内閣委員会 第5号
- 発言数
- 96 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1962/08/23
会議録
○委員長(村山道雄君) これより内閣委員会を開会いたします。 本日は、午前中に公務員の給与問題、人事院勧告に関し調査を行ない、午後は、北富士演習場問題に関し参考人の意見聴取を行ないます。 それではまず、国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題とし、公務員の給与問題、人事院勧告に関する件について調査を行ないます。政府側から神田人事院総裁職務代行、瀧本人事院給与局長、増子公務員制度調査室長、竹内大蔵政務次官、谷村大蔵省主計局次長、平井大蔵省給与課長が出席しております。なお、大橋給与担当国務大臣は、後刻出席の見込みでございます。 質疑のある方は、順次御発言を願います。
○下村定君 私は、実はきょうは質問を用意してはこなかったのでございますが、寒冷地手当の問題について当局からお伺いしたいと思います。この案を見ますと、条件が二つありまして、第一は、「同一市町村内で著しい較差のある地に所存する官署」、こういうことになっております。それで昨年、防衛庁の所管で静岡県の須走におきまして、あそこに富士学校という学校がある。あそこがどうも現在の等級では実情に合わないということが調べてわかりましたので、そのことをこの委員会でも申し上げたわけでありますが、その後、防衛庁のほうとの本件に関する連絡がどうなっておりますか。あるいは、防衛庁から出てもそれは採用をされないというのでありますか。その点をちょっとお伺いしたい。
○政府委員(瀧本忠男君) 人事院は去る二十日に寒冷地手当の特例的な一部手直しの、これは総理府に対する勧告をいたしたのでございます。で、その勧告は、御存じのように、衆議院の内閣委員会で附帯決議がついておりまして、同一行政区域内における人事交流の観点を考慮して、暫定手当についてもそういう考慮が払われているのであるから、寒冷地についても払え、こういう御意見でございました。これはたびたび本委員会においても質疑がかわされたのでございますが、前の総裁の入江さんのときも、この問題については非常に極限された形ではあるけれども対処するつもりであるというようなことをおっしゃっておったのであります。それで、この人事交流といいましても、やはり寒冷地の場合は寒冷地気象条件ということが基礎になりますので、それを無視したようなやり方は、これは事実できないわけでございます。そこで、われわれが今回やりましたものは、同一行政区域内におきまして、もう非常に極端に上級地と気象条件が類似しておるというようなものにつきまして、九カ町村、例外的な取り扱いをするという勧告をいたした次第でございます。で、かねて須走の富士学校の問題が防衛庁関係としてあるわけでございます。ただ、人事院が勧告いたしまして総理府令で取り扱っておりますものは、これは主として一般職の場合についてやっておるという関係がございまするのと、それから現在の寒冷地域区分の中には、人事院が引き継ぎます以前におきまして、すでに実績として残っておるものがあるわけでございます。で、従前この寒冷地手当を県単位できめておったような状況がございまして、県の中でやはり気象条件の変化があるのでありまするけれども、県単位できめておったという状況があって、それを人事院の基準に照らして、少し低いから下げるということをやる必要がある。これは事実、昭和二十八年にやったのでございまするが、そのときにも、下げる場合にも限度があるわけでございます。従来の実績と申しまするか、従来の金額をさらに割るというようなことは、これは事実上できない、そういう関係がございまして、現化の寒冷地の中には、その後において人事院が格上げを勧告いたします場合に用いました積雪あるいは寒冷の基準に比べますると、非常に甘いものがところどころ残っておるという状況でございます。で、須走なんかは、その人事院の基準でなしに、現に残っておりまする少し甘い地域がございまするが、そういうところに比べますると、これは確かにそれとのバランスで申すと、今の級地決定というものがおかしいという観点でございましょう。けれども、人事院のきめておりまする基準によってこれを見ますると、必ずしも現存の取り扱いが不当というわけには参らないというような状況でございます。しかしながら、やはりその富士学校——ことに学校といいましても、やはり野外において演習等をされる場合が非常に多いというようなことを種々勘案いたしますと、これは別途この問題に関する限り、防衛庁として十分御研究の上お考えいただいてもいいのではなかろうかというようなことをわれわれ考えまして、防衛庁事務当局と連絡いたしまして、従来のわれわれのきめ方、あるいは防衛庁がこの問題をお考えになるときにどういう観点を問題にされるのが適当であるというようなことにつきまして、いろいろお話を申し上げておるわけであります。ただ、われわれのほうの勧告でこれを直せと言われても、非常に全体の関係の中においてむずかしい問題がございまするので、むしろ特例的に、防衛庁関係の問題としてお考えになるということが適当ではなかろうか。多少出過ぎてはあったのでありまするが、防衛庁関係においては、たとえば暫定手当にいたしましても、これを全国平均化いたしまして、そしてお考えになっておるというような状況でございます。これは明らかに一般職の公務員と、そのやり方が違っておるのであります。まあただいま申し上げましたことが、直ちに寒冷地問題に適用できるかどうかわかりませんけれども、やはり防衛庁としてこの問題は十分御研究いただいて、特例的な取り扱いにしていただくのが適当ではなかろうかということで、防衛庁には、この問題につきまして十分御連絡申し上げておいたのであります。まあその後防衛庁のほうからわれわれのほうに何の御連絡もないので、まああるいは防衛庁でいろいろ御研究になっておるものと、このように考えております。
○下村定君 従来の経緯はよくわかりました。今後防衛庁でいろいろ研究もし、また人事院のほうとも御連絡をなされた新栄、必要と認めれば追加されるという性質のものでございますか。
○政府委員(瀧本忠男君) まあ従前、この問題につきましては、申し上げたようなことを考えておったわけでございまするけれども、また、この問題はやはり今後の問題としまして、われわれは結論を出したということでなしに、やはり十分研究をして参りたいというふうに考えます。
○下村定君 終わります。
○鶴園哲夫君 給与の問題でまず人事院にお伺いをしたいんですが、人事院が五月全国一斉に民間の給与実態調査をやられるそのちょうど途中に、五月の二十日過ぎでしたが、労働省の毎月勤労統計の四月分が発表になりまして、これは例年非常に人事院が重要視しておる毎月勤労統計、その四月分が発表になって、一三・三%上がっているということで、人事院といたしましても非常に頭が痛い、えらく上がったものだということで非常に頭をかかえておられたわけですが、私どもとしまして、この一三・三%という非常な民間給与の上がり工合を人事院がどのように処理するものかという注目をいたしておったわけですが、なかなか頭をひねったような処理をされているように見受けるわけです。毎月勤労統計で四月に民間が昨年の四月からこの四月一年間に一三・三%上がった、人事院の同じ期間における調査だと一〇・一%だと、こういうことで、三・二%ぐらいが切り下げられた形になりまして、さらにその一〇二%という調査を素材にして四月末の官民比較をやるというと九・三%になっている、こういう形になったわけです。つまり、二二・三%から一〇・一%になり、さらにそれが九・三%と、こういう形で、完全に四%ほど切り下がった数字が出たわけですが、これは非常に疑問を持たれておるわけです。と申しますのは、昨年の勧告を見ますと、毎月勤労統計では一年間に六・六%上がっておる、同期間における人事院の調査、これは少し上がりまして六・九%、その六・九%を素材にして官民比較をしたら、また少し上がって七・三%、こういう数字が出ておるわけです。その前の年、一昨年ですが、これも毎月勤労統計では、一年間に九・六%上がっておる。同じ期間を人事院が調査しますと、それより二%上がって二・二%になった。それを素材にして官民比較をすると一二・五%。こういうふうに、まあ経過を見ましても、毎月勤労統計よりも人事院の調査のほうが少し上がり、さらに官民比較ではまたそれよりも上がっている。こういうのが、今回は逆に切り下がった、四%も切り下がってしまった、こういう数字が出たわけです。これが今回の勧告につきまして公務員が最も疑問に思っておる点だと思うんです。その点について、この勧告の中で若干の説明をしてあります。してありますが、なかなかこれでは納得ができませんので、こういうことになった理由をひとつはっきりさしてもらいたい。
○政府委員(瀧本忠男君) 人事院が調査いたします最終的な目的は、公務と民間とが本年の四月現在においてどういう較差になっておるかということが主でございます。ただいま、昨年並びに一昨年のそれぞれ数字をおあげになりまして、その数字の関係からいってことし毎勤の一三・三という数字——毎勤の一三・三というのは、昨年一カ年間における、すなわち昨年の四月から本年の四月までの毎月勤労統計における上昇率でございますが、その数字と、それから人事院が九・三といっておりますものは、これは本年四月現在における職務の種類、責任の度合い、あるいは年令、学歴というようなことを考慮いたしまして官民を比較いたした場合、その総合数字が九・三%という較差である。まあこういうことでございますが、従来の経緯を見ておりますると、その数字の性質は違うのであるけれども、毎勧の上昇率と人事院の官民較差というものが、むしろ人事院の官民較差のほうが数字が大きく出ておる。それは従来の傾向としてはっきり出ておる。にかかわらず、ことしはその数字が逆になっておるのはなかなかどうも理解できない。まあこれが御質問の趣旨であろうと思うのであります。われわれも、この九・三というのは、なにも故意に意識的にこの数字を捏造したものではもちろんございません。すべて比較方法は昨年と同様の方法をとりましてこれは較差を算出いたしておるのでございまするから、むしろまあわれわれとしましても、もちろんこういう従来の傾向と違った傾向が出たということにつきましては一応分析をいたしております。しかし、現在の状況におきましてわれわれが考え得ることは、報告に述べておいたとおりでございまして、別に九・三というものが去年と違った方式で調査をしたとか、あるいは違った方式で官民の比較をしたというようなことではないのでございまするから、まあ九・三というところはすなおに去年と同じように出たところである、このように御理解願いたいと思うのであります。ただ、これがどうしてこういう違いが出てきたか、現在まだわれわれ十分これが分析ができておるわけではございませんけれども、現在までわれわれが大体そういうふうになるというのはどういう傾向であろうかということをいろいろ研究いたしておるのでありまするが、まずその毎月勤労統計というものは、母集団をある一定の時期に固定いたしまして、それで三年間その母集団から抽出いたしました調査事業場というものを対象にして調査をしてきておる。で、三年目ごとにこれはいわゆる総理府統計局の事業所センサスによって調査事業所の選定がえをやっております。この時期に旧調査と新調査と両者算出いたして報告しておりまするが、この旧調査と新調査では、だいぶ平均賃金が違って出るのであります。新調査のほうが低く出るという傾向がございます。そこで、労働省では、いわゆるベンチマーク方式というものを用いまして、従来の指数を改ざんするというやり方をやっておられます。これはやはりある一定時点で事業所を押えまして、そうしてそれからランダム・サンプリングで抽出をいたしまして調査事業所を決定するということをいたしましても、その母集団を決定したときには全体を代表するような平均賃金が出るのでありまするけれども、それが時期がたつに従って多少のズレが出てくる、こういうことがあるのではなかろうか。それはわれわれの報告にそのことが書いてあるのでありまして、また労働省と同じような——同じといいましても大体やり方が似ておるような方法で昨年一カ年間の違いを出してみると、われわれのほうでやりましても一二%という数字が出る、こういうことを申し上げておるのであります。一昨年から昨年、ことに昨年でございまするが、昨年は五十人以上の事業所が非常にふえておるというような現象がございまして、一定時点で母集団を押えてそのままで調査した場合と、その時点その時点における全体の母集団を代表するような平均賃金を出した場合では、違いが出る。われわれのほうは調査のつど母集間を決定してやっておりますから、そのようなやり方によれば一〇・一%となる。こういうところに毎勤が去年における過去一カ年間の較差とことしの過去一カ年間の較差ということではやはり較差がずれて、少しその程度が大きくなっておるんではなかろうか、このようなことをわれわれ分析の結果考えておるのでございます。 それからまた、毎月勤労統計をいろいろ分析してみますると、これは昨年だけの傾向ではございませんが、一昨年くらいから次第に出ておる傾向でございまするが、従来は大規模事業所では賃金の上昇が非常に大きかった。これは率で見ても金額で見ても大きかった。中小事業所のほうが金額も率も低かったというような現象があったわけであります。また、これをかりに労務者と職員の別に分けてみますると、従来は職員の上がりのほうが率、金額ともに大きくて労務者のほうが引き上げ率あるいは金額、両者いずれも小さかった。こういう一般的な情勢があったわけでございまするが、それが最近非常に違ってきておる。このことも報告いたしておるのでありまするが、毎月勤労統計で昨年一カ年閥の上がりを見ますると、大体金額においてはどうか、規模の大きいところ、中くらいのところ、小さいところ大体同額、あるいは少し正確にいえば、むしろ金額においても、平均引き上げ額においても、小規模事業所のほうが額が大きい。いわんや率におきましては大規模事業所に比べて、中規模の事業所あるいは小規模事業所になるにしたがって、引き上げ金額が高くなっておるというような状況が一方にあったのでございます。これはまあ経済の推移の中におきましてそういうことがあったであろうということは十分考えられるのでありまするが、また一方、職員と工賃を見ましても、工員のほうの上がりが大きいというような状況がある。こういうことは民間の賃金構造に大きな変化がここ最近現われておる、こういうふうに考えられるのであります。 一方公務におきましては、昨年定員内職員の約一割に相当いたしまする四万人の定員外の職員の定員内への繰り入れがあった。こういう方々は、主として級地でいえば四級地以外のところにおきましては官民較差というものは割合少ないのであります。また、男女の区別で言いますならば、女子のほうがかえって定員内繰り入れの割合が多い。また、学歴構成から見ましても比較的低学歴の方が多い。われわれのほうの官民比較の場におきまして、これはいろんなところでいろんな較差が出てそれが総合されて九・三となるのでありまするが、比較的民間との較差の少ないところで定員内繰り入れが行なわれた、しかもこれは一割であります。一割がそんなに響くものかという御反論もあろうかと思うのであります。われわれのほうは、そういう事情が現在わかっておるというようなことで、そういう民間側で起きた変化、あるいは公務で定員内繰り入れ、相当大きな繰り入れがあったというようなことの、そういうことの結果、官民較差が九・三%に出たものである、このように理解いたしておる次第でございます。
○鶴園哲夫君 今給与局長が説明なさったのですが、例年と違って、ことしに限りまして労働省の毎月勤労統計の内容の分析をやられて、一つは大企業より小企業ほど賃金が上がったんだという説明をされておるわけです。もう一つは、工員よりも職員のほうが上がり方が少ない。工員のほうが上がり方が大きいんだと、こういう理由を述べております。これは例年こういう説明をしたことないんですが、本年に限ってこういう数字を取り上げて、さらに何か労働省のやり方についても習いてありますが、これは私はよけいなことだと思うのですけれども、またもう一つ、今局長は約四万人の定員外職員の繰り入れのお話をなさったのですが、これは決して公務員の給与を上げるということには役立っていないので、公務員の給与を引き下げることには役立ったとしましても、これは引き上げることには役立っていないというふうに思うのですが、私どもはせんじ詰めてみまして、人事院がこのような九・三%という民間との較差があるというふうな数字を出されましたことは、要するに、大企業より小企業ほど給料が上がっているのだ、さらに工員のほうが職員より上がっているのだ、こういうようなところに一番大きな論点があるのではないかと思うのです。その点についてどうも人事院は一方的にものを見過ぎるのではないかという私は感じがいたしておりまするが、その点について伺いたいのですが、大企業より小企業ほど上がっているという現象は今年の現象じゃないと思うのですよ。ここ二、三年来の、もっと言うならば三年あるいは四年くらい前からの現象だと思うのです。今年に限った問題じゃないのです。あるいは正確にいえば三年くらい前かもしれませんが、決して今年に限った現象ではないと思うのです。はっきりそれを念頭においてもらわなければ困ると思うのです。去年はこういう分析をなさらないのです。今年に限りまして大企業がどうだ、中企業がどうだ、小企業がどうだという分析をされて、小企業ほど上がったという説明をなさっておる。一方大企業が上がらないという中にはいろいろ労働省の発表の中にもありますように、技術革新によりまして、非常に若い人たち、あるいは女子職員、こういうものが相当に多数入っているのは事実なんです。大企業賃金は実際は上がっておるのだけれども、平均してみた場合には思うように上がらないということはこの間発表になった労働白書の中に明らかに指摘しているとおりです。さらにまた、御承知のように、大企業という企業の大きいほど非常に福利厚生関係という方面に大きな力を注いだことは御承知のとおりです。日経連は、大企業はこれからは賃上げではなくて福利厚生関係に力を注ぐべきだということを極力主張しましたのも三年前なんです。その結果が五百人以上の企業をとった場合に、企業年金の問題とか、住宅の問題、さらに購買の問題と福利厚生関係を見ますと驚くべき充実をしてきているわけなんです。そういう総体の中で賃金というものを考えなければならぬと思うのですけれども、そういうものは全然触れられていない。ですから私は、これはこういう言い方は、一方的に自分の九・三%という数字を説明するだけの我田引水的な理由だと思う。 もう一つは、職員と工員との関係ですが、工員ほど上がっている、職員は工員に比較して少ないという言い方、これも今年の問題ではないのです。もう近年の傾向として職員と工員との較差というのが漸次縮まってきているということはだれしも指摘しておるとおりです。今年の現象ではないのです。一例として私ここで申し上げておきますが、一昨年の勧告をごらんになりますと、一昨年の勧告の中に出ている毎月勤労統計の職員の給与と工員の給与、職員は八・七%一年間に上がっているのです、一昨年ですね。工員は一二・六%上がっているのです。その差は三・九%ですよ。一昨年でもこのように明らかに工員のほうがずっと上がっている。職員は八・七%、三・九%較差があるのです。本年もほぼ同じ較差です。職員が九・九%、工員が一三・七%、ですから較差は三・八%です。一昨年と全く同じなんです。ところが、一昨年はそういうような勧告の中でそういうことは一つも触れていない、去年も同じような傾向です。去年もこれほどはっきりしておりませんけれども、本年だけに限ってこのような説明をされるということは、これはどうも毎月勤労統計の一三・三%というものを一〇・一%に切り下げ、さらにそれを官民比較という形で九・三%に逆にどんどん切り下げていった、そして四%切り下げた。例年でいいますと逆に三%程度上がらなければならぬのが逆に切り下げた、こういうことに私はなっていると思う。その説明の仕方もはなはだ一方的である。たての両面を見ないといいますか、その表だけを見ているといいますか、裏を見ていない、こういう実情がはっきり出ているのじゃないかと私は思うのです。もし本年の勧告を絶対正しいとおっしゃるならば、一昨年の勧告は誤りであったということも言わなければならないじゃないかと私は思う。その点についてもう少し説明を聞きたいのです。
○政府委員(瀧本忠男君) まあわれわれの調査、今大企業が福利厚生に力を入れておるというお話がございましたが、これは事実その問題は別として、われわれが調査いたしておりますのは、あくまでいわゆる賃金として支払われる範囲のものだけを調べる、まあ福利厚生とか、退職後の給与ということになって参りますと、これは非常に調査も繁雑でありますし、また、それはそれなりにそういう面で別途それぞれ御比較願う、ドロッブさるべきことであって、賃金という面から見たならば、要するに、民間で支払われておる賃金を一応対象とするという従来のやり方によってことしもやっておる次第であります。これは将来に向かってもやはり同様のことが言えるであろう、まあ今そういう見通しを持っております。ところで、私が申し上げましたのは、ことしに限ってこういう状態が出たということは申し上げなかったのであります。やはりここ数年こういう傾向が出ておるということを申し上げたのであります。最初に御指摘のように、毎月勤労統計の一年間の上がりと、それから人事院の毎年四月における官民較差というものは性質が違うことで、その数字が結果的には数字としては人事院の官民較差というほうが大きかったじゃないか。にかかわらず、ことしそれが反対である。で、しかも、私が今説明しましたようなことは、何もことしに限ったことじゃないのじゃないか。したがって、ことしのほうがもし正しいとするならば、一昨年のは間違いじゃないかという御指摘があったわけであります。で、申し上げたいことは、この毎月勤労統計の数字、これはまあ一般の人たちが一番よく利用する統計の数字でございますから、また、現にわれわれも、われわれの数字が確定して出て参るというのは、勧告のもうほとんど数日前といっていい状況でありますので、一応毎月勤労統計等を目安にいたしまして、いろいろなことを考え、準備していくわけでございます。そういうことでありまするし、また、一般の方々も祖月勤労統計の数字というものには非常に関心をお持ちでありますから、一般情勢を報告するという意味においては毎勤統計という数字で説明するということも、これは必ずしも不適当ではないというように考えておるわけであります。と同時に、毎月勤労統計と同様の調査方法で人事院の調査対象についてやったならばどういう数字になるものであるかということもあわせて報告することはまた意味があることだろうと思っておるわけなんです。ただ、しかし、これは一般的情勢を示すにとどまる概括的な数字でございまして、われわれの官民較差というものは、事業所で支払われた全賃金を従業員総数で割ったような平均賃金、あるいは調査事業所全体につきまして総支払い賃金を調査事業所全体の総従業員で平均したような数字というものは、これは目安にはなるのでありますけれども、われわれはやはりその数字によりましてその人事院勧告を考える場合の基礎といたしておるわけではございません。これはあくまで職務と責任の同様な、あるいは職務の種類の同様なものを調査いたしまして、その事業所において、また、そういうものを特に選び出して調査をいたしまして、そうして職務と責任が同じ程度の、職務の種類及び職務と責任、あるいは年令、学歴というようなものが大体同程度のものを小さいグループに分けまして、それぞれ比較をいたし、そしてこれを全体総合して官民較差を出すという方法をやっておるのであります。その結果出たのが九・三である。したがって、私は先ほども申し上げましたが、この九・三という数字は、昨年、一昨年と同様の調査方法、調査対象も昨年と一昨年の間に行政職俸給表(二)には多少職種の入れかえをやっております。これはやはりその職種のとり方に多少不適当なものがあるのじゃないかという一部の御指摘がございまして、その点を検討して多少職種の入れかえをやっておりますが、去年とことしは全く同様の調査対象、したがって、調査をし、官民比較をいたしまする際にも去年と全く同様の方法によってやっておるのでございます。この数字に間違いはない、このように考えております。ただ、どうしてこういう数字が出るのかとおっしゃるように、従来の傾向からいうならば、毎勤統計で出まする昨年一カ年間の上がりより人事院調査の官民較差のほうが大きく出るはずじゃないか、そういうことをだれしも思うと思うのであります。われわれ自身もそういうふうに一時は思ったこともあるのであります。したがいまして、やはりその間にどうもごく単純に考えますると、どうも数字がおかしいじゃないかという疑問もわくわけでありまするから、われわれの現在可能な限りにおきましてそれを分析した結果を報告書に載せておるのでありまして、本質的には毎勤統計、あるいは人事院調査における過去一カ年間の全事業所のいろんな要素がその中に入っております。高齢者が退職したり、離職、配置転換、あるいは新たに入ってくる、また、その中で賃上げがあったと、いろんな要素が入っておりまするものの総平均賃金の上がりというものと、それから人事院が公務員と民間とを比較いたします際の上がりというもの、これは根本的には大体対象はダブっておりますから似ておるとも言えまするけれども、数字の性質は違うということになるのでございまして、われわれはまあ九・三を御理解願えるような一助としてこの現在までわかっておりまする分析結果を掲げたのでありまするけれども、これは言いわけのために掲げたわけでもなんでもない。われわれの調査は去年と一昨年とほとんど同様、去年とは全く同様、そういう方法で調査をいたしました結果、官民較差が九・三%である、こういうことでございます。
○鶴園哲夫君 いろいろお話を承ったんですけれども、ですが、どうも私はそういう説明では納得できないのですね。ただ、今局長の主張なさったのは、結論を言えば、昨年と同じやり方でやったら九・三%という形が出たんだと、これだけですね。だが、しかし、毎月勤労統計とそれから人事院のやられる民間給与の実態調査との相互関係というのは、過去の何回かの勧告によって明らかなんですね。小企業ほど賃金が上がっているということは、本年だけの例ではない。職員と工員と比べた場合に、職員よりも工員のほうが上がる率は高いと、それはことしだけの例ではない。近年のこれははっきりした傾向、数字的に私先ほど例をあげて種々申し上げたとおりであります。ですが、人事院としては調査をしたらどんどん切り下がって、一三・三%という海月勤労統計からどんどん切り下がって九・三%になった、四%切り下がった。例年は逆に上がっているのだけれども、ことしは逆に切り下がったと、こういう結論が出た、こういう御説明だと思うのです。ですが、いろいろ不明の点もありましょうけれども、私といたしましてはそういう形では納得できないのです。ですが、時間の関係もありますから次に参りますけれども、まあしぼって、さらにこの問題をしぼりますと、どうも従来から非常に大きな疑問点とされておりましたのは、公務員と民間の給与を比較する場合に、学歴と年令と責任の重さとか、あるいは仕事の複雑さとかいうような点でも比較をなさるわけですが、その場合に、公務員と向こうを比較する場合に、向こうのほうが幅がある。この幅がある場合にどこに重点を置くかということについては相当較差が違ってくるんじゃないかという言い方が行なわれてきた。たとえば四等級、四等級というのは本省の班長、課長補佐です。これが地方の出先機関の課長です。これを民間の同じ職種のものと比較する場合、民間の場合は、五百人以上の上級係員、そして五百人以下の事業体の係長と比較する、その幅があるわけです。五百人以上の上級係員と五百人以下の企業の係長、これを本省の四等級の班長と比較をするわけですよ。その幅があるから、その幅の取り方によっては相当較差が割合と自由に動かされるということが一番問題点だったのですよ。今回その点が私は大きな問題になって九・三という数字が出たんじゃないかというふうに思うのです。四等級というのは、これは五等級で言ってもいいですが、例として四等級一つ取り上げますけれども、四等級というのは本省の班長並びに課長補佐です。そして地方の出先機関へ行きますと、これは課長です。その四等級をどういうわけで五百人以下の企業の係長と比較するか。さらに五百人以上の企業の上級係員と比較するか。これは五百人以上の課長代理と比較する、あるいは五百人以下の企業の課長と比較する。これは、四等級というのは、地力へ出ますと、地方の出先機関の課長なんです。五等級も全く同じです。こういうような幅のある比較をするから公務員は非常に疑問を持つわけです。どっかのほうへ重点を置くと、この較差が大きく縮まるのじゃないかという疑問を持っておるわけです。私は公務員の給与をできるだけ上げないという、切り下げていくというのには、ある程度幅を持って伸縮していくという方法も、これはあり得る方法だと思うのですが、今回のような場合にあっては、今の会社等の職員、工員との関係、あるいは五百人以上の企業の処遇の状況等を総合的に判断されるならば、この際こういうやり方を改めて、もう少し明確に民間の企業と比較をされるということこそ正しいやり方であり、本来の姿でないかと思うのですが、こういうやり方で参りますと、いつまでたっても大きな疑問点を持って、今度みたいに景気が悪いと景気の調整をしなきゃならない、見通しもどうも暗いということになると、こういうようなやり方を、幅があるからして、下のほうに焦点を合わせるということになると、うんと切り下げられる、こういう懸念を持つわけです。それについてひとつ明確に御答弁をいただきたいと思います。
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま四等級のお話があったのですが、ちょっと勘違いをなさって五等級の例をおっしゃったのではないか、そういうふうに思いますが、われわれのほうは、四等級は民間で申しますると、五百人以上の事業所におきまする係長、五百人未満の課長というところを合わせまして比較しておる。これは、特に係長のところへ重点を置いておるとか、あるいは五百人未満の課長のところへ重点を置いておるというようなことはございません。これはわれわれの調査がいわゆるランダム・サンプリングによりまして事業所を選んでくるということ。それからその事業所におきまする公務と民間との大体職務内容が同様なものはこれを選んでくる。ただ非常に大きな会社等におきまして、同じような項目が非常に数多くあるという場合には、これはまたランダム・サンプリングで、五百人あるところは二十人ぐらいにするというようなことはいたしまするけれども、これはもうあるものを一応全部調べてきたという形になるのでございます。そこに任意性は何ら入ってこない。ただ問題は、そういう対応関係はおかしいではないか。公務では四等級は、本省は課長補佐なんだから、民間で考えるときも、たとえば課長代理というようなものをとるのが適当ではないかという御指摘であるのだろうと思うのですが、民間におきまする課長代理あるいは課の副長あるいは次長、いろんな呼称で言われておるようでありますが、そのポストというものが、われわれの調査によりますると全課長の三分の二くらいしかそういうポストはないのであります。言いかえれば、そういうものを置いておるところあり、置いていないところありというようなことで、これをしさいに検討いたしてみましても、大体課長と同格に扱われてしかるべきものであるというように考えられるのであります。ところが、公務の場合におきましては、班長あるいは課長補佐と申しまする者は、一つの課におおむね四、五人程度おるのであります。筆頭補佐のほかに課長補佐という者が職務を分担しておりまして、これは四、五人程度というような状況。これはやはり職務の責任の度合い等から見まして、やっぱり民間の課の次長というようなところと直ちに対比することが必ずしも適当であるというふうには考えられない。一部にはそういう御指摘もございますが、われわれはそういうふうには考えていない。現在はやはり報告書等に出しておりまするように、明確な形で民間と対比しておるということでございます。これは去年もことしも変えていない。現在われわれはこういうやり方でやるということが著しく不当である、ないしは適当でないというようなことは考えておりません。将来さらに研究し、わが国の職務の区分というものが現在よりもより明確になるというような場合がくるといたしますれば、またそれは話が別になるのでありますけれども、現存の状況においては、完全な職務制度というものが民間においてもとれていないし、また、公務においてもとれていない。そういう場合においては、現在われわれが対応職種として考えておりまするようなものはまず妥当な方法である、このように考えておる次第であります。
○鶴園哲夫君 今瀧本さんは、私が言ったことが誤解しているのじゃないかということですが、私、人事院に聞いたのですが、これは資料の中に発表になっていないようですが、伺ったのですが、五等級の場合は五百人以下の企業体の係長、それと、下は五百人以上の場合の上級係員、こういうことだったのじゃないですか。四等級の場合は五百人以上の係長になっておるのじゃないですか、係長でしょう。
○政府委員(瀧本忠男君) 四等級の場合は五百人以上の係長、これは民間でいろいろな呼称を使っておりますから、班長というようなものもこの中に入っておりまするし、それと五百人未満の事業所におきまする課長でございます。
○鶴園哲夫君 はあそうか、これは間違いだな。いずれにしましても幅があるのですね。この点は非常に疑惑を持っておるのですけれどもね。とり方によっては相当大きな切り下げの理由にもなり根拠にもなるというふうに思うわけですよ。今の説明では、なかなかそうではないというふうに言い切れないと思うのですがね。無作為にやったというのですか。
○政府委員(瀧本忠男君) ただいまの四等級のところで、上限が五百人以上の係長で、下のほうが五百人未満の課長だ、こういうふうに答弁をおとりになったというふうに思うのであります。これは上限とか下限とかいう問題ではないとわれわれは理解しておりますけれども、五百人未満の事業所における課長、そういうものを全部、それから五百人以上の事業所における係長、あるいはこれに相当いたしまする——名称はいろいろあるでありましょうけれども、相当いたしまする職種と責任の段階のものをとるということで、この限りにおいてはわれわれ両者をとるのでありまして、上限とか下限とかいう思想ではございません。その限りにおいては明確になっておるというように思うのです。ただ、そういうやり方は対応職種として考える場合は不適当ではないか、少なくもこの対応職種として考える場合には、たとえば、まあ先ほど申しましたように、課長補佐というようなものをもう一段階この間に置いて、係長というものをずらして下の等級を対応して考えるほうがより適当ではないかという議論は、これはあるわけでございます。まあそういう見方もあろうかと思います。けれども、人事院はやはり現在の対応関係で比較をいたすということが現在の場合としては適当である、このように考えております。
○鶴園哲夫君 今五等級ですね、係長——これは本省の係長。地方へ行きますと、六等級が係長、大体そうなんです。五等級を比較する場合に、五百人以上の上級係員と比較する。それから五百人以下の係長、これはどう見てもおかしいと思うし、それからその間のやっぱり開きが、上限、下限というようにおっしゃらないですが、しかし、これはいずれにしても二つの要素があって、その間に幅があるということは事実です。そういうとり方によって相当較差というものが左右されるというふうにはみな思っているわけですよ。しかし、そうではないんだ、こういう説明ができるのかどうか聞いておるのです。
○政府委員(瀧本忠男君) まあ先ほどから申し上げておりまするように、この対応関係をずらして参りますると、これはもう較差が違って出るということはあたりまえでございます。で、そういう御主張をなさる向きがございます。それはまた一理あろうかと思います。しかし、われわれのほうといたしましては、職務の段階あるいは責任の度合い等から見まして、現在やっておりまするような対応関係——五等級について申しまするならば上級係員、あるいはこれは主任というようなことで書いておりまするが、そういう五百人以上の上級係員、主任、それから弧百人未満の係長というものを合わせまして、これを五等級に対応さすことが適当である、このように考えておるわけでございます。 ただいまお話がございましたように、出先機関では六等級でも係長ではないかというようなお話が出たわけでございます。で、まあわれわれが普通に係長ということで比較の場合、五等級が係長だという観念で比較いたします場合、これはまあ本省の段階における係長を念頭に置いて言っておることでございます。で、六等級は上級係員ということで比較いたす。六等級以下になって参りますると、これはもう現に公務におきましてもやはり職務の段階というよりもむしろ熟練の度合いというようなこと、あるいは年令というようなことでこれは対応するのが適当であるというふうに考えております。 で、ただいまも申し上げましたように、その対応関係をずらすということをいたしますれば、これは確かに較差は違って参るということに相なろうと思います。しかし、おととし、去年、ことしと何らこの対応関係は変えておらないのでございます。したがいまして、その限りにおいて去年とおととしと同様のことをやっておるのでありまするから、これは対応関係を変えたから去年よりも較差が低く出たということには相ならぬ、このように考えております。
○鶴園哲夫君 今係長で申しまして、本省の係長を五百人以上の事業体の上級係員と比較をしなければならないという理屈が私わからぬですよ。しかもその両者の間に五百人以上の事業体の上級係員、五百人以下の事業体の係長の間には差があることは明らかです。その幅のとり方によっては、それをどこに合わせるかによっては相当違うのじゃないかという懸念を持っておる点について伺っておるのですが、時間の関係がありますから次に参りますよ。 次に参りまして、人事院としては九・三%の較差があるという勧告の中の説明ですが、この民間との均衡をとるというやり方、均衡をとるというやり方について、従来と非常に変わりまして、例年こういうことをとったことないのですが、本年に限って非常に妙なやり方をやられた。つまり、純引き上げ分というのは六・六%、それに勧告にありますように昇給率の短縮というのですか、そういうようなものを一つ、それは中は二つに分かれておって、五等級、六等級、七等級あたりを号俸を間引くことによって昇給率を上げるというやり方、そのためにしわが寄るところを残ったすべての人たちについて三カ月昇給を短縮する、こういうやり方、それにもう一つ、その他の改善策として二子昇格の場合、特別昇給の場合等も取り上げておられるのですね。そうしてこれでいきますと、どういうふうになるのかはっきりしないのですが、勧告の実施時期には七・一%上がる、九カ月たったら七・九%上がるのだ、一年ぐらいかかっておそらく九%程度になるのじゃないでしょうか。こういう較差があるからして、人事院が言うように、例年のように、昨年あるいは一昨年と同じように五月一日に九・三%の較差を埋めるというやり方、それをとらないで、こういうふうに非常に複雑にして、しかもそれを一年にわたってその較差を埋めるというようなことをされた理由ですね……。
○政府委員(神田五雄君) お答えいたします。 報告文でも述べておきましたように、最近における民間の給与改善が中位以下の層において相対的に大きい、そういう事情があります。他方公務員におきましては、中位以下の等級の昇給率が非常に悪く低下の傾向にある。これらの層の昇給率を改善する必要があると考えたのであります。そのためには俸給表上の等級を制度的に改めることが妥当であるので、号俸の刻み方を改めることにしたのであります。ところで、新俸給表への切りかえを一斉に行なうと増加額に非常なアンバランスが生ずる結果になりますので、号俸と職員の有する経過月数等の関係から見て逐次に切りかえる方法が最も公平な切りかえであるというふうに考えたからであります。
○鶴園哲夫君 四月末現在で、人事院の説明ですと、九・三%民間のほうが高いというわけです。私は本来九・三%為いのだからこれは前にさかのぼって穴埋めすべきだという考え方を従来から持っておるのです。九・三%という較差にどういう経過でなったかということは明らかなんですね。昨年の春闘の残り分、つまり先月にちょっと上がって、六月から二月くらいまでに上がって、それから四月にまた春闘でぐっと上がって、その三段階に分かれて民間の給与というものが上がったわけです。そうしますと、逆に前にさかのぼってやるべきだという見解を本来持っておるのです。ただ一昨年から勧告に五月一日実施ということを明示されておる。五月にその校章を埋めるということですから、まだがまんしておった。ところが、ことしはそうじゃなくて、これから一年の間に埋めようというのです、その救荒を。これはどうもがまんならない。さかのぼって埋めるならがまんなる。五月一日でもがまんしておった。そうじゃなくて、これから一年かかって埋めようというわけです。そういうやり方については、これはがまんならないのです。のみならず、これは従来人事院がとってきた態度からいうならば、大きな後退ですよ。較差があるから、五月一日に穴埋めするという従来の態度からいうと、大きな後退です。こういう軟弱な態度をとられた理由をお聞きしたいのです。
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま神田人事官からお答え申し上げましたように、最近におきまする民間の給与改善というものは初任給の改善で、これは小規模事業所等におきましても相当上がっておる。先ほど来申し上げたとおりであります。それに伴って、やはり中年以下の改善が相当に大きいというような状況がございます。公務におきまして、過去何回かのいわゆる給与改善を行なってきたのでありますが、それはどういうやり方でやっておるか、原則的なことを申しますと、各等級の各号俸の金額自身を引き上げていくという方法によってやっておるのであります。これはもう御承知のとおりであります。たとえば、七等級の三号なら三号、四号なら四号の金額自体を引き上げていくという方向でやっておった。三号と四号との関係、すなわち、四号から三号の金額を差し引きました差額、これは間差額と呼んでおりますが、これが昇給額でございます。この間差額を増加さすということを従来意識的にはやってこなかったのであります。その結果はどういうことになるかと申しますと、その昇給金額、間差額を、たとえば三号の号俸の金額で割りましたものが昇給率。あらゆる場所、あらゆる号俸に昇給率というものがあります。その総平均というものが、その全体の俸給表の昇給率ということになりますが、この昇給率は、昭和三十二年に新制度に切りかえました当時に比べまして、現在は相当落ちておる。こういう現象がございます。そこで、われわれは今回の改正によりまして、昭和三十二年当時の昇給率までに戻す、こういう措置をやったのであります。これはやはりただいま申し上げましたことは、公務における三十二年以降の昇給率は漸次低減して参ったので、もし今回も同じような方法で給与改善を行なうといたしますれば、この昇給率は相当落ちてしまうという結果になる。そこで、やはりこれは三十二年当時の平均昇給率に直すという必要があるというように考えたわけでございます。また一方、われわれの調査は対応職種の金額はどれだけであるかという調査でございまするから、制度的な面が必ずしもわれわれの民間職権別調査ではつかめない。けれども、これは労働者の調査なり、あるいはいろいろなところでいろいろな賃金調査をやっておられますが、そういうものをいろいろ研究、分析いたしてみますると、最近民間におきましては、やはり新規学卒者が就職いたしまして十五年くらいの間というものは、相当の速度で昇給をしておる。したがって、公務と民間との場合に、初任給をかりに合わせたといたしましても、これはやはり十年なり十五年の後に相当荒が出てくる。こういうことがわかったのであります。で、やはり学校を卒業しまして、新制高等学校にいたしましても、新制大学にいたしましても、その卒業後十年ないし十五年という期間は、これはやはり結婚もいたし、宗族もふえていくと、こういう期間に一面からいえば該当いたしておるのであります。それやこれやを考えました際に、やはり現行俸給表の昇給率を改善する必要がある。従来のやり方でいわゆる給与改善をやっておったならば、その時点においては、これは民間とバランスがとれるでありましょうけれども、年間を通じて民間と離れるというような現象が起きてくる、これは非常に最近それが大きくなっておるというようなことがございますので、それやこれやを考えまして、今回は昇給率の改善措置をはかる、そして特に中年層以下におきまする昇給金額を増大する、こういう方法をとることが最も適切である、こういう考えから、従来の意味のベース・アップだけではなしに、それだけではなしに、それもやっておるのでありますけれども、それとあわせて昇給金額の増大をはかるという措置をとった次第であります。
○鶴園哲夫君 私は、今、局長がおっしゃったような説明もわかりますが、それだけではあるまいという気を持っております。やはりほんとうの較差の面から言ったならば、均衡をとるというならば、やはり最低限五月に均衡をとるというのが建前だと思うが、それが一年かかって何とか均衡をとりたい、それも均衡をとっていない。とっていないのだけれども、とにかく、一年かかって努力しようというのです。だからこれは従来の人事院の行き力からいうと、何といっても大きな後退です。どういう理由でそういうことになったのかということを聞きたいのですが、景気の調整の問題もありましょうし、これからの経済の見通しの問題もあるだろうし、いろいろあるだろうと思うのですけれども、それをお話しにならないのですが、しかし、私は、どうも各面からの圧力がかかっておるのじゃないかという気がしてしようがない。その象徴的なものとしまして、入江総裁が死去されてすぐその直後ですが、新しい人事院総裁を任命するというような新聞報道が行なわれました。これは七月の末です。八月八日の勧告を控えまして、そういうような人事院総裁を任命するということになりますと、今作業中の、人事院の勧告の作業中のものに対してストップをかけたような形に私はなるというような印象を強く受けたわけです。今、政府の責任者が見えておりませんから、この問題は特に問題にいたしませんけれども、象徴的に、そういうものをめぐって、私どもとしましては非常に遺憾な状態の中で、こういうふうなあめを伸ばすようなやり方をやって、しかも較差は埋まらないという方法をとられたのじゃないかという気がしてしようがないのです。今、政府の責任者がおられませんから、この問題については特にどうこう申し上げませんですけれども、しかし、繰り返して申し上げますように、これは人事院が従来とってきた態度から言うならば、大きな後退であるという点を重ねてひとつ申し上げて次に移りたいと思いますが、次は、あと、勧告の内容について、中に入ってまだこまかく伺いますけれども、以上のところで、ひとつ政府にも伺いたいのですが、この勧告を政府は五月一日から実施するというお考えがあるのかどうか。池田総理の本院の本会議におきます答弁は聞いております。それから公務員給与担当大臣のほうからも聞きましたが、明確でない。五月一日実施される、そういうふうに考えておられないのかどうか、その点を伺いたい。
○政府委員(竹内俊吉君) お答え申し上げます。一般職の国家公務員の給与の改定は、申し上げるまでもなく、国民経済全般に広い影響を持つものでありまして、この勧告の実施にあたっては、特別公務員、あるいは地方公務員との関連もありますことは、申し上げるまでもないのであります。また、財源その他の点においても、考慮すべきが当然でございます。これらのものを総合して考えなければなりませんので、今、お尋ねがありました実施時期をどうするかという問題を含めて検討いたしておりまして、五月にさかのぼって実施すべきかすべきでないかという点も含めて、検討をいたしておるところでございます。
○鶴園哲夫君 公務員の給与を上げることが、各方面に非常に大きな影響を与えるというお話なんですが、そういう言い方が私は気にさわるわけなんですよ。今、私、るる人事院に対して質問いたしましたように、民間がずっと上がった、それに対して、公務員は、できるだけ均衡をとりたい、それが、非常にささやかなもので、一年かかって、それでもまだ較差が埋まらない。一年かかってやりましょう、こういうことですね。民間が上がったから公務員を上げるというわけであって、民間に先がけまして公務員をぐっと上げるという、これは勧告ではないわけですよ。そういうやり方が、民間の賃金なり、そういうものに非常な影響を及ぼすという言い方が、私は気になってしようがないのです。
○政府委員(竹内俊吉君) ただいまのお尋ねのことはわかるのでありますが、しかし、これの改定によって、国民経済全体に影響を及ぼすということも、またいなみがたい事実だと思います。したがいまして、先ほど申し述べましたような総合的な見解から、慎重に検討すべき事柄であろう、こう考えて、検討しておると、こういうことを申し上げたのであります。
○鶴園哲夫君 人事院の調査は、限られた民間の給与の調査じゃないのです。全国の各都道府県にわたって、民間の給与はどの程度上がったかということを、調査をやるのです。民間が上がったから、ひとつ、それに一年かかって歩調を合わせようというのですから、それが民間の賃金なり、その他に大きな影響を及ぼすというような言い方をされるということは、これはよくない。やってやらなければいかぬ。よくないと思うのです、考え方が。そうお思いになりませんか。
○政府委員(竹内俊吉君) 民間給与との開きを追いかけていくと、こういうのが、今度の勧告の趣旨であることは、十分わかるのであります。しかしながら、この給与改定が、国民全般の経済に及ぼす影響ということを全然考えないでやれる問題だとは考えない。あなたがお述べになった趣旨も、十分わかっての上で、そういう点も総合的に考えるのが至当じゃないか、こういう見解に立っておるわけであります。
○鶴園哲夫君 大臣が見えましたので、五月一日実施をやられますか、やりませんか。
○国務大臣(大橋武夫君) この人事院の勧告は、五月一日にさかのぼって実施されることが望ましいということが書いてあるわけでございます。また、理屈から言えば、従来、民間の給与におくれているのでございますから、それをできるだけさかのぼって補いをつけるという意味で、五月一日にさかのぼるということが考えられるだろうと思うのでございますが、この点は政府といたしましては、現在いろいろな角度から検討をいたしているのでございまして、ただいま五月一日にさかのぼるかどうかということはきまっておりません。
○鶴園哲夫君 八月の十日に勧告があったわけですが、しかし、これは突如として出たわけではなくて、毎年八月八日勧告ということで、本年も二日おくれましたけれども、八月十日に出た。ことしだけの問題じゃない。毎年あるのです。そうして、前二回にわたって、五月一日に上げるという実施の時期を勧告の中に明記してある。前二回とも十月一日に実施した。ちょうど五カ月サバを読まれた。今回例のとおりまたこういう勧告があったのですが、それを、今検討中というお話では、なかなか納得することができない。確かに、今度の勧告については、複雑な上げ方ですし、これを特別職なりあるいは自衛隊なり、そういう面にどういうふうにこれを準用するかという点については、相当大きな努力が要ることはわかります。ですが、少なくとももう勧告が出ましてから相当たっているわけです。しかもなお検討中だ、そうしてきまっていないという言い方では、これはまた昨年と同じように、一昨年と同じように、十月一日の実施になるのじゃないか、こういう推測をせざるを得ない。そういうことなんでしょうか。
○国務大臣(大橋武夫君) 昨年、一昨年は、五月一日実施という勧告が、いろいろな事情で十月一日になったのでございます。ことしもその例にならわなければならぬということはないのでございまして、できるだけ早い時期から実施することが勧告の趣旨を生かすゆえんである、こういう考えのもとに、せっかく検討をいたしている次第でございます。
○鶴園哲夫君 私は、ずっと、今まで三年内閣委員として給与問題をやっているのですけれども、いつも今のお話のような話でですね、そうして結論はいつも十月一日です。ことしは一月一日になるのじゃないかというような疑惑すら持たれているわけですね。ですから、毎年の例なんですから、もっとはっきり、五月一日からやるというふうな努力を払ってもらいたいと思うのです。できるだけすみやかに、できるだけさかのぼってというお話ですけれども、はなはだあいまいなんですね。それで歴代の公務員制度担当大臣は、勧告の趣旨をよく尊重しますというお話でですね。勧告を尊重しますという焦点はもう内容ではなくなっているのですよ、ここ十年ぐらいの間。問題はその時期をどうするかと、それが尊重するか尊重しないかの焦点になっているのですね。それをはずして、趣旨を生かし、尊重しているということにはならないのですよ。ですから、趣旨を尊重してということであるならば、焦点を早くはっきりしてもらいたいと私は思っているのですがね。しかし、この点について、大蔵大臣も、少し違った意見を予算委員会で述べられたように新聞で見たんですがね。大蔵省にこの問題について御見解を聞きたい。大蔵省は積み重なっているのですがね。昨年の十二月の十四日に、暫定手当の勧告があったのです。これもまだ実施していない。それで公務員制度担当大臣はできるだけすみやかに、予算は組んでないけれども、できるだけすみやかにやりますと、こう言ったのですがね、やっていない。まあこの問題についても、どうも違った考え方を持っておられるように思うのです。大蔵省の見解をお聞きしたいのですがね。
○政府委員(竹内俊吉君) 脚定手当の整理に関する勧告が昨年十二月出されたのでありますが、これにつきしては、この手当を本俸に繰り入れるということはベース・アップと事実上同じ性質のものであろう、こういう見解に立って、人事院は官民給与の較差の状況等を見て、しかる後に具体的に検討すべきであうということで延び延びになっておったのでありますが、今回人事院の勧告が出たのでありますから、暫定手当につきましても、この勧告の措置をとる場合にあわせて暫定手出の整理に関する勧告の趣旨も生かして参りたい、こう考えております。
○鶴園哲夫君 私念のために申し上げておきますが、もしかりにですよ、十月一日になったということになりますと、これはもうせっかく上げるのですけれども全く意味がなくなる、というのは、今消費者物価が一年間に七・八%上がっておる、総理府統計局の消費者物価は総合して七・八%、それに対して、今度勧告を実施する、実施のときに上がるのは七・一%ですよ、その間に公務員は三・八%ほど昇給しておりますから、合わせて、一〇・九%くらいの引き上げになるのですが、消費者物価は七・八%上がっております。五月一日から実施すれば三%くらい公務員給与は上がったということになるのですね、ところが、これが十月に実施しますと全く意味がなくなるのですね。とんとんになってしまいますですね。十月に七・一%、それに昇給分の三・八%を合わせて一〇・九%くらいの引き上げになるのですが、今東京都の七月の消費者物価総合指数は九・八%上がっております。十月になれば一〇%をこえるのは明らかです。さらに十一月になると、消費者米価が上がる、さらに私鉄運賃、それに伴ってトラック、バス、電気料金も上がる、したがって、物価もその時期を画して一度に上がるということを見なければならない、そうしますと、十月に上げた場合は、公務員給与は物価に追いつかない、それが十月以降毎月々々物価が上がるだけ切り下げられるわけです。所得倍増とおっしゃるけれども、足元の公務員の給与はこういう状態に追い込まれる。十月以降毎月物価は上がるわけです。所得倍増と言っても、所得倍増の煙のけの字も出ていないじゃないですか。また、五月一日実施すれば、少し何とか物価に合っていくという数字をはじいたのを私はもらっているのです。そういう点について、どうですか、公務員制度担当大臣としてどう考えておられるか、伺いたいですね。
○国務大臣(大橋武夫君) 物価指数を基礎とした今のお話につきましては、当たっておると思います。
○鶴園哲夫君 ですからね、ぜひひとつ五月にさかのぼつてもらいたい、これについて大蔵大臣が、かつてその点についての、毎年やる論議ですから、やりますと始終述べられておりますが、どうも納得する理由がない、予算は四月から新しく発足した、その場合に五月にさかのぼって予算を大きく修正するような、そういうものは困るという言い方をする、しかし、そういう言い方で、公務員が一年おくれて民間の賃金に何とか少しずつ追いついていこうというのを、それを拒否するというやり方はよくない、これは技術上の問題じゃないと私は思うのです。現に三公社五現業の場合においては、きまりますとすぐ補正予算を組むのです。国家公務員の非現業の場合におきましては、団体交渉権がないというだけによって、そういうようなやり方をなさる、これは毎年の例なんです。だから、労働大臣は三公社五現業等の問題についても、関与しておられるわけですし、また、公務員制度担当大臣として、非現業公務員の給与の問題についても担当しておられますわけですね。だから団体交渉権がないから、一そうやはりそういうような意味の配慮をはかっていかなければならないのだというふうに私どもは思っているのですけれどもね。ですから、五月一日に実施ということで、給与担当大臣、公務員制度担当大臣は努力をして、そういう面で成果が上がるように要望したいのですがね、いかがでございますか。
○国務大臣(大橋武夫君) そのとおり努力をいたします。
○鶴園哲夫君 そういうことで、いつも努力をなさるというふうに御答弁になるのですが、歴代の公務員制度担当大臣が。しかし、いつもそれが実らないわけですね。どこにその理由があるか。公務員制度担当大臣という方が、そういうお話をなさるにかかわらず、これがいつも成果を見ない、どこに一体理由があるのだろうかというふうに思うんですよ。いろいろ考えられますけれどもね、どうもおかしな話ですね。大臣がそう考えておられるのに、それがそうならない、しかも、公務員制度担当大臣としては、公務員の給与を扱っている最高の責任者なんです。安易に努力しますというふうにおっしゃっているのかどうか。あるいはそういう見通しはないけれども、おっしゃっているのかどうかという疑問すら抱くわけですよ。ですから大臣何かちょうど正午の会見の御様子でありますから、これで切りますけれども、ぜひ今お話のように、五月一日実施になられるように努力を要望いたしておきます。 今担当大臣にお伺いして、担当大臣がいらっしゃらないのに担当大臣の言葉を使うのは恐縮なんですが、どうも十月上げるようなことになると、あと毎月物価が上がるだけ公務員の給与は引き下がるということを平気で言われる。所得倍増という大きな政策の中で、おかしな話だと思うのですがね、おかしな話だと思うけれども、事実だからしようがないですね。そこで、もう一ぺん人事院のほうに伺いたいのですが、人事院も御承知だと思うのですが、労働省の毎月勤労統計の六月分が昨日発表になりましたですね。昨日発表になったのを見ますと、民間は四月まで一年間の間に一三・三%上がったというのですが、この六月で一六%をこしましたですね。まだ上がっておりますよ。四月、五月、六月と、ずっと上がっております。一六%をこすということになりますと、人事院が今回後生大事に引用しておられる管理事務、技術労働者、これも四月に九・九%から五月は一〇・八%、約一%上がって、六月は一二・五%、ぐっと上がりましたね。ですから、この間相当な上がり方ですよ。これは昨年も私は論議したのですが、春闘の積み残しという形で論議をしたわけです。今回もこのように三月から四月にかけて、つまり四月に上がった分が三・三%上がりましたね。そして五、六と、この二カ月かかって二・五%上がっておるのです。これは要するに春闘で、四月に一ぺんに上がらないで、五、六とまたがって上がっているという、私はそういう論議をやったのですが、今回もそうなんですが、さらに物価が、御承知のとおり、七・八%だったのがどんどん上がっております。そういう状況というのは非常に明確なんですが、数字上これを人事院は考慮に入れないのかどうか。これは、民間のこういうふうな上がり工合と春闘相場の半分というものが残った、これは来年の八月の勧告まで持たなければならぬということになるのです、一年間に一回勧告をするのですから。法律で示されているように、国家公務員法の第六十四条第二項によって、人事院はこの点の判断をして処理すべきだと思うのですけれども、それらの点が全く配慮が払われていない。そして、一年間で較差をできるだけ埋めようということについてはえらく頭をしぼられておる。こういう問題についての判断は何がゆえに入れられないのか。
○政府委員(神田五雄君) 人事院の勧告は、確定した事実に基づいて定期的に行なう方針をとっております。すなわち、ここ数年は、毎年四月の数字に基づいて勧告をしているのであります。昨日労働省から発表された毎勤の六月分は五月に比べて約二%上昇しております。しかし、民間全体で見ると、年により、月により変動はありますが、毎月若干の事業所が給与改定を行なっているので、算定月をどこにとっても類似の現象が起こることになります。したがって、実際上将来の分も見込むということは困難である、こういうふうに考えております。
○鶴園哲夫君 これは、困難ではなくて、毎月勤労統計ではっきり出るわけです。政府の機関で発表している毎月勤労統計ではっきり出るわけです。それから物価の問題については、すでに七月分まで、総理府統計局ではっきり出している。これはあいまいな問題ではない、はっきりしたものです。ですから、国家公務員法の六十四条の第二項に、公務員の給与というのは、生計費と、民間の給与と、その他人事院の判断する要素、これによってきめるということになっております。ですから、判断する要素の中になぜ入れないのか。しかも来年の十月までほっておくわけですよ。その程度の判断がつかないというのですか。
○政府委員(瀧本忠男君) ただいま神田人事官から申し上げましたとおり、人事院は確定いたしました事実を調査いたしまして、それに基づいて勧告いたすというやり方をいたしております。不確定数字というものでいたすということは、これは非常に困難である。その見通しが狂ったりいたしますと、非常に困難であるというふうに思っておるので、毎月勤労統計で指数として概括的な方向を示すようなものは出て参ります。たとえば、ただいま御指摘になりましたように、全産業について言うならば、四月を一〇〇としてみると、六月は一〇二・六になっておるというような数字を承知いたしております。昨日発表されましたが……。でありますが、この数字はやはり、もちろんいわゆる春闘の積み残し分もこの中に入っておるということは存じておりますけれども、また同時に、たとえば時間短縮があった場合には、そういう影響も現われるでありましょうし、また、労働移動がありました場合には、そういう影響もありましょうし、諸般のいろいろな状況がこの数字には総合的に現われておるという数字だと心得ております。したがいまして、いわゆる価値の引き上げが行なわれる。春闘等によっていわゆるベース・アップが行なわれる。それがこの中のどれだけの部分に相当するかということはなかなか判然といたさないということがあるわけです。したがいまして、人事院としましては、やはり職務と責任の役階の同じものを対比いたしまして、それを総合結果として出して較差を決定いたしてやるというやり方にならざるを得ない、これは随時やれることではございませんので、現在は年一問やっており、ただいま申しました春闘の積み残り分だけでなしに、民間ではやはり非常にたくさんあるわけでありまするから、いろいろな事業所でいろいろな時期に給与改定ということも行なわれておるというようにわれわれ承知いたしておるのでありますが、そういう観点から見ましても、いつの現在をとってみてもやはり積み残し分というものが出てくるのではなかろうか。したがいまして、現在人事院はやはり人事院が行ないます民間職種別給与調査に基づきまして官民の比較をやって、その較差によって給与の引き上げをやる、このようなことになっております。
○鶴園哲夫君 そうすると、人事院は、国家公務員法の六十四条第二項の、人事院の判断する要素というのは入っていないわけですか、民間の比較だけで行なうのですか。しかも今私が申し上げている数字は、不確定要素ではないですよ、毎年の傾向としてはっきり出てくる問題ですね、しかし、まあ時間の関係がありますからこれはやめますが、しかし、私、伺いますけれども、人事院が非常に、後生大事に使われた労働者の毎月勤労統計の管理事務及び技術労働者、職員に該当するものですね、管理事務及び技術労働者の賃金が一二・五%になりましたね、これは人事院が調査されても大体この数字が出るでしょう。少しは低くなるかもしれませんが、今七・一%上げますね、そうするとその差は五・四%ですよ、較差は。物価が上がることははっきりしていますね、十一月はぐっと上がることははっきりしていますよ、消費者米価が。これは五・四%較差が出るのだが、重ねて勧告する意思があるかどうか。これは国家公務員法の二十八条に、人事院は、少なくとも年一回——二十八条の「情勢適応の原則」というのがあって、年、「少くとも一回、」やらなければならぬのですが、五%動かす場合に——五%増減する場合としてついていますよ。今日すでに五・四%の較差が出ている、重ねて勧告する意思があるかどうか聞きたいの
○政府委員(神田五雄君) 目下のところございません。
○鶴園哲夫君 それは国家公務員法の二十八条の第二項の趣旨に沿わないものです。明らかに較差が五%をこしているですよ。その趣旨に沿わないです。しかも年「少くとも一回、」以上……趣旨に沿わない。
○政府委員(瀧本忠男君) 御指摘のように、公務員法二十八条によりますると、人事院が五%以上俸給表を上げ下げする必要があるときは、人事院は報告書を添えて勧告しなければならない、こういうことになっております。そういうことを判断いたします基礎材料といたしましては、ただいま御指摘になりましたように、民間給与が非常に上がって公務員の給与と較差が出るとか、あるいは生計費上に格段の変化が起きてきて、その面からやはり考慮しなければならぬというような場合に該当して、そういう場合に人事院が判断をいたす、五%上げ下げする必要があるかどうかということを人事院が判断いたすということになろうかと思うのでございます。ただ、先ほどから申し上げておりますように、人事院といたしましては、的確な資料に基づいて人事院が従来やって参りました方法で調査をし、こういうことを判断するということが従来の例でございますので、そういう意味から参りますると、補助的資料としてはいろいろな資料があるかもしれませんけれども、これは的確にやはり人事院がそれを判断する資料というわけには参らないというように思うのであります。したがいまして、普通の状態におきましてやはり年間を通じて賃金が上がり、物価が変動いたす、物価が賃金よりも上がったり下がったりいたしますが、そういう状況があるわけでありましで、そういう状況につきまして人事院として知らぬ顔をしているというわけではございません。これは十分注意して参らなければなりません。普通の状態におきましても、年間を通じて物価も賃金も漸騰していくというのが大勢の傾向でございます。そういうときに人事院は年一回調査をやります。そうしていわゆる標準生計費の算定をいたしまして、そうして人事院として判断いたす、こういうことになるのであります。非常に経済の激変があるというような場合には、またこれは話が別個になろうかと思います。しかし、現在の状況下におきましてそういうことをやるとかやらぬとかということはなかなか申し上げにくいことであろうかと思います。
○鶴園哲夫君 これは論議しませんですけれども、ただ、人事院は較差を一年かかって埋めるというやり方を出された。そういうことをやられるから、だからすでにもうこの六月また五・何パーセント較差が出ておるじゃないか。出たじゃないか。関心を払っていかれるということですけれども、関心を払うなら五・四%較差が出たじゃないですか。その人事院の関心ですが、勧告しないということは関心を持たないと同じだ。人事院が非常に複雑な調査をやる。そうして実に四カ月という日にちをかけて調査をやって、のろまなことをやるわけでありまして、法律に書いてある趣旨に沿わない。少なくとも年一国根本的に考えてもらいたいと思います。団体交渉権のない非現業の国家公務員の利益を守るためには、まだるっこく四カ月もかかったような調査をやって勧告をやる、勧告をやるといっても、そうするとその間に情勢が変わってしまう。こんなのろいことでは公務員の利益が守られるはずがないと私は思う。もっと一カ月くらいでやれるだけの簡素化したもので判断されてもいいんじゃないかと私は思う。この二十八条の二項にそぐわない。そういう点を私は強く申し上げておきたいと思います。 それから期末手当ですが、期末手当を三・七二月分民間の場合は出す、それで公務員は現在三・四月分くらいだからあと〇・三ふやせばよろしいという言い方をされる。これには私は問題が三つあると思う。これは毎年問題になるのですから、伺っておきたいのですが、一つは、三月末の期末手当を作られた、これはけっこうです。長年の懸案であったわけでけっこうなんですが、ただ、そのために勤勉手当がふえまして、増額をした。従来から歴代の人事院総裁は、勤勉手当をふやすことについては否定した答弁をしてこられたわけですが、今回総体として〇・〇五月分の勤勉手当がふえたということは、問題にすれば限りない問題を含むんですが、その問題を簡単に伺って、もう一つは、職員が民間の場合は四・一カ月、工員が三月分、それを平均して民間は三・七二月分だ、こういう出し方ですが、給与は先ほど来問題になっておりますように、民間の職員と比較をする。期末手当だけについてどういうわけで職員と工員との平均をもって考えなければならぬのか。給与を考えるのに二元論ですよ。こういうときにはこういう説明をするという二元論は因ると思います。職員となぜ比較しないのか。三点と申しましたが、二点だけ伺っておきます。 それからもう一つこまかい問題ですが、伺っておきますが、宿直手当、二十八年の一月一日にきめてから七年間動かさなかったのですが、今回民間を調査してちょっぴり動かした。ほんとうにちょっぴりですな。ちょっぴり動かしたのですが、この民間の宿直の場合ですけれども、日直は一週に一度しかありませんから、土曜日の半日と二日ですが、宿直の場合は、民間の場合は朝飯と夕飯を出しておるのじゃないかと私は思うのですが、その調査をやっておられるかどうか。
○政府委員(瀧本忠男君) 従来、期末・勤勉手当を増額して参ります際に、前の総裁あたりから、これは大体として今後期末手当で増額していくのだ、こういうことを何回かおっしゃっております。現に人事院はそういうことをやってきたわけです。従来期末・勤勉手当の増額におきましては、増額する支給月分というものが〇・二とか〇・一とか非常に少ないものを積み上げてきたわけでございまして、そういう際にそれだけのことで成績を判定するというのはいかがなものであろうかということで、大体期末手当で増額して参ったのであります。そういうことで従来やってきました結果、現在におきましては期末・勤勉手当の体系が必ずしも適当な姿になっていない。これはまあ漸次少しずつ増額してきたからこういう格好になっておると思うのでありますが、この機会に、この〇・三月分増すという機会に、従来の各支給期ごとの割合を検討いたしてみますると、たとえば上期は勤勉手当が〇・二五で、下期は〇・五〇である。この下期の〇・五〇というものは、この中の半分は下期の成績に応ずるものであり、あとの〇・二五は一年間全体に応ずるものであるというような、同一時期に〇・五出して、しかもそういう解釈でいたしておるということに無理があるのではないかというような、まあ全体としましてどうも体系がすっきりしていないということがあります。もし公務員に三月期に特別手当を支給するということを考える場合には、やはり期末手当ということではどうしても意味をなさないのではないか。これはやはり年間の成績に応じて出すという考え方をどうしても入れる必要があるというようなことから、そういうととをいろいろ考えました結果、期末手当は六月、十二月でありますが、勤勉手当は六月、十二月、三月に出す。そうして上期の成績に応ずるもの、下期の成績に応ずるもの、また、一年間の成績に応ずるもの、それぞれ支給月を分けまして、その間の関係を明確にいたすという必要があるのじゃなかろうかというようなことを考えまして、いろいろ考えました結果、今回は〇・〇五月分は勤勉手当で増すのが、そういう勤勉手当の支給を一応体系づける上に便利であるということから、〇・〇五は勤勉手当で増したのでありますけれども、あとの〇・二五というものはこれは期末手当で増す、大部分は期末手当で増したい。勤勉手当を同一時期に半分は下半期の分、半分は一年の分といってみてもなかなかこれは十分理解ができない。上期が〇・二五であり、下期が〇・五〇であるからどうもはっきりしない。だから支給月である六月に〇・三、これは上期。それから十二月に〇・正、これは下期。それから三月末には、多少年間はずれますけれども、一年間の成績というものを考慮して出す建前であるということでこれを分ける。上期と下期の数字を合わせそうしてまた三月に〇・二出すということをいたしますためには、これはまあ今回も〇・〇五だけは増さざるを得なかった、こういうことでございます。全体の体系としては、従来、前の総裁がおっしゃっておったことと、たいして違っていることではございません。 それからまあこの俸給上の本俸についてはえらい、まあ人事院は今年度の俸給で比較をやっているのに、特別給については、あまりにラフであるじゃないか。職員は四・一九、三・七二といっても、職員についてみれば四・一九であるから、こういうことに着目してむしろやり方を変えるほうが適当ではないか。これは御意見ごもっともだと思うのであります。ただ、特別給というもの全体につきまして、われわれはこの俸給表上の給与の精細な比較をいたしておりません。また、事実、調査をいたすといたしましても、これは民間の調査では個々の人、あるいは職務の段階に応じて、幾ら出しているかということを調べることは、非常に技術的に困難であります。したがいまして、民間の事業所で総支払い額は幾らだ、それを受けた人は何人であるという大ざっぱな調査にならざを得ない。現に民間でこれをかりに、詳細に調査したといたしますれば、職務の段階に応じまして、上のほうは金額はもちろんでありますが、支給月分も非常に差があるというようなのがこれが一般のようであります。しかし、そういうことを現在いたしておりません。そういう観点からこの特別給につきましては、本俸とは違いまして、大まかに民間の状況をつかむ、こういうやり方でやっておりますので、その点御了承を得たいと思います。 それから宿日直手当につきましては、これは現に土曜日の宿日直というものは、お昼の十時半からずっと連続いたしまして、日曜日の朝八時半まで、これを一回の勤務として三百六十円払っている。ところが、普通の日の宿直というものは午後の五時から翌朝の八時半までこれを一回三百六十円で払う。これは勤務の長さからいっても非常におかしいではないか。場合によってはこれを分けるのが適当じゃないか、いろいろな議論があるわけであります。そういう議論の中で、金額自体もすでに二十七年当時にきめたものであるから、その後上がっているのじゃなかろうかというようないろいろ御意見もございまして、そこで人事院といたしましては、この問題も本年の民間職種別調査にあわせて調査をいたしました。民間の状況がどういうふうであるかということを調べたのであります。われわれの調べは宿日直、土曜日はどうなっておるか、分けているかどうか。あるいは宿直の場合はどうであるか、日直の場合はどうであるかということを調べたのでありまして、それは宿直をやっているときに、その金額での範囲で、あるいは給食ということが行なわれる場合もいろいろございましょうけれども、そういうことを一々調査いたしますると、これもなかなかまた調査の時間の関係等もございますので、われわれの調査は給食等のことには触れませんで、現に宿直手当、日直手当、あるいは土曜日の宿直手当としてどれだけ支払われているかという事実を調べたのであります。それで宿直手当のほうがこれは報告書にも出しておりますように、日直手当に比べますと、金額は低うございます。その意味からかりに一つの立場からものを申しまするならば、現在の宿直手当三百六十円、これは高過ぎるから、これを下げなければならぬというような議論が起こりかねないのであります。しかし、ここは従来、その金額でやっておりますし、大まかに宿直手当と日直手当の民間の支給額を平均いたしてみますると、三百五十何円かになりまして、おおむね三百六十円というラウンドにすれば数字になりますので、この点についてはこれを変更いたさない。ただ、土曜日の場合は時間等も長うございますので、四百十二円という数字で出ておりますけれども、これをラウンドにして四百二十円にすることが適当である、このように考えて勧告いたしておるわけでございます。
○鶴園哲夫君 今のこの宿日直手当につきまして、晩飯と朝飯を出しているか出していないかも調査しないようなずさんな調査の仕方で、宿日直を、ものを言ってもらっては困るですね。どうも大蔵省もそうですが、人事院の場合も幾らかそういう傾向があるのですが、公務員で第一線におって宿日直をやっておるような連中、そういう者に対して足げにしたようなやり方、もっと親切さがあってしかるべきだと思うのです。実際私の承知しておる限りでは、朝飯、晩飯というものは調査すべきだ。出しておるかどうか。まあこのことは扶養手当とかその他全般にかかわりますので、時間の関係がありますから申し上げませんですが、ただ、期末手当の問題とそれから今の宿直、日直手当についてはなはだ不十分ですね。答弁が不十分だ、このことを。 次に移りますが、あと三点ほど残っておりますが、急ぎまして、だいぶ時間が過ぎておりますが、今度給与を上げまして、公務員の人たちはさっぱりいい顔をしないですね。その一番大きな理由は、人事院は十四ある俸給表の均衡をとることに非常に重点を置き過ぎておるというふうに私は思うのですが、これは勧告前にたびたび論議してきておるわけですが、たとえば一番問題になりますこの研究職ですね。研究職は民間の研究職と公務員の研究職との間には七千八十二円という較差があるのですね、今度の調査で。それで引き上げの率は二千二百円ですよ。ですから五千円残っておる。これは率で言いますと、民間のほうが二一%高いわけです。それで今回上げますのは七・八%です。ですからちょっと三分の一穴埋めということになるわけですね。 それから医療職ですね。医療職は民間の場合が二万三千四百四十一円高いですね、公務員の医療職よりも。今回上げますのは二千六百円です。ですから二万一千円まだ差があるのですね。こういうことをやったんではこれは医療職の人たちがいつまでたっても解決しないですよ。不満なのはあたりまえ。それから研究職も同じ。 それから行(一)、公務員の四十四万の中で半数以上占めておる行(一)、これも民間と比較すると較差が四千三百五十六円、それで上がるのは千八百円から千九百円でしょう。約二千五百円まだ残っておるんですね。これは一例としてあげたんですが、私は人事院がこの十四ある俸給表の均衡に非常な重点を置き過ぎておる。だから私が言っておるように、この行政職の(一)とか(二)とかこういう職種は、税務職とかあるいは公安職とか同じように考えたらいいじゃないか。こういうふうに、今の教育の沿革から言って特に大学教育の沿革あるいは現状から言って日本の国立大学というものは圧倒的な地位を占めておる。それが民間の大学との関係でずっと民間が高くなっておるから、平均するとこういうことになる。したがって、均衡上医療職も上がらない、研究職も上がらない。医療職に至っては二万一千円も較差がついておる。研究職も五千円という較差がついておる。行(一)の場合は先ほど申し上げましたように、二千五百円くらいのまだ較差がついてしまっておる。だから医療職の人、だれが見てもどうも不満だ。そういう点について根本的に考えるお気持はないか。私は三年前からの数字を拾って計算してもらった。研究職と医療職、これは一番問題になっておる。毎年一万円ずつ残っておる。今年なんか医療職というのは実に二万一千円という金が残ってしまった。民間と公務員の医者との間にこういう差があってはどうにもならない。これはひとえに人事院が各俸給表の均衡のみに重点を置いておるという点に問題があるのではないかと私は思うのです。 それから続いて一つ伺っておきますが、今度この俸給表五等級、六等級、七等級というところのそれぞれ三号俸ずつ間引いたのですね。そうして昇給率を上げましたですね。そのためにそれに該当しない上のほうにおる人たちですね、これが非常に不利になりましたね。たとえば七等級の今の六号の人と十四号の人ですね、この関係は六号の人が一年で上がるところを十四号の人は一年三カ月かかったわけです、今まで。今度はこれが一年五カ月になりましたですね。それから六号と十五号を見ますと、六号の人は一年かかって上がるが、十五号の人は一年五カ月くらいかかったわけです。これが今回二年三カ月になりました。これは五等級、六等級、七等級、それぞれ言えるのですがね。こういう問題についてすみやかに是正するお気持があるかどうかという点。 それからもう一つ伺っておきますが、今度各俸給表の各等級の各号俸の在籍人員が出ておりますね。これを今日の、俸給表が出ました三十三年一月の行政職俸給表の(一)の各等級の各号の在籍人員と今日の在籍人員と比較してみますと、満四年たっていますが、非常に変な形になってきていますね、それからわずか四年の間に。これは等級別定数を相当思い切って変えないと非常にまずくなっているのじゃないでしょうか。数字は時間がかかるから申し上げませんですがね。四年間に非常に上のほうにたまっているのですね。もっとも八等級、七等級というところには四、五年来の繰り入れの問題がありますから、定員外職員から。ですから八等級はすぐどうというわけにもいくまい、七等級の場合においても若干の問題はありましょうが、それにいたしましても七等級、六等級、三等級というふうに見てみますと、非常に上のほうに固まってしまった、四年前よりも。こういう問題についてもっと人事院も検討してもらいたいと思うのですがね。以上三点について伺います。
○政府委員(瀧本忠男君) 一番しまいの問題からお答え申し上げます。終戦ということがございまして、公務員の等級別人員構成というものが非常に正常な形でないということは御指摘のとおりでございます。現在昇給制度ということを普遍化いたしております関係上、上位の号俸に年がたつに従って上がっていく、それで公務の場合にそれほど大きな新陳代謝もございませんから、人の川まりが漸次上位の号俸に、また、上位の等級に上がっていくという現象があるわけでございます。こういうことは非常に異常な状態であるというようにはもちろん考えております。したがいまして、その問題につきましては、御指摘のように、非常に大きな問題でございまするので、われわれのほうも従来その問題にいかに対処していくべきか種々検討はいたしておりまするが、今後におきましてもさらに一そう検討を進めて参りたいというように思います。それからその前の問題で、この俸給の間引きを行なったところの上におる人が不利になるのじゃないかというお話でございますが、これはちょっと十分おっしゃる意味を理解しなかったかもしれませんが、われわれ相対的に下位の号俸におります者と比べまして不利であるということは言えると思います。けれども、この上位の号俸におる方が従来の状況と比べて不利になるというようなことはないというように思っておるのでございまするけれども。さらにこの点は検討いたしてみたいと思います。また、ただいま申し上げておりまする問題は、俸給表上の問題だけでなしに、これを実施いたします場合の手続の問題ともからんでおるというように存じておりまするので、その辺につきましては十分考慮を払いたい、このように考えております。最初におっしゃった問題、ちょっとどうも、もう一度おっしゃって下さい。
○鶴園哲夫君 最初の問題は非常に目立った例として申し上げたのですが、人事院が十四ある俸給表の均衡に重点を置き過ぎたために、従来から問題になっている研究職、医療職の場合に、医療職の場合においては、実にまだ上げても二万一千円という較差があるじゃないか。研究職の場合においては五千円という較差があるじゃないか、率としては三分の一も埋めていない。医療職の場合実に五分の一しか埋めていない。これは小さく誓いますと、行政職俸給表の(一)でもそういうことは言えるし、(二)でも言える。こういうような事態が出てきたことは、要するに、各俸給表の均衡に非常に重点を置いておられるというところに問題が出てくるのだという点ですね。そこらを考慮する必要があるのじゃないかということです。
○政府委員(瀧本忠男君) この問題は、今較差のありますほうだけ御指摘になったのでありますけれども、たとえば医療職の二号俸、それから教育職等におきまして、また、海事職等におきましても、公務のほうがかえって民間よりも高いという数学が出ている。これは、しかし、先ほどお述べになりましたように、たとえば、教育について言うならば、大学は国立大学が圧倒的で、私立の大学というものは数が少ない、そういうところの給与は公務の標準にならないじゃないかということは、お示しのとおりだと思います。ただ、われわれとしましては、公務と民間と比較する場合に、同様の職務が民間にあります際に、それを除外して比較するということは必ずしも公平でない。やはり税務でありますとかあるいは警察官、こういうふうに、その職種が民間にないものは、これはやはり比較するわけに参りませんから、これは除外せざるを得ぬのでありますけれども、少なくも、それ自身の比較が適当か、不適当かという問題は残しつつも、なお、同様の職種が民間にある場合に、これを対象としてとらざるを得ないというように考えている。そういうことで民間との関係を全体的に考えるということに相なろうかと思うのであります。ところで、御指摘のように、研究、教育等につきましては、格段にこれは努力して、よくすればいいんじゃないか、少なくも、格段に努力するという意味でなしに、民間と合わすというだけでも、これは今までよりもたいへんな違いが出てくるという御指摘がございますけれども、研究職にしましても、医療職にしましても、教育職にしましても非常に交流のある、また、大学の先生であってお医者さんという方もおりますし、また、研究職の方もおりますし、相互関連が非常にあるのであります。それで、人事院がどうも俸給表間のバランスにこだわり過ぎるのじゃないかという御指摘がございましたけれども、われわれは実際問題としてそういう事実を、これを切り離して取り扱うわけには参らないという点がございますので、現在は全体的な較差をできるだけ埋めるということと、それから公務員部内における交流あるいは類似職種というようなものの相互関係というものを重視する、しかしながら、でき得る限り顕著な差がある場合には、それに対処するという方法でやっているのでありますけれども、こういうことにつきましても、今後とも現存のままでいいかどうか、現在のところ、現在よりいい方法というものは、なかなか考えつかないのでありますけれども、将来にわたりまして、やはり十分研究して参らなければならない、このように考えております。
○鶴園哲夫君 これは海事職の(一)ですね。民間よりこれは高くなっている、しかし、これは人数が少ないんですね。三百が四百しかいない、公務員の場合。一番問題は教育職の(一)ですね。大学の教職員、これは二万七千いるんですね。これは民間のほうがうんと低い。これが一番大きな影響を与えて、公務員全体の水準より下げていると思うんです。下げておりますから、較差がうんと少なくなっていますね。医療職、研究職で努力をしたとおっしゃいますけれども、医療職の場合は、お医者の場合三八%低いんですよ。今回上げたのは六%ちょっとですよ。努力したということにならないですよ。六分の一埋めたんですな。それから研究職の場合は三分の一埋めたんですな。それから行(一)の場合で言えば一三%差があるのに七%ちょっと埋めた。だから、これはやっぱりみんなが見て、どれもこれも不満足です、これじゃ。だれが一体満足するのかというのですね、これを見て、せっかく上げてもらうんだけれども。医療職の人が、やっぱりそれは私立の病院の医者との関係で問題があるんであって、もっとやっはり考慮を払うべきだと思うんです。六%しか上げない。六分の一ですよ、穴埋めは。何だか私人事院というのは処置ないものじゃないかという気がしてしようがないんですがね。だから、この点はやっぱりもう少し根本的に考えてもらう。行(一)の場合でもそうですね。行(二)の場合もそう。問題はやっぱり教育職の(一)、それと医療職の(三)ですね。一番人員の多いのは医療職、研究職、教育職、大学の先生の二万七千円、この問題がひっかかって、全体が公務員と民間の較差がそう開かないということになるんですがね。考慮を払われたことにならないと私は思うんです。ですが、だいぶ時間が参りましたので、一応これで終わりたいと思いますが、念のために最後に大蔵省に聞きたいんですが、さっき公務員制度担当大臣は、五月一日実施のために努力をするというお話ですが、大蔵省としてそういう努力をなさるかどうかお伺いしたい。
○政府委員(竹内俊吉君) ただいまのお尋ねは、五月から実施するかどうかという点で努力するかと、こういう意味だと理解するのでありますが、先ほどお答えいたしましたように、これが妥当か、あるいはそうでないかという点を含めて総合的に検討している、こういう以上に今お答えできる段階ではない。
○鶴園哲夫君 だから、公務員制度担当大臣は五月一日実施するための努力をすると言うんですが、しかし、あなたの場合はそうじゃないんですね、検討する、足を引っぱっているのは大蔵省だね。
○政府委員(竹内俊吉君) 給与担当大臣ともよく連絡打ち合わせをいたしまして、そういう検討を進めたい、こういう意味でございます。
○鶴園哲夫君 時間の関係もありますので、これで終わります。
○委員長(村山道雄君) 他に御質疑はございませんか。——他に御発言がなければ、本件の調査は、本日はこの程度にとどめます。 午前の会議はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。 午後一時四分休憩 ————・———— 午後一時五十五分開会
○委員長(村山道雄君) これより内閣委員会を再開いたします。 国の防衛に関する調査を議題とし、北富士演習場における林野雑産物の補償に関する件について調査を行ないます。 これより参考人の御意見を伺うのでありますが、その前に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は御多用のところ、特に本委員会のために御出席をいただき、まことにありがとうございます。本委員会におきましては、本件について、昨年来数度の委員会において種々検討を加えますとともに、委員を現地に派遣して実情を調査する等、鋭意調査を行なって参ったのでありますが、なお、未解決となっております林野雑産物補償問題について、さきに調達庁の委託により行なわれました調査の経緯、その結果、補償問題に関する交渉の経過等について御意見なり御説明を伺い、本委員会の今後の調査に資したいと存じ、御出席を願った次第でございます。どうか忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。 なお、議事の進め方でございますが、初めにお一人大体十五分程度で先ほど申し上げました問題について御意見をお述べいただき、御意見開陳が全部終わりました後、委員の御質疑を願うことといたしますので御了承を願います。 それでは、まず東京教育大学農学部助教授龍野四郎君にお願いいたします。
○参考人(龍野四郎君) 御指名によりまして、これから意見を開陳させていただきます。 私は現在東京教育大学農学部の農村経済学科で、農村調査室を担当しております龍野でございます。大学ではここ十年来農村調査論を講義いたし、農村調査の実習を指導しております。 本件に関する委託調査は、私が昨年直接受けたものではなくて、本学農学部農業化学科土壌肥料研究室の出口正夫教授が受けられたものでございます。私は出口教授の勧請によりまして、その調査の一部であるところの農家経営実態調査を担当することとなり、その調査に参加することになった次第でございます。この調査は、昨三十六年十一月から行なわれました。私の調査は、大体十日ばかりで忍草及び富士吉田市各地区の調査をいたしました。本三十七年三月に施行した適正化に関する調査は、私が直接調達庁より個人的に受けたものでございます。 で、本件調査につきまして、特に昨年十一月に施行いたしました調査について申し上げますならば、引き続き翌三十七年三月に新屋地区、同五月に中野村長池・山中両地区を終了いたしました。調査対象戸数は千四百余戸により、大学の教室員並びに学生で調査に参加した者は延べ四百人に及んでおります。調査期間は約、延べにいたしまして四十日程度でございます。で、出口教授の調査と私の調査と調査対象も異なり、また、いろいろな都合で特に連絡をとって調査をしたわけではございません。この調査の方法は、十一月以降の農家経営調査につきましては、面接聞き取りを各農家について行ない、適正化調査に関しましてはその余裕がございませんでしたので、地区の役場あるいは農協その他関係各機関を回りまして大要の聞き取りをいたしたわけでございます。調査に際しまして各地区とも結果としては比較的協力的でございましたし、その調査中に調達庁も非常な便宜をはかっていただきましたので、かなりスムーズに進んで参りましたわけでございますけれども、当初の地元の空気は必ずしもこの調査を率直に受け入れたわけではございませんでした。中には拒否した地区もございましたような次第で、かなりいろいろな意味で報告も遅延をいたし、いまだ本報告の完成を見ておりません。もっとも中間報告は、富士吉田市名地区と忍草につきましては提出しております。それから適正化調査につきましては稲わらとソダ、薪に関する調査でございますが、この調査はすでに報告を済ましております。今般の調査につきましで私見を申し上げますならば、この調査の意義はきわめて重要であるというふうに私もその責任を大いに感じたわけでございます。その責任と申しますのは、単に私が委託先の調達庁に対してのみのものではなしに、地元各農家あるいはその地元各農家の営んでおりますところの農業の実態、その地元各地域の農民の生活というものの実態を明らかにすることに大いに責任を感じたわけでございます。すなわち、その現実に対して責任をとるというのが私の最終的の態度でございました。この態度は今でも曲げているわけではございません。先ほど申し上げましたように、当初地元各地区が調査の開始にあたりまして非常に反対の空気があった、と申しますのは、私が調達庁の別働隊であるかのごとく印象されたというふうな誤解があったことと思うのでございますが、私はこのような地元の空気に対しまして、むしろ農家の実態、経営の実態というものを調達庁にもあるいは関係各方面にお知らせしたほうがむしろ解決の早道になるのではなかろうかというふうに説得をいたしまして、また、地元各地区でもこの説得をいれまして、かえって逆に協力体制をとっていただいたところもまたございました。で、しかし、事前に調査事項を示すということで一応了承していただいたようなわけでございます。ただ、中野村の山中部落では明瞭に拒否をされましたので、説得に時日を要して、ついに調査は一カ月も延期するのやむなきに至りました。非常に残念に思った次第でございます。 以上のように、私が調査を施行するにあたって、調達庁から委託は受けましたけれども、私自身が調達庁のその方針どおりやったというふうなことはこれは全くございません。たとえば、調査の方針あるいは調査要項の作成にあたっても、これは独自の立場でやったような次第でございます。私は調達庁ともあるいは地元にもどちらにもくみすることなく、客観的な第三者の立場において全調査過程を貫いた、現在においてもこの態度は捨てておらないわけでございます。調達庁も私の立場をよく理解され、調査遂行中もほとんど私のこの独自の考え方、第三者的立場というものを許容されましたし、地元各地区ともに私の立場をよく了解していただいた次第で、進んで調査に協力されて、結局調査を終了することができたということは、私としては大いに感謝している次第でございます。 で、調査の結果につきましては、お手元に差し上げております資料をお読みいただけば、その報告の一部が出ておりますから、もし御疑念がございましたら、あとからまた質問していただけば幸いでございます。この報告書の作成にあたりましても、私はそういう第三者的ないわゆる客観的な事実を記述するというこの態度及び方針につきましては、調査施行当時と何の変化もございません。報告書の記述にあたりましても単に調達庁の関係者のみでなく、地元の各農家にも読解していただけるような平易な表現をもって記述したわけでございます。なるべく難解な学術的な用語というものを避けまして、私自身の考え方、客観的な事実というものをよく読んでいただき、御疑念あれば説明に行く。また、折衝の過程でいろいろ調達庁からも来られましたし、あるいはまた、忍草からもいろいろ質問をいただきましたが、私自身としては両者に対等の考えをもってこれにお答えしてきたわけでございます。非常に報告書は取りまとめの時日が短くあるいはその意を尽くしておらないかもしれません。または非常に短時日の調査でございましたので、あるいはその事実と相違しているところがないということはだれも保証ができません。すなわち、私の調査といたしましても万全ではないわけでございます。もしそのような個所があれば御指摘いただき、そうしてまた、このような御批判は調達庁のみならず、地元各地区からもどしどしお寄せいただけば、私としてはできるだけの事実を反映する意味で、さらにさらにその事実を確かめに行くという心まがえでおるわけでございます。 最後に、私の関係者にお願いしたいことを申し上げることをお詳しいただけるならば、私の取りまとめた報告書は、地元の各地域の実態に対して責任を負う、こういう意味から、私自身は客観的な事実というものに対して非常に忠実に記述した、こういうことを確信しております。この報告書を関係者各位がよくお読みいただいて、適切な話し合いと協調のもとに北富士演習場の多年にわたる係争事件というものが平和的に解決するならば、私は調査者として、あるいはこの報告書を執筆した一個の人間といたしまして、このことをぜひお願いするわけでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
○委員長(村山道雄君) 次に、山梨県南都留郡忍野村忍草区顧問天野重知君にお願いいたします。
○参考人(天野重知君) 私は天野でございます。私ども忍草区民はその入会地が米軍の演習場として使用されたことに基づいて入会収益に乗じた損失の補償を受けております。けれども、この補償は、第一に入会という前近代的関係を政府が近代的な行政基準で画一的に処理しようとしていること。第二には、この行政基準を運用する政府当局がこの基準を忠実に実行に移すのでなく、むしろ恣意的に解釈適用し、補償金の低減を行政の主目的としていること。第三には、入会補償の受給資格の有無を明確にせず、飛地住民の諸不満を新たな民生安定またはその他の行政措置によって解決をしようとせず、入会補償、林雑補償の名においてこれを充足しようとしておる。 以上、政府の基地行政方針の結果、入会慣習を持つ者に対しては実損と、補償との格差がますます大きくなるという不満を発生せしめております。他方入会慣習を持たない者に対しては何らの行政措置をしないので、結局入会慣習の名のもとにごねれば取れるという風潮を醸成しておるのでございます。これが偽らない北富士の現状であり、北富士に対処するところの調達行政の姿ではないかと存じておるのでございます。 さてこの結果もたらされるところの不完全な補償につきましては、調達当局も実は早くから認識され、去る昭和三十二年三月八日にあらためて検討し、適正補償をなすという念書を私共に手交されておるのでございます。 さらに御承知の昨年九月十二日には藤枝防衛庁長官から、政府はすみやかに現行の林野雑産物に関する問題点を再検討し、その適正化をはかる旨の覚書をいただいておるのでございます。そうして私どもは、この覚書に基づき昨年の十月から今日ただいままで十カ月あまりにわたってほとんど東京に在住し、調達庁と交渉をしておるのでございます。この長期間の交渉を続けているのは、補償問題はあくまでも事務的に、あくまでも平和的に解決したい一念からでございます。しかし、この交渉の実態について申し上げますと、事案に対し私どもは、その理論的根拠を示し説明し参ったのでありますが、調達当局は、ただ結論を言われるだけで、自分の論拠を論理的に示さず、また、私どもの主張の根拠を理論的に反論されるわけでもありませんから、交渉は全くデッド・ロックに乗り上げた形と相なったのであります。政府から見れば、私たちは全く取るに足らない一寒村の農民と思われるかもしれません。しかし、このようなことは私ども微弱な一寸の虫にとってはまさに致命的な打撃となり五分の魂を傾けても争わなければならぬということがただいま忍草区民の偽らない心情であります。また、私どもの置かれた立場もそのようであるのでございます。しかし、私どもはあくまで争いたくないのであります。何とかこの事態を平和的に解決したい一心でございます。今日の日本の政治機構の中でこのような事務的問題が十カ月もかかり、大臣が二回も覚書を出したにもかかわらず、われわれがあえて自力救済の行為に訴え、この事案が解決しないということは、まことに情ないことであると思っておるのでございます。しかし、幸いに、本日機会を与えていただいたことは私ども心から喜び、かつ期待しております。どうぞ先生方におかせられては、昨年二月現地調査の結論を出す意味合いからも、本件問題を十分御検討していただき、本件が平和的かつ正しく解決できるよう御尽力のほどをお願いしたいと思うのでございます。 さて、折衝の具体的事項でありますが、時間がありませんから要点だけを申し上げたいと思っております。私どもの損失補償額は、算定基準第四条第一項によって算定すべきものでありますが、そのためには、平年の林野雑産物所得額及び当該年度の林野雑産物所得額がまず確定されることを要することは言うまでもないところでございます。 まず、平年の林野雑産物所得額についてでありますが、これを確定するためには、平年の採取量、林野雑産物の価格及び採取必要経費の三項目を明らかにする必要がございます。 平年の採取量に関する私どもの見解は次のとおりでございます。私どもは、当区の入会慣習にかかる平年の採取量とは、北富士演習場のうち、当区が入会慣習を有する部分の平年のなま草生成量の八五%、当区の当該年度におけるなま草の需要量及び当区の当該年度における採取能力の三つの数量を比較し、そのうちいずれか最も少ないものと観念すべきであると考えているのでございます。以上の私どもの見解に対する調達庁の見解は、調達庁が本年六月三十日に当区に手交した林野特廃物損失補償額算定基準にいう平年採取量についてと題する文書が示しておりますが、それによると、調達庁は、「この場合、補償時において、使用前の平均年間採取量の具体的な数量を直接把握することが困難である実情にあるときは、当該年度の林野雑産物の減収額補償のため、平年採取量を実際に推定するにあたって、現に北富士においては、反当施用量に耕地面積を乗じて得られるいわゆる施肥量と、牛馬一頭当たり飼料所要量に頭数を乗じて得られるいわゆる飼料量とを合算した需要量を基礎として推定している、」と言っているのであります。そうして調達庁は、一応の数字を示しているのでございます。私どもは、算定基準第四条第一項第二号の規定から、どうして調達庁のような見解が出るのか、全く不思議に思うのであります。右の文書によって示された調達庁の見解は、当該年度における現実の堆肥施用最及び現実の家畜飼育頭数から当区のなま草の必要量を計算し、そうして早年の採取量を推定しようとすることにあると思われますが、同号による必要軍とは、そういうものではありません。当該年度における現実の堆肥施用量及び現実の家畜飼育頭数は、当区が接収のためになま草を採取することができない事情によって左右されるものでありますから、調達庁の見解は、いわば現実と必要とを混同しているものであって、これらを基礎として、平年の採取量と推定するのは、全く不合理というべきでございます。 次に、林野雑産物の価格についてでありますが、なま草については、それ自体の市場価格が存在しませんから、堆肥として同様の効果を有する稲わらの価格によってこれを換算する以外にはございません。このことは調達庁の見解でもあり、私どももやむを得ないところと考えているのでございます。 なま草と稲わらとの換算にあたり検討を要する問題は、第一に、稲わらの価格をいかに把握するかの問題でございます。第二に、なま草と稲わらとの数量上の換算をいかにするかの問題でございます。稲わらの価格はさらに細分して、稲わらの購入先別数量、購入先別庭先渡し価格、購入先別運賃をそれぞれいかに考えるかの問題に分かれます。このうち稲わらの購入先別庭先渡し価格については申し述べ、他は時間の関係で省略いたします。 私どもは、昭和三十五年度において、谷村地区の稲わらの庭先渡し価格は、取引時、すなわち風乾前のもの一貫目当たり二十五円で、田方地区のそれは一貫目当たり二十一円五十銭であったと考えているのでありますが、これは先ほどお話し申し上げました、龍野先生の調査によってはっきりしているところであります。 これに対し調達庁は、風乾一貫目当たり谷村地区については士五円七十五銭、田方地区については二十一円と考えているのでございます。調達庁は、その根拠を昭和三十五年度の農林統計いわゆる物賃の山梨県及び静岡県の稲わらの年間平均価格に置いていると言っているのでございますが、農林統計の数字は、山梨、静岡両県ともわずかに二カ所の調査地点のみを基礎として平均価格を算出しているにすぎないのでございます。しかも、谷村地区は調査の対象となっていないのでありますから、農林統計の価格をもって直ちに購入地区の稲わらの価格とするわけには参らないのでございます。 次に、なま草と稲わらとの数量上の換算の問題でございますが、なま草と稲わらとは、言うまでもなく、いずれも樹形物と水からできているのでございます。俗語で申しますと、繊維と水からできているのであります。私どもは、両者の換算の媒介物である堆肥を構成する素材、すなわち、固形物に着目してなされるのが妥当であって、他からの補給が自由であり、かつ、条件によってはどうにでもなる水分は、換算にあたっては、当然考慮の外に置かるべきものであると考えているのでございます。しかし、私どもは、なま草と稲わらとの数量上の換算を、水分を含有する堆肥を媒介としてすること自体が、絶対に悪いと言っているのではないのでございます。この場合には、なま草、稲わら及び当該堆肥のそれぞれの含有水分がどれほどのものであるかを明らかにする必要があるのは、言うまでもないところと思っているのでございます。ところが、調達庁は、水分を含有する堆肥を媒介とすべきであると言いながら、この点を明らかにしない、のみならずそのデータをも示さないでありますから、私どもはとうてい納得し得ないのでございます。 次に、採取必要経費でございます。採取必要経費については、調達庁は青草貫当たり二十八銭八厘と考えているようでございますが、これに対しましては、われわれとしては、十分なる言い分もありますが、私どもは、現在これもやむを得ないと思っているのでございます。 次に、算定基準第四条第一項第一号は、「減収額は平年の林野雑産物所得額から当該年度の林野雑産物所得額を差し引いた額とする」と定めていますから、当該年度の林野雑産物所得額を確定しなければなりませんが、これは立ち入り許可日の日数に一日当たりの当区のなま草採取量を乗ずれば、算出することができるわけであります。昭和三十五年度における立ち入り許可日は、過去の明らかな事実でありますし、一日当たりのなま草採取量については、調達庁は、有畜農家一戸当たり百三十貫、無畜農家一戸当たり四十八質として計算すべきものとしているのでありますが、私どもも、この点はそれでよいと考えているのでございます。ただ、問題であるのは、昭和三十五年度に当区が行なったいわゆるすわり込みの日数をどう考えるかという点でございます。調達庁は、私どもがすわり込みを行なった日のうち、立ち入り許可口に該当するものについては、通常の立ち入り許可日と同様に扱うべきものと言い、これらの口に当区が採取し得たはずのなま草の価格は、林野雑産物所得額に含まれるべきものと言っているのでございますが、私どもは、すわり込みを行なわざるを得なかったいきさつに照らし、これを所得額に算入すべきではないと考えているのでございます。特にこの問題におきましては、三十五年度の紛争処理にあたりまして、時の防衛庁長官江崎氏と私は、はっきり終戦協定において、これは算入しないという約定をしているのでございます。そしてこの点につきましては、横浜調達局に理論的な説明をなし、そうしてこの問題の折衝をやったのでございますが、そのとき横浜調達局の係官は上司に相談したところ、結局それは算入しない。だけれども、これは他に影響があるから黙ておってくれというのを、現に私に申したのでございます。しかるに、その後この問題は再び取り上げられた。これは当時の江崎さんと私との約束、しかも理論的にはデモをやらざるを得ない状況を政府自身が与えておって、そうしてそれにデモをしたら差し引くというこの公平の原理に反するような点につきましても、るる文書で申し述べておったのでございますが、現在はこれもほごにされたのでございます。 以上のように、平年の林野雑産物所得額と当該年度の林野雑産物所得額が明らかとなれば、算定基準第四条第一項により、前者から後者を差し引いた額の八〇%が損失補償額となるわけでございます。この点につきましても、われわれは非常に大きな疑義を含んでいるのでございますが、現在の段階では、算定基準を正しく解釈し、正しく運用するということに重点を置いておりますから、この点は次の問題として論及したいと思っているのでございます。 以上、私どもは、改定問題の全般にわたり、時間の許す範囲で意見を申し述べ、かつは私どもが理解する限りにおいて、調達庁の見解をも申し述べさしていただいたのでございます。ところで、先生方に先ほども申し上げたとおり、交渉はすでに十カ月余に及んでおります。当方は自弁で東京の宿飯を食べる寒村の農民なのであります。相手は国からちゃんと給与をもらっている調達庁の職員であってみれば、交渉がこれ以上続いてはかなわないのであります。正直なところ、私どもは、調達庁がしかるべき理屈もないのに、藤枝防衛庁長官のすみやかにという公約にそむいて、問題の解決をおくらせ、学者調査を完全にたな上げして、私ども寒村の農民を困らせるのが、全くその意味がわからないのでございます。そこで私どもは何とか打開の道はないものかと思っているのでございますが、もちろん両者が歩み寄るのが第一であります。しかし、私どもといたしましては、調達庁自身が定めた算定基準にのっとって主張をしているつもりでございますから、理由もないのにただ妥協のための譲歩はしたくないと思っているのでございます。もちろん私どもは常に反省するつもりでおります。先生方から本日正しい御批判をいただくならば、その主張を修正するにやぶさかではございません。他方調達庁に対してもその見解に誤りがあるならば、当委員会におきましてぜひその誤りを指摘していただきたいと思います。そうすれば問題の解決はあるいはすみやかに達成できるかもしれないと思います。しかし、それでも問題の解決に見込みが立たないときは、一体われわれはどうすればよいのか。これがやはりわれわれの脈にひそんでいるところの一番の悩みであるのでございます。国会あり、この政治機構の世の中でこの重要問題が、国会が干渉しても解決ができないならば、われわれ基地農民はどうすればよいのか。これが忍草農民三百の総意でございます。どうぞ、まことにつたないお話をいたしましたが、どうぞ意のあるところを了承せられ、また、御納得いかない点はどうぞ御質問していただきたいと思います。
○委員長(村山道雄君) 次に、調達庁横浜調達局不動産部長、長坂強君にお願いいたします。
○説明員(長坂強君) 横浜調達局の不動産部長を拝命いたしております長坂強でございます。今委員長からの御指名によりまして、林野雑産物に関する補償問題に関しまして、私の理解しておる限りにおきまして処理状況その他私どもの考えを述べさしていただきたいと思います。 北冨士演習場には約二千二百町歩の国有地がございまして、従来から付近農民がこの演習場内において堆肥生産のため、あるいは牛馬の飼料として、必要な野草を採取していた慣行がございまして、これらの農民の方々はそれぞれの地区、つまり部落ごとに入会組合を結成いたされまして今日に至っておりますが、この各組合の相互の間におきまして、採草区域に関する主張、意見、あるいはその他利害関係につきまして必ずしも一致いたしませんで、しばしば紛争の原因となっております。また、忍草入会組合は国有地に対する入会権の存在を主張されまして、野草の補償は権利の侵害に対する補償であると主張されておられまするが、政府といたしましては、明治初年以来今日まで、官有地には入会権の存在を認めない方針を一貫しておりまして、大審院判例もまたこれを是認しておるところでございます。しかし、実際問題といたしましては、関係農民が従来草刈その他林野雑産物の採取をしておりまして、これが地元民の生活上相当な影響があるものであるということが認められ、これが米軍への提供によって阻害を受けておることも事実と認められますので、この慣行を尊重し、その阻害による損失を補てんする補償を当庁当局として行なっておるところでございます。この演習場の補償問題に関しましては、かねてから忍車入会組合は三項目について補償の適正化を要望しております。これが一つは、算定基準第四条第二項によった算出額の八〇%という問題が一つ。それからソダに関する問題が一つ。それからもう一つはあとで出て参りますが、野草の問題でございます。でそのほかの富士吉田あるいは中野等の各組合は補償の均衡をはかれというような要望をいたしております。そこで昨年九月、政府は地元の要望にこたえまして、現行の林野雑産物の補償に関する問題点を再検討し、その適正化をはかる旨の約束をいたしましたので、当局としては、その趣旨に沿いまして、北富士全般の林野雑産物の補償についてその公平を期するため再検討を加えることといたした次第でございます。しかしながら、当庁の行なった調査については、従来行なって参りました調査等につきましては、各入会組合側がこれを納得しない、全部は納得しないというような経緯もございましたので、第三者の意見を求めてゆくということにいたしまして、学者の調査結果を判断の一材料とする目的で、東京教育大学農学部出口教授、これは土壌学担当の教授でいらっしゃいますが、それから本日御出席の農村経済御担当の龍野助教授に補償額算定上必要な事項、つまり堆肥反当施用量、還元堆肥量、稲わらに関する事項等の諾事項につきまして調査を依頼いたしまして、その報告を受けた次第でございます。 なお、忍車入会組合は先ほど申し上げましたように、三項目について適正化を要求しておられますが、野草の問題といたしましては、この補償額算定上、稲わらの購入地については山梨県の谷村地区として従来処理してきておるけれども、この地域を購入地としてとることは適当でなく、現実に静岡県の田方郡方面からも購入しているから、このような実情をくみ入れてもらいたいという点が適正化の問題として要求されておるのでございます。従来当局といたしましては、この演習場が接収されました後において、野草採取のための入会の慣行はこれを尊重し、演習行為に阻害されて採取され得なかった野草の必要量に対する損失を補償するために一定の基準に従って補償金額を算定しているのでございますが、この補償額算定について中心となる問題点は、まず第一に、農家の方々が必要とさるる野草の不足量をどのようにしてきめるかということでございます。次に現行方式によりますれば、野草を稲わらにおきかえて補償することとしているのですけれども、この稲わらの生産地、生産量及びその取引価格等を補償額算定上どのように定めていったらよいかという点でございます。これらの点につきまして学者の調査結果を参考といたしました当局の見解を概略申し述べますと、次のとおりになろうかと思います。 まず最初に、野草の不足量についてでございますが、演習による阻害がなければ通常採取していたであろう野草の量から当該年度において採取される野草の量を差し引いた量がこの問題の野草の不足量となるわけでございますが、従来から肥料として必要な野草の量は堆肥の反当たりの施用量から還元堆肥として自給できる量を差し引いて求めることにしております。今お手元の文書では若干意味が異なっているように表現されておりますが、今申し上げたような次第でございます。この点について、たとえば忍草について言えば、出口教授は堆肥の反当たり施用量を二百七十貫と査定され、龍野助教授はその中間報告のうちに二百七十五貫という数字をあげておられますが、同助教授の説明によれば、この数値はさらに検討を必要とするということでございまして、正式報告を留保しておられます。当局としては、このような両教授の調査の基礎資料を参考として、従来の反当たり四百貫というものを反当たり三百三十六貫に修正していこうと、このように考えている次第でございます。また、還元堆肥としては、従来は稲わら、麦わらのほかに、トウモロコシ、豆類など、それらを含めて考えておりましたけれども、調査報告を参考といたしまして、トウモロコシ、豆類を還元堆肥のうちから除外することに改めまして、稲わら、麦わらだけといたしました。この結果、還元堆肥量を従来より減量するということになりまして、以上のように調査結果を参考として反当たり施用量と還元堆肥の量の修正を行なったのでありますが、補償の対象となる野草の不足量については実質的には従来とほぼ同様となるように提案しているのでございます。 第二に、稲わらの購入地及び単価の問題、いわゆる取引価格の問題でございますが、調査報告によりますというと、山梨県都留市東桂地区、西桂町の稲わら生産量は約六十六万貫で、その約半分を農家の自家消費量と推定しておられますので、約三十三万貫が余分の壁となり、また、大月市及び都留市のうち前記東桂地区以外の生産量は約二百万貫となっておりますので、その半分の約百万貫が余分の量となりますが、この地区においては、稲わらはほとんど商品としての販売実例がないと報告されてございます。しかしながら、当庁としては、余分の量があれば買手が必要とするときは取引が可能であろうと認めまして、余分の量の三分の一、すなわち約三十三万貫を同地区の取引できる量とみなしておる次第でございます。しかし、たいへん事務的なことになりまして恐縮でございますが、右の生産量は水分を多く含んだ稲わらを基礎にして推計されているので、これを通常の取引の状態における貫目に引き直しまして、それぞれ二十三万貫とすることを考えております。したがいまして、各組合が山梨県側において購入できる量は合計約四十六万貫でありまして、従来の推定量より少なくなりますので、従来、北富士における各組合の必要量はすべて全量山梨県側で購入できるとしておったものを修正いたしまして、その残りはすべて静岡県田方地区から購入するということに改めるように提案しております。さらに委託調査によりますというと、都留市地区での稲わら取引開始の時期は、稲堆積み直前あるいは積んでから二、三日後であり、その価格は一駄、つまり二十五貫ないし三十貫当たり六百円ないし八百円であるから、これを逆算して貫当たりの基準価格は二十五円となる。また、静岡県田方地区の価格は一むら——約四十貫当たり約千円であるから、逆算すれば貫当たり基準価格は二十五円となるという報告をいただいております。なお、この田方地区についてはさらに再調査の結果は、貫当たり二十一円五十銭と報告されておるのでございます。この点に関しまして忍草入会組合は、稲わら価格は調査の結果を尊重をすべきであって、この価格は水分を多量に含んだ稲わら価格であるから、これを水分の少ない状態の稲わら価格に修正されたい旨を主張しておられます。そこで当庁といたしましては、山梨県側貫当たり二十五円という価格は、農林統計、この農林統計と申しますのは、御承知のとおり、農林省が毎年定期的に全国において調査集計したのを公けに発表している統計でございますが、その価格と相当な開きがあるし、また、当局が行ないました現地調査の価格とも著しく相違いたしますので、農林統計の山梨県における年間平均価格によることが適当であると判断しておるものでございまして、かりに貫当たり二十五円といたしますれば、前述のとおり、水分を多く含んだ稲わらの価格と見られますので、これを水分を含まない稲わらの価格に引き直しますというと貫当たり四十円程度となりまして、取引価格としては非常に痛い建値となりますし、また、反当たり三百七十貫という報告数量から見ますというと、稲わらというものが反当たりどれだけ収入が上がるかということになりますと、六千七百円というようなことになりまして、これまた通常の価格と相当な開きがあると思われますので、この場合は、公式に発表されております統計資料によって価格を判断することが妥当であるというふうに考える次第でございます。静岡県側の調査につきましても同様の事情がございますので、これまた農林統計によることが妥当であるというふうに考えておる次第でございます。また、なお、取引開始時の稲わらは、反当たり二百七十貫の重量のものであると報告されてありますが、これは報告内容から見まして相当水分のある稲わらと考えられますが、通例取引されている稲わらは、買手の需要によるものでございまして、その商品価値から見ましても、その取引の時期等から考えましても、通常水分の少ない状態のものとされておりまして、農林統計に示された価格も商品としての取引価格を示しているとのことでございますので、当然水分の少ない状態のものと承知しておる次第でございます。 以上、当局の適正化案の趣旨について御説明申し上げた次第でございますが、この問題が昨年末、いわゆる三十五年度分といたしまして忍草に対しましては一千三百五十万ほど払いまして、そのあとこの適正化の交渉ということになりまして、私どもの局へ本年一月この交渉が移って参ったわけでございますが、それ以来今日まで約八カ月を要しながらなお解決に至らないということは、一つには学者の調査が手間どったということもございまして、その報告が予定した時期よりも遅延してきたということも一つの原因ではございますが、交渉の過程におきまして、当初御要望の三項目というもののほかに、平年採草量というものに関する論議とか、あるいは乾物比較というような論議とかというような理論的な問題が逐次相手側から提起されまして、この問題の解明に多くの時日を費したということまた事実でございます。われわれといたしましては、この問題の基本的な考え方といたしまして、補償の内容一般に良識的な判断に立って理解され得るものでなければならないと思っておりますし、同時に、補償行政の立場からいたしますれば、補償額算定の個々の要素について、その一つだけを取り出して純粋に学理的な点のみを追及するということも筋の論としては必要ではございましょうが、むしろ補償額算定の各要素を全体的な血から観察し、これら各要素を総合的に筋道立てることがより必要ではなかろうかと考える一方、忍草のみならず、北富士全体の補償の適正化をはかるという面がもう一つ重要なポイントであると考えますので、これらを十分勘案して以上のような提案を行なっておる次第でございます。 何とぞ、たいへん簡単な御説明を申し上げたところでございますが、私どもも八カ月の日子、相手方と交渉も何回となく繰り返しておりますけれども、事務を担当するものとして誠心誠意終始いたしまして、一日も早く解決いたしたいという念には変わりございません。よろしくひとつ御指導願いたいと思います。
○委員長(村山道雄君) それではこれより質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
○山本伊三郎君 それじゃ私から二、三お三人の参考人にお尋ねしたいと思います。 今学者あるいは当事者からおのおのの立場からいろいろと公述をされました。本委員会としてはすでに御存じのように、昨年の二月十五日だと思いますが、わざわざ現地視察をしてこの一日も解決を早くやりたいと思ってきました。今調達庁の長坂さんですか、言われましたが、きわめて当事者、事務的に言われたのですが、この問題の発生したのはきわめて政治的な問題が根拠になっておるのです。入会権があるかどうか。これは入会慣行ということで、一応当局は認めた。そういうことから現地ではああいう一つの問題を起こした。それに対して池田総理大臣もその中に入って、この問題は急速に解決すべきであるという、一応地元の人人にそういう約束をしてきた問題です。これは委員長から言うことですが、私は参考人の方々に一応今後の質問にについての問題を焦点を合わせるためにその点だけを申し述べておきたいと思う。そういういろいろの大きな政治的の問題から地元では譲りに譲って、それではひとつ今の補償については適正化をはかってもらいたいというところまで譲ってきたと思う。そういうことからこの委員会の公述の方々が出発しておると思うのですが、前提がそこにあるということを特に考えておかなければ、単に事務的にどうこうという論争ではないということをまず冒頭に認識をしてもらいたい。 そこで焦点になっておるのは三つの点に大体集約されると思う。私はすでに二年余りこれをやっておりますから非常に理解が深いのですが、他の委員の方々には、この問題については初めて取り組んでいられる方もありますから、この点はひとつ十分各委員の方にわかりやすいように参考人の方々の御説明を願いたい。 第一は、いわゆる根本的な平年の採草量の基礎をどこに置くか。従来はいわゆる反当たりの施用量から逆算して、そうしてその量によって基礎をきめよう、基準をきめようということです。今長坂説明員の説明されて言われることでは、それが新たに起こってきた論議だからそれで長引いておると言われるが、この点にひとつ私学者の方にお聞きしたいのですが、こういう科学的な補償ということになると、平年採草量のこういうものができるかどうか。これは非常に正確であるということは私も報告書を見てわかっておるのですが、そういうものが可能であるかどうかということも一つの問題になると思う。もしそれが可能であれば、やはりこれが一つの正確な補償の基準になると思うのですが、この意まず最初に聞きたいと思います。
○参考人(龍野四郎君) それでは平年採草量の問題について私の孝え方を述べさしていただきます。平年採草量を反当堆肥の施用量から逆算する方式というのは、私自身堆肥の専門家ではございませんですが、一応常識的に考えてみましても、私自身はちょっと納得できない点がございます。これはむしろ平年採草量そのものをこれはいろいろ調達庁とも論議いたしましたのでございますが、たとえば立ち入り禁止のない状況における採取最、採草量というものをもし考えまするならば、これはある特別な調査をすれば私は可能ではないかというふうに考えるものでございます。その調査の方法について申し上げるならば、これは調査の開始時から私は調達庁にもたびたび提案したのでございますが、一つタイム・スタディという方法がございます。これは、これを行なう前に、まず演習場そのもののいわばプロットと申しますか、抽出地点を限りまして、幾つか基盤の目のようにいたしまして、無作為抽出法によって抽出する、そうして可能な限りいわゆる演習場における成生草量というものを一応出してみる。この生成草量につきましては、実際今までのいきさつもございますし、もし従来の調達庁側の資料がございましたならば、あるいはその資料を関係地元が納得されるならば、これはその資料を使ってもいいかと思いますが、こういう一応客体的な条件というものを設定いたしまして、この次には主体的な条件といたしまして、採取側のいろいろな技能を見る方法でございます。そのやり方は、ストップ・ウォッチを持った調査員が、各担当作業、採取労働に従事いたします作業員につきまして、作業過程、採草量及びその技能それから運搬積機量、そういったものをずっとつきっきりで調査するやり方でございます。これはいろいろ母集団の数にもよりましょうが、それを各地戦機家数の確率比例抽出法でやりますれば、必ずしも不可能でない。そうして、先ほど問題になっておりましたような立ち入り日数についてのある程度の協定がございますれば、その立ち入り日数についての問題は、その個人の能力において見ればよい。大体十ないし二十くらいの事例を見れば、一応その地域における一個の労働力の採取能力、採取量というものが一応推定できるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。これは一種の実験でございますので、その実験を地元にも立ち会っていただければ、非常に客観的なデータとしてその採草量あるいはその労働力の質的な側面というものも測定できるのではないか、こう考えておるわけでございます。
○山本伊三郎君 大体平年採草量の調査はできるということですが、先ほど長坂説明員が言われましたが、何かその辺のことを出すと、理論的なものであって、そういうものは調達庁としては取り入れることについては、事実は高踏的な理論というような印象を与える説明をされた。で、長坂部長さんは、この国会の審議に入っておらないからわかりませんが、本件を解決するキーというのは、御承知のように、七つぐらいの入会団体があると思います。それはおのおのの条件を出して、そうして要求するからなかなかまとまらないのだ。これは藤枝防衛庁長官のときだったと思いますが、そういうことがあるので、どの団体に行っても主張できるような科学的な基礎で解決せざるを得ない。それがために、学者の調査を依頼したというのが会議録にも残っているはずなんです。したがって、学者の調査というのは、あなたが言われたように、それを総合して、参考にして、そうして事足れりというのではないかもしれませんが、政治的な妥協ということになるとまた他の団体が言ってくる、こういうことを避けるために学者に調査を依願したというのが、単行に依頼した理由と聞いている。そういうことを聞かなかったかどうか調達庁に……。
○説明員(長坂強君) 公平、公正と申しますが、公正にして妥当な結論を得るために客観的な資料を得たいという見地から学者に調査委託をしたということでございます。
○山本伊三郎君 いわゆる客観的なものを得るためにやる、まあそのとおりです。あなたはそういう地位でないからそれだけでいいんですが、御存じのように、学者の調査が相当おくれて解決がおくれておるのですが、当事者としては、いわゆる本庁、調達庁の上司と申しますか、長官の命でやってこられたと思うのですが、先ほどあなたが、少し言い過ぎかどうか知らぬが、非常に自分の判断で今まで交渉してきておったと言われますが、一切そういう判断についてはまかされておったかどうか、問題がすべてあなたの手にまかされておったかどうか、これだけちょっと付いたい。
○説明員(長坂強君) 事柄の性質、軽重の程度によりまして、まかされたものもございましょうし、上司、それから本庁とも連絡をとりながらきめていかなければならぬ事項もあると思います。
○山本伊三郎君 問題の焦点に入っていくので、具体的に今三つの焦点の問題が出てきました。今の平年採草量の問題は、これは相当基本的な問題ですから、それは別として、適正価格、数量の換算、こういう問題について、あなたにどれだけの範囲にまかされておったか。
○説明員(長坂強君) どの事項も専決するというような立場に私はないと思います。これはやはり上司とも本庁ともよく協議して、その指示を仰ぐというような事項であろうかと思います。
○山本伊三郎君 それなら、先ほどあなたから公述されて、非常にわれわれへの響き方が、大きくあなたの判断にまかされておるような言い方なんですね。私がきょうあなたに聞いておきたいというのはきわめて事務的な問題ですね。そういう問題でどうなっているかということを聞きたかったんであって、先ほどあなたが言われた、総合的に判断をしてこうする、また、平年採草量、これはもう理論的な問題であるからどう、こういう相当高度な意見が入っていますね。そういうことを言われると、これはもうあなたに相当広範囲な判断される権限がまかされているとわれわれはとったのでこういう質問をしたのであって、今おっしゃるようなことであれば、そういうことはほとんどいわゆる調達庁のほうで判断する範疇と見ていいんですが、こういうものはいわゆる相当理論的なものであるから、そういうものはわれわれのほうの範疇でないということを言われたんですね。そういうことをあなたが言われるならば、そういう判断、見解をあなたがとられたと私は思ったのですが、その点どうなんですか。
○説明員(長坂強君) たいへん大きなことを申し上げて失礼であったかと思いますが、もしお差しさわりのある面がございましたならば、私の事務担当者としての率直な気持を申し上げたというふうに御理解いただければ幸いであると思います。
○山本伊三郎君 きょうは、あなたは説明員で来られたのですから責めるわけじゃないのですが、これは非常に重要な段階に入ってきておる。したがって、調達庁ではいろいろ考えておると思うんですが、横浜調達局としてこれ以上できないということで、地元の交渉は私らの範囲でないんだといって本庁に返された、これは事実であるかどうか。
○説明員(長坂強君) 私どもが本年の一月、このいわゆる適正化問題というものにつきまして与えられております項目は、一つには、ここに瞬いてございます補償額算定上必要な事項としての稲わらの出産地をどう見るかという問題でございます。それからもう一つはソダの問題でございます。これは三項目の別な項目に載っております。それで、それ以外の問題というのは、直接これはそういう面で解決して、その一つの生産地というような問題で交渉して、そうして妥結をはかるというところに私どもの任務が具体的に与えられてあった。このように解しております。しかしながら、これと関連いたしまして、また、新規の問題が相手側から提案されてございますけれども、それらも答えられる限りにおいては答えで参ったというふうに考えております。
○山本伊三郎君 それでは時間が迫りますから、次の今の第二点の問題で、稲わらの適正価格、それからそれが購買可能地区の生産量といいますか、それについて争いがあるようです。 そこで、谷村、田方ですか、これは静岡ですが、おのおのの地区における可処分率、いわゆる売渡し可能の量が両者で相当開きがあると思うのですが、この点について龍野先生の報告とそれから調達庁の主張とは相当開きがある。谷村における生産の実態から、こういう点について龍野先生の調査が出ておるのですが、どうもこの開きのあるということは、調達庁はこれは農林統計によっておるとか、まあどういう調査であったか知りませんが、この開きになっておるという点は、龍野先生にまず聞くんですが、どういう点でこれほどの数量の開きが出ておるのか、調査された御本人として、ちょっとその点の御説明を願いたいと思います。
○参考人(龍野四郎君) 稲わら価格の調査にあたりまして、農林統計と私どもがやりました調査との違いについてでございますが、これは、稲わらというものは非常に限られた地域的な市場において取引されるものでございます。全国的な市場というものはございません。それで、価格につきましてもいろいろまちまち。同じ県内においてもまちまちでございます。非常に限られた地域において取引されるという特徴がございますことと、それからもう一つは、稲わらが商品である、あってもその商品は店に陳列されているような商品ではない、むしろこれは需要があって初めてそれが商品になり得る、つまり、まあこれは当然でございますけれども、買い手が多いか少ないか、それによって常に価格が変動するものでございます。私が調査いたしましたのは、これはいわば取引開始時、つまり新わらの出回った時期、すなわち私の報告の最初にも書いてございますように、時期としては新わらの出回った時期というのは一番安い時期でございます。それから逐次端境期に至るに従って高くなる。したがって、私はここで報告にも述べておいたとおり、貫当り取引価格二十円ないし三十円、同じ地域にいたしましても、地域別にかなり幅が出てくる、こういうことが、稲わらの価格として、価格を持つ商品として見る場合には非常に重要なものでございます。それからもう一つは、二十五円という価格というものは、これはすなわち三十五年度における価格でございます。調達庁のほうでお調べになった統計は、おそらく農村物価賃金調査であろうと思いますが、この調査は国の——私もちろんそういうことは専門でございますので存じておりますが、この調査は農林行政一般の動向、あるいは農村物価一般の動向、全国的な視野における物価の動向を見るならば、これは非常に有意義な、利用すべき価値のある資料でございます。ところが、本件のごとき特殊な地域の、しかも特別な事情のあるところのものにこれをそのままずばりとして適用するということは、きわめて不適当ではないかというふうに考えるわけでございます。まあ農村物価賃金調査についてはいろいろ意見もございますが、時間の関係で略しますが、ただ先ほど長坂部長の言われたところで、稲わら反当たり収入が六千七百円になると、これはきわめて非常識であるというような御批判を受けましたが、これはつまり算術平均にいたしますと、確かに二十五円を二百七十貫で倍しますと六千七百円になります。しかし、これは机上の算術方式でありまして、稲わらの価格というものはそれだけで形成されるものではございません。その中から稲わら処理に要する労賃を差し引かなければならないし、それを差し引きますと、大体これは私の調査報告に出ておりますが、売るための稲わらを出しますのに九・五人の処理労働力がかかります。これは一日七百円の農村賃金で見ますと、実にこれは九・五人といたしますと六千六百五十円、つまり六十七百円どころではなしに逆に赤字になりはしないかということをおそれるものであります。農村の稲わら収入というものは、ほとんど収入がないにひとしいと私どもは見ておるようなわけでございますし、このような非常に低い収入であればこそ、むしろ稲わら処理が非常に粗雑になって、売れない稲わらが多くなる。私どもが実態として聞いたところでは、わらに、売るためには、三・五人のよけいな人間が要ると、それくらいならわれわれは手弁当下げてどこかへ働きに行ったほうがよほどもうかるということを聞いております。ですから実態からいたしましても、決してこれが単なる机上の計算ではいかないということを認識していただきたいと考えるものであります。
○山本伊三郎君 その問題が本件の解決の相当重点になっておるように思うんです。この点が非常にまあ調達庁当局と地元の間の一つの大きい問題になっておるんですが、この点について地元の代表の天野さん、それから調達庁の、今は調達庁の不動産部長とかなんとかでなくして、先ほども規模の大きい意見を述べられたのですが、農林統計からくるあの数量と価格、これが絶対やはり正しいものであるという考えでおられるのか、両者にひとつ御説明をいただきたい。
○参考人(天野重知君) 私どもの勉強した範囲におきますと、北富士演習場の稲わら対象地区であるところの山梨県谷村地区、静岡県田方地区でございますが、山梨県におきましては甲府平の昭和村、日野春と、この二カ所が調査されておるのでございます。それから静岡県におきましては掛川、それと当該対象地区である中里と二カ所がされておるのでございます。そしてその農業統計は全国で百二十一カ所しかこのわらについては調査されておられないのでございます。これは農林省ではっきりしておるのであります。そこでわれわれといたしましては、まず第一に指摘したいのは、その調査論からいきまして全県——先ほど龍野先生が申しましたような、非常に稲わらの地域的事情という特殊性のあるものを、全県の二カ所という調査地点で、はたして全県的な代表の価格を見られるかどうか、しかもその二カ所が選定方法ですな、その二カ所の選定方法が稲わらの価格を見るという角度でいっておるかどうか。これは私の知る純囲では、農村物価賃金調査における稲わらの位置というものはつけたり的なものであって、むしろ他のものが中心である。したがいまして、調査地点が非常に少ないということ、その少ない調査地点の選定方法にまず問題があるということ、さらにそれを別にいたしましても、当該山梨県の谷村地区は完全な調査対象地区外であるという点におきまして農林統計をもって先ほど部長さんの申されるように、また、われわれの説明は、国の調査したものであるからこれは公信性がある、妥当性があるというものでは私はないと思います。そこで本件ズバリを、しかも農村経済調査の専門家である龍野先生が、れ自身として調べた価格こそ妥当ではないかと思うのでございます。しかも、調査能力において出先の統計事務所の職員が行く調査と、しかもそういう職員を教育して日本でも有名な龍野先生が自分で御調査された調査能力といずれが妥当なりや御判断を得たいと思います。 で、つけ加えてちょっと申し上げたいのですが、先ほど部長さんは忍草が新しい提案を出したということを言っておられますが、ある意味からいうとそういうことでもあるかもわかりませんが、事の起こりは、横浜調達局におきまして、熊野先生の報告によると、忍草区の堆肥の施用量は二百七十貫であるという説明があったのであります。そうしてさらにわれわれの適正問題は、稲わらの問題、ソダの問題、二割論の問題と、三つに、去年、現大阪調達局長小富山さんと話をつけ、他の項目は一応たな上げしたのでありますが、突如横浜局から君のほうの提案も適正化であるし、また、局の示すのも適正化だから、理論的にいかなければいけない。そこで両当事者が争っていては解決つかないから、公平な国立大栄の権威ある先生の決定、これを最高裁の判決としてこれに従おうじゃないか、われわれは行政調査で十分だと言ったのでありますが、そういうことになりましたから、それじゃそれでいこうと、そこで先方においては補償金が一億円になっても、二億円になっても筋でいくなら問題はありません、当方は半額になっても、ゼロになっても、われわれはゴネ得はしたくない。理屈の理屈は言いたくない。妥当性ある、しかも現存の林野雑産物損失補償基準における解釈でよろしいということでいきまして、突如提案されたのが今まで四百貫と、過去に調達庁で認定したものが、二百七十五貫となったわけです。そこで疑問に思いまして、もしそういう調査結果であるならば、不満であるけれども忍車はルールがあるからそれに従うと、ただし先生のがはたしてそういうことが出たかどうか聞いてみたい、ということは、昨年の二月御調査のときの当内閣委員会に調達庁として報告が出ております。それによりますと、土壌肥料学から堆肥の施用量を出すということは、農林省の技術研究所の意見に照らしてもこれは全く不可能だと、したがって、調達庁は過去いろいろ調査した結果、四百貫と出しておるのだということは土壌肥料学からはできないのだということを言っておるのです。ですからわれわれも東大その他あらゆる機関、北海道までも参りましたが、世界の学者で、土壌肥料、ことし堆肥を何貫入れたということが土壌肥料学において測定できるというものは世界にないのだということを聞いております。にもかかわらず、二百七十五貫、これが絶対正しいのだというところに疑問を持ちまして、調達庁の課長さんと一緒に龍野先生のところへ参りましたが、それはまっかな偽わりだと、これはある意味において出した数字で公開しちゃいかぬということで、そこで否定されたのであります。それがそもそも事の起こりなのでございます。そうして先ほど言いました平年採草量を堆肥から出すという、吉田幾らとかいろいろあると思います。忍革は先ほど言った出口さんは二百七十貫、龍野先生が二百七十五貫、この間出口さんに質問状を出したところが回答がない。龍野先生に質問状を出しましたところが、先ほど言うとおり、これはたった二十軒の聞き取りをやったものである。したがって、統計的な推定を出すわけにいかない。しかもこの平年採草量は接収前の状態である。これは調査時点の三十五年度自身の堆肥の現実の投入量であって、しかもそれは二十カ所しか聞いていない。だから私は、これは採用し適用することは困るということを調達庁に言っておった。こういうようないきさつがあるわけでございます。したがいまして、われわれは堆肥から何かこう出すということは、これは全く、ここに土壌肥料の専門家がおりませんが、たとえば東大の弘法先生だとか、あるいはたくさんあります。そういう人に聞いてみたら、これは一番明快だと思います。私どもが長年かかって調査した結果、日本の学者、世界の学者で土壌肥料学に出すということは不可能である。そういう不可能なものを平年採草量に持ってくるということであります。それで、回答書によるというと、接収前の採草量が困難な場合と言っておるのですが、私はここではっきりしておきたい。江崎さん、藤枝さんが入会慣行を尊重する、その内容は何か、これすなわち、平年採草量である。入会慣行の内容が平年採草量であるならば、接収がなかったならば幾ら草を刈れたであろうということが北富士における慣行の実態です。その実態がはっきりしているから、あえて堆肥から持ってくる。これは新説なんです。接収時、福島長官の当時は、そうでなくて平年採草量の測定をして、裏づけとして聞き取りその他の行政調査をやった結果が四百貫から五百貫となったのであります。平年採草量四百貫は堆肥から持ってきたのじゃない。これが講和発効当時の実情であり、現在との相違点であるということを御理解願いたいと思います。
○説明員(長坂強君) まず第一点といたしまして、谷村地区からどれだけ買えるであろうかという数量の推定をする場合に、学者調査とえらい聞きがあるじゃないかといった意味の御質問と理解いたします。この龍野先生の稲わらに関する調査というものを拝見いたしますというと、そこに柱川流域地区稲わら生産量自家保有量可処分量調べというものがございます。その中におおむね六〇%は自家保有量と申しますか、自家消費量である。残りが処分可能な量、つまり自分のうちでは消費しない量というものを掲げておられました。それで西柱の合計で七十二万貫、それから大月市も入れますと百六万貫という数字があがっております。さらにその次のページに百六万貫のうちからどれだけとっていったらいいだろうかというのが、可処分比四〇%とした場合に二十六万貫、可処分比五〇%とした場合に三十三万貫、こういう数字があがっておりまして、これらが、つまり全体ではこれが稲わらの生産総量は二百六十六万貫であるけれども、三十三万貫ぐらいはいいんじゃないか、こういうような立て方になっておるわけでございます。したがいまして、これは調査報告書の中にはるるその販売が行なわれていないということは御説明がございますけれども、この稲わらの単価を求めたり、それから稲わらの生産量及び生産費をどこに求めるかということは、これは草がとれなかったために起きてくる損害というものを推定するための一つの想定のもとに行なわれる計算であるというふうに私どもは理解しておりますが、その計算がおおむね方向的に妥当であるということであるならば、その補償額もまた妥当になるであろうというような観点から事務を行なっておるつもりでございますが、そのように自家消費その他で使えないところのものが百六万貫あって、あるいは七十二万貫あって、そのうち三十三万貫を取る。それはたとえば忍草が行くときに、あるいはほかの組合が行くときに売れるであろうと見込むということは、それは決して過大な見積もりではない。表にあります可処分量の約三分の一というような低量でございますので、決して無理のない数字ではないか、こういうふうに思ってそのような案を考えておるわけでございます。
○山本伊三郎君 僕の聞いておるのは、いわゆる調達庁のほうは忍草としては農林統計でやっておられる。それからわれわれ今質問しているのは、農林統計というのはたびたび本委員会で問題になっているのですが、あれは農家の生産価格をいろいろやるために、全国的な平均を出しているために本件のような特定地域における補償というものの対象になってきたならば妥当性がないのじゃないか。御存じのように、稲わらの価格もまた生産の状態も、その質問も、全国至るところ——寒冷の地帯、暖地、おのおの違うと思うのです。したがって、その補償するという問題があるから当該忍草において購入し得る地域において調査をするというのが学者の目的である。調達庁は、全国の農林統計による価格をとっておられるから、この補償については無理がある、こういうところから学者の調査をわれわれが尊重しているのです。したがって、何も調達庁はそういうことに妥当であるとかいうのじゃなくて、農林統計としては、われわれとしてはどうも妥当でないと思っておるのだが、それについてそれをとったのだ。しかし、それは今言われたように、そういう意味において妥当性があるのだ、こういう主張がどこまでもされるのかどうかということ。したがって、農林統計のほうはとったほうが正しいのだ、この補償問題については正しいのだ、こういう見解でおられるかどうかということを私は聞いておる。
○説明員(長坂強君) 御質問の点は、学者の調査結果と、それから農林統計とに開きがあるけれども、しかし、農林統計の価格をやはりとっていくつもりであるか、このように理解しておりますが、実はこの価格の問題につきましては、現段階におきまして、実は静岡県田方郡というところの価格につきましては、一つの報告書では二十五円と出ております。もう一つの報告書では二十一円五十銭と出ております。したがいまして、私ども実際に事務を担当する者といたしましては、このどちらをとっていくかということが一つの問題でございます。そこで、ごく事務的な立場から申し上げますというと、この補償金の提案というものを相手方にいたしまして、そして大体相談がまとまって、いよいよ大蔵省へ持っていく。大蔵省へ持っていくときに、この単価は何によってとったのかということになりますと、勢いこの報告書も出していかなきゃならぬでしょう。そのときに二つの単価が同じ地区についてあるということでは、これは大蔵省にも対抗できないわけです。したがいまして、私どもは先生が終わりのほうではじかれました二十一円五十銭というものを参考にいたしまして、これにきわめて近似しているもので、しかも筋のいいものはないだろうかということをいろいろ調査いたしましたところ、農林統計というものがある。そしてこの農林統計というものによれば、これは私ども事務担当者といたしましては、大蔵省の折衝を本庁に依頼した場合においても、きわめて通りがいいのではないか、そしてかつ一般世間も、ああそういう性質の価格かということであれば、横浜局がやっていることも妥当ではないか、こういうふうに受け取っていただけるのではないか、このように思っておる次第であります。
○山本伊三郎君 まことに責め立てて相済まぬと思っております。そこまで言われれば、大体本件の道筋は明らかになったと思うのです。なるほどやはり当事者としては、そういう配慮、公務員としてはそういう配慮、やはり実現するように大蔵省あたりの理解を得るためにそういう措置も必要であるという考えを率直に言われたことに対しては敬意を表します。ただ本件の解決にあたっては、やはりそういう点は内部の行政上の問題であって、当事者と解決をするという努力をするならば、やはりそういう正当なもので一応話をして、しかし、これは予算の関係もあるから、一応はやはり内部のほうを考えて、そこまでは妥当であるけれども、今の措置としてはできないのだ、こういうことで地元とやられれば、地元の人もそう無恥も言わないのではないかと私は思うのです。初めから、学者のやつがやったけれどもこれはとらない、こちらが正しいのだという出方になるから、私はやはり話し合いというものがいわゆる暗礁に乗り上げるのではないかと思うのです。その点率直に言われたので、非常に参考になるのですが、それでは大体その点については一応各委員の方々もある程度理解されたと思いますので、最後にもう一点の問題の風乾と申しますか、これはわれわれしろうとですからわかりませんが、換算の基礎ですが、含水率の有無でありますけれども、これも相当問題があると思うのですが、これはひとつ龍野さんから、将来のこれも相当問題になっているようですが、学者の立場から、これはどういう考え方でやるのが妥当であるか、いろいろ私説明すればいいのですが、時間がございませんので、先生からまずその点の換算をする場合の含水率のとり方についてひとつ説明を願いたいと思います。
○参考人(龍野四郎君) 風乾というようなことでございますが、風乾というのは、要するにこれは二つの意味があるのではないかというふうにわれわれ常識で考えるのであります。 一つには、これはいわゆる経済取引の場合ですね、稲わらの取引の場合における常識的な意味での乾燥状態というものを一つ風乾というふうに考えることもできますでしょうし、それからこれを科学的に、純粋に分析、含水率と申しますか、水分が含まれているその状態、これは科学的な実験データによる乾燥状態でありますが、その二つの意味があるのではないかというふうに考えます。私が調査いたしました場合には、私の言う風乾というのは、きわめて常識的であり、かつ慣習的な意味での乾燥状態ということでございまして、この点につきましては、取引当事者は含水率何%あるからそれは価格はどうだということで取引はされておりません。取引というものは、御承知のように、安いときに買うというのが、これが取引の要諦でございましょうか。それから体形といたしますれば、大体運ぶに差しつかえない程度の乾燥状態であれば、これはトラックその他の積載量にも非常に都合がいい、作業にも都合がいい、そういうような意味での乾燥状態として考えられるのではなかろうかというふうに考えます。で、取引の場合には、含水率というのはほとんど問題にならないのであります。これはむしろどちらかと申しますと経済学的な意味での風乾でございます。それから、いわゆる植物学的な、あるいは作物学的な意味での風物と申しますと、これは実験室において実験データを得なければ、いわゆるパーセンテージはわからない。しかしこの風乾につきましては、当事者——忍草と調達庁とが非常に問題になったことがございまして、私の意見を聞きに来たことがございます。しかし、私は、そちらの作物学的な意味での専門家ではございませんので、これは農林省の関東東山農事試験場でそのような実験をしている一人の専門家を知っておりましたので、そちらのほうに参りましてその実験データを聞いて参りました。これは調査報告の稲わらに関する調査の本文の中の最初の部分に、その専門家の意見が載っております。ですからそれをお読みいただけば大体明らかでないかと思うのです。この風乾ということも、今申し上げましたように、いわゆる経済学的な範疇における風乾というものと、それから作物学的な意味における風乾というものとは、これは一緒にはできないのだということを申し上げたい。私はどちらかと申しますと、もちろんこれは経済学のほうの専門でございますので、その取引時における風乾、いわゆる慣習的、常識的な意味における風物ということを問題にしたい。水分何%であるかということはこれはむしろそういう作物学者、あるいは植物学者におまかせしたほうがよろしくはないかというふうに考えるわけです。本件補償の場合にこれが問題になると、含水率が何%か問題になるということ自体が、私としては非常に意外なことに存じております。と申しますのは、これは大体のところ、たとえば脱穀してから、脱穀時点から大体取引が開始されますが、その時点がたとえば常識的な意味での風乾であるかどうかということは、これはもちろん風乾というのは非常な主観的な判断、売手と買手によってはその判断がまた違ってきましょう。それから二、三日たって一雨降れば含水率が非常にふえてくることもございましょう。ただ取引の場合においては、この報告書にも書いておきましたように、田方地方では一稲むら当たりを単位に取引をしている。それから谷村地方におきましては一駄、これは俗に一だんと申しますが、その一駄単位によって取引をされる。そこには風袋とか、あるいはちょっとさわってみて乾燥しているとか、大体この程度の乾燥ならばよかろうというところで手が打たれるわけで、厳密な意味での風乾状態をもって取引をしているわけではない。したがって、非常に常識的な解釈をしなければならない。大体乾燥している状態、たとえば、私どもはいろいろその専門家にも伺ったのでございますが、一応四〇%ぐらいの含水率から大体一五、六%の合水率に至るまでにおいて安定性を持つので、その期間に取引されるのではないかということでございました。 以上でございます。
○山本伊三郎君 龍野光年は農業経営学の立場におられるから、そういう植物学的な分析ということについてはちょっと無理だという御意見でありますが、実は本委員会にも千葉の農林省の試験場の専門家に来ていただくようにお願いしたのですが、まあ都合でそれは取りやめたのですが、問題がそこに一つ大きな問題があるようです。 そこで、農業経営学の立場から、稲わらと雑草といいますか、草から取る堆肥との成分がだいぶ違うと思うのです。なまの草にはいろいろ堆肥に必要なPCDですか、そういうものが含まれているが、稲わらにはそういうものがない。したがって、換算する場合にもそういう要素も必要でないかということも実は聞いておるのですが、その点について何か先年の知る範囲であればちょっと参考までに聞かせていただきたい。
○参考人(龍野四郎君) 私その方面の専門家ではございませんですから、きわめて一般的な常識的なこと、あるいは今までいろいろな調査をいたしましたその結果についてだけ、まあそういう経験上申し上げますと、稲わらと青草とは非常に成分が違っていることは、これは言うまでもございません。たとえば農林省で、これは畜産局での委託調査で感じたことなのでございますが、畜産局では、特に高度集約牧野という牧草を作るのに助成金を出しております。これはつまり乳牛を飼い、あるいは肉食用の和牛を飼うために、どうしてもわらだけではいけない、草が栄養価として非常に重要な意味を持っているということを農林省みずからが認めている、その結果がそういう助成金のような形になって現われたのだろうと思うのでございます。確かに一般的に申しましても、わらだけでございますと、これは普通言われることでございますが、いろいろな病気障害が起こる、これは確かなことです。どうしても草を食べさせなければいけない。で、草の時期と申しますのは、御承知のように、暖地では大体四、五月ごろから十月末まで、寒冷地帯では大体七、八月ごろから九月一ぱい、あるいは十月の初旬ころまで、あとはわらでまかなわなければいけない。そのために乾草も必要になってくる。乾草がなぜ必要であるかと申しますと、その冬の期間わらでまかなわなければならないときに、いわゆるビタミン剤として与える、これが乾草の効果でございます。そのときに農家のほうでも苦労しておられまして、いろいろ冬野菜をやるとか何かしてビタミンを補っていく、こういうことはきわめて一般的な概念でございます。わらだけを食べさせれば、非常にいろいろな意味での障害が起こる。胃腸障害はおろか、その他のいわゆる骨軟化症というようなものまで起こるのは、これは常識的でございます。ですからどうしても青草が必要だ、青草とわらとでは、非常に家畜の生育が違う、こういうことは、これはもうほとんど常識的なことでございますから、私からあえて申し上げることもないと存じます。私の知る限りにおいては、そういったことでございます。
○山本伊三郎君 それじゃ、まだまだたくさん尋ねたいことがあるのですが、時間も迫って参りましたし、私だけ一人しゃべっておっても非常にお気の毒だと思うのですが、最後に、実はこれは国会における仕事じゃないのですが、本委員会としては、すでに二年以上問題になっているので、できるだけ早く解決をしていただきたい、特に九月になると、米軍の演習ということがまた目の前に迫ってきております。このままいくと、先ほど天野参考人が言われましたように、地元の人がおそらくおさまらないと私は思います。そうなれば、政治的な問題としてこれがまた勃発してくるということは、せっかく二年間も当委員会でやりながら、まだこれが解決しないということは、行政上の責任は、立法府でありますからございませんけれども、われわれとしては、やはり一日も早く解決したいと思うのですが、両者の意見が非常にまだ対立しておる、そこで地元の代表として天野さんが来ておられるのですが、がっちりと科学的にこれをやれということになると、先ほど横浜調達局の不動産部長が若干言われましたように、いろいろまた政府部内の問題があると思うのですが、ひとつ譲るだけ譲って、この解決へ地元も協力ができるかどうか。この辺をひとつ最後に地元代表として、ここで尋ねるべきものでないと思いますが、長年取り扱った私としては、一応聞いておきたい。この点どうですか。
○参考人(天野重知君) 地元といたしましては、こういった補償の問題、極端に言うと、事務の問題を、たとえばアメリカが来たというようなことで、これをデモによって解決するということは欲しておりません。先ほども申し上げましたとおり、それゆえにこそ十カ月の宿飯を食っているわけです。現にもしそういうことをやるとするならば——ずっと自衛隊が演習しております。しかし、これにも私は一指も触れておりません。それで、あくまでも話し合いで筋を通してきたということは、浅草の貧しい宿屋に、村民が、多いときは二十人、少ないときは五人、この十カ月間暮らしたことで御理解願いたいと思います。ただここで一言申し上げたいのは、調達庁の幹部の諸賢もおられるのですが、これは北富士全体の私は問題だと思いますが、入会慣行を尊重する、これを将来に向かってさらに尊重するという取りきめをしたわけです。その内容は、私これは藤枝さんとあれしたのですが、その尊重の意味は、これを将来侵してはならないという含みがあって尊重という用語で解決したのです。そこで、ともすると、先ほど言いましたように、私は入会権とか入会慣習だとかいう論は避けます。だけれども、この入会慣習というものが、社会的な基地農民の利益であるということだけは、これはもうはっきりしておるわけです。そこで調達庁におかれましては、こういう前近代的なものであって、どうにでもその解釈もつくし、やりようがあると思いますが、どうか林雑規定を守っていただきたい。林雑規定を守っていただくということ以外に、基地の紛争を回避する道はないと思うのです。そこでたとえばこちらにも忍野、忍草、中野、全部おります。私の個人的に見た目では、地元が紛争しておる、足の引っぱりくらをやっておるというふうに、地元がおさまらない、県庁もおさまらない、そこで調達庁厄介なんです、これは東富士とは違うのだというふうにしておきますが、これは悪く解釈しますと、これは昨年の二月の委員会にも申し上げたのですが、ものをはっきりさせないでおいて、地元の紛争をかもし出して、そうして適正な補償もしないし、いろいろなことをやって漁夫の利を占めようという私は魂胆じゃないかと思う、調達庁が。はっきりと規定を守るということが第一と思います。そこでその規定の意味は何かといいますと、いわゆる入会慣行尊重という建前が、行政補償か恩恵補償かというこの分かれ道であると思います。幸いなるかな、たとえばこれに類するもので申し上げますが、電源開発に伴う水没その他による損失の問題が、昭和二十八年四月十四日閣議了解されております。この二条に、補償の対象に、所有権、地上権その他の権利と並んで、慣習上認められた利益をあげております。また、本年四月二十日の公共用地審議会の答申にもとづいて、閣議決定をみました公共川地の取得に伴う損失補償基準要綱(六月二十九日)、この要綱を見ましても、慣習上認められた利益に対する補償を権利補償として明確に規定しているのでございます。すなわち同要綱第二条第五項は、「この要綱において「権利」とは、社会通念上権利と認められる程度にまで成熟した慣習上の利益を含む」と規定しておるのであります。そうしていわゆるごね得とかなんとかいう理屈のない過重補償というものの線を政府は断ち切っております。そうして社会通念上権利と認められるようにまで成熟した慣習は権利と同等に扱うということを、これは政府は決定しておるのであります。私は政府が、入会慣習は尊重する、この慣習は将来に向かって侵さないという趣旨の江崎、藤枝両大臣の覚書、これは池田総理も、私と会ったときはっきり確認しております。しかるに、調達庁は、入会が前近代的権利であるのを奇貨として、入会の本質を究明せぬばかりか、林雑規定にいう入会慣行そのものの本質をも故意に歪曲して、林雑補償の受給資格を明確にきめきらないで、みずから地元を撹乱して、足の引っぱりくらをしておる、そうしてその上に立って地元がおさまらないというようなことは、政府のとるべきものでなくて、まさにこういった、すでに電源開発の問題、公共用地の取得の問題にその要綱と入会慣習尊重というのは全く同じだから、どうかさきの長官福島さんが申されたごとく、権利であるかないかということは重大なんできめられない、しかし、行政としては権利と同じように扱うのだ、この方針を一貫し、そうして少なくとも行政であるから、その法律内規のレールに乗ってこれを裁き、そうしてこのレールに乗らないものは基地全体の政策の上からごめんどうを見ていただく、この立て方こそ北富士を安定させるものだと私は信じておるのでございます。 そして最後に、私は決して理屈を言うものではございません。事の起こりが横浜局から問題が起きてきて、そうしてこの理論的追及にきょうまでなってきたのです。これは好ましいことではありません。わらの問題にしても一つのやはり犠牲の問題です。ですから私はやはり長坂部長の言われる妥当な線——まさに妥当な線というものは何かというと、社会通念上権利と認められる程度まで成熟したものは権利とみなすというこの腹がまえがあるならば、これは一瞬にして、ただいま一時間にして解決する問題であると思います。以上であります。
○下村定君 私は、本日はこの稲わらの価格の問題につきまして、龍野先生のお調べになりましたものとそれから調達庁当局のお考えでありまする農林統計によった価格、その差額につきましてその根拠をお尋ねしたかったのでありますが、これは先ほどからの山本委員の質問に対するお答えによりましてよくわかりました。また同時に、調達庁としてやむを得ない立場におありになるということも了解いたしました。 そこで、蛇足かもしれませんが、念のためにお伺いしたいのですが、この天野さんの御公述によりますというと、現在の売り渡し価格というものは四〇%の水分を含んだものであるというふうにお書きになりました。ところが、先ほど龍野先生のお話ではその点がはっきりしなかった、これは私の聞き方が悪かったのかもしれませんが。そこで龍野先生にお尋ねしたいのですが、龍野先生が調査の結果お出しになりました価格というのは、どういう——先ほどのお言葉でいいますと、常識的にどういう程度のものを標準にしてお出しになったのか。
○参考人(龍野四郎君) お答えいたします。この価格の問題でございますね。価格の問題は、私、あの調査報告をよくお読みいただけば御理解いただけるかと存じますが、私どもが調査いたしました経過は、この稲わら価格に関しましては、決して稲わら価格が幾らかというような質問はしておらないのです。まず最初に、稲の株数を数えることから始まりまして、それから作付慣行あるいは品種、それから反当収量、それから特に重要なのは稲わら処理の問題、そのかかる労働力というものをずっと算定いたしまして、そうしてその取り引きの時期、それから取り引きの慣行でございますね、これはたとえば運搬は買手がするのか、それとも売手のほうがするのかというようなことから、そういう生産からいわば流通に至る一貫の行程というものを調査いたしました。その結果いろいろなファクターから推定したわけでございます。そしてもちろんそのときに取り引きの価格は幾らかということも調査いたしまして、そうして大体推定したわけでございます。もちろんそれにはいろいろ価格が、先ほども申し上げましたように、たとえば谷村地区で二十円から三十円というふうな開きがございます。しかし、私どもはそういうふうなことでは本件補償の問題には適当しないのじゃないかというわけで、いろいろな事例を選んだ中でのいわゆる中間値をとりまして、中間の価格、それをとりまして、大体この線ではなかろうか、つまり最低限を二十円、最大限を三十円としまして、その中間値は二十五円というふうな線を決定したわけでございます。決してただ一戸の農家に当たってのみ聞いたわけではございません。いろいろな事例、それからそういう生産から流通までの一貫した行程、そういったものを調査した上でその価格を算出したわけでございます。それから一日の労賃などを先ほど申し上げましたように、稲わら処理労働に要する費用として計算いたしますならば、決してこの価格は、確かに一見したところ高いように見えます。見えますが、しかし、そういうたとえば主要な経費でありますところの労賃を差っ引いたらゼロになるという結論も得ました。まさにこれは労働力が不足するようになれはなるほど稲わら処理が粗雑になり、かつその価格というものはますます希少価値を生じて上がっていくというふうな結論に到達したわけでございます。以上でございます。
○下村定君 私のお伺いしたいのは水分の問題なんです。常識的にどのくらいのものを標準にお考えになっておるかということ、それは天野さんのほうから四〇%とまあはっきり数字が出ておるものですから、その点をひとつ念のためにお伺いいたします。
○参考人(龍野四郎君) 実は私も四〇%というようなことは、折衝の過程をそばから伺いまして、そうして初めて気がついたようなわけで、先ほど申し上げましたように、含水率の問題は取引慣行の中には全然入っておりません。また、買手も売手もそういうことはあまり問題にしておらない。いわゆる常識的な風乾というものを聞いて、それで私もその点が問題になっているということを聞きまして、また、調達庁と忍草から私の意見も求められましたもので、私はこの報告書を持って実は鴻ノ巣の試験地の農林省の関東東山農事試験場に参りまして、そうして専門家に伺ったわけでございます。大体こういうふうな慣行で脱穀後どのくらいたったものはどうであろうかというと、これはまあいろいろな条件にもよるけれども、大体あなたの言っていることは私は実験例から見て間違いないと思う、で一応四〇%ぐらいと見るのが妥当ではなかろうかというような回答を得まして、そうして私もその専門家の意見を受け入れまして、一応四〇%ぐらいの線じゃないかというふうな確信を得たようなわけでございます。決して私自身が含水率の分析をやったわけでもなんでもございません。ただ、取引当時につまり脱穀後約一週間たったぐらいでの含水率は大体四〇%、これももちろんその取引時点がすべてそうであるとは考えられない。しかし、まあ常識的に考えてそうではないかという実験例から一応おそらく専門家として御意見を述べられたのはその辺の線じゃなかったかと私は思っております。で、まあ詳しくはひとつ補遺のほうをお読みいただけばそこに出ております。補遺のほうの風乾に関する部分は私の主観的な意見をほとんどまじえておりません。その点をどうぞお含みおき願いたいと思います。
○下村定君 これは本日の委員会の審議には直接関係ないかもしれませんけれども、先ほど山本委員からも申されましたとおり、これは委員会のほうの全部の希望だろうと思いますが、こういう問題が一日も早く解決をされるということはいろいろな見地から必要なことだと考えるのです。それにつきまして富士演習場というものの価値でございますが、これは今、日本におきまして自衛隊が持っておりますもうたった一つの大きな演習場なんです。あれをどうこうするということになりますというと、せっかくどんないい兵器を渡しましてもそれを訓練する場所もないわけです。そういう意味におきましても私はぜひこの際早く解決をしていただきたい。防衛庁当局並びに地元の方にもひとつこの点を深くお願いする。 それからいよいよ蛇足でございますが、私は実は明治四十一年からこの北富士の演習場に参っております。何十問行ったかわかりません。戦前のことを申しますと、もう当時の陸軍の部隊、それから地元の方々、ほんとうになごやかに実にうるわしい光景で、何のわだかまりもなく何の不平もなくきた。時勢の変遷によってこういうことになったことを私は非常に個人として残念に思う点であります。まことにこういうことを申してどうかと思いますが、この点からもひとつ一日も早く解決することをお願いしたいと思います。
○委員長(村山道雄君) 他に御質疑はございませんか。——それでは一言ごあいさつを申し上げます。 本日は長時間にわたり貴重な御意見を伺わしていただき、ありがとうございました。本委員会といたしましては、本日の御意見を十分参考として、今後の調査を進める所存でございますが、それぞれの当事者の方々におかれましても、本問題がすみやかに解決されるよう、なお一そうの御努力を要望いたす次第でございます。 本日は、まことにありがとうございました。 本件の調査は本日はこの程度にとどめます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時一分散会