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43回国会衆議院1963/03/22

外務委員会 第9号

発言数
51
登壇者
7
会派数
2
開催日
1963/03/22

会議録

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 これより会議を開きます。  委員長所用のため、指名によりまして理小の私が委員長の職務を行ないます。  国際連合の特権及び免除に関する条約の締結について承認を求めるの件、専門機関の特権及び免除に関する条約の締結について承認を求めるの件、国際原子力機関の特権及び免除に関する協定の締結について承認を求めるの件及び国際地震工学研修所を設立するための国際連合特別基金の援助に関する日本国政府と特別基金との間の協定の締結について承認を求めるの件、  以上四件を一括して議題といたします。  右四件について御質疑はございませんか。  〔「なし」と呼ぶ者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 御質疑がないものと認めます。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決をいたします。  右四件をいずれも承認すべきものと決するに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 御異議なしと認めます。よって、四件はいずれも承認すべきものと決しました。  お諮りいたします。ただいま議決いたしました四件に対する委員会報代書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

安藤覺自由民主党

○安藤委員長代理 次に、日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の通商、居住及び航海条約及び関連議定書の締結について承認を求めるの件を議題といたします  質疑の通告がありますので、これを許します。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 議題となっております日英間における通商航海条約の質問に入りたいと思いますが、協定の内容についてもわれわれ多くの問題点を持っていますが、その前に、関連をいたしまして、政府の経済外交全体に対する分析が必要になってきたと思うのであります。特に、自由化の問題あるいは関税引き下げ問題あるいは国際的な経済共同体の問題等が出て参りまして、資本主義諸国の経済全体が一つの曲がりかどに立っていると思うのです。そういう意味で、ただあとから追いかけて、あの国この国に対する貿易の振興をはかるとか、あるいはまた、他の国から日本に対する輸出超過あるいは資本の進出等を、いかにして日本産業のエゴイズムからこれを防衛するかということを個々ばらばらにやっていたのでは、これは日本の経済の独立と繁栄のためには何らの基本的対策にならないというふうに思うわけです。私どもの見るところでは、最近のこれら今申しましたような経済外交における大きな一つのうねりというものは、やはり過剰生産と市場競争という資本主義経済の本質的な内部的矛盾あるいは対立の様相の現われであるというふうに見ておるわけでございます。  そこで、最初に私がそういう認識と背景の上に立って政府にお尋ねいたしたいのは、まず第一に、求められておる自由化の問題でございますけれども、八条国移行問題というのは、もうすでに、IMF、ガット等におきましても時間の問題になってきたわけです。従って、八条国移行問題に対する今後の外交折衝の大体の政府の態度ですね、どういう態度で、どういう基本方針でお臨みになるつもりであるか。これは、かつてヨーロッパのドイツ、フランス等の自由化の過程におきましても、いろいろな経過、いきさつがあるわけです。単にそれを学び、それのあとを追って、ただ時間的にこれを遷延せしめるということだけでは、これは対策にならないというふうに思うわけですけれども、それらについて最初に外務大臣に伺っておきたい。実は、本日は貿易の担当責任者である通産大臣にもぜひ御列席をいただいて、外務省と通産省との統一意見をここで伺おうと思ったのですが、通産大臣がまだお見えになりませんので、外務大臣でけっこうですから、外務大臣を通じて政府の全体の経済外交に関する方針をこの際最初に明らかにしておいていただきたいと思うのです。特に自由化の問題を中心にいたしまして……。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 先般IMFの勧告がございまして、日本政府としては八条国に移行するという方針であることを内外に宣明いたしたわけでございます。これは、先進国の間で貿易と為替の自由化を通じて貿易の拡大をはかろうという潮流が見られますし、また、わが国が通商の機会をできるだけ多く求めて参ります上においては、この潮流からはずれて行動するということは日本の不利益になりますので、そういう決意を固めて内外に明らかにしたことは御承知の通りでございます。もっとも、これからの世界の経済を見る場合に、今申しました自由化の大勢というのは、いわば主として先進国との間の問題でございまして、後進国との間におきましては、国連におきましてももとよりでございますが、その他の国連の機関におきましても、先進国と後進国との間の貿易の拡大ということをどう持っていくかにつきましては、先進国の間を律する面だけではいけないものがたくさんございます。ここ数年間の貿易の趨勢を見ておりますと、先進国と先進国との間の貿易の伸び方が先進国と後進国との間あるいは後進国相互の間の貿易の拡大よりは大幅でありますことは、穗積さんも御承知の通りでございまして、先進国と後進国との間の問題は、別に商品協定その他を通じましていろいろな問題が出てきておるのでございますが、今申しました自由化の問題は、主として先進国の間の貿易の自由化を通じて拡大をはかっていこうというこの大きな潮流に対して抗することはできないと思います。それでは、この傾向は、後進国と先進国との間の貿易の拡大に背馳しているかというと、そうではありませんで、わが国のように、先進国に対して輸入超過であり、後進国に対して輸出超過であるという貿易構造を持っている国といたしましては、この自由化の潮流にさおさして、できるだけわが国と先進国との間の貿易のバランスをとり、もっと欲を言えば、先進国には輸出超過になるというくらいに持っていかないと、後進国との間におきまして第一次廃品の買付その他で日本の経済的な弾力を培養できないわけでございますから、この自由化の問題というのは、それを通じてわが国の貿易構造というものをだんだんとバランスのとれたものにしていって、そうして後進国に対処する場合の経済的な実力を日本として持たなければならぬというような趣旨から申しましても、自由化の大勢というものに順応した措置をとることが大切であると思います。  しかしながら、過去の他国の自由化の例にも見られますように、これをやるには相当の手順が要るわけでございまして、相当の準備をしてかからなければならぬわけでございます。今すでに八八%の自由化ができたと言うておりますけれども、残された品物につきましては、今個々の品目について鋭意検討いたしておりまして、可能なものからだんだんと自由化に持って参らなければなりませんし、その間に、国際機関との間に、あるいは二国間交渉を通じましても、逐次問題をほぐして参りまして、来年の十月ごろを一応のめどにして、来年の十月は御承知のようにIMFの総会が東京で持たれるということになっておりますので、そのときを目安にいたしまして、国際機関との交渉、二国間交渉、あるいは国内的な整備を精力的に進めて参って遺憾のないように移行をなし遂げたいということで、せっかく関係各省努力をいたしておるというのが今日の段階であります。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 自由化の名による日本の貿易・為替の自由化への要求というものは、今お話しの通り、表面から見ますと相互平等でありますけれども、実力の相違によるわが方の被害というものが、現在の段階においては遺憾ながら相当見込まれるわけです。見込まれるというより、見通されるわけでございましょう。もちろん、日本としては他の工業国、たとえばアメリカ、ヨーロッパあるいはソビエト等々と比べてみましたときに、最も中心をなすべき重化学工業の原料すら初めから輸入しなければならない、そうしてまた、機械設備、技術等もある程度産業によっては輸入しなければならない、そこでつくったものを輸出しなければ経済の成長、国民生活の引き上げの基礎はできない、こういう一番恵まれないむずかしい立場に立っておると思うのです。そういう意味で、この自由化の潮流から孤立するわけにいかぬことは当然わかるわけでありますけれども、ただ、アメリカを初めとする先進工業国が特に日本に着目し、日本に自由化を強く要求しているということは、これは、言うまでもなく、日本の貿易拡大という考え方よりは、行き詰まりましたこれら先進国の過剰生産、市場の行き詰まりを、中進国と後進国の中間くらいに成長してきた日本を目標にして、手っとり早い解決の場にしようということで、後進国は将来の潜在購買力としては見込まれるわけでしょうけれども、顕在的な購買力としては、資本主義陣営内においては日本に進出するということが大きな触手の一つになってきている。そういう情勢の中で強く八条国移行問題が提案されているとわれわれは受け取らなければならぬと思うのです。そこで、政府としては、対外的な外交交渉の方針と、テクニックと、それから、一方では、国内産業における体質改善、あるいは二重構造の格差の解消問題等々、こういう内外にわたる基本的な経済政策の転換期に立っているというふうに思うのです。  そこで、私が伺いたいことは、今度の条約であるイギリスとの関係、イギリスとの関係の次にはEECをねらっておられるだろうと思うのだが、さらに、アメリカとの関係におきましても、自由化の名によって日本の貿易拡大になる、こういうはっきりした具体的なめどというものは必ずしも政府はお持ちになっていないのじゃないか、自信もなければ、計画も不十分ではないかというふうに私どもは危惧するわけです。不満をある意味では持つわけでございます。そこで、この自由化の潮流に対する日本の立場から見た自由化の現段階における影響といいますか、受け取り方、これが私は一番基本的な認識として必要だと思うのです。今私は時間がありませんからごく要点だけ申しましたが、そういう認識に立って、政府は対欧州貿易共同体あるいはEECあるいはアメリカとの交渉に当たられる基本的認識とされるかどうか、その点についてもう一度伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 御指摘のように、日本が自由化に直面して感じておる困難というのは相当深刻なものがあることは私もよく承知いたしております。ただ、現在日本の貿易体制というものを見てみますと、これに対しては他国からいろいろな批評があるのです。それはどういうことかというと、日本は、今穗積さんが御指摘のように原材料がない国でございますから、これを買い付けなければいかぬ。そういう意味で、完成品を買っておるというのでなくて、日本が絶対必要な原材料を輸入しなければならぬ立場におりますので、日本の自由化率というものの中には、当然必要原材料を自由に入れなければならぬという意味で、そういう原材料の自由化というのは日本は昔からやっておるわけです。ところが、反面完成品の輸入については非常に憶病である。問題は、諸外国の日本に対する注文は、日本としてはもっと完成品の門戸を開いてくれということを強く求めてきているわけでございます。従って、日本の自由化の問題点は完成品に集中いたしております。ただ私どもは自由化率とかあるいは関税率とかいうものをもって受け答えをしておるのでございますけれども、それに対して、いや、その中身を分解すれば、あなたの方がぜひ必要なものは自由化しておって、都合の悪いものはしないということはへんぱじゃありませんかという大上段の議論がいろいろな国際会議でも出ておるわけなんでございます。従って、今ちょうど日本はその完成品の自由化という困難な問題に直面しておるということ、そして、国際的な批判にこたえなければならぬということでございます。  しかし、その困難な問題を回避しておれば、これからの貿易拡大というものは期待できないわけでございますから、この困難はどうしても克服せなければならぬ。しかし、克服しながら、今あなたが言われたような貿易の拡大の方向に持っていけるかどうか、こういうことが疑問になると思うのでございまするが、その点につきましては、私は穗積さんほど悲観的ではないのです。なぜならば、現在問題になっている日英通商航海条約、それから、それに続いて今フランスとやっておる、イタリーとやっておる、ベネルックス三国とやっておる、こういうものを二国間交渉の領域で考えてみましても、今まで私どもが向こうから受けておった差別待隅あるいは輸入規制品目というのは相当膨大なものでございましたけれども、だんだんと整理して参りまして、日本の完成品に対する先方の輸入制限あるいは輸入規制というような関門をしんぼう強く一つ一つ取り除きつつあるわけでございまして、全体として輸入規制品目は漸減の方向をとっておるわけでございます。一方、問題のガット三十五条の援用の問題も、大筋におきまして解決の方向にだんだん向いてきておりまして、御承知のように、ニュージーランドは撤回をいたしましたし、英国も撤回するし、ベネルックス三国、フランスの撤回もそう遠くないと期待されておるわけでございまして、このことはどういうことを意味するかというと、これはもう釈迦に説法でございますけれども、ガット関係に平等の関係で入るわけでございますから、今度は、一方的な規制でなくて、ギブ・アンド・テークで、こちらが譲れば向こうも譲るという関係になるわけでございますから、今の完成品の貿易の分野におきまして、先方が日本の市場を目あてに自由化を通じて売り込みに入ってくるのに対しまして、わが国はそれ相当の代償を先方に求めてきましたし、また、それが漸次実現しつつあるわけでございまして、その点を踏まえながら自由化の段取りを進めていっておるわけでございますので、私が冒頭に申しましたように、この潮流から孤立しないようにという意味は、一方的に日本の市場を自由化を通じて開放するというだけでなく、それに相当するもの、またはそれ相当以上のものを諸外国からかちとるということと並行してやって参っておるわけでございまして、そしてそれが逐次成功しつつあるわけでございますので、私は、これをしんぼう強くやって参っていけば、われわれが庶幾する貿易の拡大ということが着実にやっていけると思うわけでございます。  もちろん、これは、国内の輸出産業等にとりまして、各業態別に見るといろいろ問題があるわけでございますから、それは国内経済官庁の方で十分気をつけて、政府としても力をいたして不当な衝撃がないようには当然心得てやらなければいかぬと思うのでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 実は、このIMFの勧告が出ます過程で、昨年十一月に例のフリードマン為替局長が来て、国際収支の底の浅いことを理由にするこの自由化の回避というものはよくないという交渉が行なわれたときに、私が大きく印象を受けましたことは、これらの先進国の諸君が、日本経済に対する立場というものを実は友好的に見ていないということです。彼らの主張はこうであったと思うのです。日本の国際収支が悪くなるというのは、日本の現在持っておる経済機構、経済規模あるいは有効要量、その現状を基礎にして、許す範囲においてインフレ政策を押えながら為替のバランスをとって咲けば、日本の国際収支は心配はないんだ、こういうことを盛んに押しつけようとした。ところが、日本の場合には先ほど言いましたように、実は先進国としての対等の力を持った自由化ではないわけですから、従って、自由化を迎える事前の対策としては、国内の産業構造の体質改善というものが必要になってくる。体質改善が必要であるならば、今申しましたような輸出入貿易に依存する度の高い日本ですから、従って、当然体質改善のための輸入超過というものが考えられるわけですね。それは何も放漫な政策によるものでなくとも考えられろ。あるいは放漫であったかもしらぬ。放漫であったかもしらぬが、池田内閣が当初四兆円をこえる民間設備投資、特に独占中心の設備投資というものを放漫に許したことは、政策は放漫であったかもしれぬが、ごく論理的に言えば、日本とアメリカ、日本とヨーロッパ先進工業国との対比を見れば、ほんとうの自由平等の政策をとるためには、日本がおくれておる、自由化の名による弱肉強食はこちらが弱肉になるんだという事態に対する同情なり認識がかれらにはない。ただ、八条国移行を早く承認をして、そうしてここで為替。貿易の制限を撤廃し、あるいは資本の輸入制限を撤廃をし、さらには関税の引き下げもどんどんやれ、こういう方向へ進んでおる。そのときの主張というものは、先進国の市場行き詰まりを打開するという一方的なエゴイスティックな非常に強い要求、これはアングロサクソンの過去数世紀にわたる帝国主義政策の本性がまだ何らぬぐい去られていないというふうに私は強く印象を受けたわけです。従って、あなたが今言われたように自由化は、何もこちらだけが自由を与えて向こうはテーク・アンド・テークということではない、ギブ・アンド・テークになるんだ、こういうふうに言われますけれども、これはあとで私は具体的に問題を取り上げたいと思うのですが、基本的に、自由化によって対決・対処する相互の経済構造なら経済実力というものに対する認識がなくて、単に為替の操作の点だけで問題をとらえようとしておる。こういうことでは、私は、相互友好による自由化を迎える場合における態度としては非常に警戒すべき態度だ、経済における侵略的な意図の有無にかかわらず、客観的には、貿易における資本攻勢、資本投下における先進国の日本経済への侵略が始まる、こういうふうに見ざるを得ないわけです。認識は、私は観念的に言っているのじゃないですよ。今度の八条国移行の勧告の交渉の経過の中において、日本政府とフリードマンとの間における交渉の焦点認識の違いというものが相互にあったわけです。単に数字に現われた国際収支のアンバランス、赤字、黒字の問題だけではなく、基本はそこにあるわけです。私は、その認識は日本政府が国民に知らしめることがあまりに小な過ぎるというふうに思う。むしろ経済界の方が痛切に感じている。産業によってその緊迫感は違いますけれども、産業界の方がはるかにそういう緊迫感というものを持っておるわけですね。だから、日本政府の態度というものが観念的に、自由だ、自由ということは相手にも利益するがこっちにも利益するんだ、ギブ・アンド・テークだ、フィフティ・フィフティであるというような説明の仕方をしているけれども、八条国移行問題なりあるいは自由化の問題というものは、簡単にそう抽象的に説明をされたんでは、われわれはどうも納得がいかない。  こういう政策をとると、国内においてはやむを得ざる方向として独占はますます強化され、二重構造はさらに中小企業、労働者、農村に対する一方的圧迫のもとに強行される、こういう結果になるわけですから、そこのところは、一番大事な基本的な認識について私はもう少し政府に警告を発しておきたい。過当な期間を私は要求しておるわけではありません。後に問題になります日英条約でも、三十五条をやりましたけれども、セーフガードなりあるいはセンシチブ・リストの中で常に自己防衛の抜け穴がつくられておるわけです。いわば、こちら側とすれば名を取って、向こうが実を取っておる、こういう印象を持たざるを符ないわけです。ですから、そういう点で、問題は、先ほど言いましたように、一つは対外的なヨーロッパ先進国との交渉の態度と方法、それから、対米関係の交渉の態度と方法というものが、これはやはり大きな責任のあるところであると思うのです。そういう認識に立って私は大平外務大臣にお尋ねをしておるのだし、その点については、あなたの今の御説明は、少しいわゆる自由主義諸国先進国に対して遠慮し過ぎた外務省的な考え方で、経済の認識の深いあなたとしてはその立論ははなはだしく底が浅いと思うのです。あなたにこういう説教がましいことを言うのははなはだ私の本意ではありません。ありませんけれども、私はそういう事実の情勢に対する認識をせざるを得ないのです。  そこで、具体的にお尋ねします。が、五月に予定されておりまする理事会、ここから今の対外折衝の問題が始まるわけですけれども、これに対する政府の方策が統一されておりましょうかどうでしょうか。これについて一つ御説明いただきたいと思うのです。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 前段のわれわれに対する御要望と申しますか、注意を喚起されるということ、よく承りましたが、ただ、穗積さんにも考えてもらいたいことは、つまり、先ほど私が申しましたように、日本の今の貿易政策、産業政策について諸外国がどう見ておるかという見方、相当身勝手じゃないかという批評があるのです。それにはいろいろそれなりの国内的理由もありますけれども、まあ世界的な考慮から言ってもっとここは自由化できないかという先進諸国の注文も、一応それはそれとして受けとめて吟味をしなければならぬ問題があると思うのです。それから、あなたが指摘されたように、経済全体が日本は非常な成長を遂げてきまして、その内部の構造についてはいろんな問題がございますけれども、しかし、いつまでも日陰者というか禁治産者というような立場でおれないわけなので、ある段階になるとやはり元服しなければいけませんし、対等のつき合いに持っていかなければなりませんし、これは、明治政府以来いろいろ日本の貿易の歴史がいいことも悪いこともたくさんありましたので、われわれはそういう過去を背負っておりますし、やはり、夜が明けてさっぱりと完全だというわけにはなかなかいきませんから、セーフ、ガードの問題とかセンシチブ・リストの問題はありますけれども、それは、私が先ほど申しましたように、これは改善の方向に行っておるのでございますよということは、あなたもわかっていただきたいと思うのです。  それから、今五月の理事会の用意をどういう手順でやっておるか、これは事務当局の方から答弁いたします。

宮本惇通商産業事務官(通商局次長)

○宮本説明員 今の御質問に対して補足さしていただきたいと思います。私は実はIMFの関係でフリードマンと直接やり合いましたので、その間の事情を簡単にお話し申し上げたいと思います。  先生御指摘のように、フリードマンの立場から言えば、要するに、日本経済の特殊性というものを何ら認識せずに、ただ外から見まして、日本は外貨がもう十分だし、日本の経済の成長率が非常に大きい、だから道楽をしなければ、りっぱにやっていけるはずだ、こういう認識でございます。われわれ通産省の立場からは、外から見ればそうかもしれないけれども、一本の経済の特殊性ということから励まして、ある程度の経済成長によって二重構造を解消していくのだから、あなたの言うようにそう簡単なものではないということを強く主張いたしましたことと、もう一つは、先ほど来御指摘のように、日本は、要するに、原材料を入れまして製品を出すことによって貿易立国で日本の産業の伸長をはかっておるのだけれども、今の西欧諸国並びにアメリカを見れば、日本の一番得意なものを締め出しておいて、そうしてやっておるのはまことにけしからぬじゃないか、これはIMF、ガットの精神に全く違反するじゃないかということを一番強く言いまして、フリードマンも、全くその通りである、これは百パーセント外国を弁護する余地はないとはっきり言いまして、その結果、御承知のように、理事会の勧告の出ますときにも、日本に対する差別待遇の撤廃ということを理事会でも各国ともに議題にいたしました。そして、各国ともに差別待遇をなるべくやめようということを強く言っておるわけであります。そういうことで、先生のおっしゃるようなことは、われわれ実は中ではかなり強く主張はしたつもりでございますが御承知のように、IMFの勧告というのは、日本が幾ら主張しても、向こうの判断で、残存輸入制限について国際収支上理由なしという判断をするのはいわば向こうの勝手でございまして、ただ、われわれとしておそれましたのは、もう一年延ばすかわりにまた九五%の自由化をやれというようなことは非常に困りますので、言うだけのことは言って、あとは判定にまかした、こういうのがいきさつでございます。  今度は問題の五月の理事会の問題になるわけでございます。御承知のように、去る二月の理事会で日本側が理由なしという判定を受けた以上、ガットではいわば自動的に十一条国になるわけでございますので、一応日本としては十一条国になりますという通知は青木大使からガットの方に通告をいたしておるのでございます。そこで、五月と思っておりましたところが、今度の理事会はたしか四月二十二日から二十六日までだと思いますが、そこでどういうことになりますかという見通しでございます。  〔安藤委員長代理退席、委員長着席〕  御承知のように、ガットの関税引き下げの大臣会議が五月ごろあるということで、今度の理事会ではたして日本の十一条国移行問題が出るか出ないかという点の見通しがまだはっきりしておりませんが、いずれにいたしましても、われわれといたしましては、四月にある程度の自由化をいたします。これはあまり大幅なものではございませんが、四月の末に理事会が行なわれるとして、何か言われましても、せいぜい出すのは、いわゆる残存ネガ・リストと申しますか、これは、ガットの規定から言えば、十一条国になれば当然そういうものを出して、そうしてしかる後日本の残りの自由化をどうするのかと言われるわけでございますが、この四月ごろの理事会では、おそらく、そういうことはわかりませんが、今の状態ではないのじゃないかということでございます。そうなりますと、十月ないし十一月の理事会、総会まで問題が持ち越されるのではないか。そうなれば、先ほど大臣が言われましたように、総会で自由化計画を出さされるかどうかという問題でございますが、その辺は、もう少し実情を勘案の上、十月自由化もした上で総会に臨んだらどうかということでございます。現在、御承知のように、二百五十四品目に上っておりますが、これは千九十六の中の二百五十四でございます。これがどの程度まで減るかということは、産業の実態の問題でございます。ただ、先ほども外務大臣がおっしゃいましたように、われわれとしては、相手が自由化しないので、全体として押えている品目もあるわけでございますから、日仏なりあるいは日伊の交渉次第によっては真ちに自由化できるものももう少しあるわけでございまして、その辺は、ガットへ参りますればパーセンテージの問題ではございませんで、個々の品目の問題で国によって日本はこの品目をなぜ自由化しないかということを品目別について参りますので、相手側が日本に対して不当な差別待遇をしているならば、お前のところはそれをやっているじゃないかというようなことで参るわけで、決して一方的にずるずると押されるようなことはやっていないし、やらないつもりでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 口ではそう言われましても、なかなか相手もさるものですから、ギブ・アンドテークではなくて、ギブ・アンド・ギブになる危険が随所に出てくることを心配しているわけです。  大臣にも申し上げておきますが、私は自由化、の問題について何も消極的であったり反対しておるわけじゃないのです。ただ、問題は、自由化を相互にとっていく過程における実力の相違によるいろいろな被害というものがあるわけです。路線として十一条国に移行するということの基本方針は当然なことなんです。そんなことをわれわれは頭から反対したり原則的に消極的であったりするわけではないのです。ただ、問題は、常に国内における二重構造の問題にしてもそうですが、国際的に先進国と中進国との関係においても、その過程と方法が問題なんです。いわば時期と方法が問題なんです。ですから、理事会がいずれの時期になるか、今お話によると、四月に必ずしも出ぬかもわからぬというようなことでございますけれども、それが十一月になったといたしましても、これは早晩の問題である。そこで、私は先ほどからこの理事会あるいは総会に臨む日本側の態度、戦術について伺っておるわけであって、すなわち、私どもの少しく調べたところによると、ドイツの場合とフランスやイギリスのとった場合とは少し態度戦術が違っているわけです。だから、今の残余の制限品目のリストというものをあらかじめ出して、そうしておいて、二十二条でございましたか、例のコンサルテーションを直ちに受けるという方法でいくのか、そうではなくて、今言ったように、ドイツがとりましたような態度で交渉の過程で説明をしていく、その間にこちらは相手の様子を見、時間の余裕をとりながら対応の次善の策を進めていく、こういう二つの大きな方法に、今までの例から見まして分けてみるとそういうことになる。  そこで、私がせんだって来心配いたしますことは、閣僚会議あるいは事務当局の打ち合わせ等におきましても、残されました今の二百五十四品目を、残存品目というもののリストを出して、そしていつまでにどういうことをやるんだということを先に示してしまう、こういうことだと、これはいわばスケジュール闘争になるわけです。向こうは、フリードマンも、九五%はいつやるんだということを時間を限ってスケジュールを示せということを盛んに要求してきたわけです。そういう動きのとれない、観念的というか、言葉の自由化、平等化にだけ満足する、実はそれは敗北なんですけれども、それだけで、その言葉だけにエクスキューズを求めて交渉に当たって、相手のペースでスケジュール交渉に入るということは、これはある意味では敗北主義だと思うのです。そういうことでなくて、私の言うのは、一体どういう基本的形態度でいくのか、私の考では、これから問題にしたいと思いますが、特にヨーロッパの諸国の制限措置、対日差別措置、アメリカの自主規制、カナダも同様ですけれども、いわゆる自主規制なんという制度を、自由化を唱えながら言っておる。しかも、日本の国際収支を理由にする非自由化はけしからぬと言いながら、アメリカはドル防衛を盛んにやっておるじゃないですか。域外買付にしてもAIDの操作にいたしましても、日本の軽工業まで侵略するようなやり方を盛んにやる。日本が国際収支を理由にする自由化に云々と言いながら、みずからそういうエゴイスティックな態度を一方的に、先進国がとっておるわけでしょう。そういう不当な態度で、言葉だけで自由化だ平等だということで、当然な方向だということに一挙に結論を持っていくことは論理の飛躍である、外交交渉の誤りであるというふうに思うわけです。その点を私は言っているわけです。いかがでしょうか。

宮本惇通商産業事務官(通商局次長)

○宮本説明員 先生のおっしゃいました通りだと思います。私、先ほど、ネガ・リストを出して、あと自由化計画を出して、いかにもスケジュールにぴしっとはめられるというふうに申し上げたつもりはございません。これは最後は閣僚レベルの問題になると思いますが、そういうつもりはございません。と申しますのは、先生御指摘のように、ドイツは、対独輸入制限協議会というものを設けられまして、真正面からがんがんやられる、ドイツは当時一番先に八条国になりましたために、そういうことをやられたわけであります。その後見てみますと、イタリアにしろ、イギリスにしろ、フランスにしろ、何のかんのとのらりくらりとやって、そういう、ふうにはつるし上げられておらないわけであります。すでに西欧諸国は八条国になりながら、先生御指摘のようにいろいろな残存輸入制限をまだ持っておるわけであります。従いまして、御承知のように、ガットの制度上から言えば、ウェーバーというものを取らなければ輸入制限は残存できないということになっておりながら、現実では、よく言われます残存輸入制限方式というような、いわばわけのわからない状態をずるずると続けているのが現状でございます。残存輸入制限方式というのはどういうことか御存じかと思いますが、とりあえず二国間でいろいろ話し合いをする、それから、場合によっては多国間でもやって、どうしても話し合いがつかないときにガット二十三条の報復措置がとられるということになっておりますが、現実問題としてはそういう報復措置はとられておりません。従いまして、われわれとしてもできるだけそういう方向でいく。ただ、残存ネガ・リストというのは出さなくても当然わかっておるわけであります。実は昨年の輸入制限協議会のときにもすでに二百六十二のネガ・リストは出しておりますので、そういうものは言われれば出す。そして、総会あたりでどういうことになるか別として、残りの自由化計画をかりに出せと言われても、きわめて抽象的なものその他にするといたしまして、あとは文句を言ってくる二国間との間の交渉に入るべきじゃないか。そのときに、先生が御指摘のように、日本の得意なものを押えている国がたくさんあるわけでございますから、われわれにばかり要求するのはおかしいじゃないかということを相当強く言えるわけでございます。決して、一方的に押されるということはないわけでございまして、そういうふうにして何とか時をかせぎたい。ただし、二百五十四というのは数としてはやはりまだ多少多いわけであります。従いまして、来年の十月ごろまでにある程度のぎりぎりのものでできるだけ減らしていく、どうしても、減らせないものは、それはそれからいろいろ二国間交渉その他に入る。よその国でも、フランスあたりはけっこうもとの根っこの制限品目は百近くございますので、日本として百幾らになればよそに対してそう恥ずかしいことはないわけでありますから、その辺は、初めからスケジュールをきめてみずからつるし上げられるようなことをするつもりは毛頭ございません。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 今の宮本次長の御説明通りにはたして政府が強くかつ巧妙な態度でお臨みになるかどうかは、これからの経過を見たいと思うのです。たとえば、綿製品に対して自主規制なんてわけのわからぬおかしなことを言っているが、あれは非自由化のための抜け道だと思うのです。そうしておいて、たとえば、昨年から強く要請されている自動車の自由化問題、これとても、自由化はけっこうです。自由化はやりますが、これについても自主規制をやれという交渉だってあり得るわけですね。そこで、私は、今の宮本次長の御説明が実際の交渉の中で実りますように激励をし、監視をしたいと思います。それから、一般的に前提となる問題ですから伺いますが、先ほど言いましたように、自由化を要求するという大きな潮流の中で、自主規制の制度というものと、それから、特にヨーロッパですけれども、ヨーロッパの対日差別待遇というもの、これに対してはやはりもっときぜんとした強い態度でヨーロッパ並びにアメリカとの交渉に当たるべきではないか。さらに、アメリカについては、今の自主規制問題以外に、ドル防衛と称するわけのわからぬことをやっている。つまり、それはアメリカのためではない、全自由主義諸国のためだというので、敵を共産圏に置いて、自由主義諸国同士の団結のためにドル防衛に協力しろという形で非自由化を一方的に要求して、たった十七億ドル前後の外貨しか持っていない日本に対しては、国際収支の問題というのは何らのエキスキューズにもならなければ、その苦しい立場も認めない。こういうことでは、自由化の名によるワンサイド・ゲームだと思うのですよ。その点については大臣から特に御意見を伺いたい。  私はもう一ぺん御質問をしぼっておきますけれども、私の言わんとするところを理解した上でお答えいただきたいのです。すなわち、カナダ、アメリカ等に対する自主規制制度とは一体何だ。それから、ドル防衛政策とは一体何ですか。それから、ヨーロッパの諸君が自由化々々々と言っていますけれども、EECによる関税同盟をつくり、あるいは経済の共同体をやってコスト・ダウンをやり、ニトレックスで共同販売もやるということで、城郭をエンクローズしている。非常にエンクロージングな性格のものだと思うのです。そういう性格を一面持っておるのですね。そうしておいて、日本に自由化を要求しながら、対日差別待遇というものは、これらの諸国のうち、たとえばEECをとってみましても、ドイツとイタリア以外は全部まだ三十五条を撤回していないでしょう。そういう撤回した国しない国を含めまして、フランスを筆頭にして対日差別待遇というものは極端なわけですね。こういうことでは、日本における自由化に対処する対策としては、自由化を要求するという大きな正しい潮流に立ちながら、私はその点の主張がはなはだしく足りないという不満を持つわけです。対米、対ヨーロッパ自由化問題についての今申しました三つの点について具体的に政府の態度を伺っておきたいと思います。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 まず、自主規制問題でございますが、穗積さんの御認識、つまり、日本は弱小国で先方は強大国だという大前提、私は必ずしもそう思わぬのです。それでは大平君は一体大国意識を持っておるのかと言われると、それほどの大それた感じもないのですが、たとえば、非常に強い競争力を持っておる産業が日本にあるということでございます。従って、これは、最近でも、綿製品問題がごたごたいたしておる間に、一月、二月でもうすでに去年の実績の半分くらい送り込んでおるところもあるのですね。大へんな強い競争力を持っておる。これをそのまま放置して、ほんとうの意味の自由化ということで、つまり先方が自主規制の要求をしないということになりますと、これは非常な市場撹乱が起こり得るわけなんでございまして、われわれの目的は長期にわたって着実な貿易の拡大をはかっていくことでございまして、一挙にうんと伸びて、そして能事終われりというものではないと思うのです。従って、私は、今まで日本がやって参りました自主規制というのは相当実質的な成果をおさめていると思うのでございます。言うところの綿製品なんというのは、日本のチャンピオン産業でございまして、非常に強い競争力を持っているわけで、世界各国が非常に戦々きょうきょうとしているわけでございます。そういう状態のもとにおいて着実に拡大していくにはどういう方法をとるかという場合に、原理的に申しますと、自主規制なんという措置を別に講じなくても自由に出したらいいじゃないかという勢いのいい議論にはにわかに賛成できないのでございます。たとえば、長期に拡大していかなければいかぬわけでございまして、先方の輸入国の方の産業構造もだんだん変わってきて、そうしてこういう日本の非常に優秀なチャンピオン産業の市場が全世界にわたって確保されることは非常に望ましいことで、これには相当時間がかかるわけでございまして、長期にわたって着実に、しかも秩序ある輸出を通じて拡大していこうという場合には、今の段階におきまして自主規制というようなものを根本的にやめろというのは、いささか性急な議論ではないかという気がするのです。見解はあなたと違うかもしれませんけれども。  第二点のドル防衛でございますが、ドル防衛政策はいけないからやめろと日本が要求する場合に、要求する主体である日本というものを私は考えなければいかぬと思うのです。たとえば、一時やかましく言われておりましたバイ・アメリカン政策はけしからぬということは、国会でもだんだん議論が出ましたし、私どももいろいろ国際会議で主張いたしたのでございますが、しかし、要求する方の日本は一〇〇%バイ・ジャパニーズ政策をとっているのですよ。すなわち、日本政府は、外国のものを自由に買うとか、あるいは外国の工事人に工事を請け負わせるということはやっていないのです。日本の大蔵省は完全にバイ・ジャパニーズ政策をやっているのです。アメリカが、最近恒常的に国際収支の赤字が出ているので、原則は自由なんだが、暫定的に一定の条件のもとにおいてはアメリカの品物を買えとか、あるいはアメリカの工事人に請け負わすというむしろ過渡的な例外を設けたら、設けたことに対して、一〇〇%バイ・ジャパニーズ政策をとっている日本が、そいつはけしからぬからやめろということは、これはフェアな議論としてはあまり成り立たないわけでございまして、そこで、私どもは、正当な主張はあくまでせにゃならぬし、勇気を持ってやらなければならぬし、遠慮する必要はないと思いますけれども、頭ごなしに、他国がやっている政策を、自分の方の姿勢いかんにかかわらずこれを駁撃して能事足れりというようなことも、日本としてはややおかしな態度ではないかと思うのでございまして、私どもは、ドル防衛政策の展開というものに対して非常に注意深く見ておりまして、でできた法律あるいは政府の政策、そういうようなものについての運用上できるだけ日本に被害の小ないようには配慮いたしておりますけれども、の政策について頭からそれを非難してかかるという場合には、非難する主体になる日本自体もまた考えなければいかぬところがあるという感じがするわけでございます。  それから、第三点といたしまして、の問題でございますが、ドイツとイタリアは三十五条の援用は撤回しておりますが、まだここには輸入規制品目が若干残っておるということは御指摘の通りでございますし ベネルックス三国、フランス等はまだ撤回していないということでございますが、これはたびたび本委員会でも申し上げております通り、撤回の交渉をしておるのでございまして、これは遠からず私は御希望に沿えると思っております。と同時に、現在あるネガ・リスト等もだんだん縮小の方向に向いておるということもたびたび御報告申し上げた通りでございます。そういう問題があるのはいけないじゃないかという御指摘であれば、これはまだ日本の対外信用というものが戦後そこまで回復していないということになるわけでございますが、私どもが今までやって参りました経過から見まして、日本に対するEEC諸国の見方というものは相当変わってきましたし、日本に対する評価も高まってき、信用も逐次増してきておりますので、その度合いに応じて日本側に有利に問題は解決しつつあるわけでございまして、セーフガードの問題にいたしましても、何も無期限に云々というのではなくて、区切りをつけてそういう差別待遇はだんだん陽光に雪が解けるように解けていっているわけでございます。その点は、むしろ政府を御鞭撻いただくお立場で、たまにはほめていただいてもいいんじゃないかと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 これは本来言えばウェーバーの条項すなわち義務免責の実現をするためには非常なきびしい条件になっておるわけです。だから、自由化ということになれば、当然義務免責の条項が成立する客観性というものが関係各国の間で理解されて初めて自由化の中における制限があるわけですね。しかるに、それは条件がむずかしいものですから、実質的には免責条項が成立したと同じ実績といいますか内容を取るために、今言ったようなバイ・アメリカン政策がとられたり、自主規制というものがとられたり、あるいは一方的な対日差別待遇というものの継続がいまだにあるわけですね。私はそれを一挙になくする可能性があるということを言っているのではないのです。自由化の本尊であるような顔をしておるアメリカなりヨーロッパの先進国の諸君が、そういう老獪にして不当な事実上の免責の運営をやっており、こっちから見れば、交渉をやらされておるわけです。その点を私は言うわけです。そうであるならば、自由化における日本の産業すなわち日本の経済の独立と繁栄という立場から、自由化の交渉にはその相手側の不当な政策を指摘しながら交渉に当たるのが当然だと私は思うのです。それを私は言っているわけです。すべてを一挙に撤廃する可能性があるというふうに私は考えておりません。自由化の大体の路線というものは、言うまでもなく国際分業と共同化の方向というものが打ち立てられることが当然であって、たとえば日本の綿業あるいはその他の雑貨産業で一方的にわが国の競争産業が被害をこうむるからそれを守るのはあたりまえだというような自己防衛の議論というものは、私は方向としてはおかしいと思うのです。そういうことを言えば、日本の産業は、やってみて危険があれば、今度の条約の中で抜け穴がつくっておるように、やれはいたしますしやってみて日本の競争産業が被害をこうむったときにはいつでも制限を加えますよということと同じことになると思う。それは自由化の名ばかりであって実は実現できない、こういうことなるわけです。それを私は言っているのです。あなたは私の言ったことを過大におっしゃってそれはだめだからこうだというふうにおっしゃるのは、どうも対外交渉をする場合にどうかと思うしこの場合においては私は自民党とわれわれとの間では共通の広場というもの、があると思うのです。だから、私どもが言っておるのはそういう気持で、それも決して不当な言いがかりではないと思うのです。その点は十分理解していただきたいと思う。それについて、貿易関係並びに国内の産業の防衛の立場から見て責任のある通産大臣の意見を聞きたいのですが、宮本次長から一つ、今までそういう問題について討議がされておるならば、通産省内部における政府の態度なり方針というものをこの際明らかにしておいていただきたいと思います。

宮本惇通商産業事務官(通商局次長)

○宮本説明員 先生がおっしゃいましたように、自由化というものは、理屈から言えば、本来必ずしも外から外圧を受けてやるべきものではなくて、日本の産業自体の健全な発展のためにしなければならないという点は御指摘の通りでございます。われわれとしては、いたずらに自由化に反対のための反対をするつもりは毛頭ございません、ただ、御承知のように、八八%まで進んで参りましたけれども、残っておりますものは相当むずかしいものばかりでございまして、これを幾つかのカテゴリーに分けまするならば、ある程度時をかすことによって、また適当な対策を立てることによって当然できるもの、それにも期間の問題がございますが、そういう意味で、そういうものにつきましてはいろいろな施策を講じながらやっておるということでございます。そこで、先生御指摘のように、アメリカの綿製品の問題あるいは西欧諸国の対日差別というものに対してはかなり強硬に向こうに主張しておりまして、従いまして、国内的には自由化してもいいのだけれども、相手がしないから押えておるというものが、先ほど申し上げたようにあるわけでございます。従いまして、方向としては、どうしても日本の現在あるいは将来の産業構造あるいは社会的構造という問題からまだ非常にむずかしいというものは別として、そうでないものはやはり適当な時期においてやる、ただし、相手がしないのにこちらが一方的に先に窓をあけるということはしないで、見合いで対抗的にやっていきたい。これはもう、通産省のみならず、外務省あるいは大蔵省大体一致した意見だと考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ここでちょっと議事進行に関して発言をしたいと思うのですが、実は、私は、日英通商航海条約の関連において、その背景をなす日本の経済外交の基本的な問題について最初にお尋ねしたいと思っておったのです、それについては実はまだ問題が残っておるのです。特に、あとの日本の貿易の構造的改革の問題については通産大臣の所見を伺いたかったのです。ところが、今伺いますと、大臣は十二時から外交上のために中座されて、午後一時からまたこの委員会を再開して、通産大臣も同時にお出かけ下さるということですから、従って、私は、それらの一般的な、一般的というより基本的な経済外交の方針については後に譲りまして、外務省だけの関係のある今の日英条約について具体的にちょっと先に済ましておいたらいかがかと思います。そのように委員長も御理解下さいますか。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 了承いたしました。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 あらかじめ大臣に申し上げておきますが、実は、さっきの基本的な問題については、この日英条約も自由化の一環でございますけれども、自由化全体との関連において、たまたまこの十月には二十八年に締結いたしました日米通商航海条約の改定期になるわけです。そうなりますと、当然予想されますことは、この条約の十二条でございましたかの制限規定というものが、八条国移行ということになりますと抹消される可能性が多いだろう。そうすると、国内の対策としては為替管理法と外資法が当然改正されが再編成されなければならない。従って、それについて、日米通商航海条約の改定に対する政府の方針と、それから、アメリカだけでなくて、今の自由化に伴う外資法並びに為替管理法の改定または再編成に対して政府はどう考えておるかという点が一つ。  それから、その次に問題になりますのは、関税引き下げがこの自由化に続いて出て、くることは、最近のアメリカの動き、ヨーロッパの動き、それからEECに参加しそこなったイギリスのその後の態度等を見まして当然予想されるわけです。従って、自由化に伴う続いて予想される関税引き下げ問題に対して、一体どういう認識と方針を政府は持っているかという点でございます。  次には、貿易構造の問題ですが、アメリカ一辺倒の日本の貿易構造については、先ほど言いましよような資本主義国間における過剰生産による内部的な対立あるいは矛盾、そういうものと関連をして、やはり日本の貿易構造そのものの転換期に立っておると思うのです。それについて、自由化々々々と言いますけれども、東側との自由化というものは行なわれないわけですね。これに、特にヨーロッパとは多少競争関係になり、ヨーロッパ諸国も対ソ、対中貿易につきましては非常に関心を傾け、かつ日本とは競争意識を持っているわけです。しかし、アメリカになりますとその点が少し違う。そういう自由主義諸国における三つの工業地点の中に立つわれわれから見て、先進国との間だけの自由化は今日問題になりながら、さらに日本として一番大きな関心を傾けなければならない東側との貿易の自由化というものが進められない、妨害されてている。これに対する基本的な認識をもう少し長い目でここで見ておかないと、私は根本的に問題になると思う。  そこで、これに関連して私が特にお尋ねいたしたいと思うのは、広域経済の問題です。アメリカは、言うまでもなく、カナダ、南アメリカを含みます広域経済圏というものを基礎に持っておる。ヨーロッパでは、EECを最初に固めて、そこからそれを基礎にしてコスト・ダウンをやり、資本力の強化をはかり、体質改善をやり、国際競争力をつけて船出をしてきているわけです。イギリスにいたしましても、あの労働党まで含めて古いグレート・ブリテンの夢にとらわれておったために今日まで立ちおくれになっておるけれども、イギリスもやはりEFTAなりあるいはイギリス連邦の広域経済の基礎の上にこの国の工業は立っておる。ところが、日本だけは何もない。これは日本の貿易構造の転換の問題と関連をして大きな問題です。私は今年度の貿易に直ちに一挙にしてそれだけの市場転換ができると早計に言うわけではありません。ありませんけれども、対米関係、対EEC関係が今日のごとききびしい状態になってきているときには、やはり日本としてはこの問題を考えるべきではないか。そういう意味で今までわれわれが生産圏との貿易問題を言えば、それは政治的な配慮あるいは平和のための観念論としてあなた方が受け取られようとされましたけれども、そうではないのです。経済的裏づけというものは非常に大事になってきている段階です。特に、これは政府の方はお聞きになっておると思うが、昨年三月のエカフェの会議で、実はアジア経済協力機構問題というのはウ・ニュン氏からちょっと提案があったが、これはあわのごとく一応国際的に消えておるわけです。けれども、この構想そのものを、私は彼がどういうことを考えてこういうことを提案しているのか、それはつまびらかにいたしません。いたしませんけれども、アジアにおける広域経済圏の問題というのは、これは考えて明日行なえるものではないわけです。今大臣も言われたように、グラジュアリーに市場転換というものが行なわれるのが当然でありまして、そういう意味で、私はこれをぜひ伺いたい。  以上を通産大臣を含めましての一般的な基本問題としてぜひ伺いたいのです。そのおつもりで一つ午後にも御出席をいただきたい。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 大平外務大臣だけ御答弁があるようですから、それを済ませて、すぐ休憩します。

大平正芳自由民主党外務大臣

○大平国務大臣 第一の日米通商航海条約の附随でございますが、これは御指摘のように改定期に来ておるわけでございますが、今までの運営の実績を検討し、かつ、アメリカと第三国との間の通商関係の実態を勉強いたしまして、現行条約を改定する必要があるかどうか、改定するとすればどういう点かということを目下政府部内で検討いたしておりますので、まだ結論を申し上げる段階には入っておりません。  それから、第二点の、ガットの一括引き下げ交渉でございますが、これはすでに係官がジュネーブに派遣されておりまして、どういう作業を今からどういう段取りでやるかということについて一応瀬踏みをいたしておるわけでございます。その報告を待ちまして、これまた、どのような接近の仕方をして参るか、慎重に政府側で対案を練って参らなければいかぬと思うております。問題は、一定の期間のうちに何割やるかということは一応この一括引き下げ交渉を開く場合の議題として出ておるわけでありますが、それに対して、今穗積さんが御指摘のように、各国がどのような反応を示しますか、一括に引き下げて、そして貿易の拡大をねらっていくという共通の目標は帰一いたしておりますが、各国がどのように出るか、EECがどのようにこれに対処するつもりであるか、特にフランスのような保護的色彩が多い国の去就なんというのは非常に問題だと思うのでございまして、そういった点をよく見きわめた上で、日本側としてその時点々々で対案を考えていかなければならぬと思っております。  それから、第三点の貿易構造の問題でございますが、私が先ほども申しましたように、日本は先進国に輸入超過で後進国に輸出超過であります。従って、後進国の方で第一次産品の市況が不振であるとかいうことになって参りますと、容易ならぬ立場にあるわけでございまして、貿易の自由化を一面において進めつつありますけれども、私どもはいつも日本の貿易構造を頭に置いてやらなければならぬわけでございます。明治政府以来今までの恒常的な先進国に対する輸入超過というような重荷を減殺していかないと、非常に困難な立場になると思うわけでございます。そういう意味で、私は、日本にとりまして自由化の問題として特有の問題があると思います。しかしながら、今あなたが御指摘された問題は、共産圏貿易についてのお尋ねと広域経済の問題であったと思うのでございますが、共産圏貿易につきましては、たびたびあなたにも私はお答えを申し上げておる通り、日本は何も不当に遠慮はしないということでございます。世界の各国が共産圏に対してどのように対処しているかをよく見まして、そして、日本がそれにもかかわらず遠慮をするというようなことはしないつもりでございます。商売のことでございますから、微妙なところまでわかりませんけれども、世界の各国が共産圏に対してやっておる交易の条件というものを踏まえた上で、日本が不当に遠慮するようなことは一切しないつもりでおります。フェアにやって参るということでございます。ただ、問題は、貿易でございますから、やはり原則としてこれはバランスがとれなければならぬということでございますが、今日の現実におきましては、対ソ、対中共等におきましては、貿易のバランスから申しまして、どうしても日本の方が持ち出しになると申しますか、先方に対して供与すべき信用の分量がふえるということでございます。これは、やはり、他の自由圏貿易との関係で、不当に共産圏に信用供与が固まって参るというようなことは、決して日本として賢明な政策じゃございませんので、原則としては何年かの間にバランスをとるようにして参りたいということでやっておるわけでございます。この問題について他国がいろいろ制約を加えてくるとかいうようなことはございません。私どもは今申しましたような基本的な政策で対処して参っておるわけでございます。ソ連との貿易協定ももう三年のができましたが、これにつきましても、とにかく先方も満足されておるようでございます。これに対して不当に冷遇しようというようなことは毛頭考えておりません。  それから、広域経済の問題がございますが、アメリカはアメリカ、ヨーロッパはヨーロッパでまとまりつつあるじゃないかということでございます。わが国の貿易を見てみますと、アメリカ、カナダ、豪州、ニュージーランド、つまり太平洋に面した国々との貿易関係が非常に濃密でございます。ニュージーランド、オーストラリア等は、むしろ。パー・ヘッドにするとカナダやアメリカをしのいでおりまして、これは自然的な立地条件から来る要素も多いと思いますけれども、太平洋水域を含んだ地域が何としても日本の決定的な市場になっておりますし、今後もこういうところには大いに力を入れてやらなければいかぬというわけで、ニュージーランドとは条約、ができ、オーストラリアとも今交渉をせっかくいたしておるわけでございます。この太平洋水域周辺の国々の対日関係は非常によくなってきておりまして、貿易も実績的に申しましても、だんだん伸びていっているわけでございます。しかし、これは特にあなたの言われる広域経済機構というものを制度的につくり上げた結果ではございませんで、自然にそういった拡大の方向にいっておるわけでございまして、この関係はますます濃密にして参らなければならぬと思います。  それから、アジアの他の国々でございますが、この関係は、今開発途上にあるわけでございますので、日本が普通の意味における貿易を順便に拡大していくという条件に十分恵まれておりません。第一次産品をうんと買い付けなければならぬのでございますが、日本の農業問題というのもございまして、そう急に問題が打開できるとは思いません。しかし、いつも私どもが貿易政策を考える場合に考えておかなければいかぬのはこの地域でございまして、隣邦として、この国々に対して、十分とまではいかなくても、一番たよりになる国、協力ができる国という日本の立場はあくまで守って参らなければならぬと思うわけでございまして、すべての貿易政策を考える場合に、このことはいつも念頭に置いていかなければいかぬということが第一であります。それから、第二点として、現在は大きな貿易が期待できない。と申しましても、日本の輸出の三分の一は東南アジアであるわけでございますが、これを維持しさらに拡大していくためには、その国々の経済の水準が上がって参らなければならないし、といって、それは今当面その国々の自力でできる仕事じゃないわけでございますので、私どもが特に今力を入れておりますのは経済協力でございます。経済協力はただいままでのところ賠償を根幹としてやって参りましたけれども、賠償は御案内のように一九六九年にはもうピークになりまして、インドネシアがその年に済みますから、それからだんだんと賠償支払いが減って参ります。そうなればなるほど、私どもは太く経済協力を考えなければならないわけでございまして、今やっておる経済協力というものに対して工夫をこらしていかなければならぬというわけで、今鋭意検討をいたしております。そういう経済協力は大きな意味の輸出政策でございまして、将来その国々の経済が厚みを増してくる、購買力も増してくる、そうして、日本の商品、日本に対する慣熟の度合いが増してくるようになりますことは、将来日本の貿易に明い局面がこの分野からだんだん開けてくると思うわけでございまして、そういう意味で、経済協力を惜しみなく与える必要があると私どもは考えて、鋭意今やっておる経済協力に新しい工夫をこらして参るべく検討を進めておる次第でございます。  十分でございませんけれども、御質問に対しましての私の考えはそういうところでございます。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 午後一時再開することとし、休憩いたします。    午後零時十二分休憩      ――――◇―――――    午後一時十八分開議

野田武夫自由民主党

○野田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。穗積七郎君。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 休憩前に引き続きましてお尋ねいたしたいと思うのですが、通産大臣がお見えになりませんから、質問の順序をかえまして、日英条約に関する内容について一つ先にお尋ねをいたしたいと思います。  今度の条約で問題は、三十五条の援用撤回という点ですけれども、それとうらはらになっております議定書第一、第二の内容が最も問題ではないかと思うのです。そうして、これはセンシチブ・アイテムの規定をイギリス側から言えば十分盛り込んでいるということ。これについて交渉の経過を少し説明していただきたいと思うのです。と申しますのは、イギリス側からは、日本のソーシャル・ダンピングの問題等にまで触れて、あるいは商標の盗用であるとか、非常な不信感を持って、何と言いますか、日本側の弱点をつきながら、この条項を生かすことに成功したような印象があるわけですけれども、これも、午前申しましたように、自由化に反する一つの大きな抜け道なのです。だから、この条約は、あえて言えば、こちらは名ばかり取って、実は向こうに与えたという結果になっておるのではないかというふうに思うわけです。

須之部量三外務事務官(条約局参事官)

○須之部説明員 実はこの条約の交渉が始まりましてから七年という非常に長い年月を経過したわけでございますすが、日本がガットに入りました当時、イギリスの方では、三十五条を援用いたしまして、三国間の条約を結ぼうということで、向こうの第一次の案を出してきたわけであります。ところが、当時の第一次案の内容には、貿易に関する最恵国に関する条項というのは全部落ちております。従って、条約をつくりましても、貿易に関しては三十五条の援用がそのまま、つまり、何らの貿易上の最恵国待遇はない条約ができ上がるというのが実は第一次の案であったわけでございます。それではこちらとしてはとうていのめないわけでございますが、当時は、御指摘のように、意匠盗用の問題等々が非常に表面化しておりまして、その問題の解決に追われておったような形であったわけでございますが、その後、例の意匠盗用問題等々は、綿製品につきましても、あるいは陶磁器につきましても、非常に大幅な改善を見て参りまして、先方の方からもその点については態度を基本的には改めるというような空気になってきたわけでございます。と同時に、終戦後は、毎年改められます貿易協定という形で、毎年々々の日本品のイギリスに対すろ輸出の増大をはかって参ったわけでございますが、先方でも日本に対するなじみが漸次ふえて参りました。それらのことで、向こうの方では、いざという場合にセーフガード及びここにありますセンシチブ・アイテムというものが認められれば最恵国待遇は当然認めるというような態度に変わって参ったわけでございます。当方といたしましては、もちろん、先方が三十五条援用を撤回いたしまして、同時に二国間の最恵国待遇ができますれば、それをフルに適用した貿易関係に入りたいわけでございますが、同時に、貿易の現実というものを見、かつ長期的に安定した基礎で日本の輸出を伸ばすということのためには、ある程度のセーフガードあるいはセンシチブ・アイテムを認める方がかえって日本の長期的な利益にも合するという考え方から、この第一議定書と第二議定書を認めたわけでございまして、この第一議定書及び第二議定書の恩義は、三十五条の援用を撤回されたための代償というような消極的な考え方じゃ決してなく、むしろ、平等の立場で貿易を行なうのであるけれども、貿易の現実というものに即して長期的な両国間の利益のためにこういう措置を認めようという考え方からとったものでございます。第一議定書の内容は、ガットの第十九条にセーフガードという条項がございますが、十九条の文字に即して書いてあるわけでございます。内容的に申しますと、この適用はもちろん双務的な形になっておるわけでございます。いわゆる市場撹乱が起きました場合にはとるべき措置を協議する、しかし、それができない場合あるいは緊急な場合には一方的な措置がとれる、しかし、そのときにも対抗措置がとれるということになっておるわけでございます。それから、第二議定書の方は、現在イギリスがどの国からも買わないという品目のネガチブ・リストがございます。これは、日本ばかりでなく、すべての国から買ってない。そのほかに日本からだけ買ってないという品目が百八十品目ほどあったわけでございますが、それを今度の条約発効と同時に全部自由化いたしました。ただ、そのうちの十八品目はどうしても今急に輸入制限をはずすわけにはいかないというので、第二議定書に基づきまして特別の取りきめをつくったという内容でございます。内容的に申しますと、第二議定書も双務的に発動できるわけでございますが、ただ、わが国の方では現在グローバルでいわば輸入制限をやっておるわけでございます。イギリスだけを対象としてやっておるわけではございません。従いまして、日本のやり方はこの条約本文の最恵国待遇のやり方でやっておるわけでございますので、この条約が発効いたしましても、現在の輸入制限をすぐ撤廃しなくてはならぬという法的義務はないわけでございます。そのために、この第二議定書に基づきまして、条約発効と同時に現在法的に措置を要するという英側の十八品目についての取りきめを大体行なったというのがその内容でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 これは、条約の面からいきますと、第一議定書の内容ですが、向こうが対抗措置をとってこちらが納得できないときには、こちら側は対抗措置をとり得る、こういうことですけれども、向こうの対抗措置は綿製品その他を初めとしてこれに対する実際の効力があるわけです。ところが、こちらで対抗措置をするという場合の実力のある対抗措置とは一体どういうことが考えられますか。考えられるというよりは、どういうお考えでこれが対等の実力を発揮し得るというふうにお考えになっておられるか。

須之部量三外務事務官(条約局参事官)

○須之部説明員 このセーフガードと言いますものは、今までたとえばオーストラリアとかベネルックスとかの間にはあったわけでございますが、いわば伝家の宝刀で、発揮されたことはないわけでございます。私どもとしましては、このイギリスとの間のセーフガード条項も発動されずに終わるということを一番望み、また期待しておるわけでございます。従いまして、対抗措置がどういうものであるかということをあまり議論するのもいかがかというような感じがするわけでありますが、あえて申しますれば、イギリスの国産品で、グローバルで日本が輸入許可をいたしました場合、英国がその大多数を売り込むようなもの、たとえば、ウイスキーのようなものとか、あるいは毛織物のようなものをとってみましても、対抗措置というものが実際問題としてかなり力強いものであり得るわけでございまして、その意味から言いますならば、この対抗措置も含められているセーフガード条項というのはなかなか実際には動かないことを期待しておるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 この対抗措置は、重大な損害を与えるか、または与えるおそれがあるという見込みでもうすぐに発動ができるしかけになっているわけですね。もとより、この場合、そのおそれがあるかないかは、こちらに通告をして協議をすることになっておりますが、しかしながら、これをも含んで三十日間の期限が切れれば対抗措置がとれるし、緊急だと判断した場合にはその期限を必要とせずして直ちに対抗措置をとることができる。このおそれというのは、そうしてみますと、イギリス側の一方的な判断にまかせられるわけですね。これは私は少しオーバーではないかと思うのですが、これはいかがでしょうか。

須之部量三外務事務官(条約局参事官)

○須之部説明員 建前は、御指摘の通り、向こうで輸入制限措置をとるためにはまず協議をやってそういう措置をとるということになっておるわけでございますが、その期間に事態が非常に急迫しておって協議を待つ余裕がないというときに、この協議の開始後であれば、協議がととのわない前でも一方的な措置がとれるというわけでございまして、もし、この一方的な措置がとれるということを認めないならば、要するに、とらざるを得ないのだという認定権をそのとる方の国に与えないのでは、この条項を置く意味がそもそもなくなるわけでございまして、その意味で、ガットの中にも同様な規定がございますが、この趣旨の規定を置く以上は、今のようなきめ方でやむを得ないじゃないかというふうに考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 私の申しましたのは、そのとることに対するいろいろな手続上の条件ですね。協議をする義務があるとか、期間を必要とするとか、期間をとらないときには緊急な事態であることが条件になっている、こういうことでしょうけれども、私の言ったのはこのおそれですね。おそれの乱用が行なわれますと、客観的な合理性がなくして、一般的なおそれ、判断によって今の対抗措置がとられる危険がある。そのおそれの乱用のことを言うわけです。

須之部量三外務事務官(条約局参事官)

○須之部説明員 おそれがあると今おっしゃいます点は第一項の点かと存じますが、この第一項の点は、要するに、どういうときに協議を始めるかという点でございまして、この「与え又は与えるおそれがあるような」というような文字でございますけれども、これは、現実に重大な損害を与えた後でなければこのセーフガード条項が発動しないというのでは、ちょっと実際のセーフガードになり得ないわけでございます。「与えるおそれがあるような」というような場合、要するに、客観的に見て数量が非常に増加しておる、あるいは、まだ港には着いていなくても、発注量が非常に増加しておる、あるいは国内の生産者の方に非常に不利な影響が強く現われているというようなことでございまして、この「与えるおそれがあるような」という言葉でございますが、この文字が自由に解釈できるので全然不安だということはちょっとあり得ないような気がいたします。ことに、ガットの十九条を発動しました先例というものはすでに幾つかあるわけでございます。そのたびに、今のガットの十九条でとられました措置につきまして、ガット内部でそれはよろしいとかよろしくないというような判定と申しますか決定が行なわれた例もあるわけでございますので、この「おそれがあるような」と第一義的に判定するのはもちろん輸入国側でございますけれども、これをもっとし、ばらない限り非常に野方図になるというふうには私ども考えていないわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 ガット諸国間における援用が必ずしも今後の日英間の判断の例にはならないと思うのです。というのは、イギリスの日本に対する不信、警戒心あるいは対抗意識というものは非常に強いわけでございますし、それから、第三国への輸出で日本とイギリスと競合するものについて、今日までイギリスがとって参りましたいろいろな政策、やり方等を見ますと、私は、イギリス一流のがめつさといいますか、あるいは特に日本に対してのライバル意識というものが非常に強い。従って、今おっしゃいますように、条約文の字づらの解釈で、これはほんのやむを得ざる事態に対する予防条項であるというふうに判断をして、日本の業界なりわれわれを安心させようということは、少し判断が甘くはないかというふうに私どもは率直に思うわけです。そういう意味で、今申しましたような二つの抜け道に対して、今の御説明だけではちょっとわれわれ十分な納得がいかないわけです。これは私くどく言いませんけれども、長年にわたる、三十年以来の交渉の中においてとってきた態度も、豹変して対日理解を持ち、豹変して日本に対して友好的な信頼感に到達をして今までのかたくなな態度を改めてきたのではなくて、今日イギリスの経済が帝国主義意識から非常な行き詰まりを来たしておる現状の中でやむを得ずとる、あるいはまた他の国に対する自由化の建前上対日関係においても三十五条を撤回せざるを得ない、こういうところに追い込まれてきての応諾だと思うのです。従って、イギリスの日本に対する基本的な態度なり考え方なりやり方というものは何ら改まっていない、改まる見込みは当分ないというふうに思う。従って、あなたのおっしゃいますように、この条項を援用される可能性というものはあまり心配する必要がないということでは、私どもはちょっと甘くはないかと思うのですが、御感想はいかがでございますか。

須之部量三外務事務官(条約局参事官)

○須之部説明員 イギリスのわが国に対する態度というものが基本的に変わってきておるかどうかという点につきましては、私どもは質的に変わってきておるというふうに考えるわけでございますが、この問題は基本問題でもございますし、事務当局からいろいろ申し上げるのは差し出がましいと存じますので、差し控えさせていただきたいと思います。同時にまた、イギリスが、この条約をつくる基礎といたしまして、ただ単に政治的な友好関係ということのほかに、具体的な経済上の実利実益を考えておるということは、その通りであろうと思います。その点は日本としましても同様であろうというように考えるわけでございます。ただ、先ほど御質問のありました、文字として、「重大な損害を与え又は与えるおそれがあるような」という、いわゆるガット十九条に書いてあると同じ文字を用いてある、そのことのためにこれが不安があるのじゃないかという点につきましては、私どもとしましては、協議の際には、向こうから、どうしてそういうふうに考えるのかという具体的な資料ももちろん出てくるわけでございますし、また、今度は、ガット関係に入ります以上、ガットにおける先例というものもイギリス側で当然考えるであろうと理解いたしますので、この文字から何でも勝手なことが向こうはできるのだというような、そういう条項にはならないだろうというふうに考えておるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 この問題は、特にイギリスがEEC加盟に失敗いたしましてから、今後経済外交でどういう路線、どういう政策をとるかということ、この条約の内容については関連すると思うのです。その点は、特に貿易拡大の担当責任者である通産大臣からも、どういう判断で、どういう方針を持っておられるか、伺おうと思っておりましたけれども、それはあとにいたしまして、この十八品目のセンシチブ・アイテムですね。この中で日本側で逐次制限を撤去せしめる交渉に入るべきだと思うのです。しかもこれは条約の上からいきましても暫定的なものに限られているわけですね。従って、こちらとしては、今後もしこの協定が批准され発効いたしますならば、具体的な取引の発展の中で、十八品目、残余の制限品目の継続をより少なく、より短期間にすべきだと思うのですが、それについての当局の腹案といいますか、お考えがありましたら、この際伺っておきたいと思うのです。

須之部量三外務事務官(条約局参事官)

○須之部説明員 今御指摘の点につきましては、第二議定書に基づきまして十八品目のリストがございますが、このリストの一番最後の欄に自由化期日というのが入っておるわけでございまして、この十八品目につきましては、早いものは一九六四年一月まで、つまり本年の末、一番おそいものでも一九六七年の末までには、このセンシチブ・リストからすべて葉ちることになっておるわけでございます。従って、自由化される期日はきまっておるわけでございますが、ただ、先方の出します輸入額につきましては、本年、来年度、あるいは若干のものは再来年度ときまっておりますが、きまっていない分については、なるべくワクを増大するように、今後この点は努力して参るわけでございます。自由化される期日は、十八品目とも一応自由化される日を法的にきめておるわけでございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それから、もう一つ、第一議定書の中で、イギリスの連邦諸国の保護規定がここに入っているわけですね。連邦諸国の産業を保護するという名目で日本からの輸入を制限する。これは、その連邦諸国と日本との間における双務的な門戸は開放されないで、ここへ一方的に連邦諸国の産業の保護が横合いから入り込んで、一緒にこちらに荷物になってきておる。これは締約国ではないわけです。その間のことは、これはあとで伺いますけれども、EEC加入失敗後のイギリスの対連邦諸国の強化政策と関連をして、必ずしもこれは軽視できない一つの条項ではないかと思うのです。この間の経緯と政府のお考えを何っておきたいと思うです。

須之部量三外務事務官(条約局参事官)

○須之部説明員 、実は、この議定書の第五項の末文でございますが、あるいはこの解釈につきまして若干誤解をお持ちかとも思いますので、ちょっとこの意味を説明させていただきたいと存ずるわけでございますがもっとも、この議定書は、連合王国が国際関係について責任を有する連合王国以外の領域というふうに書いてございまして、これは、いわゆるイギリス連邦の諸国、たとえばカナダとか、豪州とかいう地域のことではございませんで、いわゆる植民地のことでございます。この植民地のうちの領域という言葉でございますが、これはまた条約本文の方の定義規定に戻るわけでございますが、この条約が適用される植民地だけを言うわけでございます。従いまして、ここで連合王国以外の領域と申しますのは、この条約が具体的に適用された植民地という意味でございます。その植民地の「連合王国市場における確立された利益」云々というふうになるわけでございまして、さらに、御参考のために提出申し上げてあります交換公文によりましても、その植民地が三十五条の援用撤回をしていない場合においては、英国の方としては政府側でこの条項を発効しないということになっておりますので、実際の問題としては、御存じのように、英国の植民地もほとんどもう小さなところだけになっておりますので、実際に発動される例はあまりない条文ではないかと思います。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 その、区分がちょっと私も事実はっきりしませんでした。そういたしますと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。本協定の本文の三十二条でこの条約の適用指定のない属領地域の産業保護は、この議定書第五項の中へ入ってこない、ここに入ってくるものは、適用の指定された地域にのみ限るということでございますか。

須之部量三外務事務官(条約局参事官)

○須之部説明員 御指摘の通りでございます。条約が適用されておる植民地でございます。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 次に、大臣がなかなか見えませんから、お尋ねしてお答えになれない点は、また大臣にお尋ねする、不十分な場合はまた質問を留保しておいて、次の機会にお尋ねするということにいたしますが、特に問題は、イギリスがこのEECに参加しそこなって以後の経済外交路線というものは、これはこの条約と関連をしてわれわれが注意をし関心を持たなければならぬ問題だと思うのです。それについて、日本政府は、今後どういう方向なり政策をイギリスはとろうとしておるか、すなわち、EEC加盟失敗に対する対応策、これは私どもも多少推測的な観測を持っておりますけれども、政府の方の御観測をこの際参考のために伺っておきたいと思います。

中山賀博外務事務官(経済局長事務代理)

○中山政府委員 われわれとしては、従来から、ヨーロッパ大陸諸国に比べまして、イギリスあるいはアメリカというようなアングロサクソン系統の国とは伝統的に通商関係が伸展しておりましたが、これに比しまして、ヨーロッパ諸国、ことにEECの中核をなす六カ国につきましては、総体的に貿易の伸びが少なかったわけでございます。そして、このよってくるゆえんのものは、地理的に遠いということもございますけれども、同時に、戦後ヨーロッパの各地が荒廃しておりまして、経済的な復興に時間がかかって、その間、日本としては、アメリカそれからイギリスあるいは英連邦諸国との間の貿易がかなりの程度に伸展をしたわけでございます。同時に、これは私見でございますが、アングサロクソンというものは、世界の方々に通商の手を伸ばし、一つの独特の、また通商的あるいは経済政策的なセンスを持っております。これは、一つには、イギリスの例をとってみますと、イギリスというものがコモンウエルスというものを持って、そして、これが早くから経済的な一種の連帯性を持っておった。そして、そのコモンウエルスの国の中の、たとえば香港であるとかあるいはカナダであるとか、あるいは場合によっては豪州、ニュージーランドをあげることができると思うのでありますが、こういう国がぼつぼつと自国の産業を興してきた。そこで、イギリスというものが、一方自分は工業国であり、主として農産物を買っておるわけですが、同時に、あとから興ってくるコモンウエルスの諸国からある程度の産品を買ってやらなければならぬ。こういうことで、非常に自分より立ちおくれておる国の工業製品に対してどういうように取り扱うかということは、かなりなれていたのではないかと思います。これに比べまして、たとえば、フランスの植民地政策あるいはアフリカ政策等を見ておりますと、フランスの属領というか、植民地というものは、もっぱらほんとうに第一次産品を生産する未開の土地でございまして、フランス自身というものは、そういう後進国に対する自由化になれていない。こういう点が、私は、イギリスの経済政策とそれからフランスの経済政策を見て非常に感ずる点でございました。そこで、今度イギリスというものがEECに加盟してくれるということは、何と申しましても、その意味ではEECのいわゆる内向きな政策を変えるのにかなりあずかって力があるのじゃないか、われわれとしてはむしろこの問題を歓迎すべきじゃないかと考えておったわけであります。それにもかかわりませず、種々な政策的あるいは政治的な関連から一応交渉は打ち切られたわけでございますが、われわれといたしましては、いま少しく長い目をもって見れば、やはりイギリスの加盟は大なり小なり何かの関係でEECとの間の連帯関係を強化していくことは必然的であると思う次第であります。現に、イギリスの貿易上の数字を見ておりますれば、コモンウエルス関係に対する貿易の伸びと、それからヨーロッパ諸国に対する伸びとは、ヨーロッパ諸国に対する伸びがぐっと著しいということになっておるわけでございます。そこで、今さしあたってのところはイギリスは加盟交渉に失敗いたしましたけれども、今後ともいろいろ努力をして、これに大なり小なり連係を持ち、またその連係を強化してくるものだ、かように考えるわけでございます。従って、われわれといたしましては、従来からありますイギリスあるいは英連邦諸国との関係はますます強化しなければなりませず、また、別途、EECに対する工作は、三十五条援用撤回、ことに近くベネルックスとの間に撤回の交渉も成立いたす予定でございます。あるいは、できればフランスとの間にも早くこういう交渉を妥結しまして、EECの各国との間の貿易を増進し、ひいては対EECに対する政策を統一的にきめていく、あるいはEECを打って一丸とする話をする時期も来るのじゃないかと思います。そこで、今英国は努力にもかかわらずEECに入ることはできなかったわけでございますが、われわれとしては、その事態はその事態としてながめ、イギリスに対しても、またEECに対しても、それぞれ個別的に貿易拡大の政策をとっていくべきだ、こういうふうに考えております。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 大臣が見えましたから、問題を変えたいと思いますがイギリスの問題についてもう一点だけ、ついでですからはっきりしておきたいと思います。  それは、今のお話ですと、今度の条約が、EEC諸国と日本との関係を打開するについて、すなわち差別待遇撤廃あるいはまた三十五条援用を撤回せしめることにスプリングボードになるというふうな御判断のようですけれども、その点については、逆に、実は私どもの判断では、もしEEC加盟に失敗いたしましても、イギリスは、今おっしゃるように、対米関係、対EEC関係、あるいは貿易自由連盟の関係、さらに従来のコモンウエルスとの関係、これらを一そう強化していくことに全力を尽くすだろうということが推測されます。そうなりますと、今度の自由化に伴う議定書一、二によるいわば免責の規定が、EECに加盟する方向にいくという場合に、逆に、日本に対して最もシビアなイギリスの例が、他のEEC諸国の中で比較的日本に対して友好的な諸国に対しても悪く影響して、EEC全体がイギリス並みの非常にシビアな態度で日本に臨んでくる危険はないか。それから、もう一つは、先ほど私が申しましたイギリスの属領地域との関係がここで一段とEEC加盟失敗後実質的に強化されるということになりますと、今議定書第一の第五項の問題がさらに必要以上に強化される傾向にありはしないか、すなわち、イギリスのEEC接近と、一方における属領地域との経済的団結を強化するという二つの側面から、第一、第二議定書の免責規定、予備規定といいますか、こういうものが悪く作用する方向へと発展しやしないかということをわれわれ心配するわけですが、その点にについての政府の御判断はいかがでございましょうか。大臣から答えていただいてもいいし、局長からでもけっこうです。

中山賀博外務事務官(経済局長事務代理)

○中山政府委員 将来イギリスがEECに加盟いたしましたときに、――EECはローマはローマ条約の規定に従いまして過渡期の終了までには共通通商政策を持つということになります。また、伝え聞くところによりますと、一九六七年までにそれをつくるのではないかといううわさもあるわけでございます。そこで、かりに一年あるいは二年のあとにイギリスが入って参りましたときに、これが共通通商政策の中に旬摂されることによって全体の政策がシビアになるかどうかという。御質問でございます。ただ、考えますのに、ここにあげてありますセンシチブ・アイテム十七、八品目ございますが、これらにつきましても、一九六三年、六四年、六五年につきましてはワクをきめ、また、将来の自由化の時期については大体の目途をここにはっきり記してあるわけでございまして、私は、EECにおける共通通商政策ができますまでには彼我の経済状態もかなり変化して参ることと思いますし、現実問題としてはほとんど問題がなくなるのではないか、これあるために通商政策の内容が特に厳格になり、日本にとって過酷になるというものではないのじゃないか、こういうふうに考えております。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 穗積委員に申し上げますが、通産大臣の出席がおくれて済みませんが、実は、通産大臣には、本会議で冒頭緊急質問があるそうでございます。それで、時間の関係上、通産大臣に対する御質問は次回にお譲り願えればけっこうだと思います。よろしゅうございますか。

穗積七郎日本社会党

○穗積委員 それではやむを得ません。

野田武夫自由民主党

○野田委員長 それでは、この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する件(原子力潜水艦の寄港問題)につきまして、参考人の出頭を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田武夫自由民主党

○野田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、日時、人数及び人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

野田武夫自由民主党

○野田委員長 御異議なしと認めます。よって。そのように決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二分散会

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