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42回国会参議院1962/12/20

法務委員会 第3号

発言数
412
登壇者
14
会派数
4
開催日
1962/12/20

会議録

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいまから法務委員会を開会いたします。この際、委員の異動について御報告を申し上げます。  本日、重宗雄三君、大谷贇雄君が辞任され、その補欠として丸茂重貞君、山本利壽君がそれぞれ選任されました。   —————————————

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案を一括議題といたします。  両案につきましては、去る十二月十三日提案理由の説明を聴取いたしておりますので、質疑を行ないたいと存じます。質疑のおありの方は順次御発言を願いたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 きょう出席をしておる方はどなたですか、ちょっと……。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) きょうは、法務大臣、法務政務次官、司法法制調査部長、それに、今もうすぐ見えられるのは、守田最高裁人事局長、それと宮崎人事局給与課長、これだけ御出席の予定であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 法務大臣にお尋ねするわけですが、実はこれは最初にちょっと変な質問で恐縮なんですが、報酬、それから俸給、給与、この三つの言葉があるわけですけれども、これはどういうふうに違うのでしょうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 調査部長から答弁をさせます。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) 御承知のように、憲法におきましては、裁判官につきまして報酬という用語を用いております。したがいまして、裁判官のそれに関する法律は、裁判官の報酬等に関する法律という言葉を用いられておるわけです。それから検察官につきましては、御承知のように俸給という言葉を用いております。それから一般職の報酬につきましては、給与に関する法律ということになっております。その全部の性質と申しますものは、いずれにいたしましても給与でございまして、裁判官の報酬等に関する法律第一条におきまして「裁判官の受ける報酬その他の給与については、この法律の定めるところによる。」という規定がございますが、したがいまして、報酬は給与の一種であるというふうに考えておるわけであります。俸給につきましても同様でございますので、ただ、憲法が報酬という言葉を用いておるから、それを受けて報酬という言葉を使っているというふうに考えます。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 稲葉君にちょっと申し上げます。ただいま最高裁の桑原総務局長、守田人事局長が出席せられました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大臣にお尋ねするのですけれども、日本の憲法の中に裁判官優位の原則というのがあるわけでしょうか。その点どうでしょうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 憲法上相応の処置をとらなければならないという規定があるわけですから、優位の原則があると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ちょっとはっきりしなかったのですが、憲法で相応な何ですか、ちょっとはっきりしなかったのですが、相当な報酬を受けるというのは七十九条と八十条でしょう。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) そうですね。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ちょっと今大臣の言われたのと違いませんか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 裁判官に対しまして特に相当な報酬という言葉が使われておる以上は、やはり裁判官の報酬についてのこれは優位な待避をするというそういう措置のための条文であると、こういうふうに私は解釈をいたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、裁判官の優位の原則が日本の憲法に規定されておるというその根拠はどこにあったのでしょうか。それから裁判官優位の原則が当初できたときとその後の変化はどうなっておるのでしょうか。法務大臣にまずお尋ねをして、同じ問題について最高裁にお尋ねをしたいと思うのです。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいま最高裁の宮崎給与課長がお出ましになりました。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 裁判官の報酬というものに対して、これに相応する報酬を払わなければならぬということになっておるのでございますから、これは私は特別に裁判官の報酬に憲法で触れておるということそのこと自体がやはり非常に優位性と申しますか、そういうものを保障しておると思うのです。  それから当初の考え方と何か変わったことがあるかというお尋ねでございます。これは別に変わってはいないと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 最高裁の方の御答弁の前に法務大臣にちょっとお尋ねしておきたいのですけれども、裁判官優位の原則があるというのは、そうすると、何に対して裁判官優位の原則があるというふうにお考えなんでしょうか。それからまた、そういうような原則がある理由はどういうところにあるのでしょうか。これをお尋ねしておきたいと思います。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 裁判官の報酬の優位性というのは、私はこれは一般の国家公務員を対象とした場合に言えることだろうと思います。  それから、なぜそのような優位性を規定したかということでありますが、これは日本国の憲法が司法の独立を保障しておるのでありますし、規定しておるのでありますし、そういうことから当然のこととしてとられておるだろうと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大臣、この問題について率直に言いますとあまり御勉強なさっておらないようにお伺いするわけです。裁判官が一般の公務員に対してそれ以上大きな報酬を受けるというか、そういう地位を保障されるということが裁判官優位の原則の姿なんでしょうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) それは、裁判官の持っておる重要な職務に対する保障だろうと私は思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは一般の公務員に対する関係ももちろんありますけれども、むしろ検察官との対比において裁判官が報酬その他の面で優位でなければならないというのが近代憲法の原則なんじゃないでしょうか。そこのところはどうでしょうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 私は、そういうことは必ずしもそうじゃないと思いますが……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ最高裁の方にお伺いしますけれども、裁判官優位の原則が憲法に規定されている理由、それが一体だれに対して優位でなければならないのか、それからまた、その原則がずっと今まで貫徹をされているかどうか、この点についてお尋ねをいたします。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官の優位の原則は、これは検察官を含む一般政府職員より優位にあるということを意味しているというふうに考えております。もちろん、職務と責任の問題は、非常に裁判官が一般の政府職員より重い責任と職務を課せられているということにうらはらしているわけでありますが、なお、地位の独立というような保障面をもこの「相当額の報酬」の中に入れられているというふうに考えているわけであります。しからば、それがどういう形で現われているかと申しますと、それがいわゆる報酬の問題になろうかと思います。報酬は、現在におきましても、最高裁判所長官は総理大臣と同等、その他の最高裁判所の判事は国務大臣と同等、高裁長官もそれぞれ検事よりは優位になっております。一般のその他の判事におきましても、検事の俸給表にない特号というのがございまして、わずかに優位を保っている。制度面においては、そういうふうにして現在も優位を保っているということが言えるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ちょっとその問題で最高裁の人事局長さんは遠慮されて言われているんじゃないですか。最初の検察官との対比の中での開きは相当あったわけじゃないですか。それがだんだん検事のほうが上へ上がってきて、差額が詰まってきたんじゃないですか。現在裁判官優位の原則がその面において非常にくずれてきているということが実際問題として言えるんじゃないですか。ちょっと遠慮されているように聞くわけですがね。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官の報酬は、御承知のように、昭和二十三年の第二国会において成立いたしました。検察官の俸給も、同時に同国会において成立したわけでございます。その際に、裁判官の職務と責任、検察官の職務と責任ということにつきまして非常に論議を重ねたわけでございます。そうして、成立しました結果は、一段ずつ裁判官が優位になっている、そういう形で裁判官の報酬と検事の俸給とができたわけでございます。その後ずっとその形というものは維持されて今日に至っております。もちろん、ある場合におきましては、検察官と裁判官の俸給を法案の形では同一にしようというような動きがなかったわけではございませんが、国会におきまして、やはり依然として一段階裁判官のほうが報酬面において高くなっているという原則は維持されて今日に至っているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今第二国会の話が出たわけですけれども、最初に、最高裁長官が総理大臣と同じ、最高裁の判事が国務大臣と同じだったわけでしょう。東京高裁の長官と検事総長が同額だったのじゃないのですか、最初に。そうですね。当時、東京高裁の長官が二千四百九十円でしょう。そして、検事総長が二千四百九十円で、同額だったのじゃないですか、一番最初第二国会のとき。それがあとになって、すぐそのあとで検事総長が最高裁の判事、国務大臣と同額というふうな形に、幾分検事のほうが上に上がってきたのじゃないですか。そうでしょう。それは一つの例ですけれども、そういうふうな形を頂点として裁判官と検察官との較差というものがだんだん縮まってきている、こういうことになっているのじゃないですか。そこはどうですか。ちょっとお調べ願いたい。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) ただいま御指摘の点は、一番当初における裁判官の報酬等の応急措置法のことを仰せになっておるかと思いますが、私が先ほど申しましたのは、昭和二十三年七月一日に成立いたしました裁判官の報酬及び検察官の俸給に関する法律、これを申し上げておるわけでございます。その前の応急措置法は、これは私はただいま資料を持っておりませんけれども、応急的な立法でありまして、その後裁判官及び検察官の報酬・俸給につきまして第二国会で相当長い間論議を尽くしたわけでございまして、そして、結局、最高裁判所の判事と検事総長が同額、二万円。それから東京高裁長官の分は検察官にはない。そうして、その他の高裁長官の一万八千円というのは、これは東京高等検察庁の検事長。その他の検事長は一段下の一万七千円というように、やはり一段ずつ裁判官のほうが優位性が保たれて定められておるわけでございます。また、当時は、判事の号俸は一号から五号まででございまして、検事のほうは、この判事の一号に相当する分は、特別の人に限って支給するということで、判事のように一号が確実に俸給表の上に載って定められたというようなことはなかったわけでございます。そういう形で、やはり裁判官の報酬は検事の俸給よりは一段上に優位性を保って規定してあったということが言えると思います。それが、現在におきましては形が少し変わりまして、判事の一号と検事の一号と同じでございますが、判事につきましてはこの一号の上に現在特号というのがございまして、この特号に見合う検事の俸給はない。そういったような状況から、認証官以上の裁判官、検察官におきましては、第二国会以来ずっと同じでありますし、その他の判事につきましては、今申し上げましたように、第二国会におきましては、判事一号に相当するところは検事ではいわゆる特号というものがありまして、わずかな特殊の人に適用されておった俸給があったわけでございますが、今日におきましては、一号の上に特号というものが、判事にできまして、そうして検事のほうには現在ないという形になっておるわけでございます。ですから、まあ多少の入れかわりはございますが、原則としてはやはり優位性を保ちながら今日に至っておるということだけは言い得るかと思います。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 稲葉君に申し上げます。ただいま予算委員会が法務大臣の出席要求をしまして、いいですか、あなたの御質問は。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 議事の進行になりますけれども、実は予算委員会のほうで法務大臣の出席を要求されておれば、私どもも予算委員会に行かなければならないと思うわけですから、この程度で……。実はまだ法務大臣に聞きたいことも相当あるわけです。ですから、休憩していただくように——予算委員会がどの程度進むかわかりませんが、この程度で暫時休憩していただいて、予算委員会が終わってからまた再開していただきたいと思います。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて下さい。  それでは暫時休憩いたします。午後は一時より本問題を続行いたします。    午前十一時四十八分休憩    ————・————    午後一時十分開会

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) これより委員会を再開いたします。  ただいま委員変更の通知がありましたので、御報告申し上げます。山口重彦君が辞任されまして、その補欠として柳岡秋夫君が選任されました。   —————————————

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 休憩前に引き続き質疑を続行いたします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 裁判官の報酬等に関する法律の第十条ですが、これは何か当初できたときと違って修正されたわけですか。その点どういうふうになっておるのですか。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) ただいま手元にはっきりした資料がございませんので、はっきり申し上げかねますが、十条の中で、十条を読みますと、「生計費及び一般賃金事情の著しい変動により、一般の官吏について、政府がその俸給その他の給与の額を増加し、又は特別の給与を支給するときは、最高裁判所は、別に法律の定めるところにより、裁判官について、一般の官吏の例に準じて、報酬その他の給与の額を増加し、又は特別の給与を支給する。」、この法律の原案は、「最高裁判所は、別に法律の定めるところにより、」というのがなかった。それを参議院の法務委員会で、たしかこの言葉を挿入されたように記憶しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 私もこの法案を読んでみてそういう感じを受けたのですが、「別に法律の定めるところにより、」というのは、現在ではどういうふうに具体化しているわけですか。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) これは御承知のように、俗に言ってスライド規定というのでございまして、一般官吏につきまして、生計費、一般賃金事情の変動によって給与を増加したときは、裁判官についても上げると、こういう考え方にできておる。そこで、「最高裁判所は、別に法律の定めるところにより、」ということになりますと、これはやはり法律を作ることになるわけであります。法律を作るということになれば、結局国会の御審議を仰ぐということになるわけでございますから、結局におきまして、この別の法律というものは、また報酬法のほかに別法律を作るということは、あまり意味をなさないのでありまして、要するに、一般官吏につきまして俸給額が改定されました場合は、この裁判官の報酬等に関する法律の別表の裁判官の報酬月額、これを改定する法律を出しておる。これを改定する法律がこの法律に当たるというふうに現在では解釈するほかはないという結論になっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この第十条にあります、「一般の官吏の例に準じて、」ということが書いてあるわけですけれども、憲法の規定で裁判官優位の原則が一応確立しておる。こうなって参りますと、この第十条の、一般の官吏の例に準ずるという規定自体が、裁判官優位の原則に反するというきらいがあるのじゃないでしょうか、どうなんでしょうか。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) むしろこの第十条の規定は、裁判官の給与を保障するという意味でございます。と申しますのは、一般官吏につきまして、ベース・アップ等によって給与額が増加されましたり、あるいは特別の手当が支給されるということになりました場合、その場合、黙っていれば裁判官についての報酬は従前据え置きというような格好になるおそれがあります。そこでこの十条は、一般官吏につきまして生計費及び一般賃金事情の変動による変更の場合には、一般官吏に準じてやるべきだということを宣言しているわけでございますので、そのやり方が一般官吏の例に準ずるという意味を示す。むしろこれは裁判官の報酬その他の給与を保障している規定だというふうに当初から解釈されているわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは最高裁判所のほうにもお伺いしたいのですけれども、三権分立の規定がもちろん憲法の中にしっかりきまっておるのですけれども、そうすると、裁判所関係の予算についての特別な優遇措置といいますか、あるいは三権分立の精神から来る裁判所関係の予算上の取り扱い方についての何か特殊な方途というのか、そういうようなものはあるのですか。

桑原正憲最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判所の予算について特殊な制度といたしましては、財政法の規定がございます。二重予算と言われておる規定があるのでありますが、それが裁判所の三権の一つとしての司法権の独立を財政的に担保する制度という考え方のもとに二重予算の制度というものができておるのだということであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは、今の二重予算の制度は、財政法十七条以下十九条までの規定だと思いますが、これは具体的な形でまだ使われたことはないわけですか、一ぺん何か庁舎の建設のことで使いかけたけれども、撤廃されたというようなことを聞いているわけですけれども、現実の問題として、この二重予算の、この財政法の十七条以下を活用するということは、最高裁当局としては考えておらないのですか。

桑原正憲最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 財政法で二重予算の制度が認められておるわけでございまして、最高裁判所当局といたしましては、毎年の予算要求の際にも、いつもそのことを考えに置きながら予算要求の折衝をいたしておるわけでございます。もちろんその考え方はずっと引き続き変わらないわけでございます。具体的な事例といたしましていわゆる二重予算の要求ということが行なわれましたことは、これは最終に国会の段階にまで上がってそれが審議の対象になったということはないのでございますけれども、いわゆる二重予算の要求ということを出したことが、具体的な事例としては二回あるわけでございます。一回は昭和二十五年、二回目は昭和二十七年というふうになっておるわけでございます。ただ、それは途中で話し合いがついたわけでございまして、国会の審議の対象になるという形で、完全な形で二重予算の要求をしたという事例はないのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 最高裁当局にお尋ねするのですけれども、二重予算の制度がある。それから三権分立で、裁判所の何といいますか、権限というか、そういうようなものは特殊に認められておるわけですけれども、具体的に予算案を作成し、そいつを大蔵省などに請求する過程はどういうふうに行なわれているのですか。特に法務省との関係において、最高裁の一つの独自性というようなものが法務省一本という形の中で請求されると、何かそれが失なわれるような感じを受けるわけです。どういうふうな具体的な形で裁判所関係の予算の要求はなされているのですか。

桑原正憲最高裁判所事務総局総務局長

○最高裁判所長官代理者(桑原正憲君) 裁判所の予算要求につきましては、いわゆる独立の原則が維持せられておるわけでございまして、実際の手続といたしましては、最高裁判所の事務当局から大蔵省へその要求を、概算書を出して、大蔵省と直接折衝するという形になっておるわけでございます。法務省を通して予算の折衝をいたすというようなことはないのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 では、別のことをお伺いするわけですけれども、この裁判官の報酬、検察官の俸給、これは今法律案となって現われているわけですけれども、これは最高裁にお尋ねするのか、あるいは法務大臣にお尋ねするのか、どちらがよろしいのかちょっとはっきりいたしませんけれども、今度のこの改正にあたって、司法修習生のこれは給与というのですか、俸給というのですか、それはどういうふうになっているのでしょうか。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) 司法修習生の給与につきましての基本法は、裁判官の報酬等の応急的措置に関する法律に基づきまして、最高裁判所がルールを定めておるわけでございます。そのルールの名前は、裁判官報酬等暫行規則という名前でございます。で、午前中にお尋ねになりましたこの応急措置法自体は、裁判官の報酬等に関する法律が制定されると同時に、裁判官に対する関係におきましては廃止になったわけでございます。で、司法修習生に対する関係においては、現在もなお効力を持って存続しているわけでございます。で、その法律に基づく裁判官報酬等暫行規則というものがございまして、その規則に基づきまして司法修習生の給与月額が定まっておるわけでございます。で、今回一般職の職員の給与に関する法律の改正に伴いまして、司法修習生の給与月額を変更する必要があるわけでございまして、それは最高裁判所の、ただいま申し上げました規則の別表を改正することになるわけでございます。そうして、従来からのバランスを維持いたしまして、今までが一万七千九百円だったのが、今度は二万円に改定されるわけでございまして、そのままもし一般職の職員の給与に関する法律が制定、公布されれば、同時に、その改正規則を公布、制定し得るような準備をいたしておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうするとあれですか、ちょっと非常にこまかい点で、私自身もよくわからない点が多いんですけれども、司法修習生の待遇の今度の改善は、今度の国会に法案として出ているわけなんですか。あるいは法案として出す必要がない。そこはどうなっているのですか。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) 法案として出す必要がないわけでございます。それは法律で規則へ委任されておりまして、その規則を改正するということになるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その司法修習生が二年勤めて、判事の場合は判事補、あるいは検事になるわけですけれども、司法修習生の身分は法律上どういうことになるわけですか。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) 司法修習生は、現在のところ公務員ではないという扱いでございます。敷衍いたしますと、昔は司法官試補というのがございまして、これは官吏の待遇をいたしておったわけでございますけれども、その制度をはずしまして、公務員ではないという扱いになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 司法修習生が公務員でないという、その根拠はどこにあるのでしょうか。その点どうもはっきりしないところがあると思いますが。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) 御承知のように、司法修習生は、判事補になる人も、検事になる人も、弁護士になる人も含んで、しかもまだ未確定の状況において、いわゆる言葉を変えて申しますならば、ローヤーの卵として養成しているわけでございまして、そしてそれが二年の修習を終わりますと、弁護士になり、判事補になり、検事になっていくわけで、修習生自体はそういったものを含んでいる状況にあるわけでございます。その点が昔の司法官試補と非常に違っているところでございまして、そういうような観点から、司法修習生は最初の制度出発以来公務員でないという扱いをされてきておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃあ、その公務員でないという扱いをしているのに、実際の採用はこれは最高裁がやるのですか、どこがやるのですか。どうなっていますか。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) 最高裁判所が……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 公務員でないものを最高裁判所が採用するというのは、何か理論的におかしいのじゃないですか。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) これは裁判所法に、司法修習生、第三章に規定がございますが、結局法律の規定に基づきまして最高裁判所が司法修習生を司法試験に合格した者の中から入れるというふうに扱われておるのでありまして、この実質は結局ローヤーの卵を最店裁判所が世話するということになろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ローヤーの卵といえば、ローヤーの卵に違いないわけですけれども、そうするとあれですか、公務員でないことによって実質的に修習生が受ける不利益というふうなものはあるでしょうか。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) いわゆる公務員でございませんので、退職手当が支給できないというだけで、あとはもう勤勉手当から全部一応保障されるわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうするとあれですか、退職金を払えというので、修習生が訴訟を起こしたことがありましたね。そうしてこれは一審で敗訴になったわけですけれども、そのほかに恩給の通算というようなこともないわけですか、現在の段階では。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) その点もありません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、今の修習生が一万七千九百円から二万円になるのは、これは一般職の公務員ですか、それと比べて待遇はどうなんですか。それから現在の一万七千九百円の本俸というのは、いわゆる何というのですか、昔の行政官みたいな高文の試験はないですけれども、人事院でやっている試験なんかありますけれども、そういうのに受かった人との対照からいうと、一万七千九百円というと本俸はどうなんでしょうか。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) 一般職の職員の給与に関する法律の別表、いわゆる行政第一表というのがございますが、その行政一表の六等級の二号と、六等級の三号の間ぐらいになるわけでございます。で、従前からそうでございまして、だから、六等級の二、六等級の三のベース・アップの率に合うように改定されるわけでございます。そうして、その行政職の六の二、六の三というところは、大学を出てどのくらいたって適用されるかという問題であろうかと思いますが、御承知のように、人事院で上級職試験をいたしております。で、最近に上級職の中で甲種試験、乙種試験というのがございますが、甲種試験に合格していく人が、まあ大学を卒業前に人事院の甲種試験に合格しまして、卒業と同時に採用されるといたしますと、三年たちますと、ほぼ司法修習生の給与の額に達するといったような程度の額になっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃ、法務大臣に、一応最高裁にお尋ねするのですけれども、今、法曹一元化が非常にやかましく言われているわけですけれども、それが法曹一元化ということによって、判事、検事の待遇をもっとよくしなければならないということが強く叫ばれているわけでありますけれども、今度はまあ改正案ですから、部分的な改正案ですから、この中にはそれが出ておらないとしても、この問題について法務大臣並びに最高裁当局は、具体的にその待遇改善のために、どういうふうな一つの考え方なり方策なりを立てておるのか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。  その問題につきましては、目下臨時司法制度調査会が設けられまして、たびたびその問題を含めまして会議を進められておるところでございます。これは私の希望でございますけれども、調査会の答申というものが、ただいまお尋ねのような趣旨のことが十分行なえるように、そういう趣旨で答申が出てほしいものだと私も実は考えております。また、そのようにきっとなるだろうと、このように考えておる次第であります。それが出ましたならば、それを基本といたしまして実施いたして参りたい、特に裁判官の身分や地位並びに報酬上の優位の点等も含めて実施をして参りたい、こういうふうに考えております。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) 最高裁判所といたしましては、昭和三十五年に、このただいまお話しになりました裁判官報酬法第十条の規定の適用に関しまして、国会に出るまでにいろいろな問題があったわけでございます。そういった問題もはらんで調査会ができておるわけでありまして、私どもといたしましては、この調再会におきまして、裁判所における事情を十分説明いたしまして、弁護士会、それから法務省、裁判所と一致協力いたしまして、裁判官の報酬は応分な報酬ができますように努力したいと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の法務大臣の答えの中に一つの問題があると思うのですが、法務大臣は、裁判官の待遇の改善についても十分努力をしたい、こう言われたわけですね。裁判官の待遇改善の問題は、お聞きしているというと、最高裁当局が直接大蔵省に予算の折衝をするという形、一体それは法務省のなすべき仕事の中に入るのですか、どうなんですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 法律案を出しますときには、これは当然法務省が出すわけですから、関係がないということはないわけです、給与問題を含めまして。この法律案が給与等に対して、もしこれを改正するとすれば、当然法律案を出すわけでありますから、そのときに出すのは私の責任において出すわけでございますから、関係があるわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは裁判官の給与の改善ということは、最高裁当局が中心となって大蔵省と折衝をする。まとまったものを法務省が法律案として出すというだけのことなんですか。裁判官の待遇を改善すること自体に、法務大臣が積極的に関与するということが許されておるのですか。実際行なわれているのでしょうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) つまり法律案として、法務大臣がその趣旨説明まで行なうわけでありますから、これはもう当然関与しているわけなのであります。ところが、今言われたように、それは裁判官の給与をどうするかということを法務大臣が発案をいたしましてどうのこうのという問題とは私は違うと思うのです。そういう問題を含めまして、臨時司法制度調査会に諮問をしておるわけでございますから、それが当然のこととして結論が得られれば、また、改正の必要があれば、改正案を法務大臣の名において提案をしたい、こういうことになると思うのです。ですから、原動力になって、発議者になってどうのこうのという問題とは、これは確かに違うと思います。それは事前に、あなたの御指摘どおりに、話し合いをしまして、そうして、この法案を出してもらいたいとか、それじゃ出しましょうとか、もちろんそういうことだろうと思うのです。  それから、この種の問題は、すべて一応閣議を経るわけでございますから、最高裁の代表としては、正式に閣議にはどなたも出席ができないわけなんです。そういう場合でも、別に法制上の資格はございませんけれども、私がかわって、最高裁に関する発言等があれば、事前に連絡をいたしまして、もちろん私がその予算その他についても発言をしていく、こういうことになるわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 内閣の中で、給与担当相がきまっておるわけだと思うのですが、これは大橋さんですか、今の労働大臣ですね。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) そうです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、裁判官と検察官の給与の改善のことについての担当は、法務大臣だという法律的な根拠はどこにあるわけですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) これは法務省設置法で規定されておるわけです。それから、法務大臣が担当だとかなんとかいうのでなくて、給与担当相に、たとえば本会議等で一括上程、趣旨説明等をさせるという場合は、これはやはり閣議できめて行なうわけでございますから、何らその矛盾はないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の法務省設置法にきめてあるとは、どこにきめてあるのですか。  それから、そういう裁判官なり検察官の特殊性ということになれば、今度の本会議だって、それ全部含めて一括提案して、給与担当大臣が説明しておるわけですね。こういうことが、やはり本質的におかしいのじゃないですか。物事はけじめをつけて、やはり法務大臣が本会議でもちゃんと提案して説明するという形をしっかりとったほうがいいのじゃないでしょうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 最初のお尋ねですが、法務省設置法の第二条に、「法務省は、左に掲げる国の行政事務を一体的に遂行する責任を負う行政機関とする。」、その九号のところに、「司法制度及び法務に関する法令案の作成に関する事項」と、こういうふうに実はなっております。  それから、先ほどの給与関係法につきまして、一括本会議に上程しましたのは、今度の場合は、基本的には一般の公務員のベース・アップに伴う措置でございますから、そういう考え方で、内閣としましてはすべて一括して取り扱っていこう、こういう考え方でやったわけです。もし、これが単独で裁判官に対する報酬の改正が必要であるということになりましたならば、当然法務大臣がそれを提案、趣旨説明をすることになると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大蔵省設置法第八条の十九号、「特別職である国家公務員等に関する給与制度を管理すること。」、これは大蔵省の所管になっておるわけです。これとの関係はどうなんですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) どうも専門的にわたりますから、調査部長から説明させます。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) ただいま御指摘の大蔵省の設置法に、「特別職である国家公務員等に関する給与制度を管理する」という規定がございますが、これと法務省の司法制度に関する法令案の作成との関連、関係だと思うのですが、で、特別職という面では一括して大蔵省の管理するところになるわけでございます。しかしながら、裁判官の報酬は司法制度の根幹をなすということは、裁判所法自体に、裁判官の報酬は別に法律で定めるということになっております。特別法であって、特別職の給与法一般によるものではないわけです。したがって、この面では、司法制度の面から考えるべきであるという意味において、法務省がこの法令案の作成を担当するということは、法務省ないし法務府設置法以来の解釈として続けられておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、今の法務省設置法二条九号ですか、「司法制度」のほうに裁判官がかかって、「法務に関する法令の作成」のほうに検察官がかかるのですか。そういう解釈ですか。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) この「司法制度」と申しますのをもちろん狭義に解釈すれば、そういうことになるというふうに考えられますけれども、司法制度の一面におきまして、検察官は裁判官に準ずる職であるという意味におきまして、私どもとしては司法制度に関する法令案というふうに解釈しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは解釈の問題としましても、今の法務省設置法の解釈を、字句からいえば、相当拡大しているような解釈になるのじゃないですか。これはやはり明文をもってもう少しはっきりさせておいたほうがいいのじゃないですかね。私はそういうふうに考えるのですが、どうでしょうか。ちょっと無理な拡大解釈じゃないでしょうか。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) 「司法制度」と申しまするのは、司法を運用する制度一般でございますから、たとえば弁護士の制度も司法制度の一つなのです。したがいまして、司法制度を狭義に解釈して、裁判所の制度だけだというふうに解釈しますと、これは非常に狭いものになりますので、それじゃ弁護士の制度はどこで所管するかということになります。したがいまして、そういう広い意味の司法制度という制度自体の問題でございますから、裁判所制度というものではないわけでございます。そういうふうに解釈いたします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 いろいろまだお聞きしたい点も私はあるわけですけれども、一応二つの改正案に対する質疑は、きょうはこの程度にさせていただきたいと思います。またいずれ、あしたですか、あさってですかにわたって、もう少し研究するところがあって質問するときにしたいと、そういうふうに思います。そのときは法務大臣、忙しければ出てこられないでけっこうだと思います。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、発言の通告がありましたから、岩間君。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私はこの法案に関係しまして、実際に裁判官、検察官を助けて法務省の仕事をやっている職員の給与の問題、生活の問題、さらに法務局の地方登記所なんかで働いておりますこれらの職員の給与の問題、こういうものについてこの法案と関連して大臣にお聞きをしたいと思う。といいますのは、これは裁判官や検察官の俸給は、一応これは法的な根拠を持って生活権の確保ということがある程度なされております。しかし、その実務にあって下働きをやっている、つまり司法行政を支えている職員の給与状況というものは、非常に現状においては恵まれない状態にあるのじゃないか。特に司法行政の関係ではそういうことをしばしば耳にするわけです。で、この前、私たち北陸三県を視察しました。そのときの報告書もここにございますけれども、それらの問題と関連してお聞きしたいと思うのであります。  まず第一に、大臣は、現在の法務省職員並びに法務局地方登記所に勤務しているこれらの職員の給与状態ですね、生活実態というものをどのように把握されているか、この把握の実情をお聞きしたいと思います。それで大体そういう点から考えまして、三十歳以下の職員が一体どれくらいの平均給与を受けているのか、四十歳から四十五歳ぐらいの平均給与、五十歳以上の平均給与、このような調査があると思いますので、このことをまず最初にお聞きしたいと思います。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。御指摘になったそれらの公務員の人の給与が必ずしもいいとは私も思っておりません。三十歳、四十歳、五十歳等の年令を一つの基準にしましての問題につきましては、調査した上でお答えをいたしたいと思います、ただいまその資料を持っておりませんから。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 今のような御答弁ですが、これは調査の結果を急速に、会期もあと二日なんですけれども、やっぱりこれは出していただけますか。まず司法行政を云々するとき、これは裁判官や検察官の俸給、身分、生活、そういう問題だけを問題にしたのでは、私は具体的な実情に触れるということにはいかぬと思いますので、特に今度の俸給改正との関連でこの点明らかにすることが非常に重要だ、こういうふうに考えております。これをいただけますか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 資料は、調査しました上で提出いたします。それから、この裁判官、検察官を除きました法務省関係の一般の公務員に対しましては、一般の公務員同様に、今度のベース・アップの措置がとられたわけでございまして、これだけ、判事や検事だけが行なわれたということではないわけです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それはわかっておりますけれども、私はその関連ですね、同じ官庁に住み、同じ仕事をやり、しかも下積み的な仕事で実際の行政を支えているのは、これらのいわば職員、まあ労働者たちの私は大きな任務だ思う。したがって、この給与問題とは、非常に司法行政を論ずる場合に、いわば等閑視されているそういう問題を明らかにするということが必要だと思いますが、現在どのくらいでございますか。たとえば法務省関係、裁判所関係、それから地方登記所、それから検察庁関係、こういう職員の数というのは、これはわかるわけでしょうね、調査部長いかがですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 正確を期する上からいいまして、やはり一応資料を調査した上でお答えしたいと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 裁判所関係は、最高裁判所。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) 裁判官を除きました裁判所の職員は、約二万人でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは調査部長はおわかりでないのでしょうか。法務省関係の、たとえば登記所関係。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 岩間君に申し上げます。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔速記中止〕

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) 直接私の所管でありませんので、はっきりしたことは申し上げかねますが、法務省の職員は、大体四万でございます。そのうち法務局が約一万、あと、検察庁もほぼ一万近く、そのあとは刑務所その他、保護観察所等の職員でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それじゃ、詳しい資料は正確に出していただくとしまして、それで、どうですか、あなたの所管でないというと、あなたの所管はどこまでなんです。つまり、裁判官、それから検察官、それだけですか。職員については、だれが担当しておるのですか。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) 職員につきましては、それぞれ部局がございまして、法務局につきましては民事局、それから刑務所その他少年院等の関係は矯正局、それから保護観察所の関係は法務局、そのほか入国管理局等それぞれ分かれておりますので、それらの支分部局の職員の待遇その他の内容につきましては、直接その部局が担当をいたしておるわけでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それをまとめてやっておる人はないのですか。まとめてやっていなければ、ばらばらになるでしょうが。全体の比較調整、そういう上に立たなければ、これはやれないと思うのですよ。だれですか。官房長ですか、そこはどうなんですか。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) 法務省には官房長制度はございませんで、予算の面からは、全部経理部長があずかっております。個々の内容につきましては、各担当部局ということになっております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私の質問は、具体的な内容になるわけですから、そうすると、経理部長を呼んでいただかないと、ちょっと進められないですね。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて下さい。

守田直最高裁判所事務総局人事局長

○最高裁判所長官代理者(守田直君) ただいまの点で、裁判官以外の職員につきまして、最高裁判所としては、私が所管いたしております。で、その正確な数を申し上げますと、約二万と申しましたが、二万四百三十八名でございます。  それから御質問の趣旨は、一般の職員と同じか違うかというような問題に、結局なろうかと思いますが、本年の一月一日現在の資料しかございませんので、その資料で考えてみますと、行政職の(一)表の適用の者につきまして、これは政府職員は平均が二万二千五百十九円になっております。裁判所におきましては、二万二千四百十二円になっております。一般職員に比べますというと、百七円ほど少なくなっております。ところが、平均年令から申しますというと、裁判所職員が〇・八年ほど若くなっております。しかし、これは一般の政府職員は三五・五歳であり、裁判所職員は三四・七歳になっておりますが、この年令差を考慮いたしますというと、大体裁判所の裁判官以外の職員と政府職員とは、ほぼ同じになっておりますということが言えると思います。で、ただいまその年令別にいろいろな給与を出せということでございましたが、これは年令別で給与を出すというようなことは非常にむずかしいことでありまして、資料に相当時間がかかりますので、できれば御容赦を願いたいと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 どうですか、休憩しますか。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) すぐ経理部長も局長も見えられるから、出席政府委員に質疑を続行して下さい。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記を始めて。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は、この法務省関係の職員の給与問題について質問をしようと思ったわけです。今度の二法と深い関係があるので、そういう点からお聞きしておるのですが、現在法務省の職員、それから法務省地方登記所関係に勤務している職員の給与実態、生活実態がどうなっているか。それで三十歳以上、以下の人たち、この人たちの平均給与、それから四十歳から四十五歳の平均給与、五十歳の平均給与、そうしてそれを等級別、号俸別、そういう点で資料はできていないかしれませんが、大体の大きな線でいいですけれども、そういう点をお聞きしたいと、こう思うのです。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) ちょっとむずかしい御質問でございまして、私も正確なことを申し上げることはできないのでございますが、大体は、三十歳代の法務局の職員について申しますと、三万円までは行っていない。二万数千円前後であろう、非常に大ざっぱな話でありますが。それから四十歳代の職員でありますと、三万円あるいはそれをこえる、大体非常に大ざっぱでございますけれども、そういうふうに考えております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 法務局関係はどうですか。地方法務局関係のこれはデータはございますか。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) ただいま申し上げましたのは、法務局、地方法務局に勤務しておりますところの法務事務官につきまして申し上げたのでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、地方法務局の職員は何人でございますか。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 職員の総数は大体一万足らず、九千五百名前後と記憶いたしております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、裁判所関係が二万ですか、それから法務局関係が一万ですか、地方法務局関係は。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 法務局の職員は、ただいま申し上げましたように、九千五百名前後でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 法務省の一般職員はどのくらいでございますか。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) 三十七年度におきましては、四万六千八百二十九人となっております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 その内訳をちょっと話して下さい。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) 内訳はかなりこまかくなっておりますが、申し上げますと、本省内部部局が九百八十五人、法務局が、ただいま民事局長が申し上げました九千五百九十四人、それから矯正管区が二百四十人、地方更生保護委員会が二百四十五人、保護観察所が九百七十八人、入国管理事務所が一千七十二人、研究所・研修所が百二十二人、監獄が一万六千八百十三人、少年院が二千六百七十五人、少年鑑別所が一千百四十三人、婦人補導院が七十五人、入国者収容所が二百二十四人、検察庁が一万八百三十六人、公安審査委員会が十人、公安調査庁が一千八百十四人、こういう数です。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 その内容を大体等級別で申しますと、等級別、号俸別それから勤続年数別で、これは該当者の数は調査できておりますか。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) ちょっと手元に資料がございませんので、その点はちょっと申し上げられません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それじゃこれ、出してもらえますね。この法案が上がるまでにできませんか。しかし、予算要求したでしょうから、予算要求するとき、この積算の基礎がなければ予算要求できないはずだ。だから、すぐわかるはずだ。こんな調査できてないなんてだらしがないな。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 法務省全般につきましては、後ほど資料が準備されると思いますが、法務局だけにつきまして、非常にこまかくなりますが、読み上げてよろしゅうございましょうか。法務局だけはここでわかりますが。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 法務局だけ。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) はい。よろしゅうございましょうか、ちょっと長くなりますが、よろしゅうございますか。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 法務局だけ。全体のやつはまだできていない。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 全体のものは、これはまとめればこれでできるのでありますけれども、ちょっと時間がかかりますので。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 読んでもらってもいいのですが、時間の節約ということもあるので、資料で出してもらってもけっこうです、ここで二十分、三十分かかったのでは、なんぼ三日間延長したってできないわけだから。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは岩間君の要求の資料は、少しでも早くまとめて書類でもらうことにいたします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私はやはり大臣の出席を実は求めているのは、こういう問題を明らかにして問題点を解決してゆく。つまり職員の待遇が、実際の現在の司法行政を遂行するにふさわしいものを獲得しなければいかぬ。そういう立場からいいますというと、それに対する基礎的な調査資料というものは作られなければならない。そういう資料というものをこれは十分に活用して、そうしてこれもやはり予算折衝でも何でもやってゆくのでなければ、いつでも法務関係というのは下積みにされておる。日陰になる。日の当たらないことになっておる。それがいろいろな形で国政の上に悪影響を与えておるという実態を私は見ておる。そういう点からいいますと、どうも実はこういうときにひょっとすぐに出せるような資料がほしいわけです。そういうものは作っておいてもいいんですね。それから、どういう観点から一体給与問題について取っ組むのか。だから、私はやはり大臣の出席を求めておるんです。それは、あなた方一係官の立場でそのことを聞いても無理なんです。だから、今の私の質問も十分ではないかもしれませんが、そういう質問にすらすらと答えることができないというところに、こういう給与問題が解決できないという一つの大きな暗箱があるのだということを、司法行政に、私も法務委員になって日が浅いので、そういうことを直感するのですね。それでこういう質問をしているんです。どうです、次官、そういう点について今後どういうふうに処理されるか、ちょっとお聞きしたい。

野本品吉自由民主党法務政務次官

○政府委員(野本品吉君) 予算要求の基礎になります数字は、確実なものがあっての要求であると私は考えております。ただ、その内容がこまかくどういうものであるかについては、つまびらかにいたしません。今後、今岩間さんの御指摘になりましたような事実が法務省にあるとすれば、それらの点については、そういうことのないように、はっきり明るい予算を作って、その予算の実施に当たらなければならぬ、かように考えております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 予算獲得技術からいっても、私はそういう点にやはり改善を加えないと、法務省いつまでも下積みになりますよ。その点を私はここで率直に忠告しておきたいと思うんですが、あすまでにそういう資料を出してもらうことにして、それでは次に進みます。  それならお聞きしますが、二十歳から二十歳未満、それぐらいの場合、俸給額はどのくらいになるのか。給与全体を合わせていいです。それから、そういう中で手元に実際どれくらい入るのか、ここが問題なんですね、この点お聞きします。大体のところはつかんでおられるでしょう。いかがです。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 法務局の職員について申し上げますと、二十歳代でありますと一万五千円前後、平均いたしまして、そんなことになるんじゃないかと考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 やはり驚くべきことですね。ここに実は何よりの生きた証拠があるのですね。そういう形で運営されておるから問題になるのですね。ここには、法務省職員が物価高の中で非常に今苦しんでいる、それでやむにやまれず実態を知ってほしいというので、そして十分に考慮してくれというので、給料袋を東京、千葉、新潟など全国から約一千通を出している。俸給表を突きつけられた、袋のまま。こういうもので見るというと、一万五千円というお話でしたが、これはどういうことになりますか。ちょっと説明して下さい、内容を。二十歳前後で、二十歳あるいは二十歳未満のところで今一万五千円というお話でしたが、ちょっと説明して下さい。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 私、今二十歳代ということで申し上げたのでございますが、二十歳末満となりますと、これはただいま仰せのように、もっと低くなると思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 具体的にひとつ、あなたのほうでそういうなにはありませんか。その中身を説明して下さい。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 二十歳あるいはそれ未満ということになりますと、八等級の職員というのが大部分になると思うのでございます。八等級の職員でありますと、最初は一万円足らずから出発いたしまして、数年たちまして一万円ちょっとこえる程度になる。そのうちに七等級になるわけでございますが、七等級になりますと、一番最初は一万三千円ぐらいで出発する。そういうわけで、二十歳代になりますと、平均いたしまして一万五千円、あるいはまあそれよりももっと上になるかもしれませんが、大体の見当は……

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 二十歳について言って下さい。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 二十歳のものでございますか。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ええ。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 二十歳のものにつきましては、全部集めまして平均してやったことはございませんので、二十歳なら幾らということは、私も的確なことを申し上げられません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 やはり私はもっと職員の生活の実態というものを把握して、実情の上に立って生活問題を解決するという努力をしなくちゃならぬと思うんです。ところが、どうも今のような御答弁だと、実態をつかんでいられないわけです。ここに二十歳の三つの例をあげましょうか。これは二十歳の女子です。そして勤務年限が二年一カ月になります。実際入るのが、これは俸給が九千九百円、暫定手当が三百六十円、超過勤務手当が五百三十六円、通勤手当が三百九十六円、合計一万一千百九十二円ということになります。ところが、これに対して共済組合の掛金が三百六円、共済組合の長期の掛金が四百三十五円、住民税八十円、それから物資販売代金一千円、こう控除をされますから、手取りは九千三百七十一円、つまり一万円以下です。これは九千三百円。第二例を見ましても、手取りがこれはやはり一万三百七十九円、これは二十歳で一年八カ月の男子です。それから、同じように二十歳で勤務が三年五カ月、この手取りが一万七百五十三円、こういう形です。そうすると、まあ二十歳の人三人を今例としてあげたんでありますけれども、一万円前後ですね。一万円足らず、あるいは一万円ぽっきりぐらいのところ、こういう形で一体生活をささえていくことができるのかどうか。こういう実態についてあんたたちはこの職員の実態を調査されたのかどうか、その上に立って現在の俸給問題というものを、給与問題というものを論議しているのかどうか、これはどうですか。いかがです。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 私先ほど申し上げましたのは、ただ本俸につきまして申しましたので、手取りは今仰せられるようなことで減ることは事実でございます。私どもといたしましても、法務局の職員が必ずしもりっぱとは言えないのみならず、非常に古い老朽、狭隘な庁舎で忙しい思いをして働いておりまして、超過勤務手当なんかも必ずしも他と比べてよろしくない、そういう不利な条件のもとで働いておりますこの待遇を改善するというより、むしろ待遇を是正する必要があるということを十分認めまして、私どもは私どもなりに努力をいたしておるつもりでございます。ただ、この俸給の額というのは、岩間委員も御承知のように、法務局の職員だけに特別のものが定められているのではございませんで、全国家公務員共通の俸給表に従って支給を受けているわけでございます。法務局の職員だけにつきまして優遇をしてもらうということは、これはできぬことはもちろんでございまして、私どもの能力の許します限りにおきまして、待遇の改善是正には努力をいたしておるつもりでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 担当の事務官としてはそういうことをおっしゃるのはやむを得ない面があると思います。問題は、国家公務員の俸給そのもの、全般的な問題に関係するわけです。しかし、そういう問題が多いから、押しつけられるから仕方がないという形で、何でも天下り式でやられているところに日本の政治の実態がある。やむを得ない、メイファーズだと言うだけでは、これはいつまでたっても解決しない。そして、そのしわが全部行政の上に響いている。これがどういう格好になってくるかといえば、汚職になったり、あるいはその生活を何とかほんとうにふさがなければならないために、借金をしたり、やりくり算段ということになってくる。この問題は非常に政治的問題なので、だから、大臣の出席を求めているのでありますけれども、大臣がいないと、こういう問題について事務的な話だけやってみても解決つかないのではないか。今、国会もあと二日を残す会期の中で、やはり非常にこれは重大な問題になっている大きな問題なんです。そういう問題で大臣にあとから出てもらってなおやりたいと思いますが、政務次官、とりあえずどうなんです。一体、今のような非常に古い庁舎で、仕事も非常に多くなってきて、法務局関係のごときは、この前私たちが取材に、調査に参りまして、その一委員の報告の中のたとえば一節を読み上げますと、こういうことになっております。「近時同地方における発電事業の開発、工業地帯の造成、道路軌道の造設、都市港湾の拡張整備、土地改良、区画整理等の諸事業が急速に進み、これに伴う登記簿の改製、用地の買収、土地の分、合筆等の登記事務が激増しているにかかわらず、その処理に当たる職員は、かえって減員されている状態であります。また、これらの事務処理に当たる法務局関係職員の超過勤務手当の受給状況について見ますと、一人一カ月平均十七・九時間の実働超勤に対し、配付されている予算は、その半額にも満たない、月間一人平均七時間という状態であります。このような状況を反映いたしまして、現地各法務局においては、職員の増員、超過勤務手当、宿日直手当の完全支給及び裁判所書記官並みの号俸調整の実施を強く要望しております。」、その号俸においても、これは非常に問題があるわけです。切実に私が聞いたのは、法務局関係では、せめてとりあえずこの裁判所並みにしてもらいたい。その裁判所の職員に聞いてみますというと、やはり今私が示したようなこれは切実な状態にあるわけですね。そういうふうに考えますと、この問題は、やはりはっきり腹をきめてこういう問題を解決するための努力をするのかどうかというところが、今非常に私は重要な問題になってきていると思うのですが、いかがですか。

野本品吉自由民主党法務政務次官

○政府委員(野本品吉君) ただいま岩間先生の御指摘になりました、法務局の末端機関における勤務の実態につきましては、私も大体は心得ております。最近、特に道路の開発、建設事業等々、経済界の事情の反映が法務局の事務を非常に量的にも多くし、質的にもむずかしい仕事になってきておりますときに、人員が充足されないために、事務そのものが渋滞すると同時に、そこに勤務しておる職員の諸君が非常なお骨折りをなすっておるということはよく承知しておりまして、これらの点につきましては、かねがねいろいろと考えておるわけです。  それから、法務省全体のことについて考えますときに、私は法務省の、先ほど申しました三千三百という地方の出先がある。この多数の出先で勤めておる諸君の職場というものが、一般官庁とよほど調子の違ったところがありますので、したがって、そのための勤務の過重というふうな実態も見えておりますので、この点につきましては、どうしても人による人の仕事なんでございまして、複雑微妙な、個人の権利あるいは名誉、財産等に関する仕事を扱っておりますところだけに、機械で処理できない。したがって、どうしてもこれは法務省関係の人員をふやすことによって、そういうところの職場の実態に応ずるようにしていかなければならぬということで、一応来年度にもそういう意味での増員要求をある程度しておるわけでございます。  それから、法務省の職員の給与が、もし実際実態を調査しまして、他の公務員の給与との間にアンバランスがあるとすれば、私どもこれを黙視しておるつもりはございません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 具体的にあげましたように、まあ、この俸給袋というやつはあまり人に見せたくないものですね。ところが、これを見せざるを得ないというこの気持というのが、私はぐっと胸に来たわけですが、そういう中で実際調べてみますと、二十歳で九千七百円から一万円くらいです。ここでお聞きしますが、これで生活できるとお考えになりますか。これは次官どうですか。これで生活できる、このくらいの一体給与で低賃金で生活できるとお考えになりますか。

野本品吉自由民主党法務政務次官

○政府委員(野本品吉君) これは経済の成長とともに生活が高まり、生活が高まれば給与をよくしなければならぬ、これは当然のことだと考えております。そこで一万円で生活ができるかということになってきますと、それは非常に答弁としてはむずかしいと思います。都市の一万円と、それからして自宅通勤のできる農村の一万円というようなことになりまして、私は一万円で都市等において生活することはきわめて困難であると思う。農村等で自宅から通勤されている一万円の人は、都市の者に比べて生活は楽だ、こういうふうに考えて、一万円で生活ができるかという一般的な御質問に対しましては、はっきりお答えはできません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私があげましたのは男の二人、これは東京法務局の場合なんですよ。地方じゃないのです。だから、もう今の次官のお言葉でちゃんと裏書きされている。生活できない。こういう実態にあるわけですね。御存じだと思いますが、人事院勧告によってさえも、十八歳の独身男子、これは二十歳じゃありません。十八歳の場合、標準生計費は月一万九百六十円。これが一万一千円。しかし、それは人事院勧告による非常に低いものです。これはあとでさらに私は論及したいと思うのですが、これはまあ非常ないろいろなごまかしがあります。私はこの勧告そのものが非常に重大な問題になっているのですから、これについても具体的に触れるつもりですが、それでさえも一万一千円、十八歳。二十歳で九千七百円から一万円で暮らしができるかできないかというのは、これは当然だと思うのです。こういう実態をやはり深く認識していただかぬと、われわれ国会の論議がから論議になったんじゃしょうがない。これは今の司法行政をささえている、ほんとうに縁の下の力持ちになってやっている公務員諸君の問題を打開するという立場から申し上げているのです。ですから、その次、これと関連しまして、どうです、二十五歳くらいはどうおつかみになっているか。——その前に、大体足らないのをどういうふうにしてこれをまかなっているとお考えですか。下情に通じている方と伺っているのですが、まあ、とにかく足らないということは今おっしゃったとおりなんです。とにかく十八歳で一万一千円は要ると人事院勧告で言っているわけです。それさえも非常に現状に合いません。かりにその上に立ったとしましても、二十歳だったら、少なくとも一万五千とかなんぼくらい要る。こういうことですから、一万五千とか要るのですから、赤字が出る。何でこれを補っているとお考えになりますか。

野本品吉自由民主党法務政務次官

○政府委員(野本品吉君) 現職公務員の処遇の問題につきましては、私が申し上げるまでもなく、いつも人事院が民間給与とのバランスにおいて詳細な検討をして、そして民間の給与と均衡がとれない場合に増額の勧告をしておりますことは、もう申し上げるまでもないのであります。そこで私は、人事院の現職公務員に対する処遇の基準というものは、大体民間の生活の実情に合ってのものと一応考えております。したがって、年令あるいは学歴、職歴、職種等によって、それ相当のことがなされていると思いますが、とにもかくにも、全体として考えた場合に、日本の公務員の給与は十分であるとは考えておりません。要するに、人事院の研究の結果に基づく勧告というものが一応尊重さるべきものであるというふうに考えて、それと比較して、今の岩間先生の御指摘になるような人たちが、それに比べて非常に低いとか、ずれているということであるならば、あらためて考えなくちゃならぬ。なお、御指摘のように、公務員の給与が生活の実態に合っているかどうかの問題につきましては、これは人事院の調査勧告もさることながら、各省庁の当局においても常に仔細に注意を払っていかなければならない問題であると心得ております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これはやっぱり大臣に来ていただいて、もう少しはっきりした答弁をほしいと思うのですがね。人事院勧告の問題で今の答弁を反駁しようなどという考えでいるわけではありません。しかし、やっぱり実態の認識が非常に私はあいまいだと思うのですよ。それがために、人事院勧告の関係は、実施されるときのもう一年半前のものです、御承知のように。そうでしょう。五月の実情と言っても、これは民間の前年のやつですからね。前年のやつをもとにして、そして五月にまとめて、そして五月一日から実施せよと言って勧告している。ところが、人事院勧告を尊重すると言うけれども、尊重なんかしたことがないのです。五月に実施をしろとちゃんと人事院勧告はうたっている。ところが、それに対していつでも十月から。そうすると半年ずらす。そのうちにまた物価がどんどん上昇しますから、結局、人事院勧告を半分しかやっていないというのが今の政府の姿じゃないですか。そういうしわというのは全部今申したような格好にこれはなってきている。ここのところはやはり委員長、私質問をやっていながらどうも張り合いがないのです。もう少しやはり大臣に来てちょっとやってもらわないとまずいと思うのですが、どうですか。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて下さい。  それではただいまの質問は一応この程度にいたしまして、次の問題に入りたいと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 大臣の出席がないから私はやめるのです。そこのところをはっきりしておいて下さい。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 大臣はもう見えられると思いますから、一応この程度にして、次の議題に移ります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ちょっと国政調査の問題に入る前に、今の裁判官、検察官のことに関連して、ちょっと資料を出してもらいたいことの要求をしておきたいと思うのです。  それは法務省、最高裁判所が、今年の大蔵省に改善要求をしたときにおきます。裁判所関係ではたとえば判事、判事補、あるいは書記官、書記官補、調査官、調査官補、事務官、用人、廷吏といろいろありますが、そういうようなものの定員と現在員、欠員がどの程度あるかということをひとつ明らかにしていただきたいと思います。  それから法務省関係では、同じことですけれども、たとえば検事、副検事、それから事務官、あるいは事務官補というのですか、そういうのがたくさんあります。それから法務局関係では同じようなものがあると思います。それから刑務所関係、保護関係が加わりますが、それの実際の定員と現在欠員がどれだけあるかということを、ひとつ明らかにしていただいて、これはきょう中にでも、できるだけのあれはあるのじゃないかと思いますから、あしたの朝に出していただきたい、こういうふうにお願いしておきます。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 政府委員の方、ただいまの要求、御了承になりましたか。

津田実法務大臣官房司法法制調査部長

○政府委員(津田実君) ただいまの資料は、できるだけ早く差し出します。   —————————————

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは次に、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。速記を止めて。   〔速記中止〕

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それでは審議に協力する意味であすまでにこれは調べてきてほしいのですが、二十五歳の実収は一体どうなるのか。それから三十歳から三十五歳、それから四十歳から四十五歳、それから五十歳以上、これは裁判所のほうも一応大筋でいいですから調べておいてほしいと思うのです。あす質問をして、また調べなければわからぬということではまずいですから。それから、それが今度の給与改定でどうなるか、そこが肝心なところですから、改定で実際どうなるのか。この調べる要項はいいですか、あなたのほうで記録しておかぬでいいですか。あすになってから、わからないなんということでは、これは工合が悪いですからね。今の二十歳、それから二十五歳、三十歳、三十五歳、四十歳、四十五歳、それから五十歳以上、この人たちの現状、手取り、そうしてその生活の状況はどうか、足らないのはどういうふうに埋めているか、そういう問題。これは今度の給与改定でそれがどのくらい一体上がるのか。そこのところが非常に重要ですから。むろん、詳細になどと言ったら時間がかかるでしょうから、大筋でけっこうです。ただ私たちにはこういうようなはっきりした生きた証拠がありますから、あなたたちの調査がルーズなもので、全く工合のいい、ここだけで報告するというようなことは許されません。はっきりしておりますから。ここに生きた証拠があるのですから。これを見れば何ごともごまかすことはできませんから。そういう意味ではっきりお調べを願いたい。  それからもう一つ、今度の給与改定に関連しまして、刑務所、拘置所、監獄、少年院、少年鑑別所、これらに収容されている人たちの生活費、これはどういうふうに変わるのか、この内容をお聞きしたい。この問題について、あしたの答弁に差しつかえないように調査をしておいていただきたい。このことを先に今要求します。できたら資料で出していただければなお審議が促進されるわけでありますから、このことをぜひお願いいたします。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) もう一度確かめたいと思いますが、これは矯正職員のお話も出ましたが、法務局の職員だけでよろしゅうございますか。法務省関係では……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 法務省の本省をやってもらえますか、一般を……。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 本省の職員でございますか。一般職員……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 本省の職員でございますね。法務局と法務省関係。それから裁判所のほうは裁判所関係……ようございますね。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 法務局でございますか、法務局と矯正の職員でございますか。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 法務省には、法務局——いわゆる地方法務局の場合と、それから本省の、法務省関係の職員がいるわけでしょう。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 法務局は法務省関係でございますけれども、法務省と申しますと、検察の職員とか、いろいろございますので……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そのほかの職員でいいです。だから法務局、地方法務局関係以外の法務省になにしている職員がいるでしょう。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) そうしますと、法務省の全体について……。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 双方とも、はっきり発言を求めて発言して下さい。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 法務省のいろいろ分かれますね、大きなところでいいですからね。どうです。大筋は出るでしょう。大筋でいいですよ。法務省全体のやつですよ、これは。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいまの岩間君の資料要求、了解されましたか。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) ちょっとおそれ入りますが、お確かめいただきたいのですが、年令は、二十歳の職員、二十歳から三十歳までの職員……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 二十五歳。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 二十歳から二十五歳、それから……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 三十歳から三十五歳、四十歳から四十五歳、五十歳以上。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) お断わり申しておきますけれども、たとえば四十五歳と申しましても、ずっと古くから役所に入っておる人、それから新しく入っている人というだけで非常に困難な問題になります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 平均でいいです。特例を、非常に極端なのをここで論議してもしょうがないですから、だから大体のあれがあるでしょう、平均が。そこのところを押えてないとこれはおかしいので、さっき言った問題とぶつかるのです。抑えているか、押えてないか。押えてないと、これは要求できない。  それから、もう一つ重要なのは、今度の給与改定でそれがどうなるか。それが非常に重要ですよ。過去のことをいつまで言ってるわけじゃない。今度の給与改定でそういうことがちゃんと満たされるかどうかということが問題なんです。そこのところを忘れないように。以上です。   —————————————

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 外国人登録法、それから出入国管理令、それから日韓会談の中におきます在日朝鮮人の法的地位の問題、こういうようなことにからんでひとつ当局に質問をしたいと、こういうふうに思います。  現在出席をされておる方はどなたなんでしょうか。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 小川入管局長、羽山刑事課長、竹内刑事局長、野本政務次官、公安調査庁斎藤長官、宮下総務部長、警察庁では三輪警備局長、土田外事課長。以上です。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 外国人登録令があったわけですが、これをやめまして、昭和二十七年ですか、外国人登録法を作ったわけです。なぜ外国人登録令を廃して外国人登録法を作ったかということを、まずそこら辺からお聞きしていきたいと思います。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 現在の外国人登録法の前の外国人登録令の中には出入国管理令に相当する分がございましたのを、出入国管理令が制定されますとともに分けまして、そして外国人登録法を制定したようでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 外国人登録令の中に二つのものが入っていた、入国管理令の関係と外国人登録法に関する関係。前者を出入国管理令のほうに回して、外国人登録令を改正して外国人登録法にしたと、こういうことになるわけですね。そうすると、外国人登録法の第一条にあります「この法律は、本邦に在留する外国人の登録を実施することによって外国人の居住関係及び身分関係を明確ならしめ、」云々となっているわけですが、この「身分関係を明確ならしめ、」という意味は、どういう意味ですか。範囲はどの程度までを含むわけですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 本法第一条の「身分関係を明確ならしめ、」という趣旨でございますが、外国関係をはっきりいたしますとか、家族の関係をはっきりいたしますとか、そういうような趣旨で登録法に規定が載っておる、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 外国人の身分関係といえば、その人の国籍がどこであるかということが一番大きな問題じゃなかろうかと私は考えるわけですけれども、外国人登録法によっては外国人の国籍を明らかにするということはその目的として含まれておらないわけですか、おるわけですか。第一条とのこの関係でそれはどうですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) ただいまの稲葉委員の仰せのとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、法的に解釈しますと、この身分関係の中に、本邦に在留する外国人の国籍も明確ならしめることが含まれておる、こういうふうに考えてよろしいですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) そのとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 出入国管理令は片方が外国人登録法という法律になったのになぜポツダム政令そのままの形で残っておるのですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) なぜポツダム政令のままで残っておるかという御質問でございますが、私も当時のことは必ずしもつまびらかにしておりませんので、何ゆえにポツダム政令のままで残っておるか、法律として制定しなかったかというもし御質問でございますれば、やはりそのままで残しておきましても別段の支障はない法律であるというふうに解釈されたものと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 どうも少し御勉強が足らないんじゃないかと、恐縮ですが思うんです。出入国管理令は、そうすると暫定的なものとして政令で残しておいたということになるわけですか。将来の改正ということを考えて政令という形をとっていたんでしょうか、どうでしょうか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 暫定的にポツダム政令として残っておるか、ないしは将来の改正を含んでそのままにしておるかという御質問でございますが、われわれといたしましても、すでに十年をこえる期間にわたりまして管理令を実施しておりますので、実施の段階におきましていろいろと法令の不備な点もございますし、あるいはまた改正をしたほうがよい、ベターであるという面も多々できてきております。したがいまして、今後改正という問題につきましては、十分に慎重に考慮した上できめたいというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 昭和二十七年、ちょうど外国人登録法が制定され、同時に出入国管理令が国会の中で問題になったその当時の衆議院の外務委員会で、一体どういう点が論議になったか。当時鈴木一という人が入管の局長だったと思いますが、どういう点が論議になって、鈴木さんが法の改正についてどういうふうにお答えになったか、入管の方おわかりになりませんか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 当時のいきさつをよく存じております者がただいまおりませんのですが、当時相当多数の点につきまして問題があったというふうに承知しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の入管の局長さんほかわられて、失礼ですけれども、そう長くないように私、承っておりまするし、法務省出身の方でもないようにお聞きをいたしておりますので、あまり御無理な質問をしては恐縮かと思いますけれども、よくごらんになっていただきたいと、こう思うのですが、たとえば昭和二十七年三月二十日の衆議院の外務委員会、三月二十五日の衆議院の外務委員会、その他の中で当時の鈴木さんという人は——局長でしょう、鈴木一、違いますか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 当時は出入国管理庁と申しまして、当時の長官でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その人は、これは「現状でしばらくおきまして、時期を見まして新しい法律案にして、さらに国会で御審議をお願いしたいと思っておる次第であります。」、「われわれの希望といたしましては、準備のでき次第という意味で、あと半年か一年もしましたならば、当然改正をいたさなければならぬ時期になると思います。」と答えておりますよ。そうすると、この出入国管理令というのはポツダム政令で暫定的に残したけれども、一体どういう考え方だったのですか、そのときに正式な法律にしなかったというのは。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 当時は出入国管理令はアメリカの移民法を大体お手本にして作った法律でございます。それでやはりある相当の期間はこれを実施してみませんと、法律の運用の面でどういうふうな問題があるかということもはっきりわかりませんので、おそらく実施期間が予定よりも長くなった理由はそういうところにあったのではないかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 何だかあまりはっきりしない御答弁ですけれども、まあその点についてはいずれまた御研究願うなり——日韓会談に関連してこの問題はまた起きてくるのではなかろうかと私は考えております。  じゃ、別のことをお聞きしますけれども、出入国管理令、これは一体どういうわけで法務省の所管になっているのですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 最初外務省の外局として設置されましたのが法務省に移ったいきさつにつきましては、私もよく存じておらないわけでございますが、おそらくやはりほかに、外務省にそのまま置いてしかるべきか、あるいは人権問題その他の問題もございますので他の省に移したほうがいいか、彼此研究された結果、法務省に移されたのではないかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 もう少し研究してくれませんか。ちょっとあれですね、私も別に悪意があってやっているわけじゃないのですけれども、ちょっと勉強して下さい。その当時の国会の議事録を読むと出ておりますから。  もう一つお尋ねしたいのですけれども、現在この外国人登録の関係は市町村にいろいろ事務を委託しているわけです。だから本来ならば自治省の所管ということでもいいのじゃないでしょうか、そこはどうでしょうか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) やはり出入国管理令に非常に深い関係もございますし、外国人登録法はやはり法務省の管轄にしたのが妥当だというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 だから外国人登録法がなぜ法務省の所管になったのかということ、法務省の所管が妥当だというなら妥当だという根拠をもう少し私は説明してもらわないと、これが現在法務省の所管であるという理由が納得できないわけですよ。もう少し何とか説明の仕方ございませんか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) やはり出入国管理行政というものに直結しておりますので、法務省が最も妥当であるというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それはあまり尋ねてもあれですから、よく研究してくれませんか。  じゃ外国人登録法のことについてお伺いします。  これはもう大臣がおられれば大臣にお聞きするのがほんとうなんで、入管の局長にお尋ねするのは私はちょっとお気の毒じゃないかと、この思うのです。あるいは刑事局長でもけっこうだと思いますが、日本の外国人登録法の特徴はどこにありますか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 私からお答え申し上げるといたしますれば、私の私見になりますので、御満足のいくようなお答えができないと思いますから、この法律の主管局長から、あるいはないし研究しました結果に基づいてお答え申し上げたほうがいいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 まあ入管の局長さんは外務省出身の方ですから、この点についてきょうこれ以上追及するのは私はまあ遠慮すると言うと語弊がありますけれども、差し控えますが、じゃ刑事局長、どうですか、外国人登録法の刑罰法規、刑罰規定というものは日本の外国人登録法は世界の国のいろいろな立法例と比較してどういうところが特徴になっているとお考えですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 先ほども入管局長からお答えいたしました中にありましたように、この法律は日本といたしましては、前は内務省時代には内務省の規則で、これはまあ省令でありましたか、そういうもので外国人の規制をしておったと思うのでございます。今日まあ外国人を管理するという建前でどういう管理の仕方をしたらいいかということが、大体私この法文自体から理解いたしておるわけでございますが、もちろん第一条に目的が書いてありまして、第二条に若干の定義がございます。それからそのやり方としましては登録というやり方、そうしてその登録の票を持ってもらって、それによってその人たちが日本においてどの地域に住んでおるか、どういうふうな職業についておるかという、要するに日本におります外国人の実態を常に政府として把握しているという状態をこの法律によって実現しよう、こういうふうにしているわけだと思うのでございます。で、罰則が外国との比較においてどうかということでございましたが、私はまだその外国との刑罰の比較を登録法に基づいて研究いたしておりませんので、お答え申し上げるわけには参りませんが、十八条等の罰則、それから十九条のこれは過料——刑罰ではございませんが、この十八条の罰則をずっと見て参りますと、今のような行政を施行していくためには、この程度の罰則を設けるということは、ほかの行政立法と比較してみまして、大体相当か不相当かということはなかなかむずかしいことでございますけれども、まずは相当な刑罰ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。しかし、運用の実績につきまして、先ほどもお話がありましたように、昭和二十七年以来もうすでに十年たっておりますし、外国人の出入りの関係もその当時とは格段の違いになってきております。でありますから、これらの内容につきましても、もっと簡便な方法で的確な掌握の仕方ができるかどうかというようなことが、本法改正の一つのねらいでもあろうかと思います。そういうふうに私はまあこの法律を理解しておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ちょっと話がこんがらがっているように考えられるのですが、今刑事局長の言われた本法の改正というのは、一体どっちの法律のことを言っておられるのですか。外国人登録法のことですか、出入国管理令の改正のことを言っておられるのですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 出入国管理令を先ほど令のままで置くというのはどうかということに関連してお答えを申し上げたのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 外国人登録法の刑罰法規面における世界の立法例と比較しての特徴、これは今刑事局長わからないと言われたのですけれども、これはひとつ刑事局の方面でもお調べ願いたいと思うのです。そこでひとつ御質問したいのは、外国人登録令のころは、罰則は懲役六カ月もしくは禁固または罰金であったわけです。ところが、登録法施行の当時、二十七年になって法定刑が上がって懲役一年になったわけですね。懲役一年もしくは禁固、なお罰金との併科までできるようになったわけです。外国人登録令から登録法になるときになぜ罰則が、法定刑の引き上げ強化がされたのですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) これは先ほど申しましたように、所管局は入管でございますので、まず入管の御意見をお聞き願いたいと思うのです。入管のほうでは、なぜ強化したかということについての理由づけをこの当委員会でも、おそらくは御説明をしておることだと思います。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) ただいまの御質問でございますが、最初外国人登録令時代におきましては、御指摘のように、六カ月の懲役、禁固もしくは一千円の罰金となっております。その後二十四年に一年の懲役、禁固、一万円の罰金というふうに変わっております。おそらくその当時の……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 二十四年ですか、二十七年じゃないですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 二十七年はその後でございます。その後二十七年の四月二十八日にさらに改正になりまして、外国人登録法として改正されまして、罰則は一年の懲役、禁固、三万円の罰金、こういうふうになっております。そこでその後は今日まで一切の変更は見ておりません。何ゆえに最初外国人登録令から登録法に変わりますときに半年が一年になり、罰金も一万円が三万円になったかという御質問だと思いますが……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 併科規定もあるわけですよ。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 懲役プラス罰金でございます。  そこで何ゆえに罰則が強化されたかという御質問でございますが、罰金の上がったのは、おそらく貨幣価値の変動を考慮して上がったと思います。また、半年が一年になった場合のことでございますが、おそらく実際に外国人登録令を実施してみまして、やはり相当違反が多く出た、したがって、やはり罰則についても半年を一年にせざるを得なかったというふうな事情があったのではないかと考えるわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 おそらくでなくて、しっかりとした答弁をお願いしたいと思います。きょうできなければ、よく研究して答弁して下さい。  それから日本における外国人登録法の中で処罰の対象、処罰の法条ですね、規定しているのは、いろいろもちろんありますね。たとえばいわゆる登録証明書を——登録はしてあるけれども、登録証明書を持っておらない場合、この場合も処罰の対象になっているわけですね。この場合の一体……、現実に正式に登録はしているのですよ、だけどこいつをたまたま持っていなかったという場合に処罰される、その処罰する理由というか、あるいは保護法益というか、それはどういうところにあるのでしょうか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 常時携帯の義務に違反した場合の罰則の点でございますが、これはたいへん失礼な設例になるかもわかりませんが、われわれ外国におりましても、必ずパスポートを持っておりますか、ないしは、身分証明書は始終持っておるわけであります。それは滞在しております国のやはり関係もございますが、本人自身がやはりそれによって不要な摩擦がなくなるというふうな関係もございまして、その国の利益と、それから本人個人の利益と申しますか、トラブルを避けるという意味において常時携帯しておるわけであります。したがいまして、常時携帯の義務というものは、やはり外国人が存在しております限り、その義務をどこの国でもやはり重要視している次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の入管の局長は、外国人登録と旅券の場合と混同しているのじゃないか。出入国管理令の罰則がありますね、それはどうなっておりますか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 旅券と申しましたのは、例としてまずかったかと思います。やはり身分証明書というものがやはり本法におきます登録証明書というものに該当するのではないかと思うのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 だから出入国管理令の今のあなたの言われた場合の罰則はどうなっておりますか。出入国管理令を調べて下さい。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 第十三条でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 登録法じゃないですよ。出入国管理令のほうですよ。旅券や許可書を携帯しなかった場合の罰則ですね。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 管理令のほうは、第七十六条でございまして、「携帯せず、又は呈示を拒んだ者は、一万円以下の罰金」でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 だから問題は、あれじゃないですか、出入国管理令のほうで旅券やあるいは許可書ですか、これは携帯していなかった場合は、一万円以下の罰金です。懲役も禁固もないのですよ。いいですか。それが外国人登録令になって正規に登録してあっても、外国人登録証明書をたまたま持っていなかったことで懲役、禁固に当たるというのは刑の均衡からいってもおかしいんじゃないですか。ここに外国人登録法というものの制定された一つの意図というか、考えているところがはっきり現われているのじゃないですか。この刑罰と比較してどうお考えになります。これは入管局長に聞いてもお気の毒ですよ。これは刑事局長のほうが専門じゃないですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 私のほうが専門であるということでございますが、私のほうの専門は刑法でございまして、ただ刑罰法令につきましてはもちろん御相談に乗っております、立法の際には。しかしながら、これはあくまでも行政事務を確保していくという観点から刑罰というものを設けるわけでございますから、この程度の刑罰を盛らなければこの行政を全うすることができない、断行力がないというようなことは、一応はこの法律を主管いたします、運用いたします官庁の御意見を尊重していかなきゃならぬ。ただしかしながら、同じような法律がたくさんございますですね。この出入国管理令については何でございますが、税法の関係とかその他同じ系統の法律があって、ある法律では三年以下、ある法律では十年以下、こういったようなアンバランスがある場合には、なぜ三年というような刑が出たか、なぜ十年という刑が出たかということは、私どうも追究いたしまして、その合理的理由の発見に努める、そういう努力はいたしますが、一切の行政法律について私が、刑罰がこれがいいか悪いかということは第一に主管の局の御意見を聞いていただきまして、なお、刑法のほうを担当しておるお前の意見はどうかということでございましたらば、また私は私なりの御意見を申し上げたいと思います。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) ただいま刑事局長から種々御答弁がございましたが、旅券の場合と外国人登録証の場合と均衡がとれないという御質問でございますが、パスポートとそれから外国人身分証明書の相違というふうな点も一応考えられまするし、やはりパスポートについて一年で、身分証明書について三年という……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 罰金ですよ。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 一万円で、片一方は三万円……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 三万円じゃない、懲役があるのですよ。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) どうもたびたび不勉強でおしかりを受けるようでございますが、よく検討いたしまして……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 きょうは入管局長でなくて、次長はおられないですか、富田さんは。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) きょうは私が出て参りましたので、この次もし次長にでも……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは、日本にいる外国人に旅券や上陸許可書を持って入ってきている人は、やっぱりアト・エニィ・タイム・キャリィです。いつでも持っていなければならないというのです。アメリカの法律の何かの翻訳でしょう。持っていなかった場合に一万円以下の罰金ということでしょう。一万円以下の罰金だという場合には、実際には逮捕できるのですか、逮捕していますか、持っていなかったというので。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 私からお答え申し上げる筋かどうかわかりませんが、実際にそれを逮捕しているかどうかというと、私今実例を思い出さないわけでございますけれども、むろん逮捕し得る場合があるということは考えられます。  それからなお私の私見を申し上げて恐縮でございますけれども、外国人のパスポート等の場合に、どの程度の刑を盛るかということになりますと、この刑はおそらく諸外国の場合と、やはりバランスのとれたものにおいて、できているのではなかろうかというふうに私は思うのです。しかしながら、今度はその国の中へ入って、長く日本人の中に滞在しております外国人を逮捕するということになりますと、これは全く純然たる国内法なんでありまして、そういうものについてなるほど登録はしておりますけれども、証明書という性質から申しまして、そういうものは常に持って歩いてもらわなければ困る。それでなければ外国人であるかどうかということを、必要に応じて確かめていかなければならぬ行政上の必要がある場合、そのときに持っているか、持っていないかということで、家にありますということでは困る。それで常に持っていてもらいたい。ちょうど自動車の運転免許を常に持って運転してもらいたい。登録原簿を見れば登録してありましても、やはり常に自動車を運転するときには免許証を持ってやる、こういう建前になっております。それはいつ何時でも無免許で運転ている者がないかどうかを調べる行政上の必要から、持っていてもらうということであります。外国人の登録証明書もいつでも持っていてもらわなければならぬ。外国人か日本人か調べる場合に、すぐそれさえ調べれば外国人であるということがわかる。こういったような国内法上の必要から出てきている。また、それを持たずに歩いている者が相当あるということになりますと、行政目的を果たすためには相当な刑を盛っていくということは、これは国内法的な観点からきめていかなければならぬ問題である、こういうふうに思います。先ほど入管局長のおっしゃった外国のパスポートを持っていない場合、これもいけないわけでございますが、これを一万円以下の罰金というような軽い刑になっておりますけれども、これはもちろん国内法ではありますが、同時に、これは国際的に、どこの国でもどの程度に処分がされているのだろうかというようなことは、やはり均衡をとりながらその刑というものが考え出されているのではないかというふうに私は私見として申し上げておきます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 いつも外国人登録証明書を持っていなければならぬということと、その罰則が懲役一年以下という形で重く処罰の対象になるということは別個の問題ではないですか。一体世界の外国人登録法関係の立法例、これは登録制度を採用する国と滞在許可証を採用する国というふうに、大陸系と欧米系と二つに分かれる。しかし、現実に登録をしてあって、登録証明書を持っておらないという場合、それを重く処罰しているというところの立法例は、世界じゅう一体どこにあるのですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) ただいまの御質問でございますが、一応私どものほうでとりあえず調べました結果でございますが、たとえばフランスのごときは一年以下の禁固刑、六百フランないし千二百フランの罰金……やはり相当重い罰則を設けている国もございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 フランスの一体何ですか。何という法律です。外国人のフランスにおける入国及び滞在に関する一九四五年十一月二日のオルドナンスというやつですか。何を言っておられるのですか、あなた。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 取り急いで調べて参ったものでございますから、その出典につきましては後ほどよく調べましてからお答えいたしたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 フランスの場合はそうじゃないんじゃないですか。あなたが言われるのは、その法律の十九条を言っておるのですか。どうもよくわからないのですがね。滞在カードを所持しなければならないというので、たえずそれを携帯していなければならないということまできめているのじゃないんじゃないですか。そこらはゆっくり調べて下さい。しかしながら、一体世界の立法例の中で、大体のところでは虚偽の申告をしたり、それからその証明書を偽造したり、変造したり、そういうふうな場合に処罰をしている。成規の登録をしてあっても、たまたま持っていなかったというような場合処罰している立法例というのは一体あるかないか。今すぐここで言えと言っても無理ですから、お調べ下さい。これはアメリカの移民及び国籍法の中にちょっとしたのがあります。これは第二百六十四条の(e)項にあります。その場合にも軽罪ですよ。軽い罪ですよ。アメリカの場合でも、これは移民及び国籍法、一九五二年六月二十五日。これは第二百六十四条の(e)項というのがある。「十八歳以上の外国人は、(d)項に従って発行される外国人登録証明書または外国人登録受取カードを常に携帯し各自において所持しなければならない。本項の規定に従わない外国人は、軽罪に該当するものとし、百ドル以下の罰金もしくは三十日以下の拘禁、または両者の併科」、こういう形ですよ。日本のように一年以下の懲役、禁固というようなことを外国人登録の証明書を持っていないからといって処罰をしているなんてそんな国はないですよ。だから、日本の場合には在留をしておる外国人に対するそれを重く処罰したいという一つの特別な目的があって、こういう外国人登録法の重い刑罰を課しているのじゃないのですか。だから法務省の所管だということも、そういう取り締まりの目的があるから法務省の所管にしているのじゃないですか。そこら辺に問題があるのじゃないですか。これは議論の相違になるかもわかりませんが、あなたのほうでよく調べて下さい。それからもう一つ、外国人登録法で、日本の法律にあって世界の法律にないところがもう一つあるのですが、どういうところかお気づきになったり研究されたりしたことありますか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 十分にその点につきまして研究しておりませんので……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは今三年ごとに登録を切りかえますね、登録切りかえ制度。その場合に、登録切りかえのとき申告がおくれたり何かしたらば処罰をするという規定が外国人登録法にあるのでしょう。日本のこういう規定は世界のほかの国の立法にはないように、私の調べた範囲ではなっているわけです。こういう点と今の点と、今のいわゆる不携帯の場合、いわゆる記載事項の変更というようなちょっとしたこと、こういうようなことを全部同じ法条で処罰しているわけでしょう、日本の外国人登録法は。そうでしょう。外国人登録法の十八条ですね。外国人登録法の第十八条の罰則を見ると、期間をこえて本邦に在留する場合、こういう場合は、あるいは処罰の対象になるかもわからない。あるいは虚偽の申請をした場合、あるいはいろいろな申請などを妨げたとかいうような場合、あるいは登録証明書を偽造したり何かしたという場合、いろいろありますけれども、これを携帯しなかったということだけで同じ法条の中に全部入れて、こういう重い処罰をするということは、外国人管理という名前のもとに、日本に在留している外国人を日本の国内法の名のもとに厳重にその管理をしようという意図が当然そこに現われているとしか考えられない。私はそういうふうに考えるわけです。そこで、刑事局長にお尋ねしたいのは、今まで外国人登録法で処罰の対象になった場合で、法条別、法条といっても、ただ第十八条という形だけではなくて、たとえば不携帯の場合であるとか、偽造の場合であるとかあるいはいろいろあるでしょう。切りかえの場合におくれたとか、いろいろありますね。こういうようなものに分けて、どういう形で処罰をされているか、その実態を明らかにしていただきたいと思います。これは私のほうから委員部を通じて、こういう点調べておいてくれということを前もってお話をしてあるわけですから、ある程度の調べはついているというふうに考えますので、その点御説明願いたいと思います。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) そういうお話がございまして、調査をいたしましたので、お答えを申し上げます。  その前に一言、お話の中で、この前罰則強化のときに私も御相談を受けたことがあるわけでございますので、私の意見を申し上げておきたいと思いますが、国内法でございますから、国のそのときの立法政策と申しますか、そういう観点から刑が出てきていると思うのでございます。今の不携帯の罪は、どうしてもはずせないというようなことは、不携帯という状態の行為が外国人の中に非常に多いということ、それからまた、切りかえをしなければ、もう非常に偽造が多いので、最初に登録した人と全然違う人がその登録証明書を持っているというような形の事態が非常に多かったというようなことがこの刑罰を盛る一つの根拠になっていたというふうに、私今記憶をいたしております。そのことだけちょっと申し上げておきます。  問題のお尋ねの法令別の検挙人員でございますが、証明書の交付不申請の罪でございますね。それから証明書の再交付を願うべきものを申請しなかった、それから証明書の切りかえに際して申請をしなかった、居住地の記載の書きかえをすべき場合にその申請をしなかった、居住地以外の記載の書きかえをすべき場合にその申請をしなかった、証明書を出してやるといっているのに受け取らないという罪、証明書を携帯しないという罪等がおもなものでございますが、そのほかにもございます。それを数字で順次申し上げますと、最初に申しました証明書の交付の不申請でございますね。これは昭和三十年には千七百四十五名、三十一年が千四百、三十二年が千六百六十九、三十三年が千三百三十七、三十四年が千百九十一、三十五年が千六百三十六でございます。三十六年が千五百五十五、大体これはあまり大きく動いておりません。大体全体の犯罪の八%から一四%くらいの部分を占めております。それから第二番目の証明書の再交付を申請しなかった罪としては、三十年が七百七十八、三十一年が七百二十二、三十二年が六百六十五、三十三年が四百八十一、三十四年が六百四十二、三十五年が五百八、三十六年が四百四十八、これは大体三・七%から四・六%ぐらいの比率になっております。  証明書の切りかえの際に不申請の罪でございますが、これは切りかえの時期とそうでない時期とによって非常に違うわけでございますが、昭和三十年には一万一千七百七十七でございまして、三十一年には七千十八、三十二年には八千六百五、三十三年には千四百八十七、それから三十四年には四千五百十二、三十五年には八千六百七十三、三十六年には二千四でございます。大体これは非常に波があります。三十年のときには一万をこえておりまして、全体の五六%になっておりますが、三十三年には千四百八十七で一四%程度でございます。  次に、居住地の記載の書きかえの不申請の罪でございますが、三十年が千七十三、三十一年が千六百六十八、三十二年が千五百二十六、三十三年が千三百十三、三十四年が千五百六十八、三十五年が千四百五、三十六年が千三百九十五となっております。これは五%ないし一三%程度でございます。  次に、居住地以外の記載の書きかえについての不申請の罪でございます。これは少のうございまして、三十年が二百五十四、三十一年が五百九十四、三十二年が四百二十、三十三年が四百六十五、三十四年が六百五十二、三十五年が六日十四、三十六年が七百九十、これは一・二%ないし七・五%の数字になっております。  それから証明書を受け取らないという罪でございます。これは三十年がゼロでございますが、三十一年には百九十四、三十二年には四千七百三十七、三十三年には千四百九十七、三十四年が四百四十七、三十五年が千三百九十五、三十六年が千五十二でございます。  それから証明書の不携帯の罪でございます。三十年が四千七百七十八、三十一年が四千三十三、三十二年が四千九百七十四、三十三年が三千四百三十八、三十四年が三千百四十、三十五年が三千十七、三十六年が二千九百四十九、これは三十年からだんだん少なくなっております。  あとはその他といたしまして集計をいたしております。三十年が五百七十四、三十一年が四百九十八、三十二年が八百五十九、三十三年が三百七十六、三十四年が三百二十六、三十五年が三百三十、三十六年が四百八、こういうことでございまして、三十年ごろは外国人登録法違反の罪は二万一千近く総数でございましたが、三十二年に二万三千という数字がちょっと出ておりますが、あとは大体少なくなるか、あるいは横ばいと申していいか、三十六年には一万六百一人、こういう数字が出ております。  これは私のほうで検察庁受理の数字としましては、こういう罪名別の受理の統計がございませんので、警察庁にお願いいたしまして、警察庁の犯罪統計書を見せていただきまして、この数字を出しました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今いろいろ御説明を願ったわけですが、そうすると、法務大臣は、不携帯の罪を処罰するというか、これを設けた理由は、外国人登録書を発見することによって密入国を発見することが非常に多い。だからこの場合、不携帯罪というものを設けたのだという意味のことを大臣は答弁されたと、こう思うわけですね。そうですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) そういった方面にも使われ得るかもしれません。しかし、先ほど申しましたように、証明書で日本に居住しておる人が、日本人と一緒になって方々に住んでおるわけです。でありますから、外国人であるか日本人であるかということを鑑別しますために、証明書というものを出している以上、いつでも持っていてもらって、その関係が明らかになる、そういうことによって外国人管理に遺憾なきを期していこうというのが、不携帯を罰してまでも証明書は常に持って歩いてもらうという法律の趣旨だと思うのでございます。その結果として密入者はそういうものを持っていないであろうと思いますが、そういう場合にも不携帯が密入の事案を発見する糸口になる場合もあると思いますが、それを発見せんがためにこういう規定を設けておるのだというふうには私は考えておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 外国人登録証明書を持っているかどうかを調べる、それによって密入国がわかるということになれば、密入国のほうの関係で処罰をすればいいわけですね。これは登録法の罪よりも重いわけでしょう、どうですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) そのとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そのとおりだってどの程度なんですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 三年以下の懲役、禁固もしくは十万円以下の罰金でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、密入国を発見するというなら、不携帯の者を処罰しなくても出入国管理令のもっと重い処罰の法条で十分処罰できるのですね。かりに携帯をしているかどうかの呈示を求める権限が日本の官憲にあったとしても、それを不携帯で処罰をしなければならない理由にはならないのじゃないですか。もっと重いところの法条で幾らでも処罰できるのですから、だから密入国の取り締まりのためには、何も不携帯そのものを処罰の対象としなければならぬことはないのじゃないですか。おかしいのじゃないですか。  それから今刑事局長の言われた外国人管理というのですけれども、具体的に一体どういうことなんですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) それは入管局長からお答えを願うほうがいいわけでありますが、私の申しております外国人管理というのは、外国人が日本に居住しております、その外国人がどういう、何人日本に、どういう所に住んでおって、どういうことを営んでおるかという、そういう実態を国としてつかんでおかなければならぬ、こういう意味だと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃあ入管のほうにお尋ねするのですがね。日本にいる外国人というのは一体今何十万ぐらいいて、内訳はどういう人がいるわけですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 最近の数字によりますと、大体外国人全部で六十四万名でございます。そのうちの約九割は韓国人でございます。それから四万程度が中国人、残りがその他になっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今あなたの答弁されたことはですよ、いいですか、あとで非常に重要な意味を持ってきますよ。御訂正の意思ないですか。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) ただいま私が韓国人と申しましたのは、日韓会談で始終われわれ韓国人という言葉を使っておりますのでそれを申したのですが、これは南北両鮮とも、南鮮、北鮮含めまして申し上げた次第であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 事は、日本には六十四万の外国人のうち、ほとんどが朝鮮人、韓国人、中国人というのはどういうのかちょっとよくわかりませんが、とにかくそういう人がいる。そういう人を国として管理をするのに処罰をもって全面的に臨まなければならないほどの管理の必要というものは具体的にどこにあるのですか。ことに不携帯の場合とか、登録の切りかえとか、そういうふうな場合に三年以下の懲役、禁固という重い罰則をしなければならないという外国人管理の必要が一体どこにあるのですか。何か具体的な理由があるのですか。これは入管の局長どうです。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) 実際問題といたしまして、ただいま申し上げましたように、九割近い率を占めております韓国人というものに対して、非常に結果といたしましては重い処罰のように見えるわけでございますけれども、しかし、登録法の建前としましては、やはり先ほど来いろいろ申されましたように、外国人管理の厳正をはかるということは、やはり日本政府の政策といたしましては、ある程度やむを得ないのではないか。特別にある外国人について重き刑罰をきめておるというわけではございませんで、結果として見まして、そういう面に違反の事実が多く出るということになると思うのでありますが、特別にそのために特に重い刑罰を加えている、規定しているということじゃないと存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 どうもはっきりしないのですが、日本にいる外国人は今言ったように六十四万で、朝鮮人、韓国人が約九割、四万が中国人、それらの人を管理をするということは、具体的にはどういうことなんですか。何するのですか管理というのは。それらの人がどこに住んでいて、絶えずどこで何をしているかとか、そういうようなことを日本の政府としてはちゃんと調べて把握していかないというと何か差しさわりがあるのですか、どうなんです。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) ただいまの御質問でございますが、特に平穏無事に在住しておる外国人をきびしい刑罰をもって管理するということは不合理ではないかという御質問だと思いますが、しかしながら、また半面、こういった外国人の中には、先ほどお話しになりました密入国の問題は別にいたしましても、やはり日ごろの在留状況というものを十分に把握しておきませんと、いろいろなめんどうな問題が起こったりいたしました場合には調べも十分につかないということでははなはだ申しわけないという事態になるのをおそれておるわけでございまして、ふだんこの在留外国人の数と態様その他につきましては、常時把握しておく必要があるというふうに存じておる次第であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 種々めんどうな場合が起こった場合、調べが十分つかないと困ると、だからそういう人たちがいわばまあ何か起こすかもわからないからというので、前もっていわば予防的な管理体制を強化して、しっかり実態を把握しておく必要が日本政府にはあるというのですか、犯罪を犯す危険というものが、その人たちに絶えずあるというのですか、どうもはっきりしませんね。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) ただいまのお言葉でございますが、種々犯罪の危険性があるからそれに対して予防的な措置として取り締まると申しますか、登録法に基づく取り締まりをしなければならないかどうかということでございますが、大体外国人の在留につきましては、やはり日本人と異なりまして、氏名、年令、職業その他十分に把握しておかなければならないことは当然でございますし、それからまた、出入国の面あるいは滞在の面につきましても許可をしておるわけでございまして、これは取り締まりというふうな手段として考えておるわけではございませんので、やはり一般的に出入国管理という面でこれだけの管理令をやはり運用の面で十分に勘案して間違いのないようにという趣旨でされたものだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今までは各市町村役場ごとに外国人登録書は番号がついていたわけでしょう。それをいつでしたか、この前に全国一連番号にしたわけですか、そこどうです。

小川清四郎法務省入国管理局長

○説明員(小川清四郎君) どうもたびたび恐縮でございますが、ちょうど一緒に参った者も十分に調べておりませんので、さっそく調べましてお知らせいたします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ一応しばらく問題をかえまして、外国人登録法違反のもとに尼崎で起きた二つの事件について、これは警察庁警備局長がおいでだということですから、そちらにお尋ねをしたいと思います。ことしの十一月の二十七日、二十八日、尼崎における朝鮮人の人が外国人登録法違反容疑で家宅捜索をされた例があると思いますが、まず最初の二十七日のほうのことについて、警察のほうで調べた範囲のことを概略申し述べていただきたいと、こう思います。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) ただいまのお尋ねは金敬尚という人に関することだと思います。この人は、三十七年の十一月二十六日、尼崎の市長に対しまして、外国人登録法十一条第一項の確認申請をするわけでございますが、その際に、自宅がありますにもかかわらず、自宅でない他人の家に申請をしたのでございます。この人につきましては、かねてから警察署のほうが、これは巡回連絡その他で承知をいたすわけでございますけれども、この登録をしてございました家に、もと、三十五年ごろには出入をしておるようだったが、最近は全然顔を見せていないというような聞き込みがございましたので、そこで、近隣の者等に聞いてみましても、見かけないということでございます。そこで、登録の場所におらないということがわかりましたが、どこにおるのかわからない状態であったようでございます。登録確認申請をする時期が参りまして市役所に出頭をいたしました機会に、この人を警察官が発見いたしまして、そこでこの人に任意同行を求めましたところが、中央署に参ったわけでございます。この人は三十五年の八月末ごろ現在の住所地に戻って妻と一緒に生活している。それまでは所々転々としておったので、行く先はどこに住んだかはっきり覚えていない。そこで、今度妻のところへ来たので、書類を書きかえをしなければならないということは知っていたけれども、怠っておった。そこで、この人の理由といたしましては、この他人の家と申しますのが、この人の妹さんのとつぎ先のようでございまして、転々とするので、そこに登録しておいたほうが便利だと考えておったが、その後今のように住所地に妻と一緒になったけれども、承知をしながら書きかえずにおった、こういうことを申したのでございます。そこでいろいろ伺いましたところが、先ほど申しましたように、工事場を転々としておるというようなこともございましたし、また、本人が自分でそういうことを言うだけでございますので、これは、あとで関係者と口裏が合うというようなことがあるというような考え方で、証拠を確保するというような趣旨で本人が申しました住所地、それから本人が登録をしておりました、現実には住んでおりませんところ、そこを家宅捜索をいたしまして、本人を一応警察に泊めるという意味で、逮捕状並びに捜索状を裁判官に同日の正午ごろに請求をいたしまして、直ちにちょうだいできましたので、通常逮捕し、翌日家宅捜索をいたしました。家宅捜索いたしました理由は、令状でも示してございますけれども、虚偽の申請をしたということを立証する材料といたしまして、メモその他というようなことでお許しを得まして家宅捜索をいたしましたが、実際に住んでおりませんので、登録しております先では御家族がおられずに、女中さんであったようで、二十歳の女中さんを立会人として捜索いたしました。手帳一冊、ノート二冊、名刺二百十一枚、フィルム二本を押え、なお、旧宅のほうはこれは夫人がおられませんで、家主さんに立ち会ってもらいまして、家宅捜索いたしましたが、これを立証するような資料がなかったので、現実には押えていない。なお、この捜索をいたしましたものは、その材料から、本人が現実の住所に住んでいたという材料を得る可能性があるということで押えたわけでございますけれども、朝鮮の文字で書いてあるものが大部分であったようであります。署に帰りまして、見ましたが、そういうことに役立つものでないということで、翌日お返しをいたしているのでございます。最初にお尋ねの事件の概要はそういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 では、その今の事件からお尋ねをしていきますが、そうすると、犯罪があればどんな場合でも逮捕できるのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 逮捕は、これは先生にそういうことを申すのもおかしゅうございますけれども、逃亡のおそれ、あるいは罪証隠滅のおそれというものがある場合に逮捕する。常に逮捕するというわけではございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この場合は、具体的にはそれでは逮捕の理由はどういうところにあったのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 先ほども申しましたように、今の家に落ちつくまで各地の飯場を転々としておったということでございますし、今の家そのものも、そういうことを言ってはいけないのでしょうけれども、仮住居のような状態でもございますし、また、実際に住居していないで登録をしておりました場所が、先ほど申しましたように、親戚に当たるわけでございますので、そういうところから、的確な証言を入手するということはむずかしかろう。そこで、一つには、そういう従来のいきさつから、本人が逃亡するというおそれも考えられることでございますし、また、帰りました暁に、その親類の方と口が合うということになりますと、証拠が不十分になるというようなことも考えて逮捕し、略式の処分が済みまして、すぐ釈放したというようなことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その人は、十一月二十六日に尼崎の市役所へ登録の切りかえ申請に行って済ませてきたのじゃないですか。済ませてきたところを、警察のほうで任意同行か何か知りませんが、そこで逮捕というか、ちょっと来てくれという形になったのか、そういう形じゃないですか。登録切りかえ申請を済ましたのじゃないですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) それは先ほどもお答えいたしましたが、ちょうど登録切りかえの時期で、市役所へ参ったそうであります。その切りかえも、先ほど申し上げました実際の住居地でないところに登録をしておったというわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 実際の住所地でないところに登録したということは、巡査の人たちがその本人の家の近所なんか絶えず歩いたりしているし、本人がつかまったときに、すでにもう自白しているのじゃないですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 本人は述べたと聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 しかも、これは十一月二十六日は月曜日でしょう。十一月二十四日が期限で土曜日だったのですね。その日の昼ごろ尼崎の市役所へ行ったら、土曜日でおそくなったから月曜日にしてくれというので、月曜日に申請に行ったのじゃないですか。本人が自分から市役所へ期限に申請に行っているものを、内容が多少違ったからといって、それを逮捕しなければならない理由は一体どこにあるのですか。それは理屈を言えば、証拠隠滅だ、やれ逃亡のおそれだ、理屈は幾らもくっつきますよ。くっつくけれども、しかも、自分のほうから申請に行っている。しかも逮捕、任意同行したときに、自分は、その義理の兄ですか、いや義理の弟ですか、義理の弟のところに登録してあるのだということを認めているのじゃないですか。それならば、義理の弟なら弟をその間呼んで調べるとか、その近所に行って、近所の人から調書をとればいいのであって、何もこんなことで逮捕しなければならぬ理由は何もないじゃないですか。これは行き過ぎもはなはだしいじゃないですか。どうなんですか、一体。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 先ほど申しましたように、具体的のケースについて、逮捕の必要ありと現地で判断しましたときに逮捕する。一般的に申しますならば、先ほど御指摘のとおり、逮捕というのは慎重を期するのが当然でございます。したがって、一般論で申しますならば、逮捕しないで調べるということで目的を達すれば、それに越したことはない。また、私どもそうすべきであると思うのでございます。ただ、具体事例につきまして、その逮捕の必要ありと判断をいたしました現地の判断につきまして、私詳細なことをすべて存じてはおりませんので、これは現地の判断が間違いであったということをここで申し上げるわけには参らないと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その外国人登録証の金という人の妻の弟——金という人が登録の住所にしておったのは徐という人ですね。その家のところに登録しているということは五年も前のことなんです。尼崎の警備の人が絶えず行ったり来たりしているわけですから、そういうようなことは、そこに登録しておるけれども、実際はあちこち歩いたりしておっていないということは、はっきりわかっているのじゃないですか、警察では。そういうふうな情勢じゃなかったのですか。そんなに大きな警察でもないし、警察の警備は、外国人の管理のために必要だということで、絶えず外国人の住所が事実かどうかということを確めて歩いているのでしょう。それならば、当然この程度のものはわかっていなければならない。しかも、本人は自分から登録申請に二日も行っている。そこで警察につかまったのであって、自分はあちこち歩いておるから、親戚の義理の弟の徐という人のところに登録していたということは認めているのじゃないですか。それを何で逮捕して調べなければならないのですか。これは全く納得いかない。証拠隠滅のおそれがあると言っても、何も証拠を隠滅するというものはない。本人が認めておる。しかも、本人が徐という人の家に登録しておるのは事実なんで、その人の家にいないということは近所の人に聞いても知っているでしょう。それを証拠隠滅のおそれがあるとかいうことでこういうような逮捕権の濫用が行なわれることは、実に行き過ぎもはなはだしいわけです。刑訴法の第百九十九条の「逮捕状による逮捕」の要件は、「但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。」ということで、むやみやたらに、そういう事実があるからといって逮捕していいということじゃないのじゃないですか。しかも、この人は認めたわけなんでしょう、事実を。今ちょっと聞きましたけれども、簡単に認めて調書もとられたと思うのです。この人は悪意があって自分の義理の弟の家に登録しておった、こういうふうに警察では考えたのですか。これはどうなんでしょう。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 悪意ということが、それが何か特別な犯罪を意図しておったかというお尋ねならば、それはそういうことは言えないと思います。しかしながら、本人も住所が変わったときにすぐに届出すべきであったけれども怠ったということでございますならば、法律的にいえば、悪意ということだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは悪意という言葉の解釈ですね。法律上の悪意と害意と違うわけです。ただ、知っていたということを、善意と悪意というものを通常の言葉と違って法律的に解釈すれば、それは悪意ということも法律的な言葉としては出てくるかもわかりません。私の言うのは、そういう意味じゃなくて……、それじゃ本人は文字もわからない人じゃないですか。文字もわからない、よく事実関係もわからない人なので、それであっちこっち飯場や何か歩いておった。だから、住所があっちこっち変わるからというので、前に行き来をしておった自分の義理の弟のところに登録の住所を置いておいただけなんです。その事実関係というものは、何も逮捕をしなくても、家宅捜索をしなくても、はっきりつかめることじゃないですか。逮捕をしたり、家宅捜索をしなければ本人の犯罪の、犯罪というか、それを明らかにすることができないように日本の警察は能力がないのですか、おかしいじゃないですか、こんなこと。それじゃ今の場合ですよ、逮捕しない、家宅捜索もしないで本人の刑事責任を追及するというか、確定するということはできないような状態なんですか、どうなんです。あなたのほうでは、いいですか、犯罪の構成要件として一体何と何を警察は明らかにすりゃいいわけですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これは居住地に准録をいたすわけでございますから、居住という客観的事実がなければもちろんいけないわけでございます。したがいまして、現在の居住地というものに客観的に住んでいた、しかも登録をされていたところには客観的にいなかったという事実が立証できればいいと思うのでございますけれども、これはしかし先ほど申しましたように、本人が言っているだけでは、もう事件に立たないことが多いのは先生も御承知かと思うのでございます。したがって、客観的にそういうことを立証する資料を入手するというふうに努力をしたと聞いておるのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 構成要件としては二つですね。現実に、自分の住んでおる登録してあるところには住んでいないということだけでいいわけですね、一つですな、そうすると。登録先には本人は住んでいないのだと、その裏づけとしては、金が別個のところに住んでいたのだと、うらはらにして言えば、二つの事実を入手すれば本件のほとんど犯罪事実は明らかになるわけですね。そうすると、登録先に住んでおらなかったということは、近所の人なり、その徐なら徐という人を呼んで調べれば、あるいは徐の家人を呼べば明らかじゃないですか。登録先の名義人の人を警察のほうで参考人なり何なりとして呼ぶなり、あるいはそこへ行って調べるという、逮捕や家宅捜索をする前に、そういう手続、努力をしたのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これは具体のその事実をそのときに即してどう判断したかという問題でございますので、私が聞いた限りにおきましては、一般的に申して、その徐という人が協力をして下さる、あるいはまたその近所の人が証言をして下さるというようなことが成り立つならば、それで足りると思うのでございます。しかしながら、先ほど申しましたように、それが親類の人であるというようなことから、証言が取れないということをおもんぱかってやったというふうに聞いておりまするので、具体の事実について、そのときの判断がそういうふうにやられたことについて、今ここでこれは全く誤りであるというふうには言えないのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 警察のやった行為が誤りであったか、誤りでなかったかということを、これは今ここで論議をしても、それは意見の相違だと思うのですよ。私の聞いておるのは、犯罪事実を確定するためには二つの事実を調べればいいのだと、そうなれば、登録先の徐なら徐という人、あるいは近所の人の言う事実を固めれば、私は事実が明らかになってきて、あなたのほうとしちゃ、かりに犯罪が成立するとすれば送検できることじゃないですか。だから、私は事実として聞くのは、登録先の徐という人なり、あるいはその家族なり、近所の人なり、そういうふうな人を呼んで調べたことが一体あるのかないのかということをお聞きしておるわけです。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) その徐という人を呼んで調べたということはないようでございます。それは、今のように、これは当人の親戚に当たりますので、それから、そういう証言を取るということはむずかしかろうというように判断をしたように聞いておるのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 徐という人と、まあ被疑者にされた金という人ね、率直な話、あまり仲よくなかったんじゃないですか。それから徐という人の近所の人は一ぱいいるわけですよ。警察は朝鮮人の人のことについては、ことに警備課などは絶えず行ったり来たりして、いろいろな動静をさぐっているんじゃないですか。だから外国人登録法は、私はもとから聞いておるように、外国人を管理するんだということを言っておる。管理するということは何かというと、その動静の何かをあなた方の立場から言えばさぐって、悪い言葉で言えばリストか何か作っていたことじゃないですか、各人々々の動静というものについて。だから、これは徐という人を、親戚だからほんとうのことを言わないかもわからないといって呼ばなかった。近所の人についてはどうなんです。近所の人について一体聞いたんですか、聞かなかったんですか。親戚だからはっきりした証言がとれないなんという一つの先入観で、一体あらゆる場合に捜査しているんですか。一般の犯罪の場合だって、その家族の口から重要なことが割れてきて、本人が逮捕されることが幾らだってあるじゃないですか。そういうような先入観的な一つの偏見で本件のような事件をやるということに問題があるんです。だから外国人登録法というものは非常におかしな形で悪用されてくるわけです。だから私が今お聞きしているのは事実を聞くわけです。それでは徐という人は呼ばなかったと——それはわかった。近所の人などについて、あのうちに本人が出入りしているか、あるいはそこを生活の本拠としているかどうかということについて確かめたことは、あるんですかないんですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これは先ほどのお答えの際にも申しましたが、そういうことは近所から聞いたと言っておりますけれども、さて、これを証拠にしてとるという段になりますと、なかなかそういうことを言ってくれなかったというふうに聞いておるのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうするとあれですか、近所の人のところへ、その金という人が、登録先の徐という人のところに実際住んでいたか、いなかったかということを調べに行ったことはあるんですか、ないんですか、はっきりしませんね。だれが具体的に行ったんです。それは逮捕されてから後ですよ、どうなっているんです。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) こまかい事実でございますので、お許しを得て外事課長から……。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) お答え申し上げます。その徐という人のうちに現に住んでいないのではないか、そういう意味の捜査でございますが、これはすでに昭和三十五年八月ごろからぼつぼつそういうような聞き込みがあったようでございます。それで本人の任意出頭を求めて調べたその結果、初めて本人は、実はこういうところに住んでおったということがわかったのでございまして、その前までにはどこに本人が現実におったのか、警察のほうではわからなかったというのが事実のようでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 何だかあまりはっきりしないですね。三十五年八月ごろからぼつぼつ聞き込みがあったというのは、ちょっと私が聞き漏らしたのかもわかりませんが、何の聞き込みなんです。徐という人のうちにその金という人が住んでいないんだということですか。そういう聞き込みがあったんですか。そんなのは警察のほうで十分その程度の証拠はもう固まっているんじゃないですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これは先ほどもお答えいたしましたように、この家に前にはよく顔を出したが、このごろはいないらしいという近所の聞き込みを得たことは、先ほどもお答えいたしたとおりでございます。そういうことで、そういう捜査の復命書というものがあるわけでございますが、そういうことが疎明資料になっておるわけです。ただこれは聞き込みをしたという捜査の報告書でございまして、先ほど来繰り返して申しますように、徐という人が一体答えてくれないだろう、あるいはまた本人が、従来の例で逃亡するかもしれないというようなのは、現地に即して——その現場の具体ケースについて、現地で判断したわけでございますので、その点は御了承いただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 逮捕状を請求したわけですね。逮捕状を請求するのだから、それ相応の被疑事実を裏づけるだけの証拠がそろって逮捕状を請求して、同時に裁判官が逮捕状を出したわけでしょう。だからそこで十分というか、本人の自供を得れば十分なだけの、すでに証拠が固まっておったのじゃないですか。そこで逮捕して、本人が自供をしている。本人が自供をしているときに、そのうちに行って聞けばいいじゃないですか。聞けば、じゃ本人はここにいなかったということがわかるじゃないですか。あるいは本人の妻やその他の者に聞いても、登録先にいなかったということがわかれば、それでいいじゃないですか。それで一体将来ひっくり返えるというようなことが考えられるのですか。そんなばかなことないじゃないですか。単なる形式犯じゃないですか。単なる形式犯であって、そんなに十全の百パーセント確実な証拠があるまでやらなければならないということじゃなくて、それだけもう証拠があれば十分なんじゃないですか。どうなんです、その点は。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 捜査復命書と、それから登録事実を市役所に照会して、これが現住所でないところに書いてあるということと、本人が供述したこととあるわけでございますから、それであるいは事件に立つ、くずれないということもあるかもしれないと思うのでございますけれども、さらに具体的な公判段階におきまして、何と申しますか、現実にここにおったと申しますか、生活はむしろこちらに本拠があったのだというような話になることによりまして、くずれることをおもんぱかったというふうに考えるのであります。繰り返し申しますけれども、一般論を申しますならば、もっとほかの方法があったではないか、逮捕せずにもやれたのではないかということにつきましては、私も十分あり得ることだったと思うのでございますが、具体のケースについてその必要を判断した、このケースについて判断したということを、私は間違いであったというふうにはとれないのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、ここで押し問答してもあれですから、話を進めましょう。  その家宅捜索をやった理由はどういう理由です。ちょっとはっきりしないのですがね。二十七日でしょう、家宅捜索をやったのは。二十七日ですね。そうですね。家宅捜索の状況をもう少し詳細に話して下さい。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これは本人が、まあ仮住居といってはおかしゅうございますけれども、二畳ほどの板敷のものが自分の居住地であったようでございます。そこへ行きまして、あるいはそこに文書等が、手紙等が来ておれば、それではっきりするわけでございますけれども、そこは家主立ち会いで調べましたけれども、立証する材料が出なかったようでございます。それから実際に住んでおりませんで登録した先のほうの徐という人のうちにつきましては、先ほど申しましたように、二十歳の女の人がおられたわけでございまして、その人を立ち会いといたしまして、名刺、手帳等を抑えております。その途中で奥さんが帰られました。奥さんに事情を聞こうということで、署に同行を求めましたけれども、これは拒否するという状態でございます。その翌日、奥さんが署に見えまして、先ほど申しましたように押収したものはお返しした、こういうふうに聞いているのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 はっきりしないのですがね。家宅捜索をしたのは、そうすると何を押収——捜索するためにやったのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これは繰り返すようですけれども、実際の居住地では、そこであるいは米をもらっているとか、受け取っているとか、そういう通帳でございますとか、あるいは手紙類とか、ああいうものがあればいいのじゃなかろうかと思います。実際におりませんほうでも、親戚関係でございますので、そのうちに本人の実際に居住している場所を示す記録があるというふうに考えられまして、そういうものを探したようでございますけれども、大かた出ましたものは朝鮮語で書いておったようですけれども、これを調べましてそういった資料が入手できなかったというふうにも聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の米の通帳とか何とか、そういうものなら配給所へ行けばわかるじゃないですか。あるいは町内会というものが法律的に認められておらぬとしても、町内会なり自治会というものがあるんじゃないですか。そこへ行って聞けば本人がそこに住んでいるか、米の配給をもらっておるか、そんなことすぐわかるじゃないですか、どうですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) そこに行って正式にそういうことをやっておればわかる場合もあろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 正式にやっておればわかることもあろうかと思いますと言われるまでもなく、わかるじゃないですか。そこに住んでいるか住んでないかということは、町内会なり、あるいは配給所へ行って聞けばすぐわかることです。今のお話を聞くとあれですか、その登録の場所に本人が住んでいたかもしれない記録を発見するために家宅捜索をやったというのですか。そうすると本人の犯罪を成立させるためではなくて、むしろ犯罪の成立を証明させるというか、そういう消極的な理由を発見させるために家宅捜索をやったのですか。そういうふうにお聞きしてよろしいですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 私の申し上げたのはそうではございませんで、親類でございますので、その記録の中に本人が実際に居住地に居住していたという事実を証明するものがありはしないかというふうに考えたと聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 一体、このときの家宅捜索は何人ぐらい人が行ったのですか。何人ぐらい行って一体何時間、家宅捜索をやったのですか。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 報告によりますれば、家宅捜索におもむいた人員は十四人ということに聞いております。失礼いたしました、十二名ということでございます。われわれの報告では十二名となっております。時間でございまするが、二十七日の午後一時二十分から午後三時の間でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そこへ行った人は尼崎中央警察署というのですか、これは横田警備係長ほか十三名の私服と聞いておるわけですけれども、まあ、あなたのほうでは十二名というのだけれども、まあ人数はいいとして横田という警備係長も行ったのですか。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 尼崎中央警察署横田警部補が参っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この事件はいずれにしても、まあかりに事件になったとしても、登録の記載事項に間違いがあるとかいう程度で、罰金程度の事件ですね、どうですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 現実には罰金五千円ということになっておるようであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 まあ通常の例から言っても、この程度の事件はまあ重く処罰しても罰金程度だと、これはまあ私どもの普通の常識ですね。これは記載事項がかりに間違っておったとしても、自分のほうからわざわざ市役所まで申告に行っているのですから、見通しとしては罰金程度しかならないような事件に、この忙しい中を十二名だか、まああなたのほうに言わせれば十二名、十二名にしておきましょう。十二名の警察の私服警官が行って家宅捜索をしなきゃならない理由が、一体この程度の事件でどこにあるのですか。こんなことをやっておるのはもうわれわれの常識をもっては考えられないじゃないですか。何でこんなにたくさん行ったのです。強盗殺人事件だって、逮捕に行くのにこんなにたくさんの人は行かないじゃないですか、場合によりますけれども。何だってこんなにたくさん人が行ったのです。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 徐という人はお寺の住職でございまして、非常に広い家だったということでございますので、各部屋を捜索するのにそれだけの人数が行ったというように聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 広い家だと、広い家だと言うが、この犯罪事実を証明するために、登録してあるけれども、実際にそこに住んでいるかいないかを調べるために全部のうちを、全部の間数を家宅捜索までしなければならない理由は一体どこにあるのですか、全体のうちのあれは生活の本拠とみられる事務室であるとか、そういうことろがあるでしょう、どこの家でも。そういうところを調べればいいのであって、それを十二名の警察官が忙しい中を大挙して行かなければならない、どこにそういう必要があるか、そんな全部間数を徹底的に家宅捜索しなければならない必要があるのですか。この事実についてどんなに見通したところでせいぜい罰金程度ですよ、認められて。これはあとで罰金になりましたが、はたしてこの程度のことで罰金になるのは刑の量刑として妥当であるかないかは別個の問題で、それは言いませんけれども、何だって全面的に上の居間も下の居間も徹底的に押収捜索しなければならない必要があるのですか、こんな事件で。殺人犯でも探すように……、これはどうですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 捜索のことでありますから、現場に行きましてそういうメモ類が入っておるような場所が分散しておりますれば、その限りで開けるということになろうかと思います。これは現場を見ております警察官が判断をしてやりましたことで、落ち度はないという判断も成り立ちますけれども、一般論としてはずいぶん多かったという感じもいたしますけれども、現場の判断をここで誤りであるということは、繰り返し申し上げますけれども、申し上げられないのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは、あなたも警察庁の責任者の立場で、それは現場の押収捜索が誤りであったと言えば、その士気に影響するとか、いろいろ問題がありますね、あなたの立場はわかります、しかし、それは家宅捜索に参ったということは一体何を確定しに行ったか、最小限度必要なものは何であったのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 本件を立証するのに必要な手帳、日誌、帳簿、メモその他のものということでお許しを得ておりまして、そういうものの中で、今の本人がそこにおらずに他の居住地におるということを立証する素材を得たかったのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 行ったのはいろいろ行ったけれども、朝鮮語のわかる警察官が、このとき一緒に行きましたか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) その点は私は聞いておりませんが、現場においてすぐにそこに書いてあります朝鮮文を全部解読できなかったところをみると、行かなかったかもしれない、必要な人数ではなかったかと思いますが、これは報告がございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 肝心かなめのことが、あなたのところへ報告がないわけです。これは朝鮮語で話しかけ、朝鮮語の読める人が一緒に行っているはずですよ。そのとき、終わって帰るころに、徐さんの奥さんが帰ってきた。そのとき朝鮮語で話しかけた。あなたは三千浦の人ですかというふうなことをその警察官が聞いているわけです、だからその人は当然朝鮮語が読めるし。朝鮮語が書ける人です。わかる人です。そういう人が一緒に行かなければ何のために押収捜索に行ったか意味がないわけですね、朝鮮語の読めたり話せたりすることができる人が一緒に行かなければ、家宅捜索に行っても何もわけがわからないですよ。トラック一ぱいで行かなければわけがわからないですよ。だから、そういう人が行ったということは考えられるのですが、そのことについての報告はないのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 先ほどお答えしたとおりでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そのときに押収したものは一体何ですか。私どもの調査によると、朝鮮文の大きなノートが二冊、日本文の電話の早見帳が一冊、名刺が二百枚、フィルムが二巻というのですか、それを押収したわけですね。どうですか、違っていますか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 朝鮮語か日本語かちょっと書いてありませんが、名刺、フィルムについてはそうでございますし、手帳一冊、ノート二冊ということであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 電話の早見帳、これを押収してますね。一体、何で電話の早見帳が外国人登録法違反の本件の被疑事実を確定するために必要なんですか。あるいは名刺二百枚、何のためにこういうのもは必要なんです。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 名刺について申し上げますが、名刺は、本人の交友者という関係で、本人の居住関係に関する、場合によっては将来の捜査に必要な資料ということを考えて押収したもの、かように聞いております。  それから電話帳でございますが、これについては、報告を受けておりませんので、ここでお答えしかねます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 名刺は、何ですって、本人の交友関係を調べるんですか。本人の交友関係を調べるということは、一体本件の外国人登録法違反とどういう関係があるのですか。そのところに本人が住んでいたかいなかったかといことと一体どれほどの関係があるのです。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 直接関係と申しますよりは、その事情の詳しい方もその中におられようと思うわけでございまして、そういうことの中でお聞きできる方からその事情を立証していただくというような趣旨でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大きなノートは朝鮮文でありましたね。これは、内容はどんなものです。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 内容については、格別の報告を受けておらないのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 このとき行った十二人、あなたのほうで言わせれば十二人は、そこの家にあった百五十冊以上の書籍、石炭箱の中の新聞まで全部調べているというのですよ。どうです、それほどまでの家宅捜索の必要があるのですか、本件について。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 具体的にどこをどう調べたかということは、詳細の報告がございませんので、お答えしかねます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 大きなノートを、朝鮮語をもって書いたこれは朝鮮の平和的統一法案、そういうようないわば組織というか、そういうものに関連をするものが書いてあるノートです。朝鮮語の読める人がそのとき一緒に行っているわけです。中を見れば何が何だかわかるわけです。朝鮮の統一の問題やらあるいはそうした組織の問題やら朝鮮総連の組織の問題、そういうふうな問題を一体外国人登録法違反のこの問題として調べなければならない必要がどうしてあるのです。あなたのほうの話を聞くと、将来どういうふうに事件が発展するかもわからないからというので、非常に綿密に念入りに、通常の段階なら不必要と思うものまで押収捜索をしておる。どういうわけでこんなふうにきわめて御丁寧に押収捜索をするのです。朝鮮語の読める人が行ったのですから、その大ノートが一体何が書いてあったのかわかっていると思うのです。どういうわけですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) その点も詳細わかりませんが、これは書籍ではございませんで、ノートでございますから、今お話しのようなことも書いてあったのかもしれませんが、そういうものをずっと終わりまで通読いたしまして、そういう資料があるかないかを、あるというふうに判断をしたのではなかろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そこの家は大きな家ですね。そのとおりである。上が五間で下は六間ある大きな家です。仏壇もある。仏壇にはいろいろな遺骨が置いてあるのだけれども、遺骨まで動かして、遺骨の下のほうのところに何があるかまで調べたというのじゃないですか。そこはどうなっていますか、あなたのほうは。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 先ほど申し上げましたように、どこの部分をどう捜索したかということは、承知いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 私のほうでこの問題を法務委員会の委員部のほうに、尼崎の二日間の事件を質問するということを通告したわけです。その通告を受けて、この事件の一体どこが山というかポイントであるかということは、警察当局がわかっておるはずじゃないですか。告発されておるでしょう。神戸地方検察庁尼崎支部に対して、今年の十二月十日に、朝鮮総連の尼崎支部の委員長を告発人として、田中弁護士外三名の弁護士の名前で、尼崎中央警察署の警備課長、何というのですか、ナカムカイというのですか、中迎という人、それから横田、今福、西田、これらの人を告発しておるのじゃないですか。この告発をされておるということは、警察ではわかっていなかったのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 承知をいたしておりまして、これは検察側でお調べを下さることになろうと思います。ただいままで詳細なお尋ねがございまして、私どもとしては一応あとう限り調べたつもりでございますけれども、なお十分に御満足いただくことができなかったのは残念でございますけれども、今の点につきましては、これは検察当局で具体的にそのものその場についてお調べ下さると思いますので、そこで明らかにしていただくことを私ども期待いたしておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 検察庁で調べるのは、告発があったのだから、これは当然のことでしょう。この告発の要旨は、二日間にわたる家宅捜索が非常に乱暴に行なわれて、外国人登録法違反の容疑を越えたところにまで範囲を拡大し質的にも量的にも行なわれておるということで、職権濫用じゃないですか。職権濫用ということで告発されておるでしょう。警察当局は知っておるわけじゃないですか。それを知っておれば、その点について当然きょう質問があるということは、あなたのほうでわかっていなければならない。家宅捜索のやり方が今までの例を越えて、わずか罰金程度の事件に不必要な範囲にまで拡大強化をされて行なわれておるというところに職権濫用として告発されておる、そこに問題があるから、具体的にどういうふうな家宅捜索が行なわれたかということをあなた方のほうではもっと詳しく調べる義務がある。私はそう思うのです。これはお寺ですから、マットも敷いてある。マットの下のほうに何があるかまで調べた。遺骨が置いてある、その遺骨までよけてその遺骨の下に何があるかまで調べた。そんなふうにしてまで外国人登録法違反——単にそこの家に住んでいたか住んでいないか、記載事項が違うか違わないかということ、そういうようなことでこんなにまで量的にも質的にも拡大した家宅捜索をやるということは、全く外国人登録法違反ということに名をかりて、別の目的で別なことを調べるために行なわれたとしか考えられない。  徐さんという人は、何をやっている人ですか。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 大延寺というお寺の住職と聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そんなこと聞いているのじゃないですよ。そのほかに何か役職を持っているのじゃないですか。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) ただいまの徐さんという人でありますが、大延寺の住職でございます。と同時に、告発状によりますというと、在日朝鮮人仏教徒連盟本部副委員長ということであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今私が尋ねたら、あなたのほうじゃお寺の住職としか言わなかったわけですけれども、これは何か特別な意味があってそれしか言わなかったのですか。在日朝鮮人仏教徒連盟の全国副委員長、こういうふうなことは警察の警備では当然わかっていたのじゃないですか。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) おそらくわかっていたものと想像されます。   〔委員長退席、理事後藤義隆君着   席〕

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 だから、上が五間下が六間のところを念入りにやって、マットの下から遺骨まで動かして、あらゆるものを家宅捜索したのじゃないですか。しかも、その家の百五十冊以上あった書籍まで全部調べておる。石炭箱三ばい新聞があった、それまで全部調べておる。しかも、調べたものは全部メモしたという。そんなにまでしてこの家宅捜索をやったということは、その徐という人が在日朝鮮人仏教徒達眼の全国の副委員長をやっておるから、警備課としてはそれの組織の関係をこの際つかまなければならないという意味で、本件の外国人登録法に一つ口をかりて大幅な家宅捜索をやったとしかだれが見ても考えられないじゃないですか。私はそういうふうにすなおに見て考えられるわけです。  それから、押収品は、その日の晩、ほかの人が行ったけれども、みんなすぐ返してくれなかったですね。どうですか、その点。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 押収品につきましては、差押当日の二十七日六時半ごろ仮還付いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 最初だれかが行ったら返さなくて、その次に奥さんが行ったら返したのじゃないですか。いずれにいたしましても、二十七日家宅捜索をやった晩に返したことは事実ですね。  二十九日にこれは釈放したわけでしょう。釈放したのは、事実関係が固まったからというので釈放したのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) そのとおりでございます。これは略式命令で罰金がきまったと聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは在庁略式でやったわけでしょう、おそらく。在庁略式でやったから、そこでこうしたのでしょう。  そうすると、これは二十七日の事件です。私が今質問した中であなたのほうで答えられなかったことが相当あるわけです。これは速記録を見れば具体的にわかりますが、それは調べて書面で回答していただきたい、こういうふうに考えます。  それから便宜もう一つの点のことをやりますが、翌日の二十八日にまた今度は別の人に対して家宅捜索をしたわけですね。この事実関係を少し説明をして下さい。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これは、日本流に読みますと鄭煥乙(テイカンオツ)というそういう人のようでございまして、尼崎で金属回収業をいたしておるわけであります。この人はやはり十月の十六日に尼崎の市長に対しまして外国人登録法第十一条第一項の確認申請をしたのでございますが、住居がありますのに、これは不動産業の業者の店の一部を小さく仕切ってそこを店にしておるようでございますけれども、住居地でなく、その店のほうに登録をしたということでございます。  そこで、これも警察のほうでこの事務所の家主その他から居住事実を聞き込んでおるのでございます。現実に住んでおります場所の関係者からひと通りの証言を得るべく努力をいたしましたけれども、なかなか協力が得られなかったということを聞いておるのでございます。この人も、従来、岩国から神戸、また岩国、また神戸というふうに、同年に再々変更をいたしております。そこで、これも前同様の理由でございますけれども、現実に生活の本拠がありますのにそこに登録をしていないというようなことで捜査を開始いたしたのでございます。十一月の二十二日に令状をいただきまして、二十八日に家宅捜索をやったのでございます。これは、二十八日の九時二十分ごろから約一時間、これは実際の居住地と認められます所でございますが、そこに被疑者及び家族が留守でございましたので、隣人に立ち会いを求めましたところが、   〔理事後藤義隆君退席、委員長着席〕 これも拒否をされ、やむなく尼崎市の支所の吏員の人に立ち会いを求めまして捜索を実施いたしました。同様にいたしまして手帳、ノート、便せん、封書、名刺、帳簿、印刷物というようなものを押収をいたしたと聞いておるのでございます。捜索に従事いたしました者は六名と聞いておりまして、その事務所のほうも捜索をいたしておりますが、これは二十八日の十時四十分ごろから約二十五分と聞いておりますが、そこは家主さんの立ち会いを得て捜索をいたしまして文書六通押収をいたしました。これには三名の者が行っておると聞いておるのでございます。で、この差押品は、ともに二十九日の十四時三十分ごろに被疑者でございます人の妻に全部仮還付をしておるのでございます。  なお、この御本人は、二十八日の捜索の際に所在が発見できませんでした。二十九日に朝鮮総連の関係者約三十名とともに中央署に来署いたしまして、虚偽申請罪ぐらいで捜索するのは行き過ぎではないかという抗議をいたしております。そこで、警察のほうでは、本人についても調べる必要があるから出頭してくれということを申しますと、翌日出頭する旨を答えましたが、さらに三十日には出頭をいたしませんでしたけれども、十二月四日内容証明による呼出状を郵送いたしまして、結局、八日にさらに電話をかける等いたしまして、十二月十日に出頭いたしております。この任意の取り調べにおきまして、本人は、事務所は自分の住所だから登録をした、虚偽申請ではないと主張しておるのでございます。これは、実は非常にむずかしい事件かと思います。居住地というのは生活の本拠ということでございますので、そのいずれに置くべきかということについては、これは現地の判断でやったろうと思いますけれども、とにかく本人は事務所が本拠であるというふうに言っておったようでございまして、これはまだ事件の結末に至っておらないように聞いておるのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この事件は、これからいろいろお聞きするわけですけれども、その前にちょっとお聞きしておきたいと思うのですけれども、そうすると、警察当局は、あれですか、生活の本拠というのは一カ所でなくちゃならぬという考え方をとっているわけですか、どうですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これは、具体の場合によってあるいはそうでない場合もあり得ると思いますけれども、生活の本拠というのは、やはりその人の客観的に一番そこにおいて生活をしているという場所を一カ所とするのが通常であろうかと考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そういう一体近来の学説があるんですか。冗談じゃないですよ。経済の発達に伴って、いわゆる人間の経済人としての行動などはいろいろ広範囲になってくるわけですよ。ですから、生活の本拠である住所というのは複数であるというのは近来の学説じゃないですか。どうですか。そういう学説が相当あるんじゃないですか。民事部長いませんか。まあいいや、急に民事局長に言っても悪いですから。どうですか、警察のほうでは——近来の経済の発達に伴って住居が二つあるという学説が非常に民法の中でも行なわれているんじゃないですか。そういうこと、あなた御存じないですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) ちかごろ実はあまり民法を勉強いたしておりませんので、詳しく承知しておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、ここで民法論争をやっても始まらないわけです。だけど、たとえば学生の選挙権がどこにあるかということが問題になったことがあります。私もその問題でやったことがありますが、それは下宿にもあるし郷里にもあるという、二つあるのが学生の住所だということになっているわけです。病人が長く病院に入っていればそこが住所であり、前の所も住所であるという複数説が通例であります。しかも、経済の発達に伴って仕事がたくさんになってくれば、事務所のほうは住居でもあるし、自宅のほうも住居であるという住居の複数説は学説として通例になってきているのです。この事件については警備局長もおそらく、これはしまった、無理をしてしまったというふうに考えられているんだと私は思うわけです、良識のある人なら。この事件は実に無理です。  それで、お尋ねをしていきますが、そうすると、これは一体何を捜索するつもりだったのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 前の事件同様でございまして、これは、本来の今申した居住地、二坪ほどの店でない実際に居住をしている所に住んでいるのだというところの立証材料だと考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この人はここの商工会の幹部をやっておって、居住地変更登録なども前は事務所を住所に登録してあったんじゃないですか。そこに実際泊ることもあったんじゃないですか。そういう点については詳しくわからないんですか。電話も二本あるんじゃないですか、この人は。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 本件につきましてこの鄭という人の事務所でございますが、不動産業者の事務所四坪のうち二坪を仕切っております。机、ロッカー等ございますが、宿泊設備はないという状況で、現実の住まいというか、現実の宿泊状況、寝泊りの関係は、奥さんの張という人と一緒にアパート住まいをしておるというような報告でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この人は、尼崎市の朝鮮人商工会の副会長をやっておりますね。印鑑証明の住所はどこになっておりますか。銀行取引の住所は一体どこになっておりますか。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 印鑑証明、銀行取引の住所ということについては、私存じません。しかし、いわゆる外人登録法に上る居住地ということにつきましては、やはり民法上の住所あるいは居所という概念といささか異なるのではないか。いわゆる居住地と認めるに足る客観的な事実を伴うことが必要であって、居住地は当該外国人の意思のみによって定まるものではないという東京高裁の判例もあるようでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、ここでその住所がどこにあるかということを論議しても始まらないと思いますけれども、印鑑証明もこの事務所に登録してある。銀行取引の住所もそこなんです。電話も二本ある。こうなれば、ここが一応生活の本拠であるということは当然考えられるわけです。それをかりにそこに登録をしてあったとして、寝泊りは別の所にしておったということで、いいですか、その程度のことで家宅捜索までやって外国人登録法違反として事件を立件しなければならないという必要性があるでしょうか。一体そこまでやらなければならないのですか。一体どうなんです。こんなことは世間にざらにあるんじゃないですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 現地の警察が居住地というのは、先ほど申しましたように、生活の本拠、つまり、そこで寝泊りをし、いわゆる生活をいたしておりまして、そこから店に行って、店で今のような小さなところで仕事をしておるというような場合に、住居地の登録をすべきであるというふうに判断をしてやったわけでございます。しかしながら、これについては争いがあることは、先ほど申しました御本人もそう言っておりますし、今の先生のお言葉でもございます。これらのところをよく検討して事件が立つか立たないかということを現地でも決定をするということになるかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは、今あなたの言われたことは、この事件を立件してしまった。してしまったけれども、実際問題を調べてみると、いろいろむずかしい問題がある。率直に言えば、現地の警察がまあ俗にいえば功をあせったというか、そういう形でやり過ぎてしまったというふうにあなたは内心では考えて、困ったことだというふうに思っているのじゃないかと思うのですが、そうも言えないから、なかなか苦しい答弁をしておられるのだと、こう私は考えるわけです。  そこで、それだけの設備のある事務所に登録をしてあった。寝泊まりする所に登録がしてない。そのことは、電話も二本もあるような人で、商工会の副会長をやっているような人ですから、そういう事実関係があるということで、家宅捜索をしなくても、楽に尼崎市の警察としてはつかめることじゃないですか。そうでしょう。この人は逃げ隠れをする人じゃないのです。それは、住所を変えたことがなく、終戦前から日本に住んでやっている人です。電話も二本あってちゃんとやっている人です。そういう人に対して何の必要性があって家宅捜索をするのですか。この事件について何と何をあなたのほうでは事実として調べれば犯罪の容疑として固めることができるのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これも、先ほど来何回も同じことをお答えいたすわけですけれども、現実に住居地であるという所に住居をしておる、その店のほうが生活の本拠と考えられるのでないんだということを立証するに足る資料を入手するというふうに考えたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 押し問答しても始まらないわけです。この程度の事件で日本の警察は家宅捜索をしてまで事件を固めて立件をするというか、そういうふうなことを外国人登録法違反の場合にはしなくちゃいけないのですか。こんな事件で、どうということはない事件じゃないですか、だれが常識で考えてみたところで。しかも、これは自宅のほうは全部で六名行っております。店のほうは三名。自宅のほうは留守でだれもいなかった。だれもいなかったのを、わざわざ市役所の吏員まで引っ張ってきてそうして徹底的に捜索をしておる。こんな必要がなんであるのですか。この程度の事件で外国人登録法違反というのは、まるでひょっとしたところの形式的な違反をつかまえて家宅捜索をしてたくさん資料を持っていく、その資料をいろいろ選別をする、そうして朝鮮人連盟というかそういうようなものの組織の内容というものを警備警察がキャッチしようとする、そういうふうに利用をするようにしか本件は考えられない。  そこで、この事件は今どうなっているのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 御本人に任意出頭を求めて取り調べましたが、今のように店が本人の生活の本拠であるということのお話でございまして、これはいずれともまだ送致する段階になっていないと聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ、この家宅捜索をする前に本人を呼んでいろいろな事情を聞いたことがあるのですか、本件の場合。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) その以前に本人に聞いたという報告に接しておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 こんな事件は、本人に来てくれといって呼んで事情を聞けばすぐわかることじゃないですか。ここにおいでの方は、専門家の方もあり、あるいは専門家でない方もたくさんおられる。事務所には印鑑証明の住所もあり、銀行取引の住所もある。そこにたまたま登録がしてあって、寝泊まりする所でなかったというだけで家宅捜索までして、警察官全部で何名行ったのですか。八名ですか、九名ですか。二カ所で約十名行っておる。それで徹底的に調べ上げていくという必要はだれが見ても私はないと思うわけです。  そこで、一体この押収したのは、ずいぶん押収していますね、何と何を一体押収してきたのですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 手帳が一冊、ノート七冊、ノート九冊、便せん三冊、封書十七通、名刺四十二枚、帳簿二冊、印刷物一冊と聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、このときも朝鮮語のわかる人、朝鮮文の読める人が行ったのですか。どうですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) その点はつまびらかにいたしませんが、行ったことは行ったろうと思いますけれども、これも朝鮮文のものを全部そこで解読できなかったというので、十分な数ではなかったと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この中でたとえばバインダー一冊というのがありますね。ありますか。ちょっとあなたの言ったことがはっきり……。団体の財政帳簿、帳簿を一冊押収していますね。これはどういうわけですか。バインダーが十六あったうちから、朝鮮語のわかる人、朝鮮文の読める人が行って一つのものを引き出してきた。それが朝鮮人連盟の、奥さんのほうの女性同盟、その財政帳簿なんです。奥さんが朝鮮の女性同盟の尼崎東支部の委員長をやっておる張貞礼さん。この人のところの十六冊あるいろいろなバインダー、そのうち女性同盟の財政帳簿を引き出していっておる。何のために女性同盟の財政帳簿が必要なんですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 帳簿とあるだけで、内容がわかりません。したがって、実はそれが先ほど申したどの部分にあたって必要であったか、実は私お答えができないのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃよく調べて下さい。  名簿録を押収していますね。一体この事件を捜索するのに名簿録をなぜ押収しなければならぬ理由があるのですか。しかも、その名簿録というのは、女性同盟の役員とその盟員というか、そういう人たちの名簿なんです。だから、女性同盟の実態を調査するためにその名簿録を押収していったとしか考えられないのじゃないか。一体、本件が外国人登録法違反としても、なぜ女性同盟の役員や盟員の名簿を持っていく必要があるのでしょう。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 前同様でありまして、女同の名簿が入っておるということは聞いておりません。あるいは名簿であるということであれば、先ほどの一般的なお答えの中の、あとでお聞きをする人の手がかりになるかと思いますけれども、具体的にそういうことを聞いておりませんので、お答えいたしかねます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この奥さんが尼崎東支部の女性同盟の委員長をやっておるということは、警察のほうでわかっておりますか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) ただいまはわかっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 女性同盟というのは、一体どういう組織で、何をやっておるのですか。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 女性同盟の組織というのは、私の知ります限りでは、在日朝鮮人団体の中の婦人運動の一つの組織ということを聞いております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 このとき押収していった品物は、私のほうで調べた範囲では、朝鮮文の大きなノート、これは女性同盟の張さんの書いたものですが、朝鮮の平和的統一というものその他のものが入っておる大きなノート、それから朝鮮文とか漢文で書いたノート、朝鮮総連の綱領、女性同盟の同窓生の名簿、その中の人の関係者の経歴を書いたもの、こういうようなものを押収している。また、中ノートでは、朝鮮文で学習の試験問題、朝鮮総連あるいは女性同盟のいろいろな学習をする試験問題を押収している。国際情勢の問題について研究会か何かあったときの資料を押収している。あるいは、この張貞礼の持っていた民族解放闘争史というようなものも押収している。女性同盟の会のいろいろな記録がある。これは、朝鮮文のものもあるし、日本文のものもある。これをみんな押収していっている。団体関係のいろいろなことを書いた日本文の雑記帳まで押収していっている。電話の一覧表から団体関係を書いたそうしたもの、小さなノートまで押収している。朝鮮の情勢の学習というふうなものもある、こういうふうなものまで押収している。一体、朝鮮語の読める人、朝鮮文の書ける人がそのとき一緒に行っているわけですから、見ればわかるわけです。何でこういうふうなものを本件の外国人登録法違反の証拠品としてあなたのほうで押収しなければならない必要があるのですか。何が何だかわからないからみんな持ってきたということじゃない。現実にこのときに朝鮮語の読み得る人やわかる人が行っているのだから、すぐわかったのだ。バインダーだって十六あった。特にそのうちの団体の財政帳簿だけ調べて引き出して持っていっている。こういう事実関係がはっきり現われている、押収目録について。なぜこういうことをする必要があるのですか。本件についてあなた方はこの事実を知ったときに、行き過ぎだと思わないのですか。家宅捜索は、警備局長、どういうふうに考えますか。今、私の言ったものが押収になったかどうかということは、すでに調べて下さいあなたのほうで。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 一々の内容についてはつまびらかにいたしませんので、それは調べます。  それから、お話のように、そこで内容が全部理解できながら何ら関係のないということを承知しながら差し押えたいということでございますならば、それは行き過ぎであると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ロッカーにかぎがかかっていた。夫人は立ち会った。あけろといったので断ったら、言うとおりやらないというと公務執行妨害になるといってロッカーをあけた。子供が北朝鮮へ帰っている。北朝鮮にいる子供から手紙が来ている。その手紙まで持っていっている。手紙を持っていっていますね。私信というのがあったでしょう。これは、朝鮮の情勢をいろいろな形のものをつかむために、朝鮮へ帰っている子供が家へ送った手紙まで持っていっている。何のために外国人登録違反のために単に記載事項が違うとか登録の場所が違うということだけでこれだけのものを押収捜索しなければならん必要があるか。だれが見たって常識的に職権濫用以外の何ものでもない。私はそう考えざるを得ない。私が今言ったようなものをあなたのほうの報告では具体的に何と何をどういうものを押収したかということの報告がないわけですね。そうお聞きしてよろしいですか。内容ですよ。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) 先ほどお答えいたしましたような帳簿でございますとかノートでございますとかそういうことでございまして、内容につきましては朝鮮文字のもの等があり、いずれも持って参って、本件に関係ないものはすぐお返しをしたと聞いておりますが、中身について今のお話のようなものがあるということは承知をいたしておりません。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 このときの家宅捜索は、家じゅうを全部やって、洗濯機がある、その中まで引っくり返して家宅捜索をやったという。組織関係の書類を目当てにして家宅捜索をやったということは明らかになっておる。こういうふうなことは朝鮮総連なり女性同盟という組織に対する弾圧というか、そういうために本件の家宅捜索が行なわれたということは、だれが見ても思えると私は思うわけです。  そこで、その品物を返したのはいつですか。お聞きしなかったんですが。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 品物を返した時期でございますが、二十九日の二時半ころとなっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは、二十九日に朝鮮人の人が、日朝協会の人が、本件の家宅捜索に対して抗議に行ったわけですね、抗議に行ったら初めて返したんじゃないですか。どうですか。

土田国保警察庁警備局外事課長

○説明員(土田国保君) 二十九日に、関係者と申しますか約三十名が尼崎中央署に来署しておりますし、その際に被疑者の妻の張という人に全部返しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の二十八日の家宅捜索の件については、大ざっぱにお聞きしたわけです。これについての見解は、今私が述べたところです。ですから、押収した品物の詳細が何であったかということ、それからその前の二十七日の徐宅でもそうですが、何であったかということをこれは詳細にひとつ調べていただきたいと、こう思います。  ちょっと前に戻って恐縮ですけれども、二十七日に徐さんのうちでフィルム二巻を押収しておるわけですね。これはどういうわけですか。

三輪良雄警察庁警備局長

○政府委員(三輪良雄君) これは、現像しまして関係者と一緒に写っているというようなことからその立証ができるかと考えたように承知をいたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 フィルムは、ちょっと見ればわかったフィルムだと思う。これは子供が写したフィルムだった。そういうようなものまで押収しなければならない理由は全然ないのに押収しているわけです。とにかく、職権の濫用がはなはだしいものがあるわけです。そこで、これは法務省にお尋ねするわけですが、今のこの十一月二十七日と二十八日の外国人登録法違反容疑の家宅捜索、これについて告発が出ております。この事実は法務省刑事局で知っておりますか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 今朝電報によって知りました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 電報というのは、こっちから出した電報ですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) この件についてお調べになるという内報を受けましたので、問い合わせた結果受け取った電報であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 こういういわば外国人関係の特殊な告発、こういうようなものについては、法務省では、直ちにその事件の内容を、出た場合には概要を法務省の刑事局のほうに知らせろということになっておるんじゃないですか。どうですか、こういう特殊な事件は。ことに、警察官が告発されている事件ですよ。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) これは、御指摘のとおり、報告をすることになっております。ややおくれておりますので、私のほうから聞いたわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今のは、家宅捜索の職権濫用のほかに、そのとき抗議に行った日朝協会の小林という人が、警察の西田というこれは次席ですか、この人から首筋をつかまえて引き立てられておっことされて治療一カ月も要する右手の打撲傷を負ったということ、それから金小時(キンショウジ)ですか、徐さんの奥さんが、家宅捜索のときに警察官に押しのけられて暴行を受けた、こういうことも入って告発が出ているわけですね。ですから、この告発については、尼崎の支部でやりにくいことがかりにあれば、これは内部の問題ですから、私のほうからそういうことを言うべきではありませんが、神戸の地検に移すなりあるいは何なりの形でぜひ早急に調べていただきたいということをここで法務省に私のほうから要請をしておきます。どうですか、その点。

竹内寿平法務省刑事局長

○政府委員(竹内寿平君) 仰せまでもなく、至急に取り調べまして結論を得たいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ではこの二つの事件については、私のほうはきょうは一応この程度で終わりにしておきますが、今あげた二つの事件だけでも、外国人登録法の実にささいな形式的な違反、これをつかまえていって家宅捜索をやる、逮捕をやる。しかも、そのときにおいて実際に調べるのは、そのこと自身よりも、むしろ朝鮮総連なりその他の女性同盟ですか、そういうものの実態を把握しよう、組織を弾圧しようというような目的のもとにそういうことが実際に行なわれている。これは非常にゆゆしい問題であると、こういうふうに考えております。しかも、朝鮮人諸君に対するそういうふうな事件は、今の二つの例は近ごろ起きた事件として特に取り上げたわけですけれども、そのほかにもたくさんございます。そういうようなものは私どもは今後明らかにしていきたいというふうに考えますので、今の点については、警察当局において早急に調べていただきたい。それから警察は、今私が要求いたしましたところできょうまだ答えられない点がたくさんありますが、そういう点については、もっと詳細な資料をもって明らかにしてもらいたい。その後においてまた私のほうから本件二つの事件に関連をしてお聞きをしたいと、こういうふうに考えておりまして、きょうは時間もおそくなりましたので、私の質問はこれで終わらしていただきます。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、本件に対しましては、大体本日はこれにてとどめます。   —————————————

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 先刻大臣の出席の都合で一たん中断いたしました裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案及び検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案の質疑を続けることにいたします。  順次御発言を願います。  ちょっと速記をとめて下さい。   〔午後五時四十五分速記中止〕   〔午後六時一分速記開始〕

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて下さい。  それでは、本案に対しまして発言の通告がありますので、これを許します。和泉君。

和泉覚公明会

○和泉覚君 三日間延長になりまして、これも国民の前に四、五日ストップしておったということをはっきりしなければならないと思うのです。だが、この裁判官の報酬並びに検察官の俸給の問題なのですが、問題は一般の給与改定から出た問題なのですが、大臣にお伺いしたいのですが、人事院の勧告というものがあるわけなのですけれども、この勧告というものが、実施の期日や内容の点からして、この勧告に対して大臣はどのようにお考えになっておられるのか、この案のとおりでいいのか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。  ただいま御審議をいただいております裁判官の報酬及び検察官の俸給につきましては、これは、一般公務員の人事院勧告によるベース・アップに基づいて、それに準じまして御改正を願う意味で御審議をいただいておるわけでございます。  お尋ねのこの勧告案の実施の時期であるとか内容についての法務大臣といいますよりも国務大臣としての私の考えはどうかという、そういう意味でお尋ねだと思うのでありますが、時期につきましては、やはり財政上の諸問題を考えまして、閣議で十月一日からといったような決定がされたと思っております。それから内容につきましては、これは御承知のとおりに、人事院におきましてあらゆる物価指数であるとか生計指数であるとかそういう給与に関する諸方式があるようでございまして、そういうすべての資料に基づきまして勧告されたものと心得ておりますので、やはり適当な勧告ではなかったろうかと、かように実は思っておる次第でございます。

和泉覚公明会

○和泉覚君 もちろん大臣とするならば自分の所管の関係の裁判官と検察官のあれになるのですけれども、仕方がない、一たん閣議できまったのだからというわけなのですが、いわゆる現在の金額とするならばこれは適当だと認められるかどうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) お答えいたします。  私は、率直に申し上げまして、裁判官等の給与が今日のままでいいというふうには実は考えておりませんです。いま少し優遇すべきものではなかろうかと、かように考えております。しかしながら、いろいろこれには任用の問題とかいろんな問題がございまして、先ほどもちょっと稲葉さんのお尋ねに対してお答えしたと思うのでありますが、そういう問題を含めまして臨時司法制度調査会の結論を実は非常に期待をしておるわけでございます。

和泉覚公明会

○和泉覚君 そうすると、今の十月一日の案は、これはやむを得ないというわけでもって、大臣とするならば先ほど言うたもっと金額的にも考えるべきだという精神があるというわけですが、それに対してどのような努力をなされたのか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 十月一日が適当であるかという問題につきましては、一応給与担当の国務大臣から十月一日ということが出され、また、財政担当大臣からも賛成の意が表されておりますので、特別私が努力をしたわけではございませんけれども、私も消極的には賛成いたしておるわけでございます。なおまた、裁判官の報酬並びに検察官の俸給についての今度のアップにつきましては、特別私が努力をしたというわけのものでもございません。

和泉覚公明会

○和泉覚君 一般の公務員給与の改定の内容がまだ決定していないやさきですから、こちらのほうとするならば、今言うように十月一日の線というものを勧告どおりにすべきではないか、われわれはこういうふうに思うわけですが、それで、大臣がほんとうに努力したと、あるいはこういうものなんだ、こういうようにしたけれども、実際できなかったのだ、こういう実情なんだというものを国民の前にはっきりする必要があるのじゃないかと思うのですが、これがこの前にきまるということは向こうのほうにも相当大きな影響を及ぼす問題じゃないかと思うのですが、その点はどう考えますか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 衆議院におきましてすでに一般公務員の給与の改正を行なわれましたし、また、この裁判官の報酬並びに検察官の俸給の改正も行なわれたようでございます。したがいまして、特別努力するとかしないとかといった問題とは違うのでございますけれども、この際は、当委員会におきましてただいま御審議をいただいております二法案につきましては、御審議の上ぜひともこれを通過さしていただきたい、かように実は熱望しております。

和泉覚公明会

○和泉覚君 今申し上げましたように、この点をわれわれが言うのは、せっかく政府でもって作った人事院の勧告なんですから、おくらしていつも物議をかもすわけですから、この際は勧告に従って、あとのところは考えるなら考えるべきじゃないか。こういうふうにしてその点大臣として善処すべきである、こう申し上げて私は終わりたいと思います。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) ほかに御発言もないようでありますから、暫時休憩いたします。    午後六時七分休憩   〔休憩後開会に至らなかった〕    ————・————

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