石炭対策特別委員会 第4号
- 発言数
- 84 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/12/20
会議録
○委員長(堀末治君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告いたします。本日、鍋島直紹君及び吉武恵市君が委員を辞任され、その補欠として、温水三郎君及び佐藤芳男君が選任されました。 —————————————
○委員長(堀末治君) それでは、石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案、石炭鉱山保安臨時措置法の一部を改正する法律案、産炭地域振興事業団法の一部を改正する法律案、炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案、以上四案を一括して議題といたします。 本件につきましては、先般提案理由及び補足説明を聴取いたしておりますので、本日は、これより直ちに質疑に入ります。 質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
○石田次男君 今度の国会は石炭国会と銘を打って開始された国会でありますが、現在まで衆参両院において、ほとんど本会議以外ではこの問題は触れていないわけです。したがいまして、いろいろ問題になっている点が内閣でどういうように認識しておいでかということが、実はわれわれにもよくわかっていないのでありまして、そういう観点からいたしまして、現在提案されている四法案に入る前に、もっと基本的な問題からお伺いしたいと思うわけでございます。 まず、今度の石炭対策については、有澤調査団の答申を尊重して立てたとおっしゃっているわけですが、あの答申だけでも、相当たいへんな内容を持っているのでありまして、この今出されている四つの法案だけで石炭対策が終わりになるとは私どもは考えられないわけです。したがいまして、今日を見せてもらいました。それから、九州へやはり視察に参りましたときに、その一部を見せていただいたことがございますが、通産大臣になりましてからは、まだ参っておりません。
○国務大臣(大橋武夫君) 私も、産炭地のほうへは就任後参っておりません。ただ、産炭地から離職者がだいぶこちらへ来ております。その就職の状況等の視察には参っておりますが、産炭地の実情は、残念ながら、まだ視察いたしておりません。
○石田次男君 今度の石炭問題の中心地は、何といっても筑豊でございますが、これを見て歩きますと、実に問題が多いのですね。あれこれ実例を一々言っているわけにもいきませんけれども、まあ一例として申し上げますと、田川の田中鉱業所あたりは、これは社長がダイナマイト自殺をしております。それから、長男に当たる人が受け継ぎまして、すぐ閉山になっておりますが、この人が夜逃げをしているんです。三百人従業員がいましたが、現在では全部失対に出ておりまして、そして、それだけでは足りなくて、生活保護も受けている。で、そんなようですから、閉山当時の未払い賃金が五万から十万、少ない人で五万ですね、多い人は十万持っております。これがうやむやになってしまって、今さらどこからももらえないという状態です。今度の法案処置については、ことしの四月にさかのぼってということでありますが、こういうふうに少々の法案による救済を考えても、その網の目から漏れる人たちがずいぶん多い。しかも、今失対事業についての状態はどうかといいますと、朝は七時半ごろ職業安定所に行きまして、それから、教宣場という所があって、そのあと、自労の幹部がそこで二時間ぐらい教官、活動をしている。それを聞いている者もあり、あるいは聞いていない者もあり、ひどいのになると、横で二時間立って将棋をさしておる、こういうような状態が毎日続いております。でありますから、こういう状態が続いていけば、自然に就職に対する意欲もなくなれば、あるいは積極的に生活を立て直そうという意欲もなくなってきておりまして、ただ惰性で暮らしているというのが偽らない本人たちの気持です。これは私は直接炭住に乗り込んで、そういう人たちを集めていろいろ情勢を聞いたところがそうなんでございます。そういうすでに閉山になった所の人たちの自暴自棄な生活という問題は、これは実際行ってみないことにはわからないわけですね。ただ、今のところ、政府では、閉山になれば再就職を強力に推進するといっておられますが、はたしてその再就職というものができるものかどうか。小倉の訓練所あたりをのぞいて見ましても、やっていることは実に古いことばかりです。ミシンの時代に針仕事を教えているような状態が職業訓練の実態です。こうしてみますと、今政府で組んでいらっしゃる失業対策、離職者対策というものが、非常に上すべりして実効が伴わないのじゃないかというのが私の偽らない実感なんですが、その点はいかがでしょうか。現実に福岡県で十万人過去に離職者が出ておりました、完全に就職しているのは三割です。そのほか相当就職したのですが、みんな舞い戻ってきております。こういう状態ですと、今後大量に発生を予想されておる離職者に対する対策というものは、今のようなやり方ではとうてい救い得ないという感じが私は強くするのですが、その点は次官でなくて、大臣から直接お伺いいたしたいと思います。
○国務大臣(大橋武夫君) お言葉のような、相当深刻な実情は実地にあることと考えます。従来の炭鉱離職者対策につきまして、このたびの調査団におきましてもいろいろと検討を加え、これをやはり有効なるものにするには改善をしなければならぬという趣旨でこのたびの答申が出ておるのでございます。そこで、今度の離職者対策といたしましては、中心を再就職の確保ということに置いておるわけでございまして、このためには、まず炭鉱の経営者において、相当責任を持って有効な就職あっせん活動をしてもらいますとともに、政府みずからも、直接離職者をできるだけ雇用いたしまして、そうして職場を与える。また、政府関係機関あるいは特殊金融機関から金融を受けておりまする一般の企業等に対しましても、この金融と並行いたしまして、炭鉱離職者の雇用を勧奨するというような方法をとることに相なっておるのでございます。そのほかは、一般に職業紹介所におきまして、地域的な紹介、あるいは広域による紹介を行なって、できるだけあっせんすることにいたしておるのでありますが、従来広域職業紹介の場合におきまして一番欠陥と考えられておりましたのは、住宅問題によって、就職の場がありながら、実現を見ないというケースが非常に多かったのでございます。そこで、この点も、今回の答申におきましては特に留意されまして、今年度並びに明年度を通じまして、新しく八千戸の新規の住宅を雇用促進事業団が作りますばかりでなく、このほかにも、雇用促進事業団の場合には、住宅を確保する措置を講ずると同時に、建設省で所管しております一般公営住宅も、できるだけ優先的に離職者に提供してもらうための措置を講ずることにいたしたのでございます。この住宅面からいたしまする雇用の可能性が、相当今回はものをいうのではないかと期待をいたしておるような次第でございます。 それから、この雇用の前提といたしまして、必要と認められる方々に対しましては職業訓練を行なうことにいたしておるのでございますが、この職業訓練につきまして、ただいま手きびしいお言葉をいただいた次第でございますが、しかし、私どものほうで調査いたしておりまするところによりますると、現在までの職業訓練の実績を見まするというと、大体八五%以上が就職ができているというような実情でございますので、今後とも、この面には大いに力を入れて参りたい、こういうふうに考えておるのでございます。 それから、最後に、現在失対事業に従事している離職者諸君の問題でございますが、これは今年四月一日以降の離職者に対しましては、今回の新しい答申による措置を講ずることにいたしておりますが、その以前の方々に対しましては、ただいま失対事業全般を改善をしたいという考えで、労働省としては調査をいたしております。ある程度まで考え方も固まりつつある段階でございますが、この失対事業の改善によりまして、これらの方々を安定した職場にお世話するように極力努力をいたしたい、かように存じておる次第でございます。
○石田次男君 今申し上げた話の中で、失対事業へ入っている人たちが、朝二時間も教宣活動でしばられているということをちょっと私申し上げたのですが、これは労働省としてはどうお考えですか。どこでもみんなやっておりますね。
○政府委員(三治重信君) 田川の、その二時間もやっているというのはきょう初めて私聞きましたのですが、朝、安定所の寄り場へ集まって、その紹介されるまでの間そういう教宣活動が行なわれておるということを承知いたしております。したがって、紹介されて現場へ行って、または安定所から別の所でさらにそういうことが行なわれておるということは、きょう初めて聞きました。あとで実態を調べます。こういうふうな関係につきましては、まだ私たち、大臣が申し上げたように、最終的な案ができたわけではございませんが、できれば来年度改善の方策をはっきり打ち出すとともに、そういうような運用の面につきましても、具体的に改善方策を講じて措置していきたいというふうに考えております。
○石田次男君 今の問題ですね、そういうのは初耳だとおっしゃってるわけですよ。ですから、現地の実情を知らないで対策をしているのは、こういうことにも出ているのですね。実際行ってみればわかりますよ。安定所から出て、そっちの山あいの道路を直しに行く途中をとめておいて二時間もやっているのです。その間に、じゃ労働者諸君はどうしているかといったら、聞いている人もあれば、雑談をしている人もある。ひどいのは将棋をさしているのです。こういうのは見たことないでしょう。将棋をさしていようと碁を打っていようと、そういうのを別として、作業現場へ向かう者を二時間も途中でストップして教宣活動をやっておる。これはおそらく全国的なものじゃないですか。私の知ってる範囲では、九州全部そうですよ、ほとんど。特に筑豊方面はひどいですよ。それは許されるものかどうか、これは労働大臣に直接にお聞きします。
○国務大臣(大橋武夫君) これは失対事業の趣旨から考えまして、さようなことを許すべきものではないと思います。さっそく実情をよく調べまして、さしとめるように努力をいたします。
○石田次男君 繰り返し言うのですが、これだけは厳重にとめていただきたいと思いますわ。ほんとうに人間をくずにしますよ。 それから、今、大臣のお話ですと、過去の離職者八五%就職をしておるというのですが、これは福岡県から出てきている県の資料です。県の資料によりますと、今までの離職者がざっと四万二千人、これは福岡県内の筑豊だけです。そのうち、まだ就職できない者、滞留者ですね、これが二万一千人、ちょうど半分です。ところが、私が足で調べて歩いて、全部は調べられませんから、閉山になったところの小さいところをこまめに見てみますと、半分どころか、七割が失職しております。これはこうなんですよ。あるときに閉山すれば、それは職業紹介所でもって紹介します。ところが、紹介されて行くと、条件が違うもので、あるいはまた仕事になれていないもので、結局だめになって戻って来る。ですから、一つの時期が過ぎた点を調べてみますと、七割ぐらいが皆とまっている、現地に。ですから、八五%が就職済みだなんていうことを言ってらっしゃるのですと、これから出てくる離職者に対する考え方というものは、これはたいへんになりますよ。
○国務大臣(大橋武夫君) 今の私の申し上げた点で、ちょっと石田さんの御理解と食い違ってる点がございます。私の八五%と申し上げましたのは、現在までの職業訓練の実績をふり返ってみますると、訓練を受けた人の八五%が大体一応就職しておる、こういうことを申し上げた次第でございまして、離職者につきましては、失業のままおる者が相当の割合になっておることは私も承知をいたしております。 なお、今御指摘の、一たん職業紹介所から紹介を受けて雇い先へ行ってみたところが、条件が違っておる。それで、役所のほうでは就職さしたつもりで、本人はしかしすぐ舞い戻って来るというものもあろうかと存じます。そこで、今回は、この調査団の答申の中でも、職業紹介の機能を拡充強化する必要がある、特に炭鉱離職者の就職のあっせんについては、個人々々につきまして受け持ちの職員がきまりまして、その人たちが離職のときから、職業訓練、就職、それから就職後のことまでケース・ワーク的にお世話しなければならない、こういう答申に相なって去りまして、この点は今回の対策といたしまして取り入れることにいたしております。
○石田次男君 あまりこの問題ばかりやっておられませんが、私のほうもちょっと言葉が足りなかったかと思いますが、その職業訓練所で訓練を受けて就職した者が帰って来る、ほとんどだめなんです。むしろ落ちついているのは、箱根の旅館に来たとか伊豆の旅館に来て、そこで事務やら雑役やらやっているというような、そういうのが落ちついているのですよ。職業訓練を受けて、一つの機械を動かす職場に入ったような者はほとんどだめですよ。みんな帰って来ております。そこを言っているのです。ですから、今後の職業訓練という点ですね、これは今の計画のままじゃ私はあぶないのじゃないかと思うのです。で、現地の実際労働者の人たちを集めてみましても、会社のほうでは、三十七、八歳くらいまでで、家族が三人に限るとか、そういう条件をつけるのですよ。しかし、三十七、八歳になって家族が三人なんという、そんな従業員というのはいないのです。入ってみればわかりますけれども、子供は四、五人はいるのです。そうしますと、ほとんどその点からいってオミットされるのですね。よしんば、何かの条件はよくて、職業訓練も受けて就職したとしても、それが舞い戻って来るわけなんです。本人たちの話を聞くと、もうおれたちみたいに年をとってしまうと、とても職業訓練を受ける気もしないし、教えられたって覚えきれないというのです。ですから、むしろ炭坑夫の諸君は、それよりも、職場としては、単純な肉体労働の職場、はっきり言えば、今の失対事でやっているような、ああいう職場を希望しているのです。それから、もう一つは、よしんば就職して行っても、家族をこちらに置いて行かなければならぬような人が非常に多いので、制約されて行けない。二重生活はとてもできない。そういうことで、職業再訓練再訓練と言っていても、それ自体に対する労働者の意欲は全然ないし、自分らの希望は、もし職業を持つとすれば、肉体労働以外にないとはっきり言っておりますから、この実情と政府のプランとの食い違いというものをどうお考えになるか、この点をお伺いしたい。
○国務大臣(大橋武夫君) 今回職業訓練も拡充をいたすことにいたしております。それらの種目選定するにあたりましても、ただいまお示しになったようなことを頭に置きまして、実情に適合するような種目を選ぶようにいたしたい。特に建設関係の技術を習得させるような方法を今度大いにやっていきたい、こう思っておるような次第でございます。 なお、家族との別居という問題は、これは従来の実績に徴しますると、住宅の問題がやはり根本になっておるような場合が多いようでございますので、この点は今度住宅だけはできるだけ力を入れて、その面からの支障を最小限度にとどめるようにいたしたいと考えております。
○石田次男君 この離職者が急に出てくると、大臣がおっしゃる点はよくわかりますが、なかなかめんどうだと思うのですね。それで有澤調査団のあの線で参りますと、筑豊はうんと甘く見ても九坑残るだけ、百六十六坑でしたかな、それが九坑残るだけになります。現地の人に言わせると、調査団のあれでいったら全部閉鎖で、一つも残らぬというわけです。現地の労働者じゃなくて、市町村当局です。当局者の意見によると、強行すれば一つも残らぬ、こういうふうに言っております。事実そうだと思う。それで四十二年までに整備計画を進めていくわけですが、私どもとしては、これが強行されたら、ほんとうに社会不安や社会混乱になると思うのですが、相当慎重にやっていく必要があると思います。これらの閉山計画については、現状じゃ買い上げを申請しても公表しない主義ですね。ところが、申請のほうは、これはにっちもさっちもいかない、相当にわれがちの競争になるんじゃないかというのが現地の一致した観測なんです。それを今度通産省のほうでどうさばいていらっしゃるか、来年ならばどの程度まで閉山するという見通しを持っていらっしゃるのか、あるいは今見通しがなければ、それらの見通しをいつまでにどういう機関を通じて立てさせるつもりでいらっしゃるか、その辺の内容を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(福田一君) お説のとおり、買い上げを申し込んで参りましても、それを認めたというようなことにいたしますというと、いろいろな面において不都合な問題も生じる等のこともありますし、また、私企業でありまする等々のことからも考えまして、ただいまのところ、買い上げを要望してきたところは、これは公表しないということにいたしておるわけであります。そこで、しからばどういうような計画でこの問題の処理をしていくか、こういうお話でございますが、それにつきましては、予算の委員会でも申し上げたのでございますけれども、石炭合理化臨時措置法に基づきますところの石炭鉱業審議会につきまして、これを改組、強化する方針でございます。その強化する内容はどれくらいにするかということは、まだ具体的にはきまっておりませんけれども、大体今のところは二つくらいの部会をまず追加いたしたい、かように考えておるのでありますが、これはまあ具体的に今決定をしておるわけではありません。なお、将来におきましては、やはり法律を改正いたしまして、もう二つくらい部会を追加しなければならないのではないか、かように考えるのでありまして、この部会を追加するについては、ちょっとやはりいろいろの関係もございまして、法律改正を必要とする、かように考えておるわけであります。その審議会におきましては、御承知のように、有澤調査団でも言うておられますが、大体年間五千五百万トンを出炭するということを目途といたしまして、そうしてどこの山はどれというよりは、いわゆる地域別、炭田別に見てどれくらいはやっていかなきゃいかぬかという計画を立てまして、そうしてこれを合理化部会にかけるのでありますが、それと同時に、そうなれば、どうしても終閉山しなければならない山も出て参りますので、これに見合ういわゆる離職者というものも出てくるわけであります、それに見合った離職者というものを今度は雇用部会のほうにかけまして、そして両方をちゃんとにらみ合わせて、計画を遂行していく、こういうことになっているのでございまして、その場合において、それでは三十八年度にどういうようなことをするかということにつきましては、今後具体的に調査をして、審議会にかけるときに案をきめて参る、こういうことにいたしております。そして、この計画をやっていく場合、たとえば審議会自体において慎重に審議をしていただいて、そして、なるべくあまり摩擦が起きないような考え方で、しかも、五千五百万トンという数字は、御承知のように、もう需要確保の限度に今のところなっているのでありまして、どこかに一生懸命使ってもらいたいと思って、電気とか鉄鋼とかセメント、その他いろいろのところに頼んだり、いろいろな措置をいたしましても、やはりそこが限度になりますから、そこで、それ以上掘りますと、掘った分は使われない炭になる、こういうことになりますので、そこら辺をにらみ合わせた上で計画を遂行していく、こういうことに実は考えているわけでございます。
○石田次男君 大臣のお話はわかりましたが、問題は、スクラップにする分とビルド・アップしていく分と、両方あるわけです。ところで、筑豊というところはスクラップのほうに入る。炭質、それから握っている工合、その他いろいろの条件からいいまして、完全にスクラップになるほうの分なんです。筑豊でビルド・アップするということは、まずあの条件からいえば、ないわけです。そうしますと、国全体の問題としては別として、筑豊という地域を限って見ますと、四十二年までにほとんどつぶれるわけです。そうすると、ここに概略九十三万の人口がおりますが、それらの六割が直接に生活不安人口になりますし、あとの四割もそれに準ずるものになるわけです。ですから、問題の筑豊においては、ビルド・アップとスクラップのかね合いの問題でさばくことはとうていできないわけです。そういう事情は政府のほうで十分御承知と思いますので、これに対する処置はどういうふうになさるのか、その点をお尋ねします。
○国務大臣(福田一君) 私も、ここで詳しくそのとおりでありますとは申し上げられませんが、確かに筑豊には、そういうようなスクラップされるような山が多いように聞いております。しかし、その場合も、先ほども申し上げましたように、できるだけそこら辺の事情もよくのみ込んで、一ぺんにたくさんの離職者が出ないような工夫というものも、いよいよ審議会にかけてやります場合には考慮しなければならないと思いますが、もちろん、しかし、その場合においても、やはり労働省のほうとよく連絡いたしまして、そうして離職者がどういうふうに手当をしてもらえるかということとにらみ合わせて、そこをよく考えて処置をしていかなければならないということは、方針として申し上げることができるわけでございますが、それでは、ここでどことどことどの山がどうなるかということについては、先ほど来申し上げたように、今後審議会において決定をしていただかなければなりませんし、したがって、今私として、ただいま仰せになった数字のとおりでございますとか、そうでありますという御答弁はいたしかねると思うのでありますが、しかし、お説の趣旨は十分に考えて、そうして誤りのないように、できるだけひとつそういうような不安が起きないように、あるいは、また、離職者が十分にやっていけるような工夫も考えつつ処理をしていかなければならぬ、かように考えておるわけであります。
○石田次男君 今のお話を何っておりますと、直接炭鉱から離職する方のことを中心としておいでのようでありますが、筑豊の事情はそうじゃなくて、直接炭鉱から離れる人と、閉山によって地域の経済がだめになって、そのために六割に当たる人間がほとんど失職状態になるわけです。ですから、炭鉱離職者に対する臨時措置でもってこれを救えるというものじゃないんですね。結論から言いますと、産炭地に対する新しい産業を興こすとか、あるいは目先の問題としては、土木事業をどんどん計画するとか、そういう方向につないでいきませんと、今まで、石炭で上げていただけの経済力を何らかの形で継続していくことを考えませんと、これは大問題になると思います。そういう意味で申し上げているのでありまして、この百万近い人口というものをよその地域に散らせといったって散れるものではありませんし、今みたいに、閉山する、すぐ出ていけと、こういうやり方をやっておりますと、市町村の財政から、付近の商工業から、一ぺんにだめになるんですね。これはひどいですよ。こまかいことを入れてお話し申し上げますが、これは今名前は出しませんが、鉱山が閉山したわけです。そうしたら退職金が出るわけですね、その退職金を五割だけ即座に出しているんです。そうしてあとの五割は炭住から出ていくときに支払う、こういう条件にしているんです。こういうやり方をしますから、当然いや応なしに出ていってしまいます。一挙にからになりますから、付近に重大な影響が起こるわけです。こういう事態に対して、町ぐるみ、村ぐるみ、都市ぐるみだめになるという実情に対しては、どういう方法をおとりになるのか。また、こういうふうに、いくら組合と話をつけたとはいいながら、炭住をあけるまでは退職金五割は押えて、やらぬということが許されるのか許されないのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
○国務大臣(福田一君) お説のとおり、その問題も非常に大きな問題でございます。離職者の問題もさることながら、それに関係のあるいわゆる商業関係、あるいは、また、農村関係等々との問題も、また、それが市町村の財政に直接与える影響等も考えなければなりません。したがって、考えられる一番いい方法は、もし山が閉山しても、そこに山から出てくると同じくらいの金がそういういわゆる住民に流れるような仕事があれば、これが一番いいわけであります。そこで、そういうことも考えまして、政府としては、まあ筑豊炭田等については、何らかの政府機関の工場等でも、たとえばたばこなどというものも考えておるのでありますが、これはさしあたりひとつやるようにしよう。そのほか、何かそういう事業でいいものはないだろうかというので、今いろいろ調査をいたしております。あの地域を利用して何か仕事を興こす工夫がないかというわけでございまして、これは五つ六つの仕事の計画を一応立てて、これならばやれるじゃないかというので考えて、今研究をしております。しかし、これは御承知のように、政府がやるわけでありません。その事業自体は有利であるということで民間にやってもらうという一応の考え方で、今これとこれができますということは申し上げる段階に参っておりません。 それから、各山々につきましては、その山が終閉山してしまいますと問題でありますけれども、終閉山しないような所、あるいは、また、一部自分の持っている山が、ここはやっているけれども、こっちのほうは閉山したというような場合に、その山の人にそこで何か小会社みたいなものを興こして仕事をしてもらう工夫がないか、そういうようなこともこの事業団のほうでいろいろ計画をしておりまして、これについては、相当今いろいろな仕事を申し込んできている実情でございます。しかし、申し込まれたから全部何でもかんでもやっていいかということになりますと、やはりこれをやってまた損をしてしまうということでも困りますので、こういうこともいろいろ調査をしておりますが、そういうように仕事をまず見つけるということが一番大事であります。そこで、土木事業ということももちろん大事なことでございます。たとえば道路を作れば、その道路を作ったことによって非常に便利になる、便利になるからそこにまた仕事もくる可能性が出てくる。また、道路を作ることによって、相当離職者をこれに吸収することができるということもあります。また、政府としては、実はもう今回も出しておりますが、ボタ山の整理といいますか、危険ボタ山を何とかして整理をするといいますか、切りくずし、あるいは土地を造成するために使うとか、その他の方法によりましてボタ山の問題をひとつ処理していくようにしたい、それに相当な人を使う、こういう考え方で今度も実は法案を出しておるわけでありますが、これなどは、先ほど仰せになりましたように、石炭の関係労働者というのは相当高年令の人が多うございますから、そこで、高年令の人に就職をさせるといって仕事を見つけようと思っても、なかなか仕事は見つからない場合がある。それから、また、住宅の問題もございます。もちろん住宅の問題については、相当労働省の関係で考えてくれていますが、山があって、それが閉山をした、そのそばにボタ山があって、そのボタ山を取りくずすということであれば、今までの所に住んでおって、そうして就職もできる、こういうことにもなりますので、できるだけひとつそういうようなことも考えなければいかんという考え方から、実はボタ山の問題も今度法案として取り上げておるというような実情であります。こういうふうにして、仰せのように、仕事をまず見つけるというか、作るということに努力をいたしますが、しかし、そういたしましても、ボタ山をやって、そこに人が要れば、そこである程度は救えるけれども、しかし、そこにおるいわゆる中小商工業者、あるいはその他の人たちで、どうしても仕事が成り立たんという人もできてくるかもしれぬ。そこで、また、もう一つは、閉山しました場合には、売掛金があっても、それももらえないという場合があるかもしれない。そういうことがあった場合には、ひとつそこで仕事を続けていく人には、個人には百万円、法人なら三百万円ぐらいというものを六分五厘の低金利で国民金融公庫その他から融資することも考えよう、それから、また、よそへ行かれるような場合においてもそういうことをひとつ考えてみたらどうかというので、大蔵大臣ともそういうことを相談をいたしまして、先般そういう措置をすることにして、もうすでに通牒も出しておるようなわけであります。いろいろありますが、そういうことをしても、やはりなかなかたいへんじゃないかというお考えであると私は思うのであります。これはわれわれとしては、もうできるだけのことをしてそういうふうにしてやってみる、また、市町村の財政等にも何らかの措置ができる、ただいま研究をいたしておりますが、できるだけやってみるということでございまして、そして、これでまあ大体いけるのじゃないかと思いますが、それは政治のことでございますから、そう二年も三年も先のことはわかりません。実際の問題として、また、これではどうも十分措置ができないというようなことになれば、一年半か二年後になるかもしれぬ、あるいは、また、ときに応じてこれは手直しを絶対しない、こういうものでは私はないだろうと思っておるのであります。要は、やはりできるだけのことをして、その意味において努力をする、こういう考え方に立っておりますが、さしあたり今政府としてできることはこういうことをしてやっていきたい、こういうことで皆さんにお願いをしておるというわけであります。
○国務大臣(大橋武夫君) 退職金の問題につきましては、労働法規といたしましては、特別にこうでなければならぬという強硬規定はないわけでありまして、労使の話し合いによりましてきめられるわけでございます。しかし、今のように、半分だけ払って、あとの半分について条件をつけるということは、これは普通の場合には考えられないことだと思うのです。ですから、いろいろその山の経営が非常に苦しいとか、そういうような事情で労使の話し合いで解決する、そういうふうな結果になるのじゃないかと思いますが、これは話し合いのつき方でございますので、それは法的にどうこうという問題はないように思います。
○石田次男君 五割しか払わなければ、あとの五割は経営者の手元にたまっているのです。これは利子を生む。ですから、五割しか払わぬということによって、あとの残りを相当に長期間手元にとめておいているということによって経営者のほうは一つは利息をかせいでいるのです。これは許されるものかどうかと思うのですがね。もう一つは、それによって炭住から追い出しの一つの手段にしている。ですから、今の法的な規制措置は何もないといっても、今後当然こういう事例はたくさん出るのです、そういう一人々々にしてみれば零細な退職金について経営者の横暴を許していいものかどうか、もしもそれは確かにまずいとなったら、何らかの法的な規制をする御用意はおありかどうか、この点はいかがでしょう。
○国務大臣(大橋武夫君) 労働法の関係から申しますと、これは退職金は就業規則に書くことになっております。就業規則に従って支払うべきものでございます。しかしながら、先ほども申し上げましたごとく、実際現実の支払いの際において就業規則と異なった労使間の協約が成立いたしました場合には、その労使協定によって支払いをされましてもいい、これは法規上どうこうという問題ではございません。しかし、ただいま御指摘のごとく、事業主がその支払いの力が現実にあるにもかかわらず、雇い主の地位を利用いたしまして、不当にそういう協約を押しつけるというようなことは、これはいかがかと思うのであります。今後はさような問題につきまして、役所としてできるだけ注意をいたしまして、そして適正な支払いを行なわせるように行政指導をいたすつもりでございます。
○石田次男君 また何かの機会にこの問題はお伺いします。行政指導では足らぬです。どこの炭鉱か、名前を出してもいいですけれども、きょうは控えておきます。 それから、通産大臣、今お話しになりましたことですがね。事業団に業務、事業をやらせると言っていらっしゃいますが、ことしの産炭地振興の予算は、概略十億を一応出したわけですね。そのうち、どのくらい使ってどのくらい残っておるか、通産省ではおわかりでしょうか。
○国務大臣(福田一君) 実は、十二月一日から業務規定ができまして、開始をいたしたのでございますが、今まだどのくらいというまでの数字は出ておらないわけでございます。
○石田次男君 こういうふうに予算措置はしたと言っても、一年間もほったらかして、実際には使えないような状態を作っているのですからね。政府としてはえらい怠慢ですよ。また、事業団ができましたので発足ということですけれども、しかし、今のままで事業ができますか、この点いかがですか。本会議でもちょっとお伺いしたのですが。
○政府委員(中野正一君) ちょっと具体的な問題でございますので、私からお答えいたしますが、今、先生おっしゃいましたように、十億の予算がついて発足しまして、約半分が土地造成、あと半分が貸付金になっております。土地造成につきましては、現在九州地区で五カ所の土地造成の調査にかかっております。それから、五億の貸付金につきましては、今、大臣がおっしゃいましたように、十二月一日から実際の貸付業務を始めまして、それで十二月の十五日現在で百二十件の申し込みがございます。そのうち、約九十件が九州地区でございます。これは現在金額を集計中でございますので、まだ私の手元に数が上がっておりませんが、さっそくどんどん事業団をして貸付をさしたいというふうに考えております。来年度につきましては、相当の金額を来年度予算として要求中でございます。
○石田次男君 現状は今説明を聞いたとおりですが、事業団の施行細則は今のままでよろしいと考えていらっしゃるかどうか。
○政府委員(中野正一君) 既往の施行の細則につきましては、現在きめたばかりで。ございまして、これでやっていきたいと思っております。今度の法律改正で、今御審議を願っておりまするボタ山処理事業につきましては、新しい事業でございますので、今度法律が通りますれば、適用する来年度につきましては、さらに事業団の機能を拡充するという方向で今検討いたしておるわけでございます。
○石田次男君 機能を拡大するという点について、今までは貸付のほうはまあまあとしても、事業団としての事業それ自体はできないでいるのですね。それは現地の支部長をつかまえて聞いてみればわかりますが、施行細則が整っていないから手をつけられないのですよ。今度はこの法案でボタ山というものを事業内容に加えるということですが、このボタ山というのは、実は相当に問題がありまして、数多いボタ山の中では、ほったらかしておいても大丈夫なところもありますが、閉山になりますと、今度は保安がきかなくなるのですね。そうなりますと、田畑は流す、あっちのほうにもこっちのほうにもというように鉱害をまき散らすボタ山が非常に多い。これらについては、今庄で保管の責任所在がないわけです。ですから、長崎県の佐世保に起こっている実例ですが、閉山はしたわ、保安はだれも責任を持っていないというわけで、たんぼがつぶれまして、とうとう農業放棄になった実例があります。さあ放棄して、それじゃ鉱の補償をどっかへ持ち込むか、これもできないわけです。あるいはそれの復旧をどこへ持ち込むか、これもできないわけです。で、今後この事業団にボタ山の取りくずし、土地造成等をやらせる機能を与えるというのですが、そのあぶないボタ山自体についての管の責任までしょわせていくのかどうか、その点はいかがでしょう。
○国務大臣(福田一君) そういう危険なボタ山の調査につきましては、別途にまた調査をいたしておりまして、そのうちで、今言いましたような、いわゆる離職者をあれするに都合のいい分については、一応このほうの予算でやるのでありますが、しかし、また、どうしても危険で、もう今すぐにも処置をしなければならないというようなことがあれば、これは何といいますか、予備費の支出でも何でもこれはやらなければいけないと思いますが、そういうことはただいまも調査費を出して調査をしておりますが、なお、来年度におきましても調査費を要求して調査をする、こういうふうにいたしておるわけであります。
○石田次男君 調査は早くやってもらわなければ困るのですが、責任の所在はおきめになるかならないか、この点は。これはほったらかしておくと潜竜炭鉱の二の舞を相当受けます。
○政府委員(八谷芳裕君) お答えいたします。責任の所在でございますが、ボタ山につきましては、閉山いたしましても、この閉山の仕方に二通りございまして、鉱業権を全く放棄した場合と、それから鉱業権が続いていて閉山している、いわゆる休山でございます。この二通りに分かれます。休山の場合には、それの鉱業権者が当然鉱業権者としての管理の責任を持つわけでございます。それから、また、鉱業権を放棄した場合のものにつきましても、五年間は鉱山保安法によりましていろいろな危害の防止命令ができるようになっておるのでございます。
○石田次男君 そうすると、結論的には、閉山をしたとしても、当分の間は今までの鉱業権者にやらせるというわけですね。
○政府委員(八谷芳裕君) 五年間は、鉱山保安法に基づきまして命令をした場合には、鉱業権がなくなったといたしましても、前鉱業権者が命令を受けた限りは、鉱業権者であったものとみなすことにいたしております。それから、鉱業権がある場合には、閉山でも当然鉱業権者が管理の責任を持つ、こういうわけでございます。
○石田次男君 それが問題なんですよ。じゃ鉱業権者にやれと言ってもやれはしませんよ。さっき私が出した例みたいに、社長自体が夜逃げするような格好ですから、あるいはまた夜逃げしなくても、やれといってもやれはしないですから、その証拠には、今言った佐世保の例みたいな事件が起こっておる。大体閉山になった場合に、経営者に何年間か保管させようといったって、それは理屈だけの話で、実際に安全な管理ができるかというと、できるものじゃない。ですから、市町村のほうでは、その保管については国で責任を持ってもらいたいというのです。私が考えると、国へ責任を持たしたら何をやるかわからぬですから、やはり市町村が責任を持って保管の責任者になり、その予算を政府のほうで見てやるという方法以外には危害防止の方法はないように私は考えている。で、今説明があったように、今後鉱業権者にこれをやらせる、これ自体は非常にまずいと思うのですが、通産大臣どのようにお考えですか。
○国務大臣(福田一君) お説のようなことになりますれば、非常に危険なことがあると思いますが、そういう意味では、鉱害では不備な面もあるかと思うのでありますが、これは十分研究をさしていただきたいと思っております。
○石田次男君 研究を早くしていただきます。政府のほうで今の制度を変えて、その辺の農地をつぶしたり、あるいは人家を押し流したり、あるいは道路を押し流したり、電柱を倒したり、そういう危険なやつはわかっておるのです。これは私の手元でもわかっておるのです。そういうものを調べればすぐできるのです。そうして、また、実際に佐世保に起こっている事件みたいなようなふうになることは、これはさまっておるのです。これが閉山してから半年、一年もほったらかされていたならば、土地の人たちは大迷惑です。ですから、調査はけっこうですけれども、通産省としては、何らか早急に手をお打ちになったほうがいいのじゃないかと私は思うのですけれども、責任の所在を明確にしていただきたい。
○国務大臣(福田一君) そういう事情もいささかは了承しておるのであります。おるのでありますが、これをどういうふうにしてやっていくかという問題で、われわれとしても今研究しておるというのが実情でございまして、必要があれば何らかの措置をとらにゃいかぬじゃないか。しかし、調べたところで、いきなりもうあすにでもくずれるじゃないかというようなものがあれば、これは措置をいたすようになって承りますけれども、たぶん危険だとあるいは長雨でも続くと危険だということになりますと、あるいはボーリングをしてみたり、あるいは角度をはかってみたりして、非常にこれはあぶないかどうかというようなことを考えた上でないと、なかなか何でもやれるというわけにもいかない面もありますので、そういうことも含めて、実は今いろいろ具体的に調査をさしておる、こういう段階でございます。
○石田次男君 じゃ別の問題に移りますが、電力に対して石炭需要を拡大する方針で臨んでいらっしゃるというのでありますが、電力に、石炭を引き受けさして、当然コスト高のものを押しつけるわけですから、それに対する不当損失の処理ということが両者の間で問題になってくるはずです。これについてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○国務大臣(福田一君) その問題につきましては、何らかの措置をとるということで、今電力会社との間で話し合いをいたしておりまして、そういう措置をとられれば、われわれのほうではこれは使いましょうということを電力会社のほうでも申しているという段階でございます。
○石田次男君 その何らかの措置ということについての内容ないし今までの業界の意向というものを聞かしていただきたいのですが。
○国務大臣(福田一君) そのことについては、予算その他とも関係いたしておりますので、しかも、これは三十八年度からふやす分についてのことでございますので、ただいませっかく電力業界とも話し合いをし、また、それが必要な措置は政府において決定するということで話を進めているという段階でございます。
○石田次男君 結局内容はここでは言わぬということですね。
○国務大臣(福田一君) まだきまっておりませんので、これは申し上げるわけにいかんと思っております。
○石田次男君 次に、ビルド・アップに関係しての問題ですが、アメリカで原子力発電が実用化するのはいつごろと踏んでいらっしゃるでしょうか。
○国務大臣(福田一君) 実用化するという意味がいろいろございますが、大体われわれの考えておるところでは、アメリカにおいては四十二年くらいには実用化されるのではないかという見当をつけております。
○石田次男君 今のお答えのとおりで、石炭の始末をつける四十二年度には、すでにアメリカでは原子力発電の実用化の時代に入っているのですね。そのコストを調べてみましたら、邦貨に直して四百八十円くらいでいいんじゃないかということなんです。そうしますと、ちょうど石油を使った場合と石炭を使った場合の差額と、石炭と原子力の差額とほぼ同じなんですわ。世界で原子力発電が始まれば、どうせ日本でもまたできます。いずれこれはやるより仕方がない。そうなりますと、四十二年までせっかくビルド・アップしても、石炭企業自体というものは、もう一回原子力に押しまくられてくる時代が速からずやってくる、これは当然予想されていいのじゃないかと思います。そうすると、せっかくビルド・アップに注ぎ込んだ資金というものが、近々十五年か二十年の間にだめになって、また坑道へセメントを塗ると、こういうふうなことが当然予想されます。ですから、このビルド・アップということが確かに現在の時点においては必要な面が多いのですけれども、単純にそれだけで考えていいのか、長期の見通しに立った場合に、政府としてはどうお考えになっていらっしゃるか、その点をお伺いします。
○国務大臣(福田一君) お説のとおり、原子力が実用化される時代は、日本においても四十二年以降にはくるのではないかということは考えております。しかし、エネルギーの総量は、国民総生産といいますか、所得といいますか、こういうものが順次ふえていくという建前で考えてみますというと、今後も重油の面においてふやすか、原子力の面においてふやすか、あるいは水力においてこれを補完するかは別といたしまして、いわゆるエネルギーの重要というものがふえていくわけであります。そこで、それも想定をして、有澤調査団におかれてもそういうことを考えられたと思いますが、将来やはりそういうようなものが実用化されてくる場合においても、少なくとも五千五百万トンに相当するような石炭というものは、だから一応これは使うべきである、使っていいんだ、こういう想定に立っておるのでありまして、したがって、エネルギー総量における比率は、将来石炭分は減っても、絶対量というものは、少なくともその分までは持っていこう、こういう考え方に立って処理をいたそうといたしておりますので、ビルドをしたことがむだになることはない、こういう観点に立っておるわけでございます。
○石田次男君 これは遠い将来の話ですから、議論はあとやめますけれども、現実にまた閉山になる問題に戻りまして、閉山になった場合の売掛金の問題ですね、中小企業の。これは各市町村ごとに調べるとはっきりわかっておりますが、相当膨大なものです。先ほどは低金利でもって融資をするという話ですが、この売掛金が、かりに百万円あったら百万円融資するわけじゃないのだろうと思うのです。融資ということになりますと、当然市中銀行その他を通じてのものになりますし、どうせその点不利なところには惜しませんし、当然今のような、単に金利問題、金利を低くして融資するくらいの対策では売掛金の問題は解消はつかないと思うのです。ですから、債権確保そのものについて何らかの処置が必要じゃないかと私は思います。現実に各市町村からの陳情その他を見ても、この点は強硬に出しております。債権確保という点についてはどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(福田一君) われわれのほうで調査をいたしてみたのでありますが、この間もその問題について御質問がありまして、どのくらいいわゆる売掛金があるかということでございましたが、商工会議所等が調べたのでは百四十億円前後ということでございますけれども、私のほうの通産局で調べまして、市町村別に調べたところによりますと、百十二億円ということに相なっております。そこで、そういう売掛金があった場合に、その売掛金を全品みる金融措置をとるということにいたしますことは、これはちょっと無理が起きると思うのであります。というのは、ほかのところでやはり売掛金があった場合に、それもまためんどうをみなければいかぬというのでは公平の原則に相反しますから、そこまではめんどうはみられない。そこで、休閉山したような場合等々、市町村がどうしてもこれはいわゆる百十二億のうちでとれないというもの、そういうものが想定される。そういうものを一応考えてみますと、大体二十億前後、こういうふうに考えておるわけでありますが、その分については、市町村長の証明があれば、個人については百万円、あるいはまた法人については三百万円というのは、過去の債務にかかわらず、そういうところに、国民金融公庫や何かに金を借りておっても、それとは別に出すようにしよう。だから、幾ら売掛金があるということでまたやりますと、いろいろ問題もありますので、困っている人を救うという意味から、そういう措置より仕方がないのじゃないかというので、この間相談いたしまして、そうしていわゆる市町村長の証明があれば、個人ならば百万円まで、六分五厘で五年あるいは七年払いにする、法人ならば三百万円まで、これも六分五厘で五年ないし七年払いにして貸し付けるようにしよう、こういう考え方で一応この問題を処理していこう、こういうことでございます。
○石田次男君 次は、産炭地市町村の財政の問題ですけれども、本会議でも伺いましたが、田川あたりは予算規模が十五億です。それで先月までに失対事業、生活保護等で使った金が八億以上、まず年度末までには完全に十億にはなるというのです。最悪の場合は十一億までいく。これは坂田市長自身が話しておりました。産炭地の市町村財政というのは、皆最近はこうなんです。中岡の場合なんかは、日炭高松と九州採炭が滞納しておりますから、四億何がしのやつがにっちもさっちもいかなくなりまして、しかも、政府からもらう金をあてにして市中銀行から前借りしている。結局金をあとでもらったところで、利息分だけはまた穴があくわけです。こういう事情をずっと見ておりますと、市町村の財政としては、負担能力の限度があるのです。でありますから、特にこういう特殊なところでは指定をして、特別にこういう財政需要については、全額国庫で負担するとか何とかいうふうにして市町村の財政を救済する方法はおとりにならないかということです。
○国務大臣(福田一君) 一般論としては、確かに仰せのようなことも考え、まあその点は、国庫負担かどうかは別問題としましても、考えなければいかんかと思いますが、これは御承知のように、私の所管外のことであって、私が勝手に申し上げることはいかがかと思うのです。恐縮ですが、自治大臣にひとつお聞きいただきたい。ただし、決してわれわれはそれはどうでもいい、ほっておいていいという意味で今ここで御答弁申し上げているわけじゃございません。具体的な処置については、所管大臣のほうからひとつ答弁をしていただくようにお願いしたい。
○石田次男君 次もありますので、あと数点でやめますが、今大臣のおっしゃったとおり、所管が違うわけですがね。しかし、閣僚懇談会等の話題になっているのかなっていないのか知らぬのですけれども、こういった問題についても、お互いの意思というものはどこかである程度は通じているのではないかと思うのです。そういう意味からいえば、大臣が全然知らぬということはないだろうと私は思うのですがね。この赤字を何でもかんでも全部負担しろということではなくて、失対事業、それから生活保護、そういったことで生じている分の赤字ですね、これは市町村にしょわしてはたいへんですよ。閉山するたびにそれがふえていって、十五億のうちの十億もそっちへ食われてしまって、あと五億でやれといったって、何もできるわけはないのです。そういう方面の特別な財政事情についてはどう考えるかという点です。
○国務大臣(福田一君) 私も、もちろんその問題を聞いておりまして、もちろん意思は通じておるつもりであります。しかし、そういうような場合にも、どこからどういうふうにして出していくか、たとえば地方交付税でみる分がありますが、それでもまだまだ足りない。これは特別な交付税をしなければいかぬのじゃないかというようなこともあり得ると思うのでありますが、こういうことは私の所管外になりますので、その考え方においては同意申し上げても、今ここで私から申し上げるよりは、所管の大臣から申し上げたほうが間違いがないのじゃないか、こういってお答え申し上げているわけでございます。
○石田次男君 それでは次に、この法案関係にちょっと触れてみますが、産炭地振興事業団法のほうですけれども、これはボタ山処理をこれに加えたわけですね。この仕事内容にボタ山処理を加えてあるのですね。ところで、さっき申し上げたように、相当強力に産炭地振興をしなければ現地が持たぬというのが、もう偽わらない現在の時点における姿ですから、これはもう少し研究をして、相当思い切った事業範囲の拡大をはかるべきじゃないかと考えておりますが、それに対する見解をお聞かせ願いたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 御質問の趣行が、産炭地振興事業団をもう少し強化すべきである、こういう御趣旨かと思うのであります。これにつきましては、もちろん今これで十分であるかどうか、一応さしあたりこれをやりたいというものを出しておるのでございまして、必要に応じてまた考えることはもちろんあり得ると思っております。
○石田次男君 次に、炭鉱離職者臨時措置法のほうですが、今問題の離職者に対する就職促進手当ですね、四百五十円、六百円というこの問題です。政府では、がんとして四百五十川を今主張していらっしゃるわけですが、これは情勢が変わってきたら当然改善され、増額されてしかるべきものではないかと考えます。でありますから、現在の時点においては四百五十円を固執しておいででも、もしも失対関係の単価を引き上げたとか、いろいろまわりの社会保障的のものが上がってきた場合、あるいは物価の変動が相当に響いてくる場合、そういう場合には当然こちらのほうも増額するようにお考えになっていらっしゃるかどうか。
○国務大臣(大橋武夫君) もとより、この生活を安定させるために必要な金額という趣旨できめられたものでございますから、生活安定のためにどうしてもこれではやれないというような状況に相なった場合は、これはおのずから変更されるのが当然であろうと思います。ただ、ただいまのところ、政府といたしましては、本年度の予算並びに明年度の予算要求において増額ということは考えてはおりません。
○石田次男君 私は明年度と申し上げたのではないのです。諸般の情勢が変わってきた場合には手直ししないかと聞いている。
○国務大臣(大橋武夫君) その点、前段にお答えいたしましたとおりで、後段は私は余分なことを申し上げたと思っております。
○石田次男君 では確認の意味で、まわりの情勢が変わってきたら手直しはいたしませんか。
○国務大臣(大橋武夫君) いろいろな情勢が変わりまして、四百、九十円が、この手当の趣旨であります就職活動の促進並びにその間の生活の安定という目的を達するに適当でないという状況になりましたならば、当然手直しがあってしかるべきものと存じます。
○石田次男君 まだいろいろ問題はございますが、次の方もおりますし、時間もだいぶ過ぎたようですから、最後にもう一点だけお伺いしたい。今度の調査団にせよ、あるいは政府の大綱にせよ、雇用対策を一番重点として施策するとおっしゃっているのですが、実際には企業の安定に重点を置いたように私どもは内容を分析しております。もちろん企業の安定も大事です。雇用の安定も大事です。しかし、一番最初から申し上げているように、閉山するしないは、実際問題としては、北海道のほうはまず閉山はあり得ないのです。常磐炭田は相当やられるのです。それから山口県ではまあまあというとこですが、それから九州へ入って佐賀県から長崎県にかけて、これは半々です。筑豊は全面的にだめですよ。そうなりますと、閉山が集中するのは筑豊でございまして、住民百万人近いものがこれで一挙に倒される。どういうふうにどう仕組んでみたところで、四十二年までには幾らも残らぬというのが結論ですから、幾ら上手に閉山をして持っていったところでだめでしょう。そういうわけで、政府が閉山をしなくても済むような方法をとってくれるならいいのですけれども、もしもそうでなくて、四十二年までにしめるものはしめて、ビルド・アップするものはアップしてと、はっきりした態度を四十二年までにやるのであれば、これは企業の安定よりも、雇用対策よりも、産炭地全体の振興問題が優先しなければならぬと思うのです。結局石炭問題の中心点は、産炭地を振興できるかどうかの一点にかかっていると私は判断しておりますが、この点についての大臣のお考えを聞かしていただきたいと思います。これを最後にいたします。
○国務大臣(福田一君) お説のとおり、終閉山の多い所においては、それら市町村、そこにおられる住民の皆さんに与える影響というものは大きいということは事実でございます。そこで、そういう意味におきましてそういうことも考慮しつつ、できるだけ何か仕事を持っていく、あるいは仕事がない場合でも、雇用の面においていろいろの私企業を興こさせる工夫をしていく、まあいろいろ政府としてやる場合、また、私企業としてやってもらう場合等々も考慮しながら、十分その手当ができるようにひとつ努力をして参るということでございまして、何といっても、これは全然影響なくやれるかということになれば、非常にむずかしい問題になるかと思いますが、しかし、極力その影響を減らずやり方にするとはいいながらも、今度は一方におきまして石炭をどんどん掘っても使い手がない。石炭をどんどん掘った場合のことを考えてみますというと、その石炭鉱業に従事されておられる今度は人たち自身の問題が起きてくるわけでありまして、その人たちのまた生活の問題が出てくるわけであります。ということから、まあ調査団がああいうような答申をされておるのでありまして、一方においては、やっぱり合理化ということ、すなわち、石炭事業が自立できるようにするという目的と、そして、自立によって生ずる離職者等に対しては、政府としてできるだけ再就職の手当をする、また、それが就職できない間は、三年なら三年の間に限ってめんどうをみてあげる、また、一方においては、その関係の産炭地等における人たちの従業輿の労苦に対してはといいますか、そういうことについては、また別途に金融面でも一応めんどうをみる。一方、市町村の問題等もございますから、そういうようなことについても、ひとつ市町村の財政方面に及ぼす影響等も考えて何らかの措置を講ずるというようなことをしまして、まあ仰せのごとく、どちらが先なんだ、犀川を中心にしているか、あるいはまた合理化のほうが、自立が中心かということになりますと、これはわれわれとしては車の両輪のようなものでありますけれども、やはり何といっても石炭の事業が自立できることでなければ、石炭事業に従事しておられる今度は炭鉱の人たちが非常に困られるということになりますので、まあそういうことも考え合わせまして、両々相まってこの問題の処理をしていく、こういう考え方でいきたいと思っているわけでございます。
○田畑金光君 私は、明日予算委員会で質問することになっておりますので、総括的な質問は明日の機会に譲りまして、二、三問題点だけをひとつお尋ねしてみたいと、こう考えております。 その第一に私がお尋ねしたいことは、需要の確保が昭和四十二年度に五千五百万トンと、こう一般にいわれておりますが、有澤調査団の報告によりますると、この総論を見まするならば、こういうことを書いておるわけですね。「本調査団は、もしこれらの施策が実行に移されるならば、五年後の昭和四十二年度に一おいて、実トン数で五千七百万トン、現状のカロリーべースで五千五百万トン強の精炭需要は十分確保されるものと考える、この数量の確保は、わが国エネルギーの総合バランスの上からも、また、エネルギーの安全保障という観点からも最小限必要であるし」、「最小限」と、こうはっきりうたっておるわけです。最大限ではないわけです。したがって、五千五百万トンとか五千七百万トンとかいわれておりますが、これは政府がぎりぎりの需要確保の責任を負う量を明示したものと考えるわけです。その意味におきまして、当然将来政府は五千五百万トンのワクにとらわれることなくして、この答申の精神のとおりに、より以上の需要拡大をはかるべきは政府の責任だと私は考えておりますが、この点、通産大臣のお考え方をまず承りたいと思います。
○国務大臣(福田一君) お説のとおり、有澤調査団では、四十二年になりまして、生産において、いわゆる五千七百万トン、カロリー計算でいきますと千五葉百万トンという数字になります量だけは確保すべきである、それがエネルギーの全般から見ても当然必要な量であるということを言っておられることは事実でございます。そこで、政府といたしましては、これに対して、この答申を尊重するということでありますから、この五千五百万トンを目途として処理をいたしていくのでありますが、しかし、四十二年という光のことでありますから、ここでこれだけの計画をやったら実数はどうなるということはなかなか言えませんけれども、しかし、五千五百万トンを掘って、しかも、重要がそれに見合わないといえ場合においては、当然政府としては何らかの措置をとらなければいかんだろうと思います。特に三十八年などを見てみますというと、需要の想定、いろいろ考えてみましても、若干五千五百万トンに達しないのじゃないかという見込みも出ておりますので、これについては何らかの措置を政府としてやる必要がある。ということは、五千五百万トンは少なくとも掘ってもらうということであります。しかしながら、それではそれで十分か、それでいいのかということになりますと、われわれとしては、できるだけ、需要を、そういうかうに経済的に見ても、また、好んで、石炭を使ってもいいというような人が多くなれば、これはふえることは何も反対しておるわけではございません。御承知のように、電気の分とか鉄鋼の分とかセメントの分とかいうものを除いた分をちょっと考えてみますと、これはみんな想定であります。みんな個人々々の家でどれだけ炭をたくとかいうことが全部想定されませんというと、これはほんとうは出てこない数字なんで、これは百トンも違わないか、千トンも違わないでいくかということになると、なかなか想定はむずかしいと思います。むずかしいけれども、五千五百万トンまでは責任を持つ。しかし、やはりこれは将来石炭をどんどん使おうという人が出てくる、そういうことをわれわれは何も反対するわけでも何でもありません。また、できるだけ石炭を使ってもらうようにしてみたいと思うのでありますが、そういうことをしても、今のところの想定では、大体、需要の確保は五千五百万トン前後ではなかろうか、こう言っているわけであります。このことをまず前提にお考えおき願いまして、それじゃその五千五百万トンで政府は満足するのかということになれば、われわれとしては、そういう需要拡大の方途があれば、できるだけ骨を折るということについてはわれわれは何も反対しているわけではない。もちろんわれわれとしても、そういういわゆる経済ベースに乗る、また、個人がそれを希望する立場において伸びていく場合、そういうものを必要とする場合には、これはわれわれは確保するように、また、何らかの勧奨措置をとるということも考えてはみておりますけれども、しかし、今の段階でどうだと言われますというと、なかなかむずかしいのじゃないか、こうお答えをせざるを得ないという実情でございます。
○田畑金光君 今の大臣の御答弁は、私、所管大臣として、しかも、また、非常に社会的にもやかましい問題の取り組み方としては、いささか拍子抜けした感じがするのです。それは大臣の御答弁をお聞きしますと、石炭をこれから使ってくれる人、あるいは消費してくれる分野があれば大いに歓迎するというようなお話ですが、私は、受動的じゃなくして、能動的に、政府が行政措置により、行政指導により、新しい石炭消費の分野を確保する、あるいは石炭消費がだんだん少なくなっていくことを行政指導によって防止する、そういう積極的な意欲がやはり通産大臣として、所管大臣として、政府としてとらるべき私は措置だと思うし、そういうような趣旨でこの答申は政府にものを申しておると思うのです。だから、私が申し上げたいことは、少なくとも五千五百万トンというのは政府の行政措置によって責任を負うが、さらに政府は雇用の問題、国際収支の問題、あるいはエネルギーの安全保障という見地から、より積極的に需要の確保、あるいは拡大には努力をするんだ、こういうことぐらい私は通産大臣の当然の決意のほどだと、こう考えたわけですが、先ほどの答弁は逆です。そこの点どうですか。
○国務大臣(福田一君) ここは私は、何も五千五百万トン以上は望まないんだという意味で申し上げているのではございません。あなたのおっしゃるのは、何らかの積極的な手を打って五千五百万トン以上使わせるような措置をしたらいいじゃないかと、こういう御質問だと思うのであります。そこで、そこに問題が出てくるのでありますが、一体五千五百万トンという数字をずっと解剖してみまして、いろいろ使ってもらうところへ割り当ててみますというと、なかなかそれさえ困難ではあると思いますが、しかし、少なくともその分だけは政府として責任を持っていかなければならない。そうすると、それ以上の問題になった場合において、今度は経済性ということを考えてみなければならない。経済性というのは、その炭を使ったほうが得か、あるいは油を使ったほうが得か、個人々々が、おれは油を使いたいというのに、お前は石炭を使え、こうは言えない。これはまだきめておりませんが、たとえばボイラー規制法とかいうもので、あるいは暖房装置をやるような場合には、それは石炭を使いなさいという措置は、この法律は来年の十月まででありますが、こういうものは延ばしていくということは、それは考えられないわけではありませんけれども、個人の使う消費の分を、お前はもう石炭を必ず使わなければいけないんだ、それで油とかその他のものを使ってはいけないんだ、こういうわけには私はいかぬだろうと思います。そういうことを考えて、それじゃ政府として使わせられる処置を、できる方法をずっと考えてみますと、たとえば鉄鋼とか電気とか、あるいはセメントとかいうような業種になりますと、それはもうそれをやるときにはひとつ何とか石炭を使ってくれ、こういうことを言うて使わせることはできる。そういうことを考えあわせて見てみますというと、やはり五千五百万トン前後じゃないだろうか。しかし、五千五百万トン前後ではあっても、今度はあなたに先ほど私が申し上げたように、何らかの事情が起きて、やはり石炭を使ったほうがいいのだということになって、それがふえていく場合に、もう、五千五百万トン以上掘っちゃいかぬ、そんなことを考えておるわけではわれわれは毛頭ございません、しかし、限度は最小五千五百万トンまでは責任を負うのだ、それ以上は、もちろん何らかの、強制をして個人々々に使えということは言えませんけれども、何かいい方法があれば、それは努力をするということはやりますけれども、経済性を無視して、いやでも使えとか、あるいは損でも使えと、こういうわけにはなかなかいかぬだろう、こう思うのであります。それを私が申し上げておるのでありまして、私は、決して五千五百万トンは、もうそれ以上ふえたら減産させるのだなんて、そういう考え方で申し上げておるわけじゃございません。
○田畑金光君 大臣、時間も時間ですから、大臣の考えておられることを率直にお答え願えば私はけっこうだと思うのです、経済性とか経済合理主義、あるいはエネルギーの消費者選択自由の原則を私は否定しておるわけじゃございません。しかし、あなたのお話のように、消費者のエネルギー選択自由の原則のみでいくならば、お話のような趣旨でいくならば、電力や鉄鋼に対して政府が行政措置、行政指導をすることも、それは許されることだと思うのです。そうでしょう、消費者選択自由の原則のみで石炭問題を考えられるならば。しかし、それだけでは石炭問題が割り切れないから、皆さんとしては、大口需要家の電力とか鉄鋼やガス、セメントその他にぜひひとつ引き受けてくれ、こういう行政指導をなされておるわけです。私は、そういう意味から見ますならば、この調査団の答申にもこう書いてあります、「総合エネルギーバランスのなかで、政府の政策と石炭消費産業の協力によって、全体のエネルギーコストが著しく上昇せず、国民経済の運営に重大な支障を生ぜしめない範囲において、できうるかぎり石炭の需要を追加造出するという方策をとることとした。」こう書いてありますね。私はこの精神でやってもらいたいということを申し上げておるわけです。どうもあげ足を取られることをおそれてか知らぬが、前に行ったり、後に引いたり、大臣の見解というものが明確でないので、もっと私はひとつ筋を通して論議を進めていただきたい。これを何しますと明日の質問にも何しますから、あまりやることはいたしませんが、そこで、端的にお尋ねしますが、衆議院の関係委員会でも、大蔵大臣並びに通産大臣がそれぞれ答弁されておりました重油消費税の創設の問題ですね。さらにボイラー規制法延長措置の問題、これについては、会期の終わるまでには結論を出しますというお答えをなさっておられましたが、きのうがちょうど予定された会期の終わる日なんですね、結論出ましたか、どうですか。
○国務大臣(福田一君) 重油消費税の問題につきましては結論は出まして、これはやらないということにきまりました。ボイラー規制法の問題は、来年十月までこれはまだ有効期限がございますので、通常国会においてきめてもこれは措置できると思います。現存も法律があるのでございますから、そこで今後決定いたしたいという考えでおりますが、私としては、できるならばこれはひとつ存続していく。ところが、存続しますというと、ほんとうはまあみんな重油を使いたいのですね、経済性がありますから。だから、そういう場合には、何かやはり緩衝措置、先ほどあなたが仰せになったような資金のめんどうをみてやるとか、そういう措置をとってやるというようなことも考えなければいかぬじゃないかということも合わせながら、実はこの問題を今見ているわけであります。したがって、私は、そういう意味では前向きである、これは申し上げていいと思いますが、私としては態度をきめていく、これは誤解のないようにお願いしたいと思いますが、だから私が申し上げたのは、先ほども申し上げたように、鉄鋼とか電力とかセメントとかいうのは特定の人でありまして、政府が行政指導するのにも話ができる。何千という数を相手にしているわけじゃないから、話がつきやすいわけです。そういうところを話をつけて処理をして、できるだけ石炭を使うようにはできます。そして、また、そういう場合に何らかの措置も構ずることができますが、一般の人ということになりますと、なかなかこれはできない。実際問題としてなかなかむずかしいというところがあるということを私は申し上げているのでございます。
○田畑金光君 以下二、三具体的な点について、私は、合理化臨時措置法とか石炭鉱山保安臨時措置法等、この法律に盛られている点について大臣の御見解を承っておきたいと思うのですが、合理化措置法を読みますと、政府の計画によると、スクラップする山は、すべて合理化事業団による処理を前提として考えているわけです。また、旧方式、あるいは新方式を適用するにいたしましても、この法律に該当しなければ、閉山、あるいは合理化によって縮小しても、そこから出てくる離職者対策なんというものは事実上できない仕組みになっているわけです。と申しますのは、御承知のように、残存炭鉱はトン当たり二十円以内の納付金を納めるということになっておりまして、結局買いつぶしの由については、残存する山がそれぞれ負担金で買いつぶしの財源を拠出しておるわけです。もちろん政府の補助も大きくなっておりますが、ところが、御承知のように、納付金を納めることができない山については、今の法律のもとでは、買い上げの申請をしても、新方式によると受け付けることも許されない、こういう実情にあるわけですね、したがって、納付金も納めることのできない、過去数年間納付金も納められない、したがって、失業保険その他の社会保障も納めることができないこういう山々というものは、もっともっと悲惨な状態のもとに置かれているわけです。したがって、こういう山においては、労働者はたくさんの未払い賃金をかかえており、退職金ももちろんもらえない、そこで、買い上げ措置によってきれいさっぱり債権の支払いを受けたいと思っても、こういう山は買い上げの対象にならん、こういう事例が実はたくさんあるわけなんです。この問題についても、私は、この際、一般の合理化山と同様の取り扱い、特別措置等を考えてみる必要がないだろうか、こう私はかねがね考えておるわけです。御承知のように、たとえば先ほど問題となりました鉱害復旧についても、鉱業権者が無資力であるとか、あるいはいなくなったという場合には、この間議論がされたように、公費で負担するというようなことになっておるわけですね、現に今のような山というのは、鉱業権者は存在するが、無資力者であって、したがって、納付金その他も納めることができぬから、結局買い上げの対象にならなければ、自然炭鉱の労働者等は賃金ももらわぬ、退職金ももらわぬでちりぢりばらばらになっていく以外に道はないわけです。この問題を通産大臣は御存じだと思うのですが、御検討なされたことがあるかどうか。この点はかねがね申し入れもしておるわけで、どのように措置なされようとするお考えであるか、これを承っておきたいと思うわけです。
○国務大臣(福田一君) お説のようなことは考え得るわけでございまして、しかし、山を経営されておって、トン当たり二十円ぐらいの納付金も納めない、納めても納めなくても同じような措置をとるんだということにいたしましても、どうもけじめがつかぬ。それくらいのことは当然納められるんじゃないかという考え方で、納められたものについてこれをやっていく。もし必要あれば、納めればある程度のいわゆる閉山資金ももらえるということであれば、どこからか融資を受けてでもそれをやるというようなことをしてもらえるものだと、こういう一応考えで、今のところはそれに対するそういうような未払いのものについては、これはその対象にしておらないということは事実でございます。しかし、お説のように、そういってみても、事実上もうどうにもならなくなったというような事実が起きた場合には、いささか不合理といいますか、そういうことでは、いわゆるそこに勤めておられる労務者の人たちが非常に、不公平なことになる、気の毒なことになるということもございますので、まあこのことはひとつやはりわれわれとしても研究をしなければならぬと思いますが、今さしあたりこの国会に出しておりますのは、さしあたりやっていくのにどうしても必要だという法案を今ここに出しておるのでございまして、また通常国会において別に法案を幾つか別意をいたしておりますが、そういう今仰せになったような問題もひとつ研究をしておるという段階でございます。
○田畑金光君 私も、大臣と同じように、わずか十円——わずかという言葉はどうかと思いますが、二十円の納付金も納めることができない経営者が炭鉱を経営すること自体が間違っておるとこう思うので、こういう不心得な経営者というものは、社会的にも最も許すべからざる存在だという前提でもの申しておるわけです。しかし、現実にそれがあるわけです。そしてわれわれは実際にそれをしばしば見受ける。そこで、気の毒なのはそういうような炭鉱に働いておるところの労働者の諸君です。私は、この問題については、せっかく大臣検討中ということでございますから、もちろん今度の臨時国会でどうのこうのということはできないでしょう、来たるべき通常国会においては何らかの措置がはかれるように、さらにひとつ御検討願いたい、これを希望しておきます。 それから、もう一つお尋ねしたいことは、石炭鉱山保安臨時措置法の第四条を読みますと、この法律の適用は、この法律施行の際稼行中の炭鉱を対象としておりますが、この法律の施行された後に、新たに鉱業権あるいは租鉱権の対象になった山がたくさんあるわけですね。ところが、こういう山々についてはこの法律の適用にならないわけです。なぜならないかというと、それは合理化臨時措置法の第五十四条によって、新しく坑道を作るとか使用するとかという場合には通産省の許可を受けなければならぬから、許可をするときに保安の面を十分見て、許可するしないをきめるから、別にこの石炭鉱山保安臨時措置法の適用を受けるような心配はないのだ、こういう考え方から保安臨時措置法の第四条はできているわけです。この点、大臣御存じであるかどうか。またこれは御検討を待たねばならぬ問題なのかどうか。ということは、坑口の使用の許可の場合には鉱山保安局長が見るのじゃなくして、通産局長が見ているわけです。石炭局長ですか——しかし、これは保安の面で完璧を期するわけには参らぬと、こう思うわけで、そこにこういう欠点が出てくるわけですね。この点について通産大臣どのようにお考えになっておられるのか。
○政府委員(八谷芳裕君) ただいま田畑先生から仰せのような法律になっております。四条におきまして、「現に鉱業を行なっている採掘権者又は租鉱権者」と、こういうふうに書きましたゆえんのものは、これはきわめて短かい二カ年間の限時立法でございまして、現にこれを施行いたしましたのは昨年の十二月の二十五日でございますか、その当時鉱業を営んでいるものであって、保安がきわめて悪い。しかも、これを改善する資力または技術的能力に欠けるものについて、保安の不良炭鉱として廃止の勧告を通産大臣が行なう、こういうふうになっているわけでございます。その後に発生いたします、いわゆるただいま仰せの通産局長のほうを通って参ります監督部系統でない方向で処理されます坑口開設の許可のものにつきましては、その許可の際には、保安の能力があるかどうか、稼行の能力があるかどうかということを事前審査をいたしまして、その結果でないと許可をしない、こういうことになるわけでございまして、それ以後に発生いたしましたもの、これは発生だけでなくて、鉱業権を継承いたしました場合には、坑口の使用の許可と同じような組織になっておりますが、そういうところで事前審査をやって、しかる後に許可をする、こういう建前になっておりますので、四条は、現に鉱業を行なっているもの、こういうふうに指定したわけでございます。
○田畑金光君 私は、今、大臣もお聞きされたとおり、二年間の限時立法であるとしても、一年ごとに石炭業界というのは非常な変化を見せておる今日の事態でございますから、私は、この四条は問題だと、こう見ておるわけです。この点についても、ひとつ十分大臣は御検討されて、もし法の不備があるならば、しかるべき措置をとらるべきだと考えますが、その御用意があるかどうか、承っておきたいと思います。
○国務大臣(福田一君) 先ほど局長から申しましたとおり、それを移す場合においては、はたしてそれだけの能力があるか、その他の面の審査をするということになっておりますので、私としては、まあまあそういうような措置がとってあればいいのではないかと考えてはおりますけれども、まあお話もございますので、検討はさしていただきたいと思います。
○田畑金光君 最後に、私、労働大臣にお尋ねしたいと思うのですが、私のお尋ねしたいことは、炭坑離職者については、いろいろ離職者臨時措置法その他で労働省も大いに努力されておれます。この点はわれわれもその努力については評価いたします。しかし、もちろんこれで私たちが十分だなんという気持を持っておるわけじゃありません。いろいろ問題点を指摘したいと思いますが、きょうはこれらの問題点の指摘はやめて、ただ一点お尋ねしたいことは、この炭鉱離職者について、せっかく今までは健康保険の適用を受けていたが、離職と同町に医療保険の対象外になってくるわけですれ。この問題について、これは健康保険法その他を見ますと、第十八条あるいは第二十一条等を見れば、やめた後でも特別のこれは申請をすることによって、六カ月間は被保険者たるの資格を保持するということになっておるわけでございますが、今回雇用促進手当を支給されて、失業保険の受給期間を入れると、かれこれ三年間は最低の生活をめんどうみようという法律を出しておられるわけですね。しかし、この医療保険の面はほとんど何も措置がなされていないわけです。これはもちろん厚生省の所管であるかもしれぬが、労働省と厚生省が協議されて、この問題をすみやに解決する必要があろうと判断するわけです。今度次の通常国会には失業保険法の一部改正も出されるように聞いております。傷病期間中における保険給付を新規に今度の失業保険法では取り入れられることを労働省でも準備されておることをわれわれ承知しております。こういう問題と同町に、この炭鉱離職者の医療保険、簡単に申しますと、健康保険が、離職したあと、たとえば失業保険の受給期間は継続さるとか、あるいは二年間保障されるとか三年門保障されるとか、こういうような措置を私は考えられる必要がありはせぬかと、こう思っておるんですが、労働大臣としては検討されたことがあるかないか、厚生大臣とお話しなさったことがあるかどうか、ないとすれば、今後このような考え方についてどういう考え方をお持ちであるか、これを承っておきたい。
○国務大臣(大橋武夫君) 離職者の、医療の問題は、生活上非常に重大な問題であることは十分に承知をいたしております。そこで、この問題につきましていかにすべきかということでございまするが、一つの考え方といたしまして、失業保険の受納者につきまして、失業保険経済によって何らかの医療費の負担をすることがどうかということを検討いたしました。ところが、この方法は、現在の保険経済といたしまして、失業保険ではちょっと引き受けることは保険経済上無理だという結論に達したわけでございます。したがって、この問題につきまして厚生省とその後の相談をいたしたわけでございますが、まだ結論を得るところまでいっておりません。
○田畑金光君 私は、労働大臣、最後に要望しておきますが、今の問題点は、われわれが長らく厚生省等にもものを申し入れた問題点です。この際、労働大臣がひとつ主宰されて、厚生省とよく連絡をとられ、この問題の解決に努力してもらいたい、こう思うんです。願わくば、私は、次の通常国会は、この調査団の答申に基づく石炭政策の本格的な諸方策を政府が示される時期と見ておりますから、そういう際に、ひとつその一環としてでも、この問題をぜひ実現されるように努力されることを強く要望して、まあきょうはこの程度で私の質問を終わっておきます。
○委員長(堀末治君) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(堀末治君) 速記をつけて。 それでは、これで本日の質疑は終了いたしたいと思います。 —————————————
○委員長(堀末治君) この際、請願の審査についてお諮りいたしておきたいと存じます。 当委員会に付託中の請願は四十六件ありますが、便宜、委員長及び理事においてあらかじめ検討を行なった後に御審査を願うことにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(堀末治君) 御異議ないと認めます。それではそのように取り計らいます。 本日はこれをもって散会いたします。 午後九時十一分散会