外務委員会 第11号
- 発言数
- 131 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/03/27
会議録
○安藤委員長代理 これより会議を開きます。 委員長所用のため、指名によりまして理事の私が委員長の職務を行ないます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。 松本七郎君。
○松本(七)委員 きのうの本会議で日韓会談についての緊急質問を行なったのですが、総理大臣の答弁、もちろん外務大臣も聞いておられて奇異に感じられたと思う。もしこれを奇異に感じられておらないとすれば、少し国会議員としての感覚がぼやけているのじゃないか。今までの池田内閣の日韓会談に対する方針、それに基づいた国会における答弁、特に最近における答弁の移り変わりを見ていると、議院内閣制をとっている日本の政府が、国会での答弁をもっと真剣にして、国会を通じて国民に話をし、国民に政府の方針なり時の政府がとっている考え方を明らかにするという態度が私は欠けておると思う。国会で、答弁でその場をのがれていればいいというような態度が明らかに見える。というのは、きのうの総理大臣の答弁にこれは非常によく出ていると思うのです。具体的に今言いますけれども、外務大臣の答弁にもそういう点が考えられるのは、この間参議院の答弁で、今度の軍政四年間延長の問題で話されたときに、今の状態では、今の韓国朴政権に、合理的な提案、それからそれを妥結する能力がないのではないかという疑いを持たれた答弁をしていますね。今、それ以後、韓国の政情というものはますます混乱に陥っている。それにもかかわらず、依然として、今度はとにかく交渉はやるんだ、こういう態度。特に総理大臣の答弁を見ますと、きのうは、注目すべき点は、軍政であろうが何であろうが、そういうことはかまわないんだ、それが一つですね。それから、もう一つは、とにかく合法的でありさえすればいい、こういうことでしょう。合法的な政権であれば、それがどういう成立過程であろうが何であろうが、そういうことはかまわずにとにかくやるんだと言う。ところが、それは今までの答弁からすると今度は全く逆な答弁になってきている。それから、きのう言われたもう一つ大事な点は、民政移管ということは交渉の条件ではないんだ、こういうことを言われましたね。ところが、大平外務大臣は、小坂さんと途中からかわられたから、はたしてどれだけ池田総理の国会における答弁を詳しくずっと経過を御存じかどうか、私は知りませんけれども、いやしくも、小坂さんのあとを継いで、そして新しい方式をもって日韓会談に乗り出した以上、やはり、内閣としての今までとってきた態度くらいは当然知っておられると思うのですね。 だから、この際、そういう観点から少しはっきりしておきたいのは、第一、朴正煕を中心にしたあの軍事クーデターが起こったときに、私どもは、この政権は第一には非民主的な性格を持っている、それから、非合法的なものである、それから、非常に不安定な政権である、そういう政権を相手に日韓交渉を進めることが、両国国民の利益の観点からしても非常に危険だ、こういう観点から質問をずっとやっています。速記録を調べてもらえばよくわかる。そのときに政府の一貫して答弁されてきたことは、おもな点は大体三つある。それは、一つは、非合法的ではないということで、その合法的な政権だという理由としてあげられたのが何かといえば、大統領が依然としてあるということなんですね。尹大統領は選挙によって大統領になったので、その大統領が依然として存続しておるということ。これは速記録を見てもはっきりしておるように、朴政権が合法的だということの根拠としてこれをあげられたのです。それから、非民主的だという私どもの批判に対して、政府の言われたのは、いや、これは民政移管が約束されているのだ、民政移管ということをもって、このクーデターで政権を取ったけれども、朴政権は民主的なもので、非民主的なものと断定するのは早い、民政移管を約束しているのだから、これは民主的なものとして考えていいのだ、こういう説明だったわけです。それから、不安定についての説明としては、外国が何十カ国これを承認しているからとか、そういうこともあげられておる。しかし、これはむしろ日本の自主性の欠除を暴露するような説明であると私どもは思うのですけれども、外国がどういう態度をとっておろうが、一番大切な点は、日本政府として説明してきたことは、大統領がいる、依然として選挙で選ばれた大統領がいるじゃないか、もう一つは、民政移管するんだから、そんなに非民主的なものではないんだ、こういう説明をずっとやってきているのです。その大統領が去年の三月二十四日にやめたのです。この朴正煕のやり方というものは今後憂慮にたえない、民政移管は一応約束しておるけれども、これはただ軍服をせびろにかえるだけの形ばかりの民政移管であって、これは本来の民主主義を逸脱したものとなるのではないかという不安を述べながら、大統領は自分はとても責任を負えないと言って昨年の三月二十四日にやめたわけです。だから、日本政府が今までこの朴正煕と交渉することの根拠としてあげておった合法政権だという唯一の理由である大統領というものがなくなったわけです。そのあとの説明はそれじゃどうかというと、その肝心の大統領がいなくなったものだから、今度は民政移管一点ばりで説明してきているのです。ずっと速記録を調べてごらんなさい。ところが、今度その民政移管そのものが延期されようとしている。これは革命のときの公約違反であり、あのときの朴正熈の公約は、必ず軍部は国防の任務に専心する、政治には関与しない、こういう約束であったのが、一向そういう方向に向かわないというので、むしろ革命勢力の中から批判が出てきて、今日の事態を招いたわけでしょう。そして、もう民政移管さえ今度は軍政四年の延長でどうなるかもわからないというような状態です。こういう状態になったものだから、しかも政府はなお交渉を何かの理由で続けたいという腹がおそらくあるからでしょう、きのうの池田総理大臣のように、軍政であろうが何であろうが、そんなことは問わない、民政移管は交渉の条件ではないのだ、こういうことを公然と言われるようになった。こういうことになると、私は国会の審議というものは何の意味があるのかということにならざるを得ないと思うのです。 これらについて、外務大臣は、一体、今までの池田総理大臣あるいは小坂外務大臣がとってきた、内閣として国会に答弁してきたことにどれだけの責任を持たれるのか、私は疑わざるを得ないのです。あなたはこれらをよく調べておられるのかどうか、そして、それでもなお昨日言われたような答弁が、正しいと言われるならば、それをわれわれに納得のいくような説明をこの際していただきたい。
○大平国務大臣 内閣が国会を通じて表明いたしました日韓交渉に対する態度というのは、終始一貫いたしておると思うのです。民政移管ということが交渉の条件であるというようなことは一切申し上げておりません。私どもは、先方が宣明いたしておりまする民政移管ということが一日も早いことを希望いたしております。その時期、手順等につきましては今なお問題がありますことは承知いたしておりますけれども、先方も民政移管という旗をおろしたとは承知いたしておりません。が、しかし、これは、この政府は非民主的じゃないかという御批判にこたえてそう申し上げたわけでございまして、交渉自体は合法政権とやっておるわけでございまして、民政移管を標榜しておるからやるのだという意味の発言は、私はそういう国会に対する御答弁を申し上げたことはないと確信いたします。 それから、合法性云々の問題は、尹大統領のもとで革命政府に対して合法的に政権が授受されたということでございまして、この政権の授受が終わって尹大統領が辞任いたしましても、その効力には影響がないと考えておるわけでございます。 それから、不安定云々の問題は、御承知のように、振幅の激しい動揺を今来たしておりまするが、そのことは、私が国会で申し上げたのは、われわれが今やっておりまする交渉の実質的な進展というものを期待し得る状況ではないということでございまして、一日も早く安定して、先方から建設的な接触が行なわれることを希望しておるということは、終始一貫申し上げてきておるところでございます。
○松本(七)委員 民政移管を条件にするというような言葉づかいはしてない、これは確かにそうでしょう。けれども、今までの国会において政府が繰り返し繰り返し答弁されたことで重要な点は、やはり民政移管ということを非常に重要な要素として説明されたことは間違いない。また、今日でもそう思っておられるのでしょう。そうだとすると、今日の段階で、あのように民政移管そのものがどうなるかわからないような状態にある場合に、日本政府の期待される韓国の言う民政移管というものは、この時点において具体的にはどういうことなのですか。
○大平国務大臣 いつどういう形で民政に移管するかということは、韓国の問題でございまして、私があなたに対して答え得る課題ではないと思うのです。私どもといたしましては、できるだけ早く民政に移り、かつそれが安定することを希望しておるということ以上に、日本政府として申し上げることは適当でないと思います。
○松本(七)委員 そうすると、今日の事態で、形式的に言えば民政移管がかなり順調にいきそうになった大詰めに来てああいうふうにつまずいたということについては、政府としてもきわめて遺憾の意を表明されるわけですか。
○大平国務大臣 私が残念であると申し上げたのは、民政移管が、当初先方の政府が内外に公約いたしておりましたような時期、手順におきまして円滑にいかないような事情にあることは、きわめて残念であるということでございます。
○松本(七)委員 これは、予定された民政が民主主義的であるか、あるいは今の政権がいかにファッショ的な独裁政権であるかというようなことが、あるいは妥結した場合にそれが日本の国民の将来にも影響を与えるわけですから、そういう将来の影響を考えてみな心配しているわけです。その点をもう少し真剣に考えていただかないといけないと思うのです。これは大平外務大臣になってからのことで、私もあのときに非常に傾聴したのですが、同じ自民党の宇都宮議員があなたに質問されている。このときに宇都宮さんが心配を表明されたことが、そのまま今日もっと現実の問題として出てきていると私は思う。ですから、特にこの点は大臣に十分考えていただきたいと思う。宇都宮さんが質問をしたのは去年の九月二日の衆議院の外務委員会です。その趣旨は、前提として、外交上の失敗というものは子々孫々まで国民が非常に大きな被害を受けるのだ、その失敗をやった当局は、大臣はやめればいい、内閣をやめればいいで済むかもしれない、しかし、失敗の影響というものは国民全体がいつまでも負わなければならぬのだということを、三国同盟だとかいろいろ引きながら言われて、焦点の問題としてこの請求権にしぼられてきた。例の八項目というのを韓国から出してきましたね。法的根拠のあるものに限る、こういうふうなことで小坂外務大臣時代にきめておる。それを、大平外務大臣になってから、法的根拠についての話し合いがつかないから、その方式をやめて、高次元によるいわゆる供与方式というものに切りかえたわけでしょう。だから、その切りかえでかりに朴政権との間に妥結した場合、日本の方は請求権の問題はそれで片づいたという解釈。それから、この前から外務委員会でもあなたが答弁しているように、ただその解釈だけじゃない、その協定文なら協定文で、これは平和条約四条にいうところの請求権がこれで片づいたのだということをはっきり合意した旨を協定に書くのだ、こういうこともあなたは言うわれた。そうすると、その協定を結んで、はっきりこれで請求権問題というものは片づきましたという意思表示をした相手方の政権が、やはり向こうの大衆に根をおろし、向こうの大衆に支持されて、簡単にこれがくつがえされないというある程度の保証がなければ、これは安心できないではないかということを、宇都宮さんが繰り返し質問したわけですね。そのときはっきりここで言っています。これは去年の九月ですよ。「おそらく韓国政権は今後いろいろ変わるわけです。少なくとも現有の独裁的な形が改められるということはすでに約束されている」、——民政移管の約束のことを言われているわけですが、「これは政権に対して何らかの変化があるということは間違いないわけです。」言っている。そういう変化を考えた場合に、その請求権というものを供与方式でもって解決したということになっても、後に現われた政権から未解決というような要求が出てくる心配があるのではないかということをここで表明されているのです。 そこで、革命の政権の中でも、ああいうふうに、革命のときの公約違反だというような勢力が出てきて、そうして、中心の金鍾泌さえ亡命状態にならなければならなくなった。そうして、旧政治家をどう扱うかということでまだごたごたしている。かりにこれが押えつけるかあるいは妥結によって一時しのぎができても、ほんとうに交渉相手とするには、われわれの立場より以上に自民党さんあるいは政府の交渉を促進するという立場から言っても、あれじゃしばらく静観するのが当然のことじゃないかと思うのです。それを、きのうの総理の答弁で言っても、これはとにかく合法的なものであるという解釈ができる政権でありさえすれば交渉はやるのだ、こういう答弁をやられること自体が、ほんとうに国民の利益というものを心配してこの交渉に当たっているという態度じゃないと私は思う。外務大臣もあの答弁を聞いておられておそらくそう思っただろうと思う。そういう点、ほんとうに両国の国民のために、親善友好のために、これを同じ妥結するにしても、もう少し心づかいのあふれた態度というものが私は必要じゃないかと思うのです。どうでしょう。
○大平国務大臣 その点はたびたび本委員会でも私から申し上げておるのでございますが、韓国に限らず、一般的に、外交交渉をいたし、その交渉の結果を妥結していくということをやる場合に、双方がその交渉主体としての能力を持ち、かつその妥結内容を国民的に将来に向かって保証するに足る能力がなければならぬということは、どの場合の外交交渉におきましても大前提であるわけでございまして、日韓交渉だからそういう点はぞんざいでいいんだなんということは毛頭私どもは考えておりません。ただ、松木さんに御理解をいただきたいのは、私どもは今妥結しようとしておるのではないんです。問題は、たくさんの懸案をどういう姿で解明し消化して参るかということの工夫をやっておる段階なんでございまして、そういうことは、現に懸案が存在しておる以上、そういう究明まで懈怠していいなんという理屈は、私はどこからも出ないと思うんです。私どもは、外交当局といたしまして、そういうことを究明して解決法式をどうして見出すかという努力は、あらゆる瞬間に忘れてはならないことでございますということは、たびたび私は申し上げておるわけでございます。総理がきのう御答弁になりましたゆえんも、そういった大前提は当然大前提として踏まえられた上で御答弁されておるものでございまして、あなたが御心配のような、こちらが何かぞんざいにやっちまうんじゃないかというようなことを御懸念のようでございますが、そういったことは毛頭御心配には及びませんから、御安心いただきたいと思います。
○松本(七)委員 その点を百度念を押しておきたいと思うんです。韓国の場合は、今の交渉の内容から言っても、非常に不安定要素が多いわけでしょう。前から問題になった、今も問題になった請求権が、供与法式によってでも解決したという合憲がかりにできたとしても、それも一つの不安定要素ですからね。だって、法的根拠のあるものに限るというあの態度が一致しないのだから、やむを得ず供与方式に切りかえるわけでしょう。それで、この請求権問題は解決しましたということに相手国側の政権との間には合意ができても、それじゃ、はたしてこの政権のそういう態度がほんとうにいつまでも国民に支持され認められるかというと、依然としてそこのところに不安がある。それから、もう一つは、日本側は今の政権を限定政権だと言っておる。これはもう政府が再三この委員会を通じてはっきり答弁してきたわけです。ところが、相手側の政権は決して限定政権だなんと言ってない。いや、おれの方は全朝鮮をやがては統一するんだ、統一政権だ、こういうふうな自負心を今の政権は持っているでしょう。ところが、こっちは限定政権だという解釈です。その点も協定ではっきりさせると一応は言っておられるけれども、はたして限定政権だというような言葉を使うかどうか、そこのところははっきりした答弁をまだいただいておりませんけれども、何らかの表現でそこをはっきりさせるとあなたは再三言われた。ところが、そのことについても、それじゃ、妥結したものについて、限定政権としてこれは妥結したということが、今後いつまでも別な政権に対してもそれが通用するかというと、今日のような状態を見れば保証はない。だからこそ、やはり今の相手国の実態というものをもっと考慮しながら慎重な態度をとらなければならぬ。こういうふうな不安定要素を含んだ交渉では、私は実態を考慮すべきであると思うんですね。だから、形式的にただとにかく交渉は合法政権とならやるんだというようなことを言われるから、よけい、不安定要素を持っておる相手国との交渉で、そういうことを軽々しく軽視して交渉に当たっているんじゃないかという心配が、私は依然として国民には強いと思いますよ。だから、その点は決してそうじゃないのだ、そういう不安定要素が多ければ多いほど、韓国については特に安定政権ということを重視してやるということを、やはり責任者としての大臣からこの際はっきり言明しておいていただかないと、私どもはそれは心配で心配でたまらないですよ。
○大平国務大臣 たびたび私から申し上げておる通りでございまして、軽率に問題を処理しようなんというような意図は毛頭ございませんで、慎重の上にも慎重を期して参るつもりでございます。
○松本(七)委員 それならば、引き続いて伺います。この間これは岡田さんも質問したことですけれども、金鍾泌をめぐるいろいろな疑惑も向こうではある。それから、私もきのう、言ったように、大野さんが韓国を訪問した前後をめぐって、いろいろな政治資金をめぐる疑惑というものがあるわけですね。こういうものが出てきておるときは、当然、責任者である大平さんとしても、やはりある程度の調査はされたんだろうと思いますが、どの程度の調査をされたのか、政府の調査の結果をこの際説明してもらいたいのです。
○大平国務大臣 そういうことは私ども関知いたしておりません。
○松本(七)委員 何ですか、調査をしてないというのですか、全然。
○大平国務大臣 何と言いますか、政府として調査をするという材料もございませんし、また、そういうことは韓国の中の問題なんでございまして、私どもが云々すべき性質のものじゃないと思います。
○松本(七)委員 いやいや、韓国だけの問題じゃないのです。たとえば、私がきのう本会議場で質問した永登浦の紡績工場の問題にしても、日本から技術者がたくさん行っているし、それから、あとでこれは申しますけれども、この永登浦にある紡績工場というのは、徐甲虎という人が払い下げを受けたもので、この人は阪本紡績という紡績工場を関西に持っておる人なんですけれども、この阪本紡績の顧問を大野伴睦さんはしていると言われている。これはどちらかというと私どもとあまり関係のない新聞ですが、これはあなたも読まれたと思いますが、日本政経新聞、これにも出ています。それは、これにも出ているということであって、私どもの調べたところじゃ事実らしいです。だから、そういう疑いがあれば、政府としてもやはりもっと調査をして、そうでないならばないとはっきりしてもらわなければ、疑惑というものはいつまでも消えませんよ。ただ調査する必要がないじゃ済まない。これは、つまり韓国の与党ですね、民主共和党、受持はまだ名前ははっきりしてなかったけれども、与党の結成について、朴最高会議議長を総裁として、大統領に推しその政策を支援するもので、朴議長の懐刀といわれる金鍾泌中央情報部長がその結成に当たっている、——つまり与党の結成ですよ。その発起人の中に自民党大野副総裁と親しい線を持つといわれる徐甲虎氏が顔をつらねていることは注目される、徐氏は日本名を阪本といい、大阪で阪本紡績——泰昌紡績社長をやり、資産四千億円以上といわれる資本家で、大野・金鍾泌両氏を結びつけたともいわれている、ここにこういうのが出ている。そこで、私ども、これで何か関係があるのかというので調べてみましたところが、大野さんはこの阪本紡績の顧問をしておるということが言われておる。それがもし事実でなければ、一つその事実でないことを政府の調査に基づいてはっきりしていただきたいと思うんですけれども、そういう関係があると言われているわけです。そこで、きのう私が本会議で問題にしましたのは、徐甲虎という名前は申しませんでしたが、私どもの調べたところでは、韓国の永登浦に泰昌紡績というのがあったのですが、これは四年前に閉鎖しています。そして、そのときにどうも韓国の政府所有に移っているらしい。そして、この泰昌紡績というのは米国が施設を投資してつくったものらしい。これは李承晩大統領時代に設立しています。それが四年前に閉鎖をしている。それを昨年十二月、大野さんが訪韓した前後、そのときの韓国の貨幣で四十億円と評価されておったのですが、それを九億円で、しかも五年間の分割払いでこの徐甲虎氏が払い下げを受けたのです。それほど特権的な条件でなぜ払い下げを受けたかということが韓国で問題になって、それは、この徐甲虎氏が関西で持っておる阪本紡績は大野副総裁が顧問をしている、これは大野さんと金鍾泌を結びつけたところの報酬だと向こうでは騒がれたわけですよ。そして、その上に、きのうもちょっと私は申しましたように、日本からは施設も出した。それから技術も出した。四十名以上の日本人を管理職員として日本から連れて行ったのですよ。それで、工場では常用語として韓国語をやめて日本語を強要しているということから、これはことしの二月に創業したのですが、韓国の工員がこの間からストライキで騒いでいるというような状態です。向こうでは、これが保税加工貿易方式の典型であって日本の経済進出だというような非難もずいぶん高まっているわけですけれども、こういう事態があるということになりますと、やはり、金鍾泌との今までのいろいろな動きにしても、そしてまた、大野さんが、きのうも私は触れたように、むしろ軍政の方が韓国の国民の反対を押えつけて日韓会談をやりやすいのだ、こういうことを言われると、ますますこの疑惑というものは深まらざるを得ないじゃないですか。それを、ただ、政府が、責任者が、それは知りませんじゃ、私は済まないと思う。一つ調査して下さい。しているのなら、否定できるだけの材料を出して下さい。
○大平国務大臣 外務省はそういうことを調査する立場にございません。
○松本(七)委員 何ですか、もう一ぺん言って下さい。
○大平国務大臣 外務省はそういうことを調査する立場にございません。
○松本(七)委員 それなら、内閣は外務省だけでできているのじゃない。交渉は外務省がやるだろうけれども、この交渉をめぐってこういう疑惑がある以上は、内閣全体として国民の前に明らかにする責任がある。それじゃ、調査する権限のある役所に外務大臣は要求して下さい。総理大臣を通じて要求して下さい。
○大平国務大臣 この前、予算委員会におきましての御質問に対して、通産大臣や法務大臣から、それぞれの立場から御答弁がございましたはずでございます。
○松本(七)委員 そうすると、きのう総理大臣は、経済的な関係は民間でやることだからおれは知らぬというような答弁をされていましたが、そういう動きがあってますます疑惑が深まっても、これ以上調査も必要ないと思われますか。それから、経済的な関係について放置するお考えですか。まだこれからも韓国に行こうとしているのはたくさんいますよ。私が今まで調べたところでも、ここにずっとメモをつくっていますが、団員の名前まである。もし必要ならば、私はこれをずっと出して、あなたの調査の便宜に供しようと思いますが、これ以上調べる気持があるのかどうか。
○大平国務大臣 政府の権限に触れてくる場合には、政府に申請がございましたら所管の経済各省当局が審査してきめることと思います。
○松本(七)委員 徐甲虎氏の問題は、今まで詳しい答弁は予算委員会でもやっていません。この点どのくらいあなたは調べていますか。
○大平国務大臣 私としては、そういうことを調べる立場にございませんし、そういう必要を感じません。
○松本(七)委員 そういう答弁をするからいよいよ疑惑が深まるばかりなんです。そうして、ほんとうに国民の利益というものを考えてない証拠です。疑惑があるのに、交渉の担当者である外務大臣が、自分がその立場にないからといって調べることを拒否するというような態度、それがすでにこの日韓会談の本質をよく現わしているのです。関連があるそうですから一つ……。
○安藤委員長代理 岡田君に関連質問を許します。
○岡田(春)委員 今外務大臣は、予算委員会でその点に関して答弁をしているからいいじゃないか、こういう御答弁があったのですが、それは私の関係なんですけれども、きょう中山さんは見えてないですか、経済局いないですか。——経済局の関係で、この間通産大臣の答弁したことで、明らかに私の方が正しくて通産大臣が間違っている、でたらめを言っている事実があるのです。たとえば、あなたはお聞きになっておられたでしょうが、新潟鉄工から出すといわれている五十二両のディーゼル機関車、これは延べ払いの問題があるだろうと思うが、そういう事実はございませんと言いましたね。ところが、経済局の関係でお調べ下さい。私に答弁をした一週間あとに、通産省と外務省でディーゼル機関車の延べ払いを正式に認めているじゃありませんか。この点は一体どうなんですか。あとになってから認めているというのは、そのときにもうすでにきまっていることだと思うが、そのときには知らないと言ってごまかした。予算委員会で適当にごまかしておいて、私がその問題を出したので直ちには正式決定ができなかったけれども、四、五日置いてからあのディーゼル機関車の延べ払いを認めているじゃありませんか。それは外務省だって関係局ですよ。共管事項だ。こういう事実は一体どうなんですか。延べ払いの点は、認めているということは大臣御存じなんでございましょう。
○大平国務大臣 それは承知いたしておまりす。審査いたしまして適正なものと認めたら許可するのが適切です。
○岡田(春)委員 それならば、通産大臣があのときにそういう事実はございませんと言うのは間違いだったのでしょう。外務大臣、そういうことになりますね。
○大平国務大臣 予算委員会の論議がありましたあと御申請があったものと思います。
○岡田(春)委員 そんなことを言っちゃだめですよ。申請はもっと前からあったのです。それなら私は書類を正式に出してあれしてもいいです。申請は去年からです。私が質問をしたあとに申請して三日か四日で延べ払いを認めているのですか。あなたの答弁のあれによると、三日か四日で、申請したらそれを正式に許可するのですか。そんなことは常識で考えられないでしょう。なぜ考えられないか、それは、あのときに問題になったように、あの焦げつきの四千五百万ドルの問題があるから延べ払いは認めないという政府の方針を出しているでしょう。それにもかかわらず延べ払いを認めたのでしょう。あなたのおっしゃるように、申請を出してわずか一週間足らずでそれを認めるのですか。政府の方針を一ぺんに変えたのですか。そんなことはあり得ないじゃありませんか。常識で考えてもわかるでしょう。
○大平国務大臣 申請が何日に出されたかは私はよく承知しませんが、あなたの御質問があったあとに出されたかどうか、私は具体的に承知しておりませんが、この問題は、前々から中共地域に対しあるいはインドネシアに対して延べ払いの問題が出まして、そして、従来韓国は御案内のように対韓債権がまだ未処理なわけでありますし、韓国銀行の保証なんかの問題がございまして、国際収支上まだ安心ができないというようなところで政府は延べ払いを認めていなかったわけでございます。しかし、中共にいたしましてもインドネシアにいたしましても、必ずしも為替が十分保証されているというわけじゃないけれども、この際踏み切ろうじゃないかというので踏み切った経緯もございまして、一体従来の延べ払い承認政策というものはこのままの姿でいいかどうかという点は政府で検討いたしておったわけでございます。それで、もう少し延べ払いについて弾力的な配慮を加えようじゃないかという機運は動いておりましたが、あなたが御質疑ありました当時まだ政府としては最終的にきめていない段階でありましたことは間違いございません。
○岡田(春)委員 だから、そういう事実のあったことは事実なんです。あなたは今、私に対する答弁があったあとであるか前であるはかっきりわからぬと言っておる。申請は前からなんですよ。そういう点でも、さっきあなたは、申請はあなたの答弁のあとであったのだと言われたが、この事実もあなたの答弁は間違っているのです。そればかりじゃなく、福田さんはそういう事実はございませんと言った。そのときに話は進んでいるのです。だから私知っているのです。全然ないことを私知っているわけがないじゃないですか。事実を知っているから私言っているのです。だから、知っているのにそこのときにはごまかしたのですよ。あなたが一週間後において認めたというのは、そのときにそういう事実はあったけれども通産大臣は隠したのだ、そう言われても仕方がないでしょう。私は関連ですからこれ以上言いません。しかし、この二つの点だけでも政府の答弁はいかにそのときだけの誠意のないものであるかということははっきりしている。あなたはさっき、私に答弁したあとに申請が出たと言った。速記録に残っていますよ。それをその前だと言ったら、申請が先であったかあとであったかわかりませんと言う。私がその前ですと言ったら、急にごまかした。そのようにあなたはいいかげんな答弁をしている。速記録を調べてごらんなさい。間違っておったらあなた取り消しますか。この一つの例を見たってわかるでしょう。あなたは誠意がないですよ。通産大臣だっていいかげんです。私は、注意を喚起して、あえて答弁を求めません。
○大平国務大臣 ただいま私が申請と申し上げたのは、許可と訂正いたします。
○松本(七)委員 大臣、ただ経過だけじゃ、私、この際は足りないと思う。この延べ払いはあれほど大蔵省は反対していたのですよ。何しろ韓国には四千八百万ドルからの焦げつきがあるのだから。だから、延べ払いには大蔵省は非常に反対していたのでしょう。どうして今日は認められるかというと、きのうも私は本会議で言ったように、相手国がこんなに不安定な状態にますますなっている。ところが、日本の商社や業界はわれ先に競争して向こうに行こうとしている。それはやっぱり五億ドルは妥結するという見通しのもとにみんなそれを当てにしているのです。だから、あれほど急いで向こうへ行こうとしている。そういう状態なんだから、それとの関連がだれが考えたって出てくるのだから、延べ払いを認めるなら認めるで、その根拠をもう少しはっきりしてもらわなくちゃならぬ。今度許可したのは三月の八日でしょう。新潟鉄工、近畿車両、ジーゼルカー五十二台、価格が三百四十四万ドル、これの輸出をすることになる。それの延べ払いを許可した。延べ払いが一カ年半ですね。知らないのですか。一カ年半でしょう。今まで一カ年半の延べ払いがいつごろあったのか知らないけれども、どうして今突如としてこういう延べ払いを認めなければならないのか。しかも、大蔵省があれだけ反対しておったにかかわらずそれに踏み切ったという理由を、この際もう少し説明していただきたい。
○大平国務大臣 最近の貿易事情を見てみますと、延べ払いによる輸出というのが各国とも相当活発にやる傾向になって参りました。また、わが国自体といたしましても、従来延べ払いを認めていなかった国々に対しても若干延べ払いの道を開くという方針に変わって参ったわけでございまして、最近の情勢にかんがみまして、わが国としては延べ払い政策についてやや弾力的な姿勢をとるべきじゃないか、こういうように政府全体の意思統一ができたわけでございまして、その場合に韓国は例外であるというように考える必要は毛頭ないと存じておるわけでございます。申請があり、それが適正であれば今後も認めて差しつかえないと考えております。
○安藤委員長代理 川上貫一君。
○川上委員 私の質問は簡単ですが、実はここに総理大臣がおられないのははなはだ遺憾であります。 私は、きのうの本会議で松本議員の質問に対する総理の答弁、また、きょうの外務大臣の答弁を聞いて、ちょっと黙っておれぬ。共産党は社会党とともに終始一貫して政府の日韓会談には反対してきました。あらゆる角度から一つ一つ論拠を明らかにしてこの会談の危険を指摘してきたのです。また、道理を尽くし、理非を明らかにして、日韓会談というものが、日朝両国の人民にとってのみならず、アジアにとって平和と安全を脅やかすものであり、無益有害、乱暴・災厄きわまりないものであることを繰り返して警告してきたことは御承知の通りです。それに対して、外務大臣はおられますが、池田総理を初め外務大臣はこれまでどういう答えをしてきましたか。これはよもや忘れておられぬと思う。たとえば、一例をあげてみれば、朴政権なるものは軍事独裁、戦争ファッショの政権である、これと国交を回復することは危険であるというわれわれの指摘に対して、どう答えましたか。朴政権は平和の政権である、近く民政移管を約束している民主的政権である、軍政はただ一時的なもので、従って政府は民政移管を前提として交渉しておる、こうはっきり答えた。これは外務大臣御承知だと思う。また、朴政権は民意を無視し、無法に人民を強迫し、弾圧し、政治的にも道徳的にも経済的にも文化的にも民意を代表しない、腐敗、破綻、不安定そのものであるというわれわれの指摘に対して、どういう答弁をしましたか。これはここに記録をしておりますから間違いない。あなた方はそれはうそだと言うのです。そうして、池田総理はこう言うておる。これははっきりしましょう。今の朴政権は、今までの腐敗を排除し、りっぱな民主国家に移るあらゆる施策を実行し、その効果をあげておる、従って、われわれは安定した政権に移りつつあるという前提で交渉を進めておる、これは総理の答弁です。さらにまた、昨年の三月二十四日のこの委員会で、池田総理はこう答弁しておる。われわれは民政に移るという前提のもとで交渉しておる、民主的な国家になるということを前提としておる、こう言うておるのであります。これは外務大臣御承知の通りだろうと思う。ところが、今日事態はどういうことになっておるか。多くを言わずして明らかである。われわれ共産党、社会党が指摘警告したことがほんとうであったということを証明しておるじゃないか。しかるに、きのうの本会議での総理の答弁、またきょうの外務委員会の外相の答弁もそうですが、あの答弁は一体何ですか。外務大臣はきのうも聞いておられた。池田総理大臣は、軍政であろうが、また選挙に基づいた民主的政権であろうが、そんなことはどうでもよいのだと言っている。ひどい答弁です。また、軍政四年延長を歓迎するという意味のことを言った大野伴睦議員の言動に対する松本議員の質問に答え、池田総理はどう言いましたか。民政移管は国交の条件でも何でもない、そんなことを言うた覚えはないと言った。全く前言を踏みにじっておる。こうして、無限に軍事独裁ファッショをもくろむ朴一派の陰謀を総理大臣は事実上歓迎したのである。私は、時間も十分じゃありませんから、ここでこの答弁の一つ一つについて質問はしません。これはあらためて質問をします。しかし、ここで私の言いたいことは、外務大臣、およそ一国の政治を担当する者の一番大切なことは、節操と信義であります。これは、良識ある外務大臣、少しも異議はありますまい。政府たるものはもちろんです。与党たると野党たるとを問わず、意見の相違はありましょうとも、政治上における節操と国民に対する信義を厳守し、節を守る真心なくして政治を云々する資格は絶対にありません。国会における政府の答弁というものは、国民に対する責任のある約束です。これが国会なんです。これが国会における政府の答弁なんです。しかるに、あなた方はどういう答弁をするのですか。この尊重すべき原理を平然と踏みにじり、てんとして恥ずるところを知らぬ。私は、寡聞でありますが、こういう政府というものは、さすがにイギリスでもアメリカでも、いまだかつてその前例を知りません。大平外務大臣は、これで恥ずかしいと思いませんか。これでよいとお考えになりますか。あなた方は、これほど国会を愚弄し、これほど国民をないがしろにし、これで国民と世界の信望をつなぐことができたとお考えになりますか。こういうことでどういう国づくりをするつもりですか。こういうことでどんな人づくりをするつもりなんですか。世に、失礼ですが、窮鼠ネコをかむということわざがあります。一切の政府の思惑がはずれたでしょう。われわれの指摘が正しかったでしょう。今や追い詰められたでしょう。とはいいながら、これを改めるという心が一つもない。改めるどころか、反対にいたけだかになって、勝手ほうだいな答弁をしている。これが政府の態度じゃないですか。このこと自体がすでに日韓会談なるものがいかに無知無謀、危険有害なものであるかを実証して余りないと私は断言してはばかりません。外務大臣も良識のある政治家であるのに違いはない。こういう政府の態度、特に総理大臣の態度、こういうことで国民の期待に沿うことができると思いますか。答弁を二転三転し、前言を平然として翻し、勝手ほうだいな答弁をする。これほどひどい国会侮辱というものがありますか。これほどひどい国民に対する侮辱がありますか。これをやっておるのは池田総理です。外交関係ではあなたです。このような国会というものは世界にない。これをてんとして恥じることを知らぬ。これであるならば、国民とともに絶対に政府を信頼することができない。私は、あまり多くきょうは言いません。この答弁の内容についてはあらためて質問さしてもらいます。ただ、この一点について、良識ある外務大臣の所見を伺いたい。信念をお聞きしたい。これが私のきょうの質問です。
○大平国務大臣 大へん必要な御指摘でございますが、私がお願いいたしたいのは、私どもの答弁というものを注意深く吟味していただきますれば、私どもの態度はおわかり願えると思うのでございます。川上さんは節操と信義について言及されましたが、仰せの通り、節操と信義がないと、外交はもとより、内政につきましても政府は信頼を失うことになるわけで、御指摘の節操と信義は私どもがいつも操持しておる心がまえであるわけでございます。重ねてこれは前国会を通じまして私どもの答弁の脈絡を注意深く御吟味いただきまして、その上で御批判を仰ぎたいものだと思います。
○安藤委員長代理 関連事項について穗積君より発言を求めておられます。これを許します。穗積七郎君。
○穗積委員 私は、あと経済外交政策についてお尋ねする予定でございますが、今日韓会談について審議が行なわれましたので、関連して一問だけお尋ねいたします。 それは、金鍾泌が、実質的には当時亡命のような形で特使として世界数カ国を訪問するということで、最初日本へ来た。そのときには、外務省の判断で、政府の要路の人は金鍾泌と会わないという方針で、お会いにならなかったのです。ところが、その後軍政の延長声明が出まして、金鍾泌は予定を変更して急遽日本を再度訪問した。そして今度は総理並びに外務大臣がお会いになっておるわけです。これは一体どういう判断によってお会いになることになったのか。前は会わず、今度はお会いになることにきめたのはどういうことか。私どもが心配いたしますことは、アメリカ政府も、並びにあなた方も、市政の延長は好ましくない、民政への移管を期待をするということをここで明言されておる。ところが、事実は、アメリカ並びに日本の政府の予想に反して、軍政府の諸君の意向が強くて、軍政を延長しようという動きが強くなってきているわけです。そこで、この前の大野談話に関連したときに、大野さんは軍政の延長を歓迎すると言った。しかし、政府は、そういうことは歓迎していない、これははなはだ遺憾である、そして民政移管は早期に実現することを期待するという態度をとっておったのを、今のところは二またこうやくなんですね。だから、悪く判断すれば、軍政の延長を場合によれば期待をする動きが政府・与党の中にあるのではないか。そういうことのために今度金鍾泌と政府の責任者がお会いになるということになった疑惑が強いわけです。特に、私はこの前指摘いたしましたが、日本並びにアメリカと韓国の反動勢力が共謀をして軍政の延長をやむを得ざる手段としてこれを強行するというような動きがあることはわれわれとしてははなはだ遺憾下万である、これは韓国の好ましい民主政治を妨害するものである、それに日本政府も加担するものであるということを指摘したわけです。そういうわれわれの心配をも理解なすって、一体なぜ今度総理やあなたが正式会談をなさったか、それが一点です。 第二は、関連質問ですから一緒に伺っておきますが、金鍾泌と総理並びにあなたはどういう話をされたか。特にあなたは長時間にわたって会談をなすっているわけですから、その際金鍾泌との会談の内容は一体どういう問題について話をされたか。すなわち、軍政延長の問題が出たに違いありません。その軍政延長の前提に立って日韓会談の促進を金鍾泌は要望したと推測されるわけですが、そういう意味で、あなたと金鍾泌との会談の内容をこの際国民の前に疑惑にこたえて明らかにしていただきたいと思います。
○大平国務大臣 穗積さんは何か勘違いされておられるのじゃないでしょうか。私は金鍾泌に会っておりません。
○穗積委員 総理はお会いになりませんか。
○大平国務大臣 きのうお目にかかったのは金という外務部長官でございまして、金鍾泌氏ではございません。
○穗積委員 それは違うのですね。
○大平国務大臣 さようでございます。
○安藤委員長代理 帆足計君。
○帆足委員 私は、昨日阪本知事の選挙がまことに優勢だというので一日加勢に参りまして、そのために新聞をよく調べる余裕がなかったのでありますけれども、車の上でざっと読みましたところによりますと、湯川博士の、原子力潜水艦の問題につきましては単にアメリカの一方的な報告を求めるだけでなくて自主的に日本側としても十分に検討して遺憾なきを期せられたいという意味の声明が新聞に出ておりました。従いまして、明後日に当委員会におきましても参考人を招いて専門家の意見をよく伺うということになっておりますのは、まことに慎重なる態度として時宜を得たものであると思いますけれども、政府当局におきましては、その後どういうようにこの問題の研究を進められておりましょうか。その後の経過を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 安全性の問題につきまして先方から一応の回答がございまして、それに対しまして若干の再質問をいたしておる段階です。それから、損害補償の問題につきましては、昨日アメリカ大使館の係官を招致いたしまして、われわれが今日まで検討した結果なお問いたださなければならぬ点がございましたので、質問を発出した段階でございます。
○帆足委員 国の外交問題の決定に参画し、これを審議する当外務委員会といたしまして、この問題に対して各議員がきわめて慎重な態度をとって外務大臣に必要なる助言を与え、また政府の動向を監視していることは、国民もさぞかし満足に思うことであろうと存じます。従いまして、この問題に対しましては、明後日の委員会において専門家の意見を聴取し、われわれも独自に研究いたしまして、国民の福祉にとって好ましからぬ点があるとするならば、なお必要なる助言を政府に与え、また政府に要望書を提出いたしますから、ぜひとも慎重に考慮していただきたいと思います。 同時に、これは単に技術的問題でなくして、ちょうど、明治御一新のときのペルリの黒船、フランス革命のときのジェームス・ワットの蒸気機関の発明等、産業革命に影響がありましたのと同じように、国の安全保障に対しましては、ジェット機からミサイル、ミサイルから、最近ではミサイルを装置した潜水艦の意義というものが非常に大きくなって参りましたので、この核兵器を載せた潜水艦戦術によって世界戦略と力の関係がどのように動揺していくかということを十分に見きわめておきたいとわれわれは思っておる次第でございます。従いまして、ただ原子力潜水艦の安全度だけで軽率にこの問題についてアメリカ当局に対して日本国民としての態度を決定することはできないのでありまして、戦略的観点からして、はたして日本国民の福祉をそこなうことなきやいなや、世界の潮流の中において平和の流れに生きようとする日本人に対して損害を与えることなきやということを検討せねばならぬと思っておりますが、前の小坂さんもそうでしたけれども、外務大臣も、戦略の問題には自分はしろうとであるというようなことを言われました。けれども、私は、この問題だけでも四、五時間実は検討する必要があると思う。大体軍人というものが戦略の専門家であると思うのが間違いであって、軍人は、ちょうど税務署の官吏と同じように、これは技術官であって、政府の命令に従って戦闘という仕事を引き受けているものでありまして、今日は、戦略はおおむね各国ともに大統領府が握っておって、これを助けるのがすなわち外務省である。これが大体世界の状況でございます。職業軍人の諸君は、自分の国の安全保障よりも、自分の胃袋の安全保障の方により多く関心を持っている。たとえば、陸上部隊はどんどん過去の爬虫類のごとく消えてしまいまして、ジェット機に移り、ミサイルに移ってくる。そうすると、おれの仕事がなくなりはしないかというので、あの小説「おとなしいアメリカ人」に書かれておりますように、ことさら事をかまえて軍事予算を確保しようとする。教養低き、ごく部分的教育しか受けていない職業軍人などが生きんとする営みとしてはそういうことがあるのは当然でありますけれども、そういうものに国の戦略、すなわち安全保障の大綱をことごとくまかしておくようなわけには参らぬのでありまして、従いまして、日米安全保障条約にいたしましても外務大臣が調印している。調印している外務大臣が、この外務委員会の席で、私は戦略のことなどあまり詳しくないと言う。それは謙譲の美徳も過ぎたるものであって、やはり、しろうとでありますけれども、今日はしろうとの良識が戦略上最も必要な時代であって、いわゆる専門家というものはガダルカナルの悲劇を起こしてしまったのであって、あまり役に立たない。従いまして、国の安全保障についての大綱の戦略については、常に外務委員及び内閣委員において諸兄の意見も聞きたいし、外務大臣としてもその注視を怠らぬように努めようと思っております。今後はそういうようなお心がまえでわれわれとも御交際願いたいと思うのでありまして、戦略のことなどはあまり知らぬというようなお言葉を伺ったのでは、われわれは納得できないのでございます。 従いまして、私も、潜水艦に移ってきた場合にどういう影響がくるであろうかということを考えますし、最近は、話に聞きますと、沖繩にポラリス潜水艦が密集しておるということで、南北朝鮮、南朝鮮の状況が一触即発であるという状況を前に控えて、沖繩の状況はただならぬように聞いておりますので、大いに心配しておるわけでございます。湯川博士のこの警告に対して、また忠言に対して、政府当局はどのようにお考えですか。
○大平国務大臣 私どもといたしましては、従来申し上げております通り、安全、補償と、二つの問題につきまして可能な限り究明いたしまして、国民の御安心をいただくようにいたしたいと精一ぱい努力いたしておるところでございまして、きのうの学者の方々の御声明のお気持は私どもとしてもよくわかる次第でございまして、既定の方針をそれによって変えるというようなことはございません。
○帆足委員 せっかく慎重な御勉強を期待いたしますとともに、そもそも、原子力潜水艦が日本の港に立ち寄るといいますけれども、何も日本の港にそういうものが立ち寄らぬでもよさそうなものだと私は思いますけれども、何の用事で一体こういう物騒なものがこの平和の国に立ち寄る必要があるのでしょうか。これは戦略上の理由でしょうか、薪炭の補給を求めるためでしょうか、それとも女の子がほしくなって立ち寄るのでしょうか、その辺のところを……。
○大平国務大臣 向こうからの連絡では、休養と補給ということになっております。
○帆足委員 休養というのはどういう意味ですか。ちょっと伺いたい。
○大平国務大臣 非常に学殖豊かな帆足さんでございますから、よく御了解いただいておるものと私は思います。
○帆足委員 多少不風流な御質問をいたしましたが、それでは、これは了解したといたしましても、一体、休養と補給だといたしますと、何隻ぐらいの原子力潜水艦が出入りしたい、そして何ヵ月に一ぺんぐらい休養したいというようなことですか。
○高橋説明員 お答えいたします。 ただいまの御質問でございますが、これは先般当外務委員会に資料として提出してございます通り、現在太平洋に配置されておりますアメリカの通常の原子力推進の潜水艦というものは、七隻前後であるかというふうに伝えられております。従いまして、先ほど先生御指摘のように一定の個所に密集をしておるとかいうこともないと存じますし、また、日本への寄港の頻度というものも、それほど多いものではないと思っております。
○帆足委員 一年に何回くらいですか。私が沖繩に結集していると言ったのは、原子力潜水艦のことでなくて、ポラリス潜水艦のことです。
○高橋説明員 お答えいたします。 ただいま先生御指摘の、ポラリス潜水艦は、現在私どもの承知しておりますところでは、先日当委員会に資料として提出してあります通り、太平洋に現在おるということは全く承知しておりません。それから、どのくらい来るかということでございますが、先のことはさっぱりわからないのでございまして、現在の話のところでは、まだどこにどれだけ来るというような具体的な話ではないのでございまして、そういうことが具体的にきまりましてから明らかにされることだと思います。
○帆足委員 そうしますと、原子力潜水艦としては数隻、そして日本を訪れる頻度はまだわからない。私は、日本は最近スモッグもふえましたし、売春禁令がありまして、十分なる御休養を与えるわけにも参りませんし、それから、交通も、なかなか道幅が狭くて、交通事故は世界一でございますから、どうも休養地としては適当でないと思います。ハワイあたりで御停泊になればいかがかと存じますが、なぜわざわざこの日本に、憲法第九条で国の陸海軍は持たず、交戦権も持たず、言ってみれば平和を貫きたいという性格の国に、しかも、広島、長崎の経験がありますから、原子力と聞いただけでもコブラへび以上にわれわれは不愉快な思いをしておるところに来るのか。しかも、それが平和の観光船ならばともかく、潜水艦というものは、海の中をもぐるのは涼しいからもぐっているのではなくて、人類殺戮の戦いをしようという恐竜の一種でございます。かくのごとき爬虫類がのそのそとやってきて、爬虫類の胎内から出てきた子たちが陸上に上がって、やまとなでしこを休養の対象にしようなどということは、われわれとしてあまり好ましくないと思うことは当然のことでございます。国民感情としても招かれざる客であることを御承知願いたい。敷島のやまとの国は、もう古代鳥獣類を寄せつけるようなことを好みません。われわれは人類ならば歓迎いたしますけれども、恐竜を歓迎する国柄でございませんから、ましてや、横浜では百年前の生麦事件というのもあったことでありますから、今は生麦の時代ではありませんけれども、やはり好ましくない客でありますから、一つ風光明媚なハワイあたりを御休養の地に御推薦申し上げたいと思っておりますが、安全保障課長がただいまのようなお考えでは、不安全保障課長というふうに課の名前も変えねばならぬということになるのもまことに恐縮でございますから、(「刀も使い方だよ、平和になるよ」と呼ぶ者あり)——刀も使い方ということで、港も一つハワイの方にお願いするということは御交渉になりましたか。そういう日本人らしい考え方がお心に浮かばれたかどうか、外務大臣に一つお伺いしたい。簡単に言えば、なぜわざわざ横須賀に来なければならないか、佐世保に立ち寄らなければならないか、こういうことなんです。ハワイでいいじゃありませんか。
○安藤委員長代理 なるべく、そう簡単にお願いいたします。
○大平国務大臣 同盟国の軍艦が日本に寄港して悪いというととはないと思います。わざわざそれを断わらなければならぬなどということがおかしいと私は考えております。
○帆足委員 それは、普通の軍艦がただ儀礼的に立ち寄るというならばいいのですけれども、こういう問題の船です。それがなぜ横須賀に来なければならないか。たとえば、儀礼的に大平外務大臣に一ぺんごあいさつに来るとか、そういうことならまだ話はわかりますけれども、何のためにしばしば寄港せねばならぬのか、それをお伺いしたい。それとも、ドラゴンの勇武を大いに輝かしたい、戦略的に日本の近海にもぐっていて、そして一たん緩急あらばということを考えておられるのか。それにしては核兵器は載せていないというわけですが、それでは、やがて核兵器を載せてやってくるときに、よく港の状況になれておくために入ってきたいという考えでしょうか。すなわち、戦略的な考えなのか、単なる儀礼的なものなのか、それをお伺いしたいと思ったわけです。
○大平国務大臣 単なる休養と補給と心得ておるわけです。あなたがいみじくも指摘されたように、黒船をおそれた時代もありましたし、あるいは蒸気機関の発明もあったという歴史の流れを見てみますと、今日この原子力を推進力とする潜水艦の入港問題につきまして、いろいろあなたと私が論議いたしましたことも、やがてはいい思い出になる時期が来るだろうと思います。 〔「両方とも文学青年だ」と呼ぶ者あり〕
○帆足委員 文学青年ではありませんけれども、ただ、日本の国民がひとしく心配していることであって、すなわち、私がお尋ねしたのは、それは、立ち寄るというのですけれども、何のために立ち寄るか、これを重ねて外務大臣にお尋ねしたいのです。今まで来なかったものが、一体何のために来るのか。そして、年に一回とか二年に一回とかあいさつに来るというならわかりますけれども、しげしげと来るとするならば、アメリカの演習とか戦略の一環として来られるのか、それとも、単に、軍艦というものは世界各国を回っておりますから、ただ儀礼的にそのとき入港したというようなことになるのか、定期的に戦略的に横須賀を停泊港としておいでなさるのかどうか、それを伺いたいのです。
○大平国務大臣 定期的・戦略的な寄港であるとは承知いたしておりませんで、乗組員の休養と補給であるというように承知いたしております。
○帆足委員 それでは、安全保障課長もよく伺ったように、これは定期的・戦略的に来るのでないということですが、これは速記録に書いていただいて、定期的・戦略的でなくても、こういう物騒なものは一つハワイに御寄港なさることを日本の野党は希望しているということを、新聞、ニュースを通じてアメリカ当局のお耳に入れておきたい、こう思う次第であります。 それから、第二に、先ほど来韓国のことが論議されましたけれども、私が記憶しておる限りにおきましては、三十八度線で分断されました後、アメリカが国連軍の名において韓国に駐留するようになりました。このときにたしかソ連は重要な議事の審議に憤慨されまして国際連合を一カ月ばかりボイコットしておりました。そのために、拒否権を行使することもできないで、にしきの御旗をダレスに取られたというようなことになったように記憶して、ソ連もやはり国際連合というものをもっと尊重してもらわねば困るなと当時私は深く思ったことでした。その後ソビエトも国際連合及びユネスコ、人権憲章等について認識を深くされたような動きが国連総会の論議に絶えずうかがえますことは、これまた雪解けの進歩としてよいことであると思っております。 さて、アメリカ側が国連軍を代表するものとするならば、定期的に国連に状況を報告し、韓国における自己の行動はことごとく国連精神及び国連の指導のもとに行なうべきであるのに、どこに機構運営上の誤りがあるのか、いまだに国連軍の旗のもとにアメリカ一国の利害のためにアメリカが動いておる感が深いのでございまして、この問題が国際連合で検討されないのが世界の七不思議の一つだと私は思っておる次第でございます。南朝鮮に対して、アメリカ一国の防衛、一国の利害関係のためにアメリカが勝手に権威をふるう、しかも、それが論理的に成立しないために国連旗を掲げてそういうことが行なわれておるということに対して、世界の諸国民がなぜ黙っておるのか、まことに私は不思議にたえない思いがいたしておりますが、外務大臣はこの問題をどのように認識されておられるのでありましょうか。
○大平国務大臣 国連の朝鮮政策というものがまだ目的を達していない段階におきまして国連軍が駐留しておると承知したしております。
○帆足委員 そうすると、国連軍でありますけれども、アメリカの利害、アメリカの意向のみによって動いておるのは、これはどういうことですか。
○中川政府委員 これは、帆足先生が御指摘になりました一九五〇年の国連決議の際、朝鮮で組織いたします国連軍はアメリカ軍司令官の指揮のもとに置く、こういう決定ができておるのでございまして、それ以来アメリカ軍司令官の指揮のもとにこの国連軍が置かれておるわけでございます。従って、実際上はアメリカ軍司令官が国連軍を指揮するという形になっておるわけでございます。
○帆足委員 技術的にアメリカ軍司令官が指揮をとるということは理解できることですけれども、そのアメリカ軍司令官が動く方針なる本のは、アメリカ一国の利害を主たる考慮に置くのでなくして、国際連合、すなわち、世界平和、論理と公平ということを基礎にして、そしてそのもとで技術的に軍は動くべきである。これはコンゴの問題なども同じだと思います。にもかかわらず、もう今日ではだれしもあれはアメリカ軍がアメリカの利益のためにおやりになっておると認識し、また、そのように思われるような行動をとっておられる。国連軍でありますから、その他の国々の軍隊もその中に参加しておると思いますけれども、どういう国々がアメリカ軍の下に金魚のうんこのように参加しておるのでございましょうか。
○中川政府委員 トルコ、それからタイの少数の部隊が現在残っております。元来は、たしか十六カ国がこれに参加したのでございますが、自余の部隊は、連絡将校等はおるようでありますけれども、部隊としてはみな撤退しておるわけであります。
○帆足委員 なるほど、金魚のうんこと申しましたけれども、言葉は失礼でありますが、トルコ、タイは私のその言葉にふさわしき軍隊であるまいかとすら思えるほどでございまして、十六カ国がもうとにかく退屈して、いや気がさして撤退したといたしましても、連絡将校が残っておるものならば、その連絡将校は恥を知るべきである。いやしくも、国際連合で共同の連合軍として存在し、小国なりといえどそれに参加しておる以上は、その幹事長はアメリカでありますけれども、幹事もおられるし、またメンバーもおられることと思います。それらのメンバーは世界の平和に対して相当見識ある発言をすべきものであろうと思いますけれども、一向そういうような審議がなされてもおりませんし、アメリカ軍の動向がこれら十六カ国の意向を体して厳格に公平に行なわれておるとも思われません。まことに、私は、単にアメリカのみならず、これに参加しておる十六カ国に対しても不満であり、また、それを黙っておるソ連に対しましても私は遺憾であるというような気持もいたす次第でございます。このような偽善的体制というものが、世界の真の平和を確立するにあたって非常な妨害になっておる。しかし、こういうようなことは五年前の国際連合では始終あったことでありますけれども、一昨々年植民地解放宣言が通りまして以後の国際連合においては、社会主義圏と、資本主義圏と、それから多くの植民地から解放されて民族独立の道を急いでおりますいわゆる第三勢力といわれる国々との間に、三つの諸勢力の間に一つの公平なバランスと論理が形成しつつあることに私は期待を置いておる次第でありますけれども、この問題につきましては、私はよそから見ておりまして納得できないとかねて思っておる次第であります。私が日本政府の国連代表であるならば、この問題をひっさげまして警告を発しなければならぬと思っておるくらいであります。従いましてお尋ねしたわけでありますけれども、この問題について私はもっと専門的に調査いたしまして、次にお尋ねしたいと思います。 次に、キューバの問題でありますけれども、この前大卒国務大臣は、何やら、新しい事態が起こったときには従来の公正な国際法の適用というものについて疑問が起こってくるというような答弁をされました。外務大臣とちょうど名前が同じなんですが、一橋大学に大平善梧という先生がおりますが、大平善梧先生の学者としての議論を拝聴いたしますと、どうも同感しかねる点が多いのです。その大平教授が大体外務大臣と同じような意味のことを述べておられたということを中野好夫教授が朝日新聞に書いておりまして、これは国際法上の非常に重要な問題であるということを指摘されておりました。私もこの問題を研究いたしたいと思いますが、外務大臣のお考えはその大平学説を御採用になったわけでありましょうか。ちょっと伺っておきたい。
○大平国務大臣 大平先生の本は読んだことはございません。
○帆足委員 それでは、たとえば、小国と大国によって、民族の主権、領土権というものが侵されたときには、国際法上の解釈が変わる、こういう意味のことを外務大臣は申されたのでしょうか。
○大平国務大臣 私が申し上げたのは、第一次世界大戦というものは、史上空前の大戦争であった、従って、戦争の行なわれておる態様、規模等も空前でございましたが、戦争が終わったあとの戦後経営におきましても、分裂国が出たり、いろいろ従来私どもの概念になかった事態が生起してきたということは、厳たる事実でなかろうか、そして、それを有効に規律するに足る国際慣行、あるいは国際法というようなものがいまだまだでき上がっていない状態で、各国が苦悶をしておるのが現在の状態ではなかろうか、そういう意味のことを申し上げたわけでございまして、大国はいいが、小国はいけないとかいうようなことを申し上げたのではございません。
○帆足委員 私は、ミサイルをよほど持っておるアメリカが、自分は腹の中にマムシの子を一ぱい持っておりながら、キューバにミサイルが十や二十入ったからといって、お前がそれをほうり出さなければ戦争に訴えるぞというようなことは、国際法の論理として成立しないと思う。ただ、ソ連が別個の立場から、国際法はともあれ、戦争を避けるために、ロケットを取り去って、ケネディ大統領との間に話をきめるというならば、これは政治の問題としては平和の方が好ましいからよいことでありますし、もちろん反対はありませんけれども、しかし、国際法上から言うならば、自分はロケットをよほど持っておって、相手が小さな国であるから、お前がドスを持っていると承知しないぞといって、それに対して軍隊を差し向けるとか、または島内を偵察飛行するなんということは、それは大国の横暴である、そういう必要に迫られたときには、やはり国際連合に訴えるべきであるということを申したわけです。 そこで、今後のこともありますから、外務大臣の御所信のほどを承っておきたいのでありますけれども、たとえば、ニューヨークを他国が空中査察する、それは国際法違反でしょう。また、アメリカがU2機を飛ばしてソ連の領空を侵犯して空中査察をした。これは、さすがにアイゼンハワー元帥も、まことに済まなかった、以後そういうのぞき、出歯亀のようなことはいたさない、こう言ってそれをあやまったときには、アメリカらしい態度だ、あやまったアメリカの態度に一まつの良識が残っておると世界の人々は思って、それはアメリカの信用を高めるに役に立ったと思うのです。ところが、今度は、小さな国ならそういうことをしてもいいということになるのでしょうか。キューバも小なりといえども国際連合の一員です。キューバに対してはしてもいい、日本にもしていい、国が小さければトルコに対してしてもいい、それからベルギーに対してもしていいということになれば、法はあってもなきがごとし。従って、キューバの問題を見ながら、私は、日本政府としてアメリカ初め各国と長年よい関係にあろうとするならば、適当な方法で、国際ルールは守らねばならぬというような立場に立って日本の国際連合代表が常に発言せられるならば、ちょうど、ネール首相が、国内の政治はそれほど上手にいっておりませんけれども、国際的に常に平和と論理を貫こうとしている努力がインドの精神的価値を大ならしめておりますように、日本の外務省の精神的価値を大ならしめるであろうと思いまして、キューバの上空に、すなわち独立国の上空を四百何十ぺんも低空査察するというようなことは国際法違反ではないかということを外務大臣にお尋ねした。外務大臣としては、それは国際法上から言えば好ましからぬことと私も思います、こうお答えあるものと思って私はお尋ねしたのに、ただいまのような新学説を出されて、事の真相をあいまいにされたことを残念に思っている次第です。 そもそも、日本政府というものは国際舞台において正義を主張したことが幾度あったであろうか。あるいはあったかもしれませんけれども、ほとんど印象に残っていない。ちょうど、タイとかトルコとか、バチスタ時代のキューバ政府などが、立ったりすわったり、すわったり立ったり国際連合でやっていたのと同じであって、一体日本という国には道義という観念があるのであろうかと世界の諸国民から思われているのではないかと思って、私は心ひそかに淋しく思っておる次第であります。従いまして、今日の世界の状況において、日本の保守党がアメリカと一定のよき関係を結ぶために努力をせられておることは、事実としてわかりますけれども、同時にまた、武装なき国、植民地を持たざる国として、極力国際連合において道義を貫くという観点に立たれることが、日本のために望ましいと思っておりますが、外務大臣は国際連合において一体どういうふうにその問題をお考えでしょうか。そのときそのときの御都合主義でいく方がいき一やすいというお考えですか。それとも、今日の時代には論理を貫くということがやはり日本の安全と信用と名誉のために非常に大きな比重をなしておるということを御理解なさっておられるかどうか。それをかねて伺いたいと思っていたところです。
○大平国務大臣 国連におきましては、この機構がただいま平和維持の機構として十全な能力を持っていないことは重々承知いたしておりますが、これが平和維持の機能を拡充して参る上におきまして、日本としては可能な限り協力を惜しまないつもりでございます。また、国連が大国の宣伝の場になったりするようなことのないよう、真に平和を追求して参る機構として発展することを望んでいるわけでございます。私どもといたしましては、国連を舞台にいたしまして世界平和のために日本が応分の寄与をすると申しましても、やはり、国連におきまして、各国の対日の信用、対日評価というものが高まって参らなければならぬわけでございますので、お示しのように、日本が平和を守るというかたい決意と、そうして日本の力量に応じたじみちな努力を積み重ねて参りまして、対日信用を逐次つちかっていくという基礎をつくりつつ、今申しましたように、国連の機能を拡充していくことに日本として実のある貢献をなしたいということを基本的な方針といたしまして努力をして参りましたし、今後も努力を続けて参る所存でございます。
○帆足委員 時間も過ぎましたし、通産大臣もお見えになりましたし、同僚議員の質問もありますから、私は一言だけ申し上げまして、それから事務的なことがありますから、外務大臣のあとに五分間は次官にお尋ねして、それで質問を終わります。 キューバの問題につきましては、私は、キューバ新政府の内外の対策につきましては、他国のことでございますから、この外務委員会であげつらおうとは思いませんけれども、小国だからという理由のもとにアメリカから不当な侮辱を受けるということは、私は同情見るにしのびないと思っておる次第です。たとえば、キューバが社会主義であるのはキューバの自由で、アメリカが資本主義であるのはアメリカの自由である。また、キューバに革命の輸出をしないでくれというならば、アメリカも反革命の輸出はしないように心して、互いに他国の内政干渉はしないようにしようというならば、国連精神で、これももっともなことだと思います。また、アメリカが、自分の国内にはロケットがあるが、お前の国内にもロケットがある、しかし、お前は外国のロケットを置いておるものであるから、互いに一切の中間地帯にロケットを置かないようにしようということをキューバやソ連と話し合いをするということは、これまた、互恵、平等であるならば、論理が通る。あるいはまた、お前の国にロケットを置いておる、危険性があるから自分の方では飛行機で査察するというならば、キューバもまた場所を限ってマイアミのようなところにギャングが結集していないか査察する権利があるぞとフィデルが言うならば、これもまたもっともなことだと思う。両方もっともなことであるけれども、実現し得ないならば、これは国際連合に訴える。幸いにして、そのとき、不幸なるこの事態について世界戦争の起きないように国際連合の見識ある活動を望むという声明を外務大臣がなさったということを、たまたま旅先のモスクワで伺いまして、私は、ああさすがに外務大臣大臣さんはいいことを言われると、そのときは大へんうれしく思いました。そういう態度でいかれることが必要であろうと思います。キューバの問題については、今後ともわれわれ野党として外務大臣に対していろいろ忠言もし、御批判もすることがあると思いますけれども、そういう心持ちで今後とも申すということ、それに反対、賛成は別といたしましても、そういう論理でわれわれが申しておるということをよく御理解を願いたいのであります。 最後に、キューバ糖の輸入なくしては日本の精糖業は非常に困難です。多いときは六十万トン、少ないときでも三、四十万トンは輸入しなければ、あれにかわる良質廉価の砂糖を輸入することは非常に困難であり、複雑であります。そうして不安定でございます。従いまして、三、四十万トンのキューバ糖の輸入は、もうイデオロギーを抜きにして、日本の国民の生活必需品として必要なのでございます。砂糖が最近値上がりいたしまして、汁粉やあんみつの価格にこれが及びますると女性の投票を失うということも一つ与党はお考え下さいまして、キューバ糖の問題については私は別に何の利害関係もある者ではありませんけれども、たまたまキューバに一カ月も旅行してよく実情を見て参った者の一人といたしまして、慎重な態度が必要であろうと思います。また、見返りも、過去のようにドルではなくて、バーターでやれるというふうにゲバラ国務相も言っておりますし、キューバとの貿易は政治を離れて、ただ遠くの離れた国が砂糖と雑貨の貿易をいたそうというのでありますから、アメリカがその船に対してことさら国際海運会議の申し合わせと慣例を無視した扱いを加えることは、自由、平等、博愛の自由主義の思想から言っても、私は好ましくないと思っておりますが、キューバとの貿易船はアメリカを通過しなくても他の中南米諸国を通過しても参れるわけでありますから、これは淡た々たる気持で、日本精糖業の安定を維持するためにキューバとの貿易が行なわれるということをアメリカに理解せしめ、無用なる誤解ややきもちをアメリカがやかないように適切な工作をしておくということは、通産大臣も見えておりますが、私は必要なることであろうと思います。これにつきましては、今後の問題でありますけれども、外務大臣並びに通産大臣の御意向を承りまして、外務大臣に対する御質問はそれだけにしておきます。 あと五分間は実は外務大臣にも要旨だけ聞いていただきたい。それは、共産圏からの入国に対しまして、論理の通ったある程度の基準をお聞かせ願いたい。また、数年前の状況と今日の状況は変わりましたから、たとえば、スポーツと学術、文化等に対しましては、何らかの常識的な運用の準則のようなものでも再検討なさる必要がありはしないか。スケートの選手は来てもいいけれどもバスケットはいけない、バスケットの選手は来てもいいけれども舞踊団のときはいけないとか、そのときそのときに当事者との間にいさかいが起こるようなことでは困るのでございまして、国内の安寧福祉を乱さない範囲において、相当ハイランクの芸術家や学者やその他の良心的な人類的な学問、文化、スポーツの交流についてはこの程度の手かげんをしようというようなことを大平さんのもとで再検討してもらいたいということを法務次官及び外務次官にお願いしたわけです。きょうは多少の御答弁を伺いますけれども、その御答弁を速記録にとどめてもうどうにもならぬというようなことではなくて、他の与党の外務委員の方々とも御相談いたしましたが、いろいろ御理解のある同僚議員の方も多くて、多少はこれは検討しておく必要があろうという御議論が多かったようです。従いまして、お話し合いでもって、相互に現段階においてはこの程度のところはまあよかろうではないかというようなことを懇談いたしたいと思って私はこの席で事情を述べたのでありますから、外務大臣にはそういう誠実なる質疑応答がかわされたということを御記憶にとどめられまして、なるべく良識に基づいて問題が改善されますようにお含みを願いたいと思います。 従いまして、ただいま、砂糖の問題についてのお心組みと、それから、例の鋼管の輸出の問題につきまして、両大庭が日本の特殊性を考えまして貿易に支障がないようになさっておりますことを伺って御同慶の至りでありましたけれども、最近NATOで西ドイツがソ連に対する鋼管の輸出をやはり遠慮しようということがありましたが、ところが、英国、フランス等は、七千万トンの鉄をつくっておるソビエトに対してそういういやがらせをしてみたところで、それは意味のないことである、意味があることならば賛成するけれども、いやがらせというのではそれは一時的現象にとどまるから、大英帝国としては賛成しがたい、こういう態度をとっておりまして、まことに英国らしい見識であると私は思っております。同じような態度を外務大臣、通産大臣もとっておられると伺っておりましたが、最近NATO内部における動揺がございましたけれども、日本としては最近の結論は以前と同じでございますか。両大臣に、私は、再質問はいたしませんから、御答弁を伺いたいと思います。
○大平国務大臣 キューバ糖輸入の問題でございますが、私ども承知しておりますところでは、原糖の需給関係からいたしまして、キューバ糖に依存せざるを得ない部面があるように承知いたしておりまして、関係当局は適当におやりになることと思います。 それから、鋼管の問題につきましては、前々から申し上げておる通りでございまして、方針に変わりございません。
○福田国務大臣 キューバ糖の問題についての御質問でございますが、われわれとしては、両国間に紛争が起きて、そのために通商関係に阻害を来たすということは、まことに好ましいことではございません。従って、なるべくそういう事態が解決をいたしまして通商関係がうまくいくようになることを希望いたしております。砂糖の具体的な問題につきましては、御承知のように、これは農林関係でございまして、私がお答え申し上げるのはいかがかと存じます。 それから、鋼管の問題につきましては、先ほど外務大臣からお答えを申し上げた通りでございます。
○帆足委員 砂糖のことは農林省と伺いましたが、見返りの雑貨は通産省の担当でございます。最近キェーバから通商使節も参りたいという意思表示をして参っておるようでございます。この前のときはどうもうまく参らなかったようでありますけれども、私は、キューバに約三十日滞在いたしまして、いろいろな事情もよく見て参りました。従いまして、今通産大臣の申されましたように、日本は貿易立国の国でございますから、今日、政治の問題を離れまして、貿易が維持拡大できる部面においては大いに努力する必要があると存じております。また問題をさらに研究いたしまして、ときには通産大臣にもおいで願いまして、われわれの意見もお聞き願い、一昨年の四月キューバ・日本通商条約を批准いたしたわけでございますから、御記憶願いまして、貿易のためにお骨折りを願いたいと存じます。 それから、通産大臣には穗積委員から引き続いて御質問がありますから、外務省当局並びに入国管理局及び法務次官にお尋ねいたしたいのですが、先日の質問に対しまして、御研究の中間報告でもしていただきたいと存じます。これは多少微妙な問題でございますから、きょう御答弁をいただきましたのを金科玉条とのみお考え下さらずに、私の方も、御答弁を伺いましたならば、また意のあるところをよく研究いたしまして、今日の国際緊張緩和の段階においてどの程度のことならば今日の政府にお願いしても無理からぬことであって、同時にそれはかえって国益、国の福祉のためにも役に立つのではあるまいかという線について御懇談もし、また再質問もいたそうと思っている次第でございますから、あまり固くお考えにならずに、一つただいまの段階における政府のお心組みのほどを聞かしていただきたいと思います。なお、この問題につきましては穗積委員とも共同に研究いたしましたが、たとえば、赤十字代表ももう百回以上も新潟の港に参っておりまして、日本からも赤十字の嘱託として宮腰さんが仁川の港から平壌を訪れております。一度東京本社にあいさつに参りたいということも伺っておりますけれども、政府もその精神には異存はない。八万人も朝鮮の諸君が平壌に帰ったのであるし、百回も新潟の港に見えておるのであるから、一度くらいは島津総裁のもとにお呼びすることも許可していいのであるけれども、やはりその時期については内外の情勢をよく見て無用の刺激のないように考えたい、こういうことで私どももそのお言葉を了としておる次第でございます。ただ、こういう席上で、表向きに、日韓会談があるからとか、韓国の、圧力があるからと申しますと、他国の政治的干渉によって、パスポートとかビザとかいう純公平な、人権宣言、ユネスコに関する問題が動かされるような印象を与えますから、日韓会談の次第とか他国における政権の動向なども実施の過程においては考慮の材料になりますけれども、公の席において従来のようにそういう言い方をされますことは、私は国の主権のために多少まずくはあるまいかなどと思っていた次第でございます。そういうふうに私どもも十分の理解をもって常に必要なる御助言なりお話し合いを政府として参るつもりでございますから、どうぞお気持を楽に御回答のほどをお願いしたいと思います。
○野本政府委員 帆足委員から毎々その点についてお話がありますことは私もよく存じ上げております。そこで、前回御質問がございましたのでお答えいたしましたが、その後法務省の部内におきましても、大事な問題であるから慎重に対処しなければいかぬということでいろいろ話し合いました。今の段階におきましては、御承知のように、一般的に言いますと、国交のない国の人々の人国に対しましてはこれを拒否することができるわけであります。しかしながら、日本の国の貿易あるいは産業、経済、文化の向上に資する等、日本の国の利益に合致すると認められた場合には、特にそれらの点を考慮いたしまして入国を認めておる、また、認めようというのが今の段階におきまする法務省の考え方でございます。
○安藤委員長代理 帆足さんに申し上げますが、通産大臣はもう一度参議院の方へ行かれなければなりませんので、穗積さんの時間がだんだんなくなってしまいますから、簡単にして下さい。
○帆足委員 それで、ただいまの法務次官からの御答弁は私も満足でございます。ただ、具体的になりますと、これはまた同時に外務省の問題で、きょうは外務政務次官お休みでございますから、外務省とも御相談下さいまして、もう少しその運用にあたってお尋ねしたいこともございますが、そういうお心組みでお呼び願うとしあわせだと思います。穗積君も待っておりますから、これで終わります。
○安藤委員長代理 穗積君。
○穗積委員 通産大臣時間が十分ないようですから、簡潔にお尋ねしておきたいと思うのです。 この前実は外務大臣と御一緒にお尋ねしたいと思ったのですけれども、要点は、まず第一、自由化はIMFのコンサルテーションも済みまして、そして近く予想されるガットの理事会から日本の自由化の問題について討議をする。そして、同時に、私どもが注意しなければならないのは、この十月に日米通商航海条約も改定をしなければならないことになっておるわけです。そういたしますと、御承知のように、日米通商条約の中の十二条で、国際収支を理由にした制限規定があるわけですけれども、これは当然これからの交渉になりますけれども、客観的にながめまして、この十二条の制限規定は削除されることが常識的に予想される。現に、昨年の暮れにアメリカの国務次官補もやってきて、そういうような意向を漏らしたようにわれわれ伺っておりますけれども、そうなりますと、通産省は日本の国内における産業の擁護並びに日本の貿易の発展という直接の担当の責任があるわけです。従って、条約のことは外務省所管でございますけれども、それと関連をして、国内法における為替管理法並びに外資法の改定に対しては、通産省並びに大蔵省その他の経済省の重要な関心事でなければならないということだとわれわれ考えるわけです。 そこで、そういう背景の中で第一にお尋ねしたいのは、今度のIMF並びにガットの折衝の結果八条国ないしはガットの十一条国に日本が移行いたしましたときに、当然日米通商航海条約の第十二条の制限規定は削除せざるを得ない情勢になると思うのですが、通産省としてはその問題についてどういうふうにお考えになっておられるか、まず第一にその十二条改定問題からお尋ねをいたしたいと思います。
○福田国務大臣 御説の通り、自由化をいたして参り、また、ここに八条国移行の問題が起きてきております。それに関連をいたしまして、日米通商航海条約の改定の問題が出ておるのでございますが、この問題については、われわれとしてはただいま研究中でございまして、直ちにこの改定をする必要があるかどうか、あるいは改定しないでやっていけるかという問題を今研究しておる段階でございます。
○穗積委員 日米通商航海条約は、期限十カ年でございまして、二十八年に締結批准されたものですから、当然この十月には改定しなければならない。そうなると、十二条の制限規定というものは、大体今の情勢から見れば、こういう国際収支を理由にした制限規定を改定するかしないかという問題ではなくて、改定は必至でございますし、そうなりますと、これは修正または削除しなければならぬことは理の当然だというふうにわれわれは判断するわけです。だから、改定するかどうかでなくて、十二条の制限規定を削除する、緩和するということになりますと、日本の貿易並びに産業に対する影響が多いわけですから、そういう点で経済省の責任者としてのあなたにお尋ねしておるわけです。改定はするかしないかじゃなくて、もうこれは当然な明確な事実なんですね。だから、十二条の取り扱いについて通産省の御意見を伺いたいのです。
○福田国務大臣 穗積さんも御承知の通り、日米通商航海条約はこの十月に期限が来ますけれども、われわれがこれについて意見を述べなければ、一年延長になっていきます。順次延長をしていくわけでございます。その間においても必要とあれば改定の申し出もできるわけでございます。従いまして、私は、当然ここで何らかの措置をしなければならないというふうには考えてはおらないのであります。しかしながら、あなたの御指摘になりました問題は、産業上の問題といたしまして重要なことでございますので、ただいま慎重に検討いたしておる、かようにお答えをいたしているわけでございます。
○穗積委員 交渉はこれからですけれども、国際収支の状況を理由にする貿易制限あるいは為替制限ということは情勢として考えられないわけですね。だから、それに対して、基本的な方針というか、見通しというものはむろん立っているはずだと思うのです。だから、もう少し率直に、積極的に通産大臣の御意見があってしかるべきだとわれわれは思うのですが、いかがでしょう。ちょっとくどいようですけれども、ただこれから研究していくというだけでなく、基本の路線というものは大体明瞭になってきているのですから、いかがでしょう。
○福田国務大臣 先ほども申し上げたところでございますが、この場合において、私たちとしては、外資が導入されること自体が悪いとは思っておりません。しかし、外資のうちには好ましからざるものもないわけではない。そういうものをチェックする問題があると思うのであります。そういう意味では、為替管理法の問題あるいはまた外資法をどういうふうにしたらいいかということは、御承知の通り、ただいま大蔵省と通産省の間で研究をいたしておるところでございまして、今直ちにどうするという結論を得ているわけではありませんが、それと関連して、また今のお説の問題についてもわれわれとしての処置をとらなければならぬかと考えているわけでございます。
○穗積委員 それは、むろん、外務省、通産省、大蔵省その他関係経済省の間で十分討議をし、意思の統一をはかって交渉に当たるわけでございましょうし、また、国内法については改正案というものは政府として一本にまとめるべきでしょう。その過程にあることは認めますけれども、通産省の立場から言えば、貿易拡大並びに日本の産業保護という立場に立っておられる通産省として、自由化に向かって外資法並びに為替管理法の改定についての基本的方針というものはあると思うのです。それを伺っているわけです。私はこまかい条文を伺っているわけではなくて、これをもうすでに研究をすべき段階に来て研究しておられると思うのですが、そのときの通産省の御方針はどうですか。それが各省との間で討議をした結果あるいは修正されるということはもう当然あり得ることでしょうから、それをあとになって一々私はどうこうと言うわけではないのです。そうじゃなくて、貿易拡大並びに日本の産業保護という立場に立ってどういうお考えを持っておられるかということを伺うわけです。
○福田国務大臣 同じことを繰り返してまことに申しわけないとは思いますけれども、ただいま、そういうような問題について、いわゆる外資の入ってくる場合にどういうふうにしてチェックしたらいいのか、八条国に移行した後において為替管理法をどういうふうにやっていったらいいかというようなことについて、われわれとしては今研究をしておる段階でありまして、どうもそれ以上にまだきまっておらない。さしあたりは、何も困っておりませんから、御承知の通り現行法でいく。そこで、お説の通り、そういうふうになったときに困らないようにしていくということが必要でございますから、それを今研究いたしておる、こういうふうに申し上げておるわけであります。
○穗積委員 外資法、為替管理法、ドイツの場合を見ますと、これは両方廃止をしまして統合して一本にしているわけです。われわれとしては、そういうふうに統一法にまとめられた方が趣旨は一貫いたしますし、便宜でもあると思うのです。それについての通産省の御意見、御意向はどうですか。
○福田国務大臣 よく御研究になっておるようでございますが、実は、そういうことについて、二つにしておいたらいいか、一緒にまとめたらいいかとか、いろいろな項目があるわけです。それを今やっておる最中でありまして、事務的に話を進めておるときに、私がこういうふうにするのだと言うのもいかがか。政府としてまだきまっておりませんので、研究をいたしておるということを申し上げる以外にはないのでございます。
○穗積委員 法律の改正そのものについては、あとでその取り扱いは御討議なさるということですけれども、それでは、続いてお尋ねいたしますが、問題は、外国資本の日本に対する投資の問題が出てくるわけです。そのときに、日本の法律によって登録された既存の会社、また、これからの新設の会社、合弁の会社もありましょう、そのときに外国資本の持ち株の比率の問題が第一に出ると思うのです。これは、五一%以上こえましてもその会社に対する持ち株の制限はしないか、するつもりか、このことについては通産省としてはどういうお考えでございますか。
○福田国務大臣 実は、この問題も、なかなか厄介なと言いますか、いろいろ議論を生んでおる問題でございます。考え方によっては、もう今日の事態になればそれほどこだわらぬでもいいじゃないかという議論もございます。また、依然として五一%ぐらいこちらの資本はよけいにしておいた方がいいのだという意見もあるわけであります。今あなたが御質問なさろうとする問題は、具体的に研究課題になっておりまして、そういうことを今いろいろと打ち合わせをしておるというふうに御了解を願いたいと思います。
○穗積委員 それでは、打ち合わせの状況を、中間報告でけっこうですから、していただきたいと思います。
○福田国務大臣 関係当局の通産、大蔵の各局の課長段階ぐらいで今話を進めており、局長もいささか関係しておるかもしれないが、私はまだ具体的にこういうふうなことをこういうふうにしておりますというところまで聞いておりません。うちとしては、企業局とか通商局とか、そういうものが、どうしたらいいかということを今慎重に研究しておる、こういうところでございます。
○穗積委員 それでは、その五一%問題については、通産省内部における意向、大体の大勢はどうですか。
○福田国務大臣 そのことについても、私まだ報告を受けておりませんから、通産省内における大勢ということはまだきまっておらないと思います。事務的に検討しておる段階だと思っております。
○穗積委員 それから、もう一つ大事なことは、今度の自由化に伴って、八条国移行が決定されますと、当然今までの許可制を建前とする為替管理制限というものは除却されるわけでございましょう。そのとき問題になるのは、経常取引の場合には制限管理をすることは国際的に見て不可能だと思うのです。しかし、資本の投資に関する契約につきましては、経常取引、貿易取引の場合といささか趣を異にいたしますから、これは八条国移行によって必ずしも制限を完全撤去しなければならぬということにはなるまいと思う。そういうことについての日本の経済省の御意向はいかがでございますか。
○福田国務大臣 お説の通りでございまして、経常取引における制限ができなくなる。しかし、西独その他においても資本取引においてはちゃんと別の法律をつくっております。こういう諸外国の例も参酌をいたしまして、どういうふうに処置をしていこうかということを今やっておるわけでございます。
○穗積委員 大体、通産省としては、それは区別をして、資本取引については、為替の自由化に伴う問題とは別個のワクとしてこれをリザーブするというお考えでありますか、原則的に。
○福田国務大臣 なるべくそのようにいたしたいと、今その点では考えております。
○穗積委員 そこで、お尋ねをいたしますけれども、経常取引と資本取引と、言葉の上では二つの言葉で、範疇が違うわけですが、そこのところは事実上は非常にあいまいになるわけです。事実は資本取引であっても、経常取引の形式をとって行なわれる場合も多々あるだろうと思うのです。そうすると、経常取引と資本取引との区別を一体どういうメルクマールでなさろうとしておるのか、日本政府の経済省としての御方針というものはあるだろうと思うのです。どういうふうに御理解になっておられるか、それを伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 それがいわゆる立法をする場合の条文の内容に相なってくるかと思うわけでございます。
○穗積委員 条文はあとでつくるといたしましても、経常取引、資本取引、こう区別をして、そして、資本取引については、八条国移行の問題とは別個の問題だというのでこっちへ取ってあるわけでしょう。そうすると、私が伺っておるのは、文章はどう表現するかはあとのことといたしましても、経常取引と資本取引という概念が、政府の理解とわれわれ民間における理解とが違っていたのでは、幾らここでそういう原則を伺いましても無意味なことになるわけですから、経常取引と資本取引の政府の理解、概念、どういうものを経常取引、どういうものを資本取引と言われるかという点を、今後の理解を明確にし、政府の方針を正しく理解するためには必要なことでございますから、伺っておきたい。
○福田国務大臣 そのような問題になりますと、事務当局から説明をさせるのがいいと思います。私などが説明を申し上げてかえってあれになってはいけませんから、また適当な時期に御説明をさせていただきたいと思います。
○穗積委員 事務当局の方お見えになっていらっしゃるのじゃないですか。
○福田国務大臣 担当が来てないのです。企業局のあれですから。
○穗積委員 委員長、それでは、お聞きの通りですから、この次の機会にこの委員会で今の御答弁の残りを、事務当局でけっこうですから、していただくことをお願いいたしておきます。
○安藤委員長代理 承知いたしました。さよう取り計らいましょう。
○穗積委員 その次にちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが、実は、自由化に続いて来るものは、関税引き下げの傾向というものが強くなってきておるわけです。アメリカは五年間に五〇%、しかも年に一〇%ずつ一律無差別にやっていこうというような考えを持っておる。それから、イギリスがEECに入りそこないましてからの対策の一つとして、この関税引き下げ問題が出てくると思うのです。それは、日本にとって、貿易の上でも産業保護の点から見ましても、自由化に続く問題としてやはり重要な影響を持つと思うのです。これについての通産省のお考えをこの際伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 関税を引き下げて相互の貿易を増進するという基本方針には、われわれは賛成をいたしております。従って、そういうような国際会議があったら政府としては出席をするという態度ははっきりきまっております。ただし、私は、関税引き下げの問題についても、それぞれの国々でそれぞれの産業の状態が違うと思うのであります。従って、そういうような具体的なやり方の問題で、画一的にやれるかどうかという点に疑問があると思います。ただいま問題になっているのもそういうことでございます。従って、目的は非常にいいとしても、どういうやり方をするかということについては、われわれとしてはわれわれなりの意見を述べるように相なると存じます。
○穗積委員 具体的に提案されておるのは、アメリカの五年間五〇%一律引き下げですけれども、これについては政府の御意見はどうですか。抽象的な関税引き下げではなくて、もう提案は具体的になっているわけですね。
○福田国務大臣 五カ年間に五〇%引き下げる、その話をまずまとめるのに、国際会議が一、二回開かれるだろう。一年後なり二年後なりに実施するという場合になったら、そのやり方は、五〇%引き下げるのでも、最初の年に五%、次が五%、それから一五%、一五%、一〇%引き下げるとか、いろいろ比率の問題もあるでしょう。それから、その対象とする品物もいろいろ変わってくるわけであります。そういう日本の対象の産業それぞれに、力がついている産業とつかない産業がある。従って、日本の産業が関税を引き下げることによって壊滅的打撃を受ける、つぶれてしまうというようなことであれば、われわれとしては、それはどうしても例外を認めてもらうというようなことを主張せざるを得ないでしょう。私たちは、何でも一括一律に引き下げる、そして何でもかんでもその方向へ全部持っていくんだ、こう言われても、にわかにこれに応ずることはできないと思っております。
○穗積委員 従来のいろいろな経済外交における折衝の経過を見ましても、外務省は、原則としてはアメリカの原則を認める、応諾するような姿勢を示そうとする。ところが、実際は、今おっしゃったように、期間の問題、それから、五年間なら五年間としても、率をどういうふうに配分するかという問題、それから、品目についての問題がある。これについては、われわれとしては、日本の自主性、日本の利益という立場から見て、外務省の態度というものには非常に不満を持つわけです。同時に、不安を持つわけです。だから、そういう点については、今の大臣のお答えで正しいと思うのです。従って、原則的に五年間に一律引き下げるというアメリカの提案については、これについては直ちに応諾をしがたいという態度が基本的な通産省の態度として理解してよろしゅうございますか。
○福田国務大臣 御承知のように、一応アメリカは、原案らしきもの、まあ原案と言うべきでしょう、そういうものを出しておりますけれども、こまかい内容についてはわれわれはまだ何も説明を受けておらない。考え方としては、そういうような関税引き下げのやり方で貿易をお互いに拡大していくということはけっこうだと思います。従って、そういうことにはもちろん入っていくわけで、そういう相談には乗るわけでありますが、その相談に乗る場合にも、やはり、日本には日本の特殊事情がありますから、必要とあれば例外を認めてもらうことを主張することは当然だと思います。この点においては、私は、外務省と通産省の間で意見が食い違っているとは思っておりません。
○穗積委員 意見の食い違いというか、ものの見方が違うわけですよ。あるいは、立っておる背景が違うわけですね。それは違うのがあたりまえだと思うのです。特に、通産省の立場に立って見れば、先ほど私が言いますように、なぜこの委員会にわざわざ通産大臣に来てもらってこういう疑点を国民の前に明らかにしてもらいたいかといえば、アメリカまたはヨーロッパの先進国が自由と平等の名によって行なおうとする自由化政策あるいは関税引き下げ政策というものが、これは産業によって力の違いがありますから、事実上は自由平等ではなくなるわけです。すなわち、契約は民法によって自由であるけれども、シシとウサギの契約ではほんとうの自由平等の契約にはならぬというのと共通した問題がこの国際的な折衝の中に含まれておるわけです。むろん、世界の経済というものは、自由化あるいはそれに伴う国際的な分業と共同化という方向に進むことが大勢でございましょう。その抽象的な原則を私は言っているのではなくて、今日目の前に来ておるそういう自由化政策、関税引き下げ政策の個々具体的な問題について、通産省としてはわが国の貿易の発展とわが国の産業資本の擁護というものを考えなければならぬという立場がありますから、その認識を伺っておるわけです。それがなければ各省で打ち合わせするということも意味がありませんし、その場合におけるニュアンスの相違なり立場の違い、背景の違い、主張の違いというものをわれわれとして当然なこととして理解し、かつその上での主張が強くなされることが必要であると認めておるわけです。だからこそ、通産大臣に外務委員会に出てきてもらって意見を伺うわけですから、その点については、そう官僚的な御答弁でなくて、もう少し誠意のある、深みのある答弁をしていただきたいと思うのです。御意見を伺っておきたい。
○福田国務大臣 私の説明が足りなくて誤解をお与えしたと思いますが、私、そういう意味で申し上げたのではなくして、この問題は非常に重要な問題ですから、外務大臣ともしばしば打ち合わせをしておるのであります。外務大臣と私との間、また、政府部内においても、この問題は、一応参加するかどうかというようなことについて打ち合わせもいたしております。その場合のグルンドと申しますか、考え方は、今私が申し上げた通りでございまして、大体あなたの御意見と私は一致しておると思うのです。ちっとも違っておらないのでありまして、そういう意味で、あなたのおっしゃるような考え方を私も申し上げておったと思うのでございまして、従って、あまり食い違いがないということを申し上げておったわけでございます。
○穗積委員 参議院から御催促のようですから、はなはだ残念ですが、先にお願いしておきます。これは大事な問題ですから、次の機会にも積極的に御都合をつけていただいて、一つ外務大臣と一緒にこの問題の審議に当たっていただくことをお願いしておきます。 それでは、最後にお尋ねしたいのは、東西貿易についてです。私、昨日まで旅行中でしたから、昨日この委員会で日英通商航海条約が採決になったわけですけれども、それに関連をして、実は審議の事前に特に通産大臣にお尋ねしておきたいと思ったのだが、イギリスがEECに入れなくなりましてから、おそらくとるであろういろいろな経済外交の対策というものがあると思うのです。その中の一つでわれわれが注目しなければならぬのは、ここでイギリスは、アメリカとの関係、それからEETAとの関係、あるいは英連邦国との関係を一そう緊密にすることも考えられるでしょう。あるいはEECとの間における関税引き下げの努力をすることも考えられるでしょうが、もう一つ見落としていかぬと思うのは、社会主義陣営との貿易の拡大というものに相当積極的な態度を示すのではないだろうか。特にそのことがすでに現われておりますのは、先ほど帆足委員からも話がありましたが、対ソ鉄鋼パイプの輸出の問題についてもすでに示されておる。さらに重要なことは、今までなかったことですけれども、中国の日本で言えば外務次官に当たる慮緒章氏、貿易部の次長でございますが、これは、行く方も政府の代表としての正式な資格で行き、イギリスの方も政府で迎えたわけです。これは、非常に重要なエポックを画すというか、中並びに英の間で貿易拡大についての積極的な意欲を持っておることの重要な表現の一つだと思うのです。しかも、その後伝えられるところによると、本年度においては一挙に昨年度の五割増しに取引を拡大したい、こういうことが伝えられておるわけです。日本は国際貿易自由化の中で広域市場というものを持っていない。アメリカも持ち、ソビエトも持ち、ヨーロッパ諸国もそういう広域地域を持っている。ところが、日本においては近隣国との間に遺憾ながらそういう基礎がないわけです。そういう点ともあわせ考えまして、今行き詰まっておる鉄鋼産業にとっては、イルクーツクからナホトカまでの油送管の輸出は望ましい。これは一時的な意味で言うのではありません。そういう意味で、私は、中国との貿易問題も根本的にはやっぱり通産省としては検討すべきではないかというふうに思うのです。 そこで、特に私が言いますのは、ただ行き詰まっておるものを輸出する、貿易をただ拡大するということでなくて、日本のこれからの産業並びに輸出というものは重化学工業に移行するということは、最近の傾向から見ても明瞭ですし、政府の方針もそうでしょう。財界の方針もそうあるべきだと思うのです。そうなると、重工業一つとってみましても、私の調べているところでは、最近の鉄鋼生産の計画から見ましても、鉄鉱石は五三%以上を五千キロ以上の遠距離から非常なハンディキャップのある条件の中で獲得しなければならぬ。ブラジルあるいはインド、中央アジア等々ですね。こういうことは他の工業国においてはないことです。それから、化学工業の中心はやはり石油化学でございましょうが、この原料すら、実は市場があまりに偏し過ぎておる。そしてまた、価格の点においても非常な不利な条件の中で日本の油化学というものは伸びていかなければならぬ。そういう重化学工業の育成という点から見ても、さらに貿易の発展という点から見ても、ここでやっぱり日本の市場構造というものをもう一ぺん考える必要がある。貿易だけでなくて、産業構造としても考える必要がある。その関連において市場構造は考える必要がある。そういう意味で、シベリア並びに中国との貿易、あるいはまた朝鮮の茂山の鉄鉱石、あるいはマグネシア・クリンカー、粘結炭等々は宿命的な重要さがあるわけです。特に、重化学工業から見ますと、海南島の鉄鉱石、ソビエトの油だけではなくて、今申しましたような北朝鮮との関係も宿命的に従来もあったし、これからもさらに一そうそのことが今日の自由化の中で十分に再検討、再認識されなければならぬ問題になってきていると思うのです。特にEEC加盟失敗後のイギリスの動き等を見ましても、あるいはEECの対外貿易を取り計らっておりますニトレックスの対中、対ソ貿易の最近の動向を見ましても、この際、貿易の自由化と言います以上は、やはり、自由主義諸国との自由化ばかりでなくて、近隣諸国、東側との自由化も、日本が一番ウエートがあり、重要性があるというふうにわれわれは考えるわけです。そういう意味において、特にイギリス並びにEEC諸国の東側との貿易取引に対する最近の積極的な動きと関連しながら、通産大臣のこの問題に対する基本的なお考えを伺っておきたい。それを伺った上で、時間が許す限り、具体的な問題について、多少われわれも調べておりますから、お伺いしたいと思うのです。
○福田国務大臣 御承知のように、貿易は私は一つの商売であると考えていいと思うのでありますが、それは、それぞれの国が、それぞれの立場、また自分の力というものに応じてやっていくのが一番正しいと思っております。従いまして、イギリスが今度EECに入れないからといっていろいろの手を考えられることは、これまた当然なことであろうと思いますが、イギリスがそういうふうに動いたからといって、日本はそれにつられる必要はない。日本は日本のペースで歩めばよいわけであります。私はそういう考え方でちっとも差しつかえないと思っております。 それで、日本は一体中共あるいはソビエトとの貿易についてどういうふうな立場でいったらいいかということになりますと、私は、やはり政経を分離して、できるだけふやすようにしていった方がいいと思います。ただし、その場合においても、一体中共やソビエトが支払いの能力があるかどうか、支払ってくれるかどうかということがあります。ソビエトの場合なんか、むしろ手形でも出してくれるということであれば、これは割引が非常に簡単だそうでありますから、金をあれだけ保有されている以上は、こいねがわくは私は手形でも出してもらいたいというようなことを言うておるわけでありますが、これはなかなか話がうまくいっておらないようであります。が、中共に、至りましては、御存じのように、今のところ金が非常にないということも事実であります。しかし、こういうふうに外貨が少なくなりましたのは飢餓の影響が大きい、ことしはだいぶ食糧も増産されてきましたから金のゆとりも非常にできるだろうという話も聞いております。聞いておりますが、日本として、たとえば中共なりソビエトなりに物を売った場合、延べ払い、いわゆる貸し売りになるということは、やはり日本の力というものを見なければいけないと思う。日本はどんどん貸し売りをする、貸し売りをした場合において、それではその品物を売った会社はどうするかといえば、日本の輸出入銀行に手形を持ってきて、さあこういうふうに貸し売りをしましたから、この貸し売りの分だけは金を貸して下さい、こう言われるわけであります。そのときに、それではといって輸出入銀行がこの手形に対して貸し付ける、貸し出すわけであります。しかし、輸出入銀行の原資というものは限りがあります。でありますから、この輸出入銀行の原資をどういうふうにうまく使うかということが一番大事な問題であろう。そういうことになると、金があって現金で払ったり、あるいは必要なものがあってこれをバーターで交換できるということになれば、これはもっとどんどんふやせるのでありますが、品物も今のところ適当なものがない。この間も、松村さんが行かれて、あるいはまた高碕さんが行かれて相談してもらいましたが、中共との間においてはさしあたりございません。それで、今あなたがおっしゃったように、鉄鉱なんかいいものがあるじゃないかというお話もありますが、日本は海外とずっと交渉をいたしておりまして、方々、何千マイル先からであったにしても、他に相当安いものがあったにしても、約束をしておる。その約束したものを買っておるわけであります。その約束したものを破って、今度は中共からというわけにはいかない。だんだんこれを切りかえていくということならこれはできるかもしれませんけれども、これを急にやめて、そして中共のものに切りかえていくということは、国際信用の問題がありますから、これがなかなか許されないということであります。一方、あなたのお説の通り、鋼管、いわゆるパイプ等の問題につきましては、これはわれわれは何も禁止する気持はございませんけれども、しかし、それではそのかわりに何がもらえるか、現金はもらえない、それでは手形を出してもらえるか、手形も出せない、延べ払いでこい、そうでなければあるいは鉄鉱石を取ってもらいたい、あるいは木材を取ってもらいたい、こうおっしゃる。向こうから言われれば、なるほどごもっともな御意見だとわれわれは聞いております。しかし、今日の状態において鉄鉱石というものをそれだけ輸入できるか。これはオーバーフローしますから、輸入できません。限度がございます。木材についても、これまた同じような状況でございます。そういたしますと、油はどうだということになりますと、油だって、これは今のところ一時安い油が入ると申しますけれども、運賃を加算しますとそれほど安くはなっておりません。あるいは、一時的に安くしてもらっても、英米系の油とソ連系の油とは非常に対立しておりますから、そういう関係で見て、今度はあまり一方に片寄った買い力はできないということになると、これにも限度があります。一割くらいならいいだろうというような見込みも出てきますけれども、二割も三割もということは、今度は現実の問題からして、そうその他の関係からしてできません。私は今通産省を担当しておりますから、今あなたがおっしゃるような個々の問題についてできるだけ貿易を進めていかなければいかぬということについては、かなり私は積極的にやっているつもりであります。しかし、遺憾ながら、今の状態、今の条件下においては、そういう物の交換もうまくいかないし、現金の取引もない、出せば貸し売りだということになると、日本の経済力がそれにたえ得ないという限度がございますので、お説の通りなかなかそれがうまくいっておらないというのが今の段階だと解釈しておるのでございまして、私は決してそういう意味で東西貿易を盛んにするということについては異議がないわけでございます。
○安藤委員長代理 だいぶ催促が来ておりますから……。
○穗積委員 抽象的に伺いますとごもっともなようなことですけれども、私は実は時間をかけて最近の東西貿易に対する通産省の態度を具体的に伺いたいのです。今のパイプの問題だけでなくて、その他についても伺いたいわけですが、何も私は無制限にあるいは一挙に市場転換をやれということを、言っているのじゃないのです。徐々に、日本の利益に立って進むべきである。現実に進み得ると思うのにかかわらず、外務省は、アメリカとの関係を考えて、政治的な配慮で、政経分離と言いながら実は政治で圧力を加えておるわけでしょう。しかし、経済抽出の通産省としては、日本の経済の将来の構造並びに市場構造というものを考えて、もう少しやはり長期の計画というものがなければおかいと思うのですよ。輸銀に制限があることは、あなたに聞かぬでもわかっています。それでは、たとえば、先般松村さん、高碕さんが行かれたときに、池田総理との間には打ち合わせが行なわれて、そして廖承志・高碕覚書というものができておるわけです。初めから延べ払いををやるということは話の上ですよ。しかも、延べ払いについては、最近、東南アジアその他後進国を見ましても、経済援助よりは貿易、貿易の場合には延べ払いという傾向、要望の方が強くなってきているのですよ。後進国開発計画については、自由化に次ぐ、あるいは関税引き下げに次ぐ貿易拡大の方針として後進国開発という問題が出てきておりますけれども、この場合においても、やはり、従来のマンネリズムでなくて、貿易を通じての発展、そして、その場合において、できるだけはバーターで決済をして、足らざるところは延べ払いでいくということが実質的な後進国援助でございましょう。従って、年度々々に限られておる輸銀の融資ワクという考え方のようですけれども、それをどこに割り振るか、その年度における割り振りについては、LT覚書における取引については明瞭に行なわれるべきである。たとえば、肥料について見ましても、今年度の取引、私ども最近調べたところによると、尿素、塩安を含めまして四十五万トンだけです。ところが、ニトレックスは百七十万トンの取引をしています。しかもこれは延べ払いです。しかも、EECなりイギリスが中国との貿易にどういう態度をとろうとかまわぬと言われますが、重化学工業の取引、すなわち基幹産業の重要物資の取引の段階に入りますと、プラントを含めまして、それは一時のことじゃないのですね。それが固定するわけです。イギリスと中国との市場関係、中国とドイツとの市場関係というものは、長期計画ですから、そういうふうに年度々々で切りかえがきかなくなるわけです。そうすると、一日のおくれというものは永久の立ちおくれというか、敗退になるわけです。そういう御認識は当然持っておられると思う。従って、あなたの先ほどのお言葉は、抽象的な言葉としては理解ある態度を示しながら、限度があるからというので限度の範囲内においての理解の態度を示しておる、こういうことなんでしょう。その限度について具体的に実は問題があるわけです。取引が今すでに妥結をし、またはすでに交渉中のものもある。それはLT覚書によってもうすでに政府も事実上了承を与えた取引が行なわれておる。それを認めた以上は、輸銀の融資保証ということになるのは当然のことですね。自然の結論になるわけです。それすら今はちゅうちょ停滞しておるではありませんか。それから、さらに、四項目のプラント輸出の問題についても、いまだにはっきりしない。その当時とは違って、ケネディの発言によって動かされて外務省が多少動揺するならまだわかる。ところが、通産省として、日本産業の構造を長期的に考え、貿易の発展を考えなければならぬというこの重要な自由化を迎えておる段階に、今のようなお言葉だけでは、私はごもっともと言って引き下がるわけにはいかぬわけです。 時間がございましたら具体的なものについて一つ一つ私はお尋ねしたいのですが、委員長のお取り計らいで、きょうは時間がないから次の機会ということならば、それをお約束していただいて、次に私は質問を継続したいと思うのですが、通産大臣の御答弁を伺って、あと委員長の議事進行についての御意見をこの際伺って、そうしてきょうは一応留保しておきたいと思うのです。
○福田国務大臣 私たちは、高碕さんが行かれておきめになってこられたのは民間協定であると思っております。しかも、そういうときにおいての条件等については、われわれとしてはどの程度の条件だったらいいかということについてお話をいたしております。しかし、きめてこられた条件とわれわれが申し上げたものとは違っております。それだから今日問題が残っているわけです。しかし、それにしても、できるならば何とかしてあげたいというような考えはわれわれは持っておりますけれども、しかし、そういうふうにむやみに条件を緩和すると、よその国へも同じような条件でやらなければなりません。中共だけでなくて、よその国へ全部やらなければなりません。そうすると、それだけやはり輸出入銀行のそういうような関係に響いてくるということは、あなたもおわかりだろうと思う。そこに問題がある。言われた通りの条件が、一応これならば大体そういうことでありましょうということと違っております。たとえば、プラントの問題等についても全然話が違っております。われわれは、何も最初の約束を守らなかった、認めたのをやらないとか、そういう考え方ではございません。できるならば一つなるべくやってあげるようにしたいという考えは通産省として持つのは当然であります。だから、そういうことを考えておりますけれども、しかし、あなたの言われるように、当然約束をしてきたのを、そうやってきたのになぜやらぬのか、こういう御質問でありますと、そこはちょっと違っておると申し上げざるを得ないと思います。
○穗積委員 それでは、そういうことにして、最後に一点だけお尋ねしますが、今度またソビエトに使節団が行きますね。これらの人は計画としてやはり送油パイプの話をする姿勢で行かれるようですが、これに対しては、政府はこれをチェックすることはありませんね。 それから、もう一つは、こまかいことですが、近く今年度の見本市の計画というものが進捗する過程の中で、あるいは今の廖承志・高碕覚書の過程の中で、向こうの貿易の責任者である南漢宸氏あたりが、あるいは南漢宸氏が病気であるならばそれにかわるべき責任者が来ると思うのですが、そのときに、あなたは、非公式でもいいが、やはり貿易拡大に熱意を持たれるならば、これらの方々とお会いになって、相互の理解を深めるためにも、当然御懇談をなさる機会をお考えになるのが私どもは望ましいと思うのですが、いかがですか。 その二点についてだけお尋ねして、次のことは、さっき重要な御発言がありましたが、具体的な質問は留保しておいて、継続をいたしたいと思っております。その二点、訪ソ経済使節団に対する政府の態度と、それから、中国の貿易代表が参りましたときに、相互理解を深めるために、友好雰囲気の中で懇談をなさる御意思があるかどうか。その二点だけこの際伺っておきたいと思います。
○福田国務大臣 私は、今度ソビエトへおいでになる使節団がどういうお話でどうなさるのか、まだ伺っておりませんから、そのお話を聞いてから、そこで今の問題をお答えすることになります。まだ何も出ておりません。それは、バーターの問題とか、いろいろ支払いの問題があるでしょう。いろいろな問題がありますから、そんなことはその具体的なときにお話しいたします。 それから、中共からそういうようなお方がおいでになりまして、話をしたいとおっしゃれば、いつでもお目にかかります。
○安藤委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十二分散会