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43回国会衆議院1963/06/06

運輸委員会 第29号

発言数
71
登壇者
9
会派数
2
開催日
1963/06/06

会議録

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 これより会議を開きます。  陸運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 去る六月二日の晩に、神戸市営バスの車掌の若林栄子さん、二十三歳という人が、バスの勤務を終わって職場へ帰ったときに身体検査を受けまして、その身体検査を受けた屈辱と不当な疑いを悲しんだあまりに死をもって一身の潔白を立てた。こういう悲しいできごとが新聞に出ておりました。そこで、こういうことについての政府の指導と監督のあり方についてお尋ねをいたしたいのであります。  まずお伺いしたいことは、いままでこういうふうにバスの車掌が身体検査を受けて、その不当に抗議をして死んだという例がほかにあるのかどうか。このことをひとつお伺いいたいと思います。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 いままでこういう事件でバスの従事員が自殺をしたという事実はございません。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 問題を明らかにするために、それから政府の指導の方向というものをお伺いするために、私はこの若林栄子さんの問題を具体的に取り上げて質問いたしたいと思います。  それは、今日こういうふうなバスの車掌が身体検査を受けるということについて、当局ではどの程度掌握をしておられるか。こういうふうに身体検査を受けたために自殺をしなければならぬというふうな突き詰めた問題まで起こるような身体検査が行なわれておるという事実を御承知なのかどうか、これをひとつ伺っておきたいと思うのであります。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 バス事業につきましては、御承知のように乗務員、ことに車掌が現金を扱う仕事でございますので、一つの企業といたしまして、企業体内の秩序維持ということから、こういうふうな服務規程というものをつくって、場合によっては服装の検査ができるというふうにしておるわけであります。この服務規程は、こういった公共性のある事業でございますので、一応服務規程というものをつくることを義務づけておるのであります。しかし服務規程の内容は、企業体内の秩序でございますので、企業者が必要な限度においてこの規定をつくる、こういうふうになっておるわけでございます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 服務規程の限界ということもあると思うのですが、その服務規程の中で、身体検査をするというような服務規程というものがはたして合法的なものかどうか。特にバスの車掌といえばほとんど女性なんですが、そういう場合に身体検査を行なうということが実際に合法的なのかどうか、こういうことについてほんとうに検討されたことがあるでしょうか。いままでたびたびそういう問題について当局に陳情したこともありますけれども、多くの場合結局法的見解をあいまいにされて、そうしてそれがそのままになってきているというのが今日の実情だろうと思うのであります。そこでこの法的見解というものについて、いまわれわれはここで憲法問題まで取り上げてどうこうということは考えておりませんけれども、いわゆる会社あるいは公営企業がその企業を維持するために身体検査をしなければならぬ、それも女性である、こういうことが実際に合法的に許されるのかどうか、この点についてひとつ考え方を承りたいのであります。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 企業体内の身体検査等につきましての法的な見解でございますが、先ほど申し上げたように、現金を取り扱う事業でございますので、部内の規律保持その他のために服務規程をつくらしております。多くの会社の服務規程を見ますと、必要な場合には服装の検査と所持品の検査ができるというふうに服務規程をつくっております。問題は実際にこの検査に当たるときの関係者の検査の仕方に問題があるのでございまして、規程だけの上から言いますと、こういう事業の性質上、当然現金を扱う者の所持品検査等は必要であろうと考えております。事実問題といたしましても、つり銭その他についていろいろ現実に問題が起きておりますので、企業体としてはそういうふうな服務規程をつくるのも当然だろうと思いますが、要はこの検査にあたっての、検査をする者の心がまえでございまして、もちろん良識をもって検査に当たるべきでございまして、かりそめにも人権じゅうりんというふうな問題の起こるような検査の仕方は当然避けるべきでございます。これは企業者としてのやはり責任でもあり、良識でもある、この責任と良識に期待するということであろうと思います。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 この見解については今日までたびたび一応の答弁は陳情の際にももらっておりますが、具体的な問題について私はちょっと触れておきたいと思うのであります。この若林栄子さんという人は、御承知のように六月の二日に仕事を終わって職場へ帰ったところが、この人は——この新聞に書いてあるのを簡単に読んでみますと、若林さんは三十三年の四月、神戸市交通局に入って、同局の松原という事務所、ここで勤務しておった。乗客からは非常に親切な応対だというので礼の投書が入ってくるというふうな勤務成績のよい娘さんであった。ところがこの人が二日の午後二時過ぎに勤務を終えたあと、所持品検査を受けた、このときの売り上げ金と、私金の届け出が三百円、そのほかに現金五百円を持っていたために、同七時ごろまで約五時間の間これが調べられたというのであります。要するにこの若林栄子さん一人を中心にして四人の係の者がこれを調べた、この実態は、五時間にわたって調べたということは、これはもう実は非常な精神的な拷問にひとしいようなものではなかったかと思うのです。要するに、ただ五百円がよけいあったということだけを突き詰めるために、五時間も一人の人を四人が周囲から囲んで調べなければならぬという、こういう姿が実際に合法的として許されるのかどうか、こういうことを考えるのであります。したがってこの若林さんは、この日にうちへ帰って、そうして私のパス入れの中に三百円私は入れておった、だから三百円届けておった、ところが朝姉に買いものを頼まれて、その金を五百円ポケットに入れて、そのことをうっかりしておった、こう言っておるのであります。そのことを自分がうっかりしておったために、それを疑われた、こう言っておるのであります。したがいましてこの若林栄子さんがその日に自分のうちへ帰って、それから家を十時ごろに出たと言っております。十時ごろに家を出て、二日ですから、おそらくその晩はさんさんとした雨が降っておっただろうと私は思います。その中を自分のうちを出て国鉄の六甲道の駅の近くまで行って、そこで列車に飛び込んで自殺をしておる、こういうのであります。そうしてその遺書には、私は口が下手だし、あすも同じように調べられ、職場をやめさせられるというなら、身の潔白をあかすために死んだほうがましだ、こういう遺書を残して死んでおるのであります。この状態が、ただ単にいわゆる企業を経営するための服務規程、こういうことだけで許されていいのかどうか、こういうことをどう理解をしたらよいのか、私は自分自身でもわからないのであります。企業の経営権というものが、ほんとうに娘さんの身体検査をする、五時間も調べ上げ、そしてさらにまたあくる日も調べるのだ、こうしてうちへ帰したというふうなことが実際許されるのかどうか。この点について私はよく当局の考え方というものを聞いておきたいと思うのであります。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 私は、バス事業といわず、あらゆる事業につきまして、企業内の秩序を維持するためにいろいろ内部の職員に対する服務の規定があると思います。しかしその実施にあたっては、やはり十分な良識をもってこれに当たるべきであると考えますので、ただいま御指摘のような事実につきましては、私はそれが事実であるとすれば行き過ぎであると思います。これはその企業体の責任者に今後十分注意をしてもらわなければいけない。ただ、こういう現金を扱う事業でございますので、現金を承う仕事に従事しておる者を、仕事が終わったときに所持品等の一応の検査をやるということは、これは企業維持の上からはやむを得ないことと思いますので、要はその扱い方について十分な良識を持ってやることをわれわれとしては十分注意し、また要望もしたい、かように考えます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 次のいろいろな問題もありますから、私はまたこれはあらためてこうしたことの本質をきわめて質問をいたしたいと思いますが、そこで私は確認をいたしたいことがあるのであります。  大体、今日行なわれておる身体検査というものには、いろいろな方法がとられております。たとえばここで、神戸の場合でも言っておりますように、これはすでに三、四年前にこうした問題が取り上げられて、私は実はもうこんな問題は済んでおるのではないかと思っておった。ところが今日なおかつ神戸市の交通局では、赤玉と青玉と二つまぜたくじを引かす。そして引かして出てきたのが赤玉であったならば、これは厳重なる身体検査をやる、青玉であったらまだ簡単な検査で済ます。人間の身体検査をするのにそんな不届きな処置をもって、方法をもって身体検査をするということが、今日なお都市の公営企業の中に行なわれておる。こういうことを実際に皆さんのほうでは御承知であったかどうか、承りたいと思います。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 そういう事実があることは知っておりませんでした。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 そういうことが行なわれておったことを御承知だということは、これはわれわれのほうで、局長だけではなしに、以前からずっとこういう問題が取り上げられておりますから、おそらくこれは耳に入っておると思うのであります。ただ私は、こういう問題はどんどん改良せられていっておるだろうという気がしておった。ところが依然としてこれが改良されておらない、こういうところに問題があるのであります。しかもこの藤原という神戸の交通局長の話では。この身体検査はやっぱり必要だと思うのだ、こう言っておる、これは私はけしからぬ役人根性だと思っておる。市民の金を扱うのだから身体検査をやって公正を期さなければいかぬ、こう言っておるのです。まことにけしからぬ考え方なんです。そこで私は、こういう問題について本格的に取り上げるのは、先ほど言いましたようにまた後日にいたしますけれども、とりあえずこうして今日までいまだかって例を見ないような身体検査をされて、その屈辱に耐えかねて身の潔白をあかすために鉄路のさびに消えた、こういう娘さんが現実に起こったとすると、このような身体検査というものは直ちに中止させなければならぬ。この点について、そういう意思がおありかどうか、お聞きいたしたいのであります。これは運輸大臣からも、こういう問題が起こったときですから、卒直な気持ちをひとつ聞かしていただきたいと思います。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○綾部国務大臣 いま肥田委員の御指摘のような問題があるとするならば、厳重に戒告し、そういうことのないように善処するつもりであります。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 私がいまお聞きしたのは、少しことばが足りなかったと思います。こういう重大な問題が起きたこの際ですから、このような方法は私は中止をさせてしかるべきだと思うのです。したがって、中止をさすということについて大臣はどう考えておられるか。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○綾部国務大臣 よく調査して、ほんとうにそういう事実があるとするなら、もちろん中止すべきであります。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 私はこれは事実を調査するというような問題じゃないと思うのです。いま現に自動車局長も、このような事実はあるということを御承知になっておるのですから、したがって、こういう問題については、再びこういう残酷なことが起きないためにこれを中止さす。そうして中止をさせておいて——私はこういう事実が、やはり現実にそういう俗に言われるところのチャージという問題が若干あるだろうということはわかります。しかし、これはすべてではないのです。すべてではないものをくじを引かせて、赤玉が出たらこうだ、青玉が出たらこうだというふうなやり方というものはけしからぬ。ですからこういう方法は直ちに中止させて、そうしてしかるべき方法を、これは使用者のほうとそれから労働組合の代表と、そうした中でどうすればこういう問題が防げるかということをほんとうに研究すべき時期が私は来ておると思う。ですからそれを前提にしていま直ちに身体検査は中止さす、こういう通達ができるかどうか、このことはひとつ自動車局長にも同じ立場で私は御返答いただきたいと思います。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 ただいま御指摘のような事実がありといたしますと、これは非常に行き過ぎであると私は思います。したがいまして、行き過ぎの点については直ちにやめるように指示をいたします。なお、全般的には現在各地においてそういった行き過ぎがあるかどうかについては調査をいたしまして、全般の問題としては善処いたしたい、かように考えます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 重ねて確認をしておきたいと思うのですが、行き過ぎがあるかどうかということは、私が申し上げたように、とりあえずこの身体検査を中止さす。中止させてしかるべき正しい方法、実際にこういう問題が根本的な解決できる方法を双方で協議をさす、いわゆる労使の間において協議をさす、こういうことに理解をしてよろしいのですか。中止をさすということと、次の方法は、そういう協議ができたときにまた何らかの方法でそれらの防止の具体的な処置も認めてよろしいと思うのですが、この考え方と違いますかどうか、確認をしておきたいと思います。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 問題は服務規程の内容にあると思いますが、この服務規程は企業内の問題でありまた労使間の問題でございますので、現在各会社でつくっております服務規程につきましても当然労使の間で問題にされ、労使双方の合意の上で、できておる規程であると思っております。したがいまして、そういう点も含めて今後研究いたして善処いたしたい、かように考えます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 私はせっかちで言うわけじゃないのですが、この問題があまりに重大であったから言っておるわけなんです。私たちが常識的に今日耳にしておることで、こういうことがございますよ。ふろに入れておいて、そうして所持品を一切検査する方法がとられております。それから直接からだにさわる方法がとられております。ポケットに手を入れたり、服を広げさせて胸の中へ手を入れたり、ブラジャーにさわったり、パンティにさわったりする、こういうことまでやられておるのです。こういうことがずっとやられておる。それからまた運転中のバスの中にちゃんと係がおって、そしてそれが乗り込んできて、そのバスの車掌が持っておるところのかばんを自分が持ってきたかばんとすりかえて、そのかばんを持って帰って検査をするというやり方もやっておるのです。いろいろなやり方をやっておるのです。おそらくわれわれが常識的に考えれば、この程度でいいだろうということはあまりない。みんな限界をこえたことをやっておる。ですからそういう問題が積もり積もって、今日のようなこういう悲しい状態が起こってきたのだろうと思うのです。ですからこのようなことを幾ら繰り返してみても、実際に特殊な人によって行なわれるところのチャージという問題があるとするなら、これは根本的に解決できない。だからこの方法をどうすればよいかということは、私は今日新しい立場で研究しなければならぬ時期にきておると思う。ですからそれがためには、今日までやっておった方法を一切ここで中止をさして、そうして新しい立場で双方が協議をして、解決できるほんとうのやり方というものを研究しなさい。私はこういうことになってしかるべきだと思うのです。私はこのことを局長に英断を持ってやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょう。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 服務規程につきましては、服務規程をつくりなさいということはきめておりますが、服務規程の内容はその企業体にまかせております。したがって、服務規程の内容につきましては、従事員との関係の問題でございますので、労使双方の協議によって服務規程をつくっておるわけであります。したがいまして、服務規程そのものをどうつくるかということは、労使の間の協議によってつくることでありまして、つくられた服務規程をどう運用するかということについての行き過ぎその他の問題は、十分私は注意もいたしたいと思いますし、また現実に行き過ぎがあった場合には、直接これをやめるように注意もいたしたい、かようにやっていきたいと思います。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 くどいようですが、この方法については、いろいろ聞いてみますと、段階があります。ある企業によってはきわめて形式的なことをやっておるところもあります。これなんかも常識的だろうと思います。けれども、公営企業においては、それとは反対に相当このやり方がきびしい。国鉄はどうかといえば、国鉄ではこのようなことはやっておらない。よろしいですか、ほとんどやっておらないということを私は聞きました。ですからやっておるのは、私企業の中のたちの悪い、経営方針のまだ幼稚な会社といわゆる公営の都バスあるいは市バス、こういうところにはこういう問題が今日なお残っておる。それはただ単に人を調べるということ、人を疑うということ、小役人根性というものが今日までずっと昔から残ってきておるのじゃないかという気がするのです。ですから、これをやめなさいと言って新しい方法を打ち出すことを示唆しない限り、私はこの問題は改まらないと思うのです。ですから、とりあえず今日のそのような身体検査をやるというようなことは中止をさして、そうしてみずから提供さして調べさすというところから始まる方法もあるでしょうし、ほんとうにその人の良心をさらに喚起するという意味からの方法もあるでしょう。こういう方法は幾らでもあると思うのです。ですから、それが具体的な実効を上げるためには、今日までの身体検査、パンティまでさわったり、こういう不届きなやり方というものは一切中止さして、双方がフリーなきれいな気持ちになってこのことを始めなければ、私は改められないだろうという気がするのです。ですから、非常にしっこいようですけれども、これを直ちに中止をして、新しい方法を検討させるという踏み切った態度をとっていただきたいというのが私のいま言っている中心の問題点であります。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 お話はよくわかります。繰り返して申し上げるようでございますが、服務規程の中に身体検査あるいは服装検査と申しますか、そういうものをつくることについての規定を置きなさいということを命じておりません。したがいまして、服務規程の中に所持品の検査をする、あるいは身体検査をするかどうかということを規定する上において、労使が話がまとまった上で服務規程をつくっておりますので、企業体内部の問題といたしまして、服装検査の必要がなければ、規程の中にこれを入れないということは、労使間の話し合いでできる問題でございます。もちろん行き過ぎ等は厳に慎むべきでございますけれども、当局が全般的に服装検査をすべきでないというのは、ちょっと考慮の必要がある、かように考えられます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 服装検査というものは、これは幅が少し広いのですけれども、しかし、実際に私が言っておるのは、服装検査にもいろいろあるだろうと思います。けれども、服装検査をするというそのこと自体が、人権問題として私はあらためて考えなければならぬこともあるだろうと思う。ですからこれは私は調べておきますよ。しかし、私が言っておるのは抽象的なことじゃなしに、今日まで行なわれておるところの身体検査という問題を取り上げて、こういう方法は今日直ちに中止して、そうして目的というものは明らかなんですから、目的は売り上げ金をちょろまかしてはおらぬかというこのことだけなんです。このことだけのために女の子のパンティにさわったり、ブラジャーにさわったり、こういうことをしておるのですから、それを中止をさせるということは、とりあえず身体検査を中止さして、本来の目的であるところのチャージをなくするということ、このことを労使の間に協議をさせる以外には、具体的な解決策はないでしょう、そのことを私は言っておる。ですから身体検査という問題は悪いにきまっておる、人権侵害にきまっておるのです。服務規程というものは労使の間で秩序を維持するために、双方でやむなく協議をしたということになっておるでしょう。けれども本質的にはこれはそういうものなんですよ。決して人権を尊重した問題じゃないです、このやり方は。ですからこれを中止をさして、そして新しい立場で双方がこれを解決する、協議をさす、こういうことに踏み切ってもらわなければ、この若林栄子さんという人が死んだ犠牲を私たちはがまんすることができない。非常に重大な問題だと思っておる。五百円のために死んだんです。どうでしょうか。

木村睦男運輸事務官(自動車局長)

○木村(睦)政府委員 人権じゅうりんにわたるようなことがありますと、非常にゆゆしいことでございますので、今後につきましては、絶対に人権じゅうりんなどという事態を起こさないように厳重に私は注意をしたい、かように考えております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 大臣、お聞きのとおりでございます。私がいま取り上げておる問題は、本質的なごまかしということでなく、ほんの人間のそのときの心の差違で起きるような問題、こうしたものを取り締まるために身体検査をやるという古い習慣が今日まで残っておる。ですからこれを私はやり方がいいとかなんとか、問題をどうこうしようということは、これはなかなかいま簡単に結論は出せないと思いますけれども、しかしいまこうして五百円自分の金をポケットに入れておったのを忘れて、そしてそれの説明がうまくできなかったということで五時間も調べられて、あくる日また調べられる、こうなってその娘さんが鉄道自殺をした、こういう現実を前にするときには、私は根本的にこうした問題を考え直す必要があるということをいま申し上げておるわけなんです。ですから局長の立場で言われておることも理解できます。大臣に私は一言お伺いしておきたいのは、こういう問題を改める方法としては、私は身体検査ということを中止をさして、そして新しい立場でこうした問題をなくする、本来の目的を達する一番最良の方法を協議をさす、これ以外に私は解決の道はないだろうと思うのです。したがって大臣もこうした同じ気持を持ってもらえるかどうか、大臣の気持をひとつお伺いしたいと思います。

綾部健太郎自由民主党運輸大臣

○綾部国務大臣 お示しのような事実ありとすれば、私もあなたと同じような気持になってやります。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 次の質問の予定もきょうはございますから、いずれこの問題は現地から詳しい事情がわかってくると思いますから、あらためてそのときにこの問題について質問すべきものは質問をさせていただく、こういうことにして、とりあえずこの点については質問を保留いたし、打ち切ります。      ————◇—————

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 日本国有鉄道の経営に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。肥田次郎君。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 私は、先般来問題になっておりますところの日本国有鉄道の新幹線の問題について具体的な例をあげて、これは運輸大臣と大蔵大臣にお伺いをいたしたいと思います。そのことは先般来滋賀県の地域における鉄道の新幹線の建設状態について社会党として調査に参りました。そのときに私がまず一番奇異に感じましたことは、近江鉄道と新幹線とが並行をして建設されておるところがございます。その中で顕著な問題を一つ二つ取り上げてみたいと思うあのでります。  近江鉄道側から五十三カ所の踏切設置の経費を要求されて、それを四十八カ所に割引をしてもらって国鉄側で支払ったという事実がございます。そこでこの実情を私が現地で見ましたところでは、近江鉄道の並行線の中で踏切は実はたった一カ所しかありません。七・数キロの中でたった一カ所だけであります。近江鉄道が平面路線で持っている踏切はこの一カ所だけであります。あとはいわゆる遮断機つきの踏切はなく、警報機その他一切ついておらない、いわゆる鉄道を横断しているだけの、俗にいう踏切という概念で通ずるところの、これだけの施設しかないのであります。現在その一カ所しか遮機断を持っておらないような近江鉄道に対して、四十八カ所の踏切を設置する経費を国鉄が支払いをしたことについて、これを妥当と思われるかということが一つであります。  それからそういう経費について大蔵当局としては、そのような支払いの方法が正しいと思われるかどうか。そうしてこの次に組まれる補正予算の中で、そういうものはどう考慮されるのか。われわれは国鉄の新幹線は当然民間の企業と違いまするから、大きな失敗があったからといって、そのままに立ち腐れにさすわけにまいりません。国の大きな経費をかけて建設に着手している大事業でございますから、これは残念ながらわれわれは完成をしなければならぬという考え方には少しも変わりませんけれども、今日までのいろいろな状態をそのまま見過ごして、さらにその上に金をつぎ足して工事を完成さす、こういうことだけでは見のがせない問題があるのであります。先般政務次官は、もし不当なものがあれば近江鉄道から払い戻すという言葉もございました。したがってこの点については、特に大蔵大臣に、このような支払い方法がされていることについてどうお考えになっておるかということをお伺いしたいと思います。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 本件につきましては予算委員会においても御質問がございました。なおマスコミその他において報道されておる限りにおいて承知いたしておるわけでございますが、現在新幹線のどうこうという問題につきまして、現に運輸大臣から監査命令を発動いたしておるわけでございまして、その途中にあっていまだ大蔵当局にも協議がありませんので、その内容をつまびらかにいたしておりません。景色代といわれ、また一部にいま言われたような事実もいわれておるわけでありますが、私どもが常識的に今日の時点で想定をいたしますと、両方でもって補償費をきめて、それを合法的に形式を合わせるためにそのようなことをしてやったんだろうと思いますが、このような問題は監査委員会で明らかにされ、また会計検査院も当然指摘をする問題であろうと思います。  私はその意味で運輸大臣権限における処理における処置を得た後、私たちとしてはこの問題に対して検討を進めなければならない、このような立場でございます。ただし、常識的に考えまして、そのようなことで国民のいろいろな非難や疑惑を買うような状態で残余の財源処置等を行なうことはなかなかむずかしいと思いますので、先般の予算委員会におきましても、それらの問題を国民の前に明らかにせられて、大蔵当局とし当然見なければならない財源の問題については、今日以後において処置をしなければならないのでございまして、現在の段階において大蔵当局としてこの問題に対して結論を申し上げる段階にないということでございます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 私は具体的な例を一つ一つ取り上げてお聞きしたいと思いますが、近江鉄道に支払われたいわゆる風景補償あるいはまくら木の腐食補償あるいは踏切の設備、こういうものについて総額二億五千万円ということがいわれております。さらに現地に行って調査したときに耳にしましたことは、近江鉄道が米原駅、これは近江八幡の駅もそうだろうと思うのでありますが、ここに対して使用料というものが国鉄に支払われなければならぬようになっております。ただこの金額の内容というものは、連帯切符の清算払い、こういうようなものも一緒に含まれておるのじゃないかと思うのですが、大体総額七千万円くらいないわゆる延滞があったというのでございます。その延滞されておるところの七千万円の金を二億五千万円の中から差し引いたということがいわれております。このことは今日までたまりたまったところの近江鉄道の借金、国鉄に当然支払われてなければならないところの金が延滞されておった。それを二億五千万円のこの国鉄の補償金の中から差し引いた、こういうことにもなるわけですね。これは非常に疑わしい性質を持っておると私は思うのであります。取れない金を取る方法として、むしろ国鉄側のほうから二億五千万円出して、その中から七千万円を差し引いた、こういうふうにもとれる面があります。こういうやり方を大蔵省としては、大臣はどうお考えになるでしょうか。これは疑いだけの問題ではありませんで、要するに二億五千万円払ったその中から七千万円の、いわゆる国鉄に当然近江鉄道が支払わなければならぬところの金を差し引いておるというこの処置について、その適否をお伺いしたいと思う。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 現実問題としては、あなたがいま指摘をされたように、連帯運賃の精算勘定を補償費の中で差し引いたということでありますが、会計法上は問題はありません。ただ問題は二億五千万円というその補償金そのものに妥当性があるかどうか、違法性がないかどうかという問題が解明せらるべきでありまして、二億五千万円というものが合法的であり、合理的であり、常識的なものとそこに認められるならば、その連帯運賃の精算勘定を差し引き計算を行なうということは会計法上の問題であって、たいした問題ではないと思いますが、いずれにしても二億五千万円そのものにその議論が集中すれば問題でありますから、そういう問題を清算するにしても、国民の前にいろいろな複雑な計算をしないで払うものは払う、もらうものはもらうというふうにすることがより常識的であるということだけは認められます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 この近江鉄道の中には、二億五千万円の妥当・否妥当という点を私たちはまだなお、具体的に追及したいと思っておるのでありますが、国道八号線というのがございます。この国道八号線というものと近江八幡に入っているところの近江鉄道というものがあります。これは平面交差であります。そうしてここにはただ警報機がついているだけなんです。この警報機がついておる程度の近江鉄道が五十三カ所もの踏切の設備設置資金を国鉄に要求をした、その五十三カ所の中から国鉄が四十八カ所分だけ払う、こういうこと。それからまくら木の補償金というのが出ておりますね。このまくら木の補償というものは近江鉄道に対して並行したから排水状態が悪くなった、排水状態が悪くなったからこれに対してまくら木の腐食を何年か国鉄が見るという意味でこれに対する補償金を出した、こういうのであります。ところが現地へ行ってみると、近江鉄道の路線というものはむしろ線路の横に側溝ができて、非常に排水がよくなっていると私は思うのです。あべこべなんです。これは国鉄のほうがむしろ近江鉄道からお礼をもらってもいいくらいな現状に変わっている。それに対してまくら木の補償金を出しておる、こういうこともございます。これなんか一体どうなんでしょうか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 国鉄に対しては補償基準というのがありまして、非常に在来は厳密にやっておったわけでございます。国鉄の法務課はわからずやだというくらいに非常に強かったわけでありますが、今度の問題はどうも話を聞いてみるといろんな問題があるようでありますが、こういう新しいケースの問題に対しては、予算を執行する前に、仮契約を行なう前に会計検査院の事前審査を受けたり、そういうことを普通やっておるわけでありますが、この問題はなおまだあるようでありますが、こういう問題が会計検査院の事前審査を得ておらない、いままでの問題から比べると全く不当なものである、また国鉄の在来の面から、八十年、九十年にわたってこの種の問題に対して全部申請をして、当然問題を解決してきたわけでありますから、そういうものに比べて非常に不当だということになれば、当然還付の問題もあるでしょうし、批難の問題も当然あると思いますので、これだけ国会で議論になれば私は国損をきたさないような方法で何らかの結論が出されるものであろうというふうに、いまの時点では私は報告を受けているわけでありませんので、常識的にお答えをすればかように考えます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 大蔵大臣は、国鉄が監査命令を出しておるから……こういうおことばでございました。ところが今度総裁になられた石田さんは、この前監査委員長をされておった。それでこの前ここでの質問に対して、監査の結果を監査委員会が出したものをそのままうのみにしておったのだ、こういうお答えだったわけです。そうすると監査命令を出して監査をした結果というのは、私は当局の監査関係者の良識というものがどうこうというわけでございませんけれども、出したものはやはり出したものとして承認をせざるを得ないような状況が再びくるのではないかと思うのであります。したがってこの監査の結果というものに対してこういう問題がもう現実に起こった以上は、われわれはどうもこれをうのみに信用するというわけにはいかない状態が現実に出てきておるわけです。したがいまして大臣の言われるように、監査の結果を見てというこのことばだけでは、われわれはいかにも心もとない。したがいまして大臣に直接聞いてもらわなくてもいいような具体的例を私はいま一つ二つ申し上げたわけなのだ。こういう点についてやはり監査の結果だけ以外にたよる方法はございませんか。

田中角榮自由民主党大蔵大臣

○田中国務大臣 御承知のとおり法律上の制約がありますし、現在まだ運輸大臣の管轄権内にありますから、国務大臣でありますから、閣議等で議論をしたり、またこうしてお互いの間でこれだけ問題になっておる問題でありますから、個人的にもお話をして、万遺憾なきような方向をたどっておるわけでございますが、現在の状態において私がお答えをするような段階にありません。いずれにしても運輸大臣が法律に基づいて権限を発動せられておるのでありますから、この結果を待って、当然大蔵省には何らかの財源的な補正の要求もきっとあると思いますからそういう事態について私としては正式に国会でお答えができると思います。なお私たちも非公式には、このような問題が片づかないうちは、いろいろな財源的な問題を持ってこられても、私のほうでも積算のしようもございませんから、ひとつそういう問題は国鉄と運輸省の間で十分片づけてもらって、堂々と大蔵省にお持ち込みください、こういうことは強く言っておるのでありますから、私にいま常識的な考え方を述べろというと、いまのようなお答えしかできないわけでございますが、まあ予算委員会でもここでも問題になっておりますし、まだこれから新幹線の千億に近い大きな予算の問題もございますので、少なくとも国民全体の理解を得られるという状態において財源措置等は考えられなければならない、このような基本的な考えを持っておるわけであります。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 それでは引き続いてこの点について国鉄当局の方からお答えをいただきたいと思うのでありますが、これも先般調査をしたときに、これは図面の上で、あるいは新幹線大阪建設局の次長から聞いたことでありますけれども、この新幹線の最終決定に至るまでのいろいろな話も聞きました。われわれがまず一番奇異に感ずることは、これは現地でもらった図面なんですが、現在東海道線が走っておる、それから近江鉄道が走っておる、この間に、常識的に見れば米原からこの近江八幡あたりに至るまで、何も好んで近江鉄道に並行しなくてもまっすぐに、直線に路線が引けるじゃないかという実情があるわけです。これはなぜ近江鉄道に並行して走らなければならなかったのか。近江鉄道に並行しなくても近江鉄道と新幹線の中間を行けばなお線路は直線になって便利がいいではないか、こういう問題が常識的にこの図面の上に出てくるわけです。このことの経過についてはいろいろと現地で聞きました。現地で聞いた内容を簡単にお話をいたしますると、われわれはこれがために非常に苦労をした、こういうことをまず冒頭に言われて、そしてもしわれわれがこの路線を思い切ってこの地域に引かなかったならば、名神国道と同じように甲賀流の忍術の山の中まで追い込まれただろう、こういうふうな話まで出てきたわけです。したがいまして、事実こういう話の中から想定されることは、近江鉄道に沿って走るんならここを走らせてやる、それでなかったらひとつ山のほうへ行ってくれ、絶対にここは通さないぞ、こういうことさえ邪推ができるわけです。国鉄というものは、真に国の経済成長発展の大目的のために新幹線をつくろう、こういう立場からこれは積極的に進められたものと思うのでありまするけれども、この貧弱な近江鉄道になぜ沿って七キロも走らなければならないのか、このような線路をなぜこういうふうに敷設しなければならなかったのか、私はこの点も非常に大きな疑問の種になっておりますので、解明をしていただきたいと思います。

磯崎叡日本国有鉄道副総裁

○磯崎説明員 私まだ技術的に詳しいことを研究したり、勉強いたしておりませんので、はたして先生の御質問に答え得るかどうかわかりませんが、一応いままでに調べました経過だけを申し上げさせていただきます。  いま、すでに先生がおっしゃいましたけれども、当時新幹線が滋賀県を通ります際にいろいろ地元との問題があったようでございます。彦根、甲良、豊郷、秦荘、愛知川、五つの地区だそうでありますが、そのいずれも地元におきましてはただ鉄道が通るだけだということで、そのために農地が減る、その他のいろいろな理由で、新幹線が通るならば琵琶湖の湖岸を高架で通る、あるいはいま先生がおっしゃいましたように、うんと南の山の中を通るかというような非常に強い反対意見が圧倒的にあったというふうに聞いております。その後私のほうの技術者がいろいろ地元のほうと折衝申し上げ、また図面の調査等いたしまして、工事費あるいは工期あるいは工事の施行の難易等いろいろな条件を考えあわせた結果、次の三つの案に大体落ちついた。これも肥田先生はたぶん御承知だというふうに聞いております。一つは、現在の東海道線に腹付と申しまして、東海道線に全くくっつけて並行してやる案、一つは、ちょうどいま先生の仰せられました現在の東海道線と近江鉄道との間に国道八号線が走っているそうでございますが、この国道八号線と並行するルート、さらにうんと東のルート、この三つの案を比較検討をいたしたというふうに記録に残っております。で、初めの現在の東海道線に腹付するルートあるいは国道八号線に並行するルートは、御承知のとおり琵琶湖の湖岸の相当たくさんの市街地あるいは住宅地あるいは農地等といったいろいろな支障の家屋あるいは支障の土地等が非常に多い。さらに琵琶湖の湖岸のために地質が必ずしもよくないというような点、それから冒頭に申し上げました琵琶湖の湖岸を高架で通るということは、これは工事、工質的に見て不可能である。南の名神国道のルートも非常に工費がかかる。道路と違ってカーブあるいは工事等非常に制約がありますので、これも工事費から見ても問題にならないということで、結局第三番目の東に寄ったルートということで検討いたしたそうでございます。この東部のルートにつきましてもまたいろいろ数案あったように記録に残っておりますが、そのいろいろな案を検討いたしました結果、農地を分断するために農業の方々に非常に御迷惑をかける、その御迷惑をなるべく少なくするのが当然国鉄としての義務であるというようないろいろな点から考えまして、いまの問題になっております現在選定いたしました近江鉄道と並べる案が、最も用地の獲得の費用も少なくて済むし、地質からいってもがまんができるというような関係上、これにきめた。近江鉄道はもちろんのこと、地先の関係の部落の方々とも種々御折衝申し上げました結果、この路線の確定を見たというふうに記録に残っております。  なお、もう少し詳細につきましては、関係の局長が来ておりますから、そちらからも御説明申し上げさせます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 それからこの点もあわせてお答えをいただきたいと思うのですが、当局のほうからいただきました資料は、ただ概念的なことだけしか書いてありませんので、なおこの判断に苦しむのであわせて質問いたしたいと思います。  まず、農地を寸断するということは、江州は米の産地と言われるほどいわゆる農地の多いところでありますが、農民の意思として農地が減るという気持は論議外だろうと思います。ただそういうことでわれわれが疑問に思うのは、新幹線を引く際にはなるべく人家に離れたところで直線の土質のいいところを選んでというのが、最良の条件であろうと思うのです。ところが、近江鉄道の並行の七キロというものは、大体近江鉄道そのものがしろうと目にもわかるように村落を縫って走っておる単線鉄道なんです。これに並行しなければならないという理由は一体どうなのか。これに並行して村落を走って敷設したほうが、農地を買い取ってそこに新幹線を敷設するより安くつくのか、そのほうが好条件なのかどうか、こういう点についてあわせてお答え願いたいのであります。  問題になるのは、農地を分断されてはという要求に対して、国鉄が非常に思いやりのある態度をとっておるという事実は、私たちも率直に認めますが、それは小野田セメントの山にかかる裏山のあたりで相当長い、私がしろうと目で見た距離だけでもおそらく一キロ以上あったと思いますけれども、これを全部橋梁式にして少しでも農地を確保してやろうという、これは大体山すそになってくるからその実情もやむを得なかっただろうと思います。このやり方は私はこれでよかろうと思います。  けれども、それは近江鉄道からはずれて山間部の山すそに入ったところなんです。その点では困難な作業であってもそれだけ金をかけなければならぬということは認めた。私は妥当だと思いました。けれども近江鉄道が現在並行しておるところは——大体近江鉄道という鉄道は村から村を縫って走っておる。それと新幹線がなぜ並行しなければならないのか。そのほうが経費的に安いという理論はどうしても出てこないのではないかという気がするのです。この点の経過を一緒にお答えいただきたいと思います。

中畑三郎日本国有鉄道参与(新幹線総局総務局長)

○中畑説明員 私からお答えいたします。  ただいま先生のお尋ねがございました村落の地帯を通る場合と農地を通る場合でどういうことになるかという点でございますが、通常一般の場合では、村落を通りますよりも農地を通りましたほうが、工費の点におきましてもまた工期の点におきましても、国鉄としては得になるわけでございます。ただいまお話がございましたように、滋賀県は非常な米産地でございますので、農地を通りますことにつきまして、滋賀県御当局はじめ地元のいろいろな方々から非常な御反対がございまして、国鉄といたしましても、ごもっともということで結論を出したような次第でございます。  次に、どうして近江鉄道と併設するような案になったかというお尋ねでございますが、その点は約七キロの区間にわたりまして近江鉄道の線路の片敷きと申しますか、片側の線路敷きの用地を使います点が、非常に、工費の点におきましても、工期の点におきましても、得策であると現地で判断をいたしましてきめましたようなわけでございます。線路の片側のところが使えるというところが、併設をすることにきめました一つの大きな理由になっておるということを現地から聞いております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 それはところによったらそういうところもありますよ。けれども、そういうあなたの論法でいくと、現在の国鉄の東海線に並行させれば一番安く上がるということですね。そうなりますね。直線の——いわゆるカーブの部分だけはずして、その他はできるだけ現在の東海道線に並行させるということが一番安上がりということになるのです。それならなぜ現在の東海道線に並行さして走らないのですか。現在の東海道線に並行させないで、何もわざわざ近江鉄道に並行さして走らせるという理由はないじゃないですか。その点はわれわれがどう理解をしたらいいかということではなしに、われわれが人から聞かれた場合に、われわれはどういうふうに説明すればいいのですか、教えてください。

中畑三郎日本国有鉄道参与(新幹線総局総務局長)

○中畑説明員 ただいまお尋ねのございました点でございますが、現在の東海道線に腹付をいたしまして工事をすることに相なりますと、二つの問題があったということを現地から聞いております。その一つは、東海道現在線の通過いたしております地帯が、村落あるいは町、こういったような地帯が多うございまして、その点で工事費と工期の点で非常に問題があるということを言っております。それから二番目には、琵琶湖の東岸地帯はすぐに浸水あるいは冠水をいたしやすい地帯でございまして、工事をいたします上において、設計上の難易という点で、琵琶湖の湖岸からなるべく山のほうへ入りました地点のほうが技術的な設計の面ではよろしいのだそうでありまして、そういう技術上の配慮もあって、——もちろんただいま申し上げましたようにそればかりではございませんが、こういうような技術上の配慮もありまして、現在工事をしておるルートにきめたというような報告を聞いております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 これは何もわれわれはすき間があれば引きずり出そうという気持ちで聞いているのではないのです。私は先ほど言ったように、みんなから質問されたときにどういうふうに答えれば簡明直截にわれわれが答弁をすることができるか、国鉄はこう言っておるが、これは無理がない、こういうふうに答えることができるかという、その道を聞いておるわけなんですよ。景色補償というこの問題にしても、あの近江鉄道にわざわざ道連れにならなければ景色補償は要らないのですよ。あれは道連れになったから景色補償が要るのです。そうしてみると、この図面で見れば、何も近江鉄道に沿っていって景色補償をとられるなら、国鉄東海道線に沿って走ったらいいじゃないか、それからまたまん中に走れるところがあるじゃないか、こういう論法が常識的に出てくる論法なんです。だからそれを説明してもらわなければ、この並行したほうが条件がいい、安上がりなんだということなら、私が先ほど言ったように、何も近江鉄道に並行しなくても東海道線に並行したらいいでしょう、こういうことになるのです。ずいぶん無理な工事で並行して走っている、工事をいま続けておるところがあります。だからこういうものは終始一貫して答えられるようなものでなければならない。私は審議をしてみて、今度私たちがそれを受け売りしなければならない。お前ら運輸委員会でこんなことをどう始末をしたのかと聞かれた場合に、その始末をした経過を私ら今度自信を持ってみなに説明しなければならない。東海道新幹線は私たちはもうやめなさいと言っているわけではない。新幹線はこれはもうつくらなければならぬ、そういう立場で、どうすれば国民を納得させられるかという立場から私たちは質問しておる。ですからもう少し、ほんとうになるほどそうかという答えをひとつしていただきたいと思います。

中畑三郎日本国有鉄道参与(新幹線総局総務局長)

○中畑説明員 さいぜんも私のほうの副総裁から御説明申し上げましたように、三つの案を取り上げましてルートの選定について地元との折衝に入りましたわけでございます。滋賀県は、県御当局が農地の問題との関係もあってのことと思いますが、非常に御熱心にこの問題を取り上げられまして、県御当局とそれから地元のいろいろな関係の向きの方との話し合いでもって結局今回工事をいたしております案に落ちつかざるを得なかったということを現地の技術者はじめ関係者が申しております。案といたしましては、さいぜんから副総裁も申し上げましたような案が可能であったわけでございます。それを工事費、工期、工事施行の難易といったような点も考えまして、かつ地元との話し合いがつきませんとルートの決定はできませんので、地元とのお話し合いをまとめまして出ました結論がこういったことに相なったわけでございます。一方近江鉄道の会社からは、線路から何百メートルか離れた箇所で工事をやれ、あるいは併設高架にせよ、あるいは高架橋にせよ、こういったことで、国鉄は会社自身からも非常な反対を受けましたような次第でございます。そういう次第でございますので、いろいろな事情が重なりまして結局今回の案に決定を見たということに相なりましたので、事情やむを得ないものがあったと思っております。

矢尾喜三郎日本社会党

○矢尾委員 関連して。ただいまの御答弁につきまして、私は地元でございますが、でたらめの答弁は控えていただきたいと思います。地元において新幹線が通るということに対して反対をした主力というものをお示しを願いたい。  それから湖岸を通るということにつきまして、一つの案としてそういう話があったことは事実なんです。常識的に考えて、そういう土地へ途中で曲がって新幹線が行くということは、これはだれが見ても不可能であります。しかし、そういうことを理由として、近江鉄道に並行して持ってきたという理由に取り上げられるということは、これを理由づけるための理由以外にはない、こう考えます。だから湖岸に沿うてということについて絵や地図を見てみますと、湖岸に沿うたようなレールが敷けますけれども、琵琶湖畔というものはまっすぐでありません。そういうような簡単なことでこれが理由として取り上げられるということについては、私はどうも納得することができない。  それから次に、三番目の近江鉄道に並行したということです。農地ということについてさきに質問をいたしましたときに、私が申し上げました近江鉄道に並行しておるということは、近江鉄道の土地を国鉄が買収して線路を敷かれたというのなら別なんです。しかし、近江鉄道の土地というのは、駅舎の間だとかごく一部分です。そして近江鉄道は六十二キロありまして、そのうちの七キロが並行してある。農地がつぶれるということは、近江鉄道に並行しても農地はつぶれるのです。こちらに新たに敷かれても、農地がつぶれるという事実においては少しも変わりはないのです。しかし、国鉄が近江鉄道に並行せられたということは、別にわれわれは異論を申しておるのではないのです。近江鉄道に並行したことにおいて二億五千万円という補償が出ておる。この新幹線に並行し交差しておる鉄道は二十九私鉄があるのです。その二十九のうちのどこにも手をつけてないにもかかわらず、近江鉄道だけに二億五千万円の補償が出ておるということはおかしいじゃないか、ここから問題が出発しておるのです。別にその技術的な面についてはわれわれは文句を言っておるのではないのです。二十九も並行しておるけれども、その二十九には何も出てないで、近江鉄道だけに二億五千万円出ておる。だからこれはどうかという質問を第一陣として久保君か井手君かどちらかがやられましたときに、第一回の答弁は、近江鉄道は新幹線に並行しておるから、それに対するところの減収補償であるということを答弁せられた。減収補償をした、こういうことを答弁せられた。それで減収補償というのはおかしいじゃないか、近江鉄道というものは大体は南から北に走っておる。しかしたまたまこの七キロの間が並行しておるのです。ぐるぐる回っておりますから、この七キロが並行してあるのです。それでその間において補償をすることについては、六十二キロのうち七キロが補償の対象になっておる。そういうことを考えてみますと、この二億五千万円という補償金はどういう補償か、減収補償だ。しかし、七キロの間が並行したからといって、近江鉄道がどういう理由で減収するのですか。国鉄の新幹線が東京駅を出ると、特急は名古屋でとまって大阪までとまらない。そのほかのやつは九つとまりますけれども、近江鉄道は何ら減収することはない。そうして聞けば次の答弁は変わって、近江鉄道は観光鉄道でございますから、観光客をおもに乗せておる鉄道でございますから、この近江鉄道に並行して築堤ができるというようなことになると観光を阻害される。そこから景色補償ということばが出てきた。観光を阻害される。これが国鉄のほうの答弁なんですよ。観光が阻害されるからこれに対するところの補償だ。そうして何ぼ観光客が減ったかというと、二割五分というのがあなたのほうから資料として出ておるじゃないか。そこで私は関連質問をして、近江鉄道が観光鉄道であるということは何をもって観光鉄道というか、電車を見てもわかります。実際は一世紀前のような電車が走っておる。観光客が乗っておるか、土地の人が乗っておるかどうか、最近、近江鉄道の堤康次郎さんが三日ほど前に大津へ荒木文部大臣と来られて、そうして新聞記者会見において、鉄道は斜陽産業であるから、これは貨物にして、今度はバスを通すという計画をしておるということを発表されておるのです。観光客もどんどんとなにしておるというなら、実際は私は並行する必要もないと思うのです。そうしたときにおいて、その景色が阻害される、観光客が減る、これはおかしいじゃないかという質問をしたら、今度は国鉄のやめられた十河総裁が、二つの答弁というものを無視したような答弁をされた。それは新幹線が滋賀県を通るときに近江鉄道と並行する。そのときに近江鉄道側から、京阪神急行電車ですか、あれは並行しておるから高架にしてくれ、そうしたときにこれは高架にした、それについて近江鉄道でもそういうようにしてくれという要求があった。そうしてこれを積算してみると五億かかるが、それを二億五千万円に、いわゆる国民の血税で建設する鉄道であるから、五億もかかるやつを半分の二億五千万に値切ったのだ、だからほめてくれというような十河総裁の答弁だったのです。そうすると、答弁も壁にぶち当たればころりとひっくり返って、これは観光鉄道だと言ってみたり、減収と言ってみたり、今度は五億もかかるという。それで私たちは調査しまして、京阪神急行を見ました。見ましたけれども、五分間に一本くらい急行が通る、特急が通る、普通電車が通るくらいです。ですから現在は京阪神急行には国鉄の新幹線を使わしております。こちらが盛り上げができるまで使わしておるでしょう。そうしますと、近江鉄道側は大体一時間に一本です。一時間に一本しか通らないときに、これに五億もかけて築堤をしたということになれば天下の笑いものになります。世界の笑いものになりますよ。私たちはこういうようなことを考えたときにおいて、二億五千万という補償というものは多過ぎるのじゃないか。しかし、納得することができれば、多過ぎる、少な過ぎるということはあなた方のほうで算定されておるのであるから、私たちはこれは何とも言うわけではありませんけれども、常識的に考えて、答弁でも減収補償と言ってみたり、景色、観光を阻害するからと言ってみたり、そうして五億もかかるやつを半分に値切った、こういうわけのわからぬような答弁をされておる。これは速記録を見ればわかるでしょう。それでわれわれは現地を調査したのです。そしてその補償の額について、一億というのはいわゆる観光補償というような説明で、八千五百万円というのが踏切補償です。踏切補償というのは、百五十メートルか二百メートルの間に穴をあけています。あの穴のあいたところが全部踏切じゃないのです。道もないようなところで穴があいただけ、これが五十三あるでしょう。そうすると、近江鉄道六十何キロのうち、踏切があるというのは実際は五、六カ所です。それを七キロの間にだけ五十三カ所に踏切をつくって、八千五百万円の補償は高いのじゃないか、これはむちゃじゃないかということを私は言っておるのであります。そしてまた片方に築堤ができて、片方に低い線路がある、まくら木が腐食をされると言っておりますが、片方は、新幹線のほうはコンクリートでやっております。そして水が流れております。そうして高くなって近江鉄道の線路があるのです。まくら木が腐食するということは、みぞがあるということで相当また間隔があるということにおいて、これは腐食するというようなことはない。そうしてまた乗務員に対しては、たしか運転手は二割、車掌に一割と、車掌にまで七キロの間の見通しが悪くなるからというて、それが何百万円という金がその補償として出ておるということになると、私が心配しておったのは、これに関係ある二十九の私鉄が近江鉄道にこういう補償を出すくらいならうちもこういうことだ、ああいうことだと出てきたら、新幹線が完成までにこういうようなことについても多くの費用を支出しなければならぬというようなことをわれわれは心配しまして、そういうような言いわけ的なことではなくして、これはどうだ、あれはどうだといわれると、私も同じ滋賀県の選挙区でありますので、結局政治的な立場から何か言うのは遠慮しなければならぬと思って終始沈黙を守っておったのです。しかし関連的な問題についてあまりにも答弁がでたらめ過ぎるので、この間の関連質問でも言うたのです。関連質問の対象でありました総局長がやめられた、総裁がやめられましたから、私は繰り返すようでございますけれども、今日までの状態を——社会党は何も別に反対せんがために反対しておるのではなくして、今後こういう大きな膨大な赤字が出ておるのに、さらに膨大な赤字をふやすことになりますので、そういうことにつきましては虚心たんかいに、ただ単に言いわけ的じゃなくして、実際の責任者はやめておるのですから、新しい立場に立った人が、新しい立場、観点に立ってこの新幹線が一日も早く完成されるように努力してもらいたいという立場から、われわれは長い日を費やしてこういう質問を重ねておるのでありまして、何も目標があってやっておるのではありませんので、そういう意味におきまして、ひとつ国鉄当局においても十分考慮していただきたい、こう考えるのです。いまの私の質問において間違っておるところがありましたら御答弁を願いまして、なければ参考として聞いていただきます。

磯崎叡日本国有鉄道副総裁

○磯崎説明員 ただいまの矢尾先生のお話は全く拝聴いたしておりまして、そのとおりであります。私も就任以来この問題が非常にいろいろ国会でも論議され、また社会的にもいろいろ新聞その他に取り上げられて大きな問題になっておることを知りまして、実は古い書類をひっくり返し、また国会の速記録等につきましても大体読ませていただいたつもりであります。実はまだきょう私自身の意見はきまっておりません。まだ勉強中で申しわけないのでございますが、特にこの問題につきまして国鉄当局の御答弁が、いま先生がおっしゃったように、非常に違っていたということは、率直に私はおわび申し上げなければいけないと思っております。提出いたしました資料等につきましても、いろいろ問題もあったと思います。しかし私がいままでいろいろ聞いたところによりますと、先ほど先生がおっしゃったいろいろの国鉄側の答弁の中で、高架にすることのよしあしは一応別にいたしまして、結局近江鉄道側の七億七千万円——設備補償二億六千万円、営業補償五億一千万円の七億七千万円の要求に応じられないと申しましたところ、先ほど先生がおっしゃった路線高架要求に変わってきたわけであります。この高架要求の妥当性は別といたしまして、七億七千万円の要求が、今度は約四億近い高架要求に変わってきた。その非常な難問に逢着いたしまして、さらに、もし高架でなければ全部橋梁にしろ、あるいは近江鉄道自体を買収してくれと、いろいろ途中で話があったようであります。結局それらを総合いたしまして、数回あるいは数十回にわたり現地の責任者と会社側の責任者との交渉の結果二億五千万円ということで妥結したというふうに、私はいままでの調査の結果の印象を持っております。  問題になりました景色補償の問題あるいは先生の御指摘になりました乗務員の疲労による手当の増加あるいはまくら木の腐食とか、いろいろ会社側の要求は私も見ましたが、ずいぶんたくさんあって十数項目にわたってあげられております。これらに対しまして一応国鉄側といたしましては二億五千万円の金を出す整理の方法として、ああいうふうな一億五千万と一億というふうに分けて整理したのではないかというふうに考えております。と申しますことは、これはあるいは国会にまだお話ししてない、速記録にはございませんでしょうが、いろいろ調べてみますと、昨年の六月三十日に話をいたしました最後の会社側との交換文書の中の一項に、「近江鉄道株式会社はこの補償金受領の上は、今後国鉄に対していかなる事由をもってするも、何等の追加要償をしないこと。」という一項目が入っております。これはよく損害賠償等の際に、以後異議申すまじくといったような一文と同じような文章になっております。この文章の性格等から見ましても、確かにいままでの国鉄側の御説明が何か理屈をつけんがための理屈が非常に多かったというふうに私も卒直に認めるような——いままでの勉強の過程といたしまして、まだきょうしからばどこが不当で、どこが不正で、どこが違法であるということを申し上げる段階に至っておりませんのはたいへん申しわけございませんが、いままでの国鉄側の御答弁が不正確であったということは卒直におわび申し上げる次第であります。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 もう一つ二つ聞いておきたいと思いますが、これはどうにもわからないということで、先ほどちょっと触れておったように、具体的な例として大蔵大臣に聞いておったように、近江鉄道側が要求をした踏切設備に対する補償が五十三カ所、それを四十八カ所に値切って、それを認めた、こういうことでありますが、この実情は現在、国鉄当局のほうからのお答えでは、新幹線の東京起点四百十四キロ九百六十のところに一カ所遮断設備がある、こういうことなんです。現在一カ所しか遮断設備がないような近江鉄道の現状から、五十三カ所の要求を四十八カ所まで認めたというその根拠、これは一体何十年先のことを考えて四十八カ所の設置を認められたのか。これをまず説明してもらえなければ、風景補償とかなんとかという問題は、これはいまいろいろと言われておったように、私は問題にすべき性質のものでない、けしからぬ支払いだと思っておる。ただ五十三カ所の要求を四十八カ所に値切って払ったんだからという手柄顔で、四十八カ所というものは、現実は一カ所しか踏切設備を持っておらないような近江鉄道に対して一体どういう理由でこれを認められたのか、これをひとつ伺いたいと思います。

中畑三郎日本国有鉄道参与(新幹線総局総務局長)

○中畑説明員 お答えいたします。ただいま副総裁から申し上げましたような高架の要求が会社からありましたので、ただいま申し上げましたように、現地の当局では二億五千万円ということで話をまとめたわけでございますが、会社が出してまいりました要求書の中の二億五千万円の金の整理ということで検討いたしました結論ということで申し上げたいと思いますが、この踏切の問題につきましては、将来計画を含めてやるものという報告を受けております。その内訳といたしまして、町村道が十五カ所、県道、農道が三十三カ所、こういうことに相なっております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 実は見たわれわれが一番よくわかっておるのです。ですからこれはまたあとで話のケリはつけたいと思います。  そこでひとつ参考のために聞いておきたいのですが、近江鉄道が——先ほどちょっとこれも触れましたように、国鉄に対する精算、その他の全体の精算、あるいは駅の使用料というものがあると思いますが、こういうものに対する未払いが七千万円ほどあった、こういう現地の報告を聞きました。それでその七千万円というのは連帯切符と使用料なんですか。それとも使用料だけなんですか。そしてこれは昔からこの金は入っておったのですか。この金はどうなんですか。

山田明吉日本国有鉄道常務理事

○山田説明員 私は正確な日時と正確な金額はちょっと覚えておりませんが、大体七千万円程度の滞納額がございました。御承知のように国鉄は全国の私鉄約二百社と連帯契約をやっております。その会社できちんと国鉄が受け取りになる分と、それから国鉄が払わなければならぬ会社といろいろ性質が違いますが、近江鉄道はいつも国鉄がもらう立場の会社でございまして、そういう二百数社の会社の中で常に滞納をしておるというのが若干ございますが、たまたま近江鉄道は去年でございますか、金額としても約七千万円程度滞納状態にあったということは確かなことです。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 もしいますぐおわかりでないようでしたら——わかりますか、それは。たとえばその七千万円の内訳はどうなっておるか、それをひとつわかっておれば——わかっておらなければ……

山田明吉日本国有鉄道常務理事

○山田説明員 手元に資料がございませんで、連帯関係というのはありますが、ずっと滞納にはなっていなかったと思います。それは連帯精算の結果の金額でございますので、正確なところは後刻調べて御報告させていただきたいと思います。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 近江鉄道の距離からすれば、七千万円という連帯精算は相当な額だと思うのですよ。それでこれは参考のために言っておきます。近江鉄道が七千万円の滞納をしておったところの金を三億五千万円の中から引き去りましたというのは、現地の人はとうとうあれだけの金を払わないやつをぶんどってやった、これで金を取ったんだということの気持がその中にありました。ですからわれわれはひがんで考えるわけじゃないけれども、おそらく近江鉄道は正直に連帯精算というものはやっておらぬのじゃないかという気がするのです。ですから年度別の内訳をあとから資料で出していただきたいと思います。よろしいですね。  それからもう一つ。二億五千万円の例のいろいろな内容を持っておるところの近江鉄道に対する支払いですね。これはどういう方法で近江鉄道に渡されたのか。それから近江鉄道からはどのような受け取りがあるのか。それから国税関係では、これが一体どういうふうになっておるのか、お伺いしたいと思います。

中畑三郎日本国有鉄道参与(新幹線総局総務局長)

○中畑説明員 用地費と用地付帯費で決算をいたしております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 金を渡して、どういうふうに向こうには収納されているかということが一つです。こちらは二億五千万円を渡した、簡単にいえば受け取る、こういう形式のものはどのような形で処理されておるかということです。

山田明吉日本国有鉄道常務理事

○山田説明員 正確に調べた上でないと詳しいお答えはできませんけれども、大阪の幹線工事局で会社に対して支払いをし、当然それに対する受け取りというものはもらっていると思います。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 そうしたら、これもひとつその処理を明らかにしていただきたいと思います。よろしいですか。

山田明吉日本国有鉄道常務理事

○山田説明員 処理と申しますと、その金額、金を払った形式でございますか。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 国鉄から二億五千万円払っていますね。それで残念ながら七千万円差し引いたということは、考えようによれば、これはつけ加えぬでもいいのですけれども、へんとうは一億八千万円でよかった。一億八千万円でいいものを七千万円差し引くために二億五千万円になった、こういうふうにもとられる面があります。だからそういうことを言っておるわけじゃない。とにかく二億五千万円というものを国鉄が近江鉄道に支払った、その支払った方法ですね。それはどういうふうな形で支払っておるのかということです。それから今度は、どういうふうな形でその二億五千万円の金を受け取りましたという向こうからの書類がどういうふうになっておるかということ、それから私のほうで考えておるのは、国税庁の方に、近江鉄道がどのような処置を講じておるかということをあとから聞きたいと思っております。

山田明吉日本国有鉄道常務理事

○山田説明員 その御要求の内容はわかりました。ただ加えて申し上げておきますけれども、二億五千万円の支払いはあくまで新幹線総局の仕事としてやっておるわけでございますので、これはそういう支払いのルートで大阪の幹線工事局が払っていると思います。  それから滞納の取り立ての方が、これは連帯精算の処理でございますので、内部機構で申しますと、本社の経理局がその取り立てに当たっているわけでございますが、観念的にはうわさされるような金額の差し引きという観念があったかもわかりませんけれども、国鉄の仕事としては全然別のものでございますから、二億五千万円の支払いについての資料を用意いたします。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 そういうことになりますね、国鉄から七千万円を差し引いたというこのことは。ここに当日説明をしてくれた人は、幹線工事局次長の主任技師の宮下という人と同じく次長の宮内、この二人です。ですから七千万円をこちらで差し引いたというのですから、差し引いたものが二億五千万円にプラスされていくということになると三億二千万円になるのです。だから二億五千万円の中から差し引いたというふうにわれわれは聞きましたが、そうじゃなしに、二億五千万円を取ったというのですから、これは考えようによっては三億二千万円になるかもわかりませんよ。そういう関係がありますから、これは工事局の方と国鉄の方とひとつお調べをいただいて資料をいただきたい、こういうことです。  それでは今度は用地関係ですが、用地についてこういうものは一体どういう状態でこのような経過になったのかということであります。大体現地で説明をされたのは、当初は反当たり四十万円、坪八千円弱だと思うのですが、そういうことで予定していたけれども、実際に買収価格は六十万円になった、五〇%高くついたということです。それから宅地の買収は坪一万五千円から三万円くらい予定しておったのが、特に京阪神あたりでは二十万円くらい払ったところもある、こういうのであります。この当初の土地の価格についての予想額と実際の所要用地、こういうものに対しての計画面の相違というものは一体現地で言われておったことでよろしいのかどうか。こちらのほうで現地で説明を受けた点と相違はありますか。

中畑三郎日本国有鉄道参与(新幹線総局総務局長)

○中畑説明員 現地で先生がお話をお聞きなさいましたのは、どの土地の点についてのお話でございましたか、説明申し上げました者がどういうことでお話し申し上げたのか、そこのところがわかりませんのでお答えしにくいのでございます。ただ私のほうの手元でわかっておりますのは、全線的に見ましてどういうような傾向にあるかということでございますと、数字もございますので御説明申し上げることができるのでございますが、現地でお聞きでございましたのがどこのどの土地についてということで御説明申し上げましたのか、ちょっとわからないものですから、全般的な御説明を申し上げてよろしいでしょうか。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 最初に線路用地というものが計画されていますね。それで最初と最後の実際の数字の違い、これだけでよろしいです。金額はまた別にしますから、よろしい。  それからもう一つ、実際に現状を見てみると、至るところにそういう問題があると思うのですけれども、工事ははたして予定どおり来年の五月ころまでに運転できるような状態になるのかどうか、こういう点について現地ではこういうふうな答えでした。とにかく七月ごろまでに何とか走らせるような状態にはやりたいと思っておる。したがって俗にいう公試運転の期間は最初の計画であるところの半年くらいやろうということは、大幅に縮まるわけですね。その際に駅舎なんかも半分くらい未完成のところも残るでしょう、こういう答えであったわけです。そういうことについて総局のほうではどういうふうに掌握されておるか。これは全体的に言える問題ですけれども、来年の十月を目途にほんとうに新幹線の運転が可能なりやいなやという心配も多分にみな感じたので、その点について総局のほうでの掌握状態をお聞きしたいのです。

中畑三郎日本国有鉄道参与(新幹線総局総務局長)

○中畑説明員 近く幹線工事局長会議を開催することになっておりまして、その会議で工事の工程の進捗状況と最終的な見込みをつける技術的な検討会をやりたいと思っております。ただいままで本社のほうで承知いたしておりますところでは、過日先生にごらんいただきました地区については、わりあい早く完成する見込みでございまして、車両の準備も、できましたときにはなるべく早く部分的な試運転をやって、乗務員の訓練なり線路を固めるなり何なり、そういうことをやりたいというくらいの計画をしておるところでございます。そういうわけでございますので、琵琶湖の東岸地区については、わりあい早く竣工できるのではないかという見込みでございます。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 この間予算委員会の答弁では、十二両と十両というような何かことばのなにもあったようでありますが、両数の若干の変化はともかくとして、実際に最初の計画のとおりの、幹線を通じて言うところの時速二百キロ以上で走るテストというものは、そう簡単にはできないと思うのです。われわれが行って聞いた実情の中で、とにかく七月一ぱいかかって何とか工事の目的だけは達しようと思っておる。これは駅なんかは別ですよ。とにかく線路の基盤だけをつくって線路を列車が走れるようにしよう。こういうことになると、八月一ぱいと九月一ぱいしかないわけです。二ヵ月です。二ヵ月で常時運転できる自信の持てる状態まで試運転をやろうということになると、実際にはこれはたいへんだと思うのです。しかも、七月末を目標にというこのことばの裏には、なみなみならぬ決意をもってとにかくこれからまだ一生懸命に工事をやるのだ、こういうことがうかがえると思うのです。したがって、総局では、大阪地域だけではなしに、全体的にどういうようにほんとうに掌握しておられるかということが大切であろうと思うのです。ですから、ただ地域の報告を聞くといういままでのやり方だけではなしに、実際に現地の実情を、これならやれるという自信を総局のほうで持っておられるのかどうか、こういうことが私は心配になるのでお聞きしておるわけです。ですから、そういう状態をあなたのほうでは報告だけによって掌握されておるなら大いなるあやまちが出てくる、こう思いますが、いかがですか。

中畑三郎日本国有鉄道参与(新幹線総局総務局長)

○中畑説明員 先生からお話がございましたように、報告だけで判断するというようなことではございませんで、幹線総局の関係の技術者が現地の関係技術者と十分協議いたしまして、工事工程を立てておりますので、現地の判断と本社の判断でそんなに食い違いはないものと考えております。ただいまお話がございました点で、路盤工事の最終段階に並行いたしまして、電気関係の工事でありますとか軌道関係の工事もいたしますので、七月一ぱいで運転に関係のある工事が竣工することに相なりますと、八月、九月の二カ月間で通電いたしまして、試運転をやることになりますので、何とか開業するには支障がないようにやっていけるのではないかという判断をいたしております。もちろん関係の技術者といたしまして、七月の下旬の工事竣工の予定をもっと繰り上げたいということでがんばってやるつもりでおりますので、近く開催いたします幹線総局長会議で、竣工期をあらゆるくふうをして、幾らかでも繰り上げるように努力をするという、そういう打ち合わせ会をやりたいと思っております。そんなことでございますので、御了承願いたいと思います。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 そういうことなら確実にこの工事が進行できるように十分御協議を願えることだろうと思います。  それからもう一つ、これは用地の問題でちょっと聞くのを忘れていましたが、まだ京都市内に用地の買収が未解決のところが一部ありますね。これはなんですか。早急に見込みが立つのですか。京都市内ですから、なかなか場所もむずかしいところだと思うのですが……。

中畑三郎日本国有鉄道参与(新幹線総局総務局長)

○中畑説明員 いろいろ錯雑した事情にあるのでございますが、一件々々粘り強く折衝を重ねまして、だんだん関係の戸数も減ってまいっておる現状でございます。最終的にどうしても話し合いがつかないときには、土地収用法によって、その手続に移すこともやむを得ないのではないかと思っておるのでございますが、現地側からの最近の報告によりますと、話し合いで工事に支障のない限度で何とか結論を出せる、こういう報告を受けております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 土地収用法と言われますけれども、なかなかそう簡単にはいきませんよ。土地収用法にかけたところでそう簡単に片づかぬのですから。実際にもう来年の秋には動かさなければならない。そう簡単にいきません。ですから土地収用法という問題はさておいて、ここまでくればもうすみやかに用地問題を解決しなければ工事にかかるわけにはいきませんから、特に京都市内ということを聞きまして私ら一まつの不安を持っておりますから、これらについては積極的に解決されるように努力をされる必要があるだろうと思います。  質問を終わります。

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 次会は、明七日金曜日、午前十時より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時十四分散会

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