仕方は少なくとも、ミリタリーアライアンスというふうに翻訳しておるという事実をまず申し上げておきますけれども、それはともかくといたしまして、NATOの国ですらも拒否しておる。いわんや、軍事同盟でないとおっしゃるなら当然拒否するだけの権利がある。しかも、特に日本の特殊事情というものを考えれば、そうすべきではないか、それこそが国民の立場に立って国を愛するゆえんではないか、こう考えざるを得ないし、また、アメリカと最も近いイギリスでも、イギリス原子力公社では、人口の多いイギリスの港には入港させないように勧告をする、こう言って政府のほうに強い勧告をしております。イギリスの中でもそうです。イタリアでも、ナポリに入港するということについては、いろいろ意見が出ておるということを聞いております。こういうふうに、軍事同盟の国で、すでに核戦力というものを用いている国自体が、寄港というものについてはきわめて批判的になっておるということを考えますときには、同盟ではないのだという考え方に立つ以上は、当然断わる権利がある、私はこう思うのですが、どうですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 これは私どもは断わる立場にないということはたびたび申し上げておるとおりでございまして、よその国がどうやったかということは、その国の事情があるのでございまして、私どもは、私どもの国の防衛という立場、安全という立場から判断いたすべきものと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 私たちの理解では、これは軍事同盟の国ですら断わったのに、安保条約では断われないというのは、国民にはどうしたって納得させることができないでしょう。特に、日本は唯一の被爆国であるし、魚を常用するという国民性を持っておるというようなことや、それから、横須賀とか佐世保というのは相当人口の稠密度の高い港だというようなことを考えるときに、これを断われないということ自体がおかしい。あくまでもアメリカ一辺倒の卑屈な態度だと私たちは理解せざるを得ないわけです。  次に移りますけれども、安全性についてはすでに申し上げましたからもう言いませんが、たとえば、つまらぬことであげ足をとるようで恐縮でございますけれども、燃料要素の被覆体になるジルコニウムというものは、一年に百万分の一インチしか腐触しないのだ、こう言っている。しかし、これは百万分の数インチです。あちこちに誤訳がありますから念のために申し上げますが、ジルコニウムは、百万分の数インチにいたしましても、これだけ腐触をするには、長く時間がかかるから、それはジルコニウムがある以上は被覆体については安全だというふうに書いておりますけれども、実はこの被覆が完ぺきに平均してされておるということが前提でこういうことを言われておりますが、実は、その被覆というものは、まばらになるのじゃないか、はげるのじゃないかということが、安全性の場合に一つの大きな争点になっているわけです。そういうことを無視して、平常な状態で、完全な状態だけをさして安全性を強調しているというやり方はきわめて非科学的だと言わなければならぬ、こう考えざるを得ないわけです。  最後に一つ申し上げておきます。このスレッシャー号の事故の原因でございます。この問題は、まだはっきり解明されておらないのですが、兼重さん、どうですか。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 せんだって、六月の二十日ごろかと思いまするが、アメリカの国防省で発表されたものが私どものほうに来ております。その要点は新聞紙上にも出ておりましたので、すでに皆さまがお読みになったことと思いますが、私ども現在承知しておりますのはそれでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 アメリカはどうせ正直な発表はしないでしょうし、大体沈んだ場所をまだ明確につかんでいないわけですから、事故の原因もまだ何も明らかにされないし、想像以上には出ないのです。しかし、いろいろな考え方はございますけれども、その中で、焼けたプラスチックが浮いているというふうな記事があったわけであります。これについては、原子炉のおおいにプラスチックを使っているということを考えあわせて、これは原子炉が焼けたのではないかというふうな見方もないわけではないわけです。私は別にこれを断定はいたしません。そういうふうな不安もないわけじゃありません。それから、冷却の働きがとまって、たとえば六インチの原子炉の容器の中でスクラムは動いたけれども中の冷却の働きがとまっちゃったということになりますと、大体三時間くらいで原子炉というものは溶けるのです。そういうことが理論的に証明されておるわけです。そういう可能性がないわけじゃありません。沈没したって絶対だいじょうぶだということは言い得ないわけです。特に加圧水型の原子炉になりますと、冷却の働きがとまって原子炉が溶けるという危険性があることは否定できないと思うのです。それからまた、例によって引っぱり出しますが、自民党のパンフレットによりますと、かじとかバルブとかオートメーション装置とか、こういったものが云々というふうに書いてありますけれども、F104にしても、御承知のように、きわめて危険だ。びょうなんかもきわめて不安定な短いものもあるということを自衛官の小川さんが言って退官をされたというのが最近の事実であります。F104に限らず、こういうふうな危険な状態が現在の原子力潜水艦自体にも残っているということなのです。特に私が取り上げたいのは、高速反応総合潜水艦制御、これはフリスコと言っておりますけれども、現に、三十五ノットから四十ノットの急スピードで、あるいは三十度あるいは二十度の急角度でもって潜水いたします。きわめて早いスピードで、二十秒くらいで潜水してしまうというようなことで、人間の能力で操舵することはきわめて不可能です。したがって、いま言ったフリスコという装置でもって、自動装置、オートメーションでやるということになっておりますけれども、これ自体がまだ完成しておらない。したがって、この点については非常な不安が残っておるということ自体も、アメリカでは発表されておるわけです。したがって、こういう点を考えますと、スレッシャー号の事故というものは明らかにされないでしょうが、そういうふうな不安がいろいろ考えられる。ビキニでもって原子力の核爆発の実験をやりましたときに、アメリカは何と言ったかというと、たいしたことはないのだ、カルシウムをたくさん食べればそういう被害はないのだというようなばかげたことを言って世界中のもの笑いになったことは、記憶に新しいことです。そういったことでこの原子力潜水艦スレッシャー号の事故の解明がもたらされるのではないかという不安を、われわれは絶ずえ感じるわけです。そういった場合に、スレッシャー号の事故というものは一体どういうものか、あと一つの問題を言えば、スレッシャー号は、大体二千プシ気圧、これに耐え得るように設計をされておりますけれども、いま八千四百フィートの下に沈んでおるというふうに想定されておりますから、二千プシではなくて三千六百プシの気圧がかかっております。したがって、この気圧によってこわれるのではないかという危険だって学問的にはあるわけです。  そういうふうないろいろな不安が残されておるわけでありまして、このスレッシャー号の事故の原因が解明をされない限りは、日本に原子力潜水艦を少なくとも寄港させるべきではない、こう考えるのが私はきわめて当然だと思うのです。その点について外務大臣なり原子力委員の御見解を伺いたい。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 あらゆる角度から安全性の問題につきまして御解明がございました。私は石川委員が非常に熱心に究明せられた態度にまず敬意を表します。と同時に、あなたがここで開陳せられた疑点というものは、きょう出席の政府委員各位に御専門の方もおられますから、よく聴取されて御判断をいただけるものと思うのでございます。私どもといたしましては、冒頭に申し上げましたように、安全性の問題につきまして御究明をいただき、国民の多数の方々に御納得を得た上で処置したいと思っておるわけでございます。

石川次夫日本社会党

○石川委員 どうも答弁が的をはずれちゃって困るのです。  では、最後に一つだけ申し上げます。あとまだ質問者も控えておるようですから。  それで、冒頭に私が申し上げたように、安全性というものを学問的に検討してこれは判断をしなければならぬ。これは外務大臣認められたわけです。具体的には原子力委員会の意見を聞くということも、この前委員会ではっきり答弁をいただいております。そこで、原子力委員会に私はけちをつけるわけではありませんけれども、率直に聞いていただきたいと思うことは、現在の原子力委員の方には、核物理の学者が一人もおりません。しかし、私はそれだからいかぬのだということを申し上げようと思っておるのではないのです。もちろん、経済的な総合判断で原子力というものを一応見定める人も必要でしょうし、あるいはエンジニアリングあるいはマネジメントということで、各方面の権威者がいて、原子力委員会というもので原子力の研究開発を進めることも必要でしょうけれども、核物理の基礎理論の専門家が一人もいないということはきわめて不自然だと私は考えておるのです。今度の安全性の検討をする場合において原子力委員会だけで独自な判断を下すということは認められない、こうはっきり私は申し上げたいと思う。これは原子力安全審査部会というものもあるわけです。これは原子力委員会の中にあるわけです。そういうところの意見を十分聞いて、その上で政府に対して答申をするという態度が最低限必要なことじゃないか、こう考えるのですが、原子力委員会の兼重さんの意見を承りたい。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 残念ながら、現在の原子力委員会の委員の中には核物理の専門家がございません。したがって、そういうことについての配慮は当然すべきであると考えておりますけれども、現在の段階では、専門家に御相談をしてこういうふうなことをきめるとかいうふうな段階になっておりませんので、いままでそういうことはしておりません。いつの段階でどういうふうにするかということは、今日私がここで委員会として申し上げる立場にございませんので、差し控かえさしていただきますが、いまお話しになりましたそういう御趣旨については、十分考慮いたしたいと思います。

石川次夫日本社会党

○石川委員 安保条約をたてにとって、寄港を断わるという立場にないというふうなお話が先ほどからあったのですけれども、言うまでもなく、原子力基本法というものが日本にあるわけです。これは、あくまでも平和というものに限って、しかも自主、民主、公開の原則によってということが明確に確立をされ、これが明確に確立をされておるからこそ、日本の原子力関係の学者というものは、おれたちは平和利用だけの立場で邁進することができるんだという誇りを持っておる。ところが、今度その誇りが一ぺんにくつがえされようとする危険が身近に来たものですから、原子力関係の学者としては、これに対して、——しかも、自民党のパンフレットじゃありませんけれども、全然無視されたような態度で扱われたということもこれに加味されて、このごろ非常に不愉快な感じを持っておるということは否定できないと思うのです。まあ中には御用学者みたいな人も例外的には千分の一かそこいらはおると思います。そういう人の意見じゃなくて、ほんとうに日本の原子力学者の意見を聞く、しかも、原子力委員会としては、日本の原子力基本法を守る番兵としての役割というものを片方に持っておるということを考えながら、これに対しては慎重な配慮を払って政府に答弁するということを強く要望して、私の質問を終ります。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 齋藤憲三君。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 時間もだいぶ経過いたしましたし、また、私はこの問題で政府当局に質問いたしたいと思いましていろいろ参考書類をあさりまして質問条項を列記いたしましたが、その質問を並べておりますと、また深夜国会、未明国会ということにまでなりますので、そういうことは与党の立場からきわめて慎重に御遠慮を申し上げまして、核心の点だけをひとつ御質問申し上げたいと思うわけであります。  私は、ここのかばんの中に、クラウチの「原子力船」をはじめとして、いろいろな原子力船に関する参考書類を集め、また、これに対する賛否両論の根本をなす議論というものも、私なりにあさってみたのでありますが、結局するところ、いま問題となっておりますのは、原子力潜水艦が日本に寄港するその形が危険であるか安全であるかという一点に問題をしぼって私は御質問をいたしたいと思うのであります。  私たちは、この原子力問題は世界の科学技術のトップ・レベルの問題でありまして、これに対していやしくも国家最高の機関において論議をかわすということになりまするというと、その影響するところは、日本のいわゆる世界的な科学技術のレベルというものが世界に表明されるということになりますので、私は、あまり広範多岐にわたる原子力問題に対してしろうとの立場から論評を加えるということは、他日冷水三斗の思いをするという点も考えられるので、そういうことはなるべく慎んで、いま現実に問題となっておりまする原子力潜水艦が日本の港に入ってくるその形が一体どうして危険なのであるか、どうして安全なのであるかという点にしぼって御質問を申し上げたいと思うのであります。一問一答の形をとりますと時間が非常に長くなりますから、私の考え方をここで申し上げて、それが間違っておるとお考えになる御当局は、ひとつ間違っておるという点を御指摘願いたいし、おまえの考えはそれで正しいのだというなら、正しいのだと、そうおっしゃっていただけば、私は満足するのであります。  私は防衛当局にも潜水艦の構造というものをいろいろ伺ってみました。ところが、先ほど御説明がございましたとおり、それはきわめて堅牢な外殻と内殻に包まれておる。しかも、外殻と内殻との間は大体一メートル、ここにたくさんの部屋があって、そこに水を入れる場合は沈むし、それからポンピング・アップをすると船が浮かんでくる。しかも、現代の潜水艦は、大体三百メートルを基準として潜水能力を持つ。そうして、これに安全性を保たせるために五割の余裕を持たせると、四百五十メートルの潜水能力を持つ。そういたしますと、大体四十五気圧に耐えなければならないということになるわけであります。この四十五気圧に耐える外殻、内殻、主として外殻でありますが、これに針でついたほどの穴があれば、そこから漏水をしていくわけでありますから、これは私はおそらく陸上における原子炉のコンテナーとは比較にならないほど堅牢な構造を持っておるものではないかと思うのであります。外殻一つではコンテナーと匹敵するかもしれぬけれども、また内殻があるわけでありますから、この二つを合わせれば、ともに四十五気圧の圧力に耐えるだけの包装を持つということになりますと、陸上原子炉におけるコンテナーよりも、より以上の強靱性を持っておるということを言わなければならぬと思うのであります。これはアメリカの関係筋から私も聞いたのでありますが、そう考えてよろしいということで、また、私も常識的にそれは考えてもよろしいのじゃないかと、こう思う。  それから、さらに、原子力船、原子力潜水艦ともに、常識的に、加圧水型、PWR型というふうに考えてよろしいと思うのでありますが、このコンテナーがさらにあるないは別問題といたしまして、この加圧水型の常識といたしましては、百四十気圧ないし百五十気圧にたえるところのプレッシャー・ベッセル、これは炭素鋼でできているというのが常識であります。これはもうきわめて堅牢につくられてあるということは、私は疑う余地がないと思う。大体、日本の原子力科学というものは、これは何と言ったって先生はアメリカなんです。日本の原子力技術もだいぶ進歩いたしましたけれども、それより数等段を抜いた原子力科学というものがアメリカにあるということは、われわれがいかに疑おうと思っても疑う余地のない現実なんです。しかも、この加圧水型というものは、最初はナトリウム金属でもって冷却装置をやったのだけれども、だんだん現実の軽水冷却型になるまでには相当の年月研究を積まれたということは、われわれが数回アメリカを実地視察してわかっているわけなんです。そうして、プレッシャー・ベッセルの中に燃料棒がある。その燃料棒はジルコニウム合金で包まれている。でありますから、この原子力潜水艦の安全性というものは、たとえば、三百メートル潜水いたして、三十気圧を受けながら、しかも三十ノットないしそれ以上の速力でもって走る、しかも爆雷をこうむってもこれは、だいじょうぶであるという安全性を持っている。そのどまん中にこのジルコニウム合金で包まれたところの燃料がある。だから、原子力船並びに原子力潜水艦というものの危険性はどこにあるかということを一生懸命になって本を読んでみますると、この燃料が燃えて、そこにたくさんの廃棄物が詰まった、その廃棄物が有しているところの放射能が、ジルコニウムの皮が破れて外へ出てきて海水を汚染したときに危険であるということであって、その他はさしたる危険と考えられるところはないのじゃないかというふうな結論に私は達したわけであります。もしかりに原子力潜水艦が入港する場合にも、これは昼間浮かび上がって来るのでありますし、内殻、外殻、それからコンテナーに包まれている。そこに向ってかりに船ががあんと衝突して、外殻、内殻が破れてすぐ浸水して沈没してしまっても、また、かりにコンテナーを破っていっても、どうして一体そこのジルコニウムの中に含まれておるところの廃棄物を抜き出すことができるか。これは、そこに照準を合わせて爆弾を二十発も三十発も撃ち込むならば、そういう現象というものはあるいは起きないでもないと私は思うのだけれども、白昼堂々と航路のきまっておるところを浮上して航行し、しかも三十ノットの速力を持つものが六ノットないしは七ノット、八ノットの速力をもって衆人環視の中を静々と入ってくる。その外殻、内殻を破って、しかもプレッシャー・ベッセルを破って、ジルコニウムの中に入っておるところの廃棄物をどうして出せるか。これはとうてい出せないと思うのです。もし出せる場合があるとすれば、いわゆる暴走してジルコニウム合金が溶けてしまったときには、それは出てくると私は思う。しかし、衝突と一緒にジルコニウム合金が暴走によってぱっと溶けて、そしてそれが海水に流れ出るという、そういう事態を一体想像することができるかと私は思うのであります。そういうことは潜在危険性として考えることはできるけれども、現実の世界においてそういうことが起きるかと言ったら、これは起こそうったってなかなか起きるものじゃないと私は思うわけであります。でありますから、私といたしましては、かりにその繰作を誤って、内部にあるところのジルコニウム合金に包まれておる廃棄物が、ジルコニウム合金が溶けて、たとえばその廃棄物が出たとしても、プレッシャー・ベッセルの中にそれはたまるのであって、艦内における人に対しては多少の放射性の障害というものは与えられるかもしらぬけれども、それが単に内部においてジルコニウム合金の容器が溶けたとしても、外殻、内殻で包まれておるところの船の中の事故としてこれは取り扱われるべきものであって、それが海水に流れ出て汚染されるということは考えられないのじゃないか。まず私はクラウチという人の「原子力船」というものを読んでみました。そして、これに書いてあるものは、私がいま申し上げましたところの潜在危険性というものに対していろいろな角度から詰めておるので、現実の問題はそうゆう危険性は認められないのだというのが落ちなんです。ですから、無知もうまいの世界において原子力潜水艦が走るのなら、それはいろいろな想定に基づくところの潜在危険性というものを取り上げて論ずる必要があると私は思うのでありますけれども、今日のごとく進んだ科学の時代において、しかも、その安全性を十分に検討してつくられたところの、いまお話を申し上げた原子力潜水艦の実態から推していって、一体どうしてそのジルコニウムの中に入っておる廃棄物を一ぺんに海の中にほうり出して、そして海水が汚染するおそれがあると騒ぎ立てる理由があるか。そういうことは私はできないと思う。できる人があったら、それは神さましかできないのじゃないか。人間わざじゃできない。人間わざじゃできないような安全の体制を整えておるものに対して、それは出てくるかもしれない出てくるかもしれないと言って騒ぐのは、これは日本の科学技術のレベルをことさらに引き下げて世界に醜態をさらけ出しているのではないかというふうに私は考えられる。(「冗談じゃない、的はずれだよ」と呼ぶ者あり)——的はずれじゃない。現実の問題はそうなんです。これは、どこから言ったって、そこしか危険性がないのです。しかも、もしこれが潜水をしてしまうと、そこにどれだけの放射性があったとしても、一年たてばその何分の一かに減るし、二年たてばその何分の一かに減るという放射線には半減期というものがある。とにかく、廃棄物だって、いわゆるウラニウム二三五の核分裂は少なくとも八十種類ぐらいの他の元素に分裂していくのでありますから、その中に半減期の長いものというのは幾らあるかといって探せば、この中にも表がありますけれども、それはたいして心配するに足らないものであるということも書かれておる。でありますから、私たちといたしましては、いやしくも科学技術のレベルに立ってこういう問題を考えますときに、もう人知のあとう限りの体制において安全性というものを認められるところの装置をしておるものを安全なりとして考える以外に世の中に安全というものはない、私はそう考えております。  そういう立場から、原子力局とか原子力委員会においては、私の申し上げたことが間違いであるというならば御指摘を願いたいし、おまえの言うとおり安全であるというお考えならば、そのとおり御回答願いたい、そう思うのであります。

島村武久総理府事務官(科学技術庁原子力局長)

○島村政府委員 ただいま齋藤委員のお話しになりました限りにおきましては、私どももそのように考えております。ただ、一言つけ加えて申し上げたいと思いますのは、安全であるとか危険であるとかというような非常に反対の概念、これをいきなり一般的な用語に直して国民の目にあるいは耳に入るときの影響ということでございます。実は、先日も佐世保の市会の方々が来られたのでございますが、私どもは従来国会で現在の原子力委員会の立場を御説明申し上げる際にまだ安全だという結論を得ていないというような言い方をしております際に、自分たちは原子力委員会が危険であるということを言っておると思っていた、たとえば、娘でないと言うからむすこだとばかり思っておった、こういうようなお話がございました。実はそのように簡単なことではございませんので、私どもといたしましても、齋藤先生がおっしゃいましたようなお考えというものに同意いたしますけれども、原子力を扱ってまいります際には、万々一の起こり得べからざると考えられるような事態につきましてもなお真剣に考えて事に処すという態度をとっておりますことは、御承知のとおりであろうと思うのであります。一般的にそういうようなことにあまりに慎重過ぎるということが、潜水艦は危険なりというような目で見られるおそれもあるわけでございます。私どものところにおいでになります方々に対しましては、その間の事情をお話し申し上げまして御理解を願っておるわけでございます。  一言つけ加えましたけれども、おっしゃいました範囲におきましては、そのとおりであろうと考えるわけであります。

齋藤憲三自由民主党

○齋藤(憲)委員 それでは、これ以上蛇足を加えません。いろいろな場面がありましょう。交換樹脂を船外に放棄する際も、日本の漁場、日本人が食すであろうところの魚族の生活をしておるところに故意に交換樹脂を放棄して大きな障害を与えられる場合も考えられるでありましょうけれども、今度の場合は、それはやらないようにしてもらえばやらないようにできるわけなんです。それは一般的な原子力潜水艦の航行においてはとてもできないかもしれぬけれども、今度特定の時期に特定の船が入ってくる、その一隻に関しましては、安全性を保つために、その交換樹脂はこういう場合に放棄しないで本国まで持って帰ってくれと言ったら、本国まで持って帰るでしょう。また、冷却水が危険であるというなら、これはドラムカンに詰めていってくれと言ったらドラムカンに詰めていってくれるでしょう。だから、そういうことは防止すれば幾らでも防止できるところの問題であって、ただ、根本の問題が一体どこにあるのかといえば、先ほど申し上げたところのプレッシャー・ベッセルの中にあるところのジルコニウム合金がほんとうに溶けてしまって、それが船外に出てきて海水を汚染したというときは非常に大きな放射線の障害というものが起こるだろうと思うのでありますけれども、そういうことは私はとうてい考えられない。私の能力が足りないから考えられないのかもしれぬと思っておるのでありますが、幸い原子力局長も私どもと同じ能力の持ち主であったので、私は安心をしたわけであります。いやしくも国家最高の機関において科学技術振興対策特別委員会の委員である限りにおいては、やはりアメリカの進歩した原子力科学というものを尊敬しますし、また、日本がこれから進むべきところの原子力科学というものを想定をいたしますときに、いまのような状態において、しかも速力を落として入ってくる、場合によっては日本の港に入ってくる場合に日本が先導船をつけようというときに、向こうの航海技術も否認し、向こうの原子力平和科学も否認し、もうあらゆる問題を否認して危険である危険であると言うことは、あえて危険であるということを言いたいために言うのであって、内容を分解してみるとちっとも危険じゃないじゃないかというふうに私は思う。私は何もこういうことをいまさらここに来て言いたくはなかったんですけれども、やはりそういう点は一言国家最高の機関においてその蒙を解いておくほうがいいんじゃないか。私はこれだけのことは自分の選挙区に行っても言いますよ。普通の人が原子力潜水艦は危険だと思っているのを、選挙区に行ってこれだけの説明をしてやれば、みんな、そうか、そんなものかということになると思う。それを、内容を知らないから、危険だ危険だと考えておるのかもしれないけれども、その内容を説明してやれば、そのくらいのことは日本人は理解するだけの能力を持っておると私は思うのであります。  だから、先ほど石川委員のお口からも、科学技術庁並びにその科学技術全般に関して、日本は低調であるというお説が出ましたが、この点に対しましては私もまことに同感であります。どうかひとつ、大平外務大臣におかれましても、昭和三十九年度においては科学技術振興に関する予算をうんと取っていた、だきまして、こういうような問題が起きた場合には、いわゆる総力をあげて、安全であるという立場に立って、やはりPRも徹底的にやっていったほうがいいだろうと思う。私は、今回原子力潜水艦が寄港するのが危険である、いや安全であるという論争が日本全国に展開されたことは、ある意味においては困ったことだと思ったけれども、ある意味においては、これは日本の科学技術のレベルを上げるには絶好の効果を発揮した、そう考えておる。だから、プラス・マイナスどっちかというと私は得だったと思う。だからいままで口を開かないでおったということにもなるのでありますが、こういう問題は将来たびたび起きてくる問題だと私は思いますから、その点におきましては、政府当局において、き然たる態度をもって、これに対して常に責任ある意見の表明をやっていけば、私はこんな問題はもっと早く片づいたんじゃないかと思う。全部国家機関であるところの原子力委員会の考えに依存しようじゃないかということが最初のみんなの考えであったのでありますが、それが、原子力委員会からはいつまでたっても意見が出てこないものだから、今度は、反対の人は反対という立場をとるし、賛成の人は賛成という立場をとる。まるで早慶戦みたいな観を呈して、そうして世間がにぎやかになったということであります。こういう問題が起きたら、政府は責任を持ってその問題に対するところのき然たる見解を表明すれば、私は、賢明なる国民というものはそれを信頼するんじゃないかと思う。そういう点は実に私は残念しごくなんであります。ひとつ、もっと科学技術振興のために大いに政府において留意されまして、三十九年度の予算をうんと取っていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 山口鶴男君。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 時間もだいぶたっておりますから、手短に御質問をしたいと思うのです。しかし、いままでいろいろ御議論もございました。私はこの点についてまず私の考えを申し上げておきたいと思います。  齋藤委員から、たまに一つの原子力潜水艦が日本に入るだけじゃないかというお話がございましたが、中間報告によりますと、一週間前後の期間で、その頻度はおおむね一カ月か二カ月に一回程度であろう、こう言っているわけであります。ですから、これをすなおに計算をいたしますと、かりに一カ月に一度来るということになりますならば、少なくとも一年間に十二週は日本の港に十万キロワットという膨大な出力を持つ原子炉が置かれることになるわけであります。そういうことになりますと、少なくとも一年の四分の一近い期間にこれらの大きな原子炉が日本に現に置かれるということと同じであります。でありますから、現在日本におきましても原子炉規制法がございまして、現在動いております日本の原子炉はせいぜい一万キロワットであります。このような原子炉についても非常に慎重な安全審査をし、国民に対していやしくも放射能障害を与えることのないような規制を加えて運行しているという実情であります。そこへもってきまして、人口きわめて稠密な東京を控えた横須賀、あるいは佐世保というところに、いま私が申し上げたような長い期間大きな原子炉が置かれる。これについて、われわれが、少なくとも日本に現在ありますところの原子力基本法、それにのっとっておるところの原子炉規制法、こういう観点から、いろいろな角度から質問をし、疑問をただしていくということは、国会として当然な任務でなければならぬ、かように私は考えているところでございます。  そこで、ただいま齋藤委員から、この原子力潜水艦の場合は外殻が非常に厚くてじょうぶじゃないか、三百メートル沈むということになれば三十気圧に耐える、しかも、三十気圧に耐える場合には、安全度というのをとって一・五倍くらいの強度を持っておる、といたしますならば、四十五気圧の圧力に耐えるじゃないか、陸上にあるコンテナーの耐圧はせいぜい数気圧である、こういうことを言われました。しかし、私は、これを比較するのは全く暴論ではないかと思うのです。片や潜水艦でありまして、沈むのが仕事であります。しかも動くのでありますから、衝突の危険があるのであります。陸上の炉は、広い地域にぽつんとこの原子炉を置いて、衝突の危険もない。何も海にもぐるわけではありませんから、これは放射能を防ぐに耐えればいいわけでございまして、何も数十気圧の圧力に耐え得るコンテナーを持つ必要はないのであります。ですから、陸上の炉のコンテナーと原子力潜水艦のいわば外殻の強さ、これを比較して、原子力潜水艦のほうが強いからそちらのほうがじょうぶだというような議論は、全く非科学的な議論ではないか、このことを冒頭に私は御指摘を申し上げておきたいと思うのであります。  そこで、お尋ねをいたしますが、この中間報告に触れられていない点でありますけれども、リコーバー中将、原子力潜水艦の父と言われる方でありますが、この方が、安全性に対して軍が非常に無理解だ、このことをはっきり証言をいたしているわけであります。たとえば、運河を航行した事実や、あるいは、人口の多い港への入港をACRSから禁じられたにもかかわらず、海軍が無断で、かつ連絡なしにその禁を破った事実が明らかにされた、この問題については海軍の無理解とそれに基づく圧力に対して屈した結果ではないかということを、リコーバー中将が懸念をいたしておるわけであります。といたしますならば、アメリカの原子力潜水艦の父と呼ばれる、一番原子力潜水艦について知識をお持ちの方が、軍が非常に無理解な運航をやっている、だから心配だと言っておる。これでもって、この原子力潜水艦が日本の港に寄航をする場合について、この中間報告のごとく、全く心配がないような書き方は、私はきわめて事実を曲げたものではないかと思う。主観をまじえずと申しましたが、きわめて主観的な文章であると思いますが、外務大臣はいかがでございますか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 たびたび申し上げましたように、照会いたしました事実を主観をまじえずに取りまとめたものでございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 どうも、岡委員、石川委員に対する御答弁と同じようなわけで、非常に残念であります。  それでは、角度を変えましてお尋ねいたしますが、この中間報告は主観をまじえていないと言われるが、しかし、大平外相の談話は、少なくとも外務大臣のきわめて主観的な御見解ではないかと私は思います。そこで、お尋ねをいたすのでありますが、外務大臣の談話は次のように述べております。原子力潜水艦の安全性について、「米国議会を始め、米国内の各方面で真剣な討議が行なわれたという事実は、米国自身が原子力潜水艦の安全性についていかに強い関心をもっているかを示している。原子力潜水艦の安全性は、まず何よりも米国自身の問題であって、」云々と、こう書いてありまして、そのあとに、「米国の原子力利用に関する科学水準と、米国自身の安全性に対する関心をあわせ考える場合、米国政府の保証する安全性が、科学的根拠のないいい加減なものであると主張する論拠は見当らない。」、こういうふうに述べているわけでございます。ここで私はお尋ねしたいと思うのですが、過日参議院の外務委員会におきまして、日本のと言うよりは世界の原子科学の最高権威ともいうべき湯川博士が証言をいたしております。どういうことを言っているかと申しますと、大臣御存じだと思いますけれども、「わが国の科学者は一九五四年のビキニ事件以来、俗に死の灰と呼ばれておりますフォール・アウトによります地上及び海洋——海の汚染につきまして、早くから研究を進めております。そうしてその成果は世界的に認められておるのであります。」、かように述べているわけであります。そういたしますと、何か大平外務大臣の談話は、日本が海洋汚染、陸上のフォール・アウトによる汚染については世界的な最高水準を行っておる、こういう事実に目をおおって、とにかくアメリカの科学水準を信頼しろ、アメリカの科学水準が高いんだから、これに対していろいろ言いがかりをつけることは論拠がないではないか、こう言われておると思うのです。この点はいかがですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私は、私が談話で発表したとおりの心境でおります。総体として、アメリカの原子力科学水準というものは、齋藤さんも先ほど仰せになりましたように、私どもの常識では、世界の最高を行くものと存じておりますので、そのように書いたわけでございます。日本の海水汚染に対する科学水準が非常に商いということはかねがねから承っておるわけでございますけれども、総体として、原子力科学全体につきましてアメリカの水準がすぐれたものであるということは、これは私ばかりでなく世界の常識であろうと思います。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 この中間報告によりますと、これは主観をまじえないと言われるものでありますが、「原子力潜水艦の過去七年余りの運航の結果を見ても放射能汚染の事故が生じたことはない。」、こうはっきり言い切っております。「米国では原子力潜水艦による港湾の汚染の有無を確認するため当初から米国内の原子力潜水艦の根拠地や屡々寄港する国内の港などで海水その他の汚染の調査を行なったが汚染の心配は全くないことが判明し、今ではその調査をやめてしまっている。」、こういうふうに書かれていますね。大臣御記憶だと思います。先ほど私の引用いたしました三宅泰雄博士の報告によりますと、このように書いてあります。今度のアメリカ訪問の最後に私が訪れたのはサンジエゴ市の近くの加州大学スクリップス海洋研究所であったが、ここの海洋研究所では、特に原子力潜水艦の基地はサンジエゴではないのですが、このサンジエゴにもしばしば姿をあらわしている、ところが、アメリカの科学者の研究の結果では、サンジエゴ港付近にすむ海洋生物中の放射性物質の濃度は他にくらべてはるかに高いことが示されている、これが原子力潜水艦からの放射能によるものかどうかはまだ十分に明らかにされていないが、今後研究を要する重要な問題であろう、こういうふうに研究所では言っておったそうであります。そうして、日本の猿橋さんという女の博士の方がいまあちらに行っているんだそうでありますが、この方が日本で海洋汚染の研究についていろいろ専門的に携わっておったそうでありますが、日本の海洋汚染のデータをこの研究所に持っていったところが、この研究所が現在調べておるデータと分析結果において予想以上によい一致を示しておる、したがって、アメリカの原子力委員会でもたいへんこのデータには喜んでいる、非常に示唆あるデータだと言っておる、こう述べておるのであります。とすると、少なくともアメリカのサンジエゴという原子力潜水艦の寄港する港において放射能汚染がほかよりも高いという事実は、私ははっきりしておると思うのです。そして、現に世界的に高い水準にある日本の海洋汚染のデータというものがアメリカに対して非常に大きな示唆を与えておるこの事実も、私は否定することができぬと思うのです。こういうような事実を抜きにして、なぜこのような一方的なことだけを載せて、そうして、これを見れば、なるほど海洋汚染というものは心配ないんだ、こう国民は思うのが普通だと思うのです。このようなアメリカの事実に反する事項を記載したことについて、大臣はどうお考えですか。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 私どもで照会したことに対する返答をまとめて書いたわけでございまして、私どもが主観をまじえてそのように発表したわけじゃ決してございません。たびたび申し上げておるとおりです。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 原子力委員会に私はお尋ねをいたしたいと思うのであります。  外務大臣は、先ほどもNATOと安保条約との関係について石川委員がお尋ねいたしましたが、その御答弁では、日本の事情についてはあまり考慮せられないようであります。少なくともNATO諸国のデンマークでは、当時デンマーク政府に対して寄港を断わるべきだという勧告をいたしたのが、有名なノ−ベル賞受賞者の、原子力核物理の父と言うべきボーア博士だったことは御存じのとおりであります。でありますから、少なくとも外務大臣は日本の事情はあまりよくお考えになれぬでおるようでありますけれども、原子力委員会としては、私はそういうことは許されぬと思うのです。  まずお聞きしたいと思うのですが、いままでの中間報告の結果では決して満足していない、不十分である、こう兼重委員は言われました。不十分なデータしか得られぬ場合は、デンマークの原子力委員会のごとく、政府に対して、寄港は断わるべきである、こういう勧告をする決意がありますか。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 私どもはまだそういうことの検討の途中でございまして、アメリカ政府からこの次返事が来ましたときに、それが最終であるとも考えておりません。したがって、なお聞くことがあるかもわかりません。それで、これ以上何も答えられないということになりました場合にどうするかというのは、やはりそのとき考えなければならぬと思います。いま、どういう場合はどう、どういう場合はどうというふうにはきめておりません。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 そこで、問題になるのは、先ほど石川委員も言われましたように、安全審査専門部会にはかるかはからぬか、これは私は原子力委員会の態度を決定する場合に一番のかぎだと思うのです。石川委員も言われましたように、原子力委員の中にはりっぱな学者の方もおられるのでありますが、原子物理の基礎的な専門の学者の方は、湯川さんあるいは藤岡さんがおられた当時は別でありますが、現在はこの方はおられません。とすれば、権威ある判定ということになりまするならば、当然私は安全審査部会の答申というものを待つべきだと考えるのです。本日近藤科学技術庁長官がおられませんので非常に困るのでありまして、次官では、原子力委員ではありませんから、代行もできぬような気がするし、それからまた、原子力委員では、原子力委員会の責任者でもないので、これもちょっとお尋ねをするのに因るのでありますが、お二人からその点だけはひとつはっきりしておいていただきたいと思うのですが、まず次官から。

内田常雄自由民主党科学技術政務次官

○内田政府委員 先ほど岡さんの御質問にもお答え申しましたとおり、原子炉等安全規制法という日本の国内法が、アメリカの原子力潜水艦には国際法の関係上適用がない。したがって、その適用の過程において、審査をお願いすべき原子炉安全専門審査会に、個個の入港に際して、つまり、考え方によっては臨時的に一時的に原子炉が置かれたものと想定してこれに審査をお願いするという形は、とられないだろうと私は解しております。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 ただいまの政務次官のお答えと大体同様でございます。とにかく、原子炉につきまして審査を行なう資料が得られないということはすでにわかっていることであります。その審査の資料のないものをもって、これで審査をしてほしいということにはまいらぬと思います。したがって、どういう形でどういうふうに意見を聞くかは今後問題がございますけれども、正式の専門審査会に聞くということはできないと思っております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 私どもも、もちろん、希望とすれば、安全保証書について詳細に検討して判定を出すことが望ましいと思いますけれども、それができないといろいろ言っておられます。資料がないから安全審査部会に報告を求めるわけにいかぬ、こう言っておられるのでありますが、原子力委員会の、しかもこの問題に関する専門の部会である方々に、資料がなくていろいろ御検討が願えない、そういうのに、なおさら、専門でない——専門でないと言っては恐縮でありますが、われわれよりはもちろん専門でありますけれども、このことに関する限り安全審査専門部会よりも専門でない原子力委員会が、データもなくて判定をするその基準は一体何ですか。私は非常におかしいと思うのです。ですから、私は、与えられただけのデータをそのまま専門部会に示して、ほんとうに専門的な検討を願う、これが私は学術会議等に結集した日本の学者の方々の多くの希望だと思うのです。それを踏まない限り、これは全国民並びに専門的な学者の方々を納得させることは全く至難だと私は思うのです。この点重ねてお伺いしたいと思うのですが、 いかがでしょう。それは国民に納得しろと言っても無理でしょう。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 私どもがいつ意見を言うことができるようになりますか、いま私にはわかりませんけれども、その意見を言うようになります前に、多少ともいまの御趣旨に合うようなことができたら考えてみたいとは思っておりますけれども、それはまだ私いまはっきり申し上げられません。したがって、万一そういうことをしないで発表した場合に、こういう判断が、たとえばいまの原子力委員会の判断をするのに適当である性質のものであるかないか、そのときにまた御批判いただきたいと思います。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 この点は、長官もおりませんし、原子力委員の方もお一人でありますから、このような機会にさらにこの点をただすことは、この席では適当でないと思いますから、さらにお尋ねはいたしません。しかし、私は、少なくとも全国民を納得させる、それから学者の方々を納得させる、そのための最低限度の手続が、この安全審査専門部会にお諮りになる、このことであるということだけは、この席で申し上げておきたいと思うのです。  それから、次に放射能の関係につきまして二、三お尋ねをいたしたいと思うのですが、過日原子力局のほうから、米軍の冷却水を投棄いたします場合の許容濃度、それから、現在日本で原子力規制法に基づいて東海の原研で現に実行いたしておりますところの告示濃度、この比較をいただいたのであります。これを見ますと、千倍というようなことを言っておるのでありますが、現実にはそれ以上の非常におそるべき濃度ではないか、このことを私は非常に憂えるのであります。たとえば、先ほど齋藤委員からお話のございました半減期の長いもの、特に一番危険だと言われる半減期の長いものについて、たとえばコバルト60は、半減期は五・二年であります。非常に長い。これについては、米軍の投棄濃度と、それから原研が現に実行しております濃度の比較が、実に六万七千倍であります。それから、同じく半減期の長いタンタル182は、半減期が百十二日であります。これについては実に二十五万倍であります。このようないわばスキップジャック号の上で行なわれましたアメリカの両院の議事録でありますが、ここに載っております米国の標準局ハンドブック五十二号、こういうものと比較いたしまして、このようなおそるべき濃度が、十二マイル以内のいわゆる近海における許容量として堂々とまかり通るということについて、原子力委員会としては一体いかがお考えですか。このようなものでけっこうだ、こうお考えですか。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 私は、堂々とまかり通るというふうに何も考えておりませんから、どう考えるかということについては、先ほども前田委員からお話がありましたように、日本の領域に捨てられるものについては、日本の規制法には従うようになっていなければ困るじゃないかというふうに考えているわけであります。したがって、いま私の了解では千倍かと思いますけれども、その千倍の上のものであっても外国の軍艦ならよいということは、日本の領海の中では少なくとも現在はできないのじゃなかろうかと思うのであります。ですから、そういうようなことも関係がありまして、現在の段階でそれもけっこうですということは申しておらぬわけであります。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 アメリカの場合は、それが千倍に希釈されていくだろう、こういうことを前提にして高い許容度をとっているということでありますが、そのことは問題だと思うのです。  それでは、実行値でありますが、これも科学技術庁からいただいた値でありますが、アメリカの訓令によって実行しております値は、五かける十のマイナス二マイクロキュリー・パー・CC、これに対して原研が現に実行している値は、十のマイナス八マイクロキュリー・パー・CCです。といたしますと、この比較は現に百万倍の開きがあるわけです。そういたしますと、いまの兼重委員のお答えでございますならば、原研の実行値、もしアメリカが寄港するという場合にこの規制を守らなければ、原子力委員会としては、この寄港について見合わせるべきだという勧告をする、こういうふうに了解してよろしいわけですね。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 原研でいまやっておりますのは、原研で、これだけの濃さのものを出したいが、それで差しつかえないかということについて、安全審査会が、それならばよろしいと、こう言ったわけでありまして、あれから十倍大きかったらいかぬと言ったかどうかはわからぬわけであります。私の申しておりますのは、日本の現在の規制法できめておりますそのことを申しておるわけでありますから、原研の実行値ということとは関係ございません。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 実行値はさらに低くしているわけですね、原研では。これは非常にけっこうだと思うのです。それから、原研の実行値が低く、日本のいわば告示濃度というものはそれよりもやや高い。しかし、アメリカのハンドブックによるこの許容濃度というものはさらに非常に高い。こういうところが問題だと思うのです。  私はこれに関連してお尋ねしたいと思うのですが、湯川博士が参議院の外務委員会で証言をいたしました同日、原研の西堀さんが同じく許容量の問題について証言をいたしております。そこで、私は非常に遺憾だと思うのですが、西堀さんはこのように述べているのです。それは、アメリカの許容量、これと日本の許容量とがたいへん違う、問題は日本の許容量というものがシビア過ぎるんだ、こういうことを言っているわけであります。で、「一体どちらが妥当なのでしょうか。これはむしろ日本の規定のほうを直すべきものだと私は考えておるのでございます。」、米国の規定もこのICRPの勧告に従っている、日本も同様だ、しかしその解釈がたいへん違うのだ、要は日本の規定のほうを直すことが正しいんだ、こう述べている。私はこれはきわめて重大な発言だと思います。私が科学技術特別委員会において何度も、日本の許容量はICRPの勧告によってアメリカがとっておる許容量よりもシビアであるけれども、これは日本として当然ではないか、これを直す考えがあるか、こう言いましたら、あくまでも日本としてはこれを守るのです、こう言ってきたわけです。しかるに、原研の廃棄物処理の最高責任者である方が堂々と国会でこういうことを言っておられるというようなことは、私は国会軽視だと思うのであります。この点について原子力委員会はいかがお考えですか。この点をお尋ねいたしたいのが一つ。それから、さらに、ICRPについては前文がついております。そうして、これはいまのところ考え得る一つの基準であると言っておりますが、しかし、これについては幅がありまして、できる限り低くとることが望ましいんだ、こう述べておるということ、これも原子力委員会は御存じだと思う。ですから、むしろICRPの勧告というものをすなおに受けるならば、より以上シビアに適用している日本のほうがICRPの精神に沿うものだ、こう考えるのが私は妥当だと思うのですが、この点についての考え方についてはいかがでございましょう。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 日本の現在の規定が、ICRPよりもかなり低目と申しますか、安全側にとってある。私は当分の間はそういうふうにいくのがよろしいと思っております。そこで、せんだって参考人としての西堀さんがそういう意見を述べられたそうでありますけれども、参考人というのは、学識経験者として国会がお呼びになったことと思いますので、その参考人が学識経験者として自由な意見をおっしゃるのを、私どもがけしからぬけしからぬと言うことは、これはむしろ適当でないのじゃなかろうかと思います。したがって、そういう意見もあるということが事実でございましょう。したがって、現在日本の規制の仕方がきつ過ぎるからどうこうしようということがいま問題になっておるわけではございません。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 参議院の外務委員会でお呼びになった場合も、日本原子力研究所理事西堀栄三郎君を呼んでいるわけです。ですから、これはやはり肩書きを無視して西堀さんを呼んだということじゃないでしょう。私はいまの御答弁は詭弁だと思うのです。  しかも、さらにお尋ねしたいと思うのですが、アメリカの原子力潜水艦が来る場合は日本の基準を守るべきだというのでありますが、これは、シビアにとっておる日本の許容量というもの、これを念頭に置いて、それを守らせる、あくまでもそういう考えには変わりはないでしょう。この点もお尋ねをいたします。

兼重寛九郎原子力委員会委員

○兼重説明員 日本の規制法にきめてあるそのことでありますならば、いまお話しのとおりでございます。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 それから、西堀さんにつきましては、これは原子力委員会がいわば管理をいたしておりまするこの日本原子力研究所の理事の御発言なんですから、これは原子力委員会としても十分ひとつ内容をお確かめになってしかるべき御処置をいただきたい。この点だけは原研を管理する原子力委員会としての当然の任務だと私は思うのですが、いかがですか。

島村武久総理府事務官(科学技術庁原子力局長)

○島村政府委員 原子力委員会が直接管理しておられるわけでございませんので、私から答弁さしていただきます。  西堀理事の参議院における参考人としての意見の陳述は、将来改めるべきだと思うという御意見でありまして、いま改めるべき性質のものだから、原研としてはこれに従わないというようなことを言っておられるわけではございません。したがいまして、あのような参議院における西堀理事の発言に対しまして、科学技術庁としてこれをどうこうするということは考えておりません。  なお、先ほど御発言の中に、従来基準を改める意思がないということを絶えず確認してきたということをおっしゃいましたが、これはそのとおりでございましょうが、今度の潜水艦問題に関連してのお尋ねでございますから、潜水艦が入ってくるからといって日本の基準を直すつもりはないということを申し上げてきたわけでございます。日本の基準がほんとうに正しい基準であるかどうかということにつきましては、絶えず反省を加えまして、もちろん適当な基準であるようにいつも心がけていかなければならぬ。その意味におきまして、ゆるければ強め、強過ぎれば弱めるということは、将来の方針として私どもも検討を続けていかなければならぬ問題だと考えております。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 いまの御答弁は、科学技術庁に長らくおられる島村さんのお話としては私はどうも受け取れないと思う。これは何も私どもが原子力潜水艦に関連してこの議論をしたのではありません。関連して議論したこともございます。しかし、島村さんが官房長時代、杠さんが原子力局長の時代に、私どもは、原子力潜水艦の問題とは離れて、原研でもって相当な放射能を持つコーヒー等をお飲みになったような勇ましい方もおったものですから、そのような意味を兼ねまして絶えずお尋ねしたことがございます。その際に、はっきり、シビアな許容量のほうを守っていく方針です、こうお答えになっているのですよ。間違わぬでいただきたいと思うのですがね。

島村武久総理府事務官(科学技術庁原子力局長)

○島村政府委員 私は、ただいまのお尋ねがなまなましい記憶を呼び起こしまして、潜水艦問題に関連して基準を直すつもりがあるか、あるいは守っていくつもりかというお尋ねに対しまして、直接答えました一人といたしましてお答え申し上げたわけでございますが、私は、日本の現在の基準が世界的に見てまた科学的に見て強過ぎるものならゆるめ、弱過ぎるものなら強めていくということは、これは当然のことであろうと思っておるわけであります。

山口鶴男日本社会党

○山口(鶴)委員 そうすると、方針が一年半前ごろから変わったわけでございますね。私はそこが危険だと思うのです。とにかく、日本の場合は、広島、長崎という経験もある、それからビキニの灰の経験もあるわけであります。そういう中で、日本が原子力の平和利用に乗り出した。その際にいろいろ各方面の御意見があった。そして、原子力基本法をつくり、そうして原子炉規制法等もおつくりになって、平和利用を進めておるわけでありますけれども、それが何年か経過をいたしますと、この原子力基本法の解釈についてすらいろいろと動揺があるわけであります。インドに対して原子炉の材料を輸出するということが問題になったときも、原子力基本法のいわば平和三原則というものが一体どうなのかということの議論もせられました。原子力潜水艦が寄港するという問題についても、同じようにこのことが問題になり、そうして原子力委員会の統一見解なるものが示されたわけであります。しかし、それを見ますと、私どもが指摘をいたしましたように、少なくとも原子力基本法の自主、公開、民主、平和利用という原則を明確に守らなければならぬ、こう言っておるわけであります。ところが、外国の軍艦だから、これは日本の原子力基本法の適用外であるというような形で大きく後退をし、それから、さらに、この統一見解では、安全性の問題については十分検討すると言っておきながら、肝心の放射能の許容量についても、前には、シビアなものを守っていく、これを甘くすることはないと言いながら、そういう問題が起きると、今度は、将来は検討するかもしれぬ、こういうふうに変わってきておる。これが前向きに前進しているのならともかく、われわれから見れば、日本の国民の平和と安全という観点からするならば、これは明らかにうしろ向きに後退しつつある、このことを私どもは憂うるわけであります。きょうも、たいへんおそくなりまして恐縮でございますが、私どもそういう観点からいろいろ指摘をいたしたのでありますけれども、とにかく、国民を納得させるまでは、当然踏むべき手続を踏むべきだ、そうして、いやしくも、国民の間にこの問題に対して大きな疑義がある中で原子力潜水艦の寄港を強行する、こういうことについては絶対やってもらっては困る、こういう希望を表明いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 これにて外務委員会科学技術振興対策特別委員会連合審査会を終了いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時四十四分散会

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