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43回国会衆議院1963/05/23

運輸委員会 第26号

発言数
65
登壇者
9
会派数
2
開催日
1963/05/23

会議録

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 これより会議を開きます。  福家俊一君外二十三名提出、観光基本法案を議題として審査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。

久保三郎日本社会党

○久保委員 観光基本法案について若干御質問を申し上げるわけでありますが、この基本法案では観光のいわゆる定義というか意義というか、そういうものを明確にされたことは一つの進歩だと思うのです。同時にこの前文のところにうたってある現状に対する分析でありますが、この現状分析について一言お尋ねしたいのであります。この条文によりますれば、「現状をみるに、」云々となっておりまして、現状については、すなわち観光の使命達成のための基盤整備や環境の形成は不十分である、こういう現状、それに最近における所得水準の向上と生活の複雑化、こういうところからくる観光旅行者の増加、こういうふうに書いてあるのでありますが、この増加あるいは観光に関する国際競争の激化等の事情と相まって、観光の経済的、社会的存立基盤を大きく変化しようとしている、こういう現状の分析であります。  そこでお尋ねしたいのは、いかなる形というか、どういう方向で観光の経済的、社会的存立基盤が大きく変化しようとしているのかどうか、こういう見通しというか、そういう問題について御説明をいただきたい、かように思います。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 観光基本法案参考資料をお手元にお届けいたしておりますが、この数字で御説明さしていただきたいと思います。  まず第一ページに、目的別来訪外客数及び外客推定消費額の推移というのがございますが、昨年、昭和三十七年に二十七万八千二百人の来訪外客がございまして、その外客の消費いたしましたドルを推定いたしますと一億五千万ドル、こういう表が出ております。昭和三十一年から過去数年間についての統計額がここにあるわけでございますが、この表をごらんいただきますと、ここに指数がございますが、対前年比率は歴年ずっと増加の傾向をたどっております。昨年は一億五千万ドルでございますから、邦貨に換算いたしまして五百四十億円、日本の貿易額を約五十億ドルと仮定いたしますと、その三%に当たる額になるわけでございます。  それから、その次の二ページに、主要国籍別入国外客数が出ております。これはわが国に来訪しました外客数の国籍別の数でございます。結局これをごらんいただきますと、アメリカが五四・三%ということで、半分以上はアメリカから来ております。もっとも三十七年の数字は通過観光客を含んでおりません。またこの統計がはっきりしておりませんけれども、いずれにしましても半分以上はアメリカ人である。したがって昭和三十六年におきましても五三・二%ということで、これまた半分以上である。昭和十一年の統計を見ますならば、アメリカが二二・八%、お隣の中国が二六・七%ということで、中国からの来訪外客のほうがアメリカよりもはるかに多かったのでございますけれども、今度の第二次大戦を契機としまして、お隣の中国からの数字は四・八%あるいは五・五%というふうに、非常に減っております。つまり今度の大戦というものが、わが国の国際観光に及ぼした一番大きな影響は、お隣の中国からウエートがアメリカに移った、こういうことがいえると思うのでございます。これが最近のわが国における来訪外客の趨勢でございます。  そのように入ってまいります来訪外客が日本に滞在する日数でございますけれども、この日数もここ数年来漸減の傾向にございます。かつては十五日ないし十六日滞在いたしておりましたものが、最近では十二日ないし十三日ということで、数年間のうちに約三日間短縮をいたしております。結局そのように短縮いたしました原因をいろいろ分析してみますならば、今までは金持ち階級だけの旅行観光というふうなものであったものが、いわゆるサラリーマン階級に至るまで自分のサラリーを積み立てて、そうしてまとまった休暇をとって世界旅行に出かけるというふうな傾向が世界的に多くなってきたのではないかと思われるわけでございます。要するに低所得者層にまで観光旅行というものが普及してきた、大衆旅行というふうに形態をとりつつあるということがいえるのではないか、かように考えるわけでございます。したがいまして、それに対する受け入れ側の問題といたしましても、今までのような高所得者層を対象にした受け入れ施設よりも、低所得者層を対象にしたところの観光受け入れ施設というものを整備していかなければ世界の趨勢に合っていかない、かようなことがいえるのではないかと思うわけでございまして、そういった観光界の動向が、いわゆる社会的、経済的の基盤が変化しつつあるというふうなことばで表現されておるのではないかというふうに考えるわけでございます。  ただいまは国際観光について申し上げたのでございますが、国民観光につきましても同様のことがいえるわけでございまして、一般に推計されておる数字によりますと、日本人が一年間に泊まりがけの旅行に出かけます回数は六千万人回と推定されております。六千万人回と申しますのは、かりに一億の人口と仮定いたしますと〇・六、国民老いも若きも男も女も入れまして、六割のものが一年間に泊まりがけの旅行に出かけておる、こういうような統計が推計されておるわけでありまして、このようなことは、いまだかつて数年前には想像もできなかったようないわゆる旅行ブームと申しますか、この複雑な都会生活からの緊張の緩和と申しますか、そういったことで、だんだん、だんだん私どもの想像以上にこの旅行というものが著しくなっておるのでございます。  こういうふうなことを考えてみましても、やはり国際、国内を通じて、いままでのいわゆる金持ち階級だけの旅行から一般大衆への旅行へと、旅行の質、内容も変化しつつあるのではないか、かように考えるわけでございまして、そういったことを中心に考えていかなければ、今後の観光問題に処せられないのではなかろうか、かような見解を運輸省としては持っておるわけでございまして、そういった気持がこの前文にあらわされているのではなかろうかというふうに運輸省としては考えておるわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そこで、いまの現状分析でありますが、これは一番大事だと思っているわけです。そこで意義は確定した、現状の分析に立ってどう観光を振興していくかということだと思うので、特にお尋ねしたわけでありますが、ここに書いてあることは、なるほどいま御説明のとおり一つの問題があると思うのです。そこで結局受け入れ体制というか、わが国におけるところの観光の基盤整備が不十分であるというところからして、たとえば最大のお客であるところのアメリカからの受け入れにしても十分でないし、さらに未開拓のその他の国々に対しての受け入れ体制も十分でなくなってきた、こういうふうにとれば、これは社会的な存立基盤云々ということになると思うのですが、それ以上に、ここでいわんとするところは、おそらく、結局観光施設というか、そういうものが整備されないままに、いわゆる国内でいえばレジャーブームというところで、さらには観光事業経営者というか、そういうものの単なる観光事業経営の効果をねらって観光開発というようなものがどんどんできてくる。ともすれば健全なるべきところのソシアル・ツーリズムが正常な姿で発展できない形もある。あるいは国際的には御承知の、先ほど観光局長が述べたようないわゆる変化があり、これに伴うところの受け入れ体制がない、こういうふうにとらえていいのではなかろうかと思うのです。そこで観光に関する「国際競争の激化」という文字が使ってありますが、これはいかなる形態をとらえて激化と称するのか、これはむしろ実際に扱っている観光局長にお尋ねした方がいいかと思うのでありますが、いかがですか。これは提案者から御説明を願いたい。

福家俊一自由民主党

○福家議員 お答えいたします。  国際激化ということは、アジア地方におきましても、たとえば香港のごとく非常にあらゆる施設、あらゆる宣伝につとめて外客の誘致に全力を傾倒しているような地域もございます。それに引きかえて、日本は最近相当国際観光客を香港に取られておる、こういう状態でございます。また沖繩も最近非常な努力をしておる、こういうように外貨獲得という大きな収益がございますので、観光に対しては各国も非常な助長政策を行ない、また誘致のために全力をあげておるというような状態から激化ということばを使った次第でございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 わかりました。そこで観光局長に先ほどの御答弁の中で関連してお尋ねしたいのは、戦前わが国の国際観光の雄たる市場は中国でありました。ところが先ほどの御説明のとおり、現在におけるところの国際観光旅客の比重というのは、アメリカ観光客によって五四%を占められておる。そこでアメリカの市場開拓というか、こういうこともかたがた推進しなければならぬと思いますが、特に極東の観光という観点からも、あるいはわが国の国際観光という観点からも、対中国対策というか、これを忘れては相ならぬと思われるのであります。もちろん今日ただいまでは国際的な障壁というか、そういう外交的な大きな問題が横たわっておるわけでありまして、なかなかこれを一挙に解決することは困難かと思うのでありますが、この前文で書かれているように、この観光の目的なり意味というものが国際親善、国際平和、相互理解を深めていくという非常に大事な点をとらえるならば、当然かかる意味におけるところの障壁を取り除くところの政策を今後とも強力に実施すると同時に、これが対策について今後具体的に策を練らなければならぬ、こう思うのであります。一たん中国と日本との間の障壁が取り除かれた場合においては、それからでは事はおそいと思いまして、だから今後立てられるべきところの日本を中心にした極東におけるところの観光ルートの設定、そういうものを計算に入れて、予定して立てられなければならぬ、こういうふうに思うのでありますが、この点はどう考えられておりますか。

福家俊一自由民主党

○福家議員 御説ごもっともでございまして、現に国民政府、台湾、沖繩、日本、香港、この四つの間におきましてアジア観光ルート協定というものを結んで話し合いが進みつつあります。ところが最近に至りましてそれを聞きました韓国側からも、韓国も入れて五つのルートにしてほしいというような機運が非常に盛り上がっておることは事実でございます。いま久保委員からお話がございましたように、中共、いわゆる中国との関係はどうするか、これは国交回復いたしましたならば、当然そういう問題が惹起されると思いますし、特に、私、個人にわたって恐縮でございますが、私は中国で十五年育った者でございますので、その点は社会党の皆さま以上に理解を持っておるつもりでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そこでこれは議員立法でございまして、これはおそらく三党共同提案でありますから、間もなく本国会を通り、成立するかと思います。しかも基本法でありまして、言うならば具体的な活動開始はこの条文にあるところの審議会の活動がまずさしあたりでありますが、言うならばこの基本法に基づくところのそれぞれの具体的な関係法律というか、制度というか、そういうものが今後逐次実施に移されねばならぬと思う。そのときに、議員立法なるがゆえにともすれば官僚組織の中では——残念ながら基本法でありますから、具体的にはそれぞれの官庁に対して指示命令は下しておりません。そういうかっこうが出ておりますので、基本法はできたが、この基本法に基づく施策がさっぱり実施できないというような心配もあるわけであります。もちろん政府当局は観光政策についても積極的な意欲は燃やしておると思いますが、ここに基本法を出さねばならぬという理由は、一にかかって各関係官庁におけるところのいわゆる積極性というか、そういうものがともすればセクショナリズムによって阻害されている面も多々あると思うのです。そういう観点からここに御出席いただいている関係各省の担当の皆さんから御見解を承りたい。この提案されている基本法案についていかなる御見解を持っておられるか。最初に運輸省の観光局長、大石政務次官——いなければようございます。あとで運輸大臣か何かに聞きますから。では観光局長並びに内閣審議室長、それから厚生省の国立公園部長、このお三方からひとつ御所見を承りたい、かように思います。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 運輸省としましては、本法案を観光立国の宣言と受け取っております。したがいまして、ただいままでややもすれば物見遊山というふうな観念にのみとらわれがちであった観光の観念がぐっと百八十度転換されまして、観光というものはりっぱな産業であるというふうな観点をそこに押し出されまして、そして国際平和と国民生活安定の象徴であるというふうな考え方でこの観光が貫かれておる。要するに、端的に申し上げますと、観光立国の宣言である、かように私どもは受け取っておるわけでございます。したがいまして、この御趣旨に沿うべく運輸省としましては今後ともできるだけの努力を尽くしていきたい、かように考えておるわけでございます。ただいまお話のとおり基本法であり、いわば憲法でございますから、この法律そのものには具体的な問題をお取り上げにならないのは当然でございますが、この基本法に基づく、いわゆる子法——子供の法律としまして、運輸省は運輸省の所管範囲においてそれぞれ検討をして、将来いろいろの法律をつくっていきたい、かように考えておるわけでございます。  なお現在子法に当たるものとしまして、運輸省の所管の法律で申し上げますならば、国際観光事業の助成に関する法律、これがすでにございます。それから日本観光協会法、これもございます。通訳案内業法、旅行あっ旋業法、国際観光ホテル整備法、このような法律がすでに子法としてできておる、かように受け取っておるわけでございます。したがいまして、新たに基本法の観点から、この子法に当たるいま申し上げましたそれぞれの法律を新たな見地から再検討をいたしまして、所要の改正を要するものは改正をしていく、このような方向で将来進んでいきたい、かように考えております。  なお将来立法を必要とする場合、事務当局としてただいま検討をいたしております問題は、国際観光地及び国際観光ルートの整備に関する法律、このようなものが当然要るのではないか、あるいはまた観光関係企業の財団抵当法、現在たとえば鉄道だとか自動車だとか、こういったものについては財団抵当の制度がしかれております。しかしながら、残念ながらまだ観光関係企業についてはそのような道が必ずしも十分講ぜられているとはいえない現状でございます。しかも財政投融資にいたしましても、その他いろいろの金融的な面にいたしましても、観光というものはどうしてもいままで第一義的に考えられなかったようなきらいがないわけでもございませんので、こういったことからやはり観光関係企業についての財団抵当法のようなものが考えられないだろうかというふうな気持を持っておるわけでございます。  それから第三は、最近御承知のとおり積み立て旅行というものが非常に盛んになっております。現在積み立て旅行は主として団体旅行をするための積み立て旅行が行なわれておるわけでございますけれども、決してこの団体旅行だけをみんなが好ましいと考えておるわけではないようでございまして、たとえば家族旅行というふうなものも将来できればしたいという気持をみんなが持っておるのではないか、かように考えるわけでございまして、そのような立場からこの積み立て旅行法というふうなものを新たな観点から考えて、法的整備をはかっていってはどうか、かように考えておるわけでございます。すでに諸外国におきましては、こういった法制も整備されておりますし、なおまた旅行金庫法というふうなものが観光の先進国においてはつとに法律化されておるような現状でございますので、われわれとしましても、そういった諸外国の法制を十分に検討いたしまして、そのような方向で進んでいきたい、かように考えておるわけでございます。

松永勇内閣審議官(内閣官房内閣審議室長)

○松永(勇)政府委員 観光につきましては、政府各省の各分野にわたっております。内閣審議室は各省の調整ということを主たる業務としてやっております。したがいまして、この観光に関しての各省間の調整ということは最も必要であり、また最も効果をあげなければならないというように考えております。観光基本法が成立いたしまして、これに基づく各省の施策というものを強力に推進いたしますことはもちろんでございますが、それの総合調整の点で内閣審議室が十分な働きをいたしたい、かように考えております。  それから現在内閣の付属機関として観光事業審議会がございますが、本法案が成立いたしますと、これが観光政策審議会というものに新しく生まれかわることになろうかと思います。観光事業審議会は昭和二十三年につくられて以来変遷はございましたが、現在までに三十数件の建議もしくは答申をいたしております。現に内閣総理大臣から所得倍増計画に伴う観光事業についていま諮問いたしておりまして、近くその答申がある段階にまいっておりますが、こういう問題につきましても、この観光政策審議会が発足いたしますと、あるいはそれに引き継がれまして、国民所得倍増計画に伴う観光事業というものを御審議、答申していただくことになるかと思っております。  大体私のほうで考えておりますのはさようなことでございますが、全体としての調整、先ほど申し述べました調整の効果を最も発揮すべき分野が観光にあるというふうに確信いたしておりますので、各省の施策を推進し、そうして調整いたしてまいりたいと思っております。

木村又雄厚生事務官(大臣官房国立公園部長)

○木村説明員 ただいま観光局長及び内閣審議室長からお話しになったとおりでございまして、この基本法案は、先ほど御質問がございましたように、観光の国際的、国内的、社会的な基盤というものは大いに変わってまいりまして、大衆の健全なる国民旅行というものが非常に普及発達しておるというふうな現状でございますので、この際にこういう立法をされるということは非常に時宜を得たことと考えまして、私どもといたしましても、この法案に盛られているような考え方によりまして、広く健全な国民の保健、レクリエーション等に寄与するようなそういう立場から、また同時にすぐれた日本の景観、風景というものを十分保護していきますとともに、それをまた活用するという方策を考えていかなければならない。その場合には公共的な施設というものを十分に整備していきますとともに、国民大衆が低廉で健全に利用できるようなそういう施設というものに重点を置いて整備していくというふうに考えていきたいと考える次第でございます。関係各省にわたるところが多うございますけれども、先ほどお話のございましたような政策審議会等を中心といたしまして、関係各省が協力一体となって積極的にこれを実施していくことが必要じゃないか、かように考えております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そこで提案者にいまの御答弁に関連してお伺いしたいのでありますが、この基本法の中でわれわれがいままで心配していた、いはゆる観光行政、これはなるほど観光事業審議会というものがありまして調整はとっておるというものの、実は各省庁にまたがっておる。御承知のように、観光局という名前のつくのは運輸省の一局であり、さらにいま御答弁なすった国立公園の関係は厚生省、あるいは森林というかそういうものは林野庁、道路に関してはこれはまた建設省、いろいろ多岐にわたっておる面が多いので、この基本法のねらいは観光事業を総合的な観点から振興しようというねらいがあるわけでありますが、総合的にやる場合にはいまの機構そのものではいささか不十分ではなかろうかと思う。なるほど御答弁によりまして、官庁間における調整は審議室を中心にしてやられるということでありますが、たとえば経済関係一つとりましても、経済企画庁というコントロール機関が一応あるわけでありますが、実際はなかなか思うように参らぬ、こういうのが実態だと思うのです。そこでこの新しい波に乗ろうとする、しかも観光そのものも従来の観念とは変わった形で今後発展しようとする要素が十分にあるし、またそうしなければいかぬと思うのでありますが、そういう際でありますから、われわれの考えとしては少なくともこの関係の各省庁にわたる行政事務というか、そういうものもある程度統一的に運営するような機構改革が必要ではなかろうか。さらに地域格差の是正あるいは日本全体における開発を考えた場合には、それぞれこれの統一的な運営のもとにおけるブロックの開発というものも考える。そうだとするならば、当然のごとく観光庁というようなものを設けて、もちろん政策そのものの基本については、この法案によるところの観光政策審議会というところを通して内閣総理大臣の直属としてこれを行なうことは当然だと思うのでありますが、これを実施、運営するためには、やはり観光庁的な機関を置き、いま各省にまたがっている、たとえば厚生省にある国立公園、こういうもの、あるいは文化財保護に関するものは文部省でありますが、こういうもの、そういうものを一元的に統轄する必要がありはしないか。さらにこの下には各ブロック、これは観光情勢にもよりますが、それぞれ地方機関として地方観光局というか、そういうものを置いてやることが妥当ではなかろうか、こういうふうに思うのでありますが、提案者としてはいかに考えておられますか。

福家俊一自由民主党

○福家議員 行政機構に触れる問題でございまして、理想といたしましては、私どもも観光省あるいは観光庁に現在運輸省にある観光局を昇格いたしましてこれを内閣に直属せしめるか、あるいは運輸省に存置するかというような問題も当然起きるのでございます。しかし何ぶん来年のオリンピックを控えまして、それに間に合わせたいということでありますから、行政機構の問題にはこの際触れずに、第一段階としてこの基本法を提出いたした次第でございます。  そこで、いま各政府関係者から答弁がございましたが、内閣審議室において、内閣において統一して今後の運営を見る。この基本法は三党が共同提案でございまして、いわば三党の共同責任でございますから、この法案が成立いたしまして、しばらく推移を見て、理想どおり、内閣においてわれわれの目的を完遂できるかどうかという期間を置きまして、それを十分検討し、その上においてあらためて三党間において御相談をいただき、当初考えておりますような行政機構の根本に触れるというようなことは当然起きると思います。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そこで、いまの本法案の形態からいって、国際観光というものが先になっておりますから、国際観光について、二、三諸外国の制度その他について観光局長並びに提案者からお伺いしたいのです。いまお手元に配られましたが、アメリカでは先年観光に対して新しい大統領教書というか、そういうものを出しておるのでありますが、アメリカの国際旅行法あるいはイタリアは何といってもやはり観光的には制度の進んだ国だといわれておりますが、そういうものはどうか。あるいは参考になるべき諸外国の観光に関する行政、こういうものもこの機会に参考として御披露いただきたい、時間的な制約もありますからかいつまんで一つ御披露いただきたい、こういうふうに思います。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 お手元にお届けいたしております参考資料の四ページ、「ヨーロッパ諸国の観光収支」をまずごらんいただきたいと思います。最後の欄に収支が一九六〇年と六一年、両年度にわたって書いてありますが、一番大きな黒字を出しておりますのがイタリア六億四千七百万ドル、それからオーストリア、フランス、スペイン、スイス、こういった国々が大きく黒字を出しておるところでございます。  それからその次の五ページをごらんいただきますと、「アメリカにおける観光事業の推移」というのが下の方の欄にございます。これの「観光赤字総額」が、アメリカが一九六一年には十一億七千五百万ドルというふうな数字が出ております。つまりアメリカヘの観光収入とアメリカ人が海外観光に出かけて支払いをいたしましたドル、それを差し引きをし、なおかつアメリカの運輸業者にアメリカヘやってくる人が支払った金額、つまり収入と、今度は逆にアメリカ人が外国の運輸交通業者に支払った額、こういったものを足したり引いたりいたしましたものが一年間に十一億七千五百万ドル、こういう赤字になるわけでございます。結局アメリカの赤字がこの年には約三十数億ドルというふうに報告されておりますから、アメリカのいわゆる国際収支の赤字の約三分の一が実は観光事業の赤字である、こういうふうな事態が一九六一年に統計となってあらわれたわけでございます。したがいまして、そのような結果、一九六一年の二月に国際収支と金問題に関する特別教書といういわゆるドル防衛策がケネディの政策として打ち出された。それが直ちに国際観光の面におきましては、ただいまお手元にお配りいたしておりますような法案となってあらわれてまいったわけでございます。俗称「国際旅行法」、かように申しておりますが、正式の名称は「商務省内に米国観光局を設置することにより米国の内外通商を強化する法律」、これが正式の名称でございます。一九六一年の六月二十九日に大統領が署名をいたしております。おもな内容でございますが、目的は米国の内外通商を強化し、外客の米国訪問を促進し、かつ一般的に国際旅行を容易にすることによって、米国に対する友好と理解を増進させようとするものでございます。こういった目的のためこの法律がつくられておるわけでございまして、現在アメリカは、ロンドン、フランクフルト、パリ、シドニー、サンパウロ、メキシコシティ、それから東京、この七つの在外事務所を観光局直属として設置をいたしまして、そして外客の誘致宣伝を一也懸命にやっておる、このような状況でございます。そのように、アメリカが、いままではむしろどっちかと申しますと、アメリカへの誘致ということよりもアメリカ人の海外旅行を奨励しておった政策から、いま申し上げましたように、ドル不足を緩和するために、百八十度の転換をしたというふうなことが、これまた直ちにヨーロッパ諸国にいろいろの影響を与えたわけでございまして、アメリカがそのような政策を打ち出したのならば、こちらはそれを上回る強烈なる誘致策を講じなければとても太刀打ちできないというので、それぞれヨーロッパ諸国が打ち出した方策がございます。たとえば入国査証を廃止するというふうなことで、特にOECD諸国の相互間においては、ほんの一部を除きまして査証が廃止されております。それのみならず、ヨーロッパの各国相互間では、観光旅行に関する限りは旅券の廃止まで行なわれております。それから外貨の割り当てでございますけれども、これは国民一人々々に外貨の割り当てをいたしております。方法は、調べたところによりますと、国民の持っておりますところの旅券に毎年外貨の年間割り当て額を記入するそうでございます。しかもその年間割り当て額というものは、毎年々々、国民の旅行が不自由にならないように、自由に旅行ができるように割り当て額をふやしつつある、このような状況でございます。それからまたヨーロッパ諸国、鉄道は斜陽産業だといわれておりますけれども、まあそれかどうかは存じませんけれども、ヨーロッパの十三カ国、西ドイツ、オーストリア、ベルギー、デンマーク、スペイン、フランス、イタリア、ルクセンブルグ、ノルウェー、オランダ、ポルトガル、スウェーデン、スイス、この十三カ国の鉄道が相ともに提携いたしまして、アメリカ、カナダ等からのお客さんを引きますために、この十三カ国の鉄道を二カ月間一等で自由自在に乗って回れるパスというものを百二十五ドルでアメリカで売り出しております。アメリカで百二十五ドルでそのパスを買いまして、ヨーロッパへ来られました外人観光客というものは、二カ月間、もう一日のすきもなく鉄道に乗り回すことも自由でございますし、あるいはまたその間の特定の区間だけ気に入ったからといって往復されるのも自由でございますが、とにかくそのような方法を相協力してアメリカに対して打ち出しておるというようなことが、盛んに世界各国がこの観光宣伝に力を入れておるというふうな証拠ではないかというふうに私ども考えるわけでございます。  それから最近国際観光市場において二つの相ことばと申しますか、スローガンがいわれております。一つはツー・ウエー・トラベル、つまり貿易自由化ではございませんが、自分の国もお客さんを出すからお前の国からも観光客を自分の国へよこしてくれというふうに、お互いに観光客を送ったり送られたりしようじゃないかというふうな政策を出しております。相手方からだけお客を一ぱい取り入れ、自分の国からお客は出さないというふうなことは、どうも国際観光市場におきましてはだんだん時代おくれになりつつあるのではないかというふうな気もするわけでございます。もう一つのスローガンは、ソフト・セールスからハード・セールスへということばが言われております。つまりソフトなセールスのあり方、つまりムードだけを売って、日本はよいところでございます、いらっしゃいませというふうなムードを売るような旅行の売り方から、ハード・セールスで、どのぐらいの金額でおいでになるならば、日本はどことどこが回れます、もしあなたが日本の文化に興味を持っておられますならば、こことこことをこのような日数で、このようなコースで、このような金額で回れます、いわばかゆいところに手の届くような旅行の売り方、こういったことがハード・セールスじゃないかと思うのでございますけれども、このようなことが世界各国を通じて非常に何と申しますか熾烈になってきつつある状況でございまして、日本もいつまでもフジヤマ、ゲイシャガールといった程度の観光宣伝ではとうてい世界の国際観光市場に対して太刀打ちはできないのではないかというふうに私ども反省をし、将来とも十分にそのようなことのないように努力を続けていきたい、かように考えておるわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 観光局長のお話でありますが、そこで、それでは将来に向かって日本は国際観光としての将来性はあるのかないのかという診断についてはどう考えておりますか。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 ただいまの御質問に対しまして、この三ページの四つの表が参考資料にございますので、これをちょっとお開きいただきたいのでございますが、「わが国への来訪外客数の推移及び今後の見通し並びに過去のオリンピック大会開催国のオリンピック開催前後における外客来訪状況」という表でございます。この一番上の左のほうのワクの中に、ただいまお話の「わが国への来訪外客数の推移及び今後の見通し」が出ておるわけでございます。昭和三十一年から三十七年までは、これは実績でございます。このように対前年一割七、八分、多いときには二割というのが一番多い年でございましたが、とにかくそのような状況でなだらかにカーブを描いて上昇を続けておるという状況でございます。それから昭和四十五年、これはいわゆる所得倍増計画の達成できます年を目標に計画を立てたわけでございます。実は観光事業審議会への諮問に基づいて答申が出された数字でございます。その昭和四十五年と申しますと、世界の主要国の国民総支出が一兆ドルになる年だ、かようにいわれております。その国民総支出が一兆ドルになるという四十五年において、日本への観光客がどのくらい来るであろうかというふうな相関関係からいろいろなデータを出しまして推計いたしますと、結局外客消費額ベースで六億一千万ドル、このような数字が期待できるわけでございます。またそれを達成しなければならない目標として与えられるわけでございます。その六億一千万ドルは邦貨に換算いたしますと二千百九十六億円になります。その二千百九十六億円、六億一千万ドルというものを達成するためには、現在のベースでまいりますならばどのくらいの来訪外客が来れば達成できるかということでございますが、約百二十五万人の来訪外客をわが国へ迎えますならば所期の目的が達成できる、かように考えられるわけでございます。その百二十五万人という目標と今までの実績とを結び合わせてみますならば、このようななだらかなカーブが描かれる。つまりわれわれの努力いかんによっては決して達成できない目標ではなくて、努力いかんによってはこれは達成できる目標である、かように私どもは考えておるわけでございまして、いたずらに手をこまねいておってお客さんがやってくるというわけのものではございませんので、今後とも十分に対外宣伝網の充実強化というふうなことをやり、そして同時に、来られました来訪外客に対しましては、十分な受け入れ設備あるいは接遇の向上というようなことを考えまして、その目標を達成したい、かように考えておるわけでございます。この数字は、先ほども申し上げましたように、観光事業審議会の御専門家の方々にいろいろ御検討いただきまして答申いただきました数字でございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 観光局長、いまのあなたの御説明は、半ば期待というか、そういうカーブではないのか、四十五年には百二十五万人、こういうカーブでいけばこうなるだろうということでありますが、これは一つは期待的な数字だと思うのです。なるほど三十九年にはオリンピックがありますから、当然オリンピックの年には外客の入り込みは多いのはあたりまえであります。しかしそのカーブがそのまま持続できるかどうかは、一にかかって日本の国際観光的な視野から見た観光資源の値打ち、いわゆるその開発、そういうものが忘れられてはならぬと思うのです。でも、その観光資源がないところに期待をしてもこれはいかがかと思うのでありまして、国際観光的な観点から見ての開発さるべき観光資源というのは、はたしてあるのかないのか、これはいかがでしょうか。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 ただいまお話しのように、われわれはこの目標に対して努力をする、期待しておる数字であるということにつきましては御指摘のとおりでございます。ただオリンピックが開かれますと、そのときだけはどっと外客も押し寄せて、そのあくる年からはずっと減るのではなかろうかというふうなことも一部で言われたこともございますので、われわれとしましてはオリンピック開催前後に一体どのような傾向をたどるものであろうかということを、過去の三回のオリンピックを開きました国々について調査検討をいたしたのがこの表でございますけれども、とにかくオリンピックというものを中心に、その国々の観光というものは非常に伸びておるということが言えると思うのでございます。したがいまして来年のオリンピックが終われば、またオリンピックというものを契機に、日本の国際観光は躍進すると私は確信をいたしておるわけでございます。もちろんオリンピックに来られました方々に十分な満足を得て帰っていただくということが前提ではございますけれども、とにかく日本の国際観光の将来というものは私は明るい、かように確信を持っております。もっとも、日本の景色だとかそういった観光資源については、私は私の狭い経験ではございますけれども、決して諸外国に比べて劣るものではない、むしろ観光資源そのものではなくして、観光資源の開発のあり方に、日本としては反省検討すべき点が多々あるのではなかろうか、かように考えるわけでございます。そのような意味から、やはり国際観光地、国際観光ルートの整備というふうなことが重点的に取り上げられていかなければならないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。資源がないわけではなくして、資源開発のあり方に、日本としては考えなければならぬ点があるのではなかろうか、かように信ずるわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 なるほどおっしゃるとおりかと思うのでありますが、なお御指摘にあったように、日本の観光といえばフジヤマとゲイシャガールというような単純なことでは、相互理解の役にも立たないし、かえって誤解の種にもなる場合があることでありますから、新しい観点から観光開発はやらなければならぬ。ところがいまの観光開発は、国立公園部長もおいでになっておりますが、なるほど国立公園については相当制約というか、資源開発を正常な姿でやらせる方向はありましょうが、しかしそれ以外の新しい観光資源の開発は、言うならば観光開発事業者、そういう経営の主体にまかされて、ともすれば日本の観光というのはゆがめられた姿で今日いっているのではなかろうか、これは前段に御指摘になったところの観光の経済的、社会的基盤を大きく変えようとしておるというところにねらいがあると思うのです。これに対する反省というか、これに対する考え方はどう持たれておるのですか。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 観光資源の開発のあり方に問題があるというふうに私申し上げたのでございますが、もちろん資源の開発には、資源そのものを観賞に行く、観光に行くべき手段、たとえば道路、交通機関その他の旅行関係の受け入れ施設、こういったもののあり方にも問題があるわけでございますが、その中で、やはり先ほど申し上げましたように、いわゆる社会的、経済的な基盤が変わってきつつあるということは、一般大衆の旅行というものが非常に多くなってきつつある、こういうことだと一言にして言えば言えるのではないかと思うのでございます。そうすれば、結局低廉な、しかも観光地にふさわしいような施設、もっと端的に申し上げますと、家族連れで旅行をいたしましたような場合、特に年ごろの自分のうちの女の子でも連れて旅行をいたしましたような場合に、おやじさんの方が顔を赤らめなくても済むような観光地の整備、こういうふうなことが日本においてはまだまだこれから考えられていかなければならないんじゃないか、かように考えるわけでございます。観光地にはスポーツ関係、スキーだとかスケート、山登りというようなスポーツに適した観光地もございますれば、いわゆる団体観光客が出かけていくのにふさわしいような観光地もございますし、あるいは家族旅行を静かに楽しむような観光地もあると思うのでございまして、それぞれの観光の目的、質、内容に応じた観光地というものが適切に配置整備されていかなければならない。ところがいまの日本の現状は、家族旅行も団体旅行も、いわゆるスポーツ関係の観光も、何もかも一しょくたにごちゃごちゃになって、これが観光地といわれておるのが現状じゃなかろうかと思うのでございまして、これでは全く観光基本法が泣くと思うのでございます。そういうふうな意味におきまして、私どもはこの御趣旨に沿いまして、十分にそのような方向で進んでいきたい、かように考えております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 公園部長にお尋ねしますが、結局観光施設の不備、特に社会的な施設の不備、そういうものが一つ片方にある。片方では、この基本法でもいっておるように、いまのレジャーブームというか、そういうものが非常に多くなってきた。そういう関係から、これを単なる営利事業の対象のみに考えて、ともすれば日本のあるべき姿、あるいは健全な観光のあるべき環境というものを、単なる営利事業の観点から開発していくという傾向が非常に強い。なるほどおたくのほうの管轄であるところの国立公園そのものは、ある程度の規制をされて健全な方向へ持っていっておられるようでありますが、しかしそれをしも残念ながら政府の施策というものがおくれがちでありますから、そこでチャチな——と言っては語弊があるかもしれませんが、単なるチャチなゆがんだ形の観光施設というものがつくられてきた。これではこの基本法ができても、これを許す限りにおいては、残念ながら正常な観光の姿はあり得ないだろう、こう思うのですが、これはどういうふうに考えていられますか。

木村又雄厚生事務官(大臣官房国立公園部長)

○木村説明員 ただいまお話のありましたのはごもっともでございまして、お話のとおり、私どものほうは自然公園法というのを持っておりまして、自然公園の中には国立公園、国定公園、そのほかに県立公園というのがございますが、国立公園、国定公園につきましては国が公園計画を立てまして、いまおっしゃいましたように特別に保護しなければならない地域、あるいはそれに準ずる地域というような地域割りをいたしまして、そういう地域にいろいろ施設を設けます場合には、厚生省の許可ないし認可を要するということで指導をいたしておるわけでございますが、そういう国定公園、国立公園になっていないところであって、なお景観のすぐれたところも多数ございますので、そういう景観保護の観点、あるいはこの基本法にもございますように、観光地の過剰利用というものを解消する意味で、新しいそういう景勝の地を観光地としてつくり上げていく、あるいは地域開発というふうな面からそういうものをつくり上げていくというふうな意味で、国立公園、国定公園を一そうふやしまして、景観の保護に当たりたいというふうな考え方でやっておりまして、審議会の答申を得ましたので、今後そういうふうな方向で景勝地等の保護に当たっていきたいと思います。なおそのほかに、ただいま申し上げました県立公園というのがございます。これが全国に二百二十くらいあるわけでございまして、この中にも相当景勝のところがございますが、これは法律に基づきますけれども、もっぱら県の条例によってやっておりますので、そういう方面にも十分指導いたしまして、景観の保護、健全な自然環境の保持、また健全な事業の育成整備というふうなことについて努力してまいりたいと思っております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 これはなお基本法が通りましたあとで、御列席の三者の所管になろうかと思うのでありますが、この規制なくして、観光開発といっても、これは話が違うと思うのです。やはり規制する方法を考えるべきだと思うのですが、観光局長の御所見はいかがですか。たとえば私は見ておりませんが、ある一つの島をある特定の会社が一手に引き受けて観光開発をするというのは、これは国の政策がどこにか関係しておりますか、いかがですか。たとえば御案内のとおり箱根山騒動というのがありまして、いまどうなったかわかりませんが、みにくいある企業体の争いがある。そしてあたらその観光旅行者に不快な思いをさせるばかりではなくて、不当な失費までさせる、あるいは景観をそこなう、こういうようなことを公々然とやり得る余地が今日あると思うのです。これに対しての規制をどうしたらいいか。規制すべきだと思うのですが、箱根山のああいうのはどう思いますか。

木村又雄厚生事務官(大臣官房国立公園部長)

○木村説明員 ただいま御指摘のとおりでございまして、箱根というのは現在においては国立公園であるかどうかという一部の批判もあるようなことでございまして、まさに御指摘のようなところがございますが、これは国立公園の指定以前からすでにその方面の先駆者として開発をした実績のある会社、その他の方々がおられまして、そういった既得権というものもある程度尊重しなければならないという点と、それから私どもの一番困りますのは、アメリカと違いまして、国立公園の地域というのはアメリカにおいては全部国有地でございますので、その管理というものが十分公共的な立場から行なわれるわけでございますが、日本の場合におきましては、いわゆる地域制というものをとっておりまして、その中には国有地もございますけれども、民有地も相当多いというふうなことから、その所有権というものを十分尊重しなければならぬというふうな問題と、それに対する公共的な必要性というふうな立場から、公共の立場と私有権というものをいかにして調整するかという問題が常にございまして、現在のところは、法律のたてまえからそれを調整しているということでございますので、ややともすれば御指摘のようなことになりがちでございますが、できるだけ私どもは公共的な立場から話し合いをいたしまして、可能な限り、私ども国の立場というものを尊重していただくようにお願いをしたいというふうなのが現状でございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 なかなかむずかしいという結論のようでありますが、しかし観光そのものを正しく解釈した場合、営利事業の対象にのみこれをまかせることはいけないということはわかるのです。そうだとすれば、いま振興しつつあるものは、たとえば、これは万座か浅間か知りませんが、そういうところもある。あるいは先ほど申し上げたどっかの島もある。一手に取られておる。この事業者の、いわゆる企業家の資力によってのみこれが開発されていく、これは非常に観光のゆがんだ姿だと思います。この基本法が成立すると同時に、これらに対するところの対策も慎重に早急に検討して、法案として出すなり制度として出すなりしなければならぬと思いますが、その点はどうですか。

木村又雄厚生事務官(大臣官房国立公園部長)

○木村説明員 いまの観光地における公共的な整備ということでございますが、これは御承知のように私どものほうもおくればせながら国民年金等の融資によりまして国民宿舎を景勝地に整備していく、あるいは総合的な観光施設を持った国民休暇村というものを全国に整備いたしまして、健全な家族連れで気やすく利用できるような施設をどんどんつくりつつありますので、将来そういう方面を一そう積極的に進めたい。もしその際に必要がございますならば、それを立法化していくということも考えられると思うのでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 私が申し上げておるのとはちょっと違うようでありますが、これは後刻またお話を申し上げたいと思います。  そこで次にお尋ねしたいのは、やはり国際観光の振興の問題でありますが、先ほど観光開発の問題については観光局長から御所見が述べられました。そこでこれは御提案者にお尋ねするのが一番いいかと思うのですが、観光資源の開発があっても、誘致、宣伝というものが伴わなければ、実際に国際観光としての値打ちはないと思う。そこで国際観光におけるところの宣伝あるいは誘致の機構そのものでありますが、御案内のとおり、国際観光の宣伝は半官庁機構であるところの日本観光協会がやっております。さらに誘致そのものは御承知のように日航あるいは交通公社、あるいは最近では国鉄、こういうものまで出ていくわけです。そこで出先の先ほど言ったソフトからハードに、いわゆるがめつくなってきたということになりますれば、単にお上品にすまして、わがほうは政府機関であるから、観光協会はいわゆる広報宣伝だけしておればいいんだということでは用が足りないと思う。これを一挙に改革しろといっても無理かもわかりません。ついてはこういう出先の統合によって、誘致、宣伝を表裏一体としてわが国におけるところの国際観光の開拓をすべきだ、こういうように考えておりますが、この点についてはいかように考えますか。

福家俊一自由民主党

○福家議員 御説ごもっともでございまして、最近は各県におきましても観光立県を宣言するところが続出しておりますし、観光課なども新設して大いにPRにつとめておるようでございます。もちろん政府関係及びその外郭団体におきましては、十二分に御説のように外客誘致のPRにつとめておるのでございますが、何ぶん民間資本といたしましては日本では非常に微々たるものでございますから、外国の観光民間資本のように直接各国に呼びかけるというような力は現在まだ非常に少ないと思います。その点御指摘のございましたように、この基本法が通過いたしました後におきましては、十二分に御趣旨に沿うように努力いたしたいと思います。

久保三郎日本社会党

○久保委員 ただいまの御答弁でありますが、たとえばロンドンの出先一つ取っても、ロンドンにおける観光事務所、このほとんどまん前に日航の事務所がある。これは一つの例でありますが、これなどはそれぞれに別居しなくても、同じ建物に入って共同作戦で観光宣伝と誘致をしたらどうかと思います。ところが、これがなされないところに、どうも日本の国際観光における宣伝も裏づけがない。単なる宣伝でありますから、裏づけがないので、いわゆる迫力がない、迫力がないからいわゆる外客誘致もあまりかんばしくない、こういう点もあろうかと思いますが、この点についてはどう考えますか。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 ただいまお話のように、在外事務所がそれぞれ独立した場所にあるというふうなことが不便であるということについては、私どもまことにごもっともだと考えております。在外公館は百一あるそうでございますし、わが方の日本観光協会の在外事務所は現存十一、本年度中に二つできまして十三、こういうことになっておるわけでございますが、政府機関である日本観光協会の使命は、宣伝をすることであって、営利行為は一切政府機関としてはでき得ないというたてまえになっておるわけでございます。要するに宣伝までが政府の仕事であって、宣伝の結果日本へ行こうというふうな気持になられたお客さんをあっせんするのが民間のあっせん業者、このような事務の分担になっておるわけでございます。したがいまして、これが同じたとえばビルならビルの一階に隣あわせにある、そして観光協会が宣伝する、そしてお隣でどうぞ切符を買ってくださいということになりますれば、お説のとおり一番いい形態だと私は考えております。ただそれぞれできました時期が同じ年度にできなかったような事情もございますし、また各機関によってそれぞれの予算の違いというふうなものもございまして、必ずしもただいまおっしゃるようなぐあいには、うまいぐあいにはいっていないのが実情でございます。お説については私どもとしましてはまことにごもっともでございますし、将来そういうふうな機会がございますれば、できるだけ一緒の建物に入らないまでも、近くにおるというふうな方向に持っていくべきである、かように考えております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そこで、米商務省及び太平洋観光協会による調査報告で、「太平洋・極東地域における観光事業の将来」というのが出ているわけでありますが、この中で日本観光協会の問題に触れております。要約すれば責任の明確及び十分な財政措置を講じろということでありますが、そこで本調査では第四六八ページに書いておりますが、「本調査では次のように勧告する」ということで、その一番に、「観光協会は現在責任を負っている運輸省と切り離すべきである。」、こういうふうなことを書いてあるのですが、これは観光局長としてはいかがな見解を持っておりますか。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 お説のとおり、ただいま先生の御指摘になりました「太平洋・極東地域における観光事業の将来」、米国の商務省と太平洋観光協会による調査報告がなされております。「観光協会は現在責任を負っている運輸省と切り離すべきである。」というふうなことが、確かに四六八ページに御指摘のように書いてございますが、実は私どもにはこの意味がよくわからないのでございます。と申しますのは、御指摘のとおりこの本が翻訳されましてから、私どももこれを読んでおるわけでございますけれども、どのような意味でこれを言っておるのか、よく趣旨がもう一つ私どもにもわかりかねる面があるのでございます。従来の観光協会は、日本観光協会法によってできました特殊法人であるという性格がむしろ弱かった。つまりどっちかと申しますと、会員というような制度が観光協会の中に法律的に認められておったというふうなことで、社団法人的な性格というものがかなり強く出ておったのでございます。ところが、昨年三十七年度の予算で政府からの出資が一応盛られたということで、政府出資という一つのつっかい棒をちょうだいいたしましたので、この社団的な性格が財団的な性格にずっと変わってきた、かように私ども考えておるわけでございます。つまりこの財団的な性格に変わるということで、昨年御承認を得ました日本観光協会法の一部改正がその線に沿って行なわれたわけでございます。したがいまして、現在では政府機関としての性格をむしろ強めたというふうな傾向が見受けられるわけでございまして、何と申しますか、政府機関として政府が本来やるべき海外観光宣伝を政府になりかわってやる機関だというふうに私ども考えておるわけでございまして、ここに書いてある趣旨がもう一つこの報告書では私ども実はわかりかねるというふうな実情でございます。現にアメリカなんかでも先ほど申しましたように商務省の中に観光局があって その観光局の直接の出店が世界の七カ所に置いてあるわけでございまして、東京にございます事務所は、観光局の職員が東京の所長として赴任しておるというふうなことで、政府と一体になった活動がむしろ世界的に強化されつつあるような現状のようにも見受けられるわけでございます。それが世界各国の傾向のように私ども考えております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そこで次にお伺いしたいのは、国際観光におけるいわゆる外国人観光旅館に対する問題でありますが、そこで一番障害になるものは宿泊設備、もう一つの大きなネックは何といっても言語の問題、ことばの問題、これが大きな障害になっておると思うのです。そこで宿泊設備の方はあとにしまして、まず第一、言語の問題でありますが、言語の問題に関連して、あっせん業者あるいは通訳案内、こういうものであります。日本におけるところのガイドの制度は、いわゆるガイド法によって一応あるわけでありますが、このガイドの試験を受けたものは数多いが、実際にガイドに従事するものはその数からはるかに少ない、こういうようなことをいわれておる。そういう実態であるというのは、一つには何といってもガイドの身分というものが安定しない職業であるというところからきておると思うのです。そこで言語の問題とガイドの身分安定の問題と合わせて考えますならば、旅行あっせん業者がいわゆる外国人観光旅客をあっせんするということになりますれば、当然のこと、一定の資格を持ったガイドを、ある一定の比率だけはガイドを雇い入れなければならないというふうにしておればいいのですが、いまのガイドというのはいわば自由業であるから、そこにいろんな問題が出ると思うのです。これに関連して観光局長はどう考えておられますか。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 ただいまの御質問に対します資料としましては、観光基本法案参考資料の十七ページに「通訳案内試験外国語別受験者数及び合格者数の推移」、それから一八ページに「昭和三十八年度通訳案内業試験受験者数」という表がございます。これは昭和二十四年からつい五月十二日に施行しました本年度の試験までの経緯をここに書いておるわけでございます。この表をごらんいたただきますと御了承いただけますように、現在までのガイド試験の合格者は二千百八十六人おりますが、実際には都道府県知事の免許を受けておりますものが八百七十八人、このうちで日本観光通訳協会に加盟しておりますものが六百五十九名、こういう数字になっております。本年度のガイドの受験者は六千二百三十六名というわけで、昨年四千三百六十八名でございましたから、一挙に五割増という数字を示しております。これは結局オリンピックを控えて非常にこのガイド試験の受験者が多くなったのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。したがいまして合格者も例年よりは多くなるんじゃないか、かように考えております。しかしながらいま御指摘のように、幾ら合格者が多くなりましても、現にそれが稼動していなければ一向役に立たない、これが実情でございます。もちろんシーズンとシーズン・オフとの間の収入に非常に開きがあるというふうなことも、ガイドを一つの職業として固定させるには、至らない大きな原因だと考えております。それを救う道でございますけれども、たとえば旅行あっせん業者に、仕事があろうがなかろうが、シーズンであってもあるいはシーズン・オフであっても、一定数のガイドというものを常時雇用していなければならないというふうな方法でも法律的に考えられはしないかというふうなことを、ただいま私ども検討いたしております。そういうふうな道がもし法律的に許されますならば、ガイドの生活安定と申しますか、そういったことがずっと可能になってくるわけでございまして、そうなれば自分もガイドとして一生つとめていこうかというふうな方も出てこられるのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。ただいま先生のおっしゃいましたことは、全くものごとの焦点をそのものずばりで的を射たものでございます。かつまた解釈につきましても、われわれが考えておりますことを、そのものずばりおっしゃいましたことで、まことに同感でございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 そこで、あっせん業法でありますが、私は手元に、これは業界新聞でありますが、旅館新聞というのを持っている。これは一つの例でありましょうが、どういう事例は各地に起きている。あっせん業が、いわゆる悪徳あっせん業者といわれるものは、いわゆる旅行積み立て金の持ち去りとかあるいは契約金の持ち去り、こういうようなものも数多く実際あるわけでありまして、こうなりますと、いまのあっせん業法だけでは、残念ながらこれを規制し、正常にするのには非常にむずかしいだろう、そういう意味で、旅行者を保護するためにも、あっせん業法を適正に変えていくという必要が私はあろうと思う。そこで結局、いまあっせん業にはいろいろな形態がある。ひどいのになりますと、机一つ、看板一つでやっているといったようなものがある。こういうものをどう規制し、健全なこれらの業界の発展を期すというのにはどうしたらいいか、そういう用意があるかどうか、いかがですか。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 ただいまの御質問に対しましては、資料といたしましては一九ページに、「旅行あっ旋業者の現況」という表がございます。それから二〇ページには都道府県の登録されましたあっせん業者の数というのが全部出ておるわけでございます。先生のほうがよく御承知でございまして、まことにただいまおっしゃいましたような事例が、残念ながらわれわれとしても認めざるを得ないようなこともないわけではございません。結局電話一つ、机一つでこういった商売ができるというところに一つの問題があるわけでございます。たとえば一般旅行あっせん業で申しますと、主たる営業所は二十万円の保証金、それから主たる営業所以外の営業所は五万円、しかしながら全体としては五十万円という保証金の限度がある。それから法人旅行あっせん業者の場合は、主たる営業所が五万円、主たる営業所以外の営業所が二万円、しかし全体としては二十万円の限度というふうなことがございまして、この金額そのものも現在の経済情勢に照らしまして、はたしてこれが妥当な金額であるかどうかということにつきましても、私どもとしてはもう一度再検討しなければならないのじゃないか。つまり旅行者の保護という観点から、この保証金の額をもう少し検討し直すべきではなかろうかというふうにも考えておるわけでございます。  それから現在は登録制でございまして、いわゆる免許制にはなっていないわけでございます。もちろん欠格条項のあるものは登録は認めませんし、あるいは経験、能力、資力、信用、こういうものは十分審査はいたすわけでございますけれども、とにかく登録制というところにやはり一つの免許制と違った問題点もあるようでございまして、この点ははたして登録制のままでいいのか、あるいはもう一歩進めて免許制というふうなものが検討できないのかどうかというふうなことについても、私ども研究をさせていただきたいと思います。すでに諸外国では、かつて登録であったものが免許制に切りかえられた事例もございます。やはり諸外国においても、いま先生の御指摘のように、旅行者に対して思わざる迷惑をかけたというふうな事例もあったのではないか、かように考えられるわけでございます。そうしたことを十分今後事務当局としては研究をさしていただきたいと思います。もちろん現在の規定によりましても、料金の届け出義務だとか、あるいはその変更命令あるいは旅行あっせん約款の届け出義務、あるいはまたそれらに対する変更の命令、あるいはお客さんと取引する場合には約款をお客さんに提示する義務、こういうふうなものがあるわけでございますけれども、こういった法律と相並行しまして、行政指導は十分にやっていかなければいけない、かように考えておるわけでございまして、御趣旨の線に沿って今後検討さしていただきたいと思います。

久保三郎日本社会党

○久保委員 時間もありませんから、御答弁はひとつ簡潔にお願いすることにしまして、次に修学旅行であります。修学旅行は一年に大体五百万近く、この修学旅行は教育の一環として、学習の一環として行なわれるのでありますが、これはやはり低廉にして安易な旅行をさせなければならぬ特異な旅行の形態だと思う。そこでこれに関係するところの旅行業者の問題があります。そこでこのあっせん業者も、これらの大事な子供たちの旅行でありますから、相当規制を加えていくべきである、こう思うのでありますが、この修学旅行とあっせん業者、いわゆる低廉な旅行という観念においてどう考えいますか。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 ただいまお話のございますように、全くいまや団体旅行が非常に盛んでございまして、ある人の言によりますと、二十世紀の一つの特徴がツーリストに代表されるというようなことを表現されておるようでありますけれども、国鉄を利用する団体旅行の数を見ましても、実に一年間にものすごい数字でございまして、三千四百四十万人というふうなことで、国民の三人に一人が団体旅行をしておる、こういう状況でございます。その団体旅行の中の六割五分がただいま御指摘の修学旅行でございます。これはみんな各父兄が積み立てて、そして旅行に子弟を出すわけでございますから、おっしゃるように非常に快適な旅行をさしてやり、そして低廉な施設に泊めてやり、旅行あっせん業者から迷惑のかからないように、旅行を楽しい、思い出ある修学旅行にして差し上げるというのが一つの大きな問題でございまして、この点につきましては、御提出の基本法案によりますと第十一条でございますか、「健全な国民大衆の観光旅行」というふうなことばがございますが、その「健全な国民大衆の観光旅行の容易化」というふうなことばが、ただいまおっしゃいました御趣旨のことばだと考えております。結局そのような「国民大衆の観光旅行に適する旅行関係施設の整備等に必要な施策を講ずるものとする。」というふうな条文がございますので、そういった修学旅行には修学旅行に適したような旅行関係施設を将来にわたって国が整備をするために必要な施策を考えるのだというふうなことが、一つの今後の方針として考えられていくべき問題じゃないかというふうに考えておるわけでございます。

久保三郎日本社会党

○久保委員 提案者にお伺いします。旅行と一般大衆の休暇の問題でありますが、実はわれわれはゆくゆくは旅行休暇制度というもので考えるべきだと思っております。現実に勤労者の大半が旅行に行くわけでありますが、実際は日曜とか祭日には、御案内のとおり観光地というか、そういう旅行地は殺到する。これでは健全ないわゆるレクリエーションとは言いがたい面が相当あるわけであります。それはなぜかというと、やはり通常日におけるところの休みをとれない、あるいは年次有給休暇を持っていても連続してとって旅行に行くことができないというのでありますから、休暇を利用して行く場合にも、どうしても日帰りというようなこと、あるいは最大限一泊二日、土曜の晩に行って日曜の夜おそく帰ってくる、これでは労働の再生産にも支障を来たすとわれわれは思うのであります。でありますから、せめて次善の策として、少なくとも旅行のためなら年次有給休暇のごときは続けてとれるという制度も必要かと思うのでありますが、こういう勤労者に対する旅行の機会を簡便に与える、あるいはピークをならすためにもそうした方がいいと思うのでありますが、これに対して御所見はいかがですか。

福家俊一自由民主党

○福家議員 わが国は文化国家を憲法にもうたっておりますし、池田内閣は所得倍増並びに人づくりを提唱いたしておりますので、いま御質問のありましたような点につきましては、提案者といたしましては全く同感でございます。本日提案いたしております基本法には、先ほど御指摘がございました機構改革の問題とか、あるいはいまの休暇旅行の問題等、十二分にわれわれの趣旨が盛り込まれておるわけではございませんが、次の機会にぜひともそういう点はあらためて再提案したい、かように考えております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 基本法でありますから、具体的には表現がされてない面があると思いますが、少なくともソシアル・ツーリングを正常な姿でやっていくということは、国民生活の重大な政策だと思うのであります。そういう意味からいうと、かかる基本法が通りました暁においては、ぜひ具体的な関係法律として、制度としてわれわれは考えていかねばならぬ、かように思うものであります。  そこでいろいろお尋ねすることもございますが、時間でございますから一応これくらいでやめておきますが、要は、冒頭でお尋ねしました政府自体の心がまえの問題かと思うのであります。さらに提案された三党の立場からいっても、今後基本法が通りましても、これで一段落というふうには私はならぬと思う。むしろ来たるべき機会に、最近の機会において、関連の法律の改正あるいは新しくつくる、そういうことが必要だと思うし、さらには御案内のとおり、大衆旅行に必要な宿泊設備、国民休暇村のあり方、ユースホステルのあり方、あるいは国民宿舎のあり方、こういうものと関連して、制度全体に対する検討を今後続けてもらいたい、かように考えておる次第でございます。  そこで、これは政務次官がおりませんから、観光局長に運輸省代表で聞きましょう。結局この法案ができましたあとは、さっそく子法というか、関連法律その他の問題について手をつけるお考えであるか、念のためお尋ねしたい。

梶本保邦運輸事務官(観光局長)

○梶本政府委員 私どもは、直ちにこの法案の御趣旨を体しまして、運輸省は運輸省の所管範囲におきまして子法を準備いたしていきたい、かように考えております。

久保三郎日本社会党

○久保委員 それでは同様に審議室長にお尋ねするのでありますが、先ほど御答弁がありましたが、大体了解はいたしますが、今度は、審議室では政策審議会の方を扱うことになります。従来のあれを引き継ぐことになりましょう。ついては、今後は、基本法ができたのでありますから、これに基づいての作業を即刻始めなければならぬ。これに対して用意はございますか。

松永勇内閣審議官(内閣官房内閣審議室長)

○松永(勇)政府委員 観光基本法が制定されますことは、ちょうど時期を得たことだと考えます。これにつきまして、当面私の方では観光政策審議会にかけまして所得倍増計画に伴う長期観光施策をさっそくにもまとめ上げ、その答申に基づきまして、それぞれの省において所要の措置を講ずべきものは講ずる、なお内閣審議室といたしましても、各省間の調整を十分とるようつとめていきたい、かように考えております。

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 細田吉藏君。

細田吉藏自由民主党

○細田委員 私は本法案の賛成者の一人でございますので、いろいろ質問を用意いたしておりましたが、大体いま同僚久保委員からの御質疑で尽きておるようでございます。あるいは少しダブる点もあるかと思いますが、一、二点だけ特にこの際御要望をかねてお伺いをいたしておきたいと思うのでございます。  この基本法案は、観光に関するあらゆる問題を盛り込んであるわけでございますが、どうしても各般の法律改正、あるいは第四条にございますような、財政上及び金融上の措置を講ずる、こういう点の裏づけがなければ基本法が死んでしまうことは申し上げるまでもないわけであります。そこで、これはもう先ほど御答弁がありましたから、重ねて御答弁は要りませんが、この関連の法律案についてはこうした際でございますので、これは単に運輸省あるいは審議室あるいは国立公園部に限らず、関係の政府の各機関が、あげて、この各条項にわたる法律について、現在あるものは再検討して、また新しく制定される必要のあるような点も二、三あるようでありますが、こういった点につきましても早急にお取り計らいをいただきたい、こう思うのであります。これは要望いたしておきます。  次に、この法律案の非常に重要な部分は、政策審議会の問題だと思っております。いままで十年以上にわたって観光事業審議会というものが、ございました。いまもあるわけでございますが、これはたくさんの決議や建議をいろいろなさっておるわけでございます。ところが、実際問題としましては、この建議されたり答申されたりしたようなことが実行に移っておれば、いまの日本の観光の形は非常に変わっておったと思うのですが、これが実行に移っておらなくて、何といいますか、お経文に終わっているというような形になっておるのが実情だと思うのであります。そこで、先ほど審議室長からも特に御答弁がございましたが、今度はこうしたりっぱな基本法のもとに運営される政策審議会でございまするし、また政策審議会の意見を聞いた上で、政府が毎年国会にも状況を報告しなければならぬということにもなっておりますので、新しい性格で出発していただく御決意がないと、ずるずるといままでの審議会がただ形が変わった、名前が変わっただけだというようなお気持では非常に困る、こう思うのであります。この点についても審議室長から特にひとつ御決意を伺っておきたいと思います。

松永勇内閣審議官(内閣官房内閣審議室長)

○松永(勇)政府委員 先ほど観光局長から、この観光基本法は観光立国の宣言であるという御答弁がございました。まさにこの観光基本法ができました以上、この基本法の精神に沿いまして新しい審議会の運営をはからなければならないとかたく決意しております。当面は、先ほど申しましたように、国民所得倍増計画に伴う長期観光施策ということに焦点をしぼってまいりますが、その実現につきましてはそれぞれの担当省で実現をはかっていただきたい、またそれを推進いたしたいと考えております。

細田吉藏自由民主党

○細田委員 提案者に一点だけ伺っておきたいのでありますが、第十六条に「観光行政に関する組織の整備及び運営の改善」というものがございまして、先ほど久保委員からも御質疑があったわけでございますが、私は私の若干の観光行政に関する経験から考えますと、これは非常にむずかしい問題ではございますが、この第十六条というものはさらに突っ込んでやっていかなければいつまでも同じことじゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。時間がございませんので長々と申しませんけれども、これを要約して申し上げると、私はどうしても観光担当の国務大臣が要るように考えるわけでございまして、その上で、その下の組織をどうするかという点は、いろいろ各省にまたがっておりますので、検討しなければならぬと思うのですが、提案者のお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。

福家俊一自由民主党

○福家議員 御指摘の点は、官僚にまかしておきましたならば、なわ張り根性、セクショナリズム根性でとてもこれに触れることはできない。そして、この法案は三党共同提案で、三党の共同の責任でありますし、幸いにこの提案者及び賛成者は、三党の最も有力なるお歴々の御署名をいただいておりますので、今後三党間において十二分に御趣旨に沿うような再検討をいたしまして、必ずや観光省並びに観光庁に昇格して、わが国の観光行政が十二分に果たせるように努力したいと考えます。

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 肥田次郎君。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 私も賛成の立場で一、二点質問をしておきたいと思う点がございます。  まず、きょうは若干私の考え方と違いましたのは、予定が少し違っておりますようで、そういうことで関係者の出席を求めたいと思っていることがいま直ちにはかないませんが、しかししかるべくお答えをいただきたいと思います。  その一つは、いま公園部長のお話を聞いておりましたら、その中にも一言含まれておったと思います。要するに、観光資源という立場に立つ目的も当然でありますけれども、観光資源といういわゆる当面する問題ではなしに、文化財を保存をしてそれを観光資源に役立てる、こういう立場からお聞きしておきたいことがあります。  それは、御承知のように京都あるいは奈良その他の関西地域におけるところの問題はもとより、全国的に散在しておる日本のいわゆる歴史的な文化財の保存というものを実際にどういうふうに政府としては考えておられるかということであります。先般も問題になりました難波宮趾の問題だとか、あるいは奈良の平城宮趾の問題、こういう問題が残っておりまして、これらはともに重要な観光資源として開発されなければならない性質を持っておるのであります。ところが、これらの所有が、いま公園部長の話もあったように、これは国以外の所有になっておる、だからどうにも手がつけられない、こういう実情であると思います。ところがこれはおよそ諸外国における観光資源の保存とは全く取り扱いが相反するものでありまして、たとえ民有のものであろうとも、古代の歴史的保存という意味から、これらを保存する方法が積極的に打ち立てられなければならない、こう思うのであります。ところが、これがどうにもならない、こういう現状でありましては、日本の観光資源というものは、要するに、近代的な何か新しく建造された以外の観光資源は求められないことになるだろうと思います。京都でも問題になっておりますのは、京都の都市計画のために無形文化財その他のいろいろな過去の歴史を保存してある会館がつぶされてしまう、こういう運命にあるというように聞いておるのであります。こういうものを保存する政策を積極的に立てていかなければ、取り返しのつかない日本の大きな損失にもなると考えるのでありまして、その点でひとつ三者から、あなたのほうからひとつ、観光局長の方からひとつ、提案者側のほうからひとつ、それぞれのこれに対するお考え方をまず承りたいと思います。

松永勇内閣審議官(内閣官房内閣審議室長)

○松永(勇)政府委員 この問題につきましては、実は文化財のほうが専門で、そちらのほうが担当をなさっておるわけであります。現在の法制上文化財をすべて国有にするか、それとも個人の所有を認めるかということについては、いろいろ考え方はあろうかと思います。現在の法制が直ちにいいかどうか十分検討に値する点はあろうと思いますが、この点につきましては、文部省の文化財保護委員会のほうにも御趣旨のあるところを十分お伝えいたしまして、慎重に検討していただくことにいたしたいと思います。

勝澤芳雄日本社会党

○勝澤議員 ただいま肥田委員の御指摘のありました問題につきましては、特に二条の中で資源の保護あるいは育成、開発、あるいは観光地における美観風致の維持という点で私たちも同意見を持っておるものでありますが、法制上の問題等ありますので、当面この観光基本法の中におきましては、具体的な事象としては解決いたされておりませんけれども、この基本法を実施する段階におきまして、いまのような意見を十分参酌いたしまして問題が解決されるように前進をさせていきたい、こういうふうに思っておる次第であります。

木村又雄厚生事務官(大臣官房国立公園部長)

○木村説明員 私の関係では自然公園の関係でありますが、先ほども申し上げましたように、国立公園等指定いたします場合におきまして、特に御指摘のありました非常にすぐれた景観を持っておるような地域はできるだけ保護したいという考え方から、関係者の協力を得まして、その同意等も得まして、それを一つの条件といたしまして国立公園を指定して、そのすぐれた景観地域については特別保護区域ということで指定をいたしまして、そこにおけるある程度の行為を相当厳重に規制していくという方式をとって今日まで進めてまいっておりますので、今後もそういうようなことで進めていきたいと考えております。

肥田次郎日本社会党

○肥田委員 時間が制約されまして、もっと具体的なことを聞きたいのでありますけれども、基本法の中にそういうものは将来に対して具体的に解決をしていきたいということでありますので、それらに対する意見を言う機会はあるだろうと思いますから、これはそれだけにしておきます。  そこでもう一つお聞きしたいのは、観光基本法の柱ですが、基本法の柱となるべき問題の一つの中に、要するに久保委員の質問の中にもありましたように、国民の労働力の再生産という立場を観光基本法の中の重点の一つの柱としたい、こういう考え方をわれわれは持っております。だから観光基本法の基本的な精神というものが、これがこの日本の観光施設を外国のお客さんに見てもらうという方向に走り過ぎることは、これは好ましくないという表現はどうかと思いますけれども、そういう方向に走り過ぎると、えてしていわゆる国民観光という問題がなおざりにされるきらいがあるだろう、こういうふうに考えます。ですから、そういう意味から、私は、観光国民休暇といったような、いわゆる観光が適正に配置されなければならぬという問題が一つ残ると思います。それから観光開発という、新しく開発される、あるいは従来の観光施設を再開発してさらにりっぱなものにする、こういう考え方は一応了承できるとしても、現在のこの日本のいわゆる観光資源というものは一体どこに求めるのか、こういう問題が残っておるだろうと思うのであります。一番手近にできる問題としては、今まで手の入れられなかったところ、いわゆる天恵の風景を持っておるところ、こういうところについてはそれほど大きな問題はないと思います。けれども、いま言ったようにシーズン的にそこに一時に集中いたしますから、いうところの観光開発によってこの地域格差というものを是正しようというようなことはとうてい望むことはできないだろうと思う。人はいいところに集まる、行きやすいところに集まる、こういう問題が残ってくると思うのでありますが、やはり私は今日までイタリアあたりのいろいろな点を参考にいたしましても、日本のいわゆる古代の文化財というようなものはもう厳重に保存されて、そしてこれが健全なるいわゆる観光資源として国の内外ともにここに人が集まってくる、こういうことに重点を置かれることも必要だろうと思うのであります。ですから観光の柱という問題で私が考えるのは、やはり国内的ないわゆる国民の労働力の再生産という意味で健全なる意味の観光という問題と、それから日本の古来のいろいろな歴史的ないわゆる文化財というようなものを外国から来た方に見ていただく意味の観光、それからいわゆる外貨獲得の大きな意味を持ったところの、観光局の立場もこれはあるでしょうが、要するに、そういう点について深い配慮をしていただかないと、ただ単に観光基本法がいわゆる名目だけの観光基本法になって、実質的に観光事業の発展は望まれないだろうということを考えまするので、観光基本法の中のこの三つの柱というものは厳重にひとつ具体化されることに努力をしていただきたいと思うのであります。

福家俊一自由民主党

○福家議員 御指摘がございましたが、提案者としましては、国内あるいは国外、どちらに重点を置くというような偏した考えは毛頭ございません。両々相まって十二分にこの法案の成果があがることを期待しておる次第でございます。  第二におきまして、イタリアのごとき御指摘がございましたが、ごもっともでございます。ただ率直に申すならば、イタリアのごときは、たとえば一例をローマにとりましても、古代の史跡を、その市民及び国民が保護すると同時に、非常に古跡を中心に進んでおるというような、観光に対する道徳といいますか、良心といいますか、非常に高いものがございます。わが国におきましては、非常に残念でございますが、国民の道徳といいますか、良心といいますか、そこまでまだ高いものは望めないのじゃないか、この観光基本法の通過によりまして、そういう点の向上に十二分に役立つものと期待しておる次第でございます。

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 ほかに御質疑はありませんか。——ほかにないようでありますので、本案に対する質疑はこれにて終局いたしました。     —————————————

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 これより討議に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、これより直ちに採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 御異議なしと認めます。  これより採決いたします。  観光基本法案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)  なお、ただいま可決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 この際おはかりいたします。  理事細田吉藏君より理事を辞任いたしたい旨の申し出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、ただいまの辞任によりまして理事が一名欠員となりますので、これよりその補欠選任を行ないたいと存じますが、これは先例により委員長において指名するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村俊夫自由民主党

○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、福家俊一君を理事に指名いたします。  次会は公報をもってお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時二十六分散会

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