外務委員会 第19号
- 発言数
- 90 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/05/29
会議録
○野田委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。穗積七郎君。
○穗積委員 きょう特に簡単に最近の日本の貿易の自由化問題を背景にして日中の貿易並びにその他の交流問題について政府のお考えを聞きたいと思います。 ちょうど四月の統一地方選挙最中でございましたが、イギリスのヒューム外務大臣が来たときに、池田総理や外務大臣がお会いになって、最近の自由主義諸国間における貿易自由化問題に関連をして、アジアにおいては何といっても平和の問題あるいは経済の発展の立場から見て中国問題というのはやはり重大な問題だ、その中国問題というのは実は貿易を遮断しないでむしろ積極的にこれを発展せしめることが両方の利益に合致することである、こういうような意見交換が行なわれて、特にイギリスの考えが率直に述べられた、これに対して、日本政府すなわち池田総理なりあなたがこのイギリスの中国観について同感の意を表されたということが新聞に報道されておったのであります。この間の討議の要点を、差しつかえない程度においてこの際それに関連をして報告をいただきたいと思いますが、いかがでありましょうか。
○大平国務大臣 ヒューム外務大臣の御来日の機会に、中共貿易、中国貿易と申しますよりは、対共産圏貿易につきまして、先方の見解が述べられたことは事実でございまして、大体の考え方は、ココムとかチンコムとかいう国際的な規制に触れなければこの地域との貿易は進めてしかるべしというような御意見であるかのように拝聴いたしました。私どもは、イギリスの立場としてそういう考え方を持たれておることをよくわかるわけでございます。しかし、私どもの立場としては、従来内外に申し上げておりますように、政経分離の原則に立ちまして可能な限り貿易は進めて参るという方針で終始やってきておるわけでございます。同時に、わが国としては、自由圏との貿易がほとんどを占めておる現況におきまして、共産圏に対して自由圏以上のフェイバーを与えるとかいうことも、輸出金融能力の配分から申しましても、わが国の貿易の拡大から申しましても、それは適当でないので、そこは、西欧並みと申しますか、世界並みと申しますか、世界的な一つの基準というものを見定めた上で対処していきたいということをかねがね考えておりますし、ヒューム外相と会談がありました以後も、何も一私どもの方針に変改を加える必要はないというように存じておるわけでございまして、問題は、何が世界的に通用する基準であるかというような点を具体的に見きわめた上で、個々のケースについて日本側のとるべき措置を探り出したいというところが、私どもの苦心の存するところでございます。
○穗積委員 中国またはソビエトとの貿易前向き発展の政府の考え方については、われわれは党派を超越してこれを歓迎いたします。そこで、その原則に立って以下私は具体的に外務大臣にお尋ねいたしますから、ひとつ率直にお答えをいただきたいと思います。 現存中国との貿易交流についてやはり焦点に立っておりますのは、言うまでもなく、廖承志・高碕覚書による、いわゆるLT覚書による貿易がいかに実施されるかという点でありまして、それについては、覚書の中の肥料から特殊鋼、普通鋼に至るまでの延べ払いにつきましては、これはおおむねヨーロッパ並みを勘案しながら大体話が進んでおるわけですけれども、やはり、この協定の目というか、国際的にも重要な関心を持たれておりますものは、プラント輸出に伴う話し合い、これがいかに実施されるかということだと思うのです。それで、ブラント輸出につきましては、現存は、外務大臣お聞きのとおり、肥料に関するブラント輸出がいま交渉中でございますが、ちょうど、いまのヒューム外務大臣との中国貿易に対する意見交換の後に、ごく最近閣僚会議でブラント輸出の問題については事務的な検討も加えてあらためて結論を出すようにしようというようなことが申し合わされたということが新聞で発表になりました。ところが、現実には、御承知のとおり、去る五月十七日にこの交渉の民間会社の代表団は北京に向かって立っておるわけです。政府はこれを許しておるわけですね。そこで、この交渉の見通しというのは言うまでもなく大体の憶測がつくわけですけれども、これに対して最後に残りますのは、これに関する延べ払いを伴うプラント輸出についての政府の態度ということが問題になるわけです。もうそろそろ、この国際関係あるいは国内関係の打診も一すでに見きわめがついておるわけですから、ここらで政府の大体の方向といいますか方針というものをお示しになるほうが、私はいま言われた東西貿易発展のために役立つことではないかという判断をするわけです。そういう質問の要旨を御理解いただきまして、このいまLT貿易の目になっておりますプラント輸出に対しまして政府のお考えを伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 穗積さんもよく御了承いただいておると思いますが、高碕ミッションと政府との当初の話し合いでは、いま御指摘のプラント輸出問題は、政府の意見を求められましたので、私どもとしては一応話を聞いてくる程度にしていただきたいということは申し上げてあるわけでございまして、その程度を出ていなかったわけでございます。しかし、御指摘のように、現実には民間と先方との間の話が相当具体性を持った検討に入っておるということは私もよく承知いたしております。そこで、考えなければならぬ点の第一は、中共に対しましてただいままで西欧各国からのプラント輸出というものはなかったのです。お話し合いが進んでいる向きはあるのかもしれませんけれども、私どもが承知している限りにおきましては、成約に至っているものはまだないと聞いております。したがって、一つの初めてのケースになるわけでございますので、この問題を新しい問題として、つまり、高碕ミッションとの関連の問上越ではなくて、純然たる新しい問題としてひとつ検討してみようということは関係大臣の間で了解ができておるわけでありまして、そして通産省を中心にいま検討を進めておるというのがいまの段階でございまして、高碕ミッションの覚え書きの目であるというように言うことは、政府に関する限りはそういうものじゃないので、新しい問題としていま検討をしておるというのがいまの段階でございます。
○穗積委員 外務大臣はちょっと私の質問の要旨を誤解しておられるのではないかと思う。私はLT覚え書きと日本政府との関係を伺っているのではないのです。あるいは内容におきましては、同じ政党のことでございまするから、政府と与党有志との問で事前にお打ち合わせがあった事実のことは別として、形式はあくまで政府の協定ではないわけですから、したがって、私はそれを形式的に問うておるわけではないのです。そうではなくて、少なくともここの委員会に出ておられる野田さんも松本さんも当時側面から大いに関係をされた仲でございまして、そこで、この取りきめというものの内容の中に明らかにプラント輸出の問題が加えられておるわけです。いずれにしても、いま申しますとおりに、私の言うのは、そういう政府との関係つまりLT覚え書きの中にあるプラントの合意項目についての政治的または法律的責任問題を私は聞いているのではないのです。そうではなくて、いまお話しのとおり、イギリスの考えもそうであり、日本政府の考えも中国との貿易については国際的に差しつかえない限りこれを前進せしめるという、そういう立場に立って見たときに、次の発展のステップというものは、やはりプラント輸出の問題が大きく提案されて、それが日中貿易の一つの目になりつつあるという判断を言っているだけです。だから、プラント輸出の条項について政府はどういう責任を持っているとか、政治的にどういういきさつがあったではないかということを私はお尋ねしておるわけじゃないのです。そうではなくて、私はそういう認識に立っておりますけれども、いずれにしても、プラント輸出の交渉がいま進められつつある。プラント輸出に対して日本政府あるいは外務省の方針なり態度はどうであるかということを伺っておるわけです。ですから、その辺についてもう少し具体的に大臣の御意向を伺いたい。いきさつを私は問題にしているのではない。その点十分御理解の上で前向きの御答弁を期待するわけであります。
○大平国務大臣 私どもは、いま御指摘のように覚え書きの中にプラント問題が含まれておることを承知いたしておりまするし、また、せっかくそのようにやってこられたことを頭から無視しておるわけでは決してございません。ただ、政府の立場では、この問題は、先ほど私が申し上げましたように、新しい問題としてひとつ取っ組んでみようじゃないかという一般的な理解を持っておるわけでございます。それは、政府にとって、覚え書きとの関連でなくて、一つここに新しい問題が出てきたということが一つと、それから、先ほど申しましたように、中共との貿易におきまして、プラント問題というのは世界で初めての問題であるという意味で新しい問題でございます。それからまた、関係者の方々の御意見も私は聞きましたけれども、きわめて真摯な気持ちを持っておられるように拝聴いたしまするし、また、先方もこの問題についてはほかのコモディティーの取引というものと比べも一のにならないほどの熱意、意欲を持たれておることもよく承知いたしておるわけでございます。そういうわけで、そういう条件のもとにおきまして一体これをどのように処置してまいるのがいいかということについて、まだ決定的な結論を出しておりませんが、各省協力してひとついろいろな観点から吟味してみようじゃないかというのがいまの段階なんでございまして、私の申し上げることにうそいつわりは決してございません。
○穗積委員 大臣も御存じだと思いますが、先般大いに同感の話し合いをされたイギリスが、ジェット機の輸出について大体延べの話がほぼ確定状態に入っておるわけです。また、この間の経済閣僚会議で、自由化問題も一、八条国移行を来年の秋を五月に繰り上げるという考えが大体政府部内において固まりつつあるようです。そうなりますと、今日の国際収支の関係から見て、ブラント輸出というもの、あるいは延べ払い輸出というものが相手国に対して一方的に利益を与えるものであるというような思い上がった、あるいは認識不足の見方では、私は誤りじゃないかと思うのです。先般も私は中国に対する延べ払い問題についてお尋ねいたしますと、通産大臣のごときは、これは高き者が低き者に対する恩恵であるがごとき認識を持った、そういう印象を与える御答弁がありましたけれども、今日の自由主義諸国間における国際貿易というものは、実は買い手市場になっておるわけですね。過剰生産、市場狭隘に悩んで、その対立と矛盾というものが高度資本主義諸国間においてあらわれてきている。したがって、この間、一週間ばかり前の経済閣僚会議でも、延べ払いによる国際収支の改善ということを、特にヨーロッパの対外延べ払い輸出促進の政策に刺激されて、日本も考えなければいかぬということは、池田総理自身が強く指摘しておるところでございましょう。そういう点から見ますと、今日の対中国貿易におきまして、ジニット機の延べ払いがほぼ確定状態になっているとき、あるいはその他肥料、織機その他の機械類等におきましてニトレックスの関係諸国が非常に積極的に話を進めている段階で、私は、このビニロンに関するプラント輸出は、船積み後五年くらいの話し合いを結ぶことが適切であると思うし、もしそれができたときには、われわれの聞き及んでおるところでは二千万ドルくらいの規模のも一のではないかと思います。そういたしますと、いまの日本における輸出入銀行を中心とする金融の実力からいたしましてもこれは十分可能性があるという点を考えまして、ヨーロッパ並みにできるだけやろうという政府の方針、それに私は何ら矛盾するものではないというふうに思いますから、したがって、この一番の新しいステップであるビニロンに関するプラント延べ払い輸出につきましては、いまの諸点をよく理解されて、船積み後五年くらいの話し合いを政府は理解して支持する必要がある、こういうふうに考えます。私の考え方に対してどういう御所感をお持ちになりますか。あなたのほうからは抽象的なお話で、これから検討しようということですから、私が具体的に一案を出してみたわけです。それに対して外務大臣の御感想、御意見がありましたら、ぜひ承りたいと思います。
○大平国務大臣 わが国の地域的な貿易の推移を見てみますと、昭和三十四年と三十七年の間の四年間の推移を見てみますと、輸出でいきますと総体で四割二分伸びておるのです。ところが、共産圏だけをとってみますと、これは昭和三十四年を一〇〇といたしますと五六六になっている。輸入で見てみますと、全体が一五六でございますが、共産圏が一九〇になっております。中共を例にとってみますと、輸出がその間に十倍になっております。輸入では二四三でございますから、いつも政府は共産圏貿易に消極的であるというおしかりを受けるのですけれども、これは何よりも雄弁に客観的な数字が物語っておる。まだ絶対量は大きいとは申しませんけれども、着実に伸びておることは御了承いただけると思うのでございます。私どもは、ほかの地域との貿易も伸ばさなければいかぬし、共産圏の貿易も一着実に伸ばさなければいかぬ。全体として、いま御指摘のように、日本は貿易国家としてどうして貿易の質と量を拡大充実していくかということが目的でございまして、それにどういう方法手段をあみ出してまいるかということを着実に考えてきておるつもりでございます。いまの御指摘の問題も、頭からわれわれが軽視しておるどころではないので、政府部内におきましても、非常に強い御意見も、早く進めるように御意見もございますし、自重論もあるわけでございますが、この自重論の方々に御満足がいくようないろいろなデータを用意し、みんなが納得するような環境をつくらねばなりませんので、いま御指摘のバイカウントの取引なんかにつきましても一現地関係から詳しいデータを取り寄せまして、それから、その他の対中共の成約状況、交渉の状況なんかもよく踏まえた上で私どもの判断をしてみたいというわけで、せっかくいまその努力をしておるところでございまして、まあしばらく見ていてください。
○穗積委員 私がいま申しましたプラント輸出交渉につきましては、最も具体的可能性のある見通しだと思うのです。そこで、これに対して具体的に、約二千万ドルのワクで船積み後五カ年間くらいの延べのプラント輸出を認めたらどうか、これは適切な方法ではないかということに対して、直ちにお答えができないということならそれでやむを得ませんけれども、しかし、これは私は不当なものじゃないと思うのですよ。だから、ずっと先ほどから言うように、対中国貿易についてはイギリスと同様に伸ばすつもりだ、伸びておるじゃないかと実績を誇らしげにおっしゃるわけですから、その政府の方針なり原則、傾向と何ら矛盾しないわけですが、これは非常に困難を伴う悲観的な検討なのか、前向きの希望の持てる検討なのか、それが問題なわけですね。政府の姿勢、方向が問題なんですけれども、これはすでに外務省がこれらの代表が出る前に通産省あるいは大蔵省等々に事前にサウンドされて、その出発する代表団に対して外務省がパスポートをお出しになったんだから、ある程度の見込みは客観的には持てるというふうに思いますけれども、そういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。
○大平国務大臣 たびたび申し上げている大方針に変わりはないわけでございまして、私ども一はそれを与えられた環境においてどのように具体化していくかということでやっているわけでございまして、いませっかく検討中でございますので、しばらく私どもに検討の余裕を与えてもらいたいと思います。
○穗積委員 先ほど外務大臣が、ひとまずこの問題については通産省を中心にして検討を始める、いろいろな情報や資料、条件等の検討を始めるということでしたが、きょう実は私はその必要を感じたので通産大臣または通商局長に御出席を願ったのですけれども一、お差しつかえがともにあって、谷敷参事官に来ていただいておるようです。ヨーロッパ諸国の中国に対する延べ払いまたはプラント交渉等のことについては、われわれの聞いているところでは外務省がその情報をキャッチするという任務を与えられておるようだが、実は、これは、われわれから見ると、はなはだしく不手ぎわであるか、サボタージュしているか、対中国貿易の西ヨーロッパ諸国の情報というものが入っていないと思うのです。私どもが知り得ておるかすかなる情報によりましても一、政府が持っておられる情報以上にいろいろなケースがあるわけです。だから、そういう点についても一体どういうふうにいま通産省は努力されておるか。ヨーロッパ並みということだけ気休めのように言われておりますけれども、そのヨーロッパ並みのヨーロッパは一体どういうことなのかということになると、やみくもになる。だから、一歩も前進できないのです。そこらの事情から、いまのプラント輸出に対する問題点をどういうふうに整理されましたか、ちょっとこの際伺っておきたいと思います。御答弁を願います。
○谷敷説明員 ただいまの問題につきましては、先般関係大臣の間でこれを検討しろという話がございまして、それに基づきまして、通産大臣から事務当局に具体的に検討しろという御指示があったわけでございます。それで、主として外務省、大蔵省その他関係省と連絡をとりながら現在検討をいたしておる段階でございます。 ただいま先生のおっしゃいました、たとえば西欧諸国の延べ払い条件はどうかというような点につきましては、やはり、通産省といたしましては、外務省を通じませんとはっきりした資料等も必ずしも入手できないような状況でございますので、たとえば英国がどういうものにつきまして何年の延べ払いをやったのかというようなことも、実は必ずしもまだはっきりしていないという状況でございますし、いまの段階ではまだ結論が出るところまでは至っていないわけであります。
○穗積委員 その情報についてははなはだしく政府はサボタージュしておると思うのです。それで、わからぬから、ないからやれないということで前進をしない傾きがありますから、これは特に責任を持っている外務大臣に御注意を申し上げます。通産省には重ねて御答弁を願いたいのでありますが、ヨーロッパ並みということについての情報だけではなくて、今後のプラント輸出について具体的に一体問題はどこにあるか。私はたいして困難はないと思うのです。もしどうしても困難だと思われる点があれば、どういう点が困難だという点を指摘していただきたい。われわれは、困難だという理由は、単に政治的な理由だけであって、貿易を伸ばさなければならない必要に迫られておる通産省としてはむしろ歓迎すべきことであって、何ら障害になるような問題点は今度のいま進行中のプラント交渉についてはないと思うのです。そのことについて、通産省の事務当局の、政治的判断をのけた純粋な貿易、輸出という必要に迫られておる立場から、いまのプラント輸出について検討されてみて、私は何ら障害はないと思いますが、何かありますかということですから、具体的にお答えをいただきたいのです。
○谷敷説明員 通産省といたしましては、ただいま先生の御指摘のとおり、輸出の拡大について非常な努力を払っておるわけでございますので、大いに輸出は進めたいという気持ちでございます。ただ、いま問題になっておりますのは、たとえば輸出をいたしましても、延べ払いでありますと、相当長期にわたって支払いがなされるわけでございますので、はたしてその代金が確実に回収できるかどうかというような問題がございます。特に、中共との場合は、正式国交がございませんので、はたして債権の確保が十分行なわれるかということについての保証があるかないかというような問題がございます。それからまた、中共に対する輸出だけが伸びましても、その結果台湾その他の自主義圏に対する輸出がこれに影響を受けまして減るというようなことになりますと、これは輸出全般から見まして必ずしもプラスであるとも思われませんという状況もございますので、大体そういうようなところをよく検討いたしまして、これはマイナスにならないという確信が持てるようになりましたならば本件についても進めるということになると思いますけれども、ただいまのところではまだそこのところの結論がはっきりするまでには至っておらない状況でございます。
○穗積委員 時間がだんだん迫ってまいりましたから、いまの御答弁について外務大臣並びに通産省に対して私は意見を言いたいのです。中国の支払い能力の有無の問題については心配ありませんよ。非常に不安定でいままでの過去終戦以来ずっとの経験から見てほとんどどぶに金を捨てるような状態であった韓国に対してすら延べ払いをやっているじゃありませんか。ばかばかしくてお話にならぬ。支払い能力だの回収の安全性の問題などというのは、いままでの過去における中国との取引から見てそういうことを検討するとか疑いがあるなんというのが第一おかしい。過去において一体どういう不徳義なり契約違反がございましたか。回収の困難な問題がございましたか。何らありません。のみならず、いまの中国の政状あるいは経済的な建設の情勢を分析してみて、通産省がいまだに中国の支払い能力の問題について疑点が残ってまだ検討中だなんというばかばかしいことをおっしゃることに対しては、それはほんとうに純粋な経済的な判断ではなくして、そういうことばの中に、間違った政治的牽制といいますか、気がねが入っていると私は思うのです。これは外務省に対しても同様に私の意見として聞いておいていただきたいと思います。 それから、あとの台湾であるとか韓国その他アメリカ等に対するはね返りの問題でございますけれども、これは宿命的に出てくるのじゃなくて、日本の中国貿易に対するき然たる態度によってきまるわけです。ドイツにいたしましても、それからイギリスにいたしましても、フランス、イタリアにいたしましても、全部、共産圏諸国との貿易によって一体どんなはね返りがありましたか。マイナスが出てまいりましたか。台湾のごときは事あるごとにいろいろ牽制はいたしますよ。強がりは言います。言いますけれども、いま、台湾と日本との貿易、取引から見て、これを遮断したり輸出入を禁止して困るのは台湾だけであって、日本ではございません。そういうばかばかしいことばをもって国民をごまかして、そして中国貿易に踏み切れない事情はかくかくであるというようなことで国民を納得させようとしたって、われわれはそれで納得するわけにはいきませんよ。いまおっしゃいました支払い能力の点とか、あるいは中国に対する延べ払いを進めることによって他の自由主義諸国との貿易にはね返りが出て日本経済にマイナスになるというようなことは、たとえばLT貿易の他の鉄鋼に至るまでの話し合いが妥結したのに何かはね返りがございましたか。少なくともこのプラント輸出は船積み後長く見まして、五年ないし七年でしょう。ヨーロッパの場合には十年をこす契約がございますよ。特に、さっき外務大臣は日本貿易の地域的な成長率をおっしゃいましたけれども、日本貿易の中心はやはり重化学工業に移ってきているわけでし上う。そのときに、ヨーロッパとの関係を中国についてとって言ってみますならば、延べ払いの問題というのはもうこの勝負の中心になってきている。それで、その期間は重化学工業特に機械類につきましては五年以上のものというものがわれわれの調べたところによってもざらにあります。ですから、私は何ら差しつかえないと思うし、通産省の事務当局がいまおっしゃいましたような、そういう点でひっかかっておるとすれば、私は、そういうことを口実にしてやらないという、または逃げ腰であるというふうにしか考えられないわけです。だから、その点は御注意として御参考までに申し上げて、ひとつ今後の審議に役立てていただきたい。そして、外務大臣が先ほど言われたように、腰の弱い外務省ですらこれに対してはノーと言わずして前向きで行きたいということですから、貿易拡大の責任を持っている通産省がそんな認識不足なへっぴり腰では、日本の国際収支の改善や貿易拡大というものはできない、あるいは日本貿易の構造的矛盾を転換するなんということはできぬと思う。所感があったらひとつ外務大臣から一括して御答弁をいただきたいと思います。
○大平国務大臣 外務省のほうで西欧方面の情報を取ることをサボっておるという、聞き捨てならぬことを言われたのですが、私どもは毛頭サボっていないわけでございまして、いろいろ各方面から情報を取っていますけれども、実際の商談の奥御殿まで入るのはなかなかたいへんでございまして、いろいろな情報を受けていますが、それをコンファームしなければいけませんので、そういう努力を終始やっておる間に浮き彫りのように大体の見当がつくという状況を招来すべく努力しておるわけでございまして、決してサボっておるつもりではございません。私はおそらく穗積さんも一内心は相当よくやっておると思われているに違いないと思う。と申しますのは、いまあなたが御指摘になられたような、たとえば鋼材の問題にしても特殊鋼の問題にしても、いろいろな問題がございましたけれども、問題を収束さしていくようにいたして、しかも、あなたが御指摘されたようなはね返り状況も見られないように苦心しているわけなんでございます。そこは、私どもの苦心のあるところはそのままもう一ぺんお考え願いたい。国会の御質問でございますから、政府をほめるばかりも一できないのでしょうけれども、その点は十分あなた御自身はよくおわかりになっておると思うのです。 それから、通産省の言われた支払い能力の懸念の問題ですが、貿易は、あなた御承知のとおり、終局においてバランスしなければいかぬわけでございますから、どのくらいの信用の幅を考えるかという場合に、当然輸出金融の責任を持っている政府として考えなければいかぬことなんであります。中共ばかりでなくてどこでもそうです。したがって、ごくサイザブルな規模というものを各特定国について考えていくということは当然でございまして、中共の支払いは為替が不足しておるからあぶないというように単純に考えていないわけでございまして、いま御指摘のように、中共のほうの支払いはいままで日本ばかりでなく各国に対して的確に行なわれておるわけでございます。そういう点、私どもも信頼しております。ただ、政府が心配しておるのは、輸出金融につきまして、与えられた財源の中でその国々に対しましてどのくらいの信用を考えるかということで、そのサイズについては当然政府として考えなければならない。なぜならば、特定の国によけい信用を与えるということは、ほかが減るということでございますから、日本の貿易全体をふやしていく意味においてサイザブルな割り当てを頭に置いてやるということは、私は当然だろうと思っておるわけでございます。 したがいまして、重ねて申し上げますが、この問題につきましては、いろいろ事務的な検討もしていただくし、同時に、これがほかの貿易分野におきまして支障にならないような環境をつくらなければいけないわけでございますから、そういう点は私ども十分頭に置いて鋭意やっておるわけでございます。先ほど申し上げましたように、しばらく余裕を与えていただきたいと思います。
○穗積委員 それでは、私も、政府を信頼し切るわけにはいきませんけれども、当然やるべきことだというふうに考えて、交渉の経過を待ってあらためてまたお答え願うことにいたしましょう。 そこで、次に二、三具体的にお尋ねいたしますから、簡潔にお答えをいただきたいと思います。その次の問題は、いまの日中のLT覚え書きによる貿易交渉が前向きに進展いたしますと、近い将来に中国の貿易責任団体である国際貿促委員会の代表の南漢宸さん、またはそれにかわる人物が日本へ貿易視察または発展促進のために来る可能性があると思うのです。その点について、この前私は、そういうときには貿易の責任者である政府の福田通産大臣は率直にお会いになって、ひとつ両国間の理解と友好を深めるために話し合ってみたらどうだと言ったら、喜んでお会いいたしますというはっきりした御答弁がございました。日中貿易問題というのは、通産省だけでなく、外務省、大蔵省関係があり、特に外務省は国交未回復国との関係もございますから、そういう意味で、非公式であってもけっこうであるけれども、しかるべき機会をつかんで外務大臣自身がひとつこの経済代表と懇談をしてみられるということは、私は非常に好ましいことだと思いますが、これに対して大一平外務大臣のお考えを伺っておきたいと思うのです。
○大平国務大臣 具体的にミッションが来日されるというお話の段階になりますれば、とくと考慮してみたいと思います。
○穗積委員 考慮するというのは、可能性を含んだ考慮でございますね。
○大平国務大臣 そのミッションの来日についてまだ何らのインフォーメーションを受けていませんので、お話がございますれば、それをよく吟味いたしまして考慮してみます。
○穗積委員 次にお尋ねいたしたいのは、実は、この機会だけで即決というわけにはいきますまいが、そういうところから話し合いの糸が出て、そして、いままでの非常に責任の所在が不明確なし、覚え書きというような形でなくて、もう一歩進んだ形になっていくべきものではないか。この長期延べ払い、総合取引になりますと、言うまでもありませんが、政府が了承を与え、支持しなければ実行のできないものが非常に多いわけです。現在は、ことごとに、形式の上では政府は関係がなくて、実行については政府の態度によってこれが成否がきまるというようなことでございますから、政府自身が対中国貿易については前向きでいくということであるならば、百尺竿頭もう一歩を出て、今度は、政府間貿易協定とまではいかなくても、年間あるいは長期にわたる貿易実務の取りきめを政府の事務当局の間で検討する必要があるのではないかというふうに思いますけれども、それについて外務大臣のお考えをぜひ伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 いま、たびたび申し上げておりますように、政経分離の原則に立ちまして民間ベースの貿易を可能な限り進めてまいるという基本のたてまえをとってきておるわけでございまして、政府間協定を考えるというようなことは政府はいま考えておりません。ただ、私は、そんなことよりは、現実にいま民間ベースでやっている貿易というものの実態をできるだけ正常なものにし、日本の各層が安心してやれるようなものにすることが先決問題じゃないかと思うのでございます。いまの民間貿易につきましても政府が干渉すべき部面になりましたら、御案内のように政府がタッチいたすのはやむを得ないと思いますけれども、問題は、いまわれわれが進めております形における貿易の実態というものをりっぱなものにしていくという努力が先行すべきだと思うわけでございます。ただいまのところ、政府間協定に持っていくということは考えていない状況です。
○穗積委員 そこで、考えておられないなら、そういうことを提案をしたいのです。具体的に考えてみますと、政府間貿易協定ということになりますと、外務省が交渉に当たられて、その責任、窓口は、外務省といいますか、外交上の問題が主になると思います。いま申しましたような年間またはある程度の長期総合の貿易の取りきめということになりますと、先方には貿易部というのがございます。これが貿易省に当たるのですけれども、中華人民共和国の貿易部と日本の通産省との間での貿易事務の取りきめということは何ら差しつかえない。漸進的に次に進むステップとして、LT覚え書きから進んで、先方の政府機関の貿易部とこちらの通産省との間における貿易実務の取りきめをすることは、私は、これが一番安定して、あとトラブルがないし、確実で、疑問点もなくて、非常に着実に一歩々々前進させるための具体的な方策であるというふうに考えます。そういう判断に立ってこれを政府に向かって私は提案をしたいと思います。その提案に対して研究するお考えはございませんか。
○大平国務大臣 高碕ミッションのやられましたことの一つのメリットは、従来細々と友好商社貿易の方式で行われておったのを一般的なものにするという一つの脱皮であったと思います。それがいま具体的に実行段階に入っておるわけでございまして、私は、先ほど申し上げましたように、いま民間のベースにおいて行なわれておる貿易を、正常なもの、りっぱなもの、そして信用があるものにしていくということが、いまの段階における目標じゃなかろうかということを申し上げたわけでございます。
○穗積委員 それに対して明日の問題として私は提案したわけです。それに答えてもらいたい。
○大平国務大臣 これからの問題として、いま穂積さんの御提案がございましたが、あなたの御意見として承っておきます。
○穗積委員 日中問題について最後にお尋ねいたします。 その前に、いまのことは、きょうは通産大臣がおられませんので、谷敷さんには御答弁をわずらわしませんけれども、これは、私どもいままで日中貿易を党派を超越して熱心に考え接触してきた者として、通産省に提案をいたしますから、ひとつ通産省全体の討議にかけていただくように、谷敷さんを通じてお願いいたしておきます。御了承いただけますね。
○谷敷説明員 ただいまの先生の御意見は大臣に伝えまして、十分検討いたしたいと思います。なお、ついでに一言申し上げさしていただきたいと思いますが、通産省におきましては、従来から中共との貿易につきましては輸出入取引法に基づきまして日中輸出入組合をまず活用したいというふうに考えておりまして、もしできますならば、まず輸出入組合と中国側との取りきめか何かでやるということを考えておりまして、通産省が表に出るのはさらにそのあとの段階でいいのじゃないかというふうにも考えておるわけであります。
○穗積委員 そのことまでお触れになったので、私も黙って引き下がるわけにいかないのです。実は、大平外務大臣には、私は、共通の目標に対する友だちとして、池田内閣は対中国貿易を輸出入組合を使ってやりたいというお考えを持っておられるけれども、これはだめです、国内もだめなら相手もだめである、一番大事な相手がこんなものは問題にしませんからだめだ、むだなことだからお考え直しになったらどうですかという、友好に満ちたアドバイスをプライベートに申し上げたことがあるのです。そういう認識をいまだに通産省の聡明な事務官がお持ちになっておられて、まだこれで押せると思っておられたら、これは全くむだなことですから、お考え直しになることを提案いたしておきます。御注意申し上げておきます。もとより、政府間の取りきめ前に、政府のひもつきの団体との間に、いわば国際貿促委員会との間の取りきめということをお考えになることも、いまのがんじがらめにアメリカから縛られ牽制されておる日本政府としては、窮余の一策として考えそうだというふうに推測し同情はしますけれども、このままではだめです。輸出入組合そのものを使って、これを息を吹き返さして、それとの間にやろうということは、きょうは時間がありませんから結論だけ申し上げておきますが、絶対に望みのないことでございますから、検討し直していただきたい。それもあわせてひとつ首脳部にお伝え・いただきたい。必要があれば、私はまた日をあらためてできないという理由を御説明申し上げます。通産省がそういう認識不足で輸出入組合というものに取っつかまって、これに補助金をやって息を吹き返さして、これを使っていこうというお考えですと、これは停滞するばかりですから、御注意申し上げておきます。 最後に外務大臣にお尋ねしたいのはこの間ヒューム・イギリス外務大臣との話し合いの中でも話題に出ておったわけですけれども、国連における中国の代表権問題です。私は、日中関係を改善し友好的に発展せしめるという政府の方針の中において、いま申しました日中貿易問題を具体的に一歩一歩前に持っていくということが必要であるとともに、さらに重要な、特に外務省が中心になって再検討すべき問題は、中華人民共和国の国連における代表権問題であると思います。これは、いままで重要事項指定という名による代表権承認の妨害を片棒かついできて、しかもその提案国になってきておる、こういう経過でございます。これはこの際はなはだ好ましくない。これは単に貿易の問題だけではなくて、アジアにおける平和の問題、緊張緩和の問題の中心は、何といっても中国と日本との間における友好、理解が深まるということが私はかぎであると思います。そういう意味で、ぜひこの問題に再検討を加えるべきじゃないか。次の国連におきましては、少なくとも重要事項の提案国にはならない。または、この問題が討議されたときには、一ぺんに賛成ができないならば、少なくとも一棄権をするという二つの点はぜひ外務省において検討されて、そうして実行していただきたい。これも一この間の中国前向きの意見交換の中で出た問題である。特に、イギリスは、世界の五分の一から四分の一の巨大な人口を持っておる中国が国連に入ってないということ自身が国連をかたわなものにしておるのだという、まことに正確な認識を披瀝して、あなたも池田総理もそれに対して同感の意を表されたわけですね。昨年来の情勢の変化、発展の中で、私はこの問題は外務省として今年度ぜひ直ちに検討、考慮、実行していただきたいというふうに、意見を申し述べまして、外務大臣のこれに対するお考えを伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 私どもは、もとより、世界の平和、特にアジアの平和ということに対して重大な関心ばかりでなく致命的な関係を痛感いたしておるわけでございます。アジアの平和をどういう条件のもとで維持していくかということに基本的な関心を持つと同時に、日本の基本的な利益との関連においてこれを重視しておるわけでございます。イギリスの例を御引用になりましたけれども、イギリスは対アジア関係におきましてはもっともっと私どもより身軽なお立場におられるわけでございまして、イギリスの御意見は御意見として拝聴いたしておりまするけれども、私どもはアジアの平和をどういう状況のもとにおいて具現していくかということを導きの骨子といたしまして、いま御指摘の代表権の問題ばかりでなく、アジア外交全体を考えてまいるつもりでございまして、それを日夜検討を進めておるわけでございまして、いま穗積委員の御意見は御意見として拝聴いたしましたが、私どもが立っておる立場、私どもが指向いたしておる方向、そういうものはいま申し上げましたとおりの考えで進んでおるわけでございます。
○穗積委員 最後に答えていただきたいのは、実は私の方の森島委員がこの前から例の原子力潜水艦寄港問題に対する日米政府間の往復文書を全部まとまらないならば中間報告でも早く出すようにということを要望されまして、野田委員長がそれは理事会にかけてというので、きのうの理事会で実はそれを外務省に要望するということを取りきめていただいたわけです。これは委員会で森島委員から具体的に提案をされた問題でもあるし、その後の経過はいま申し上げたとおりで、委員長からお聞きいただいても間違いないわけでございますから、至急ひとつ文書をもってこの委員会に御報告をいただきたい。あとから追加があれば随時追加していただけばいいと思いますが、そういうふうにお取り計らいいただけることを期待いたしまして、大臣の御答弁を願っておきたいと思います。
○大平国務大臣 森島先生に御約束申し上げました点は今日の段階においてまとめましたものをいま整理いたしておりますので、遠からず本委員会に文書で出します。
○野田委員長 細迫兼光君から関連質問の申し出がありますから、これを許します。 細迫君に御注意申し上げますが、もう一人おられますから、時間の関係でなるべく簡略に関連質問をお願いいたします。
○細迫委員 ただいま穗積委員と大臣との質疑応答を聞いておりますと、中国に対するプラント輸出延べ払いの問題について前向き前向きと口ではおっしゃいますけれども、どうも足が重い感じを受けるのです。ところで、一方韓国に対してはどしどしプラント輸出延べ払いの話でもって物が行っておる。また、これの準備行動と言ってもいいのですが、韓国から技術者養成ということで韓国の青年をこちらに呼び寄せて養成しておる事実がたくさんあります。たとえば、滋賀県の石山の東洋レーヨンとか、あるいは横河橋梁だとか、韓国の青年を受け入れて養成、教育しつつある。これは前向きとはおっしゃらないけれども非常に前向きな姿勢でもって取り組んでおると客観的に見れる。同じく国交未回復の国同士でありますが、少なくとも一客観的に見て支払い能力などにおいてとうてい韓国の比でない中国に対して足が重い。韓国には非常に足が軽い。少なくともこれは均衡を失した御方針であるという気がいたしますが、少なくとも韓国と比較いたしまして非常に足が重く、足がおそい。これらの客観事実を見て、私は御言明にもかかわらず前向きの姿勢に一まつの不安、疑惑を持つのでありますが、通産省からも見えておるようですが、韓国とのこれらプラント輸出の計画、事実延べ払いに対する話し合いというものがどういう状況になっておるか、お示しを願いたい。
○大平国務大臣 対韓関係では、細迫委員も御承知のとおり、オープン・アカウントの帳じりがまだ決済になっておりません。したがって、いろいろ経済協力のお話が民間ベースであることは事実でございますが、この問題が決着がつかないと政府側が動き得る段階にならないわけでございます。そこで、例の対韓債権の処理につきまして私どものほうから一つの提案をいたしまして、先方がそれに対案を出してきましたが、私ども満足がいきませんので、いま私どものほでその決済条件を詰めておるわけでございます。これがはっきり決着がつきますと経済協力に踏み切っていいと私どもは判断いたしております。中共に対して足踏みがちで、韓国に対して前向きであるというのでなく、外交は全部前向きでございます。どの地域に対しましても一、どの案件に対しましても一後退などはあり得ないわけでございまして、全部前向きで鋭意進めてまいるつもりでございまして、いろいろ区別して考えておるわけじゃございません。
○細迫委員 通産省には韓国に対するデータはありませんか。
○谷敷説明員 きょうは持ってきておりません。
○野田委員長 受田新吉料。受田君に申し上げますが、大臣は十二時に退席予定でございますから、その含みで御質問願います。
○受田委員 了承して質問さしていただきます。 私は、きょう、主として大臣に御答弁を願う問題点として、いま韓国の政情が非常に不安定であるという前提のも一とに立つ政府の日韓交渉の経緯、特に今後の対策の荒筋をお尋ね申し上げ、わけて、事務的にその交渉が継続できるであろうと言われる漁業協定の進行状況、見通しを伺いたいと思います。さらに、いま一つ、沖繩におきまして先般日本の一般市民を米国の軍用車がひき殺した事件の判決が無罪にされております。この問題については琉球住民のみならず一般日本国民が非常に不安を抱いておりますので、この問題に対する政府の見解をただしたいと思います。 最初に、大平外務大臣は日韓交渉に非常に熱意を入れておられるのでございますが、現状において相手方である韓国の政情をどういうふうに見通されておるか、及び、これに対して日本政府としてこの日韓交渉をどう進めようとされておられるかの御意見を承りたいと思います。
○大平国務大臣 たびたび申し上げておりますように、韓国の軍政がいついかなる形で民政に移管するかということに関連いたしまして、政治活動が認められ、政党が結成され、韓国の民意が進んでいく段階におきまして、振幅の激しい動揺を経験いたしましたことは御案内のとおりでございます。これはあくまでも民政への過程における産みの苦しみであるということを申し上げたのでございます。いままだ民政移管への過程を経験しつつあるというように判断いたしておるわけでございまして、私ども一の基本的な判断は別に変わっておりません。したがって、日韓交渉に臨む態度といたしましても、前々から申し上げておるとおりの基本の姿勢を持っておるわけでございます。すなわち、先方からいまわれわれの前に横たわっているいろいろな懸案につきまして合理的なまた建設的な御提案がございますれば、いつ何どきでもそれに対して検討の用意があるということは、先方に伝えておるわけでございます。いま御指摘の漁業問題でございますが、いまの段階は、漁業の問題について先方の御提案を期待しておるというのがいまのわれわれの立っておる立場でございます。承るところによりますと、先方におきましても、リーズナブルな提案に国論をまとめたいということで、いろいろの苦心がなされておるようでございますが、まだ具体的にこちらにこの案でどうだという御提案を接受するまでには至っていません。しかし、私どもは強く期待いたしておりますので、これから参りますれば鋭意検討を進めたいと思っております。
○受田委員 外務大臣は、この韓国の政情に対する見通しは困難であると見ておられるのか、ある程度見通しとして楽観をしておられるのか、これをはっきりさしていただきたいと思います。
○大平国務大臣 韓国の統一を守り安定を確保していくというのは韓国の問題でございまして、それは、独立いたしましてからどの国も押しなべて経験いたしますように、いろいろな困難があることは当然だと思うのであります。やむを得ないことだろうと思うのでありますが、私どもといたしましては一日も早く安定に向かうように希望いたしておるということでございます。
○受田委員 私たちは韓国の政情の非常に不安状態にあることをしばしば指摘したわけでございます。にもかかわらず政府は日韓交渉を依然として推進するという立場をとっておられるわけなんですが、具体的にお聞きいたしましょう。例の李ラインの問題については、われわれの強い主張にかかわらず、韓国の反政府的な立場の人々は非常にこれに対して反対を主張していることがはっきりわかるのでありますが、こうした李ラインという、日本国にとってはきわめて経済的に利害関係の多いこの問題について、外務大臣としては引き続き李ラインの撤廃という問題については強力な主張を続けておられるのかどうか。これは、交渉の過程の問題としても、今後の政府のとるべき施策の問題としても、あなたの御所見を承っておかなければならないのであります。
○大平国務大臣 懸案の合理的なまた国民の納得のいく解決をするということでございます。したがって、いま御指摘の李ライン問題というものも、国民の納得のいくように解決すべきものでございます。また、しなければならぬという従来の決意に変わりありません。
○受田委員 あなたはそうおっしゃいますけれども、現に韓国の一般国民の中にはそういう非常に強い反対の空気があふれておるという立場で、見通しは立ちますか。
○大平国務大臣 韓国にも朝野いろいろの意見があるのは当然じゃないでしょうか。日本におきましても日韓会談についていろいろな意見があるわけでございます。そういうことに一々とらわれておってはいかぬと思うのでございまして、先ほど私が申しましたように、基本的に懸案の解決は合理的で納得のいく線に持っていきたい。そうして、漁業問題につきましては、いまこれを討議する段階に来ておるので、先方からの合理的な御提案を待っておるというわけで、御提案が参りますれば、検討するということでございます。受田さんの御心配の点は韓国の人が心配することでございまして、私のほうといたしましては先方からの公式な御提案を待っておるということでございます。
○受田委員 私は大平さんも内心非常に苦労しておられると思うのでございます。大体、韓国の政情に対しては、明るい見通しがあると判断されるか、暗い見通しと判断されるか。このくらいのことは、一国の外務大臣として、こういう重大な会談を企画されたお立場の人としてはお持ちになっておらなければならないと思うのです。その結論をひとつ……。
○大平国務大臣 明るい未来であることを心から願っておるわけです。
○受田委員 願っておるということと現実とをはっきり区別して御答弁願いたい。現実はどう御判断されますか。
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、民政移管への過程を、いろいろ紆余曲折はございますけれども、民政移管へという大道をともかく進んでおる、遠からず移管を見るであろう、デモクラティックな国として、ああいうすぐれた素質を持っておる韓国の方々でございますから、その良識によって民主的な政府をつくられるものと私は確信しております。
○受田委員 私、この機会に、韓国に真に誠意があるならば、現に不法拿捕されている漁船また船員、こういうものを日本に返還するという熱情は、これは日韓交渉とは別個の問題として当然解決すべきじゃないかと思うのでございますが、わが党からもこの三月にこの不法拿捕の漁船並びに船員の即時返還を要求することを政府に申し入れてあります。この交渉は日韓交渉とかね合いでなければ解決できない問題ですか。日本の国民の身体、財産に韓国側の不法行為によって損害を与えた問題が、日韓会談の交渉の過程で一括して論議されるというような筋合いのものでないことは、きわめて明瞭だと思うのですが、大臣、いかがでございますか。
○大平国務大臣 現在抑留船員は一人もいないと思います。五月十六日の記念日に、残留されておった方々、みなお帰しをいただいたわけです。問題は、私はこう考えるのです。受田さんも政治家だから御理解いただけると思うのですけれども、現実に日韓関係というのは今日ただいまあるわけです。生きた関係があるわけでございまして、これをよくするには、やはり両国民の間の理解が進んでいかなければいかぬと思うのです。何か心につい立てがあって、ざっくばらんに話ができない、何かつかえるものがあるというような状況ではよくないわけでございますが、私が見ておるところ、最近日韓の両国民の接触の過程におきまして私どもが感じておることは、日本に対する先方の国民の接触する態度から、相当理解が進んできておると思うのでございます。したがって、李ラインを中心にいろいろなトラブルがしょっちゅう起こるというようなことは、われわれの到達した理解から言っておかしなことではないかというような雰囲気、そういう雰囲気が醸成されてくるということは、非常に大事なことだと思うのでございます。そこで、私といたしましては、そういう理解が進むに応じまして、両国の間でトラブルが起こるというような根源がないように、そういうようなものをだんだん除去していくように、国交正常化の前といえども鋭意努力してまいらなければいかぬ。幸いにそういう方向に事態が全体としていっておるというように思っておりまして、いま御指摘の抑留の漁業者も、いま一人もいないはずでございます。
○受田委員 韓国側の不法行為によるところの日本人の身体、財産に対する損害というものの賠償要求というもの、これは日韓会談とは別個な問題として当然取り上げるべき問題だ。したがって、あなたの多年の御主張であるところの一括討議などという形のも一のではない。これは従来の経緯から見て全く別個の問題ですから、そういう形で処理されるべきでないかということを特に私はあなたにお尋ねしておるわけです。
○大平国務大臣 これは戦後起こった問題でございますから、受田さんのおっしゃるとおり、別個の問題です。あらゆる懸案と一括して解決するのだということを私は一再も言うたことはございません。また、拿捕があった場合には、そのつど賠償請求権を留保いたしてあるわけでございます。ただ、問題は、いまから漁業交渉に入るわけでございますから、この問題も漁業問題との関連を持っておりますので、今後漁業交渉の場合において別個の問題として解決せねばならぬと思っております。
○受田委員 これは別個の問題として急いで解決する問題である。その基本線を大臣ははっきりと取り守るという立場でございますから、これをひとつ強引に進めていただきたい。 いま一つ、漁業交渉の具体的問題はアジア局長に後ほどお尋ねいたしますから、それでおくとしまして、外務大臣として、韓国との国交正常化を現実においても強く主張される立場から、この点はどうですか。韓国に日本政府の代表部を置くという問題は、これは日韓会談とかね合いの問題ではない。あちらさんのがこちらにあるわけですから、当然向こうにも日本の代表部を置かれるということは筋が通るわけですが、これは会談の問題と別個の問題として外交交渉をされる必要はないかどうか。
○大平国務大臣 先ほど申しましたように、国交の実体は、紙に書いた条約でなくて、お互いの間の理解と信頼でございますから、そういった点がだんだんと増進してまいるということになりますと、今御指摘のような問題も自然に解決してくるのではないかと思うのです。私どもとしましてはそういう話はもう先方にいたしてあるわけです。先方はまだそういったところまで気持ちが熟していないところがあると思いますけれども、しかし、これは、雪が陽光に解けるように、だんだんと理解が深まっていけば自然に解決されることになる。現に、その前、ぶれというか、先方も、入れかわり立ちかわりだけれども、常時日本の外務省の方々に来ていただいてけっこうだというような空気になってきておりますので、私は、これはやがて自然に解決がつく問題だと考えております。
○受田委員 先般も卜部参事官もおいでになって漁業交渉の話などもされておるようですけれども、そういう情勢であれば、より一そう代表部を設置して、それから交渉を前進させるという順序を追うべきではないですか。日本代表部を置くことすらもできないような国と日韓会談を円満に進めるというようなことは根底に私は非常に不安があると思うのです。まず、日本に代表部がある以上はあちらに代表部を置く。同時に、今も一お話しのように、だんだんと雪解けの方向にあるということでありますが、あちらさんは日本から代表者をお送りしても身体やあるいは生命、財産の保障ができないという言い分をかってはされておったと外務省は発表しておるのですが、今日そのことはございませんか。その理由はもう消えましたか。
○大平国務大臣 そのことはございません。つまり、戦後のうっけつしておったいろいろな心のつい立てがあったわけです。それがあったから第三者が見ていかにも非合理じゃないかというような節が悶々あったわけでございますけれども、だんだんとそういうつい立てがとれつつあるわけでございまして、先ほど申しましたように、理解が日増しに増進しておると私は見ておるわけです。したがって、こういう問題は、そうかみしもを着た交渉でなくて、やがて自然に解決されるものと私は考えております。
○受田委員 やがて自然にというような問題でなくて、現実の問題として、この日本の代表部を設置するということを解決しておかなければならないと思うのです。大体、日本のアメリカに対する平和条約の締結の当時、まだ日本に韓国の外交代表部を置いておったとき、こちらに置く以上は向こうにも置こうという覚え書きが交換されておると聞いておるのですが、その覚え書きは御承知でありましょうか。
○後宮政府委員 交換公文が当時ございまして、相互主義のもとに事実上領事館と同じ権利を持つ代表部を認めるということになっております。
○受田委員 そういう覚え書きでございましたか交換公文が取りかわされておるということでございますから、それを忠実に実行するということはきわめて大切な韓国側の責任ではないでしょうか。これが今まで十年たってもそのままになっておるのがふしぎなので、日本と交渉を始めようという韓国側の善意があるならば、代表部を置くこと、これは領事館という形のものでもけっこうですが、その覚え書きをりっぱに実行するということが韓国側の責任ではないですか。日韓交渉を善意で推し進めようとされるならば、この問題の解決は、この交換公文の実行という意味からも、私はぜがひでもいち早く実現せねばならぬ問題だと思うのです。この交換公文があるということをいま局長から御答弁になったわけでございますが、そのことを前提にして交渉される必要はないのですか。
○大平国務大臣 それはたびたびこちらからも申し入れてあるわけでございまして、相互の理解を通じて善意がだんだんでき上がっていく過程にあるわけでございますから、先ほど申しましたように、この問題は私はそんなにむずかしい問題とは考えていません。
○受田委員 むずかしい問題でなければ、いち早く解決すべきじゃないですか。このことを解決するだけでも、日韓交渉の前途に非常に明るい希望を持てるわけです。その一事すらできないようじゃ日韓交渉をやる必要がないような向こうの状態です。この第一歩を踏み出すこと、そのことが、やがてやがてというようなことで希望をつなぐような形でなくして、そのことを中心に外交交渉をされてはいかがですか。さしあたりあなた方のお立場でおやりになる道としては非常に大事なことだと思うのですが、大臣、私の主張を採用して、特にこれをまず片づけていくというような御所見はないですか。
○大平国務大臣 受田さんの気持ち、よくわかりますし、あなたの主張されることも正しいと思います。問題はそれをどう実現させるかという問題でございます。日韓の問題はなかなかむずかしい問題でして、過去十一年もかかっておるわけでございまして、どうしてお互いの理解に立ったおつき合いに持っていけるかということで十一年もかかっておるわけでございます。しかし、私は、先ほど申しましたように、この問題を早くかつ納得がいく解決をするには、どういたしましても、条約の文言、条件というようなことも大事でございますけれども、根本は、やはり、目に見えぬお互いの理解、善意、信用という問題だろうと思うのでございまして、そういうものを醸成していくことが、われわれが交渉に当たっておる場合の一つの大きな目的なのでございます。したがって、そういう環境が、だんだんとできつつありますことに希望を持っておるわけでございまして、はやる気持ちはよくわかりますけれども、私どもがやっているような方向でやるのが結局一番早い道じゃないかと私は見ております。
○受田委員 はやる気持ちはわかるということでございますが、私は、現実の不安定なる韓国の政情から言って、日韓交渉は停止して向こうの解決の日を待つべきであるという提案をしておる立場の一人でございますから、いま交渉を継続することには賛成していないわけです。ただ、現実の問題として、代表部さえも引き受けないような国と交渉すること、そのことに問題があるということを指摘しておるので、はやる気持ちじゃないのです。当然のわが国の要求じゃないですか。基本的な要求ですよ。それさえもなし得ないような日本の外交陣容というのでは、これはさみしい限りです。たよりにならない。大平外相ともあろうものがもう少し何か一つ日韓交渉で一歩一歩前進するとりでを確保されたらどうですか。このことは一番早い問題の一つだと思うのです。これ以上あなたに答弁を要求しません。そういう線で外交を進めてもらいたい。 最後に、あなたのお時間が迫っておりますから、もう一つお聞きしておきたい。それは、沖繩に対する純然たる経済援助の予算額は三十七年度において七億円、このうちでまだ一億円くらいしか使われてないというこの現、実の問題、これをあなたはどう処理していこうとされておるか。基本的なお考え方、具体的な今後の施策をお述べ願いたいと思います。
○大竹政府委員 三十七年度の沖繩援助費約七億円のうちで、一億円ほどが使われ、あとは残っておるというお話でございました。先般受田先生に御説明申し上げました当時におきましてはそういう状況でございましたが、その後促進いたしまして、ただいま、現在のところでは、七億円のうち、一事業を残しまして、事業の承認と申しますか、そういう手続を全部完了しております。ただ、実際に政府の資金を琉球政府に渡しますのは、向こうが事業を進めまして、金が必要になった時期に渡すわけでありまして、大体この時期は私ども六月ないし七月を予定しております。ほとんど全額がごく近い機会に渡る、こういう状況になっております。
○受田委員 日米経済委員会というようなあちらとの御相談の会があるわけですが、そういうところでも具体的な仕事をされておるかどうかという問題がある。そうして、いまの七億のうち七月ごろまでには大半を渡すことができるだろうというお話でありました。これは一応明るい見通しとして、先般お尋ねしたときよりも前進したことに対して政府の努力を一応認めます。 そこで、大竹さん、あなたもこの間沖繩に行かれましたね。行かれた以上は沖繩の実情にも一よく通じておられると思いますが、この間、五月十何日でしたか、日本人である沖繩人、一般市民が、アメリカの軍用車によって轢殺されて、この事件の判決がされております。これは軍事法廷ですか、この判決を見ますと、無罪ということになっておる。このことは、日本の刑法で重罪に処せらるべきものが無罪赦免となったところに重大な問題が一つあると思う。この轢殺事件及びこれに対して政府がとられた態度についてただしたいのですが、大竹さん、その経緯をごく簡単に説明していただいて、そのあとで大臣から、司法権を維持すること、日本人である沖繩人の不安を一掃するという点についての施策を御説明願いたいと思います。
○大竹政府委員 事実の内容を申し上げます。 二月の二十二日であったかと思いますが、午後四時過ぎ、那覇市内の大きな交差点がございますが、そこで学校帰りの中学の生徒が轢殺されたという事件がございます。ぶっつかりましたのはアメリカの海兵隊のトラックでありまして、海兵隊の荷物を港まで運びまして、その帰りに交差点でぶつつかったという事件であります。 その後、四月三十日と五月一日の二日にわたりましてアメリカの軍事法廷におきまして公判が開かれまして、その公判には、当時一緒におりました中学生数人と、引率しておりました学校の先生、それから目撃者、あるいは当時診療いたしました沖繩の医師、そういう人たちが証人に出て裁判が行なわれたわけであります。その結果、五月一日に無罪の判決が出ております。その後、沖繩の現地におきましては、各方面に相当な反響を呼んでおりまして、いろいろな団体からアメリカ側に対して抗議が行なわれております。沖繩の立法院におきましてもこの問題を取り上げましていろいろ調査をしておるのであります。今日は琉球政府と琉球立法院の両方から裁判記録の内容というものをアメリカ側に要求いたしておるようでございますが、今日までのところ、まだその記録が手に入ったということを聞いておりません。 新聞などの報道によって見ますと、無罪になりました理由は、不可抗力と申しますか、そういうふうに判定されたのではないかというふうな推測をいたしておるわけであります。ゴー・ストップがありますが、それがうまく確認できないような状況になっておった、過失がなかったということで、起訴されました理由は過失致死で起訴されておるのでございますが、その過失がなかったと申しますか、不可抗力であったという判定のもとに無罪になったのではないかというふうな推測が一般に行なわれておるようでございます。一方、沖繩側の多数の人たちは、当時の実情からいたしまして、不可抗力ということはあり得ない、赤信号になったところをそのまま突っ走って事故を起こした、あまりひど過ぎるじゃないか、こういうことが抗議の理由になっておるようであります。 私どもといたしましても重大な関心を持っておるわけでございます。やはり正当に判断いたしますためには正確な記録を見る必要があるわけでございまして、その記録を求めておるわけでございますが、今日までまだ手元に入っておりません。外務省にお願いいたしまして、外交的にできますものならば手に入れたい、そういうふうな進め方をいたしております。
○受田委員 大竹さんからの経過報告を受けたわけですが、外務大臣、私は一ここに非常に大きな問題があると思うのです。沖繩の軍事基地の外、すなわち一般市民の通る道で、向こうさんの軍用車が日本の国籍を有する沖繩人を轢殺したという事件です。いまのような不可抗力による処理などということが考えられる問題ではない。重大な問題です。もし日本でこれが行なわれるならば、これはいち早く重罪に処せられる筋合いのものです。悲しいことに施政権が日本に返っていないという現状でこれを黙殺したとするならば、一体どうなるのですか。われわれの親愛なる同胞、沖繩住民の皆さんが、アメリカの一方的な判断で軍事法廷で処分されておるということを聞いたときに、どんなに不安を抱いておることでしょうか。善良なる日本市民を擁護するために、日本では現にアメリカさんが一般国土において日本人に危害を加えた場合には日本の刑法で処分されておる。沖繩では、まだ一方的に、治外法権的に、独裁的に、こういうとうとい人命を失っても、平然と不可抗力などというかってな理屈をつけてこれを片づけておる。この事態は断じて許されないと思うのですが、外務大臣として、外交上の努力で善良なる沖繩の日本住民をどういうふうにされようとしているか。なまぬるい日本外交に対して、私は非常に憤りを感じ、残念でならないのです。アメリカのやり方に対して実に痛憤を抱いておる一人ですが、こういう問題で外務大臣はどのような外交交渉をされておるのですか。この事件の処理についての日本外交の路線をはっきりとわれわれの前に示していただきたいと思います。
○大平国務大臣 事実のデータを持っておりませんので、論評することは避けたいと思います。
○受田委員 そういう簡単な問題じゃない。沖繩の住民は日本人である自覚を高らかに持っておる。そうして、沖繩における政治のやり方は、アメリカの一方的な施策、あるいは司法権までもこうして侵されておるということになるならば、一体沖繩の日本人をどう擁護していったらいいかということになろるわけです。この事件の記録を見てやうなんという問題じゃなくして、日本の外務省の努力で、基本的な立法、司法、行政の三面にわたる住民擁護のはっきりした方針を持って交渉に当たっていただきたいのです。資料を見てやろうという考え方でなくして、現実にこういう問題が幾つもころがっている沖繩の不安感を一掃し、日本国民の不安感を一掃するために、外務省の徹底的な努力を要望しておるわけです。大臣、その点についての御答弁を願いたいのです。
○大平国務大臣 その御質問は、沖繩の地位全体の問題の御指摘だと思うのであります。これは、たびたび私も本委員会で申し上げておりますように、第二次世界大戦のあと、わが国も敗戦を経験して、平和条約という約束で国際社会に復帰したわけでございます。この平和条約というのは全体の評価といたしましては、個々のアイテムにつきましていろいろ不満の点がたくさんあるし、沖繩問題もその一つでございますが、全体として、あの当時の状況におきまして、日本はこの条件において国際社会に復帰するのが基本的利益だと当時の先輩が判断しまして平和条約によって国際社会に復帰するという選択を行なったわけでございます。そして、そのことは、十年間を経過いたしまして、総体として賢明な判断であったと私どもは考えております。したがって、沖繩問題の解決というのは、私どもが国際社会に復帰する場合にそういう犠牲を甘受しなければならなかったことに思いをいたさなければならぬわけでございまして、それだけに沖繩の同胞に対しまして私どもは非常に精神的な義務を感じておるわけでございます。したがって、根本的には沖繩の施政権が日本に返る状況をつくってまいらなければならぬわけでございますし、いまおっしゃるとおり、日本の国法の規律のもとに御復帰願うようにしなければならぬわけでございます。これは沖繩政策の根本でございます。したがってそれをどういうように具現してまいるかということを考えてみた場合に、受田さんも御承知のように、施政権を平和条約によって確認されたアメリカがいま立法、司法、行政の三権を行使されておりますけれども、しかし、このアメリカも潜在主権をはっきり認めるばかりでなく、アメリカ政府当局も、日本に復帰することを容易にするために、そのときの困難を少なくするために、日米協力して沖繩の施策を進めようじゃないかというところまで来ておるわけでございまして、私どもはこの敷設された軌道に沿って忠実に誠心誠意やりまして、施政権者であるアメリカの理解と協力を求められるような状況をつくってまいることが、私どもの基本の方針であるわけでございます。そういう基本の線に沿って個個の案件を誠実に解決してまいるのは私どもの任務であろうとも考えております。
○受田委員 これで終わりにしますが、大臣あなたはいま私の質問している。ポイントをちょっとはずしておられるわけだ。アメリカの基地外で、一般の沖繩住民の地域で行なわれた事件は、たとえそれが米軍のやった行為であろうとも、琉球の立法院のつくった法律で沖繩の裁判所で処理されるべきです。日本ではそういう形で行なわれておるのですから、日本の形を沖繩へも一及ぼすような形でやればこの問題は解決しておるはずなんです。 〔委員長退席、正示委員長代理着席〕 それが、沖繩だけまだ依然として、軍事基地内の事件と同じように、基地外の事件も一アメリカの軍事法廷が処理するなどという、こういうとんでもない封建的な制度を生かしておるということは、私は残念だと言うのです。なぜ日本と同じような形で沖繩のみずからの裁判所の手によってこれが処理されないか、このことを私はお尋ねしておるのです。
○大竹政府委員 ちょっと事実を簡単に申し上げたいと思いますが、日本の国内におきます場合は、駐留のアメリカ軍がそういう問題を起こしました場合に、基地の中でございましても、基地の外でございましても、その行為が公務上の行為に発生いたしておりました場合は、やはりアメリカ側の軍事裁判にかかる、こういうことになっておるわけでございます。
○受田委員 大臣、公務上の問題として取り扱っていくというものじゃなくして、この場合は一般市民に対して被害を加えたわけでございますから、公務上の問題ではないですよ。それから、公務の問題として片づけていけば、日本の国内においても基地の内外を問わず公務と称してやれば何でもできるわけで、そういう逃げ道による処理が沖繩では全く野方図に展開されているという問題です。この点について、大臣は、沖繩を全く純然たる日本と同じような施政の形に持っていって、たとえ施政権が返還される前においても、教育においても、文化においても、司法権においても一、日本の形になぞらえておぜん立てをしておく必要があると思うのです。そこを外務大臣としてどういうふうに交渉をされて、現実の沖繩の施政の形を日本の形に転換させるような努力を交渉の上でなさっておるか、また、今後されようとしておるのか、お伺いしたいのです。
○大平国務大臣 施政権復帰という最大目的を持って、現実にその時期を早めその困難を少なくするために努力いたしておるわけでございます。現在は、受田さんも御承知のとおり、アメリカが施政権を持っておるわけでございまして、これはみなアメリカの問題なのでございます。日本との関係におきましては、先ほど申しましたような沖繩政策の路線に従いまして精力的に進めてまいるということでございます。
○受田委員 大臣はお帰になりますから、大臣にかわる答弁は飯塚政務次官にお願いすることにして、もう一、二問、五、六分ほど時間を借りたいのですが、この日韓交渉の一つである漁業交渉、この漁業交渉で向こうが出そうとしている第二次案なるものは一体どういうものであると承っておられますが。アジア局長の方で、向こう側の新しい提案というものがどうされようとしておるかという事態について御答弁を願いたいと思います。
○後宮政府委員 まだ向こうから第二次案の全貌を提出しておらないので、向こうの新聞等に出ている情報等で主として判断するほかない現状でございますが、少なくとも、李承晩ラインのほとんどを現状どおりに維持するというような従来の案に比べますと、大幅に日本側の案に歩み寄ろうとする努力をしているということは、向こうの代表も言明しているところでございます。他方、韓国の零細漁民が、この李承晩ラインの撤廃による日本漁業の進出によって生活権が脅かされるというような脅威を感じておりますので、日韓漁業の共存共栄、それから韓国零細漁民の生活権の維持というような点について実質的な公平と保護が確保せられる、そういうことによって韓国人の漁民の関係者に安心を与えながら、一方制限廃棄の問題でも徐々に日本案に近づいていく、そういうふうな腹案を持っておるやに察せられます。
○受田委員 この間卜部さんも行かれたわけですが、あちら側の意向として、新しく共同規制区域を設けよう、こういう考え方はもう固まっておるんじゃないですか。提案をされるまでもなく、こちらから行かれた外務省のお役人さんの現地調査などによってもある程度の見通しがついているのじゃないか。その出された案に対してこちらがどうやるかということに対しての用意も要るわけですからね。私は、現在進行しておるところの第一次案に対する日本側の考え方と、第二次案に対する日本側の考え方というものが十分固まって、これに対処する姿勢ができておらなければならないと思いますが、どのような案が出ても日本はこれに対処することができる、そういう交渉が必要だと思うのです。第二次案というものの実体について、共同規制区域を設けようという案はまだ固まっていない案だという御判断ですか。後宮政府委員 共同規制区域の問題については、まだ具体案の提出を見ておりません。ただ、こちら側といたしましては、十二海里の専管漁業区域の外に共同規制区域等を設けることについては反対の態度をとっております。少なくとも科学的な試験調査によってそういう共同規制区域を設定する必要 があるかどうかという点が確認せられるまでは、現在の段階においてはそういう必要はないという見解をとっております。
○受田委員 この漁業問題では、向こうの主張とこちらの主張が違っておる、また新しい提案でそれが大きく響いてくるということになるならば、この事務的な漁業交渉すらも、日韓交渉としては前途まっ暗ということになると思うのですが、漁業交渉の見通しというものは、私がいま最後に申し上げた非常に暗い形のものになりつつあるのか、あるいは妥結への努力の方向にあるのか、これは事務当局としても大よそおわかりになろうと思いますが、いかがですか。
○後宮政府委員 韓国へ派遣いたしました外務省員の先方との接触の結果受けました印象、あるいは個々の漁業関係の小委員会において意見交換をいたしました印象から判断いたしまして、韓国側にも先ほど申しました漁民の不安を解消するとかいろいろ困難な問題もございますが、それにもかかわらず、先方といたしましては、漁業問題について日本側と満足すべき妥結に入らなければ交渉全般の妥結に日本側が応じないという点については、はっきりした印象を持っておりまして、その各種の情勢判断に基づきまして誠意を持って日韓漁業交渉を進めていこう、その誠意だけはこの際十分感得しております。
○受田委員 大体、領海を十二海里というもので規制をしょう、そのほかに四十海里というものを考えようというようなことで、ますます日本漁民の活躍する場面が狭まってくるわけですね。こういうことに対しては、もっと前進的な態度で、向こうの考えていることが現実離れした考え方に立っていることをはっきりと表明して、第二次案なんという日本が納得しそうもないようなものをどんどん持ち出すことのないように、そういう筋の通った交渉をされる必要がないですか。
○後宮政府委員 その点、十分向こうに徹底さしてございます。
○受田委員 五月の中ごろまでには第二次案を提案するのではないかというような空気もあったようでございますが、第二次案なるものの示される時期というものはまだ先へ延びるという見通しですか。
○後宮政府委員 この連休明け後の日韓漁業交渉が先週から再開されたわけでございますが、大体ここ二、三回回を重ねておりますうちに先方の第二次案なるものの大体のアイデアがわかってくるのじゃないかというふうに判断しております。
○受田委員 この共同規制水域というものは、共同で規制するということになると、日本のほうに対しても、また韓国自身もという考え方に立っておるかどうか。これは外務省としてどう洞察されておるかを伺います。
○後宮政府委員 まだ共同規制地域に関する具体的の先方の提案がございませんので、この点はっきりいたさないわけでございますが少なくとも、わがほうといたしましては、一方的に日本側だけが規制を受けるような名目だけの共同規制という規制方式は、他の国際漁業交渉にも影響いたしますので、これだけは絶対に避けたいという方針を持しております。
○受田委員 外務省の態度がはっきりしておりますので、一応質問をこれだけで終わっておきます。
○正示委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十二分散会