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41回国会参議院1962/08/23

社会労働委員会 第3号

発言数
115
登壇者
13
会派数
2
開催日
1962/08/23

会議録

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) ただいまより開会いたします。  労働情勢に関する調査を議題といたします。  まず、労働大臣より、労働情勢の基本方針についての所信を聴取いたします。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) このたびはからずも労働省を担当することとなりました。元来浅学非才でありますのに加えまして、労働行政は、今日難問山積のおりでございます。皆様から御叱正、御鞭撻を受けながら、真剣に問題に取り組んで参りたいと覚悟いたしておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げますとともに、この機会に一言所信を申し述べ皆様の御理解と御協力を得たいと存ずる次第でございます。  労働政策の目標が完全雇用の達成と労働条件の向上にありますことは申すまでもございませんが、最近の経済情勢下におきましては、労働政策と経済政策との関連がますます緊密化しつつあることは、常々御指摘をいただいているとおりでございます。労働行政としましては、国民経済の安定成長に即応して、経済諸施策全体との調和を保ちながら現実に起こって来る問題と取り組んで、この目標に向かって一歩々々地道に前進して参りたいと存ずるのであります。  また、具体的な問題に対処するにあたりましては、国民の労働行政に期待しているところをしっかりとつかみながら、常にヒューマニティをもって、特に日当たりの悪い立場にある人たちに対しましては、愛情と理解をもって臨むことが大切であると考えております。  最近の労働経済の動向を見ますと、引き続き雇用情勢の改善、労働条件の向上等が見られる反面、国民経済の急速な拡大の結果、若年労働力や技能労働力の不足が深刻化し、しかも、一方では中高年令層などが依然として求職難の状態にあるというようなアンバランスが見られており、また、景気調整策の影響も徐々に労働面に現われつつあります。さらに炭鉱離職者の深刻な状態に端的に現われておりますように、産業構造の変革等に伴う摩擦的現象が発生しつつある状況にあります。  このような情勢に対処いたしまして、まず第一に雇用対策といたしまして、広域職業紹介体制の拡充強化等、労働者の地域間、産業間の移動を円滑にするための諸施策を強力に推進するとともに、職業訓練及び技能検定を拡大充実して技能労働力の育成と技能水準の向上をはかり、転職訓練等を通じて中高年令者等の再就職を促進するなど、雇用の安定と国民経済の成長に必要な労働力の質量双方の面における確保に努めたいと存じます。特に炭鉱離職者対策につきましては、従来からの諸施策を積極的に推進するほか、近く予定されております石炭鉱業調査団の答申を待って、できるだけ行き届いた措置をとりたいと考えております。  また、失業対策事業につきましては、各方面からいろいろ問題点が指摘されておりますので、これらの問題点及び失業対策事業の今後のあり方等につきまして、学者、言論人の方々に専門的に調査研究をお願いしているところであります。失業保険制度につきましても、近く社会保障制度審議会から、社会保障制度全般についての答申が予定されておったのでありますが、これは昨日答申が出て参ったようでございます。これらの問題につきましては、それぞれの答申なり勧告なりを尊重しつつ、実情に即した適切かつ周到な施策を立てて皆様の御審議をわずらわしたいと存じております。  第二に、労働条件につきましては、はじめに申し述べましたように、最近の経済成長を背景として、全般的にかなり向上を示しつつあります。しかしながら、その反面におきまして、最近産業災害が増加しつつあるという事実は、私どもとして特に戒心の要があると存じております。災害の発生率は漸次減少しつつありますが、近年における生産の伸長、雇用者数の増加等によりまして、災害件数は遺憾ながら増加の傾向にありますので、その防止に一そうの工夫、努力を重ね、労働者が安心して働けるような環境の形成に努めて参りたいと存じます。  また、賃金問題につきましては、最低賃金制の充実拡大をはかりますととにも、適切公正な賃金関係資料の整備充実、賃金体系改善に関する援助その他諸般の措置を講じ、もって賃金問題の合理的解決の気運が醸成されるよう努めて参りたいと考えております。  さらに、労働条件に関連して、中小企業労働対策について申し上げます。  中小企業、なかんずく小零細企業の労働条件は、大企業等との格差が漸次縮小する傾向が見られるとはいえ、なお低位にあることは申すまでもございません。したがいまして、中小企業の経営基盤強化のための諸施策と相待って、労務管理の近代化指導、その他労働事情改善のための総合的な対策を強力に推進いたしたいと考えております。  また、婦人、年少労働者その他中小零細企業に働く人々のための福祉施設の設置を助成し、未亡人その他中高年層婦人の職業対策を強化する等、恵まれない立場にある人々の福祉の増進にも十分配意し、国家のあたたかい手を差しのべたいと存じます。  第三に、労使関係の近代化について申し上げます。  さきに申し上げました雇用の改善及び労働条件の向上などは、すべて国民経済の安定成長によって可能となるものであることは申すまでもありませんが、国民経済の成長発展は、健全な労働運動の進展と、よき労働慣行の確立に待つところがきわめて大きいと存じます。  わが国の労働運動、労使関係は、近年相当の進歩改善の方向にあると考えるのでありますが、今なお未熟な面もありますので、今後とも労働教育その他諸般の施策を通じ、自由にして民主的な労働運動の発展と合理的な労使関係の形成に努め、また、特に中小企業の労使関係の合理的安定をはかる施策について、一段と努力して参りたいと存じます。  さらに、当面する諸問題につきましては、それぞれの実情に応じ、労使双方が共通の基盤の上に立った話し合いを通じて問題の合理的解決をはかる気運を促進する必要があると考えております。  ILO八十七号条約の批准及び関係諸法律の整備につきましては、すでに長年の懸案であり、かねがね御配慮をわずらわして参ったところでありますが、私といたしましても、歴代の労働大臣と同様、その早期成立を期する方針には変りなく、本問題の解決には引き続き一そう努力いたす所存であります。  以上当面の労働情勢につきまして、とりあえず私の所信の一端を申し上げた次第であります。冒頭にも申し上げましたように、今後各位の御意見を十分拝聴しながら労働行政の推進に力を尽くしたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 本調査事件に関し、質疑の御通告がございますので、順次御発言を願います。  その前に、本日御出席の政府側の方方は、ただいま御説明がございました労働大臣の大橋武夫君、大臣官房長松永正男君、大臣官房労働統計調査部長大宮五郎君、労働基準局長大島靖君、賃金部長辻英雄君、婦人少年局長谷野せつ君、職業安定局長三治重信君、失業対策部長和田勝美君、職業訓練局長村上茂利君であります。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) おそれ入りますが、本日は政務次官も出席いたしまして皆様にごあいさつを申し上げるはずでございましたが、健康を害しまして、目下入院をいたしております。本日ごあいさつができませんので、私から皆様によろしくお伝え申し上げるよう申しております。どうぞよろしく御了承をお願いいたします。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、労働大臣の今所信をお伺いしまして、非常に熱意を持って労働行政を進めていこうというお気持がうかがわれまして、非常に喜んでいるわけでございます。今申されましたこの所信の中で、私は二、三お伺いをしておきたいと思うのでございます。  第一の問題点は、「国民経済の安定成長に即応して、経済諸施策全体との調和を保ちながら」云々ということが言われております。私は、これが一番労働問題としては大事な問題だと考えているわけでございます。今日の日本の経済は、急角度に生産力は成長したといいますけれども、自由主義、自由経済の放任された設備拡大によって、各産業が、むしろ資金難で困難な状態に陥っておる、そういう中から経済の変動というか、下降と申しましょうか、今日の日本の経済が停滞をするような現状に追い込まれておる。そこからくる犠牲はだれが負うかというと、結局労働者がその犠牲をひとりしわ寄せを食っているというのが現実ではなかろうかと私は思うのであります。それじゃ先進国の状態はどうか。先進国の状態は、むしろ生産と消費のバランスをとる、人権尊重の立場から、労働者や国民の生活水準を上げる、そういうところにむしろ重点が置かれて、行き過ぎたところは、賃金アップによる、また、国民生活向上によるコスト・インフレをどう調整するかという段階にあって、少し経済が緩慢になりつつあるとうかがわれるのであります。そういうことを考えてみますときに、日本はそのバランスのところまでいこうとすれば、国民の生活購買力と申しましょうか、そういう国民の生活水準を三割から四割上げて、ようやく外国が一応達した水準と申しましょうか、かまえのところまでいくというような状態だと私は思うのであります。同じ経済の緩慢の問題が、日本は大幅でありますけれども、外国は非常に小幅でありますが、その根本的なところが私は違うと思うのです。ですから、ここで言われている調和をしてやっていく、調和を確保しながら、現実に起こってくる問題と取り組んでいくとおっしゃる趣旨は、やっぱり今日日本が世界の先進国の仲間入りをして、五大産業国とか三大産業国とか工業国とかいわれるような水準になろうとする日本の立場からすれば、私は、大臣がこの問題を取り上げられたことは非常に喜ぶわけでありますが、もっとこれをえぐって、日本の労働政策というものはどうあるべきか、日本の経済の中における生産と消費、日本全体の経済の繁栄の道はどうか、その中の労働者の位置はどうなのかという問題をえぐってここで御発言いただきたかったと、私はそう思うわけです。この点について大臣の所信を承りたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 現在日本の経済発展の段階といたしましては、非常な大事な点に参っておるということがいわれておるのでございまして、この発展を可能にする根源は、わが国民の労働力であることはだれしも認めるところであろうと存じます。かようなる意味におきまして、労働力の確保、したがって、労働者の生活の安定ということは、やはり今後の経済の発展の土台になるものだと、こう考えるのでございまして、こういう趣旨から今後の労働行政を指導いたして参りたいというのが私のただいまの気持でございます。今後こういう角度から一そう検討を加えまして、いろいろな具体的な問題に取り組んで参りたい、こういう覚悟を申し上げた次第でございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 ただいまのことをもう少し具体的に私は申し上げてみたいと思うのですが、ここにいわれている労働政策の目標は完全雇用の達成である、労働条件の向上であるということは、これはもう言を待たないところでございます。ですから、何といっても完全雇用をして、働く能力のある者には全部働く機会を与えるという労働政策がなくてはなりませんし、この与えられた、また、その機会の中で労働力を通じて社会に貢献するという形が労働環境の中から生まれてこなければなりませんし、これが経済の発展、みずから作った生産によって国民全体が生活を向上していくという、過剰生産恐慌の中で、そうして景気が下降して首切りが起るというような情ない政治というものは、やはりなくさなければならないというのが今日の世界の私は現実の情勢ではなかろうか、こう思うのです。だから、そこのところをもっとえぐって労働行政を進めていただかないと、われわれ国民は納得しないと、私はそう思うわけです。たとえば今日の日本の状態を見てみましても、潜在失業者が八百万とか一千万ということがいわれております。事実問題として、雇用労働者ばかりでなく、今もう貧困の谷間に置かれている農民の生活状況というものは、私は苦しいのを通りこしまして、悲残な農民生活の状態に置かれていることを多く各地で見るわけでございます。先日もILOの会議で、四十時間労働制が勧告としてきめられました。これはもう昨年からの懸案でありまして、そしてやはり機械が人間にかわって物を生産してくれるのでありますから、それに応じて人生を楽しむという方向において、私は、何としても完全雇用の道を開いていくということが、いろいろの面もありましょう、労働衛生の面とか、医学の面とか、そういう面がありましょうけれども、しかし、何といっても、完全雇用の基本になるものは、働く能力のある人に仕事を与える。片方では長時間労働者がおって、片方では失業者がおるという状態というものは、やはり一日も早く解消しなければならない問題ではなかろうか、私はそう思うわけでございます。今年のILO総会できめられた四十時間制の勧告でございますが、しかし、日本の現実は、労働時間の面一つだけ取りあげてみてもどうなるかというと、本年の五月、六十時間以上働いている人が千二百四十五万人おるわけです。それから、四十九時間以上働いている人が二千五百二十七万人もいるというこの現実を私は見なければならぬ。ILOの勧告は、この勧告がきまり次第、まず四十八時間以上の労働を直ちになくしようじゃないかということをきめている。この面からいって、二千五百二十七万人という人が、五月に四十九時間以上働いている。もっときびしくいえば、一週間に六十時間以上働いている人が千二百四十五万人もいる。これは生産そのものに対する労働力が必要だという面も一つありましょう、急速度の生産を上げるために。しかし、そうでなしに、これだけ長時間働かなければ生活ができないという面も含んでいる。むしろこのほうがウエートが高いということを私は大臣に考えてもらわなければならぬ。こういう状態を、少なくとも基準法できめられている四十八時間にこれを整理したといたしますればどうなるか、こういうことをお考えになったならば、就任早々ですから、そういう質問はいたしませんけれども、現在の労働問題というものは、そういうところから掘り下げていかなければ解決できないのではないかと私は思うわけであります。  もう一面、それでは中高年の労働者が非常に失業、就職難で困っている。一口にいえば、中高年の労働者が生産工場に行ったって生産にすぐ間に合わぬじゃないかという議論もございます。私もそれはそうだと思います。そうなればこそ、そういう中高年の方々を生産に間に合うように訓練というか、職業指導訓練というものが大幅にやられない限り、いつまでたったって中高年の就労は困難であります。あなたがここでおっしゃること以外に一歩も出ないということになるわけであります。だから、そのような面を一つILOの勧告がきめられて、このILOの勧告に対して政府はどういうかまえでおられるか、勧告がきめられたあとの政府のかまえ、それから完全雇用をどうしてやっていこうというかまえであるのか、そこらあたりのことをお聞かせ願いたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 第一に、長時間労働の対策でございますが、ILOの勧告に対しましては、四十時間というような目標を現在の日本の産業界で直ちに消化するということは、これはなかなか簡単なことではないと思います。しかし、御指摘のとおり、現実の労働基準法の制限時間でありまする一週間四十八時間、これを超過した五十時間以上という労働時間が、全国労働者の平均労働時間として統計では明らかになっているのでございまして、この状態を少なくとも四十八時間以内に持っていくということ、これは労働省としては当面の目標でなければならぬと存ずるのでございます。この点につきましては、従来からも労働省としてはいろいろ努力はいたして参ったと存ずるのでございますが、その反面におきまして、低賃金ということがこの長時間労働を可能ならしめている土台になっていることも認めざるを得ないのでございます。これらの点につきまして十分なる検討を加えまして、早急に対策を立て、実効のあがるような措置を講じたいと、かように考えているのでございます。  次に、中高年令層の対策につきましては、この点も全く御指摘の点については同感に思うのでございます。昨年来、多小こういう方面に力を入れて参り、ことに炭鉱労働者の離職者に対する対策といたしましては、中高年令層に対する職業訓練、あるいは雇用奨励金というような制度を一部実施いたして参っているのでございます。これらの施策は、今後本格的に推進をするようにしたいと思っているのでございます。いずれにいたしましても、これらの施策につきましては、来年度の予算においてできるだけ実現をいたして参りたい、かように考えている次第でございます。今後一そう御指導を賜わりたいと存じます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 私は、今の大臣は就任早々でございますから、あまり具体的なことは議論をしようとは思っておりません。思っておりませんけれども、私は一番大事なことは、今の日本の経済の今日の状態の中で、生産をになっている労働者、これを中心とした国民の生活をどう上げていくか、どう守っていくか、この問題が経済との関係でどういう位置にあるべきか、むしろ勤労国民の生活というものの中心をどう引き上げていくかというところに経済政策、政治政策をみな立てなければならぬという、これが今日の現実ではなかろうかと私は思っている。そういう点は、何といっても、労働大臣がここでお述べになっておりますこと自身が、私は、池田内閣の中心の柱として、これが具体性を持ってこなければ意味がないことだと思うのです。大臣が、この労働行政の中で、社労委員会の中でいろいろのことをしたいと言われても、国の経済施策や政治施策の中で、刺身のつまのような格好で、ただ申しておるというだけに終わるなら、私はここで幾ら議論しても何にもならないと思います。それは国民の期待するところではないと、私はそう思う。だから、一番前段に、外国の経済の条件の中における国民生活の関係と、日本の経済の生産と日本の国民生活の関係というものを私は申し述べたわけでありまして、生産に消費が追いつかないで、過剰生産強行で、そして不況になって、労働者がそのしわ寄せで犠牲になっている。外国では生産が上がって、生産と消費のバランスをとるというところに基本政策があって、なお一そう国民生活向上というところに重点が少し行き過ぎたかどうかというところで調整をしているという段階とは、大きな差があるということをひとつよくお考えをいただいて、その面から労働政策はいかにあるべきか、完全雇用はいかにあるべきかという問題を私はひとつ出していただきたい、こういう工合に思うわけでございます。  もう一つお聞きしたいことは、選挙のときによくいわれるわけであります。賃金が上がってコスト・インフレになる、こういうことをよくいわれます。しかし、何を根拠にして私はコスト・インフレ論を持っておるか、そして賃金が上がり過ぎるから、物価の値上がりもここに基礎があるのだといわぬばかりに提起をされておったことを思い出すわけです。まあ選挙のことはいいでございましょうけれども、現実の問題として、そういう賃金が上がることによってコスト・インフレになるなどという根拠がどこから出てきたか、私はここでお尋ねをしたいわけであります。たとえば労働生産性の問題を一つとってみても、昨年度の製造業の労働生産性は、三十年を一〇〇にして一五九でございます。ところが、実質賃金は、やはり製造業のこれは三十人以上のところをとっておりますけれども、名目は一五〇・二だけれども、実質は一三二・二なんです。労働省のこの資料を見ても、どこに高賃金が生産性を追い越してコスト・インフレになるかということを私はお聞きしたいわけであります。私は、そんなコスト・インフレになるとか何とかいう議論よりも、実際にどうして国民の生活を上げていくべきかという目標に議論が集中されてしかるべきだと思う。先ほどの完全雇用の問題との関係を見ても、私はこういう議論があったということを非常に残念に思うのでありますけれども、少なくともヨーロッパ各国がやっている生性産と労働者の賃金上昇を同じにする、今日は賃金上昇が皆高いのでありますけれども、少なくとも同じにするというところまであなたはどういう工合にして賃金の問題を持っていこうとされているか、これをひとつお聞きしたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 現在この賃金の問題が物価の問題と関連いたしましていろいろ議論されておるようでございます。しかしながら、生活水準の引き上げということは、これは当然賃金の引き上げがあって可能なのでございますから、国民経済が発展し、国民の生活水準が引き上げられるに際しましては、それに即応して賃金がある程度上がってくるということは、これは当然でありましてそれをもってコスト・インフレというふうなことは、これは私は考えられないことだと思うのであります。現在の賃金が、はたして労働生産性を上回っておるかどうかということについてはいろいろ議論がございましょうが、現在の状況では、私は、特に賃金の上がりというものが、経済発展の上からいって問題になるべき程度ではない、こういうふうに私は考えているのであります。もっとも、いわゆるコスト・インフレとか、あるいは賃金が上がったために物価が上がるんじゃないかというような議論は、今後の問題として、予防的意味で言われる場合もあるかもしれませんが、しかし、現在の段階ではそういうことは考えられない、こう私は考えております。  なお、このコスト・インフレの問題につきましては労働白書などでもいろいろ出ております。それらにつきまして、必要がありましたならば、政府委員からも御説明申し上げたいと思います。

大島靖労働省労働基準局長

○政府委員(大島靖君) 御指摘のコスト・インフレの問題につきまして、コスト・インフレというのが一体何をいうかという定義そのものが、まだ国際的にも学界においても、非常にむずかしい問題で、ヨーロッパ各国においてコスト・インフレの問題が非常に盛んに論議されておるわけであります。  ただ、日本の場合、コスト・インフレかどうかという点について、これはまたいろいろ議論があるかと思っております。問題になりますのは、これは先生が当初御指摘になりました国民経済全般の中において投資と消費のバランスがいかにとれるかという問題、これと賃金の関係、こういった問題に関連し、また、生産性と賃金のバランス、これは長期的に見た場合、生産性と賃金がどういうバランスになるか、これはいろいろ議論があり、今問題になりましたのは、ことに昨年の後半に、生産性が賃金の上昇より下回っているという、この問題が当面の問題になり、かつ、中小企業における求人難、若干労働者の賃金の上昇とサービス料金の上昇、こういった問題が今日本の問題として出て参っているわけであります。ただ、先生が先ほど御指摘になりましたように、賃金問題をやはり国民経済的に見てどうか、この点がやはり今後の一つの問題点だろうと思うのであります。こういった問題は、労使のみならず、貿易各界においても、やはりこういう問題について論じていく、研究していくということが一番大事だと思っております。私ども労働省といたしましてもこういった問題を今後とも研究を進めたい。また、各方面で検討され、論議されておりますものをできるだけ集めまして、それを各方面に供給して、全般的にこういった問題についての議論をする、こういった方向が今後の賃金問題の合理的解決に非常に資するのではないかと思うわけでございます。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 だから私は、単に生産性と賃金上昇の問題だけを取り上げて言っているわけではない。生産と消費のバランスをどうとっていくか、たとえば賃金労働者ばかりでなく、国民生活全般の大筋の問題であります。ここにあげている製造業というのは三十人以上でありますが、そう小さいというところまで統計資料では捕捉できないと私は思うが、今、波に乗っているところすらこういう状態じゃないかという議論がしたいわけでございますけれども、私は深くこれを堀り下げませんが、問題はそういうところにあるのではないか。だから、少なくとも先進国並みにつき合いをしていこうなら、これだけおくれている賃金並びに国民生活をどう引き上げていくかという心がまえが労働省になくてはならぬのではないかということを言っているわけであります。で、たとえばコスト・インフレ論の問題を取り上げてみても、たとえば物価の問題一つ取り上げてみても、むしろこの状態における製造業自身の卸売物価は下がってないというけれども、実際にどんどんと生産コストが下がっているのに現状を維持している、そこをうんと下げなければいかぬ、そこに物価問題の根本が私はあると思う。そういうところも、労働行政をおやりになるなら、やっぱりまっすぐにこの問題を浮かび上がらして、総合的にやっぱり検討していただかなければ、労働者の生活の向上とか労働者の保護、これは生産のにない手なんですから、これをやらぬことには私はなかなかむずかしい問題ではなかろうかと、こう思うわけであります。その大臣の所信を聞いたわけであります。  これはひとついずれまたあるから聞くといたしまして、私は、もう一つここで問題を提起したいのでありますけれども、それは臨時工だとか社外工ですね、それからもう一つ私は残念に思うのは、学卒者が契約をしておきながら、待機して、そのままほっぽらかしておられるというこの状態である。私は、こういう条件で、片方では臨時工だとか社外工で安い賃金で働かす。これを目標に、ひとつ自分のところの利益のために、生産業者は安い賃金で新しい労働力、学卒の人と契約をして縛っておくだけで、あとは何らめんどうを見ないでいつまでも家に待機をさしておく。こんなことをほっておいて、労働省としては何をしているかと私は言いたいわけであります。どこをそれじゃ労働省は保護するか、中高年の者は、いつも言われるように、残念ながら就職の比率が一五%か二〇%でございますといってここで言いわけされる。しかし、こんな今のような学卒の待機なんというものをそのままほっておく。臨時工だとか社外工だとかの問題もなかなかむずかしい面もありますけれども、なかなか十分に整理がされていない。こういう点は、私はもっと真剣に労働省というものが力を入れなければならぬ問題ではなかろうかと思う。だから、その二つの点について聞きたい。

大島靖労働省労働基準局長

○政府委員(大島靖君) ただいま御指摘の臨時工、社外工の問題、これはお説のとおり、非常に深刻な、かつ、重要な問題であろうと存じます。で、企業が臨時工を雇います理由はいろいろあろうと思います。景気の変動にすぐ即応できるような形で臨時工を雇っておる、これはもっともなことなんでありますが、問題は、この臨時工という名のもとに雇って、これを常用化すること、すなわち、臨時工という名の常用工、これが御指摘の問題点だろうと思います。この点は、私ども基準法の適用上、臨時工という名にこだわることはなく、実質的に判断して基準法を適用していく、こういう方針をとっております。ただ、問題はそれだけで解決する問題ではなく、臨時工と常用工あるいは社外工、こういった賃金の問題にいたしましてもその他の労働条件にしましても、相当な格差がある。これをどうしていくかということ、これまた今後の大きな問題であろうと思います。こういった点につきましては、私どもも臨時工を多数雇っております造船業その他の特殊の企業に対しましては、格別のそういった問題についての協力と援助を要請いたしております。今後全般的にそういった臨時工ないし社外工の労働条件、こういった問題を、やはり労働行政、基準行政の一環として今後とも推し進めて参りたいと考えております。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) 新規採用者の待機の問題につきまして御説明しておきます。  今後の新規採用者の待機は、中学卒業者ではございませんで、新聞に報道されているとおり、高等学校の男子の卒業者の採用の予定、しかも、これが製鉄に限られておる。この点事情を調べましたところ、急激に予定の設備投資が、八幡製鉄、富士製鉄、それから日本綱管三社が設備投資を押えられたために、それに伴って、作業職の採用予定をしていたところができなくなり、さらにその設備投資に加えて、さらに二〇%の減産ということに相なりましたので、したがって待機者が出たわけでございます。八幡製鉄所の約二千名が一番多いわけであります。これについていろいろこの三社に、指導と申しますか、相談いたしまして、全員まあ来年の三月までには必ず採用するというふうに、初めの採用のときがはっきりしていない、採用するという、ただ採用決定だけの通知になっておりましたのを、各本人にあらためてそれぞれの月を示して通知するように指導いたしました。それは全部現在完了しております。なお、富士製鉄、それから東海製鉄、それから日本鋼管につきましては、毎月教材費といたしまして三千円ないし五千円を支給をしております。本人が辞退しない限り、現在のところ、三月までに必ず全員採用するというふうに本人あてに安心するように通知させております。  なお、この点につきましては、われわれのほうも、高等学校の就職の問題につきましては届出制になっておりまして、その採用条件、そういうことについての指導が足りなかった、今後ともこういうふうな採用時期の不明確な採用をやらないように指導していきたいと思います。  中学卒業につきましては、先生御承知のように、一度二十七、八年のころ紡績でありましたが、その後指導改善を加えまして、今日中学卒業生につきましては、採用時期の不明確な採用はあとを絶っております。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 個々の問題については、いずれ議論があると思いまするが、ここで所信で指摘されている問題について、もう一、二点御質問したいと思います。  その一つは、労働災害、特に炭鉱災害を鉱山保安局にまかしておるけれども、労働省が受け持つという意思がないかどうかですね、これをひとつお聞きしておきたいと思うのです。まあ災害の問題で、炭鉱災害の問題はいつも問題になっておることですから、大臣就任早々ですけれども、労働行政としては、この委員会でも非常に議論になっておることですから、ひとつお答えを願いたいと思います。  それから、ILOの八十七号の問題については、ここで述べられておりますけれども、ILOの八十七号の問題は十一回も理事会で約束している問題ですから、これはもう文句なしに批准を早くしなければいかぬ問題です。批准行為さえすればいい問題だ。そのほかに百十七の条約があって、それに同じくらいの勧告が出ているわけです。休暇の問題、時間短縮の問題、いろいろ出ているわけですから、この取り組み方を今後どうやっておいきになるかということ、こういう工合にあげて参りますと、具体的な問題がすぐ浮かんでくるわけであります。そういう中で、たとえば失対事業の打ち切りがどうだとかこうだとかというような議論が世間でされるようになってきたりして、私は、労働行政というものを、今のような傾向については、もっと的確に、一つ一つ国民も労働者も納得するような方向でなぜやれないのか、私はそれを伺っているわけであります。そういう意味のことを、全般について締めくくりの意味で、今私があげましたような意味を含めて御答弁を願いたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 御質問の炭鉱災害の所管の問題でございますが、これは炭鉱における作業安全というものが炭鉱の設備と不可分の関係にあり、そして設備に対する監督を鉱山保安局でやっております関係上、それとあわせて通産省の鉱山局で所管することになっておるわけでございます。もちろん労働省といたしましては、安全の見地から勧告権があるわけでございまして、特に炭鉱並びに鉱山における災害は、最近決して減っておらない実情から考えましても、この調査を十分にいたし、勧告権を十分に発動いたしまして安全の確保に努めたい、こう思っておるわけでございます。  それから、ILOの取り扱いの問題でございますが、ILOの取り扱いは、これは長らく懸案になっておるのでございまして、問題点は、これに伴う国内法の改正の取り扱いに原因があることは御承知のとおりでございます。この点につきまして、目下与野党間で意見の調整中でございまするから、私どもといたしましては、これによってめどのつき次第、できるだけすみやかに提出をいたしたい、そうして御審議をいただきたい、こう思っております。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 藤田委員の御質問に関連いたしまして、きょうは労働大臣の所信表明がありましたので、関連質問をお許しいただきたいと思います。  この委員会で、先般厚生大臣の所信表明をお聞きいたしましたが、比較対照いたしまして、労働大臣の所信は、言うならば三段論法で、あまりそつがないじゃないか、そういうようにはたで受け取っております。それはそれといたしまして、私は、労働省や労働行政のあり方の本質上の問題について、一応初めて労働大臣に就任された大臣の所信表明の機会に、関連をしてお聞きしておきたいと思います。  一、二お伺いいたしますが、第一点は、実はこの所信表明の中に、ILOの条項に関連をいたしまして、歴代労働大臣云々ということに関連がありまするが、実は私の先輩に米窪満亮という男がおりましたが、私も船乗りでありましたが、初代労働大臣になったのでありまして、私の先輩であり、友人でありますので、あなたは労働大臣になったが、一体何をやるのだという質問を当時したわけであります。所信表明などというむずかしい問題ではなくて、要するに経綸抱負をお伺いしたい、こういう質問をしたところ、彼がたんたんとしていわくに、それは君、日本の労働組合は、特に戦後派の労働組合はポツダム宣言のからの中から育ってきたわけだから、それなりの労働者の体質というものについて、日本の労働省は勤勉で誠実なんだから、相当な創造性と、そして勤労の意欲を持っているわけですから、これを十分てこ入れをして生産と取り組ましていく。具体的な問題としては、やはり労働組合を保護育成をするのであるとか、あるいは公正な労使関係を確立するという問題、ことに労働者は貧乏で、発言力が弱いから、これにてこ入れをして、労働福祉というものを十分増進するような方向に前向きでいくのだ。要するに労働省のあり方や労働行政の本質というものは、一口で言うならば、労働者に対するサービス行政だ、こういうふうに言っておったわけでありまして、なるほどそうかというわけで、その時点におきましては、労働省なんというものは初めて作られたわけでありまするから、そういうふうにお伺いしていたわけであります。歴史と時は流れておりまするが、今においてもそう私の先輩は間違っておることを言っておるわけじゃない。もちろん私は、公私を使い分けいたしております。初代労働大臣米窪満亮氏は、そういう発想で初代の労働大臣だという経緯歴史を持っております。そういうふうな形について、労働大臣は、今ここでいろいろと所信表明を音で聞き、うたってある文字でお伺いいたしたわけでありまするが、今日私どもが、戦前戦後を通じて、三十数年労働運動に精進して参りまして、今日的な時点で受け取っている限りでは、どうも労働行政のあり方というものは、サービス行政でなくて、何か窮屈で、締めつけておしかりをこうむるような行政に変わってきたのではないか、そういうふうに考えているわけでありますが、その点について、所信表明に関連して、ひとつ、こくのある見解を承りたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 米窪先生の労働大臣御就任当時に、労働省の使命は、労働者に対するサービス行政であると言われたことは、当時私どもも承っているところでございまするし、また、当時から今日まで、労働省の一つの考え方の根本として伝わっておることなのでございます。したがいまして、当時米窪先生のお考えになりました御趣旨というものは、今日もなお脈々として生きている、こう思うのでございます。したがいまして、労働行政については、私もまだやはりそういう労働省のあり方でやっていくべきだと、こう思っているわけであります。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 それでお伺いするわけでありますが、たとえば日本国憲法の中に第三章という章が起こされまして、国民の権利義務の条項が起こされて、いろいろと、たとえば思想、信条の自由や結社の自由というものが保障されているわけでありますが、そういう中で、今、藤田委員が御質問になりましたように、ILOの批准実施の問題でありますが、特に浮き彫りして八十七号の実施の問題でありますが、これは国内法案と関連いたしまして、今なおその批准の問題について、先ほどの大臣の言葉によれば、今与野党で調整中である、そういうふうにすることは、それはそれなりに私どもも現実に受けとめることができますけれども、やはり労働大臣が一つの所信を堅持されまして、やはりこの今国会なり、あるいはこれらに対する腹がまえ、そういったものを実は伺っておきたい、そう考えるわけであります。と申しまするのは、すでにこれは私自身は知識乏しいのでありますが、今後勉強する、修練の途上であるといたしましても、たとえば強制労働禁止の条項に関する条約の批准の問題につきましても、聞き及びますれば、三十三年の時限において、やはりこれを批准することに努力するというような形で問題が消化されているように聞いております。それから非常に年月がたっておりますが、ILOの八十七号の批准実施の問題と国内法案の関連という問題は、私どもも実際に即して、そう私が軽々に言うごとく簡単でないと思います。しかし、労働者の憲法に保障されている基本的人権、具体的に団結権や交渉権や、そして団体行動権というものが憲法に保障されている。そうしてその精神が重視される限りにおいては、やはり歴代の内閣は、たとい右顧逡巡いたしましても、この辺でやはり内外の情勢からいっても、労働大臣がひとつ勇気をもって、さらに関連をした百五号の問題についても、この辺であげるように奮起してもらいたい。これは希望でありますが、所信に関連してひとつ見解を御表明いただきたいと、こういうように考えております。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) まず八十七号でございますが、これをできるだけ早く批准したいということは、私もつとに考えているところなのでございます。ただ、この問題は、御承知のとおり、長年月にわたりまする今までのいきさつもございまして、それと無関係に断を下すということは、なかなかできがたい政治上の情勢にございます。したがって、今までのいきさつのワク内におきまして、できるだけすみやかにやっていくという以外に、現実には手っとり早い方策がないように思いまして、したがって、前国会において与野党の御相談が進行いたし、その後引き続きそれが進められておりますので、それに即応して今国会に提案をいたすようにしたい、こう考えておる次第でございます。  また、強制労働に関しまするILOの条約でございますが、これは実はこの条約の条項についての私どもとして確定的な解釈をまだとらえておりません。それで、これはいろいろ国内法にも関係があるのでございまして、ILOの一部機関の解釈としては、相当国内法の修正を要するような点が示唆されておりますが、しかし、それもまだ確定的な有権解釈というところまではいっておらないような点もございますので、その辺の解釈の確定を待っておるというような状況でございまして、むろんこれは基本的人権に関する重要な条約でございますが、条約案の解釈がはっきりいたしましたならば、できるだけすみやかに適切な措置をとりたいと考えております。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 所信表明の中に、自由にして民主的な労働組合の発展云々というものがございますが、今、日本の労働組合の存在する諸現象をとらえまして、私は、自由にして民主的な労働組合でない労働組合なんというものは一つも存在しない、そういうふうに考えております。しかし、ここで言われるところの自由にして民主的な労働組合とはどういう構想を描いて、どういうようなものをさして言っておられるか。また、そういうようなものをヒューマニズムの対象として、一つの展望の中で描いておられるかということをお伺いしたいということと、私がこういうことをしいて意地悪く言うわけじゃありませんが、お伺いしておきたいというのは、最近、たとえば国鉄にいたしましても全国税にいたしましても、数多くの労働組合に対しまして、公正な労使関係がゆがめられて、具体的にはわれわれは多くの事例は、きょうは場違いでありますけれども、たとえば不当労務管理であるとか、あるいは不当介入であるとか、不当差別であるとか、あるいははなはだしきは人権侵害にも及ぶ大きな問題があります。所管の行政担当面からいきますれば、これはやはり労働省が十分監視していかなければならぬのだ、そういうふうに考えております関連において、自由にして民主的な労働組合というもの、そういったものについては、たとえばどういうようなふうにお考えになっておるかということを一応お伺いしたい。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 自由にして民主的な労働組合というのは、労働組合の組合員の自由な団結であり、そして民主的に運営される団結である。そして、その行動が、常に自由にして民主的な行動であるということだろうと思います。今までもそういう趣旨で組合運動が指導されてきております。私も特に変わった考えは持っておらないのでございます。御指摘の使用者側の不当労働行為でございますが、これはもちろん自由にして民主的な組合の発展に対しては、きわめて有害なもので、そういうものは排除すべきは当然だろうと思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 私も五点にわたって労働大臣の所信に従って質問をいたし、見解をお聞きしたいと思います。  第一は、中高年令層の離職対策の問題。今、石炭産業だけではございません。中小企業も金詰まりのために倒産いたしまして、三十五才、四十才あるいは四十五才になりまして新たに職業訓練を受けて別の仕事につくという人が数限りなく出ておりますが、希望者がありましても、施設がなかなかこれに伴わないという状況でございます。大臣の所信表明の中で、この点については、まず第一に意を用いるように言われておりますが、具体的にはどのようなことに重点を置いて政策をやっていかれるか、大臣の決意を聞いて、あと担当官からお聞きいたします。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 中高年令層に対する対策は、石炭産業ばかりでなく、中小企業等、いわゆる貿易自由化に伴いまして、今後非常に重要になって参ると思います。したがって、これにつきましては、昨年来いろいろ対策をやってきておりますが、これを一そう拡充強化して参りたいと、こう思っているのでございます。詳細な点につきましては政府委員から申し上げることをお許しいただきたいと思います。

村上茂利労働省職業訓練局長

○説明員(村上茂利君) 中高年令層の離職者対策といたしまして、実効性を上げ得るものとして、職業訓練がその一つにあげられておりますが、先ほど大臣の御答弁がございましたように、特に三十六年度から中高年令層に対しますところの転職訓練の推進ということが非常に強く打ち出されておりまして、労働省におきましては職業訓練審議会がございますが、三十六年の六月、審議会からも中高年令層の職業訓練につきまして答申があったような次第でございます。そのような答申もございましたので、三十七年度におきましては、職業訓練所におきますところの中高年令層の職業訓練の規模を大幅に拡大いたしまして対処していきたいと考えておるわけでございまするが、具体的な数字を申し上げますると、都道府県の設置運営いたしております一般職業訓練所におきましては、全体の訓練人員の中で、二二・四%程度のものをいわゆる転職訓練といたしまして、中年層以上の者に対する訓練を行なっております。それから雇用促進事業団で設置運営いたしております総合職業訓練所におきましては、本年度三八%を目標にいたしまして、転職訓練の充実をはかって参りたいと、かように考えている次第でございますが、何分にも中高年令層の転職訓練につきましては、訓練終了後に就職すべき職場の拡大という問題とあわせまして、どのような期間、どのような職種について訓練するのが適当であるかという点については、なお研究の余地がございまするので、私どもはそういう点についての技術的な研究をさらに深めると同時に、三十八年度におきましては、さらに転職訓練の幅を大幅に拡大していきたい、かように考えておる次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 今のに関連いたしまして、三十八年度の予算については、約三割以上の増加の要求がなされるものと理解していいか。それから同時に、職業訓練に入りましても、家庭の生活、あるいは交通費、あるいは職業訓練の手当が少ないために、職業訓練を受けたいけれども、生活上できないという者がございますが、そういう面についてどのように配慮されているか、その二点を簡潔に御答弁願います。

村上茂利労働省職業訓練局長

○説明員(村上茂利君) 全体の規模といたしましては、目下予算編成中でございまするので、確定的なことは申し上げられませんけれども、少なくとも、御指摘の三割をこえる規模のものは要求をいたしたい、かように考えております。  なお、訓練中のいわゆる生活援護的なものにつきましては、御承知のように、炭鉱離職者につきましては相当整備されて参りましたけれども、そのような例を模範としつつ、できるだけ充実して参りたい。三十八年度の予算要求におきましても、一般転職者につきましても、できるだけ配慮いたしたい、かように考えておる次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 第二点は、失業対策事業の問題でございまするが、大臣に見解を聞きますが、衆議院の予算委員会でも、あるいは社労でも、失対事業については打ち切らぬ、今後検討中であるという答弁でございますから、その点については私はそのように理解いたします。ただ、学者やあるいは知識人、評論家などに頼んでいわゆる調査会というものを作って、その答申を待っているのだと言っておられますが、これは一体どういうことでございましょうか。私は、全日自労といって、今、日雇いの諸君が組合を作って働いておりますが、その諸君が一番これは実態に詳しい。それから、あと都道府県などで失対事業をやっておる諸君、その諸君がその事業について一番詳しいわけです。また、私どもも長い間その問題について論議して参りましたが、私は、この学者や評論家を隠れみのにしてこの失対事業を変更するたてに使うのじゃないかという危惧を持っておるのでありますが、一体どういうメンバーで、どういうことを答申し、かつ、その答申はいつごろそれを出すように期待しておられるか、この点について、まず大臣からの構想なり御見解を聞いて、あと担当官の説明をいただきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) この失業対策事業の改善方策につきましては、こういった事柄を御審議いただきます正式の機関といたしまして雇用審議会があるわけでございます。したがって、本来から申しますと、労働省で一応原案をまとめて、そうして雇用審議会に諮問をして答申をお願いするということにいたすべきものなんでございますが、この問題は、市町村その他事業主体としての関係者もございまするし、また、先ほど御指摘のとおり、全国のたくさんの失対事業の従業者もございます。ことにこれらの人の生活の土台になっておるような問題でございますので、できるだけ各般の事情に即応した公正な妥当な案を得たい、それには専門的な知識経験をお持ちになっておられる方々に一応御意見を伺いたいというのが主眼で、この調査研究の機関ができたような次第なのでございます。したがって、この調査研究機関の答申を待ちまして、労働省といたしましては、これを基礎にして労働省としての案を立てたい、こういうふうに考えておるのでございまして、あくまでも労働省の責任で原案は作成すべきものであり、したがって、ただいま御指摘の学者その他の方々は、これは労働省といたしまして、労働省が案を立てるについて知識経験を拝借したいという趣旨でありまして、あくまでも労働省の責任で案は立てるべきもので、決して隠れみのに使おうというような考えでいたしておるわけではございません。  なお、メンバーにつきましては、政府委員から申し上げます。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) メンバーを申し上げます。  朝日新聞の論説委員の江幡さん、この方は労働問題懇話会の委員でございます。それから大内経雄教授、立教大学でございます。この方は中央職業安定審議会の委員でございます。それから大河内一男さん、この方は東大の教授でございます。この方は、各会から失対改革の問題について、従来いろいろ調査を依頼されている方でございます。近藤文二さん、大阪市大の教授でございます、この方は社会保障制度審議会の委員でございます。それから藤林先生をお頼みいたしましたが、ずっと病気で欠席されております。それから山中篤太郎さん、この方は一橋大学の教授で、雇用審議会の委員でございます。われわれがこういう問題につきましていろいろ先生方にお願いする面につきまして、従来、失業対策につきまして各種の委員会から意見、建議が行なわれておりますが、それをわれわれもできる限り実現すべく今日までやってきたのですが、ここ二、三年来、大臣が言われますとおり、いろいろ失対の改革についての議論がやかましくなりまして、労働省としても本年度やることに決定されたわけでございますが、われわれだけの能力ではなかなか十分な案ができにくいという判断から、こういう従来失対の改革問題についていろいろ御意見なり何かをしていただいた先生の中から選んで、しかも、それぞれ専門的に各部面にわたって検討してもらうということに相なりまして、五月以来、われわれは、まずわれわれの従来の資料を提供し、説明し、それから、それに基づいて現地の実態調査、現地におきましては、もちろん労働組合側からも、それから事業主体側からも、現実に現地でいわゆる作業、監督をやっておる人たちからも、そういう各方面にわたって意見を聞き、なお、東京におきましては、知事会、それから県、市町村会、各方面のそれぞれの団体を代表される方々、従来意見を出されていた方々から種々意見を聞きまして、各方面の総合的な調査研究と申しますか、意見なり実態調査を聞き、また、いろいろの資料に基づいて目下検討を急いでいるわけでございます。で、前の福永大臣がお願いしましたときには、できる限り八月中というふうに申し上げておったところでございますが、現在のところでは、やはり九月中旬ごろになるのじゃないだろうかというふうな見当でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 具体的にはまた次の機会もございますから、大臣お急ぎでありますから、大臣の重点的な問題から質問して参りますが、失対事業、今の日雇い賃金については、衆議院の社労のほうで、賃金の引き上げについても考慮しなければならぬと言っておられますが、大幅に賃金を引き上げる構想で、今、来年度の予算を編成されておると理解いたしますが、大臣、日雇い賃金の引き上げについてはいかがでございますか。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 最近の賃金の値上がりの傾向からみまして、来年度の予算要求にあたりましては、失対事業等の賃金についても、このことを念頭において考えなければならない。こう思っておりますが、具体的にどういう賃金にするかという数字はまだつめておりません。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 それから、失業問題と中高年令層の離職の問題にからみまして、具体的な問題が発生しているのを大臣の耳にお入れしておきたいと思うのですが、福岡県、北海道などで、今、中小炭鉱がどんどんつぶれつつありますが、その借金のために競売をいたしまして次の炭鉱主に売る。そうしますると、一年なり二年なりありました未払い賃金はそのままにして、これが一切御破算になりまして、次の鉱主が買い取って経営するという事態が発生している。未払い賃金の問題は、裁判にいたしましても、抵当権のほうが優先いたしまして、賃金の請求権は第三位くらいに押えてある。したがって、未払い賃金の問題が未解決のまま、どんどん新たな鉱主によって経営されている事態が起こりつつあります。これは人道問題に発展しつつありますが、具体的には担当官から聞きますけれども、しかし、この問題に対して、とっぴでありますから、今すぐはっきりした御見解ということも聞きにくいかと存じますが、非常な重大な問題として発生しつつありますから、大臣の御意見を聞いておきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 炭鉱の賃金不払いの問題がありますことはいろいろ承知をいたしております。一般に賃金の不払いは、企業の経理の立ち直りを待って解決するということが行なわれておるのでございますが、炭鉱等におきましては、むしろ企業自体が存廃の岐路に立っておるような状況でございますので、そういったゆうちょうなことを考えていることもできないことは申すまでもございません。そこで、具体的な問題につきましては、労働基準局等もいろいろタッチいたしまして、できるだけ支払いを促進するようにいたしておるのでございますが、法的な措置といたしましては、残念ながらお触れになったような状況でございます。特に、今後なお石炭山の閉鎖等が相当予定されておるようであり、これにつきましては、事業団の買い入れ等もあるわけでございますが、こうした場合におきましては、少なくとも労働者の退職金等については、これは優先的な債権として取り扱うような法的措置も必要ではないか、こういうふうに考えましてせっかく検討いたしております。また案ができましたらいろいろ御審議いただきたいと思います。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 石炭対策緊急閣僚会議というのが先般開かれまして、石炭緊急対策に対して具体的に討議されておりますのを私はここに持っておりますが、これを見ますと、山主、経営主に対する金融などについては、きめこまかに対策が立てられておりまするが、ただいま申し上げましたような、労働者の未払い賃金とか、労災保険掛金をかけないために、労災の保険すら、医療費すら交付されないという、労働者側の生活安定の問題については、非常に対策が欠けております。したがって、労働大臣は、私がただたまそういうものも心配しながら発言いたしておりますから、ただいま大臣の答弁によりまして、今後検討するということでありますから、山主の融資対策だけでなくて、労働者の生活安定のほうにも、しかも、過去に起こりました労働者の生活安定のほうも緊急対策の中で十分に措置されるように要請しておきたいと思います。

藤田藤太郎日本社会党

○藤田藤太郎君 関連して、僕は、今の労災の関係において、一言だけ聞いておきたい。というのは、私も非常に気の毒だと思ったのだが、生活保護法を受け、失対事業をやっておられる方々のうち、どういう工合に労働省というものは考えておられるのか、私は疑問に思うようになった。というのは、失対事業をやって足をけがして、足の指を一本切った。生活保護をもらっている人が足の指を一本切ってしまって、労災保険から七万円もらった、そうしたら七万円分だけ生活保護で差っ引かれてしまったという事実があるそうです。これは一つの例ですけれども、そういう格好を労働省は黙って見ているのかなあと思って、私は不思議に思ったのだが、どうですか、それを一言お聞きしておきたい。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) そのお話は私は初めてでございます。あとでまた具体的な問題で教えていただきたいと思いますが、私も生活保護の一通りは知っているつもりなんですけれども、そういうことでこれが差っ引かれて、それがどういう根拠かというような問題につきましては、またあとで厚生省に御連絡申し上げて、正確な御返事はしたいと思いますが、どうも私たちから、失対事業を運営している立場から見ましても、あまりにも、いわゆる生活保護の基準が例外なく——若干勤労者控除とか扶養加算制度というものがございますが、それが非常にわれわれから見れば金額が少ないというふうに考えております。できる限り、やはり生活保護を受けておられる方でも、勤労収入またはそれに伴う補償というような問題については、生活保護の基準に入れないような方策を、今後とも厚生省と積極的に連絡して、その幅の拡大に努力していきたいというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 次は、中小企業労働対策について質問いたします。  中小企業労働対策については、労働大臣はいろいろな抱負を持ち、新しい感覚でやろうとすることを私も聞いてうれしいと思います。先般、新聞を読んでおりまして、労働省が中小企業労働対策に対して具体的な策を持っているということを拝見いたしまして、きょう大臣のその中小企業労働対策の中にも、相当言葉を費やしてございますが、これを読んで私ども感じますのは、中小企業に争議が起こるから、この争議を鎮圧するのだ、争議の鎮圧のために、労働省のほうから、いわゆる官僚的に労働組合を編成し、指導していくのだというような思想が流れておるように考えます。今一番悩んでおるのは中小企業の労働者でありまして、私どもも何とかしなければならぬ、特に五人未満の事業所などについては、社会保険すら適用されておらない。一番みじめな立場に置かれているこういう労働者諸君の生活を向上せしめることは私どもの念願でありますが、ここに掲げておる大臣の言葉と、それから、先般から言われておる労働省の中小企業労働対策というものは、官僚的に中小企業の労働者と資本家と——資本家とまでいきませんが、使用者のほうを訓練していくのだ、教育していくのだ、こういう思想が横溢しているように見受けますが、労働大臣は、この中小企業の労働者の生活安定のために、一体どのようにしていかれようとするか。特に、さっき杉山さんがおっしゃいましたように、私は、労働大臣が就任後の発言の中に、労働大臣というのは、資本家を半分喜ばせ、労働者を半分喜ばしたらまあ満点だろうということを言っておられた。私は、半分半分よりも、労働者六分、資本家四分くらいでちょうどいいのじゃないかと思っております。労働大臣、一体中小企業労働対策についてどのような抱負を持っておるか、お聞きしておきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) 中小企業の対策といたしましては、これは中小企業の現状から見まして、労働者の方々にも、また、使用者の方々にも、現在の労働というもの、それと経済並びに生産というものとの関連のほんとうの意味を十分に理解していただくということがまず根本であろうと存じておるのであります。そういう意味で、いろいろな講習等も必要であると思います。特に、最近一般の初任給の引き上げその他に伴いまして、中小企業の賃金というものは、だんだん大企業にさや寄せされつつあるわけでございまして、そういう点からいいましても、中小企業の基盤を強化する。そうして、また、労務管理というものをしっかりしてもらうということが大事だと、こうまあ思っておるわけでございます。したがって、そういった講習、その他指導と申しますか、啓発と申しますか、そういう点にもある程度力を入れるのが当然ではなかろうか。と同時に、中小企業が独力でできない事柄につきまして、あるいは組合その他共同の体制を作らせて、それを通じていろいろ資金を流すことによって労働者に対する福利施設等も順次伸ばしていくようにする必要がある、まあこういうふうにも考えておるわけでございます。いずれにしましても、中小企業は、従来から労働行政といたしましても、まあどちらかというと、ややもすれば忘れられようというようなところにあったわけでございます。これに対して大いに力を入れていきたいというのが私の考えでございます。  なお、労働行政の今後の運営といたしまして、資本家にも半分喜ばれ、労働者にも半分喜ばれと、まあこうおっしゃいましたが、私はなかなか喜んでいただくということは、実際喜んでいただくようなことがあったといたしましても、なかなかその喜んだ顔は人に見せないのが普通でございまするから、まず半分は資本家にもしかられ、また、労働者の側にも半分はしかられ、双方からしかられていくので適当なところが得られるんではないか。少しでも双方に喜ばれるということを主眼にしていきまするというと、なかなか対立した労使の間を公正な労働行政を進めていくということはむずかしいと、こう思います。それに対しまして、ただいま労働者から六分喜ばれるようにしろという仰せでございますが、資本家対労働者の力関係、特に中小企業に関係いたしました場合においては、力関係から申しましても、お示しのような心がまえは全く必要であろう、こう考える次第でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 今の問題をもう少し具体的に聞きますので、担当局長にお尋ねいたしますが、最後に労働大臣にお尋ねしますのは、このILO条約の批准の問題に関連してでございます。今貿易など、経済的には非常に世界的なつながりを持とうという方向にあります。貿易自由化もそうでございましょうし、欧州共同市場もそうでございましょう。ところが、この労働問題に限りましては、孤立化の方向に日本が歩いておるような気がしてならない。この間のILO総会で日本の政府が非難されたということを聞いておりますが、それと別にいたしましても、アジアの地域におきましても、日本の労働者というものが、アジアの労働者から切り離した労働条件が考えられておるような気がしてならぬのでございます。私は、ILO条約八十七号、百五号の批准というものは、そういうような外国の労働者とのつながりという面から考えていかなければならぬ事態ではないか。ことさらに外国の労働条件に目をつぶって、日本は今こういう情勢だから日本の労働者はこうだというようなことで条約の批准を論議してはならぬというふうに考えておりますが、八十七号条約の批准については、今われわれも早急に批准されるように努力いたしておりますが、大臣も努力しておるということを発言されました。百五号の批准についても、あるいはこの間の労働時間短縮の条約につきましても、日本の政府は棄権をいたしておる。このような孤立した政策に対しては、今度の労働大臣はとってもらいたくない。私は、今度就任されました労働大臣にそのことを強くお願いしておきたいと思うのです。経済的な方向では、世界的にもう共同していこうという空気のあるときに、日本の労働省が、労働者の生活条件については孤立化の方向にあることは許せぬ。これは私ども社会労働委員としての見解だし、私どもの願いです。したがって、そういう方向についてのこの大臣の御見解を聞いておきたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) その点は全く同感に存じます。ILO条約につきまして、ことに八十七号もできるだけ早期に解決したいと思っておりますが、百五号条約につきましても、これができますと同時に、日本政府といたしましても会議で賛成をいたしておるようなわけでございますから、できるだけすみやかに批准をするのは、いきさつからいって当然だと思います。ただ、この解釈のいかんによりまして、国内法で手直しを要するものもあると思いますので、その関係上、解釈を確かめておる段階でございます。

杉山善太郎日本社会党

○杉山善太郎君 今のことと直接でない、前段のほうでありますが、小零細企業の福祉面に対して、これを充実するために金融云々というお話がございましたが、これは非常に重要な問題でありますが、今現時点において、何かさしあたり基本的な構想をお持ちでありますか。小零細企業の金融面に対する一つの福祉施設の充実についての金融面を云々ということがございましたが一と申しますのは、たとえば私どもは末端の二重経済構造の中で未組織の労働者に多く接して、いろいろの悲しい願いを訴えられるわけでありますけれども、たとえば今日労働者の自主的な相違性、特異性の中で、もちろん労働省でも過分な御配慮をいただいておりますが、金融面で労働金庫というものがあり、これに基いて相当に成長しておるわけでありますが、したがいまして、客観的にものを見ますと、手近に労働者で金融が相互できるのだから、おれの企業は小零細企業で、事業一家で円満なんだけれども、食堂も作ってやりたい、福祉施設も作ってやりたいのだけれども、ところが近づいてみると、なかなか法のきびしい規制があって、といって、今度は借り入れのほうの相互銀行その他へ行っても、データを出せ、保証はどうなっているのかというようなことで、全然福祉施設も充実してやりたいんだがというような泣き言を聞きますので、どうもしようがない、勉強しよう、研究しょうということで、うまみはあるけれども、口で言うだけで、実が上がらない。今、小零細企業の福祉施設の充実という問題について、一にも二にもやはり金という問題があるので、一つの金融面について基本的な構想があれば御見解を承りたいと思います。

大橋武夫自由民主党労働大臣

○国務大臣(大橋武夫君) この金融の問題につきましては、政府委員からお答え申し上げます。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) 今の雇用促進事業団に二十億の本年度融資財源を持っております。十七億を住宅、三億を福祉施設に使っていく、これの申し込みを締め切りまして、現在百六億程度の申し込みがありまして、それを住宅につきましては、住宅金融公庫で目下審査しております。それから、福祉施設につきましては、今市中銀行と雇用促進事業団のほうで協議しております。いずれできるだけ早い機会にそれを決定して融資を実現したいと思います。融資の条件は、やはり皆中小企業だけに、労働省としては限っておりまして、中高年令者を雇い入れた方の福祉施設や住宅等の融資をやることにしております。年率は政府融資としては最低の六分五厘、十五年間償還ということでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 今、大臣に質問したのに関連いたしまして、局長に質問いたしますが、中小企業労働対策の中で労働省が考えておるのは、中小企業労働団体安定対策という中央協議会ですか、そういうような日経連、日商などの団体を中心に、これから中小企業労働対策を進めていくというような構想のように聞いておるのですが、この中小企業労働対策に対してどういうような構想で進めておるか、お聞きしておきたいと思います。

堀秀夫労働省労政局長

○政府委員(堀秀夫君) 中小企業の対策につきましは、先ほど大臣から御答弁を申し上げましたように、最近の中小企業の紛争議というような面もございまするが、これについては、労使ともに、まだ労働問題について未熟であるというような点が一つの大きな原因になっておることにもかんがみまして、中小企業の労使間において、近代的な考え方に基づきました話し合いというものが十分行なわれるというようなことを基調といたしまして考え方を立てまして、対策を積極的に進めていきたいと思っているわけでございます。それと中小企業の労働者の福祉、これにつきまして、融資その他あらゆる面を通じまして援助策を考えるということでございます。最近経営団体の間におきまして、中小企業の労使関係安定対策協議会というものができたことは聞いておりますけれども、私どもといたしましては、その協議会を体して、それを中心にして援助をしていくというような考え方は毛頭持っておりません。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 今のに関連して、労働相談員を百五十七人全国で作るといような構想を持っておるようだが、これは今あるのですか。

堀秀夫労働省労政局長

○政府委員(堀秀夫君) 労働相談員と申しますのは、先ほど申し上げましたような考え方から、労使双方に対して、公正な立場から、いろいろ御相談があったときに、十分御相談に応じていくという考え方で、すでに設置しております。現在全国で百五十七人あるわけでございます。このように、これは第三者として、中小企業の労働問題等について見識を持っておられる方々を御委嘱しておるわけでございます。この方方がさらに積極的な御相談ができるように、いろいろな資金等も充実して参りたい、このように考えておるわけでございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 中小企業労働対策については、もう少し予算案ができつつあるころもう一回論議しましょう。これは私はさっき大臣に言いましたように、あなた方政府で、極端な言葉で言うと、御用組合を作るような構想のような気がしてならないので、自主的に労使が話し合っていくような態勢というものがなかなできないような気がするから、もう少しあとでこれは論議いたしましょう。  基準局長がおられるから、さっき言いました炭鉱の閉山後の労働者の取り扱いについて、裁判をやりますと、未払い賃金というのは優先しないわけですね。そういうことで、失業者がそのまま仕事がない、未払い賃金も取れない、そういう情勢で、もうそのままほったらかしてある。したがって、できれば失業保険だけでも延長してもらいたい。これはもう一年ぐらいたちまして、ほとんど切れておるから、できれば失業保険だけでも延長してもらいたいということであるが、この閉山後の労働者の生活について、一体どういう構想を持っておるか、具体的に御説明願いたいと思います。

大島靖労働省労働基準局長

○政府委員(大島靖君) ただいま小柳先生御指摘の石炭労働者の問題、その中で、賃金不払いの問題につきまして、先ほど大臣から御説明申し上げたところに、なお若干補足して申し上げますと、一般の賃金不払いと非常に様相を異にいたしておりまして、事態も深刻でありますし、また、解決も困難だと、私ども現在までこの石炭、ことに石炭の中小企業の賃金不払い、退職金が非常に大きい問題ですが、これをいかに確保するかということにつきまして、通産省ともいろいろ話しているわけでございます。現在までに措置いたしましたものといたしましては、御承知のとおり、石炭合理化臨時措置法によりまして買収されるものにつきましては、競売の代金の限度まで優先債権が先取りいたすわけでございます。交付金の交付にあたりましては、その百分の七十の部分につきましては、賃金と鉱害債務、これに優先して充当している。ことに百分の七十の中でも、その中の百分の二十は、賃金に優先して支払ってしまう、こういう措置をとっている。  それから、石炭鉱山保安の臨時措置法、これは保安の見地から廃山勧告がありまして、これに対して交付金を交付するといった場合につきましては、百分の三十につきまして、これはまず賃金、残った百分の七十につきましては、賃金と鉱害債務、これを按分する、こういうふうな措置を現在まで通産省といろいろ折衝いたしましてやっているわけでございます。また、措置の適用の結果につきまして詳細記憶いたしておりませんが、たとえば鉱山保安の臨時措置法によるものにつきましては、大体十山くらい適用がございました。その中で賃金不払いがございましたのが約五山で、そのうちの四山は百分の三十で賃金不払いが解決いたしております、残りの一山は、たしか百分の三十で解決しなくて、鉱害債務との競合の問題で、鉱害債務のほうがまだ確定いたしませんので未解決ですが、そういう措置を講じているのでありますが、いずにいたしましても、結局は、その詰まるところ、その資産があるかないかという問題です。したがって、そういった点につきまして、これが最終的な強制執行の段階になりまして、法的な形になりますと非常にむずかしい問題になってくる。たとえば金融機関にいたしましても、それをどうこうするということは、一種の背任の問題ということになるわけでございます。そういった点で非常にむずかしいので、私どもとしては、できるだけ早期に中小炭鉱の賃金不払いを把握いたしまして、これを困難な問題であるけれども、なしくずしにでもだんだんに支払われるような賃金不払い解消計画、支払い計画を経営者に立ててもらって、これをなしくずしにでも少しずつでも払ってもらう、こういう努力を続けたいと考えております。先国会においても、小柳先生から、この問題について、特に事例をあげての御指摘がありまして、私どもも、その後ただいま申しましたような努力を通産省当局とも話し合っていたしおります。今後ともさらに努力いたして参りたいと思います。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) 失業保険の関係につきまして、ことに離職された方の生活問題につきまして、ことに石炭の合理化のための失業対策につきましては、目下調査会のほうで小委員会を設けて検討中でございまして、その結論によりますれば、従来とっておりました措置よりさらに強力な勧告が出ることと思っております。現在の失業保険につきましては、一般の給付に、さらに石炭離職地で失業率が高い所につきましては、三カ月給付を延長いたしております。  それから、先ほど訓練局長からお答えいたしましたように、鉱山に働いておられて、今度は転職しようとすると、やはり職業訓練が必要なわけでございますが、これについて、先ほどの失業保険に、さらに別居手当、技能修得手当をつけて本年度から実施いたしておりますが、昨年より本年は職業訓練については相当成績が上がっております。それで、現在のところ、われわれのほうといたしましては、その離職者をでき得る限り早く広域職業紹介の線に乗せて、新しい職を見出して、新しい生活をできるだけ早く築いていただこうというところに主眼を置いております。産炭地振興の問題もありますけれども、やはりこれは相当膨大な資金と、やはり相当な長い期間のおぜん立てが要るわけであります。もちろん調査団で産炭地振興の問題も相当議論されておりますけれども、雇用の実効性、離職者に対する実効性ということから見れば、われわれは失業保険の給付期間中に、でき得る限り新しい職場を見つけてあげて、新しい生活をしていただく、これに今後とも全力を費していきたいというふうに考えております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 今の三カ月というのは、それはどの法律からの適用ですか。以前に、たとえば一年前にこの山が次の抵当で押えられて、次の山主に買収せられて営業している山でも適用できるのか、今度炭鉱臨時措置法の適用山だけであるのか、いずれですか、三カ月間延長というのは。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) これは失業保険法で、それぞれ失業率が高い地域に、政令で指定することによって給付を三カ月延ばすことができるようにしております。現在筑豊地区と長崎地区で、合計八安定所管内で施行しております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 それは地域指定ですか。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) 地域指定でございます。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 年度は限らないでですか。

三治重信労働省職業安定局長

○政府委員(三治重信君) 年度は、各本人の受給を、それぞれ各人について平等に九十日延ばすというふうになっております。したがって、十五年勤続しておった方は、二百七十日プラス九十日ですから、最高は一年まで、こういうふうな処置になっております。

小柳勇日本社会党

○小柳勇君 あとでまた具体的に検討してみましょう。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 午前中の質疑はこれにとどめ、午後は一時二十分より開会をいたします。  暫時休憩をいたします。    午後零時十四分休憩    ————・————    午後一時三十三分開会

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) ただいまより再開いたします。  委員の変更についてお知らせをいたします。  本日、柳岡秋夫君及び藤原道子君が委員を辞任せられまして、その補欠に武内五郎君及び亀田得治君が選任せられました。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 午前中に引き続いて、質疑の通告がございますので、順次御発言願います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 私は、この際、国税庁における労働組合の問題に関して、長官に御質問をいたしたい思います。いろいろ具体的な問題がたくさんあるわけですが、その具体的な問題に入る前に、基本的な態度についてひとつお伺いしたと思います。  それは、国税庁では、御承知のように、全国税という労働組合があったわけですが、それに対して第二組合的なものがいろいろ生まれておるわけであります。こういう組合に対して、国税庁としてはどういう基本的な態度を持っておるのか。たとえば第二組合が育つように考えておるのか、あるいはそういう点は全く組合独自の問題であって、自分ほのうは白紙だというのか、そこら辺の基本的な考え方をまず明らかにしていただきたい。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 従来、国税庁が、職員団体、職員組合に対してとっております態度は、それは相当数ございますが、それがいかなる組合でありましょうと、職場内の秩序を維持するという観点から見まして問題がない。言いかえれば、国家公務員法に規定されております職員の勤務条件に関しまして、当局側と交渉をするという、使命と申しますか、に終始しております限りにおきましては、たとえそれがどういう組合でございましょうと、われわれとしては特別の方針といようなものは持っておりません。したがいまして、第二組合だからどう、あるいは全国税だからどうというような点については、特別関心を持っておる、何かこれに対して指示を与える、あるいは指示をしないという方針はとっておりません。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そうすると、労働組合自体につきましは、えこひいきをしたり、一方的なことはしないというふうな態度のようでありますが、そういたしますと、たとえば署長あるいは総務課長ですね、これは職制の中でも、組合員にはなり得ないということの明確なポストでありますが、そういう署長なり総務課長などが、組合員に対して、その組合をやめたらどうかといったようなことを勧める、こういうことはどういうふうにお考えになりますか。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) ただいま御指摘がございましたように、税務署の署長、総務課長は、これは組合員たる資格のない、当初から除外をされておる職制に属しております。したがって、こういう地位のものが、直接組合員に組合から脱退したらどうかというようなことを申しますのは、これは不穏当なことだと思います。ただ、従来の組合の動きを見て参りますというと、それが正規の組合運動の範囲を逸脱いたしまして、かなり過去において暴力的な事件、あるいは反税闘争等が行なわれておる場合、したがって、それによって職場の秩序が撹乱されておる場合がございますので、そういう点について署長が組合への加入、あるいは脱退という問題でなく、職場の秩序を維持するという面からのいろいろな発言、行動を起こしておる事実がございますが、これはわれわれとして、管理者たる立場におる者が当然なさなければならぬ仕事だと思っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 原則的には、署長なり、そういう総務課長などが組合脱退の勧奨などをするのはよくない、それはお認めになっているわけですが、ただ、例外的に、今言われたようなもめごと等があった場合に、管理者の立場として一つの意見を述べるということはあり得るというふうにおっしゃったわけですが、その問題は具体的な一つ一つのケースについて論議しなければならぬわけですが、これは組合の問題とは別個なわけでして、おっしゃるようなことがほんとうにあったとすれば、それはそのことを組合の問題とは切り離して問題にしていくということは、非常な行き過ぎな問題があれば当然かもしれない。しかし、そういうことは何も組合員だけじゃないわけでして、これは職制側にだってあるわけです。職制側の不穏当な行動というのは、現われ方は違いますが、たとえば、これは何かの機会に一度お聞きしたいと思っているのですが、きょう泉次長は来ておりますか。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) ちょっと欠席しております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 泉次長が、昭和三十三年だったと思いますが、約四億に上るところのビール税の脱税をむしろ慫慂したことがあったわけなんです。こんなことこそ、これはもう国税庁としては大問題なんです。だから、そういうことはいろいろあるわけでして、これはまた別個に私は機会をみつけてお聞きしたいと思いますが、原則としては、長官が最初お答えになったとおりと私も思います。そういうふうな気持でずっと全般にやってもらっておればたいして問題は起こらぬはずなんです。  そこで、もう一つお聞きしておきますが、署長なり、あるいは総務課長でない、何といいますか、職制——徴収課長とか直程課長とか、そんなような人、あるいは間税課長なり、あるいは係長とか、こういう諸君は現在の規定では組合員になり得る資格は持っているわけですね。そこで、こういう人たちが第一組合をやめたらどうか、第二組合を作ったらどうかということを言う問題は、背後においてそこの署長と連絡をとってやっているということになれば、これは代弁者になりますから、けしからぬ、さっきの理論から当然必然的に出てくることなんだが、そうではなしに、よく私たち弁解として聞くとは、決して署長の代弁としてそういう職制が動いているのじゃなしに、自分たちも組合員の資格があるのだから、そういう立場で動いているのだ、勧めたりしているのだ、こういうことをよく言われることがあるのです。それも、組合員の自主的な判断であれば、一応の理屈のあるところもありますが、ただ、少なくとも勤務時間中に、あるいは何かの仕事と関連さしてそういう動きをするということは、これは私はいかぬと思うのです。国税庁は、特に勤務時間とか、そういうことをやかましく最近はおっしゃるわけですが、その点はどうですか。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) ただいま亀田委員から御指摘がありましたように、署長、総務課長以外の職制、いわゆる現に組合員であるか、あるいは組合員ではないけれども、組合員たる資格を自分の自由意思によって持ち得る立場にございますこういう職制、そういう人たちの組合に関する言動でございましても、それが署長なり、あるいは総務課長のような、そういう管理者側にはっきり立っておる者の指示を受けて行なっておるという場合におきましては、これは当初申し上げましたように、まことに不穏当なことでございます。しかしながら、かりに自己の自由意思に基づいて行動をいたしております場合におきましても、それが全く税務行政上の行為、いわゆる職場に関連する行為から離れて、単に組合員だけの問題を取り上げております場合におきましては、これは執務時間中としては、やはりまことに不適当と申しますか、むしろそういうことをしてはいけないということは申すまでもないことでございます。また、仕事に関連をして、たとえば自分の部下であります者に対して、何かそういうことをしたならばこういういいことをしてやるとか、そういうことをしたならばこういう悪いことがあるとか、そういうようなこと、要するに、自分の身分上、あるいは勤務上の問題に関連してそういうことを取り上げるということも、やはり非常に不穏当な行動といわざるを得ないと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 理論としては、長官はなかなか筋の通ったふうにお答えになっているわけですが、ところが、それに反する事実がたくさん出てきておるわけなんです。これは後ほど一つ一つ例をあげて申し上げますが、もしそういう反するような事実がある場合には、長官としてはどうなさいますか。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) これはすでに御承知のとおり、国家公務員法におきましては、労働組合法七条に規定いたしますような不当労働行為というものについての規定がございません。したがって、また、それに対する制裁の規定というようなものもございません。しかしながら、国家公務法におきましては、職員が組合を結成する権利、また、結成した組合が当局側と交渉をいたす権利、これは確保されておりますので、そういう趣旨から見ますというと、条理上、当然不当に干渉するということは穏やかでない、不穏当な行為と思います。したがって今かりに管理者側にあります職員がそういう不穏当な行為に出た場合があるといたしますならば、これはやはり監督者たる私が厳重に注意をいたすということに相なろうかと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これは注意の程度でいい場合もあるでしょうし、注意だけでは済まされぬそういううっかりちょっと手出しをしたというようなのは、それは注意すればいいでしょうが、そうでない、計画的にあくどいことをやっておるといったようなことにつきましては、これはやはり注意の程度ではいかんわけでして、注意の程度で済むというような印象を与えたのでは、あくどくやっている諸君は続けていきますよ。こういうものはあくどくやられれば、必ず職場というものは混乱してくるわけなんです。これは結果においては皆さんがしょっちゅう言われる国税庁全体としての事務能率なり、そういうものにもやはり大きく響いてくるわけなんです。だから、あくどいものについては、そんな注意どころじゃないわけでして、もっと強い態度というものが要るのじゃないか。具体例にまだ入らぬ先に、あまり抽象論だけで申し上げると、うっかり長官としては言い過ぎて、あとからとり返しのつかぬことになっても困ると思って、遠慮してそこら辺は言っているかもしれぬが、あくどいやつは注意程度じゃだめですよ。あくどくない人は、注意すればまた聞くのだ、ああそうだったのかと。よく知ってやっておるあくどいのなんかは、そんなものじゃとても聞くものじゃない。そういうのが出てきた場合でも、ただ注意して済ますのですか。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) どういう事例か、具体的な場合に一々事情をよく調べないとわかりませんが、しかしながら、注意をする以上に、たとえば国家公務員法上の処分、いわゆる懲戒処分をするというような場合につきましては、おのおの公務員法の規定に条件がございまして、先ほども申し上げましたように、不当労働行為そのものを禁止した規定、いわゆる労働法のような規定は国家公務員法にはございません。したがって、それに対する処罰規定もございませんので、こういう案件について懲戒処分まで行なうということは、われわれとして考えたことはございません。  それから、もう一つ御了解いただきたいことは、冒頭に申し上げましたように、職場秩序の維持ということと、団体としての組合の動きというものが過去におきましては相当密接に関連しておった事実がございますので、そういう面から、税務署における秩序の維持、税務行政の執行を義務づけられております署長なり、あるいは総務課長の立場として、組合の違法活動と申しますか、行き過ぎた動きに対する警告なり、あるいは注意なりということは、当然行なう場合もあります。したがって、これが組合の結成、組織の基本そのものに関する介入であったか、あるいはその行動の行き過ぎに対する警告であったかということは、非常に場合々々に具体的に調査しなければならぬ非常にむずかしい場面があるということを御了解いただきたいと思います。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 従来、組合活動が行き過ぎたとかいったようなことで、ずいぶん懲戒になっている人がいるわけなんです。ところが、今度は組合のほうが権利を侵害されるという問題が起きた場合に、現行法上では、公労協の場合でありますと、まだ労働組合法を準用して公共企業体の労働委員会等に持ち込む道等があるわけなんです。国家公務員の場合にはないわけなんです。したがって、それだけに、今度は管理者であるあなたのほうがそこを十分考慮して処置していく。組合員だけ何か行き過ぎたといって、まあ免職なり、もうだいぶ出ているわけですね。停職、戒告なんというのはずいぶん多いわけです。だから、やはり懲戒の対象にすべきだと私は思う。国家公務員法の懲戒の規定八十二条にあるわけですが、ここにもちゃんと書いてあるわけですね。「この法律又は人事院規則に違反した場合」、「この法律」という言葉の意味が多少問題になるかもしれませんが、たとえば公務員法の九十八条では、先ほどあなたが御指摘のとおり、団結権なり交渉権というものは保障され、そうしてまた同時に不平等取り扱いの禁止規定も入っておるわけなんです。私は、こんなことは条文に書いてあってもなくても、現在の何といいますか、団体を認める以上は、これは当然なことでありまして、不平等扱いを認めるというなら、そんなものは、団体を認めたことの意義というものは半分以上抹殺されるわけです。だから、幸い不平等扱いの禁止というものが国家公務員法にも書いてあるわけです。したがって、いろいろなケースがあるわけですが、ものによりましては、やはりこういう条項に直接触れてくるわけなんです。あるいは八十二条の第二項を見ましても、「職務上の義務に違反し、又は職務を怠った場合」こういうことが書いてあるんです。これなども、たとえば勤務時間中に相当長時間にわたって、そういうこっちの組合を抜けてこっちの組合へ行けとか、こんなことをやれば、これは真正面からこれに当たってくるわけですね。だから私は、今までは、なるほどそういうことで懲戒の対象ということは考えなかったかもしらぬが、そのことがやはり間違いなわけでして、それを救えるのはここしかないわけなんです。現行法の体制のもとでは。だから、これは十分研究してもらいたいと思うんです。私は、勤務時間中にちょっと廊下を通るついでに言うたといったようなのは、それがどれほど職務に影響するかということは、これは問題でしょう。だから、そういう非常識なことまで言うわけじゃない。そうじゃなしに、相当念の入っているのがあるわけなんです。こういうのが具体的に現われてきた場合には、私は当然八十二条の対象になってしかるべきだと思う。どうですか。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 御承知のように、国家公務員法におきましては、公共企業体関係の職員のようないわゆる規定はございませんが、しかしながら、組合の問題に関連して、管理者側で特定の職員に対して不利益な処分を与えたという場合におきましては、人事院に対して不利益処分に対する審査の請求が出せるということに相なっております。また、当局側が不当な行政措置を行なった、たとえば組合運動に関連して不当な行政措置を行なったという場合におきましては、人事院に対して行政措置の要求を提出することができるように相なっております。したがって、組合側といたしましては、おのずから審査の請求、あるいは行政措置要求というものによって救済をはかる手段があるというふうに考えております。一方、懲戒ということになりますというと、これはやはり国家公務員法上のいわゆる懲戒の条件に該当しておらない限り、任命権者としてこれを懲戒に付するということは、これはちょっと行き過ぎではないかというふうにわれわれとしては考えております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 なるほど人事院規則によって、人事院に対して御指摘のような要求等は出せるわけですが、私が今申し上げておるのは、人事院では、そういう不当な行為がもし事実とすればやめさせるということですわね、結論として出てくるのは。そういうことの一つの意見として出てくるだけなんです。ところが、なかなか執拗にやる人は、そんな程度のものはたいして問題にしないわけです。また、その結論が出るにも時間がかかるわけです、実際問題として。しかし、事態はどんどん進んでいく。で、事実調査をやって結論が出たって、ただそれは一種の勧告的なものになってしまう。そうじゃなしに、明らかに国家公務員として勤務時間をサボってそういうことをやったようなものがはっきりした場合には、ちゃんと八十二条に該当するわけですから、どれもこれも取り上げてくれというわけじゃない、該当したものを取り上げてくれというわけなんです。そういう意味ですよ。該当しても取り上げぬというのは、これはまたおかしいですね。該当すれば取り上げてもいいじゃないですか。たとえば人事院規則でそういう道があるなしにかかわらず、取り上げていいわけでしょう。人事院規則のコースをたどってこなければ、この八十二条にかけられないという問題じゃないんです、趣旨が違うわけですから。私たちのほうは、そういう不当なことをやる職制に対しては、直ちに処分をしてくれ、このことを当局に求めたい、そういう気持なわけなんです。希望の中身が違うわけですね。その点どうですか。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) そういう行動が、国家公務員法に明文をもって——先ほど申し上げましたように、それは精神として、当然条理上尊重すべきではございますけれども、明文でもってそういう行動を禁止し、あるいはそれに対する制裁規定も設けておりませんので、懲戒の場合の、「この法律又は人事院規則に違反した場合」といえるかどうか。その点については、私はむしろこういう条項には該当しないんじゃないかという考えを持っております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 これはちょっとおかしいわけでしてね。そうしますと、国家公務員の場合に、職制がどんな不当労働行為をやりましても、結局人事院規則までであって、あとはもう野放しと、こういうことになるわけでして、非常に具体的に執拗にやられた不当労働行為があっても、八十二条の懲戒の範囲の中には入らないと、そういう解釈ができるのかどうか。これは非常に重要な問題でありまして、これは単に国税の場合だけじゃなしに、ほかの官庁の労働組合の場合でも重要な関係がありますから、これは私と長官だけの意見のやりとりに終わらせないで、委員会として、この点はもう少し掘り下げて御検討をひとつ委員長にお願いしておきます。  そこで、具体的な問題に移りたいと思います。大体の理論としての輪郭は先ほど来わかりましたが、せんだって私が、この八月十日ですか、新潟県の小千谷の税務署ですね、ここに調査に参ったわけです。で、いろいろな不当労働行為の資料が私たちに報告されておるわけですが、資料だけで御質問申し上げるのもいけないと思いまして、具体的にどこか一、二個所でも実際に当たってみたい、こういうことで調査に行ったわけです。その際、当局側並びにこの不当労働行為の働きかけを受けた組合員の方々にもいろいろお会いしたわけですが、組合員の皆さんから訴えられた項目についてまず申し上げてみたいと思うのです。おそらくあなたのほうでもすでに御調査なさっておるのだろうと思いますから、私が申し上げたことに対して、そういう事実があるのかないのか、お答えを願いたいと思います。  で、第一は、今年の五月二十五日午前十時三十分ごろですが、厚生委員会が終わったあと、小千谷の署長ですね、当時の署長は佐藤ですね。現在はこの人はどこか群馬県のほうにかわっておりますが、佐藤前署長が、渡辺勇という人に話があるということを言われまして、そこで総務課長の丸田という人を同道して、署長室に入っていろいろ話をしたようです。そのとき佐藤前署長が、全国税はつぶさなければ体質改善ができない、そういう話をされた。また、丸田総務課長は、六月二日の大会で全国税の小千谷分会を解散して、そうして新しい組合を作ってはどうか、こういうことを渡辺勇という者に対して勧誘をしておるわけなんです。これが第一の事実。これはまあ結局署長、総務課長という当局側が署長室に呼んで、はっきりと組合を解散せいという勧誘をした問題です。  それから第二は、五月の二十二日か二十三日に、小千谷税務署の二階に土蔵がありますが、その土蔵に、組合員の亀井正直という人が、間税課長の本間という人から呼ばれまして、九時ごろから十時半ごろまで、ずいぶん長い間説得をされた。この説得の内容は、自分たちが新しい組合を作ろうとしているのは君も知っているだろう。で、全国税は、経済闘争をやらないで、政治闘争ばかりしている、われわれの趣旨に賛成して新しい組合に入ってくれ、こういう説得勧誘を亀井に対してなしておるわけなんです。これは、なるほど組合員の資格を持っておる課長でありますが、しかしながら、勤務時間中であるということは、これはもう明確なんです。  それから次は、組合員の長谷川仁一という人に関する問題ですが、五月の十日ごろ、直税課長の風間という人から、勤務時間中に税務署の日本間に呼ばれて、次のようなことを言われた。すなわち、君は長い間休んで出勤したばかりで、組合役員もあまり知らないから、全国税を脱退したらどうか、全国税は過激だからと、こういうふうな勧誘をされております。  それから次は、組合員の伊藤誠一ですね。この人が五月二十四日に税務署の二階の事務室で、勤務時間中に、元の徴収課長の新という課長が、「全国税脱退理由の明示」という、そういう文書を印刷して、そして同じ勤務時間中の午前十時ごろに全員に配って歩いた。そこで、伊藤という人は、その当時組合の副分会長をしていたので、そういうものを一体勤務時間中に配っていいのかといったようなことで議論をしておるわけなんです。そういう事実。  それから第五番目には、吉川仁という人、これも組合員ですが、五月二十日ごろ、一階の会議室で、これは昼休み中のようですが、直税課長に呼ばれまして、全国税を脱退しないという署名簿が回っても、将来のことをよく考えて行動せよと、そういうことを言われておるわけですね。これは何か全国税をつぶそうというような動きがあったので、脱退をしないというような署名をとって歩くといったような運動があったんだろうと思うのですが、そういうことに対する反対の立場からの注意があったわけですね。そのときに、吉川君がそういう勧誘を受けておるときに、中野という組合員が通りかかったが、その中野君も直税課長から呼び込まれて同じような話をされた。ただし、これは昼休み中のことでありますから、若干事情は軽くなるかもしれませんが、しかし、一連の署長以下の行動を見ますると、やはり署長と連絡の上でやられておるというふうに私たちとしては感ずるわけでして、そういう意味で、これも不当だというふうに考えておるわけす。  それから第六は、組合員の名前は小杉貞治、八月六日に事務打ち合わせがありまして、その際に、白井という管理納貯係長、その人がその事務打合会の席上で幹部会の話をいろいろしまして、結論として、ほかの署に比べると、小千谷は第二組合が活発でない、だから、もっと入ってもらわないと困ると、そういう趣旨の話をその事務打合会の席上で始めたわけなんです。そこでその事務打合会の席上におりました小杉貞治という人が、仕事中にそういう話をしていいのかということで追及をその際した、追及をしたところがやめた、まあこういうことに相なっておるわけです。  それから次は、阿倍悦子という人ですが、これは電話の交換手ですが、風間直税課長が、多い日には一日に二回も三回も交換室に入ってこられて、そうして全国税を脱退せよといって、婦人の脱退届をまとめるようにしてくれ、そういう勧誘を勤務時間中に受けているわけです。  それから次には、本田勝ですね、五月の二十五日ごろですが、小千谷税務署の日本間で総務の研修会があったわけですが、その席上で総務課長の丸田氏が、全国税は共産党が多い、総務係だけでも脱退してはどうか、脱退届は佐藤兄一、これは第二組合の役員の人ですが、佐藤兄一がまとめるからと、こういう計をそういう研修会の席上でされているわけです。  次は、瀬沼みつですね、この人も、五月の下旬に風間直税課長から、全国税を脱退したらどうかというふうに勤務時間中に話しかけられたが、そんな話を聞く耳はないということでとりあわなかった、こういうことが起きているわけです。  それから最後に、内山静太郎という人ですが、五月の半ばごろ、小使室に丸田総務課長がやってきまして、全国税を脱退せよ、新しい組合に入ったらどうか、そういうことをいわれたわけです。ところが、内山君が、労働金庫からお金を借りているのだ、こういうことをいいましたところが、そんなものはほかから借りて、そうして労金へ返したらいいじゃないか、そういうふうにして脱退すればいいというふうな勧誘を受けているわけです。  そこで、以上私が申し上げました数々の事例は、これは全部事前に知ろうとすればできたわけですが、ぜひ本人たちに直接念を押して聞いてみたいということで確かめた。これは結果です、全部。本人たちは、どこの場所でどういう時間にということは、はっきり私たちに申しているわけでありまして、決してそんなことは作りごとなどで言えるような状況ではなかったわけでして、私は、おそらくこんなたくさんのものが出てくるわけですから、大体こういうことがあったものと思うわけです。ただ、この中でも、小杉貞治に関する部分ですね、白井管理納貯係長が発言したということ、これは白井係長もわれわれにそういうことを言ったことを認めました。だから、この事実だけは、少なくとも双方が意見が一致しているわけです。はっきりしているわけです。  それから、そのほかの点につきましては、総務課長は言を左右にして明確なことをこれは言いません。しかしながら、当日私たちは、総務課長にいろいろなことを関連したことを聞いたわけでございますが、答弁がはなはだあいまいなだけじゃなしに、ちぐはぐなんですね。しかも、筋が通らない、そういったような答えがたくさん出ているわけです。それは直接関係がないことですから、まあそこまでこまかいことは、記録はしてありますが、申し上げませんが、したがいまして、総務課長などの言は信用ができない。それから、そのほかの課長ですね、直税課長なりそういう諸君は、休憩時間になりますと、さっそくどっかへ出かけてしまいまして、そうして帰って来ない。また、間税課長の本間君などもいろんなことをやっておるわけですが、これも出張ということで、事前にどっかに出されておる。こういうことで、実際にそういう働きかけをしたという諸君の直接の調べというものは十分にはできておらないわけなんです。しかし、私たちがこういう調べをした経験からいいましても、そんなにでたらめなことをこういうことではなかなか言えるものではないわけでして、この小千谷における不当労働行為というものは、これはきわめて明確だというような印象を持って帰っているわけなんです。そこで、あなたのほうも、私たちが調査に行ったときは、若干筆記などもされていたようでありまして、その後お調べになっておると思いますが、どういうふうにあなたのほうの見解はなっておるのか、ここでお聞かせを願いたいと思う。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 問題がはなはだ具体的な問題でございますので、ただいま御指摘になりましたいろいろな問題のうち、大部分は私のほうも報告を受けておりますが、中には報告を受けておらない部分もございますので、御了承をお願いしたいと思います。私が報告を受けました範囲においてお答えをいたしたいと存じます。  まず第一の、署長の問題でございますが、たしか五月二十五日の十時半というふうにただいま御指摘になったように記憶いたしましたが、私の受けておる報告では、五月の二十四日の五時ごろと受けております。署長は、五月の二十五日の午後から二十八日一ぱいまで、痔の手術のために休んで休暇を取っております。おそらく二十四日の五時ごろにこの職員組合の分会長が署長と話をしたという、その問題だろうと思います。したがって、その二十四日の五時から五時半ごろまでのことと前提いたしましてお答えをいたしたいと思います。当時、五月の二十四日の五時ごろに、分会長から署長に面会の申し出があったわけでございますが、そのときにオルグが来る予定になっておるという話を署長が聞いておりまして、それで組合が過激な行動に出ないように注意をいたした。それから身上申告書というものを税務署で各職員から出してもらっておりますが、これの提出期限が四月の四日に相なっております。その四月の四日を過ぎましても、五十人のうちで、二十五人が身上申告書の提出をしておらなかったという問題につきまして、これを出してもらいたい、こういうことを話しております。ちょっと今の発言、間違っておりましたので、訂正さしていただきます。四月の四日が期限になっておりましたのに、それを期限を過ぎたということについて文句を言った、こういうことが実相のようでございます。それに関連して、こういう職務命令に基づく書類の提出を怠るというような組合の指令はけしからんじゃないか、分会としてもう少し自主性を持つべきじゃないかという趣旨の発言をいたしておるという報告を受け取っております。  それから、間税課長が、五月の二十三日から二十四日にわたって、部下の職員を呼び出して、執務時間中に組合を脱退しろというような説得工作を行なったという趣旨の御質問がございましたが、これにつきましては、ただいま申し上げましたような身上申告書の提出が四月四日になっておりまして、それに対して、まあこれは内々の話し合いだろうと思いますが、係員五名は全員が期限内に提出しますというような内々の話し合いが間税課長との間であったようでございます。しかしながら、事実はその約束と違いまして、四月四日の提出は拒否されたという問題について、職員の三人を一人々々書庫に呼び出しまして、この問題に関連して係員の気持を聞き、かつ、反省を促し、職務体制を確立する必要があるという趣旨の発言をいたしております。また、違法な組合の指令に従うということはいかんじゃないかという趣旨の発言をいたしておる事実がございます。  それから三番目の、直税課長の問題は、実は私たちのほうは報告を受けておりませんので、ここではっきりしたことをお答え申し上げられません。もし必要がございますれば、この問題については後刻報告を受けたいと思っております。  それから、五月二十四日の徴収課長の問題でございますが、徴収課長の新君は、元、全国税の相当の活動家でございまして、これがちょっと日にちは忘れましたが、全国税を脱退をいたしております。その脱退の際に声明書を書きまして、そうして自分が脱退するに至った理由と申しますか、心境の変化というものをその声明書の中に書いておるわけでございます。これは五月の二十五日の五時過ぎ、自分で購入した原紙を使いまして、自分の席でガリ版を切った、そうして配付は三十日の昼休みに自分で各人の机に配付をしたということの報告を受けております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 二十五日に印刷して三十日に配付ですか。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 二十五日にガリを切って、そして三十日に配付をいたしております。  それから、五月二十日ごろに、直税課長が吉川君に、昼休み中に脱退を慫慂したという点につきましては、私は報告を受けておりませんので、これも具体的に報告を受けて御報告をいたしたいと思います。  それからその次の、八月六日に、管理納貯係長が小杉君に脱退の慫慂をいたしたという事件でございますが、これは管理納貯係長が、打ち合わせ会の際に、雑談として組合の現状に触れ、新組合に入らないかという話をしたのは事実のようでございます。ただ、これは自己の発意でもってそういう勧め方を行なったという報告を受けております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 委員長、ちょっと……。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) では速記を起こして。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 今、若干お答えになったわけですが、抜けておる問題もありますから、それもひとつ整理していただきまして、正確に御答弁を文書によってお願いしたいと思います。  ただいまのお答え自身から考えましても、こちらが指摘した日に、やはりそれに近いような話し合いがされているのだろうというふうなことが推測されるわけですね。中身のちょっと大事なところを長官は省いておっしゃっている。長官のおっしゃったあとに私が指摘したような言葉が続くわけですから、両方合わせると一本きちんと真相がはっきりするわけですが、日時等、それは私がそんなメモなどを組合員の人が持たないで聞いたわけですから、若干日時の間違い等はあるかもしれませんが、だからといって、大体そんな荒唐無稽なことじゃなしに、それに近い事実というのは想像されると思うのです。しかし、これはあらためて長官からの文書によるお答えがあったのちに、ひとつ、一体どちらがほんとうなのかということの究明を願いたいと思います。  そこで、時間の関係上、次に移ります。次に、不当労働行為として考えられるものがまだ相当たくさんあるわけですが、これもずっと並べて申し上げますから、これに対しまして、ひとつ文書で正確なお答えを願います。  その第一は、五月四日付で、仙台国税局が、極秘の通達として管内の各署長に対して流したものです。この通達の中身は、「最近の傾向として役付職員が、全国税を脱退し、又は加入するなどの現象がおきているが、この原因を把握するため必要でもあり、且つ五月二十二・三両日の署長会議の資料とするから、控えをとらず同会議に携行すること。」こういう前書きのもとに、次のような七つの項目についての調査を命じているわけなんです。  調査事項というのは、一、「全国税に加入している役付職員の名簿。」それを出せ。  それから、「同加入者が全国税の役員になっているかどうか。」それから第三は、「同加入者は全国税の主義主張にどの様な考えをもっているか。」それから第四、「同加入者は全国税に加入していることによって仕事にどのような影響を与えているか。」それから第五には、「組合員という立場と役付職員という立場をどのように解決しているか。」第六、「全役付職員について飲酒」——酒ですね、お酒が好きかどうか。それから第七に、「同じく「かけ事」が好きかどうか。」こういうふうなことをひとつ調査せよ。調査は、一人別に調査をして資料をまとめよ、この通達は総務課長まで回覧をして、読んでしまったならば焼いてしまえ、こういう通達が五月四日付で出ているわけなのです、各署長あてに。これを見ますると、これはもう局というものは、局の方針で一つの組合対策を始めておるということをわれわれとしては感ずるわけでありまして、この点の真相をひとつ明らかにしてほしい。  それから第二には、五月二十一日、新潟県の弥彦で県下の総務課長会議が開かれておる。この総務課長会議で三つのことが申し合わせされておるわけですが、一つは、五月中に柏崎、糸魚川、安塚の組合を解散させる。それから第二は、六月二日か四日に全職場で一せいに第二組合を作らす。第三番目には、新発田は脱退方式をとらないで、当分組合に残る。こういうことが協議をされ、申し合わされておるわけなんです。だから、これも事実としたら、一つの上からの方針というふうに私たちとしてはどうしたってこれは見れるわけなんです。  それから第三には、五月十日、水戸市で茨城県の間税課長会議が開かれた席上で、全国税を脱退して、茨城だけでも第二組合を作る、こういう申し合わせがされておる。  それから第四、徳島税務署総務課の総務係長の美藤という人が、小使さんの福島さん、久野さんという人に対して、小使室において脱退届の様式を示して、今度こういうものを出すことになったから、六月の二日までに書いて捺印しておくようにと、こういうふうなことを申し渡しまして、そうして一日から二日にかけ、三回にわたって、もう書いたか書いたかということで督促しておるわけなんです。これはみんなもちろん勤務時間中でしよう。  それから、六月九日、今治の岩田税務署長、これが署の課長を集めまして、脱退届をきょう中に出せ、こういうことを、これは命令的に申し渡しておる。そこで、分会の執行部がそれを聞きつけて署長に抗議に行ったところが、局がやかましくて仕方がないのでやったのだ——高松国税局の意味だろうと思いますが、局がやかましくて仕方がないのでやったんだ。きょう中と言ったのは取り消すというふうなことを言い、そうして再び課長を集めて、きょう中でなくてもよいのだ、こういうふうなことで伝達しておるわけです。これも事実といたしますと、当局の方針ということをみずからこれは、自白しておるものでありまして、非常に重大に考えております。  それから、六月五日の午前、鳴門税務署の所得税係の主任の石川という人ですね、この人が、その所得税係の中の山北という人だけを除きまして、そのほかの者六名を出張という名前で署から出しまして、そうして自分の自宅に集めておるわけであります。そこでビールを若干出しまして、そうして石川主任から、全国税を脱退しろという勧告をやっておるわけなんです。これなどは、もう明らかにはっきり事実が出てきたら、これはもう八十二条の懲戒に該当する問題なんです。翌六日の午前中に、石川主任は、前日話した諸君に、脱退届けに署名捺印するというようにということをさらに催促しております。で、その催促に際して、この係員がもう少し様子をみようではないか、どうもきのう主任から聞いたが、少し模様が実際とは違うのじゃないかというふうなことを言いますというと、石川主任は、きのうあれだけ話しておいたのに元に戻す気かということで、大いに激昂した、こういう事こまかな報告があるわけなんです。これはもう明らかに懲戒ものであるわけでして、ひとつきっちり事実を明確にしてほしいわけです。  それから次に、配転関係でおどして組合の分裂をはかったという事例があるわけですが、そのうち二、三ちょっと触れておきたいわけですが、一つは、栃木県の鹿沼署の徴収課長が、今年の五月のことですが、今月一ぱいに全国税に脱退届けを出さないと、配転については責任を持ちませんよ、こういう発言をその課員に対してなしておるわけです。それから、茨城県の麻生署、この直税課長が、全国税の副分会長に対しまして、これも今年五月のことですが、配転したかったら第二組合に入れ、こういう勧告をしておる。次に、徳島の鳴門税務署の幹部会におきまして、これも五月ですが、職制にある者が組合のやることについていると、とんでもないところに配転されるぞ、こういうおどかしをかけておるわけなんです。  それから次は、函館税務署ですが、ここの分会の書記長が、過去三人とも、分会の書記長になりますと、一年くらいでみんなどっかへ配転されてしまう。それは、まあ税務署等の配転計画との偶然の一致だというふうに庁のほうはおそらくおっしゃるでしょうが、とにかく三人とも一年ほどすると、ばっぱっと外にやられてしまうわけですね。ここの函館分会の組合というのは、なかなか組合意識の強いところでありまして、そういうこととうらはらになっているという感じを強く受けるわけなんです。最近配転を受けた書記長などは、函館から釧路に追いやられている。こういうわけで、非常にわれわれとしても、これはけしからぬと思っておるものです。  以上、はなはだたくさん一ぺんに申し上げたわけですが、これは十分ひとつ責任のあるこれに対するお答えを願いたいと思います。できますね。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 詳細に調べまして御報告をいたすつもりであります。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 そこで、この際、ちょっと配転の問題につきまして、これは一般的な問題になるかもしれませんが、長官の意見も聞いておきたいのですが、とにかく配置転換ということは、まあ本人にとっても家族にとりましても、非常なやっぱりこれは大問題なわけです。皆さんのように偉い人の場合は、どっかにかわるといえば、即それはだんだん上がっていくということを意味するわけですよ。だけど、下の方につきましてはそういうことじゃないわけでして、大きな生活上の変化というものがくるわけです、学校の子供の関係なり。したがいまして、これは農林省にしても通産省にしても、どこだってそうですが、なるほど配転というものは、それは管理者の一つの業務計画に基づいてやるわけですが、事実上、事前にやはり配転される人の意見も聞いて、君に今度はこちらに行ってもらおうと思うが、どうだろうかといったような、やはりあたたかい打ち合わせ等が実際上あって、そして出されるのが、これが普通なんです。これが常識なんです、生きものですからね。それを国税庁に限って、私たちの聞くところでは、どうも一方的に、事前に全く知らせないで、もう何日からお前はこちらだ、こういうふうな配転が多いわけですね。私は、これははなはだ遺憾だと思っているのですが、長官のひとつ考え方を聞いておきたいと思う。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 配置転換につきましては、ただいま御指摘がございましたように、勤務地を離れ、まあ家族の問題、住宅の問題、あるいは子弟の教育の問題等、種々大きな問題が付随しておりますことは私も十分承知いたしております。ただ、税務行政の特性から参ります関係から、御承知のように、昨年におきましても、全体の職員の五万人のうちで一万六千人、また、今年におきましても一万四千人の配置転換を行なっております。大体毎年職員の数の約三分の一前後の職員の配置がえを行なっております。これは戦前からも行なわれたことでございますので、やはり税務の特性といたしまして、どうしても同じ土地に長くおるということになりますと、いろいろ租税賦課の面、あるいは徴収の面におきましてやりにくくなるという事情がございまして、われわれとしては、できるだけこの配置転換の範囲を狭くして、職員に迷惑をかける程度を一人でも少なくしたいということを念願いたしておりますけれども、事情が事情でありまして、どうしても年に一回の定期異動となりますと、こういう大量の配置転換を行なわざるを得ない。はなはだ遺憾でございます。  次に、事前に本人に知らせてやって、もう少しあたたかい扱いをすべきじゃないかという御意見、これはごもっともでございます。私も、できるならばそういうふうにするのが自然の方法であり、また、それが一番望ましいということを考えている一人でございます。ただ、過去の例について見ましても、こういう一時に、時を同じくしまして大量の配置転換がございますので、これを内示いたしますと、かえって非常な混乱を巻き起こすという結果になるのをおそれているわけでございます。したがって、内示をしないでどういう方法をとっているかということにつきましては、各職員から身上申告書というものをとりまして、職員の家族の構成、あるいはその他の家族の状況、また、学童のありやなしや、あるいは勤務地にどこを希望するかというような詳細な表を出してもらいまして、そして、できる限りこの申告書に述べられている希望に近いところに配置がえ、転勤をしてもらうということを実行いたしているわけでございます。また、署長から内申をとりまして、その署における職員の実情、あるいは希望等について、配置がえをする前に、詳細に内申をとっており、また、個々の場合について疑問があれば署長の意見を求めるということを行なっております。われわれとしては、こういう相当内部的に見て慎重な態度で配置転換を行なっておりますが、しかし、やはり数が多い中には、希望に反した配置がえが行なわれたということでお小言を食う場合もございます。いずれにいたしましても、今後とも配置がえにつきましては、十分本人の実情、家庭の事情等をしんゃくいたしまして、できるだけ希望に近い線で転勤をしてもらうということを進めて参りたいと存じます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 まあ配置転換のやり方については、いろいろ考え方があろうと思います。税務の特質があるからといって、とにかく年に三分の一も異動してはたしていいのかどうかといったような問題もあろうと思います。公務員に対する信頼性をみずから否定しているようなものです。それは、なるほどつながりができれば、また弊害もあるかもしれません。しかし、そういう弊害というものは、そこにおっても、長くいても、なおかつ、それが是正できる、そういう弊害をなくする方法がないのかどうかということが検討すべきことなんです。それを頭からもう何か信用しないような感じを与えるということは、はなはだまずいわけでして、基本的に検討すべき問題があるのじゃないか。これは三分の一も配転しておったら、これはどこかで無理がいきますよ。そこで、その無理のいくのを、たとえば組合問題というのが出てくると、それが利用されるわけなんです。だから、利用の余地のないようにするには、配転問題というものについての考え方ですね、もう少し研究の余地があろうと思います。本質は、ともかく組合問題に利用しちゃいかんという立場から申し上げたわけでして、ついでですから、この問題はこの程度にしておきます。

武内五郎日本社会党

○武内五郎君 配置転換については慎重な態度でしたい、せねばならんことは、今、長官が話されたとおり。それで二、三関連して伺っておきたいことは、これもあらかじめ了解を得ておきたいんですが、ここでもしお答えできなかったら、先ほどの亀田君の質問に連なって、文書でお答えしてもらいたい。それは愛媛県で、多分これは高松国税局管内、そこで最近退職を突然勧告された署長があるはずなんですが、ご存じないですか。知らんければあとで調べてもらいたい。それはなぜ勧告されたかということは、第二組合結成について積極的に動かなかった。もちろん署長は、第一組合であろうと第二組合であろうと、署長の立場としては申立をしなければならん。したがって、どちらにも積極的な活動をすることは、これはできないはずなんだ。ところが、退職勧告の重大な理由に、第二組合結成のために積極的に動かなかったということが裏づけられておるのは、特に高松管内においては、第一組合の切りくずしが成功していなかった、それが一点。  それから第二点は、東京国税局管内で起きた問題で、退職された係長が今になって告白していることは、第二組合結成に動けといわれたんだが、動かなかったという理由なんだ、それが第二点。  第三点は、水戸の管内、定期配転が例年七月に行なわれておりますが、ところが、今年突然一月一日付で行なわれておる。今、長官が言われたように、配置転換というものは非常に慎重に考えなければならん、職場が動揺する、特に家庭の事情等で、いろいろな行きたくないところの職場もあるだろうし、希望するところもあるだろうし、それらでいろいろ動揺するんだが、その配置転換に対して不服な者は退職を勧告されておる事実がある。その三点を、亀田君の質問に対する答弁書についてお答え願いたい。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 文書でお答えするのに、第二点の東京の例は、もう少し具体的にお話しいただかないと、ちょっと調査の方法がないかと思いますが、あとの第一と第三の点は大体調査ができると思います。私はそういうことはないと確信しますが、具体的に調査をいたします。第二点はちょっとそのデータだけでは調査が無理かと思いますが、もう少しお示しいただきたいと思います。

武内五郎日本社会党

○武内五郎君 最近退職をさせられた係長がある。その人が今日になって告白しておることでは、第二組合結成のために動けという指示を受けたのに、積極的に動かなかったという、そういう事実があるかどうか、こういう点。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 税務署名だけでもお教えいただきますと調査ができるのでございますが、これだけでは、ちょっと数が多いものでございますから。

武内五郎日本社会党

○武内五郎君 あとで。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) それじゃあとで。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 だいぶ文書による答弁の要求が多いようでありますから、私からも、国税庁並びに労働省からの答弁を求めたいけれども、あとで十分調査検討された上で、統一的見解を文書でもって答弁願いたい。  まず第一、これはあえて税務署関係のことではありませんが、政府の各種機関に対する問題であるけれども、ただいま税務署のことが話題になっておりますから、特にお願い申し上げたい。これは法制局のほうでも十分御検討を願いたい。  それは、国政調査権というのは、衆議院並びに参議院のいわゆるハウスに与えられたる権能であると私どもは解釈している。そこで、これまた法律家でないから、間違いかもしれないのでありますけれども、国会において、委員会において国政の調査をする、それから、あるいは出向いて行く場合は、国会派遣、委員会派遣の名目において調査をする分には、これはごうも差しつかえなかろうと考える。しかし、私が、高野個人が参議院議員であるからというわけで、かりに税務署に参りまして、相手が拒否するにかかわらず、部屋に入り、調査をもし私が強行するとして、おれは議員として国政調査権を持っているのだというようなことを言い得るかどうか、これは私言えないはずだと思うけれども、これについての見解を、これは税務署関係だけではございません。至るところで起こる問題だ。特に労働省、国税庁の問題が出たから、国税庁、法制局、十分政府の見解としてこれははっきりしてもらいたい。本日の議題に関連して、文書で御答弁願いたい。  それからもう一つは、ほのかに聞くところによりますと、私は文書を見ていないからわからないが、小千谷の徴税課長ですか徴収課長ですか、全国税を脱退するにあたって声明書を職員に配付した。この声明書の全文を見せてもらいたい。この声明書の中に、まことにわれわれが考えて穏当でないような文章があるように思う。今年の四月の下旬でありましたか、某々氏が前の大蔵大臣に面会されて、全国税の運動は最近非常に過激に過ぎる。これはある程度牽制という言葉を使っていいかどうか知りませんが、多少これは押える必要があるのじゃないかという意味のことで、ほかの問題に触れられた。そういうことがその声明書の中に書いてあると聞いておる。これは事実であるかどうか。これはわれわれとしても調査の必要があると思うので、その声明書の全文の写しを、それに関係することだけでなく、劈頭から、その人が全国税を脱退される理由が書いてあるのだろうと思いますから、その全文の写しを見せてもらいたい。  それからもう一つは、これは特に国税庁長官、労働省に研究をお願いして、政府全体としての思想統一をはかった上で答弁願いたいのでございますが、全国税の綱領というのですか、運動方針というのか知らぬけれども、大衆収奪を主軸とする徴税政策に反対をする、闘うというようなことがうたわれておるように承知しております。これが事実であるやいなや、特に労働省にお願いしておきたい。そして、こういうようなことが、国税庁として、あなた方長官として、自分の部下が国の定める税、その徴収、それに従って国家公務員として活動しなければならないその税務官吏が、大衆収奪を主軸とする徴収課税に反対して闘う、こういうことがもしも全国税の綱領なり運動方針にあるとして、それで長官としていいのかどうか、差しつかえないのか。また、労働省の見解としても、こういうようなことが全国税に限らず、もしもほかの組合にもあるといたしました場合に、労働省は、やはりこれが妥当なりと考えられるかどうか、これは私がどちらがいいとか悪いとか、今日最初から私は是非の問題は何も言っておりません。これに対して政府側の関係官庁で十分検討されて、思想統一をはかった上で、以上の点について文書で御答弁願いたい。きょうは要りませんね。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 承知いたしました。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 高野さん、なかなか重要な基本的な問題に触れられたわけですが、その第一の問題につきましては、これは私たちは非常に今後とも関係のあることでして、理論的にはあなたのほうで意見をまとめて出されることになるでしょうが、八月十日に私たちが小千谷税務署に行きましたときに、こういうことが起きているわけなんです。税務署長は、勤務時間中の調査は困る、こう言われますから、たとい勤務時間中でありましても、大した時間はかからぬのだけれども、しかし、まあ一応そのことも先方の立場も認めて、それじゃ休憩時間にやりましょうということになったわけです。ところが、その休憩時間に会議室があいているわけです、当日は。だから、あいているのであれば、その会議室を使わしてくれ、こう言ったことに対して、貸すことはできぬ、こういう答えなんです。貸すとか貸さぬとかの問題じゃない。休憩時間にお調べになるのは、それは自由です、そこまで認めておれば、それはあなた、だれにしたって、あいているものは、じゃそこでおやり下さいというのが、これは常識なんです。それを道路か庭か、どこかで立ってやれということになりますね、会議室がいかぬということになりますと。だから、そういう非常識なことをやることは、高野さんの質問に対してどんな基本理論ができましょうとも、それは私は筋がこの点は通らぬと思う。調査権の範囲ということは、なるほど高野さんが御指摘のとおり、国会で議決をしていく場合とそうでない場合とは、これは違います。しかし、問題がいろいろあれば、政治家がその事前の調査に行くということは、どんな場合だって当然あるわけなんです。それは国会の権限に基づいて行くわけじゃない。しかし、私用ではないわけなんです。私用で行くわけじゃない。だから、そういうところは、何も法律に書いてあるわけじゃありませんが、事実上の問題として公に行動される場合には、できるだけ便宜をはかっていく。これは立場のいかんにかかわらず、そういうことが社会的に行なわれておることなんです。ところが、国税庁、税務署のほうでは、その社会的な常識をさらにしぼろうとされている。この問題は次にしましょう。そういう基本的な問題は次にしますが、ともかく休憩時間中にそれじゃひとつ若干の人について聞くからということになって、しからばどこで聞くか、会議室はきょうあいておるということを聞いたから、じゃそこでやりたいと思うのだがと言ったら、それは困る、こんな非常識なことがあるものですか。国会議員を侮辱しているのです。自分の何か個人的なことで行っているわけじゃない。先ほどあなたがお答えになったとおり、なるほど両者の言い分は多少違うけれども、やはりそれに似通ったようなことが少なくともあるわけなんです。組合員にしてみればたいへんなことなんです。東京まで呼んで調べるわけにいかないわけでして、せっかくそこへ行けば、さあどうぞというのはあたりまえのことでして、そんなばかげた非常識なことがあるものですか。  もう一つ私が申し上げたいのは、そこで仕方がないものですから、手続としては、じゃ労働組合のほうでその会議室を借りる、こういうことに形式はなったわけです。そこで、事実上は私たちが借りたわけですが、形式は労働組合の分会が借りる、そういう形をとった、そんなおかしな形式的なことは、全く児戯に類するものですよ。そこで、休憩時間は十二時十五分から十三時十五分まで、私たちも、まあ今度の問題では、本局のほうから相当やかましく言うているという立場も考慮して、十三時十五分にぴちっと終わらしたわけです。終わらして、そして職員の方には、こちらから全部職場に帰ってもらった。あと十分か十五分、そこで私たち弁当を食べたわけです。そうしたら弁当を食べているところへ来て、時間が過ぎましたから出てくれ、だから、こういう非礼といいますか、常識のない諸君が国民の税金を徴収する立場にあるというようなことは、私は悲しく思いました、実際のところを言って。これは調べて下さい、そのとおりなんだから。そういう発言をしたのは、署長の命令だということで、丸田総務課長が言ってきた。そんな非常識な、全くあきれてものが言えない。基本論とはこれは別です、こんなものは。そういうことを聞いているでしょう。どういうふうにそれは考えているか、長官。

高野一夫自由民主党

○高野一夫君 これは僕は亀田さんに言っていいのか、あなたに言っていいのかわからぬが、委員会だから、長官に誤解のないように、あなたが文書で答弁されるのに誤解のないように申し上げたいことは、その部屋を借りるとか何とか、僕は亀田さんと全く同意見。最初から正規に派遣されようとされまいとにかかわらず、常に身を犠牲にしてお互いに国政に努力しているつもりでいるんだが、国会議員が行った場合に、あいている部屋を貸したり、休憩時間にそこの職員に会わしたりする便宜をはかることは、これは当然だと思う。私も、もしもそういう場合に拒否されたらば、おそらく怒るだろうと思います。私はそれを言っているんじゃない。それを言っているんじゃなくして、相手のその機構の行政官庁の責任者が、もしも都合が悪いから、あるいは執務時間中であるから、こうこう言うわけだからということで、その調査なり面会を拒否された場合に、そういうような場合の根本論を言っているわけです。そういうような場合に、なおかつ、私なら私が、おれは国政調査権を持っている議員じゃないかと言って行くことは、私はこれは逸脱した考え方、やり方だと思うが、それがないとは限らない。今後起こる。私たちもやりかねない。だからその点について、そういう場合が起こった場合に、特にこれは全体の政府関係の機関に関係することだけれども、税務署、国税庁関係にそれが起こった場合に、どういうふうに、お考えになるか、これはしぼって回答されてもけっこうです。そういう意味でありますから、今、亀田さんのおっしゃったような、部屋を貸すとか、面会時間を都合するとか、こんなことはあたりまえのことで、それは便宜をはからぬのがよほどどうかしている。そういう意味であなたに言っているのではないから、その点はよく理解をして、そして答弁書を作ってもらいたい。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 亀田君の御質問に対して御答弁を願います。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 私ども聞いております報告によりますと、若干話が違う面もあるように理解されます。事実私はその場にい合わせたのではございませんので、これに対して完全にそうだということを確言することはいかがかと思いますけれども、ただ、一言われわれの受けておる報告の範囲内で弁解をさせていただきたいと思います。  昼の御飯の弁当を召し上がるときに、もう時間が過ぎましたから出ていただきたい、こういうことを総務課長が申し上げたのは、これは事実そう報告もされております。今御指摘になったとおりでございます。ただ、そのあとに、総務課長といたしましては、食事は署長室に準備しますから、署長室で召し上がって下さい、こういうことを申しているのでございまして、皆さまにお出になっていただきたい、締め出すという感じと、今の私の受けております署長室で召し上がって下さいという感じとは、若干感じ方の上で、われわれは違った感じを受けているわけでございます。それから、また、会議室をお貸しできない、こういうことを署長が申し上げていることも、これは今御指摘になりましたとおり、私のほうも同じような報告を受けております。ただ、この点も、会議室を貸してもらいたい、個々の職員について、時間を区切って別々に取り調べるから調査に協力されたい、こういうようにおっしゃっているのでございまして、ただいま高野委員からもお話がありましたように、調査権の発動としての御通達をいただいておれば、われわれのほうでこれに御協力申し上げることは当然のことでございますけれども、そういう手続がなくおいでになった関係上、個々の職員について、時間を区切って別々に取り調べたいという仰せがありましたので、執務時間中でございますので、そういう趣旨で会議室をお貸しするということは困りますということを署長が答えているわけでございます。事実はただいま御指摘のとおりでございますが、ただ、ここに何と申しますか、われわれの受けております報告の範囲で情状を酌量していただけるものがあるのじゃないかということを私は考えている次第でございます。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 長官は報告書だけだから、まさかこんな非常識のことがあるかという感じを持っているから、報告の読み方も違うと思いますが、ともかく非常識のことがあったわけです。武内参議院議員も一緒だったのです。勤務時間中に聞いてもらっては困るというのは、私たちも認めたわけです。その話はもう済んでいるわけです。それじゃ休憩時間にしようとなり、それで場所の問題になった。だから、なるほど最初は一人について五、六分でいいのだから、一度にどっと来てもらっても、かえって迷惑だろうから、僕らは資料を持っているわけです。本人に確かめるだけだからという話だったけれども、それも困るということから、それを認めて、今度は休憩時間中の部屋の問題になって、結果論としてもわれわれに貸しておらぬわけです。ちゃんと組合の手続になっておる。だから、そんなことを言うておるが、ちゃんと証拠は残っている。それから、飯のほうは、それは明らかに出てくれと、こら言ったので、僕はそこで怒った。そんなことは常識だから、飲を食って帰ったはずです。一体署長は、そのときほんとうに弁当を用意したのかどうか、用意もしておらぬで、あとからそんな理屈をつけているからおかしいのだ。出てくれと言うて来た。高野君もこの点では同感らしい。もう少しきちんと報告して下さい。組合の借用書も出ているわけですから、それも確しかめてもらいたい。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) 委員長より質問をいたしますが、高野委員、亀田委員の御指摘のような内容であれば、長官としても御異存がないというように聞きとったのでありますが、そうでございましたらそのようにお答えいただきます。事実については、後ほど十二分に調査の上でお答えをいただければよろしいかと思います。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 事実問題につきましは、後刻詳細に確かめまして御報告申し上げたいと思います。  なお、われわれも平素から、国会議員が地方においでになる場合に、非礼にわたらないようにという指導はいたしておりますが、手落ちの面がありますれば、今後そこのところは十分注意をいたしたいと思います。

武内五郎日本社会党

○武内五郎君 ちょっと関連。その際、同じ日に起きている話が、それは小千谷署長の話の中に出ておることですが、われわれには部屋を貸さない、じゃどういうわけで貸さぬかというと、酒造組合の諸君にはときどき貸しておりますが、あなた方には貸さないという。一体酒造組合に貸して、国政に関する調査に行く国会議員に貸さないということはどういうわけか。いろいろ私も酒屋の親類があるが、全くおかしい。これは私の親類では、蔵出しの量を間税課から調べに来ると、すぐに部屋に入れてごちそうを出すことが戦前からの例になっておる。なるほど酒造組合と間税とは、全く密接不離な関係があるかもしれぬ。酒造組合という団体に貸しておりながら、国会議員が国政に関する——なるほど個人的な立場で行ったかもしれないけれども、国会議員に貸さないという理由はどこにあるのか、それらを文書にして報告して下さい。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それじゃひとつうんとたくさん注文を一ぺんに出しておきますが、もう一つは、遠山審議官というのがおられます。大体労務担当をしておられるようですが、五月二十二、二十三日の仙台国税局の署長会議で、当局は第二組合を育成する方針である、こういう趣旨の演説をしておるわけです。この事実。それから、遠山審議官は、第二組合育成のために、だいぶあちこち奔走したようでありますが、ことしの四月から七月までの出張日、出張先、用件、この三点を明らかにしたひとつ資料を出してもらいたい。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) さっそくお出しいたします。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 さらに昭和三十三年の問題でありますが、最初に私がちょっと御質問の中で触れた点ですが、この国税庁の次長をされておる泉君が、ビール税の問題につきまして、八〇%程度の報告をすれば黙認をする、こういうことをビール会社関係に流しておるわけです。これは税額にいたしますと約四億になりますし、罰金等を入れたら四十億に達する莫大なものです。このことが途中から暴露されまして、そうして内々こういうことは取りやめになっているわけですが、国税庁としては、泉君を当時懲戒処分にされたようでありますが、ところが、いつの間にか国税庁の次長に栄転をされているわけなんです。私は、これははなはだ心外でありまして、この事件の真相と、それから、処分はされたと聞いているが、いかなる内容の処分であったのか、そのことを、ひとつこれも正確に報告を願いたいと思います。その点の報告はよろしいですね。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) はあ。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 最後にもう一つだけ。これはここで直接聞きますが、労働組合の掲示板等がずいぶん問題になっているわけです。で、国税庁としては最初に申されたような方針であれば、第二組合だから特に掲示板をいい所へ出したり、それから優先的にやらすとか、そういうことはあり得ないと私は考える。そういうことを差別扱いするということは、これは当初の方針にもとるわけですが、そういう点の考え方を聞いておきたい。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) これは国有財産法、あるいは物品の無償貸付及び譲与等に関する法律等によりまして、新規に組合に対して無償でもって貸すということを禁じておりますが、従来、第一組合でございましょうと第二組合でございましょうと、組合側に対して貸している物品等を直ちに引き上げるというようなことはいたしておりません。新規に貸し出すことはやめておりますけれども、従来使っておられるものを理由なく引き上げるということはいたしておりません。また、第二組合と第一組合との間で差別待遇をする、第二組合のものはいい所へ出すとか、あるいは第一組合のものは取り払うとかいうようなことはいたしておらないと確信しております。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 それではひとつお調べ願いたいのですが、それに反することが、これもたくさんあるんですが、一つだけ調べてほしいのは、小石川税務署、ここで昨年の十二月に第二組合が結成されて、本年二月、当局から掲示板を新たに許可されておるわけですが、あなたの先ほどの方針と違う。そうすると、この署長は国税庁の方針に反することをやっているということになっている。これは既設のものじゃないですよ。新たにこういう許可を与えている。調査して下さい。

木村秀弘国税庁長官

○政府委員(木村秀弘君) 先ほど申し上げましたのが庁の方針でございますが、あるいは第二組合側で使用したものを黙認している場合じゃないかと思いますが、いずれ具体的には調査をいたして御報告いたします。

亀田得治日本社会党

○亀田得治君 いろいろあるのですが、時間の関係が皆さんおありのようですから、ちょっと遠慮申し上げまして、本日はこの程度で一応中止しておきます。ただ、委員長にお願いしたい点は、いずれ国税庁から詳しい報告等が出てくるでしょうが、なかなかこういう問題は両者の言い分が違ってくるわけですが、しかし、この事実関係がはっきりいたしませんと、なかなか理論を適用することがむずかしいわけでして、だから、そういう点について、ぜひ適当な機会に証人なり参考人等によってひとつ突っ込んだ調査をお願いするように希望いたしておきます。

加瀬完日本社会党

○委員長(加瀬完君) ただいまの亀田君の御発言に対しましては、理事会におきまして慎重に検討いたしまして、御要望に沿うように努力をいたしたいと思います。  他に御発言もなければ、本日のところ、本件に対する質疑はこの程度にとどめおきます。  これにて散会いたします。    午後三時三十一分散会    ————・————

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