科学技術振興対策特別委員会 第5号
- 発言数
- 51 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1963/02/20
会議録
○寺島委員長 これより会議を開きます。 日本原子力船開発事業団法案を議題とし、その提案理由の説明を聴取いたします。近藤国務大臣。
○近藤国務大臣 ただいま議題となりました日本原子力船開発事業団法案につきまして、提案理由を御説明いたします。 わが国が、原子力を人類社会の福祉と国民生活の水準向上のために利用する目的でその研究開発に着手してより、すでに七年余の歳月をけみしております。その間、関係者の努力の結果、すでに国産第一号炉の完成を見、また発電第一号炉の建設が着々と進められているなど、その成果はまことに見るべきものがございます。 この間、原子力を船舶の動力として利用することにつきましては、わが国は、世界第一の造船国として、また有数の海運国として、ことに深い関心を持ち、昭和三十二年以降研究を進めて参りましたが、ようやくその成果を実際に適用してみる自信を得るに至りました。 一方、目を世界に転じますと、船舶に対する原子力の平和利用は、米国のサバンナ号、ソ連のレーニン号の二隻の成功を契機として、とみに促進され、その他の国においても、西独を初め次々に原子力船の開発計画が進められております。 原子力委員会におきましては、これら内外の事情にかんがみ、来たるべき原子力船時代に備えて、その研究の飛躍的な促進をはかるための効果的な方策について慎重に検討した結果、この際、研究開発を目的として原子力第一船を建造することが必要であるという結論に達しました。すなわち、わが国産業界に、実際に原子力船を建造し、これを運航する体験を得させることが、わが国における原子力船に関する技術を飛躍的に高め、その実用化をはかる最善の道であると考えた次第であります。このために建造する原子力第一船としては、総トン数約六千トンの海洋観測船が適当とされ、その設計、建造、運航及び乗組員の養成訓練のためには、九年の日子と約六十億円の資金とが必要と見込まれております。 政府といたしましては、原子力委員会のこの方策をきわめて妥当なものと考え、昭和三十八年度より原子力第一船の開発に着手することを決定した次第でございます。このため必要な経費につきましては、別途昭和三十八年度予算案に計上いたしましたが、この開発を行なう機関といたしましては、人材、資金の両面において、政府及び民間のきわめて緊密なる協力を必要とすること並びにその国家的事業たる意義から見て政府の監督のもとに置く必要のあること等の理由により、日本原子力船開発事業団を設立することといたしました。 以上が、本法案を提案するに至りました趣旨でございますが、本事業団の事業は、平和の目的に限られることはもちろん、本事業団の運営にあたりましては、原子力基本法の精神にのっとりこれを行なうことは申すまでもございません。 次に、本法案の概要を御説明いたします。 第一に、本事業団の設立の目的は、原子力基本法の精神にのっとり、原子力船の開発を行ない、もってわが国における原子力の利用の促進並びに造船及び海運の発達に寄与することにあります。 第二に、木事業団は、政府及び民間の共同出資の法人でありまして、その当初資本金は、三十八年度に予定されている政府出資一億円と民間出資予定額約五千万円の合計約一億五千万円でございます。 第三に、本事業団の役員は、理事長、専務理事各一人、理事三人以内及び監事一人であります。理事長及び監事は、主務大臣が原子力委員会の意見を聞いて任命し、専務理事及び理事は、理事長が主務大臣の認可を受けて任命することとしております。 第四に、本事業団に、業務の運営に関する重要事項に参画させるため、顧問を置くこととしております。顧問は、学識経験者のうちから、主務大臣の認可を受けて、理事長が任命いたします。 第五に、本事業団の業務は、原子力船の設計、建造及び運航を行なうこと、乗組員の養成訓練を行なうこと、これらの業務に関する調査研究、成果の普及を行なうこと等であります。 第六に、本事業団の業務の運営は、原子力委員会の決定を尊重して主務大臣が定める基本計画に基づいて行ないます。 第七に、本事業団は、主務大臣として、内閣総理大臣及び運輸大臣が監督いたします。 第八に、本法は、昭和四十七三月三十一日までに廃止するものとしております。 最後に、本事業団に対しては、登録税、所得税、法人税及び地方税について税制上の優遇措置をとっております。 以上、本法案の提案理由及びその内容に関する概要の御説明を申し上げました。 何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことを切望する次第でございます。 —————————————
○寺島委員長 続いて質疑に入ります。質疑の通告がありますから、これを許します。安倍晋太郎君。
○安倍委員 私は、今回政府が原子力船の開発に着手されまして、日本原子力船開発事業団法を国会に提案されましたことに対して敬意を払うものでございますが、審議に入るにあたりまして、まず諸外国の原子力船開発の動向、状況等についてお尋ねをいたしたいと思うのでございます。 諸外国の平和利用によるところの原子力船開発の実情は、軍事面における原子力船の開発と比較をいたしますと、われわれとして非常に寒心にたえないような気がいたすのでございます。すなわち、アメリカにおきましては、第一号のノーテラス潜水艦を建造いたしましてからすでに二十八隻もつくっておる。さらに三十八隻も建造を計画しておるというふうに聞いております。また、ソ連におきましても、数ははっきりわかりませんが、相当数の原子力潜水艦を持っておるともいわれておるのでございます。それに反して、平和利用の面におきますと、サバンナ号がアメリカにおきまして昨年の三月就航いたしており、またソ連におきましてもレーニン号が砕氷船といたしまして数年前に就航いたしておりますが、その他の国の実情を見ますと、イギリスにおいても、あるいはフランスにおいても、ドイツにおいても、いまだ計画中にすぎないと聞いておるのでございます。一体そうした平和利用の面における原子力船の開発の状況は諸外国でどういうふうになっているか、どうしてその開発が進んでないかという点につきまして、御説明を願いたいと思います。
○近藤国務大臣 原子力船の平和利用の面から見る国際的な開発の状況は、ただいま安倍委員も御指摘になりましたように、やはり米ソが非常に進んでおり、それに続いてドイツ、イギリス、その他の諸国も相前後して計画をしておるというような事情でございますが、詳しい具体的なことにつきましては、原子力局長の方から御説明をさせます。
○島村政府委員 ただいま安倍委員がおっしゃいました通り、原子力船そのものは、当初軍事から出発いたしまして、米国におきましても相当数の原子力艦艇がすでにあることは御存じの通りでございます。 ただ、平和的に利用いたします方を申しますと、御承知の通り、米国でサバンナ号の建造に着手いたしましたのは、米国の原子力委員会及び商務省海事局の協力によって、一九五六年以来進められてきておったのでございます。このサバンナ号は昨年の三月に就航いたしております。この間、合衆国政府がこれに投じました研究開発費は、建造費も含めまして約百六十億円であると伝えられております。このサバンナ号は、いわゆる貨客船でございまして、総トン数が一万二千二百トン、出力は二万二千馬力、速力は二十一ノットで、これに搭載いたしております原子炉は加圧水型のものでございます。このサバンナ号は、現在合衆国の近海を試験航行中でございます。なお、合衆国は、このサバンナ号のほか、将来におきます船舶用原子炉として注目されますところのガスタービン直結のガス冷却型原子炉の開発を行なっております。また、このサバンナ号の経験に徴しまして、このサバンナ号自体の原子炉の改良研究等を現在実施しておるというふうに聞いております。 次にソ連でございますけれども、ソ連におきましては、これまた一九五九年秋に、原子力砕氷船でありますところのレーニン号を完成いたしております。このレーニン号は、排水量一万六千トン、出力四万四千馬力、速力は十ノットで、これに搭載しております原子炉は、やはり加圧水型であると聞いております。このレーニン号は、北極航路の開発という実際の仕事に現在従事しておりまして、在来型砕氷船では考えられないほどの多くの成果を上げておると伝えられております。 現在商業用と申しますか、非軍事用の原子力船を持っておりますのは、アメリカとソ連との二カ国にすぎないわけでございますけれども、そのほかヨーロッパ各国におきまして原子力船に関します研究が進められております。 まず西独でございますが、西独は、昨年十一月載貨重量一万五千トンのバラ積み貨物船の建造契約を調印いたし、将来鉱石運搬船として使用する予定であります。ドイツ政府がこれに対しまして投じます資金は、総額約六十三億円と伝えられております。 またイタリーは、一九六一年からユーラトムとの間に原子力船に関しますところの研究契約を結びまして、ユーラトムの援助のもとに約十一億五千万円の資金をもちまして、載貨重量五万二千トンの原子力によります油輸送船の研究計画を実施しております。 そのほか、フランス、スエーデン、オランダ等におきましても、それぞれの国情に応じまして原子力船の研究開発を行なっております。 なお、英国でございますけれども、英国も早くからこの問題に関心を持ちまして、一時海軍省に原子力開発委員会を置きまして、海軍省のみならず、原子力委員会そのほか関係機関から委員を選びまして、六万五千トンの原子力タンカーの建造計画を進めてきておりましたが、一九六一年に経済性の理由からこの計画を取りやめまして、舶用原子炉の開発ということに重点を置きまして、将来最も安くいけるであろうという可能性のある四つの型式を選びまして、原子力公社及び運輸省が中心となりまして、現在までその研究開発を進められてきておるわけでございます。ところが、これはごく最近の報道でございますけれども、イギリスはこのような過去の研究結果に基づきまして、明年度から原子力船の建造に着手するということを発表いたしております。その詳細についてはまだわかりませんけれども、タンカーもしくは客船ということでございまして、これは建造に着手いたしますると非常に早く、一九六七年までに完成せしめるというふうに伝えられておるわけでございます。 以上がアメリカ、ソ連及びヨーロッパ諸国における原子力船に関します研究開発の現状の大要でございます。
○安倍委員 本法案を提出されまして、いよいよ原子力船の開発にわが国としても着手をいたしたわけでございますが、本法案の提出に至るまでのわが国における原子力船の開発の準備、構想等の、今日までの経緯について原子力局長から説明を願いたいと思います。
○島村政府委員 先ほど大臣からの提案理由にもございました通り、わが国は世界有数の海運国であり、また造船国でございます。原子力委員会が発足いたしまして間もなく、この問題が当然原子力委員会の検討事項となったわけでございます。そして、原子力委員会に原子力船に関しますところの専門部会も昭和三十二年ごろに設けまして、種々日本の原子力船開発のあり方につきましても検討をいたしましたし、また同じころであったと記憶いたしますけれども、ノルウェーから専門家を招聘いたしまして、原子力船の問題についていろいろとディスカッスしたこともございます。現実の技術的な研究面について申し上げますと、昭和三十二年以来今日まで、運輸省の運輸技術研究所及び民間にできておりますところの日本原子力船研究協会を中心にいたしまして、直接原子力船に関する研究を行なってきたわけでございます。これらの研究は、原子力船の設計の前提となります外力の原子炉に及ぼします影響に関する研究、あるいは舶用原子炉の振動及び動揺に関する研究、遮蔽計算コードの作成に関する研究等でございます。昭和三十六年には、これらの研究をもとにいたしまして舶用原子炉を中心といたしました原子力船の試設計を行ない、原子力船の設計と建造につきまして技術的な見通しを得るに至ったわけでございます。昭和三十七年度におきましては、特に安全性を重視いたしまして、ただいま申し上げました設計研究の対象といたしました舶用炉につきまして制御特性の実験的研究等を実施いたしておるわけでございます。ただいま申し上げましたように、日本におきましても、このような基礎研究をおおむね終了いたしまして、今後は実船の設計と建造を通じまして開発を進めるべき時期に到達したわけでございます。 なお、昭和三十二年以降、先ほど申し上げました研究テーマに投入いたしました国費は、総額約四億八千八百万円でございます。このうち舶用炉自体の研究分が約三億一千万円に達しておるわけでございます。これらの経費は、国立試験研究機関等の経費といたしまして、一部は運輸省の運輸技術研究所、その他は主として委託費といたしまして、原子力平和利用研究費の中から支弁して今日に至っておるわけでございます。
○安倍委員 平和利用を唯一至上の眼目とするわが国の態度は、世界の国々に非常に深い示唆を与えるものと思いますし、また今回の計画に対しても、国民は非常に強い関心を持つものであると思います。それだけに、第一号船を完成するまでの準備、交渉経過等につきましては、一つ世界の物笑いにならないように、十分配慮していただきたいと思うのであります。 ただいまの局長のお話によりまして、第一号船の準備がいろいろと進み、昭和三十二年以来、船種、建造年数、あるいは総所要費等につきましていろいろと構想を練り、腹案を得たのでありましょうが、その結果、第一号船につきましては、海洋観測船にするという内定を得たと聞いておるのでございます。諸外国の例を見ますると、フランスだけが海洋観測船を計画中であると聞いておるのでございますが、諸外国との関連から、どうしてこの海洋観測船に第一号船を内定したのか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。 また、それと同時に、この事業団によりまして、世界でもタンカーとか運送船だとか、いろいろと建造準備をしておりますが、そうしたタンカーだとか、あるいはまた運送船等についても副次的に設計等の計画を進められるのであるかどうか、その点もお示しを願いたいと思います。
○島村政府委員 先ほど諸外国の事情を申し上げましたときに同時に申し上げましたが、原子力船につきましていかなる船をつくるかということにつきましては、非常にむずかしい問題がございます。わが国におきましても、あるいは客船であるとか、あるいはタンカーであるとか、あるいは鉱石輸送船でありますとか、貨物船であるとか、いろいろな案が出ていたのでありますけれども、これを最終的に海洋観測船を考えるに至りましたわけは、第一船は研究開発を目的といたしますので、原子力船の特徴を生かしますためには、できるだけ将来の実船に近いものが望ましく、従って、できるだけ大型のものということにしたかったわけでございます。しかしながら、タンカーでありますとか、ああいうものをつくります際には、どうしても大型であるほかに超高速船とする必要があるというようなことで、多額の資金が必要となる。従いまして、研究開発をやるという段階におきましては、そのような多額の資金を投ずることは必ずしも適当でないという考慮があったわけでございます。一方、わが国の海洋観測は、従来本邦近海に限られておりまして、御承知の宗谷を除きますと、従来日本が持っております海洋観測船はいずれもあまり大きなものはございません。しかしながら、過去におきまして当委員会でも御指摘がございました通り、海洋観測の重要性に対する認識は近年非常に深くなっております。また、その海洋観測の対象も、単に太平洋地域だけに限りませず、インド洋、南極海、北極海というふうに、だんだんに広がることが予想されておるわけでございます。これに伴いまして、長期間の観測航海に耐えます設備の優秀な観測船を持つということは、新しい時代の要求にも即応したものであると考えるわけでございます。いわば大きさの点から、海洋観測船は原子力船を開発いたします場合の一番小さな規模において、しかも実用という意味において非常に有意義であるという点に着眼いたしたわけでございます。 なお、この第一船は、設計、建造、運航というような過程を通じまして実験目的を第一義といたしておりますけれども、将来の原子力船の実用化に備えまして、同時に五十名程度の訓練員を搭乗させるようなことが考えられておりまして、こういう面におきましても、いきなり油送船でありますとかということに考えませず、海洋観測船というものを選んだ意味があるわけでございます。
○安倍委員 政府の計画によりますると、第一号船は総トン数が六千三百五十トン、出力幸万馬力、炉は軽水冷却型で、二年間の航続距離を持って、時速十七ノットと聞いております。そこで、ただいまの御説明のように、所要経費は約六十億。日程を見ますと、三十八年度設計を始めまして、三十九年度から製作にかかり、四十一年度に進水、その後諸工程を経て四十四年度に引き渡しを行ないまして、四十五年、四十六年の二年間に実験運航を行なうとあって、九年間を要すると計算をされておるのでございまして、この法案も九年間の時限立法になっておるのでございます。しかし、世界の科学の進歩は非常に早いのでございまして、諸外国のそうした科学技術の発展に伴いまして、いろいろと国際的な技術水準のペースも向上してくると思います。そういうことともにらみ合わせまして、九年間というペースをそのまま守っていかれるのか、あるいは諸外国の技術向上に従いまして、あるいはわが国の技術向上に従いまして、その計画の変更ということも情勢によっては考えられておるかどうか、そういう点についてお伺いしたいのでございます。
○島村政府委員 この事業団法案の裏づけになります原子力船建造計画は、ただいま御指摘がございましたように、実験航海、乗員養成の期間も含めまして九年間ということになっております。でき上がりますまでは七年間でございますが、あと二年間をそのような、いろいろ今後のためのデータを得る必要からいたします実験航海あるいは乗員養成等の期間に充てておるわけであります。この九年が、諸外国の状況に比べましてやや長いのではないかという御批判は、私どもが昨年夏いわゆる予算要求を大蔵省にいたしました段階から指摘されていたところでございまして、私ども自体もこの九年間をどうしても必要とするというように考えておるわけではございません。従来原子力委員会に専門部会を設けまして慎重に検討してきました経緯から、学者の方々等、非常に慎重な態度でこの原子力船という問題に臨んでおられます。国の費用も相当多くをかけまして、とにかく初めての船をつくるという意味におきまして、慎重な態度をとりましたために、結局九年間という全体計画を立てたわけでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、各方面から、どうも九年間というのは少しのんびりしておるのではないか、もう少し早くできないかというような声も伺いまして、その後も運輸省とも相談いたしております。現在の見通しでは九年間がぎりぎりの数字というわけではなく、その後の状況も勘案いたしますと、さらにこれを切り詰め得る余裕は十分あるというふうにも考えて、すべてはこの事業団ができまして、実際にこの衝に当たる責任者もできました上で、あらためて運輸省その他とも御相談して、できるだけ切り詰める方向で実施して参りたいというふうには考えております。
○安倍委員 そうすると、情勢によっては九年間を切り詰めることもあり得る、計画の変更も考えておる、こういうことですね。
○島村政府委員 その通りでございます。
○安倍委員 本法によりますると、主務大臣を総理大臣と運輸大臣とにしております。これは、科学技術庁と運輸省で共管の形で開発をやろうということだろうと思います。私は第一船が実験船でございますし、原子力の平和利用という点から考えましても、むしろそうした共管の形をやめて、原子力委員会あるいは原子力研究所で責任を持ってこの第一船を建造するという形の方が、むしろスムーズにいくのではないかと思うのであります。特に役所等の共管になりますと、そこに共管争いとかいろいろな問題が起こってくるようでありますし、今までの例からもそういうことがございます。国民が非常に関心を払っておるだけに、こうした初の原子力船という実験船をつくる場合には、やはり原子力委員会あるいは原子力研究所といったものが全責任を持ってこの事業を進めるという形の方がむしろいいのではないか、こういうふうに考えておるのでございますが、共管にされました理由について御説明を願いたいと思います。
○島村政府委員 御指摘のように、今度原力子船の開発を実船をつくってやってみようということは、これは当然に原子力の研究開発及び利用の推進という角度から、内閣総理大臣の権限の一環として行なわれるものだということは事実でございます。他方、本法の目的にも掲げましたように、同時にまた造船の発達をはかる上におきまして、運輸大臣の所管権限であります造船、海運ということの上に重要な影響を及ぼすものでございまして、この両者の間は密接不可分でございまして、行政の円滑な運営を期しますためには両大臣の共管に属せしめる方が一番いいという考え方に基づきまして、この事業団を内閣総理大臣及び運輸大臣の共管にいたした次第でございます。これはいわば所管あるいは監督関係の問題でございまして、お尋ねの事業を実際に行ないます機関そのものにつきましては、外国の例等の中にも、原子力の側と申しますか、具体的に申しますと、安倍委員御指摘のように、日本原子力研究所をしてその責任のもとに行なわしめたらどうかという意見も確かにございます。しかしながら、日本原子力研究所の行なっております研究ということのほかに、本事業団が行なおうといたします仕事の中には、船舶の建造であるとか、あるいはそれを使っての実際の運航であるとかいうような、たとえば従来の原子力研究所という性格のワクを越えるものが相当にございまして、むしろ原子力船をみごとにつくり上げてみるという一点に問題をしぼりましてその責任体制をはっきりさせますためには、原子力研究所と別個に、そのことを直接の目的とする事業団を設立することの方が望ましいという結論に達したわけでございます。 しかしながら、この事業団が、日本原子力研究所で行なっておりますいろいろな基礎的な原子炉関係の研究そのものの土台の上に立って仕事を進めて参りますことはもちろんでございますし、また現在までに原子力研究所に設けられておりますところのいろいろな研究のための施設、たとえば原子炉でありますとか、特に現在建設中でありますところのスイミング・プール型原子炉等は、これは主として船舶の遮蔽に関する研究の目的のためにつくられておるわけであります。研究を進めて参ります場合に、原子力研究所に相当のウエートがかかり、またこれと緊密に連絡して参らなければならないことは当然でございます。 私どもといたしましては、いわゆる行政体系といたしましては両大臣の共管にした方が最もスムーズにいくという観点と、実施機関につきましては、原子力船をつくり上げるというところに一点をしぼりまして明確な責任体制のもとに実施いたしたいという考えから、事業団という構想をとるに至ったわけでございます。
○安倍委員 総理大臣というのは、総理府の外局の長としての総理大臣という形だろうと思うのですが、その際の、科学技術庁の長官としての国務大臣との関係はどういうふうになるのですか。この事業団の共管の形としての科学技術庁の長官の立場は、どういうふうになるのでしょうか。
○島村政府委員 本法に申します内閣総理大臣は、御指摘のございましたように、明らかに総理府の長としての内閣総理大臣を意味するわけでございますけれども、内閣総理大臣のこの事業団法関係の権限のうち、第三十九条に掲げましたものにつきましては科学技術庁長官に委任することができるという規定を特に置いておりまして、実質的には科学技術庁と運輸省との兵曹というふうに御理解願って差しつかえないと思うわけでございます。
○安倍委員 原子力委員会、この事業団、それから主務大臣、三者の関係がいろいろと微妙な点を生んでくると思うのですが、原子力委員会と事業団との関係は、どういうふうになっておりますか。
○島村政府委員 先ほど申し上げましたように、この原子力第一船の建造計画自体は原子力委員会から生まれておるわけでございます。またその実行は、わが国におきますところの原子力の研究開発、利用の一環としてなされることを第一義といたしております関係上、本事業団の計画実施の実体と申しますものは原子力委員会と切り離せない関係にあると私ども考えるわけでございます。従いまして、この事業団法におきまして、とれと原子力委員会との関係をいかに位置づけるかということを研究いたしたわけでございますが、その結果、本事業団の業務を運営する上におきまして、業務運営の基準を決定いたします場合及び理事長と監事の選任、解任という最も重要な点につきまして、単に、先ほど申し上げました主務大臣だけにゆだねるということをいたしませず、業務運営の基準を決定いたします場合には原子力委員会の決定を尊重して行なうということにいたしますと同時に、理事長及び監事の選任、解任にあたっても、原子力委員会の意見を聞いて主務大臣が任命する、あるいは解任する、ということにいたしたわけでございます。これは当初申しましたように、原子力委員会が原子力基本法第四条におきまして、原子力の研究、開発、利用に関する国の施策を計画的に遂行し、原子力行政の民主的な運営をはかっていくために置かれた委員会であるという考え方から、この事業団の実際の業務、特にその重要な点につきましては原子力委員会の意見を反映させていくことが原子力基本法の精神を生かす道であるというふうに考えたからでございます。
○安倍委員 今のお話によりますと、十三条で「理事長及び監事は、原子力委員会の意見をきいて、主務大臣が任命する。」あるいは二十四条の「主務大臣は、前項の基本計画を定めようとするときは、原子力委員会の決定を尊重しなければならない。」というふうに、原子力委員会の法律的な立場が書いてあるのでございますが、この「原子力委員会の意見をきいて」あるいは「原子力委員会の決定を尊重しなければならない。」というのは、ちょっとはっきりしないような点もあるのです。法律的には、この「意見をきいて」あるいは「決定を尊重しなければならない。」ということは、一体どういうことでしょうか。その点がどういう点にあるのでしょうか。
○島村政府委員 法律的に申しますと、尊重するということはその通りにするということではございませんで、これは権限的に申しましても、主務大臣に与えられましたところの責任によってやることでございますので、法律的には尊重するということは一〇〇%そのまま実施するということでもございません。また、「意見をきいて」という場合におきましても、意見を聞いてその結果によって判断するものはやはり主務大臣であるという関係に立つわけでございます。 実はこの尊重の度合いその他につきましては、原子力委員会設置法が昭和三十一年に国会に提案されましたときに、衆議院におきましても、参議院におきましても、非常に問題になったことでございます。これはやはり原子力基本法の精神をひいてできました委員会でございますので、抽象的にこの船の場合を定めたものではもちろんございませんけれども、一般的に原子力委員会の決定というものに対しては内閣総理大臣がこれを尊重するという意味は、原子力委員会が行政組織法第八条の機関であるにかかわらず、できるだけ行政委員会的なものとして運用していきたい。またそのためには、ここに尊重という表現で現わしてあるけれども、それは現在の行政組織というものの体系からその通りやるということにするわけにいかぬからこういうことにしたのだという、一口で申しますと、そのような質疑応答が重ねられまして、その考え方が国会におけるお考えでもあったように承知いたしております。 本法の場合も、やはり原子力基本法あるいは原子力委員会設置法等のそのような精神を体しまして運営せらるべきものであるというふうに考えております。
○安倍委員 先ほどの共管の問題といい、またこの原子力委員会の立場といいましても、どうも科学技術庁といいますか、原子力委員会の主体性というものが、本原子力船開発について明確さを欠いているような気がいたすのでございます。これは今後いろいろ質疑もあると思いますので、この程度にとどめておきます。 私は、この際、国際的な原子力船の受け入れということについてちょっと御質問したいと思うのです。 現在ではまだ国際的な、平和利用に関する原子力船に関する条約というものが存在してないのではないかと思うのでございます。しかし、現実にはサバンナ号も実験運航いたしております。この三月にはヨーロッパを回るという話も聞いております。また、世界の多くの国々でも、タンカーや鉱石運搬船、あるいは運搬船等を建造中である。そうすると、数年たてばこれらの船が続々と世界の大洋に出ていくわけでございます。このような中にあって、安全性とか補償という点からも、必然的に国際条約というものが必要になってくると思いますが、そのことについて、当局としてはどういうふうな準備をしておられ、また判断を持っておられまするか。その点をお聞きしたいと思います。
○島村政府委員 原子力船を運航させます場合、これはもう当然に国内だけでなくして、外国との関係を生じますことはもちろんでございまして、この問題は日本だけでなく、世界的に関心のある問題であると存じます。原子力船に関します国際間の条約といったような角度から考えますと、現在まで三つの問題がございます。 一つは、これは従来からございました国際海上人命安全条約、これは原子力船にそのまま適用されるものか、あるいは原子力船に関する特別の条章をこの中に盛り込むべきかという問題でございまして、これにつきましては一九六〇年ロンドンにおきまして、一応国際海上人命安全条約の改正が採択され署名されておるわけでございます。日本もこの条約には賛成いたしておりまして、今国会に御承認を得るために提案を準備中であるというふうに聞いております。 もう一つは、万一の事故の場合の運航者の責任に関する問題でございます。これは、昨年ブラッセルでこの条約草案が採択されておるわけでございます。日本もこの会議に関係いたしておるわけでございますが、この条約は、原子力船を保有する国のうち一国とその他の国一国が批准いたしますことによりまして発効を見るという形になっておるのでございますが、草案が採択されますまでの過程におきまして明らかなところは、現在原子力船を保有いたしておりますアメリカ合衆国とソ連が、ともにこの草案に対して反対の態度をとっておりますので、この原子力船運航者の責任に関します条約の発効という点につきましては、現在のところ早急に期待されない状態でございます。 いま一つは、廃棄物の処理に関する国際条約でございます。これは数次の国際的な会議を経ておりますものの、まだ条約草案を確定するというところまでに至っておりません。いずれにいたしましても、なるべく早くそのような取りきめが世界的な規模におきまして結ばれることが期待されておるわけでございます。 御指摘のサバンナ号が、明年でございますか、早ければことしの後半くらいかと思いますけれども、ヨーロッパ訪問の希望を持っておる、そういう計画を立てておるということを仄聞いたしております。こうした場合に、まず最初の国際海上人命安全条約自体は、これはアメリカも承認と申しますか、批准いたしておりますので、そういった関係はこの条約によることになりまするが、もう一つの運航者の責任に関します条約はアメリカ自体が反対いたしておりますために、もしヨーロッパ等の各国に寄港するということになりますと、それぞれの国との間に相互的なと申しますか、それぞれの国との間に個別的な取りきめをアメリカ政府としては行なわなければ、寄港ということが実現しないのではないかと考えております。現に、すでにアメリカ合衆国とギリシャ国との間に原子力船の出入港に関します主として運航者の責任に関しますことを内容といたしました条約ができておりまして、合衆国政府といたしましては、その他の国との間にも個別の条約の成立を交渉しているというふうに聞いております。 私どもといたしましては、何分にも、ただいま計画いたしておりますところの原子力船が完成いたしまして動き出しますときまでには、先ほどのお話にもございましたように、まだかなりの年数がございますので、その間に先ほど申し上げました三つの条約が、日本は当然といたしまして、世界各国におきまして批准され、有効に成立する日を期待するわけでございますが、万々一にも、そのときになりましてもあるいは批准しない国でありますとか、ございましたりしますれば、アメリカが現にとろうとしておりますように、個別的な条約を結ぶ必要があると考えております。しかしながら、まだかなり先のことでございますので、私どもといたしましては、できるだけそういう内容を持った国際的な取りきめができますように、その間において努力して参りたいと考えるわけでございます。
○安倍委員 この国際条約、国際取りきめの推進には、一つ全力をあげてやってもらいたいと思うのであります。 それから、原子力第一船はわが国としての初めての試みでございます。わが国の原子力科学も非常に発達をいたしておるのでございますが、この開発にあたりまして、わが国の科学を総動員をしてやってもらわなければできないのであります。そうした技術を中心としてこの第一船を開発しようという考えであると思います。諸外国との情報の交換その他はもちろん必要でございますが、やはり国内の科学を中心にしてこの開発に努めてもらいたいと思うのでありますが、当局はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
○島村政府委員 お説の通りでございまして、私どもといたしましては、できるだけ国内で研究し、その技術も開発していきたい、かように考えておるわけでございます。今回原子力船をつくるという計画にいたしましても、当初考えられておりました時期には、外国から原子炉を購入して、そしてそれを搭載する原子力船をつくったらどうかという意見もあったわけでございますけれども、私どもがこの第一船に国産の原子炉を据え付けたい、いわば国産原子炉による原子力船をつくりたいと念願いたしましたのも、できるだけ国内の技術あるいは研究の成果というものを入れてやって参りたいという考え方にほかならないわけでございます。しかしながら、もちろんそれは鎖国的な意味で申すわけではございませんで、原子炉につきましては、先進諸国との間になお教えてもらわなければならぬ面もたくさんございますので、必要によりましては、部分的にあるいは外国で今までに開発されてきました技術を導入するというようなことも必要になりましょうし、あるいは情報交換というような形におきまして、原子力船に関しますところの技術をさらにさらに外国から学びとるということも必要になるというふうに考えております。要は、先進諸国の進んだ面をできるだけ取り入れまして、しかも、できるだけ国内の技術によって原子力船をつくり上げたいという考え方でございます。
○安倍委員 第一船に搭載をする燃料対策は、どういうふうに考えておられるか。また、使用済み燃料の問題も大きいと思うのですが、この点についてもどういうふうなお考えを持っておられますか、お聞きしたいと思います。
○島村政府委員 原子力船をつくります場合には当然原子炉を搭載いたしますし、また、そのためには燃料対策ということが考えられなければならないことは、お説の通りでございます。この計画を立てました段階におきましても、もちろんそのことも考えておるわけでございますが、これに使います燃料自体は当然濃縮ウランが予想されますので、この濃縮ウランにつきましては、今日の段階では、日本とアメリカ合衆国との間に結ばれておりますところの条約をもとにいたしまして、アメリカから購入するという見通しでおります。その際、使用いたしました燃料交換、あるいは御指摘のありました再処理等につきましては、この開発の時点とにらみ合わせまして、私どもといたしましてはそのこともにらみ合わせまして、再処理技術の開発、端的に申しますと、日本に再処理工場を設けるということにつきましても、三十七年度以来予算的にも御承認願いまして、原子燃料公社を中心にいたしまして準備をいたしております。燃料の濃縮ウラン自体は米国から購入する以外に現在のところいたし方がないというふうに考えておりますものの、その以外の点につきましては、日本でできるだけこれを処理するような考え方で進んでおるわけでございます。
○安倍委員 最後に、乗組員の養成の問題です。これは原子力船でございますので、なかなか高度な技術も要りますし、非常に問題であろうと思うのであります。先ほどのお話によりますと、原子力研究所が中心になって、そうした乗組員、技術員の養成を行なうというお話でございます。就航は五、六年先といたしましても、準備はなるべく早くやっておかなければ、せっかく船ができても、これに対応する乗組員ができないという事態も生まれると思うのでありまして、この点については、早くから十分準備をしてもらいたいと思うのです。そうした乗組員の養成計画といったものは、どういうことを考えておられるか、この点について最後に御質問したいと思います。
○島村政府委員 御質問の中で、乗組員の養成訓練については主として日本原子力研究所が当たるように聞いたとおっしゃいましたけれども、実はそうじゃないのでございまして、この事業団自体が乗組員の養成訓練の仕事も請け負うということを申し上げたわけでございます。なるべく早くから乗組員の養成訓練について実施し、との船が完成した場合に備えておく必要があるというお説に対しましては、私どもも、もっともであると考えております。この九カ年計画に従いますと、大体初めの二年間が設計でございまして、三年目から建造に入ることになりますが、乗組員の養成訓練につきましても、早いものはその三年目から取りかかりたいと考えております。この事業団が行ないますのは、主目的は、船を実際に動かすことによって養成訓練を行なうわけでございますけれども、そのためには乗組員がそれぞれ原子力というもの、あるいは原子力船というものについての知識を持つ必要もございます。そのためには、御指摘のように、現在ございますところの日本原子力研究所の教育訓練施設、あるいは放射線医学総合研究所にございますところの傷害防止関係の研修課程というようなものも利用いたしますし、実際に船に乗り組みますまでにはいろいろそのための準備をいたさせたいと考えております。 なお、この事業団体は、当初乗り組みます要員の訓練、いわば第一船のための乗組員の養成訓練ということではございますけれども、これまた相当の予備員を見込んでおきませんことには、実際に完成後の第一船を動かすということに役に立たないと思いますから、計画にあたりましては、そのような幅を持った対象を考えておるわけでございます。
○寺島委員長 岡良一君。
○岡委員 今、御提案になった法案について安倍委員からきわめて体系的な御質問がありまして、局長からもいろいろ懇篤な御答弁がありましたが、関連して若干お尋ねしたいことがありますが、これは次の委員会に譲るといたします。 さしあたりの問題として、海上における生命安全に関する条約、あるいはまた原子力船の運航者の責任に関するブラッセル会議に提案された条約、あるいは廃棄物の処理等に関する問題、なかんずく二番目の原子力船の運航者の責任に関する一昨年ブラッセルで提案された条約について、これは原子力委員長としての長官は、当然成立せしむべきものであるとお考えになっておられるのか、この点をちょっとお尋ねしておきたいと思います。
○近藤国務大臣 ただいま御質問になりましたブラッセル条約に関しまして、その趣旨といたしますところには賛成をいたしておりますので、成立を期したいと思います。
○岡委員 それから、いろいろ島村局長からのお話について、若干私ども勉強したいと思いますから、文書で資料として御提出願いたいと思います。 第一点は、各国における原子力船開発の現状。そして、それをどういう組織で取り上げてやっておるか。竣工の暁にはだれが運航等の管理につくかというようなことも含めて……。 第二点は、海上における人命安全に関する条約の中で、特に原子力船に関する条章。それから、原子力船の運航者の責任に関する草案、廃棄物の処理に関する草案。それから、国際原子力機関が原子力船について国際的にどういう方向でこれを推進しようとしておるか、などについての条項があったら、加えてお願いしたいと思います。 もう一つは、サバンナ号が、今のお話によればいよいよヨーロッパへことしの暮れから来年にかけて行くようですが、ギリシャとの間においては個別的にどういう協定ができておるか、その協定を一つ御提出を願いたいと思います。 それから、研究調整局長、まだお見えになりませんが、若干異なった問題で近藤長官にお尋ねをしたいと思います。 昨年の秋に人工降雨の実験をされましたが、その成果はどういうことでございましたか。
○近藤国務大臣 人工降雨の実験につきましては、大体において成功であったというように、私、聞き及んでおりますが、具体的なこまかいことにつきましては説明員から御報告いたさせます。
○梅澤説明員 人工降雨につきましては、人工降雨協会が北九州において三十六年度やりまして、三十七年度になりまして北関東を含めまして研究を進めておりました。今、岡先生がおっしゃいましたのは、その間の東京都の小河内のときの人工降雨の問題と思います。この件につきましては、ドライアイス並びに水の両方を利用しまして、これをまきまして、それで約一カ月にわたりまして数回実験をいたしましたところ、今度の場合、研究の段階におきましては非常にいい、今後に相当希望があるデータを得たとわれわれの方は考えております。
○岡委員 長官、実は昨年の夏、非常な渇水がありまして、東京都の水道が一日のうち数時間しか水が出ない。当時三木長官に、この委員会でも私ども、せっかく北九州で人工降雨の実験をやっておるから、問題は、実験ではなくて、実験をやるにしても、こういう水の飢饉のときにぜひ関東で早くやるべきじゃないかということをみんなで強く要求いたしました。そういうこともあって、昨年は秋に人工降雨を小河内ダムのところにやっておりまして、今御報告があったように、実験の成果は一応はあったというようなことでございます。御存じの通り、今湿度が低うございます。先月は四%だった。稀有な状況なのです、気象の専門家も申しております。昨日、一昨日は一六%程度でした。先般の委員会で私が申しましたように、裏日本に行きますと、汽車で四時間、飛行機で十五分の距離、そこでは百五十億トンの雪が積もっておる。豪雪だということであります。激甚地指定をやる、あるいは災害救助法を出そうという状況です。百五十億トンといえば、東京の飲み水十二カ年分といわれておる。ところが、山一つ越えてくると水が足りないということで、水道も規制をしなければならぬ。火事がどんどん出る。 ところが、気象予報の関係の話を聞くと、ここ数日のうちに数回気象の変化があって、若干雨が降るか、湿度が高くなるかというふうなことが期待されるということであります。これは一つの大きな災害を呼ぶ自然現象の変異が起こっておるわけです。こういうときに、せっかく防災科学センターを設けて、防災科学の確立のための意欲を強く持って踏み出されておる科学技術庁として、一つ人工降雨の実験を手っ取り早くやれぬものかどうか。お役所仕事はそういうのんびりしたものならいたし方ないでしょうが、こういうときにこそやってみる必要があるんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○芥川政府委員 御指摘の通りでございまして、昨年小河内につきまして人工降雨の実験をやります場合に、まず第一に問題になりましたのは、成功すればそれは非常にいいのでございますが、かりに失敗いたしますと、せっかく芽の出かかった人工降雨実験の芽をつまれるおそれがありますことと、もう一つは、東京都の渇水対策が、ただいま私ども科学技術庁が積極的に推進してはおりますけれども、まだ確実にこれだけの効果があると断言できないものに対しまして、東京都の渇水の責任が全部そこにくるような懸念も考えられ、かえって人工降雨の実験の発展を阻害するというふうな点を非常に気を使いまして、私の方といたしましては、積極的に渇水の解決を買って出るというところまではまだ進んでおらない、そういう認識のもとに慎重にこれを進めて参りたい。ただ小河内でやりましたのも、小河内地区実験という、あくまでそういう名前をつけてやったものでございまして、渇水対策をこれに求めたものではなかったわけでございます。
○岡委員 しかし、科学技術庁が防災科学センターを設けて、防災科学を推進するというようなことは、これは研究室におる学者の実験的興味の論文を出してもらいたいというわけじゃない。なるほど、人工降雨の実験をやってみた、雨が降らないかもしれません。降らなければ、なぜ降らなかったかということをあなた方が研究するのが、やはり防災科学センターの一つの仕事だと思う。やらなかったならば、降らなかったかどうかという判定はできないと思う。おそらくそういう点では、役所のやる実験というものは、ある程度学問的論文からいえば、非常に基礎において根底的に薄弱だと思う。また、そういうような意味の批判も、私は学者の側からあると思う。まず一番初めはそういう批判が出てくるかもしれない。しかし、私は少なくとも行政官庁としての防災科学というもののあり方は、そういうものにこだわるべきではないと思う。 私は、昨年北九州にも行って、いろいろ事情を聞いてきましたが、一応若干の成功を見ておる。諸外国でも成功を見ておることは、御存じの通りです。そこで、昨年やったところが、これもやはり若干の成功があり得たと判断をしておる。そうすれば、今こういうふうに非常な水の危機に当面しておる、こういうときにやることが失敗だったところで、みんなのためになろうと思ってやったことなんですから、だれもその責任をとがめないでしょう。そういう点は勇断をもってやるということが、あなた方の役所の面目の問題ではなくて、みんなのため、国民のため、住民のためにやってみるという決断、勇断というものがあってほしい。また、なければならぬと私は思うのです。だから、渇水対策のためとかなんとか、そういうことを抜きにして、この際実験をやるべきだと思う。特に気象情報では、ここ一週間のうちには二回ばかり湿度が若干上がるのではないかというようなこともいわれておるわけです。そうむずかしいことじゃないはずだから、これは近藤長官、お台所をかかえておる御婦人が一番因っておる問題だから、一つあなた、勇断をもっておやりになったらどうかと思います。
○近藤国務大臣 ただいま御指摘のように、役所の仕事が比較的慎重過ぎるというようなことは、いろいろな面にもあると思うのですが、私が聞いております範囲では、実験をいたしますにも、何か種雲がないとやれないというようなこともあって、気象的にも非常に左右されるのではないかと思うわけなんです。それでは種雲をつくったらいいじゃないか、そこまで飛躍できるものかどうか、私はそこまで聞いておりませんが、近く気象の工合によっては関東地方で実験をやっていきたいという計画を持っているということを聞いておるのでございます。できるだけ御指摘のように、役所仕事にならないように、実用化されるように、勇断をもって取り組んで参りたいという気持は決して少なくはございませんので、どうぞ御理解をいただきたいと思います。
○岡委員 その種雲の問題は、ゆうべテレビを見ておりましたが、来週中二回ぐらいあるというのです。だから、やはり学者の実験室的な研究、それからまた学会に発表する論文であると、それは芥川君のように慎重も必要かもしれませんが、住民のためにぜひ一つ気象庁の予報とよく連結をされて、勇断をもってやってもらいたい。それだけです。
○寺島委員長 齋藤憲三君。
○齋藤(憲)委員 きょう御提案の御説明がございました日本原子力船開発事業団法案につきましては、よく勉強をいたしまして、また次会に御質問を申し上げたいと思うのでありますが、長年待望いたしておりました原子力船がいよいよ計画に乗りまして、九年の歳月を経ますと、わが国の原子力の平和利用の一環としてこれを稼働するということは、まことに国家的に慶賀にたえないと思うのであります。 ただ一点、原子力局長にお伺いをいたしておきたいのは、われわれといたしましては、原子力平和利用の体系というものは、こういう大きな問題が台頭するごとにはっきりとした形を整えてやってもらいたい。それは、原子力基本法並びに原子力委員会設置法、その他関係法規に照らして、将来何ら疑義の残らないような体系でこの事業団の運行をやっていただきたい、そういうことを念願しておるものでございます。そういう観点から、一応勉強いたしまして、来週にでも一つ御質問を申し上げたいと思うのでございます。 そのために一言だけお伺いしておきたいのは、第三章の業務です。二十三条と二十四条の関連です。この事業団の業務というものをひっくるめて、「主務大臣が定める原子力船の開発に関する基本計画」に従って、これを行なうのだということになっておるのであります。先ほど来の御説明によりますと、この原子力船に対しましては、三十二年以来国費を投入すること四億何がし、これによって大体の構想というものができ上がったので、原子力船事業団の法律提案になったというふうに承っておるのであります。これは要するに、原子力船というものは、炉を中心として考えると、炉以外は大したことはないのじゃないかと思うのであります。ですから、結局原子力船につける炉というものは、一体どこでこれは最終決定をするのか。これは事業団にまかせるのか、その炉というものの決定は一体どこで行なうのか。これが基本計画という中に入るのか。これは一体どういうふうになっておるのですか。
○島村政府委員 ただいま御指摘の業務の規定は、もちろんこの法律の第一条の目的の精神を受けまして、具体的に記載したものでございます。今齋藤委員の御質問は、この原子炉自体の型はどこがきめるか、原子力委員会が定めるところの計画の中に炉の型まで入るかどうか、といろ御質問だと了解いたします。原子力委員会の現在までにきめております方針、計画の中におきましては、この原子力船に搭載いたしますところの原子炉は軽水型のものであるということ、その程度まできめております。いかなる軽水型の炉をこれに搭載するかということにつきましては、原子力船事業団の発足後その事業団の責任者の判断ということを十分聞きました上、もちろん実際的には原子力委員会ともよく打ち合わせた上できめるべき性質のものである、かように考えております。
○齋藤(憲)委員 先ほど安倍参員がいわゆる主務大臣の問題に触れられて、責任制の明確化ということを論議されたのでありますけれども、結局原子力船の成否というものは、いろいろなファクターはあるでありましょうけれども、やはり一番重要視しなければならないことは原子炉の問題だと私は思うのです。ですから、原子炉に関しては、もう明確にどこが責任を負ってこれを決定するのであるかということをきめないと、私は原子力平和利用体系というものが乱れていくのではないかと思う。と申しますのは、原子力研究所というものは、明確に法律によってその性質をうたっているわけです。これは原子力の開発に関する研究及び実験というものが、法律をもって原子力研究所にまかせてあるわけです。ですから、この原子炉というものは、どこか責任を持ってるところで、これがいいんだという断定を下さないと、将来失敗に終わったときに、その責任は一体どこに帰するのかということに非常に大きな問題が起きやしないかと思う。うまくいけばいいですけれどもね。ですから、原子炉のいかなるものを搭載して、いかなる船をつくるかというのが、いわゆる法文にうたっているところの基本計画じゃないかと私は思うのですが、これを事業団にまかせないのでしょう。基本計画に従って事業団がやるというのですから、その基本計画の中にどれだけのものを入れるかということによって、事業団の責任が非常に重くなったり軽くなったりするわけなんです。そういうことを明確にしてくれという新聞記事があったのです。私は、これはどこかに切り抜きしてありますから、今度持ってきますけれども、そういうあいまいもこたる原子力船の建造では将来困るのではないか、もっと突っ込んだ、責任体制を明確にして原子力船というものをつくるべきではないかという新聞記事があったのです。やはり世間もそういうふうに考えている向きがたくさんあるようであります。きのうも原子力産業会議の関係者に開きましたところ、ああいう体制では、民間は一体だれが金を出すか、もっとはっきりした原子力平和利用体系をつくって責任の帰趨を明確にしておいてこそ、初めて原子力船の将来があるのであって、そういうことが不明確である以上、どうもわれわれは賛成しがたいという意見を聞いたのです。ですから、きょうは御即答要りませんけれども、そういうことを一つはっきりきめて、法文によってわかるようにしておいた方がいいのではないか。漫然と基本計画といっても、どこまでが基本計画なのか、これではちょっと——私よく精読しておりませんので、きょう初めてこれを拝見しただけでありますから、そういう点についてこの次に御質問を申し上げたいと思いますから、一つ御用意を願いたいと思います。 それから、これは思いつきで、はなはだ恐縮でありますが、岡委員が仰せられました人工降雨という問題です。これは、私も積雪地帯でございます。そうして一晩汽車に乗ってくると、ドライの状況です。ですから、人工降雨というものに対して私も過去ずいぶん注目を払って、科学技術庁からいろいろ資料もちょうだいいたしましたが、私は今日までの人工降雨の実験及びその構想というものは成功だと思わない。この間、小河内ダムの上空における人工降雨の実験というものを文書によって拝見いたしました。飛行機にドラムカンを積んで、水を入れておいて、雲の上から散水する。そんなプリミティブなことで人工降雨の実験だというようなことは、それ自体おかしいではないかと思うのですよ。それでは、そのほかに何か方法があるかといったら、ドライアイスです。ドライアイスをまくとして、一体一升幾らにつくかということになったら、莫大な人工降雨費になってしまう。それでは、地上から沃化銀をたくのだ。沃化銀の煙が雲に届くか届かないかということは、これは風の吹きようで、大砲を撃つよりもむずかしいわけです。それで一体幾ら金を使ったのだといったら、昨年度において金を三千七百万円使ったのだという。 ですから、人工降雨、人工降雨と言っておりますけれども、人工降雨というものは、今、岡先生の言われたような、学者のデータとりにはよろしいかもしれないけれども、実際人工降雨によって人類にほんとうの慈雨を降らせるということには、今までの実験ではならないのではないか。だから、もう少し広くアイデアを募って、もっと真剣に研究して、もっと有効適切な方法を立案してやられる方がいいのではないかと私は思うのですが、どうですか。あれはドラムカンに水を入れて、飛行機に積んで、写真を見ると、ちっぽけな散水管を出して、雲の上からしゃあとまいて、そうしてあの報告書を読むと、積雲に断層ができたけれども、雨が下まで落ちたかどうかわからないということで、あの報告ではとても人工降雨とはいえないと私は思います。世間はあれで成功すると思っておるから黙っておるけれども、今あそこにあるものを真剣に読んだら、噴飯ものに終わるのではないか。飛行機の五百台も飛ばせばいいかもしれませんがね。ですから、そういうことではなくて、もっと広く人知を集めて、いい方法があるかどうかということを一つ募集してみたらどうか。私の知っておる限りでは、そんな、飛行機の上から雨を呼ぶために水をまくというような方法より、もっとすぐれた方法を考えておる人はたくさんあります。ただ、あまりばからしいから、そういうことに夢中になっておる科学技術庁にはものを言いたくないという形をとっておるから、出てこないのではないかと思うのです。そのくらいのことは私だって考える。もう少し真剣に人工降雨に取り組む御用意があるかどうか、一つ承っておきたいと思います。
○芥川政府委員 ただいまきわめてプリミティブな方法であるという御指摘がございました。実は私の方で人工降雨をやっております。数年前からの話で、地上発煙方式と、飛行機で水なりドライアイスなりをまく方式の、二つの方式をとりあえずやるということでございまして、そのほかのアイデアについて、もちろんこれよりいいものがあれば積極的に研究したいと思うのでございます。 なお、私は学者でも何でもないので、よく知りませんけれども、学者などの意見を聞いてみますと、要するに雨の降るメカニズムがわからないということは、たびたび私たち聞かされたわけであります。しかし、科学技術庁のこの実験に対する態度は、メカニズムがわからなくても、ある条件がそろって、それが雨になればそれでいいではないかという態度でやっておりまして、小河内地区の実験につきましても、発達しつつある積雲の上に出まして、そこに散水をいたしますと、要するに雨になって、何ミリかの雨が降った。たくさんの雨にならなかったではないかという点につきましては、残念ながら、そのときに雲の高さが二千メートルなり三千メートルなりの、雲の厚みがなかったというだけでございます。従いまして、たとえば積乱雲のような、入道雲のような非常に高さのあるものをうまく雨にするような工夫ができますと、相当大量の雨になり得るのではないかと考える次第であります。ただ、現状の飛行機をもちましては、御承知の通り、積乱雲に突っ込むと非常に危険なものでございますので、そういうことがやれないので、いろいろな困難な条件の中でやっております。私どもの実験としては、きわめてプリミティブかもしれませんが、要するに処理し得る雲、それがまだ現在のところ薄い積雲の程度でございますけれども、それがどういう条件で雨になるというメカニズムがわからないそうでありますが、そういう点は、はっきりつかんだ、こう思っておる次第でございます。
○齋藤(憲)委員 これは理屈じゃないから、長官に伺った方がいいのですが、どういうメカニズムで雨になるかわらない、メカニズムという問題も、いろいろな方面から言うと、いろいろな考え方があると思いますが、雲の状態を水にする方法というのはあるのです。ですから、むずかしい意味のメカニズムというものは別として、雲の状態をどうすれば水になるかというメカニズムは世の中にあるのです。私は長官が予算委員会の分科会で、将来特許庁は科学技術庁の所管にしなければならないという御意見をお述べになったということを新聞で拝見いたしたのですが、これは私も同感です。科学技術の振興というものは、結局個人の創意と工夫を、その優秀なものを伸ばしていくということに大きな問題があるわけでございます。今、人工降雨の問題が出ましたが、この次の委員会に、私の知っている研究者からもっと進歩的な人工降雨の方法を聞いて、ここへ御披露いたしますから、科学技術庁長官は、日本の科学技術振興の建前から私の話を聞いて、これはよろしいというふうにお考えになったら、一つそれを実験する御意思がありますかどうか。実験する御意思がないのに発表することはございませんから……。
○近藤国務大臣 科学技術庁は、発明、発見ということを非常に尊重しておりますので、どの方面からでも、そういうものがございましたら取り組んで参りたいと思いますが、ただいまの齋藤委員のお話は、伺ってみないことにはわかりませんので、伺いました上で私の方で判断をいたしたいと思います。
○齋藤(憲)委員 もちろんお話をしてみなければわからないわけですよ。それでは、私もこの次までに、いゆる人工降雨の方法を一つまとめて参りますから、長官の優秀な頭脳において、今まで考えられておった人工降雨と、私が今度発表いたします人工降雨と、いずれがいいかということを真剣に比較対照する。そして、私の申し上げたことがよかったら、調整費は二億数千万円あるのですから、思い切った実験をやっていただく。それでよろしゅうございますか。それなら、私も真剣にそれを発表いたします。
○近藤国務大臣 三十八年度に計上いたしました研究調整費は、それぞれの部署にすでに配分の計画を持っている予算でございますので、あまり膨大な予算でございますと——それも非常に緊急を要するような問題で一部変更ということも可能ではあるかと思いますけれども、なるべく安上がりの実験であればやってみたいと思います。
○寺島委員長 次会は明二十一日午前十時より理事会、十時半より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後零時十五分散会