大蔵委員会 閉会後第2号
- 発言数
- 120 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1962/11/01
会議録
○委員長(佐野廣君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。 租税及び金融等に関する調査を議題といたします。 まず、最近の金融及び証券事情に関し、それぞれの当局から説明を聞き、そのあとで御質疑を願うことといたします。 この際、日本銀行佐々木副総裁を参考人として、最近の経済情勢につき説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐野廣君) 御異議ないと認めます。 それでは、佐々木副総裁、御説明を願います。
○参考人(佐々木直君) それでは、御説明申し上げます。 最近景気の調整はだんだん進んで参りまして、その広がり方もだいぶ範囲が大きくなってきております。特に今度の景気調整が設備投資を中心に行なわれましたので、設備投資の増勢が低くなるにつれまして、機械、鉄鋼、こういつたような産業にその影響が特に大きく出ておるように思われます。しかしながら、一般の個人の消費、そういうものの伸び率はややにぶくなりましたけれども、やはり増加を続けております。したがって、消費関連の産業はまだ依然としていわゆる堅調が続いておる状態であります。特に農村地帯は米のできが相当いいところに米の生産者米価が上がりましたから、したがって収入もふえ、相当景気がいいと申してもいいかと思います。先般私のほうで支店長会議をいたしましたが、そのときに東北の支店長の報告の中には、オートバイの売れ行きが去年の倍になったというような報告も出ておるようなわけであります。大体今度の景気調整の中心は資本財、投資財を中心に行なわれておる、その関連の産業について行なわれておるということが言えるかと思います。 で、こういう状態の中で最近の金融情勢でございますが、国際収支が、これについてはまた後ほど申し上げますが、国際収支が好転して参りましたこと、それから今のような米の代金の支払いが増加したこと、それから最近は税収入の伸びがにぶくなってきておるというようなことから、財政の支払い超過が非常に大きくなってきております。そういうことから、金融市場における資金の需給は一時に比べてだいぶ楽になりました。昨日で終わった十月中の資金の状況を見ましても、財政は二千八十九億の支払い超過でございます。一カ月だけの支払い超過としては非常に大きな金額でございます。一方、銀行券の増発が約二百億くらいにとどまりましたものですから、金融市場における資金の需給は一段と緩和して参ってきております。これから十一月、十二月にかけまして、やはり同じような調子が続いていくと思います。十月から十二月までの三カ月間の財政の支払い超過額は、おそらく五千二百億円くらいになるのではないかと思います。昨年の支払い超過額が二千六百億円でございましたから、ちょうど倍になるわけでございますが、一方で公定歩合の引き下げその他金融緩和の措置をとりましたところで、そういうような資金の実体的な需給状況が大幅に変わって参りましたので、三十六年度のように財政資金が五千億円近くも引き上げ超過になった時期と比べてみますと、いわゆる金融市場の模様は様変わりと言ってもいいような状態でございます。したがって、コール・レートなどもだんだん下がってきております。 こういうような金融情勢でございますが、一方国際収支のほうは、これも御承知のように、七月から経常収支が黒になって参りました。その後八月、九月、十月と国際収支の状況は非常にいい調子が続いております。おそらくこの十月末、きのうの日本の外貨準備高は十八億ドルを、わずかではございますけれどもこえたものと推測をしております。こういうような国際収支の好調がどういうところから出てきたかというその原因を見ますと、大体輸出の増加と輸入の減少との影響がそれぞれ半々であるように思われます。それからまた、この輸入の減少がどういうところから出てきておるかということを見ますと、輸入商品の数量の減少と輸入品の価格の下落と、この両方がまた半々影響しておるのでございます。したがって、数量の減少というのは、これはまあたとえば鉄鋼原材料の輸入量が減ったというようなものからきておるわけでありますが、価格の一下落のほうは、これは世界的な商品の市価が下がってきたことが相当原因しておるわけで、これは日本の努力というのではなくて、恵まれた環境の結果であるというふうにいわなければならないかと考えております。昨日で終わりました十月の信用状の収支を見ましても、依然として輸出は好調でございまして、信用状収支における輸出超過、いわゆる黒字は一億六千万ドルになりまして、九月は非常に高かったのでありますが、その九月をわずかではございますが、さらに上回る黒を出したわけであります。こういう信用状の情勢から見ますと、これから年末にかけましても実際の外国為替収支は相当な黒字が出てくるのではないか、こういうふうに推測いたしております。 次に証券関係の問題について、特にお指図がございましたので申し上げますが、最近の株価低落につきましては、日本銀行といたしましてもそれをよく注意して見ておる次第でございますが、何分今度の下落には九月決算の会社の減配といったような企業の実勢悪からきておるものが相当影響しておるだけに、それに対する措置というものはそう簡単にできるものではないわけであります。われわれとしては、株価をどこの水準に置かなければならないというようなものの考え方は持っておりませんが、ただ市場においてあまりに不安人気が広がるというようなことは、これは証券市場の正常なる運営、それから正常なる価格形成に不当な影響を与えるおそれがありますから、そういうような状態が出ることは望ましくないと考えております。昨日市中銀行間でいろいろ証券市場に対する対策が考えられまして、その後報告を受けましたが、私どものほうとしては、今特にすぐ具体的な措置をとるという必要があるとはその市中銀行からの連絡では考えておりません。しかし、市中銀行の金繰りの問題につきましては、今後いろいろな形で日本銀行の貸し出しその他に影響もしてくるだろうと思います。さらに、十一月の下旬には決算資金の需要もあり、十二月にはまた歳末資金の需要もあるということも予想されておりますので、そういうような総体の資金需要を十分考えて今後の金融の調整をやっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。 大体以上で御報告を終わります。
○委員長(佐野廣君) 次に、最近の証券事情につきまして御説明を願いたいと思います。
○説明員(有吉正君) 最近の証券事情につきまして、お手元にお配りいたしました計表に従いまして御説明いたします。 まず、最初に「株式市場の概況」と題しました表をごらん願いたいと思いますが、東京証券取引所市場第一部の株価平均をダウで申し上げますと、三十六年中の平均が一五四八・九四でございます。これが七月の十八日に一八二九・七四という最高になりましたが、その後御承知のように漸落いたしまして、十二月十九日に一二五八になったわけでございます。年末にかけまして漸騰いたしまして、一月中に一四七一、二月が一五三九というように非常に高くなって参ったのでございます。しかし、その後におきましては一四〇〇台、あるいは一三〇〇台を上下いたして低迷の状態を続けて参ったのでございます。特に十月に入りまして一二〇〇台に入りました。十月三日には一二四〇というように、昨年の一二五八の最低をさらに下回るような状況に至り、その後若干持ち直しをいたしましたが、またさらに低落を続けまして、今月の二十九日には一二一六という数字をつけたのでございます。しかし、三十一日、昨日におきましては一二五九というように若干の回復をいたしたのでございます。単純平均につきましては、ダウと同じ動きを示してございますので、説明を省略さしていただきます。平均利回りは、三十六年中は株高のために三分四厘の平均利回りがございました。その後株価が低落いたしますとともに平均利回りが高くなりまして、最近におきましては四分七厘、八厘というところにおさまっておるのでございます。一日平均売買高は、三十六年中は活況を呈しましたために一日平均一億株の売買で、それが今年一月におきましては、先ほど申しましたように、株高のために一億四千万株、それから二月に一億三千万株の平均売買高ができたのでございます。その後また七、八千万株に低落いたし、七月、八月は若干株価が戻したためにまた一億株をこえる状況になったのでございます。しかし、最近におきましては、やはり六、七千万株の程度にとどまっておるという状況でございます。日証金の差引融資残高は、三十六年度中は二百九十億円程度でございました。その後だんだんと増加いたしまして、今年八月には特に四百億円を突破するような状況でもございました。その後はまた下落いたしまして、現在三百四、五十億円程度という状況でございます。 市場第二部につきましては、昨年の十月に発足いたしまして、市場第一部以上に一時は活況を呈したこともあったのでございます。しかし、最近に至りましては市場第一部と同じような歩調をとりまして、一日平均売買高につきましても、一時は市場第一部に比べまして相当活況を呈したということもございました。最近はやはり三、四百万程度にとどまっておるのでございます。 この中で特に最近いわれておりますのは下降相場のことでございますが、私ども証券取引所におきまして試算いたしましたものを御紹介いたしますと、資本金百億円以上の会社を大型会社、それの株を大型株といたしまして、資本金十億未満の小会社の株を小型株、その中間を中型株といたしまして、実は昨年の七月十八日のダウの最高のときとごく最近の時点を比べまして、ダウにおきましては約三三%の下落でございます。大型株に至りましてはそれを上回りまして、四〇%の下落率を示しております。中型株につきましては約二〇%の下落率、小型株につきましては大体横ばいというような状況を示しておるのでございます。この株価不振の原因につきましては、先ほども副総裁が言われましたように、企業の業績悪化によるところの無配、減配が懸念される、そういった銘柄が急落したのでございまして、これらの銘柄を中心に同業者にさらに下落するのではなかろうかという連鎖反応を起こしているのでございます。また、特に金融引き締めによりますところの企業の換金売りなども跡を断たないのでございます。他方におきまして、こういったような大型株の不振、あるいは投資信託の基準価格の不振等によりまして、一般の投資家がなかなか株に対する投資ということに対して渋っておる、投資を手控えられておるということで、景気要因がないということが大きく影響していることと思うのであります。 次に、当局が最近とりました措置等につきまして申し上げますと、この表にもございますように、十月の六日には信用取引の委託保証金率を、従来四〇%でございますのを特に一〇%下げまして、三〇%にいたしたのでございます。とともに、日本証券金融会社初め証券金融会社におきましては、十月二十五日に証券金融会社のいわゆる融資のワクというものを拡大いたした次第であります。さらに十月の初めにおきましては、従来から行なわれておりましたころの公社債の流動化に伴いますところの社債の担保金融の額を特に六十億増額いたしまして実行した次第でございます。昨日はまた、市中の主要な銀行が自主的に今後おもな証券会社の手持ちの公社債を買い取る、あるいは従来と同じような公社債の揖保金融をする、あるいは直接に株式を購入するというようなことを考え、今後証券会社と話し合いに移るという段階に相なっております。 次に、お手元にお配りいたしました表の一つといたしまして、「増資状況調」について御説明いたします。増資の状況でございますが、問題になりますのは上場会社の分でございます。特に有償増資の分でございますので、有償増資の三十六年度のところをごらんになっていただきたいと思いますが、三十六年度の第一四半期における千百二十四億の増資、これは前年同期に比べまして三倍弱の大きな数字になっております。第二四半期におきましては千七百三十四億、第三四半期の千九百億、このような増資の増大が出ましたので、その当時から増資調整の満が叫ばれまして、自主的に調整がはかられまして、特に第四四半期におきましては二千七百億ばかりの希望があったのでございますが、この増資調整の結果千四百七十二億ということにおさまったのでございます。しかし、三十六年度を集計いたしますと、六千二百億、前年度を約五割も上回るような増資の額に相なったのでございます。三十七年度に至りましても、第一四半期の千五百八十億、かなり大きな額の増資が行なわれ、第二四半期におきましては千七百億の額の増資が行なわれたのであります。第三四半期におきまして、市況の推移もございますが、増資調整も円滑に進みまして、大体千百億程度におさまるのではないかと見通されているのでございます。第四四半期においては七百億程度におさまるというように見通されているのでございます。三十七年度を通計いたしますならば、大体五千百億をこえる程度ということにとどまるように見通されているのであります。従来は、増資のかような盛行によりまして、企業が増資払い込み資金の調達のために換金売りをするというようなことで、市況の圧迫要因となっておったのでございますが、今後はこういつたような点につきましては、市況の圧迫要因が去って参ったものであるというように私どもは考えているのでございます。 最後に、証券投資信託関係につきまして御説明いたしたいと思います。 最初に、単位型、いわゆるユニットでございます。三十五年におきましては、設定額が二千四百六十九億でございました。大体月平均二百億という設定ができたのでございます。三十六年の上半期に至りまして、株価の高騰に伴いまして二千百八十五億が六カ月間に達成されまして、月平均三百六十億ということに相なりました。下半期に至りましては、これが市況の低落とともに減少はいたしましたが、なお月平均二百八十億程度の設定が行なわれておったのでございます。しかし、三十七年に入りまして、一月から六月の上半期に千三百億、月平均二百億台、さらに七月以降におきましては月に二百億足らずの設定の金額にとどまるような状況に相なったのでございます。追加型に至りましても同じようなことが言えるのでございます。特に三十七年の上半期におきましては解約額もかなりございましたので、この間におきまする数字は純増を示すことができず、むしろ百十六億の純減になったのでございまして、七月以降におきましては、若干信用オープンの設定もございますので、七月−九月に相当にかなりの額の設定を見ました。解約も比較的少なく済みましたので、かなりの純増を見たのでございます。基幹産業投信は、三十六年十二月一回設定されただけでございまして、その後は解約になったわけでございます。 以上申しました株式投信会計は、三十六年上半期の好調によりまして、三十六年度は一兆円の大台に達したのでございますが、その後は、先ほど御説明申し上げましたように、はかばかしいふえ方を示しておらないのでございます。 公社債投信につきましては、三十六年に始まりまして、上半期に千六百四十二億、かなり好調な投資額を示したのであります。御承知のように、六月以降に解約が出まして、七月−十二月の下半期に至りましては、解約額のほうが設定額よりも上回るということになりまして、結局は八十一億の純減を示したのであります。三十七年の上半期においてもこの解約がさらに跡を絶たず、六百八十六億円の解約を示したために、上半期におきまして二百五十一億円の純減を示さざるを得ない状況に相なったわけであります。ただ、六月からは若干ずつ設定のほうが解約を上回る、つまり純増を示すような傾向に相なりました。七月に四億、八月に二億純増を示したのでございます。九月に若干の減を示しましたが、十月、この表にはございませんが、十月も約五億円ばかりの純増を示すように予想されておるのでございます。 かように公社債投資につきましては非常に不振をきわめたのでございますが、最近におきましては、また純増を示すというような形に相なって参りました。その原因といたしましては、一つには公社債投資本来の意味におけるところの貯蓄手段として、募集等につきましても相当慎重な配慮をめぐらして参ったのであります。一例を申しますと、昨年におきましては、一口当たりの金額が十万円にも上ったのでございますが、最近におきましては約二万円というように、小口の零細な金を集めて参るということにも相なりました。また、昨年におきましては、相当法人の金も入っておったのであります。約一割は法人の金が入っておったような次第でありますが、現在におきましては、ほとんど九八%までが個人の金をもって占めるというようなことに相なったのでございます。かような推移を示しまして、五月からは国民貯蓄組合の貯蓄の対象というようなことにも相なったわけでございます。今後公社債投信につきましては、堅実な貯蓄手段として伸ばしていきたい、かように考えておる次第でございます。 御説明を終わります。
○委員長(佐野廣君) 以上で一応説明は終わりましたが、ただいまの説明及びこれに関連いたしまして御質疑がございましたら、順次御発言を願います。 ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(佐野廣君) 速記を起こして。 ただいま出席の説明員及び参考人の方は、大蔵政務次官、それから大蔵省理財局証券部長、銀行局長、主税局長、それから大蔵省財務調査官鈴木君、それとただいまの日銀副総裁、以上でございます。
○大矢正君 大臣が来るまで資料的な質問だけしておきたいと思いますが、最初に最近の外貨準備高の中で、その外貨準備の内容をひとつ具体的に説明願いたいと思います。
○説明員(鈴木秀雄君) 外貨準備高の最も近くわかっております数字は、九月末現在でございますが、十七億二千万ドルでございます。そのうち約三億は——三億ちょっと欠けますが、金でございます。それから残りが外貸でございますが、残りといいますのは、それを差し引いた数字になりますから、約十四億、このうち七億五千万程度が、外国の銀行及び日本の銀行に預けてあるのもございますが、預金でございます。それからあとが、いわゆる財務証券といった形の証券、これが六億七千万ドル、ラウンド・ナンバーで申しますとそういうことであります。
○大矢正君 そこで、この命を除く十四億ドルの外貨準備をさらに具体的に分けていって、短期資本、長期資本、その他いろいろありますが、それをひとつ説明してもらえないですか。
○説明員(鈴木秀雄君) 今私が申しました数字というのは、政府及び中央銀行が持っている外貨という格好でございますが、ちょっと御質問の趣旨に多少反するかもしれませんが、要するにそれはわれわれが金として持っているものである。そのよってきたる原因はどうであるか。要するに借金を一方においてしているから、結果的にそういう金がある、こういうことになるわけでございますが、長期資本について幾ら借りておるというようなことにつきましては、ここに私手元に資料を持っておりませんが、また非常にむずかしい問題でございまして、従来もそういった疑問を私どももあまりしたことがないわけでございます。これはあるいは不勉強かと思いますが、今の御質問にあるいはその点不十分かと思いますが、一応、なぜこういう格好の中央銀行なり政府が持っておる外貨になっておるかと申しますと、要するに、資産部面ではこの現金及び金とか預金とか証券とかいったようなものが十七億ドルくらいあるわけです。それ以外に、為銀の資産というものが、各市中銀行が外国銀行に預けておる資産があります。それが、両方足しまして約三十億ドルくらいございます。一方におきまして、負債といいますか、向こうから借りていて、しかも一年以内くらいに支払い期限のくるというものでございます。これがたとえばユーロ・ダラー、自由円といったような系統のもので、それからその他の預金七億ドルくらいある。それから、それ以外に、為銀が借りております無担保借り入れ、それから輸入ユーザンスといったようなものが十二億ドルくらいございます。それから、御承知のような、日本銀行が昨年及びことしの春締結いたしました、アメリカの銀行から借りております三億二千五百万ドルといったものがあるわけでございまして、要するに、その負債勘定に立つものが、短期的なものが二十三億、結局ネットでは七億ドルといったような、これは公表しておる数字ではございませんので、その点お取り扱いには御注意願いたいのでございますが、そういうことになろうかと、こういうふうに考えております。
○大矢正君 今のあなたの説明にありましたユーロ・ダラー七億ドル、これはわかりますが、ユーザンスと、それから無担保借り入れの十二億ドルですか、これのうちで、ユーザンスの部分はどのくらいありますか。
○説明員(鈴木秀雄君) 約十億でございます。しかし、この無担保借り入れというのは、外為法上無担保借り入れという格好になっておりますが、実質的には非常にユーザンスに近いものであると、こういうふうに考えております。
○大矢正君 それから、今あなたの説明にありました、アメリカ市中銀行から、昨年度末の外貨準備高の減少に伴って借り入れた借り入れ金額の返済の話し合いは、具体的にどうなっておるのか。いつから、どんな形で返済されていかれるのかということ……。
○説明員(鈴木秀雄君) アメリカの銀行から借りましたし——これは日本銀行の問題でございますが、私かわって説明いたしますと、二口あるわけでございます。一口は、日本に支店を持っております、俗にいう在日三行、これから借りましたのが二億ドル−二億ちょっと端数はございますが、二億ドルでございます。これは、昨年の十一月から借り始めて、一年ということで借りたわけでございまして、その第一回の支払い期限というのは十一月の末にくるわけでございます。それでございますから、十一月、十二月、一月、二月と、各月五千万ドルずつ、こういうことになっております。それから、もう一口の一億二千五百万ドルという口は、アメリカの銀行七行から借りまして、アメリカの政府機関でございます輸出入銀行がこれに保証している、また別の借款でございますが、これは二月から返済が始まりまして、これは多少農産物等の輸入にもひっかかっておりますので、そういったきれいな返済期限というものは、はっきり毎月ごとの数字もありますが、非常に出っぱり引っ込みがあります。ともかく本年度内、来年の三月末までに三千三百万ドル、それ以後四月以降七月までが九千二百万ドルあるわけでございます。月別の数字はちょっと私ここに持っておりませんが、大体がそう大きく毎月変わっているわけじゃございません。
○大矢正君 私が記憶している限りにおきましては、本年に入ってからの交易条件というものは、非常に悪くなっている。片方では、先ほど日銀の方から御説明がありましたが、輸入に対する価格は下がりつつありますから、そういう面ではある程度カバーできますけれども、交易条件がずいぶん悪くなった。特に、たしか記憶に間違いなければ、七月の交易条件というものは、昭和三十年以来最低のところまで落ち込んだというふうに記憶しているのでありますが、最近の交易条件というのはどういうふうになっているのですか。
○説明員(鈴木秀雄君) 三十五年を一〇〇といたしまして、八月の指数は交易条件といたしましては九八・八でございます。その前の七月が九六・八、こういった数字になっております。
○大矢正君 それは最近の情勢から見て、よくなっているのか、悪くなっているのかということを聞いているのです。
○説明員(鈴木秀雄君) 非常にお答えしにくいのでございますが、要するに輸出価格は、おそらく内地の経済停滞に応じて非常に、極端にいえば出血輸出をしているのじゃないかという御質問かと思いますが、一方において、先ほど佐々木副総裁もお答えなさったように、世界的に輸入の方の価格も下がっているということで、どちらも下がっているという事態が起きております。
○大矢正君 それは輸入の方も下がっているけれども、輸出の方の下がり方が激しいでしょう。私はそういうふうに資料を見ているのですけれどもね。日銀の副総裁、どうですか。そういうことと、それから、これからそれが改善されていくというお見通しなのかどうか。
○参考人(佐々木直君) 今手元にございます数字では、これは日本銀行で調べました交易条件でございますが、これは三十二年を一〇〇としております。これによりますと、ことしの一月——三月の平均では輸出価格は〇・六%の下落、輸入価格は〇・九%の下落で、交易条件はややよくなっております。それから、四月——六月は輸出価格が二%の下落、輸入価格は二・九%の下落、ここでも少しよくなっております。それから七月——九月の三カ月間では、輸出価格が二・五%の下落、輸入価格が三・三%の下落でございまして、ことしに入りましてからの事情に関します限りは、わずかずつではございますが、交易条件はよくなってきております。
○大矢正君 次に、アメリカのドル防衛と関連して、特需の関係の現状と見通しについて質問をしたいと思うのでありますが、最近アメリカの域外買付が非常にきびしくなってきている。特需面では、かなり日本にとってはこれからの見通しとして不利な態勢が多いのではないかと一般的にいわれているものでありますが、それは具体的にどういうふうに展開をしておりますか、最近の事情を御説明願いたい。
○説明員(鈴木秀雄君) 御指摘のように、特需面については、現状でどれだけ影響が出たかということにつきましては、なかなかむずかしいのでございますが、先行き楽観できないという見通しでございます。
○大矢正君 日銀の副総裁にお尋ねしますが、いかがでしょうか、これからの輸出の見通しですね。一説には、アメリカ景気というものはかなり後退するのではないかといわれているのでありまして、キューバ問題を境にして、また上向きになるのじゃないかという説もあり、いろいろありますが、私はずっと統計資料を見てみまして、確かに本年に入っての輸出の好転ということは、アメリカ貿易に最大のウエートがあるわけです。確かに去年と比較してみると、アメリカ貿易の面では改善をされておりますが、その去年というのが実は問題である。御存じのとおり、去年のアメリカ貿易は近来にない落ち込んだ時期ですから、その去年と比較してことしはよくなったと手放しで喜んでおる情勢ではないのじゃないか。特にヨーロッパ、あるいはまたEEC諸国、ないしは東南アジアとの貿易というものは、そう数字的にも内容的にも私は今年に入ってよくなったとは見ておらないのです。そういう面も含めて、これからの輸出の見通しというものについての見解をひとつ承っておきたいと思います。
○参考人(佐々木直君) 確かに今お話しのように、アメリカに対する輸出の伸び率を去年との比較において論じますことは、去年の対米輸出が低調でありましただけに、あの数字は非常にそういう留保を持って読まなければならない数字だと思います。したがいまして、対米輸出が四〇%伸びたといったようなことで今後の情勢を判断することは不適当だと思います。ただ、しかし、アメリカの最近の経済情勢から見ますと、今の日本の対米輸出の水準が今後後退するというような予想が立てられるような材料はあまりないわけでありまして、一方国内でまた新しい需要がふえ、輸出意欲がなくなってくるということが起これば別でございますが、国内の情勢がとにかく相当生産力もふえ、輸出需要というものが大事だという考え方が続きます限りにおいては、対米輸出が現在程度の水準を維持することは、そうむずかしいことではないのではないかと思います。 それから、欧州に対する輸出でございますが、これは確かに数量的には日本の輸出の中で占める割合が低いのでございますが、ただこの伸び率は割合に高い。それから、今の三十五条の援用とか、ああいうような問題が今後だんだんいい方向に解決されていきますれば、欧州への輸出は今後相当期待できると私は考えております。 ただ、東南アジアヘの輸出、これは日本の輸出の三割前後を占めておるわけでございますが、これは東南アジアに産します農産物等の特産品の価格がこのごろ低迷しておりまして、したがって、これらの国々が輸出によって外貨を取得し得る力があまり強くない。そういう国際収支の面から、日本が東南アジアに対して今後大きく輸出を伸ばしていく可能性は少ない。まあプラント輸出とか、そういうような援助の形で出ていくものが今後多少ふえるだろう。そういう程度に考えております。 したがって、総体として見ますと、これからの日本の輸出がことしの初め以来のような勢いで伸びるとは考えられませんけれども、しかし、今の程度の水準をどうやら維持していくことは、目下の世界経済に非常に大きな変化が起こらない限り可能ではないか、かように考えております。
○大矢正君 あなたのところで出されておる資料を常に愛読させてもらって、これで勉強させてもらっておりますが、今あなたのほうでヨーロッパ貿易はかなり将来に対して有利だということで、私の記憶では、三分の一はアメリカ貿易だし、三分の一は東南アジアだし、それを除いて全体的な貿易量の約一四、五%程度が例年のヨーロッパ大陸の貿易ですが、ですから、それが多少上向きになっておるとしても、そう大きなものを期待することはできない。日本の全体の輸出の情勢から見れば、私は大きなものではないのじゃないかというような気がいたしますが、それは議論ですから、別として……。 そこで、輸入の問題に関連がありますが、先ほどもちょっとお説にありましたけれども、結局、国際収支の面で黒字基調が堅持されつつあるということの中心は、何といっても貿易である。その貿易の中の半分は輸出で半分は輸入の減少だと、そういうことですが、そこでごく最近の輸入の原材料の在庫指数を見ますると製造工業の総合計を計算をしますと、八月は二二〇・八となっておりますね。これは一月が二三一と、これがピークになって、これは漸次減って参りましたが、そこで私一つ心配をすることは、そろそろ輸入原材料というものはこれからふえていく傾向が出てくるのではないかということが一つと、それからもう一つは、例年これは第四四半期になりますと、かなり輸入がふえますが、そういう面から見て総体的な輸入面をとらえてみると、今までのような鎮静をしたような形ではとどまっていないのではないか。それはもちろん根本的には経済の成長もあるでしょうし、設備投資の意欲もあるでしょうが、機械なんかの面は別に除いて、輸入原材料として考えてみると、そういう傾向になるのじゃないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
○参考人(佐々木直君) 輸入の面につきましては、確かに今までのような勢いで輸入が減ってくる、輸入の減少が今までの勢いで続くというふうには確かに思いませんが、大体私どもの感じでは、もうこの辺が——この辺と申しますか、九月、十月あたりの輸入水準というものは、まあまあ最低のところではないかという気がいたします。したがいまして、今後季節的にもふえますが、少しずつ水準が上がってくるということは予想される点でございますが、ただこの輸入量の予想を立てます上に一つの目安となりますのは、鉄鋼と繊維というのが日本では一番輸入原材料に大きく依存している産業でございますが、この二つが二つとも今非常に生産を落として、業況もあまりよくないわけでございますから、こういうところの毎月の消費量が一時に比べるとずいぶん大きく落ちていることを考えますと、今後輸入がふえますのも、季節的な面はもちろん影響して参りますけれども、全体として大きく水準が強く上げられていくということは、今の輸入関連産業の業況から見ますと予想できないように思います。
○大矢正君 国際収支に関連する問題については、あと議論になる面がありまするし、それから政府の考え方も聞かなければなりませんから、これは午後からにして、次に、日銀のほうに専門的に質問するのでありますが、銀行局長の関係も出てきますが、金融政策についてお尋ねしたいと思います。 一般的な予測としては、今度の金融政策というものは、ある意味でいうと公定歩合の引き下げ、あるいはまた準備率、それから高率適用、こういう大きくいえば三つの柱については漸進的にこれを少しずつ引き締め基調というものを減らしていくのではないか、あるいはまた弱めていくのではないかというように一般的には見られていたのですが、思い切ったやり方でやられたわけですね、私どもに言わせると、ただ一つそこでふに落ちないのは、公定歩合だけは昨年の九月の水準に戻ったが、七月の水準には戻っていない。すなわち一厘下げしか行なわなかった。どうも感じとしてはちぐはぐな感じがするので、そういうように漸進的に金融の引き締め政策というものを、この際、経済も鎮静をしたのでゆるめていこうとすれば、他の三つについてはすばっとやって、公定歩合については一厘だけしか下げないということは、ちょっとおかしいと思うのでありますが、その点どういうふうに考えてやっておられるのか、お尋ねしたい。
○参考人(佐々木直君) ただいまのお話でございますが、実は去年の引き締めをやりましたときの締め方が、七月に公定歩合を一厘上げまして、九月にさらに公定歩合を一厘上げ、同時に準備率を上げ、同時に高率適用を強化する、そういうふうな措置をとったわけです。今度やりましたのは、この九月の措置を取りやめると申しますか、もとへ戻す、こういう感覚でいたしました。したがいまして、この三つはまあこの前トロイカ方式というような批評もございましたが、三つそろってやったからそろっておろした、こういう考え方でございます。
○大矢正君 副総裁、あのちょっと資料になりますが、ごく最近のこの高率適用の、まあ一次、二次ありますが、その金額はどのくらいになっているのか……。それ先に。
○参考人(佐々木直君) 十月末の日本銀行貸し出しが約一兆三千億円でございますが、その中で一次高率がかかりましたのが約二千億円、それから二次高率がかかりましたのが約五百億円であります。
○大矢正君 今度のこの高率適用緩和によると、具体的にはどの程度までこれが減るわけですか、一次、二次が。まあ一次の分はほとんど減らないでしょうけれども、二次の分はかなり変わるわけでしょう。
○参考人(佐々木直君) 今度高率適用のやり方をすっかり変えましたものですから、その関係で、二次はもちろん今度なくなるわけでございますが、一次高率にかかりますものも非常に大幅に減りまして、おそらく数百億の程度にとどまるのではないかと。これはちょっと十一月一日の数字がどうなりますかわかりませんけれども、きょうから制度を変えましたものですから、一応私の個人的な推測で、ずっと大幅に減って、今まで二千億円だったものが数百億円台におりるのではないかと思います。
○大矢正君 それから、預金準備高のほうは、これはまあ半分に削ったのですか、きょうから削るわけですか、準備率を。このほうの金額はどういうふうになるのですか。
○参考人(佐々木直君) これも昨年の九月以前の姿に戻しましたものですから、預金が二百億円以下の銀行の準備率はこの前上げませんでした。したがって、今度も手を触れないわけでございますから、そういうものの分を計算いたしますと、減ります分は半分より少し少ないことになります。大体七百億円前後のものが減ると思います。これが実行されますのは、適用がされます、現実にその預金の積み立てに影響しますのは今月の十六日以後でございます。
○大矢正君 政府のほうにお尋ねしますが、この財政投融資にからんで、産投会計はまあ別ですが、これは別ですが、資金運用部関係、それから簡易保険、年金、これらまあ大きなものは現状はどうなっているのか、それからこれからの見通しはどうなのか、ということをひとつ御説明願いたいのです。
○説明員(竹内俊吉君) ただいまのお尋ねですが、理財局を今呼んでおりますから、ちょっと時間待っていただけば参ります。
○大矢正君 では、佐々木さん、もう少しこの金融問題について大臣が来るまでお伺いしておきたいのですが、これはちょっと基本的な問題になりますが、今度の日銀の金融にからんでのまあ改善策といいますか、政策のこの変更といいますか、これは単に昨年のこの引き締め当時の水準にまで戻そうとするのか、そうではなくて、根本的に金融面から経済に刺激を与えていこうという考え方があるのか、その辺ひとつ、ちょっと微妙な問題ですが、お答えいただきたいと思います。
○参考人(佐々木直君) 実は昨年の七月と九月のああいう公定歩合の引き上げその他の措置は、高い経済成長を続けた結果生じました国際収支上の難局を乗り切るためにやったわけでございますから、さっきからいろいろ御説明申し上げておりますように、国際収支も均衡を回復してきました今日、そういうような特殊な引き締め措置はもう必要がなくなったという考え方で、九月にやりました分をもとへ戻したわけでございます。したがいまして、これは一時の難局を乗り切るための手段であったという判断からやったことでございますから、この九月以前の姿に戻すことによって景気を刺激しようという意図を持っておるものではございません。もしこういう措置をとることによりまして、直ちにまた経済活動がすぐ上向きになるということが起きますと、そのときにはまた国際収支が悪くなるというおそれもございますので、そういう急に反転して反騰するというようなおそれがない事態になったという判断で、今度の措置をまあとったわけでございます。
○大矢正君 別な角度からまた同じことを質問することになりますが、今の日本の景気というものは、俗な言葉でいいますが、底に来たと。しかし、このまま黙っておくと、まださらに新しい底が出てくるかもしれないと。だから、まあせいぜい現状維持というような考え方で金融の引き締めをこの際考え面したということになるのか。そうじゃなくて、もうとにかくここは底なんだ、これ以上これからは上向きの態勢に持ち込んでいかなけりゃならないのだと、そのことのための一環としてですね。これはもちろん金融政策だけが経済を上向きにするためのすべてであるなんということは考えていない。それは単なる一部でありますから、何ですが、そういう考え方に基づいて行なわれているのか。そのどっちなのか。
○参考人(佐々木直君) その二つのどちらかといいますと、大体前者に近い考え方でございます。もうここで底に来たから、あとはもう上向かすのだということで金融をゆるめるという考えではございません。ここで一時の特殊な引き締め措置は解除すると。しかしながら、今冒頭に私説明申し上げましたように、まあ設備投資が鎮静した結果、設備財を作っておる産業はここしばらく生産能力の過剰ということに悩まざるを得ない。それはやがて全体としては消費がふえて参りますから、そういう面から徐々に需要が伸びてきて、その生産能力にマッチするところまで回復してくるということになりましょうが、それにはやはり相当時間もかかるのではないかと思います。したがいまして、もうここが底で、あとは上向きだという感覚ではないわけでございます。
○大矢正君 それから次に、まあ一番大きな景気の刺激の要素になる、過去はなってきたんですが、設備投資にからんでですね、設備投資のこれからの推移について、まあそれは将来のことを言っておるのじゃなくて、これからまあ来年の春、それから来年の春から秋にかけて、ここ一年くらいの見通しとして、日本銀行自身が現状分析の中からどう考えておられるか、どう見ておられるのか。新聞なんかではよく総裁の談話とかなんかいろいろお見受けするのでありますが、その点どうでしょう。
○参考人(佐々木直君) まあ将来の予想というのは中央銀行ははなはだ不得手でございますけれども、われわれのまあ現状からの判断では、来年の設備投資というものは、大体ことしのレベルの横ばいではないか。多少上下にゆれるかもしれませんが、いろいろな産業による差別はございますけれども、総体として見ますと大体横ばい、減るにしてもごくわずかの減り方の程度ではないかと思います。
○大矢正君 逆戻りするようですが、三十七年の設備投資は総額においてどの程度にお見込みになっておられますか。いろいろ三兆二千億という数字もあるだろうし、三兆四千億くらいになるだろうとか、いろいろありますが、まあ一つには、ことしの設備投資はどの程度でおさまるのかという見通しが、これはかなり重要なことになると思いますが、どの程度に見込んでおられますか。
○参考人(佐々木直君) 三兆五千億くらいと考えております。
○大矢正君 それから次に、通貨の供給にからんで、最近日本銀行としては新しい考え方のもとに、通貨の供給に対して根本的に考えを従来と改めていこうというような意欲的なものがあるやに新聞では承っておるわけですが、今度の高率適用、一次、二次の高率適用も基本的にはこの際考え面して、新たな高率適用といいますか、かなり高いものできめて、ある特定の各銀行ごとのワクを設けて、その範囲内でやっていこう。と同時に、また通貨の供給にからんでは、日銀の貸し出しによって供給されるのではなくて、また買いオペを中心にした金融の一時的な緩和というか、根本的な通貨の供給を考えていこうというようなことを言われておるやに私どもは聞いておるのですが、この辺の真偽のほどはどうなんでしょう。
○参考人(佐々木直君) 私どもといたしましては、日本銀行の資金供給のルートが貸し出し一本やりになっておるということについては、かねがね反省もしており、これをどういうふうに改善していくべきかというふうなことについて検討はしておったわけであります。日本銀行の貸し出し、すなわち今までの資金供給の仕方と申しますのは、これははなはだ原論的なことを申し上げて恐縮でございますが、銀行券の増発額いかん、それから財政収支の受け払い超過額いかん、そういうものからきまって参りますものでありまして、したがいまして、三十六年度のように財政が非常に大幅な引き揚げ超過になりまするようなときに、さらにまた一緒になって銀行券も相当大幅に増発というようなときには、日本銀行が非常な引き締め政策をとりましても、日本銀行の貸し出しは相当大きくふくれてくるわけであります。したがって、締める締めるといいながら、貸し出しがふえているじゃないかというような印象を外に与えるような状態、しかも日本の経済がだんだん伸びて参りまして、そのために必要とされます日銀券の流通商の増加というものは、これは短期な貸し出しというような形で出すべきではなくて、やはりもっとそれより安定した姿で、ルートを通じて出すべきものだと。それからまた、貸し出しが商いレベルで続いておりますと、借り手であります銀行もその借り入れになれてしまいまして、これを返済しようという意図もあまりなくなる。それの陰には当然要る金がそういう短い貸し出しを受けているという点もあるわけでありますが、そういう点から、私どもとしては、今回金融が引き締め緩和でいきます機会に、債券の買い入れによる資金の供給ルートを併用していきたいと今考えております。したがいまして、これからの運用にもっぱらかかるわけでありますが、できるだけ頻繁に債券の売買をやりまして、季節的な資金の波及び長い目で見ました銀行券の増発、そういうようなものの資金を債券の買い入れで、売買で調節していきたいと思います。したがって、今後の問題でございますが、たとえば来年の暮れになってみますと、日本銀行の債券の保有高が大体一年間の通貨の増発高に見合うぐらいなところのものはそこに残るということになるんではないかと思います。 したがって、そういうふうに債券の売買を機動的にやりまして、季節的なものあるいは基本的な資金の需要に対して供給いたしますから、したがって、貸し出しのほうはもうそうむやみにふやさせない。特定の銀行が、特に資金の運用がルーズであって、日銀借り入れに大きく依存するということでありますと、それは強く押える。しかし、総体の銀行が日本銀行から金をたくさん借り入れなければならないというようなそういう全体の情勢の変化に対しましては債券の売買で調節する、こういうような考え方を持っております。
○大矢正君 そこで、結局、通貨の供給に関しては買いオペ、もちろん貸し出しもありますが、その両方の併用によって行なうという考え方のようでありますが、それじゃ一兆三千億からあるこの日銀の貸し出しについて当面どういう態度で臨まれるのか。これをとにかくあくまでも減らすという方向でいかれるのか。これは今日の通貨の供給方式というか、そういうものが、過去においてはどうも政府の政策の誤りもありますが、好ましくない。したがって、これはこの程度で維持して、しかし、これからの問題についてはこうやっていこうというように考えておられるのか、その点について承りたいと思います。
○参考人(佐々木直君) この十月末の貸し出し残は一兆三千三百八億でありますが、これは十一月に入りますと、またお米の代金など相当払われますので、おそらく金融市場はだぶついて、日銀の貸し出しの返済に充てられるわけであります。したがって、季節的に見て、これから十二月初めくらいまでは日銀の貸し出しはいつも減る時期でございます。したがって、この一兆三千億はだんだん減って参ると思いますが、しかしながら、私どもとしては今の現状からスタートしていきますので、今の貸し出し残高を特に意識的に大きく減らしていくという考え方は持っておりません。季節的な変動は今も申し上げましたように起こりますけれども、それは決してわれわれの意図によって減らすものではございません。十二月の半ば過ぎからは、今度は年末決済用の日銀券が大幅に出て参りますから、そのときにはまた季節的に日銀貸し出しもふえて参ります。今度は、季節的にふえますときに、貸し出し一本やりでなく債券買い入れを併用して参りますから、貸し出しの残高が日銀券の増発額よりは低いものとなり・ます。それから、来年一——三月になりますと、また年度末租税引き揚げが始まりますから、財政は例年揚げ超になりまして、日銀貸し出しがふえて参りますが、その際にも日銀としては貸し出し一本やりでなく、やはり相当の部分債券の買い入れによってカバーして参りたい。したがって、貸し出しの数字の効きというものは、今までに比べてずっと小幅になります。安定的なものになっていくと思います。
○大矢正君 そうすると、それをさらにせんじ詰めていきますと、過去における通貨の供給というもの、それから日銀の貸し出しを特に分析してみると、通貨の供給は基調的に日銀の貸し出しによって行なわれてきたということが一つあるのと、それからもう一つは財政上の関係の一時的な要因、あるいはまた国際収支との関係、こういう面から揚げ超が出てきて、それをカバーする意味においての日銀貸し出しという一時的な要因、こういう二つの面があると思いますが、これからの日銀の金融政策のあり方としては、基調的なものはこれから一切考えないで、もっぱら一時的な要因においての通貨の供給としての日銀貸し出しを行なう、こういう考え方でいくわけですか。
○参考人(佐々木直君) ちょっと御質問の意味がつかみかねる点がございますから、私の返事があるいは的に当たっておらないかもしれませんが、これからの分について、これからのいろいろな資金の需給につきましては、貸し出し一本やりでなくて債券の売買でもって調節していくということでございますが、従来のたとえば銀行券の増発の分を今後どういう形で処理していくのか。要するに問題は今後のことだけなのか、過去のものの根本的な処理をやっていくのか、こういう問題でございますれば、実は根本的な問題についての解決はいつかやらなければならないとは考えておりますけれども、その時期をいつに選ぶかということは実はまだ私どもとしてはきめておりません。したがって、とりあえずは今後の問題の処理をやっていって、その結果により、あるいはまたその後の経済金融情勢の推移いかんによって、根本的な解決がいつできるかの時期をつかみたい、こういうふうに考えております。
○大矢正君 買いオペによって通貨の調節をしようという考え方でいくということになれば、公社債のウエートというもの、それからその流通市場の問題になってくるわけでしょう。ですから、その公社債の流通市場や、それからその公社債自身の問題として見れば、現実には今の特に国債、公債というものは非常にわずかなもので、それによって大幅な金融の調節といいますか、そういうものを行なうことは現実にはむずかしいのじゃないですか。それに対して何らかの措置を講じつつ、そういう方向に持っていくということになるのではないかと思いますが、その点はどうなんですか。
○参考人(佐々木直君) 確かに国債は、今市中にあります金額が非常に少のうございますので、国債はそういう大きな操作の種としては不足でございます。ただ、政府保証債を今までは扱っておりましたが、政府保証債も、債券の買い入れが二千億以上になってきますと、ちょっと無理だろうと思います。したがいましてその後においてはどういう債券を追加していくかという問題が起こるわけでございますが、今のところは、年内の調整のためには政府保証債で十分である。したがって、その債券の範囲の問題は、年が明けてからの事情を見て考えたい、こういうふうに考えております。
○大矢正君 それから、先ほどの話に戻りますが、高率適用に関して、新たな構想のもとに本日から発足するという考え方ですが、実際に新しい高率適用というものは具体的にどういうものなのか、ひとつ御説明願いたいのですが……。
○参考人(佐々木直君) 今度は、私ども、制度を貸付限度額手続と呼んでおりますのですが、各銀行別貸し出しの最高限度を設けまして、その最高限度のうちの何%は一次高率のかかる額だ。逆にいいますと、貸し出し限度額の中の何%までは基準歩合で貸す、それからその何%をこした分は三厘高がかかる、こういうような精度になります。 それから、この貸し出し限度額をどうやってきめるかということは、これはすべり出しのところは、大体現状の各銀行の貸し出し残高を見まして、それに多少のゆとりを見てきめるよりほかはないわけでございますから、一応きょうからはそれでスタートしております。しかし、これは大体四半期ごとに限度額を検討し直すことにしておりますので、先ほどから申しておるような債券の売買の実績その他を考えまして、今後はできるだけ、何といいますか、理論的にも筋の通るような限度額をきめていきたい、こう考えておりますが、現在のところは、今までの現実の各銀行への貸し出し額を基準にしまして、それに多少のゆとりを見たもので限度をきめていく、こういうことでございます。
○大矢正君 結局、新しいそういう考え方でいくということになると、日銀がきめる限度額ということがかなり金融政策としては大きなウエートになってくるわけじゃないですかな。特に日銀貸し出しとの関連においてはそのことが言えると思うのですが、そのきめ方が私は将来非常に問題を残すのではないかという気がするのですが、これはまあ具体的にどうするかということはもちろんわかりません。わかりませんが、かなり思い切った措置ではないか。従来の段階を追っての高率適用などとは違って、かなり思い切った措置になるのではないかと思うのですが、どうでしょうか。
○参考人(佐々木直君) その思い切ったというところでございますけれども、確かに市中の銀行にとりましては、この限度額が幾らにきまるかということは非常に大きな関心の的でございます。これは各行別にすでに通知いたしておりますけれども、一応今までの実績の上にある程度の余裕をもってきめましたものですから、さしあたって特に問題にはなっておりません。しかしながら、この限度額自身は、さっきからの御説明にも申し上げましたように、オペレーションを幾らやるかということとの完全なからみ合いでございまして、限度額が相当シビアでも、債券買い入れを大幅に思い切ってやれば、それでも済むわけです。そういう意味で、結局今後は限度額と債券売買の金額と、これをどうにらみ合わせてやっていくかという点に、一番の金融調整のポイントが出てくるだろうと思います。
○大矢正君 こういうことを質問したら、あるいはお答えいただくことは無理かと思いますが、名前まで言わなければいいんじゃないかという気もするのですが、参考のために……。銀行ごとの限度額がきめられるわけでしょう。そうすると、ある特定の銀行の限度額というものは一体どのくらいになるのですか。名前を言わないでいいですから、教えてもらえませんか。それは機密でそういうことは言えませんか。僕は、別にそれをつかまえてどうこういう気持はさらさらないのです。ただ、どのくらいのものかということを、興味として知りたいのです。
○参考人(佐々木直君) これはどうもなかなかお答えしにくいのでございますが、ただ、今一兆三千億という貸し出しの残高がありますが、その中で一番たくさん借りている銀行が、大体十分の一くらい借りております。その辺でひとつ御推察願います。
○大矢正君 それから、これは新聞でちょっと読んだのですが、通貨の供給に関連しての買いオペの点に触れて、これからというのは、それは最近のことか、あるいはかなり将来のことになるのかはわかりませんが、もちろんそれは国債ないし政府保証債との量的な関係もあると思いますが、買いっぱなしの買いオペですか。買いっぱなしというのは、これはいつまでやるのかわかりませんが、そういうことがよく新聞に出ていますが、これは具体的にはどういうことなのでしょうか。
○参考人(佐々木直君) さっきもちょっと申し上げしたが、一年間たってみたら、一年間の通貨の増発額くらいのものは日本銀行の手に有価証券が残るということになろうかというようなことを申し上げましたが、そういうようなことをだんだん毎年々々やっていけば、日本銀行所有の有価証券がだんだんふえて参ります。ですから、一応われわれとしては、今後スタートして、売り戻しの約束をつけた買いオペでいきますけれども、それをたびたびころがしていきますと、しまいには買いっぱなしと同じようなことになるかと思います。ただ問題は、有価証券の売買のときの相場をどうするかという問題がございますものですから、買いっぱなしがなかなか技術的にむずかしゅうございますので、一応今のところは、売り戻しの条件をつけて、それのころがしでやっていきたい、こういうふうに考えております。
○大矢正君 それに関連して、ちょっと政府の政策を聞きたいのですが、大臣がおりませんから、午後からひとつお願いしたい。 そこで、次に主税局長に、税制に関連して承っておきたいのですが、一つは、ことしの税の当初予算に比較しての増収がどの程度考えられるのか、これをひとつ説明願いたい。
○説明員(村山達雄君) 率直にお答えいたしまして、非常にむずかしいことでございます。最近わかっております実績をまず申し上げますと、九月までわかっております。一般会計合計で一兆四百十八億でございます。これは予算額二兆四百二十一億に対しまして五一%あがっております。で、前年同期決算額に対してどれぐらいこの期であがっておったかと申しますと、四六・九%あがっております。これを単純に見ますと、四・一収入歩合がアップしております。ただ、八月分の揮発油税の徴収猶予を十五日延ばしました。それが年度の終わりまでにあがって参りますので、その数字が大体百十九億でございます。もしそれを加えて考えますと一兆五百三十七億でございまして、五一・六%となります。収入歩合で四・七%ぐらい上がる、こういう計算でございます。この四・七%は収入歩合において前年度の決算よりも好調である、こういうことを意味しておると思うんですが、この好調歩合がそのとおり続くといたしますれば、二兆四百二十一億にこの四・七%をかけました数字、それくらいのものは上がるであろう、こういう推定はつくわけでございます。四・七%かけますと約九百六十億出て参るわけでございます。 ただ、そこで、この数字の中でこれだけの点は考慮に入れておかないといかぬのじゃないか。一つは、今年間接税について税減いたしましたが、この減税前の税収が相当入ってきておる。物品税でいいますと、二カ月間は減税前の高い税率のままの税収が入ってきておりますということでございます。ですから、単純に従来の収入実績ですぐ権衡をとりますと、そこまでは入らないということになります。それから、ビールでございますと、一カ月半旧税率の分が入ってくる。酒が一カ月。それから入場税も一カ月古い分が入ってきます。これだけは割引して考える必要があるかと存じます。 しかし、何と申しましても、一番大きな今後の収入を見積もる場合の要素といたしましては、九月決算期がどう出てくるかということでございます。現在法人税は二兆円に対しまして約七千億、三分の一を占めておりますが、六カ月決算、それから一年決算を通じて申しますと、三、九決算にかかる法人税がこの七千億のうちの約半分を占めておるわけでございます。したがいまして、この九月決算の動向というものが非常に大きくものを言ってくるというこということでございます。いろいろ経済雑誌なり、あるいは証券会社の見通し、あるいは経済新聞の見通し等では、対三月九五%程度というようなことが一ころいわれておったわけでございます。しかし、どうも最近の様子を見てみますと、それよりもっとダウンするんじゃなかろうかという心配がございます。この申告は十一月になって初めてわかるわけでございますが、主税局のほうといたしましては、現在決算のさなかにそれぞれの会社の中に飛び込みまして、それで早く見通しをつけ、それで来年度の予算の参考にしたいと思ってやっているわけでございますが、いろいろ中間報告か参っておりますが、それによりますと、どうも五%のダウンじゃきかぬのではないかという感じがいたします。しかも、会社の決算は公表決算でございます。三月の公表決算対九月の公表決算でどうなるかということを経済新聞あたりが言っておるわけであります。政府に関係のあります三月の税務申告対九月の税務申告でどれぐらいのダウンが出るか、ここが問題であると思います。一般的に申しますと、景気の上昇カーブのときには公表決算の上昇歩合よりも税務申告の上昇歩合のほうがいい。それから、景気がダウンするときは、公表決算の下落する割合よりも税務申告の下落する割合のほうが多い、こういうことになります。世間で言っておりますのは、公表決算対公表決算であります。これは当然普通の私企業の傾向としまして配当政策、あるいは対金融機関に対するいろいろの配慮がございますので、利益をある程度調整したいということは当然でございまして、それは公表決算のときにある程度ならしてくるわけでございますが、税務のほうは例の期間計算がございますから、そこはぴしゃっと押えてしまいます。その関係でフラクチュエーションの幅が税務申告のほうが大きい。一般的に九月決算が悪いということを言われております。そこに非常に心配があるので、これがなかなか見通しのつかないところでございます。 ですから、先ほど申しましたように、現在の状況をもってすると、九百六十億から約一千億と、こう言っておるのでございますが、これの要素がどれだけ響くか、その上ではっきり見通しをつけたいと思います。
○委員長(佐野廣君) 副総裁、たいへんお忙しいところをありがとうございました。これで一応皆さん、ございませんね。——終わりますから、たいへんお忙しいところ、ありがとうございました。
○大矢正君 今まで大蔵省の方々が自然増収のとらえ方で少なく説明したためしがないから、村山さん、だいぶ説明をされておりますけれども、これは私ども今までの経験からいくと、かなりこれよりふえるんじゃないかと思いますが、そこで、三十八年度の税の自然増は、これはどのくらいになるかということなんですが、これはあなた、おそらく今からまだわからないとお答えになるかもしれないが、まあ別にきのうきょうの仲じゃなくて長年のつき合いですから、そのよしみで、おおよそ大体このくらいになるのじゃないかという数字をお考えになっておられるだろうと思うし、今ごろになったら来年の自然増収はどのくらいかという見通しが立たないことはないと思いますので、腹の中をこの際聞かしておいていただきたい。
○説明員(村山達雄君) 今年度の見通しさえ確実に立たない段階ですから、来年度はなかなかむずかしいわけでございますが、来年度の見通しのやり方としては、大矢先生御承知のとおりに、今年の決算見込みが立ちまして、それに対して来年度の経済指標が政府の統一見解として企画庁を通じて発表になります。それによりまして計算いたしまして、おおよそこれくらいになるということを申し上げているわけでございます。ところが、本年度のものがはっきりわからないところへもってきて、来年度の経済見通しが出ていないわけであります。したがって、そういう意味では正確なことを申し上げる元気もございませんし、言っても当たらないだろうと思うんですが、ただ、党のほうの税制調査会あたりですでに来年度の税制改正の問題が出ております。そのときに、当たらぬということはよくわかるんですけれども、まあ腹づもりでどれくらいか、それほど責任を持った数字でなくてもいいんだという話がありまして、まあ二千億から二千五百億円程度ではないでしょうか、こういうことを申し上げたことはございます。それも別に確実なデータで積算したということでなくて、非常にラフな計算をした数字がございます。そういうものでございますので、これはなかなかそのとおりになるかどうか。本予算を組むときにはたしてそういう数字になるかどうか、ちょっとわかりかねます。
○委員長(佐野廣君) ちょっと速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(佐野廣君) 速記を始めて下さい。
○大矢正君 そこで、昼からの大臣に質問する前提として主税局長にお伺いしておきたいんですが、これは私の手元の資料でいくと、最近の所得税の納税人員というものは非常にふえていますね。納税人員全体で見ると、三十年の一千九十六億が千四百七十三億、約四百億近くふえているのです。特にその中で給与所得者というものが四百三十億くらいふえていますが、こういう数字からいくと、今日所得税というものについては、明年度の予算編成にからんで考えなければならない部面が多いのではないかというような気がしますが、それは大臣はどういう答弁されるかは、これは政治的な配慮もありますから、別ですが、事務当局としてはこの面についてどういうようにお考えになっておられるか、ひとつ考え方を伺っておきたいと思ます。
○説明員(村山達雄君) 来年度の税制改正につきましては、実は政府のほうの税制調査会がございまして、これは三年間の任期で、この期間で根本的な税制改正という角度から検討しています。ただ、別途来年度の税制改正という問題もございますので、臨時小委員会を設けまして、今日まで三回ぐらい検討しておるという段階でございます。一方、党のほうは、これは根本問題でございませんで、来年度の税制改正ということを主題にいたしまして、今日まで党で約六、七回研究を重ねております。その際、所得税について申し上げましたのは、政府のほうの税制調査会のほうは三年間の問題を検討しておる、実はこの問題は三十六年、三十七年両年の税制改正を通じて一応それなりの結論をもって全般的に手を加えたつもりだ、あらためて根本的改正ということになると、この来年度どうするということにはとてもいきかねる、そういう意味では基本的な問題というものは少し先に延ばされるだろう、しかし去年まで改正したところから考えてみても、最近における消費者物価の値上がりが非常に心配になってくるということを申しているわけでございます。と申しますのは、われわれのほうでとっておりますのは、一月から六月までの消費者物価でございますが、それによりますと、食糧費が九・八%アップ、それから消費者物価全体で八・一%アップ、実は課税最低限は昨年の六月の物価指数ではじいておるわけでございます。それだけアップしているということになると、少なくとも課税最低限の再検討という問題は、現在の体系のもとにおいても、必要なことではなかろうか、こう言っているわけでございます。 御承知のように、納税人員がふえておるという点は確かにございます。計算してみますと、大体シャウプのときに千四百万人くらいのものが、約百万人ぐらいふえそうでございます。その後シャウプ後の改正で、漸次減って参りましたものがまたふえておる。そのふえておる大部分は実は給与所得者であるという点は、御指摘のとおりでございます。当時一千万人であった給与所得者が今は約千三百万人いるということ、それから農業でございますと、そのときに約百八十万人の人間が、今日二十万足らずということになっています。営業は二百万が約百万、その他の所得者が五十万が八十万になっておる。この辺考えてみますと、前から見ると給与所得者がふえてほかが減っておる。これは所得の伸びその他がございますので、そのことをもって直ちに言うわけにいきませんが、全体として、消費者物価の値上がりによって課税されておるものの練り直しが必要だ、ほうっておけば来年度の納税人員はどのくらいになるという、こういう推定をしておるわけでございます。ですから、そういう意味でこの点をわれわれは再検討すべきではないかということで、目下政府のほうでも党のほうでもその点御検討を願っておる、こういう段階でございます。
○大矢正君 最後に、さっきの質問の答弁が一つ残っているやつがありますので、理財局の資金課長さんにお答えをいただきたいんですが、それは財政投融資計画にからんで、産投会計はこれは別ですが、それ以外の資金運用部、それから簡保、年金、これらの資金源はどうなっているのか。どうなっているのかという意味は、本年度の計画に対して、実際の現状はどうなっているのか、それからその中でのかなりの余裕が見込まれるのかどうか、そういう点についてひとつお答えをいただきたい。
○説明員(堀込聡夫君) お答えします。大体財政投融資は、御存じのとおり、産投会計の原資と、それから運用部、簡保、そのほかに民間に債券を発行する公募債、四つのソースからなっているわけでございます。 本年度の見通しといたしまして、その中の運用部資金でございますが、当初の計画は五千八十二億という計画が組んでありました。その中の三分の一は大体郵便貯金、その残りの三分の一が厚生年金、国民年金等の年金資金、その残りが回収金でございますとか各種の特別会計の積立金、こういうようなことになっております。 現在の本年度の見通として持っております考え方は、これは一番源泉をなします郵便貯金の動向が非常に観測がむかしゅうございまして、当初の計画が千五百五十億の見積もりをしております。最近までの実績を見ますと、昨年を相当上回っているような数字が出ておりまして、非常に好調と見受けられております。ただ問題は、昨年の下期以降の非常にこの好調なぺ−スが今後も維持されるかどうかという点に非常に疑問がございまして、郵政当局等はかなり悲観的な見方も一部されております。しかし、全般的に見まして、郵便貯金の千五百五十億というのは、若干の増収が出るのじゃないかと期待しております。そのほかに年金資金等につきましても、これは大体その後の厚生年金の徴収状況、国民年金の納入状況等を見ますと、これも百億近い自然増収が出るのではないかというふうな観測になっておりまして、そのほかの簡保、公募債等につきましては、大体計画どおりが精一ぱいという感じでございます。したがいまして、大体本年度の財投原資全体といたしては、郵便貯金、年金等を中心に、当初の財投は八千五百九十六億円でございますけれども、金額は今のところはっきり見当がつきませんが若干の増収が出るのではなかろうか。そういうものを先般八月の石炭緊急対策といたしまして、石炭合理化事業団に退職金金融の補完をするために三十億円追加を行なっております。それから、先般年来の中小企業金融対策としまして、約百億の追加を、長期資金だけで百億の追加をいたしております。そのほか今後石炭のまた新しい問題によりまして若干の追加をしたいというような需要要因としてはかなり差し迫ったものがあるので、そういうような増収を引き当てに今後の追加運用を考えていきたいというような考え方であります。 来年度に関しましては、先ほどの主税局長のお話ではございませんが、私ども特に大宗をなします郵便貯金の動向がはっきりわかりませんので、年末のボーナス等がどういうふうに貯金に入ってくるか、あるいは米代の支払いがどういうふうに貯金に入ってくるかというような点の動向を見きわめないと、はっきりした見通しが立たないわけでございます。ことしの実績を見るとすれば、郵便貯金についても、本年度の当初の千五百五十億よりはかなりの増収を期待できるんじゃないか。そのほか年金資金等については、従来の実績からいけばかなり伸びるというふうな期待でございまして、簡保のほうは集中満期が参ります関係であまり伸びない、横ばいくらい、いろいろ合わせまして、来年としては本年度の当初八千五百九十六億を相当上回る規模の計画を組み得る、原資は何とかなるという考え方は持っておりますが、さてそれがどれくらいまでに見込めるかという点につきましては、郵貯その他の動向を今後見ましてきめていきたいという考えでおります。
○大矢正君 あなたの答弁聞いていると、こまかいことを言っておるようで、ほんとうのことを言っていないんだけれども、来年のやつはいいとして、ことし財政投融資計画の当初のやつを修正していっているわけだが、そういうものを加味して、なおどのくらいの余裕資金が確保できるのかという具体的な数字、それを聞いているわけです。それをあなた、景気の問題に関連して財政投融資計画の面でまた政府も考えなければならぬということも基調的にはあるやに承っておるわけだから、当然あなた方のほうで検討しているはずでしょう。だから、その数字を教えてくれと言っておる。これはあとから大臣に質問することに関連があるから、それで聞いているのだ。
○説明員(堀込聡夫君) 先ほど申し上げましたように、簡保、公募債については、大体予定どおりではなかろうかという感じでございます。問題の運用部資金につきましては、年金資金等で百億くらいは大丈夫じゃないか。問題の動向は郵貯にかかるわけでございます。これが、先ほど申し上げましたように、はっきりした見通しが立てにくいということでございます。ただ、千五百五十億をかなり上回る額を期待できるというふうには思っておりますが、それが百億でございますか、二百億でございますか、百億以上は大丈夫だという感じはありますけれども、さてそれ以上どのくらいになるかということは、なおほんとうのところ確信がないというふうな段階でございます。
○委員長(佐野廣君) 午前はこの程度としまして、午後二時三十分より再開いたします。 暫時休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 —————・————— 午後二時三十四分開会
○委員長(佐野廣君) 午前に引き続き、委員会を再開いたします。 租税及び金融等に関する調査を議題とし、最近の金融及び証券事情に関する質疑を続行いたします。 御質疑のおありの方は順次発言を願います。
○大矢正君 午前中は、大臣の御出席をいただくことができませんでしたので、日銀を中心として、事務当局から、資料的な意味において、大臣に質問する前提として、資料的な意味で質問をいたしました。これからひとつ大臣に、政治的な意味を十分配慮した上においての御答弁をいただきたいと思うのでありますが、私の質問の中心的なねらいというものは、今の景気の現状をどう判断をしているのか、それからまた今の景気というものは今日一般的には不況といわれておりますが、これがどの程度まで続くのか、そして将来はどうなるのかという大蔵大臣の考え方を聞きたいという意味で、それぞれ具体的な項目にわたってお尋ねをいたしたいと思うのであります。 まず最初に、けさほどもお伺いをしましたが、外貨準備高の現状、そしてその内容や、あるいはまた対外的な債務の問題、あるいはまた国際収支の見通し等について、日銀と事務当局に御答弁をいただいたのでありますが、やはり景気の現状や将来に対しての見通しの一番大きなものは、何といいましても国際収支でありますから、大蔵大臣としては、現状の国際収支、それからそれに基づくわが国の外貨保有ということに対してどのような判断を持っておられるのか。この十一月から昨年来借りて参りましたアメリカの市中銀行に対する返済が行なわれることになりますし、年内においてもすでに約一億ドルアメリカに返済をしなければならぬという、こういう面もありますが、それら一切の要素を組み入れて、国際収支の現状には心配がないと御判断になっておられるのか、あるいはまた、まだまだ不安があるとお考えになっておられるのか、まずその経済の将来を見通す上において必要な国際収支の認識に対して御答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、国際収支改善対策を進めて参りまして、現在の段階では、政府が当初予期した改善は除々に行なわれておりまして、政府が当初考えた線にほぼ達しつつあると、こういうふうに考えておるわけであります。しかし、その後の状況から考えますと、自由化が非常に進められるとか、また日本以外の国際経済の動向、また世界各国の自由化ということを考えますと、ただに昨年の七月——九月ごろに考えた国際収支の改善ということだけで足りるのかという問題については、慎重に検討をしなければならないというふうに考えておるわけであります。 まず、政府が国際収支改善対策に入りました当時の考え方からいいますと、十月の末には十八億ドルに近い外貨じりになると思いますので、その意味では十一月、十二月の輸出を控えておりますので、一——三月の輸出、輸入のバランスをおおむね想定いたしまして、われわれが来年三月末の外貨じりに対しての予想はおおむね十八億ドルを上回っておるというような見通しでございます。しかし、ただいま御発言がありましたとおり、アメリカ三行からの借款返済が十一月から三月末に二億ドルございます。なお、七行借款の一億二千五百万ドルのうち三千三百万ドルを三月までに返済しなければならないということがありますので、まあIMFのスタンド・バイ取りきめ等を取りくずさず、借りかえ等も行なわないので、われわれの手持ち外貨の中から返済を行なっていくという考え方で、今計算をしますと、来年の三月末に十五億二千万ドルないし十六億ドルくらいの予測を立てておるわけでありますので、その意味においては、国際収支の改善は当初予期した状態において考えますと、おおむね確かだと言い得るわけであります。なお、第二の段階から考えまして、新しい立場、世界情勢の変化とか、世界各国の経済の見通しとか、また自由化に対応していかなければならぬ問題とか、またIMFの対日コンサルテーションにおいて八条国移行勧告というようなものを受けた場合、三年間でやるのか、二年間でやるのか、一年間で自由化をしなければならないかというような問題もありますので、新しい立場から考えますと、これをもってすでに一切の国際収支が均衡したと、これで不安がないというふうには言い得ないというふうに慎重な態度をとっておるのであります。
○大矢正君 そこで、まあ国際収支の現状については必ずしも手放しで喜べる情勢ではない、やはり不安が残っているということはお考えになっておられると思うのでありますが、そこで、そういう国際収支の現状に照らして、最近金融の緩和措置が全面的にといっていいほどとられたわけです。ただ公定歩合の二厘引き下げの予想が一厘にとどまったということ、言いかえると、第二段として昨年の九月に行なわれた当時まで金融政策というものを戻した。しかし、もう一つ七月の水準にまで、残りは公定歩合だけになると思うのでありますが、そこまで戻さなかったその根拠、日銀の立場からは私は午前中にお伺いをいたしましたが、大蔵省自身として、大臣としてどういう考え方で今度の金融緩和の措置を判断されておられたのか、お答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 御承知のとおり、昨年の七月、九月というふうにして公定歩合が引き上げられたわけでありますが、二厘のうち一厘だけの引き下げに終わったのはどういうわけかということであります。これは御承知のように、日銀総裁の専権でありますし、私も日銀の、一厘引き下げでやりたいという日銀の意向に対して賛成をしたのでありまして、現在の段階が引き続いてあと一厘を引き下げる時期かどうかという問題に対しては、私としても慎重に検討すべきときだろうということで、日銀総裁に一切をおまかせしておるというような状態でございます。 これはどういうことを原因としてそういうことを考えたかということになると思いますが、先ほど申し上げたとおり、今二つの問題が考えられます。経済の動向をずっと見ておりますと、生産指数は比較的落ちておらない。また、設備投資も相当下がったと言っておりますが、設備投資の資金需要もある意味においては相当窓口においてはまだ強いという現象がはっきりと現われております。同時に、基幹産業その他、株の面を見てもおわかりのとおり、基礎産業的なものは全部額面を割っておるというような状態で、設備投資をし過ぎたというようなところは非常にまあ不況感が強くなっておりますし、それから設備投資が非常におくれておったというような消費産業その他、一般的な考えから見ますと生産は落ちておらぬ、こういう問題がありますので、先ほど申し上げたような理由もあり、全面的に緩和をするというような状態ではないだろうというふうに判断をしておるわけであります。なお、全面的に緩和するというよりも、信号だけを青にするというよりも、具体的にてこ入れをしなければならないようなもの、景気刺激をしなければならないようなものがありますので、そういうものを個別に、きめのこまかい財政資金の活用及び金融等の措置によって対拠すべきだという考えを去年からとっておりますので、そういう意味で具体的な問題を取り上げて今措置をしておる、こういう段階が一番いいのではないかというように考えておるわけであります。 それで、もう一つ申し上げると、非常に外貨事情はよくなっておるというようなことでありますか、この内容を見ますと、四十七億ドルを予定しておった輸出が四十八億ドルをこす、また四十八億ドル以上と予定しておったものが四十七億ドルとなり、四十六億六千万ドル、四十六億ドルに落ち込み、四十六億ドルを割るのではないか、こういうことを見ますと、手放しに数字だけで喜べないのであります。日本が原材料を入れなければ輸出が振興しない、また日本の産業自体が動かないという事実を考えてみますと、締め切りに締めても、もう生産意欲というものが底まで落ち込んでしまって浮揚力なくなるということになれば、当然それぞれの面に対しても適切な施策を必要とするわけでありますので、そういうものも全部計算に人れて検討しますと、野放しに緩和を行なえるというふうには断定しがたいと、こういうふうに見ておるわけであります。
○大矢正君 今、大蔵大臣が生産指数はあまり落ちていないと、こうおっしゃるが、ことしの三月の指数が三二五・八で、八月の指数が二八八まで落の幅おる。三月をピークにしてかなりちてで落ちておることは事実なんですよ。そこで、二八八といいましても、これは産業平均ですから、部分的にとらえてみると、実際の日本の経済の姿に出てはめてみれば、この中で落ちるものは相当大幅に落ちているということも言えるわけですね。そういうことが一つと、そこでそういう点から考えて参りますと、大蔵省としては一体経済の現状認識についてどういうように考えておられるかということが問題だと思う。それは一つには、引き締め政策が非常にこの一年間、一年以上にわたって締けられたために、たいへん金詰まりがひどくなっておるというようなそういうような立場から、おもしを除く、単なるそういう意味で金融緩和の措置を考えるのと、そうじゃなくて、生産も今申し上げたとおりにもうかなり落ち込んでおるし、それから出荷指数を、これはもちろん産業の総合ですが、見ましても、これもかなり落ち込んでおる。大体この辺である程度景気というものと関連をしててこ入れをやらないと相当深刻な不況というものがくるのではないかというような一つの心配感から、それと関連をして金融緩和の方向をとるということとは、これはやはりかなりの違いが出てくるわけですね。そこで、大蔵省として考えられた考え方はどういうことなのかということなんです。
○国務大臣(田中角榮君) 先ほども申し上げておりますように、基本的な態度といたしましては、自由化に対応して国際競争力をつけなければいかぬ、そのためには企業の合理化や設備の近代化や各般において本筋のひとつ経済建て直しをしなければいかぬという考え方を持っておるわけであります。去年から一年にわたって行ないました調整政策というものが、世界各国でとられておるように、また過去にあらゆる国でとられておるようなドラスティックな引き締め政策であったかというと、私は必ずしもそう考えておらないのであります。ドラスティックな、もう相当短期決済というような状態でやるにしては、まだいろんな施策もあったわけでありますが、そういうことをする必要もないし、またそれをやると非常に反動が大きいので、相当慎重にものを考えるべきだという意見を私どもも出して、そういう考えで各種の調整政策を行なったわけでありますから、引き締めがきき過ぎてどうにもならなくなったというような考え方は持っておりません。ただ、設備投資も行き過ぎたし、それから戦後の十七年間にわたるアンバランスになっておるところを何とか早く均衡を保ちたい、また自由化に対して何とか生き延びなければいかぬ、国際競争力をつけなければいかぬというばらばらな考え方で、幾らか企業にも放漫性もあるんじゃないかという面も考えられるわけであります。でありますから、政府が行なった、また金融各機関が行なった政策そのものがドラスティックでなくても、われわれが考えたよりも深刻な、業態別に深刻な様相を呈しておるものも確かにあるはずであります。しかもそれが、理論は別として、基幹産業であり、国としても、お互い国民としても、どうしてもてこ入れをしなきゃならない、しかも合理化やいろんな問題に対してはある程度の時間をみて除々に正常に戻すべきだということが事実である産業については、個別的な、具体的な施策を行なっていくんだ、こういう考え方で今日まできておりますので、不況感というもので何とかしなけりゃたいへんになってしまうんだというふうに突き詰めたものの考え方よりも、一方においては、金も出します、まためんどうもみます、しかし一方においては合理化も進め、その本道に一日も早く自由化に対応できるような体制を整備してもらうという二頭立て、三頭立てというような施策を考えておりますので、現在でも来年度の景気見通しを今すぐにわかに立てるわけに参りませんが、九月決算の数字等を見てみましても、深刻な何とかしててこ入れをしなければならないという石炭産業、海運産業その他はありますが、全般的な景気の状態を見て、がた落ちになってしまうというような見方は現在しておらないわけであります。
○大矢正君 実は時間がほんとに少なくて、大臣に具体的に述べてはいただきたいんだが、そうすると私の質問の三分の一も終わらないうちに時間がきてしまいますので、簡潔にこの際項目別に質問していったほうがいいんじゃないかと思いますので、お尋ねをしますが、最近株価が急落というよりは、慢性的な下落症状です。そこで、大臣が積極的に株価の維持のために手を打たれておられるようですが、先般の公社債担保金融、六十億ですかやりましたが、さっぱりこれは焼石に水で、むしろそれからまた下がりつつあるというようなこと。特にごく最近に至りましては、大臣が音頭をとって市中銀行がいよいよ株の買い出動だと、こういうようなことできょう——きのうですか、かなり上がったようには承ってはおりますが、しかし、実際に株価の現状というものは、単に金融が詰まっているというようなことではなしに、日銀の副総裁も話をしておりましたが、やはり経済の見通しが全然立たないということが私はやっぱり最大の問題だと思うんですね。それは、企業の収益が悪いということは、今の経済情勢、それから過剰設備ということもありますけれども、一つにはやはり景気の見通しが立たない。このままでいけば、いつまで景気が現状のままで持続するかわからないというようなことが問題点としてあるわけですね。そこで、最近の一連の大蔵大臣がやっておられる株価対策というものは、あくまでも下をささえるというだけの考え方でやっておられるのか、それをやりながら、片方ではある程度景気も刺激をしようという意図のもとに、全体的にその株の実勢が反映されるような状況に持っていこうという意図のもとにやられておられるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 証券対策を政府がやるということになると、これはたいへんなことでありまして、これに対しては、御承知のとおり、証券対策に対しては政府はやらないと、こういうことを明らかにいたしておるわけであります。しかし、大蔵大臣は、御承知のとおりの証券に対する監督の責任もありますし、またこれが育成強化をしなければならない責務を当然負うておるわけでありますので、株価をどうするかというような問題よりも、証券市場の育成という問題に対してはまじめに々考え、また積極的に施策を行なことを必要としておることは言うを待たぬと思うのであります。私がこの際担保金融等に対して各行の協力を求めたり、また日銀の方々に買いオペレーションの制度に対して検討をお願いしたり、大蔵省自体でも、財政余裕金の活用等に対しては委員会においてもいろんな御議論がありましたので、それにこたえる立場からいっても、いろんな具体的な施策を検討いたしておりましたことは御承知のとおりであります。今度の市中金融機関といいますか、証券に対する機関投資、機関がすべて一列になりながら相当の証券対策、市場対策を行なうということをきのう私のほうへ報告に来られて、私も協力を求めたわけであります。また、証券業者その他に対しては、根本的なその市場対策ということに対して姿勢を正してやるようにということを強く要請をいたしたわけであります。 なぜそういうことをやるかというと、今落ちている株を何とかてこ入れをしなければならないというような考え方だけに立ってそのようなことを考えておるわけじゃありません。これは私が言うまでもないのでありますが、これからの日本の経済、産業をどうして育成するかというと、言うまでもなく、その資本蓄積という政策は強くこれを推進すべきでありますし、戦後国民各位から国民の六〇%も投信を買ってもらうというような非常に積極的な姿勢をとっておるにもかかわらず、このような状態に置くということは、あつものにこりてなますを吹くというか、一ぺんこういうことにぶつかると、大衆というものはなかなかそういう気にならないものであります。そういう意味で、大衆の利益を擁護しなければいかぬし、また株式市場の健全な育成強化をはからなければいかぬということで、各金融機関の応援を求めると同時に、証券業者等に対しては国民の信をつなぎ得る体制整備をあわせて要求をいたしておるわけであります。
○大矢正君 今、大臣から、単に一時的な株の下落をささえるという問題ではなく、根本的な今日の証券市場のあり方というものと関連して、証券行政といいますかを打ち出していきたいというお考えのようですが、それは前々からいろいろ議論をされておりますが、やはり一つには、証券会社が実際に株を売り買いをみずからするという業務と、ブローカー業務と、両方やることによって、かなりそういう面で悪影響が出ているということは指摘をされているわけですが、大臣としてこの機会に、私は株屋をたたけという意味ではないんですが、この際そういう面を明確にしたほうがいいんではないかというふうに考えておりますが、そこまでの決断はございませんか。
○国務大臣(田中角榮君) 具体的にいろいろなことを申し上げます段階になっておりませんが、先ほど来申し上げておりますように、証券市場の育成強化ということに関しては、今日徹底的にやりたいということを考えております。現在株は、引き締め政策がきいたからとか、通貨量が少な過ぎるんだとか、それから実勢悪だとか、いろいろなことを言っておりますが、私はこれだけではないということを、もう就任と同時からあらゆる機会に言っておるのであります。これは昨年社債のワクをふやしたときも考えなければならなかったんじゃないかという問題もありますし、投信の組み入れという問題に対してもすでに大幅に積極過ぎた面もあるんじゃないかということ。もう一つは、これは経営者の問題でありますが、経営者も少し株が上がると、これは非常に大きな問題だと思うのですが、法律で認められているからといっても、株主権の制約をしょっちゅうやっております。五十円払い込みの株が五百円すれば、それでもって公募を三分の一もつける。今日の段階でもまだそういうことをやる会社があるわけであります。これは法律で認められているからいいんじゃないかと、こういう議論があります。こういうことは自分で自分の首を絞めることになるんだし、市場育成強化の面から見れば、これは慎重にお互い考えなければならない問題だと思うのであります。第二部市場の開設ということも、ある意味で時期的にあるいは早かったかもしれぬというような、原因は相当あるわけであります。でありますから、こういう問題に対しては相当広範な、しかも具体的な問題を全部取り上げて、これを機会に全部爼上に上せながら、できるだけ、政府が締めるというような考えでなく、証券業者に対しては自粛もしてもらい、合理化に対して積極的なことをやってもらう。 特に私が最後に申し上げておきたいのは、これは現在五百億株ですな、大体。五百億株くらいのものに対して一割くらい私は株が偏在をしているというふうに考えるのです。これはまあこまかい数字は時間がなくて申し上げられませんが、これは百円にしても五千億というような金、これが証券業者、法人、それから金融機関というようなものに偏在をしておる。これは当然一般大衆投資家に資金を得られない特殊な状態でそういうふうになったのだと思いますが、これは一割くらい株が大衆に移るということになれば非常に証券市場も強化されるのであって、こういう問題はやはり数字をもとにしまして具体的な問題を全部俎上に上げて、そして証券業者でやれるものは証券業者でやる、また金融機関その他が措置できるものはする。また日銀で買いオペレーションの制度をとったのもそういうことでありますが、その上になお政府が法律的にまたいろいろな施策を必要とするならばあわせてこれを行なう。こういう機会に国民大衆から少なくとも証券市場に対する不信感は絶対にぬぐい去る、こういうところまで積極的なひとつ態勢をとってもらうということを前提にして考えておるわけであります。
○大矢正君 時間がありませんので、しかも私のあとから野溝委員が質問されるし、何だか三時十五分までしかおれないというので、項目別に申し上げますから、ノーかイエスか御回答願いたい。 一つは、通貨の供給にからんで、たとえば産投国債を発行するなんという説がまた出てきた。しかし、大臣は前にはやらないと言っているはずですね。産投公債を発行する、それからまた政府保証債を外資導入の一環としてやりたい、こういう考え方もかなりあるようなことが新聞紙上で伝えられておるのですが、そういう点について積極的に外資の導入、公債発行ということに政府が乗り出していかれるのかどうかということが一つと、それからもう一つは、国内の通貨の供給に関連して、たとえば今度は日銀は買いオペを積極的にやって日銀の貸し出しによる通貨の供給ということを極力この際なくするようにしていきたい。それについてはやはり現状の国債や政府保証債では金額的にわずかですから、それほど通貨の供給にはならない。そうなって参りますと、勢いやはり国債なり公債なり政府保証債をどんどん発行していくということも考え方としては出てくるわけですね。特に財源難の今日でありますから、そういうことを通じて池田さんの言われる金作りということも出てくる可能性が出て参ると思います。しかし、それをせんじ詰めていきますと、これは市中銀行が持っているうちはいいけれども、日銀が全部もう買いっぱなしで抑えてしまいますと、結局それ自身はもう、極端なことをいうと、私はインフレにつながる問題になってくる危険性も出てくると思うんです。量的な問題がありますがね。そういう全体的な問題について一つ一つお答えをいただきたいのです。ただ、懇切ていねい過ぎると、また時間がありませんから、ひとつ……。
○国務大臣(田中角榮君) 健全財政主義を貫いていきます。それから、国債は発行いたす段階ではないというふうに考えております。必要な資金に対しては確保をはからなければならないというふうに考えます。で、国債を発行しないで確保をはかれるかという問題でありますが、これは御承知のいろんな方法があります。私はこの前の国会でお答えをいたしましたように、一般会計、それから財政投融資、民間資金の活用、その他合理的な考え方でやって参りたいという考えであります。ただ、先ほどあなたが言われたとおり、不況感というものが非常にあって、この事業この事業この事業に対しては相当のてこ入れをしなければいかぬという問題がこれから出てくれば、こういう問題に対して特別な財源を必要とするかどうかはこれから十分検討しなければならぬ問題であります。今からちょうど二カ月間、ことし一ぱいで三十七年度の予算を組むわけでありますから、それまでは慎重かつ一つずつ具体的な数字を詰めながら、健全均衡の線を貫きながら、必要な公共投資はどうしても先行しなければいかぬというような問題に対しては資金確保をはかって参りたいというふうに考えております。
○大矢正君 じゃ、あと最後に一括して質問しますが、一つは経済企画庁の一部に、近々臨時国会で提出される予定の補正予算については、当初考えられたものよりはさらに積極的に、ある程度公共投資その他によって、景気の刺激ということが適切であるかどうかわかりませんが、上向きの態勢で予算編成をやってはどうか。たとえば石炭の問題とか公務員の給与とか、それから米価の赤字とか、そういうものに限定しないで、積極的な面をこの際出すべきだという意見が経済企画庁の一部に今あるという説がありますが、補正予算に関してそういう考え方をもって臨まれるのかどうか、これが一つ。それから、一千億程度の歳入増が三十七年度、今年度で見込まれる予定になっておりますが、それを臨時国会で全部組むつもりなのか。今の前の質問と関連がありますが、最小限度だけにとどめておいて、あとは残しておくといっては失礼ですが、残しておくという考え方でいるのか、目一ぱいに組んでしまうという考え方でいるのか、それと関連してお答え願いたいのと、それから来年の税制改正にからんで、大蔵省はやりたいというのだが、どうも財源の問題から減税がやれないのじゃないかという説が強いようですが、大蔵大臣として明年度は減税をやる、こういうようにお考えになっているのかどうか、その点についてひとつお伺いをいたしたいと思います。
○国務大臣(田中角榮君) 臨時国会は十二月の初めに召集をせられるというようなふうに承知をいたしておりますが、補正予算で三十八年度の分の先き食いをするというような考え方は全然持っておりません。これはもう今まで議論になり、臨時国会を開かなければならない当然の要素として要求せられておるものに限定すべきであるというふうに考えております。 それから、減税の問題については、今税制調査会に諮問をいたしておりまして、高い立場で検討をわずらわしておるのでありますので、私が今どういう態勢をとるかというようなことは申し上げられない段階であります。ただ、しいて申し上げれば、減税に対しても二つの考え方を持っております。一つの考え方は、納税者が幾らかふえるということになりますと、底上げを少ししなければいかぬだろうという考え方が一つ真剣に検討をせられておりますし、もう一つは、都市に対する産業人口等の過度集中という問題もありますし、また産業自体の問題に対しても、石炭の問題その他具体的な問題で、これだけ離職者が出るのだとか、社会的にこういう面に対してどうするのだ、こういう問題等がありますし、地域間、業種間の較差の是正とか低開発地域の開発促進の問題とか、資本の蓄積とか貯蓄増強とかいう問題に対して政策減税をどうすべきかという、議論が二つに分かれておりまして、これがどう調整されるかは現在慎重に検討中であります。
○野溝勝君 大臣お忙しいようでありますから、私は当面の問題だけお伺いしたいと思います。 午前中各局長がお見えになっておりましたから、お伺いしてもよかったのでございますが、あなたが政治的な金融財政措置をやられておるやに新聞その他で拝見をいたしておりますので、それに関しお伺いします。 政府は経済の見通しに、国際収支の短期好転をあげ、楽観しているが、なかなか、なまやさしい事態ではないと思っております。短期材料だけ、それも外資株式投資が代表的なものであって、恒常性はない。特に西欧陣営に加担しておる現内閣の方針では、現下の世界情勢下で好材料を望むことは無理でありますから、日本政府みずから反省しつつ処理されたい。政府は日本の金融不安の対策としててこ入れをしたが、こうやく張りであって、不安なんです、ざっくばらんにいえば。資本陣営から見れば、それは歓迎されるでしょうけれども、それは健全なる資本家、経営者側としてもよくないと思うのですよ。と申すのは、政府では日銀と相談してやられたか知らぬが、とにかく歩合の引き下げや、あるいは準備預金制度、高率適用の問題や、あるいは買いオペの問題などを取り上げました。しかし、これを通じて見ると、大体大証券会社中心の金融みたいに見えるのです。景気の対象は株式市場が一つの象徴的なものになりますから、株式対策をとるのはいたし方ないといたしましても、それが証券業法に基づく、金融措置でなく、大証券会社中心で、極端過ぎるんじゃないかと思うのです。というのは、あなたが先ほど前委員に対する答弁の中にも、最初六十億融資するときに特に証券会社に対しては市場の運営等にもろもろの姿勢に対し注意をしたというも、ただ注意したというだけではよくわからない。どういう注意をされたのですか。さらに、その後実際市場の動きはどうでございますか。私の見るところでは、六十億融資後に大証券会社はむしろ第二市場の思惑株を買っておるんです。有力銘柄を大衆に推奨して大衆投資を得た大証券会社は、こうした事態にこそ、投資家擁護の金融機関として基幹産業を中心とする有力銘柄を維持しようとするのでなくてはならないのです。しかるに、第二市場株に手を出して、むしろ問題を起こしておる。こういう点について大臣は承知しているか、一体どういう注意をしたのですか、この点お伺いしたい。
○国務大臣(田中角榮君) ちょっと申し上げますが、六十億の資金処置が四大証券になされておる、証券会社はその他たくさんあるのだが、一体どうして、というような御意見もあるようでありますから、この際明らかにしておきますが、これは政府が在来行なっておりますのは、四大証券というようなものを対象にしてやっておるわけではないのです。これは第一に国債、地方債、政府保証債という順序でこうやっておりまして、政府保証債が今百九十億ばかり投資に組み入れられておるわけであります。そのほかに金融債が百四十億、地方債、国債でもって七十億程度、これで約四百億、こういうものが組み入れられておるわけでありまして、これは一体どこの会社が持っておるのかと、こういいますと、当然融資の対象になる順位の高いものを見ますと、九〇何%を四大証券で組み入れておるという事実であります。でありますから、四大証券をただ何とかしてやるというようなものではなく、持っておるものを対象にして、担保にして金融をつけてやるということでありますので、これは完全にコマーシャル・ベースのものであります。でありますから、その対象になるものを持っておらない証券会社は対象にならない、こういうことであります。 ただ、担保金融をしてやって、その金で第二市場の株を買ったり、目標をつけて買って、それで穴埋めをするというようなことは絶対いかぬので、この問題に対しては十分注意をしてもらいたいということを、私のほうから厳重に申し入れておるわけであります。 今度の市中金融機関が十四社を対象にしてやっておりますものも、担保金融が一部あります。その順位によってやっておりますが、担保金融ができないような会社に対しては、その資金を流す、貸し付けるというものもありますし、第三には、それでもなおというならば、重点的に基礎産業の株式の直接買いというようなものも含めて方向を決定しておるわけでありまして、この金の選別に対しては自粛を強く要求いたしております。
○野溝勝君 大臣、それならば、大衆投資家を守るための対策といわず、政府保証債株価対策と銘打てばよいのであって、筋が通らない。しかし、融資対系の表看板であって、主要産業株式を扱っている四大証券ほか投信会社中心であることには間違いない。あなたの気持はわかるけれども、今度の買いオペで、四大証券、続いて十四ですか意見が出て、投信会社十四が扱うというが、ほかの証券会社はどういうことになるんですか。証券業法を見れば、何も一大証券会社の特別立法があるわけじゃないです。金融の問題だけは、四大証券なり投資信託をやっておる証券会社以外は相手にせずとの不文律はない。これでは立法より行政の優先となる。へんぱだと思うんです。その点は、行政庁の長官である大臣の所見はどうか。今日中小企業の問題がやかましく叫ばれているときに、銀行協会でさえも中小企業に対する金融問題が配慮されている。大臣は、大証券会社の独走と健全性確保に対してよりも、証券界全体に新しい姿勢で臨まれるように私は希望するのです。大臣のいう新しい姿勢というのはそこをねらっているんじゃないかと思ってお伺いしているんですが、その点ひとつお伺いしましょう。
○国務大臣(田中角榮君) これはすべての株を上げるように、第二市場の株でもなんでも上げるように政府がやっておるのではないという原則だけは、ひとつはっきりとお考えいただきたいと思います。それから、株式市場に対して政府が最小限のワク内で——政府が介入をしないということが原則でありますから、自由市場に対して政府が介入しないということが原則であって、その範囲の中でやり得るものとすれば、今までのように国債とか地方債とか、それから政府保証債とか、当然政府が持ち得るもの。財政余裕金をもし弾力的に活用するとしても、ほかの株まで買えるものではない。それを買ったらたい変なことになります。そういう意味で、政府が買い取り得るような順位に対して担保金融をしていくというのは、これはもう現在の段階における一つのワク内のものであって、これは当然のことではないかと思います。それで、それは常識的に考えますと、そうすれば四社や十四社というものだけになって、一般の株対策にならないんじゃないか。一般の株価対策まで全部やろうという考えはないのであります。これは明らかにいたしておきますから。これはもう中小の方々たくさんありますけれども、この皆さんが担保金融の対象になる公社というようなものを全然お持ちになっておらないということになれば、コマーシャル・ベースでもってその金融機関との間に金融をつける。それでも今度社会的な影響が非常に大きいという場合には、全然別な立場でもって政府が金融措置等を考えるということはありますが、今までの問題は公社債担保金融という問題にしぼってきておりますので、一般の株価対策に対して政府はてこ入れをするというような考えは全然ありませんことを明らかにしておきます。 それから、あわせて私たちが今民間金融機関に対しても要請をし、また金融機関も一カ月も繰り上げて、市中金融機関は年末中小企業金融に対して二千億、また市中銀行は千三百億、政府としても四百億の買いオペを含む中小企業対策を発表し、実施に移しておるのでありまして、そういう面は広範にわたって金融政策は行っておるということであります。
○委員長(佐野廣君) 速記をとあて。 〔速記中止〕
○委員長(佐野廣君) 速記を起こして。
○野溝勝君 委員長のお話もありますので、大臣の中座はやむを得ません。国際的の関係でございますから、これで一応中止しますが、ただいま委員長から、重大な問題だし、話がべんべんと尽きないといいますが、そうだと思います。しかし、株式界に関係する問題は金融との影響が大きいし、非常に敏感ですから、特にそういう問題であるだけに、大臣、あなたも時間をなるべく都合して、早い機会に委員長のほうでこの質疑は近日中に継続するようにお取り計らい願うこととし、保留しておきます。局長からお聞きしておきたいと思います。
○委員長(佐野廣君) それでは、きょうは大蔵大臣、これでお帰り下さい、あとは引き続いて……。
○野溝勝君 きょうはどなたがお見えになっておりますか。
○委員長(佐野廣君) 本日御出席の方は銀行局長、主税局長、理財局証券第一課長、同じく資金課長、財務調査官、官房の調査課長であります。
○野溝勝君 中小企業と財政上の問題について主税局長と銀行局長にお伺いしたいと思います。 最初に、主税局長のほうからお伺いするのでございますが、最近中小企業が非常に行き詰まって金融に困っておる。そのときに、今税金確保に大わらわで、税務関係職員が動いておるわけであります。この点について、中小企業のほうは親会社からの金融も思うようにならず、半年ないしは一年先の手形を出されて、いやなら一片の紙切れでおしまいと、こういうことになる。それで痛しかゆし、結局中小企業といたしましては、御承知のごとく、従業員の手当は払わなければならない、現物を買ったもの、原材料費等すべて現金で払わなくては、車は動かない。金融を受けようと思っても、なかなか金融は受けられない、こういう状態です、実際。ですから、宇佐美全銀の会長が中小企業対策として意見を発表されたのですが、ちょっとおそい感はあるのでございますけれども、非常に意義があると思う。むしろ行政当局のほうがこの間に対し一貫した方針というものがないと思う。ただ、税のほうは税法及び規則一点ばりで取り上げ、金融は金融だというようなことになるのですが、その間そういう問題について関係当局の間において課税標準ないしは率等の話し合いをされたことがあるのですか、これをお伺いしたいと思うのです。
○説明員(村山達雄君) 税につきましては、税の制度上の問題と執行上の問題がございます。で、税の制度上の問題につきましては、御案内のように、個人の所得税につきましては、所得の大小に応じまして累進税率で課税しておりますし、また適当と認められる課税最低限も設けておりますが、年々ここのところ減税をしてきておるということは、先生御案内のとおりでございます。法人税につきましても、中小のものにつきましては軽減税率の適用がございます。また、地方税法におきましても、事業税等におきまして中小の分は軽減税率、こういうふうにして措置しているわけでございます。で、執行上の問題につきましては、もちろん制度上も徴収猶予の制度、あるいは資金繰りが非常に苦しくなった場合の滞納処分の猶予と、こういう制度が設けられておりまして、それらの規定を運用しているのは、実は国税庁でやっているわけでございますが、まずわれわれ聞きましたところでは、大体制度が予定されておるごとく運用されておりまして、特に執行上非常にトラブルがあるというふうには聞いていないわけでございます。 それから、なお、われわれいろいろな統計を見ておりますと、最近における景気調整下におきましては、中小企業に比べては大企業のほうが利益率その他が若干低下しておる。中小企業よりも、今度の景気調整では、一般論の話でございますが、大企業のほうがよりこたえておるような、申告を基礎にしてはじいてあるわけでございますが、かような現象がうかがわれるわけでございます。 金融機関と税務の執行に関して、中小企業対策という面から国税庁が話しておるかどうかということになりますと、これはケース・バイ・ケースで話しておることもないとは言えませんが、一般的に話し合うということは聞いておりません。
○野溝勝君 これは実際問題として、いつまでも主税局長なり主税官なりが主税局にいるわけじゃない。あるいは銀行局にかわる場合もあれば、あるいはその他の中小企業の行政とかわる場合もあると思うのです。そうしたとき、一面の行政だけではまずいという矛盾に突き当たるといわれています。今の行政はばらばらだと思うのです。税のほうにくると、税の制度に向かって邁進する。これは仕方がないと思う。口を開けば、中小企業育成対策なんと言っても、一方で元気薬を与えても、一方でそれを打ち消すような行政では、しりが抜けておると思う。そういう点は中堅官僚のところでむしろ内閣に意見を出すぐらいの気魄がほしいのです。この点、政府が反省しない限り、小企業は浮ばれないのです。中小企業といっても、中小企業というものは一体従業員の数をさすのか、資本量か、販売量をさすのですか。どこを一体めどにして中小企業というのですか。定義というよりは、金融対象中心で示してほしい。どなたか明らかにしてもらいたい。たとえば従業員一千人、二千人おいても、中小企業というものもある。
○説明員(大月高君) ただいまの日本の現状におきまして、中小企業の定義がどこにあるかという問題は非常にむずかしい問題でございます。で、各種の対策を講じます場合に、やはりそれぞれとの角度からその定義をいたしておるわけでございまして、総合的には中小企業庁がそういう問題を御検討になっております。現在、中小企業基本法を立法しようかというような動きもございまして、それぞれについて各方面の見解がございます。社会党におかれても、中小企業はこうだという御定義をお持ちのようでございます。自民党のほうでも一つのお考えをお持ちのようでございます。現在の制度から申しますと、金融の面からは、大体におきまして、資本金は一千万円以下、従業員は製造業におきましては三百人以下、サービス業におきましては三十人以下、これが大体において金融面から見ております中小企業の範囲でございます。ただ、中小企業と申しましても、その中に非常に小さな、いわば零細企業というようなものと、大企業に準ずるような中小企業というようなものもございまして、たとえば国民金融公庫が対象といたしておりますものは、今申し上げましたような規模のうちで、また相当低いものを対象といたしておる、こういうような実態でございます。 〔委員長退席、理事永末英一君着席〕
○野溝勝君 たとえば中小企業ですが、今のようにあなとしては解釈をされておる、こういう方針が、下に強く行き渡っておると思わないのです。というのは、金融施策上、これは実例をあげて話せばよいが、本日は差し控えます。従業員一千人から二千人の会社が中小企業公庫の金を使う場合があるのです。現にあるのです。そういう大きな企業の資金量は割合に額が多いわけです。私は、三百人以下くらいなものを中小企業、それからずっと、零細企業もありますが、むしろ小企業のほうに対する融資というのが、最近はよほど改まりましたが、非常に少ないわけなんです。私、お伺いするのは、中小企業公庫の資金ですが、その資金は、代理機関というのがありまして、その代理機関は銀行が多くやっている。そうすると、銀行の窓口を通さなければならぬのです。その窓口を通すというと、借り入れ申込人の多くは旧債がある。そうすると、それを銀行は旧債を整理する対象にする。中小企業は少しでも資金入手したいから、手取り僅少でも代理機関の裏打ちを必要とする関係から、泣かされているのもある。しかるに、今回全銀並びに地方銀行及び政府当局、それぞれ融資資金を年末を控えて増融資することになったのですが、私、前申したとほり、旧債条件づき、ひもつきを今度はなくすようにしたらどうかと思うのです。これは全銀協会の会長がその意見書を出したわけですが、私は冷たい銀行としてはトピックだと思うのです。この意見書は時機に適したものと思う。銀行局長、どういうように実行に移す気か、御聞きしたい。
○説明員(大月高君) 今の政府機関の代理店が自分の貸しております債権の肩がわりのために政府機関の金を使うというお話であろうと思いますが、これは従来から間々そういうような実例がございまして、社会的にも借り手のほうからもいろいろ苦情もあり陳情もございまして、常にわれわれとして非常に注意いたしておる事件でございます。公庫が発足いたしましてからもう十年近くにもなりますので、そういう、当初非常に大きな問題でございましたけれども、その後そういうものは苦情は特に耳にいたしておりません。もちろん、金融機関の貸し出し態度によりましては、代理業をそういうように悪用いたしまして、自分の債権の肩がわりにするということもあり得るわけでございますから、われわれとしては十分慎重に指導いたしておるわけでございます。ただ、今度は代理機関といたしましては、自分が代理いたしました貸付については五割であるとか七割であるとか保証の責任を持っておりますので、そう簡単に政府機関に責任をなすりつけて、自分の悪い救済を肩がわってしまうというようなことは現実問題としてはなかなかやりにくい、こういうことにもなっておるわけでございます。
○野溝勝君 全銀が、今まで野放ししていた政府資金を今度は代理機関がいわばオペレーションですか、そういうことをさせないようにヒモをつけるという意見書ですね、これは中小企業のためによいと私は思う。あなたが従来から注意しておったということだけでなく、むしろ全銀側からそういう意見が出れば、最もよい機会じゃないですか。この機を逸せず、実践を監視してほしい。
○説明員(大月高君) 今のお話は、多分問題の面が若干違っておるかと思うのでございますが、それは銀行が年末対策としていろいろな企業に金を貸します場合に、その金が中小企業に確実に流れるように、いわゆるひもをつけて貸すということを励行しよう、こういうことであろうかと思います。たとえばある銀行が日立に金を貸す、年末に。その貸した金は必ず下請のほうへ流すというふうな条件ならば貸しましょうというようなやり方をいたしまして、中小企業に確実に金が流れるようにしようじゃないかというのが、ただいまのお話の趣旨かと思いますが、それはわれわれといたしましても、常に金融機関側に要請いたしている点でございまして、全面的に賛成でございますし、かつ、われわれの気持を組んで、今般銀行協会のほうできめていただいたものだというふうに考えております。
○野溝勝君 銀行局長、百尺竿頭一歩を進めて、私の言うのは、ただ年末資金の問題だけというのに限らず、今の全銀側の意見というのは、あらゆる中小金融公庫の政府資金を融資する場合に、今のような方針を恒常的にやるようにしてほしい。そのために局長も努力してはどうかというんです。
○説明員(大月高君) 今の問題は、政府機関の立場から申しますと、中小公庫、国民公庫、商中というようなものでございまして、これらの機関は、大企業には金を貸さなくて中小企業に直接に金を貸すわけでございます。今の全銀協のお話は、むしろ中小企業以外の企業に金を貸す場合にも、その貸した金が中小企業に確実に流れるようなひもつきにしようというお話でございますので、政府機関の話ではなく、市中の金融機関が一般の企業に金を貸す場合にも、中小企業のことを十分考えてやろうということでございますので、これは年末の金融対策に限らないで、常々当然やってもらいたいことでございます。
○野溝勝君 それから、いま一つ、この際お伺いしておきたいのは、先般閣議で意見が出たらしいんですが、それが実行に移されたということも聞いているんですが、相互銀行、信用金庫、そういうところの資金を吸い上げるというか、政府で融資の方面に向けたいために吸い上げている、こういわれているんですが、その間の事情が具体的に出ておりませんが、その内容はどんなような意味なんですか。
○説明員(大月高君) 相互銀行、信用金庫は、本来中小企業金融をやる目的をもっている機関でございまして、最近幸いに非常に資金量も伸びまして、相互銀行が約一兆五千億近くなっておりますし、信用金庫が一兆三、四千億、こういう階段になって参りました。昨年来の金融引き締め下におきましても、こういう中小企業専門の民間機関の資金量が伸びました関係から、中小企業としては比較的引き締め下のつらい過程を乗り切るのに楽をしたというような事情があるわけでございます。一方、都市銀行、地方銀行の相手にいたしております企業につきましては、相当引き締めの圧力が強い、そういう方面についてもう少し金の流れる方途はあるまいかというような意御見もあるわけでございます。われわれの感じといたしましては、せっかく中小企業金融機関として育成して参りましたそういう相互銀行、信用金陣の金をまた大きな金融機関、大きな企業のほうへ持っていくというのは、筋が通らないとはっきり考えているわけでございまして、中小金融機関が中小金融に専念をして、かつ、それでも余裕があるところはコールでもって、コール市場を通じて都市銀行その他へ流れていくというのが自然の姿であろうかと思うわけであります。一部伝えられております中小企業金融機関の金を政府に吸い上げるとか、あるいはどっかほかの金融機関に流すというような話は、若干そういう面において誤解をもって伝えられているのじゃないかと思います。 ただ、中小企業金融機関につきましては、その資産の運用につきまして、相当流動性をもってもらわなくちゃいけない。ところが、統計的に見ましても、有価証券の保有量が非常に少ないわけでございます。われわれといたしましては、そういう金融の資産構成に流動性を与えるという意味におきまして、現在持っております有価証券をもう少したくさん持ったらどうかということを要請いたしておったわけでございますが、その点につきまして、先般相互銀行、信用金庫ともに、新しく増加いたします資金量の七%までを金融債、政府保証債というような流動性のある有価証券の保有に充てよう、こういうことをきめまして、現に実行中だ、その問題が誤り伝えられているのではないか、かように考えておるわけであります。
○野溝勝君 有価証券の保有もけっこうなんですが、もしその場合に、むしろ中小企業の融資専門の銀行ですか、それが有価証券の確保に資金量が吸われては、中小企業のほうの資金量にしわ寄せがくるようなことはないですか。そういう点についての配慮はどうなっておるのですか。
○説明員(大月高君) 現在の相互銀行、信用金庫の実態から申しますと、それぞれの立場におきまして十分中小企業は金を回しておるわけでございまして、その残りの余裕金をコールに出し、あるいは今の有価証券の保有に使っておる。しかも、その有価証券の中には商工中金債も含まれておるわけでありますので、そうしますと、その金は商工中金を通じて中小企業にも回っておるわけであります。
○野溝勝君 相互銀行は確かに中小企業に九割以上行っております。しかし、信用金庫は、地方の金庫は知りませんが、市中にある信用金庫は、全部じゃないけれども、高利貸しに毛のはえたような裏口専門のやり方をやっておる。大体同族会社的であるから、これは相互銀行の一部にもある。監督不行届きだと思います。どうして一体そういうことを寛大にしておるか。これは具体的に言えといえば申しあげてもよいのです。 それからさらに最近市場の金融が非常に詰まっておる関係から、高利貸しが東京、大阪、各地にばっこしておる。これは金融政策上どこかに欠陥があると思う。こういう野放図な、日歩十銭くらいの高利貸し業が堂々と市場に入ってくる。それが君臨しておる。大阪あたりでひどい。ところが、大きな大事業家も借りておる。金融無政府状態だとちまたでさえ呼ばれている。この動きに対しどういうふうに考えておるのですか。
○説明員(大月高君) 信用金庫の貸し出し態度の中に一部遺憾なものがあるというお話でございますが、全体として六百五十もございます信用金庫でございますので、一部には運営の態度であまりおもしろくないという問題はあろうかと思います。ただ、われわれといたしましましては、中小企業本来の仕事に専念してもらうように財務局を通じまして指導しておるわけであります。金利につきましても逐次下げて参っておるわけでございまして、現在では最高三銭、これは決して低い金利ではございませんけれども、業務方法書によって統一してそういうふうにやってもらっておるわけであります。信用金庫自体が非常に高利貸し的な行動に出ておるというようなことは、われわれの知っておる限りそう顕著な現象はないのじゃなかろうかと考えます。 それから、高利貸しの問題につきましては、まことに申しわけないことでありますが、昨年来、金融の引き締めを実行いたしますと、そうしますと、やはり背に腹はかえられないというような企業も出てくるかと思います。そうしてその企業が完全なコマーシャル・ベースにおいて金を借りられるものでございますならばこれは普通の金融機関で御用立てをしているわけなんでございますが、やはり資産の内容がよくない、しかしみずからは何とか切り抜けたいという企業は、高利貸しのところへ行く。しかも、この金融は引き締めという方針のもとにおいて相当つらいわけでございますので、高利貸しのほうへ行くという企業があったということは、これはある程度、残念でございますけれども、やむを得なかったのじゃなかろうかと思っております。しかし、先般来お話がございましたように、国際収支のほうも次第によくなって参りましたし、財政面からする散超も今回は五千億をこえ、五千二、二百億というような数字にもなって参り、それから全体の資金の需要からいいましても、設備投資のほうは逐次鎮静してきておりまして、過去のいわばうしろ向きの滞貨資金とかあるいは減債資金とか、そういうふうなものに重点が移りつつある、これの資金需要はいずれ解消していく筋のものでございますので、われわれといたしましては、過去一年間産業界に御迷惑をかけておったような現象は逐次これから軽減されていく、そうすれば、いずれ高い金利のそういうような貸し出しというものは、限界的な供給者でございますので、逐次排除されていく、こういうふうに考えております。
○野溝勝君 中小企業は政府機関である中小企業金融公庫、国民金融公庫、この機関の拡大強化を願って、また事務的にもっと簡単な簡易融資を願って、それを非常に期待しているのであります。だから、そのほうに全力的な政府は力を入れたならば、私は高利貸しがえらくいばってするようなこともないし、またそちらのほうから借りなくてもいいと思います。 それから、地方銀行なども最近非常に中小企業に対する関心が高まり、融資に対してたいへん努力されているようでありますが、最近の特徴的な現われ方、その点はけっこうだと思います。しかし、預金量がなければ、資金量も思うようにならない。結局、融資も少なくなると思いますから、高利貸しをばっこさせるよりはこういう方面の預金融資の円消化について具体的方法をもっと考えてやる必要がありはせぬかと私は思うのです。そういう点についてはどう考えられるのですか。
○説明員(大月高君) われわれ金融行政をやっておりますものといたしましては、仰せのとおりでございまして、われわれが監督いたしております正規の金融機関にできるだけたくさんの金が集まりまして、高利貸しの金にたよらなくてもいいような情勢をできるだけ作って参りたい。ただ、残念ながら、現実には今仰せのような現象がございます。今後もできるだけお話のような方向にいきたいと思います。
○野溝勝君 最後に一点、理財局長からお伺いしておきたいと思いますが、理財局長おいでですか……。それでは、きょうはこの程度で……。
○理事(永末英一君) ほかに御質問ございませんければ、本日はこれをもって散会いたします。 午後三時四十八分散会