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41回国会参議院1962/11/01

法務委員会 閉会後第3号

発言数
215
登壇者
13
会派数
4
開催日
1962/11/01

会議録

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、ただいまから法務委員会を開会いたします。  この際、委員の異動について御報告いたします。  原島宏治君が委員を辞任され、その後任として柏原ヤス君が選任されました。     ―――――――――――――

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 先般当委員会が行ないました委員派遣について、派遣委員から報告を願いたいと存じます。和泉君。

和泉覚公明会

○和泉覚君 私は、ただいまより、北陸三県派遣委員を代表して、調査の結果を御報告いたします。  派遣委員は、鳥畠委員長及び山高委員、岩間委員及び私の四名で構成され、これに小室委員長秘書、菊池、天久両調査員が随行いたしました。  調査は、去る十月八日から五日間にわたって畠山、石川、福井の三県下における青少年犯罪の実態及び登記制度運営の実情等について、主として懇談及び現状視察の方法により行ないました。なお、この調査にあたり、最高裁の裾分課長及び窪田事務官、法務省の荻野課長、吉田参事官、前田事務官の各位が同行され、現地関係諸機関と緊密な連絡をとり、格別の御便宜をお計らい下さいましたことと、現地の各関係の機関がおいそがしい中を貴重な資料を取りそろえ、熱心に調査に御協力下さいましたことを特に御報告申し上げ、その労苦に対し、深甚なる謝意を表する次第であります。  以下、調査項目に従い、順次説明いたします。  第一、青少年犯罪に関する事項。  今日青少年犯罪について特に注目を浴びております点は、御承知のように、犯罪数の増加、犯罪年令の低下及び非行の悪質化等の諸点でありまして、このたび調査いたしました北陸三県におきましても、おおむねこのような傾向が見受けられるのであります。青少年犯罪増加傾向の例として、金沢家庭裁判所における少年保護事件の受理状況について見ますと、昭和二十四年当時、年間受理件数七百六十六件にすぎなかったものが、昭和二十六年には、早くも二千件に達し、自後昭和三十年ごろまで毎年二千件台の横ばい状態を続けていましたが、昭和三十一年ごろから急激にその増加が目立ち、昭和三十六年度においては、ついに七千八百五十一件を記録するに至っております。もっとも、この受理件数の内容をしさいに考察いたしますと、刑法犯等の一般少年保護事件は、昭和二十七年度を頂点として、自来横ばいないし若干の減少傾向を示しているのに反し、昭和三十一年ごろ以降、少年の道交法違反事件が急激に増加しつつあることがうかがわれるのであります。要するに、北陸三県における少年犯罪増加の内容は、そのほとんどが道交法違反事件の激増によるものであって、一般保護事件は、むしろ僅少ながら減少の傾向にある点が注目されるのであります。  犯罪年令の点について見ますと、北陸三県共通の現象として、刑法犯、道交犯とも、十四才以上十七才までのいわゆる年少少年、中間少年層の犯罪率が漸減しつつあるに反し、十八才から十九才のいわゆる年長少年層の犯罪率が緩慢ながら上昇の傾向にあります点が注目されます。  罪質の点においては、北陸三県とも道交法違反事件が激増しつつありますことは、すでに述べたとおりでありますが、これに次いで暴行傷害等の粗暴犯が漸増の傾向にあります反面、わいせつ等の性的犯罪、強盗殺人等の凶悪犯罪がわずかながら減少しつつあります点が目立っております。ただ、性的犯罪等の手段として凶暴化、集団化の傾向が見られますことは、特に注目を要する点であります。  少年犯罪集団化傾向の具体例として、富山県下の高校生間に発生した番長制度と称する組織について一言触れることにいたします。この制度は、富山県下の男女を含む公私立の全高等学校生徒間にびまんしつつあった制度でありまして、その概要は、各高校ごとに学校番長、正副学年番長及び学級番長がそれぞれ置かれ、さらに呉羽山を境に、富山県下を呉東、呉西に二分し、それぞれの地域に番長が定められて、管下を統御し、生徒間に発生した紛争を自治的に解決することを目的に掲げた暴力団類似の組織であります。番長は、自己の授業料を組織員に割り当てて徴収し、拒否する者に対しては集団リンチを加えるとか、組織の一員と他校の生徒間に紛争が起きると、所属の番長が相手方高校の番長にかけ合い、話がつかない場合は、組織対組織の集団決闘により解決をつけるとか、あるいは深夜喫茶等をアジトにして、飲食、喫煙等の不健全な遊びにふける等の集団的非行を重ねていたものでありまして、幸いこれらの組織は、強固な集団に発展する以前に発覚して、大事に至らなかった模様でありますが、少年犯罪集団化傾向の一現象として見のがすことができないように思われるのであります。  次に、少年法、少年院法並びに保護観察制度の運用に関する現地の意見について申し上げます。  まず、現地関係諸機関の一致した意見として、現行制度上、少年保護事件の審判ないし少年の保護、矯正を管掌する出先機関があまりに機能的に分化し過ぎていること。すなわち、検察官、裁判官は、審判後の少年の具体的処遇に関与しないばかりでなく、この処遇を担当する保護観察所、少年院相互間及びこれらの機関と前記審判、検察機関との機能的連係はきわめて微弱であって、その間に一貫性を欠き、少年犯罪対策に大きな障害となっていること。少年犯罪対策を有効適切に、しかも強力に推進するには、旧少年審判所制度のような構想を再検討してみる必要があること、及び少年法第三十七条のいわゆる少年の利益を害する成年の刑事訴訟事件は、これを地方裁判所の管轄とすべきであること等の諸点が強調されました。また、検察庁側の意見として、少年の年令は、これを十八才未満に引き下げる必要があること。少年事件の審判に検察官の関与権、抗告権を認めること、及び重罪その他公共性の強い少年犯罪には、検察官の先議権を認むべきこと等の見解が述べられました。さらに、金沢弁護士会から、少年審判事件に必要的つき添い人制度を設けること。少年の刑事訴訟事件の管轄権を家庭裁判所に移すこと。また、保護観察所、少年鑑別所側からは、少年法第十七条の観護措置の期間は鑑別技術上短か過ぎるので、これを最大限六週間程度に延長する必要があること。少年の道交法違反事件については、鑑別制度、保護観察制度を広く活用すべきであること。少年院の仮退院期間満了者、退院者等に対しても、更生緊急保護法による保護が与え得るよう同法を改正すること等の各意見が開陳されました。  以上の検察庁、弁護士会側の意見に対する裁判所側の立場は、おおむね消極的態度のように見受けられました。また、保護観察所側の意見に対しては、福井地方検察庁から、道交法違反事件は、その性質上保護観察に適せず、むしろこれを少年法の対象から除外すべきである旨の注目すべき反論がありましたほか、格別の反対意見もございませんでした。  なお最後に、福井刑務所視察の際、同所の要望として述べられた釈放直後における仮釈放者の生活の補導援護、更生助長を効果的に行なう上において、現在中野刑務所において試みられている保護観察官の刑務所常駐制度を広く採用すべきである皆の意見は、傾聴に値するものと考えます。  第二、登記制度に関する事項。  まず、不動産登記法の改正に伴う公簿の一元化作業の実施状況について申しますと、御承知のように、昭和三十五年法律第一四号、不動産登記法の一部を改正する等の法律による改正の要点は、不動産の権利関係を明確にする公簿すなわち登記簿と、権利の客体である不動産自体の現況を明らかにする公簿すなわち土地台帳及び家屋台帳とを一元化して、これらの公簿利用者の利便に供すると同時に、登記事務処理の合理化、簡素化をはかったものでありますが、何分にもこの一元化作業は、土地台帳、家屋台帳所掲の全物件の標題部を一件一筆ごとに正確に別紙に移記してこれを当該物件の登記の冒頭につづり込む複雑膨大な事務でありますにもかかわらず、その処理に当たる陣容は、実施庁一庁につき一、二名の臨時事務補佐員を増員したにすぎない程度のきわめて弱体でありまして、この一元化作業の実施については、職員の健康保持の面からも持に注意を要するものがあるように見受けられるのであります。  次に、この一元化作業の進捗状況について申し上げます。  視察三県のうち、昭和三十七年末をもって作業完了予定日と定められた庁は、富山地方法務局管内において本局及び東岩瀬出張所、金沢地方法務局管内において本局及び森木出張所ほか四出張所、福井地方法務局管内において本局及び松岡出張所ほか三出張所の合計十三庁でありまして、その作業完了率は、本年九月末日現在においておおむね八〇%であります。また、昭和三十八年末をもって作業完了予定日と定められた庁は、富山地方法務局管内において魚津支局ほか二出張所、金沢地方法務局管内において津幡出張所ほか三出張所、福井地方法務局管内において春江出張所ほか一出張所の合計九庁でありまして、その作業完了率は、前同日現在において約二一%であります。  以上のように、この一元化作業はきわめて困難な仕事ではありますが、実施各庁の努力により、改製期日を指定された庁の作業はおおむね順調に進行しつつあるものと認められます。なお、現在の陣容で、視察三県の全地域における一元化作業を完了するには、向後さらに七、八年を要する見込みのようであります。  さらに、法人登記、商業登記等の事務に関して一言申し上げますと、北陸三県におきましても、産業の開発が急速に進み、経済活動が活発化するにつれて、法人登記、商業登記等の事務は増加の一途をたどり、かつ複雑化しており、関係各庁とも関連諸法令のすみやかなる統一整備を強く望んでおります。  次に、法務局関係職員の定員、待遇等の点について申し述べます。  法務局所管事務の中心が登記事務にあることは申すまでもありません。ところで、視察三県においては、昭和三十六年度以降、前叙の一元化作業が実施されつつあるほか、近時同地方における発電事業の開発、工業地帯の造成、道路軌道の造設、都市港湾の拡張整備、土地改良、区画整理等の諸事業が急速に進み、これに伴う登記簿の改製、用地の買収、土地の分、合筆等の登記事務が激増しているにかかわらず、その処理に当たる職員は、かえって減員されている状態であります。また、これらの事務処理に当たる法務局関係職員の超過勤務手当の受給状況について見ますと、一人一カ月平均十七・九時間の実働超勤に対し、配付されている予算は、その半額にも満たない、月間一人平均七時間という状態であります。このような状況を反映いたしまして、現地各法務局においては、職員の増員、超過勤務手当、宿日直手当の完全支給及び裁判所書記官並みの号俸調整の実施を強く要望しております。  最後に、法務局関係庁舎の状況について申し上げます。  視察三県における法務局関係庁舎は、明治、大正期の建築にかかわる古い建物や、設備構造の不完全な借り上げ庁舎等が多く、三県下八十六庁のうち、建築以来三十年ないし七十年を経過した老朽建物が二十一庁に及んでおり、早急に改築を要する庁舎として、富山法務局管下出張所十庁舎、金沢法務局管下出張所十四庁舎、福井法務局管下出張所十一庁舎があげられておりますほか、別に各庁とも、登記事務の増加に伴う書庫の増築方を要望しております。なお、右八十六庁舎のうち、民間ないし地元市町村からの借り上げの庁舎・敷地が四十一庁にも及ぶばかりでなく、その借り上げ賃料が統制価額をはるかに下回る低額に押えられているため、必要な補修もなされない状態にあります点は、法務局関係庁舎の特異性として注目を要するところであります。  第三、視察各庁の要望事項。  今回の視察各庁の要望事項中、特に重要と思われますものを説明いたします。  まず、金沢合同法衛の新営に関する要望として、金沢弁護士会及び地元住民から、名古屋高裁金沢支部庁舎は、終戦直後の粗末な建物で、床、柱等の朽廃がはなはだしく、不測の災害の発生さえ憂慮される状態にあり、また、金沢地方裁判所庁舎は、明治中期の建築で、設備構造等きわめて悪く、すみやかに改築を要する状況にありますので、この際、両庁舎を改増築して、在金沢裁判所の合同庁舎を早急に新営する必要があること、及び名古屋高裁金沢支部における民事訴訟事件の幅湊がはなはだしく、未済件数四百件をこえ、次回期日が五、六カ月も先に指定されている状況にあるので、同支部に第二民事部を増置し、人員、施設の増強を望む旨、強い陳情がありました。  次に、富山地方検察庁から、即決裁判のための被疑者控所の増築、氷見区検庁舎の新築、礪波支部庁舎の補修、高岡支部ほか一庁の物置増築、検察官宿舎の新営、移築及び庁舎敷地の買収等を実現されたい旨、及び福井少年鑑別所から、舎房の増築を望む旨のそれぞれ熱心な要望がありました。  最後に、保護観察所側の一致した要望として、保護観察官の大量増員及び保護司の実費弁償金を含む保護観察所予算の大幅増額が強く主張されておりますことを申し添えます。  以上、詳細は調査室保管の関係資料に譲り、要点のみを申し上げて、私の調査報告を終わります。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) それでは、派遣委員の報告は、これで終わります。     ―――――――――――――

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) これより、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題といたします。  まず、昭和三十八年度法務省関係予算及び裁判所関係予算について、順次当局の御説明を願います。

新谷正夫法務大臣官房経理部長

○説明員(新谷正夫君) 法務省所管の昭和三十八年度予算概算要求の概要につきまして御説明申し上げます。  昭和三十八年度概算要求総額は五百二十八億四百三十八万三千円でありまして、その内訳を大別いたしますと、一般事務費が四百五十四億四十二万円、営繕費が七十四億三百九十六万三千円であります。昭和三十七年度予算額三百七十三億三千七百二十二万六千円に対しまして、四一・四%の増額要求となっております。  まず、法務省予算の特質について簡単に御説明いたします。  法務省の所管各組織の所掌事務は、多岐にわたり、かつ、その性格をそれぞれ異にしています。しかし、これを大別すれば、おおむね民事局、訟務局、人権擁護局等が所掌するところの国民の権利保全を目的とするものと、刑事局、検察庁、矯正局、地方矯正官署、保護局地方保護官署、入国管理局地方入国管理官署、公安調査庁等が所掌する治安確保を目的とするものとに分けることができますが、いずれにしても、その予算は、きわめて地味な事務的予算という性格を持っております。しかしながら、その事務は、いわば法秩序の確立維持という民主主義、法治主義の根幹をなすところのきわめて重要な事務でありますので、予算も当然それにふさわしい姿のものであるべきでありますが、現状は、今なお改善を要する点が多々あるのであります。  そこで、当省としましては、数年来、所管各組織の所掌事務を分析検討の上、事務処理の合理化をはかる一方、可能なものは極力機械化をはかって、能率の増進と人員の節約に努力しておりますが、その事務がほとんど人を中心とした事務でありますため、機械化にもおのずから限度があり、結局その大半を人にたよらざるを得ないのが実情であります。法務省が毎年のごとく増員要求を続けておりますのも、その所掌事務の性格自体に基づくものであり、その点、他官庁とは事情を異にするものがあると考えられます。特に昨今のごとき事務量の激増と、これに伴う増員の必要性が予測されなかった終戦直後において人的、物的に十分な措置が講ぜられないままに発足した新しい組織や事務においては、現在予算の執行が著しく困難なものとなっているように考えます。  そこで、明年度の概算要求にあたりましては、予算の効率的な執行を確保するためにも、例年のごとく事務の簡素化、能率化や人員配置、事務分配の合理化等をはかりましたが、結局二千五百九十五名の増員を要求せざるを得なかった次第であります。  次に、明年度予算において特に取り上げました主要施策事項とその事業計画について簡単に説明します。  第一は、暴力犯罪対策等法秩序の確立のための経費でございます。  集団暴力犯罪の増加とその悪質巧妙化の傾向は、依然として上昇の傾向をたどっております。さらに暴力事犯の知能犯的傾向がうかがわれ、活動範囲が拡大し、移動性が増加しております。このような現状に対処し、法に対する不信を一掃し、法秩序を確立して、民生活の安全を保持し、わが国の民主主義、法治主義の健全な発展を期するために、治安維持の機能を拡充強化して、適切、かつ、抜本的対策を講ずる計画であります。  事業計画といたしましては、第一点といたしまして、暴力事犯検察の強化であります。暴力団等についての調査を充実しまして、暴力事犯の検察を強化する計画であります。内容といたしましては、暴力事犯実態調査・対策協議会等旅費、検察資料の作成庁費、暴力団調査活動費等を合わせまして、千六百二十六万円となっております。  第二点は、麻薬風紀事犯対策の充実であります。麻薬取締法違反及びわいせつ罪なと、いわゆる麻薬風紀犯罪の動向に対処するため、所要人員を確保するとともに、身上調査票制度を実施し、関係機関との連係を密にして、密輸ルート並びに密売組織を解明し、また麻薬犯罪中毒者の処遇の適正化をはかる計画であります。内容といたしましては、麻薬風紀身上調査票制度の実施、麻薬調査活動費、治療用具の庁費、調査研究旅費等でございまして、そのうち増員二十五名を要求いたしております。要求額は、六千八百五十万円となっております。さらに別に、医療刑務所整備等の経費といたしまして、施設費四千三百二十六万円を要求いたしております。  第三点は、公安検察の充実強化であります。過激分子を含む団体の活発な活動状況から見まして、本省刑事局を強化するとともに、検察庁におきましても、人的物的両面の充実を行ない、法無視の傾向と社会不安を根絶し、あわせて労働保護法規違反の取り締まりの強化等をはかる計画であります。内容といたしましては、増員十三名のほか、採証器具等を整備するための庁費、調査活動費等でありまして、要求額は、二億五百十九万円となっております。  第四点といたしまして、公判審理の迅速化であります。公判の審理遅延は、裁判の威信及び刑罰効果を減殺し、自救行為を助長し、暴力団のはびこる原因ともなるものと考えられますので、公判部設置検察庁におきまして、これは東京地検ほか七地検でございますが、これらの庁におきまして、裁判所の一裁判部に対応して一検事、一検察事務官を専従的に配置することによりまして、公判立ち会い体制の確立をはかる計画であります。内容は、増員といたしまして、検事二十名、検察事務官四十三名の増員を要求中でございます。金額は、四千四百八十九万円となっております。  第五点は、破壊活動調査機能の充実強化であります。公安調査庁におきまして逓送制度その他秘密防衛体制を確立するため増員を行ない、調査活動機能を合理化して、破壊的団体の組織、構成員、活動等の調査を徹底し、公然、非公然にわたる国際共産主義勢力の対日諸工作の実態解明を強化する等、調査体制の確立をはかる計画となっております。内容といたしましては、増員四十名、団体調査旅費、調査業務能率化及び機動化器具整備庁費でございます。さらに調査活動費を合わせまして、総額九億二千七百七十六万円となっております。  第六点は、不法出入国取締体制の確立であります。密入国者の数は、逐年増加の傾向にありますので、入国管理局の調査審査機能を充実整備いたしまして、強制退去を厳重に実施して、取締体制の確立をはかる計画であります。内容といたしましては、増員百十二名の増加要求と、調査充実の旅費、強制送還経費、調査活動費等でありまして、総額一億一千七百三十八万円となっております。  第二は、非行青少年対策の推進強化のための経費であります。青少年犯罪の粗暴凶悪化の傾向も依然として増大しております。その対策としまして、青少年犯罪の原因を科学的に究明し、事犯の適正な処理により、この種犯罪の防遏、犯人の改善、再犯防止をはかり、少年院、少年鑑別所の機構を人的、物的に整備し、あわせて保護観察の機能を強化するなど、実効ある各種施策を講ずる計画であります。  事業計画といたしましても、第一点は、青少年検察の充実強化であります。刑事局青少年課の機構と充実するとともに、全国検察庁の刑事資料調査室を拡充強化いたしまして、犯罪の背景としての環境と素質を社会学的、心理学的、精神医学的に分析調査し、青少年の非行歴を個別に把握することによりまして、刑事事件の処理を合理化し、公訴権の行使を適正ならしめ、また矯正保護等の関係機関との連係を緊密化することによりまして、犯人の改善、更生を期する等、青少年検察の強化推進をはかる計画であります。内容といたしましては、各種調査票の実施に要する経費、診断検査器具の購入、資料作成のための庁費、実態調査会同協議会の関係旅費、検察取締諸費の充実等でありまして、なお、増員五十四名を要求いたしております。総額三億六千三百十三万円となっております。  第二点は、少年院の教化活動の充実であります。少年犯罪の増加及び悪質化の傾向は、そのまま少年院の収容状況に反映するのでありますが、ここに勤務する教官は、昨年度も若干増員いたしましたが、絶対数が不足しておりますために、一週間の拘束時間は七十四時間に上り、しかも、夜勤の翌日非番が与えられず、週休も満足にとれないという過酷な勤務条件下にありまして、問題少年の個別指導、弾力性のある教化活動も十分に期待し得ないので、教官を増員することによりまして、その補導の実を上げる必要があります。また、初等少年院出院者の再非行率が高いのでありますので、教化教育と野外訓練を強力に行なって、教化活動の充実をはかる必要もあります。このように、少年院の機構を人的、物的に整備充実いたしまして、補導の実を上げ、収容少年の健全なる社会復帰を強力に推進する計画であります。内容といたしましては、増員百九十九名の要求のほか、収容者の収容経費施設等の備品整備、職業補導経費、医療衛生充実経費、初等少年院教育指導経費等でありまして、総額九億六千三百五十五万円となっております。  第三点は、少年鑑別業務の充実であります。非行少年に対する処遇の適正をはかるために、少年鑑別所に与えられました役割はきわめて重要でありますが、少年院同様過酷な勤務体制下にある教官や鑑別技官等の増員を行ない、また、近時激増しております道交違反少年の鑑別を適正化するために、東京ほか九庁に交通専任鑑別技官の増員を行ない、鑑別機能の充実をはかり、非行少年の矯正補導を実効あらしめる計画であります。内容といたしましては、増員百二十七名の要求のほか、鑑別器具、医療器具等を整備するための経費、精神科医師等の招聘に要する謝金、収容者収容経費等でありまして、総額三億二百三十八万円となっております。  第四点は、青少年犯罪者に対する保護観察機能の充実強化であります。犯罪者の更生をはかり、犯罪のない明るい社会を築くことを目的といたします保護行政は、刑事政策上きわめて重大な責務を負わされております。近時青少年犯罪が都市に集中し、観察対象者の所在不明者が増加の傾向にあり、また刑法犯検挙老中、前回家裁において不開始不処分の前歴を有するもの及び道交違反の少年保護事件が激増しておりますので、観察官を増員し、地方裁判所甲号支部所在地等二十三カ所に保護観察官を駐在させ、裁判所、検察庁からの事件授受の能率化と遠隔地における保護観察対象者に対する観察の徹底を期するとともに、保護司の活動を充実して、業務遂行の効果を一そう大ならしめる必要がございます。なお、更生保護会収容者の食事付宿泊費につきましては、一人当たり単価を百四十五円に、また委託事務費単価を八十一円に、それぞれ増額することによりまして、更生保護会の充実をはかり、収容者の完全な更生を期するほか、犯罪予防のために世論を啓発、指導し、地域社会の浄化運動などを推進する計画であります。内容といたしましては、百十二名の増員のほか、駐在制度実施に要する経費、保護司研修経費、補導援護費、犯罪予備啓発宣伝経費等を合わせまして、六億七百八十九万円となっております。  第五点は、少年非行予防対策の実証的研究の充実であります。青少年犯罪の最近の傾向を根本的に究明いたしますとともに、これを防遏する対策を実証的に考究して、犯罪対策を樹立することは当面の急務でありますので、法務総合研究所の研究機能を充実して、その目的を達成する計画であります。内容といたしましては、増員十一名の要求のほか、研究謝金、調査旅費、各種調査票作成等庁費を合わせまして、千二百三十三万円となっております。  第三は、交通事件処理体制の整備強化であります。道路交通法違反及び業務上過失致死傷事件など、いわゆる交通事件が逐年驚異的に増加しておりますので、これに対処するための所要人員を確保するとともに、交通裁判所を増設いたしまして、事件処理体制の整備強化をはかる計画であります。内容といたしまして、増員四百七十二名のほか、徴収事務の能率化、機動化のための機械器具等の整備及び資料作成のための庁費、会同出席、実態調査等旅費等でございます。合計いたしまして、六億六千四百八十三万円でございます。  第四は、法務行政の充実強化であります。法務行政が適切、円滑に行なわれるかどうかということは、国民の権利義務に直接影響するところでありまして、国民の福利を増進する各種施策の根底ともなりますので、その充実強化をはかる計画であります。  第一点は、登記事務処理の適正迅速化ということであります。法務局において所掌いたしております登記の取り扱い件数は、土地建物の取引の増加、公共事業の拡大等に伴い年々激増しておりますが、職員の事務負担量は限界をこえ、まことに憂慮すべき事態に立ち至っておりますので、昭和三十七年度の百名の増員に引き続きましてさらに増員をはかり、また株式会社の計算書類の備えつけ保管事務処理のため増員をはかりますとともに、登記台帳の一元化作業等を促進して、事務処理の適正化、迅速化をはかる計画でございます。内容といたしましては、増員一千六十五名の要求のほか、超過勤務手当、旅費、庁費、賃金、特殊登記事件処理経費等、合わせまして十億三千五百二十三万円となっております。  第二点は、収容者の処遇の改善であります。矯正収容者の処遇の改善をはかる必要上、昭和三十七年度若干の改善は見ましたが、特に僅少な作業賞与金を増額いたしまして、再犯防止の実を上げ、また収容者の菜代等物価騰貴に伴う栄養量の不足を補うため菜代を増額し、さらに収容日用品等を充実して、補導政策上の効果を上げたい計画であります。内容といたしましては、作業賞与金、収容者菜代、収容者日用品薬品等購入のための経費、精神医、栄養士等の招聘謝金、医療教育用備品整備費等でございまして、合わせて二十八億一千四十万円となっております。  第三点は、刑務作業の充実でございます。受刑者の勤労意欲を向上せしめて社会適応性を育成し、あわせて収容者の収容に要する経費の償却を目途として刑務所作業の運営管理の合理化をはかるため、作業態勢を改善整備したいという計画であります。内容といたしましては、刑務作業施行経費、特に原材料費の要求、職業訓練経費、安全管理経費等でありまして、合計いたしますと、二十億三百二十七万円となります。  第四点としまして、その他のおもな事項を申し上げますと、まず、基本的人権擁護の伸長のための経費でございます。内容といたしましては、増員五名のほか、調査旅費、啓発宣伝経費、人権擁護委員実費弁償金の増額要求等であります。要求額は一億三千四百二十五万円でございます。次に、正規出入国審査業務の迅速化を目的とする経費の要求であります。内容といたしましては、増員八十二名の要求のほか、審査事務の強化、港出張所の増設のための経費、羽田入国管理事務所の充実の経費、庁費等合わせまして、三億一千二百四十万円となっております。  第五点といたしまして、一般的執務体制の是正でございます。所管各組織の所掌事務は、冒頭に説明しましたように多岐に分かれ、かつ、その性格を異にしておりますが、近時いずれもその事務量は激増し、職員の負担が過重となっております。そこで不合理かつ非能率的な執務体制を是正して、事務処理を適正化しようとの計画であります。そのうちおもなる事項は次のとおりであります。  以上申し述べました各種の増員要求のほかに、訟務事件処理その他の関係におきまして、検事十五名、事務官等二百名の増員要求を出しております。さらに、職員の待遇是正のために、超過勤務手当の増額要求、宿日直手当の要求、さらに法務局、地方入国管理官署の俸給調整、渡し切り費の増額要求等が内容でございます。そのほか、一般的に事務の能率化、機動化をはかりますために、機械器具、自動車等の購入費を要求いたしております。  第六といたしまして、施設の整備充実のための経費でございます。法務省所管の施設の総数は三千三百余庁に上っておりますが、完備されました施設を有するものがきわめて少なく、いまだに国有の施設がなく、借り上げ庁舎の一部に執務しているもの、裁判所と同居しているもの、また建築後数十年を経た老朽建物を使用しているもの等がはなはだ多く、治安の確保、権利の保全、犯罪人の矯正保護等重要な所掌事務を適正円滑に遂行するためにも、また一面国民の利便上もはなはだ遺憾な現状にございます。これらの施設の新改築につきましては、数年来緊急度の特に高いものから実施する方針のもとに予算の要求をいたし、逐年増額を認められてはおりますが、何分にも数が多く、その整備も遅々としておる現状でありますので、特に営繕につきましては重点を買いて措置を講じたい計画であります。来年度の予算要求につきましては、いたずらに多くの庁数を掲げることを避けまして、官署施設関係につきましては、特に、現に継続中の工事の早期完成、老朽、狭隘等のため困窮度のはなはだしい庁で、新営予定敷地の確定しているものの整備、裁判所と同居中で、しかも裁判所改築により立ちのきを必要とするものの整備、また収容施設関係につきましては、都市の発展に協力するための移転新営工事の早期完成、青少年対策に関連しての少年院の整備、収容者の処遇改善のための整備等を特に考慮して計画いたしております。  また、不動産購入費の増額を要求いたしておりますが、御承知のように、戦後司法権の独立により、まず検察庁、法務局が裁判所から分離し、犯罪者予防更生法の施行に伴う保護官署の新設、公安調査庁の新設、入国管理官署の移管等によりまして、その組織が急激に膨張いたしましたため、制度の実施に所要の施設が伴わず、現在においても相当数は地方公共団体または民間人より無償または低額の有償で借り上げている現状にありますが、最近これらの借り上げ敷地については買収または立ちのき方の強い要望がございまして、このまま放置いたしますことは、地方財政の圧迫はもとより、円滑なる事務の運営をも著しく阻害する結果ともなりかねないと考えますので、この解決のため特に大幅な増額を計画いたしておるのでございます。  営繕関係の要求額は、総額で七十四億三百九十七万円でございまして、そのうち施設費が六十二億七千八百三十三万円、補修費、不動産購入費等が十一億二千五百六十四万円でございます。  以上が、法務省所管昭和三十八年度概算要求の概要でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に裁判所。

栗本一夫最高裁判所事務総局経理局長

○説明員(栗本一夫君) 裁判所所管の予算の来年度の概算要求につきまして御説明を申し上げます。お手元に資料が配付してございますので、それに基づきまして御説明を申し上げます。  まず第一に総額でございますが、これは、昭和三十七年度、つまり本年度の予算額は百八十六億三千六百二十万五千円でございまして、来年度の概算要求額は二百六十六億五千七百八十万五千円でございまして、パーセンテージで申しますと、四三%増しということになっております。  以下、内容の重要事項につきまして御説明申し上げますが、まず最初に、訴訟の迅速化でございまして、訴訟を迅速化しなければならないということはよく言われておりますが、とりあえず東京、大阪等八大都市地方裁判所におきます訴訟の迅速化をはかるため、裁判官等を増員いたしまして、審理期間、これは現在平均民事が十二カ月、刑事が六カ月になっておりますものを半減する措置を講じたい、かような関係から、また機械器具等を整備することによって裁判事務処理の能率化、合理化をはかりたい、かような内容がこの(1)、(2)、(3)の内訳の要求でございますが、これは、裁判官の増員五十五人。内訳は、判事が二十四人、判事補が三十一人でございます。それから、裁判所書記官を百十五人増員したい。それから、裁判事務処理の機械化、能率化等は、ここにございますように、検証用自動車とか、録音機とか、写真機、かようなものを要求したいということでございます。  次に、補助機構の整備充実といたしまして、これは、ここに書いてございますように、裁判所書記官、家庭裁判所調査官の事務量の増加に伴いまして、現在裁判所書記官、家庭裁判所調査官の事務を恒常的に取り扱っているところの裁判所書記官補とか家庭裁判所調査官補等の定員を、裁判所書記官または家庭裁判所調査官の定員に組みかえまして、裁判官の補助機構を合理的に再編成したい、かような関係から、裁判所書記官補等の定員一千七百六十人を裁判所書記官の定員に組みかえたい。それから家庭裁判所調査官補の三十四人を調査官のほうに組みかえたい、かような要求でございます。  次が交通事件処理の円滑化でございますが、これは、激増いたします交通事件を迅速に処理するために、東京ほか五十三庁の簡易裁判所及びこれに対応する家庭裁判所において交通切符制による即日処理の手続を実施したい、かような関係から、主としてこれは増員でございますが、まず成人の事件、つまり青少年事件以外の成人事件につきましては簡易裁判所で行ないますので、簡易裁判所判事三十五人、裁判所書記官等百二十八人、それから家庭関係といたしまして、判事補二十人、家庭裁判所調査官百九十二人、裁判所書記官等百十八人の増員を要求いたしたい、かようなわけでございます。  次に、交通事件関係で、東京交通裁判所をもう一カ所新設したいという構想でこの予算請求もいたしております。御承知のとおり、現在墨田に交通裁判所が一カ所ございますが、あれだけでは足りませんので、もう一カ所新設いたしたいという構想でございます。  それから、連絡協議会、会同等というのは、これは、交通事件処理に伴いまして、いろいろ検察庁とかその他連絡いたさなければならない、あるいはまた、内部の職員の会合等も行いたい、かような関係の費用でございます。  心理テスト器具の整備等というのがございますが、これは、やはり少年の交通事件は少年の性格、資質、環境等を考慮して保護的措置を講じなければなりませんために、心理検査、適正検査を実施いたしまして、必要によっては民間団体等に補導を委託したい、かような関係の費用でございます。  それからその次は、四といたしまして、家事、少年事件処理の適正化、これは結局、まず最初に家庭裁判所調査官の増員五十人を要求いたすわけでございますが、理由といたしましては、未成年者の後見監督事務の処理の適正、円滑化をはかるために、現在の家庭裁判所調査官ではやや不足いたしますので、五十名ほど増員いたしたいということでございます。それから家事、少年一般にわたりまして中、高等諸学校等との連絡会、あるいは特殊カードの整備、この特殊カードというのは、事務の能率化、合理化をはかるための資料でございます。  次に、五といたしまして、裁判官の待遇改善でございますが、最初の(1)は、裁判官の報酬増額で、特別の意味はございませんが、今回、人事院よりべース・アップの勧告がございましたので、当然来年度予算におきましても、それに見合うものを増額しておきませんと間に合いません関係上その要求をいたすだけのことでございまして、特別の意味はないわけでございます。  (2)は裁判官の管理職手当の増加でございますが、これは、本年度予算におきましては、判事五百九人について管理職手当が認められておりますが、そのうち八十七人が一八%、四百二十二人が一二%ということになっておりますが、この管理職手当が計上されておりますが、来年度予算におきましては次のように改めたい、つまり地家裁所長、高裁長官代行等八十七人には二五%を支給したい、高裁総括裁判官、地家裁所長代行等百七十五人に一八%支給したい、地家裁総括裁判官三百八十四人に一二%支給したい、かような構想でございまして、この八十七人、百七十五人、二百八十四人、合わせまして五百四十六という数字になりますが、かような要求をいたすわけでございます。  (3)の最高裁判所裁判官の退職手当、これは、御承知のとおり、最高裁判所判事はやはり通常の公務員なみに、現在でございますと、二十年たちませんといわゆる恩給が支給されませんが、しかし、弁護士から最高裁の判事になられたような方を考えますと、二十年間最高裁に在職されるということはまず考えられませんので、初めは在職十年でいわゆる恩給を支給したいというような予算要求をやっておったのでありますが、恩給は、御承知のとおり、最近養老年金式に変って参りましたので、どうもその点具合が悪いということになりまして、退職手当の増額のほうで見たいというふうにこの三年ほど前から改めまして、それを要求いたしたわけでございますが、結局、通常の退職手当より、ここに書いてございますように、勤続期間一年につき報酬月額の六八〇%に相当する額の退職手当を支給したい、つまり六八〇%加算するということでございまして、通常は、公務員の勤続期間一年につきまして報酬月額一カ月分というのが大体の退職手当になっております。たとえば十年在職いたしますと、退職に際して月給の十倍をくれるというようなことになるのでありますが、それにさらに六・八倍を加算したいということでございます。  次に、国選弁護人、執行吏等の待遇改善でございますが、これは、国選弁護人の現行基準額というのは、たとえば地裁を例にとりますと、一件五千七百円平均になっておりますが、これを二五%増額したい。二五%増額いたしますと、地裁を例にとりますと、一件七千円平均になるということでございます。最近公務員のベース・アップがしばしば行なわれておりますのに、国選弁護人の報酬はある程度据え置きになっておりますので、この程度増額いたしたいということでございます。それから、(2)の執行吏補助金の増額、これは、執行吏は一定の収入に達しませんと、その差額を国庫から補助金として支給することになっておりますが、この基準が、ここに書いてございますように、現在は、十五万六千円に達しない場合に、年間収入でございますが、十五万六千円に達しない場合には、執行吏の最低収入の保障として差額を支給することになっております。この基準額があまりにも低きに失すると考えておりますので、この基準額を二十九万九千円、七等級十二号相当まで引き上げたいという構想でございます。金額にいたしますと、ここに書いてございますように、出した金額は七百二十一万五千円程度のものでございます。  七といたしまして、研修指導の充実強化、最初は司法修習生の増員でございますが、むやみに増員するわけに参りませんので、司法試験に合格しなければ司法修習生になれないのであります。四百五十九名合格いたしておりますので、大体四百五十名程度来年四月入ってくると思われるのでありますが、それに対応いたしまして、七十人の増員要求をしたわけでございますが、現在は三百八十人という数になっております。七十人増加いたしますと、四百五十名の予算になるわけでございますが、大体四百五十九名通りまして、大体四百五十名乗ると思われますので、これは、予算関係、大蔵省のあれは、実際来ます数を見合いまして大蔵省と折衝するわけでございます。次に、裁判所書記官、家庭裁判所調査官等の研修の拡充、これはやはり素質向上等を考えまして、研修を受けるものの数をふやしたい、回数を多くしたいというような費用でございます。  八といたしまして、人事管理体制の確立でございますが、これは、結局職員の服務規律の確立をはかるために、地方裁判所及び家庭裁判所事務局に人事担当官として事務局次長を設けたい、と同時に、協議会、講習会等も行ないたいというような費用でございまして、そのために、現実問題として、裁判所事務官の増員三十二人、協議会、講習会等の費用を要求いたすわけでございます。  九といたしまして、営繕費でございます。これは、全国裁判所庁舎、総坪数は二十五万坪でございます。そのうち建築後四十年以上経過いたしました老朽木造庁舎約五万四千坪、戦災後のバラック庁舎、つまり木造で簡単に建てた庁舎でございますが、それが一万一千坪、臨時借り上げ庁舎が約四万坪でございますが、そのようなものを早急に新築または改築したいと思っておりまして、さらに、最高裁判所庁舎につきましては、ここ数年来予算要求いたしておるわけでございますが、何とかこれも実現させたいというふうに考えておりまして、結局、内訳といたしまして、下級裁判所庁舎新営等で四十九億八千五百九十九万五千円、最高裁判所庁舎の新営で一千百九十三万七千円。金額が低いようでございますが、これは、大体敷地整備費とかボーリング代とか、さような金でございますので、とりあえず、わずかな金額でございますが、一千百九十三万七千円というものを要求いたしておるわけでございます。  最後に、10の庁舎の管理要員の増員等でございますが、これは、庁舎の新改築によります坪数、施設の増加等に伴いまして管理要員を増員し、また庁舎維持費を増額したい。結局、管理要員の増員三百二十四人、庁舎維持費の増額、これを請求いたすわけでございます。  大体以上のとおりでございますが、なお、その次の紙に営繕関係の内訳が書いてございますので、簡単に触れておきますが、その右側をごらんいただきますと、備考欄というのがございますが、ここで、備考の中のさらに左が継続分で、右が新規分ということになっておりますが、継続分と申しますのは、これは、すでに本年度までにもうすでに予算が一部分入っておるものでございまして、これももう来年度におきましても当然予算が入って来る分でございまして、あえて問題はない分でございますが、新規分のほうは、まだ現実に予算化されておらない分でございまして、かなり多数ございますが、これがどの程度認められるかという問題になってくるわけでございます。  きわめて簡単でございますが、以上をもって裁判所の予算の説明を終わらしていただきたいと思います。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 以上で予算の説明は終わりました。     ―――――――――――――

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 次に、岩間委員より発言を求められておりますので、これを許可いたします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 在日朝鮮人の登録切りかえ問題及び法的処遇の問題、このような問題についてお聞きしたいと思います。  第一にお聞きしたいのは、現在在日朝鮮人の外国人登録法に基づく登録切りかえが行なわれておるわけでありますが、これがどの程度進んでおりますか。お伺いしたい。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 九月末で二四%切りかえ済みでございまして、従来の例に比較いたしますと、順調に進んでおるように認められます。大体十月末で七、八〇%は行っておるのではないかと推定いたします。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 在日外国人の登録ですね。外国人全体、これはどういうふうになっておりますか。国籍別に、この資料ございますか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) お答えします。  全体の外国人の登録数は約六十四万でございます。朝鮮人につきましては、朝鮮と韓国という工合に国籍欄の記載が二つに分かれておりまして、その両方で登録されておりますが、両方合わせますと、約五十六万八千でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、外国人登録の大部分、まあほとんど九〇%近くが在日朝鮮人の問題ですね。その中で、登録法違反被疑者としてあげられておる、その被疑者ですね。その数はどのくらいございますか。また、その被疑事実の内容別ですね。どういう問題で一番違反被疑者としてあげられておるのか。そういう点についての資料はございませんか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 質問がちょっとはっきりいたしませんでしたが、登録法違反被疑者の数でございますか。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 違反した被疑者の数ですね。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 本日その数字を持って参っておりませんので、お答えいたしかねます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 大体の数はわかりませんか。それから、そのうちで内容別、これも大体の数はわかるかと思うんですが、どうなっていますか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 残念ながら、全然数字を持ってきておりませんので、その概数も内容もお答えいたしかねます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私たちの手元に、これは法務省の統計から出したんですね。これは多分正しいと思うんですが、一九四七年、それから各年被疑者としてずっとあげられた数字が一九六一年まで、つまり昨年度分まで総計しますと、十八万一千九百八、こういうふうになっていますね。それで調べてみますと、今まで十五年間に約十八万ということになるわけですね。一日の平均を調べると、大体三・六人づつこの違反被疑者としてあげられている、こういう格好になるんですが、非常にたいへんなことだと思います。そのうちどういうのが一体多いんですか。どういう違反被疑者としてあげられておるのか。この数字は、概数でもわかってないですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) この外国人登録法違反は、大体市町村に登録申請が遅延いたしました場合に、市町村からの警察または検察庁等への通報または告発によって処理されていくものと、それから、登録証の呈示を求められて携帯しておらなかったとか、あるいは登録しておらなかったとか、そういう段階で警察に検挙されて参りますので、入国管理局といたしましては、その比率がどうなっておるかという現状に関しまして、もとより関心を持たなければいけないんだと思いますが、むしろ刑事事件になっておりますので、入管のほうとしては、むしろ出入国問題であるとか、在留状況とかいう方面の調査に追われておりますので、残念ながら資料を持ち合わせておりませんので、ちょっとお答えいたしかねると思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それでは刑事局にお伺いしたいんですが、どうですか。ついでにそのうち刑に処せられた――懲役、禁錮あるいは罰金、こういうものに処せられた人、それはどんな割合になっていますか。

竹内寿平法務省刑事局長

○説明員(竹内寿平君) 刑事局の方へお尋ねでございますが、あらかじめ御注意ございませんでしたので、資料を持っておりませんが、調べようとすればすぐわかる数字でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これはあなたたちの出しておられる資料ですから、同じことになると思いますが、大体お話のように、登録証明書を持っていなかった、不携帯、あるいは呈示を要求されたけれども、それを拒否した、そういうのが非常に多いようで、そのようにしてあげられたうち、大体六〇%、一日平均二人以上が刑に処せられておる、懲役、禁錮あるいは罰金を課せられておる、こういうような数が出ているのですね。これは、たいへん存日朝鮮人に対する私は過酷な扱いの具体的な形がこのような形で出ているんじゃないか、こういうふうに考える。これは検察関係ですけれども、実際はまあ警察で、いろいろなこれに対する問題が検察までいかないうちで行なわれる、そういうものを考えますというと、その数はこの倍以上になる、こういう形が出ている。これは、あなたたちの出していられる資料からもはっきりうかがうことができるのですが、一体このような原因は何でしょう。これは、非常に在日朝鮮人に対する大きな圧力としてやはり国際的な問題でもあると思う。そこで、法務大臣に伺いますが、このような統計の示す結果から見まして、なぜ一体こういうような状態が起こっているのか。その理由についてどういうふうにお考えになりますか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 今の岩間さんの御指摘の点については、二つのケースがあると思うのです。それは不法入国者の場合ですね。それからもう一つの場合は、書きかえを故意におくらしたものとか、あるいはまた、呈示を求められたときに拒否したとか、そういう場合があると思うのです。だから、むしろ不当な、過酷な取り扱いというよりも、協力を拒むということからそういう取り扱いを受けることになるのでありますから、若干そこが岩間さんと考え方が違うと思うのですが……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは、外国人登録法そのものを検討してみるとわかると思うのですが、今の呈示を求めることのできる人、それはそれでちゃんと法定されていると思いますが、非常に多いわけですね。ここでこの資料を何してみますと、入国審査官、入国警備員、警察官、海上保安官、鉄道公安官、それから外国人登録業務に従事する国または地方公共団体の公務員、それから食糧配給に従事する同じように国または地方公共団体の公務員、麻薬取締官、公安調査官、公共職業安定所の職員というふうにたくさん、あらゆる場合に、ほとんど在日朝鮮人の生活のあらゆる実態が、どこでもこれはほとんど呈示を求めることができると、こういう権限が広範になされている。したがって、そういうところでそういう違反ケースが非常に起こる。これは、生活実態に一体合っているとお考えになりますか。たとえば、日本人の常識で、どこでもここでもこのような権限を与えている、こういうふうになりますというと、どこでもこれは身分証明書を常時携帯しなければならぬ、こういう形が出てくるわけです。ですから、法務大臣も御存じかどうか知りませんが、ふろ屋に行った。ふろ屋に行くとき、身分証明書をちょっと忘れますよ。普通ゆかたがけで行くのが常識でしょう。ところが、警官がちょっと見せてくれ。持っていない。これは違反だ。こういう格好でびしびしあげていけば、今言ったように、一日三・六人、それで処罰される人が二・一六人というような数字が出てくる。そうすると、私たちは、日本の国民として、平和憲法を持っている日本の国民として、国際法的な立場からいって、一体この外国人に対する態度というものは、非常にその国の民主主義の度合いをはかるバロメーターになる、こう言われている。そういう点からいうと、どうでしょう。登録法そのものは非常に過酷じゃないか、そういうことが考えられるのですがね。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) ふろ屋に行くときに身分証明書の呈示を求めるなんということも全然ないとは、そうは言い切れないと思いますが、私は、そういうことはめったにないと思います。先ほど十五万何千人が摘発を受けているじゃないかというお言葉がありましたが、その中には、不法入国をした等のものが、私は大体そうだろうと思うのです。ところが今の問題は、単に朝鮮人だけにそういうことをやっているのではなくて、これは、第三国人に対して同じような法の規制をしているわけですから、その点、特別朝鮮人に対してのみ過酷であるというふうには私は考えていないわけです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 まああとで例をあげます。ふろ屋よりもっとひどいのがありますからね。実際はないと大臣はお考えになっていらっしゃいますが、現実はそうではない。それから、一般の外国人に対して全部同じだ、なに、そうじゃないですよ。アメリカ人でも来たものなら、もう頭を下げっきりじゃないですか。ところが、在日朝鮮人の場合は、どうも今までの習慣があって、過酷に行なわれている。こういうケースが多いわけです。  それから、もう一つ考えられるのは、罰則の強化、適用範囲が非常に拡大されてきた。これは、今までの法改正の経過というものを考えれば、罰則、これについてはどんな経過があるか。大体ここで説明していただきたい。どんなふうに変わってきたのですか。これは御存知でしょう。これは刑事局長さんですが、どうですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○説明員(竹内寿平君) そういう問題に入って参りましたので、資料を持って参りまして御説明申し上げます。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 出入国管理上外国人登録法が占めている役割について一言だけ申し上げておきたいと思います。  現在われわれ不法入国者を退去強制手続をとっておりますが、その発覚の端緒が、やはり呈示を求められて登録証明書を所持しておらなかったということであがってくる例が相当多うございます。正確な数字はつかんでおりませんが、先ほど経理部長の予算の説明にもございましたように、現在潜在密入国者が相当数、これは二万と言い、三万と言い、あるいは五万と言い、いろいろ申しますが、相当の数の潜在密入国者がおるということがいろいろな角度から言われておりまして、それらをやはり浮かび上がらせていくためには、現在の外国人登録法が持っている役目はかなり大きいのではないか。出入国管理を担当しております入国管理局から見ますと、こういうことが言えるのじゃないかと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは、何か資料がございましたら、不法入国者だという出入国の違反被疑事件、それから日本の国内でのそういう何か比較が資料としてほしいわけですが、大臣の先ほどのお言葉では、非常に不法入国者が多いから、それが大部分のケースだと言われているようですが、そうだけも言い切れない。もちろんそういうものが目立ちますが、それがウエートを主として占めておりますが、数字としては必ずしもそうでない。こういうふうに考えられるわけです。  それから、罰則では現在どうですか。携帯してない場合、あるいは呈示を求められて呈示しなかった場合には、一年以下の懲役、禁錮あるいは三万円以下の罰金、これが現在の刑罰ですね。そうなっておりますね。これは、刑事局長さん御存じありませんか。資料を出して正確におっしゃるのもいいけれども、大体このくらいのことは御存じだと思う、常識的に。そうでしょう。

竹内寿平法務省刑事局長

○説明員(竹内寿平君) 法律に書いてあるとおりでしょう。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうですね。最初はどうです。改正されてきたが、最初立法されたばかりのときはどうですか、登録法が。

竹内寿平法務省刑事局長

○説明員(竹内寿平君) その点の資料を少し見せていただきまして、正確にお答えしたいと思いまして、今役所のほうに取りにやっております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それでは、資料を取り寄せてからお答え願いたいと思うのですけれども、非常に最近は強化されてきて、罰金なんかでも、ここ二、三年のうちに、最初一万円であったものが三万円になってきた。それから懲役も、実刑ですね。こういうものも非常に強化されてきたように、これははっきり出ていると思います。あとで詳しくそちらで報告していただきたい。私は、このやり方を日本国民の場合と比較しておくことも、はっきり外国人に対して日本の政府が今どういう態度をとっているかということを明らかにするために参考になるのじゃないかと思う。戸籍法違反の場合、あるいは住民登録法違反の場合、日本国民の場合は、これは五百円の罰金でしょう。しかも、これは罰金ですから、行政罰なんですね。ところが外国人の場合は、さっき申しましたように、一年以下の懲役、禁錮、それから三万円以下の罰金、これは刑罰です。そういうふうになりますと、あまりに外国人に対して過酷だと、こういうふうに考えられると思うのですがね。日本国民との比較でこれはどうです。大体その国の民主主義を確立するためには、やはり第三国人、外国人に対してわれわれはこういう過酷なやり方をやっておったのではまずい。しかも、外国人登録法の登録数を見ますというと、その九〇%が実際は在日朝鮮人だ。こういう現状を見ますというと、結局は朝鮮人を取り締まる、そのための過酷なやり方が現在の録登法であり、さらに、それもほとんど三年置きくらいに改悪してきたというのが今までの終戦後の歴史じゃないか、こういうふうに考えるわけですが、これはどうですか。日本の民主国家としての体面から考えまして、また国際法の通念から考えて、こういうようなやり方は正しいと考えられるかどうか。この点、法務大臣から御所見を伺っておきたいと思います。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) まあ第三国人に特に刑を重くしておるという、そういう考え方が、岩間さんの考え方が、それはできるでしょうけれども、やはり日本人に対する罰則と外国人に対する罰則が同じでなくちゃならないといったような、そんなことは私はないと思うのです。特にこの種の法律は、政府としては、よその国との、よその国だってやはりそういう出入国の法律があるわけですから、それからまた、登録違反の問題や外国の法律とのつり合い等も考えて制定されていると思うので、ただいまのように、外国人に対して酷だといったようなことはないんじゃないかと、私はそう思っております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは、外国というとどこなのか。日本で外国という場合に、たいていアメリカをさす形になりますがね。まあこれは釈迦に説法だと思いますけれども、世界人権宣言書なんかで、人はすべて法の前に平等だと、こういう精神を大きくうたっているのですね。そういう立場から考えますと、あまりにも懸隔があり過ぎるのじゃないか。こういうふうな一体過酷な、しかも、これはまあ日本の国民がそう考えて、過酷でないなんて考えても、受ける立場から考えて、在日朝鮮人の立場から考えた場合に、一体どういうような感じを持つか。やはり日本の今後の平和的前進のためには、あまりこれは望ましい形ではないと、まあこういうふうに私は考えるわけです。そこは議論になりますから、進めたいと思いますが、ただ、今のような御答弁をいただきました法務大臣のお答えのやはり根底には、現実行なわれているこの朝鮮人に対する行き過ぎた人権侵害の例というものを御存じない。だから、二、三私、ここで参考のために申し上げてみたいと思いますが、たとえばこういうのがあります。これは一九六〇年十月、岐阜から商用で上京した禹容九さんという人が、証明書を家の机の引き出しの中に忘れてきた。ところが、淀橋警察署では、これを一週間留置して、三千円の罰金を課した。これは、証明書が一体あるのかないのかということを問い合わせはすぐわかるし、それから速達でこれを送らせるというような方法をとれば、これはできるわけです。一週間も一体警察に留置する必要があるのかどうか。これは必要以上に、ここに行き過ぎがあると思いますが、これは法務大臣御賛同いただけますか、行き過ぎだと。一週間はひど過ぎる。いかがですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) あまりこまかなことについて、私も専門家ではありませんから、お答えできませんが、行き過ぎがあれば、これは、法律の実施について、すべてのことに私は言えると思うのですが、行き過ぎはいかぬと思います。  それから、一週間が長いというふうに思わないかということでありますが、それはほかに、たとえば他の犯罪等の容疑を受けたとか、何かほかのことで疑われておるというようなことでもあれば、一週間とか十日ということは私はあり得ると思うのですが、善良な第三国人を、ただいまおっしゃったように、問い合わせればすぐわかるようなことで一週間も留置するというようなことは、あなたの御指摘のとおり、少し私は不当だと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 実際は、三千円の罰金で、一週間留置されているわけですから、ほかの疑いといえばあれですけれども、これは、問題は、証明書を持っているかどうかということだろうと思うのです。  それから、これは昨年の十一月ですが、東京に旅行に来た京都立命館大学の学生二名が、登録票不携帯の理由で上野警察署に留置されて、犯罪者のように、指紋を取られ、取り調べを受けた。朝鮮人学生が日本の大学に入学するときは、これは登録証明書を出して学生証をもらうわけです。これを確認しなければ入学できない。学生証は出したのだけれども、それではだめだというので、登録証を要求された。それでぎゅうぎゅうやられた。あるいはまた、今年の七月のことですが、李某さんという十九才の女子ですが、夜九時ごろに自宅に帰る途中、池袋駅前で三名の警察官に呼びとめられて、証明書の呈示を求められて、呈示したにもかかわらず、池袋駅のわきのマンモス交番に強制的に連行されて、靴下までぬがされるという不当な取り調べを受けた。こういう事実は、これは数限りなくあるわけです。こういう実態についても、法務大臣は御認識をいただきたいと思って、実は非常にこまい煩瑣なことかもしれませんけれども、ついでに申し上げた。その中で特に私は注目しなければならないのは、未成年青少年に対してこれが行なわれているという現実があるわけです。外国人登録法では、満十四才以上を成年としている。最近北区の朝鮮人学校のまわりを警察官が歩き回って、しばしば学生に対して証明書の呈示を求めている、こういう事態が起こっている。たとえば、王子警察では、朝鮮人学校に行っている十七才の学生が切りかえ登録に行った帰りを待ちかまえていて、補導と称して、朝鮮人学校の内部事情をついでにそれにことよせて聞いたりしている。さらに九月一日、朝鮮人学校の金某という女子学生、十六才ですが、通学の途中に、電車の中で証明書を紛失したため、居住地の警察署に紛失届を出しに行った。ところが、同警察署は、この学生に数回も出頭を求めて、所属学校の学生数、学生が何人いるのか、教員の数、寮生の数、密航の学生はいないか、そういうようなことをこれは聞いておるわけです。こういうようなことを聞いたということは、これは、こういう権限まであるのですか。証明書を持っていなかったということのために、学校の内容まで立ち入っていろいろ調査するという権限は、これは登録法を逸脱した違反の行為と思うわけでありますけれども、さらにこの少年に対してこのようなやり方をやるというのは、これはどういうふうにお考えになりますか。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 本質問は現場の関係でありますから、富田次長が御答弁なさったほうが議事進行上たいへん都合がいいと思いますが、いかがですか。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 けっこうです。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) お答えいたします。  先ほど外国人登録法の罰則が日本人と比較して過酷過ぎるではないかという点について大臣の御答弁がございましたが、若干敷衍してこの点を御説明さしていただきます。  この外国人の入国を許すか、あるいはこれに退去を命ずるか、また、その在留の管理についてどういうようないろいろ考慮をするかということは、これは、一国の主権の行使として自由裁量に属するところであるというふうに実は国際法でいわれておるところであります。ただ、やはり外国人の人権、それから国際礼譲というような見地から、国の公安、利益その他を害しない限度においてこれを尊重していくという建前にはなっておりますが、やはり一つの国に来て、国に出入りし、在留する外国人である以上、これを正確につかんで、不法入国、あるいはその資格外活動であるとか、いろいろな点を管理していかなければならない建前上、管理の適正を期するためには、ある軽度やはりしかるべき罰則を設けてこれを規制していくということが必要なのではないかと思います。したがって、日本人と比較して、その罰則の軽重を論ずることはいささか無理ではないかと思うのであります。一般論としてその点を申し上げまして、個々のケースにつきましては、当時の具体的な事情をよく承りませんと、それがはたして適正であったかどうか、ことに警察がやっておることでございまして、聞かなければ、この場でにわかに結論を下すわけにはいかないかと存ずるのでありますが、ただ、学生の中にも、登録がなくても学校に入れる、これは、なるべく登録証を持たなければ入学を許さないでくれということが、相当数年前に文部大臣を通じて学校に通達されているはずでありますが、必ずしも厳正に履行されていない面もあるようでございます。やはりそういうような点もございますので、登録証の呈示を求めて、先ほど申し上げましたような不法入国者の数字等からいきまして、警察のほうでも、非常にその点を、そういう呈示から不法入国者の有無を発見するということを熱心にやっておるために、若干いろいろな不愉快な思いを在日韓国人、朝鮮人が受けることがあるのではないかと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 警察の問題が起こりまして、警察に抗議しても、なかなか警察だけで解決しないので、こういう問題について、もっとそういうような訴えを聞いて、これに対して適当に正しく対処する、そういう方法を実は考えられればいいのですが、そういうところも実際はないということで、非常に行き詰まっている現状です。  それから、先ほどの刑罰の問題ですけれども、何も日本人と同じにしろということを言っているのではない。あまりに懸隔があり過ぎるのではないか、均衡を破っているのではないかという点を私は問題にしているわけです。十四才未満の子供についても、呈示を求めるというようなことがざらに起こってくるわけです。年がわからないからそういうことが起こるのだろうが、とにかく少年に対するいろいろな問題が、学校の内容を調査したりすることと関連して起こってくる。私がお聞きしたいのは、ただその身分証明書を持っていないからといって、それで学校の内容とか、先生の数がどうだとか、寮生は何人おるということを聞くことは、どうですか。警察として当然の行為だというふうにお考えになりますか。これはどうですか。これは逸脱した行為だと考えますけれども、この点はどうです。いかがですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 警察のおやりになっていることで、ここで何と、その是非を私のほうで法律的に申し上げるのはいかがかと思うのでございますが、登録証の呈示を求めて、持っていなかった場合に、その持っておらなかった事情等に関連して質問をする場合は、これは許されると思いますが、それ以上どの限度まで聞くことが許されるかどうか、その辺については十分まだ……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そう心配される必要はないのだ。これはたとえば、今後起こっちゃまずいことだし、警察のどこどこと私は特定のことをあげているのではない。ただ、こういうことは逸脱だということをやっぱりこの委員会ではっきりさせて、そういうことをさせないのが、当然法務省としては指導監督のそういう立場でもあるというふうに考えるわけです。だから、これは明らかに逸脱ですな。これは、先のことまで心配されて御答弁なさらなくてもいいと思うのですが、それはいかがです。そうでしょうな。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 不法入国ということになれば、年令別に、十四才以下であるからといって、特別にゆるい取り調べをするとか、そういうことはないわけです。不法入国者がある限り、先ほど入管の次長が御答弁をされましたとおりに、私が法務大臣になってまだ四カ月ぐらいしかならないわけですが、その間に私が決裁した特別在留許可ですね。これはおそらく七、八百になっていると思うのですよ。それは一体どういうのかというと、ほとんど学生なんです。これはもちろん密入国で、登録も何も持っていない。それを非常に日本のそれぞれの官庁が苦労をして、それを探し出して、そしてやむを得ず、そういうふうに学校に、せっかく大学に入っていることだから、卒業するまで許そうじゃないかという、私のほうで言うと、これほど寛大に取り扱う必要はないというくらいに私は寛大にやっているつもりなんです。そこで、そういう特別な場合でも、自首してくるような人が一体おるかというと、もうそういうのはほんとうにないのです。おそらく一%もないでしょうね、そういう不法入国者は。四カ月で四つほどございました。みずから不法入国者であるということを自首して、それぞれの信用の置ける人をたよって、ぜひ特別在留許可をいただきたいと自首したのがありましたが、あとはほとんど全部、これはもう日本の官憲の全く苦心惨たんした努力によって不法入国者を探し出して、本来ならば全部送還すべきものだと思うのですけれども、しかし、まあ朝鮮に関しましては、いろいろなことを考えまして、考慮に入れて、日本と朝鮮との長い目で見たいろいろな過去のこと将来のことを考慮に入れて、せっかく大学に入っておるのだから、卒業するまではひとつ何とかしてやろうじゃないか、私は大臣としてそういう方針でやっているわけなんです。先ほど、学校などでいろいろなことを立ち入って聞くのは不当じゃないかというお言葉がありましたが、そういうことも、やはり私は、一般論的にはあなたが言われるとおりだと思うのです。ところが学校によっては元来登録をやる、身分証明書を出して、それから入学の許可をすべきであるにもかかわらず、登録があろうがなかろうが、身分証明書があろうがなかろうが、そういうことはおかまいなしにどんどん入れているような学校があるわけなんですよ。そういうのに対しましてはやはりそういう不法入国等の取り調べをは担当しておる官憲から見ると、ある程度学校のことについて立ち入って聞くということは、私はいわゆる良心的な職務上のやり方として認めてやらざるを得ない。ただそうでない場合に、何にもないところへいって、いわゆるこちらから事をかまえるような、そういうやり方で、今あなたのおっしゃるようなことがあるとすれば、それは不当だと思うのです。しかし現にその学校には不法入国者がもう五人も六人も特別な在留許可を得ておる。いろいろ聞いてみると、おればかりじゃない、ほかにもたくさんおるぞというようなところにいって、ある程度立ち入ったことを聞くということは、私はどうもやはりそのくらい努力してくれる公務員がなければ、安心ができないと私は思うのです。そういう点はごく特別な例だと思うのです。特に隣人も認め、そういう永住許可などを持っている人に対しまして朝鮮人だからといって特別な不当な扱いをしたというようなことは私はないのだろうと思うのです。しかし日本には、これははっきりした数字はわかりませんけれども、少なくとも数万の密入国者が今日まだおることは、これは事実なんです。大体毎月二百名くらいの人を入国の審議会にかけて、いろいろなことを処理しておるようですが、それは全部密入国者なんです。そういう人に対してあるときには行き過ぎた調査のようなことがあっても、私はむしろそういう場合には密入国者を責めるべきであって、日本の官憲に対して責めるべきじゃない。先ほどあなたのおっしゃったことは一般的には確かにそうだけれども、こういう特殊なことについては、若干の好意的な理解が要るんじゃないか、こういうふうに私は考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それは密入国者の問題と、それから今の行き過ぎの問題をやはり混同させてお話になったとすると、まずいのじゃないかと思います。密入国者には密入国者として法的な規制をやるべきですから。ただ警官がそういうことで、今度はそういうことが口実になって職権の乱用が起こっては困るから――そこのところは法務大臣の御説明としては、それを何か警官の立場を擁護するような立場を今とられるのは、これはまずいと思います。現に逸脱の行為が、大臣の耳には入っていないと思うのです。ところがわれわれには入っている。まあ立場の相違もありましょうけれども。ですから、そこのところは行き過ぎについては、あくまでもはっきり行き過ぎという見解を堅持するという立場に立っていただきたい。  次にお伺いしたいのですが、この登録切りかえに国籍という欄がありますね。国籍については、最初これは「朝鮮」と、統一して記載することになっていたのです。それが本人の口頭による意思表示で朝鮮というのを韓国に変えることができるようになったと思います。いつからこういうふうに改められたのですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 最初、昭和二十二年五月に外国人登録で、ふるい登録令が施行になりましたときに、台湾人、朝鮮人は当分の間外国人とみなすと、いう規定がございまして、それから朝鮮の人という意味で、国籍欄の記載を朝鮮という名前を使用しておったわけでございます。ところが昭和二十五年の二月に当時の連合軍最高司令官のほうから、これは韓国代表部からの要求もあったと思うのでございますが、韓国という名前を使わせろという指令が参りまして、昭和二十五年の二月の法務総裁声明で、これは実際上は別に区別の意味はないのだから、希望してくる者には韓国と書きかえさせてやれという趣旨の声明が発表されておると思います。それから韓国という記載が出てきたのだと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、これはあくまでも本人の自由意思で朝鮮でも韓国でもいいという建前になっておるわけですね。逆に韓国から朝鮮に切りかえる、こういうことは許されているのですか。こういうことは認められるのかどうなのか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) お答えします。今のようないきさつで二十五年の二月から韓国としての記載を認めたのでございますが、二十五年の六月でしたか朝鮮動乱が始まりまして、その後、次の二十六年でしたか、二十七年の切りかえのころに変えまして、われわれ法務省といたしましては、登録法上国籍欄の韓国または朝鮮の記載には何らの実質上の意味を持たせていないにもかかわらず、これを民団と朝連、今の朝総連の間で一つの政争の具と申しますか、そこに書いてあると何だか自分のほうの勢力範囲に属するのだというような見方から非常な紛争が生じまして、そのために市町村の窓口なども非常に混乱して迷惑をしたということから、二十六年の二月ごろからは、もう特別な事情がない限り記載の変更はやるなという趣旨の通牒が流されておるわけでございます。特に、この切りかえの際は非常に大量の切りかえ事務に忙殺されます関係上、どんな特別な事由があるものでも、この切りかえのときにはこの国名の切りかえの申請は許してはいかぬというふうに指示して処理して参っております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それは何ですか、韓国から朝鮮に変えるときだけ、つまりどんな場合といっても自由意思で朝鮮を韓国に切りかえるということについては差しつかえない。しかし、その後はみんな朝鮮も韓国も従前の国籍でやれ、二十六年の二月からそういう方針でやっておられると、こういう意味ですか。そこのところがはっきりしませんので明らかにして下さい。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 二十五年の二月、連合軍最高司令官の指令によりまして……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは何号ですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) それはちょっと……。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 わからない。あとで知らして下さい、わかれば。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 指令によって書きかえを認めたのですが、そのため起こる摩擦がひどいために、二十六年の二月から特別の事由がない限り朝鮮から韓国、韓国から朝鮮、これについても認めないように、特別な事由がない限り。そうして受理した場合には本省に上げろということにいたしております。ただ従来の惰性で、初め全部朝鮮一色に記載されておりましたものが、ある一時期に限って韓国への切りかえが認められましたわけで、その惰性が若干残っているかとは存じます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、その一年間はそういうことですね。二十五年の二月にそういう指令が出て、それからそれを認めた。しかし二十六年の二月には特別の理由がない限りもう現状を変更するな、こういうふうな方針でいっている。ところがその特別の理由というやつが、これが相当くせ者じゃないですか。特別の理由があるということをこれはだれが証明するのです。それでその国籍を特別の理由があって変更する、こういうときには、何かそれに対してその理由を証明する表示が必要なんでしょう。それはどうなっておりますか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 特別の理由と申しますのは、たとえば婚姻によって身分が変更したとか、それから一家族の中でただ一人だけが別の変わった国籍を持っているとかというような、ほんとうにそういった特別の理由の場合でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 その理由を口頭で言えばいいのですか。現出を証明する証明書が必要なんじゃないですか、どうですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 家族の陳情書であるとか、それから身分が変わった場合には、その身分の変わった証明書であるとかというようなものでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これはもっと実情について御調査いただきたいと思うのです。私たちもそう詳しく知っておるわけではないけれども、しかし私どもの乏しい知識の中で、こういうことですね、まあ国籍は変更した、そうしておいてその後に特別の理由が生じた。その特別な理由が生じたという変更の理由ですね、その証明する文書を提出するというのですが、その証明書は韓国代表部が、韓国政府が発行しているそういうものを持っていかなければならない、こういう格好になっているのですよ。そうすると、日本には当然韓国代表部しかないわけだから、そうすると韓国関係、つまり朝鮮から韓国にかわる場合には、これは可能性があるけれども、もう今までの朝鮮の国籍を持っていると非常にいろいろな点で不便だという形で処理されていく、こんな形で実際は心ならずも朝鮮から韓国にかわっていくというような人がふえてきているのじゃないか。こういう点が現状では、表面はいかにも自由なようになっていますけれども、実際は朝鮮の国籍を韓国にかえるという方向に日本の政府は努力をされている、そういうような行政上の措置を相当とられている、そういうことがこう出てきていると思うのでありますけれども、その点いかがでしょうか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) 先ほども申しましたように、外国人登録法上全くこの両者の区別は意味がないのでありまして、これを民団、総連両方のほうで非常に重大に考えて、そのことが実はわれわれとしてもたいへんそう言っちゃなんですが、迷惑に存じておるような次第でございます。したがって、別にその国名の欄の記載が違うからということによって差別待遇はいたしておりませんし、今後もすることはない所存でございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これは、またあとのほうでお聞きいたします。実際は韓国の民法を基準としてやっているというのですが、韓国の民法とそれから朝鮮民主主義人民共和国の場合は違っているわけですね。そうすると、日本の政府はそういう差別待遇をとっていない、こう言っておられるけれども、実際はこれは差別待遇になっているのですよ。こういう実情をつかんでいないと、形式的な形だけではまずいんじゃないか。実態をもう少しやはり把握していただきたいと思うのです。今の国籍の問題について政府はそういう態度でかりにいっている、こういうふうにおっしゃっているのですが、実際上は行政上の措置を見ますというと、市町村役場などでは本籍地が南鮮だから、そこで国籍はいつの間にか本人の知らない間に韓国と勝手に変えてしまう、そういう例が非常にあるそうです。これでは自由意思とかなんとかいったって、そういうふうには行なわれていないので、こういうことについて一体入管局長は御存じないのか、法務大臣はどうかわかりませんけれども、どうですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 今まで登録を受けた朝鮮人に対しましては、その登録を最初の段階において自由意思で韓国なり北鮮なり、それはもうほんとうに自由な意思できめたわけです、御本人が。私は実はちょうど一カ月ほど前に入管局長と次長を大臣室に呼びまして、この国籍の問題については、いずれを選ぼうとも、決して政府もしくは市町村役場が一方に偏するようなことを断じてやらしてはならぬ、こういうことを実はきつく言いつけまして、故意にたとえば北鮮から韓国にかわりたい者は幾らでも自由にかわれ、韓国から北鮮にかわる場合はまかりならぬ、そういうことを断じてやってはなりません。とういうふうに実は非常にきつく私は言いつけてあるのです。そういうことをしてはいかんということを――。ですから、そんなことは私は行なわれていないと思うのですが、こういう場合はどうかというその実例として、たとえば日本で登録を持った同一家族の五人がおる。そのうちの四名は北鮮で登録をしておる。一人は韓国におるという場合、その韓国側におる同一家族の一人が、ほかの四人が北鮮だからこれを北鮮に国籍を変えてくれというような場合は、これはどうもそれを拒否することはないだろう、その逆の場合も当然じゃないかと思う。こういうことを私は言ったのですが、政府なり市町村なりが故意に、今おっしゃったように、どちらか一方のほうに指導するといいますか、便宜をはかるといいますか、そういうことは断じてしてはいかん、こういうことに私は、私の個人の大臣としての判断で、省議にも何もかけたわけじゃありませんが、局長、次長にも厳重に命令してあります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 非常にそれは、大臣のやはり良識ある御処置だというふうに考えます。ただいま、ただちょっとはっきりしなかったのですが、つまり韓国から朝鮮にかわるということも抑えちゃいかん、こういう点を特に念を押されたわけですね。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 私はこういうことを申し上げたのです。政府なり市町村なりが故意に好意を持つとか便宜をはかるとか、そういうことを断じてしてはいかん、この国籍の問題ですね。たとえば北鮮のほうから少しでも韓国側へ乗りかえるようにとか、韓国から北鮮へ乗りかえるようにとか、そういうことを断じてしてはいかん、これは非常に厳重に言い渡してあります。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ついでに、当人の意思だったら自由にそれを選択することができる、そういう建前を貫け、そういう建前を尊重しろ、こういう御意思で今のようななにをされた、こう考えていいですか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) その問題については、現に登録を受けておる人は自分の意思ではっきりしておるわけなのです。韓国という欄に丸をつけた人もおられますし、また北鮮というほうに丸をつけておられる人もおるわけです。それは、その登録当時の御本人の自由意思を尊重しまして、それについてはこちら側としては別に政府が特別な意見を加えたこともありません。市町村にいたしましても、登録を受けられる当時の国籍については、自由にほんとうに選択をされたわけです。今日これをどちらかに異動するという場合ですね、これはよほど特殊なケースでなければ認められないということは、これは私は法律の問題は詳しくわかりませんが、やはり常識だろうと思う。ですから、たとえば一方的に、こっちからこっちへ行く者はいいが、こっちからあっちへ行く者はいかぬということは、私は市町村役場でも、一カ所もそういうことをしておるところはないと思います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 その方針は、これははっきり貫いていただきたいと思うのです。  ついでに、入管局長さんは、今までも登録した者は変更させない方針だったのですか。先ほどあなたのお話では、二十六年二月以後はもう自由に一応の国籍を決定したのを変更させない方針、特別な事情がない限りは、こういうことですか。

富田正典法務省入国管理局次長

○説明員(富田正典君) おおむねさようでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 ところがこれはどうでしょうね、実際はなかなかそういうふうにいっていない点がある。ここに民事局長さんがいらっしゃるんですね。民事局長さんが出された一九五九年の十二月二十八日付ですか、民事甲第二百九十八号、これはお持ちですか。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) ちょっと日付をもう一度お教え願います。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 一九五九年十二月二十八日付の民事局長通達民事甲第二百九十八号、それからもう一つついでにお聞きしますが、これは一九六〇年六月六日付の厚生省引揚援護局照会に対する法務省民事局第五課長回答、この二つ。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) ただいまの書類は、今、手元に持っておりませんので、調べればすぐわかりますが、ここには持ってきておりません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 こっちの連絡が十分でなかったのですが、こういうふうに書いているのです。甲第二百九十八号には「一九六〇年一月一日から新たに韓国民法が施行されることとなったので、その身分法に関する部分は、同法の施行後は、従前の取扱における慣習に代わるべきものとして、すべての朝鮮人につき、同法中の親族編に則って実務の処理をするのが相当であると考える。ついては、右の趣旨」云々、それからあとの厚生省引揚援護局照会に対する文書では「朝鮮人の婚姻、養子縁組その他の身分行為について法則の規定によりその本国法に準拠すべき場合における本国法とは、わが国が事実上承認していると認めるべき大韓民国の法律を指すものをいうべく、したがって、当該朝鮮人が南朝鮮人であると北朝鮮人であるとを区別することなく、すべて「韓国民法」は大韓民国政府により一九五八年二月二十二日法律第四百七十一号をもって公布され一九六〇年一月一日から施行されたものであるから念のため、」、こういうような通達を出していられるんじゃないですか。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) ただいまの厚生省との間のこれらの往復の書面、今つまびらかには記憶しておりませんが、そういうことはたぶんあったかと思います。内容につきましてはさっそく調べてみますけれども、そういう往復の書面があったことは具体的には私、今、記憶いたしませんけれども、あり得ることだと考えます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、どうですか。大韓民国の韓国民法で縛られてしまう。「その身分法に関する部分」というのですから、むろんその「部分」でありますから、全部の、一切の権限というものは、たとえば徴兵とか、徴税とか、そういう問題については、これは一応この通達の限りにおいては、はずされているように思うのですけれども、しかしその他の身分についてはこれは韓国民法で全部を縛られている。それで南だろうが北だろうが、これによって処理すべきだ、こういう通達を出しておる。そうすると、これはどうなんですか。大臣がさっきお話しになった趣旨とはだいぶ私はここに隔たりが出てくる。民事局の見解だけなのかどうか。法務大臣の、私は、先ほどお話しになった方針は、現状においてはこれはおおむね良識的な御処置だ、こう考えておるわけですけれども、そうすると、この点どうですか。この点は、大臣の御趣旨で今の通達というやつは、これはこのまま生きておったのではまずいのじゃないか、混乱を起こすのじゃないか、はっきり大臣が心配されておる点に立って、これはやっぱり再通達を出すかどうかということをしなければならぬというふうに考えるのですが、どうですか、民事局長さん。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) ただいま日本に在住しておる韓国人と申しますか、朝鮮人と申しますか、それを韓国民法で縛るというお話がございましたが、そういう趣旨ではございませんで、これは国際私法の問題になのでございますが、身分に関しましてはしばしば本国法を適用しなくちゃならぬ場合があるわけでございます。日本の国際私法によりまして本国法によるという場合があるわけでございますから、その本国法をどう理解していくかということなのでございます。ただいま仰せのように、一九六〇年の一月一日から大韓民国の民法が施行になったのでございます。従来は、戦前からございました、まだ日本が統治しておりました当時の朝鮮民事令というのが以前ございまして、新しい立法ができない間はその朝鮮民事令が朝鮮を支配しておる本国法であろうということで、こちらの解釈としましては朝鮮民事令の建前に従って本国法というものを考えていたのでございます。一九六〇年から新しく大韓民国の民法ができましたので、本国法という場合にはその大韓民国の民法を基準にして判断をしていく、そういうことなのでございます。これは日本の法律の解釈としてそういうふうにやっていくということでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 それはあなたの個人の見解ですか。政府の方針なんですか。これはずいぶん問題だと思う。あなた、国交が回復されていないでしょう。正常化されているのなら今のような話は一応これは筋が通ります。ところが国交は未回復なんです。ところが、すでに国交が回復されたような形のやり方じゃないですか。それはやっぱり国際法の常識だって通用しないじゃないですか、そういう言い方は。それは勝手な解釈であり、やはり国際通念には合わない。そうすると、私は、そういうようなことが、――これはやっぱり一局の考え方かわかりませんけれども、そういう形で行なわれているところに問題がある。大韓民国のたとえば婚姻に対する条件、これはどうなっています。ちょっとこれは聞いておきたい。どうですか、御存じですか。大韓民国のたとえば婚姻、婚姻に対する成立条件についてちょっとお伺いします。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 婚姻のどういうところをお尋ねでございましょうか。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 たとえば年令、成立要件。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 今、手元に大韓国民の条文持っておりませんので、明確なお答えはいたしかねます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私のほうから申し上げなければならないようなことになったのですが、これは韓国民法では、親族編で女は二十五才、男は二十七才までは父母の同意を得、家族会議を経なければ結婚できな、で、二十五才、二十七才以前では父母の同意、家族会議ということが成立要件になっておるわけです。ところが、これは同時に朝鮮民主主義人民共和国で見ますと、満十八才、こういうふうにこれは任意の結婚ができることになっておる。日本の場合をついでに申し上げますと、男は十八才、女は十六才ですよ。これは御存じのとおり。そうすると、ここに非常にこれは在日朝鮮国民の間にいろいろ矛盾と混乱が起こるのです。これは大臣が先ほど御心配されたとおり、こういう問題を、やはり私たちその人たちの立場に立って考えるという思いやりがなければ、やはり日本の政治というものは私は対外的に成り立たないと思うのです。そういう慣行だからというので、韓国の言いなりどおりに、本国法だというので、まだ国交も回復していないのにそういう形でどんどんそういう通達が出され、それによって強行されるところに大きな混乱が起こってくる。私は、こういうようなやり方で一方的に日本の政府が処理すべきじゃない、こういうふうに考えるのです。それで、その背景が何かという問題です、ここで私が問題にしたいのは。今御承知のように日韓会談が非常に大きな問題になっております。世界の注目を浴びておる。日本の平和と日本の民主主義を守る、こういう人たちは非常にこの問題に関心を深めているわけです。きょうの読売新聞を見ますというと、現存請求権問題はまだ解決がつかぬ。大平・金会談まではなかなか請求権の進展は見ない。そこでさしあたり漁業及び法的地位関係の促進がはかられることになるだろう。しかも漁業関係は韓国側の具体案作成がおくれているため、まず法技術上の問題だけを残している法的地位関係を急ぐことになる模様だというので、あなたが――平賀法務省民事局長、それから小川同省入管局長が七日ごろ出発して、一週間滞在の予定でこの問題を進める。これは毎日新聞、読売新聞でありますけれども、こういうふうに出ている。どうですか。これはもうすでに日韓会談というものは今から大きな問題になっている。これに対して御承知のように反対する勢力も非常に多い。国民の世論というものはまだ決定されていないわけです。今後の政治路線というものはこれはまだまだ将来の問題なんです。それなのに、もうすでに、それと同じような既成事実を作ってしまって、そして身動きならないところに追い込んでしまって、仕方がないのだということで、結局これは日韓会談のほうに持っていくというような形になるとしたら、これは重大問題です。処遇問題も、日韓会談の中の三つか四つの重要事項の、これは一つです。しかも、あなたは法務省を代表していよいよ韓国に行かれる。こういうことになるとすれば、これは重大問題だと思うのです。私は、こういうことを今ここで申し上げているのは、実は日本政府の態度の中に、この第一回の予備交渉以来、韓国側からの非常に大きな圧力があった。韓国側は日本政府に対して、韓国政権を全朝鮮を代表する正統政権として承認する、そのことを強く要求したのであります。また在日朝鮮人の法的地位、特に国籍の処遇について韓国国内法の適用に基づく韓国籍とすることの承認を同町に要求した。その当時日本政府は、これに対してどのような態度をとってきたかといいますと、日本政府は韓国側に日本国と大韓民国との間の友好条約案というものを示して、その第四条によるというと「日本国及び大韓民国は、一九四五年九月二日以前のいずれかのときより日本国に引き続いて居住する朝鮮人を含むすべての朝鮮人が大韓民国国民であって日本国民でないことを確認する。」という態度を表明しております。これは今までの歴史的な事実になっておる。大韓民国国民であって日本国民でない。こういうことを確認するというような案を示しているんですね。これが大体朝鮮戦争の前後です。そうでしょう。朝鮮戦争の起こったあとだ。アメリカの圧力があったことは事実です。アメリカはこれを希望しておった。こういう態勢の中で日本政府はこのような態度を表明した。ここにすでに、やはりこの朝鮮人を全部韓国民に編入したいという、こういうような意図が出てきているんです。そうしてしかも、そのような前提の上に立って、ただいまのような民事局長の通達が発せられた。その方針によって、これは地方の市町村役場におきまして、ともするというと、朝鮮を韓国に改める方向に有形無形のいろいろな、これに対して圧力を加えておるというのが日本における現状です。これは日韓会談を前にして在日朝鮮国民の処遇を決定する、こういう問題から考えまして、六十万在日朝鮮人の実に権利と生活に関する重大問題、この問題を一体どういう立場から――さらにはアジアの平和、それから真に正しい国交の回復の面から、どういうふうにこれは一体処置すべきであるかということは、日本のやはり政治路線を決定する上においては重要な問題です。単に法務委員会の技術的な問題だけではない。外交上の重大問題にこれはなっておるわけです。私は、こういう点で先ほど法務大臣の示されたようなあの線を、もっと積極的に明らかにされて、あくまでその権利を守るという立場に立たれることを希望したいと思うのです。いかがでしょう。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 御存じのとおりに、日韓問題は今外交交渉が行なわれておるまっ最中ですから、あまりこの委員会でその問題について触れることは避けたいと思うのですが、法務大臣といたしましては、国籍をいずれを選ぶかという、これは全く在日朝鮮人のこれは自由だと思うのです。そういう意思に基づいて、今日まですでに韓国とか北鮮とかいうことを明らかにして滞留許可を持っておるわけであります。でありますから、日本政府が朝鮮人にしいて国籍をば、日本政府が朝鮮人に要望して取らせる、いわゆる朝鮮人の国籍を日本政府がしいるようなことをするということは、これは断じてありません。私はそういうことをしないつもりであります。先ほど来いろいろ局長通達をめぐっての話がありましたが、あの問題は、すでに韓国籍を取っておられる、本籍が北鮮にあろうが南鮮にあろうが、韓国の国籍を取っておられる人に対しては、私は、これは将来韓国政府の意向というものが当然いろいろ反映してくるだろうと思うのです。ところが本籍が南鮮にあっても、北鮮の国籍の許可の届けを出しておられるというような場合には、それは大韓民国の法律には私は従わないだろうと思います。私は、そういう解釈をしておりますので、岩間さんが心配しておられるのもよくわかるのでありますが、政府が在日朝鮮人の国籍を一方的にきめてしまうというようなことは、私はそれはできないと思うのです。そういうことはできないことでありますから、また日韓交渉の過程にそういう朝鮮人の国籍問題等が出ておるかどうか、そういうことは私存じませんけれども、それはどこまでも韓国民に対する国籍のことであろうと思うのです。おそらく私が承知しておる、今の韓国国籍を取った人、北鮮の国籍を取った人、日本は現在はそれは全く無意味な対象であって、いずれも朝鮮人なんです。特別な恩典を韓国国籍を持った人に与えるとか、あるいは北鮮の国籍を持った人に与えるとかいう、日本の法律はそういう使い分けをしていないわけでありまして、まあ当時、在日朝鮮人に自由に二つの欄を設けて書かしたところが、北鮮と韓国におのずから分かれたと、こういうことであって、私どもから見れば、これは同じ朝鮮人なんです、現在のところでは。しかし、将来どちらかの国と主権の交換をする日が来まして、正常関係に入ったということでありますと、そのときには当然その本国のそういう法律に従わなければならないような面も出てくるかと思うんです。ただし、そういうときに、朝鮮人の国籍を日本が全部大韓民国の国籍をとれといったような指導をしたりする、そういうことは私は実際できないことだと思うんです。これは人道上もできませんし、また国際法上もそういうことはできない。そういうことでありますから、岩間さんの御心配は少し心配し過ぎておられるような気がするんです。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 私は、心配し過ぎるよりも、現に予備交渉で、先ほど申しましたように、全部在日朝鮮人はもう韓国籍にすると、こういう要求を……。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) ちょっと途中で悪いですが、それはいつのことなんですか。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 これがちょうど一九五一年。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) それは昔のことでしょう。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 昔のことだけれども、しかしこの線は堅持しているでしょう。今の処遇問題で一番大きな問題は書いてないんですね。これは韓国に行ってごらんなさい、ソウルに……。

平賀健太法務省民事局長

○説明員(平賀健太君) 大臣が仰せられます御趣旨は、私の理解いたしますところでは、南であるか北であるかということによって、日本政府としては差別していないという御趣旨だと、私理解するのでございます。私、先ほど申し上げました点は、国際私法の関係におきましては、たとえば日本人と朝鮮人との間の婚姻というようなことがございます場合に、岩間委員御承知のように、婚姻については先ほども大韓民国の民法のことのお話がございましたが、婚姻の要件があるわけでございます。その要件を満たしておるかどうかということにつきましては、日本の国際私法は、それぞれ本国法によるということになっておるわけでございます。その本国法というものをいかに理解するかということが問題で、朝鮮のような場合は、南北に現実に分かれて、二つの政権ができておるという場合に、どう理解するかという、一つのこれは困難な問題になってくるわけでございます。ところが、現実の問題といたしまして、日本に在留している朝鮮の人に、これは南か北かということは、日本政府としてはきめるきめ手が何もないわけでございます。前から引き続いて長年日本に生活の根拠を持って永住しておるそういう人々、その中にはもう日本で生まれた人もおります。そういう人たちを北か南かという区別は、これは日本政府としてできない。たまたま本籍が北か南にあるかによって区別することも、これは困難なんであります。それから、思想、信条などによって区別するということも、日本政府としては不可能でございます。他方、婚姻とかいうことになりますと、これは日本で婚姻します場合には、日本人の場合と同じように、やはり市町村役場に婚姻届を出しまして婚姻をするわけでございますが、その市町村役場で婚姻届出を受理いたします場合には、はたして婚姻要件を具備しているかどうかということを調査いたしまして、婚姻届を受理するわけでございます。これが朝鮮の人でありますと、その木国法に照らして要件が具備されているかどうかを調査しなければならぬ。その本国法をどう見ていくかということの問題なのでございます。で、私どもの現在の解釈といたしましては、この南北というような区別ができないものでありますので、韓国民法というものを基準にして婚姻要件というものを判断して、受理するかしないかをきめるようにすべきであろうというのが私どもの考えでございます。これは要するに、婚姻というものは一たん成立いたしますと、後日になってその婚姻が無効である、あるいは取り消し原因があるということによって不安定な結果が生じてはいけない。やはり何か明確な、判断の基準になるものが必要なのでありまして、その本国法としての韓国民法というものを基準に考えるように――これは南であるか、北であるかによって差別はいたしません。一律に韓国民法によって要件を具備しているかどうか、大事をとるわけでございます。後日当事者間に婚姻が無効だとか、取り消しとか、そういう問題が起こって当事者が非常に因るという事態が起こらんようにということなのでございます。そういう意味でございまして、南北を差別したということでは私ども決してないと考えるのでございます。やむを得ざる措置と申しますか、現状においてはそうするより――そうすることが一番確実であるという判断に基づくものでございます。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 この件についてどうですか。これは当事者から事情を聴取しましたか。これは事情をもっと聴取して、そういうふうに便宜主義的なやり方でいったのではまずいのじゃないかと思います、事情がね。それから今言ったあなたの、結局本国法ですね、韓国民法という形でやっていきますとね、それはまたさらに大きな日韓会談という、こういう交渉の場面で、そういう既成事実が作られておるのじゃないか、こうやっておるのじゃないか、そういう立場に立ってこれは進めたらどうだというので、これは追い込まれてくるのであって、あなたがそれの衝に当たられる。すると、日本政府の立場では、とにかく日韓会談が成立しても、これは韓国人――南朝鮮だけに適用される、北には適用されぬというふうな解釈はしていないようですね。これは大平外相の衆議院における答弁を聞いたのでありますけれども、そういう建前からすると、どうも非常にそこのところ、日本の実際の行政上と、それからどうも政府の一応ここで説明されたものと、この間に非常に矛盾があるわけなんですね。そうして、その矛盾がそのまま持ち越されて、結局は大きなところで出てしまう。そこのところを実際は当事者たちの権利が無視された形で進められるという格好になったら、非常にこれはまずい。現にどうですか、韓国政府の籍ですね、籍の切りかえが、ここに私資料を――これは法務省の統計によるのですが、一九五〇年三月末を見ますというと、当時の韓国籍は七%、朝鮮の国籍は九三%、それが一九五五年一月を見ますというと、これが二五%が韓国で、それから朝鮮が七五%というふうに、非常にこれはやはり切りかえの中で変わってきているのです、比重がね。で、こういう中に実際はこの今のような通牒が出され、あなたたちの意思というものが、さらにこれが地方の末端のほうでは相当これは拡大されて解釈され、便宜的に施行されている。そういう筋が見えるのですね。先ほど入管局長からも、国籍については原則として国籍変更をやらないことになっている、こういうふうに言われておりますけれども、これもまあ現実に次のようないろいろな事実がありますよ。仙台市長町居住の季某氏は、最近同町内に移転したが、番地変更の届け出をしなかったとして、仙台南警察署に呼び出され、番地変更届け出の件は見のがしてやるから、国籍を韓国に変更せよと強要された、こういうのが私のところに来ております。これは大臣、あとでもし必要でしたら、そういう資料を差し上げます。ですから、先ほどの心配がほんとうに下部ではどうなっているかという、こういうことを実際御検討いただく上に必要なる材料であると思いますから、必要なら差し上げます。さらに塩釜市の、これは宮城県です。康某氏は、市役所で切りかえの際、文盲であるのにつけ込み朝鮮籍を韓国籍に作りかえ、知らぬ顔で新登録証を交付した。こういう事実があります。第三には、下関市を初め山口県下で、市町村役場では、切りかえに際して「これでよいか」と念を押し、暗い韓国籍に変えることが利益になるようにしている。第四には、宮城県下では、韓国籍に直しておかなければ永住権を認められないと警察官や市町村の担当者が在日朝鮮人をおどかし、韓国籍への切りかえを強要している。  このような二、三の例のように、登録切りかえを機会に在日朝鮮人の国籍を韓国に切りかえさせようとしている事実がたくさんあるのです。これは日韓会談の進行とともに法的地位委員会の動きとあわせ考えて、ますます日本政府の態度が重要な問題になってきていると思います。私は、こういう現状を考えて、民事局長さんが韓国に出向かわれるのでありますから、けさほどのニュースでこれが明らかになったわけでありますから、この点についてはっきり国籍の変更問題について日本の立場というものを明確にされることが必要だ。あくまでやはりこの朝鮮国籍を韓国に強要する、全部大韓民国にしてしまうんだ、こういう意思はないんだ、できもしないんだ、こういうふうに法務大臣はお考えになっていらっしゃるということを確認してようございますね。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) よろしゅうございます。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 速記をつけて。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そうすると、そういう格好になりますと、韓国籍と共和国公民とを分けて、これは先にいってどうなんです、待遇上差別待遇すると、そういうようなことは、これはないというふうに同町に確認してようございますか。  それからもう一つ永住権の問題ですね、永住権の問題を脅かすというような事態は起こらないものだ、こういうふうに確認してようございますか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 日韓交渉の全貌を私知っておるわけじゃございませんが、まだ朝鮮人の国籍問題については実は結論は出ていないと思います。かりに、これはまあ仮定の問題ですが、日韓交渉が成立して国交が回復したあとにおきましての在日朝鮮人の中には、自分の本国は韓国だと称する朝鮮人が明らかにあるだろうと思うのです。これも私の仮定の議論でありますが、私はそういうふうに常識的になるだろうと思うのです。そうしますと、在日朝鮮人の中で日韓交渉妥結後に国交回復が行なわれました後には、韓国人と韓国人でない朝鮮人とに在日朝鮮人の中で分かれることになります。その韓国人でない在日朝鮮人をどうするかという問題であろうと思うのであります。私は、永住許可その他日本の法律の適用等についてはおそらく不公平なこと等は起こらないだろうと思うのです。永住許可等についても、君は韓国人じゃないから永住許可権は与えないとか、そういったようなことは私は当然できないものだと、こういうふうに信じております。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 できないし、やる意思もないと、こういうふうに解釈してようございますか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) そのとおりでありまして、できないし、やる意思もありません。

岩間正男日本共産党

○岩間正男君 そういうことを私は確認をしていただいて、最後に、特に在日朝鮮人の立場というのはこういうのじゃないかと思いますので、この点を申し上げて、さらに法務大臣のそのような方針を貫いていただきたいと思います。在日朝鮮人に韓国籍を強要し、政治的取引にこれを利用しようとする態度は、これは日本政府は絶対とるべきじゃないと考えます。また政府は、在日朝鮮人に選別して迫害を加えるような、そういう策謀にも絶対に同調すべきじゃない。在日朝鮮人は朝鮮民主主義人民共和国の堂々たる公民だ、何人もこの権利と自由を奪うことはできない。日本政府は在日朝鮮人の民主的、民族的諸権利と国際法上公認された外国人としての合法的権利を重んじ、これにふさわしい待遇と保護を与えるべきであると私は考えます。先ほどからの法相の御見解によれば、私が今申しましたような要望事項については、これは当然そのような方針を貫いていただけると考えるのでございますが、いかがでございましょうか。

中垣國男自由民主党法務大臣

○国務大臣(中垣國男君) 岩間さんの御意見、御趣旨のとおりでありまして、日本に住む永住許可権を取った第三国人が、日本に国法に従っている以上、差別等をすることは断じてありません。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 暫時休憩いたします。  午後は二時より再開いたします。    午後一時七分休憩      ―――――・―――――    午後二時十二分開会

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) ただいまから法務委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、質疑を続行いたします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 閉会中の審査については、まあ国会であまりおそくまでやらないとかいう慣例があるということをお聞きしたものですから、できるだけ短くやります。ですからぜひ要点だけお答え願いたい、こう思います。  最初に、司法修習生の採用問題、それからあとでは判事の採用の問題があるわけですけれども、司法修習生は、今一次試験、二次試験、三次試験があるのですが、三次試験が終わって正式な司法試験の合格発表があるのはいつごろで、それからそれに対して最高裁として採用に当たるというような形をとっているのでしょうが、そこのところどういうふうになっているのでしょうか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) 司法試験のことは御承知のとおり法務省の所属になっております司法試験管理委員会で所管しておりますので、私から詳細をお答えするのも適当でないかと思いますが、本年は最終の試験の合否の決定は九月の末日になっております。それでその日に合格の発表をいたしたわけでございます。それからちょっと日は正確に覚えておりませんが、ごく最近までの間において司法修習生として希望のあるものを申し出させまして、これから最高裁判所においてそれぞれ本人等に当たりまして採用を決定するわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 司法修習生は、将来もちろん判事、検事、あるいは弁護士になる人ですから、たとえば身元がはっきりしていなくちゃいけないとか、あるいは例は非常に悪いのですが、たとえば破壊活動防止法の調査の団体に属しているとか、いろいろあると思うのですが、そういうふうな場合には一体採用はどういうふうになることになるのでしょうか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) 司法修習生は、申し上げるまでもなく、将来は裁判官、検察官、弁護士になる者でありまして、一定の資格を持ち、またそれぞれの品位を汚さないような行動をしなければならないものでありますから、先ほどお話のような経歴、あるいは家族の関係等についてある調査をいたしますことは当然のことであります。破壊活動防止法で指定されている団体の団体員であった場合はどうかというようなお話でございますが、ちょっと私、その破壊活動防止法の団体に指定されている団体というものをよく存じませんので、あるいはないのじゃないかと思うのですが、そういうことで現在問題になっておることはありませんものですから、そういう方面の調査はいたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、たとえばこれもまた例が適確でないうらみはあるのですが、たとえばアメリカ帝国主義は日中共同の敵だと浅沼さんは言ったわけですが、彼を刺し殺した山口二矢、ああいう人の右翼テロというものはけしからぬけれども、そういう人の立場もよくわかるという意見も個人的にあるでしょう。また日韓会談が今非常に促進されている。これは非常にアジアの平和のためにも、日本の民主主義を破壊するものであるからけしからぬというような、そういうような非常に強い考え方を持っている人――そういうような考え方を持っている人もおると思うのですが、こういうような問題については、そういう考え方を持っている人、まあその程度にもよりますけれども、何かの形である程度調べるわけですか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) 今お話のことは、まあいわゆる思想調査というような問題であろうかと思いますが、最高裁判所ではそういうような調査は一切いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それじゃ思想調査という言葉は悪いのですが、思想調査の問題は一応抜きにしまして、普通、下村さんの言われた経歴であるとか、家族関係であるとか、そういういろいろな調査、それはどういうふうな形で実際は行なわれているのでしょうか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) 志望者の居住地を所轄しております高等裁判所、地方裁判所、あるいは家庭裁判所に依頼して調査をいたしております。それで実際問題といたしまして、各裁判所では人事課とかあるいは総務課というような、人事に関係の深い課の職員に依頼しまして、この調査をしておるのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 実はまあ私、個人的なことを申し上げて恐縮なんですが、私ども戦争中ちょっと前に司法官試補になったわけですが、そのときにはぜひ警察、特高から来てくれというので、警察の特高に呼ばれまして、司法官試補を志望しているかどうかとか、いろいろなことを聞かれたわけですが、私個人の経験でもあるわけですが、そういうような形で、結局まあそれが思想調査と言えるかどうかというのは別として、まあ身元調査でけっこうですが、最高裁としては地元の地裁なり高裁なりに依頼するとしても、それらのものが警察なりあるいは公安調査庁なりに依頼をして、いろいろ本人の近所へ行ったり、それから出身の学校へ行ったりして、そうして調べることが実際には行なわれているのではないでしょうか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) その調査を具体的にどうするかということは特に指示してございませんし、実情も必ずしも詳細にわかりませんでございますが、お話のような公安調査庁等に依頼をいたしましたりしたようなことはないと思います。学校等につきましては、あるいは多少問題のある人であればその評判を聞くということもないともいえないわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは公安調査庁でないとすれば、警察の警備あたりに地元の裁判所がいろいろ頼んで調べてもらうというふうな方法も実際にはとられておるんじゃないですか。この点はお聞きになっておらないのか、あるいは地元の高裁なり、あるいは地裁なり、家裁に一任をしておられる、こういう形なのでしょうか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) 一任をいたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、多少問題のある人は学校などに行って調べるということを言われましたが、司法試験に受かった人で多少問題がある――言葉じりをとらえて恐縮ですけれども、多少問題があるというのは、どういう点に――過去に多少問題があるというのか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) たとえば学校等で何かいろいろ騒ぎがありまして、刑事事件に関係があるというような問題があります場合には調べると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは学校で騒ぎが起きて、刑事事件に関係があるかどうかを調べる場合があるのでありますが、そういうふうな場合に一体だれが調べるのか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) 初めに申し上げましたように、一任をいたしておりますので、具体的なことはちょっと申し上げかねますけれども、要するに先ほど申しましたようないろいろなことをそれぞれそういうことを所管しております学校のほうの職員に聞くことができるわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは三十六年に一人、三十七年に一人、刑事被告なんかで事件が起訴されたということで不採用になった人がありますが、これはどんな事件ですか。これは個人の名誉もありますから、事件名だけでけっこうです。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) 罪名は私は正確に記憶しておりませんけれども、学校の教授の部屋に入って要求を受けてもなかなか退去しなかった、あるいは混雑の際に暴行ですか、傷害を加えたとか、そういうような事件と聞いております。正確な起訴罪名はちょっと承知しておりませんけれども、そういう内容だと思いました。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その事件の詳細な内容をお聞きするつもりは私のほうにはございません。そうすると、学生運動などをやりましても起訴をされていなければ司法修習生としては採用されるのだ、こういうふうに承ってよろしいでしょうか。学生運動そのものをやっておったということ、そのことが司法修習生として、今下村さんの言われたような将来司法の判事、検事――弁護士というと別になると思いますが、中心になってやるわけですけれども、学生運動を積極的にやったという形で修習生に採用されないというふうなことはあるのでしょうか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) 学生運動の程度にもよるかもしれませんですが、普通考えられております学生運動でありますれば、それを理由にして不採用というようなことはございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、司法修習生に対する採用の基準というふうなものは一応わかりましたが、それが二年間の修習を終わって、たとえば下村さんも判事であるわけですけれども、その判事になる場合の採用についてはどういうふうにしてやるのでしょうか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) これはいろいろ司法研修所で修習しました結果とか、それから最高裁で申しますれば人事局でいろいろ調査いたしました結果に基づいて採用をするわけでございまして、現在は御承知のとおりになかなか裁判官の定員を満たすのがようやくでありまして、特にたくさん希望者がありまして、そのうちから多くの者をはねて選択するというほどの状況になっておりませんので、どうしても採用するには不適当だと考える者以外はほとんど全部採用されておるような状況であります。で、不適当な者のうちで大体これは修習生になるときに判明するわけでございますが、病気なんかのために長く裁判官をやっていけないというような者は当然排斥されることになります。しかし一年くらい待てばその病気がなおるとか、あるいは先の見込みが立つというような者については、ある程度の猶予をして来年また採用するということもあるわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この問題はそうここで取り立てて特に申し上げるほどのあれではないかと思いますが、実は私も修習生を預かっていろいろ指導などしておるわけですけれでも、いろいろ聞いてみますと、十二月に大体内定することになっておる。ところがいろいろな理由、この理由がはっきりしませんけれども、とにかく十二月に内定しないで来年に持ち越されてだいぶおくらされるような人が相当というか、ある程度そういう人がいるのだ、こういうようなことを言うわけです。そういうふうな人は特に学生運動などやったような人、そういうふうなところに積極的に関心を持っていた人、こういう人が十二月に内定をされないであと回しにされるというようなことをよく聞くわけですが、十二月に内定されるというのが普通の状態なんですか、それがおくれるようなことは相当ありますか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) 人々によりましていろいろ調査の方法が早急に運ばないものもございますので、多くはできるだけ近い機会に内定をするようにしておりますが、いろいろな関係で多少翌年に入るものもございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると昔は警察、特高に頼んで身元調査をしてもらっていたのが通例だったわけですか。そこはどうなんでしょうか。私は実際警察に呼ばれてやられたのですが、昭和十七年の司法修習生ですが、個人的なことを申し上げて恐縮ですが、当時司法省からの命令でこういうふうなことを調査してくれと言われて特高に呼ばれてそこで調べられた。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) 昭和十七年のころですと、ちょっと御答弁いたしかねるのでございますが、あの当時はまだ治安維持法なんかございますから、そこに治安維持法で規制されております団体に加入するとか、あるいはその目的遂行行為をするとかいうようなもの自体が一つの犯罪であったわけでございますから、あるいはそういう調査をしたのかもしれませんですが、責任をもってはお答えいたしかねます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その当時、治安維持法があった、よくわかりました。古いことを言ってもしようがないのですが、現在では破防法があって、右が五つ、左が五つの団体が調査の対象に指定されているわけですね。これは破壊活動、暴力的ないろいろな活動をするおそれがあるというので指定されているのですが、そういうところに所属をしているかどうかということも、調査の対象にしているのじゃないでしょうか。そのことをいいとか悪いとか、決していうわけじゃなくして、現実の問題として調査をしているということじゃないでしょうかね。そうでないと、たとえば判事に将来なる人が非常に暴力主義的破壊活動団体に入った人が、たまたま判事になってそのような思想のもとに裁判をするというようなことであるならば、今の最高裁――日本の裁判としては非常に困ることができるんじゃありませんか。いつかありましたね、裁判官の赤化事件ということもあったし、そういうこともあるから、そういう団体に属しているかどうかということは、何らかの形で調査をしているのじゃないですか。

下村三郎最高裁判所事務総長

○説明員(下村三郎君) そういう問題につきましては、従来、国会等でも非常に御議論がありまして、私のほうとしては慎重を期しまして、特に何かそういう疑いでもあれば別でございますけれども、積極的な調査はいたしておりませんです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 じゃこの問題については、この程度で打ち切りますけれども、修習生の話をいろいろ聞いてみるというと、はっきりしないところももちろんありますけれども、公安調査庁の人らしい人が来て、学校へ来たり、隣り近所へ来たりしていろいろな家庭の状況だとか、その他の問題を調査しているのが相当あるということをよく修習生の人は言うわけです。ですからこれは今下村さん、そう言われるのですから十分そういうようなことのないように、公安調査庁など使って調査することがないように、ひとつお願いしたい、こういうふうに考えております。いろいろきょう裁判所関係の概算の要求書をいただいたばかりでありまして、いろいろ聞きたいこともありますけれども、裁判所関係は質問はこの程度にいたしまして、別な機会に譲らせていただきたいと、こう思います。  ただ資料として出していただきたいと思うものがあるわけなんですが、これはきのうの新聞にも出ておりました吉田石松再審の問題。きょうも出ております北海道釧路の再審事件、それから再審制度の小委員会も開かれているわけです。いずれ再審に対するいろいろな資料が最高裁から出されるのは普通だと思いますが、当然出なくちゃならないのだと思いますが、そこで再審事件についてあまり古いことを言っても大へんでしょうから、新刑訴ができてからでもけっこうだと思うのですが、再審事件は大体年に再審申し立てが百件までいってないわけですね。七、八十件から九十件くらいですね。そこでたとえば昭和二十四年から三十五年までの十二年間に再審申し立てをした人が千二百一名で、無罪が五十四名。その五十四名の中の十四名というのは検察官から申し立てたものだ、これが日本弁護士連合会からの資料のように聞いているわけですが、そこで新刑訴になってからでけっこうだと思いますが、再審の被告といいますか、人名ですね、これは人名はもちろんABCという形の仮名でけっこうです。符号でけっこうですが、年令、男女別、原審の刑、請求人、被告人――確定しておりますから被告人もおかしいですが、被告人あるいは検察官、どちら側が請求人になっておるか、その具体的な内容、結果、こういうような点について具体的な資料を、これは相当日にちがかかるでしょうから急ぐわけではありませんが、ぜひ将来整えておいていただきたい。こういうことをお願いしておきます。  それから、これは資料のお願いですが、もう一つはこれは要望になるのですが、今東京地方裁判所の民事部ですね、これは現在三十二部あるようです。ところが昭和三十二年には二十四部だったのだ。だんだん部がふえてきたのだけれども、タイピストは二十四部の当時の二十四名しかいない。一人欠員で二十三名です。非常にあの部屋の通風とか採光が悪い。しかも機械が古いために体を悪くしたり、目を悪くしたりする状況があるということで、非常に待遇の改善を東京地裁ですかのほうのタイピストの人たちが訴えておるわけですね。これはあなたのほうでいろいろお調べを下さって、ぜひ善処をお願いしたい。これは要望としてお願いしておきます。  最高裁の皆さん方はお忙しいでしょうから、きょうはこの程度でけっこうでございます。  次は防衛庁関係の問題についてお尋ねをしておきますが、ひとつお尋ねをしておきたいのは、航空自衛隊の松島基地で、今年の六月二十六日に例の騒がれました飛行機を持って行って中共ですかシベリアですか、どこかへ脱出しようとした事件がありましたですね。あの事件の結末は今どうなっておるんですか。それからお聞きしていきたいと思います。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 六月に松島基地から整備員が飛行機で国外脱出を企図して失敗したという事件がございますが、九月の十日に第一回の公判がございまして、十月に入って二回、三回――三回目が去る十七日であったかと思いますが、公判が三回済んでおる。そういう状態でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その三回済んで、今どういう段階なんですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 部隊側から証人を二名喚問し、証言させております。それからその最後に、被告の精神鑑定についてこれは弁護人から要求があって、裁判長はこれを許可して、しかるべき先生にお願いをするという決定があった。その段階であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは裁判のことですからお尋ねはこの程度ですが、実はこの同じ航空自衛隊の松島基地、これは宮城県桃生郡矢本町というところですか、ここでことしの九月二日、基地燃料小隊のある人が首つり自殺をした。こういう事件がございますか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 御指摘のように九月二日に松島航空隊の補給隊の若い隊員が縊死自殺をした事件がございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それはなぜそういうふうな、これは首つりですか、縊死するようなことになったのでしょうか。その経過についてあなたのほうでお調べになったことをちょっとお話し願いたいと思います。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) その真相につきましては、公判廷におきましてはっきりすることと存ずるのでありますが、今までの段階で、あるいはまた私どもの立場で見ました見方について申し上げますならば、これはざっくばらんに申しますならば、これを取り調べました航空自衛隊の警務隊の取り調べの段階におきましては、相当に容疑が濃いとみておったわけでございます。それに対して本人は、最初全面自供を――進んで自供したのでありますが、その後にこれを否認いたしまして、捜査は頓挫したわけでございますが、その直後に本人が死んだわけでございます。その辺のところは、ほんとうに無実であるのか、あるいは本人が苛責の念に耐えかねたのか、その辺はわからないのでございますが、私どもの見たところでは、故人には相済まぬ表現でございますけれども、疑いは残こっていると考えているのでございますが、そういうことになりましたことはまことに気の毒なことであったと、こう考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 ちょっと今、私も聞き違ったかもしれませんが、公判廷で何か明るみに出るとかどうとかというお話だったのですが……。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) その動機あるいは理由というような点につきまして、公判廷の調べがどういうふうになりますか、その結果によりまして、たとえば全く……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 縊死事件のほうを聞いておる。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) その点につきましては取り消させていただきます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 取り消すのはいいんですけれども、どこまで取り消すのですか。私の聞いているのは、飛行機に乗って逃げたやつは、公判廷の問題だからお聞きしないということで別のことをお聞きしているんですから、同じ基地内で起こった首つりのことを聞いているのですから、それが何かちょっとはっきりしないですね。どういう経過で首つりをしたのか、初めから伺います。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 失礼いたしました。私どもといたしましては、想像でございますが、捜査の過程中におきましてそういう事故が起こりましたので、今真相を突きとめることは困難でございますが、私どもの感じといたしましては、あるいは本人は自責の念でそうしたのではないかと考えるのでございますが、また一部には、あるいはあらぬ疑いを受けたということに対して抗議をしたんだということをおっしゃる方もおられるのでありますが、ただいまのところでは何ともきめかねると、私どもとしてもまだはっきりしたことは申し上げかねる、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは前の六月二十六日に整備員が飛行機で脱出した事件があってから、この基地内の警備の体制というものは変化があったんでしょうか。その基地脱出行為のある前とあとでは警備体制の変化があったのでしょうか。具体的にどういう警備体制をしていたのですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) あの事故がありました以前と以後におきましては、飛行場の管理、あるいは飛行機自体の管理、飛行場の警戒、こういうようなことにつきましては十分念を入れることにいたしまして、たとえば歩哨の問題でありますとか、あるいは通行の制限であるとか、そうしたような面におきまして管理の強化をいたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 飛行場の警戒とか通行のことはこれは当然のことですけれども、隊内におけるいわゆる風紀等の取り締まりの強化、そういうふうなことが前よりも人数をふやしたり、あるいは質的にも重くなったとか、こういうふうなことはございませんか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) ただいまお尋ねの点につきましては、あちらの定員等につきまして別に変更もしておりませんので、むしろ警戒のために人を回わしているような状態でございますので、そう部内の内部の生活であるとか、勤務であるとか、こうしたことについての監督体制を強化したというようなことはございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今まだ具体的に事件のことをお聞きしていないわけですが、どういう事件なんですか、疑いは。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 八月の十日前後でございます、日ははっきりしないのでありますが、二、三日の間でございますが、補給隊の隊員の隊舎――宿舎でございますが、この中で盗難事件がございまして、それをその部隊から警務隊のほうへ報告があったわけでございますが、警務隊のほうではさらにいろいろ実情を確かめましたところ、同じその隊内で過去数カ月の間に四件の盗難事件があったということがわかりました。それから警務隊は内偵捜査を進めまして、事件発生後約二十日たちましたころに、問題になりました隊員を一応調べる必要ありとして任意で捜査をしたわけであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その警務隊というのは、どういう組織なんですか。特別司法警察員になっている人はどの程度一体いるわけですか。この松島基地というのは全体で何人ぐらいいて、警務隊というのは何人ぐらいいるのですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 警務隊は陸上、海上、航空各自衛隊にそれぞれ設置してある部隊でございますが、今問題の航空の警務隊は、全国通じましても警務隊の総定数が百二、三十名でございまして、それが中央に警務隊の本部がありまして、また各方面の司令部に方面の警務隊がございます。また各航空団その他の基地に警務隊があり、あるいは小さいところには警務の分遣隊を出している、こういろ組織でございますが、ただいまの松島の基地につきましては、航空警務隊の分遣隊として三沢から派遣されておりますが、定員は三名でございまして、尉官一名、曹一名――下士官でございますが一名、兵一名、計三名でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この三名は全部特別司法警察職員としての資格を持っているわけですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) お尋ねのとおり三名とも司法警察職員として警務官または警務官補として指定されております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 何かこの疑いをかけられた人は、そうするとその四件あったというのは、今の何か最後に疑いのかけられているのも入れて四件という意味ですか。四件全部がこの人だというので疑いがかけられているのですか、これはどうですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 警務隊が最初知らせを受けましたときは最後の一件でございましたが、それまでに表に出ていなかった事件でございます。それを警務隊はそういうことで、最後の事件は被害額が一万四千円でございましたが、そのことから、さらにいろいろと聞き込みといいますか、調査をいたしましたところ、同じ部隊の同じ部屋で春ごろから数カ月の間にほかにも三件あった。合わせて四件、そのほかにもその基地の中でもう一件未解決の問題があるのでありますが、一応本人の関係しております分につきましては四件というのが同じ部屋で起こっている、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 この調べのときに分遣隊の部屋で、うそ発見器を使って調べたのですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 八月の三十一日に宮城県警察本部のほうからいわゆるうそ発見器と申しますか、ポリグラフという施設器具を持ってきてもらいまして、一応そちらのほうの人に委託して検査してもらいました。それは直接本人を調べる直前でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そのうそ発見器にかけるときに、一体本人は承知したのですか。お前やったんだろうという形で相当無理をしてうそ発見器にかけたのじゃないですか。そこのところはどうなっていますか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) ただいま警察側で行なっておりますポリグラフ検査は、すべて本人の承諾、同意を得た上で行なうということになっております。今回の検査も、全くこちらの自衛隊あるいは警務隊の者はタッチしておりません。ただお願いをしてやっていただいたということでありまして、当然本人の同意は得ておるのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、うそ発見器にかけるときは宮城県の国警本部の人がかけてやって、それが終わったあとは全部警務分遣隊というのですか、そこの人がやったことになるわけですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 午前中と午後と二回でありますが、ただいまの宮城県の警察官の方がその検査をいたしまして、そのあとでこちらの航空自衛隊の警務官が本人を調べたのでありますが、そのときに本人は進んで自供したのであります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 何か本人が死ぬときに遺書を書いてあったということですが、その遺書の内容はどういうことですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) たしか手帳の中に書き込んであったのだと思いますが、おれがしたんじゃない、これしかほかに方法はないというような走り書きであったように記憶しております。これしかないというのは、死ぬよりほかないということじゃないかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうすると、その手帳の端か何かに番いたことを見て、その後あなたのほうではいろいろ本件について調べをしたのですか。もう死んじゃったからだめだというので調べを打ち切ったわけですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) その後、この事件につきまして、ほかの何か捜査の端緒はないか、ほかに事情はないかということにつきましては、警務隊は引き続き捜査をしておったのでありますが、最近これを打ち切ったかどうかはっきり確かめておりませんけれども、多分今日の段階では捜査は打ち切りになっているのではないかと考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その遺書は、そんな簡単なものですか。取り調べがきびしかったというような意味のことを言外に書いてあるようにとれないですか。それはそんなに簡単なものですか。今あなたの言われたように、それだけですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) ただいまお尋ねの遺書らしきものについてはそれだけでございますが、もう一つ、本人が八月の何日ですか、十九日か二十日か、そのころに親元のほうに手紙を出して、自分は疑われているけれども、そういうことはしていないというような手紙を出したということについて、親元のほうから御照会、御相談があったということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 今の段階では、この問題はこの程度しか私どものほうとしては率直に言って追及というかできないわけですけれども、どうも自衛隊の中でこういうような窃盗が起きて、それで疑いをかけられて自殺をしたというのは、あまりかんばしいことではないし、こういうような窃盗行為や何かが起きないように今後は十分注意していただきたいというふうに考えます。  それから、このごろよく新聞に出てくるのですけれども、今の問題に関連するわけですけれども、自衛隊の中で、たとえば別府の自衛隊でビンタをやったとか、そしてだれかがけがをしたという事件が起こったわけですが、あれは一体今どういうことになっているのですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) これはまことに遺憾な事件でございましたが、事件といたしましては、一方では、捜査の上、暴行傷害で送致をいたしております。また、懲戒処分の点につきましては、ただいま審理中でございますが、相当厳重に処罰すべきものと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これは何というのですか、熊本の西部方面総監部というのですか、ここでも、今の別府のみな並べてビンタした以外にも、まだほかにビンタ事件があるようですね。ほかにも三件ぐらいあるのじゃないですか、ビンタ事件が。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 西部方面総監部と申しますのは熊本にございますが、九州全体がいわゆる西部方面の監督下でありますが、今お話しのほかにもあるのじゃないかということにつきましては、私どもの承知しております範囲では、昨年一件ございました。処分をしております。そのほかあと二件ということについては、あるいはごく微細なことがあって現地限りで処置したことがあるかどうか、それはわかりません。しかし、こうしたことについてはすべて中央へ報告させておりますので、三件あったということについては私どもちょっとわかりませんが、そのようなことはなかったのじゃないかと考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そのほかにも何か沼津ですか、沼津でも自衛隊の人同士が酒を飲んで、自衛隊の隊員がまた自衛隊の隊員を刺し殺してしまった、そういう事件が起きておりますね。どうですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) まことに残念でございますが、時おりそうしたお互いの間のまあけんかざたと申しますか、そうしたことや、あるいは部外に対しても御迷惑をかけるような事件が時たま起こっていることは事実でございまして、こういうことのないように十分努めておりますけれども、まことに残念に思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その沼津の事件は、キャバレーで飲んでいて、そしてあれでしょう、自衛隊の人が自衛隊の人とけんかして何か刺身ぼうちょうか何かで刺して殺してしまった事件でしょう。そうでしょう。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 大体そういう事件であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 どうも、どうしてそういうふうな事件が自衛隊の中で起きるのですか。それは何か特別な原因でもあるのですか。あるいはビンタ教育なんか行なわれたりするというふうなことに一つの原因があるのですか。どうお考えになるのですか。

小野裕防衛庁人事局長

○説明員(小野裕君) 原因として考えますれば、いろいろなことがあるかと思うのでありますが、しかし、これは一般の世間のそうした間違いと同じように、一つの若げの間違いでもありましょうし、あるいは酒の上の間違いもある、こういうことではないかと思います。それにいたしましても、そういうのを防止するように努めなければならないと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 まあ自衛隊関係については一応それだけのことをお聞きしておくわけでありますが、そういうようなことのないように十分注意してほしいと思います。ただ注意するといっても、行き過ぎがあって人権じゅうりんのような形が起きてはいけないわけですが、その点は十分注意していただきたい、こういうふうに考えます。  最後に、これは法務省の関係になるのですが、軍事基地があるわけですが、そこにおけるアメリカ人の犯罪のことについてお尋ねをしたいわけですが、ことし私どもがこれは予算委員会で行ったのですが、十月に三沢の基地へ行ったわけです。そしたら、あそこのアメリカの軍人が何か自動車か何かで乗り出してきて日本人をひき殺してしまったという事件があったわけですが、この事件はその後どういうふうになったのか、お知らせ願いたいと思います。

竹内寿平法務省刑事局長

○説明員(竹内寿平君) ただいまお話しの事件は、ジェームス・L・マックラケンという十九才の兵隊の自動車事件でございます。本件は、本年の九月二十八日三沢警察署から受理をいたしまして、十月十三日家庭裁判所から逆送を受けまして、公判請求をいたしまして、ただいま公判係続中でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは、ただ人をひいたというだけでなくて、その前にもう少し説明があるんじゃないですか。この人は、本件の事故を起こす前にも何か基地から出て行ってタクシーの中でだれかなぐったかなんかして事件を起こして、謹慎中というか、何というか、身柄を米軍に引き渡したとか、何かそういうような事件があったのじゃないですか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) お尋ねのとおり、起訴猶予になった前歴がございます。これは、本年の九月の四日に、三沢の三沢市新町二丁目三沢公園付近という所で運転手の頭をなぐりまして約三日間の加療を要する傷害を与えたというこの傷害の事実が一つありまして、それから、タクシーの運転手のすきに、その同じ日に、乗用自動車を盗んで逃げた。これは、傷害の点につきましては示談が成立いたしまして、もちろんこの自動車はすぐ取り返されたのでございますが、酒を飲みましてめいていしての犯行であるということで、これは第一次裁判権不行使ということに相なっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは、少年ですから、起訴猶予というのはあれで、第一次裁判権不行使という形になったのですか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) さようでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そのときの処分が、ただ不行使だけで、具体的に再び犯罪なら犯罪を起こさないようにという形での何らかの措置を日本当局としてはとらなかったのですか。ただ裁判権不行使でぱっと帰しちゃったんですか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) お答えいたします。  この事件の具体的なことにつきましては、実はこの点を詳しく質問があると思いませんので、資料を準備しておりませんので、ただいまのお尋ねの点は、後刻調査いたしましてお答えいたしたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 結局、私が聞いた範囲では、この前の事件を起こしたそのときの処分があまりに相手がアメリカ人だというようなことから軽過ぎて、ただ黙って帰しちゃった。そこで何か車に乗って飛び出してきて日本人をひいて殺しちゃったというようなことに聞いているわけなんですよね。前の事件のとき、もっとそこでしっかりしておれば、こんな事件にならなかったじゃないかというようなことを三沢の一部の人たちが私が行ったとき言っておったのです。そこでこんなことになったのですが、そこでお聞きしたいのですが、公判請求はいいのですが、今身柄はどうなっておるのですか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 身柄は、米軍のほうで勾留いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その前の事件で、頭をなぐったとかタクシーを盗んだとかなんとかいうときにも、アメリカのほうでそいつをちゃんと謹慎をさせて責任をもって保管をする――人間だから保管もおかしいですが、監督すると、こういう何か約束かなんかがあって、どっかにいたんじゃないですか。そういう点は調べてありませんか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 御承知だと思うのでございますが、日本国と米国駐留軍との地位に関する協定というのがございまして、その協定で、起訴前は身柄をアメリカのほうで勾留をする、起訴後も日本側が要請しない限りは向こうで勾留する、こういうような協定となっておりまして、それに基づいて今回は身柄を向こうが押えておることははっきりしております。前回もおそらくそういう扱いをいたしたのだと思うのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 三沢の基地にアメリカの部隊が何人いるかということは、これはアメリカの機密だということで、日本にはわからないわけですか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 正確なことはわかりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その場合に、だから、部隊がほかへ移動してしまったら結局その人もどっかへ行ってしまうというふうなことがないための何か保証があるのですか。どこにありますか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 今直ちにここで条文を見つけることができないのは恐縮でございますが、こちらがただいまの事件のように裁判権の行使を通告いたしまして、しかも起訴いたしまして、身柄を軍の移動でこちらの裁判にかけられなくなってしまうというふうにはなっていないと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは、アメリカ軍のほうで勾留している場合と、勾留していない、いわゆる在宅という形で起訴している場合と、二つあると思います。その場合でも、米軍のいろいろの軍事上の問題からほかへ移動することがある。こういうふうな場合には一体どういうふうになるのですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○説明員(竹内寿平君) ただいまの場合には、事日本側の裁判権に服する案件である場合には、身柄が拘束されております場合はもちろんのこと、不拘束の場合でも、軍の移動によって日本側に無断で移動するというようなことは絶対あり得ないような協定になっているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それは常識的に考えてそうだと思うのですけれども、その根拠はあとでお示し願いたいと思います。  それから、別のことですが、たとえば今の三沢の基地へ行きますと、私が青森県の事務所を通じて聞いたのでは、ことしになって八十五件犯罪があった。八十五件の内容は一体何か。アメリカ人が起こしたのか。基地のありますあすこには防衛庁もありますしね。アメリカ人同士の犯罪なのか、日本人同士の犯罪なのか、アメリカ人と日本人の犯罪なのか、そこら辺のところがよくわからないのですが、軍事基地内あるいは外における、ことに外国人の犯罪、ことにアメリカ人の犯罪ですね、これは一体どの程度あるのですか。昭和二十八年ごろの古い統計は私のところにもあるのですが……。

竹内寿平法務省刑事局長

○説明員(竹内寿平君) ただいま正確な数字は刑事課長からお答え申し上げますが、二十八年から今日まで約四千余りございます。これは駐留軍の数もだんだん減ってきたせいだと思いますが、年々事件は少なくなっているというふうに私は承知しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 その四千というのは、数字は違いませんか。違うのじゃないですか。

竹内寿平法務省刑事局長

○説明員(竹内寿平君) 失礼いたしました。一けた違っておりました。四万でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そうでしょう。私が調べたのでは、二十九年三月で刑法犯が一万四千三百九十七件、特別法犯で一万二千三百七十件、これは新聞紙上に出ていたのですから、正確じゃないかもしれませんが、これはアメリカ人だけの犯罪ですね。どうなんですか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) アメリカ人ではございませんで、合衆国軍隊要員の犯罪でございます。合衆国軍隊要員の受理の、受理と申しますのは新受でございますが、新受の人員数を年度別に申し上げますと、二十八年が、これは十月二十九日からでございますが、これは正確に申し上げますと、千二十、二十九年が六千七百十九、三十年が七千九百二十五、三十一年が九千五百二十三、三十二年が六千七十六、三十三年が四千百九、三十四年が三千五百三、以上合計いたしますと、三万八千八百七十五、約四万ということになります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 それらの中で特に多いのは、何が多いですか。私の調べた範囲では、業務上過失傷害致死、自動車の事故ですね、これと普通の傷害、この二つが非常に多いように聞いているわけです。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 多い順に申し上げますと、これはただいま申し上げました昭和二十八年十月二十九日から昭和三十四年十二月末までの数字でございますが、刑法犯と特別法犯とに分けますと、刑法犯が二万四百九十三、特別法犯が一万八千三百八十二でございます。その中で多いのを申し上げますと、一番多いのが道路交通法関係で一万六千九百四十、その次は業務上過失致死傷で七千六百七十二、その次が傷害で三千五百三十、その次は窃盗でございまして二千六百五十九、その次は器物毀棄千五百九十六、ざっとこういうふうな状況であります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そこでどうも感ずるのですが、今言ったような形の中で、自動車関係の事故、事故というか犯罪が圧倒的に多いことを感ずるわけですね。そこで、アメリカの軍隊なり今の軍隊要員ですか、これは運転免許証や何かは一体どうなっているのですか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 軍隊要員につきましては、正確な名称をただいま記憶いたしておりませんが、たしか在日米軍運転許可証というようなものが日本の免許証にかわるというような扱いになっておったと記憶いたします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これじゃないですか。日米安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定、この第十条で、「日本国は、合衆国が合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対して発給した運転許可証若しくは運転免許証又は軍の運転許可証を、運転者試験又は手数料を課さないで、有効なものとして承認する。」こういうことになっているのじゃないですか。これとは違いますか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 問題は所管が警察庁でございますので、正確なことはお答えできないのでございますが、あるいはそうかと考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 そこで、これはあれですか、ここにある運転――あなたに聞いても悪いかもわからない、そこまで無理かもしれませんが、運転許可証というのと免許証というのはどう違いますか。これはわかれば……。わからなければ……。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) わかりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 これはそこまで聞いては失礼かもわかりませんが、私もわからないところですが、要するに、これで見ますというと、こういうふうに非常に交通事故関係が多い。アメリカ人によるのが多いことは、運転免許が日本のように厳格な試験や何か課さないで、軍隊内で、よくわからぬけれども、簡単に与えられているのじゃないかというふうな一つの疑いが持たれるのですがね。こういうようなことについては、日本だって軍隊の中で簡単にもとは与えておったのではないかと思いますが、そういうような点について調べられたことはございませんか。

羽山忠弘法務省刑事局刑事課長

○説明員(羽山忠弘君) 特にその点について調べたことはございませんが、御承知だと思いますが、アメリカにおきましては、中学校の初年のころから自動車教育というようなものが行なわれておりまして、かなり自動車を運転するということにつきましては日本人の場合とは違うような教育が行なわれているように聞いておるのでございまして、なかなか日本の運転免許はむずかしいというふうに聞いておりますが、運転の技量におきましてアメリカのほうが日本人よりも非常にあぶないかどうかというような点につきましては、つまびらかにいたさないのでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉誠一君 なかなか御苦心の答弁だと思うのですけれども、それでまあけっこうですけれども、三沢の基地における本年内八十五件、それからほかのいろいろな軍事基地にも本年になっていろいろ事件があると、こう思うのですが、これは具体的な内容は今わからなくてもけっこうですが、お調べを願って御報告願いたいと、こう思うのですが、アメリカ人の犯罪なのか、日本人のあの中における犯罪なのか、そういうことはどういうことなのか。非常に多い。減っていない。これはもちろん人数が全体が減っていますから、数としては減っていますけれども、どうも相対的にみると減っていないということが言えるわけです。しかも、交通事故が減らないでむしろどんどんふえているのじゃないかということが考えられるのです。三沢だけではなくて、日本における、ことに軍事基地の中における、今年だけでもけっこうですが、そういうふうな犯罪の状況について、調べたもので、きょうでなくてけっこうですけれども、後ほどその結果としてお知らせを願いたいと、こういうふうなことを申し上げておきます。  いろいろまだ申し上げたいこと、聞きたいことはたくさんありますけれども、きょう概算要求をいただいたばかりでありますから、これをよく検討いたしまして、また日を改めて質問したい、こういうふうに考えます。きょうはこれで……。

鳥畠徳次郎自由民主党

○委員長(鳥畠徳次郎君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。    午後三時十八分散会

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