大蔵委員会 第8号
- 発言数
- 20 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1962/09/01
会議録
○委員長(佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
○大矢正君 私は、ただいま議題となりました産業投資特別会計法の一部を改正する法律案に対しまして、社会党を代表し反対をいたします。 本法律案が当委員会に送付をされましてから、連日慎重なる審議を私どもはいたしたつもりでありますが、しかし、依然としてこの法律の最大のねらいであるガリオア・エロアを中心とした戦後の対日援助の債務の内容が不明確のままに推移をいたしております。したがって、私はまず第一に反対をする理由としてあげなければならないのは、特に昭和二十四年三月以前の貿易の内容や援助の内容というものがまことに明確を欠いておりまして、特に外国との間における輸出入の貿易にいたしましても、あるいはまたその他外貨勘定の実例を見ましても、日本が自主的な立場において対日援助を受け入れたという、今日までの日米両国との間の話し合い、ないしは交換の文書というものは見受けられないというのが事実であります。したがいまして、私はまず第一に、今申し上げました理由によりまして、このガリオア・エロアというものは債務ではないという立場を持つものであります。 と同時に、またガリオア・エロアを中心とした対日援助は、戦後昭和二十四年三月以前の実態や、それ以降において、たとえば阿波丸の請求権を自主的にわが国が放棄したという事実や、あるいはまた国会を通して、国会の決議として米国に感謝を表明しているということによっても、当時の国民の大多数は、これは明らかに援助として、贈与として、また戦後の混乱をした日本の民生安定のためにアメリカから受け入れたものであると考えていると思っております。また、ガリオア・エロアの援助をわが国はもちろん受けましたけれども、その間にありまして膨大な占領費の負担をしておりまするし、あわせて二十四年以前の貿易の実態を見ますれば、すべてが米軍の管理のもとに行なわれ、安い価格で輸出が行なわれ、高い価格で輸入が行なわれることによっても、すでにその債務は債務として見てもアメリカに支払い済みであると考えております。 次に、反対理由の第三点として申し上げなければならないことは、今日、日本の経済の発展と拡大に伴って、産業投資特別会計それ自身が、産業基盤の育成や発展のために多額の投融資を行なっておりますが、これからもなおその必要性が増大をしていると思うさなかに、これらの膨大な対日援助の返済を当会計の中から行なうということは、とりもなおさず、今日の経済の調整過税と比べ合わせまして、私はこれからの産投会計の投融資というものが窮屈になってくるのではないかと思いまするし、そのことは日本の経済の発展にとりましても残念なことであります。先般来、委員会におきまして、当局側から、原資の不足を来たすようなことはない、あるいはまたこの産投会計から多額の投融資を受けております、また出資を受けております開発銀行や輸出入銀行の原資を不足させないようにいたしたいという表明はありましたけれども、私はそれの実現は今日の情勢のもとにおいては不可能であるというふうに考えます。 次に、第四点として指摘をいたさなければならない問題は、昨年以来国際収支の逆調によりまして、日本の国は外貨の蓄積高がたいへん減少を示しております。最近多少総合収支において黒字基調を見出すに至ったとはいいながらも、これからもガリオア・エロアのドルによる返済ということが実施をされますれば、ますます日本の外貨の蓄積、そしてまた国際収支に悪影響を及ぼしまするし、あわせてこのことは日本の経済政策にとりましても重要な影響を与えますので、私はこの立場からも反対をいたしたいと思います。 最後に、反対の理由として申し上げなければならないことは、産業投資特別会計というものは、これは今私が申し上げましたとおり、産業基盤の育成強化がねらいでありまして、特殊な債務を支払うための会計でないことは明瞭であります。政府側は見返資金の積み立てが継承されておるという歳入面からとらえて、この点については産投会計から支出をしたいという主張のようでありまするけれども、しかし、私ども社会党の立場から見ますれば、一方歳出面において産投会計の中から戦後の債務を処理をするということは不当なことであると思っております。もしかりにこのガリオア・エロアが債務と確定をいたしたとしても、その支払いは別途の会計から支出さるべきものであることを私どもは強く今日まで希望いたしてきたところでございます。 その他いろいろこの法律案に対して反対をしなければならない理由がございますが、委員会において慎重審議をいたしておりまするし、その委員会の中で私どもも十分政府側に申し上げたつもりでございますので、以上申し上げまして私の反対の討論を終わりたいと思います。(拍手)
○柴田栄君 私は、自由民主党を代表して、本案に対し賛成の意を表するものであります。 御承知のとおり、ガリオア等戦後の米国対日援助は、わが国の当時の政治的経済的混乱がもたらした社会不安を除去し、国民生活を安定し、わが国経済の復興、今日の目ざましい経済発展をもたらす基礎となったのであります。しこうして、米国対日援助の最終的処理をはかるための「日本国に対する戦後の経済援助の処理に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定」並びに同協定に基づく債務の支払いに関する産業投資特別会計の昭和三十七年度予算は、すでに前国会において承認されております。したがって、本案審議の焦点となった債務性の問題、二重払い等に対しまする懸念はすでに十分究明されたものと思われるのでございまするが、さらに、今回長時間にわたり審議を通しましても、本法案の妥当性は一そう明白になり、もはや疑う余地のないところであると考えるのであります。 終戦後十七年、わが国経済も破局的混乱から完全に立ち直った現在、戦後処理を一日も早く軌道に乗せることが国民多数の共通した感情であり、また民主国家のとるべき態度であり、さらに国際信義を高める上に必要であると思う次第であります。 次に、本改正案の第二点でありまする一般会計より新たに二百三十億円をこの会計に繰り入れる点でありまするが、これは対米債務の返済とは何らの関係のないものであり、輸出の振興、住宅対策、農林漁業対等々これらの発展のために出資するのでありまして、きわめて時宜に適するものと認める次第であります。 以上申し上げた理由によりまして、自由民主党といたしましては、本改正案に対し全面的に賛意を表するものであります。(拍手)
○永末英一君 私は、民社党を代表いたしまして、ただいま議題となっております産投会計法の一部改正案につきまして反対をいたします。 大体、ガリオア・エロアの援助物資というものは、私どもが戦後のいわば飢餓状態にありましたときに、アメリカの余りものを受けて、それがわれわれには救いの神のように映った。しかも、その物資というのは、当時の総司令部からの送りつけられたお仕着せである。これの受け取りに対して、日本政府はサインをいたしたかもしれませんが、それは契約書でなかったことは明白でございます。しかし、またこの物資を取り扱いました当初、昭和二十三年三月末に至るまで貿易資金特別会計におきましては、日本政府は一切その内容にタッチすることを許されず、すべてこれアメリカ占領軍の手によって運用をされ、さらにまた、見返資金が設定されまして以後も、この使用は占領軍の総司令官の承認した限度においてのみその使用を許されたことは明らかでございます。したがって、私どもは、このような状況下にあったガリオア・エロアの援助というものに対しましては、完全な債務性を認めることができない。 しかしながら、われわれが受けた援助については、これは礼をすることは当然のことである。したがって、そのような限度においてこれを解決し、さらにまた、その使用、支払いの用途については、日本国民の意思が完全に映るように批判はすべきであるという考えを持ておりましたが、前国会において政府はこれらのわれわれの主張を十分にいれずして、この協定を成立せしめました。 しかしながら、成立いたしました以上におきましても、この支払いというものにつきましては、はっきりと筋を通さなければならないとわれわれは考えるのでございます。これを産投会計法の中から支払うということは、第一に、産投会計法が設置せられた目的に全く違背をいたしておると私どもは考えます。産投会計法は、申すまでもなく、日本経済の、その当時には経済の再建や、さらにまた今後におきましては産業の開発、貿易の振興を目的としておるのでございまして、ここに全く異質の債務の支払いというような項目を入れることは、たとえば東京からできるだけ早く京都に行きなさいという列車を出発させておいて、そうして各駅停車をさせて、三十分ずつ戻りなさいというような命令を与えるがごときでございまして、私どもは、そういうことは法律の本旨にも反するし、また全体としての法律体系の秩序に違反するものだと考えます。したがって、もし支払うことが必要であるとするならば、これはわれわれの法律体系の中にもすでに賠償等特殊債務処理特別会計があるのでございますから、この中から支払われるのが当然であるとわれわれは考えます。 第二に、もしこの産投会計からこれらのものを支払うといたしますと、産投会計の運営の前途におきまして、はっきりとした政府の考え方をこの時点において確定をしておく必要があるとわれわれは考えます。しかしながら、本委員会の質疑を通じましても、このことはついに明らかになっておりません。われわれは今後、政府資金すなわち国民の資金を日本経済に有効に用いて、そうして国民の福祉を高めることが必要だ。そのためには現在の経済の状態を混合経済の方向に向けていくべきだと考えております。しかしながら、その方向を考えましても、われわれが今持っております一般会計とそれから年々このような方向で重要度を増しております財政投融資の運営の原理というものは、はっきりと区別をして、その区分は守る必要があるとわれわれは考えます。しかしながら、財政投融資に対しまして一般会計化の動きが非常に強く出ており、さらにまた、その動きが出ておるのに、これに対する既成の考え方というものはあいまいなものにこれを政府は運用をいたしておるという現状を見まするときに、私どもは一体どういうことを本旨としてこの会計をこれから運営していくのかということを疑わざるを得ないのであります。さらにまた、財政投融資全体を見ても、その中で産投会計が受け持つべき役割と、他の原資の運用によってやっていく役割というものがはっきりとまた政府においてその区分が明確にされていないということを、本委員会の質疑を通じてわれわれは見ることができたのでございます。私どもは、こういうままで推移をいたしまするならば、いわゆる予算につきましては、予算のいろいろな諸原則というものが守られ、国民は国会を通じてこれを監視することができるが、しかしながら、財政投融資、あるいはまた将来この産投会計に一般会計からの繰り入れが行なわれてくるということになりますると、その限りにおいては国民の監視というものは非常にこの点においてあいまいにぼかされてしまうということをわれわれは警戒をいたすのでございます。 この観点におきまして、政府は、全く目的の違った異質のものを産投会計において処置をしようというよう態度も第一にけしからぬ話でございまして、第二には、それをやろうとするならば、産投会計の運用、その使用の見込み、それを運営する原則につきまして、もっと明確な態度を持して臨むべきであると考えます。その二点において、政府の態度は不当に行政府の権限を拡大するおそれがあるとわれわれは考えまして、これらの諸点を明らかにしてこの法案に反対をいたす次第であります。
○渋谷邦彦君 私は、公明会を代表いたしまして、賛成をするものであります。 今回の改正法の焦点は、対日援助物資が債務性を持つものである、また支払い方法はいかにすべきか、という二点に集約することができると思うのであります。ところが、米国が今日において債務性を主張している以上、また近くはライシャワー大使よりも返済についての申し入れがあったりなどいたしまして、大国的見地から考えてみた場合に、国際信義の上からも、また日米の相互の信頼と理解を深めるためにも、返済すべきが妥当であろう、かえって日本の将来にマイナスになることは避けたい、そのように思うのでございます。前国会においても、すでに支払うことの決定を見た懸案でもありまして、決定した以上すみやかに支払い方法をきめなければならない、このように考える次第であります。 ただ、いかなる方法によっても結論は大同小異であり、ただそこで注意してもらわなければならないことは、今後においてあくまでも国民に対して二重払いという疑義を絶対に起こさせないように配慮して返済されることを強く望みまして、趣意にほぼ異論がございませんので、賛成するものであります。(拍手)
○鈴木市藏君 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対を表明いたします。 日本共産党が本法案に反対する根本的な理由は、本法案が日本民族の利益と相いれないものであり、さらにこれは東アジアの平和と安全にとってもきわめて危険な本質を持つものと言わざるを得ないからであります。 そもそも、本法案は、終戦以来今日までの歴史的論争を背景とし、かつ今後の進路に対する本質的な問題を含んでいるものであります。したがって、われわれが本法案の審議に全力をあげたのは当然のことであります。しかしながら、本法案を審議する過程において、われわれはガリオア・エロアのいわゆる対日援助が債務性を有するものであるという客観的な根拠は全く存在しないばかりか、それはアメリカ政府の対日政策と現池田内閣のアメリカ従属の政策を強めるための政治的作意の産物であるという認定に立たざるを得なかったのであります。 第一、ガリオア・エロア物資、いわゆる対日援助なるものの実体とその性格は、事実の究明とともに明らかになったように、当初からアメリカ占領者の日本支配の道具として利用されたものであります。かりに一歩を譲って、援助そのものを取り上げてみましても、それは占領行政の必要上のものであり、占領費としての概念の中に包括さるべきものでありまして、援助であり、まして国民はこれを無償で受け取ったのではなく、むしろ高過ぎる代金を支払っているのであります。しかるにもかかわらず、当時、国民はこれを文字どおり援助と考え、国会は感謝決議をさえ行なったのであります。また、当時は、アメリカ占領者の全一的支配のもとで管理された貿易であり、援助物資も、商業物資も、その明確な区別は明らかでないというのが実態であります。この管理貿易のもとで、アメリカに一方的に有利な複数為替レートによって行なわれ、輸入物資に対する自由選択の権利もなく、対等な対外取引権もなく、債務としての事前の契約は何一つなかったのであります。それのみでなく、国民の支払った輸入代金の積立金は、円資金として当然残るべきはずのものも、貿易上の補給金として使われ、アメリカに吸い上げられてしまっているのであります。以上の諸事実は、当時、大蔵省発行の資料によっても明瞭であります。債務性を有するものなりという客観的根拠は何一つ存在しないと言わなければなりません。 第二に、いわゆる見返資金につきましては、その設定の当初から、露骨きわまる対日支配の資金として投下されたものであります。その使途を追及するにつれて、その性格はまことに反民族的、反人民的なものであったと言わなければなりません。その最も代表的なものは、昭和二十四年の七月と八月の二カ月間、第一回の資金投下八十五億円が国鉄であり、その資金の大部分は国鉄労働者約十一万人の大量の首切り資金に回されたのであります。次いで当時、通信事業に約三十五億円が投下され、これは全逓労働者三万八千の首切り資金に回されたのであります。この歴史的事実は、今日なおわれわれの記憶になまなましく、それは下山、三鷹、松川事件という世にも不思議な物語によって代表される日本の黒い霧の真相でありました。こうして官公労大量の首切りが終わった後、この資金は民間大企業に投下され、その資金の行くところ、そこにレッド・パージの嵐が吹きすさんだのあります。昭和二十五年、こうして労働者の首切りと朝鮮への侵略戦争、その基地としての日本が作られたのであります。見返資金はそれは血ぬられた資金であり、反共戦略基地としての日本をあがなうための資金にほかならなかったのであります。同時に、アメリカは目下の階級的同盟者として、日本の独占資本をこれによって急速に育成強化したのであります。どうしてこれを援助と言うことができましょうか。どうしてこれを債務などと言って支払う必要がありますか。われわれは日本労働者階級の代表として断じてこれを認めることはできません。 第三に、サンフランシスコ講和会議できめるべきものをきめなかった失敗は糾弾しなければなりません。池田首相は支払い条件の腹案を持ってこの講和会議に臨んだと発言をいたしましたが、これはきわめて重大な発言であります。支払う条件を初めからきめて臨むという態度は、決して民族と国の利益を代表する者の態度とは言えません。断固として棒引き論をこそ堂々とこのような国際会議で発言してこそ真に日本代表であったはずであります。私は、池田首相の発言は、恥ずべき従属的な考え方であったと言わなければなりません。しかし、より狡猾なアメリカは、この会議でこのことが論争されることをおそれたのであります。一つはポツダム宣言の建前もあり、また無賠償の原則を踏みにじることを天下に公表することになるからであり、二つには、当時国の内外に高かった単独講和反対の声におそれて、これを後日の話し合いに持ち込み、三つには、日本代表がそのことを何らかの形で予測したからにほかなりません。言うならば、この講和会議というこの機会を日米両者のやみ取引で避けたということは、サンフランシスコ条約を美化するための一時の方便にしかすぎなかったのであります。しかも、これほどの問題を、国会や国民に対しては、債務と心得るとあいまいな答弁を行ない、アメリカに向かっては、講和会議の議題から取りはずすほどの重大さを持った何らかの言質を与えて参っているという点は、国民と国会を無視した態度であったと言わなければなりません。 第四は、一九六二年一月九日の協定とともに交換された二つの交換公文が示すように、この返済金の使途についても反対であります。一つは、日米教育交化交換のために使うというこの金は、日本人の魂を買いますという金に使われるものであります。真の日本人のための教育と文化のための資金とは全く相反したものとなるに違いありません。われわれはアメリカ化された教育と文化を望んではいません。今大切なことは、真に自主性を持った真の祖国愛に目ざめた日本人を作ることでなければなりません。二つは、この金がアメリカの対外援助法の基金として、東アジア諸国へ反共資金として回されることであります。後進国の開発という名のもとで、それは金額の多寡の問題にとどまらないで、その性質の持つ重大さは、安保条約のいう極東地域と不可分であり、同条約の経済的裏づけを行なうことになる公算が目に見えているということであります。悪名高いこのアメリカの対外援助法に日本が一役買って、その一部の資金を提供するということになるのでありまして、ここは深く考える必要のある問題だと思います。なぜなら、今南ベトナムで、台湾で、南朝鮮でどういう事態が起こり、また起きようとしているかということをお考えになるならば明らかであります。しかも、これを十五カ年間にわたって共同の責任を負うということは、今日の国際情勢に対する根本的な認識の欠如、そしてきわめて危険な道を進むことを意味するのであります。 結論は明らかであります。本来支払うべからざる金を支払うところから、このような危険な道をたどることになるのであります。問題の本質はただ一つ、民族の真の利益のために今日一番大切なことは、アメリカの従属のひもを断ち切ることであり、真の完全な独立への道を進むことであります。本法案はこの進路に逆行し、日本民族をさらに困難な状態に追い込み、東アジアの平和と安全に本質的な危険をもたらすものであります。したがって、この法案の意図するものは必ずや日本人民とアジア人民の大きな反対の前につまずくに違いありません。よって、日本共産党はあくまでも反対であります。
○大竹平八郎君 私は、本案に賛成の意を表するものでございます。 しかし、賛成にあたりまして一言申し上げなければならぬと思うのでございますが、新憲法治下におきまして開会されました四十一回の国会を通じまして、これほど論議の中心になった法案というものはないのであります。その根拠はどこにあるかと申し上げまするならば、債務性という大きな問題でございます。私どもこれを考えまするというと、勢い占領政策という問題にわたらなければならぬと思うのでありますが、当時のアメリカ占領政策は、あくまでも日本を植民地化そうとする精神であり、すなわちヘーグの陸戦法規の精神をもって臨んだことは御承知のとおりでございます。日本は民主主義は与えられましたが、その反面におきまして、日本が今日どうすることもできない精神面に大きなわれわれは穴をあけられておるという、こういう事実でございます。 そういう中におきまして、当時の占領政策がいかなるものであったかということは、たびたび質疑の中に出ておりまするアメリカ側の提示せられたるところの総金額と、それからまた日本側の計算をいたしました金額というものに、相当な相違があり、しかし、これはあくまでも通産省独自の価格規定によってやったわけではないのであります、全部が、当時といたしましては向こうに指示をせられなければならぬという、そういう黒い環境に置かれたというこういう点でございます。したがいまして、当時といたしましては、総理大臣でございます芦田さんにいたしましても、片山さんにいたしましても、一司令部の課長に呼び出されて、そうしてその指令を受けなければならぬというような状況。今日いかがでございますか。池田総理が対等の立場におきましてアメリカの大統領と話し合いをする。こういう工合に大きな相違があったのでございまするから、当時日本に自主性などというものは絶対ないのでございます。 そういう点からいたしまして、私どもは、政府がいろいろ答弁をせられておりまする債務性というものにつきましては、今日でも大きな疑点を持っておる一人でございます。しかしながら、当時の渋澤大蔵大臣がアメリカに向かいまして、もしアメリカの援助がなければ日本人の二千万人は餓死するであろうといって訴えましたことは、御承知のとおりでございます。したがって、このガリオア・エロアによりまして日本国民というものが救われたわけでありまするので、そういう点に対しましては、日本民族として、私どもは感謝をあくまでも持っていかなければならない。したがいまして、私は、それが債務性であろうが、無償であろうが、国際信義の上からいって当然返さなければならぬ、かように解釈をいたしておるものでございます。そういう意味におきまして、今度のこの法案に私は賛成するのでございまするが、賛成するにあたりまして、政府に一言要望をいたしたいのでございます。 それは、これを機会にいたしまして、いわゆる対米外交方針に対しまして一新機軸をぜひ開いてもらいたいということ。それから、援助費のこの問題でございまするが、アメリカのこれは予算に入って、そうして東アジアの経済援助に振り向けられるのでございまするが、むろんこれは正式にあなた方から私どもはその具体的な状況はお聞きすることはできなかったのでございまするが、できるだけ日本の貿易の面にプラスになるような要望をひとつぜひしていただきたい。それから、日米文化交流の問題でございまするが、この問題も具体的な御答弁はなかったのでございまするが、ぜひアメリカ側に要望をしていただきまして、単に日米両国のこの問題だけに限らず、この交流の拡大性を私は心から主張をいたし、そうしてこれをまた米国側に要望をしていただきたい、かように考えるわけであります。 最後に、産投会計に関連をいたしまして、大蔵大臣に要望いたしたいことは、先般も私は質疑の中で一言触れたのでございまするが、今日の日本のこの産投会計によっておりまするところの基本産業のうちにおきまして、最も痛手を受けておりまするものは海運界の状況でございます。したがいまして、この海運界の問題が、かっての造船疑獄というような問題にとらわれることなく、そうして日本の貿易外収支の大宗をなした海運界につきましては、一そうの御尽力を要望をいたしまして、私の賛成の意見を終わる次第でございます。
○委員長(佐野廣君) 他に御発言もございませんければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。 これより採決を行ないます。産業投資特別会計法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案を原案どおり可決することに賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(佐野廣君) 挙手多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成その他自後の手続につきましては、慣例によりこれを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 この際、田中大蔵大臣より発言を求められております。田中大蔵大臣。
○国務大臣(田中角榮君) この際一言ごあいさつを申し上げます。 前国会に引き継いで御審議をお願いしておりました産業投資特別会計法一部改正案を御可決賜わり、感謝にたえません。本国会は真夏に召集せられたにもかかわらず、終始慎重かつ熱心に御審議賜わり、本案成立に格段の御協力を賜わりましたことに対して、深く敬意を表し、ごあいさつといたします。
○委員長(佐野廣君) 速記をとめて 〔速記中止〕
○委員長(佐野廣君) 速記を起こして。 —————————————
○委員長(佐野廣君) この際、請願を議題といたします。 本委員会に付託されたものは、第九号、市道の舗装費等の財源として、地方道路税の譲与等に関する請願外六件でございます。これらの請願は、先ほどの理事会の懇談において慎重検討いたしました結果、請願第九号、第五五号、第一〇二号、第一二三号及び第一七九号は、議院の会議に付し内閣に送付を要するものと意見が一致いたしました。右のとおり決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 なお、報告書につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 —————————————
○委員長(佐野廣君) 次に、継続調査要求についてお諮りいたします。 租税及び金融等に関する調査は、閉会中も引き続いて行なうため、本院規則第五十三条により要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。 なお、要求書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたしました。 暫時休憩いたします。 午前十一時十二分休憩 〔休憩後開会に至らなかった〕