外務委員会 第25号
- 発言数
- 34 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/06/12
会議録
○野田委員長 これより会議を開きます。 海外移住事業団法案を議題といたします。 本日は特に本案について参考人より意見を聴取することにいたします。参考人の方々は、日本カトリック移住協議会理事の坂本龍起君、人口問題研究会理事長の永井亨君、財団法人日本力行会会長の永田稠君、全国拓植農業協同組合連合会副会長の平川守君及び経済同友会幹事の渡辺武君、以上の五名であります。 この際参考人の皆さまにごあいさつを申し上げます。本日は、御多用中のところ御出席をいただきましてありがとうございました。本案につきまして忌憚のない御意見を承ることができれば幸いと存じます。 議事の順序につきましては、まず最初に各参考人より御意見を承り、その後委員から質疑を行なうことといたします。なお、参考人の御意見の開陳は十五分程度にお願いいたします。 それでは、坂本参考人にお願いいたします。坂本参考人。
○坂本参考人 私は、この移住事業団法案はたいへんけっこうだと思います。 私は、海外協会連合会設立の当初に約一年ばかり事務を見てくれということで見ておりましたが、その当時はまだ政府の補助金もありませんし、たしか委託事務費といってわずかな費用をいただいておりました。何しろ営利的な仕事でなしに、一種の社会事業的な公共の性質を持っておる仕事でありまして、非常に費用のかかる仕事であります。それが財団法人、任意法人としてできておりました。政府がいやしくも移住を奨励されるとなれば、これは早く法律でもって法定化した一つの法人にされるべきだというのが私どもの当初からの意見でございました。それから、その後に、当時私のほうの会長をしておられました村田省蔵さんが、元吉田総理が北米にお出かけになるときに、移住資金の問題をお話しになりまして、結局千五百万ドルの話をつけてこられたので、私どもはそれを海協連で動かし、村田さんなんかはビジネスの経験があるのですから、私は海協連一本で行くべきだという主張をしておりましたところが、海外移住振興会社というものができまして別個になるようになりました。これは、移住者を目標にしてする金融機関であればどうしても海協連一本で行くべきだ、企業の金融ということになりましたならば、移住と切り離してなさるべきものだというふうに私は考えておりましたが、現地でもいろいろ二本立てについて意見があり、ついに今日のように一本化の案が出たということは非常にけっこうなことで、私個人として言えば、年来の私の理想がここに実現されたような気持がいたしまして、これは日本の移住政策に転機をもたらすものだと思っております。 それから、移住基本法というものができずに、移住事業団だけを先にするのはどうかというような議論もあるように思いますが、これは、理想としては両方一緒にやっていただければ非常にけっこうだと思うのでありますが、私は、この移住の基本的な概念というものは新憲法ですでにでき上がっておると思います。新憲法では移住の自然権を認めております。この自然権というのは、法実証主義を越えた人間固有の権利である。そして新憲法では、この憲法は人類普遍の原理に基づくと書いてあります。憲法自身が法実証主義を越えて、自然に備わる人間の権利、それを規定した人類普遍の原理、いわゆる自然法を認めたものだと私は思います。これは、明治御維新の天地の公道と同じで、結局目に見えざる何ものか絶対なるものによって人間の理性や良心に込められた人間の歩くべき道というのが、私は人類普遍の原理だと思います。人間自然の自然権、これは憲法で保障しております。憲法がいやしくもこの自然権を保障する限り、しかも政府が移住を奨励するということになれば、政府はこの自然権を伸ばすこと、援助することを考えなければならぬと思う。これは当然きまりきったことで、できれば、これをはっきりと法律で認めてもらったらいいと思いますが、これはもうきまっているという考え方から、すでに海協連というものに、政府が大変多額の補助をしておられます。また移住振興会社をおつくりになったが、それを今度一本にまとめていこうということですから、私は必ずしも移住基本法ができないからこれだけを先にやっちゃいかぬという議論は成り立たないと思います。 それから、もう一つの議論としては、いま移住が非常に低調である。どうしてこの低調な際に政府が相当ばく大な支出をしてまで、こういう事業団をつくらなければいけないのかという議論もあると思いますが、これは、しかし、この事業団の目標とする地域はラテンアメリカだろうと思います。海外移住ということになりますと、何もラテンアメリカだけでなしに、アングロアメリカといいますか、アングロサクソン系統の地域もあるのでありますが、とりあえずはラテンアメリカだろうと思いますし、またラテンアメリカの将来ということを考え、日本の人口の将来というようなことを考えますと、どうしても、これは、早いうちに長期にわたってのいわゆる国家百年の大計というようなものがこの際踏み出されなければいけないのではないかと思います。 それから、移住の低調というようなことについて私がひとつ考えていただきたいと思うことは、優生保護法の問題であります。優生保護法の改正をしていただきたいと思います。伝えられるところによりますと、年二百万からの堕胎が今日行なわれております。二百万からの殺人政策を国家があえてしなければならぬということは、これは遺憾なことだと思います。そういうことになってきますと、国民的には非常にイージーゴーイングになって、開拓的な進取的な精神というものが国民から消え去る危険がございます。どうしても優生保護法は改正をしていただいて、国民に進取的な気魄を持たすようにしていく必要があるのではないかと思います。いま移住が低調だということよりも、そういう方面の考慮が必要ではないか。したがって、この事業団が早過ぎるということは言えないのではないかと思います。 それから、最後に希望として申し上げたいのは、こういう事業団ができましても、結局は役職員、人事の問題であります。いかにりっぱな制度ができ上がりましても、これを動かす人が適当でなければ、これは仏つくって魂がないことになります。ことに中南米というようなものは、原住民がスペインのコンキスタドーレスの征服を受けて、非常に複雑な歴史の経過をたどっている。そして住民の考え方なんかもこれは大体カトリック国で、長い間カトリックの神父たちが献身的な努力をしまして、人口の九割以上がカトリックなんです。そういうカトリック的なものの考え方とか、あるいは英米を中心とした最近百年からの経済の発展というような南米についての相当な知識、それから、できれば向こうに在勤したような経験のある人、そういう人がタッチしなければなかなか効果があがりにくいのではないかと思います。 それから、さらに、いま申し上げたように、向こうはカトリック国ですから、カトリックについての理解というようなものがこの役職員にはなくてはいけないと思います。私はいまカトリック移住協議会に関係しておりますが、実はなくなられましたヨハネス二十三世、その前のピオ十二世という方たちが日本に対して非常に深い関心を持たれまして、日本が産児制限というような政策をとらざるを得ないようになったというのは、日本だけの問題でなくて、世界共通の責任の問題だ。だから、自分らは外部からお手伝いをして日本人の移住を促進したらばいいじゃないかということでカトリックの団体が日本の移住に協力するようにという趣旨で、実は一昨年来、ただいまは帰りましたけれども、二年近くジュネーブにありますカトリックの国際移民委員会から日本に代表者を出しておりまして、私どもといろいろ相談をし、日本の移住促進を援助しようということになっております。これは、今日世界五億からの信者を持っております非常に大きな精神団体、これが積極的に日本の移住に協力しようというのでありますから、事業団自身も、それから出先の外地におきましても、カトリックの向こうの団体と協力し、これの助力を求めればみんな喜んで助力いたします。ところが、今日までのところは、どうも移民問題については日本独走の感があります。どうしても移住事業団というのは一つの国際的センスを持った国際団体として、そういう世界的に動く用意、準備がないとなかなか実効があがらないんじゃないか。そういう意味におきまして、役職員の選考には非常な御注意をしていただきたいと思う次第でございます。 私の事業団についての感想は以上であります。(拍手)
○野田委員長 永井参考人。
○永井参考人 お断わりを前もっていたしたいのですが、昨日かぜを引きまして、三十八度ばかり熱が出まして、昨晩医者に無理にたのみまして下熱剤をかけてやっと熱をさましてまいったようなわけであります。そのために言語も明断を欠くでありましょうし、お聞き苦しい点をどうぞお許しを願いたいのであります。 最初に、私は、海外移住について一般の世論と違った考えを持っておるのであります。私は、人口問題研究会の理事長をいたしております。その立場でありながら、日本の海外移住は、何かそれによって過剰人口を解決しようとか、あるいは農民の二、三男問題をそれで解決しようというように、まるで頭数さえ海外に送り出せばそれで海外移住の目的が達せられるように、しいて申せば考え違いをしておったのではないだろうか。私の考えでは、海外移住というのは、少なくとも将来におきましては、不熟練な裸の移民は出さないで技術をわきまえた熟練した移民を出す、しかも、でき得べくんば資本を伴わしたい。移住地の出先の機関でもよし、あるいは国内からもっと財界人が進出をしてもらって、そこに資本を入れて、それと熟練の技術とを結び合わせる。そうすれば、必ず結果がその移住地における産業の開発に役立つでありましょうし、ひいて日本に対する貿易の関係もこれから道が開けていくのではないだろうか、そのことがむしろ人口問題に寄与するのでありまして、裸の移民を二万や三万、あるいは四万や五万を出し得たからといって、それでもって日本の人口問題には何も寄与しないと私は考えておるのであります。ですから、これからはパイオニア精神を持って、誇りを持って海外移住に出かけるように勧告をして、それを各地方団体を通じて十分徹底させ、移住の募集につきましても、いままでのような消極的な態度でなく、積極的に海外移住者の海外開発について力を入れていくようにすればよろしいのではないだろうか。したがって、この海外移住事業団でありますが、これはまことにけっこうであります。いままで、ただいまもお話がありましたが、海協連と振興会社と二本立てではうまくまいりません。どうしても一本にまとめてその活動にまかせるのがよかろうと思うのであります。その基本法ともいうべきものがあと先になりましたが、どういうわけでこんなぐあいに移民についての積極的な熱意が足りなかったかと申しますと、これは、官庁間におけるセクショナリズムと私は考えておるのであります。何もどこの省で所管してもよろしいのでありまするが、海外移住の仕事でありますから、当然外務省が、海外はもとより国内においても地方団体と地方公共団体の各府県知事を使って、そうして、その人たちに国内の募集方面に当たってもらえば一向差しつかえないと思います。いずれ事業団ができましても、その人選はむずかしいでありましょうが、これは、外務畑でも農林畑でも一向差しつかえないのでありまして、とにかく外務大臣の監督のもとに事業団が活躍をされればよろしいことであろうと思います。今回の事業団法によりまして、また、近く制定されます基本法によりましても、外務省一本に行政がなりますれば必ず移民の実はあがっていくと思うのであります。どうか人間の頭数さえ出せばいいという古い頭を捨てられまして、そうして、もっと移住国の産業の発達、貿易の伸長の方面に力を入れればそれで目的を達するのでありますから、そういうことに願いたいと願望しております。(拍手)
○野田委員長 次に、永田参考人にお願いいたします。
○永田参考人 私、移民問題に関係いたしましてから五十年になります。ことしが八十二歳でございます。残生をあげて移民問題に尽したいと思って、毎日その仕事をしておるものでございます。そういうわけですから、海外移住事業団というようなものができてくれるということで、それにふるいつかなければならないはずでございますが、どうも五十年の体験から見まして、ただいまこの移住事業団法の案にあるようなことをおつくりなさることがいいかどうかということについて疑いを持っております。まことに申しわけありませんが、そこに、今日お話をいたします腹案を書きましたし、もう一つの印刷物を差し上げてございますから、いただいた時間は十五分でございますから、十五分ではとても申し上げかねますので、それをごらん願いたいと思います。 私の一番の問題は、国民の移住教育先決という問題でございます。五十年もやっておりまして一番移住の問題になりますのは、国民が移住のことを知らないことであります。したがって、多くの方々が移住に不熱心なことであります。海協連ができましてから十何年にもなりまして、その会につとめて出ておりますが、まだ一度も大臣が出席をしてくれたというようなことがありません。そんなことで移住国策をやろうということがどうも問題だと思うのであります。そして内輪の話を聞けば、どうしてそれをやらぬかというと、やってはおるのだというのだけれども、大臣の秘書官のところまで行って追い返されて帰ってくるというようなお話でございます。それではだめであります。今日ここにお集まりになった各位は、大臣のところへでも総理大臣のところへでも突撃もできるし、そして熱心にやっていただけると思いますから、そうすれば、池田さんにしても文部大臣にしても、もっとやっていただけるのではないかと思うのであります。そういうわけでありますから、まあ移住国策というものでいこうというならば、移民教育というものをやらなければならぬ。これをほっておいてどんな法律をこしらえたってだめです。移住者の指導をするの、あっせんをするの、内外一貫してやるのというようなことをおやりになっても、移住者が出てこなければどうにもならないのであります。 それで、あとにも出てきますが、移住者が少なくなればいい移民が出るかというと、そういうわけでありません。私のところは毎月船に乗せて幾人かを出しておりますが、多数出たときに必ずしもいいのが出ていない、少数のときのほうがいい移民が出るかというと、そういうわけにいかぬのであります。それですから、これは、外務大臣はもとより、大蔵大臣、総理大臣、とりわけ文部大臣が移民教育に一生懸命になってやっていただくということをひとつ御配慮を願いたいと思います。それができないで、海外発展をやるの、移住事業団をこしらえるのといってみたところでうまくいきません。 その次は、海外移住の多角的運営というのであります。今度の法律によりますと、海外移民のことは外務省で主管をする、何だかこの法案を読んでみると、外務省が移民を独占したいのではないかというような気持ちがうかがわれるのでありますが、これはもってのほかのことでありまして、国民がみんなで一生懸命になってやらなければならないのであります。そういうわけだから、農林省がグアタパラの移民をやろうというならば、グアタパラをやってもらったらどうです。そして、労働省が炭鉱移民の世話をやりたいというならば、労働省にお世話になったらどうです。外務省だけで独占をする、主管をするというようなことで、何もかもおやりになろうといったってできないのじゃないかと思う。それだから、この海外移住は多角的にやっていただいて、やりたい人はみんなやってくださいということの方針をおとりなさるがいいと思うのであります。それには、この移住事業団法に書いてあるところによりますと、どうも少しぐあいが悪いのではないかと思うのであります。 その次は、移住振興会社を廃して海協連法をつくったらどうだろうという問題であります。この法案をつくるときに、名のつけ方についてお話があったそうでございますが、私は、大正四年から広島、熊本の海外協会をつくるお手伝いをいたしました。自来五十年間、海外協会を育ててきております。そしてその海外協会が、あるいは一つで移住地を建設し、あるいは二つ、三つ寄り集まって移住地を建設し、このごろでは農林省の各位が御配慮になりまして、サンパウロ州にグアタパラの移住地を建設なさっている。建設省で実習所をおつくりになっている。国際農友会では、アメリカの短農移民というものの世話をなさっておるということであります。そして移住振興会社をこしらえるというときに、私は外務省の移住相談の委員になっておりまして、反対をいたしました。そこへお集まりになった各位のうちで、移民で苦労した人はみんな反対した、それを押し切って二本立てに外務省が自分でおやりになった。そうして、やってみたらどうもうまくいかないというので、それを両方つぶしてしまって、一つにしようというお考えで、五十年間苦労してきて、自分一人だけで移住地の建設がやれるまでに進んできたものまでつぶしてしまおう、こういうのであります。それだから、もし一本にしたいと思うならば、移住振興会社をこしらえたときに間違ってこしらえたのだから、そっちのほうをやめてもらって、五十年の歴史を持っておる海外協会をもっとお育てになる気持ちが外務省にはないのでしょうか。そう申しては失礼だけれども、外務省は地方に力を持ってはおりません。農林省のほうが力を持っておる。そういうことでありますから、私は振興会社法をやめにして、海協連法というものをこしらえていただくほうが、新しく東京に移住事業団をつくって、地方の海外協会をつぶしてしまって、そして支部をこしらえて新しくおやりになるということよりも、日本の海外移住のために役に立つのではないかと思うのであります。 それから、その次は地方海外協会の育成であります。五十年かかりましたけれども、なかなか思うとおりにいきません。いきませんけれども、これをやめにしてしまって、そして移住団法の支部を地方につくるよりも、いままで五十年も骨を折ってきた海外協会というものを育てていく方が早道ではないかと思うのであります。いわんやこの移住団法の中を見ると、代議士は役員になってはいけない、知事もなってはいけない、議員もなってはいけない、県の職員をやった者もなってはいけないというようなことがあるのであります。そういうことをなぜやっておるかわからないのであります。どうしてこれらの人を、みんな力を合わせてやってくださいということにしないのでしょうか。いままで五十年骨を折ってきたものをみんな排斥をしてしまって、そして新しいものをつくっていこうということは、極端に申せば無謀の挙ではないかと私は思うのであります。五十年の移民の歴史、まことに貧弱な歴史でありますけれども、それを完成していこう、そして日本の国民の海外発展をやろうというためにはそのほうが巧妙ではないかと思うのであります。 その次は、在外邦人を活用することであります。今日でも、海協連にしても振興会社にしても、幾らかお使いになっているようでありますが、多くのところでは、新兵と言っちゃ申しわけありませんが、新兵を送って、高い給料を払って高い飛行賃を払って移住地の経営をやろうというのだから、うまくいかないのがあたりまえです。それよりも五十年の歴史を持っておる在外同胞をお使いになったほうが経済的で、そして能率をあげることができるのではないか。そして、余裕ができた、また体験を持った人たちがたくさんあるのでありますから、そういう人を御利用になるということがいいのではないか。移住事業団法というのをおつくりになって、そして内外一貫して移住の仕事をおやりになるというのですが、いままでのやった成績を拝見すると、なかなか内外一貫などにならないのであります。そういうことで、私は、この法案の中に内部まで入っていろいろこまかいことを申せば切りがありませんが、ひとつもう少し御研究になって、そしてまた皆さんにも考えていただいて、もっといい法律をおつくりになり、その法律ができたために国民が総がかりになって海外発展をやろうという意気のこもったような、いままで海外移民に関係してきた人に失望を与えないような法律をおつくりくださることがいいのではないかと思うのであります。 それから補遺として書いてあるが、移民数が減少しても素質はよくなりません。いろいろのいままでの関係のところでは、移民数が少なくなったからといって、その申しわけをするためかもしれませんが、移民数が少なくなればいい移民を出すのだと言うけれども、移民のたくさん出たうちからいい移民を選んでやるというならごもっともでありますが、移民が毎年毎年少なくなっていく、その申しわけならいいけれども、移民数を少なくすれば素質がよくなるということを本気になってお考えになっているとすれば、これはゆゆしき問題であります。 それから二番目は、池田内閣は移民国策を確立していただきたいということを切望するのであります。いままでの方々で相当におやりになった方もありますが、とにかくいまのところでは、まだどうも内閣が不熱心であります。ですから、日本民族百年のはかりごとを立てるために、また日本民族が世界的の使命を遂行するために、その根本になる法律をつくり、そういう時代をこしらえていただくことが現政府のために私は大切なことではないかと思うから、あなた方だったら、総理大臣のところへ行って秘書官に追い返されて帰ってくるというようなことをやらずにいけるんでございますから、ひとつ大いに叱咤激励をしていただきまして、そうして移民国策というものを樹立していただきたいと思います。 そうして、移住地の経営というものがもうかるものだということを御存じを願いたいと思うのであります。何でも移住地の経営というものは金を使うものであって損をするものである、移住振興会社にいたしましても、二十億の資金を擁して、毎年政府から五億、十億という金を出してもらって、承るところによれば赤字が多いという話で、この会社をこしらえるときに、海協連のほうは財団法人であるから営利事業はできない、こちらはコマーシャル・ベースのもとにやるんだと言って、そうして一向もうかっておらぬというのであります。そうして、この移住事業団法によりますと、移住債券を募集するということが書いてある。一生懸命になって損をして見せて、うまくいかないでおる模範を示しておいて、そうして債券を募集をすると言ったところで、一体だれが債券に応ずる者があるでしょう。今日では、日本の銀行がたくさん南米方面にも出ておりますから、金を貸したり取ったりすることは銀行におまかせになったらどうです。そういうことを移住事業団の中で奉りなさるというようなことは文句でうたえばけっこうでありますけれども、実際になればみな国家の損失になる。そういうことをお考えにならずに、移住地の経営はもうかるものである、私自身はもうけておるのでありす。わずかな、寄付金を集めたり、土地を売ったり、小作に貸したりした金を総勘定をいたしまして、私の帳面に載っておる金は三十万円であります。それをこの間行って整理いたしましたところが、二百四十万円金が余っておるのであります。そういうわけで、半分は移住地にやり、半分は持ってきて、そうして、日本の寄付をしてくれた人に四十倍にして返してやりました。移住地というものは、移住者がもうからなければいけないが、移住者だけにもうけさせておく必要はありません。移住地経営をやる方がもうけて差しつかえないのであります。けれども、まあ移住事業団法でやればもうけるのだとおっしゃるならば別でありますが、いままでの成績では、もうかるどころではない、どうも赤字が少し多過ぎるような気がするのであります。 それから四は、移住基金の自蓄ということであります。あなた方の御賛成を得て政府の金を出して、毎年十億とか二十億とかいう金を、国民の膏血をしぼって取った金を浪費せずに私どものやったようなやり方にすれば、移住資金は自蓄ができる。十年計画か十五年計画でやれば、移住地の経営などに要る金は自然に残していくことができると思うのであります。そういうことができるものであるということをあなた方がよく御存じあって、そうして法律をつくる御参考にしていただきたいと思うのであります。 それから五は、外務省は移民外交に主力を注いでいただきたい。日本の憲法は、移住が自由だの何だのかんだのとうたってありますけれども、今日、日本人の行けるところは幾らもありません。いままでも御尽力により南米の三、四ヵ国と移民協定を結んでいただいて、これは感謝しておりますが、それもきわめてわずかなものでありまして、ほかのところは、フィリピンにしてもインドネシアにしても東南アジアにしても、みんな日本人排斥であります。そういうところを打ち砕いて、どこへでも日本人が行って、そして日本人が発展するのみならず、その国のために役に立つような仕事をしていくことがいいと思うのであります。たとえばアメリカであれだけ排斥をされました。しかしわが二世たちは、今度の戦争で四四二部隊というものをこしらえて、そしてヨーロッパの戦場で奮戦をいたしました。そうしてたくさんの犠牲者を出しました。私の会員のうちからも幾人かの人が死に、幾人かの人が負傷をしたりあるいはかたわになったりしております。そうして外務省で紳士協約をして、北米移民は私のほうから数を少なくいたしますというようなことを言っており、そしてアメリカの帰化権を取ることができなかったのを、この私どもの四四二部隊という二世部隊が命と血をもってアメリカの市民権を取っておるのであります。そういうことができております。そうして、私どもは数さえ出せばいいということを考えたことはありません。しかし、いい移住者をたくさん出すということはだれも反対することはないでしょう。ハワイからアメリカの上院、下院に議員を送っております。ブラジルの議会では、日系人が三人議員になっております。サンパウロ州の州会には議員が三人出ております。パラナ州という州では、州会議員が一人出ております。そうして市長になったり地方の市会議員になったりした者が二百人あります。そうして、ブラジルの海軍へ日本人を入れてくれなかったのが、このごろはブラジルの海軍兵学校へ日本人を採用してくれました。その先頭を切っている者は成績優秀で、もう少佐になっております。そういうことであり、博士が十人以上あるでしょう。そしてブラジルの大学の教授になった者は二十人をこえるでしょう。いままで日本からろくでない者を出したとお思いになっている方があれば、それは大きな間違いです。日本人がそういう成績をあげている。アルゼンチナについて申しましても、アルゼンチナの南極探検隊の専属医は日系のお医者さんです。そして私どもの送った裸一貫で行った青年たちの子供たちは、医学博士になっております。至るところに日本人はそのまま出しても相当の成績をあげておるのであります。 それだから、いまは移民の曲がりかどに来ておるというようなことをお考えなさることは、私はもってのほかだと思う。日本の移民は大道を進んでおります。これに一そうの力を加えればいいのです。そして、御承知のように、外務省には移民保護法という明治二十九年からできていた法律があるけれども、この法律で保護された移民はほとんどありません。だから、法律がなくても移民は自由にやっていっておられるのであります。それですから、移住事業団法というようなものを、もし移民の曲がりかどに来ているのだからこれをつくらなければならぬというお考えの方があれば、自分が横道へはいっているので、いままで行った人のほうが曲がり道に行っているのだとごらんになっているのではないでしょうか。どうもまことに心外なことでございます。 そういう意味で、もし移住立法をやるならば、国策に即応した移住立法をおやりください。この法律ができたために国民が総がかりになって海外発展をやるのだというような立法をしていただきたい。それには、必ずしも七月一日から実行されなくてもいいです。もう少しお考えになって、皆さんにもお考えをいただきまして、そして間違いのない、日本の移住国策を象徴し得るような法律をおつくりくださるために御研究を願い御奮闘を願いたいと思うのであります。 暴言多罪ということでございます。(拍手)
○野田委員長 次に、平川参考人にお願いいたします。
○平川参考人 私は、私の移住団法に関する意見を印刷いたしましてお配りをいたしておりますので、ごらんをいただきたいと思います。 まず、私は主として農業移住の問題について申し上げたいのでございますが、近ごろ何か農業移住というもはだんだん影が薄れてきて、将来は企業移住あるいは技術移住に重点があるというようなことがいわれますので、それはそうではない、企業移住あるいは技術移住もちろんけっこうでありますけれども移住の大宗は、今後といえども、少なくとも相当の期間農業者というものが占めるであろうということを説明をいたしてみます。 第一に御注意を願いたいことは、現地の南米諸国におきましてそれらの国国が一番期待をしておるのは、農業移民であるということであります。それは、世界的傾向として農村の労力がどんどん都会のほうへ流れるという傾向がある。しかも、南米諸国が従来受け入れておりましたヨーロッパからの農業移民というものはほとんど入らない。そこで、農業開発をやってくれる日本の移民というものを歓迎をしておるという事情があるのであります。また、日本の国内におきましても、農業労力はだんだん不足をするという状態にございますけれども、しかし、これはいわゆる農業構造の改善の施策というような日本の農家のレベルを大いに上げるという立場から申しまするならば、現在といえどもなお過小農で、ある程度の間引きをしなければ、中堅の農家として、専業の農家として相当の生活を維持することは困難であるということは、政府も認めておるわけであります。施策さえよろしきを得まするならば、農家の中からさらに外地に進出をしようという、農業をもって身を立てようという青年も、あるいは農家も決して少なくないのでありまして、要はそれに対する施策のいかんにあると私は思うのであります。そういう意味におきまして、農業移住について申し上げたいと思うのであります。 現在移住の成績がはなはだ上がらぬ、従来六千人くらい出ておったものが二千人そこそこになっておる。そこで曲がりかどというようなことが出るわけでありますけれども、これが原因につきまして、たとえば移住審議会等におきましてもいろいろ議論がかわされましたけれども、私どもの見るところでは問題のポイントをついておらないと思うのであります。たとえば政府の宣伝募集に関する予算が足りないとか、あるいは移住者に対する援護が不十分である、いろいろなことが言われます。それらももちろん一面の二部の真理でございます。また大局的には、内地の産業の成長のために労働力が不足をして、就職の機会がたくさんあるということも確かに根底の一つの問題でございます。しかしながら、わずか年に三千人や五千人の移住者が出るか出ないかという問題については、もっと手近に直接的な原因があるわけであります。 それは何であるかと申せば、要するに農民について申しまするならば、事と次第によっては移住をしてもよろしいという潜在的希望者と申しますか、そういうものが相当たくさんある。ところが、これらの人々が移住をしてはたして将来の自分の生活が大きく向上するのであるかどうか、この点について確信を持ち得ない、安心感を持ち得ない。政府や政府の代行機関が募集をいたしますけれども、その端から、たとえばドミニカの移民が何百人引き揚げてきた、あるいはガマの移民が半分脱退をしたというような、非常に移住者が現地において苦しんでおるという事情が新聞や放送にあらわれる、あるいはまた自分の手近な近親の人たちから、現地からの通信がくるというようなことが一方にあるわけでありますから、はたして行っていいのかどうかということについて非常に心配をいたすわけであります。現在の日本は、非常に文化も発達をいたし、政府の保護政策も発達をいたしておりまするから、安逸を考えるならば、現在のところにそのまますわっておれば、食うに困るようなことはないのであります。いわんや農民というものは非常に保守的なものでございますから、墳墓の地を離れて、財産を整理して近親知己と離れて、ことばもわからない未知の国に出かけていくことに踏み切るということについては、異常なる決意が必要であるということをわれわれは考えなければならぬ。その異常なる決意を促すためには、移住することに大きな魅力と確実なる確信というものがなければできないのは当然なのであまりす。その確信を与えておらない。したがって、二の足を踏むということは、これは当然のことなのでございます。 そこで、移住を振興しようとするならば、まず現地における、現在入植しておる人々に対して一〇〇%の成功を与えなければならぬ。これの経営なり生活なりを向上することをすみやかにはからなければならない。それから、また、今後移住する人については、一〇〇%成功をするような万全の措置を講じなければならないのであります。そのことを行なわずして、いたずらに宣伝費をよけいとりましても、何にもならないのであります。農業経営というものは、非常に簡単のように考えやすいのでありますけれども、非常にむずかしいものであります。経営を現地において成功させるためには、まず土地の選定から非常に問題であります。またその土地土地に即応した経営計画というものは、非常に専門的な知識を要するむずかしい問題であります。しかも、それらの計画を実施するについては、一定の資金の準備なり、その他の手段の準備が必要である。またそれらを完全に実行するためには、入った人がそれだけの能力がなければならぬ。ことにそれに対する指導者というものは、よほど大きな能力を持つ人でなければ、何十人あるいは何百人の移住者を率いて成功に導くということはできないのであります。この人的要素というものは非常に重要なる要素でありまして、これらの要素について非常に軽視しておられる向きが多い。そういうことを軽視いたしますると、この計画を実施するための準備、そのための人間と、これだけの要素というもののどれ一つを欠きましても経営というものはうまくいかない。先ほど永田さんが移住はもうかるものであるとおっしゃった。うまくいけばそのとおりなのであります。まずくいったらたいへんなことになるのであります。 そこで、その経営をりっぱにするためにはどういうことが必要であるか。私は、それに関連をいたしまして、移住の実務機関と行政機構の問題を申し上げたいと思うのであります。 一体移住について最終の責任を負う者はだれであるかといえば、これは政府ではないのであります。移住者自身であります。どんなに貧乏になっても、あるいはどんなに金持ちになっても、その結果は移住者自身にくるわけであります。したがって、移住者自身にほんとうに真剣に取り組ませるという体制が一番好ましいわけであります。国なりあるいはその他の代行機関というものは、これに対して個人の力の足らざるところに手を差し伸べるということにとどめるべきものであります。 そういう意味におきまして個々の農民がそれをやるわけにまいりませんから、私どもは農民自身の団体であるところの農業協同組合がこれをやることが最も適切であるというふうに考えた次第であります。農民自身の団体でありまするから、すべてものの考え方は農民自体の立場になってものを考えるわけであります。いやしくも入った農民が脱退するとか、あるいは職に困るとかいうことがありましたならば、計画をいたしました組合としてはたいへんな責任を身近に背負うことになるのでございます。でありますから、私どもは農業協同組合によってこの事業の具体的計画をやっていこう。しかしながら、組合も力が足りませんから、政府あるいは政府の代行機関からいろいろ御援助をいただく、この形が一番自然なのでありまして、政府の代行機関というものは、これは御承知のとおり、ただいまもお話がありましたように、とかくしゃくし定木であります。活動にも敏活を欠きますし、とかく実際の実務には適しない性質をかなり持っておる。ただ政府の大きな資金をバックといたしまして、これを必要なところにつぎ込むという作用をするこのが最も適切であると思います。 そういう意味において具体的の事業は組合にやらせる、これに対して事業団あるいはまた政府なりが必要なる資金その他のバックアップをする、こういうことが最も適切であると思うのでありますけれども、従来の政府の考え方というものは、それが逆である。移住の仕事は政府あるいは代行機関がやる。民間の団体や個人、移住者自身はそれに協力してついてくればいい。だから、こういうこともやっちゃいかぬ、ああいうこともやっちゃいかぬ、こういうのが従来の政府の態度である。 移住審議会におきましては、民間団体を大いに育て活用するんだということを答申の中に書きましたけれども、しかし、まだ、たとえば全拓連、拓植農協連は現地で土地を買うことをやっちゃならぬという意見があるようであります。しかし、農民自身の団体である、移住者自身の団体であるところの農業協同組合が現地で土地を買って何が悪いか、そういうことが私は理解ができない。それは政府の金でやれ、政府の団体でやらせろ、そんなばかなことは私はないと思う。民間でできることならできるだけ民間にやらせるというのが大筋のたてまえである。今日の日本のあらゆる産業なり多くの事業というものは、民間を中心として行なわれておる。そうして、政府はこれに対して力の足らざるところをバックアップしておるのが多くの体制であります。それを、政府と政府の代行機関が独占的にやるのだ、あるいはその力が足らないところを民間が応援しろ、これは全く考え方がさか立ちしておると私は思う。 そういう意味におきまして、政府及び代行機関たるたとえば事業団は、できるだけ民間のそういう有志を動員をして、民間の力でやれることはできるだけ民間にやらせる。その力が足らなくて頼みに来たものについて応援をしてやるというような体制にありたいと思うのであります。民間の機関といたしましては、永田さんの日本力行会のごときもずいぶん長い間努力をされて相当の成果をおさめておられます。しかし、現在政府からほとんど援助を受けておらないでありましょう。政府がこれに多少の援助を加えるということになれば、その成果は、まるまる政府のまるがかえで新しい団体をつくるよりは何層倍かの効果を発揮することは疑いないところであります。ことに、ただいまもお話がありましたけれども、現地の在留邦人あるいは日系市民が集まってつくっております農業協同組合、あるいはその他の団体というものは現地については非常な力を持っております。終戦後ブラジルの移民が再開されたのにつきましても、松原移民あるいは辻移民あるいはコチア産業組合の青年移民等、それぞれ民間人の努力によって窓口が開けた移民事業であります。政府がやったのではないのであります。そういう力を持っておるところの現地の民間人の力を活用するのが筋であります。それが一番効率的であり、一番成功率が高いと私は思う。ところがこれに対して、とかく現地の政府機関がこれを排除するような空気がある。自分がやるのだ、そういうものが手を出すなといったような空気があります。たとえば、先般コチアの産業組合を中心といたしまして、サンパウロの農業拓植協同組合というものがありますが、これがブラジル政府に申請をいたしまして、千七百戸ばかりの日本人の呼び寄せのワクをもらうということをいたしました。ところがこれに対して、現地における日本の在外機関が反対の意向を示した。そのために非常に許可が延びたというようなことがあるのであります。これは風聞でありまするけれども、現地においてはもっぱらの評判であります。お調べを願いたいと思う。もしそういうことがありますならば、これは、移住事業を推し進めようという純粋の考え方からはどうしても理解ができない。移住事業を妨害しておるのではないかと私どもは思う。そういうことではいけないのでありまして、今後の事業団は、できるだけそういう現地の民間人が大いに努力をしようというようなことについては、これをバックアップしてやる。できるだけそういうものにワクでも何でもとらしてやればよろしい。それに対して力の足らざるところは金を貸してやる、いろいろな応援をしてやるという考え方であるべきじゃないかと思います。 それから、行政機構の問題につきましては、従来移住審議会等においても議論されましたことは、どうも移住が不振な一つの原因として、行政機構が複雑であって、責任の所在が明らかでない、それだからここに一本化しなければいかぬ。一本化するとすれば、どこに一本化するのがよろしいか。そうすると、農林省でもおかしい、建設省でもおかしい、内閣もどうもそういう仕事をしょうのは困るから、それじゃ結局外務省じゃないか。外国で行なわれる仕事でもあるから、外務省に一本化するのがいいじゃないか。こういう理論の立て方で、外務省に一本化ということが多数の意見であったのであります。しかし私は、これは非常に間違っておると思います。問題は、一本化しておらなかったから悪かったということではなくして、適当ならざる人が担当しておったから悪いのであります。農業経営のことが一つもわからない人が農業経営の指導の責任者にあるから悪いのであります。それだから結果がうまくいかないのであります。この移住事業は、文教の問題から、あるいはまた衛生の問題から、あるいはまた輸送の問題から、産業経済はもちろん、そういういろいろな多岐にわたる仕事を包含しておる行政なんであります。したがって、これらの各専門専門のあらゆる人々の、あらゆる専門の官庁の総力を結集して国策に大いに進むべきものだと私は思う。それはどういう形がいいだろうか。現在考えられる最善の案としては、私どもはこれは内閣ででも総括を担当して、そうして部門部門に応じて各省に担当せしめることがいいんじゃないか。そうして、その各省の間の連絡を緊密にし、調整することを内閣がやる。それから大きな企画であるとか、あるいはまた団体の大きな監督であるとかいうようなことは内閣でやる。個々の日常の業務については、各省にそれぞれの分担があるわけでありますから、これにまかせて、それらの力を結集するようにするのが一番好ましい形ではないか。それらの省を排斥してしまって、外務大臣の独占であるというような形をとるということは、これは各省の心からなる協力を得るゆえんでない。私はそういう意味において、この事業団法におきましても、この監督権の問題は、でき得るならば修正をしていただきたいと希望いたします。大体外務省が移住の問題を専管しておるという国はどこにもありません。よく例に引かれるイタリアにいたしましても、日本の海協連に当たる移住センターは、労働厚生省が所管をしております。それから日本の移住会社に当たる移住金融機関であるイクレは、国庫大臣の配下にありまして、各省から出た委員が集まっている委員会が監督しておる。外務省が専管しておるというような国はないのであります。これは、外務省は本来外交の役所でございますから、当然のことである。移住の問題において外交の占める地位は非常に重要であります。移住の協定その他現地に入ります移住者の保護ということは、どうしても外務省にお願いしなければならぬ。しかし、それだからといって、農業経営の面から何から全部が全部そこでやらなければならぬという理屈は私はない、もっと大所高所に立って、ひとつ外務大臣が大きな政治力を持って大きな方向にこの問題を解決を願いたいということが私の願いであります。そういう意味におきまして、この所管の問題、それから民間団体を大いに育成するということを事業団法に修正としてお入れ願えれば非常に幸いであるというのが私の意見であります。(拍手)
○野田委員長 次に、渡辺参考人にお願いいたします。
○渡辺参考人 最初にお断わりしておきますが、私は、いままで御発言のありましたような各参考人のように移住に対しての深い経験も持っておりません。私が申し上げることは、いささかしろうと的な見方かもしれませんが、部外から見た一つの見方として御参考になれば幸いと存じます。 私が見たところでは、移住をめぐる国際情勢といいますか、世界の経済情勢というものが相当変化してきておるように思うのです。従来、移住といえばわれわれの頭に最初に浮かぶことは、日本の過剰人口を何とかしてはけ口を見出したい。そのために、ほかの国に頼んで少しでもよけいの日本人を引き取ってほしいということでやってきたわけであります。ただ、最近になりますと、日本の経済水準も上がってきまして、なかなか海外に行きたがらない。最近移住者の数の減った理由には、いま平川さんの言われたようないろいろなほかの原因ももちろんありますけれども、しかし、何といいましても日本の生活が楽になればなかなか海外に行きたがらないということはありますし、また、労務供給という面からいいましても、日本の国内の労働力がだんだんと不足してきておる。これはヨーロッパほどにはいっておりませんが、だんだんこれから重要な問題になってくるのではないかと思います。ヨーロッパの移住地、たとえばオランダの移住地に行ってみましても、だんだん移住者が来なくなった。これはやはり国内の景気がよくなった、ヨーロッパ共同体などができて、非常にオランダの生活水準が上がり、そういう未知の世界で運命を開拓するというような気持ちの人がだんだん減ってきて嘆かわしいことだと言っておりますが、これは、やはり否定できない一つの傾向だろうと思います。 そういう状態を前提といたしまして移住を考えました場合に、一体何を目的に移住をするのかということを振り返って考える必要があるのではないか。ただ、人減らしをすればいいということではないということは、皆さんもそういうお考えをいろいろ述べられましたが、私も全くそう思うのであります。もちろん日本の中で、経済のいろいろな変動の過程において職を失う人も出ますし、地域的に過剰の潜在の失業があるというような場合がありましょうから、このための対策として考える必要はありましょうけれども、しかし、人口対策として日本の人口を減らすために、移住の目的としてそれを中心としていくということはなかなかむずかしいのではないか。そこで、私は、やはりこれからの移住というものは、ほかの後進国、これは中南米が主でありましょうけれども、そういう国々の今後の開発に役に立つ人を出すということが主眼でなければならぬと思います。これは、もちろん農業も含めての話でありますが、農業以外の技術関係も必要と思いますが、日本がこれだけの世界における地位を獲得した以上、だんだんと日本が後進地域のために貢献することを求められることは必至であります。その一つの方法として、日本から役に立つ人間を出すということが今後必要であろうかと思うのであります。そういう場合に、今度は後進国の歓迎するような人を出すということでありますれば、また話の持っていきようも少し違うと思います。従来は、何とか一人でもいいからとってくれということでありますが、向こうがほんとうに必要とする役に立つ人、たとえば農業につきましても、中南米の国で食糧を輸出しておる国は非常に少ない、大部分の国が食糧を輸入しておりますが、これは、日本人の勤勉な労力と経験と知能をもってすれば、食糧の自給はできると思うのであります。そういう人を出す。あるいはまた技術の方面でも、そう高級な技術は必ずしも要りませんが、簡単なかじ屋仕事のようなことも非常に不足して、ほしがっておるというのが現状であります。少しでも役に立つ人を向こうに出すということを考えていくべきじゃないかと思うのであります。そういうことでありますならば、この移住というのは、考えようによりますと国際的な共同の事業、日本だけのためにやるのじゃなくて、相手の国のためにやる、相手の国もこれによって恩恵をこうむるのだということを十分強調していいのじゃないか。そういうことでありますならば、相手国の政府はもちろんのこと、また相手国の開発のために関心を持っておるようなほかの国際機関、具体的に申しますれば、世界銀行でありますとか、第二世銀でありますとか、米州開発銀行でありますとか、あるいはアメリカの政府も中南米の開発のために非常に力を入れております。そういう国も、日本の移住者が向こうに貢献するならば、これは喜んでしかるべきでありますから、そういうものと協力をしてこれからの移住をやっていくということが必要になるのじゃないか。そういう意味で、私は今後の移住については、日本がやはり世界の後進地域の開発に貢献するという一つの目標を持って移住をやっていくべきではないかと思います。 しかし、それでは日本にとって何の益もないかというと、これは決してそういうことではなくて、やはり日本人が人口問題からいいますと、それほど緊切に人をたくさん出さなければならぬということはありませんけれども、しかし、日本の国内のこの狭いところにみんながひしめき合っております。そして、大都会でもって青少年がいろいろの非行に導かれるというような状態でおりますときに、大きな窓を明けて、青年に夢を持たせて、海外に大いに雄飛するという機会を与えることは非常に好ましいことだと思うのであります。アメリカでやっております平和部隊というような運動も、あれは平和部隊の行った先の国が利益をするということもありましょうけれども、アメリカ自身の青少年対策として一つは考えられたものであるというふうに了解しておるわけです。日本の人が広い天地に出ていって活躍するということは、やはりわれわれの気持ちを明るくする上において、社会を明朗なものにする上において役に立つと思うのであります。 そういう意味で、今後の移住ということは、やはり日本とすれば日本人の能力をもって世界全体のために大いに貢献するのだということを基礎観念とすべきものと思います。そういう意味で、私は今後の移住は国際的な協力という面が非常に表面に出てくると思いますので、それを実行する上において、外務省が中心になって今度の新しい組織ができるということはけっこうなことだと思うのであります。 ただ、移住についてはもちろんいろいろ専門的な知識が必要でありますし、外務省プロパーの本来の外交の仕事とは相当違いますから、外務省のいままでの方にそれだけの知識を要求することは無理な場合もあると思いますが、これは、広く人材を求めておやりになる必要があるのじゃないかというふうに思うのであります。 また、今度の新しい事業団というものが、従来の二本化しておった組織を一つにしてやる、これも私はけっこうだと思いますが、しかし、要はその運用であり、その人を得るかどうかということにあると思うのであります。これを、また中でもっていろいろ権限争いのようなことが起きますならば、これは、もとのもくあみでありますから、新しい発足をするにあたりまして、新しい精神でもってこれを進めていただきたいというふうに思うのであります。 また、もう一つは、移住対策というものはいろいろな地域がありますから、相当伸縮性のあるやり方をする必要がある。あまり中央で政府が干渉しないで、現地に相当まかせる必要があるのじゃないか。そういう意味でも、現地中心にもう少し運用していくということが必要だろうと思います。また、いままでのお話にありましたような、いろいろな過去の経験というものを生かしていくことも必要であります。 ただ、私の強調いたしたいところは、移住の基本の観念、何のために移住をするかということについて、やはり世界の情勢と考え合わせて、日本の今後の移住政策を考えていく必要がある、こういうことを申し上げたいと思います。(拍手)
○野田委員長 これにて各参考人からの御意見の聴取は終了しました。 —————————————
○野田委員長 続いて質疑に入ります。 質疑の通告がありますので、これを許します。 質疑者にちょっと御注意申しますが、きょうは五人の参考人の方でございますし、非常にお忙しい方々でございますから、質疑の内容はなるべく要領を得、ひとつ簡単にお願いせねばならぬかと思いますから、その点、あらかじめ御了解願います。 田原春次君。
○田原委員 参考人の皆さん方御苦労さまでございました。時間の関係で、各先生に一、二問ずつお尋ねをいたします。 まず、日本力行会会長の永田先生にお尋ねいたします。 〔委員長退席、松本(俊)委員長代 理着席〕 あなたの書かれたものを「力行世界」昭和三十八年六月号から抜粋して読んでみますが、この点は先ほど触れられておらぬのであります。「都道府県単位の移民活動を推進すべし」ということを書いておられます。内容は「在外同胞は故郷のために何か貢献したいという心理をもっている。その心理を利用するために一番よい方法は、府県出身の後続移民の世話をして貰うこと。更に進んでは府県単位の移住地建設の世話をしてもらうことである。(中略)在外県人は必要があれば自腹を切って帰朝して移民募集の宣伝をやるし、現場では移民用地の調査、買収、計画樹立、移住地運営等万般の世話を、自身のもののように努力貢献をしてくれ得るのである。在外同胞の後援を得るために、最良の方法は、日本本国の海外移民活動を都道府県単位に進めることである。」と書いておるにもかかわらず、先ほどたいへん有益なお話を聞きましたが、この点に触れておらぬようであります。この点はいまなおそういう信念を持っておられますか。
○永田参考人 そのとおりであります。
○田原委員 それでは次にお尋ねをいたします。 昭和三十七年十二月二十日に、ブラジルのサンパウロ日本文化協会があっせんをいたしまして、移民援護協会、在伯沖繩人協会、コチア農業協同組合、南伯農業協同組合、中央農業協同組合、マウア農業協同組合、バンデランテ産業協同組合、サンパウロ日本商工会議所、その他移住取り扱い業者の首脳が集まって一つの結論を出し、これを出先の外交機関を通じて日本政府に進言をしておりますが、その中で、種々ありますうち特に注意をしておりますのは、将来この種の事業団等ができた場合、たとえば、かりの名を日本海外移住諮問委員会のごときものを現地に設置してはどうか。これらの団体がその持てる経験、熱意、語学の力、ブラジル官憲に対する信用力等でいろいろな意見がある。これを個別に取り上げるのでなく、一つの常設機関をつくって、そこで政府機関等がこれらに詰問を発していってやったらどうかという意味だろうと思う。こういうことについては御賛成でありますか。
○永田参考人 賛成です。
○田原委員 ありがとうございました。 次は、坂本さんにお尋ねいたします。 日本カトリック移住協議会では、たいへん御熱心に、ラテンアメリカ各地に日本の移民を送り出されることについて国際的な総力をあげての機関でやっていることは、まことに私どもとして感謝にたえません。しかるところ「カトリック移住タイムス」というこの協議会の機関誌、昭和三十七年十一月十日発行の分の社説の中でありますが、フェルナンデスという神父さんが、かってこの方は日本に十年以上ミッショナーとしておられた方でありますが、ボストンの教会の財的支援を得ましてボリビアに移住しておる日本人のカトリック教徒、これは、カトリック移住協議会がたいへん御努力をされまして、長崎から数百家族行っておるわけであります。これらに対して当、時の海協連の支部長が、ここは封鎖国家である、日本の宗教を入れるんだと称して、一切外界との出入り、信者の教会への出入りも禁止し、クリスマスにも出席せしめず、日曜も働かしたということで、このフェルナンデスという神父がたまたま説教に行かれたときに苦情を言って、たいへん遺憾であるということで、これは私は英文電報のコピーを持っておる。こういう問題を海協連の一支部長の独断でやっておる。元来、海外協会連合会というものはサービス機関でなくてはならない。日本人がどういう宗教を信仰しようと、それを妨害するようなことがあってはならぬ。いわんやボリビアはカトリックは国教である。しかも、日本人のその村にわざわざアメリカのボストンの教団から多額の金を寄付して礼拝堂を建設し、そうしてその礼拝堂に集まろうとしているところを、おまえたちはそんなものに出る必要はない、日曜だけれども働けといって、これはたいへん遠慮深く、しかしながら正直に書いてありますが、かようなふうに、元来サービス機関であるべき海外協会連合会の支部長程度の独断的な判断で、相手の国の国教を妨害し、日本にいるときから信者であった方々の日曜集会まで妨害するということが続くならば、私は、やがてこれは大きな外交問題となり、日本人は必要なしというふうになるのじゃないかというふうに心配するわけです。このことにつきまして、カトリックの信者であり、たいへん移民のことにも経験もあり、御熱心であります坂本さんは、それはかまわぬ、それくらいのことはあってもいいとお思いになるか、そういうふうな不心得な海外協会の出先の幹部を即時首を切って反省せしめ、カトリックにも謝罪をし、ボリビアの国家にも謝罪して、日本人全体の考えではないんだ、気違いのような一職員、悪代官のような独裁的な考えでやったのだというふうに事情を明瞭にして信用を回復し、そして今後移住者を送るべきだと思うのでありますが、これに対するあなたの御所見を聞きたいと思う。
○松本(俊)委員長代理 参考人の方々にお願いを申し上げますが、委員会の慣例でもございますので、御答弁の前に委員長と呼んで発言を求めていただきたいと思います。
○坂本参考人 いまのお話のケースは、具体的なことは、真相はわかりませんけれども、そういうような事実があったようであります。今日は大体において静まったといいますか、神父自身のボリビア側に対するいろいろな説明によって、ボリビア側の感じはだいぶんやわらいだようでございます。日本側も、当時の支部長は何かかわっておるようでございますし、海協連自体が前とは違って、むしろカトリックの理解を進めつつあるように思います。私は、どうしても初めに申し上げましたように、移住を取り扱っている団体は、自分自身が何もカトリックになる必要はありませんが、カトリックというものを理解してもらいたい。ことに中南米では人口の九割以上がカトリックです。それからカトリックの高位聖職者というものは、隠然向こうの政治に政治的な勢力を持っております。ですから、こういう人たちがそのうちに日本人は困る、変な異教的なことを盛んにやり出し、そうしてカトリックに対して反対的な態度をとっておるというようなことで、日本人は困る、こういう人たちを移住者として入れては困るというようなことをカトリックの高位聖職者たちが言い出すと、私は日本移民の排斥というか、日本人の移住が禁止される結果になりはしないかというようなことを非常に心配しておる。ですから、これはどうしても海協連あたりが積極的にカトリックの何ものたるかを理解して、移住の根本は、向こうの社会にうまく解け込んで、そうして、向こうの社会に日本的なものをプラスして、日本人の子弟の中から向こうの社会に有力な者を出させるというようなところまでいかないと、私は移住というものはほんとうに完成しないと思います。そういう意味におきまして、向こうの人のものの考え方というものはカトリック的な世界観に立っているのです。幸いにして日本の憲法は、さっき申し上げた人類普遍の原理というものに基づくと言っておりますし、明治御維新が天地の公道に基づくべしと言っている。同様日本人は一つの世界観というか、そういう考え方を持っていると思いますから、私は非常に理解しやすいのではないかと思います。ただ食わずぎらいというのか、何かしら非常に反感を持っている人がおります。ことに仏教徒の一部には非常な反感を持っている。人がある、そういう人が行って変なことをやられては困るのです。よくカトリックの何ものかということをすなおに理解するように、私は、少なくとも移住関係の人たちはそのくらいの尽力はしていてもらいたいと思います。
○田原委員 ありがとうございました。 次は、永井先生にお尋ねいたします。 先ほどのお話の範囲から御質問申し上げますが、パイオニア精神を持っていくべし、裸移民はよろしくない、移民は量より質である、五万や六万行っても大したことはない、こういう一つの御観点のようでありますが、しからば、かりに量より質であるといって、よい質の者を出すとして、だれが一体これを検査するのであるか。いままで海外協会連合会が一応旅費の貸し付けの審査をいたします。それが一人当たり十分くらいで済む。外務省の事務官と農林事務官と、海協連の職員が地方の県庁に行って審査をいたします。十分間でその方の思想傾向その他がどうしてわかりましょう。優良と優良ならざる者をだれが一体判断するか。現にそういう試験にパスしてブラジルのサンパウロに行きましても、ぐれん隊のような者もおりますし、それから働き先の主婦と通じて主人を殺した者もあるわけです。これは日本国内でも、東京でも毎日自動車の引き逃げ等もございますように、大体日本人の水準以上の優秀な者を出すということは、理論的にはわかりますけれども、だれが一体調べるかという問題です。これは時間的に不可能だ。ですから、行きたい者をやる、行きたい希望者を出す。そうして、向こうで失敗、成功いろいろやっているうちに脱落する者もあります。精神病院その他に行っておる者もあります。また非常な成功者もあります。それは日本国内と同じだと思います。したがいまして、量より質論というものは、現地ではあまり重要視しておらぬわけです。どうしてもさっき永田さんが言ったように、一応よけい出す。その中にいいのもある。こういうようにその議論はお返し願えませんかということであります。 それからパイオニア精神と申しますが、それは南極か北極にこれから行くのがパアオニア精神になると思うのであります。ブラジルは、約七十年前から先輩が行って開墾しておるわけでございます。アマゾンでさえ三十余年になります。したがって、今から行くのは後続部隊でありまして、別にパイオニア精神などというものを訓練するほどのことはないのであります。問題は、行きたい者をやらしておらないのです。いろいろなむずかしい規則どおりに判断しまして、のけておるのです。だから、裸一貫で行ってもいいじゃないか。たとえ、多少質は永井先生のおめがねにかなわぬにしても、海外に行って自己の運命を開拓しようという意思と体力があれば努力してできるんじゃないかという気がいたします。これは、議論をお返ししてまことに恐縮でありますけれども、その点についてもう一度先生の御見解を承りたい。
○永井参考人 お答えいたします。 第一の御質問につきましては、今度の事業団が中心になりましょうが、都道府県においてその前の前歴を調べて、そして、農業でも漁業でも工業でもよろしゅうございますが、十分技術をわきまえておるというような人を差し向けるようにしたらよかろうと思います。 それから第二のパイオニア精神というお話でありますが、これは精神を言ったので、開拓精神を十分発揮できるような人に、そういう誇りを持って海外に発展するという気組みでやってもらいたい、こういう意味であります。
○田原委員 ありがとうございました。 次は、平川さんにお尋ねいたします。 御承知のように、主として農民の移住問題に対して、あるいは土地の購入等に対して、現地の政府機関と平川さんの考えとは多少違ったところもあるやに現地の新聞等に書いてあります。これはおのおの熱心でありますから、熱心のあまり違うこともあるでしょう。希望はいたしませんが、現実の事実でありますから、問題はいかに調整するかということだと思うのであります。海外移住事業団法に対しましては、私ども社会党側では、いま理事さんとも相談しておりまして、最小限度必要な修正等も検討しております。あるいは自由民主党の方々と相談いたしまして、附帯決議等も相談するものと思っております。いずれにしても、できるならばりっぱなものをつくっていただいて、国内における各省のセクショナリズムをそのままなまのままに現地に出さないようにしていただきたいのであります。 そこで、この修正等も通ることを希望いたしますが、この事業団法の第三章「運営審議会」の第十九条でございますが、これは、事業団の運営に対してこれこれこういう程度のものを、これだけの数のものを任命するということになっているわけでございます。私どもは、中央の運営審議会が東京にできることはよろしいと思います。そして、願わくはそこで各省間の移住行政に対する仲裁・調整のできることを希望いたします。そういうようなりっぱな人選を希望するわけでありますが、なお、このほかに地方及び関係各国につくってもらえないかどうかということであります。こういう問題が出た場合に、拓植農業協同組合連合会の現役の役員としておやりになっている平川さんとしては、円満に外務、農林のいろいろな調整をする意味におきまして、まず現地に、たとえばブラジルの例をとりますと、先ほど名前のあがりました各種の農業関係の長、あるいは東京銀行、三井物産等の支店長クラスもおります。また、現地で発行しておりますところの、たとえばサンパウロ新聞、日伯毎日新聞、パウリスタ新聞等の現地の事情に詳しい言論代表もおります。宗教家の代表もおるでありましょう。だから、それらの者を何名かやはり運営審議会の委員として委嘱をいたしまして、必要な場合発動していただく。ブラジルは大きいから、アマゾンにも一人要ると思いますが、そのほかの国はいまのところボリビア、パラグァイ、アルゼンチン程度でいいと思いますが、こういうふうにいたしまして、法案の裏のほうから見た調整機関をつくられたらどうかと思うわけであります。これに対する平川さんの御所見を聞かしていただきたいと思うのであります。
○平川参考人 そのことはそのこととして、たいへんけっこうであると思います。ことに現地におきましても、いろいろの団体等もありますから、それらの経験者の意見を反映せしめるという意味で、そういうことはけっこうでございます。いいと思います。ただ問題は、その場合において、たとえば事業団であるとか政府であるというものは非常に強い立場にあるわけであります。これがいわば最終の決定権を持っているような立場にあるわけであります。そこで、その立場にある人が謙虚な気持ちで民間の経験者の意見をできるだけ取り入れるという態度に出てもらうのでないとうまく運用ができないだろうということを申し上げているわけであります。
○田原委員 ありがとうございました。 次は、渡辺さんにお尋ね申し上げます。渡辺さんは世界銀行の理事等をやられまして、国際金融に非常に詳しい方であるようであります。また中南米の移住地も御視察になったようでありまして、その御所見も加えてお尋ね申し上げたいと思いますが、御承知のように、日本では、国民金融公庫、中小企業金融公庫、農林漁業金融公庫という政府の長期低利の公的投資機関がございます。日本におりまして、もしおのおの仕事の上で必要な資金でありますならば、一定の条件を備えますとこれらの三公庫の金を借りられるのであります。これは比較的長期低利のものであります。日本人としてはたいへんこれに期待しているわけであります。一方、海外移住の宣伝に応じ、家、財産、はなはだしきは墓石まで売りまして、親類縁者と別れまして、一家を連れて海外にまいりました場合、多少の携帯金は持っておる、それから多少の営農資金もごくわずかでありますが、非常にきびしい調査、資格審査の後にいままで海外移住振興株式会社等は貸しているのであります。しかし、それで足らぬ場合がある。成功だけでなくて、失敗する場合もあり得るわけであります。また、数年農民として暮らしている間に、その土地でたとえば町工場をやりたい、あるいはホテルをやりたい、あるいはバス、タクシー業をやりたい、こういうものは現地では少ないわけでありますから、やりたい。そうしたときに一番困るのは金融問題であります。たとえばブラジルに例をとりますと、富士銀行系統の南米銀行、それから三菱系統の東山銀行、地元資本の日伯銀行等もありますが、しかし、これはいわゆる商業資金、短期資金であります。長期の融資は一切できません。ブラジル政府の各種銀行もありますが、その点も触れますが、いろいろ不便もあったりいたします。そこで、渡辺さんは内閣の海外移住審議会へ非常に熱心に御出席になって、各種の討論等も聞いておられるわけでありますが、今後この事業団が発足いたしました後において、これは私の夢でございますが、御批判を願いたいのでありますが、さっきあげました三つの公庫から少なくともおのおの百億円ずつくらい何かの形で出資してもらいまして、海外移住者の資金というようなことでこれを日本国内に預けておいて、その利子等で、国民公庫、中小公庫、農林公庫等はその人が日本におったならば貸し得るような性格のものでありますから、融資する。これは日本人の海外版というようなことでやってもらえぬかと思うのです。そうでないと、行け海外へと言ってみましても、かえって資金面では日本にいるときより不便であるということになる。金額は、私は三百億ぐらいと思うけれども、実際上どうなるかわかりません。ともかく事業団法の成立に際して、自民党の皆さんと相談してみたいものでありますが、あなたの率直な御見解として、どの点が可能であるか、不可能であるか、こういう点をひとつお漏らしを願えればまことにありがたいと思います。
○渡辺参考人 ただいま移住に関係する金融についての御質問でございましたけれども、そのうち設備金融と申しますか、新たに土地を開拓したり、設備を購入したりする、そういうものと、それから営農資金のような経常的な運転資金の借り入れの問題とあると思います。 その最初の設備資金とか、そういうなのにつきましては、これは私はある場合、さっき申しましたような私の基本的な考え方から申しますれば、何も日本ばかりがやる必要はないのじゃないか。これは受け入れ国の利益でもあり、また受け入れ国の開発に関心を持っております国際機関とか、あるいは場合によれば、アメリカの援助資金も利用できる場合もあるかもしれませんし、そういうところの金も引っぱり出して、これを使う道があり得るのではないか。それは、ひとつそういう筋でもってさらに検討したらどうかということで、アメリカに参りましたときにも、多少そういう話をいたしてまいりました。これは、うまくいけばこちらとしても助けになると思います。 ただ運転資金のほうは、お話のように非常にむずかしいと思います。というのは、これは現地のインフレのために非常にむずかしいのだと思います。これをかりに外国から、円にいたしましてもドルにいたしましても金を借りましても、これは向こうの通貨の価値がどんどん減価いたしますので、これを返すときには五割増し、あるいは何倍というような金で返さなければならぬということになりますので、外国から金融をつけたのではなかなかうまくいかないと思います。結局現地での金融ということになるわけであります。私も、現地でいろいろお話を伺ってみましたところ、たとえば土地を持っておりますと、ある程度土地を担保に金が借りられるというようでありますが、土地のない場合、またコロノとして入植した人が独立する資金とかいうような場合には、なかなか金融がつかないで困っておられるように承っております。こういうところについては、さらに現地の金融機関、日本側の金融機関も込めて、まだくふうをする余地が非常に多いと思うのであります。一番の問題は、いまのインフレの問題でありまして、これはこちらだけでどうにもできないわけでありますが、もし土地を持っていて金を借りられれば、金利は少しくらい高くても、生産物の値段がどんどん上がっていくわけでありますから、引き合うのでありますけれども、金融をつけること自身がなかなか問題がある。この点は、今度の事業団の現地の方がさらにくふうをこらされる必要があると思います。またこの事業団の中のそういう経理及び金融の面について、やはりしっかりした方がやっていただく必要があるように私は思います。従来ほかの経験のある方も必要でありますし、またおられると思いますけれども、金融関係の方があまり現地で移住事業に関係を持っておられなかったのであります。この点にもう少し力を入れる必要が確かにあるように思います。
○田原委員 ありがとうございました。
○松本(俊)委員長代理 西村関一君。
○西村(関)委員 本日は参考人の諸先生方から高邁な識見の一端をお聞かせいただきまして、私自身も非常に教えられ、参考にするところが多くありまして、深くお礼を申し上げる次第であります。時間の関係等もございますので、お三人の先生にそれぞれ一つずつお伺いをいたしたいと存じます。 まず、初めに坂本参考人にお伺いをいたしたいと存じます。 坂本先生は、この法案に対してはまことにけっこうである、また移住に関する基本的な法案と並行して審議すべきであるという意見もあるけれども、これはすでに憲法にうたわれておる精神から考えるならば、あえて必要がない、こういう御見解をお述いただいたようでございます。確かに仰せられるとおりであると私も考えるのでございますが、やはりすべての法案の根底にはわが日本国憲法の精神が通っておるということでありまする以上、ただ単に移住に関する問題だけではないと思うのでございます。したがいまして、すでに二年前の国会で通過いたしました農業基本法、あるいは今国会で審議中でございます中小企業基本法案等々がございますように、移住に関する基本的な理念をうたい上げます移住法、あるいは移住者に対する援護を目途といたします援護法等を含めました移住振興法というような法案が政府におきましても用意されておる、次期国会にはこれを提案するということを大臣も本委員会においてしばしば言明しておられるのでありますが、やはりそういうものがあったほうがより完ぺきなものになる、両々相まって、本事業団法案も国会を通過した暁におきましては十分に成果をあげることができると考えるのでございます。その点、私の聞き違いであるかもわかりませんけれども、そういうところの必要性につきまして先生のお考えをお伺いいたしたいと存じます。
○坂本参考人 私自身は、かねてから移住基本法をつくれということを海協連に初めタッチしておりましたときから申しておりました。それから特に国民の意図として、基本法で移住自然権をうたって、移住自然権は人種、国籍を越えて人間が固有しておる権利ですから、それを基本法でうたって、そして、——私は、北米合衆国、カナダ、豪州方面がいま差別待遇といいますか、日本人の移住をシャット・アウトしております。自由陣営とか言っておきながら、精神的に日本人を区別するようなことはよくない。どうしても、私は、日本国民の意図として、基本法の中にそういうことを盛り込んでもらいたいというふうに考えております。それで、私は、できるならば事業団法と一緒に出してもらいたかった。ただ、しかし、さっき国内のいろいろな官庁のセクショナリズムとか、そういうようなことがあったのじゃないかというお説が出ておりましたが、そういうことで多少伸び伸びになっておるのじゃないかと思いますが、その基本法がいますぐできないからといって、この事業団法をやめろと言うことはどうか、それだけのことなんでありまして、私は、基本法は絶対に必要だから、なるべくこれも早い機会にやってもらいたい、そういう考えでおります。別に必要がないということは、絶対に申し上げたつもりじゃないのです。
○西村(関)委員 次に、永田参考人にお伺いいたします。 先生の御意見は、しばしばいろいろな機会に伺っておりましたし、またお書きになりました文章等を通じましてよく承知をさせていただいております。長年移住に尽くされました御貢献に対して、私も先生に対して少なからざる尊敬の念を抱いているものであります。ただいま御開陳になりました御意見の中におきまして、いろいろ御教示がございましたが、ただ一点、簡単でけっこうでございますから、お答えをいただきたいと思うのでございます。 それは、現在御承知のとおり、移住の実績が年々低下いたしております。三十七年度におきましては、二千人そこそこの移住者しか送り出すことができなかったという現状でございます。これは、一時的な現象であるか、また、何らかの他に特別な原因があってこういう状態が起こったのであるか。そのような移住の実績が非常に衰えてきておるということに対する原因がいずこにあるかということにつきまして、先生のお考えを、簡単でけっこうでございますからおっしゃっていただければ幸いだと思います。
○永田参考人 私は、移住者の減少するということの一番根本の問題は、一番初めに申し上げましたように、国民に移住教育が不徹底であるということだと思います。もし移住教育が行なわれるならば、ほかの原因がいろいろありましても、たとえば日本の景気がよくなったというようなことがありましても、移住者の一万人や二万人を出すということは困難でもないし、日本の経済発展の障害にもならないと思います。と申しますのは、たとえば英国の例をとってみますと、英国は、景気がよくなれば移住者がふえるのでございます。そういう問題もありますから、日本でも、移住教育が徹底しておれば、景気がよくなりましても移住者は減らないのではないかと思うのであります。いろいろの原因があると思いますが、結局移住者が減っていくというのは、移住教育の不徹底にある、したがって、国民が移住に熱情を持っておらないということが一番大きな原因だと考えておるものでございます。
○西村(関)委員 最後に、平川参考人にお伺いいたします。 平川参考人は、窓口一本の日本の移住行政では実情に沿わないという御意見でございました。したがいまして、本事業団法案については、反対のお立場をとっておられるように伺ったのでございますが、かりに本事業団法案が国会を通過いたします場合にあたりまして、この法案のどういう点をどのように改めたらいいとお考えになりますか。その点を、いろいろ御苦労なすっていらっしゃいますお立場から率直にお伺いをいたしたいと思うのであります。 なお、いままでの本委員会における質疑応答の中におきまして、移住の募集あるいは訓練等についてはいろいろな団体がやる。ただ移住事業団だけではなくて、たとえば農協であるとか、地方自治体であるとか、あるいは永田先生の力行会であるとかいろいろな団体がやるが、吸い口を一本にして、事業団を通じてただ単に事業団の海外の支部にのみ送るのではなくて、海外のそれぞれの団体に送り届けるのだ、こういう趣旨の答弁がなされておったわけでございますが、そういう考え方に立って本事業団が運営されてまいります場合において、そのようでよろしいとお考えになりますか。その点をお伺いいたしたいと思います。
○平川参考人 私の本案に対する修正の意見としましては、私の意見書を印刷してお配りしてあるかと思いますが、監督を総理大臣にしたらよろしい、そして、ちょうど水資源公団というのがありますが、それと同じような形において、たとえば経済企画庁、長官なり総理府総務長官なりに総理大臣がある程度の事務を委任するということにして、ある一定の場合については関係各省大臣と協議する、また、各省大臣もそれぞれの分野に応じて監督するというような、ちょうど水資源公団の例がいい例ではないかと思いますが、ああいう監督機構にしたらいかがであろうかというのが修正意見でございます。 なお、先ほど申し上げました民間団体を大いに活用するのだ、これを、事業団は政府機関ですから、一歩高い立場にあって、民間の自由に出てくるいろいろな団体の活動を助長し、援護し、そうして大きく移住事業を展開していくという立場を明らかにするために、そういう趣旨の条文を一項入れたらどうかという、こういう二点を修正意見として申し上げているわけでございます。 それから第二点の御質問の、民間団体は募集その他をして、これを事業団の一本の窓口で渡す、こういうお考えがあったようでありますが、私は、事業団というものがそこで何もかも一つで受けなければならぬという理屈がよくわからない。もちろん渡航費の貸し付けということはぜひ必要でございます。したがって、必ず事業団を通らなければ、事業団の許しを得なければ、自分で渡航費を払って行く人は別ですが、政府から渡航費を借りなければならぬという人は、どうしてもそれを事業団にお願いしなければならぬ。そういう意味において、事業団の窓口を通るということはけっこうですが、しかし、実は移住募集をするとか言いますが、先ほども申しましたように、応募する農民としては、この募集者が最後まで責任を持ってくれるかどうかということが大切なわけでありまして、たとえば日本力行会で募集する場合に、日本力行会はどこまで世話してくれるかということが必要なわけであります。農業協同組合が募集する場合には、組合がどこまで責任を持ってくれるか、これだけ責任を持ってくれれば、応募しても安心じゃないかという問題が募集のときからあるわけであります。したがって、募集を行なう人間は、もちろん自分は募集するだけで、あとは事業団にまかせるのだという募集のしかたも一つの募集のしかたでありますが、しかしながら、先ほど申し上げましたように、移住地の経営というものはなかなかむずかしい問題でありまして、これは、事業団というような政府の代行機関一本でうまくいくとは私ども思わないのであります。ですから、それがうまくいっている場合には、たとえば事業団のやっている移住地へ行くことについてのお手伝いをすることはもちろんけっこうですが、すべてそれでなければならぬ、自分が直接に移住地を経営するようなことは一切まかりならぬという態度は、少しかたくな過ぎるのではないか。それでは移住を維持・振興するゆえんではない。それは、たとえば現地にいる個人が有志で、あるいは県人会のようなものが集まって和歌山不動産というような会社をつくって、あるいはまた力行会、あるいは農業協同組合、あるいは県、そういうようないろいろ各地に有志がおるわけでありますが、この有志の力を動員することが移住を大いに振興するゆえんなので、これらが何か弊害でも起こす、あるいは移住者をいじめるようなことでもやってはいけませんから、それは監督しなければいけませんけれども、何も募集をしたら全部移住事業団に渡しなさい、これから以下は全部移住事業団がやるということを言う必要はないのではないか。ことに私どもは現地に出まして、現地の農業協同組合、たとえばコチアの産業組合というようなものと提携をいたしまして、現地の農業経営、土地の選定その他につきましてコチアの組合に大きくまかせておる。われわれももちろんタッチいたしますけれども、コチアの組合の力をかりてやる、あるいはその他現地の農業協同組合の力をかりて協力をしてやっていこう、その場合に、もちろん事業団にいろいろの援助を求めなければならぬと思う。資金も借りなければなりませんし、移住者としては渡航費も借りなければならない、いろいろ援助を求めなければならないけれどもそれはすべてそちらにおまかせして、船で渡したらあとは知らないのだ、こういうことは無責任であります。そういう体制でなければならぬということはないと思う。そういう体制をぜひとらなければならぬということになりますと、協同組合の独自の活動というものは非常に低下せざるを得ない、心配であります。そういうことを申し上げたのであります。
○松本(俊)委員長代理 これで質疑は終了いたしましたが、委員長として参考人の方々にごあいさつ申し上げます。 各参考人には、御多用中のところ長時間にわたって貴重な御意見をちょうだいいたしまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 本日はこれで散会いたします。 午後零時三十二分散会