外務委員会 第5号
- 発言数
- 70 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1963/03/07
会議録
○野田委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の通告がありますので、これを許します。 穗積七郎君。
○穗積委員 きょうはあと質問者もありますから簡単に一、二をお尋ねしておきたいのですが、第一は、国際的な軍縮問題に関連をして、やはり重要な問題は、外国基地にある外国の軍隊、これは、今日の情勢でもうすでに妥当性を失っておるのみならず、軍縮の全体の雰囲気の中で妥当でないように思うのです。ですから、ソビエト初め、外国軍隊の基地の撤退問題というのは、特定国にかかわらないで、やはり全般的に検討すべき段階に来たと思うのです。そういう点について、軍縮の問題を促進するという立場に立つ日本政府としてはどういうふうにお考えになっておられるか、これを第一に一般的な基本方針として伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 平和問題に関連いたしまして軍縮一般の問題が非常に重要な課題であるということは、私どもも承知いたしております。それで、現在軍縮問題に対する接近の仕方は、核実験停止協定をつくり上げるということがさしあたっての軍縮問題へ接近する課題であるというように考えております。また、この領域が、希望の持てると申しますか、軍縮問題の手がかりとしてばかりでなく、核実験停止それ自体について争点がはっきりしてきておるということでございますので、この問題についてまず煮詰めて、それで幸いに協定ができるということになれば、それは軍縮一般の問題に対する大きな前進になると思うわけでございます。今の軍縮問題に関連して世界で一番問題になっているのはその問題であろう。従って、私どもとしては、世界の世論が見守っておりまするこの問題の打開を心から希求いたしております。しかしながら、それだからといって軍縮問題一般の問題は放置しておいてはいけない問題でございます。これは国連を中心といたしまして世界の各国が真剣に取り上げていかなければならない問題であると思います。ただ、御案内のように、今までの日本の国連活動というものは、経済・社会問題に非常に重点が置かれたと申しますか、今までのところそういった領域でじみな活動を続けて参ったわけでございますが、世界の平和の問題、軍縮の問題にますます力を入れなければならないのではないかという世論の要請もございます。そこで、私ども、軍縮問題に取り組みますと、こう申し上げても、これは十分の用意がなければいかぬわけでございますので、まず国内におきましてこういう問題への十分な検討を地道にやって、そうして、軍縮問題というものに対する十分な知識、用意を持ちまして、しかる後に国際外交の面でどういたしていくかということを考えなければならないかと思っておるわけでございまして、ただいまお尋ねの件につきましては、そういう順序で考えていくべきではないかと思います。 外国軍隊の基地の問題も、非常に腰の重い軍縮問題というものの一環でございまして、従って、その問題だけをまず取りはずして、それから取りかかるというようなものでなく、軍縮一般の問題として慎重に対処すべきものと思います。
○穗積委員 もとより、私も、軍縮の問題、平和の確保の問題の一環として外国の軍隊の撤退問題を提案しておるわけです。その理解においては大臣と同じですけれども、そういたしますと、今の御答弁で必ずしも明確でありませんが、外国軍隊撤退の方向なり原則については、日本政府は大体これを支持する、あるいはこれを促進すべきものであると考えておられる、こういうことでございますね。その点を明確にしておいていただきたいと思います。
○大平国務大臣 私どもの認識は、外国軍隊の基地の保有ということを含めて現在の状態で世界の平和がともかくも守られておると思うわけでございまして、これに重大な変改を加えることは平和の問題に関連して危険なことだと思います。従って、今の力の均衡と申し上げてもいいと思いますが、そういう状態を全体としてレベル・ダウンしていく軍縮には賛成です。しかし、新しいアクションをとることによって均衡をくずす、従ってそれは平和の脅威になるというようなことには賛成いたしかねる、私どもはそういう立場をとっております。
○穗積委員 ちょっと意味がよくわかりませんが、さっきの前段の御答弁と今のあれとはどういう意味でしょうか。今日の段階、各国の現状の中において、外国軍隊の撤退ということは私は支持すべき方向だと思うのです。前段の御答弁では、これは軍縮一般の一環として促進することを支持されるような御答弁であったわけですが、あとの方はどういう意味ですか。ちょっとよくわからないのですが……。
○大平国務大臣 現在の状況においてともかく平和が守られておる。従って、今穗積さんのおっしゃるような外国の軍隊の基地というものをやめる方向にいくというアクションをとる上におきましては、均衡状態をくずさないように、全体としてのレベル・ダウンを考えなければいかぬわけでございますから、従って、軍縮一般の水準というものをバランスをくずさないように落としていくという問題として考えておるということでございまして、たえとば、在日米軍の基地の撤廃というような問題を、それだけ取り出して軽率な措置はやるべきじゃない、こういうことです。
○穗積委員 一般としては均衡を保ちながら外国軍隊の撤退は支持すべき方向で推し進めるべきである、こういうことだと思うのです。 そこで、私は続いてその具体的な一つとしてお尋ねしたいのは、実は、今日南朝鮮にいまだに駐留しております国連軍と称するアメリカを初めとする外国軍隊、これはすでに合法性も正当性もないように思うのです。御承知の通り、朝鮮戦争のとき、中国を侵略者と規定して、このときにはたまたまソ連代表が欠席をした場合ですけれども、その後停戦協定が成立をして、しかも、北側におきましては、中国軍を初めとして全部外国軍隊は撤退してしまっておるわけです。一兵も今日残っておりません。にもかかわらず、戦争状態を仮定した国連軍と称するものがいまだに南朝鮮に蟠踞している。しかも、金鍾泌自身が言っているように、国連軍あるいはアメリカが非常ないろいろな圧力を加えておるわけです。こういうことが、問題を混乱せしめ、アジアにおける情勢を不安定ならしめ、それから朝鮮問題解決にかえってじゃまになり、何ら平和と統一のために寄与していないように私ども思うわけです。その政治的な判断は、これは認識の問題もありますけれども、今日の南朝鮮における外国軍隊の駐留問題といううのは、合法性もなければ政治的な妥当性もない。そして、これが撤退を促進することが、アジアにおける一般の戦争への危険を除去し、あるいは日本・朝鮮間における問題を解決するためにも、むしろ自主性を持って解決ができるのではないか、朝鮮全人民、日本全人民にとって自主性を持って解決できるのではないかというふうに私は考えるわけです。それらを一括して一つ大臣のお考えを伺っておきたいと思います。
○大平国務大臣 私どもの理解は、在鮮国連軍が国連の決議で派遣されて、まだ目的を達していないので駐留を続けておると理解いたしております。同時に、しからば、かりに在鮮国連軍が撤退するということが半島の平和、アジアの平和に役立つかというと、私は、むしろ逆に、ただいまの国連軍があそこに駐留しておることによってともかく平和が維持されているというよに感じております。
○穗積委員 アジア局長、あのときの国連決議は、戦争が始まって中国もこれに義勇兵を送るというような状態であったわけですね。従って、あの決議というものはその根拠を失っていると私は思うのですが、あなたの御解釈はどうですか。政治的判断は大臣に伺いますけれども、これは条約ではありませんが国際的な取りきめの一種ですね。それの根拠というものは、私は失っておると思うのです。
○中川政府委員 穗積委員の御指摘の通り、今の国連軍は、一九五〇年、朝鮮事変の際の国連決議に基づいて派遣されたわけでございますが、その後五三年に至って休戦協定ができて、一応軍事行動は終わったわけであります。しかし、そのときの考え方は、休戦協定はあくまでもこれは軍事的な休戦であって、それに引き続いて政治会談をやる、そして南北朝鮮の平和的統一というものを実現する、これがそのときの大きなねらいであったわけでありますが、その後政治会談はジュネーブ等でいたしましたが、東西双方の平和的な全鮮統一の方式についての意見が合わずにそのままになっておるわけであります。なお、国連においては毎年朝鮮問題の決議が行なわれますが、その内容は、当初の一九五〇年の国連決議の趣旨・目的がまだ達成されていないのは遺憾である、今後さらにあの目的、つまり全鮮の平和的統一というものが達成されるようにしなければならない、その目的が達成されるまでは国連軍は依然としておっていいのだ、こういう趣旨の決議が毎年行なわれておるのでありまして、従って、戦闘行為は終わりましたが、国連決議の大目的がまだ達成されていない、その間は国連軍というものはやはりあそこにおる必要がある、こういう趣旨のことがいまだにずっと続いてきておるわけであります。
○穗積委員 だから、その国連の名による決議は、日本としてはむしろ反対の意思表示をすべきだと思うのです。一体、大臣のおっしゃる目的を達していないというその目的とは何なんですか。具体的に大臣のお考えになっておられる国連軍の駐留目的というのは何と何でございますか。また、駐留しなければどうしてもその目的が達成されないのかどうか。御説明願いたい。
○大平国務大臣 国連決議の趣旨は、全鮮の平和的な統一ということにあると思います。これは国連の目的でございまして、私どもは、この国連としての公正な目的に対しまして私どもも協力すべきだと思うわけであります。今国連軍が撤退するというようなことになりますと、かえって事態は平和の方向よりもむしろ平和を拒否する方向へ動く可能性が濃いと私どもは考えています。
○穗積委員 南北朝鮮統一の問題については、これは朝鮮の国内問題です。しかも、三十八度線というのは、国境線じゃなくて、武装解除の軍事線にすぎなかったわけです。ところが、それが国境であるかのごとき事実がその後既成事実としてつくり上げられてきておるわけです。そこで、この不自然な形は早く解消すべきであるということは、北の朝鮮政府並びに人民の要望であるのみならず、南の人民の要望でもあるわけです。しかも、それについて私は昨年の暮れの臨時国会で大臣に指摘をいたしまして御意見を伺いましたけれども、これについては、朝鮮民主主義人民共和国は、おっしゃるような非常に平和を脅やかすようなドラスティックな形で統一を実現しようなんということは何も提案していない。そうじゃなくて、連邦制による連邦会議あるいは経済会議をつくって双方の経済・文化の交流と信頼感を高めていこう、そして同時にお互いにその連邦会議を通じて軍縮つまり兵力の削減を公平に話し合って実行していこう、こういうことですから、国連軍がいなくなれば戦争が始まるというのは何をさして言われるのですか。しかも、侵略者として国連で一方的に規定をしました中国の義勇軍というものは、今は一兵もいないわけです。ただ、停戦協定に参加しておりますから、停戦協定に従う板門店における軍事委員会が開かれておるわけですが、それにはただ一人だけ中国政府を代表してこれに出席する。それだけで、戦争のために駐留する軍隊というものは一兵もいないわけです。にもかかわらず、国連軍が撤退すれば戦争が始まるのだ、平和を脅やかされるのだというのは、一体何をさして言われるのでしょう。そういう架空なことで現実の政策を決定したり国民にそういう印象を与えていくということは、これは非常な欺瞞の宣伝で、事実に反するものだと思うのですね。 お尋ねいたしますが、一体、国連軍が撤退するならばどこがどういうことをして戦争になる危険があるというふうにお考えでございますか。
○大平国務大臣 南北統一の問題は、たびたび申し上げておるように、私どももそれを望んでおりますし、半島全体の皆さんがそう思っておると思うのでございます。問題は統一をどういう方式で合意してやるかということで、すでに国連でも取り上げられておりますし、国連の朝鮮復興委員会では毎年北朝鮮の招請もやっておるわけでございますが、それがまだ実らずにおることは非常に遺憾でございます。これは、朝鮮半島の皆さんの願望とそして国連を中心とした努力が実を結んで、そういうことができることを期待いたしておるわけです。 それで、今国連軍がかりに撤退した場合にどういう事態が起こるかということでございますが、どういう事態が起こりますかはさだかに予言はできません。しかし、過去の経験に徴しても、撤退したあとで戦争状態が起こるという経験もございますので、私どもとしては、現在の状態でともかくも平和が維持されておるのだ、これに新しい変改を加えていくということになりますと、平和を脅やかす可能性が濃厚だということを申し上げたわけでございます。一々どういう事件がどのように起こってくるかというようなことは、私はそういうことは予言できません。
○穗積委員 朝鮮における情勢判断については、日本の外務省は過去の事実から見て落第生なんです。行って見てきても、なおかつ見そこなっておる。それは、言うまでもなく、一方的にアメリカの情報を聞き、一方的に少数の軍人の意見だけ聞いてくるからそういうことになっておる。全体の民主政治における政治の主人である南北朝鮮の人民大衆の動向、生活の実情、経済の実情、あるいは時の南の政権の弾圧政治の実情というものがどういうふうに大衆から反発を受けておるかという事実を見ないから、そういうことになるのです。私は、南北朝鮮の統一というものは、国連軍の駐在というものがかえってこれを阻害しておると思う。だれが何を起こすのですか、北から攻めてくるというふうにお考えになるのですか。あるいは南から国境において紛争を起こすというふうにお考えになるのですか。あるいは、他の第三国が介入をしてきて、そこで南北朝鮮の今の三十八度線において何か事を起こす可能性があると判断しておられるのですか。そういう子供だましのような話ではなくて、具体的に南北朝鮮の今日の実情を見て、国連軍が撤退するならば戦争の起きる危険があると国民やわれわれに外相が言われるならば、もう少し具体的な、われわれの納得のいくような情勢なり事実を示して御説明をいただきたいのです。われわれの認識では反対なんですから。
○大平国務大臣 穗積さんの御意見、よく拝聴いたしております。ただ、南北朝鮮の統一問題というのは、おっしゃるように、これは朝鮮半島の問題でございます。が、しかし、これは国際的な性格を帯びて国連で今取り上げられておるわけでございます。先ほど申しましたように、統一方式で合意を見るというところに努力の重点を置いて、それが実を結ぶようになることを私ども心から願っておるものであります。 国連軍が撤退云々の問題は、撤退したら何が起こるかというようなことを一々的確に予言するということは、私どもの能力を越えておると思うのでございます。 外務省の見通しというものはしょっちゅう誤っておるではないかというおしかりでございますが、私どもは精一ぱい努力をいたしまして事に当たっておるわけでございます。あるいは十分でなかったというおしかりを受ける個所もあろうかと思いますけれども、私どもとしては力の及ぶ限り努力をして参っておるつもりでございます。 将来どういうことが起こるかということは、先ほど申しましたように、国連軍の存在によりましてともかく平和が保たれておる以上、これが撤退するというようなことになりますと、平和を脅やかす可能性が濃いのではないかという心配をいたしておるということを申し上げたわけであります。
○穗積委員 及ばずながら判断された戦争の起きる具体的な判断ですね。それは、一体、どういう事由をあげて、どういうデータによってそういうことをおっしゃるのでしょうか。それを私は聞きたいのです。
○大平国務大臣 これは、南北朝鮮の問題ばかりでなく、世界の平和全体について、私は非常に現実をとうとぶのです。現在平和が維持できておるということは何かと言いますと、ともかく、現在の時点において存在しておる軍事力その他総合的な戦力というものが、一応平和が維持されている限りにおいてバランスがとれておるというように私どもは判断をいたしまして、今の組み立て方に変改を加えるということは、よほど注意深くやらないと、平和に前進するというよりも、むしろ平和を脅やかすことになりかねないという認識に立っておるわけでございまして、南北の朝鮮の問題におきましても、そういうように私は感じております。
○穗積委員 外務省は韓国の情勢については非常に手探りであったということを反省されて、代表部の問題、あるいは代表部というものでなければ日本の政府の機関の長期滞在という名目にするか、いろいろお考えのようですが、近くこれを実現されますか。
○大平国務大臣 ソウルに代表部を持っていないということは非常に不便であるのみならず、日韓の間でこんな公平を失したことはない、ごもっともでございまして、私どもも代表部設置ということについて先方が快く受け入れることを希求いたしております。しかし、ただいまのところまで実現を見ていないということもまた事実でございます。国会方面におきましても、そのことに言及されまして、状態をもっと的確につかむ方法等を講じろというお示しもございます。しかるところ、先方におきましては、今直ちに代表部というわけには参りませんけれども、今までもやっておりましたことでございますが、もう少しひんぱんに係官に一定期間韓国内を見ていただくということはけっこうでございますというような申し出もございましたので、さしあたって外務省の係官を派遣してみよう、近く出発させようと思っております。
○穗積委員 それは相手はもう了承したわけですね。
○大平国務大臣 そうです。
○穗積委員 だれを、何人ぐらい、どのくらいの期間の予定で、どういう任務で向こうへお差し向けになりますか。
○大平国務大臣 前田北東アジア課長外二名です。それから、特別な任務を与えてございません。つまり、ネゴシエーションをやれというようなことは与えてありませんで、今変貌を遂げつつある韓国の政治・経済の状況を視察してくるようにということでございます。なお、期間は約三週間でございます。
○穗積委員 その期間は延長可能でありますか。
○大平国務大臣 先方とはまだその話はしておりませんけれども、不可能とは思いません。
○穗積委員 時間がありませんから、こまかい話は差し控えたいと思いますけれども、在韓のアメリカ大使館の情報を聞いたり、それから、もう基礎を失っておる朴政権の少人数の諸君の意見、一方的な情報を勝手に聞いたり、しかも期間は三週間、こういう期間とこういう方法では、正確に韓国の経済情勢なり民衆の動向、政治情勢というものを判断することはとうてい不可能ではないかと思うのです。そういう方法並びに期間については、私が今申しました趣旨で気持は十分おわかりだと思うので、そういう点については十分もっとちゃんとした方針を持っておやりにならないと、行ってきたという名目だけであって、実際はかえって行ったことがマイナスになって、行って見てきたから事実はこうだというような、違った事実を、あるいは全く一部分の根拠なき事実を報告されて、それをもって日本の外交の基礎的判断に資するということになりますと、これはかえってマイナスになると思います。そういう点は、十分今までの外務省のエラーを反省されて、大いに検討すべきだと思いますが、いかがでございますか。
○大平国務大臣 お示しの点は、とくと考慮いたしまして、善処をいたしたいと思います。
○穗積委員 時間がないので残念でございますが、もう一点、あと川上委員からも御質問があるはずでございますが、例のアメリカ原子力潜水艦の寄港問題ですね。綿製品を中心とする経済問題、あるいは来年に交渉が迫っております通商航海条約の改定問題等々を含んで、対米問題については次の機会にあらためて私は伺うつもりでおりますけれども、その中の一環として、日韓会談に関連のあるものとしてわれわれの見のがすことのできない問題は、アメリカの原子力基地の拡充の問題です。そういう意味で、潜水艦の日本寄港の問題というのは非常に重要な意味を持っているわけです。単に放射能が海水を汚染するとか、そういう衛生上の問題だけではなくて、さらに重要な問題は、今のアメリカのアジアにおける軍事体制強化の方向として、その一環として、われわれは問題として取り上げたいと思う。そういう角度から見て、この問題は非常に重要だと思うのですが、その後の交渉の経過は一体どういうふうになっておりますか。この際国民の前に明らかにしておいていただきたいと思う。
○大平国務大臣 御案内のように、原子力潜水艦の寄港に伴う安全問題、それから損害補償の問題、大まかに言って二点について政府側の質問書を先方に出しまして、一部安全の問題については先方の回答がございました。それで、その回答を中心に各省庁の間で検討してもらっているのでございます。若干先方の回答に対して追加の質問をする個所もございまして、今そういうことをやっている段階でございます。補償の問題につきましてはまだ回答が来ておりません。政府としては、こういりた回答を吟味いたしまして、ある時期には発表いたしたいと思っております。
○穗積委員 今の大体の方向は、それらの条件について検討した上でこれを了承するという方向じゃないですか。こういうことは、私どもとしては、その一回の寄港が安全の問題に技術的に見てさしたる実害はない、少ないということだけで寄港を許すとか許さぬとかいう問題ではなくして、今申しましたような、アジアにおける原子力の戦略基地の増強の一環として私どもは重視すべきだ、そういうふうに思うのです。点が線になり、線が面積になってくる、その傾向を今たどりつつある。そういうアメリカのアジア政策の中においてこの問題は取り上げられると認識しなければいけない。ですから、われわれは、そういうような技術的な安全の問題とか補償の問題に問題点をしぼって、それ以外の一番大事な点を見落として、それで場合によれば寄港を了承するというような方向で進みつつある、そういうふうにお取り計らいになりつつあるようですが、これは私どもとしてはどうしても納得がいかない。その点に対する外務省の認識は一体どういうことでございましょうか、伺っておきたい。われわれの意見をお聞き取りの上御答弁をいただきたいと思う。
○大平国務大臣 アメリカの極東戦略が変わってきた、あるいは曲がりかどに来たというようなことを言われる節もございますけれども、私どもは、そういうことを考えて、そういうものとしてはとっていないのでございます。穗積さんも御承知のように、日米間の安全保障上の協力関係は、安保条約という条約でおごそかにきめられておるわけでございまして、これは日本の国土を防衛するということに徹した法律でございまして、このことはもう御専門であられるからよく御存じの通りだと思うのでございます。もし曲がりかどに来て対日協力の要請を変えるというなら、この安保条約を改定するという方向にお申し出があるはずなんですけれども、そういうことはございませんし、そういう意図も先方には毛頭ないわけでございます。従って、基本的な協力体制というものに特別に改変はないわけでございます。 それから、第二点として、原子力潜水艦の寄港問題でございますが、これは、たびたび私が申し上げておりますように、安保条約上は当然向こうが寄港できるわけなんで、許すとか許さぬとかいう問題ではないわけでございます。ただ、原子力というものに対する国民的な感触を考慮して先方が自発的に日本側の一応の気持を聞いてきているにすぎないわけでございます。しかし、御相談を受けた以上は、私どもも、できるだけ周到に、国民が御心配にならぬように検討をして、質問すべきものは先方に質問をいたしておるわけでございますが、根本は、これは日本政府が許すとか許さぬとかいうような権限は安保条約上ないわけでございまして、その点は十分御了解されておると思いますけれども、念のために申し上げておきます。
○穗積委員 安保条約の内容を私どもは承知しております。ところが、その審議の前後において、日本自身が核武装をする、それどころか、原子兵器の持ち込みあるいはそれに接近すること自身は絶対にさせないし、しない、そういうことは心配するなということは、安保条約審議後におきましても幾たびかそういろ点は明確にこの国会において与野党とも確認をしておるわけです。政府も確認しておるわけです。だから、安保条約があれば勝手に向こうが何でも持ち込めるのだ、あるいは寄港ができるのだというふうな解釈はこの場合には除外例になるわけです。その点の認識がこの前も実は問題になって、ついでですから申し上げておきますが、この委員会においては、その正体について、あくまで科学的にかつ客観的にこれが危険な武器であるかどうかということについては究明をすることに申し合わせができて、近くそれを行なう予定になっているわけです。これは安保条約との関連において政府自身も明確に確認をしておってもらわぬと困る問題です。
○大平国務大臣 私は穗積さんが言われる意味がよくわからないのでございますが、安保条約におきましては、御承知のように、核装備というような重要なる装備の変更につきましては事前協議の対象になるわけでございますが、今問題になっておるものは核兵器とか核装備とかいうものではないわけなんでございまして、従って、その点は、政府を御信頼いただき、安保条約の条章について的確な御理解をいただきたいと思うのでございます。それでは、先方が安保条約上の当然の権利として何でもかんでも持ち込んでいいじゃないかというようなことでございますれば、安保条約なんというものは紙きれにすぎないわけでございます。私どもは、日米間の同盟関係というものは、そういうものではなくて、やはり深い信頼をお互いに持っていなければならぬと思いますし、アメリカも、そして日本も、われわれが信奉している政治哲学というのは、そういう詐術は用いないということで相互の信頼に立ってやっているわけでございまして、非常に広範な安保条約の運営という問題について、たくさんの航空機が入る、たくさんの艦船が入ってくる場合に、一々日本政府が点検をして、よろしい、これでいいから入れというような工合では、私は安保条約の運営などはできないと思うのでございます。根本は信頼でございまして、私ども、そういう場合にこちらで吟味していくというようなことは、日米関係の上からとるべき策ではないと思います。
○穗積委員 これは核兵器であるかないかということは、ないとこの前あなたは断定されたけれども、それは科学的根拠がないとわれわれは認識するわけです。あなたは、この前伺うと、なぜこれが核兵器でないというふうに断定したかというと、根拠薄弱なんですね。一方的にそういうふうな独断でもって核兵器ではないという断定をされることは、われわれとしては納得がいかないから、従って、次の機会にこれは科学的かつ客観的に明確にして、しかもその上で政府の方針の誤りをただしたいと思っているのです。その点は、あなたの今の答弁は、抽象的に答弁をそらして、安保条約に依拠して、これは核兵器でないから従ってアメリカの一方的な自由であるというふうな信頼感の言葉をもって、度を過ごした非常な独断が二カ所において行なわれておるわけです。従って、これは次の機会にいたしたいと思いますし、あとで川上委員からも御質問がありますから、この問題については次に譲ります。 最後に、中国貿易の問題について、きょうは実は関係経済大臣に御出席いただきたいと思いましたが、御都合で、予算の関係で来られないということで、参事官の方々においでいただいているようですから、御相談の上で御答弁をいただきたいと思うのです。 この前も、総理の御出席の日に、あれは十八日のこの委員会でしたか、お尋ねいたしましたが、ヨーロッパ並みという点については総理もはっきり了承をされて、ヨーロッパ並みには前向きでやりたいと思うということでございました。そのヨーロッパ並みとは一体何であるかということについて、はなはだしく調査が不確かであるし、それからまた、政府の態度もあいまいであるわけです。 そこで、塩安の問題に対しては二カ年延べ払いの話ができてきて、その他の特殊鋼以下数種の品目については、このあと払いの方針がだんだんとアメリカに牽制されて変わりつつある。あるいは変えようかとする態度になりつつある。それから、もう一つは、プラント輸出に対する政府の態度でございますが、この二点について、ヨーロッパ並みを基準とする前向きの姿勢とは、特殊鋼以下農機具その他の取り扱いについてその後どういうふうに政府の方針をお取りきめになりましたか。また、取りきめようとしておられますか。その点を一括してお答えをいただきたいと思うのです。
○大平国務大臣 一般にヨーロッパ並みの条件ということで可能な限り民間ベースの貿易を進めていくということは、私どもそういう気持でやっておるわけでございます。今御指摘のように、ヨーロッパ並みとは何ぞやということになりますと、品目によりましてなかなか的確につかみにくいわけでございますが、しかし、一般の原則として、そういう一つの標準というものを頭に置いてやることに何ら異存はないわけでございます。 しかしながら、第二点として考えていただきたいのは、日本は世界に門戸を開いて貿易をやっておりまするし、従って、輸出金融も各地域の状況に応じてできるだけ政府の方で配慮いたしておるわけでございまして、私どもが行政をやる場合の心がまえとしましては、一定地域に特に厚く信用を供与するということをやりますると、これは輸出金融能力に限界がございますから、他の地域が薄くなるということも不公平でございますので、グローバルのベースで公平に輸出金融余力というものを配分していかなければいかぬという制約があることは、行政として当然のことと思うのでございます。従って、その第二点に関連して申し上げますると、具体的に申しますと、一国との間が特に信用供与額が不当に多いということは、一方貿易というものは本来バランスをとっていくのが望ましいことでございますので、日本が非常に片貿易になるというような姿は決して本来望ましいことではないわけでございます。 それから、第三点として考えておかなければいかぬのは、私どもは今の時点において日本の経済を切り盛りしていかなければならぬわけでございますから、日本の経済状況に応じて、各方面に輸出可能な商品というものは問題ございませんけれども、有効需要が思うように創造できないでおる品物もあるわけでございます。従って、今の日本の経済状態というものに見合って適時適切な考え方をとって参らなければいかぬということも、行政として当然御理解いただけると思うのでございます。 そういうような建前から見て、今お尋ねの中共貿易を考えてみた場合に、今おとがめを受けるような、西欧並みから非常に後退しておる。しかもアメリカの圧力によって後退を余儀なくさせられておるじゃないかというようなひが目では見てもらいたくないのです。そういうことは穗積先生も少しオーバーな御観察じゃないかと思うのでございます。早い話が、それでは二年のあと払いというものを、経済面等を同じに見るために普通の延べ払いに換算してみなさい。そうすると、これは頭金三〇%取って四年間に延べ払いすることと同じメリットになるわけでございます。従って、これは、普通の延べ払いというか、一つの消費財の延べ払いとして、こんなことは少し中共に身びいき過ぎるじゃないかというようなおしかりをあなたから受けても、これは、政府は、いやそうじゃございませんと言い切れないくらいのものだと思います。ただ、これは、今私が申しましたように、第三の原則で、ほかの市場に売りにくい品物、そういうようなものにつきましては、これは条件としては非常に甘いけれども、まあやむを得ず一つの特異な例外として認めようじゃないかというような決意をしたわけなのでございます。 それから、その他農機具でございますとかプラントの問題がございますけれども、今の中共との貿易のバランスというのは、あなたは御専門でよく御存じでございますように、当分どうしても日本が貸しになるわけでございます。これは、貿易一般の原則からいきまして、不当にあまりそこに信用が固まって行ってしまうということは、ほかの地域が迷惑いたしますから、容易に踏み切れずにおるわけでございますが、次の塩安のあとどういうものをどのように考えるかという点につきましては、そういう制約のもとにおいて、しかも何か可能な道はないものかということで、せっかくわれわれが苦心いたしておるところでございますので、あなたが言われたようなオーバーな御批判はちょっと私も聞きにくいところがあるのでございます。
○穗積委員 オーバーではありません。 ちょっと大臣に議事進行の必要上お尋ねしますが、あなたはぎりぎり何時までいるのですか。
○大平国務大臣 三時でございます。
○穗積委員 それじゃ、時間がありませんし、他の質問の方に御迷惑になりますから、これでやめて、次の機会にしますが、今のあなたの御意見を了承したわけではありません。それは非常に誤っていることですね。LT覚書、すなわち廖承志・高碕覚書の仕組みなり基本的原則を理解しておらぬですよ。あれは五カ年間の相互取引になっておるわけですね。しかも、実情は、御承知の通り、中心である鉄鉱が日本側の事情で受け取れない。しかし、EECを初めとする諸国、特にニトレックスの対中延べ払いの実情というものは、私の手元にも多少資料があります。御存じなければただで教えてあげますけれども、これらによっても非常に急いでおるわけです。そうでないと、日本全体の利益から見ましても、将来中国市場というものがニトレックスに取られる危険性というものがもう現に出てきておるわけですよ。それから、もう一つは、一月二十二日に平塚常次郎氏が調印をいたしました漁業に関する覚書も、実は、この年内に民間漁業協定が締結されるかされないかは、このLT覚書の実行にかかっておるわけです。それらの総合的な御判断というものが大臣に欠けておるのじゃないかと私は思うのです。きょう私はもう少しそういう点についてお尋ねしたいのですけれども、今申しました通り、あなたの御都合で時間がないというのですから、次の機会にいたします。 通産省からもおいでいただいておりますから、ちょっとお尋ねしておきますけれども、西欧諸国の個々別で、あるいはEECのニトレックスが肥料について二年のあと払いの契約をしておる事実を御調査になったととがありますかどうか。それから、プラントについては短くて六年ないし七年になっております。日本の場合は大体五年の予定。それから、長きものは十五年になっておるものもあるわけです。そういう事実は外務省と通産省の間で調査されて、それを突き合わせて総合的に政府として御判断になっておるかどうか。しかも、LT覚書というのは、先ほど申しましたように、一時は、初年度においては日本側が貸しになりましょうけれども、これは鉄鉱事情によるものです。ですから、あとは向こうからの中心品目である鉄鉱の取引が始まれば、長期五カ年間にわたりあそこに列記されました品目の総合調整をはかっていくということになっておるわけですし、特に私が重要視したいのは、EEC諸国の対中国取引が今申しましたようなあと払いであり、プラント取り扱いについても非常に積極的であるし、日本のあの覚書以上に長期なものになっておる。しかも漁業に関する協定の締結の可能性が廖承志・高碕覚書の実行にかかっておるという事実を総合的に判断されて、もう一度大臣並びに通産当局からの御説明を伺いたい。どうせこれで十分ではありませんから次の機会にいたしますけれども、きょうの締めくくりとして、その点だけは的確に、結論だけでけっこうですから、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
○大平国務大臣 高碕さんと先方との覚書については、私も理解しておるつもりです。それから、漁業条約との関連につきましては、平塚さんから一応お話はございまして、穗積委員が御指摘されるような事情があるようでございます。そういうことは十分私どもも理解しておるつもりです。 それから、西欧と中国との間のあと払い条件というようなものについて、新しい材料を穗積さんお持ちのようでございますが、それは御提示いただきまして、私どももこれを確かめたい。そういう情報は非常に歓迎いたします。
○広瀬説明員 ただいまの肥料のニトレックスのことについては、特別に確実な情報は聞いておりません。ニトレックスが何か中共方面に肥料をあと払いか何かの条件で輸出する話があるように聞いておりますが、的確な情報は聞いておりません。 それから、西欧並みの条件かどうかというようなことについては、外務省を通じまして伺っておりますが、今外務大臣からも御答弁になりましたような事情でございます。 それから、肥料につきましてもう一度申し上げますが、現在、塩安、尿素その他のミッションが行っておりますので、このミッションの方々がお帰りになってからの情報を十分に聞いて、慎重に検討いたしたいと思います。
○穗積委員 外務当局の調査を事務当局から言って下さい。西欧並みというのはどういうことか。
○西宮説明員 われわれが在外公館を通じて調べましたところ、先ほど大臣が申しましたように、確証のあるという範囲内で判明しているところでは、一年ないし一年半というのが限度というふうに承知しております。そのほか、先ほど御指摘のように、プラントその他、それ以上長いもの、あるいは五年以上という場合は、業界その他からわれわれも聞いております。それで、目下その真偽を確認中でございまして、はっきり事実としてそうだというふうな情報は、われわれまだ入手しておりません。こういう状態でございます。
○野田委員長 帆足計君。 帆足委員に申し上げますが、大臣の予定時間があと四十分ばかりですから、あなたのあとに川上委員が質問を予定しておりますから、そのつもりで一つ質問を願います。
○帆足委員 了承しております。 人間の歴史の中で、今の世の中は歴史始まって以来奴隷制度の時代に近いくらい貧富の間隔がはなはだしい時代ですから、それにつらなる生活の安定した方々と、一生働いてなおかつ生活の不安を感ずる人たちとの間に政治的見解の相違のあることはやむを得ないことであるし、また、それを明らかにして、その差をなくして、人類が共同社会になるような方向に努力をされるということは、私は望ましいことと思っております。従いまして、外交の問題にいたしましても、さらにまた人間の認識という点から言っても、ときどき今日の時代には大きな相違がありまして、たとえば、先日の日韓会談の問題などは、ほとんど妥協の余地のないくらい激しい意見の対立がございまして、外相不信任案を野党としては出したわけでありますけれども、しかしまた、他面におきましては、同じ日本国民として、また、けわしい今日の内外情勢に処する私どもの理性的な考え方の上では、共同に話し合える問題もたくさんあるわけでございます。私がただいま外務大臣に御質問申し上げたいことは、おおむね共通の広場に立っての問題でありますから、どうかお気楽にお答えを願いたいと思います。 一つは、これは言葉じりをとらえて申すわけではありませんけれども、ただいま中国に対してヨーロッパ並み、西欧諸国並みに平等にやりたいというお言葉がありましたが、私は、これも論理的には少し誤りがあると思うのです。というのは、ヨーロッパにとっての中国に当たるところはアフリカ並びに東欧諸国です。ですから、日本と中国との関係は、ヨーロッパとアフリカ並びに東欧諸国との関係に比べるべきであって、すなわち、ヨーロッパ諸国と対等にやるというならば、ヨーロッパ諸国のアフリカ及び東欧諸国に許されているような水準でやる、こういう方が論理的であると思うのです。というのは、中国はヨーロッパにとっては遠く離れた国でありまして、原料の輸入などは大豆を除いてはほとんど不可能でございます。粘結炭やクリンカーをはるばる中国から西ヨーロッパに運ぶことはできないのです。同じように、東欧諸国からの原料の輸入というのは、日本にとっては非常にごく少量の貴重な物資しかできないことは御承知の通りであります。従いまして、日本と中国との関係は歴史的にも距離的にも近いし、密接であるから、ヨーロッパ諸国からせめて東欧に許されていることを日本に許してほしい、こう言う方が論理的であると思いますけれども、教養豊かな外務大臣はこれをどうお考えでしょうか。
○大平国務大臣 第二次大戦の結果として現在あるようなアジアの姿というものが正常でないことは、私もよく了解いたしております。中共との間に今国交がないということも、そういう情勢の一番大きな一環であると心得ております。この間の貿易は、政府間貿易でなくて民間ベースでやらざるを得ないというような状況にあることも、正常ではないと思います。こういう具体的な条件の中でどう考えるかということでございますが、基本的には、世界が中共に対してやっておるより私どもが遠慮する必要はなかろう。といって、今日本が先がけてよそよりも甘い条件で太くやるというのもいかがか。日本がやっておることは一応わかるじゃないかというような姿勢でおりたいと思っておるのです。御不満かもしれませんけれども、精一ぱい今の段階でそうじゃないかという気持でおるわけであります。
○帆足委員 それでございましたら、ヨーロッパ並みと言われるときは、百歩譲ってもヨーロッパ並みである、しかしこれは論理的には必要以上の譲歩である、こういうようなお考えで交渉なさることが論理的であろう、こう思います。 そこで、お尋ねいたしますが、先日、石油パイプのソビエトに対する輸出に対しまして、アメリカから制約を受けまして、商談が差しつかえたように聞いております。これに対しまして、福田通産大臣は、日本政府としては、これはココムにも制約のないことであるから、そういう制約を加える意思はない、こう言われた。しかし、実際には内外の圧力を受けまして商談が停滞しておるように聞いております。この問題もまた論理のないことでありまして、現に、西ヨーロッパ諸国では、アメリカの圧力を拒絶している国もたくさんありますし、また、現在すでにソ連は七千万トンの鉄をつくっており、これは全ヨーロッパを合計したより大きな産額です。それだけの鉄をつくっておるソ連に対してわずかばかりの鋼管をとめてみましたところで、それがソ連の石油鉱業、経済力または軍事力を間接的に制約することにはならないのでありまして、たかだか一週間か一カ月くらいソ連の計画にじゃまをするというくらいのもので、これはいわゆるいやがらせというようなものでございます。外交の道におきまして、いやがらせということは、卑屈な民族のすることでありまして、私どものとらざるところでございます。従いまして、通産大臣がああいう御答弁を国会でしておられますから、大臣はどういうお考えか。それから、私どもはしろうとでありますから、こまかなことは別として、端的にその問題の善後措置は通産省の方でどうなっておるか。その結論と、外務大臣のお考えを伺いたいと思います。
○大平国務大臣 帆足さんも御承知のように、これはNATOの方からの要請でございますが、ココム協定に入れるというところまで来ていないわけです。ココム協定にまでなって参りますと、日本としては、ココム協定に入っておりますから、貿易管理会を直しましてそのように措置するにやぶさかでございませんけれども、それまでなっておりませんので、基本的にはこれは業界の自主的な判断ということになって参るわけでございまして、政府はそれを押えろとかやれとかという何らの権限がないことは、あなたも御承知の通りでございます。何か政府が不当な圧力を加えたような注釈付でございましたが、そんなことは私ども毛頭考えておりません。
○帆足委員 現実にはどうなっておりますか。
○広瀬説明員 現在八幡鋼管が五千トン契約ができたというように承知しております。あと二万トンほどのものがあるように聞いておりますが、これは今ネゴシエーションの最中であるというように聞いております。その他のことは、はっきりした話は今ございません。
○帆足委員 石油の輸入なくしてやっていけない日本としまして、ただいまのような外務大臣のお考えでおやりになるならば、最初新聞で伝えられて心配いたしましたことも杞憂になりまして、まことに御同慶の至りでございます。特に石油化学工業は今後の新興産業として非常に刮目すべきものでございますし、話に聞きますと、ソ連の石油管もイルクーツクないしハバロフスクまで接近しつつある。これが日本海沿岸までパイプが通ずれば、日本の西海岸に有力なる石油化学工業を興すこともできるわけでございます。そして、ソビエトの石油は比較的コストも安いように聞いております。アメリカの石油だけに依存することは危険なことでありまして、かつて、日本の繊維工業は、アメリカの中級綿と、それからインドの大衆綿とエジプトの高級綿と三つを混綿いたしまして世界に雄飛したことは、外務大臣御承知の通りでありますので、やはり、アラブの石油、アメリカの石油、またソ連の石油、それぞれの長所を活用することが、万国通商を必要とする日本の国民的利益に合致するところであると思いますから、この際パイプの輸出が阻害されるということのないようにしていただきたい。そういう平和的見地からそうしていただきたい。同時に、ソ連にすでに七千万トンの鉄ができており、あと十年たちますと九千万トンをこすであろうと言われておる状況であることもお耳にとめられまして、外交に他国から圧力を受けたり、——その圧力が合理的なものならばまた一考に値しますけれども、世界の情勢にうとくて、単にいやがらせのしり馬に乗る、また、一ライジングサンか何か存じませんけれども、一石油トラストの圧力に乗ぜられるというようなことのよもやないように私ども希望する次第でございます。 次にお尋ねいたしたいことは、キューバの事件がありましたとき、私はちょうどモスクワにおりまして、バートランド・ラッセル卿のあの声明を聞きました。そして、たなごころを打って、この英国の良識あるオールド・リベラリストの警告は傾聴に値いすることであると思いました。ちょうど、たまたま一昨年、三十日ばかり、この花と踊りと音楽の国と言われるキューバに私はおりましたので、事情をよく存じておるのでございます。いろいろ問題もありますけれども、キューバ事件が起こりましたときに、モスクワで、ラジオを通じまして、日本の外務省の態度は国連を通じて平和的解決を望むというような御声明であったように承りまして、私は心からそのことをうれしく思いました。今日、世界の紛争を解決する最もよい広場は、すなわち国連でございます。私ども野党といたしましても、国際連合というものをまだ多少過小評価していたのではあるまいかと、私自身はそう反省いたしております。 そこで、国連の舞台で解決すべき問題について、事後の措置を見ますと、アメリカは数百回にわたってキューバの国内を飛行機で写真にとっておるようでございますが、一体そういうことが今日の国際法で許されるものかどうか。もしキューバの中にミサイルのあることが不愉快で情報を知りたいならば、同時に、アメリカがマイアミにどのくらいのミサイルを置いているかということも発表し、両方を査察して初めて平等の立場であり、自分の方のものは隠しておいて、キューバがただ小さな島であるからといって平気でのぞき見をして写真にまでとっておる。他人の寝床をのぞくことは、出歯亀と申しまして、最も悪趣味であるばかりでなく、軽犯罪法を構成するものである。キューバがいかに小さな国であろうとも、人口六百万の国であろうとも、国連に加盟した一員であることを知らねばならぬ。キューバが社会主義をとろうと協同組合主義をとろうと、それはキューバの主義に属することであって、何らケネディの容喙すべきことではないと思う。しかるに、そういうことが公然と行なわれている。もちろんキューバにロケットがあることはアメリカにとって恐怖であります。同時に、マイアミにロケットがあることはキューバにとって恐怖であることを知らなければならぬ。それはお互いさまである。従いまして、そういう間にはさまっている国に他国の強烈な兵器を置くことをやめようとか、基地を撤廃しようとかいうことは、国際連合で迅速にかつスマートに論議すべきことであると思いますけれども、他国を勝手に飛行機で写真をとって歩くとか、そういう出歯亀主義が流行したならば、これは子供たちに対する教育も何もできない。一体、外務大臣としては、国連の精神はまた新日本憲法の精神にもつながっておることは御承知の通りでありますが、こういう問題に対して、国際法的にどういうふうにごらんになり、どういうふうな苦いお顔でそれをごらんになっておられるか。やはり、アメリカが強い国であるといっても、いけない点はいけない、ソ連が社会主義国であっても、いけないことがあるならそれはいけない、こういう立場にもうお互いが立たねばならぬような時代に今移り変わりつつあると思う。この点外務大臣にお尋ねしたいと思います。
○大平国務大臣 キューバ事件全体の評価については、政府はアメリカ側のとった措置は理解できるという立場をとったわけでございます。なぜ理解できるかという意味は、一つは、第二次世界大戦とその後の状況から見まして、非常に軍事科学が発達して参りましたので、今まで締結されておったような国際法、国際慣行で一体この事態を十分ルールできるかどうかということについては問題があるわけでございます。それは、今御指摘の国連があるわけでございますから、国連に持ち込んで、国連がフェアに判断すべきものと思うわけでございます。アメリカはアクションをとられる前に国連に持ち込んでおられます。それから、リオ条約によりまして米州諸国をみな集めておりますし、手続上とられた措置に異論はない、私どもはそう判断いたしたわけです。それから、第二点として、先ほど穗積先生とのやり取りにもありましたように、私どもは、現在の平和というものをささえている基礎というものは、是非の判断を越えて、現在の軍事力の配備状況というものによってともかくも平和が保たれておるという認識に立っておる。現状の平和というものは非常に貴重なものであって、これはどのように表現するかは別といたしまして、ともかくステータス・クォというものでささえられておるとすれば、新しくこの均衡を破るような事態は、世界平和の観点から平和に対する脅威である。従って、キューバにおけるミサイル基地の撤去を求めたアメリカの主張というものも理解できるじゃないかというような立場をとったわけです。 しかし、問題は、空中査察というようなこと、その他アメリカのとられておる行動というものに対してお前はどう思うかということでございますが、冒頭に申しましたように、今の世界は、従来の国際法で規律できない、あるいは規律するのが非常に困難な、そういうような事態が生起しつつある。従って、新しい国際法というものがどういう形で形成されてくるか、これはさだかに読めませんけれども、従来の国際法で直ちにこれがいけないと論断してしまうのには、もっと事態の方が発展し過ぎておるのじゃないかというような感じがするのです。私は国際法の専門家じゃございませんから、どう表現していいか的確な用語がわかりませんけれども、そんな感じがいたします。しかし、問題は、米・ソ・キューバ等の関係国においてまず相当精力的な話し合いを続けられておるようでございますから、日本政府でどう思うかということを問われた場合には、関係国で精一ぱいお話し合いの上平和的に解決していただきたいということを心から希求していると申し上げるよりほかにないと思うのです。
○帆足委員 日本の外務大臣の答弁として、私はまことに物足らぬと思います。一体、大学でともに勉強しながら、哲学と論理学の勉強を怠っていたのではなかろうかと思われる節がある。それはやはり従来の国際法から見て違反である。もしそういうことをお互いに許したなら、もうわれわれ夜もおちおち寝られないわけです。お互いにのぞき合うということですから。ですから、そういう場合は、第三者が、国際連合がそういうことの世話をするというのが私は道理だと思うのです。相手が弱いからといって、どんどんはしごを持ってきて、何かありはせぬかといって中をのぞく。しかも、仮想敵国となっておるキューバの中に自分は軍事基地を持っている。まことに奇怪しごくなことである。池田首相は人づくりを言われるけれども、私どもが受けた教育から考えますと、それは論理的に私はがまんのできないことである。ほかの方法によるべきである。それによってアメリカが得たところのものは、私から出歯亀などと外務委員会において言われる恥の方が多いのじゃないか。ケネディ大統領におっかさんがおるかどうか知らぬけれども、この速記録を見たら、たらちねのケネディの母は涙をこぼすだろうと私は思う。 一言ちょっとこの外務委員会の権威のために申しますが、国際法というものは、その精神は外務大臣の言われるようにそう変わるものではありません。貧乏したから、人のポケットに手がもぐり込むくらいなことは、これはまた現在の情勢から見て自然の成り行きと思って考慮の余地がある、そんなことを言うべきものじゃないと思うのです。そういう点においてバートランド・ラッセルとかネール首相の態度は明確であるから、これらの人は人類から慕われる。外務大臣としては、それはアメリカの苦しい立場はわかるけれども、今日の国際法の論理には確かにそむいておるから、そういう問題も国連で取り上げてもらいたい、こういう答弁をしていただきたかったわけでございます。時間があと二、三分しかありません。まことに残念です。 同じような問題がまた沖縄にあるわけですけれども、きょう私に与えられた時間は三十分ですので、三十分で国の運命に関する問題を質問することは無理です。どだい、私は、外務委員会でも、またかりに外務大臣弾劾演説などでも、原稿をつくって十五分なんという時間をきめて演説させるというのはおかしいと思うのです。これは議運の問題ですけれども、言うべきことを十分に言って、言うべき論理があるときは六、七時間かけて論議しなければいけない。そのうちに、なるほど、政府に反対しているけれども、この問題だけは野党の発言であるけれどもやはりこれは考慮した方がよかろう、参考になったというようなことはお互いにたくさんあると思うのです。そういうものをつくり出すのがすなわち野党、与党のあるゆえんでないでしょうか。それからまた、ラジオ等を通じてその言葉が国民の皆さんの耳に入って、重要な判断の材料になる。そうして初めて日本国民としての認識が深まって、大きなあやまちをしないで済む。そういう点において、今日の日本の国会における論議というものは十分論議を尽くさずして事が済んでしまう。それで、必ずしも日本の政治というものが国民からも慕われておらず、世界各国からもそれほど高い権威として認められていない。まことに残念であると思います。沖縄のことを申し上げようと思いましたけれども、時間がありません。他党の同僚に御迷惑をかけるのはあまりゼントルマン・シップでありませんから、これでやめますが、委員長並びに理事にお願いいたしまして、なるべく早い機会に、沖縄の差し迫った問題が二、三ございますから、次に質問させていただくことにいたします。
○野田委員長 川上貫一君。
○川上委員 私は、この前の二月八日の委員会で、今度の日本に基地を要求したアメリカの原子力潜水艦について質問をしました。それに対して、外務大臣は、この原子力潜水艦は核武装をしていない、こう答弁をされた。そうして、その詳細を次の委員会でさらに明らかにする、こう約束された。きょうはその答弁を聞く日でありますが、その答弁の一つ一つについてさらに私が質問をするという時間はないと思います。そこで、貴重な時間でありますから、私は、答弁を聞く前に、前の質問に加えてさらに次の四つだけ具体的な事実をあげて一括して質問をします。そこで、御答弁の方も私の質問の各項目別にお答えを願いたい。 さらに、ここで一言つけ加えさせてもらいたいと思うことは、私がこの問題で繰り返して質問をするこのわけは、わけがあるのです。どうも政府は、ポラリス潜水艦は絶対拒絶する、こういう言辞を非常に強調される。そのことによって、当面するこの原子力潜水艦、すなわちノーテラス型その他の攻撃用の潜水艦は大したことはないのだ、こういう印象を与えて国民をだまそうとしておられると思う。これはそうじゃないと言うかもしれませんけれども、外務大臣はほんとうにお考え下さっていいと思う。さらにまた、一方では、この事態を海水汚染の問題にだけすりかえておられる。もちろん海水汚染の問題は重大な問題でありますけれども、実際にはこの潜水艦が核武装をしておるということがもっと重大なんです。これを国民の前に隠そうとしておられるのだと私は考えざるを得ない。なるほど、ポラリス潜水艦は核弾頭装備を持っております。ポラリス以外の原子力潜水艦は今は核弾頭装備はしていないかもしれません。しかし、この原子力潜水艦は核魚雷を持っておる。サブロックその他を持っておる。これは世界周知の事実なんです。違いはそれだけです。すなわち、どちらも強力な核装備潜水艦であって、この二つは両々相待って今日のアメリカの核潜水艦群を構成しておるのです。従って、両者は今日では本質的には同じものである。ポラリスならば断わる、原子力潜水艦なら別だ、そんなものでは絶対にありません。ポラリス型であろうがその他の潜水艦であろうが、日本はそれに基地を与えることによって新しいアメリカの核戦略に公然と巻き込まれるのです。これは国民にとって大きな問題です。これをわれわれは指摘せざるを得ないのです。これが私が繰り返してこの問題を質問をする理由なんです。 そこで、質問をつけ加えますが、まず第一に、アメリカの潜水艦は、外務大臣御承知だと思いますが、一九五八年ごろから核武装を始めております。その後改良開発が進みまして、少なくとも一九六一年以降は全面的に核武装をしておるのです。今では核装備を持たない原子力潜水艦というものは一つもないはずです。そのことは、アメリカの公式資料を総合すれば、まことに明瞭です。そこで、それにもかかわらず、政府、外務大臣がどこまでもそうでないとお答えになるのであれば、その根拠を、抽象的ではなしに、具体的な根拠に基づいて、そうでないということをはっきりと答えてもらいたい。これが一点です。 第二点。政府は、アメリカの原子力潜水艦はヨーロッパから大西洋の海域にかけてすでに百回以上も寄港しておる、ところが事故を起こしたということを聞かない、こういう説明をしておる。これは外務大臣が言っておる。百回以上と言っている。そこで、知っておられるのは、アジアではどこどこに寄ったのですか。これは一々ここで聞かしてもらいたい。おそらく去年の三月ごろ以降防衛庁も外務省もこのことをデータによって知っておられるのではないかと思います。さらにまた、もう一方、アメリカの発表によりますと、こうなっておる。太平洋には潜水艦基地が六カ所以上あること、その中の三カ所はアメリカの太平洋沿岸である、そしてほかの三カ所ないし四カ所はハワイのオアフ島、グアム、それに太平洋の島となっております。太平洋の島です。そして日本はその中継基地となっておる。これが明らかにされておる。これは放送にまでしました。事態は明瞭です。すなわち、政府の言われる、外務大臣がおっしゃった百回以上の戦略潜航パトロールの基地、これとして今度日本の港を公然と使うのがこのたびのアメリカの要求であります。そうでないとは絶対に言えない。このようなパトロール潜水艦が核装備をしていない、ほんまに政府はそう思いますか。これは確言しますか。私はこれを外務大臣の口から正確にお聞きをしておきたい。これが第二点。 第三点は、私が前に質問をしてからあとで、ほかの委員諸君の御質問に対して、あなた方は、アメリカは日本政府とのかねての約束があるのだから、核兵器は絶対に持ち込まない、こういう答弁をどこでも繰り返しておられる。きのうも参議院で総理大臣がこの通り答弁をされておる。しかし、アメリカの原子力潜水艦というのはすべて核武装をしておるのであります。これは明瞭なんだ。日本に来る潜水艦は核武装しておらぬ、こう言うのならば、それはおそらく核武装をどこかで取りはずして日本に来るのだ、こう言われるのでありましょうか。それなら、一体どこで取りはずすのです。これを明らかにしてもらいたい。原子力潜水艦の速力は、非常時ならば三十ノット以上出るでしょう。しかし、普通十五ノットないし二十ノットであるということは、これまた世界周知の事実です。かりに十五ノットとすると、沖縄から東京まで何ぼありますか。この距離は九百三十五マイル、千七百二十一キロです。片道二日半かかる。往復五日以上かかります。それから、日本の基地に来て、私は最初、一日くらい滞在するのかもしれぬ、こう実は思った。ところが、けさの新聞をごらんなさい。アメリカはどう発表しましたか。最高二週間おるという。これはどういうことです。そうしてごらんなさい。往復を加え、取りはずしを加え、日本の滞在を加えて、二週間も三週間もかかる。この潜水艦というのは、今日では常時非常体制をとっておるのです。ケネディの抑止体制、これを常時とっておるのです。この常時非常即応体制をとっておるアメリカの戦略パトロール潜水艦が、核武装を取りはずして、いわばまる裸になって二週間も三週間もアジアのどこかの海域でうろうろするということ、これは、まあ笑い話ならともかくでありますが、実際の問題としては全くナンセンスです。世界のだれもこんなことは信用しません。また、これは軍事科学の常識から言うても絶対にナンセンスです。あなた方はほんまにこれをどう考えますか。こういうことはあり得るんだとほんまに考えておりますか。これは率直にお答えを願いたい。 さらにまた、核弾頭というものは、取りはずしと保管には特別な技術と管理を必要とするのです。アメリカも公式にこれを発表しておるのです。そういうものでありますから、特殊な潜水母艦とか特定の場所で行なわれる場合以外には容易に行なわれるものでないということを公式に言うておる。これは軍事科学の常識でもある。しかるに、どうも政府、あなた方は、これが日本に来るたびごとにこのような特殊な作業をしてわざわざ日本に来るんだ、ほんまにそう思っておられますか。まじめにそうお考えになりますか。 世の中にはうそのかんぱちということがあります。しかし、これは国会の審議です。委員会だけをいいかげんに言い抜けたらよいという問題ではないと私は思う。国の運命と民族の運命の将来に重大な関係を持つ問題だと思う。一体政府はどうお考えになっておるか。言い抜けだけではありません。国民にほんまに納得のいくような御返答をお願いしたい。 私はこの御答弁についてきょうさらに繰り返して再質問する時間がありませんが、おそらくまことによくわかりましたという御答弁はいただけないだろうと思うのです。その点についてはあとに譲りますが、以上私がとりあえず述べました点、前回に質問しました点、これを合わせて、私の質問の一項目一項目について、繰り返しますが、国民が納得のいく、今軍事科学者が非常にこれを問題にしておりますから、この人々も納得する、文化人も非常に心配しておりますから、この人々もなるほどそうかと納得をする、そういう御答弁をお願いしたい。これは国会の討論のかけ引きじゃありません。日本の国民にとって重大な問題であると同時に、日本がアメリカの新しい今度の核戦略・世界戦略にごっそり巻き込まれるかどうか、このどたんばに来ておるのです。けさの朝日新聞をごらんなさい。アメリカは佐世保に来るんだとはっきり言うておる。ちゃんと来ることになってしまっておる。おそらく、佐世保だけではありません。ほかにも来る。これは核武装潜水艦が来るのです。アメリカの核戦略の一端に日本が入っていくのです。簡単なことじゃありません。 以上、時間がありませんから、私の質問を一括して政府の御答弁をお願いいたします。
○大平国務大臣 川上さんの御質問の大前提が私どもと理解を異にしておるのです。というのは、私どもは、今核武装、核兵器の日本国内の持ち込みという問題を問題にしておるのでなくて、原子力を推進力とする潜水艦が入る場合の安全保障等の問題を問題にしておるわけなんです。大前提として、核武装の持ち込みというのは、あなたが御指摘のように、政府はもともとこれは持ち込みを認めないのだという不動の方針を内外に宣明しておりまするし、先方のアメリカも、それは百も承知なんで、核兵器を持ち込むなんという気持は毛頭ないのでございます。従って、問題は、原子力を推進力とする潜水艦が入ってきた場合に、非核武装の潜水艦が入ってきた場合の安全の問題等を問題にしておるわけなのでございます。今先生の御質問を聞いておりますと、問題を全然すり違えてしまって、核武装、核兵器を持ち込んで、アメリカの核戦争・核戦略の中に日本が巻き込まれるというように問題を取り上げられておるようでございますが、大前提が私は違うのです。あなたのような前提に立てば、これは安保条約から申しましても当然に日本に事前協議すべき性質のものでございます。事前協議すれば、日本はお断わりするのです。その日本に同意を求めずして入れることはしないというおごそかな約束があるはずでございますから、その点は御心配ないようにしていただきたいと思うのでございます。 ポラリスは入れないが、ノーテラスではいいとか、核装備の問題を安全と損害補償の問題にすりかえて国民をだましておるのではないか、——国民をだまして政権を持てるものではございません。たびたびの選挙を通じて自民党が支持されておるゆえんというものも、私は、あなたがおっしゃるように国民をだまかしておって政権は持つものではございませんし、また、同盟国である日本をだまかすようなことをしておって、アメリカは大国になれなかったと思うのでございます。私どもは、先ほど穗積先生の場合にも答弁申し上げましたように、アメリカと日本とがかたく約束をしたことの信義に立脚してやらねばいかぬと思うのでございます。アメリカは、核兵器は持ち込まないということ、そしてそれを明らかにいたしておるのでございますから、それを私は信頼すべきだと思うのでございます。そういう信頼関係がなければ、国と国との約束、おつき合いなんというものはできるものではございません。従って、根本の大前提で、非常に遺憾でございますが、川上さんと私は大前提を異にしておるわけでございます。しかし、せっかくの御質問でございますから、一、二、三、四の問題につきまして、事務当局の方からお答えいたさせます。
○安藤政府委員 ただいま、原子力潜水艦はすべて核装備をすでに一九六一年からやっているというようなお話がございましたけれども、ポラリス型潜水艦以外は、現在まだ装備をしていないというふうに承知しております。サブロックにつきましては、二月十八日に国防省がテストの写真を発表しました際にはっきり申しております。これはいまだ開発中であるということでございます。要するに、研究中といいますか、試験中であるわけでございます。従いまして、いまだ装備をしていない。
○川上委員 ちょっと聞きますが、そうすると、核魚雷を持っていないということですね。
○安藤政府委員 現在は普通の魚雷を持っているわけであります。核魚雷は現在は装備していないと承知しております。サブロックは、御存じの通り、核もつけ得るし、そうでなくて使う、両用のものでございますが、このサブロック自身が、アメリカがはりきり言っております通り、現在開発段階にあるというふうに承知しております。
○川上委員 聞いておるのは、サブロックというのは、これは発射装置ですから、弾頭を持っておらぬというのですね。その点だけ。
○安藤政府委員 装備いたしておりません。 それから、寄港の問題でございますが、太平洋方面では、フィリピン、台湾、オーストラリア、ニュージーランド等に入っております。百回と申しますのは、大西洋方面、太平洋方面全部を通じまして、いろいろな港に百回以上入っておるということでございます。
○有吉説明員 いろいろな文献を総合いたしますと、潜水艦に関連のあります核関係の兵器といたしましては、アストールという核魚雷を目下開発中であるというふうな報道があります。まだ実用化されていないということでございます。もう一つの潜水艦に関連のあります核関係の兵器といたしましては、今お話がありましてサブロックでございますが、これまた開発中でございまして、実用試験研究中でございます。
○川上委員 一口だけ。もう時間がありませんから終わりますが、政府の答弁は答弁にならぬ。ことに外務大臣の答弁はさっぱり答弁にならぬ。そんな主観的なことを聞きよるのではないのです。具体的な事実をあげたのです。これの答弁をしておらぬ。きょうお二人の答弁はきわめてあいまいだ。外務省のおっしゃったことと防衛庁のおっしゃったことは食い違っている。これは重大ですから、私は次の機会にもっと明らかな資料をあげて主張したい。 同時に、委員長にお願いします。この問題については、われわれは抽象論を言うておるのではない。日本における軍事科学者その他専門家の意見を克明に数十日にわたって私の方では調査している。ところが、政府の言われることは全く違う。これでは困るから、どうしても、私の言うたあの公聴会もしくは参考人の召換、これをやってもらいたい。そうしなければ、ここでこんなくだらぬ答弁だけ聞いておったのでは話にならぬ。重大な問題ですから、ぜひ専門家の意見を聞いてもらいたい。そうすれば事態は明らかになりますから、これを委員長に特にお願いします。
○野田委員長 川上委員にお答えいたします。川上委員の提案については、理事会において相談の上、御返事いたします。 関連質問を帆足君から三十秒間したいとの申し出がありますので、これを許します。帆足君。
○帆足委員 その通り守りますが、今米ソ間で核実験中止の協定に近いところまで来ているのでありまして、中立諸国も、これを期待いたしまして発言は控えておりますが、その成功を望んでいる状況です。国会におきまして核実験反対の決議をたびたびいたしました日本政府といたしましては、これら両者の意見が接近し、公平な科学者の意見など取り入れて一刻も早く妥結することを望まれていることと思いますが、一言だけ外務大臣の所信をお願いしたい。
○大平国務大臣 心から希求いたしております。 ————◇—————
○野田委員長 次に、関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する締約国団の確認書の締結について承認を求めるの件、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国等との交渉の結果に関する諸文書の締結について承認を求めるの件及び千百九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約の締結について承認を求めるの件、以上三件を一括議題とし、政府より提案理由の説明を聴取することといたします。外務政務次官飯塚定輔君。
○飯塚政府委員 ただいま議題となりました関税及び貿易に関する一般協定の譲許表の訂正及び修正に関する締約国団の確認書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 わが国の国定税率を定める関税定率表の附表は、一昨年六月一日全面的に改正され、新しい関税品目分類法に準拠するものとなり、また、この改正の後に締結したガット文書に収録されるわが国の関税譲許表もすべてこの新しい関税品目分類法に準拠するものとなっております。これに伴って、この改正前に締結したガット文書に収録されている関税譲許表をも新しい品目分類法に準拠したものにするよう訂正することが関税事務の運用上必要となり、政府は、各譲許をそのように訂正することにつき、当該譲許に関係を有する各国の了解を求めるための交渉を進めて参りました。 かかる交渉は昨年秋に終了いたし、本年一月十五日、この訂正を実施するために必要なガット上の手続を了しました。本件確認書は、右の訂正を加えたわが国の新譲許表を他国の譲許表とともに収録するものでありまして、わが国の新譲許表は、政府が国会の御承認を得た後ガットの事務局長に対して行なう通告によって効力を生ずることとなっております。 よって、ここにこの確認書の締結について御承認を求める次第であります。 次に、関税及び貿易に関する一般協定に附属する第三十八表(日本国の譲許表)に掲げる譲許を修正し、又は撤回するためのアメリカ合衆国等との交渉の結果に関する諸文書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 わが国の貿易の自由化の進展に伴い、わが国のガット譲許の一部を修正しまたは撤回する必要が生じましたので、政府は昨年五月から、米国、ドミニカ、欧州経済共同体、ギリシャ、ペルー及びウルグァイとガット第二十八条の規定に基づく関税交渉を行なって参りました。本件文書は右の交渉の結果を収録するものでありまして、この文書によって修正または撤回される譲許は十五品目、これを国別に見ますと、対米十一、対ドミニカ一、対欧州経済共同体三、対ギリシャ一、対ペルー一、対ウルグァイ一であり、その一昨年における交渉相手国からの輸入実績は千六十五万四千ドルとなっております。他方、その代償として提供する譲許は二十四品目、国別に見ますと、対米十六、対ドミニカ一、対欧州経済共同体四、対ギリシャ二、対ペルー一、対ウルグァイ二であり、その輸入実績は七百九十六万六千ドルとなっております。これらの譲許は、政府が国会の御承認を得た後ガットの事務局長に対して行なう通告によって効力を生ずることとなっております。 よって、ここにこれらの文書の締結について御承認を求める次第であります。 最後に、千九百六十年の海上における人命の安全のための国際条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この条約は、千九百四十八年の海上における人命の安全のための国際条約を改正してこれにかえるため、一九六〇年四月にロンドンで開かれた国際会議で作成されたものであります。 海上における人命の安全のための条約は、今まで数回にわたって作成されておりますが、これらは、いずれも、政府間の合意により画一的な原則及び規則を設定することによって、海上における人命の安全を増進することを目的とし、具体的には、船舶の構造上の安全措置、非常の際の救命設備、救助を求めるための無線設備、航行の安全をはかるための気象、危険物等に関する通報措置並びに積荷の積み付け方法及び危険な積荷の制限を規定しているものであります。この条約は、一九四八年以後における技術の進歩、原子力船の出現等に伴い、一九四八年の条約の諸規定を改善するとともに、新たに原子力船に関して原則的規定を設けたものでありまして、その趣旨においては前条約と全く同じであります。 国が自国の船舶に人命の安全上必要な措置をとらせることは当然のことでありますが、海上における人命の安全の確保ためには国籍の異なる船舶相互間の協力を必要とするため、従来より条約が作成されているわけでありまして、わが国は、一九四八年の条約を昭和二十七年七月に受諾いたしまして以来、同条約に基づく義務を忠実に履行している次第であります。 この新条約が実施されますと、海上における人命の安全は一そう増進されることになりますほか、わが国の船舶は、条約に基づく証書を持っている限り、他の締約国の港において実質的な検査を受けないという特権を享受するわけでありまして、この実際上の利益は、海運国であるわが国にとりきわめて大きいということでございます。さらに、わが国は、現在、政府間海事協議機関の理事会及び海上安全委員会の構成国となっており、海運及び造船の分野で国際的に重要な地位を占めておりますので、このような立場からも、この条約を受諾して海上人命の安全の増進のため積極的な協力を行なうことが必要であります。 よって、ここにこの条約の締結について御承認を求める次第であります。 以上三件につきまして、何とぞ御審議の上すみやかに御承認あらんことをお願い申し上げます。
○野田委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十四分散会